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ウィキリークス情報 ウィキリークスが公開した公電:日本に武器禁輸の見直し求める(12/2 THE WALL STREET JOURNAL日本版) WikiLeaks Japan North Korea Collapse ?; Going Nuclear ; UN Security Council 北朝鮮崩壊?「(日本の)核武装化」;国連安全保障理事会 http //blogs.wsj.com/japanrealtime/2010/11/30/wikileaks-japan-north-korea-collapse-going-nuclear-un-security-council/ WikiLeaks Japan North Korea Knocked on DPJ Door -- Seoul(未作成) 北朝鮮は「民主党のドアをノックした」 -- ソウル http //blogs.wsj.com/japanrealtime/2010/11/30/wikileaks-japan-north-korea-knocked-on-dpj-door-seoul/ WikiLeaks Japan China s Wen Tired, Hu Confident (未作成) 中国の温家宝「疲労困憊」、胡錦濤「自信たっぷり」 http //blogs.wsj.com/japanrealtime/2010/11/29/wikileaks-japan-chinas-wen-tired-hu-confident-ex-pm-aso/ The WikiLeaks Japan Trove What Can You Find ?(未作成) 宝の山 何を見つけることができますか。 http //blogs.wsj.com/japanrealtime/2010/11/29/the-wikileaks-japan-trove-what-can-you-find/ 15年戦争資料庫
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メモでもなんでも貼っていってね。 SPアシストに対するスキルモジュールの反映 スキルモジュール 連続ヒット(同時ヒット)補正 ランクマッチのランクと累計ポイント ステージの広さ オーラの効果 よくあるキャラ俗称 クロスギア攻撃(近接、格闘) 画面の見方 超個人的すぎるオススメコンフィグたたき台操作タイプ(ブースト・ステップタイプ) SPアシストに対するスキルモジュールの反映 SPアシスト SP攻撃力アップは「アシストを呼ぶキャラ」につける。 「呼ばれるキャラ」の射撃ギア攻撃力アップやコンボ攻撃力アップが上乗せされる。 なので呼ぶ方と呼ばれる方それぞれにスキルつけて二重強化できる。 スキルモジュール クロス攻撃アップ→近距離SPスキルに効果が乗らない。 コンボ攻撃アップ→近距離SPスキルに効果が乗る! 連続ヒット(同時ヒット)補正 6ヒットめからダメージが下がる気がする。 4ヒット目から?マジ? ランクマッチのランクと累計ポイント 累計500ポイントでC 累計1000ポイントでB 累計5000ポイントでA ステージの広さ 開幕距離は60 ステージの端と端の距離 ステージ 距離 アリーナ・昼 74 アリーナ・夜 宇宙・ノーマル 宇宙・リバース 桜庭園・昼 桜庭園・夜 洞窟・ノーマル 洞窟・アナザー ワームホール トレーニング 97 オーラの効果 赤オーラ:のけぞり耐性、攻撃力向上、ほか? 緑オーラ:移動性能向上、ほか? 青オーラ:ステップ消費低減、攻撃速度向上、ほか? ※オーラは複数同時に発現する。 よくあるキャラ俗称 比良坂 夜露 → ヨロ 百科 文嘉 → メガネ(初期のメガネはコイツだけだった) 一条 綾香 → お嬢 小芦 睦海 → ムッちゃん 二子玉 舞 → タマちゃん バージニア・G→ジニー(劇中の愛称だけど…) 藤野 やよい → ラッパー 依城 えり → マタギ 文島 明日翔 → 文鳥 新谷 芹菜 →にゃーさん 蛙坂 来弥 → 忍者 萬場 盟華 → 社長 山野 薫子 → おばさん、BBA その他、アマ、会長、未亡人等はアプリ版登場キャラクターでCSには未登場 クロスギア攻撃(近接、格闘) ガンダムvsシリーズに近い、ニュートラルと前後左右4方向へのレバー入力で異なるクロスギア攻撃が出る。 入力 攻撃の傾向 N(ニュートラル)格闘 攻撃回数が多い。 前+格闘 踏み込みが長い、または突進が多い。 横+格闘(左or右+格闘) 横薙ぎが多い。左右でモーションが異なり、一部は威力も異なる。 後+格闘 出が早いことが多い。 右レバー上 SPクロスギア攻撃。SPゲージを2本消費する。 ※公式発表でレバー入れクロス攻撃は「ブーストクロス攻撃」と称される。僅かでもブースト移動が発動してないとブーストクロス攻撃は発動しない。 ※操作タイプCでレバー入力と共に入力しても発動しない。 ※ブーストクロス攻撃(レバー入れ格闘)は、レバー入力から一拍おいてから(ブーストが発生してから)クロスギア攻撃を入力すること。 画面の見方 左上:残り時間。 左下:自軍体力ゲージ。操作中キャラの体力値。 右上:敵軍待機中キャラの体力ゲージ。(対戦時は下にID) 下段中央数値:ショットギア残弾数/装弾数 下段中央、上ゲージ:ブーストゲージ。 下段中央、左ゲージ:トップスギアスキルゲージ。(上矢印マーク) 下段中央、右ゲージ:ボトムスギアスキルゲージ。(下矢印マーク) 右下:SPゲージ。 敵頭上数値:相対距離(メートル単位……と思われる)。 敵右上バー:敵体力ゲージ 敵右上バーの右上の小さな数値:与ダメージ量 敵右上バーの下の3つのマーク:敵SPスキルの溜まり状態 超個人的すぎるオススメコンフィグたたき台 □:ショットギア(メイン射撃) △:クロスギア(近接攻撃) ○:ガード(バリア) ×:ステップ L1・L2:上昇・下降(上・下を直感的に) R1・R2:トップスギアスキル・ボトムスギアスキル(上・下を直感的に) これで直感的かつ、他ゲーと比べて共通項のある操作になるはず。 ショットギア攻撃(メイン射撃)はR1、クロスギア攻撃(近接攻撃)R2でもいいかもしんない。 操作タイプ(ブースト・ステップタイプ) 操作タイプAは、ブースト移動の出が早い。スティックを僅かに傾けることで発生する低速移動がやりにくい(慣れ)。 操作タイプBはわからん。 操作タイプCの場合△が近接攻撃だと、×でブーストしてからのブーストクロス攻撃の発生が遅くなるデメリットが存在する。 操作タイプCはどうしてもブーストの初速が遅くなるため弱いと思われる。
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ライフルの特性、傾向 一覧表(性能早見表) 個別解説TRライフルE#D TRライフルG#D TRライフルH#D TRライフルF#D イズモ#D(比良坂 夜露専用) クルセイダーHYsG2#D ヤシマ#D(吾妻 楓専用) 三二式AKs乙#D フラワーポットMk3#D(相河 愛花専用) クルセイダーAAsG2#D ジークフリートMk3#D(二子玉 舞専用) TR-22NMs極#D PG416A2Na#D(バージニア・G専用) スカイレイVGsG2#D シャ・ド・パラスMk3#D(新谷 芹菜専用) カラシNSsV3#D バクルスMk3#D(山野 薫子専用) 試製二三式自動小銃YKs3型#D ライフルの特性、傾向 標準的な性能。 一覧表(性能早見表) 名称 専用 属性 装弾数 ex. TRライフルE#D 誰でも 電撃 TRライフルG#D 誰でも 重力 TRライフルH#D 誰でも 焼夷 TRライフルF#D 誰でも 冷撃 イズモ#D 比良坂 夜露 電撃 12 クルセイダーHYsG2#D 誰でも 電撃 ヤシマ#D 吾妻 楓 電撃 三二式AKs乙#D 誰でも 電撃 フラワーポットMk3#D 相河 愛花 電撃 クルセイダーAAsG2#D 誰でも 電撃 ジークフリートMk3#D 二子玉 舞 冷撃 TR-22NMs極#D 誰でも 冷撃 PG416A2Na#D バージニア・G 焼夷 スカイレイVGsG2#D 誰でも 焼夷 シャ・ド・パラスMk3#D 新谷 芹菜 重力 カラシNSsV3#D 誰でも 重力 バクルスMk3#D 山野 薫子 重力 試製二三式自動小銃YKs3型#D 誰でも 重力 個別解説 TRライフルE#D 誰でも 属性:電撃 TRライフルG#D 誰でも 属性:重力 TRライフルH#D 誰でも 属性:焼夷 TRライフルF#D 誰でも 属性:冷撃 イズモ#D(比良坂 夜露専用) 比良坂 夜露専用 属性:電撃 装弾数:12 一回入力で3発発射。 チャージの威力:240 チャージで、大きい弾を一発発射。4発分消費。 攻撃 威力 発射 消費 備考 ノーマル 3 3 チャージ 240 1 4 直接ダメージが強いライフル レートや威力は若干劣るがリカバリアブルダメージになる値が少なく、相手のHPを回復する隙を与えない 特殊効果相手のリカバリアブルゲージの発生量が減る ※リカバリアブルダメージとは、HPが減ったときの所謂赤ゲージのこと。 クルセイダーHYsG2#D 誰でも 属性:電撃 ヤシマ#D(吾妻 楓専用) 吾妻 楓専用 属性:電撃 平均的なライフル チャージショットの威力が高いためある程度足止め目的、ダメージ目的の双方で使いやすい 三二式AKs乙#D 誰でも 属性:電撃 フラワーポットMk3#D(相河 愛花専用) 相河 愛花専用 属性:電撃 4連射のライフル チャージショットが特殊な3方向射撃になっており全体的に威力よりも命中率を重視した性能 クルセイダーAAsG2#D 誰でも 属性:電撃 ジークフリートMk3#D(二子玉 舞専用) 二子玉 舞専用 属性:冷撃 2連射のライフルだが射撃間隔が短いためボタン連打で全弾を途切れないように高速連射できる 高速連射は攻撃の隙も与えないため強力だが弾薬の消費も大きいため使い切った場合しばらく待つ必要がある TR-22NMs極#D 誰でも 属性:冷撃 PG416A2Na#D(バージニア・G専用) バージニア・G専用 属性:焼夷 威力の高いライフル 射撃レートは落ちるが1発1発の威力が高いため他のライフルより素早くダメージを蓄積させられる スカイレイVGsG2#D 誰でも 属性:焼夷 シャ・ド・パラスMk3#D(新谷 芹菜専用) 新谷 芹菜専用 属性:重力 5点バーストのライフル 総弾数が多く連射性能が高い威力は高くなく牽制用途が得意なライフル カラシNSsV3#D 誰でも 属性:重力 バクルスMk3#D(山野 薫子専用) 山野 薫子専用 属性:重力 単発式のライフル 1発の威力はライフルの中で最も高いが1発だけでは相手をのけ反らせることが出来ないため手動である程度の連射をする必要があるが弾薬数が少なく管理が難しい 試製二三式自動小銃YKs3型#D 誰でも 属性:重力
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スナイパーの特性、傾向 一覧表 個別解説TRスナイパーE#D TRスナイパーG#D TRスナイパーH#D TRスナイパーF#D アンクーシャMk3#D(兼志谷 シタラ専用) ダークシャークKSsG2#D キルシュイェーガーA2#D(小芦 睦海専用) ダークシャークKMsG2#D ムラタ五式#D(依城 えり専用) 二四式YEs乙#D ダルタニャン#D(文島 明日翔専用) ファイアボールFAsG2#D ストリクスGen.3#D(神宮寺 真理専用) EハンターJMsMk3#D スナイパーの特性、傾向 弾速が速い 射程が長い チャージ中はダッシュできない チャージ中は左右に狙いを付けられる 一段階のチャージができる チャージ中はダッシュできない チャージ状態をステップでキャンセルできる ステップからで速射できる(ステップ射撃)。 誘導しないものが多いが、必ずしも誘導しないことはない(武器による) 一覧表 名称 専用 属性 装弾数 TRスナイパーE#D 誰でも 電撃 TRスナイパーG#D 誰でも 重力 TRスナイパーH#D 誰でも 焼夷 TRスナイパーF#D 誰でも 氷撃 アンクーシャMk3#D 兼志谷 シタラ 重力 ダークシャークKSsG2#D 誰でも 重力 キルシュイェーガーA2#D 小芦 睦海 氷撃 5 ダークシャークKMsG2#D 誰でも 氷撃 5 ムラタ五式#D 依城 えり 氷撃 4 二四式YEs乙#D 誰でも 氷撃 4 ダルタニャン#D 文島 明日翔 焼夷 ファイアボールFAsG2#D 誰でも 焼夷 ストリクスGen.3#D 神宮寺 真理 電撃 EハンターJMsMk3#D 誰でも 電撃 個別解説 TRスナイパーE#D 誰でも 属性:電撃 威力:84 チャージ威力:84 TRスナイパーG#D 誰でも 属性:重力 兼志谷シタラ初期装備。 TRスナイパーH#D 誰でも 属性:焼夷 TRスナイパーF#D 誰でも 属性:氷撃 アンクーシャMk3#D(兼志谷 シタラ専用) 兼志谷 シタラ専用 属性:重力 装弾数:6発 ノーマル威力:120 ノーマル(非チャージ)攻撃ヒット後、即ステップからもう一度ノーマル攻撃で2ヒットさせることができる。 ステップ射撃威力:120 チャージ:強・中・弱の3連射。3発消費。 【ダメージ表】 攻撃(ヒット数) 威力 備考 ノーマル 120 ステップ 120 チャージ(3) 160 チャージ(1~3) 300 SPアシスト(5) SPアシスト:スナイパー射撃1発と、ホーミングレーザー4発を発射。 バランス型スナイパー スナイパーの運用方法の代表格な性能 距離を取りつつ相手の動きを予測して溜めによる手動偏差射撃でのヒットを狙う ダークシャークKSsG2#D 兼志谷シタラ向け。全員装備可能。 属性:重力 誰でも装備できる分、兼志谷シタラ専用のアンクーシャMk3#Dに威力が劣る。 キルシュイェーガーA2#D(小芦 睦海専用) 小芦 睦海専用 属性:氷撃 装弾数:5発 ノーマル:??? ステップ射撃:??? チャージ:レーザー5連射。弾数消費は3発。 連射が出来るスナイパー 構えて弾を発射するまでは他のスナイパーに比べると時間がかかるが、1回発射すると隙無く全弾撃ち込める ロングレンジの場合に相手の動きを見ながら連射することで威力の高いスナイパーをヒットさせやすい ただし、弾薬リチャージが遅いので注意 ダークシャークKMsG2#D 小芦睦海向けギア。全員装備可能。 属性:氷撃 誰でも装備できる分、小芦睦海専用のキルシュイェーガーA2#Dに威力が劣る。 ムラタ五式#D(依城 えり専用) 依城 えり専用 属性:氷撃 装弾数:4発 ステータスバー上、威力が上限(!!)。 ノーマルで1発撃ち。 チャージで2発撃ち。 ステップで1発撃ち、速射。 チャージ攻撃一回で2発消費し、二回で弾切れになるためリロードをスキルモジュールで補助するとよいかもしれない。 【ダメージ早見表】 攻撃(ヒット数) 威力 備考 ノーマル(1~2) 160 チャージ(1~2) 160 チャージ(1~4) 312 ステップ 140(近),150,160(遠) 威力がぶれる 高威力のスナイパー 多段ヒットするためうまくヒットさせるとダメージが高い 構えの時間が長いため射撃タイミングをしっかりと見計らって射撃を行う必要がある 二四式YEs乙#D 依城えり向けギア。全員装備可能。 属性:氷撃 装弾数:4発 誰でも装備できる分、依城えり専用のムラタ五式#Dに威力が劣る。 ダルタニャン#D(文島 明日翔専用) 文島 明日翔専用 属性:焼夷 装弾数: ノーマル:??? ステップ射撃:??? チャージ:??? 命中率の高い射撃を行うスナイパー チャージすると3発を同時に発射できるため命中率が格段に上がる反面、消費弾薬も多いため弾切れに注意 ファイアボールFAsG2#D 文島 明日翔向けギア。全員装備可能。 属性:焼夷 装弾数: 誰でも装備できる分、文島明日翔専用のダルタニャン#Dに威力が劣る。 ストリクスGen.3#D(神宮寺 真理専用) 神宮寺 真理専用 属性:電撃 装弾数: ノーマル:??? ステップ射撃:??? 一段階チャージ:??? 二段階チャージ:??? ホーミングレーザーを主体としたスナイパー 基本的なスナイパーに比べ威力は控えめだが誘導性能がある射撃の隙は平均的 EハンターJMsMk3#D 神宮寺真理向けギア。全員装備可能。 属性:電撃 装弾数: 誰でも装備できる分、神宮寺真理専用のストリクスGen.3#Dに威力が劣る。
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バズーカの特性、傾向 一覧表 個別解説TRバズーカE#D TRバズーカG#D TRバズーカH#D TRバズーカF#D ヘーゲルMk3#D(百科 文嘉専用) ヴァリアントMFsMk3#D サーメートサーブ#D(日向 リン専用) GラケーテHRsA2#D グシナウタル#D(小鳥遊 怜専用) 二一式TRs乙#D グリッツグルースM3#D(四谷 ゆみ専用) GラケーテYYsA2#D アレクサンドラ・メリー#D(宇佐元 杏奈専用) 二一式UAs乙#D バズーカの特性、傾向 必ず爆風を伴う 連射しにくい?ことはないか? 装弾数が少ない(1~4発) チャージしながらダッシュ可能 チャージしながらステップしてもチャージが切れない ステップ最中にボタン離しでチャージ解除可能 誘導が強い傾向にある? 射程が短い傾向にある? 弾速が遅い傾向にある? 敵弾で弾を消されやすい。 一覧表 名称 専用 属性 装弾数 TRバズーカE#D 誰でも 電撃 TRバズーカG#D 誰でも 重力 TRバズーカH#D 誰でも 焼夷 TRバズーカF#D 誰でも 冷撃 ヘーゲルMk3#D 百科 文嘉 冷撃 4 ヴァリアントMFsMk3#D 誰でも 冷撃 4 サーメートサーブ#D 日向 リン 焼夷 4 GラケーテHRsA2#D 誰でも 焼夷 4 グシナウタル#D 小鳥遊 怜 冷撃 4 二一式TRs乙#D 誰でも 冷撃 4 グリッツグルースM3#D 四谷 ゆみ 重力 1 GラケーテYYsA2#D 誰でも 重力 1 アレクサンドラ・メリー#D 宇佐元 杏奈 電撃 3 二一式UAs乙#D 誰でも 電撃 3 個別解説 ヒット数は相手を比良坂 夜露スキルモジュールなしに設定時。 TRバズーカE#D 誰でも 属性:電撃 TRバズーカG#D 誰でも 属性:重力 TRバズーカH#D 誰でも 属性:焼夷 TRバズーカF#D 誰でも 属性:冷撃 ヘーゲルMk3#D(百科 文嘉専用) 百科 文嘉専用 属性:冷撃 装弾数:4発。 ノーマル:射程が短い。最大2HIT。 一段階チャージ:3連射。最大4HIT(本体1→爆風1→本体2→爆風2) 二段階チャージ:1発。大バズ。最大6HIT。 SPアシスト:4ヒット爆風が進行する中距離射程のバズを2発撃ちする。 射程の短い連射可能なバズーカ 爆風の範囲も広いため直接ヒットしなくても爆風で相手にダメージを与えやすい 更に連射性能も高いため爆風で吹き飛んだ相手にバズーカでの追撃も出来る ヴァリアントMFsMk3#D 百科 文嘉向け。誰でも。 属性:冷撃 総弾数:4発。 ノーマル:1発。射程が短い。MAX2HIT。 一段階チャージ:3連射。ノーマルより射程が長い。MAX4HIT。 二段階チャージ:1発。射程が長い。MAX6HIT。 サーメートサーブ#D(日向 リン専用) 日向 リン専用 属性:焼夷 装弾数:??? ノーマル:1発。MAX2HIT。 射程60で届かない。 一段階チャージ:1発。弾速速い。MAX2HIT。 射程60で届かない。 二段階チャージ:1発。弾速とても速い。MAX4HIT。 射程60で届く。 SPアシストは、間隔を開けて2発発射。 バズーカの中では扱いやすい チャージは弾速が上がり射程も伸びるため遠距離でもある程度活躍できる GラケーテHRsA2#D 日向 リン向け。誰でも。 属性:焼夷 グシナウタル#D(小鳥遊 怜専用) 小鳥遊 怜専用 属性:冷撃 装弾数:4発。 ノーマル:1発。MAX2HIT。 射程60届く。 一段階チャージ:2連射。MAX4HIT。 射程60届く。 二段階チャージ:2連射。MAX4HIT。 射程70届く。 高速連射が出来る特殊なバズーカ 連射性能が強く一気にラッシュを仕掛けられる反面弾薬数は心もとないので不用意に連射するとすぐに弾切れになってしまうので注意 二一式TRs乙#D 小鳥遊 怜向け。誰でも。 属性:冷撃 グリッツグルースM3#D(四谷 ゆみ専用) 四谷 ゆみ専用 属性:重力 装弾数:1発。 ノーマル:1発。MAX2HIT。 射程60届く。 ステップ:1発。 一段階チャージ:1発。MAX4HIT(爆風多弾HIT)。 射程60届かない。射程とても短い。爆風大きい。 二段階チャージ:1発。MAX4HIT(爆風多弾HIT)。 射程60届く。弾速速い。爆風大きい。 装弾数が1発であるため、当たっても他のバズーカと違いバズーカ2発目での追撃ができない。 装弾数1発の強力なバズーカ 1発ごとに長めのリロードが入るが強力なためいかに丁寧にヒットさせていくかで性能が大きく変わるバズーカ GラケーテYYsA2#D 四谷 ゆみ向け。誰でも。 属性:重力 アレクサンドラ・メリー#D(宇佐元 杏奈専用) 宇佐元 杏奈専用 属性:電撃 装弾数:3発。 ノーマル:連射可能。 射程60届かない。 一段階チャージ:1発。MAX4HIT。 射程60届く。 二段階チャージ:1発。MAX6HIT。 射程60届く。弾速遅い。 SPアシスト:4ヒット爆風が進行する中距離射程のバズを2発撃ちする。 弾速の種類が多いバズーカ チャージすることで弾速が遅くなり、威力が増加していく 速度と威力を上手く使い分け多彩な攻撃ができる 最大まで溜めると自身の移動速度と同じくらいの弾速になるため弾丸と一緒に攻めるような戦い方ができる 二一式UAs乙#D 宇佐元 杏奈向け。誰でも。 属性:電撃
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●ボルネオ島 米軍上陸地点 仮称「フォックスロット」海岸付近 上陸用艦艇で埋め尽くされた海から陸にはい上がった海兵隊のAAV7装甲兵員輸送車部隊がエンジン音をまき散らしながら砂浜を走る。 その横では、揚陸艦から続々と戦車と海兵隊員が吐き出されつつある。 「第一班は戦車の後に続け!」 「第二班、右へ展開!第三班は俺についてこいっ!」 「斬り込み隊の仇討ちだ!」 「応っ!」 斬り込み隊として先に上陸、死体さえ回収出来なかった戦友達の仇討ちを心に誓う隊員達は、戦車に続いてランプから飛び降りると、ついにボルネオ島の砂浜に降り立った。 戦艦の艦砲射撃はすでに止んでいる。 海岸から見える限り、あらかたの施設が叩かれ、あちこちから黒煙が高々と上がっているように見える。 中華帝国を思わせるモノは何一つ存在しない。 海兵隊員達が見たボルネオ島は、むっとする熱気が体にまとわりつき、何か得体の知れないモノが焼ける、吸い込むだけで肺が爛れそうな、そうでなくても吐き出したくなるような、恐ろしい臭いを運ぶ黒煙に満ちあふれた最低の世界だ。 本来の青い海、青い空、緑に満ちあふれた大地という、神に祝福された世界ではない。 いつ砲撃が飛んでくるか。 どこに狙撃手が潜んでいるか。 地雷が埋まっているんじゃないか。 考えるだけで精神がどうにかなってしまいそうな中、海兵隊員達の視線は、一度ならずとも必ず“それ”に向かう。 グレイファントム達。 自分達を守ってくれる神像さながらに立ち並ぶグレイファントム達に視線を送るだけで、不思議な勇気を与えてくれる。 ―――戦場における神とは、グレイファントムのことだ。 誰が言い出したことかは知らないが、否定する者はそう多くない。 その存在感だけで、この世に降り立った“戦の神”は自分だと、グレイファントムは見る者に信じさせてしまう。 ―――大丈夫だ。 その姿を横目に見ながら、海兵隊員達は、自然と自分に言い聞かせる。 ―――“アイツ”がいる。だから、俺は生きて帰ることが出来る。 そう、言い聞かせることが出来るのだ。 グレイファントム達はゆっくりと移動を開始。 すでに前衛に出ている部隊の後を追う。 「聞けクソ共!」 小隊指揮官達が部下を怒鳴った次の瞬間だ。 ギィィィィィッッッ!! 背筋が寒くなるような音があたりに響く。 「伏せろっ!」 海兵隊員達は、その音が何だか知っている。 さっきまで散々聞かされた音だ。 訓練通りでなくても、彼らはとっさにその場に伏せた。 ズンッ!! ズンッ!! 鼓膜が破れそうな音。 背中の肉がそぎ落とされそうな勢いで突き抜けた衝撃波。 遅れて走った熱風。 その中で、海兵隊員達は、その光景を見ていた。 ゆっくりと移動を開始したグレイファントムの3騎小隊のど真ん中で恐ろしく巨大な爆発が発生。 グレイファントム達が一瞬にして爆煙の中に消え去った光景を。 呆然とする海兵隊員達が次に見たのは、奇妙な格好で倒れ伏すグレイファントム達のなれの果てだった。 「じ、ジャップのご、誤射か?」 「違う」 小隊の新米兵士の呟きを、小隊指揮官である古参の黒人軍曹は聞き逃さなかった。 伏せた時にヘルメットが外れたことさえ気づいていない新米兵士へ転がっていたヘルメットを放り投げた軍曹は言った。 「“コンゴ”級なら近すぎる」 「じゃあ」 ヘルメットを抱きかかえるようにして受け取った兵士は、あわててヘルメットを被った。 中に入り込んだ砂が頭に降りかかった。 顔をしかめてヘルメットを脱いだ彼を無視するように、軍曹は部隊に命じた。 「一番近い砲撃孔はどこだ!」 「あそこです!」 一人が10時方向を指さした。 何両の戦車が巻き込まれたのか。浅いクレーター状態の穴の周囲には、原型を止めないほどに破壊された戦車の残骸が転がっている。 距離は200メートルほど。 若干起伏のある地形が、爆発の衝撃波から自分達を上手く守ってくれたなんて複雑なことは、ハイスクールでさえ出ていない軍曹にはわからない。 ただ、彼が爆撃や砲撃によって開いた穴について知っていることがある。 ―――一度開いた穴に再び砲弾や爆弾が落ちることはない。 それは、彼の経験に基づいても証明されていた。 だからこそ、彼はそれに基づいて部隊に命じた。 「あの穴に移動するぞ!」 「単なる誤射でしょう!?」 移動を開始した軍曹の後ろを、先程の新米兵士が慌てて追う。 「銃が砂を被っていないかチェックしておけ。終わったらコンドームで銃口を塞いでおけ」 軍曹は言った。 「砲撃はしばらく続くぞ?これは誤射じゃねぇからな」 彼らが砲撃孔にたどり着いたその時から、 ギィィィッ―――ズズン! ギィィィッ―――ズズン! ギィィィッ―――ズズン! 海岸には無数の艦砲が飛来しだした。 「司令部!艦砲を止めさせろっ!」 「敵はずっと後方だぞ!」 これが日本軍の戦艦部隊の誤射だと判断した指揮官達は通信装置で必死に司令部と交信を試みる。 その間にも、狼狽する兵士達の周囲で、艦砲射撃の着弾と、それに伴う爆発が連続して発生し続ける。 一発の爆発で、グレイファントムや戦車が粉々に砕かれ、付近にいた不運な兵士達と共に破片となって周囲に降り注ぐ。 「ジャップめ!どこ狙ってやがる!」 「やめさせろっ!」 「司令部!艦砲支援をどこに要請しやがった!」 砲撃が止んだのは、最初の着弾から10分後。 後続の上陸は一時停止。海岸付近では、上陸のタイミングを逸した上陸用舟艇が立ち往生している。 数発、海岸近くの海面に飛来した砲弾が高い水柱をあげたせいで、砲撃から逃れようと舟艇達が列を乱したせいだ。 海岸では砲撃から逃れるべく海兵隊員が組織的に、あるいは個人で勝手に右往左往した結果、部隊間の連携どころか、部隊内部の連携でさえ寸断された状態に陥っていた。 きっとホワイトハウスにでもおうかがいを立てているんだろう司令部からは海岸線の確保と、すでに移動を開始した前衛部隊に合流しろという、上陸当初からの指示が通信機に入るだけだ。 あまりに同じ事ばかり繰り返す通信に業を煮やしたある小隊指揮官が、「司令部の連中、テープを流して女と飲みに行ったに違いない」と毒づいたとしても、誰も文句さえ言えなかった。 上陸作戦に際して適切と選ばれた広い海岸は、海に接する範囲も広いが、奥行きもかなり広い。 先日、グレイファントム達がひっかかったメサイア用塹壕のさらに先、敵が潜んでいるとされ、砲撃の的になった小高い丘まで余裕で2キロはある。 海岸の砂はおそろしく細かく、気を付けていないと足場がとられる。 後続の部隊がようやく上陸を開始し、すでに上陸した後、砲撃のせいで動きを止められた先発の部隊がその針路を塞ぐ格好になった。 ―――前進せよ 司令部からは借金の督促同然にそんな命令が飛んでくる。 それが司令部の命令なら、それに従うしかない。 指揮官達はとにかく自分の部隊をまとめ、前進を開始した。 戦車の大半は既に砂浜を抜け、メサイア用塹壕を迂回するルートをとっている。 徒歩で移動する海兵隊員達だけが未だ砂浜を抜けられない。 偽装された塹壕やトーチカに潜んで米軍の攻撃に耐えていた中華兵達の放った砲火が彼らに襲いかかったのは、その時だった。 ズダダダダダッ―――!! 「敵襲っ!」 「どこだ!どこから撃っている!」 「狙撃兵だ!」 「違う!空からだ!」 突然の銃声、悲鳴を上げることもなく倒れる隊員達。 生き残った兵士達は、再び混乱の中に叩き込まれた。 中華帝国兵が作った塹壕やトーチカは、徹底して海岸側からはそれと判断出来づらいように工夫されていた。 それだけに、海岸に上陸した海兵隊員達にとって、ほんの少し海岸から進んだ所に中華兵達がいるなんて想像さえ出来なかった。 「馬鹿な!」 指揮官は混乱する部下を怒鳴った。 「ここは阻止線の中だぞ!」 ―――お袋の腹の中より安全 ある海兵隊指揮官は、阻止線の中、つまり、今の彼らの立ち位置をそう評していたし、隊員達もそれを信じ切っていた。 だが、それが油断という彼らの悲劇を産み出す元凶となった。 海岸に伏せる彼らめがけてトーチカから放たれる濃厚な集中砲火が降り注ぐ。 海岸のゆるい砂は逃げまどう海兵隊員達の足をもつれされ、その逃げ足を遅くする。 火線になぎ倒される米兵達によって、海岸は今や死体の山だ。 少しでも頭を上げれば吹き飛ばされる恐怖が走る。 吹き飛ばされなくても、恐ろしくて頭を上げようという発想そのものがわかない。 今や海兵隊員の中で立っている者はいない。 皆が海岸の砂浜にしがみついて、この銃火の嵐が去るのを待つしかない。 弾を避ける楯になるなら、戦友の死体まで使うしかなかった。 「塹壕を掘れっ!」 誰かが叫ぶと、隊員達は脱ぐか戦死者の被っていたヘルメットで必死に砂浜を掘ろうとする。だが、 「くそっ!何だこれは!」 砂質のせいで隊員達が命がけで掘る穴は、端から埋まってしまう。 ある隊員は、泣きながら穴を掘る戦友をちらと見た。 ―――向こうの方が深い。 ふとそう思った次の瞬間、その戦友が頭を吹き飛ばされ、脳漿と血をまき散らしながら穴の上に倒れ伏した。 隊員は、その戦友の死体の傍まで這っていくと、死体を突き飛ばして穴を掘り続けた。 その穴を掘っているのが、自分で3人目だということを、彼は知らない。 人がやっと入ることの出来る穴が掘れたのはかなり長い時間が過ぎた後だ。 安心感から息が切れ、ふと見上げた向こうから何かが飛んでくるのを、彼はただぼんやりと見つめるしかなかった。 「前進しろっ!」 彼らを追い立てるように迫撃砲弾まで飛来した。 狙いは上陸用舟艇。 無蓋の舟艇の中に飛び込んだ砲弾が、容赦なく兵士達を切り刻み、舟艇の中を阿鼻叫喚の地獄絵図に変える。 砲撃が弾薬箱に命中した舟艇は一瞬で沈む。 それでも舟艇部隊は海岸を目指す。 海岸に部隊を吐き出せば彼らの仕事は終わる。 終われば、彼らはこの地獄から逃れることが出来るのだ。 だが――― 「軍曹!」 シュルツ軍曹は、横にいたマーク一等兵に肩を叩かれた。 マークは引きつった顔で空を指さした。 軍曹は空を見た。 青い空に星が瞬いていた。 星? ―――違う。 軍曹は、星の正体が何かを理解して青くなった。 それは、自国軍が世界各地で敵兵女子供構わずに撃ち込んだ恐怖の嵐。 「MLRSだ!」 もう遅い。 こんな場所に撃ち込まれたらもう終わりだ。 軍曹は思わず首から提げていたロザリオを握りしめた。 ―――これから、無数に近い子爆弾が自分の周りで炸裂し、自分はこの祖国から遠く離れた場所で挽肉にされるんだ。 ―――くそっ!神様っ! 軍曹は神へ何と祈りを捧げて良いのか迷う間に、“それ”は彼らめがけて襲いかかった。 艦砲とは違う奇妙な飛来音があたりを支配する。 そして―――爆発音。 「軍曹っ!」 ロザリオを握りしめた姿勢で目を固くつむった彼は、再びマークに叩かれて目を開いた。 無事だ。 自分も部隊も―――無事だ。 「ふ、不発か?」 「違いますよ!」 マークは泣き出しそうな顔で海岸を指さす。 そこにはランプが開いた上陸用舟艇が停まっている。 海兵隊員が勢いよく飛び出してくる―――はずだ。 「ん?」 様子がおかしい。 誰も出てこない。 「今の攻撃は」 マークは言った。 「俺達じゃなくて、舟艇を狙ったんですよ」 やっと、恐ろしくゆったりとした、千鳥足に近い歩調で一人の海兵隊員が顔を出した。 全身が血まみれで性別さえわからない。 ランプ半ばまで歩いて、力尽きたように海に落ち、そのまま浮かんでこなかった。 それだけで、中がどんな有様か聞かずともわかった。 そのうち、何かに引火したんだろう。何隻もの舟艇の中で火災が発生し始めた。 盛大な松明、もしくは死体焼き場となりつつある舟艇の炎を見ながらマークは呟くように言った。 「あ……ありゃダメです」 「くそっ……貴重な人手を」 戦車部隊が血相を変えて舞い戻ってきたのは、すぐのことだ。 トーチカめがけて無茶苦茶に近い発砲を繰り返し、片端からトーチカを潰していく。 海兵隊員達が沈黙したトーチカに這い寄ると、中に手榴弾を放り込み、直後に小銃をその中へ乱射する。 数名の中華兵の死体が転がる中、隊員達はトーチカの中へと飛び込んで生き残りを捜す。 「誰もいない!」 一文字に掘られた穴を材木で補強し、遮蔽物で偽装しただけのそのトーチカには、機関銃一丁と無数の空薬莢、そして三人分の死体が転がっているだけだ。 あとには何も残っていない。 「爆発物はない」 床を調べていた隊員が言った。 「壁にも金属反応はないから大丈夫だ」 安全な場所を確保出来たおかげで、隊員達はその場に思わずへたり込んだ。 「馬鹿な」 隊員達は周りを見回した。 周囲には、仲間しかいない。 敵が、どこにもいない。 死に物狂いで攻めるハメになったこのトーチカだというのに。 戦車砲の爆発で頭をやられたんだろう、妙に臭い死体だけだ。 「まさか……たった三人で俺達をここに釘付けにした?」 「馬鹿な」 薬莢を調べていた別な隊員が言った。 「口径が違う。間違いなく、ここでは他の銃も使われていた」 「じゃあどこに!」 うち続く緊張に、思わず殺気だった声を荒げる。 「死体にでも聞け」 その隊員がにべもなく言った途端――― ズンッ!! トーチカの外から、そんな音がした。 このトーチカを砲撃した戦車の砲塔が吹き飛び、砲塔跡から盛大な炎と煙が上がっていた。 「地雷だ!」 トーチカの外にいて、その光景を見ていた隊員が言った。 「地雷にやられた!―――この辺一帯、地雷原だ!他も酷いことになっている!」 隊員は、興奮気味に何かを話そうとしたが、 パンッ! 隊員はその音を残して永遠の沈黙に入った。 「狙撃兵だ!」 トーチカの外でそんな声がした次の瞬間。 中華帝国軍の攻撃が再び始まった。 「トーチカに入れっ!」 その号令と前後して外にいた隊員達が続々とトーチカに入る。 攻撃は、トーチカの背後から襲ってきた。 それまで沈黙していたトーチカが、突然発砲を開始したのだ。 「どういうことだ!」 「知るかよ!」 隊員達はトーチカの中から応戦する。 一人の隊員が射撃ポジションを求めたが、床に転がる死体が邪魔だった。 「どけっ!」 彼は死体を蹴飛ばした。 死体がゴロンと音を立てて転がる。 その動きにあわせて、細いワイヤーが宙を舞った。 ドズンッ!! 腹に響く音がして、目の前のトーチカが吹き飛んだ。 米兵の肉片がトーチカの天蓋に降り注ぐ音を聞きながら、中華兵達は歓喜の声をあげる。 「脳なしの米兵め!」 「ざまあみろっ!」 米兵は、その物量で押しまくる戦術からして、正攻法で勝てる相手ではない。 米兵と比較して数十年の格差で装備に劣る中華兵が米兵とまともに戦うためには、頭を使う必要がある。 朱少将が着目したのは、海岸の地質と、この島に放棄されていた鉱物資源採掘ロボット達だ。 海岸の地質は地下2メートルまでは砂質だが、その下はかなりしっかりした地質であることが判明している。 そして、 ―――どんな土地でも穴を掘り、坑道を作り上げることが出来る。 鉱山で捕まえた日本人技師はロボットをそう説明した。 地質とそこに穴を掘るロボット。 朱少将は、躊躇うことなくそのロボットで地下陣地を構築する工事に取りかかった。 その結果がこれだ。 全ては朱少将の作戦通りに進んでいる。 二度に渡って米兵を阻止しつつある。 俺達は、勝とうとしている! ―――朱少将は智将だ。 兵士達は心酔にも似た感情で米兵達が吹き飛んだトーチカを見る。 一カ所ではなく、何カ所でも同じようにトーチカに逃げ込んだ米兵達が殺されているのは明らかだ。 米兵はトーチカに近づこうとさえしない。 不意に、目前のトーチカから旗が上がった。 中華帝国旗だ。 友軍兵士が誇らしげにトーチカから旗を振るっている。 トーチカを友軍が奪還した証拠だ。 戦車が近づいてくるなり、トラップを仕掛けて重火器すべてを即座に坑道に移動し、壁に偽装した坑道入り口を塞ぐ。 米兵がトーチカを占領した後、壁に仕掛けられていたトラップが作動し米兵は即死する。 その後、坑道から出た中華兵が再びトーチカに入る。 単純だが、確実な方法だ。 地上を這い蹲る米兵を、安全な地下を移動しつつ、中華兵達は翻弄する。 米兵にとって悪夢となった戦いの主役が登場したのは、このトーチカの攻防の後だ。 戦いの趨勢を決めた主役の名は、97式93mmサーモバリック弾ランチャー。 気化爆弾は、従来の火薬による爆発ではなく、霧状に散布された燃料(爆薬)と、空気が適度な比率で混合されることで発生する爆発的な燃焼効果により、高い破壊、殺傷効果が期待出来る兵器である。 半径50メートル以内の兵士を無差別に殺傷する能力と、車両内部までを一瞬にして酸欠状態にしてのける特性が、海岸の海兵隊員を―――例え戦車や装甲車に乗っていたとしても変わらない―――容赦なく殺傷した。 米軍は米軍呼称“フォックスロット・ビーチ”からの攻撃を断念し、上陸部隊は即座に海上へ撤退を開始。 上陸作戦参加約5千名。生還者350名。 海兵隊史上最悪の敗北となった戦いがこうして終わった。 米軍呼称“フォックスロット・ビーチ”。 戦後、その名で呼ぶ者はいない。 米軍呼称“フォックスロット・ビーチ”。 そこは、こう呼ばれている。 俗称“ハンバーガービーチ” 隊員達がトラップと砲撃、そして気化爆弾によって文字通り挽肉にされたことを皮肉った呼び名だ。 司令部は、ボルネオ島の海上封鎖と、フィリピンに待機していた戦艦主体の打撃部隊、そして航空部隊の動員を決定した。 目的を、占領ではなく、中華兵の殺傷という単純な目的に切り替えたのだ。 ただ、今は、今のみ、海兵隊員達の戦いは終わった。 だが、忘れてはならない。 戦いを終えた。 それは、海兵隊だけの事だ。 海兵隊が全滅したことで予定を大きく狂わされた司令部は、“赤兎(せきと)”達のゲリラ的攻撃に翻弄され続けた阻止線担当部隊、つまり、前衛に出た戦車隊とグレイファントム隊への撤退命令を出しこそねた。 その結果――― 阻止担当部隊は中華帝国軍の包囲網に、完全に孤立した。 当然、その中には美奈代達が含まれていた。
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「ち、ちょっと待て……?」 美奈代は自分の周囲を見回して青くなった。 「完全に包囲されています!数10!」 どういうわけか、美奈代は都築が相手にしている1騎を除いた敵10騎に、一瞬のうちに包囲されていた。 理由は簡単だ。 塹壕に飛び出した1騎の“赤兎(せきと)”と斬り結んだ都築騎の“鳳龍”だったが、まるで“赤兎(せきと)”に翻弄されているかのように、塹壕から離れ、奧へ奧へと動いていったのだ。 “赤兎(せきと)”3騎を切り倒した所でそれに気づいた美奈代は、そのがら空きの背にぞっとするほどの危険性を感じ、都築騎を追った。 その結果がこれだ。 すぐ間近では都築騎がいまだしつこく追ってきた“赤兎(せきと)”としのぎを削っている。 なら自分は都築に助太刀するか? 否。 そんなことしている余裕はない。 都築が追った“赤兎(せきと)”は逃げたのではない。 通信が通じないと判断し、後詰め部隊に直接増援を求めに動いたのだ。 当然、そこには後詰めの部隊がいた。 美奈代は、そのまっただ中に飛び込んだのだ。 “赤兎(せきと)”達が、美奈代騎を取り囲んでいる。 1対10。 どう考えても、マトモに勝負を挑むだけムダなレベルの戦力差だ。 今更、間違えましたは通じないだろう。 「だっ、脱出は!?」 普通、こういう時、一番最初に考える対処方法を美奈代が口にしたのも当然なのだ。 「不能!」 牧野中尉は言った。 「私だけでしたら脱出装置で可能ですが、自爆装置作動しますよ!?」 「“さくら”も!」 精霊体ですら言った。 「マスター!自爆するなら、エンジン、エジェクトしていい?」 「薄情者ぉっ!」 ピーッ! 背後から2騎、同時に斬りかかってきた。 「都築っ!貴様ぁっ!」 一騎と押し合いになっている都築は全く頼りにならない。 返事すらない。 「2騎、5時6時方向!」 「ちいっ!」 美奈代は自分から急速後退をかけつつ、シールドと斬艦刀の切っ先を後ろへ向けた。 ガンッ! まさか敵が自分から飛び込んでくるとは予想していなかったのだろう。 振りかざした青龍刀を振り下ろすタイミングを逸した“赤兎(せきと)”達の腹部装甲に、同時に斬艦刀とシールドのエッジがめりこみ、2騎の脚が衝撃に宙に浮いた。 ズンッ―――ズシャッ 美奈代はエモノを敵の腹から引き抜いた。 それが始まりだった。 美奈代は飢えた狼同然に、“赤兎(せきと)”達に襲いかかった。 反応が遅れた“赤兎(せきと)”の胴を横薙ぎの一撃で切断、その切っ先を、真横の騎に起きた惨劇に狼狽する、別な“赤兎(せきと)”の胸部装甲の隙間に叩き込む。 「何っ!ば、ばかなっ!」 「隊長殿がっ!」 さすがに肝を潰したのは、“赤兎(せきと)”の騎士達だ。 中華帝国の精鋭達4騎が、剣を交えることもなく潰された。 そして、先程の2騎が大地に崩れ落ちるよりも早く、メサイアは動いた。 「に、日帝の騎は悪魔か!?―――ヒイッ!」 横に薙ぎ払う長剣の一撃をかろうじて避けた“赤兎(せきと)”の騎士だったが、真っ正面から放たれたシールドのエッジアタックまでを避けることは出来なかった。 グシャッ! グギャッ! 何かが壊れる音と、蛙が潰されたような音を残して、騎士と共に“赤兎(せきと)”が吹き飛ばされた。 「あ、悪魔だっ!白い悪魔だっ!」 「に、日本軍は死に神だっ!」 騎士達からは恐怖の叫びが聞こえて来る。 「ど、同時に行けっ!」 誰かが叫ばなければ、彼らは武器を捨て逃亡したろう。 もう、彼らには恐怖はあっても戦意はなかった。 持っているモノと失ったモノ。 それを逆転したのが、そんな一言だ。 「同時なら何とかなるっ!」 美奈代騎から最も離れた騎からの声。 それが、騎士達を地獄へと導く。 この地に降り立った死に神は、まだ獲物が足りませんと―――。 「お、応っ!」 美奈代騎から見て、左斜め正面と右斜め後ろの騎が同時に動いた。 左斜め正面の騎が槍を突きだし、左斜め後ろの騎が青龍刀で襲いかかる。 槍の切っ先が、メサイアのがら空きの胴に吸い込まれようとしている。 ―――殺った! 槍を繰り出した騎士は、勝利を確信した。 だが――― ガッ! 「何っ!?」 メサイアは、騎体を最小限ひねるだけで槍を回避。 あまつさえ、繰り出した槍を掴むと、力任せに引っ張った。 「しまったっ!―――うわぁぁぁっ!」 出力差が違いすぎる。 グンッ! 槍を繰り出さした勢いに、敵騎のパワーが加わった“赤兎(せきと)”は、槍と共に後ろに放り投げられた。 その先には――― 「避けろっ。黄っ!」 その叫びは遅かった。 彼の槍は、後ろから襲いかかろうとしていた仲間の“赤兎(せきと)”の胸部装甲を貫通した。 「黄ぉぉぉっ!」 騎士は味方騎に突き刺さった槍を手放そうとしたが、 ザンッ! 気づいたときには、斬艦刀が、彼を騎体ごと切断していた。 「畜生っ!」 生き残った3騎は自暴自棄同然の突撃にかかった。 剣を並べ、3騎同時の突撃で串刺しにしようというのだ。 「仲間の敵だっ!」 「死ね、小日本(シャオリーベン)!」 「消えろ悪魔っ!この世からっ!」 黄騎に突き刺さった槍を引き抜いたメサイアが彼らの視界に迫る。 ―――キュイッ メサイアは、左手で槍を構えると、左の騎に襲いかかった。 「この程度!」 左の騎を駆る騎士が青龍刀を振り下ろして槍をうち払う。 青龍刀を振り下ろしきった途端――― メサイアは、急加速をかけ、相互の間合いを一瞬で詰めた。 「―――ひっ」 騎士は、慌てて青龍刀を構え直そうとしたがもう遅い。 ガンッ! エッジアタックをモロに喰らった“赤兎(せきと)”はくの字に曲がって吹き飛び、すれ違い様に真ん中の騎が胴を薙ぎ払われ、上下二つに分離させられた。 「―――なっ!?」 動きが早すぎる! 目を見開くのは、最後に生き残った騎士。 彼は逃げるために騎体を旋回させようとした。 だが、それより早く、斬艦刀の一撃が、彼の騎に襲いかかってきた。 「……か、各部異常……なし」 震えを通り越して、涙声になった牧野中尉が言った。 「後は……都築准尉が相手する1騎のみ」 「……ぜぇ、ぜぇ……」 その間、美奈代は、肺に無理矢理空気を送り込む要領で、肩で息を続ける。 言葉が出てこない。 自分がやってのけたことが理解さえ出来ていない。 その横では、“さくら”がびっくりした顔で美奈代を見つめていた。 「ま、牧野中尉……ゲホッ……い、生きてます?」 ようやく喋れたのはそんな言葉だけ。 それでも、喋れるだけ奇跡だと思う。 「生きてますけどね……。正直、どう言っていいんでしょう……こういうの」 足下は“赤兎(せきと)”の残骸だらけ。 まるで集団戦闘の跡さながらだ。 だが、間違いなくこの敵を残骸にしてのけたのは、この娘ただ一人だ。 「10騎を……30秒かかってませんよ?どこのアニメですか」 「き、騎士のスピードなら、この程度……」 「ひ、非常識です」 美奈代が何かを言い返そうとした時だ。 ギャンッ! 都築に襲われていた“赤兎(せきと)”がついに力尽きた。 まるでメサイアそのものが悲鳴をあげたような音を立てた“赤兎(せきと)”は、騎体の半ばまでたたき割られ、動きを止めた。 「次っ!」 “赤兎(せきと)”が倒れる音を聞きながら、都築は怒鳴るが、 「何がだこのバカっ!」 美奈代はたまらず怒鳴った。 「一人でんなマネしてる間に、私が何騎相手にしたと思ってる!」 「あ?」 都築が見ると、周囲は“赤兎(せきと)”の残骸で埋め尽くされていた。 「おいっ!俺の獲物は!?」 「10騎だぞ!?1対10だったんだ!」 肩で息をする美奈代が半泣きになって怒鳴る。 「グスッ……。一斉に私めがけて襲いかかってきたんだ!滅茶苦茶怖かったぞ!?どうしてくれる!貴様は全く!」 「俺を放っておいてスコア10騎だと!?」 「問題はそこか!?」 怒鳴るというか、突っ込んだ格好になった美奈代騎の背後で、連続した大きな爆発が発生した。 「な、何?」 もうもうと立ち上る黒煙は、かなり大規模な攻撃であることを告げていた。 「艦砲攻撃です」 牧野中尉が言った。 「で、でもあっちって」 「着弾点は、上陸地点です」 「海軍の誤射ですか?」 「まさか」 牧野中尉は否定した。 「いくらなんでも、そこまでマヌケではありません」 「じゃあ―――」 「落下から見て攻撃は山の向こうからです」 美奈代は、間近にそびえる山を見た。 標高は数百メートル。 そう高い山ではない。 また、新たに爆発が発生した。 「艦砲の支援、求めますか?」 「それもいいんですけど」 牧野中尉は言った。 「金剛隊はもう移動する時間です」 「そんな!」 「他上陸地点もかなり苦戦しているんです。艦砲射撃支援は、全部隊が渇望している。中華帝国も死に物狂いですからね」 「二宮教官達は?」 「通信つながらず」 「―――ちっ!」 美奈代はチラリと横に立つ都築騎を見た。 「都築」 「やるしかねぇだろ」 都築はコクピットで、開いた左手に右手の拳を叩き付けた。 「戦艦沈めたなら勲章モノだぜ」 「やれるか?」 「やるさ」 「信じられないが―――牧野中尉。一気に山を越えて斬り込みます。いいですか?」 「やってみましょう」 牧野中尉は、騎体のブースターに火を入れた。 「さくら―――いくわよ?」 「はいっ!」 「あ、おいっ!ちょっと待てっ!」 都築の声を残し、美奈代騎は一気にブースターを開いて、山を飛び越える機動に出た。 ―――そして、自分のうかつさを本気で呪った。 美奈代は、山の向こうに、大口径の砲兵陣地があると判断していた。 砲兵陣地を強襲、これを殲滅する。 美奈代は自分の目標を、そう判断していた。 相手は砲兵陣地だと。 だが、都築は言っていた。 「戦艦沈めたなら勲章モノだぜ」 何故、都築が「戦艦」という言葉を用いたか、美奈代は何も考えず、都築に聞こうともしなかった。 その結果がこれだ。 山を飛び越した美奈代が見たモノ。 それは、だだっ広い平原に陣取る“鉄のフネ”だった。 “鉄のフネ” 即ち、軍艦だ。 灰色に塗装された船体が美奈代の目の前で移動している。 「な……何で?」 美奈代は目を疑った。 フネは水に浮かぶものだ。 陸を移動するものではない。 「准尉っ!」 牧野中尉の鋭い警告が飛び、“征龍改”はブースターを開くと、山の谷間に飛び込んだ。 向こうも、山越えに飛び出してきた美奈代騎に十分な対応が出来なかったらしい。 幸いにも美奈代騎が山の谷間に騎体を沈める間、フネからの攻撃は一発も飛んでこなかった。 「な、何ですか!?アレは!」 美奈代がコクピットで思わず大声で牧野中尉に訊ねた。 「艦名不明。艦形状、ライブラリーに照合なし」 牧野中尉は言った。 「現物は―――私も初めてみました」 「いくら何でも、なんで地面にフネがいるんですか!?」 「―――陸上戦艦」 「は?」 「陸戦艇(ランドバトルシップ)ともいいます。飛行艇のような完全な浮遊装置ではなく、FGF(フリーグラビティフィールド)を応用したホバー移動で陸上、水上お構いなしに走行可能の艦船です」 牧野中尉は思いだしたように言った。 「……また、座学で寝てたことが発覚しましたね」 「一々覚えていないだけです!」 美奈代は泣きそうになって怒鳴った。 「何で一々、私が忘れていることを、寝てた寝てたって!」 「本当のことでしょう?」 「ううっ!」 ズンズンズンズンズンッ! 山の斜面で連続した爆発が発生した。 その陸戦艇が、何かを狙って発砲したらしいことは、美奈代にも容易に想像がついた。 着弾で吹き飛ばされた土砂が容赦なく降り注いでくる。 「おい泉っ!」 都築の“鳳龍”が美奈代騎の横に滑り降りてきたのは、その時だ。 “鳳龍”が、砲撃を連れてくるような、そんな錯覚さえ起こしてしまう。 「あ、アブねぇ!」 敵の狙いは都築騎だったらしい。 「大丈夫か?」 「それはこっちのセリフだ!」 都築はくってかかった。 「強行偵察だけで済むだろうが!」 「……え?」 「えっ!?じゃないだろう!」 美奈代の素っ頓狂な声に、都築は思わず怒鳴った。 「まだ戦艦の有効射程だ!戦艦に叩かせればいいだろうが!」 「だ、だけど通信が」 「後退して通信つなぐって考えがどうしてわかない!」 「……すみません」 「くそっ!何で俺は……」 「……え?」 「なんでもねぇよ!」 美奈代の目の前で、都築騎が動き出した。 「ね、ねぇ、ちょっと!」 美奈代が止めようとするが、都築は言った。 「さっき、メサイアを3騎確認した。俺が引きつけるからお前は下がれっ!」 「な、何なのよ……」 美奈代は頬が赤くなるのを抑えられなかった。 都築がこう呟いたように聞こえたからだ。 ―――何で俺は、こんなの好きになっちまったんだ。 美奈代の目の前で、さくらがニマニマと、まるでチェシャネコのような表情をしている。 その表情から、どうやら聞き間違いではないらしい。 そう判断した美奈代は、まるで恥ずかしさから逃れるように、美奈代はブースターを開き、谷間から飛び出した。 ……何も考えずに。 ズンズンズンズンッ!! 谷間から飛び出した途端、待ちかまえていたように美奈代騎を陸戦艇の砲火が包み込んだ。 命中弾こそ出ていないが――― 「くっ!」 牧野中尉は、上昇を諦め、急速降下に切り替えた。 それが幸いした。 美奈代騎の上昇コース。山頂から若干下付近に、陸戦艇の主砲弾が着弾した。 タイミングを間違えれば―――考えたくないオチがついただろう。 「……正解だったわね」 背筋を流れる気持ち悪い汗を感じながら、牧野中尉はそう呟いた。 「泉准尉の悪運が移ったかしら」 「何か言いましたか?」 美奈代は背部にマウントしてあった速射砲を取り出した。 35ミリガドリング砲が軍艦相手に聞くのかは、試してみるしかない。 「中尉―――相手の武装は?」 「どう見ました?」 「37ミリ機関砲……いち、に」 「……6門です」 目をつむって飛んで来た火線の数を思い出そうとした美奈代に、牧野中尉は言った。 「両舷併せて推定12門。25ミリ砲もかなり積んでいますね」 「プラス40センチ砲?……でも、40センチにしては破壊力が」 「残念―――60センチ臼砲(きゅうほう)です」 牧野中尉は言った。 「60センチ!?」 「ええ……カール自走臼砲(きゅうほう)の後継モデルを参考にしたんでしょう。何しろ、陸戦艇そのものが、ドイツの―――きゃっ!?」 美奈代は“征龍改”を急速移動し、その一撃を避けた。 谷間めがけて高角度で臼砲(きゅうほう)を放ったらしい。 砲撃は初弾で谷間に飛び込んできた。 砲弾は美奈代騎がいた辺りに見事に落下、辺りを跡形もなく吹き飛ばした。 美奈代は知らないが、この時発射された60センチ臼砲(きゅうほう)の砲弾は一発約2トン、高性能火薬500キロが入った代物だ。 ―――敵の砲術長は、いい腕をしている。 美奈代は素直に感心した。 臼砲(きゅうほう)の射撃がどの程度難しいかは知らないが、さっきの砲撃といい、その技術は申し分ない。 何だか、それが恐ろしくもったいない、そんな気分になった。 「―――中尉っ!」 美奈代は、そんな気分から逃れようとするかのように、怒鳴った。 「あいつを仕留めますっ!」 「ど、どうやって!?」 「やってから考えますっ!」 「そんな無茶な!」 美奈代は、牧野中尉の意見をそれ以上聞かなかった。 聞く前に、美奈代は“征龍改”を突撃させていた。 中華帝国陸軍陸上戦闘艇“玄武”級ネームシップ“玄武”。 それが、美奈代の目の前にいる艦の名である。 全長220メートル。後部甲板に飛行甲板があり、ヘリやVTOLの運用が可能。 メサイアの移動ベースとしても申し分ない輸送力を持つ。 元は中華帝国で飛行艦を運用する海軍によって、新型飛行艦として開発されたが、飛行システムの不具合から、完成してみたらホバー移動のみ可能という、飛行艦としては致命的な欠陥品だった。 試験も中止され、岸壁に放置されていたものを、広大な大地を防衛する陸軍が、高い走行性能と陸上の移動手段としては破格の輸送力に着目し、海軍からスクラップとして譲り受けた後、“飛行艦ではなく陸戦艇だ”と主張し、同型艦の独自開発と運用を開始したという、いわくつきの代物だ。 「3時方向、メサイア1、接近しつつあり!」 陸上では的になりかねないことから、低く設計された艦橋の上。装甲板が張り巡らされた防空艦橋で見張りが叫ぶ。 砲塔旋回と射撃警告それぞれのブザーが入り交じってその叫び声をかき消す。 船体前面に設置された40センチ砲塔がゆっくりと右舷に旋回、照準を合わせた。 ズンッ! 鼓膜がどうにかなったんじゃないか。 本気でそう思うほどの砲声をあげ、40センチ砲が火を噴いた。 船体が砲撃の衝撃で大きくぶれる。 メサイアの背後、かなり遠くで爆発が発生した。 「砲撃遠いっ!」 艦橋で着弾を確認した艇長は怒鳴った。 「近すぎて主砲では無理だ!それ以外の砲で仕留めろっ!」 「―――くっ!」 飛び来る機関砲弾の嵐に襲われた美奈代は、騎士としての反射能力だけで飛来する砲弾を回避するハメになった。 「こっちに満足な対艦攻撃装備がないからってぇっ!」 ギュインッ! ギャンッ! 機関砲弾がメサイアをかすめる、背筋の寒くなるような音がレシーバーに次々と入ってくる中、美奈代はオレンジのアイスキャンディーにしか見えない砲弾や、目の前で発生する爆発を全てかわしきった。 メサイアを世界最強の兵器へと押し上げたのは、まさにこの時見せた美奈代のような、騎士の反射能力を、メサイアが機械として反映させることが出来るからに他ならない。 騎士こそがメサイアであり、騎士故に、メサイアは世界最強なのだ。 メサイアの前に、いかなる重武装を施した要塞然とした存在であろうとも、全くの無力であることが今、証明されようとしていた。 「畜生!当たれっ!」 「バケモノがぁっ!」 兵士達が必死に撃ち出す砲弾をメサイアはすべてかわしてしまう。 「弾種切り替えろっ!弾種を近接信管に!」 怒りのあまり、艦橋のヘリを殴った砲術長は叫ぶ。 「着発信管なんて使うな!相手は戦車じゃないんだぞ!」 もし、この陸戦艇を運用しているのが海軍なら、少しだけ状況が違ったかもしれない。 陸軍兵士達がこの陸戦艇で想定していたのは、戦車であり、機関砲は接近する戦車を破壊するための存在として位置づけられている。 航空機を撃ち落とすための近接信管の使用は例外的扱いだ。 何しろ、機関砲は海軍からのお下がりで、手動操作する代物にすぎず、高速移動する物体に対する対空砲として使える代物ではない。 だが、この近接信管を最初からメサイアに使用していたら、かなりのダメージを与えることは出来たろう。 兵士達が対空砲の射撃を停止し、弾薬を交換するその間に、美奈代騎は玄武の懐に飛び込んだ。 右手に装備した35ミリ機動速射野砲の至近射撃が、艦の構造物を滅茶苦茶に引きちぎる。 それまで美奈代達に向けて砲弾を放っていた機関砲達は、兵士達と共に挽肉にされた。 兵士達の呆然とする顔。 恐怖にひきつる顔。 泣き出す顔。 美奈代は、その全てを見た上で、彼らめがけて引き金を引いた。 罪悪感とか、恐怖感とか、そんなものは何もなかった。 ただ、機械的に引き金を引いた。 美奈代自身、そこには一切の感情は、なかった。 兵士達が砕かれる光景の後、美奈代は斬艦刀を構えながら“征龍改”をジャンプさせ、艦橋に飛び乗った。 自重数百トンというメサイアの重量で艦橋が一瞬で潰れる。 美奈代は、騎体が沈み込む中、騎体のバランスをとると、35ミリバルカン砲を玄武めがけて叩き込んだ。 軍艦とはいえ、35ミリ砲弾の雨を浴びることは想定されているはずばない。 艦中央の機関部冷却システムが破壊された玄武はつんのめるように急停止し、内部の熱の出口を失った機関部から、得体の知れない音が響き始めた。 その音を聞いた美奈代は、再び騎体をジャンプさせると、35ミリ砲の残弾を、玄武への土産とばかりに乱射した。 美奈代騎が大地に降り立った時、玄武はその姿を、立ち上る黒煙へと変化させていた。 「戦果としては申し分ないですね」 牧野中尉がねぎらうように言う。 「陸戦艇1、メサイアがじゅう―――」 ピーッ! 突如、コクピットに鳴り響いた警報。 牧野中尉の鋭い声。 「砲弾飛来警報っ!」 スクリーンが一瞬、真っ白になった次の瞬間――― 空気の壁に叩き付けられたような衝撃が美奈代を襲った。 激しくシェイクするコクピットの中。 美奈代は意識を失った。
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美奈代騎と二宮騎の作戦は、正直、無駄に近いものとなっていることを、日米両軍で知っている者はいなかった。 中華帝国側、朱少将は、すでに米軍の残存部隊に対する攻撃は貴重な戦力の浪費と見なしており、「撤退するなら勝手にしろ」というスタンスだ。 すでに中華帝国側の米軍残存部隊への攻撃は停止している。 米軍も撤退の通信を受け取っており、負傷兵のTAC(タクティカル・エア・カーゴ)への移乗準備と、TAC(タクティカル・エア・カーゴ)に搭載出来ない兵器や機密文書の処理が進んでいる。 状況は悪くない。 日没まであと1時間。 夕日が眩しい。 金色に染まるジャングルの中、美奈代達はただ、“鈴谷(すずや)”の到着を待っていた。 「もう少しで長野大尉達も到着する」 二宮騎からそんな通信が入った。 すでに敵の攻撃はない。 敵の集結地点はここからかなり離れているし、その方面からの侵入はセンサーで感知出来る。 センサーに反応はない。 「この島ともこれでおさらばだな」 「米軍は、この島を放棄するんですか?」 「違う」 二宮は笑って言った。 「中華帝国は、このままなら降伏するよ」 「―――えっ?」 「連中の補給線を止めた上で小さく叩く。小出しに戦力を使わせれば連中の物資は底を突く」 「……」 「泉。補給線が切れるっていうのは、お前が想像しているより遙かに怖いことだぞ」 「―――はい」 補給線が断たれる恐怖。 そう言われても実戦経験の浅い美奈代には、どうしてもピンと来ない。 ただ、バカみたいに頷くだけだ。 「米軍はこれから制海権と制空権を奪取に動く。後は空から空爆で中華帝国を叩く。こうなればほとんど一方的な戦いになる」 「うまくいきますか?」 「行ってもらわねば―――」 ピーッ! 「熱源っ!」 「何っ!?」 ズンッ!! 二宮騎のMC(メサイアコントローラー)、青山唯中尉の警告。 二宮の驚いた声。 そして、二宮騎が吹き飛ぶ音。 それを美奈代はすぐには理解出来なかった。 目の前で半身を吹き飛ばされた二宮騎が、ゆっくりとジャングルの中に倒れようとしていた。 「泉准尉っ!」 美奈代より早く現実に立ち戻ったのは牧野中尉だ。 彼女の鋭い怒鳴り声が、茫然自失の美奈代を無理矢理に現実に引き戻した。 「―――な、なんですか!?今の!」 「大口径ML(マジックレーザー)の狙撃!」 牧野中尉は引きつった声で言った。 「ま……まさか」 「二宮教官は!」 「バイタル反応正常……せ……センサーに反応なし?そんなバカ……な」 牧野中尉の意識は、敵攻撃に備えたエネルギー感知モニターに集中していた。 ログを見ても、何の反応もない。 「魔法反応まで……ど……どうやって?」 「中尉っ!」 ギンッ! 美奈代の声と、鋭い戦闘機動で、牧野中尉は我に返った。 「て、敵は!」 「センサーに反応なしっ!」 「じゃあ、アレはなんですか!?」 牧野中尉が見たスクリーンに映し出される3騎のメサイア。 重装甲をまとった“歩く要塞”さながらの騎だった。 それは、牧野中尉が見たことのない騎だった。 即座にライブラリーが開かれるが、 「不明っ、該当騎なしっ!」 そう答えるしかなかった。 「い……一体!?」 美奈代達は知らない。 中華帝国側の参謀が言った“帝剣”。 否、それさえ違う。 目の前にいるのは――― 「おそらく、中華帝国側の試作メサイアです」 牧野中尉はそう結論づけた。 「エンジン出力、その他の反応、“帝刃(ていば)”や“赤兎(せきと)”とは比較になりません」 パワースペックは間違いなく“帝刃(ていば)”の倍では効かないだろう。 フレーム反応も最新型だろうことを示している。 あの厚さの重装甲が本物なら、実剣は通らない。 牧野中尉はデータがとれていることを確認しながら、背筋を震わせた。 「こ……こんなの量産されたら!」 厄介じゃ済まない! その声が上がる前に、3騎は動いた。 「准尉っ!後退を!」 牧野中尉は叫ぶ。 データがない敵と斬り結ぶことが如何に危険か知っている牧野中尉の判断は正しい。 だが、 「教官を見殺しにする気ですか!」 美奈代にとって、敵が何だろうと、ここで逃げることは出来なかった。 二宮教官を助ける。 それこそが、美奈代の全てだったのだ。 迫り来る敵は長い柄に斧を付けたハルバードを振りかざす。 対する美奈代騎は斬艦刀を抜刀。 戦いの火ぶたが切って落とされた。 「くそっ!」 鳴り響く警報 魔晶石エンジンから発する甲高い戦闘出力音 スクリーン一杯に迫る甲冑のバケモノ。 美奈代は倒れた二宮騎の前に立ちはだかると、斬艦刀を構えた。 距離はまだかなりある。 あれほどの重量級だ。接近するまでにはかなり間があるはずだ。 ダンッ! 大地を蹴って敵騎が動き出した。 「―――え?」 敵の装甲の厚さは一目瞭然だ。 楯攻撃(シールドやエッジ)の効く相手じゃない。 グリーンの角張った恐ろしく分厚い装甲が美奈代めがけて襲いかかってくる。 「速いっ!」 その動きに、美奈代は目を見開いた。 重装甲をものともしない素早い動きを見せる。象のような鈍重な外観からは全く想像が出来ない機動性だ。 「あの装甲で!?」 重装甲に高機動性ではシャレにもならない。 美奈代は必死に隙を見つけようとした。 装甲がいくら分厚いとはいえ、どこかに弱点があるはずだ。 ―――どこだ!? 美奈代は焦りながら視線を激しく移動させた。 正面から撃破出来そうな場所が思いつかない! ―――背後に回り込めば。 美奈代は、ふと、そう思った。 “装甲は、正面装甲が最も厚いが、後方や上面は得てして薄い” かつて、授業で聞いた言葉を思い出したのだ。 戦車かメサイアか、一体、何の装甲について語った言葉で、誰から言われた言葉かさえ思い出せないが、それでも、このタイミングでこの言葉を思い出したことを、美奈代は誰かに褒めて欲しかった。 美奈代は背面に回り込もうとSTRシステムに力を込め、即座にその無意味を悟った。 否、悟らされた。 ブンッ! 突然、敵騎の上半身で白い光が走った。 メサイアの腕ほどもある三角の円錐状の光が、肩や頭部に走る。 その光に本能的な危機を感じた美奈代は動きを止め、目を見開いた。 「な、何?」 「レーザースパイクです」 牧野中尉が言った。 「固定式の光剣と思ってください。タックルでも喰らったら串刺しです」 「―――くっ!」 背後から斬り込むことはやめた。 三騎であんなものにプレスされたらたまらない。 肩部装甲のレーザースパイクが装甲の動きに合わせて激しく揺れる。 不用意な接近は、自殺行為だと、その動きが教えてくれる。 ―――どうする? 接近のため、激しい動きを見せる敵騎を睨み付けていた美奈代が“そこ”に気づいたのは、そんな瞬間だった。 美奈代は結局、その三騎に何もしなかった。 牽制のためのML(マジックレーザー)攻撃さえしなかった。 三騎から見れば、今の美奈代騎は、突然、仲間が倒されて動揺している程度にしかみえないだろう。 だらりと下げられた長い剣もシールドも構えられてさえいない。 戦闘の意志さえ感じられない。 そんな姿で立ちつくすのが、今の美奈代騎だ。 当然、敵はそんな美奈代騎にかける情けなど持ち合わせていない。 殺されたくなければ、全てを殺せ。 それこそが、戦場における騎士の規範(ルール)だ。 三騎のメサイアを駆る騎士達は、自らの規範に従順過ぎるほどに従った。 それだけだ。 楔形陣形で迫り来る三騎。 前衛騎がハルバードを振り上げた。 槍に斧を付けた斧槍(おのやり) それがハルバードだ。 斧と槍双方として使え、「突き」「切り」「刺し」「払い」―――凡そ近接用武器に求められるほぼ全ての攻撃が出来る優れものだ。 その破壊力の源は、長い柄を操作することによる遠心力や慣性力―――そして操作する者のパワー。 メサイアのパワーを上手く遠心力に乗せることが出来た場合のハルバードの破壊力は、およそメサイアの扱う近接用武器の中では最強の部類に入るだろう。 まともに喰らえば、美奈代騎は真っ二つだ。 ピピピピピピ―――ッ!! センサーが脅威を感知し、操縦者である美奈代に警告を告げる。 長い柄を両手で握って振り上げつつ接近する敵騎を、美奈代は強ばった顔で見つめていた。 ―――チャンスは一度だ。 美奈代は自分に言い聞かせていた。 ―――しくじったら……終わりだ。 終わり。 つまりは―――死。 死ねば、全てが終わる。 そこまで考えるのが、今の美奈代にとっては精一杯だ。 目の前に迫る敵騎を前に焦る心を押さえつけるのがやっとなのだ。 「―――くっ!」 歯を食いしばった途端、 ブンッ!! 凄まじい音を立てながら、敵騎がハルバードを振り下ろした。 まともに喰らったら、メサイアは脳天からかち割られるだろうその攻撃だったが、 ガンッ!! その斧が捉えたのは、何の変哲もない大地。 メサイアの魔晶石エンジンが産み出す大出力を遠心力に変えて繰り出された一撃は、大地に深々をめりこみ、砕かれた大地が土砂となって舞い上がった。 ―――かわされた!! 前衛騎の騎士は、即座にハルバードを大地から引き抜こうとして―――出来なかった。 「!?」 ハルバードの斧の根本。 何かが押さえつけている。 必殺の一撃をかわしたメサイアの脚だとわかった次の瞬間、 グガンッ!! コクピットを凄まじいほどの振動が走った。 コクピットを形成していた様々な装備が吹き飛び、モニターや計器類が一斉に消えた。 振動が収まった時にはコクピットの中は暗闇となった。 手元でさえ見えない事態に、予備電源まで切れたことを悟った騎士が次に感じたのは、奇妙な重力感。 立っていることが出来なくなった自騎が倒れる感覚だった。 メサイアの弱点である喉部防護用可動式装甲と騎体の隙間に斬艦刀を突き刺された前衛騎は、頭部にあるMCL(メサイア・コントローラー・ルーム)と本体を結ぶ操縦系統を根こそぎ破壊されたことで動きを止めた。 人間でいえば、頸骨を切断されたのと同じ。メサイアといえ、ここを破壊されればどうしようもない。 ズズゥゥ……ンッ!! 奇妙な程ゆっくりと前衛騎が倒れる。 その光景に狼狽した後続騎達が一歩、後ずさった。 美奈代にはそう見えた、その次の瞬間――― ブンッ!! 突然、左騎の腕が光った。 「ぐっ!?」 騎体に激しい振動が走り、警報が一斉に鳴り響いた。 「さっきの一撃ですっ!」 牧野中尉が怒鳴った。 「シールド43%融解、左部異常加熱警報!」 「くっ!?」 騎体の状態を示すステータスモニターをちらりと見る。 騎体の左側が危険なほど加熱していることを示す赤色で点滅している。 「一体!?」 後衛の二騎のうち、美奈代から見て右騎が何かを構えているのに、美奈代が初めて気づいたのは、その時だった。 巨大な筒―――バズーカだ。 とっさの牽制用に撃ったんだろう至近弾だけでシールドが溶け、騎体は半身が焼けた。 一体、どれほどの高出力のML(マジックレーザー)が発射されたのか、美奈代はそんなことを考えている余裕さえなかった。 キュィィィッ 筒の中が光り出した。次は外さないだろう。 「えっ!」 美奈代騎が動いた時、美奈代が急速後退をかけてその攻撃を回避する機動をとると思っていた牧野中尉は、眼が点になった。 自分の乗っている騎体は後退したのではない。 前進したのだ。 「ちょっ!?」 ここで前進すれば、自分から的になりにいくようなものだ。 いくらなんでも、美奈代だってそれがわかっているはずだ。 それなのに―――? 唖然とする牧野中尉の目の前にバズーカを構えた敵騎が急速接近してくる。 よく考えられて配置された装甲は、幾重にも重なって鉄壁の防護とはどういう代物かを牧野中尉に教えてくれる。 この位置から喉部を狙うことはまず無理だ。 美奈代にどういう勝機―――いや、美奈代自身が正気なのかさえ、もうここまで来たらわからない。 そっと脱出装置の位置を確認した牧野中尉の耳に美奈代の声が響く。 「さくら、シールドパージっ!」 「はいっ!」 美奈代の声に、美奈代騎の左腕が大きく振られ、溶けたシールドが左騎めがけて飛んでいく。 右騎は、シールドを難なくかわした代わりとして、射撃のタイミングを失った。 そこが、美奈代の付け入るタイミングだ。 「そこっ!」 美奈代騎が右騎の懐に飛び込んだ。 ピーッ! ピピピッ! MCL(メサイア・コントローラー・ルーム)にそんな音が響く。 スクリーンに映し出されるのは、敵の装甲だけ。 そのあちこちが光り始めていた。 牧野中尉は、敵騎の近接防御用のML(マジックレーザー)が発射態勢に入ったことがすぐにわかった。 ―――まずいっ! この至近距離からML(マジックレーザー)を喰らえば無事では済まない! 「准尉っ!後退を!」 たまらず牧野中尉が叫ぶ。 その目の前で、自分の乗る騎が奇妙な動きを見せた。 ザンッ! 大地に斬艦刀を突き刺した右腕が、右騎の腰回りを防御している巨大な装甲プレートの端を掴むと、一気に持ち上げたのだ。 ベギッ! 奇妙な音を残して装甲プレートの可動部を止めていたボルトが破断、装甲プレートが外れた。 装甲プレートに隠れていた右騎の股関節部が丸出しになった。 そこへ――― ガンッ! 再び斬艦刀を握った美奈代騎は、斬艦刀の切っ先を股関節に突き込んだ。 股関節から真上に突き入れられた斬艦刀は、熱せられたバターナイフがバターを易々と溶かし切るように、内部構造物を解かし、破壊した。 騎体の中からは、何かが連続して砕け、爆発する音が響く。 斬艦刀から手を放した美奈代は、とっさに右騎の腕からバズーカをもぎ取ると、撃破したばかりの、その騎体の背後に回った。 背後から襲いかかろうとしていた左騎が、右騎にハルバードを振り下ろそうとする。 右騎の背後から突き出されたバズーカの筒先が左騎の装甲とぶつかった瞬間――― 美奈代はバズーカのトリガーを引いた。 「泉准尉が撃破した正体不明の騎は」 作戦終了後、洋上に撤退した“鈴谷(すずや)”のハンガーで、美夜は二宮に言った。 その背後には、美奈代が撃破した三騎のメサイアの残骸が転がっている。 「中華帝国軍の最新鋭メサイア―――それも」 整備兵達が忙しく立ち回るのをチラリと見た美夜は続ける。 「王制党親衛軍の次期専用騎と見て間違いないわね」 こうして見ると、その装甲の分厚さは信じられないほどだ。 整備兵達が騎体のあちこちを調べているのを眺めながら、美夜は嬉しげに言った。 「この騎をこの程度の破壊で確保出来たことは、実に有益な事よ」 そして、苦い顔をしている二宮に言った。 「あんたの騎体中破は、部下の功績で不問にされるだろうし」 「……感謝、します」 二宮は、むすっとした顔で敬礼した。 その顔が余程気に入ったのか、美夜は嬉しげに微笑んだ。 「あんたの弟子にしておくにはもったいない素質ね。あの子」 「……」 「育てた甲斐があったんじゃない?」 「このことで」 二宮は言った。 「つけあがらなければ良いけど」 「大丈夫じゃない?」 “鈴谷(すずや)”帰艦時点のスコア16騎、陸戦艇1の戦果は、むしろ伝説の世界だ。 美奈代騎担当の整備兵達の足取りが明らかに軽いのがわかる。 「―――とはいいたいけど」 美夜は、ちらりと二宮を見た。 「あの子、抜擢されるかもよ?」 「抜擢?」 「内親王護衛隊(レイナガーズ)か、天皇護衛隊(オールドガーズ)」 「まさか!」 「なにがよ」 美夜はあきれ顔だ。 「宗像准尉だって、内親王護衛隊(レイナ・ガーズ)配属が内定していたんでしょう?それに、あなただって―――」 「おおいっ!艦長っ!」 ハンガーの隅々まで届くその大声を発したのは、坂城だった。 「あの騎体のことだが」 今、艦長室にいるのは、坂城とその部下のシゲ、美夜と副長の高木少佐。そして二宮と長野だけだ。 壁にもたれかかった姿勢で腕組みをする坂城の表情は、愛用のレイバンに隠れてわからない。 「エライことがわかった」 「エライこと?」 「電磁筋肉はアメリカ製のE&H社製の最新型。去年の冬、シンガポールの見本市でお披露目になったばかりの量産されていないヤツだ。ついでに電子機器の大半はドイツ製」 「……」 「……」 皆がポカンとした顔で坂城を見た。 撃破したのは中華帝国騎だ。 戦闘後、捕虜となった騎士とMC(メサイアコントローラー)は中華帝国人だ。 「どういうことです?」 長野が訊ねた。 「対立する国のパーツで組み上げた騎だというのですか?」 「そんなこと、俺が知るか」 坂城はにべもなく答えた。 「俺は技術屋で、政治屋や外務の役人じゃねぇ」 「……」 「といっても、俺からすればもっと厄介なことがある」 坂城はそう言うと、ポケットから何かを取り出すと、長野に放り投げた。 「外せたのは、それだけなんでな」 それを長野は両手でキャッチした。 銀色に輝く金属の塊。 サイズはタバコのフィルターくらいだ。 恐ろしく軽い。 「検査は中央に任せるつもりだ。“鈴谷(すずや)”の機材じゃ詳しいことはわからねぇ」 「これは?」 手の上で転がすように眺めていた長野が訊ねた。 「泉の嬢ちゃんがブッ倒した騎が掴んでいたエモノから外したのさ」 「獲物?あのバズーカですか?」 「ああ」 坂城は顎で合図すると、脇に控えていたシゲがテーブルに写真を数枚、ひろげた。 「長野大尉さんよ―――そいつが何で出来ているか、わかるか?」 「……アルミですか?」 二宮や美夜達も長野からその金属を受け取った。 「そうね……でも、アルミにしては感触が」 「詳しくないけど……セラミックかしら?」 「硬度からしてアルミでもセラミックより固てぇ」 「じゃぁ、なんです?」 「さぁな……学者先生にでも聞いてくれ」 壁から離れた坂城が、写真に広げられたテーブルに両手をついた。 「俺からすれば、泉の嬢ちゃんの最大の功績は、“こいつ”を捕獲したことだ」 テーブルの上に広げられた写真は、すべてあのバズーカの各部を撮影した物だ。 「単なる……」 長野は、そこまで言いかけて口を閉ざした。 実体弾ではなく、大口径高出力のML(マジックレーザー)砲だ。 それだけなら、長野は発言を止めなかったろう。 問題は、発射時にML(マジックレーザー)特有の反応は何もなく、メサイアのシールドを瞬時に融解させるほどの破壊力を持つ。 トドメとして、横にいる上官、二宮が感知するどころか、避けることさえ出来なかったことだ。 MC(メサイアコントローラー)二人が“攻撃はセンサーで拾えなかった”と主張しているし、ログもその通りだったことを示している。 ML(マジックレーザー)攻撃飛来を告げるセンサーが、ML(マジックレーザー)攻撃を検知出来なかった。 かすっただけで、対ML(マジックレーザー)コーティングが施された装甲が溶けた。 それは、看過出来る話ではない。 「これから話すことは、俺の仮説に過ぎねぇと思われるだろうが」 坂城は言った。 「こいつは人類の造った代物じゃねぇ」 「……は?」 二宮と美夜が目を点にした。 「どういう?」 「まず、こいつにはネジがねぇ」 二宮が見る限り、坂城は本気だ。 「それらしいモノぁあるんだが、バラし方がわからねぇ。もし、中華製だとしても、工業規格ってもんは今時世界共通だ」 「……」 「わざわざ、この砲のためだけに、特別な規格を造ったなんてこたぁありえねぇ」 「……よろしいですか?」 坂城とほぼ同い年の高木が言った。 「憲兵隊からの報告によれば、捕虜が興味深いというか、おかしなことを」 「ん?」 「あの兵器は、中華帝国でも知っている者はごく一部で、単に“筒”とだけ呼ばれていたそうです。捕虜達も数日前に初めて見たと」 「“筒”?」 「はい。装弾数6発。実は」 高木が首を傾げた。 「おかしい。というのは、ここからでして」 「言ってみろ」 「はい―――パイロットやMC(メサイアコントローラー)達が知っているのは、その砲の使い方……単に、トリガーを引くことだけなんです。しかも、彼らは、この兵器をML(マジックレーザー)を発射出来るバズーカ程度としか聞かされていません。使用後は梱包の上本国送り。なにより分解整備は禁止されていたそうです」 「……で、だ」 坂城はテーブルの上にあった写真の一枚を掴んだ。 筒の端に取り付けられていた金属製のプレートが写っていた。 「何て書いてあるかわかるかい?」 「ん?」 美夜が写真を受け取ったが、 「……?」 首を傾げるしかなかった。 「少なくとも、目にしたことのある表記じゃないわね」 「北京語、ハングル、アラビア語にサンスクリットまで調べたが、該当するモノぁねぇ」 「じゃあ?」 「……シゲ」 「へい」 脇に控えていたシゲが鍵の付いたアタッシュケースを開いた。 「……こいつは、アフリカの記念にもらっておいた代物だ」 アタッシュケースの中身は、半ば焼けこげた金属のプレートだった。 「これは?」 「魔族軍のメサイアの残骸さ」 「!?」 その一言に、二宮と長野の表情が強ばった。 「アフリカで擱座した魔族軍メサイアで、“鈴谷(すずや)”に収容されたのがあったろう?あの騎体から剥がれ落ちたプレートが、これだ」 坂城は写真とプレートを横に並べた。 「―――比べてくんな」 「……い」 何度も見た。 目が痛くなるほど見比べた。 そして、そういう結論にイヤでも達した。 「一体……これは」 長野が救いを求めるように上官達の顔を見た。 その表情は硬く強ばっている。 「……坂城整備班長」 美夜は殺気だった声で言った。 「情報に感謝する」 「プレートは返しておくさ」 坂城は言った。 「これから、イヤでも手にはいるだろうからな」 坂城がアタッシュケースから取り出し、写真の上に乗せたプレート。 写真とそのプレートをみれば、イヤでもわかるだろう。 一つは魔族の兵器からとったプレート。 もう一つは、中華帝国軍メサイアの兵器のプレート 接点はない。 あってはならない。 そのはずなのに。 「中国人っては、誰と商売しているんだ?」 二宮の皮肉を咎める者は、ここにいはなかった。 誰でも一目でわかること。 プレート同士の言語は―――共通していた。
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紆余曲折の末、“鈴谷(すずや)”がバーレーンに入ったのは、命令から実に3日目の昼すぎのことだ。 魔族軍の攻撃は一切なかった。 ただし、まるで“鈴谷(すずや)”と入れ替わるかのように、ラムリアース帝国軍をはじめ、各国がアフリカめがけて兵力を大量動員しているという情報が美夜達に届けられただけだ。 「暑い!」 手でパタパタと風を送ってみたものの、熱風しか来ないことを知ったさつきは、信じられない。という顔つきで空を仰ぎ見た。 「何よこれ……ここ、本当に地球?」 「言い過ぎだと思うが」 「美奈代は、暑くないの?」 「私も暑い」 「二宮教官も平野艦長も、これじゃあ外に出ないだろうしね」 「仕事で忙しいんだろう?」 「何言ってんのよ」 さつきは楽しげにポンッ。と、美奈代の肩を叩いた。 「この太陽の下、この暑さに“あの二人”が出てごらん?すぐにシミになって、メイクが崩れてそれはもう―――」 そこまで言いかけ、愕然とするさつきの前を通りかかったのは、その二人だった。 「―――ふむ」 甲板の上で女性士官が腕立て伏せをしている。 「この炎天下の下、真面目な士官だ」 エーランドはそうつぶやくと双眼鏡から目を離した。 「それにしても」 ベドウィンに変装したシグリッド大尉がその双眼鏡を受け取りながら言った。 「これは派手にやられましたな」 シグリッド大尉が言うのも無理はない。 船舶が停泊する港周辺の建物のいくつかが黒く焼けこげ、燃料タンクは原形さえ留めていない。何隻かの船が横転したり喫水線をはるかに越えて浸水し、甲板の残して水底に沈んでいる。 ここまで来るまでにも、その余波だろうか。市街地のあちこちが破壊されていた。 中華帝国の破壊工作の結果だ。 本当なら高台から港を見たかったエーランド達だが、銃を持った兵士達が高台や道のあちこちに立っているおかげで、下手な動きが出来ない。 半日がかりであちこち歩き回り、小高い丘にある繁華街の放置された古いビルの残骸から港が一望出来ることを、ようやく悟ったばかりだ。 このビルは火災にあったらしい。 焼けこげた建材や家具が散らばるビルの物陰に隠れているものの、人間で言うならば白人種に属するエーランドは、その豪奢な金髪を白い民族衣装で隠した。 「水中戦隊の仕業、ではないですな」 「人類の仕業だよ。アフリカ近海から太平洋に至るまで、派手に暴れた結果がコレだ」 「そいつは豪勢だ!」 シグリッド大尉は、その浅黒く日焼けした顔をくしゃくしゃに笑って双眼鏡をエーランドに戻した。 「我々も、どうせならそれ位、やってみたいもんですな!」 「―――しっ」 エーランドは小さく、しかし鋭くシグリッド大尉に言った。 「静かにしろ」 ビルの面した通り。 何か罵声のような大声が聞こえてくる。 すさまじいほどの罵声と銃声、そして悲鳴が聞こえてくる。 銃を手にした男達が集団で大通りを歩いている。 その真ん中にいるのは、黄色い肌をした男女だ。 首からは、エーランド達が読めない文字が書かれたプラカードらしいものをぶら下げている。 男女は10名近く。 皆、顔から血を流し、立っているのもやっとという有様の者も少なくない。 そんな彼等を、男達は殺気だった顔で小突いて歩かせている。 立ち止まろうものなら、容赦なく銃尻が叩き付けられ、蹴り飛ばされる。 殴られ、蹴られたくなければ歩くしかない。 エーランド達の目の前で、不意に倒れて動かなくなったのは、まだ服装からして若い女性だ。 ひげ面の男が、銃尻で頭を殴るが女はぴくりとも動かない。 男達が罵声を浴びせ、女を周囲から容赦なく蹴りつける。 それでも動かないとわかるや、体格のいい男がわざとらしい仕草で自動小銃を天に突き上げ、何事か大声で怒鳴ると、銃口を女に向けた。 鈍く乾いた銃声が数発、町中にこだました。 「少佐……あれは」 男達は、小銃弾で蜂の巣にされた女の死体の脚にかけたロープで引きずっていく。 「私刑だ」 エーランドは言った。 「おそらく、この街を攻撃した軍の仲間と思われているんだろう」 「じゃあ、あいつら」 エーランドは無言で手刀で首を切る仕草をした。 「うへぇ」 たまらない。という顔で、シグリッド大尉は舌を出して嘔吐の仕草で返すが、すぐに二人は仕事に戻った。 「とにかく、“鍵”の反応は間違いなく、あの飛行艦から出ている」 「“鍵”は、ここでは降ろさないんですね」 「本国は弓状列島と聞いている。そこまでは、あの船の中だろうな」 「どうします?」 「メースで急襲してとも思うが……」 唸るエーランドの視線の先。 米軍基地に並ぶのは、小豆色のメサイア達。 米軍の主力メサイア“グレイファントム”だ。 無骨なデザインの重装甲が与えられた重厚なフォルムをした巨大な鎧が、四方ににらみを利かせている。 グレイファントムが単なるメサイアだったら、エーランドもここまで躊躇しないだろう。 エーランドは、そっと双眼鏡を構え、グレイファントムを見た。 ざっと見るだけでその騎数は20騎近く。 そのすべてが武装して周辺を警戒している。 エーランドの双眼鏡に仕込まれた魔力分析装置が、その内の一騎を包む魔力反応を分析する。 装甲に張られた装甲魔法は大したことはない。 多くの騎が持つ速射砲も脅威ではない。 問題は、その手が掴む巨大な戦斧だ。 その無骨なまでの刃先には、攻撃系魔法がかかっている。 エルプス系魔法とは違う。 ダメージ増強系の魔法だ。 だが、その魔法の詳細が分からない。どんな効果があるのだろう? 人類のオリジナル魔法だとすれば、あまりにデータ不足だ。 「あの魔法がどの程度のものかわからないと……」 エーランドが危惧するのは、あの斬艦刀の破壊力を知っているからだ。 数十騎があの武器をもっていたら、わずか4騎で戦を仕掛けるのは愚の骨頂だ。 「リスクが高すぎる」 そう、結論づけるしかない。 「どうします?」 「メースでの下手な攪乱は、逆に連中を警戒させかねない」 すぐ近くで歓声と銃声が響き渡った。 「シグリッド。貴様の艦で、潜入工作に長けたは者は?」 「ウチは元々、そういうのが本業です」 「上等だ」 エーランドは嬉しそうに頷いた。 「今晩、かかるぞ」 バーレーンに入港してからというもの、美奈代達女性士官が、代わる代わる見に行く場所がある。 “鈴谷(すずや)”に接続された真水の供給装置だ。 “鈴谷(すずや)”の舷側につけられた取り込み口が開かれ、専用のクレーンに取り付けられたホースがそこに接続されている。 このホースが取り付けられている限り、真水タンクは一杯になるし、艦内では水が潤沢に使える。 美奈代達は、そのホースがつながっていることを確かめては、腕時計を見て仕事に戻る。 一体、何を楽しみにしているのか? 風呂だ。 “鈴谷(すずや)”の空いた居住ブロックには、整備兵がメサイアの廃棄パーツを流用して 作り上げたという伝説の大浴場がある。 大浴場を持つ軍艦なんて、実際“鈴谷(すずや)”くらいなものだろう。 そして、こういう階級組織では、一番最初に使えるのは、当然ながら最も階級の高い者となる。 一番風呂に意気揚々として入ったのは、美夜と二宮だ。 次にMC(メサイア・コントローラー)達と士官、そして下士官と兵達が順番に入ることになる。 女性の長風呂で消費される水量は半端ではない。 外部から水を入れて、常に湯を作らなければ、湯が不足するし、何より汚れて入れたものではなくなる。 美夜と二宮が二人で夕食前1時間、次にMC(メサイア・コントローラー)と女性士官と来て、例えパイロットだろうがなんだろうが、士官候補生でしかない美奈代達は、軍隊士官兵牛馬猫鼠油虫士官候補生のヒエラルキーの最下層に属する者として、当然ながら最後だ。 一度、湯を抜いて、みんなで掃除して、再び浴槽に湯が満たされたのは、夜の9時過ぎだ。 皆が脱衣所で服を脱いで、風呂に入れる喜びを語り合っている時、不意にドアが開いて当然という顔をして入ってきたのは、フィアだ。 皆に優雅な仕草で一礼し、美奈代を殺気立った目で睨み付けると、さっさと服を脱いで風呂場に消えた。 「……まだ、警戒されてるんですかねぇ」と、美晴は少し寂しげに言った。 「私、お昼一緒だったんですよ?」 「あの子、スゴい人気高いんだよねぇ」さつきは服を脱ぐ手を止めて言った。 「明るいし、礼儀正しいし、物腰優雅だし。ちょっといないタイプだよね」 「……おかげで染谷がロリコン扱いされているがな」 宗像は興味がないといわんばかりに服を脱ぐ手を止めない。 「“幻龍改(げんりゅうかい)”のSTRシステムに高圧電流を流そうとした整備兵がいたらしい」 「ロリータ染谷って、都築あたりが喜んで言いふらしていらるらしいよ?」 「あいつ、うらやましいだけじゃないのか?」 「それより……」 さつきは言った。 「貯まっていた下着、あの子の前で洗濯したくないんだけど……」 美奈代達は、パンパンに膨れあがった袋を前に、互いに顔を見合わせた。 裸のおつきあい。 それが、お風呂での日本人の礼儀。 真偽の疑わしいことを言って、さつきと美晴がフィアと戯れている。 “鈴谷(すずや)”乗組員の中では最も年齢的に近いせいもあるだろう。 フィアも楽しげに会話に参加している。 キャーキャーという、楽しげな黄色い声が大浴場に響く。 それと距離をとるのは、宗像と美奈代だ。 元々が長湯だという宗像は、ゆったりと湯船の中で見事すぎるスタイルをさらけ出している。 反面、お腹のあたりが気になる美奈代は、誰を見てもため息ばかりだ。 「あの子、はやく出てくれないかな」 「宗像……お前は本当に」 美奈代はあきれ顔で言った。 「興味のない女の子には恐ろしいくらい冷淡だな」 「……そういうものだろう?」 「そういうものか?」 「うむ」 二人の視線の先ではフィア達三人が背中を流しあっている。 「それにしても……」 白い陶磁器のような肌。折れそうなほど細く長い手足。くびれたウェスト。 そして、服の上からでは想像も出来ないほど豊かな双丘。 「……うっ」 そこまで見た美奈代は、その視線を自分の体に向け、そのまま浴槽の中に沈んだ。 結局、消灯時間が近いことを理由に、さつき達はフィアを浴場から追い出した。 親密になりたいが、それよりもたまった洗濯物をどうにかしたいという本音が勝ったのだ。 「では、失礼します。お休みなさい」 一礼して大浴場のドアを閉めようとしたフィアの手が、不意に止まった。 「あっ。瞬、ごめんなさい。待った?」 「―――まぁ、待て」 顔を真っ赤にして大浴場から飛び出そうとした美奈代を羽交い締めにして止めたのは宗像だ。 「洗濯物、どうするんだ?」 「……っ!」 「明日から履ける下着がなんだろう?」 事態が動いたのはそれからすぐのことだ。 皆が残り湯で洗濯物を洗っていた。 もう誰もいないと思い、こっそりと下着を洗いに来た女性士官や兵が、それぞれの洗い場に陣取り、風呂場は奇妙に賑わっていた。 とても男共には見せられないわねぇ。 誰かがおどけて笑いをとる。 そんなのどかな光景ではあった。 フィーッ! フィーッ! 不意にそんな音が艦内に響き渡ったのは、本当に消灯時間が間近になり、皆が風呂場から出なければならなくなった時だ。 もう、真夜中に近い時間だ。 少なくとも、美奈代達は、その音を聞いたことがなかった。 「何?」 洗い終えた洗濯物を袋に詰めようとしていた美奈代は、その手を止めた。 「侵入者警報です」 誰かが言った。 すると、それを証明するかのように、艦内放送が流れた。 「憲兵隊より警告!艦内に侵入者あり!各ブロックを緊急閉鎖、各員はマニュアル所定の対応をとれ。各憲兵隊員は自由発砲許可、各騎士は憲兵隊の指揮下にて対処せよ」 結局、侵入者は見つからず、徹底した調査の結果、艦内での破壊工作等は確認されなかった。 ただ一つ、犠牲者が出ただけだ。 山科教官だ。 一体何故、その場にいたのかわからないが、普段は閉鎖されている物資貯蔵Fブロックから外部に通じる“F45”緊急脱出用ハッチの間近にある隔壁に頭を潰される格好で死んでいた。 物資貯蔵Fブロックは、メサイアのパーツを保管するための区画であり、深夜、人がいるべき場所ではない。 それが問題になった。 憲兵隊が、各通路に仕掛けたセンサーの反応を確認した結果、侵入者が入り込んだのは、その“F45”緊急脱出用ハッチだと断定したのだ。 根拠は十分にある。 “F45”緊急脱出用ハッチの真下は5メートル程の高さで海面に接している。 不時着水時に艦内から脱出するために用意されたもので、普通は使用されることはない。 そのハッチ周辺から複数の海水に汚れた靴痕と、脱出用のハシゴを引っかけるフックに何かロープのようなモノで擦ったような痕が発見されたのだ。 さらに、ハッチの操作レバー付近に、拭き忘れたと思われる山科教官の指紋が残されていたことが決定打となった。 山科教官がハッチを操作し、外部からの侵入者を招き入れたとしか思えない。 しかし、その理由は? それを解き明かしたのも憲兵隊だった。 山科教官の部屋を徹底的に調べた結果、ベッドのフレームにガムテープで貼り付けることで隠されていたのは、白い錠剤の入った袋だった。 「簡易検査の結果、合成麻薬であることが確認されました」 憲兵隊長の鬼塚軍曹が独特の塩辛声で美夜に告げた。 美夜は、顔をしかめながらテーブルに置かれた錠剤を睨み付ける。 「……鬼塚軍曹」 「はっ?」 「全員の簡易検査を。反応が陽性だった者は構わないから営倉にぶち込め」 「了解であります」 「……頼む」 「……それと」 普段なら、命令があればすぐに動く鬼塚軍曹がその場に立っている。 軍人にとって憲兵は関わりたくない兵種の最たる連中だ。 鬼塚軍曹もそれがわかっており、仕事の用件を除いては、普段から誰とも関わろうとしない。 それはつまり、まだ話が終わっていないことを意味した。 「どうした?」 「米軍憲兵隊からの協力要請がありました。同行を願いたいのですが」 「同行?どこへだ」 「米軍憲兵隊本部です」 美夜と副長の高木は、鬼塚軍曹をつれてバーレーン米海軍基地内部にある憲兵隊本部の正面玄関をくぐった。 憲兵隊を率いるマーロウ大佐がオフィスで出迎えてくれたかと思うと、すぐに美夜達は地下にある死体安置室に連れて行かれた。 清潔感とは違う、言いようのない飾り気のない内装をした死体安置室。 ステンレス製の筒がいくつも壁に詰め込まれて並んでいる。 その一つ一つが、死体を保管するための冷凍ケースだと、さすがに美夜も知っていた。 「こちらです」 鬼塚軍曹同様の寡黙な人物で、鍛え抜かれたフットボール選手を連想させるいかつい体格の持ち主のマーロウ大佐は、部下に命じて、美夜達の前に台に乗せられた死体袋を6体、引き出した。 「死体を見たことは?」 「私は軍人です」 美夜の答えに納得したのか、マーロウ大佐はあごで部下に指示を出した。 部下は、無言で死体袋のジッパーを下げた。 「……うっ」 死体袋をのぞき込んだ美夜が思わずうめいたのも無理はない。 真っ白にふやけてた肉塊がそこにあった。 人間の頭部だが、ザクロのように裂けた頭から青白くなった脳漿がみてとれる。 胃液が逆流しなかったのは幸いだ。 「今朝、スズヤの近くの海で発見された―――黄色人種であることは間違いない」 マーロウ大佐の部下が、すぐに死体袋のジッパーを戻した。 「遺留品はこれです」 ストレッチャーが音もなく運ばれてきた。 銀色に輝くストレッチャーの上には、着衣だろうウェットスーツや酸素ボンベなどが並べられていた。 「さすがに身元を示すようなモノはなにもない。物好きがダイビングでもして、スクリューに巻き込まれでもしたか?普段ならそうとも考えたが」 マーロウ大佐が手にしたのは、酸素ボンベの脇に置かれていたゴム製のケース。 「状況が状況だ。しかも」 マーロウ大佐はゴム製のケースを開いた。 中からはゴルフボール大の黒いブロックがいくつも出てきた。 「こんなものをダイバーが持っているはずがない」 「……これは?」 マーロウ大佐は、慣れた手つきでブロックを指に挟んで美夜達に見せた。 「爆薬です―――他にも」 爆薬をストレッチャーに戻すと、さらに横に置いてあったモノを美夜達に見せた。 銃身をすっぽりと覆うサイレンサーのバケモノのような銃だった。 「64式消音短機関銃です」 「……その名前が来るということは」 「そうです」 マーロウ大佐は頷いた。 「昨晩、スズヤに侵入を試みたのは、中華帝国軍ということになるでしょうな」 「我々としても情報が欲しいのです。出航を差し止めることはしませんが、ご協力を」 マーロウ大佐にそうオフィスで告げられた後、 「艦長」 憲兵隊からの帰り道、高木が問いかけた。 「どうされますか?」 「司令部には報告する」 車に乗り込んだ美弥はそっけなくそう答えたが、 「だが……辻褄が合わん」と、腕組みをして唸りだした。 「……は?」 「考えてみろ、高木少佐」 美夜は言った。 「仮に山科がチンク共に買収された内通者だったとして、奴を用済みだと殺したのがチンク共だと見なしてもいい」 「だが……何故、奴らが殺されるんだ?誰に殺されたんだ?」 「そ……それは」 「山科?バカな。あいつは頭を潰されたんだぞ?いくらなんでも、頭を潰されてなお、相手を殺す?ありえた話ではない。何より」 「……」 「……銃ではない。あれは何か、鈍器に近い武器で殺された痕だった」 「では……相手は騎士」 「……鬼塚軍曹」 ハンドルを握る鬼塚軍曹に、美夜は訊ねた。 「聞き忘れていた」 「―――はっ」 「侵入者は、どこから逃走をはかった?」 「D区画と思われます」 「……思われる?」 「D区画での目撃情報を最後に、行方をくらませています」 「待ってくれ軍曹、D区画とは」 「……部隊には箝口令を敷いています」 鬼塚軍曹は、後ろを振り返ることもなく、まっすぐ前だけを見ながら答えた。 「佐官以上の高級将校向け居住区画。そこから海に逃れたとしか考えられません」 「なっ……」 「何しろ、ハッチを開かずに脱出するためには船窓が必要です。船窓があるのは、あの辺りだけです」 「しかし!」 高木は信じられないという顔で、鬼塚軍曹と美夜を交互に見るだけだ。 「現在、D区画を使用している佐官は一人だけです」 鬼塚軍曹は乱れることもなく言う。 「誰か、報告しましょうか?」 「いらない」 「……いかがなさいますか?」 しばらくの沈黙の後、美夜は言った。 「二人共」 「はっ」 「……はい」 「この件は、私に任せてもらいたい」 「……はっ」 「……憲兵には、難しい依頼ですな」 「個人的感情を交えるつもりはないが……今、彼女を失うことは、“鈴谷(すずや)”にとっては自滅を選ぶようなものだ」 「……戦時の特別判断としましょう」 鬼塚軍曹は言った。 その言葉には、美夜達も頷くしかなかった。 「“白百合の守護者”が銃殺台の露に消えたなんて話は、自分も聞きたくないですからな」
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「くそっ!」 鳴り響く警報 魔晶石エンジンから発する甲高い戦闘出力音 スクリーン一杯に迫る甲冑のバケモノ。 美奈代は倒れた二宮騎の前に立ちはだかると、斬艦刀を構えた。 距離はまだかなりある。 あれほどの重量級だ。接近するまでにはかなり間があるはずだ。 ダンッ! 大地を蹴って敵騎が動き出した。 「―――え?」 敵の装甲の厚さは一目瞭然だ。 楯攻撃(シールドやエッジ)の効く相手じゃない。 グリーンの角張った恐ろしく分厚い装甲が美奈代めがけて襲いかかってくる。 「速いっ!」 その動きに、美奈代は目を見開いた。 重装甲をものともしない素早い動きを見せる。象のような鈍重な外観からは全く想像が出来ない機動性だ。 「あの装甲で!?」 重装甲に高機動性ではシャレにもならない。 美奈代は必死に隙を見つけようとした。 装甲がいくら分厚いとはいえ、どこかに弱点があるはずだ。 ―――どこだ!? 美奈代は焦りながら視線を激しく移動させた。 正面から撃破出来そうな場所が思いつかない! ―――背後に回り込めば。 美奈代は、ふと、そう思った。 “装甲は、正面装甲が最も厚いが、後方や上面は得てして薄い” かつて、授業で聞いた言葉を思い出したのだ。 戦車かメサイアか、一体、何の装甲について語った言葉で、誰から言われた言葉かさえ思い出せないが、それでも、このタイミングでこの言葉を思い出したことを、美奈代は誰かに褒めて欲しかった。 美奈代は背面に回り込もうとSTRシステムに力を込め、即座にその無意味を悟った。 否、悟らされた。 ブンッ! 突然、敵騎の上半身で白い光が走った。 メサイアの腕ほどもある三角の円錐状の光が、肩や頭部に走る。 その光に本能的な危機を感じた美奈代は動きを止め、目を見開いた。 「な、何?」 「レーザースパイクです」 牧野中尉が言った。 「固定式の光剣と思ってください。タックルでも喰らったら串刺しです」 「―――くっ!」 背後から斬り込むことはやめた。 三騎であんなものにプレスされたらたまらない。 肩部装甲のレーザースパイクが装甲の動きに合わせて激しく揺れる。 不用意な接近は、自殺行為だと、その動きが教えてくれる。 ―――どうする? 接近のため、激しい動きを見せる敵騎を睨み付けていた美奈代が“そこ”に気づいたのは、そんな瞬間だった。 美奈代は結局、その三騎に何もしなかった。 牽制のためのML(マジックレーザー)攻撃さえしなかった。 三騎から見れば、今の美奈代騎は、突然、仲間が倒されて動揺している程度にしかみえないだろう。 だらりと下げられた長い剣もシールドも構えられてさえいない。 戦闘の意志さえ感じられない。 そんな姿で立ちつくすのが、今の美奈代騎だ。 当然、敵はそんな美奈代騎にかける情けなど持ち合わせていない。 殺されたくなければ、全てを殺せ。 それこそが、戦場における騎士の規範(ルール)だ。 三騎のメサイアを駆る騎士達は、自らの規範に従順過ぎるほどに従った。 それだけだ。 楔形陣形で迫り来る三騎。 前衛騎がハルバードを振り上げた。 槍に斧を付けた斧槍(おのやり) それがハルバードだ。 斧と槍双方として使え、「突き」「切り」「刺し」「払い」―――凡そ近接用武器に求められるほぼ全ての攻撃が出来る優れものだ。 その破壊力の源は、長い柄を操作することによる遠心力や慣性力―――そして操作する者のパワー。 メサイアのパワーを上手く遠心力に乗せることが出来た場合のハルバードの破壊力は、およそメサイアの扱う近接用武器の中では最強の部類に入るだろう。 まともに喰らえば、美奈代騎は真っ二つだ。 ピピピピピピ―――ッ!! センサーが脅威を感知し、操縦者である美奈代に警告を告げる。 長い柄を両手で握って振り上げつつ接近する敵騎を、美奈代は強ばった顔で見つめていた。 ―――チャンスは一度だ。 美奈代は自分に言い聞かせていた。 ―――しくじったら……終わりだ。 終わり。 つまりは―――死。 死ねば、全てが終わる。 そこまで考えるのが、今の美奈代にとっては精一杯だ。 目の前に迫る敵騎を前に焦る心を押さえつけるのがやっとなのだ。 「―――くっ!」 歯を食いしばった途端、 ブンッ!! 凄まじい音を立てながら、敵騎がハルバードを振り下ろした。 まともに喰らったら、メサイアは脳天からかち割られるだろうその攻撃だったが、 ガンッ!! その斧が捉えたのは、何の変哲もない大地。 メサイアの魔晶石エンジンが産み出す大出力を遠心力に変えて繰り出された一撃は、大地に深々をめりこみ、砕かれた大地が土砂となって舞い上がった。 ―――かわされた!! 前衛騎の騎士は、即座にハルバードを大地から引き抜こうとして―――出来なかった。 「!?」 ハルバードの斧の根本。 何かが押さえつけている。 必殺の一撃をかわしたメサイアの脚だとわかった次の瞬間、 グガンッ!! コクピットを凄まじいほどの振動が走った。 コクピットを形成していた様々な装備が吹き飛び、モニターや計器類が一斉に消えた。 振動が収まった時にはコクピットの中は暗闇となった。 手元でさえ見えない事態に、予備電源まで切れたことを悟った騎士が次に感じたのは、奇妙な重力感。 立っていることが出来なくなった自騎が倒れる感覚だった。 メサイアの弱点である喉部防護用可動式装甲と騎体の隙間に斬艦刀を突き刺された前衛騎は、頭部にあるMCL(メサイア・コントローラー・ルーム)と本体を結ぶ操縦系統を根こそぎ破壊されたことで動きを止めた。 人間でいえば、頸骨を切断されたのと同じ。メサイアといえ、ここを破壊されればどうしようもない。 ズズゥゥ……ンッ!! 奇妙な程ゆっくりと前衛騎が倒れる。 その光景に狼狽した後続騎達が一歩、後ずさった。 美奈代にはそう見えた、その次の瞬間――― ブンッ!! 突然、左騎の腕が光った。 「ぐっ!?」 騎体に激しい振動が走り、警報が一斉に鳴り響いた。 「さっきの一撃ですっ!」 牧野中尉が怒鳴った。 「シールド43%融解、左部異常加熱警報!」 「くっ!?」 騎体の状態を示すステータスモニターをちらりと見る。 騎体の左側が危険なほど加熱していることを示す赤色で点滅している。 「一体!?」 後衛の二騎のうち、美奈代から見て右騎が何かを構えているのに、美奈代が初めて気づいたのは、その時だった。 巨大な筒―――バズーカだ。 とっさの牽制用に撃ったんだろう至近弾だけでシールドが溶け、騎体は半身が焼けた。 一体、どれほどの高出力のML(マジックレーザー)が発射されたのか、美奈代はそんなことを考えている余裕さえなかった。 キュィィィッ 筒の中が光り出した。次は外さないだろう。 「えっ!」 美奈代騎が動いた時、美奈代が急速後退をかけてその攻撃を回避する機動をとると思っていた牧野中尉は、眼が点になった。 自分の乗っている騎体は後退したのではない。 前進したのだ。 「ちょっ!?」 ここで前進すれば、自分から的になりにいくようなものだ。 いくらなんでも、美奈代だってそれがわかっているはずだ。 それなのに―――? 唖然とする牧野中尉の目の前にバズーカを構えた敵騎が急速接近してくる。 よく考えられて配置された装甲は、幾重にも重なって鉄壁の防護とはどういう代物かを牧野中尉に教えてくれる。 この位置から喉部を狙うことはまず無理だ。 美奈代にどういう勝機―――いや、美奈代自身が正気なのかさえ、もうここまで来たらわからない。 そっと脱出装置の位置を確認した牧野中尉の耳に美奈代の声が響く。 「さくら、シールドパージっ!」 「はいっ!」 美奈代の声に、美奈代騎の左腕が大きく振られ、溶けたシールドが左騎めがけて飛んでいく。 右騎は、シールドを難なくかわした代わりとして、射撃のタイミングを失った。 そこが、美奈代の付け入るタイミングだ。 「そこっ!」 美奈代騎が右騎の懐に飛び込んだ。 ピーッ! ピピピッ! MCL(メサイア・コントローラー・ルーム)にそんな音が響く。 スクリーンに映し出されるのは、敵の装甲だけ。 そのあちこちが光り始めていた。 牧野中尉は、敵騎の近接防御用のML(マジックレーザー)が発射態勢に入ったことがすぐにわかった。 ―――まずいっ! この至近距離からML(マジックレーザー)を喰らえば無事では済まない! 「准尉っ!後退を!」 たまらず牧野中尉が叫ぶ。 その目の前で、自分の乗る騎が奇妙な動きを見せた。 ザンッ! 大地に斬艦刀を突き刺した右腕が、右騎の腰回りを防御している巨大な装甲プレートの端を掴むと、一気に持ち上げたのだ。 ベギッ! 奇妙な音を残して装甲プレートの可動部を止めていたボルトが破断、装甲プレートが外れた。 装甲プレートに隠れていた右騎の股関節部が丸出しになった。 そこへ――― ガンッ! 再び斬艦刀を握った美奈代騎は、斬艦刀の切っ先を股関節に突き込んだ。 股関節から真上に突き入れられた斬艦刀は、熱せられたバターナイフがバターを易々と溶かし切るように、内部構造物を解かし、破壊した。 騎体の中からは、何かが連続して砕け、爆発する音が響く。 斬艦刀から手を放した美奈代は、とっさに右騎の腕からバズーカをもぎ取ると、撃破したばかりの、その騎体の背後に回った。 背後から襲いかかろうとしていた左騎が、右騎にハルバードを振り下ろそうとする。 右騎の背後から突き出されたバズーカの筒先が左騎の装甲とぶつかった瞬間――― 美奈代はバズーカのトリガーを引いた。