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←前の月 現在のページ 次の月→ 2013年07月~09月 2013年10月~12月 2014年01月~03月 10月 計20曲 2013-10-01 (1) 夢現 / Terry Chandler 2013-10-07 (3) Last Invocation / すいっち ショッピングモール / フライングジラフ 夕暮れジェットソン / ぽてんしゃる0 2013-10-09 (1) 湖-still blue- / ヨシダイクコ 処女作 2013-10-10 (1) スキマガール / もけもけ 2013-10-15 (2) 道化師のパズル / ねじ式 相互性Revive / Hiroki169 2013-10-19 (1) あした天気になれ / EIKI` 2013-10-20 (1) 遺骸の花守 / ダークせつないP 2013-10-21 (1) ローリンジャンキー / Nost@rangeR 2013-10-22 (1) ペイン・コントロール / 綿飴(季節P) 2013-10-23 (1) 夏の終わり / ねこじた 2013-10-24 (2) ハイコントラスト / シルミシロン ひとり静 / White-La-Beat 処女作 2013-10-26 (2) unknown unknowns / チームカミウタ 無題 / Menow(杏仁) 2013-10-27 (1) Scars / xxxxxxxxx 2013-10-31 (2) QUEEN DEVICER / ヘブンズP 少女と黒猫はハロウィンの夜に / ORYO 11月 計20曲 2013-11-01 (1) 夢の空き地 / たるとP 2013-11-02 (2) 朝焼けターミナル / 一億円P ゲラゲラと笑うな / 石風呂 2013-11-03 (2) 7th room / out of survice 二つの温度 / みふ 2013-11-04 (2) 夏想恋歌 / 推薦すべき不運なP 知らない世界 / らいだーP 2013-11-06 (1) リズの内心革命 / じっぷす 2013-11-09 (1) After / torte 2013-11-12 (1) 勇者になれない僕ら / ねじ式 2013-11-13 (2) オミナエシ / mie Special Me / H aven 2013-11-14 (1) Dimentional leap / Desire Path 2013-11-15 (1) RACER S HIGH / ナナホシ管弦楽団 2013-11-17 (1) バラクーダの水槽で / Shig(かなしい係P) 2013-11-19 (1) Amnesia; in Blind / Sebon 2013-11-20 (1) clickER / yksb 2013-11-22 (2) そして夜空の海を泳ぐ / トキサダ あめがふれば / ふわりP 2013-11-25 (1) 雨粒ファインダー / はなぽ 12月 計26曲 2013-12-08 (1) Never call you again / 1オク↓P 2013-12-10 (2) 吐心感情戦 / ねじ式 ラヴ・フラグメント / 季節P 2013-12-12 (1) snow bird / @tsushi 2013-12-14 (1) 群情 / Menow 2013-12-15 (1) station / 出会い厨P 2013-12-16 (1) Atmosphere / 雨の介 2013-12-20 (2) アオイソラ / 篠倉 すーぱーぬこわーるど / まふまふ 2013-12-21 (2) さよならワンコ / ma-kunkun I am a piano -Acoustic Arrange- / Sebon 2013-12-22 (3) らーめんたべたいあ / 1オク↓P OVERTURE / ORYO 偽者に溺れて / 裸洗顔 2013-12-23 (1) 星降る夜の丘で / 彩音P 2013-12-25 (2) サンタクロースのバカヤロウ / 家が無い A.coronaria / 秋ヲ呑ミ込ム柱時計 2013-12-26 (2) 二人ぼっちのエンドロール / 5key-z Diaphanser / Taishi 2013-12-27 (2) 翠雨 / nAn 黒猫と羅針盤 / はらぐろ 2013-12-28 (2) 十三番目のハスキング / ナポリP Not Found / Kirin 2013-12-30 (1) ヒトナシ / jon 2013-12-31 (2) 六等星の夜(remix) / ねじ式 STAR LINE(出会い厨P new year remix) / 出会い厨P
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ユニット パイロット メッセージ ダイアログ エフェクト アニメ
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前書き プロローグ 赤いチョンマゲ ボロテラスより昼飯前 ハートのA むさ苦しい集会所より1人で昼飯 握り潰される 粗末な荷車 トマト畑の闘いただの子供 石ころ 脊髄反射 夕飯時結果として 食事中は静かに 交渉 話が違うぜ 朝食時肩が重い 酷い笑顔 村娘2 笑いを堪えて 些細な会話 渓谷での乱戦巣探し 背景が蜂 土色の崖 乱入者 虫好き 仕方がない 馬鹿<子供・虫 第二ラウンド 隙 前書き ようこそ、バーボンハウスへ。 このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。 うん、「また」なんだ。済まない。 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 でも、レスを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ざわめく気持ち」みたいなものを感じてくれたと思う。殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこのレスを書き込んだんだ。 さぁ注文を聞こうか? ・・・・・・・・・ はいふざけました(汗 今回で三作目なので何と無くやりたくなったのです(謝 次からは何時も通り私の 独断と偏見と妄想が トップギアの駄文をお送りします 自愛満ち溢れる方はどうぞ見て行ってください プロローグ 此処は今ある地図の一番端の街。 通称『三番目』 何故三番目かと言うと、本当はあと2つ街が有った訳だが其所が現在は機能していないのだ。 なので元は最果てから三番目だった此処が、現在の最果ての街とされている。 この最果ての街が造られた理由は実にシンプル。 地図に無い未開の開拓 そして未知なる存在達に対する防衛線 まぁ一番目と呼ばれた街は古龍の群れの襲撃で陥落した訳だが… まぁ兎も角、ここ三番目が未知に対する最後の砦である。 此処から先は人では無く龍達が支配する世界が広がる。街の外には幾つかの村があるが、常に龍達の危険に晒される。 そんな理由でここ三番目には日々大量の依頼が舞い込む。そして必然的に多くのハンター達も… しかし所詮は最果ての地。ここに集まる輩はろくでなしばかり。 名声を上げようとする者、人々を守るために戦う者、なんてのはこの街にはほとんど居ない。だいたいそんな奴らは都市などの日向で戦うだろう。 素行が悪く村や街から爪弾きにされた者 人には言えない過去が有る者 はたまた借金から逃げる為なんて奴も… まぁ兎も角、 そんなろくでなしばかりがこの街に集まる。 だが幸いここは最果ての街。依頼など農作業の手伝いから化け物退治まで腐るほどある。 まぁその依頼を受けて生きて帰って来られるかは別だが… ここは最果ての街、通称『三番目』 多くのハンターが集い消えて行く街。 そんな街に今日も新たなハンターが足を踏み入れる。 赤いチョンマゲ 「ねぇお婆さん、三番目の街ってまだぁ?」 赤く長い髷を風に靡かせながら、小さい狩人が行商の婆さんに問い掛ける。 「もうすぐだて。あんまりはしゃくど危ないよ。」 行商の婆さんは自身の巨大な荷物から首をだす狩人にそう諭した。 「だって暇なんだもん…」 「んだばこれさあげるから大人しくしててけろ。」 そう言って婆さんはデカイ飴玉を取り出し、狩人の口へ投げ入れた。 『ングッ…ムグムグ』 小さい狩人は途端に大人しくなった。 そしてバカデカイ飴玉がだいぶ小さくなった頃。 「そろそろ見えて来たど。」 行商の婆さんがそう告げた。 途端、小さい狩人は残った飴玉を噛み砕き、ヘルムに備え付けられた片目用のスコープを装着した。 スコープを通した視界、遥か眼下に三番目と呼ばれる街が見えた。 物々しく且つ巨大な外壁、その中にはパンパンに建物が詰め込まれていて、隙間から立ち上る無数の蒸気が街自体を巨大な生物の様に思わせる。 「スッゲ~…」 それを見た小さな狩人は感嘆の声を漏らした。 そして手早く身形を整えると行商婆さんの荷物からするりと抜け出した。 「僕もうここで良いや。有り難うお婆さん。」 「そうかい、気を付けるんだよ?」 「うん!!」 小さい狩人は元気良く返事をすると少々ボロい、大きな布切れを纏った。 「所でお婆さんは降りなくて良いの?」 小さい狩人は行商婆さんの荷物を見た。其処には緑色の巨大な飛竜の鉤爪が有った。 今更だが、この2人は火竜リオレイアに掴まって…もとい捕まって空を飛んでいる。 「よいよい、私は適当な所で自分で降りるから気にしせんでよいよ。」 「そう?じゃあまたねお婆さん!!」 最後にそう言うと、小さい狩人は三番目の街目掛けて飛び降りた。 『元気でな~』 ドップラー効果で徐々に低くなる婆さんの声を聞きながら、小さい狩人は纏ったボロ布を両手に縛り付け、一気に開いた。 バンッ 広がったボロ布は音を立て空気を掴んだ。そしてパラシュートの様にフワフワと落下していく。 ゆっくりフワフワと… そして行商婆さんを掴んだ火竜が見えなくなっても、ボロ布はフワフワと落下を続けていた。 眼下の街に大分近付いていたが、まだ距離がある。 「暇だな~…」 小さい狩人がそう呟いた時だった。 ビリッ 頭上で響く不吉な音色。狩人は恐る恐る上を見た。 『あ゚』 目に映ったのは真っ二つに裂けるボロ布だった。 「あぁれぇぇ!?」 ボロテラスより 昼飯前 俺の名前はラウズ・ダギィ。 そしてここはろくでなしが集まる最果ての街、通称『三番目』。 なぜ最果てなのに三番目かって?それには色々と訳があるが今はパスだ。 まぁ兎に角俺は今、その三番目の街の集会所のテラスにいる。まぁテラスと言うか集会所に入りきらないテーブル群を置くために急造されたスペースなんだが… そんな場所で何をしているかと言うと、 「三枚チェンジ。」 「俺は四枚チェンジだ!」 正面に座る茶髪のモジャ髭とふざけた紫色の坊主頭が交互にそう宣言した。 奴等の手にはチェンジを終えた5枚のトランプ、無論俺の手元にも交換前の手札が5枚がある。 俺は只今賭けポーカー真っ最中。 因みにモジャ髭がライで、紫毬がブロー。コイツラはからは事有る毎に賭けをしては、色々な物を巻き上げている。 そして今回はポーカー一発勝負、賭けたのは今日の昼飯。何時もの如くタダ飯にありつきたいのだが…どうにも手札が良くない。 四枚はダイヤだが数字はバラバラ、残りの一枚はスペードな上ペアにすらならない。 対して奴等の手役を考察してみる。 三枚チェンジしたライは最低でもワンペア。フォーカードやフルハウスにしては顔色が悪いので良くてスリーカードだろう。 対してバカ丸出しの紫毬。四枚チェンジとかどう考えてもジョーカー持ってるだろ。しかしやたら、ニヤついているのが不気味だ… 兎に角これは降り無しの一発勝負、狙うのは常に高い役だ。 「俺は一枚だ。」 そう宣言してスペードのカードを投げ捨て山札から一枚捲る。微かに見えた赤いマーク…俺は表情を崩す事なくそれを手札に加えた。 「勝負。」 「オープン!!」 モジャ髭と紫毬が好き勝手な掛け声と共に手札を晒した。 「スリーカード。」 ライはスリーカードか、まぁ予想通り。 「勝った、ストレート!!」 ブローはジョーカー絡みのストレート。げに恐ろしき馬鹿の引き運。 そして俺は表情を崩さないまま手札をテーブルに広げた。 「悪いな、フラッシュだ。」 俺の赤一色の手札を見て2人は絶句する。よし、バレてないな… 「さぁて、特上ランチでも奢ってもら…?」 そんな時だった。 『ァアァァ…』 何処からか聞こえる悲鳴。正面の2人の嘆きとは違う少年的な甲高い叫び声。 それが何かを考える前に、それの本体がテーブルの上に落下した。 卓上のトランプを撒き散らし飛来した赤いチョンマゲ。 今思えばこれが俺の悪夢の始まりだった。 ハートのA 何処からか…まぁ恐らく空からだが…飛来した赤いチョンマゲの主は見た目からしてハンターの様だ。 防具の形状から見て男。腰に鉤爪状の片手剣を提げ、右手には刺々しい盾が装備されている。 全身ハンターシリーズの様だが頭だけ買い間違えたのか、ガンナー様のハンターキャップを被っていた。 そしてそんなキャップの天辺からニョキっと生えた異様に長く、燃え盛る様に赤いチョンマゲ… ポニーテールに見えなくもないそれは、小さな少年の腰付近でプラプラと揺れている。 そんな不思議生命体を見た俺の第一声は、 「なんだ、お前は?」 至極平凡で間抜けな物だった。 赤いチョンマゲの主はスコープの付いたキャップを外し此方を見上げた。太陽を背にする俺を見上げ、キュッと縦細になる黒と黄色の瞳は猫のそれを連想させる。 「ここって三番目の街?」 「そ、そうだが。」 突然の問に少したじろぎながら答えると、赤髷は少年らしい笑みを顔一杯に浮かべた。 「ありがとう!!」 赤髷は元気良く言い放つと、大量の人でゴッタ返す集会所の中へ走り去って行った。まるで嵐の様なガキだな。 突如飛来し消え去った赤い暴風を前に、思考停止していたモジャ髭と紫毬がテーブルの上の何かを指差しながら小声で話し合っている。 なんだ、用があるならさっさと言え。 「なぁ、お前のさっきのフラッシュ、」 「おかしくないか?」 交互に喋る髭と毬。何がおかしいと言… 『あ゚』 テーブルの上には赤髷の飛来によって乱れたトランプと、一枚だけハートの混ざったイカサマフラッシュがあった。 さっき俺が引いたのはハートのA、それを他の手札で挟みダイヤに見せると言う猿でも解る単純且つ簡単なイカサマだ。 巧く隠して居たのに先の衝撃で化けの皮が剥げたらしい。 「イカサマだな。」 「イカサマだ!!」 二人が得意気に言う。 黙れノータリンコンビが!!イカサマはバレなきゃイカサマじゃないんだよ!! と悪態を吐きたい所だが、バレてしまった以上仕方がない。そしてイカサマをした場合、言うまでもなく反則負けとなる。 「チッ、何が喰いたいんだ?」 「よしっ。」 「タダ飯だ!!」 俺がそう言うとモジャ髭と紫毬はピョンピョンと跳ね廻る。 大の大人がタダ飯程度ではしゃぐな、鬱陶しい。 実を言うとこのイカサマはこの2人位にしか使えない物だったのだが、これで完璧に使えなくなったな。 俺は溜め息を吐きながらボロテラスを後にした。 むさ苦しい集会所より 1人で昼飯 昼時の集会所の人口密度は殺人的だ。 この街の集会所はそこいらの街と比べてみても結構大きい方だ。だが、この街のハンターの量も異常なのだ。 この集会所には畑の手伝いから化け物共とのデスマッチまで多種多様な依頼が殺到する。その量故にここでの依頼は誰でも受けれるのだ。 つまり都市の様な厳しい査定無しに赤子や爺、果ては犯罪者予備軍まで誰でもハイレベルな依頼に挑める。まぁそれ故、転入者も死亡者も結構いるんだが… そんな理由でこの街のハンターは人口過多、しかも昼時は食堂も兼ねたこの集会所は殺人的人口密度となる。 そんな集会所の隅で俺は1人昼食をとっていた。 何故1人かと言うと、この集会所のハンターは大半が野郎だ。 そんなむさ苦しい空間で久々のタダ飯にニヤニヤしているオッサン2人に見られながら飯を喰うくらいならモスと並んで飯を喰った方がマシだ。 そんな訳で俺は1人で金髪のメイド長を見ながら飯を食っている訳だ。 ここのメイド長は若くて美人だ。その上万年不在のマスターの代役として集会所を切り盛りする完全っぷりである。 まぁその他が…主に性格とハンターの遣い方が絶望的に最悪だ。まぁ見る分には問題無いので視界の隅に捉えながら昼食を続ける。 そんな時、 ガラガラン 乱暴に集会所の扉が開かれた。一瞬の静寂の後、再び集会所は喧騒に包まれた。それは入って来た人物を見たからだろう。 来訪者は村娘と言う言葉が良く似合う、そこそこ美人で金の臭いがあまりしない女性だ。恐らく近くの村から来たのだろう。 ここでの依頼の報酬はギルドが殆ど介入せず、依頼主とハンターの間で決まる。だから金が無さそうな依頼主は基本的に無視される訳だ。 入り口付近でオロオロする村娘に我らが完全無敵最悪メイドは優しく声を掛ける。女子供には優しい対応だな。 そして村娘から話を聞いた後、金髪メイドはダンッと足を鳴らした。 『最近村の畑を怪鳥が荒らすそうだ!!誰かこの依頼を受ける奴!!』 メイドがそう叫ぶと集会所の野郎共は一瞬で静まり返った。そして誰も名乗り出ようとはしない。 まぁそれも当然か。 怪鳥は先日大発生したばかり。今回のはそれの生き残りだろうが、今怪鳥の素材の売値は底値だ。そして依頼主はあの村娘、下手をすれば赤字だ。 誰もそんな依頼受けやしない。 そんな時、視界の隅で赤い尻尾がピョコリと跳ねた。 『僕が受ける!!』 聞き覚えのある声が集会所に響いた。 握り潰される 声の主は確めるまでもなく先程飛来して来た赤髷だ。身長の関係上髷の部分しか見えないが、まぁ間違いないだろう。 依頼主の村娘は明らかに心配そうな面をしている。いくら大怪鳥が弱いとはいえ、小さな子供1人で勝てる物ではないしな。 俺が行けばさっくりとかたがつくが、生憎儲からない事はしない主義だ。その上ガキのお守りのオマケ付き…受ける価値が全くない。 なので他の野郎共同様、我関さずを決め込むべく煙草に火を着けた。…食後の一服はやはり格別だ。 赤髷以外に依頼を受ける者が居ないのを見兼ねてか、我らがメイド長が大きく溜め息を吐いた。 「誰か知り合いは居ないの?」 困った様な口調でメイド長が赤髷に問う。だがそれは無駄な質問ってもんだ。 其所の赤髷はつい先程、何処からともなく1人で此処へやって来たのだ。知り合いなんて居る筈がない。 「え~とっ…」 集会所を見回して居るらしい赤髷の声が響く。それを無視して俺は少し湿気ている2本目の煙草を口にくわえた。 「彼処で煙草に火を着けてるおじさん!!」 元気溌剌な赤髷の声が響いた。…酷く嫌な予感。 イヤ、落ち着け俺。このむさ苦しい空間には煙草を吸う奴など腐る程居る。それに俺はおじさんじゃない、いや三十路近いけども… 迫るメイド長の足音から目を逸らしつつ、カタカタ震えながら火の着かない煙草と悪戦苦闘を続け… ガシッ 尋常ではない握力で俺の左肩が掴まれた。いや待て、まだ掴んだのがメイド長とは限ら… 「無視するなんて可哀想とは思わないの、ダギィ?」 ジーザス!! 今俺の背後に居るのは間違いなく冷血メイド長だ。立ち上がりながら言い訳を考えろ俺、まだ逃げられる筈だ!! 「待ってくれカノクメイドちょ…」 「行け、命令。」 もう一度首を横に振れば肩を握り潰すと言わんばかりに鬼畜メイドが俺の肩を締め上げる。眼前にある笑顔が怖すぎるぜメイド長… 「…行かせて頂きます。」 「よろしい♪」 満面の笑みで手を離すメイド長。ベッコリと凹んだ鎧は弁償してくれるんだろうか? 色んな意味で凹んだ俺を放置してチャッチャと準備をするメイド長 赤髷。俺1人だけで行くのは素晴らしく癪なので道連れでも作るか… 俺はニヤケ面で一部始終を見ていたモジャ髭と紫毬の首根っこを掴んだ。 「何を…」 「するんだよ!?」 空中でもがくオッサン2人。 「八つ当たりじゃ!!」 俺はそう言い放ち移動用の荷車へと2人を放り込んだ。 粗末な荷車 ここ、三番目のギルドが狩り場までハンター達を運ぶ荷車は格安だ。ほぼタダに等しい。 その分造りは適当であり、崖や隆起の多い地形と相まって乗り心地は最悪だ。馴れない奴は数分で顔面がランポスの様に真っ青になる。 だと言うのに、 「Zzz...」 今回の事の原因である赤髷はスヤスヤと寝息をたてていた。頑丈と言うか図太い餓鬼だな。 「どう思う?」 「無・理・だ・な!!」 車内の隅で何やら話しているモジャ髭と紫毬。 「何の話だ?」 そんなオッサン2人の間に強引に割って入る。 「賭けの話さ!!」 「あの子供が1人で怪鳥をやれるかどうかのな。」 実力が怪鳥とトントン程度の分際で楽しい会話をしているな、おい。しかし… 「で、どっちに賭けるんだ?」 賭けと聞いては黙って居られない。 『無理の方に賭ける』 ハモって答えるオッサン2人。しかしそれじゃあ賭けが成立しないだろ。なので… 「じゃあ俺はあの餓鬼1人でやれる方に賭けるとするか。」 俺がそう言った途端、モジャ髭と紫毬がニヤリと笑った。そう勝ち誇る様にニンマリと… 解ってないな髭 毬、ハンターの強さは見た目だけでは判断出来ない物だ。現に目の前に白と黒の鎧竜の鎧を纏った激弱コンビが居るわけだしな。 それに見た目なんかよりももっと明確にハンターの力量を測れる物があるのだ。 俺は眠っている赤髷を起こさない様に、鞄からある物を抜き取った。 それはギルドに登録されているハンター全員が持っている物、ギルドカード。 コレにはハンターとしての様々な情報が記されている。武器の使用回数から竜の狩猟数、果ては狩でしくじった回数まで… 正にハンターとしての格を表す代物なのだ!! ってな訳で拝見しますか。 …………ん? 赤髷のギルドカードと思わしき物は表から裏の隅まで何にも記されていなかった。てか、名前の欄まで無記入なんだが… 「そいつ今日街に来たよな?」 「ハンターとしての登録も途中だったんじゃね?」 モジャ髭と紫毬の一言を聞いて、俺の額から嫌な汗が流れた。 つまり何か? この餓鬼はハンター成り立てで、怪鳥の姿すら知らずにこの依頼を受けた可能性がある訳か!? なんて勇み足だ… だがまだ何を賭けるかは決まっていな… 「賭けの景品は晩飯だな」 「晩飯限定のラオ定食な!!」 俺が発言する前に景品が決まってしまった。 ラオ定食、二人前3000z也… どうにも俺は今日、かなりの厄日の様だ… トマト畑の闘い ただの子供 移動中に賭けの内容が確定した。 賭け金は1人3000z、勝った奴の総取りとする。 ルールとしては赤髷が怪鳥に追い詰められる、またはクリティカルな一撃を喰らった段階で終了、その瞬間から加勢に入る。 なおそれ以外の状況で怪鳥に攻撃を加えた場合は反則負けとする。 簡潔に言うとモジャ髭と紫毬は怪鳥に、俺が赤髷に賭けた訳だが…敗色濃厚だ。 赤髷は完璧な素人である可能性が高い…そう言えば剣士の癖にガンナー用のヘルムを被ってるしな。 その不安は目的地に着いて確信へと変わる事となるんだな、コレが… 賭けの内容を決めている内に目的地へと到着した。ここは三番目から程近い小さな村が営む農業地帯だ。 崖やら断層やらで凸凹な地形にボウボウと樹が生えていて、ちょこちょこと川が流れているのがこの辺りの特色だ。 そんな愉快な地形を利用して崖の僅かなスペースに作物を、その下には家畜を放牧している訳だが… 「酷く疎らな赤だな。」 崖には乱暴に租借されたトマト畑の残骸があった。 「これは余裕が無くてもハンターを呼びたくなるな。」 「だな。」 珍しくマトモな事を言うオッサン2人。まぁそれでも金に成らない仕事はしたくないんだがな。 とまぁこんな風に畑の荒れようを見ているオッサン達の隣で、件の赤髷は瓦の石を拾っていた。もう本当に普通の餓鬼にしか見えないな… そんな下見も程々に支給品を受け取りに行った訳だが、生肉4つとは恐れいったな。どんだけ生活厳しいだかこの村は… とりあえず後は目標が現れるのを待つだけだ。 赤髷には、危なくなったら手伝ってやるから1人で戦ってみろ、とだけ伝え支給品の生肉を全て渡し、少し離れた場所で様子を見る事にした。 訳だが… 赤髷が肉を焼き始めたのだが、悉く焦がしていた。肉焼きと言うのはハンターの初歩でありそれが出来ないと言う事は奴が初心者だと言う事だ。もう本当にただの子供じゃないのか… それを見たオッサン2人が此方に生温い視線を送ってくる。…後で目潰しでも噛ましてやるか? と、そんなやり取りをしている内に目標が来た様だ。 青い空から舞い降りる気の抜けたピンク色、特徴的な嘴と大きな耳がソイツの面を何となく滑稽な物に思わせる。 それと対峙した赤髷は最後のこげ肉を食い終わる所だった。そして残った白い骨をポイと投げ捨てると、ヘルムに付けられたスコープを装着し… ゾッとする様な笑顔でニヤリと笑った。 石ころ 着地すると同時に怪鳥はその耳と翼を大きく広げ、小さな少年に対して容赦無く威嚇をした。 それを見ても赤髷は動揺する事なく、鉤爪状の片手剣を左手で掴みその剣先を真っ直ぐ怪鳥に向けた。 あんな離れた距離で剣を構えてどうするツモリだ?そう思いつつ俺は煙草に火を着けた。 次の光景を見た瞬間、俺はくわえたばかりの煙草を落としかけた。 赤髷がグルグルと肩を回し、怪鳥に向け先程拾っていた石ころを投げていた。 石ころとは何処にでも落ちているあの石ころだ。使い道としては竜の気を引く程度であり、どう考えても今使う物ではない。 俺の隣ではオッサン共がゲラゲラと腹を抱えている。地味な投石に苛立ったのか、怪鳥は地を蹴り赤髷目掛け駆け出した。 その時、スコープのレンズで歪に広がった赤髷の黄色い目の瞳孔がキュッと締まった。 上体を大きく揺らし突っ込んでくる怪鳥の頭部付近に剣先を向けると、赤髷は弾丸の様に石ころを放った。 だが…如何な速度だろうとも所詮石ころだ、対したダメージは期待出来ない。 そう思って隣の二名は笑っているんだろうが、俺は今回の賭けに少し勝機があるんじゃないかと思えた。 「…良い狙いじゃないか。」 弾丸の如く放たれたただの石ころは、一直線に怪鳥の左目を直撃した。 例え何処に直撃しようが、竜相手では石ころが致命傷になる事はまずない。だが、その一撃により隙を作る事は可能だ。 目とは大概の生物の急所であり、其処を寸分狂わず狙われたらどんな生物でも反射的にある行動をとる。 それは目を強く閉じる事だ。 それは怪鳥とて例外ではない。 反射的に左目を閉じた怪鳥の左側は完全に死角となった。瞬間、赤髷は疾風の様に死角へと踏み込んだ。 怪鳥には目の前の人間が赤い軌跡だけを残し消えた様に見えたに違いない。 見失った赤を探す為怪鳥が左目を開いた瞬間、赤い軌跡が宙へと伸びた。 逆手に剣を持ち変えた赤髷は躊躇う事無く剣先をゼラチン質な眼球へと突き刺した。 嫌な音と共に不透明な液体が辺りに飛び散る。赤髷はそれを浴びながら、眼球に引っ掻けた片手剣に更に力を込めた。 「ヒャッ…」 左腕と両脚の反動で小さな体がグルグルと回転する。引き抜かれた短剣と長い髪で二重に赤い螺旋を描きながら回転は更に加速する。 「ハァ!!!!」 その勢いのまま、右腕に装備した盾が怪鳥の後頭部に痛烈な一撃を見舞った。 脊髄反射 「やるなぁ、おい。」 俺は煙と共に感嘆の言葉を漏らす。 始めはどうしようもない素人の餓鬼かと思ったが、蓋を開ければこの通り。怪鳥を完璧に手玉に取ってやがる。 もともと竜達は強く巨大なため、その動きは単純である意味規則的だ。 そして片目を潰し常に死角に回り込む事で、竜の動きはよりいっそう単純になる。 ただがむしゃらに身を振るう怪鳥の尾を盾で弾き、鋭い爪の生えた脚をすり抜け、左腕が空を駆ける度に怪鳥の体は赤く染まる。 実に良いな。惚れ惚れする。特に怪鳥の悲鳴と共にオッサン2人の顔がみるみる蒼白く成っていく様など最高だな。 「今日は旨い飯が喰えそうだな?」 すっかり無口になったオッサン共の肩を叩きながら言った、その時だった。 視界の隅、位置的に言うと赤髷の数メートル後ろに、何やら黒っぽい影が現れた。 突き出た白い牙、ガッガッと前足で土を蹴る仕草…ブルファンゴだ。 ブルファンゴ自体は強力な獣ではない。ないのだが…狩りの最中に背後から強烈なタックルなんかを喰らうと、大きな隙が出来るのだ。それこそコロッと死ねる程の… 更に言えば、あの餓鬼の装備は俺から見れば紙切れ同然だ。背後からタックルなんて喰らえば数秒息が止まる事になるな。 …まぁ賭けのルールには反しないだろう。 ブルファンゴが駆け出した瞬間、俺は繁みから飛び出した。 そしてブルファンゴと小さい背中の隙間にその身を滑り込ませ、左手の鉄板を突き出した。 ブルファンゴを受け止めた盾の向こうから荒々しい鼻息が聞こえる…何とも獣臭い臭いが鼻につくな、おい。 「臭ぇ生肉だな。」 軽く歯軋りをしながらブルファンゴを弾き飛ばし、土手っ腹に蹴りを噛まし、背中の獲物を流れる様な動作で展開させる。 ジャキィィンッ!! 鉄の擦れる音と共に展開されたランスが易々とブルファンゴを串刺しにする。うん、実に爽快だ。 そんな時、背後が急激に血腥くなった。今この場で血を垂れ流しているのは目の前のブルファンゴか怪鳥だけである。 …コレは言い訳なのだが、この時点で俺は背後に怪鳥が迫っている事に気付いていた。賭けの事を考えるならば、避けるなり防ぐなりすればいい。 だが悲しいかな幾百の竜と戦って来た俺の体は反射的に反転し、鍛え抜かれた右腕は見えていない奴の喉元目掛け突き出していた。 視界は見事に赤一色… 「完璧だな、おい。」 俺は深々と突き刺さったランスを見て苦笑いを浮かべた。 夕飯時 結果として 喉元に深々と突き刺さったランスの切っ先。正に改心の一撃なんだが、怪鳥はまだ死んでいなかった。 「晩飯!!」 「頂きだ!!」 瞬間、オッサン2人が意気揚々と繁みから飛び出した。その手には各々の自慢の相棒が握られている。 それも当然か。賭けは現段階で俺の負けが確定した。奴等としてはさっさと済ませてタダ飯が食いたいのだろう。 クァーッ!! 耳元で喚く死に損ない… 正直もうどうでも良い、さっさと済ませるか…とその前に、 「八つ当たりじゃ!!」 『ヒャッホウ!!』 調子に乗るオッサン二名と共に怪鳥を八つ裂きにするとするか… 赤髷はと言うと怪鳥を袋叩きにするオッサン達を呆然と眺めていた。 そして現在、俺は狩りの報酬(1人頭100z)を受け取り、オッサン共に3000zを払い集会所の隅に腰掛けていた。そして何故か隣には本日の不運の元凶、赤髷が腰掛けていた。 何となく面を見てみると、笑顔で返されてしまった。…どうにも今日の一件でなつかれたらしい。正直餓鬼の相手は面倒なので飯を喰ってやり過ごすか。 まぁ飯と言っても一番安いA定食(サンドイッチとコーヒーのみ)なんだが。それもこれも隣にいる赤髷のせい… 「ハイお待ち~。」 そんな事を考えている内に、冷血メイド長が夕飯を持ってきたのだが… 何故か目の前には貧相なA定食ではなく、豪華絢爛なラオ定食が並んでいた。 「…どういう風の吹き回しだ?」 俺は思った事を素直に口に出した。 「受けての無い依頼を処理してくれたサービスなんだけど…要らないみたいね?」 そう言って皿を下げようとする麗しきメイド長を咄嗟に引き留める。 「有り難く頂きますメイド長殿。」 「解ればよろしい。」 そう言うとメイド長は俺の隣の赤髷にバカでかい皿を差し出した。これは…怪鳥の丸焼きか? 「なんか俺と待遇に差がないか?」 「可愛い方に良いサービスをするのは普通でしょう?」 悪びれる様子も無くサラリと言うメイド長…まぁ夕飯のランクが上がっただけ良しとしよう。 『イタダキマス。』 と言うが早いか隣の怪鳥がみるみる白骨火していく。この餓鬼は腹の中に竜でも飼ってるのか? ヒャッホウ!! 遠くの席でモジャ髭と紫毬耳障りな声が聞こえる。奴らも夕飯を食い始めたか… 何時の間にか赤髷の対面にメイド長が腰掛けていた。大方の仕事を捌ききって暇になったのだろう。 何故か不機嫌なメイド長の白金色の瞳がモジャ髭と紫毬に向けられていた。 食事中は静かに 俺の対角線上に腰掛けるメイド長。 肩口まで長く美しく延びた透き通るような金髪と雪の様に白い肌、そしてグラマラスなボディを持つ絵に描いたような美女。 でもってカノク・ゴールドなんて冗談みたいな名前が彼女の本名である。 そんな麗しい見た目とは裏腹に、ババコンガが真っ青になるような怪力の持ち主でもある。 美しい見た目と化け物並の怪力を武器に、曲者揃いの三番目の街とハンター共を仕切る完全無欠なメイド長である。 これで俺より一回り近く若いと言うのだから末恐ろしい…いや、現段階で悪魔みたいなもんだが… そんなメイド長の眼は基本的に開いているのか解らない様な線目なのだが…今のメイド長は絶賛開眼中で非常に恐い、飯が不味くなる程に。 「目ぇ戻せ、恐いから。」 「あ、ゴメンゴメン。」 そう言って線目に戻るメイド長だが、その苛立った視線は馬鹿騒ぎをするライとブローに向けられていた。 見た目だけは最上級のメイド長には想い人がいるらしく、言い寄る男は三秒で星にされる。比喩ではなく物理的に… 更にメイド長はライとブローの様なハンターが大嫌いなんだと。具体的には 「アイツラみたいに狩にくっついて行って闘わずに報酬だけ貰う寄生虫はランポスの餌になればいいんだ。」 苛々した口調で愚痴るメイド長…開眼しかけてんぞ。 まぁメイド長の言う通り、奴らの防具は奴らが自力で造った物ではない。次いでに言うと奴らの武器は強さの割にはほぼ採取のみで造れる代物だ。必死に素材を集めているオッサンの姿は実に涙ぐましいんだろうな。 「あんたも早く縁切りなよ?」 「賭けの時にしか関わらんさ。」 「だいたいアイツラのせいでアンタは…」 ガンッ カノクに聞こえる様に強く左手で机を叩く。 「すまん、手が滑った。」 睨みながらわざとらしく言うと、メイド長はスッと大人しくなった。 「…悪かったわ。」 「何の話だ?」 「…」 それっきり、メイド長は俺から目線を切った。…さて、晩飯の続きだ。 俺が夕飯を食べている間中、メイド長は赤髷と何かを話していた。まぁどうでも良い事だが。 豪華絢爛な晩飯もあと一口でお仕舞いか…非常に名残惜しい気分で最後の一口を食いきり、そのまま胸の前で手を合わせる。 「御馳走様でした。と」 さて、後はシャワーでも浴びて寝…何か酷く嫌な予感。 「全部食べたわね?」 俺の目の前に、不気味な笑みを浮かべたメイド長が現れた。 交渉 俺の行く手を遮る様に笑顔で立ちはだかるメイド長。 因みにメイド長が笑顔を見せるのは営業中か獲物を前にした時のみである。そして今回は間違い無く後者であると、全身を縛る悪寒が告げている。 「何用でしょうか、メイド長?」 確実に良くない事だと解かっているが聞くしかないので聞いてみる。 「アンタ、確か一人部屋よね?」 そんな予想外な事をメイド長は訊ねて来た。 説明しておくが、この街のハンターは大抵ギルド運営の宿舎で寝泊りする。だが、ここのハンター共は期日に家賃を納める者が少ない。 そんな野郎達は強制的に同じ部屋に詰め込まれる事となる。つまり家賃を滞納すると、一人部屋が気付くと5人部屋になったりする訳だ。 因みに俺は守銭奴と罵られたりするが、家賃はしっかりと納めている。よって俺は一人部屋である。 「あぁ、一人部屋だが。」 当然の回答をすると、メイド長は隣にいた赤髷を俺の前に立たせた。 「この子と相部屋にしてくれない?」 メイド長がそう言うと、赤髷が申し訳無さそうに頭を下げた。 今更だが俺は餓鬼が苦手だ。序にこの餓鬼は確実に俺に災厄を招く存在だと狩人の第六感が告げている。なので勿論答えはNOだ。 「部屋が一杯なのよ。子供一人蛸部屋にほり込む訳にも行かないでしょ?」 「断る。なんで俺が・・」 「家賃4分の1にしてあげるから。」 「お安い御用ですメイド長。」 オッケー、家賃が安くなるなら超オッケーです。それに部屋の広さから言って餓鬼一人なら余裕だ。 「交渉成立ね♪」 何故か極上の笑みを浮かべるメイド長。 「じゃあ挨拶して、ミーユちゃん。」 「僕はミーユ・ロッタ、よろしくお願いします!!」 話が違うぜ 元気溌剌!という感じで自己紹介をする赤髷・・・しかし、何と言うか・・ 「女みたいな名前だな?」 「僕は女だよ?」 何言ってるの?と言いたげな顔で此方を見上げる赤髷、いやそれを言いたいのは俺の方だ。 「いや、一人称が僕じゃねーか、大体装備が男物だし。」 「パパが男のフリした方が安全だからって。あとヒラヒラした服は動き難いから嫌いなの。」 きっぱりとそう言う赤髷。・・・二次成長前の餓鬼は男か女かなんて判らねーな。 っと感心してる場合じゃない。蹲って笑いを堪えてる野郎を問詰める必要がある。 「謀ったなメイド長!?」 「別に男とは言って無かったでしょう?だいたい私がそこらの男に優しくする訳無いじゃない。」 「その前に問題があるだろう・・俺は男だぞ?」 「何?あんたってば小さい子が趣味なの?」 「そんな訳あるか!!」 大人のお姉さんなら兎も角、あんな男か女か判らん様な糞餓鬼に誰が・・・しまった。 「じゃあ問題なしね♪」 完璧に口車に乗せられた。まぁ、ダメもとで聞いてみる。 「どうしても嫌だと言ったら?」 「家賃10倍ね。」 「喜んで面倒見させて貰います。」 「よろしい♪」 上機嫌で裏へ戻って行くメイド長。・・・今度から奴が笑顔の時はダッシュで逃げるべきだな。 なんて事を考えている俺の顔をジッと見詰める赤髷。・・餓鬼は好きではないが、余り蔑ろに扱うのは大人としてよろしくないな、それと後が怖いし。 「俺はラウズ・ダギィだ、ダギィと呼べ・・まぁよろしく。」 そう言って手を差し出すと赤髷は笑顔で握り返し、大声で言った。 「よろしく”ダディ”!!」 オーケー、俺を見詰める視線の温度が明らかに下がった+ヒソヒソ声が聞こえだした。 やはりコイツは俺に不吉を運ぶ存在らしい。いや、そうに違いない。 酒が入った野郎共は好き勝手な妄想をしながらゲラゲラと下卑た笑い声を上げる。 あぁ、もう全部めんどくさい。今日はもう寝る事にする。 後ろをトコトコと付いて来る赤髷を見て・・俺は大きく溜息を吐いた。 朝食時 肩が重い 一夜明けて… まず率直な感想を言わせてもらう。あの餓鬼は確実に俺にとっての疫病神だ。 大の大人である俺が二次成長も迎えていない餓鬼の鼾で一睡も出来ないとは… 鏡を見ると、目の下にデカイ隈を作った灰髪のオッサンが映っていた。…疲れた顔してんな、おい。 重い瞼を擦り、異様に重い体を引き擦りながら食堂へと移動する。 とりあえずは朝飯だ。此処のハンター共は基本的に朝に弱い、だから朝飯時は非常に快適な空間となる訳だ。 まぁ何人か例外も居る訳だが… 朝の食堂に到着、動いて居るのはメイド長と給士猫数匹、そして幾人かのハンター達。…昨晩から酔い潰れて居たのであろう呑んだくれ共を無視すれば非常に快適な空間だ。 そんな爽やかな朝にも関わらず俺の肩は非常に重い…肩は凝らない方なんだがな。 そんな事を考えていると、見覚えのある人影が近付いて来た。あぁ…さらば爽やかな朝の一時よ。 「おはようさん"ダディ"。」 「昨晩はお楽しみでしたわね。」 ふざけた台詞を吐きながら俺の対面に腰掛けるブッ飛んだ緑のオサゲ女と、能天気な橙色のソフトモヒカンの男… 「朝から喚くな、馬鹿共が…」 俺は苛々を抑えながら2人を睨んだ。因みに女がルォヴ、男がリケ。2人とも此処に拠点を置く猟団の一員で…眠いから説明は今度だ。 「しかしお前さんがああいうのが趣味だったとは…」 「不潔!!不潔ですわ!!」 昨日の事を見ていて好き勝手な妄想を膨らませているらしい。今すぐそのニヤケ面を串刺しにしたい衝動を抑えながら、給士猫に珈琲を注文する。 「昨日の餓鬼はメイド長に押し付けられたんだよ。」 「その割に仲良さそうやん?」 そう言って俺の背中を指差すリケ…なんだ?背中に疫病神でも憑いてるって言うのか? パパ~…』 本当に憑いてやがる…しかも呼び名が宜しくない方向へランクアップしている。 新しいネタを仕入れた野次馬共は… 「不潔、最上級に不潔ですわ!!私の半径2m以内に近寄らないでください!!」 「パパとか…マニアック過ぎるやろ…」 楽しそうだなてめーら… 兎に角背中の疫病神を叩き起こさなくては…と言うか何時くっついたんだよ… 背中にへばり着いた疫病神を掴み、テーブルの上へ投げ捨てる。 『ンニャッ?』 結われていない赤い長髪がテーブルの上を赤く染め上げるが… 『んむぅ~…』 疫病神の起きる気配は一切無い。 どうしてくれようか、この糞餓鬼は… 酷い笑顔 テーブルの上にインナー一丁で眠り続ける糞餓鬼…軽く小突いて見るが、やはり起きる気配が無い。 しっかし本当に男か女か判らない体型だな。唯一女性である事を誇示する流れる様な長髪も、結い上げるとちょん髷にしか見えんしな… コトッ 「お待ちどうニャ。」 そんな事をしている内に注文したコーヒーが来たか。まぁ餓鬼の事はどうでも良いか、今は朝の一服だ。 餓鬼が大の字になっているテーブルから一つ隣へ移動し、黒いままのコーヒーを口に運ぶ。 「ぅへ~、苦い。」 やはりコーヒーはブラックに限るな。なんて事を考えていると、リケとルォヴが再び此方にやって来た。なんだ、まだからかい足りないのか? 「あの子、放置しとってええんかい?」 そう言って餓鬼を指差すリケ。だが… 「別に面倒を見ろとまでは言われていない。」 「でも危なくないか?ここ独身のオッサンばっかやし。」 「あんな餓鬼に手を出す様な輩は居ないだろ?」 確かにろくでなしばかりだが、其処まで落ちぶれた奴は居な… 「居ましたわよ。」 ルォヴの物凄い汚物でも見る様な視線の先には、相当落ちぶれた酔っ払いが2人いた。可哀想だから名前は伏せておく。 まぁ流石に此処で厄介を起こすと後が不味いな。酔っ払い共にはもう少し寝ていて… 瞬間、金色の何かが視界を横切った。あぁジーザス… 「此処で問題を起こしちゃ駄目よ♪」 餓鬼に迫る酔っ払い2人に金色の悪魔…いや、メイド長が囁いた。瞬間、彼女の持つピンク色の傘が閃光の如く弾けた。 ■■■!! 形容し難い悲鳴と効果音と共に天井に突き刺さる酔っ払い2人。あぁ酒は程々にせんとな。 『修理費5000z』と書いた請求書を酔っ払い共に張り付けるメイド長。とりあえず、彼女の左腕で揺れているやや赤色になった傘は一応ハンターの武器だが、決して鈍器の様に使うものではないと言っておく。 そしてそのまま、何故か笑顔で此方に歩いくるメイド長。気付けばリケとルォヴが別のテーブルに移動していた…まぁあれだ、とりあえず逃げるか!! 椅子を蹴って駆け出そうとした瞬間、俺の頭蓋をメイド長が鷲掴みにした。そのままてるてる坊主の如く宙吊りにされる。眼前には酷い笑顔のメイド長… 「おはようございますメイド長、宜しければなぜお怒りなのかをお聞きしたいのですが?」 「怒ってなんかないわよ?強いて言うなら…自分の胸に聞きなさい。」 酷く笑顔のままメイド長の右手が唸りを上げる。 村娘2 カラン… 俺の頭蓋が生卵宜しく砕ける前に、集会所の扉が開かれた。瞬間俺を手放し、一瞬で営業スマイルを作り上げるメイド長。…どうにか助かったか。 メイド長が来客の相手をしている隙に、冷めたコーヒーを処理すべくテーブルへと逃延びる。 「朝から災難ですわね?」 クスクス言いながら笑うルォヴを無視してコーヒーを啜る。…完璧に冷めてるな。 「こんな早くに誰やろね?」 「さぁな?」 リケに適当な返事をしながら、メイド長と話す来客を確認する。 昨日の村娘より幾分かましな身なりだが、やっぱり金の臭いがしないな…恐らく其処らの村娘だろう。 そして話を聞き終えたメイド長が昨日同様、依頼の内容を伝える。 「最近畑が荒らされるそうだ。が、何が畑を荒らしてるのか判らないらしい。誰か受ける者いるか?」 伝え方は昨日と同じ、しかし依頼主は昨日よりは上客。しかし悲しいかな、今集会所でまともに狩に出向けるのは俺達だけな訳だ。 まぁ受けるかどうかは報酬しだ… 「僕が受ける!!」 なんか酷い既視感を覚えるな。だいたい何時起きたんだか…そして当然の様に此方を見て微笑むメイド長…今日も殺人的な笑顔だな、いや本当に。 あの笑顔はまた子守をしろと言う事だろう。まぁ報酬次第では受けない事も… 「うけるよん。」 「うけますわ。」 俺より先に意外な2人が声を上げた。 「こんな微妙な依頼を受けるなんて珍しいな?」 当然の疑問を正面に腰掛けるリケとルォヴに投げ掛ける。 「今日団長が帰って来るからお祝いする為の小遣い稼ぎにね。」 「近隣の村からの依頼なら今夜には帰れますからね。」 なるほど、実にお前ららしい理由だな。そして大人の同行者が出来た以上俺が行く意味は… その時、視界の隅でキラリと何かが光った。 俺はコーヒーを飲むフリをしながら目を凝らした。光源は村娘の首元、地味な首飾りに付いた小ぶりで地味な宝石。更に目を凝らし、頭の片隅からある記憶を引き揚げる。 …あれはピュアクリスタルだな。サイズから考えて8000z位行くんではなかろうか? 更に、畑を荒らすモンスターなんてたかが知れている。巨大昆虫どもか、頑張って鳥竜種だろう。普通に依頼すれば1000zそこそこの軽い依頼だ。 これは行く価値ありだな。 「俺も行こう。」 依頼の詳細を話している面々に声を掛ける。赤髷と村娘以外の三名が不思議そうな顔で此方を見てくる。…いや、メイド長アンタ睨みすぎだろ。 笑いを堪えて 「さぁ、狩りの準備をするか。」 開眼までして此方に怪訝な視線を飛ばすメイド長をいなすべく、ワザとらしく言って席を立つ。 そんな俺に続くように、狩りの支度の為に宿舎に戻る面々。俺もメイド長の視線が怖いので一時撤退だ。 そして数分後 誰よりも早くに支度を済ませ、集会所の食堂に入る扉から中を覗き込んだ。 中には先程の村娘とせっせと働く給士猫逹…メイド長は奥に引っ込んだ様だな。 俺はごく自然に、村娘の対面に腰掛けた。 「少し宜しいですか?」 可能な限り真面目な顔と深刻な声で村娘に話し掛ける。小さな息を飲む音… 「な、何ですか?」 「噂によると今貴方の村を恐っているのは酷く質の悪い竜です。」 さらりと嘘を吐いてみる。すると… 「ででも、貴殿方が退治してくれるんですよね?」 すがる様な瞳で此方を見る村娘…うむ、チョロいな。 「はい、ですが…」 「ですが!?」 「私以外の3人はハンターとしては下の下、貴方の村を脅かしている竜の足元にも及びません。私1人では倒せるかどうか…」 「そ、そんな…」 嘆く様に呟く村娘…純粋だな、実に胸が痛む。笑ってしまうほどに。 「確実に狩る道具を揃える為に金が必要なのです。」 「でもこれ以上お金を用意するのは…」 「そこで、です。貴方の首飾り、それで手を打ちましょう。」 「この首飾りですか…」 息を飲み、俯く村娘よりさてもう一押し… 「解りました。どうか村を助けてください。」 する前にあっさりと頭を下げる村娘。予想より簡単に方が付いたな。 「えぇ、必ず。」 誠意たっぷりな声色でそう答え、荷車の待つ出口へと足を進める。これ以上笑いを堪えるのは不可能だ。 ゆっくり扉を開き身を滑り込ませ…光の速さで扉を閉める。 「実に胸が痛むなぁ!!」 堪えていた物を一気に吐き出した。 「胸が痛いのか?」 『うぉあ!?』 突如背後から現れた餓鬼のせいで素っ頓狂な声をあげてしまった。呼吸を落ち着けながら辺りを見回す…よし、誰も居ないな。 「今の話聞いてたのか?」 俺の問に対し、頭の上にデカデカと?マークを浮かべる餓鬼…大丈夫だな。 これで一安心…した所である事に気付いた。 「髷はどうした?」 冗談の様に長い髪を下ろしたままの餓鬼に尋ねると、 「ん♪」 何故か嬉しそうな顔で結い紐を俺に手渡された。渡した本人はルンルンと言った感じで此方に背を向けている。 これは髪を結えと言う事なのだろうか? 些細な会話 餓鬼は基本的に苦手である。が、今の俺は上機嫌だ。餓鬼の髪の一束や二束結ってやらん事もない。 手早く長髪を束ね、結い紐でキュッと縛り上げる。そうキュッと… まぁあっさりと結い終えた訳だが、どうにもなぁ… 俺は自慢ではないが女性の髪の扱いは上手い方だ。そしてコイツの馬鹿げた長さの髪は意外にも、しっかりと手入れされて綺麗に束ねられている。 しかし長すぎだよな。正直気になって仕方ない。ぶった切るのも忍びないしな… 「もう少しじっとしてろ。」 「ん?」 荷車に乗り込もうとする餓鬼を呼び止め、手持ちの布で長い髪を纏め上げる。…よし、 「団子頭の出来上がり。」 「おぉ~!!」 荷車の硝子に移る自分の頭を見て、嬉しそうにはしゃぐ餓鬼。俺の腕も衰えてないな…まぁ全く役立たないスキルだがな。 「早いね、お二人さん。」 「お待たせしましたわ。」 そんな事をしている内にリケとルォヴの準備が終わった様だ。 何となく面々の装備を見回してみる。 餓鬼は昨日と同じ装備。コイツの頭だけがガンナー装備な理由も既に解った。 コイツの非常に高い投擲能力を生かす為に望遠レンズの付いたキャップを装備しているのだろう。まぁ全体的に安っぽいのは駆け出し故に…と言った所か。 リケは甲虫っぽい装備、背中には蒼い大剣。 ルォヴはパピメルシリーズ、背中には桜色の大剣。 …色々と突っ込みたい事があるが、それすらも面倒なので口には出さないでおく。 そんな俺のうんざりした目線に気付いたのかルォヴが此方を睨んだ。 「なんですのその目線は?」 「いや、別に。」 「貴方の見てくれの方が変ですわ!!」 ん、変か俺の装備? 全身は轟竜の防具、まぁ頭はピアスだけだがどこもおかしくはないだろう? 俺の表情を読み取ってか、リケが餓鬼に何かを耳打ちした。そして餓鬼が此方を見上げて口を開く。 「なんでヘルムを被らないの?」 ハァ、コレだから餓鬼は… 「ヘルムなんて被ってたら煙草が吸いづらいだろう?」 キョトンとした顔で此方を見る餓鬼。まぁ小さなお子様には解らん悩みだな。…しかし、背後でクスクス笑っている二名が非常に腹立たしい。 と、そんな会話している内に乗り心地最悪の荷車が到着なさったようだ。 「じゃお先に。」 「失礼しますわ。」 先に乗り込む二名。そして俺の後ろに並ぶ赤団子。…面倒なのになつかれたな全く。 兎も角、尻の痛くなる荷車に乗り込むとするか。 渓谷での乱戦 巣探し 目的地である畑に到着っと…尻を擦りながら荷車から下車する。 「しかし…ここもまた酷いな。」 木々が鬱蒼と繁る渓谷の一角に畑があるのだが…見事に荒らされてるな。来月から飯代が上がるんじゃなかろうか? と、それはさておき、荒らさた果実を調べてみる。…中身だけが抜き取られているな。やっぱり巨大虫どもの仕業か…巣を探して大元から根絶すべきだな。 「二手に別れて調べるか。」 「あいよ~。」 「解りましたわ。」 さらりと返事をした後、さっさと巣を探しに行く2人。と言うことは… 「ん~♪」 必然的にこの赤団子とペアになる訳か。まぁいい、とりあえず仕事に取り掛かるとするか。 「ねぇ、何処から探す?」 やる気満々、と言った感じで準備運動を始める赤団子。恐らく巨大虫の巣は崖に大量に出来た洞窟の何処かにあるのだろう。しかし、歩き回って探すと言うのは性に合わない。なので… 「コイツを使う。」 鞄から取り出したるは何の仕掛けも無い双眼鏡。 「それでどうするの?」 「今回の相手は恐らく虫だ。奴らは巣を行ったり来たりするからソイツを探して巣を割り出す。」 要するに巣の位置が検討付くまで見張ると言う事だ。 「えぇー。」 あから様に嫌そうな顔をする赤団子。だが、今日の俺はそんなお子様への対策もバッチリだ。 「巣が見つかったら教えてやるからそれまでコレで遊んでろ。」 そう言って赤団子にブーメランを手渡す。これは狩にも使えるブーメランで、僅かだが竜の鱗さえも切り裂ける優れ物だ。何よりブーメランなので一人で遊べる。 まぁ闘いの最中に使うと見失ったりするんだが、此処ならその心配も無いだろう。 「わーい♪」 1人ブーメランで楽しそうに遊ぶ赤団子を尻目に、適当な岩に腰掛けて虫を探す事十数分… 未だに巣が見当たらない。 その辺りの洞窟から出てくるランゴスタは居るのだが、巣に帰って行く個体がいない。 「変だな…」 そう呟いた時だった。 プーン… 後方から虫が墜ちる音が聞こえた。そう、ちょうど赤団子が居る辺りから…まさかあの餓鬼。 即座に振り向くと予想通りの光景が広がっていた。 「まだ見付からないの?」 不満げに言う糞餓鬼の背後には山の様に積まれたランゴスタの死骸があった。正に死屍累々… 呆れて声も出ないと言うか、目に見えるランゴスタをブーメランで皆殺しとは恐れ入るな。 その時だった。 『キャー!!』 妙な山彦が渓谷に木霊した。 背景が蜂 今更だが説明させてもらう。 この畑を荒らしているのは恐らくランゴスタと言う巨大な虫のモンスターだ。 見た目的には蜂に近く、尻の毒針から獲物に麻痺毒を注入し、対象が麻痺した隙に体液を吸いとる。 簡潔に言えばバカデカイ蜂の体と蚊の様な食癖をした悪趣味な虫な訳だ。 まぁデカくても所詮虫なので単体なら大した問題ではない。問題なのは混線の最中に背後から狙われたり、群で襲われたりすると非常に厄介だ。 そう、丁度あんな風に… 「ちょっ、ダギィ、助けれ!!」 「いやー!!ですわ!!」 山彦の主はリケとルォヴの悲鳴だったらしい。と言うか見事に背景がランゴスタ一色だな、馬鹿共が。 「自分で始末しろ馬鹿が!!テメーらは蜂の巣をつついた餓鬼かなんかか!!」 「良いから助けれ!!」 「ですわ!!」 人の話完全無視で此方に駆けてくる馬鹿2人。…流石にあれ程の大群は手に余るな。だが、どんな事態にも対応出来てこそ一流のハンターと言うものだ。 「おい赤団子。」 「なに?」 此方を見上げる赤団子に小さな玉を手渡す。 「コレを群目掛けて投げろ。なるべく真ん中が良い。」 「わかった。」 非常に良い返事を返す赤団子。キャップのスコープを装着し片手剣を構え投擲の体勢に入る赤団子。 ビュッ!! カタパルトの如く右手から投げ出された玉は群れのど真ん中の個体を直撃した。…流石、ナイスコントロール。 序に先程手渡した玉は毒煙玉、畑で働く奥様御用達の害虫駆除アイテムだ。無論それはランゴスタにも有効だ。 破裂した毒煙玉から飛散した紫色の煙幕が群の大半を飲み込む。が、全滅させるには至らないな。 「次はコレを投げまくれ。」 そう告げて赤団子に手持ちのブーメランを全て渡した。 「おう!!」 先程同様に返事をすると赤団子は両手に掴んだブーメランを次々にぶん投げる。 小さな螺旋と巨大な弧を描き飛翔する木製の三日月は、集り蠢く害虫共の羽を切り裂き、胴をへし折り、頭を粉砕し、主の手元へと帰還する。 群れ大半を駆逐し渓谷に消え去る体液まみれのブーメラン。 惚れ惚れするね、全く。餓鬼は苦手だが、使える奴は大好きだ。さて、大人にもちゃんと働いて貰わんとな。なので、 「群れの数は大幅に減った!あとはテメーラでなんとかしろ!!」 馬鹿共の尻を叩くべくそう叫んだ。 「あ、本当だ。」 「なら余裕ですわ。」 同時に構えた2人は振り向きもせず、自身らの背後へ大剣を振り抜いた。 土色の崖 同じタイミング、同じ構え、同じ方向に振り抜かれた蒼と桜はまるで1つの大剣の様に害虫の群へと襲いかかった。 殺風景な渓谷の空間に飛び散る緑と黄色い残骸、そして赤い雷が一瞬の内に混ざり合い消え去った。 こうして渓谷の畑には俺達人間だけとなった。訳だが… 「なんや、ちょろいな。」 「楽勝ですわ。」 下手をすれば害虫共に干物にされていたと言うのに、どの口がそんな事をほざくのだろうか? 「なんであんな事になった?」 色々と文句を吐きたい所だが、それらを飲み込み肝心な事のみを尋ねる。 「あっちに巣がらしき穴が有りましたわ。」 「で、覗いたらさっきの大群が出てきてん。」 不用心だなテメーラ…まぁ巣を見付けたって事でチャラにしてやるか。 「じゃあ、巣は何処だ?」 俺は煙草に火を着けながらそう尋ねた。 数分後 一番に飛び出しかねない赤団子を最後尾に、不用心な馬鹿2人を真ん中に、そして俺を先頭にして、件の害虫共の巣が有りそうな場所へと到着した。 此処は先程の場所同様に渓谷の一角だが、畑が無いため崖一面は荒んだ土色一色だった。 さて、問題の巣穴はっと… 先程同様双眼鏡を覗き込んだ瞬間、俺は思わずくわえていた煙草を落としてしまった。そして落とした煙草を勿体無いと思う前に、冷や汗が一筋額を伝った。 「コレは面倒だな…」 俺が崖だと思っていたのは全てランゴスタの群だった様だ。 「どないし…あれ、崖の色変わってへんか?」 「本当ですわね。」 2人の証言から此処も、ついさっきまで緑色の畑が広がっていたらしい。…つまりあれか、どっかの馬鹿が巣をつついたからこんな状況になった訳か。 「彼処…なんか動いたよ?」 スコープを装着した赤団子が今更な事を伝えてくる。 「そんな事は解ってんだよ。」 「いや、もうちょっと上。」 赤団子は俺が見ている場所より少し上を指差しながらそう言った。…どうせ上にも虫が居るんだろうに。 双眼鏡を上方へ少しずらす、そして俺は再び絶句した。 絶壁に群がる土色の群のその中に、不自然に存在する黄色い岩。それがキチキチと歪な牙を鳴らさなければ、俺はそれが巨大な虫だとは気付かなかっただろう。 「女王様直々のお出ましかよ?」 俺はそう愚痴りながら、先程落とした煙草に再び火を着け口にくわえ直した。が、 「あと…あっちと、彼処にもいるよ。」 赤団子の一言でくわえ直した煙草は、再び俺の口から転げ落ちた。 乱入者 落としてしまった煙草を踏みにじりながら、目の前の状況について考える。 渓谷の一角には三匹の女王様と数え切れない程の兵隊達…大発生にしたって数が多すぎる。 だいたい群に一匹しか居ない筈の女王蜂が何故三匹もいるのか ?奴らは一匹の女王から爆発的に数を増やす。故に一ヶ所に何匹も女王蜂が居ては自身を含む生態系をぶち壊す事になる。 そんな生態系の破壊を無視してまで群を増やさなくてはいけない理由とは… 更に群全体を包む異様な空気…ランゴスタは確かに攻撃的だが、逃げる獲物を群で長々と追い掛けるなんて非効率的な事はしない。 何処か群全体が非常に殺気だっている様に見える。 何が原因でこの渓谷の生態はここまで狂ったのか…それを解明しないと、恐らくあの村に平和は訪れない。 「どうしますの?」 「やっちゃうかい?」 両手一杯に毒煙玉やら爆弾やらを大量に準備した馬鹿2人がそんな事を聞いてくる。 「もう少し待て…」 そんな事をしても焼け石に水だと言うのが解らないかな。今は奴らに位置を知られるのが一番不味い。 「さて、どうするか…」 「あ…何か来る。」 双眼鏡を覗く俺の隣で赤団子がそう呟いた。 赤団子のスコープには瞳孔が開ききった様に真っ黒な目が歪に映っていた。 瞬間 ヴーーン!!!! 狭い渓谷をランゴスタの重低音じみた羽音が埋め尽くした。 「あそこ。」 そんな爆音の中、何故か赤団子の声が聞こえた。隣の餓鬼が指差す先に…渓谷の上、複数の影が現れた。 俺は咄嗟に双眼鏡をその影へと向けた。二枚のレンズに映ったのは黄緑とピンクの牙獣の軍勢…あれはババコンガ? 直後ランゴスタの群は大きく波打ち、牙獣共目掛け濁流の様に襲い掛かる。 それを見た牙獣は怯む所かランゴスタの群目掛けて飛び掛かった。 空中で激突する2つの群。しかし、数は圧倒的に虫の方が多い。そして虫の津波に飲み込まれた牙獣達は、ズタズタに切り裂かれた肉片の様な姿で谷底に落下し、弾け散る。 戦力差は圧倒的、端から見れば集団自殺にしか見えない。 「…不潔。」 「見ん方がええな…」 その余りの光景に言葉を失う2人…いっそハンターを辞める事をお勧めするがな。 「あ。」 そんなグロテスクな光景のど真ん中を指差す赤団子。しかし、子供の癖によくこんな物を見て平気でいられるな? と思いつつ視線を餓鬼の指す方へ向けると…其処には虫の津波を突き抜けた一頭の牙獣の姿があった。 虫好き 渓谷の底まで辿り着いたのは、リーダーの証である鶏冠と他の個体とは異なる黄緑の体毛を有した牙獣…ババコンガの亜種だな。 その上奴の体には剃刀と大差無いランゴスタの羽の海を突っ切ったくせにかすり傷程度しか付いていない。 ランゴスタの大群は取り零した一匹を切り刻むべく渓谷の底へと押し寄せる。それを見たババコンガは大きく息を吸い込んだ。 そして… バフゥッ!! 虫共の羽音を下品な爆音が飲み込んだ。 「フケフ(不潔)デフワ!!」 ババコンガを見てルォヴが鼻を摘まんだまま喚く。まぁそう言いたくなるのも解るが… 谷底には茶色い煙幕とそれに殺られた虫共の死骸…因みにあの煙幕はババコンガの「屁」だ。しかしその茶色い暴風は直撃を喰らった者に心身共に甚大なダメージを与える。 現に一発の放屁で群の3分の1がくたばっている。その隙に次々と谷底へ到達する残りのコンガ達。そして虫共の死骸をバリバリと食い始めた。 「…そう言う事か。」 「何が?」 俺がポツリと溢した言葉に赤団子が反応する。 「推測だが…ランゴスタが奴らの好物なんだろ。まぁ彼処まで行くと変異に近いがな。」 野生の生物にも人間同様好き嫌いがある。だが、肉食種なんかは稀に喰った肉の味を覚える個体が居たりする。ソイツは覚えた肉に固執し、その肉を食い続ける訳だ。 「つまり群全員がランゴスタが大好きって事だろう。」 でなきゃあんな自殺みたいな真似はせんだろうし、それに対抗すべく虫共も異常発生したのだろう。 「じゃあ放置しとけば仕事終わるやん。」 不意に首をリケが首を突っ込んで来る。…が、事態はそんな楽観視出来る物ではない。 渓谷では群の半数以上を駆逐したババコンガが手近なクイーンに襲いかかる。 「じゃあ仮に…あれが人の味を覚えたらどうなると思う?」 俺がそう尋ねた瞬間、馬鹿の顔が見事に青くなる。現に人の味を覚えた肉食種が村を壊滅させた、と言う事件は稀にある。 そして、この群を喰い尽くした後、ババコンガが近隣の村へ行く可能性は十分ある。そして人の味を覚えよう物ならその村は比喩でも例えでもなくおしまいだ。 「つまり俺達は此処であいつを狩る必要がある訳だ。」 クイーンの頭を食い潰すババコンガを指差しながらそう伝えた。 「まぁ獲物が変わっただけやん?」 「ですわね。」 「何時でも行けるよ!!」 やる気満々な面々を見て俺は溜め息を吐く。 「楽な仕事だと思ったんだがな…」 仕方がない 「俺が隙をボス猿に隙を作るから適当に奇襲をかけろ。」 ババコンガは素早さはそこそこだが、豪腕から繰り出される一撃は強烈だ。その日の晩御飯が喰えなくなる程に… なので紙装備の赤団子を前衛に置けば肉団子にされかねない。大剣は動きにムラがあるし、何より使い手が馬鹿だからな。 消去法で俺が前衛となる。 「虫はどうするの?」 「無視してくれる事を願え。と言うか後衛のてめーらがどうにかしろ。」 餓鬼の疑問を適当にあしらい、手持ちの道具を確認する…と言っても虫退治の道具しかないがな。更に言うとランスも適当な安物を持ってきたんだよなぁ… 「まぁ、やりますか。金の為に。」 新しく取り出した煙草にやる気と言うなの炎を灯し、背中の安物と左手の鉄板を構える。 軽く大の大人以上の大きさがあるクイーンを平らげたボス猿の目の前で、ランスの先端をクルクル回す。 「おいメタボ猿、食後の運動と行こうか?」 そう言ってくわえていた煙草をボス猿の目玉付近へ吐き捨てる。 ジュッと言う音と共に奴の下目蓋が焼け焦げる。ダメージは皆無、しかし怒りを買うには十分だ。 怒るボス猿の豪腕と長い爪が唸りを上げ俺に迫る。が、遅いな。盾を使うまでもない。 バックステップで軽く一撃をかわし、喰い粕まみれの汚い顔面にランスを突き刺す。が、 「チッ、安物が。」 切れ味が悪い。精々ランスの切っ先が皮一枚貫いた程度か… 微かに体勢を崩した俺を見て、ボス猿が短い後ろ足で立ち上がりその豪腕を振り上げる。 いや、まぁ余裕だがな… サイドステップで身を屈め豪腕を潜り抜け、一気に距離を詰める。そして、短い後ろ足に痛烈な連撃を叩き込む。 ボス猿は大きくバランスを崩すが、どうにか踏み止まろうとする。…往生際の悪い。 「転んでろ。」 ランスを引き抜き、その反動で弛んだ横っ腹に回し蹴りを叩き込む。 「今だ!!」 ボス猿が完璧にバランスを崩したのを確認してから合図を送る。 「言われんでも…」 「解ってますわ!!」 それを見計らった様に馬鹿2人が飛び出し、倒れ行くボス猿の顔面に番の大剣を叩き込んだ。 響く破砕音と飛び散る血飛沫…馬鹿共にしては良い動きだ。コレで武器の属性が猿用なら完璧なんだがな… 「あららぁ!?」 「いゃぁですわ!!」 感心していた端から馬鹿2人が投げ捨てられた。視界に映るのは綺麗な顔面、代わりに両手から血を垂らすボス猿の姿。 流石に一筋縄じゃいかんか… 馬鹿<子供・虫 完璧に顔面に入ったと思われた2人の一撃は、寸での処で奴の両手で防がれた様だ。…流石はボス猿、どうしてくれようか。 「うしゃっ!!」 「すわっ!!」 そんな事を考えている隙に、投げ飛ばされた馬鹿2人が体勢を建て直しボス猿に挟撃を繰り出そうとしていた。 その時、ボス猿がニヤリと笑い奴の下腹部が不自然に膨張した。 あぁ、これは不味い。 俺は反射的にバックステップをしながら、馬鹿2人に憐れみの視線を向ける。 そして… ブゥッ!! 糞色の爆風が2人を吹き飛ばした。茶色い軌跡で放物線を描く2人…お気の毒に。 『!!!?!?!!』 滑稽すぎる悲鳴をあげる2人を見て、勝ち誇った様に笑みを浮かべるボス猿の面が非常に憎たらしい。…かと言って屁を浴びるのはゴメンだしな。 その時、俺の右肩に軽い衝撃が走り、頭上に人影が躍り出た。クルクルと回転する人影を俺もボス猿もつい見上げてしまった。 「でゃぁぁあ!!」 人影は怒声を上げ、遠心力の全てを左手の短剣に乗せ、ボス猿の顔面に叩き込んだ。 完璧に顔面を捉えた一撃…だが、赤団子の持つ短剣の切れ味ではボス猿の頭を両断するには至らない。 「ぁぁぁあ!!」 赤団子は更に声を張り上げ、体を捻り込み、切っ先だけが微かに顔の皮に抉り込んだ短剣の柄へ、右手の盾を打ち付けた。 ガッ 鈍い打撃音と共に、無理矢理押し込まれた短剣がボス猿の上唇を切り裂いた。 寧ろ引き千切られたに近い上唇から血を撒き散らしながら鑪を踏むボス猿の顔面に、蹴りを咬まし俺の隣へ着地する赤団子…猿以上に猿じみた身体能力だな。とにかく… 「いい一撃だ、赤団子!!」 隙だらけの奴の腹にランスを突き刺し、力任せに地を蹴った。 苦悶の表情を浮かべ、呻き声と共に仰向けにぶっ倒れるボス猿。このまま蜂の巣に…と思った瞬間、 「さがってダディ!!」 気の抜ける呼び名を叫ばれ俺の足は突進力を失った。 「なんだ、赤団…」 赤団子に何用か尋ねようとした瞬間、蜂の大群が此方に突っ込んで来るのが見えた。 「どぉっ!?」 間抜けな声を上げながら、その場に屈み込んだ。 頭の上でブンブンと羽音を響かせ、ボス猿に特攻を仕掛ける兵隊蜂達。集る羽虫を振り払おうとするボス猿に女王蜂が直々に襲い掛かった。 倒れたボス猿に執拗に毒液を吹き掛ける女王蜂…しかし馬鹿2人より子供と虫の方が役立ってないか? 「ねぇダディ?」 そんな下らない事を考えている俺の袖を赤団子が引っ張った。 第二ラウンド 「ダディじゃなくてダギィだ。」 駄目もとだが一応訂正しておく。 「そんな事良いから!!」 いや、全然良くないんだが、 「あれ見て!!」 ゴギンッ 「ほぁっ!?」 赤団子が俺の肩に登り、俺の頭を無理矢理"あれ"とやらの方向に向けた。 もげかけた首の向いた方向には群の半数を引き連れ逃げ出す、一際デカイ女王蜂の姿が有った。 なるほど、あれが大元で今ボス猿と闘ってるのは捨て駒か。なんとも効率的な虫らしい行動だな。 此処でアレを見失うのは面倒だ。少々厳しいかもだが、使える物は餓鬼でも何でも使わんとな… 「赤団子、お前はアレを始末してこい。出来るな?」 「うん!!」 少しばかり難しい注文を快諾する赤団子…しかし1人では不安だな。 「馬鹿2人、どっちか1人着いてけ。」 「私が行きますわ!!」 リケが反応するより数倍早くルォヴが名乗りを上げる。よっぽど猿と闘うのが嫌らしい。 「おし、頼んだぞ。」 手持ちの使えそうな道具を投げて寄越し、さっさと2人を送り出す。 「おう!!」 「任されましたわ!!」 素早く返事をし、女王蜂の後を追って2人は渓谷の向こうへと消えて行った。 さて、あとは馬鹿とおっさん1人でどう対処するか… 「俺もあっちのが良かったな…でどうすんのさ?」 屁を喰らったのが堪えたのか、愚痴りながらリケが俺の隣で構えた。しかし… 「臭いから少し離れろ…」 「酷いこと言いなや…」 そんな会話をしている内に、ボス猿を抑え付けていた女王蜂の腹が喰い破られた。 バリバリと喰い粕を散らしながら、真っ赤に染まった面で此方を見下ろすボス猿。 「お、第二ラウンドと行くか?」 「んな事言うてる場合かいな?」 オッサン2人で軽口を叩いていると、痺れを切らしたボスが此方に飛び掛かって来た。まぁこんな物当たりはしないが… 二手に別れボディプレスをかわし、隙だらけの脇腹に挟撃を喰らわせる。 右手に走る確かな手応え…それでもボス猿は何も無かったかの様に両腕で俺達を振り払う。 「チッ」 咄嗟にガードしガリガリと地を削り後退する。どうにも火力が足りないな。 「何か策ないんか?」 ボス猿の向こう側からリケがそんな事を聞いてくる。 「生憎猿は想定外でな…その前にもう少し真面目にやれ。1人の方が動きやすいんだろうが!?」 そう叫んだ瞬間、ボス猿が此方へ殴り掛かって来た。あぁ猿が… 「鬱陶しいぞ!!」 するりと腕の下を潜り、顔面にランスの先端を突き立てた。 隙 大剣、それは文字通り馬鹿でかい剣の事だ。斬ると言うより大質量に任せて叩き斬ると言う方がしっくりくる。 広いリーチと高い攻撃力を誇る反面、動きは散漫且つ愚鈍。なので複数で狩に行くと間違えて仲間をぶっ通す何て事が多々ある。 そんな大剣が、比較的小さい獲物を狩る時のパーティーに2人も居るとその動きはかなり制限される。まぁリケとルォヴはまだ連携の取れている方だが、それでも全力は出せないだろう。 「…猿が!!」 顔面をぶち抜いた筈のランスはボス猿の薄皮一枚を貫いた所で、奴の豪腕に掴まれていた。その上、 「ッ!!」 掴まれたランスはピクリとも動かない。ボス猿は自慢気にニヤリと笑う。…まぁなんにせよ、 「隙が出来たぞ。」 「あいさっさ!!」 そんな掛け声と共に、蒼い大剣がボス猿の腕をくの字にへし折った。 自由に動ける大剣は実に頼もしいな。 ボス猿は声に成らない悲鳴を上げ、ランスを離した。 「ん、離して良いのか?」 聞くだけ聞くが、答えを待つ気なぞサラサラ無い。 左足を踏み出し、腰の捻りと腕の突き出しを連動させ飛び切りの一撃をがら空きの顔面に叩き込んだ。 肉を抉り頭蓋にぶち当たる感触が右手に走る。ボス猿はこれ以上顔面に鉄針が侵入するのを拒むかの様に大きく後退する。 「一気に行くで!!」 「まっ!!…馬鹿が。」 人の制止も聞かず馬鹿が正面からボス猿に斬りかかった。まぁそんな一撃が当たる訳が無いがな。 「あれ?」 あっさりと掴まれた大剣を見てリケが間抜けな声をあげる。何があれ?だ、馬鹿が。大剣が優れていようが使い手が馬鹿では意味がないな。 ボス猿は捉えた馬鹿に対して至近距離からブレスを繰り出した。 「のあゎ!?」 黄茶けたブレスを喰らって馬鹿が奇怪な声をあげる。…余談だがババコンガのブレスは食った物によって特性を変える。大方ランゴスタの麻痺成分がブレスに加わったのだろう。 麻痺った馬鹿はシナシナとその場にぶっ倒れた。まぁなんにせよ…コレで隙が出来た訳だ。 十分な助走距離から馬鹿みたいに開かれた虫臭い口の中へ、図太い鉄針を突き刺した。 …!!?! 非常に耳障りな悲鳴を上げるボス猿…あぁ、非常に鬱陶しい。 「良いから…さっさと死ね。」 ランスの先端を上顎の先端に引っ掛けたまま、渓谷の岸壁へとボス猿の頭を叩き付ける。 「磔の刑だな。」 岸壁に突き刺さったランスとボス猿を見て、素直な感想を呟いた。
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その男を見た時、ハセヲはまずオーヴァンを連想した。 眼鏡をかけた長身の男性、といった外見的な事柄もそうだが、纏う空気が似ている。 どこか遠くを見ている――とでも言うべきか、怜悧で、穏やか、それでいて重厚な雰囲気だ。 「やぁ」 認知外迷宮/アウターダンジョン。 ネットスラムに現れたデータの“歪み”の先に広がっていた、本来存在しないはずのエリア。 ゲームの裏側。 無機質なワイヤーフレームと闇だけで構成されたこのエリアにて、彼はさも当然という趣で待っていた。 「またしてもこのエリアにプレイヤーがアクセスしてくるとはね。 “先駆け”であるアレを例外とすれば、君たちのパーティが三番目だ」 そう語りかける彼は、そう、さながら賢者といった風体だ。 何もかも知っている。見透かしている。分かっている。というような、そんな視線をハセヲらに向けている。 ――その辺りも、オーヴァンと同じだ。 ハセヲは無言で鎌を取り出した。 ちら、と他のPTメンバー(ハセヲとしてはなし崩し的な同行であるのだが)確認すると、彼女らもまた警戒態勢に入っていた。 シノンはその容姿が最初に会った時の現代風のアバターに変わっており、手元は銃に添えられている。 黒薔薇騎士団? とかいうパーティの輩もどこかしら雰囲気が変わっている。剣に弓に、それぞれのジョブに倣った警戒態勢だ。黒雪姫とかいう少女アバターは特に構えるものもないようだったが。 彼らを見つつ、変に大所帯になってしまったな、とハセヲはどこか自嘲的に考える。 マク・アヌで喪い、“死の恐怖”に舞い戻るを決意をし、レオから離れた――にも関わらず、だ。 結局シノンが追ってきて、追いつかれてしまった。 結局ネットスラムで別のパーティを助けてしまった。 そしてそのままここにいる。 これじゃまるで――“死の恐怖”じゃないみたいじゃないか。 「……アンタ」 様々な想いを噛み殺しつつ、ハセヲは口を開いた。 「アンタ、何者だ」 「GM/ゲームマスター」 さらり、と男はそう言ってのけた。 GM。それはつまり、榊と同じくこのVRバトルロワイアルの運営側――ということを意味する。 その言葉を聞いた途端、パーティ全体に緊張が走った。 「へぇ、それじゃあつまり――アンタは敵ってことか」 獰猛な笑みを浮かべハセヲは、ぶうん、と鎌を横薙ぎに振るう。 敵意を隠さない行いであったが、しかし男は取り合わず、 「さて。君たちの敵は本来プレイヤー同士であって、私たちではない筈だがね」 「言ってろ。アンタは――!」 「そのミステリーデータ」 喰ってかかるハセヲを無視して、男はおもむろに手を上げ、ぴっ、とある点を示した。 警戒しつつも横目で窺うと、そこには立方体状のポリゴンが漂っていた。 「取っておくといい。それは君たちの一つの“鍵”となる」 「――罠かもしれないものを、私たちが取るとでも」 ハセヲの隣に立つシノンが毅然とした口調で言い放った。 「取るか、取らないか、それは自由だ。まぁ“選択”は私の役割ではないのだがね。 けれども――だ。 GMとしてプレイヤーに対峙する私は、原則として君たちを傷つけることができない。相応の理由がなければ、無理だ。 それが私に課せられた役割であり、制約だからだ。AIが嘘を吐けないように、ね」 が、男は薄く微笑み、静かにそう言った。 その態度は駆け引きをしたいようには見えず、人を惑わすにしても言葉に熱がなく、ハセヲは肩透かしを喰らう気分だった。 つかみどころがない――この感覚には、やはり既視感がある。 「…………」 そのやり取りで何を思ったか、黒薔薇騎士団とかいう一行のうちの一人、アーチャーが示された立方体に近づいた。 彼は注意深くそれを確認し、そして―― 「“セグメント1”」 ブラック・ロータスがぽつりと声を漏らした。 その視線は虚空に注がれており、ウィンドウに変化があったことを示していた。 彼女とアーチャーはレオとガウェインと同じ関係なのだと聞いている。 つまりアーチャーが確保したアイテムが、彼女のストレージに入った、ということなのだろうか。 「……セグメントってこれ」 その言葉を聞きつけ、ブラックローズが目を見開いた。 「そう、それは君も知っている“欠片”だよ」 男の言葉にブラックローズは顔を上げ、彼を睨み付ける。 「じゃあこれは――アウラの」 アウラ? その言葉に今度はハセヲが反応する番だった。 思わずブラックローズを見る。同行しつつも意図的に交流を避けてきたが、彼女はもしかすると―― 「そしてそこにもう一つ、だ」 男は再度別のところを指さした。その先には、先と同じ構造の立方体――ミステリーデータがある。 アーチャーは同様にそれを回収した。その様を見て、男は抑揚のない口調で、 「それはね。本来別のプレイヤーの持ち物だった。が、まぁ彼は随分無理をした。 強引なエリアハッキングに加え、割り込む形で圧縮を喰らったんだ。ステータスやアイテムなんかは滅茶苦茶になっただろう。 だからこそこんなエリアにアイテムが落ちてしまい、同じ歪みを通ってきた君たちに回収されることになった。 まぁ――理屈をつけるのならばこんなところだろう」 「そのプレイヤーって、誰だよ」 尋ねると男は、僅かに声のトーンを変えて、 「君もよく知っている奴さ」 ――スケィス その名を口にした時、ハセヲは思わず鎌を振りかぶっていた。 マク・アヌでの出来事がフラッシュバックする。奴の居場所を教えろ、と衝動的に力を振るいそうになったが、 「――駄目よ、ハセヲ」 その刃は、シノンによって阻まれた。 咄嗟にハセヲと男の間に割り込んだシノンは、ハセヲの鎌の柄をダガーで受け止める形で攻撃を制した。 「どけ。俺は――」 「頭を冷やしなさい、ハセヲ。さっきこの男はこう言ったのよ。 相応の理由がなければ、私たちを傷つけることができない、と」 シノンはあくまで冷静にハセヲに言った。 「それはつまり――理由さえあれば私たちを傷つけることができるということ」 言われてハセヲもまた気づいた。相応の理由――例えばそれはGMへの攻撃などだろう。 ここで男に攻撃すれば、途端に奴はハセヲらを消す権限を得る。言うなればそれがGMたちにとってのルールなのだ。 「だから今は落ち着いて」 「…………」 シノンの真剣なまなざしをハセヲは睨み付けるように返したが、胸に湧いた衝動も既に薄れており、理性が勝っていた。 だから無言で刃を下し、再びシノンと並ぶ形でトワイスと相対することになった。 ――クソ、“死の恐怖”なんじゃなかったのか、俺は 内心でそう悪態吐きつつも、同時に胸がぎゅっと締め付けられる気分であった。 シノンの、こちらをまっすぐと見上げる眼差しが、同じ音を持つ彼女を連想させたのだ。 「……スケィス、いや今はスケィスゼロか。 彼の消息については私も今は知らない。そのあたりは私の役割ではないんだ。 まぁ、知っていても教える訳にはいかないんだが」 自分が襲われかけたというのに、二人のやり取りに何ら興味も示さずに男は淡々と告げる。 その態度こそ、彼がこの場における上位者であることを示しているようで、ハセヲは苛立った。 「――さて、と。このエリアは本来君たちが来てはいけないエリアだ。 特にこの先の――死者のデータ渦巻くプロテクトエリアに立ち入るには、君たちはまだ早すぎる。 その上で立ち入ってしまったのだが、まぁ、その処罰は今まで例に倣うとしよう」 「待て――今、何と」 口を挟んだのは、黒雪姫だった。それまで黙っていた彼女は身を乗り出すように、 「この先には死者の――」 「そろそろだ。君たちはこれ以上この場にいることは許されない。 ――今は、まだ」 ハセヲは、はっ、とした。 頭上を見上げると、そこにはアバターを包み込むように光が発生していた。 The Worldで何度も見た、転移の瞬間のエフェクトだった。 「さて、では表のゲームに戻っていくといい。ああ、先ほどの“セグメント”は大切に持っていた方がいい。 それは鍵――“黄昏の鍵”キー・オブ・ザ・トワイライトになり得るものだ」 その言葉を聞いたとき、ハセヲは思わず問いかけていた。 「名前を言え」 エリア転送の直前、ハセヲは男に対して叫ぶように尋ねた。 「お前の――名は?」 「トワイス・H・ピースマン」 白衣の男、トワイスは消えゆくハセヲに対し、ゆっくりと手を伸ばした。 「何時か、君が君の“役割”に沿ってこのエリアに来た時、その時こそ私は君を歓迎しよう。 ウェルカム・トゥ・ザ・ワールド、と」 ◇ そうして四人のプレイヤーが表のゲームへと帰っていった。 その様をトワイスは見届けたのち小さくを息を吐いた。妙なこともあったものだ、と。 ――榊がこの場に来なかったのは、偶然としか言いようがない。 他のプレイヤーならばいざ知らず、あのハセヲがこのエリアに来たのだ。 榊が勇んでやってこない筈がない。にも関わらず、彼は今とある“縁深いプレイヤー”と接触している最中にあり、この場には来なかった。 奇妙なすれ違いといえよう。少しでもタイミングがずれていたら、この処遇にはならなかった。 無論、トワイスはそこまでのことは知り得ない。榊が何をしているか、などというのは彼の役割の知るところではないのだ。 が、何か奇妙な偶然が重なったことは感じていた。そして、その偶然に何か意味があることも。 「…………」 認知外迷宮のできそこないの空間を一人歩く。無数のデータが彼を取り巻いている。 エリアの最奥のプロテクトエリアは、今現在安定を取り戻している。 モーフィアスの転移をきっかけに一つのイレギュラーがデスゲームに表出してしまったが――しかしそこで止まった。 ゲームのルールは、いまだギリギリのところで成立していると言えよう。 故にしばらくは静観を――とそう思っていた時だった。 「――目に余りますね」 新たな声がした。 「VRGMユニット、ナンバー002。ラべリング“トワイス・H・ピースマン” 貴方の行動には越権行為と思しきものが存在します」 ――金色が、舞った。 やってきたのは一人の少女だった。 さらさらと舞う金色の髪は美しく、金木犀の花を思わせる。澄んだ碧眼は吸い込まれるよう。その小柄ながらも整った体躯は可憐の一言である。 そんな彼女は髪の色と同じ、金色の鎧を纏っている。ところどころ青を交えたその装飾は流麗かつ荘厳で、さながら中世の騎士である。 そんな剛健さと可憐さとは対極とも思えるが、しかし――その少女は確かにその二つの兼ね備えていた。 可憐な少女ながら、その凛々しき眼差しを持って騎士甲冑を着こなしている。カチューシャのように添えられた銀色の額当てが象徴的であった。 「――プログラムには必ず役割が存在します。 その役割からの逸脱は、即ち自己の否定に他ならない」 少女は言外にトワイスを弾劾しながら彼と相対する。 「……少し意外だな。君はもっと中枢の役割を担っていたはずだが」 「事態はそれほどまでに進んでいる、ということです。モルガナ様の“盾”を担う私がこんな表層に引っ張り出される程度には」 突き放すように少女は言う。その言葉は刃のように鋭く、そして迷いがない。 少女の名は、アリス。 正確に言えばVRGMユニット、ナンバー030。ラべリング“アリス・サーティ”である。 このVRバトルロワイアルのゲームマスターの一角である。最もトワイスと彼女では役割がまるで違うのだが。 「“記録”の貴方だけではありません。“運営”の榊は私情に耽り、“選択”の預言者も何かしら暗躍している。 ゲーム/世界はゲーム/世界として成立していなくては立ち行かないといのに」 「任せておけないから出てきた、と?」 尋ねるとアリスはキッとトワイスを睨み付け、 「例えば、貴方は既に三度プレイヤーと接触を行い、内二回は独断で採択していますね。 プレイヤーの処遇は貴方の役割ではない。これは明らかな越権行為です」 「榊の決定に倣ったまでだ」 トワイスは肩をすくめて言った。 が、アリスはそんな誤魔化しは通じないとでも言うように首を振り、 「否、貴方は二度目、ナンバー053“モーフィアス”らと接触した時、知己の人物の下へと転送させるという、明らかに彼らを厚遇するような処置を執り行っている。 一度目、ナンバー021“オーヴァン”の際は、“ゲームの加速”という取引を行った上での返還であったにも関わらず、です。 貴方はこれを独断で決行し、そして先ほどの三度目ではシークレットカテゴリ・ユニット003“セグメント”をわざわざ取得させている。 はっきり言います。これは貴方の役割ではない、と」 アリスはつらつらとトワイスの“罪状”を述べていく。 つい先ほどの行いさえ彼女は看破しているようだった。トワイスがプレイヤーの監視者であるならば、彼女はGMの監視者とでもいうべきか。 このゲームの中枢たるモルガナの、その“盾”として行動することがアリスの担う役割である。 「それで、私に何を」 「弁明がなければ――“トワイス・H・ピースマン”のユニット廃棄を執り行います」 アリスの手には剣がある。その髪と同じ、金木犀の色をした剣の柄に、その手はかかっている。 「私を斬ったところで代わりは当然のように用意されている、ということかい?」 「そうですね。貴方はそれなりに得難いユニットではありますが、しかし代用できるユニットもストックにはいます。 少々制御が難しいですがVRGM015“アドミニストレータ”やVRGM023“ヴァイオレット”、あるいはVR099“プロト”あたりを起してもいい」 さらりと彼女は言う。そして、トワイスを見据えた。 その剣のように鋭い視線を受け、トワイスは次の一言次第では即座に斬り捨てられるであろうことを感じた。 代わりはいくらでもいる。必要なのは役割を十全にこなす単体/ユニットであり、トワイスという個人/キャラクタではないのだ。 それを理解した上で、トワイスは静かに答えた。 まだ、消えるつもりはない。 「なに、本心からゲームの進行を円滑にしようとしただけだ。 モーフィアスの時は、単にデータの歪みを発生させ、ゲームを前進させたかったから。 先ほど、ハセヲの時は“セグメント”を回収させることでスケィスに追跡させようとしたから。 それ以上の意味はないよ。私はただ、ゲームを次なる展開へと進めることを願っている」 その答弁を受け、アリスはしばし無言でトワイスを見つめていた。 認知外迷宮に緊張を孕んだ静寂が舞い降り、そして―― 「……いいでしょう。 前進を求めるのは貴方というユニットのパーソナリティでしたね。 今回はそのことを考慮して保留にします」 ――言って彼女はその身を翻した。 どうやら、この場は乗り越えられたようだ。 そのことを無感動に確認しつつ、同時に、保留、ということはことと次第によっては次は即座に斬られるであろうことも理解していた。 「これから君はどうする? 中枢に、モルガナ・モード・ゴンの下に戻るのかい?」 それを知った上で、トワイスはゲームの“盾”たる騎士に問いかけた。 するとアリスは首だけをこちらに向けて、 「――ゲームの表側に参ります」 ほう、とトワイスは声を上げる。 これは少々、意外な答えだった。これまでGMはゲームへの介入を極力避けてきた。 あったのはダークマンのそれくらいで、あとは全て放任というスタンスであったが、彼女の登場でまた変わっていくか。 「少し、気になることもあるので、貴方方の不始末を処理する形で介入しようかと思います」 そう言って、アリスはデータの闇に消えていった。 残されたトワイスは、ゲームの前進をその身に感じていた。 【?-?/認知外迷宮→?/1日目・午後】 【ハセヲ@.hack//G.U.】 [ステータス]:HP90%、SP95%、(PP100%)、強い自責の念/B-stフォーム [装備]:ザ・ディザスター@アクセル・ワールド、{大鎌・首削、蒸気バイク・狗王}@.hack//G.U. [蒸気バイク] パーツ:機関 110式、装甲 100型、気筒 100型、動輪 110式 性能:最高速度+2、加速度+1、安定性+0(-1)、燃費+1、グリップ+3、特殊能力:なし [アイテム]:基本支給品一式、イーヒーヒー@.hack// [ポイント]:300ポイント/1kill [思考] 基本:バトルロワイアル自体に乗る気はないが………。 0:……俺は、『死の恐怖』……PKKのハセヲだ―――。 1:今はみんなと共に認知外迷宮の出口を捜す。 2:スミスを探し出し、アトリの碑文を奪い返す。 3:白いスケィスを見つけた時は………。 4:仲間が襲われない内に、PKをキルする。 5:レオ達のところへは戻らない。 [備考] ※時期はvol.3、オーヴァン戦(二回目)より前です。 ※設定画面【使用アバターの変更】には【楚良】もありますが、現在プロテクトされており選択することができません。 ※“碑文”と歪な融合を果たし、B-stフォームへとジョブエクステンドしました。 その影響により、心意による『事象の上書き』を受け付けなくなりました(ダメージ計算自体は通常通り行われます)。 ※《災禍の鎧》と融合したことにより、攻撃力、防御力、機動力が大幅に上昇し、攻撃予測も可能となっています。 その他歴代クロム・ディザスターの能力を使用できるかは、後の書き手にお任せします(使用可能な能力は五代目までです)。 ※《災禍の鎧》の力は“碑文”と拮抗していますが、ハセヲの精神と同調した場合、“碑文”と共鳴してその力を増大させます。 ※ハセヲが《獣》から受ける精神支配の影響度は、ハセヲの精神状態で変動します。 【シノン@ソードアート・オンライン】 [ステータス]:HP100%、MP80%、強い無力感/GGOアバター [装備]:{フレイム・コーラー、サフラン・ブーツ}@アクセル・ワールド、{FN・ファイブセブン(弾数10/20)、光剣・カゲミツG4}@ソードアート・オンライン、式のナイフ@Fate/EXTRA、雷鼠の紋飾り@.hack//、アンダーシャツ@ロックマンエグゼ3 [アイテム]:基本支給品一式、光式・忍冬@.hack//G.U.、ダガー(ALO)@ソードアート・オンライン、プリズム@ロックマンエグゼ3、5.7mm弾×20@現実、薄明の書@.hack//、???@??? [ポイント]:300ポイント/1kill [思考] 基本:この殺し合いを止める。 0:アトリ……私……。 1:ハセヲ達と共に出口を捜す。 2:殺し合いを止める為に、仲間と装備(弾薬と狙撃銃)を集める。 3:ハセヲの事が心配。 《災禍の鎧》には気を付ける。 4:【薄明の書】の使用には気を付ける。仮に使用するとしても最終手段。 5:ユイちゃん達とはまた会いたい。 [備考] ※参戦時期は原作9巻、ダイニー・カフェでキリトとアスナの二人と会話をした直後です。 ※使用アバターに応じてスキル・アビリティ等の使用が制限されています。使用するためには該当アバターへ変更してください。 ALOアバター>ソードスキル(有属性)及び魔法スキル、妖精の翅による飛行能力が使用可能。 GGOアバター>《着弾予測円(バレット・サークル)》及び《弾道予測線(バレット・ライン)》が視認可能。 ※MPはALOアバターの時のみ表示されます(装備による上昇分を除く)。またMPの消費及び回復効果も、表示されている状態でのみ有効です。 ※このゲームにはペイン・アブソーバが効いていない事を、身を以て知りました。 ※エージェント・スミスを、規格外の化け物みたいな存在として認識しています。 ※【薄明の書】の効果を知り、データドレインのメリットとデメリットを把握しました。 【ブラック・ロータス@アクセル・ワールド】 [ステータス]:HP80%/デュエルアバター 、令呪一画、移動速度25%UP [装備]:なし [アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3 エリアワード『絶望の』、セグメント1@.hack//、セグメント2@.hack// [思考] 基本:バトルロワイアルには乗らない。 1:ハセヲ君やシノン君達と共に出口を捜す。 2:《災禍の鎧》を封印する。 [サーヴァント]:アーチャー(ロビンフッド) [ステータス] ダメージ(中)、魔力消費(大) [備考] 時期は少なくとも9巻より後。 【ブラックローズ@.hack//】 [ステータス]:HP60%、移動速度25%UP [装備]:紅蓮剣・赤鉄@.hack//G.U. [アイテム]:基本支給品一式、逃煙連球@.hack//G.U.、エリアワード『絶望の』 [思考] 基本:バトルロワイアルを止める。 1 ハセヲやシノン達と共に出口を捜す。 2:《災禍の鎧》には気を付ける。 ※時期は原作終了後、ミア復活イベントを終了しているかは不明。 【?-?/?/1日目・午後】 【スケィスゼロ@.hack//】 [ステータス]:??? [装備]:ケルト十字の杖@.hack// [アイテム]:基本支給品一式×2、不明支給品2~6(ランサー(青)、ツインズへのDD分含む)、疾風刀・斬子姫@.hack//G.U.、大鎌・棘裂@.hack//G.U. 、エリアワード『虚無』 [ポイント]:900ポイント/3kill [思考] 基本:モルガナの意志に従い、アウラの力を持つ者を追う。 1:目的を確実に遂行する。 2:アウラ(セグメント)のデータの破壊。 3:腕輪の影響を受けたPC(ブラックローズなど)の破壊。 4:自分の目的を邪魔する者は排除。 [備考] ※1234567890=1*#4 67% 0 ※ランサー(青)、志乃、カイト、ハセヲ、ツインズをデータドレインしました。 ※ハセヲから『モルガナの八相の残滓』を吸収したことにより、スケィスはスケィスゼロへと機能拡張(エクステンド)しました。 それに伴い、より高い戦闘能力と、より高度な判断力、そして八相全ての力を獲得しました。 ※ハセヲを除く碑文使いPCを、腕輪の影響を受けたPCと誤認しています。 ※ハセヲは第一相(スケィス)の碑文使いであるため、スケィスに敵として認識されません。 ※ロックマンはバグによる自壊の為、キルカウントに入りません。 ※プレスプログラムの影響により、ステータスがバグを起しているようです。ストレージに存在したアイテム等が認知外迷宮に散らかっているかもしれません。 [全体の備考] ※運営側、GM系ユニットは特段の理由がない限りプレイヤーに危害を加えることができません。 【トワイス・H・ピースマン@Fate/EXTRA】 [ステータス]:健康 [装備]:閲覧不可 [アイテム]:閲覧不可 [ポイント]:-/- [思考] 基本:ゲームの情勢を“記録”する 1 ゲームを次なる展開へと勧める。 [備考] ※ゲームを“記録”することが彼の役割です。それ以上の権限はありません。 【アリス@ソードアート・オンライン】 [ステータス]:健康 [装備]:閲覧不可 [アイテム]:閲覧不可 [ポイント]:-/- [思考] 基本:ゲームの中枢、モルガナの“盾”となる。 1 榊らを監視し、場合によっては廃棄する 2 ゲームに生じた問題を処断する。 [備考] ※性格、風貌は原作11-12巻におけるシンセサイズを施されていた状態に準拠しています。 ※が、従うべき対象はモルガナへと再設定されているようです。 114 対主催生徒会活動日誌・17ページ目(贖罪編) 投下順に読む 116 EXE.Endless, Xanadu, Engaging“再会” 114 対主催生徒会活動日誌・17ページ目(贖罪編) 時系列順に読む 116 EXE.Endless, Xanadu, Engaging“再会” 109 対峙する自己 ハセヲ 118 暗黒天国 シノン 118 暗黒天国 ブラック・ロータス 118 暗黒天国 ブラックローズ 118 暗黒天国 114 対主催生徒会活動日誌・17ページ目(贖罪編) スケィスゼロ 118 暗黒天国 108 生者と死者 トワイス・ピースマン 117 critical phase アリス 122 ナミダの想い~obsession~
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もうageなんてしないなんて 言わないよ絶対~♪
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三番目のN/孤門、目覚める ◆gry038wOvE その後、すぐに孤門一輝が目を覚ました。 孤門は、一度周囲をきょろきょろと見回して、そこが燃える街中でない事に気づいた。 かと言って、脱出に成功したわけでもなく、そこには他にもたくさんの参加者がいた。 なるほど、ガドルから逃げ去る事にだけは成功したらしいと、孤門は悟った。ただ、部屋の中にある異様な雰囲気も感じていないわけではない。 「……美希ちゃん、ここまでの状況を説明してくれる?」 「え、ええ……」 共に行動していたのは美希、または杏子だ。彼女らのいずれかに状況を聞くのが手っ取り早い。そして、落ち着いて信頼できる情報を提供してくれる相手としても、親しい相手としても、真っ先に美希に訊くようにしたのである。 ただ、美希がどうにもそれを言うのを躊躇っているのを見ると、また誰か犠牲者が出てしまったような感じがした。 予感は的中した。 「あのバラのタトゥの女の人は、倒しました。それに一応、ガドルを倒す事にも成功したけど……」 「二人、死んだ。フィリップの兄ちゃんと、鋼牙の兄ちゃんだ」 美希が言うのを躊躇った箇所を、杏子が横からさらりと言ったのだった。 そうして言ってしまうのは、やはり杏子の中のストレスをぶつける掃き溜めがどこにもなかったからだろう。 杏子の中では、孤門に詳細に情報を教えたい気持ちよりも、翔太郎を横目にした苛立ちの方が強く、一瞬でも何かを翔太郎の胸に響かせようと思ったのだ。あれでは、何にも心を動かさない人形のようである。──せめて、フィリップの死の事実が思い出される辛さでも何でもいいから、その人形に吹き込もうと思ったのだ。 「そうか……」 ふと孤門が目を向けた先には、項垂れて顔の見えない翔太郎がいた。彼の右腕がないのは、新しい着替えの服の先が細く垂れ下がって力なく揺れている事からもよくわかった。 それに驚きながらも、自分が意識を失っている間に人が死ぬ激戦が繰り広げられていた証としてそれを呑み込んだ。 孤門の頭は冴えなかった。やはり、近くにいた人間が死ぬのは寂しい物である。 ただ、やはり涙を見せるのは却って怒りを買う行為だった。本当に悲しんでいる人間が他にいくらでもいる以上、孤門は確実に冷静さを持って対処しなければならなかった。 「孤門、教えてくれ。これからの作戦についてだ」 石堀が横から問うた。 それを聞いて、孤門はずっと前に作戦を聞かれていた事を思い出す。あの時は確か、フィリップもいたはずだが、今はいない。切り替えなければならないようだ。 一人で説明する事自体の気が重くなるが、孤門は返事をした。 「はい。……わかりました」 気は進まないが、仕方がない。 孤門は石堀の方に言葉を返した。 「バットショットの映像をもとに、敵の居場所を探ります。この島の外がどうなっているかはわからないけど、人が住んでいたらコンタクトを取る。その可能性は低いみたいですけど、もし、誰も住んでいないとしても、おそらく相手は島の外にいる可能性が比較的高いですから」 「異世界からこちらを眺めている可能性は? 俺たちはそれぞれ、異世界から連れて来られたんだ。敵もこの世界にいるとは限らない」 この世界そのものが隔離されている可能性だって否めない。 その場合の対策方法は、それこそ時空移動を何とかして行わなければならなくなるわけだ。時空管理局や世界の破壊者などの外部からの助けを待つしかなくなる。 それまでどれだけ待てばいいだろうか。 もしかすればそれは果てしない事かもしれないので、当面は主体的に脱出を行わなければ話にならない。 「それについては、僕たちの知識では何もわかりません。ただ、この世界にいる可能性の方が高いと思います。主催側がホログラムを送ったり、参加者外の存在をよこしたり……そんな事って、同じ空間にいないとできないと思いませんか? 別の場所からそんな影響を与える事ができとは到底思えない──」 「確かに。妙に高等なやり方だな」 異世界移動の大変さをよく知っている石堀も納得する。 外部からこの殺し合いを運営するのはほぼ不可能だろう。 そう口にしたところで、横から涼邑零が口を挟んだ。 「待ってくれ。結城さんと俺の前には、一度ニードルが現れて言ったんだ。この島の外には何もないって……」 「何だと? 初耳だぞ」 自分たちの前に現れたニードルに言われた言葉を零は思い出したのだ。 「でも、仮に何もないとしても、島の外を探っておく必要があると思うんです」 孤門は一也、フィリップらと決めたある程度の算段を崩す気はなかった。 一也もそうだ。横で孤門を見つめている目には、孤門に対して口を挟む様子は一切ない。あくまでその瞳からは賛同の意思を発信している。ニードルの言葉よりも自分たちの作戦を信じる気持ちが強いのだ。 「少なくとも、他世界とこちらとを繋ぐ場所がどこかにあるかもしれません。そうなると」 「なるほど。やっぱり島の外に手がかりがある可能性が高いわけか」 「そうです。あとは、こちらも飛行手段や船を使って外部に出る。結界魔法がかかっていた場合はヴィヴィオちゃんや、それからレイジングハートが何とかできるはずです」 当初の作戦では、ヴィヴィオの魔法を使って結界魔法をどうにかする他ないとの事だったが、レイジングハートも加勢した。 これで、更に強い魔力がこちらに加えられ、一人にかかる負担は小さくする事ができる。 「もしウルトラマンの力に制限がかけられていなければ、……あ、又は、ウルトラマンの力の制限を解除する事ができれば、それを使って外に出るのが一番良い手だと思いますけど」 「……」 零が思案する。もう一度、ニードルの言葉を思い出してみる事にした。 孤門の作戦はこの島から外に出られる事を前提にしているが、それが果たして可能なのか、考え直してみたいのである。 『……そういう段階に来ているという事ですよ。いずれにせよ、あなたたちはこの島から外へは出られない。外には何もありませんし、どこへも行けません。強いていれば、そう、禁止エリアが使用できなくなるだけでしょうか。とにかく、最後の一人が決まるまで、あなたたちは囚われたまま……聞きたい事はそれだけですか?』 改めて考え直すと、正確にはニードルの言葉はこうだ。 気になるのは、『島から外には出られない』、『外には何もありませんし、どこへも行けません』という言葉であった。 これは、もしかすると、首輪以上の制限がどこかに存在するという事ではないだろうか。 「──島から外には出られない、外には何もないしどこへも行けない、というのがニードルの言葉だ」 「それは、ハッタリか、それとも真実か」 「バットショットは今のところ、問題なく外へ進んでいるみたいです。外へ出る事自体は可能みたいですね」 孤門はバットショットの映像を特殊i-podで確認して伝えた。 バットショットから送られる映像は、まだ一面の汚い海を映している。外は一応、晴れているのがはっきりと見えた。 「だとすると、やっぱりハッタリなのか?」 「だが、牽制したところで意味はない。一概にハッタリとは言えないかもしれない」 「外がこのまま海に囲まれていて、行く場所がないという意味かもしれない」 最後の案が確かに一番近い。 外部に何かの施設を作る意味はないのだ。 いや、だとすると……。 「海底、宇宙、地下。──そのどこかに、敵の基地があるのかも」 孤門の言葉で、全員がぎょっとした。 どれも突飛な言葉にしか思えない。だが、この主催者ならばやりかねないという感じだ。 「なんだよ、灯台下暗しってやつか」 「可能性が一番高いのが宇宙なのが恐ろしいところだな」 携帯電話の電波はマップ内に中継地がない以上、衛星を通じて発信されている可能性が特に高い。だとすると、本当にこの外の宇宙のレベルである可能性も否めないだろう。 「確かに外惑星である可能性も一つだが、……おそらく加頭たちはこの星にいるだろう」 一也が口を開いた。 そういえば、実体として現れている主催陣がいる。ホログラムだけならばともかく、実体として出現するにはそれなりの時間もかかるはずだ。 この会場に来る前にいたあの広間もどこかにあるはずであり、わざわざ外惑星からこの星に持ってくるのも妙な話である。 「奴らに訊くのが一番か。脅し取るしか手はない」 石堀が嘆息した。 「しかし、首輪がなくなった現在も、おそらく相手はこちらを監視しているはずだ。だが、作戦を全て包み隠さず報告しても妨害が一切来ない。相手も対策を練るのでは?」 「……確かにそうですけど、向こうはここまで全然妨害して来てません。妨害をするなら、おそらく首輪を解除した時点で来るでしょうし、きっとまだ考えや対策があるはずです」 「それもそうだな。俺たちはその上を行って余裕を崩してやればいいってわけか」 石堀は一応、孤門の考えた方針で行こうとは思っていた。 成功率は最初から低い物として見ている者が多数だろう。ただし無理ではないという希望に賭けている者ばかりだ。 駄目で元々、という消極的な言い方もできる。 この殺し合いを運営する存在が自分たちより遥かに高度な技術を持っている事を知りながら、それに抗おうとする意思ばかりはひたすらに強い。 ……石堀もまた、絶望の力でそれを成そうと考えている真っ最中であった。 (ダークザギの力が発動すればこちらの物だ。ウルトラマンだけじゃない。ここにいる全員の力を奪って俺の力にすれば、ゲームクリアだ──) ウルトラマン、プリキュア、仮面ライダー、シャンゼリオン、etc etc……。 彼らの力をそのまま己の力と成す事も不可能ではない。レーテまで辿り着いたなら、その時石堀は最強に変わるのだ。 時期はまだ早い。 全ては、「あいつ」に力が渡ってからの話だ。 △ ガイアセイバーズは、鳴海探偵事務所の時空魔法陣の前まで来ていた。 設定的には、今のところ全員この時空魔法陣で移動する事ができる。参加者の殺害数も使用上限も調整されており、誰も引っかからない仕組みだ。 ソルテッカマン1号機改が設置されているのを孤門が見つめる。これには酷い目に遭った、とでも思っているのだろう。 「……さて、準備はいいな?」 涼邑零が全員に声をかけた。 鳴海探偵事務所をこれから離れ、村エリアへと向かうのである。 その後は時空魔法陣の移動先はクリスタルステーションに設定される事になるため、忘れ物があると取りに行くのが面倒になるだろう。 ただ、誰も忘れ物がないのは明らかだった。 「いくぞ!」 零が掛け声とともに、時空魔法陣に飛び込んだ。 零の姿が光に飲まれ、眼前で消えていく。 それを見て、殆どの仲間たちが恐怖さえ覚えたが、すぐに全員息を飲んでこのテクノロジーへの恐怖を振り払った。 孤門たちは零に続いた。 【2日目 早朝】 【ガイアセイバーズ】 ※魔女に関する事、翔太郎・フィリップ間の考察以外のほぼ全部の情報を共有してます。 【ガイアセイバーズ全体の行動方針】 1:時空魔法陣を使って村エリアに移動する。 2:零による管理で時空魔法陣を作動。4つのチームに分け、それぞれ、「D-5」、「図書館」、「クリスタルステーション」、「待機」で行動する。 3:必要ならば、少し休む(睡眠はそんなに摂れませんでした)。 4:場合によっては相互通話。たまにバットショットから送られてくる映像も確認する。 【共有支給品(隊の分け方にもよってどれを所持するか変わります)】 ショドウフォン(レッド)@侍戦隊シンケンジャー スシチェンジャー@侍戦隊シンケンジャー 特殊i-pod@オリジナル (リンクルンなどの一部アイテムはまだ通話機能が生きていません) 【G-10 鳴海探偵事務所】 【孤門一輝@ウルトラマンネクサス】 [状態]:ダメージ(大)、ナイトレイダーの制服を着用、精神的疲労、「ガイアセイバーズ」リーダー、首輪解除 [装備]:ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス [道具]:支給品一式(食料と水を少し消費)、ランダム支給品0~2(戦闘に使えるものがない)、リコちゃん人形@仮面ライダーW、ガイアメモリに関するポスター×3、ガンバルクイナ君@ウルトラマンネクサス [思考] 基本:殺し合いには乗らない 1:みんなを何としてでも保護し、この島から脱出する。 2:ガイアセイバーズのリーダーとしての責任を果たす。 [備考] ※溝呂木が死亡した後からの参戦です(石堀の正体がダークザギであることは知りません)。 ※パラレルワールドの存在を聞いたことで、溝呂木がまだダークメフィストであった頃の世界から来ていると推測しています。 ※警察署の屋上で魔法陣、トレーニングルームでパワードスーツ(ソルテッカマン2号機)を発見しました。 ※警察署内での大規模な情報交換により、あらゆる参加者の詳細情報や禁止エリア、ボーナスに関する話を知りました。該当話(146話)の表を参照してください。 ※魔法少女の真実について教えられました。 【蒼乃美希@フレッシュプリキュア!】 [状態]:ダメージ(中)、祈里やせつなの死に怒り 、精神的疲労、首輪解除 [装備]:リンクルン(ベリー)@フレッシュプリキュア! [道具]:支給品一式((食料と水を少し消費+ペットボトル一本消費)、シンヤのマイクロレコーダー@宇宙の騎士テッカマンブレード、双ディスク@侍戦隊シンケンジャー、リンクルン(パイン)@フレッシュプリキュア!、ガイアメモリに関するポスター、杏子からの500円硬貨 [思考] 基本:こんな馬鹿げた戦いに乗るつもりはない。 1:ガイアセイバーズ全員での殺し合いからの脱出。 [備考] ※プリキュアオールスターズDX3冒頭で、ファッションショーを見ているシーンからの参戦です。 ※その為、ブラックホールに関する出来事は知りませんが、いつきから聞きました。 ※放送を聞いたときに戦闘したため、第二回放送をおぼろげにしか聞いていません。 ※聞き逃した第二回放送についてや、乱馬関連の出来事を知りました。 ※警察署内での大規模な情報交換により、あらゆる参加者の詳細情報や禁止エリア、ボーナスに関する話を知りました。該当話(146話)の表を参照してください。 ※魔女の正体について、「ソウルジェムに秘められた魔法少女のエネルギーから発生した怪物」と杏子から伝えられています。魔法少女自身が魔女になるという事は一切知りません。 【沖一也@仮面ライダーSPIRITS】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、強い決意、首輪解除 [装備]:なし [道具]:支給品一式(食料と水を少し消費)、ランダム支給品0~2、ガイアメモリに関するポスター、お菓子・薬・飲み物少々、D-BOY FILE@宇宙の騎士テッカマンブレード、杏子の書置き(握りつぶされてます) 、祈里の首輪の残骸 [思考] 基本:殺し合いを防ぎ、加頭を倒す 1:本郷猛の遺志を継いで、仮面ライダーとして人類を護る。 2:仮面ライダーZXか…。 [備考] ※参戦時期は第1部最終話(3巻終了後)終了直後です。 ※一文字からBADANや村雨についての説明を簡単に聞きました ※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました ※18時に市街地で一文字と合流する話になっています。 ※ノーザが死んだ理由は本郷猛と相打ちになったかアクマロが裏切ったか、そのどちらかの可能性を推測しています。 ※第二回放送のニードルのなぞなぞを解きました。そのため、警察署が危険であることを理解しています。 ※警察署内での大規模な情報交換により、あらゆる参加者の詳細情報や禁止エリア、ボーナスに関する話を知りました。該当話(146話)の表を参照してください。 ※ダークプリキュアは仮面ライダーエターナルと会っていると思っています。 ※第三回放送指定の制限解除を受けました。彼の制限はレーダーハンドの使用と、パワーハンドの威力向上です。 ※魔女の正体について、「ソウルジェムに秘められた魔法少女のエネルギーから発生した怪物」と杏子から伝えられています。魔法少女自身が魔女になるという事は一切知りません。 【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】 [状態]:上半身火傷(ティオの治療でやや回復)、左腕骨折(手当て済+ティオの治療でやや回復)、誰かに首を絞められた跡、決意、臨死体験による心情の感覚の変化、首輪解除 [装備]:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはシリーズ、稲妻電光剣@仮面ライダーSPIRITS [道具]:支給品一式×6(ゆり、源太、ヴィヴィオ、乱馬、いつき(食料と水を少し消費)、アインハルト(食料と水を少し消費))、アスティオン(疲労)@魔法少女リリカルなのはシリーズ、ほむらの制服の袖、マッハキャリバー(待機状態・破損有(使用可能な程度))@魔法少女リリカルなのはシリーズ、リボルバーナックル(両手・収納中)@魔法少女リリカルなのはシリーズ、ゆりのランダムアイテム0~2個、乱馬のランダムアイテム0~2個、山千拳の秘伝書@らんま1/2、水とお湯の入ったポット1つずつ、ライディングボード@魔法少女リリカルなのはシリーズ、ガイアメモリに関するポスター×3、『太陽』のタロットカード、大道克己のナイフ@仮面ライダーW、春眠香の説明書、ガイアメモリに関するポスター [思考] 基本:殺し合いには乗らない 1:生きる。 2:レイジングハート…。 [備考] ※参戦時期はvivid、アインハルトと仲良くなって以降のどこか(少なくてもMemory;21以降)です ※乱馬の嘘に薄々気付いているものの、その事を責めるつもりは全くありません。 ※ガドルの呼びかけを聞いていません。 ※警察署の屋上で魔法陣、トレーニングルームでパワードスーツ(ソルテッカマン2号機)を発見しました。 ※第二回放送のボーナス関連の話は一切聞いておらず、とりあえず孤門から「警察署は危険」と教わっただけです。 ※警察署内での大規模な情報交換により、あらゆる参加者の詳細情報や禁止エリア、ボーナスに関する話を知りました。該当話(146話)の表を参照してください。 ※一度心肺停止状態になりましたが、孤門の心肺蘇生法とAEDによって生存。臨死体験をしました。それにより、少し考え方や価値観がプラス思考に変わり、精神面でも落ち着いています。 ※魔女の正体について、「ソウルジェムに秘められた魔法少女のエネルギーから発生した怪物」と杏子から伝えられています。魔法少女自身が魔女になるという事は一切知りません。 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、ソウルジェムの濁り(中)、腹部・胸部に赤い斬り痕(出血などはしていません)、ユーノとフェイトを見捨てた事に対して複雑な感情、マミの死への怒り、せつなの死への悲しみ、ネクサスの光継承、ドウコクへの怒り、真実を知ったことによるショック(大分解消) 、首輪解除 [装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ、エボルトラスター@ウルトラマンネクサス、ブラストショット@ウルトラマンネクサス [道具]:基本支給品一式×3(杏子、せつな、姫矢)、リンクルン(パッション)@フレッシュプリキュア!、乱馬の左腕、ランダム支給品0~1(せつな) 、美希からのシュークリーム、バルディッシュ(待機状態、破損中)@魔法少女リリカルなのは [思考] 基本:姫矢の力を継ぎ、魔女になる瞬間まで翔太郎とともに人の助けになる。 1:翔太郎達と協力する。 2:フィリップ…。 [備考] ※参戦時期は6話終了後です。 ※首輪は首にではなくソウルジェムに巻かれています。 ※左翔太郎、フェイト・テスタロッサ、ユーノ・スクライアの姿を、かつての自分自身と被らせています。 ※殺し合いの裏にキュゥべえがいる可能性を考えています。 ※アカルンに認められました。プリキュアへの変身はできるかわかりませんが、少なくとも瞬間移動は使えるようです。 ※瞬間移動は、1人の限界が1キロ以内です。2人だとその半分、3人だと1/3…と減少します(参加者以外は数に入りません)。短距離での連続移動は問題ありませんが、長距離での連続移動はだんだん距離が短くなります。 ※彼女のジュネッスは、パッションレッドのジュネッスです。技はほぼ姫矢のジュネッスと変わらず、ジュネッスキックを応用した一人ジョーカーエクストリームなどを自力で学習しています。 ※第三回放送指定のボーナスにより、魔女化の真実について知りました。 【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、加頭に怒りと恐怖、強い悲しみと決意、首輪解除 [装備]:プリキュアの種&ココロパフューム、プリキュアの種&ココロパフューム(えりか)@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&シャイニーパフューム@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&ココロポット(ゆり)@ハートキャッチプリキュア!、こころの種(赤、青、マゼンダ)@ハートキャッチプリキュア!、ハートキャッチミラージュ+スーパープリキュアの種@ハートキャッチプリキュア! [道具]:支給品一式×5(食料一食分消費、(つぼみ、えりか、三影、さやか、ドウコク))、スティンガー×6@魔法少女リリカルなのは、破邪の剣@牙浪―GARO―、まどかのノート@魔法少女まどか☆マギカ、大貝形手盾@侍戦隊シンケンジャー、反ディスク@侍戦隊シンケンジャー、デストロン戦闘員スーツ×3(スーツ+マスク)@仮面ライダーSPIRITS、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!、大量のコンビニの酒 [思考] 基本:殺し合いはさせない! 1:さやかを助ける。 2:この殺し合いに巻き込まれた人間を守り、悪人であろうと救える限り心を救う 3:……そんなにフェイトさんと声が似ていますか? [備考] ※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。少なくとも43話後。DX2および劇場版『花の都でファッションショー…ですか!? 』経験済み そのためフレプリ勢と面識があります ※溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。鋼牙達との情報交換で悪人だと知りました。 ※良牙が発した気柱を目撃しています。 ※プリキュアとしての正体を明かすことに迷いは無くなりました。 ※サラマンダー男爵が主催側にいるのはオリヴィエが人質に取られているからだと考えています。 ※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました。 ※この殺し合いにおいて『変身』あるいは『変わる事』が重要な意味を持っているのではないのかと考えています。 ※放送が嘘である可能性も少なからず考えていますが、殺し合いそのものは着実に進んでいると理解しています。 ※ゆりが死んだこと、ゆりとダークプリキュアが姉妹であることを知りました。 ※大道克己により、「ゆりはゲームに乗った」、「えりかはゆりが殺した」などの情報を得ましたが、半信半疑です。 ※所持しているランダム支給品とデイパックがえりかのものであることは知りません。 ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※良牙、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 ※全員の変身アイテムとハートキャッチミラージュが揃った時、他のハートキャッチプリキュアたちからの力を受けて、スーパーキュアブロッサムに強化変身する事ができます。 ※ダークプリキュア(なのは)にこれまでのいきさつを全部聞きました。 ※魔法少女の真実について教えられました。 【響良牙@らんま1/2】 [状態]:全身にダメージ(大)、負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(大)、腹部に軽い斬傷、五代・乱馬・村雨の死に対する悲しみと後悔と決意、男溺泉によって体質改善、首輪解除 [装備]:ロストドライバー+エターナルメモリ@仮面ライダーW、T2ガイアメモリ(ゾーン、ヒート、ウェザー、パペティアー、ルナ、メタル)@仮面ライダーW、 [道具]:支給品一式×14(食料二食分消費、(良牙、克己、五代、十臓、京水、タカヤ、シンヤ、丈瑠、パンスト、冴子、シャンプー、ノーザ、ゴオマ、バラゴ))、水とお湯の入ったポット1つずつ×3、子豚(鯖@超光戦士シャンゼリオン?)、志葉家のモヂカラディスク@侍戦隊シンケンジャー、ムースの眼鏡@らんま1/2 、細胞維持酵素×6@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、歳の数茸×2(7cm、7cm)@らんま1/2、デストロン戦闘員マスク@仮面ライダーSPIRITS、プラカード+サインペン&クリーナー@らんま1/2、呪泉郷の水(娘溺泉、男溺泉、数は不明)@らんま1/2、呪泉郷顧客名簿、呪泉郷地図、克己のハーモニカ@仮面ライダーW、テッククリスタル(シンヤ)@宇宙の騎士テッカマンブレード、『戦争と平和』@仮面ライダークウガ、双眼鏡@現実、ランダム支給品0~6(ゴオマ0~1、バラゴ0~2、冴子1~3)、バグンダダ@仮面ライダークウガ、警察手帳、ショドウフォン(レッド)@侍戦隊シンケンジャー [思考] 基本:天道あかねを守り、自分の仲間も守る 1:あかねを必ず助け出す。仮にクウガになっていたとしても必ず救う。 2:誰かにメフィストの力を与えた存在と主催者について相談する。 3:いざというときは仮面ライダーとして戦う。 [備考] ※参戦時期は原作36巻PART.2『カミング・スーン』(高原での雲竜あかりとのデート)以降です。 ※夢で遭遇したシャンプーの要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」 「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。 尚、乱馬が死亡したため、これについてどうするかは不明です。 ※ゾーンメモリとの適合率は非常に悪いです。対し、エターナルとの適合率自体は良く、ブルーフレアに変身可能です。但し、迷いや後悔からレッドフレアになる事があります。 ※エターナルでゾーンのマキシマムドライブを発動しても、本人が知覚していない位置からメモリを集めるのは不可能になっています。 (マップ中から集めたり、エターナルが知らない隠されているメモリを集めたりは不可能です) ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※つぼみ、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 ※男溺泉に浸かったので、体質は改善され、普通の男の子に戻りました。 ※あかねが殺し合いに乗った事を知りました。 ※溝呂木及び闇黒皇帝(黒岩)に力を与えた存在が参加者にいると考えています。また、主催者はその存在よりも上だと考えています。 ※バルディッシュと情報交換しました。バルディッシュは良牙をそれなりに信用しています。 ※鯖は呪泉郷の「黒豚溺泉」を浴びた事で良牙のような黒い子豚になりました。 【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】 [状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、左肩に痛み、精神的疲労(小)、決意、眠気、首輪解除 [装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア! [道具]:支給品一式×2(食料少消費)、カオルちゃん特製のドーナツ(少し減っている)@フレッシュプリキュア!、毛布×1@現実、ペットボトルに入った紅茶@現実、巴マミの首輪、工具箱、黒い炎と黄金の風@牙狼─GARO─、クローバーボックス@フレッシュプリキュア!、暁からのラブレター 基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。 0:図書館の近くで魔女になるマミの事を──。 1:マミさんの遺志を継いで、みんなの明日を守るために戦う。 2:犠牲にされた人達のぶんまで生きる。 3:どうして、サラマンダー男爵が……? 4:後で暁さんから事情を聞いてみる。 [備考] ※本編終了後からの参戦です。 ※花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの存在を知っています。 ※クモジャキーとダークプリキュアに関しては詳しい所までは知りません。 ※加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。 ※放送で現れたサラマンダー男爵は偽者だと考えています。 ※第三回放送で指定された制限はなかった模様です。 ※暁からのラブレターを読んだことで、石堀に対して疑心を抱いています。 ※結城丈二が一人でガドルに挑んだことを知りました。 ※魔法少女の真実について教えられました。 【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】 [状態]:疲労(小)、胸部に強いダメージ(応急処置済)、ダグバの死体が軽くトラウマ、脇腹に傷(応急処置済)、左頬に痛み、首輪解除 [装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、モロトフ火炎手榴弾×3、恐竜ディスク@侍戦隊シンケンジャー、パワーストーン@超光戦士シャンゼリオン [道具]:支給品一式×8(暁(ペットボトル一本消費)、一文字(食料一食分消費)、ミユキ、ダグバ、ほむら、祈里(食料と水はほむらの方に)、霧彦、黒岩)、首輪(ほむら)、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、タカラガイの貝殻@ウルトラマンネクサス、スタンガン、ブレイクされたスカルメモリ、混ぜると危険な洗剤@魔法少女まどか☆マギカ、一条薫のライフル銃(10/10)@仮面ライダークウガ、のろいうさぎ@魔法少女リリカルなのはシリーズ、コブラージャのブロマイド×30@ハートキャッチプリキュア!、スーパーヒーローマニュアル?、グロンギのトランプ@仮面ライダークウガ [思考] 基本:加頭たちをブッ潰し、加頭たちの資金を奪ってパラダイス♪ 0:クリスタルステーションに向かいたい。 1:石堀を警戒。石堀からラブを守る。表向きは信じているフリをする。 2:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。 3:変なオタクヤロー(ゴハット)はいつかぶちのめす。 [備考] ※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。 つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)。 ※ほむら経由で魔法少女の事についてある程度聞きました。知り合いの名前は聞いていませんでしたが、凪(さやか情報)及び黒岩(マミ情報)との情報交換したことで概ね把握しました。その為、ほむらが助けたかったのがまどかだという事を把握しています。 ※黒岩とは未来で出会う可能性があると石堀より聞きました。 ※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。 ※森林でのガドルの放送を聞きました。 ※第三回放送指定の制限解除を受けました。彼の制限は『スーパーヒーローマニュアル?』の入手です。 ※リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキとクリスタルステーションの事を知りました。 ※結城丈二が一人でガドルに挑んだことを知りました。 【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】 [状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、首輪解除 [装備]:Kar98k(korrosion弾7/8)@仮面ライダーSPIRITS、アクセルドライバー+ガイアメモリ(アクセル、トライアル)+ガイアメモリ強化アダプター@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ+T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW 、コルトパイソン+執行実包(6/6) 、ロストドライバー@仮面ライダーW [道具]:支給品一式×6(石堀、ガドル、ユーノ、凪、照井、フェイト)、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×10、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×2)、テッククリスタル(レイピア)@宇宙の騎士テッカマンブレード、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、血のついた毛布、反転宝珠@らんま1/2、キュアブロッサムとキュアマリンのコスプレ衣装@ハートキャッチプリキュア!、スタンガン、『風都 仕置人疾る』@仮面ライダーW、蛮刀毒泡沫@侍戦隊シンケンジャー、暁が図書室からかっぱらってきた本 [思考] 基本:今は「石堀光彦」として行動する。 1:「あいつ」を見つけた。そして、共にレーテに向かい、光を奪う。 2:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る。 3:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する 4:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……。 5:クローバーボックスに警戒。 [備考] ※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。 ※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です(原作ではネクサスの光を変換する必要があります)。 ※ハトプリ勢、およびフレプリ勢についてプリキュア関連の秘密も含めて聞きました。 ※良牙が発した気柱を目撃しています。 ※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました。 ※殺し合いの技術提供にTLTが関わっている可能性を考えています。 ※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。 ※森林でのガドルの放送を聞きました。 ※TLTが何者かに乗っ取られてしまった可能性を考えています。 ※第三回放送指定の制限解除を受けました。予知能力の使用が可能です。 ※予知能力は、一度使うたびに二時間使用できなくなります。また、主催に著しく不利益な予知は使用できません。 ※予知能力で、デュナミストが「あいつ」の手に渡る事を知りました。既知の人物なのか、未知の人物なのか、現在のデュナミストなのか未来のデュナミストなのかは一切不明。後続の書き手さんにお任せします。 ※結城丈二が一人でガドルに挑んだことを知りました。 【涼邑零@牙狼─GARO─】 [状態]:疲労(小)、首輪解除、鋼牙の死に動揺 [装備]:魔戒剣、魔導火のライター、カセットアーム [道具]:シルヴァの残骸、支給品一式×2(零、結城)、スーパーヒーローセット(ヒーローマニュアル、30話での暁の服装セット)@超光戦士シャンゼリオン、薄皮太夫の三味線@侍戦隊シンケンジャー、速水の首輪、調達した工具(解除には使えそうもありません) 、カセットアーム用アタッチメント六本+予備アタッチメント(パワーアーム、マシンガンアーム+硬化ムース弾、ロープアーム、オペレーションアーム、ドリルアーム、ネットアーム/カマアーム、スウィングアーム、オクトパスアーム、チェーンアーム、スモークアーム、カッターアーム、コントロールアーム、ファイヤーアーム、フリーザー・ショット・アーム) 、スタンスが纏められた名簿(おそらく翔太郎のもの) [思考] 基本:加頭を倒して殺し合いを止め、元の世界に戻りシルヴァを復元する。 0:鋼牙…。 1:殺し合いに乗っている者は倒し、そうじゃない者は保護する。 2:会場内にあるだろう、ホラーに関係する何かを見つけ出す。 3:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。 [備考] ※参戦時期は一期十八話、三神官より鋼牙が仇であると教えられた直後になります。 ※シルヴァが没収されたことから、ホラーに関係する何かが会場内にはあり、加頭はそれを隠したいのではないかと推察しています。 実際にそうなのかどうかは、現時点では不明です。 ※NEVER、仮面ライダーの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。 仮面ライダーに関しては、結城からさらに詳しく説明を受けました。 ※首輪には確実に異世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。 ※首輪を解除した場合、(常人が)ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。→だんだん真偽が曖昧に。 また、結城がソウルメタルを操れた理由はもしかすれば彼自身の精神力が強いからとも考えています。 ※実際は、ソウルメタルは誰でも持つことができるように制限されています。 ただし、重量自体は通常の剣より重く、魔戒騎士や強靭な精神の持主でなければ、扱い辛いものになります。 ※時空魔法陣の管理権限の準対象者となりました(結城の死亡時に管理ができます)。 ※首輪は解除されました。 ※バラゴは鋼牙が倒したのだと考えています。 【左翔太郎@仮面ライダーW】 [状態]:疲労(極大)、ダメージ(大)、胸骨を骨折(身体を折り曲げると痛みます・応急処置済)、右腕切断、上半身に無数の痣(応急処置済)、照井と霧彦の死に対する悲しみと怒り、首輪解除、フィリップの死に対する放心状態と精神的ダメージ [装備]:ダブルドライバー(破壊)@仮面ライダーW、T2ガイアメモリ(アイスエイジ)@仮面ライダーW、犬捕獲用の拳銃@超光戦士シャンゼリオン、散華斑痕刀@侍戦隊シンケンジャー、魔導輪ザルバ@牙狼、スモークグレネード@現実×2、トライアクセラー@仮面ライダークウガ、京水のムチ@仮面ライダーW [道具]:支給品一式×11(翔太郎、スバル、ティアナ、井坂(食料残2/3)、アクマロ、流ノ介、なのは、本郷、まどか、鋼牙、)、ガイアメモリ(ジョーカー、メタル、トリガー、サイクロン、ルナ、ヒート)、ナスカメモリ(レベル3まで進化、使用自体は可能(但し必ずしも3に到達するわけではない))@仮面ライダーW、ガイアドライバー(フィルター機能破損、使用には問題なし) 、少々のお菓子、デンデンセンサー@仮面ライダーW、支給品外T2ガイアメモリ(ロケット、ユニコーン、アクセル、クイーン)、ふうとくんキーホルダー@仮面ライダーW、霧彦のスカーフ@仮面ライダーW、須藤兄妹の絵@仮面ライダーW、霧彦の書置き、スタッグフォン+スタッグメモリ(通信機能回復)@仮面ライダーW、スパイダーショック+スパイダーメモリ@仮面ライダーW、まねきねこ@侍戦隊シンケンジャー、evil tail@仮面ライダーW、エクストリームメモリ(破壊)@仮面ライダーW、ファングメモリ(破壊)@仮面ライダーW、首輪のパーツ(カバーや制限装置、各コードなど(パンスト、三影、冴子、結城、零、翔太郎、フィリップ、つぼみ、良牙、鋼牙、孤門、美希、ヴィヴィオ、杏子、姫矢))、首輪の構造を描いたA4用紙数枚(一部の結城の考察が書いてあるかもしれません)、東せつなのタロットカード(「正義」、「塔」、「太陽」、「月」、「皇帝」、「審判」を除く)@フレッシュプリキュア!、ルビスの魔剣@牙狼、鷹麟の矢@牙狼、ランダム支給品1~4(鋼牙1~3、村雨0~1)、翔太郎の右腕 [思考] 基本:放心・無気力状態。 0:フィリップ……。 [備考] ※参戦時期はTV本編終了後です。 ※他世界の情報についてある程度知りました。 (何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます) ※魔法少女の真実(魔女化)を知りました。 ※第三回放送指定の制限解除を受けました。彼の制限はフィリップ、ファングメモリ、エクストリームメモリの解放です。これによりファングジョーカー、サイクロンジョーカーエクストリームへの変身が可能となりました。 ※ダブルドライバーが破壊されました。また、フィリップが死亡したため、仮にダブルドライバーが修復されても変身はできません。 【レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはシリーズ】 [状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、娘溺泉の力で人間化 [装備]:T2ダミーメモリ@仮面ライダーW [道具]:バラゴのペンダント、ボチャードピストル(0/8)、顔を変容させる秘薬 [思考] 基本:悪を倒す。 1:零とは今後も協力する。 [備考] ※娘溺泉の力で女性の姿に変身しました。お湯をかけると元のデバイスの形に戻ります。 ※ダミーメモリによって、レイジングハート自身が既知の人物や物体に変身し、能力を使用する事ができます。ただし、レイジングハート自身が知らない技は使用する事ができません。 ※ダミーメモリの力で攻撃や防御を除く特殊能力が使えるは不明です(ユーノの回復等)。 ※鋼牙と零に対する誤解は解けました。 時系列順で読む Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所Next HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero - 投下順で読む Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所Next HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero - Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 孤門一輝 Next HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero - Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 高町ヴィヴィオ Next HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero - Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 沖一也 Next HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero - Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 蒼乃美希 Next HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero - Back 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 左翔太郎 Next HOLDING OUT 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おそらく、最も人気の信頼性と手頃な価格flahslightsの1今日、ハスキー懐中電灯はサイズ、デザインやルーメンパワーのすべての種類に来る。他は、充電式電池を必要としながら、これらのハスキー懐中電灯の中には、通常の日常の使い捨て電池で動作します。あなたはハスキー懐中電灯から得る光のビームが強力です。あなたは懐中電灯を購入したら、それはこの先何年も待機しますので、適切な世話をするために知っておく必要がありますがいくつかあります。 時間のある時点で、電球を変更したり、ハスキー懐中電灯の電池を交換する必要があります。ここでは、任意の頭痛なしに、これらのタスクの世話をするのに役立ついくつかの簡単な手順は次のとおりです。私たちが最初にあなたのハスキー懐中電灯の電池を交換で簡単に見てみましょう。 シールを破るために電池蓋を反時計回りに回しますcree led ヘッドライト。あなたは懐中電灯を防ぎ、キャップを外した後は、バッテリーを引き出します。 再び蓋の上にねじ込む前に、同じ方向に電池室指している新しいものを交換して、あなたの懐中電灯が行ってもいいです!単に指定されたバッテリーのサイズと数があることを確認してください。 原因通常の損耗するには、ハスキー懐中電灯の電球に損傷があるでしょうがございます。あなたは簡単に趣味の店や照明店で交換用の電球を購入することができます。あなたは電球を変更するために、ニードルノーズプライヤー、交換用の電球を除く、特殊な工具は必要ありません、それは簡単な手順で行うことができます。 指で、反射板の前面からベゼルを取り外します。今グリップ正面に反射体と反時計回りにねじる。これはハスキー懐中電灯からそれを緩めますレーザーポインター。今すぐ前にあるOリングを探してもそれを削除してください。 今、その顎とグリップ電球のベースにあなたの針鼻のプライヤーを使用する時間です。電球はソケットから緩んで出てくるように、あなたのペンチを反時計回りに回します。それを引き出します。 あなたが持っている交換を挿入し、指で時計回りの方向に二度回します。今、あなたはそれはあなたがそれを得ることができるようにソケットのようにタイトで知るまで電球を時計回りにねじるもう一度ペンチを使用しています。 すぐに戻って所定の位置にOリングを配置し、同様に所定の位置に反射板にねじ込みます。あなたのハスキー懐中電灯の反射鏡の前面にベゼルスクリューバック。 だから、あなたはそれだけでこれらのいくつかの手順を実行して自宅のハスキー懐中電灯の電池や電球を変更することはとても簡単です参照してください。あなたがあなたのハスキー懐中電灯を持っているでしょう別の問題が存在することはできません。ケースでは、、リラックスして、オンラインを求めますか。あなた自身の世話をすることはできません何もない - あなたはそれで問題になる可能性が何のためのヘルプを見つけるにバインドされています!
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三番目のN/ああ鳴海探偵事務所 ◆gry038wOvE ハードボイルダーは本来的には580km/hのスピードで走る事が出来るバイクであった。ただ、現状日本の道路でそれだけのスピードを出す事はできない為、左翔太郎も最高時速でハードボイルダーを走らせた事は風都内では殆どない。追跡、逃走、緊急時に限ってそれ以上の速度で走る必要があり、稀にスピードを早めさせて貰う事があるが、少なくとも「左翔太郎」の姿のままで60km/h以上出す事は滅多になかった。 今、この移り変わっていく港の景色をぼんやりと見つめながら、翔太郎はそんな普段の自車と比べた速度の低さを感じ取っていた。感じているのはおよそ30km/hの速度。非常にゆったりとしている。ダミードーパントとしての限界速度なのか、翔太郎を気遣った為なのかはわからない。理由を考えるほど頭は働かなかった。 レイジングハート・エクセリオンがダミーメモリで変身したこの贋作のハードボイルダーに今現在、翔太郎は載っている。彼女にガイアメモリの使用を注意する事もこの時はなかった。当然の指摘をする事さえ忘れるほど、彼の内心が一つの事に傾いていたのだ。 (フィリップ……) 亡き相棒の事であった。 一人の相棒の姿が黎明の空に蘇ってしまうのである。 海岸線の向こうには、まだまだ何も見えないが、だからこそ死者の国があってもおかしくないようで、あの向こうを目指したくなる。手が届かない遠い世界だ。 だが、本当に死人の顔をしているのは他でもない翔太郎だった。当分食べ物を受け付けそうにない渇いた唇は、舌で拭われる気配もなく、半開きの虚ろなまなざしは、どんな景色にも意識を傾けていないようにさえ見える。少し空いた口の中から、時折、バイクの揺れに従って小さな嗚咽が漏れるのが、辛うじて彼を生者にしていた。かつて、フィリップが一度いなくなり、あの長い一年が始まった時、彼は今と同じ顔を個室の鏡の前で見ていたはずだ。 今はサイドミラー越し、たまにそれと同じ物が見えている。 「……」 これでいよいよ、風都に帰る事が出来る仮面ライダーは、正真正銘一人になった。フィリップ、照井の二人の仮面ライダーは勿論、霧彦、冴子、井坂、大道、泉京水まで全員死んでしまった。 この場では、人数は時間が経過するごとに確かに減っていく。 合理性を考えるならば、──人間の命ひとつひとつは勿論、大切な物であるが、それ以上に──今の彼らはひとつの戦力という意味でも要される物であった。 主催者たる何者かは、もしかすれば今のガドル以上という事も充分にあり得る。 (勝てるのか……?) 翔太郎の頭には、ただ不安定で素朴な疑問。 バットショットは帰ってくるだろうか。 黒幕を倒したところで話は終わるのだろうか。 もっとたくさんの仲間がいても勝てなかった相手より遥かに強い主催者を打倒せるのか。 この物語で自分たちは自由と平和は掴みとれるのだろうか。 そして── (俺はもう仮面ライダーにもなれないが、──どうすればいい) ダブルドライバーは勿論、翔太郎の頭脳となるフィリップもいない、強化アイテムであるファングメモリもエクストリームメモリも破壊された、そして、利き腕を失った翔太郎は、これからもまともな行動にさえ支障を及ぼす。 更にそれだけではない。翔太郎は自分自身がそんな現実に打ちのめされて精神的まで萎縮している事をはっきり自覚していた。癪だが、それに抗う気力さえ無い事がそれを証明していた。たとえ今、仮に誰が何を言おうと、翔太郎の奥底にある力が覚醒する事はないだろうというほどに、彼の中が暗い靄が展開しているのだ。 到底、今の自分が戦える姿ではないのはわかっている。肉体的にも、頭脳的にも、精神的にも──それを認め切った時、彼の中に初めて、敗者の気分という物が舞い降りてきた。 これからどうするべきか、というのが彼の中でもわからなくなってくる。 あったはずの意志が小さくなっている──このままいけば完全になくなってしまうのは確かだ。 焦りはあるが、抗う気力がない。いっそ死者の方が百倍楽に、何も考えずいられる。 (今の俺には……何も) 左翔太郎という男が風都を守る事ができたのは、偏に仮面ライダーだったからである。 だが、仮面ライダーという存在を構成する為の諸要素が取り除かれた今、翔太郎は仮面ライダーではなく、ただの不慣れな障害初心者だ。この時もまた、右腕は頭の帽子が飛ばないように抑えようとしていた。 これでは、仮に精神的に落ち着きがあっても、一人の男としての活躍も望めない。 右腕がなければ敵の顔面にストレートパンチを叩き込む事もできず、当然仮面ライダーダブルや仮面ライダージョーカーに変身できてもまともな戦いができない。 自棄になって周囲に暴力を振るおうにも、右腕を振り降ろす事ができない。形のある空気が形のない空気を切るだけだった。 (──) この鬱屈とした感情が発散しきれずに、一度は苛立ちが脳内を支配する。 殺し合い。 その言葉通り、いずれ自分は脱落し、この殺し合いの終わりさえ見えないまま仲間たちの所へ逝ってしまうようなビジョンが見え始めた。 しかし、それを抑え込むのにも疲れはじめ、だんだんと、彼は何も考えなくなり、また一段、気力を失っていく。 レイジングハート・エクセリオンも、普段口うるさい魔導輪もその時、口を開く事はなかった。 △ 鳴海探偵事務所の中は、避難所と化していた。一人の男が起こした大火災で消えた街から、逃げるようにして生き延びた人間たちがそこで神妙な顔をしている。 椅子やソファの数もここにいる人の数を考えれば全く足らず、片足を楽に崩して床に立つ者もいる。例によって、気を使った花咲つぼみや高町ヴィヴィオが数分前までそうだったのだが、今は沖一也や石堀光彦がその役割を担っていた。当然、大の大人の男が女子二名の気遣いに甘んじるわけにもいかない。 事務所のデスクの椅子に躊躇なく座っているのが佐倉杏子だ。性格から来るある種の茶目っ気は、決してこの状況下で誰かを癒す事はなかった。 「さて、どうする」 翔太郎を待つ間、鳴海探偵事務所内にいる彼らは、今後の行動方針を話し合っていた。勿論、翔太郎が辛い境遇に立たされている事は理解しているが、今後についてはなるべく早く決めなければならない。ここで燻っていても時間ばかりが進み、一層不利になるだろう。 最終決戦は確かに近づいている。それに向けて、必要な準備を終えておき、最終決戦までの計画を立てておく。この島に残っている残りの問題も全て解決してから外に向かう予定である。 それはとうに決めていた。 チーム分けは四種類。 D-5エリアに向かうのは花咲つぼみチーム。──美樹さやかを救うという目的で。 図書館に向かうのは桃園ラブチーム。──巴マミを救うという目的で。 クリスタルステーションに向かうのは涼村暁チーム。──戦力増強の目的で。 ほか、なるべく翔太郎とともに待機する人間も数名欲しい。──休息場所や計画立案の目的で。 なるべく平等な戦力になるよう、13人を4つに分けるのである。基本的には本人の希望を叶えるように行動する事になる。ただ、やはり融通を利かせ合う必要もあり、あまりすぐには誰かが口を開く事はなかった。 少しだけ沈黙があった後、自然と誰かが口を開いた。 「おれはつぼみについていく。あかねさんも探さなきゃならねえし、動かねえわけには……」 「私はラブと行きます」 響良牙と蒼乃美希が言う。殆ど同時だった。彼らの場合は、おそらく親しい相手と同じルートを選ぶ事を考えたのだろう。良牙は、天道あかねを捜す目的がある以上、積極的に移動しなければならない。美希は一日かけて再会した友人と、これからしばらくは一緒にいたいのだ。そして、その選択による不都合は一切起こらないと判断した。 「俺は暁と行く。電力源は俺の手にあるしな」 暁の行く道には石堀光彦が続くようだ。一人が行けば、後は遠慮なく円滑に立候補が出る。 クリスタルステーションに行くのは、三体の超光騎士の為だ。だが、超光騎士を動かすには高圧電流によって、一度起動させる必要がある。石堀が変身する仮面ライダーアクセルのエレクトリックの力によってそれを可能とする。 他にも沖一也や響良牙などが電撃系の技を使う事ができるが、誰も挙げないならば早い内に安全なルートを目指したかったのだろう。だが、どうやら暁はそれでは不服なようだ。 「なんだよ、男と一緒かよ……」 「じゃあ、私も行きましょうか?」 更にそこに続こうとするのは、高町ヴィヴィオであった。 暁の言葉を真に受けたのだ。暁は残念ながらこの年代の少女に興味ナシという感じだが、不服な気分は少し和らいだ。多少雰囲気が和やかになると思ったのだろう、暁は彼女を歓迎するように能天気な笑顔を見せた。 おそらくレイジングハート・エクセリオンもこちらの道を選ぶだろう、という算段がすぐに暁の中で組みあがっていたのもこの笑顔を構成する一要因だ。 「私は──」 杏子は、こうして次々決まっていく中でも、まだ迷いがあった。 ラブとつぼみが行きたい場所は、実質「おめかしの魔女」や「人魚の魔女」の居場所だ。 その二体の魔女と杏子は知り合いだった。巴マミと美樹さやか──あの二人。 かつての魔法の師匠、巴マミ。 かつて対立した魔法少女、美樹さやか。 どちらに行くべきか──。二つの魔女を順に倒していく時間はない。 どちらにもそれぞれ、因縁があり、義理があり、未練がある。どちらかを選ぶという事は、どちらかを選ばないという事になってしまう。 桃園ラブ、花咲つぼみの二名も、おそらくは杏子が一緒に来てくれる前提で計画を立てている事だろう。どちらかを選ぶと同時に、そうでない方を裏切るのが「選択」なのだ。 悩んだ後で、杏子は言った。 「──悪い、つぼみ。私はラブと一緒に行く」 つぼみに謝りながら、杏子は自分が行く道を伝えた。このままマミと会った人間がいなければ当然、つぼみと一緒に行く予定だったが、ラブに会った今はそうもいかない。 しかし、つぼみは何となく察したのか、黙って頷いた。恨み顔をしているようにも見えるが、むしろ事情を解したうえで、自分自身で成し遂げようと言う決意ある顔だった。 自分自身で成し遂げる──あるいは、それも一つの正しい道だった。 杏子が来るか、来ないかという選択が、またこの先、運命を変えていってしまう事など、気づきもせず、ラブとつぼみは杏子の選択を歓迎した。 しかし── 「ねえ、きみは何でそう深刻そうに道を選んだのかな?」 零が首を傾げつつも、杏子の腹の内を探るように笑って訊いた。 杏子は、見透かされたような意思を感じ、一瞬で機嫌を損ねた。 「あ?」 眉間に皺を寄せて零の方を見る杏子に、零は相変わらず笑顔を崩さなかった。杏子にとっては、世界で最も邪悪な笑顔に見えるかもしれない。 重大な秘密を暴かれるのではないかという不安が杏子の脳裏を掠めた。 この男の髪先に視線を合わせると、零の方は強引に視線を合わせてくる。その視線をまた弾いた時、零は訊いた。 「二人がやりたい事って、結局何なんだ? 魔女を倒すって言ってるけど、今の様子だと、なんだか、只事じゃないね。……そっちの事情はずっと俺たちに黙っているつもりかな?」 この中で、杏子の隠している事を気にしているのは零だけのようだ。他の人間は問い詰める事もなく、零を止めるのでもなく、もしこれが機会になれば話してほしいとばかりに黙ってその様子を見つめていた。 「……」 「どう?」 零は、同じく秘密を抱えているだろうラブやつぼみにも視線を送ったが、それぞれ目を逸らした。 そんな様子を見て、零が、やれやれ、と嘆息しながら言った。 「……わかった。誰も答えないなら、俺もついていく事にしようかな」 何とかお茶を濁そうとする杏子に、零はそう勝手に決めた。 騒めくギャラリーを代表して、杏子が焦燥した様子で答える。 「はぁ!? ちょっと待てよ。時空魔法陣とかいう物の管理はあんたしかできねえんだろ!?」 「どうせ、行ける場所なんてもうそんなに残ってない。破壊された施設には時空魔法陣を発動できないんだ。たとえば、図書館の近くに行くにも、肝心の図書館、教会、風都タワーは全壊。更に言うなら、三人で行くには遠すぎる。村エリアにある車を使っていくのが一番の得策だから、運転できる人間が必要になる。きみたちは運転できる?」 佐倉杏子、桃園ラブ、蒼乃美希の三人だけで行くには、遠すぎるのだ。 村からそう遠くないD-5エリアや、時空魔法陣で移動できるクリスタルステーションはともかく、この距離の移動が徒歩であるのは難しい。 ましてや、女子中学生だけ三人というのは無理に決まっている。 「それなら、孤門さんをそちらに向かわせるべきです」 横から口を挟んだのはつぼみであった。 零は意表を突かれたようにそちらを見た。 「え?」 「涼邑さんは、私たちについてきてもらえませんか?」 「どうしてかな……」 零がそれを口にしながらも、なるほど、すぐに意図を理解した。 「……そうか。戦力バランスの問題か」 もし零が杏子についていくと、魔女を退治にしに行く二チームの戦力差が激しくなるのである。 ラブチームが、ラブ、美希、杏子、零。つぼみチームが、つぼみ、良牙、孤門。 「涼邑さんは杏子の意図がわからないみたいですけど、私についてくれば、杏子が何をしたいのかもわかります」 「だが、戦力バランスの沖さんを連れてくればいい」 「それも駄目なんです」 つぼみは、何となくこの場の様子を見て一也が一言も話さない意図も理解していた。 決して、他の人間に行き場を譲るつもりで黙っているわけではない。自ずと余り物になるこの「待機」という選択肢を考えているのだ。 それは、戦いたくないからでも、休みたいからでもなかった。 「だって、沖さんは、結城さんの腕を翔太郎さんに移植するつもりなんですから」 そう、左翔太郎の右腕が損失されたとしても、ここには丁度、おあつらえ向きの「右腕」が残っていた。誰もがその移植について一瞬考えただろう。ただ、それを口にしないのは、科学や医学に一切詳しくない人間には、それが現実性のある話なのかわからないからである。しかし、少なくとも科学の方面で一定の理解がある一也が思案しているという事は、アタッチメントの再移植は可能かもしれないという事だ。 「……その通りだ。しかし、実際に翔太郎くんの姿を見ない事にはどうにもならない。どのくらい損失したのかによって、アタッチメントを取り付けられるかどうかも変わる」 「……」 「ともかく、俺は向こうに着いたら、翔太郎くんの為に最善を尽くしてみるつもりだ」 机上に置いてある鋼の右腕を見つめながら、一也はそう言った。 零はそんな彼の様子を見て、考え直す事にした。杏子が隠しているらしい何かは、つぼみについていけばわかるという事である。それはおそらく間違いない。 戦力バランスを考えても、零が行くべき道は一つだろう。 「なるほど……。それじゃあ、仕方ないな。ほら」 零が魔戒剣を翻した。つぼみに向けて魔戒剣の柄を向け、つぼみに向けて押し出す。 咄嗟につぼみはその柄を掴む。どっしりとした重みのある鉛のような剣で、つぼみは思わず手を放してその剣を落としてしまった。音が鳴るも、地面から跳ね返る事もなく、重量級の物体が地面に落ちたのを感じさせた。 「あ、すみません……!」 慌ててつぼみはその剣を拾おうとするも、そのあまりの重量に、持ち上げる事ができなかった。その様子を見て、零は憂いの瞳で言った。 「やっぱり制限なんてかかっていなかったのか」 前に、ソウルメタルの重さについて結城丈二と語らった事がある。 あれは並の心の人間には持てない材質である。──いや、仮に常人の中でそこそこ精神の強い者でも、ソウルメタルを持ち上げる事は難しい。 しかし、結城は軽々と持ち上げた。それは、あの義手の力でもあり、結城のこれまでの仮面ライダーとしての長い戦いに依る所があったのだろう。 「こ、こんな重い剣で戦ってるんですか……」 「それはソウルメタルで作られた剣だ。心の持ちようで重さを変える。普通の人間じゃあ到底持てない。俺や鋼牙みたいに鍛えた人間じゃないとな」 「そ、そうなんですか」 「だが、結城さんはその右腕で確かに持ち上げて見せたんだ。きっとこれからも俺たちを助けてくれる。その右腕を絶対に無駄にするなよ」 一也は、その言葉に頑健な顔で頷いた。 △ (帰って来た……いや……) 左翔太郎は鳴海探偵事務所の前まで来ていた。 (違うな……) 鳴海探偵事務所という場所に辿り着いたとしても、それはただ彼を辛くするだけであった。眼前の「かもめビリヤード」という立札がこんなにも寂しく見えるのは、果たして何度目か。 鳴海壮吉が死んだ時も、フィリップが地球の記憶と同化して姿を現さなくなった時も、左翔太郎はこの看板を無意識的に見上げたかもしれない。いや、厳密には彼はその看板を見ようとして見ているのではなく、顔を上げると偶然視界に入ってしまうだけだったのだが。 「……はぁ」 吐息は溜息となった。 思わず、殺し合いの事を忘れてこの探偵事務所こそが自分の暮らした場所であるように感じて安心したが、その思いはすぐ、勝手に取り払われた。考え直してみれば、この鳴海探偵事務所は、これほど精巧に似せてあるというのに、全く別の物なのだ。 レイジングハートは、並んでいるバイクや自転車の横に自ずと駐車されたが、この事にも翔太郎は気づかなかった。自分が二輪車扱いで駐車されている事を言いだせず、仕方なく、ハードボイルダーの姿から再び元の姿に戻り、レイジングハートは翔太郎に訊いた。 「大丈夫ですか?」 「ああ」 レイジングハートの気遣いは翔太郎には無用だった。彼が精神的に成熟しているからではなく、どんな言葉や気遣いも耳にかからなくなるほど未熟だったからである。 横顔は何かに苛立っているように見えた。あまり話しかけて気分の良い相手ではなさそうだと、はっきりわかる。しかし、放っておいていいものか、それもわからずただただ言いようのない気まずさを感じていた。 「心配するな」 その言葉が、却って心配を煽る。全く、心配させない気のない「心配するな」の言葉であった。 「──」 その様子を見て、ザルバは意識的に口を閉ざした。翔太郎に対する失望があり、翔太郎に感じた共感やちょっとした思い出を口の中に仕舞い込むと、ザルバは暫くただの指輪になる事にした。 翔太郎が抱えているのは人間らしい弱さではあるが、戦士としてはあってはならない弱さである。きっと魔戒騎士には絶対になれない男だ。 翔太郎、レイジングハート、ザルバ──相棒を失った三人であるが、彼らは亡霊のようになりながらも半ば習慣的に事務所のドアへ向かっていく翔太郎の後を追った。 まだ雨音は鳴りやまず、彼らを濡らし続けていた。雨は布で厳重に止血されている翔太郎の腕にも沁みた。 △ 丁度、午前4時ごろだろうか。 それぞれが落ち着いていたところに、左翔太郎は入って行った。 翔太郎は、ドアの向こうの芋洗い状態の事務所の様子に、どこか幻滅したような表情を見せた。フィリップや鳴海亜樹子はそこにはいない。賑やかよりも、もう少し空っぽの方が良い。ずぶぬれの翔太郎を迎えたのは、この戦いを終わらせるべく思索を巡らせている男女だ。──それが、残念に思えた。 眠りこけている者もいる。──いや、気を失っているのだろうか。 翔太郎も眠りたかった。 「翔太郎くん……」 入るや否や、誰もが驚愕した表情で翔太郎を見つめていた 。 隣にいるべき男がなく、そこにあるべき腕がなく、目は輝きを失い、雨に濡れたまま現れた翔太郎──その風貌は、つい数時間前まで笑い合っていた翔太郎とは別人だった。 気力そのものが抜け落ちているというか、まだ落ち着けないというか……誰もがその変貌を見抜いたのは言うまでもない。 気障な台詞ひとつ出てこず、歩く時のよろけた仕草も一目に格好悪い。 「よう……帰ったぜ……」 翔太郎は、強がるようにして言った。いつもなら、少しは軽い印象を与える工夫をするはずが、今日は全く無気力でそうした工夫さえ見せる様子がなかった。口から言葉を吐き出しただけで、意味を込めて伝えようとする言葉ではなかった。彼が歩けば、事務所の床は一瞬で水たまりを作る。自分の事務所だからどうでもいい、という感じだろう。 すぐにでも倒れてしまいそうな彼を、真後ろでレイジングハート・エクセリオンが支えた。思った以上に水を吸っている彼は、レイジングハートの腕にも重かった。 「……?」 レイジングハートの顔を見て、そこにいる誰もが不審げになった。 それが誰なのか、他の誰もが知らない。変身を解いた状態の彼女を見た者は誰もいなかったのだ。それに気づいて、慌ててレイジングハートは言う。 「そういえば、この姿では自己紹介をしていませんでしたね。私はレイジングハートです」 「あ、ああ……君が。こりゃあまた随分」 彼女はまだ、自分の姿をはっきりと鏡に映していなかった。鏡は事務所にいくらでもあるはずだ。後でどうにかしたい。 自分の姿を全く知らないままこんな自己紹介をするのも変だったが、それぞれ納得したようだった。 「……さて、翔太郎くん。これからチームを四つに分ける」 一也が口を開いている間に、つぼみが自分の座っていたソファをどいて、翔太郎に席を譲った。ソファが水を吸って、そこだけ少し濃く色を変えてしまう。 石堀がタオルを投げたが、翔太郎はそれを手に取らなかった。頭の上に不恰好に乗せられたタオルに触れる者は誰もない。だが、そのまま一也が続けた。 「F-5エリアに向かう花咲つぼみチーム、図書館に向かう桃園ラブチーム、クリスタルステーションに向かう涼村暁チーム、そして村エリアに留まる人間だ。……君は待機でいいか?」 翔太郎は、黙って首を縦に振った。 できるのならこの懐かしい事務所に留まりたいと思ったが、そうも行かないのが辛いところだ。辛うじて、そんな駄々をこねないほどには仮面ライダーの使命を抱いていた。 大人になった以上、どうしても出てくる癖だ。自分の我が儘を周囲には言えない。 「ああ、俺は待機でいい。……変身もできねえし、これじゃあ役に立たねえしな」 ただ、役立たずになってしまった自分を自嘲する言葉は自ずと吐き出された。 変身アイテム、相棒、腕を一片になくした翔太郎は、今後の戦闘で自分が役に立たない事を重々自覚し、それが周囲に迷惑をかける可能性まで見えているのだろう。 その反応は、一也の予想通りである。厳しい事を言うが、今の彼は周囲から見ても役立たずであった。だからこそ、「待機」という選択肢の中に最初から翔太郎を入れていたのだ。 「──ッ!」 奥で、杏子が奥歯を噛み、怒りの表情を見せたが、それを言葉にするのは誰もが控えた。こうも予想通りに動くほど底の浅い男だと、杏子は思っていなかっただろう。これまでの私淑の感情を裏切られたような、そんな気持ちだった。 勿論、そうして待機してくれていた方が都合の良い事は変わらない。しかし、怒りを抑えるのを必死にした。 電話越しに要件を伝えたあの時よりも、きっと様々な思い出を反芻した。あの時聞こえた喉から干からびたような声の主は、身も心も骨のようになっていた。それが怒りに繋がってくる。 そんな杏子の顔に気が付いたのは、ただ一人、蒼乃美希だけだった。 響良牙も、黙って翔太郎の顔を見て、舌打ちしたい衝動を抑え込んだ。 △ 翔太郎は、そのすぐ後にはバスルームにいた。 この鳴海探偵事務所には、普段フィリップが住んでいた。トイレやバスルームもちゃんと設置されており、一応翔太郎もその場所は知っていた。 全身ずぶぬれ状態だった翔太郎は、自分の先ほどの疲れを洗い流していた。 右腕の先は布で覆われているが、この先を見ればおそらくは断面があるのだろう。このまま血を出さないよう、右腕を避けて冷水でシャワーを浴びた。 頭から被る冷水は、彼の頭の中身まで冷やしてくれる事はなかった。 (くそ……) 自分の無力が地面に幾重も叩きつけられているようだ。 鳴海探偵事務所内には、ちゃんと衣服も残されてあったが、どれも「右腕がある」と仮定したうえでのものだ。 中にはフィリップの服もあった。もう誰かが着る事はない。──以前も、そういえばそんな感慨とともにフィリップの服を漁った気がする。 「……っ」 こうして頭から水を被ると、やはり涙は流れてしまう。 隠す事ができる場所。男が一人でいられる場所。そこに立つと、やはりしばらく我慢していた物が再び流れ出てしまう。 「フィリップ……!」 翔太郎の嘆きの声がバスルームに響く。 大丈夫だ、ここには誰もいないはずだ。 『……おい』 しかし、バスルームの外の脱衣所から、靄がかかった声が聞こえた。 『あんたはもうこれ以上、戦う必要はないと思うぜ。後はおれたちに任せろ』 聞こえるのは、響良牙の声だ。 彼は、トイレに向かっていたはずが、どうやら全然見当違いの場所に来てしまったらしい。 しかし、一応脱衣所になっている場所に来たので、これを機会とばかりに服をデストロン戦闘員スーツから元の服へ着替えていた真っ最中だった。 着替え終わった後で、翔太郎の嗚咽と嘆きが聞こえてきたのだ。 良牙も本心ではない。 どこか苛立ちはある。しかし、それでも彼は、腕がない彼が戦う辛さや、友人を喪った翔太郎の悲しみを理解し、何とか汲んでやるつもりだった。 「……」 『ただ、一人機嫌を損ねてる奴がいる。……そいつには気をつけな』 そう気障に言い残して、良牙はその脱衣所から消えていった。 少し恥ずかしいところを見せてしまった気持ちで、翔太郎はしばらく黙っていた。 良牙は、その後、事務所の外で、慌てて良牙を探しに行ったつぼみによって保護された。 △ 「さて、首輪は解除した。これで君ももっと自由に動けるよ」 沖一也が、レイジングハートに言った。彼は、鏡台の前でレイジングハートの首輪を解除したのだった。既に首輪解除はお手の物といった感じだろう。 しかし、レイジングハートは構わず、ずっと鏡台の方を見つめていた。 そこで、一也からはアクマロやノーザの話を聞いていた。いずれも、既に倒された事になっているらしい。 「ありがとう、ございます……」 初めて、はっきりと見た自分の顔立ちは、浮かない顔という他なかった。 目の前にある鏡台は、光を吸収してレイジングハート・エクセリオンの今の顔を見せてくれている。月下の湖で見た自分の姿よりも数段、はっきりとその憂いの瞳に色を灯していた。 生まれたての体であるゆえか、皺や浮腫みもなく、誰かに傷つけられる事もまだない可憐な姿をしているのだった。 鏡に映った自分の姿に、レイジングハートは特別歓喜するでもなく、「こういうものか」と受け入れていた。 上手に喜ぶ事もできず、安易に人前で喜べる状況でもなかった。 「うーん……」 真横で唸るのは高町ヴィヴィオである。脳内の混乱が拭い去れないようだ。額の冷や汗と苦笑いは何か言いたげだが、何も言えないから唸り声だけが漏れたのだ。 こうしてレイジングハートが非人から人間になったというのは、喜ばしい話なのか、否なのか。当人でさえ理解していないところに周囲がフォローできるわけもない。 彼女の唸り声が耳をすり抜けた後で、レイジングハートはおもむろに立ち上がった。 そして、そのまま彼女の瞳が見たのは、涼邑零であった。 「俺に用かい」 「ええ」 「バラゴの事だな」 「その通りです。私の前では、龍崎駆音という名前を使っていましたが」 当然ながら、零に対する用事はバラゴに関わる話である。 先ほどから魔戒騎士とレイジングハートの間で巻き起こっている認識の祖語に回答を求めたい所だったのだ。 いや、あくまで、もっと中立な観点から彼を知りたいだけだったのかもしれない。 「奴は俺の父を、妹を殺し、俺の家族を壊し……それから鋼牙の父親も殺した魔戒騎士だ。俺は、それ以上は知らない」 「……しかし、駆音は確かに私を庇って死にました。悪い人とは思えません」 レイジングハートの言葉に、零は眉を顰めた。まるで別人の話をしているような違和感を覚えたのだ。仇を擁護される事に腹が立たないのも、その違和感がストッパー代わりになっていたからであり、レイジングハートのバラゴ像がもう少しでも零の知るバラゴに近かったら、零は機嫌を損ねただろう。 当然ながら、零はバラゴのまっとうな人間の部分を一切知らない。何故闇に堕ちたのか、その経緯も何も知らない。だからこそ、零の中でのバラゴのイメージは邪悪な鎧の怪物と同義な物に成り果てていた。仇、以上の情報はない。 「でも、同じように、誰かを庇って死んだ人がこの場にいます。それは、冴島鋼牙です」 零が恨みの瞳でレイジングハートを凝視したのは、その言葉を聞いた時だった。零の表情には気づいたが、彼女は続ける。 「私の推測ですが、それが魔戒騎士の宿命なのでしょう。たとえ、あなたの言うように闇に堕ちたとしても、守るべき物がきっと彼にもあった」 「……俺の前でバラゴを擁護するな」 零を苛立たせる事になる決定打といえば、今の一言であった。 魔戒騎士というキーワードと同時に、バラゴと鋼牙を結び付けた今の一言が、零にとっては不愉快だったのだろう。 「──わかりました。いずれにせよ、本人はもういません。あなたにとって仇で、私にとって恩人である。しかし、私とあなたは、今は仲間である。それ以上の答えは出ないかもしれません」 これ以上バラゴの正体を掴もうとすればするほどに、きっと二人の間に生まれる溝は巨大になるだろう。その果てにバラゴがいかなる人物なのか浮かび上がる事もない。 このまま水を掛け合っても仕方のない話だと、早々に自己解釈を諦めた。 「ああ、俺はそれでいい。あんたがあいつをどう思おうが、俺には関係ないしな。それでも俺は憎み続ける。きっと」 「……」 「それでいいだろ。俺はバラゴは嫌いだが、あんたは好きだ。綺麗だぜ、あんた」 そう茶化すと、零は薄く笑ってそっぽを向いた。 これ以上の対話を拒否しているのをはっきりと示していた。 △ 時系列順で読む Back あなたが遺してくれたものNext 三番目のN/孤門、目覚める 投下順で読む Back あなたが遺してくれたものNext 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 孤門一輝 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 高町ヴィヴィオ Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 沖一也 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 蒼乃美希 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 左翔太郎 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 佐倉杏子 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 花咲つぼみ Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 響良牙 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 桃園ラブ Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 石堀光彦 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 涼村暁 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 涼邑零 Next 三番目のN/孤門、目覚める Back 黎明の襲撃者(曇心 2 30~) レイジングハート・エクセリオン Next 三番目のN/孤門、目覚める
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「………」 廃病院の地下、霊安室。遺体のないその部屋に、白いブラウスの少女がいた。 上半身だけが現れており、下半身……具体的に言うとふとももの中ほどから下は闇に溶け込むように消えている。 ミナ。「百物語組」に属する怪異、その13番目。それが彼女を表現する言葉だ。 彼女は「恐れを映す鏡」。各地の「心霊スポット」と呼ばれる場所に己を移し、そこに踏み入った他者の心象を自分自身に投影し、それを実際の現象として現す。 「疑心は暗鬼を生ず」……疑い、恐れる心を持てば、何もない闇にも鬼がいるように思える。それをそのまま現した怪異。 ―――の、はずだった。 彼女に限らず「百物語組」は、「主」たる少女・秋山 春美が「実際にあった話」として語ることで現世に姿を現す。しかしミナの場合、語っている最中に何らかのアクシデントがあったらしく、半分ほどしか語られていない。そのため彼女の存在は、キリなどと比べて多分に概念的なものになってしまい、振るう力もまた半端。今の彼女は、意志を持った怪奇現象そのものでしかない。制御などほとんど効かず、また感情や心象の投影も不可能。唯一出来るのは恐怖の投影だけであり、おまけに自分がそれに共鳴してしまうという副作用つき。それに反応した防衛意識によって、周りで怪奇現象が頻発。少なからず被害者も出てしまっている。 「………」 だから彼女は、極力人を避けて過ごした。けれど、彼女が自由意志で動けるのは「心霊スポット」となっている場所とその周辺、あるいは春美のいる寺のみ。だから、逃げ回った挙句ミナはこの病院を選んだ。 この病院が廃棄された理由は経営トラブルが原因なのだが、関わった人脈が元で表ざたにはなっていない。そのためか憶測が憶測を呼び、今やいかせのごれどころか全国でも最恐クラスの心霊スポットとして名高く、「踏み入ってどうなるかはわからない。なぜなら、そこに踏み入った者は誰ひとり生きて帰っていないからだ」というありがたくない(ミナにとってはある意味ありがたい)噂までついて来ている。 そんな場所なら、迂闊に踏み入る人はいないだろう。そう考え、ミナは病院の奥、怪異である自分に親和性の高い霊安室に籠った。手術室とどちらにするか迷ったが、器具が置きっぱなしになっている上に出血の痕が残っており、怖すぎたためやめた(自分も怪異なのに、である)。 ただこんな場所だと、噂を聞いてなおやって来る人間がいた場合、その「噂」が現象として実体化したら死人が出てしまう。唯一の懸案はそれだったが、幸い何事もなく過ぎた。逢魔ヶ時は極力眠って過ごし、午前二時から十時頃にかけて動く。丑三つ時は「疑心暗鬼」にはある意味最適の時間帯なのだが、現状のミナにとっては、自分の力が影響を及ぼさない時間帯として息を抜ける数少ない時間だ。 そんな彼女に、この間訪問者があった。しかも二度。 一度目は、同じ「百物語組」の一人、「怪人赤マント」ことエトレク。 春美に挨拶するために寺に出向き、急ぎ足で病院を目指していたミナに話しかけ、「今から言う場所に『繋いでおいて』くれ」と言われた。戻ってからわけもわからずそうすると、女の子が襲われているのが見えた。「引きずり込む白い手」で捕まえていた者をこちらに引き込もうとしたが、振りほどかれて失敗。ただ、あの後どうにか収拾されたと聞いて、ほっと一安心した。 二度目は、つい昨日訪れた双子(だと思う)の少女。 妹の方が酷く怖がっていたため、それを思い切り投影して怪奇現象を久々に連発してしまった。幸いな事に姉の方が途中で立ち直ってくれたため、こちらのパニックもそれで静まった。結果として、最悪の事態にはならずに済んだ。 帰り際に「ヤマブキ」と呼ばれていた子がくれた、千代紙で折られた花。 春美や仲間以外で、初めて誰かに優しくされた証の、大切なものだ。 「………」 思い出すと、自然に笑みがこぼれた。その心の動きに対応するかのように、廃病院の中が心なしか明るくなったように思えた。感覚の鋭い人が、今ここにいたらわかったはずだ。 「ここには、何もなく、誰もいない」と。 世間で噂されているような幽霊や怨霊は、ここにはいない。ここは、ただの古ぼけた建物。それがわかったはずだ。 「よかった……」 なぜそう言ったのか、本人にもわからない。けれど、何となく、そう思った。 と、だ。 「!?」 入口の方から誰かの気配がした。馬鹿な。そんなはずはない。 例の双子が帰った後、誰かがうっかり立ち入らないように入口は念入りに閉めたはずだ。 なのに、誰かがこちらに近づいて来る、その気配だけがある。足音も、風を切る音もなく、ただ気配だけが近づいて来る。それを現す言葉を、ミナは一つだけ知っていた。 「ゆ、幽霊……!?」 途端に恐怖が込み上げて来た。……くどいようだが、ミナ自身も怪異である。 霊安室の扉は開いたままだが、閉めに行く事が出来なかった。もし、その「誰か」と鉢合わせたら、正気を保っている自信がない。それくらい、今彼女は怯えていた。 気配はどんどん近づいて来て、霊安室の直前まで到達している。 「――――ッ!!」 恐怖に耐えきれず、叫びが迸ろうとした所に、 「あ、やっぱりここにいたのね」 聞きなれた声が届き、恐怖が霧散してなくなった。 「……琴音、さん?」 「ええ、私よ」 入口からひょこっと顔をのぞかせたのは、しばらく前から寺にいる精神体の女性。 山吹色の髪と、二児の母とは思えぬ若い、というか幼い身体が特徴の彼女は、「火波 琴音」。ミナ達「百物語組」や春美とも顔なじみの、かなりフリーダムな女性だ。 確かに彼女であれば、扉が閉まっていようが壁が立ちはだかろうが関係ない。 「よ、よかったぁ……幽霊かと思っちゃいました」 「や、幽霊って言ったら私も似たようなものだけどね……というか、何度も言ったけど、ミナちゃんだって妖怪っていうか怪異でしょ?」 「それでも怖いものは怖いんですーっ。……ところで、琴音さんはどうしてここに?」 「いや、それがね……」 「ちょっと出かけたら、戻る道がわからなくなっちゃって」 がくっ、とコケた。 「ま、迷子になっちゃったんですか」 「有体に言えばそう言うこと。というわけでミナちゃん、お寺まで送ってくれない?」 「は、はあ……いいですよ。手を繋いでください」 ミナの力で、現状制御が出来るのが、基本となる「心霊スポットへの転移」だ。これには寺が含まれているため、琴音を連れてそこまで跳んでしまおう、ということだ。人外限定だが誰かを連れて行く事も出来る。 「では、行きます」 「ん、よろしく」 言うが早いか視界が歪み、戻った時そこは、春美や「百物語組」の仲間がいる寺だった。 が、今日はお客が一人。 「あら?」 「エトレクさん……と、どなたでしょうか?」 入口から入って来たばかりの二人組……エトレクと、それに伴われた墨色の髪の女性。 活発そうな服装をした彼女は、なぜか琴音とミナがいる方をじーっと見ている。 (見える、んでしょうか?) (……かも知れないわね) 囁き合う二人は、「彼女」が誰か、まだ知らない。 十三番目が病院にいる訳 (傷つけるのも、傷つくのも嫌だった) (だから、誰も来ない場所に逃げ込んだ) (少なくとも、今まではそれでよかった) (そんな彼女が取り持った、一つの邂逅)