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鑑別 頻度高い 外傷 抗血小板薬・抗凝固薬服用中 ヤバイ 後鼻出血
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病原体 感染経路 症状 予防法 危険度 腸管出血性大腸菌(O157、O111など) 家畜や患者の便に汚染された水や食品から経口感染 感染後4〜8日程度してから、激しい腹痛、血便を伴う下痢が起こる。患者の約10%は溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発する。HUS患者の約3%は死亡する。 十分な手洗い、75度1分以上の加熱調理。なお、3類感染症のため、患者は原則隔離入院となる。 論外+
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I 循環抗凝固因子による出血傾向
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2008年2月。奇しくも誕生日の次の日、24歳の若さで僕は「小脳出血」を引き起こしました。 ここには、僕が小脳出血を発症して、入院し、退院そして回復するまでのことを記録したいと思います。 僕自身、入院中にある人がwebで公開していた闘病記録を読んだことがとても励みになりました。 同じように、この病気で苦しんでいる人にとって少しでも参考になればと思うのと同時に、 辛かったあの時の気持ちと、お見舞いに来てくれたたくさんの友達や先生たちへの感謝、健康の大切さ、 そして何より、片道100kmの道のりを何度も往復して、仕事も休んで通って世話してくれた両親への感謝の気持ちを 忘れてはいけないと思い、 当時の記録をwebで公開したいと思います。 発症、そして入院 2008/02/04 修士論文も提出し、数日後に控えた修論発表の練習を研究室で行い、 少し早めにこの日は帰宅する。 トイレで一息ついたころ、後頭部あたりに「クラッ」という感覚を覚える。 (この時、根拠はないが、「あ、なんかヤバい感じがする」と思ったことを覚えている。) その後しばらくして、吐き気に襲われる。 この日は、「あ、風邪ひいたっぽいなぁ」と思い、市販のかぜ薬を飲み、早めに寝ようとする。 しかし吐き気がとまらない。 吐き気がひどくなり、吐く。 かぜ薬をもう一つ飲もうと思ったが、この日は寝る。 02/05 朝、起きる。 この時点で、吐き気が昨日よりひどくなっている。 さらに、ひどいめまいがしている。 冗談じゃなく、本当に目の前の世界が回っている。 幸い、頭痛はない。 ロフトから降りなくてはいけないが、めまいのためにまっすぐ降りられない。 壁づたいになんとか降りる。 風邪ではないなと思ったが、この時は食中毒(ノロウイルスがはやっていたので)にやられたなと思った。 病院に行かなくてはと思い、内科を調べる。 近所の内科に電話する。 「申し訳ありません、本日、休診です」と言われる。 吐き気とめまいは徐々にひどさを増していく。 他の病院を探す気力がなくなる。 めまいがひどく、もはや立っていられなくなる。 クルマを運転できるとも思えない。普通じゃないなと思う。 意識がもうろうとしてくる。 3分に1回吐いている状態。 もはや何も出ない。 吐きすぎて体力も奪われ、苦しいながらも眠くなってくる。 寝たらヤバイ気がして、救急車を呼ぼうと思ったが、この時まだ冷静で、 「救急車はなにか大掛かりだなぁ」と思い、 後輩に電話してきてもらう。 昼過ぎ、後輩が来てくれる。 ビニール袋をもって、近くにあった日赤病院につれて行ってもらう。 このあたりから記憶が断片的になる。 数分で日赤につく。 この時、もうクルマから降りられなくなっていた。 だれか呼んできてくれと頼む。 後輩が車椅子をもってきてくれる。 どの部屋に入ったのかわからなかったが、ベッドに寝かせてもらい、毛布をかけてもらう。 吐き気はとまらず、繰り返し吐く。 夜になり、研究室の先生と先輩、運んでくれた後輩がきてくれる。 看護婦さんが、「本人は家に帰ることを希望している」と言ったのが聞こえる。 もはやしゃべる体力ものこってなかったが、帰ったら絶対にヤバイのはわかっていた。 そもそもそんなことは言ってない(と思う。記憶にないのかもしれないが) 「そんなこと言ってません…」と言った。 先生たちも、これは帰らせたらまずいだろうと思ったという。 なぜ看護婦さんがああ言ったのかは未だに不明。 ウイルス性の胃腸炎かもしれないねということになり、入院する。 02/06 ベッドでとりあえず寝てすごす。 移動は車椅子になっていた。 吐き気は、最初にくらべ少しマシになっていたが、あいかわらず吐く。 めまいは、右に倒れそうになるようにおこっていた。 食欲はない。 02/07 耳の中の検査や、血液検査をする。 しかし特に以上なし。 最後に、脳のCTをとる。 ここで異常がみつかる。 婦長さんが僕の横に来て、真剣な顔で、 「脳の写真に異常がみつかりまして…」 と言った時には、血の気がひいたのを今でも覚えている。 すぐに、脳外科専門の病院に搬送される。急患の扱いを受ける。 搬送先でふたたび、CTと、今度はMRIをとる。 フラフラの状態の自分には、20分近くのMRIはきつかった。 主治医の先生が「小脳出血」だという説明をしてくれる ここで初めて病名が明らかになる。 このあたりから、吐き気はあるものの、吐くことはなくなる。 ICUに入る。 02/08 0.3ccの出血があったと言われる。 しかしMRIでも、詳細な出血場所などはわからない。 もっと精密な検査をする予定、と言われる。 点滴をうちながら、ベッドで安静にするだけの日々が続く。 点滴も、治療薬ではなく、ご飯を食べない代わりのブドウ糖のようなもの。 左を向いて寝るとラクだが、右を向いて寝るとダメ。気持ち悪い。 首を大きく振ったり、早く振ったりできない。 02/09 一般病棟に移る。 少しずつ症状はよくなっているのを感じたが、 それでもまだまだ日常生活は無理という感じ。 吐き気とめまいは相変わらずひどい。 車椅子も卒業し、点滴を吊るす柱を杖がわりに使って歩く。 トイレにも一人でいけるようになる。 02/10 一日中、横になっているだけ。 特に変わりなし。 02/11 気持ち悪い(吐き気とめまい)がよくならない。 先生に伝え、新しい点滴が始まる。 グリセオール 200ml 朝6 00夕6 00 水をたくさん、一日1L以上飲んでくださいと言われる。 02/12 点滴のおかげか、気分がよくなってくる。 吐き気もめまいも少しラクになる。 支えなしでも歩けるようになる。(フラフラではあるが) たいがい、午前中は調子がわるい。 この日、入院してから初の入浴ができる。 02/13 本を少し読む。 10分くらいで気持ち悪くなる。 この時、4月からの社会人生活の心配というより、 この症状はよくなるのか、本も読めないまま一生をすごすのか、 そもそも治るのか、というような 先の見えない不安に襲われる。 しかしながら、この日から食欲が少し出てくる。 02/14 午前中もそこそこ調子がよい。 フラつくものの、だいぶ、起きて歩き回れるようになる。 しかし、ずっと起きてると疲れる。 寝ていても気持ち悪いときは気持ち悪い。 目が、より目になるような力を眉間のあたりに感じる。 この日まで、基本的に熟睡はできていない。 02/15 この日は結構ぐっすり眠れる。 午前中は調子が悪かった。 昼飯後、2hくらい昼寝をする。 起きると、調子がよかった。 風呂に入る。 前回の風呂もそうだったが、入浴後は調子が良い。 廊下の白線の上を一本橋のように歩いてみたが、すぐ落ちた。 片足立ちは結構できた。 02/16 今日は比較的調子がよい。 精密検査を、22日にやる予定になったと伝えられる。 マンガを読むようになった。 しかしずっと読んでることができないため、 読んでは休み、の繰り返し。 研究室のメンバーがiPodを持ってきてくれたので音楽を聞く。 好きなはずのメロコアが頭に響いてあまり聞けない。 02/17 検査の詳細を聞く。 脳血管撮影という検査をやると言われる。 脳の血管に造影剤を流して、そこの写真(レントゲンかな?)を撮るというもの。 検査に先立って、 方法、副作用、起こりうるリスク、危険性などの説明を受ける。 怖くなる。 同意書を書く。 この検査の結果によって、治療を続けるか、手術をするか、はたまた退院するか、 という判断をするという。 いまあるふらつきとか吐き気の症状は、 完全には治らないとのこと。~ 人によって回復の程度はあるものの、 少なからず残る場合もあるという。 一生付き合っていかねばならず、慣れるしかないという。 信じられなかったし、ショックだった。 とりあえず検査にむけて心の準備をしなきゃと思った。 02/18 お見舞いでいただいたフルーツをよく食べる。 雑誌を読んだりマンガを読んだりテレビを見たりする。 しかし長くは続かない。せいぜい10分か。 疲れたので少し昼寝をする。 ボーッと空と雲を眺めたりする。 そういえば入院する直前、 修論に追われていて、 ゆっくり空でも眺めながらぼーっとしたいなぁなんて思っていた。 いまそれが実現できている。 でも、違った。こんなんじゃない。 吐き気とめまいで一日中気持ち悪いのと戦っているせいで、 空を見てぼーっとしても何も落ち着かない。 いつもならキレイな空だなぁなんて思うところだけ、ど そんなことを思う余裕がこれっぽっちもない。 空を見て、ぼーっとする。 たったそれだけのことをするのにも、 まず健康だっていうことが大前提なんだと、 身をもって感じた瞬間だった。 02/19 風呂に入るまで体調最悪。 人と話をしていると、気持ち悪いのも結構ラクになる。 同じ病室の患者さんと、この日初めて話した。 前から話しかけようって思ってたけどなかなかできなくて、 今日はだいぶ勇気をふりしぼって話しかけてみた。 みんな、僕とは比べ物にならないくらい重病の方々で、 でも、みんなリハビリや治療を本当に前向きにがんばっていて、 それを支える奥さんと二人三脚で、 本当にがんばっていた。 みなさん、半身不随、言語障害という後遺症をかかえている人たちだった。 半身不随というのは本当に大変なことで、それは隣で見ていて痛いほどに感じた。 車椅子に移るのも、ご飯を食べるのも、本をとるのも。 自分より大変な人は世の中にたくさんいるんだ、 自分はまだまだいいほうだった、だから弱音は吐けない。 だからがんばれたのかもしれない。 この日から、夜の点滴がなくなる。 02/20 伊藤園のフルーツミックスがうまい。 内定先の会社が、6月まで入社を猶予してくれるという。 先生から伝えられる。 本当によかった。 02/21 点滴が今日の朝で終わる。 ずっと刺していた針を抜く。 検査をいよいよ明日に控える。 検査のあとは、6時間仰向けで、動いてはいけないことになっている。 そのため、トイレにいけない。 尿瓶にするか、尿道に管をとおすか、という選択を迫られる。 看護婦さんいわく、尿道に管はとてつもなく痛いらしい。 僕は、それだけは絶対に避けたかった。 断固拒否し、尿瓶にしてもらった。 入院時からずっとだが、 食事中と食事後に、すごく気持ち悪くなる。 この日も例外なくそうなる。 少し吐き気。 ふらつきも有り。 脳血管撮影 02/22 今日は脳血管撮影の日。 右足の付け根に穴を開けて そこから脳の大きな血管までカテーテルを通し、 造影剤を投入する。 体は動かないようにガッチリ縛られる。 足の付け根に局部麻酔。 造影剤が投入されたときは脳(左脳と右脳交互に)がとてつもなく熱くなり、 首筋がものすごくしめつけられる感じになる。 造影剤が入るたびに全身に力が入り、 ものすごく体力を奪われる。 1hほどで検査が終わる。 その後6hの間動いてはいけない。 両親がそばですべての世話をしてくれる。 ご飯も食べれないので食べさせてもらう。 寝返りも打てず、本当にしんどい。 お医者さんもいっていたが、検査よりもこっちのほうがきつい。 6h経過し、副作用等もなく体調もとくに変化なし。 検査は無事おわったようだ。 足の付け根にカテーテルのときの小さなキズが残る程度だった。 02/23 検査の結果がでた。 とりあえず、手術の必要はないといわれる。 しかし、出血の原因は特定できないということだった。 考えられる病名は「海面上血管腫」だといわれた。 これは、特に悪さをする可能性が高くないので、 今後は経過観察になり、 とくに治療も必要ないため、 明日、退院になりますということだった。 しかしながら体調はまだまだ優れない。 めまいと吐き気はあいかわらずだが、 もっと悪い患者さんのためにベッドは空けなければならない。 自宅療養ということになった。 退院 02/24 この日、無事退院した。 お世話になった先生、看護婦さん、同じ部屋のみんなにあいさつをして 病院をあとにした。 20日ぶりに外に出た。 20日間も病院のなかにいると、 外の世界とはこんなにも厳しいものかと感じた。 吹く風も、退院直後の僕にはしんどかった。 とりあえず実家にもどって、療養することになった。 思えば、発症からここまで、いったいなんだったんだろうって思う。 言えることは、 食事はちゃんと摂れ 睡眠はちゃんととれ 規則正しい生活をしろ 無理はするな ストレスをためるな ていうことだと思う。 あたりまえのことだけどこれを守らないと本当に、 最悪、僕みたいになる。いや、もっとひどいこともあるだろう。 社会人になる直前にこういう病気をしたことはある意味、 今後の働き方には気をつけろという警告だったのかもしれない。 無理をして働いて得られるものはあるだろうが、 失うもののはもっと大きいんだぞってことを 教えてくれた病気なのかもしれない。 この後2週間ほど実家で静養して 徐々に普通の生活に戻していった。 家で寝ているよりも普通の生活をこなしていったほうが、 体調の戻りがはやかった。 リハビリみたいなことになったのかもしれない。 こうして退院から1ヶ月強ほどで 発症前ほどにまで回復し、 無事入社式を迎えることができた。 この経験は一生わすれないだろう。 最後に、 文中には書かなかったが、 入院期間中本当にたくさんの友達がお見舞いに来てくれた。 お見舞いの品もたくさんもってきてくれた。 足しげく通ってくれた友達もいた。 遠くからはるばるクルマを飛ばして来てくれた友達もいた。 本当に、みんな本当に心配してくれて、 でもその心配してくれる気持ちが嬉しくて、 言葉だけでは感謝の気持ちは表しきれないくらい、 本当に、ありがとう そして、一関-仙台間を何度も往復して来てくれて 身の回りの世話をしてくれて 誰よりも心配してくれた 父さんと母さんに 本当にありがとうを言いたいと思う。 迷惑をかけてしまったが、 父さん母さんの子でよかった。 本当にありがとう。 2008/09/17
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(1) Indomethacin Prophylaxis to Prevent Introventricular Hemorrhage (IVH) Association between Incidence and Timing of Drug Administration. J Pediatr 2013; 163 706-10 インドメタシン予防投与において生後6時間以前の投与と6時間以降の投与ではIVH発生頻度に差はなかった. 女児のみでは生後6時間以前の投与群の方が重症IVH(grade 3-4)の頻度は低かった. (2) Long-Term Effects of Indomethacin Prophylaxis in Extremely-Low-Birth-Weight Infants. N Engl J Med 2001; 344 1966-72 超低出生体重児において, インドメタシン予防投与を行うと脳室内出血の頻度が低下した.
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autolink 思考の大出血/Thought Hemorrhage (2)(黒)(赤) ソーサリー プレイヤー1人を対象とする。土地でないカード名を1つ指定する。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。思考の大出血はそのプレイヤーに、これにより公開された指定された名前のカード1枚につき3点のダメージを与える。そのプレイヤーの墓地と手札とライブラリーから、その名前のカードをすべて探し、それらを追放する。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。 《思考の大出血/Thought Hemorrhage》をGathererで確認 《思考の大出血/Thought Hemorrhage》をGoogleで検索 《思考の大出血/Thought Hemorrhage》が使用された大会 取得中です。 カードテキスト転載元:Wisdom Guild様 2011 / 10 / 30
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ツノウサギと名乗った鬼の手により殺し合いの幕が開いて30分。 藪の多い木立でうずくまる小さな影があった。 冷静に周囲に気を配りながら、静かに深呼吸を続ける少女。 彼女の名前は君野明莉。 光明台小学校に通う六年生の小学生だ。 勉強もできて運動もできて顔もかわいい、その上明るい性格と周りへの気遣いができるという天に二物どころか三物も四物も五物も与えられた女の子である。 もちろん本人はそのことを鼻にかけたりしない。性格がいいから。そして性格がいいから自然と周りから人気が集まるので、四年生の時から三年連続で生徒会長をやっている。 ダメ押しに、ふつうの人間には一生あってもできないような経験もしていた。 迷宮教室。 行先マヨイと名乗る怪人物による、生徒を苦しませることだけを目的とした死の授業だ。 カゲアクマという化け物に襲われ、触れられれば苦痛と共にカゲアクマになり、理性を無くしてマヨイに操られる。 明莉は幼なじみのヒカルや遊と共に封鎖された学校に六年一組の生徒全員と拉致され、カゲアクマをけしかけられ、何度も何度も仲間を犠牲にする選択を強いられた。 そして奇跡的に元の日常に帰れたと思ったら、今度もまた変なやつに命がけのゲームを強制される。そうなったならこの殺し合いを前回の迷宮教室と同じようなものと思うのは当然だろう。 ただ明莉は、今回は前回よりももっと危険だろうと感じていた。 前はやさしくて頼りになるヒカルや、おだやかでプロEスポーツプレイヤーの遊、他にも様々な特技を持ったクラスメイトが一緒だった。しかし、今回は明莉一人。場所も六年間通った小学校ではなくどこかもわからない森の中。さらに、首には人を殺すことのできる首輪。前にはなかった、さびしさが怖さを強くする。 (もう30分ぐらいしたかな。何も動きがない。) 押し寄せてくる不安に体が潰されるような気がするが、それでも動こうとはしない。実はこれまでに何度も行動を起こすべきかは考えてはいた。しかし一度のミスが死を招く状況だという理解が軽挙をとらせない。それが迷宮教室での経験だった。動くのであれば、頭を使い続けなければならない。 困難な状況に自然と想像するのは親友のことだ。 ちょっと天然で、でも時々すごいひらめきをして、どんなピンチの時も絶対にあきらめない、そんな自慢の幼なじみがヒカルだ。 四年生で生徒会長になる時も、ヒカルの言葉があったから明莉はやろうと思えた。 この前の迷宮教室でも、ヒカルの諦めない言葉とひらめきで脱出することができた。 そんなヒカルが、この殺し合いに巻き込まれているかもしれない。そう思うと胸が張り裂けそうで、でもヒカルがいるならなんとかなると思えて安心できて、明莉は複雑な気持ちになる。 ヒカルだけではない。幼なじみの悠は素晴らしいゲーマーであり、大切な友人だ。彼もまた巻き込まれていてほしくないが、しかし、いてくれたら心強いだろう。 (迷宮教室と同じなら、きっと2人も巻き込まれてる。違うなら……むずかしいかな。ん?) 仲間に思いをはせながらも周囲への警戒に気を抜かない。だからだろう、その声に素早く耳を傾けられたのは。 カゲアクマを警戒してここまで静かに動かないようにしていたが、功を奏したようだ。明莉より少し年上らしい少女だろうか、聞こえてきたのは「おーい!」と呼びかける声だった。 明莉は一瞬逡巡した。この殺し合いの場で大声を出す人間のリスクとその心情、どちらも理解できる。あの声に答えることは、単に殺し合いに乗った人間と遭遇しかねないこと以上の危険性をもつ。しかし同時に、今の手詰まりな状況を変えて信頼できる仲間を手に入れるチャンスだ。 「静かにさせないとあの子危ないかも。」 迷っていたのはほんの僅かな間だった。こういう時に明莉が取るべき行動など一つだった。 「えっ、ええっ!」 「あっ! いたよ、小狼くん!」 そう思って立ち上がり木々の間に目をやった明莉は、思わず驚きの声を上げてしまった。慌てて口を閉じるももう遅い。そのほうきに乗った少女と目があった。 ほうきに乗った少女と目があった。 ほうきに、乗った、少女と。 (と、飛んでる!? 空を飛んでる!?) 思わず明莉はまじまじと見てしまう。 霧でよく見えないが、たぶん、明莉より何歳か上の少女が、どう見てもほうきに乗って、2メートルから3メートルほどの低空を飛んでいる。そしてよく見たら、後ろには同じぐらいの年の男子がいた。 いまいち説明がしにくい独特な服装をした、明るくはつらつとした少女。その後ろの真っ白なカッターシャツと紺のスラックスに泥で汚れた革靴の制服の少年。2人とも中学生ぐらいか。 2人からは緊張してる感じが伝わってくる。でもマヨイから感じたような、ドロっとした悪意みたいなものはない。それどころじゃないっちゃないが。 「一応聞いておく、殺し合いには乗ってないよな?」 「は、はい。あの、私、君野明莉。あなたたちは?」 少年の問いに素直に答えてしまう。人と出会ったらやろうと思っていた対応はほとんど飛んでしまったが、なんとか言葉を絞り出した。 「李小狼、こっちは星乃美紅さん。俺たちも乗ってない。君野、これまでに誰か会わなかったか?」 「ううん、あなたたちが初めてで、その、なんで空中浮遊してるの?」 「えーっと、イリュージョン?」 「イリュージョン……」 星乃さんと紹介された少女が適当に言ったことをオウム返ししてしまう。1人だと思ったら2人だったり空飛んでたりまだ頭が混乱しているが、それでもなんとか理性的な対応を心がける。 「あんまり驚かないんだね?」 「まあ、その、そういうものかなって。」 「いやいや! 納得しちゃだめだよ!」 「えでも、イリュージョンって。」 「言ったけど! 説明しにくいからそれで納得してほしいけど!」 「なんかあの、家庭のご事情があったりするのかなって。」 「ごめんねなんか気を使わせて……」 「まあ、初めてじゃないんで。」 迷宮教室での経験が生きた。明莉は空飛ぶほうきを「そういうものカテゴリー」として頭の中のタンスにしまうことにした。 「それよりも、この殺し合いをなんとかしたいんです。聞きたいことはたくさんあるけど、そのために協力したくれませんか?」 「いいけど、見ての通りけっこう怪しいよ、空飛んでるし?」 「その事情はもちろん聞きたいです。でも一番聞きたいのは、この殺し合いを止めることです。」 「俺も星乃さんも、こんな殺し合いを止めたいと思っている。そこにお前と違いはない。それより君野、さっき『初めてじゃない』って言っていたが、どういう意味だ?」 「話し合わなきゃなんないことが多いね。とりあえず、歩きながら話そ?」 (あ、降りた。) ふーっと息をついて地に足つけた星乃と小狼に、明莉は迷宮教室についてどう語るべきかを考え始めた。 星乃美紅。李小狼。 2人の登場は明莉の脳細胞を猛スピードで動かし始めた。 彼らが脅威になるのか、それともゲームをぶっ壊すための信頼できるパートナーとなるのか、明莉の判断で変わる。 「迷宮教室って、知ってますか?」 たぶん信じてもらえない。そうわかっていても話し始めた明莉に、2人は興味深げな視線を送ってくる。話す内容を頭の中で組み上げながら、明莉は2人を味方にするための説得を考えた。 「これ、100式戦車ですね。」 「まさか本当に戦車があるなんてなあ。」 一方その頃、殺し合いの会場にある自衛隊駐屯地の一角で、高校生ほどの男女が無骨な戦車の前に立ちその砲塔を見上げている。 少女の方は百人が百人とも振り返るような美少女だ。艷やかな黒髪は赤い髪留めで整えられており、きっちりと着こなした制服は彼女の品行方正な雰囲気と合わせて、一分の隙もない優等生という印象を周囲に与える。 一方少年の方は、整った顔立ちで愛嬌はあるが、二枚目というよりかは三枚目な面構えだ。ガッチリした体格は脂肪よりも筋肉によるものだろう。ティピカルな柔道体型とまではいかないがそれに準ずるものだ。 少女四宮かぐやが少年磯崎凛と出会ったのは、今から三十分ほど前のことであった。 初期位置が同じ敷地であった2人だったが、何分その広さのためになかなか出会わなかった。会ってしまえばコミュニケーション力の高い2人なので互いに殺し合いに乗る気はなく、首輪を外せる人材を探そうというところまではトントン拍子で話が進んだが、場所が場所なのでここで籠城することにしたのだ。 この殺し合いの会場にはそんじょそこらにライフルが親の仇のように落ちているのだが、敷地から出ていないかぐや達がそれを知ることはない。異様にどの部屋にも銃や手榴弾などが放置されていることに違和感を抱いてはいるものの、まさかそれが会場中で同様だとまでは思わず、とりあえずそれぞれライフルを1つずつ背負って建物を調べる。そうして見つけた鍵と資料から何かあった時の足にしようと目をつけたのが、戦車だった。 「四宮さん、免許って、持ってる?」 「大型なんで21歳以上じゃないと無理ですよ。」 「うーん、てことは、あの人じゃないと駄目かぁ……」 そう言って凛の視線は、彼らが出てきた建物とは別の方へと向く。実は彼が出会った人物はかぐやだけでは無い。他に4人いる。それが。 「お茶買ってきました。」 銀髪で赤い瞳の少女、竜堂ルナと。 「いっぱい電話かけたのに、みんな留守電だったよ……」 ドレス風のロリータ服の少女、春野百合と。 「■■■■?」 二足歩行する爬虫類、キ・キーマと。 「自衛隊の基地なんて久々に来たなっしなあ。」 なんか薄汚れた外皮とどこ向いているのかわからない目をしたバカでかい梨、ふなっしーである。 「なあ、これってやっぱりドッキリじゃないかな?」 違うと思います、と言おうとして大泉洋っぽい声のキ・キーマと体?をバインバインさせているふなっしーを前に、かぐやは押し黙る。 どう見てもリアリティのある鱗をしたレプリカントのキ・キーマは、言葉が通じないからというだけではない大振りなジェスチャーでなにかをアピールしている。 その現実感のある非現実的な姿の横では、自称梨の妖精は思いっきり単なるきぐるみにしか見えない。 腹部の輪っか状の出っ張りに合わせて巨大な首輪が付けられたふなっしーは、心なしかいつもより動きにくそうだ。もしくは加齢か。 「ふなっしーさんって大特持ってます?」 一応聞いてみる。 「中型免許は持ってるなっしな。」 だめみたいですね。 「それじゃあ凛くんとキ・キーマと一緒に見回ってくるなっしな!」 「今度はあっちの建物を見てくるよ。30分ぐらいしたら戻ってくるから。」 「■■■■?」 「そうそう、見回りです。み・ま・わ・り。」 「時計は合っていますね。」 「もちろん。」 6人全員が、腕(ふなっしーは付けれないので手に持っている)につけた時計を確認する。駐屯地の中の売店から借りてきたそれは流石というべきか、秒針一つまで同じ動きをしている。空模様から時間の経過がわからないこの会場では、時計は重要なアイテムだ。そして同じぐらいに、水や食料なども。 凛とふなっしーとキ・キーマの男?3人は更なる敷地の調査の為に、戦車の動かし方を調べるかぐや達とは別行動を取ることになった。 「なんであの3人コミュニケーションできてんの?」 「どこででも生きていけそうな方たちですね……」 遠ざかる一人と一竜人と一梨を見送ると、かぐや達も外に出た。 正直、頭はパンクしそうだ。考えなくてはならないことは多いのに、ゆるキャラを主張する不審者に、ゲームから抜け出してきたとしか思えないリザードマン。殺し合いとは無関係なところで悩ましい存在だ。 「もしかしたら、彼らのような人物を巻き込んだことに、意味があるのかもしれませんが……」 「かぐやさん?」 「すみません、今行きます。」 ルナにせかさせ、かぐやは軽々と戦車の上部へと上がる。既にマニュアルは建物内のものを一読しておおよそ把握している。ハッチを開けると、中へと乗り込んだ。 「うわぁ、こんなふうになってるんですね。こんなに計器があるとは思わなかった。」 「こっちが大砲で、こっちが無線かしら。あとで動かしてみよっと。」 「いいですよ。」 ルナと百合の小学生2人は、さっそく戦車の中をもの珍しそうに弄っていた。 それをぬってかぐやは前面の計器類を検めていく。ほとんどわからないが、とにかく車として動かす分にはなんとかなりそうだ。 『もう結構前になるけれど一回戦車乗せてもらったことあるなっし。お腹つかえて入れなかったら動かなかったっけど。企画段階上のミスなっしな。』 (内装について聞いておくべきだったかしら……ムダそうね。) なぜか一番戦車を動かす上で頼りになりそうなのはふなっしーだが、言動を思い出して頭から追い出す。ピンと音がした。後方からだ。「ルナちゃん、それ手榴弾?」と百合の声。かぐやの動きが止まった。 (手榴弾? なぜ、ここで? さっきの音は?) 頭の中にははてなマークが、ポケットの中には拳銃が存在感を増す。 かぐやはゆっくり振り返る。ルナが手に手榴弾を持っていた。ピンは抜かれていた。「お前たちに恨みはな」といい終わるより先に、かぐやはその手を自分の手で包み込んだ。手榴弾は爆発、しない。 かぐやとルナの視線が交差した。 (ピンが抜かれてる! あと1秒抑えるのが遅かったら死んでた!) 「いい動きだ!」 ルナがニヤリとしながら言うと、かぐやの股間に衝撃が走った。激痛に息が止まる。金的。極めて単純に足を伸ばしたまま上に上げたことで、ルナの脛がかぐやの股間を捉えていた。 衝撃に手が緩む。スルリと手榴弾を手中に残して、ルナは上に飛び上がった。一飛びでハッチから戦車の上に立つ。人間技ではない。信じられないものを見送ったかぐやは、上を向いた視界に黒い丸を見つけた。銃口だ。 「おかげで上手くいった!」 銃声が2回響いた。 「ヒャッハーーーーー!!??」 「■■■■■■!」 「な、なんだあっ!?」 建物に入って少しして聞こえてきた爆発音に、凛とキ・キーマとふなっしーは慌てて外に出た。 今来た方向を見る。特に変わった様子は無い。一体何が?と3人顔を見合わせる。 「■■■■■?」 先に気づいたのはキ・キーマだった。 視覚ではなく嗅覚でそれを捉えた。 何か焦げ臭い。やはりどこかで爆発があったのは間違いないようだ。となると、かぐや達は爆発に驚いて戦車の中にいるのだろう、と納得しかけて、近づいたこともあってか時間が経ったのもあってか、更なる異変に気づく。 戦車の影になる位置、そこに黒い何かが広がっている。わずかだかクレーターのようにも見える。 「イヤな予感がするなっしな……」 ふなっしーのつぶやきに凛は頷く。3人は慎重に、しかし素早く戦車へと駆け寄る。クレーターは砲撃の跡のようだった。無論3人とも実物を見たことはない。だがそれでもこれが尋常なものではないとはわかる。よじ登ると慌ててハッチを開けようとした。何秒かの抵抗のあと、中からの物音と共に抵抗が無くなり開く。途端に聞こえてきたのは、百合とかぐやの苦しげな声だった。肩や腕を抑える彼女たちは、それでもかぐやはなんとかハッチを抑え込んでいたようだ。 「竜堂ルナに撃たれた……手榴弾を、外に放り投げて、クっ……」 「いたい……いたいよ……」 「う、撃たれた? ルナちゃんに?」 「どういうことどういうこと?」 「■■■、■■!」 顔を合わせた途端にかぐやが言った言葉に、凛とふなっしーは困惑した。その横を潜り抜けて、キ・キーマが2人の傷口を抑える。2人にジェスチャーなしで叫ぶと。凛も慌てて中に入った。直ぐに2人の手当に加わる。幸い、それほど重い怪我ではなさそうだ。単に戦車の中に入れずに蚊帳の外だからというだけでなく、かぐやと百合の容態を見て、ふなっしーは周囲を警戒した。かぐやはそれを期待して開口一番言ったのだろうから。 (わけがわかんないなっし。ルナちゃんがかぐやちゃんたちを殺そうとした? なんで、どういうことなっし。) (さっきまであんな仲良さそうだったっし。ていうか、殺してなんになるっしょ。) (なんか、変なっし。変なっしよ。) 困惑するふなっしー。 下からは必死の手当が聞こえる。ルナの痕跡はまったくない。 突然起こった不可解な殺人未遂に、答えを持つものはそこにはいなかった。 「急ごしらえだが上出来だ。」 透門沙李は薄い笑みを浮かべてそう言うと、高笑いを続けた。 彼女こそ竜堂ルナによる自爆の糸を引いた黒幕だ。より正確に言うのなら、竜堂ルナを模した式神による殺人の犯人、というべきか。 透門沙李は類稀なる力を持つ陰陽師だ。憎き竜堂家の末裔であるルナに破れ命を落としたが、なんの因果か五体満足での蘇りに成功した。ならやることは一つ。ルナへの復讐である。 そのために彼女はルナをマーダーと誤認させる戦術に出た。ただ殺すだけでは飽き足らず、お人よしの偽善者である怨敵に何人もの人間から恨みを向けられるという生き地獄を味あわせた後で殺す。それが彼女の方針だ。 そしてそれはうまく行った。最初は不可解な殺人によりあのグループをバラけさせようと思ったが、かぐやが止めたことで彼女をスポークスマンにすることにした。目標は十二分に達成したと言える。 「しかし、面倒なものも引き寄せたか。」 一方で、沙李は式神で周囲の森を探る。妖力の反応を感じた。美紅により本来より早く辿り着けた小狼たちだ。 (これもこれ、使い道はあるか。) 近いうちにこのあたりは更なる戦場になる。そう思った。 【0135ぐらい 自衛隊駐屯地】 【君野明莉@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】 【目標】 ●大目標 ヒカルとかが巻き込まれてたら合流して脱出する。 ●小目標 みんなで話し合いながら爆発音を調べる。 【星乃美紅@小説 魔女怪盗LIP☆S(1) 六代目夜の魔女!?@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 とりあえず何が起こってるか調べる? ●小目標 みんなで話し合いながら爆発音を調べる。 【李小狼@小説 アニメ カードキャプターさくら さくらカード編 下(カードキャプターさくらシリーズ)@講談社KK文庫】 【目標】 ●大目標 殺し合いを止める。 ●中目標 さくらや他の大切な人が巻き込まれていたら守る。 ●小目標 みんなで話し合いながら爆発音を調べる。 【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】 【目標】 ●大目標 何が起こっているか調べて、脱出する。 ●小目標 手当てする。 【磯崎凛@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る。 ●小目標 手当てする。 【春野百合@黒魔女さんが通る!! PART 6 この学校、呪われてません?の巻(黒魔女さんが通る!!シリーズ)@講社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 なにこれ、ドッキリじゃないの? ●小目標 手当てする。 【キ・キーマ@ブレイブ・ストーリー (4)運命の塔(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】 【目標】 ●大目標 もしかしてこれが『旅人』か? 言葉通じないのは厳しすぎるだろ!? ●小目標 このキズなら手当てすれば助かるぞ! 布持ってきてくれ布! ダメだ言葉通じてない! 【ふなっしー@ふなっしーの大冒険@小学館ジュニア文庫】 【目標】 ●大目標 これドッキリじゃないなっし? ●小目標 周りを警戒する。 【透門沙李@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】 【目標】 ●大目標 竜堂ルナに復讐する。 ●中目標 優勝する。 ●小目標 竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする。
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「これ、100式戦車ですね。」 「まさか本当に戦車があるなんてなあ。」 殺し合いの会場にある自衛隊駐屯地の一角で、高校生ほどの男女が無骨な戦車の前に立ちその砲塔を見上げている。 少女の方は百人が百人とも振り返るような美少女だ。艷やかな黒髪は赤い髪留めで整えられており、きっちりと着こなした制服は彼女の品行方正な雰囲気と合わせて、一分の隙もない優等生という印象を周囲に与える。 一方少年の方は、整った顔立ちで愛嬌はあるが、二枚目というよりかは三枚目な面構えだ。ガッチリした体格は脂肪よりも筋肉によるものだろう。ティピカルな柔道体型とまではいかないがそれに準ずるものだ。 少女四宮かぐやが少年磯崎凛と出会ったのは、今から三十分ほど前のことであった。 初期位置が同じ敷地であった二人だったが、何分その広さのためになかなか出会わなかった。会ってしまえばコミュニケーション力の高い二人なので互いに殺し合いに乗る気はなく、首輪を外せる人材を探そうというところまではトントン拍子で話が進んだが、場所が場所なのでここで籠城することにしたのだ。 この殺し合いの会場にはそんじょそこらにライフルが親の仇のように落ちているのだが、敷地から出ていないかぐや達がそれを知ることはない。異様にどの部屋にも銃や手榴弾などが放置されていることに違和感を抱いてはいるものの、まさかそれが会場中で同様だとまでは思わず、とりあえずそれぞれライフルを一つずつ背負って建物を調べる。そうして見つけた鍵と資料から何かあった時の足にしようと目をつけたのが、戦車だった。 「四宮さん、免許って、持ってる?」 「大型なんで21歳以上じゃないと無理ですよ。」 「うーん、てことは、あの人じゃないと駄目かぁ……」 そう言って凛の視線は、彼らが出てきた建物とは別の方へと向く。実は彼が出会った人物はかぐや一人では無い。他に三人いる。それが。 「お茶買ってきました。」 銀髪で赤い瞳の少女、竜堂ルナと。 「ダメです。電話はどこにも通じませんでした……」 金髪の中性的な容姿の少年、チャロと。 「自衛隊の基地なんて久々に来たなっしなあ。」 なんか薄汚れた外皮とどこ向いているのかわからない目をしたバカでかい梨、ふなっしーである。 「なあ、これってやっぱりドッキリじゃないかな?」 違うと思います、と言おうとして体?をバインバインさせているふなっしーを前に、かぐやは押し黙る。 腹部の輪っか状の出っ張りに合わせて巨大な首輪が付けられたふなっしーは、心なしかいつもより動きにくそうだ。もしくは加齢か。 「ふなっしーさんって大特持ってます?」 一応聞いてみる。 「中型免許は持ってるなっしな。」 だめみたいですね。 「それじゃあ凛くんと一緒に見回ってくるなっしな!」 「今度はあっちの建物を見てくるよ。三十分ぐらいしたら戻ってくるから。」 「時計は合っていますね。」 「もちろん。」 五人全員が、腕(ふなっしーは付けれないので手に持っている)につけた時計を確認する。駐屯地の中の売店から借りてきたそれは流石というべきか、秒針一つまで同じ動きをしている。空模様から時間の経過がわからないこの会場では、時計は重要なアイテムだ。そして同じぐらいに、水や食料なども。 凛とふなっしーの男で二人は更なる敷地の調査の為に、戦車の動かし方を調べるかぐや達とは別行動を取ることになった。「ボクも男なのに……」とチャロは不満顔だったが、凛としては女の子や妹よりも小さそうな子どもに危ない橋を渡らせるよりは、安全そうな戦車の中にいてほしいというところだ。 遠ざかる一人と一梨を見送ると、かぐやは軽々と戦車の上部へと上がる。既にマニュアルは建物内のものを一読しておおよそ把握している。ハッチを開けると、中へと乗り込んだ。 「うわぁ、こんなふうになってるんですね。」 「戦車って初めて。」 そりゃそうでしょうね、とは言わずにかぐやは前面の計器類を検めていく。後から入ってきた二人はもの珍しそうに内装を見ているがそれを無視して大仰なレバーを撫でる。 『もう結構前になるけれど一回戦車乗せてもらったことあるなっし。お腹つかえて入れなかったら動かなかったっけど。企画段階上のミスなっしな。』 (内装について聞いておくべきだったかしら……ムダそうね。) なぜか一番戦車を動かす上で頼りになりそうなのはふなっしーだが、言動を思い出して頭から追い出す。ピンと音がした。後方からだ。「え、ルナさん?」とチャロの声。何か動かしたのだろうか。振り返る。ルナが手に手榴弾を持っていた。ピンは抜かれていた。「お前たちに恨みはないが死んでもらう」という声と共に、戦車の中で手榴弾が起爆する。かぐやとチャロの全身に鉄の破片が突き刺さった。 「ヒャッハーーーーー!!??」 「な、なんだあっ!?」 建物に入った途端に聞こえてきた爆発音に、凛とふなっしーは慌てて外に出た。 今来た方向を見る。特に変わった様子は無い。一体何が?と二人顔を見合わせる。 「うん? このニオイは?」 先に気づいたのは凛だった。 視覚ではなく嗅覚でそれを捉えた。 何か焦げ臭い。やはりどこかで爆発があったのは間違いないようだ。となると、かぐや達は爆発に驚いて戦車の中にいるのだろう、と納得仕掛けて、近づいたこともあってか時間が経ったのもあってか、更なる異変に気づく。 戦車の上部、入り口の辺りから薄っすらと煙が上がっている。なぜ? そういえばあの爆発音はそこまで大きくなかったような…… 「イヤな予感がするなっしな……」 ふなっしーのつぶやきに凛は頷く。二人は慎重に、しかし素早く戦車へと駆け寄る。そしてふなっしーは戦車によじ登ろうとする凛を押しとどめて自分が登ると、手を伸ばして蓋を開けた。 「ぐっ!? これって血のニオイか?」 「……」 「ふなっしーさん?」 開けた途端に溢れだした、火薬と血と糞のニオイに、凛は顔をしかめた。 戦車の内部からは黒煙が上がっている。それに燻されてふなっしーは顔を黒くしながら、戦車から滑り降りた。備え付けられている消化器を取ると再び戦車によじ登り、内部に向かって噴射する。だが煙は収まるどころか勢いを増していく。 「凛くん。」 ふなっしーは凛を呼んだ。 「さっきの爆発はこの中からなっし。」 「……それって。」 「うん。」 ふなっしーは炎上を始めた戦車から凛の手を引いて離れる。そしてドアを開けて建物の中、戦車が見えない位置まで来て言った。 「かぐやさん達は被害にあったなっし。」 「まあ、急ごしらえにしては上出来か。」 自分が隠れ潜む建物内に凛達が戻って来たのを陰陽術により感じ取ると、透門沙李は薄い笑みを浮かべた。 彼女こそ竜堂ルナによる自爆の糸を引いた黒幕だ。より正確に言うのなら、竜堂ルナを模した式神による殺人の犯人、というべきか。 透門沙李は類稀なる力を持つ陰陽師だ。憎き竜堂家の末裔であるルナに破れ命を落としたが、なんの因果か五体満足での蘇りに成功した。ならやることは一つ。ルナへの復讐である。 そのために彼女はルナをマーダーと誤認させる戦術に出た。ただ殺すだけでは飽き足らず、お人よしの偽善者である怨敵に何人もの人間から恨みを向けられるという生き地獄を味あわせた後で殺す。それが彼女の方針だ。 それができるのならば殺し合いなどという蠱毒も彼女にとってはどうでも良い。仮にルナがいなくとも、彼女への悪評を抱かせた上で殺し優勝するだけだ。 「フフフ……冥府から呼び戻したのは、こうさせるためだろう? ツノウサギとやら。」 沙李は口の端を上げると式神に一つ余分に取らせていた時計を弄ぶ。 怨念により蠢く妖怪はこうしてバトルロワイヤルの会場を蝕みはじめた。 【0115ぐらい 自衛隊駐屯地】 【磯崎凛@宇宙からの訪問者 テレパシー少女「蘭」事件ノート9(テレパシー少女「蘭」事件ノートシリーズ)@講談社青い鳥文庫】 【目標】 ●大目標 何が起こっているか調べて、みんながいたら一緒に家に帰る 【ふなっしー@ふなっしーの大冒険@小学館ジュニア文庫】 【目標】 ●大目標 これドッキリじゃないなっし? 【透門沙李@妖界ナビ・ルナ(10) 黄金に輝く月(妖界ナビ・ルナシリーズ)@フォア文庫】 【目標】 ●大目標 竜堂ルナに復讐する ●中目標 優勝する ●小目標 竜堂ルナに悪評を向けさせるためになんでもする 【脱落】 【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― 映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】 【チェロ@双葉社ジュニア文庫 パズドラクロス@双葉社ジュニア文庫】 【残り参加者 279/300】
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/7385.html
303 名前:NPCさん[] 投稿日:2012/05/22(火) 01 19 14.78 ID RcciC2cq 蛙のケツに爆竹入れる感覚なのか、捕らえたゴブリンのケツに異物突っ込んで 拷問したりする事はあるよな、PLがまだセオリーを分かってない未熟な時期とか。 圧倒的な立場の違いがあると「何をしてもいい」という方向で暴走するタイプ。 普通はTRPGの習熟と共に矯正されるもんだが、以前、30才ぐらいなのに 「ゴブリンとかはちょっと脅しただけで媚びへつらうからつまらん。 ダークエルフの美少年ならなかなか心折れず尻から出血するまで拷問できるだろうが なかなかチャンスがなくてなあ。ダークエルフの美少女なら捕らえた事があるけど これの尻をえぐったらエロになってしまうからなあ」 とかなりおかしい事を言い放った真性っぽいのと卓を囲んで戦慄した事があるな。 具体的に困ったプレイをされたわけではないんだが、上の流れで思い出した。 304 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/05/22(火) 01 40 37.33 ID ??? 303 オッサンの武勇伝と同じなんだよ。 ワル自慢する奴は基本頭の中が子供だから正論が通じない。 ワルい俺ってかっこいいな可愛そうな人だから。 スレ327