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1 見上げれば青い空、白い雲。 外気は少々冷たく、桃色のキャミソールとデニム地のホットパンツといった格好の少女の肌から地味に体温を奪っていた。 「はー……です」 しかし、少女の吐き出す吐息は、とろけるように熱く。そして切なく。絶妙な間を持って、病院の屋上狭しと干された白いシーツの隙間に広がった。 ――はふぅ。 ここは、とある病院の屋上。 少女は知っていた。シーツを干す時だけ、ここは開放されるのだと言う事を。 本日は風が少々強いのを除けば、非常に天気が良いので絶好のお洗濯日和ともいえる。 幸い、ここのお医者様は抜群すぎの腕前を誇る名医なので、飛び降り事件の様な事件は起こっていないが、一応この病院にも転落防止の柵ぐらいは設置されている。 屋上を囲む様にぐるりと取り付けられた、銀色の二メーター近い高さの柵。 天辺付近で内側に向かって折り曲がっており、怪我人、病人で無くても、これをまともに乗り越えるのは少々骨だろう。 「どうすれば……」」 故に本来転落事故の防止という名目なのだが、それは、この少女にはあまり意味が無いようだ。 少女=柵の上。膝に肘をついて、折れ曲がった天辺に腰掛けて、ぼんやりと外を眺めている。 少女の足元でぶらぶらと揺れる藍色の安っぽいサンダルは、病院で使う上履きであり、いわゆるつっかけタイプ。 ぶらぶら、ぶらぶら、ぶらぶら。と柵から外へと向けられ華奢な足が前後する。サンダルは爪先に引っかかってかろうじて落ちない。 物思いにふけっている少女の視線は、病院の中庭の一角へと注がれていた。 「じー……です」 薄紫色という、およそ通常の遺伝子情報では再現できない様な不思議な色合いの双眸が見つめる先にいるのは、一人の少年。 ツンツンととんがった黒い髪に、不機嫌そうな顔、全身を包帯で覆われてさながらミイラ男の様相。 ベンチに腰掛けて、『豆乳これ一本』とかいう商品名のあやしげ飲料を摂取中の様だ。 しかし、あまり美味しくないのか、どうにも満足と正反対ベクトルの表情を浮かべている。 少年はくずかごに紙パックを投げ捨てて、再びボーっとしだした。 それを眺めて思う。 ――なんだか、いいなぁ。 「はふぅ……ですぅ」 遥か眼下に、見える少年(豆乳摂取済み)を視界に治めて、もう一度切ない吐息。 ――あぁ、なんて素敵な……なんです。あの不機嫌そうな顔も、包帯のぐちゃぐちゃ具合も、飲んでいる飲料のチョイスも、胡乱気な視線も……素敵……パーペキ。 ――どうやったら、彼と『おちかづき』になれるのだろうか? ――どんな……が好みなのだろうか? ――冷たいのと、熱いのは、どっちが好きなんだろうか? 「……さんってば……くすくす」 独り言。 現在、いろんな乙女心が少女の脳裏を駆け巡り、文章で表現したらいけないシーンを脳内映像として放映中である。R指定を喰らう内容の妄想であるのは間違い無い。 ちなみに名前は、この病院の最高責任者のカルテを盗み見てとっくに知っていた。 「……よし」 少女は、ホットパンツのポケットから何か、二つ程取り出した。 左手に持たれた物=長い方の一辺が十五センチくらいの木片。近所のホームセンターにて購入、新品である。 右手に持たれた物=刃渡りが十五センチに届くか届かないか、非常に微妙な長さのナイフ。刃の差し渡しが親指程度もあるゴツイ作りだ。プラスチック製の鞘が付属。 鞘から抜いて、ぼそりと呟く。 「エンゼル様、エンゼル様、教えてくださいな。ひのは、どうすれば良いのですか? ひとつ教えてくださいな(三回程繰り返し)」 ガリガリと引っ掻く音が聞こえるが、少女はそちらを見向きもしない。 やがて、ガリガリ音が止んだ。 板に描かれた図形を見て、少女が薄く微笑む。 「そうですね……やっぱりエンゼル様はすごいですね」 心底感心しました。といった表情である。 板に書かれた図形、三角に棒一本、棒の両脇に名前が二つ。書かれた名前は平仮名は二人分。 「ふふふ……相合傘です」 少女=現在進行形で恋する乙女だった。 そんな『ひの』嬢の様子を、こっそりと覗く視線があった。その数二つ。 ぴょこん、ぴょこんと鉄ドアの陰からにょっきり生えてくる様子は、さながらブレーメンの音楽隊の様だ。 この場合は身長が高い順で、しかも二人分しか居ないが、そこは気にしない方向でお願いしたい。 「ううむ、いい感じにターゲットロックオンって感じだね。瞳の奥で燃え上がれ闘志といった感じかな、いやこの場合は萌え上がれ恋心か?」 歳の頃なら二十台後半、三十路前。軽くウェーブのかかった髪の毛をポニーテール状に軽くまとめてある、目鼻立ちのすっきりとした端整な顔立ち。 耳からぶら下げた、某カエル系マスコットのイヤリング。限定品であり、非売品。 白衣及び、その上からでもはっきりと凹凸が確認できる程のダイナマイトなボディ。 それも全世界の三十パーセントくらいの女性が羨む事間違い無いレベルの超絶ダイナマイトボディ。 ボン、キュ、ボンどころの騒ぎではない。もうドン、キュン、ドンぐらいな感じ。 果物に例えるのならスイカ辺りだろうか。何がとは言わないが。 構成されているパーツのどれ一つをとっても完璧な造形美が滲み出ている。まるで人工の女神像の風情がそこにはあった。 彼女はこの病院の責任者であり、抜群すぎのお医者様先生その人である。 死んでさえいなければ、あらゆる損傷を修復し、病魔ですら打ち倒す彼女を、いつしか人はこう呼んだ。 ――――『冥土返し』と。 まぁ、今はどうでも良い事だ。問題は彼女の更に下である。具体的にいえば胸の下。 「ぐぬぬぬぬぬ」 「おや、どうしたね、天井君」 脅威の胸囲を誇る、メーターバストを頭の上に乗っけられて苦しそうな声を上げているのは、天井亜衣《あまい あい》(偽名)という、ちっこい、そう、とてもちっこい少女だ。 あまりにも、ちっこすぎるその身長には、化け物じみた重圧を発揮できる様な凹凸の類はほぼ皆無。まるっきりの幼児体形であり、服の裾も大分余っている。 見た目は、殆ど小学生高学年ぐらい。これぐらい小さいとジェットコースターの搭乗すら断られそうな感じであるが、これでも現役の高校生である。 人体とはかくも不思議なモノである。 トレードマーク=だぼだぼの袖が丈と幅も余りに余った白衣。とある高校のSSサイズの女子用制服(紺色のセーラー服)は改造されておらず、ほぼノーマル。 トレードマークその二=メーターバストに押しつぶされたワカメソバージュの髪の毛、色は緑色。及び全長百三十センチのコンパクトボディ。超非力。 「ぬぬぬぬぬ、おも、おも、おもぃんだけど、冥土返し……お前、わざ、わざ、わざと、だ、ろ……」 声変わり前特有の少女声をあげ、天井は懸命に重圧《おっぱい》を押し返す。その苦悶の表情と膝を突いた体勢は、さながら蒼穹を支えるアトラスの様相。激似である。 スケッチブックがあれば良いモデルになりそうではある。もっとも、本人はそれどころでは無い。 「はて、何のことやら」 とぼける口調に、更なる重圧を乗せて加重する冥土返し。容赦無し。 耐えて、途切れ途切れに言い返す天井。この時既に軽く涙目である。 「おま、お前、あれを野放しにしておくと、どう、なるのかわかって、るのか? ぐっぬぬ」 「ああ、彼女のアレかな。何分情報不足でねぇ。もう少し観察してみない事にはねぇ……彼女の乙女心を考えると、僕もやすやすと手をだせんよ、そうだろう?」 「ぬぁ……それなら、私が、散々、報告しているだ、ろうが……、あの娘は、気に入った相手に、その、なんだ、特殊な、ちょっとアレなちょっかいを出す、その、人間? いや人種なのだぞ。朝起きたら、枕元に立って今にもナイフを振り下ろさんと、している光景を、少し、想像して、みろ……」 もはや息も絶え絶えで、自分を押しつぶさんとする冥土返しへと言い放つが、天井の位置からでは、上を見上げたところで冥土返しの胸が邪魔で顔が見えない。 ――これでは胸のお化けと話をしているみたいだ。 ――てか、重たいんですが、そろそろ。 ――胸でかいからって、ぐぬぬぬぬ。 言いたい事は山ほどあるが、口からこぼれるのは「ぐぬぬぬぬ」だけ。 「想像か……」 冥土返しは胸に肘をつき、手の平に顎を乗っけて、しばし考え込む。 「で、できるだけ、手早くな……てか退け、さもなくば死ね、もしくは爆砕して消えてなくなれ冥土返し!」 いい加減キレたのか、後半の語気は些か荒かった。 「天井君、そんな酷い言葉を使っては折角のロリボディが台無しでは無いか、もっと清楚でオシトヤカナ深窓の令嬢みたいに振舞えないのかい?」 効果無し。思わず叫ぶ。 「無理に決まってるだろうが!」 天井の両腕がプルプルと震えだした。 重たいのだ。めっちゃ重たいのだ。もうお正月の鏡餅の何倍あるのだろうか、この膨らみは。男の時になら憧れもしただろうが、今は自分も女性ボディだ。 羨ましくなんか無い、多分。したがってお化けにしか見えない。そう、羨ましくなんか、多分無い。 悲しいかな、ああ悲しいかな、悲しいかな。 「想像できたよ、状況。なんていうか凄いね、とにかく凄い」 「そ、うだろう、そうだ、ろう……」 発音の練習をする外国人そっくりな口調で、天井が無心に頷く。 が、返ってきた答えは、天井の予想とは随分違っていた。 「うん、実にシュールだね、今度部屋にカメラを設置して置くよ」 (お、おかしいだろ。普通は『ふむ、いっそ隔離するか』とか『では部屋を別の部屋へ』とかじゃないのか! ないのか! ないのか!) 「一部のナウなヤングにバカ受けしそうなシチュエーションだね、是非とも夏コミに――」 自分の胸の上に手を組む冥土返し。 重圧が増し、天井の背骨とか膝とか、肘とか、ありとあらゆる関節が悲鳴を上げる。 自分にはこんなにも関節があったのだろうか、と思うぐらいだ。 それらをなんとか持ちこたえて、小さく叫ぶ。 「言いたい事は、そ、れだけかぁぁ!」 吊天上を支える屈強の幼女型元科学者。無論イメージだが。実際には、じりじりと体勢が低くなっていってる。 「人の恋路の邪魔は出来ないよ、手助けはするけどね。さしずめ恋のキューピットかな」 「お前のは、どっちかっていうと手助けっていうより、『おちょくって自分が楽しんでいる』だけに見えるんだけど……恋じゃなくて故意だし、お前……ぐ、もうだめだ――へぶっ」 限界。 天井はべたりと潰れた。柔らかな感触が執拗に彼女を押しつぶしたのだ。 「まぁ、もう少しだけ様子を見ようよ、天井君」 完璧に大人の口調でそう諭す冥土返し。実に楽しげ。若しくは嬉しげ。 天井亜衣=この物語の主人公であるが、目下気絶中。当然、冥土返しの提案なんて、聞いちゃいなかった。
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見上げれば青い空、白い雲。 外気は少々冷たく、桃色のキャミソールとデニム地のホットパンツといった格好の少女の肌から地味に体温を奪っていた。 「はー……です」 しかし、少女の吐き出す吐息は、とろけるように熱く。そして切なく。絶妙な間を持って、病院の屋上狭しと干された白いシーツの隙間に広がった。はふぅ。 ここは、とある病院の屋上。 少女は知っていた。シーツを干す時だけ、ここは開放されるのだと言う事を。 本日は風が少々強いのを除けば、非常に天気が良いので絶好のお洗濯日和ともいえる。 ――もっとも、本来立ち入り禁止区域である。 病院だって、いろいろと事情があるのだ。幸いここのお医者様は、抜群すぎの腕前を誇る名医なので、他の病院の様なその手チックな事件は起こっていないが、一応この病院にも転落防止の柵ぐらいは設置されている。 屋上を囲む様にぐるりと取り付けられた、銀色の二メーター近い高さの柵。天辺付近で内側に向かって折り曲がっており、怪我人、病人で無くても、これをまともに乗り越えるのは少々骨だりう。故に本来転落事故の防止という名目なのだが、それはこの少女にはあまり意味が無いようだ。 少女=柵の上。膝に肘をついて、折れ曲がった天辺に腰掛けて、ぼんやりと外を眺めている。 少女の足元でぶらぶらと揺れる藍色の安っぽいサンダルは、病院で使う上履きであり、いわゆるつっかけタイプ。 ぶらぶら、ぶらぶら、ぶらぶら。と柵から外へと向けられ華奢な足が前後する。サンダルは爪先に引っかかってかろうじて落ちない。 物思いにふけっている少女の視線は、病院の中庭の一角へと注がれていた。 「じー……です」 薄紫色という、およそ通常の遺伝子情報では再現できない様な不思議な色合いの双眸が見つめる先にいるのは、一人の少年。ツンツンととんがった黒い髪に、不機嫌そうな顔、全身を包帯で覆われてさながらミイラ男の様相。ベンチに腰掛けて、『豆乳これ一本』とかいう商品名のあやしげ飲料を摂取中の様だ。あまり美味しくないのか、どうにも満足と正反対ベクトルの表情を浮かべている。 唇の動きを読んでみる。 う・わっ・なんだ・これ・まず・ふき・よせ・のやつ・へ・んな・もん・おし・つけ・やがって。 細かい事は不明だが、少年が自分で買った物でないのはわかった。少年の反応を見る限り、多分嫌がらせなのだろう。 ――なんだか、いいなぁ。 「はふぅ……ですぅ」 遥か眼下に、見える少年(豆乳摂取済み)を視界に治めて、もう一度切ない吐息。 ――あぁ、なんて素敵な……なんです。あの不機嫌そうな顔も、包帯のぐちゃぐちゃ具合も、飲んでいる飲料のチョイスも、胡乱気な視線も……素敵……パーペキ。 ――どうやったら、彼と『おちかづき』になれるのだろうか? ――どんな……が好みなのだろうか? ――冷たいのと、熱いのは、どっちが好きなんだろうか? 「とうまさんってば……くすくす」 独り言。 現在、いろんな乙女心が、少女の脳裏を駆け巡り、文章で表現したらいけないシーンを脳内映像として放映中である。ちなみに名前は、この病院の最高責任者のカルテを盗み見てとっくに知っていた。 少女は、ホットパンツのポケットから何か、二つ程取り出した。 左手に持たれた物=長い方の一辺が十五センチくらいの木片。近所のホームセンターにて購入、新品である。 右手に持たれた物=刃渡りが十五センチに届くか届かないか、非常に微妙な長さのナイフ。刃の差し渡しが人差し指の親指程度もあるゴツイ作りだ。プラスチック製の鞘が付属。 鞘から抜いて、ぼそりと呟く。 「エンゼル様、エンゼル様、教えてくださいな。ひのは、どうすれば良いのですか? ひとつ教えてくださいな(三回程繰り返し)」 ガリガリと引っ掻く音が聞こえるが、少女はそちらを見向きもしない。 やがて、ガリガリ音が治まった。板に描かれた図形を見て、少女が薄く微笑む。 「そうですね……やっぱりエンゼル様はすごいですね」 心底感心しました。といった表情である。 板に書かれた図形、三角に棒一本、棒の両脇に名前が二つ。『とうま』、『ひの』の二名。 少女=『神作《かんづくり》 ひの』=現在進行形で少年『とうま』に恋する乙女だった。 そんな『ひの』嬢の様子を、こっそりと覗く視線があった。その数二つ。 ぴょこん、ぴょこんと鉄ドアの陰からにょっきり生えてくる様子は、さながらブレーメンの音楽隊の様だ。この場合は身長が高い順で、しかも二人分しか居ないがそこは気にしない方向でお願いしたい。 「ううむ、いい感じにターゲットロックオンって感じだね。瞳の奥で燃え上がれ闘志といった感じかな、いやこの場合は萌え上がれ恋心か?」 歳の頃なら二十台後半、三十路前。しかし、軽くウェーブのかかった髪の毛をポニーテール状に軽くまとめてある。目鼻立ちのすっきりとした端整な顔立ち、何よりも特徴なのが、耳からぶら下げた、某カエル系マスコットのイヤリング。限定品であり、非売品。 あと白衣及び、その上からでもはっきりと凹凸が確認できる程のダイナマイトなボディ。それも全世界の三十パーセントくらいの女性が羨む事間違い無いレベルの超絶ダイナマイトボディ。ボン、キュ、ボンどころの騒ぎではない。 ドン、キュン、ドンぐらいな感じ。果物に例えるのならスイカ辺りだろうか。 どれをとっても完璧な造形美が滲み出ている、まるで人工の女神像の風情がそこにあった。 彼女はこの病院の責任者であり、抜群すぎのお医者様先生その人である。 死んでさえいなければ、あらゆる損傷を修復し、病魔ですら打ち倒す彼女を、いつしか人はこう呼んだ。 ――――『冥土返し』と。まぁ、今はどうでも良い事だが。問題は彼女の更に下である。 「ぐぬぬぬぬぬ」 「おや、どうしたね、天井君」 脅威の胸囲を誇る、メーターバストを頭の上に乗っけられて苦しそうな声を上げているのは、天井亜衣《あまい あい》(偽名)というちっこい、そう、とてもちっこい少女だ。 あまりにも、ちっこすぎるその身長には、化け物じみた重圧を発揮できる様な凹凸の類はほぼ皆無。まるっきりの幼児体形であり服の裾も余っている。見た目は、殆ど小学生高学年である。 これぐらい小さいとジェットコースターに搭乗すら断られそうな感じである。恐らく。 トレードマーク=だぼだぼの袖が丈と幅も余りに余った白衣。とある高校のSSサイズの女子用制服(紺色のセーラー服) トレードマークその二=メーターバストに押しつぶされたワカメソバージュの髪の毛、色は緑色。及び全長百三十センチのコンパクトボディ。超非力。 「ぬぬぬぬぬ、おも、おも、おもぃんだけど、冥土返し……お前、わざ、わざ、わざと、だ、ろ……」 声変わり前特有の少女声をあげ、天井は懸命に重圧《おっぱい》を押し返す。その苦悶の表情と膝を突いた体勢は、蒼穹を支えるアトラスの様相。激似。スケッチブックがあれば良いモデルになりそうではある。もっとも、本人それどころでは無いが。 「はて、何のことやら」 とぼける口調に、更なる重圧を乗せて加重する冥土返し。容赦無し。 耐えて、途切れ途切れに言い返す天井。この時既に軽く涙目である。 「おま、お前、あれを野放しにしておくと、どう、なるのかわかって、るのか? ぐっぬぬ」「ああ、彼女のアレかな。何分情報不足でねぇ。もう少し観察してみない事にはねぇ……彼女の乙女心を考えると、僕もやすやすと手をだせんよ、そうだろう?」 「ぬぁ…… それなら、私が、散々、報告しているだ、ろうが……、あの娘は、気に入った相手に、その、なんだ、特殊な、ちょっとアレなちょっかいを出す、その、人間? いや人種なのだぞ。朝起きたら、枕元に立って今にもナイフを振り下ろさんと、している光景を、少し、想像して、みろ……」 もはや息も絶え絶えで、自分を押しつぶさんとする冥土返しへと言い放つが、天井の位置からでは、上を見上げたところで冥土返しの胸が邪魔で顔が見えない。胸のお化けと話をしているみたいだ、とどこか冷静に考える天井《じぶん》がいる事を自覚していた。 「想像か……」 冥土返しは胸に肘をつき、手の平に顎を乗っけて、しばし考え込む。 「で、できるだけ、手早くな……てか退け、さもなくば死ね、もしくは爆砕して消えてなくなれ冥土返し!」 いい加減キレたのか、後半の語気は些か荒かった。 「天井君、そんな酷い言葉を使っては折角のロリボディが台無しでは無いか、もっと清楚でオシトヤカナ深窓の令嬢みたいに振舞えないのかい?」 効果無し。思わず叫ぶ。 「無理に決まってるだろうが!」 天井の両腕がプルプルと震えだした。重たいのだ。めっちゃ重たいのだ。もうお正月の鏡餅の何倍あるのだろうか、この膨らみは。男の時になら憧れもしただろうが、今は自分も女性ボディだ。したがってお化けにしか見えない。 悲しいかな、ああ悲しいかな、悲しいかな。 「想像できたよ、状況、なんていうか凄いね」 「そ、うだろう、そうだ、ろう……」 発音の練習をする外国人そっくりな口調で、天井が無心に頷く。 が、返ってきた答えは、天井の予想とは随分違っていた。 「うん、実にシュールだね、今度部屋にカメラを設置して置くよ」 (お、おかしいだろ。普通は『ふむ、いっそ隔離するか』とか『では部屋を別の部屋へ』とかじゃないのか! ないのか! ないのか!) 「一部のナウなヤングにバカ受けしそうなシチュエーションだね、是非とも夏コミに――」 自分の胸の上に手を組む冥土返し。 結果、重圧が増し、天井の背骨とか膝とか、肘とか、ありとあらゆる関節が悲鳴を上げる。 自分にはこんなにも間接があったのだろうか、と思うぐらいだ。 それらをなんとか持ちこたえて、 「言いたい事は、そ、れだけかぁぁ!」 吊天上を支える屈強の幼女型元科学者。無論イメージだが。実際には、じりじりと体勢が低くなって行ってる。 「人の恋路の邪魔は出来ないよ、手助けはするけどね。さしずめ恋のキューピットかな」 「お前のは、どっちかっていうと手助けっていうより、『おちょくって自分が楽しんでいる』だけに見えるんだけど……恋じゃなくて故意だし、お前……ぐ、もうだめだ――へぶっ」 限界。結果、天井はべたりと潰れた。柔らかな感触が執拗に彼女を押しつぶしたのだ。 「まぁ、もう少しだけ様子を見ようよ、天井君」 完璧に大人の口調でそう諭す冥土返し。実に楽しげ。若しくは嬉しげ。 天井亜衣=この物語の主人公である。目下気絶中。当然、聞いちゃいなかった。
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TSスレの単語集 TSスレの単語集です。SSの読み書きの参考にどうぞ。 一覧 TS 【元ネタ】 TS=Trance Sexual(トランス・セクシャル) 二次創作においては「既存キャラの性別を逆転(変化)させたもの、もしくはその設定で綴られた話」を指す。 オリアナにーやん 【元ネタ】 オリアナ=トムソン 【解説】 TSスレが発祥。 どうみても、「うほっ、いい男」な格好の良い青年になっている。 カエル女医 【元ネタ】 冥土返し 【解説】 二巻の301ページあたりを読み返すと悶え苦しめるらしい。 現在なぜか大人気であり、天井、火野の二名を性別変換機に突っ込み、 さらにはアレイスターをおちょくるという展開がお約束になってきている。 外見はやはりあまり考慮されておらず、グラマラスなボディに白衣、カエルのイヤリングと、結構オシャレだ。 ヒノタン 【元ネタ】 火野神作(ひのじんさく) 【解説】 TSスレで提案されたTS案から生み出された電波系少女。 元ネタと投下された初期イラストとのギャップで悶え苦しむ住民が続出。 SSで色が指定された事で、このキャラクターと上嬢さんだけは色が付いてたりするが、 ヒノタンの場合は、火野神作の特徴はあまり考慮されていない。 ・薄桃色の髪、髪型はツイン ・焦点の定まらないような虚ろな瞳で色は薄紫。 ・ナイフの形状がアーミーナイフ。SSだとS&W ・包帯と木の板も特徴。 ・体つきは華奢、スレンダーというか未発達。 ・カエル女医の人体実験の産物という設定になっている。 ・天井奮闘記では上条にぞっこん。彼の通う高校に転校してくる。 ・同シリーズでは天井亜衣と同じ部屋に住んでいる模様 ビア嬢 【元ネタ】 ビアージオ=ブゾーニ 【解説】 ・一人称「私」 ・金髪ロールあり、貧ny ・高飛車お嬢ツンデレ派、SMっ気有り・スキル『うっかりさん』 ・口癖は「だって面倒だろう? 私は面倒なのが嫌いなんだ」 上嬢さん 【元ネタ】 上条当麻(かみじょうとうま) 【解説】 上条当麻のTS版。 SS書きの設定によって三パターン存在する。 ・霊装によって造られたドッペル上嬢 ・TS世界なので上条が最初から女性 ・カエル女医の怪しげな機械によって、元は男性だが、無理やり女性化版。 どれも外見上の特徴は統一されており。 ・神裂火織、姫神秋沙の髪 ・インデックスの蒼い瞳 ・胸が御坂美琴 ・性格は上条当麻をベースに とかなりのパーフェクトジオングぶり。 噛み嬢さん 【元ネタ】 上条当麻(かみじょうとうま) 【解説】 熱い台詞の途中でも舌を噛むというネタから生み出されたTS版の住民による幻想。 いくつか噛みパターンがあるらしい。 白井♂ 【元ネタ】 白井黒子→白井♂。 【解説】 数案有り。 外見は原作とほとんど変更が無いのだが、女装癖ありの壊れキャラ。 水着はなぜかスクール水着、胸には「しらい」と平仮名。 「うほっ、いい男」バージョンも存在する。 TSスレでもっとも多くいじられる女性キャラである。 天井亜衣 【元ネタ】 天井亜雄 【解説】 冥土返しの性別変換実験の被検体その1(ヒノタンよりも先である) 書き手によって時間軸は違うが、共通事項として ・ヒノタンと一緒に住んでいる ・上条当麻と同じ高校に通っている(クラスも同じ) ・基本的に冥土返しに良いように扱われる などが挙げられる。 キレると色々やばい
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チュッ 上条 (またキスしてしまいました・・・ しかも今度は唇と唇で・・・・・・・・・ また電撃が来るぅぅぅぅうううううううう!!!!!!) と思っていたが・・・ 上条(あれ?いつまでたってもこないぞ?) 「お、おい美琴。大丈夫なのか?」 美琴「だ・・大丈夫でしゅにゃ」 といっている美琴さん、もはや体中真っ赤っ赤っ赤。体温も5度ぐらい上がっているんじゃないか?と思う上条さん 美琴「・・・もういいわよね」 上条「ん?あ、いや。ホントにこれは事故で決してわざとではn・・・」 美琴「ちがう!!そんなことじゃないわよ!!」 突然大声を出されてびっくりした上条さん。幸い黒子は駆けつけないみたいだが。 美琴「そういうことじゃないわよ・・・」 上条「どうしたんだ?美琴・・・・・?」 美琴「・・・・・・好きなのよ」小鳥のような小さな声 上条「え・・・・・」 美琴「好きなのよ!アンタの事が!!」静寂の森の中、その声は響いた。上条の耳にもはっきりと聞こえただろう。 「・・・アンタは、・・私のこと、嫌い?」 いわれて考える上条さん。はっきり言ってそういう目で美琴を見たことがなかった。 0.5秒ほど考える上条。 ◆上条さんの脳内状況◆・・・・・・ (にゃ、にゃぜに御坂からの逆告白??待てこれはエイプリルフールかいやそれはない。どう見てもマジだし、えーっと・・・・・そういやこいつって結構美人だったりするかも・・こいつのこと好きか嫌いかと言われれば・・・・良い奴だし・・) 「・・・いや。・・・好き、かな。」 「かな?」 「好きだ。」 美琴さん意識ぶっ飛びー。・・・・・・・・・・ 「御坂さ・・・・美琴?おーい、戻ってこーい。」 「・・っっ!ごめん!気絶してたかも・・・」 「俺の、聞いてた?」 「き、聞いてたわよ。ちゃんと。」 (あやしいな。もう一回言うか?・・・だめだ!恥ずかしすぎる!2回は言えねー!!!) ふと上条さんは気が付く。 お互いに手を首にまわしていることに。いつの間にこうなったのかはわからない。 が、ここは口で言うよりも、そっちのほうが気持ちも伝わるし、口で言うより恥ずかしくない! いや、そっちのほうが恥ずかしいような気もするのだが、美琴に負けず劣らず思考回路がショートしている上条さんは・・・・・・・・・・・・・キスした。 短い時間だったが、長く感じられる時間だった。 二人の唇が離れると周りの音が戻ってきた。 なにやら騒がしいことになっているようだ。 さいわいまだ二人がいないのはばれていないらしい。 「(もう少しこうしてたいけど・)・・・戻ったほうがよくない?」 「・だな。ばれたら・・・・やばいな俺たち。」 「・・・・・そう、よね。(まぁ、良いか☆キスできたし、告白できたし。)」 暗闇の中、キャンプファイヤーへと戻る二人。どちらともなくしっかり手をつないでいた。 ◆そのころレールガンでめちゃくちゃになった会場では◆・・・・ 「にゃー!!真っ暗だぜい!俺の下にいるのは誰だ、すまないにゃー。」 「・・・・わたしだけど。」 「っ!?しっ、白雪?すまん!すぐはなれるって・・誰だおれの上にいるのはー!!」 「このバカ者が!!!!」 ボコッ!! 「ぐはー!!!吹寄!!これは事故だ!!」 「じゃあ事故でどうしてそこまで絡み合ってんのよ!!??」 「俺の上に乗ってた野郎に言われたくはグルゴギュ!」 「つ、土御門君?だいじょーぶー?」 新規カミやん病感染者;土御門元春 相手;白雪月夜 この二人がこれ以降よく話し、一緒に登下校するようになったというのは情報屋からの確かな情報である。 ◆約15分後◆ 投光機により光が戻り、再開に向けた準備が始まろうとしていた会場。 「お姉さまー!!グゲゴッ!!」 「そんな大声で人を呼ばない! 恥ずかしいじゃないの。」 「ああ、お姉さま よくご無事で。・・・あの野蛮人は?」 「あああのと、馬鹿?あっちで青髪の奴と話しているわよ。」 「そうなのですか、それにしても何もなくて・・・・・ハッ!!」 「どど、どうしたの黒子?」 いやーな予感がしてじりじりと引いていく美琴。 そしてその予感は的中した。 「いま一瞬『と』っておっしゃいましたわね。」 「な、何のことでしょうか、黒子サン??」 「おとぼけになられても無駄です!!今あの野蛮人のファーストネームを御呼びなさろうとしていましたでしょう!!!」 「なっ、何いってんのよ!付き合ってるわけでもないのに!!!!」 「なっっっ!!!!いつの間にそこまで深い仲にぃぃぃぃ!!おのれぇぇ!!!!!」 言いながら黒子は美琴の服を見る。所々枯れ葉が付いている、特に背中に。 黒子はこう判断した。「あの類人猿はお姉さまを押し倒した!」と。 大正解! しかし、先に告白したのが美琴であるとまでは思ってもおらず、当然上条を攻撃しようとして振り返った! 結果、次に黒子が気が付いたのは本日何度目になるかわからないベッドの上だった。 言うまでもなく、美琴の電撃(かなりの高出力)である。 「・・・おい、大丈夫なのか?」 「多分ね。黒子のことだから。」 なんだかんだで一緒にいる二人。 見ていたバカ二人は・・・・・・・ 「にゃー!!もう我慢ならんぜい!行くぜ青ピ!!様子見はやめにゃー!!!」 「あいな!いくで、土御門はん!!」 「だーかーらー。相手はレベル5だよー・・・って!!!」 ビリビリバッチーン!!!!!!! 「早!!ものの3秒で二人とも黒こげだー!!!」 「にゃー。」「だめやー。」 「・・・美琴?・・・さっきから強すぎじゃね?」 「良いのよ!(邪魔する奴はみんな撃つ!!)」 「まぁ、ほどほどにな。美琴の方が先にばてるかもしれんから。」 レベル5が彼女だと、向かうところ敵なしである。 そんなこんなでキャンプファイヤーも終わる。 「明日が最終日よねー。えーっと・・・・昼食はバーベキューでそのあと帰るみたい。アンタのとこは?」「同じだな。」 ちょうどそこへやや憔悴しきった顔のステイルが通りかかった。 「?どうした、ステイル?」「ん?いや、インデックスがね僕の分の夕食まで食べてしまったんだよ。」「そりゃ、災難だな。」「それだけじゃない。他の人の分まで食べてまた叱られた。僕がね。」 どうも今夜の上条さんは不幸を人に押し付けているようである。 上条と美琴が告白しているのは白井たちは知らない。しかしその桃色空間を後ろで見ていたものがいた。 10032号「あの人のことが心配になり、急いで来てみたのはいいですが・・・・・とミサカは衝撃的なシーンを見せ付けられています」 妹達「「「「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」」 そう、シスターズは見てしまった、あの二人のキスを。世界各地の妹達は同時に悲鳴を上げた。 12887号「も、もはや我らの存在意義がなくなってしまいます。とミサカは落胆の色を隠しきれません」 18568号「オリジナルに先を越されるとは・・・・とミサカはあの二人の大胆さに驚いてみます。」 10032号「いくらオリジナルといえどこれは許されません。とミサカは自分の恋心をさらに燃やしてみます」 打ち止め「うっわ~、パパとママがそんなにラブラブだったとは。ってミサカはミサカは案外それもいいかもと思ってみたり」 17526号「あなたの場合、一方通行がいるからのんびりしていられるんです。とミサカは上位固体に怒りを向けてみます」 13267号「それよりもこれを見せ付けられてこのあとの私達はどうすればいいかという点で話し合いをしなければ。とミサカは比較的冷静な判断をしてみます」 10032号「ミサカはオリジナルを殺し、あの人を奪いたい。とミサカは残虐的な発言をしてみます」 19090号「と、とりあえず落ち着きましょう。とミサカはあまりの変化にたじろいでみます」 10032号「一人でダイエット(抜け駆け)をしたあなたに言われたくはありません。とミサカは毒づいてみます」 打ち止め「もめないでー!ってミサカはミサカは白い人に疑いの目をかけられてたり」 13267号「だからこれからどうするか話し合いましょう、特に19090号に罵倒を浴びせている10032号!とミサカは少し切れ気味に言ってみます!!」 10032号「ふーーー。わかりました。とミサカはやっと落ち着きを取り戻してみます」 18568号「ではなにをすればいいか誰か意見はありますか?とミサカは疑問をぶつけてみます」 妹達「「「「うーーーーーーーーん・・・・」」」」 10032号「・・ところであとのミサカはどうしたのですか?とミサカはあまりに少ない評議会参加者数について疑問を呈します。」 18568号「隣に一人いたのですが、とミサカは同じミサカが隣で気絶していることを告げます。」 妹達「「「なっ、なんですと!?」」」 打ち止め「そうそう、実は今気を失わずに立っていられるのは100人ぐらいだよってミサカはミサカは新情報を伝えたり。」 10032号「まあ、それだけの衝撃でしたからね、とミサカはかろうじて立っている現状を伝えます。」 13267号「こちらもです、とミサカはつげます。ところでほんとにどうしましょう?とミサカは脱線した話の修正を試みます。」 19090号「現在、彼に一番近いミサカは10032号ですね?とミサカは確認をとります。」 10032号「はい、ただしもう二人はキャンプファイヤーに戻ってしまいました、とミサカは付け足します。」 打ち止め「もうあの二人くっ付けちゃっていいんじゃないのー、ってミサカはミサカは爆弾を落としてみたり。」 妹達「「「「子供は黙ってなさい!!!!!」」」」 打ち止め「ひー!!ってミサカはミサカはネットワークから撤退してみたり!」 と、打ち止めはネットワークから出て行った。 一方「テメエ、さっきから何コソコソしてンだよ?」 打ち止め「何でもない何でもない、ってミサカはミサカは平静を装ってみたりってゴギュ!」 一方「てめえがそうやってるってぇのはなンかあるンだな?」 打ち止め「ムグググ、ミサカはミサカは評議会の内容は絶対漏らさないって、ミサカはミサカは墓の中まで守り通すって誓ってみたり!!!・・・ハッ!!」 一方「ほう、評議会ねぇ。・・・・・正直に言ってみろってンだよ!」 打ち止め「わかったわかった話すから!ってミサカはミサカは他のミサカに誤ってみる!」 ◆状況説明(ただし評議会が始まってることのみ)◆ 一方「・・ンで、なンでそいつは始まったンだ?ラストオーダー?」 ◆状況説明Part2(オリジナルと上条さんについてだという説明)◆ 一方「・ンで、二人のどこが問題なンだよ!?」 はぐらかす打ち止めに、こめかみがヒクヒクしている一方通行 打ち止め「ううう、これ以上は・ゴギュ!!!」 一方「言え。」 打ち止め「言います言いますってミサカはミサカは口が引き裂かれそうなのをガマンして言ってみる!!」 ◆状況説明Part3(すべてを暴露!)◆ 一方「なンだ、そンなことかよ?くっだらねエ。」 打ち止め「っ!!これは大問題だよってミサカはミサカはあなたの神経を疑ってみる!!」 一方「結構前からあいつらデレデレだったじゃねエか。」 打ち止め「た、確かに。でもこれは他のミサカにとっては存在意義にかかわる大問題なの!!ってミサカはミサカはことの重大性を伝えてみる!!」 一方「そンなのが存在意義なのかよ?ン?他のってどういう意味なンだ?」 打ち止めに「私にはあなゴギュ!!!!!」 一方「・・・・だまれ・・・」 打ち止め「あー、赤くなってるってブハッ!!!!」 一方「それ以上言ったら承知しねエぞ!」 こっちもこっちで史上最強のツンデレ(?)アクセラレータは・・・赤い。再点火したキャンプファイヤーの火に照らされているからかもしれないが。 ◆臨時全ミサカ評議会◆ 10032号「ガキはいなくなりましたし、本題に戻りましょう。とミサカは気を取り直して言ってみます。」 18265号「しかし、キスまで行かれたのでは私たちにできることはありません、とミサカは悲観的になっています。」 1 9090号「何しろ私たちにはオリジナルへのアドバンテージが全くありません、とミサカは自分のウエストあたりを見ながら言ってみます。」 17265号「・・そこだけは勝っているぞと言いたいんですねこの野郎、とミサカは19090号への攻撃に最適な武器の選定を開始します。」 10032号「落ち着きなさい17265号、とミサカは本題へ戻れと言います・・ハッ!!」 妹達「「「「どうしたのですか?」」」」 10032号「我々には一つアドバンテージがあるではありませんか、それもとっておきの!とミサカは伝えます。」 18265号「!!あの方のご自宅の場所ですね!とミサカは狂喜します。」 19090号「なるべくはやくそこへ行って積極的行動を開始するべきです、なぜならオリジナルも早晩その情報を知るでしょうから、とミサカは10032号をせかします。」 10032号「わかりました・・ムグッ!!!!!」 18265号「どど、どうしたのですか10032号?とミサカは心配します。」 10032号「遅かったようです。とミサカは敗北を宣言します。」 妹達「「「「ま、まさか!!」」」」 10032号「そのまさかです!今オリジナルが上条さんの住所を聞き出すのに成功したとミサカはオリジナルに投げて貼り付けた小型盗聴器からの衝撃的情報をつ、た・・・・・・」 10032号からの通信が途絶えた。彼女もついに気絶したからである。 しかし他の妹達は10032号の気絶に対して何の信号も打たなかった。なんとなれば他の妹達も気絶するかネットワークを切断して絶望に打ちひしがれていたからだ。 ◆数日後、冥土返しの病院◆・・・・・・ 看護師A「先生!彼女たちの様子が変です!」 冥土返し「?どういうことだね?」 看護師A「いつもなら毎週月曜は占い雑誌を読んで喧嘩しているのに今日はあんな調子です!!!!」 冥土返し「どれどれ?」 そこで彼が見たのは雑誌を読んでは盛大なため息をつき、隣のミサカへ(丁寧に)雑誌を回して読んでいる妹達であった。 冥土返し「不思議だねえ?」 看護師A「処置しなくていいんですか?」 冥土返し「前にも言ったはずだね?彼女たちは一つの脳の命令に従っていくつもの行動をしている。どれか一つに絞らずとも全部できるんだから。」 看護師A「ええ、ですからみんなあんな調子なのは変です。」 冥土返し「だからそのままにしている方がいいんだよ。」 看護師A「はい?」 冥土返し「つまりだね?そのとてつもない大きさの脳全てを埋め尽くすほどの悲しみが彼女たちを襲っているというわけだよ。たぶん世界中の彼女たちが全部あんな感じだろうね?この場合我々にできるのはなんだい?」 看護師A「・・・・そっと見守る、ですか・・・。」 冥土返し「その通り。まあ原因は思い当たるけどね?」 看護師A「えっ!そうなんですか?で、理由は何ですか?教えてくださいよ。」 冥土返し「ダメダメ。・・君も野暮な人間だねえ?さっさと行くよ?たくさんの患者さんたちが僕たちを待っているんだからね?」 看護師A「へ?・・は、はあ・・」 ポカンとしている看護師Aを尻目に冥土返しは笑う。 (彼女たちがああいう悩みを持つというのは人間的に成長してるってわけだね?なら、素晴らしいことじゃないか。それに・・)冥土返しは振り返る。そこにはめいめい違う雑誌を読みだした妹達の姿があった。 (一人の人間に執着することで縛られていた脳が解放されて・・・・『自我』の芽生えに繋がるかもしれない。良いことじゃないか。)
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最終章 蟻群矜持《ボトムスピリット》 後編 それから数日後・・・ 第七学区 とある病院 毒島帆露が入院する病院(正式な手続きは済ませたらしい。)のロビーで毒島拳はソファーに座りながら、 缶コーヒーを飲み、ロビーに置いてあったテレビを眺めている。 『えー。続いてのニュースです。第5学区の○○病院で入院患者に違法薬物を投与した疑いで医師、看護師数名を逮捕しました。この事件は――――』 『昨年の10月、第五学区で起きた女子高生暴行事件の続報です。 警備員《アンチスキル》はこの事件をスキルアウトの個人的な暴行ではなく、第二三学区で行われていた非人道的な実験の告発が―――』 『第八学区の路地裏で国際特殊環境研究所の木原故頼博士の遺体を発見しました。』 『この件で木原氏には、数年前から発生していた置き去り《チャイルドエラー》大量失踪事件や 昨年の第五学区で起きた女子高生暴行事件への関与を窺わせる証拠が発見されており、更に余罪が―――』 『続いてのニュースです。第五学区~第八学区にかける高速道路で破壊活動を行ったとして、器物損壊の罪で数名のスキルアウトを逮捕しました。事件は――――』 『第5学区の風輪学園中等部の敷地内で破壊活動を行ったとして、警備員《アンチスキル》は風輪学園の不良能力者集団と抗争していたスキルアウトを一斉検挙し―――』 テレビから流れる数々のニュース。一見、繋がりの無さそうなニュースの全てがたった一つの真相と繋がっていることなど、関係者でなければ知る由もないだろう。 流石に学園都市の権威を揺るがすこともあってか、宇宙頭脳《スペースブレーン》や境界突破《アフターライン》、 そして逮捕されたスキルアウトが軍隊蟻《アーミーアンツ》がであることは触れられていなかった。 あの事件の夜、第七学区から出発した樫閑、毒島、茜とその他は到着が遅れたことでMARによる逮捕劇を逃れることが出来た。 しかし、寅栄、仰羽、そして2人を取り戻そうとMARに突撃した数名のメンバーが逮捕された。 樫閑「お姉さんの容態はどうなの?」 訝しそうな顔でテレビを見つめていた拳に長点上機の制服を着た女子高生、樫閑恋嬢が話しかける。 毒島「能力に関しては問題ない。」 樫閑「“能力に関して?”」 毒島「あの医者が言うには―――― 昨日の診察室での冥土返しとのやり取りを回想する。 冥土返し「手術は無事に成功。君のお姉さんの体内にある能力阻害物質は取り除いたんだね?」 毒島「じゃ、じゃあ・・・・」 毒島はあまりの嬉しさに椅子から立ち上がって、すぐにでも姉の入院室に飛び込む準備をしていた。 冥土返し「でも、お見舞いは控えるんだね?」 突如、冥土返しの言葉で毒島は現実へと引き戻された。 冥土返し「彼女の抱える問題はそれだけじゃないんだね?」 毒島「男性恐怖症・・・・」 冥土返し「うん、それは能力に関してもとても大きな問題なんだね? 精神状態は自分だけの現実《パーソナルリアリティー》の構築において、とても重要なのは、君でも分かっているんだね?」 毒島「はい。」 冥土返し「事件のトラウマ・・・男性恐怖症を克服しない限り、能力も、お姉さんの日常も取り戻すのはとても困難なんだね?」 毒島「でも・・・あんたは冥土返し《へヴンキャンセラー》なんだろ?男性恐怖症ぐらい・・・・!!」 冥土返し「僕の本領は外科手術。さすがに、それはお姉さんの心の問題。」 毒島「・・・・・・」 冥土返し「でも、心配する必要は無いんだね?患者が僕から離れるときは、死ぬか、完治するかの2択なのだから。」 回想終わり 毒島「――――ってことだそうだ。」 樫閑「それは、帆露さんの心の強さに賭けるしかないわね。」 毒島「そう言えば、あんたは何でここに?」 樫閑「緑川先生のお見舞いよ。傷が酷かったから、冥土返し《へヴンキャンセラー》に治療を頼んだのよ。」 毒島「腹を刺された後、全身を能力で総攻撃されたみたいだな。」 樫閑「その割には元気だったわ。差し入れのバナナを一房も食べたのよ。」 毒島「今思うと、あの人を敵に回さなくて良かった。」 樫閑「そこには同意するわ。じゃあ、私はこれで。」 そう言って、樫閑は大きな紙袋を両手に抱えて、立ち上がった。 毒島「どこに行くつもりなんだ?」 樫閑「とりあえず、九野先生にお礼を言いにいくわ。情報統制もそうだけど、被験体たちに善良な研究機関を紹介してくれたからね。 あと何か風紀委員一七七支部にもお世話になったみたいだから、そっちにも行くわ。他にも黄泉川さんとかにも言わなくちゃ・・・」 毒島「そうか。気を付けてな。」 樫閑「あなたもね。」 そう言って、樫閑は両手に紙袋を抱えたまま病院から出ていった。 入口付近でレディースと出会い、彼女らに荷物を持ってもらう光景が見えていることから、 トップの2人が逮捕されても軍隊蟻《アーミーアンツ》という組織はまだ存続しているのが窺える。 毒島(さてと・・・これからどうするか・・・・。) 毒島はこれから先のことを考えていた。 姉の事件は解決した。細かい事情聴取も無い。真相があれなだけに、九野先生たちが書類を偽装して騒ぎにならないように配慮してくれているそうだ。 もう自分の役割は無いだろう。 しかし、長いこと休んでいるため、学校には今更感を感じる。(そもそも勉強が追いつけない。) だからといって、霧の盗賊に戻るというのは、無理があるだろう。 ならば、いっそのこと、軍隊蟻《アーミーアンツ》に入るか?――――と考えるが、些か躊躇いを感じる。 軍隊蟻《アーミーアンツ》にも利益があるといっても、トップ2人が捕まるような大事件を持ちこんだ張本人が居心地良いわけではないだろう。 樫閑たちが毒島を受け入れても、毒島自信が責任を感じてしまう。 毒島は自分の手元に何か無いのか、ポケットの中を探り始めた。 すると、ズボンのポケットに携帯電話が入っていたことに気付く。 画面を見ると、2件のメールが届いていた。 毒島「誰からだ?」 From:eisei-tyo-ikemen@****.ne.jp 件名:無題 俺のメアドを教えるのを忘れていたな。とりあえず、登録ヨロ。 自分だけの現実について聞きたいことがあったら、いつでもメールしろよ。 ああ見えて、俺って専門家なんだぜ☆ 毒島(ウザッ・・・・。けど、まぁ、能力阻害物質とか教えてくれたから、悪い奴じゃないか・・・。) From:家政夫 件名:無題 毒島ちゃーん♪ 両手両足切断は流石に死ぬかと思ったでー☆ まぁ、わいの瞬間再生で何とかなったけどな!ドヤッ そういえば、霧の盗賊のサイト更新したいんやけど、 今まで毒島ちゃんに丸投げしとったから、やり方が分からへん! いつものところにおるから、ちょっと手伝ってー!! 毒島(もっとウザッ!!) しかし、敵対した自分に対し、ここまでフレンドリーに接して来るのは、何か裏でもあるのだろうか・・・。 毒島は一旦、病院の外に出て、家政夫《ヘルプマン》に電話をかける。 家政夫『ほいほーい♪毒島ちゃーん。メール見てくれた?』 毒島「見た。何のつもりだ?」 家政夫『別に裏なんてあらへんよ?メール見たまんまや。病院での復讐とか考えとらんで。』 毒島「そうか?俺が着いた途端、あいつら一緒にフルボッコにする魂胆が見えてるんだが・・・」 家政夫『やらへん。やらへん。毒島ちゃんに手ぇ出したら、また振動支配《ウェーブポイント》にダルマにされるんやろ? そんなの嫌や。それに、まだあいつらは入院中やで?今、動けるのが、わいと毒島ちゃん。あと、安田はんも今日から来るそうやで。』 毒島「一度、敵対した俺たちが昨日の今日で仲間になれると思うのか?」 家政夫『いやぁ?仲間なんてこれっぽっちも考えおらへんよ?毒島ちゃ~ん♪忘れとらん?わいは金儲けがしたいだけなんやで。 今回も報酬が貰えんかったし、やっぱ毒島ちゃんと組んでた方が儲かるわ。ってか、お願ーい☆霧の盗賊に戻ってきてー!!』 怪しくて納得がいかないが、行動原理が単純なだけに何かと信用できる家政夫《ヘルプマン》の存在は、 自分の居場所がまだ残っていることに不思議な安心感を覚える。 毒島「そうだな。俺も姉さんの入院費とか治療費とか、色々と借金を抱えているからな。」 無論、これは嘘である。学園都市の生徒全てに奨学金が宛がわれるが、大能力者《レべル4》である毒島帆露に宛がわれる奨学金はかなり大きく、 帆露があまり使わなかったこともあってか、入院費も治療費も一括払いできるほどの資産が残っている。 家政夫『ホンマ!?助かったで~。』 毒島「けど。条件がある。」 家政夫『ほいほい。何でもゆうてみい?』 毒島「討伐するスキルアウトの選定は俺の意見を優先すること。無差別な無能力者狩りをする能力者の討伐も行う事。以上だ。」 家政夫『何や。一つ目の条件やったら、お安い御用やで。要するに、毒島ちゃんは穏健派や筋の通ったスキルアウトを相手にしたくないだけなんやな?』 毒島「随分とストレートに言うんだな・・・。まぁ、それが本意だ。」 家政夫『まぁ、軍隊蟻《アーミーアンツ》やビッグスパイダーなんて組織は希少種や。当たること自体ないわ。 そんで、もう一つの条件なんやけど、流石に無理や。リスクが高すぎるで。』 毒島「高すぎる?けど、リターンも高い。能力者なんてたらふく奨学金貰ってるんだ。 スキルアウトがチマチマとカツアゲやって溜めこんだ金よりは額が多い。」 家政夫『なるほど・・・・、スライムプチプチ潰すより、一気にドラゴンを狙うってことなんやな?まぁ、儲かるんやったら、別にええけどな。』 毒島「条件は呑んだってことで良いんだな?」 家政夫『ほいほーい♪せやから、さっさとサイトの更新頼むで~!次は畜生道《ビーストロード》が標的や。』 そう言って、呑気な笑い声と共に家政夫《ヘルプマン》は電話を切った。 毒島も彼のテンションのせいで調子が崩されつつも、再び霧の盗賊に身を置く決意をする。 ふと、彼は携帯の画面に新たな着信メールが来ていることに気付いた。 「誰からだ?」と思いながらもメールを開いた。 毒島「これって・・・・・」 第十学区 犯罪者収容所 まるで学校のグラウンドのような場所に端にあるベンチで寅栄は座り込み、その隣に仰羽も座っていた。 今は自由時間のようで、各々がサッカーやらバスケやら、スポーツに勤しんでいる。 被験体のような囚人服を着ていた。抵抗する気も無く、とても落ち着いた雰囲気だったが、 別に捕まったことで自堕落になったりはしておらず、刑務所ライフをそれなりに満喫しているようだ。 仰羽「樫閑だけで、軍隊蟻《アーミーアンツ》は大丈夫なんでしょうか?」 寅栄「問題ないだろ。チームの統率は、最近はあいつに任せっきりだったしな。武器の供給も仕事も問題ないだろ。」 そもそも、軍隊蟻《アーミーアンツ》が強力な武器を持ち始めたのは、樫閑が入ってからだ。 企業が兵器を開発する際、最も重要視されるのはその武器の役割であり、樫閑は軍師としての天才的頭脳から、 例え気まぐれで開発・設計された武器でも、それの運用方法などを考案し、その有用性を証明することで兵器のコンペティションにおいて企業を有利な方向へと導いていた。 その応酬が軍隊蟻《アーミーアンツ》の保有する兵器群である。 仰羽「まぁ、俺たちも器物損壊と諸々の余罪で数ヶ月の懲役で済んで助かったすね。」 寅栄「宇宙頭脳《スペースブレーン》の情報料として、九野先生たちには“組織として、軍隊蟻《アーミーアンツ》の存続”を要求したからな。報道で軍隊蟻《アーミーアンツ》の名前が出ていないってことは、ちゃんと約束を護っているようだな。」 そう言って、寅栄と仰羽は空を見上げ、軍隊蟻《アーミーアンツ》の更なる存続と栄光、そしてこれからも筋を通した生き方をすることを願った。 第七学区 とある病院 涼しげな印象を与える個室の病室。窓際にあるベッドで帆露は上体を起こし、外を眺めていた。 未だに男性恐怖症から抜けられていないものの、第五学区の病室で樫閑たちに敵意を剥き出すあの頃と比べれば、 幾分かは落ち着いた印象を与える。手には携帯電話が握られている。 彼女の傍らには、振動支配《ウェーブポイント》こと四方神茜がベッドに寄り掛かって眠っていた。 手元には、何やら文字か絵か、はたまたその中間に位置する図形が書かれたカードを持っていた。 これは、言葉を発せずとも茜が文字を理解できるように宛がったものだ。本来、口語無くして文字を理解することは非常に難しいが、 樫閑は絵や図形から派生して漢字が出来上がったこと、古代エジプトの絵の様な文字であるヒエログリフを参考に、 茜が文字の読み書きを出来るように教育を施している。 彼女は“ヒエログリフ方式”と命名している。 口語を省いた文字の理解はとても難しいだろうが、超能力者《レべル5》の頭脳であれば、すぐに解決するだろう。 帆露「私のために・・・ありがとう。茜ちゃん。」 そう言って、帆露は眠る茜の頭を撫でる。帆露だから安心しきっているのか、振動防御帯で帆露の手が拒絶されることはなかった。 すると、女性の看護師が部屋の中へと入ってくる。 まだ男性恐怖症を克服できていない帆露の担当は、未だに女性が担っているようだ。 看護師「花がかれちゃってるわね。取り替えておかないと・・・」 そんな独り言を呟きながら、看護師は帆露の周辺を整理したりして、自分の職務を全うしていく。 帆露「看護師さん。ちょっと話があるんですが・・・」 看護師「はい?なんでしょうか?」 帆露「・・・・・・、ちょっと・・・外に出てみたいんです。」 看護師「外って・・・、あなた、男性恐怖症は・・・・」 帆露「まだ男の人は怖いです。でも・・・・・このまま病室に篭もったままでいるのも嫌なんです。」 言葉こそは弱弱しかったが、彼女の眼には焔が点いていた。困難を乗り越えるための硬い意志がそこにはあった。 ―――――――――泣き寝入りなんて、カッコ悪いわ。――――――――― かつて、誰かに言われたような気がする言葉。それが彼女の決意の燃料となっていた。 From:毒島帆露 件名:拳へ 今まで、色々と迷惑をかけたようで、ごめんなさい。 まだ、メール越しでしか話せないけど、 いつかきっと面と向かって、拳と話したい。 “ありがとう”って言いたい。 拳だけじゃない。私や茜ちゃんのために戦った人たちにも感謝したい。 そのためにどれだけの犠牲が出たか知らないけど、 まだ、部屋から数歩出るのがやっとだけど、もっと時間がかかるかもしれないけど それでも、待ってくれる? From:毒島拳 件名:Re拳へ ああ。待っている。 拳「待っているよ・・・。姉さん・・・。」 肩を震わせ、必死にうれし涙を堪える拳。しかし、まだ涙を流すには早すぎる。 いつか、帆露と向き合う時に、電話越しでもない。メールでもない。 生の声で、現実に目の前に存在する姉に「ありがとう」と言われた時に・・・、思いっきり泣こう。 バカみたいに大粒の涙を零して、赤子のように大声で泣き喚いて、一緒に笑い合うために。 蟻は弱い。 どんなに強大な力に踏まれても、栄誉も無く、誰にも称賛されず、慈悲を与えられることも無い。 常に世界の底辺でもがき続け、自らが無能であることも知っている。 だが、蟻は群れる。 虫けらには虫けらの生き方があるように、無能には無能の生き方があり、戦い方がある。 同じ苦しみを味わい、同じ戦場を駆け抜けたその絆は、いかなる力を以ってして断つことは出来ない。 そして、その絆は時には強大な力を越えることもある。 蟻も群がれば、龍も喰らう。 それが――――蟻群矜持《ボトムスピリット》 登場人物(登場順・敬称略) 【オリキャラ】 毒島拳 家政夫《ヘルプマン》 榊原天明 榊原地炭 藤原悠二 仰羽啓靖 寅栄瀧麻 樫閑恋嬢 木原故頼 緑川強 九野獅郎 毒島帆露 四方神茜 冷牟田花柄 神山才人 亜継磨斗 三上煉次 神座残時 持蒲鋭盛 陵原宮雹 黒丹羽千責 白高城天理 木原一善 【原作キャラ】 浜面仕上 黄泉川愛穂 御坂美琴 白井黒子 初春飾利 固則美偉 冥土返し 木原数多 テレスティーナ=木原=ライフライン ~スペシャルサンクス~ 素晴らしいキャラを生み出してくれた作者の皆さま スレで応援してくれた皆さま “とある魔術の禁書目録”を生み出してくれた鎌池先生
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チュッ 上条 (またキスしてしまいました・・・ しかも今度は唇と唇で・・・・・・・・・ また電撃が来るぅぅぅぅうううううううう!!!!!!) と思っていたが・・・ 上条(あれ?いつまでたってもこないぞ?) 「お、おい美琴。大丈夫なのか?」 美琴「だ・・大丈夫でしゅにゃ」 といっている美琴さん、もはや体中真っ赤っ赤っ赤。体温も5度ぐらい上がっているんじゃないか?と思う上条さん 美琴「・・・もういいわよね」 上条「ん?あ、いや。ホントにこれは事故で決してわざとではn・・・」 美琴「ちがう!!そんなことじゃないわよ!!」 突然大声を出されてびっくりした上条さん。幸い黒子は駆けつけないみたいだが。 美琴「そういうことじゃないわよ・・・」 上条「どうしたんだ?美琴・・・・・?」 美琴「・・・・・・好きなのよ」小鳥のような小さな声 上条「え・・・・・」 美琴「好きなのよ!アンタの事が!!」静寂の森の中、その声は響いた。上条の耳にもはっきりと聞こえただろう。 「・・・アンタは、・・私のこと、嫌い?」 いわれて考える上条さん。はっきり言ってそういう目で美琴を見たことがなかった。 0.5秒ほど考える上条。 ◆上条さんの脳内状況◆・・・・・・ (にゃ、にゃぜに御坂からの逆告白??待てこれはエイプリルフールかいやそれはない。どう見てもマジだし、えーっと・・・・・そういやこいつって結構美人だったりするかも・・こいつのこと好きか嫌いかと言われれば・・・・良い奴だし・・) 「・・・いや。・・・好き、かな。」 「かな?」 「好きだ。」 美琴さん意識ぶっ飛びー。・・・・・・・・・・ 「御坂さ・・・・美琴?おーい、戻ってこーい。」 「・・っっ!ごめん!気絶してたかも・・・」 「俺の、聞いてた?」 「き、聞いてたわよ。ちゃんと。」 (あやしいな。もう一回言うか?・・・だめだ!恥ずかしすぎる!2回は言えねー!!!) ふと上条さんは気が付く。 お互いに手を首にまわしていることに。いつの間にこうなったのかはわからない。 が、ここは口で言うよりも、そっちのほうが気持ちも伝わるし、口で言うより恥ずかしくない! いや、そっちのほうが恥ずかしいような気もするのだが、美琴に負けず劣らず思考回路がショートしている上条さんは・・・・・・・・・・・・・キスした。 短い時間だったが、長く感じられる時間だった。 二人の唇が離れると周りの音が戻ってきた。 なにやら騒がしいことになっているようだ。 さいわいまだ二人がいないのはばれていないらしい。 「(もう少しこうしてたいけど・)・・・戻ったほうがよくない?」 「・だな。ばれたら・・・・やばいな俺たち。」 「・・・・・そう、よね。(まぁ、良いか☆キスできたし、告白できたし。)」 暗闇の中、キャンプファイヤーへと戻る二人。どちらともなくしっかり手をつないでいた。 ◆そのころレールガンでめちゃくちゃになった会場では◆・・・・ 「にゃー!!真っ暗だぜい!俺の下にいるのは誰だ、すまないにゃー。」 「・・・・わたしだけど。」 「っ!?しっ、白雪?すまん!すぐはなれるって・・誰だおれの上にいるのはー!!」 「このバカ者が!!!!」 ボコッ!! 「ぐはー!!!吹寄!!これは事故だ!!」 「じゃあ事故でどうしてそこまで絡み合ってんのよ!!??」 「俺の上に乗ってた野郎に言われたくはグルゴギュ!」 「つ、土御門君?だいじょーぶー?」 新規カミやん病感染者;土御門元春 相手;白雪月夜 この二人がこれ以降よく話し、一緒に登下校するようになったというのは情報屋からの確かな情報である。 ◆約15分後◆ 投光機により光が戻り、再開に向けた準備が始まろうとしていた会場。 「お姉さまー!!グゲゴッ!!」 「そんな大声で人を呼ばない! 恥ずかしいじゃないの。」 「ああ、お姉さま よくご無事で。・・・あの野蛮人は?」 「あああのと、馬鹿?あっちで青髪の奴と話しているわよ。」 「そうなのですか、それにしても何もなくて・・・・・ハッ!!」 「どど、どうしたの黒子?」 いやーな予感がしてじりじりと引いていく美琴。 そしてその予感は的中した。 「いま一瞬『と』っておっしゃいましたわね。」 「な、何のことでしょうか、黒子サン??」 「おとぼけになられても無駄です!!今あの野蛮人のファーストネームを御呼びなさろうとしていましたでしょう!!!」 「なっ、何いってんのよ!付き合ってるわけでもないのに!!!!」 「なっっっ!!!!いつの間にそこまで深い仲にぃぃぃぃ!!おのれぇぇ!!!!!」 言いながら黒子は美琴の服を見る。所々枯れ葉が付いている、特に背中に。 黒子はこう判断した。「あの類人猿はお姉さまを押し倒した!」と。 大正解! しかし、先に告白したのが美琴であるとまでは思ってもおらず、当然上条を攻撃しようとして振り返った! 結果、次に黒子が気が付いたのは本日何度目になるかわからないベッドの上だった。 言うまでもなく、美琴の電撃(かなりの高出力)である。 「・・・おい、大丈夫なのか?」 「多分ね。黒子のことだから。」 なんだかんだで一緒にいる二人。 見ていたバカ二人は・・・・・・・ 「にゃー!!もう我慢ならんぜい!行くぜ青ピ!!様子見はやめにゃー!!!」 「あいな!いくで、土御門はん!!」 「だーかーらー。相手はレベル5だよー・・・って!!!」 ビリビリバッチーン!!!!!!! 「早!!ものの3秒で二人とも黒こげだー!!!」 「にゃー。」「だめやー。」 「・・・美琴?・・・さっきから強すぎじゃね?」 「良いのよ!(邪魔する奴はみんな撃つ!!)」 「まぁ、ほどほどにな。美琴の方が先にばてるかもしれんから。」 レベル5が彼女だと、向かうところ敵なしである。 そんなこんなでキャンプファイヤーも終わる。 「明日が最終日よねー。えーっと・・・・昼食はバーベキューでそのあと帰るみたい。アンタのとこは?」「同じだな。」 ちょうどそこへやや憔悴しきった顔のステイルが通りかかった。 「?どうした、ステイル?」「ん?いや、インデックスがね僕の分の夕食まで食べてしまったんだよ。」「そりゃ、災難だな。」「それだけじゃない。他の人の分まで食べてまた叱られた。僕がね。」 どうも今夜の上条さんは不幸を人に押し付けているようである。 上条と美琴が告白しているのは白井たちは知らない。しかしその桃色空間を後ろで見ていたものがいた。 10032号「あの人のことが心配になり、急いで来てみたのはいいですが・・・・・とミサカは衝撃的なシーンを見せ付けられています」 妹達「「「「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」」 そう、シスターズは見てしまった、あの二人のキスを。世界各地の妹達は同時に悲鳴を上げた。 12887号「も、もはや我らの存在意義がなくなってしまいます。とミサカは落胆の色を隠しきれません」 18568号「オリジナルに先を越されるとは・・・・とミサカはあの二人の大胆さに驚いてみます。」 10032号「いくらオリジナルといえどこれは許されません。とミサカは自分の恋心をさらに燃やしてみます」 打ち止め「うっわ~、パパとママがそんなにラブラブだったとは。ってミサカはミサカは案外それもいいかもと思ってみたり」 17526号「あなたの場合、一方通行がいるからのんびりしていられるんです。とミサカは上位固体に怒りを向けてみます」 13267号「それよりもこれを見せ付けられてこのあとの私達はどうすればいいかという点で話し合いをしなければ。とミサカは比較的冷静な判断をしてみます」 10032号「ミサカはオリジナルを殺し、あの人を奪いたい。とミサカは残虐的な発言をしてみます」 19090号「と、とりあえず落ち着きましょう。とミサカはあまりの変化にたじろいでみます」 10032号「一人でダイエット(抜け駆け)をしたあなたに言われたくはありません。とミサカは毒づいてみます」 打ち止め「もめないでー!ってミサカはミサカは白い人に疑いの目をかけられてたり」 13267号「だからこれからどうするか話し合いましょう、特に19090号に罵倒を浴びせている10032号!とミサカは少し切れ気味に言ってみます!!」 10032号「ふーーー。わかりました。とミサカはやっと落ち着きを取り戻してみます」 18568号「ではなにをすればいいか誰か意見はありますか?とミサカは疑問をぶつけてみます」 妹達「「「「うーーーーーーーーん・・・・」」」」 10032号「・・ところであとのミサカはどうしたのですか?とミサカはあまりに少ない評議会参加者数について疑問を呈します。」 18568号「隣に一人いたのですが、とミサカは同じミサカが隣で気絶していることを告げます。」 妹達「「「なっ、なんですと!?」」」 打ち止め「そうそう、実は今気を失わずに立っていられるのは100人ぐらいだよってミサカはミサカは新情報を伝えたり。」 10032号「まあ、それだけの衝撃でしたからね、とミサカはかろうじて立っている現状を伝えます。」 13267号「こちらもです、とミサカはつげます。ところでほんとにどうしましょう?とミサカは脱線した話の修正を試みます。」 19090号「現在、彼に一番近いミサカは10032号ですね?とミサカは確認をとります。」 10032号「はい、ただしもう二人はキャンプファイヤーに戻ってしまいました、とミサカは付け足します。」 打ち止め「もうあの二人くっ付けちゃっていいんじゃないのー、ってミサカはミサカは爆弾を落としてみたり。」 妹達「「「「子供は黙ってなさい!!!!!」」」」 打ち止め「ひー!!ってミサカはミサカはネットワークから撤退してみたり!」 と、打ち止めはネットワークから出て行った。 一方「テメエ、さっきから何コソコソしてンだよ?」 打ち止め「何でもない何でもない、ってミサカはミサカは平静を装ってみたりってゴギュ!」 一方「てめえがそうやってるってぇのはなンかあるンだな?」 打ち止め「ムグググ、ミサカはミサカは評議会の内容は絶対漏らさないって、ミサカはミサカは墓の中まで守り通すって誓ってみたり!!!・・・ハッ!!」 一方「ほう、評議会ねぇ。・・・・・正直に言ってみろってンだよ!」 打ち止め「わかったわかった話すから!ってミサカはミサカは他のミサカに誤ってみる!」 ◆状況説明(ただし評議会が始まってることのみ)◆ 一方「・・ンで、なンでそいつは始まったンだ?ラストオーダー?」 ◆状況説明Part2(オリジナルと上条さんについてだという説明)◆ 一方「・ンで、二人のどこが問題なンだよ!?」 はぐらかす打ち止めに、こめかみがヒクヒクしている一方通行 打ち止め「ううう、これ以上は・ゴギュ!!!」 一方「言え。」 打ち止め「言います言いますってミサカはミサカは口が引き裂かれそうなのをガマンして言ってみる!!」 ◆状況説明Part3(すべてを暴露!)◆ 一方「なンだ、そンなことかよ?くっだらねエ。」 打ち止め「っ!!これは大問題だよってミサカはミサカはあなたの神経を疑ってみる!!」 一方「結構前からあいつらデレデレだったじゃねエか。」 打ち止め「た、確かに。でもこれは他のミサカにとっては存在意義にかかわる大問題なの!!ってミサカはミサカはことの重大性を伝えてみる!!」 一方「そンなのが存在意義なのかよ?ン?他のってどういう意味なンだ?」 打ち止めに「私にはあなゴギュ!!!!!」 一方「・・・・だまれ・・・」 打ち止め「あー、赤くなってるってブハッ!!!!」 一方「それ以上言ったら承知しねエぞ!」 こっちもこっちで史上最強のツンデレ(?)アクセラレータは・・・赤い。再点火したキャンプファイヤーの火に照らされているからかもしれないが。 ◆臨時全ミサカ評議会◆ 10032号「ガキはいなくなりましたし、本題に戻りましょう。とミサカは気を取り直して言ってみます。」 18265号「しかし、キスまで行かれたのでは私たちにできることはありません、とミサカは悲観的になっています。」 1 9090号「何しろ私たちにはオリジナルへのアドバンテージが全くありません、とミサカは自分のウエストあたりを見ながら言ってみます。」 17265号「・・そこだけは勝っているぞと言いたいんですねこの野郎、とミサカは19090号への攻撃に最適な武器の選定を開始します。」 10032号「落ち着きなさい17265号、とミサカは本題へ戻れと言います・・ハッ!!」 妹達「「「「どうしたのですか?」」」」 10032号「我々には一つアドバンテージがあるではありませんか、それもとっておきの!とミサカは伝えます。」 18265号「!!あの方のご自宅の場所ですね!とミサカは狂喜します。」 19090号「なるべくはやくそこへ行って積極的行動を開始するべきです、なぜならオリジナルも早晩その情報を知るでしょうから、とミサカは10032号をせかします。」 10032号「わかりました・・ムグッ!!!!!」 18265号「どど、どうしたのですか10032号?とミサカは心配します。」 10032号「遅かったようです。とミサカは敗北を宣言します。」 妹達「「「「ま、まさか!!」」」」 10032号「そのまさかです!今オリジナルが上条さんの住所を聞き出すのに成功したとミサカはオリジナルに投げて貼り付けた小型盗聴器からの衝撃的情報をつ、た・・・・・・」 10032号からの通信が途絶えた。彼女もついに気絶したからである。 しかし他の妹達は10032号の気絶に対して何の信号も打たなかった。なんとなれば他の妹達も気絶するかネットワークを切断して絶望に打ちひしがれていたからだ。 ◆数日後、冥土返しの病院◆・・・・・・ 看護師A「先生!彼女たちの様子が変です!」 冥土返し「?どういうことだね?」 看護師A「いつもなら毎週月曜は占い雑誌を読んで喧嘩しているのに今日はあんな調子です!!!!」 冥土返し「どれどれ?」 そこで彼が見たのは雑誌を読んでは盛大なため息をつき、隣のミサカへ(丁寧に)雑誌を回して読んでいる妹達であった。 冥土返し「不思議だねえ?」 看護師A「処置しなくていいんですか?」 冥土返し「前にも言ったはずだね?彼女たちは一つの脳の命令に従っていくつもの行動をしている。どれか一つに絞らずとも全部できるんだから。」 看護師A「ええ、ですからみんなあんな調子なのは変です。」 冥土返し「だからそのままにしている方がいいんだよ。」 看護師A「はい?」 冥土返し「つまりだね?そのとてつもない大きさの脳全てを埋め尽くすほどの悲しみが彼女たちを襲っているというわけだよ。たぶん世界中の彼女たちが全部あんな感じだろうね?この場合我々にできるのはなんだい?」 看護師A「・・・・そっと見守る、ですか・・・。」 冥土返し「その通り。まあ原因は思い当たるけどね?」 看護師A「えっ!そうなんですか?で、理由は何ですか?教えてくださいよ。」 冥土返し「ダメダメ。・・君も野暮な人間だねえ?さっさと行くよ?たくさんの患者さんたちが僕たちを待っているんだからね?」 看護師A「へ?・・は、はあ・・」 ポカンとしている看護師Aを尻目に冥土返しは笑う。 (彼女たちがああいう悩みを持つというのは人間的に成長してるってわけだね?なら、素晴らしいことじゃないか。それに・・)冥土返しは振り返る。そこにはめいめい違う雑誌を読みだした妹達の姿があった。 (一人の人間に執着することで縛られていた脳が解放されて・・・・『自我』の芽生えに繋がるかもしれない。良いことじゃないか。)
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チュッ 上条 (またキスしてしまいました・・・ しかも今度は唇と唇で・・・・・・・・・ また電撃が来るぅぅぅぅうううううううう!!!!!!) と思っていたが・・・ 上条(あれ?いつまでたってもこないぞ?) 「お、おい美琴。大丈夫なのか?」 美琴「だ・・大丈夫でしゅにゃ」 といっている美琴さん、もはや体中真っ赤っ赤っ赤。体温も5度ぐらい上がっているんじゃないか?と思う上条さん 美琴「・・・もういいわよね」 上条「ん?あ、いや。ホントにこれは事故で決してわざとではn・・・」 美琴「ちがう!!そんなことじゃないわよ!!」 突然大声を出されてびっくりした上条さん。幸い黒子は駆けつけないみたいだが。 美琴「そういうことじゃないわよ・・・」 上条「どうしたんだ?美琴・・・・・?」 美琴「・・・・・・好きなのよ」小鳥のような小さな声 上条「え・・・・・」 美琴「好きなのよ!アンタの事が!!」静寂の森の中、その声は響いた。上条の耳にもはっきりと聞こえただろう。 「・・・アンタは、・・私のこと、嫌い?」 いわれて考える上条さん。はっきり言ってそういう目で美琴を見たことがなかった。 0.5秒ほど考える上条。 ◆上条さんの脳内状況◆・・・・・・ (にゃ、にゃぜに御坂からの逆告白??待てこれはエイプリルフールかいやそれはない。どう見てもマジだし、えーっと・・・・・そういやこいつって結構美人だったりするかも・・こいつのこと好きか嫌いかと言われれば・・・・良い奴だし・・) 「・・・いや。・・・好き、かな。」 「かな?」 「好きだ。」 美琴さん意識ぶっ飛びー。・・・・・・・・・・ 「御坂さ・・・・美琴?おーい、戻ってこーい。」 「・・っっ!ごめん!気絶してたかも・・・」 「俺の、聞いてた?」 「き、聞いてたわよ。ちゃんと。」 (あやしいな。もう一回言うか?・・・だめだ!恥ずかしすぎる!2回は言えねー!!!) ふと上条さんは気が付く。 お互いに手を首にまわしていることに。いつの間にこうなったのかはわからない。 が、ここは口で言うよりも、そっちのほうが気持ちも伝わるし、口で言うより恥ずかしくない! いや、そっちのほうが恥ずかしいような気もするのだが、美琴に負けず劣らず思考回路がショートしている上条さんは・・・・・・・・・・・・・キスした。 短い時間だったが、長く感じられる時間だった。 二人の唇が離れると周りの音が戻ってきた。 なにやら騒がしいことになっているようだ。 さいわいまだ二人がいないのはばれていないらしい。 「(もう少しこうしてたいけど・)・・・戻ったほうがよくない?」 「・だな。ばれたら・・・・やばいな俺たち。」 「・・・・・そう、よね。(まぁ、良いか☆キスできたし、告白できたし。)」 暗闇の中、キャンプファイヤーへと戻る二人。どちらともなくしっかり手をつないでいた。 ◆そのころレールガンでめちゃくちゃになった会場では◆・・・・ 「にゃー!!真っ暗だぜい!俺の下にいるのは誰だ、すまないにゃー。」 「・・・・わたしだけど。」 「っ!?しっ、白雪?すまん!すぐはなれるって・・誰だおれの上にいるのはー!!」 「このバカ者が!!!!」 ボコッ!! 「ぐはー!!!吹寄!!これは事故だ!!」 「じゃあ事故でどうしてそこまで絡み合ってんのよ!!??」 「俺の上に乗ってた野郎に言われたくはグルゴギュ!」 「つ、土御門君?だいじょーぶー?」 新規カミやん病感染者;土御門元春 相手;白雪月夜 この二人がこれ以降よく話し、一緒に登下校するようになったというのは情報屋からの確かな情報である。 ◆約15分後◆ 投光機により光が戻り、再開に向けた準備が始まろうとしていた会場。 「お姉さまー!!グゲゴッ!!」 「そんな大声で人を呼ばない! 恥ずかしいじゃないの。」 「ああ、お姉さま よくご無事で。・・・あの野蛮人は?」 「あああのと、馬鹿?あっちで青髪の奴と話しているわよ。」 「そうなのですか、それにしても何もなくて・・・・・ハッ!!」 「どど、どうしたの黒子?」 いやーな予感がしてじりじりと引いていく美琴。 そしてその予感は的中した。 「いま一瞬『と』っておっしゃいましたわね。」 「な、何のことでしょうか、黒子サン??」 「おとぼけになられても無駄です!!今あの野蛮人のファーストネームを御呼びなさろうとしていましたでしょう!!!」 「なっ、何いってんのよ!付き合ってるわけでもないのに!!!!」 「なっっっ!!!!いつの間にそこまで深い仲にぃぃぃぃ!!おのれぇぇ!!!!!」 言いながら黒子は美琴の服を見る。所々枯れ葉が付いている、特に背中に。 黒子はこう判断した。「あの類人猿はお姉さまを押し倒した!」と。 大正解! しかし、先に告白したのが美琴であるとまでは思ってもおらず、当然上条を攻撃しようとして振り返った! 結果、次に黒子が気が付いたのは本日何度目になるかわからないベッドの上だった。 言うまでもなく、美琴の電撃(かなりの高出力)である。 「・・・おい、大丈夫なのか?」 「多分ね。黒子のことだから。」 なんだかんだで一緒にいる二人。 見ていたバカ二人は・・・・・・・ 「にゃー!!もう我慢ならんぜい!行くぜ青ピ!!様子見はやめにゃー!!!」 「あいな!いくで、土御門はん!!」 「だーかーらー。相手はレベル5だよー・・・って!!!」 ビリビリバッチーン!!!!!!! 「早!!ものの3秒で二人とも黒こげだー!!!」 「にゃー。」「だめやー。」 「・・・美琴?・・・さっきから強すぎじゃね?」 「良いのよ!(邪魔する奴はみんな撃つ!!)」 「まぁ、ほどほどにな。美琴の方が先にばてるかもしれんから。」 レベル5が彼女だと、向かうところ敵なしである。 そんなこんなでキャンプファイヤーも終わる。 「明日が最終日よねー。えーっと・・・・昼食はバーベキューでそのあと帰るみたい。アンタのとこは?」「同じだな。」 ちょうどそこへやや憔悴しきった顔のステイルが通りかかった。 「?どうした、ステイル?」「ん?いや、インデックスがね僕の分の夕食まで食べてしまったんだよ。」「そりゃ、災難だな。」「それだけじゃない。他の人の分まで食べてまた叱られた。僕がね。」 どうも今夜の上条さんは不幸を人に押し付けているようである。 上条と美琴が告白しているのは白井たちは知らない。しかしその桃色空間を後ろで見ていたものがいた。 10032号「あの人のことが心配になり、急いで来てみたのはいいですが・・・・・とミサカは衝撃的なシーンを見せ付けられています」 妹達「「「「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」」 そう、シスターズは見てしまった、あの二人のキスを。世界各地の妹達は同時に悲鳴を上げた。 12887号「も、もはや我らの存在意義がなくなってしまいます。とミサカは落胆の色を隠しきれません」 18568号「オリジナルに先を越されるとは・・・・とミサカはあの二人の大胆さに驚いてみます。」 10032号「いくらオリジナルといえどこれは許されません。とミサカは自分の恋心をさらに燃やしてみます」 打ち止め「うっわ~、パパとママがそんなにラブラブだったとは。ってミサカはミサカは案外それもいいかもと思ってみたり」 17526号「あなたの場合、一方通行がいるからのんびりしていられるんです。とミサカは上位固体に怒りを向けてみます」 13267号「それよりもこれを見せ付けられてこのあとの私達はどうすればいいかという点で話し合いをしなければ。とミサカは比較的冷静な判断をしてみます」 10032号「ミサカはオリジナルを殺し、あの人を奪いたい。とミサカは残虐的な発言をしてみます」 19090号「と、とりあえず落ち着きましょう。とミサカはあまりの変化にたじろいでみます」 10032号「一人でダイエット(抜け駆け)をしたあなたに言われたくはありません。とミサカは毒づいてみます」 打ち止め「もめないでー!ってミサカはミサカは白い人に疑いの目をかけられてたり」 13267号「だからこれからどうするか話し合いましょう、特に19090号に罵倒を浴びせている10032号!とミサカは少し切れ気味に言ってみます!!」 10032号「ふーーー。わかりました。とミサカはやっと落ち着きを取り戻してみます」 18568号「ではなにをすればいいか誰か意見はありますか?とミサカは疑問をぶつけてみます」 妹達「「「「うーーーーーーーーん・・・・」」」」 10032号「・・ところであとのミサカはどうしたのですか?とミサカはあまりに少ない評議会参加者数について疑問を呈します。」 18568号「隣に一人いたのですが、とミサカは同じミサカが隣で気絶していることを告げます。」 妹達「「「なっ、なんですと!?」」」 打ち止め「そうそう、実は今気を失わずに立っていられるのは100人ぐらいだよってミサカはミサカは新情報を伝えたり。」 10032号「まあ、それだけの衝撃でしたからね、とミサカはかろうじて立っている現状を伝えます。」 13267号「こちらもです、とミサカはつげます。ところでほんとにどうしましょう?とミサカは脱線した話の修正を試みます。」 19090号「現在、彼に一番近いミサカは10032号ですね?とミサカは確認をとります。」 10032号「はい、ただしもう二人はキャンプファイヤーに戻ってしまいました、とミサカは付け足します。」 打ち止め「もうあの二人くっ付けちゃっていいんじゃないのー、ってミサカはミサカは爆弾を落としてみたり。」 妹達「「「「子供は黙ってなさい!!!!!」」」」 打ち止め「ひー!!ってミサカはミサカはネットワークから撤退してみたり!」 と、打ち止めはネットワークから出て行った。 一方「テメエ、さっきから何コソコソしてンだよ?」 打ち止め「何でもない何でもない、ってミサカはミサカは平静を装ってみたりってゴギュ!」 一方「てめえがそうやってるってぇのはなンかあるンだな?」 打ち止め「ムグググ、ミサカはミサカは評議会の内容は絶対漏らさないって、ミサカはミサカは墓の中まで守り通すって誓ってみたり!!!・・・ハッ!!」 一方「ほう、評議会ねぇ。・・・・・正直に言ってみろってンだよ!」 打ち止め「わかったわかった話すから!ってミサカはミサカは他のミサカに誤ってみる!」 ◆状況説明(ただし評議会が始まってることのみ)◆ 一方「・・ンで、なンでそいつは始まったンだ?ラストオーダー?」 ◆状況説明Part2(オリジナルと上条さんについてだという説明)◆ 一方「・ンで、二人のどこが問題なンだよ!?」 はぐらかす打ち止めに、こめかみがヒクヒクしている一方通行 打ち止め「ううう、これ以上は・ゴギュ!!!」 一方「言え。」 打ち止め「言います言いますってミサカはミサカは口が引き裂かれそうなのをガマンして言ってみる!!」 ◆状況説明Part3(すべてを暴露!)◆ 一方「なンだ、そンなことかよ?くっだらねエ。」 打ち止め「っ!!これは大問題だよってミサカはミサカはあなたの神経を疑ってみる!!」 一方「結構前からあいつらデレデレだったじゃねエか。」 打ち止め「た、確かに。でもこれは他のミサカにとっては存在意義にかかわる大問題なの!!ってミサカはミサカはことの重大性を伝えてみる!!」 一方「そンなのが存在意義なのかよ?ン?他のってどういう意味なンだ?」 打ち止めに「私にはあなゴギュ!!!!!」 一方「・・・・だまれ・・・」 打ち止め「あー、赤くなってるってブハッ!!!!」 一方「それ以上言ったら承知しねエぞ!」 こっちもこっちで史上最強のツンデレ(?)アクセラレータは・・・赤い。再点火したキャンプファイヤーの火に照らされているからかもしれないが。 ◆臨時全ミサカ評議会◆ 10032号「ガキはいなくなりましたし、本題に戻りましょう。とミサカは気を取り直して言ってみます。」 18265号「しかし、キスまで行かれたのでは私たちにできることはありません、とミサカは悲観的になっています。」 1 9090号「何しろ私たちにはオリジナルへのアドバンテージが全くありません、とミサカは自分のウエストあたりを見ながら言ってみます。」 17265号「・・そこだけは勝っているぞと言いたいんですねこの野郎、とミサカは19090号への攻撃に最適な武器の選定を開始します。」 10032号「落ち着きなさい17265号、とミサカは本題へ戻れと言います・・ハッ!!」 妹達「「「「どうしたのですか?」」」」 10032号「我々には一つアドバンテージがあるではありませんか、それもとっておきの!とミサカは伝えます。」 18265号「!!あの方のご自宅の場所ですね!とミサカは狂喜します。」 19090号「なるべくはやくそこへ行って積極的行動を開始するべきです、なぜならオリジナルも早晩その情報を知るでしょうから、とミサカは10032号をせかします。」 10032号「わかりました・・ムグッ!!!!!」 18265号「どど、どうしたのですか10032号?とミサカは心配します。」 10032号「遅かったようです。とミサカは敗北を宣言します。」 妹達「「「「ま、まさか!!」」」」 10032号「そのまさかです!今オリジナルが上条さんの住所を聞き出すのに成功したとミサカはオリジナルに投げて貼り付けた小型盗聴器からの衝撃的情報をつ、た・・・・・・」 10032号からの通信が途絶えた。彼女もついに気絶したからである。 しかし他の妹達は10032号の気絶に対して何の信号も打たなかった。なんとなれば他の妹達も気絶するかネットワークを切断して絶望に打ちひしがれていたからだ。 ◆数日後、冥土返しの病院◆・・・・・・ 看護師A「先生!彼女たちの様子が変です!」 冥土返し「?どういうことだね?」 看護師A「いつもなら毎週月曜は占い雑誌を読んで喧嘩しているのに今日はあんな調子です!!!!」 冥土返し「どれどれ?」 そこで彼が見たのは雑誌を読んでは盛大なため息をつき、隣のミサカへ(丁寧に)雑誌を回して読んでいる妹達であった。 冥土返し「不思議だねえ?」 看護師A「処置しなくていいんですか?」 冥土返し「前にも言ったはずだね?彼女たちは一つの脳の命令に従っていくつもの行動をしている。どれか一つに絞らずとも全部できるんだから。」 看護師A「ええ、ですからみんなあんな調子なのは変です。」 冥土返し「だからそのままにしている方がいいんだよ。」 看護師A「はい?」 冥土返し「つまりだね?そのとてつもない大きさの脳全てを埋め尽くすほどの悲しみが彼女たちを襲っているというわけだよ。たぶん世界中の彼女たちが全部あんな感じだろうね?この場合我々にできるのはなんだい?」 看護師A「・・・・そっと見守る、ですか・・・。」 冥土返し「その通り。まあ原因は思い当たるけどね?」 看護師A「えっ!そうなんですか?で、理由は何ですか?教えてくださいよ。」 冥土返し「ダメダメ。・・君も野暮な人間だねえ?さっさと行くよ?たくさんの患者さんたちが僕たちを待っているんだからね?」 看護師A「へ?・・は、はあ・・」 ポカンとしている看護師Aを尻目に冥土返しは笑う。 (彼女たちがああいう悩みを持つというのは人間的に成長してるってわけだね?なら、素晴らしいことじゃないか。それに・・)冥土返しは振り返る。そこにはめいめい違う雑誌を読みだした妹達の姿があった。 (一人の人間に執着することで縛られていた脳が解放されて・・・・『自我』の芽生えに繋がるかもしれない。良いことじゃないか。)
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第七学区 とある病院 病院前にある救護車用の駐車スペースに1台のワゴン車が停車する。 軍隊蟻《アーミーアンツ》の象徴である蟻のマークが小さく記されており、そこから4人の人間が出てきた。 樫閑恋嬢と四方神茜、毒島拳、そして、未だに睡眠薬で眠り続ける毒島帆露だった。 樫閑が先導して入り口を開け、拳が帆露を背負って彼女についていく。 受付には夜勤のためか、睡魔に負けそうな看護師がウトウトしていて、樫閑たちが入ってきたことに気付かなかった。 ??「こんな時間に急患だね?」 茜「う?」 ロビーには誰もいないと思っていたところで突然声をかけられ、3人は驚いて声の主の方を振り向いた。 白衣を着た初老の男性で、子供受けの良さそうなカエル顔の医者だった。 樫閑「お久しぶりね。冥土返し《へヴンキャンセラー》。」 冥土返し「しばらく来ないと思っていたら、今度は夜中に突撃かね?」 樫閑「単刀直入に言うけど、治療して欲しい人がいるの。」 毒島「俺からもお願いします。」 冥土返し「治療して欲しいってのは、君が背負っている患者でいいんだね?」 毒島「はい。」 樫閑「やってくれるの?」 冥土返しは拳が背負っている帆露に目をやる。自分が置かれている状況なんていざ知らず、気持ち良く弟の背中で眠っていた。 彼は、彼女が入院患者用の服を着ていることに気付いた。 冥土返し「どうやら・・・・ワケありの患者のようだね。」 樫閑「詳しくは話せないけど、彼女に投与されている能力阻害物質を除去して欲しいの。」 そう言って、拳から渡されたカルテを冥土返しに引き渡す。 冥土返しは受け取ったカルテを舐めるように目で文字を追っていく。 冥土返し「ふむ・・・・、これは尋常ではないようだね?」 樫閑「あなたなら楽勝でしょ。」 冥土返し「言ってくれるねえ・・・出来ないことはないんだね?」 毒島「本当か!?」 冥土返し「僕を誰だと思っているんだい?僕は一度も患者を見捨てたことは無いんだね?」 冥土返しの言葉に毒島は感涙し、今まで復讐のことしか考えず、常に何かを恨まなければやっていけなかった彼が、 誰も見たことのない嬉しそうな顔をしていたのだ。 毒島「あ、ありがとうございます!!」 樫閑(そんな表情も出来たのね・・・・。) 冥土返し「とりあえず、こっちでも検査をするんだね?」 冥土返しが受付で爆睡していた看護師を起こし、ストレッチャーを持ってくるように指示する。 すっかり爆睡していたことに自分が気付き、そして冥土返しに気付かれてしまった看護師は慌てて飛び起き、 奥からストレッチャーを運び出して来た。 冥土返し「まぁ、僕の本領は外科手術なんだけどね?」 樫閑「色々と悪いわね。」 冥土返し「他の病院から誘拐してきた患者を治療するなんてリスクは高いんだね?」 樫閑「その時は・・・」 そう言って、樫閑は制服のポケットに入っていたハンドガンを取り出し、銃口を冥土返しに向ける。 樫閑「『銃を突き付けられて、無理やりやらされた。』とでも言いなさい。」 すると、病院の入り口からワゴンの運転手であるメンバーが慌てて中に入ってくる。 運転手「お嬢!」 樫閑「静かにしなさい。あと、姐御って呼びなさい。」 運転手「すみません。第四支部の奴らから連絡がありました。」 運転手は第四支部に能力者集団が襲撃してきたこと、抜けたメンバーが加勢したこと、故頼が動き出したことなど、 今まで起きたことの諸々を報告した。 樫閑「分かったわ。私はすぐに向かう。」 毒島「俺も行く。俺も・・・故頼の奴をぶん殴っておきたい・・・!!」 自らの決意を確かめるために毒島は自分の目の前で拳を握る。 毒島「それに、俺がいないとこいつが使えないだろ。」 茜「あーい♪」 樫閑「そうね。付いて来なさい。一番おいしいところをいただきに行くわよ。」 毒島「カエル先生・・・。姉さんのこと、お願いします。」 冥土返し「言われなくとも分かっているんだがね?」 毒島「ありがとうございます。」 病院前に停めているワゴンに樫閑、毒島、茜が乗り込み、運転手がテンションアゲアゲになって思いっきりアクセルを踏み込んだ。 とても搭乗者には優しくない急激なスタートダッシュと共にワゴンは冥土返しの視界から消えていった。 冥土返し(それにしてもカエル先生って・・・。) 第五学区 高速道路 木原故頼の乗る装甲車を追うため、高速道路をアクセル全開・法定速度完全無視で 軍隊蟻《アーミーアンツ》の武装部隊の乗る十数台のバイクと一台のトラックが駆け抜ける。 バイクの後方を走るトラックには運転するメンバーと助手席には変わった形状の武器を持った仰羽がいた。 蟻S「黄泉川さんももう少し粘って欲しかったですね。、」 仰羽「無茶を言ってやるな。ただでさえ上に逆らって検問を作って足止めしてくれた。その上、突然の事態だから武装を持ち出す余裕も無かったんだろう。」 そんな愚痴を零しながら、談話する2人だったが、すぐに前方をバイクで走る寅栄から通信が入る。 寅栄『木原の装甲車を発見したぜ。』 その通信に運転手が応え、仰羽が持っている銃火器のスコープで遠方を見る。 前方に見えるのは、軍用装甲車の如く強固な装甲に覆われたものだった。大きさとしては、戦車を3台ぐらい縦に繋げたような超大型だった。 仰羽「確認しました。確かにあれは装甲車っすね。」 寅栄『ありゃあ、劣化ウラン弾でも使わないとダメか?』 仰羽「劣化ウラン弾なんて持ってないっすよ。タイヤをパンクさせた方がいいっす。それに中に人が乗っている可能性も否めないっすよ。」 寅栄『さすが大能力者《レべル4》。頭が良いな。』 仰羽「車を止めるなら常套手段じゃないですか。」 寅栄『じゃあ、先に行ってくるぜ。』 仰羽「くれぐれも無理しないで下さい。」 トラックの遥か前方を走行する寅栄が率いる武装部隊のバイクは装甲車まであと150mというところまで詰めていた。 先導するために寅栄のバイクは部隊の先頭を走っていた。 寅栄が牽制のために腰のホルスターに挿していた拳銃を引き抜き、銃口を前方の装甲車へと向ける。 その銃は最適な弾丸を即興で組成する演算銃器《スマートウェポン》であり、片手で扱えるように小型化したものである。 後に別のスキルアウトチームのリーダー格である駒場利徳が己の最期の戦いで用いた武器と同型のものである。 寅栄「てめぇら!おっぱじめるぞ!」 蟻たち「YEAHHHHH!!!!!!!!」 戦の始まりを告げる法螺貝の代わりに寅栄が持つ演算銃器が大きな銃声を出して弾丸を発射する。 演算銃器《スマートウェポン》が発射した弾丸は、出来る限りの長射程のものだった。 カーン・・・・ 射程距離に反比例して削ぎ落とされた弾丸は手で投げ込まれた小石の如く、いとも容易く弾かれてしまった。 装甲に凹みを付けるどころか、当たった形跡を残すことすら出来なかった。 寅栄(やっぱり、硬ぇな。) 相手がどう対抗して来るのか分からない今、無闇に装甲車に接近することは出来ず、150mぐらいの間隔を保ちながら走行する。 寅栄を始めとし、他のバイクに乗ったメンバーもハンドガンで装甲車に向かって発砲する。 しかし、強固な装甲車には豆鉄砲同然だった。 すると、装甲車上部のハッチが開き、亜継が姿を現した。 亜継「ったくよぉ・・・。さっきから、カンカンカンカン・・・うぜぇんだよ!!!」 突如、内部から電磁狙撃砲を取り出し、後方を走行する寅栄たちへと向ける。 エネルギーを充填しているのか、砲身からはバチバチと電気が溢れだす。 亜継「ぶっ飛ばしてやるぜぇぇぇ!!!!!!!!」 ズドォォォォォォォォォォォォン 電磁狙撃砲は音速の数倍の速度で弾丸を射出し、周囲にソニックムーブを撒き散らして高速道路を破壊する。 衝撃波で高速道路の路面が抉られ、バイクの乗っていた部隊の数名がバイクと一緒に吹き飛ばされていく。 レールガンの恐ろしさは、弾丸そのものに当たらずとも衝撃波だけで十分な威力を誇っているところである。 蟻たち「うわあああああああ!」 寅栄「お前ら!」 蟻T「俺らに構わないで、先に行ってください!」 バイク部隊の3分の1を電磁狙撃砲で吹き飛ばした亜継は、再び引き金を引いて他のバイクに乗るメンバーたちを蹂躙し、駆逐していく。 亜継「ヒャッハー!!!こいつは最高の武器だぜ!!」 亜継が耳につけている小型の通信機に連絡が入る。 故頼『その辺にしておけ。』 亜継「あぁ?今、面白いところだってのによぉ。」 故頼『その電磁狙撃砲は莫大な電力を使う。今はまだ十分に電力の余裕があるが、あと1発でも撃ってみろ。 第12学区に辿りつく前にバッテリー切れを起こすぞ。』 亜継「了解。」 故頼の指示通り、電磁狙撃砲を格納した亜継は装甲車の内部へと身を戻す。 装甲車の内部はとても広く、電灯のおかげでとても明るい。 内部には大量の武装と駆動鎧を装備した男たち、そして、精神干渉系の能力で自我を奪われていた子どもたちの姿があった。 皆が病院の入院患者のような真っ白な服を着て、意志の喪失を示すかのように虚ろな目になっていた。 亜継「大人しくしてろよぉ?クソガキども。」 そう悪態をつくと、壁に取り付けられていたボタンを押し、装甲車の側面にあるハッチを開いた。 かなりの風圧で強風が内部に入り込むが、誰もそれをもろともしない。 そんな中、亜継は巨大な棺桶のようなものを持って来た。 亜継「そんじゃあ、働け!愚図共!!」 亜継と駆動鎧を装備した男たちが一斉に棺桶を装甲車から放り出す。 その光景は後方を走る寅栄たちにも見えていた。 寅栄「何だ!?」 そう思った瞬間、放り出された棺桶たちが変形し、四足歩行の武装警備ロボットへと早変わりする。 変形すると、すぐに道を塞ぐように横に整列し、頭部(?)にある機関銃から一斉に発砲して弾幕を作る。 寅栄「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 それでも寅栄はブレーキを踏まず、武装ロボたちへと全速力で突っ込んでいく。 そして、「でやぁぁぁぁぁぁっ!!」という掛け声と共に前輪を持ち上げた所謂ウィリー走行で武装ロボの一体を叩きつぶし、そのまま武装ロボの防衛戦を越えていく。 他のメンバーはそんなドライビングテクニックを持っておらず、寅栄と同様に武装ロボに突っ込んでいくと、 ロボを倒しても自分も一緒にバイクの座席から放り出されてしまう。 蟻U「くそぉっ!!」 バイクに乗ったメンバーは背中に抱えていた武器を構えて応戦しようとする。 だが、誰も発砲する前に、突如、武装ロボの1体が爆発を起こして炎上する。 仰羽「ここは俺たちが食い止める!お前らは寅栄さんを追え!」 仰羽がトラックの助手席から半分身を乗り出し、持っていたグレネードランチャーを撃ち込んでいたのだ。 ランチャーは仰羽の能力に合わせて開発されたものであり、火薬を入れるところを省略し、 仰羽の燃素爆誕《フロギストン》に補わせることで砲身と砲弾を軽量化していた。 蟻U「うっす!」 蟻V「さっさと行くぞ!」 仰羽の命令通りにバイクに乗っていたメンバーたちは倒れたバイクを起こし、次々と先へと進んでいく。 彼らを逃がすまいと武装ロボに応戦して発砲するが、彼らに当たる前に仰羽のグレネードランチャーを餌食となった。 一方、一人だけ武装ロボの防衛戦を突破した寅栄は、故頼の装甲車へと追いついていた。 演算銃器《スマートウェポン》を腰から引き抜き、タイヤに向けて撃とうとするが、 持っていた演算銃器《スマートウェポン》を撃たれて手元から弾かれてしまう。 亜継「タイヤを撃とうなんざ、そう簡単にさせるかよ。」 嘲笑する亜継はサ2丁のブマシンガンを取り出し、一気にトリガーを引いて寅栄を蜂の巣レベルの惨めな死骸にする量も弾丸を乱射していく。 寅栄は全ての銃弾を華麗なドライビングテクニックで回避し、亜継の死角である装甲車前方へと向かう。 亜継「くそっ!死角に逃げやがって・・・!!」 亜継はすぐに装甲車の中に入り、側面のハッチを開けて身を乗り出す。 その瞬間、横ハッチのすぐ近くで待機していた寅栄が手を伸ばし、亜継の服の襟元を掴んで装甲車の外へと引きずり降ろす。 亜継「てめぇ!!」 油断した亜継はそのまま寅栄に引かれて装甲車から引きずり降ろされるが、寅栄の首元を掴んで巻き添えにして高速道路上を転がり落ちていった。 全身打撲で血を流し、立ち上がるのがやっとの2人がお互いを睨みあう。 亜継「舐めたことしてくれるじゃねぇか・・・・。」 寅栄「それはこっちのセリフだ。てめぇのせいで部下から借りたバイクが木端微塵だぜ。」 亜継「知るかよ。」 亜継が先を見ると、装甲車は自分が落ちたことなんて無視して、スピードを下げずに走り去っていく。 同乗していた駆動鎧たちも助けに来る気配は無い。彼らの任務はあくまで境界突破《アフターライン》の遂行であり、敵の殲滅ではない。 装甲車から落ちた時点で亜継はただの捨て駒と化していたのだ。 互いに口の中に溜まった血を吐き捨てると、拳の握り、全身の筋に力を入れた。 亜継・寅栄「「うおおおおおおおらああああああああああ!!!!!!」」 互いに正面から敵の顔面目がけて殴りかかる。 スキルアウトの喧嘩番長と戦いのみを求める傭兵が己の肉体をぶつけ合う。 亜継「素人にしちゃあ、身体捌きが良いじゃねぇか!!」 寅栄「毎日、能力者とガチンコ勝負やってんだぜ!!」 亜継「奇遇だな!俺も同じだ!」 亜継の渾身の蹴りが寅栄の腹部にヒットし、寅栄が高速道路沿いの壁まで飛ばされる。 道路の合流地点付近ということもあってか、落下防止の高壁は無く、壁は腰までの高さしかなかった。1歩間違えれば地上へと落下してしまう。 寅栄(危ねー・・・さっさと離れねぇと・・・・あぐぅ!?) 立ち上がって構える隙も与えず、亜継が寅栄の首を掴んだ。 そして、寅栄を高速道路から落とそうと彼の上体を壁の外へと乗り出させる。 亜継「所詮は素人。ちょっと足りなかったな。」 寅栄「ぐぅ・・・・!!」 寅栄は必死に抵抗し、亜継の腹部をけり続けるが、まったくビクともしない。おそらく、学園都市製の超衝撃吸収素材を使ったチョッキでも着ているのだろう。 亜継「無駄無駄。こいつはプロ野球選手のフルスウィングでもビクともしないぜ。」 寅栄「じゃあ、こいつはどうかな?」 寅栄はズボンのポケットから隠し持っていたデリンジャーを取り出し、亜継の腹部へと向けた。 断末魔を叫ぶことも、遺言を残す暇も与えず、引き金は引かれ、亜継の腹に衝撃が走る。 亜継「ぐはぁっ!!」 その衝撃で亜継が寅栄を掴む腕を緩めた。そのチャンスを逃さずに手から逃れた寅栄は頭突きで亜継を怯ませ、 よろめいたところで顔面に右ストレートをお見舞いした。 元々ダメージの大きかった身体に零距離デリンジャーと喧嘩番長の鉄拳制裁を受け、亜継はその場でノックダウン・・・KO負けした。 寅栄「切り札ってのは、最後の最後まで残しておくもんだぜ。」 寅栄は勝利の笑みを浮かべ、亜継を道路脇に引き摺ってから、仰羽たちが来るのを待った。 寅栄と亜継が戦っている隙に1キロも差をつけていた装甲車は、何ら問題も無く高速道路上を爆走していた。 運転席には運転手である人相の悪い男が、助手席には木原故頼が座っていた。 故頼の表情は度重なる妨害で不満げであったが、今は軍隊蟻《アーミーアンツ》から完全に逃げきったと思って安堵していた。 後方のコンテナで待機している駆動鎧を着た男から通信が入った。 『木原さん。亜継さんは回収しなくても宜しいのでしょうか?』 故頼「問題ない。所詮、奴も捨て駒だ。まぁ、もっとも、死んでくれれば報酬を払わなくてすむがな。」 故頼は何かを思い立ったのか、助手席から立ち上がる。 故頼「私は被験体の最終チェックを行う。予定通りに運行しろ。」 運転手「了解。」 故頼はそう告げて、後方車両へと向かった。 すると、左側から合流する高速道路から1台の警備員《アンチスキル》の大型装甲車がこちらに向かってきた。 運転手は「軍隊蟻《アーミーアンツ》の回し者か?」と思うも、道路が空いている時間帯に警備員《アンチスキル》が兵装の輸送を行うのはよくあることだった。 下手に敵意や警戒心を相手に見せては怪しまれてしまう。 ある程度の警戒はしつつも、平然と走行を続けることにした。 ―――――が、そんなことが叶う訳も無かった。 ズガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァ 突如、並走していた装甲車が一気に幅寄せして、故頼たちの装甲車を壁に押し当てる。 壁との摩擦で故頼の装甲車は火花を撒き散らしていく。装甲は無事だが、高速道路の落下防止壁が摩擦で削られ、真っ黒焦げになって跡形も無い。 運転手「くそっ!何だ!?こいつは!?」 運転手は慌てて思い切りハンドルをきる。全長も質量も故頼の装甲車が上回っている。警備員《アンチスキル》の装甲車など、容易に潰せる。 しかし、警備員《アンチスキル》の装甲車が急ブレーキをかけて一気に後退し、故頼の装甲車の体当たりは空振りに終わって、反対側の壁に正面衝突する。 それでも衝撃は内部へと伝わってくる。慣性の法則に従って、運転手は前に飛ばされそうになり、 それを飛び出して来たエアバックが跳ね返すことでシートへと突き飛ばされる。 故頼「まったく・・・!何事だ!」 後方車両から、衝撃でぶつけた頭を抱えながら故頼が姿を現した。 故頼が鬼の形相で運転手を問い詰めるが、エアバックの衝撃で放心状態になっていた。 運転手「あ・・・・・が・・・」 運転手が必死に故頼の問いに応えようとした瞬間、巨大な腕が装甲車のハッチを突き破り、運転手の首筋を掴んだ。 運転手「へ?・・・・何!?何だよ!?これ!?木・・・木原さぁ―――――――」 運転手は掴まれた巨大な腕に引き上げられ、外へとさらわれていったのだ。 故頼「な、何だ!?」 故頼は通信機を取り出し、後方で待機する駆動鎧たちに連絡を取る。 故頼「おい!外の様子はどうなってる!」 駆動鎧A『ゴリラが・・・!!ゴリラがぁ!』 故頼「はぁ!?ゴリラ!?」 駆動鎧B『来るな!こっちに来るなあああああああああ!!!!!!――――――――プツン・・・ 故頼「・・・・・」 何が何だか理解できない。 そんな顔をして、故頼は破壊されたハッチから外に出て、周囲を確認する。 故頼「な――――!!!」 あまりの惨状に故頼は我が目を疑った。 大量の駆動鎧が無残にもただのガラクタへと化していたのだ。ある者は装甲を粉砕され、ある者は何かしらの圧力で武装が潰され、またある者は・・・・・・・・ ??「ぬぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ドッガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!! その怪力を以って持ち上げられ、数メートル先にまで投げ飛ばされる。数メートルもある駆動鎧が宙を舞い、 道路に叩きつけられて転がる光景など、学園都市でもそうそう見れるものではない。 そして、そんな超能力者もビックリ!!トンデモ劇場を催した主が姿を現す。 ゴリラとカバとクマを合わせたような大男で、毛深い剛毛に覆われても留まることを知らない躍動する筋肉が溢れだす。 無論、そんな男は緑川強の一択だった。 緑川「まぁ・・・、この程度だろうな。」 緑川は上半身の服を脱ぎ捨てる。もはや、彼にとって警備員《アンチスキル》の防弾チョッキなど、むしろ拘束具なのだろう。 緑川は道端に転がっている駆動鎧を蹴り飛ばして、道の端に追いやると、運転席付近に立つ故頼を見つける。 緑川「お前が、木原故頼で間違いないな。」 故頼「ふん・・・・。どこの誰かと思えば、予備役を解任された緑川強ではないか。こんなことをやって大丈夫なのかね?」 緑川「お前の悪行は暴かれるのも時間の問題だ。」 故頼「悪行?悪行ねぇ・・・。」 故頼が諦めたのか、それとも何かを企んでいるのか、不敵な笑みを浮かべた。 ドスッ・・・・!! 緑川「!?」 突如、全身に奔る激痛と共に、緑川の腹部から足にかけて赤くて温かい液体が流れ出す。 緑川はすぐに自分の身体を確認する。腹部から流れ出る血液でズボンが真っ赤に染まっていく。 そして、自分の後方を確認すると、小学生ぐらいの少女が緑川の腹部を手で貫いていたのだ。 緑川「な・・・・・どういうことだ?」 故頼「簡単な話だ。被験体には反逆されると困るからな。洗脳系能力者を使わせてもらった。」 緑川「貴様・・・子どもを何だと思ってる!!!」 故頼「子ども?・・・ああ、学生のことか。大切に思ってるよ。私の栄光の為の礎となる存在だからな。」 すると、他の被験体の少年少女たちが緑川に向けて掌をかざす。 故頼の「やれ。」という掛け声と共に、被験体たちの掌から、数々の能力の産物が緑川に向けられて射出される。 炎弾、電撃、水流カッター、衝撃波、etc・・・・ 緑川「ぬおおおおおおおおお!!!!」 ガードする体勢で必死に耐える緑川。このまま被験体に反撃することも出来るが、 学園都市で生徒を護る警備員《アンチスキル》の矜持と良心の呵責が彼の動きを鈍らせる。 故頼(それにしても、随分と耐えるものだな。) あまりの渋とさに故頼に飽きが回ってきたところだった。 突如、一発のロケット砲弾が向かい、自分の近くにある装甲車へと当たって爆発する。 仰羽「ちっ・・・!もう少し左に照準を合わせるべきだったな。」 砲弾を撃ち込んだのは軍隊蟻《アーミーアンツ》だった。10台近くにまで減ったバイクと1台のトラックがこちらに向かってくる。 故頼(亜継め・・・・。しくじったか!) 故頼「照準を変えろ!スキルアウトのゴミ共を蹴散らせ!!」 故頼の指示通りに被験体たちは既に満身創痍となった緑川への攻撃を止め、軍隊蟻《アーミーアンツ》へと照準を向ける。 そして、何の躊躇いも無く炎弾、電撃などの攻撃が軍隊蟻《アーミーアンツ》へと向けられて発射される。 冷牟田「させないわよ!」 三上「させるか!」 トラックの上で待機する冷牟田の紙片吹雪《コールドペーパー》によるダイヤモンドカッター入りの紙吹雪が当たる直前で能力を防ぎ、 威力の低い紙片吹雪《コールドペーパー》で防ぎきれない攻撃を三上錬次の能力である錬鉄溶解《メタルメルト》によって、 溶かされた液状金属の鞭が全てを弾き飛ばす。 寅栄「相手の能力者を封じろ!殺さずに気絶させるんだ!」 蟻たち「ウッス!」 紙片吹雪《コールドペーパー》と錬鉄溶解《メタルメルト》の援護を受けながら、バイクに乗った蟻たちは被験体たちへと急接近した。 接近戦のガチンコ殴り合いなら体格的にも経験則でも彼らに分がある。 メンバーたちはバイクを乗り捨て、一気に被験体たちへと殴りかかる。頭を殴るなり、首筋を打つなり、 男女平等顔面パンチをかまして、次々と被験体を戦闘不能へと追い込んでいく。 そして、全ての被験体たちが戦闘不能となってしまった。 トラックが装甲車付近に停車し、上から仰羽、冷牟田、三上が飛び降り、助手席から寅栄が覚束ない足取りで降りる。 寅栄「孤立無援・四面楚歌って奴じゃないか?」 故頼「ぐっ・・・・」 故頼は歩み寄る寅栄に対し、緊迫感を覚えて後ずさりしてしまう。 そして、頭の中でこの状況を潜り抜ける手段をあれこれと考えるが、全く持って名案が浮かばない。 キャパシティダウンを使えば、少なくともサークルと仰羽、メンバーの中にいる数名の能力者は封じることが出来る。 しかし、それでも何十人もの武装した無能力者《レべル0》が残ってしまう。 いくら身体を鍛えて、格闘に自信がある言っても、数十人のスキルアウトを相手に出来るほどの自信は無い。 もう、彼には敗北の2文字しか残されていなかった。 寅栄「それじゃあ・・・てめぇのせいで商売のできなかった数ヶ月分の怒りと恨み、 軍隊蟻《アーミーアンツ》リーダー、寅栄瀧麻が代表して、叩きこんでやらぁ!!」 寅栄が走って一気に間合いを詰め、その勢いで渾身の拳を故頼の顔面に叩きつける。 コラいはそのまま数メートルほど弾き飛ばされた。 故頼「ぐぅっ・・・なぜだ。何故、スキルアウト如きに・・・」 故頼が近くに倒れていた駆動鎧の携行武器を取ろうと手を伸ばすが、そこに銃弾が撃ち込まれることで、反射的に手を引っ込めてしまった。 寅栄「覚えておけ。これが学園都市の無能の最低辺を駆け抜ける存在、俺たち軍隊蟻《アーミーアンツ》だ。」 故頼「ふん・・・、軍隊蟻《アーミーアンツ》か。覚えておこう。」 故頼は不敵な笑みを浮かべると、自身のベルトに付属しているワイヤーを引っ張った。 ワイヤーを退いた途端に装甲車全体から白煙が噴き出し、すぐに視界を真っ白に染めていった。 寅栄「ゴホッ・・・ゴホッ・・・・」 白煙が消え去った頃、そこに木原故頼の姿はなかった。 仰羽「逃げられたか・・・。」 寅栄「付近を捜しまわれ!」 蟻たち「ウッス!!」 白煙を出した頃に折り畳み式の簡易パラシュートを展開して高速道路から飛び降りた故頼は、 軍隊蟻《アーミーアンツ》から逃げるように人気のいない路地裏へと逃げ込んでいた。 故頼「はぁ・・・・はぁ・・・・ここまで来れば・・・・」 プシュッ! 小さな空気を抜く様な音と共に故頼は膝から下が無くなったかのようにその場に倒れ込む。 サイレンさー付きの銃で両足を撃ち抜かれており、着ていた白衣もズボンも真っ赤になっていた。 ??「よう。久しぶりじゃねぇの。」 暗闇の中から男の声が聞こえる。それは、故頼が知っている男の声であり、出来れば二度と聞きたくない憎たらしい声だった。 そして、男が姿を現す。 年齢は20代から30代ぐらいだ。オールバックにした黄土色の髪にいかにも悪そうな目付き、 左目周辺にある刺青が更に彼の粗暴な性格を強調させる。それとのギャップなのか、彼は故頼と同様に白衣を着ていた。 男と同時に複数名の武装した男たちも現れる。 故頼「木原数多・・・・か。」 数多「しばらく、見ねぇ間に惨めな姿になっちまったなぁ!おい!幻生のジジイにも見せてやりてぇぜ!」 そう言って、故頼を嘲笑うかのように大口を開けて数多は笑いあげる。 その笑い声も、仕草も、故頼にとっては不愉快極まりないものだった。 故頼「それにしても、猟犬部隊《ハウンドドッグ》も用意するとは、大層な歓迎だな。」 故頼が悪態を吐いた途端、数多は倒れる故頼の顔面を蹴り飛ばす。 数多「こちとら、てめぇみたいなクソの中のクソを始末するために出向いてやってんだぜ?」 故頼「学園都市が・・・この私を始末・・・だと?」 数多「知る必要もないことを知っちまったみたいでさぁ、アレイスターもお冠なんだとよ。良かったな。 お前みたいな底辺研究者が学園都市の機密事項に近づけたみたいなんだからよぉ?」 そう言って、猟犬部隊《ハウンドドッグ》の男たちが倒れる故頼に一斉に銃口を向ける。 そして、数多は「殺せ」と猟犬部隊《ハウンドドッグ》に指示を出し、猟犬部隊《ハウンドドッグ》は銃を構えて、引き金を引いた。 故頼「数多あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」 学園都市の片隅で、木原故頼の断末魔は、自分がこの世で最も憎む男の名前だった。 一方、部下を故頼の捜索に駆り出させ、報告を待っていた仰羽と寅栄は装甲車付近で座り込み、サークルの4人は装甲車の中で何かを探っていた。 冷牟田(あったわ。キャパシティダウン。) そう言って、冷牟田は片手持ちのラジカセのようなものを装甲車の中から引っ張り出した。 寅栄「それが、あんたの依頼されたものか。」 冷牟田「ええ。随分と楽に手に入ったわ。」 仰羽「だったら、今回の出費の一部をお前たちに請求しても問題ないな?」 冷牟田「それは勘弁して欲しいわね。」 すると高速道路の両側から、自分たちを取り囲むように2台の大型車両が停車する。 寅栄は「九野が要請した警備員《アンチスキル》か?」と思って、車両にあるエンブレムを見る。 それは確かに警備員《アンチスキル》の車両だったが、それに付けくわえるようにMAR(Multi Active Rescue)と書いてあった。 寅栄「MAR?」 仰羽「先進状況救助隊っすね。警備員《アンチスキル》の部署の一つっす。」 すると、二つの大型車両から、ドラム缶の手足が生えたような駆動鎧が十数体ほど現れ、腕に設置した銃を寅栄たちに向ける。 これはHsRS-15という旧式の駆動鎧だ。 寅栄「どうやら、暴れ過ぎたから、お縄にかかれってことだろうな。」 仰羽「へー・・・って、俺たちが捕まったら、軍隊蟻《アーミーアンツ》はどうなるんすか!?本末転倒っすよ!」 寅栄「そう慌てなさんな。一応、九野たちに手回しはしている。それに、樫閑なら何とかするだろ。」 寅栄たちを取り囲む駆動鎧の中に一つだけ、桃色の駆動鎧があり、色合いのせいか少し女性的だった。 どうやら、あれがリーダー格の駆動鎧のようだ。 ???『冷牟田花柄。そろそろタイムアウトなのだけれど、依頼した物はあるのかしら?』 冷牟田「ええ。あるわよ。テレスティーナ。」 そう言って、冷牟田はさきほど手に入れた物をテレスティーナという女性に引き渡す。 テレスティーナ『ご苦労様ね。報酬はサークルの口座に入れておくわ。』 冷牟田をはじめとするサークルの面々は仕事が終わったと思い安堵した瞬間だった。 テレスティーナ『寅栄瀧麻、仰羽啓靖。警備員《アンチスキル》の権限を以って、あなたたちを器物損壊の罪で逮捕するわ。』 冷牟田「えっ?」 三上「おい!そんな話、聞いてないぞ!」 テレスティーナ『聞いてないも何も仕事とは関係ないでしょう?これはあくまで、警備員《アンチスキル》としての職務よ。』 持っている銃を構えながら、MARは徐々に包囲網を狭めていく。 寅栄も仰羽も負傷して、抵抗する体力は残っていない。両手を頭の後ろに持って行き、彼らに従うしかなかった。 最終章 蟻群矜持《ボトムスピリット》後編へと続く
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TSスレの幻想。 モトネタは冥土返し。二巻の301ページあたりを読み返すと悶え苦しめるらしい。 現在なぜか大人気であり、天井、火野の二名を性別変換機に突っ込み、さらにはアレイスターをおちょくるという展開がお約束になってきている。 外見はやはりあまり考慮されておらず、グラマラスなボディに白衣、カエルのイヤリングと、結構オシャレだ。
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天井がノイローゼになって、冥土返しに 「部屋を変えろ! いや変えてください!? あの子、夜中とかブツブツ言うし、目覚まし時計とかナイフで刺すんだぞ!? あんなのと一緒に暮らせるか!? 暮らせないってば、そのうち私が殺されてしまうわ」 ……、こうですか?わかりません 638 涙目ですがりよるとか、萌えるな。 てか、寝てる横で、ナイフ、ドスッとかされたら恐くて寝れんわ。 んで起きた時に、枕元にナイフ持ってるヒノタンがいて、 「……あかん、失敗やぁ……」 「な、なにが失敗!?」 で落ちるんやぁー。これどないしょー。