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俺はもう死ぬだろう…だがその前にこの自分達以外は下等と見下す鼻持ちならないクソッタレに見せなければならないッ! 「俺が最期にみせるのは代々受け継いだ未来にたくすツェペリ魂だ! 人間の魂だ!」 「JOJO―――― おれの最期の波紋だぜ――― うけとってくれ――ッ」 別に後悔はしていない、ジョセフや先生、師範やという心強い味方が居る。ナチスといった軍隊という名の集団も居る。 俺がここで死んでもカーズ達を必ず滅ぼしてくれるだろう… そして俺は死んだ筈だ。目が閉じてしまう前に傍らにあった鏡を心の片隅で疑問に思っていたがもう詮無いことであった。 「あんた誰?」 空は出来すぎた絵のような青、まかり間違っても雪山の空ではない。なにしろここはワムウと戦っていた館の中でも雪原でもないからだ。 声を発したのは目の前に居た少女のようだった。彼女の髪は冗談のような色の鮮やかなピンクだ。黒いマントを羽織っており手には本などに出てくる魔法使い然とした杖を持っている。 よく周りを見渡せばこの様な格好をした者達が多く居た。 「それで、あんたは一体誰なのよ!?」 彼女は質問に答えられなかった少々苛立っているようだ。只でさえ彼女は『サモン・サーヴァント』に失敗しており、ようやく成功したと思ったら見知らぬ男が出てきたのだ。 すぐさま尋ねたくなるのも理解できる。 しかし、先ほどまでに人類を遥かに超越した生物と死闘を繰り広げていた彼にはそこまで理解できない。 俺はさっきまでワムウと闘っていた…そして敗れた… だが何故俺は生きている!?ワムウの大理石の柱をも捻じ切る『神砂嵐』をその身に直撃した! 食らった後で奴の『死の結婚指輪』をなんとか奪い取ったが致命的なまでに血を流していた!なのに完全に治っている!! 何故だ!? 「いいから早く私の質問に答えなさい!あんたは誰なのよ!!」 いい加減質問に答えられなかった彼女はヒステリック気味に叫んだ。 「俺は……シーザーだ。シーザー・A・ツェペリ…」 「どこの平民よ、全く」 彼の頭には日常生活では聞かない単語に反応し、疑問に思った。 平民?たしかに貴族といったものに生まれついたわけでもなければむしろ逆のスラム街に住んでいたこともあった。 ここは一体何処なんだ?死後の世界でもなさそうだが… 「ルイズ!『サモン・サーヴァント』で平民を呼んでどうするんだよ!」 「さすがゼロのルイズ!」 「俺達じゃしようと思っても出来やしないぜ!」 一人が囃し立てると周囲も同調したように一緒になって囃し立てる。 それに対して少女は鈴のような声で周りに対して怒鳴った。 「ち、ちょっと間違っただけよ!」 「間違いなんかで平民を呼べるのはスゲーや!」 どうやら目の前の少女の名前はルイズというらしい。 「ミスタ・コルベール!」 そのルイズが中年男性に向かって叫んだ。 その中年男性は真っ黒いローブに大きな木の杖を持っている。 ルイズと呼ばれた少女はオシャレといってもいいだろう、しかし男性の格好は明らかに浮いている。 その中年男性が呼びかけに答えた。『これから何を尋ねられることは判りきっている!』といった顔だ。 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「もう一回召喚させてください!」 召喚とはなんだ?一体どういうことなんだ? 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!」 「決まりだよ。君達は二年生に進級する際の『使い魔の召喚』は今後の属性を固定する。一度呼び出した『使い魔』は変更ができない。例えその使い魔が好むと好まざるでもだ。」 「それに…」 コルベールと呼ばれた男性は言葉を選んで続けた。 「それに付け加えるならばこの儀式は神聖なものだからというのもある。」 「でも!平民を使い魔にするなんて聞いたこともありません!」 使い魔?なんだそれは?意味がさっぱり理解できない。 「しかし、使い魔として彼が召喚された。それが例え平民だとしても覆せない」 男性は俺を指差しながら宥めながら、しかし言い聞かせるようにそう言った。 「そんな…」 「さぁ早く儀式を続けなさい」 そう言われて少女は俺のほうに近づいてきた。 「オイ、何をするつもりだ」 「感謝しなさい、平民が貴族にこんなことされるなんて一生ないんだから」 貴族?何を時代遅れなことを言っているんだ?と言おうとした矢先にシーザーの口は目の前の少女の口に塞がれた! 「いきなり何をするんだいレディ?」 だがそこはイタリア人!慌てず騒がずしかし、内心は動揺しまくりだった! 「終わりました」 顔は真っ赤で、体も若干震えている。 「ふむ、『サモン・サーヴァント』は何回か失敗したが『コントラクト・サーヴァント』は上手くいったね」 コルベールが嬉しそうにそう答える。心からそう思っているようだ。 「オイ、ここは一体何処なんだ。こっちにも説明をして欲しい」 だが、彼の問いかけに答える人物は一人も居なかった。ルイズをからかっていたからだ。 コルベールはそれを宥めていた。 「マンマミーヤ…一体なんだってんだ…」 だがその瞬間!彼の体が熱くなった!その熱さは普段使う波紋の熱さとは比べ物にならない!! 「ぐぉ!なんなんだ一体!」 波紋によって和らげようとする!しかし……… どうにもうまく行かない…まだ体が慣れていないのか? 俺の体はついさっきまで瀕死だったのだ、まだ波紋の呼吸法がうまく出来ないのかもしれないな… 「ふむ、珍しいルーンだな。」 コルベールがシーザーの左手の甲を持ち上げしげしげと見つめる。 女性なら嬉しいが、生憎と男性だった。 「よし、それじゃ皆教室に戻るぞ」 その時シーザーの目に入ってきたのは信じられない光景だった! 「飛んでるだと?」 シーザーの目に映ったのは空に浮かぶ人間の姿だった。それも一人などではなく多くの人間がである! 彼の敵であった『柱の男達』も飛んではいたがそれは肉体を使った運動の結果であった。 しかし、飛んでいる人間は『柱の男達』のような肉体を持っていない! 「マンマミーヤ…」 彼は自身の疲れやそういったものを全て吐くように自身の口癖が勝手に出てきた。
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第一部 〈一時四十四分 アリサ〉 「とりあえず、新年おめでとう。アリサちゃん」 「……そうね」 【砂糖の王冠《クラウンオブシュガー》】のオープンテラスで乾杯するすずかとアリサ。 すずかは【甘味処『華蝶風月』】の制服である藍色の色無地にエプロンをつけた和風給仕姿で、アリサは赤色を基調としたメイド服だ。 紅茶の入ったカップで手を温めながら嬉しそうな顔を浮かべるすずか。しかしハーブティーを啜っているアリサは逆に不満そうであった。 そんなアリサにすずかは微かな笑みを浮かべながら訊ねる。 「やっぱり……今、目の前にいるのが私だと不満?」 「……」 すずかの問いにアリサは無言で返す。 無言を肯定の意と取ったすずかは口元を少しだけ緩ませながらニヤリと笑う。 その笑みは諜報部を従える若き女性部隊長、雪奈・長月一等陸佐を髣髴とさせた。 諜報部部隊長を髣髴させるようなすずかの笑みに、アリサは背筋が寒くなるのを感じた。 きっと今までの経験が脳裏に蘇った事がアリサに恐怖心に似た何かを抱かせたのであろう。 怯えるような表情を浮かべるアリサにすずかは笑みを深める。それはまるで獲物を見つけた肉食獣でもあり、下位の者をいたぶる事で快楽を感じる傲慢な女王のようでもあった。 このままだと埒が明かないと思ったのだろう。笑みを若干柔らかくしつつ、すずかは身を乗り出してアリサの頬に触れる。 時折見せる親友の艶かしい微笑みに内心、ドキリとするアリサ。 目を細めつつすずかはアリサに問う。 「……やっぱり、ユーノ君じゃないといやっ?」 すずかは服が濡れないようにする為、とっさに前方へ魔法陣を展開。 彼女の髪と同じ色をした菫色のミッドチルダ式魔法陣が展開され、アリサが噴いたハーブティーから身を守った。 「汚いよ。アリサちゃん」 「うん……ごめん」 その叱咤に対し、アリサは口元から垂れている物をハンカチで拭う。 ほとんど心ココに在らずと言った状態のアリサを見ながらすずかは目を伏せ、聞こえないように小さく呟いた。 「……私はアリサちゃんと居られて、とても楽しいよ」 友達になってからずっとアリサに手を引かれ、その隣で共に歩んできたすずか。 アリサは『劫火を宿す御剣《フランベルジュ》』と同じ銘を持つデバイスを振るう陸士として。 すずかはアリサのデバイスの整備を担当し、補佐する開発員として。 持ちつつ持たれつつの関係をずっと続けてきた。 色々と無茶をするアリサと、それを笑顔でフォローするすずか。 出会った小学校の頃から今まで―――そしてこれからずっと続いて欲しい。 「ん? よく聞こえないからもう一度言ってくれない?」 しかしアリサはこんな時に限って、すずかの小さな独り言を聞き取った。 正直な事を言うとすずかは改めて同じ事を言うのは恥ずかしかった。 でも、きちんとそれをアリサに伝えるのも良いかもしれない。 少し躊躇いながらもすずかは言った。 「―――嬉しいよ」 「―――へっ? どういう事?」 意味が分からないというかのように首を傾げるアリサ。 既に心情を吐露してしまったすずかの勢いは止まらなかった。 「私はアリサちゃんと居られて、とても嬉しいって言ってるのっ!」 そう言ってすずかはそのままテーブルから身を乗り出し、強引にアリサの唇を奪った。 いきなり強引にキスを奪われたアリサは突然の事に思考が停止する。しかし、顔だけはみるみる内に赤く染まった。 まさか親友であり、パートナーでもあるすずかにキスをされるとは思っていなかったのであろう。 予想だにしていなかった事態に慌てふためているアリサにすずかは言った。 「次期当主の重みで壊れそうになった時、アリサちゃんを救ったのはユーノくんだと言う事は分かってる。分かっているよ。それでも―――」 その目はとても真剣で、アリサの事を一途に想っているのが判った。 しかしそれが故に、すずかの心が病んでるようにも思えた。 アリサが居なければ生きていられず、そのまま死んでしまうような儚さもある。 「ユーノくんにアリサちゃんは渡さない」 アリサは狂気が宿っているかのようなすずかの目に恐怖を感じた。 意識を保っていなければ、飲み込まれてしまうかもしれない―――月村すずかという魔性の美しさを持つ者に。 それに飲み込まれてしまったら最後、こっちもすずかに溺れてそのまま依存してしまうかもしれない。 「だって、アリサちゃんがいないと…私はダメだから……」 再び顔を近づけてくるすずか。青みがかった黒の双眸は潤み、紅く染まった頬や唇はとても艶かしい。 そして首の辺りから刺青らしき文様がすずかの肌が浮かび上がっている。 熱い吐息が漏れるすずかの唇が近づいてくる中、呆けていたアリサが動いた。 白くて長い人差し指がすずかの額に触れ、アリサの口から魔法の詠唱が紡ぎ出される。 「汝に安らかな眠りを。大いなる厄から迷いし旅人を護るが如く、その暖かさで包め……眠りの火」 アリサの指から小さな火種が発生。その火を額に押し付けられたすずかの瞼は少しずつ落ちていく。 そしてついには、テーブルに突っ伏してスヤスヤと眠ってしまう。 「ふぅ……危なかったわ…」 寝息を立てるすずかを見ながらアリサは深い息を吐き出し、溢れ出した冷や汗を拭う。 いきなり突拍子も無い事をして来た事には驚いたが、すずかの首から刺青らしき物が這い上がっている所から違和感を得た。 同時に貞操の危機を感じ、アリサは魔法ですずかを眠らせたと言うことだ。 「どうにか、まとまったようですね」 背後から声を掛けられるアリサ。そこにいたのは、時空管理局第21特殊編隊『ナイツ』の部隊長であるリオ・アーシェラであった。 アリサはリオを親の敵であるかのように睨み付けながら訊ねた。 「……いつから見てたの?」 「確か、『……やっぱり、ユーノ君じゃないといやっ?』の辺りでしょうか」 「全部じゃないのよ!?」 突っ込みを入れるアリサにリオは真顔で言った。 「ほら、『人の恋路を邪魔するものは、集束砲撃魔法《ブレイカー》を喰らってしまえ』と言うではないか」 それでも、部下の貞操の危機なら助けろよとアリサは思った。 でも、なのはならば好きな人との仲を邪魔しに来るものには容赦なく砲撃魔法を叩き込みかねない。 しかし今はそんなどうでもいい思考を奥に押しやり、アリサはリオをじっと見ながら訊ねた。 「何か用かしら? アーシェラ部隊長。まさか、本当にデバガメしていただけとか言わないでしょうね?」 「不破恭耶陸曹長を撃墜した対象は俄然、クラナガン中を逃走中」 「私にその追跡をしろと?」 にらみつけてくるアリサの問いに首肯し、リオは正式に命令を下す。 「アリサ・バニングス三等空尉には、撃墜対象の追跡と巻き込まれた人たちの保護をよろしくお願いします」 「……了解」 下された命令にそう言って返し、席から立ち上がるアリサ。 そして、そうそうと何か思い出したかのようにアリサはリオに告げる。 「ちょっと冷えてきたので、すずかをスタッフルームで寝かせてくれないかしら?」 「うむ、了解した」 アリサの頼みに頷いたリオは突っ伏して眠っているすずかを抱きかかえた。 リオは片腕を両膝の裏に通し、もう片方ですずかの背中で支える体勢―――いわゆるお姫様抱っこをする。 流石、『ベルカの剣聖』と呼ばれる局員。同性を抱きかかえているとはいえ、妙に様になっている。 諜報部によって発行されている『時空管理局のしおり』で掲載されている『女性局員千人以上に聞いた、抱かれたい局員五十人』のランキングで、男性局員を差し置いて載ったのは伊達ではないようだ。 すずかをお姫様抱っこしている今の姿は一幅の絵になるほどの魅力があった。 さしずめ―――騎士と姫と言った所か。 「じゃあ、頼むわね」 リオから背を向け、歩き出そうとするアリサ。 それをリオが引き止める。 「ちょっと聞きたいのだが」 「何かしら?」 ちらりと振り向く事で顔だけをリオの方へと向けるアリサ。 「アリサはスズカ開発員の事をどう想っているのですか?」 「……」 しかしアリサはすぐにその問いについて答えようとはしなかった、 すずかを抱きかかえた状態のまま、リオは更に言葉を重ねる。 「あれがこの子の本心と考えてよろしいのでは?」 「もし、アレがすずかの本心でも―――」 肩耳につけたイヤリングを人差し指で指で軽く弾くアリサ。 金具が消失し、中に紅と翠の紋章が入った半透明な白の宝玉が宙に浮かぶ。 浮かぶ宝玉に魔力が集束し、穂先が剣のように長い槍の形を形取る。 槍の形を取った魔力の塊を掴むアリサ。表面についていた魔力が周囲に溶けていき、その姿を現す。 穂先は剣のように長く、操りやすいように柄もそれなりに長くなっている。 アリサは自身の操るデバイス―――相棒であるすずかが調律している『劫火を宿す御剣《フランベルジュ》』の柄を握り、柔軟運動をするかのようにそれを軽く振り回した。 槍の穂先が描く軌跡に沿って魔力が衝撃波のように放出される。 改めて『劫火を宿す御剣《フランベルジュ》』を構え直したアリサはリオの問いに応えた。 「いつものすずかが言わないと意味が無いわよ」 「なるほど、そういう事ですか」 真意を悟ったのか、冷やかすかのようにニヤリと笑うリオ。 自信満々に言ったものの、流石に冷やかされると恥ずかしいのだろう。 『眠りの火』によって眠るすずかを抱き上げるリオから背中を向けた。 「じゃあ、行って来るわ。アーシェラ部隊長」 革靴がトンと地面を叩く音が響いた時には既にアリサの姿は無かった。 〈一時五十分 綺璃斗〉 イルミネーションできらびやかに彩られた表の通りに対し、薄暗い裏路地。 二人の恋人が仲睦まじく歩いていた。きっと初詣に行く途中であろう。女性は着物を着ている。 「やっぱり、裏路地を選んで正解だったよな」 自身の選択が正しかったと言うかのように言う青年。得意げな彼氏に彼女も笑顔で肯定した。 そのとき、金属がぶつかり合う音がした。まるで甲冑を着た人が歩いている様な。 「なんか。変な音しない?」 「ああ、そうだな」 恋人の問いに青年は頷きつつ、前方を見つめる。 ガチャンガチャンと金属のぶつかり合う音を奏でながら、何かが向こうから歩いてくる。 しばらく経った後だろうか。正体が電柱の電灯に晒された。 有り得ないと思えるその姿に恋人たちはギョッとする。 見たままの言葉を借りるのならば、それは甲冑を着た騎士。 しかし、それを騎士と形容するにはおかしかったかもしれない。 騎士の甲冑と形容するには禍々しすぎるからだ。そして、禍々しい殺気と黒い靄を噴き上げている。 あえて言うのならば、悪魔の甲冑。甲冑は黒い靄で作った恋人たちに歩み寄る。 恋人は逃げる。常識的にも本能的にも危ないと感じたからだ。 しかし、騎士も逃がさない。見た目は鈍重そうだが、動きは速い。 騎士は鎚を振るい、青年の背中を打つ。青年は壁に叩きつけられる。 青年の恋人は自分の恋人が壁に叩きつけられた事に気付かず、とにかく走る。 とにかく逃げ切らないといけないと心が警鐘を打っていた。 騎士は見逃す気はまったくない。むしろぐちゃぐちゃに壊したい。 着物が着慣れていないのであろう。青年の恋人は着物に足を取られて転倒する。 「あ…あっ……あ……」 女性は腕を使ってでも逃げようとする。 でもそんな足掻きをしても意味が無い。騎士は易々と女性に追いついた。 黒い靄で作った漆黒の鎚を振り上げる騎士。そして、力任せに叩きつける。 鎚は這ってでも逃げようとする女性の足を叩き潰す。 ―――ボキリ。骨が折れたときの不快な音が響いた。 「ぎゃああっぁぁぁぁぁっぎゃぁあぁぁゃいじゃいゃぁう!!」 痛みに悶える女性が撒き散らす声が裏路地に響き渡る。 チンピラたちが歩いている。その顔は楽しそうだ。 それもその筈。見知らぬ人をカツアゲした挙句、その人の恋人をその人の前でレイプしたのだから。 「んぁ?」 一人が何かを発見する。それは一人の女性であった。 壁にはその女性の恋人が壁に打ち付けられて気絶している。 「うぇ……へっ……へ………」 チンピラたちは笑う。こんな所に女が落ちていると。 さっき強姦した女は不細工であったが、今回は割りと上玉だ。 「おうおう。そこのお姉ちゃん。こんな所で倒れてたら危ないぜぇ」 一人が女の顔を持ち上げる。 泣きじゃくって鼻水や涎が垂れているが、拭えば問題ない。 しかし、チンピラたちは気づいていなかった。 女性の恋人の頭から血が垂れている事や、彼がよしかかる壁にベットリと血がついている事に。 そして―――自分たちに忍び寄る狩人の存在。女性は餌で、自分たちはその餌に釣られた悲しき獲物である事に。 「オレたちみたいな狼に食われちまうぜぇ」 ガタガタ震えている女性に手をかけようとしたその時、轟音と共に一陣の風が吹き抜ける。 そして、男は頭に感じた衝撃によって意識を刈り取られる。 「なんだお前は!!」 他のチンピラたちが叫ぶ。 そこにいたのは、漆黒の騎士。騎士が握っているのは大きくて長い漆黒の棒。 おそらく、最初の一人はこの棒で殴られたのだろう。 チンピラたちに歩み寄る騎士。コレは本気を出さないとやばいと思ったのか、ナイフを抜くチンピラたち。 突然、騎士は体重を前に倒し地面を強く踏み蹴る。騎士はチンピラたちに肉薄する。 そして持っている棒をフルスイングする。振られた棒がゴウっと凄まじい音を立てながら風を切る。 渾身の力で振り抜かれた棒はチンピラたちを薙ぎ払った。 何人かは壁に叩きつけられてズルリと落ちる。後頭部からの出血で壁に血が塗りつけられた。 意識が残っている何人かは激痛に耐えながら、這ってでも逃げようとした。 しかし、黒い騎士が獲物をそう易々と逃がすはずがない。 黒い靄から槍が精製され、逃げようとする人たちの四肢を貫く。 「ぐぎゃあぁぁあぁああああああぁぁああぁぁぁあぁさあぁぁぁ」 チンピラたちの痛みによる悲鳴が不協和音となって響く。 更に騎士は黒い脚甲をつけた足でチンピラたちの身体を蹴る。 その蹴撃によって、骨が折れた。 醜い悲鳴が更に響く。 一人の少女が道を走っていた。 お稽古事の帰りだろうか。手には黒い手提げバックが握られている。 そして、とある角を曲がる少女。そこで彼女が見たのは、醜い鳴き声が聞こえる闇。 隙間風と一緒に錆びた鉄のような臭いが流れてきた。 深い闇と黒くて濃い靄でうまく見えない。しかし、少女の背筋に寒気が走った。 少しぼやけてだが、少女には見えたからだ。闇でも隠せないものが蠢いているのが。 「ひっ……」 怯える少女は遠回りになっても良いから逃げようとする。しかし、手や足の感覚が鈍くて力が入らない。 心臓の動悸が全く収まらす、喉の奥から急速に乾いていく。まるで長距離のマラソンをし終えた時のような感覚。 そして自身の持っている体力を全て使い切ったかのような疲労感があった。 少女は闇の向こうから来る者を待つ事しか出来ない。まるで祭壇に捧げられた生贄《ヒツジ》のように。 手には錫杖を持ち、黒い靄を噴き出しながら、それは深い闇と黒き靄から姿を現す。 無差別に理不尽な暴力を振るう堅固なる漆黒の騎士が。 「あっ……あ……ああああああああああ!!!」 恐怖の余り、少女は自身の喉が痛くなる事をいとわずに吠えた。 そうでもしないと、正常な意識を保つ事が出来なかった。 騎士は目の前にいる彼女を叩き潰さんと、その錫杖を振り上げる。 しかし少女は恐怖で身じろぎする事すら出来なかった。指の一本さえ動かせず、騎士から目を離す事すら出来なくなっていた。ただ細い息だけが口の奥から吐き出される。 「あっ。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」 少女は判断した。もう駄目だと。自分はこの漆黒の騎士が振るう暴力によって死ぬのだと。 諦めた彼女は必死に目を瞑ろうとする。最後までこの漆黒の騎士を見ていたくないから。 〈二時 【アイス『ゼ-ゲンヴィント』】〉 ミヤモトを〈咎人の拘束衣《バインディングクロウス》〉で拘束し、台車を押しながら航空武装隊が出店している場所へ向かっていた。 鮮魚市場の大型魚類よろしく、台車で運ばれていくミヤモトに周囲の人たちは奇異な視線を向ける。 中には、携帯デバイスのカメラ機能で写真を撮っている者も何人かいた。きっと、ネット掲示板でその写真が話のネタとして投下される事は間違いないだろう。 一応、『人の噂は四十九日』と言うことわざが存在するが……いろんな意味でミヤモト一等空士は肩身の狭い生活を送る事となるのは安易に予想できた。 無言で台車を押す幽霧に、隣で歩いていた雫が声を掛ける。 「幽霧、そろそろ休憩しますか? ちょうど次元航行部隊のアイン秘書官がプレゼンをしている店が近くにありますよ」 「……そうですね」 台車で運ばれているミヤモトはそれなりに重いらしく、幽霧の額にはうっすらと汗が浮かんでいる。 雫はスーツのポケットから取り出したハンカチで幽霧の汗を拭う。 「あっ……ありがとうございます」 「どういたしまして」 表情は変わらないものの頬に朱が差している幽霧に、雫は頬を緩ませる。 周囲から聞こえてくるシャッター音を聞きながら二人を見ていた局員は思った。 幽霧霞は本当に男性なのだろうか。端から見ると明らかに、開発部の雫・鏡月と姉妹であるようにしか見えないのだが。 気がつくと周囲の通行人は台車に運ばれているミヤモトだけではなく、幽霧と雫の二人まで携帯デバイスで写真を撮っていた。 写真を写す者は何かに取り憑かれたかのようにシャッターを切り、顔には恍惚そうな表情を浮かべながら口元から涎を垂らしている。 そして遠巻きから見ている通行人―――主に女性たちは幽霧と雫を見ながら熱い羨望のため息をついていた。 色んな意味で気まずいこの場から早く逃げたいと思う局員なのだが、あからさまな態度を取る事を出来ずにいた。 そうこうしている内に幽霧たちは【アイス『ゼ-ゲンヴィント』】に到着した。 「自分は警邏任務があるので、これで失礼します」 局員は幽霧たちに敬礼し、そのまま人込みの中に紛れていった。 そして三人は【アイス『ゼ-ゲンヴィント』】を見上げる。 戦技教導部隊の【喫茶『白桜雪』】や陸士部隊捜査課の【甘味処『華鳥風月』】などは普通のお店であったが、アインが出店している【アイス『ゼ-ゲンヴィント』】はサーカスで使われる大きなテントであった。 青や白でカラーリングされたテントはきっと、朝ぐらいになったら人を引きつけるだろう。 子供たちに引かれた家族で一杯になる光景が思い浮かぶようであった。 アルフィトルテは目の前にあるテントを見ながら感嘆の声を上げる。 「ママっ……おっきいね」 「……そうだね」 幽霧のスカート引っ張りながら眼を輝かせるアルフィトルテの姿に、ほほえましさを感じた雫は口元に小さな笑みをこぼす。 はしゃぐアルフィトルテに引っ張られながら幽霧は垂れ幕をくぐり、【アイス『ゼ-ゲンヴィント』】の店内へと入っていく。 店内は木製のテーブルや椅子が置かれ、何故かカウンター席もあった。まるで小洒落たバーのような雰囲気が漂っていた。 カウンター席に真っ白な髪をした人が座り、その向かいではメイド服を着た銀髪紅眼の綺麗な女性が立っていた。 ミヤモトを乗せた台車を押しながら、幽霧はカウンターの方へと進んでいく。 「こんばんは。アイン秘書官」 「ええ、こんばんは。幽霧霞三等陸士」 アイン秘書官と呼ばれた女性は口元に笑みを浮かべながらそう返した。 カウンター席に座らせるためにアルフィトルテを抱き上げた雫はチラリと隣にいる白髪の少女を見る。 灰色っぽい白の髪に白い肌。着ているのは幽霧の着ているメイド服とデザインが似ているが、純白のメイド服であった。 真っ白なワンピースの上にフリルのついたエプロン。頭にはフリルのカチューシャがちょこんと乗っている。 そしてスカートの下からフリルのついた白いぺチコートがちらりと見えた。 細かい縁取りや装飾がなされたそのメイド服はまるでウェディングドレスのようであった。 「ナタネさんも一緒でしたか」 「……今はヴィリエ・オーギュストです」 溶けかけの白いアイスクリームを見つめながらナタネは雫に返す。 雫はその言葉に瞼を閉じ、口元に笑みを浮かべながら含み笑いをする。 「そうでしたね」 クスクスと笑いながら雫はアルフィトルテの隣に席に座る。 カウンターの向かいに立っていたアインはショーケースに入れたアイスをステンレスの器具ですくい、硝子製の小さな容器に盛り付けた物をアルフィトルテの方に差し出す。 しかし食べて良いのか分からないアルフィトルテはキョトンとした顔で首を傾げた。 じっと目の前のアイスを見ながら食べようか迷うアルフィトルテに、アインはクスリと笑いながらその手を掴んで引き寄せる。 そして掴んだその手に握らせたのは、キラキラと輝く銀のスプーン。 スプーンの握りながら、アルフィトルテはアインを見つめた。 「……食べて良いの?」 「良いですよ」 アインの言葉にアルフィトルテは顔をぱあぁぁっと明るくし、硝子の容器に盛られたアイスをすくい始める。 嬉しそうにアイスをほおばる姿を眺めながら雫は懐を探って財布を抜こうとする。 「えっと……」 「お代はいりません」 しかしアインは懐から財布を出そうとする雫を手で制する。 彼女の意図に気づいた雫は、プっ……と吹き出す。 「それは……」 雫がなんと言おうとせんか分かったアインはカウンターのむかいではにかみながら言った。 「可愛い妹を溺愛する姉の愚行と受け取っても構いません」 それはまるで、自身の妹が可愛くて仕方ない姉のようであった。 アインの嬉しそうな顔を見ながら雫は口元を緩め、安らかな笑みを浮かべる。 その表情は大きくなった我が子を見ているような雰囲気を醸し出していた。 ―――季節が変わっても時が経ってもあなたのそばにいたい。 『夜天の書』の管理人格であった彼女はずっと、その本の奥でそう願っていた。 しかしその願いは何度も打ち砕かれた。願いが叶わない苦しみが永劫に渡って続くかと思われた。 最後の夜天の王となる少女、八神はやてによってその苦しみから解放されたかと思われた。 だが、残っている限りは遠からず防衛プログラムが再生して暴走してしまう。 そして元のプログラムが既に存在しないため、暴走しない状態には戻せない。 自身が存在する限りはまた世界が崩壊の危機を迎える事が分かっていた彼女は自らの消滅と言う選択を選び――― 世界を救う為に彼女はとある冬の日に音もなく声もあげず消えてった。 長い苦しみから解放された彼女は、両手差し出しても溢れる程の幸せと夢を手に入れても良かった。その資格が彼女にはあった。 幸せになる資格を持っていた彼女が手に入れる事が出来たのは―――― 八神はやてから貰った『夜天の王を守護する祝福の風《リインフォース》』の名のみ。 しかし運命の悪戯か―――彼女は新たなる生を得た。 そして、新しい生き方をする為に彼女は歩み始めた。 長年の間積み重ねてきたその努力が今ここで少しだけ報われた瞬間だと言えるだろうと、雫は心の底から思った。 「じゃあ、私もバニラアイスを一つ」 「どうぞ。お代は要りません」 アインはそう言って真っ白なアイスをディッシャーと呼ばれるステレンレスの器具で硝子の容器で盛り始める。 首を傾げる雫にアイスを盛った容器を差し出すアイン。その容器にはバニラアイスだけではなく、色んな種類のアイスが盛られていた。 「うわぁ……いいなぁ…」 アルフィトルテは雫の前にあるアイスに感嘆の声を上げる。 隣のアイスを見るその顔はとても羨ましそうであった。 差し出された色とりどりのアイスに驚く雫にアインは言った。 「だって、私に新しい人生を歩ませてくれたのは貴方達ですから……母様《マイスター》」 頬は桜のように薄いピンク色に染まり、瑞々しい唇は微かに潤んでいる。 その顔はまるで初恋の相手に好きと告白する女の子のようであった。 アインの言葉に真っ白な雫の頬に朱が差す。まさか、子供を産んでもいないのに『母様』と呼ばれるとは思っても見なかった事だろう。 雫は赤くなった顔を見せないためか、その視線をカウンターに落として俯く。 そして黒髪で顔を隠しながら雫は呟いた。 「…幽霧がアルフィトルテに『ママ』と呼ばれる気持ちが少し分かりますね……」 少し気恥ずかしそうな顔でもあったが、口元は嬉しいと言った感じに笑みが浮かんでいた。 それと同時にぽたりとカウンターに水滴が落ち、小さなしみを作り出した。 ちゃっかり、ナタネの隣に座っていた幽霧は淡々とした口調で訊ねた。 「そういえば……高町一等空尉のいるお店で働く事になりましたが、どうでしたか?」 「……休憩時間が重なると、よく絡んできます」 そう言ってアイスクリームを口へと運ぶナタネ。 しかしその声音からは困っているようには思えなかった。 〈アイギス〉で石化させても身体が崩れ行こうとしていたナタネを見て、殺気を放ちながら詰め寄ってきた険しい顔のなのは。 ナタネが消滅を危機を免れ、再び会う事が出来たなのはの嬉しそうな顔。 幽霧はそれらを知っているだけに、積極的になのはがナタネに絡むのも当たり前かもしれないと思った。 「そうですか」 淡々と返す幽霧にナタネは全く気にも留めずに溶けかけたアイスを口に運び続ける。 しかしそこで何か思い出したらしく、スプーンを置いてから付け加える。 「何故かヴィアフと名乗る方もよく絡んできますが」 「……あぁ」 「あの人は、なのはさんをとても大切にしていますから」 ナタネの言葉に、その状況が鮮明に思い浮かんでしまった幽霧と雫は納得するしかなかった。 戦技教導隊でAMF下の戦場におけるサバイバル演習を担当とするヴィアフ・ストラグル戦技教導官は、高町なのはをまるで妹のように可愛がっている事は有名な話であった。 管理局に設けられた食堂や休憩所でも二人が一緒にいる姿がたびたび目撃されている。 妹のように可愛がっているなのはが、自分ではなくナタネばかりに構っていれば―――やきもちを妬いて、絡んできてもおかしくないだろう。 初対面の幽霧にも、躊躇することなく罵倒しに掛かるような彼女の事だ。 休憩中でも、そうでなくてもナタネにしつこく絡んだのだろう。 しかしナタネの事だから、そんな事など構わずに与えられた仕事をきちんとこなしてきたのだろう。 ぼんやりとそんな事を考える幽霧に、ナタネはスプーンの先を咥えながら訊ねた。 「それと……アレは何ですか?」 ナタネが視線の先で示したのは、幽霧の〈咎人の拘束衣《バインディングクロウス》〉で拘束された状態で鮮魚市場の本マグロよろしく、台車に乗せられた航空武装隊のミヤモト一等空士であった。 何故かボールギャグから涎を垂らし、息を荒くしながら悦んでいるように見えてしまうのは―――気のせいだろうか。 黙々とバニラアイスを食べていたアルフィトルテが口を挟む。 「じくうかんりきょくこうくうぶそうたいみやもといっとうくうしのなれのはて?」 「あぁ、やんちゃっ子という事で、人妻の女性局員には人気の問題児として有名な……」 台車に乗せられたミヤモト一等空士をじっと見つめながら思い返すように呟くアイン。 内容が微妙にけなしているような感じがするのは気のせいであろうか。 「ひとまず、航空武装隊の店まで持って行こうと思うのですが……」 場所が分からないんですと言う幽霧。顔はいつものように無表情であるのだが、声からは少し困っているような雰囲気が感じ取られた。 確かに、これを持ち歩くのは人目の関係で色々と大変であるだろう。 暴れないように〈咎人の拘束衣《バインディングクロウス》〉を使用しているのだから、その拘束衣を解除する事が出来ない。 どうしたものかと、改めてミヤモトの処置について考える幽霧たち。 ナタネは無言で椅子から降り、台車に乗っている拘束衣姿のミヤモトに触れる。 触れた手の平から魔法陣が展開される。 その魔法陣はヴィータ二等空尉やスバル・ナカジマ一等陸士の扱う近接戦闘専用の魔法体系。ベルカ式にも似ているのだが、更なる拡張を行う為に特殊な意匠が付け加えられた感じであった。 その魔法陣を見たアインは消えてしまいそうなくらい小さな声で噛み締めるように呟いた。 「……ヴォークトリヒト、コントータ…」 台車の上に次元の裂け目らしき物が発生し、拘束衣を着させられたミヤモト一等空士をズブズブと引きずり込んでいく。 明らかにヤバそうな光景に幽霧たちは絶句する。その間にもミヤモト一等空士の身体は飲み込まれていく。 小さい子供が見たら、明らかにトラウマに陥りそうな光景だ。 アルフィトルテは黙々とアイスを食べているのが、唯一の救いかもしれない。 完全にミヤモトを飲み込んだ所で裂け目は閉じられ、何事も無かったかのように消えていく。 「ミヤモト一等空士は……」 「次元航行魔法で、航空武装隊の店先まで送っただけです」 何事も無かったかのように座っていた椅子に座り、溶けたアイスをすくいながらナタネはそう答えた。 店先に目隠しやボールギャグを付けさせられた拘束衣姿のミヤモト一等空士が置かれた光景が脳裏に浮かび上がった幽霧はもう絶句するしかない。 明らかに営業迷惑のブツであるとしか言いようがないであろう。 そんな光景を思い浮かべて絶句する幽霧たちに、ナタネは問い掛けた。 「前々から聞きたかったのですが」 「なんですか」 首を傾げながら不思議そうな顔をする幽霧・雫・アインの三人。 ナタネはスプーンを容器の中に落とす。 「貴女たちの言う『特殊機構』って一体、何なのですか?」 いまいち意味が分からない幽霧は首を傾げる事しか出来ない。 しかし、その言葉によって雫の顔に浮かんでいた表情がすぅっと消え、アインは困ったような顔をする。 どうやら、この二人はナタネの『特殊機構』が何の事を指しているか分かっているようだ。 表情が消えた雫はゆっくりと口を開く。 「身体の組織を保つ為の―――」 「諜報部の研究書庫……長月書房ですか。そこで、『心臓』と呼ばれる特殊機構についての研究データを読んだのですが」 しかし誤魔化せないためか、そこでナタネが口に挟む。 「―――っ」 あやふやな情報で誤魔化そうとしていたのか分からないが、具体的な事を言われたらしく雫の言葉が止まる。 幽霧も流石に自身の所属する諜報部が持つ研究書庫。『長月書房』については知っていた。 上は四十二階、地下は六十六階と言う巨大な情報書庫。 無限書庫の司書が使うような検索魔法は書庫にある魔道書に干渉する危険があるから使用禁止。 強力な魔道書が何百冊もあるために、その魔力に当てられた紙切れ一枚が一種の魔道所と化している。 その上、魔道書の精霊やその防御機構が徘徊している。 魔道書が入っているのでも危険であるが、それを収めている書庫も十分危険であった。 一室に計百八の階層を魔法で折りたたんで収納している為に、それを開放すると諜報部が入っている階層どころか―――建物事態が崩壊してしまうのだ。 いろんな意味でセキュリティが厳重な書庫―――それが『長月書房』であった。 エレベーターなし。階段はある位置がバラバラ。魔力を放出するタイプの魔法は魔道書に干渉するために使用禁止。 まだ死亡者が出た事は無いらしいが、時空管理局で最も危険な場所のひとつとして数えられているらしい。 諜報部の研修はその書庫に最低でも一週間こもり、魔法を一つ使いこなす事である。 そして習得したその魔法や身体データを元に、仕事の配属や役割を決めるのだ。 幽霧は研修時に〈其は英雄の魔弾《アルテ・アリア》〉を習得。昔に習得した魔法の関係で、潜入班の方に配属された。 ナタネがそこで見つけたのだから、信憑性はあるだろう。 「諜報部の情報書庫に置かれている資料の中にも、その『心臓』や私の身体に埋め込まれた『特殊機構』に似たものを作っていた組織があったのですが……名前は、『創世―――」 ナタネがとある名前を出そうとした時、雫は静かに言った。 「そうです。貴女の言うとおりです」 「鏡月主任」 アインは何か言おうとする雫を止めようとする。 しかしそれに対して、静かな面持ちで首を振る雫。 そこでアインスも諦めたらしく、軽くため息をついた。 ナタネを見ながら雫は口を開いた。 「核よりクリーンで、AMFよりたちが悪い兵器―――それが貴女の身体に内蔵されている物であり、『心臓』と呼ばれるものです」 〈二時五分 【メイド&執事喫茶『至高の遺産《Oberste Erbe》』】〉 他の部隊が出店している店とは違い、厳格な雰囲気が漂う査察部の【メイド&執事喫茶『至高の遺産《Oberste Erbe》』】。 休憩を貰ったヴェロッサは両手にマグカップを持って、歩行者天国を歩いていた。 カップの中には妙に甘い香りが漂うコーヒーが注がれており、外気の温度差からか真っ白な湯気をもうもうと上げている。 彼が向かっているのは、【メイド&執事喫茶『至高の遺産《Oberste Erbe》』】の近くにある自由広場。 そこは民間の屋台が幾つか出ているが、管理局の出店は無く、一般のために開かれた自由な広場であった。 目的は休憩がてら、とある女性査察官とコーヒーを飲む為だった。 彼女の名前はヴィアッリ・フィオーレ。 対魔導師戦特化型魔導師で、別名『デバイスクラッシャー』と呼ばれる査察官。 広報部の蔵那クロエ一等空士と腐れ縁で、今は他人が霹靂するくらい熱い恋人同士。 別にヴェロッサは彼女をオトそうと言う邪な意図があって、彼女がいると思われる広場へ向かっているわけではない。 堅苦しい空気で強張った身体をほぐす為の運動であり、彼女のように凛々しくて綺麗な女性を見て癒されたいと思ったからだ。 探していた女性―――ヴィアッリ・フィオーレは広場となっている場所の入り口近くにある席に座っていた。 足首まであるロングスカートや手首まである長い袖など露出度が少ないのが特徴的な漆黒のメイド服。 すっと細い目に、憂いがあるような雰囲気を漂わせていた。 周囲はカップルらしき二人組か家族連ればかりで、ヴィアッリ画異様に目立っていた。 何気なくヴェロッサはヴィアッリに声をかける。 「ヴィアッリさん?」 軽くヴェロッサの方に視線を向けたが、ヴィアッリからの返事は無い。 この手の反応には慣れているのか、構わずヴェロッサは向かいにある席に腰掛ける。 テーブルには紙コップが置かれ、中にはもう何も入っていなかった。 「飲むかい? コーヒー」 「……ええ」 空を見つめながらヴェロッサにそう答えるヴィアッリ。まさしく、心ココに在らずと言ったような感じであった。 休憩時間が始まってからずっと、ココで空を見上げていたのではないのだろうか。 身体を伸ばして、甘い香りのするコーヒーの入ったカップをヴィアッリの前に置くヴェロッサ。 何気なく彼も彼女と同じように視線を上げると、真っ黒な空が目に入った。 クラナガンの街をどんなに多くの光で彩っても空には光が差すことなく、漆黒の分厚い雲が星や月の光を遮ってしまっている。 何でヴィアッリがそんな空をずっと見上げているのか、ヴェロッサには分からなかった。 ヴェロッサがマグカップに口をつけようとした時、ヴィアッリ派口を開いた。 「あの子ってね。本当は涼香さんがすきなの」 いきなり何を言っているのだろうと、ヴェロッサは思った。 しかし数秒後には、広報部の蔵那クロエについて言っていると言う事が分かった。 何故ならば、ヴィアッリが「あの子」と呼ぶのは彼女―――蔵那クロエしかいないからだ。 「だから、私はその当て馬なの」 「自分で言ってて悲しくないですか?」 あくまで自身はクロエが涼香の気持ちを確かめる為の道具でしかないと言うヴィアッリの自傷に、ヴェロッサはコーヒーを啜ってから率直な意見を漏らした。 ヴェロッサの言葉に、ヴィアッリは淡々とそう返した。その声からは悲しいと言う感情は感じられない。 「それでも、私は良いの。あの子の事は好きだから」 ゆっくりと顔を戻すヴィアッリ。その顔には自嘲しているかのような雰囲気を漂わせていた。 「でも、あの子は愚かなの。私とイチャイチャしている姿を見せて、涼香さんにやきもちを妬かせようとしているのよ?」 そう言ってヴィアッリはヴェロッサの持ってきたマグカップに口をつける。 ヴェロッサは何で、目の前にいる女性が自身の恋人をあざ笑うかのような事を言っているのか分からなかった。 少し冷めたコーヒーで唇を濡らしたヴィアッリは再び上を向き、軽いため息を突きながら呟く。 「……涼香さんは、ギンガ・ナカジマさんを心の底から愛しているのにね」 やはりヴェロッサからすれば、ヴィアッリが自身の恋人を貶めようとしているようにしか思えなかった。 しかし、クロエをあざ笑うようなヴィアッリの口は止まる事を知らなかった。 「だけど、あの子は決して諦めずに……涼香さんが私にジェラシーを感じるようにイチャイチャする姿を見せ付けているのよ」 「貴女は……それで良いのですか?」 仕事をする時の冷ややかな目でヴェロッサはヴィアッリに訊ねた。 実を言うと、ヴェロッサはこんな彼女を見てはいられなかった。 今の彼女は凄く痛々しくて―――まるで、自ら望んで業火に飛び込んでいく羽虫のようであった。 自らを灼きながらもただひたすら、真っ直ぐな彼女を一体誰がそれを『愚かだ』と哂えただろうか。 目の前にいるヴィアッリは笑顔を浮かべながら答えた。 「あの子の好きのベクトルが涼香さんにだけ向いていたとしても、私はあの子が好きなの」 目はどんよりと濁っていて、その笑顔は――― とても妖艶で、倣岸で、残忍で、呆れるくらい無邪気であった。 その笑顔にヴェロッサは足をぬかるんだ闇に取られ、背筋を何百匹の毛虫が這い上がる様な寒気を感じた。 目の前にいる彼女にそれを悟られないようにヴェロッサは言った。 「難儀な恋をしてるんですね」 ヴィアッリは狂気にまみれた様な笑顔で答えた。 「私はあの子にベタ惚れですから。あの子の為なら、私は道化と指を指されて笑われても良いの」 そう言って身を乗り出し、ヴェロッサの方へ顔を近づけるヴィアッリ。 顔を背けるかなんかして逃げなければならない―――と、ヴェロッサは思った。 しかし、身体が動かない。まるで、自分の身体で無いかのように。生まれてから初めて恐怖と言う物を感じた気がした。 今まで感じた恐怖など、これに比べたら平和過ぎる。これが恐怖というならば、今まで、自分は恐怖と言う物を知らなかったと言う事になるような。 全身という全身が隈なく煽動する。心臓が破裂しそうなくらい早鐘を打つ。 しかし身じろぎする事すら出来なかった。指の一本どころか、眼球さえ動かせず、ただ細い息だけが口の奥から吐き出される。 ヴェロッサとヴィアッリの目が合った。そして彼女は――― マルデコレイジョウノエツラクハナイカトイウカノヨウニ、ニンマリトワラッタ。 背中を何かが這いずりながら上がってくるような感覚を感じた。急速にのどの奥から乾いていくような感覚も覚えた。 それでもヴェロッサは動く事が出来ず、ヴィアッリの顔が近づいてくるのをただ眺めるのみ。 「ん……」 「ふぁっ……」 ヴィアッリによって、ヴェロッサの唇が塞がれる。 その唇はマシュマロのように柔らかく、暖炉の火のように温かく―――失恋に似た苦味を感じた。 ゆっくりとヴィアッリは彼から唇を離す。その顔には妖艶な笑みが浮かんでいた。 開口一番にヴェロッサは目の前で哂う彼女に訊ねた。 「何故、撲にキスなんて……したんだ?」 ヴィアッリは何でもなさそうに答えた。 「―――恋人でもない人とのキスはどんな味するか知りたかっただけよ」
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http //toro.2ch.net/occult/dat/1381735586.dat 1. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 16 26 26.37 ID MoigxjNti お願いします 4. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 16 34 19.98 ID mlOnoOga0 蟹は美味い 6. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 17 09 05.69 ID YhzDjJqM0 緑のモコモコとか? 7. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 17 15 11.81 ID gcQpccsji レンタカー伊勢湾岸道急停車事故 9. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 17 21 33.13 ID h1BHTbqq0 フリーエネルギーがもう開発されてること 11. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 18 44 07.82 ID /wGDDK0F0 自殺の9割は他殺 13. 本当にあった怖い名無し 2013/10/15(火) 01 48 21.78 ID KVWUH9QF0 11 日本はアメリカに比べると自殺って決めたらほとんど死後解剖に回さないってか家族が希望しないとしないんだっけ? まぁ死んだ後の体に傷をつけたくないとか日本独特の価値観からかな 実際は一見自殺でも解剖はしたほうがいい 他殺も充分ありえる 15. 本当にあった怖い名無し 2013/10/15(火) 10 10 11.90 ID cJcs/gdmP DNA 17. 本当にあった怖い名無し 2013/10/17(木) 08 43 58.97 ID m1qaEdYM0 13 医学生の弟が解剖の実習を終えた後、「自分は絶対解剖されたくない」って言ってたわ。 わたしも最後は括る予定だけど、いくら死後とはいえ、素っ裸にされて中身までおっぴろげられるのはやっぱり恥ずかしいわ。 グロスレなんかの画像見てても、事故現場の写真より解剖写真の方が惨めな感じがするもの。 19. 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 00 43 06.52 ID WvalgYET0 宇宙人なんかいないとわかってる それを公表すると夢がなくなるから 23. 本当にあった怖い名無し 2013/11/05(火) 22 19 22.61 ID Ce4FHXz+0 癌は完璧に治せるがビジネスとして治さないようにしているだけ 人はいずれ老化で寿命の前にほぼ癌で死ぬので最も需要の高い医療ビジネスである 24. 本当にあった怖い名無し 2013/11/06(水) 20 20 07.65 ID +zjvBAnQ0 ボケない薬や治療を開発してほしい。 26. 本当にあった怖い名無し 2013/11/27(水) 04 55 15.39 ID REqElsaE0 ケネディ大使着任記念にアメリカオカルトネタを適当に ・ナチスドイツ降伏後の1ヵ月後に南米チリにドイツ軍潜水艦が浮上したが、米軍がこの搭乗員におこなった尋問内容は機密解除しないのか。 ・同時多発テロで飛行機の突撃を受けていないWTC第7ビルはなぜ倒壊したか? ・政府紙幣を発行した米国大統領は全員任期途中で交代になっているのはなぜか? ・戦後米軍がおこなった南極観測作戦「ハイジャンプ作戦」で南極大陸の6割で作戦を終了したのはなぜか?残り4割は安部政権がやっても大丈夫か?そもそも、誰の土地でもない南極大陸に飛行禁止空域が設定されているのはなぜか。 29. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 03 08 35.68 ID NErqCRq40 サンタクロースは民族的にはギリシャ人 プレゼントがもらえなかったり、期待はずれなのはサンタの国民性だからしょうがない それこそ実は配達などせずに、今はトルコ領になった故郷に里帰りして、地中海でバカンスを楽しんでたりして 30. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 03 20 24.84 ID HWHUm9J2i 絶対監視社会計画が既に破綻しているという事。 ゆとりが一枚上手のようだ。 33. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 12 46 45.29 ID 5WQcvD7s0 癌なんて治ったら、即効で財政破綻するだろw 35. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 18 10 53.47 ID NErqCRq40 老化を極端に遅くする技術が開発されたら、癌の治療も解禁されるな そのかわり年金支給年齢が120歳からとか。平均寿命は200歳で 36. 本当にあった怖い名無し 2013/12/14(土) 02 43 34.19 ID ygVZfll50 政府通貨発行して、ベーシック・インカムやれば良いだけ。 財源の作り方は3つ。 ?税金、?借金、?通貨発行。 通貨発行でカネ作れば良いだけ。 わざわざ、借金や税金でカネを作る必要は無い。 37. 本当にあった怖い名無し 2013/12/14(土) 14 01 58.13 ID sxda5x+R0 36 通貨が増えたらインフレになるだけ。 38. 本当にあった怖い名無し 2013/12/14(土) 19 09 06.53 ID QWvJYo0G0 物価の安定とは、低インフレの事だから、インフレにすることは大事。
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発言者:イザナ・フォン・ザンブレイブ 1000年間求め続けた法悦を取り戻した地母神の歓喜の叫び。俺ら「お、お幸せに…」 ミサキ√終盤、ありえない人造極晃星の覚醒、それによる地母神の放射の神威も「出来が悪い」と最適化してやり返され、倒したはずの眷属たちも金属細胞(バイオメタル)で再生されるという、これまで見た事もない人間(未来)の可能性を前に、その天秤はありえない傾きをもたらした。 幾度となく返り討ちにしてきたはずの光であるにしても荘厳すぎる神祖滅殺の再来に動揺しつつも立ち向かっていく神祖たち。 その中でイザナは、飛び出してきたラグナに心臓を潰され上記の通り自前の異能も最適化され全てを上回られると言う一際の悪夢を体験していた。 その事実を前に、よぎった破滅の予感を払拭すべく、神威の咆哮とともに彼女は叫ぶ 「冗談ではない! 消え失せろォッ――!」 なぜなら彼女にも、放蕩の裏で求めた、叶えたい理想があるから。 「わからないのか!?千年だぞ!足掻きに足掻き、我らはようやくここまできたのだ。神殺しの運命になど収穫されてなるものか!私は必ず、もう一度―――」 あの美しく、素晴らしい景色に帰るのだという誓いを前に―― 「ああ、ならば任せろ。俺が願いを叶えてやるさ」 最新兵器(ミズチスサノヲ)が、旧式兵器(カミ)を倒すべく、極晃を煌めかせる。 「望んだ虚構(セカイ)に溺れて堕ちろ───仮想現実展開(バーチャルダイブ)・演算開始(エミュレート)」 そして、制御簒奪(ハッキング)された結晶砲台が自爆するとともに、あろうことか彼女があげたのは悲鳴ではなく――嬌声であった。「んはッ、あぁ、ああぁぁあぁあぁああああん――!」 炸裂する熱量に身を焼かれながらも、むしろこれを待ち焦がれていたかのように。 交尾に悶える蛇が如く、悶え狂っては炎を吹く。 同時に憎悪はさっぱり消えて、あろうことか感謝の念に反転した。 彼女は彼女だけが認識できる、彼女だけの特別な桃源郷に堕ちていく。 千年間、地母神として世界樹(ユグドラシル)創造の為に奮起した理由は何なのか。 + その真相とは―― 「そうだわ、これよ······これこれこれなの! ずっと待ち望んでいた!」 「やっぱり現実(リアル)の快感じゃ、仮想遊戯(バーチャル)には勝てないのよぉッ」 イザナ――神代伊佐那の正体……それは、迸る桃色の絶叫が端的に示すとおり、超重度の仮想現実中毒者(バーチャルダイブジャンキー)だった。 他の神祖と同じく、旧文明の復活を目指しながらも、その大前提はまさかの性欲のためであった。 他の神祖が責任や約束などを行動原理としている中、散々大いなる目的感を匂わせておきながら度の過ぎた探究心と並んでまさかの完全なる自己欲求であったのを前に、呆然としたユーザーも多かったのではないだろうか。 記憶を解析しつつ、何百何千という過激な脳内状況(シチュエーション)を味わえる対象設定型仮想現実展開装置の恩恵に対し、彼女は心どころか魂までどっぷり溺れ、千年ごしにようやく再び味わえた極楽浄土を前に、歓喜の涙を流し続ける。 ピー音を連発するようなあらゆる行為が快感だ。そういう設定が流し込まれるのだから。 「もう最高!私、これで、やっと、また───」 あの日と同じ頂まで。 「逝っちゃうわ!」 天然自然は、「人類にとっての都合良さ」という一点で、大半が人工物を超えられない。 設定を弄るだけでいくらでも脳内麻薬(エンドルフィン)にひたり続けることのできる電脳世界の幻想郷に、どうしてもかなわないから。 千年間我慢し続けた狂かつ真なる欲望を前に、ラグナは 付き合いきれないとばかりに九条榛士であった頃の同僚に送別の言葉を送る。 「お幸せに」 そうして、絶頂に叩き込まれる終焉滅冬(フィンヴルヴェトル)。 文明の再建の先に無限の法悦を求めたエロゲ神地母神は、満たされながら散るのだった。 初作成ですがこれが私の限界です。どなたか追記お願いします -- 名無しさん (2020-05-21 15 50 28) 「どうして本気で書かなかった?」「ヴァルゼライド閣下なら出来たぞ?」 -- 名無しさん (2020-05-21 16 09 53) ここまでひどいエロゲの感想があっただろうか -- 名無しさん (2020-05-21 16 10 37) 草すぎてしょうがない台詞だな、何度見ても -- 名無しさん (2020-05-21 16 17 33) 間違ってはないんだけど、あんまりこの手のタイプの立て方ばっかりだと立逃げばかりになるからほどほどに -- 名無しさん (2020-05-21 16 18 59) お前の限界薄っぺらくね? -- 名無しさん (2020-05-21 16 31 38) これの上にあるわけねえだろ、そんなものがあって草 -- 名無しさん (2020-05-21 16 42 08) あのアへり様を見て尚お幸せにと言えるラグナは凄いわ・・・。私はあれ見てドン引きしかなかったわ・・・ -- 名無しさん (2020-05-21 16 49 06) だってその前がマジバトルだったし…落差がひどすぎんよ・・・ -- 名無しさん (2020-05-21 17 10 09) つーかこれで戦時下の最先端技術の開発スタッフって、追い詰められてたにしてももうちょっとこう……多少おつむの性能低くてもまともな奴の方がいいのでは -- 名無しさん (2020-05-21 17 15 34) 当時は皆の前では普通で公私は分けられてたんだよ......たぶん -- 名無しさん (2020-05-21 17 21 38) もうシンプルに草 -- 名無しさん (2020-05-21 17 41 06) 対魔忍イザナ -- 名無しさん (2020-05-21 17 45 37) エロゲ神ェ..... -- 名無しさん (2020-05-21 17 48 39) 何か※消えてね? -- 名無しさん (2020-05-21 17 56 19) 笑うわこんなん -- 名無しさん (2020-05-21 18 03 07) 作文はしたので装飾は任せます。紫色消えちゃいましたすみませんmm -- 名無しさん (2020-05-21 18 18 58) いえいえ、ありがとうございます -- 名無しさん (2020-05-21 18 21 18) 主人公に望みを叶えられて満足して死ぬ、絶頂しながら死ぬ敵はまあいるが、直接エロゲVRを作り渡されて死ぬ奴なんてこいつくらいしか見たことねぇ -- 名無しさん (2020-05-21 18 35 38) 本気おじさん「お前の熱量は認めよう。だがそれを何か他のものに向けて見ないか?」 -- 名無しさん (2020-05-21 18 35 47) 正直、兵器製造能力で作られたのがエロゲってのもツッコミどころではある -- 名無しさん (2020-05-21 18 39 38) 禁断症状に苦しむ重度の麻薬中毒患者のような状態だったにしても、千年も歩み続けてきた果てに求めたのがこんなものだったなんて、自己嫌悪にならんのかね。それだけ擦り切れ果ててしまったということなんだろうけど、あまりにも情けないし恥ずかしい。 -- 名無しさん (2020-05-21 18 40 40) ここ見ると高濱ァ好みの簡単にくれる女に思えるけど、誘ったら絶対掘ってきそうなの何なんこいつ? -- 名無しさん (2020-05-21 18 45 24) むしろ高濱の考える女性の恐怖そのものなんじゃ・・・ -- 名無しさん (2020-05-21 18 54 13) 褐色をのぞけば -- 名無しさん (2020-05-21 19 01 56) これ物語的にラグナが卑屈っぽくなっちゃうから無理だろうけど、できれば頂の直前に全感覚切断して動揺してるところで殺してほしかったなぁそしたらスカッとする -- 名無しさん (2020-05-21 19 03 28) それやるのどっちかというとゼファーさん······ -- 名無しさん (2020-05-21 19 05 10) さすコル -- 名無しさん (2020-05-21 19 07 54) 酷すぎて草 -- 名無しさん (2020-05-21 19 08 09) 人の嫌がることは熟知してるからねゼファーさんw -- 名無しさん (2020-05-21 19 20 03) エロゲに殺される女敵なんて初めて見たわ······ -- 名無しさん (2020-05-21 19 20 30) エロゲに殺される男も見た事ねえな…… -- 名無しさん (2020-05-21 19 31 32) 「お前の覚悟は素晴らしい。ならば当然、俺と戦う覚悟もあるのだろう?」 -- 絶対値が高ければ目的を気にしない馬鹿 (2020-05-21 19 35 23) ↑甘粕は認めない気がする -- 名無しさん (2020-05-21 19 38 00) 邯鄲も仮想世界みたいなもんだけどな -- 名無しさん (2020-05-21 19 40 07) 糞眼鏡「ガンマレイの快感こそ至高」 -- 名無しさん (2020-05-21 19 42 13) ↑3オタクでも絶対値があればおkなのがアマッカスなんだよな…(ムービーを見ながら) -- 名無しさん (2020-05-21 19 43 36) 1000年かかってる時点で本気が足りない。絶対値不足です -- 名無しさん (2020-05-21 19 45 25) 1000年も歩み続けたその精神を祝福しよう!みたいな事言いそう -- 名無しさん (2020-05-21 19 48 37) ↑甘粕はどんな目的であれ頑張ったら祝福してくれるし輝きを愛してくれるから・・・それはそれとして全力で殴りかかってくるけど -- 名無しさん (2020-05-21 19 49 56) そもそも本編で万仙陣と阿片おじさんを「素晴らしい」って言ってたし その後殴りかかってきたけど -- 名無しさん (2020-05-21 19 57 50) なんかよく千年かかっている時点で本気度が足りないとか言っているのいるけどまんま部下に無茶ぶりしてくるブラック上司が言う類の事だなってなる、なんで千年かかったのかラグナロクの作中で説明されているのに -- 名無しさん (2020-05-21 20 03 20) これの下にリチャードの「あなた達は駄目なんじゃない。ただどこまでも、可哀想な人なんだ」ってセリフが入ってて大草原しか生えないんだけど -- 名無しさん (2020-05-21 20 11 38) 異世界転生とか真面目に考えるとチートモードだろうとなんだろうと罰ゲームだしな…… -- 名無しさん (2020-05-21 20 13 31) ↑2まあこのイザナをリチャードが見たらそんな反応になる -- 名無しさん (2020-05-21 20 14 00) とりあえずこんな欲望に振り回された歴代の使徒たちが一番かわいそうだわw -- 名無しさん (2020-05-21 20 22 36) 傍から見ればあれだけど、本人はいたって真剣だから…… -- 名無しさん (2020-05-21 20 34 10) (゚∀。)y─┛~~「エロゲがしたい?愛いぞ。構わん。気楽に吸えよ。お前のためならいくらでも用立ててやる(スパァ)」 -- 名無しさん (2020-05-21 20 38 46) やっぱり阿片おじさんは神 -- 名無しさん (2020-05-21 20 39 42) 阿片で満足できるならこんな様になってないでしょ このセリフ凄い好きだわ落ち込んだ時に見ると元気が出る -- 名無しさん (2020-05-21 20 41 50) ↑阿片おじさんは夢の世界でなんでも叶えてくれるだろ! -- 名無しさん (2020-05-21 20 43 54) 廻れ廻れ万仙陣 -- 名無しさん (2020-05-21 20 44 26) 異形と化して衰弱死しない万仙陣こと神天地をよろしくな! -- 名無しさん (2020-05-21 20 45 56) 単独で完結しない継承の概念も手に入れた、今後も改善していく -- 名無しさん (2020-05-21 20 47 44) ↑2貴様のような者がいるから人は苦しみ嘆くのだろうがァァァァァァァ! -- 名無しさん (2020-05-21 20 48 32) 阿片おじさんは手段はどうしようもないが、精神性に関しては苦しむ人々を救いたいと思ってる聖人だから、自分個人の下劣な欲望のために行動してたイザナと比べるのはあまりにも失礼だよ。 -- 名無しさん (2020-05-21 20 48 49) ↑比べるのではなく救っているのでは? -- 名無しさん (2020-05-21 20 51 39) 人類愛 -- 名無しさん (2020-05-21 20 53 35) が行き過ぎてるだけだしな阿片おじさん -- 名無しさん (2020-05-21 20 54 10) イザナ「これが......万仙陣!やっぱり現実の快感じゃ、夢には勝てないのよぉッ(絶頂)」 -- 名無しさん (2020-05-21 20 54 52) まぁ快楽で万仙陣を上回るものなんてそうそうないだろうしな -- 名無しさん (2020-05-21 21 08 26) そこから破滅的要素が消えてる神天地ってやっぱすげーわ こっから逐次アップデートする気だし継承の概念も獲得してるからほんと隙がない -- 名無しさん (2020-05-21 21 13 59) なお運営 -- 名無しさん (2020-05-21 21 14 33) ラグナは優しいなぁ…(ゼファーさんに心ごと殺されたウラヌスさんを見て) -- 名無しさん (2020-05-21 21 17 27) 一応は元同僚だったから手加減してあげたんじゃない? -- 名無しさん (2020-05-21 21 20 11) ウラヌスとかいう(自称)エロゲ神の子孫を(自尊心のために)名乗るパチモン -- 名無しさん (2020-05-21 21 20 54) なんでやエロゲ神が無節操にまいた種の可能性もあるやろ!? -- 名無しさん (2020-05-21 21 22 24) それはつまりエロゲ神の子孫であること誇ることになるのでは? -- 名無しさん (2020-05-21 21 23 14) 真面目に神祖の性格的にアドラーの有力者だった血統派アマツに自国のアマツを嫁がせるなりしてコネ作りとかはやっていそうだよね -- 名無しさん (2020-05-21 21 31 01) やっぱりただのダメな人じゃねぇかな、リチャードくんよ -- 名無しさん (2020-05-21 21 35 26) 基本雄の遺伝子を残す神祖がエロゲ神しかいないからアマツの血統=エロゲ神の血筋になるのがなんとも… -- 名無しさん (2020-05-21 21 39 53) ウラヌスちゃん、本当にこの人の子孫名乗りたい?エロゲ神の子孫であることがそんなに誇らしい? -- 名無しさん (2020-05-21 21 43 15) 新西暦を作り出し聖教国を牛耳る不滅の神祖がルーツとか躊躇なくガッツポーズするでしょカナエ殿は -- 名無しさん (2020-05-21 21 47 29) アンジェリカは殺したいほど嫌悪してたのにカナエ殿はさぁ.... -- 名無しさん (2020-05-21 21 49 08) 魂腐ってるからね。仕方ないね -- 名無しさん (2020-05-21 21 58 26) でも結局ウラヌスちゃん自分がやりたい放題できるんならアマツにこだわらないとおもうんだよね… -- 名無しさん (2020-05-21 22 01 36) 本当に頭残念な娘‥‥‥かわいそう‥‥‥ -- 名無しさん (2020-05-21 22 04 32) 使徒になったらもう絶頂だろうな 不死の上に幸せになれるよう神がサポートしてくれるとか魔星として選ばれるよりカナエさんサイドとしては嬉しいでしょここまで言って難だけど自分はその気持ちをそこまで悪いことと思わんけど -- 名無しさん (2020-05-21 22 08 21) 世界と人類の未来を決める戦いの最中にアヘ顔絶頂してる奴なんてこいつ以外に見たことないわ。同僚の猊下を見習って、どうぞ。 -- 名無しさん (2020-05-21 22 57 43) ↑一人だけ世界観がエロゲ -- 名無しさん (2020-05-21 22 58 47) 知ってるか?シルヴァリオシリーズって実はエロゲなんだぜ? -- 名無しさん (2020-05-21 23 03 47) エロゲというか抜きゲ……? -- 名無しさん (2020-05-21 23 06 23) ホモゲでしょ? -- 名無しさん (2020-05-21 23 08 31) ↑関係図の矢印が1人に集中しすぎてない?そのホモゲ -- 名無しさん (2020-05-21 23 11 04) ハーレム(白目) -- 名無しさん (2020-05-21 23 13 18) ハーレムのメンバー大半が主人公に殺意向けられてるんですがそれは.... -- 名無しさん (2020-05-21 23 26 21) 尊敬すべき英雄にそんな巨大感情向けられるなんて祝福でしか無いんだよなぁ -- 名無しさん (2020-05-21 23 31 53) 何でエロゲ神の記事にホモが湧くんです?エロはホモには敵わないのか······ -- 名無しさん (2020-05-22 00 04 20) 見出しから出落ちで草 -- 名無しさん (2020-05-22 00 18 31) また最適化してやろうなセリフからVRのことばかり考えて旧時代日頃から仕事雑だったのでは…とか妄想してしまう -- 名無しさん (2020-05-22 05 52 33) こいつだけなんでアステリズム研究チームにいたかの説明がないんだよな。新西暦でアマツの遺伝子研究が専門的なことを自分で言ってたけど旧暦では関係なかろうし -- 名無しさん (2020-05-22 06 36 24) あらゆる娯楽が奪われた上に不死になって大切な人も居なければまぁ性の方向に行くのも分からなくはない。旧西暦で感度3000倍とかやってただろうし尚更 -- 名無しさん (2020-05-22 09 55 19) どうして賢者にならないんだ? -- 名無しさん (2020-05-22 09 57 13) 速度が光を超えて平行世界に転移しそう -- 名無しさん (2020-05-22 09 59 42) 抜きゲの世界から厨二ゲー世界に派遣されてきた刺客 とか言われたら信じるぞ俺 -- 名無しさん (2020-05-22 14 37 03) ~目を覚ませ 僕らの世界が何者かに侵略されてるぞ~ -- 名無しさん (2020-05-22 14 55 14) イザナTS野獣先輩説 -- 名無しさん (2020-05-22 14 57 03) 新西暦の誰かさんも軽い気持ちでエロいスフィア望んだらこの人と出会っちゃった、なんて未来もあったのだろうか -- 名無しさん (2020-05-22 21 06 15) 性欲界紳士道を越えるえげつない何かが生まれそうだなおい -- 名無しさん (2020-05-22 21 07 45) いやだってこいつ性欲界度外道だもん -- 名無しさん (2020-05-22 21 10 03) むしろ性欲界弩外道か -- 名無しさん (2020-05-22 21 10 35) こんなイザナでも神天地きたらワンチャン誰かとマッチングしたんだろうか -- 名無しさん (2020-05-22 21 25 54) マッチングした奴絶対掘られる -- 名無しさん (2020-05-22 21 30 34) 出会い系貫通式 -- 名無しさん (2020-05-22 21 35 00) マッチング♂アプリ -- 名無しさん (2020-05-22 21 38 10) ズッコバッコズッコバッコアン♪アン♪アン♪ -- 名無しさん (2020-05-22 21 42 12) 騙して悪いが、後ろはもらった… -- 名無しさん (2020-05-22 21 44 04) ズッコバッコズッコアッー!アッー!アッー! -- 名無しさん (2020-05-22 21 45 12) そして彼らは言うだろう、「優しい(大嘘)神様ありがとう、と」(大嘘) -- 名無しさん (2020-05-22 21 49 13) 淫乱界ハッテン道、流出 -- 名無しさん (2020-05-22 21 54 48) 正田の方の綾模様おばさんが酷すぎて、エロゲおばさんはただのエロい愉快な人のように思えてきた -- 名無しさん (2020-05-22 21 58 08) 他所の快楽を追い求めた末に並行宇宙の地球の性感帯になろうとした人とどっちがマシなんだろ。 -- 名無しさん (2020-05-22 22 14 46) 結論:どっちもゴミ -- 名無しさん (2020-05-22 22 17 03) 性欲はいらない。EDでいいんだよ -- 名無しさん (2020-05-22 22 32 42) ↑おい観測者、綾模様おばさんどうにかしろよ、お前の女だろ… -- 名無しさん (2020-05-22 22 34 51) (∴) -- 名無しさん (2020-05-22 22 35 27) そういえばもし人奏ラグナがフィンブルヴェトルぶちこまなかったら永遠と腰を振り続ける奇っ怪なオブジェクトになってたのか… -- 名無しさん (2020-05-22 22 58 11) ↑それはそれで見ていたいかも -- 名無しさん (2020-05-22 23 03 25) ↑と、思ったけど悠也くんの感動シーンの隣でそんなんやられたら感動台無しだからやっぱ無しにしてくれ -- 名無しさん (2020-05-22 23 05 13) フフフ‥ソワカソワカ -- 名無しさん (2020-05-23 04 26 18) ↑2 大丈夫スメラギのあれは精神世界のことだから奇怪なオブジェクトが出ることはないぞw -- 名無しさん (2020-05-23 05 47 15) 自分の趣味というか普段からこれが一番って物が持っていかれて1000年生きて、それを取り戻せたシーンだから感動的でもおかしくないんだけど…うん、やっぱり抱える物って大事なんだね… -- 名無しさん (2020-05-23 07 42 16) (過激なもの、ティンと来るものが好きでもすべてがすべてそうはいかない。これもまた現実ならばと……) -- 名無しさん (2020-05-23 07 44 26) 神様、●ね、●んでしまえとか叫びながら必死にピストンしてください(羊狼 -- 名無しさん (2020-05-23 07 47 43) ラグナにうわキモで放置されてたら、不死身の腰振りオブジェが残って、仮想現実に嵌るとこうなりますよって反面教師のマスコットになりそう -- 名無しさん (2020-05-23 15 03 39) ↑でもそのオブジェ体液そこらに撒き散らすからマスコットなんて可愛いもんじゃないぞ…? -- 名無しさん (2020-05-23 16 21 00) 種●けおじさんに渡してもノーサンキュー過ぎて勃たないだろうなそのオブジェ -- 名無しさん (2020-05-23 16 24 41) ↑胤付おじさんを舐めるな -- 名無しさん (2020-05-23 16 40 26) というかそんなもの残してたらザンブレイブ家没落待ったなしだからリチャード君路頭に迷っちゃうから… -- 名無しさん (2020-05-23 16 48 34) ↑胤付けおじさんに胤付けおじさんぶつけるようなもんやし…地獄絵図にしかならない -- 名無しさん (2020-05-23 17 44 02) エロゲ神「最近はギリシャ異聞帯の自動娼館に興味があるの」 -- 名無しさん (2020-05-23 23 37 45) このシーン、普通の女が一人でビクンビクンしてるだけならまだましだけど(それでも引く)、こいつの場合は♂がおっ勃った状態でビクンビクンしてるんだよな......絵面ひっでえ..... -- 名無しさん (2020-05-24 13 09 49) ↑どころか股から白濁のドロドロしたものがあふれてる可能性もあるゾ -- 名無しさん (2020-05-25 00 11 30) こいつなら空亡の虐殺リョナでも絶頂しそう......うわぁ -- 名無しさん (2020-05-25 00 19 53) ↑いや、こいつは痛いものは痛いよねって言ってるからドMってわけじゃない -- 名無しさん (2020-05-25 00 22 43) 気持ち悪いのも気持ちよければOKって言ってる時点でいや、それはっていいたいけどな… -- 名無しさん (2020-05-25 01 41 56) 今更新順がこれ→いい加減にしてよね叔父さん→どこか遠くでやれ になってて草生え散らかした -- 名無しさん (2020-05-25 12 40 12) 叔父さんは仮想現実の殺人じゃ絶対満足できないタイプだから…… -- 名無しさん (2020-05-25 12 55 42) 遠くに行ったら人類種いないかもしれないしな -- 名無しさん (2020-05-25 13 00 29) 対して淫欲の場合、相手は人に限らないよね(げに恐ろしきは人の欲、性癖の闇) -- 名無しさん (2020-05-26 16 50 44) ↑ゴブスレvsイザナとか -- 名無しさん (2020-05-26 17 01 21) ゴブリン搾り取られてカラッカラになった挙げ句掘られそう -- 名無しさん (2020-05-26 17 02 49) ↑イザナ「榛士、アメノクラトのデザインだが、21世紀ファンタジーのゴブリンとかどうだ?(wktk」 -- 名無しさん (2020-05-29 16 28 26) ↑クラト「主よ、非効率的なので却下だ」 -- 名無しさん (2020-05-29 16 33 35) アメノクラト(凌辱特化型)とかいうあらゆる性具を搭載した超高性能バイブ -- 名無しさん (2020-05-29 19 09 09) ↑ でも、どうせ両腕がオリハルコン製の義手(バイブ)になっているゼファーさんには敵わないんでしょ?知ってる知ってる。 -- 名無しさん (2020-05-29 19 32 32) ↑「やっぱり現実の快感じゃ、仮想遊戯には勝てないのよ……」 -- 名無しの地母神 (2020-05-30 09 42 25) ↑3 プルプル、僕悪いクラトじゃないよ(ヴヴヴヴ -- 名無しさん (2020-05-30 12 26 39) バ イ ブ ク ラ ト -- 名無しさん (2020-05-30 12 27 29) se -- 名無しさん (2020-05-31 16 30 11) 覚醒ゼファーさん「快感星振 三千倍稼動 狂い泣け、お前の末路は廃人だ」 -- 名無しさん (2020-05-31 16 31 29) チンコ爆発しそう -- 名無しさん (2020-05-31 16 34 16) そんなことよりガンマレイの激痛の方がいいぞ -- 名無しさん (2020-05-31 16 37 39) 欲張りせっとにしよう(蒼穹スマイル -- 名無しさん (2020-05-31 16 41 36) ガンマレイバイブチンコ(爆発) -- 名無しさん (2020-05-31 16 44 07) ガンマレイバイブハイペリオン -- 名無しさん (2020-05-31 17 00 45) ゼファーさんがインモラルのルネ山からインポのルネ山になってしまう... -- 名無しさん (2020-05-31 17 03 07) 風俗巡りの航海記、描かれるはMとSの境界線 -- 名無しさん (2020-05-31 17 06 17) チンポの寿命を全部使ったのか!?この一瞬、今夜の快感に全てを使って?狂っている、正気の所業ではない・・・(高濱作品ラスボス恒例の相打ち狙い -- 名無しさん (2020-05-31 17 08 20) ↑2 こんな星描かれたらナギサが泣いてしまうw -- 名無しさん (2020-05-31 17 11 30) ガンマレイバイブハイペリオンはあなたがイくと「まだだ!」と振動速度が加速します。ヒカリの素晴らしさを全身で感じられることでしょう -- 名無しさん (2020-05-31 17 15 38) ┏(┏∴)┓マン「俺のカレー()は美味かったか…」 -- 名無しさん (2020-06-01 04 52 03) 滅と界でもこの人の願いは叶った気はする……。滅がそこまで精密かつ慎重に制御できるかは知らんが……。 -- 名無しさん (2020-06-10 18 21 07) 「私の名を口にするなら───高濱ァ!と呼ぶがいい」「「そう───全てはこの玉座からxvideoのエロ動画を、欠片も逃さず眺めていた」 -- 名無しさん (2020-07-13 14 16 29) ↑流行ってんの -- 名無しさん (2020-07-13 15 40 53) ニコニコでエロゲーランキング批評動画でコメントが流れるぐらいにははやってる -- 名無しさん (2020-07-13 16 50 10) 下に「そうすか?バリバリおっ勃ちますけどね、オレ」が来たよ。どうやらグレイ君はリアルもバーチャルもイケる口らしい。 -- 名無しさん (2020-06-11 02 39 45) ↑アッシュとアヤが顔真っ青にしながら止めてるぞ! -- 名無しさん (2020-07-20 13 09 47) (∴)やっぱり現実の快感じゃ、仮想遊戯には勝てないのよぉッ…………………はぁ? -- 名無しさん (2020-07-20 13 15 09) ↑お前現実、仮想に関わらず快楽とか一番嫌いだろ -- 名無しさん (2020-07-20 13 22 31) ↑4 イザナが相手かと思ったか!残念だったな、VRグレンファルト総代が相手だよ! -- 名無しさん (2020-07-23 09 11 34) ↑グレンファルトは伊三郎元帥の受けだからNG -- 名無しさん (2020-07-23 11 52 08) ↑モブにしてはガニュメデス並に印象ある -- 名無しさん (2020-07-23 11 54 08) @であるクロスオーバー系聖杯戦争物でイザナと殺生院がマスターとサーヴァントをやるプランを幻視した。イザナは自分でも想像がつかない壮絶な高みに、キアラは未来の文明がもたらすVRエロゲに興味津々で、二つ合体させるためにすごいことしそう。人心掌握と強化施術の極みみたいな能力をっていることといい、割とシャレにならない気がするけど問題ありすぎて需要がなさそう -- 名無しさん (2020-07-23 12 04 31) ↑ボブミヤとケラウノスの悪の敵コンビぶつければ消し飛びそう -- 名無しさん (2020-07-23 12 07 06) ガンマレイandロストワークスか -- 名無しさん (2020-07-23 12 42 36) ↑5 御先は添えるだけ -- 名無しさん (2020-07-23 12 45 54) グレンファルト「あぁッ!伊三郎元帥!伊三郎元帥!」伊三郎元帥「…………」パンパンパンパン -- 名無しさん (2020-07-23 13 15 18) ↑御先ギャン泣きするぞ -- 名無しさん (2020-07-23 13 58 00) ↑いいんじゃないかな(ニコッ -- 名無しさん (2020-07-24 00 35 52) 「要はおまえ、元帥に兄を寝取られたんだな。」 -- 名無しさん (2020-07-24 14 19 18) 君は…毒電波って、知ってるかい? -- 名無しさん (2020-07-24 14 56 00) ↑4┏(┏//腐ο妹//)┓ホモォ…… -- 名無しさん (2020-07-24 15 27 37) ↑(元帥を呼び込んだ事)御先のやつ、そこまで先を読んで……! -- 名無しさん (2020-07-24 15 34 19) ↑2えぇ・・・、ここに来てパティの項目で出た腐奏御先の降臨かよぉ・・・ -- 名無しさん (2020-07-24 15 38 23) 普通はバーチャルじゃ現実には勝てないのに真逆イッてるあたりあの時代のVRてどんだけヤベーのかちょっと気になる。やっぱ容姿性別年齢まで思いのままなんだろうか… -- 名無しさん (2020-07-28 21 20 26) SAOみたいなレベルなんだろうさ -- 名無しさん (2020-07-28 21 22 11) 触手プレイとかも出来るのか……ゴクリ -- 名無しさん (2020-07-28 21 26 35) 自分×自分とかも出来るのか……ゴクリ -- 名無しさん (2020-07-28 21 27 48) 腹上死に入るのか? -- 名無しさん (2020-07-28 21 36 05) ここのイザナが見ているバーチャルエロゲ世界の設定って、ラグナがしたの…? -- 名無しさん (2020-08-04 17 56 27) ↑ 6 まあ、現実では文字通り1000年近くヤりたいほうだいだったのもあるんだろうなあ -- 名無しさん (2020-08-05 12 25 26) ザナ「私のDドライブが、消えた……?」 -- 名無しさん (2020-08-05 22 20 32) ↑3設定はユーザーが自由に行えるようにして、真っ新な環境と取説渡しただけじゃないか?もしくは本人の嗜好を自動読み取りしてオートで環境設定するような機能をつけていたか。 -- 名無しさん (2020-08-05 22 34 03) ↑何それすごい。SAOなんで目じゃないな -- 名無しさん (2020-08-05 22 49 30) ラストバトルのセリフじゃねえ!w -- 名無しさん (2020-08-14 18 05 41) ↑最終決戦がドラえもんVSマッチングアプリの作品だぞ、その前座で決まり手がVRエロゲで何がおかしい? -- 名無しさん (2020-08-17 14 18 38) 言葉で表すと酷いな -- 名無しさん (2020-08-17 17 41 14) アペンドのオリジナルクラト君がアッシュにやってたのってバーチャルとは違うの? -- 名無しさん (2020-08-17 19 01 03) イザナ「イキ過ぎィ!」 -- 名無しさん (2020-08-19 20 56 53) ↑……そこには、全てを快感に変換するように変態を遂げた第三の怪物がいた。 -- 名無しさん (2020-08-19 21 29 49) IZN「じゅるじゅるり」 -- 名無しさん (2020-08-27 17 34 22) クラトs「「「やっぱり無機質な機械じゃ、光には勝てないのよぉッ」」」」 -- 名無しさん (2020-08-27 19 46 49) どうして光にならないんだ?カグツチならなったぞ?カグツチならなったぞ?カグツチならなったぞ? -- 名無しさん (2020-08-27 20 02 12) ↑知ってた -- 名無しさん (2020-08-27 20 44 54) これもある種の自己愛なんだろうか…?だとしたらエロゲ神はビースト…? -- 名無しさん (2020-08-27 22 22 18) イザナVRに没入するイザナ -- 名無しさん (2020-09-20 14 51 58) イザナ「ブゥゥゥン!アンジェリカァ……私を焦らしているのクァァァ……!!(」 -- 名無しさん (2020-09-21 23 55 15) ↑セイントスティグマケラウノス -- 名無しさん (2020-09-29 11 36 30) 私ね………ガンギマリVRセックスが、好き -- 名無しさん (2020-10-05 22 46 01) ↑2 マラウノス? -- 名無しさん (2020-10-05 22 48 27) 「素晴らしい自給自足体質ね」 -- 名無しさん (2020-10-21 00 15 29) ↑3 セントスティグマで多重化したスパンキング -- 名無しさん (2020-10-28 09 57 05) なんか大物感匂わせて実は小物ってマルス伯父さん感あるな -- 名無しさん (2020-10-29 12 43 48) どうして絶頂の直前踏ん張れないんだ?ヴァルゼライド閣下なら出来たぞ? -- 名無しさん (2020-11-08 12 50 04) ↑ヴァルゼじゃなくて筋肉の問題じゃない? -- 名無しさん (2020-11-08 13 26 02) こんな状態でも処女隊長は頑張れる頑張れるなんでそこで諦めるんだやれるやれる…(以下エンドレス)で耳元にエロく囁いてくる -- 名無しさん (2020-11-14 23 53 22) 快感の中でも前向きに考えることだ。後ろ向きになって歩けば誰でもつまずきやすくなる。VRセックスにハマるのもそういうことだ。人生もこれと同じだ。だからうまくいかないときほど前向きになろう。うまくいかないとき、後ろ向きになってしまうと余計に失敗してしまうものなのだよ。例え快感の逆境の中でも前向きになれる力があれば、どんな困難も怖くない。全ては心一つなり -- 名無しさん (2020-11-15 00 03 09) ↑友三ギルベルト心の句 -- 名無しさん (2020-11-15 00 03 49) ASMRギルベルトのエリュシオンチャンネル 1日で英雄になる4つの方法 https //www.youtube.com/watch?v=diYqVocHOpQ -- 名無しさん (2020-11-15 00 04 46) ↑3 やっぱり仮想遊戯の快感じゃ、ガンマレイには勝てないのよぉッ(覚醒 -- 名無しさん (2020-11-15 00 10 10) ↑以下無限ループ -- 名無しさん (2020-11-15 00 11 18) ↑2 ダインスレイフの吐息、温かいぞ……♡ -- 名無しさん (2020-11-15 00 13 08) 痴女だ、痴女みたいなものが来た -- 名無しさん (2020-11-15 12 19 27) もしASMR37代総統ヴァルゼライドのあったら チャンネル登録者 37億人ぐらいいそう -- 名無しさん (2020-11-15 16 59 45) 幸せなら腰振ろう、パン♪パン♪ -- 名無しさん (2020-11-21 22 35 33) ↑おまえに竿は必要ない -- 名無しさん (2020-11-21 22 47 35) こんな状態でも処女隊長は頑張れる頑張れるなんでそこで諦めるんだやれるやれる…(以下エンドレス)で耳元に囁いてくる -- 名無しさん (2020-11-21 23 48 05) 処女の隊長? -- 名無しさん (2020-11-21 23 51 02) ↑が密着しながら多重衝撃♂を与えてくれるぞ() -- 名無しさん (2020-11-21 23 54 55) ↑どうか君に私の処女の末路になってほしい♂ -- 名無しさん (2020-11-21 23 55 41) ふふ、出来ちゃう(吐血 -- 名無しさん (2020-11-21 23 57 41) ヘリオスは閣下と私の愛の子ですよ・・・(アマツムーヴ -- 名無しさん (2020-11-22 00 04 20) 助産はシズルさんかな…… -- 名無しさん (2020-11-22 00 05 01) えい(イザナのいい感じに茹だった脳に電極ブスッ -- 名無しさん (2020-11-22 10 24 41) 阿片の夢ならぬエロゲの夢にぬっぽり。 -- 名無しさん (2020-11-22 11 29 31) ↑4 ふざけるな -- ヘリオスα (2020-11-22 21 16 50) グランドルートでアドラーの中心でホモを叫ぶ糞眼鏡と邪竜には引いたわ -- 名無しさん (2020-11-22 21 19 07) ああ……相当閣下に逢えて、本当に良かった(感謝感激のスティグマベイン -- 名無しさん (2020-11-22 21 29 27) イザナと同じなら……ああ、やっぱり死にきれない(リザレクション -- 名無しさん (2020-11-28 22 23 05) ↑5 やっぱりイザナの躰じゃあグレンファルトの美貌には勝てないのよぉっ -- 名無しさん (2020-11-30 01 54 17) オルフィレウスになら出来たぞ? -- 名無しさん (2020-11-30 06 43 41) エロ天地を目指すグレン -- 名無しさん (2020-11-30 12 24 03) ↑『貴女と言う閨で、今宵は溺れていたい……』『こう見えても俺、包容力って奴に自信があってさ』 -- 名無しさん (2020-11-30 12 25 32) 神天地に満たせない性癖はない(ドヤァ -- 名無しさん (2020-11-30 12 36 17) (もう無いけれど)殺塵鬼おじさんの意識が詰まったオリハルコンにイザナの意識をぶっこんでみたい -- 名無しさん (2020-12-15 16 39 06) 仮想現実で自らが機動戦士になってのプレイも可能に……? -- 名無しさん (2020-12-28 20 09 48) まだだ!(貞子化 -- 名無しさん (2021-01-14 19 03 54) ↑貞子を斬滅するケラウノス閣下 -- 名無しさん (2021-01-15 21 24 38) 亡霊ルーファスの脳内妖精になるイザーナ…? -- 名無しさん (2021-01-16 01 08 05) ティン♂カーベル -- 名無しさん (2021-01-17 01 30 37) ↑フハハ怖かろう(360°全方位から腰をグラインドさせながら接近 -- 名無しさん (2021-01-18 20 47 02) 下手したらビームを乱れ撃ってくるより恐いかもしれん… -- 名無しさん (2021-01-31 05 07 25) 名前 コメント
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里美と一緒に居られる時間も残り一ヶ月となったとき、俺は里美の願いを叶えてあげようと思った。どんな願いも叶えてあげるつもりでいたが、最後になるであろう願いは「一緒に毎日過ごすこと」だった。全身をシャネルで飾りたいとか、フランスを旅行したいとか、大変な想像をしていた俺は少し拍子抜けしたが、そんな些細な願いを全力で叶えたいと思っていた。 思っていたのだ。思っていたのだが。 「やっぱり、ジEジE全巻読破とか、ニち亀全巻読破とか、そういうのって違うと思うんだ」 部屋のベッドの上で並んで座りながら、ただひたすら漫画を読む毎日。流石は黄金期のジャンブ。漫画が面白くて読むだけで一ヶ月経ってしまった。会話も少ししたが本当に少しだけだ。それなのに今日はもう最後の日になっている。 当の里美はキョトンとしているじゃないか。俺の嘆きの意味がわからなかったらしい。何も考えていない里美はベッドの上にタンクトップにショートパンツという姿で足を投げ出して座っていた。張りのある白い肌が顕になっているが、こうやって見ると身長が低いこともあって高校生には見えない。今、読んでる漫画もトラえもんだし。 「俺、考えたんだ。今日で最後だし、ふたりで海を見に行こう!」 海。 山生まれの山育ちの俺と里美には海は特別な意味を持っていた。海が特別になるには訳がある。第一に距離が遠い。第二に海まで行く交通手段がない。だから海に行くって言うことは冒険と同じ意味を持っているのだ! 最後の思い出にはふさわしいと思った。 「え~、めんどー。どうせ自転車で行くんでしょ? 私は拒絶する!」 プリーチか!と怒っても仕方ない。どうしても一緒に海に行きたかった俺は交換条件を出すことにした。 「二人乗りで行こう。俺が全部漕ぐから、お前は後ろに乗っているだけでいい」 これなら断る理由もないだろう。里美は漕がなくたって荷台に乗っているだけでいいのだから。 里美は少し考える。尖った顎に小さな手が添えられた。タンクトップの隙間から無いはずの胸が見えるような気がする。 「途中でアイス食べていい? お腹すいたら黒いおでん、食べてもいい?」 予想外の質問に俺はお尻のポケットに入った薄い財布を撫でると、「う、うん」と頷いた。いや、勢いに押されて頷かされた。 「じゃ、行く。さぁ、出発~」 漫画をベッドへ投げ捨てて里美は俺の部屋を出ていった。海まで六〇キロ。 「ふぁいとー、いっぱーつ!」 里美は自転車の荷台に座り、俺の背中にぴったりとくっ付いていた。夏だからとても暑い。とても熱いのだが、気持ちいいのでそのままにしておく。 海へ続く道をひたすら南へ南へと下っていく。下り坂は俺たちを応援してくれているようで、風を切って走る自転車はスピードを上げていく。田舎道で車も通らないから、道の真ん中を堂々と突っ走る。 「気持ちいいー」 風を肌で感じて里美は叫んだ。俺も叫びたい気分ではあったが、やめといた。なんか変な方向に誤解されてもいやだし。 坂道は国道まで続いている。国道まで出れば海まで一本道だ。この調子で行けば四時間ぐらいで海に着くかもしれない。海に着くとお昼をちょっと過ぎたぐらいになるだろうか。あ、水着もってくれば良かった。 「海に着いたら焼きイカ食べてもいい?」 まわりに誰もいないことをいいことに、大声で聞く里美。食い意地がはっているわけではない。もう食べることも出来なくなるだろうから食べ収めしたいのだろう。俺の財布にはなけなしの全財産が入っている。焼きイカぐらいであれば二十匹はいけるだろう。俺の分もあるはずだ。 「ああ、好きなだけ食べていいぞ」 「ホント!?」 素っ頓狂な声を上げる。あぁ、里美の表情を見たい。すごく驚いているんだろうなぁ。見たら転ぶから見れないけど。 「もう、大好き!」 里美は俺にぎゅっと抱きつく。柔らかな感触が俺を動揺させた。 「ちょっ!」 俺は思わず里美の方を振り向いてしまった。つられてハンドルが曲がり、猛スピードで坂を下っていた自転車はすごいスピードで路肩の草むらに突っ込む。自転車は草むらでひっかかり、俺と里美は空中に放り出された。 突然のことだったが、俺は身をよじって里美の方を見ると、両手を伸ばして里美を抱え込んだ。 草むらを越えたところにある畑に背中から落ちる。その上に里美の体重も上乗せされると俺の肺から空気が押し出された。 幸いにもよく耕された土だったらしく、衝撃は覚悟したよりも少なかった。里美が小さくて痩せていたということも衝撃が小さかったことの理由の一つだろう。 だが、肺の中の空気が一気になくなった俺はしばらく呼吸ができずに喘いでいた。こんな風に窒息したのは、滑り台から転げ落ちて背中を強打した幼稚園の時以来だった。 「どうしたの!?」 空気が足りず音にならない音が俺の喉から漏れている。真空になった肺は空気をちっとも吸ってくれなかった。里美の顔が段々曇ってくる。少し涙目だ。 そんな里美を愛おしく思うものの、苦しい。やばい。頭が朦朧としてきた。酸素不足だ。早く呼吸が元に戻らないと本当に窒息死するかもしれない。 でも、そんなことはどうでもいい。里美を心配させたくない。そうでなくても大きな不安を抱えているのに。 俺は無理矢理笑った。きっとぎこちなかったけど、笑えたはずだった。 里美はますます涙の粒を大きくして、俺に抱きつく。次の瞬間、両手で俺の頭を抱えると、息を大きく吸い込んだ。俺は何が起こるか予想できなかった。里美は俺の頭を引き寄せるとくちびるを合わせる。突然のことに俺は目を瞑った。いや、瞑る必要なんてどこにもないんだろうけど、なんとなくだ。そして、里美の口から熱い空気が流れ込んできた。予想していなかった俺は最初少し拒んだが、吐き続けられる里美の息をすぐに受け入れた。 さっきまでの息苦しさはなくなり、肺に空気がいきわたる。里美の行動に驚いていたはずなのに俺は安堵感を覚えた。人間が吐く息には二酸化炭素がたくさん含まれているような気がするが実際には少しで酸素の方が何倍も多い。流石は生物部兼吹奏楽部だと思った。 「さ、里美。もう大丈夫……」 俺は里美を引き剥がすと、涙か鼻水にまみれた顔を手でぬぐってやった。 呼吸ができるようになって落ち着いた俺は里美を路肩に座らせると、草むらに突っ込んだままの自転車を引き上げた。突っ込んだのが草むらだったからか、幸いどこにも異常がないようだ。 「ごめんなさい!」 俺も一緒に路肩に座って休もうとすると、突然里美が謝ってきた。 「私のせいだね。二人乗りで暴れたら危ないのに。もっと気をつけるべきだった」 さっきまでのテンションはどこへ行ってしまったのか、自嘲気味に笑う里美は痛々しかった。別に悪いことをしたわけじゃないのに、転んでしまったことで冷や水を浴びせられた気分なのだろう。 転んでしまった原因をどこかに求めるとしたら俺の精神が弱かっただけの話だ。もしくは経験か。あれしきのことで動揺してしまう純な心が恨めしい。 「気にするな。怪我なんてなかったんだから」 里美も俺も不思議なことに無傷だった。確かに呼吸はできなくなったが、肋骨が折れた様子もない。少し休めば海を目指せると思っていた。 「海、行かない」 里美はポツリと言う。俺は「そうか」とだけ答えた。海に行こうと言い出したのは俺だし、自転車漕いでいるのも俺だし、里美が決めるのもどうかと思うが、自転車で転ぶような俺では力不足なのだろう。 自分で導き出した事実に俺は僅かながらショックを受けていた。分かりきっていたことだが、俺と里美では釣り合いが取れない。家柄でも勉強でもスポーツでも里美は常に上位だ。友達の数もずば抜けて多く、おじいちゃんやおばあちゃんまで友達になるほど人気者だった。 俺は里美に好意を寄せる男のひとりに過ぎない。そんな思いが俺を支配していく。忘れていた暗い気持ちが鎌首をもたげて俺を見ていた。 「海、行きたかったな」 なんか涙が出てきた。頑張ったけど、俺では海にすら連れて行くこともできない。惨めだと思った。たった六〇キロが移動できないなんて。 俺は里美に涙を見せたくなかったから膝に顔をうずめた。でも、肩が震える。抑えていたけど、外から見たら分かってしまうだろう。本当に情けない。 「やっぱり、行こう! まだおでん食べてないし、焼きイカも食べてない。さぁ、立て! 立つんだ、ジョー」 誰だよ!と突っ込みを入れようとして立ち上がると里美の目にも涙が光っていた。俺は激しく動揺する。どうして里美まで無く必要があるのか。もうよく分からない。 「祐介が泣いてると私も悲しいよ。私のわがままに文句も言わず付き合ってくれているのに、それだけで感謝の気持ちでいっぱいなのに、泣かせてしまうなんて……」 なんか暗くなってきた。空は雲一つ無いのに、ふたりの心へは日が差し込んでこない。きっとふたりが少しずれれば日の差し込む場所に行けるのに、立ち止まっているから日が当たらないんだと思う。 俺は何を考えていたんだ。海行くのは手段だ。目的じゃない。目的は里美を喜ばせることじゃないか。悲しませてどうする。 里美を楽しませるにはどうすればいいんだ? おでんを奢る、焼きイカを奢る、アイスを奢る。簡単なことだ。たった数時間、自転車を漕げば達成できるじゃないか。それに俺だって大好物だ。 やるっきゃないだろ。俺は男だ。祐介だ。世界で一番里美を愛するものだ。 よし! 気合十分。 「泣いてなんかない!」 俺は腕で涙を拭った。汗が目に染みて余計に涙が出てくる。しょうがないからTシャツの裾を持ち上げて拭う。 「汗が目に入っただけだ。休憩終わり!」 強がりでもなんでもない。強固な意志が俺の中に沸いてくるのを感じた。今なら電車にも勝てるぜ。 「まずはおでんだ。里美、俺についてこい!」 そう言って自転車に飛び乗り、荷台を叩いた。 「早く乗れ。おでんが待ってるぞ」 里美はひまわりのように笑って自転車に乗った。 これからおでんを食べに行くぞ。と気合を入れたが、夏に「おでん」ってどうよ? 海まで残り四〇キロ。 「おっでん! お・で・ん!」 妙な掛け声で応援してくれるのはいいのだが、里美は荷台から降りようとしない。 俺は上り坂を一生懸命漕いでいた。急な上り坂で踏み込むペダルは相当重い。里美の分が加わっているため、立ち漕ぎでもきつい。しかも太陽は容赦なく俺たちを照りつけるから暑いなんてもんじゃない。灼熱地獄だ。 いつも親に連れられて海に行くときは高速道路でトンネルを通っていたから気がつかなかったが、自転車で行く場合は峠を上って下らなければならない。全部下り坂だと思っていた俺には大きな誤算だった。 「ほら、もう少しだよ~」 確かに峠の天辺は見える。しかし、今までそれを何回繰り返しただろうか。天辺だと思っていたら少し平坦になっただけだとか、道が曲がっていただけとか。もう俺は騙されない。騙されないぞ。 「少し休ませてくれぇ」 俺は前に倒れこむようにして道端に寝転んだ。里美が荷台から降りて俺の顔を覗き込む。自転車は俺と反対側に音を立てて倒れた。 「勇者よ。死んでしまうとは情けない」 なんと言われても立つ気力は無かった。里美の言葉を無視して目を瞑る。「むー」と聞こえたような気がするが、きっと気のせいだと思って休むことにした。 しばらくすると里美がどこかへ歩いていく足音がした。随分遠くに行ってしまうようだ。もしかしたら呆れて置いていかれるのかと思った。薄目を開けて里美の行動を見守ると、坂道の上の方へ歩いていっているようだ。景色でも眺めに行ったのだろうか。 もういいやと思って再び目を閉じると戻ってくる足跡が聞こえてきた。風景を眺め終わったのかもしれない。 近くに来ると足跡が止まる。 「うひゃー!」 首筋が痛い。いや、冷たい。缶ジュースか!? 俺はその衝撃に飛び起きた。里美の手に持たれたジュースを眺めながら首筋をなでる。条件反射の行動だが、本当に痛かった。急激な温度変化は体に悪い。 「ざまみろだー。私を無視するからだ。さー、勇者よ。飲むがいい」 二つあった缶ジュースを一つ俺に投げると、里美は自分の分のジュースを開けた。プルタブに隙間が出来て中に充填された窒素が飛び出る。その音を聞いて俺は思わず咽を鳴らした。 里美はおいしそうに飲んでいる。俺も蓋を開けるとジュースを飲んだ。一気に飲むと体中に刺激が走る。その刺激が怒涛のように頭に押し寄せると、こめかみが締め付けられたように痛くなった。 「うまい!」 普通のジュースだが、久々の感触がとてもおいしく感じられた。里美を見るとジュースを持って笑っていた。俺の行動がおかしかったらしく、口に手を当てている。やっぱり里美は笑ったほうがかわいい。それだけで俺の疲れは吹き飛んだ。 峠をなんとか突破した俺たちはふもとにあるちょっとした町に差し掛かった。ここはすでに隣県だ。あちこちで見える看板は見たことの無いものばかりだった。里美は自転車の荷台でキョロキョロと何かを探している。 「トイレか? トイレだったらあそこにコンビニあるぞ」 と俺が気を利かせて聞いてあげると、里美は平手で俺の頭をポンポンと叩いた。 「違う違う。ワトソンくん。我々の目的を忘れたのかね? 我々の目的は『ブラックオデン』をゲットすることだ。まずはノボリを見つけなくてどうするね?」 里美の目は真剣そのものだ。もしかしたら今なら鷹といい勝負をするかもしれない。 俺が何気なく道路の反対側を見ると、そこには黒いノボリに黄土色の文字で「黒いおでん」と書いてあった。 「あったぞ。里美」 冷静に教えてあげると、里美はそっちのほうを見た。黒いノボリを見つけた瞬間に表情が明るくなる。よほど食べたかったらしい。 「昼食の時間だよね? チェシャ猫。キミも大好物だったじゃないか」 もう登場人物の選択が間違っていると思うのだが、細かいことを気に出来ないぐらいうれしいらしい。 「お昼はおでんにするか」 「やった。大好き。もう全部あげちゃいたいぐらい」 聞き捨てなら無い台詞を残し、里美は信号が青になった歩道を走っていった。海まで残り三〇キロ。 夏におでんは流石にやばい。おでん自体はおいしかった。店はクーラーが効いていておでんを食べやすくしてくれていたのは確かだ。でも、おでんは熱々だった。それを食べて体内に熱いものを取り込むのと、店から出たときの外の暑さと合わせて二重の熱さが汗を滝の様に噴出させていた。 それは里美も同じようで胸の辺りが汗で濡れてタンクトップが肌に張り付いている。素材の関係上、透けてはいないようだが、体の線がはっきりと出ていた。曲線にはなっていないから、特別な心配はいらないようだが。 「おでん、おいしかったー。暑いけど食べてよかった」 なぜか幸福に浸っている里美。汗が引くまで自転車を降りて歩くことにした。おでんを食べた店のある町は小さく、歩いているとすぐに通り抜けてしまった。 ちょうどいいことに森の中に入った。緑を濃くした木々が太陽をさえぎってくれる。道の脇を流れる川の音が心地よかった。 少し行くと道の脇にベンチが置いてあった。俺はベンチを指差すと「少し休もう」と提案した。里美も頷いた。 自転車を横に置き、石で出来たベンチに腰掛けるとひんやりとした感触が伝わってきた。火照った体を少し冷やしてくれる。里美もそう感じたようで、ベンチに仰向けに寝そべっていた。 「いやー、落ち着くね」 俺も同感だった。山で育った俺たちは森の中が一番落ち着く。先のほうを見てみるとしばらく森の道が続くようだ。 「もう少しここで休んでいこうか」 この気持ち良さに抗えないのか里美は目を閉じながら頷いた。俺もゆっくりと瞼を閉じる。すぅっと吹いたそよ風が優しく熱を奪っていった。ほどよく体温が下がり、眠りに着く前のふわふわとした感触が訪れる。 俺は寝ちゃだめだと思いながら、里美の横に倒れこんでいった。 再び目を覚ますと俺は里美の膝で寝かされていた。見上げる俺の目に里美の顔が映る。何かに気を取られているようで、里美の視線はどこかを向いていた。俺はそっちを見ようと身をよじろうとすると、里美の手が俺を抑えた。 「静かにね」 葉の擦れる音よりも静かに漏れた囁き。俺は忠告通りにゆっくりと起き上がった。 視線の先にはリスがいた。非常に珍しい。山育ちと言えど臆病なリスに出会える確率は少ない。小さなころに一度見ただけだった。 蝉の鳴き声が聞こえてくる中、リスだけが音もなく動き回っている。置きぬけの何か別の世界にいるように感じた。 しばらくちょこまかと動き回っていたと思ったら、不意にリスが止まる。小さな鼻と耳を動かし何かを感じ取っていた。きっと天敵が狙っている気配を感じたのだろう。次の瞬間には森の中に消えていってしまった。 「あー、行っちゃった」 里美は残念そうにリスが消えた先を見ていたが、もう戻ってこないと知ると俺のほうに向き直る。木漏れ日が里美の肌を赤く染める。あたりはすっかり夕焼けだった。 「ごめん。眠っちゃった」 俺は起き上がり、状況を理解すると素直に謝った。すでに夕方の六時を回っているのだろう。少し肌寒い。里美も自分を抱くように腕を組んでいた。 「気にするなって。リスとか……とか見てたから退屈しなかったし」 里美の顔が少し赤くなった気がした。聞き取れなかったところは何と言ったのだろう。そう言えば膝枕までしてもらっていたんだっけ。 思い出すと俺も赤くなる。寝ぼけていてよく覚えていないが里美の腿は非常に滑やかだった。あんなに汗をかいていたのに不思議だと思った。 「膝枕、ありがとう。恥ずかしかっただろ?」 「だから、気にするなー。そんなこと言われたら余計に恥ずかしいだろ」 苦笑いで返す里美。俺はどこか寂しそうな様子を感じていた。やはり海が駄目になってしまったからだろうか。それとも寒いからだろうか。いや、たぶん今日で最後だからだ。俺は最後なのに里美にこんな顔をさせて終わってしまったら駄目だと思った。 「なぁ、ここまで遅くなったら家に帰らなきゃいけないと思うけど、まだ海を目指していいか? もちろん、里美さえ良ければだけど」 「着くの何時ぐらいになるかな?」 あと二〇キロぐらいだから順調に行けば二時間ぐらいだろうか。今から行っても海に着く頃には真っ暗になっているだろう。夜の海なんて花火をするイメージしかないけど、行く意味あるんだろうか。 あ、もしかしたら里美の質問は暗に夜の海に行っても意味がないと言っているのだろうか。怒っているのかもしれないなと思った俺は里美の表情を観察する。しかし、怒っているような雰囲気はなく、本当に何時に着くのか知りたいようだった。 「夜の八時ぐらいになっちゃうな。海に着いたら真っ暗だ」 俺は正直に答えた。海に行きたいのは山々だったが、里美を喜ばせようとして行くのだから、夜の海に意味がないと里美が思えばもう帰るつもりでいた。 「夜の海ってなんかドキドキしちゃうね」 俺の予想とは違った答えが返ってくる。逆に俺の方がドキドキしてきた。夜の海にいったい何があると言うのだろうか。イケナイ方向に想像が向きそうになって顔に出てしまっていないかと少し焦る。 「じゃあ、海を目指すか」 俺がゆっくりと立ち上がると、里美もベンチから立ち上がった。しかし、うまく体に力が入らないようで、再びベンチにお尻が落ちてしまった。俺はあわてて里美の肩を支える。冷え切った肌の感触が掌に伝わってくる。具合でも悪いのだろうか。 「大丈夫か?」 斜めになった里美の体を直すと、肩を支えたままで聞く。熱でも出たのだろうか。昼間は暑く、夕方は肌寒いような気がする。 俺は里美のおでこに掌を当てようとすると、里美はその手を払いのけた。 「熱はないよ。大丈夫。立ちくらみがしただけだから」 それまでの里美の雰囲気と違い、有無を言わせない言葉だった。 「本当に大丈夫なんだな? 具合が悪いなら正直に言えよ」 念を押した俺の質問に里美は「大丈夫」と答えた。目を覗き込むが嘘を言っているようには見えない。嘘をつくときには瞬きが多くなるはずだった。 「じゃあ、少し休んだら行こう」 俺が里美の隣に座りなおすと、里美は俺の肩におでこを押し付けてきた。 「熱ないよ。本当だから、ちゃんと海に行こうね」 里美の呟きを聞くと、なぜだか俺は悲しくなった。 海の匂いが感じられる。深呼吸をすると海草サラダを食べている気分になった。自転車の後ろでは里美が俺の背中にぴったりとくっ付いていた。夏とは言え、夜の空気は体の熱を奪う。ぴったりくっついていることで俺たちは体温を逃がさないようにしていた。 「もうすぐだ。海まで一キロって書いてある」 道路の上に見える看板には海岸まで一キロメートルであることが表示されていた。 「おー、じゃあ、ラストスパートだね」 「了解!」 俺は自転車のギアを少しだけ上げる。タイヤは少しだけ回転数を増して、景色はスピードを増した。 海へつながる国道を走りぬけると、堤防が見えてきた。堤防の先には砂浜があるはずだ。 すでに辺りは暗くなっている。数少ない街頭だけと時折走る車のヘッドライトだけが俺たちを照らしていた。もう少しで海に着くと思った瞬間、破裂音がした。次に自転車のタイヤから空気が抜ける音がする。 ここまでの無理が祟ったのか、タイヤがパンクしてしまったらしい。俺はブレーキをかけた。 「きゃ!」 短い悲鳴が背中であがる。里美の体重が俺に掛かってきたが、ハンドルに腕を突っ張ってふんばった。 二人分の体重を乗せた自転車は中々止まらなかったが、幸いにも直線だったのでパンクの影響で転倒するようなことはなかった。ここは畑とは違う。周りはアスファルトだ。転倒したときのことを考えると冷や汗が出た。 「どうしたの? パンク?」 里美は自転車の荷台から降りてタイヤを覗き込んでいる。破裂音は後輪からしていた。 「あー、これだ」 里美が指し示す先には外側のゴムが擦れて焼けた後があった。パンクの影響でゴムチューブまで露出している。かなり長い間使っていた自転車だから、もう限界だったのかもしれない。 「壊れちゃったねー」 海が見える前に二人が乗っていた自転車は壊れてしまった。 「壊れちゃったな」 俺が呟くと里美は自転車のサドルを撫でた。 「お疲れさん」 今日一日で普段の何十倍も働いた自転車を労う様にかけた言葉は自転車だけじゃなくて、俺にも言ってくれているような気がした。 「最後は私たちで歩こうか」 里美は俺に向かって言うと、海の方へ向かって歩き出した。歩いても十分程度で着くだろう。 俺は自転車を放置するわけにも行かずベコベコとタイヤがなる自転車を引いていく。 しばらく沈黙を保ってあるいていた。時間にしたら一分にも満たなかったかもしれない。でも、ずっと密着していたから離れて歩くのは寂しく、自然と里美の方を向いてしまう。 里美は俺の視線に気がつくと首をかしげた。何をしているのか不思議なのだろう。俺は目線を外すと立ち止まった。 里美が数歩進んで立ち止まる。 「今日は無計画な旅でごめんな。約束していた焼きイカも食べさせることができないし、自転車も壊れちゃうし、最後の思い出がこんなんでごめんな。本当はもっと……」 言いかけて俺は続きをしゃべれなくなった。気づけば里美が俺に口付けをしていた。やわらかい唇が触れているだけだが、俺は頭の中が真っ白になっていた。状況は理解しているつもりだが、何がどうなってこうなっているのか分からない。 しかし、振り払う気にもなれなかった。自然と目を瞑り里美のくちづけを受け入れる。それからほんの一瞬くちびるが離れ、すぐにチュッと音を立てて再びキスした。 「本当は海についてからあげるご褒美だったんだけど……」 里美は恥ずかしそうにうつむく。辺りはすでに薄暗くなって赤くなっているかどうかわからなかったけど、俺の顔は火が出そうなほど火照っていたから、里美も赤くなっているのだと思う。 何か言うべきなんだろうけど、何を言えばいいのかわからない。ありがとうとか、頑張るぞとか。ありきたりな言葉しか浮かんでこなかった。 俺が考えているうちに沈黙が長引いて、さらに言葉を発しにくい雰囲気になる。 やわらかなくちづけの心地よさが覚めていき、次第に焦りが俺を支配していく。何か言わなくちゃ、何かやらなくちゃ、座布団二枚ぐらいのうまいこと言わなきゃ。 「あ、ありがと。夢だったんだ」 俺は言った瞬間に発した言葉をしまいたかった。ふと里美を見ると下を向いたままお腹を抱えていた。やっぱり具合が悪かったんだと思った。肩が小刻みに震えているし。少しずつ震えが大きくなっている。 「大丈夫か?」 俺が里美の側によると、里美は「ぶふっ」と噴出した。次の瞬間には大きな笑い声を上げる。静かだった道路に響き渡る。 「大丈夫。ぶふっ。ゆ、夢って……」 「そんなに笑うことはないだろう」 あまりの受けっぷりに俺は落ち込む。何と言うか最後まで俺は格好つけられないというか。スタイリッシュになれないんだよな。どこかで失敗をするから自信なくなるんだ。今分かったよ。遅かったけど。 「ご、ごめん。でも、嬉しかった。私も夢だったんだ。あ!」 いい台詞を言った後に里美は手を叩いた。何かを思い出したらしい。 「人工呼吸はノーカンね」 ペロッと舌を出した。暗いはずの道路端で里見だけが輝いて見えた。海まであと一キロ。 砂浜に立つ。里美も横で海を見ている。 色々あったがやっと海に着いた。感動だ。 「真っ暗だね」 「あぁ」 堤防の上を走っている道路には街灯が点いていた。しかし、海のほうは向いていない。街灯の弱々しい光が灰色の堤防に反射して、僅かに降り注ぐのみだった。当然、海にまで届くはずがない。 海は本当に真っ暗で、普段なら白く崩れるはずの波ですら見えなかった。海の家はすでに閉まっており、焼きイカも買えそうにない。本当に何のために来たのか分からなくなってしまった。 申し訳ない気持ちで里見を見ると、真っ暗な海をじっと見つめていた。視線の先を追って同じ方向を見るが何も見えない。 「このまま海に入ったら死ねるのかな?」 真剣な声。しかし、俺は冗談だと思った。里美は水泳も得意だ。インターハイで優勝経験もある。そんな里美が入水自殺を図ろうなんてばかばかしい。 でも、里美の目は夜空だか、海だか分からない闇の一点を見つめて動かない。 「死んでどうする」 俺は里美が本気で言っていることに気がつくと問い詰めるような口調になる。世界が明日終わるわけじゃない。 「死んだら天国に行けるよ。そうしたら一緒に居られるかもしれない」 女の子だと思った。非常にロマンティックな考えだから。でも、俺は首を横に振る。 「死んだらおじさんやおばさんが悲しむだろ? それに里美がそんなことしたら俺は許さない」 きつい言葉に里美の瞳に涙が浮かぶ。里美にはどうしようもないことだ。解決してくれる人もない。もう決められたことだった。 「死んじゃいやだよ」 里美が俺の胸に飛び込んでくる。俺は優しく受け止めた。 「どうして高校生なのに死ぬの? なんで祐介じゃないといけないの?」 声が震えている。顔を俺の胸に埋めている為、表情は見えない。だけど泣いているのだと思った。 里美を喜ばせたくて海まで来たのに結局目的を達成できずに終わってしまった。目的を達成できずに、俺は死ぬ。すぐに死ぬわけじゃないが、明日からは病院に戻らなければならない。病院で最後を迎えるのだ。 余命など無いに等しかった俺がここまで生きることが出来たのはきっと里美のお陰だと思う。ずっと俺の傍に居てくれた。今日だって里美が食べたいと言ったものは俺が食べたかったものだった。気を使ってくれていたのがよく分かる。 本当ならそこまでする義理はなかったはずだ。単なる幼馴染なのだから。 「ありがとう、里美」 里美の問いには答えることができなかった。ただ感謝の念だけが浮いてきた。この場にそぐわない台詞だということは分かっている。空気を読むなら「幸せに生きろよ」とか、「俺のことは忘れてくれ」とか言わなければならないのだろうけど、これしか言えなかった。これ以上口を開くと俺まで泣いてしまいそうだったからだ。 俺がそれ以上何も言わないと知ると、里美は何も言わずにただ小さな肩を震わせていた。 ――海に到着。
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Q: 77 :ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン :2008/03/02(日) 01 52 17 ID QP00/YBQ 友達とハメ狩りに行ってきたんですが、常識的に考えてハメられてる事に気付かないんでしょうか? 圧倒的に不利な状況(ワンサイドゲーム)と普通は気付きそうなもんですが。 A:78 :ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン :2008/03/02(日) 02 13 50 ID zhY3IX8f 77 モンスターは、狩られて死ぬなり捕獲されるのは一度きりです。 狩られるまでは、ハンターは返り討ちにしているか、あるいは一度も戦っていません。 だから、ハメられても、自分が絶対的に不利だということに気づかず、いつか殺れる、いつか殺れると思って、いつの間にか狩られてしまうのです。 79 :ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン :2008/03/02(日) 04 50 43 ID wuLQ2yGz 77 気づいたときにはもう遅いからハメなのではないでしょうか? 逃げる余地があるならそれはハメではありません。 また、分が悪いと思っていても引くに引けないときというものは往々にしてあります。 あなたもクレーンゲームで大金を失った経験などはないでしょうか? ハメ モンスター
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バルクホルン「?? 本当に何を言っているかわからないぞ」 エイラ「…見損なったゾ!!大尉!! おい!俺!!しっかりしロ!!」 エイラ中尉は涙目になりながら、倒れている俺に近寄る どうやら、エイラ中尉は勘違いをしているようだ バルクホルン「なぁエイラ、何か勘違いしてるぞ」 エイラ「勘違いだと!? 何言ってんだヨ!!大尉は……大尉は俺を…殺したんだゾ!!」 バルクホルン「殺し!?私がか!? 違う、俺医師は赤ワインの酒瓶で殴られて気絶してるだけだ」 エイラ「…赤ワイン?……コレ血じゃないのカ?…」 バルクホルン「ああ」 エイラ「……本当ダ…お酒の匂いがすル……ってことハ…俺は死んでない?」 バルクホルン「死んでない。 俺医師は自業自得ってとこだ」 エイラ「……心配して損しタ……」 エイラの誤解も解け、ほっとした表情を浮かべたバルクホルン そんな時に赤ワインに塗れた俺が目を覚ました 俺「……う……」 エイラ「ん?起きたカ?」 俺「……エ…イラ?……」 エイラ「エ、エエエイラ!? お前、今までユーティライネン中尉って呼んでたのニ!?」 俺「…エイラ……」 エイラ「な、なんだヨ!?//// って、うわっ!!////」 エイラは俺医師に両手を押さえられ、身動きが取れなくなる そして、2人は今にもキスをしてしまいそうなほど顔が接近している 俺「…綺麗だ……エイラ…」 エイラ「な、なに言ってんだヨ!!//////」 おいおいおい!! 何してんだ、俺は!! 意思とは関係なく、勝手に体が…!! バルクホルン大尉に酒瓶で殴られて、俺おかしくなっちまったのか!? 俺「…吸い込まれそうな瞳……美しい白い肌……柔らかそうな唇……」 エイラ「ま、待ってクレ!!//// 心の準備ガ…/////」 本当にどうしちゃったんだよ、俺は!! こんな歯の浮くようなセリフ!!キモチワリィ… だ、誰か…俺のことを止めてくれ!! や、ヤバイ!! ユーティライネン中尉の唇が…!! 俺「…君が…欲しい…」 エイラ「ハァ!?///// お、オマエ何言ってるんダ!!/////」 「わ、私には…サーニャが!!/////」 俺「…緊張しなくてもいい……俺に任せろ……君を…快楽に…導いてやるよ…」 エイラ「ま、待っテ!!//// そ、そんなトコ…///// 」 うおぉぉぉぉぉっ!? なにやっちゃってんの、俺は!! 君が欲しいとかバカじゃねぇの!? このままじゃ…ユーティライネン中尉と…!! 俺「…さぁ…君の…美しい所を…見せてくれ…」 エイラ「や、ヤメ…//// ボタンを…外すナっ!!/////バ、バルクホルン大尉!!助けてクレ!!/////」 ユーティライネン中尉は2人のそばでボーッと立っていたバルクホルン大尉に助けを求める バルクホルン「ん…ああ…//// ま、任せてくれ…!!///」 2人の凄まじいやり取りに顔を真っ赤にしているバルクホルン大尉は耳をピョコンと出して、俺に殴りかかろうとする や、やめろっ!!バルクホルン大尉!! この俺は俺であって俺じゃないんだ!! 殴るのだけは勘弁してぇぇぇっ!! エイラ「…は、早ク…んん!/////」 バルクホルン「い、今助けるぞ!!ずおりゃぁぁぁぁぁっ!!」 ドゴォォォォン!! 大尉の拳は俺医師の頬に吸い込まれた 俺医師は一瞬にして壁にめり込んだ エイラ「ハァハァ…/// ありがとう…バルクホルン大尉…///」 バルクホルン「……///」 俺「」チーン 意識が…遠のいていく… 俺…死ぬのか?…… まだ…20代なのに… 眠い……もうだめだ…
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スレ77まとめへ戻る 774 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 20 47 09 ID 46QHW5Ab0 体験談を聞いてくれ。俺はあまりの暑さにおきたんだ そして何時かな~って思って時計を見たらなんとぴったり夜中の2時00分 不気味だなと思いながらまだ眠かったのでもう一度寝ようとしたそしたら 廊下から足音が聞こえてきたんだ。 俺はバーチャンがトイレに行こうとしているのだと思い込みそのまま気にせずに足音を聞いていると 775 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 20 53 28 ID 46QHW5Ab0 774の続きなんだが なんと俺の扉が開いたんだ、それでも俺はばあちゃんが俺に用があるんだと思い込み扉の方を見たんだ。 扉の方を見た瞬間金縛りにあったんだそして誰が入ってきたのかを見た瞬間俺は絶句した なんとそこには左目が腫れたおかっぱ頭の着物を着た女の人がたっていたのだ。 「出て行け!!」と言いたかったが金縛りにあっているのでしゃべれるわけもなかった 諦めかけていたおれの頭をふっとこんな話が頭をよぎった 776 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 20 58 45 ID 46QHW5Ab0 酔っぱらった不審者が家に 入ってきた時にものすごい形相でにらみし追い返した友人Sの話を これしかないとその時混乱していた俺はおもい持てる力をすべて使いつくし とにかくその幽霊をにらんだそうするとその幽霊はあきれた顔をしてふっと笑いながら部屋を出て行った 777 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 21 00 56 ID sP4Uz48/0 774 不気味だなと思いながらまだ【眠かったのでもう一度寝ようとした】そしたら 扉の方を見た瞬間【金縛り】にあったんだ この時点で、もう読む気がしない とりあえず乙。 続きはもういいよ 778 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 21 02 01 ID 46QHW5Ab0 まあそんだけです長々と書いてもうしわけありませんでした。 あと誤字がところどころありますがすいません。 書かしていただきありがとうございました~ 779 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 21 03 30 ID n45f63AwO 部屋の電気はつけっぱなしなのか?いかんなぁ。もうちょっとエコになってくれなきゃw 780 :青い猫:2009/09/16(水) 21 04 07 ID iTu/KwF50 むやみやたらな長文書きは、いつぞや、私に論破された御仁のようだ。 たしかエネルギーと物質がどうのこうのとくってかかってきた輩だったような。 超心理学といったところで、やっていることは単純な実験ばかりです。 ルーティンワークをこなすのはどんな分野も同じことでしょう。 たまたま超心理学という分野にこだわっているだけで、実験そのものは厳密に行うものです。 たまたま幽霊などを探求しているだけなのです。物理学が専門の方もいれば、 医学が専門の方もいます。別段、専門分野にこだわる理由はないのです。 それこそ多角的なアプローチをするだけなのです。 このように異分野の専門家がチームで調査することなど不思議なことではありません。 目的が同じであれば、専門の垣根を高くする必要などありません。 774-776 すばらしい! 私はそういった体験談を集めていますが、あなたのお話もいくつかのパターンを見事に 踏襲しています。作り話でないことを期待しますが、それでも私はあなたの体験談として興味深く読んでいます。 781 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 21 06 29 ID n45f63AwO 実験そのものは厳密に行う お前見たんか?w 厳密と正確かどうかは必ずしも一致しない。 782 :本当にあった怖い名無し:2009/09/16(水) 21 08 14 ID n45f63AwO なにしろそのバイアス頭なんとかしてから出直してこい。邪魔邪魔。
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伝説の英雄S ◆SHdRN8Jh8U 「やる夫…ドアラ…すまん」 俺は誰に言うわけでもなく、一人呟く。 その時放送が流れた。 あの右上と言う男がまるで挑発をするかのような放送だった。 俺はやる夫とドアラに心の中で謝りながらも真っ白で何も書けない紙を再びバッグから取り出す。 あいつ等の言う他の参加者の名前を見るためだ。もしかしたら大佐達が居るかもしれない。 俺の傍らには愛犬てつともう一人気絶したウサ耳の少女?がいた。 なぜウサ耳の少女も居るのだろうか? 事の発端は放送前に遡る…… 俺は駅を離れて南に向かっていた。 特に目的地があるわけでもないが…兎に角駅から離れればよかった。 その時俺の視界に人が見えた。ウサ耳の少女だった。俺は姿を隠そうとするが一歩遅かった。 その少女は俺を見るなり、こちらへ走ってきたのだ。 こうなったら仕方ない…話し合うかと思っていると 「死ね!!!!!!!!!!!!!!」 目を充血させて、恐らく応急処置をしただろに、激しく動いていたため頭から血が流れつつある種のグロテスクの状態の少女が襲いかかって来たのだ。 なんだか見慣れない攻撃をしてくる。それは弾幕と呼ばれるものだったがスネークには知る由もない。 「お前は殺し合いに乗ってるのか?」 俺は少女に聞くが、彼女は殺さないと駄目だ、など呟いていて答えてくれはしなかった。 俺はその姿を見て推測する。たぶん殺し合いに乗ってるのではなく、恐怖に駆られているのだろうと。 目が充血しているし、頭から血がダラ流しだからだ。 もちろん騙している可能性も有る。だが俺の頭にはやる夫とドアラ浮かぶ。 おそらく目の前の少女もそう有って欲しかったのかもしれない。兎に角俺がこの少女を殺すと言う考えは無かった。 戦局はウサ耳の少女に有利だった。 彼はてつを腋に挟んでいたし、相手の攻撃方法がよく分からないため、対処ができなかった。 何よりも俺には少女を殺す気は無いが、向こうはその気である事が一番大きい。 ウサ耳の少女はそんな俺を見て一気に止めを刺すためにこちらへ接近してくる。 俺はがとった戦法は肉弾戦だった。 俺はてつとバッグを下ろす。俺は冷静に状況を見ていた。 恐らく彼女は長距離の攻撃しかできない事、しかし銃で撃ち合えば相殺される事に。 さらに彼女は冷静さを欠けているように見えた。 それにこの少女を傷つけず、抵抗させないためにはCQCを使うしかなかった。本当は使いたくないが仕方ない。 それゆえに俺はあえてこの戦法をとった。 結果として彼の判断は正しかった。 彼女は本来の慎重さと冷静さを欠いていた。それに弾幕に制限を掛けられて居る事も知らなかった。 あの十六夜咲夜ですらスネークの事を警戒していた。彼女はスネークの力たがが人間と見くびっていた。 確かに彼は人間ではあったが、一般人ではない。彼は世界を救った英雄とまで呼ばれた存在である。 所詮同じ5面ボスでも中ボスとボスでは格が違ったのか。 結局彼女の焦りが勝負の分け目となった。 俺はもう一回未知の攻撃を避けながら、一気にローリングを彼女に向かってする。 「うっ!」 彼女が転ぶ。その隙を見逃すスネークでは無い。 後ろに回って首を絞めながら問う。 「言え!俺をどうして襲った?」 「………………………………」 返事が無いただの屍のようだ。 もう一回問う。 「言え!!」 しかし返事は返ってこない。俺は不思議に思って、首を絞めながら少女の顔を見る。 完璧に気絶している。どうやら首を絞めすぎたらしかった… こうして俺は放送を迎えたわけだ。 さすがに少女を放置するのもおかしいので、頭を応急処置をして、一緒にいる。 起きたら色々聞くべきだろう。 あの腹の立つ内容を聞いて怒りを覚えながらも名簿を見る。 所でなんだこの名簿は… それに順番がアイウエオ順に並んでいる。それはいいのだが… 明らかに人では無さそうな名前が有る。 伯方の塩とか伯方の塩とか伯方の塩とか… まあ俺と同じ様にコードネームなのかもしれない。 ドナルド・マクドナルドなんか聞いたことが有る様な無いような…発音が違う気がする。 俺は十六夜咲夜の名前を見た瞬間、これを怒りに任せて捨てそうになったが、抑える。 兎も角も俺は死んだ奴らには赤線を引き、地図にも禁止エリアを書き込む。 知り合いは居なかった。それは良い事だが、だが同時に11人も死んでいるのだ。 あの十六夜咲夜のやつが何人もいるのだ。 「くそっ!」 拳に力を入れてしまう。何が英雄だ。これではピエロと一緒だ。 十六夜咲夜のような奴らを倒さなければならない。 どんな手を使ってもだ。 例えば仲間になって裏切って倒すとか…も有りだ。俺は潜入任務で変装をして数々の兵士を葬ってきた。 今更ためらうことも無かった。 方針は決まった。 情報集めは勿論大優先だ。 だがもし次に明らかに十六夜咲夜のような奴が居れば仲間になろうと持ちかけて、情報を手に入れて倒そうと… 俺はふと少女の方を見る。 「なかなか可愛いじゃないか…」 十六夜咲夜もそうだったが、なかなか俺好みでそう… 「性欲を持て余す」 何を考えているんだ。 COOLになるんだ俺……逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ。 こうしてしばらく理性と性欲の葛藤が続いた俺だが、 数十分後には何とか性欲を沈静化させて、違うところを見る。 首輪だ。 何故か俺達と違う首輪が掛けられていた。 先ほど少女のバッグの中を見たが何も無かったので詳細は分からない。 白色の首輪は一体どういう意味なのか… 俺は考え込む。第一この首輪は一体どうなってるんだ。 まず思いつくのは盗聴機能と監視。 監視は兎も角盗聴機能は付いてるだろう。俺ならそうする。 それに何処に居るのかも、分かるように成っているはずだ。 ここまでは当たり前だ。 問題はどうやって首輪を爆発させるのか?である。 方法は恐らく電波で送るのか。もしくは首輪その物にそういう機能が付いているかのどちらかである。 電波で送るのが今のところ一番可能性が高い。あいつらは最初に集めたところでリモコンらしき物で爆発させていたからだ。 ならば電波を無効にするか、もしくは電波を発する物を破壊すれば首輪は外せる。 チャフグレネードを用意するか、おそらくあのリモコンではこんなに広いのに爆発はできないだろう。 恐らく電波を発生させる装置があるはず…オフィスビルなんかは怪しい。後で行って見るべきか… 後者の場合はどうだろう?可能性は低いがあのリモコンはフェイクで首輪そのものに機能が有るかもしれない。 例えばあいつ等が言っていた行為に該当する行為をすれば、爆発するようになっているかもしれない。 そうてつのように意思を持っているかもしれないのだ。 勿論首輪はうんともすんとも言わない。だが分からないあいつ等の技術力ならば有りえるかもしれない… 兎に角これを一度専門の奴らに渡して、見てもらった方がいい。 俺も一応心得はあるが、専門の奴のほうがいい。 俺はそう思いながらもてつに話す。 「俺は英雄だろうか…?てつ」 「ウンスネークツヨイ」 「そうか……」 俺は太陽が上がった空をずっと見続けた……… 【B-5 平原/1日目・朝】 【ソリッド・スネーク@メタルギアソリッド】 [状態]:疲労度中 [装備]:コルトパイソン(弾数4/6、予備弾36/36)@現実、TDNスーツ@ガチムチパンツレスリング [道具]:支給品一式、馬鹿の世界地図@【バカ世界地図】~全世界のバカが考えた脳内ワールドマップ~ 愛犬ロボ「てつ」@日本直販テレフォンショッピング、やる夫の首輪、ドアラの不明支給品(0~2) [思考・状況] 0:情報集めを優先 1:英雄か……… 2:自分からは攻撃はしない。見つかった場合も出来れば攻撃はしたくないが 明らかに十六夜咲夜のような奴居れば、仲間になろうと呼びかけ、情報を手に入れたら倒す。 3:てつを使って、偵察、囮を通じて情報を手に入れる。 4:まともな服が欲しい。 5:オフィスビルに行ってみるか… 6:専門の奴に首輪を見てもらう必要があるな。 ※参戦時期はオセロットに拷問された直後からです。 ※馬鹿の世界地図の裏に何か書いてあります。 ※初音ミクが危険人物であるという情報を得ましたが、その情報を完全には信用はしていません。 ※盗聴されてる可能性に気づきました。また首輪に電波が送られてるか、意思が有ると考えています ※チャフグレネードを作るか、電波塔のようなものを破壊すれば首輪を安全に外せると思っています。 【因幡てゐ@東方Project】 [状態] 気絶、頭から出血(スネークが再び応急処置をしました。)、目が充血 [装備] プレミアム会員専用首輪(白色) [道具] なし [思考・状況] 0:………………………… 1:兎に角この男を殺す。 2:手段は何でもいいので第一放送までに誰か一人殺す。命がかかっているので絶対に! 3:バクラ、言葉、月を強く憎悪。特にバクラは絶対に許さない 4:何をしてでも生き残る 5:ベジータを警戒 ※リュークが見えました。ただしはっきりとは見えず、声も聞こえません。 ※月を、死神に憑かれて死が近い人間だと思っています。 ※桂言葉に伊藤誠を蘇生させてと頼まれました。 ※弾幕に制限を掛けられているのを知りません。 sm87 歪みねぇ世界 時系列順 sm89 こわれるこころいんばとろわ 明く茂る誠い心 sm87 歪みねぇ世界 投下順 sm89 こわれるこころいんばとろわ 明く茂る誠い心 sm63 朝霧の幻影殺人鬼(後編) ソリッド・スネーク sm111 シンデレラ・ケージ(前編) sm74 トリプルステルスVSプレミアムマーダー(後編) 因幡てゐ sm111 シンデレラ・ケージ(前編)