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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1288544881/790-793 「いってきまーす」 ガチャ 「おはよう、先輩」 「うお!?」 学校に行くために玄関のドアを開けた俺を出迎えたのは 朝の空気ではなく、後輩だった。 「ど、どうしたんだいきなり」 「違うわ、先輩」 「…何がだ?」 「朝はおはようございます、でしょう?」 俺の名前は高坂京介。 何処にでもいる極々普通の高校三年生だ。 そして隣の美少女の名は五更瑠璃。 同じ学校の後輩であり、そしてその…なんつーか…いわゆる彼女、というやつである。 七巻ラストで告白された俺は、色々あった末、 彼女と付き合うことになった。 コラそこ、どうせまた釣りだろとか言うな。 確かにその可能性は無きにしもあらずだが、 せめて八巻が出るまでは甘い妄想に浸っていてもいいではないか。 「先輩、一つお願いがあるのだけど」 「ひょ!? な、なんだ?」 いかん。 アホなメタ妄想に浸っていたお陰で変な声が出てしまった。 「ひょっとして話を聞いていなかったのかしら?」 「う…スマン」 素直に謝る。 「困った雄ね。どうせまた、妹の事でも考えていたのでしょう?」 「断じて違う」 「どうかしら」 ふふ、と悪戯っぽい笑みを浮かべる黒猫。 くそう、可愛いなあ… 最近の黒猫はとても表情豊かだ。 少し前まで仏頂面か人を見下すような笑みしか見たことがなかった俺にとって それらの表情は新鮮であり、とても魅力的である。 …付き合い始めてから彼女の魅力を確認ってどうなのよ。 「冗談よ。そもそも話をしていなかったのだから」 「おい!」 「考え事に耽っていたのは本当でしょう?」 「そうだが…で、お願いって何だ?俺にできる範囲でなら何でも聞くぞ」 「…それなのだけど…」 そこまで言って黒猫は言い淀む。 なんだ?自分から言い出しておきながら。 もしかして、とんでもないお願い!? ももももしかしてえっt いや待て、黒猫はこれでも常識人だ。 これでもってのも失礼な言い草だが。 だって周りが変な奴らばっかりだからあのその 「私のことは、これから瑠璃、と呼んで頂戴」 「待て黒猫。まだ早……るり?」 「ええ」 五更瑠璃。 黒猫の本名。 いや、人間としての名前、だっけ? 「なま…え?」 「ええ。私達は付き合っているのでしょう?」 「そ、そうだな」 顔を赤くしながら言う黒猫。 『付き合っている』というフレーズにこちらまで顔が紅潮し、 お互いに俯いてしまう。 「だったら、その、私達は運命共同体なのよ。 HNではなく、真名で呼ぶべきでしょう」 本名なら、既に呼んでいる。 苗字だが。 黒猫がうちの学校に進学してきて同じ部活に入り、 いつしか部活メンバーの時は五更、 それ以外の時は黒猫、と呼ぶのが定着していた。 ネットコミュニティのオフ会の付き添い、という バーチャルの延長みたいな出逢い方をした俺たちだが、 いつしかその関係はリアル世界のものとなった。 初めて黒猫の本名を聞いたときは妙に感慨深かったっけ。 これで俺も黒猫の友達を名乗っていいのかな、ってな感じで。 「そっか…」 「気に食わなかったのよ」 「え?」 呟きに黒猫の台詞が被った。 もう俯いていない。 前を向いて歩き出している。 慌ててその後を追う。 「あの子や沙織は名前で呼んでるのに、私だけ」 「待て。桐乃は仕方ないとして、沙織は結果論だろ」 「そうだけど…」 歩くペースはそのままなので、前を歩く黒猫の表情はうかがえない。 ……まったく、ほんとに可愛いやつだよコイツはよ! 「もしかして、妬いてたのか?」 「断じて違うわ」 嘘つけ。 「瑠璃」 黒猫、いや瑠璃の身体が震え、立ち止まる。 「気が付かなくてスマン。俺はいつも、お前に何かしてもらってばかりだな」 「礼を言われるようなことをした覚えはないのだけど」 「俺が勝手に感謝してるだけだ。気にせず感謝されててくれ」 「どこぞの新興宗教みたいだわ…」 ほっとけ。 それはさておき…ここまでしてもらっておいて応えないってのは、さすがにみっともないよな。 ぐお、なんか緊張するぞ…って瑠璃はもっと緊張したんだろうな…告白の時とか… どんだけ根性あるんだよお前は。 それでなんで友達少ねーんだよ。 「俺からも一つ、頼みがある」 「…聞ける範囲でなら」 「俺のことは京介、と呼んでくれ」
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1294505746/313-316 「はぁはぁ…」 俺はホームルームが終了すると一目散に教室を飛び出す。そして靴を履き代えると、裏の通用口を使い学校を無事脱出した。それでも不安は拭えず、俺はしばらく走り続けた。 「ふぅ…、ここまで来れば安全だろう」 ようやく歩調を緩める。それでも恐怖心がそうさせるのか、つい後ろを振り返ってしまう。 「あら、京介君じゃない」 慌てて前を見ると目の前に立っていたのはフェイトさんだった。俺は安堵の溜め息をついた。 「脅かさないで下さいよ…、あやせかと思った…」 「あら、あやせちゃんがどうかしたの?」 「いや実は……」 俺はフェイトさんに返答しかけて、ふと気付いた。あれ、あやせとフェイトさんて面識あったか?そんな事を考えていると、フェイトさんが近寄ってきた。そして右手に握っていた物を、俺の首筋に当てるとこう言った。 「ゴメンね京介君」 次の瞬間、俺は目の裏から激しい火花が飛び散るような衝撃を受け意識を失った………… 目覚めは最悪だった。まだ目の裏がチカチカしているようで頭もクラクラしている。 「あら、目が覚めた?」 反射的に声のする方を見ると、頑丈そうなドアの脇に置かれた椅子にフェイトさんが腰掛けていた。 「フェイトさん!?これは一体……」 フェイトさんに詰め寄ろうとした俺は、身体が動かない事に驚いた。改めて確認すると、俺の身体は椅子に座らされた状態で拘束されていた。腕はひじ掛けに、足は椅子の足に、おまけに椅子自体がL字型の金具で床に固定されていた。 「ちょ…何の冗談ですか!早くこれを外して下さい!」 「申し訳ないけど、ある人の頼みでそれはできないの」 ある人?………何故だか急に身体震えてきた。生物としての本能が危険信号を発しているかのようだ。 そしてそれが間違っていなかった事はすぐに証明された。 ガチャリ……ギギギ……… 見た目に違わず、目の前のドアが重そうに開き、そこに立っていたのは―― 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 こんなに絶叫したのは小学生の時、初めてスプラッタ映画を見た時依頼の事だった。身動きが取れないのは先刻承知のはずなのに身体は本能に突き動かされ、この場から逃げようと手足を空しくバタつかせる。 「む、女の子の顔を見て悲鳴を上げるとか失礼ですね、お兄さん」 そう言って新垣あやせは頬を膨らませた。 少し前までの俺なら「膨れっ面でも可愛いな~さすがマイエンジェル♪」等と呑気な事を考えていたであろうが、いまやその存在自体が恐怖の対象でしかなかった。 「あの~あやせちゃん…お取り込みの所悪いんだけど…」 恐る恐るといった様子でフェイトさんがあやせに声を掛ける。あやせはちらりとフェイトさんを見ると「あぁ」と一言呟き、上着のポケットから一通の茶封筒を取り出した。 「お兄さんの捕獲、ご苦労様でした。約束のものです」 茶封筒を受け取るとフェイトさんは中身を確認した。そして 「ありがとうあやせちゃん!これで今月ガスと電気停められずにすむわ♪」 などと吐かしやがった!詳しい金額は分からないが、普通両方合わせても一万もいかない金額で俺売られたの!?激しくショックを受ける俺を余所に茶封筒を上着の内ポケットにしまい、部屋を出ていこうとするフェイトさんにあやせが声を掛ける。 「ああ、念のため言っておきますが……」 「わかっているわ、ここの事は誰にも喋らない。私もここの事は忘れる…でしょう?」 「そういう事です」 「じゃあ私はこれで……、京介君、申し訳ないとは思うけど…私にも生活があるの。ゴメンね」 そう言い残すと、フェイトさんは部屋を出ていった。そして頑丈そうなドアが重たげに閉じ、後には俺とあやせが取り残された。 「ようやく二人っきりになれましたねお兄さん?」 「ひひひ久しぶりだなあやせ」 裏返りそうな声を必死に押さえながら俺は返答する。するとあやせはまた不機嫌な顔つきになった。 「お兄さんがあってくれなかったからじゃないですか。携帯は着拒にするし、学校の前で待っていても裏口や塀を乗り越えて逃げてたじゃないですか!」 そりゃ会ったら何されるか分からないからな。事実今の俺が置かれてる状態が、考えが間違っていなかった事を証明している。 「私あの後、妊娠検査キットを使い自分で調べたんです。結果は……残念ながら陰性でした」 俺にとっては喜ばしい事だ。 「ですから、今度こそ確実に種付けをしてもらいますよ?私が確実に妊娠したら解放してあげます」 「ま、待てあやせ!やはりこういうのはよくないって!好きでもない男女で子供を作るとか…」 「私だって好きでするわけじゃありません。けどお兄さんは無意識にあちこちでフラグ立て過ぎなんです。このままではいずれ母親の違うお兄さんの子供が大量生産されてしまうでしょう」 ……………待ってくれ…、脳の処理が追い付かない。腕が自由なら頭を抱えているところだ。 「そうならないために、私が犠牲になり既成事実を作ろうと言ってるんです。ああ念のため私が無事出産したらパイプカットもしますよ」 あまりにも狂った発言に、俺は本能的に内股になりリヴァイアサンを少しでもあやせから遠ざけようとした。 「さぁ、おしゃべりはこれくらいにしてそろそろ……」 そう言ってあやせが近づいてくる。それにつれ、俺の身体はガタガタと震え出す。 「お兄さん、そんなに震えて寒いんですか?でも大丈夫、すぐに暖かくしてあげますからね…ウフフフフ…」 制服の上着を脱ぎながら、さらにあやせが近寄ってくる。俺は「あぅ…あ……あ…」等と意味を成さない呻き声を上げ震えるしかなかった。その時 バーン!…ズズーンッ あの頑丈なドアが内向き倒され、二つの人影が飛び込んできた。それは大門軍団……ではなく桐乃と黒猫だった。 「そこまでよあやせ!」「この悪魔!先輩を離しなさい!」 「くっ!何故ここが!?」 「フェイトさんから聞いたのよ!」「溜まっている水道代とケータイ料金を肩代わりすると言ったらすぐに教えてくれたわ」 「く…こんな事なら謝礼にもう少し色を付けておくべきでした…」 フェイトさん……あんたどれだけ困窮してんだよ……。まさか家賃も滞納してんじゃ? そんな事を考えていると、いつの間にか既視感のあるキャットファイトが目前で展開されていた。あれ?…って事はそろそろ…。そう考えた時、案の定腕のロープが緩められた。 「来てくれたのかブリジット!」 「あたしで悪かったな…」 「か、加奈子!?」 意外にも、そこにいたのは不機嫌そうな顔をした加奈子だった。 「どうしてお前が…?」 「加奈子もオメーを助けに出張るのは面倒だったんだけどよ…ブリジットにどうしてもって頼まれたから仕方なく来たんだよ」 ※※※※※※※※※※※※※※※ ブリジットの部屋 ぐるぐる巻きにされ口には粘着テープを貼られたブリジットが転がってる 「むぐむぐぅ~、もが~!(かなかなちゃんのバカ~!)」 ※※※※※※※※※※※※※※※ 「ほれ、とっととズラかろうぜ」 「あ、ああ…助かったぜ」 「礼はキッチリしてもらうからな」 「おう、ケーキでも飯でもなんでも奢ってやる」 「そんなもんより、もっといいもんご馳走してもらうぜ?」 何故だろう。今すごく危険な気配を感じた…。いや気のせいだな。 だから加奈子がペロりと唇を舐めながら、俺の股間にねっとりとした視線を這わせたのも気のせいに違いない… そう自分を信じ込ませると、俺は加奈子とこの悪夢のような部屋から脱出した 終り
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■春休みの昼下がり、高坂家の玄関にて 大きなカバンを抱えて階段を駆け降りる桐乃 リビングからボケっとした表情で自分の部屋に向かう京介 ちょうど双方の死角になるところでぶつかってしまった二人 桐乃の鞄から小さな箱が落ちる トレフィグか何かかと思い桐乃に渡そうとして拾う京介 うすうす0.02 勘違いとわかり、気まずい沈黙がおちる 耳まで真っ赤にして京介から箱をひったくる桐乃 玄関から逃げ出すように走り去る桐乃 後ろめたい気分になる京介 ■夕食時、高坂家の食卓にて 桐乃を除く高坂家の家族が食卓を囲む 桐乃がその場にいないが両親ともそのことに触れない もくもくと食事をする一家 思わず、桐乃のことを母親に聞く京介 桐乃は一週間読者モデルの仕事で沖縄へ出かけた、と答える母親 少し不機嫌そうな父親 不安定に思考を巡らせる京介 ■一週間後、高坂家のリビングにて お土産で膨らんだ荷物を抱えて帰宅し、リビングに入ってくる桐乃 ソファで漫画雑誌を読む京介 沈黙 日焼けした桐乃の表情が少し大人びた、と感じる京介 つんとした目で京介を見たあと、ふん、と、目をそらす桐乃 言葉を交わすことなく、気まずく各々の部屋に帰っていく二人 ■桐乃が帰宅した深夜、京介の部屋にて 連日のように眠れず、思考を巡らせながら天井の一点を見つめる京介 不意に京介の部屋のドアを開ける桐乃 寝たふりをする京介 はじめての人生相談の時と同じく、京介の上に馬乗りになる桐乃 ぱし、と、京介のほほをたたく桐乃 人生相談 それだけで諒解し、無言のまま桐乃の部屋に向かう二人 ■桐乃の部屋にて 自室のドアを開ける桐乃 桐乃の部屋に入る京介 無言で床を指さす桐乃 猫の座布団に胡坐をかいて座る京介 ベッドに腰掛ける桐乃 どちらも、言葉を切りだそうとしながらも、切り出せない、無言のままの二人 そのまま沈黙が続く ■ベッドにて① すく、と、立ち上がる京介 桐乃の肩に手をかける京介 京介の腕を振り払おうとするが、男の腕の力に抗えない桐乃 ベッドに桐乃を押し倒す京介 桐乃のピンクのパジャマの前を強引にはだける京介 あらわになった小麦色に日焼けした桐乃の肌 妹のその肌を、その乳房をむさぼる京介 ■ベッドにて② 桐乃の腹から、乳房から、首筋から、頬から、額から、唇へキスをする京介 その身体をもはや兄のなすがままにゆだねる桐乃 ねぶるように、唇を、舌を絡める二人 そのままパジャマのズボンに手を入れる京介 突然のことに一瞬目を見開くが、唇を貪られ、目をとろけさせる桐乃 ショーツの上から桐乃のその部分を、なぞるように触れる あ、 と、声をあげる 濡れてる と、ありきたりの言葉を耳元で囁く その言葉に、身体をびくつかせる桐乃 いったんだ 問うように囁く兄から目をそらす 少し強引にショーツを横にずらし、湿った桐乃の中に人差し指を挿し入れ、 そのまま、親指でクリトリスを執拗に触れ続ける もはや堪えることを諦めた桐乃は艶っぽい声を洩らしつづける ■ベッドにて③ おねがいだから 責めるように弄び続けられ、耐えられずに、思わず乞う桐乃 腰をあげて うん 素直に従う桐乃 桐乃の中で濡れた手で、ショーツを引きずりおろす 京介の手が、張りのあるすらりとした脚に触れる 自分の露で濡れた兄の指に、恥じらい、堪え切れず、思わず瞳を濡らす桐乃 ■ベッドにて④ 兄に応えてベッドに横になったまま、慣れない手つきで兄のパンツをおろす桐乃 その手が、大きくなった兄のそれに触れてしまう いとしい、と思う その手で兄に触れられたら、その身で兄を受け入れられたら、 理性はとうに消え、軽くうつろな目で、兄を見る 挿れて だが兄は、桐乃の願いにこたえてくれない 挿れて ……ください 何時もであれば、兄に慈悲を乞うことは耐えられない屈辱だ だがもはやそれは喜びであり、恍惚であり、絶対的な快楽であった 桐乃の哀願にこたえて、強引に兄が中に入ってくる 破瓜の痛みすら、桐乃にとって悦楽であった ■ことのおわりにて 行為ののち、京介にじゃれるように抱きつく桐乃 おまえ・・・初めてだったのか? そうだよ。はじめては、兄貴が・・・おにいちゃんがよかったの。 だっておまえ、出かける前のあれはなんだったんだよ? あれ、って? だから、・・・ゴムだよ。コンドーム。 あはは、あれはね。あれは保健の授業で女子は持ってなさいって言われて、みんなで買ったんだよ。加奈子がさー、調子に乗って、これ、最近出た体温まで感じられるやつだ!なんていって。 なんだよ、それ・・・ ねえ、もしかして、あたしのこと、心配してた?誰かのものになっちゃうかもって、しんぱいしてたんでしょう?ほれほれ? う、うるせーな! でも、使えばよかったね。そのまましちゃったし。 ・・・・・・ えへへ。また、こんど、つかおう?ね? 照れくさそうに微笑んで、ぎゅっと、京介にすがりつく桐乃 まったく、おれの妹がこんなに可愛いわけがない。
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2012/08/24(金) ID NfScc3nA 続き!w シャワー室で徹底的に犯された後、京介はあたしの身体を犯すようにじっとりと目でなめ回しながら、両手でまさぐる。 「あぁっ、あぁっ!!京介さま、京介さまぁ・・・!」 「桐乃は本当に可愛いな・・・。ほぉ~ら、身体のシャワーの水をふきふきですよぉ~。」 「あぁぁっ!!」 京介の再調教で敏感になっているあたしに抗う術はない・・・。 身体中の悦びを全身で味わいながら京介にその身を預ける。 「桐乃・・・俺の部屋に行くぞ。朝までたっぷり可愛がってやるよ。・・・文句はないな?」 首筋をそのやわらかい唇と歯でアマガミされながら、 「はいぃ・・・文句なんてありませんん・・・。文句なんて言えませんん・・・。」 身も心もこの男の奴隷になっているあたしが決して逆らえないのを解りきっているのに、解りきった質問をねぶるようにしてくる。 「ん…は…ぁ…。」 腰に手を回されながらあたしたちは寄り添うようにして二階へとあがった。 ~~~ 「…何やってんの?」 素にもどった兄貴が部屋にいた黒猫とあやせに声をかけた。 「あの…これはですね、その…。」 「ち、違うのよ…。」 「いや…どうみてもレズりあっているにしかみえんが…。」 黒猫が覆いかぶさるようにあやせを責め立てる格好で京介の部屋のベッドを陣取っていた。 「…すまんがベッドから降りてくれないか。これから…。」 「あら、もうドSなご主人様ごっこは終わり?」 くすくすと黒猫は目を細めて笑う。 「まあ、お兄さんには誘いうけ(?)の才はあっても、ドS彼氏なんて無理があったんです初めから。人間分相応が一番ですよ。」 「原作の立場逆転してるおまえらに言われたくねぇ…。」 兄貴は、はぁとため息をついた。 「…いいたいことは後で聞くから。とりあえず俺のベッドから…。」 「…。」 ツカツカツカ。 あたしは二人に近づきそのまま… 「ふんかっ!!」 ふたりの身体を下からお好み焼きをひっくり返すように投げ捨てた。 「きゃ、きゃあっ!!」 「な、なにを、いきなりなにをするのあなた!?」 「うっさい!!」 「「ひ…!」」 投げ捨てられた二人はものすごく怯えていた。 「こっちはね!さっきから焦らされてものすっごいことになってんのよ!!さっさとすぽっとしちゃいたいのよ!!そんくらい気づけ!!」 ふー!!ふー!!ふー!! 血走った目で射すくめられたあやせと黒猫は寄り添うようにがたがた震えている。 「き、桐乃…落ち着け…な?気持ちはわかるが…。」 「うっさい!!一度出したら賢者になる男と女の子の身体を一緒にすんな!!」 テレビ版ラストなみのヘッドバッドをかます。 「ぎゃあっ!!」 完全に不意をつかれた京介はこの一撃で床に沈む。 「…いいから三秒以内に言うこと聞いて。じゃないとあたし…何をするかわからない…。」 コクコクコク。 頭と顎を上下に高速振動させながら黒猫とあやせは養豚場の屠殺寸前の豚のように涙ながら部屋の片隅に退散した。 「あんたたち、そこで三角座りね。」 コクコクコク。 これまた三段変形型バルキリーよろしく速やかな動作で二人並んで見事な三角座りをした。 …これで邪魔者はいないっと。 「ご主人さま~♪お・ま・た・せ♪」 あたしは血の海でぶっ倒れている撲殺死体(兄・最終回目前)に声をかけた。 「はやくぅ~♪桐乃のこといっぱいかわいがってぇ~♪」 「む、無理…。」 「あん?」 ピク。 こめかみに十字を浮かび上がらせながらあたしは京介の胸倉をつかんだ。 「無理ってどういうことよあんた!?」 「だって…ここ一週間おまえ以外に黒猫とあやせも迫ってくるし…さっきだってシャワー室でのおまえ超肉食だったじゃん?おまけにとどめのヘッドバット…。血…血が足りねえ…。」 「だったらこれでも食べてろ!」 あたしはマンガ肉を京介の口に無理やり詰め込む。 「さっさとその立派な一物を勃たせなさいよ!」 「う、うぐ…む、むりやり詰め込むなっての…。うぐ…。わかった…わかったから…。」 もぐもぐもぐ…。ごっくん。 京介はマンガ肉を食べ終えて、 「では、ご要望にお答えいたしまして…。」 見れば京介の…ううん、ご主人様の息子様はバキバキに赤黒くそり立っていた。 「へへ…じゃあ今からたっぷり可愛がってやるとするか…。」 「きゃー!!たくましい!!きゃー!!待ってましたぁ!!」 京介(現実はこれだもんなぁ…。なんて虚しい役なんだ…。ひ、ひきこもりてぇ…。) ~~~ 「ぁん…兄貴ぃ…。ん!」 京介に口唇を奪われ、口中を蹂躙される。 「ぁ…ふぁ…。」 口と口の間に橋を作りながら、 「つっても今の今まで普通に責めまくってきたわけだしな…。すこしゲームをするか。」 「ゲー…ム?」 あたしは目をとろけさせながら京介の顔を見つめた。 「桐乃。今からおまえとゲームをするわけだが、その前に何か俺にしてほしいことはあるか?」 「して欲しい…こと?」 「そうだ。なんだっていいぞ。代わりにエロゲー買いに行くことだって、何だって。」 「じゃあ…。」 あたしは頬を桃色に染めながら、いつも考えていたことを口にした。 「あた…しを…お嫁さんにしてくれるって…いうのは…。」 「いい!?」 京介は目を剥き慌てだす。 「き、桐乃…そ、それはだな…。」 「うっさい!なんでも一つ言うこと聞くってあんたから言ったことでしょ!?聞くの!?聞かないの!?」 「いやぁ、その…俺の良心に関わってきまして…。」 京介がなにやらつぶやいている。 「いやさ…もっと他の…ない?こうさ、どうでもい~よ~なお願い事とか、さ…。」 「それじゃお願い事になんないでしょ。」 あたしはぴしゃりとはねつける。 「そんなに…あたしのお願い事…嫌…?」 すこし悲しくなる。男の人って結婚を話しに出されるとたじろぐっていうけれど、そんなに嫌なのかな?京介も他の男と同じなの? あたしは目に涙を滲ませながらつぶやいた。 「そんなことねえよ!むしろ俺的に願ってもないというか…近いうち俺からお願いする予定だったというか…。しかしですな…。」 …。なんかはっきりしないなあ…。 そしてごほんと咳払いをしながら…。 「いかんいかん…役作り役作り…。今の俺は悪魔にも劣る畜生兄貴…。」 なにやら初心っぽいことをぶつくさ呟きながら、京介は口をいかにもドSっぽくつりあげながらこういった。 「今から一時間俺は桐乃を責め立てる。それで俺が先に3回イッたらおまえの勝ち。おまえのその「好きなこと」を聞いてやる。でもおまえが先に3回イッたら…。」 「イッたら…?」 ゴク、と唾を飲み込む。悪い予感がする…。 「それは一生聞かない。何があろうと絶対にだ。」 「え!?そ、そんな…。」 あたしは愕然とした顔を兄貴に向けた。 「ま、まって今のなし…。」 「ゲームスタート、だ。」 「あ、ああぁっ!?」 あたしの言葉より早く京介が襲いかかってきたーーー。 続く!
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1299681223/865-880 桐乃「ちょっとアンタ、今すぐパンツ脱ぎなさい」 京介「……は?」 桐乃「だから、パンツ脱ぎなさいよ」 京介「ってお前!いきなり部屋入ってきて何言ってんだ!?」 桐乃「ハァ……、相変わらずの情弱っぷりね。いま起きてる放射能問題を知らないの?」 京介「いや、それぐらい知ってるけど、それと俺がパンツ脱ぐのと何の関係が……」 桐乃「あのね、ニュースによると、男の人の……せ……き……が、放射線被害の予防になるらしいのよ」 京介「せ?何だって?」 桐乃「えーっと、……せ……えき……よ」 京介「はぁ?聞こえねえって」 桐乃「だ・か・ら、せいえきよ! 精液っっ!!」 京介「うおおおおおおい!?なんてこと言い出すんだお前は!!」 桐乃「ホラ、ちょっとのこのページ見てご覧なさいって」 ttp //kamome.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1301021307/ 京介「ええと、なになに……精液に豊富に含まれるアミホスチンが放射線緩和に有効――」 京介「だから精液を飲めば放射能被爆防止効果がある……ってマジかよ」 桐乃「ね?専門家がこう言ってて、ネットニュースにもなってるのよ」 京介「事情は分かったけどよ……何で俺のなんだよ……?」 桐乃「そりゃあ、見ず知らずの男の人なんかに頼めっこないじゃん」 京介「そうかもしれないけど……お前は平気なのかよ?その……俺のを飲むなんて」 桐乃「別に好んで飲むわけじゃないって。薬なんだし、こんな状況なんだから仕方ないでしょ」 京介「……」 桐乃「んで、どうなの?協力してくれないの? あんたが駄目ならお父さんに相談するけど」 京介「ちょっ!?待て!それは駄目だ!それはなんか倫理的にとてもマズい気がする……」 桐乃「でしょー?だから消去法でアンタなんだってば。ほら、脱いだ脱いだ」 京介「しょ、しょうがねえ…… 予防のためなんだよな……」 桐乃「(じーーーっ)」 京介「おい、……別にお前が見てる前で出す必要はないよな?」 桐乃「えっ?」 京介「出したら容器に入れて渡すからよ……とりあえず出てってくれよ?やりにくいから……」 桐乃「ああ、それじゃダメよ。だって精子って空気に触れたら死んじゃうんでしょ?」 京介「確かにそういう話は聞いたことあるけど……」 桐乃「だから、出したのをすぐ飲まないと意味ないって」 京介「お前本気で言ってるのかよ……」 桐乃「別に気にしないから、チャチャっと始めちゃってよ」 京介「俺が気にするんだよ! まったく……妹の見てる前でだなんて……世も末だよ……」 桐乃「ほらほら、脱いで脱いで」 京介「くっ……しょうがねぇ……」ヌギッ 桐乃「(うわぁ……兄貴のって意外とサイズあるんだ……)」 京介「えっとさ……すぐに出るもんじゃないんで、しばらく後ろ向いててくれないか?」 桐乃「あ、ああ、うん。分かった……」 京介「……はぁ」 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……あのさ、そんなに時間かかるものなの?」 京介「いや、なんていうか……」 京介「やっぱりお前がすぐ後ろに居ると思うとさぁ……気が散って無理なんだよ」 桐乃「えーっ、ちゃんと集中しなさいよ」 京介「誰のせいだと思ってんだよ……」 桐乃「それっていわゆる、……勃たないってコト?」 京介「いや、勃ってはいるけど、刺激が足りなくてイケないっていうか」 桐乃「……」 京介「……」 桐乃「じゃ、じゃあ……分かった。仕方ないから手伝う……」 京介「」 桐乃「それじゃ、あんたは横になっててよ」 京介「あ、ああ……(こいつマジ?)」 桐乃「(うわぁ、近くで見ると大きい……それに変な形……)」 桐乃「(こんなのが付いてて、歩くとき邪魔にならないのかな……)」 桐乃「(えっと、確かこうやって握って……上下に動かすのよね)」ニギッ 京介「うあっ!」 桐乃「あっ、痛かった?」 京介「いや、ちょっとビックリしただけ……」 桐乃「じゃあ、動かすよ?」 桐乃「(これでいいんだっけ?)」シュッシュ 京介「……」 桐乃「(皮がめくれたり戻ったり……これって仮性包茎ってやつ?)」シュッシュ 桐乃「(聞いたら怒るかな?……やめとこ)」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「これ、ちゃんと気持ちいい?」シュッシュ 京介「あ、ああ、……いい感じだ」 桐乃「そう…… じゃあなんか反応してよ。わかんないじゃん」シュッシュ 京介「そう言われてもよ……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……あはぁ」 桐乃「ぶふっ!!」 京介「なっ!?やらせといて笑うんじゃねえ!」 桐乃「フヒッwww……ごめんごめん。でもわざとらしいってばwww」シュッシュ 京介「だから男は普通声出さねえんだよ……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「(硬くなってるけど、なかなか出ない……)」シュッシュ 京介「……」 桐乃「ど、どうかな? まだ出そうにない?」シュッシュ 京介「高まってきてはいるけど……」 桐乃「ふ、ふーん……」シュッシュ 京介「(実を言うと……さっき独りで出したばかりなんだよな……)」 桐乃「そういえばさ、こういうとき男の人って、エロ本とかをオカズ?にしてするんじゃないの?」シュッシュ 京介「ま、まぁな……」 桐乃「ベッドの下のメガネっ娘の本出そうか?」シュッシュ 京介「死ぬほど恥ずかしいので、そういう気遣いは勘弁してください」 桐乃「……ごめん」シュッシュ 桐乃「(さっきから気になってたけど、これって……タマ……の袋だよね?)」シュッシュ 桐乃「(こっちも刺激したら効果あるかな?)」グニュ 京介「!? 痛ってええええええ!!!」 桐乃「ひっ!?」 京介「うぐっ……お、お前……なんてことを……」 桐乃「えっ?えっ? そんなに痛かった?」 京介「そこは痛みに弱いからよ……ぐうぅ……」 桐乃「あ……そうなんだ、ごめんね……」 桐乃「(あっ、棒がちょっと柔らかくなっちゃった)」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「(イカない……)」シュッシュ 京介「(イケない……)」 桐乃「(ますます柔らかくなってきちゃった……)」シュッシュ 京介「あのさ、桐乃。どうも今日は無理みたいだから、……また今度でもいいか?」 桐乃「えーっ!?早く飲みたいのに!」 京介「(すごいこと言ってんなコイツ……)」 桐乃「……じゃ、じゃあさ、オカズ提供するから……お願いだから出してよね」 京介「えっ」 桐乃「上だけよ!上だけしか脱がないから!」ヌギヌギ 京介「うわっ!ちょ、ちょっ……お前!?」 桐乃「ほ、ほらっ、見なさいよ」 京介「(うおっ、桐乃の白い肌と……胸が……)」ムクッ 桐乃「(うわああ……恥ずかしいなんてもんじゃない!)」 京介「(さすがモデル……スタイルいいな……)」ムクムク 桐乃「ってアンタ、いきなりカチカチに戻ってるし!?」 京介「!!」 桐乃「……なんか身の危険を感じてきたわ」 京介「自分で脱いでおいてその台詞かよ!?」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……なぁ、桐乃」 桐乃「なに?」シュッシュ 京介「……あのさ、ついでに下も見せてくれって言ったら怒る?」 桐乃「絶っっっっ対にダメ」シュッシュ 京介「……そうか、忘れてくれ」 桐乃「……(いまは見せられない状態になっちゃってるのよ!)」シュッシュシュシュ 桐乃「……」シュッシュ 京介「……あっ、そろそろ」 桐乃「えっ、えっ? 出そうってコト??」シュッシュ 京介「ああ、イキそう」 桐乃「よ、よしっ!イッちゃえ!」シュッシュシュッシュシュ 京介「あああ……もう……イクっ!」 桐乃「えいっ(ぱくりっ)」 京介「!?」 桐乃「(さぁ、来なさい!)」 京介「うっ……!!」ビュビュッ 桐乃「……」 桐乃「(ごくん)」 桐乃「苦ぁっっ!!」 京介「(まさか口で受け止めるとは……)」 京介「はぁ……はぁ……」 桐乃「ふうっ、苦労した割にあんまり出ないのね。 これで効果あるのかなぁ……」 京介「(まぁ、2回目だったからな)」 桐乃「あっ、周りにまだついてるじゃん」カプッ 京介「お、お前、ちょっと待て……!」 桐乃「(レロレロ)」 京介「そこはっ!先の部分はいまダメだって!うああっ!!」 桐乃「(ちゅぱ、ちゅぱ)」 京介「イッたばかりで敏感なんだよ!おい、聞けって!あはぁ!!」ビクッ 桐乃「(ちゅーっ!)」 京介「うあっ!!はあっ!!」ビクッ ビクッ 桐乃「(ちょっと楽しいカモ)」 京介「はぁ、はぁ……やっと終わったか……」 桐乃「まぁ、とりあえず礼を言っておくわ。サンキューね、兄貴」 京介「散々な目にあったぜ……」 桐乃「はぁ?何よその言い草。いい思いしたくせに」 京介「(それは否定できない……)」 桐乃「まぁいいわ。明日はもっと手短にお願いね」 京介「って、明日もかよ!?」 桐乃「あったりまえじゃん。こういうのは日々摂取しないと意味ないって」 京介「俺の身がもたねえぞ……」 桐乃「あ、ちなみに明日はあやせと加奈子も来るから。二人とも男兄弟いなくて困っててさ~」 京介「」 END
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1273071103/881-885 どれぐらいの時が経っただろうか。十秒は経っていたのかもしれないし、一瞬に過ぎなかったのかもしれない。だがそんなことはもはや重要ではなかったんだ。 考えても見て欲しい、覆いかぶさっているのが「あの」沙織だぜ? 格好こそいつものガチオタスタイルにせよ、あの状況では沙織の顔(というか瞳)しか見ていなかったし、その彫り込まれた様な完璧なスタイル――主に胸――が密着した現状では全く問題にならない。 となれば男としての生理本能がもたげないはずがないし、事実そうだった。 ・・・ヤバい。これは、間違いなくヤバい。 別に沙織を抱きたくないという意味では勿論ない。むしろそんな事をこの状況下で考えられる奴は不能だと決め付けてもいいぐらいだと思う。 俺がなけなしの理性で考えていたのは、まず沙織の貞操だった。沙織のような完璧お嬢様の貞節を、何者でもない俺が、ましてやこんな成り行きで奪うなど論外だ。 もう1つ、今は1階に親父がいる。俺の部屋は鍵がかからないため、万一親父が上に上がってきてこの事が露見しようものなら間違いなく半殺しだろう。今の俺には親父を納得させるだけの材料もない。 そんな俺の思惑もよそに、この目の前の少女の瞳はとろんと揺らめいていた。 「京介、さん・・・」 ぐっ・・・!落ち着け俺!理性を保て! とはいいつつも、同時に今此処で沙織を振り払うなんてこともできないとも感じ、そんな二律背反は結局俺を固まらせることしか出来なかった。 情けないにも程があると自嘲するも、上から柔らかそうな唇が徐々に近づいてくるのをスローモーションのように感じた。 そして互いの距離が数cmにも満たなくなった瞬間―― 俺の携帯が突如として鳴り出した。 「「!!」」 互いに条件反射で飛びのく。状況的には渡りに船だったので俺は勢い良く携帯に手を伸ばした。 「桐乃から?」 独り言とも語りかけるとも取れるような声量で呟くと、俺は電話に出た。微かに沙織の表情が硬くなったと思ったのは気のせいだっただろうか。 「もしもし?」 『もしもし、あんた今何やってんの?』 「別に何も…?」 『まさか沙織にちょっかい出したりしてないでしょうね!』 桐乃の声が突然トーンダウンしたのでビクッとしたが、平静を装って返答する俺。こういう処世術だけは達者なのが悲しすぎる。 「そんなわけないだろ。んで何の用だよ?」 『ああ、ちょっとモデル友達と夕食することになったから少し遅くなる、ってお父さんに伝えて欲しいと思ってさ』 「そりゃ構わないが――んなこと直接言やあよかろうに」 『べ、別にどうだっていいじゃないそんなこと!経路がちょっと違うだけなんだから』 もっともなようで意味の分からない返答を聞かされて腑に落ちない部分はあったが、下手に詮索してもヤブヘビになるのが目に見えていたので適当に流すことに決めた。 「へーへーわかりましたよ。他に何か用件はあるか?」 『・・・別にない。それじゃ言っといて』 「はいよ。じゃあな」 電話を切り、一息深呼吸をつくと、沙織は眼鏡をかけなおしていた。 「桐乃が少し帰るのが遅くなるってさ」 「・・・左様でござるか。そ、それじゃあそろそろ拙者もお暇させていただくでござるよ」 「あ、ああもうこんな時間か」 時間はもう5時前を指していた。遅いというほどでもないが、沙織の家の距離と、女の子一人で帰るということを考えれば確かに結構な時間だ。 あんなことがあったから多少の躊躇があったが、流石に女の子を一人で帰すわけにはいかないし、何より沙織とはまだ話すことが生まれた。 「それじゃあ、駅まで送っていくけど」 「そんな・・・京介どのの手を煩わせるようなことはござらんよ」 そう返答する沙織の態度は妙にぎこちない。まるで俺を通したもっと大きな何かに遠慮しているような素振りだった。だからってはいそうですかなんて言う訳もない。 「女の子を夜道1人で歩かせるなんて許したら俺が親父にぶっ飛ばされるさ」 苦笑交じりにはにかむと、沙織の顔が俄かに赤く染まっていった気がする。 「そ、それじゃあ京介どのに拙者めのエスコートをお願いするでござる」 「かしこまりました、沙織お嬢様」 「っ!」 沙織の軽口を真っ向から受け止める俺。似合わないのも柄じゃないのも重々承知してるさ。この時点で俺にはある程度覚悟が固まっていたのだから。 ―――――――――――――――――――― 「・・・って訳で、彼女を送ってくるよ」 1階に沙織と下りてきた俺はリビングの親父にそう伝えた。もちろん彼女とは今はまだ形式的なものではない、単なる代名詞だ。当の沙織は玄関口にいる。 「・・・そうか。京介、一つだけ聞いておく」 元から恐ろしい風貌の親父の顔が更に厳めしくなる。相変わらず気圧されそうになるが、大体聞かれる事は想像がついていたのでじっと耐える。 「今日中に帰ってくるのか?」 「・・・帰ってこない場合は?」 「質問を質問で返したらテストは0点だ、京介。・・・まあいい、帰ってこなかったらお前の体は少なくとも2,3回は宙に舞うと思え」 「生かしてくれるのなら御の字だろうさ」 そんなような事があったなら、それだけの制裁をもらっても等価交換というものだろう。相応の諦観と決意が俺を支配していた。 「・・・それだけの覚悟があるのならいい。京介、泣かすんじゃないぞ」 「・・・ああ」 そう答えると俺は玄関口にいる沙織と合流し、駅へと並んで歩き出した。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293190574/312-313 俺と黒猫が付き合いだしてはや1週間がたったある日。黒猫から二人でアキバに行こうと誘われた。 「これって、デートだよな?デートだよな?」 おっと、ついつい二回も言ってしまった。もはや俺のテンションはデートが始まる前からクライマックスだった。 「しかし・・・・デートって何を着ていきゃいいんだ?」 桐乃と偽装デートした時は桐乃がコーディネートしてくれたし、正直言って俺にこの手のセンスはあまりないと思う。 考えてもいい案が出てこねえなあ。のども渇いてきたので一階におりて麦茶でも飲んで考えるか。 ◆ 「イヤッホォォォォォォウ!めるちゃんかわいいよぉぉぉぉぉ!うっはwwwオウフ!オウフオウフ!」 リビングにはいると桐乃がメルルのDVDを見て一人でエクスタシーしていた。前に黒猫と一緒に鑑賞会やったとき以上のキモさだなあ。もしかしてあの時はテンションをセーブしてたのか? ・・・・・そうだ。服装ならこいつに聞けばいいんじゃねえか。 デートの服装の見立てを恋人以外の女に頼むってのはどうかとは思うがこいつは妹だし、そういう意味ではノーカンだろう。 「なあ桐乃、相談があるんだけどさ。」 「うっはwwwww変身シーンktkr!全裸!全裸!エロ可愛すぎるうぅぅぅぅぅ!」 ・・・・・ダメだ、聞いてねえ。さっき俺が入ってきたときも目すら合わせなかったがコイツ、ドンだけ集中してんだ。 とりあえずテレビの前に立って 「おい桐乃、話を聞──」バキッ!「メルルちゃんが見えないじゃない!」 痛えっ!?今ほとんどノーモーションでドロップキックが飛んできたぞ!?キモオタモードにはいるとコイツ超人になりやがるな! 今のままじゃ話にならねえな。仕方がないので土下座して頼み込んでみるか。 「お願いだから話を聞いてくださいっ!」 「ちょっ・・・・・話を聞いてもらうために妹に土下座はないでしょ・・・・。」 おお、いい具合にテンションが下がってる!これなら何とか会話が成立しそうだ。 「チッ!・・・で、話って何?」 「ああ、話ってのはな。デートのときの服装なんだけど」 「ハァ!?あたしのスーパーメルルちゃんタイムを邪魔しといて何聞いてくるかと思ったら何でアンタの装なんかのはなしをしなきゃいけないのよ?」 桐乃のやつ。ただでさえ怒りで歪んでいた顔をさらに鬼の形相に変えてきやがった。もはや阿修羅の表情だな。 だが今日の俺は阿修羅をも凌駕して桐乃からアドバイスを受けなければならない! 実際はそんな必要もないだろうがついつい土下座しちまった以上、俺はもう引けないんだ! 「前にお前とデートしたときにお前、センスないって言ってただろ? 確かに自分でもそう思うし、次のデートなんかで相手に俺のセンスの悪さで恥じかかせるわけにはいかねえしさ。 そういう服のセンスだったら桐乃、お前以上の相談相手はいないと思ったんだ。な?頼むよ桐乃」 「つ、次のデートって・・・・・」 なぜか顔を赤らめる桐乃。しかも復唱するところが何でそこなんだよ?マジ意味わからん。 「ま、まあいいケド・・・・大まかなことだけは教えてあげるからそれ参考にして次までにセンス磨いときなさいよ」 ◆ とりあえず簡単な手ほどきみたいなものを数十分間ほどレクチャーしてもらった。これで黒猫とのデートのときに格好はつくかな。 レクチャーが終わったあと桐乃が 「ここまで話ししたけど、当日の相手の服装もやっぱりあるから、あんまり方向性が違いすぎるのもダメだかんね?」 そうか、方向性か・・・・・。なるほどな。 「ありがとな。桐乃」 桐乃に例を言って自分の部屋に戻る。しかし方向性か。確かにギャル系の服着てるやつの隣にいるのがコスプレした奴とかだったらすごく浮くもんな。 でも黒猫は多分いつもどおり夜の女王のコスで来るだろうしなあ。そうなると俺が普通の格好していっても結局浮いちまうよなあ。 「うーん、どうしたもんか。」 ん?コスプレ?・・・・そうか!黒猫がそう来るんだったらこの手がある! 俺は携帯電話を取り出し、電話帳からある女の携帯の電話番号を探し出した。 「もしもし?俺だけど・・・・・・・頼みがあるんだ。」 ◆ デート当日。昨日は緊張して眠れなかった。待ち合わせの駅にも早くつきすぎてしまった。 服も散々悩んだ挙句。前に告白した時のワンピースにした。 何度も同じ服を着ていいものかとも思ったけどデートの時までコスプレというわけにはいかないものね。 「おーい!黒猫!待たせたな!」 向こうから漆黒のコスプレをした先輩が駆け寄ってきた。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1281447547/123-127 お兄様。 その響きは、脳が早くも蕩けそうな俺へのダウン追撃には十分すぎるものだった。 「お、お兄様…!?」 「…やっぱり、変ですか?わたしみたいな大女が」 目をうるうるさせながらまっすぐ見つめて来る沙織。上目遣いでないのはしかたがないにしても何となく悔しいが。 しかしこいつは狙ってるんじゃないかってぐらい的確にツボを押さえて来るな。天破活殺でも習得してるのだろうか? 何はともあれ沙織は普段がまとめ役として気丈に振る舞っている分、その反動もあるのだろうと俺は感じた。 「嫌な訳ない。ただ、そんな風に呼ばれるのに慣れてないからさ」 桐乃から、とは言わない。この状況で言っちゃいけないことぐらい俺にも心得がある。 「だから、『お兄様』にどんどん甘えてくれ」 「…はい、京介お兄様…」 多少気障ったらしい言葉にもなんら意に介さず体を寄せてくる。互いが互いに引き寄せられるように自然に唇が重なった。 「んっ…お兄様…お兄様っ…んんんぅっ!」 俺は沙織の昂ぶりに応じて強く体を抱き留め、舌を割り入らせて互いに絡ませ合い、順に歯茎をねぶっていく。やり方など全く知らないはずなのに本能とは偉大なものだ。 ゆっくりと唇を離すと、沙織の目の焦点が定まらなくなってきているのが見てとれ、これがリアル発情かと嫌が応にも高まらざるを得なかった。 このまま押し倒してしまってもきっと沙織は受け入れてくれるだろうが、今の俺は「お兄様」なのだから優しくもしっかりとリードしてやらねばならない。ある意味これもコスプレのひとつかもな。 「沙織、その前にシャワーを浴びよう」 「ぇ…」 目に少し光が戻った沙織は、冷静さも戻って来たのか急にあたふたと慌てだした。これは俺からの最後の意志確認だった。 「初体験は…文句の付け所もないものにしたいんだ。俺の独りよがりで沙織を傷つけたくないから…沙織を大切にしたいから」 『高坂京介が絶対に言わないことシリーズ』に出てきそうな臭さ爆発な台詞だったが、俺の偽らざる本音に他ならなかった。というか何を叫ぼうが今更、知りながらも突き進んでいる道だ。 「お兄様…それほど私のことを考えて…」 沙織の目に再び涙が溜まっていく。それを指先で拭うと耳元で「沙織」と囁いた。 「わかりました。お兄様もお待ちくださらずに、隣の部屋のを…」 「いや、もはや別の部屋になんて行きたくない。俺が先に入るよ、沙織はここで待っててくれ」 「う…、わ、わかりましたわ。強引なお兄様も素敵です」 「素直な沙織もな。それじゃあお先に」 まず俺が先にシャワーを浴び、体を丹念に洗ってから沙織に洗面所を渡した。 部屋に戻った俺は、ゴムの確認とこれからすることの妄想で改めて武者震いを起こしていたりした。 水音が止まり、ドライヤー音が止まると、ゆっくりとドアが開く音が聞こえた。 いよいよかと、生唾が止まらない。 「お、お待たせいたしました…」 おずおずと姿を現した沙織の姿に俺は絶句した。もちろん最高の意味で。 「綺麗だ…」 恐らくバスタオル以外には何も纏っていないその姿。 端麗な容姿に神の造形型物としか思えないほどの高一にして完成されたスタイル。誰だよこんなチートキャラ生み出したやつ出てこいよ! そして何よりのスパイスである、 「あ、あまり見つめないで下さい…恥ずかしいです」 恥じらいという文化。むぅ、まさか絶滅が嘯かれているこの奥義を現代に伝えるものがいようとは…! などと意味不明な供述を心中でしていたところ、沙織が少し苦々しそうに口を開いた。 「…わたしは、この体が好きじゃありませんでした。中学生なのにどんどん大きくなっていく身長と胸に、すれ違う男子は皆いやらしい目でばかり見てきました」 「だから、わたしは自分をわざと不思議なキャラに据えることで自分を守って来たんです」 あのガチオタスタイルを筆頭にしたキャラチェンジも元々はその一環でもあったのだろうか。一休さんにそんな説話があったような気がしたな。 「でも、京介さんは違った。京介さんは私の外見に囚われないで、私そのものを評価してくれた。だから、私は京介さんに惹かれはじめていったんです」 沙織なりに思い悩んでいたことに今まで気づけなかった馬鹿な俺は、あまりにもなベタ褒めにむず痒くなり反論した。 「買い被りだよ。俺だってたまたま運が良く沙織を中身から見れたけど、槙島としての沙織を先に見ていたら俺もその猿達と変わらなかっただろうさ」 「だとしたら、神様がわたしに京介さんとそうして出会える運命を与えてくださったんだと信じます」 その目はあまりにも純粋で、それでいて自分の確信を信じている目だった。その瞳を見据えた瞬間、俺の中で何かが弾けた。 「あー…もう我慢できねぇや。沙織を貪りたい」 「どうぞ…来て下さい。もうわたしは既に京介さん…お兄様のものなんですから」 俺はただ一度だけ頷くと、沙織を部屋のベッドまでお姫様抱っこで連れていき、沙織の上に覆い被さるように跪いた。
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1306742825/37-43 「加奈子、明日公園に来てくれ」 俺がそう加奈子に話したのは昨日の夜。 先日加奈子が帰った後、俺が出した答え。 それを実現するためだ。 こんな俺でも結構悩んだんだぜ? 俺を取り巻く皆を、幸せにすることは出来ないのか。 二兎追うものは一兎も得ずとはよく言ったもので。 やはり、必然的に幸せの裏には不幸せが生まれてしまうんだろうか・・・。 そう悩んで、出した答え。 それを今から、伝えにいくんだ。 ・・・。 なんか、超緊張してきた。 *********** 現在俺は、公園にいる。 いつかあやせと奮闘したあの公園だ。 待ち合わせ時間より大分早く来ちまったけど・・・ 加奈子のやつ、また遅刻したりしねーだろうな。 ・・・さて、待っている時間はどうしようか。 暇だから俺の生い立ちを・・・え?いらない? じゃあ俺が悩んだことを少し聞いていただこうか。 みんな、こんな経験はないだろうか? 気になる娘が近くに何人もいてしまう状況。 もしこの中の誰かが自分のことを好きになってくれ、告白されたとして 他の気になる娘と付き合える可能性を捨ててしまいそうだから付き合えない。 でも告白してくれたことも付き合いたくてうわああああああああああああああああああああああ! ってこと。 俺が置かれている状況が、好きを幸せに置き換えたそれだ。 俺は加奈子が好きだ。強いて言えば黒猫も、あやせも。そして・・・桐乃も。 この全員を幸せにしてやりたい。 でも誰かの幸せを優先すると誰かが不幸せになる。 全員の幸せを取ることは・・・そんな欲張り、恐らく出来ないだろう。 それでも俺は・・・って!加奈子来た! 俺の視線の先には、公園の入り口を通過した制服姿の加奈子がいた。 アイツも何分鋭いヤツだ。これから起こることを大体理解しているだろう。 少し俯いて、ゆっくりと俺に近づいてくる。 「お、おう。今日はどうしたの?」 「いや・・・。ちょっと、伝えたいことがあってな。」 そこで加奈子の身体がピクッと動いて、すぐ止まる。 「でも、今から言うことはお前が喜ぶ話じゃないかもしれない。それでもいいか?」 「え?」 加奈子が素っ頓狂な声を上げる。そりゃそうだよな。 告白されると思ったら、楽しくない話をする宣言をされるなんて。 「うん・・・。いいよ。」 でも、それを受け止めてくれる。コイツはそういうやつなんだ。 ・・・さて 黒猫に捧げると決めたはずの、初めての告白。 昨日黒猫に電話で「他の人に告白をあげてもいいか」という話をしたところ 「・・・勝手になさい。私があなたの行動を制限する権利は無いわ。」 とのことだった。黒猫の悲しみを押し込んだ声は、本当に聞いていて辛かったが。 「加奈子。」 「っひゃ!はい!」 「俺たちさ、最初は妹繋がり、仕事繋がりの仲でしかなかったよな。 お前が家に来たときも、きっと交わることなんてないんだと思ってた。 そしたら急にお前からメール来てさ・・・。ビックリしたよ。」 「か、加奈子だって結構勇気振り絞って送ったんだからな!」 「へへ、そーかい。でもそのメールのおかげで俺たちの距離を縮められた。 本当に感謝してる。あの時メール送ってくれて、ありがとうな。」 「別に・・・。加奈子がやりたくてやっただけだし。」 「それでも、だ。あのメールが無かったらきっとこんな気持ちも芽生えなかった。 電話も出来なかった。二人で出かけたりも出来なかった。 そんな俺の人生に楽しい事を足してくれたのは、加奈子だからな。」 「・・・うん。」 「今まで知ろうとしなかったことを知って、理解して。 いつ頃ぐらいからか忘れちまったけど・・・。」 「俺は、加奈子のことが好きだ。」 ああ、言ってしまった。 いま俺は、多くの可能性を切り捨てた。 その分、新しい可能性を信じて。 「京介。」 「ど、どうした?」 「ありがとう。こんな加奈子のこと好きになってくれて。 どんなワガママも受け止めて、理解してくれて。 ・・・本当にありがとう。加奈子も京介のこと、好きだよ。」 そして返事が返ってくる。 こういう返事が返ってくると分かっていたにせよ、ものすごい安著感。 でも、これから俺はこの加奈子にとって辛いことを言わなければいけない。 それを加奈子が受け止めてくれるか・・・。 「そうか、じゃあ晴れて両想いだな。」 ちょっと冗談っぽく空気を和ませて、本題に入る。 「でも、加奈子。俺は今まだ前と付き合うことは出来ないんだ。」 「・・・。」 沈黙が痛い。 でもこれは、伝えておきたいから。 「お前にも前話したよな。桐乃や、瑠璃のこと。 俺がお前と今付き合ったら、アイツらは傷ついちまう。」 「・・・。」 「いつかアイツらが強くなって、全てを受け入れられるようになるまで、 俺が不幸になるって決めたんだ。」 「でもそれは、お前まで巻き込んじまう。 そんなわがままな俺でも、お前は好きでいてくれるか?」 これが、俺の出した答えだ。 欲しいものがいくつもあるなら、欲張っちまえばいい。 自分を不幸にしてでも、幸せになってほしい人がいるから。 もしこれを加奈子が受け止めてくれないのなら、俺は加奈子を諦めるしかない。 それは、先日から決めていたことだ。 強いて言えば、不幸になるのは俺だけでもいいんだ。 俺より良い男なんていくらでもいるだろうから 加奈子達には他の幸せを見つけてもらえればいい。 もっとも、それを選ぶのは加奈子なんだけどな。 加奈子はどんな答えを出すんだろうか。いまだに沈黙が続いている。 何分続いているかは分からない。 一秒かも知れないし、十分以上かもしれない。 そんな沈黙を蹴散らすように、加奈子がゆっくりと口を開いた。 「・・・ホンット、お人良しなんだから。」 「しょうがねーだろ。こういう性格なんだよ。」 「でも、加奈子が好きになったのはそんなお人好しな京介だから。 いつまでだって待ってやんよ。」 「そもそも付き合うのと他人はノーボーダーだから! お互いが好きでいられるなら、それでいいじゃんヨ!」 強がりかと思えば、どうやらコイツこれを本心で言ってるらしい。 なんだか・・・、俺って思ったより愛されてんの? 「本当に、いいのか?」 「男と加奈子に二言はないの!」 「うわわッ!」 話の流れを無視し、加奈子は急に俺の胸に飛び込んできた。 これってもう、付き合ってるのと変わんないんじゃね? そんな疑問は、君達の澄んだ心の中にしまっておいてください。 加奈子は俺に抱きついた状態のままで、こんな話を始めた。 「こんなことになってるのも、全部加奈子のメールのおかげだぜ?もうちょと感謝したらどうヨ?」 「そういえば、お前なんであの時メールしてきたんだ?」 「加奈子はさ、メールする前から気になってたの。京介のこと。」 衝撃の事実。 加奈子の中にいる俺は、最初から桐乃の兄貴っていう立場じゃあなかったみたいだ。 「いつからだったかな。多分、2回目にマネージャーやってくれたぐらいだったはず。」 「加奈子、人を好きになったことってあんまなくって。 マネージャーやってる京介と喋ってるときに気付いたんだ。 『ああ、これが人を好きになるってことか』って。」 ブリジットにナンパの方法しか教えなかったのはこのせいか。 「でも、オメー急にいなくなっちゃうからさ。 そりゃもう必死に探したんだよ?そしたら、桐乃の彼氏に会って・・・。 そこから最初のメールにつながるってコト。」 「そっか、なんか悪いな。急にいなくなっちまって。」 「ホント、もっと反省しろよな。」 あんな告白の後だというのに、こんなに冗談を交し合える。 これってなんでだろう?性格が合ってんのかな? 「つーか、さっき京介ばっかり喋ってアタシの気持ちがあんまり言えなかったんだけど。 初めての告白のイメージが丸つぶれだよー!」 「そこでも怒られんの!? いいじゃねえか、今からでも言っちまえよ。」 「え!? いや、それは恥ずかしいって言うか・・・」 「俺だって恥ずかしかったよ。ホレ、言ってみ。」 「うぅ・・・。京介のバカ。」 「バカで結構!さあ、どうぞ。」 「わかった、言えば良いんでしょ?!」 「・・・。いざとなればなんて言って良いかわかんネーな。」 「散々じらしてそれかよ!」 「でも、加奈子が京介を好きなのは嘘じゃないから。 いつまで待たされても、ずっと待ってるから!はい、お終い!」 そういって照れ隠しかそっぽを向いてしまう。 なんだか今はこういう仕草がいつにも増して愛しい。 「で・・・。いつまで待てばいいの?」 ッ!油断したらキラーパスが飛んできやがる! 「いつまでって・・・。瑠璃達が好きな人が出来たりして、 俺が加奈子と付き合うのを受け入れられるようになるまで?」 「そっか。じゃあいつまで経っても無理かもしんないな。 オメーみたいなお人好し、忘れようと思っても忘れられネーだろ。」 あら、恥ずかしいこといってくださるのね。 「別に、忘れられなくても受け入れられるようになる日が来るだろ。」 「そうだといいけど・・・。」 そう思うと、付き合うまでかなり時間が掛かってしまいそうだな。 ただでさえ好きな気持ちを伝えるのに時間が掛かった俺たちのことだ。 きっとこれから何をするにも、俺たちは多くの時間を費やしてしまうだろう。 たとえばキスだったり、エッチなことだったり。 「京介、変なこと考えてる?」 「別に。」 桐乃達が全てを受け入れられるようになったら・・・また、ここで告白しよう。 それまでどれくらいの時間が掛かるかは分からない。 メールから始まって、驚くぐらい無垢で純粋な愛情をゆっくりと育て上げてきた俺達だ。 きっとどんな時間の流れにも、耐えられるはずだから。 それが5年後であろうが、10年後であろうが。 それまでずっと、加奈子を離さずに手を握っていてやろう。 加奈子から離すことはあっても、俺からは絶対に離さないでいよう。 いまは、加奈子に対して純粋にそう思える。 これからどんなスローペースで俺達の恋がすすんでいくんだろうか。 そんなことは誰にも分かりやしないだろうけどさ。 「京介」 どうした? 「これからもずっと・・・一緒にいような。」 あたりまえだろ? 優しい風が、俺達を撫でる。 またここで、こうやって風に撫でられることがあるなら。 そのときはきっと、繋がっていよう。 お し ま い