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2021年3月24日 出題者:耳 タイトル:「容疑者は通りかかっただけなどと供述しており」 【問題】 薬によって眠らされた女を、たくさんの男たちが取り囲んでいる。 そこへ通りかかったタカフミは、警察を呼ぶでもなく逃げるでもなく 真っ先に女に飛びついた。 しかしタカフミは逮捕されるどころか、みんなから祝福された。 なぜ? 【解説】 + ... タカフミは王子様。 森を歩いていると、七人の小人が棺に取りついて泣いている。 棺の中には、毒リンゴを食べて昏睡状態に陥った白雪姫。 タカフミ王子は姫のあまりの美しさに我を忘れて、キスをした。 そのとたん白雪姫は目を覚まし、2人は結婚することになったのだ。 …よくよく考えると怖い話ですよね… 通りがかった見ず知らずの王子様がいきなりキスして結婚て… 《モチーフ有》《瞬殺》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
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288 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 41 26.00 ID oL5NRk+50 282 成就させる気満々だっつの!!!!!!! ポストに入ってれば完璧だったんだ 289 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 41 45.84 ID IITXtivs0 283 スマソ泣くなwww今頃vipでスレたってたりしてなww 290 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 42 30.57 ID oL5NRk+50 284 暑中見舞いや年賀状期待しちゃ悪いか!! 291 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 42 51.86 ID DdSHq3K40 総天然色のストーカー降臨ギガワロスwwwwwwwwwwwwww 292 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 43 07.90 ID 3NajnbPO0 ちょwww今キモい奴からラブレターもらったwwww(1) 293 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 44 43.03 ID CwY0bMUt0 書籍化決定 294 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 45 06.67 ID oL5NRk+50 鳴らない携帯がこんなに不安だとはwwwwwwww 295 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 45 42.62 ID SiHpvE4a0 294 鳴るはずねーwwwwwwwwwww 296 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 46 23.63 ID 8NQFEJWC0 171 誰も突っ込まないがthausandじゃなくてthousandなのでは? これだからゆとりは・・・・ と、ゆとり真っ盛りの高1の俺がつぶやいてみる 297 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 46 50.90 ID De9pWD0Y0 1の脂肪確認wwwwwwwww 298 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 54 10.36 ID F/FpNVX60 これはきもい 終わったかも・・・ 300 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 56 58.85 ID 1fLkgovL0 今北産業 301 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 57 27.88 ID 8olw1RTaO 1 キモ杉w 302 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 57 43.15 ID 4oWVriS80 300 1 ストーカー 逮捕確定 303 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 58 20.49 ID 1fLkgovL0 302 おk! 304 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 59 11.04 ID 81TOHcxb0 今頃手紙突然 渡して成功することってあるのか・・・? 305 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 59 25.86 ID oL5NRk+50 ちょww殺すなwwww死にそうだけどwwwwwwwww ファフナーの5話の最後の方繰りかえし見てたらなんか落ち着いてきた。 安価を一緒に考えてくれたみんなありがとう。冷静に見直すと うn 俺逮捕されるわwww それでも俺は希望という名の光と運命という名の輝きを信じているよwwwww とりあえず今日はうんこして寝ます。朝起きたら多分着信ktkrなハズなんだぜ!! なんかあったらまた明日の夜来るわwwwwwww何か親呼んでるしwwwじゃあなwwwwwww 307 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 22 00 12.94 ID jZVGDXqu0 親呼んでる=警察から電話 308 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 00 49.51 ID eHvPXvds0 305 307でFAだな おつ 309 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 00 51.90 ID xydgMLTI0 307 それだな 310 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 00 54.11 ID 1fLkgovL0 305 いやwww警察からの着信なwwwww 乙! 311 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 00 56.54 ID Jb54iEyG0 305 警察来たから親が呼んでるのか? 朗報楽しみにしてるんだぜwwwwwwww 312 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 01 03.67 ID tLebAc230 それニコ厨じゃね? 313 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 22 01 29.92 ID 81TOHcxb0 手紙渡した女と親 だろ・・・ 314 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 01 35.18 ID 4oWVriS80 305 1親「ちょっと○○ 何か警察の方がいらしてるんだけど何かあったの?」 315 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 02 03.16 ID 8NQFEJWC0 1 だいたい手紙さえ渡して純愛と いい張ればストーカーにならないと キチガイ染みた事考えてる方が可笑しい。 ろくに考えもせずに安価なんかしたら駄目だろ。 316 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 02 32.73 ID ixXqiK5tO 親が 1の手紙読んでるの間違いだろ。 318 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 22 03 38.33 ID De9pWD0Y0 警察ktkrwwwwwwwww 319 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 22 05 18.38 ID Fl3qb8dA0 実は親同士が知り合いフラグ 320 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 05 24.01 ID V0O8xMES0 ストーカーしてたのはさすがにやばいもんなー 321 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 05 25.52 ID t78SmQiH0 追いついた(;^ω^) と思ったらもう 1はいないのかw 322 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 22 06 26.84 ID 81TOHcxb0 ちょうど10時に つかまったのか・・・ 323 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 06 32.04 ID 22tBmISi0 ?2BP(123) 明日なんかあったとしてスレタイどうすんだろ 324 名前: [マジレス率5割]キナリ.mr5 ◆LOTUS/ABW6 投稿日: 2007/05/06(日) 22 08 08.37 ID FMgQUIkF0 ストーキングかよwwww 325 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 09 12.14 ID 8NQFEJWC0 アクエリオン歌いながら下校してた女子高生を家まで尾けたらタイーホ 326 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 09 51.19 ID t78SmQiH0 323 このスレ保守すればいいんじゃね?ww 327 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 10 37.39 ID 81TOHcxb0 いつまで保守するんだ もう 1は・・・ 329 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 12 57.64 ID JBHkaWA10 1はマダー? 330 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 22 13 44.17 ID SiHpvE4a0 12,000 years ago I loved you ゆと・・・り・・・? 331 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 16 40.94 ID qGhUj1Rl0 文句あるならAA作った本人に言ってくれ 333 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 22 18 29.77 ID 8NQFEJWC0 I ve loved you since 12,000 years. か? 334 名前: 1 ◆o6gE1yuDGM 投稿日: 2007/05/06(日) 22 19 53.81 ID oL5NRk+50 親のとこ行ったらなんか電話してるwwww もし明日何かあったときこの酉で書き込みするわwww こんどこそおやすみwwww着信は まだ ない
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264 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 30 29.82 ID oL5NRk+50 テンパりすぎてちゃんと話せなかた&ちゃんと覚えてない んだけど とりあえずポストに手紙入れようとしたら 「あの、そこうちのポストなんですけど」 とか後ろから声かけられたwwwwここでテンパリMAXwwwww 「あの、サーセン、その、mjh、さblhぁいうれrbg、ふじこlp;@」 「あの・・・何ですか・・・?」 「その、あ、あしゃひなみくるさん(仮)ですか」 「え・・・あ、はい、そうです」 「アクエリオン、好きなんですか?好きなんですか?」 「え、すみません、良く聞こえな」 「あのあのあの、すみません!あの、これ」 「あ、ありがとうございま・・・す?」 「うん、それをですね、よんでくだしあ!」 で、走って逃げた 本気で噛みまくって10分の1くらいしか 相手に伝わってないと思うwwwww俺逮捕かなwwwwwwwwwww 265 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 31 37.41 ID EWiUoSYA0 どんまい 266 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 31 40.89 ID /XnZRIeb0 264 間違いなく逮捕wwwwwwwwwww 267 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 32 08.75 ID SiHpvE4a0 ( ^ω^) … (⊃⊂) (^ω^ )⊃ アウアウ!! ⊂ミ⊃ ) / ヽ 268 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 32 18.75 ID oL5NRk+50 255 そんなあからさまじゃない・・・と思う。 口元がちょっとヒクッって感じ・・・ 顔見れなくて口元見るのがやっとだったから・・・・ 269 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 32 26.10 ID 2EU+dEj2O これはwwwwwww 270 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 32 57.78 ID Jb54iEyG0 264 仮名おかしいだろwwwww これはアウトwwwwwwwww 271 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 33 02.11 ID VpAPx1td0 正直 ひくわwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 272 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 33 06.08 ID oL5NRk+50 215 お互い逮捕される気で頑張ろうぜ 215 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 20 26 26.59 ID ivfUeMbz0 194 バイト先の近所にあるセブンのおねいさんがあまりに可愛くて、 つい毎日通って、スヌーピーのお皿のシールを集めて、顔を覚えてもらって、 お皿と交換した日にメアド付きの手紙を渡して、あれから一年半。 273 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 33 07.43 ID +NZl6V6N0 あのさ思ったんだが・・・歌っていた女は安価行為してたんじゃ・・・ 274 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 33 38.94 ID eF/N+v9X0 264 \(^o^)/オワタ 275 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 34 07.99 ID aBBvfVvc0 これはwwwwww 276 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 35 28.72 ID oL5NRk+50 今頃家族会議かな 277 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 35 33.22 ID 2EU+dEj2O 1は自分の住所書いたんだよな? 278 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 37 50.60 ID oL5NRk+50 277 うn 本名 住所 電話番号 携帯番号 携帯メアド 安価 を書いて手渡ししたよwwwwwww 280 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 38 25.64 ID EWiUoSYA0 あーあ 281 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 38 56.26 ID gMOO1FwoO バロスwwwwwwwww 282 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 39 21.26 ID SiHpvE4a0 安価ラブレターの時点で成就させるつもりもなかったろうし まぁいいんジャマイカ 283 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 39 24.91 ID oL5NRk+50 なんか 262見たら涙でてきたんだけどwwwうぇっっwwwwうぇwww 284 名前: 愛のVIP戦士 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 39 39.02 ID bz41Zjpn0 住所まで書くとかwwwwwwwww馬鹿だろwwwwwwwww 285 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 39 59.88 ID Jb54iEyG0 これで女の子から連絡あったら奇跡だよな まさにみっくるんるん 279 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 38 08.82 ID ARRVY+4d0 1そろそろパトカーのサイレン聞こえてきただろwwwwwwwwwwwwwww
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244 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 11 14.24 ID oL5NRk+50 かえってきたよ 245 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 12 43.99 ID F/FpNVX60 どうだった?wwwwww 246 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 12 47.48 ID X/hQ3JMM0 244 乙wwww 247 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 13 02.80 ID SiHpvE4a0 244 おかえり!!!!!!!!!!!!!!11111 248 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 13 41.78 ID Jb54iEyG0 244 いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおwwwwwwwwwww 249 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 14 33.11 ID pUu00A2G0 244 kwsk 250 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 18 56.04 ID oL5NRk+50 本人に遭遇してしまったwwwwwwwwそのまま手渡しwwwww なんか顔引きつってたんだ毛おd 大丈夫だよね?大丈夫だよね??? 251 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 20 04.79 ID SiHpvE4a0 ( ^ω^) … (⊃⊂) ⊂(^ω^)⊃ セ・・・ ミ⊃⊂彡 ( ^ω^) … (⊃⊂) (^ω^;)⊃ アウアウ!! ⊂ミ⊃ ) / ヽ 252 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 20 46.11 ID qGhUj1Rl0 250 アウトー! 253 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 21 09.18 ID Jb54iEyG0 250 おちつけwwww 254 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [sage] 投稿日: 2007/05/06(日) 21 21 48.04 ID qrZL5BNz0 250 ちょwwwwwwww\(^o^)/オワタ 255 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 21 56.76 ID 1fQC61Lc0 _,..、.へ、.,_ /~ \ / _,..、-ーゝー-、、., / _/ ;;〉、 `ヽ、 j ,/彡-ー''^~フ^ハ ヾ''ヽ ヽ ,,/~ / / l ヽ `ヽ、 ヽ / ;;;;/` ' ' ` `ヽ i / ;;/;"´ ,、 | ,、 ,、 ヽ i レ''",/ / / |i ハ i`、 ト ト ヽ ,/ ;'i | ;;/l /| ! ! ノ i | `、 |ヽ | i i /i ;l ;へ,!;| ! i !;/ u,| i ヽi_,| ト; ト, ! ノ/ / |ノ {!、, \; i / |;ルー''リ/! ;i リ 〉 ! j ヾ |_/リ`、 ゙ヽ, ゙;リvイ'~___,/ リ_,,.ノ; | レ リ,`、 u`''''''"~ `゙ ̄ u ,/ | | | /;/! i` 、, __,,,...--ーー^ヽ, / ; ;| i j i ; i /| /|`゙ー- ____..ニニニソ~ i! !! リ } リ リ リ ! ;/,ヽレ~ヽ,`゙iヽ、 ノ|ノリ `゙;/ |_ノ メ- ト、_| /ヾく ,/ ゝ、_ノ`ト-- ,| く `ヽ, } ,/ | `丁 ̄ ̄丁´ |`゙丶、..,_`メ、 /!_,,,..イ | | | ~゙゙´ "ー'~ / | ヽ; | /`tーイ-t-t--t-t-イ´ト 引きつってたってこんな感じ? 256 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 23 44.89 ID i0avSYR3O 逮捕だな 257 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 23 57.41 ID X/hQ3JMM0 人生\(^o^)/オワタ 258 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 24 21.30 ID 5fFJFTb0O 今 北 産 業 259 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 26 17.79 ID ARRVY+4d0 21時18分逮捕!!! ストーカーの容疑で現行犯逮捕!! 260 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 26 55.77 ID /XnZRIeb0 258 1 ストーカーで タイーホww 262 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 29 42.19 ID IITXtivs0 1 Y^´ ∨// /,∠ ,. ' /l/// /, ' , '/ ! | l ´ 〈 } 〉 変 〈/ , ' // ̄` /// /// _,.=‐|'"´l l〈 変 / 〈 態. ∨, '/l| ,.'-‐、`//`7/ /''"´__ | ハ l丿 態 { 人) ! ! (/! |ヽ〈_ ・.ノ〃 〃 / '/⌒ヾ.! ,' !く ! ! (_ ト、__/ ヽ、_,.イ /l l | ```/ /...´.. //´。ヽ ! , !! ) / } ト' 亦 ,イ⌒ヽ/ !l l ! l し J ``‐- / / ,'、`Y´Τ`Y l 夂 (ハ ヽ l i ! l ', ! , -―-、_ ′ //! Λ ヽ、ヽl ヽ 〉,\ ! i ',.l `、'、/_,. ―- 、_``ヽ、 ι 〃,'/! ヽ、\ ヽ、 ! 能 // ,' lヽ! ii ',l ∨\'⌒ヽー-、 `ヽ、! / ハ ノヽ._人_从_,. \ | 心 { / ,' ' ,! ll l`、 { ヽ' \ ヽ ' '´ Λ ', ( \ } .丿 ∨ // ,',! l l l ヽ`、 \ \ ∨ し /! ∨ 変 ,ゝ、 ∧ / / ヾノ //l l l l、_ヽ\ \ ヽ , ' ,.イ |ノ 態 (ヽ /ノ__ ゚ ゚ (⌒`〃'j | l l l `ヽ `ヽ、.ヽ _,. ′ ,.イl { | ヽ ! ! ,ゝ\ } / /`Y⌒ヽ/⌒ 〃 ノ | l l l ヽ、._ } ノ,.イ l | ! ! | )_ } 263 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 29 47.94 ID Jb54iEyG0 状況をもっと詳しくwwwwwwwwww 何か話さなかったのか? 264 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/05/06(日) 21 30 29.82 ID oL5NRk+50 テンパりすぎてちゃんと話せなかた&ちゃんと覚えてない んだけど
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平成元年第2問 甲が乙と共謀のうえスーパー・マーケットから現金を強取したとの甲に対する強盗被告事件の公判において次のものを証拠とすることができるか。 (一) 店員丙の公判廷における供述中、傍線①②の部分 (検察官)「被告人と乙の2人が店内に入って来てどうしましたか。」 (丙)「いきなり被告人が①『騒ぐと殺すぞ』と言ってレジにいた私に刃物を突きつけました。」 (検察官)「それで金を取られたのですね。」 (丙)「はい。乙がレジスター内の現金をわしづかみにして逃げました。」 (検察官)「いくら取られたのですか。」 (丙)「後で警察官から②『被告人は14万円ばかり取ったと言っている』と聞きました。」 (二) 犯行に先立ち甲乙両名が決めた犯行計画を書き留めた乙のメモ 問題文読んで気付いた事 ・伝聞法則予習無しで答案構成 一 設問一 1 「証拠とすることができるか」 (A)自然的関連性、(B)法律的関連性、(C)証拠禁止にあたらないこと (注)この論述は不要?(他の伝聞法則の参考答案にはあったような・・・) ①②いずれの発言も「公判廷外の供述」 > 伝聞法則の適用有り (注)①は伝聞法則の適用がない。 定義・趣旨(伝聞は知覚・記憶・叙述の各過程 → 類型的に誤りの危険) ただし、「信用の情況的保証?」があれば例外的に証拠能力が認められる。 2 ①の発言 (誤)①の発言に関しては「非伝聞」という扱いになるので打消線部分の論述は不要だった。 ・論点 伝聞と非伝聞の区別 要証事実との関係で相対的に決する・あてはめ 強盗罪における脅迫行為を構成する発言 > 存在自体が要証事実 非伝聞ゆえに証拠能力は否定されない 丙は「被告人以外の者」(324条)で、当該発言は「被告人の供述をその内容とするもの」(同条) ・第三百二十四条 被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条の規定を準用する。 ・第三百二十二条1項 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。2項 被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。 322条により「特に信用すべき・・・」があれば(B)法律的関連性が認められる。 3 ②の発言 (被告人の発言 > それを聞いた警察官の発言 の伝聞の重複) (誤)「再伝聞」という書き方が正しい。 (1)論点 伝聞の重複 (誤)「再伝聞」という書き方が正しい。 肯定説 ・信用の情況的保証があればいい (2)各々の条文の要件を満たせば(B)法律的関連性が認められる。 (誤)きちんと条文を引用する。・1つ目の伝聞過程(被告人から警察官) ・2つ目の伝聞過程(警察官から店員)・参照第三百二十四条 1項 被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述(本問では被告人)をその内容とするものについては、第三百二十二条の規定を準用する。 2項 被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述(本問では警察官)をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号の規定を準用する。 二 設問二 (伝聞法則ではないような気が・・・ 思い出せない) (誤)伝聞法則の適用がある(精神状態に関する供述)。
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通025 | 戻る | 次へ 沖縄集団自決裁判大阪地裁判決 事実及び理由 第3 争点及びこれに対する当事者の主張 第3・4 争点4(真実性の有無)について 第3・4(1) 被告らの主張 第3・4(1)ウ 渡嘉敷島について 第3・4(1)ウ(エ) 自決命令の言い換えについて 第3・4(1)ウ(エ) 自決命令の言い換えについてa (古波蔵村長の供述について)* b (富山兵事主任の供述について)* a (古波蔵村長の供述について)* 原告らは。古波蔵村長が命令の受領を明確にできない以上,古波蔵村長の供述から自決命令を認定することは不可能である旨主張する。 しかし,古波蔵村長は,「沖縄県史 第10巻」において,赤松大尉の命令によって軍陣地の裏側の盆地に集合させられたこと,陣地から飛ぴ出レてきた防衛隊員と合流したこと,米軍の艦砲や迫撃砲が執拗に撃ち込まれている状況であったこと,防衛隊員の持ってきた手榴弾で集団自決が行われたこと,古波蔵村長自身防衛隊員から手榴弾を渡されたことなどを具体的に供述しており,古波蔵村長が,赤松大尉が自決命令を出したことを明確にしていることは明らかである。 b (富山兵事主任の供述について)* また,原告らは,昭和63年になって突然,手榴弾の配布を自決命令であると語り始めた富山兵事主任の供述も信用できない旨主張する。 しかし,富山兵事主任には供述を捏造する理由も必要性もなく,また,富山兵事主任の供述は,前記のとおり,詳細である上,実際に手榴弾を交付されて自決命令を受けた場所を指し示すなど,非常に具体的である。また,「潮」1971年11月号(甲B21)の記事は簡単なものであって(同記事には「自決のときのことは話したくないンですがね…」とある。),にわかに手榴弾を配布したことが自決命令であると言い出したということでは全くない。富山兵事主任は,朝日新聞の記事(乙12)において,「43年後の今になってなって初めてこの証言を?」との問いに対し, 「玉砕場のことなどは何度も話してきた。しかし,あの玉砕が,軍の命令でも強制でもなかったなどと,今になって言われようとは夢にも思わなかった。当時の役場職員で生きているのは,もうわたし一人。知れきったことのつもりだったが,あらためて証言しておこうと思った」 と供述し,供述をした理由を明確にしている。そして,このことは原告が赤松大尉の命令がなかったことの根拠としている星雅彦「集団自決を追って」(甲B17)当資料庫所収 においても, 「防衛隊の過半数は,何週間も前に日本軍から一人あて2個の手榴弾を手渡されていた。いざとなったら,それで戦うか自決するかにせよということであった。」 と記載されているところである。 戻る | 次へ 読める判決「集団自決」
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原告(当時少年)から恐喝被害を受けた旨の別の少年の供述に基づいてなされた,当該少年保護事件を家庭裁判所送致相当とする旨の検察官の意見提出につき,①当該供述が上記被害少年の犯した別の強盗事件の刑責を軽減する内容を含む関係にあり,②同供述を裏付ける客観的証拠が存在せず,③その一部に軽微とはいえない矛盾等が認められるなどの状況の下では,必要な捜査を怠った違法があるとして国家賠償請求が一部認容された事例 主 文 1 被告Aは原告に対し,70万円及びこれに対する平成14年12月10日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告の被告Aに対するその余の請求及び被告Bに対する請求を棄却する。 3 訴訟費用は,被告Aに生じた費用の5分の4と被告Bに生じた費用の全部を原告の負担とし,その余を各自の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 被告らは原告に対し,連帯して550万円及び,これに対する,(a)被告Aが平成14年12月10日から,(b)被告Bが同月7日から各支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,下記1(3)の原告の少年事件に関する検察官及び警察官の捜査等につき,原告が後示2(1)①ないし③の不法行為を主張して,被告らに国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求する事案である(以下平成11年中の日にちは,単に月日のみで表示する。また,甲号証と同内容の乙,丙号証は,原則的に摘示を省略する)。 1 争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実 (1) 当事者及び関係者等 ① 原告(昭和56年8月23日生)は,C中学を卒業後,後示(2)ないし(5)当時,D高校の3年生だった者である。原告は,小学校以来下記⑥のEクラブに入っていた経験があり,クラブ内では「F」のあだ名で呼ばれていた(クラブ経験につき甲71)。 ② Gは,後示(2)(3)(4)当時,岐阜地方検察庁H支部の副検事だった。 ③ 後示(2)(3)(4)当時,IとJは,いずれも岐阜県警K警察署の警部補であり(以下一括して本件警察官らという),Lは,同署の巡査部長だった。 ④ M(昭和59年3月25日生)は,N中学を卒業後,後示(2)ないし(5)当時,O高校の1年生だった者である。Mは,8月末頃下記⑥のEクラブに入会し,クラブ内では「P」のあだ名で呼ばれていた(上記及び前示①のあだ名につき甲59,60,70,130)。 ⑤ Qは,N中学を卒業後,後示(2)(3)当時,会社勤めをしていた者であり,同中学ではMの1年先輩だった。 ⑥ R協議会(通称Eクラブ。以下本件クラブという)は,子供会活動の援助等のボランティア活動を行なっている団体であり,瑞浪市a町b番地のc公園区民会館2階に,クラブ室があった(以下それぞれ本件会館,本件クラブ室という)。 ⑦ S,T,U,V,W及びXは,後示(2)(3)当時,本件クラブに入会していた高校生らであり,Sは,Yジュニアリーダーの会長だった。また,Tは,N中学でMと同級生であり,Uは,MやQ,Tと友人だった(甲48,49,69)。 (2) Mの捜査機関に対する供述等(ただし,下記②の供述の真偽及び,12月15日前にMが下記(5)と同趣旨の供述をしていたかなどにつき争いがある) ① Mは,11月8日,ナイフ(以下本件ナイフという)を使ってQから3000円を強取する強盗事件(以下別件事件ないし別件犯行という)を起こし,11月29日逮捕された。 ② 同事件の捜査中,Mは,12月1日から15日にかけて別紙調書等目録記載のとおり,原告に現金3000円を喝取され,更に金員を恐喝されそうになった旨を供述をした(ただし,同目録4,5は,岐阜県K警察署長宛の被害届,上申書で,同8は,下記(3)の事件の参考人としての供述である。なお,同目録では,下記(3)の本件事実1,2に直接関連する以外の調書等の記載内容を原則として省略し,同目録以外の部分は,必要に応じて別個に記載する。また,各記載の段落冒頭の括弧付番号は,各調書の項数を表わす《なお,同目録8掲記の調書〔甲51〕には,『3項』が2カ所存在するので,後のものを4項とし,以下順次1項ずつ番号を繰り下げて表示する》。 以下,別紙調書等目録記載の供述等を一括して本件供述等といい,個別に同記載の番号ないし調書の項数で本件供述1とか,本件供述1(2)などという。また,同目録掲記以外の各調書の記載内容を含め同様に表示することがある。更に,これら供述を記載した調書自体を,同様に本件調書1などと表示し,上記被害届,上申書についても,本件被害届,本件上申書という)。 (3) 原告に対する少年事件(ただし,下記①②③の被疑事実・非行事実の存否や,下記①②の逮捕,勾留延長請求,裁判所送致の違法性に争いがある) ① 原告は,12月1日,身体等の捜索差押を受けた後,同月6日,別紙記載の恐喝・同未遂の被疑事実(以下本件事実1という)で逮捕されて,翌7日勾留され,同月16日勾留が延長されて(以下それぞれ本件逮捕,本件勾留,本件延長という),更に同月24日岐阜家庭裁判所から観護措置を受けて,平成12年1月11日まで少年鑑別所に収容された(勾留,同延長及び収容の終期等につき甲80,84,130)。 ② この間,原告は,12月7日,本件事実1に基づき岐阜地方検察庁H支部に送致され,更に同一事実に基づき,同月24日,岐阜地方検察庁Z検事によって岐阜家庭裁判所に送致された(以下本件家裁送致という)。 ③ 岐阜家庭裁判所は,原告の少年事件(平成11年(少)第2046号恐喝・恐喝未遂保護事件。以下本件保護事件といい,上記①②の逮捕勾留等と一括して単に本件事件という)につき,平成12年3月31日,別紙記載の恐喝・同未遂の非行事実を認定したうえで(以下本件事実2といい,本件事実1と一括して単に本件事実という。また,これら事実中,(a)原告からMの携帯電話へとかけられた3万円を要求する電話を本件脅迫電話といい,(b)11月10日又はその頃の現金3000円の喝取を本件喝取という),原告を保護処分に付さない旨の決定をした(以下本件決定という)。 ④ 本件決定に対し,原告は,抗告及び再抗告を申し立てたが,いずれも不処分決定に対しては不服申立できないとの理由で却下された。 (4) G副検事及び本件警察官らの捜査等(ただし,その違法性に争いがある) ① G副検事は,(a)本件事件で原告の検察官取調を担当し,(b)家庭裁判所に請求書と意見書(甲84,86)を提出して本件延長を請求し,(c)Z検事に家裁送致相当の意見を提出したほか(以下それぞれ本件請求書,本件意見書,本件延長請求,本件意見提出という),(d)12月15日,別件事件でMを取り調べ,本件調書9を録取した(以下12月15日M取調という)。 ② 本件警察官らは,(a)本件事件で原告の警察官取調を担当し,(b)本件逮捕の手続に関与したが,(c)12月10日と14日の甲警察署での取調はJ警部補が,(d)12月3日付捜査報告書(甲33)の作成はI警部補が行なった(以下それぞれ12月10日取調・14日取調,12月3日報告書という)。 ③ 一方,別件事件のMの警察官取調は,L巡査部長が担当した。 (5) 家庭裁判所におけるMの供述(ただし,その真偽に争いがある) Mは,(a)12月16日岐阜家庭裁判所に送致され,同月28日,別件事件の審判期日において,本件供述等のうち,11月5日午後6時15分頃,本件脅迫電話を受けた旨の部分は(以下本件電話供述といい,同電話の時期を本件架電時期という),日にち等が間違っており,実際は10月中だった旨を供述し,(b)平成12年1月11日,本件保護事件の証人尋問では,10月の初めかそこら,ないし同月10日くらいだった旨を述べた(甲130,189)。 (6) 別件民事訴訟及び本訴におけるMの供述等 Mは,(a)原告から提起された損害賠償請求訴訟において(当庁平成13年(ワ)第54号。以下別件民事訴訟という),本件架電時期は10月13日が正しいと思われる旨を供述等したが,主張に一貫性がないなどと判断されて賠償を命じられ,(b)平成16年10月12日,本訴の証人尋問では,同架電時期は,やはり11月5日だった旨を証言した(上記(a)につき甲192)。 2 争点 本件の主な争点は,原告主張の不法行為の成否(下記(1)①ないし③。請求原因)であり,(a)本件事実の存否と本件供述等の真偽,(b)G副検事と本件警察官らの捜査,本件逮捕,本件延長請求,本件意見提出の違法有責性が争いになっている。 (1) 原告の主張 ① Mは,前示1(2)のとおり本件供述等をしたが,原告が同人を脅迫したり,金員を喝取等した事実はなく,同供述等は,いずれも虚偽の内容であった。 ② しかるに,本件警察官らは,本件供述等を軽信し,以下のとおり,違法に本件逮捕をなし(下記ア),更に違法な取調を行なったが(同イ),これは,少年法,刑事訴訟法,犯罪捜査規範(国家公安委員会規則2号)に違反する違法な公権力の行使である。 ア 12月6日,本件警察官らがした本件逮捕は,違法なものであった。 a すなわち,同警察官らは,目撃証言や物的証拠がないにもかかわらず,共謀のうえ,高校生の原告を逮捕して締め上げれば,簡単に自白すると見込んで,本件供述等に基づき,一方的に原告を逮捕をしたものであって,捜査規範4条,166条で禁止された見込み捜査に当たる。 b 特に,I警部補は,逮捕の必要性に関し12月3日報告書に下記記載をして,違法に逮捕状を請求したが,原告の本件ナイフの所持所有についてはなんら証拠がなく,勝手な思込みによるものであった。 (ア) 本件ナイフは,原告の所有物である。 (イ) 本件ナイフを証拠隠滅している事実がある。 (ウ) 本件ナイフについて銃砲刀剣類等取締法違反の事実がある。 イ また,J警部補のした12月10日取調と同月14日取調も,以下のとおり違法なものであった。 a 当時,原告は,捜査規範202条ないし217条の特則が適用される少年であったにもかかわらず,J警部補は,12月10日取調の際,手錠を外しただけで,原告の両手を紐で縛り,これを腰に回し原告を座らせたパイプ椅子に括り付けて,取調を行なった。 b そのうえ,同警部補は,いくら原告が,やっていないと弁解しても,威圧感のある恐い言い方で,「やったんだろう」と一方的に決めつけて睨みつけ,そのため,原告が下を向くと,「なんで下を向いているんや」と注意し,顔を上げて同人を見ると,今度は,「なんで睨んでいるんや」と言って,原告を困惑と恐怖に陥れた。 c そして,同警部補は,午後1時半から5時まで長時間にわたり原告を上記姿勢で座らせて,ほとんど無言で睨みつけ,原告が同じ姿勢に耐え切れず身体をねじったりすると,「動くな」「誰が動いていいと言った」などと言って威圧したが,以上は,予断に基づき,少年である原告に極度の緊張と不安,身体的疲労を与えて,自白を強要しようとしたものであって,捜査規範166条,165条,204条に違反する。 d 更に,同警部補は,同日原告を取り調べたのに,供述調書や取調状況報告書を作成せず,捜査規範177条,182条の2に違反した。 e また,12月14日取調の際にも,J警部補は,午後1時半から2時半頃まで,「吐けば楽になる」「お前には良心はないのか」「親のところに早く帰りたくないのか」などと,悪口雑言に近い言葉を浴びせ,自白を強要しようとしたものであり,黙秘権の侵害であって,捜査規範166条,168条に違反する。 なお,「良心はないのか」との発言は,上司のI警部補が12月16日付取調状況報告書(甲57)で明確に認めるところである。 f 本訴において,J警部補は,「彼の態度を見ておって,自分は,心情的にはやったんだと,犯行はしているというふうにとっていました」「取調の態度です」と証言しており,捜査規範4条,166条に反する,先入観に基づく見込み捜査だったことは明らかである。 ③ また,以下のとおり,(a)G副検事と本件警察官らは,Mの本件電話供述が事実に反することを知りながら,不法に証拠を隠滅したうえ(下記イ),(b)更にG副検事において,必要な捜査を遂げないまま,内容虚偽の本件請求書と本件意見書を裁判所に提出して,本件延長の手続を受け,本件意見提出により,Z検事に本件家裁送致の手続をさせたものであり(同ウ,エ),いずれも違法な公権力の行使であって許されない。 ア すなわち,12月5日ないし8日頃,警察で自分の携帯電話の着信履歴(以下本件着信履歴という)を見せられたMは,本件脅迫電話に該当する1分間もの通話記録がなかったため,従前供述していた本件架電時期は間違っていた旨を,その頃本件警察官らに告げた(以下本件供述変更1という)。 イ しかるに,本件警察官ら及び,同人等から本件供述変更1の報告を受け,12月15日M取調時にも同変更を知ったG副検事は,本件事実1が崩れることを恐れ,共謀のうえ,「もう時間だから早くしろ」など言って,本件供述変更1を調書にせず,もって不作為による証拠隠滅を行なった。 ウ そして,G副検事は,前示1(3)①⑤のとおり12月16日,本件延長請求をして本件延長を得たが,これは,以下のとおり違法である。 a すなわち,G副検事は,上記ア,イのとおりMが本件供述変更1をなし,あるいは本件架電時期につき揺れ動いているのを知りながら,その事情を秘して,同人が信用性のある詳細な供述をしているなどと虚偽の事実を記載した本件請求書及び本件意見書を裁判所に提出した。 b また,同副検事には,検察官として警察官の捜査をチェックする義務があり,本件では,Mの非行歴や,本件喝取当日の本件クラブの例会の開催状況・会場の様子,本件喝取時の関係者の位置関係等を,原告が犯行をしていない可能性を含めて捜査しなければならなかったにもかかわらず,これを怠り,おざなりな捜査だけで本件延長を請求した。 c 実際には,同副検事は,12月16日の本件延長請求より以前には,(ア)Mにつき,11月30日付弁解録取書と本件調書7,9録取の際の取調,(イ)原告につき,12月7日付弁解録取書と同月15日付供述調書録取の際の取調をしただけであり,そのうち本件事実に関する捜査は,(a)前者では,本件供述9(5)の聴取のみで,(b)後者では,弁解録取書の「今読み聞かせてもらった事実は,まったく身に覚えがありません」などわずか調書2行分の取調をしたにすぎない。 エ 更に,G副検事は,前示1(3)②,(4)①(c)のとおり,本件意見提出に基づきZ検事に本件家裁送致の手続をさせたが,以下のとおり,検察官としての義務を怠る杜撰な捜査に基づくものであって,違法である。 a すなわち,G副検事は,上記ア,イのとおり,本件事実1の構成要件である脅迫行為の日付が崩れ,あるいはMの供述が揺れ動いているのを知りながら,その事情を秘して,本件家裁送致の手続をさせた。 b また,同副検事には,検察官として十分な捜査を行なう義務があり,上記ウbの事情のほか,(a)本件供述等の一貫性,(b)本件供述等にかかる黒色つばつき帽子及びカンゴールの帽子(以下それぞれ本件帽子A’,B’という)や,従前の本件ナイフの所在についても慎重に捜査を行なう義務があったのに,15歳のMが年上の原告を陥れるはずがないなどという典型的な先入観に基づき,原告を犯人と決めつけ,その弁解を真面目に吟味せず,本件意見提出をしたものである。 c 実際には,同副検事が適正な捜査を行なっていれば,(ア)本件供述等に一貫性が欠如していることのほか,(イ)本件喝取があったとされる11月10日当時,上記b(a)の各帽子が原告の手元になく,(ウ)別件事件以前に,本件クラブ室内に本件ナイフが実在した点につき目撃証人がいないことなども容易に判明したはずであって,G副検事の行為は,検察官として通常行なうべき捜査を怠る違法なものというべきである。 ④ G副検事及び本件警察官らの以上の不法行為によって,原告は,前示1(3)のとおり,違法に逮捕勾留等されて長期間身柄を拘束されたうえ,虚偽の自白を強要されそうになり,筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を味わったが,その慰謝料は,500万円が相当である。また,本訴の弁護士費用中50万円は,上記不法行為による損害というべきである。 ⑤ よって,原告は被告らに対し,国家賠償法1条1項による損害賠償として合計550万円及び訴状送達の翌日以降の遅延損害金の連帯支払を求める。 ⑥ 本件供述等が虚偽であるのは,本件供述変更1により本件架電時期が一貫性を失っている点のほか,前示1(5)(6)のとおり,(a)家裁でも,同供述変更と同様の供述をしながら(以下本件脅迫電話に関する同供述と本件供述等との差異を,本件供述変更2という),(b)本訴では,11月5日と更に変更するなど(以下本件脅迫電話に関する同供述と前示1(5)の供述との差異を,本 件供述変更3という),供述内容が転々としている点からも明らかである。 ⑦ 後示(2)③,同(3)②ないし⑤は,いずれも否認ないし争う。 ア 特に,被告らは,原告がTに証言を依頼した点を口裏合わせと主張しているが,実際には,J警部補らは,12月9日午後5時から5,6時間にわたってTを取り調べ,言うとおりにならないと,大声を出したり,机を叩いたり,おまえも罪になるなどと脅して,口裏合わせした旨の調書(甲48)を作成したものであって,原告の供述に虚偽はない。 イ また,本件クラブでは,メンバーをあだ名で呼び合っており,原告は,Mの本名をすぐに思い出せなかったにすぎないし,同クラブでは携帯電話番号を記載した名簿が配布されていたが,それだけで,全員の電話番号を知っているといえるか疑問である。 ウ 更に,本件喝取時に原告が被っていたとMが供述する本件帽子A’は,実際には11月13日名古屋で購入したものであって,本件喝取があったとされる同月10日当時,原告の手元には存在しなかった。 (2) 被告Aの主張 ① 前示(1)①のうち,本件供述等の内容が虚偽であるとの点は否認し,同④の損害も否認する。 ② 前示(1)③のうち,平成17年3月8日口頭弁論期日において新たに追加された新主張は,下記アのとおり,時機に遅れた攻撃方法であって許されない。 前示(1)③のその余の部分のうち,同冒頭の主張は争い,同アないしエは,下記イ,ウのとおり争う。 ア 本訴では,弁論準備手続が実施され,平成16年1月29日の弁論準備期日に原告の主張及び争点が確認されて,同年7月5日同手続は終結し た。 したがって,本件ナイフの所在や本件クラブの例会の開催状況についての捜査,あるいは原告のアリバイ捜査を尽くさなかった過失など,上記の後原告が追加した過失に関する主張は,時機に遅れた攻撃方法に当たるが,これらは,原告の重大な過失に基づくもので,かつ訴訟を遅延させる ものであるから,却下されるべきである。 イ 前示(1)③ア,イの事実は否認する。Mが,別件事件の家裁送致前に,本件電話供述を変更した事実はなく,そのことは,同人の証言からも裏付けられている。 ウ 前示(1)③ウ,エのうち,本件請求書及び本件意見書の提出を含む本件延長請求と,本件家裁送致の事実は認め,法的主張は,下記③のとおり争う。 ③ G副検事の本件延長請求と本件意見提出,及びこれに関連する捜査にはなんら違法性はなく,不法行為は成立しない。 ア 本件延長請求について a 刑訴法208条2項は,勾留延長の要件を,やむを得ない事由があると認めるときと定めており,勾留延長請求が国賠法上違法となるのは,同事由に関する検察官の判断に明白な過誤があった場合に限られるが,本件におけるG副検事の判断は,正当であって,明白な過誤はない。 b すなわち,本件事件では,原告が黙秘しており,真実を把握し難い状況にあったため,G副検事は,更に原告の取調が必要であり,また本件クラブの会員名簿の配布状況の確認や,ワン切りの件で原告がMの携帯電話に電話をかけた事実に関しSからの事情聴取等の捜査を遂げる必要性があると考え,本件延長請求をなし,本件延長の決定を受けたものであって,その後実際に上記捜査が実施されているのであるから,本件延長請求には,なんらの違法性もない。 c 原告は,G副検事が本件供述変更1を知っていた旨を主張するが,上記②イのとおり,Mが別件事件の家裁送致前に本件電話供述を変更した事実はなく,同副検事がこれを認識していた事実もない。 仮に,本件架電時期につき本件電話供述と異なる供述が得られたとしても,本件喝取の嫌疑はなんら否定されるものではなく,その時期を,「10月初旬から11月初旬頃」と広く訂正等したうえ,勾留延長を請求することになるだけであって,原告の言い分は,主張自体失当である。 イ 本件家裁送致について a 一般に,検察官の公訴提起は,検察官が現に収集した証拠資料及び,通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して,合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑が存在していれば,国賠法上の違法性を欠くものと解されている。 一方,少年法42条と45条5号の規定の仕方の差異等からすれば,同法42条前段に基づく事件の家裁送致において必要な犯罪の嫌疑は,必ずしも公訴提起と同程度のものが要求されるわけではなく,少なくとも公訴提起に必要な嫌疑を上回るものではないことは明らかである。 したがって,家裁送致が国賠法上違法となるのは,検察官が,事案の性質上当然になすべき捜査を故意又は過失により怠り,その結果,収集した資料の証拠評価を誤る等して,経験則上,到底首肯し得ない程度の不合理な心証を形成し,客観的に犯罪の嫌疑が認められないにもかかわらず,家裁送致を行なった場合に限られると解するのが相当であるが,本件におけるG副検事の判断に上記のような不合理性はない。 b すなわち,G副検事は,Mの本件供述等が一貫しており,内容も具体的かつ詳細であること,15歳の少年が嘘をつき,18歳と年上の者を陥れるとは通常考えられないことなどから,本件供述等に信用性を認めたものである。 一方,本件事件を否認する原告の供述は,(a)当初,Mの携帯電話の番号は知らない,同人に電話したこともない旨供述していたのが,後に番号を知っていたと変遷させ,また実際には,MがSにワン切りのいたずらをした件で,Mの携帯電話に苦情の電話を入れており,虚偽の供述をしていたこと,(b)この際,「いいかげんにしろ,うっとおしい,やめろ」と叱りつけるように言っており,Mを恫喝し得る立場にあったこと,(c)原告は,原告宅で発見された本件帽子B’は,Mからもらったもので,Tがこれを見ていた旨供述していたが,Tの取調の結果,原告が口裏合わせを依頼し,虚偽の供述をさせた疑いがあることなどから信用性がないと判断したものである。 c なお,原告の携帯電話及び自宅の電話の発信履歴には(以下一括して本件発信履歴といい,個別に本件携帯発信履歴とか,本件自宅発信履歴という),本件脅迫電話に対応する記録が存在しないが,G副検事は,公衆電話や他人の携帯電話等から本件脅迫電話をかけた可能性が否定できないと判断し,犯罪の嫌疑ありと認めたものである。 また,Mに本件供述変更1の事実はなく,仮にこれがあっても本件喝取が否定されるものでないことは,前示アcのとおりであり,以上は,経験則に則った判断であって,家裁送致の必要性を認めたG副検事の本件意見提出が不合理といえないことは明らかである。 d これに対し,原告は,Mの非行歴,本件クラブの例会の開催状況,原告のアリバイの有無,本件ナイフや本件帽子A’,B’の所在等の捜査を怠った違法を主張するが,前示a冒頭の検察官が通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た資料とは,(a)家裁送致時に検察官が現に収集した証拠資料に照らし,その存在を予想することが可能な証拠資料であって,(b)通常の検察官において家裁送致の可否を決定するに当たり,当該証拠資料が必要不可欠と考えられ,かつ,(c)当該証拠資料について捜査が可能だったことを要するものに限られると考えるべきである。 本件では,上記b,cのとおり,家裁送致に必要な客観的嫌疑が認められることは,明らかであって,G副検事に更に捜査を尽くすべき義務はなかった。そのことは,家庭裁判所によって,非行事実ありの判断が 示され,本件決定が下されたことにより裏付けられている。 e 原告主張の各点を個別にみても,まず本件ナイフは,原告宅の捜索で発見に至らず,原告からの聴取でも知らないとの返答であり,それ以上所在調査の手掛かりがなかった。 次に,原告は,Mの非行歴を問題にしているが,供述の信用性は,まず供述が出た契機,供述内容の流れが自然であるか,客観的裏付けがあるかといった点から検討されるべきものであって,供述者の非行歴の有無・内容とは直接関わりがない。また,非行歴の有無が少年ら間の力関係に必ずしも反映されるとも限らないから,Mの非行歴は,上記d(b)(c)の証拠資料に該当しない。 更に,本件喝取の行なわれた11月10日には,本件クラブの例会が開催されていたが,一般に捜査機関は,申立のない限りアリバイを認識できるものではなく,アリバイ捜査の欠如が違法となるのは,被疑者から一義的に明白なアリバイ主張があった場合に限られるところ,本件家裁送致前に原告からその主張はなく,これを捜査する必要性もなかった。 (3) 被告Bの主張 ① 前示(1)①のうち,本件供述等の内容が虚偽であるとの点は否認し,同④の損害も否認する。本件供述等には,下記②ないし④のとおり信用性がある。 ②ア 前示(1)②冒頭の主張は争い,同アも否認ないし争う。 本件供述等は,具体的かつ詳細で,迫真性に富んでおり,本件逮捕は,同供述等の信憑性等を十分吟味して行なったものである。なお,本件事実は目撃者の裏付けがなく,本件ナイフも未発見であるが,原告の恐喝自体,人前で行なわれておらず,目撃者の不在は当然であり,本件ナイフも容易に隠蔽可能であって,本件逮捕の必要性が否定されるものではない。 イ 前示(1)②イ冒頭の主張も争う。J警部補は,取調を通じ,原告を叱り つけたりしたことは一度もなく,情理を尽くした取調をしたものである。 a 同aないしdの事実は否認し,法的主張は争う。 12月10日取調は,午後1時20分頃から午後4時10分頃までの約2時間50分であり,J警部補は,少年だった原告の心情に配慮した取調を行なったが,原告は,捜査当初から事実を否認するばかりか,明らかに知っている事実まで否認することから,その一つ一つについて説明を求めると,その間はむしろ原告が同警部補を無言で睨みつけ,「僕はやっていない」と一言発した後は,必死に供述を拒んでいる様子で,質問にも反応せず,ひたすら無言で俯いたままの姿勢をとり続け,真実を語るよう説得を続けたにもかかわらず,これに答えることもなく,結局当日は,供述調書を作成できなかった。 この間,双方無言で向き合う時間も多少はあったが,それはもっぱら原告の態度に起因するものであり,J警部補に,緊張や苦痛を与えて自白を強要する意図はなく,捜査規範に違反する行為もなかった。 b 同eは否認ないし争い,同fの評価も争う。 12月14日取調は,午後1時30分から午後4時45分頃までの約3時間15分であったが,この日も原告は,事実関係を否定しており,「Mが強盗事件を起こしたことを知ったのは12月1日の自宅の捜索の機会である。」とだけ供述した。しかし,J警部補は,裏付捜査で,11月中旬頃,原告が別件事件のことを知っていた事実をつかんでいた。 また,Mから本件帽子B’を喝取した事実に関し,原告は,12月13日の取調の際,同帽子をもらったことはTが証明してくれる旨を供述したが,これも友人に口裏合わせを依頼し,同人が更に別の関係者等に無根の事実を流布していた経過を既に把握していた。 このように,原告が明らかに虚偽の事実をあたかも真実のごとく供述するため,J警部補は原告に対し,「良心というものがあるだろう。」「自分に正直になれ。」と諭したり,必死に供述を拒んでいる原告に「そん なに頑張るな。」と言って,真実の供述を促した事実はあるが,これは,原告主張の悪口雑言に当たらないばかりか,取調が違法だとか,自白の強要などの誹りを受けるいわれはまったくない。 c そのほか,本訴において,原告は,手錠をかけられたまま取り調べられたとか,逮捕事実を告知されなかったなどとも供述するが,いずれも事実に反し,主張自体,荒唐無稽といわざるを得ない。 ③ 前示(1)③冒頭の主張は争い,同ア,イの事実はいずれも否認する。 ア 別件事件の取調において,Mは,本件脅迫電話のあった日を具体的に 供述し,L巡査部長もカレンダーや学校行事等からMの記憶を辿って,11月5日に同電話があったと特定した。 イ 一方,(a)Mの携帯電話本体に記録された着信履歴は,保存件数に限りがあり,約1か月前の11月5日の着信履歴は,保存されておらず,確認することができなかった。なお,(b)携帯電話の着信履歴は,システムの性質上電話会社にも保存されておらず,原告主張の本体着信履歴なるものは存在しないし,Mにこれを示した事実もない。また,(c)原告の携帯電話や自宅の電話についても,電話会社保存の本件発信履歴の裏付捜査をしたが,11月5日当時に,本件脅迫電話に対応する記録はなかった。 ウ そこで,L巡査部長はMに対し,本件架電時期が間違いではないかなどと,別の日に本体脅迫電話があった可能性について何度も確認したが,Mは,「おかしいな,別の日だったのだろうか。」と言いながらも,「自分の記憶から11月5日に間違いない。」と説明し,同人から本件架電時期を訂正して欲しいとの申出は一度もなく,結局本件供述変更1の事実は,なかったのであって,本件警察官らが,これを隠蔽した事実もない。 エ Mが本件電話供述を変更したのは,前示1(5)のとおり,家庭裁判所の審判期日における本件供述変更2以降であるが,そもそも本件着信履歴なる証拠自体が存在しないにもかかわらず,当時少年で,経験のないMに対し,原告の弁護人から,ありもしない着信履歴をもって,本件脅迫電話をかけた事実が存在しないと執拗に追求されれば,動揺して記憶が混乱することは明らかであり,供述の変遷があっても当然である。 オ Mは,本訴において,前示1(6)(b)のとおり,本件脅迫電話があったのは11月5日である,警察で言ったことは今でもそのとおりであると明確に証言し,最初の供述に戻っており,現時点で本件供述等に変遷はない。 ④ 本件供述等の信用性は,以上のほか,(a)Mは,原告より年下の気弱な性格であって,本件クラブのOBで,右翼関係者と知合いの原告に強い恐怖心を抱いており,これを陥れる危険はないこと,(b)高価な本件帽子B’を,Mが無償で原告に譲渡するとは考えられないこと,(c)本件決定においても,本件事実2が明確に認定されていることなどからも明らかである。 ⑤ 仮に,本件供述等が虚偽であって,本件事実を認定することができないとしても,当時本件警察官らにおいて,Mの供述を疑う材料はまったくなく,当時の職務行為基準に則って捜査した結果であり,本件警察官らに不法行為は成立しない。 第3 争点に対する判断 1 不処分決定の基礎となった捜査等の違法を理由とする賠償請求の可否 ① 本件保護事件においては,前示第2の1(3)③のとおり,岐阜家庭裁判所から本件決定が下され,その理由中で本件事実を認定したうえ,原告を保護処分に付さない旨のいわゆる不処分決定がなされている。 そこで,一般に,かかる非行事実を認定した不処分決定の基礎となった捜査機関の捜査等の違法を理由に,非行事実の不存在を前提とする損害賠償を請求することが法的に可能であるか一応問題となる。 ② これを検討するに,少年法上,いわゆる不処分決定に対しては,理由中で非行事実が認定された場合であっても,抗告は許されないものと解されているが(最判昭和60年5月14日・判例解説登載),これは,主文に着目する限り,かかる決定も少年にとって不利益な裁判に当たらず,理由中の判断は,格別の法的効力を有するものではないとの解釈に基づくものである。 したがって,本件決定の法的効力もまた,その限度に止まり,同理由中でなされた本件事実の認定に,後続の損害賠償訴訟に対する法的拘束力等が生ずるものではなく,原告が同決定の基礎となった捜査等の違法性を主張して,被告らに損害賠償を請求することに格別の法的制約はないというべきである。 ③ 以上を前提に,次項以下で原告主張の不法行為の成否について判断する。 2 判断の前提となる事実 (a)前示第2の1(1)(2)(5)(6)の各事実,(b)甲12ないし15,18ないし25,37ないし40,44,49,50,64,66ないし71,73,77,96,127ないし129,131の2,133,136,145,149,154,155,159,165ないし169,192,(c)原告本人尋問の結果,(d)後示採用できない部分を除く甲26,29,30,51,53,130,150の1ないし3,170,189ないし190,証人Mの証言によれば,原告及びMの経歴,別件事件の経過等について,以下の事実が認められる。 (1) 原告(昭和56年8月24日生)は,C中学を卒業後,D高校普通科に進学し,本件当時,同校の3年生だった者である。原告は,両親共稼ぎのサラリーマン家庭に育ち,土,日曜日に高速道路の売店のアルバイトで小遣い月1,2万円を稼ぎ,カラオケ代等に当てていた。原告は,中学時代,副室長や体育祭の団リーダー等を務め,本件当時も上記高校で級長をしており,本件以前に,犯罪や無断外泊など格別の非行歴は見当たらない。 (2) M(昭和59年3月25日生)は,N中学を卒業し,本件当時,O高校の1年生だった者である。Mは,父親が働くサラリーマン家庭に育ったが,中学時代,友人と近くの温泉に忍び込む事件を起こしたり,後示(6)のQらと無断で他人の車を動かす,いわゆる泥棒運転の前歴があった。また,Mは,平成11年の夏休み頃,宗教団体戊に入会して,信者を勧誘するなどし,両親の制止に対しても,「親も大人も悪い。」などと言って,その監督に服さなくなっており,しばしば外泊や高校の早退を繰り返していた(なお,別件事件の身上調書の写である甲167からかなりの部分が削除されているため,Mの前歴等については,以上より詳細に認定することができない)。 (3) 本件クラブは,子供会活動の援助等のボランティア活動を行なう団体である。本件当時,同クラブには会員が24名いて,高校1,2年生を中心に活動しており,演劇の準備で,毎週月,水,金曜日の放課後に例会が開かれていた。同クラブでは,メンバーは,互いに決まったあだ名で呼び合うことになっており,原告とMのあだ名は,それぞれ「F」と「P」であった。 一方,同クラブでは,メンバーの本名とあだ名,電話番号を記載した連絡表が作成されており,平成11年度分は,9月中旬から10月初旬頃に作成され,例会の際に各クラブ員に順次配布されていた。 (4) 原告は,小学校以来,本件クラブの経験があり,高校進学後,部活動で一時離れていたが,平成10年頃から再び同クラブに関与するようになった。本件当時,原告の立場は,OBだったが,例会には頻繁に参加していた(甲69)。 他方,Mは,同級生のTらとともに,8月末頃本件クラブに入会し,原告と知り合った。Mも例会にはよく出席していたが,本件会館の電話を無料で使うのが大きな目的であり(甲69,190),これで私用電話をしたり,例会中に飲食したりしたため,原告や他のOBからしばしば叱責されていた。また,Mは,11月頃学校を早退してクラブ室で寝ていたところを,偶然授業が早く終了し,用事で例会に出られないと書き置きするため,午後3時頃本件クラブ室を訪れた原告から,同室はクラブ活動の場であり,学校をサボって居るような所ではないと注意されたこともあった(甲129)。 (5) ところで,本件クラブ員の間には,クラブ活動以外にも交友があり,10月9日(甲69・3項,甲136),原告の自宅で焼肉パーティーが開かれて,Yジュニアの会長でもあったSや他のクラブ員,あるいはOB等が参加し, 一部の者は,原告宅に宿泊もした。 他方,Sから上記パーティーの開催を聞いたMは,これに参加したがっていたが,結局同女に断られ参加できなかった(甲69,甲130・73項)。すると,Mは,電話をかけて相手が出る直前に切ってしまう,いわゆるワン切りのいたずらしようと考え,Sが原告宅にいるのを知りながら,同日午後11時過ぎ頃から,同女の携帯電話に頻繁にワン切りを繰り返した。 そのため,これに怒った原告は,Sから相手と推測される者の電話番号を聞くと,番号非通知で,自宅の電話から同電話にかけ,「おい,おまえ誰や。いいかげんにしろ。うっとおしい。やめろ。」と叱りつけて,ワン切りを止めさせた。この際,原告は,事前に相手がMだと認識しておらず,後で,相手が 「P」,すなわちMだと聞かされたが,その認識は,かならずしもMという,同人の姓名とは強く結び付いていなかった。 これに対し,Mも,原告の上記叱責を聞いて不満を抱き,後日Sに電話の主を尋ねたが,相手が誰かを聞くと,「むかつく奴やで。」と,原告に対し不服な様子を示していた(甲69)。 (6) Qは,Mと同じN中学を卒業後,本件当時就職していた者である。Qは,身長約175センチメートル,太りぎみで,Mより大柄な体格であり,中学時代は,Mの一年先輩だったが,養護学級に通っていた。 その当時,Mは,養護学級に通っている同人を疎んじていたが,前示(2)のとおり平成11年の夏休み頃,戊に入ると,信者集めにQを勧誘して入会させたり,一緒にゲームセンター等で遊んだりしていた。 ところが,Mは,8月13日頃から,「気にいらん」などとQに因縁を付け初め,ゲームセンターで遊ぶ金や飲食代等を恐喝するようになり,更に,「昔のことを言い触らすぞ。家を放火するぞ。」などとQの中学時代の非行を周囲にふれ回わり,同人や家族に危害を加える旨述べて脅迫し,8月13日頃から下記(7)までの間に約9回にわたって,合計約1万2000円を喝取した。このため,Qは,凶暴な男として,Mを避けるようになっていった。 (7) しかるところ,11月8日,Uからの呼出しで遊びに出かけたQは,途中JR瑞浪駅でUのほか,同人に付いてきたMと出会って,多治見市内で女の子らと遊んだ後,午後9時頃3人でJR瑞浪駅に戻った。その後,Uは,用事があると言って,本件会館で落ち合う約束をして一旦2人と別れ,MとQだけが,午後9時30分頃,同会館に到着して本件クラブ室に入った。 すると,最初Mは,同日の日中会った相馬某女に携帯から電話をかけて,「好きやよ」などとしゃべったりし,更には,その電話で,Qに相手の女の子と話をさせようとしたりしたが,15分ほどで電話が終わると,本件クラブ室内の鉛筆を手に取って,「3000円出せ。」とQを怒鳴りつけた。これに対し,同人が,「どうして。」などと口答えすると,Mは,いきなり全長十数センチメートルの折畳み式の本件ナイフを取り出し,相手の顔前で刃を出して見せた後,背後に回り込み,Qの上着を左手でつかみながら,同ナイフを20回あまりも同人の首の後などに当てて,「3000円出せ。昔のことを言い触らすぞ。」などと,上記(6)と類似の趣旨を述べて脅迫した。 そのため,恐怖で抵抗できなくなったQが財布を差し出すと,Mは,在中の現金1万円近くの中から3000円を抜き取り,本件会館を出て行った。 (8) その後11月12日,Qが警察に被害を申告し,Mは,11月29日,強盗の被疑事実で逮捕された。(a)逮捕直後,Mは,「そんなナイフはない。恐喝なんて知らん。」などと別件犯行を否認し,(b)同日犯行を自白した後も,本件ナイフは,本件クラブのOBで名前を知らない金髪の先輩とか,19歳の男の人とかに渡したなどと供述していたが,(c)12月1日以降,原告から恐喝を受けており,それが別件犯行の要因となっている,本件ナイフも原告にとられたとの旨を供述し始め,前示第2の1(2)②のとおり本件供述等を行なった。 (9) 一方,12月1日実施の捜索差押により,原告の自室から本件帽子B’が発見された。同帽子は,ブランド名カンゴールの黒色帽子で,もとMの長兄が所有していたものであるが,実際には同人は使っておらず,Mが使用していた。これに対し,Mは,次兄の所有と思っており,Uには,同人にもらった旨を述べていた。本件帽子B’は,少なくとも原告とMの間で授受される1週間前からクラブ室に放置されており(本件供述8(4),甲95),その間,Mがこれを取りに行ったりした形跡はない。 (10) Mは,(a)12月16日岐阜家庭裁判所に送致され,同月28日,別件事件の審判期日において,裁判官及び自分の付添人の質問に対し,本件供述等中,本件電話供述は,日にち等が間違っており,実際は10月中だった旨を供述し,(b)平成12年1月11日,本件保護事件の証人尋問の際,原告の付添人等の審問に対し,本件架電時期は10月の初めかそこら,ないし同月10日くらいだった旨を供述した。更に,Mは,(c)原告から提起された別件民事訴訟では,本件架電時期は10月13日が正しいと思われる旨を主張等したが,裁判所から,主張に一貫性がないなどと判断されて,賠償を命じられた。 その後,Mは,平成16年10月12日,本訴の証人尋問において,本件架電時期は11月5日である旨証言し,上記(a)ないし(c)の供述等を撤回した。 3 本件事実の存否及び本件供述等の信用性 (1) 独立した客観的証拠の存否等 ① まず,本件供述等の内容から独立した客観的証拠中に,同供述等の真偽や本件事実の存否を確定的に識別せしめるに足りる資料が存在するか否かを検討する。本件供述等に類する供述証拠の信用性の判断に慎重さが求められるのはいうまでもないことであって,上記のような独立した客観的証拠が存在するのであれば,これを最優先に検討するのが妥当だからである。 この点について,(ア)被告らは,本件帽子B’が原告宅から発見されたことが,原告によるMの恐喝を裏付ける客観的証拠に当たる旨を主張している。 他方,前示第2の2(1)⑦ウ及び甲192のとおり,原告は,本訴及び別件民事訴訟において,(イ)本件喝取当時,本件帽子A’は,原告の手元に存在せず,(ウ)原告は,当日の例会には私服で参加していたから,これらの事実が,当時,原告がD高校の制服姿であり,またMから取り上げた本件ナイフを本件帽子Aの中に放り投げて入れていた旨をいう本件供述等の虚偽性を示す決定的物証である旨を主張している。 ② そこで,まず上記①(ア)の点から検討するに,Mは,本件供述2,7ないし9において,11月19日に本件クラブ室内で原告に本件帽子B’を喝取されたと供述しており,この供述に関し,甲1,86などにも,上記①(ア)と同趣旨の捜査機関の見解が記載されている。 しかしながら,(a)本件帽子B’は,本件事実の被害品ではなく,本件喝取と同一機会に原告とMとの間で授受された物品等でもないのであって,論理的に,その喝取が本件事実を直接裏付ける関係にあるとは認め難い。 更に,(b)原告の入手以前の本件帽子B’の管理状況は,前示2(9)認定のとおりであって,Mや兄らがこれを大切に使用していたとは認められず,かえってMの本件供述8(4),9(3)を精査しても,1週間もクラブ室に放置していたのに,そのことが兄らとの間で問題となった形跡もないのである。 そうすると,新品のときの本件帽子B’に相応の財産的価値があったか否かはともかく,本件当時,Mがこれに高い主観的価値を認めていたかは疑問というべきであって,本件事実の認定上,本件帽子B’の存在を過大視することはできない。 したがって,そのほか,後示6(3)②ア判示の事情も考慮すれば,本件帽子B’をMから譲り受けた旨の原告の供述を直ちに排除することができないというべきであって,被告らの上記①(ア)の主張は採用できない。 ③ 次に,前示①(イ)(ウ)の点についてみるに,以下のとおり,原告の主張を全面的に採用して,これらの点だけから,本件供述等が偽りであって,本件事実が存在しないと結論づけるのは困難といわなければならない。 すなわち,甲139によって,11月13日ロフト名古屋で販売されたと認められる黒色スウェットハット・番号12363が,問題の本件帽子A’と同一物であるとは,直ちに断定できず,原告が11月10日以前に同店ないし他所でこれを購入したことがないとはいえないし,甲71・7項によれば,原告の母親が,以前からかかる帽子が存在した旨を供述している事実も認められるから,原告に有利なその他の証拠を考慮しても,本件喝取時に本件帽子A’が原告の手元に不存在だった事実を客観的に確定することは困難である。 また,本件喝取時に原告が制服姿だったか否か等の点の評価について検討するに,甲137,138によれば,11月10日午後6時頃からの例会に出席したときの原告は,制服姿ではなかった可能性が高いと考えられるが,(a)原告が当時制服姿だった旨のMの供述部分が,本件供述等の決定的に重要な部分を構成しているとまではいえず,(b)この点が,Mの単純な記憶違い等にすぎない可能性も排除できないのであって,その場合,直ちに本件供述等が全体として虚偽であるという結論が導かれるものとはいえない。 そうすると,以上の事実だけから,本件供述等の真偽を判定することはできないというのが相当である。 ④ 更に,前示①以外の客観的証拠の存否についても検討する。 a まず,本件事実にかかる被害金員は,捜査によっても原告宅等から発見されず,原告がこれを費消等したと認めるだけの客観的証拠も存在しない。 b また,本件喝取時,現金と一緒に原告に取られたとされる本件ナイフも,同様に捜査によっても発見には至っていない。一方,本件供述等によれば,本件ナイフは,もともと原告の所持品だったのが,本件クラブ室の小物入れないし棚の引出しの中に入れたか忘失するなどして,以前から同所に置いてあったものであるところ,たまたまMが見つけて,所有者を知らないまま持ち出し(本件供述2,6,9),原告からの脅迫に起因する別件犯行に使用したものの,その後,当該脅迫にかかる金員喝取の被害を受ける直前,偶然に,自転車のシールを剥がすため使用し手に持っていたのを,やはり偶然,加害者となるべき原告に発見されて取り上げられ,結局本来の所持人の手元に戻ったという極めて特異な経過を辿った物品ということになるが,Mの持出しより以前に本件ナイフが本件クラブ室内に存在した事実については(以下同事実を本件ナイフのクラブ室内所在という),(a)Mの供述以外には,これに沿う証拠が存在せず,(b)本件警察官ら及びL巡査部長などが,本件クラブ員からの事情聴取その他の方法で,この点に関する捜査を行なった形跡も存在しない。 c 更に,本件事実にかかる脅迫ないし本件喝取の現場に居合わせた目撃証人や,直後に被害の実情を聞いた関係者らも存在していない(M自身,Uら友人にも相談しなかった旨を供述している-本件供述8(1))。 d 他方,原告のアリバイについては,捜査時に格別の申出は出ていないが(その経過は,後示5(4)③ウ,エのようなものであったと認定できる),本件喝取があったとされる11月10日は,水曜日で,前示2(3)(4)のとおり本件クラブの例会が開かれ,演劇の練習等が行なわれたことが判明しており,原告の参加等も十分考えられる状況だったのであるから,通常なら,(ア)当日の例会の開催時間帯や,特にその終了時刻,(イ)同例会への原告の参加の有無,(ウ)本件会館入り口階段付近で行なわれたという本件喝取を聞知等可能な本件クラブ員の存否などが問題になるところであるが,この点についても上記b(b)と同様,捜査機関による格別の調査,確認が行なわれた形跡はなく,確たる客観的証拠の有無は,未確認のままとなっている。 e 以上によれば,本件供述等から独立した客観的事情によって,本件事実の有無を確定することは困難といわざるを得ず,その基礎となっているM供述内容の合理性や矛盾点の有無等を検討する方法によって判定するほかないというのが相当であるから,次項以下で,この点につき判断する。 (2) 本件供述等の信用性に関する判断 ① まず,判断の前提となる本件供述変更1の存否から検討するに,以下のとおり,本件発信履歴とは別に本件携帯電話の着信内容を記録した着信履歴は存在せず,Mが捜査官に本件着信履歴を見せられた事実もないのであって,12月16日に別件事件で家裁送致される直前の段階において,(a)Mは,いまだ本件電話供述を変更するには至っておらず,明確に本件供述変更1をした事実は存在しなかったものの,(b)同人には,本件架電時期に関する供述内容・態度に著しい動揺が認められたというのが相当である。 ア すなわち,原告主張に沿うMの供述等をみるに,甲130,150の1ないし3,189,Mの当法廷での証言によれば,Mは,本訴や,下記a以下の少年事件,別件民事訴訟において,要旨以下のとおり,本件架電時期については,捜査当初から11月5日という明確な記憶な記憶があったわけではなく,警察官の誘導等によって本件電話供述をしたもので,捜査途中で自分の携帯電話の着信履歴を見て,本件電話供述の日にち等が間違いであることに気づき,その旨取調官に話したが,調書が作成されなかったとの趣旨を供述等し,また本件供述変更2についても,同様の経過でなしたものである旨を供述している事実が認められる。 a 12月28日・別件事件の審判期日 (a)本件脅迫電話を受けたのは,別件犯行よりも大分前のことである。(b)自分の記憶で,学校を早退した日のことだと思い込んでいた,(c)警察官に自分の携帯電話の着信履歴を調べてもらったところ,11月5日には,本件脅迫電話に該当する1分間もの通話がなかった。(d)もう一度,記憶を辿ったところ,昭和病院の駐車場で本件脅迫電話を受けたことを思い出した。 b 平成12年1月11日・本件保護事件の審判期日 (a)10月の初め,昭和病院にいたときに本件脅迫電話がかかってきた。(b)原告宅でパーティーがあったより少し後のことで,10月10日くらいである。(c)11月5日と供述していた頃は,明確な記憶がなく,学校を早退したときだったという記憶だけで供述してしまった。(d)警察に自分の携帯電話の着信履歴を調べてもらったところ,11月5日頃の午後5時から7時頃の通話は,30秒から1分間くらいしか話していないものばかりであり,これは違うということになった。(e)同日には本件脅迫電話に該当する着信記録がないことがはっきりしたのは,別件事件が家裁送致される前の12月8日頃のことであり,本件架電時期が間違っているのを思い出したのは,12月14日かそこらである。(f)同月15日の取調で警察官にその話をしたが,本件ナイフのことばかり話しており,「もう時間だから早くしろ。」と言われて,どうなったのか分からないまま家庭裁判所に送致されてしまった。 c 平成14年7月23日・別件民事訴訟の口頭弁論期日 (a)本件電話供述の11月5日という日にちに確信はなかったが,警察官に「もうここ出ていかなあかんで,早く日にち決めろ。」と言われ,最近Q君にたかった,大体その近辺やろと言われ,「あり得る日にちを今から言うで,その日にしとけ。」と脅されるというか,責められて,11月5日にしてしまった。(b)留置所にいるときが長く,警察官から上記のように迫られ,気が動転しており,昭和病院のことを思い出せずに,11月5日にしてしまった。(c)11月5日が間違いであることは,自分の携帯電話の履歴で明確に分かった。(d)その後,本件架電時期は10月の10日か11日ということを,家裁で供述している。(e)(警察では言っていませんか,警察でも後半に何か……との質問に対し)警察に後半言われている。 d 平成14年10月24日・別件民事訴訟の口頭弁論期日 (a)警察から,本当架電時期を今すぐ決めろと言われ,大体この日ごろかということできつく言ってきて,「じゃ,11月5日頃でいいな。」と言われたので11月5日にした。(b)逮捕から3日くらい後のことだが,お前も本当のこと言って早く出たいやろうと警察官に言われ,当時高校1年生で,留置場などに入るのは初めてで,本当に長く感じていたし,警察官に怒られるような感じで気が動転しており,ストーリー,話を作ったの言っていけと言われたので,これに従った。 e 平成15年1月23日・別件民事訴訟の口頭弁論期日 (a)警察で自分の携帯電話の着信履歴を見せてもらった。(b)11月5日に本当脅迫電話に該当する着信記録がないことがはっきりしたのは,12月8日頃ということでよい。(c)12月15日の取調で,そのことをしゃべったのは間違いない。多分L巡査部
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被告人が,共犯者である日本人の名前で偽造パスポートを取得し(判示第1の犯行),日本各地において他の中国人及び日本人と共に民家や事務所に侵入して,窃盗や強盗を行い,強盗に際して,被害者4名に傷害を負わせ,1名を死亡させた(判示第2ないし第8の犯行)事案 (主 文) 被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 (罪となるべき事実) 被告人は, 第1 A,B及びCと共謀の上,日本人になりすまして使用するため,B名義の一般旅券を不正に入手することを企て,平成15年9月24日ころ,松山市××町○丁目○番○号所在の飲食店「甲」店内等において,行使の目的で,ほしいままに,外務大臣宛の一般旅券発給申請書の本籍欄に「愛媛県伊予市××町○番地○」,現住所欄に「愛媛県伊予市××町○番地○××団地○号」,所持人自署欄及び申請者署名欄にそれぞれ「B」と記入し,申請者署名欄の名下に「B」と刻した印鑑を押捺し,もってB作成名義の一般旅券発給申請書1通を偽造した上,同月26日,同市××町○丁目○番○号所在の愛媛県パスポートセンターにおいて,同センター職員に対し,上記偽造に係る一般旅券発給申請書1通を真正に作成されたもののように装い,被告人の顔写真を添えて上記Bの戸籍抄本等必要書類と共に提出して行使し,愛媛県知事を経由して外務大臣に対し,一般旅券の発給を申請し,同年10月3日,同センターにおいて,外務大臣の発行した上記申請に係るB名義の一般旅券(旅券番号TG○○○○○○○)の交付を受け,もって,不正の行為によって旅券の交付を受け 第2 A,B,C,D及び氏名不詳者3名と共謀の上,民家に押し入って金品を強取しようと企て,同年12月9日午前3時ころ,兵庫県小野市××町○番地の○E方の無施錠の玄関から侵入し,そのころ,同人方1階寝室等において,就寝中のE(当時53歳)及びその内妻F(当時61歳)の目及び口に所携のガムテープを巻き付け,両手及び両足をロープで縛り,その上からガムテープを巻き付けるなどの暴行を加え,「金どこや。」「鍵,鍵,殺す。殺す。鍵どこ。鍵どこ。」「暴れたら殺すど。」などと脅迫し,同人らの反抗を抑圧して,両名の所有に係る現金約2018万円及び腕時計など約21点(時価合計約163万円)を強取し 第3 A,B,C,G及び氏名不詳者1名と共謀の上,平成16年2月15日午後7時30分ころ,愛媛県伊予市××町○番地○××団地○棟○号H方に玄関ドアから侵入し,そのころ,同所において,同人所有に係る現金約18万円を窃取し 第4 A,B,C,G及び氏名不詳者2名と共謀の上,同月20日午後10時30分ころ,同県西条市××○番地の○I方に,2階西側の腰高窓のガラスの一部を取り外して侵入し,そのころ,同所において,同人ほか1名の所有又は管理に係る現金約3923万1116円及び腕時計など約32点(時価合計約1024万9000円)を窃取し 第5 A,G,J及び氏名不詳者3名と共謀の上,民家に押し入って金品を強取しようと企て,同年3月22日午前3時ころ,兵庫県西宮市××町○番○号K方に2階リビング南側掃き出し窓の施錠を外して侵入し,そのころ,1階寝室において就寝中のK(当時73歳)の口に薬様の臭いのする物を押し当てた上,その顔面に所携の布製ガムテープを巻き付けて目や口を塞ぎ,後ろ手にした両手及び両足を所携の結束バンドで緊縛するなどの暴行を加えて,その反抗を抑圧し,同人及びLの所有及び管理に係る現金約250万円及び腕時計など約9点(時価合計約154万3000円)を強取し,その際,上記暴行により,Kに加療約2週間を要する顔面挫傷(皮下溢血),両前腕・手部・手指挫傷兼圧挫創,両下腿部挫傷の傷害を負わせ 第6 A,Gと共謀の上,同年4月27日午前零時30分ころ,松山市××町○番地○××株式会社事務所(代表取締役M看守)内に1階北側の腰高窓の施錠を外して侵入し,そのころ,同事務所内において,M管理に係る現金約148万6000円を窃取し 第7 A,B,C,G及び氏名不詳者3名と共謀の上,民家に押し入って金品を強取しようと企て,同年4月30日午前1時30分ころ,香川県丸亀市××町○丁目○番○号N方に北側無施錠の掃き出し窓から侵入し,そのころ,寝室兼居間において,就寝中のN(当時93歳)及び妻O(当時78歳)に対し,いきなり,両名の顔面に所携の布製ガムテープを巻き付けてその目や口を塞ぎ,両手両足を所携のロープで縛るなどの暴行を加え,「金を出せ。」などと怒号して脅迫し,同人らの反抗を抑圧して上記O所有の現金7000円及びダイヤの指輪など9点(時価合計約80万5000円)を強取し,その際,上記暴行により,Nに加療約1週間を要する右手関節部表皮剥離及び頸部皮下出血等の傷害を,Oに加療約10日間を要する口腔内裂傷及び両手関節打撲擦過創等の傷害をそれぞれ負わせ 第8 G,P,Q,R及び氏名不詳者4名と共謀の上,金品強取の目的で,同年5月11日午前1時30分ころ,青森県弘前市××○丁目○番地○S方に1階南側6畳間のガラス窓から侵入し,そのころ,1階西側寝室で就寝中の上記S(当時63歳)及びその妻T(当時61歳)に対し,同人らの目,鼻口部に所携の布粘着テープを巻き付けて塞ぎ,両手両足をビニール紐で緊縛するなどの暴行を加え,「金どこだ。金を出せば殺さない。金出さなければ殺す。」などと脅迫し,その反抗を抑圧して,両名所有に係る現金約262万1500円及び貴金属など約205点(時価合計約651万2600円)を強取し,その際,上記暴行により,Sを鼻口部閉塞により窒息死させるとともに,Tに加療約10日間を要する右手関節捻挫,頸部・両肩打撲等の傷害を負わせ たものである。 (事実認定の補足説明及び弁護人の主張に対する判断) 1 弁護人は,判示第2ないし第6の各事実について,被告人は全く関与していないとして共謀の事実を否認し,被告人は無罪である旨,また,判示第7及び第8の各事実について,強盗の共謀の事実及び実行行為を行ったことを否認し,被告人は窃盗の限度で共謀共同正犯としての責任を負うにとどまる旨主張し,被告人もこれに沿う供述をするので,この点について判断する。 2 判示第2の事実(以下「小野事件」という。)について (1) 小野事件に関して,被告人の犯人性を基礎づける証拠としては,共犯者であるA,B及びCの各供述があるので,これら共犯者の供述の信用性について検討する。 (2) Aは,概ね以下のとおり供述する。 被告人とは,平成13年12月末ころ,当時自分が経営していたカジノ店で,被告人がトラブルを起こしたことで知り合った。その後,平成14年秋ころに,被告人から,「お金持ちの家を教えて。ちゃんとお礼をするから。」と言われた。さらに,判示第1の偽造パスポート取得の件で,知り合いからCを紹介してもらい,CからBを紹介してもらった。この件では,パスポート申請書記入及び交付のために,被告人と一緒に松山に行った。パスポート取得後,パスポートセンター職員からBを通じて申請書の記入事項について訂正を求められ,平成15年12月1日に被告人と再度松山に行った。大阪から飛行機で行ったが,被告人の分も含めて搭乗券を購入したのは自分であり,自分の分は本名で,被告人の分は被告人の指示により「AA」の名前で購入した。この日は,パスポート申請書の訂正はせず,松山市内の●●ホテルに泊まった。その際,被告人及びBと3人で同ホテル1階の中華料理のレストランで夕食を取った。夕食後,被告人は,Bに対し,「Bさん,ちょっと仕事の話ある。部屋に来て。」と言い,被告人が宿泊する部屋に3人が集まった。被告人は,Bに対して,「お金持ちの家を教えて。ちゃんとお礼するから。」と言った。Bは,被告人が言ったことの意味がよく分からなかったようなので,自分が,被告人にお金持ちの家を教えれば,窃盗をして財物を奪取してくること,被告人から情報提供についてのお礼をもらえることを説明した。被告人は,Bに対し,続けて,欲しい情報として,セコムが付いているか,犬を飼っているか,家族の人数,留守の時間帯,金庫の有無,現金の置き場所などを告げた。これ以外にも被告人は,「強盗だと人数が増えるから,分け前が減る。だから,5000万円以上あるといい。」などと言っていた。Bは,その場でCに電話をして相談をしていた。また,被告人は,「僕,強盗はしない。でも僕の友達,強盗する。」などと言っていたが,これは,自分だけ逃げようとして言ったものだと思う。被告人の分け前の話の後,Cが情報提供を承諾した。同月4日か5日ころ,Bから電話があり,小野事件の被害者宅の情報を知らせてきた。被害者宅の情報のうち,家人が留守になる時間帯については,妻が外出する時間が分からないので,被害者宅が確実に留守になる時間は分からないと言われた。被害者宅の情報を被告人に伝えたところ,下見に行くことになり,Bから情報提供を受けた翌日である同月5日か6日ころ,被告人と2人で被害者宅の下見に行った。場所がよく分からなかったので,2,3回ほどBに電話して聞いた。その翌日,2回目の被害者宅の下見に行った。その際,被告人が,「人がいる場合は沢山で行かなければならない。」と言ったので,強盗をするんだと思った。被告人から運転手をしてほしいと頼まれたので,引き受けることにし,同月8日午後10時又は11時ころ,被告人と待ち合わせをした。小野市に着くのは深夜になるし,普通は人が寝ている時間なので,強盗をやるんだと容易に想像できた。さらに4人の中国人が合流し,被害者宅に向かった。被害者宅には同月9日午前零時ころに着いた。被告人は,「まだ早い。」と言っていたので,被害者宅の家人が寝るのを待っていると思った。車は被害者宅の裏にある会社の敷地のようなところに止めたが,その会社の人と思われる人が来たので,声をかけられる前に車を出した。その後,全員で2時間ほど時間をつぶし,被告人に指示されたところに車を止めた。午前3時ころ,被告人らが被害者宅に侵入した。被告人を含め5人の中国人のうち,3人ぐらいが野球帽をかぶり,全員軍手をしていた。自分は,犯行の間,見張りを兼ねて車内で待っていた。1時間ないし1時間半後ぐらいに被告人らが戻ってきた。被告人は,「1600万円あった。」と言っていた。小野事件で,自分は被告人から報酬として400万円をもらい,BとCの分として,2人分で500万円を預かった。同月10日に,Bに言われたので,銀行からBの名前でB名義の銀行口座に100万円振り込んだ。残額の400万円は,翌11日に,自ら松山に持っていって,200万円ずつに分け,1つをBに,他の1つを別の場所でCに渡した。 (3) Bは,概ね以下のとおり供述する。 自分は当時借金が多く,自己破産をしたほどであり,現金が欲しかったので,Cのところに来たパスポートの名義貸しの話を承諾した。この件で,被告人やAと知り合いになった。平成15年12月1日,パスポート申請書の訂正のため,被告人とAが松山にやってきた。しかし,その日は訂正せず,松山市内の●●ホテルに2人とも宿泊することになった。夕食を3人で同ホテル1階の中華料理のレストランで取った後,被告人から「上に来ないか。」と言われ,被告人が宿泊していた部屋に行った。そこで被告人から,自分の日当のことを安いと言われた。そして,「僕らと一緒に仕事せんか。」という意味のことを言われ,何のことかと思っていたら,同席していたAから「金持ちの情報を教えてくれたら,そこに泥棒に入って,取ったお金から分け前をやると言っている。」と言われた。躊躇していたら,被告人から「窃盗専門で強盗はしない。もう10年もやっているけれど,今まで1回も捕まったことない。毎回使った手袋や靴も捨てているから,絶対に捕まらない。捕まっても,何もしゃべらない。」などと言われた。Cに電話をして,被告人が金持ちの情報を教えて欲しいと言っていると相談したところ,Cは渋ったが,お金が欲しかったので,窃盗専門であること,今まで捕まったことがないことなど被告人から言われたことを伝え,嫌がるCを説得した。そのとき,Cから報酬の話を聞かれて,被告人から言われた「人がいなかったら折半。5000万円以上あったら折半。それ以下なら30パーセント。」という内容をCに言った。被告人は,話の中で「本当に金あったらすぐ行く。強盗になったら逃げないといけない。」ということも言っており,強盗はしないと言ってはいたが,本当は強盗もするのだと思った。被告人から金持ちの情報として要求されたのは,住所,氏名,電話番号,セコムのない家,犬がいない家,家族構成,家族の生活パターン,留守の時間帯,部屋の間取りや金のある場所,家に置いてある金額とそう思う理由などであり,詳しければ詳しいほど良かった。同月4日の夕方ころ,Cから被害者宅の住所,名前,電話番号,5000万円ぐらいあることなどの情報が入り,住所,名前,電話番号については携帯電話のメールで送信もしてきた。すぐにAにこれらの情報を伝えた。Aを通じて被告人にも情報を流した。Aから被害者宅に5000万円ぐらいある理由を聞かれたので,Cに聞いたところ,「ヤミ金融をしており,表に出せない金がある。」と言っていたので,そのままAに伝えた。同月7日ころ,Aらが被害者宅の下見に行ったが,その際,Aから「被害者宅が分からん。」などの電話がかかり,Cに確認をして,またAに電話をした。このとき,Aと被告人が話しているのが電話越しに聞こえた。同月9日にA,被告人らが犯行を行い,10日にAから電話があって「昨日行って来た。」と言われた。分け前については,Cに聞いたら,そのような金は振り込んでもらってはいけないと言われたので,Cが早急に必要としている100万円だけ10日のうちにAに自分名義の銀行口座に振り込んでもらい,11日に松山で残額をAから受け取った。このとき,AはCに「強盗になってすみません。1割の200に色を付けて100足して300にしました。」と言っていた。分け前は全部で300万円で,そのうち自分が100万円,Cが200万円取った。 (4) Cは,概ね以下のとおり供述する。 Bは,義理の兄にあたることから,偽造パスポート事件以前から相応の付き合いはあった。Aと被告人とは,偽造パスポート事件をきっかけに知り合った。その後,平成15年11月下旬か12月上旬ころ,Bから電話があり,「金持ちの情報を教えてほしい。」と言われた。被告人が金持ちの情報を欲しがっているとのことだった。Bからは,「盗み専門で10年くらいやっているが,捕まったことはない。服や靴も捨てるなどしているから大丈夫。住所や名前などを教えてほしい。報酬は3割で,5000万円以上なら半分。」と言われた。Bから言われた当初は渋ったが,棚ぼた式に報酬をもらえることとBからの強い説得により,情報提供を承諾した。収集できる金持ちの情報としては,ヤミ金融をしている者,ヤミ金融を利用している者,その関係者に関する情報を手に入れることにして,そういう仲間の1人から被害者宅の情報を手に入れた。被害者は,ヤミ金融業者で,手形を割り引いてくれることを聞いていたので,知り合いから聞いたり,NTTの番号案内で住所と電話番号を聞き出した。そのとき,メモを取ったが,メモは,Bに電話で伝えた後,用が無くなったことと証拠を残さないために破って捨てた。12月4日又は5日にBに情報を流したが,その内容は,住所,名前,電話番号の他,ヤミ金融をしているので金を持っていること,家に数千万円はあること,家族は夫婦2人であること,夫は仕事で昼間に出ていったら夜まで帰ってこないこと,昼間に妻が買い物に出たら家には誰もいなくなることなどであった。後日,Bから,「被害者宅が分からないから教えてと言っている。」「住んでいる気配ないけど,どうなっていると聞いてきている。」などと言われたので,被告人らが下見をしているんだと思った。犯行翌日の10日に100万円が必要だったので,Bに頼んでAに報酬のうちから100万円をB名義の銀行口座に振り込んでもらい,その日の午後に銀行の駐車場でBと待ち合わせをして,その100万円を受け取った。翌11日に松山でAから200万円を報酬の残額としてもらい,Bと折半した。Aは,報酬残額の受渡しの時に「今回は強盗になってしまってすみませんでした。強盗の場合は1割の報酬で我慢してください。今回は少し色を付けさせてもらってます。」と言っていた。 (5) A供述の信用性 A供述は,被告人と知り合った経緯,判示第1の偽造パスポート事件からBらを情報提供者として引き込むことになった経緯,被告人によるBの勧誘状況,そのときのB及びCの様子,被告人がBに欲しがった情報の内容,被告人と下見に行ったときの様子,本件犯行時の状況,犯行直後の被告人の言動など,その内容が具体的で詳細であり,不自然,不合理な点は認められない上,一貫している。 また,A供述に符合するように,Bの名前で,乙銀行から丙信用金庫のB名義の口座に100万円が振り込まれており,被害者宅の裏に位置する会社の従業員が,平成15年12月9日午前零時30分ころ,会社の敷地内に不審車両が止まっていることに気付き,事務所から出て近づいたところ,その車両は出ていった旨供述している。さらに,同月1日にAと被告人が松山市内の●●ホテルに宿泊し,1階の中華料理店で,A,B及び被告人で食事をした事実については,被告人も認めている。 加えて,A供述は,被告人とBやCが知り合った経緯,被告人がBに情報提供を依頼した時の様子,情報提供の時期及び内容,本件犯行後すぐにB及びCに対して分け前を渡したこと等について,B供述及びC供述とほぼ合致している。 なお,A供述とB供述は,B及びCの分け前の点について,Aは500万円,Bは300万円とそれぞれ供述し,食い違うが,それをもってA供述の信用性が低くなるとまで言うことはできない。 また,Aが,被告人を引っ張り込むような恨みを抱いていたなどの事情があったということは,本件全証拠をもってしても認められない。 以上を総合すれば,A供述の信用性は高いと認められる。 (6) B供述の信用性 B供述は,被告人やAと知り合った経緯,被告人から金持ちの家の情報提供を依頼されたときの状況,被害者宅の情報を提供した時の状況,被告人やAが下見に行ったときの電話の内容,犯行後のAからの連絡状況,分け前の受け取り方など,その内容が具体的で詳細であり,不自然,不合理な点は認められず,内容も一貫している。 また,B供述は,前記のとおり,B名義の口座に100万円が振り込まれていることと合致する。 さらに,B供述は,被告人とBやCが知り合った経緯,被告人がBに情報提供を依頼した時の状況,情報提供の時期及び内容,本件犯行後すぐにB及びCに対して分け前を渡したこと等について,A供述及びC供述とほぼ合致している。 なお,前記のとおり,B供述とA供述は,B及びCの分け前の点について食い違いが見られるが,それがB供述の信用性に影響を及ぼすとまでは言えないことは前記のとおりである。 以上を総合すれば,B供述の信用性は高いと認められる。 (7) C供述の信用性 C供述は,被告人らと知り合った経緯,被告人から情報提供を依頼された時の状況,金持ちの情報収集の仕方,小野事件被害者宅の情報収集の状況,Bへのそれらの情報の伝え方,被告人らが下見を行っていると思ったときの様子,Aから報酬を受け取ったときの状況など,具体的かつ詳細であり,不自然,不合理な点は認められず,内容も一貫している。 また,C供述は,前記のとおりB名義の口座に100万円が振り込まれていることと合致する。 さらに,C供述は,被告人やAと知り合った経緯,被告人から情報提供を依頼されたときの状況,被害者宅についてBに流した情報,被告人らが下見を行った時の電話の様子,報酬の受領方法等について,AやBの供述とほぼ合致している。 以上を総合すれば,C供述の信用性は高いと認められる。 (8) 信用できるA供述,B供述及びC供述によれば,被告人は,平成15年12月1日に,Bに対し,金持ちの情報提供を依頼したこと,BはCにその場で電話をし,Cも情報提供を承諾したこと,その際,被告人は,「金あればすぐに行く。強盗になったら急いで逃げなければならない。」などと強盗を行う可能性もある内容の発言をしたこと,Bから被害者宅の情報提供を受けてすぐにAと下見に行っていること,下見の際にBを通じてCに被害者宅の場所等について質問をしていること,CからBを介して提供された被害者宅の情報の中には,家人が不在となる時間帯の情報について,妻が買い物にでかければ不在となるという程度のものしかなく,旅行など家人が確実に不在となる時間帯についての情報がなかったこと,被告人がAに犯行の際の被害者宅への運転手役を依頼したこと,被告人が,被害者宅への侵入時間を決めていたこと,犯行は,通常は人が寝静まっている夜中に行われていること,Aが待つ車内に戻ってきたときに被告人が「1600万円くらいあった。」などと発言したこと,被告人がAへ報酬を渡し,B及びCにも被告人がAを経由して報酬を渡したことをそれぞれ認めることができる。また,Aは中国語を話せず,被告人とも日本語で会話をしていたこと,被告人以外にも4人の中国人が本件の実行役として加担していたことからすると,被告人が他の中国人を本件犯行の実行役として招集したと合理的に推認することができる。 そうすると,被告人とA,B,C及び他の中国人4人との間で本件住居侵入,強盗についての共謀がなされ,被告人自身も被害者宅に侵入して強盗の実行行為を行ったと認められる。 3 判示第3の事実について (1) この事件に関して,被告人の犯人性を基礎づける証拠としては,共犯者であるA,B及びCの各供述があるので,これら共犯者の供述の信用性について検討することとする。 (2) A供述 Aは,概ね以下のとおり供述する(この事件に至る経緯について,小野事件における供述と重複する部分については,前述のとおりであるので,この事件に関する供述について検討する。以下同じ。) Bから,平成16年2月13日又は14日ころ,1人暮らしのおばあちゃんがつい最近銀行から1000万円を下ろし,家に置いたままにしているとの情報が入った。被告人から,なぜそのような現金が被害者宅にあるのかという疑問が出たが,Bは,身内の人間がおばあちゃんの所にお金を借りに行ったことがあり,その身内からの情報であると答えていた。2月14日又は15日の昼間に被告人と下見に行った。Bが住んでいる団地と同じ団地内であること,1番奥の棟であること,部屋番号が分かっていたので,団地までBに案内してもらい,団地の敷地に入ってからは被告人と2人で下見に行った。途中,防犯カメラを見つけたので,Bに電話で確認したところ,Bから「それはダミーや。心配ない。」と言われ,下見を続行した。1番奥の棟の前にある駐車スペースに車を止め,被告人が建物の階段を上っていった。戻って来たとき,被告人は「おばあちゃんの部屋,上がって右側。」と言っていた。その日の夕方ころ,Bから「団地の集会が今日ある。1人暮らしだから,集会の時であれば大丈夫と思う。自分もそれに出るから,おばあちゃんが集会に出ているかとか,帰る時間が分かる。」と連絡が入った。その際,Bは集会の時間も言っていた。そこで,被告人,G,氏名不詳の中国人1人と自分の合計4人で被害者宅に向かった。午後7時10分ころに団地に着き,Bに電話をして被害者が集会に出て家が留守であることを確認した。午後7時30分ころ,被告人と中国人1人が車から降りて被害者宅に向かった。戻ってきたとき,被告人は「金なかった。何もない。あんなとこ人住んでるの。」などと言っていた。 (3) B供述 Bは,概ね以下のとおり供述する。 平成16年2月13日か14日ころ,Cから「Bの家の近くに1人暮らしの金持ちのばあちゃんがいるらしい。身内の人間がおばあちゃんに金を借りに行ったが断られた。」との情報が入った。続けて同月15日に,その老人は自分が住む団地の住人であること,道路から一番奥の棟の3階に住んでいること,被害者の名前,何日か前に貯金を下ろして持っているらしいことを聞いた。いずれの情報もすぐにAを通じて被告人に伝えた。A経由で被告人から「どうして金がある。」という質問を受けたので,Cに確認したところ,「おばあちゃんの身内の話だから間違いない。」と言われ,すぐに被告人に伝えた。下見も犯行も2月15日に行った。下見は自分と被告人,Aの3人で行った。自分はその団地に住んでいるので,団地まで2人を案内して,団地の敷地内に入ってからは2人で見てもらった。同日午後6時ころ,2か月に1回開かれる団地の総会の案内が放送され,すぐにAに伝えた。Aは,「分かった。U(被告人)に言うとくわ。」と答えた。総会開始後,Aから電話があり,団地までの道を聞かれた他,Aに被害者が総会に出席していることを伝えた。犯行後,Aから被害者宅にお金がなかったことを言われた。 (4) C供述 Cは概ね以下のとおり供述する。 自分の役割は情報提供役であったが,この事件について自分がBに流した情報は,Bと同じ団地に住んでいる者が,銀行から1000万円下ろして家に保管しているという内容だった。これは,手形回収を依頼されたことから知った情報である。Bには,上記内容に加えて,「身内の人間が借りに行ったんやけど貸してくれなかったらしい。借りに行った人間も切羽詰まっていたので嘘は言わんと思う。」と話した。その後,被害者宅の部屋の場所や被害者の名前をBに教えた。本件犯行の奪取額に関して,Bから,金目の物は一切なかったと電話で言われた。 (5) A供述の信用性 A供述は,Bから情報提供があったときの状況,被告人と下見に行ったときの様子,本件犯行直前にBに連絡をしたときの状況,本件犯行直後の被告人の言動など,その内容が明確で具体的かつ詳細であり,不自然,不合理な点は認められず,供述内容は一貫している。 また,A供述は,B供述及びC供述と内容がほぼ合致している上,本件犯行当日に団地の集会が開催され,それに被害者が出席していた点について,団地の自治会長の供述内容と一致する。 さらに,Aは,被告人が参加しなかった窃盗についても供述しているところ,被告人との共謀にかかる事件とそうではない事件を明確に区別していることから,他の事件と混同して供述をしているとは認められず,ほかに,被告人を敢えて引っ張り込むほどの事情は認められない。 以上を総合すれば,A供述の信用性は高いと認められる。 (6) B供述の信用性 B供述は,情報を入手した時の状況,それをAを介して被告人に伝えた時の状況,下見の際の様子,本件犯行直前のAとの電話でのやりとりなど,内容が明確で具体的かつ詳細であり,一貫していて,不自然,不合理な点は認められない。 また,B供述は,A供述及びC供述と内容がほぼ合致している他,本件犯行当日に団地の集会が開催され,それにB自身及び被害者が出席していた点について,団地の自治会長の供述内容と一致する。 以上を総合すれば,B供述の信用性は高いと認められる。 (7) C供述の信用性 C供述は,本件被害者宅の情報を入手した経緯,被害者宅の情報をBに流した状況など,その内容が明確で具体的であり,不自然,不合理な点は認められない。 また,被害者宅の情報に関して,被害者が1000万円を家に保管していると言える理由,被害者宅の具体的な場所や名前は1000万円についての情報とは別の機会に伝えたことなど,Cが関わっている部分について,A供述及びB供述とほぼ合致している。 以上を総合すれば,C供述の信用性は高いと認められる。 (8) 信用できるA供述,B供述及びC供述によれば,被告人は,被害者が確実に不在となる時間も含め,事前に被害者宅についての情報を得ていたこと,A及びBと下見を行っていること,本件犯行時刻ころ,AやGを含む他の中国人と一緒に被害者宅近くに行ったこと,本件犯行時刻ころに被告人は他の中国人と車を降りて被害者宅の方に行ったこと,Aの待つ車内に戻ってきてから「おばあちゃん,お金置いてなかった。」等の発言をしたことを認めることができる。 そうすると,被告人とA,B,C,G及び氏名不詳者1名との間で,本件住居侵入,窃盗についての共謀がなされ,被告人自身も本件住居侵入,窃盗の実行行為を行ったと認められる。 4 判示第4の事実(以下「西条事件」という。)について (1) 西条事件に関して,被告人の犯人性を基礎づける証拠としては,共犯者であるA,B及びCの各供述があるので,これら共犯者の供述の信用性について検討する。 (2) A供述 Aは,概ね以下のとおり供述する。 平成16年2月16日ころにBから最初の情報提供があった。その内容は,会社兼社長宅であること,ヤミ金融もやっていること,少なくとも5000万円,多ければ1億あること,年を取った夫婦2人暮らしであること,息子がいるが,遠くに住んでいて疎遠であることという内容だった。同月16日か17日ころに被告人の指示で2人で下見に行った。同月18日に,Bから「あさってから被害者夫婦が旅行に出て留守になる。」との情報が入った。19日にもBから電話があり,「確実に旅行に出るみたいや。」と言われた。被告人にBからの話を伝えたところ,被告人が「明日行く。」と言った。そこで,被害者夫婦が旅行に出たその日に被害者宅に侵入した。平成16年2月20日ころのことだと思う。被害者宅には,被告人,G,中国人2人と自分の合計5人で向かった。自分は運転手役だった。被害者宅に着くと,車があったので,被告人にBにもう一度留守かどうかを聞くように言われ,Bに聞いたところ,「旅行に出ていることは間違いない。誰もいないので大丈夫や。」と言われ,被告人にその旨伝えた。午後10時30分ころに被告人と中国人2人の3人が被害者宅に向かった。Gは,被害者宅の中には入らず,車の前当たりでうろうろしていた。途中,Gがバールを入れたケースを車から持ち出し,被害者宅の方に持っていったが,その後はまた車の前でうろうろしていた。戻ってきた被告人から「1500万円ぐらいあった。」と言われた。この事件での自分の分け前は100万円,BにはCの分と併せて100万か200万円を渡した。 (3) B供述 Bは,概ね以下のとおり供述する。 この事件の被害者についての情報は,平成16年2月16日か17日ころにCから聞いた。入手した情報内容は,看板を出してやっている金貸しであること,住所,名前,夫婦と子供何人かの家族であること,今週末旅行で不在になることだった。すぐにAに伝え,Aから被告人にも伝えられた。情報を流した3,4日後である2月20日か21日の午後7時ころに,Aから「今から行って来る。帰ったら連絡する。」と言われ,Cに「今から行くそうです。」と連絡した。その後,Aから「車庫に車が止まっているけど,誰かいるんとちがうか。」と言われたが,Cが否定したので,そのままAに伝えた。本件犯行後,被告人らが当時住んでいた松山のマンションに行ったら,被告人から「1000万しかなかった。これ,Bさんの。」と200万か300万をもらった。それをCと分け,自分は100万円をもらった。被告人は,現金の他にプラチナかシルバーの幅1センチメートルぐらい,高さ5ミリメートルぐらいの四角い台がついている指輪をくれようとしたが,AやCから「足がつく」と言われたので,断った。 (4) C供述 Cは,概ね以下のとおり供述する。 被害者が経営しているI金融のことは平成13年ころから知っていた。金庫の大体の場所についても知っていた。平成16年2月上旬ころ,同月20日から23日にかけて被害者宅が留守になることを知った。そこで,Bに,西条市(当時の東予市)に正式にI金融という看板を掲げて商売しているところがあること,住所,夫婦2人暮らしで,子供がいるが不仲で一切寄りつかないこと,家族旅行で留守になることを伝えた。なお,Bには被害者宅に5000万円,もしかしたら1億円くらいはあるかもしれないと言ったが,これは自分が入手した情報にはなく,全く根拠のない話である。その後,Bに対し,簡単な家の間取りと現金の保管場所を書いたメモを直接渡した。本件犯行時は,Bと一緒に車内で犯行終了を待っていた。途中,Aから「被害者宅に車が置いてあるが大丈夫か。」という電話が来て,Bに聞かれたが,情報収集は犯罪をするということを言わずに集めたのであって,情報源に確認できないことから,車外に出て電話をする振りをし,Bに「社長の車らしい。旅行に出かけて誰もいないと思う。」と答えた。Bは,それをAに伝えていた。本件犯行後,Bは実行犯らが滞在していたマンションに分け前をもらいに行き,300万円もらってきた。全部で1000万円あったと聞いていたので,自分たちの分け前は当初の約束どおり1000万円の3割で300万円だと思った。宝石について聞かれたが,それはもらわない方がいいとアドバイスした。Bがもらってきた300万円のうち,100万円をBに渡し,自分は200万円を取った。 (5) A供述の信用性 A供述は,Bから最初の情報提供があったときの内容,その後被害者宅が確実に留守になる時期についての情報が入ったときの状況,本件犯行直前に被告人に言われてBに連絡を取ったときの状況,本件犯行時の共犯者Gの様子,本件犯行直後の被告人の言動など,その内容が明確であり,具体的かつ詳細で,不自然,不合理な点は認められず,内容も一貫している。 A供述によれば,被告人ら実行犯は,被害者宅にバールを持ち込んだことが推測できるが,これは,被害者宅内に放置されていた金庫の工具痕と,被告人から処分を依頼されてBが保管していたバールによる痕とが一致することからも裏付けられる。 また,A供述は,B供述,C供述とその内容がほぼ合致している。 さらに,前記のとおり,Aは被告人と共謀して行った窃盗とそうでないものとを明確に区別していることから,他の事件と混同して供述をしているとは認められず,ほかに被告人を敢えて引っ張り込むほどの事情は認められない。 以上からすれば,A供述の信用性は高いと認められる。 (6) B供述の信用性 B供述は,入手した情報内容,本件犯行直前のAとの電話のやりとり,本件犯行後に被告人から分け前をもらったときの状況など,供述内容が具体的かつ詳細で,不自然,不合理な点は認められず,自然であって,A供述ともほぼ合致している。 以上からすれば,B供述の信用性は高いと認められる。 (7) C供述の信用性 C供述は,Bに伝えた情報の内容,本件犯行時にBと待機していたときの状況,犯行後の分け前を取得したときの状況等,具体的かつ詳細で自然であり,不自然,不合理な点は認められない。 また,CからBに伝えられた情報内容,犯行時にAから電話があったこと及びそれに対するCらの返答,犯行後の分け前取得時にBが宝石を被告人から薦められたことなど,A及びBの供述とほぼ合致している。 以上からすれば,C供述の信用性は高いと認められる。 (8) 信用できるA供述,B供述及びC供述によれば,被害者宅についての情報がCからB,Aを通じて被告人に伝わっていたこと,情報の中には被害者宅が確実に留守になる日時が含まれていたこと,その情報によれば家人が不在となる日に,被告人はA,Gらと一緒に被害者宅まで行っていること,そこでAに依頼してBに被害者宅の不在状況を再度確認したこと,本件犯行後,被告人がAやBに分け前を分配していることを認めることができる。これに,本件犯行にはBが後に被告人から処分を依頼され,そのまま保管していたバールを使用していることを併せ考慮すれば,被告人とA,B,C,G及び氏名不詳者2名との間で,本件住居侵入,窃盗についての共謀がなされ,被告人自身も本件住居侵入,窃盗の実行行為を行ったと認められる。 5 判示第5の事実(以下「西宮事件」という。)について (1) 西宮事件に関して,被告人の犯人性を基礎づける証拠としては,共犯者であるAの供述があるので,この供述の信用性について検討する。 (2) A供述の信用性 ア Aは概ね以下のとおり供述する。 平成16年3月15日ころ,Vという人から被告人がトヨタクラウン紺色を購入した。自分もその場面に一緒に行ったが,代金の90万円を払ったのは被告人である。その車は,愛媛ナンバーだったので,被告人が「関西のナンバーでないとだめ。」と言い,Vが大阪のナンバーに変えてきた。この事件の情報は,自分の知らない間に,被告人がどこからか仕入れてきた。同年3月16日か17日ころに被告人と2人で被害者宅の下見に行った。下見には2回行った。同月21日午後10時か11時ころに被告人から電話があり,迎えに来るように言われ,22日午前零時ころ,トヨタクラウン紺色を運転し,大阪市内のコインパーキングで被告人,Gと待ち合わせた。しばらくして日産ブルーバードが来た。運転手は被告人の彼女のJだった。それから名前を知らない中国人が3人来た。自分はクラウンの運転手であり,被告人,G及び名前を知らない中国人1名が乗った。出発の際に被告人から「彼女が後ろをついて走るから,ゆっくり走って。」と言われ,J運転のブルーバードがついてきているか注意しながら運転した。西宮に向けて出発したのが同日午前零時30分か40分ころだった。走り始めて5,6分後に,コンビニエンスストアに被告人とGが入っていった。水を買っていたが,他に何を買ったかは知らない。被害者宅に着いたのが同日午前2時ころ。雨が降っていた。午前3時ころ,被告人が「今から行ってくる。」と言って車から降りた。その後,1回被告人から電話があり,「今から1人道具を取りに行くから。」と言われたが,ほどなくして中国人1人がやってきて,自分が乗っていたクラウンのトランクからバール等が入った釣り竿ケースのようなかばんを持っていった。1時間ぐらい待ったが,その間,1回トイレに行った以外はずっと車内にいた。戻ってきた被告人は,「お金なかった。」と言った。帰りは被告人の指示により,高速道路を使わずに帰った。犯行翌日,被告人は,「200万円あったが,全部横浜から来た友達に渡した。自分も分け前がない。」と言っていた。本件で分け前はもらっていない。本件は,被告人が自分の彼女であるJを運転手役に使っていることからすれば,被告人が主犯格と思う。分け前を決めるのも被告人だった。 イ(ア) A供述は,事件に使用した車両(トヨタクラウン)を購入した時の状況,本件犯行のために被告人らと待ち合わせた際の被告人の言葉,被害者宅に赴く際にコンビニエンスストアに寄ったこと,道順,犯行直前の共犯者や被告人の言動,犯行終了を待っている間にトイレに行ったこと,途中で1人の中国人がバール等を取りに戻ってきたこと,犯行直後の被告人の言動等,その供述内容は明確で具体的かつ詳細であり,内容も一貫しており,不自然,不合理な点も見られない。 (イ) また,A供述に見られる本件犯行時の天候や使用車両の登録状況は,客観的事実と合致し,使用車両の購入状況が,売り主のVの供述とほぼ一致する。 さらに,A供述によれば,犯行のために被害者宅に赴く途中で,被告人らがコンビニエンスストアに立ち寄ったとされているところ,本件被害者を緊縛するために使用されたガムテープが,Aが途中で立ち寄ったというコンビニエンスストアで販売されているガムテープと同一種類の物であることが認められる。 そして,Aが被告人を敢えて引っ張り込む原因となるような事情は認められない。 ウ 以上を総合すると,A供述の信用性は高いと認められる。 (3) これに対し,被告人は,「自分は全く身に覚えがないし,Jについては印象になく,クラウンを買ったこともない。」と供述する。しかし,この供述は,「被告人と親しかった」とのJの供述や,「クラウンを被告人に売った」とするVの供述と合致していない。 したがって,被告人の供述は信用することができない。 (4) 信用できるA供述によれば,被告人が被害者宅の情報を独自に仕入れたこと,犯行に使用した車両を被告人が購入したこと,犯行前にAと被害者宅の下見に行っていること,被害者宅に到着後,Aに対して「今から行ってくる。」という侵入するような発言を被告人がしたこと,分け前についてAに被告人自ら話したことを認めることができる。そうすると,被告人とA,G,J及び氏名不詳者3名との間で,本件住居侵入,強盗の共謀がなされ,被告人自身も実行行為を行ったと認められる。 6 判示第6の事実について (1) この事件に関して,被告人の犯人性を基礎づける証拠としては,共犯者Aの供述があるので,この供述の信用性について検討する。 (2) A供述の信用性 ア Aは,概ね以下のとおり供述する。 この事件は平成16年4月27日ころにやった。26日の午後11時50分ころに被告人から「ちょっと見に行く。」と言われたので,運転手として付いていくことにしたが,時間帯がいつもは下見をしない真夜中であったこと,強盗などを実際にするときにしか来ないGも来たことから,下見ではなくて強盗などをするのかと思った。27日午前零時30分ころ,被告人が車から降りて被害者宅の方に向かった。少ししてバールを取りに戻り,Gも一緒についていった。車に戻ってきて,被告人は「15万円ぐらいしかなかった。」と言っていたが,盗んできたものとして,お札の他に小銭や切手も見た。この事件の時はずっと雨が降っていた。分け前はなかった。 イ(ア) A供述は,本件犯行時に被告人から下見に行くようなことを言われたものの,下見ではないと思った根拠,本件犯行時の共犯者の様子,犯行直後の被告人の言動など,その内容が明確で具体的かつ詳細であり,迫真的である。 (イ) また,Aは,窃取した物の中に小銭や切手もあったと供述しているが,これは,本件被害品の中に小銭や印紙が含まれていたことと合致する。また,Aの供述する犯行時の天候も客観的証拠と符合する。 (ウ) さらに,前記のとおり,Aは被告人と共謀して行った窃盗とそうでないものとを明確に区別していることから,他の事件と混同して供述しているとは認められず,ほかに,被告人を敢えて引っ張り込むほどの事情は認められない。 ウ 以上を総合すれば,A供述の信用性は高いと認められる。 (3) 信用できるA供述によれば,本件犯行時刻ころ,被告人はA及びGと一緒に被害者宅にまで行ったこと,Gは下見ではなく実行行為を行う際に同行する人物であったこと,バールなどを犯行現場に持っていったこと,被告人は,Aの待つ車に戻ってきてから「15万円しかなかった。」と言ったことを認めることができる。 これらの事実からすれば,被告人とA及びGとの間で,本件建造物侵入,窃盗の共謀がなされ,被告人自身も実行行為を行ったと認められる。 7 判示第7の事実(以下「丸亀事件」という。)について (1) 丸亀事件に関して,被告人の犯人性を基礎づける証拠としては,共犯者であるA,B及びCの各供述があるので,これらの供述の信用性について検討する。 (2) A供述 Aは,概ね以下のとおり供述する。 窃盗をするか強盗をするかは被告人の判断で決まった。現金がありそうでセコムや犬がいなければ被告人の独断で強盗になった。被告人は,強盗の可能性のある民家は自分で見に行ったし,強盗か窃盗かの判断や,一緒にやってもらう中国人の仲間の決め方,分け前の分配の仕方など,どれも被告人が主導的に決めていた。平成15年12月に松山に行って以降,被告人の依頼でBに松山市内にマンションを探してもらった。2DKか3DKで家賃は6万円くらい,街中というのが被告人の希望だった。車もBに頼んで用意してもらった。被告人の希望はワンボックスで2000ccか2500cc以上のもので,安い車ということだったが,結局ホンダのレジェンドしか見つからず,それを20万円で被告人が買った。その車の車検は5月末までだった。そのほかに,エステ店を借りることもBに依頼した。平成16年1月下旬にBからいつ松山に来るのか聞かれたが,被告人が松山に行く時期を決めていたので,勝手に動くことはできなかった。同年2月11日に被告人と松山に行き,12日にマンションを見て回り,13日に賃貸借契約を締結した。被告人は事前にB名義の銀行口座に50万円を振り込んでおり,家賃等はそこから支払った。また,賃貸借契約締結の際には,Cが不動産屋に行った。賃貸借契約を締結したその日のうちに,被告人はBと買い物に行き,家財道具を揃えた。13日か14日にはGも松山に来た。また,早い段階でバールも用意されており,被告人は下見や実行行為に行くときはカーナビを使用していた。松山で買ったレジェンドには,2月15日か16日にカーナビをつけた。4月25日に被告人と飛行機で大阪から松山に行った。そのとき,自分は本名で,被告人は「AA」で航空券を取った。被告人の航空券を取るときは,いつもその名前で取っていたが,それは被告人から言われた名前であった。なお,場合によってGの航空券も一緒に取ることがあったが,そのときの航空券の搭乗者名は「BB」とか「CC」とか適当に自分で考えた名前だった。同月26日に被告人とBと自分の3人で被害者宅の下見に行った。被告人は,「こんなボロボロの家,お金あるの。大丈夫。」と言っていたが,Bは「大丈夫」と答えた。同月27日か28日に被告人と2人でもう一度被害者宅の下見に行った。1回目の下見の際に被害者宅をカーナビに登録していたので,それを使って行った。2回目は,午後8時ころの完全に日が暮れてからの下見だった。29日になって下見に使ったレジェンドが壊れたので,被告人の指示で修理に出し,Bに2台の車の用意を頼んだ。同日午後11時に,被告人が「行くか。」と言ったので,被告人,B,G,名前の分からない3人の中国人及び自分の合計7人で出発した。この事件では,被害者宅が留守になる状況が分かっていなかったので,強盗になると思っていた。自分はセルシオの運転手で,被告人とGが同乗した。Bがスターレットの運転手だった。2台の車は,セルシオ,スターレットの順番で走った。同月30日午前1時30分ころ,中国人らが車から降りていった。被告人とGは白色の軍手をしていて,被告人は普段からしているウェストポーチをつけていた。バールも車に積んでいたが,そのバールは2,3本で,直径2,3センチメートルくらい,長さが1メートルくらいの金属製の物であった。被告人以外の中国人のうち2,3人は野球帽を目深にかぶっていた。被告人から「何かあったら電話して。」と言われた。途中2回ほど被告人から電話があって,「金がない。」「やっぱり全然お金ない。」と言われたので,いずれの時もすぐにBに連絡した。車に戻ってきた被告人は,「家の中ボロボロ。お金ないでしょ,こんな家に。」と怒っていた。なお,被告人は,被害者宅から自分が待っていた車に戻ってくるときから足をひきずっており,「逃げるとき踏み外した。」と言っていた。帰りに車のリヤガラスの下に白色ビニール紐を見つけた。この事件での分け前はなかった。自分が連絡用に使っていた携帯電話の番号は,090-0000-0000であり,プリペイド式携帯電話の番号は090-1111-1111だった。Bの携帯電話の番号は090-2222-2222で,プリペイド式携帯電話の番号は080-3333-3333で,被告人の携帯電話の番号は平成16年5月末ころまでは090-4444-4444だった。 (3) B供述 Bは,概ね以下のとおり供述する。 平成15年12月後半にAを介して被告人からワンボックスの中古車を探すように言われたが,普通車しか見つからず,結局その普通車を平成16年2月に被告人とAが松山に来たときに被告人が買った。2月11日か12日に自分が車を受取りに行き,●●ホテルに宿泊していたAの所に届けた。この車はカーナビを付けたが,車を何回か修理に出した上,4月29日にラジエーターが壊れて車屋に持ち込んで,そのままにしてある。車の話があった後の平成16年1月の後半にマンションを借りるように被告人からAを経由して頼まれた。2月11日に被告人とAが松山に来たので,12日に自分を含めた3人で,予めCと探しておいた複数の物件を見て回り,繁華街にあるマンションに決め,13日に賃貸借契約を締結した。その際のお金は,予め被告人に頼まれて自分名義の銀行口座を貸してあげており,そこに被告人から現金が振り込まれていたので,その現金から賃料等を支払った。賃借人はWという人間であった。被告人らは契約後すぐにマンションに入居した。その日のうちに被告人と家電製品などを買いに行った。Aもいたと思うが,はっきりしない。Gとも翌14日に2人で買い物に行った。なお,マンション以外に中国エステ店についても,1月10日前後にAから「U(被告人)の知り合いがエステ店をやるけど,名義貸してくれる人おらん。」と言われ,報酬があることと許可をもらって店をやることから,自分が名義を貸すことを承諾した。4月になって,被害者宅について,住所,高齢の夫婦2人のみという家族構成,冷凍食品会社の関係者の身内でヤミ金融をしていること,自宅に数千万円の現金があることなどの情報が入り,同月25日に被告人とAが松山に来て,翌26日に3人で被害者宅の下見に行った。同月29日,被告人から「友達が来るから空港まで迎えに行ってほしい。」と言われ,松山空港まで行った。3人来ると言われていたが,時間に少し遅れたので,1人は先に松山市内に行ってしまったらしく,結局2人を車に乗せて被告人の元に連れて行った。そこで,Aから「今晩行くから,車を2台用意しておいてくれ。」と言われ,C及び実弟から1台ずつ車を借りた。同日,被告人から午後11時にマンションに来るように言われ,午後10時44分ころにマンションに着いた。本件では,家人がいつごろ留守になるという情報はなく,夜には人が在宅していることは常識であること,小野事件で強盗もあると分かっていたことから,今回も強盗をするんだと思った。午後11時ころ,被告人の合図で全員マンションの部屋を出て,上記2台の車に分乗した。自分は実弟から借りたスターレットを運転し,名前の分からない中国人3人を乗せ,Cから借りたセルシオはAが運転し,そこに被告人,Gらが乗った。同月30日午前1時ころに被害者宅近くに到着した。その後,1人になって20ないし30分ほど経ったころ,Aから電話があって,車を移動させた。それからも2回ほどAから電話があり,「U(被告人)が金ない言いよるぞ。」「ほんまにあるんか。」と言われた。2時ころに被告人らが戻ってきた。マンションに帰り着いたのは午前4時前ころだった。部屋で,被告人が「これだけしかなかった。7000円しかなかった。」と言った。被告人は貴金属類も持っていたが,「全部偽物。」と言いながらゴミ箱に捨てた。マンションに帰ってから,被告人が足を怪我していることに気が付いた。 (4) C供述 Cは,概ね以下のとおり供述する。 平成15年12月中旬ころ,Bから電話でワンボックスカーの安い車がないか尋ねられたが,見つからず,Wから他人名義の普通車のことを聞き,Bに伝えた。この件で報酬をもらった。結局,その車を被告人が買った。また,平成16年1月初めころには,エステ店の保証人をBから頼まれたところ,小金稼ぎができると思って引き受けた。この件でも報酬をもらった。その後,Bから「エステの従業員が住むマンションを探してほしい。」ということと賃借人の名義を誰かに貸してほしいということを頼まれた。上記Wを賃借人にして,自分は他の知り合いと保証人になることにした。金持ちの情報は平成15年12月初めころから断続的にBに流しており,総数は20件ぐらいになるが,そのうち,この事件の情報は,平成16年4月5日ころに流した。知人からヤミ金融等をしている者の話を聞いたら,この事件の被害者のことが出てきた。その知人から被害者の住所,氏名,家族構成等の情報を手に入れ,翌日くらいにBの携帯電話に電話して伝えた。被害者の住所,氏名等についてはBの携帯電話にメールもした。Bに流した情報のうち,自宅に現金を置いているという情報は嘘であった。Bから催促されていたのと,ヤミ金だから200万円か300万円くらいは置いてあると思ったので,そのように話した。同月26日の昼間に,Bから被害者宅への道順を電話で聞かれ,その後,被害者宅の確認の電話が入ったので,下見に行ったと確信
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現住建造物等放火被告事件において,任意同行中の被告人(当時は被疑者)に対し,同人が放火を否認し電気的火災によるものではないかとの弁解を述べているにもかかわらず,担当警察官が,具体的証拠に基づかずに被告人が放火等の犯人であると決め付けた上,被告人と肩を組んだり,その両肩に両手を置いて揺するなどしながら,大声で「真実から逃げるな。」「正直になれ。」などと叱るように繰り返し追求したことは違法な取調べであって,その結果作成された警察官調書・検察官調書も基本的に上記自供書等にその内容を依拠するものであって,任意同行中の上記違法な取調べの影響を遮断するような措置も講じられていないから,同様に任意性に疑いがあるなどとして,捜査段階での各自白調書の取調べ請求が却下された事例。 主 文 被告人の検察官調書2通〔乙2,8〕及び警察官調書2通〔乙6,7〕に関する検察官の証拠調べ請求をいずれも却下する。 理 由 第1 争点と当事者の主張 検察官は,罪体を立証趣旨とする被告人の供述調書として,被告人の警察官調書5通〔乙3~7〕,検察官調書2通〔乙2,8〕の取調べを請求しているのに対し,弁護人は,このうち警察官調書3通〔乙3~5〕の取調べに同意し,これらについては既に取り調べ済みであるが,その余の供述調書,すなわち警察官調書〔乙6,7〕及び検察官調書〔乙2,8〕については供述の任意性を争っている(以下,これら任意性が問題となっている各供述調書を総じて「係争供述調書」という。)。 したがって,被告人の係争供述調書に任意性が認められるか否かが当面の争点であるが,この点に関し,弁護人は,本件出火当日,被告人は,警察官Aと同Bの取調べを受けた際,放火を自白する旨の被告人の供述書1通(以下「最初の自供書」という。)と同内容の被告人の警察官調書1通(録取者はB刑事。以下「最初の自白調書」という。)が作成されているが,これらは,A刑事による予断と先入観に基づく追及的尋問や身体的接触を伴った違法・不当な取調べの結果なされた虚偽自白を内容とするものであって,任意性がないし,その後警察官Cや検察官Dの取調べの下で録取・作成された係争供述調書は,P署での同一身柄拘束下にある被告人が,自白を撤回して否認するとA刑事から再度違法な取調べを受けるのではないかとの恐怖心から,取調官に迎合し,その誘導に乗って行った虚偽自白にすぎず,その内容も,最初の自供書・自白調書(以下,総じて「最初の自供書等」という。)を真実と措定しこれを詳細・具体化したものにすぎないのであって,実質的には最初の自供書等と一体をなすものであるから,同様に任意性はないと主張している。 これに対し,検察官は,A刑事が被告人の身体に接触しながらの取調べを行ったことは事実だが,これは暴行・脅迫・利益誘導と評価されるようなものではなく,むしろ被告人の心を開かせるとの目的に沿った穏当なものであって,取調べ方法として許容される範囲内のものであるから,到底自白の任意性に影響を及ぼすものでもないし,黙秘権侵害と評価されるようなものでもない,そして,その後の取調べにはA刑事は関与しておらず,C刑事らは一から取調べを行っているから,A刑事の取調べの影響が残存しているとは認められず,したがって,C刑事らの取調べの下で録取・作成された係争供述調書に任意性があることは明らかであると主張している。 そこで,当裁判所は,以上のような当事者の主張に鑑み,検察官に係争供述調書の提示を求めるとともに,捜査段階におけるその余の被告人の供述書・供述調書(取り調べ済みの同意書証を除く。)を「供述状況等(任意性・信用性の判断資料として)」という立証趣旨の下に取り調べ,さらに,取調べ状況に関するAの証人尋問や被告人質問を実施し,その余の関連証拠の取調べを行った上で,次のとおり判断した。 (以下の判断中においては,日時はすべて平成17年のそれを指すものとする。) 第2 当裁判所の判断 1 本件の捜査経過とその余の関連事実 まず,以下の各事実経過等は,当事者間に概ね争いがなく,関係証拠に照らしても動かし難いものとして認めることができる(以下「動かし難い事実(1)」などとして引用することがある。)。 (1) 被告人は,公訴事実記載の共同住宅「Q荘」(以下「本件アパート」という。)1階a号室の住人であるが,5月27日午前5時ころ被告人の居室を火元として発生した火災により,本件アパートは全焼し,同アパート2階の住人2名が焼死した。 (2) 本件火災当時,被告人は,まだ本件アパート1階に煙がうっすらと漂っている段階で,1階玄関前の廊下に俯せの状態で倒れ込んでいるのを2階の住人に発見されて起こされ,自力で本件アパートの玄関前に脱出したが,その後,火元が被告人の居室であること聞知した警察官から同日午前7時25分ころ任意同行を求められたことから,これに素直に応じ,同日午前7時30分ころ,警察官と共に所轄のP警察署に到着した。 (3) その後,被告人は,同日午前中,P署の警察官から取調べを受けたが,その際,被告人の居室が火元であることを指摘し被告人の放火ではないかと追及する取調官に対し,出火原因について,「ホットプレートか漏電ではないか。」などと供述し,自己が放火したことを否認する供述をしていた。 (4) その後昼食時間となり,被告人はP署内で昼食をとったが,この間,P署は,本件火災で焼死者が2名も出ていることから,R府警本部捜査1課の火災班に応援を求め,その求めに応じて同日午後1時ころ来署した同課同班のA刑事とB刑事は,火元が被告人の居室であることや被告人の上記弁解内容などをP署の者から聞き取った上で,同日午後2時10分ころから,P署の警察官と代わり,2人で被告人の取調べを開始した。 (5) そして,このA刑事らの取調べの際,同刑事が黙秘権を告知したか否か,同刑事がどの程度の身体的接触を被告人に行ったのか,被告人に対し具体的にどこまでの発言をしたのかについては,後述のとおり,被告人とA刑事との間に供述の食い違いがあるものの,少なくとも, ア 取調べの最初の段階では,被告人は午前中に行っていたのと同様に,出火原因について「分からない。」「漏電ではないか。」「ホットプレートで焼き肉をしようとして電源を入れ,そのまま眠ってしまった。」などと放火を否認し,漏電の可能性を示唆する供述をしていたこと イ その後,被告人の弁解は嘘であると思い込んだA刑事が,被告人に対し身体的接触を伴いつつ大声で叱咤するような取調べを行った結果,夕方ころには,被告人は,泣き出してしまい,「やりました。」と自白したこと ウ その後,被告人は,A刑事のアドバイスを受けつつ,別紙のような最初の自供書を作成する一方,A刑事が取調室から退席後,B刑事が単独で行った取調べにおいてほぼ同内容の最初の自白調書が録取・作成されたこと 以上の事実は明らかである。 (6) そしてその後,被告人は,同日午後7時40分に,最初の自供書等を疎明資料として発付された通常逮捕状により現住建造物等放火を被疑事実として逮捕され,翌28日には勾留された。 (7) 上記逮捕後,被告人の警察での取調べはR府警本部捜査1課のC刑事とP署の警察官Dが担当し,検察での取調べはE検事が担当した。この間,被告人に対しては警察・検察においてほぼ連日取調べが行われ,同年6月16日に起訴されるまでの間,下表に記載のとおり,数多くの被告人の供述調書・供述書等が作成された(同表中,係争供述調書についてはゴシック体で記載している。)。 なお,最初の自供書等以降の各供述調書・供述書は,係争供述調書を含め,いずれも最初の自供書等の内容を踏襲しこれを具体化したものであり,核心部分の供述内容はほぼ一貫している。 日 付 作成された書面 取調官 書面の概要 5月27日 【本件火災発生】 最初の自供書 最初の自白調書 【逮 捕】 弁解録取書(警察) 乙10 乙11 乙12 A・B B F刑事 犯行動機,犯行状況,犯行後の行動等 犯行動機 犯行動機,犯行状況 28日 警察官調書 警察官調書 弁解録取書(検察) 勾留質問調書 【勾 留】 乙13 乙14 乙15 乙16 C,D C,D G検事 犯行動機,現住性の認識 身上,経歴等 犯行を認める。 犯行を認める。 29日 供述書 警察官調書 乙18 乙17 C,D犯行に至った理由 自白に至った経緯,供述書(5月29日付)作成時の状況 30日 (取調べのみ) 31日 供述書1通 乙21添付 放火に使用したライターについて 6月1日 (取調べのみ) 2日 供述書8通 乙21添付 自室内の家具等 3日 検察官調書 乙2 E自白に至った経緯 4日 警察官調書 乙3 C,D現場アパートに入居した経緯,同アパートの構造・入居状況 5日 警察官調書 供述書2通 乙4 乙21添付 C,D本件火災前日の行動 放火直前の行動等 6日 警察官調書 供述書7通 乙5 乙21添付 C,D自室の家具の設置状況等 放火時の被告人の服装等 7日 警察官調書 供述書2通 乙6 乙21添付 C,D犯行状況,犯行後の行動 犯行状況,犯行後の行動 8日 (現場引き当たり) C,D 9日 (犯行再現) C,D 10日 (燃焼実験) 警察官調書 乙19 C,D 現場引き当たり(6月8日)や犯行再現(同9日)時の状況 11日 警察官調書 乙1 C,D身上・経歴等,犯行に至った経緯 12日 警察官調書 乙7 C,D犯行動機 13日 検察官調書 警察官調書 乙8 乙20 E C,D犯行動機,犯行状況 被害者に対する感情 16日 【起 訴】 (8) なお,本件アパートの被告人方居室においては,本件火災の約半年前,被告人とその友人とがホットプレートで焼き肉をしている際に,コンセントから煙が出てコンセントが溶けてしまうという事件が発生した事実がある。その後,電気工事業者によりコンセント自体は交換されたものの,ホットプレートを使用中にコンセントから煙が出るという事態の根本原因については解明されたり改善されたりしないまま事件当日に至っており,事件当夜も,被告人は仕事先の者に帰宅後自室で焼き肉をする旨話しているほか,焼き肉用の肉も前夜に購入済みであった。また,本件アパートの消火終了後行われた実況見分の折りには,被告人方居室の床面から,発熱体部分と本体とが分離した状態でホットプレートが発見された。 2 最初の自供書等の任意性について (1) 検討の必要性 以上見たとおり,係争供述調書は,いずれも最初の自供書等の内容を踏襲しこれを具体化したものに他ならないのであるから,係争供述調書の任意性を判断するには,まずその大前提として,最初の自供書等の任意性の有無を検討することが不可欠である。 (2) A刑事の下での取調べ状況に関する被告人と同刑事の各供述状況 そこでまず,最初の自供書等が作成されるに至った本件火災当日午後のA刑事らによる被告人の取調べ状況について見るに,被告人とA刑事がそれぞれ語る取調べ状況は,以下のようなものである。 ア 被告人の公判供述の概要 まず,被告人は,A刑事の証人尋問に先立つ第2回,第3回公判における各被告人質問において,概要,次のように供述している。 (ア) 昼食後,P署警察官による取調べが再開されたが,しばらくすると,その警察官と入れ替わるようにしてA刑事とB刑事が取調室に入って来,A刑事が机を挟んで私の向かい側に,B刑事が私の左斜め前にそれぞれ座って,取調べを始めた。A刑事は,取調室に入ってくるときから「とぼけているらしいな。」などと言いながら入口のドアを閉めていたが,着席後も,黙秘権の話はしないまま,いきなり「放火して,とぼけている悪いやつがおるということで,おれらがわざわざ来たんや。」などと告げるとともに,持参した大きなかばんを見せながら,「かばんの中に証拠が入っている。」「科学捜査というのがあって,とぼけてもすぐに発見できるんや。」などと言ったり,「人が一応2人死んでるんや。」などと言ったりもした。 (イ) これに対し,私は,午前中と同様,「やっていない。」と言い,漏電やホットプレートからの出火の可能性がある旨述べたが,A刑事は,それに全く耳を貸そうとしないばかりか,「このままとぼけてると不利になるぞ。」「大悪党になってしまうぞ。」と強めの口調で言ったり,「供述しないなら『もう供述しません。もう何も言いません。』と一筆書け。その代わり,書いたらこれを裁判所とかに提出して,お前を完全に不利にしたる。」などと言ったりした。その間,B刑事は,あまり話をしなかったが,私の左斜め前から身を乗り出すようにして間近からのぞき込んできたので,威圧感を感じた。 (ウ) その後,A刑事の指示で両刑事が席を替わり,B刑事が私の正面に座り,A刑事が私の左横で私の方を向いて座った。B刑事は,やや強めの口調で「本当のことを言った方が身のためやぞ。」などと追及してきた。それに対し,私が「やっていない。」と答えたが,耳を貸してくれる様子はなく,左に座っていたA刑事が,右手で私の左肩を掴み,私の顔の間近に自分の顔を近づけつつ「お前がやったんだろう。白状せえ。」「本当のことを言え。白状せえ。」などと何度も言ってきた。そしてさらに,A刑事は,私の耳のすぐ近くまで顔を近づけながら大声で「H〔被告人の姓(仮名処理者注)〕,正直になれ。」などと10回以上も言っただけでなく,次第に興奮してきたA刑事は,右手で私の後頭部の髪の毛を掴み引っ張って,私の顔を上げさせた上,「正直になれ。」などと何回も繰り返し言った。 (エ) 私は,そのようなことを繰り返しされているうち,精神的に耐えられなくなり泣いてしまった。A刑事らの取調べがつらかったし,自分の言い分を聞いてもらえず,犯人扱いされたことに耐えられなかったからである。そして,A刑事が「H,正直になれ。」などと何回も繰り返し言われているうち,もう精神的に耐えられなくなり,「やりました。」と嘘の自白をしてしまった。嘘でも白状すればとにかく楽になれると思ったのと,私の部屋から火を出してしまい2名の方が亡くなったことに対して申し訳ないという気持ちがあったからである。 (オ) その後,A刑事は,B刑事とまた席を交替して正面に座り,「どこに火をつけたのか。」などと尋ねてきたので,私は初め「畳に火をつけました。」と適当に答えたが,A刑事から「違うやろう。」と言われたので,思いつくまま「布団です。」と答えた。そして,とりあえず「(布団の)端っこの角に火をつけた。」と言うと,A刑事から「この1か所だけやったら,こんな火事にはならん。もっとつけたやろう。正直に言え。」などと言われたので,順次,最初の自供書の原案である別の紙に印を書き加えながら,3か所につけたなどと答えた。また,火をつけた方法については,A刑事が「ライターかマッチか。」などと聞いてきたので,当時勤務先にあったライターを家によく持って帰っていたことから,思いつくまま「ライター。」と答えた。さらに,火をつけた動機については,A刑事から尋ねられたものの,私がずっと黙っていたところ,A刑事の方から「いらいらしとったんか。」「ストレスたまっとんか。」「仕事のことで,むしゃくしゃしとったんやろ。」などと聞いてきたので,「はい。」と答えた。火をつけた後の行動についても,私は「布団のところで(火を)見ていた。」と言った。 (カ) 放火の状況について一通り取調べが終わると,A刑事から正式の供述書を書くよう求められたので,私は,先に別の紙に書いた原案を見ながら部屋の見取図を書き,何を書けばいいかA刑事に確認してその都度指示を受けながら,最初の自供書を書いていった。そして,その後,B刑事の作った同じ内容の最初の自白調書にも署名した。 イ A刑事の証言の概要 これに対し,A刑事は,第3回公判において,被告人質問に引き続いて行われた証人尋問で,概要,次のとおり供述した。 (ア) 私は,R府警察本部捜査1課火災班に所属しているが,上司の命によりP署に赴いてB刑事と2人で被告人の取調べを担当することになった。本件火災当日の午後1時前ころP署に着いて,同署警察官から約1時間ほど話を聞いた。その際,本件火災の火元が被告人の部屋であること等は聞かされたが,被告人の部屋の間取りや出火原因等については全く聞かなった。そして,被告人が「覚えていない。」「漏電ではないか。」などと供述していると聞いて,私は被告人が事実を隠しているのではないかと思った。 (イ) その後,私とB刑事は取調室に入り,私は机を挟んで被告人の正面に,B刑事は被告人の左斜め前にそれぞれ座って,被告人の取調べを開始した。まず冒頭,私は,名前を名乗った後,「今から話をきくんやけども,言いたくないことは言わないでいいけども,うそをつかんと正直に話ししてくれよ。」というような言い方で黙秘権を告げた。その後,被告人は,自分の部屋から火が出てるんと違うかとの私の問いかけに対し,下を向いたまま顔を上げず,たまに「分からない。」「漏電ではないか。」「ホットプレートで焼き肉をしようとして電源を入れ,そのまま寝てしまった。」などとぶつぶつ言うのみで,供述が定まらなかった。私は,その供述態度を見て,いわゆる刑事の勘で,被告人は放火か少なくとも重過失の失火を犯したのにその事実を隠していると直感した。 (ウ) そのため,私は,被告人の心を開いてやらないといけないと思い,取調べ開始後30分ほどして,B刑事と交替して被告人の左横に被告人の方を向いて座るとともに,「火をつけたん違うんか。」「たばこなんか投げ捨てたりしたん違うんか。」などと追及する一方,「なあ貸してみい。」と被告人の手を取りその膝の上で被告人の手を私の両手で握りしめたり,私の右腕を被告人の肩に回して肩を組むようにしたりしながら,被告人の耳元近くで,「逃げたらあかん。自分のしたことは正直に言わなあかん。自分に正直になれ。」などと大きな声で子供を叱るような口調で繰り返し言った。被告人はそれでも目を合わせようとしなかったので,被告人に対して「こっち向け。」「おれの目を見てみい。」などと言って私と向かい合うように被告人に座り直させた上で,被告人の両肩に私の両手を置いて叩いたり揺すったりしながら,被告人の顔の近くで繰り返し「H,逃げるな。」「正直になれ。」「うそをついたら,これから先,人生しんどくなるぞ。」「君は大悪党じゃないだろう。」などと大声で叱るように言って,約30分にわたり説得を続けたところ,そのうち,被告人はわっと泣き出して,「すみません,僕がやりました。」と言った。 (エ) その後私は,B刑事と交替して再び机を挟んで被告人の正面に座り,自分から積極的に話そうとはしない被告人に対し,放火の動機,放火の方法,放火後の行動などについてひとつずつ聞いていった。被告人がそれらについて供述するのに対し,私が「ほんまか。間違いないんか。」などと確認すると被告人が供述を変えることがあったりしたが,20~30分ぐらいで本件について大まかな供述を得ることができた。 (オ) 被告人から本件について一通り話を聞き終わったところで,私は,被告人に対して供述書を書くよう求めた。そして,その書き方が分からない被告人に対して,「間取りをまず書いて欲しい。」「何が置いてあったか書いて欲しい。」「火をつけた順番に番号を打っていったら分かりやすいんと違うか。」「火つけたところを赤でかいたほうがええんとちゃうか。」などと適宜指示をしながら供述書を書かせていった。 (カ) 被告人が供述書を書き終わったところで,私は,供述書の内容と火災現場の状況が符合するか確かめるために,供述書のコピーを持って火災現場へ行ったため,その後の取調べはB刑事が担当した。 (3) A刑事の取調べ方法の違法性と被告人供述の任意性に与える影響 ア A刑事の下での取調べ状況に関する被告人とA刑事の各公判供述は以上見たとおりであって,身体的接触を伴いながら「H,逃げるな。」などと大声で叱りつけるような取調べを受けたという点など,被告人の公判供述の重要部分は,その後行われたA証言によってかなり裏付けられたといえる。 もっとも,細かな点の相違はともかく,重要な点では,① A刑事が取調べの冒頭で黙秘権を告知したか否か,② A刑事が被告人の後頭部の髪の毛を掴んで引っ張り同人の顔を上げさせるような暴行を加えたか否かに関しては,両者の供述が完全に相反しているが,まず,②の点に関しては,A刑事自らが認めるような常軌を逸した被疑者への身体的接触傾向に照らすと,A刑事が,取調べ中の被告人と肩組みしたり,正面から被告人の両肩を持って揺するなどしているうち,俯いたままA刑事の思うように自白しない被告人の髪の毛を掴んで顔を上げさせるようなことは大いにやりかねないと考えられるのであって,この点に関する被告人の供述を虚偽であると排斥できるだけの材料はないし,また,①の黙秘権告知の点に関しても,仮にA刑事の証言するように,形の上では黙秘権告知らしきことが行われていたとしても,A刑事の証言する表現方法(すなわち「今から話をきくんやけども,言いたくないことは言わないでいいけども,うそをつかんと正直に話ししてくれよ。」というもの)では,それが被疑者の法律上の権利であることなどは全く伝わっておらず,ほんの枕詞的な意味合いを有するにすぎないのであって,その後の取調べ状況に照らしても,被告人がA刑事の形式的告知に気づかなかったとしても,全く無理からぬことだと言わねばならず,この点に関する被告人の供述も,これを虚偽であると排斥できるような要素は乏しいといわざるを得ない。 そうすると,A刑事の取調べ状況に関する被告人の公判供述は基本的に信用できるものと評価することができるが,ここでは,被告人供述によるまでもなく,A刑事自身が証人尋問で自認しているような取調べ方法だけでも十分に任意性に関する判断は可能であると考えられるので,以下,A証言を基礎に置いて,その判断を行う。 イ A刑事の証言によれば,同刑事は,任意同行中の被告人(当時は被疑者)に対し,漏電等による火災ではないかとの被告人の弁解に全く耳を傾けようとせず,何ら客観的・具体的な根拠に基づかないまま,本件火災が被告人の放火か少なくとも重過失による失火によるものであると決めつけ,その結論に沿う供述を被告人から引き出すために,相当時間にわたり,被告人の膝の上でその手を自分の両手で握りしめたり,被告人の肩に手を回して肩を組むようにしたりしながら,被告人の耳元近くで,「真実から逃げたらあかん。自分のしたことは正直に言わなあかん。自分に正直になれ。」などと大きな声で子供を叱るような口調で繰り返し言ったものの,それでもなお被告人は目を合わせようとしなかったことから,被告人に対して「こっち向け。」「おれの目を見てみい。」などと言って自分に向かい合うように座り直させた上で,被告人の両肩に自分の両手を置いて叩いたり揺すったりしながら,被告人の顔の近くで繰り返し「H,逃げるな。」「正直になれ。」「うそをついたら,これから先,人生しんどくなるぞ。」「君は大悪党じゃないだろう。」などと大声で叱るよう繰り返したというのである。そもそも,当時は,まだ本件火災後間もない時期であり,出火原因についても,未だ何人かの放火又は失火によるものか,それとも電気的火災によるものかなどは全く明らかになっていなかったのであって,殊に本件は,事後的・客観的に見ても,動かし難い事実(8)に記載のとおり,漏電や過電流等が原因で本件火災が生じた可能性も現段階では排斥仕切れない事案(なお,S消防署消防士長作成の火災実況見分・原因判定書〔甲22〕は,火災原因として,電気配線に起因する短絡出火により出火した可能性も否定できないとしている。)であったにもかかわらず,A刑事は,被告人の居室から出火したことや取調べ時の被告人の応答態度のみから,いわゆる刑事の勘に頼り,被告人の犯行により本件出火が起こったなどと自分の中で独善的な「真実」を作り上げた上,被告人の言い分に全く耳を貸そうとしないまま,「真実から逃げるな。」「うそついたら,人生がしんどくなるぞ。」などと被告人に対し自己の「真実」を一方的に大声で押しつけたばかりか,あろうことか,任意同行中の被疑者に対し,なれなれしくも肩を組んだり,その両肩を揺すぶったりと常軌を逸した身体的接触まで行って,その押しつけを一層強めていたのである。関係証拠によれば,被告人は,これまで前科がなく,逮捕されたことすらない当時31歳の青年であって,あまり恵まれた人生は歩んでこなかったとはいえ,平素は温厚かつ気弱な性格であったところ,本件火災当日も,動かし難い事実(2)に記載のとおり,火災当時は廊下に倒れていてもうろうとしており,その後玄関前に立っていたところを,警察の任意同行により,心の準備をする間もなく,いきなり被疑者扱いされ,果ては,同日午後から上記のようなK刑事の常軌を逸した取調べにさらされたというのであるから,体格の点でも勝るA刑事(同証言によれば,身長174.5㎝,体重92㎏で,以前柔道をやっていたとのことである。)を,被告人が痛く恐怖し,その取調べに精神的に耐えられなくなり,最後には自己の意思に基づかない虚偽自白を行ってしまったとしても,当時の状況に照らすと,それ自体無理からぬものがあると言わねばならず,自白に至る心理過程に関する被告人の公判供述は十分に信用することができる。 そうすると,上記のようなA刑事の取調べ方法は,その後の捜査や裁判の方向性を歪めかねない悪しき「見込み捜査」との誹りを免れないばかりか,社会的に相当なものとして是認される限度をはるかに超えた身体的接触を伴う過度に強圧的で執拗な追及により自己の意図する「真実」に沿う自白を強要したものであって,違法であると断ぜざるを得ないし,また,それにより被告人が自由な意思に基づいて供述し又は供述しないことを非常に困難にしたという点では,被告人の黙秘権を実質的に著しく侵害するものである(なお,A刑事が被告人に対して黙秘権の告知をしたか否かについては前記のとおり供述が対立しているが,上記のような過酷な取調べが現になされている以上,被告人の黙秘権が実質的に損なわれていることは明らかであって,仮に黙秘権の告知が形式的になされていたとしても,それは単なるリップサービス以上の意味を有するものではない。)。 この点に関し,A刑事は,その証言において,上記のような取調べ方法は「被疑者の心を開かせるためのスキンシップ」であるなどと称しており,検察官も,同刑事の取調べ方法は被疑者の心を開かせるとの目的に沿った穏当なものであり,許容される範囲内のものであるなどと主張しているが,同じく公正な手続的正義を追求する者として,およそ理解に苦しむ主張であるというほかない。A刑事がその証言で自認する限度での取調べ方法だけ見ても,それが「穏当」であるなどとは到底言い得るものではないし,ましてこれを「心を開かせるためのスキンシップ」などと称するのは,要するに最初から被疑者が犯人であるとの前提に立った取調官側の一方的な思い上がりの論理にすぎないように思われる。A刑事や検察官の上記各主張には到底賛同することができない。 ウ そして,上記のようなA刑事の違法な取調べ手法によって,被告人の供述の任意性が著しく損ねる結果となったことは既に述べたとおりであって,その後の最初の自供書等の作成経過等に鑑みても,その自白内容に任意性が認められないことは明白であるといわねばならない。 この点に関し,検察官は,① 逮捕後当番弁護士と3回にわたり接見している被告人が,同弁護士に対してA刑事らの違法な取調べによって虚偽自白をしたことを訴えていないこと,② また,被告人が,逮捕後起訴に至るまで,裁判官や検察官,C刑事らに対して,同様の訴えをしていないことをもって,被告人がA刑事らの説得に応じて任意に自白したことの証左である旨主張しているが,被告人の公判供述によれば,起訴後拘置所に移るまでの間は,ずっと同じ警察署の留置場内に留置されており,それまでの自白を撤回したり,A刑事の取調べの不当性を訴えたりすると,またA刑事によるつらい取調べが再開される可能性があったので,それが恐ろしくてできなかったと供述しており,前述のようなA刑事の取調べ実態,被告人の年齢・性格や,これまで逮捕・勾留されたことすらなく,捜査手続もよくわからない状況にあったことなどを併せ考えると,その供述には十分な真実味が認められるというべきである(なお,付言すれば,上記当番弁護士の接見は,形式的には確かに3回に及ぶとはいえ,被告人の公判供述やその余の関係証拠によれば,2回目は弁護士会側の手違いによりだぶって派遣された1回目と異なる弁護士と15分程度接見しただけであり,また,3回目は1回目に接見に来た弁護士に私選の依頼を断るため9分間接見しただけであって,実質的な接見は1回目の34分のみであることが認められる。そして,被告人の公判供述によれば,1回目の弁護士は,年配で頼りなさそうに見えたのであまり話ができなかったというのであって,その後私選依頼を断っている事実に徴しても,その供述には相応の説得力が認められよう。)。 3 係争供述調書の任意性について そこで,以上を前提に,係争供述調書の任意性について検討する。 関係証拠によれば,係争供述調書を録取・作成したE検事やC刑事らによる被告人の取調べ方法には,それ自体,特に違法・不当な点はなかった(特に,C刑事らの取調べについては,被告人は「優しかった。」と供述している。)ことが認められる。 ただその一方,係争供述調書が最初の自供書等の内容を踏襲し具体化したものにすぎないことは,動かし難い事実(7)において認定したとおりであるが,本件では被告人の検察官調書〔乙2〕や任意性の判断資料として取り調べた被告人の警察官調書〔乙17〕からも明らかなとおり,E検事とC刑事は共に,A刑事の懇篤なる取調べにより被告人が真実の自白をするに至ったことを強調するような供述調書をわざわざ作成しているのであって,係争供述調書の任意性・信用性が最初の自供書等のそれに基本的に依拠していることはその供述調書の作成経過からも明らかであるといわねばならない。そして,E検事やC刑事が,A刑事の取調べ手法の問題性を認識し,その影響を遮断する措置を講じた上で,自ら被告人の取調べに臨んでいたのであればまだしも,本件では,両取調官は,それを知ることが全くないまま,何らの遮断措置も講ずることもなく,かえってA刑事の取調べを称えるような供述調書まで作成しているのであるから,最初の自供書等における任意性に関する瑕疵はその後の係争供述調書にもそのまま承継されるものと解するほかない。現に,被告人の公判供述を見ても,前述のとおり,取調官がA刑事からE検事やC刑事に代わっても,自白を撤回するといつまたA刑事の取調べが再開されるかもしれないと恐怖し,本当のことは言えなかったというのであるから,この点からしても,係争供述調書については,最初の自供書等同様,その任意性に疑いがあるといわざるを得ない。 4 係争供述調書の信用性について 最後に,係争供述調書の信用性についても一言言及しておきたい。その信用性に重大な疑問があることは,被告人がA刑事の違法な取調べの下で自己の意思に基づくことなく虚偽の自白を余儀なくされたという被告人の公判供述を強く裏付けることになり,同供述調書の自白に任意性がないことの一つの重要な現れともみなし得るからである。 係争供述調書の骨子は,別紙最初の自供書等の内容と同様,要するに「仕事のことでイライラして,火をつけたらスカッとするんじゃないかと思って,火をつけた。部屋に敷いていた布団の3か所,すなわち図の①②③の順に順次ライターで火をつけた。火をつけた後,5分ぐらい部屋の中で炎が大きくなっていくのを見ていたが,煙などで苦しくなって部屋から逃げた。」というものである。 しかしながら,関係証拠に照らすと,その自白内容には,以下の2点で重大な疑問があるといわねばならない。 (1) 自白の不自然・不合理性について ア この自白を読んで何より疑問に思われるのは,当時被告人にいくらストレスが溜まっていたとしても,本件アパート以外に帰るべき家があるわけではない被告人が,ストレスを発散するだけの目的で,後先も考えず自分の部屋に放火するようなことが果たしてあるのだろうかという点である。自殺願望の者や精神に異常を来している者が自室に放火する事件は少なくないが,被告人は,当時ある程度アルコール酩酊をしていたとはいえ,特に精神異常を来していたわけでもなく,また,自殺願望もあったわけでもないのに,これまで前科もなく市井の一社会人としてそれなりに安定した生活を送ってきた被告人が,上記のような程度の理由で自室に放火するというのは非常に不自然・不合理であるように思われる。 イ さらに,上記自白によれば,スカッとするために放火したというのであるが,それならば,もっと燃えやすい衣類やゴミ袋類等はいくらでも被告人の居室に存在したのであるから(被告人の公判供述),これに放火すればよいものを,警察官調書〔乙6〕によれば,被告人は自分が着座している敷布団の角をわざわざめくり上げて放火したというのであって,これも理解し難い。このような着火方法は,火を見たいと思ってとっさに放火した者の行為として不自然といわざるを得ないであろう。 ウ さらに,警察官調書〔乙6〕等によれば,被告人は,苦しくなって自室から逃げた際,部屋を出たところで倒れて一時意識を失ったというのであるが,特段自殺願望があったわけでもない被告人が,自ら火の勢いを見ていたというにとどまらず,苦しくなって倒れる直前まで平然と部屋の中にいたとするのもまた不自然の感を否めない。 (2) 自白と客観的証拠関係との不整合について しかし,(1)以上に疑問に思われるのは,被告人の自白内容が客観的証拠関係と不整合を来していることである。 ア 布団の焼け残り状況との不整合 まず,最初の自供書等や係争供述調書によれば,被告人は,別紙最初の自供書にあるように布団の角3か所(①~③地点)にライターで着火したというのであり,警察官調書〔乙6〕によれば,①③付近も②付近もそれぞれ40~50㎝位の炎が上がり,②付近の炎は近くにあったビニール袋(ゴミ等の入ったもの)に燃え移り,たちまち80㎝位の高さに燃え上がったというのである。 火災事件においては,特別の事情がない限り,出火場所付近が最もよく焼損しているものであるというのは捜査・消防における一般的経験則であるが,これによれば,本件でも,②付近のみならず,①③付近においても上記のように40~50㎝まで炎が立ち上る状態にあったのであるから,当然のことながら,①③付近も②付近と並んで,最もよく焼損していてしかるべきであろう。ところが,本件火災後行われた警察と消防のそれぞれの実況見分の結果によれば〔甲3,22〕,本件居室に敷かれていた布団のうち唯一焼け残っているのは,①③の布団の角を中心とした付近(及び,布団の中心部2か所)なのである。この点に関しては,本件全証拠を通覧しても,その焼け残りの原因がなぜなのか全く解明されていないし,①③付近のみが焼け残るだけの原因も見出し難い。 これは,上記自白内容に根本的な疑問を抱かせる要因である。 イ 燃焼実験結果との不整合 それだけでなく,これだけの火災事件になれば,捜査手法としても,被疑者の自白どおりの燃え上がり方が生じるのかを検証すべく燃焼実験が行われるのが通例であり,現に,本件においても,「模擬室内に敷いた敷き布団の角にガスライターで着火した場合に室内はどの様な燃焼状況になるか。」を鑑定事項として府警本部刑事部科学捜査研究所技術吏員において燃焼実験が実施されているのである(鑑定書〔甲14〕)。 しかし,同鑑定書中には,別紙①~③の各地点に該当する布団部分に着火した場合に布団自体がどのような燃え方をするかについては,全く明らかにされておらず,そこに記載されているのは,②に該当する布団部分に着火し,これがまだあまり燃え上がっていない状態で,これにビニール袋(ゴミ入り)に接着させた場合,その炎が同ビニール袋に燃え移っていくという当たり前の過程だけであって,前記自白のように,②地点付近の炎が40~50㎝立ち上がった後,近くにあったビニール袋に燃え移るという機序すら実験・検証されている様子がないのである。常識的に考えても,布団の裏に火を付けて,これを元に戻せば,酸素の供給がないため火はすぐ消えてしまうか,また仮に火が残ったとしても燻り続けた末ににやっと燃え上がるというのがせいぜいではないかと想像されるが,上記のような一般的な鑑定事項にもかかわらず,自白内容に沿うような実験が前記鑑定書中に全く現れていないのは,むしろ,①~③の各地点に該当する布団部分に着火しても,被告人の自白にあるようなやり方ではその供述どおり燃焼することがなかったからではないかと推認されるのである。 5 結 論 よって,以上いずれの観点からしても,係争供述調書の任意性には疑いが残るので,主文のとおり,その証拠調べ請求を却下することとする。 平成18年2月3日 大阪地方裁判所第7刑事部 裁判長裁判官 杉 田 宗 久 裁判官 鈴 嶋 晋 一 裁判官 小 畑 和 彦