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次の日の朝 銀時は雑用を終えて、部屋でゴロゴロ二度寝していた。 「ギントキ、街にいくわよ」 突然入ってきたルイズは言った。 「は、何で?」 眠ったままの体勢で銀時は心底めんどくさそうに言った。 「剣を買いにいくのよ、その木刀だけじゃあ私の事護れないじゃない」 「別に『洞爺湖』だけでも十分だろう、休みの日ぐらい休ませろよ」 「いいから仕度する!!」 ルイズの金切り声に銀時はむっくり起き上がる。 「へいへい、まあくれるつうならもらうけどよ・・」 「タバサ。今から出掛けるわよ! 早く支度しちゃって頂戴!」 「虚無の曜日」 キュルケは朝起きた後、再び銀時にアプローチしようとルイズの部屋に行ったがもぬけのからだった。 昨日、銀時に冷たくあしらわれたせいで、キュルケの情熱の炎はさらに勢いを増したらしい。 今までの男達はキュルケに無条件にチヤホヤし、夢中になっていった。 キュルケ自身もそれが当たり前だと思っていたが、銀時は違った。 ―私今まで子供だったのね、男はやっぱりああいう大人の魅力をもってなきゃあ。 銀時の出すダルさを大人の魅力だと解釈したらしい。 ずいぶん過大評価されたものである。 銀時とルイズが馬で出て行くところを見たキュルケはすぐさまタバサ部屋に行き 今に至るというわけである。 キュルケの友人であるタバサはいかにもめんどくさそうに答えた。 しかしキュルケはそんな友人の読んでいる本を取り上げ、掲げた。 「わかってる。あなたにとってこの日がどんな日かあたしは痛いほどよく知ってるわよ。 でも、今はね、そんなこと言ってられないの。恋なのよ、恋!」 タバサは首を振るだけである。 「あぁもう! 恋したのあたし! ほら使い魔のサカタギントキ、それであの人があのにっくいヴァリエールと出掛けたの! だからあたしはそれを追って突き止めなきゃいけないの! わかった?」 タバサは坂田銀時という言葉に少し反応を示した。 「わかった」 「あら、貴方にしてはずいぶん物分りがいいのね、とにかく馬に乗って出かけたのよ。 貴方の使い魔じゃなきゃあ追いつかないのよ!助けて」 タバサは何もいわずに準備を始めた。 「ありがとう! じゃ、追いかけてくれるのね!」 友人のキュルケの頼みというのもあるが、タバサ自身坂田銀時に興味を持っているからだった。 その後2人は、タバサの使い魔、風竜、シルフィードでルイズ達を追った。 「腰が痛てえ・・」 「情けないわね、これだから平民は」 「仕方ねえだろ、久しぶりなんだから」 ルイズにつれられて馬に乗った銀時だったが、攘夷戦争時代は良く乗ったが 最近はもっぱら源付のため腰を痛めていた。 トリステインの街並みを見渡す。 銀時は前にやったヴァーチャルリアルティーのRPGを思い出した。 街はそのときの街にそっくりである。 ただ違いがあるとすればここは間違いなく現実(リアル)であるということだ。 銀時はキョロキョロ何かを探すように街を見る。 「何やってるの、あまりキョロキョロしない、田舎者みたいで恥ずかしいわ」 「長老とかはいねえのか、いたら武器にしようと思って」 「は?あんた何言ってるの?」 相変わらずこの男のいってることは分からないと思った。 「狭めえ」 銀時は大通り歩きながらいった。 かぶき町の大通りはこれの5倍ぐらいあった。 主に通るのが人だからだろうか。 「この先にはトリステインの宮殿があるの」 「へ~、宮殿に行けば魔王を倒すイベントでも起こるのか」 「わけわかんない、女王陛下に拝謁してどうするのよ」 「いたいけな使い魔がご主人様からドメステックバイオレンスの被害を受けていることを訴えるな」 「ドメ?意味わかんないけどなんかむかつくわね、それより財布は大丈夫」 「ああ、ここに、あり?」 銀時は懐を探るが財布の感触が無い。 「まさか、すられたの」 良く見るとルイズ達から逃げるように去っていく男がいた。 「俺の財布!!」 ルイズの財布だけなら銀時は怒らなかっただろう、ただ銀時の数少ない私物である財布も一緒に すられたのだ。 厨房の手伝いをすることで小遣い程度の銅貨が入っている。 一旦そうと決めたら銀時の決断は早かった。 ちょうど目の前に止まっていた馬車に乗り込み走らせる。 「ああ、馬車どろぼう!!」 馬車の本来の持ち主が後から叫んだが銀時はこれを無視した。 ルイズはただ呆然としていた。 一時間後 ガド!! 衛士の詰め所の壁を蹴り飛ばす銀時の姿があった。 「たく、なんでスリ捕まえたのに説教されなきゃならないんだ!!この腐れ衛士」 横にいるルイズは怒りで震えている。 「あんたね!!私が貴族じゃなかったら説教どころじゃすまなかったのよ」 結局銀時は馬車を街中で暴走させた挙句、捕まえたスリを半殺しにしたのだ。 衛士たちが駆けつけ、捕まったのは銀時の方だった。 ルイズのとりなしで何とか逮捕は免れた。 「スリが出るのはてめえらの職務怠慢だろうが、この税金泥棒。 ああ、むかつく、ションベンかけていこう」 銀時はチャックを開けてションベンを詰め所にかけようとする。 「きゃあぁぁ!?ちょっと何出してんのよ」 ルイズは顔を真っ赤にして目を手でふさいだ。 「何って?ナニですけど」 「そういうこと聞いてじゃないわよ、ホント最低!!」 しばらく2人で歩いていると隣にいたはずのルイズが消えた。 「あれ?まいったな、あいつ迷子か」 自分が迷子になったという発想は銀時にはなかった。 「あら、こんなところにいたのね、ギントキ」 突然不意に呼ばれて振り返る銀時。 そこには赤と青の髪を持つ少女がいた。 ―これで金髪がいりゃあ信号みてえだな。 どうでもいい事を考える銀時。 「ああ、たしかキョンと谷口」 銀時、その間違え方はいろいろやばいから。 「キュルケよ」 「タバサ・・(怒)」 2回も間違えられ心なしか怒っているタバサだった。 タしか合ってないし。 「そういえば、タバサのことは知ってるの」 「ああ、前ちょっとな、って言うかこんなところまで何の用だ」 「もちろんダーリンに会いに来たのよ」 「おれは鬼ごっこで宇宙人に勝って地球を救った男じゃねーぞ」 「・・・よくわかんないけど、おごるわよ、ダーリン」 その言葉に銀時はビクンとする。 「それはパフェ的なものでもいいのか・・」 「ええ、何でも」 「そうか、そいつは良い、ぜひ行こう、早速行こう」 逆に銀時の方がキュルケのほうを引っ張るようにメシ屋に入っていった。 「・・・うん・・うめえ・・あ、お姉ちゃんパフェおかわり・・」 銀時に呼ばれたウェイトレスはこいつまだ食うのかよという顔で注文を受ける。 ちなみにこれでパフェ10杯分だ。 「ダーリンが甘党なんて知らなかったわ、でもそこが可愛い」 恋は盲目とはこのことである。 ―でもこれはチャンスよ、これでダーリンをうまく餌付けして、そこから・・ キュルケがあらぬ妄想に入ってたが急に袖を引っ張られたのに気づいた。 「何、今ちょっと大事なことを考えてるのよ」 タバサは目をむかいのほうに向ける。 向かい合っていたはずの銀時がいないのだ。 「え~!!ちょっとダーリンは・・」 「帰った」 パフェを15杯食ったところで銀時は満足して『ごっそさん』とだけいってそのまま店から出てしまった。 タバサはこれには呆れたが止めるまもなく行ってしまったのだ。 「あ~、うまかった、満足、満足」 どこにあったのか爪楊枝で歯をシーハーさせながら歩く銀時。 「あー!!ギントキ、勝手にどこ言ってたのよ」 銀時ははぐれていたルイズに見つかった。 「あれ、ルイズ、おめえ迷子だったじゃあ」 「迷子なのはあんたのほうでしょう」 「俺は迷子じゃねえ、人生という道には迷ってるけどな」 「全然うまくないわよぉぉ!!いいから行くわよ」 ルイズにつれられて銀時が来た所は街の裏通りだった。 日も当たらず不衛生なそこに銀時はかぶき町の裏通りを思い出した。 「ビエモンの秘薬屋の近くだったから、この辺なんだけど・・」 ルイズはキョロキョロ探す。 「あ、あった」 目的の武器屋を見つけたルイズはそこの扉を開けた。 武器や入るとしょぼくれた感じの店主がパイプを吸っていたがルイズを見ると あわてて猫なで声で対応した。 「旦那、貴族の旦那、うちは全うな商売してまさぁ、お上に目をつけられることなんか、 これっぽっちもありません」 そう言ってる時点で全うな商売はしていないといってるも同然なのだ。 銀時は大都市江戸一番の繁華街かぶき町で商売をしている。 もちろんそこでやっている商売は全うな物ではないものがたくさんある。 おかげで銀時の嗅覚は鋭くなっている。 実際こんなところで武器屋を開いている時点で胡散臭い。 ―うさんくせぇ、雑誌の裏にある『私はこれで幸せになりました』ってかんじで札束の風呂に入っている 広告よりうさんくせぇ。 そんなことは知らないルイズは店主に適当に見繕うように言っている。 銀時はとりあえず剣を見たがどれも使えないナマクラばかりだった。 腐っても侍の銀時である。 日本刀と西洋剣の違いはあれ刀を見る目ぐらいはある。 店主はルイズにレイピアを見せ高く売りつけようとしていたが奥から ガツーン、ガツーンと音がしているのに気づいてそっちを見ると なんと銀時が剣を片っ端から机や壁に切りつけ何本かの剣は折れている。 「ちょっとぉぉぉ!!あんた何してんのぉぉぉ!!」 店主は絶叫した。 「試し切りだけど・・」 「試し切りって・・・」 店主は折れた剣を見て呆然としている。 「それよりどれもナマクラじゃねえか、まともな剣はねえのかよ」 銀時のただならぬ雰囲気に気づいた店主はそのまま奥から剣をとってくる。 「これなんかいかがですか」 店主が持ってきたのは1.5メイルほどある立派な剣だった。 「これいいわねえ」 ルイズはこの剣が気に入ったようである。 店一番の業物といわれたのが良かったようである。 しかし、銀時はやたら派手派手しい外見とその大きさに実用性のなさを感じた。 「つーか、これ駄目だろう、高そうだしでけえし・・・」 「良いの、これにするの」 ルイズは逆にむきになっている。 「使うのは俺だぞ」 「うるさいわね、おいくら?」 店主はもったいぶって散々この剣がいかに立派か語った後、 「エキュー金貨で2千、新金貨で3千」 「立派な家と森付きの庭が買えるじゃない」 ルイズは目を丸くする。 「新金貨百しかもってないわ」 「馬鹿、言うなよ」 銀時は小声でいった。 ここは強引に値切るところである。 それゆえに相手に弱みを見せてはいけない。 ―こいつ一人で買い物したことないな。 この世界の貨幣価値は分からないがルイズのたとえから相当高いのが分かる。 銀時の世界の刀も高いがそこまでではない。 ふと銀時は腰にぶら下がっている『洞爺湖』を目にやった。 『洞爺湖』は通販で売られている消費税込みで11760円の代物であり 恐らくこの世界の金貨一枚分もしないであろう物だがそれでも 銀時にとってはたいそうな買い物である。 銀時は『洞爺湖』をみてニヤリと笑った。 「へ~、そんなに高いなら相当頑丈なんだろうな、この木刀で試し切りしてもいい」 「へい、かまいませんが・・」 ―何いってるんだ、この男、木刀が剣に勝てるわけないだろう。 この時店主はたかをくくっていた。 『洞爺湖』を台で固定し銀時は思いっきり剣を振る。 折れたのはその大剣のほうだった。 「あーーー!!!」 店主は信じられないものを見るようね目で絶叫した。 「何これ、鉄も切れるんじゃなかったの、銀ちゃんだまされたよ、非常に傷ついたよ 精神的慰謝料請求したろか、こら」 「い・・いいがかりだ!!被害者はむしろあっしのほうだ!!」 店主はほぼ逆切れしている。 「ぶひゃひゃひゃひゃ!!今までいろんな客見てきたけどおめえみてえに面白い客ははじめてだ」 急に店の奥から声が聞こえた。 「何だ?」 店主はそれを聞いて頭を抱えている。 「おいここだよ、ここ」 なんと声の主は一本の剣だった。 「げ、剣がしゃべってやがる、気持ちワル!!」 「初対面にむかって気持ちワルはねえだろうがぁぁぁ!!てめえも死んだ魚みたいな目で 気持ち悪いんだよ」 「うっさい!!天パー」 「天パーはてめえだろうがぁぁぁ!!」 「いや精神的にモジャモジャしてるっていうか」 「わけわかんねえぇぇよ!!なんなんだこいつ」 銀時と剣とやり取りに呆然としているルイズと店主。 「それってインテリジェンスソード」 剣の名前はデルフリンガーという意思を持つ魔剣らしい。 「それよりおめえなかなか剣を見る目があるな、その上『使い手』か、 こいつは良い、俺を買いやがれ」 「おめえさびしがり屋ですか、大丈夫だよ、おめーなら一人でもやっていけるさ」 「てめえに俺の何が分かるっていうんだよ!!馬鹿かてめえは」 「馬鹿って言うほうが馬鹿なんです~」 「ガキか!!てめえは!!」 銀時のデルフリンガーの言い争い最早わけのわからなくなってきていた。 しかし、今まで見ていた店主はついに切れた。 「出てってくれー!!その剣やるから出てってくれー!!」 銀時達はデルフリンガーもったまま追い出された。 「これでおめえとは相棒だ、よろしくな」 「別にいいんだけどな、っていうかあの店主から慰謝料請求できなかったじゃねえか」 「おめえはどこまで強欲なんだ」 街を銀時はデルフをもったまま歩く。 「何、おめえはしゃべれるんなら何か必殺技とか使えるんだろうな」 「何だ、必殺技って・・」 「卍○とかだよ」 「何だよ、○解って・・」 「できねえのかよ、ちっ、使えねえな」 「ものすごく理不尽な理由で俺見下されてねえか」 「おめえの名前はマダケンだな」 「なんだよ、マダケンって」 「まるでだめな剣の略だ」 「ふざけんなー!!俺にはデルフリンガーっていう立派な名前があるんだよ」 「うっさい!!マダケン」 「ちょっと私をさっきから無視するんじゃないわよー!!」 ルイズの声が街中に響いた。
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銀時はシエスタとは別にデザートを運ぶこととなった。 ふと見ると金髪巻き毛でフリルのついた服を来たバラを持つメイジがいた。 いかにもベタな昔の二枚目といった感じだ。 ―おいおい、今時あんなの漫画にもいねえぞ。 「なあ、ギーシュ!お前今誰と付き合ってるんだ」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ」 ギーシュと呼ばれたメイジは唇の前に指を立てながら言った。 「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 ―むかつくぅぅ!!デ○ノートがあったら真っ先に名前書き込みたいぐらいむかつくぅぅ!! 銀時はギーシュの言葉に嫌悪感を表しながら、自分に関わることはないだろうとそのままデザートを 配り続ける。 「はい」 一人の貴族の前にケーキをおく。 「ちょっと待て、何これ」 「チーズケーキだけど」 そのチーズケーキは半分喰われていた。 「いやそうじゃなくて、明らかに半分喰われてるだろうぅぅが!!」 「サービスでカロリー50%カットなの」 「物理的にカットされてんだろぉぉが!!っていうかお前が喰ったよね、証拠が口についてんぞぉぉ!!」 銀時は口元についているケーキのカスをぬぐいながら 「うるせえな、男が細かいこと口にすんじゃねえよ、ケーキ食えるだけ感謝しねーか。 俺なんか糖尿で医者から甘い物は一週間に一回って言われてるんだぜ」 「だったら喰うなぁぁ!!」 後ろで叫んでいる貴族は無視して前に進む。 なんとなくさっきの貴族の突っ込みに新八のことを思い出した。 先ほどのギーシュのところに人だかりができている。 なんだと思ってみるとシエスタがギーシュにペコペコ謝っている。 「君のおかげで2人のレディの名誉が傷ついた、どうしてくれるんだね?」 「申し訳ありません・・」 一体何あったんだと銀時は周りの人間の話に聞き耳を立てる。 話を総合するとギーシュが落とした小瓶をシエスタが拾ったせいで 二股かけていたのがばれ、その両方からふられたらしい。 ギーシュはその原因をシエスタにあるとして責めている。 要するに八つ当たりなのだ。 「これだから平民は貴族にたゲボォ!!」 突然ギーシュは奇声を上げて吹っ飛んだ。 シエスタも含め周りにいた人達は一瞬何が起こったのかわからなかった。 銀時がギーシュを思いっきり蹴り飛ばしたのである。 「いい加減にしとけよ、二股がばれてその上女に八つ当たりですか、かっこわりーぜ べつに『何でこんなのに女が2人もいて俺にはいねーんだ、馬鹿野郎!!』 ってひがんでるわけじゃねえからな」 「ひがみだぁぁぁ!!」 周りにいるギーシュの友人達は律儀に突っ込む。 銀時も言わなきゃわかんないのにわざわざ余計なこと言う。 「な、貴様は、ゼロのルイズが呼び出した平民、こんなことをしてただで済むと思っているのか」 赤く腫れた頬を押さえながら、気づいたギーシュは銀時を睨む。 「じゃあ、どうなるっていうんだよ」 銀時は睨み返す。 「ぐっ、なんて野蛮な男なんだ、ゼロのルイズなんかに召喚されたんだからしょうがない、 これだから魔法も使えないあの無能はフゴォ!!」 銀時の2度目の蹴りがギーシュを襲った。 「悪りぃな、足が滑っちまった」 「に・二度も蹴った、父上にも蹴られたことがないのに」 「蹴られもしない奴は一人前になれないってどっかの老け顔艦長も言ってたぞ。 良かったな1人前になれて」 銀時それ微妙に違うから。 「これほどの屈辱初めてだ、万死に値する、貴様決闘だ」 「上等だ」 ギーシュはきびす返す。 「ヴィエストリ広場で待つ、逃げずに来たまえ」 ギーシュが去った後、銀時の隣ではシエスタが真っ青な顔をしている。 「ああ、私のせいで・・なんてことに・・」 ブルブル震えるシエスタを見ながら銀時は 「まあ、気にすんな、シエスタのせいじゃねえ」 「でも貴族を本気で怒らせたら・・ギンさん殺されちゃう、殺されちゃうわ」 「あっ」 責任の重圧に耐え切れずシエスタはその場から走り去っていった。 ―仕方ねえか。 銀時は頭を掻く。 別に感謝されたくてやったことではない。 自分が勝手にやったことなのだ。 「あんた、何してんのよ!見てたわよ!」 後から駆け寄って来るルイズは銀時に怒鳴る。 「よう、ルイズ」 「ようじゃないわよ!何勝手に決闘の約束なんかしてんのよ!」 「なんつーか、成り行きとその場のノリだな」 あっけらかんと語る銀時にルイズはあきれる。 「謝っちゃなさいよ」 「やだね」 銀時は即答する。 「あのね、聞いて?平民はメイジに絶対勝てないの、これ常識なの。 戦ったら怪我どころじゃすまないのよ!!」 「知らねえよ、んな常識、俺異世界人だもんね」 「もんってなによ、もんって!!」 「なあ、ヴィエストリ広場ってどこだ」 「こっちだ、平民」 ルイズを無視して、ギーシュの友人にたずねる銀時。 「人の話聞きなさいよ、ああもう!!ホントに私の使い魔は何でこんなに勝手なの!!」 ルイズは銀時の後を追っかけた。
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「まさかミス・ロングビルが『土くれ』のフーケだったとはな・・美人だったもので 何の疑いもせず採用してしまった」 学院に戻ったルイズ達はオスマンに事の顛末を報告していた。 オスマンが言うには居酒屋でたまたま働いていたフーケを採用したらしい。 隣にいたコルベールはあきれ返っている。 「死んだほうがいいのでは・・」 「つーかマジで死ね!!」 銀時はオスマンに『洞爺湖』ぶちあてる。 「ぐおぉぉ!!」 ふっとんだオスマンをさらに足げにしてゲシゲシ踏みつける。 「要はてめえののせいで俺たち死にそうなめにあったってことじゃねえか。 死ねよ、頼むから死んでくれよ」 「やめ・・本気で死ぬ・・あっ・・そこは・・」 最後のあたりがあえぎ声になってるのは気のせいだろうか。 「やめろ、ミスタ・サカタ、気持ちはわかるが。このままでは学院長がMにめざめてしまう」 どうにか銀時をコルベールは止める。 「と、年寄りに普通ここまでするか」 ボロボロになりながらどうにか立ち上がったオスマンは言った。 「あっ、俺の知り合いの女はな、けつでも触ろうもんなら腕ごとコナゴナになるまで折るぜ。 そいつに比べれば随分優しいけどな」 「君の知り合いの女性には死んでも会いたくないのう」 オスマンは今回の事件にショックを受けているようだが銀時は別段普通だった。 女という者はずるい生き物ということは知っているからだ。 「まあともかく、君たちは良くぞフーケを捕まえ『破壊の杖』を取り戻してきた」 3人は誇らしげに礼をするが銀時は特に興味はなさそうだ。 「君たちの、『シュヴァリエ』の爵位申請を、宮廷に出しておこう。追って沙汰があるじゃろう。といっても、ミス・タバサは確かすでに『シュヴァリエ』の爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」 「本当ですか?」 キュルケは驚いた声で言う。 「ほんとじゃよ、君たちはそれだけのことをしたのだからな」 「オールド・オスマン、ギントキには何もないんですか」 「残念ながら彼は貴族ではない」 「そんな・・」 しかし当の銀時は興味なさそうに鼻をほじっている。 「っつ、んなもんいらねえよ、現金か甘いもんならありがたく受け取るけどな」 ら○☆すただかシュヴァルツだか知らないがそんな腹の足しにもならないもの受け取ってもしょうがない。 「さ、今夜は予定通り『フリッグの舞踏会』を執り行う。『破壊の杖』も無事に戻ってきたことだ。思いっきり着飾るが良い」 3人はそれを思い出し、礼をした後、外に出ようとした。 しかし銀時だけは動かない。 「悪いけど先言ってろ」 ルイズは心配そうな目をしたがうなづいて部屋から出て行った。 「何かわしに聞きたいことがおありのようじゃな」 銀時は鼻毛を抜きながら答える。 「えーと、オスマン・サン○ンさんだったけ・・」 「オールド・オスマンじゃ!!誰がやたら目の良いアフリカ人じゃ!!」 銀時のボケにも一応対応するオスマン。 とりあえずコルベールに退室を促す。 コルベールはどこかさびしそうな顔をしていた。 「とりあえず言ってご覧なさい、爵位はやれんができるだけ力にはなろう。 あまり気乗りはせんが・・」 なにやらよろしくない事を最後のあたりにボソッとつぶやく。 「聞こえてんぞジジイ!とにかくあの『破壊の杖』、あれは俺の元いた世界の武器だ」 オスマンの目が光る。 「ほう、元いた世界とは?」 「俺は、こっちの世界の人間じゃねえ」 「本当かね」 「マジだ、俺はルイズの奴の『召喚』でこっちに世界によばれた」 「なるほどのう、そうじゃったのか」 オスマンは目を細める。 「何で俺の世界の武器がここにあるか説明してもらおうか」 ここからオスマンは語り始めた。 20年ほど前、森でワイバーンに襲われた際助けてくれた命の恩人が 持っていた武器が『破壊の杖』だったという。 ワイバーンを倒した後、怪我していたらしく倒れ、学園で介護した。 しばらくは小康状態が続いたものの突然容態が悪化し亡くなった。 「マジかよ」 銀時は呻く様な声で言った。 ようやく元の世界に返る手がかりを見つけたと思ったら当人は 亡くなっていたのだから。 「彼も自分の事を異世界から来たというておったな。思い出したぞ!! 自分の事をサムライとも言っておった」 「そいつ侍だったのか!?」 「ああ、説明を聞く限り騎士のようなものと理解をしたが、どこか違っておった。 何故命を張ってまでわしを助けたと聞いたとき『俺が侍だから、俺の武士道だから』 とも言っておった、少なくとも騎士は名誉も誇りもなく、他人のために命をかけて戦おうする奴なんざおらん」 「だったらそいつは間違いなく侍だ」 銀時は感慨深げにうなづいた。 もしかしたらその侍は攘夷戦争初期に戦っていた自分達の先輩かもしれない。 「ということはおぬしもサムライなのか?」 「ああ、でもまいったな、これで振り出しかよ、後一つ聞いていいか?」 「何じゃ?」 銀時は左手のルーンを見せる。 「武器を持つとこいつが光って体の調子が少し良くなったりするんだ。 あんたなんか知ってるか」 オスマンはしばし困ったような顔をした後。 「・・・それは知っておるよ、ガンダールヴの印じゃ、伝説の使い魔の印じゃ」 「伝説の使い魔?」 「そうじゃ、その伝説の使い魔はありとあらゆる武器を使いこなしたそうじゃ」 「伝説の使い魔ね~?」 銀時は左手のルーンを一通り見た後。 「まっ、いっか」 オスマンはずっこける。 「お主そこは普通何故自分が伝説の使い魔なのか考えるところだぞ」 「べ~つ~に~、あって不便なもんじゃねえしさ、あ、これシャ○ニングフィ○ガーとかできるの」 「それがなんなのかは分からんがたぶんできん」 「え~、かめ○め波は」 「それもできんと思う」 「ちっ、伝説ってわりにはこいつ大したことねえな」 ―コルベール君が聞いたら激怒するぞ 銀時の態度にオスマンはあきれ返った。 「お主が元の世界に返す方法はできるだけ調べておくことにしよう。 できればすぐにでも帰ってほしいからな・・」 やはり最後にボソッとしゃべるオスマン。 「だから聞こえてんぞジジイ!」 「よくぞ恩人の杖を取り戻してくれた。改めて礼を言おう。 不本意だが・・」 そういってオスマンは部屋の物置をがさがさあさり始めた。 「『破壊の杖』はマジックアイテムとして宝物庫に入れておいたが 彼の形見はもう一つあってな。それはわしの個人的なコレクションにしておる」 オスマンは取り出した1メイルぐらいの箱を開ける。 「こいつは日本刀じゃねえか」 そこには立派な日本刀があった。 「ああ、彼がなくなった後、調べたんだがハルケギニアのどこにもこのような形状の剣など存在しなかった。だからわしは彼が異世界から来たということを信じたのだ。 どうだ、礼代わりにこれをもらわんか」 銀時は首を振る。 「いや、あんまり他人の刀は使いたくねえ、こいつはあんたが持っているか墓に供えるか にしといてくれ」 「わかった、さっきの話だが帰る方法が見つからなくてもわしを恨まんでくれよ。 何ここも住めば都だ、嫁さんだって探してやる」 「そういうわけにはいかねえよ、俺には待ってる奴がいるんだ」 「ほう、それはお前さんのこれかい」 オスマンは小指を立てた。 「そんなんじゃねえよ、別に血がつながってるわけでも、結婚してるわけでもねえ。 しいて言えば腐れ縁だ。それでもあいつらは俺の家族で俺の大切な奴らなんだ」 珍しくマジな顔の銀時にオスマンは驚いた。 ―この男こういう顔もするのか。 「わかった、わしも出来る限りのことはしよう」 「ああサンキュ、それにな・・少○ジ○ンプの続きも気になってしかたねえだよ」 「・・・・」 少○ジャ○プはどういう物かわからないオスマンであったが一つだけ気づいたことがあった。 ―もしかしてこの男相当なろくでなし 「んっ?」 「どうした」 銀時が突然思い出したかのような声を上げる。 「何か忘れてるような気がするんだけどな。 思い出せねえってことは大したことがねえってことか」 コンコン 学院長室の扉からノックの音が聞こえる。 「開いとるぞ、入れ」 入ってきたのはコルベールだった。 「あの~先ほど宝物庫の修繕をしていた作業員から瓦礫の中から こんなものが見つかったと報告がありまして・・」 コルベールが持ってきたのはボロボロの大剣だった。 「宝物庫のリストには入っていないインテリジェンスソードだったんですよ。 さっきからミスタ・サカタに会わせろというばかりで」 そういって大剣の鞘を抜く。 「おい!!相棒てめえーなんてことしてくれたんだよ、俺のこと置いていきやがって・・」 わめくのはあのデルフリンガーである。 銀時は手をぽんと叩く。 「ああそうか、マダケンのことすっかり忘れてたな」 「まさか本気で忘れていたのかよ、っていうかマダケンっていうんじゃねえ」 「別に瓦礫と一緒にガラクタになっちゃえば良かったのに、あ、元々ガラクタか」 「てめえ!!殺すぞ、本気で殺すぞ!!」 「上等だオラ、やれるもんならやってみろよ」 オスマンとコルベールは冷や汗を流す。 インテリジェンスソードと本気で喧嘩する大人気ない人間は初めてだからだ。 「なあ、コルベール君・・」 「それ以上いわないでください、私もだんだん自信が・・」 舞踏会がおこなわれている会場はアルヴィーズの食堂の上の階のホールだ。 銀時はそこでひたすら出てくる料理(特にデザート類)にがっついていた。 皆ドレスに着飾った中、正直銀時は場違いで回りからさすような視線が送られているが。 図太い神経を持っている銀時は全く気にしていない。 「(ムシャムシャ)まったく・・せっかく帰る方法見つかった思ったら(ガツガツ)・・ 結局わからなかったし・・・(ゴクゴク)・・あーテンション落ちるわ・・(モグモグ)・・ おかげで食事もろくにのどに通らねえ」 「うそつけぇぇぇ!!さっきからめちゃくちゃ喰ってんじゃあねえか!!」 突っ込むのはマダケンことデルフリンガー、結局銀時が引き取ることになった。 ワインも瓶ごとラッパ飲みする銀時。 周りの貴族は顔をしかめている。 キュルケがさっきまで話しかけてきたがパーティーが始まるとその輪の中にいってしまった。 シエスタは忙しい中銀時に肉料理を持ってきてくれたがそれもあっさり平らげた。 銀時はサラダに手をつけようとするがそれにもう一人がフォークをさしてきた。 タバサである。 「私が先」 「いや俺が先だった」 タバサは珍しくドレスを着ているが銀時にとってどうでもいいらしい。 二人はにらみ合う。 「・・・・」 「わかった勝負だ」 「いや、相棒、そいつ何も言ってないぞ」 「こういうのは目を見りゃあわかるんだよ」 「そういうもんか」 勝負方法はテーブルの端までの料理を速く食べ終えたほうが勝ちというものである。 勝負が始まった。 タバサのほうが若干ペースが速い、銀時よりドンドン先に食べていく。 一方銀時は先にたくさん食べているせいで少し遅い。 実際銀時はこの勝負に負けても別段損するわけではない。しかし銀時は根っからの負けず嫌いである。 「負けんな平民!!」 「タバサも平民に負けんな!!」 いつの間にかギャラリーが銀時たちを囲んでいる。 「いったらんかーい!!俺!!」 「相棒!!」 銀時はここからスパートをかけ始めた。 ついにはフォークを捨て、手づかみで食べ始めた。 皿にあるものを無理矢理口にかっ込む。 その恥も外聞もない姿は何故か美しいとまわりは思った。 ドンドン銀時はタバサに追いついていく。 タバサも速度を速めるが銀時にはかなわない。 銀時が最後の料理を食べたとき、タバサの最後の皿にはまだ料理が半分ほど残っていた。 「やるわね」 「おめえもな」 銀時はタバサと握手を交わす。奇妙な友情が今生まれた。 周りからは歓声が起こる。 「良くやったー平民」 「タバサもすごかったぞ」 拍手の中、ギャラリーには感動のあまり泣いている者もいる。 皆馬鹿ばっかりである。 「うぷ、少し喰いすぎた」 銀時は口を押さえ夜風に当たりにバルコニーに出る。 とりあえずバルコニーの枠にもたれかかる。 「ヴェリエール公爵がご息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~り~~~~」 ホールからは音楽と共にドレス姿のルイズが出てきた。 その姿はまるで花のように美しかった。 普段はゼロと馬鹿にしている男子生徒たちも次々とダンスを申し込む。 「あいつ結構ああいう姿も結構似合うな、まっ貴族だから当然か。 神楽の奴だったら絶対似合わねえな」 そんな風にいってるとルイズがダンスの誘いを断り、こちらに向かってくるのが見える。 「楽しんでるみたいね」 「まあな、意外に似合ってるぜ、その格好」 銀時の言葉にルイズは顔を真っ赤にする。 「べ・・別にあんたのために着たわけじゃないからね、それに意外には余計よ」 あまりにもテンプレどおりの台詞をはくルイズ。 ―こいつツンデレって奴か。実在してたんだな。 銀時の回りにはツンツンかデレデレかという極端な女性しかいないためツンデレは珍しかった。 「馬子にも衣装って奴だな」 「そうともいうかもな」 デルフリンガーの言葉に同意する銀時。 「うるさい、うるさい、うるさい」 「おめえはどこのシ○ナですか」 銀時はルイズの普段とは違うボニーテールのような髪型を見て考えた。 「なあここは『実は俺ボニーテール萌えなんだ』っていうところか」 「いや、それは別のアニメだろ」 「さっきから何わけのわかんないこと話してるのよ」 「別に、それよりお前は踊らねえのか」 ルイズはため息をついた。 「踊る相手がいないのよ」 「いっぱい誘われていたみてえに見えたけど」 「あんなガキ相手には踊れないわ」 「ふ~ん」 銀時は返事をしながら夜空を見上げる。 「あっ!!」 「何!?」 「どうした、相棒!! 突然の大声を上げる銀時にルイズとデルフリンガーは驚く。 「いやルイズと最初会ったとき声が誰かに似てんなーと思ったけど、今わかった。 おめえ神楽に声が似てんだ、あーようやくすっきりした」 「カグラって誰」 「何だ相棒にも女がいたのか」 デルフリンガーの言葉にルイズは凍りついたような表情をする。 「ちげえよ、人前で平気でげろを吐く女だ」 「何よそれ!」 「どういう女だそりゃあ」 「なんつーかな、平気で暴力振るうし大喰らいで腹黒な女だけどな、 それでも俺の大切な奴で家族だ」 「やっぱり女じゃねえか」 「だから違うっつーの」 銀時が今まで見せて事のない表情を見たルイズは。 「ギントキ、踊ってあげてもよくってよ」 「は?パス、俺ああいう場所苦手だ」 あっさり断られた。 ルイズはため息をつきながら手を差し出す。 「私と一曲踊ってくださいませんこと。ジェントルマン」 そんなルイズに銀時はぷっと笑う。 「何よ、人がせっかく・・」 「いいぜ、じゃじゃ馬娘」 銀時はルイズの手をとる。 「勘違いしないでよ、あんたと踊りたいわけじゃないから。ただあんたは一応大人の男だからガキよりはましだと思っただけ」 「はいはい、わかったから」 「何かその態度むかつくわね」 「俺ダンスなんかしたこと無いんだけど」 「私に合わせなさい」 ホールでは音楽がなりそれぞれダンスが始まる。 身長差があるせいか最初はぎこち無かったが段々様になってきた。 「信じてあげるわ」 「何がだよ」 「その、あんたが別の世界から来たってこと」 ルイズは軽やかにステップをふみながらそう呟いた。 「つーか信じてなかったのか」 「正直半信半疑だったけど、あの『破壊の杖』あんたの世界の武器なんでしょう。 あんなの見せられたら信じるしか無いじゃん」 ルイズは下をうつむく。 「ねえ、帰りたい?」 「そりゃあ、帰りてえな、待たせてる奴もいるしな」 「そう・・」 ルイズはさびしそうに答える。 ―なんかこいつ今日変じゃねえ。 銀時は乙女心に信じられないぐらい鈍感だった。 「ありがとうね」 「は?何が・・」 ―なんか変な物でも喰ったのか。 礼など言ったルイズを銀時は失礼なことを思う。 「フーケのゴーレムから私のことを守ってくれたじゃない」 「ああ、何だそんな事か・・」 見ず知らずの他人の為にすら命を張って戦う銀時にとって、目の前の命を助けるのは当然のことであり些細なことだった。 「そんなことって・・なんで死ぬかもしれないのに戦うの、私の使い魔だから」 「違うな、使い魔じゃなくても俺は戦ってたな。俺の武士道のため、つまり俺のためだ」 ルイズは理解できないという顔をしている。 「お子様には難しすぎたか」 「子ども扱いしないでよ」 いつもの調子に戻ったルイズに銀時は笑う。 「うっ・・」 ダンスの途中で銀時が青ざめる。 「ど、どうしたの、まさかケガでも・・」 「違う、さっき喰った物が程よく胃の中シェイクされて逆流してきた」 銀時は腹いっぱい食べた上にワインもたらふく飲んだ。 その状態でダンスなんか踊ったのでゲ○がはきたいのだ。 「ちょっと!?絶対ここで吐くんじゃないわよ」 「どうやら俺とお前は不運(ハードラック)と踊(ダンス)ちまったみてえだな」 「全然かっこよくないわよ、いやー!!」 その後、バルコニーでゲーゲーはいている銀時の姿があった。 「ちょっと見直したのに、やっぱりあいつ最低よ」 しばらく銀時はゲ○の使い魔と呼ばれることになる。
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ある日夜中に目覚めた銀時はトイレに行くことにした。 「ふああぁぁ、寝みい・・」 トイレが終わった後、廊下をあくびしながら歩く。 キュルケの部屋からフレイムが出てきた。 「ああ、お前は・・胸のでけーねーちゃんのとこの・・」 胸がでかい以外碌に憶えていないのが銀時らしいといえば銀時らしい。 フレイムは銀時の上着のすそをくわえると、ついて来いというように首を振った。 とりあえず銀時はついていくことにした。 つれて来られたのはキュルケの部屋の中だった。 部屋の中は暗く、フレイムの周りだけはうすら明るい。 暗がりからキュルケの声がした。 「扉を閉めて?」 銀時は言われた通り扉を閉める。 「ようこそ、こちらにいらして」 「って見えねえぞ」 寝ぼけマナコな銀時は言った。 キュルケの指をはじく音が聞こえると同時に部屋にあるロウソクが灯っていく。 ロウソクの先にはネグリジェのような下着を着たキュルケがベッドの上で妖艶な姿で 待っていた。 銀時はびくりとした。 一体この女は何の用で自分を呼んだのかと考えた。 「そんな所で突っ立ってないで、いらっしゃいな」 とりあえずキュルケの横に座る。 「んで、何のようだ、俺明日も早いんだけど」 「まあ、冷たい、でもそこも良いわ」 銀時はキュルケにあんまり良い印象を持っていなかった。 「あなたは、あたしをはしたない女だと思うでしょうね」 「んな事言われても良く知らねえし・・」 「思われても、しかたないの。わかる? あたしの二つ名は『微熱』」 「そういえばそんな事言ってたような・・」 ちなみに銀時は今の今まで目の前にいる女がキュルケという名前だってことすら忘れていた。 「あたしはね、松明みたいに燃え上がりやすいの。だから、いきなりこんな風にお呼びだてしたりしてしまう。 わかってる。いけないことよ」 「お前さっきから人を無視してしゃべるなよ」 さっきから自分を無視してしゃべるキュルケに銀時はイライラしてきた。 「でもね、あなたはきっとお許し下さると思うわ」 「だ~か~ら~!!」 銀時のイライラは絶頂に達していた。 一体この女は何が言いたいのだと。 そんな銀時の手をキュルケは握ってきた。 「恋してるのよ。あたし、あなたに。恋はホント突然ね」 「はあ?」 銀時はすっときょんな声を上げる。 「あなたが、ギーシュを倒したときの姿・・。かっこよかったわ。彼のゴーレムを木刀の一撃で粉砕するなんて。 目も死んだ魚の目から獣みたいな目になって、特に最後の言葉『俺は坂田銀時、ただの侍だ』 意味は良く分からなかったけど痺れたの。信じられる? 痺れたのよ! これは情熱だわ!」 「チョイ待ち・・」 そう言って銀時はキュルケを押しのけ部屋の周りをごそごそ何かを探し始めた。 「ちょっと、なにやってるの」 「んで、これはどういう罰ゲームなんだ」 「え?」 今度はキュルケがすっときょんな声を上げる。 「つまりあれだろ、もてなさそうな男子に告白して、そいつがその気になってるところに 隠れた見ているほかの女子が突然出てきて、『んなわけねーだろ、ば~か』って言うつもりなんだろ。 俺はひっかかんねえぞ」 女の子に告白されるというシチュエーションを碌に経験していない銀時は、ほとんど中二的 被害妄想でキュルケを疑うほど性格がひん曲がってるのだ。 どういう青春送ってきたんだこいつは? 「うっさい!!」 「ひどい!!私がそんなことする女に見えて、少なくとも恋している時はうそはつかないわ。 私は本気なのよ」 「う・・」 さすがの銀時もここまで言われたら信じざるえない。 キュルケは銀時に身を寄せてくる。 銀時はキュルケのような色気を振りまいてるような女は嫌いではない。 だからといって銀時の好みとはだいぶ違う。 そもそも銀時はガキには興味がない。 いくら発育が良くてもキュルケは銀時から見れば年下のガキである。 そういうのを女としても見れないのだ。 銀時の周りの女性も結構な美人がいるが、あんまり女としてみていないふしがある。 「あのさ、悪りいだけど・・」 「ギントキ、愛してるわ・・」 そのまま銀時はキスされ押し倒される。 ―人の話を聞けぇぇ!! 銀時は心の中で絶叫した。 どうして自分の周りには人な話を聞かない奴ばかり集まるのかと。 なんとなく頭にマゾっ子くの一がよぎった。 銀時に好意を寄せる女性はみんなこうなのだろうか。 「キュルケ・・。待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば・・」 絶妙なタイミングで窓の外から、こちらを覗くやけにハンサムな男が現われた。 「ベリッソン! ええと、二時間後に」 「話が違う!」 キュルケは男としばらく言い争って後、魔法で男を吹っ飛ばした。 「今の誰だ」 銀時はジト目でキュルケを見る。 「ただの友達よ」 「おめえのとこでは夜中に窓から忍び込もうとする男を友達って言うんかぁぁ!!」 「愛してるのは貴方だけよ、ギントキ」 又銀時を押した倒そうとするが次々に窓から男達が現れる。 ―だめだ、もしこいつとやったら確実になんかの病気がうつされる、俺は坂本みたいにはなりたくねえ。 かなりひどいこと思う銀時だった。 銀時はキュルケを押しのけ部屋を出ようとした。 「待って、ギントキ」 「悪りんだけど、今はそういう気分にはなれねえ、それにそういうことは本気で好きな奴とやれよ」 そう言って銀時はドアのノブを触ろうとするが。 「ああ、そういうストイックでニヒルなところも素敵!!」 キュルケに後から抱きつかれ押し倒される。 「ちょっと、あんた人の話聞いてたぁぁ!!」 銀時は引き離そうとするがすごい強い力で引っ張られる。 「キュルケ!!」 その時、扉が開いて出てきたのはルイズだった。 この時、銀時ははじめてルイズが救いの女神に見えた。 「取り込み中よ。ヴェリエール」 「ツェルプストー、誰の使い魔に手を出してんのよ」 ルイスはキュルケとしばらく言い争い、銀時をつれて部屋を出た。 銀時は助かったと思い素直についていった。 「まったく、あんな女に篭絡されそうになって」 「冗談じゃねえぞ!!俺はもう少しでお婿に行けない体にされそうになったんだぞ!! むしろお前には感謝している」 「え!?っていうかあんたお婿に行くつもりだったの」 「そこ突っ込むとこじゃねえと思うんだけど」 ルイズは驚いた、今までキュルケに誘惑されておちなかった男はいないのだ。 「確かに色気はあるけどよ、俺のタイプとは違うつーか、そもそもガキには 興味がねえ」 ―キュルケがガキなら私は一体何なのよ。 ルイズはそんなことを思った。 「それにあの女とやったら病気うつされそうだし」 「いくら何でもひどすぎない、それ」 この時初めてルイズはキュルケに同情した。
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「どした、ルイズ!!」 銀時は剣を手に取り、外のほうを見る。 その瞬間小屋の屋根が吹き飛んだ。 「マジでか」 吹き飛んだ屋根の上から、巨大なゴーレムがこちらを睨んでいる。 最初に反応したのはタバサだった。すぐさま呪文を唱えるがゴーレムはびくともしない。 「ファイヤボール」 キュルケも同じく呪文を唱えたが結果はやはり同じだった。 「無理よ、こんなの」 「退却」 「ちっ・・」 キュルケとタバサの言葉に銀時は思わず舌打ちをした。 逃げるのは癪だが今はそれしかない。 ルイズはどこだか確認する。 ルイズはゴーレムの背後で失敗魔法をぶつけていた。 爆発はするものもゴーレムには傷一つつかない。 「逃げろ!ルイズ!」 銀時はルイズに向って思いっきり叫んだ。 「いやよ、あいつを捕まえれば、誰ももうわたしを馬鹿にしないわ。ゼロのルイズなんて呼ばないでしょ!」 「無茶すんじゃねー!!逃げろっつの」 ルイズの目は真剣だ、銀時に止められそうにない。 「私にだってささやかだけど、プライドってもんがあるのよ。ここで逃げたらゼロのルイズだから 逃げたって言われるわ」 「いいじゃねえか、他人の言うことなんざ気にするな、自分に恥ねえように生きればいい」 「私は貴族よ、魔法を使える者を貴族って呼ぶんじゃないわ」 ルイズは杖を構える。 「敵に後ろを見せない者を貴族って呼ぶのよ!」 ゴーレムはルイズにを踏み潰そうとする。 ルイズは呪文を唱えるがゴーレムにはやはり通用しない。 ゴーレムの足がルイズの眼前に迫る。 「待てェェェ!!」 銀時は駆け出した。 「待て待て待て待て待てェェェ!!」 疾風のごとく駆け込んだ銀時がルイズを抱きかかえそのまま地面に転がる。 「馬鹿野郎!!死ぬ気ですかお前は!!」 銀時の激昂にルイズは涙目になる。 「だって、悔しくて・・・。私いつも馬鹿にされて・・」 銀時はやれやれとため息をついた。 ルイズの頭をポンと優しく叩く。 「悪かったよ、おめーにも貫き通したい武士道があるんだな」 「え・・」 ルイズの顔はくしゃくしゃになってる。 しかし、再びゴーレムが襲い掛かってきた。 「ちっ、空気よめねえ野郎だな、もてねえぞ」 銀時はルイズを抱きかかえて逃げ回った。 「今まで苦しかったんだろ、誰からも認められなくて辛かったんだろ。 それでも歯喰いしばってがんばってきたんだろうが。 俺はお前を認めてやるよ、魔法が使える使えない関係ねえ、おめえはすげえ奴だ」 「ギントキ・・あんた・・」 ルイズの心は初めて軽くなったような気がした。 目の前の男は今まで一番言ってほしかった言葉をくれたのだから。 「世界中がお前の事笑っても俺はぜってえ笑わねぇ 世界中がお前の敵に回っても俺はお前の味方だ。 たいした事はできねえかもしれねえけど、お前が泣いた時その涙ぐらいは吹いてやるよ」 「ギントキ・・」 ルイズは銀時の胸で泣いた。 悔し涙じゃない、胸から沸き起こる暖かい感情が涙になって湧き上がるのだ。 「乗って」 タバサはシルフィールドで銀時の前にあらわれた。 銀時はすぐさまルイズをシルフィールドに押し上げた。 「あなたも早く」 タバサは珍しく焦ったように銀時に言うが、銀時は首をふりゴーレムに向き直った。 「ルイズ、よく見とけよ、俺はおめーの武士道も護ってやるよ」 「ギントキ、まさか!」 「使い魔の功績は主の功績なんだろ、俺があれを倒したら誰もおめえのこと馬鹿にしねえよな」 「ダーリン、無茶よ」 キュルケも止めようとするが銀時は動かない。 「さっさと行け、貴族が敵に後を見せねえって言うんならな、 侍はいざって時他人を護れる奴のことを言うんだよォォォ!!」 銀時は剣を抜いてゴーレムに向って走り出した。 タバサは無表情で銀時を見ていたが 迫ってくるゴーレムにやむなくシルフィールドを 飛び上がらせた。 銀時は剣をゴーレムの足にあてるが。 ガッキーン!! あっさり折れた。 「やっぱりナマクラじゃねえかよ、あの武器屋の親父マジで死ね」 ゴーレムの拳が降ってくるが寸前でかわす。 銀時は折れた剣を投げ捨てる。 「やっぱ俺にはこいつが似合うな」 そして銀時は『洞爺湖』を手に取った。 再びゴーレムの拳が銀時に襲い掛かる。 今度は『洞爺湖』を思いっきりゴーレムの拳に振りぬいた。 今度はゴーレムの拳のほうが打ち砕かれた。 銀時は間髪いれずにゴーレムに向って『洞爺湖』を打ち続ける。 「すごい・・」 ルイズ達は30メイル以上あるゴーレムに一歩も引かず戦う銀時を 見ていた。 ゴーレムは崩れていくがその度に再生していく。 「ちっ、これじゃあ埒があかねえ」 ルイズは何とか銀時を助けようと『破壊の杖』を取り出した。 タバサにレビテーションをかけてもらい破壊の杖を振る。 しかし何も起こらない。 「本当に『破壊の杖』なの、これ」 銀時は地面に降り立ったルイズを見て舌打ちをする。 「あの馬鹿」 しかし、あれならゴーレムを倒せるかもしれない。 「ルイズ!貸せ!」 銀時はルイズから半ば無理やり『破壊の杖』を奪い取った。 「使い方が分からないのよ」 「こいつはな・・こう使うんだよ」 銀時は一回だけこれを使ったことがあった。 すぐさま『破壊の杖』を肩に乗せ、スコープで標準をゴーレムの頭部に合わせた。 「どっせい!!」 銀時はトリガーを引くとゴーレムの上半身は大爆発を起こした。 上半身は消滅し下半身も動かなくなり土に戻っていく。 ルイズは腰が抜けたのかへなへなと地面に崩れ落ちた。 「やったわ、ギントキ!さすがダーリン!」 キュルケが抱きついてきたのを思いっきりかわす銀時。 「フーケはどこ」 タバサの声に一同ははっとする。 ミス・ロングビルは草むらから現れるが分からないと首を振った。 銀時は『破壊の杖』を見ながら、何故これがここにあるのか考えた。 でもいくら考えても分からなかったのであっさり考えるのをやめた。 不意にミス・ロングビルが銀時から『破壊の杖』を取り上げる。 「美人秘書の姉ちゃん?」 ミス・ロングビルはそのまま『破壊の杖』をそのまま4人に向けた。 「ご苦労様」 「ミス・ロングビル!」 キュルケが叫んだ。 銀時は今日何度目かのやれやれと顔をして頭をかいた。 「つまりこの姉ちゃんが、『ささくれ』のブスっていうことだ」 「そう・・って違うわよ、『土くれ』のフーケよ、あんたわざと間違えてるでしょう!!」 銀時にボケられ、思わず突っ込むフーケ。 それまでのミス・ロングビルの優しいそうな雰囲気から一変して猛禽類のような表情に変わる。 「はー、意外に好みのタイプだったんだけどな、やっぱ第一印象良い奴に限ってろくな奴がいねえ」 「そう、残念ね、私も貴方みたいなタイプは好みだったんだけど」 「そいつは光栄だ、世の中ままならねえな」 「ちょっとそんなこと言ってる場合」 軽口を叩き合う銀時とフーケにルイズはイライラしたように言った。 タバサは杖を振ろうとした。 「おっと、動かないで全員杖を遠くへ投げなさい、『破壊の杖』はぴったり貴方達を狙ってるわ」 ルイズ達は杖を投げた。 「そこの使い魔の貴方もよ、その木刀を投げなさい、あんたは武器を持つとすばっしこくなるから」 この時フーケは少し勘違いをしていた。 銀時は言われた通り『洞爺湖』を投げた。 「どうして!?」 ルイズはそう怒鳴る。 それにフーケは妖艶な笑みを浮かべる。 「そうね、ちゃんと説明しなきゃ死にきれないでしょうから、私ね、この『破壊の杖』奪ったのはいいけど 使い方がわからなかったのよ、どんな物でも使い方がわからなかったら宝の持ち腐れ、そうでしょう」 ルイズは飛び出そうとしたが銀時に止められる。 「ギントキ!」 「やめとけよ」 「ずいぶん物分りが良い使い魔ね、だからこれを貴方達に使わせようとしたの。 実際こうやって使い方教えてくれたし、じゃあそういうことだから短い間だったけど楽しかったわ、さようなら」 フーケは『破壊の杖』を構えた。 皆目を瞑るが銀時だけが人を馬鹿にしたようなニヤニヤとした笑みを浮かべている。 「貴方勇気あるのね」 「そうじゃねえよ、本当に追い詰められたのはどっちかって言う話だ」 銀時はどこから取り出したのかメガホンを持ち出した。 「あー、『土くれ』のフーケ、お前は完全に包囲されている。武器を捨てて出てきなさい。 故郷でお袋さんも泣いてるぞ、今日はそのお袋さんも来てくれている。 『もう知らないから、母さんあんたは3年前に死んだとものと思っているから』(銀時裏声)」 一人芝居を始めた銀時にルイズ達は唖然としている。 フーケの頭には青筋が出ている。 「貴方私のこと馬鹿にしてるでしょう!!そうなんでしょう!!」 「あ、やっぱりわかる」 「貴方から先に死になさい」 フーケは『破壊の杖』のトリガーを引いた。 しかしそれはうんともすんとも言わない。 「な、どうして」 「だから言ったじゃん、本当に追い詰められたのはどっちかって。 そいつは単発だから魔法なんかでねえよ」 「単発、どういう意味よ」 「言ってもわからねえよ、そいつは魔法の杖でも何でもねえ」 銀時はいつの間にかフーケのすぐ横にいた。 フーケの勘違いは銀時は武器を持たなくてもすばしっこいということだ。 元々『洞爺湖』もフーケのほうに向って投げたので銀時はすでにバットのように構えていた。 「そんなことよりさ、ウチの母方の祖父が『仁義を介さない醜い奴は顔面いっとけ』って それって坂田家の家訓なんだ、じゃ、そういうことだから」 「ちょ・・まっ・・」 フーケは破壊の杖を投げ捨て杖を握ろうとしていたがすでに遅かった。 銀時はイ○ロー並のバットスウィングを見せた。 「ふぎゃぁぁぁ!!」 フーケの顔面には思いっきり当て、フーケは5mほど吹っ飛んで動かなくなった。 「こいつは確か機械大砲(からくりおおづつ)っていったかな、詳しい型番は忘れちまったけど ってもう聞いてねえか」 銀時は『破壊の杖』を拾う。 「ギントキ!」 ルイズはあまりの状況の変化についていけず混乱していた。 「とりあえずこれで任務完了ってとこか」 そのことばを合図にルイズ、キュルケ、タバサは銀時に駆け寄った。 とりあえず銀時は3人と抱擁することにした。
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銀時は考えていた。 何故こうなったのかと。 今銀時は本塔の屋上からロープに縛られ、空中にぶら下がっている。 街から帰ってきた後、部屋でくつろいでいたルイズ達だったが突然キュルケ達が 入ってきた。 何でも同じ武器屋で銀時が折った剣よりはランクが下がるがそれでもかなり立派な剣を 買ってきて銀時にあげるというのだ。 ちなみあの店主を色仕掛けでかなり値切らせた、あの店がつぶれるか店主が自殺するか とても心配だ。 もちろんそんなことは許さないルイズ。 デルフリンガーとキュルケの買ってきた剣どっちを選ぶか銀時に迫った。 銀時の結論。 「どっちもいらね~」 「おいおい相棒、そりゃあねえだろう」 元々『洞爺湖』だけで十分だったし、あのうるさいだけのマダケンも押し付けられたようなものだ。 キュルケの剣も外見は立派だが式典用という感じで機能性、実用性はたいして高くない。 それにどっちを選んでも碌な事にならないように感じた。 もちろん2人ともその答えに納得するはずもなく決闘することになった。 その決闘方法が銀時をつるしたロープを先に魔法で切ったほうが勝ちというのだ。 ―何でこうなったんだ、俺はどっちもいらねーって言ったはずだぞ。 ―そもそも俺現役のジャ○プの主人公よ。 ―ライトノベルブームだが何だか知んねえけどこちとらコンビニ行けば必ずある 日本一売れてる雑誌に掲載されている作品の主人公だっつーの。 ―アラ○ブ(ゼロ使の漫画版が掲載されている雑誌)なんざでっけえ書店でも有るか無いかだぞ。 ―260万部?こっちは1700万部売り上げてんだよー。 ―アニメだって木曜6時やってんだよー。深夜枠じゃねえんだよ。 ―週間連載の怖さもわからねえラノベのキャラにこんな目にあわされなきゃなれねえんだあぁぁ!! なにやらものすごくまずい事を考えている銀時。 いや、最近ライトのベルのほうも競争率高くて大変だから。 「ちょっと、暴れないでよ目標が定まらないでしょう」 「ふざけんなあ!!おめえ殺すぞ」 ルイズの言葉に銀時は激怒する。 まずはルイズが先に魔法をうつことになった。 何にしようか迷ったがファイヤボールをうつことにした。 杖を振ると銀時の後ろの壁が爆発した。 「馬鹿野郎!!殺す気か!!」 爆風で銀時は揺れる。 今度はキュルケが同じファイヤボールを放つ。 メロンほど火球ができ、ロープを燃やした。 「うおおおぉぉぉ!!何この浮遊感、気持ち悪ッ!!」 そのまま下に落下していく銀時。 しかし上で旋回していたタバサのシルフィードが銀時を受け止めた。 「ああ、死ぬかと思った、悪いな、ありがと」 「いい」 銀時は礼を言うとタバサは短く答えた。 下のほうでキュルケは勝ち誇ったように笑っておりルイズは草をむしっていた。 「あいつらー!!」 銀時の怒りは頂点に達した。 自分を縛っているロープを強引に引きちぎりシルフィードから飛び降りる。 「「!?」」 それにはタバサもシルフィードも驚いた。 うまく地面に着地した銀時はルイズたちの元へ走る。 「あ、ダーリン、勝っ・・いったーい、ダーリン何するの!!」 「いったーい、ちょっと何すんのよ!!」 銀時は2人に思いっきり拳骨をかました。 「ばっきゃろーーー!!何すんのじゃねえぇぇよ!!お前ら2人とも正座だ、正座しろ!!」 銀時の有無言わさない迫力にルイズもキュルケも思わず正座してしまった。 「『喧嘩』ってのはな、己の土俵で拳でやるもんだろうがぁぁぁ!! 人(特に俺)に迷惑 かけんじゃねええぇぇ!!親にどういう教育受けたんだ、こら!!」 「おでれーた、主に拳骨くらわして説教する使い魔なんざ初めて見たぜ!」 塔に立てかけられているデルフリンガーは愉快そうに言った。 銀時は説教してる最中、背中に巨大な何かの気配を感じた。 「ん?」 振り返ってみると巨大な土ゴーレムがこちらに歩いてくるではないか。 2人とも呆然としている。 銀時は目を白黒させながら。 「・・何かよくわかんねーけど、しなきゃいけねーことは良く分かるよ・・逃げろォォ!!」 とりあえずルイズを腰にキュルケを肩に抱えて全力で走る。 「相棒 俺を置いてくな」 「知るか、マダケン」 「きゃあぁぁ!!どこ触ってのよ」 「うるせえ!!舌かむぞ、触られるだけの凹凸なんざねえ癖に」 「殺す!!」 とりあえず別の塔の物陰にルイズたちを放り投げ、様子を伺う。 「しゃべる刀に今度は巨大ゴーレムですか、もうファンタジー要素はたくさんだっつーの」 巨大ゴーレムの肩にいたローブをかぶった人物は腕を伝い穴を開けた学院の宝物庫に侵入する。 そして1メイルぐらいの箱を持ち出し、そのままゴーレムでその場を去っていった。
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翌朝 トリステイン魔法学院は蜂の巣をつついたような騒ぎだった。 宝物庫から『破壊の杖』を盗んだのは『土くれ』のフーケと呼ばれる最近世間を 騒がす盗賊である。 教師達は集まって対策会議を開いているが責任の所在の押し付け合いで、一向に有効策が 出てこない。 オスマンの一喝でそれまで好き勝手言っていた教師たちは静まるが。 「で、犯行の現場を見ていたのは誰かね・・」 「この3人です」 そこには目撃者として召喚されたルイズ、キュルケ、タバサの3人がいた。 隣では銀時が鼻をほじりながらつまらなそうな顔をしている。 「ふむ、君達か・・」 オスマンは銀時のほうを興味深げに見る。 ―何見てるんだ、このジジイ、気持ち悪ッ、源外のジジイと声が似ていてイラッとくんな。 ルイズは昨日の夜あったことを詳しく説明する。 『土くれ』のフーケの話を聞いてて、銀時は江戸にいた2人の怪盗を思い出した。 2人とも義賊と呼ばれていた、ただ1人は変態の下着泥棒だったが。 そんなことを考えていると突然ドアからいかにも美人秘書というような女が現われた。 「ミス・ロングビル!どこ行ってたんですか!大変ですぞ!事件ですぞ!」 「申し訳ありません、朝から急いで調査しておりましたの」 ロングビルが言うには近くの森の廃屋がフーケの隠れ家ではないかということだ。 すぐに捜索隊を結成することになったが誰も自ら行こうとしない。 銀時ももし行けといわれても自分も絶対嫌だと思った。 しかしここで杖を掲げたのはルイズであった。 「わたしが行きます!」 銀時はやれやれと思った、どうせ自分も行くことになるのだろうと。 教師たちは慌てて止めようとするがルイズは引かない。 それに呼応するかのようにキュルケも杖を上げ、タバサもそれに続く。 キュルケは行く事は無いと言ったが。 「心配・・それに」 タバサは銀時のほうをチラッと見た。 「?」 目が合った銀時はいかぶしげな顔をした。 なんでもタバサはシュヴァリエという騎士らしい。 周りは驚いているがなんとなくだが銀時は納得した。 出会った時からタバサからは他の生徒とは違う臭いのようなものを感じていたからだ。 コルベールが自分の事をガンダ何とかといってたが気にしないことにした。 こうして捜索隊が結成された。 「杖にかけて!!」 3人が同時に唱和した直後に銀時が手を上げる。 「ちょっと待った、大事なことを聞き忘れてたぜ」 その言葉に回りは銀時に注目する。 オスマンやコルベールはガンダールヴがこの事件で自分達の気づいていないことに 気づいたのかと、さすがガンダールヴだと思っていたがその期待は次の言葉で粉々に 打ち砕かれる。 「おやつはいくらまでOKなんすか」 ピキィィ!! 空間にひびが入る音が聞こえたような気がした。 この瞬間、銀時以外の時がとまった。 ちょっとしたザ・ワー○ドである。 「遠足気分かぁぁぁ!!」 いち早く復活したルイズが銀時を鞭でしばく。 その後バナナはおやつに入るんですかというベタなボケをかました 銀時はさらにルイズに凶悪な突込みを入れられる。 「のう、コルベール君、あれほんとにガンダールヴ?」 「私も少し自信が・・」 4人はミス・ロングビルの案内で馬車に乗っている。 ちなみに銀時は厨房からもらったおやつの入った袋からチョコレートを取り出し バリバリ食べている。 「それにしても何かめんどくせえことになったな、最近朝早く起きすぎて逆に体に悪いわ、 俺の血圧いくらだか知ってんの、あ~こんなことなら使い魔なんかなるんじゃなかった」 「さっきからうるさいわね、だったら来なければいいでしょう」 「そういうわけにもいかねえだろ、お前が最初にあったとき『初心者でもできる簡単な仕事です』 『皆仲の良い楽しい職場です』って言ってなければ俺はもう少しは考えてたぞ、あ~詐欺だねこりゃ」 「言ってないわよぉぉ!!そんなこと、あんたバイト感覚で使い魔やってんのぉぉぉ!!」 そんな銀時とルイズの漫才みたいなやりとりをキュルケは呆れたように見ている。 「仲いいわねえ、貴方達、ちょっと妬けちゃうわ」 「誰がこんな奴と!!」 ルイズはむきになって否定する。 タバサはさっきから銀時の食べているチョコレートをじっと見ている。 「喰うか・・」 銀時は持っていたチョコレートをタバサに差し出した。 なんとなくだが本能的に、この手のタイプには優しくしといたほうが良いと思った。 「ありがとう」 タバサはチョコレートを受け取り礼を言った。 「まあ、めずらしい、タバサが人から物を素直に受け取るなんて」 「へ~、手が早いのね、いつの間にかこの子まで口説いてるなんて」 ルイズはこめかみの方がピクピクしていた。 「ミス・ロングビル・・手綱なんて付き人にやらせれば良いじゃないですか」 キュルケは黙々と手綱を握るロングビルに話しかけた。 「いいのです、私は貴族の名をなくしたものですから」 「だって、貴女はオールド・オスマンの秘書でしょう」 キュルケは驚いた様に問う。 「ええ、でもオスマン氏は貴族や平民だということに、あまり拘らないお方ですから」 「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」 キュルケの問いに、ロングビルはただ微笑むだけだった。 「いいじゃないの、教えてくださいな」 ルイズはそんなキュルケを止めようとしたが、意外なところから声がした。 「やめとけよ」 それはおやつ袋のお菓子を食い終わった銀時だった。 「人間なんざすねに傷を持ってる奴ばかりだ、その傷を見ようなんて悪趣味だぜ」 「まあ、ダーリンがそういうなら・・」 キュルケは少し恥ずかしそうにうつむいた。 「ああ、寝みぃ、ついたら起こせよ」 銀時はそのまま両手を後頭部にあて少し横になるような体勢をとり、 そのままガーガー眠り始めた。 「ギントキ、起きろ」 「ん、着いたのか」 銀時は寝だれを拭きながら起きる。 「ここから先は、徒歩です」 馬車が入れない森についた銀時達は歩くことになった。 森は鬱蒼として薄暗かった。 「や~ん、こわい」 そう言ってキュルケは銀時に擦り寄ってくるが銀時は頭をがしっと押さえ。 「暑苦しいからあんま近よんな」 「だってー、すごくー、怖いだものー」 「嘘くせーんだよ、お前のその言い方、うっとしいからやめてくれる、マジで」 「ぶ~、ダーリンは私のこと好きじゃないの」 「ああ好きだぜ、軍手の次ぐらいに」 つまりものすごくどうでもいいということである。 これならまだ嫌われたほうがマシともいえる。 森には木こり小屋だったと思しき廃屋があった。 「私が聞いた情報によると、あの中にいるという話です」 作戦会議が開かれ、その結果偵察兼囮が中からフーケをおびき寄せ 出てきたところを攻撃することになった。 その偵察兼囮を誰にするかと言った時、皆銀時を見る。 銀時は最後まで「じゃんけんにしねえか」と無駄な足掻きを見せてはいたが まさしく無駄に終わった。 「結局俺がいつも貧乏くじか」 そうため息をつきながらもその役を引き受ける。 「じゃあダーリン、これ」 渡されたのはキュルケの買ってきた剣だった。 銀時はぶっちゃけいらないのだがパフェをおごってもらったので義理程度には持っておくことにした。 「何かうむやむになっちゃったけど勝負に勝ったのはあたし。文句ないわね、ゼロのルイズ」 ルイズは何も言わなかった。 小屋に近寄る銀時。 妙なことに小屋には人の気配がしない。 めんどくさくなったので窓を蹴破って中に入った。 やはり誰もいないし人の気配もない。 そのことを外に隠れているルイズ達にもサインで伝えた。 小屋の中にいる銀時は何か手がかりになる物はないかとあたりを物色する。 暖炉の横に箱が置かれていて銀時はあけた。 「何でこいつがここに・・」 銀時は目を見開いた。 「破壊の杖」 後から小屋に入ってきた銀時の取り出したそれをみて言う。 「おい、これが本当に破壊の杖か」 「そうよ、あたし見たことあるもん、宝物庫見学したとき」 一緒に入ってきたキュルケも言った。 そんな時急に見張りをしていたルイズの悲鳴が聞こえた。 「きゃあああああ」
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【種別】 使い魔 【解説】 始祖ブリミルが従えていたという四体の使い魔。 神の左手ガンダールヴ。神の右手ヴィンダールヴ。神の頭脳ミョズニトニルン。 現在確認されているのはこの三つのみ、もう一人は記すことさえはばかれるとのことで不明。
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不死の使い魔 召喚1回目 不死の使い魔 召喚2回目 不死の使い魔 召喚3回目 不死の使い魔 召喚4回目 不死の使い魔 召喚5回目 不死の使い魔 召喚6回目 不死の使い魔 召喚7回目 不死の使い魔 召喚8回目 不死の使い魔 召喚9回目 不死の使い魔 召喚10回目 不死の使い魔 召喚11回目 不死の使い魔 召喚12回目 不死の使い魔 召喚13回目