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全てが0になる ◆H5vacvVhok そこは、かつて堕落三昧斜道卿壱朗研究施設という名称を持った研究施設である。 特異性人間構造研究という人類の禁忌に挑もうとした果てに、『死線の蒼』と『戯言遣い』によって完膚なきまでに叩き潰され、圧壊された堕落の最果てである。 その研究施設の離れの廃墟に三人の人影があった。 一人は、私立桜桃院学園指定の制服を身に纏った平凡そうな少年である。一人は、同じく私立桜桃院学園指定の制服に身を纏ったどこか人を寄せ付けない雰囲気を持つ少女である。 一人は私立上総園学園指定の学ランを身に纏った少年……ではなく少女である。男装の麗人とはこの少女のための言葉ではないか? というくらいに男装が似合う美少女であった。 櫃内様刻と病院坂黒猫と病院坂迷路の三人である。 彼らは廃墟の玄関ロビーで呆然と立ち尽くしていた。 いや、彼らの視線の先にあるモノに釘付けにされていたというほうが表現としては適切なのかもしれない。 彼らの視線の先にあるモノ、それは…… 体中を斬り刻まれて絶命している男の死体だった。 死亡してからそれほど時間が経過していないようで、傷口からは血が溢れ出ているため、彼の周りは血の海が出来上がっていた。 亡者の光を失った瞳がこちらを見つめる様は、おぞましくも恐ろしいものだった。 「なあ、様刻くんに迷路ちゃん? 僕たちの置かれているこの異常な状況について君たちならどう考察するかね?」 重苦しい雰囲気のなか、第一声を発したのは黒猫であった。 「どうって、戦争なんだから人が殺されていても不思議なことなんて何一つないだろ? ていうかこの状況の考察よりも、この先、この戦いを生き残っていく手段について考えた方がよくないか?」 現実的な様刻の提案に黙って同意する迷路。 「まあ、様刻くんの意見は尤もだが、こういう状況では死体を観察し考察することにより、有益な情報を得られたりするものなのだよ」 例えばだね、と黒猫は続ける。 「この死体くんは触ってみるとまだ温かい。死後硬直もまだ始まっていないようだ。 状況からみて、彼は僕たちがここに来る少し前に殺されたと推測することができる」 「うん、だからどうした?」 「櫃内様ともあろうお方が情けない……。少しは自分で考えてみろよ。ところで、話は変わるが様刻くん。きみは『かもしれない運転』という言葉はご存知かな?」 「まあ、知ってるちゃあ知ってるけど……。あれだろ? 子供が道路で遊んでいるのを見て、ひょっとしたら子供が飛び出してくるかもしれない、 と予想し対応する心構えを身につけておけってやつ」 不服そうに言う様刻を見て、にやにや笑う黒猫。 「そう、その言葉にいまの状況を当て嵌めると、 殺人事件が発生した→死体の状況から判断すると殺害されてからあまり時間は経過していない→もしかしたら、犯人はまだこの建物に潜んでいるかもしれない。 という危機判断が可能なんじゃないのかな? 様刻くん?」 これに様刻は、溜息を吐き 「そうだな。警戒は十二分過ぎるほどにしておいたほうが十全だな」 と言った後に 「結局、何が言いたいんだよ? くろね子さん」 と続けた。 つまり、従姉どのはそういう危険因子を排除しておきたいとそう仰られているのですよ。様刻さん―――と目線だけで迷路は様刻にそう伝えた。 「排除ってまさか……」 「別に殺しまではしないさ。戦闘不能な状態には、なってもらうがね」 様刻の言葉を遮るように言う黒猫。 「それじゃあ行こうか」 言って黒猫は一人、廃墟の二階へと続く階段を昇っていく。 それに様刻と迷路は渋々といった感じで続いた。 ☆ ☆ ☆ それから数分後、またしてもこの廃墟を訪れる人影があった。 その人影は、玄関ロビーにて血の海と化した場所を笑いながら眺めていた。 その場所の中心には、野良猫が息絶えていた。 「傑作だな―――」 その男、上半身裸でそのままサバイバル・ベストを羽織っており、下はハーフパンツというラフな出で立ちである。 なんだか、おしゃれをガンバリすぎて妙な方向にそれてしまったという印象であった。 その格好だけでも人目を引いてしまいそうだが、右顔面には、禍々しい刺繍が掘られていて、彼の異様さをさらに引き立てていた。 「こういう役回りは、俺じゃあなくて『あいつ』が相応しいと思うんだが……」 なあ、欠陥製品。とその男は独り呟く。 「まあ、いいや。そんじゃ今回も殺して、解して、並べて、揃えて、晒してやりますか」 彼の名前は零崎人識。 殺し名七名。序列第三位。 『零崎一賊』の最大の禁忌にして秘中の秘。 『零崎』同士の親近相姦によって産まれた鬼子である。 ☆ ☆ ☆ 二階に到着した病院坂御一行を更なる衝撃が襲った。 階段のすぐそばには、三つ扉が並んでおり、それぞれ血文字で次のように記されていた。 一つ目の扉 高貴なる者は、絶望に溺れ殺される。 二つ目の扉 不吉を呼ぶ黒猫は、四肢を切断され殺される。 三つ目の扉 不吉なる迷宮に座す者は、全てを奪われ殺される。 そして、二つ目の扉の上にはこう記されていた。 『そして、全てが0になる』。 「全てが0になる? 『すべてがF になる』じゃあなくて?」 センスが悪すぎる。と様刻は吐き捨てるように言った。 「センスの良し悪しは別として、三つの扉に記された血文字は、『黒死館殺人事件』の殺人予告を彷彿とさせるね」 目を輝かせながら暢気に言ってのける黒猫。 少しは空気を読んで欲しいものである。 そんな黒猫を呆れた目で見ながら、 「病院坂。お前はなんでも知ってるな」 とありったけの皮肉を籠めて言った。 それに黒猫は、酷く冷め切った声で、 「君が薄識なだけだろ」 と言い返す。 なんだか不毛な会話だった。 従姉どのも様刻さんも落ち着いてください。今は言い争いをしている場合じゃあ、ありませんよ? ―――と年長の二人を睨むことにより、怒りを表現する迷路。 「ああ、そうだな。ごめんな、迷路ちゃん」 言って、迷路の頭を撫でてやる様刻。 (しかし、こいつは―――) 扉に記された血文字を読み返す様刻に戦慄が奔る。 (こんなものを書いた奴の頭は完全にイカレている。もし、この狂気がぼくたちに向かっているならば、今すぐにでもこの場所を離れるべきじゃあないのか?) 嘗て経験したことのない異常な事態に様刻の第六感が警鐘を鳴らす!! (そうだ!! 病院坂たちを連れて今すぐにでも、この薄気味悪い場所から―――) 「おい、病院坂! 迷路ちゃん! 今すぐにでも、この場所を離れるぞ!!」 櫃内様刻が声を掛けた先には――― 誰も、いなかった。 「あれ? 病院坂?」 「そうか、あの娘の苗字は病院坂というのですね」 背後からの突然の声に振り向こうとする様刻だが、 「―――――!!」 身体が動かない!! 「ああ、動こうとしても無駄ですよ。あなたはもう僕の『操想術』に嵌ってますから」 「『操想術』?」 「まあ、簡単に―――至極、簡単に説明するならば、催眠術のようなものとでも言いましょうか」 (催眠術!? いつの間にそんなものを掛けられた!) 思い返してみる様刻だが、思い当たる節が全くない。 そんな様刻の思考を読み取ったのか背後の男は、せせら笑うように 「そうでしょうね。相手に気付かれないように施術するのも、非戦闘集団である呪い名の必須技術ですから」 と説明する。 「実験は……そうですね。成功とは言えませんが、結果は悪くありませんでした。ご協力感謝します」 「あ……あんた、何を言って―――」 「お詫びと言ってはなんですが、苦しまないように一瞬で殺してあげましょう」 その場から逃げようとするも、全く身体は反応しない!! 「――――――!!!」 そして、刹那の刻。 断末魔が響いた。 ☆ ☆ ☆ ぽた、ぽた、ぽた。 血が床に滴り落ちる。 「―――――っ!!」 あまりの痛みに顔をしかめてしまう。 だが、そんなことはどうでもいい問題だった。 (何故、絶対的に殺す立場だった僕がこんな目に!!) 時宮時刻の背中には、一本のナイフが突き刺さっていた。 「―――ちょっと道を訊きてーんだけどよ。つっても、別にあんたに人生を説いてもらいたいってわけじゃあない。かはは」 『零崎一賊』の鬼子、零崎人識がにぃと笑いながら時刻の背後にナイフを突き立てていた。 「なあ、地獄にはどうやって逝けばいいんだ?」 これに時刻はこれ以上ない程に破顔し、 「地獄へは案内できそうにありませんが、その代わり世界の終焉へとご案内致しましょう」 と言って一切れの紙を取り出した。 その瞬間に時宮時刻は、ふっと消えて零崎人識の手には、血の付いたナイフだけが残された。 「おい、もう動けるだろ」 人識が呆然と立ちつくしている様刻に声を掛ける。 それに様刻は、ゆっくりと振り向いた。 (……子供? ) それが、櫃内様刻が零崎人識に抱いた第一印象だった。 人識は冷め切った声で言った。 「この戦いに巻き込まれた瞬間から、今この時に至るまでの全てを俺に説明しろ」 ☆ ☆ ☆ 時宮時刻の実験―――集団に同時多発的に操想術を施術―――は完全とは言い難かったが、実践レベルでの使用は可能だという結果だった。 まず、自分の体中に血で装飾を施し、対象者と眼を合わせる事により『操想術』発動までの下地を整える(安易催眠により対象者は施術者が死んだものだと思い込んでいる)。 そして、二階へ上がり三枚の扉を目にした数分後に『操想術』が発動する。 三人の内、二人が『操想術』を完璧に施術され、時宮時刻の配下となった。 万人に効果がある訳ではないが、この方法で配下を増やしていけば、時宮時刻の念願―――世界の終焉へと到達できるだろう。 (ふふふ。この戦いを生き残り、その果てに待つ世界の終焉へ必ず辿りついてみせる!!) 手傷を負った時宮時刻は、配下の病院坂黒猫と病院坂迷路の手を借り、足早にその場を離れた。 【一日目/深夜/D-7】 【時宮時刻@戯言シリーズ】 [状態]背中に負傷 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:生き残る できるだけ多くの配下を集める。 この戦いを通じて世界の終焉に到達したい。 [備考] ※「ネコソギラジカル」上巻からの参戦です。 [操想術について] ※対象者と目を合わせるだけで、軽度な操想術なら施術可能。 ※永久服従させる操想術は、少々時間を掛けなければ使用不可。 【病院坂黒猫@世界シリーズ】 [状態]健康、『操想術』を施術され操り人形状態 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:時宮時刻の命令どおり行動 [備考] ※「きみとぼくの壊れた世界」からの参戦です。 【病院坂迷路@世界シリーズ】 [状態]健康、操想術を施術され操り人形状態 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:時宮時刻の命令どおり行動 [備考] ※「不気味で素朴な囲われた世界」からの参戦です。 「ふ~ん、なるほど。そういうことか……」 零崎人識は櫃内様刻からの説明を受けて、めんどくさそうに言った。 「もう、ぼくには何が何だか……」 疲れたように様刻は呟いた。 「だろうな。普通の世界の人間にとっちゃあ理解不能な事態だわな」 にやにやと厭な笑みを浮かべる人間失格。 「だが、一つだけ言えることがある」 人識の言葉に顔を上げる様刻。 「その女とガキはもう、奴の操り人形だ。あきらめろ」 じゃあな、とその場を去ろうとする人識。 それに様刻は、 「待ってくれ!」 と必死の形相で呼び止めた。 「あいつらを助けたいんだ。協力してくれ!!」 それに人識は 「あん?」 と呟き 「どうして俺が?」 と不思議そうに言った。 「あんたは手を出さなくていい。ただ、ぼくにあいつと対抗できるだけのスキルを伝授してくれればいいんだ。あとは自分で殺るから」 必死な様子で懇願する少年を見て、 「……………」 と黙り込んだあと 「わかった。手伝ってやろうじゃあないか。お姫様救出を、な」 とにぃと笑って答えた。顔面刺繍が禍々しく歪む。 その表情を見て様刻もにぃと笑う。 「そんじゃあ、時間がない。今すぐにでも奴を追うぞ」 そして、この奇妙な二人組みは足早にその場を離れた。 【櫃内様刻@世界シリーズ】 [状態]健康 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:操想術を施術された仲間を助ける。 1、病院坂黒猫と病院坂迷路を助けたい。 2、時宮時刻を殺す。 [備考] ※「ぼくときみの壊れた世界」からの参戦です。 【零崎人識@人間シリーズ】 [状態]健康 [装備]サバイバルナイフ [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本:櫃内様刻の仲間を助ける(気紛れ)。 [備考] ※時系列的には、「ネコソギラジカル」上巻からの参戦です。 恋物騙 時系列順 「いーちゃんに会いたい」 恋物騙 投下順 「いーちゃんに会いたい」 START 零崎人識 混沌は始まり、困頓はお終い START 櫃内様刻 混沌は始まり、困頓はお終い START 時宮時刻 混沌は始まり、困頓はお終い START 病院坂黒猫 混沌は始まり、困頓はお終い START 病院坂迷路 混沌は始まり、困頓はお終い
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拒絶王秘伝 スプリカポア・トスポ KGM 光/水/闇/火/自然文明文明 (10) 呪文:リジェクター ■アタック・チャンス:拒絶終末王 ミックステーター(自分の拒絶終末王 ミックステーターが攻撃する時、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい) ■各プレイヤーは、バトルゾーンから1枚カードを選ぶ。その後、選んだカード以外のカードを全て条件無視で山札に戻してシャッフルする。その後、すべてのプレイヤーは山札から5枚ずつシールドゾーンと手札にカードを加える。 ■この呪文はいかなるカードの効果も受けない 作者:餅キング フレーバーテキスト あの時、これを使えなかったのはね、これを使うと全てが無に帰り、なーんにも無くなっちゃうからなんだ。---ミック(拒絶終末王 ミックステーター) 評価 名前 コメント
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【開催期間】 2017年9月6日15 00~2017年9月15日17 59 【イベント曲】 例えば君の未来が EXPERT AP達成者 2名 【獲得ptランキング 1位】 670408pt イベント限定SR レア度 メモリー名 タイプ SR 【例えば君の未来が】美山椿芽 プリティ SR 【例えば君の未来が】篠宮明佳里 プリティ
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―はじめに― 当作はPBM! の人◆1m8GVnU0JM氏原作パラベラム!の二次創作です。 歯車 ◆B21/XLSjhEの不適切な妄想を多分に含む内容となっています。 嫌な予感がした方は「ポマード!ポマード!ポマード!」と唱えてスルーして下さい。 原作者様には貴重な作品をお貸し頂けました事を深く感謝申し上げます。 季節は始まりを予感させる春、天気は若人達の門出を祝福するかのような雲一つ無い快晴。 暖かい陽射しの下、女が独り。今にも死にそうな程、陰鬱とした表情で歩道を歩いていた。 原作 パラベラム! 原作者 PBM! の人◆1m8GVnU0JM氏 Episode GEARS 例えばそんな未来 一歩歩く度に艶やかなシャンパンゴールドの髪が揺れ、肩に羽織ったレースのストールが揺らめく。 嗚呼、今日はなんて最高で、最悪な日なのだろう。 彼女、玉藻・ヴァルパインの表情が翳り、涙が零れそうになる。 少し前まで誰よりも一番近かったのに、今は一番じゃなくなってしまった。この胸の奥が締め付けられる感情、悲しみだ。 「悲しくなどあるものか、最悪であるものか」 「独り言しながら胸倉を掴みにかかるのは止めてもらえるかな?」 「あ?」 妄想の中で大暴れしていたつもりが、見ず知らずの他人の胸倉を掴み、現実世界で大暴れを始める寸前。 面倒な事にならない内に息の根を止めて、さっさとお暇しようと思って見上げると、それは見ず知らずの他人では無く、よく見知った他人だった。 出会い頭に胸倉を掴まれて尚、人の良さそうな笑みを浮かべて、玉藻を諌める男の名はルガー・ベルクマン。玉藻の幼馴染だ。 最近は念願かなってダイニングバー、パラベラム!のマスターとして充実した日々を送っている。 身に付けた狐さんと、店名がプリントされたエプロンから察するに今も仕事中らしい。 「寄っていくかい?」 陰鬱そうな表情で、自身の胸倉を掴んだまま固まる幼馴染など何のその。 客商売は色んな人との出会いの連続なのだ。ルガーにとってみれば極めて軽度の変人。 少なくとも、余裕を持って快活な声と笑顔で対応出来る程度には――何より勝手知ったる幼馴染なのだから動じる道理も無い。 ♪ ♪ ♪ 態々、返事を聞くまでも無いとルガーは玉藻の手を引いて、店の中へと一名様ご案内。 店内に客や店員の姿は無い。それもその筈、彼の手作りケーキやタルトが振舞われる昼の営業は既に終了。 日が沈んだら夜の桃色空間……では無く、オリジナルのカクテルや、東西の珍しい酒を楽しむ紳士淑女の社交場になるのだ。 そして、夜の営業、バーラウンジの開店にはまだまだ時間がある。 「ちゃんとおめでとうは言えたかい?」 「当たり前だ。今日は……今日はまどかにとって晴れの日だぞ」 まどかの晴れの日――この日は彼女の従妹、まどか・ブラウニングの結婚パーティが開かれていた。 実の妹。いや、それ以上の愛情でもって接してきた目に入れても痛くないどころか、目に入れたい程、可愛いまどかの結婚式。 相手は勿論、玉藻では無い。玉藻の知らない何処ぞの男。良い家柄と言うわけでも無く、特別、容姿が優れているわけでも無い。 稼ぎも平均的。性格は……分からない。腸の煮えくり返る思いをしているのを我慢して愛想笑いを浮かべているだけでも必死だったのだ。 のうのうと言葉を交わして、性格を見極める余裕など無い。 それでも、今までの様な、まどかに纏わり付く悪い虫の様に問答無用で抹殺しても良い相手では無い事は分かっている。 二人で寄り添って、互いに幸せそうな笑顔を向け合う新郎新婦。 玉藻に一度も見せた事の無い種類の笑顔を浮かべる、まどかを見た瞬間、玉藻はその男を認めざるを得なくなってしまったのだ。 まどかの夫となる男は、自分とは違った形の、自分には出来ない種類の幸福をまどかに与えてやる事が出来るのだと。 でも、実際にその日を迎えると、まどかが自分の知らない笑顔を浮かべる姿が綺麗で、眩しくて、嬉しくて、辛くて、切なくて、悲しい。 まどかを愛しているから、まどかの幸せは最高に嬉しい。喜べないはずが無い。 それでも、まどかの隣に寄り添って幸せにするのは自分でありたかった。 「何で……何で私は男に生まれなかったのかな。私が男なら、まどかを幸せにしてやれたのにな」 まどかを愛しているなんてものじゃない。玉藻の心にあるのは、まどかに対する恋慕の情。 その気持ちを悟られぬよう、友として、姉として、一番の理解者として、この日までを過ごしてきた。 だから、まどかの新たな門出を笑顔で送り出さねばならない。 「よく頑張ったね。たまちゃん」 カウンター席で独白する玉藻の前にルガーはいなり寿司を差し出すなり、玉藻は一目散に齧り付き始めた。 挙式中は色々な複雑が渦巻いていた事もあり、彼女が自覚していた以上に体力を消耗していたらしい。 好物を口にしたからか、幼馴染の前だからか、虚勢を張る必要が無くなったからか、それまで張り詰めていた物がプツリと切れたかの様に涙が頬を伝う。 そして、堰を切ったかの様に嗚咽を漏らして涙と、米粒をポロポロと溢す。 「本当はッ……わかっ、分かっていたんだ! こ、こんな日がッ……こんな日が来るってぇ……だけど、私はまどかの姉だからッ!! わ、私……女だから! まどかを、幸せに出来ないから……! ヒック……私がまどかを幸せにしかったのに……うあああ……! あ、あんな男なんかに……渡したく、ない! 渡したくないけど、まどかが幸せだから……綺麗だから、認めるしか、出来なくって!!」 嗚咽混じりに漏れる言葉は支離滅裂だが、そのどれもが全て、今まで誰にも打ち明ける事の出来なかった本心だった。 ♪ ♪ ♪ カウンター席で決まりの悪そうな表情で俯く女、カウンターの中で穏やかな微笑みを浮かべて夜の客を迎える準備をする男。 二人の間に言葉は無く、ただ店内に流れるクラシックのBGMだけが静寂を切り裂いていた。 「おい」 「なんだい?」 「今日の事、誰にもバラすなよ? もしも、バラしたりしたら、私がお前をバラすからな」 「分かったよ。たまちゃんも、また泣きたくなったらおいで」 「う、五月蝿い!!」 顔を朱に染めながら吼えるも、一頻り胸の内に溜まった物を吐き出し、溜め込んだ涙も全て流し尽くした玉藻は幾分か気を晴らしたようで、その表情には翳りも陰鬱さも消えている。 店内に差し込む夕焼けを背にシャンパンゴールドの長髪を赤に染め、普段通りの尊大な笑みを浮かべて言葉を紡いだ。 「また来てやる。それまでにマシないなり寿司を用意しておけ」 「その割には完食していたようだけど?」 不遜な物言いを苦にする事無く、朗らかな笑顔を投げ返す。 「お前は一々、五月蝿いんだ! また来てやるかッ……!?」 逃げる様に踵を返し、店から出ようとして顔からドアに直撃。真っ赤になった鼻を抑えてしゃがみ込む。 これには流石のルガーも笑えずに、玉藻の元へと駆け寄ろうと身を乗り出した。 「だ、大丈夫かい!? そこのドア引かないと開かないんだよ!」 「う……うおおおおおおおおお!!!」 鼻腔に生温い感触を感じた玉藻は即座に立ち上がり、猛ダッシュ。 一日に二度も同じ相手に醜態を晒せる程、彼女は強く無い。 凶暴で暴言の操り手だとしてもだ。 だから、ルガーに近付かれる前に脱兎の如く逃げ出した。 奇声を発しながら逃亡したのも醜態だという事に気付いたのは帰宅後の事、彼女が再びルガーの元を訪れるのは一ヵ月後の事になる。 ♪ ♪ ♪ それから暫くの月日が流れてから―― まどかは相変わらず、新婚気分が抜けないらしいが、笑顔の絶えない幸せな家庭を築いたそうだ。 ダイニングバー、パラベラム!で新しい日々を送り始めたシャンパンゴールドの髪の美女はそう語った。 其々の未来、新しい未来、幸せな未来 ダイニングバー、パラベラム! 例えば、そんな未来もあるかもしれない。 次 回 な ん て も の は ね ぇ ッ ! !
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キャラの基本情報 因果律により、全てが無に帰す
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終わりよければ全てよし「松嶋 みちる」 読み:おわりよければすべてよし「まつしま みちる」 カテゴリー:Chara/女性 作品:グリザイアの迷宮 属性:火 ATK:2(+1) DEF:4(+2) 【登場】〔自分のキャラ1体を【表】から【裏】にする〕 [永続]自分の【表】【レスト】の OS:グリザイアの果実 のパートナーをガードキャラに選ぶことができる。 [自動]自分のキャラすべてが OS:グリザイアの果実 で、自分のキャラがアタックキャラに選ばれた場合、カード1枚を引いてもよい。 また新しい世界を見せてくれた、本当すごい、嬉しいっ illust: GR-109 C SC 収録:エクストラブースター 「グリザイアの迷宮」
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すべてがぜろになるまえに【登録タグ VOCALOID す 仕事してP 曲 猫村いろは】 作詞:仕事してP 作曲:仕事してP 編曲:仕事してP 唄:猫村いろは 曲紹介 君の痕跡を失う前に 歌詞 (仕事してPのHPより転載) 星空は歌う音も無く 闇に震える僕を包み込むように 煌めく星海は 忘れ得ぬ君の瞳を思い出させる あの日犯した過ちがきっと 巡り廻って僕等を裂いた 溢れ出した報いの泥に呑み込まれて 全て零になれば楽だろうな 罪も感情も想い出さえも …できるはずがない 君の足跡を辿って行く 砂粒ほどの痕跡を抱いて 幾億の日々走り続けた 伸ばした手の先を求めて 傷つき 壊れ 朽ち果てる その日まで 探し続けるよ 月に祈る囁きは 俄かの雨に冷たく拒まれた 焼けるような熱に 終わらない痛み 傷口から雫が落ちる どれほど傷つき血を吐いたって 誰もが君のこと忘れたって この世界中を走り続ける 伸ばした手の先を求めて 罪も罰も 受け入れたその先で 僕等の全てが 零になる前に 君の足跡を辿って行く 砂粒ほどの痕跡を抱いて 幾億の日々走り続けた 伸ばした手の先を求めて 傷つき 壊れ 朽ち果てる その日まで 探し続けるよ 僕等の全て零になる前に 君の痕跡を失う前に 罪も感情も想い出さえも 僕等の全て零になる前に コメント 名前 コメント
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『例えば』の話 0 強きを挫き弱きを助ける? 馬鹿馬鹿しい。強い者が『悪』で弱い者が『善』だなんて、一体どこの誰が決めたんだ? 1 例えば、満員電車の中の耐え難い香水の臭い。 そんな感じの世界で、俺は生きている。自分でも変な例えだとは思う。だけどきっと、俺にはこれ以上にしっくりとくる表現は見つけられないだろう。匂いは、強すぎると臭いに変わる。それに四方を囲まれたらと考えて欲しい。移動の為の手段であるそれが、苦痛の小箱となる。 そこは耐え難いけれどあからさまに嫌な顔をすることもできず、面と向かって文句を言うこともできず、ただじっと耐えるしかないという苦行さながらの狭い空間。 ここは、そんな世界だ。 「おはよ、ガル。なあ、お前、もうすぐ任務だよな?」 「お早う」 軽い調子で聞いてきた同僚、アスカ・バルザックは俺の顔を覗き込み、わずかに口角を上げた。一言だけそっけなく返し、俺は書類の整理を続ける。 「その任務なんだけど、僕も行くことになったから。お知らせ」 「……了解」 アスカは整った顔立ちの、女顔の男だ。 もうすぐ三十路だというのに女装をして街に行き、声を掛けてきた男をからかって遊ぶのが楽しいのだという、性格と根性と趣味の悪い奴である。どうでも良いから早く落ち着けと説教したくなる。この男は浮足立つどころかふわふわと浮きっぱなしで、苛々するくらい落ち着きがない。 『このつぶらな瞳にたくさんの男が騙されるんだ。むさ苦しい男たちの落胆した顔を見るのはとても快感だよ』などと嘯いていたこともあったか。 一七〇センチにも満たない彼は細身で、まるで東洋人のように童顔だ。その所為か、まだ二十歳くらいにも見える。下手をしたら、まだ十代と間違われることすらあるかもしれない。 彼から時折聞かされる、『化粧をしてにっこり微笑んでみたりとかしたら、その辺の女の子なんか目じゃないよ』という言葉も、きっと嘘ではないのだろう。幸いなことに、俺はまだその女装姿を見たことはない。不可思議な思考の持ち主ばかりが集まるこの職場に居るアスカが、仕事場に女装で来ないだけの分別を持っていることに俺はひそかに感謝する。男にしてはかなり長い、セミロングの髪を二つに結んでいたり編んでいたりすることも稀(まれ)にあるが、それはまぁ、許容範囲内だろう。 しかし、何にせよこれが先輩なのだと思うと若干不愉快になる。敬語を使おうとかそういう思考は、出会って一週間でなくなった。ああ、こいつとの任務か。なんだか、厄介者を押し付けられた気分だ。 書類の整理を黙々と続ける俺に、アスカは不思議そうに首を傾げた。 「そんな雑用なんか自分でやることないじゃん。下っ端にやらせようよー。使える奴くらいいくらでもいるでしょー?」 「俺はこういう事務仕事の方が性に合っているんだ。任務とか、正直行きたくない」 「あははっ、何それ。我らの『アテナ』様がよく言うよ」 ギリシャ神話か。 最高神ゼウスの頭から生まれたという、知恵と戦の女神アテナ。そんな勇ましい神に例えられるほど、俺は大層な人間じゃない。睨みつけると、アスカは何を思ったのかにこりと笑って俺の頭に顎を乗せた。 「『アテナ』様が嫌なら『ニケ』様でも良いよ? アテナを勝利に導く有翼の女神様。…ああ、もしかしたらガルにはニケの方が合っているかもしれないね。サポートとかの方が得意だもんね。――でもさ、ガルだってある程度覚悟をしてこっちに移動してきたんでしょ? そういう文句は胸の内に潜めておかなくっちゃ」 苛々する。この男は俺に何を求めている? 訳が分からない。一体何を言いたいんだ。どうしてだろう、この男は浮ついている。へらへらと、にやにやと、何かを企んでいるような笑顔が酷く不愉快だ。 「……まだ何か用があるのか? 書類の整理が終わったら明日の準備をしないといけないんだ。早めに終わらせてくれ。それから、喋るたびに顎が刺さる。そこに頭を乗せている間は口を開くな」 「つれないねぇ。僕だってちょっとくらい浮いた話題が欲しいんだよ」 俺の頭の上から肩の上に顔を置く場所を変え、アスカはそう言った。 「そこらの女にでも声掛けてみろよ。お前くらい綺麗な顔だったら着いてくる女なんかいくらでもいるだろ」 そうだね、とアスカはまるで無垢な少女のように笑って俺に抱きついてきた。 まったく、これが本当に可愛らしい女性の抱擁ならばどれほどいいだろう。それなら頬にキスのひとつくらい返してやるのに。なのにどうしてこいつなんだ、と俺は少し眉を寄せる。 何が楽しくてやっているのかは分からないが、とにかく不快だ。不愉快だ。失せろ、と肩の上の端整な顔に裏拳を入れる。アスカはへびゃぁっと妙な声を出すと、顔を押えてうずくまった。 「生憎だが、俺に男色の気はない」 「知ってる。僕だって男なんか願い下げだよ、むさ苦しいし、汗臭いし。……ところで、もう話はしたの?」 「何の?」 アスカの鼻が少し赤くなっていた。若干、目が潤んでいる。この男は自分も男だということに気付いているのだろうか。すべての男がむさ苦しくて汗臭いというのなら、当然その中に自分も含まれているはずなのだが。まあ、こいつの事だから自分は特別だと考えているのは聞くまでもないが。 「この仕事のコト。彼女さんには言ったの?」 まだ鼻の頭をさすりながらアスカは言った。俺はわずかに目を伏せ、自嘲するように口角を上げた。 「……今のところ、俺は警察ってことになってるよ。…そうだな。死んだら、幽霊にでもなって自分で伝えに行くさ」 「その冗談、全然面白くないよ。でも、“警察”かぁ。当たらずも遠からずってカンジだねぇ。……でもまぁ、警察の機関の一つなのは確かだから…一応、ウソではないの、かな。それにしても、ホント律義だよねぇ、ガルは。必ずしもウソとは言えないようなウソを吐くんだから。健気だね、彼女には心配かけたくないんだ」 「…だから?」 「ガルは優しいねぇ。君の彼女は幸せもんだねぇ、そんなに愛されて」 僕もそのくらい愛してくれる可愛い恋人が欲しーなー、とアスカは床にへたりと座り込み、ぱたぱたとまるで駄々っ子のように足をばたつかせる。そんな馬鹿なことをやっているうちは絶対に無理だろう、と俺は口には出さず心中で呟く。 「いつかは話してやりなよ。そういう態度は、場合によっては相手を余計に不安にさせるんだから」 「…守秘義務があるだろう? まぁ、死人には課されないだろうが」 「守秘義務? そんなもの、愛の前には無意味だよ。僕だったら彼女にだけは伝えるよ。で、言いふらさないようにって言い含めるけど」 要はさ、会社にバレなきゃいいんだ。 アスカはそう言って狡賢そうな目をそっと細めた。 正直にすべてを語るのもどうかと思うけれど。そんなにペラペラ喋っていたら、話さないでいるよりも更に心配させる結果になるんじゃないか? …そりゃあ、俺だっていつかは話してやらなければとは思っている。だけど、彼女を汚したくないんだ。彼女は俺の、博愛の花だから。 「彼女にはこんな世界があるなんてこと教えたくないんだ。こんな薄汚れた世界のことなんて、知らないでいて欲しいんだ。……ここは、汚れ過ぎているから」 知らなくても良い。知らないでいる方が良いことだってあるんだ。何も知らないでいる方が、きっと、ずっと気楽に、幸せに生きられる。…それだったら話さないでいる方が、偽りを語り続ける方がいいんじゃないか? 「何も語らずに死んじゃったりしたら、お前、絶対に後悔するよ? ……いや、違うな。お前はそれで良いかもしれない。だけど彼女さんの方はきっと、何も知らずにお前が死んだりしたら悔やんでも悔やみきれないだろうと思うよ」 「縁起でもないことを言うなよ。お前の軽口は何故か本当になるんだから、そういうことを口走るのは止めてくれ」 お前が言うと、本当になりそうで怖いんだ。 「そんなの、ここの職場じゃ別に珍しいことでもないでしょ? 今月だって、もう二人殉職してるじゃん」 そういえば、その片方はアスカに『死にそうな顔してるね』などとからかわれていたっけ。ああ全く、本当に縁起でもない。この仕事は生と死の狭間にあるのだ。いつでも、真っ黒な死神がうろついている。 「いい加減、彼女さんの事信じてあげなよ。こういうことは、大切な人にこそ話してあげるべきだよ」 信じてるさ。彼女がどんな人より気丈なことも知ってる。だけど、怖いんだ。 「それに、嘘っていうのはいつかはバレるもんだよ。絶対にね」 正直に言って失望されたらどうする。 あいつの幻想を壊してしまったらどうする。 あいつが滅多なことじゃ泣かないということくらい俺だって知っているさ。だけど、もし泣かれたら? 真実を語って、もし泣かれてしまったら。そしたら、俺は一体どうしたら良いんだ? 俺はあいつの泣き顔なんか見たくない。俺は常に、“正義の味方”でいなければいけないんだ。例え彼女が、俺の過去を知っていたとしても。彼女はいつも、過去ではなく今を見ている。だから俺は、彼女を心配させちゃいけないんだ。 「じゃあね、お説教はこのくらいにしておく。後でコーヒー奢ってやるよ」 俺の思考を読み取ったみたいに、ぽんぽんと俺の肩を叩き、慰めるような声でアスカはそう言った。俺がコーヒーを飲めないことを知っているクセに。 「おい」 「ん? なぁに?」 細身の背に投げた言葉に、アスカはにっと笑って振り返った。 「コーヒーなんてあんな苦いもん飲めるか。奢ってもらうならココアだ」 「いーよ。甘~いココアにお砂糖とクリームもたーっぷり追加してやるよ。ちゃんと全部飲めよー?」 きっと飽和状態を通り過ぎたじゃりじゃりしたココアを飲まされるな。 吹き出してしまいそうなほど甘い、まるで罰ゲームのようなココア。あの人はそういう訳の分からないところでよく分からない嫌がらせをしてくるから。 『――ガレット・コールマン、ガレット・コールマン。至急、会議室まで来て下さい。繰り返します。ガレット・コールマン、ガレット…』 社内放送だ。 ああ、行かないと。
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つまらなく退屈な数学の授業。こういう時、窓側で本当に良かったと思う。 校庭を見れば体育の授業。テニスが行われている。 そこに自分の片割れ、蒼星石がいることに気が付いた。 身体能力の高い彼女は何をやらさせても経験者と変わらないほどの腕前を持つ。 フォアハンドの素振りをやっているが、テニス部の者は退屈そうである。 しかし、きっとテニスも軽くこなすであろう彼女はきちんと先生の指導に注意を払いながら、素振りをしている。 自分とは程遠く生真面目だな、と思いながらその姿を見つめる。 「あれ?」 思わず口から出てしまったが幸いクラスメートは気づいてないらしい。 動きがなんとなくおかしい。いつもよりキレがないのだ。 歩くときも何だか覚束ない足取りである。彼女のクラスメート、水銀燈がその変化に気づいたのか、駆け寄る。 ──っ! その瞬間。ふらっとよろめいたかと思うと蒼星石は倒れてしまった。 「蒼星石っ!」 授業中なのも構わず、席から立ち上がり教室を飛び出した。 ざわざわ、と騒ぐ教室を教師が抑え、翠星石の後を追った。 ──終わり良ければ全て良し ピピッ、と電子的な音を立てて熱の計り終わりを知らせる体温計。 それを手に持ち、じっと見つめると保健医の柿崎がはぁ、と溜め息を吐いた。 「38.1℃。貴女、よく立ってられたわね」 「え?そんなにあるんですか?」 体温計を柿崎から受け取り、見つめるとデジタル数字がそれを指していた。 「おバカぁさん、早く帰りなさいよぉ」 「蒼星石っ!」 保健室のドアを乱暴に開け、ズカズカと蒼星石のいるベッドへ急ぐ。 「大丈夫ですか?」 「ん、平気だよ」 「平気なわけないでしょぉ」 水銀燈がチラリと毒づいた。 柿崎先生から蒼星石の容態を聞き、サッと血の気が引いた。 「おめぇはバカですか!何で39℃もあるのに気づかないですか、このヘッポコポコのスケ!」 「とりあえず、早く帰りなさい。早退届け書いてあげるから…っと」 柿崎先生が引き出しから早退届けの書類を取り出す。 「そういえば、貴女達って二人暮らしよね?」 「はい…」 「じゃ、翠星石さんも帰らせなきゃ意味ないわね…そういうことだから」 柿崎先生はドアの方に振り返り、おそらく私を居ってきたであろう教師に笑いかけた。 「翠星石さんも早退にしておくわ。柏葉せんせっ」 柏葉先生はチラリと私と蒼星石を見るとお願いします、と頭を下げた。 電車で帰るのはしんどいだろう、と柏葉先生の車で家まで送ってもらった。 蒼星石を支えながら車を下り、柏葉先生にお礼を言うと、紙切れを一枚差し出された。 「私の携帯番号。何かあったら連絡ちょうだい」 「はい、ありがとうです」 「お大事にね」 にこりと微笑むと手を振って去っていった。 熱があると自覚したのか蒼星石はなんとなく、ぐったりしている。 「大丈夫ですか?」 「ん…」 少し辛そうな彼女を支えながら寝室へ向かいベッドふ彼女を下ろした。 クローゼットから蒼星石のパジャマを出し、運ぶ。 「自分で着替えれるですか?」 「…大丈夫だよ」 学校の時に比べると随分つらそうだ。 その間に浴槽に向かい、蛇口をひねり、ぬるま湯にタオルを浸した。 タオルを寝室に持っていくと下着をつけたままベッドに仰向けに倒れている蒼星石。 「辛いですか?」 「ちょっとね」 上半身だけ起こさせて肩に凭れさせ、ブラジャーのホックを外す。 小振りな胸につい目が行ってしまう。顔は熱で赤く染まっていて、息は少し荒い。 「蒼星石」 「ん?…何?」 「セクシーです」 「……は?」 私の言葉が理解できない、と言ったように怪訝な顔をしている。 その唇にそっと口付ける。 「ん、何するの…」 いつもされてばっかりだが、する側は何となくぞくぞくする。 「いつもこんな気持ちで、翠星石を抱いてるですか?」 「…まさか」 にこっ、と笑って見せると名の通り真っ青になった蒼星石。 ベッドに押し倒して首筋を軽く吸いながら、胸を揉む。 「っひ、…や」 普段聞かない蒼星石の艶かしい声にゾクッと背筋に何か走った。 「や、やめっ…すいせ、…せき」 聞く度にもっとしてやりたいという欲望が溢れ出す。 ちゅ、と音を立てて胸の突起に吸い付くと、蒼星石の甲高い声が上がる。 「ひっ、やぁぁ…」 手を腹から滑らし、蒼星石のそこに下着越しに触れると、蒼星石が声を荒げる。 「ひ、あ…おね、が…やめてぇ!」 その時、ハッと彼女の顔を見ると涙をポロポロ流している。 その時、蒼星石が病人だということを思い出した。 自分は何をやってるんだろう。蒼星石は嫌がっているというのに。 「…ごめん、です」 「………うん」 パジャマを着せてやり、頭を下げた。 「少し眠るといいです」 「うん、そうする」 布団をかけてやり、時計を見つめると午後三時。 とりあえず自分もやることをやってしまおうと、部屋着に着替えた。 午後六時。 そろそろ起こしてご飯を食べさせなきゃ薬も飲ませられない。 卵とじのお粥と薬と水を持って寝室に向かう。 気持ち良さそうに寝ている彼女を起こすのは忍びなかったが布団を軽く叩く。 「ん…」 「お粥を持ってきたです。食べれるですか?」 「大丈夫」 眠って大分楽になったらしく、先ほどより清々しい顔をしている。 「ふーふーしてやるですっ」 「ふふ…ありがとう」 レンゲに粥を掬うと行きを吹き掛け冷ましてやり、口許に運んでやる。 「んまいですか?」 「おいしいよ」 食欲はあったらしく小さい土鍋のお粥をペロリとたいらげてしまった。 「薬も飲むですよ」 「っ…」 途端に嫌な顔をする。 薬は苦手で、いつも嫌がる。 「病院行って点滴が良いな」 「嫌ですよ、めんどくさい」 「じゃ、飲ませて」 「はぁ?」 蒼星石の方を振り替えると普段見せない甘えた表情になっている。 「じゃなきゃ、飲まない」 にやりと笑う表情から譲らない、という気持ちが見えた。 仕方ない、と薬を一錠口に入れ、水をたっぷり含み蒼星石に近づく。 溢さないように口づけ、ゆっくり流し込む。 「っふ…」 水が少し顎を伝ったが、ほとんどをうまく流し込めた。 全てを流し込んだ後、口を離そうすると頭を押さえつけられ、離せなくなった。 「んっ…」 深く舌を絡められ甘噛みされ、ちゅ、と舌を吸われた。 腕を引かれ、視界が逆転したと思ったら、蒼星石の顔が目の前にあった。 「へ?」 「よくもさっきはしてくれたね?だから…」 良い笑顔の蒼星石が怖かった。 「お返し」 耳元で囁かれ、背筋ゾッとした。 「でも、おめぇ風邪は…」 「人の心配より自分の心配したら?」 そう言いながら首筋に吸い付かれた。 「同じこと、…ううん、それ以上のことしてあげる…」 翠星石の叫びが響いたが、誰にも助けられるようなことはなかった。 終わり 続き(エロ)を見たければ「続きを見せやがれこのヘッポコポコのスケ」と書いてください つづき まだ彼女には熱があるらしい。触れる部分から伝わる熱がそれを示している。 しかし、蒼星石とは違う熱に冒されている状態では何も言えない。 「ん、はっ…やぁぁ…」 既に上半身は脱がされていて、赤い跡が散りばめられていた。 舌は胸の突起をしつこく攻めてくるし、片手は胸に、もう片手は脇腹を撫でている。 「んっ…そうせ、だめ、また、…熱、が…やぁあっ」 「大丈夫だって」 大丈夫じゃない、と言おうとしたところで口を塞がれた。 「っ、やぁぁ…ひぁ…」 何だかいつもよりしつこい気がする。 未だに突起を含んでいる蒼星石の頭を押すとすぐに口が離れた。 離してくれたのかと思ったが、蒼星石も変な顔をしている。 「力が出ない…」 体調が悪いのでいつもより力が出ないので、簡単に離されてしまったらしい。 これなら本気で抵抗すれば勝てるかもしれない。 と思ったのがバレたらしく、手にベッド近くにかかっている制服からリボンを取った。 「手、貸して?」 疑問系だが有無を言わさない雰囲気がある。 「え、…や、やですよ」 「手」 顔は笑顔だがそれが怖い。しかし、負けたら何されるか大体分かる。 「今がいい?治ってからがいい?」 やらない、という選択はないらしい。体調が万全なときにされるよりは今の方がいいだろうと、手を素直に出した。 「イイコ…」 両手の手首をまとめられ、ベッドへッドにリボンでくくられた。 「すごくイイよ、その格好」 手首から唇を触れたまま二の腕まで滑らせる時に喋るので、息がくすぐったい。 「立ってるよ。やらしーね」 腕を上げたことで少し上向きになった胸の先端が天を仰ぐ。 「触って、って言ってるみたい」 そう呟くと、もう唾液でぬるぬるになったそこを指で弄られると堪らなくなってしまう。 「やっ…ひゃぁっ…」 「もっと触ってほしいとこあるでしょ?」 「ふぇ…?」 「言って…どこ?」 耳元でそう囁かれると、ぞくぞくと悔しいが快感が走る。 本当に触ってほしいとこがあるが、そんなこと言ったこともないのに、恥ずかしすぎて沸騰しそうだ。 「や、やだ…」 「言わないと触ってあげないよ?」 わざとらしく内腿ばかりを撫でて焦らされると、ひくひくと腰が動いてしまう。 「や、やぁ…おね、が…ひやぁあ」 「言って?」 言わないと本当に触ってくれないらしい。 「あ、あ…すい、せ、せきの…お、ま…」 これ以上はとても言えなくて、ぼろぼろと涙を流すと、おでこにキスを落とされた。 「よくできました」 すると蒼星石は私の下着に手をかけ、脱がすと希望した場所に触れた。 「ひっぃああっ!」 焦らされたせいなのか、いつもと違うせいなのか、そこはいつもより確実に敏感になっていた。 「や、やぁ…へ、変で、すっ…ひぁぁあっ!」 「そんなに気持ちイイの?やらしい子」 「や、ちが…」 「そう?でももう指三本入っちゃったよ?」 言葉通り、に中の指が増したのが分かる。自分でもおかしくなるくらい感じてしまっているのだ。 「や、そうせ、やぁぁぁあっ!…も、…もぅ、だめ…」 性を貪ることしかできない体ではもう喋るのも覚束ない。 「イきそう?」 その問いに、薄れゆく意識の中でガクガクと首を縦に振る。 中のイイトコロを擦られ、突起を親指でグリグリと潰されるともう堪らなかった。 「ひっひぁぁ…ああぁぁああっ!」 達した瞬間、私は意識を手離した。 目が覚めると始めに見えたのは天井で、何が起こったか分からなかった。 隣を見ると蒼星石が安らかに寝息を立てている。 「あっ…」 その時、眠るまで何をしていたかを思い出し、カァッと顔が熱くなる。 手首を見ると少し赤くなっている。 その割に体はベトつかないし、パジャマを着ている。体調が悪いのにも関わらず、後始末してくれたらしい。 隣で眠る人物のおでこにキスを落とすと、小さな声でお休みなさい、と呟いた。 後日、悪化した蒼星石と風邪を引いた翠星石が水銀燈と真紅の世話になったのは言うまでもない。 終わり
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リベラル用語の基礎知識より。 全てが繋がっています 森羅万象すべての黒幕は安倍晋三である。という真理。 野獣先輩新説シリーズの亜種。 近年Qさんサイドや陰謀論者との結びつきが強まっている立憲議員らしい味わい深いポストだ。 なお下記のポストや参議院の記録からも分かるように、食品表示法案の改正は当時の民主党議員と自民党議員の全会一致で可決している。自民と民主は繋がっていたってこと?