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落ちこぼれメイジのルイズ・フランソワーズが、使い魔召喚に成功した。 なんと、筋骨隆々たる獣人だ。それも二体、兄弟らしい。名前は『アポロ』と『ヘラクレス』。 末弟『アリエス』は召喚出来なかったそうだが、ルイズは得意満面、大満足である。彼らの左手には謎のルーンが刻まれた。 頭は獣だが言葉は話せるし、屈強な肉体は豹のような、見事な毛皮に覆われている。 兄のアポロは、強力なボウガンを持っていた。弟のヘラクレスは、拳法の達人だそうだ。 ボディーガードとしてはかなりのものだ。食事も充分に与えられ、雑用もどうにかこなしている。 ある時、食堂で女子生徒とトラブルを起こしていたギーシュが、悔し紛れにか、居合わせたアポロに決闘を申し込んだ。 義侠心に篤いアポロは、ギーシュに問い詰められていたメイド・シエスタを救うため、これを受ける。 貧弱な身体のギーシュでも、魔法を使えば獣人に勝てると踏んだのだろう。決闘は、ヴェストリの広場で行われた。 だが、なぜかギーシュの調子が悪い。最大7体同時に作り出せる、自慢の青銅戦士『ワルキューレ』が、 今日に限って1体ずつしか作れない。アポロはボウガンを放ち、着実にワルキューレを粉砕していく。 全てのワルキューレが破壊され、ギーシュは渋々降参した。広場は歓声に包まれた。 トリステイン魔法学院に盗賊が侵入し、秘宝を盗み出した。犯人は土のメイジ、『土くれのフーケ』。 その場を目撃していたルイズは、フーケ捜索隊に立候補する。友人のキュルケとタバサもだ。 さらに各々の使い魔たちと、学院長秘書ロングビルも加わる。 しかし、ロングビルの正体はフーケだった。彼女は隠れ家に一行を誘い出し、巨大ゴーレムで始末しようとする。 その時、ヘラクレスが飛んだ。正確には、空中で跳躍を繰り返した。 ビィン、ビィンという音とともに、彼は忽ち30メイルも高さのあるゴーレムの上に降り立つ。 ゴーレムの肩に乗っていたフーケは、さらに跳躍したヘラクレスに頭上から踏まれ、気絶した。 秘宝は無事取り戻され、魔法学院の宝物庫に納められた。 ルイズたちは、功績を認められてシュヴァリエに叙勲されることになった。 それを聞いたアンリエッタ王女は、夜中密かにルイズの部屋を訪ね、密命を与える。 浮遊大陸アルビオンの皇太子、ウェールズ殿下から、ある手紙を取り返して欲しいというのだ。 なぜかギーシュと、魔法衛士隊の隊長・ワルド子爵も加わり、一行はアルビオンへ急ぐ。 途中で加わるキュルケとタバサ、襲撃する盗賊や脱走したフーケ、そして謎の仮面の男。 様々な困難を潜り抜け、どうにかアルビオンのニューカッスル城に到達した一行。 だが、ワルドは敵軍『レコン・キスタ』のスパイだった。皇太子は殺され、手紙も奪われ、ルイズは攫われる。 アポロとヘラクレスは主人を救うため、果敢にワルドへ挑む。 ワルドは風のスクウェアメイジ、その魔力は尋常ではない。はずだった。 しかし、アポロとヘラクレスの前に立ったとき、その力は弱まったのだ。 風の上位魔法『遍在』による分身が、最大5体のところ1体ずつしか出せない。 放つ竜巻も弱々しくなり、アポロのボウガンに掻き消された。遍在の動きも遅い。 ワルドはあっさり撃退され、手紙とルイズは取り戻されたのだ。 その後の彼らの活躍は、まさに伝説的だった。タルブの村で眠っていた末弟アリエスを仲間に加え、 襲い来るアルビオン艦隊を迎撃する。続くアルビオンへの侵攻戦でも、7万の大軍を相手に一歩も引かず、殿軍をつとめた。 彼らの周囲には、敵が一度に二人ずつしか近寄れないのだ。ボウガンと拳と棍棒が唸り、ヘラクレスとアリエスは空を飛ぶ。 さらに、彼らによって後ろに回りこまれた敵は、目もくれず進軍し続けたが、途中でどこかへ消えてしまったという。 かくしてアルビオン軍は大敗し、トリステイン・ゲルマニア連合軍は大勝利をおさめた。 しかし、それ以後のルイズの使い魔たちの行方は、杳として知られていない……。 (未完・続きをプレイするにはゲームデータに改造を加える必要があります)
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32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 00 39 02.59 ID VYsc/m080 ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世とトリステイン王女アンリエッタの結婚式は、三日後にゲル マニアの首府、ヴィンドボナで行われる運びであった。 そして本日、トリステイン艦隊旗艦の『メルカトール』号は、新生アルビオン政府の客を迎える ために、艦隊を率いてラ・ロシェールの上空に停泊していた。 アルビオン艦隊の到着は遅れている。『メルカトール』号の後甲板では、艦隊司令長官のラ・ ラメー伯爵が苛立っていた。 「やつらは遅いではないか、艦長」 艦長のフェヴィスが、口ひげをいじりながら答える。 「自らの王を手にかけたアルビオンの犬どもは、犬どもなりに着飾っているのでしょうな」 ちょうどその時、鐘楼に登った見張りの水兵が、大声で艦隊の接近を告げた。 「左上方より、艦隊!」 なるほど、そちらを見やれば、雲と見まごうばかりの巨艦を先頭に、アルビオン艦隊が静々と 降下してくるところであった。 「ふむ、あれがアルビオンの『ロイヤル・ソヴリン』号か……」 感極まった声で、ラ・ラメーが呟いた。『ロイヤル・ソヴリン』改め『レキシントン』号……、おそ らくあの艦に、姫と皇帝の結婚式に出席する大使が乗っているのであろう。 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 00 42 46.18 ID VYsc/m080 「しかし、あの先頭の艦は巨大ですな。後続の戦列艦が、まるで小さなスループ船のように 見えますぞ」 フェヴィスは鼻を鳴らした。 「ふむ、戦場ではできれば会いたくないものだな」 降下してきたアルビオン艦隊は、トリステイン艦隊に併走するかたちになると、旗流信号を マストに掲げた。 「貴艦隊ノ歓迎ヲ謝ス。あるびおん艦隊旗艦『れきしんとん』号艦長」 「こちらは提督を乗せているのだぞ。艦長名義での発信とは、これまたコケにさらたものです な」 艦長はトリステイン艦隊の貧弱な陣容を見渡しながら、自虐的に呟いた。 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 00 46 41.83 ID VYsc/m080 どん! どん! どん! とアルビオン艦隊から大砲が放たれた。 弾は込められていない。火薬を爆発させるだけの礼砲である。 しかし、巨艦『レキシントン』号の長大な砲身から放たれた空砲は、辺りの空気を震撼させ、 トリステイン艦隊の将兵は皆肝を冷やした。 「よし、答砲だ」 一瞬後じさったラ・ラメーが、それでもどうにか威厳を保ちながら命令する。 「何発撃ちますか? 最上級の貴族なら、十一発と決められております」 礼法の数は相手の格式と位で決まる。艦長はそれをラ・ラメーに尋ねているのであった。 「七発でよい」 半ば意地を張って、ラ・ラメーは答えた。 それに先んじて、アルビオン艦隊の最後尾の旧型艦『ホバート』号から、全乗組員を乗せた ボートが脱出するのに、トリステイン艦隊の将兵の誰一人として気づかなかった。 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 00 49 56.50 ID VYsc/m080 空砲を発射し続ける『メルカトール』号の将兵の目の前で、アルビオン艦隊の『ホバート』号が 突如火を噴き、瞬く間に墜落した。あたかも、『メルカトール』号の砲撃で撃沈された、という ようなタイミングで。 そしてそれが、この忌まわしき戦争の発端だったのである。 アルビオン艦隊は、トリステイン艦隊の突然の砲撃に抗議すると主張しながら攻撃を開始した。 質、量ともに劣るトリステイン艦隊は、応戦する間もなく実弾による砲撃にさらされた。 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 00 54 57.11 ID VYsc/m080 トリステインの王宮に、国賓歓迎のためラ・ロシェール上空に停泊していた艦隊が全滅した という報せがもたらされたのは、それからすぐのことであった。 ほぼ同時に、アルビオン政府から宣戦布告文が急使によって届いた。 不可侵条約を無視するような、親善艦隊への理由なき攻撃に対する非難がそこには書かれ、 最後に『自衛ノ為神聖あるびおん共和国政府ハ、とりすていん王国政府ニ対シ宣戦ヲ布告ス』 と締められていた。 ゲルマニアへのアンリエッタの出発でおおわらわであった王宮は、突然のことに騒然となった。 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 01 52.02 ID VYsc/m080 王宮の重臣たちが一人残らず集まり、御前会議が開かれた。 当然ながら議論は紛糾した。 原因の究明、責任の所在、特使の派遣……、夜を徹して行われた進展の見えぬ会議に終止 符を打ったのは、仮縫いの終わったばかりのウェディングドレスも眩しいアンリエッタであった。 「あなたがたは、恥ずかしくないのですか?」 居並ぶ重臣たちの顔を真っ向から見据えて、アンリエッタは問いただした。 「わたくしたちがこうしている間にも、民の血が流されているのです! 彼らを守るのが貴族の 務めなのではありませぬか? 我らはなんのために王族を、貴族を名乗っているのですか? このような危急の際に彼らを守るからこそ、君臨を許されているのではないのですか?」 一同から反論の声は上がらなかった。 その代わり、賛同の意見も出ない。 誰もが開戦の責任を取ることを嫌がっているようだった。 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 07 27.56 ID VYsc/m080 民の被害が拡大している最中にも保身に走る重臣たちに業を煮やしたアンリエッタは、自分 が軍を率いる、と宣言すると、ウェディングドレスの裾を破り捨てて愛馬のユニコーンに跨り、 先陣を切って駆け出した。 会議に居合わせた重臣たちは慌ててアンリエッタを押しとどめようとしたが、魔法衛士隊を 初めとして、兵の多くは勇敢な王女の方に従った。 この無謀な行動が、結果として軍を一つにまとめることになった。 トリステインの迎撃軍は、空軍の援護を受けられぬ絶望的な情況ながら、意気軒昂として 戦場に向かったのである。 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 10 46.34 ID VYsc/m080 生家の庭で、シエスタは幼い兄弟たちを抱きしめ、不安げな表情で空を見つめていた。 先ほど、ラ・ロシェールの方角から爆発音が聞こえてきた。 驚いて庭に出ると、恐るべき光景が広がっていた。 空から何隻もの燃え上がる船が落ちてきて、山肌にぶつかり、森の中に墜落していった。 村は騒然とし始めた。しばらくすると、空から巨大な船が降りてきた。雲と見まごうばかりの 巨大なその船は、村人たちが見守る中、草原に投錨し、上空に停泊した。 その上から、何匹ものドラゴンが飛び上がった。 シエスタは兄弟たちをぎゅっと抱きしめた。 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 15 35.24 ID VYsc/m080 馬に跨った領主の手勢が迎撃にやってきたものの、風竜を駆る髭の騎士に率いられた竜騎士 隊によって、あっという間に壊滅させられた。 その時になってようやくシエスタは実感した。 これは戦争なのだ、と。 「ベイダーさん……」 子供たちを家の中に引き入れながら、シエスタは我知らず呟いていた。 領主の小部隊を血祭りに上げたアルビオン竜騎士隊が、タルブの村めがけて針路を変えた。 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 19 24.36 ID VYsc/m080 いつものようにルイズの隣の席で授業を聞いていたベイダー卿が、突然音を響かせて立ち 上がった。 教室中の生徒が思わずビクッと体を強張らせた。 最初の授業からベイダー卿に苦手意識を持っているミス・シュヴルーズも例外ではない。 元から気の弱いシュヴルーズは、思わず教卓の陰に隠れてしまった。 「ちょ、ちょっと……。いきなりどうしたのよ?」 ルイズは驚いてベイダーのマントを引っ張った。 思えばそれが、その日初めてベイダーにかけた言葉だった。 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 22 21.46 ID VYsc/m080 昨日のあの出来事からなんとなく気まずくなって、ルイズはベイダーが部屋に戻ってきた後も ずっと声をかけられずにいた。 ベイダーは必要最小限のことしか口に出さないので、普段から二人の間にそれほど活発な 会話が交わされていたわけでもないのだが、この間の沈黙は常ならず妙な重苦しさを伴って ルイズの胸にのしかかっていた。 おそらくベイダーの方は別段何も感じていないのだろう……そう考えるとますます悲しくなって、 ますます腹立たしくなって、結局意地を張ったまま一言も口を聞かずじまいだったのだ。 ベイダーはマントを引っ張るルイズに気づくと、静かに座席に腰を下ろした。 「どうしたのよ?」 「わからない。フォースが何かを伝えようとしていたのだが……。嫌な予感がする」 いつになく歯切れの悪い口調でそう言うと、ベイダー卿は再び立ち上がり、マントを翻して教室 を出て行った。 呆気にとられる一同。 扉の開閉の音とともにミス・シュヴルーズがおずおずと教卓から顔を覗かせ、ようやく授業が 再開された。 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 26 38.72 ID VYsc/m080 放課後、ルイズが教室から寄宿舎に戻る際、中庭でベイダー卿が竜の羽衣をいじっている のが目に入った。 気のせいか、その動きにはいつものような余裕が見られない。 真剣そのものの手つきで、黙々と作業をこなしている。 その傍らでは、おそらく途中で授業を抜け出したのであろう、ギーシュとマリコルヌが助手を 務めていた。 ギーシュのみならず、いつからマリコルヌまでベイダーの軍門に降ったのだろうか――そう いぶかしみつつ、ルイズは自室への道を急いだ。詔の続きを考えなければならない。 急いでいるつもりなのに、その足取りは重い。 どうしようもない疎外感がその胸を苛んでいるのを、ルイズ本人も少しずつ自覚しつつあった。 ――結局、詔はほとんど書き進められなかった。 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 33 11.87 ID VYsc/m080 ベイダーがいったん帰ってきたのは、日が沈んでしばらくしてからだった。 ルイズはベイダーが扉を開けたのを無視して、始祖の祈祷書を広げて机に向かい続けた。 ややあって、違和感を覚えるルイズ。ベイダーがいつまでたっても部屋の入り口から動こう としないのだ。 さらには、ベイダーの視線が自分の背に注がれているのが意識された。 二、三分もそうしていただろうか、ルイズは根負けして、何気ない素振りで入り口を振り返った。 敷居の中に一歩踏み込んだ姿勢で、ベイダーはじっとこちらを見ていた。 「あ、あら、ベイダー。かかか、帰ってたの?」 動揺を押し殺そうとするルイズの試みは、見事に失敗に終わった。 ベイダーは小さく頷き、発声機越しに言葉を紡いだ。 「マスター、今夜は帰れないかもしれない」 ベイダーはそうとだけ言い、呆気に取られるルイズを尻目に、部屋を出て行った。 後に取り残される形となったルイズは、あんぐりと口を開けたまま硬直していた。 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 37 39.83 ID VYsc/m080 「な、なな、なによ、あれ……」 ルイズは誰にともなくそう呟いてから、机に突っ伏した。 またタバサの所に行くのだ、そう考えると無性に悲しくなった。 頬を伝う涙がアンリエッタから授かった『水のルビー』に滴り落ちた刹那、始祖の祈祷書に ぼうっと文字のようなものが浮かんだ。 もちろん、泣き伏すルイズはそれに気づかなかった。 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 44 20.94 ID VYsc/m080 その夜、日付がかわってずいぶん経つというのに、ルイズはどうしても寝付けなかった。 ゲルマニアで行われるアンリエッタの結婚式に出席するため、翌朝早く王宮からの馬車が 迎えに来る。早く眠らなければいけないのに、どうしても眠りが訪れなかった。 明日のことで不安なわけでもない。 夕方の悲しみを引きずっているわけでもない。 ただ、何かが足りない。何かが満たされない。 そんな渇望にも似た感覚に悩まされながら、ルイズは寝具の中で何度目かの寝返りを打った。 85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 48 39.23 ID VYsc/m080 どれくらいそうしていただろうか、部屋の扉がかすかな軋みと共に開き、あの耳慣れた呼吸音 が聞こえてきた。 「コーホー」 ちょうどそちらに背を向ける格好だったルイズは、そのまま寝たふりをした。 呼吸音の主はしばらくその場に立ち止まり、ベッドの上のルイズを見ていた様子だったが、 やがて足音を殺しながら、すっかり寝床代わりとなっている椅子に腰を下ろした。 規則正しい呼吸音が、ルイズの渇望を少しずつ溶かしていった。 そしてその途端、待ち望んでいた眠気が訪れた。 睡魔に侵食されつつある思考の中で、ルイズは眠りを妨げていた不満足感の正体を把握し ていた。 いつの間に自分はこの呼吸音なしには眠れなくなっていたのだろうか……、そう自問しながら、 ルイズはようやく眠りに落ちたのだった。 88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 51 38.02 ID VYsc/m080 トリステイン魔法学院に、アルビオンの宣戦布告の報が入ったのは、翌朝のことだった。 王宮は混乱を極めたため、連絡が遅れたのである。 ルイズはベイダーを従え、始祖の祈祷書を片手に、魔法学院の玄関先で王宮からの馬車を 待っているところであった。 ゲルマニアへルイズたちを運ぶ馬車だ。 しかし、朝靄の中魔法学院にやってきたのは、息せききった一人の使者であった。 彼はオスマン氏の居室をルイズに訪ねると、足早に駆け去っていった。 使者の尋常ならざる慌てぶりに、ルイズは不安を覚えた。 いったい王宮でなにがあったのだろう……、気になったルイズは、使者を追って学院長室に 向かった。 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 01 57 49.66 ID VYsc/m080 オスマン氏は、式に出席するための用意で忙しかった。一週間ほど学院を留守にするため、 様々な書類を片付け、荷物をまとめていた。 その時、猛烈な勢いで、扉が叩かれた。 「誰じゃね?」 返事をするより早く、王宮からの使者は飛び込んできた。 「王宮からです! 申し上げます! アルビオンがトリステインに宣戦布告! 姫殿下の式は 無期延期になりました! 王軍は、現在ラ・ロシェールに展開中! したがって、学院におか れましては、安全のため、生徒及び職員の禁足令を願います!」 オスマン氏は顔色を変えた。 「宣戦布告とな? 戦争かね?」 「いかにも! 敵軍はタルブの草原に陣を張り、ラ・ロシェール付近に展開した我が軍とにらみ 合っております!」 「アルビオン軍は強大だろうて」 オスマン氏は呻いた。 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 03 40.22 ID VYsc/m080 使者は悲しげな声で言った。 「敵軍は、巨艦『レキシントン』号を筆頭に、戦列艦が十数隻。上陸せし総兵力は、三千と見積 もられます。我が軍の艦隊主力はすでに全滅、かき集めた兵力はわずか二千。未だ国内の 戦の準備が整わず、緊急に配備できる兵はそれで精一杯のようです。しかしながらそれ以上に、 完全に制空権を奪われたのが致命的です。敵軍は空から砲撃を加え、我が軍をなんなく蹴散 らすでしょう」 「現在の戦況は?」 「敵の竜騎兵によって、タルブの村は炎で焼かれているそうです……。同盟に基づき、ゲルマ ニアへ軍の派遣を要請しましたが、先人が到着するのは三週間後とか……」 オスマン氏はため息を吐いて言った。 「……見捨てる気じゃな。敵はその間に、王都トリスタニアをあっさり陥落させるじゃろう」 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 07 48.59 ID VYsc/m080 学院長室の扉に張りつき、聞き耳を立てていたルイズの顔が、戦争と聞いて蒼白になった。 思わず、隣に立っていたベイダーの顔を見上げる。 ベイダーはしばらく腕組みをして考え込んでいる様子だったが、やがて踵を返すと中庭に向 かって大股に歩いていった。 ルイズは慌てて後を追った。 ベイダー卿は中庭に辿り着くと、竜の羽衣に取りついた。 そのマントを、ルイズが掴んだ。 「どこに行くのよ!」 「タルブの村だ」 ベイダーの手振りで、コクピットのキャノピーが開いた。 105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 11 14.10 ID VYsc/m080 「ダメよ! 戦争してるのよ! あんたが一人行ったって、どうにもならないわ! 王軍に任せて おきなさいよ!」 「制空権を握られているのだろう? 空の敵をこれで叩く他ない」 「そんな玩具でどうしようってのよ!」 ルイズはマントを放さない。ベイダーはかまわず木製のはしごを上り、コクピットに向かう。 ルイズの体がマントに引っ張られて浮いた。恐ろしく丈夫な生地だ。 それでもしがみついて離れようとしないルイズに、ベイダーもやや辟易したようだ。 ベイダーは仕方なく一度地面に下りると、マントを放した彼女と向き合った。 その片手が軽く上がるのを、ルイズは見逃さなかった。 112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 16 49.46 ID VYsc/m080 「僕は行ってもいい」 「あ、あんたは……い、行っても……」 ルイズの口がそこできゅっと結ばれた。 ベイダーはやや驚いた様子で、今度はそれとわかるくらいにやや大きく手を振った。 「きみは僕の心配などしない」 「わ、わたしは、心配なんて……」ルイズはそこでぎりっと奥歯を噛んだ。「あんたの心配して あげてるのよ! それくらいわかってよ、バカッ!」 ルイズは顔を真っ赤にし、目に涙を湛えてそうとだけ言い捨てると、ぷいっと背を向け、さっき 出てきたばかりの本塔の方に走っていってしまった。 123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 24 25.53 ID VYsc/m080 「コーホー」 ベイダー卿はしばらくその場に立ち尽くし、離れていくルイズの背を見守っていたが、やがて 竜の羽衣に向き直った。 だが、その手をはしごにかけようとしたところで、燃料がないことに気づく。 ベイダー卿は本塔と火の塔に挟まれた一画にある、コルベールの研究室に向かった。 ベイダーの姿が見えなくなるのを確認してから、ルイズはまた竜の羽衣に駆け寄った。 (なによなによなによ、ホントに人の言うこと聞かないんだから!) ルイズは泣きそうになったが、唇を噛んで、こらえた。 あんな捨て台詞で、ベイダーに言いたいことが全部言い尽くされたわけではない。 それに、問いたださなければいけないことがまだある。 「こんなんで、アルビオン軍に勝てるワケないじゃないの!」 そう毒づきながら、ルイズははしごに手をかけた。 131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 30 09.49 ID VYsc/m080 ベイダーが一応は『研究室』と名づけられている薄汚い掘っ立て小屋の戸をくぐると、コルベー ルはちょうど樽を一箇所にまとめ終えたところのようだった。 「おお、ベイダー卿! ちょうど今燃料ができあがったところですぞ」 そう言って無精ひげが伸び放題の顔で笑ったコルベールが、積み上げられた樽を杖で指し 示した。次いで、床に転がって眠りこけているギーシュとマリコルヌをつつき起こす。 「ほらほら諸君、起きたまえ。ベイダー卿が来ましたぞ」 二人の少年がむにゃむにゃと目を覚ます。 どうやら徹夜でコルベールの作業を手伝い、そのまま寝入ってしまったらしい。二人の頬には、 床に敷かれた粗末な敷物の跡がくっきりとついていた。 「急いでその燃料を羽衣に運んでもらいたい」 ベイダー卿の指示で、三人が動き出した。 136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 36 29.07 ID VYsc/m080 竜の羽衣への燃料補給は、コルベールが行った。 それを監督するベイダーの前で、ギーシュが片膝を突いて頭を垂れた。 「畏れながらベイダー卿、私どもめにこの竜の羽衣への装飾を許可しては頂けませんでしょ うか」 ベイダー卿は頷いた。 「時間がかからないものならば、かまわぬ」 ギーシュはもう一度深々と礼をしてから立ち上がると、傍らのマリコルヌを見た。 その視線に応え、風上のマリコルヌが『風』系統の呪文を唱える。 足元の土が舞い上がり、竜の羽衣の垂直尾翼にくっついて文字を成した。 すかさず、ギーシュが『錬金』の呪文を唱えてその土を真紅の顔料に変化させ、次いで『固定化』 で固着させる。 既知銀河のどの言語とも違うその文字を見て、ベイダー卿はまた頷いた。 140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 39 14.35 ID VYsc/m080 「アカデミー等で作られた新たなマジックアイテムを、王軍の実験部隊ではこの番号をふって 使用するようです」 元帥の息子であるギーシュが、文字の意味するところを解説した。 「マスターがこの場にいれば激怒したかもしれんが、悪くない。気に入ったぞ、ギーシュ、マリ コルヌ」 二人の少年は互いに顔を見合わせ、パッと表情をほころばせた。 コルベールが、補給の完了を告げた。 144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 43 25.90 ID VYsc/m080 ベイダー卿は、操縦しやすいように改造したコクピットにその手足を収めると、下で待機する ギーシュに声をかけた。 「ギーシュ、この機体の下の地面を、平らな青銅に変えられるか?」 「おやすい御用です、ベイダー卿」 ギーシュは承知して、『錬金』を唱えた。 竜の羽衣の下の地面が、半径十メイルに渡って一枚の平滑な青銅に変化した。 「よし、よくやった。出来るだけ離れて耳を塞いでいるがいい」 コルベールたち三人が、本塔の方に退避する。 誰からともなく、示し合わせたように、三人が叫んだ。 「メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー、ロード・ベイダー!」 ベイダーは首を巡らせ、三人に視線を向けた。 そして、はっきりとこう応えた。 「メイ・ザ・フォース・ビー・ウィズ・ユー」 151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 46 24.09 ID VYsc/m080 本来であれば燃焼実験をしておきたかったところだが、残念ながらそんな時間はない。 ベイダー卿はコクピットの中で、ずっと前から知り尽くしているかのような慣れた手つきで計器 類を立ち上げ、エンジンをかけた。 ベイダーによって修理と改造を施されたペガサスエンジンが、学院全体を揺るがす轟音と共に 起動した。 片側に二つ、合計四つのエンジンノズルからガスと圧縮空気が噴出され、その推力で機体が ホバリングを開始する。 160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/18(月) 02 52 14.09 ID VYsc/m080 「浮いたぞ!」 両手で耳を塞ぎながら、コルベールは叫んだ。 耳をつんざくような騒音に顔をしかめていたギーシュとマリコルヌも、その光景に顔を輝かせた。 高度十メイル程度にまで上昇した所で、エンジンノズルが垂直から水平に向きを変える。 それとともに、竜の羽衣は信じられないような速度で飛翔した。 かつて『ハリアー』と呼ばれ、今『ゼロ』のナンバーを負わされたその機体は、こうしておよそ 四十年ぶりに大空に舞い上がった。
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ルイズ・プロア 種族:歪魔族 登場作品:封緘のグラセスタ 解説 術位の思念体の配下である歪魔の魔術師。 主と同じく敵対勢力に属する人間相手にもまずは交渉を持ちかけるが、決裂した場合は実力行使も厭わない。 明るい口調の中に狂気が垣間見え、敵対する者は容赦なく惨殺する悪魔らしさを秘めている。 成果をあげる実力こそ主に認められているが、そのふざけた性格や喧しさで辟易させてもいる。 主が求めている魔王石を手に入れる為にジェダル達の前に現れて交渉を持ちかけたが、二度目の交渉時には主に魔王石の対価として売り飛ばされてしまい、 その後は新たなご主人様であるジェダルによってルチッラの娼館に喚石を預けられ、娼婦として生活する事となった。 娼婦の仕事自体は気持ち良いのでそんなに悪くは無かったようだが、変化の無い生活には飽きてしまい、 どうにかして逃げ出そうと計画を練っていたところ、気がついたら食欲、性欲、睡眠欲、戦闘欲に特化した四人に分裂していた。 これ幸いと娼館には性欲ルイズを残して外で好き勝手過ごしていたが、ジェダルに見つかってしまい、最終的には食欲ルイズをベースに睡眠欲と戦闘欲が統合された。 当初ジェダルは性欲も統合させて元の状態に戻そうとしていたが、退屈な生活に戻りたくない食欲ルイズの提案を受け入れ、自分の監視下ならある程度自由にする事を認めた。 なお原理は不明だが、睡眠欲や戦闘欲を再度分離させたり、統合したりを自由にできるようになってもいる。 雑感・考察 クリアする上では遭遇する必要が無い敵であり、また上記解説では平和的(?)に交渉で喚石を手に入れているが、交渉を拒絶して術位の思念体共々倒した上で手に入れる展開もある。 また娼館に預けるまでがゲーム本編で元々発生するイベントであり、四人に分裂するのはアペンドでの追加イベントとなる。 今までシリーズに登場した歪魔は分裂したり合体したりする様な事は無かった為、世界観設定に基づいたイベントなのかどうかは謎。 その困難さ故にバティンが嘆いていた神聖領域門突破を成し遂げたのに闘技場で遊んでいて超ウケル。 可愛い - 名無しさん (2019-08-06 08 42 23) ミレーヌ強かったし倒したら加入するんだろうなって思ってたら娼館に預けてそれっきりだったキャラ。と思ってたらアペンドで加入した。 - 名無しさん (2021-01-18 09 22 01) 名前
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ピラミッドクイズとは ざっくりというと「Qさま!!」の「学力王No.1決定戦シリーズ」で螺旋階段を使ったクイズをマイクラでやったらどうなるの?という企画です。 +各回概要 +#1~#10 回数 日時 タイトル 主催 #1 2016/07/20 ピラミッドクイズ RSF #2 2016/07/22 ピラミッドクイズ RSF #3 2016/08/22 ピラミッドクイズ-2016年上半期チャンピオン決定戦- RSF #4 2016/09/23 ピラミッドクイズ RSF #5 2017/02/18 ピラミッドクイズ RSF #6 2017/02/28 ピラミッドクイズ 第1回烈風ぺんぎん杯 烈風ぺんぎん #7 2017/03/04 ピラミッドクイズ 第2回烈風ぺんぎん杯 烈風ぺんぎん #8 2017/03/18 ピラミッドクイズ 第1回にんじん店長杯 にんじん店長 #9 2017/05/13 ピラミッドクイズ 第2回にんじん店長杯 にんじん店長 #10 2017/06/18 ピラミッドクイズ グランドチャンピオン決定戦 RSF +#11~#20 回数 日時 タイトル 主催 #11 2017/07/01 ピラミッドクイズ 第3回烈風ぺんぎん杯 烈風ぺんぎん #12 2018/03/10 ピラミッドクイズ ~約半年強ぶりにやりますSP~ RSF #13 2018/05/06 ピラミッドクイズ 第4回烈風ぺんぎん杯 烈風ぺんぎん #14 2018/07/21 ピラミッドクイズ 架空さんの場合 架空の大空 #15 2017/07/28 ピラミッドクイズ 第1回ひらめき杯 ぬか #16 2017/08/11 ピラミッドクイズ 第1回エンタメ杯 からあげ・インギラ #17 #18 #19 #20 +各回の結果 +#1~#10 回数 タイトル 優勝者 W.A 備考 #1 ピラミッドクイズ 不明 不明 #2 ピラミッドクイズ 不明 不明 #3 ピラミッドクイズ-2016年上半期チャンピオン決定戦- カズ 世界に一つだけの花 #4 ピラミッドクイズ 烈風ぺんぎん 4(時の方向) #5 ピラミッドクイズ 不明 不明 #6 ピラミッドクイズ 第1回烈風ぺんぎん杯 からあげ マタニティハラスメント #7 ピラミッドクイズ 第2回烈風ぺんぎん杯 不明 不明 #8 ピラミッドクイズ 第1回にんじん店長杯 はす向かいにガッツ 幕張メッセ 決勝は3〇3×? #9 ピラミッドクイズ 第2回にんじん店長杯 ぎが ナトリウム #10 ピラミッドクイズ グランドチャンピオン決定戦 カズ 亀田興毅 これまでの優勝者にアドバンテージ +#11~#20 回数 タイトル 優勝者 W.A 備考 #11 ピラミッドクイズ 第3回烈風ぺんぎん杯 らふまにー 僕のヒーローアカデミア #12 ピラミッドクイズ ~約半年強ぶりにやりますSP~ スイクン カタルーニャ #13 第4回烈風ぺんぎん杯 にんじん店長 約束のネバーランド #14 ピラミッドクイズ 架空さんの場合 スイクン 不明 #15 ピラミッドクイズ 第1回ひらめき杯 空気 オオカミと七匹の子ヤギ 決勝は5問限定(同点の場合は1問追加) #16 ピラミッドクイズ 第1回エンタメ杯 スイクン 不明 決勝は10問限定(同点の場合は1問追加) #17 #18 #19 #20 +その他ピラミッドクイズ 概要・結果 日時 タイトル 優勝者 W.A. 主催 備考 2017/08/13 ピラミッドクイズ 第1回例のアレ杯 LAVER 池田大作 からあげ・インギラ 17夏特別企画/例のアレジャンル限定 2017/08/30 クイズ!ミュージックピラミッド 不明 不明 ふぁがるど イントロクイズ限定のピラミッドクイズ
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前ページ次ページ超1級歴史資料~ルイズの日記~ ある日 グランパに剣を買ってあげるために町へ出た。 正直、頼めば1時間で作ってくれそうな気もしたが、ご主人様としてのプライドがある。 町へ行くのに『さいどかー』というものを使った。いわゆる鉄の馬だ。 さいどかーを動かしたのはあの桃髪のメイドだった。なんでも恩返しらしい。 あと、さいどかーにも乗ってみたかったらしい。 「私がコイツに命を吹き込んであげます!」 乗り込むとメイドは顔つきが変わった。さいどかーはすごく速かった。 町へ行くとそこかしこにBALLSを見かけた。 町の人たちはすでに違和感を持っていないとのこと。 平民に字を教えたり、食料の配給を行ったり、仕事の斡旋をしているらしい。 なんだかわからないが、役に立つならそれでもいいか、といったスタンスらしい。 金のBALLSを見かけると今日は1日ラッキーであるという迷信まで生まれる始末。 さて、武器屋。 行ってみたがどの剣も高い。平民の年給があっさり飛ぶほどだ。 これなら1時間で作ってもらったほうがいいだろうか? 一番安く、おでれーたを連発するインテリジェンスソードを買った。グランパが気に入ったみたいだし。 グランパ曰く、知類皆兄弟らしい。 剣知類デルフリンガーってなによ? 「相棒の国じゃ俺みたいなのでも人権があるのかい。おでれーた」 私もおでれーた。 次の日 今日は授業。教室はこないだリフォームされたところだ。 コルベール先生の授業で『えんじん』なるものが出てきた。 機械で物を動かすというもので、魔法はいらないものらしい。 でも、私たちは普段からもっとすごい機械を見ているような気がするんですけど……………。 具体的に言えば今ここにいる教室とか。 みんなそう思ったのか、えんじんのすごさが浸透しないので、コルベール先生は必死にかまって状態だった。ハズした芸人みたいだ。 と、思ってたらBALLSが今朝部屋に増えてたアレを持ってきて、えんじんと繋いでた。 「はい、これで魔法を使わなくても涼しいですね~~」 たしか『せんぷうき』といったか。 たしかに風は来るが、燃焼するえんじんの熱のおかげで熱風だ。意味ネエ 大いに改良の余地ありだ。蛇がぴょこぴょこよりは良いだろうが。 こるべーる先生はグランパとしばらく話し込んでいて、自習と言ってでていった。 あんまり暇だったんで教室の机のゲームを使ったゲーム大会が開かれた。 するとBALLSがえんじんより面白いPCえんじんを持ってきた。 キュルケ曰く、私は遊びで負けると怒るタイプで、賭けで負けるとムキになる遊びに向かないタイプだそうだ。 よって私の成績はブービー、最下位はチョンボしてハコのギーシュ。 机のゲーム側を見るとタバサがまいんすいーぱで9秒台出してた。スゲエ。 マリコヌルが負けじと6秒台出した。なにその無駄な才能。 ポ~~~ン コルベールが研究室で倒れました。 またやったか。最近2日に1回は倒れてる。教師ってのはなんて激務なんだ。 コルベール先生との密談は、 グランパがメイドと相談した所、えんじんで車や飛行機は作れるが、環境汚染のことを考えると必要でない限りあまり多く作るものではないとしたらしい。 少なくとも今は馬車や船があって流通そのものはうまくいっているかららしい。 変に発展させると馬や船を潰さないといけなくなるかららしい。 なんでメイドと相談するのよ!? ある日 授業でギトー先生が風強ス風強スと威張っていた。 それでわざわざキュルケを挑発してコテンパンに伸したりしていた。 なんかムカついたのでBALLSに命じて教室内の金属防壁をON。 下から競りあがった金属板は見事にキトーをヒットし、悶絶させた。 そこに変なヅラをかぶって駆け込んでくるコルベール先生。 なんでも使い魔品評会をご覧になりにアンリエッタ姫様が学園にいらっしゃるらしい。 そして走ったためかヅレるヅラ。 「滑りや…………何ニィィィ!!!」 一発ギャグを狙っていたタバサ驚愕。少なくとも王族がやるリアクションではない。 つまりはそれほど驚愕だったわけで。 コルベール先生の頭には2323した 毛 が 生 え て い た 。 どうやらBALLSにぷちぷちと植えさせたらしい。多芸よね。 とりあえずBALLSには身体を磨いておくように命令した。 使い魔品評会 姫様が学園にいらした。あ、私の婚約者のワルド様もいる。 使い魔品評会の会場の設営はBALLSまかせだ。発表の台上で起きたことは背後の大型テレビジョンに映されるらしい。 とりあえず使い魔発表会はグランパの持ってた秘蔵の『でーぶいでー』というのをモニターに流した。 内容は雪山に閉じ込められた士官学校生徒が少ない食料をめぐってバトルロイヤルする話だった。最後にはゴーレムまで持ち出してた。 技術的にはすごいんだろうが、すこぶる不評だった。俳優や展開が悪く癇に障るとのこと。 姫様のコメント:ペンギンはシブカワイかったですね。無難なコメントです。 子爵のコメント:すごいよアニメ!君はいつかやってくれる子だと思っていたよ!無理に褒めてくれなくて良いです。 その夜 姫様が私の部屋をこっそりと尋ねてこられた。 「ようこそこんなむさくるしいところにいらっしゃいました」 所狭しと電子レンジ、サンドバッグ、ツインファミコン、ガンパレ攻略本、アタッシュケースなどなど並んでてほんとにむさ苦しかった。 とりあえず冷蔵庫からこーらをお出しする。 ひたすらに珍しがられていた。私も毎日珍しいです。 どうやら姫様は愚痴を言いに来たのと、密かにアルビオンの王子が持つ手紙を取り返してほしいらしい。 クイクイ ん?なによ? クイクイ BALLSが何かガラス盤と文字盤が合体した箱を持ってきた。 ポ~~ン アルビオンにいるウェールズ皇太子と通信がつながりました。 箱のガラス版に映し出されたのはウェールズ王子そのひとだった。 うはっwwwアンタラそんなこともできちゃうの!? そこからはもう愁嘆場でした。 亡命するしないで引き合ったり、愛している愛していないでもめたり、姫様号泣したり。 どっちにしても飛車角金銀歩をとられて王手されてるようなものなので、脱出もままならずどうしようもないそうだ。 却って残酷なことしちゃったかな? 王子様なんとかならない?とグランパに聞いたら無理ではないとのこと。 なんとかなるんですかそうですか。 グランパ曰く、なんとかなるではなくなんとかするのだとのこと。 つまりなんとかするなら私もアルビオンへ行く必要があるのだと。 見も知らぬ誰かのために血を流す覚悟はあるのかということだ。 わかりました、女ルイズ、一肌脱ぎましょう。 (少なくとも手紙は直に回収する必要があるみたいだし。) 姫様には思いっきり抱きつかれて頼まれた。 国とか王女とか関係なしにやらねばならないだろう。友達だから。 でも、立ち聞きしてたギーシュは正直足手まといだと思った。この時は、だが。 この時点でまさかギーシュが勝利の鍵になろうと予想していたのは、OVERSぐらいしかいなかっただろう。 え?グランパもわかってたの? 次の日 いざ、アルビオンへ! 空中大陸へ行くため、BALLSたちが船を調達してきました。 ………………………………おでれーた。 どうも昨晩姫さまが来た後、一晩の突貫作業で作り上げたらしい。 一晩しかなかったので小型ですまないとのこと。充分でかいよ。 ちゃんと最低限の武装もしているらしい。 操舵士を紹介された。こないだのメイドだ。 家訓とやらで髪をピンクに染めたメイドはシエスタ・カトー・タキガワ5世と名乗った。 なんでも彼女のひいおじいさんがグランパの戦友なんだそうだ。相当に有能な竜騎士だったらしい。 彼女の家系はえんじんがついてるものならなんだって動かせるお家芸を持ってるそうだ。 グランパってかなり年上だったのね 250歳近いんだそうだ。すごっ デルフリンガーは6000歳だけどあんまりすごさを感じないのはどうしてだろ? 私は艦長席に座ることになった。 この座ると90度回転する椅子はデフォルトらしい。 目の前にある机やガラス板のおかげで前が良く見えないのが玉に瑕だ。BALLSなだけに。 艦長席は私の身体に合わせた設計ではないらしい。 グランパはBALLSと連絡取ってるので航海長席。 シエスタはもちろん操舵士席。 ヴェルダンデは耳が良いので水測長席。 ギーシュはやることないんで飛行長席。 他の席にはBALLSがかじりついている。 でもモグラに負けてるギーシュってどうよ? ぷろぺらを回して発進するヴァリエール1号。 ふと窓の外を見るとグリフォンに乗ったワルド子爵が追いかけてきていた。 婚約者をわざわざ見送りに来てくれたのね。 ワルド様がどんどんと小さくなっていった。この船早いのね。 ワルド様が手を振っている。私も手を振り返した。 アルビオンへ向けて出航しました!!! 前ページ次ページ超1級歴史資料~ルイズの日記~
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俺は仮面ネーブル!! 誓いを未来へ繋ぐ者だっ!!」 CV はみく 概要 偶然たどり着いた「交差する記憶の世界」にて、 仮面ガンナーが(命が危険だったとはいえ)半ば強引に覚醒させたマスクドハンター。 覚醒した後は、恩返しもかねて行動を共にしていたが、自身の本来の目的をある程度達成したことをきっかけに、 仮面の戦士の一人として本格的に共闘することになる。明るくてちょっと抜けた性格で、一人称は「俺」。 実はネーブルは純粋な人間ではなく、ネーブルが元々住んでいた世界の技術により、 「SーK(エースケ)」という人間のデーターをモデルに造られた人工知能生命体(ホムンクルス)である。 仮面の戦士に覚醒したきっかけ 瀕死の重傷を負った際、ガンナーによって胸に迅竜の刃翼を埋め込まれ、 それを媒体としてガンナーのマスクドエナジーを注ぎ込まれたことによって一命を取り留めると同時に、 「絆」という強い気持ちがエナジーの源として刃翼と反応し、ナルガの装備に「ライズアップ(変身)」できるようになる。 干渉したことのある世界 「交差する記憶の世界」(MHX、XX) 未来戦争の世界 ネーブルの故郷。現在、人工知能と人間の戦争が続いており、ネーブルはこれを止めるべく尽力している。 スクールアイドルの世界(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル) ガンナーの「スクールアイドルサバイバル事件」とは別に発生した「西木野総合病院産婦人科病棟占拠事件」に介入。 タイミング的にもガンナーとはすれ違う形となり、この時点でお互いに面識は無かった。 実はこの世界は、ネーブルの故郷である「未来戦争の世界」の過去の時間軸である。 主な特殊能力 絆合わせ 絆のマスクドエナジーを使って、対象と自分の心のリンクを一時的に強めることが出来る。 この能力の対象となった相手との仲が深い場合、相手の技をそっくりコピーして使うことができるが、 ネーブル自身が得意とする武器でなければ同じ威力を出すことはできず、効果は半減する。 また、絆を合わせればどんな者や物でも会話ができるようになり、赤ん坊はもちろん道具とも会話ができ使い方もある程度分かる。 ただしこれに関しては会話が可能になるだけで、相手の心が読めるようになるわけではない。 使用する武器装備 エネルギー源 迅竜の迅翼 各世界での装備品 「交差する記憶の世界」 今までの世界での戦い 未来戦争 ネーブル奪還編 西木野総合病院 産婦人科病棟占拠事件
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力を振りかざすものに裁きを、助けを求める声に救いの手を。CV 柊兎 概要 かつては復讐、今は自分の想う「義憤」の為に行動する髑髏の仮面の戦士。その手に馴染んだハンマーで、まさに鉄槌を下す。 基礎能力は中の上だが、相手を観察することに長けており、着実に重い一撃を常に与える。 感情に任せて行動することは多くなく、冷静さを持って物事に対処する。 仮面の戦士に覚醒したきっかけ 始まりは小さな村。父親や友達に囲まれて、どこにでもいる普通の少年として育って行くはずだった。 その平和だった毎日は、一瞬にして大きな炎に呑まれる。ただ一人の生き残り。彼は父親の骸骨を被り、 その復讐の想いから「ネメシス」と名乗るようになる。その後ハンターとして生活しながら、故郷を亡きものにしたギルド軍の情報を集めていく。 ある日、ギルド軍が強力な武力を持つきっかけとなった、革新的な技術を提供したある男の情報を掴むことになり…… 干渉したことのある世界 「箱庭の世界」(MHP3) 「繋がりし世界」(MH4,MH4G) 「交差する記憶の世界」(MHX,MHXX) 主な特殊能力 想造力(交差する記憶の世界以降) 弱者を救い、強大過ぎる力を倒す。 この想いを主軸にして、ネメシスは常に最善の行動や、律すべき自分の感情を常に考えていた。 有り余る想いのエネルギーは、自分自身気付いていなかった。 ネメシスソウルとの対話後、彼はその力について知らされる。 想造力とはネメシスの想いを密度を込め、概念として作り出す。 それは時に一時的な力の増幅だったり、感情の増幅だったりする。 具体的にどう使われているかは、We are MASKEDHUNTERS を見て欲しい。 使用する武器装備 武器はハンマー全般。特に故郷にあったウォーバッシュが思い入れが深く、長く使っていた。 防具のモンスターへの拘りは少ない。だが、どうやら紫色の装備を好んで使うことが多いようだ。 今までの世界での戦い 仮面ネメシスと呼ばれた、ある男の伝記。 ↑執筆は殆どしない予定です! コラボ作品 吹雪の覇者 -骸の王と義憤の戦士- https //www.pixiv.net/novel/show.php?id=8909958
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前ページゼロのドリフターズ 首都ロンディニウムの大通りを歩いて行く一人の少年。 彼――平賀才人は、昼間に散々遊び回って疲れた子供達を寝かしつけて持て余した暇。 眠気もなく、テファもシャルロットも当分帰っては来ない。 慣れぬ街だが折角のお祭りということもあり、外へ出て気ままに夜を楽しむことにしたのだった。 結構な人の波と熱気ではあるが、東京住まいのサイトにとっては特段珍しいことでもない―― † ――東京でも、日本でも、地球ですらない。 ハルケギニアと呼ばれ、さらに空に浮遊しているらしいアルビオン大陸。 全くもってわけがわからない。フィクションでありファンタジーであった。 トンネルを抜けると雪国――どころか、光る扉をくぐればそこは異世界だった。 最初はドッキリか何かとも思った。けれど月が二つ、言い知れぬ不安が襲うくらいに大きく不気味に浮かぶ。 鳶色と碧色に彩られる双子のような衛星を見て、才人はそのうち考えるのをやめた。 楽観主義的な才人にとって、少し思っていたのとは違ってはいたが、これもまた求めていた刺激。 一時の長い夢なのだと・・・・・・そう自己完結することにした。 とはいえ開き直りつつも時間が経つにつれて、やはり色々と考えてしまう。望郷の念にも駆られる。 しかしいつまでもクヨクヨしても仕方なく・・・・・・留学――ホームステイでもしている気分に浸っている現状。 しかもある意味、異世界そのものの存在よりも己が目を疑った胸革命たるティファニア。 可愛い女の子との――正確には子供達とも――同棲生活は最高の一言に尽きる。 見たこともないくらいに綺麗な容姿。悶絶したくなるほど可愛い性格。 脳味噌を直接ガツンと叩くような、暴力的プロポーションを備えるパーフェクト美少女と一つ屋根の下。 思春期真っ只中で女っ気の無かった男子としては、麻薬も同然の陶酔感である。 彼女の姉であるマチルダと会った時にはあやうくゴーレムに殺されかけ、また、他に寄る辺もない孤立した状況。 何よりテファの穢れ無き清純さと、聖女が如き心根の前では、才人とて欲望よりも理性が勝る。 そうは思っても、狭い村の中で一月以上も暮らしている年頃の男女。 お互いに意識しないわけもなく、甘酸っぱい生活を才人は存分に堪能していた。 そう、例えば、あくまで例えば、万が一にでも。家に帰るついでに婚約者を連れて行く。 それは男にとって夢のシチュエーションだと妄想も膨らむ。 そんな折、一人の少女が村へとやって来た。 テファからもよく話に聞いていた、シャルロットという名の友達だった。 「はじめまして、こんにちは。シャルロットです」 地球にはない天然の青く美麗な、流水を思わせるような長髪。 それを赤いリボンでポニーテールにまとめて、活発らしさが演出されている。 幼さを僅かに残し、綺麗さと可愛さが同居した顔立ち。赤い眼鏡も何か引き立たせるものを感じる。 均整がとれていてバランスの良い肢体はモデルのようで、テファとはまた違った色気が才人の全身を打った。 「あぁ、はじめまして。聞いてるとは思うけど平賀才人だ、よろしく」 「はい、よろしくお願いします。サイトさん」 「呼び捨てでいいよ、年も近いみたいだし、話し方も普通で」 「・・・・・・そう、わかった。サイト」 声のトーンもやや下がって、シャルロットは力を抜く。 無駄なく簡潔に淡々と省エネ志向なのが、他所行きではないシャルロット本来の性分。 その後に二、三ほど世間話を終えてから、シャルロットは本題へと入る。 「それじゃあそろそろ、貴方の世界とやらの物を見せて」 「はいよ」 サイトは床に置いておいた鞄を机に置き、電源の切れたノートパソコンと携帯電話を見せる。 既に電池が切れて無用の長物と化しているが、画面が点かなくても機器の精密さに驚いているようだった。 実際にやって見せることこそ出来ないものの、とりあえず才人は使い方を説明する―― 「――その・・・・・・"でんぱ"や"ねっと"を使うことで、同じ物を持つ人と"繋がる"と」 「そうそう、こっちでは電気もないから役立たずだけど」 テファには何度説明しても遂に理解してはくれなかったが、シャルロットは話半分程度でもわかってくれている。 わざわざ説明のした甲斐もあったと才人はちょっとだけだが喜んだ。 「聞きたいことがある。"あめりか"を知ってる?」 「おぉ~知ってる知ってる。俺は日本人だけどね」 地球の国名に才人はとても懐かしく感じ入る。 「蒸気機関車は?」 「もちろん知ってるよ。でも今はあるのかなあ・・・・・・?」 「"今"は? どういうこと?」 「う~ん。どこか地方へ行けば残ってるのかも? 今は"電車"や"地下鉄"だよ」 「"でんしゃ"? "ちかてつ"?」 「このパソコンや携帯にも使われてる電気を使って走るんだけど、今はどこも大体そうだと思うよ。 地下鉄ってのはその名の通り、地面の下・・・・・・地下にレールを敷いてそこを走ってるんだ」 「地下・・・・・・鉄道・・・・・・」 呟きながらシャルロットはしばし考え込む。そして今度は腰から何かを取り出した。 ゴトリと置かれた"それ"は、男の子ならきっと誰もが一度は憧れを抱く物の一つだろう。 「は? "ピストル"? これって本物?」 「偽物があるの?」 「いやまぁそりゃ、モデルガンとかエアガンとか――」 「よくわからないけど本物・・・・・・」 サイトはどこか年季の入ったそれを恐る恐る手に取る。 「重っ・・・・・・いな」 想像していた感覚との違いに驚いて、そう才人は叫んでしまう。 「弾薬入ってるから、気をつけて」 サイトの背筋がゾクリとする。重厚感あふれるデザインと、確かな重み。 今自分の手の中にある"銃"は、紛れもなく人を殺す為の物なのだと。 「おおぉ、これって確か・・・・・・"ピースメーカー"だっけ? 西部劇とかでよく見る――」 「西部劇?」 あぁ知る筈もないかとサイトは思いつつ、拳銃へ視線を戻す。 よくあるオーソドックスな六連装のリボルバー。 ただ日本の警察が使う小さいのではなく、二回りくらいは大きいんじゃないかと思う。 さらに大きくなるとマグナムとかかな? などと考える。 「コルト、シングルアクションアーミー。サイトも言ったように"ピースメーカー"という名称もあるらしい」 「これもその、"漂流物"・・・・・・とかってやつ?」 「うん、知り合いから貰い受けた」 シャルロットはコクリと頷きながら肯定する。 「へぇ~、貰ったんだ・・・・・・」 "こんな古そうな銃"を? そんな疑問が湧き上がり、シャルロットも同じようなことを考えていた。 「恐らくそれ・・・・・・"古い銃"、でしょ?」 「あっ・・・・・・あぁ。多分かなり古い」 今は例えばアサルトライフルとか、もっと発達した銃だ。 ピースメーカーなんてそれこそ骨董品の類なのではないだろうか。 もちろん今だって生産こそされているかも知れないけど、銃そのものの型は西部劇の時代だ。 そして同時に形を為していく、才人中の嫌な予感をシャルロットが口にする。 「サイト、貴方は異世界でも・・・・・・かなり未来の異世界から来ていると思われる」 † 異世界――地球――から来る漂流者。 ハルケギニアにおいて異邦人であり異端たる存在。それゆえに自身の行動には注意が必要である。 とはいえあまり気にし過ぎても仕方ないので、才人はフィーリングでピンときた店へと入る。 わいのわいのと喜色喧騒の中で、空いているカウンター席に座った。 「何になさいますか?」 「適当に食事と飲み物を・・・・・・」 才人は言葉が通じて本当に良かったと安堵する。なにせメニューは全く読めなかった。 (やっぱ勉強くらいした方がいいかな・・・・・・) 漂流者は基本的に、文字はおろか言葉すら全く通じないらしい。 召喚されたからこそ問題なく意思疎通が出来ているのだろうと、シャルロットは推論を語っていた。 それに被召喚者に限って言えば、文字の覚えも恐ろしく早いらしいとも。 いつ帰れるのか見込みがつかない以上、ここは最低限勉強した方が良いと実感する。 そんなことを考えていると、店員がゴトリと飲み物を置く。 泡立ちながら鼻に届いた香り、ビールが思い浮かぶが少し違う。 恐らくは麦酒 エール というやつか、いずれにせよアルコールだ。 適当にと言ったばかりにお酒が出てくるとは・・・・・・。なにせ自分は未成年である。 とはいえ海外では20歳未満でも大丈夫なところがあるとも聞く。 まして異世界ともなればどうなんだろうと考えつつ、自制すれば問題ないだろうと才人はあっさり結論した。 どちらにせよ店員は忙しなく動き回っていて、こちらのミスでキャンセルするのは躊躇われた。 食事が出てくるまでの間することもなく、グイッと一口あおって思わず眉を顰めた。 初めて飲んだ酒。はっきり言って美味くない。むしろ不味いとさえ。 「ふぅ・・・・・・」 とりあえず飲みかけのグラスを置いて、何気なく店を見渡してみる。 武技大会からそのまま引っ張ってきたような熱気は、今なお衰える様子は見えない。 明日の二回戦から決勝までは、さぞ今以上の盛り上がりを見せることだろうと。 ――その時、"一人の男"と眼が合った。 "男"だと思ったのは、周囲に女を何人か侍らせていたからだった。 もし一人であり顔立ちのみに注視すれば女と見紛ってたかも知れない。 (・・・・・・あれ?) 視線をグラスに戻してから、才人は頭に引っ掛かった記憶を手繰り寄せた。 さっきの"オッドアイ"、見たことある。そう、丁度昼間に見たばかりの大会出場者だ。 比較的近くで観戦していたし、服装含めてもほぼ間違いないだろう。 たしかシャルロットの妹らしい子に負けた、なんとかって昔の王様の名前の―― 「やあ、一人かい?」 突然の声にビクリと顔を向ける。たった今思い出した件の人物が、なんといきなり隣の席へと腰掛けてきた。 「な・・・・・・なんなんっすか」 「ははっ、さっきぼくを見つめただろう?」 「それを言うならアンタだって俺のこと見てたでしょ」 「そうさ、だから興味をそそった」 才人の背筋がゾワゾワっと凍る。もしかして俺ってば今、貞操の危機? 「あ、あっちの女の子達はいいのかよ」 「大丈夫、どうせ今夜は深く遊ぶ気はない」 才人はちらりと女の子達の方を覗くと、こっちを見つめてヒソヒソと話し合っていた。 何故だかキャーキャーと黄色い声まで聞こえてくる。 「俺は一人で楽しみたいんだ、他所へ行ってくれませんか」 引きつったような中途半端な敬語で、お断り願う。 昼間の試合を思い出せば、あんな化物みたいな戦いをした人間に力ずくじゃ勝てっこない。 想像したくはないが、もしこの男がいわゆる"両刀"であったなら――何よりも関わらないのが一番である。 と、男はいきなり耳元まで顔を近づける。遠く女子達の心底楽しそうな悲鳴。 ヤバイヤバイと脳内で回っていた時、男――ジュリオが耳元で囁いた一言で、全てが吹き飛んだ。 「君さ、"漂流者"だろう?」 † 「俺って、そっちから見ると未来の地球からの漂流者なの?」 才人は半ば頭の中で予想していた中途の驚きを、シャルロットにそのまま吐き出す。 「間違いないと思う。少なくともその銃はかなり新しい物で、私の知る漂流者とは話していることが全然違う」 「もしかしてその人がアメリカ人?」 話の流れから至った才人の問いに、シャルロットはただ神妙に頷いた。 発展途上国ならいざ知らず、日本以上の先進国――世界一の先進国だろうUSAでは・・・・・・。 才人は静かに銃を机に置いて嫌な考えをまとめようとすると、シャルロットが慮るように付け加える。 「でも安心していい。サイトが危惧しているようなことは・・・・・・大丈夫な筈」 「へっ・・・・・・?」 「漂流物の時代や出身はまちまちらしい。だから私の知る人が昔の人で、サイトが未来の人でもおかしくはない」 「えっと、じゃあ――」 「時間の流れというものが、一体どこを基準にしているのかはわからない。 だからもしサイト達の元いた地球? という所に帰るとしてもあまり悲観的になる必要はない」 シャルロットはその後に小さく「恐らく」と付け足す。 あっちとこっちで時の流れが違っていて、俺が帰ったら遠い未来。そんな浦島太郎さながらの状態は御免被る。 「そっ、そうだよな! そもそも空間? が違う場所にいるんだし、時間くらい――」 SFなら余裕と才人は自分自身に言い聞かせる。ワープがあるんだから、タイムマシンくらい問題ないだろう。 「実際にこの世界へと漂流物がバラバラで漂着している以上、逆に向こうへもバラバラに行けると考えるべき」 シャルロットの希望的観測にすぎないが、才人は強引に納得する。 どうせもう既にハルケギニアにいるんだから、ジタバタしても仕方ない。 そんな割り切り方は、平賀才人という人間の楽天的な部分を如実に表していた。 「帰る方法は・・・・・・まだよくわかっていない、少なくとも私には。でもサイトも会ったんでしょ? 変な男に、変な場所で」 「えっ」 「えっ」 才人の疑問符に対して、シャルロットも揃ってポカンと見つめ合う。 レンズの奥にある薄青の水晶のような瞳。 「吸い込まれそうだな」などと、どうでもいいことを才人は心に浮かべた。 「扉が数え切れないほど並ぶ廊下に、眼鏡を掛けた無愛想な男がいて・・・・・・――」 「どういうこと?」 「いや私は聞いただけの話で、ハルケギニアに来る際に、その変な男と会ったって漂流者の人が・・・・・・」 「いやぁ知らない。俺は家に帰る途中で光る鏡があって、飛び込んだらもうこっちにいたよ?」 そう告げるとシャルロットは考えこむ。何かマズかったのだろうかと才人は内心不安になった。 「いえ・・・・・・でも、そもそも漂流者の話には諸説あるから、サイトのような場合もあるのかも。気にしなくていい」 「あぁ、うん。わかった」 才人は腑に落ちぬ感じで曖昧に首を縦に振った。 「とりあえず、サイトの世界のことを教えて。情報は多い方が色々と統合しやすい」 「オッケー、けどどこから話せばいいんだ?」 「どこでもいい。きっと全てが参考になる」 「そんなもん?」 「そんなもの。漂流者の知識とはそれほど貴重で・・・・・・重要なものだから」 † (やばい・・・・・・) ジュリオの耳打ち。シャルロットとの会話が強制的に思い出されながら才人は冷や汗をかく。 漂流者は保護される立場であると同時に、狙われる立場でもあると。 しかも俺の持ってる知識は、特に危険過ぎるかもとシャルロットは言っていた。 「は? 漂流者? 冗談だろ」 才人はなんとかそう絞り出した。声が震えなかったのは奇跡だったかも知れない。 「ふ~ん、そうかい。確かに流暢な言葉だ。失礼した、僕はジュリオ。ジュリオ・チェザーレ」 才人はほっと胸を撫で下ろす。普通の漂流者は言葉も通じないらしいのが逆に幸いした。 「あ、あぁ知ってる。試合を見てたからな。俺は・・・・・・サイトだ」 平賀才人と名乗ろうとも思ったが、テファやシャルロットにおかしな名前と言われたのでサイトと一言名乗ることにする。 名前だけならば、そこまで不審に思われることもないだろうと。 「あぁよろしく、サイト。まっ、試合はあっさり一回戦負けだったがね」 「いや十分凄ェと思うよ」 才人は素直に賞賛する。少なくとも己には到底出来ない芸当であることは確かだ。 「ありがとう。・・・・・・そうそう漂流者と言えば――」 まだ引っ張るのかと才人は緊張が解けないまま、ボロを出してはいけないとどこか身構える。 「――最後の試合の勝者がいただろう?」 「ん? あぁ・・・・・・」 確か"シャナオウ"だったか、なんだか日本人っぽく感じたが、東方ってとこからきたんだっけか。 ハルケギニアはなんだかヨーロッパっぽいし、日本みたいな文化が東にあっても不思議は感じない。 ただ何が「漂流者と言えば」なのか、話題の皮切りの意味がわからない。 「試合後に彼を探したけど、いつの間にかいなくなっててね」 「へー、そうか」 「そうなんだよ。ところでサイト、君はシャナオウ選手とどことなく似ているね」 「別にそんなことはねぇよ」 やんわりと否定する才人にジュリオはグッと体を近付けると、周りに聞こえないように小さく告げる。 「その混じりっ気のない濃い黒髪と黒瞳は、ハルケギニアには存在しないんだよ」 才人はガタッと立ち上がって驚愕の色でジュリオを見据えるが、涼しい顔で「まぁ座れよ」と促される。 「ふむ、やはりその様子だと昔の漂流者の子孫ってわけでもないようだ」 「くっ・・・・・・」 「とはいえ、その服装も含めて、多様な漂流者の特徴をいちいち知っている人間は少ないがね」 才人はしてやられた感で一杯になる。せめて動揺を表に出さなければ押し通せたかも知れないのに。 「不思議なのが"機関"が把握してないことだ。明らかに漂流者であるにも拘わらず、完璧に言葉を話す。 でもぼくに知らされてないってことは、"機関"も把握していない筈だ。ということは"札"も無しだろう?」 「わけわかんねえよ、お前は俺をどうしたいんだよ・・・・・・」 「あぁ、別にとって食おうってわけじゃない。だからそんな不安そうな顔をしないでくれ」 やれやれと肩を竦めるジュリオを見て、奥歯を噛み締めながら才人は席へと座り直す。 「まあさっき言ったことは別にいい。君の態度を見ていれば大体わかった。疑問は残るけど些細なことさ」 ジュリオは一人で納得したかと思えば、改めて才人に語りかける。 「さて、大会でも紹介にあったように、ぼくはロマリアの神官だ。――実はロマリアは漂流物を密かに集めている。 ただ漂流物や漂流者はそれ自体が異端ともされかねないもので、表立って動くのはなかなか難しくてね。 だからこうして地道に勧誘もしているわけだ。そして相応の待遇を用意する準備は当然ある」 一旦気持ちを落ち着けた才人は一言も漏らさずに考える。 ロマリアってのは確かこの世界で一番普及している宗教の総本山だったか。 日本で言うならバチカンとかそんな感じかと思いつつ、そこに保護されるというのがどういうことになるのだろうか。 ――恐らく不自由はないんだろうとは思う。しかし才人はキッパリと言い切る。 「いらん世話だ」 「・・・・・・君の所属は?」 「どこだっていいだろ。それとも拉致でもする気か?」 相手の慇懃無礼な態度に、特に後ろ盾や備えすらもないのに喧嘩腰になってしまう。 ジュリオの飄々とした上から目線に対して、一転して感情が昂ぶってくる。 ロマリアってのが実際にどの程度のものかはわからない。 それにシャルロットからも、望むならトリステインで面倒を見てくれるよう取り計らうと言ってくれた。 しかし俺は断った。少なくとも今は必要ない。 何よりテファとの生活を捨てるなんて・・・・・・一人の男子として勿体無くて出来ない!! きっと俺がいなくなれば、テファも寂しいくらいは思ってくれる・・・・・・と思う。 「身柄を抑えるなんて乱暴で強引な手段はとらないさ。無理強いもしない。 あくまて条件を提示し、利益を考えて貰った上での交渉に留まるよ」 「・・・・・・そうかよ」 才人が視線を前に戻した時、丁度料理が運ばれてきた。 もう話すことなどはないと言わんばかりに、才人はジュリオを無視して食事を始める。 無下に扱われるジュリオは暫し才人を眺めつつ、何か考えに至って口を開いた。 「ぼくらロマリアは、元の世界に帰れる方法を知っている」 そのたった一言で才人の食事の手が止まる。 帰れる・・・・・・? 地球に? 日本に? 俺の家・・・・・・に? ジュリオは才人の横顔に浮かんだ表情に手応えを感じ、返事を待たずに続ける。 「"興味"が出たらいつでも来てくれたまえ。ロマリアはいつでも君を迎え入れる準備があるからね。 漂流者としてどこでも、寺院を訪ねてくれれば、ロマリア本国まで連絡が来ることになっている。 漂流物の判断は本国において厳重に行うという名分だから、多少の不自由くらいは被るかも知れないが・・・・・・」 漂流物を見つければ『補助』と言う名の資金が、その寺院へ支払われる。 長い年月が経過して、腐った体制も思わぬところで役に立ってくれている現状にジュリオは内心で苦笑した。 異端かも知れない。が、未来を迎える為には確実に必要な"力"なのだ。漂流物と漂流者というものは。 「"決心"がついたなら、いつでも利用してくれたまえ。それじゃまた、いずれ会おう」 "興味"を"決心"と言い換えてジュリオは席を立ち元のテーブルへ戻ると、時を経ず店からさっさと出て行ってしまった。 熱かった料理が冷め切ってしまうまで・・・・・・。 才人の頭の中では――ジュリオの言葉が――延々と回り続けていた。 前ページゼロのドリフターズ
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[部分編集] 因果と報いの果てにたたずむ、貌をなくした世界と少女 因果と報いの果てにたたずむ、貌をなくした世界と少女 仮面の少女(かめんのしょうじょ) 概要邂逅(後悔) 復讐 仮面(ペルソナ) 夢幻(無限) 学怖 学怖S アパシー・シリーズ特別編 学恋V 生徒総会 ドラマCD ナポin 鳴七 [部分編集] 仮面の少女(かめんのしょうじょ) 登場作品:学怖,学怖S,特,学恋V,生徒総会,ドラマCD,ナポin,鳴七 種族:??? 年齢/誕生日:?歳/?月?日生まれ 身長/体重 ?cm/?kg 関連人物:坂上修一,日野貞夫,内山浩太,相沢信彦,畑中亨,瀬戸裕子《?》 関連用語:語り部《復讐》旧校舎,トイレ《出没》,無限ループ,パラレル・ワールド,前世 [部分編集] 概要 膨大な分岐を持つ『学怖(S)』において、多くのファンからは最難関とも言われる隠しシナリオが「仮面の少女」である。 同シナリオは「殺人クラブ」、「荒井人形」と並んで「三大シナリオ」とも呼ばれるほか『学校であった怖い話』の世界観の根幹を担うシナリオでもある。 そして、主人公やファンたちはそのシナリオ名をそっくりそのまま冠する少女のことを指して「仮面の少女」と呼ぶ。 その名の通り、顔の全面を覆う真っ白な仮面を着けた亡霊の少女であり、その素顔や本名は本質的には不明となっている。 初登場の『学怖(S)』からして彼女の生前からの来歴、何十年か前にいじめを苦に自殺に追い込まれたことは語られている。 その一方、当該シナリオをベストクリアした場合は直後に彼女が生前血肉通った人間であることを疑わせる幻想悪夢的なエピソードが解放され、プレイヤーはどう解釈すべきか大いに悩まされる。そのため、少女の正体の特定は極めて難事である。 実のところ、仮面の少女に素顔や本名が最初から存在しないのではないかと疑わせる要素は目白押しだったりする。 その上、悪霊や妖怪など、怪異と位置付けられる存在は虚実を問わなければいくらでも名前を挙げられる「アパシー・シリーズ」の中でも仮面の少女は別格の存在感を放っている。彼女を単なる悪霊と捉えるのは、はなはだ不適格な解釈だろう。 むしろ彼女に関しては、特定の人格(キャラクター)を持つ作中の登場人物というより、表側(現実側)から「六人の語り部」と主人公を統括する「日野貞夫」と対になる役割を担う、作品世界の案内人または黒幕と捉えた方がしっくりくるかもしれない。 ちなみにシリーズ中では『四八(仮)』「あなたシナリオ」の包帯や、『追加版』の各所に見られる「紙袋」など、顔を覆い隠すことで個人の特定を極めて難しくするモチーフ/ギミックが多くみられる。 顔をなくすことで同時にその登場人物が生まれ育んだ「個」をなくして、何者でもない何かに成り果てる、 もしくは特定の何者かを引き継ぐことができる――と解釈することもでき、なんとも示唆的である。 [部分編集] 邂逅(後悔) この少女と真の意味で出会うためには「語り部を決められた順番に選び、なおかつ決められた展開で進ませていく」という行程が必要となる。この決められた順番と展開は作中ではほぼノーヒントなので、攻略本等の情報が不可欠となる。 その展開では話を進めるにつれて語り部が次々と消え、減っていく内容となっている。 「岩下明美」は自殺した弟の復讐相手として主人公を逆恨みしたあげくどこかへ失踪。 「風間望」は一人で七不思議を語った後に、突然消失。 「荒井昭二」は「相沢信彦」の自殺実験の話をしたあと屋上から飛び降りるも同じく消失。 「新堂誠」はボクシング部の「赤坂陽介」と「畑中亨」の話をした後で突如として蒸発。 「福沢玲子」は瀬戸さんらしきモノに水泳部のロッカーに引きずり込まれ、 「細田友晴」は旧校舎のトイレの天井に吸い込まれる。 そうして様々な怪奇現象に遭いつつも話を進めていった主人公の前に、ついに「仮面の少女」が現れるのだった。 そして少女はあくまで淡々と、いままで話されてきた怪談と語り部にちなんだ質問をしてくる。その正解数によって結末は変わり、正解数が多いと隠し01が解放される仕組みになっている。 なお、この一連の流れだが企画の進行役である「主人公(坂上修一)」は途中で集会を取りやめ、解散するという選択肢を取れたことは確かである。 メタ的な事情をいえば途中でやめた場合は必ずバッドエンド扱いになってしまうのだがそういった理由は差し引こう。 にもかかわらず、この恐ろしい流れを食い止めず、内心では期待か恐れか、どちらでもない感情に従って会を続行し最後まで見届けようといた理由について仮面の少女の側から問いかける質問もきっちり用意されている。 ここは語り部の性格についての印象を求められるタイプの質問同様、正解、不正解の区別はないのであなたの心の赴くままに。 [部分編集] 復讐 さて彼女の正体であるが、細田六話で語られた居残り補習をさせられた生徒、その「七人目」である。 細田六話では旧校舎の怪異に「六人」が犠牲になる話であったが、実際には存在した「七人目」であった彼女を他の六人が憂さ晴らしにといじめを実行。それ以降いじめはエスカレートし、ついには少女は自殺、旧校舎にその魂を囚われてしまう。 ……月日は流れ、いじめを行った六人は成長して大人となり、彼らの子供達が運命の導きによって学園へと集まる。 そして「仮面の少女」と化した彼女が七不思議の集会を利用して復讐を果たしたわけである。 これには「自分が死んだことによって悲しんだ両親と、同じ苦しみを味わわせてやりたい」という強い怨念が動機である。しかし復讐を果たしても彼女の魂は救われず、さらなる生贄を求め続ける悪霊に変じてしまうエンドもある。 ここでの主人公の役割はあくまで「観察者」であろう。 (執筆者募集中) [部分編集] 仮面(ペルソナ) 何を答えようと、結局彼女は大半の結末では仮面を外し素顔を見せてくれる。 ただし、それまでの質問に幾つ正解するかによって彼女の素顔(解釈)は変化する。 枝分かれする数は『学怖』では九種、『学怖S』では と、非常に多岐にわたる。 もっとも最後の質問に「七人」と答えた場合は彼女の怒りを買って殺されてしまうのだが。 「五人」と答えた場合は あまりに正解数が少ない場合はそもそも仮面を着けたままで素顔を見せてくれない。 霊界にも人間界にも行けない狭間に住む霊の代表として、仮面を着けた亡霊の同胞たちと一緒に主人公を取り囲む。 きっと生きて返してはくれない。 次に正解数が少ない場合は人に恐怖を与えることを快楽として自覚したと語り、主人公に愛おしむような言葉をかける。 その素顔は朝日に紛れたが、最後は微笑みながら消えていった。 その次。朝日の中に消えていったのは同じだが、直後に彼女は青い蝶の群れになって飛んでいく。 皆飛び去った後でも主人公の周りには一匹の蝶が名残惜しそうに飛んでいたそうである。 一問以外全問正答した場合は仮面を取り去った後の美しい顔があらわとなるのだが、直後その顔は溶けた蠟のように崩れ去る。 あとに残されていたのは彼女の心をそのまま映し出したような何もない闇、もしくは怪物のような顔だった。 これら五つの結末は仮面の少女=幽霊と言う解釈に立つもので、彼女の過去をそのまま受け入れたものになるだろう。 青い蝶は幻想的であるが、そもそも「蝶」とは多くの地域で魂が化身したものとして語り継がれている。 まるで夢のような時間が遥か昔に過ぎ去ったと言う主人公の感想を受け入れて、「胡蝶の夢」「一炊の夢」と言う成語を思い出すのは気のせいだろうか。 そして、全問正解した時に明らかとされる素顔は満天の星空が広がる宇宙空間である。 生前の素顔でも、魂の化身である蝶でも、復讐を終えて虚無に成り果てた心でも、復讐を為してなお救いを求めて世に呪いをまき散らす心でもなかった。 そこにあったのは、宇宙、すなわち世界と言い換えることもできる。 (執筆者募集中) [部分編集] 夢幻(無限) これら多くの結末を終了させて続く隠し01を進めると、彼女の復讐が必ずしも真実と思えなくなっていることに気付くだろう。 まず、現実の世界に帰還したはずの主人公は「七不思議の集会」および集められた六人の語り部たちが存在しないことを知る。 いきなり、これまで辿ってきたはずの話すべての前提を崩されて困惑の一途を辿る主人公だったが……。 そこからやって来る結末は後味のよいものはひとつたりとも存在しない。 一応、ハッピーエンドと解釈できるのは「七不思議の集会」とは「仮面を受け継ぐ者」として主人公が選ばれるための試練であり、語り部達も元より生者でなく旧校舎に囚われた魂だったという展開だがそれが成立するもしないも、人それぞれだろう。 『学怖S』では怨霊と化した六人の語り部たちによって「三途の川」の先に誘われた主人公は、誘いに乗ってしまったがためにある種の地獄を味わうバッドエンドが追加されている。。 もしくはそれを食い止めようとした仮面の少女の助力によって無事生還を果たすという、解釈を挟む余地のないハッピーエンドが派生する。が、これは『学怖』単独の作品のテーマにはそぐわない例外中の例外である(『学怖S』の作風には似合うが)。 用意された結末のほとんどは、プレイヤー各人によって解釈に幅が生まれるものになっており、不気味ながらに不思議な余韻をもたらすものになっているのだ。説明書で原作者が寄せた「あるのは恐怖だけ」というコメントに忠実であると言い換えられる。 たとえば物言わぬ仮面の幻影や語り部達の語りかけに錯乱して精神の均衡を失ってしまう。 もしくは現実から夢や死者の世界に誘われる。 さらには“仮面”という誰でもない顔がふたたび手元にやってくることで、誰でもない存在に成り果てるか囚われてしまう。 もっといえば、主人公とはもともと存在せず、すべては暗黒の宇宙が生み出した空想であり、無限に墜落する地獄へ戻される。 などと……難関シナリオの達成感を少々損なわせる、と言いたくなる絶望感たっぷりの結末に陥ることがしばしばである。 が、『学怖』をまとめる上でこのシナリオほど相応しいものもないだろう。 一見、意味不明かつバッドエンドにしか思えない数々のEDは一貫して「主人公(プレイヤーの分身)」として作中世界を歩む存在の根幹を揺るがすと言う一点で共通している。 主人公(≒プレイヤー)が当たり前に思っていた世界自体が曖昧で夢のようなものだという視点を提供する。 “仮面"と言ういかにも象徴的な道具は語り部たちもまた主人公の持つ一側面でしかなく、自他の境界は認識次第で簡単に揺らいでしまうことを教えてくれる。ある種の認識論に従えば、肉体の有無や生死の境なんてさしたる問題ではないように。 最後に、作品世界そのものが「無限ループ(永劫回帰)」によって成り立つことの示唆もこのシナリオ中には含んでいる。 詳細は当該項目を参照のこと。 [部分編集] 学怖 細田六話、隠しシナリオ、隠し01(男)に登場。 初登場作品。 仮面のデザインはつり目を思わせる細い目線が入っただけの顔のほぼ全体を覆い隠すタイプ。 黒い背景なので髪型すら分からず、でかでかと浮かぶ仮面とかろうじてセーラー服を着ているのがわかる程度である。 素顔を務めた演者の方は発売元の会社「バンプレスト」で当時受付嬢として勤めていた女性とのことで、画質と暗闇から浮かび上がって怖く見えるという演出の割を食った感はあるが色眼鏡を外してみれば美しい顔をしていることがわかる。 声は「テープを早回ししたような不愉快なノイズ」と「逆に遅回しにしたような野太くドスのきいた声」の二種類の表現がされており、口調も冷淡で人格を感じさせるものとは言えない。 細田六話「取り残された旧校舎の補習授業」。 (執筆者募集中) 隠しシナリオ「仮面をつけた制服の少女」。 (執筆者募集中) 隠し01(男)「続・仮面をつけた制服の少女」 (執筆者募集中) [部分編集] 学怖S 全体像が引き気味となり、仮面は横に目線が少し太く入って黒目が見え、輪郭のハイライトによってセミロングの髪型とセーラー服がはっきりとわかるようになっている。 シナリオの本筋にさしたる変更はないが、大量の分岐が追加されており、そちらでは人間性と小悪魔性が増している。 仮面の少女が「無限ループ(永劫回帰)」からなるこの世界を主宰する超自然的存在というより、名前は明かされないまでも素顔を持ち、狭間の世界でさまよう哀れな少女という側面が強調されており、場合によっては主人公を助けるか、陥れてくる。 (執筆者募集中) [部分編集] アパシー・シリーズ ファンサービスとしてカメオ出演することもあるが、『学校であった怖い話』の世界観に直結する役割を担うためか、登場に伴ってすべてが彼女に向けて集約していく唯一無二のポジションにいることが多い。 [部分編集] 特別編 細田七話「パラレルトイレツアー」に登場。 トイレで怪異を探してみようという細田さんの提案に乗っかり、旧校舎三階の女子トイレを二回訪れた場合の出来事である。 彼女と出会うエンドに向かうためには(プレイヤーが)このシナリオで辿り着けるすべてのエンドを通った上で「パラレル・ワールド」にまつわる『魅惑のトイレ』の話を坂上くんが聞いていなければ派生しない――という厳しい条件になっている。 具体的には、そのトイレに行ったことで坂上くんは昔の学園にタイムスリップしてしまい、いじめられてトイレに閉じこめられた少女を助けるという展開である。 ちなみにこちらでは仮面は着けていない。旧作ファンなら「もしや?」と思わせる内容であるが、坂上くんが次に目覚めた時既に元の世界(時代)に戻っていたので、結局彼女のことはほとんどわからず終いとなった。 [部分編集] 学恋V (執筆者募集中) [部分編集] 生徒総会 第一回鳴神学園生徒総会に登場。 同イベントは『学怖』25周年を前して行われたクラウドファンディングの成功に伴い、成功のリターンとして発表した企画のひとつ。ファンとの交歓や企画の進行状況を発表するためという理由を兼ねて2019年8月12日に開催されたリアルイベントである。 うち、仮面の少女は「七不思議の集会」を題にとって行われた朗読舞台劇「第一部」に出演した。 それも六人の語り部が語り終えたのちに嵐を思わせる禍々しい演出が巻き起こり全員が退出したのちに「七人目」として出現するというものだった。演じたのはベテラン怪談師の「星野しづく」氏。 仮面を着けて「倉田恵美」の背後に現れ、いざスクープと勇んだ彼女が退出するや静かに仮面を取ると、幽鬼のような声と雰囲気を持って訥々と、現状を思わせる怪談を語りはじめる。 なお、この劇の台本で原作者飯島多紀哉氏が執筆した部分は岩下明美が語る『正義のゴネシエーター』および、導入とラストの舞台劇パートのみだった。 それらを除いた六人の語り部の話す内容は各人に「自由」にお任せされていたのだが、星野しづく氏の語る怪談は必然とこの場にマッチした、取り残された女子生徒の話であったという。 ちなみに、劇中で「仮面の少女」についての集会を企画したのは新聞部に所属する日野先輩、同じく新聞部部室にいた倉田恵美は彼の話を聞きながらハキハキと受けごたえすると聴衆に向けてこの劇の進行役を仰せつかったことを高らかに宣言し、喜んで跳ねまわるかのように集会に赴くのだった。 ただ、そのプロローグの流れを受けて、トイレの花子さんこと「仮面の少女」について出席者は話をしてくれると思いきや、前述した通りにまるで関係のない怪談話ばかり。 いぶかしみながらも、いざ最後に仮面の少女が現れたことに喜ぶ倉田恵美だったが、舞台に戻ってきた時に、彼女は衝撃の真実を思い出すのだった……。 (ネタバレにつき格納) + ... なおこの劇だが、冒頭だけでも不自然な点が散見される。 ・会話をしているはずのふたりが視線を合わせていない。 ・よくよく聞けばふたりの会話が噛み合っていない。 ・日野貞夫と坂上修一を思わせるキャストの役名が未公表。 の、三点である。 つまり、日野は倉田に向けて話をしていない。日野は「日野貞夫」ではなく、その息子の「日野直哉」、彼が話していたのは「坂上修一」とは何の関係もない新聞部員「桜木隆敏」だったのである。 そして、この劇において「仮面の少女」は別にいる。 ファンにとっての数々の先入観を見事に突いた仕掛けに観衆が驚かせられるのと同時である。 日野直哉は、後輩との会話の中で悪びれもなく数十年前の父が仮面の少女こと「倉田恵美」をいじめ殺したことを語り、彼女の霊が学園をさまよっている噂を知った上でせせら笑った。 これを聞いてすべてを思い出した倉田恵美の霊は激昂、呪詛の言葉「死ね」を連呼するとともに不可視の力を発揮、かつてのファンが知った通りの流れで父の業を息子に支払わせたのだった。 それから彼女は幽鬼のような声で傷ついた過去を語り、仮面を被り、誰かに向かって告げた。 過去の罪という名の因縁はあなたではない誰かに巡ってくるかもしれないという、かつてそのままの警告とともに、舞台は終幕を迎えることになる。 [先に述べた通り「仮面の少女」というキャラクターに姓名は設定されていなかった、つまり少女であるのなら仮面を着けて顔を隠すことで誰でも仮面の少女になれるということを意味する。 復讐者に顔はいらない、だってどこにでもいるから。 それとも、すべてを否定された挙句に世を去った人間は顔をなくすのかもしれない。 倉田恵美が集会と思っていた集いや、その最後に現れた「仮面の少女」については疑問が残るが、一応仮説のひとつを述べておく。ただし、いくらでも解釈はできるので参考程度に。 孤独に誰も気づかれずにさまようしかなかったつらい過去、つらい言葉に反論できずに死に追いやられた自分の弱さを切り離した人格の一部、それが星野しづく氏だったとは考えられないだろうか。 これなら、ハキハキと明るく振舞う「倉田恵美」と怒りと諦念に支配された「仮面の少女」のギャップも説明が付く。 それから集会も本来なりたかった自分が活躍するための心象風景、ということになり舞台のラストで演者たちが仮面を着けて登場した演出も「仮面の少女」の分身ということで説明が付くのだ。] [部分編集] ドラマCD 『ドラマCD』Disc.6 福沢玲子「十三階段」に登場。 福沢さんが「十三階段」の検証で初めて「旧校舎」に侵入した際に感じた怖さを語る中で、旧校舎には十三階段以外にも怖い噂があふれていることを教えてくれる。 仮面の少女も三階のトイレに棲む怪異として噂になっているようだ。 [部分編集] ナポin 最終話「呪われたゲーム」に登場。 選択肢「じぶん」を選んだ際に進む分岐において姿を現す。 このシナリオは虚実や平行世界が入り乱れ全貌を掴むのが難しい構造となっており、直前の文脈からすれば再結集した「語り部」に日野貞夫を加えて再度開かれた「七不思議の集会」で語られる噂話の登場人物という形になっている。 いわく新聞部の部室は「四次元空間」への入り口になっており、多次元への接点が時折生まれる。そんな部室に、ある夜忍び込み怪談をしようとした四人の男たちが出会ったのが世界の管理者を名乗る仮面の少女だった……というのが話の導入である。 が、直後にはなんらかの形での場面転換を表すノイズ演出とともに、その話を語る「ナポリの男たち」へ視点移動が行われる(特にこの手番での視点人物「村崎藍(ランタン)」が強調されている)。 そのため、日野貞夫たちからすれば平行世界の住人である「ナポリの男たち」の体験談が紆余曲折を経て虚実もあやふやな怪談(都市伝説)として伝わることになったと考えられるが、これも一応の解釈に過ぎないと念押しをさせていただく。 で、今回の仮面の少女だが、それぞれ似通った経緯で似て非なる四つの世界から一名ずつ飛ばされて集まったことで四人そろってしまった実況者グループ「ナポリの男たち」に対して賛辞を述べる。口ぶりで言えば、どうも彼女も彼らのファンらしい。 相変わらず無機質な仮面で顔を隠しているが、律儀にナポリの面々に付き合ってくれている辺り面倒見がいいのかもしれない。 口調もいつになく丁寧で、ナポリの男たちに対しても諭すように語っているため悪意はほとんどないように見受けられる。 すなわちナポリの男たち四人はそれぞれ共通する経緯を辿って、仮面の少女の眼前にいるという。 少女に誘われ、彼女たちの手によって用意された異界につながる器物や場所にほか三人を誘導した。要は女にダマされて仲間を売ったという流れであり、ナポリの面々は元の世界から引き離されたことで我に返ったというわけである。 が、当の仮面の少女は現実や真実というものは夢や虚構や妄想の中で入れ子構造になっていて判別がつかないものとみなしており、ナポリの面々が涙ながらに帰りたいと言っている元の世界というものに特に価値を見いだしていないようである。 男たちが辿り着いた現状の世界がどういったものであるのかは定かではない(実況はできる)が、仮面の少女自身は別に好きにすればいいと放任するスタンスだった。けれど、それでもと叫ぶランタンに応えるように、ふたたびノイズ演出が走り……? 村崎藍たちは新聞部部室で目覚めるのだった。四人が対面した「仮面の少女」が夢幻や虚構の存在だったのか、それともどこかに実在して四人を納得させるためにほかの世界に送り出してくれたのかは定かではない。 なぜならば、村崎藍が下した最後の選択とその先の結末は視聴者にも知ることがかなわないためである。 [部分編集] 鳴七 「トイレの花子さん」、「仮面の少女」に登場。 今回の仮面のデザインは鼻立ちはあるが口が描かれず無機質で白いもの。ただ、目元に赤く涙が置かれている。 これは数ある「道化師(クラウン)」の仮面やメイクの中でも哀しみを秘めたもののみが着けられる「ピエロ」を想起させるものであり、仮面の少女が心の奥底に隠した哀しみを象徴したものと解釈することができる。 「キャラクター図鑑」や『生徒名簿』の彼女の記述を参照すれば、正体不明ながらに宇宙の真理とも語られる崇高な存在であるようだ。対面した人間の心をそっくり映し出す鏡のような存在ともされており、善悪を超越して存在している風にも見受けられる。 なお、今回「仮面の少女」と対峙する前哨となるシナリオ「トイレの花子さん」は隠しシナリオ扱いになっており、従来の『学怖(S)』細田六話に配置された時のように普通にプレイしていても彼女と出会うことができなくなった。 反面、仮面の少女と真の意味で出会うことができる同名シナリオに至るまでに、語り部六名を全員消す必要はなくなるなど、大きく発生条件が緩和されている。 前提条件は岩下明美を五人目に選んで「悪霊のいたずら」の特定エンドを通過した上で細田友晴を六人目に選ぶこと。 なお、今回の仮面の少女は生前の素顔を見ることができるのみならず、ベストエンドではその本名と出自がシリーズでもはじめて明瞭とされた。ちなみにその正体は主人公「坂上修一」が極めて密接に関わっており、切り離すことはできないものである。 これには『学校であった怖い話』の世界観を虚無や絶望、無限ループといった形で示唆し、根本的なところでは救いを与えてくれない「隠し01」が未収録であるという事情が関わっているのかもしれない。 その代わりに用意された特別シナリオ「秘密」においては「坂上修一」という個人に『鳴神学園七不思議』の世界観のすべてが集約・表出していくことを示された。 そのことにより世界そのものと言える仮面の少女と坂上修一が等号で結ばれても違和感が生まれず、結果として今回の「仮面の少女」は顔を持たない何者かで終わることもなかった。 何者であるかを定義する形で救済を与えることができたという仮説も立てられるが、解釈はプレイヤー各々にお任せしたい。 [あくまでこの仮面の少女は「坂上修一」にとっての「仮面の少女」であり、それ以外の人間と対面した時にはそれに応じた仮面の少女が現れると言ったらそれまでなのだから。] 「トイレの花子さん」 基本的に『学怖』版とシナリオに相違はない。 (執筆者募集中) 「仮面の少女」 情報提供・文章の補足、編集方針の動議その他諸々歓迎します。 もし興味を召されたなら下のコメント欄に書き込みなどされると嬉しいです。 名前 コメント
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これは[奇妙なルイズ26]の結末でサイトが召喚された場合のものです。 …という訳じゃ。 ヴェストリの広場で召喚された少年は、伝説の使い魔ガンダールヴとして活躍し、トリスティンだけでなく世界を平和に導きおった。 あの当時は「ゼロのルイズ」などと呼ぶのは侮辱じゃったが、今となっては「虚無(ゼロ)のルイズ」は最大級の栄誉じゃ。 土くれのフーケに「破壊の杖」が奪われた時も見事に活躍してくれた、ミス・ロングビルがそれを期に退職してしまったのは残念じゃったがの。 ところで、ちまたで噂になっとる「キャッツアイ」という三人組の義賊のことを知っておるか?一人は赤髪をたなびかせ、一人はエメラルドグリーンの髪、もう一人は水色の髪の少女だそうな。 貴族の立場にあぐらをかいている、ろくでなし共にはいい薬じゃわい。 で、そうそう、虚無のルイズとその使い魔がどうなったか…という話じゃったな。 世界に平和をもたらした後、あの二人はどこかに旅立っていったそうじゃ。 「恩返しをしたい」と言い残してのう… 一節によると遙か東方のロバ・アル・カリイエより更に遠い場所へと、旅立っていったと聞くが…真相は闇の中じゃ。 さあ、これでワシの話はオシマイじゃ、皆も今日はもう寝なさい。 …む?遠見の鏡が… 『こんばんわー!オールド・オスマン先生!』 おお、久しぶりじゃの~、元気じゃったか? 『はい、ニホンの生活にも慣れました、でも聞いて下さいよ、サイトがジョータローと海洋調査に行ってばかりなんです!』 ほほほ、なあに、男は仕事で家族を養わないといかんからのう。 『あ、そうそう、今友達が来てるんです、この前話した空条徐倫、ジョータローの娘さんで…あ、電話!徐倫ちょっとオスマン先生と話してて!』 『ちょっ、いきなり言われたって困るッ……あー、オスマン先生?アタシ、空条徐倫』 おお、君がルイズの恩師の娘さんか、話はよく聞いておるよ。 『えぇと…オスマン先生、あんたもルイズの先生なんだろ?礼を言わせて貰うわ、ルイズとサイトが来なかったら、私も父も死んでいたわ』 ふむ…そちらもなかなか大変な目に遭ったようじゃの。 『まあね、異世界に来ちゃうあの娘には負けるわ、しかも定住するなんて…スピードワゴン財団で戸籍を用意するのが大変だったって愚痴ってたわよ』 迷惑をかけてすまんのぅ 『ちょっと徐倫!すぐ出かけるわよ、準備して!』 『何よ急に』 『サイトとジョータロー、今アマゾンの奥なんですって!もう、今日は夕飯までに帰るって約束してたのに!』 『あの二人は仕方ないわよ、こんな時間じゃ飛行機も出せないし、明日にしなさい』 『駄目よ、転移魔法使ってお弁当届けに行くわよ』 『ハァ!?ルイズあんたクレイジーよ!頭の中虚無ってんじゃないの?』 『大丈夫、サイトとジョータローの元にはいつでも駆けつけるって約束したんだから!準備はいい?転移するわよー』 『ちょっ、待っ、アタシを巻き込むなああああああああああ!』 …まったく、相変わらずにぎやかじゃのう。 そうそう、言い忘れておった。 虚無の使い手がどうなったのか、ワシは知らん。 じゃが、ワシの大切な教え子は、どこか遠くの土地で、楽しく過ごしておるよ。