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好きになった人にやっぱり彼女がいたよ・・・ すごく魅力的だし、そりゃあいないわけないよね(-_-;) 彼女とは遠距離みたいだけど 普通にうまくいっているみたい^^; でもそこにつけいるなんてできない さみしいところを狙って接近するのもありかな? とは正直思ったけどそれって卑怯だよね(´・ω・`) 彼女にも失礼だし浮気させるようなことさせたくないし 自分が本命になるとは限らないしね・・・ ただのHフレンドで終わる可能性は大きいし そんなの絶対に嫌だもんな~(´Д⊂ はあー願っちゃいけないけど わかれてくれたらぶっちゃけ嬉しい でも幸せでいて欲しい・・・(#^.^#) 別れて欲しいなんて思った気持ちが汚いねー 純粋な心ってどこにいってしまったんだろ? なんかいつの間にかなくなってしまったな~(-_-;) ガロウのゲームなんかで遊んじゃうし 昔はそんなことしなかった 休みの日は競馬 予想なんかもしちゃうし ただのおっさんだよw(^^ゞ 自分磨きがんばらなきゃ別れても私に振り向いてくれないよね 華麗にスルーされてそうだw でも本当の私を知ったら嫌われそうだよ 魅力ある人間になりたかったな~(´・ω・`)
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166: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 10 53 08 蓮くんと武塔先生がギャーギャー言っていると…。 「何抜けだしてるですか、武塔先生なのですよ」 なんと、花ちゃんが武塔先生を追っかけてきた。 あの小っちゃい花ちゃんが!! ムスッとした顔で武塔先生を見つめる。 「武塔先生、そんなに元気なら学校に戻って仕事なのですよ~」 そう言って、武塔先生の服の襟を掴んで 引きずりながら行ってしまった。 「花先生~~~」 悲しい叫びだけが響いた。 「やっとうるさいのがいなくなった」 「先生をそんな風に言っちゃ可愛そうだよ?」 「別に可哀想も思わないな」 「もー」 お互いに長いつきあいだから、 こういう口論にいたっては情がないのかな…? そうなると、武塔先生が可愛そうに思えてくる。 「おい」 「ん?」 「あした、お前の家に迎えにいく」 「本当!? ありがとう!!」 「寝坊したら、俺専用パシリな」 「だいじょーぶ!!絶対ない!!」 「待ち合わせ時間は10時だ。 9時には迎えに行くから、待ってろよ?」 「うん! あ、家についたよ!」 「ここがお前の…」 「小っさいけどね~」 「いや、結構でかいんじゃねーかな」 「そんなことないよ。じゃ、また明日! 送ってくれてありがとう!」 「あぁ、じゃあな」 スタスタ… 私は蓮くんの姿が見えなくなるまで、 家の中には入らなかった。 蓮くんと明日、もっと距離が縮まりますように…。 170: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 13 04 04 ~翌日~ とうとうこの日がやってきた。 遊園地の日---。 蓮くんが迎えに来てくれるから、 道に迷う心配はない。 それに、少しでも一緒の時間を過ごせる。 お母さんは長期出張でいないし、 お父さんは海外でお仕事。 ほぼ一人暮らし感覚。 ピーンポーン… 蓮くんだ!! 「はーい」 ガチャ… 「迎えにきた」 「準備はできてるよっ!行こうか!」 戸締りをして、家を出た。 今日の天気は、晴天。 何をしても上手くいきそう。 「お前、俺だけ見てろよ」 「どうして?」 「どうしてもだ。 蒼太のこと見てたら、 パシリやらせるからな」 「何で半分脅しなの…」 「いじりがいがあって、楽しいから?」 「ドSだぁぁぁぁぁぁ」 「うるせぇ。…あれ、蔵間じゃねぇか?」 「え? どこどこ~?」 遊園地の入り口に、蔵間くんが立っている。 雰囲気が大人っぽくて気づかなかった。 「あ!! 蓮、舞ちゃん!!」 「蔵間くん、おはよう」 「おはよ!蓮とのデートはどうだった?」 「で、でーと!!??」 「おい、蔵間」 「はいはい、ごめんね~」 笑いながら私の頭を撫でる。 子供じゃないよ!! 「あ、みんなおはよう」 「蒼太くん、おはよう」 「舞ちゃん、おはよう」 「意外と早く来るんだな」 「蓮こそ、舞ちゃんのお迎えなんてずるいね~」 二人の間に火花が散っている。 蔵間くんはやれやれ…と肩を落とした。 「火花散らしてないで。時間なくなるよー?」 「チッ…。舞、最初は何に乗るんだ?」 「んー、そうだなー…」 「メリーゴーランドでもいいよ、俺は!」 さすが可愛さもある、蒼太くん。 女の子の好きな乗り物も乗れるなんて!! 「俺はお前が楽しんでくれんなら、乗ったって構わねぇ」 蓮くんの意外な発言に、驚いた。 「え、蓮くんいいの?」 「仕方なくだ。早くしろ」 「うん!」 そうして悩んだ結果、 私はジェットコースターに乗ることに。 二人ずつ座るから席をじゃんけんで決めることに。 私の隣は… 「舞ちゃん、よろしくね!」 蒼太くんになった。 蓮くんと一緒じゃなくて、ちょっと残念。 「うん、よろしく」 「何で男と座らなきゃなんねんだよ…」 不機嫌な蓮くんに蔵間くんが言う。 「それは俺もだよ。ま、お互いさまね」 ジェットコースターが動く。 「私、ジェットコースター大好きなんだ!!」 「そうなの? なら、気が合いそう!!」 蒼太くんが嬉しそうに言う。 ジェットコースターが徐々にてっぺんへ上がっていく。 そして---。 「きゃーーーーー!!」 思いっきり叫ぶ!! もう最ッッッッッッッ高!!! ~広場~ 「あぁ~、超楽しかった!!」 「うん、最高だった!!」 蒼太くんもすごく楽しそう。 でも、蔵間くんと蓮くんは違った。 「男の隣で何も楽しくねぇよ」 「蓮の隣は二度といやだね…」 二人に何があったかは、 分からないけれど楽しそうじゃないのは分かる。 171: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 14 07 52 ~メリーゴーランド~ 次はメリーゴーランド!! 私は馬車にのりたくてウキウキ!! 隣のお相手は蓮くん! 「ねぇ、何かあの人かっこよくない~?」 「いやだぁ~!めっちゃタイプ!」 まわりにいる女の子たちの黄色い声。 「ほら、早く乗れ」 「あ、うん!」 ガチャンッ! メルヘンチックな音楽をバックに、 私はお姫様気分を味わう。 その正面で、蓮くんはじっと見つめている。 「ふぅ~!超楽しい!!」 「お姫様気分か?」 「うん!お姫様!王子様がいないけどねー」 「いるじゃねぇか」 「え…んン!?」 それは突然のことだった---。 蓮くんが私の唇にキスをした…。 別に嫌じゃなかったけど、 告白もしていないのにされるのは嫌だった。 ドンッ! 私は抵抗して蓮くんを突き倒した。 「…っはぁ。何すんの、蓮くん!!」 「…ってぇ。キスに決まってんだろ」 「どうして…」 「俺が舞のこと、好きだから」 「え…」 「前にも言ったろ」 「でも、イキナリ…」 「じゃぁ、蒼太なら許したのかよ?」 「そ、そういうわけじゃ…」 「なら、何なんだ」 「それは…」 ガチャンッ! “お下りのお客様は、焦らずにお下りくださいませ” 「タイムオーバー」 スタスタ… 蓮くんは一人で先に降りてしまった。 私はちゃんと向き合って、 告白した後にキスをしたかった。 ちゃんとしたデートのときに、キスしたかった。 「ごめんね…蓮くん…」 蓮くんの背中につぶやいた。 172: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 14 17 37 ~観覧車~ 蒼太くんの希望で乗ることになった観覧車。 私はさっきのことで頭がいっぱい。 蓮くんは一人でどこかに行っちゃうし…。 「気にしないで、舞ちゃん」 蔵間くんが優しい言葉をかけてくれる。 「うん…」 「さ、舞ちゃん一緒にのろ?」 「そ、だね…」 蔵間くんは蓮くんを探しに行ってくるから、 観覧車には乗らない。 「じゃ、楽しんでね」 「うん。ごめんね、蔵間くん」 「蓮の勝手な行動だから、謝んなくていいよ」 「舞ちゃん、乗ろ?」 「うん」 私と蒼太くんに手を振ってから、 蔵間くんは遊園地の広場へと姿を消した。 173: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 15 05 53 ~観覧車の中~ しばらくの沈黙。 蒼太くんは心配そうに私を見る。 「蓮がそんなに気になる?」 「え…」 「舞ちゃんは分かりやすい」 「…うん」 「いきなりキスされて、 そのまま流されるような人はいないから 舞ちゃんは正しいと思うよ」 「…うん」 「でも、後悔してるんだ?」 「あのとき、受け入れればよかったのかな?」 「うーん…。無理やり受け入れるのはできないんじゃないかな」 「そうだよね…」 「せっかくの遊園地なのにね」 「…」 「俺が先に舞ちゃんとっても、 文句ないって態度かな蓮は…」 「っ…」 「泣いてもいいんだよ?」 「っ…ふっ…」 「俺、片思いじゃん。 舞ちゃんになら胸貸してあげるからさ」 「そ…たく…ん」 「俺ならこんな風に舞ちゃんを泣かせないから」 「うん…」 「考えといてね。俺が彼氏になることも」 「…う…ん…」 「あと10秒で下に着くね」 「やだ…。涙拭かないと…」 私が立って、カバンからティッシュを取ろうとしたとき…。 ガタンッ! 間違えて足を崩して、蒼太くんを押し倒してしまった。 「うわっ!」 ドンッ! チュッ その衝撃で蒼太くんにキスをしてしまった。 その瞬間、ドアが開き… 「お疲れさ…きゃっ!」 「舞ちゃん、蓮連れてきたよー…」 「っ!!!!!」 ドアを開けてくれる女の人が声をあげる。 蔵間くんは絶句。 蓮くんは私と蒼太くんの状況に驚いている。 ダッ--- 「蓮くん!!待って!!」 ダッ 私は蓮くんに誤解だと伝えるために、 走り出した。 174: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 15 25 40 「待って!!待ってよ!!蓮くん!!」 ガシッ 蓮くん腕を力いっぱいに掴む。 「あれは誤解なの!足を崩して…」 「俺には嫌だとか言っといて、 本命のやつには自分からすんのかよ…」 蓮くんが低い声で言う。 「え…?」 「最初っから蒼太が本命なら、 俺が来る意味も迎えに行った意味もなかっただろ」 冷たくて消えそうな声で私に言う。 それでも私は誤解を解こうとした。 「違うの!あれはね、私が間違って---」 「俺の気持ちを弄(もてあそ)んで、楽しかったか…?」 ズキンッ!! 心が張り裂けそうだった。 好きな人に、愛しい人につくり笑顔で言われるのは、 私にとって絶望のようなものであった。 「蓮…く…」 「もう近寄んな。顔も見たくねぇ」 ダッ… 蓮くんは低く、悲しい声で言って走り去った。 追うことができない私は一人、涙を流す。 待って…。待ってよ、蓮くん…。 お願いだから…私の話を聞いて…。 一人になった私をさらに悲しくさせるように、 空からは大粒の雨が降ってきた---。 175: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 15 44 59 ~蓮side~ 「もう近寄んな。顔も見たくねぇ」 俺は舞の話も聞かずに、 走り出してしまった…。 あの状況を見て、誤解だなんて思えねぇよ。 違うと思いたいけど、思えないんだ。 このままつらくなんのは耐えらんねぇから、 お前を突き放したんだ。 舞、どんな顔してただろ…。 でももう、そんなこと関係ねぇ。 俺はもう、アイツの顔は見たくないんだ。 早く俺の脳内から、存在を消すんだ。 遊園地に何を期待した? アイツに何を期待した? もしかしたら、フラれるってことも考えただろ? 分かってたけど、自信があった。 自信があったからなお、傷いたダメージは大きい。 もう、関わらないようにするんだ。 俺は不良。 女なんていらねぇだろ。 あんなやつ、早く忘れるんだ。 何度も自分に言い聞かせた。 俺の目が熱くなる。 大雨が頬を伝うように、 舞への思いも流されればいいのに。 雨の中、俺は走りつづけた---。 176: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 16 00 26 ~舞side(普通視点)~ 私は大雨の中、 傘もささずに歩いていた。 道行く人々に、哀れな目で見られた。 路地裏に座り込んで曇天の空を見上げた。 「バカだな…」 蓮くんにあんなこと言って、 蒼太くんとキスしてるってなったら 誤解も何も、信じらんないよね…。 蓮くんを傷つけたのは、私---。 一番つらかったのは、蓮くんだよね…? ごめんね。私が矛盾してるって言いたいんだよね? 分かったよ? もう顔を合わせたりしないよ。 近寄ったりしないよ。 「さようなら、私の好きな人…」 路地裏の黒猫につぶやいた。 177: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 25 06 ~翌日~ 「あ!!舞ちゃん!!」 教室に入ると、 蒼太くんが心配そうな顔で私に話しかけた。 「昨日、大丈夫だった?」 「ごめんね、なんかあんな感じになっちゃって…」 「やっぱり、蓮とは話せなかった?」 「うん…。話すら、聞いてもらえなかった。 でも、いいんだ。これが私の犯した罪だから…」 「舞ちゃん…」 「舞、何があったんだよ?」 康介が尋ねる。 鈴音も心配そうに見つめた。 「なんでもないよ」 「でも…」 「いいんだって。私が悪いんだし…」 ふと蓮くんの机を見る。 まだ学校には来ていない。 「舞、つらくなったら保健室に行きなよ?」 「ありがと」 つくり笑顔で鈴音に言う。 蓮くんには二度と振り向いてもらえない。 分かってても、涙がでてくる。 178: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 32 53 ガラッ 蓮くんが教室に入ってきた。 私は胸が熱くなって、 我慢できず教室を飛び出した。 蔵間くんは私を見た後に、蓮くんを見た。 「蓮…」 「……」 それだけが耳に残っていた。 ~保健室~ 保健室の先生に頼んで、 少しだけ休ませてもらうことにした。 「あなた、無理しすぎじゃない?」 保健室の女の先生が私に言った。 「ちょっと疲れてるだけですよ。 寝ればすぐに治ります…」 「そう? 相談なら先生に何でも言ってね」 先生は職員室に戻って用事を済ませてくるらしい。 また一人になった…。 「どうして、こんなに苦しいの…?」 蓮くんへの伝えきれなかった思いが溢れ出す。 ガラッ ふいに保健室のドアが開いた音---。 私は急いでかけ布団をかぶった。 180: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 48 04 「舞ちゃん?」 声の主は、蔵間くんだ。 「蔵間くん?」 私は飛び起きて、蔵間くんの姿を探す。 「いたー!」 「蔵間くん…」 「よかった。 昨日の話、蓮に無理やり吐かせた」 「え…」 「舞ちゃんは悪くないよ」 「っ……」 「蓮が怖がってるんだ。 自分に自信がなくなってね」 「もう関わらないよ」 「え?」 「蓮くんに顔も見たくないっていわれたから」 「うーん…」 「私ね、海外に行こうと思ってるの」 「えっ…」 「お父さんが海外にいるんだけどね、 一緒に住まないかって連絡あってさ…」 蔵間くんは私のことを切ない目で見る。 「そんな悲しい目で見ないでよ。 そうすればさ、蓮とは関わりもなくなるし…。 昨日の事でこうなったわけじゃなくて、 私が前から悩んでたことだから」 本当は全部ウソ。 お父さんにはこっちでガンバレって言われてる。 前から悩んでなんてない。 私自身が蓮くんを苦しめる存在なら、 相手がいなくなるより自分から 身を引いた方がいいと思ったから。 そうすれば、顔もあわせなくていいし近寄ることもない。 私は自分の本当の気持ちを押し殺した---。 182: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 17 55 45 「それが、舞ちゃんの本心?」 私は少し考えて首を縦に振った。 「そっか…。蓮にはこのこと…」 「言っても蓮くんには関係ないから、 判断は蔵間くんに任せるよ」 つくり笑顔…。 やだ、私…ちゃんと笑えてるのかな… 蔵間くんが何かを言いかけたけど、 分かったと言って保健室を去った。 183: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 18 06 38 ~蓮side~ 俺はまだ、舞のことが忘れられずにいる。 あの日の夜、どうしても離れなかったあの光景。 思い出したくない嫌な記憶。 「クソッ!!」 ガンッ!! 「蓮、ものに当たるなよ」 「分かってるよ」 蔵間に何が起きたかを、すべて話した。 舞の話を聞かなかったことと、 無理やりキスしたことを説教された。 俺だって…悪いと思ってたんだ。 「蓮…」 蔵間が教室に戻ってきた。 「本当に舞ちゃんとは縁を切ったんだね?」 「……あぁ」 「本当に?」 「いいんだよ、もう」 「…分かった。じゃあ何も言わないよ」 「…」 蔵間は何か言うことあったのか? 聞きたかったけど、聞けなかった。 舞に昨日、本当は何があったか聞きたい。 だけど、あんなこと言っておいてそれはないよな。 寂しい気持ちと愛しい気持ちを押し殺した。 なぁ、舞…。 もう一度、お前と話したいって言ったらお前は何て言う? 教室のドアを見て、舞が戻ってこないか見つめる。 186: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 15 03 32 ~舞side(普通視点)~ 私は蔵間くんが去った後、 いつの間にか寝てしまった。 誰か来てくれたのだろうか、 私のカバンが置いてある。 あれ…? 何でカバンが…? もしかして、もう放課後!? ガバッ 急いで体をおこし、時計を見てみると… “16時” 嘘でしょ…。 完璧に授業でてないじゃん! 後で鈴音にノート見せてもらおっと。 服装の乱れを直し、カバンをしょって保健室を出る。 「爆睡だったんだね?」 蒼太くんの声だ。 でも、その姿が見当たらない。 「蒼太くん? どこにいるの?」 「下、下~」 「した?」 言われたとおりに下を見ると、 蒼太くんが保健室の入り口の、 ドアの前でしゃがんでいた。 「わっ」 「驚いた~?」 ニッと笑って見せる蒼太くん。 もしかして、私が出てくるのをずっと待って…。 「待っててくれたの?」 「部活帰りにちょっと休憩してただけ」 蒼太くんの優しさが胸いっぱいに広がる。 「ありがとう」 ちょっとおかしくって笑っちゃった。 「何で笑うんだよ~」 「なんか、可愛くって」 「可愛いくて悪かったねー」 私を元気づけてくれてる。 本当に蒼太くんには感謝しなきゃな。 「よかったら、一緒に帰らない?」 「え、俺といいの?」 「蒼太くん、待っててくれたんでしょ?」 「あー…バレちゃってた?」 彼は恥ずかしそうに言う。 「じゃ、行こうっか」 「うん!舞ちゃん、転ばないようにね」 「わ、私そんなドジじゃないもん!」 こういうやりとりをしてると、 思い出してしまう。 愛しいあの人との会話。 忘れたくても、脳が消去してくれない。 蒼太くんに言わなきゃいけないよね。 私の本当の思いを。 言わなかったら蒼太くんの心を弄んでることになる。 冷えた風が吹き抜ける廊下に、 一つ、愛しい人の影---。 187: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 15 11 18 「っ!!!」 私は硬直した。 正面から蓮くんが歩いてくる。 「舞ちゃん、どうしたの? ……蓮…」 かすかに手の震え。 心が張り裂けそう。 彼との距離が縮まっていく。 私の心拍数は、尋常じゃないくらいスピードをあげた。 ふと、昨日の光景が脳裏をよぎる。 “もう顔も見たくねぇ” すべてを絶望に染め上げたあの一言。 でも、私は伝えなきゃいけない。 もう海外に行くことは決めた。 最後に、誤解だけは解いておきたい。 気づいたら蓮くんの手を握ってた。 188: 名前:雷蓮☆2011/07/30(土) 15 31 45 「……何だよ」 蓮くんが低い声で威嚇する。 私はそんなことで引いてはいけないと思った。 「誤解だけ、解いておきたいと思ったの」 真剣な顔で蓮くんを見つめる。 でも、彼はこっちを向いてくれない。 「俺がお前に話すことはねぇ」 「せめて、私の話を聞いて」 「嘘じゃねぇのか?」 「え…?」 「昨日、俺のこと突き飛ばしたくせに 蒼太だったらいいってことだよな?」 「それは違う」 「何が違うんだよ。信じろってのか?」 「うん」 「今更…天然にもほどがあるぜ」 「蓮くんに会ったり、 話しかけるのはこれで最後にする」 「……は?」 「だったら、別に文句ないでしょ?」 「なら、一刻も早く消えてくれ」 ズキンッ! 「蓮!!そういう言い方は最低だぞ!!」 「本当のことだ。 俺はお前に話なんかないし、 聞くこともまったくないんだよ」 「蓮!!」 「分かったか、天然女」 「……もう、いい…。 明日から会うこともないし、話すこともない。 今までありがとう…」 「あぁ、じゃあな」 「さよなら…元気でね」 ダッ!! 「あ、舞ちゃん!!」 「……」 「蓮!!お前、好きなんじゃなかったのかよ!!」 「このままこういう関係だったら、 アイツを苦しめるだけだ」 「だからって、もっと違うやり方があったんじゃないのか!?」 「あるわけねぇだろ。昨日、あんなっこと言っといてよォ…」 私は一人、学校を飛び出して家に向かった。 心がバラバラで修復不可能になりそうで、怖かった。 明日、私は海外へ旅立つ。 二度と見れなくなる蓮くんの顔…。 未練はもうない。 あそこまで言われたら、さすがの私も言い残すことはない。 君を好きになる5秒前 続き6
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すきになれてよかった【登録タグ す バグベア 曲 鏡音リン 鏡音レン】 作詞:バグベア 作曲:バグベア 編曲:バグベア 唄:鏡音リン、鏡音レン 曲紹介 ここでは人を好きになる、ということについて歌っていますが、人に限らず、ものや作品、音楽など、何かを好きになって、 それによって自分の世界感がかわった、というそれぞれの体験を当てはめながら聴いて頂けたらうれしいです。 バグベア氏の2作目。 歌詞 人を好きになるのがこわかった 誰かに好きになられるのも こわかった その愛の先にも その愛はあるの? 本当の愛なんて本当のこと? 好きになることやめれば 傷つくことない 好きになられても逃げれば 失望させない 愛のないとこには 悲しみもないから って思ってたのに君が来たから 好きになれてよかった 好きになれてよかった それだけでこの世界は 変わってく 好きになれてよかった 好きになれてよかった 何よりも大切なものになる たくさんの愛の歌 世界にはあふれてた 誰もみな愛なしじゃ 生きられないから 冨よりも地位よりも 時間よりも世界よりも 何よりも大切なものだから 叶わない恋でも 別にいいんだ 届かない想いでも 別にそれでもいい 人を好きになることが こんなに素晴らしいと 教えてくれたのは 君なんだから 好きになれてよかった 好きになれてよかった それだけでこの世界は 変わってく 好きになれてよかった 好きになれてよかった 何よりも大切なものになる 逃げたんだ 逃げてきた 人を愛することから こわかった こわくって 誰も愛せなかった 逃げていた 逃げて行く 僕のこの腕を つかまえて ひきよせた それが最初 好きになれてよかった 好きになれてなかった 傷つくの恐れて嘘付いた 好きになれてよかった 好きになりたかった 誰よりも大切な人だから 好きになれてよかった 好きになれてよかった それだけでこの世界は 変わってく 好きになれてよかった 好きになれてよかった 何よりも大切なものになる たくさんの愛の歌 世界にはあふれてた 誰もみな愛なしじゃ 生きられないから 冨よりも地位よりも 時間よりも世界よりも 何よりも大切なものだから コメント とてもいい歌です!! -- 名無しさん (2012-04-02 14 37 05) 名前 コメント
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59: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 11 55 25 ~蓮side~ 教室に入ると、 いつもいるハズの舞がいなかった。 カバンも見当たらない。 蔵間も今日は早く来るって言ってたのに来ない。 「蔵間君なら舞さんと一緒にいたけど?」 聞き覚えのある嫌な声。 「…なんでてめぇが知ってんだよ」 「さっき見たのよ。ねぇ、どうしてあんな女にこだわるの?」 「じゃぁ俺も聞くが、どうしてそんなに俺にこだわる?」 「私は一目惚れしたのよ。かっこいいあなたに」 「それは外見だけだろ」 「!?」 「一目惚れって言うのは、大体は顔に惚れるんだよ」 「そ、そんなこと」 「俺はそういうのはごめんだ。分かったらあきらめろ」 「くっ…。まだあきらめないわ」 やれやれ。メンドクセー女だな…。 60: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 12 44 55 ~翌日~ 屋上- 「作戦実行のときがきた」 蔵間君が勢いのある声で言う。 「お嬢様はまだ、この作戦に気づいておられません。 むしろ、今日を楽しみにしておられました」 「なら、作戦も成功しそうね」 鈴音は楽しそうに微笑む。 「じゃあ、改めてみんなの役割を確認するぞ」 蔵間君がみんなの顔を見る。 「まず、目黒さんは蓮を誘拐。 車に乗せて学校のまわりを一周したら 裏門に車を止める。 そしたら目黒さんは指示がでるまで車内で待機。 もちろん蓮も一緒に」 「承知致しました」 「次に康介。 康介はあらかじめ目黒さんの車に乗っとけ」 「え!?」 「お前には蓮に状況を把握させてやるのが役目だ」 「それはマグロさんでいいんじゃ…」 「失礼ながら、私の名字は 目黒 です」 「康介、目黒さんにあやまれ」 「マグロって言ってすいません…。それで何で俺が乗るの?」 「高級車の運転は集中しなきゃいけないんだよ。 すべての内容を話すには無理がある。 そこで事故なんて起こして “さよなら” なんて悲劇だぞ」 「あ、そっか!分かった」 「そして鈴音。お前は舞の近くにいてくれ。 舞の身が危険な時、知らせてくれ」 「え? あ、うん」 「でも、瑠菜ちゃんに気づかれないように」 「どうして?」 「二人が一緒にいればきっと他の執事とか呼ぶだろ。 変な勘違いして身をまもろうとする可能性がある」 「お嬢様だしね…。了解!」 「んで、舞は目黒さんが 瑠菜ちゃんから離れた後に説得してくれ」 「うん!」 「じゃぁ、一人一人にトランシーバー渡しとく」 「「「とらんしーばー? ?」」」 「あぁ。目黒さんと武塔先生は分かるよな?」 「もちろんだ!」 「承知しております」 「これは相手との連絡をとるんだ。 ここのボタンで会話できる」 「おぉ~」 さっそく康介がいじりはじめる。 「んで、武塔先生も舞の近くにいてほしい」 「俺も?」 「あぁ。説得がうまくいきそうだったら、 トランシーバーで目黒さんに報告。 そしたら、目黒さんは蓮を連れて舞ちゃんのとこまできて」 「承知致しました」 あまりの完璧な蔵間君の説明に、 みんな関心する。 実は蔵間君は天才なんじゃないかな…。 「そういえば、じゅんはどうすんの?」 鈴音が蔵間に質問する。 「俺は予備の作戦実行者」 みんな首をかしげる。 まぁ、でも、成功する可能性は高いってことかな? 63: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 13 44 56 放課後- 私と鈴音は ろうかの角で瑠菜ちゃんと蓮を見守る。 瑠菜ちゃんの脇には目黒さん。 蓮君は少し焦っている。 一応、眠らせないことは蓮君に言ってあるハズ…。 「あれ、蓮君の演技だよ」 「そうなの?」 本当に知らないような感じだったから、 てっきり伝えてないのかと思った…。 「もう一度言います。 私と一緒にフランスへ行きましょう?」 「無理」 「どうしてです!? そんなにここが好きなのですか!!?」 瑠菜ちゃんは少しキレぎみ。 「あぁ。フランスに行ったって何の利益もねぇだろ」 「ありますわ!少しくらい!」 「俺ァ、女じゃないんだ。 てめぇみてぇに、なんでもかんでも欲しがりはしねぇよ」 「チッ…。どうしてもって言うなら…」 「なんだよ?」 「無理やりにでも連れて行ってあげる」 「!?」 ガバッ! 目黒さんはハンカチで蓮君の鼻と口をおおう。 蓮君は眠った演技を見事にこなした。 「よくやったわ、目黒」 「私は蓮様を車でお運び致します。 お嬢様はお父様が来られるまでお待ちを」 タタタッ… 「やっと…蓮を手に入れた…」 スタ… 「!!?」 「ごきげんよう、お嬢様」 「あなたは…!!舞さん、あなた…」 「もうお気づきになられましたか? ずいぶんとお察しが早いですね」 あたりの空気が凍る。 私と瑠菜ちゃんは睨み合う。 64: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 15 01 36 「騙したわね!?」 「瑠菜ちゃんだってそうでしょ?」 「くっ…!あなた、蓮とどういう関係!?」 「友達だよ」 「よくそう言えるわね!私は友達なんてつくらない!!」 「どうして?」 「女なんか信用できないわ!私の思い通りに上手くいかない! 男の方が思い通りに動くわ」 「だからって、蓮君をさらっていい理由にはならないでしょう」 「蓮は一目惚れした男よ!どうしようが私の勝手じゃない!」 「蓮はあなたのオモチャなんかじゃない」 「この私にかかれば、人間もオモチャになるわ」 「じゃあ、あなたは何様なの?」 「なっ!?」 「神様じゃないのに、何で偉そうに言うの?」 「そ、それは私が偉いからに決まって…」 「世の中にはやっていいことと悪いことがある。 それもあなたの都合でなんとかできるの?」 「っ…!!」 「いくら偉いと言っても、法律も動かせないならそれまで」 「わけわかんない!!あなたは何がしたいの!?」 「私は瑠菜ちゃんとお友達になりたい」 「なっ……!?」 「お互いに何でも話せるいい友達になりたいの」 「っ……」 「瑠菜ちゃん、私は蓮君が好きだよ」 「えっ……」 「だから、あの取り引きの時すごく嫌だった。 好きな人と2週間も話せないなんて、 私にはたえられない」 「っ…」 「でもね、瑠菜ちゃんが少しでも 蓮くんといい思い出を作りたいなら そんなこと喜んでやるって思ったよ」 「!! ど…して…?」 「だって、瑠菜ちゃん好きなんでしょ? そしたら海外に行く前に、好きな人と素敵な思い出つくりたいじゃん」 瑠菜ちゃんが涙を流す。 きっとフランスに行くことを瑠菜ちゃん自身は 望んでいないんだろうな…。 「どうして…? どうして優しくするのよ…」 瑠菜ちゃんが泣きながら問う。 「これが普通なんだよ」 「ふ…つう?」 「そう!友達に優しくするのが普通! 悪いところは言い合ってお互いになおすのが友達! 瑠菜ちゃんは、今までそういう友達に会ったことがなかっただけ」 「っ…う……」 ゴソゴソ… 「はい」 私は制服のスカートのポケットに入れてあった ハンカチを瑠菜ちゃんに手渡す。 「ふぇ…?」 「涙、ふきなよ。かわいい顔がだいなしだよー?」 「…」 「そういうとき、何ていうか知ってる?」 「え…」 「ありがとうだよ」 「あ、ありがとう…」 「はい、どういたしまして!」 私がにっこり笑顔で笑うと、 瑠菜ちゃんも思いっきり可愛い笑顔で返してくれた。 5分後- 「フランスでお婿探し?」 「そう。お父様が日本の男はダメって言うから」 「でもね、いい人を見つけた」 「蓮君だね?」 「そうよ。でも…」 「ん?」 「舞にはかないそうにないわ」 「…へ?」 「気持ちで負けちゃった。 舞が2週間話さないのはつらいっていったこと」 「あ、あぁ!」 「私はまだ我慢できるから、そんなに好きじゃないのかも」 「そ、そ?」 「えぇ。それに…」 「??」 「舞に会えて、嬉しかった…」 「え…」 「小さいころに私、ある女の子と約束してたの。 そしたらその子、その約束守ってくれなくて怒ったら 私と遊びたくなんかないって言われて」 「ひどい…」 「それからかな。女の子と遊ばなくなったの」 「そうだったんだ…」 「今は、舞がいるから大丈夫。 目を覚まさせてくれてありがとう」 その後、瑠菜ちゃんとは友達、ううん、親友になった。 来年、日本に遊びにくることを約束して 学校を去って行った---。 65: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 15 20 20 一人、ろうかに突っ立っていると 「舞!!」 後ろから声がした。 振り向いた瞬間に--- ぎゅっ えっ… 今…何が起きてるの…? 「心配した…」 私を抱きしめているのは… 「俺のために説得してくれてありがとな」 あのいつもぶっきらぼうな、蓮君だった…。 「蓮…くん…?」 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「なに大声出してんのよ!!!バカ!!」 「蓮!イチャイチャするなら外でしなさい!!」 鈴音に康介、武塔先生の声。 それにご立腹の蓮君。 「康介、ロリコン(武塔)…。ちょっとツラかせや…」 蓮君は私から離れて、指をポキポキ鳴らす。 蔵間君は私にそっと耳打ちする。 「蓮は舞ちゃんとのラブラブを邪魔されて怒ってるんだよ」 蔵間くんはニコッっと可愛く笑って、蓮くんを止めに行った。 蔵間くんが教えてくれたことに、 私は心臓が止まらなかった。 68: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 16 37 13 ~夏~ 「あぢぃーーーーー」 うなり声をあげているのは、 いつも暑苦しいくらいうるさい康介。 珍しく早く学校に来ていた康介と私と鈴音。 「うるさいんだけど、ムサ男」 「ムサ男って何だよ!!」 「ムサ苦しい男…」 「う、うるせぇ!!」 「あんたがうるさいわ!!」 「もー、二人共うるさいー」 私が二人の喧嘩を止める。 「鈴音ってば、可愛さのかけらもねぇんだもん」 「お前に言われたかねー」 「鈴音、口が悪くなってるよ」 蒸し暑いから喧嘩しかできないこの二人。 「もういっそのこと、海に行かね?」 「学校サボったら留年だぞ」 「あ…」 夏は生気を吸い取られる季節…。 コツコツ… 「あ?」 「お、康介くんの顔が死んでるぞ」 「なんだ “ぶどう” じゃねぇか」 「 “武塔” です!!」 「せんせぇー、せんぷうきぃー」 鈴音が死にそうな声で言う。 「ダメダメ!節電に協力!」 「ケチ!バカ!ぶどう!鬼軍曹!」 「康介は内申書下げとくからな」 「嘘ですー!お代官様~」 私たちは夏バテ中---。 69: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 17 57 00 ガラッ 「あれ?舞ちゃん、早いね~」 「ん~…?あ、蔵間君ー」 「すぅんごい夏バテだね。大丈夫ー?」 「もう、むりぃ…」 こんなに暑いのに、元気そうな蔵間君。 爽やか男子とは、このことを指すだろうか…。 「しっぺ女が夏バテだなんて、笑えるな」 どきっ 蓮くんが来ると、ある意味心臓に悪い…。 「もぅ、蓮君は帰っていいよ」 「うるせぇ、チビ」 「チビって言うな」 「チビにチビって言って何が悪ィ」 「全体的に…?」 言い合いが続く中、康介が割り込む。 「蓮、お前なんとかしろよ」 「何を」 「この暑さに決まってんだろ」 「体、弱ェなー。お前ら」 「冬が一番燃えるんだよ」 「年中暑苦しいクセに、よく言うぜ」 「うるせー」 康介も最近、蓮くんに反抗するようになった。 これも一歩成長…? 蓮君は康介のほっぺをつついてる。 蔵間君はケータイで何やら調べ物…? 70: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 18 15 10 「やっぱり!あったあった!」 蔵間君が楽しそうに言う。 「何があったんだー?蓮のぬけがらかー?」 「はーん…。康介…。お前に教育が必要か…?」 「ひ!!う、嘘ですよ~!もぅ、蓮様ったら~」 「で?どうしたの、蔵間君?」 私が質問する。 「ねぇ、みんなで遊園地に行かない?」 「「「「遊園地?」」」」 4人揃って驚く。 「そう!遊園地! 知り合いがさ、入場無料のチケットくれてさ! すっかり使うの忘れてて~! ちょうど人数分あるから、みんなで行かない?」 「「行きたい!!!」」 康介と私が一番に声をあげる。 「私も賛成~!!」 鈴音も元気よく言う。 「俺も構わねぇ」 「よし!決まりな!!」 こうして週末、みんなで遊園地に行くことになった。 あれ…?みんなってことは…蓮君も!? ど、どどどどうしよう!!!??? 何を着ていけばいいのーーーー!!? 73: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 21 35 44 ~4時限目(世界史)~ 「はーい、席つけ~」 やかに爽やかな武塔先生。 嫌な予感がするなぁ…。 「今、嫌な予感がしたやつ!正解だ!! 抜き打ちテストやるぞ~」 「「えぇーーーーーーーー!!」」 クラス中のみんながブーイング。 私は奇跡的に、昨日復習してたからバッチリ。 「嫌だァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」 最初に反抗したのは康介。 学園中に響く叫び声。 「そうか~!康介はそんなに嬉しいか~! あっははははははははは!」 先生は全然めげないしむしろ、その反応を見て喜んでいる。 それが気にくわないのか康介はもっと反抗する。 「もう世界史なんか嫌いだぁ!!一生恨んでやる!!末代まで!!」 いや、世界史に家族とかいないし…。 てか、末代とかもないですから!! 私が心の中でツッコむ。 「はい、始めるぞ~」 気持ちいいくらいスルーする先生。 「いやめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 鼓膜がやぶれそうなくらい泣き叫ぶ康介。 康介のプライドってどんなのなんだろ…。 「うるせぇよ。しばらく眠ってろ」 ゴスッ! しびれを切らした蓮君が、康介にみぞおちをお見舞いする。 見事にクリティカルヒットする。 「おぅ……」 抜き打ちテストの康介は、とてつもなくうるさかった。 …と同時に、蓮くんがとっても正義のヒーローに見えた。 平凡な日常の印である。 78: 名前:雷蓮☆2011/07/18(月) 22 58 43 ~お昼休み~ 屋上- お昼休みになってもなお、 さっきの蓮くんのみぞおちが効いている様子の康介。 お昼を食べようって誘っても返事がないため、 キレた鈴音は上りの階段やろうかを 康介を引きずりながら来た。 康介のいたるところに、ほこりや傷の跡。 なんか今頃だけど、 康介が可哀想に思えてきた…。 「康介、そんなに痛かったか?」 蓮君が返事がない康介に問う。 「……ぁ」 かすかに返事らしき声が聞こえるが、 何を言いたいのかまでは分からない。 「せいぜい、俺の食いっぷりでも見物してな。 せっかく蔵間特製の 卵焼き を…」 バッ!! 卵焼きの一言に反応した康介。 「てんめぇ…その卵焼きは…俺んだァ…」 まだみぞおちが効いているから上手く話せないらしい。 「おぉ? そうだったのか? ほれ、今回はくれてやる」 バッ!! モシャモシャ… 康介が獲物を狙うように食いついた。 幸せそうな顔して卵焼きをほおばる。 その姿は本当に、犬のようでした。 たとえるなら、飼い主が蓮君で 飼い犬が康介ってトコ? 何より、仲良しだから二人共可愛く見えてくる。 83: 名前:雷蓮☆2011/07/19(火) 22 02 04 ~5時限目(HR)~ 5時限目はホームルームの時間。 みんなのテンションが上がる。 だって勉強しなくていいんだもん! ガラガラ… 担任の武塔先生が入ってきたと同時に みんな席につく---。 今日の号令の係は、康介と蓮君。 初めの号令は康介が言うらしい。 やたらとニヤけている康介…。 「きりーつ!!」 ガタガタガタ… 「ロリコン教師に絶望!! じゃなかった、礼!!」 わざとっぽかった康介の号令。 蓮くんはクスクス笑っている。 それを見て、蓮くんを叱っている蔵間くん。 「よーし、いい度胸だー康介ー!! 放課後、職員室まできなさい!! あと、笑ってる蓮!!お前も一緒にだー」 「「はぁ!? ふざけんじゃねーぞ!!」」 康介と蓮君がカブる。 「当たり前だー。 一週間、俺の元で雑務をこなしてもらうからな」 「先生!冗談はよしてください! 俺は蓮にって言わないと星にするぞって言われたから言ったんです!」 康介が自分の罪を軽くしようと、先生に弁解。 蓮くんは大人の対応。 「先生!俺は決して康介にそんな恐ろしいこと言ってません!」 いつもそれ以上のこと言うくせに…という顔で 康介が蓮くんを睨んでいる。 「分かった。 康介は2週間、雑務をこなしたいんだな?」 「えぇ!?」 先生は容赦なく、康介の雑務の期間を2週間にした。 今日は康介のアンラッキー・デーかもしれない。 あ…。鈴音がものすぅんごく、嬉しそう…。 ドSの血が騒ぐのかな…。 私はこのとき、 このクラスに個性派がたくさんいることを 改めて深く感じた。 84: 名前:雷蓮☆2011/07/19(火) 22 42 23 ~放課後~ やっとこさの放課後。 みんな部活やらバイトやらで慌しく教室を出て行く。 …が、一人、窓の外を見てぼーっとしている男の子。 まだ話しかけたことがない男子。 確か名前は… 「小野 蒼太!!」 そう!! 彼の名前は、小野 蒼太(おの そうた)。 学年で上位の成績、顔もかわいいしかっこいい。 モテるなんてもんじゃない。 その可愛さに惚れた女子は、星の数ほど。 …と鈴音が言ってた記憶がある。 「もうちょっとしたら行く…」 彼は運動神経も抜群で、 毎日部活からのオファーや助っ人を頼まれる。 「じゃぁ、グランドで待ってるからな~」 約束している男子が教室を先に出て行く。 「はぁー…。ん?」 あ、やばい。目がバッチリ合ってしまった。 こ、ここはあえてスルーしよう! スタスター… 「スルーするなんて、舞ちゃんらしくないね?」 「え…」 いきなりバッサリと言われ、驚く。 「やっとこっち向いてくれた!」 彼は満面の笑みを私に向けた。 キュンっ! な、な、なんて可愛い~~~~!! なんか子犬って感じ! 「舞ちゃんが振り向かせるために、 さっきからずっと演技してたんだよ?」 「えっ?」 い、いきなりそんな事言われても…! ど、どう反応すればいいのか困る! 「そういう天然な舞ちゃんが可愛くって、俺…好きなんだ」 !!! それって… 「蒼太くん…。実は私…」 「うん?」 「実は私も、蒼太くんが好きなの!!」 「えっ!? ってことは…両思い!?」 「友達として両思いだね!!」 「え…??」 「え??」 蒼太くんが驚く。 「残念だったな、蒼太」 「!? 蓮!!」 いつのまにか教室のドアに寄りかかっている蓮くん。 「お前、本当に好きならよー、 こいつがかなりのド天然だってこと把握ぐらいしとけ」 なぜか、どや顔でほこらしげな蓮君。 蒼太くんは少し落ち込んでいる様子…。 私、何かしたかな…??? 「蓮、俺はあきらめないから。 絶対舞ちゃんは俺の彼女にしてみせる」 「あぁ、やってみろよ。 こいつは俺の彼女にするんだ。 ぜってぇにお前には舞の心は奪えねぇよ」 二人の間に火花が散る。 私はまだ、二人がなんで睨み合っているのか理解できなかった---。 君を好きになる5秒前 続き3
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273: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 11 39 47 やっとみんなが席につく。 蒼太は小腹なのかな? 量が少ない。 …けど、お皿にのってる食べ物が 全部野菜って…。 だからこの子は、こんなにスポーティーなのか。 伊玖は、お皿に食べ物を綺麗によそっている。 几帳面の性格がここに表れているな。 絶対、いいお婿になるよ…。 舞は…いくら丼しかない。 と思ったら、他にデザートのいちごプリン。 ……3歳児対象って書いてある。 舞の隣は、蓮くんだ。 彼も伊玖くんと同じく、綺麗によそってある。 意外だなー…。 というか、栄養バランス考えてよそってる!! お肉と野菜が平等の量で、 一食にこだわっていない!! これは…もうおふくろでしかない。 康介は…よそり方、ハンパない。 もう好きな食べ物、一皿にたくさんのせてるから 食べ物の上に食べ物がのっかってるよ…。 …彼は満足のご様子。 もちろん、野菜もよそっているけど デザートの量の方が圧倒的。 武塔先生と花先生は、普通に綺麗。 言っちゃ失礼だけど、正直よそり方きたないと思ってました。 じゅんは…蓮くんと同じくパーフェクト。 あの二人の、日頃の食生活が気になる…。 私がみんなのお皿を見回していると… 「ぶくくっ!舞の皿、いくら丼ばっかじゃねぇかー」 康介がっまた、喧嘩を売り出す。 「プククッ!康介だって、お皿に盛りすぎて 食べ物の原型とどめてないじゃんか~! ぶふっ!恥ずかしい~」 「んなっ!?」 「せんせー!!舞さんが俺に喧嘩売ってます!!」 「せんせー違います!! 康介くんが私のいくら丼に目をつけて ウ阿波って食おうとしてまーす!」 どっちも低レベルな争い。 武塔先生が呆れ顔で言う。 「康介ー、レディをいじめるなー」 もちろん先生は、舞の味方。 喧嘩を売ってきたのは、康介の方だから。 「ちぃっ!」 これだけ威勢のある康介に、 じゅんが少し気にかけていたらしく 私に声をかけてきた。 「鈴音、康介さ…熱ない?」 ドキッ 「何で…」 「康介の顔、少し赤いし何か変なテンションなんだよね」 「っ…」 「もしかして、気づいてた?」 「うん…」 「彼、何て?」 「康介は熱なんてないって…。でも…」 「実はあるってことかー。たぶん、あいつ自身も気づいてる」 「えっ…」 「だから、あえて逆にいつものテンションでいってる。 それが大分体に効いてるんじゃないかな? 熱くなってきてるみたいだしね…」 じゅんが推測したところで突然大きい音が響く。 ドォン!! 「こ、康介っ!?」 「おい、康介!どうしたんだ!!?」 康介が倒れた---。 274: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 12 43 57 「康介っ!!」 私は血の気が引いた。 康介が倒れているのを見て、体がふるえ出す。 「こ、すけ…」 「鈴音、大丈夫。舞ちゃん!救急車!」 「おっ、ほいさー!」 ダダッ 「康介? 康介!!」 返事がない。 意識さえもうろうとしている様子。 「こうすけぇ…」 「大丈夫だよ、鈴音ちゃん」 蒼太が優しく手を握る。 でも、私は落ち着いてなんかいられなかった。 私があのとき、無理やりにでも病院に連れていけば… もっと早く気づいてあげれば…。 その後、康介は救急車に運ばれた。 275: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 13 21 25 ~病院~ 「疲労と高熱ですね」 医者が診断結果が書いてある紙を渡す。 武塔先生が手渡された診断結果を見て、 少し驚いた。 「こいつが、疲労…」 「休養をとっていないせいで、倒れたんですよ。 食事の栄養バランスもとれてません。 今日一日は、ここで様子をみます」 「そうですか…では、よろしくお願いします」 「では、私はこれで。何かありましたらナースコールで」 バタンッ 「康介…」 康介がうっすらと目を開ける。 「はは…かっこ悪ぃ…」 「康介、あんまり喋るな。早く寝ろ」 蓮くんが康介のおでこに優しくデコピンする。 「蓮…ごめん…心配…かけたな‥」 「は? 俺は心配なんざしねぇよ。 一番お前を心配してたのは、 そこの毒舌サディスト女王だ」 「鈴…音…?」 「康介ぇっ」 「ごめ…んな?」 そう言って弱った体を起こし、 残っている力をふりしぼって康介は私を抱きしめた。 「俺は…だいじょう…ぶ…だから」 「うんっ…うん…」 私も力いっぱい抱きしめ返す。 康介は私の頬の涙を手で拭って、 おでこに優しくキスをした。 「心配、かけて…ごめんな…。明日…ちゃんと元気に…なっから、よ…」 「そ、だよ? じゃないと私、康介のこと嫌いになるから」 「ははっ…それは嫌だな…」 そう言って彼は眠りについた。 私はその夜、康介が心配だから一緒に病院に泊まった---。 276: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 15 33 05 ~翌日~ 「こっすけぇーーーっ!!」 病室に勢いよく飛び込んできた舞。 康介のベットにダイブ。 「ふごぉっ!!?」 康介は回復していたけど、 昨日無理したせいで筋肉痛らしい。 「ってぇ…」 康介はお腹に乗っかってる舞を、 はらうことができない。 そこに蓮が来る。 「っ!!康介っ…お前っ…」 蓮くんは、変な誤解をしてしまったらしい。 「ちっ違っ!」 ぎいいいいいやあああああーーー…!! ~五分後~ 「すまねぇな」 「み、みんなひどい…」 蓮くんは康介に謝っている。 誤解したおわびに、康介に肩もみ。 「ごみんね、康介」 舞も珍しく康介に謝っている。 「本当は驚かそうとしただけで…」 「あ、あぁ…もういいんだ。き、気にすんな…う゛いっ…」 「もう、退院できるの?」 「あ、あぁ…。昨日、医者に何回も言われた…ろ…」 「そうだった!んじゃあ、入り口で待ってんね~」 「ほら、行くぞ、舞」 「うぃ~」 タタタタッ… 「あいつ…いつかお返ししてやる…」 康介はいたむお腹をかかえて言った。 私は荷物をとって、 彼の手をとり、病室をあとにした。 「ねぇ、康介」 「あぁ…?」 「今度は、二人きりで…旅行だよ?」 「え…」 「ね?」 ニッコリ笑ってみせると、 彼は少し照れてから言った。 「あぁ。今度は必ず、お前を楽しませる。約束な」 「うん!約束!」 朝のひざしが眩しくて、 視界がよく見えなくても、 あなたの姿だけは、 私の目にハッキリと映っているよ---。 -鈴音side 終わり- 277: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 15 57 29 ~舞side(普通視点)~ 旅行の帰り。 車の中。 「本当にお前ら、ラブラブだよな」 蓮くんが不愉快な目で鈴音&康介を見る。 「何だよ~。妬いてんの~?」 「蹴るぞ、エスカルゴ」 「エスカルゴって言うなよ!!」 「昨日、ホテルでエスカルゴ見て騒いでた奴が 今更何を言ってやがんだ」 「だからってエスカルゴ言うな!!」 「あーあー。ギャーギャーギーギーうるさいな~」 蔵間くんが耳をふさぎながら、 二人の間に割って入った。 「ほら、喧嘩しない!」 「だってこいつがっ!」 「康介も、売られた喧嘩は買わない!」 「ぶー」 「蓮も!大人げない!」 「うっ…」 「康介、これでも蓮はお前を心配してたんだよ?」 「えっ俺?」 「そう。張り合う相手いなくて寂しそうにしてた」 「ちょっおい!!蔵間!!てめぇ!!」 「だーって、本当のことじゃん~」 「後でぜってぇーぶっ殺す!」 「じゃあ、今日の夕飯はいらないねー?」 「あたりま…はぁ!? ちょっ、それはないだろ!!」 「そっか~。俺、今日蓮に殺られるのかぁ~」 「ちょっ、嘘!嘘だっつってんだろ!!」 「蓮も寂しがり屋なんだね~」 私が面白がってつい、言っちゃった。 すると蓮の視線は私に向けられ、 腕をグイッと引っ張られた。 「えぇっ!?」 ボフン 私はすっぽり蓮くんの腕の中。 「やっぱお前の飯、いらねぇ」 「え? いいよ、遠慮しなくても~」 「こいつを飯にする」 「へ? 蓮くん、意味わかんないよ?」 彼の発言に、みんな顔を真っ赤にさせる。 「何だよ? 俺、悪いこと言ったか?」 ニッと笑う蓮くん。 その後は蓮くんに触れられないように、 みんなが私を取り囲んだ---。 283: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 08 45 39 ~舞side(普通視点)~ 晴れ晴れとした青空の朝---。 今日から「星光学園」の学園祭の準備です!! 「舞、おっはよ~」 「あ、鈴音」 「はよ!今日から学園祭の準備だね」 「そうだね!気合いれてこぉー!」 「ははっ!毎年、お祭りごとには燃えるよね、舞って」 「もちろんだよ!!祭って書いてある服着たいくらい!!」 「お祭り女ですか」 「今日はクラス委員が出し物決めるんでしょ?」 「そうそう!うはぁ~楽しみ~」 「舞、ムフムフ言い過ぎ…」 「舞…楽しみだからね」 「わっ!伊玖!!?」 「あ、伊玖~!伊玖も楽しみだよねーっ」 「…あんまり」 「えぇっ!? そんなぁー…」 お祭りって楽しいじゃんかよぉー。 うちだけノってたら、浮くじゃん!! 「伊玖、何で嫌なの?」 鈴音が私を慰めながら伊玖に聞く。 「…うるさいから…」 「あぁ…。そういえば、伊玖って小学生のときも…」 「うるさいのは好まない。だから見てる…」 「本当に伊玖らしいっつうか、何ていうか…」 「伊玖も参加しようよぉ~」 「…舞が出るなら…ちょっと…くらいは…」 「本当に!?」 「あー。なるほどねー…」 「う…ん…」 「じゃあ参加しよっ!」 「…うん」 今年は伊玖も参加するなら、 もっと楽しくなるよね!! あ、蓮は出るのかな…? 聞いてみようかな。 284: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 09 32 59 「蓮っ!!」 「却下」 「まだ何も言ってない!!」 「どーせ俺も参加しない? って誘うんだろ? ぜってぇー断る!!」 「違うよ!!一緒に参加しよう!!」 「一緒にを付け加えただけだろーが。 俺は大人数でたわむれるのが嫌なんだよ」 「不良だから?」 「これ、俺の性格だから」 「そっか。分かった…」 「そ。そうやって素直に諦めれば…」 「委員長ー!蓮もすっごい参加したいってー!」 「ちょっ、てめっ!おい、チビ!!」 「彼女に向かってチビはないよ!!バカ!!」 「なら、彼氏に向かってバカもダメだろ!! てか、何で勝手に俺も参加にするんだよ!!」 「いいじゃん!別に!」 「良くねーから怒ってんだろーが!!」 「はいはい、喧嘩しなーい」 「俺は参加しねぇ!!」 「じゃあさ、舞が伊玖にとられてもいいんだ?」 「は? 何、あいつも参加すんの?」 「うん。舞がいるならってね」 「やっぱ俺も参加する」 「切り替え早ッ!!」 「本当!? 蓮、絶対だよ?」 「あぁ。祭り事は嫌いだけどな」 なぜか分からないけど、 最初は嫌がってた蓮も参加してくれることになった。 蓮が出るなら俺も出るよと言って、 蔵間くんも参加表に名前を書いてくれた。 もちろん、康介は一番最初に名前を書いている。 一番張りきってるのは、康介の方だから。 285: 名前:雷蓮☆2011/08/09(火) 12 10 16 鈴音がさっき、 蓮を説得してくれたおかげで クラス全員が参加することになった。 「では、出し物について話し合います」 委員長が黒板に議題と、人数を書く。 「まず、みなさんの希望をとって その中から多数決、という形になります」 委員長はメガネをクイッと持ち上げた。 「はい!!」 勢いよく手を上げたのは、康介。 「俺はやっぱ、コスプレ喫茶!!」 「あ、それいいね~」 蔵間くんも絶賛する。 担任の武塔先生も面白そうと言う顔で見物。 「他には?」 「はーい!」 珍しく蒼太くんが手をあげる。 「蒼太くん」 「えっと、おばけやしきがいいな~」 まわりの女子が賛成!と声をあげる。 「他にはないですか?」 「はーい」 「えっ…。れ、蓮くん…?」 まさかの蓮が手をあげた。 これにはさすがの委員長も腰が引く。 「どどどど、どうぞ…」 康介が面白がって蓮をいじる。 「えぇ~、蓮がアイディアなんて~。 まさかアジトを作るぜ!なんて言わないよなー?」 蔵間くんが康介の口を慌ててふさぐ。 「おぉー…。そうか…。 康介はそんなにいじられたいんだな? よぉーし、分かった。委員長!!」 「はいい!?」 「康介を好きなだけ殴ってください店ってのは~?」 「えぇっ…」 「何言ってんだよ!!バカ蓮!! 俺が死んでも良いってのかよぉ!?」 「あぁ」 「ひどいっ!!」 「んで、本題。 おばけやしきとコスプレ喫茶を合体させれば?」 「「え?」」 クラス中のみんなが ? を頭に浮かべる。 「だからよ、 最初はおばけやしきのコーナー作って 通り抜けたら喫茶店みてぇな」 「なるほどね~。 同時に2つも楽しめるってことか」 蔵間くんが賛成する。 「それいい!」 鈴音も大声で賛成。 290: 名前:雷蓮☆2011/08/10(水) 11 53 00 「それでは、クラスの出し物はこれでいいですか?」 「「は~い!」」 ここのクラスは団結力がすごいから、 何があっても大丈夫なハズ。 だって、蓮も蔵間くんも鈴音もいるからね。 ドS不良派と、頭脳派、毒舌サディスト派が揃ってるし。 康介もある意味、重要人物であったりする。 あ、蒼太くんもか。 女の子と男の子に絶大な人気だしね。 「舞ちゃんはコスプレ、何するの?」 蔵間くんがニコニコしている。 「んー、まだ考え中…。蔵間くんは?」 「え、俺? 俺はね、宇宙人」 「えっ!?」 「ははっ!嘘。ごめんね?」 「び、びっくりしたよー」 「あははっ。そうだなー。俺は執事…かなー」 「執事?」 「そう。だって、いつも蓮に遣(つか)えてるでしょ?」 「ん、まぁ…確かに…」 「だから、ちょっと大人っぽくなりたくて執事にしよーかなーって」 「なるほどー。蓮は何になんの?」 「俺か?」 「うん」 「これ、強制?」 「だって、コスプレしないとお店になんないじゃん」 「げ…。俺はー…そうだなー…。誰かに決めてもらう」 「えー、自分で決めた方がいいよー?」 「なんでだ」 「変なのに決められるよ? 康介がいるからさ」 「あ…」 「俺が決めてあげよーか?」 ひょっこり出てきたのは、蒼太くん。 「蒼太か…。ま、お前ならセンスあんだろ。決めてくれ」 「うん、いいよー。んー…」 「…」 蓮もちょっとドキドキしているらしい。 蒼太くんはまじまじと蓮の顔をガン見。 緊張の空気がはしる。 「…海賊…じゃないかな?」 「海賊?」 「うん。蓮は俺様なとこがあるし、独占欲強いからね」 「俺、独占欲強いのか…」 「どう? 気に入ってもらえた?」 「あぁ。確かに、俺にぴったりだな。さんきゅ」 「いいえ~。それで? 舞ちゃんは何に?」 「私は…」 「女の子なんだから、可愛いのにしてほしいな」 蒼太くんはニコッと笑って私を見た。 ちょっと恥ずかしくなった私に蓮が 「こいつに変なこと言うと、しっぺされるぞー」 「ちょっ、何変なこと言ってるの!?」 「変なことじゃないだろ。しっぺは本当じゃねぇか」 「うっ…」 蒼太くんがクスッと笑う。 委員長がうるさくなる教室を、 懸命に静めようとしていた。 「ちょ、静かにしてくださーい」 武塔先生は、見物だから指示はしない。 けど、すっごい剣幕でうるさい人を睨む。 それに気づいた蔵間くんが蓮の口をふさぐ。 「武塔先生が珍しくすごい剣幕だから、静かにしてあげよう」 「ん、そうだな。あいつ意外とこえーもんな」 君を好きになる5秒前 続き9
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128: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 16 10 01 ~舞side(普通視点)~ ガラガラッ… 教室の戸を開けて入ってきたのは蓮くん。 先生が困った顔をする。 「蓮くん、授業が始まっているので早く席に」 「はい」 珍しく言うことを素直に聞く蓮くんに、 数学の先生は驚愕する。 そこまで驚いた顔すると、 逆に蓮くんに失礼なんじゃないかな?って思った。 「クスクス…」 蔵間くんがこらえきれない声をもらす。 キッと蓮くんは蔵間くんを睨みつけた。 129: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 16 56 38 「それじゃ、授業続けますよ」 先生はどことなくご機嫌。 蔵間くんはまだ笑っている。 「クスクス…」 もう一人声がしたと思ったら康介…。 何で学習しないんだろ。 蓮くんがだまってるはずはないと思うんだけど…。 蓮くんを見ると…あれ? 笑顔で康介を見つめてる。 でもなんか、覇気がすんごい漂っている。 あぁ…あれは笑ってるんじゃないのか! 分かった時にはもう遅かった。 康介のおでこにコンパスが刺さっていた。 てか、蓮くんなんでコンパス持ってんの!? 鈴音は康介に刺さったコンパスを抜いて、 傷口に “ 故障中、触るな ”と書いた札を貼った。 康介も大変そう…。 私は苦笑いで康介を見つめた。 130: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 17 33 16 「こーすけー」 返事が返ってこない。 さすがに鈴音も心配な顔。 「失神ぐらいいつものことじゃない」 …前言撤回。 鈴音は物足りない顔をしていました。 ドSだったことを忘れていた…。 蔵間くんは康介の傷口に薬をぬっている。 気が利く蔵間くんには関心する。 「康介、傷口は深くないからね。 2、3日で治ると思う」 処置が終わった蔵間くんは、 お昼の準備にとりかかる。 みんなで屋上でお昼を食べるというのに、 びくともしない康介。 仕方ないけど、置いていこう。 でも、鈴音は意識が戻るまで 康介のそばにいてあげると言うので 蓮くんと蔵間くんと私で屋上へ向かった。 133: 名前:雷蓮☆2011/07/24(日) 21 39 50 ~屋上~ 「何でいつも起きる康介が…」 私は疑問に思ってつい、つぶやいた。 「あれ? 舞ちゃん、気づかなかった~?」 「んん??」 「蔵間、コイツに鋭い感なんてあるわけねーだろ」 「あ、そりゃそうか!」 ??? 私は頭に ? を3つ浮かべている。 「なーに?」 「康介はね、 鈴音と二人きりになりたくて演技したの」 「えぇっ!?」 私は驚きのあまり、 フォークに刺していた卵焼きを落としてしまった。 「あぁ…卵焼きぃ…」 「泣くなよ、バカ。俺のやる」 「うぅ…ありがどーーー」 蓮くんは私に卵焼きを一つくれた。 「もー、びっくりしたよ蔵間くん」 「ははっ!舞ちゃんらしい反応だね」 「私は楽しくないよー」 しぶしぶお弁当のおかずを食べていく。 「ところで、舞ちゃん。 今日の放課後さー、蓮を見張っててくんない?」 「えっ!?」 「はっ!? お前、一緒に手伝うって言って…」 「俺、合コンの約束あってさ!ごみんに~」 ごちそーさま!と元気に手を合わせて、 お弁当を片付け始める。 「ちょっと待てよ!!俺は、お前に…」 「舞ちゃんだし、問題ないでしょ?」 「っ!!」 「蓮くんを見張ってればいいの??」 「そーそー!蓮が逃げないようにね」 「分かった!!…でも、どこで??」 「ここだよ!武塔先生に居残り命令が出されたんだ」 「蓮くん、武塔先生の宿題出さないから…」 「うっせ。アイツにおめおめ従いたくねーんだよ」 「そういう個人的な問題は、返って仇になるよ?」 「…アイツに倍返しするって決めてっから、問題ねーよ」 「もう!すぐ熱くなるんだから…」 「てことで、蓮が居残りから抜け出さないように 見張っててほしいんだ。 俺にも連帯責任がかかってるんだよね」 「ざまーみろ」 「ちょっと蓮くん!? 反抗期はロリコン教師だけにして!!」 「ちゃんと見張っとくね!安心して!」 「そう? じゃ、お言葉に甘えて~」 「チッ…」 「こら、蓮!!舌打ちはレディーに失礼だよ?」 「誰がレディーだ、バカ」 「ひどい!!歴とした女性です!!」 「ちび」 「う、うるさいなーもーーー!!!」 私の怒声が軽く響いた後、 お昼の終わりを告げるチャイムが鳴った---。 138: 名前:雷蓮☆2011/07/25(月) 20 10 08 ~教室~ 「康介、楽しかったか?」 蓮くんがニヤリと笑いながら康介に話しかけた。 「あぁ!!おかげさまで!!……え?」 「どーもね、康介」 蔵間くんが蓮くんに続いてニヤける。 私は苦笑いで康介に手をふる。 「し、しまっ…」 「どーーーーしても、 二人きりにならなきゃダメな理由があったんだな~?」 ほくそ笑む蓮くんに、康介は後ずさる。 相当、怖がっているようだ…。 蔵間くんが止めようとしたとき--- ちゅっ! 「「「!!!」」」 私と蓮くんと蔵間くんは、絶句。 突然教室に響く、リップ音。 そう、鈴音が康介にキスしたのだ…。 ちょうど幼なじみの伊玖も教室に来たところで、 突然のことに衝撃を受けていた。 クラス中のみんなが振り向くまで、 あと5秒---。 139: 名前:雷蓮☆2011/07/25(月) 20 22 03 「あ!!康介が鈴音に---」 一人の男子が声を上げたとき、 ガラガラっ! 武塔先生が教室に入ってきた。 「はーい、お前らー。席につけ…」 ふとまわりを見回した武塔先生。 二人のまさかの光景に赤面する。 「そそそそそ、そこの二人ぃぃぃぃぃ!!」 武塔先生が声を裏返す。 「学校で不純な行為は…」 言い切る前に、気絶してしまった。 なんでだろう…? 147: 名前:雷蓮☆2011/07/26(火) 19 43 26 ただいま自習中のこのクラス…。 何を隠そう、武塔先生がまさかの気絶…。 みんなにみせびらかしてもなお、 康介と鈴音の二人の世界は続いている。 この状況にいいかげんイラつき始める蓮くん。 蔵間くんは「まぁ、いいんじゃない?」って 面白そうに笑いながら言っている。 私はと言うと、もくもくと勉強中…。 だって頭よくなりたいじゃん!! かといってはかどっているわけじゃ、ないんです。 やる気がおきないんです…。 とりあえず休憩ついでに、まわりを見回して見ることに。 149: 名前:雷蓮☆2011/07/26(火) 22 00 08 「あ!!」 ふとあることに気づいた!! さっき遊びに来ていただけと思っていた、 伊玖がなぜかこの教室にいる!! しかも新しい席に!! 「い、伊玖!?」 私が叫んだと同時に、 蔵間くんがやっと気づいたんだと言った。 「俺、理事長に言ってここのクラスにしてもらった」 「あ、そうなんだ~。……どえぇ!?」 驚きのあまり、いや、理事長のテキトー差のあまり 言葉がでない…。 伊玖は成績優秀だから、まぁ、信じられなくもない…。 「それに、舞が蒼太と蓮に奪われそうだったから…」 「ん?伊玖、何か言った?」 「…いや…」 伊玖が何かボソッと言ってたけど よく聞き取れなかった…。 てか、伊玖…。あなたはどんだけの権力持ってんの…。 152: 名前:雷蓮☆2011/07/27(水) 19 09 28 ~HR~ 「ほれ~、席につけ~」 あれ? 小向花 (こむかい はな)先生だ!! 背、小っちゃいなー…。 どのくらいかと言うと、……とにかく小さい。 このクラスの全員より、小さい。 白衣きてるけどぶかぶかで、 手を伸ばすと、先の袖(そで)の方が垂れる。 しかも、顔がかわいすぎる。 言い方悪くすると、童顔の先生。 顔だけじゃない、声もだ。 一応言っておくけど、この方、女性の化学教師。 彼氏はいないらしい。 うちのクラスの化学は、この先生に教えてもらっている。 クラスのみんなに先生の印象を聞くと、 同じ答えが返ってくる。 「「小学生がコスプレしてると思った」」。 これが花ちゃんの人気の秘訣(?)でもある。 「武塔先生の代わりに、わたしゅがHRを担当するなのですよー」 先生の特徴はまだある。 語尾に必ず「~なのですよー」をつけるのと、 自分のことを「私」じゃなくて「わたしゅ」と呼ぶこと。 癒しキャラの花ちゃん(花先生)は、もう可愛くてしょうがない!! 学園中の愛されキャラでもある花ちゃん! 「私語はなるべくつつしむなのですよー? でないと、わたしゅの剛速球のチョークが 君たちのおでこに突き刺さるなのですよー?」 こういうマニアックな説明も、特徴。 それでも許せる、この先生。 噂では、花ちゃんは以前にこの学園をスパイしていたけど 学園長に見つかって、 んで学園長がお前の命を助ける代わりにこの学園の教師になって 恩返しをしろって命令して今に至ってるらしい。 詳しいことは誰も知らないけど、 花ちゃんがスパイだったことは本当らしい。 155: 名前:雷蓮☆2011/07/27(水) 19 38 45 「はいはーい、それじゃ始めるなのですよー」 チョークを取り出して、黒板に今日のお題を書いていく。 もちろんイスに登って、つまさき立ちで書いている。 “節電” あぁ、なるほど! いまの季節は夏だからね! クーラーをとっても使う時期だし! 「我が校は、節電…つまり省エネを行うなのですよ!!」 「「おぉ~」」 クラスの歓声。 「クーラーを絶対に使うなとは言わないなのですよー? ただ、自分たちができる範囲の節電をしてほしいなのですよー。 学園長からも協力要請がでているなのですよー。 だから、みんなで頑張って省エネするなのですよ!!」 「「いえーい!!」」 なぜかクラスはまとまっている。 クーラーをできるだけ使わないというのに、 なぜそこまで喜ぶんだろ…。 「なお、毎日お昼休みにアイスが支給されるのですよ~」 「「待ってましたーーー!!」」 あ。なるほど。そういえば、 ここの学園長は、太っ腹だったんだよね。 アイスが支給されるなら、どこまでもって感じ。 蔵間くんは超ノリノリ。 康介は「そんな子供みたいなのにのるか!!」って 反抗しているけど、まんざらでもないような顔してる…。 ていうかむしろ、喜んでいる…。 蓮くんはまったくの無反応。蒼太くんも。 鈴音はアイスの味をさっそく希望している。 伊玖は外を見て、ぼーっとしていた。 162: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 08 28 04 ~放課後~ 私は変える準備をしていた。 明日は遊園地に行くし、気分は上々。 蓮くんは窓側の方で蔵間くんと雑談中。 蒼太くんはもちろん、今日も部活の助っ人。 鈴音と康介はラブラブだから、もうどっかに行っちゃった。 明日の遊園地のことはまったく頭に入ってなさそう…。 伊玖は用事で先に帰った。 さて、私も帰るとしますか。 立ち上がろうとした瞬間---。 「おい」 蓮くんが私を呼び止めた。 「蓮くん、どうしたの?」 「送ってく」 「え? 別にいいよ。一人でも」 「俺が送りたいんだ」 「そう? じゃあ、お願いしようかな?」 「あぁ。蔵間、おまえは?」 「え、俺!? 俺はいいよ~。 さすがに間に入るわけにはいかないし」 「じゃあ、また明日な」 「あぁ。明日の待ち合わせは夜にメールするから」 「わかった」 「蔵間くん、また明日」 「うん、じゃあね~」 スタスタ… 「蔵間くんと雑談中じゃなかったの?」 「ちょっと時間つぶししてただけだ」 「そうなんだ」 「あぁ。行くぞ」 「どこに?」 「帰るんだよ。お前こそ、どこに行くんだ」 「あ、そうだった!」 「……お前、本当に大丈夫か?」 「なっ!? ちょっとド忘れしただけです!!」 「お先まっくらだな」 「うっ…。蓮くん、もうちょっと優しい言い方できないの!?」 「できないね。不良だから」 「理由になってないよ!!」 教室でコントする私たち。 蓮くんが私を見ていることに、少し恥ずかしさを感じた。 163: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 09 18 54 ~下校中~ 夕日が照らす坂道の途中---。 蓮くんと私は無言だった。 話すことはあるのだけれど、どう切り出そうか悩む。 すると蓮くんが突然、私の方を向いた。 「ど、どうしたの?」 「舞、お前は…」 「ん?」 「……なんでもねぇ」 「えっ!? ちょっ、蓮くん!?」 「なんでもねぇ!!」 「えぇ!? 逆ギレ!?」 蓮くんはわtsiに何か言おうとしたけど、 結局何にも言ってくれなかった。 こうなったら意地でも言わせてやろうかな…。 でも、後で怒られるからいっか…。 「蓮くん」 「…」 「ねぇ?」 「…」 「無言はいやだよー」 「…」 「蓮くん」 「…」 「明日、遊園地だね?」 「あぁ・・・」 「楽しみ?」 「…」 「ねぇ」 「忘れたのか…? 俺と蒼太が勝負すること」 「あ…」 「やっぱりお先まっくら…」 「だから、違うってばー!」 「ハン…」 「だからさ、明日楽しみ?」 「全然楽しみじゃねーよ」 「なんで?」 「お前がもし、蒼太に惚れちまったらって考えると…」 「っ!!!」 蓮くんの言葉に私は赤面する。 熱くて顔が火照る。 蓮くんへの愛しさが溢れ出てくる。 ねぇ、蓮くん…? 私はもう、誰が好きかなんて決まってるんだよ? 蓮くんの背中に小さくつぶやいた。 164: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 09 31 08 ~蓮side~ アイツに明日、楽しみか?なんて聞かれた。 なんで楽しいなんて思うんだよ。 お前の事好きな男がくるのに、 楽しみもクソもねぇだろーがよ。 どうしたって、こんなに熱くなるんだよ俺らしくねぇ…。 コイツも蒼太に惚れる可能性だって、ないわけじゃねぇのに…。 舞…。 お前もそろそろ気づけ。 俺の気持ちによ…。 お前だけは、どうしても譲れねぇんだ。 165: 名前:雷蓮☆2011/07/29(金) 10 00 54 ~舞side(普通視点)~ 「蓮くん」 「なんだよ」 「私ね…」 「あぁ…」 蓮くんに自分の気持ちを伝えようとしたとき…。 「いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 大声で叫ぶ声。 聞き覚えのあるよーな…。 あ。 「っせーなぁ!!何病院抜け出してんだ、ロリコン!!」 先ほど、失神で病院に運ばれた武塔先生が 猛ダッシュで叫びながらこちらに向かってきた。 用件は分かっている。 居残りをサボってしまったから。 サボった理由はちゃんとあるんだよ? 見張り役の私でも、言い訳できるもん! だって、先生が学校にいないのに居残りしても意味ないじゃん!! 「先生、ちゃんと理由はあるよ?」 「ハァ、ハァ…。 失神した当日に走る患者なんて、この世にいないよね?」 「そーいうことするバカはここにいるけどな。このバカ!!」 「蓮くんは患者を労る(いたわる)ということを知らないのかい!?」 武塔先生は、相変わらずツッコミ。 イケメンで頼れる先生なんだけど、 蓮くんと会話してるところを見るとそうでもない。 「それより、居残りサボったな!?」 「先生がいないとやる意味ねーよ」 「いなくても、当たり前にできるのが大人だ!」 「バカがいなくなったとこで、何も変わることはねーけどな」 「蓮くん!?」 「冗談だよ、バカだなー。冗談じゃねーけど」 「聞こえてるよ!!」 本当にこの二人は面白い。 武塔先生は、おせっかいだから蓮くんのことも心配になるんだと思う。 そこが武塔先生らしいというか、なんというか。 「お前、もう退院したのか?」 「失神ぐらい大丈夫だ」 「その原因はダセーけどなー」 「だ、ださくなんてないもん!!」 「十分ダセーよ。お前、どんだけピュアなんだよ。 今時そんな奴、どこにもいねーぞ」 「メルヘンで何が悪い!!」 「見てる俺の気持ちにもなってみろよ、バカ」 蓮くんは武塔先生に数々の暴言を吐く。 負けじと対抗する武塔先生。 私の気持ちは伝えられなかったけど、 明日はきっと伝えるよ。 蓮くんと多くの時間を過ごしたいから…。 君を好きになる5秒前 続き5
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416: 名前:雷蓮☆2011/09/17(土) 10 47 15 ~蓮side~ なーにやってんんだよ、あのバカ。 俺は下駄箱の隅の影で、アイツを見ていた。 ……というより、見張っていた。 「いつものフェイスで女落とせるんじゃなかったのかよ?」 いつものフェイスとは、蔵間の涙目のこと。 アイツはそれで数々の女をいい結果でフってきた。 なのに、今回ばかりは上手くいかなかったようだ。 「蓮、女を落とせるとか言っちゃダメ」 舞は俺にデコピンする。 「いでっ」 「女の子に失礼でしょ」 ツッコむとこ、そこかよ……。 こいつのド天然ぶりにはかなわない。 「それより蔵間くん、しずちゃん追わなくていいのかな?」 「知らねぇよ。アイツも考えがあるんだろ」 「それにしては、いつもの余裕のある顔には見えないよ?」 「お前、意外と勘がいいのんじゃねぇか? 確かに……」 「そういえば、しずちゃんは!?」 「あぁ、それなら左端と颯斗が待ち伏せしてる」 「待ち伏せって……こうなることを予想してたってこと?」 「まぁ、そういうことになるんじゃないか」 いつも勘が鋭い蔵間が、こんなに近くにいる俺らにも気づかない。 ……ってことは、相当焦ってるんだろうな。 一体、アイツは何に焦ってやがんだ……? 417: 名前:雷蓮☆2011/09/17(土) 11 44 55 ~左端side~ 屋上- 「あー。やっぱり、こうなっちゃうんだー」 俺が星光10大人物に選ばれている理由。 秘密国家機関に所属している俺ん家は、 これからの起こりうる物事も予想できる。 ……というのも、この俺自身が未来の物事を予知できるから。 小さいころからこういう力を持ってたんだ。 そして、隣にいる運動神経がはかりしれない男、黒鉄颯斗。 颯斗っちとは、小さいころからの友達。 日本のスパイだから秘密国家機関と深く関わりがある。 「どうしてここまで予想できる?」 颯斗っちがさっそく質問。 「さー? 俺もよく分かんないんだ」 「……最初から分かっていたのなら、教えてやってもよかったんじゃないのか?」 「ダメだなー、颯斗っちったらー。未来を教えてどうすんの?」 「いけないことなのか?」 「当たり前だよ。未来を教えても、起こってしまうんだ。物事ってのは」 「……まるで、それを経験したような口癖だな」 「ハハッ。経験してなきゃ、もっと楽しく生きてやってたよ」 「秘密国家機関も大変なのだな」 「お互いさまじゃないのかな」 たわいもない、けど、どこか少し切ない会話。 この世には、不平等なものがありすぎた。 「左端、本当に屋上に来るのだな?」 「もちろん、信じてよ。俺の力を。ざっとあと、5秒」 「5」 「4」 「3」 「2」 「1」 ガチャッ 「ビンゴッ!!」 「えっ」 「しずちゃんだよね? どーも」 「お、お前はっ」 「秘密国家機関、代表取り締まり役の宮前左端」 「同じく秘密国家機関、偵察代表取締役の黒鉄颯斗」 「え、な、なに」 「じゅんぽんの奴隷の、しずちゃんでしょ?」 「お前に言っておきたいことがある」 「……私は、奴隷なんかじゃないです」 「自分で断ち切ったんでしょ? 離れるのはいやなのに」 「っ……!?」 「俺に嘘は通用しないから、よろしくね」 じゅんぽん、じゅんぽんだからここまでしてあげるからね。 まだ、古傷が治っていない君のために。 一肌脱いであげようじゃないか。 さぁ、ここからは俺たちの力のみせどころだ。 418: 名前:雷蓮☆2011/09/17(土) 12 28 13 ~しずほside~ 突然私の前に現れた、星光10大人物の二人。 ひみつこっかきかん? なんじゃそら。ふざけてんのか? 「ふざけてなんかないよ?」 左端が私の心の中を読み取ったように言う。 「なっ!?」 「あんまり時間がないのでな。手早く進ませてもらう」 颯斗は静かに言った。 「蔵間が今まで誰とも付き合わなかったのは、なんでか分かる?」 「え……」 「その顔、知りたそうで知りたくないって感じ?」 「っ……」 「蔵間は元カノがいたって知ってるかな?」 「この情報は、ごくわずかの者にしか知られていない」 二人は真剣な表情で、私に蔵間の事を教えてくれる。 「蔵間には元カノの 愛 っていう子がいた。 けど、ある日をもって星になったんだ。愛ちゃんは帰り道、 何者かに殺されバラバラにされて見つかったんだ」 「それは直視できないほどのむごさで、 見る人の心に衝撃を与えたほどだった。 それを知らされた蔵間は、ヒドく落ち込んだ。 突然のコトで頭がついていかず、夢かとも思ったらしい。 けど、それはまぎれもない現実で 棺には変わり果てた姿の彼女があった。 心にかなりの傷を負ってしまっているんだ、蔵間は」 そんな……。 そんなこと、考えられない。 あんなに元気そうな蔵間は、そんな過去を持っていたなんて‥…。 「今も……傷ついているの……?」 「まーね。結構、お似合いのカップルだったから。 でもね、最近は違うんだよねー」 「どういうこと?」 「最近は表情が明るくなった気がしない? な、颯斗?」 「あぁ。何か楽しいことでもあるのかと聞いたら、 秘密と言われたんだ。すごく気になるな……」 「……?」 「奴隷がー……可愛いとか、何とか? あ、でもしずちゃん、奴隷やめちゃったんだっけ? なら、違うのかな~? あれ~?」 「奴隷……?」 「だが、奴隷はしずほしか雇っていないと聞いたぞ? お前のことではないのか?」 「え……」 「俺さー、この前その子紹介してって言ったら 奴隷は俺の言うことしか聞かないから 会っても無駄だって言われちゃったよー。 いったい、だれなんだろーなー?」 「っ……宮前左端!黒鉄颯斗!」 「なーに?」 「なんだ?」 「私の質問に答えよ。私にも可能性はあるか?」 「……君以外に、誰がいるっていうの?」 「お前にしか成せないことだと、俺は思うがな」 考えるより先に、足が駆け出していた。 「ありがとう!」 バタンっ 屋上の階段を駆け下りて、 思いを伝えたい愛しい人の元へと飛び立つ。 届け!!私の想い!! 響け!!あの人の心に!! もう何ににも支配されない。 私は私のやり方でいかせてもらう。 早く会いたくて、会いたくて、限界を越えるくらいに走った。 419: 名前:雷蓮☆2011/09/17(土) 12 56 18 ~沙奈・瀬奈side~ 中庭- 私たちは中庭でみーこと話し合い。 これは誰に頼まれたわけでもなく、 みーこから話を聞いてほしいと言われたから。 「私ね、しずほの本当の気持ちを聞きたいの」 「「本当の?」」 「うん。私ね、蔵間くんのことが知りたくてしずほに調べてって頼んだの」 「「……」」 「なんだけど、しずほも好きになっちゃったみたいでね。 普通は嫉妬するところなんだろうけど、 不思議と嬉しいって気持ちになってね」 私たちは首を傾げた。 「「嬉しい?」」 「そう。だって、今まで恋をしたことがないしずほに好きな人ができたって、 私にとってすっごい嬉しいことなの」 みーこは満面の笑みで話す。 「けどね、しずほは臆病だから……。私がきついこと言えば、上手くいくかなって思ってたんだけど……」 「「どうしたの?」」 「ちょっと心配になって……」 「「それなら、大丈夫じゃないかな」」 「え……」 「みいいいいいいこおおおおおおお」 ダダダダダダ… 「し、しずほ!?」 「みーこ!!聞いてくれる?」 「え?」 「私、あきらめたくないの」 「しずほ……」 「私にとって、初めての恋で最初で最後にしたいから……だからっ」 「知ってたよ」 「え……?」 「しずほが気を遣ってくれてたこと」 「みー……こ?」 「あんたが私の好きな人を奪っちゃだめって制御してたのも」 「っ……」 「嬉しかったよ。こんなにヒドいことしても、優しくしてくれた」 「みぃ……こお……」 「だから……」 ドンッ みーこはしずほの背中を強く押した。 「行ってこい!!」 それはまるで、しずほに喝を入れるようだった。 「みーこ……」 「……大好きだよ、しずほ」 「っ……!!ぅう、うちもお、うちも大好きだよ!!」 ダッ 「っ、ハッピーエンドじゃなかったら許さないからね!」 しずほは猛ダッシュで、駆けて行った。 「「……許したんだ?」」 「しずほだもん。可愛くて、許しちゃうよ」 「「これからどうすんの?」」 「また、合コンに参加する日々!」 「「懲りないね~」」 笑っているように見えた彼女の顔は、少し寂しそうだった。 427: 名前:雷蓮☆2011/09/18(日) 13 45 38 ~しずほside~ 私は学校の隅々を全速力で駆け抜けながら、 愛しい人の姿を必死で探した。 「はぁっはぁっ……、どこに、いるのっ」 どこを探しても見つからない。 「もう帰ったのかな……?」 そう思えば、足どりが重くなってしまう。 もうこの気持ちに制御などかけられないのだから。 明日まで待てる気がしない。 ときめいたあの瞬間のように、 鼓動のスピードが、ボリュームが大きくなってゆく。 「あっ、しずちゃーん!」 自分の教室の前を通りかかったときだった。 足を止めて、声の主を探す。 「舞?」 教室からひょっこり顔を出してにこっと笑う彼女。 「ごめんねー、呼び止めちゃって。これ、蔵間くんに届けてほしいんだけどー」 「え、蔵間に?」 「そうなのー、ごめんね? 何せ、蓮が急用だって言うから」 「蓮が行けばいいじゃないか」 私が呆れたように言うと、張本人が舞の後ろから出てきた。 「俺がアイツにわざわざ会う? カレカノじゃねーんだよ、俺らは」 いや、別にそれがカレカノのすることじゃなくね? 「お前、ただメンドクセーだけだろ」 「めんどくせーなんて言葉、俺の辞書には載ってないね」 「つくづくウゼェー野郎だな、お前」 蓮とアタシの間に火花がちり始める。 でも、そこに割って入った天使。 「仲良くしなきゃダメだよ!蓮も!」 「チッ」 こいつは舞のことになると、いきなり態度が急変する。 結局、この学校で一番強いのは舞なんじゃないか? 「分かったよ。届ければいいんでしょ」 「ありがとう、しずちゃん」 キュンッ あぁー、なんて可愛いんだろう!! 女のアタシでもキュンとしてしまう。 アタシは舞から一枚の手紙をポケットに入れ ゆっくりと歩き出した。 「想い、蔵間くんに伝わるといいね」 え……。 「お前、他のやつに知れてないとか思うなよ」 二人の姿が見えなくなったとき、 聞こえた舞と蓮の言葉。 このとき、初めて応援されていたのに気づく。 二人共、知ってたんだ。 心がぎゅっとなって、温かくなる。 きっとこれが愛情なのだろう。 アタシは、今の気持ちが零れないように しっかり抱きしめながらまた走り出した。 433: 名前:雷蓮☆2011/09/19(月) 11 55 49 そろそろ学校の校舎を一周する。 どこを探しても見つからない。 さきほど下駄箱を見たら、まだ靴があった。 彼はどうやら、まだ校舎にいるらしい。 「もう、どこだよ……」 そう言って曲がり角をまがろうとしたとき--- 「うわっ!?」 「っ!?」 誰かと正面衝突した。 「ってー……」 「わーお。お二人さん、大丈夫?」 「うぅ……。ご、ごめんなさい……」 ぶつかった相手は二人組の男の一人らしい。 「気をつけろ、波野目しずほ」 「はい……って、えぇっ!?」 何でアタシの名前知ってんの!? 「俺らのこと知らない奴、初めてだよ奏太ー」 奏太(かなた)……? 私のぶつかった男の名前は奏太というらしい。 「ったりめーだろ。まだ一度も演説してねーんだ」 演説? こいつ、ふざけてんのか? 「俺のこと知らないようだから教えといてやる。 次期生徒会長の須江金 奏太(すえがね かなた)だ」 ドクンッ 須江金 奏太……。 こいつは星光10大人物の5大目。 詳しいことは分からないがヤバいらしい。 「何か、怖がっちゃった感じだよ? 奏太が剣幕やっばすぎるからー」 「俺のせいにすんじゃねぇよ。おい、立てるか?」 「たっ、たてます」 すんごい嫌な奴と会ってしまった。 「あ、ついでに俺の名前も覚えてって。森 千里(もり ちさと) ってね」 「っ……!?」 星光10大人物9大目の、森 千里!? 「名前だけだと、よく女の子に思われるんだよね。 一応言っとくけど、俺は男だから」 「もう女みたいなモンだろ」 「うるせーよ、奏太ー」 そうそうたるメンツに後ずさる。 まさかこんなところで、また星光10大人物に会うとは。 「それより、蔵間のこと探してんだろ?」 「え……」 何でそんなこと知ってるの? 441: 名前:雷蓮☆2011/09/24(土) 09 34 59 「それより、蔵間のこと探してんだろ?」 「え……」 「何でそんなこと知ってるんだって顔だね~」 「千里、お前は黙ってろ」 「えーっ!奏太だけずるいよ~」 「お前はただうるさいだけだ」 「ぶーっ!!」 「蔵間は図書室にいるぞ」 「えっ……」 「アイツ、元カノがいなくなったとき、抜け殻みてぇになったんだ」 「蔵間が……?」 「そうだよ~。可哀想で、見てらんなかったよねー」 「あぁ。もうアイツの抜け殻は拝みたくねーんだ。 頼む。アイツの傍にいてやってくれ」 「っ……!」 「今のアイツには、お前が必要なんだ」 ドクンッ その言葉に、鼓動が大きく跳ねる。 ダッ 「あっ、しずほちゃん!」 「……。」 「……奏太が応援するって、珍しくない?」 「……何の事だ」 「恋の応援だよ」 「さーな。俺は腐れ縁のバカの背中、押しただけだ」 「あー。蔵間とは小さいころからの仲だったんだっけ」 「アイツにはまだ借りがあるからな。お返しだ」 「かっこつけー」 「黙れ、動く要注意人物」 442: 名前:雷蓮☆2011/09/24(土) 10 57 47 ~図書室~ ガラッ 「蔵間!!」 しん・・・ もうすぐ下校時間になるからか、 図書室には人の気配がまったくない。 バサバサッ・・・ けど、棚から本が落ちたような音がした。 「蔵間っ…!?」 タタッ…… アタシは音のした方へ走った。 ……けど、そこには誰もいなかった。 「っ……!」 いや、誰もいなかったんじゃない。 誰もいなかったように見せかけたいだけなんだ。 実際、ここに蔵間はいる。 けど、彼は姿を現してくれない。 「 く……らま?」 しん…… 「ねえ、本当にいないの?」 コト…… かすかに物音があが、彼らしき姿はどこにも見つからない。 「なんでよ……」 どうして隠れてるの? アタシと顔を合わせるのが、そんなに嫌なの? 「なんか、言ってよ……。ねえ……蔵間」 静まりかえる図書室。 時計の針が休むことなく、小さな音を立てて動く。 アタシは手の平を、ぎゅっと固めてつぶやいた。 「蔵間!!いるんだったら、出てこい!!」 ガタッ! 「ねえ!いつまでかくれんぼ、するつもりなの?」 アタシは目に涙をためて、ありったけの声を出した。 「もう鬼はやだよ!!」 そう言ったとき、 最終下校時間を告げるチャイムが鳴り響いた。 静かに、そして優しく。 まるで別れを告げるかのように、その音色はアタシの涙腺を刺激した。 そしてまた、沈黙が己が身を包み込む。 「……どうして、ここが分かったの?」 「っ……!!」 アタシの耳が焦がれていた、欲していた声。 誰にでも優しい、けどどこか悲しい声。 「俺、誰かに教えた覚えはないんだけど……」 けれど、彼の姿は見当たらない。 と思いきや、かすかに伸びた影がすぐ近くにあった。 「くら、まっ……」 「……さっきは、ごめん。その……」 「アタシこそ、意地張ってバカみたいだった。ごめんね」 「いや、俺が悪かったんだ。 あんまり俺には笑顔を見せてくれないもんだから、 嫌いなんじゃないかって思って……。 そしたら何か、モヤッとして……」 「え……?」 蔵間、それって……。 もしかして――― 「それって、嫉妬……?」 「っ……!?」 ガタッ バサバサッ…… ふと、隣で本が落ちた音がした。 タタタッ 今度こそ、見つける! 「……みーつけた」 「あっ……!」 蔵間はなぜか、焦った様子でいる。 アタシの顔を見たと思えば、くるっと後ろを向いた。 「ちょっ、なんでそっち向くの!?」 「あ、あっち行って!」 「はあ?」 蔵間は、自分の顔を覆い隠すようにして 図書室の出口を指差した。 今更、帰れっての? いい度胸してんじゃん。 「どこ指差してんの? 出口? アタシは後戻りしないよ。もう何も隠さない。ねえ、こっち向いて?」 アタシがそう言うと、 彼は少し戸惑ったが、ようやく振り向いてくれた。 443: 名前:雷蓮☆2011/09/24(土) 11 17 45 「え……」 アタシは彼の顔に驚いた。 珍しく顔が真っ赤なのである。 「蔵間……? 顔、赤いよ?」 「う、うるさい!だから嫌だったんだ」 まるで5歳児の子供のように、 顔を真っ赤にして言う。 「どうして、顔赤いの?」 「ゆ、夕日のせいだ」 なんて分かりやすい嘘。 そんなに今日の夕日は赤くないのに。 本当は嫉妬がばれて、恥ずかしいんろう。 なんとなく、分かってしまった。 「蔵間、嘘つくのはこれで終わりにして?」 「っ……」 「嫉妬、したの?」 「……、そうだけど、文句ある?」 いつもとは違う、余裕のない蔵間が可愛い。 そんな彼の表情を、今は私が独占している。 そう思うと、思わず顔が綻んでしまう。 「ふふっ」 「なっ、何笑ってんだよ!」 「だって、可愛くて……」 「うるせー」 「子供なとこも、あったんだね」 「悪かったな、子供で」 「蓮みたいに天の邪鬼」 「アイツより、俺の方が大人だよ」 「そんな変わんないってば」 「うるせえ」 「子供ー」 「黙らすぞ?」 「どうやって?」 「へえ。覚悟、できてんのか?」 「やってみてよ?」 「……上等だ」 グイッ ちゅっ…… えっ……。 それはほんの瞬間で、甘い罠だった。 「ふ……はあ」 深い、優しい口づけで私を癒す。 息ができなくなって、蔵間の胸を叩く。 けど、一瞬の隙も与えてくれない。 気絶しそうになったとき、彼はようやく離してくれた。 「っはあ、はあ……」 「お前の方が、よっぽど子供じゃない?」 どうやら。アタシはコイツを甘く見すぎていた。 「不意打ちはナシでしょ……」 「俺、卑怯だから」 そういって、意地悪く微笑んでみせる彼。 そしてまた、甘いキスを交わしたーーー。 444: 名前:雷蓮☆2011/09/24(土) 16 13 05 ~蓮side~ 図書室前の廊下- 「やーっとハッピーエンドか?」 「しっ。蓮、もう少し静かにしゃべって」 「チッ。何でこの俺がこんなこと・・・」 「おい、お前ら。何してんだ?」 「あ"?」 「へ?」 ふいに現れたのは、武塔。 こんなときにメンドくせー奴が……。 「なんだよ、ロリコン教師か」 「久しぶりの登場なのに、そんな言い方ひどい!!」 「ぶ、武塔先生!えっと、どうしたんですか?」 「どうしたんですかじゃないよ~。もうとっくに下校時刻過ぎて……」 「うるせーんだよ、いっつもテメーは。常識にとらわれ過ぎてんだよ」 教師ってモンは、いつでも校則にうるさくて嫌いだ。 「とらわれてんじゃねーよ。守らなきゃいけないルールってモンだ。 ほら、とっとと帰って勉強!」 「嫌だね。生憎、教師にツラ下げようなんざ思わねーからな」 「蓮!先生にそんな言い方……」 「何かここから動けない理由があるのか?」 「お前に教えて何になる?」 「利益の問題じゃないだろ、蓮。理由を聞かなきゃ納得できない」 「教師に教える義理はない。職員室でテストの採点してろや」 「ちょっ、蓮!先生、ごめんなさい!蓮にはあとで……」 「いいんだよ、舞さん。蓮、理由が言えないなら帰ってもらう」 「……」 「蓮」 「っせーな、分かったよ」 「うんうん」 「本当は言いたくなかったんだけどよ……」 「はいはい」 「康介が腹こわして、トイレから出てこないんだ」 「……え?」 「れ、蓮!?」 「だから言ったろ!? 俺は康介のために言わなかったんだ!」 「えっと……その……先生が悪かった」 「せ、先生!?」 ※本当の理由はそんなんじゃありません。 「分かったらとっとと行けよ!戻ってきた康介が気まずいだろ……」 この俺にかかれば、演技もお手の物だ。 こんなヘタレ教師に負けるハズがない。 ……ざまーみろ。 「そ、そうだな。なるべく早く帰るんだぞ!」 タタタッ 「……ザコが」 「蓮、あんまり大人をいじめちゃダメだよ?」 「悪いのは俺じゃねえ。いじめがいのある大人がいるのが悪いんだ」 「……。」 コツコツ…… 「生徒一人、下校させることもできないのか。あきれたな」 「さすが蓮だよね~。巧みに惑わす言葉を並べて、自由自在に人を操るなん て」 「まったく。いたずらにしか脳を使わないのかしら?」 っ……!? 「お、お前らっ!」 「蓮? この人たち、だあれ?」 そっか。舞はまだ、星光10大人物全員知らないんだった。 「あら、舞ちゃんじゃない」 最初に舞に気づいたのは、佐竹真奈。 一応女で、こいつも星光10大人物の中の一人。 「初めまして。次期生徒会書記を担当する、佐竹真奈よ」 「え、あ、はいっ!」 「そんなテンパんないで。同い年なのに」 「えっ!?」 「よく大人びて見えるらしいから、驚くのも無理ないわ。よろしくね」 「あ、え、えっと」 「真奈でいいわ」 「ま、真奈?」 「ええ。私も呼び捨てでいいかしら?」 「も、もちろん!」 「それじゃ、これからよろしくね。舞」 「うん!真奈」 ま、女同士のあいさつはこんなもんか。 唯一、舞を怖がらせるだろう人物は--- 「あ、俺!俺の名前!俺の名前も覚えてよ!」 こいつ、森 千里だ。 こいつは腹黒でドSだから、何しでかすか知れたもんじゃねえ。 「俺は森 千里って言うんだ!性別は男だからね!!」 「あ、うん!」 「次期副生徒会長なんだ !奏太より、九九を覚えるの早かったのが自慢!」 そしてこいつは、言動がバカだ。 「余計なこと口走ってんじゃねーよ!いつの話持ち出してんだ、てめー は!!」 いつもツッコミ役がこいつ、須江金 奏太。 「あれ? いたんだ、奏太ー」 「お前、死ぬ覚悟はできてんだろーな」 「もう、冗談だってばー半分。はい、奏太もあいさつ!」 「お前、後で覚えとけよ。あー……俺は須江金 奏太。 次期生徒会長になる。ま、よろしく……」 「こ、こちらこそ!」 「そして、照れ屋だよ~」 「うるせー!!お前、一回地獄に案内してやろーか!!」 「あはは~。バカだなー、生徒会長ー。冗談ですってば! 俺がいつでも変わってあげますよー?」 「お前は俺専用のイスで充分だ」 そして、こいつらをひっくるめて一言であらわすと 三バカトリオだ。 君を好きになる5秒前 続き14
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227: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 12 15 07 武塔先生が、 それぞれに部屋の鍵を渡す。 「みんな、なくさないように! 今からちょっと自由行動だ」 「そういえばよ、伊玖と蒼太の姿がないんだが…」 康介がキョロキョロする。 「さっき車の中にはいたよね?」 鈴音も心配そうに辺りを見渡す。 「伊玖と蒼太は部屋で休憩してる。 昨日の部活の疲れがまだ、完全にとれてないらしくて。 さっきも二人だけは寝てただろ?」 武塔先生は感心しながら言う。 「せっかくの自由行動、もったいないね」 「舞みたいに何でもかんでも楽しく思えねぇよ」 「その言い方、頭にくるよ蓮くん」 「俺はお前の大バカっぽさにイライラする」 ムッ……。 「はいはい、喧嘩しなーい」 苦笑いしながら止めた蔵間くん。 「んじゃ、12時にはここに戻ってきてくれ」 「「はーい」」 私は蓮くん&蔵間くんと一緒。 鈴音と康介は、ラブラブだからついていかない。 228: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 13 24 56 「ねぇ、ここって田舎?」 じゃり道を歩きながら、 蓮くんと蔵間くんに尋ねる。 「うん、田舎~」 蔵間くんは優雅に、田んぼとか写メってる。 蓮くんにたまに「これ、綺麗じゃね?」って自慢している。 「お前、今度からここに住めば?」 「いやだよ!!蓮くんに会えないじゃん!!」 「っ……!!!」 「あーらら。冗談を仇で返されちゃったね~」 蓮くんが顔を真っ赤にしている。 私、変なこと言ってないと思うんだけど…。 「さすが舞ちゃん。凶器の天然、発揮したね~」 蔵間くんがニッと笑った。 何がいけなかったのかな…?? 229: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 13 37 27 歩いてる途中、 広い川があったのでそこで休憩。 そこで蔵間くんに疑問をぶつけた。 「ねぇ、蔵間くん」 「ん~?」 「何で彼女さんいないの?」 「は…え、舞ちゃん?」 「ずーっと疑問に思ってたの!」 「うーん…」 「俺も聞いてなかったな」 「げ…。何で蓮まで…」 「いいだろ。早く言え」 「はいはい。んーとね、簡単に言うといらないんだ」 「いらない?」 「そうそう。そういうの、まだ考えてないしさ」 「蔵間くんて、女の子みたいなこと言うね」 「そうかな? ま、これが理由だから」 「今もつくる気はないの?」 「んー…少しくらいならある…かなぁー?」 「ふーん…」 「もう質問終わり?」 「え? あぁ、うん」 「じゃ俺、あっちの下流に行って写メってくるね~」 タタタタ… 「あいつ、大人だよな」 「うん…」 「でもよ、意外と甘えたがりなんだぜ、あいつ」 「そうなの!?」 「あぁ。ずっと一緒にいりゃ分かるぜ?」 「そっか。蔵間くんにいい人、できればいいね」 「そうだな。お前みたいにバカだったら、手に負えねーけどな」 「何でもかんでもバカって言ったら、バチ当たるよ?」 「へぇー、そりゃ大歓迎だな」 逆効果だった…? 232: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 15 39 46 今、気づいた。 私、蓮くんと二人きりじゃん。 そう思ったら、急に緊張してきた。 「舞…」 「ひゃい!?」 「何変な声出してんだよ」 「ご、ごめん」 「俺に惚れ直した?」 彼はニッと笑ってみせる。 「ううん」 「即答かよ…」 そんな彼が可愛くって、笑っちゃう。 「何笑ってんだよ…」 「可愛くて」 「自分が?」 「蓮くんが」 「好きな奴に可愛いって言われてもな…」 「ねぇ、蓮くんはさ…」 「あン?」 「私のどんなとこに惚れたの?」 「ブッ!!なっ、おまっ!! いっきなり何てこと聞いてんだよ、バカ!!」 「だって、何か聞きたくなったんだもん」 「は、はぁ? お前、頭大丈夫か?」 「大丈夫だよっ!!」 「俺にはそうは見えねぇ…」 「だから!!せっかく二人きりになれたんだし、 その…こういうこと言っても…いいんじゃないかなって…」 「っ…。そーだな…。 そこまで言うなら、言ってやるよ」 「本当!?」 「でも、あっち向け!!」 「えっ!? 何でっ!?」 「恥ずかしいんだよ…。真っ正面は…」 蓮くんが真っ赤になってる。 そんな彼がたまらなく愛しくなる。 「分かった」 私はくるりと後ろを向き、 蓮くんに背を向くかたちになった。 「はい、いいよ。言って?」 「っ…あぁ…。 俺がお前に惚れたのは、性格だ」 「性格?」 「あぁ。 初めて会ったとき、 お前はこの俺をけむたがらなかった」 「あぁ、あの時…」 「それに、まっすぐな眼差しで俺を見ていた。 俺はあのとき、女のお前に疑問を抱いた。 何で不良を怖がらないんだ?って。 どうして怖いところに一人で来たんだ?ってな。 でも、お前と関わって分かった。 性格が優しくて、友達思いで、いつでも笑顔にしてくれるやつだから あの時も、まっすぐに俺を見てくれたんだって。 ま、惚れたところはもっとあっけどよ」 私の体温が、どんどん上がってく。 この感じは…何だろう…? 233: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 16 03 17 私は自分の気持ちに素直になろうと思った。 蓮くんがこんなに私を求めてくれるなら、 私も我慢せずに求めよう。 私は向きをかえて、蓮くんの真っ正面に座った。 「なっ、おまっ、こっち向くなって…」 ギュッ 「蓮くん、大好きだよ…」 私は力いっぱいに、蓮くんを抱きしめた。 「なっ…!?」 「本当に愛しく思うの。 いつでも蓮くんが大好きだよ…」 「っ…俺も…お前のことが好きだ」 「ふふっ…。ありがとう」 「そういう笑顔、俺だけにしとけ」 「うん!愛してるよ、蓮くん」 「…呼び捨て」 「え…?」 「呼び捨てにしろ」 「あ…」 「恋人同士、呼び捨てするだろ?」 「ふふっ。そうだね、蓮」 「あぁ。俺も愛してる…舞」 チュッ 私たちは幸せな時間を過ごした。 誰にも邪魔されない、愛しい時間。 あなただけを感じていたい。 心からそう思ったのは、蓮だけだよ? 234: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 16 56 21 しばらくして蔵間くんが戻ってきた。 「ごめん、ごめん!ちょっと珍しい魚がいて」 「大丈夫だよッ」 「ごめんね~。…あれ? 何かいいことあった??」 「何もねぇよ」 「そう? あ、じゃホテルに戻ろっか!」 「うん!行こう、蓮」 「あぁ」 「あれ~? ラブラブ~」 「羨ましいか?」 「はいはい、どーせ俺はフリーですよーだ」 蓮と私は、手をつないで歩いた。 もう人前だからとか、関係ない。 好きだって気持ちがあれば、何でもできるよ。 ありがとう、蓮。 あなたが教えてくれたコト---。 235: 名前:雷蓮☆2011/08/03(水) 18 17 23 ホテルに戻ると、 もうみんな集まっていた。 「ちょっとー!!5分も遅刻!!分かってんの!?」 武塔先生がキレた。 「分かってまーす。わざと遅れましたー」 「キサマーーーー!!」 シャーーっと猫のように襲いかかる先生。 あっけなく花先生に回収される。 「生徒に暴力はダメなのですよ~?」 「シャーーーっ!!」 キバを立てる武塔先生。 蓮は、どや顔で仁王立ちしている。 さすが蓮…。 相変わらず、向かうところ敵なしだね。 「んで? どこ行くんだよ?」 「とりあえず、観光?」 武塔先生の機嫌がなおった。 「あ、伊玖と蒼太くん! 体調はどう?」 「大丈夫。ありがと、舞」 「俺も大丈夫だよ。ありがと」 「そっか、良かったー」 割り込んで話したせいで、 武塔先生の機嫌が、また悪くなった。 「もー行くぞ!!おいてくぞ!!」 「先生、自己チューなのですよ~」 「グサッ!!」 「生徒を気遣うのが、教師たるものなのですよ~」 「……ごべんなだい(ごめんなさい)」 「みんな、私が先頭を行くので、ついてくるなのですよ~?」 「「はぁ~い」」 花先生の言うことだけは、 素直にきいた蓮だった。 236: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 08 06 25 まずは、車でお土産やに行く。 「は~い。ではここで、お土産を買うなのですよ~」 みんなそれぞれ、お目当てのものをカゴに入れていく。 「蓮、なんかお揃いの買わない?」 カレカノだし、お揃いのもの持ってて当たり前だよね。 「あぁ、そうだな。何がいいんだ?」 「んー…。このペアリングは?」 「いいぞ」 「じゃあ、これね。水色でいい?」 「あぁ。いつもこれ、つけて学校来いよ?」 「ふふっ。うん!」 二人でお揃いのもの。 恋人同士だってすぐに分かるペアリング。 同じものを持っているってだけで、舞い上がってしまう。 蓮は今、何を想っているのかな…? 私と同じ気持ちなのかな…? 245: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 17 31 19 車に乗ろうとしたとき、 伊玖が声をかけてきた。 「舞」 「ん? あ、伊玖じゃん。どしたの?」 「蓮とつきあってるって本当?」 「うん」 「俺に何で言ってくれなかったの」 「え…。だって、そんなの報告しなくても…」 「っ…。ごめん、やっぱいい」 「え、あ…」 タタタ… 伊玖が何か言いたそうにしていた。 私は伊玖があんな寂しそうな顔したのを初めてみた。 ~車~ 「次はどこ行くの~?」 蒼太くんがウキウキしながら聞く。 「ホテルにバックなのですよー」 「えぇっ!? もう戻んの!!?」 「はいー。何かご不満がお有りで~?」 「あ、いえ…」 花先生は、可愛いのに隠れた怖さを持っている。 それが彼女の唯一の凶器(?) 合コンしてた中に花先生が嫌いなタイプが一人いて、 そいつに話しかけられたとき超怖い顔してたって噂がある。 246: 名前:雷蓮☆2011/08/04(木) 18 20 14 ~蓮side~ 「おい、舞」 車の中。 うとうと眠気に誘われていた舞は、 俺の声で少しだけ目を開けた。 みんなは疲れたのか、爆睡している。 みんな寝ているせいで、 舞が横に寝れないからつらそうだと思ったから 俺は舞に声をかけた。 「ん…んー…。…ふぁ~…。なぁにぃ?」 「横に倒れるスペースないから、ヒドそうだと思ってよ」 「ん? あー…だいじょぶやよぉー…んー…」 「眠いか?」 「うーん…。んー…眠いぃー…」 舞は目をこすって必死に俺と話している。 可愛いな…こいつ…。 「俺の膝(ひざ)、かす」 「いいのぉ…?」 「あぁ。遠慮すんな」 「そぉ? じゃぁー…ごみんにぃ~…」 「あぁ」 「おやしゅみ、れ…ん…」 「おやすみ」 「あ…」 「どうした?」 「忘れもにょ…」 チュッ 「っ!!!!!?」 俺は突然の出来事に絶句。 これはどうリアクションするべきなんだ…。 忘れ物と言って、舞が俺にしたのはキス…。 新婚夫婦みてぇになってる!! こいつがこんなにも積極的だったとは…。 天然のクセして、いざとなってやることは一人前だな…。 258: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 16 21 05 仮眠をとって1時間くらい…。 「おーい、お前ら起きろー」 武塔が、運転席から顔をだす。 「んー…スー…スー…」 舞はまだ、夢の中。そして俺の膝の上。 「あれっ? 蓮、舞ちゃんとラブいねぇ~」 蔵間がニヤニヤしながら、舞を見た。 「うっせぇよ」 「また~!照れちゃって、かわうぃ~い~」 康介もニヤニヤしながら言う。 こいつだけ、何かウゼェ…。 「おい、康介。 今は身動きとれないから反撃はできないが、 後で思う存分楽しませてやるから覚悟しろよ?」 俺は裏の笑顔でにっこり笑う。 康介の顔中から、変な汗が溢れ出ている。 さまーみろ。 「蓮くん、それじゃあ康介が可愛そうよ」 珍しく鈴音が康介をかばった。 ま、カップルだから当たり前か。 「もっと痛みを与えなきゃ、彼は喜ばないわ」 ------…前言撤回。 こいつは俺よりヒドいドS…いや、 サディストだったのを忘れていた。 「もぉ康介ったら、我慢やさんなんだからぁ」 ピュアな笑顔で、恐ろしいことをさらりと言う彼女。 学校では「毒舌サディスト女王」の名で知られている。 女子からは普通に人気なのだが、 男子は数多くの奴等から、要注意人物とされている。 「り、鈴音ー? そこは俺をフォローするところだろー…?」 「…フォロー…?」 鈴音の表情が急に曇った。 彼女のオーラは、どす黒く変わった。 「康介…。 人にものごとを頼むときは、 特に彼女という特別な存在ならなおさら、 手の甲に誓いと忠実を表す、くちづけをして跪(ひざまず)くのが 一般的なやりかたよ!!!」 いったいどこの国の頼み方だよっ! それはサディスト国とマゾヒスト国の間でのやりかただろーが!!! 「鈴音って、こんなんだったっけ?」 蔵間が震えながら俺に尋ねる。 「…知らねーよ、俺は…」 伊玖と蒼太も、かなり驚いている。 いや、ドン引きか…。 康介も、よく付き合ってられるよな…。 もう別れ話が出るんじゃ--- 「鈴音…」 チュッ なっ!!? 康介が嫌な顔せずに、鈴音の手の甲にキスをして跪く。 こいつは…本物の大バカなのか!? 鈴音は急に顔を赤らめて、康介に抱きつく。 「っばかぁ…」 …こんだけラブラブなのか、こいつらは。 俺らのいないときは、もっとイチャついてんのか…。 悪ィけど、こいつらにはマジでついてけねぇ…。 ふと運転席から震える声が聞こえる。 案の定、武塔だった---。 「ふ、ふ、不埒者ぉ~…」 顔を真っ赤にしてこの光景を見ていた。 気絶すんなよ、ロリコン---。 「んー…」 愛しいお前は、まだ夢の中---。 幸せそうでいいな、お前は…。 259: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 16 39 04 ~舞side(普通視点)~ 「ん…んー…。…ふぁ~あ…」 よく寝た…。 ん? みんな、何で静かなんだろ…。 あ、なんか、枕が温かいな…。 温かい…温かい…あたたかい…? そうだ!!私、蓮に膝を貸してもらってって今何時!? あっ、あれから1時間もたってる!! ガバッ 「ご、ごめんねっ、蓮!!」 私は焦ってすぐ体を起こし、蓮に謝った。 彼は私を見ると、微笑した。 「俺がいいって言ったんだよ。謝んな」 ドキッ バカ。 また、ときめいたよ…。 ドキドキするよ、もぅ…。 「ありがとう」 彼のちょっとした行動、仕草にもドキドキする。 これが、生まれて初めての私の恋。 改めて、愛しさを感じた。 蓮から視線を外し、 前を向くとそこには互いに抱きしめている鈴音と康介の姿。 「のわっ!!!?」 「おっと、自主規制の時間だよ~」 私に気づいた蔵間くんが、 私の目を手で覆う。 「舞ちゃんには、まだ早いかな~」 「私、大人だよっ!? もう高校生だよっ!!」 「人にはね、精神年齢って言うものが存在するんだよ~」 「せいしんねんれい? ? ?」 「ほらね。そういうとこで、まだ見せるのは早いかな~」 「私、大丈夫だよっ」 「だーめ」 なんで~? 私、もう高校生だよ!? 義務教育じゃないから、 自主規制なんていらないよ~!! 260: 名前:雷蓮☆2011/08/05(金) 17 20 37 ~ホテルの部屋~ 私の部屋のパートナーは、蓮。 夕飯までまだ、時間があるから 部屋でそれぞれ過ごす。 「舞」 「なーに?」 蓮が小袋をもってきた。 「お前にプレゼント」 「え、いいの?」 「当たり前だ。お前のために買ったんだからな」 「わぁ、ありがとう!開けていい?」 「あぁ」 カサカサ… 袋を開けると、ハートのキーホルダーが入っていた。 色はピンクで、暗いところでも光るものらしい。 「すっごい可愛い!!蓮、ありがとう!」 「お前が喜んでくれたら、俺は満足だ」 彼はそう言って、私の頭を撫でる。 私は嬉しくて、笑顔があふれるばかり。 自分のために買ってくれたもの。 これは大事にしなきゃね! 私は手のひらに包み、ギュッと握った。 261: 名前:雷蓮☆2011/08/06(土) 14 25 41 ~鈴音side~ ~部屋~ 「康介、荷物はここにまとめて」 「あいよ~」 付き合い始めて、3ヶ月…。 初めての旅行。 「康介」 「んー?」 のんきにテレビを見ている彼。 「付き合ってから、今日で3ヶ月だよ」 「あぁ」 「覚えてた?」 「当たり前だろ!彼氏として覚えてなきゃ恥だ!!」 「ふふっ。康介にしては、珍しい」 「バカにすんなよな!ちょっと後ろ向いてろ」 「どうして?」 「いいから」 「わ、分かった」 私が後ろを向くと、 康介が自分の荷物から何かを取り出して 私の首につける。 「わぁ…綺麗なネックレス…」 「記念にプレゼント」 「いいの? 高かったんじゃ…」 「それくらい安いもんだよ。 これからもよろしくな、鈴音。 愛してるよ」 「ありがとう、康介。 私も愛してるよ」 私が康介の手を握ったとき、 尋常じゃない熱さを感じた。 「あつっ…。康介…あんた、熱ない?」 「えっ…そ、そんなのあるわけないだろ」 「でも、手が…」 「さっき熱い茶、飲んだからじゃね」 「そっか…。本当に大丈夫?」 「あぁ、気にすんな」 私はそのとき、気づかなかった。 後に悲劇が起こることに---。 268: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 08 57 20 ~武塔side~ 「はぁーー!!疲れたぁーーっ!!」 ボフンッ 自分の部屋についた俺は、 勢いよくベットにダイブする。 「…腹減った…」 ここの部屋は、俺一人。 「独り言」、言ったって 一人でゲラゲラ笑ったっていい。 なんてフリーダムな世界!! バァンッ!! いきなり、部屋のドアが開いた。 「おっと、蹴りすぎた」 とんだ怪力男めっ!! 「蓮!! もっと優しい入り方はできないのかなぁ!!?」 「何時から食事だよ?」 「え? あぁ、えーっと…」 腕時計を見て、今の時間を確かめる。 「んとね、今17時だからー… あと一時間かな」 「18時にどこ行けばいい?」 「あぁ、俺がみんなの部屋回って 呼びかけするから大丈夫」 「分かった。んじゃあな~」 バタムッ もう…やりたい放題して…蓮は…。 あ、そういえば花先生に食事の時間伝えてないや! 俺は急いで花先生の部屋に向かった。 ~花先生~ コンコンッ 「花先生ー」 ガチャ… 「何なのですか~?」 「あの、食事の時間なんですけど…」 「18時からなのですよねー?」 「あれ? 何で知って…」 「さっき蓮くんが教えてくれたのですよー」 クソゥ!!あいつ、いいとこどりしやがって!! まぁ、伝えそびれた俺が言うのも何だけど!! 「す、すみません」 「気にしてないのですよー。 ところで先生、今夜みんなで花火大会に行かないですかー?」 「花火大会?」 「はいなのですよ~。 さっきこのホテルの人が おすすめしてくれたなのですよ~」 「それはいいですね!!」 「浴衣、ここの人が無料で貸してくれるなのですよー? 私たちも浴衣着るなのですよ~」 「浴衣ですか~!何年ぶりでしょうー。 もう23だから、似合わないかもしれません」 「そんなことないと思いますですよ」 「え…?」 「武塔先生はかっこいいから、 何歳になっても似合いますなのですよ」 「え…」 「それじゃあ、呼びかけお願いしますなのですよー」 バタン 花先生のまさかの発言に、 俺は立ちつくしていた---。 270: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 10 20 17 ~鈴音side~ 18時---。 武塔先生の呼びかけで、 全員ホテルのロビーに集まった。 私はさっきの康介の体温が、 気になって仕方なかった。 康介は伊玖と蒼太と喋っている。 「どうしたの?」 舞が気にかけて私に言う。 「あ、ううん。何でもない」 「そう? あぁ、康介と話せなくて妬いてるの?」 ここで初めて、舞が天然&鈍感でよかったと思う。 「あ、あぁ!そ、そうなの!!ちょっと妬いちゃって~」 「心配しなくても、康介は鈴音にゾッコンだよ」 無邪気に笑って言う舞。 あぁ…この子はどんだけピュアなんだ…。 「あ、もうお店の中に入っていいって! 先に行ってるよ~」 「あ、うん」 「おーい、鈴音~!!」 「康介…」 「となり座ろーぜー!」 「そうだね」 店の中に走って入る康介。 胸騒ぎがするのは、なぜだろう…。 272: 名前:雷蓮☆2011/08/08(月) 10 59 03 ホテルの中の店は、 バイキング専門店。 康介ははしゃいでいた。 「いえっふーーっ!」 ドタドタ走って、 食べ物が並んでいるお皿へと向かう彼。 「康介!!そんなに走ったら、ほこりが‥」 「うっひょーっ!!すっげぇ!エスカルゴ!!」 私の声は聞こえていなかった。 「康介!!こっちにいくら丼あるよ!!」 舞は我を忘れて、 いくら丼を自分のお盆にたくさんのせる。 舞…あんたって子は…。 「マジで!? ちょっと俺にもよこせよ!!」 「いーやーだー!!」 すでに喧嘩が勃発。 そこに蓮くんが来る。 あぁ、ここに大人が… 「これは舞のだ。触んじゃねぇ!」 自分の彼女を有利にたたせたーー!! 「うぅっ…」 もぅ、康介泣きそうなんですけど…。 「鈴音ーー!!こいつに何とか言ってやれー!!」 「何で私も康介を有利に立たせなきゃいけないの!!」 「俺のいくら丼がかかってんだよ!!これくらいできんだろ!!」 「おんまえは、もっと成長せい!!」 なんやかんや言って、私も喧嘩になる。 あぁ…私も充分子供じゃんか…。 君を好きになる5秒前 続き8
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【検索用 また1つすきになった 登録タグ 2023年 Synthesizer V せきこみごはん ま 仁和 曲 曲ま 桜乃そら 灰咲アマネ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:せきこみごはん 作曲:せきこみごはん 編曲:せきこみごはん イラスト:仁和(Twitter、pixiv、skeb) 動画:灰咲アマネ(Twitter、litlink) 唄:桜乃そら 曲紹介 そしてまた私を焦がすんだ 曲名:『また1つ好きになった』(また1つすきになった) 「Synthesizer V AI 桜乃そら」の公式デモ曲 歌詞 (piaproより転載) もう止められないし 戻れやしない 曖昧心情 煮詰める臨場 微かに香る 甘い衝動 法則絡まって 恋に落ちて もう止められないし戻れやしない 嗚呼 どうなってるの バカになって 焼ける様な世界 加速する恋の音 何をしてるの 目が離せない 心研いでは 擦り減って また1つ好きになった 不可逆なのが愛なの I know I know I know 心の底に溜まる苦味 叶わぬ努力 無気力に振り払った 灰かぶりな記憶 意識のない夜に燃える 空想 恋は 甘い思考 前を向くんだ 特別? 運命? そんな言葉じゃ測れない 言えない 言えない 言える訳がない 妄想の向こう側へ もう逃げられやしない 前を向け そう 恋なんだって 熱くなって 癖になる手ぐし 状況はあいこでしょ 心焦がしては君を焚べる もう足んない 何で? 需要ばっか また1つ好きになった もう訳わからないでしょ ねぇ何で何で 擦り減って転んで重ねた 駆け引きの山 夢の中にいられたら もう耐えられないわ 眠りたいわ 嗚呼 どうやったって転ぶばっか 忘れられるかな 忘れられないからさ 明日明後日は反省会 改善 決行 さぁいざ参らん あなたの事が……! 素直になれたのなら 止められないし戻れやしない 嗚呼 どうなってるの 好きになって 焼ける様な世界 加速する恋の音 何をしてるの 目が離せない 心研いでは 擦り減って また1つ好きになった もう訳わからないでしょ これ以上好きになって 不可逆なのが愛なの I know I know I know コメント 名前 コメント
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328: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 11 51 12 ~蓮side~ 委員会の仕事で戻ってきた教室に、 舞の姿はなかった。 「どこ行きやがった……?」 「あ、蓮きゅん!」 「あぁ? げっ……」 俺のことを「きゅん」とか言うこいつの名前は、 宮前左端(みやまえ さたん)。 ちなみに男。 俺と同じく、星光10大人物の一人。 「蓮きゅん!どうしたのお?」 「いっつもふざけた言葉使いやがって……」 「ひっどい!!もう、お婿にいけない!!」 「もうとっくに行けないだろ」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ハンッ。どーでもいいけどよ、舞はどこ行った?」 「んー? あぁ、舞ちゃん?」 「あぁ」 「蓮きゅんの心のなか~」 「殺されたいのかてめぇは……」 「きゃっ!襲われちゃう~」 「これ見よがしに、嬉しそうな顔すんな!!気色悪ぃ!!」 ダメだ……。 こいつと話してると、ラチがあかねぇ……。 他の奴に聞こ。 「舞ちゃんなら、海馬先輩に呼ばれたお」 「は……?」 「危ないんじゃない~? 裏門に呼び出されたらしいお」 「何で引き止めなかった……」 「双子ちゃんが探しにいったし、左端がでる幕じゃないお~」 「双子が……?」 「蓮きゅん、気をつけてね~。舞ぽんもだけど~」 こいつは本当に、どこまでもふざけやがる……。 「左端は、情報提供するだお~」 「珍しいな。お前、面倒ごと嫌いだろ?」 「舞ぽんが可愛すぎるから、左端、動くよ~」 えへっと可愛く言ってみせてる左端。 だが、実際可愛くない。 女子は大喜びだろうが、男の俺にはわかんねぇ。 左端は、可愛いくてイケメンで有名。 だが、内面は腹黒でいろんな人の「ネタ」を持っている。 いわば、情報屋。 元々、左端の家が秘密の国家機関と関わっている。 だから、学校のやつらの人生の歴史なんて すぐに調べられる。 こいつはそれで、星光10大人物になった。 だが、それを知っているのは星光10大人物のみ。 他のやつらには、何ひとつ知られていない。 「左端、海馬先輩のやってきたことに そろそろ歯止めをかけたいお」 「やってきたこと?」 「たあっっっくさんの悪行を働いてるんだもん~。許せないね~」 こいつの目が光る。 「俺らじゃあ、広範囲の仕事は無理だぞ?」 「なら、俺も参加させてもらおうか」 「あ!颯斗っち~」 「颯斗!!」 ぬらりと出てきたのは、黒鉄颯斗(くろがね はやと)。 こいつも星光10大人物の一人。 普段はクールで大人しいが、実は日本のスパイ。 他国の偵察や、怪しい組織を取り締まったりしている。 だから、左端との関わりは深く 小さいころから互いを知っている。 こいつの運動神経は、はかりきれない。 言うならば、妖怪のよう。 「俺では少しの力にしかなれぬかもしれないが、よろしく頼む」 「お前……なんつう所から来てんだよ」 「なんつう……とは? 普通に天井からだが?」 天井からぶらさがって会話してる時点で 普通じゃねぇんだよ。 「颯斗っち、今日仕事じゃなかったの?」 「香港で依頼を受けていてな。もう終わった」 「そっかぁ~。えらいえらい」 颯斗はかなりの電波系。 こいつもイケメンでかなりモテるのに、とんだ残念系。 けど、そこが可愛いという女子がいるから人気が絶えない。 「お前、教室のドアから入って来れねぇの?」 「つい、天井から入ってしまうのだ。すまぬ」 「いや、もういいや……」 星光10大人物のこいつも、 いざとなれば凄い。 ……のに、性格が残念系ばっかだ。 331: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 17 11 45 ~海馬side~ 「最悪……」 帰り道、一人つぶやく私。 何であの子に歯向かわれるの? この私が……。 でも、今回は本気よ。 蓮様は無二の完璧な人材。 私にピッタリじゃない! なのに……どうして、あの子なんか……!! 「何たくらんでるかは知らないっすけど、 舞ちゃんを傷つけるなら阻止します」 「っ……!? く、蔵間……じゅん!!?」 「今まで、先輩の悪行を黙って見てましたが……。 もうそろそろ、限界がきました。 舞ちゃんと蓮の仲を引き裂いて見てください。 俺も一応、ちゃんとした家柄なんでね。 人一人、永久追放だってできますから。 ナメないでくださいよ?」 「なっ、何が言いたい!?」 「舞ちゃんに傷一つ、またつけてみてください。 あなたのその首、ちゃんと胴体と繋がっているか 分かりませんよ? 俺だって、不良なんですからね……先輩?」 「お前っ……!!」 「恋路を邪魔する奴が、一番許せなくてな」 「殺せるのなら殺してみ……」 「先輩だからって、容赦しません」 彼はにっこり笑って、姿を消した。 「な、何だったんだ……」 しかし、本気の目だった……。 いかん。怯えてはならない!! この私、欲のためならば何だってする。 そう決めた。 揺るぎない精神が、なおかき立てる。 狂気を、欲望を、快感を……。 蔵間に警告されても、私は手に入れる。 蓮様、ただ一人を……。 332: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 17 33 22 ~舞side(普通視点)~ 翌日- 「大丈夫だ。このことは蓮には言わない」 「は……はぁ……」 今お話中の相手は、黒鉄颯斗くん。 電波系のキャラでお馴染みだ。 「左端もだお~」 この子は、宮前左端くん。 可愛いイケメンキャラでお馴染み。 個性派軍団です。もちろん、星光10大人物の。 「それで、昨日は足を踏まれたと?」 「うん……。すっごい剣幕で……」 「それは怖かったな」 「颯斗っちはわかんないでしょ、怖いって。 あのね、颯斗っちはいつも任務で しょっちゅう怖い経験してるから、 怖いっていう本当の感情が薄れてるんだお」 「え、に、任務って……?」 「とにかくだ!!舞自身の単独行動は命とりになる。 年中無休で、傍に護衛をつけなくてはな……」 「そんなのやりすぎだお、颯斗っち!! それじゃあ舞ぽんは、おちおち恋愛日記も書けないでしょ!?」 「そ、そうか……。それはすまなかった……」 「いや、私書いてないし、そんなの……」 「えぇ!?」 左端くんが驚く。 「そんな乙女チックなこと、しないよ」 「では、ダンディチックなことはするのか!?」 一体どういう会話をしたら、 ダンディチックって文字が並ぶ言葉が出るんですか!? 「あの、颯斗く……」 「「舞ちゃんは確かに危ない」」 私が混乱しているところに、 双子がようやくきてくれた。 「お、お前ら……」 「沙奈っちに瀬奈っち?」 「「最悪の場合、死だ」」 「なっ……!?」 「そこまで事態が進んでんの!?」 「「何しろ、自身が地獄に落ちてもいいと言うのだから」」 「そんなに女は怖いのか……」 「颯斗っち、これは論外だから安心して!! 女の子はもっと可愛いことして、 ふわふわしてて、もう何やっても可愛い生き物だよ!?」 二人のとんでもない会話が始まる。 「「とにかく、舞ちゃんを一人にしないで」」 「そうだな。全力を尽くそう」 「うん!!舞ぽん、俺から目を離しちゃダメだよ?」 なぜか左端君に、ウィンクされる私。 「あ、ありがと……」 正直、やりずらいです。 333: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 17 46 15 「おはよ~。昨日は大変だったらしいね」 教室から入ってきたのは、蔵間くんだった。 「な、んで…‥知ってるの?」 蓮と一番近い関係の、蔵間くんには知られたくなかったのに……。 「ちょっと昨日、見ちゃってね」 「見たって…何を」 「先輩が舞ちゃんにヒドいことしてるとこ」 「「じゅん!!」」 「じゅんぽこ、知ってたの?」 「じゅん、お前見ていたのか?」 みんなが蔵間くんに詰め寄る。 「見ていたって言うより、聞こえてきたって方が正確」 「「つまり、近くにいたってワケではないのね」」 「そう。俺、いっつも屋上で寝てるんだ。 たまたまぼーっとしてたらさ、先輩の怒声が聞こえてね」 「このこと、蓮には」 「もちろん、言わないでおくよ。 でも、蓮はもうこのこと知ってるハズ」 「え……?」 「そうだよね? 二人共」 蔵間くんの視線は、左端くんと颯斗くんにそそがれた。 「左端…くん…? 颯斗く…・・・ん?」 「あり? もうバレてたんだ?」 「すまぬ、舞。実は、薄々勘ずいていたのだ」 「左端、海馬先輩の今までしてきたこと知ってる。 だから、舞ぽんが呼ばれたときも 怪しいと思ってたんだ。 ごめんね、なんか探るようなことしちゃって」 「ううん。そんなことより、多くの人を巻き込むことはできない」 「でも、舞ぽんの危険が!!」 334: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 18 37 39 「私は大丈夫!あんまり、大事にしないで」 コツコツ… 「ここまできて、まだいい子ぶってるの?」 「っ……!?」 「海馬先輩…だお?」 「「海馬先輩!!」」 「まだ、懲りていないようね」 「何を言われようと、一歩も引くつもりはないです」 「私に足を踏まれようと、びくともしないってわけ?」 面白い子と言って、私の机を思いっきり蹴る。 ガンッ 「何するん……」 「目障りなのよ!!!早く消えなさい!!」 「っ……!!?」 「あんたみたいな貧弱な仔猫は、お呼びじゃないの!!」 「それでも、蓮が好きって気持ちは変わりません!!」 「そういうところが、一番嫌なのよ!!」 バシンッ 先輩は私の頬を思いっきり叩いた。 その生々しい音が、教室に響き渡る。 ガラッ… 運悪く教室に入ってきた蓮に気づくまで、あと5秒---。 336: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 19 24 38 「っ!!」 ふいに開いた教室のドアに気づいた蔵間くん。 先輩もびっくりして後ろを振り向く。 「れ、蓮様……」 っ……!!? れ、蓮……? 恐る恐る顔を上げると、さっきの状態を見てか ものすごい剣幕でたっている。 「な、に……してんだよ」 「蓮様!!これには理由がっ……」 「そんなの、理由になんねぇよ!!今すぐ謝れ!!」 「なっ……!? 蓮様!?」 「俺はてめぇなんかに、興味はねぇ。 けどよ、大切なやつ傷つけられんのは放っておけねぇ」 「れ…ん…」 ダメだ……。 もう、泣きそう……。 「こいつを傷つけるのも、泣かせるのも全部 この俺しか許さねぇ……。 早く謝れよ。3年だからってデカイ面してんじゃねぇぞ」 蓮は今までにないメンチをきって、 先輩を威嚇している。 さすがにみんな背筋が凍って、 話す言葉がない。 「嫌よ。私は……悪くない!!」 ダダダダッ… 「おい!!ま……」 ガシッ 私は追いかけようとする蓮の腕を、必死に掴む。 「いいよ、もう。何でもないから……」 「っ……!!お前…‥また、そうやって……俺に黙ってるのかよ!?」 「え……」 「また、そうやって迷惑かけるとか言って突き放すのかよ!?」 「そ、そんなこと……」 「なら、昨日何で俺に言ってくれなかった? どうせさっきも蓮には言うなって言ったんだろ!? 何で俺を頼ってくれないんだよ!!?」 急に怒る蓮に、私はただ黙っていた。 けど、一言一言が胸に突き刺さる。 「おい!!何とか言えよ!!舞!!」 「っ……」 「舞!!」 「っ……たいよっ」 「聞こえねぇ……。何だよ……?」 「っ……たいよ。蓮と一緒にいたいよぉっ!!」 「っ……!!」 「もっと蓮と一緒にいたい!! だけど、あの先輩は何するか分かんないんだよ!? もし、蓮に何かあったら私……私、立ち直れないよ!!」 本音が次々と口からこぼれる。 抑えられなくなってしまったこの気持ち。 大粒の涙が、溢れ出てくる。 今まで言えなかった気持ちを、制御できなくなってしまった。 「でも、できないの!!今回だけはっ!! 好きで黙ってたわけじゃないよ!! 大切だから、愛しいと思うから言えなかったの!!」 「ま……い……?」 「本当は誰よりも大好きで、愛しくて……!! この気持ちは誰にも負けない!! だからこそ、守り抜きたいのっ……。大切な蓮を……。 でも、ごめんね……。 もう、蓮の苦しむ姿……見たくないよ……」 ダッ… 「舞!!」 338: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 21 47 26p 気づいたら走り出していた。 でも、もう後には戻れなくて。 何であんなにムキになったんだろう……。 私……蓮をあんなに不安にさせてたの…知らなかった……。 私は体育館の裏側で、時間を潰すことにした。 5分後- ピロリン! 「っ……!?」 突然のメールの受信音。 びっくりして携帯を開くと… 「知らないアドレス……」 メールの内容を確認すると、それは--- “ あなたに謝りたいことがあるの。 さっき叩いてしまったこととか…。 来るか来ないかは、あなたの勝手。 星光公園の前で待ってる。 3年F組 海馬由奈 ” 答えは一つ。 星光公園に行って、すべて和解してもらおう。 私は携帯を片手に、急いで海馬先輩の待っている所へ向かった。 339: 名前:雷蓮☆2011/08/17(水) 22 03 43 星光公園- 「はぁっ、はぁっ……っ海馬…先輩……?」 星光公園の前には、先輩の姿はなかった。 「裏の入り口にいるのかな……?」 ザッ… 「あ……せんぱ……」 「全部あなたのせいよ!!」 「海馬先輩……?」 「どうしてあなたなんか!! この、いいこぶりが!!!」 「ここまできて、まだそんなこと言うんですか!?」 「当たり前でしょ!? あたしはあんたなんかクズって思うわ!!」 「ちょっと待ってくだ……」 「あなたなんか消えていなくなればいいのに!!」 ドンッ 先輩は私を強く突き飛ばした。 足を崩して、そのまま私は後方へといく。 私の後ろには、多くの車が走る道路。 「っ!!ちょっと!戻って来なさいよ!!」 「せ…んぱ……」 キィィィィィー… 嫌だ……。嫌だよ……。 まだ……蓮に、ごめんねって…… ドォンッ!! 言って……ない……の……に……。 その後の意識は、静に途絶えた。 340: 名前:雷蓮☆2011/08/18(木) 07 43 02 ~蓮side~ 「舞!!」 舞は俺の声に反応せず、 ひたすら走っていった。 「……止めないの?」 蔵間が俺に問いかける。 けど、俺は立ちつくしているだけだった。 「蓮きゅん……。こういうとき、立ちつくしてると違うよ?」 「……」 「好きな人追いかけてさ、後ろからぎゅってするんだよ?」 「蓮……。お前の愛はそれくらいしか、なかったのか?」 「……分かってる。けど、……」 「何を迷っているのだ?」 「そうだよ、蓮きゅん!!」 「蓮……、舞ちゃんは追いかけてくれるのを待ってるよ?」 「……自信がねぇ……」 「え?」 左端が俺に近寄る。 「あいつをこれから、幸せにしてやれる自信が……ねぇんだよ」 俺はうつむいて、涙を必死にこらえた。 「そうか。なら、舞は俺がもらう……」 この声は…… 「伊玖っ……!?」 「俺が幼いときから、舞といることは知ってるだろ。 なら、お前の代わりに近くにいてやれるのは 俺しかいないだろう」 「……あぁ、そうだな…」 「蓮」 「あ?」 ゴスッ 「ごはぁっ!?」 伊玖は俺の腹に、一撃を与えた。 「っつー……てんめぇっ!!」 「それが、今の舞の気持ちだ」 「っ……!!?」 「いや、もっと大きい。 あいつは、バカでどうしようもない奴だが 人を大切に思うことだけは、人並みを越えている。 毎晩、毎晩、俺に電話で お前からのメールがきただの、愛してると言われただの ノロケ話ばっかりさせられて。 あげくの果てには、デートの報告までされた。 ここまで幸せそうに話したことはないから、 ずっと聞き入っていたが……。 今のお前には、あいつを笑顔にできないんだな?」 「っ……」 「哀れだな……。 こんなにも、お前は非力だったのか。 この俺が唯一譲った男だというのに、 見込み違いだったようだ」 「っ……待てよ!!」 「何だ……? 呆れた男に用はない」 「ごめん!!」 「っ……な、何を……」 「俺、一人でずっと悩んでた。 本当に不良相手でいいのかって。 でも、今のこと聞いて安心した。 ごめん、俺が一人で甘えてただけだった。 確かに、あいつは俺よりももっと大きいもの見てた。 こんな自分が恥ずかしいって思った……。 気づかせてくれて、ありがとな」 「……役目は果たしたからな、鈴音、康介」 「は?」 がっしゃーん!! 俺は目が点になる。 ろうかから、妙な物音が聞こえた。 「伊玖ー!!それはこっちに戻ってきてからの台詞!! 今ここで言ったらバレるでしょーが!」 「伊玖ー!!お前、褒美のお菓子はナシだぞー!!」 341: 名前:雷蓮☆2011/08/18(木) 07 52 37 廊下からひょっこり顔を出したのは、 鈴音と康介…。 「おい、伊玖……どういう」 「こういうことを予測して、 俺が説得しろと鈴音と康介に頼まれていた。 お前が本気になってよかった」 「ちょ、まっ」 ピロリロリ~♪ 「蓮、電話」 蔵間が俺のカバンから取り出す。 「は? 非通知じゃねぇか。 蔵間、お前出てくれ」 「あ、うん。もしもし? はい、そうですけど……。 ……え? 今……何て……?」 ピッ 「え、おい。何だって?」 「……星光……病院から……電話」 「病院?」 「舞ちゃんが……車に引かれて重体だって」 「っ……!?」 「蓮きゅん!!早く行こう!!」 「あぁ!!」 「俺は先生に言っておこう」 颯斗が猛スピードで駆け抜ける。 それに続くとばかりに、 俺らは病院へ向かった。 342: 名前:雷蓮☆2011/08/18(木) 08 33 33 ~病院~ ガラッ 「舞!!」 舞のいる病室を開けると、 そこには海馬先輩がいた。 「てめぇっ……」 「ごめんなさい……。 まさか……本当にこんなことになるなんて……」 彼女は涙を流して、俺らに土下座した。 「もう、舞さんに手を出しません!! ですから……せめて、ここにいさせてください……。 最後のお願いです!!どうか……」 すると蔵間が俺の横で言った。 「舞ちゃんに傷をつけたら、どうなるか警告したよね?」 急に剣幕が恐ろしくなる蔵間。 「おい、くら……」 「蓮はちょっと静にしてて。 先輩、俺はもう永久追放する準備はできています」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」 「もし、このまま舞ちゃんが目を覚まさなかったら…… ごめんなさいで済みませんよ!!?」 「舞ぃっ!!」 後ろから鈴音が、舞が寝ているベッドに走ってきた。 舞は頭を包帯でぐるぐる巻にされて、 腕は骨折したようで動きがとれる状態ではない。 その姿を見て、泣き崩れる鈴音。 「まいいいいいー!!」 「あの姿を見て、あなたは今も舞ちゃんを憎みますか?」 「っ……!!」 「それでも、地獄に落ちることを本望と言えますか?」 「はっ……!!本当に……申し訳ありませんでした……」 「俺はっ……!!そういう理不尽な人間が、一番嫌いだ!!」 その言葉に海馬先輩は、 改めて大切なことに気づいたらしく、 顔をあげてただ泣いていた。 「舞……」 俺は愛しい人の名前を呼ぶ。 けど、返事はない。 寝息だけが聞こえてくる。 静かで、でも、苦しいような……。 鈴音は唯一無事だった舞の左手を、 自分の頬に当てて泣いていた。 双子は鈴音の向かいに座り、 舞に「大丈夫だよ」と声をかけている。 蔵間は切なげな目で、舞を見る。 康介は泣きつづける鈴音の隣で、 舞を見守っている。 俺はこの光景に、恐怖を覚えた。 もし、もし……舞が目を覚まさなかったら……。 目の前が真っ暗になる気がした。 345: 名前:雷蓮☆2011/08/18(木) 13 54 49 ~舞side(普通視点)~ 深夜2時- フワァ… 風……? 気持ちいい風だ……。 ここは……どこだろう……? 確か……車に跳ねられて……それで…… パチ…… ここは……病室……? まわりを見てみると、 いつも一緒にいるみんながいた。 でも、みんな疲れて寝ていた。 「み……んな……」 私……生きてる……。 生きてるよ、私……。 涙が絶え間なく、こぼれてくる。 「起きたのね……」 この声…… 「海馬……先輩?」 「私がバカだったみたいね。 結局、地獄が怖くなって逃げ出して……。 いいこぶりっこしてたのは、 私の方だったのかもしれない……」 「せん…‥ぱ」 「これで最後……。 もう生きるのに希望なんてない。 疲れたわ、私……。 それに……親にあわす顔がない」 ダッ…… 「せんぱっ……つー…」 先輩は、病室を出て行ってしまった。 私はまだ傷が治ってないために、 すぐには追いかけられない。 それでも、近くに置いてあった松葉杖を使って 先輩を追いかけた。 まわりにいるみんなに気づかれないように…。 346: 名前:雷蓮☆2011/08/18(木) 14 25 32 それも虚しく、 廊下でひっそり立っていた 颯斗くんに引き止められる。 「何をしているのだ、舞」 「颯斗……くん。そこを……どけて……」 「ダメだ。今のお前に、夜風は刺激が強すぎる」 「そんなこと……ないよ……」 「今、目覚めたばかりのお前を このまま屋上に連れていくと思うか?」 「っ……時間がないのっ!!」 「っ……!? 舞!!」 カッツカッツ なれない松葉杖を、必死に動かして 一歩でも多く前に進んで行く。 「舞!!いいかげんに……」 「先輩を見捨てらんないよ……」 「っ……?」 「颯斗くん……。星光10大人物なんでしょ? 私も、颯斗くんも……。 危険なことで、噂になるよりっ、 いいことの方で……噂になった方がっ…… 絶対に、居心地っ……いいよ……?」 「舞……」 「先輩、屋上に自殺……しに行った……の」 「それは本当か?」 「う……ん。早く……行かないとぉ……間に合わ……きゃっ!?」 松葉杖で歩いている途中だった。 ふいに後ろから、横抱きにされる。 「っ……れ……ん?」 「なーにやってんだ、バカ」 「蓮!!お前、寝ていたんじゃ……」 「本気で寝れるかよ。 好きな奴が生死さまよってんのによ」 「れん……」 「わーってるよ。行けばいいんだろ?」 「はぁ……。10大目のすることが分からない。 ……が、こういうことで目立つのも悪くはないな」 颯斗くんが呆れながらも、嬉しそうに言う。 「颯斗くん……」 「俺も強力させてもらおう」 「ありがとう、颯斗くん」 「「私たちも」」 「っ……!? 双……子……?」 「あたしたちもいるよ?」 「舞ー!!ふざけんな!! 勝手に死なれちゃ困る!! 誰が鈴音を止めるんだよ!!」 「り……んね、こ……すけぇ……」 「舞ぽんったら、 左端のことこれっぽっちも気にしてくれないじゃん!! もう、いじけちゃうおーーー」 「左端くん……」 「舞は相変わらず、危ないことが好きだな」 「そうなの? 俺には舞ちゃんには珍しいことだと思ってるけど?」 「舞ちゃんの悪口、許さないよ?」 「伊玖……蔵間くん、蒼太くん……」 「みんな……ありがとぉー……」 嬉しくって視界がゆがむ。 「みんな、病院嫌いだから眠れねぇんだと」 蓮がニッと笑う。 「ちょっと屋上でUNOでもしようぜー!!」 康介の一言で、みんな屋上へ向かう。 私は嬉しくて、蓮の胸の中で泣いてしまった。 君を好きになる5秒前 続き11