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【オープニング】 No タイトル 登場人物 場所 作者 01 ヒトクイロマンチスト~イカれ者たちの子唄~ 今剣&アーチャー(那須与一)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)バーサーカー(アベル) 千代田区新宿区 ◆3SNKkWKBjc 02 Vorspeise-前菜 カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー(ヴラド三世) 港区 ◆lkOcs49yLc 03 Find Me / Don`t Find Me あやめ&キャスター(ヨマ)松野カラ松&アサシン(宮本明) 板橋区 ◆.wDX6sjxsc 04 あの日死んだ生贄の名前を僕達はまだ知らない 安藤(兄)&アサシン(カイン)安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)神原駿河&アヴェンジャー(うちはマダラ)遠野英治&バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ)ホット・パンツ&ランサー(アクア)平坂黄泉&ライダー(幼女) 文京区葛飾区中野区 ◆3SNKkWKBjc 05 少女趣味不十分 二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識) 葛飾区 ◆As6lpa2ikE 06 虚構反秩序都市 東京 松野トド松&セイバー(フランドール・スカーレット)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)先導エミ&キャスター(ブルーベル)馳尾勇路&バーサーカー(ヴラド三世)ルーシー・スティール 板橋区足立区練馬区新宿区 ◆3SNKkWKBjc 07 交錯 來野巽&セイバー(ジークフリート)ジーク&ランサー(ブリュンヒルデ) 千代田区 ◆aptFsfXzZw 08 すてきなホリデイ メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)バーサーカー(アベル) 文京区 ◆3SNKkWKBjc 09 この異常が日常の街で アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)アダム&アーチャー(ロボひろし) 江戸川区葛飾区 ◆.wDX6sjxsc 10 妖怪桜が咲く頃に -春萌し編- ジャック・ブライト&キャスター(西行寺幽々子) 千代田区 ◆yaJDyrluOY 11 キャスターと神隠しの物語 カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー(ヴラド三世)あやめ&キャスター(ヨマ)二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識) 板橋区葛飾区渋谷区 ◆3SNKkWKBjc 12 それさえも最低で最高な日々 安藤(兄)&アサシン(カイン)安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)神原駿河&アヴェンジャー(うちはマダラ)バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ) 文京区 ◆3SNKkWKBjc 13 はたらく魔王さま!(仮) 織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア) 足立区 ◆.wDX6sjxsc 14 ハイリスクハイスクールの交錯 來野巽&セイバー(ジークフリート)アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)ジーク&ランサー(ブリュンヒルデ)遠野英治 葛飾区 ◆3SNKkWKBjc 15 痛物語-イタイモノガタリ- 二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識)松野カラ松&アサシン(宮本明) 葛飾区 ◆As6lpa2ikE 16 間違った世界と正しい世界 今剣&アーチャー(那須与一)アダム&アーチャー(ロボひろし)ルーシー・スティール 千代田区 ◆3SNKkWKBjc 17 ゆるぎないものひとつ ホット・パンツ&ランサー(アクア)先導エミ&キャスター(ブルーベル) 練馬区 ◆3SNKkWKBjc 18 楽団は朝礼で前から順に眠りに落とされた 遠野英治 葛飾区 ◆CKro7V0jEc 19 おうるビレイグ メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)バーサーカー(アベル)バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ)神原駿河&アヴェンジャー(うちはマダラ) 文京区北区台東区 ◆3SNKkWKBjc 20 トド松の不安をよそに聖杯戦争は開始する 松野トド松&セイバー(フランドール・スカーレット)カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー(ヴラド三世)平坂黄泉&ライダー(幼女)あやめ&キャスター(ヨマ) 渋谷区 ◆3SNKkWKBjc 21 桜田門外の変 アダム&アーチャー(ロボひろし)安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)ジャック・ブライト&キャスター(西行寺幽々子)安藤(兄)&アサシン(カイン)馳尾勇路&バーサーカー(ヴラド三世) 千代田区江戸川区 ◆3SNKkWKBjc 22 君と約束した優しいあの場所まで ホット・パンツ&ランサー(アクア)先導エミ&キャスター(ブルーベル) 青梅市 ◆3SNKkWKBjc 23 松野カラ松の弥縫策 二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識)松野カラ松&アサシン(宮本明) 葛飾区 ◆As6lpa2ikE 24 世界 止めて アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)今剣&アーチャー(那須与一)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)ルーシー・スティール 葛飾区千代田区足立区 ◆3SNKkWKBjc 25 赤い、赤い空生と死を別つ境界の東京正義の輪舞 悪の祭典 來野巽&セイバー(ジークフリート)ジーク&ランサー(ブリュンヒルデ)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)バーサーカー(アベル)遠野英治&バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ)神原駿河&アヴェンジャー(うちはマダラ)先導アイチ 葛飾区豊島区江東区 ◆3SNKkWKBjc 26 考えろ、マクガイバー続・桜田門外の変クラレッタのスカートを直せ 松野トド松&セイバー(フランドール・スカーレット)アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー(ヴラド三世)平坂黄泉&ライダー(幼女)あやめ&キャスター(ヨマ)二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識)松野カラ松&アサシン(宮本明) 北区葛飾区千代田区渋谷区 ◆3SNKkWKBjc 27 虚物語-ウソモノガタリ-無物語-ナキモノガタリ- 今剣アダム&アーチャー(ロボひろし)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)ジャック・ブライト&キャスター(西行寺幽々子)安藤(兄)&アサシン(カイン)ルーシー・スティール 江東区江戸川区足立区港区 ◆3SNKkWKBjc 28 夜は眠れるかい?(前編)夜は眠れるかい?(後編) 今剣織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)神原駿河 千代田区江東区 ◆3SNKkWKBjc 29 勝利者への資格 ホット・パンツ&ランサー(アクア)馳尾勇路&バーサーカー(ヴラド三世)先導エミ 練馬区 ◆3SNKkWKBjc 30 明日になるまで待って アイリス=トンプソン安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)安藤(兄)&アサシン(カイン) 江戸川区足立区 ◆3SNKkWKBjc 31 Crazy Crazy Crazy Town ジークジャック・ブライト&キャスター(西行寺幽々子)遠野英治 葛飾区 ◆3SNKkWKBjc 32 ボクらの聖杯戦争 松野トド松アーチャー(ロボひろし)平坂黄泉&ライダー(幼女)二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識)松野カラ松&アサシン(宮本明) 千代田区葛飾区 ◆3SNKkWKBjc 33 until death do them part 今剣二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)神原駿河 千代田区 ◆3SNKkWKBjc 34 黒山羊の卵 カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー(ヴラド三世)馳尾勇路&バーサーカー(ヴラド三世)先導エミ 中野区 ◆3SNKkWKBjc 35 Blood Blockade Battlefront ジークセイバー(ミリオンズ・ナイブズ)あやめ遠野英治&バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ) 葛飾区 ◆.wDX6sjxsc 36 光と闇の童話 ホット・パンツ&ランサー(アクア)先導アイチ高槻泉&アヴェンジャー(メルヒェン・フォン・フリートホーフ) 練馬区 ◆3SNKkWKBjc 37 不動総合病院殺人事件 アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)ジーク安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)ジャック・ブライト&キャスター(西行寺幽々子)あやめ安藤(兄)&アサシン(カイン)遠野英治&バーサーカー(ジェイソン・ボーヒーズ) 葛飾区江戸川区 ◆3SNKkWKBjc 38 其れでも、お征きなさい仔等よ ホット・パンツ&ランサー(アクア)カナエ=フォン・ロゼヴァルト&ランサー(ヴラド三世)馳尾勇路&バーサーカー(ヴラド三世)高槻泉&アヴェンジャー(メルヒェン・フォン・フリートホーフ) 練馬区杉並区 ◆3SNKkWKBjc 39 ヒトクイロマンチスト~隻眼の王の帰還~ アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)ジーク安藤潤也&ライダー(ジャイロ・ツェペリ)ジャック・ブライト&キャスター(西行寺幽々子)あやめ安藤(兄)&アサシン(カイン)アサシン(アイザック・フォスター)ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)先導アイチ 江東区葛飾区台東区 ◆3SNKkWKBjc 40 ショーは続けねばならぬ 松野トド松今剣アーチャー(ロボひろし)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)松野カラ松&アサシン(宮本明)メアリー神原駿河 葛飾区千代田区 ◆3SNKkWKBjc 41 踊る聖杯戦争~不死身の爬虫類を打倒せよ!~踊る聖杯戦争~東京23区から脱出せよ!~ アイリス=トンプソン&セイバー(ミリオンズ・ナイブズ)今剣アーチャー(ロボひろし)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)ホット・パンツ&ランサー(アクア)ライダー(幼女)あやめ安藤(兄)&アサシン(カイン)松野カラ松&アサシン(宮本明)二宮飛鳥&アサシン(零崎曲識)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル)桐敷沙子&バーサーカー(オウル)神原駿河高槻泉&アヴェンジャー(メルヒェン)先導アイチ 東京都23区??? ◆3SNKkWKBjc 42 定時通達 先導アイチ ??? ◆3SNKkWKBjc 43 神がおわしめすならば、私には必ずや天罰が下るでしょう メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)ルーシー・スティール桐敷沙子高槻泉&アヴェンジャー(メルヒェン) 杉並区 ◆3SNKkWKBjc 44 長い長い夢の中の宴 今剣バーサーカー(アベル)バーサーカー(オウル)神原駿河 千代田区 ◆3SNKkWKBjc 45 衝動 安藤(兄)&アサシン(カイン)松野カラ松&アサシン(宮本明)二宮飛鳥アーチャー(ロボひろし) 練馬区 ◆3SNKkWKBjc 46 誰が為の世界 アイリス=トンプソン&セイバー(ナイブズ)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)ホット・パンツ&ランサー(アクア)あやめ 北区千代田区 ◆3SNKkWKBjc 47 you 先導アイチルーラー(大典太光世) ??? ◆3SNKkWKBjc 48 ギルガメッシュとエルキドゥ(前編) アイリス=トンプソン&セイバー(ナイブズ)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)ホット・パンツ&ランサー(アクア)あやめ先導アイチ&ルーラー(大典太光世)今剣ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル)桐敷沙子バーサーカー(オウル)神原駿河安藤(兄)&アサシン(カイン)松野カラ松&アサシン(宮本明)二宮飛鳥アーチャー(ロボひろし)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター)高槻泉&アヴェンジャー(メルヒェン) 『東京』 ◆3SNKkWKBjc 49 ギルガメッシュとエルキドゥ(後編) アイリス=トンプソン&セイバー(ナイブズ)織田信長&アーチャー(セラス・ヴィクトリア)あやめ先導アイチ&ルーラー(大典太光世)今剣ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル)桐敷沙子バーサーカー(オウル)神原駿河安藤(兄)松野カラ松&アサシン(宮本明)二宮飛鳥アーチャー(ロボひろし)メアリー&アサシン(アイザック・フォスター) 『東京』 ◆3SNKkWKBjc 【エンディング】
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このページ何!? 月華本丸に置けるあれこれを投げ込むための場所 ご本人の許可を取ってあるものと無いものがあるようだ 月華本丸とは 雰囲気、主の有無……まだ分からない。名前の由来も何だろうね 月華本丸の刀剣男士 にぼし切国広(山姥切国広) とぅる丸国永(鶴丸国永) 五虎退 にっこり青江(にっかり青江) 五虎退ちゃんワールド 声を聴くと味を感じる これが乗せたいがためだけに作ったところある 増えた場合は連絡か書き込みが欲しいのと、あとで表にする必要性 焼鳥さん→紅茶のシフォンケーキ 南泉一文字→昆布鰹煮干だし 数珠丸さん→ぶどう 湯の今剣くん→白桃 野良さん→オペラチョコレート 骨喰兄さん→ハイミルクホットチョコレート 燭台切さん→ライム てるんばさん→レモンパイ 実の今剣くん→わたあめ バナ倶利伽羅さん→焼きたてのロールパン 亀甲さん→桜の砂糖漬け 宗三さん→和三盆 花の小夜くん→ロールケーキ 大和守安定さん→りんごとカスタードのパイ 浦島さん→クリーム多めのパンケーキ 大典太さん→グラタンコロッケ 不動くん→タルトタタン 加州さん→リキュールチョコレート 記録 https //zinro.net/m/log.php?id=406510 刀剣男士を物に例えたら 8月位にやってたんだけどな……記録募集中
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髪の長さが胸下 今剣(刀剣乱舞) 宗三左文字(刀剣乱舞) 小狐丸(刀剣乱舞) 数珠丸恒次(刀剣乱舞) 江雪左文字(刀剣乱舞)
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. 青春は『無き』にしもあらずだ ■ ジャイロは信長たちを追跡し続けていた。 先ほどの砲撃には驚かされたが、セラスの行動も強ち愚かな行為ではないとジャイロは勘付く。 やはり、相手はどこか善良なサーヴァントであった。 人々を必要以上巻き込まないよう考慮をする上、あの砲撃はやっぱりジャイロの鉄球のみを狙ったもの。 先ほど、もう一発。 車に目掛け鉄球を投げつけたが、それをあの巨大な砲で防がれた。 それでジャイロは確信を抱く。 何より彼も悠長にしていられない。 東京都内にある植物――『黄金長方形』を視認できる場面は、限られたものとなっている。 正確なチャンスは数回程度しかないだろう。 相手も――人気のない場所を狙っているか……決定的な隙を狙ってジャイロを攻撃しようとするのか。 セラスの『影』に警戒しながらヴァルキリーを走らせるジャイロは、鉄球を構えた。 「オラァアッ!!」 黄金回転エネルギーが加わった鉄球が再度、信長達に襲いかかる。 セラスが、砲を携えて高級車の上に飛び乗った。 周囲の人々は、騎手(ジョッキー)と婦警(の恰好をした吸血鬼)の戦闘に目を奪われている。 だが、彼らの戦闘は悠長なものではない。 撮影する暇も与えられないほどのスピードの世界で繰り広げられていた。 ――分かっているぜ……その『砲』……連続して発射することはできねぇ。 だから一発は仕方がない。俺の狙いは……もう一発の鉄球! セラスが砲弾で再び鉄球と相殺をした矢先。 その隙にジャイロが投球したもう一つの鉄球―――…… 独特なカーブを描きながら、それはセラスの左肩に命中したのだった。 肩の筋肉を操作しようと鉄球は更なる回転が加わろうと蠢く。 しかし、ジャイロには予想外の出来事が発生する。 セラスの左腕そのものが――破裂した。 彼女の肉体は存外軟い性質だったのか? 耐久に弱点が? そんなものではない。 左腕そのものが『影』となって分散し――何者かが現れる。 『影』から上半身を形取った男性がセラスの中から姿を見せ、鉄球を影と同化しながら掴む。 「女にこんなモン投げる野郎がいるか! しかも人の女に対して――― こいつは返してやるぜ。そっちが『捨てたモン』だからな!!」 男の投球の体勢は、鉄球に精通するジャイロからすればまるで形になっていない。 だが、それは人外の威力が込められていた! 暴力的なパワーとスピード。 それだけで十分過ぎるほどに……!! 衝撃。 咄嗟の判断で、ジャイロはヴァルキリーを一旦消滅させた。 ジャイロだけが鉄球の攻撃を肉体に受け、その反動でヴァルキリーが転倒するのを阻止する。 ジャイロは道路を転がり、クラクションを鳴らす車を回避しながら、わき道に逸れた。 信長たちを乗せた車は、以前として走行を続けている。 周囲で呆然としていた人々は、ジャイロに近寄ろうとしたが――彼は霊体化した。 人々はあまりの光景に呆然とする他ない。 あの男性は? 巨大な砲を抱えた女性は? 車は一体どこへ…… そんな疑問に答える声はどこにもなかった。 霊体化をしたジャイロの方は、見失った信長たちを思いながらも、状況を確かめる。 やはり……ここでは戦いづらい。承知していたが、逆にあれは……信長のアーチャーも善良であったから済んだ事。 彼女が、刺青男のように常識性も欠片のない戦闘狂なら話は違った。 ―――黄金長方形を視認できる場所……そこへ誘導する手段か…… 「……追って来ませんね」 ジャイロの存在を視認できない為、セラスは霊体化をする。 巨大な砲も『影』も同じく消滅したのだった。 高級車を運転する男性はビクビクした様子であるが、乗車する信長は至って冷静を保つ。 (家政婦の伝達だと、ルーシーが魔力消費で苦しんでいるだけで何もない。 少なくとも向こうが別の奴らに追跡されている可能性は低いな。あのライダーの単独だろう) 何にせよ。 銃火器の購入を目標とする信長は、迷いなくそちらへの道を目指すのだが。 それまで新たな騒動が発生しているとは夢にも思っていないだろう。 ◆ 「………! るーしー!」 今剣の呼びかけに、ルーシーはゆっくりと瞳を開いた。 少し安堵した様子の今剣と、運転していた家政婦が心配そうに覗きこんでいる。 ―――生きている。 無謀に感じられたあの魔力消費をルーシーは……耐えた。 しかしながら、肉体には尋常ではない疲労感が圧し掛かって来る。 何とか言葉を喋れる為、ルーシーは弱々しくも返事をしたのだ。 「大丈夫……少しまだ横になっていたいわ……ここは?」 すると、家政婦が「えっと」と相変わらずのオドオドした様子で受け答えた。 「博物館の地下駐車場、です。信長さんは少し遅れてこちらにいらっしゃると、先ほど連絡を受けました」 「そう………ごめんなさい。心配をかけてしまって」 信長がメールを送ってきたという事は、向こうも無事。 敵サーヴァントを倒したのか。もしくは上手く撒いたか……何にせよ、銃の取引を終えてこちらへ向かっている。 ルーシーは一安心をする。 宝具……もしかして、あの棺が………? きっと博物館の内部で確認すれば分かる。しかし、恐ろしい。 あの棺を……あそこに、もう二度と戻らないばかり思っていたのだから…… 今は、考えないで体を休めなくては。 「きゃあっ!!?」 家政婦が突如として悲鳴を上げた。 何者かが彼女の体を突き飛ばしたのである。誰が? それは――― あの財団職員・アダムだった。司書からの情報を頼りに、この博物館へ至り――地下駐車場の存在に気付いたのだ。 必死ながらアダムは、ルーシーの居る車へ接近しようとしていた。 「ルーシー・スティール! ……もう一度言う。今直ぐ令呪を使用するんだ。SCP-076-2を止めろ!!」 「ハァ………ハァ………!」 二人の間に、今剣が入る。 子供ながら刀を持つ少年に、アダムは違和感を覚えたが――そんな場合ではない。 冷酷にアダムは言った。 「邪魔をするな。少年……彼女はあの刺青のサーヴァントのマスターなのだ」 「しっています」 「刺青のサーヴァントは危険な存在だ。止めねばならない」 「……わかっています」 「ならば君も彼女に説得してくれ! 彼女が令呪を使えば……私は何もしない!!」 「………あなたは『財団』の……」 財団。 そのワードに反応したアダムに対して、今剣は言う。 「どうして……カインとアベルを……あわせてあげなかったんですか?」 「君は―――何を言っているのか、分かっているのか!?」 「かみさまが……ふたりをあわせなかった。だから、あなたたちなら、あわせられた……なのに、どうして」 「子供の君には分からない。まだ理解が難しいだろう。だが、それは危険な行為だ」 そんな事をしたら、どうなるか分かる筈だ。 どんな結末が広がるかも、容易に想像できる。 愚かな末路しかない。意味のない。アベルは人類を憎悪する、殺戮兵器に過ぎない。 人類を脅かす危険因子でしかない。それが真実だ。財団も――そう断言した。 「でも……でも!」 今剣は納得しない。 だけど、一つだけ答えを得た。 那須与一を死なせてしまった。 取り戻しようがない犠牲だ。聖杯戦争がどのように残酷か教えられたのである。 彼の死を無駄にはしない? そうではない。 彼の死を背負っていく? それも違う。 二度と犠牲を出さない? それは無理だ。 ただ。生き残るために………今剣は、生きるしかない。 勇者とか英霊とかヒーローとか。そんな正義の味方になって責任は取らないし、取れない。 前へ、進むだけだ。 「るーしーには、あべるがひつようなんです」 「……!」 「あべるが、きけんなのはわかっています。でも、ひつようなんです!」 殺させはしない……! 今剣が少年とは思えないほどの身のこなしで、大人であるアダムの体を投げ払った。 想定外の能力にアダムも驚愕を隠せない。 同時に、理解した。 もはやルーシーは聖杯を手にする算段なのだと。もう容赦はしない。 今剣は転倒したアダムへ刃を向ける。 「あきらめてください!」 だが、今剣はアダムを――殺さない。 過去を守る刀剣男士である今剣は、過去に生きるアダムも殺してはならないと理解していた。 刀剣男士としての使命。 主との約束。 過去を変えてはならない意味を、ようやく理解した今剣。 与一の死は無かった事にしたい。でも―――無かった事にしては、駄目だ。 彼が死んだからこそ、今の自分が存在するのだ……! アダムは咄嗟に、足を動かした。 与一によって痛められた足を気合いだけで動かし、今剣を蹴り飛ばす。 攻撃を受けた今剣の体は、駐車場のコンクリートの柱にぶつかる。 衝撃で少年の手から短刀が零れ落ちた。 「くっ………」 アダムは起き上がろうとする今剣に、ヤケクソ気味に松葉杖で叩きのめした。 追撃を喰らって倒れる今剣を確認して、アダムは短刀を目にする。 これで――ルーシーを。 そういえば、アダムはもう一人・家政婦がここにいたと周囲を見回すが、彼女はヘナヘナと足が脱力し座り込んでいる。 最悪……今剣も、家政婦も殺す。 しかし、それでいい。それだけの犠牲で『SCP-076-2』を無力化できるのならば! ルーシーは息を絶え絶えになんとか車から脱出する。 走ろうとしても、足は動きにくい。 何としてでも……生きなくては、夫と再会するには乗り越えなくては……! 短刀を手にしようとするアダム。 だが、それを抑え込んだ第三者が現れたのだった。 「な―――!?」 驚くのは無理もない。それは―――サーヴァントであった。 両義肢の―――冷徹な瞳でアダムを抑えるアサシンは、紛れもない。間違いようも無い。 故に、制止する意味が理解できなかったのだ。 アダムは取り乱して叫ぶ。 「SCP-073! 彼女はSCP-076-2のマスターなのだ! 彼女にSCP-076-2を無力化して貰わなければならない! お前は……この状況がどういったものか――理解している筈だ!!」 「………」 『073』………!? 魔力消費の影響で重度の疲労を抱え込んだままのルーシーは、思考を動かす。 確か『SCP-073』は……! どうして……? 何故、あたしを助けてくれるの………!? どういった理由で……違う………そうじゃない? そういう理由では……あたしを利用しようとか…… ………まさか……もしかして……… ルーシーがアサシンと視線を交える。 ハッと彼女は我に帰った。短刀が――今剣の持っていた、刀がそこにはあった…… 自然と荒い呼吸を続けるルーシーは、再度アサシンと目を交わした。 「あ……アサシン……いえ『カイン』……あなた………」 サーヴァントであるアサシンに、アダムは勝ち目はない。 それは承知していた。だからこそ……アダムは決心するのだった。 令呪。 実質、最後に使用できる令呪で――アーチャーを、ひろしをここに呼び寄せる! 「令呪を以て命ずる! アーチャー………」 ルーシーは渾身の力を込めて、這い上がる。 アサシンに注目し、アサシンに――…………カインに押さえられているアダム。 落ちていた短刀『今剣』……それを掴んだルーシーは―――彼を刺した。 聖杯戦争のマスターであるアダムを。 「き……さま…………ルーシー………」 アダムがルーシーに手を差し出しかける、その矢先。 ルーシーは荒く呼吸を続けながら、引き抜いた短刀を咄嗟にアダムへ投げつけた。 それは――吸いこまれるようにアダムの喉笛を突く。 「が………はぁっ………」 「あ―――ああああ」 分かっていた。そのつもりでも、ルーシーは涙が溢れ出てしまう。呻いてしまう。 一連の出来事に呆然としていた家政婦や、起き上がろうとした今剣は言葉を失くしたのだった。 嘆きながら、ルーシーは涙を流し続ける。 アダムは転倒し、弾みで血まみれになった短刀が喉から落ちた。 ―――何て事! やってしまった!! でも、やらなければ……やられていた! そして……彼が助けてくれなければ、全員殺されていた……!! 苦しみもがくアダムを見下ろすカインは、どこか不気味であった。 血が溢れようが、アダムはそんな彼を理解する事が出来ない。 カインは財団の情報を全て把握している。だからこそ……アダムが財団職員であることも、知っている。 「が………いん。……じぶんが……なにを……じで、いるが……わがっで………」 「ええ」 カインの声色は恐ろしいまでに機械的だった。 凍てつくように冷淡な口調のまま、カインは言葉を続ける。 「ですが……私はサーヴァントです。私はマスターに従い、そして私自身の意思で動いています」 「財団を、裏切っで……」 「何度も言います。これは『聖杯戦争』で、私はサーヴァントで――貴方はマスターだった。 この世界には『SCP』も『財団』も、存在しません。私も『SCP-073』ではなく『カイン』なのです」 カインはそう。自らの呪縛を解き放つように、アダムに告げたのだった。 アダムの体はいよいよ動きを止める。 嗚呼。なんてこと……… 最初から、結局は財団に捕らわれたままだったのは。 娘ではなく……私だったというのか…… 私は―――財団としても在れず、父親としても失格だった。 【アダム@SCP Foundation 死亡】 ■ 「ど……どうしよう! どうしようこれ! でもそのぉ、これって、せ……正当防衛よねっ!?」 緊迫する空間で一人話を切り出したのは、聖杯戦争とは無関係の家政婦だった。 今剣は、ようやっと立ち上がり。 そして、ルーシーは荒い呼吸を続けたまま。 存在するサーヴァント――アサシンの『カイン』と対峙している。 アダムの死体を一瞥したカインは、ルーシーと向き合う。 「弟の……マスターですね」 「………う……」 分からない。どうして……!? ルーシーは不安と恐怖を抱え込みながら、カインと向き合う他なかった。 何故? 何故、ルーシーを助けたのだ? もう……彼はもしかしたら……… カインの方は沈黙の後。ルーシーに告げるのだった。 「貴方はきっと、聖杯が欲しい訳ではないのでしょう。弟も同じです。彼は何かに満たされたいのです」 「………カイン……」 「私はここで起きた事。貴方達の事をマスターに伝えなければなりません。 しかし、貴方が『彼』を殺した。その危険性は絶対伝えません……だから、お願いします」 「……」 「弟の事を―――お願いします」 彼の言葉や表情は悲しみに帯びていた。自分では、それは叶えられないから、託すしかない悔しさも込められている。 ルーシーは……押しつぶされそうになる。拒否する。 無言で首を横に振って、彼女は言葉を紡いだ。 「彼は……アベルは、あたしを殺すわ。そうしようと、してる……」 「貴方よりも私を殺すでしょう。弟は、私の存在に気付いています」 その告白は衝撃的だった。 だけど、別にカインは分かり切っていた事でもある。 警視庁の情報収集の際。警察無線で新たな共犯者としてカインの特徴を詳細に述べた情報が入ったと、報告が一つ。 それは……直ぐにアベルの仕業だと理解した。 アベルは気付いている―――カインの存在に、カインを……殺そうと。 「だからこそ、貴方は安心して下さい。私は『その時』が来るまで生き続けるよう努力します。 そして、弟と共にいる『彼ら』は弟が許し、弟が望んだ者です。どうか信じて下さい」 「あ……ああ………カイン……」 涙が溢れるルーシーは、その言葉に……安心してしまった。感謝しかない。 本当に。彼は。 弟の為と、ルーシーの為に生きようとしているのか……! それが償いになるから……?! 正気じゃあない。だけどそれが、ルーシーにとっては希望だった。 カインはアダムの死体を再度眺め、静かに告げる。 「この死体は私が運び出します。早く行かなくては……弟が再び目覚めてしまう前に」 立ち去ろうとするカインを、放心していた今剣は退きとめた。 「―――あ………あ、あやまって……あやまったほうが。い、いいです」 いざ言おうとすれば、呂律が回らない。 何とか今剣が伝えた言葉に、カインは少し驚いた風だったが笑みを浮かべた。 「その時が来れば―――そうするつもりです」 □ 「くそぉ! あいつら、なんて事しやがる……!!」 東京都港区。 ここでキャスター・幽々子と文字通りの死闘を繰り広げているひろしは、必死であった。 幽々子の攻撃から逃れる為に? 幽々子を攻撃する為に? 否――それとは全く違った。 彼女の弾幕、そして『死』を形にした蝶。それらの攻撃に、ひろしは怒りを露わにせずいられない。 夜空に打ちあがったような美しい弾幕であるが、全てがひろしを狙ったものではない。 ひろしが追跡する弾幕を回避するのを予測した攻撃もある。 そういった類は『無差別』なのだ。 蝶に関しても同じだ。 ひろしが「不味い」と感じ取ったそれを回避すれば、近くで呆然としていた人々が巻き込まれ、死に絶えていく。 ブライトも、幽々子も。 巻き込まれてしまったなら仕方ないとしか受け流していない。 ブライトに関して言えば『財団』でそういった犠牲になれてしまったのが強い。 であってもだ。ひろしは許せない。 生贄であれ、無関係な人々を巻き込もうなど……! 「止めろ! 場所を変えて戦え!!」 「別に殺したって構わないと、主催者直々の通達を聞いていなかった訳ないでしょう?」 ひろしは、意を決して弾幕が薄まったのを確認し、両腕を幽々子に定める。 「ロケットパアァアアアアンチッ!」 弾幕の隙間を抜けていくひろしの分離した手首は、幽々子に命中した。 幽々子は、そのまま無様に手首に押され、遠くへ移動させられていくのだが。 彼女はまるで効いた様子がない。 ひろしによって操られた車が背後から襲いかかるが、それにも動じない。 何故なら幽々子は亡霊だから。 物理攻撃に等しいひろしの攻撃は、酷く相性が悪かったのだ。 無論、ひろしも幽々子にダメージが通っていないのは承知していた。 亡霊であることを理解した訳ではないが、幽々子が放つ弾幕は勢いを衰えない。 ひろしが成すべき事は、幽々子を街から離すこと――― 幽々子の攻撃が恐ろしいことを思い知らされ、人々を考慮すらしない態度を見れば、こうせざる負えない。 先ほど放ったロケットパンチは継続中だ。 そのまま幽々子の体を押し続けるのみ! ダメージがあるなら、少しでも効果があるなら良い!! だが、一番に優先するべきは無関係な人々の安全。 「……アダム。ねぇ。まさかとは思うが」 戦闘を繰り広げるサーヴァントたちを傍らに、ブライトは呟く。 『アダム』という名と娘の存在。 ひょっとしたら、何て考えたが……そんな偶然はあるのだろうか? そう疑問を抱いているブライト。 「『自分の娘』を解放したい、なんて願ったんじゃないだろう?」 すると。 どういう訳か、ひろしの猛攻は止んだ。 幽々子を攻撃していた手首もひろしの元へ帰還をし、幽々子は更なる追撃を仕掛けようとしたが。 ひろしの状況は少し妙である。 ブライトの発言に動揺した……訳でもないらしい。 魔術に疎いブライトには分からないが、ひろしの魔力に異変が起きたのは確か。 何より、ひろし自身が混乱していた。 「アダム!?」 念話で語りかけても、返事はない。 当然だった。 アダムは―――死亡した。そして、ひろしへの魔力供給も停止したのだ。 アーチャーであるひろしには『単独行動』がある為、消滅には至らないものの。 マスターを失ったロボットが満足に宝具などを使える状況でなかった。 何故? これは失敗だ。 責任の取りようのない……せめて、どうにかしてでもアダムの娘を助けたい。 無論。 様子見とはいえ単独で博物館に乗り込み、令呪を出し惜しみしたアダムにも責任はある。 ひろしも、念話がない為。アダムは病院で大人しくしているとばかり…… そんな言い訳は無駄であった。 「いや……!」 駄目だ! ひろしは立ち上がる。 アダムの願いを叶えなくては、せめて娘だけでも解放したい! 刺青男やセイバー、眼前にいるキャスターなどに聖杯を渡す訳にはいかない!! ひろしが取った手段。 それは―――逃亡だった。 悔しさばかりこみ上げ、自分自身への憤りを胸に、されど『父親』として、英霊として。 人類を滅ぼそうなど企む連中に聖杯を手にさせてはならない! アダムの娘を必ず救う!! ―――せめて……サーヴァントを失ったマスターがいれば……! 諦めない。 アダムを助けられなかった自分に出来るのは、アダムの願いを達成させる事だ。 ひろしは霊体化をしつつ、意識を集中させていたせいか。 何故、幽々子は追跡をしないのか? 些細な疑問を抱かなかった。 【三日目/夕方/港区】 【アーチャー(ロボひろし)@クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん】 [状態]霊体化、魔力消費(中)、ダメージ(中) 、マスター消失 令呪【見つけ次第、ルーシー・スティールを殺害しろ】 [装備] [道具] [所持金] [思考、状況] 基本行動方針 聖杯でアダムを願いを叶える 1:アダム…… 2:ルーシーを家族のところに帰してやりたいが…… 3:バーサーカー(アベル)やセイバー(ナイブズ)に聖杯は渡さない。 4:サーヴァントを失ったマスターの捜索。 [備考] セイバーのステータスを把握しました。 ダメージは燃料補給した後。魔力で回復できます。 SCP-076-1についての知識を得ました。 ルーシーがバーサーカー(アベル)のマスターであると把握しました。 またルーシーの携帯電話番号を知りました。 財団について最低限ですが知識を得ました。 勇路がマスターであると把握しました。 ブライト主従を確認しました。また危険な主従として認識しております。 □ 幽々子がひろしを追撃しなかった理由、それは―― 「魔力消費……だったかな? 堪えるものだ、これ以上戦われたら堪ったものじゃないね」 そう、魔力だ。 既に魂だけに等しいブライトだったが、魔力は乗っ取った人間の体に依存するものらしい。 これならば、次から次へ。体を乗り替わり続ければ良いだろうが、容易な事ではない。 ブライトも一々それは面倒だと理解していた。 ひろしを取り逃がすのは失態だが、まだ相手の本領が見えない。 彼は幽々子を街から離そうと必死なだけで、本気でやりあっていないのは素人のブライトにも分かった。 「『西行妖』の開花が進めば、魔力供給も必要なくなるけどね」 「成程! 巻き込まれて死んだ人間の魂をもう一度捧げれば、開花は進行しないかな?」 「少しは進む……ってくらいかしら。それに、焦る必要はないと思うわ」 放置したって周囲から『春』を奪うものだ。 一々手間暇かける必要性がない。しかし、幽々子は死に絶えた人々の魂をちゃんと回収し。 そして、それらを捧げるつもりだ。 「それと……あのアーチャーのマスターに心当たりでも?」 「うん? あぁ、名前が似てるけど知り合いとは限らないね」 「もし知り合いだったら?」 「ジャック・ブライトからのクソったれなメッセージを伝えるさ。 聖杯には『息子たちを最高な形で終わらせてくれ』と願うつもりなんだろうな? とね」 【三日目/夕方/港区】 【ジャック・ブライト@SCP-Foundation】 [状態]20代女性の体、魔力消費(中) [令呪]残り2画 [装備]SCP-963-1 [道具]ウィルソン・フィリップスの財布+乗っ取った女性2人の所持品 [所持金]現金15万とクレジットカード+乗っ取った女性2人の所持金 [思考、状況] 基本行動方針:聖杯戦争という概念の抹消。 1:今後の為に『西行妖』の開花を少し早める。 2:アーチャー(ひろし)は危険と判断し、排除したい。 3:少年(勇路)は危うい存在なので、出来れば処理したいが…… 4:織田信長がマスターならば接触する? [備考] キャスターに雑談として財団や主なSCPの話をしました。 織田信長と宴会の席を本日の晩に設けました。 フードのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子の主従を把握しました。 バーサーカー(アベル)の宝具が設置されている博物館を把握しました。 バーサーカー(アベル)の事件以外の情報を入手しました。詳細は後の書き手様に任せます。 SCP-073が東京に存在することを把握しました。 勇路がマスターであると把握しました。 安藤がマスターであると把握しました。 アーチャー(ひろし)のステータスを把握しました。またそのマスターを薄々勘付いています。 【キャスター(西行寺幽々子)@東方Project】 [状態]能力上昇中(三分咲き) 、魔力消費(中)、ダメージ(小) [装備]扇子 [道具]先ほどの戦闘で発生した死霊(無数) [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:ブライト博士に付き合う。 0:西行妖に死霊を捧げる。 1:また宴会やりたいわ。 2:どうしてレプリカから死霊が出るのかしら? [備考] ブライト博士に雑談として幻想郷や主な友好関係の話をしました。 死霊20体を西行妖に捧げました。 西行妖は現在三分咲きであり、冬の範囲を半径5km程までのばしています。 ブライト博士の影響か、死を操る程度の能力の行使に抵抗が無くなっています。 SCP-073が東京に存在することを把握しました。 ◆ 「何があった」 幸運だったのだ。 この江東区にある博物館の地下駐車場には監視カメラが設置されていなかった。 だから、警備員もアダムを認識していなかったのである。 そして――信長とセラスも。 唯一、セラスが吸血鬼の嗅覚で『血』が流れた事を感じ取ってしまっただけで……… 家政婦は何がなんだか分からず、呆然としていたが。 ルーシーが混乱と不安など様々な負の感情による涙を流し、今剣が自らの化身である短刀を握りしめる。 三人の中で沈黙を破ったのは、ルーシーだった。 「アダム……わたしを襲ったマスターがここに……だけど、今剣が刀で」 「そ、そうです! あいてに、きずをおわせて……その、えっと、にげられてしまって」 慌てて家政婦が「正当防衛ですって! そうです、はい!!」とフォローを加える。 そんな三人の様子を眺めながら、信長は厳しい視線で睨んでいた。 「そのアダムとやらのサーヴァントは。何故いなかった」 今剣とサーヴァントを知らぬ家政婦は困惑していたが、ルーシーがはっきり返答する。 「分かりません……もしかしたら居なかっただけかもしれない………必死な様子だったから、サーヴァントを失ったのかも」 「――で、あるか」 どこか納得いかない様子の信長。 彼らの元に、博物館内部を様子見しにいったセラスが帰還する。 チグハグした雰囲気で話しにくいセラス。信長の方が先に口を開いた。 「どうだった、バインバイン弓兵」 「名前適当になってません? ……例の『棺』、扉が閉まっていました」 成程。 ルーシーの魔力消費の酷さが理解できた。 そして、アベルはどういう形であれ再びここで目覚める。 信長は「さて」と緊張感を醸す。いよいよ狂気の王と対峙する時が来たのだ。避けては通れぬ道。 「問題は……あのバカ達はここに来るかだが」 うぐぐ、とセラスは唸る。 新たな情報では包帯男と神原駿河の姿が視えぬサーヴァント。 新手の二騎が確認されたのだ。アベルと人喰いのバーサーカーだけでも十分だというのに。 セラスが流石に不満を込めて言う。 「最悪、四人相手しなきゃいけないですよね? 私」 「頑張れ、ちょー頑張れ。相手出来るっつったじゃん」 「なんでこう厄介な部分だけ私に投げつけられるんですかー!」 「……まぁ、そういう訳だ。ルーシー、お前は一先ず休め。動くのも手一杯じゃ困る」 「…………はい」 今剣は自らの無力さを痛感し項垂れ、ルーシーは信長に悟られないの警戒し。 双方沈黙をする。 ただ一人。 巻き込まれてしまった家政婦――オルミーヌは溜息をついた。 (嘘ついちゃったなぁ……) 【三日目/夕方/江東区 博物館】 【ルーシー・スティール@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]魔力消費(極大) [令呪]残り3画 [装備] [道具]携帯電話(電源オフの状態)、バーサーカー(アベル)についての報告書と添付資料 [所持金]少し頼りないくらい [思考・状況] 基本行動方針:生きてスティーブンと再会する。 1:脱出する方法を探す。 2:令呪はむやみに使わない、いざという時まで取っておく。 3:カイン…… [備考] 役割は「東京観光をしに来た外国人」です。 聖杯戦争を把握しました。通達については知りません。 バーサーカー(アベル)に関する情報、またそれらに関連するSCP(アイリス、カイン、SCP-682)の 情報をある程度、入手しました。『財団』がどういう組織かも把握しております。 アーチャー(ひろし)のステータスは把握しておりません。 アダムが財団職員であり、聖杯の収容を目的としていると判断しております。 最悪、自分たちが財団によって処理されると思いこんでいます。 今剣がマスターである事、アーチャー(与一)のステータスを把握しました。 信長には聖杯を手にする為、方針を変えたように宣言しましたが、本人はそのつもりはありません。 信長たちと情報を共有しましたが『神隠し』については把握しておりません。 アサシン(カイン)のステータスと真名を把握しました。 【今剣@刀剣乱舞】 [状態]精神疲労(与一の死の悲しみ)、肉体ダメージ(小) [令呪]残り3画 [装備]短刀「今剣」 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:元の世界に戻る。 1:ルーシーと共に脱出する。 2:カイン…… 3:なるべく人は殺したくない。 [備考] 聖杯戦争については概ね把握しております。 アーチャー(与一)の真名を把握しました。 通達について把握しております。 役割は「孤児院の子供」でした。行方不明となった為、警察に捜索届けが出されているかもしれません。 ルーシーがバーサーカー(アベル)のマスターであると把握しました。 バーサーカー(アベル)の真名と情報をある程度把握しました。 信長たちと情報を共有しましたが『神隠し』については把握しておりません。 アサシン(カイン)のステータスと真名を把握しました。 【織田信長@ドリフターズ】 [状態]魔力消費(小) [令呪]残り3画 [装備] [道具]資料、購入した銃火器 [所持金]議員の給料。結構ある。 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を頂くつもりだが……? 1:アベルの出現を待つ。 2:ルーシーは…… [備考] 役割は「国会議員」です。 パソコンスキルを身につけました。しかし、複雑な操作(ハッキング等)は出来ません。 通達を把握しております。また、聖杯戦争の主催者の行動に不信感を抱いております。 ミスターフラッグから、東京でここ二、三日の内に起きている不審死、ガス爆発、 不動高校、神隠し、失踪事件の分布、確認されているサーヴァントなどの写真を得ました。 セラスからセイバー(フラン)とバーサーカー(ヴラド)の容姿の情報を得ました。 神隠しの物語に感染しました。 江東区の博物館にあるバーサーカー(アベル)の宝具を捕捉しました。 江東区の博物館の館長を脅迫もとい交渉した結果、博物館の警備の強化などの権限を得ました。 正午過ぎ頃までの情報を『ミスターフラッグ』から入手しました。 バーサーカー(アベル)の真名と情報をある程度把握しました。 ライダー(ジャイロ)のステータスを把握しました。 【アーチャー(セラス・ヴィクトリア)@HELLSING】 [状態]魔力消費(中)、肉体ダメージ(小) [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:マスター(信長)に従う。セクハラは勘弁して欲しいケド。 1:アベルの出現を待つ。 2:バーサーカー(ヴラド三世)に通じる存在……? [備考] セイバー(フランドール)とバーサーカー(ヴラド三世)の存在を把握しました。 刺青のバーサーカー(アベル)を危険視していますが…… 神隠しの物語に感染しました。 江東区の博物館にあるバーサーカー(アベル)の宝具を捕捉しました。 正午過ぎ頃までの情報を『ミスターフラッグ』から入手しました。 バーサーカー(アベル)の真名と情報をある程度把握しました。 <その他> 信長邸に出入りする家政婦(オルミーヌ)はルーシーがアダムを殺害した事を把握しており、 アサシン(カイン)の存在を確認しております。 ■ 死体を運ぶ。というのは常識的に考え、車など手段が必要となるものだ。 自力で――しかも東京都内を徘徊するのは無謀に近い。 一体どうして目撃されないのかすら怪しいのが普通だろう。 が…… 現在の東京はかなり異常なのだ。 人気もないし、巡回しているパトカーすらない、活気も失われている。 全ては――警視庁の爆発もとい崩壊が原因であった。 江東区からは離れた場所にある警視庁で、キャスター・ヨマと複数のサーヴァントたちによる死闘が繰り広げられていた。 それは終わりを告げたが、現場では混乱状態が続いており、ニュースも注目している最中。 板橋区での火災と、未曾有の警視庁でのテロという事態に。 巡回していた警察はその応援へ向かい、人々も不安のあまり足早に帰宅を余儀なくされた。 もはや、自宅が安全とも言い難い状況だが。 皮肉だがこれはチャンスだった。 アダムの死体を運び出していたカインは少しでも、例の博物館から距離を取ろうと急ぐ。 江東区は河に面した場所が多い。 そこへ死体を投げ込めば問題はないだろう。 「………」 果たしてこれは正義なのか? 例え、ルーシーの為、アベルの為であったとしても……こんなことまでしなくとも。 否。 間違いなどない。 もはやこの世界に『正義』も『悪』もないのだ。 聖杯戦争の舞台というだけで、全ては聖杯戦争の勝者だけが、全てなのだから…… 月夜が雲で陰り、漆黒にしか見えない河の中へ。 一つの死体が沈んでいった。 ◆ 東京都江戸川区。 自宅前に到着した安藤だったが、どこか足取りは重い。 ここに来る途中でも、様々な噂を聞いた……速報で警視庁で事件。爆発事故が起きたと。 もしや、東京の秩序が崩落し…… 最終的にかつて安藤のいた猫田よりも酷い戦場へと変わるのだろうか…… そんな不安を胸に、家へ足を踏み入れると潤也が出迎える。 「兄貴! 遅すぎるだろ! どこ行ってたんだよ!!」 「あ……悪い。連絡するの忘れてたな」 「まーいっか! メシ食わないで正解だったぜ」 そういえば。 潤也がふと尋ねてきた。 「兄貴。來野って人、知ってるか?」 「來野……? えっと……」 どこかで聞いたような……クラスメイトだっただろうか? 安藤の『東京』での記憶は曖昧なもので「いや」と答えるだけにしておいた。 リビングに移動するとテレビでは刺青男関連の緊急特番がされている。 潤也は不満げに「面白いのやってねーんだよなぁ」とぼやいた。 「なんか今日、アンダーソンがお見舞い来てくれてさ。その來野って人も来る予定だったらしいぜ」 外国人のアンダーソンに関しては、安藤も覚えはあった。 しかし、來野なる生徒とはロクに関わりがなかったような……クラスメイトなら。 もしかしたら、アヴェンジャーのマスターが? テレビを横目に眺めると、テロリストの容疑者として松野トド松なる人物が逮捕されたらしい。 ……いや、違う。 あの雰囲気、どう考えたって刺青男とあの人は関係ない…… 安藤は顔をしかめつつ、今度は潤也に尋ねた。 「なぁ……神原って奴知ってるか? 神原駿河」 「あー知ってる! つーか兄貴も会ったじゃん!! 俺達の頭上ジャンプしてたの」 「えっ? あ、そうだっけ………?」 絶対に覚えていそうだが、それは記憶に違和感を覚える前のことだろうか。 聖杯戦争が始まる前は漠然としていて…… それこそ死んでいるように人生を歩んでいるような有様だった。 「神原がどうかしたのか?」 「あぁ、いや。どんな奴か知ってるかなって……」 「ん~~~? 俺も同じクラスだけど話した事はないかな。明るい奴だよ」 「……そうか」 分からないな。 神原がアヴェンジャーのマスターって可能性も……駄目だ。 安藤は何であれ、明日学校へ向かうべきだと決断する。どうやら、來野もそうだが――他の主従が不動高校には居る。 『マスター、今からそちらへ戻ります。それと……報告するべき事があります』 アサシンからの念話に、安藤は少し顔を上げる。 しばしの沈黙をしてから、アサシンに聞いた。 (何か――あったのか?) あの博物館で何かが発生した……どうやらそれだけではないと安藤はどこかで感じ取っていた。 でも、安藤が望んだ事だったとしても。 アサシンの言葉は、どこか晴れやかだったのだ。 【三日目/夕方/江戸川区 安藤家】 【安藤(兄)@魔王 JUVENILE REMIX】 [状態]健康 [令呪]残り3画 [装備]私服 [道具]携帯電話、『王のビレイグ』 [所持金]高校生としては普通+潤也から貰った一万円(貯金の方は別としてあるかもしれない) [思考・状況] 基本行動方針:バーサーカー(アベル)と対決する。聖杯戦争を阻止する? 0:アサシン(カイン)から情報を聞く。 1:考える為に情報を集める。 2:アヴェンジャー(マダラ)とライダー(ジャイロ)からの同盟の話は慎重にする。 3:明日、学校に行く。 [備考] 原作第三巻、犬養と邂逅した後からの参戦。 役割は「不動高校二年生」です。 通達について把握しております。 潤也がマスターであると勘付きましたが、ライダーのマスターであるとは確証しておりません。 今朝のニュースで新宿区の事件とフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子の存在を把握しました。 またフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子が『人ではない』と考察しています。 バーサーカー(ジェイソン)のステータスを把握しました。 アヴェンジャー(マダラ)のステータスを把握しました。 アヴェンジャー(マダラ)のマスターが不動高校の関係者ではないかと考察しています。 ライダー(ジャイロ)の存在を把握しました。 ブライトとキャスター(幽々子)の主従を把握しました。 また首飾りの女性もマスターであると把握していますが、キャスター(幽々子)のマスターと 同一であるとは把握しておりません。 少年(勇路)がマスターであると把握しました。 SCP-963-1との接触が危険だと把握しました。 現時点で腹話術の使用による副作用はありません。 今後、頻繁に使用する場合、副作用が発生する危険性が高まります。 フードを被ったのサーヴァント(オウル)が喰種であり『隻眼』という特殊な存在だと把握しました。 神原駿河と包帯男(アイザック)、金髪の少女(メアリー)の存在を把握しました。 【安藤潤也@魔王 JUVENILE REMIX】 [状態]魔力消費(小) [令呪]残り3画 [装備]私服 [道具]携帯電話 [所持金]高校生としては普通+競馬で稼いだ分(貯金の方は別としてあるかもしれない) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を得る。その為にはなんでもやる。 0:神原か…… 1:兄を利用する。 2:ある程度、情報を集めてから行動を移す。 3:暇があれば金を稼ぐ。 [備考] 参戦時期は不明。少なくとも自身の能力を把握した後の参戦。 役割は「不動高校一年生」です。 通達について把握しております。 安藤(兄)がマスターであると確信しております。 新宿区で発生した事件とフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子の存在を把握しております。 バーサーカー(アベル)に理性があるのではと推測しております。 織田信長をマスターと判断しました。 【三日目/夕方/江東区】 【アサシン(SCP-073/カイン)@SCP Foundation】 [状態]霊体化 [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:バーサーカー(アベル)に謝罪をする。 0:安藤と合流する。 1:自分は聖杯を手にする資格はない、マスター(安藤)の意思を尊重する。 2:バーサーカー(アベル)と接触する為、ブライトに行動を悟られないようにする。 [備考] 今朝のニュースで新宿区の事件とフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子の存在を把握しました。 またフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子が『人ではない』と考察しています。 ライダー(ジャイロ)とバーサーカー(ジェイソン)を把握しました。 ブライトとキャスター(幽々子)の主従を把握しました。 しかし、キャスター(幽々子)のマスターがブライトであるとは把握しておりません。 潤也がマスターであると確信しております。 警視庁にて、現時点までの事件の情報を把握しました。 江東区の博物館にある『SCP-076-2』を確認しました。 バーサーカー(アベル)が自分(カイン)の存在を確認したと把握しておりますが、安藤には伝えておりません。 ルーシーがアベルのマスターだと把握しました。また今剣がマスターである事も把握しております。 【三日目/夕方/足立区】 【ライダー(ジャイロ・ツェペリ)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]魔力消費(中)、肉体ダメージ(小) [装備]鉄球×2 [道具] [所持金]情報を買った為、競馬で稼いだ分の金額も合わせて無くなりました。 [思考・状況] 基本行動方針:マスター(潤也)には従うが…… 1:潤也の意思に不穏を抱いている。 2:どうにも主催者が気に食わない。 [備考] 新宿区で発生した事件とフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子の存在を把握しております。 バーサーカー(アベル)に理性があるのではと推測しております。 アサシン(カイン)とバーサーカー(ジェイソン)を把握しました。 アサシン(カイン)の正体に心当たりがありますが確証には至っていません。 信長とアーチャー(セラス)の存在を把握しました。 時系列順 Back 虚物語-ウソモノガタリ- Next 勝利者への資格 投下順 Back 虚物語-ウソモノガタリ- Next 夜は眠れるかい?(前編) ←Back Character name Next→ 027 虚物語-ウソモノガタリ- 今剣 028 夜は眠れるかい?(前編) アダム 死亡 アーチャー(ロボひろし) 032 ボクらの聖杯戦争 織田信長 028 夜は眠れるかい?(前編) アーチャー(セラス・ヴィクトリア) 安藤潤也 030 明日になるまで待って ライダー(ジャイロ・ツェペリ) ジャック・ブライト 031 Crazy Crazy Crazy Town キャスター(西行寺幽々子) 安藤 030 明日になるまで待って アサシン(カイン) ルーシー・スティール 028 夜は眠れるかい?(前編)
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キャラ名 登場話 三日月宗近 000 岩融 今剣 002 明石国行 蛍丸 愛染国俊 燭台切光忠 001 加州清光 大和守安定 へし切長谷部 鶴丸国永 001
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殺戮者・アベルの降臨に、その場の誰もが視線を奪われた。 ルーシー・スティールは死期を悟ったが、幸いにもアベルは眼前にいるサーヴァント達にしか興味がない。 指を咥えて、不気味な沈黙を保っていた梟は、大きく目を見開いて呟く。 「アベルくん」 実際、消滅を果たしたとされるアベルが復活し。 正体不明の宝具から出現しただけで異質極まりないのだが、狂った梟や殺人鬼のザックには無意味だ。 だからこそ誰も指摘はしない。 むしろ、アベルの不変の風貌に沙子などは安堵した様子である。 ルーシーは、そんなイカれた彼らを「信じろ」とカインから教えられたからこそ、体が震える。 信じる? あの狂人達を……でも。 信用とかなんかじゃないわ。利害が一致している訳でもない、共感出来ないけども…… ルーシーが荒い呼吸を続けたまま、フラフラとアベルに接近る梟を見届けた。 「アベルくん、生きてたんだぁ。俺、嬉しいぜ。本当に嬉しいよ、アベルくんにもう一度会えて――」 そこから唐突に駆けだす梟。 「あ、ああぁ………アベル―――なんで―――………」 彼の肉体から生やしたブレード状の羽赫が、アベルに振りかざされた。 しかし。 アベルも梟の攻撃を見切っていた。瞬時にブレードを出現させ、残虐な狂気の一撃を防ぐ。 鈍い音が博物館内に響き渡った矢先、梟はそのまま追撃を仕掛けて来る。 沙子も、他の者たちも呆気に取られる中で、梟が絶叫した。 「オメェ、ここに居るんだよおおぉぉおおおぉぉ! 生き返ってるんじゃねええぇえぇ!!」 「―――!」 アベルの方はまるで動じない。 むしろ歓喜を浮かべながら、梟の猛攻と渡り合っていたのだ。 このままでは不味い。と信長はセラスに指示を出そうと構えた矢先。 ザックが鎌を手に動いた。 二人を仲裁するかと思いきや、殺人鬼は強引に殺戮者と人喰いに鎌で斬りつける。明らかに制し目的ではない。 殺害目的の攻撃で、ザックの攻撃を受けた双方は、火ぶたを切られたかの如く。 激しい乱闘が開始されたのである。 「おい! テメェ、邪魔だ!! 俺がアベルを殺すっつってんだろうがぁあぁぁ!!」 「このままザックきゅんのビブレーション響かせようぜ、アベ――なに、殴りやがッ、ふ、ざけんじゃねぇえ!」 獣の遠吠えよりも酷い叫び合いが続けられる。 アベルは、二騎を相手に相変わらず肉弾戦を行い、喚く梟やザックをあしらっていた。 激情により歯止めが効かなくなった梟やザック、そしてアベルのガツガツと生々しい効果音を鳴らす乱闘に。 漸く、信長は声を上げた。 「アーチャー! 止めろ!! 早く止めろ!」 「はっ、はい!!」 婦警・セラスが『影』を伸ばした。 変幻自在のそれは、点となって集中し、ギリギリと三騎のサーヴァントの動きを封じ込める。 ただ。 逆を返せば、魔力を大量に消費しながらセラスは彼らを抑え込んでいる。 同盟だの、仲間だの、やっぱりそんな関係ではない。本気で彼らは殺し合おうと自棄になっているとセラスは気付いた。 「マ……マスター! なるべく、て、手短にッ!! 私も長くは抑えきれません」 「わかっ―――」 瞬間。 信長が反応できたのは、戦国武将たる勘であろう。 無論、信長も事前に情報があったからこそ、警戒はしていた。拳銃を所持する沙子の存在を――! とはいえ。 沙子は躊躇なく引き金を引いたが、巽や豊島区での混戦時とは違い。至近距離から定めた訳ではない為。 信長に命中させることは出来なかったのだ。 ハッとする沙子だが、信長はルーシーに向けていた銃口を沙子へやり。 そして―――発砲。 サイレンサー付きの為、小さな音しか響かない。 沙子の体に命中したものの。それは心臓や頭には命中していない。 胸に受け床に倒れてるが、拳銃を落としてしまった為、少女は文字通りの無防備となった。 「銃を使う子供には死ぬ目に合わせられたわ! 長島、本願寺、雑賀……と、まぁ。これで形成は逆転だな」 「くっ………」 沙子は、胸に手を当てながら、何とか立ち上がろうともがく。 実際に攻撃され、痛みを知ったせいだろう。体が、上手くコントロール出来ない。 だが――― 信長は我に帰る。 あの金髪の少女は―――? そう、ザックのマスターであるメアリーが完全に姿を見失ったのだ。 信長もつい、アベル達や沙子に意識を集中させていた為。メアリーの方は無警戒だった。 否! 違う!! 姿を消していたのは――ルーシーと今剣。 三人が忽然と姿を消していたのだ……! 「マスター! ミセス・スティールが――恐らく地下駐車場の方にッ!!」 「ええい、一々言うでない。こちとら謀反慣れはしとる!」 メアリーがルーシーを逃がす為に……自力で!? それほど行動力があるようには感じられなかったが、彼らの足では満足に博物館から離れる事は不可能だ。 何より。 ルーシーは裏切ったのではなく、アベルから逃れたい意志が強いか。 散々、泣き喚いて拒絶していたのだ。少女には無理がある行為だったかもしれないが……これでは交渉にヒビが入りかねない。 しかし、もう退けない。 信長は何とか動きを封じられたアベルに話しかける。 「ああー……アベル。奴、お前のマスターであるルーシーはこちら側にいる。 相変わらずびびってお前から逃げ出した情けない少女だがな。お前としちゃ死なれちゃ困るだろう」 セラスの『影』で行動が制御されている梟とザック。 彼らを冷静に眺めながら、アベルは小さく呟いた。 「別に」 「よくねぇよ! 俺が殺せねえだろうが!!」 ザックの返答に顔をしかめる信長とセラスだが、アベルは焦る様子なく平静を保っていた。 セラスに邪魔をされたのが、逆に彼を退屈させたらしい。 むしろ、不愉快としか受け止めていないのだろう。 信長は静かに――沙子の方へ近づく。梟はアベルを喰らおうと『隻眼』を剥き出しにし、沙子の危機には反応していない。 「……とか、そこの馬鹿は言うが。お前はそれでいいと」 「仕方がない」 「おい!」 ザックの怒りにすら反応しないアベルは、周囲の気配を辿る。 そうして。何かを感じ取った。 信長は、沙子の方へ銃口を定めている。梟は信長達とは背を向けていた為、何一つ。制止をしない。 ザックも梟と同じだ。 アベルだけが気付き――信長は続けた。 「俺達が用あるのはカインの件だ。奴は普通じゃ倒せない。お前が一番理解している筈だ。 ――同盟とはいかないが、取引をしよう。カインを倒せたら、ルーシーは帰す。俺のアーチャーと戦わせてやる。どうだ」 「…………」 アベルが話しかけたのは、梟。 セラスの『影』を物ともせず、筋力のみで梟の頭を掴む。強制的に視線を合わせられた梟は、無論睨んだ。 酷く、それでいて穏やかな口調でアベルは言う。 「そろそろ合図だ」 「…………」 「沙子(彼女)は『少しはマシ』になった」 そして、博物館は―――『突入された』のだ。 聖杯戦争の最中、介入をしてきたのは、警察! 他にも特殊部隊から自衛隊まで! 皮肉にもそれらは、ザックが神原駿河に「嘘をつくな」と命令した結果による一種の救いだったのだ。 神原駿河の情報を――警察は信用した。 テロリストの信憑性の薄い情報なんて、信用する価値があるかと問われれば、無い。 だからといえ「それが本当でした」だったら尚更問題だ。折角、神原駿河が提供した情報を無駄にするとは。 結局。 警察はこの博物館へ部隊を、自衛隊も派遣される。 しかも……加えて、開館時間でもないのに明かりが灯っており、沙子による銃声が聞こえた。 これでは疑いようも無い。 突入する前に、応援要請もされた。 恐らく、更なる人数がここへ配置される事だろう。 これには、セラスも信長も予想外過ぎた。 正直者が救われるといった文字通りの展開が来ようとは! 何より――この状況では、沙子に銃を向ける信長が『悪人』なのが明白である。 「既にこの建物は包囲されている! 銃を捨てなさい!!」 「なん………だとう!?」 予想外どころではない。 こんなものは、想定外もいいところだ。 まさか、この場にいない神原駿河が馬鹿正直に全てを自白するなんて『奇策』を、信長は考慮不可能! 尤も。 神原駿河や、それを要求したザックはそのような事一ミリも『奇策』になるとすら想像していないが。 何であれ。 またもや形勢は逆転された。形勢どころの問題ですらない。 一瞬。爆発的な魔力を消費し、アベルが『影』を引き裂き、余計な部分は傷を負った。 弾丸並に早いブレードの斬撃を見切ったセラスは、咄嗟に『影』を退かせ。 信長を全力で庇う。 「う………ぐぅぅぅぅ!!」 違う! なんてこと―――最初から! アベルは『影』に抵抗出来たのだろう!! しかし、アベルは待った。最高のタイミングを見計らって……! アベルの鋭い斬撃は、セラスの肉体に何十何百、何千以上も切り刻まれ。 吸血鬼ではない並のサーヴァントならキャベツの千切り状態。あるいは飴色のタマネギのような、ドロドロして――― 「―――――――!!!」 お、追いつけない………! 敗北を悟ったセラスは、兵器を取り出す猶予すら与えられない。 アベルは床に倒れる沙子を一瞥し、信長とセラスを突入してきた警官隊の方へ押し込むように猛攻を続ける。 「………アベル!」 沙子は床に転がった拳銃を再び手に取り。 梟が沙子を抱えて、別方向から突入をし、逃げ道を塞ぐ自衛隊らを睨む。 ザックは奇怪な状況に顔をしかめた。 「なんだ、コイツら」 「ちゃんスル」 「ちゃ……スル? あー! スルガの奴か!! あいつ、マジで喋ったんだな!! ヒャハハ、上出来じゃねえの!!」 「ま……マスター!」 一方の虐殺に巻き込まれていく警官隊の荒波で、セラスが叫んだ。 信長は、どうのかセラスの背後についているが――このままでは……! 意を決して、セラスは警官隊を盾にしようと行動を取る。 「このまま―――離脱します!!」 「待てい、セラス!!」 セラスは信長と共に、そのまま警官隊達の海へ飛び込む。 アベルもかき分けるように人間という人間を虐殺し、前へ前へと前進するばかり。 アーチャーのクラスであるセラスは『単独行動』で、信長が魔術師でなくとも、ある程度の魔力消費を補えた。 だが、限界がある。魔力も有限だ。 事前のライダー(ジャイロ)との戦闘。サーヴァント三騎を抑える為の『影』。 傷は何とか回復するが、これ以上は――無理だ。 何よりも、この状況だ! 信長は再度命令する。 「退くな! セラスゥッ!! こやつらは殺せい! でなきゃ離脱は許可せんぞ!!」 国会議員の織田信長がテロリストだった? そんな噂が広まれば、一瞬にして行動制限がかかる。制限どころではない。そこら辺の通行人ですら敵となる! アベル達も似たような状況だが、世間は聖杯戦争におかまいなしだ。 だから、皆殺すしかない。 目撃者を殺し、セラスも吸血鬼であるなら血を飲んで魔力を補えばいい。 なのに―――…… 「いえ。殺しません」 彼女は離脱だけを望む。 さすがの信長も令呪を使用するしかないと、構えてしまいかけたが……瞬時に推測する。 『単独行動』のスキルを持つサーヴァントは、マスターを逆らえるのだ。 マスターを殺害し、他のマスターと再契約する余裕すら持てる。 最悪、セラスがそうする事も……… セラスは、中途半端に人間の心は失っていない。 無関係であり邪魔であり、聖杯戦争に関わりすらしていない。 生贄でしかない『彼ら』を殺害するほど残虐性を備えていなかった。 容赦はせずとも、快楽的ではない。 何より―――このまま、魔力に満ちた状態のアベル相手にどこまで渡り合えるか。セラスでも確証を得られなかった。 信長を庇う状況が続けば尚更。 まぁ。信長も、令呪で強制は止めた。セラスがいなければ、聖杯を手に出来ない。 アベルは、交渉に応じるどころか。例の報告書通り、対話すらしなかったのだ。 実質、交渉決裂。新たな策を講じなくては…… セラスは信長を抱え、一筋の黒線となって雪のカーテンを靡かせる東京の上空へ走った。 アベルに空を飛ぶ能力は無い。 殺戮を作業のように繰り広げながら、雪が降る外へ姿を現わせば、周囲は警察・自衛隊・特殊部隊が陣を敷き。 彼方より、応援が駆けつけ、周辺のビルからは狙撃手がタイミングを図っていた。 無防備にアベルに続けて館内の人間を粗方喰った梟。沙子とザックが、その光景を目にする。 「アベル! あいつらはどこ行った。逃げやがったのか」 「………」 大気が震える。 生贄でしかない『東京』の住人たる彼らも、アベル特有の殺気を感じ取れたのだ。 殺されるべくして立ち向かうのならば、殺さずにはいられない。 聖杯戦争とは無縁の彼らとの闘争が始まった。 ◇ ルーシーは今剣と、そして金髪の少女・メアリーと共に地下駐車場まで駆け下りていた。 興奮か恐怖による体の震えが続いている。 メアリーが一瞬の隙をついて「早く!」とルーシーの逃亡を叱咤した時は、正直驚いたが。 むしろ、有難味しか感じられなかった。 今剣は戸惑いながらも、ルーシーを心配する。 「だいじょうぶですか……るーしー……」 「え、えぇ……それより…………貴方はどうして?」 ルーシーが不気味な瞳のメアリーに尋ねた。 彼女は、淡白な感情を込めて答えるだけ。 「ザックが困るから。ザックは、アベルって人を殺したいから」 「……本気?」 思わずルーシーが聞き返したのに、メアリーは頷いた。 「約束したんだって。………神様に?」 「たぶん、かみさまがおこってしまうと、ぼくはおもうのですが……」 今剣の困惑した返事にルーシーも同意する。きっと、ザックと呼ばれるアサシンはアベルの逸話や恐ろしさを把握していない。 平然と、イカれた約束なんて交わせる理由の一つなのだ。 それでもメアリーは、ルーシーに申し訳なさを込めているのか。分からないものの。 ハッキリ断言するのだった。 「ザックは嘘をつかないよ」 メアリーの言葉が、その場凌ぎの嘘であったとしても。 ルーシーは少しだけ気が楽に慣れた。 一刻も早く、ここから離れたい。アベルから逃れなくては……! 彼が少しで妙な気を起こせばルーシーだけではない。 今剣や、メアリーだって殺されるだろう。まだ緊張を保った呼吸を続け、ルーシーは立ち上がる。 そこに現れたのは――家政婦のオルミーヌだった。 物々しい騒音が頭上から聞こえ、居てもたってもいられなかったのだろう。 「だ、大丈夫ですかッ!」 「あ………ええと、確かお名前は」 「オルミーヌです。すみません、刺青男の件とか考えこんでたら、なかなか外に出られなくって…… じゃないっ。まだ私の車があるので、乗って下さい! よく分かりませんけど、逃げましょう!!」 「ありがとうございます……」 不味い状況なのはNPCの彼女ですら感じ取れていた。 とにかく車へ乗り込むルーシー達。今剣だけは、浮かない表情をする。 「るーしー……どうして、なんですか?」 恐らく、信長に逆らった事を問い詰めたいのだろう。ルーシーは沈黙を少し流した後、それを答えた。 「今剣……あたしは耐えられない。アベルと行動するなんて無理よ。きっと、信長も終わってしまう…… 彼は甘く見過ぎているの。アベルがどのような所業をしたか、あの報告書だけでは語れないわ」 「でも!」 「信長は聖杯を獲ると言ったわ。あたしは獲れない。獲る前に殺されるからよ、アベルに……!」 「………っ」 今剣は分かっていた。理解していた。 アベルが真の意味で人類を憎悪しているのだ。あの威圧感から逃れたことすら、奇跡ではないかと思う。 実際に直面する瞬間まで、ほんの僅かに良心が残されていると希望を抱いた自分が愚かだったと後悔するほどに。 オルミーヌが乗車をしないメアリーに呼びかけた。 「貴方も乗って!」 「ザックがここにいるから、私は残らないと」 メアリーが、ルーシー達を無理に引き止める様子はない。 小さな少女を相手に、ルーシーは酷く感謝をせざる負えなかった。 オルミーヌの車が発進しようとした矢先だった。 思わぬ障害が立ちふさがる。それは――警察、自衛隊の突入である。 博物館館内の突入と同時に地下駐車場の占拠が開始された。彼らは無論、ルーシーたちの存在に気づく。 しかし、それらの状況をルーシーたちは理解出来ていない。 「人質の少女を確認! 車から降りなさい!!」 自衛隊たちが所持するのは紛れもない、本物の銃火器。 困惑するオルミーヌ。ルーシーは冷静に考えた。 今剣が不安そうな表情を浮かべる中、ルーシーはオルミーヌに告げる。 「指示に従った方がいいです。わたし達は……民間人。道に迷って、ここに来てしまった………そういう事にしましょう」 「そ、そうですね」 警察なるものは今剣も把握していたので、ルーシー達に教えた。 「ごめんなさい。ぼくは……ここでは『こじいん』にいました。そこから、ぬけだしてしまって」 「……わかったわ。今剣は、迷子という事にしましょう」 「はい。すみません……」 何故、警察がここに? という疑問は良い。 先ほどの作戦通り、ルーシー達は車から降りる。 子供である今剣とメアリーは、身体検査もされなかった。 一方のルーシーとオルミーヌは、身体検査と所持品検査をされる。 アベルに関する資料を確認された時は、一瞬肝が冷えたルーシーだったが、結局何も指摘されない。 彼らは、危険物の所持だけを警戒していただけだった。 「どうやら本当に民間人のようです」 「手間をかけさせてしまい、申し訳ございません。ここにテロリストが潜伏している可能性があります、至急避難を」 オルミーヌがおどおどしく尋ねた。 「えっと、あ、あの。車で……」 「外は我々の車両で出入り口が塞がっております。誘導に従って、一刻も早く避難を!」 ルーシーたちが避難を始めた瞬間、頭上からは悲劇は開始されていた。 魔力消費による疲労に、ルーシーは戦慄が走る。 やはり、アベルはルーシーの考慮など一切していない。きっと、ルーシーが警察に捕まろうがどうでも良いのだろう。 誘導に流され、外へ出れば、吐息が白くなった。 そして――博物館の玄関から激しい銃撃が響き渡る。 一閃が煌いたかと思えば、ビルの上階から顔を覗かせていた狙撃手が、顔面にブレードを突き刺し。 体がアスファルトに舗装された地面へダイブしていた。 オルミーヌが悲鳴を上げながら、誘導に従う余裕ではなくなり全力疾走する。 だが、アベル達の攻撃がここにまで及んだ為、警察らはルーシーたちどころではなくなった。 この瞬間を待っていたのである。 ルーシーは、オルミーヌに続くようにして今剣とメアリーを引き連れ、駆け抜けた。 ◆ 「―――では、把握している『マスター』について教えて貰おう」 神原駿河の聴取はまだ続いていた。 警察も、彼女の戯言によく付き合って居られるものだと感心を抱かざる負えない。 何を言おう。駿河が、一から『聖杯戦争』がなんたるかを、彼女の知る限り説明したのだ。 時間がかかって仕方はない。 だが。 女性刑事の様子に、駿河はムッとした表情で、真剣に――それでいてどこか不満と怒りを合わせた表情で答える。 「私、神原駿河。そして、沙子ちゃんとメアリーちゃんについては公となっている以上。 二人がマスターであるのは明白だから、それはハッキリさせておく。しかし、それだけしか話さない」 「それは何故?」 「やはり、貴方は『マスター』や『サーヴァント』をテロリストの共犯者としか見なしていない」 金髪の女性刑事はやれやれと言った風だった。 改めて、彼女は駿河に言う。 「『聖杯戦争』については……概ね信用するつもりだ。我々が『作り物(レプリカ)』というのは受け入れ難いが」 「だったら尚更だ。『聖杯戦争』に関わらないで欲しい」 駿河は、決して馬鹿になってザックの要求通り、正直に話したのではない。 無意味な犠牲を出さない為に、彼女なりの説得をしていたのだ。 それこそ無謀だったが。 警察も、あれだけの犠牲や出来事、戦力差、なにより非現実を目の当たりし、受け入れないほど愚かではない筈。 神原駿河は必死に訴え続ける。 「私がアベルさんたちの居場所を明かしたのは、ザックさんの純粋無垢な精神に感服したのも理由の一つだが。 警察をそこへ誘導したく、明かしたのでは断じてないのだ。 残酷だが、アベルさんもバーサーカーさんも、ザックさんも容赦はしない。『奪う側』の存在だ」 「…………」 「断言しよう。サーヴァント相手に勝機などない。だからアベルさん達に関わるのは止めて欲しい」 「……それは――無理があるな」 「サーヴァントには物理が効かないのだ。銃火器なんて意味はない。それとも、沙子ちゃんやメアリーちゃんを殺すと」 「彼女らは人質だ。そのような事はありえない」 「うむ、そうか。やはり、私はまだ貴方を信用できないし、沙子ちゃん達に手をかければ許しはしない」 故に。 他のマスターの情報。安藤たちについては話さない。 無論、サーヴァント・カインについても、だ。 そんな決意を胸にした駿河の聴取は、ここらで終わりを告げた。 一先ず、続きは昼間に行われる予定となる。 結局のところ、女性刑事や聴取の内容を聞いた他の警察がどのような判断をしたか? 駿河が予想した通り。 聖杯戦争なるものは信用されなかった。ただし、沙子やメアリーが共犯者であるとも判断されなかった。 恐らく非現実じみた話にしか受け止めていない。 警察は引き続き、人質の沙子とメアリーの救出。アベル達の逮捕の為、全身全霊をかける所存だ。 少なくとも――現時点は……… かくして、神原駿河の戦いは続く。 【4日目/未明/千代田区 警察署】 【神原駿河@化物語】 [状態]魔力消費(大)、肉体的疲労(極大)、吸血による貧血、沙子による暗示、サーヴァント消失 [令呪]残り3画 [装備]私服 [道具](携帯電話は警察に押収されました) [所持金](警察に押収されました) [思考・状況] 基本行動方針:生きて元の世界に帰らなくては。 0:沙子の安全を第一に考える。 1:警察に聖杯戦争への介入をしないよう説得を続けてみる。 2:出来るならば、沙子達と合流したいが…… [備考] 参戦時期は怪異に苦しむ戦場ヶ原ひたぎの助けになろうとした矢先。 聖杯戦争について令呪と『聖杯』の存在については把握しておりません。 役割は「不動高校一年生」です。安藤潤也と同じクラスに所属しております。 新宿区で発生した事件を把握しております。 アヴェンジャー(マダラ)の発言により安藤兄弟がマスターであると把握しております。 『レイニーデビル』が効果を発揮するかは、現時点では不明です。 NPCに関して異常な一面を認知しました。 バーサーカー(オウル)のステータスと沙子の主従を把握しました。 アサシン(アイザック)のステータスとメアリーの主従を把握しました。 バーサーカー(アベル)のステータスと真名を把握しました。 安藤(兄)のサーヴァントが『カイン』ではないかと推測しております。 バーサーカー(ジェイソン)のステータスを把握しました。 安藤兄弟自宅の電話番号、遠野英治の電話番号を知りました。 葛飾区にいた主従(カラ松たちと飛鳥たち)の特徴を把握しました。 沙子の暗示により沙子の手助けを優先させます。 このまま吸血行為を受け続けると死に至ります。死後どうなるかは不明です。 SNSでバーサーカー(アベル)の共犯者として情報が拡散されております。 住所など個人情報もある程度流出しています。 警察にはアベル達以外の情報を教えないつもりです。 <その他> 神原駿河が『聖杯戦争』の概要、及びアベル達周りの情報を聴取で説明しましたが。 警察は『聖杯戦争』を信用しておらず。また、沙子とメアリーを危険因子とは判断しておりません。 ■ 東京都江東区、博物館 降り注ぐ雪が地面へ落ちれば赤色へと変色する。 雪が降り積もる前に、死体と血の水たまりで一帯が占拠されてしまっていた。 梟は山のようにある死体から、頭を一つ二つもぎ取る。その傍らで、沙子が警察官の拳銃を漁る。 彼女が梟から貰った拳銃の弾数はわずか。 だから、沙子は銃弾だけを抜き取っていた。 拳銃そのものを複数所持していても、荷物になるだけ。弾は違う。 ちゃんと沙子が所持していた拳銃と合うのを確認し、複数の弾を手提げの鞄に入れた。 悲劇的な惨状を目の当たりにして、ザックはアベルを一瞥する。 何か忘れているような? といった疑問が、一つ解消された。躊躇なくザックが漆黒の鎌をアベルに振り降ろしたが、ブレードで防がれる。 キリキリと金属音が耳につく中、ザックは不敵に笑みを浮かべた。 「テメェを殺すの忘れてたじゃねぇか、アベル! 邪魔も居なくなったし、大人しく死ねよ」 「…………」 至って平静のアベルに対し。 舌打つ梟が、再びザックに襲いかかろうとした。 「ザックきゅんよぉ、調子乗ってんじゃねえぞ。お前―――」 「待って!」 唐突に沙子が声を上げたので、全てが制止をする。 どこか緊張感が広まりつつ、沙子は恐る恐るアベルに尋ねた。 「これから……どうするの? カインの居場所に心当たりがないわ」 少し不愉快そうな表情のアベルだったが、力技でザックの鎌を振り払ってしまうと。 冷徹な声色で答えた。 「あの彼女はどうした」 「……ちゃんスルは捕まったよ」 いつもの狂った調子で梟が答えたのに、アベルは眉間にしわ寄せる。 確かに。神原駿河が『カイン』のマスターを把握している様子だっただけに、重要な情報源ではあった。 無事、ザック達がアベルと合流するフォローは良いものの。 アベルにとっては、カインを抹消出来れば、後はザックと殺し合おうが、梟と死闘を繰り広げようが。 どうなっても良い。むしろ、それを叶えたいほど。 が。 ザックは相変わらず刃を納める気配がない。 「だから! 俺にとっちゃ関係ねえんだよ! 約束を忘れたとは言わせねえぞ」 殺気立つザックに、アベルは何ら感情を込めず至って普通に話した。 「君は――彼女(メアリー)が起きれば真っ先に殺すと言ったが、それは『一番最初に』殺すという意味だ」 「……あ?」 「『彼女(メアリー)が起きた後』は継続している。誰も殺さず、最初に私を殺せば成立する。嘘にはならない」 「…………おー、そうか」 変に納得したザックが鎌を降ろす。 今のは完全に言いくるめられたようなものだった。 ザックにそれを指摘せず、沙子は呆れながらも一安心をする。 そもそも。アベルは本気でザックに殺害される魂胆なのだろうか? 分からない。 だけど――駿河に聞きたい事があれば、沙子が暗示で強引に言わせる事が可能だ。 江東区から千代田区まで移動…… しかも、警察の目を掻い潜り、神原駿河の居場所を突き止めなくてはならない。 何より……沙子は朝になれば眠りについてしまう。 例え、このまま雪が降り続いて、曇りが晴れず、太陽が陰っていたとしても変わなかった。 「私なら神原から話を聞き出せるわ。でも……朝までに出来るかしら」 第一、テロリストに関わっていた駿河を、警察署の一角に収容し続けるとは思えない。 警視庁も崩壊した以上。どこへ搬送されるかも定かではないだろう。 ザックが「大体なぁ」と言う。 「なんで、朝に寝るんだお前。少しは起きる努力しろよ」 いくら嘘を嫌っているザック相手に「朝が弱点だ」と明かすには抵抗があった沙子。 指を咥えて静観する梟が、口を開いた。 「スナコちゃんは、そういう子。夜におはようして、朝におやすみする子」 「へー、変わってんな」 ――――………やっぱり馬鹿なんだわ。 どんな形であれ「変わった少女」として改めて認識するザックに、沙子は言葉を失うだけだ。 首を傾げている梟に、沙子は溜息をついた。 助け舟を出してくれたはいいものの。乱闘ではずれてしまった梟のフードを被せてやりながら言う。 「ちゃん付けは止めて欲しいわ」 「………」 □ あれからどれほど走った事だろう。 ルーシー達は博物館から大分離れた場所で、漸く息を整える事ができた。 だけど……ルーシーは周囲を異常に警戒する。きっとまだ信長とセラスが自分たちを探すに違いない。 信長は銃火器を所持している。 遠くから、パトカーのサイレン音が聞こえた。 「るーしー……やはり、信長さまにあやまって………」 「……今剣。あたしは……無理よ。危険な真似は続けたくない、死んだら元も子もないわ」 アベルに頼らなければ。 だけど、アベルに殺されかねない。 矛盾した状況にルーシーは苛まれていた。今剣も、それを解決したいのに、自分があまりに無力だと痛感する。 オルミーヌも、メアリーも。 途方に暮れた状況だ。しかし、何としてでもルーシーは生き残りたい! 聖杯なんて犬にくれてやって自分は元の世界へ戻る!! 「ちょっと、急いで! 早く!!」 その時。 深夜にも関わらず、一台のワゴン車が路上に停車し、どやどやと人が雪崩れるように現れた。 見慣れぬ機械を所持した彼らを、ルーシーは警戒する。 一人の女性が、ルーシー達に話しかけた。 「その子! 人質になっている女の子じゃありませんか!? 貴方たちは!?」 ルーシーの時代に、このようなものは見かけなかった為。 ただただ動揺する他なかった。 この集団は一体何者か。新手の暴力団なのか? 訳が分からず混乱するルーシーは叫ぶ。 「なッ、なに? そういう貴方たちこそ、何なんですッ?!」 オルミーヌが慌てて答えた。 「テレビ局の人だと思いますよっ、多分。ホンモノの……」 「テレビ……?」 既に撮影は、開始されているのか分からない。 疑心暗鬼なルーシーの態度に、その集団――『お台場』から現れたテレビ局の面々は「失礼な」と無言で訴える。 そうであった。 メアリーはSNSでは、アベル達の人質とされている。 報道ネタの為、巡回していたテレビ局のスタッフが、偶然通りかかったのだろう。 しかし、テレビだの。報道などを知らぬ今剣やルーシーは、どうしたらいいのか混乱していた。 メアリーが自分に向けられるカメラに「これ何?」と淡々に語る。 アナウンサーの女性が「喋れるの?」と心配のフリして、何かを喋って欲しいと言わんばかりの様子だ。 死んだ瞳でメアリーは問う。 「喋ったらどうなるの?」 「え? えっとね、テレビに流れたり、皆に伝わるわよ」 「みんなに? 本当?」 「皆に伝えたい事はあるかしら」 考える。 メアリーは考えた。 そして、沙子たちからの話を断片的に組み上げて、思いつく。 「アベルは『カイン』って人を探している。その人を消したいって。 だから、その人がいなくなれば――アベルはザックが殺してくれるよ」 全員がギョッとするのは言うまでも無い。 だけど、メアリーは考えたのだ。 ザックはアベルを殺したいが、そういうアベルはカインの消滅を望んでいる。 先に――カインを消さなくては、ザックに殺される事はないだろう。 遠くに鳴り響くサイレンで我に帰ったルーシー。 テレビ……情報……… 信長の情報も、一部はSNSというネットの交流サイトで経由されているという。 もし、メアリーの発言が報道されてしまったら……? だけど、ルーシーは理解した。 他人の都合にお構いなしな彼らだ。きっと情報が手に入れば、ある程度は……味方をしてくれる。 ルーシーは、必死に言う。 「早く逃げて――いえ、お願いします! ここから早く連れて行って下さい!! あの車で……もう近くに犯人がいます。ほ、本当に危険ですっ!! さっき警察の人たちが……」 メアリーという人質の存在が、ルーシーの訴えに信憑性を高めたのだろう。 現場スタッフが「どうします?」とアナウンサーに尋ねたが。 やはり報道陣魂に火がついたらしく、現場について問い詰める。 「失礼ですが、現場はっ!?」 「は、博物館……あの。お願いします! 本当に危険なんです!!」 「行くわよ!」 女性アナウンサーは先ほどのメアリーの発言なんて知ったものではないと、言わんばかりにスタッフ総出で現場へ向かう。 残されたスタッフが数名残っただけで、ルーシーの話なんて聞いていない。 それに悲しみしか覚えないルーシー。涙を流し続ける。 流石の今剣も、残されたスタッフたちに訴えた。 「お、おねがいします! るーしーたちを……」 「いや。俺達はここに残らないと……」 「どうする? 警察でも呼ぶか?」 今剣は遣る瀬無い感情ばかりが積み重なった。オルミーヌは項垂れる様子の彼らに、伝えた。 「だ、大丈夫ですよ。警察の人が来てくれればその……きっと………」 サーヴァントのいない今剣とルーシーは、果たしてどうすればいいか。 警察。と聞いて。今剣は隙をついて、短刀を付近に植えられた植物の影に隠した。 短刀は本物だ。 武器がなくなってしまうのは心もとないし、これが破壊されれば今剣の生命に関わる。 だけど、こうしなくては言い訳らしいものが思いつかなかったのだ。 メアリーが、それを眺めながらポツリと言う。 「ザックのところに戻らないと……」 ふと、今剣が思い出した。 「えっと……『ねんわ』は?」 「ネンワ?」 「『サーヴァント』と『ますたー』はこえをださないで、なんというでしょうか、あたまのなかでおはなしできるんです」 「離れていても?」 「そうです!」 「………」 今剣からの情報で、メアリーは決心した。 □ 『―――ザック?』 アベル達が博物館からの撤退を行うが、すでに異常を駆けつけた報道陣や警察がちらほら現れる。 こうなってはキリがない。 騒ぎを立てているのに、肝心のカインや他のサーヴァントすら登場しなかった。 移動し続ける中、ザックがメアリーからの念話を聞き取る。 そこで、ザックは気付いた。 メアリーがいないことを――― アベルの殺害にだけ意識を持って行かれ、重要な事実を逃していたのだ。 『あっ! おい、メアリー!! お前どこに――てか、念話使えるのかよ!』 『教えて貰った』 どこに、と聞かれてメアリーは普通に答える。 『警察に向かってる?』 『はぁ!? なんだよ! スルガだけじゃなくてお前もか!』 『だから……スルガを探すよ。私』 メアリーの言葉に、ザックは明らかな反応を見せた。 『マジかよ。アベルの野郎が、スルガにカインとかいう奴の情報聞き出せって殺されねぇんだ』 『わかった。聞いて来る』 『いや、聞き出せるのかよ。お前』 メアリーは相変わらず死人のように気力もない声色だったが。 確かな意志がある。 まるで綱渡りをするような話であったが、そんなのあの暗闇の世界なんかより大分マシなのだ。 ザックが念話をしているのに気づいたらしいアベルが、僅かにザックの方へ振り返る。 念話では冷静に、メアリーが話を続けた。 『スルガのところに向かってるから』 『じゃあ、そこどこだよ。面倒だから「俺達全員」で行く』 『それでいいの?』 メアリーからの確認に、ザックは返答に躊躇したが――アベルと視線が合う。 何が言いたいんだ。 そう文句をぶつけたいザックだが、何故だか。理解出来る気がする。 指を咥えて移動する梟と沙子は、今はただ追跡してくる有象無象から生きる為に駆けていたが。 最初から、答えは一つしかない。 『あぁ、いいぜ。それまで死ぬんじゃねえぞ』 『―――うん』 □ 「どうしてあの――神原駿河のところに……危険では?」 「あの子が、神原駿河が共犯者かどうか。顔を見ないと分からないと言うんだ…… それに神原駿河の証言は支離滅裂だ。彼女よりも、あの子の証言の方が信憑性がある」 パトカーで移動するメアリーと今剣。 ここにはルーシーとオルミーヌはいないが、後方のパトカーに二人は乗車していた。 今剣は不安そうに尋ねた。 「だいじょうぶですか? めありー」 「うん。来てくれるって」 「そ……そうです、か」 カインとアベルの逸話を知る今剣は複雑な心情だ。 警察と同行している状況下では信長も簡単に手出し出来ない筈。 否、むしろ。 警察がルーシーたちのところへ駆けつけるまで、何事もなかったのは幸運だったのかもしれない。 どうやら、駿河の証言があまりに信憑性に欠けた内容なので、メアリーの証言を警察は頼るらしい。 当然だ。 少年少女二人の前だからだろう。 警察が「聖杯戦争」だの「マスター」だの、そういった情報を口にしていたが。 一瞬。今剣やメアリーも驚いた風であったが、助手席と運転席に居る警察は狂人の戯言だと鼻先で笑っている。 紛れもない事実なのに……今剣は少しばかり憤りを感じてしまった。 彼らが入場する千代田区にある某警察署。 メアリーが、周囲の光景や警察署の名前を睨むように眺め続けている。 それらの情報をザックに伝えている。 警察が嘲笑する正常な神原駿河とは全く異なる。 真の狂人たちが―――狂気を携えて、ここへ現れようとは。 誰も想像していなかった。 「めありーは……どうして、しんじているんですか?」 自分だったら、あの殺人鬼は信用できるか定かではなかった。 今剣は聞かずにはいられない。 メアリーが答えるは、一つ。 「ザックは嘘をつかないから」 友情だとか、愛情なんて。クソったれた価値観は押しつけられているのではない。 狂人たちは相も変わらずあるがままに、子守唄を奏でるかの如く。 殺戮と狂騒を続けるのだ。 【4日目/未明/江東区】 【バーサーカー(SCP-076-2/アベル)@SCP Foundation】 [状態]カインに対する憎悪、魔力消費(中) [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:闘争を楽しみ尽くしたら、ルーシーを殺害する。 0:駿河のいる警察署へ向かう。 1:アサシン(カイン)をここから抹消する。 [備考] アーチャー(与一)を把握しましたが、戦意がないと判断しました。 アサシン(カイン)の存在を感じ取っておりますが、正確な位置までは把握できません。 NPCに関して異常な一面を認知しましたが、本人は関心がありません。 バーサーカー(オウル)の持つ拳銃について言及するつもりはありません。 駿河がアサシン(カイン)に関しての情報をまだ隠していると判断しております。 【桐敷沙子@屍鬼(藤崎竜版)】 [状態]肉体損傷(回復済)、魔力消費(小) [令呪]残り3画 [装備] [道具]拳銃、『王のビレイグ』、拳銃の弾(幾つか) [所持金]神原駿河の自宅にあった全額 [思考・状況] 基本行動方針:生きたい。聖杯が欲しい。 0:駿河のいる警察署へ向かう。 1:ルーシーと話がしたい。 2:カインとアベルの行く末を見守る。 [備考] 参戦時期は不明。 聖杯戦争について把握しました。 アサシン(アイザック)とバーサーカー(アベル)のステータスは把握しております。 役割は「入院生活を送る身寄りの無い子供」でした。現在はバーサーカー(アベル)らの人質として報道されています。 バーサーカー(アベル)の真名を把握しました。 屍鬼としての特性で日中は強制的な睡眠に襲われますが、強い外的要因があれば目覚めるかもしれません。 バーサーカー(オウル)を介して、神原駿河の部屋に招かれる許可を得ました。 信長とアーチャー(セラス)の主従を確認しました。 【バーサーカー(オウル)@東京喰種 re】 [状態]魔力消費(回復中) [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:全部殺して、自分が一番だと証明する。 0:駿河のいる警察署へ向かう。 1:スナコ……… 2:アベルくんは俺が喰うっつってんだろ。 [備考] 沙子の屍鬼としての特性は理解しており、彼女の身はある程度考慮しております。 NPCに関して異常な一面を認知しましたが、本人は関心がありません。 【アサシン(アイザック・フォスター)@殺戮の天使】 [状態]魔力消費(小) [装備]鎌 [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:全員殺す 0:駿河のいる警察署へ向かう。 1:一番にアベルを殺す。 2:神原駿河に対しては―― [備考] バーサーカー(アベル)の真名を把握しました。 駿河がアヴェンジャー(マダラ)のマスターであるのを把握しました。 アサシン(カイン)の能力の一部を把握しました。 バーサーカー(アベル)が何らかの手段で蘇ると知りましたが、半信半疑です。 SNSでバーサーカー(アベル)の共犯者として情報が拡散されております。 沙子を変わった少女として認識しております。 【4日目/未明/千代田区 警察署】 【ルーシー・スティール@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]魔力消費(中) [令呪]残り3画 [装備] [道具]携帯電話(電源オフの状態)、バーサーカー(アベル)についての報告書と添付資料 [所持金]少し頼りないくらい [思考・状況] 基本行動方針:生きてスティーブンと再会する。 1:脱出する方法を探す。 2:令呪はむやみに使わない、いざという時まで取っておく。 3:カイン…… [備考] 役割は「東京観光をしに来た外国人」です。 聖杯戦争を把握しました。通達については知りません。 バーサーカー(アベル)に関する情報、またそれらに関連するSCP(アイリス、カイン、SCP-682)の 情報をある程度、入手しました。『財団』がどういう組織かも把握しております。 アーチャー(ひろし)のステータスは把握しておりません。 アダムが財団職員であり、聖杯の収容を目的としていると判断しております。 最悪、自分たちが財団によって処理されると思いこんでいます。 今剣がマスターである事、アーチャー(与一)のステータスを把握しました。 信長には聖杯を手にする為、方針を変えたように宣言しましたが、本人はそのつもりはありません。 →やはり、信長の方針について行けず。脱出手段を探す方針を本格的に試みます。 信長たちと情報を共有しましたが『神隠し』については把握しておりません。 アサシン(カイン)のステータスと真名を把握しました。 アーチャー(セラス)のステータスを把握しました。 アサシン(アイザック)とバーサーカー(オウル)のステータスを把握しました。 【今剣@刀剣乱舞】 [状態]精神疲労(中)、肉体ダメージ(小) [令呪]残り3画 [装備] [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:元の世界に戻る。 1:ルーシーと共に脱出する。 2:カイン…… 3:なるべく人は殺したくない。 [備考] 聖杯戦争については概ね把握しております。 アーチャー(与一)の真名を把握しました。 通達について把握しております。 役割は「孤児院の子供」でした。行方不明となった為、警察に捜索届けが出されているかもしれません。 ルーシーがバーサーカー(アベル)のマスターであると把握しました。 バーサーカー(アベル)の真名と情報をある程度把握しました。 信長たちと情報を共有しましたが『神隠し』については把握しておりません。 アサシン(カイン)のステータスと真名を把握しました。 アーチャー(セラス)のステータスを把握しました。 アサシン(アイザック)とバーサーカー(オウル)のステータスを把握しました。 短刀は江東区の草影に隠しました。 【メアリー@ib】 [状態]肉体的疲労(小)、目が死んでる [令呪]残り3画 [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:死にたい? 殺されたい? 0:ザックを待つ。 [備考] 役割は不明です。 聖杯戦争参戦前の記憶を取り戻しました。参戦時期はエンディング『ある絵画の末路』後です。 聖杯戦争を把握しました。 バーサーカー(オウル)とバーサーカー(アベル)のステータスは把握しております。 SNSでバーサーカー(アベル)の人質として情報が拡散されております。 信長とアーチャー(セラス)の主従を確認しました。 <その他> 信長邸に出入りする家政婦(オルミーヌ)はルーシーがアダムを殺害した事を把握しています。 オルミーヌはアサシン(カイン)の存在を確認しております。 メアリーの発言がテレビで報道されるかは不明です。 【4日目/未明/江東区】 【織田信長@ドリフターズ】 [状態]魔力消費(大) [令呪]残り3画 [装備] [道具]資料、購入した銃火器 [所持金]議員の給料。結構ある。 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を頂くつもりだが……? 1:今後の策を考える。 2:ルーシーは…… [備考] 役割は「国会議員」です。 パソコンスキルを身につけました。しかし、複雑な操作(ハッキング等)は出来ません。 通達を把握しております。また、聖杯戦争の主催者の行動に不信感を抱いております。 ミスターフラッグから、東京でここ二、三日の内に起きている不審死、ガス爆発、 不動高校、神隠し、失踪事件の分布、確認されているサーヴァントなどの写真を得ました。 セラスからセイバー(フラン)とバーサーカー(ヴラド)の容姿の情報を得ました。 神隠しの物語に感染しました。 江東区の博物館にあるバーサーカー(アベル)の宝具を捕捉しました。 江東区の博物館の館長を脅迫もとい交渉した結果、博物館の警備の強化などの権限を得ました。 正午から夕方過ぎ頃までの情報を『ミスターフラッグ』から入手しました。 バーサーカー(アベル)の真名と情報をある程度把握しました。 ライダー(ジャイロ)のステータスを把握しました。 アサシン(アイザック)とバーサーカー(アベル)、バーサーカー(オウル)のステータスを把握しました。 『カイン』が『東京』に召喚されている事を知りました。 【アーチャー(セラス・ヴィクトリア)@HELLSING】 [状態]魔力消費(大)、肉体ダメージ(極大) [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:マスター(信長)に従う。セクハラは勘弁して欲しいケド。 1:博物館から離脱する。 2:バーサーカー(ヴラド三世)に通じる存在……? [備考] セイバー(フランドール)とバーサーカー(ヴラド三世)の存在を把握しました。 刺青のバーサーカー(アベル)を危険視していますが…… 神隠しの物語に感染しました。 江東区の博物館にあるバーサーカー(アベル)の宝具を捕捉しました。 正午から夕方過ぎ頃までの情報を『ミスターフラッグ』から入手しました。 バーサーカー(アベル)の真名と情報をある程度把握しました。 『カイン』が『東京』に召喚されている事を知りました。 時系列順 Back 夜は眠れるかい?(前編) Next until death do them part 投下順 Back 夜は眠れるかい?(前編) Next 勝利者への資格 ←Back Character name Next→ 028 夜は眠れるかい?(前編) 今剣 033 until death do them part 織田信長 040 ショーは続けねばならぬ アーチャー(セラス・ヴィクトリア) メアリー 033 until death do them part アサシン(アイザック・フォスター) ルーシー・スティール バーサーカー(アベル) 桐敷沙子 バーサーカー(オウル) 神原駿河
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TOPに戻る ****應龍来来**** 概要 2月23日(火) 21時半 タブナジア集合 4戦予定(2010/2/3現在)/トリガー希望者は締め切りました。 ロットルール 帝龍トリガーは應龍トリガー提出者がロット。 上記以外の全戦利品売却後分配。買取希望は競売最終の9割で即売。 注意 当日までにこちらのサイト様の詳細・特徴・注意には必ず目を通しておいてください。 メンバー 編成(仮) 2010.2.23應龍売上詳細 +... オウリュウ売り上げ 名前 手数料 売値 利益 コンゴ石 700 63000 62300 ー 700 63000 62300 ー 700 63000 62300 ー 700 63000 62300 ー 700 63000 62300 ー 700 63000 62300 ダマスク織物 740 90000 89260 チュトラリー 0 13500 13500 チュトラリー 179 15000 14821 今剣 549 50000 49451 龍の爪 0 1938 1938 オックスブラッド 0 13515 13515 真龍角 540 49100 48560 真龍角 1040 45000 43960 合計 648805 46343×14=648802 648805-648802=3 →残額3ギルはエイン資金に繰り込み 一人46,343ギルの分配 +... オウリュウ売り上げメモ 名前 手数料 売値 利益 コンゴ石 730 70000 69270 ー 730 70000 69270 ー 730 70000 69270 ー 730 70000 69270 ー 730 70000 69270 ー 730 70000 69270 ダマスク織物 1000 95001 94001 チュトラリー 250 15000 14750 チュトラリー 0 13000 13000 今剣 400 37888 37488 龍の爪 75 3000 2925 龍の肉 850 81000 80150 真龍角 549 50000 49451 真龍角 549 50000 49451 |アダマンインゴット|1640|76000|74360|0 合計 831196 69266×12=831192 831196-831192=4 →残額4ギルはエイン資金に繰り込み 一人69,266ギルの分配 名前 コメント すべてのコメントを見る
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. 青春には『嘘』がつきものだ □ 東京都江東区。 ご存じお馴染みの夏と冬、オタクたちの大戦争・コミックマーケットが開催される『東京国際展示場』がある場所だ。 埋め立てが多くある区であるが。その埋め立ては江戸時代から行われている。 ゴミ埋立地『夢の島』は有名だろう。 その一角。 ひっそりとした隠れ家のような、それでいて内装はアンティーク調。 お洒落な雰囲気で充満している喫茶店『:Re』が存在していた。 経営しているのは若い女性と寡黙な男性。 常連客らしい人間がちらほら居る中、席の一つに少年が座っている。 少し冷えたコーヒーをテーブルの傍らに置いて、彼は携帯の液晶画面と向かっていた。 彼はサイトの観覧やゲームに夢中なのではない。 連絡帳に電話番号を打ち込んでいた。 それは知り合いでもない。赤の他人の電話番号――『先導エミ』の住所と連絡先。 (合っているか?) 『はい、大丈夫です』 少年・安藤は、自らのサーヴァント・アサシンと念話で確認した。 警視庁で入手した情報など、山のように存在する。その山の中から木の葉を探るような真似は、無謀だ。 しかし、木の葉を一瞬にして見分ける力があったとすれば? アサシンはまさにその能力を有していた。 真っ先に彼が着目したのは『先導エミ』なる少女が行方不明という点。 (主催者の関係者が聖杯戦争に参加しているなんて……) 聖杯戦争本選前より彼女は行方を眩ませていた。 怪しすぎる。安藤も不信感を高めるが、いささか奇妙でもある。わざわざ『先導エミ』を参加させる意味とは? 推測するに『先導エミ』は『先導アイチ』の妹に値する人物だろう。 とはいえ。 例えば偽名を使うなど、主催者と無関係に装える手は幾らでもある。 何故、そうしなかった? (訳がありそうだけど……) アヴェンジャーの監視を警戒しつつも『先導エミ』への接触は慎重に行うべきだ。 彼女は中学生。 年上の安藤が彼女に話しかけるだけで、世間体は怪しむに違いない。 そして、彼女がどこへ行ったのかも不明だ。 最悪。アヴェンジャーが『先導エミ』に探りを入れてくれる方がありがたいが…… 『マスター、到着しました。建物は休館になっていますが』 アサシンからの念話を安藤はしっかり聞き入れる。 安藤の自宅はこの区に隣接する江戸川区にあるのだが、訳あって立ち寄る事にしたのだ。 それは、刺青のバーサーカー・アベルの件。 アサシンが警視庁で入手した情報によると――― ここにある博物館で警備員が殺害された。それがアベルが最初に引き起こした事件だという。 恐らく……その博物館に『棺』があるはずだ。アベルの宝具たる存在が…… (……休館か) アサシンが伝えてくれる事実に、安藤は思う。 あんな事件があったからには当然だ。違和感もない。 出入り口には警備員が二人。 『せめて「棺」があるかを確認しに向かいます』 (あぁ) 監視カメラの映像の切り抜きだけではアサシンも確証に至っていなかった。 霊体化すれば、どんな厳重な警備も関係なしだ。問題はない。 安藤は鼻を擦って、少し思い詰める。 (博物館の館長がマスター……なんだろうか) ならば、あの『棺』を設置するのは容易だ。 むしろ――『棺』を何かに隠蔽して設置するのに、博物館の展示品という偽りの名称は恰好なもの。 アサシンは内部に潜入したか定かではないが、安藤に念話で返事する。 『いえ。展示品と設置せずとも、展示品を収容する倉庫などに隠す方が合理的では』 (………それもそうだな。アサシン、中の様子は?) 博物館内部で霊体化しているアサシンは探ってみるが、巡回をしている警備員らしき存在はいない。 ただ、監視カメラは動いている事だろう。 そして。 彼の『棺』を発見する。 紛れもない、アサシン自身の知る物だった。 不気味ながらも神秘的で、そして扉は開かれたままの状態。 酷く安心した。 不謹慎ではあるが、アサシンは一つの安堵を胸に抱いていた。それが事実。 皮肉ながら、扉が開かれた状態というのは刺青のバーサーカーが……アベルがまだ『東京』で生きて存在している事を示す。 価値ある芸術品を観察するかのように、アサシンは『棺』の魔力を感じ取っていた。 『マスター……「棺」は開かれた状態です。しばらく様子を伺ってもよろしいでしょうか』 いや、違う。 きっとアサシンはもう少しだけ『棺』の傍に居たいのだろう。 安藤も、思い詰める。 弟・潤也の事だ。 マスターである彼とはどう向き合って行けば良いのか。 両親を事故で亡くして以来。ずっと弟の隣に立ち、共に歩んで来た。 兄弟だから。 行く先が大体同じ道のりだから。 将来が不透明で、手探りに生きてきて……それで潤也の方は……。漠然とする安藤の携帯端末に、潤也からのメールが届く。 [夕飯はカレーにしたぜ! 早く帰って来ないと、先に食っちまうからな! 兄貴!!] 考え過ぎか。 安藤はメールの内容にほほ笑んでから、念話でアサシンに伝える。 (分かった。何かあったら念話で教えてくれ。俺は先に家に帰るよ) 『ええ、そうした方がいいです』 アサシンも察してくれたらしく、同意の返事をしてくれた。 安藤は、そろそろ喫茶店から出ようと腰を上げかけたところで、常連客らしい人物たちの会話を耳にする。 日常の他愛ない光景だったが、安藤からすれば異質に感じられる。 「テロリストのフード被ってる奴ってバケモンって噂だけど、ぜってーアレだよな」 「まだ言ってるんか。それ」 「だからネットであの『目』を見たんだよ! あの小説に出る『隻眼の喰種』じゃねぇの」 隻眼……? ……喰種ってなんだ? どうにも彼らは『ある小説』に登場する架空の人物と、刺青のテロリスト――アベル――と同行しているフードの男。 双方を重ねているらしい。馬鹿馬鹿しい話しだが、安藤は小骨が喉に詰まった感覚を抱く。 サーヴァントは偉人から物語の英霊、殺人鬼までと幅広い範囲で召喚が可能だ。 その小説に登場するキャラクターが……フードの男の可能性は、ある。 「どちらかと言えば、刺青男が『隻眼の王』であって欲しいな」 「今の腐った世の中ぶっ飛ばしてくれるってか? そりゃ、俺だったら刺青男の方、応援したくなるわ」 ―――『隻眼の王』……… 「あの」 席をはずかけている安藤に、女性店員が声をかけてくる。 「お会計でしょうか?」 「えっと……」 安藤が少し戸惑いつつ、客の会話を耳に傾けたい思いがあったが……意を決して店員に聞いた。 「……小説。あ、あのお客さんが話している小説って、何の……?」 最低限、不自然のないよう尋ねてみたつもりの安藤。 店員の方が、どこか不思議そうにキョトンとした表情を作っていた。 何か怪しまれたのでは、そう安藤が不安を渦巻いている一方。彼女は答える。 「あれは――」 そして、彼のタイトルの名前を聞いた。 □ 世界は残酷だ。 この世界に限った話ではない。非常に嘆かわしいが、人間とは愚かだ。 それが私自身の責任か、私でなくとも元より愚かな生物だったかは分からない。 ただ。 ここにいる全てが、お前を嘲笑し、憎悪し、嫌悪しようとも。 誰も彼もが、お前を見捨てようとも。 私は、私だけは――お前を愛し続けよう。 私の愛しい弟よ。 ■ 東京都足立区。 ここに国会議員・織田信長の自宅が構えてある。 噂のテロリストの対応は政府に命運がかけられていると言っても過言ではない。 しかしながら、信長は本日の国会を欠席すると申し出た。 決して、テロリスト相手に臆病風が吹かれたからではない。無意味だと知っていたからだ。 国会に出席している余裕などない。 人々が夢物語と鼻先で笑うようで笑えない現実――そして戦。 聖杯戦争と向き合わなければいけないのだから。 そして、信長のところへ二人のマスターが現れた。その内一人……今剣はサーヴァントを失っているが…… もう一人の少女のマスター・ルーシーは、信長にとっては無視出来ない。 彼の刺青男。 世間はテロリストだの殺人鬼だのと囃し立てる存在。 聖杯戦争における『バーサーカー』たるサーヴァント。 そのマスターこそが、ルーシー・スティール。 彼女は―――聖杯を求めてなどいなかった。 ただ、夫のところへ。元の世界へ生きて帰りたい。聖杯戦争から脱出をしたい。 聖杯を信長に差し上げるから、同盟を組んで欲しい……と。そういう話を持ちかけられた。 (後に理由は明らかとなるが)信長のアーチャーと今剣が居ない空間―― リビングに値する場所でルーシーと信長は、対話を繰り広げている。 信長の返答は 「駄目だ」 短い返事だった。ルーシーは必死に涙や感情を堪える。 戦国武将たる天下統一を目前まで上り詰めた、最悪サーヴァントとして召喚されても変ではない信長は ハッキリとルーシーに告げた。 「いくら平凡な街並みを装っていても、ここは戦場で、お前は戦争に巻き込まれている。 実際、お前はそう主張して聖杯欲しがってる奴に狙われた。幾ら主張しようが、聖杯を欲しがってる奴らからすれば 邪魔か良いカモとしか映らん。生き残りたい、脱出をしたいなんて甘い考えは止めるんだな」 「分かっています! でも―――わたしと貴方では、あまりに違いすぎるッ!! 戦争の経験なんてない。わたしは無力に等しいです。何も出来ないかもしれない…… 聖杯は欲しくありません……どうしても帰りたい。それだけなんです。決して裏切りません!」 信じて欲しいと、必死に訴えるルーシー。 だが。 信長は呆れた様子で、ルーシーの言葉を制した。 「あのな、ルーシー。よく聞け。お前は―――まだ負けちゃあいない」 「……え?」 「お前にはサーヴァントがいる。刺青のバーサーカー。あいつは強い、ちょー強い。 俺には分かるぞ。奴はまだ本気を出しちゃいない。暇つぶし程度であれだけ殺せるんだ。『勝機』は十分ある」 「……………」 「与一の言う通りだ。お前は令呪を残して正解だ。そいつで奴の援護が出来る。 なぁんだ。これだけ揃ってりゃ、十分戦えるだろ。何、諦めてる。合戦終了できねーじゃん」 「ま……待って! 待って下さいッ!! 私は聖杯が欲しいのではありません!」 「あのにゃー」 大げさな溜息を漏らす信長は、ルーシーに告げる。 「戦争の経験ないお前にも分かりやすい話をしてやる。 戦場で兵士が『如何にして生き残るか』――なんて考えて戦をする訳ねぇだろ? 『如何にして勝利するか』を考える。つまり『勝利』こそが生き残る道だ」 「……」 「生き残るには『勝利』しろ。お前を殺そうとした奴も、殺そうとする奴も。全て倒せ! そうじゃなきゃ『生き残れない』! 聖杯が欲しいかどうかは関係ないんだよ。 聖杯手に入れたら夫婦仲良く末永く爆発したいですとかテキトーに願っとけ!」 勝ちたい。聖杯が欲しい。 ルーシーにはそういった欲望は一つもない。だけど、生きるのには。 自分を攻撃しようとしたアダムのような相手には……そうするしかないのだ。戦うしかない。 勝利し、生き残るために。 ひょっとしたら、ルーシーにそれを伝えた信長自身が『勝利』と『生存』を望んでいるかも分からない。 今剣のアーチャー・那須与一の犠牲を重く受け止めている筈。 だけど……あの刺青男は、アベルは自分を殺す。 だから生き残るなんて事はできない。だけど――信長は良しとはしない。 ルーシーは『嘘』をつく。 「分かりました。……………私は、勝ちます。聖杯戦争を勝ち抜いて、夫の所へ――帰りたいです」 「そんじゃ『同盟成立』だ。最後のシメは俺のおっぱい弓兵と『アベル』の死闘にさせるぞ」 二人が一通りの会話を終えたところ。 部屋の扉をノックし、登場したのは旗を耳の穴などに刺したアーチャー・セラスと 頭に旗を突き刺した今剣である。 彼らは、何かひと段落したらしい満足げな表情を浮かべていた。 「バビューンともどってきましたよー」 「はぁ~……マスター、昼間の報告です。それと秘書さんから伝言を預かって来ました」 「うむ、御苦労。というか――今剣は『付喪神』とやらだから頭に旗を刺しても平気なのか」 「これは、ぼうしにさしているんです! えっへへ~」 「中々セコイな」 セラスと今剣が出向いたのは、信長が雇った『ミスターフラッグ』からの新たな情報を得る為だ。 やはり。 信長の大方の予想通り、刺青男――アベルの情報は一つも無い。 正確には、世間が勝手にアベルの仕業だと騒ぎたてる事件が幾つか確認できるが、証拠はない。 ルーシーが魔力消費を感じていない為、彼はさほど実体化していないのは明白だ。 「あぁ、それと」セラスが思いだしたかのように、ルーシーに幾つかある物を渡す。 栄養ドリンク。ルーシーが体調の悪化に効果があった薬。 バーサーカーのマスターであり、魔力が優れているとは言えないルーシーには必要不可欠なものだ。 バッグへ仕舞いながらルーシーは「ありがとうございます」と礼を言う。 セラスは「いえいえ」と呑気な表情で答えたが、真剣な顔立ちで信長に問うた。 「マスター。これからどうしましょうか」 「まずは情報を整理してからだ。焦るな、パイチャー。昼間は刺青の……じゃなかった 『アベル』の奴が動かない代わりに、他の主従が活発になる頃合いだからな。それと武器の調達だ。 俺もそうだが、ルーシーや今剣もいざって時に打つ手なしの状態だ。そいつを解決させる」 「それって………まさか、ですよね? マスター」 「『ミスターフラッグ』から入手した情報は、他にもある。銃火器の入手ルートだ」 手っ取り早い武器は、どうしても『銃』だ。 けれども、日本で銃を入手するのは困難を極めるうえ、所持は法律で禁止されている。 偽りの『東京』も律儀にそれを習っているが、裏組織的な存在も律儀に配置されていたのだ。 暴力団、暴走族、闇金などなど…… 警察官から拳銃だって強奪は可能だろう。 やっぱりと呆れるセラスを傍らに、信長は武器に関しても慎重であった。 「都内で銃をぶっ放すなんて目立つからな。『さいれんさー』とか言ったか? それが付属についてる奴を買う。 まぁ、サーヴァントには通用しないがマスターには通用する。持つに越したことはない」 「あのっ、ぼくの『刀』はどうなんでしょう?」 今剣が自身そのものである短刀『今剣』について尋ねる。 セラスが視認してから、答えた。 「神秘性はありますので通用はするかと。しかし、幾らなんでもサーヴァントを相手にするような真似は止した方がいいです」 「そうですか……ぼくは『刀』のほうが、あつかいなれていますので。ぶきはいいです」 もはやサーヴァントを失った今剣こそ、ルーシーとは違い。勝利を求められない存在だ。 彼こそ、ただただ糸のような細い生き残る術を手繰り寄せなければ。 何より…… 今剣はまだ『再契約』というチャンスがあった。 マスターを失ったサーヴァントと契約を交わせる可能性を持つ。 とは言え。今剣自身、かつて戦場を共にしただろう那須与一の死を抱え持つ以上。 積極的に『再契約』をする気力が湧かない。 今剣は明るく振舞っている。 先ほどまではアーチャーの……与一の死を悲しんでいた。 那須与一が今剣に対して、単純な主従以上の感情があったに違いない。話もするべきだった。 なのに……もうそれらは叶わない。 もう前へ進むしかない。 与一が今剣とルーシーの二人を生かした理由。それを証明する為に。 彼の死を無駄にするではない。 それが――先ほど織田信長が告げた方針。 信長自身も、ルーシーと今剣も全てを重く受け止めていた。 彼の為に生き残る。否、勝利をする。 その時。 信長が「む」と如何にも嫌嫌そうなオーラを全面に出す。 「不味いな……新手の主従が俺を捕捉してきおった」 我ながら知名度は高いと鼻をくくっていた信長だったが、有名すぎるのは問題だった。 戦国武将と同姓同名なだけで随分と話題が提供されるもの。 聖杯戦争――過去の英霊を召喚する儀式――に参加する者たちは、自然と彼に注目するのだ。 実際、今剣たちが信長に注目した理由がそれである。 セラスが「え!?」と声を張り上げる傍ら、信長は例の秘書からの伝言を全員に見せた。 それは『キャスターのマスター、ウィルソンより』の文言が付け加えられていた。 □ 「本当か!?」 東京都千代田区内にある病院の一室で、アダムが電話相手に驚きの声を漏らした。 相手は、例の図書館司書だ。 彼女の方は至って冷静に、アダムと話をしている。 『はい、ご依頼された棺の居場所……いえ、厳密に言えばそれらしい物体を発見しました。 後日。アダム教授にご確認していただきたいと思い連絡したのですが』 確かにセラスはホームページから『SCP-076-1』のページを削除したが 紙媒体の記録だけは抹消が叶わなかった。 司書は『SCP-076-1』がどういった類の物体かを理解していない。 しかし、ある特徴的な言語が記されていたり、歴史的な価値のあるもの、という具合にアダムが説明したのに従い。 博物館関連の貯蔵一覧を調査したところ『SCP-076-1』らしき物体が設置されている博物館を発見した。 「いや、十分だ。それで、それがある場所は……」 アダムがもう片方の耳で何かを聞き取った。 警察関係者がここへ? 一体何用で……数々運ばれる患者から事情聴取に? 違う。 どうやら聴取をしに来たのは――アダムの件らしい。 アダムの手傷が事件性のあるものだと、病院側が判断したのだろう。 厄介だ……否! そんな事よりも………一刻も早く『SCP-076-2』を無力化しなくては! 最終手段としてアーチャーに自分を運ばせる手段がある。 だが、それは最悪の場合。令呪はあと一回しか使用できない……慎重に進まなければ。 アーチャーの善良さからマスターの殺害に躊躇しかねなかった。 最悪……【敵マスターの殺害をしろ】なる令呪を使用する場面もあるだろう。 ここは自力で抜け出そうとアダムは行動した。 『住所は江東区■■の[編集済み]、[削除済み]博物館です………アダム教授?』 「すまない、ありがとう。お礼に今度……ええと、どうしようかな。君は要望はあったりするかね」 『そうですね。今度、高槻泉先生のサイン会が行われるんです。私は業務で足を運べないものでして…… 私の代わりにサインの方をお願いしてもよろしいでしょうか?』 「あぁ、分かった。それくらいならお安い御用だ」 アレを破壊すれば……それだけで『SCP-076-2』の殺害に一歩繋がる。 いや、何を言っているのだろうか。 破壊するとは財団の理念から背くじゃあないか。だったら……私は聖杯を手にする為に。 そうだ。これも娘の為なのだ…… アダムは移動の補助として病院側から用意された松葉杖を手に、目的地へ足を運んだ。 □ 東京都港区。 一昔前まで東京のシンボルとして象徴させていた『東京タワー』が構えている区域。 企業が多く本社を構えており。青山・赤坂・六本木・台場といった具合でどこかで耳した名の土地がある。 外国人居住者の人口がそこそこある。 故に、聖杯戦争のマスターの一人。カナエがここに住む設定なのだろう。 ここに、足を運んでいたのは女性の体を乗っ取ったジャック・ブライト。 予約した料理亭にいつでも出向けるよう、周辺で暇つぶしをする算段だった。 「ユユコ。あの『木』の具合は分かるかな? この目で確認しないと駄目なら話は別だ」 ブライトが自らのサーヴァント・キャスターこと幽々子に問う。 木―――宝具『西行妖』のことを指し示すのだが、問われた幽々子の方は彼女自身の感覚で探る。 『西行妖』の開花状態が進行するだけで、幽々子の能力は向上していく。 そして開花の進行に必要なのは『春』。 皮肉にも、会場の季節は『春』の為、それらを集めるのは容易だ。 まぁ。設置した場所が場所で、急速な開花は望めない状況ではあるが…… 「三分咲き……ぐらいね。折角だから『魂』を捧げて来ようかしら」 「おや、そういう手段もあるのか」 『西行妖』に人間の魂を与えれば、無論その分だけ満開へ近づけるのだ。 その『西行妖』は港区内に設置されていた。散歩ついでに、幽々子は20ほど引き連れていた魂を与えようと考えている。 サーヴァントに警戒した方がいいだろうが、マスターのブライトは少々特殊だ。 ちょっとやそっとでは死にはしない。 幽々子も、十分承知している事実なので呑気に『西行妖』のところへ向かう。 ブライトとは念話で会話を続ける事にした。 『中々、優柔不断なのね。少し意外よ』 (いやいや。実際、迷う場面じゃないか。何と言うかこう……財団の柵もなく自由奔放にやれるとなったら困ってしまってね) そう。 ブライト『博士』という肩書は『財団』で通用する話だ。 ここには『財団』の手は及ばない。 聖杯を手にしようとしてもいい。 財団職員らしく聖杯を収容してもいい。 聖杯戦争を止めたっていい。 などと想像が楽しいブライトだったが、いざ一択を選べとなったら迷ってしまう。 ただ。 ブライトは一つだけ明確に、目標にしているものがあったのだ。 幽々子に対し、彼は聡明な態度で答えた。その瞬間だけ正真正銘の『博士』らしい振舞いで。 (幽々子も聖杯が具体的にどういったものかは知らない。……それが引っ掛かってね) 『そう? 私は気にしていないけど』 (聖杯戦争の知識などがあるサーヴァントに、聖杯が如何なる産物かを説明されないのは奇妙じゃないか) 『指摘されれば……そうね。実際どんな物体なのかとか、興味がある程度よ』 (『聖杯の正体』をサーヴァントに知られては不味い―――ではないかな?) 『……』 それも予想に過ぎない。確固たる証拠はない。 けれども。ブライトの指摘はどこか鋭さを垣間見させた。 「その辺りは詮索しようがあり過ぎる」とブライトは話題を切り替える。 (私は最終的にこう結論した訳だ。『聖杯戦争を抹消しよう』―――と) 『抹消、ですって?』 (歴史の偉人、物語の英雄。それらを召喚できるには非常に魅力的だ。 そして……戦争。舞台は戦場となって、死が巻き起こった) 『その危険性が理由かしら』 (いいや。勿論、戦争に発展する要因も危険視するべきだが。 私としては『簡単な手段』であらゆる願いを実現可能にする『聖杯』が入手出来る点と。 それを引き起こす『儀式』が危険だと判断した。手順を踏めば、本当の本当に『簡単』じゃないか) 『簡単……まぁ、簡単かしら。いえ、きっと簡単ね』 (サーヴァントだって悪用される。主催者が口を滑らせた『解析』とはサーヴァントを解析し 最悪の場合、ここらにいる『生贄』と同じく複製する算段じゃないかな?) なんであれ。 ジャック・ブライトの行動方針は――『聖杯戦争の抹消』。 聖杯戦争の在り方を根本から否定するのではなく、それが人類にとっては危険だから抹消するのだ。 SCPにおいてオブジェクトの破壊・無力化は目的ではない。 しかし、時には終わらせなくてはならない類もあった。 聖杯戦争の概念は、それに値するとブライトは言う。 (しかし、悲観しないでくれユユコ。聖杯戦争の抹消がここで実現させるなんて、私は期待していないさ) 『聖杯に願えばいいじゃない』 (先導アイチたちは良しとはしないだろう。 私の目的は『聖杯戦争』の情報を財団に伝える事さ。願わくば生きて財団に帰還を果たせればいいけどね) 『貴方なら簡単でしょ? 死んだフリだって出来るのだから』 (人生どうなるか分からないものさ、ユユコ。最悪、死んでしまっても…… どうせなら、格好つけたいじゃないか! ハリウッド映画で主人公の為に犠牲となる仲間的な…… あーうん。私? 私は、ホラ。どう見たって主役っぽくはないだろう?) 幽々子は遂に『西行妖』のところへ到着した。 設置した頃よりも大分花をつけた代わりに、周辺は枯れ果てており。すっかり冬の景色だった。 空模様も雨雲がちらほらあり、雨が降りそうだったが。冬になりつつある気候を考えれば。 雪が降り積もる方が正しい。 魂が『西行妖』に吸収されていく。 幾つかの花が実ったのを視認する幽々子は、何気なく尋ねた。 『やっぱり、貴方―――死にたいの?』 珍しくブライトは黙りこくった。 表情を伺えない状況で、ブライトの心情を察せない幽々子だったが「そう」と呟く。 彼女も何となく理解して来たのかもしれない。 無暗に人間を殺せば、逆恨みで自分が殺されるかもしれない。 生き飽きたから、簡単に死ねる存在が疎ましいのかもしれない。 死にたいから、誰か何かに死を振りまきたいのだろう…… 聖杯戦争に巻き込まれた者の中では『死にたくない』と必死な存在も居る事だろう。 彼らからすれば、冗談ではない願いである。 死を恐れる人喰いが聞いたら、堪ったものではないし。 殺して欲しいなら殺してやる―――なんて本気を抜かす殺人鬼だって居る。 ブライトは、そんな奇妙でイカレた存在を……まだ知らない。 『……それじゃあ。織田信長と同盟を組むって方針でいいのかしら』 (うーん、それは相手の出方次第だね。誰であれ同盟は組みたいところさ。 『満開』に近付かない以上、幽々子も戦闘を満足の状態で出来ないだろう?) まるで先ほどの問いかけが無かったかのように、ブライトはいつもの調子で返事をした。 死にたがり屋の癖して。律儀に人類のためを思って行動する。 どこか狂ったマスターに幽々子は呆れた様子だったが、満更でもない。 (先ほど乗っ取れなかった少年に交渉のチャンスはありそうだ。彼の捜索は続けるべきだと私は思う。 そして、アベルのマスターもだ。アベルを放っておけないよ。第一…… ユユコも見ただろ! あのクソコラグランプリとかいう常軌を逸脱した企画を!! あれが噂に聞く「クールジャパン」という奴さ。我ながら度肝を抜いたね!!) 『大爆笑してたじゃないの、貴方……』 (いやぁ、ジャパニーズは発想力が素晴らしいね! しかし、アベルが目にすれば怒り心頭だ) しかし、この時。 ブライトも幽々子も、ある問題に気付かなかった。 気付くのは――文字通り、しばらくした後の事………そんなブライト博士のところに、ある存在が登場する。 一瞬。 ただの一般人かとブライトは目を疑った。 それは正解だった。ちゃんと観察してみれば、ソレはサーヴァントで……ロボットだった。 「お前、マスターだな」 「ははは! だったらどうする?」 サーヴァントが傍らに居ないのに、ブライトは余裕満面にロボのサーヴァントに嘲笑する。 一方の鋼鉄のロボは、真剣な表情(ロボではあるが)で頼んだ。 「お前のサーヴァントと戦わせてくれ!」 「……うん? それは何故。私を殺そうとすればいいじゃないか」 挑発的な態度をするブライトだったが。 ロボのサーヴァントの方も、一歩も譲らない。 「マスターを殺す必要はねえからだ! 俺としちゃ、アンタも家に帰したい」 「家? あぁ、家ねぇ……家はないんだ。おっと浮浪者の意味ではないよ? もはや家を所有できる立場ではないというか」 ある意味、ジャック・ブライトそのものが『SCP』である為。 このように満足な外出が叶うかは、今後も怪しい話だった。 東京観光を楽しむ、なんて馬鹿げていながらも、ブライト自身割と真剣な方針なのだ。 兎に角、ブライトはロボのサーヴァントに答えた。 「要するに『聖杯』を手にする方針のようだね。実に結構! しかし、私の意向とは真っ向から対立するからには戦わなければ!!」 ブライトは聖杯を欲している訳ではないが、どう行動するべきかは決まっている。 戦い。勝利する事! 即ち――どのような方針であれ、対立する以上。勝利こそが前に進む術なのだ!! 悪役さながら、一々大げさな仕草を加えながら、ブライトは言う。 「非常に残念なのは――君はロボットだから『死』に近付くのが難しい点だよ」 「―――のあっ!?」 背後からサーヴァントを襲いかかる、桜吹雪のような美しき弾幕。 死を以てして、死に近づける。 死を望む者が呼びしキャスターが成す攻撃は、一つの芸術性を魅せていた。 ――――幽曲『リポジトリ・オブ・ヒロカワ』―――― 「上等だ! だったら、こっちも……!!」 父親として、英霊として。 だが、彼は――ロボットは『死』を心良くは断じて感じない。判断しない。 マスターの殺害など……ルーシーだって、カインのマスターもだ。必要のない犠牲を犯したくない。 『死』を打ち消すなど、成せばなる!! 「チクビィ――――ム!!!」 人体の乳首に当たる部分から発射される情けない光線。 だが、その熱意。その能力は、死と弾幕を打ち消すには十分な威力だった。 ロボのサーヴァント・ひろしは意を決して叫ぶ。 「俺は父親としてアダムの為に戦う! アダムと――その娘の為にだっ!!」 「………」 それをジャック・ブライトは冷徹に見降ろしているとは、ひろしは気付かなかった…… □ 「これだ……」 東京都江東区の一角にある本屋。 安藤がそこへ足を運び、手に取った作品とは――『王のビレイグ』。 そこに登場する喰種なる存在。 人喰い……フードの男は、その物語に登場するかは不明だが。 間違いは無い。 安藤も『隻眼』と呼ばれる特殊な瞳を嫌というほど確認していた。 あのフードのサーヴァントは『喰種』。 『隻眼の喰種』というのは特別視される存在らしい。安藤も本を流し読みした程度で、詳細は不明だが…… サーヴァントとして召喚される以上、何らかの脅威を持つ存在だろう。 本を購入した安藤は、江東区に降りた最寄駅に足を運び――自宅である江戸川区を目指す。 電車内でも宣伝パネルで流される映像では刺青男と共犯者・人質に関する情報が流れ。 サラリーマンが読む新聞のどこかには、その話題に関する者が記述されて。 SNSをやっている人々は、新しい共犯者の情報がいると噂していた。 包帯男。 金髪の少女。 それから―――……… (神原……?) 神原駿河。 不動高校一年生の彼女が共犯者だとSNSでは、自宅やどこかで取られた写真などが流出していた。 こんな光景……まるで猫田市で犬養に流される人々そのものだ。 安藤は酷くもどかしさばかりが募る。 安藤も分かる気がした。 『隻眼の王』に現れて欲しいと願う。踏み滲められる『悪』は望む。 『奪われる者』の意思…… 一年生なら、弟の潤也は彼女の事を知っているか? ……自分に話してくれるだろうか。 心のどこかで亀裂を感じる安藤は、不安を覚えた。 チラリとサラリーマンが読み終えた新聞を、頭上の荷物置きに捨て、駅のホームに降りる。 それを確認した安藤は、その新聞を手にし――広げる。 ≪現時点の『刺青男』による被害総額は凡そ[削除済み]円規模とされており、 連日飛行機や宿泊施設のキャンセルが相次いでいる状況が収まらない。 テロによる死亡者は午後三時現在において約1100人、ケガ人は約2100人。 しかし、これは『刺青男』と共犯者と思しきフードの被った男性の犯行と判明している事件の被害であり 東京都内で発生する余罪とされる事件を含めれば、死者は2000人規模に相当すると予測される……≫ ≪本日夕方、国会で行われる緊急会議後。記者会見が予定されており、首相が 『非常事態宣言』を発表するとして注目が集められている。また自衛隊の派遣も本格的に検討され 入国制限の措置と外交関連にも影響は逃れらない。東京都都知事も本日未明に 都内23区の教育機関へ緊急通達をし、最大限の警戒をするよう注意を高めている≫ 「………」 テロ――――とか。戦争とか。そんなの……目にしない平凡な世界だった…… 治安が悪かったかもしれないけど……俺の居た世界って『大したこと』ない場所だった。 楽しいクラスメイトとか、笑顔で挨拶してくれる近所の人とか。 良い人が居た。みんな、悪い人間なんかじゃない。 皆がみんな……日本は平和な国で…………戦場にならないって、どうして…………思って……… 「大丈夫……大丈夫だ………」 安藤の体は震えだした。 怖い。 本当は怖い。 刺青男も、フードの人喰いも、何もかも恐ろしい。 「決めたんだ……やるって決めただろ………今更逃げるな……逃げるなよ………」 必死に言い聞かせる。 そうでもしなければ――不安で殺されそうだった。 ■ ウィルソン。 信長と同じく国会議員の『ウィルソン・フィリップス』だと直ぐに判明する。 日本なのに一体どうして外国人が議員になっているのか、など言う疑問は些細なものだ。 ともかく、ウィルソン・フィリップスは今晩、港区六本木にある料亭で宴会の席を用意したと云う。 ……………が。 セラスが唸った。 「どういう事なんでしょうね。その『ウィルソン・フィリップス』参議院議員……遺体で発見されたって」 そう。 ウィルソン・フィリップスは遺体で発見されていた。 『ミスターフラッグ』の昼間までの事件情報の中に、千代田区にある日比谷公園にて。 ウィルソン・フィリップスの遺体発見。そして、爆弾騒動があったという報告。 警察が身元を調べるまでもない。 彼は参議院議員の一人だ。知る人は知る。 否、政治関連に精通する人物、新聞を読む人間はウィルソンを知っていても可笑しな話ではない。 しかも、奇妙な事に。 ウィルソンが死亡したとされる時刻は、信長の秘書に宴会の誘いをした直後。 彼の死因は心臓麻痺。 外傷や争った痕跡はない為、事件性はないと判断された。 セラスは聞いた。 「マスター、どうしましょう」 「どうもこうも。死んだと分かれば行かんでいいだろ」 信長はアッサリと断言する。 伝言通り、ウィルソンがキャスターのマスターならば他の主従によって倒されただけ。 彼は少なくとも、そう判断している。折角の宴会の席を無駄にしようが、宴会をする時点で時間の無駄だ。 しかしまぁ。信長は悪だくみの笑みを浮かべ、ルーシーに言う。 「やっぱり最高に狂っとるなアベルの奴。案外お人よしなんじゃねーの」 「……きっと『彼ら』は特別だと思います」 「特別、ね」 信長が割と警戒してしなかった美術館を荒らしたとされる包帯のサーヴァント。 予想外な事に、人喰いのサーヴァントと同行する場面がSNSで流出していたのだ。 そこにはアベルの姿は無いが、霊体化しているとすれば何も違和感はない。 そんな彼らと同行している女子高校生。 同じ学校(不動高校)に所属する生徒が流したらしい噂では『神原駿河』と言う。 ルーシーは思う。 彼らは必要があってアベルに生かされていて……アベルと同じよう狂って、イカれているから。それで赦されている。 アベルに限って、親しみの感情で生かす事はありえない。 ……いや、ひょっとしたら。 『あのエージェント』に対する感情のような……敬意があるのだろうか? 理解に苦しむルーシーの隣で、スパッとセラスが話す。 「現状、把握できた主従はこれですね」 ①織田信長&アーチャー(セラス) ②今剣&アーチャー(与一)……サーヴァントは脱落。 ③ルーシー・スティール&バーサーカー(アベル) ④フードを被ったバーサーカー&桐敷沙子 ⑤包帯のサーヴァント&金髪の少女 ⑥神原駿河&???(サーヴァント不明) ⑦先導エミ&???(現在行方不明・サーヴァント不明) ⑧ウィルソン・フィリップス&キャスター(マスターは死亡確認) ⑨アダム&???(クラス不明) ⑩???&斧を持ったサーヴァント(ランドセルランドにて確認/マスター・クラス共に不明) ⑪???&セイバー(与一と交戦した相手、マスターは不明) 他にも様々な事件が発生したが、監視カメラなどの証拠で判明しているのは以上となる。 酷い話。ニュースでは全て刺青男(アベル)の仕業、関連があるなど無駄な濡れ衣を着せる現状だ。 もどかしいが仕方ない。 それと……もう一つ。 神隠しの少女(恐らくアサシン)の存在も把握している信長とセラスだが。 ルーシーと今剣にはある理由で伝えていない。 (様子見って奴だな。噂を知らない奴がアサシンと出くわせばどうなるか。神隠しに合わないかもしれん) 『ですね……例の噂通りなら』 神隠しを知った人間が神隠しに合う。 ならば――神隠しを知らない人間は何も起きない。 単純な話だが、少なくともそれが事実であるかも把握しなければならなかった。 実験的としてルーシーと今剣には『神隠しのアサシン』の主従については話さないと決める。 「そろそろ時間だな」 銃の取引の時間という事だ。 ルーシーと今剣も、まぁ仕方ないが同行させた方がいい。 だが、セラスは何かを感じ取り、全員を制した。 「気配を感じます」 全員が緊張感を抱く。 どうやら、有名人たる信長は――否、それ以上に生粋の敵を作りやすい体質なのかもしれなかった。 ■ 東京都江戸川区。 安藤潤也は自宅でカレーを煮込み終え、テレビのニュースを眺めている。 そこで、彼のサーヴァント・ライダーのジャイロが念話で声をかけた。 『ジュンヤ。こいつは驚いたぜ……マスターらしい奴を一人見つけたが、国会議員だとよ!』 (議員か……) 彼らが捕捉したマスターとは『織田信長』。 戦国武将と同姓同名じゃあないかと、潤也も驚いた。 しかし、聖杯戦争とは無縁の――政治関係に目を向けて居なかった為、潤也は初めて彼の存在を知る。 どうやって『織田信長』をマスターと捕捉したのか? ――買ったのだ。情報を。 正しくは『情報屋が情報を提供した人物についての情報』を買った。 無論、情報屋とは信長が利用している『ミスターフラッグ』である。 何故『ミスターフラッグ』は信長を裏切ったのか? のではない。 そもそも『ミスターフラッグ』を含めた情報屋は誰の味方でもない。 金さえ支払えば、それに応えるのが情報屋なのだ。 『どうしてこう、政治家の連中を敵にする縁があるんだろうなぁ。ま、大統領相手よりかマシか』 (えっ、マジ? 一体どーしたら大統領を敵にすんだよ……) 『色々あってな……それよりジュンヤ、そいつの家に探りに向かうか? 情報屋が俺の存在をノブナガに明かすのも考慮した方がいいかもな………』 (……場所は?) 『足立区だ』 サーヴァントの足ならば、容易な距離の移動だ。 情報屋によれば、信長は一日に三回分けて情報を仕入れるように契約をつけたらしい。 即ち、彼は国会に出席しておらず。大体が自宅にいるとの話だ。 潤也はしばし考えた後「そうしてくれ」とジャイロに伝えた。 兄の帰宅がまだなのを見計らい、潤也はパソコンを起動させた。 今朝、兄が使用していたと思しき観覧履歴を確認すれば、どれもこれも刺青男に関するサイトや書き込み。 ニュースサイトは些細な事件まで目を通している。 兄貴らしいなぁ……と感心しつつ、潤也はある単語を検索した。 [カイン] カインと……アベル。 二人の兄弟。 そして、人類最初の加害者と被害者。 人類最初の殺人。人類最初の嘘………それらを行ったのが『カイン』。 攻撃を跳ね返す……植物を枯らす……他にもジャイロは思うところがあるのだろう。 だからこの名を潤也に尋ねた。 しかし、潤也は概要を眺めながら、沈黙を続けている。 兄貴が召喚したのが……こいつ? でも、もし本当だとして。ライダーは勝ち目があるのか? 最悪……兄貴の方を殺さないと……… 潤也は呟く。 「なぁ、兄貴……もしかしてさ………俺を殺したりしないよな」 分からなかった。 どう考えても――何故『カイン』が『アベル』を殺したのか。 ■ 「――お」 東京都足立区。織田信長の自宅前。 野次馬ではない人物がしかと待ちかまえている。それは安藤潤也のサーヴァント・ライダーのジャイロ。 彼は自宅前に停車している高級車に、彼の織田信長が乗車するのを確認した。 そして、どこかへ向かうらしく走り出す。 ジャイロは走り去る車をしばし眺めてから彼の愛馬――『ヴァルキリー』を召喚する。 東京都内を馬が走り抜けるなど、それだけで話題が尽きないだろう。 ただ、逆に。 ジャイロの存在に気づき、攻撃を仕掛けてくるようなら紛れもない聖杯戦争の主従だ。 何より――ジャイロが様子見で訪れた際。 サーヴァントらしき魔力を確かに感じたのだ。 少なくとも……あの瞬間までは、サーヴァントは実体化をしていた…… 「だったら――こっちから仕掛けてやってもいいぜ」 ジャイロは鉄球を一つ手にし、信長が居る高級車へ接近した。 都内で走り続ける馬とそれに追跡される車―――どう見ても異常な光景だ。 そして、信長も気付いていない訳ない! むしろ、信長はセラスが察知した為、既にジャイロが自宅前に構えている事を把握していたのだ。 その上で高級車に乗車し、ジャイロに『追われている』。 運転手の眼鏡をかけた男性がおどおどしく声を上げる。 「どっ、どうしましょう!? 危険ですから一旦停車して――」 「いーや、走れ! 走り続けろ。信号機で止まるまではな。アーチャー!」 車内で霊体化を解いたセラス。 しかしながら、ここで対化物砲を出現させる訳にはいかない。 吸血鬼である彼女は日光を警戒するべき存在だが、時刻は夕暮れ。何の問題もなかった。 まだ住宅街。 もう少しで街並みが変化する辺りで、信号機が出現する。 皮肉にも、色は『赤』だ。セラスは即座に後部座席の扉を開き『影』を蠢かす。 それも『影』であった為にジャイロも異変への反応が多少遅れてしまう。 ジャイロ本人よりも、馬のヴァルキリーが動物としての本能で緊急停止せざる負えなかった。 『影』は明確な攻撃性が備わっていた。 わずかに振れたことで、ヴァルキリーは影で身動きを封じられた。 ジャイロもただで終わらない。 住宅の庭に植えられた植物から『黄金長方形』を視認し、鉄球を投擲したのだ。 この距離で、確実に命中する。 「……な」 そして。 セラスも同等だった。 車外であれば『ハルコンネン』は取り出せる。化物の洞察力を以てして『影』で『ハルコンネン』を操り。 そして――放つ。 弾丸と鉄球は衝突したが、弾丸が破壊され。鉄球は残ったものの。 一旦、ジャイロの鉄球は彼の手元に戻らざる負えなかった。 「あのサーヴァントッ!?(アーチャーか!?)こんなところで、あんな馬鹿でかい銃火器をぶっ放す奴がいるか!」 信号機の色が変わった途端、車が走り去る。 それから少し遅れ、ヴァルキリーを束縛していた『影』が退いて行った。 追跡は? まだ間に合う筈。恐らくレンジ外からセラスの方が抜けだした為だろう。 「……まさか。狙ったのか? あんな馬鹿みてえな武器で、俺の鉄球を……」 衝突したのは――偶然なのか。 確証がつかめないまま、ジャイロはヴァルキリーに支障がないのを確認し。 再び街を走り抜けた。 大分、距離は離れてしまったが、英霊の持つ馬の方が圧倒的な速度を誇る。 最悪――信長の車と肩を並べるのは簡単だ。 一方の信長は、全てが作戦通りで満足した様子。 車を追跡するジャイロを確認し信長は携帯電話のメールを送信する。 「あ。来ました」 信長のメールを受け取ったのは、信長の自宅に残った若い家政婦だった。 眼鏡をかけたツインテールをした巨乳の家政婦は「よいしょ」と信長邸にある駐車場から車を発進させる。 運転する女性以外に、今剣とルーシーが乗車をしていた。 訳もわからず信長の命令に従っている女性だが、少し顔色の悪いルーシーに対し心配する。 「すみません、私の車なんで乗り心地良くないと思います。 もしかして車酔いしやすいタイプですか? 横になっちゃってていいですよ」 「ええ……ありがとうございます」 「確か~えーと。向かうのは博物館でしたっけ? 何でまたこんな時間に……」 やれやれといった呆れを浮かべる家政婦。 今剣は、優れない顔色のルーシーを心配していた。 「るーしー。ひどくなったら、くすりをわたしますね」 「大丈夫……まだ、大丈夫よ。心配をかけて、ごめんなさい」 簡単な話。 ジャイロとの戦闘に、今剣とルーシーを巻き添えには出来なかった。 今剣はサーヴァントを失い。ルーシーはサーヴァントを呼び寄せて令呪を失う為にはいかない。 何より、巷で噂の刺青のバーサーカーのマスターがルーシーなのだ。 格好な餌でしかない。 だからこそ。信長は自らとセラスを囮に使った。 捕捉された理由は信長自身にある。相手は信長をマスターと認識しているのだ、それを利用する。 相手は抜け殻だと家の監視は止めたも同然。 勿論。 他の主従には警戒しなければならない。ビクビクしながら進まなければ―― 最悪の場合、ルーシーは刺青男を――アベルを呼ぶしかない。 しかし、そのアベルもどうやら動き始めたらしい。 出発する以前に、ルーシーの身に疲労感が蓄積されていった為、魔力消費が原因だと分かる。 それを見た信長は迅速な判断を下す。 ルーシー達は―――博物館へ向かわせる。 ひょっとすれば、アベルが一度死ぬ可能性がある。 もうそろそろサーヴァントとの死闘を予想される以上、これもまた最悪のケースを考え。 博物館で待機しろとのこと。 そして信長はそこでアベルに話をつける、と。 ルーシーは無謀だと言ったが。信長は嗤って答えた。 ――同盟とか。そんなんじゃあない。カインの奴がこの『東京』にいるとか……騙したりすりゃいいってことよ。 それも酷い嘘だ。ルーシーは思う。 アベルはカインを憎まない筈がないのに、彼の子孫たる人間が死に絶えるのを望んでいるのに。 そんな恐ろしい事をやってのける男なのか。織田信長は。 神にも動じない。第六天魔王などという異名を持つ彼の逸話を知らぬルーシーでも。 彼がとんでもない綱渡りに挑戦しようとするのは明白だった。 「う………」 「るーしー! これを……」 久方ぶりの目眩を覚えルーシーは呻く。 今剣が差し出してくれた薬を飲み干してから、念のために栄養ドリンクも口に入れた。 気分は分からない。 吐き気やら目眩やらなんやら……様々な症状が混ざり過ぎて、判断力が薄まっているのをルーシーは感じる。 否。 違う。 今度ばかりは尋常ではない症状が現れた。 理由は――限界に近いほどの魔力消費。そして――宝具の発動。 「う、っぐ………! うう………!!」 「るーしー!?」 急激な魔力消費。もはや生死に関わるレベルだった。 アベルの通常戦闘だけでもルーシーは限界だというのに、それ以上の魔力を要求する宝具への代償! 彼女の苦しみようはタダ事ではない。 運転していた家政婦も、慌てて問うた。 「大丈夫ですか!? 今すぐ病院に―――」 「い……いえ、お願い。博物館へ……博物館に向かって、下さい……わたしは、うっ……!」 「るーしー! 『令呪』をつかったほうがいいです! はやく!!」 令呪で魔力ブーストが使用できる。 それを分かっている。分かってはいるが……駄目だ。やっぱり令呪は使えない! ルーシーは生死の覚悟を決めた。 令呪は……使わない!! 耐える! 耐えるしかないのだ。 生き残るために……! 勝利する為に! 那須与一が残したもの……夫・スティールのこと……その為には――― 「るーしー!!」 「わたし……は……耐えるわ…………だから、止めないで。令呪は……使わない」 「そんな、だめです! あーちゃーが、よいちが……ぼくたちをたすけてくれたんです!! しんじゃ、だめなんです!!!」 涙ながらに訴える今剣に、ルーシーは首を横に振る。 「今剣……お願い………祈って欲しいの……わたしの命が尽きないことを……それだけでいい………」 「るーしー……!」 ルーシーは意識が遠くなるのを感じる。 完全に蚊帳の外な家政婦は「あの……」とおどおどしく声をかけてきた。 今剣は、涙を拭う。 短刀を握りしめながら、今剣は家政婦へ頼む。 「はくぶつかんへむかってください! おねがいします!!」 「えっ、あ……は、はい。わかりました」 今剣の必死な態度に押された家政婦は、再びハンドルを握った。 時系列順 Back クラレッタのスカートを直せ Next 無物語-ナキモノガタリ- 投下順 Back クラレッタのスカートを直せ Next 無物語-ナキモノガタリ- ←Back Character name Next→ 024 世界 止めて 今剣 027 無物語-ナキモノガタリ- 021 桜田門外の変 アダム アーチャー(ロボひろし) 024 世界 止めて 織田信長 アーチャー(セラス・ヴィクトリア) 021 桜田門外の変 安藤潤也 ライダー(ジャイロ・ツェペリ) ジャック・ブライト キャスター(西行寺幽々子) 安藤 アサシン(カイン) 024 世界 止めて ルーシー・スティール
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平野藤四郎 にっかり青江 へし切り長谷部 ソハヤノツルギ 一期一振 三日月宗近 五虎退 今剣 加集清光 和泉守兼定 堀川国広 大典太光世 大和守安定 宗三左文字 小夜左文字 小狐丸 山姥切国広 数珠丸恒次 江雪左文字 燭台切光忠 獅子王 膝丸 蛍丸 長曽祢虎徹 陸奥守吉行 髭切 鳴狐
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2018年1月7日 新第1話:【睦月】強くならなきゃ BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/大和守安定:市来光弘/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/前田藤四郎:入江玲於奈 にっかり青江:間島淳司/陸奥守吉行:濱健人/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬/歌仙兼定:石川界人/薬研藤四郎:山下誠一郎 燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/山姥切国広:前野智昭/獅子王:逢坂良太/石切丸:高橋英則/秋田藤四郎:山谷祥生 乱藤四郎:山本和臣/愛染国俊:山下誠一郎/同田貫正国:櫻井トオル/鶴丸国永:斉藤壮馬/平野藤四郎:浅利遼太/厚藤四郎:山下大輝 小夜左文字:村瀬歩/鶯丸:柿原徹也/堀川国広:榎木淳弥/和泉守兼定:木村良平/大倶利伽羅:古川慎/三日月宗近:鳥海浩輔 山伏国広:櫻井トオル/一期一振:田丸篤志/蛍丸:井口祐一/明石国行:浅利遼太/髭切:花江夏樹/膝丸:岡本信彦/こんのすけ:新祐樹 先代こんのすけ:飛田展男 2018年1月14日 第2話:【如月】明日もいい日になりますように BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/へし切長谷部:新垣樽助/にっかり青江:間島淳司/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬/薬研藤四郎:山下誠一郎 燭台切光忠:佐藤拓也/乱藤四郎:山本和臣/鳴狐:浅沼晋太郎/同田貫正国:櫻井トオル/平野藤四郎:浅利遼太/骨喰藤四郎:鈴木裕斗 厚藤四郎:山下大輝/鴬丸:柿原徹也/博多藤四郎:大須賀純/山伏国広:櫻井トオル/御手杵:浜田賢二/一期一振:田丸篤志 数珠丸恒次:緑川光/こんのすけ:新祐樹 2018年1月21日 第3話:【弥生】絶対負けねーッ! BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/へし切長谷部:新垣樽助/蜂須賀虎徹:興津和幸/陸奥守吉行:濱健人/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬/歌仙兼定:石川界人 宗三左文字:泰勇気/薬研藤四郎:山下誠一郎/燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/山姥切国広:前野智昭/獅子王:逢坂良太 石切丸:高橋英則/乱藤四郎:山本和臣/愛染国俊:山下誠一郎/同田貫正国:櫻井トオル/鶴丸国永:斉藤壮馬/堀川国広:榎木淳弥 和泉守兼定:木村良平/大倶利伽羅:古川慎/三日月宗近:鳥海浩輔/山伏国広:櫻井トオル/御手杵:浜田賢二/浦島虎徹:福島潤 蜻蛉切:櫻井トオル/日本号:津田健次郎/小狐丸:近藤隆/蛍丸:井口祐一/明石国行:浅利遼太/長曽祢虎徹:新垣樽助 太鼓鐘貞宗:高橋孝治/こんのすけ:新祐樹 2018年1月28日 第4話:【卯月】この本丸の仲間だからだ BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/大和守安定:市来光弘/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/前田藤四郎:入江玲於奈 陸奥守吉行:濱健人/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬/宗三左文字:泰勇気/薬研藤四郎:山下誠一郎/燭台切光忠:佐藤拓也 山姥切国広:前野智昭/獅子王:逢坂良太/乱藤四郎:山本和臣/鳴狐:浅沼晋太郎/鶴丸国永:斉藤壮馬/厚藤四郎:山下大輝 小夜左文字:村瀬歩/堀川国広:榎木淳弥/和泉守兼定:木村良平/太郎太刀:泰勇気/次郎太刀:宮下栄治/山伏国広:櫻井トオル 江雪左文字:佐藤拓也/日本号:津田健次郎/太鼓鐘貞宗:高橋孝治/不動行光:阪口大助/小烏丸:保志総一朗 2018年2月4日 第5話:【皐月】俺だから、できること BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/前田藤四郎:入江玲於奈/蜂須賀虎徹:興津和幸/陸奥守吉行:濱健人/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬 薬研藤四郎:山下誠一郎/燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/山姥切国広:前野智昭/秋田藤四郎:山谷祥生 乱藤四郎:山本和臣/鳴狐:浅沼晋太郎/愛染国俊:山下誠一郎/鶴丸国永:斉藤壮馬/平野藤四郎:浅利遼太/骨喰藤四郎:鈴木裕斗 厚藤四郎:山下大輝/堀川国広:榎木淳弥/和泉守兼定:木村良平/次郎太刀:宮下栄治/三日月宗近:鳥海浩輔/博多藤四郎:大須賀純 浦島虎徹:福島潤/一期一振:田丸篤志/長曽祢虎徹:新垣樽助/髭切:花江夏樹/膝丸:岡本信彦/小烏丸:保志総一朗 大典太光世:浪川大輔/ソハヤノツルキ:浅利遼太 2018年2月11日 第6話:【水無月】これからもよろしく BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/へし切長谷部:新垣樽助/にっかり青江:間島淳司/陸奥守吉行:濱健人/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬 歌仙兼定:石川界人/宗三左文字:泰勇気/薬研藤四郎:山下誠一郎/燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/山姥切国広:前野智昭 石切丸:高橋英則/秋田藤四郎:山谷祥生/乱藤四郎:山本和臣/鳴狐:浅沼晋太郎/愛染国俊:山下誠一郎/同田貫正国:櫻井トオル 鶴丸国永:斉藤壮馬/平野藤四郎:浅利遼太/骨喰藤四郎:鈴木裕斗/厚藤四郎:山下大輝/小夜左文字:村瀬歩/堀川国広:榎木淳弥 大倶利伽羅:古川慎/博多藤四郎:大須賀純/山伏国広:櫻井トオル/御手杵:浜田賢二/江雪左文字:佐藤拓也/一期一振:田丸篤志 蜻蛉切:櫻井トオル/岩融:宮下栄治/蛍丸:井口祐一/明石国行:浅利遼太/数珠丸恒次:緑川光/太鼓鐘貞宗:高橋孝治 後藤藤四郎:村田太志/信濃藤四郎:小林裕介/こんのすけ:新祐樹 2018年2月18日 第7話:【文月】いざ、大勝負 BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/大和守安定:市来光弘/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/前田藤四郎:入江玲於奈/にっかり青江:間島淳司 蜂須賀虎徹:興津和幸/陸奥守吉行:濱健人/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬/歌仙兼定:石川界人/宗三左文字:泰勇気/薬研藤四郎:山下誠一郎 燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/秋田藤四郎:山谷祥生/乱藤四郎:山本和臣/鳴狐:浅沼晋太郎/愛染国俊:山下誠一郎 平野藤四郎:浅利遼太/骨喰藤四郎:鈴木裕斗/厚藤四郎:山下大輝/小夜左文字:村瀬歩/鴬丸:柿原徹也/大倶利伽羅:古川慎 博多藤四郎:大須賀純/山伏国広:櫻井トオル/御手杵:浜田賢二/江雪左文字:佐藤拓也/浦島虎徹:福島潤/一期一振:田丸篤志 日本号:津田健次郎/岩融:宮下栄治/長曽祢虎徹:新垣樽助/太鼓鐘貞宗:高橋孝治/ソハヤノツルキ:浅利遼太/包丁藤四郎:宮田幸季 物吉貞宗:小野賢章 2018年2月25日 第8話:【葉月】このことは秘密だからな BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/にっかり青江:間島淳司/陸奥守吉行:濱健人/燭台切光忠:佐藤拓也 同田貫正国:櫻井トオル/鶴丸国永:斉藤壮馬/平野藤四郎:浅利遼太/鴬丸:柿原徹也/堀川国広:榎木淳弥/太郎太刀:泰勇気 次郎太刀:宮下栄治/大倶利伽羅:古川慎/三日月宗近:鳥海浩輔/山伏国広:櫻井トオル/一期一振:田丸篤志/蜻蛉切:櫻井トオル 岩融:宮下栄治/髭切:花江夏樹/膝丸:岡本信彦/数珠丸恒次:緑川光/太鼓鐘貞宗:高橋孝治/大典太光世:浪川大輔 信濃藤四郎:小林裕介/亀甲貞宗:山中真尋/千子村正:諏訪部順一/大包平:小野友樹 2018年3月4日 第9話:【長月】たまにはいいですね… BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/蜂須賀虎徹:興津和幸/陸奥守吉行:濱健人/歌仙兼定:石川界人 山姥切国広:前野智昭/愛染国俊:山下誠一郎/小夜左文字:村瀬歩/鴬丸:柿原徹也/堀川国広:榎木淳弥/和泉守兼定:木村良平 太郎太刀:泰勇気/次郎太刀:宮下栄治/三日月宗近:鳥海浩輔/御手杵:浜田賢二/浦島虎徹:福島潤/蜻蛉切:櫻井トオル 日本号:津田健次郎/小狐丸:近藤隆/岩融:宮下栄治/蛍丸:井口祐一/明石国行:浅利遼太/長曽祢虎徹:新垣樽助 不動行光:阪口大助/小烏丸:保志総一朗/後藤藤四郎:村田太志/亀甲貞宗:山中真尋/千子村正:諏訪部順一 2018年3月11日 第10話:【神無月】ね、大丈夫でしょう BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/前田藤四郎:入江玲於奈/蜂須賀虎徹:興津和幸/鯰尾藤四郎:斉藤壮馬/歌仙兼定:石川界人 薬研藤四郎:山下誠一郎/燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/獅子王:逢坂良太/秋田藤四郎:山谷祥生/鳴狐:浅沼晋太郎 愛染国俊:山下誠一郎/鶴丸国永:斉藤壮馬/平野藤四郎:浅利遼太/大倶利伽羅:古川慎/御手杵:浜田賢二/浦島虎徹:福島潤 一期一振:田丸篤志/日本号:津田健次郎/蜻蛉切:櫻井トオル/蛍丸:井口祐一/明石国行:浅利遼太/長曽祢虎徹:新垣樽助 大典太光世:浪川大輔/ソハヤノツルキ:浅利遼太/包丁藤四郎:宮田幸季/物吉貞宗:小野賢章 2018年3月18日 第11話:【霜月】期待しているよ BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/にっかり青江:間島淳司/歌仙兼定:石川界人/燭台切光忠:佐藤拓也 山姥切国広:前野智昭/獅子王:逢坂良太/愛染国俊:山下誠一郎/鶴丸国永:斉藤壮馬/厚藤四郎:山下大輝/小夜左文字:村瀬歩 大倶利伽羅:古川慎/三日月宗近:鳥海浩輔/岩融:宮下栄治/小狐丸:近藤隆/蛍丸:井口祐一/明石国行:浅利遼太 数珠丸恒次:緑川光/太鼓鐘貞宗:高橋孝治/後藤藤四郎:村田太志/信濃藤四郎:小林裕介/包丁藤四郎:宮田幸季 千子村正:諏訪部順一/こんのすけ:新祐樹/伊達宗村:後藤ヒロキ 2018年3月25日 第12話:【師走】花丸な日々の物語終 BS11デジタル:24時00分〜 加州清光:増田俊樹/大和守安定:市来光弘/へし切長谷部:新垣樽助/今剣:山下大輝/陸奥守吉行:濱健人/歌仙兼定:石川界人 燭台切光忠:佐藤拓也/五虎退:粕谷雄太/獅子王:逢坂良太/秋田藤四郎:山谷祥生/愛染国俊:山下誠一郎/鶴丸国永:斉藤壮馬 厚藤四郎:山下大輝/小夜左文字:村瀬歩/堀川国広:榎木淳弥/和泉守兼定:木村良平/大倶利伽羅:古川慎/三日月宗近:鳥海浩輔 長曽祢虎徹:新垣樽助/こんのすけ:新祐樹/伊達宗村:後藤ヒロキ 第1期→刀剣乱舞-花丸- 第2期→続 刀剣乱舞-花丸-