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前ページ次ページゼロのアトリエ 裏口の方にルイズたちが向かったことを確かめると、 キュルケはヴィオラートにもらった太鼓を叩き始めた。 「これで…一体何が起こるのかしら?」 あたりに規則正しい太鼓の音が鳴り渡る。 ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師19~ その音を聞き流して、タバサは三叉音叉を見つめていた。 破壊の像が盗まれた時、一撃で土ゴーレムを崩壊させた道具。その使用法から推察するに、 おそらく、これであの岩ゴーレムを壊せという事なのだろうが、 これを安全に、確実にあのゴーレムに叩きつける方法が見つからない。何か簡単な方法がありそうなのだが… 答えを探しつつ風のルーンを唱え、飛来する矢を逸らし、太鼓の音を風に乗せる。 「ひえっ!」 飛来し損ねた矢と巻き上がる突風に、思わず声を上げたのはギーシュ。 デニッシュの籠を抱えつつ、自己の果たすべき役割について思いを巡らす。 ヴィオラートがギーシュに渡したデニッシュは、回復用のサポートアイテムだ。 トライアングルの二人のサポートに、一人だけドットのギーシュが回るのは理に叶っており、 そのこと自体について異論があるわけではない。ないが、しかし。 (こんなことはそのあたりの平民にだってできるじゃないか!) 何とか自分の貴族としての力を示そう。そう決意し、ない頭を回転させてみるが… タバサが不意にギーシュの腕を引っ張り、今までギーシュのいた場所に逸らし損ねた矢が一本突き刺さる。 「ひっ…」 「気をつけて」 それだけ言うと、タバサはまた風の魔法を詠唱し始めた。 ほどなくして、飛来する矢が目に見えて減り始める。 「あらら…効き目は抜群ねえ。」 キュルケが一小節をたたき終わる度、一人また一人と傭兵達の足取りが重くなり、目つきが濁り… ついには武器を投げ出し、座り込み、また大の字になって動きを止める。 「ふふ、残りはゴーレムさんとフーケさん、だけかしら?」 そう言いつつも、キュルケは演奏を止めようとは思わないようだ。 「まるで微熱に浮かされて倒れたように…何だか楽しいとは思わない?」 楽しそうに、そう囁いた。 傭兵があらかた片付いたのを見て、タバサはギーシュに顔を向ける。 「…な、なんだい?」 「ワルキューレ」 「ぼ、僕のワルキューレが?」 タバサはゴーレムを指し、音叉をギーシュに手渡すと、言った。 「七分の六を、一分の一にする」 ゴーレムの肩の上で、フーケは舌打ちをした。 今しがた突撃を命じた一隊が全滅したのだ。おそらくは風に乗って聞こえるこの音が関係しているのだろう。 歴戦の傭兵が、まるで訓練で潰れるひ弱な新兵のように疲労困憊し、動けなくなってしまう。 フーケ自身も、まるで微熱に浮かされたような倦怠感に襲われていた。 隣に立った仮面に黒マントの貴族に、フーケは呟く。 「これは…あの女ね。ねえ、どうするのさ。」 「あれでよい。」 「あれじゃあ、あいつらをやっつけるなんて無理じゃない?」 「倒さずとも、分散すればそれでよい。」 仮面の男はそう言うと、フーケに告げる。 「よし、俺はラ・ヴァリエールの娘を追う。」 「私はどうすんのよ。」 フーケはあきれた声で言った。 「好きにしろ。合流は例の酒場だ。」 男はゴーレムの肩から飛び降り、暗闇に消えた。 「ったく、勝手な男だよ。何考えてんだか教えてもくれないし…」 フーケは苦々しげに呟いた。 ゴーレムの足元では傭兵達が大の字になって転がっている。 フーケは下に向かって怒鳴った。 「ええいもう!頼りにならない連中ね!どいてなさい!」 フーケが、ゴーレムの足を一歩進ませたその時。 フーケの叫び声に反応したのか、太鼓に合わせて酒場の入り口から小さなゴーレムが六体顔を出した。 女騎士をかたどったのであろうその像は、それぞれの手に一本ずつの… 三叉の音叉を携えていた。 「あれは!!」 忘れもしない。破壊の像を手に入れ、逃げる途中に見たあの光景。遠目だったが間違いない。 あの女があの音叉を使って、一撃でゴーレムを崩壊させた。 あんなものが量産できるのか?それともフェイク?判断する間もなく、 氷嵐の竜巻がフーケに向かって駆け上る。水と風のトライアングルスペル、『アイス・ストーム』。 フーケはとっさに、ゴーレムの両腕を壁代わりにしてガードを試みる。 そして、女騎士のうちの一体を踏み潰そうとゴーレムの足を上げ、下ろす。 ゴーレムの足が下り始めた瞬間、酒場の脇の路地から勢い良く何かが飛び出す。 それは唯一本物の三叉音叉を持った、七体目のワルキューレ。 「これが僕の本命さ!」 他の六体は全て囮、他の六本は全てすかすかのフェイク。全てはこの一撃のために。 壁代わりの手は動かせない。足はまだ地面に下りきっていない。 なすすべのないゴーレムに七体目のワルキューレが踊りかかって、 三叉音叉が、ゴーレムの軸足を叩いた。 「わ、ちょっとっ、これはっ!」 軸足全体が崩壊し、バランスを崩したゴーレムは倒壊。 壁を失ったフーケはアイス・ストームの竜巻に巻き込まれ、 はるか上空、はるか遠くへと飛ばされた。 フーケがアイス・ストーム空の旅を楽しんでいる頃。 ルイズ達は桟橋へと到着していた。 「桟橋なのに、山に登るの?」 ヴィオラートは言った。ワルドは答えない。 長い長い階段を登ると、丘の上に出た。そこから見える光景に、ヴィオラートは息をのむ。 巨大な木が、四方八方に枝を伸ばしている。 そして、その巨大な枝からぶら下がっている木の実のようなものが、果たして船なのであった。 「これが『桟橋』?これが『船』?」 ヴィオラートが驚いた声で言うと、ルイズは怪訝な顔で言い返した。 「そうよ。あんたのとこじゃ違うの?」 その問いかけに答えようとしたヴィオラートは、何かに思い当たって沈黙する。 (神の…浮船…) その様子にルイズは肯定の意を感じ取ったのか、 「海に浮かぶ船もあれば、空に浮かぶ船もあるわ。」 こともなげに言い放つ。 ヴィオラートは答えず、ただじっと空に浮かぶ船を見つめていた。 前ページ次ページゼロのアトリエ
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ミツマタノヅチ No.4985 レア度 5 レベル 1 最大Lv99 スキル モーレツ三叉撃 アシスト進化 ミツマタノヅチの妖怪メダル コスト 30 HP 724 3475 ターン(最短) 40(10) タイプ ドラゴン/悪魔 攻撃力 266 1435 Lスキル ギョロローン! チカラを貸してやる! 主属性 木 回復力 69 373 進化元 なし 編集 副属性 闇 EXP 400万 4,000,000 進化先 アシスト進化(1種) 覚醒 HP80%以上強化 / HP80%以上強化 / スキルブースト / スキル封印耐性 / バインド回復 / バインド回復 / バインド回復 / バインド耐性 / バインド耐性 超覚醒 HP80%以上強化 / HP50%以下強化 / バインド回復
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Guilty or Not Guilty ◆UjRqenNurc カーテンから零れる柔らかな光。 朝を告げる小鳥の囀り。 肌触りのいい、清潔なシーツ。 いつもの時間、いつもの部屋。いつもの静謐な朝の風景。 ひだまり荘の自分の部屋だ。 悪い夢でも見ていたのか、身体がベトベトして気持ちが悪い。 (宮ちゃんが迎えに来る前にシャワー浴びとこ……) 自分で起きなければ誰も起こしてくれず、黙っていて食事が出てくるわけでもない一人暮らしの生活。 だが、家族に気兼ねなく自分のしたい事を好きな時に出来るのもまた一人暮らしの特権と言えた。 ゆのはベッドから身を起こすと、うとうとしたままお風呂場へと向かう。 蛇口を捻ると細かい水滴が裸身を叩き、起伏の少ない身体を水流となって流れ落ちる。 (あれ……私、いつパジャマ脱いだんだっけ……) 頭をよぎる些細な疑問。 だが、心地よい水流の流れがそんな疑問をも押し流す。 軽く指で髪を梳き、水を切る。 キモチイイ。 なんだか、久しぶりにシャワーを浴びた気がする。 ずっと入りたかったのに、入りそびれていたというか…… 飢餓感にも似た衝動が充足するのを感じた。 だが、長々と入っているわけにはいかない。 軽く汗を流したらすぐ朝の準備をしよう。 石鹸を付けずに、掌で軽く身体をなぞる。 腕、首筋、胸元を経て、肋骨に沿うように脇腹を擦りあげた手が股間へと伸びる。 「ひゃうっ」 思わず、妙な声を出してしまう。 それまで自分の意思に御されて動いていた指。それが自分の意思に反して滑ってしまったのだ。 その原因は指先に感じるぬめり。 「え? なに……?」 思わず指を目の前に持ってくると、その指先から粘液が糸を引いて垂れ落ちた。 その雫を、無意識に目で追う。 足元のタイルに雫が弾けて消えるのと、果たしてどちらが早かっただろうか。 突然、足首をなにかに掴まれた。 それは、お風呂場と言う個人的な空間ではおよそあり得ない出来事。 心臓が止まるかと思った。 瞬間的にとび跳ねた身体は浴場の壁に当たり、押し付けられたお尻の肉が硬いタイルに密着して形を歪ませる。 私に気付かれないように、こっそり入ってきた宮ちゃんの悪ふざけ? 早鐘を打つ心臓を抑えながら、ゆのはゆっくりと視線を動かし足元を視認する。 まるで万力のように足首を固定するソレは、巌のような男の手。 断じて親友の物などではありえない。 鼓動が早まる。 見たくない。 見てしまったら、私はあそこに連れ戻されてしまう。 眼をつぶって、身体を丸めて、悲鳴を上げてしまいたかった。 階下に住む優しい先輩たちに、隣に住む親友に助けに来て貰いたかった。 だというのに瞼は閉じるどころか、引きちぎれそうなほどまで見開かれる。 壁にしっかりと押し当てられたお尻はそれ以上ずり落ちることもなく、脚を竦ませながらも自立している。 喉から漏れる呼気がわずかに声帯を振るわせ、声にならない音を立てた。 そしてついに、ゆのはそれを見てしまう。 うつ伏せに倒れながらも、自分の足を掴み、見上げてくる男の顔を。 強い意思を感じさせる、男性的な極太の眉。 固く結ばれた口元。 短く刈りあげられた髪。 そして機械のような冷徹な光を放つ眼差し。 「キャアーーーーーー!!」 限界まで溜め込まれた恐怖が爆発する。 一度見たら絶対忘れられないような、特徴ある顔。 こんな人、知らない。 (ほんとうに?) 「いやああああっ!!」 掴まれていない方の足を持ち上げ、踵で蹴りつける。 踵から伝わる鈍い衝撃。 だというのに、男に怯む様子はない。 無表情に、それでいて全てを見透かしているかのように。 男の視線が、ゆのの裸身を刺し貫く。 「ひぃうっ!」 手を離して欲しかった。 逃げ出したかった。 だから蹴った。何度も、何度も。 だが、逃げられない。 男の力は緩まない。 そのうち、自由だったもう片方の足も掴まれる。 今度はクラスメイトと同じくらいの背格好。 気弱そうだが、優しそうな男の子が同じように倒れながらもゆのを恨めしそうに見つめていた。 どこにでも居そうな男子だったが、やはり知らない人だった。 (ううん、知ってる……) いつの間にか、お風呂場は自分の部屋の物ではなくなっていた。 見覚えのない、広い大浴場。 そこで自分を捕まえる二人の知らない男性。 (いや……) 歯の根が噛み合わない。 顎が痙攣するように震える。 歯と歯のぶつかり合う音がうるさかった。 手を振り上げる。 頭上にあるのは、大量の水で作られた鉄鎚。 ゆのはその柄を握り締めると……振り下ろす。 (いやああああああああ!!) 視界を染める、赤。 その色に包まれるように、ゆのの意識は赤暗く暗転する。 どこかで判っていた。 これが自分の罪の具現。 忘れてはならない……そして誰にも知られてはいけない記憶だと。 私が殺した…… まだ、何をされたわけでもないのに。 怖かった。 ただ、それだけの事で。 あの二人の命を、奪ってしまったのだ。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 あんな事になるなんて、思ってなかったの。 ……私、警察に捕まっちゃうのかな。 そしたらひだまり荘にも、学校にも、もう居られない。 宮ちゃんもきっと、口も利いてくれなくなっちゃうよ…… そんなの……やだよ…… でも……だれも……見てないんだから……このまま知らないふりをしていれば…… だけど、息が苦しい。 心が押しつぶされそうになる。 例え誰にも見られていなくても、誰にも知られる事がなくても。 私だけは知っている。 私が……人殺しなんだって。 そして眼に映るのは自分の部屋ではなく、どこかの見知らぬ路地裏。 背の高い建物に取り囲まれたそこで、ゆのは目を覚ます。 コンクリの壁に背を預けていたゆのの身体に、窓ガラスに浮かぶ朝露が垂れ落ちてきてぽつりぽつりと当たる。 人の眼につかない代わりに、陽の光も射さない路地裏。 いまだ色濃く漂う夜の残滓は、ゆのの素肌を粟立たせ乳首を硬く尖らせる。 あの時、温泉で二人の男を殺害してしまった後。 放送でヒロの死を知ったゆのは、思いっきり泣いた。 泣いて 泣いて 涙が枯れ果てるまで泣いて 意識を失うように眠りについたのだった。 心神喪失とも言える状態でこんなところに来たのは、誰の目にもつきたくないと無意識の内に思ったからだろうか。 冬眠から目覚めたばかりのリスのように、ゆのはのろのろと起き上がる。 身体をぶるりと震わせる。 全てを、覚えている。 トレードマークの×の髪飾りが力なく揺れた。 足に当たり、転がるバレーボールのような球体。 人殺しの凶器。 ゆのはそれに一瞬陰鬱な目を向けると、すぐに背ける。 そしてそれを置き去りにしたまま、その場を立ち去った。 × × × このゲームのジョーカー、趙公明と共に初めて行われた放送を聞く紅蓮の錬金術師、ゾルフ・J・キンブリーの表情は渋い。 その渋面の訳は、齎された死者の数や名前といった情報によるものではなく、放送を前にして明かされた参加者たちの名を記した名簿が原因であ った。 一人、また一人と、名を呼ばれるたびに赤く染まる文字列。 名簿にこのような小細工が施されていたのでは、あの少女への扇動など全てが無意味。 生存者への心理的な駄目押しが目的なのかもしれないが、キンブリーにとってはいい迷惑であった。 「どうやら、私の仕込みは失敗のようですね。無用なお時間を取らせてしまい、申し訳ありません……」 名簿から顔を上げ、同行者に視線を向けるとキンブリーはぎょっとする。 「サヨウナラ……サヨウナラ……太公望、そしてまだ見ぬ好敵手たちよ……オールヴォワール!!」 はらはらと、頬を伝う涙。その両眼からあふれ出す奔流は止まるところを知らない。 北の天を仰ぎながら腕を広げ、嘆きの声をあげる趙公明。 どこからともなく聞こえてくる、オーケストラの演奏を思わせる荘厳な葬送曲はキンブリーの幻聴であろうか。 本気で嘆き悲しむ趙公明の姿がそこにはあった。 「……どなたか、お知り合いが?」 「ああ……我が永遠の宿敵、太公望くんが……そして、決闘を楽しみにしていた数多くの実力者たちが はかなくも散ってしまったのだよ……」 「ほう、それは……残念でしたね」 キンブリーは趙公明の口ぶりから、あの合成獣と練成した少女や、森あいのような無力な存在ばかりが死んだわけではない事を知る。 この男が決闘を楽しみにするほどの実力者たち。 そんな存在もがこの六時間のうちに数多く散って行ったとは……なんという戦場であろうか。 事実、キンブリーの同僚であった焔の錬金術師や、鋼の錬金術師の弟といったキンブリーと比肩しうる錬金術師たちも、 たった六時間のうちに逝ってしまっていた。 それは彼らのような実力者ですらもが、この島では簡単に死んでしまうと言う事。 油断をすれば、自分もたちまちのうちに死者の列に加わることになるであろうという事。 (ですが……この戦いは単純な強さの比べ合いというわけでもないでしょう。 どのような手段を使ってでも、生き残ったものこそが正しいのです) どのような強者であろうが、次の瞬間に死を迎えていてもおかしくはない……この島がそんな場所であることを 知り、キンブリーは昂る。 そんな死と常に隣り合わせの戦場こそが、彼に最高の生を実感させるのだから。 そしてキンブリーは思う。 この素晴らしい結果に、自分の撒いた火種はどれほどの影響を及ぼしてくれたのだろうかと。 確認する術がないのが残念だが……きっと見事な爆発力をみせてくれたのではないだろうか。 一つの爆発は連鎖反応を起こし、自分すらも予期せぬ所に爆発が起きるだろう。 そしてそれはこの島全土を焼き尽くすのだ。ああ、それは、なんと美しい…… ――そんな光景を幻視して、彼の口元が陶然とした笑みの形に歪む。 そのようなキンブリーの昂りが伝染したのか、はたまた彼独自の別の思考を経たのか、趙公明もまた常の姿を取り戻す。 生者の数が減っても、それは決して質の低下を意味するわけではない。 むしろ淘汰された参加者たちは、新たな装備も手に入れてより強大になっていることだろう。 参加者の間引き――放送までになるべく多くの死を作り出し、参加者たちの意識を戦いと死に集中させる。 それは本来ジョーカーである趙公明の仕事でもあったのだが……そのような些細な事を気にする彼ではなかった。 さっきの涙はなんだったのかと思うほどの晴れやかな笑顔でキンブリーに語りかける。 「さて……じゃあ、戻ろうか。 ああ、そうそう。名簿の件だけど」 趙公明が懐から取り出した名簿を見せる。 ジョーカーである彼の持つ名簿は、最初から全ての名が記されていたのだろうか。 細かい書き込みと、マーカーによる色分けが為されていた。 だが、そんな情報よりもキンブリーの視線を奪ったのは―― 「植木耕助の名が……赤く染まっていく……なるほど、そういう仕掛けでしたか」 彼の目の前で、黒い文字から赤く変色する植木の名。 それを見てキンブリーも名簿の仕組みを「理解」する。 「ありがとうございました……と礼を言うべきでしょうか」 「何、君の仕掛けたせっかくの火種だ。それが爆発する様を、僕もまた見てみたかったのさっ」 並んで歩く二人の男たちは軽く微笑みを交わすと歩きだす。 彼らの見定めた実験材料の少女の元へと。 ◇ ◇ ◇ 「……今回の死者は、以上ですね」 「17人……そんなに……」 呆然とする少女。 能力者同士のバトルを見続けてきたとはいえ、人の死に耐性があるわけではない。 キンブリーのもたらした情報を裏付けるように、変色した名簿の文字が彼女の心に追い打ちをかける。 「ええ、大変に悲しい事です……私の知り合いも、何人も呼ばれてしまいました…… ですが、だからこそ私は優勝せねばならない。 死んでしまった方たちを蘇らせるために」 「はい……」 とはいえ、多少時間を与えて気持ちを落ちつけた事が功を奏したのか、目に涙が浮かぶ事があっても受け答えは しっかりした様子である。 これならばと、キンブリーは言葉を繋ぐ。 「それで、あいさん。貴女にいくつかの質問があるのですが……まず一つ。 貴女は何か、武器を持っていますか?」 「……はい。まだ、使ってみた事はないけど……ですけど」 自分に与えられた武器。 あの妙な棒は植木の所で捨ててきてしまったが、デイパックにはもう一つ武器が入っていた。 「ああ、別に楽に喋って貰ってかまいませんよ。私は誰に対してもこういう口調ですからね」 「は、はい……私の武器は……これです」 それは少女が持つには、いささか不釣り合いな大きな銃。 M16A2。 アメリカ軍でも制式採用されている傑作アサルトライフルだ。 「へぇ……可憐だね。今度から君の事をガンスリンガーガールあい君と呼ばせてもらおう!」 「へ、へんなあだ名付けないでよっ! ……っ下さい」 図書館で何やら妙な知識を色々と仕入れてきたらしい趙公明が茶々を入れるが、確かに小さな少女に大きな銃というアンバランスな組み合わせに キンブリーも魅力を感じる。 そして兵器として見ても悪くはない。 キンブリーも錬金術師とはいえ一応軍人としての教練は受けており、基本的な銃の扱い程度なら教えられるし 銃ならば誰が使おうとも、破壊力に関しては一定の威力が出る。 当たれば……という前提付きではあるが、ある程度は戦力として計算出来るだろう。 元より彼女に純粋な意味での戦闘能力など求めているわけでもない。 「ふむ、いいでしょう。使う時が来るまではデイパックに仕舞っておいてください。 ……では次の質問です。あいさん、植木君以外の知り合いの名前は名簿に載っていましたか?」 「はい。鈴子ちゃん……同じチームの仲間がいます。でも……」 「植木君のように、お互いの認識に食い違いがあるかも……と?」 キンブリーの補足に、森は目を伏せてこくりと頷く。 植木を誤解してしまった原因。 彼の話を素直に信じるなら、自分より三年先の未来からやってきたらしい植木。 もし、鈴子ともそんな食い違いがあったなら……それを森は恐れる。 「……最後の質問です。もし、その鈴子さんが私の前に敵として立ちはだかった時…… 貴女は彼女を撃つ事が出来ますか?」 キンブリーの最後の質問に対し、森は言葉に詰まる。 それはキンブリーのやり方に賛同した彼女がもっとも恐れる未来。 もし、植木を殺したその手で、鈴子をも殺すようなことになれば……果たして自分は正常でいられるのかと。 銃を握る手にぎゅっと力が入る。 冷たい鉄の塊……紛う事なき人殺しの為の道具。 (これを……鈴子ちゃんに向けて撃てって言うの? 無理……無理だよっ!) だが心中の言葉を、森が口に出そうとした瞬間、キンブリーが先んじて口を開く。 「少し意地悪な事を言ってしまいましたね。謝罪します。 先ほども言いましたが、私も憎くて人を殺すわけではありません。 私に害を及ぼさないのであれば、無益な殺生をするつもりもない」 「じゃ、じゃあ……」 「ええ、鈴子さんと出会った時の対処は貴女に任せる事にしましょう なるべくなら説得して、私の計画を手伝っていただければ嬉しいのですが」 「説得……でも……」 「自信を持ってください、あいさん。 貴女と彼女とは、仲間だったのでしょう? どのような食い違いがあるにせよ、貴女の知る彼女は話も聞いてくれないような人なのですか?」 違う。 と森は思う。 植木の正義に共感して植木の味方になってくれた彼女は、とても仲間思いの熱い女の子だ。 自分の為に怒ってくれた時は、本当に嬉しかった。 それに深慮遠謀を旨とする彼女であれば、私みたいに短絡的な行動はそうそう取らないはず…… (でも、鈴子ちゃんに植木の事、なんて言えば……) 森はキンブリーより与えられた初めての命令に思い悩む。 だから気付かない。 二人の男たちが自分を見る目に。 まるで研究用のマウスでも見るかのような、酷薄で、無機質なその眼差しに。 ◇ ◇ ◇ 放送を聞いた鈴子は、名簿をデイパックに仕舞いこむと再び滑走を始める。 結局ロベルトは参加しておらず十団の仲間も、いや、それどころか鈴子の知る限り以前の戦いから継続して参加しているのは 十団の裏切り者、植木耕助ただ一人。 むろん、鈴子が知らない能力者が参加している可能性もあるのだが―― 生き死にに関わる戦いに、愛するロベルトが参加していない事は嬉しい。 だが知っているのが敵である植木一人という事実に、鈴子は心細さを覚える。 それは鈴子がこのゲームをたった一人で戦わねばならないという事なのだから。 「やはり私達の戦いとは、関係なく仕切り直しという事なのでしょうか……」 正直なところ、まだ判断はつかない。 なぜならば、これは新しい神による新たなゲーム。 ルールも、参加者すらもまるで違うゲームであるということは判る。 だがもし、優勝者に「空白の才」が貰えるのであれば、それは新たなゲームに参加出来なかったロベルトの代わりに 十団唯一の参加者である鈴子が手に入れなければならない。 そして、それをロベルトに渡せば……ゲームの新旧に関わりなく我々十団の目的は達成されるのだ。 同時にそれは、鈴子の二心のない忠誠をロベルトに知ってもらうチャンスでもあった。 「そう、私たち中学生の戦いとは関係なく神が選ばれてしまった。 だからこれは、その補償のようなものなのかもしれませんわ」 天界の事情か何かで神は既に選ばれてしまったようだが、せっかく用意した「空白の才」だ。 だれか相応しい人間に与えようとしてこの戦いが開かれたのかもしれない。 その人選に関しては選出基準がまったくわからず、いささかの不信感を覚えるがまぁ天界など元々そんなものだ。 気絶ではなく死ぬまで殺しあえとは酷い話ではあるが、「空白の才」という報酬の大きさを考えれば…… むしろ、今までの扱いのほうが寛容すぎたのかもしれない。 そしてこんな酷いゲームでも、乗った参加者は相当いるのだろう。 たった六時間で16人もの参加者が死んでいるという事実、そしてこれまでに断片的に見聞きした戦いの様相。 これは銃や爆弾といった兵器を使用した、本物の殺し合いなのだ。 鈴子はごくりと唾を飲み込む。 前のゲームの進行と比べると、あまりにも急激。 新たなゲームの参加者たちは、人の命をなんとも思っていないのだろうか? その狙いはやはり…… とにかく、これは慎重に事を進めなければならない。 ぽつぽつと、あたりの風景に現れはじめる人工物。 「まずは、デパートの傍まで行って様子をうかがうべきですわね」 人を傷付ける用途では使えず、また発動に際しビーズが必要になるとはいえ、使い慣れた能力であり さまざまな事に応用出来る自身の「ビーズを爆弾に変える能力」は、やはり必要だ。 だがビーズがあるだろうデパートには人が集まっている可能性が高い。 だからまずはその近くの建物を拠点として、これからの方針を考える事にする。 鈴子は人殺しなど、したくはない。 だが、自分の事しか考えられない最悪な人たち。何の考えもなしに人を殺す人でなし。 そんな人に「空白の才」は渡せない。 最悪の場合は、24時間ルールによる勝者なしの結末を迎えなければならないだろう。 常ならば、街の住人たちが姿を見せ始めてもおかしくはない時間。 陽の光に照らされはじめた無人の街を、孤影が走る。 その後には、刃と化した足でアスファルトに刻まれた傷跡が残っていた。 ◇ ◇ ◇ あれからしばらく歩き、森たち一行は北上していた。 太陽は既に高く昇り、建物の影が道路に色濃い陰影を映し出す。 初めて明るい所で見る街の全容だが、森にそれを眺める余裕などない。 頭の中はキンブリーの出した課題をどうこなすかで一杯だ。 逆にキンブリー、趙公明の二名は初めて見る異世界の施設や風景に興味津津といった様子である。 だから、最初にそれに気付いたのも趙公明であった。 「おや、あれはなんだろう」 遠くに見える、砂埃。 どうやらこちらに向かっているらしいそれは、 「鈴子ちゃん!」 森が叫ぶ。 ローラースケートでも履いているのだろうか。 トップスピードに乗った滑走はさながら自転車並みの速度でこちらに近づいて来る。 「鈴子ちゃーーーーーん!!!」 信頼する年上の親友に会えた喜びで、森は懊悩を忘れて大声で呼びかける。だが 「えっ!? ちょ、ちょっとぉ……」 森の大声でこちらを確認した鈴子は、突如進路を変え、彼女らから遠ざかっていく。 「ま、待ってよ、鈴子ちゃーーーん!!」 森は必死に追いかけるが、どんどん引き離されてしまう。 これ以上離されては、声も届かなくなるだろう。 頭の中を駆け巡るのは、鈴子にあったらあれを言おう、これを聞いて欲しいという先ほどまでのシミュレーション。 だから森はぶちまけた。今、森の思考の大部分を占めている悩みを。 この島で、自分の他に植木を知る唯一の人にこの想いを受け止めて欲しかったから。 「わ、わた……私……私、植木を殺しちゃったのぉーーーーー!!」 ◇ ◇ ◇ 「鈴子ちゃーーーーーん!!!」 突然呼びかけてくる少女の声。妙で明け透けで、親しみのこもった呼び方だった。 鈴子には、まるで覚えのない声だ。 声の聞こえてきた方角から位置を特定。 いた。 このままの進路を取れば行きあう事になるだろう所に、三人の男女が立っていた。 声を掛けてきたのは、その内の一人。 頭の上に眼鏡をかけた、中学生くらいの女の子だ。 手を大げさなほどに振って、こちらに存在をアピールしている。 見覚えはないが……中学生、という外見から考えるに、彼女も前の戦いに参加していた中学生だろうか。 前の戦いでは、最強の能力者として知られたロベルト。 そしてその配下である鈴子にも、ロベルト十団の参謀格としてそれなりに名を知られているという自負がある。 だからどこかで顔と名を覚えられてしまっていてもおかしくはないが…… それだけにしては、妙になれなれしくはないだろうか? 鈴子は、こういうなれなれしく近づいて来る人間が大嫌いだった。 こういう人間は、必ず鈴子を利用する為に近づいて来るのだ。 お金、名声、力……そんなものだけが目当てで、声をかけてくる人たち。 そんな人たちは結局、鈴子の気持など考えておらず、自分の都合のいい道具としてしか扱われる事はないのだ。 大方、鈴子の力を利用しようというのだろう。 もしくは、ロベルトがいない事をいい事に十団に対する恨みでも晴らそうというのか。 「そうは参りませんわ……」 スケートの要領で右脚首を捻り、方向転換。 進路を別に取る。 「ま、待ってよ、鈴子ちゃーーーん!!」 妙に後ろ髪を引かれる、切羽詰まった声。 もし相手が少女一人であれば、鈴子は立ち止まって話くらいは聞いてしまっていたかもしれない。 鈴子・ジェラードは基本優しい人間なのだ。 だが、相手は三人。 もし襲われでもしたら、抵抗は難しい。 うかつに近づくわけにはいかない。 そして続く絶叫が、鈴子の心境を決定付ける。 「わ、わた……私……私、植木を殺しちゃったのぉーーーーー!!」 ――っっ!! 殺した……植木耕助を? 十団を内部から壊すべく仲間入りした男とはいえ、顔見知りの人間が死んだという情報は鈴子の心を大きく揺さぶる。 (どこで十団内部の事情を聞きつけたか知りませんが……そんなことで私に取り入ろうだなんて…… 下種としか言いようがありませんわ) 接触する価値なし。 少女に侮蔑の眼差しを送ると、そう断じて鈴子は滑るスピードを速める。 そして角を曲がろうとした瞬間――――そこに人がいる事に鈴子は気付く。 その場に響きわたる二つの悲鳴。 一方は喪失と絶望に慄く悲鳴であり…… 一方は驚愕と悔恨に彩られた悲鳴であった。 遠目にその光景を見ていた森たちが駆け付けた時、その場に残されていたのは白い裸身を血に染めてのたうち回る少女と、 一本の切断された腕だけだった。 ◇ ◇ ◇ 「どうしましょう……私、なんてことを……」 鈴子は動揺していた。 さきほどの、交錯の一瞬。二人が起こした反応は同一。 ぶつかりそうになったから、手を出して衝撃を抑えようとした。 ただの反射行動だ。そこに悪意や害意が存在するはずがない。 身の軽い少女同士の激突など、悪くてもしりもちをつく程度。 何の問題もなかったはずなのだ。 そう、鈴子の四肢が刃となってさえいなければ。 まるで切れ味の鋭い包丁で、大根でもぶっ切ったかのような感触。 初めて人を切った感触は、残酷なほど味気なかった。 鈴子の腕には血糊一つついておらず、ともすれば先ほどの事は幻ではなかったのかとさえ思ってしまう。 「ロベルト……私は一体、どうすれば……」 そうだ、私の持ち物の中には血止めに使える手ぬぐいや、どんな怪我にでも効くという妖精の鱗粉があります。 さすがに腕を繋げるほどの効力は見込めないでしょうが、命だけは取り留める事が出来るはずです。 今すぐに戻って彼女の手当てをしましょう。 鈴子の中の感情的な部分が囁く。 そんなつもりはなかったとはいえ、あれは自分の過失。 例え許してもらえずとも、誠心誠意償うのが当然の事だと。 だが、鈴子の理性はそんな感情論には流されず、反論を試みる。 いいえ、確かに治療をすれば彼女は助かるかもしれません。 ですが今戻れば、あの三人組とはち合わせるのは確実。 あの殺し合いに乗った三人組と戦いながら、彼女の手当てをするつもりですの? それにこの身はロベルトに「空白の才」を届けると誓った身ではありませんか。 覚悟を決めなさい、鈴子・ジェラード。 心中を苛む二つの意見。 滑走しながら思い悩む鈴子は目の前にひと際大きな建物を見つける。 図書館。 落ちついて思案するには打って付けの建物だった。 「そう……ですわ、まずは落ちついて……良く考えてから決めましょう……」 鈴子は自分の走ってきた道に、痕が刻まれていることにも気付かずに図書館へと入って行った。 【H-08/図書館前/1日目 午前】 【鈴子・ジェラード@うえきの法則】 [状態]:疲労(小)、左足首捻挫 、スパスパの実の能力、カナズチ化 [服装]: [装備]:なし [道具]:支給品一式、妖精の鱗粉@ベルセルク 、手ぬぐい×10 [思考] 基本:このゲームの優勝賞品が空白の才ならそれをロベルトの元へと持ちかえる 1:あの女の子をどうするか考える 2:他人は信用できない。 3:このゲームが自分達の戦いの延長にあるかを確かめる。 4:ビーズやその他の道具を確保する為に、デパートに向かう。 5:情報を集め今後どうするかを考える。特に他の参加者への接触は慎重に行う。 6:この戦いが空白の才を廻る戦いであり、自分に勝てない参加者がいるようなら誰も死ななかった時の全員死亡を狙う。 [備考] ※第50話ロベルトへの報告後、植木の所に向かう途中からの参戦です。その為、森とは面識がありません。 ※能力者以外を能力で傷付けても才が減らない可能性を考えています。実際に才が減るかどうかは次の書き手に任せます。 ※気絶させても能力を失わない可能性を考えています。気絶したらどうなるかは次の書き手に任せます。 ◇ ◇ ◇ 「そんな……どうして? 鈴子ちゃん……」 気絶した少女を前に、森は呟く。 その呟きに答えたのは、少女の容態を見ていたキンブリー。 「彼女も殺し合いに乗った……ということなのではありませんか?」 「そんなっ! 嘘ですっ鈴子ちゃんが……」 「ですが……実際血止めはしましたが、この少女はもはや死に体。知っていますか? 戦場でもっとも有効なのは、敵を生かさず殺さず、負傷兵を生み出して相手の行動の自由を奪う事。 なるほど、あいさんのお話通り、実にクレバーなお嬢さんだ」 自分なら全てを完璧に吹き飛ばしますがね。と心の中でキンブリーはつぶやく。 まぁ、実際のところただの偶発的な出来ごとだったのだろう。 この裸の少女にとっても不幸だっただろうが、彼女にとっても恐らく不幸な出来事。 「素晴らしい切断面だね。これがスパスパの実の能力って奴かな 鈴子・ジェラードくん……面白いね、是非戦ってみたくなったよ」 少し遠くに切り飛ばされた少女の腕を持って、趙公明が近づいて来る。 「止めてよっそんな……鈴子ちゃんと戦うだなんて……」 森が趙公明をポカポカと叩く。 「ハハハ。やめたまえ、ガンスリンガーガールあいくん」 「変なあだ名で呼ぶなぁーーっ!」 「ではガンスリあいくん」 「略しすなーっ!」 趙公明の軽口に思わず激昂する森だったが、彼の持つ少女の腕を見て我に帰る。 「そうだ、キンブリーさんお願いっ! この子の腕を錬金術で治してあげて」 「……あいさん、私は優勝狙いなのですよ。確かに哀れではありますが、結局全員死んで頂かねばならないのですが……」 「だってっ! 私、まだその錬金術って奴見てないもんっ! 本当に生き返らせる事が出来るなら、腕くらい治せるでしょ!?」 ……生き返らせるにも、色々条件があると説明したのを忘れたのでしょうか。 まぁ、所持品どころか、身ぐるみすら剥がされた上に片腕の欠損した少女など、さすがに利用価値すらないと思っていたが 森あいがそれで完璧に私を盲信するようになるなら、それはそれで使い道が出来たと言えるでしょうか…… この切断面であれば、合成獣と少女を融合させた時の要領で、細胞同士を融合させればなんとかくっつけることは可能でしょうし。 動くかどうかまでは保障できませんがね。 「……いいでしょう、ではその腕を持ってきてください。」 キンブリーはゆのの身体と腕の接合面の下の大地に、小さく練成陣を描く。 迸る練成光。 「凄い……これが錬金術……」 血の気が引いた白皙の肌には、傷一つ残っていなかった。 森が初めて目にする錬金術の奇跡。 (おや、血がコートに……) 先ほどの練成の時にでも、袖口に付着させてしまったのか白いコートに赤い染みが付着していた。 キンブリーはそれがスーツにまでしみ込まないように素早く脱ぐと、ゆのの上に被せてやる。 見る見るうちに、血を吸って赤く染まっていくコート。 「……ありがとう、キンブリーさん。私のお願い聞いてくれて……」 「いいのですよ、錬金術師よ、大衆の為にあれ。 錬金術師としての常識です。 ……ですが、その娘をこれからも連れ歩く事は出来ませんよ。我々にはやらねばならない事があるのですから」 「……わかっています」 森の顔つきが変わる。 堕ちたな、とキンブリーは感じた。 その時である。 『Tough Boy! Tough Boy! Tough Boy! Tough Boy!』 彼らが後にしてきた南の地より、混乱と混沌を感じさせる風が吹く。 その風に乗り、彼らはどう動くのか。 一つだけ言えるのは、彼らがその風に乗った時、風は嵐となり、台風をも超える暴風がこの島に吹き荒れるかもしれない ということだけである。 【H-08/三叉路付近/1日目 午前】 【ゆの@ひだまりスケッチ】 [状態]:貧血、後頭部に小さなたんこぶ、洗剤塗れ、気絶 [服装]:キンブリーの白いコート [装備]: [道具]: [思考] 基本:??? 1:ひだまり荘に帰りたい。 2: [備考] ※首輪探知機を携帯電話だと思ってます。 ※PDAの機能、バッテリーの持ち時間などは後続の作者さんにお任せします。 ※二人の男(ゴルゴ13と安藤(兄))を殺したと思っています。 ※混元珠@封神演義、ゆののデイパックが付近の路地裏に放置されています。 ※切断された右腕は繋がりましたが動くかどうかは後続の作者さんにお任せします。 【趙公明@封神演技】 [状態]:健康 [装備]:オームの剣@ワンピース [道具]:支給品一式、ティーセット、盤古幡@封神演技 橘文の単行本 小説と漫画多数 [思考] 基本:闘いを楽しむ、ジョーカーとしての役割を果たす。 1:闘う相手を捜す。 2:太公望と闘いたい。 3:カノンと再戦する。 4:ヴァッシュに非常に強い興味。 5:特殊な力のない人間には宝貝を使わない。 6:宝貝持ちの仙人や、特殊な能力を持った存在には全力で相手をする。 7:自分の映像宝貝が欲しい。手に入れたらそれで人を集めて楽しく闘争する。 8:競技場を目指す(ルートはどうでもいい) 9:キンブリーが決闘を申し込んできたら、喜んで応じる。 [備考] ※今ロワにはジョーカーとして参戦しています。主催について口を開くつもりはしばらくはありません。 ※参加者などについてある程度の事前知識を持っているようです。 【ゾルフ・J・キンブリー@鋼の錬金術師】 [状態]:健康 [装備]:白いスーツ姿 [道具]:支給品一式*2、ヒロの首輪、不明支給品0~2 小説数冊、錬金術関連の本 学術書多数 悪魔の実百科、宝貝辞典、未来日記カタログ、職能力図鑑、その他辞典多数 [思考] 基本:優勝する。 1:趙公明に協力。 2:首輪を調べたい。 3:剛力番長を利用して参加者を減らす。 4:森あいを利用して他の参加者を欺く 5:参加者に「火種」を仕込みたい 6:入手した本から「知識」を仕入れる 7:ゆのの腕がちゃんと治ったかどうか森が知る前にこの場を離れる [備考] ※剛力番長に伝えた蘇生の情報はすべてデマカセです。 ※剛力番長に伝えた人がバケモノに変えられる情報もデマカセです。 ※制限により錬金術の性能が落ちています。 【森あい@うえきの法則】 [状態]:疲労(中) 精神的疲労(中) [装備]:眼鏡(頭に乗っています) キンブリーが練成した腕輪 [道具]:支給品一式、M16A2(30/30)、予備弾装×3 [思考・備考] 基本:「みんなの為に」キンブリーに協力 0:……植木……ごめんね…… 1:キンブリーを優勝させる。 2:鈴子ちゃん…… 3:能力を使わない(というより使えない)。 4:なんで戦い終わってるんだろ……? ※第15巻、バロウチームに勝利した直後からの参戦です。その為、他の植木チームのみんなも一緒に来ていると思っています。 ※この殺し合い=自分達の戦いと考えています。 ※デウス=自分達の世界にいた神様の名前と思っています。 ※植木から聞いた話を、事情はわかりませんが真実だと判断しました ※キンブリーの話をどこまで信じているかはわかりません 【M16A2(30/30)@ゴルゴ13】 アメリカ軍が現場の意見を採り入れ、旧型化したM16A1に近代化を施した傑作突撃銃。 ゴルゴ愛用の物かどうかはわからない。 × × × 罰が当たったんだ……人殺しの私に。 どうしよう……お母さん。 腕が、利き腕が、なくなっちゃったよぉ…… ささやかに夢見ていた私の未来。 今はまだ、何をしていいかもわからないけど、美大に入って……やりたい事を見つけて…… それでみんなともずっと一緒…… でも、ヒロさんが死んじゃって……私も腕がなくなっちゃって…… もう、無理なんだ。 私の夢は、形を持つことすら許されなかった…… 「無理じゃないよ……ゆのさんには出来る。信じて……」 えっ? 誰? 突然掛けられた声に、ゆのは振りむこうとするが身体が動かない。 背中に当たる、柔らかい感触。 風に揺れる、見覚えある髪の毛が先っぽだけ見える。 「え、ヒ……ロさん?」 ゆのの問いかけに、くしゃりと笑う声が応える。 そっか、夢の中まで会いに来てくれたんだ。 ありがとう、ヒロさん…… 明晰夢。 沙英さんあたりからかな、聞いた覚えがあるよ。 夢を夢と自覚する夢。自分の都合のいいようにコントロール出来る夢だって。 神様からの、最後の贈り物なのかな…… それとも、私ももう…… 私は力を抜いて、甘えるようにヒロさんにもたれかかる。 普段なら、さすがにこんな事は出来ないけど……えへへ、夢だしいいよね。 私が本当に寝ちゃうまで……死んじゃうまでずっと一緒に居て貰おう。 「ごめんね……それは出来ないの。私はもう行かなきゃいけないから…… それにゆのさんはまだ死なないわ」 私の手に、ヒロさんの手がそっと重なる。 あ、なくなったはずの腕がある……夢って凄い。 「きっと、大丈夫……だから、信じて。 絶対生きて帰れるって」 祈るように、信じるように、ヒロさんは囁く。 握られた手が暖かい。 そんな温かさに溶かされるように、私は心の中の重荷を口に出した。 「ヒロさん……でも、私は人殺しなんですっ! それが凄く苦しくて……辛くてっ! もうこんな嫌な思いしたくない。痛いのも、怖いのも、もう嫌なんです。 このままずっとヒロさんと一緒にいたい……」 「……それでもゆのさんには生きていて欲しいな……そして、沙英の事を助けてあげて」 「沙英さんを、私が? そんな、無理です。 それに私なんかが助けなくても、沙英さんならきっと……」 「ううん、あの子は強そうに見えるけど繊細な子だから……誰かが傍にいて上げなきゃなの。 こんなこと、もう……ゆのさんにしか頼めないから……」 ヒロさんの身体が離れていく。 振りむこうとしても、私の身体は動かない。 どうして!? 明晰夢なのに、思い通りになるはずの世界なのにっ! 「いかないでっ!! いっちゃやだぁ!!」 「ごめんね……私も、もっとみんなと一緒にいたかったな…… 一緒におしゃべりして、みんなに私の作ったご飯を食べて貰って……凄く幸せだったよ、ありがとう」 「ヒロさんっ! 待ってっ!」 動かない……身体が動かないよぉ。 もう会えないのに、お話出来ないのに、どうしてぇっ! 私はこれが夢だって事も忘れて、もがいて、もがいて……そして……何も聞こえなくなった。 時系列順で読む Back Eingeweide Schwert Gelegenheit (後編) Next 弦がとぶ―圧倒する力― 投下順で読む Back Eingeweide Schwert Gelegenheit (後編) Next 弦がとぶ―圧倒する力― 070 Men&Girl~ピカレスク~ 森あい 116 天国とは神のおわすことなり 070 Men&Girl~ピカレスク~ ゾルフ・J・キンブリー 116 天国とは神のおわすことなり 070 Men&Girl~ピカレスク~ 趙公明 116 天国とは神のおわすことなり 080 ×☆☆☆ ゆの 116 天国とは神のおわすことなり 082 信じたい人誰ですか? 鈴子・ジェラード 119 黄色い猿より鯨の方がかわいいよね!
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トライデント(とらいでんと) 概要 エターニアから登場した槍系の武器。 登場作品 + 目次 エターニア デスティニー2 リバース アビス価格表 ヴェスペリア TOPなりきりダンジョンX TOWレディアントマイソロジー2 レイズ 関連リンク関連品 ネタ エターニア 作中説明 リッド用の武器、槍の一種。斬り攻撃力+240、突き攻撃力+400で水属性を持つ。 ペイルティの武具屋で6400ガルドで買える他、霊峰ファロースで拾え、セイレーンが落とす。 突き攻撃力に優れるが、斬り攻撃力がやや低め。 買える頃には出番のない武器だが、ヴォルト戦で役に立ったりする。 分類 槍 属性 水 斬り 240 突き 400 命中 0 備考 - 買値 6400 売値 3200 特殊効果 - 装備者 リッド 入手方法 店 ペイルティ・武具屋 拾 霊峰ファロース 落 セイレーン(100%) ▲ デスティニー2 三叉矛海神が持つことで有名 ロニの武器、両手の一種。攻撃力+310、命中+5。 スペランツァの装備屋で9900ガルドで買える。 分類 両手 アイテムLv. 攻撃 310 命中 5 クリティカル 0 詠唱速度 0 買値 4950 売値 リファイン変化 装備者 ロニ 入手方法 店 スペランツァ・装備屋 落 シーモンク(1%) ▲ リバース 海を荒らす海賊たちが好んで使う槍。魚も捕れます。 ユージーン専用の武器、槍の一種。 斬撃攻撃力+336、打撃攻撃力+135、術攻撃力+184、FG回復力+92。 ノルゼンとベルサスの武器屋で5315ガルドで買える。 イレギュラー変化でブリガトリーギになる。 分類 槍 装備 ユージーン 斬撃 336 打撃 135 術撃 184 FG 92 衝撃 120 強化 5 買値 5315 売値 1063 変化 ブリガトリーギ 入手方法 店 ノルゼン・武器屋ベルサス・武器屋 ▲ アビス 三叉矛。海神が持つことで有名。 ジェイド用の武器、槍の一種。物理攻撃力+352、譜術攻撃力+352。 シェリダン等の武器屋で買える。 分類 槍 属性 - 物攻 352 譜攻 352 買値 8300 売値 4150 特殊効果 - 装備者 ジェイド 入手方法 店 ケセドニア・武器・防具屋「品質保証」バチカル・武器・防具屋「一騎当千」ダアト・武器・防具屋「永久不変」グランコクマ・武器・防具屋「趣味嗜好」シェリダン・武器・防具屋「自画自賛」 イ ディンの店・槍(Cランク) 価格表 店名 価格 時期・備考 ケセドニア・武器・防具屋「品質保証」 14940~7470 中盤・期間限定販売 バチカル・武器・防具屋「一騎当千」 9130~7055 中盤 12450~7055 終盤 ダアト・武器・防具屋「永久不変」 9960~7470 中盤・期間限定販売 グランコクマ・武器・防具屋「趣味嗜好」 24900~14940 後半 シェリダン・武器・防具屋「自画自賛」 166000~149400 前半 11620~7470 後半 ▲ ヴェスペリア 元は魚をとるための武器であり、命中率を上げるために三つ又になっている ジュディス用の武器、槍の一種。 物理攻撃力+266、敏捷+55でエアリアルジャンプ、エアリアルフォース、アタックフェイントのスキルを持つ。 第2部以降のノードポリカの店で3600ガルドで買える他、幽霊船 アーセルム号で拾える。 No. 192 分類 槍 物理攻撃力 266 物理防御力 0 魔法攻撃力 0 魔法防御力 0 敏捷 55 属性 - 買値 3600 売値 1800 スキル エアリアルジャンプエアリアルフォースアタックフェイント 装備者 ジュディス 入手方法 店 ノードポリカ:幸福の市場(ギルド・ド・マルシェ)(ノードポリカ店:第2部~) 拾 幽霊船 アーセルム号 ▲ TOPなりきりダンジョンX 作中説明 槍の一種。物理攻撃力+116。 スルト深林で拾える。 No. 060 分類 槍 物攻 116 物防 0 術攻 0 術防 0 詠唱 0 敏捷 0 幸運 0 属性 物 買値 - 売値 5500 装備者 ディオ・槍術系・ショットランサーメル・旋槍系 入手方法 拾 スルト深林 ▲ TOWレディアントマイソロジー2 分類 槍 備考 攻撃力 141 装備Lv. 23以上 買値 1950 売値 装備者 ユージーン・ジェイド 入手方法 店 バンエルティア号(ノーマル:2段階目以後) 拾 レーズン火山(ノーマル:2層目) 落 ドレッドクラブ(ノーマル) ▲ レイズ ジェイド用の☆3武器にして初期装備。 エナジーブラストを習得できる。 アビスだと中堅クラスの武器だったのだが、何故か初期装備に設定された。 ▲ 関連リンク 同名の技 関連品 ブリガトリーギ ▲ ネタ トライデント(英:trident)とは、三叉槍(三つの穂を有する槍)の事。別名「トリアイナ」。 海の神「ポセイドン」(ネプチューン)の得物として有名。 実は水属性なのはエターニアのみ。魚も獲れるという設定だからか。 ▲
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トリシューラ トリシューラ(Trishula、Trisula)は、ヒンドゥー教の神であるシヴァが片手に持つ先が3つに分かれた槍(三叉戟)。 ヒンドゥー語で「3」を意味する「tri」と「槍」を意味する「sula」が組み合わさった語である。、トリシルなどとも。 3つの先端はそれぞれシヴァのシャクティ (力) である、iccha (欲望、愛、意志)、kriya( 行動)、jnana (知恵) をあらわす。
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YUKISHIRO-Saseki モチーフ 氷蛇という彫像 所属 百鬼 称号 肩書き 百鬼夜行リーダー 構成因子 鬼 鎖 氷 蛇 大食い 笑顔 五大家 魔人 小柄 多弁 役者 主要人物関係 姪:若城奈央 戦闘体系 ダブダブの袖から三叉の鉾のようなものが先端についた鎖鎌を放つ 外見 ダブダブの青いコートをまとう老年だが、外見は若者で小柄。多弁で大飯ぐらい 百鬼を護るために、数多くの”罪”を犯したと自覚しており、誰かに処刑されることを望んでいる 誰か――この場合、最も影響を与えないのは百鬼内部の誰か、だが
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分類 骨 Grade 110 売却価格 31 入手方法 冒険 1-11-1~10 N 用途 名前 Grade 必要数 他材料 必要数 装備 蒼鹿の弓 115 2 時計樹の枝 2 弓 蒼鹿の弩 115 2 時計樹の枝 1 弩 蒼鹿の棍 115 2 時計樹の枝 2 棍 大波の書 115 2 時計樹の枝 2 魔道書 蒼鹿の杖 115 2 蒼鹿の皮(メス) 2 杖 蒼鹿の帽子 115 2 蒼鹿の皮(メス) 3 帽子 蒼鹿の戦闘服 115 1 蒼鹿の皮(メス) 2 服 蒼鹿の靴 115 2 蒼鹿の皮(メス) 2 靴 ペンタナイトシールド 115 1 ペンタナイト鉱石 2 大盾 ペンタナイトヘルム 115 2 ペンタナイト鉱石 2 兜 ペンタナイトチェーンメイル 115 3 ペンタナイト鉱石 1 軽鎧 ペンタナイトプレートメイル 115 2 ペンタナイト鉱石 2 重鎧 トリアイナ 210 99 ペンタナイト鉱石 45 片手槍 轟雷の三叉戟 240 50 アダマント 1 片手槍
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トップページ イベント攻略 [部分編集] 報酬 勝利回数 1 10 20 30 40 50 60 Normal インゴット x5 戦技強化初級選択券 x2 Hard インゴット x10 重油半補給物資 x1 ★5 21inMkX魚雷 x1 VeryHard【壱】 インゴット x15 ★6高性能化素材選択券 x1 資材20%ブースト 10分 x1 戦技強化中級選択券 x2 VeryHard【弐】 インゴット x20 重油半補給物資 x1 改装設計図 x150 ★6高性能化素材選択券 x2 ★6 甲型長距離酸素魚雷 x1 VeryHard【参】 インゴット x25 ★6 訓練教官 x4 ★6 パーツ改造キット x4 改装設計図 x150 資材20%ブースト 20分 x1 戦技強化上級選択券 x2 VeryHard【肆】 インゴット x30 重油全補給物資 x1 遠征道具 x5 生産バーナー x5 ★7 訓練教官 x3 ★7 パーツ改造キット x3 防御EX錬成計画書 x1 EXTREME ★6 50口径三年式二号20cm砲-改 x1 [部分編集] VeryHard【参】の編成 敵戦力:28135 陣形:複縦陣 重油消費:25 時間・天候:夜・晴 敵構成 : 戦艦、戦艦、重巡、重巡、軽巡、軽巡 敵旗艦技 : 正射必中の極意4(命中 +20%) 敵戦艦戦技 : 主砲斉射5、主砲斉射4、全砲門斉射5 技能 : 敵重巡戦技 : 主砲斉射5、全砲門斉射5、 技能 : 敵軽巡戦技 : 魚雷発射5、 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、装甲上昇5、命中率強化5、雷撃命中率強化5、戦技発動上昇5 VeryHard【肆】の編成 敵戦力:33293 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・晴 敵構成 : 潜水、重巡、軽巡、軽巡、駆逐、潜水 敵旗艦技 : 艦隊戦の達人4(火力 +20%) 敵重巡戦技 : 艦隊の防壁、狼心ノ加護、老巧ノ覇気、 技能 : 敵軽巡戦技 : 深海への脅威、浸食する戦禍、機略縦横、永久ノ甦生、報復の撃鉄 技能 : 敵駆逐戦技 : 二水戦の旗風、白雪ノ銀弾、雷神の宴、 技能 : 敵潜水戦技 : 深海に吹く追い風 x2、雷兵の術中、逃げ場なき水雷網、海底への招待状、非常なる追討ち、海神の三叉戟 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 EXTREMEの編成 敵戦力:33293 陣形:梯形陣 重油消費:35 時間・天候:夜・晴 敵構成 : 潜水、重巡、軽巡、軽巡、駆逐、潜水 敵旗艦技 : 艦隊戦の達人4(火力 +20%) 敵重巡戦技 : 艦隊の防壁、狼心ノ加護、老巧ノ覇気、 技能 : 敵軽巡戦技 : 深海への脅威、浸食する戦禍、機略縦横、永久ノ甦生、報復の撃鉄 技能 : 敵駆逐戦技 : 二水戦の旗風、白雪ノ銀弾、雷神の宴、 技能 : 敵潜水戦技 : 深海に吹く追い風 x2、雷兵の術中、逃げ場なき水雷網、海底への招待状、非常なる追討ち、海神の三叉戟 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 ↓コメント等 名前 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -
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名前 夜叉 初期レアリティ ★5 属性 闇 ジョブ 影魄 攻撃タイプ タイプ 専用装備 三叉戟 <ステータス> HP ★5 18120 ★6 ★10 攻撃力 ★5 3786 ★6 ★10 防御力 ★5 633 ★6 ★10 速度 ★5 534 ★6 ★10 <スキル> 暗黒の冥王v1(アクティブ) ランダムな敵1体に200%のダメージを与え、4ターンの間、自身のクリティカルを15%増加する。自身の Lv2(アクティブ) Lv3(アクティブ) Lv1(パッシブ) Lv2(パッシブ) Lv3(パッシブ) Lv1(パッシブ) Lv2(パッシブ) Lv3(パッシブ) Lv1(パッシブ) Lv2(パッシブ) Lv3(パッシブ) <ボイス> 「神はいつも、あなたを見守っています」 <紹介>
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スキルエンカウンター(上) 古泉一樹の挑戦 ◆LxH6hCs9JU 「事実――長門有希は確かに、紫木一姫に殺害されたようです」 『ロールト・リヴァーで会いましょう』という表題の本をパラパラとめくり、古泉一樹は語る。 「高須くんと同様に身体のほうはバラバラにされてしまっていましたが、首から上は損傷が少なく判別も容易でした。 普段の彼女からは想像もできなかった表情ですが……まさかそれで別人と断定するわけにもいかないでしょう」 机の上に本を置き、その上にもう一冊、『ボビーと檸檬』を積む。 「ですがやはり、不明な点は残りますね。なにせ目の前の惨状は、誰がどう検分しても『人間の死』に違いありません。 長門有希が紫木一姫に敗北した。百歩譲ってこれは肯定しましょう。しかし、だからといってこの死に方はおかしい。 『機関』のお偉方からの情報を信用するなら、長門さんがこんなにも血生臭い死に様を晒すはずもないのですが……」 『ブラウ・フラウ・ブラウ』を本棚から取り出し、ページをめくってまた机の上に積む。 「……水槽の話がありましたが、あれはあくまでも能力に関しての喩えであったはず。 存在そのものの構成情報を変えてしまうほどの力が、彼らにはあるというのでしょうか? インターフェイスに過ぎない長門さんの『肉体』を、ただの『人間』に改造……いえ、改変してしまうなど。 それこそ、情報統合思念体をも超越した、言うなれば涼宮ハルヒの領域に踏み込みうる力だと言えるでしょう」 隣にあった『レルター・テンスン・ロジジコネルサレ』も手に取り、積む。 「試しに、この『血液』をDNA鑑定にでも回してみましょうか? 今は無理でしょうが。 サンプルとして『機関』に持ち帰れば、情報統合思念体の未知なる部分が見えてくるとも限りません。 支給品に試験管でもあればよかったのですが。さすがにペットボトルに汲むというわけにもいきませんし。 人体収集の趣味はないのですが、この綺麗な『生首』を持ち帰るというのも手ではあるかもしれませんね。 間違いなく、『機関』にとって有益な情報へと昇華されるでしょう。俗っぽく言うと、宇宙人の脳なわけですから」 堆くなってきた本の上に、新しく『車輪はただ回るだけ』が積まれた。 「この世界における長門有希は『人間』だった。結果を正しく読み取るなら、正解はこれしかないのかもしません。 ここまで考えて、同姓同名のそっくりさんというオチではさすがの僕も落胆するというものです。 いえ。もしくはこれは、長門有希に成り代わった別の誰か――という可能性も捨て切れはしないでしょうか。 ここはいろいろと特殊なようですから。そういった技術、あるいは能力、もしくは魔法か、それとも忍法か。 おっと、摩訶不思議な支給品に頼ったという可能性も考慮に含める必要がありましたね。 僕の場合は『鈍器』と『宝箱』と『爆弾』でしたが、彼女の場合は変身道具かなにかだったのでしょうか?」 古泉一樹の手には今、『パッケージ・ナインティーン』があり、 「とにもかくにも、これで長門有希の死は証明されてしまったわけです」 本の山のてっぺんには、『重力は四十五歳で窓を割る』が置いてある。著者は同じようだった。 「彼女がどれだけ環境に対して適応化していたのかはともかくとして、これだけは揺るぎないものと言えるでしょう」 その上からさらに、と『ケリストネルトネス』と『ルルトネルトネス』を積み、 「では、力量的な面で彼女に大きく劣る僕は、はたしてこの事実をどう受け取るべきなのか」 『ボルト・アップ ―運命の三叉路―』、『ラムはこう言った』をさらに積んだところで山が揺れ、 「なにも変わりませんよ」 最後の一冊、『トモッマ・レデヤツイ ~私の愛の唄~』を積み切る前に山は崩れた。 「我々『機関』は涼宮ハルヒを『神』と定義し、それを前提として行動する――ならばもちろん、僕もそう在るだけです」 血の滲む白いシーツの上に、どさどさと名著がなだれ落ちていく。 生前、大変な読書家であった彼女は、この餞別をどう受け取ってくれただろうか。 ◇ ◇ ◇ ――スーパーマーケット。 伝統的市場の統合、あるいは凝縮とも言うべきその商店は、日本の代表的な小売店として世に普及した。 食料品に生活雑貨、衣料品に薬品と、多種多様な品物が棚に並べられ、平台に積まれている。 生鮮野菜や生肉、生魚の類も冷房ケースに取り揃えられており、見た限りでは腐ってもいない。 今が何年の何月何日なのかはわからないため、消費期限の表示を頼ることができないのが痛かった。 「この鞄って、保冷効果とかあるのかな?」 さすがにないか、とセルフサービスの氷をポリ袋に詰め、お客様お持ち帰り用の発泡スチロールに入れる。 中には氷だけでなく、パックに詰められた魚介や豚肉が満載だった。 「あ、インデックスは豚とか食べられない人だったりすのかな。なんかそんな宗教あったわよね」 どうだったっけかな、と大して悩まずこれを黒い鞄に収納していく。 生ものが入った発泡スチロールの他にも、ダンボールが五箱ほど。 こちらには使えそうな日用雑貨やヴィルヘルミナ要望のインスタント食品が詰まっている。 「これも投入……っと。ん。こんなところで十分でしょ」 上出来上出来、と須藤晶穂は満足げに頷いた。 買い物を終えて会計を済ませる場所、すなわちレジの付近に、彼女の姿はある。 山中の神社を拠点とした八人から成るグループ、その物資調達係として使わされた晶穂は、たった今あらかたの作業を終えたところだった。 「本当に、あれもこれも入っちゃうのね。便利っちゃ便利だけど……まあ」 内容量は無尽蔵という驚異のテクノロジーに感心しつつ、足元の黒い鞄を拾い肩にかける晶穂。 このスーパーで仕入れた物資は発泡スチロール一箱とダンボール五箱に分けて入れ、デイパックにまとめた。 八人分ということで結構な量を入れたのだが、肩にかかる重みはここに来る前と大差なく、むしろ軽い。 これなら難しく考えず、棚にあるものを片っ端から放り込んでいけばいいのではないだろうか。 とも考えたが、整理が面倒くさくなりそうなのでやめた。 「欲しいものが欲しいときに出てこないってのもあれだしね。さて」 入店したときとなんら変わりない軽装で、晶穂は店の出入り口ではなく、奥へと向かっていった。 ここでの用事はもう済んだが、どうやら店内のどこかに忘れ物をしてきてしまったらしい。 それを見つけないことには、勝手に帰るわけにもいかないだろう。 と晶穂が疲れ気味に嘆息したところで、その忘れ物は発見された。 「……なに食ってんですか、部長」 「む、須藤特派員。君も一口どうかね?」 言って、紙の受け皿に盛られた試食用のサラダを差し出す男。名前は水前寺邦博。 場所は生鮮野菜売り場の一角。ガンガンの冷房が少し肌寒かった。 「勝手に食べていいんですか、そんなの?」 「馬鹿を言うな。客が試食品を食べてなにが悪い」 「あたしら客じゃないですよ。むしろ泥棒です」 値札がかけられ、価格が設定された商品を店の者に無断で持ち出そうとしているのだから、泥棒には違いないだろう。 晶穂たちが踏み入ったスーパーは、あたりまえのことだが無人だった。 目的の品はちゃんと確保できたからそれで問題はないのだが、がらんとした店内はどこか薄気味悪い。 できることならさっさとここを出たい、といった心境の晶穂を蔑ろに、水前寺はむしゃむしゃと試食のサラダを咀嚼する。 「味、食感、鮮度、どれを取っても異常なしだ。おかしいとは思わないかね?」 「おかしいところがあるとしたら、試食のサラダにそこまでがっついてる部長くらいです」 水前寺邦博はその中学生離れした体格に見合う大食漢である。 朝昼晩とガッツリ食う健康優良児ではあるが、なにもそこまで食い意地が張っているというわけではない。 まあなにかしら考える部分があったりするんだろうな。とは思うものの、その先を予想するのは少し怖かった。 「真面目な話だ、須藤特派員。君はマリー・セレスト号の乗組員失踪事件を知っているかね?」 案の定、試食のサラダとどう結びつくのか見当もつかない話題が飛び出してきた。 「1872年11月5日、アメリカからイタリアに向けて出航したはずのマリー・セレスト号が、 同年の12月5日にポルトガルとアゾレス諸島の間の大西洋で漂流しているのが発見された。 難破ではなく漂流だ。しかし航行しているわけでもない。ただ漂っていただけという状態だ。 マリー・セレスト号を発見した船はこれに近づき声をかけてみたが、一向に応答がない。 発見した船は、中でなにか事故が起きているのではないかとこれを訝り、数人の乗組員が確認のため船内に乗り込んだ。 しかし中はもぬけのから。人っ子一人いなかったという話なのだが、さてマリー・セレスト号の乗組員はどこに消えたのか?」 興味もなさそうに、晶穂は思ったことを口にする。 「時代が時代ですし、海賊に襲われでもしたんじゃないですか?」 「不正解だ。船内には死体はおろか、血の跡すらなかった」 試食に使っていた割り箸をゴミ箱に捨て、水前寺が続ける。 「マリー・セレスト号は無人で漂流していた。しかし、中に人がいた痕跡は確かに残ったままだったのだ。 船長室のテーブルでは食べかけの朝食が温かいまま残されていたし、調理室では火にかけたまま鍋が煮立っていた。 洗面所には誰かが今までヒゲを剃っていたような形跡があり、倉庫の中の飲み水や食料は大量に残っていた。 極めつけは、船に用意されていた脱出用の救命ボートがすべて残されていたという点だろう。 船内で争った形跡も、積荷が盗難にあった形跡も、乗組員が船外に出た形跡もまるでないのだ。 さて、ではマリー・セレスト号の乗組員はどこに消えたのか? 須藤特派員、わかるかね?」 船内に生活の跡を残しておきながら、人間だけが消失したという怪事件。 新聞部の一員として、水前寺の与太話にはこれまでにも何度か付き合ってきたが、今回はかなり難解だ。 考えさせられるという要素がある分、余計に難解だ。常なら「知ってるわけないでしょうが」の一言で返す。 「……あ」 考えるうちに、晶穂は気づいた。 答えに気づいたわけではない。 水前寺の語るマリー・セレスト号の事件と、試食のサラダの結びつきについて気づいたのだ。 「客も店員もいないというのに、なぜ試食品などが置かれているのだろうな。こうも新鮮な状態で」 言われてみれば、そうだ。 この試食のサラダは、いったい誰が調理し、ここに用意したというのか。 気にかかるのは試食品だけではない。 生鮮野菜コーナーの先にある、惣菜コーナーのほうを見やる。 買い物かごが載ったカートが一台、無造作に放置されていた。 そして買い物かごの中には、惣菜のパックが数点入っている。 それが温かいかどうかなど、わざわざ確かめる必要もない。 そのカートは買い物の途中であったかのように――放置されている。 「先ほど惣菜売り場の中に潜入してみたが、揚げ物用の油がそのままになっていたよ」 つまり、そういうことなのだ。 このスーパーは、まるでマリー・セレスト号そのものだと。 水前寺は新鮮なままのサラダを食べながら、そう言いたかったのだ。 「もっとも、先ほど語ったマリー・セレスト号の話はだいぶ脚色がしてある。 実際には脱出用の救命ボートなど残っていなかったらしいのだが、この場合はそんなこと関係あるまい。 仕事中だった店員と、買い物中だった客はどこに消えたのか。いや、どこに消されたのか? 営業中だったこのスーパーは、いったいどこから持ってきたのか――興味深いテーマだとは思わないかね?」 晶穂はなにも返答できなかった。 しかし、無人のスーパーに感じていた薄気味悪さの正体が、これで掴めたような気がした。 「ところで」 神妙な面持ちの晶穂に、水前寺はやたら高いトーンで声をかける。 「我々の護衛を務めると言ってのけた彼女は、いったいどこに行ったのだ?」 話が摩り替わった。 晶穂は多少あっけに取られたものの、そういえば部長は食料品を漁っている最中に消えたんだったな、と思い出す。 なので彼女が一度外に出たことは知らないのだろう。 ってこれじゃ護衛の意味もないわね、と晶穂は出口への道を目指しながら、水前寺に説明する。 「彼女なら――」 ◇ ◇ ◇ 須藤晶穂と水前寺邦博がスーパーで物資調達に勤しんでいた頃、はす向かいのゲームセンターでは御坂美琴が一人苦悩していた。 「む」 美琴の眼前にはショーケースにも似た箱型の機械が一台設置されており、中に収められた景品の数々が彼女の意識を攫う。 「むむむ」 クレーンゲーム、あるいはUFOキャッチャーという名称で知られるそれにべったりと顔をつけ、美琴はキュピンと目を光らせた。 「むがぁー!」 かと思ったら、吼えた。 そしてへなへなと花が萎れるようにその場にへたり込み、「う、う、う、う、う」と悲愴な呻きを漏らした。 もちろん、誰にも見られていないという状況を理解しての羞恥度外視オーバーアクションである。計算ではなく、天然だが。 「運がいいのか、悪いのか、ぐぬぬ……」 唸りながら、美琴がUFOキャッチャーの中へ熱っぽい視線を注ぐ。 その対象は有象無象ではなく、ピンポイントに一つだけ。 髭を生やしスーツを着た、珍妙なカエルのぬいぐるみにのみ向けられていた。 「こんなところでゲコ太を発見するだなんて……しかもぬいぐるみなんて! 激、レア、じゃん!」 どん、とUFOキャッチャーに拳を叩きつける美琴。 透明な壁一枚が、美琴とゲコ太の距離を何倍にも遠ざけていた。 ゲコ太というのは、現在美琴がご執心中のカエルのマスコットである。 元は携帯電話サービスの特典として配られていたストラップで、他にグッズ展開はしていなかったはずなのだが、目の前の愛くるしい紳士服姿はパチモンには見えない。 「いやいや、今は遊んでる場合じゃないって。そもそも財布持ってないし、昔からクレーンゲームは貯金箱だって言うし」 もともと、美琴は『弾』となるコインを求めてこのゲームセンターに訪れたのだ。 なにも遊びたかったわけではないし、そこで運命的な出会いがあろうとも、時間を無駄にする理由にはならない。 と、頭では理解している。あとは欲望との闘いだった。 「……別に壊したからって、誰が文句を言ってくるわけでもないのよね。無人なわけだし。そうよ。手早く済ませればいいのよ!」 ビリビリ、ビリビリ、と美琴の身体が電気を帯び始める。 本気になれば、学園都市を区画単位で停電に至らしめることができる彼女である。 UFOキャッチャーの一つや二つ、電撃でショートさせることができないはずもない。 ――カツン。 邪な考えを抱き始めたとき、美琴の背後で革靴が歩を刻む音が鳴った。 思わず、全身の毛が逆立つ。ほとんどいたずらが露見した男の子の面持ちで、背後を振り返った。 そこに立っていたのは、ブレザータイプの制服を纏う男子学生だった。 さわやかな印象を全身に宿す、細身の姿。柔和な目元は薄く笑み、こちらを眺めている。 自分の顔が、かぁーっと赤くなっていくのがわかった。初対面の相手に、見られたくはない一面を見られた。 そんな感情が先行していたから、彼の右掌の上でふよふよと浮遊する『光の球』に気づくのが遅れた。 ◇ ◇ ◇ スーパーのはす向かいに建っているゲームセンターから、爆音が轟いた。 既に店内から脱し、店先に停めておいたバギーへの乗車を済ませていた水前寺と晶穂が、慌てて降りる。 なんだなんだと近寄っていったところで、粉塵舞うゲームセンターから一つの影が飛び出してきた。 ブラウスにサマーセーター、ミニスカートの三点から成る格好の短髪。御坂美琴である。 「何事かね御坂くん! 状況を説明したまえ!」 「げほっ……ぐっ。見りゃわかるでしょ、敵よ敵!」 美琴は水前寺と晶穂への説明もそこそこに、すぐさまゲームセンターのほうへと向き直った。 出入り口用の自動ドアは無残に破壊され、外から窺える範囲での店内は業火で燃えている。 いったい中でなにが起こったというのだろうか。水前寺はその疑問の答えを、すぐに得ることになる。 「おや」 ゲームセンターから美琴を追うようにして出てきた、その少年の記憶に新しい顔を見て、状況は理解した。 「久しぶり、というほどの時間は経過していませんね。こうも早く再会に至るとは、どういった縁でしょうか?」 「さてな。しかし白昼堂々超能力で市街破壊、その上婦女暴行とは恐れ入ったぞ――古泉一樹」 見るからに二枚目な容貌、宿している思想にそぐわぬにこやかな表情、一概に悪とは決め付けられない印象。 以前園原新聞部部長水前寺邦博に対し『超能力者』を自称してのけた愚かな少年が、そこにいた。 「共闘体制にあった高須竜児が死亡してもやることは変わらずか。紫木一姫からはどうやって逃げたんだ?」 「彼女のことをご存知でしたか。ならば話が早い。今では高須くんに代わり、彼女が僕のパートナーを務めています」 「また挟撃狙いとでも言いたいのか? 見え透いた嘘はやめたまえ古泉クン。今の君は単独で動いているはずだ」 学校で相対したときと同じように言葉を交わす水前寺と古泉。 そこに表面的な殺意はなく、言動の凶暴性も無に等しい。 お互いが、腹の底を探り合うように舌を回していった。 「すぐそこに停めておいたバギーに、まさか気づかなかったなどとは言わんだろうな? 君はそこのスーパーにおれと須藤特派員がいることを知っていた。なのに標的にはしなかった。 おれたちではなくゲームセンターにいる御坂くんを襲ったのは、彼女が一人でいたからに違いあるまい。 それに島田特派員からは、紫木一姫は二人がかりでの挟撃など必要がないほどに危険な輩だとも聞き及んでいる。 わざわざ狙いやすい的を絞らずともおれたちは襲えたはずなのだ。いや、そもそも共闘自体拒みそうな人物ではあるが?」 水前寺は古泉の襲撃、そして紫木一姫との共闘体制について看破していく。 「ご明察の通りです。彼女にはぜひとも高須くんの後釜を頼みたかったのですが、ふられてしまいまして。 彼女の糸から命からがら逃げおおせ、独り身となったところで心機一転、とりあえずお一人ご退場願おうかと思ったしだいです。 それはそうと、貴方のほうも両手に花で羨ましい状況のようですが、前の彼女はどうしたんです? そう、貴方が島田特派員と呼んでいた彼女です。島田が苗字と仮定するなら、名簿から外れた十人の内の一人でしょうか。 僕と高須くんが起こした騒動がきっかけで喧嘩別れしたというならお察ししますが、しかし貴方も節操がない」 水前寺が語れば古泉もまた語る。 端に置かれた女子二名は、よくもまあこうも舌が回る男たちだと感心していた。 「ふん。あれだけ痛い目に遭わされて懲りん男だな、君も」 「高須くんは僕とは比較にならないほど痛い目に遭いましたからね。彼の分も奮起しなければなりません」 「ほう。その奮起というのは――『涼宮ハルヒ』を活用して、か?」 古泉の眉がピクリと釣り上がるのを、水前寺は見逃さなかった。 やはりか、と確信すると同時、畳み掛ける。 「島田特派員が高須竜児から仕入れた情報だ。『涼宮ハルヒ』なる人物がなにかしら鍵を握っているそうだな? なんでも、『皆が揃って助かるかもしれない方法』があるとかないとか。話の出所は君だろう、古泉一樹」 古泉一樹と高須竜児の共闘関係について、水前寺は詳しく知っていたわけではない。 しかし、高須竜児が島田美波に語った内容の一部始終で推察はできる。 謎のキーパーソン、『涼宮ハルヒ』について。最も情報を有しているのは、この古泉一樹に違いないと。 「さて、三対一なわけだが……いい機会だと思わんかね? 我々にも、『涼宮ハルヒ』の話を聞かせてもらおうか」 『涼宮ハルヒ』の正体がわかれば、古泉が他の人間を襲う理由、そして目的も見えてくるはずだ。 これは勘にすぎないが、古泉がただ保身のためだけに動いているとは思いがたい。 なにかしら裏がある。そう考え水前寺は直接これを問いただそうとしたが、 「残念ですが、それはできません」 答えは簡潔に、古泉の緩く笑んだ口から吐き出された。 「涼宮さんに関する情報は他人においそれと吹聴していいものではありませんので。高須くんのときは特例です。 でもそうですね。どうしてもと仰るなら、考えないでもありません。一つ、僕と勝負をしませんか?」 三対一という状況を盾にしての詰問を放ったつもりだったが、古泉はそれをものともせず、勝負の提案という形で返す。 水前寺以外の二人が女子ということで見くびっているのか、それとも自身の超能力を過信しているのか。 どこか余裕の態度と窺える古泉に疑念を抱きつつも、水前寺は黙って耳を傾ける。 「勝利条件は、そうですね……『僕があなた方三人を殺し切る前に、あなた方の誰かが僕を無力化する』というのはどうでしょう」 飛び出したのは、なんとも強気な発言だった。 「そうすれば『涼宮ハルヒ』について話す、と? しかしおれたち三人を一人で殺すとは随分と大きく出たな。まさか学校での一件を忘れたあけではあるまい」 「お言葉ですが、貴方は僕を過小評価しすぎているのではありませんか? あの場ではつまらない挑発に乗ってしまいましたが、今回はそうはいきません」 水前寺に電気銃で撃退されたのを忘れたわけではないらしい。 たしかにあのときは、上手く挑発が機能したのと、地の利を活かせたのと、逃走のための足が確保できていたからの、三つの条件が重なっての勝利だった。 正面からの真面目な『勝負』ともなれば、小細工が利かない分、水前寺の勝ち目は薄い。 そうわかってはいても、古泉の強気な提案に対抗しないわけにはいかない。 「知っているか超能力少年? そういうのを、負け犬の遠吠えと――」 水前寺が言い返そうとして、しかし言い終わるよりも先に、古泉がその力を行使し始めた。 全身が淡く輝き、光のドレスを纏う。持ち上げた右掌から、光の球が発現した。 水前寺を追い掛け回していたときのそれとは、明らかに威圧感が違った。 「貴方にお見せした超能力など、僕の力の一端に過ぎない――と言ったら、どうします?」 このときばかりは、さすがの水前寺も息を呑んだ。 古泉の標準装備とも言うべき微笑が、一時だけ邪悪な色に染まる。 眼前の未知なる輝きには横の晶穂も驚いているようで、一歩分後ずさっていた。 そして、襲撃者古泉に第一の標的と定められた御坂美琴は、 「へぇー」 と、大して驚いた風でもない平坦な声を上げる。 「それがアンタの『能力』。ふむふむ。はぁー、なるほどねー」 感心しているのか納得しているのかそのどちらでもないただのポーズなのか、よくわからない態度を取る。 他三人が彼女の言動を怪訝に思う中、美琴はスカートのポケットを探り、一枚のコインを手に取った。 「それじゃ、さっきのお返しもあるし……私も一つ見せてあげちゃおっかな」 右手で緩く拳を作り、親指の爪に当たる部分にコインを乗せる。 その状態で右腕を古泉のほうへと伸ばし、狙う。 パチ、パチ、と美琴の周囲の空気が鳴いた。 そして、美琴の親指がコインを弾く。 ピン、と勢い良く放たれたそれは回転力はもちろん、電磁石の原理を応用した反発力を伴い、一直線に前へ。 ほとんどレーザービームと称しても間違いではない威力と速度で、古泉の掌にある光球を撃ち抜いた。 しかしそれで失速などはせず、そのままドゴン、と古泉の背後にあるゲームセンター内部へと到達。 中に置かれていた機械がまた爆発する様子が、外からでも見て取れた。 それら、すべて瞬きの間に。 須藤晶穂はあんぐりと口を開け、燃え盛るゲームセンターを唖然と眺めている。 古泉一樹は光球が消えてもなお掌をそのままに、そっと背後を振り返っていた。 水前寺邦博もやはり驚愕は隠せず、しかし声までは失わない。 「……なるほど、それで『超電磁砲(レールガン)』か」 呟き、神社で顔を合わせた際に知った彼女の肩書きを思い出す。 学園都市にわずか七人しか存在しないとされる『超能力者(レベル5)』。 その界隈でも最高峰と言える『電撃使い(エレクトロマスター)』。 常盤台中学が誇る最強無敵の『超電磁砲(レールガン)』。 いかにも強そうな用語の数々は、実際に強さの証明だった。 「で、これでもまだ私と『勝負』だなんて戯言が吐けるのかしら?」 ポケットからもう一枚コインを取り出し、指で真上に弾く。電気は帯びていない。 美琴の表情はどこか得意気だった。それも古泉の反応を受けてのことだろう。 あんなものを見せられれば、戦意などすぐに消沈してしまう。 「……ふっ」 古泉一樹はやれやれと言わんばかりに首を振り、そして、 「ええ、これは実におもしろい勝負となりそうです」 変わらずの微笑で、宣言の撤回を拒む。 これには、美琴が呆れた様子を見せた。 「あんた、バカ? 私とあんたの能力とじゃ、天と地ほども差があるのよ。勝ち目なんて――」 「まともにやり合っての勝ち目は、たしかに薄いでしょう。ですが、今の一撃で勝算はあることがわかりました」 古泉の不敵な発言に、美琴が顔を顰める。 勝ち目は薄いが勝算はある、という言葉の意味が理解できないのだろう。 「目にも留まらぬ速さでコインを打ち出し、僕の能力すら霧散させてしまうその威力は恐るべしです。 もし人体で受けようものなら、どの部位であったとしても跡形もなく消し飛んでしまうでしょうね。 頭が吹き飛ぶか、四肢が弾け飛ぶか、腹部に風穴が開くか、いずれしても、命中は死を意味します。 あまりにも強大で、それでいて絶対的な破壊の技。それゆえに、手加減も利かないのではないですか?」 古泉の指摘に、美琴が「むっ」と唸った。 反応から見るに、どうやら図星らしい。 「ならば、あなたの勝利方法は『僕を殺す』しかない。先ほどの力の使用を前提とした話ではありますが。 あなた方が涼宮さんの話にどれだけの興味を抱いているかはわかりませんが、僕の口は生かしておきたいのでしょう? いえ、たとえ涼宮さんに関する情報を僕が有していなかったとしても、あなたに僕を殺すことはできないはずです」 違いますか、と古泉は尋ねる。 美琴は答えなかった。 沈黙が答えとなった。 水前寺は分析する。 先ほどの、『超電磁砲(レールガン)』。 一見しただけでもわかるその驚異的破壊力は、手加減がどうのこうのといった次元ではなかった。 当たれば木っ端微塵。それは対象が機械だろうが人体だろうが関係なく、一撃必壊だ。 命が備わっているなら、当然それは潰える。人間に当てれば、死ぬ。殺してしまうのだ。 なら、古泉一樹に『超電磁砲(レールガン)』は使えない。 使えば彼を殺してしまうから。美琴に殺人の意思はないから。 美琴の異能は、強すぎるがゆえに封殺されたも同然なのである。 「……たしかに、さっき見せたのは加減が利くような力じゃないわ。けどね、私の力があれだけだなんて――」 「もちろん、それだけを理由に勝算を見出したわけではありませんよ」 反論を試みようとした美琴に対し、古泉は鷹揚に微笑んで見せる。 「三対一。彼は現在の状況をそのように解釈していましたが、僕はそうは考えません。 僕にとって、彼と彼女は数の内には入らないからです。 これは紛れもなく一対一。お荷物を背負っている分、貴女のほうが不利ではあるでしょうが」 言いながら水前寺と晶穂を指す古泉。 一度辛酸を舐めた相手である水前寺すら、古泉は敵というほどの障害にはなりえないと断じた。 これに憤慨するところはない。実際、水前寺本人もそう見ている。 二人の異能者が睨み合うこの状況下、自分と晶穂は明らかに足手まといだ、と。 ――ならば、考えようもある。 水前寺は一人、美琴の耳元にまで寄り、古泉には聞こえぬようひっそり声をかけた。 「御坂くん。単刀直入に訊こう。我々は邪魔かね?」 「は?」 「おれと須藤特派員は、あのエセ超能力者をぶっ飛ばす上で君の足手まといになるかと訊いているんだ」 「そりゃ、本音を言うと一人のほうがやりやすいけどね。けど問題ないわよ。あれしきの能力者、私の実力なら――」 「そうか。わかった。ではこうしよう」 美琴からの返答を受け取ると、水前寺は今度は晶穂のほうへ向き直った。 「須藤特派員。部長命令だ。荷物を貸したまえ」 「へ? あ、はい」 晶穂が持っていたデイパックを預かり、それを美琴のほうに投げてよこす。 「ちょっと、なによこれ」 「調達した物資だ。食料品に生活雑貨、薬品に衣料品とすべてそれに入っている。持ち帰ってくれ」 端的に告げる水前寺。続けて、晶穂の腕をつかんだ。 頭の上を疑問符でいっぱいにしながら、晶穂は半ば引き摺られるように水前寺に連行されていく。 辿り着いた先がバギーの助手席だった。水前寺は晶穂にシートベルトを締めるよう促し、自身は運転席に座る。 「では、我々は事態が収束するまで逃げ回っていることにする。午後六時までには拠点に戻ろう」 と、車中から車外の美琴へと、これまた端的に告げた。 「健闘を祈るぞ、御坂くん!」 一応の激励としてその言葉を残し、フルアクセル。 水前寺が運転するバギーはエンジン音を轟かせ、美琴と古泉のもとより遠ざかっていった。 去っていったのは二人。残されたのは二人。 須藤晶穂は水前寺邦博に拉致も同然な形で同行を強いられ、御坂美琴と古泉一樹はただ呆然とその出立を見送る。 運転席のバックミラーに美琴と古泉の間抜けな顔が映り、しかし水前寺は悪びれた様子もない。 「ちょ、ちょっと水前寺~っ!?」 背後からそんな声が響いてきても、ブレーキを踏むことはなかった。 ◇ ◇ ◇ 逃げた。 誰がどう見てもそうとしか解釈できないほどに逃げた。 いや、本人としては足手まといにならないようこの場から退避したかっただけなのかもしれないが、それにしたってもっと言いようがあったはずだ。 水前寺の奇天烈な行動には、説明が欠けすぎていた。 「見捨てられてしまいましたねぇ」 標的を二人取り逃がしたことになる古泉は、しかし笑みのまま置き去りにされた美琴を揶揄する。 古泉一樹を無力化し、『涼宮ハルヒ』に関する情報を聞き出す。これを達成するには、確かに一人のほうがやりやすい。 水前寺は気を配っただけなのだ。そうに違いないのだ。わかってはいる。わかってはいるが。 「女の子一人に任せて男がとんずら、ってのもどうなのよ……」 バチ、と美琴の前髪が音を立てて弾けた。 火花にも似た閃光が彼女の周りで発生し、古泉は瞠目する。 放電現象。静電気体質などというレベルを超越した電圧が、音で相手を威嚇する。 バチバチバチバチバチバチ、と、いつの間にか。 美琴の足元のアスファルトが、黒く焦げていた。 「なるほど。電撃使い……といったところでしょうか。興味深い能力です」 「『超電磁砲(レールガン)』。それが私の異名よ」 「名は体を表す、というわけですか。貴方に相応しい異名だと思いますよ」 「上等じゃない……その減らず口、今すぐ感電させてやるわ」 臨戦態勢はすでに整っている。 これから始まるのは、殺すか口を割らせるかの『勝負(ゲーム)』。 対立するのは共に能力者、『電撃使い(エレクトロマスター)』と『超能力少年』の二人である。 ◇ ◇ ◇ 戦場から遠ざかっていくバギーの速度は、速い。 アクセルペダルを踏む運転手、水前寺に躊躇いはなかった。 あの場を御坂美琴に任せ、遁走を決め込むことになんら悪気を感じていない。 実際の心情としてはどうなのか知らないが、少なくとも須藤晶穂の目にはそう映った。 だからこそ、許せない。 「なにやってんですか部長! 御坂さん一人に任せちゃって、男として最低だと思わないわけ!?」 「落ち着きたまえ須藤特派員。あの場にいておれたちができたことなどなにもない。せいぜいが足を引っ張るくらいだ」 助手席から騒ぎ立てるが、水前寺は視線を進行方向に預けたまま、平坦にこれを諌めてくる。 須藤晶穂と水前寺邦博は火と油のような関係だ。ここぞという場面では馬が合わない。口論の回数も数え切れないほどである。 そんな晶穂がなぜ、水前寺が部長を務める新聞部などに属しているのか。 それには複雑な事情が、というほどでもなく、もう一人の男子部員の存在が起因となったことも自覚してはいる。 彼なら。浅羽なら、今の部長の行動をどう捉えただろうか――と。 晶穂は怒りの端でそんなことを考え、感傷に浸る。 「それに、絶好の機会でもあったわけだしな」 「絶好の機会? いったいなんの――」 「これよりおれは、浅羽特派員の捜索に向かう」 だからこそ、水前寺がそう発言したときには考えを見透かされているような心持になった。 「浅羽……の? なんですって?」 「君にも同行の権利はあると思うが、どうだ」 水前寺からの誘い。 晶穂は思考する。 浅羽を、捜す。その目的は、語らずとも容易に察することができた。 水前寺は浅羽を正そうとしているのだ。山から街へ下りる際、事細かに浅羽のことを訊いてきたときから予感はしていた。 部長として、友人として、人殺しの道に進もうとしている浅羽を、ぶん殴ってでも更正させるに違いない。 水前寺邦博とはそういう男だ。悔しいが、浅羽への理解度は誰よりも深い。 そんな水前寺が、同行者として自分を誘っている。 一度は浅羽の説得に失敗した、この須藤晶穂を。 「もちろん、無理強いはしない。これは神社に残してきた彼女たちを裏切るにも等しい行為だ。 今ならまだ距離も離れていないし、古泉一樹に見つからぬよう一足先に神社に帰るという手もあるぞ。 これから先、おれについてきたからといって安全が保障されるわけでもないからな。むしろ危険な旅路になるかもしれん」 川に流された浅羽の行き先は見当がついている、と水前寺は言う。 バギーという足があるとはいえ、それなりの時間はかかってしまうだろう。 神社に残してきた皆には、多大な迷惑をかけてしまうことになる。 いや、そもそも無事に帰れる保障だってないのだ。 気を失ってしまった逢坂大河のことが、気がかりではある。 壁の調査に向かったテッサたちの報告が、楽しみでもある。 一人だけ戦場に残された御坂美琴のことが、心配でもある。 どれもこれも気になる。 だがそれ以上に、晶穂の中では依然――浅羽との因縁が燻っている。 もう一度会いたいとは思っても、もう二度と会えないかもしれない。 機会があるとすれば、おそらくこの一回限り。 拒めば、水前寺は自分を下ろして一人で浅羽を捜しに行くのだろう。 一緒に行く、ただそれだけを口にすれば、このまま助手席に座っていられる。 「今も神社からどんどん遠ざかっていっている。迅速に決断したまえ、須藤特派員」 返答を急かされた。 時間が許せば、小一時間ほど悩んだだろう。 しかし、晶穂はここで決めた。 決めざるを得なかった。 「あたしは――」 水前寺はアクセルペダルを踏む力を緩めることなく、その返答を受け入れる。 【D-2/北東・道路上/一日目・午前】 【水前寺邦博@イリヤの空、UFOの夏】 [状態]:健康、シズのバギーを運転中 [装備]:電気銃(1/2)@フルメタル・パニック!、シズのバギー@キノの旅 [道具]:デイパック、支給品一式 [思考・状況] 1:晶穂の返答を待つ。その後、バギーから降ろすか、一緒に行くかを検討。 2:浅羽捜索のため、北東の方角へと移動する。 3:もし途中で探し人を見つけたら保護、あるいは神社に誘導。 4:浅羽が見つからずとも、午後六時までには神社に帰還する。 【須藤晶穂@イリヤの空、UFOの夏】 [状態]:健康、シズのバギーの助手席 [装備]:園山中指定のヘルメット@イリヤの空、UFOの夏 [道具]:なし [思考・状況] 1:水前寺と共に浅羽を捜しに行くか、それとも一人で神社に帰るか、決断する。 2:もし途中で探し人を見つけたら保護、あるいは神社に誘導。 ◇ ◇ ◇ スキルエンカウンター(下) 古泉一樹の挑戦へ