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前 ドスがあっけなくつかまり、それを見た村人達が勝ち鬨をあげる。ドスさえ戦わなければあとは雑魚だ。 こいつらは 「ゆっくりしね!!!」 と言うものの、飛びついたり、噛み付いたり、石を投げるだけだ。たいした敵ではない。 無論数があれば村は無傷とは行かず、かなりのダメージを負っただろう。 だが、最初の戦闘で半数が減ってしまっては、もう村人達に抵抗できるものはいなかった。 それにドスが気絶したのを見て、戦意喪失したゆっくりたちは逃げ始めた。 「できるかぎり、あいつらを捕まえてください」 万能お兄さんの指示により、村人達はゆっくりを捕まえ始める。虐待お兄さんも手伝い始めた。 これで準備がそろった。あとはドスが目覚めるだけだ。 すべては「計画」のために。 「おい、おきろ」 虐待お兄さんが蹴り飛ばす。 顔に激痛が走り、ドスは目を覚ました。 動こうとしても動けない。それもそのはず、体を厳重に縛られているからだ。 「ゆっ!!うごけないよ!!!この縄を解いてね!!!」 ドスは頼んだが、村人達は誰一人として答えない。代わりに虐待お兄さんのパンチが飛んできた。 「ゆごべぇっ!!!!!」 「どうやら終わったようだね」 愛でお兄さんもやってきた。すでに安全とわかり、他の飼いゆっくりたちも自分達の家に帰っていった。 万能お兄さんのゆっくりは、10匹程がお兄さん達を囲むようにして周りを警戒している。残党は先ほどの戦闘で 戦意喪失したが、油断はできない。念には念を入れておいた。残りの20匹ほどは家と村の警護だ。 「さすがゆっくりの総元締め。この状態でも偉そうに言うとは…。下種が、殺すぞ」 「だめだよ、虐殺お兄さん。こいつは僕に任してくれるって言ったじゃないか」 「…そうだったな」 槍を収めていう。それを聞いた虐待お兄さんが。 「んじゃー、こいつ俺がいたぶっていい?大丈夫、死なない程度にするからさ」 「ごめん、それもできない。頼むよ」 「ちぇっ、わかったよ。だから頭を上げてくれ」 「万能お兄さん、どうかしたのかい?」 「ありがとう愛でお兄さん。なんともないよ、なんとも…。」 拍子抜けだ。なんだか今回はえらく消極的だな。いつもと違う万能お兄さんの態度に、3人は戸惑いを隠せなかった。 「じゃあさ、こいつはどうすんだ?」 「今から公開処刑をするからまってね。虐待お兄さん」 公開処刑?このおにいさんはなにをいっているんだ? いったいなにをはじめるつもりなんだ? ドスには理解できなかった。 「だがよぉ、これだけの死体を見せれば意味ないんじゃねーか?」 死体?あの人は何を言っているんだ? と、ドスは片目であたりを見渡した。そして理解した。 そこいらに横たわる、彼女の仲間達を。 「あ……あ……あ……」 信じられなかった。夢かと思った。 だが現実だ。口の中の熱い痛みがそれを教えてくれる。 村を襲ったのは失敗したのだった。 みんな、ドスを信じて戦い、死んでいった。 「ああああぁぁぁぁぁぁあぁあああああぁあぁ!!みんなああぁぁぁああああぁぁぁ!!!!!!」 ドスまりさは泣き叫んだ。あまりにも急だったので、何人かの村人が驚く。 4人のスペシャリストである四天王はゆっくりと、ドスを見る。 「おーおー、いい声で泣き叫ぶこと」 「やはりゆっくりの絶望の声はいいものだな」 「あーあー、聞こえません。聞こえません。聞きたくありません。」 虐待お兄さんと虐殺お兄さんは、ドスの泣き叫ぶ声に恍惚の表情を浮かべている。 愛でお兄さんは、辛いので耳をふさいでいる。 万能お兄さんは、ドスが泣いているにもかかわらず、話しかけた。 「ドス、いいかい?」 「ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ごべんね…ごべんね…」 ショックのあまり耳に入っていないようだ、それをみた万能お兄さんは彼女の顔を殴り、目を覚まさせた。 「いいかい、ドス。君達は人里を襲った。やってはいけないことをした。人里を襲ってはいけないというルールはない。 だが、僕らに恐怖を与えた罰を、君は受けてもらう。」 「どちらかっつーと、俺らは楽しんだけれどな。なぁ?虐殺お兄さん」 「ああ」 「僕は悲鳴を聞くだけで胃が痛くなりそうですがねぇ…。」 3人がそれぞれ言う。だが、万能お兄さんは気にせず話を進める。 「ゆ゛っ゛ぅぅ、罰ってなにをするの…」 「公開処刑さ」 そういうと、村人達がゆっくりを入れた麻袋をもってきた。 万能お兄さんの指示によって、捕まえたゆっくりだ。数はおよそ10匹。 残りの90匹ちかくは、死んだか、逃げたか、虐待お兄さんが捕まえたか、である。 ゆっくりたちが袋から出され、ドスの前に並べられる。逃げないようにちゃんと縄で縛っている。 「こうかい…しょけい?」 ドスは恐る恐るたずねる。 「ああ、この10匹のゆっくりたちには死んでもらうよ。 君を呪いながらね」 と、1匹のれいむがドスの前に出された。 「虐殺お兄さん、処刑執行人はよろしくね」 「おう、この上ない適役だな。私にこそふさわしい」 そういうと、虐殺お兄さんは1匹のれいむのまえにたった。 れいむは恐怖に震えながらも、ドスに助けを求めた。 「どずぅぅぅ!!!だずげでぇぇぇ!!!!じにだぐな、ゆぎゃっ!!」 「やかましいわ、この下種が」 槍を一突き刺し、れいむを殺す。 「すぐに殺しても問題ないか?万能お兄さん」 「うん。でもできれば、死ぬ前の一言は喋らせてね」 「承知した」 それをみたゆっくりたちは恐怖し、次々に騒ぎ始める。 「どずうううぅぅぅぅぅぅううう!!!!だずげでよおおおおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」 「じにだぐないよぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!」 「なんでだずげでぐれないのぉぉぉぉぉおおおおお!!!???」 「どずずばーぐをうっで、にんげんをごろじでよぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」 「どずのばがああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!わだじだぢをだずげでよおおおおおおおおお!!!!!」 ドススパークは撃つ事はできなかった。ひとえに万能お兄さんから喰らった、ジョロキアグレネードのせいである。 一度口の中に広がれば最後。ドススパークはおろか、ゆっくりオーラも使えない。 ゆっくりに取っては弱点ともいえるトウガラシの辛さにより、口の中が辛くて機能しなくなるうえ、口の中に生えている ドスキノコにまで影響を受けるからである。ただ、トウガラシのみで、ドスキノコが使えなくなるわけではない。 ジョロキアグレネードに含まれている「ある薬」のおかげだった。 それはゆっくりオーラを無効化する解毒剤だった。 人間が飲むためのものを、ドスキノコにかけてみたら偶然機能しなくなることがわかったのであった。 おかげで、ゆっくりオーラとドススパークの両方を封じることができる。 ただ、機能しなくなるだけで。キノコそのものが消えるわけではない。あと1ヶ月もすれば機能は戻るが、1ヶ月とは長いものである。 ドスにとって、最大の武器であるドススパークが撃てなくなったドスは、自然で生き残れるかどうかも疑問である。 おまけに口の痛さはいかばかりか。1週間ほどは口が辛くて麻痺し、食べ物が食べれなくなるだろう。 ドスほどの大きさなら、体の餡子を消費すれば、体は少し小さくなるものの助かる。これが成体ゆっくりなら1週間も持たないだろう。 もっとも、一滴の飛沫だけでも死ぬか、後遺症をのこして、二度とゆっくりできなくなるが。 ドススパークも、ゆっくりオーラもつかえず、ドスはただただごめんね、ごめんねと謝るだけだった。 謝るドスに、次々と浴びせられる仲間からの罵声。そして1匹1匹と死んでいく。 「もう終わったな」 虐殺お兄さんが、最後のゆっくりを殺していった。 終わったと言ったのは、最後のゆっくりを殺したから終わった、というよりもドスそのものの精神が。という意味合いが強い。 「ゆぅ…おにいさん…もう…おわったんでしょ」 「…ああ、たった今終わったよ」 万能お兄さんは答えた。 「じゃあ…、わたしをゆるしてください…おねがいします。」 「ああっ!?なめたこというんじゃねぇぞ!!」 そう答えたのは虐待お兄さんだった。 「てめぇはこれから、俺らに嬲り殺されるんだよ」 「クソにも劣る饅頭風情がこの期に及んで命乞いとは、調子に乗るな」 虐殺お兄さんが吐き捨てるように言う 「これもしかたないね…」 と、あきらめるように愛でお兄さんも言う。彼からすれば全てのゆっくりを愛するわけではない。悪いゆっくりは処罰されても文句は言わない。 だから、このドスまりさが死のうが嬲られようが、村を襲ったのは事実で覆すことなどできないから、彼はあきらめている。 ちなみに、ほかのゆっくりたちの公開処刑では耳栓をして、小説を読むのに没頭していた。 「ゆうっ!!ゆるしてよ!!ばつはうけたんだよ!!おねがいいいい!!!!ゆるじでよおおおおおおおお!!!!!!」 ドスまりさは泣き叫び懇願した。私は彼の言う罰を受けた。もう罰が終わったなら終わりではないのか??人間はこうも汚いのか? 彼女は必死になって懇願した。 それを見下すような目で見る虐殺お兄さん。 これからおこる虐待にわくわくするような目でみる虐待お兄さん。 耳を塞ぎ、彼女を見ないようにする愛でお兄さん。 さぁ、これからどうしようか? その答えは万能お兄さんが決める。彼は静かに口を開き。 「ああ、許すよ。だから山に帰るんだ。」 何分たっただろうか。静寂が訪れる。 ドスまりさも、3人のお兄さんも、彼が何を言ったのか理解できなかった。 だが、彼ははっきりといった 「ドスを許す、と」 「お、お、お、お、お、お。おいおいおいおいおいおおおおおいおい!!!!!万能お兄さん!?」 虐待お兄さんが詰め寄る。万能お兄さんとは長い付き合いだし、ゆっくりではいろいろと話し合った、まぎれもない心友だ。 他の2人と同じく、心の友だ。 だからこそ、心友だからこそ、彼の言ったことが理解できなかった。 「えー、もう一度聞きますよ?いいですか、万能お兄さん。あんたはさっきなんていったんだ?」 「うん、ドスを、彼女を許すよ」 「えっと・・・・・・・・・what?」 「もう一度言うよ。ドスを許す。」 「Can you say that again please?.(もう一度言ってくれませんか?)」 「驚くのも無理はないけれど、ドスを許すって言ったよ」 「今日はエイプリルフールだったか…?」 日付を思い出したが、いまは晩秋。そんなわけがない。 頭を抱えている虐待お兄さんを尻目に、虐殺お兄さんは訪ねた。心底信じられないといった顔だ。 「万能お兄さん、君は本気で言っているのか?」 「…一度言ったことは曲げないし、やると決めたことをやめたことはないよ。それは君が一番良く知っているはず」 「ああ…、君はこの村に来たときからそうだったな。非常にひねくれた頑固者だ。わかった、もう何も言わない」 「感謝しますよ、虐殺お兄さん。いや、僕の修行の先生」 「君はもう卒業したから、そういわれる筋合いはない」 「そうだったね…」 虐殺お兄さんは引き下がった、次に愛でお兄さんが尋ねてきた。やはり信じられないようだ。 「君が言ったことは間違いない…よね?」 「うん、信じられないかもしれないけどね」 「…なにか考えがあるんだろう?」 「…」 万能お兄さんは答えなかった。図星だからだ。だが顔には出さず、静かに 「とりあえず、信じてくれないか?」 とだけ言った。愛でお兄さんも、これ以上彼が喋らないとわかると、おとなしく引き下がった。 ドスも信じられないような目で、彼を見た。殺されると思ったからだ。 「おにいさん…、本当に…、ゆるしてくれるの?」 彼は縄を解きながら言った。 「ああ、さっきの話を聞いていただろう。君を僕は罰した、君はそれに耐えた。だからこれ以上咎める理由はない」 「ゆぅぅぅぅぅっ…………」 ドスは静かに涙を流した。人間は、ちゃんと約束を守ってくれた。 罰したら、それ以上お咎めなしなんて今まで見たことも、聞いたこともない、初めてだ。 「ゆぅぅぅぅぅぅ………、おにいさんありがとう」 「僕だけじゃなく、他の皆にも礼を言ってね」 ドスまりさは回りのお兄さんと、村人達にもありがとう、ありがとうと礼を言った。 愛でお兄さんは「もう2度とこんなことをするんじゃないよ」とにこやかにいい、虐殺お兄さんは無視し、 虐待お兄さんはぶすっ、と膨れていたので聞きたくもないし、それどころじゃなかった。 「じゃあ、ドスまりさ。これをもっていきなさい」 と、万能お兄さんが手を上げると、家のゆっくりたちがダンボール箱に入った野菜をもってきてくれた。 いっぱい入っているわけではないが、結構な量はある。 「ご主人様、もってきましたー」 ときめぇ丸Bがお兄さんに近づいて、顔を寄せ耳打ちした (これでよろしいのですよね?) (ああ、問題ない。ところで、「あの村」に行くための量は大丈夫なのか?) (はい、ぱちゅりーが写真に載っている食料庫の量に、現時点でのドスの群れの数、群れの食料消費量、行軍時間などを 計算した結果。この野菜を彼らにあげればギリギリで「あの村」にたどり着きます) (そうか、ご苦労。これで僕の「計画」が進む。愛してるよ) 皆に聞こえないような耳打ちはほんのわずかだったので、回りの皆からすれば、きめぇ丸が万能お兄さんにほお擦りをしたようにしか見えない。 きめぇ丸は本来なら、愛していると言われれば顔を赤くするものだが、今回の彼女はどこか浮かない顔をしていた。 彼は家のゆっくりには本音で話す。家のゆっくりと愛し合っていたなども隠さずに言う。だから知っている。 知っているのだ。万能お兄さんの復讐を、彼が考えている「計画」の全てを。 万能お兄さんはドスを見て 「いいかい、ドスまりさ。これで最後にするんだ。もう二度と村を襲っちゃいけないよ」 「ゆぅぅ、おにいさん、ほんとうにこのお野菜もらっていいの?」 もらえることが信じられないので、彼女は尋ねる。 お兄さんはにこやかにいい 「ああ、もちろんさ。だが約束してくれ。もう村を襲うのはやめるんだ。君達ゆっくりは人間に勝てない。 これ以上死にたくなかったら、人里を襲うのはやめなさい。いいね?もし君達がまた村を襲ったりしたら…。 その時は、僕は君達を殺すからね?2度目はないと思ってね?」 と笑みを崩さずに言うお兄さん。その恐ろしさにドスまりさは恐怖し 「ゆっ!!ゆっくりわかったよ!!やくそくするよ!!にどとむらをおそわないよ!!」 「よしよし、じゃあ山にお帰り」 そういって、彼はドスまりさを撫でた。 彼女は頭に段ボール箱を乗せながら、山へと地面を揺らしながら帰っていった。 それを見送る村人達と、四天王。 村長と村人達が、万能お兄さんに話しかけた 「これで計画通りになったな!!さすがだぜ!万能お兄さん!!」 「村一番の頭脳は伊達じゃねぇやな!!」 「これで、村に大金が手に入るな!!」 「天国の養父さんも、誇りに思っているだろうぜ!!」 万能お兄さんは、村人達から褒められ愛想笑いを浮かべた。本来なら普通に笑うところだが、村人が言った 「天国の養父さんも、誇りに思っているだろうぜ!!」 が引っかかり、心のそこから笑えなかった。 養父さん、僕はある復讐をします。それはとても外道なことです。だから、養父さんは僕を消して許さないでしょう。 でも僕はこの道を進むのをやめません。父と養父さんと妹をあんな目に合わせたあの村は…。 とくにあの3人だけは、あいつらだけはなんとしてでも死ぬところを見なければ気がすまないっ!!! 再度そう、心に決めた。養父への謝罪をこめながら。許されるはずもないと思いながらも謝罪を繰り返した。 「…おい、大金ってなんだ」 虐待おにいさんが思い出したように言う。 「さっき、村人が言っていた大金って、どういうことだ?」 万能お兄さんに詰め寄る虐待お兄さん。彼は村長に目配せした。村長はうなずき、彼もうなずいて話した。 「ああ…、君たち3人には黙っていたけどさ、あのドスをうまく使って加工所に売れば大金が手に入るんだ」 「加工所にゆっくりをもって行けば金が入るのは誰だって知っているぜ。俺が知りたいのは、なぜドスをそのまま売り飛ばさず、わざわざ 逃がしたのかがわからねぇ」 「じゃあ教えるよ。成長したゆっくりは美味しくないのは知ってるよね?」 「ああ、中身がパサパサしているからな。常識だ。それを美味しくするには俺がするような虐待によって、売り飛ばせるレベルまで 味を向上させることができるのも理解している。」 「うん。じゃあ、かなりの期間をへて、成熟したゆっくりの中枢餡子は、かなり特殊だってしっているかい?」 「小耳に挟んだ程度ならな。だがかなりの期間をへて成熟したゆっくりなんて、普通さがしてもめったに見つからないだろ… ドスくらいなもんじゃ………………………あ。」 どうやら虐待お兄さんは理解したようだ。万能お兄さんの言わんとしていることを。 「…その顔をみると、僕の言いたいことがわかったようだね?」 「…」 虐待お兄さんは黙ってうなずく。 なぜ彼が、ドスを逃がすようなことをしたのか。 それはひとえに 「あいつを逃がしてゆっくりさせて、また恐怖を与えれば、中の餡子はかなり上質なものになる。外側の餡子だけでもかなりの価値になるんだ それが中枢餡子だったら………わかるよね?」 「…ああ、理解したぜ。まさかアンタがそれほどまでに考えていたなんてな。味をよくして、高く売りつける。か」 虐待お兄さんの顔がどんどん明るくなっていく。 「でも、欠点があってね。あのドスの味が良くなるには、春を迎えなければ成らないんだよ。でも、その間に彼女達は 群れの数を元に戻しているか、それ以上の規模になっているよ。多分、今回以上の虐待と虐殺ができると思うんだ。 だから、虐待お兄さんと虐殺お兄さんには黙っていたんだ。後で喜んでもらおうと思ってさ。」 「なんだそういうことかよ!相変わらずいいやつだな!!春がこんなにも楽しみと思ったのは久しぶりだぜ!!」 万能お兄さんの説明に、はしゃぐ虐待お兄さん。 「タダではこういうことはしないのは理解していたが、まさかそこまでとはな…。お前の頭脳が恐ろしいよ。 まぁ、私としては今回以上のゆっくりが虐殺できるのがわかったから非常にうれしいがな」 虐殺お兄さんも感心している。だが愛でお兄さんは 「…なにをしたら、君をそんなに駆り立てるんだい?」 「…」 愛でお兄さんは人を見る目がある。だから万能お兄さんの起こした行動も、なにかあるというのがわかっているようだ。 「せめていうなら、金がほしいくらいだよ」 愛でお兄さんはそれを聞いても、釈然としなかった。彼が言ったのは本当だろうが、金以外にもなにかを求めている。 とても人に話せないような内容だろう。そうにらんでいた。 そう言うと、万能お兄さんは家に帰った。進行方向に村長が居て、横を通り過ぎようとしたら、村長が話しかけてきた 「あの子のためかね…」 「…言うまでもないでしょう。たった一人の血を分けた妹なんですから」 「じゃが、それ以外にも何か考えておるだろう」 「…はい」 「あの子の病気のことは、わしとお前しかしらん、安心しろ。じゃが、お前さんが行こうとする道は茨の道ぞ」 村長は、彼が何をするのかうすうすながら気づいているようだ。 「さすが村長、僕など到底あなたに及びません」 「ばかもん、お前さんを拾ったあの猟師はわしの親友じゃ。あいつはお前さんと妹を実の子供のように自慢しておった。 じゃから、村ではお前さんのことをよーくしっておる。あいつほどではないがな」 「…初耳ですよ」 「話さなかっただけじゃ。お前は、あの村から村八分にされてこの村にたどりついたが、この村に来て生まれ変わったんじゃ。 じゃから…。やめることはできないのかね?」 「これはあなたの親友への敵討ちも含まれています。それに、僕は生まれ変わってなどいません。あの村の、あいつらのことを 一時たりとも忘れたことなどないのですから。あなたも、村人も、親友も、全て自分の「計画」のために利用する外道なのですよ、僕は。 だから…生まれ変わってなど…それにすることが終わったらこの村を」 「…お前はそう思うのか。じゃが一つだけ言わせろ。わしは決して、お前を見捨てんからな。この村を勝手に出ることも許さん」 「…」 村長すらも利用したというのに、彼はそのことについて咎めないばかりか見捨てないと言ってきた。 胸が熱くなり、目から暖かい何かがこみ上げてきた。 だが、それを悟られないように、彼は足早に家へと帰った。 家へとたどり着き、自分の部屋へ入り横になった。 その後に、きめぇ丸Aが部屋に入ってきた 「ずっと家に隠れていたかい?」 「はい、ご主人様の言いつけはしっかりと守りました。だからあのドスには、私がご主人様のものだということに気づいていないと思います。」 「よし、後は君があの群れを誘導するだけだ。しっかりと頼むよ」 「了解です、では行って参ります」 と、きめぇ丸Aは窓から飛び出て、ドスまりさの群れへと飛んでいった。 一人になった彼は、 「うまく「計画」どおりにいけば、あのドスの中で「あれ」ができる。それさえ手に入れば後は…」 そう呟き、彼は眠りについた。 つづく あとがき 万能お兄さん3です。読んでいただいた方ありがとうございます。 がんばってライトみたいな腹黒さをだしてみましたが、いかがでしょうか? あと、彼の家族も少し出しています。過去にも少し触れてます。 3つで終わるかなーと思いきや、書いていくうちにかなり長くなってしまいました。すいません。 3つ書いたら名乗ろうかなと思ってたんで、これからロベルトと名のることにします。 続きもがんばるので、よろしくお願いします。 感想くれた方に感謝いたします。初めて書いたものに暖かい感想をもらえたことに涙を禁じえません。 お目汚し失礼しましたー。 書いたもの 万能お兄さん1 万能お兄さん2 このSSに感想を付ける
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前 ドスがあっけなくつかまり、それを見た村人達が勝ち鬨をあげる。ドスさえ戦わなければあとは雑魚だ。 こいつらは 「ゆっくりしね!!!」 と言うものの、飛びついたり、噛み付いたり、石を投げるだけだ。たいした敵ではない。 無論数があれば村は無傷とは行かず、かなりのダメージを負っただろう。 だが、最初の戦闘で半数が減ってしまっては、もう村人達に抵抗できるものはいなかった。 それにドスが気絶したのを見て、戦意喪失したゆっくりたちは逃げ始めた。 「できるかぎり、あいつらを捕まえてください」 万能お兄さんの指示により、村人達はゆっくりを捕まえ始める。虐待お兄さんも手伝い始めた。 これで準備がそろった。あとはドスが目覚めるだけだ。 すべては「計画」のために。 「おい、おきろ」 虐待お兄さんが蹴り飛ばす。 顔に激痛が走り、ドスは目を覚ました。 動こうとしても動けない。それもそのはず、体を厳重に縛られているからだ。 「ゆっ!!うごけないよ!!!この縄を解いてね!!!」 ドスは頼んだが、村人達は誰一人として答えない。代わりに虐待お兄さんのパンチが飛んできた。 「ゆごべぇっ!!!!!」 「どうやら終わったようだね」 愛でお兄さんもやってきた。すでに安全とわかり、他の飼いゆっくりたちも自分達の家に帰っていった。 万能お兄さんのゆっくりは、10匹程がお兄さん達を囲むようにして周りを警戒している。残党は先ほどの戦闘で 戦意喪失したが、油断はできない。念には念を入れておいた。残りの20匹ほどは家と村の警護だ。 「さすがゆっくりの総元締め。この状態でも偉そうに言うとは…。下種が、殺すぞ」 「だめだよ、虐殺お兄さん。こいつは僕に任してくれるって言ったじゃないか」 「…そうだったな」 槍を収めていう。それを聞いた虐待お兄さんが。 「んじゃー、こいつ俺がいたぶっていい?大丈夫、死なない程度にするからさ」 「ごめん、それもできない。頼むよ」 「ちぇっ、わかったよ。だから頭を上げてくれ」 「万能お兄さん、どうかしたのかい?」 「ありがとう愛でお兄さん。なんともないよ、なんとも…。」 拍子抜けだ。なんだか今回はえらく消極的だな。いつもと違う万能お兄さんの態度に、3人は戸惑いを隠せなかった。 「じゃあさ、こいつはどうすんだ?」 「今から公開処刑をするからまってね。虐待お兄さん」 公開処刑?このおにいさんはなにをいっているんだ? いったいなにをはじめるつもりなんだ? ドスには理解できなかった。 「だがよぉ、これだけの死体を見せれば意味ないんじゃねーか?」 死体?あの人は何を言っているんだ? と、ドスは片目であたりを見渡した。そして理解した。 そこいらに横たわる、彼女の仲間達を。 「あ……あ……あ……」 信じられなかった。夢かと思った。 だが現実だ。口の中の熱い痛みがそれを教えてくれる。 村を襲ったのは失敗したのだった。 みんな、ドスを信じて戦い、死んでいった。 「ああああぁぁぁぁぁぁあぁあああああぁあぁ!!みんなああぁぁぁああああぁぁぁ!!!!!!」 ドスまりさは泣き叫んだ。あまりにも急だったので、何人かの村人が驚く。 4人のスペシャリストである四天王はゆっくりと、ドスを見る。 「おーおー、いい声で泣き叫ぶこと」 「やはりゆっくりの絶望の声はいいものだな」 「あーあー、聞こえません。聞こえません。聞きたくありません。」 虐待お兄さんと虐殺お兄さんは、ドスの泣き叫ぶ声に恍惚の表情を浮かべている。 愛でお兄さんは、辛いので耳をふさいでいる。 万能お兄さんは、ドスが泣いているにもかかわらず、話しかけた。 「ドス、いいかい?」 「ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ごべんね…ごべんね…」 ショックのあまり耳に入っていないようだ、それをみた万能お兄さんは彼女の顔を殴り、目を覚まさせた。 「いいかい、ドス。君達は人里を襲った。やってはいけないことをした。人里を襲ってはいけないというルールはない。 だが、僕らに恐怖を与えた罰を、君は受けてもらう。」 「どちらかっつーと、俺らは楽しんだけれどな。なぁ?虐殺お兄さん」 「ああ」 「僕は悲鳴を聞くだけで胃が痛くなりそうですがねぇ…。」 3人がそれぞれ言う。だが、万能お兄さんは気にせず話を進める。 「ゆ゛っ゛ぅぅ、罰ってなにをするの…」 「公開処刑さ」 そういうと、村人達がゆっくりを入れた麻袋をもってきた。 万能お兄さんの指示によって、捕まえたゆっくりだ。数はおよそ10匹。 残りの90匹ちかくは、死んだか、逃げたか、虐待お兄さんが捕まえたか、である。 ゆっくりたちが袋から出され、ドスの前に並べられる。逃げないようにちゃんと縄で縛っている。 「こうかい…しょけい?」 ドスは恐る恐るたずねる。 「ああ、この10匹のゆっくりたちには死んでもらうよ。 君を呪いながらね」 と、1匹のれいむがドスの前に出された。 「虐殺お兄さん、処刑執行人はよろしくね」 「おう、この上ない適役だな。私にこそふさわしい」 そういうと、虐殺お兄さんは1匹のれいむのまえにたった。 れいむは恐怖に震えながらも、ドスに助けを求めた。 「どずぅぅぅ!!!だずげでぇぇぇ!!!!じにだぐな、ゆぎゃっ!!」 「やかましいわ、この下種が」 槍を一突き刺し、れいむを殺す。 「すぐに殺しても問題ないか?万能お兄さん」 「うん。でもできれば、死ぬ前の一言は喋らせてね」 「承知した」 それをみたゆっくりたちは恐怖し、次々に騒ぎ始める。 「どずうううぅぅぅぅぅぅううう!!!!だずげでよおおおおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」 「じにだぐないよぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!」 「なんでだずげでぐれないのぉぉぉぉぉおおおおお!!!???」 「どずずばーぐをうっで、にんげんをごろじでよぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」 「どずのばがああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!わだじだぢをだずげでよおおおおおおおおお!!!!!」 ドススパークは撃つ事はできなかった。ひとえに万能お兄さんから喰らった、ジョロキアグレネードのせいである。 一度口の中に広がれば最後。ドススパークはおろか、ゆっくりオーラも使えない。 ゆっくりに取っては弱点ともいえるトウガラシの辛さにより、口の中が辛くて機能しなくなるうえ、口の中に生えている ドスキノコにまで影響を受けるからである。ただ、トウガラシのみで、ドスキノコが使えなくなるわけではない。 ジョロキアグレネードに含まれている「ある薬」のおかげだった。 それはゆっくりオーラを無効化する解毒剤だった。 人間が飲むためのものを、ドスキノコにかけてみたら偶然機能しなくなることがわかったのであった。 おかげで、ゆっくりオーラとドススパークの両方を封じることができる。 ただ、機能しなくなるだけで。キノコそのものが消えるわけではない。あと1ヶ月もすれば機能は戻るが、1ヶ月とは長いものである。 ドスにとって、最大の武器であるドススパークが撃てなくなったドスは、自然で生き残れるかどうかも疑問である。 おまけに口の痛さはいかばかりか。1週間ほどは口が辛くて麻痺し、食べ物が食べれなくなるだろう。 ドスほどの大きさなら、体の餡子を消費すれば、体は少し小さくなるものの助かる。これが成体ゆっくりなら1週間も持たないだろう。 もっとも、一滴の飛沫だけでも死ぬか、後遺症をのこして、二度とゆっくりできなくなるが。 ドススパークも、ゆっくりオーラもつかえず、ドスはただただごめんね、ごめんねと謝るだけだった。 謝るドスに、次々と浴びせられる仲間からの罵声。そして1匹1匹と死んでいく。 「もう終わったな」 虐殺お兄さんが、最後のゆっくりを殺していった。 終わったと言ったのは、最後のゆっくりを殺したから終わった、というよりもドスそのものの精神が。という意味合いが強い。 「ゆぅ…おにいさん…もう…おわったんでしょ」 「…ああ、たった今終わったよ」 万能お兄さんは答えた。 「じゃあ…、わたしをゆるしてください…おねがいします。」 「ああっ!?なめたこというんじゃねぇぞ!!」 そう答えたのは虐待お兄さんだった。 「てめぇはこれから、俺らに嬲り殺されるんだよ」 「クソにも劣る饅頭風情がこの期に及んで命乞いとは、調子に乗るな」 虐殺お兄さんが吐き捨てるように言う 「これもしかたないね…」 と、あきらめるように愛でお兄さんも言う。彼からすれば全てのゆっくりを愛するわけではない。悪いゆっくりは処罰されても文句は言わない。 だから、このドスまりさが死のうが嬲られようが、村を襲ったのは事実で覆すことなどできないから、彼はあきらめている。 ちなみに、ほかのゆっくりたちの公開処刑では耳栓をして、小説を読むのに没頭していた。 「ゆうっ!!ゆるしてよ!!ばつはうけたんだよ!!おねがいいいい!!!!ゆるじでよおおおおおおおお!!!!!!」 ドスまりさは泣き叫び懇願した。私は彼の言う罰を受けた。もう罰が終わったなら終わりではないのか??人間はこうも汚いのか? 彼女は必死になって懇願した。 それを見下すような目で見る虐殺お兄さん。 これからおこる虐待にわくわくするような目でみる虐待お兄さん。 耳を塞ぎ、彼女を見ないようにする愛でお兄さん。 さぁ、これからどうしようか? その答えは万能お兄さんが決める。彼は静かに口を開き。 「ああ、許すよ。だから山に帰るんだ。」 何分たっただろうか。静寂が訪れる。 ドスまりさも、3人のお兄さんも、彼が何を言ったのか理解できなかった。 だが、彼ははっきりといった 「ドスを許す、と」 「お、お、お、お、お、お。おいおいおいおいおいおおおおおいおい!!!!!万能お兄さん!?」 虐待お兄さんが詰め寄る。万能お兄さんとは長い付き合いだし、ゆっくりではいろいろと話し合った、まぎれもない心友だ。 他の2人と同じく、心の友だ。 だからこそ、心友だからこそ、彼の言ったことが理解できなかった。 「えー、もう一度聞きますよ?いいですか、万能お兄さん。あんたはさっきなんていったんだ?」 「うん、ドスを、彼女を許すよ」 「えっと・・・・・・・・・what?」 「もう一度言うよ。ドスを許す。」 「Can you say that again please?.(もう一度言ってくれませんか?)」 「驚くのも無理はないけれど、ドスを許すって言ったよ」 「今日はエイプリルフールだったか…?」 日付を思い出したが、いまは晩秋。そんなわけがない。 頭を抱えている虐待お兄さんを尻目に、虐殺お兄さんは訪ねた。心底信じられないといった顔だ。 「万能お兄さん、君は本気で言っているのか?」 「…一度言ったことは曲げないし、やると決めたことをやめたことはないよ。それは君が一番良く知っているはず」 「ああ…、君はこの村に来たときからそうだったな。非常にひねくれた頑固者だ。わかった、もう何も言わない」 「感謝しますよ、虐殺お兄さん。いや、僕の修行の先生」 「君はもう卒業したから、そういわれる筋合いはない」 「そうだったね…」 虐殺お兄さんは引き下がった、次に愛でお兄さんが尋ねてきた。やはり信じられないようだ。 「君が言ったことは間違いない…よね?」 「うん、信じられないかもしれないけどね」 「…なにか考えがあるんだろう?」 「…」 万能お兄さんは答えなかった。図星だからだ。だが顔には出さず、静かに 「とりあえず、信じてくれないか?」 とだけ言った。愛でお兄さんも、これ以上彼が喋らないとわかると、おとなしく引き下がった。 ドスも信じられないような目で、彼を見た。殺されると思ったからだ。 「おにいさん…、本当に…、ゆるしてくれるの?」 彼は縄を解きながら言った。 「ああ、さっきの話を聞いていただろう。君を僕は罰した、君はそれに耐えた。だからこれ以上咎める理由はない」 「ゆぅぅぅぅぅっ…………」 ドスは静かに涙を流した。人間は、ちゃんと約束を守ってくれた。 罰したら、それ以上お咎めなしなんて今まで見たことも、聞いたこともない、初めてだ。 「ゆぅぅぅぅぅぅ………、おにいさんありがとう」 「僕だけじゃなく、他の皆にも礼を言ってね」 ドスまりさは回りのお兄さんと、村人達にもありがとう、ありがとうと礼を言った。 愛でお兄さんは「もう2度とこんなことをするんじゃないよ」とにこやかにいい、虐殺お兄さんは無視し、 虐待お兄さんはぶすっ、と膨れていたので聞きたくもないし、それどころじゃなかった。 「じゃあ、ドスまりさ。これをもっていきなさい」 と、万能お兄さんが手を上げると、家のゆっくりたちがダンボール箱に入った野菜をもってきてくれた。 いっぱい入っているわけではないが、結構な量はある。 「ご主人様、もってきましたー」 ときめぇ丸Bがお兄さんに近づいて、顔を寄せ耳打ちした (これでよろしいのですよね?) (ああ、問題ない。ところで、「あの村」に行くための量は大丈夫なのか?) (はい、ぱちゅりーが写真に載っている食料庫の量に、現時点でのドスの群れの数、群れの食料消費量、行軍時間などを 計算した結果。この野菜を彼らにあげればギリギリで「あの村」にたどり着きます) (そうか、ご苦労。これで僕の「計画」が進む。愛してるよ) 皆に聞こえないような耳打ちはほんのわずかだったので、回りの皆からすれば、きめぇ丸が万能お兄さんにほお擦りをしたようにしか見えない。 きめぇ丸は本来なら、愛していると言われれば顔を赤くするものだが、今回の彼女はどこか浮かない顔をしていた。 彼は家のゆっくりには本音で話す。家のゆっくりと愛し合っていたなども隠さずに言う。だから知っている。 知っているのだ。万能お兄さんの復讐を、彼が考えている「計画」の全てを。 万能お兄さんはドスを見て 「いいかい、ドスまりさ。これで最後にするんだ。もう二度と村を襲っちゃいけないよ」 「ゆぅぅ、おにいさん、ほんとうにこのお野菜もらっていいの?」 もらえることが信じられないので、彼女は尋ねる。 お兄さんはにこやかにいい 「ああ、もちろんさ。だが約束してくれ。もう村を襲うのはやめるんだ。君達ゆっくりは人間に勝てない。 これ以上死にたくなかったら、人里を襲うのはやめなさい。いいね?もし君達がまた村を襲ったりしたら…。 その時は、僕は君達を殺すからね?2度目はないと思ってね?」 と笑みを崩さずに言うお兄さん。その恐ろしさにドスまりさは恐怖し 「ゆっ!!ゆっくりわかったよ!!やくそくするよ!!にどとむらをおそわないよ!!」 「よしよし、じゃあ山にお帰り」 そういって、彼はドスまりさを撫でた。 彼女は頭に段ボール箱を乗せながら、山へと地面を揺らしながら帰っていった。 それを見送る村人達と、四天王。 村長と村人達が、万能お兄さんに話しかけた 「これで計画通りになったな!!さすがだぜ!万能お兄さん!!」 「村一番の頭脳は伊達じゃねぇやな!!」 「これで、村に大金が手に入るな!!」 「天国の養父さんも、誇りに思っているだろうぜ!!」 万能お兄さんは、村人達から褒められ愛想笑いを浮かべた。本来なら普通に笑うところだが、村人が言った 「天国の養父さんも、誇りに思っているだろうぜ!!」 が引っかかり、心のそこから笑えなかった。 養父さん、僕はある復讐をします。それはとても外道なことです。だから、養父さんは僕を消して許さないでしょう。 でも僕はこの道を進むのをやめません。父と養父さんと妹をあんな目に合わせたあの村は…。 とくにあの3人だけは、あいつらだけはなんとしてでも死ぬところを見なければ気がすまないっ!!! 再度そう、心に決めた。養父への謝罪をこめながら。許されるはずもないと思いながらも謝罪を繰り返した。 「…おい、大金ってなんだ」 虐待おにいさんが思い出したように言う。 「さっき、村人が言っていた大金って、どういうことだ?」 万能お兄さんに詰め寄る虐待お兄さん。彼は村長に目配せした。村長はうなずき、彼もうなずいて話した。 「ああ…、君たち3人には黙っていたけどさ、あのドスをうまく使って加工所に売れば大金が手に入るんだ」 「加工所にゆっくりをもって行けば金が入るのは誰だって知っているぜ。俺が知りたいのは、なぜドスをそのまま売り飛ばさず、わざわざ 逃がしたのかがわからねぇ」 「じゃあ教えるよ。成長したゆっくりは美味しくないのは知ってるよね?」 「ああ、中身がパサパサしているからな。常識だ。それを美味しくするには俺がするような虐待によって、売り飛ばせるレベルまで 味を向上させることができるのも理解している。」 「うん。じゃあ、かなりの期間をへて、成熟したゆっくりの中枢餡子は、かなり特殊だってしっているかい?」 「小耳に挟んだ程度ならな。だがかなりの期間をへて成熟したゆっくりなんて、普通さがしてもめったに見つからないだろ… ドスくらいなもんじゃ………………………あ。」 どうやら虐待お兄さんは理解したようだ。万能お兄さんの言わんとしていることを。 「…その顔をみると、僕の言いたいことがわかったようだね?」 「…」 虐待お兄さんは黙ってうなずく。 なぜ彼が、ドスを逃がすようなことをしたのか。 それはひとえに 「あいつを逃がしてゆっくりさせて、また恐怖を与えれば、中の餡子はかなり上質なものになる。外側の餡子だけでもかなりの価値になるんだ それが中枢餡子だったら………わかるよね?」 「…ああ、理解したぜ。まさかアンタがそれほどまでに考えていたなんてな。味をよくして、高く売りつける。か」 虐待お兄さんの顔がどんどん明るくなっていく。 「でも、欠点があってね。あのドスの味が良くなるには、春を迎えなければ成らないんだよ。でも、その間に彼女達は 群れの数を元に戻しているか、それ以上の規模になっているよ。多分、今回以上の虐待と虐殺ができると思うんだ。 だから、虐待お兄さんと虐殺お兄さんには黙っていたんだ。後で喜んでもらおうと思ってさ。」 「なんだそういうことかよ!相変わらずいいやつだな!!春がこんなにも楽しみと思ったのは久しぶりだぜ!!」 万能お兄さんの説明に、はしゃぐ虐待お兄さん。 「タダではこういうことはしないのは理解していたが、まさかそこまでとはな…。お前の頭脳が恐ろしいよ。 まぁ、私としては今回以上のゆっくりが虐殺できるのがわかったから非常にうれしいがな」 虐殺お兄さんも感心している。だが愛でお兄さんは 「…なにをしたら、君をそんなに駆り立てるんだい?」 「…」 愛でお兄さんは人を見る目がある。だから万能お兄さんの起こした行動も、なにかあるというのがわかっているようだ。 「せめていうなら、金がほしいくらいだよ」 愛でお兄さんはそれを聞いても、釈然としなかった。彼が言ったのは本当だろうが、金以外にもなにかを求めている。 とても人に話せないような内容だろう。そうにらんでいた。 そう言うと、万能お兄さんは家に帰った。進行方向に村長が居て、横を通り過ぎようとしたら、村長が話しかけてきた 「あの子のためかね…」 「…言うまでもないでしょう。たった一人の血を分けた妹なんですから」 「じゃが、それ以外にも何か考えておるだろう」 「…はい」 「あの子の病気のことは、わしとお前しかしらん、安心しろ。じゃが、お前さんが行こうとする道は茨の道ぞ」 村長は、彼が何をするのかうすうすながら気づいているようだ。 「さすが村長、僕など到底あなたに及びません」 「ばかもん、お前さんを拾ったあの猟師はわしの親友じゃ。あいつはお前さんと妹を実の子供のように自慢しておった。 じゃから、村ではお前さんのことをよーくしっておる。あいつほどではないがな」 「…初耳ですよ」 「話さなかっただけじゃ。お前は、あの村から村八分にされてこの村にたどりついたが、この村に来て生まれ変わったんじゃ。 じゃから…。やめることはできないのかね?」 「これはあなたの親友への敵討ちも含まれています。それに、僕は生まれ変わってなどいません。あの村の、あいつらのことを 一時たりとも忘れたことなどないのですから。あなたも、村人も、親友も、全て自分の「計画」のために利用する外道なのですよ、僕は。 だから…生まれ変わってなど…それにすることが終わったらこの村を」 「…お前はそう思うのか。じゃが一つだけ言わせろ。わしは決して、お前を見捨てんからな。この村を勝手に出ることも許さん」 「…」 村長すらも利用したというのに、彼はそのことについて咎めないばかりか見捨てないと言ってきた。 胸が熱くなり、目から暖かい何かがこみ上げてきた。 だが、それを悟られないように、彼は足早に家へと帰った。 家へとたどり着き、自分の部屋へ入り横になった。 その後に、きめぇ丸Aが部屋に入ってきた 「ずっと家に隠れていたかい?」 「はい、ご主人様の言いつけはしっかりと守りました。だからあのドスには、私がご主人様のものだということに気づいていないと思います。」 「よし、後は君があの群れを誘導するだけだ。しっかりと頼むよ」 「了解です、では行って参ります」 と、きめぇ丸Aは窓から飛び出て、ドスまりさの群れへと飛んでいった。 一人になった彼は、 「うまく「計画」どおりにいけば、あのドスの中で「あれ」ができる。それさえ手に入れば後は…」 そう呟き、彼は眠りについた。 つづく あとがき 万能お兄さん3です。読んでいただいた方ありがとうございます。 がんばってライトみたいな腹黒さをだしてみましたが、いかがでしょうか? あと、彼の家族も少し出しています。過去にも少し触れてます。 3つで終わるかなーと思いきや、書いていくうちにかなり長くなってしまいました。すいません。 3つ書いたら名乗ろうかなと思ってたんで、これからロベルトと名のることにします。 続きもがんばるので、よろしくお願いします。 感想くれた方に感謝いたします。初めて書いたものに暖かい感想をもらえたことに涙を禁じえません。 お目汚し失礼しましたー。 書いたもの 万能お兄さん1 万能お兄さん2 このSSに感想を付ける
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前 ドスがあっけなくつかまり、それを見た村人達が勝ち鬨をあげる。ドスさえ戦わなければあとは雑魚だ。 こいつらは 「ゆっくりしね!!!」 と言うものの、飛びついたり、噛み付いたり、石を投げるだけだ。たいした敵ではない。 無論数があれば村は無傷とは行かず、かなりのダメージを負っただろう。 だが、最初の戦闘で半数が減ってしまっては、もう村人達に抵抗できるものはいなかった。 それにドスが気絶したのを見て、戦意喪失したゆっくりたちは逃げ始めた。 「できるかぎり、あいつらを捕まえてください」 万能お兄さんの指示により、村人達はゆっくりを捕まえ始める。虐待お兄さんも手伝い始めた。 これで準備がそろった。あとはドスが目覚めるだけだ。 すべては「計画」のために。 「おい、おきろ」 虐待お兄さんが蹴り飛ばす。 顔に激痛が走り、ドスは目を覚ました。 動こうとしても動けない。それもそのはず、体を厳重に縛られているからだ。 「ゆっ!!うごけないよ!!!この縄を解いてね!!!」 ドスは頼んだが、村人達は誰一人として答えない。代わりに虐待お兄さんのパンチが飛んできた。 「ゆごべぇっ!!!!!」 「どうやら終わったようだね」 愛でお兄さんもやってきた。すでに安全とわかり、他の飼いゆっくりたちも自分達の家に帰っていった。 万能お兄さんのゆっくりは、10匹程がお兄さん達を囲むようにして周りを警戒している。残党は先ほどの戦闘で 戦意喪失したが、油断はできない。念には念を入れておいた。残りの20匹ほどは家と村の警護だ。 「さすがゆっくりの総元締め。この状態でも偉そうに言うとは…。下種が、殺すぞ」 「だめだよ、虐殺お兄さん。こいつは僕に任してくれるって言ったじゃないか」 「…そうだったな」 槍を収めていう。それを聞いた虐待お兄さんが。 「んじゃー、こいつ俺がいたぶっていい?大丈夫、死なない程度にするからさ」 「ごめん、それもできない。頼むよ」 「ちぇっ、わかったよ。だから頭を上げてくれ」 「万能お兄さん、どうかしたのかい?」 「ありがとう愛でお兄さん。なんともないよ、なんとも…。」 拍子抜けだ。なんだか今回はえらく消極的だな。いつもと違う万能お兄さんの態度に、3人は戸惑いを隠せなかった。 「じゃあさ、こいつはどうすんだ?」 「今から公開処刑をするからまってね。虐待お兄さん」 公開処刑?このおにいさんはなにをいっているんだ? いったいなにをはじめるつもりなんだ? ドスには理解できなかった。 「だがよぉ、これだけの死体を見せれば意味ないんじゃねーか?」 死体?あの人は何を言っているんだ? と、ドスは片目であたりを見渡した。そして理解した。 そこいらに横たわる、彼女の仲間達を。 「あ……あ……あ……」 信じられなかった。夢かと思った。 だが現実だ。口の中の熱い痛みがそれを教えてくれる。 村を襲ったのは失敗したのだった。 みんな、ドスを信じて戦い、死んでいった。 「ああああぁぁぁぁぁぁあぁあああああぁあぁ!!みんなああぁぁぁああああぁぁぁ!!!!!!」 ドスまりさは泣き叫んだ。あまりにも急だったので、何人かの村人が驚く。 4人のスペシャリストである四天王はゆっくりと、ドスを見る。 「おーおー、いい声で泣き叫ぶこと」 「やはりゆっくりの絶望の声はいいものだな」 「あーあー、聞こえません。聞こえません。聞きたくありません。」 虐待お兄さんと虐殺お兄さんは、ドスの泣き叫ぶ声に恍惚の表情を浮かべている。 愛でお兄さんは、辛いので耳をふさいでいる。 万能お兄さんは、ドスが泣いているにもかかわらず、話しかけた。 「ドス、いいかい?」 「ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ごべんね…ごべんね…」 ショックのあまり耳に入っていないようだ、それをみた万能お兄さんは彼女の顔を殴り、目を覚まさせた。 「いいかい、ドス。君達は人里を襲った。やってはいけないことをした。人里を襲ってはいけないというルールはない。 だが、僕らに恐怖を与えた罰を、君は受けてもらう。」 「どちらかっつーと、俺らは楽しんだけれどな。なぁ?虐殺お兄さん」 「ああ」 「僕は悲鳴を聞くだけで胃が痛くなりそうですがねぇ…。」 3人がそれぞれ言う。だが、万能お兄さんは気にせず話を進める。 「ゆ゛っ゛ぅぅ、罰ってなにをするの…」 「公開処刑さ」 そういうと、村人達がゆっくりを入れた麻袋をもってきた。 万能お兄さんの指示によって、捕まえたゆっくりだ。数はおよそ10匹。 残りの90匹ちかくは、死んだか、逃げたか、虐待お兄さんが捕まえたか、である。 ゆっくりたちが袋から出され、ドスの前に並べられる。逃げないようにちゃんと縄で縛っている。 「こうかい…しょけい?」 ドスは恐る恐るたずねる。 「ああ、この10匹のゆっくりたちには死んでもらうよ。 君を呪いながらね」 と、1匹のれいむがドスの前に出された。 「虐殺お兄さん、処刑執行人はよろしくね」 「おう、この上ない適役だな。私にこそふさわしい」 そういうと、虐殺お兄さんは1匹のれいむのまえにたった。 れいむは恐怖に震えながらも、ドスに助けを求めた。 「どずぅぅぅ!!!だずげでぇぇぇ!!!!じにだぐな、ゆぎゃっ!!」 「やかましいわ、この下種が」 槍を一突き刺し、れいむを殺す。 「すぐに殺しても問題ないか?万能お兄さん」 「うん。でもできれば、死ぬ前の一言は喋らせてね」 「承知した」 それをみたゆっくりたちは恐怖し、次々に騒ぎ始める。 「どずうううぅぅぅぅぅぅううう!!!!だずげでよおおおおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」 「じにだぐないよぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!!!」 「なんでだずげでぐれないのぉぉぉぉぉおおおおお!!!???」 「どずずばーぐをうっで、にんげんをごろじでよぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」 「どずのばがああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!わだじだぢをだずげでよおおおおおおおおお!!!!!」 ドススパークは撃つ事はできなかった。ひとえに万能お兄さんから喰らった、ジョロキアグレネードのせいである。 一度口の中に広がれば最後。ドススパークはおろか、ゆっくりオーラも使えない。 ゆっくりに取っては弱点ともいえるトウガラシの辛さにより、口の中が辛くて機能しなくなるうえ、口の中に生えている ドスキノコにまで影響を受けるからである。ただ、トウガラシのみで、ドスキノコが使えなくなるわけではない。 ジョロキアグレネードに含まれている「ある薬」のおかげだった。 それはゆっくりオーラを無効化する解毒剤だった。 人間が飲むためのものを、ドスキノコにかけてみたら偶然機能しなくなることがわかったのであった。 おかげで、ゆっくりオーラとドススパークの両方を封じることができる。 ただ、機能しなくなるだけで。キノコそのものが消えるわけではない。あと1ヶ月もすれば機能は戻るが、1ヶ月とは長いものである。 ドスにとって、最大の武器であるドススパークが撃てなくなったドスは、自然で生き残れるかどうかも疑問である。 おまけに口の痛さはいかばかりか。1週間ほどは口が辛くて麻痺し、食べ物が食べれなくなるだろう。 ドスほどの大きさなら、体の餡子を消費すれば、体は少し小さくなるものの助かる。これが成体ゆっくりなら1週間も持たないだろう。 もっとも、一滴の飛沫だけでも死ぬか、後遺症をのこして、二度とゆっくりできなくなるが。 ドススパークも、ゆっくりオーラもつかえず、ドスはただただごめんね、ごめんねと謝るだけだった。 謝るドスに、次々と浴びせられる仲間からの罵声。そして1匹1匹と死んでいく。 「もう終わったな」 虐殺お兄さんが、最後のゆっくりを殺していった。 終わったと言ったのは、最後のゆっくりを殺したから終わった、というよりもドスそのものの精神が。という意味合いが強い。 「ゆぅ…おにいさん…もう…おわったんでしょ」 「…ああ、たった今終わったよ」 万能お兄さんは答えた。 「じゃあ…、わたしをゆるしてください…おねがいします。」 「ああっ!?なめたこというんじゃねぇぞ!!」 そう答えたのは虐待お兄さんだった。 「てめぇはこれから、俺らに嬲り殺されるんだよ」 「クソにも劣る饅頭風情がこの期に及んで命乞いとは、調子に乗るな」 虐殺お兄さんが吐き捨てるように言う 「これもしかたないね…」 と、あきらめるように愛でお兄さんも言う。彼からすれば全てのゆっくりを愛するわけではない。悪いゆっくりは処罰されても文句は言わない。 だから、このドスまりさが死のうが嬲られようが、村を襲ったのは事実で覆すことなどできないから、彼はあきらめている。 ちなみに、ほかのゆっくりたちの公開処刑では耳栓をして、小説を読むのに没頭していた。 「ゆうっ!!ゆるしてよ!!ばつはうけたんだよ!!おねがいいいい!!!!ゆるじでよおおおおおおおお!!!!!!」 ドスまりさは泣き叫び懇願した。私は彼の言う罰を受けた。もう罰が終わったなら終わりではないのか??人間はこうも汚いのか? 彼女は必死になって懇願した。 それを見下すような目で見る虐殺お兄さん。 これからおこる虐待にわくわくするような目でみる虐待お兄さん。 耳を塞ぎ、彼女を見ないようにする愛でお兄さん。 さぁ、これからどうしようか? その答えは万能お兄さんが決める。彼は静かに口を開き。 「ああ、許すよ。だから山に帰るんだ。」 何分たっただろうか。静寂が訪れる。 ドスまりさも、3人のお兄さんも、彼が何を言ったのか理解できなかった。 だが、彼ははっきりといった 「ドスを許す、と」 「お、お、お、お、お、お。おいおいおいおいおいおおおおおいおい!!!!!万能お兄さん!?」 虐待お兄さんが詰め寄る。万能お兄さんとは長い付き合いだし、ゆっくりではいろいろと話し合った、まぎれもない心友だ。 他の2人と同じく、心の友だ。 だからこそ、心友だからこそ、彼の言ったことが理解できなかった。 「えー、もう一度聞きますよ?いいですか、万能お兄さん。あんたはさっきなんていったんだ?」 「うん、ドスを、彼女を許すよ」 「えっと・・・・・・・・・what?」 「もう一度言うよ。ドスを許す。」 「Can you say that again please?.(もう一度言ってくれませんか?)」 「驚くのも無理はないけれど、ドスを許すって言ったよ」 「今日はエイプリルフールだったか…?」 日付を思い出したが、いまは晩秋。そんなわけがない。 頭を抱えている虐待お兄さんを尻目に、虐殺お兄さんは訪ねた。心底信じられないといった顔だ。 「万能お兄さん、君は本気で言っているのか?」 「…一度言ったことは曲げないし、やると決めたことをやめたことはないよ。それは君が一番良く知っているはず」 「ああ…、君はこの村に来たときからそうだったな。非常にひねくれた頑固者だ。わかった、もう何も言わない」 「感謝しますよ、虐殺お兄さん。いや、僕の修行の先生」 「君はもう卒業したから、そういわれる筋合いはない」 「そうだったね…」 虐殺お兄さんは引き下がった、次に愛でお兄さんが尋ねてきた。やはり信じられないようだ。 「君が言ったことは間違いない…よね?」 「うん、信じられないかもしれないけどね」 「…なにか考えがあるんだろう?」 「…」 万能お兄さんは答えなかった。図星だからだ。だが顔には出さず、静かに 「とりあえず、信じてくれないか?」 とだけ言った。愛でお兄さんも、これ以上彼が喋らないとわかると、おとなしく引き下がった。 ドスも信じられないような目で、彼を見た。殺されると思ったからだ。 「おにいさん…、本当に…、ゆるしてくれるの?」 彼は縄を解きながら言った。 「ああ、さっきの話を聞いていただろう。君を僕は罰した、君はそれに耐えた。だからこれ以上咎める理由はない」 「ゆぅぅぅぅぅっ…………」 ドスは静かに涙を流した。人間は、ちゃんと約束を守ってくれた。 罰したら、それ以上お咎めなしなんて今まで見たことも、聞いたこともない、初めてだ。 「ゆぅぅぅぅぅぅ………、おにいさんありがとう」 「僕だけじゃなく、他の皆にも礼を言ってね」 ドスまりさは回りのお兄さんと、村人達にもありがとう、ありがとうと礼を言った。 愛でお兄さんは「もう2度とこんなことをするんじゃないよ」とにこやかにいい、虐殺お兄さんは無視し、 虐待お兄さんはぶすっ、と膨れていたので聞きたくもないし、それどころじゃなかった。 「じゃあ、ドスまりさ。これをもっていきなさい」 と、万能お兄さんが手を上げると、家のゆっくりたちがダンボール箱に入った野菜をもってきてくれた。 いっぱい入っているわけではないが、結構な量はある。 「ご主人様、もってきましたー」 ときめぇ丸Bがお兄さんに近づいて、顔を寄せ耳打ちした (これでよろしいのですよね?) (ああ、問題ない。ところで、「あの村」に行くための量は大丈夫なのか?) (はい、ぱちゅりーが写真に載っている食料庫の量に、現時点でのドスの群れの数、群れの食料消費量、行軍時間などを 計算した結果。この野菜を彼らにあげればギリギリで「あの村」にたどり着きます) (そうか、ご苦労。これで僕の「計画」が進む。愛してるよ) 皆に聞こえないような耳打ちはほんのわずかだったので、回りの皆からすれば、きめぇ丸が万能お兄さんにほお擦りをしたようにしか見えない。 きめぇ丸は本来なら、愛していると言われれば顔を赤くするものだが、今回の彼女はどこか浮かない顔をしていた。 彼は家のゆっくりには本音で話す。家のゆっくりと愛し合っていたなども隠さずに言う。だから知っている。 知っているのだ。万能お兄さんの復讐を、彼が考えている「計画」の全てを。 万能お兄さんはドスを見て 「いいかい、ドスまりさ。これで最後にするんだ。もう二度と村を襲っちゃいけないよ」 「ゆぅぅ、おにいさん、ほんとうにこのお野菜もらっていいの?」 もらえることが信じられないので、彼女は尋ねる。 お兄さんはにこやかにいい 「ああ、もちろんさ。だが約束してくれ。もう村を襲うのはやめるんだ。君達ゆっくりは人間に勝てない。 これ以上死にたくなかったら、人里を襲うのはやめなさい。いいね?もし君達がまた村を襲ったりしたら…。 その時は、僕は君達を殺すからね?2度目はないと思ってね?」 と笑みを崩さずに言うお兄さん。その恐ろしさにドスまりさは恐怖し 「ゆっ!!ゆっくりわかったよ!!やくそくするよ!!にどとむらをおそわないよ!!」 「よしよし、じゃあ山にお帰り」 そういって、彼はドスまりさを撫でた。 彼女は頭に段ボール箱を乗せながら、山へと地面を揺らしながら帰っていった。 それを見送る村人達と、四天王。 村長と村人達が、万能お兄さんに話しかけた 「これで計画通りになったな!!さすがだぜ!万能お兄さん!!」 「村一番の頭脳は伊達じゃねぇやな!!」 「これで、村に大金が手に入るな!!」 「天国の養父さんも、誇りに思っているだろうぜ!!」 万能お兄さんは、村人達から褒められ愛想笑いを浮かべた。本来なら普通に笑うところだが、村人が言った 「天国の養父さんも、誇りに思っているだろうぜ!!」 が引っかかり、心のそこから笑えなかった。 養父さん、僕はある復讐をします。それはとても外道なことです。だから、養父さんは僕を消して許さないでしょう。 でも僕はこの道を進むのをやめません。父と養父さんと妹をあんな目に合わせたあの村は…。 とくにあの3人だけは、あいつらだけはなんとしてでも死ぬところを見なければ気がすまないっ!!! 再度そう、心に決めた。養父への謝罪をこめながら。許されるはずもないと思いながらも謝罪を繰り返した。 「…おい、大金ってなんだ」 虐待おにいさんが思い出したように言う。 「さっき、村人が言っていた大金って、どういうことだ?」 万能お兄さんに詰め寄る虐待お兄さん。彼は村長に目配せした。村長はうなずき、彼もうなずいて話した。 「ああ…、君たち3人には黙っていたけどさ、あのドスをうまく使って加工所に売れば大金が手に入るんだ」 「加工所にゆっくりをもって行けば金が入るのは誰だって知っているぜ。俺が知りたいのは、なぜドスをそのまま売り飛ばさず、わざわざ 逃がしたのかがわからねぇ」 「じゃあ教えるよ。成長したゆっくりは美味しくないのは知ってるよね?」 「ああ、中身がパサパサしているからな。常識だ。それを美味しくするには俺がするような虐待によって、売り飛ばせるレベルまで 味を向上させることができるのも理解している。」 「うん。じゃあ、かなりの期間をへて、成熟したゆっくりの中枢餡子は、かなり特殊だってしっているかい?」 「小耳に挟んだ程度ならな。だがかなりの期間をへて成熟したゆっくりなんて、普通さがしてもめったに見つからないだろ… ドスくらいなもんじゃ………………………あ。」 どうやら虐待お兄さんは理解したようだ。万能お兄さんの言わんとしていることを。 「…その顔をみると、僕の言いたいことがわかったようだね?」 「…」 虐待お兄さんは黙ってうなずく。 なぜ彼が、ドスを逃がすようなことをしたのか。 それはひとえに 「あいつを逃がしてゆっくりさせて、また恐怖を与えれば、中の餡子はかなり上質なものになる。外側の餡子だけでもかなりの価値になるんだ それが中枢餡子だったら………わかるよね?」 「…ああ、理解したぜ。まさかアンタがそれほどまでに考えていたなんてな。味をよくして、高く売りつける。か」 虐待お兄さんの顔がどんどん明るくなっていく。 「でも、欠点があってね。あのドスの味が良くなるには、春を迎えなければ成らないんだよ。でも、その間に彼女達は 群れの数を元に戻しているか、それ以上の規模になっているよ。多分、今回以上の虐待と虐殺ができると思うんだ。 だから、虐待お兄さんと虐殺お兄さんには黙っていたんだ。後で喜んでもらおうと思ってさ。」 「なんだそういうことかよ!相変わらずいいやつだな!!春がこんなにも楽しみと思ったのは久しぶりだぜ!!」 万能お兄さんの説明に、はしゃぐ虐待お兄さん。 「タダではこういうことはしないのは理解していたが、まさかそこまでとはな…。お前の頭脳が恐ろしいよ。 まぁ、私としては今回以上のゆっくりが虐殺できるのがわかったから非常にうれしいがな」 虐殺お兄さんも感心している。だが愛でお兄さんは 「…なにをしたら、君をそんなに駆り立てるんだい?」 「…」 愛でお兄さんは人を見る目がある。だから万能お兄さんの起こした行動も、なにかあるというのがわかっているようだ。 「せめていうなら、金がほしいくらいだよ」 愛でお兄さんはそれを聞いても、釈然としなかった。彼が言ったのは本当だろうが、金以外にもなにかを求めている。 とても人に話せないような内容だろう。そうにらんでいた。 そう言うと、万能お兄さんは家に帰った。進行方向に村長が居て、横を通り過ぎようとしたら、村長が話しかけてきた 「あの子のためかね…」 「…言うまでもないでしょう。たった一人の血を分けた妹なんですから」 「じゃが、それ以外にも何か考えておるだろう」 「…はい」 「あの子の病気のことは、わしとお前しかしらん、安心しろ。じゃが、お前さんが行こうとする道は茨の道ぞ」 村長は、彼が何をするのかうすうすながら気づいているようだ。 「さすが村長、僕など到底あなたに及びません」 「ばかもん、お前さんを拾ったあの猟師はわしの親友じゃ。あいつはお前さんと妹を実の子供のように自慢しておった。 じゃから、村ではお前さんのことをよーくしっておる。あいつほどではないがな」 「…初耳ですよ」 「話さなかっただけじゃ。お前は、あの村から村八分にされてこの村にたどりついたが、この村に来て生まれ変わったんじゃ。 じゃから…。やめることはできないのかね?」 「これはあなたの親友への敵討ちも含まれています。それに、僕は生まれ変わってなどいません。あの村の、あいつらのことを 一時たりとも忘れたことなどないのですから。あなたも、村人も、親友も、全て自分の「計画」のために利用する外道なのですよ、僕は。 だから…生まれ変わってなど…それにすることが終わったらこの村を」 「…お前はそう思うのか。じゃが一つだけ言わせろ。わしは決して、お前を見捨てんからな。この村を勝手に出ることも許さん」 「…」 村長すらも利用したというのに、彼はそのことについて咎めないばかりか見捨てないと言ってきた。 胸が熱くなり、目から暖かい何かがこみ上げてきた。 だが、それを悟られないように、彼は足早に家へと帰った。 家へとたどり着き、自分の部屋へ入り横になった。 その後に、きめぇ丸Aが部屋に入ってきた 「ずっと家に隠れていたかい?」 「はい、ご主人様の言いつけはしっかりと守りました。だからあのドスには、私がご主人様のものだということに気づいていないと思います。」 「よし、後は君があの群れを誘導するだけだ。しっかりと頼むよ」 「了解です、では行って参ります」 と、きめぇ丸Aは窓から飛び出て、ドスまりさの群れへと飛んでいった。 一人になった彼は、 「うまく「計画」どおりにいけば、あのドスの中で「あれ」ができる。それさえ手に入れば後は…」 そう呟き、彼は眠りについた。 つづく あとがき 万能お兄さん3です。読んでいただいた方ありがとうございます。 がんばってライトみたいな腹黒さをだしてみましたが、いかがでしょうか? あと、彼の家族も少し出しています。過去にも少し触れてます。 3つで終わるかなーと思いきや、書いていくうちにかなり長くなってしまいました。すいません。 3つ書いたら名乗ろうかなと思ってたんで、これからロベルトと名のることにします。 続きもがんばるので、よろしくお願いします。 感想くれた方に感謝いたします。初めて書いたものに暖かい感想をもらえたことに涙を禁じえません。 お目汚し失礼しましたー。 書いたもの 万能お兄さん1 万能お兄さん2 このSSに感想を付ける
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町は人でにぎわっていた。中には飼いゆっくりも見かける。クリスマスなので、いつもより人であふれている。 今日は暖かい日なので、そのお陰で、町に居る飼いゆっくりもそのままの姿の物をちらほら見れる。 万能お兄さんは愛でお兄さんと共に、ゆっくりんピースの会館へと入っていった。 愛でお兄さんが受付で軽く手続きを済ました後、会館内のゆっくりショップへと向かった。 万能お兄さんは、躾ゆっくりについては愛でお兄さんにまかせてあるので、彼はゆっくり交流広場へ、家ゆっくり31匹を連れてゆっくりしようと思った。 広場でゆっくり達と遊んでいた飼い主とゆっくり達は、31匹多種多様なゆっくりに驚き、そして全てのゆっくりに「万」字のプラチナバッジがついていることに驚愕した。 希少種のめーりん、かなこ、にとり、ゆゆこなど確認されているが飼っている者は数えるほどしかいない、飼うのが非常に困難なゆっくりがいることにも驚いたが、 バッジのほうがはるかにすごかった。 一般的に知られる、飼いゆっくりということを示すゆっくりバッジ。それは色でランク付けされており、下から順にブロンズ、シルバー、ゴールドといったものだ。 ブロンズは単に人が飼っているということを示すだけで、当然躾もあまりされていない。大半がゆっくり特有の傲慢さを色濃く残している。 シルバーは、ゆっくり特有の傲慢さは少し残っているものの、人に飼われるレベルまでのマナーを学んでおり、バッジにも位置を知らせる信号などがついてたりする。 ゴールドは、ゆっくりの傲慢さなど微塵も残っておらず、人にとても忠実な飼いゆっくりとなっており、どこに行っても人に虐められず、店でお使いなどもできる。 そして、ゴールドゆっくりから生まれた子は、そのゆっくりの礼儀正しさなどを受け継いでいるため、ゆっくり試験を受けなくても無条件でシルバーバッジを手に入れることが出来る。 一般人がゆっくりをペットとして飼っている中で、バッジをつけているのはゴールドまでである。 そして、万能お兄さんのゆっくり達がつけているのはプラチナバッジ。ゴールドを超えるバッジとして存在している。 最上級のプラチナバッジをつけている者は、大抵が金に物を言わせた金持ちがつけたか、超一流のゆっくりブリーダーとして生計を立てているかのどちらかに大別される。 万能お兄さんは後者だ。ゆっくりんピース会館のそれぞれの愛でブリーダー達は、彼が金に物を言わせてプラチナバッジを手に入れたものではないということは、ゆっくりを見ればわかる。 ペットは飼い主に似るということわざがあるように、金持ち特有の傲慢さなど、彼のゆっくり達は微塵ももっておらず、皆美しくそして力強いオーラ(愛でブリーダー視点)を 放っている。 愛でブリーダー達は、彼のゆっくり達がシルバー、ゴールド試験を超える異質の存在である、つらく厳しいプラチナ試験を受け、見事合格したというのを見ただけで理解した。 バッジを手に入れるには、試験を受けなければならない。ブロンズは対して価値がなく、受付で手続きをすませばもらえるのに対して、シルバー試験からは飼いゆっくりとしての 能力を身に着けているかを選定するバッジ試験を受けなければならない。中には金持ちが金に物を言わせてもらうこともあるが。 シルバー、ゴールド試験は、ゆっくりが飼いゆっくりとしての能力を確かめる試験なのに対して、プラチナ試験の場合は全く異なる。 プラチナ試験の内容は、ゆっくりを一定期間それぞれの種にあわせたサバイバルをさせるのである。 それも、試験を受けるゆっくりにとっては厳しい内容だ。 だが、なぜサバイバルなのか?それは過去にバッジをもった飼いゆっくりが、あまりに飼われているせいで脆弱で、信号バッジをつけても森で迷子になったときに 死んでしまうことがあるからである。 他にも、野生のゆっくり達から見れば、飼いゆっくりは美ゆっくりなので手篭めにされたり、奴隷にされたりされ、その過程でバッジを取られたりするので、 バッジの信号が意味を成さないときが多々あった。他にも、家に侵入した野良ゆっくりに対抗する術を持っていない上、野良ゆっくりは大抵一家で侵入することが多く、 野良ならではのたくましさと数があるので、脆弱な飼いゆっくりでは数と力で責められてはなす術がなく、非業の死をとげたりと悲惨な結末を迎えたりした。 これにより、多くの飼い主が涙を流した。 たとえば、通常種のれいむ、まりさ、ありす、ちぇん、ならば捕食種であるれみりゃがたくさん居るエリア。ぱちゅりーの場合、捕食種はれいむ達より少ないが、 ぱちゅりーならではの頭脳を活かして、家を作らないと生きられないエリア。ゆうかなら荒地に花を規定量咲かせる。捕食種のれみりゃの場合ふらんがいるエリア。 大食いのゆゆこならば極端に食べ物が少なく、考えて食べないと期間中に生きられないエリア。何かを守るめーりんならば、れいぱーありすからゆっくりを守るエリア等等。 多種多様なゆっくりに対応している試験があるのだ。(もっとも、希少種を試験に受けさせる飼い主はまずいないが) おまけに、ゆっくりが試験中死んでも自己責任とされるのだ。苦労してゴールドを手に入れたものからすれば、決して受けようとはしないだろう。 シルバー、ゴールド試験とはまったく異なる存在がプラチナ試験である。 だから受ける人は物凄く少ないのである。 だが、あまりにも厳しい試験をみごと合格したゆっくりは、他の飼いゆっくりにとっては神のような存在だろう。 ほかの飼いゆっくりは、プラチナバッジをつけたゆっくりを尊敬してやまない。飼いゆっくりのリーダーに選ばれることもある。 どこにいってもいじめられない上に、知らない人も皆飼いゆっくりのように親しく接してくれる、人と楽しく話せる、買い物も普通に出来る、人間の子供ともあそべる。 ゴールドバッジの最高を超えた、究極ともいえるバッジ。それがプラチナバッジである。 プラチナバッジは、ゆっくりがほぼ人間と同じ扱いを受けることが出来るのだ。それほどまでに珍しいバッジである。 万能お兄さんと、彼の心友である愛でお兄さんのほか、広告にも乗るほどの有名なブリーダーなど所持者は数えるほどしかもっていない。 ちなみに、プラチナバッジを手に入れた飼い主は「名誉会員」となり、様々な特典がある上、一般会員よりも待遇が格段に上だったりする。 場合によっては幹部並みかそれ以上の発言力がある。 手に入れた飼い主は、超一流とみなされるのだ。名誉会員とプラチナブリーダーという名誉を得るために、それを手に入れようとがんばるブリーダーも後を絶たない。 そしてプラチナバッジを手に入れた飼い主は、バッジに自分の名前を入れることが出来る。万能お兄さんの場合「万」の字だ。これをみればどんなブリーダーが育てたのか、 わかるらしい。ひとえに飼い主をアピールしているのだ。 ちなみに、彼のゆっくりの場合。れいむやまりさたちは、ふらんを返り討ちにするわ、ぱちぇりーはゆっくりとは思えない見事な家をたてる上に罠まで作るわ、 れみりゃはふらんより強いわ、ゆうかは規定量どころか一面を花畑にするわ、ゆゆこは一切のまずくわずで生き延びるわ、めーりんはれいぱーありすを全滅させるわと、 飼いゆっくりレベルを明らかに超えており、審査員達の腰を抜かした。 審査においてゆっくりを改造していることについては不問である、が、改造を差し引いてもすごかった。 そのバッジを31匹全てつけているのだ。驚かないほうがおかしい。 誰もが万能お兄さんを見て、超一流のブリーダーとわかり、彼に積極的に話しかけてきた。 「こんにちは!!皆すごく美人ですね!!」 「プラチナバッジなんて、初めて見ましたよ!」 「ゆっくりを綺麗に育てるコツを教えてくれませんか?」 「これを機に、私と、私のゆっくりとお見知りおきを……」 と、万能お兄さんとゆっくり達は取り巻きに囲まれ動けなくなってしまった。 だが、プラチナバッジは確かにすごいが、一般人にとってははっきりいって無駄ともいえる。 そこまですごいゆっくりを躾けること自体、一般人にとっては必要ないからだ。ゴールドまでいけば一流とみなされるし、飼いゆっくりも最高とみなされるからだ。 すでに一流なのに、さらに極めようとするのは、よほどゆっくりに対して思い入れがないとできない。プラチナを手に入れた人は、全てがゆっくりに対して一生を ささげている人や、ゆっくりによって生計を立てている人、金持ちが金に物を言わせて手に入れたかが全てだった。 彼と愛でお兄さんもまた、ゆっくりに一生をささげ、そして「プラチナバッジをつけたゆっくりが育てた無農薬野菜」と銘打った野菜は見事、 そのバッジのすごさを現し飛ぶように売れた。このおかげで生計を立てていた。 それに、万能お兄さんの場合、一匹手に入れれば十分なプラチナを家族全員に手に入れさせているのには理由があった。 彼がプラチナバッジを手に入れた理由の一つとして、妹の入院費などを手に入れるという理由も一つある。 だがそれらもひとえに「計画」のためである。そのためにプラチナバッジを苦労して家族全員分手に入れた。 しかし、理由がある素振りを見せず、取り巻きに囲まれあたふたしている彼を愛でお兄さんは苦笑しながら、ショップへと足を運んだ。 「やあやあ愛でお兄さんいらっしゃい。」 「店長、こんにちは。早速だけど、ゆっくりを納めに来たよ」 「おお、躾がすんだのか。いつもながら早いなぁ。さすがプラチナバッジを手に入れた幹部だね!」 「あと、この3匹は万能お兄さんが躾けたから、名前はちゃんと明記しておいてくださいね」 「おお!万能お兄さんの躾けたゆっくりか!!最近見なかったから、こいつはうれしいな。いまでも、彼の躾けたゆっくりをほしがる人はたくさん いる。これはかなりの売れ筋になるよ、ありがとう。」 プラチナブリーダーの躾けたゆっくりともなれば、ほしがる人は当然いる。なにせ超一流のブリーダーが躾けたのだ。明らかにレベルが違うのである。 それほどまでに、この二人が躾けたゆっくりは引く手あまたで希少種よりも入手困難と言われていた。 「礼は彼に言ってくださいよ。」 と、愛でお兄さんはゆっくり交流広場にいる万能お兄さんを指差した。 彼と彼のゆっくりは、他の会員やゆっくり達と楽しく過ごしているように見える。 実際はもみくちゃにされているのだが。 「じゃあ、代わりに伝えておいてくれないか?あと、これは報酬だ」 そういって、店長は躾の報酬を愛でお兄さんに渡した。彼の躾けたゆっくりも評価が高いので、封筒の中は結構な額がある。プラチナブリーダーともなれば当然だろう。 もっとも、31匹も躾けた万能お兄さんには負けるが。 愛でお兄さんは、広場に居る万能お兄さんに会って、報酬を手渡した。そして2人と31匹は逃げるように会館を後にした。 どうやら、彼は多くの会員とゆっくり達から、「このゆっくりをうちのゆっくりとつがいにしてくれないか?」と頼まれていたようだ。 彼の育てた31匹のゆっくり達は、この会館のなかでも群を抜いて皆美しかった上に、プラチナバッジ付きである。 プラチナレベルのゆっくりの子なら、その能力がしっかりと遺伝し、優秀な子ゆっくりが生まれる。それゆえに求婚の話も後を絶たなかった。 だが彼は丁重に断り続けた。理由は、飼いゆっくりの半分は中身を白餡に変えたりした改造ゆっくりだからだ。 無論、ゆっくりんピースでは中身を白餡に変える人もいるにはいる、が、もちろんそれを快く思わない人も居るのは確かなのである。 できれば知られたくないことであった。それに、彼は自分のゆっくりを他人と結ばせようと考えたことはない。そういうときは家ゆっくりの意見を聞いてから判断する。 彼女達は彼と結ばれたいと願ったので、彼はそれを尊重した。 だから彼は、理由は話さずに丁重に断り続けた。 愛でお兄さんがその時来たのは、見事な助け舟であった。 「助かったよ、愛でお兄さん」 「気にしないでくれ、それにしても断り続けるのも大変だね。」 「ああ、だって中身を改造しているからね。できれば知られたくないよ」 「改造については僕はいいゆっくりになるのは賛成している。でも、いまだにそれを快く思わない人が居るからね・・・」 「うん、まぁ人それぞれだから仕方ないさ。あと、僕はまだ用があるから町に残るよ」 「わかった、じゃあここでお別れだね」 そういうと、愛でお兄さんと万能お兄さんは会館前で別れた。 ゆっくりいじめ系1830 万能お兄さん5_4に続く
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町は人でにぎわっていた。中には飼いゆっくりも見かける。クリスマスなので、いつもより人であふれている。 今日は暖かい日なので、そのお陰で、町に居る飼いゆっくりもそのままの姿の物をちらほら見れる。 万能お兄さんは愛でお兄さんと共に、ゆっくりんピースの会館へと入っていった。 愛でお兄さんが受付で軽く手続きを済ました後、会館内のゆっくりショップへと向かった。 万能お兄さんは、躾ゆっくりについては愛でお兄さんにまかせてあるので、彼はゆっくり交流広場へ、家ゆっくり31匹を連れてゆっくりしようと思った。 広場でゆっくり達と遊んでいた飼い主とゆっくり達は、31匹多種多様なゆっくりに驚き、そして全てのゆっくりに「万」字のプラチナバッジがついていることに驚愕した。 希少種のめーりん、かなこ、にとり、ゆゆこなど確認されているが飼っている者は数えるほどしかいない、飼うのが非常に困難なゆっくりがいることにも驚いたが、 バッジのほうがはるかにすごかった。 一般的に知られる、飼いゆっくりということを示すゆっくりバッジ。それは色でランク付けされており、下から順にブロンズ、シルバー、ゴールドといったものだ。 ブロンズは単に人が飼っているということを示すだけで、当然躾もあまりされていない。大半がゆっくり特有の傲慢さを色濃く残している。 シルバーは、ゆっくり特有の傲慢さは少し残っているものの、人に飼われるレベルまでのマナーを学んでおり、バッジにも位置を知らせる信号などがついてたりする。 ゴールドは、ゆっくりの傲慢さなど微塵も残っておらず、人にとても忠実な飼いゆっくりとなっており、どこに行っても人に虐められず、店でお使いなどもできる。 そして、ゴールドゆっくりから生まれた子は、そのゆっくりの礼儀正しさなどを受け継いでいるため、ゆっくり試験を受けなくても無条件でシルバーバッジを手に入れることが出来る。 一般人がゆっくりをペットとして飼っている中で、バッジをつけているのはゴールドまでである。 そして、万能お兄さんのゆっくり達がつけているのはプラチナバッジ。ゴールドを超えるバッジとして存在している。 最上級のプラチナバッジをつけている者は、大抵が金に物を言わせた金持ちがつけたか、超一流のゆっくりブリーダーとして生計を立てているかのどちらかに大別される。 万能お兄さんは後者だ。ゆっくりんピース会館のそれぞれの愛でブリーダー達は、彼が金に物を言わせてプラチナバッジを手に入れたものではないということは、ゆっくりを見ればわかる。 ペットは飼い主に似るということわざがあるように、金持ち特有の傲慢さなど、彼のゆっくり達は微塵ももっておらず、皆美しくそして力強いオーラ(愛でブリーダー視点)を 放っている。 愛でブリーダー達は、彼のゆっくり達がシルバー、ゴールド試験を超える異質の存在である、つらく厳しいプラチナ試験を受け、見事合格したというのを見ただけで理解した。 バッジを手に入れるには、試験を受けなければならない。ブロンズは対して価値がなく、受付で手続きをすませばもらえるのに対して、シルバー試験からは飼いゆっくりとしての 能力を身に着けているかを選定するバッジ試験を受けなければならない。中には金持ちが金に物を言わせてもらうこともあるが。 シルバー、ゴールド試験は、ゆっくりが飼いゆっくりとしての能力を確かめる試験なのに対して、プラチナ試験の場合は全く異なる。 プラチナ試験の内容は、ゆっくりを一定期間それぞれの種にあわせたサバイバルをさせるのである。 それも、試験を受けるゆっくりにとっては厳しい内容だ。 だが、なぜサバイバルなのか?それは過去にバッジをもった飼いゆっくりが、あまりに飼われているせいで脆弱で、信号バッジをつけても森で迷子になったときに 死んでしまうことがあるからである。 他にも、野生のゆっくり達から見れば、飼いゆっくりは美ゆっくりなので手篭めにされたり、奴隷にされたりされ、その過程でバッジを取られたりするので、 バッジの信号が意味を成さないときが多々あった。他にも、家に侵入した野良ゆっくりに対抗する術を持っていない上、野良ゆっくりは大抵一家で侵入することが多く、 野良ならではのたくましさと数があるので、脆弱な飼いゆっくりでは数と力で責められてはなす術がなく、非業の死をとげたりと悲惨な結末を迎えたりした。 これにより、多くの飼い主が涙を流した。 たとえば、通常種のれいむ、まりさ、ありす、ちぇん、ならば捕食種であるれみりゃがたくさん居るエリア。ぱちゅりーの場合、捕食種はれいむ達より少ないが、 ぱちゅりーならではの頭脳を活かして、家を作らないと生きられないエリア。ゆうかなら荒地に花を規定量咲かせる。捕食種のれみりゃの場合ふらんがいるエリア。 大食いのゆゆこならば極端に食べ物が少なく、考えて食べないと期間中に生きられないエリア。何かを守るめーりんならば、れいぱーありすからゆっくりを守るエリア等等。 多種多様なゆっくりに対応している試験があるのだ。(もっとも、希少種を試験に受けさせる飼い主はまずいないが) おまけに、ゆっくりが試験中死んでも自己責任とされるのだ。苦労してゴールドを手に入れたものからすれば、決して受けようとはしないだろう。 シルバー、ゴールド試験とはまったく異なる存在がプラチナ試験である。 だから受ける人は物凄く少ないのである。 だが、あまりにも厳しい試験をみごと合格したゆっくりは、他の飼いゆっくりにとっては神のような存在だろう。 ほかの飼いゆっくりは、プラチナバッジをつけたゆっくりを尊敬してやまない。飼いゆっくりのリーダーに選ばれることもある。 どこにいってもいじめられない上に、知らない人も皆飼いゆっくりのように親しく接してくれる、人と楽しく話せる、買い物も普通に出来る、人間の子供ともあそべる。 ゴールドバッジの最高を超えた、究極ともいえるバッジ。それがプラチナバッジである。 プラチナバッジは、ゆっくりがほぼ人間と同じ扱いを受けることが出来るのだ。それほどまでに珍しいバッジである。 万能お兄さんと、彼の心友である愛でお兄さんのほか、広告にも乗るほどの有名なブリーダーなど所持者は数えるほどしかもっていない。 ちなみに、プラチナバッジを手に入れた飼い主は「名誉会員」となり、様々な特典がある上、一般会員よりも待遇が格段に上だったりする。 場合によっては幹部並みかそれ以上の発言力がある。 手に入れた飼い主は、超一流とみなされるのだ。名誉会員とプラチナブリーダーという名誉を得るために、それを手に入れようとがんばるブリーダーも後を絶たない。 そしてプラチナバッジを手に入れた飼い主は、バッジに自分の名前を入れることが出来る。万能お兄さんの場合「万」の字だ。これをみればどんなブリーダーが育てたのか、 わかるらしい。ひとえに飼い主をアピールしているのだ。 ちなみに、彼のゆっくりの場合。れいむやまりさたちは、ふらんを返り討ちにするわ、ぱちぇりーはゆっくりとは思えない見事な家をたてる上に罠まで作るわ、 れみりゃはふらんより強いわ、ゆうかは規定量どころか一面を花畑にするわ、ゆゆこは一切のまずくわずで生き延びるわ、めーりんはれいぱーありすを全滅させるわと、 飼いゆっくりレベルを明らかに超えており、審査員達の腰を抜かした。 審査においてゆっくりを改造していることについては不問である、が、改造を差し引いてもすごかった。 そのバッジを31匹全てつけているのだ。驚かないほうがおかしい。 誰もが万能お兄さんを見て、超一流のブリーダーとわかり、彼に積極的に話しかけてきた。 「こんにちは!!皆すごく美人ですね!!」 「プラチナバッジなんて、初めて見ましたよ!」 「ゆっくりを綺麗に育てるコツを教えてくれませんか?」 「これを機に、私と、私のゆっくりとお見知りおきを……」 と、万能お兄さんとゆっくり達は取り巻きに囲まれ動けなくなってしまった。 だが、プラチナバッジは確かにすごいが、一般人にとってははっきりいって無駄ともいえる。 そこまですごいゆっくりを躾けること自体、一般人にとっては必要ないからだ。ゴールドまでいけば一流とみなされるし、飼いゆっくりも最高とみなされるからだ。 すでに一流なのに、さらに極めようとするのは、よほどゆっくりに対して思い入れがないとできない。プラチナを手に入れた人は、全てがゆっくりに対して一生を ささげている人や、ゆっくりによって生計を立てている人、金持ちが金に物を言わせて手に入れたかが全てだった。 彼と愛でお兄さんもまた、ゆっくりに一生をささげ、そして「プラチナバッジをつけたゆっくりが育てた無農薬野菜」と銘打った野菜は見事、 そのバッジのすごさを現し飛ぶように売れた。このおかげで生計を立てていた。 それに、万能お兄さんの場合、一匹手に入れれば十分なプラチナを家族全員に手に入れさせているのには理由があった。 彼がプラチナバッジを手に入れた理由の一つとして、妹の入院費などを手に入れるという理由も一つある。 だがそれらもひとえに「計画」のためである。そのためにプラチナバッジを苦労して家族全員分手に入れた。 しかし、理由がある素振りを見せず、取り巻きに囲まれあたふたしている彼を愛でお兄さんは苦笑しながら、ショップへと足を運んだ。 「やあやあ愛でお兄さんいらっしゃい。」 「店長、こんにちは。早速だけど、ゆっくりを納めに来たよ」 「おお、躾がすんだのか。いつもながら早いなぁ。さすがプラチナバッジを手に入れた幹部だね!」 「あと、この3匹は万能お兄さんが躾けたから、名前はちゃんと明記しておいてくださいね」 「おお!万能お兄さんの躾けたゆっくりか!!最近見なかったから、こいつはうれしいな。いまでも、彼の躾けたゆっくりをほしがる人はたくさん いる。これはかなりの売れ筋になるよ、ありがとう。」 プラチナブリーダーの躾けたゆっくりともなれば、ほしがる人は当然いる。なにせ超一流のブリーダーが躾けたのだ。明らかにレベルが違うのである。 それほどまでに、この二人が躾けたゆっくりは引く手あまたで希少種よりも入手困難と言われていた。 「礼は彼に言ってくださいよ。」 と、愛でお兄さんはゆっくり交流広場にいる万能お兄さんを指差した。 彼と彼のゆっくりは、他の会員やゆっくり達と楽しく過ごしているように見える。 実際はもみくちゃにされているのだが。 「じゃあ、代わりに伝えておいてくれないか?あと、これは報酬だ」 そういって、店長は躾の報酬を愛でお兄さんに渡した。彼の躾けたゆっくりも評価が高いので、封筒の中は結構な額がある。プラチナブリーダーともなれば当然だろう。 もっとも、31匹も躾けた万能お兄さんには負けるが。 愛でお兄さんは、広場に居る万能お兄さんに会って、報酬を手渡した。そして2人と31匹は逃げるように会館を後にした。 どうやら、彼は多くの会員とゆっくり達から、「このゆっくりをうちのゆっくりとつがいにしてくれないか?」と頼まれていたようだ。 彼の育てた31匹のゆっくり達は、この会館のなかでも群を抜いて皆美しかった上に、プラチナバッジ付きである。 プラチナレベルのゆっくりの子なら、その能力がしっかりと遺伝し、優秀な子ゆっくりが生まれる。それゆえに求婚の話も後を絶たなかった。 だが彼は丁重に断り続けた。理由は、飼いゆっくりの半分は中身を白餡に変えたりした改造ゆっくりだからだ。 無論、ゆっくりんピースでは中身を白餡に変える人もいるにはいる、が、もちろんそれを快く思わない人も居るのは確かなのである。 できれば知られたくないことであった。それに、彼は自分のゆっくりを他人と結ばせようと考えたことはない。そういうときは家ゆっくりの意見を聞いてから判断する。 彼女達は彼と結ばれたいと願ったので、彼はそれを尊重した。 だから彼は、理由は話さずに丁重に断り続けた。 愛でお兄さんがその時来たのは、見事な助け舟であった。 「助かったよ、愛でお兄さん」 「気にしないでくれ、それにしても断り続けるのも大変だね。」 「ああ、だって中身を改造しているからね。できれば知られたくないよ」 「改造については僕はいいゆっくりになるのは賛成している。でも、いまだにそれを快く思わない人が居るからね・・・」 「うん、まぁ人それぞれだから仕方ないさ。あと、僕はまだ用があるから町に残るよ」 「わかった、じゃあここでお別れだね」 そういうと、愛でお兄さんと万能お兄さんは会館前で別れた。 ゆっくりいじめ系1830 万能お兄さん5_4に続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3067.html
町は人でにぎわっていた。中には飼いゆっくりも見かける。クリスマスなので、いつもより人であふれている。 今日は暖かい日なので、そのお陰で、町に居る飼いゆっくりもそのままの姿の物をちらほら見れる。 万能お兄さんは愛でお兄さんと共に、ゆっくりんピースの会館へと入っていった。 愛でお兄さんが受付で軽く手続きを済ました後、会館内のゆっくりショップへと向かった。 万能お兄さんは、躾ゆっくりについては愛でお兄さんにまかせてあるので、彼はゆっくり交流広場へ、家ゆっくり31匹を連れてゆっくりしようと思った。 広場でゆっくり達と遊んでいた飼い主とゆっくり達は、31匹多種多様なゆっくりに驚き、そして全てのゆっくりに「万」字のプラチナバッジがついていることに驚愕した。 希少種のめーりん、かなこ、にとり、ゆゆこなど確認されているが飼っている者は数えるほどしかいない、飼うのが非常に困難なゆっくりがいることにも驚いたが、 バッジのほうがはるかにすごかった。 一般的に知られる、飼いゆっくりということを示すゆっくりバッジ。それは色でランク付けされており、下から順にブロンズ、シルバー、ゴールドといったものだ。 ブロンズは単に人が飼っているということを示すだけで、当然躾もあまりされていない。大半がゆっくり特有の傲慢さを色濃く残している。 シルバーは、ゆっくり特有の傲慢さは少し残っているものの、人に飼われるレベルまでのマナーを学んでおり、バッジにも位置を知らせる信号などがついてたりする。 ゴールドは、ゆっくりの傲慢さなど微塵も残っておらず、人にとても忠実な飼いゆっくりとなっており、どこに行っても人に虐められず、店でお使いなどもできる。 そして、ゴールドゆっくりから生まれた子は、そのゆっくりの礼儀正しさなどを受け継いでいるため、ゆっくり試験を受けなくても無条件でシルバーバッジを手に入れることが出来る。 一般人がゆっくりをペットとして飼っている中で、バッジをつけているのはゴールドまでである。 そして、万能お兄さんのゆっくり達がつけているのはプラチナバッジ。ゴールドを超えるバッジとして存在している。 最上級のプラチナバッジをつけている者は、大抵が金に物を言わせた金持ちがつけたか、超一流のゆっくりブリーダーとして生計を立てているかのどちらかに大別される。 万能お兄さんは後者だ。ゆっくりんピース会館のそれぞれの愛でブリーダー達は、彼が金に物を言わせてプラチナバッジを手に入れたものではないということは、ゆっくりを見ればわかる。 ペットは飼い主に似るということわざがあるように、金持ち特有の傲慢さなど、彼のゆっくり達は微塵ももっておらず、皆美しくそして力強いオーラ(愛でブリーダー視点)を 放っている。 愛でブリーダー達は、彼のゆっくり達がシルバー、ゴールド試験を超える異質の存在である、つらく厳しいプラチナ試験を受け、見事合格したというのを見ただけで理解した。 バッジを手に入れるには、試験を受けなければならない。ブロンズは対して価値がなく、受付で手続きをすませばもらえるのに対して、シルバー試験からは飼いゆっくりとしての 能力を身に着けているかを選定するバッジ試験を受けなければならない。中には金持ちが金に物を言わせてもらうこともあるが。 シルバー、ゴールド試験は、ゆっくりが飼いゆっくりとしての能力を確かめる試験なのに対して、プラチナ試験の場合は全く異なる。 プラチナ試験の内容は、ゆっくりを一定期間それぞれの種にあわせたサバイバルをさせるのである。 それも、試験を受けるゆっくりにとっては厳しい内容だ。 だが、なぜサバイバルなのか?それは過去にバッジをもった飼いゆっくりが、あまりに飼われているせいで脆弱で、信号バッジをつけても森で迷子になったときに 死んでしまうことがあるからである。 他にも、野生のゆっくり達から見れば、飼いゆっくりは美ゆっくりなので手篭めにされたり、奴隷にされたりされ、その過程でバッジを取られたりするので、 バッジの信号が意味を成さないときが多々あった。他にも、家に侵入した野良ゆっくりに対抗する術を持っていない上、野良ゆっくりは大抵一家で侵入することが多く、 野良ならではのたくましさと数があるので、脆弱な飼いゆっくりでは数と力で責められてはなす術がなく、非業の死をとげたりと悲惨な結末を迎えたりした。 これにより、多くの飼い主が涙を流した。 たとえば、通常種のれいむ、まりさ、ありす、ちぇん、ならば捕食種であるれみりゃがたくさん居るエリア。ぱちゅりーの場合、捕食種はれいむ達より少ないが、 ぱちゅりーならではの頭脳を活かして、家を作らないと生きられないエリア。ゆうかなら荒地に花を規定量咲かせる。捕食種のれみりゃの場合ふらんがいるエリア。 大食いのゆゆこならば極端に食べ物が少なく、考えて食べないと期間中に生きられないエリア。何かを守るめーりんならば、れいぱーありすからゆっくりを守るエリア等等。 多種多様なゆっくりに対応している試験があるのだ。(もっとも、希少種を試験に受けさせる飼い主はまずいないが) おまけに、ゆっくりが試験中死んでも自己責任とされるのだ。苦労してゴールドを手に入れたものからすれば、決して受けようとはしないだろう。 シルバー、ゴールド試験とはまったく異なる存在がプラチナ試験である。 だから受ける人は物凄く少ないのである。 だが、あまりにも厳しい試験をみごと合格したゆっくりは、他の飼いゆっくりにとっては神のような存在だろう。 ほかの飼いゆっくりは、プラチナバッジをつけたゆっくりを尊敬してやまない。飼いゆっくりのリーダーに選ばれることもある。 どこにいってもいじめられない上に、知らない人も皆飼いゆっくりのように親しく接してくれる、人と楽しく話せる、買い物も普通に出来る、人間の子供ともあそべる。 ゴールドバッジの最高を超えた、究極ともいえるバッジ。それがプラチナバッジである。 プラチナバッジは、ゆっくりがほぼ人間と同じ扱いを受けることが出来るのだ。それほどまでに珍しいバッジである。 万能お兄さんと、彼の心友である愛でお兄さんのほか、広告にも乗るほどの有名なブリーダーなど所持者は数えるほどしかもっていない。 ちなみに、プラチナバッジを手に入れた飼い主は「名誉会員」となり、様々な特典がある上、一般会員よりも待遇が格段に上だったりする。 場合によっては幹部並みかそれ以上の発言力がある。 手に入れた飼い主は、超一流とみなされるのだ。名誉会員とプラチナブリーダーという名誉を得るために、それを手に入れようとがんばるブリーダーも後を絶たない。 そしてプラチナバッジを手に入れた飼い主は、バッジに自分の名前を入れることが出来る。万能お兄さんの場合「万」の字だ。これをみればどんなブリーダーが育てたのか、 わかるらしい。ひとえに飼い主をアピールしているのだ。 ちなみに、彼のゆっくりの場合。れいむやまりさたちは、ふらんを返り討ちにするわ、ぱちぇりーはゆっくりとは思えない見事な家をたてる上に罠まで作るわ、 れみりゃはふらんより強いわ、ゆうかは規定量どころか一面を花畑にするわ、ゆゆこは一切のまずくわずで生き延びるわ、めーりんはれいぱーありすを全滅させるわと、 飼いゆっくりレベルを明らかに超えており、審査員達の腰を抜かした。 審査においてゆっくりを改造していることについては不問である、が、改造を差し引いてもすごかった。 そのバッジを31匹全てつけているのだ。驚かないほうがおかしい。 誰もが万能お兄さんを見て、超一流のブリーダーとわかり、彼に積極的に話しかけてきた。 「こんにちは!!皆すごく美人ですね!!」 「プラチナバッジなんて、初めて見ましたよ!」 「ゆっくりを綺麗に育てるコツを教えてくれませんか?」 「これを機に、私と、私のゆっくりとお見知りおきを……」 と、万能お兄さんとゆっくり達は取り巻きに囲まれ動けなくなってしまった。 だが、プラチナバッジは確かにすごいが、一般人にとってははっきりいって無駄ともいえる。 そこまですごいゆっくりを躾けること自体、一般人にとっては必要ないからだ。ゴールドまでいけば一流とみなされるし、飼いゆっくりも最高とみなされるからだ。 すでに一流なのに、さらに極めようとするのは、よほどゆっくりに対して思い入れがないとできない。プラチナを手に入れた人は、全てがゆっくりに対して一生を ささげている人や、ゆっくりによって生計を立てている人、金持ちが金に物を言わせて手に入れたかが全てだった。 彼と愛でお兄さんもまた、ゆっくりに一生をささげ、そして「プラチナバッジをつけたゆっくりが育てた無農薬野菜」と銘打った野菜は見事、 そのバッジのすごさを現し飛ぶように売れた。このおかげで生計を立てていた。 それに、万能お兄さんの場合、一匹手に入れれば十分なプラチナを家族全員に手に入れさせているのには理由があった。 彼がプラチナバッジを手に入れた理由の一つとして、妹の入院費などを手に入れるという理由も一つある。 だがそれらもひとえに「計画」のためである。そのためにプラチナバッジを苦労して家族全員分手に入れた。 しかし、理由がある素振りを見せず、取り巻きに囲まれあたふたしている彼を愛でお兄さんは苦笑しながら、ショップへと足を運んだ。 「やあやあ愛でお兄さんいらっしゃい。」 「店長、こんにちは。早速だけど、ゆっくりを納めに来たよ」 「おお、躾がすんだのか。いつもながら早いなぁ。さすがプラチナバッジを手に入れた幹部だね!」 「あと、この3匹は万能お兄さんが躾けたから、名前はちゃんと明記しておいてくださいね」 「おお!万能お兄さんの躾けたゆっくりか!!最近見なかったから、こいつはうれしいな。いまでも、彼の躾けたゆっくりをほしがる人はたくさん いる。これはかなりの売れ筋になるよ、ありがとう。」 プラチナブリーダーの躾けたゆっくりともなれば、ほしがる人は当然いる。なにせ超一流のブリーダーが躾けたのだ。明らかにレベルが違うのである。 それほどまでに、この二人が躾けたゆっくりは引く手あまたで希少種よりも入手困難と言われていた。 「礼は彼に言ってくださいよ。」 と、愛でお兄さんはゆっくり交流広場にいる万能お兄さんを指差した。 彼と彼のゆっくりは、他の会員やゆっくり達と楽しく過ごしているように見える。 実際はもみくちゃにされているのだが。 「じゃあ、代わりに伝えておいてくれないか?あと、これは報酬だ」 そういって、店長は躾の報酬を愛でお兄さんに渡した。彼の躾けたゆっくりも評価が高いので、封筒の中は結構な額がある。プラチナブリーダーともなれば当然だろう。 もっとも、31匹も躾けた万能お兄さんには負けるが。 愛でお兄さんは、広場に居る万能お兄さんに会って、報酬を手渡した。そして2人と31匹は逃げるように会館を後にした。 どうやら、彼は多くの会員とゆっくり達から、「このゆっくりをうちのゆっくりとつがいにしてくれないか?」と頼まれていたようだ。 彼の育てた31匹のゆっくり達は、この会館のなかでも群を抜いて皆美しかった上に、プラチナバッジ付きである。 プラチナレベルのゆっくりの子なら、その能力がしっかりと遺伝し、優秀な子ゆっくりが生まれる。それゆえに求婚の話も後を絶たなかった。 だが彼は丁重に断り続けた。理由は、飼いゆっくりの半分は中身を白餡に変えたりした改造ゆっくりだからだ。 無論、ゆっくりんピースでは中身を白餡に変える人もいるにはいる、が、もちろんそれを快く思わない人も居るのは確かなのである。 できれば知られたくないことであった。それに、彼は自分のゆっくりを他人と結ばせようと考えたことはない。そういうときは家ゆっくりの意見を聞いてから判断する。 彼女達は彼と結ばれたいと願ったので、彼はそれを尊重した。 だから彼は、理由は話さずに丁重に断り続けた。 愛でお兄さんがその時来たのは、見事な助け舟であった。 「助かったよ、愛でお兄さん」 「気にしないでくれ、それにしても断り続けるのも大変だね。」 「ああ、だって中身を改造しているからね。できれば知られたくないよ」 「改造については僕はいいゆっくりになるのは賛成している。でも、いまだにそれを快く思わない人が居るからね・・・」 「うん、まぁ人それぞれだから仕方ないさ。あと、僕はまだ用があるから町に残るよ」 「わかった、じゃあここでお別れだね」 そういうと、愛でお兄さんと万能お兄さんは会館前で別れた。 ゆっくりいじめ系1830 万能お兄さん5_4に続く
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※かなり俺設定があります それでも大丈夫な方は、お暇なときにどうぞー。 万能お兄さん2(fuku2757)の続編です。 初めてのSS、初めての続編物です。よろしくお願いします。 村にドスが襲ってきたのは真昼だった。 突如鳴り響く地響き。最初は小さかったが次第に大きくなってくる。 直感で悟る4人の青年達。村では「ゆっくり四天王」と「勝手に」呼ばれているスペシャリストだ。 村以外でもその名は轟いている。 轟いているのは、むしろ4人がひとつの村に集中しているというのが珍しいという意味合いが強いが、 3人そろうだけでも珍しいのに、3人の特徴を中途半端に受け継いだような万能お兄さんの存在自体が非常に珍しいのである。 天然記念物並みといってもよい。 そして、同時に四天王はつぶやいた 「「「「来たか」」」」 4人はそれぞれ準備をする。 その中で、万能お兄さんは自分の部屋の箪笥の上に飾ってある、2つの写真立てを見る。 左は強面のおじさんだ、猟銃を持っているとこから猟師だとわかる。右の写真はかわいい少女の笑顔の写真だった。ほかでもない彼の妹だった。 お兄さんは、左の写真に手を合わせた。 「養父さん…」 強面の猟師だが、「あの村」から命からがら逃げ、山で行き倒れたところを助けてもらい、 自分と妹を養子として引き取ってくれた優しい養父。死んだ実の父も優しかったが、養父も負けないくらい優しかった。 手を合わせた後、右の写真立てを見る。かわいい少女で、彼の自慢の妹。だが、その妹は今は病院のベッドで寝ている。 顔の色も、何も問題なく、今起きても問題ないくらいのかわいい寝顔。ただ、彼女は目覚めることはない。それには理由があった…。 「…お前が望んだ、ゆっくりと一緒の楽しい生活は、僕がこの家で作り上げたよ。あとは…、お前が目覚めるだけだ」 彼女を目覚めさせるための鍵は、今日来るドスまりさが持っている。 このときのために何年も費やした。そして、自分達を陥れ、養父を殺し、妹を目覚めさせぬようにした「あの村」を滅ぼすこと。 温厚な彼が、一時たりとも忘れたことのない復讐だった。 全てはこのために作り上げた。村人には「協力」と言ってあるが、その実は利用である。虐待お兄さん達心友ですら利用する。 彼には底知れぬ深い闇があった。 そんな闇を一切表に出さず胸に秘め、「万能お兄さん」として、彼は家を出た。 万能お兄さんの畑の近くに現れた、ゆっくりの群れ。 お兄さんの畑がゆっくり被害を一挙に引き受けるのは、山に近いからだ。ドスまりさが村(というかお兄さんの家)にたどり着き 「この村の実力者をだしてね!!」 と大声で吼えた。 しばらくすると村人が集まってきた。ちなみに、村人達の手には鍬や鎌などの農具が握られている。 ゆっくりたちは村人の数にひるんだが、負けじと警戒するときのように体を膨らませる。 「この村の実力者をだしてね!!」 「実力者っていうと、村長でいいのかい?」 村人が尋ね 「ゆっ!!そうだよ!!いちばんえらくて、実力者な村長をだしてね!!」 と言う。 しばらくすると、村長がやってきた。後ろには四天王が待機している。 「わしが、この村の村長だが、こんな辺鄙(へんぴ)な村になんのようかね?」 「ゆっ!!私達、冬を越すための食料が集まらないの!!」 「ふむ、で?」 「協力しましょう!!」 「で?」 「だから食料を分けてください!!」 「…は?」 村人達は騒ぐどころか、黙った。万能お兄さんの言うとおりになってしまった。これでは協力ではなく脅迫である。 村長があきれたように口を開き 「…本気で言っているのかね?」 「ゆっ!!そうだよ!!」 「それは協力とは言わない、脅迫だ。ちゃんと考えていっているのかね?」 「もちろんだよ!!」 「ドスのいっていることがわからないなんてばかなの?しぬの?」 「やっぱりじじいはじじいだね!!」 取り巻きのゆっくりたちが、バカにしたようにゲラゲラとあざ笑う。なんともむかつく光景だ。 「なぁ、万能お兄さん。こいつら殺したいんだが」 「だめだよ、虐殺お兄さん。もう少し待たないと」 「後どれくらい待つんだよ、我慢できないぜ」 「大義名分っていうのは必要なものだから、もう少し我慢してね、虐待お兄さん」 「なんということだ…。少しはいいゆっくりだと思っていたけど、これはひどいな…。こんなやつらとはゆっくりできないよ」 「愛でお兄さんが失望するのも無理はないよ。彼女達は悪いゆっくりだからね。」 4人は会話をする。まさかこれほどまでとは思ってもいなかった。向こうの言い分がおかしすぎる時点であきれて、失望していた。 村長はあきらめずに尋ねる。 「きみたち、協力とはお互いが助け合うことを言うのだ。君達は私達に食料をよこせというが、君達は私達になにをくれるのかね?」 「ゆっ!!そこのお兄さんの家のゆっくりが、わたしたちの仲間を殺したんだよ!!だからそれでおあいこだよ!!」 と、ドスは万能お兄さんを指して言う。 つまりゆっくりたちは村に復讐をしに来たということだ。その復讐の代価として食料よこせということである。 仲間の死すら利用するとは、見下げ果てたやつらだ。 「…あれを見られていたのか、まぁいい。どちらにせよ、餡子脳ごときが人間の、僕の頭脳に勝てる道理などない」 誰にも聞こえないように呟く。彼の腹黒さが如実に現れているような台詞だった。 村長は答える 「彼が殺した?何かの間違いではないのかね?」 「そんなことはないよ!!だってまりさがみていたんだもん!!」 と、ドスのうしろからまりさがあらわれた 「おれはみたんだぜ!!そこのにんげんのいえのゆっくりが、れいむをころしているのを!!」 まりさが証言した。その言葉を聴き、 「おにいさんがれいむをころさなければこんなことにはならなかったんだよ!!」 「おにいさん!!さっさとあやまるんだぜ!!」 「おにいさんはとかいはじゃないわ!!ゆっくりどこかにいってね!!!」 野次馬たちが騒ぎ始める。なんという騒音、聞くに堪えがたい。虐殺お兄さんが一歩前に出ようとしたのを、万能お兄さんが制した。 万能お兄さんはゆっくりたちに話し始めた。 「君達は誤解をしている。僕の家にきたあのれいむは、うちのルールを破ったのだ。彼女は僕の家で働きたいといったが、 その実働きもせず、家の作物を勝手に食べるということをした。僕の家の作物を勝手に食べたらいけないというルールを、 あのれいむは破ったんだ。だから殺した」 「だからなんなんだぜ!!ころしたのにかわりないんだぜ!!なかまをころされて、わたしたちはおこっているんだぜ!!」 証言をするまりさが反論をする。それをお兄さんは冷ややかな目でみて答えた。 「殺したのに変わりはない、か。確かにそうだ。だが、ルールを破った者は誰しも罰するのは当然だろう?君はそんなこともわからないのか?」 「ゆぐっ!!…でも」 「でもなんだ?君達の群れにはルールは存在しないのか?ドスよ、まさか君は群れにルールを作っていないということはないよな?」 「ゆっ…。ルールは…あるよ」 「あるだろう?では、君はルールを破ったものはどうするのだ?」 「…罰を…与えるよ」 「では、私が殺したのもなんら問題はないだろう?私の家のルールを破ったのはあのれいむだ。だから私は処罰した。 ここで私のどこが悪いのか、教えてほしいものだなぁ?」 「ゆぐぐぅぅぅ!!」 ドスは反論できなかった。ルールを破れば処罰する。どこでもやっていることだ。 私達は仲間の復讐をできると思ったのに、それをネタにして有利になるはずだった。だが形勢が逆転した。 ほかのゆっくりたちも、押し黙る。 「復讐…か」 万能お兄さんはゆっくり達が言った復讐という単語に反応し、呟いた。 静かに目を閉じると蘇るあの光景。むかし住んでいた村で起きたこと。 幸せな生活だったが、ある日突然あらぬ嫌疑により村八分者にされたこと。自分達に降り注ぐ罵倒。耐え切れなくなった父の自殺。 村長宅で盗み聞いた話によりわかる、事の真相。 妹と一緒に逃げた日。山で過ごしたサバイバル。行き倒れたところをこの村の猟師に拾われ、養子として迎えられ生まれ変わった時の感動。 その後に起こった謀略による養父の死と、眠ったまま起きない妹。 一瞬の出来事だったが、お兄さんにとっては長く感じた。頭を振り気を取り直す。 「あと少しだ…。うまくいけば後少しなんだ…。」 誰にも聞こえないように呟いた。そして改めてドスを見た。 ドスは仲間に責められている 仲間の死をネタにして、食料をもらえると思ったらいつまでたってももらえないからだ。 「どすうぅぅぅ!!!しょくりょうがもらえるんじゃなかったのぉぉぉぉおおお!!??」 「なんでにんげんのいうことをきいているのおおおおおお!!!!」 「わるいのはあいつらでしょおおおおおおおおおお!!!!!!!!」 「どずのばがああぁあぁぁぁぁぁ!!はやくしょくりょうをもらってよおおおおおおおお!!!!!」 口々に攻められるドス。彼女はくやしそうに、黙って仲間の批判を聞いているだけだった。 群れを統率するゆえの苦悩が、今ここに表れている。そうだ、もっと悩め、そうすれば君は僕の「計画」通りになる。そうすれば僕の妹ははれて…。 と思ったのも束の間。ドスが思い出したように喋った 「ゆっ!!そういえばまりさ!!あなたルールを破ったね!!」 と、証言をしたまりさにたずねた 「ゆっ!?まりさルールをやぶっていないぜ!!」 「私は村に近づくなっていったでしょ!!れいむのことを見たのなら村に近づいたって事なんでしょ!!」 「ゆっ!!でもそれはれいむがころされたから…」 「ルールをやぶった子はいらないよ!!ゆっくりしんでね!!」 すると、ドスは巨体を生かしてまりさをつぶし始めた。 「ゆ゛ぅぅぅうううううう!!!ごべんなざいいいいぃぃいいいいいいいい!!!」 「もうおそいよ!!ゆっくりしんでね!!」 はちきれんばかりに膨れるまりさ。もはや限界に近づいており 「もっどゆっぐり…じだが…」 パンッ!と乾いた音がして、まりさは破裂した。あたりに餡子が飛び散る。 ドスが皆を見渡して言う 「こいつがルールをやぶらなければこんなことにはならなかったんだよ!!」 ドスは自らの責任を、全てはこのまりさのせいということにした。 ゆっくりたちはしばらく黙ったが、餡子脳が理解していき。 「そうだね!!こいつのせいだね!!!」 「ドスはなにもわるくなかったね!!ごめんね!!!」 「さすがドスだね!!!」 とドスを褒め称えた。 「…ちっ」 なんとまぁ、見苦しいものだ。自分が起こした脅迫の責任転嫁とは。仲間も仲間で、簡単に信じるところはさすが餡子脳というしかない。 だが、このままこいつらを帰らせては「計画」に支障が出る。 「計画」を実行するためには、もう一押ししないといけないな。と思って、万能お兄さんはドスに語りかけた 「そういやドス、君達はこの村にいったい何をしにきたんだっけ?」 「ゆっ!!それは…」 「村を襲いにきたんじゃなかったの?」 「ゆぐっ!!」 そうなのだ。ドスは仲間の死をネタにして、お願いをするつもりだった。 だが、群れの仲間達には「村を襲う」と言っている。お願いするとは一言も言っていない。本音を隠していたのだ。 このままでは人間達にはかなう筈はない、交渉でも勝てそうにない、ここは引き下がろうとしたが。 「そうだ!!ドスはむらをおそいにきたんだよね!!」 「このにんげんどもをころしてしょくりょうをうばうんだよね!!!」 「ばかなにんげんはゆっくりしんでね!!!」 ゆっくりたちは思い出したように喋り始めた。 万能お兄さんが黒い笑みを浮かべ 「へぇ…。この村を襲いにきたんだねぇ。だったらそれなりの対処をするけど?」 「この腐れ饅頭が、やっと本性をあらわしおったか」 と虐殺お兄さんが竹に包丁を括り付けただけの、簡素な槍を構える。実にシンプルだが、この武器は虐殺お兄さんの 長年ともに戦ってきた武器であり、包丁は数々の餡子を吸ってきた業物である。なんとなく呪われてそうな気がしなくもない。 「ふう、ようやく運動ができるってわけだ。待ちくたびれたぜ、このときをよぉっ!」 虐待お兄さんは、虐殺お兄さんとは違い、得物を持たない。代わりに総合格闘技のように、自らの拳で戦う。 得物を使ってもいいが、たまに加減がわからなくなり殺してしまうことがあるからだ。だが拳だと殺さずに戦闘能力を奪える。 お兄さんは、オープンフィンガーグローブをゆっくりとはめ、その感触を楽しむように手を開閉する。 「ゆっ!!ちがうよ!!むらはおそわないよ!!わたしたちはゆっくりかえるよ!!!」 「ゆっ!!ドスむらをおそうっていったじゃない!!」 「なんでうそつくの!!れいむたちをだましたの!?」 「うそつくドスはドスじゃないよ!!ゆっくりしね!!!」 「ゆうぐぐぐぐぐぐぐぐ!!!」 おお、苦しんでる苦しんでる。本音と建前を両方喋っていれば、こんなことにはならなかったのに。 きちんと、「襲う」を「お願いする」とすればなんら問題はなかったのに。 「で、どっちなの?襲うの、襲わないの?襲うのならさっさとしてよ。それともできないの?ばかなの?」 お兄さんは挑発するようにして尋ねた。 「「「「ゆぐっ・・・!!!」」」」 「なんだ口だけのゴミクズだったなんてがっかりだよ。襲う気がないのならゆっくり山にかえってね」 挑発に激怒したれいむがとびかかってきた 「ゆぐぐぐがぁぁぁ!!!ゆっくりしねえぇぇぇ!!わたしたちをばかにするにんげんはしねぇぇぇぇ!!」 「だめえ゛え゛え゛え゛ええ゛ぇぇぇ゛ぇ゛ぇえ゛え゛!!!」 ドスまりさが必死で止めようとしたが、もう遅かった。 一匹のれいむが万能お兄さんに飛び掛り、ぶつかる寸前のところで虐殺お兄さんの鮮やかな槍さばきにより絶命する。 万能お兄さんは微動だにしていない。彼がとめてくれると信じていたから。 「ありがとう、虐殺お兄さん」 「気にするな、万能お兄さん。だがこいつらは俺たちを攻撃した」 「ああ、攻撃したね」 「じゃあ、もうやっちゃってもいいよな?」 「虐待お兄さん、遠慮はいらないよ」 「私はせめてみないようにしておくよ。悪いゆっくりとはいえ、死ぬ所や苦しむのは見たくないからね。 ただ、せめてできることを、村で飼われているゆっくりを万能お兄さんの家に集めて避難させて置くよ」 「うん、愛でお兄さん見ないほうがいいよ。あと、飼いゆっくりの避難は任せたよ。僕の家のゆっくりなら、愛でお兄さんも 他の飼いゆっくりも守ってくれるよ。」 「ついに始まるのか、久々に血が騒ぐのぉ」 「村長以下、村の皆さん。戦闘準備に入ってください。これより敵を殲滅します」 もはや止められない。 戦いの火蓋は切って落とされた。 「「「「「「「「「「にんげんたちはゆっくりしねええぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!!!!」」」」」」」 ゆっくりたちが怒声を上げながら襲い掛かる。その数100匹以上。 万能お兄さんも叫ぶ 「総員抜刀!!敵を撃滅せよ!!突撃いぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」 「よろしい!!ならば虐殺だ!!ゆっくりどもしにさらせぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!」 「俺の虐待パンチを味あわせてやる!!!人間の恐ろしさをおもいしれぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!」 「皆のもの!!わしらにつづけぇいい!!!勝利はわれらにありぃぃいい!!!」 「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」 ゆっくりたちと、村との戦争が始まった。 戦争といえば、いかにも互角の争いをしているように思える。 だが、所詮人間と戦って勝てるものなど存在しない。 戦争という名の、一方的な虐殺だった。数ではゆっくりたちが多いものの、武器を持った人間にかなうはずもなく、 一方的に数を減らされていく。 目の前の惨劇が始まってもドスはうごけなかった。自分の落ち度により、群れのゆっくりたちが死んでいく。 自分がちゃんとしていれば…。ちゃんとしていればこんなことには…。どこでなにをまちがったのだろうか…。 彼女は呆然としていた。 数は多いが、武器を使った人間に勝つなど到底無理だ。 最前衛を虐殺お兄さんが暴れまくり、虐待お兄さんは虐殺お兄さんの背中を守るようにして戦う。 万能お兄さんは、体力こそ愛でお兄さんよりあるものの、二人には劣る。戦闘はするが、2人ほど激しく動けないのが欠点だ。 だが持ち前の頭脳をいかして村人達を的確に指示し、虐待お兄さんと虐殺お兄さんが戦いやすいように戦術的に有利なポジションを獲得する。 村人達も、万能お兄さんの指示により連携をとっているのでかなり強い。中でも村長は張り切ってゆっくりを殺している。 愛でお兄さんは飼いゆっくりを集めて、万能お兄さんの家に向かっている。飼いゆっくりたちは、万能お兄さんの家のゆっくりたちに守られ、 尚且つ、家のゆっくりは村に被害が行かないように、捕食種を先頭に所々を見張って防衛線を張っている。 ゆっくりの群れは捕食種に立ち向かう勇気などないので、村には近づかない。 4人は的確に、自分達の役割をこなしている。村人や、万能お兄さんのゆっくり達もがんばる。 皆が一丸となって戦うとは、このことと言わずして何と言おうか。おかげで、戦闘開始で10分も経たないうちに半数近くの ゆっくりが命を落とした。 時間が経つにつれ、確実に減っていくゆっくりたち。 だが彼女は…、ドスはまだ頼られている。仲間が彼女を頼っている。 「どずううううぅぅぅ!!だずげでえええええええええええ!!!!!!」 「いだいよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」 「なんでどずはだずげでぐれないのおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 ゆっくりたちの悲鳴が聞こえる。彼女達は自分を呼んでいる。 それを聞いて、ドスの心に火がつく。 助けないと…。みんなをたすけないと…。 なぜならわたしはドスだから。群れのリーダーだから。 人間を…倒す!! 「ゆっくりしねえええええええええええ!!!!!!」 ドスが意を決して襲い掛かってきた。村の皆が危惧していたことが起こった。 「うわぁぁぁあ!!!ドスだ!!ドスがきたぁぁああああ!!!」 腰を抜かして逃げ惑う村人達。無理もない。3mは優に超える巨体が襲い掛かってくるのだ。 誰だって怖い。 だが、立ち向かう3人の戦士が村人を守るようにして立ちふさがる。 「村の皆さんは雑魚をよろしくおねがいします!!ドスは僕らが倒します!!」 「ふん、やっと殺しがいのあるやつがでてきたか」 「ちょっと虐殺お兄さん、殺さないでくださいよ。俺はあいつを徹底的に虐待したいんすよ」 「ふん、私に手加減をしろなど無理な話だ」 「…いや、虐待お兄さんの言うとおり。殺さないでください」 「なんだと!!」 虐殺お兄さんが、万能お兄さんの答えに思わず振り向く 「それは本気で言っているのか…万能お兄さん」 「一生に一度のお願いです。あいつの命は僕にください」 「…正直、君にゆっくりの生死について頭を下げられたのははじめてだな。わかった。だが私は手加減ができないから雑魚を殺しにいく」 「ありがとう、虐殺お兄さん」 「へっ!じゃああいつは俺がいたぶるぜ!!」 「援護するよ、虐待お兄さん。では行って下さい!!」 「おっしゃあああああああああああああぁぁぁぁぁあああああああ!!!」 虐待お兄さんが突撃する。 「ゆ゛っぐりじ゛ね゛え゛え゛え゛ええええええええぇぇぇぇ!!!!!!みんなのがだぎぃぃぃぃいいいいい!!!!」 と、ドスは虐待お兄さんに向かって突進する。お兄さんは懐からナイフを取り出し、ドスの目にむかって投げた。 「いだいぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!!!めがぁぁぁぁああ!!めがあああああぁぁぁぁ!!!!!!」 狙ったところにナイフを当てるというのはかなり難しい。それを難なくこなすところは、さすが熟練の技といったところか。 思わぬ攻撃と、激痛、そして片目が見えなくなったことによりもだえ苦しむ。スピードを落としたため突進が遅くなる。 そこを狙って虐待お兄さんは跳躍し 「しゃぁぁぁぁらああああぁぁぁぁぁぁああああああああっっっっっっ!!!!!!!!!!」 とび蹴りをドスの顔面のど真ん中へと叩き込んだ。 巨大な饅頭のおかげでやわらかい、おかげでメリメリとお兄さんの足が深く、深く、食い込んでいく。普通なら3分の1しか入らないが、 ドスが突進してきたところもあり、中枢餡子まで深く突き刺さった。見事なカウンターであった。 「ゆがぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁああ!!!!!!!」 今度は顔に激痛が走る。大声で泣き叫ぶドスまりさ。 お兄さんはすかさず目に刺さったナイフを抜き取り、ドスの頭に上った。 「がぁぁぁぁああああああ!!!!!は゛な゛れ゛ろ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!」 頭に取り付いた虐待お兄さんを振り払おうとするドスまりさ。彼女は今、虐待お兄さんを振り払うことしか考えていなかった。 虐待お兄さんに注意がいっている所を狙った万能お兄さんが 「ドス!!これでもくらえ!!!」 と、ピンポン玉サイズの赤いボールを投げた。名前を呼ばれたドスがふりむき、万能お兄さんが投げたボールは口の中に見事に入っていった。 ボールは軽い衝撃で割れるように作られている。中の真っ赤な液体が流れ出し、ドスの口の中に広がった。 「ゆぎょぇぇぇぇえええええええ!!!!!がらいいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!!! ぐぎょあぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁ!!!!!!」 投げたのはこの世でもっとも辛いトウガラシを使ったもので、名前はジョロキアグレネード。 その名の通り、ブート・ジョロキアと呼ばれるトウガラシをふんだんに使ったものだ。トウガラシ以外にも「ある薬」が入っている。 ブート・ジョロキアの辛さはハバネロのほぼ2倍である。ギネス認定されたのは伊達ではない。 万能お兄さんと虐待お兄さんが、対ドススパーク兼捕獲対策のために共同開発したものだった。今では対ドス用装備として広く使われている。 中身はピンポン玉ほどの量だが、その威力は折り紙つきである。ドスサイズだろうと、場合によってはそのギネス認定された辛さにより 良くて気絶、悪くて一撃死できるほどの破壊力を持つ。 普通の成体ゆっくりでは辛さと強烈なにおいにより、一発のジョロキアグレネードで一気に10匹ものゆっくりを一瞬で、 においだけでも気絶、直撃なら死に至らしめる。飛沫を一滴飲んだだけでも死、もしくは後遺症が残るほどの破壊力がある。 (加工所での実験結果による報告) 片目を潰され、中枢餡子まで届くほどのとび蹴りをくらい、世界一の辛さを誇るジョロキアグレネードが口の中を焼き尽くし、 ドスは度重なる激痛に気絶した。 ドスと戦い、一気に気絶までもちこんだ、かなりの早業である。これも二人の見事なコンビネーションがものをいった。 「やっぱり、このグレネードは使えるね。作った甲斐があるよ。もっとも、河童の作ったものには遠く及ばないけどさ。」 「ああ、だが発想は万能お兄さんのおかげだけどな。それのおかげで、危険なドスに対する被害はへっているぜ」 「いやいや、僕は発想だけさ。僕だとさじ加減がわからないから、どれくらいでドスを気絶できるほどの量なのか、がわからない。 それを虐待お兄さんはすぐにわりだしたんだからすごいよ」 「へっへっへ。だが、世界一の辛さを誇るトウガラシを集めるっていうのは簡単なことじゃねぇ。 加工所を中心に、いまでも広く使われるようになったのは、ひとえに万能お兄さんの人脈のおかげだぜ」 「その人脈を作り上げるのに10年はかかったけどね」 そう…。この10年は長かった…。ひとえに愛する妹のためと、復讐のためだった。それだけのために作り上げたといってもいい。 人脈のみならず、あの家も、ゆっくりたちも、人付き合いも、頭脳も、肉体も、すべて。 これがなければ、彼は万能お兄さんとはよばれなかった。 続く このSSに感想を付ける