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プロローグ 傭兵の矜恃 殺風景だがそれなりに広い応接室。 大きくて年季の入った事務机の前に、三人掛けのソファーが二つ、小さなテーブルを挟んで向かい合っている。 そのソファーに座って相対する二人の男達。 一人は血気盛んな様相の青年。少々畏まってはいるが、鋭い目つきで睨む様に相手を凝視している。 向かいに座るもう一人は、気怠げにマッチを擦るとタバコに火をつけ、紫煙を肺に満たしてたっぷり5秒。 鼻から煙を吐き出して余韻を楽しんでから言葉を発した。 「俺がこの傭兵部隊の第13代目隊長、ワイラー・イアンホープだ。お前さんか、うちに入隊したいって言う物好きは。なんでうちに入りたい?」 「あんた達は帝国と闘っている。俺は悪の権化の帝国を許せない。あんた達となら、あの憎むべき帝国をやっつけられる!」 青年は熱を帯びた眼差しでワイラーと名乗った男に語った。 その言葉からは若さから来る青臭い情熱めいたものが感じられた。 「なるほど、そうか……悪いが|『正義の味方ごっこ』《そういうの》は間に合ってる。他を当たってくれ。」 ワイラーはテーブルの上に置かれた履歴書にも目を通さず、興味無さげにそう言った。 その対応には流石にカチンと来たらしく、青年は自分の上司になるかも知れない男に食ってかかった。 「それはどういう事です?私の能力に不服でもあるんですか⁈」 ワイラーは紫煙を一息吸い込んでから、呆れたように青年の質問に答えた。 「能力の問題じゃない。心構えの問題だ。」 「私に戦場での覚悟が足りないと、そう言いたいんですか!」 青年は語気を強め、不当な扱いだと抗議の意を示す。 「そんな問題じゃないんだよ。お前さん、傭兵として致命的な勘違いをしてないかい?俺たち傭兵は金をもらって殺し合うロクデナシでしかないんだぜ。」 スッと真面目な顔になり、|え《・》|ぐ《・》|る《・》|様《・》|な《・》眼光を向けてきたワイラーに、青年はたじろいだ。 「傭兵が、正義だの悪だの口にするのはお門違いもいいところだ。おれ達は戦争の道具に過ぎないんだよ。それに、たかだか一部隊で強大な帝国をどうにか出来るわけもない。」 「た、確かに、それはそうですが…ですが、現に貴方達は帝国軍と何度もやり合って…」 「仕事だから戦っているだけだ。それに向こうからこっちに入って来るから殺ってるに過ぎない。 俺達が自分の意思で殺しに行ってるとでも思っているのか?同盟の戦術ドクトリンを知らんわけでもあるまい。 |専《・》|守《・》|防《・》|衛《・》を掲げる雇主の意向を無視して勝手な動きなどする訳がなかろう。」 言葉尻には明らかな呆れと嘲りが含まれている。 青年は何か言い返そうと必死に考えるが、言葉が出てこない。 「お前さんが、今まで何処でどんな仕事をして来たのかは知らん。だが、傭兵やってる上でそんな下らない『正義感』を振りかざしてる様じゃ、早いうちに死ぬぜ。」 「く、下らないとは何ですか‼︎俺はこれまで、自分なりの矜恃を持って仕事をして来たんだ。知りもしないでバカにするな‼︎」 「ほう、矜恃、と来たか。では聞くが、その矜恃とやらで、これまで何人の敵を殺して、何人の味方を救って、何人の味方を殺されて来た?」 「…は?」 青年は一体何を聞かれたのか、理解するのが遅れた。 「お前さんのその矜恃から来る勝手な動きで味方が何人死んだのかを聞いているんだ。」 「なにを、今までそんな事で死んだ仲間はいない!」 「なるほど、それは幸運だったな。 それとも、参加したのは2〜3人程度の身軽な分隊規模でごく小さな戦闘ばかりだったか?それならある程度は勝手に動いても誤差の範疇に収められる。」 青年は、自分の全てをただ否定されている事に苛立ちを募らせつつも平静を装い、反撃の機会を伺ってワイラーの話に耳を傾けた。 「だが、部隊の規模が大きくなるとそうはいかん。参加する人数が多ければ多いほど、勝手な動きは尾を引いて後から響いて来る。」 「ふぅん、貴方も経験がお有りで?」 「あぁ、お坊ちゃんの高級士官様の勘違いした働きの尻拭いをする羽目になって、その巻き添えで前の隊長は戦死してる。その時に正規軍にもうちの部隊にも…少なくない|犠《・》|牲《・》が出た。」 犠牲と言う言葉に強い語気を込めて吐き捨てる様にそう言った。 「…それは、運が悪かったのでは?」 「そりゃ運が悪かっただろうさ。だが、それを引き起こしたのが、『正義の味方ごっこ』に興じたお坊ちゃんなんだぜ?無論、そいつも死んだ。」 「………」 青年は何も言い返せなくなった。今までの話を頭の中で反芻して想像する。自分の行動で引き起こされるかも知れない事態に息を飲む。 「だからもし、傭兵の矜恃というのがあるのなら、それは『正義感』なんぞでは無く、忠実に命令を実行するっていう『飼い犬』になるって事だろうぜ。」 ワイラーは自嘲気味に言った。 「お前さんは、これまで培って来た矜恃を捨てる事が出来るか?」 それはある意味で残酷な質問だった。 己の寄って立つモノはそう簡単には捨てられない。 それでも青年は、これまでに無いほど考えて答えを出した。 「…すぐには難しいかも知れない。ですが、仲間に迷惑をかける様な真似は決してしない。」 それを聞いたワイラーはニッと笑みを浮かべて右手を差し出した。 青年は応えて握手を交わし、覚悟を決めた。 「そうかい、なら歓迎するぜ。傭兵部隊『グライフリッター』にようこそ。」
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夏空のモノローグ 夏空のモノローグ portable ※PSP版タイトル 簡易紹介 舞台は、海辺の田舎町・土岐島市。 街はずれにそびえ立つ、超高層建築物「ツリー」。 30年前に突如現れ、にわかに全国を騒がせたそれも、今やただ寂れた観光資源に過ぎなかった。 そんな中、主人公の所属していた科学部は、廃部が決定する。 7月29日、科学部最後の活動として、メンバーたちはツリー観測へ向かう。 何も起こるわけがないと皆が見守る中、「ツリー」は静かに歌いだした。 際限なくループする7月29日。 原因究明と脱出を目指し、科学部メンバーは調査を開始する――。 (公式サイトから一部引用) データ 公式サイト PS2版、PSP版 発売元 アイディアファクトリー 開発元 デザインファクトリー ジャンル 夏色タイムループAVG 対応機種 PS2、PSP 発売日 PS2版:2010年7月29日、PSP版:2013年3月20日 価格(税込) PS2通常版:7140円、PS2限定版:9240円PSP通常版:5040円、PSP限定版:7140円 廉価版 なし キャラクターデザイン ろく丸 シナリオライター 西村悠 音声量 主人公以外フルボイス 主人公 小川葵(声:なし) ※名前変更可能 攻略対象 木野瀬一輝(声:阿部敦)加賀陽(声:高橋直純)沢野井宗介(声:高橋伸也)篠原涼太(声:代永翼)浅浪皓(声:井上和彦)綿森楓(声:岡本信彦) 備考 CERO区分:BVNR(Visual Novel Reader)システム:テキストエリアが場面やCGカットに応じて変化し、効果的に演出するシステムを採用体験版:ゲーム序盤を再現したWEB体験版(Flash)が公式HPにて公開中 該当するキーワード ノベルゲーム、記憶喪失ヒロイン、ループもの、現代SF、現代が舞台ルート制限あり、微糖、泣き要素あり、個性的なヒロイン
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運命の繋がり(エントワィンド・ディスティニー) ローグ キーパー キャラクターがローグかガンビットのカードで相手にダメージ2以上を与えたとき、このキーパーは最大ダメージ3の攻撃を相手に与える
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原案:柊南天 機体名:スヴァローグ 搭乗者:フョードル 登場話:Armored Core - Overdrive - ■ 構成作品:ACLR ■ 機体構成 +Head:H11-QUEEN(LR) Head:H11-QUEEN(LR) ミラージュの第四世代パーツ、バランスのよさが魅力 +Core:CR-C75U2(LR) Core:CR-C75U2(LR) 格納機能搭載、優れたバランスを実現し一時代を築いた傑作 +Arms:A04-BABOON(LR) Arms:A04-BABOON(LR) 防御力のバランスに優れた、第三世代の重装甲型腕 +Legs:LH08-JACKAL(LR) Legs:LH08-JACKAL(LR) 消費ENの低い重装パーツ、DINGOの特徴を受け継いでいる +Booster:B03-VULTURE2(LR) Booster:B03-VULTURE2(LR) ミラージュの第三世代型、発熱量を抑えたVULTUREの姉妹機 +FCS:CR-F82D2(LR) FCS:CR-F82D2(LR) 遠距離サイト型、最大ロック数を増やし、ミサイル攻撃に対応 +Generator:G02-MAGNOLIA(LR) Generator:G02-MAGNOLIA(LR) 重量の増加を抑え、容量と出力のバランスを高レベルで実現 +Radiator:R03-LINDEN9(LR) Radiator:R03-LINDEN9(LR) 緊急時に最高クラスのパフォーマンスを発揮する特化型 +Inside:NOTHING Inside:NOTHING +Extension:NOTHING Extension:NOTHING +B Unit R:WB11M-HYDRA(LR) B Unit R:WB11M-HYDRA(LR) 発射後4発に分裂する多弾頭ミサイルを搭載 +B Unit L:WB03R-SIREN(LR) B Unit L:WB03R-SIREN(LR) スキャン間隔が短く、実戦性の高いレーダー +A Unit R:CR-WR73RS(LR) A Unit R:CR-WR73RS(LR) 高速で弾丸を打ち出し、長射程を誇るスナイパーライフル +A Unit L:NICHIRIN(LR) A Unit L:NICHIRIN(LR) 熱量をさらに増大させたGACHIRINの強化型 +H Unit R:CR-WH69H(LR) H Unit R:CR-WH69H(LR) 小型で携行性の高いハンドガン、6発毎に再装填・格納可能 +H Unit L:CR-WH69H(LR) H Unit R:CR-WH69H(LR) 小型で携行性の高いハンドガン、6発毎に再装填・格納可能 ■ 概要 【GC.Edenⅰ】本社所属レイヴン"フョードル"の使用する、超重量級二脚機。 +詳細 ■ 詳細 機体本体の機動力に頼らない柔軟な立ち回りを展開、搭載武装を最大限に用い、常に有利な交戦距離で戦闘を展開する事を旨としている。 近距離戦闘面でも一定以上の技量を持つが、前提として遠距離戦闘仕様に調整している為、間合いへ深く切り込まれると脆い側面を持つ。 ■ 機体カラー:濡羽色 ■ アイカラー:濃紫色
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番外編! あの世だよ! 全員集合っ! ♂ハンターは一人呟く。 「……俺にもっと注意力があれば……俺も力になれたのに……」 一次職にも関わらず精一杯自分の役割を果たそうとする♂アーチャーを見て、自らの不甲斐なさを恥じる♂ハンター。 そこに三人が総つっこみ。 「おーまえにそんな事言う資格は無いっ! 俺なんか悪党扱いでいきなり爆死だぞ!」 「おーれなんて、あぶら自爆死だぜべいべー!」 「僕なんてそこらのザコMOB扱いだったよ!(いってやった、いってやった)」 自らのセリフに絶望したのか、泣きながら跪く♂商人、♂セージ、禿ちゃん。 「あ~、君達は頑張ったよ、うん。良くやったさ」 何故かフォロー役の♂ハンター。 そんな彼の肩を叩く♀マジが叩く。 「あの~、あちらで『♀商人被害者友の会』が結成されてますので、あちらに行かれてはいかがですか?」 ♀マジが指さす先で、♀シーフと♀アーチャーが肩を組んで声を上げている。 『♀商人の横暴断固許すまーじ!』 ときらぐ主人公が、大声張り上げる♀シーフに言う。 「もう、終わった事なんだからそんないつまでも……」 最後まで言わせずに♀シーフと♀アーチャーが同時に抗議する。 『終わったって何よ! 私達がどんな目に遭わされたと思ってるの!?』 余りの息の合いっぷりにときらぐ主人公が呟く。 「……君達、キャラ被りすぎ」 ぴしっ ♀アーチャーが頬をひくつらせながら言う。 「そ、そんな事無いわよ。だって私は後半まできちーっと戦ってたし。そんな中盤であっさり消えるような子と一緒にされてもね~」 ぴしっ ♀シーフも同じような顔になる。 「な、何言ってるのよ。序盤は『恐いよー助けてー』とか逃げ回ってる腰抜けキャラだったのが、ちょーっとまともになった程度で私と似てるとか言われてもね~」 ぴししっ 「あー、二人共~。その……仲良くね……」 『あんたは黙ってなさい!』 二人はときらぐ主人公を一喝すると、もぬすごい女の戦いが始まった。 ♂ハンターは首を横に振る。 「は、はははっ。俺は遠慮しとく。君は♀ローグ被害者友の会とか入らないのかい?」 ♀マジは顔を引きつらせて言う。 「だって♀ローグさん……あれですから」 ♀マジが指さした先に、♀ローグが居た。 「ちょ、ちょっと待って下さい! どうしてここでまで、そんなにやる気なんですか!」 悪魔プリが悲鳴をあげながら逃げ回る。 その後ろを全速力でおっかける♀ローグ。 「決まってるじゃない! あんたとの勝負が面白かったからよ!」 「迷惑です!」 「それを私が気にするとでも思ったかーーー!!」 ♂マジは座りながら嘆息する。 「あの子もエライのに気に入られたものよね~」 隣でロープに縛られた♂剣士が答える。 「僕のセリフだよそれ……いい加減これ解いてくれよー」 「ヤ」 「…………」 そんな二人を物陰から見ている影。 「ねー、あれ無理矢理奪ったらダメかな~」 隣にいるエクスキューショナーに訊ねる月夜花。 「ダメだろ。お前さんは魔物なんだから、諦めて俺と一緒になれ」 「ごめん。君、形状的に論外だよ」 「なんだと! この俺のそそりたち黒光りする刀身に不満でも……」 そこでいきなり現われるは♂モンク。 「あしゅらはおーけーん!」 ぼかーんと吹っ飛ぶエクスキューショナー。その飛んだ先には、剣を構えた♂クルセが居た。 「あの世の風紀を乱す者! 我らあの世風紀委員の罰を受けよっ!」 かきーんと打ち込んだ先は、川の中。 「ば! ばかやろう! 俺は水だけはダメなんだ錆びちま(略)」 ♂クルセと♂モンクはがっしと握手をかわす。 「そういえば、隊員三号♀モンクはどうしたんだ♂モンク?」 「ああ、彼女は『ごめんね行脚』に行ってくると言っていたが……ややっ! あそこにもあの世の風紀を乱す者達が!」 あ~い~♪ それは~あーまーくー♪ 「やっと二人っきりになれたねダンサー」 あ~い~♪ それは~せつなくー♪ 「ええ、バード。私達は永遠に一緒よ……あ、そこは……」 「ぴぴー! 危険度赤! 限界水域を越えました!」 「あ、いや、それはそれとして、少し様子を見るというのはどうだ♂クルセ?」 「うむむむ、確かに慎重に事を運ばなければいけないからな……どれどれ」 やはり頭痛の止まらない♀剣士。 「♂ウィズ……頼む」 「メテオ」 四人まとめて吹っ飛ばした所で、冷静に言う。 「あれが処罰の対象なのは良くわかる。だが、私としては、それ以上に許せない事があるのだが」 「なんだ?」 「あの無様な連中は一体なんだ? 放置するには余りに不愉快なんだが……」 「あはははー! バドスケさーんこっちこっちー!」 「待てよアラームー!」 何故かこの場にある砂浜を駆けるアラームとバドスケの二人。 ガイコツ剥き出しのバドスケが、少女であるアラームを追いかける様はまるで、出来の悪いホラー映画のようだ。 「あははははー! ♂プリこっちよー!」 「待て待てー! お兄さん♀アサの事捕まえちゃうぞー! ……ってなんだって俺がこんな事しなきゃなんねーんだよ」 同じく砂浜を駆ける♀アサと♂プリ。 いい年の大人が、バックに花とか飛ばしながら砂浜を駆ける様は、無様を通り越して最早滑稽の域である。 返答に窮する♀剣士に♂ウィズは続ける。 「アラームは辛うじて許す。だが、残りの三人は万死に値すると思うのだが……」 「そ、そう言うな。そうだ、向こうにDOP達が居たはずだ。あそこならお前とも話が合うと思うぞ」 そう言う♀剣士の薦めに従って、大きな岩の向こうに居るDOP達の元に向かう♂ウィズ。 「だーから! そのハアハアを止めろと何度言わせる気だ貴様は!」 「ムキになる騎士子タン(*´Д`)ハァハァ」 「……で、こいつがお前が言っていた会わせたい奴とやらか?」 「ち! 違う! 全然全く別人だー! ええいまとわりつくな! 離れんかバカモンがーーーー!!」 「(*´Д`)ハァハァ (*´Д`)ハァハァ (*´Д`)ハァハァ 」 「……ふむ、その表現手法はさておき、並々ならぬ想いを寄せているのは理解出来たぞ。後は腕さえあればゲフェンに招くのも悪くは無いか……」 「あっさりと理解を示すなどっぺるげんがーーーーーーーー!!」 ♀剣士は顔中を引きつらせながら謝る。 「……すまん、私が悪かった」 「もういい。所詮私は一人が似合う身だ……ハイド」 ひゅんとその場に消える♂ウィズ。 「ここまでハイドクリップ持ってきてたのかお前は……もしかして ハイドが気に入ったのか?」 「ほっとけ」 ぼそっと呟く♀剣士と即答する♂ウィズ。 「……図星か」 「だからほうっておけと言っている!」 その返答の速さに確信を得た♀剣士。 深淵の騎士子の泣き声が響く。 「びえーーーーーーーーーーん!!」 その周りで♂アコと♂ケミが困った顔をしている。 「ねえ、もう泣きやんでよ」 「うはwwwwwもう一時間以上経つwwwwwアリエナサスwwwww」 二人が頭を撫でてやると、少しづつ落ち着いてくる深淵の騎士子。 「ひぐっ……ぐしっ……うっく…………」 そんな深淵の騎士子を見て、にぱーっと笑う♂アコと♂ケミ。 そして、その笑みが深淵の騎士子には眩しすぎて、嬉しくて、申し訳なくて、また胸がいっぱいになっていく。 「うぅ……ぐすすっ……うぅっ……うわーーーーん!!」 顔を見合わせて苦笑する♂ケミと♂アコ。 「ま、いっか。気が済むまで泣かせてあげよっか」 「おけwwwwついでにwwww砂漠の岩場でwwww深淵さんにwwwww何してたか吐けwwwうぇ」 「い、いや別にやましい事なんて何も……ああ、深淵さんって見た目よりずーっと柔らかくって良い香りがしたな~」 「…………極殺wwwww」 「ぬおっ! やる気かアコ! 国のお父さんお母さん妹その他に賭けて今日こそたたきのめーす!」 崖の上から暢気に眼下のアホ騒ぎを見つめる視線が二つ。 「なんかこー……私混ざりにくいんだけど、本気で」 「混ざりたいの?」 そう訊ねる♀ウィズに、首を横に振る♀ハンター。 「もうちょっとこー私好みの大騒ぎとかあれば、無理にでも混ざるんだけどね~」 「私も、♀セージが行方不明なもんで、なんかこー手持ちぶさたというかなんというか……」 そこに♀アーチャーが駆けてくる。 「あ、居た居た。♀ウィズさんも行かない? すんごいおもしろいもの見れますよー」 「おもしろいもの? ……それより♀アーチャー、あなたその顔中のひっかき傷は一体何?」 「戦いの勲章。さー行きましょー。そこの♀ハンターさんも行く?」 「何があるの?」 「女の戦い。修羅場。女系家族」 「行くっ! そーいうの待ってたのよ!」 「……なんでそれに私も巻き込もうとするのよ……」 なんやかやと引きずられてきた♀ウィズ。 辿り着いた先に居た人物を見て、苦々しい顔になる。 「♀セージ……あなた一体そこで何をしてるのよ」 「ジャッジを頼まれた。ああ、そこ、商品が動くんじゃない」 ♀セージに注意された♂ローグは仏頂面で怒鳴り返す。 「動きたくてもこれじゃ動けねーだろうが!」 無駄に飾ったイスに縛り付けられている♂ローグ。 そんな♂ローグを更に大声で怒鳴る♀アルケミ。 「ええい男がぐちゃぐちゃと鬱陶しい! ええから商品はそこで静かにしとき!」 そんな♀アルケミの後ろで、♀クルセと♀プリの二人が困った顔で立ち尽くしている。 「あの……私はその……」 「わ、わたしもそんな大騒ぎにするつもりは無かった……」 そして顔を見合わせる二人。 「えっと、私は、その少し♂ローグさんとお話がしたかったもので……」 「あ、ああそうか。わ、わたしも……その……や、やくそくが……その」 もごもごと口ごもる♀クルセだったが、その言葉に♀プリの心臓が跳ね上がりそうになる。 「や! やくそく……ですか?」 「ええ! あ! いやその……その……約束はどうなったのかなと……♂ローグに……その」 突然♀セージが口を挟む。 「ふむ、ではその約束とやらを♂ローグに説明させよう。それ次第では、先に出会った権を行使出来る♀プリの優位性が崩れるやもしれぬ」 頬をびみょーに赤らめながら♂ローグが喚く。 「知るか! なんだって俺がここでんな事言わなきゃなんねーんだよ! てーかいい加減これほどけてめーら!」 速攻で♂ローグの口にさるぐつわを噛ませる♀ハンター。 その早業の妙に大きく頷く♀セージ。 「♂ローグは証言を拒否。となると約束とやらの信憑性を証明する物が無くなってしまったという事か……」 おっそろしく衝撃を受けた顔をする♀クルセ。 「では弁護人♀アーチャー、他に♀クルセ優位を訴える材料はあるか?」 「もっちろん! ♀クルセさんの女性的魅力たるや! あのもんのすごいスタイル見ればどんな男も……」 「わーーー! わーーーー! なんて事言い出すのだ♀アーチャー!!」 慌てて♀アーチャーの口を塞ぐ♀クルセ。 それに感心したように肯く♀セージ。 「ほほう、外見以上に体型に自信があると? では確認の為にここで脱いで……」 「出来るかーーーー!」 「そうか、ではそれもまた証明出来ずと。では♀プリ側の弁護人……」 そこまで言って辺りを見渡すが、♀剣士の姿が見えない。 代りにその気配に気付いた♀ハンターが思いっきり自分を指さしてアピールしている。 「いいだろう。弁護人♀ハンター口述を始めてくれ」 きらーんと♀ハンターの目が輝く。 「OKじゃあね……上から85-59-83って所かしら?」 あまりの正確さに目を見張る♀プリ。 「ふふふん、そしてあなた……その年でこれって結構希少価値よ……あなたは処女ね。間違い無いわっ!」 顔中真っ赤にしてあたふたしだす♀プリ。 「絶妙ともいうべきスリーサイズ、聖職者という肩書き、発言の少ない控えめな性格、身持ちも堅く恋愛経験に疎い、それでいてその全身から漂う守ってオーラ!」 「ちょ、ちょっと……その……」 「無敵よ彼女は。これだけの逸材、物件はそうそう無いわね」 自信満々でそう言い放つ♀ハンターに、♀セージは隣の♀ウィズに訊ねる。 「そうなのか?」 「そうなのか? って……まあ確かに魅力的よね、それも相当高いレベルでバランスが取れてる子よ」 「そうか、では…………というか♀プリ、♀クルセよ。一つ聞いて良いか?」 「……なんだ?」 「はははははい、なんでしょう?」 「一体私はお前達の何をどうジャッジすれば良いのだ?」 『それも知らないでやってたんかい!』 速攻で♀アルケミ、♀ハンター、♀アーチャーがつっこむ。 ちょっと痛かったなーとか思いつつ、さりげなく拳でツッコミ入れてきた♀アーチャーに非難の目線を向けながら言い返す♀セージ。 「そうは言うが、何故この二人が争っているのかもわからないのに、どうやってそれを判定しろというのだ」 ♀ハンターが毅然として言い放つ。 「決まってるじゃない! 男を奪い合う女同士、血で血を洗う大抗争よ!」 ♀アーチャーもくわっと睨み付けながら言う。 「そうよ! 例え破れても草場の影からお百度参りじゃ済みませんバトル! これこそ女の生きる道!」 全然意味のわからない二人をほおっておいて、♀アルケミが前向きに話を進めてみる。 「あ~、とりあえずやな。この♂ローグの良い所をそれぞれで挙げてみ? まずは♀プリからや」 先ほどの♀ハンターのトークから赤面しっぱなしの♀プリは、相変わらずもじもじとしながら言う。 「え、……えっと……その、♂ローグさんはとても優しい人です」 「ほうほう、んでも優しいだけやったらそこら中にいくらでもおるやろ?」 「そんな事ありません。♂ローグさんは、弱い相手に決してその力を振るったりせず、その上で、きちっと誠意には誠意で応えてくれる方なんです」 「ふ~む、わかりずらいな~。こんの悪党面が何をどーしたら誠意なんて話になるんや?」 「悪党面なんかじゃありません! ♂ローグさんはとっても優しそうな顔してるじゃないですか!」 ♀ハンターと♀アーチャーが揃って『1』と書かれた札を上げる。 「おーけい、♀プリーストはん二ポイントげっとや。うんうん、恋は盲目言うしな~」 すんごい色々言いたそうな♂ローグを放置で♀クルセへと質問は移る。 「では、♀クルセはん。♂ローグの良い所って何処や?」 「あ、ああ……そうだな。♂ローグは仲間想いで、女子供を決して見捨てない、男の中の男だ」 「ほうほう、それはなんや、えろうかっこええ奴やな。んでもそれ下心でもあったんちゃうん?」 「そんな事は無い! ♂ローグは私の想いを知った時も、きちっと自分の気持ちを言って、私を都合良く使うなぞという真似はしなかった!」 沈黙が場を支配する。 「……えっと、♀クルセはん、もしかして♂ローグに告ったん?」 「へ?」 そこで始めて自分が言った言葉の意味に気付く。 「わーーーー!! わーーーー!! い、今のは無しだ! 待て! 私は何も知らないぞ!」 しゅざっと♀アーチャーが『2』のポイントを、♀ハンターが『-1』のポイントを上げる。 「ちょっとちょっと♀ハンターさん。なんでマイナスポイントなのよ」 「それはこっちのセリフよ。あそこまで言っておきながら当人前にして否定するなんてどうかしら?」 ♀ハンターのセリフに♀クルセが更に慌て出す。 「え? ええ!? こ! これは違うのだ♂ローグ! これはだな! ええと……あ~う~」 進退窮まる♀クルセに♀ハンターが追い打ちをかける。 「恋する乙女の鉄則よ。男の前で晒す醜態は常に計算づくであれ。醜態すら利用する心意気の無いあなたに恋をする資格は無いわっ!」 がーーーーーーーん とショックを受けてしまった♀クルセを置いておいて、♀セージがぼそっと呟く。 「そうか、やっと理解したぞ」 ♀ウィズがバカバカしそうに♀セージを見る。 「何をよ」 うんうんと肯きながら♀セージは言った。 「つまりはだ、♀プリも♀クルセも、♂ローグと生殖行為に及びたいという事だな」 『途中経過をすっとばすなーーーーーーーーー!!』 ♀ウィズ、♀アルケミ、♀ハンター、♀アーチャーの四人総ツッコミを受けて派手に後ろに吹っ飛ぶ♀セージ。 微妙に鼻血を出しながら、倒れた隣にぽつんと立っていた子バフォに聞く。 「……何か間違ったか?」 「何故我に聞く?」 「解決策として、♂ローグが二人を交互に相手取るという手も考えたのだが。物理的には可能だろう?」 「お主は人間社会の常識から学び直すべきであろう。それだけは我にもわかった」 小さく縮こまってしまっている♀クルセを見て、流石にやりすぎたと思ったのか、♀ハンターが新たな申し出をした。 「そうね、こうなったらあの手しかないわ」 「あの手ってなんや?」 「もちろん、二人を♂ローグが『試して』みて『良い』方を選ぶというストレート一直線な手。とりあえずそこの林の奥でも使って……」 ♀ハンターの背後に迫る怨念に満ちた黒い影。 「何を言ってるのあなたはーーーーーーーー!!」 ♀騎士の鉄拳が♀ハンターの後頭部を捉え、♀ハンターはあっさりと昏倒した。 「ようやく見つけたと思えばあなたは……ごめんなさい、このバカが色々と迷惑をかけたでしょ?」 つい肯いてしまう♀クルセと♀プリの二人。 「ごめんなさいね。この悪党には私がきつーーーーーーーーくお仕置きしておくから」 そう言った際の♀騎士の表情がシャレになってなかったので、誰も反論はしなかった。 「そうね、深淵の騎士子も誘ってあげようかしら……良くもいろいろいろいろいろいろやりたい放題やってくれたわね……」 ♂ローグは、一人あの世の不条理についてぶつぶつと口の中だけで文句を言っていた。 『なんだって俺は、ここに来てまでこんな目に……大体だな、俺も好き放題暴れてりゃこんな扱い受ける事も……』 思考が陰に篭っていく。 『くっそ、やっぱり俺もローグ姐さんに付き合って無法の限りを尽くしておけば……』 不意に、♂ローグの視界にとても珍しい物が入る。 『腹? それもこりゃ……女の腹か? なんだってこんなもんが俺の目の前に……』 ごすっっっっっ!! そりゃもう鈍すぎる音がそこら中に響く。 いつのまにか駆け寄っていた♀ローグが、思いっきり高く飛び上がり、両肘を、♂ローグの頭の上に叩き落とした模様。 あまりの衝撃に猿ぐつわは外れてくれたが、びしーっと縛ったロープは全く外れる気配すら無い。 相手が♂ローグという事で、念入りにとの♀セージの指示であった。適切な処置である。 「あら? 何よそれ。油断させて反撃する手じゃないの?」 「……その前に、いきなり肘打ち喰らわす理由を説明……しやがれ」 「あんたも結構ヤルし。楽しそうだからケンカ売ってみたのよん♪」 すぐさま周囲を女達に囲まれる♀ローグ。 「貴様っ! よりにもよって♂ローグに手を出すとは……許せん!」 「なんて事を……♂ローグさん! しっかりしてください!」 「このお人ってどないな人なん?」 「♂ローグの話では、悪党の中の悪党という事らしいが……」 「不意打ちで全体重乗せた肘打ち喰らわす辺り、その評価は正しいようにも思えるわね」 五人に囲まれ、しかし不敵に笑う♀ローグ。 肘を曲げ、脇を締め、両腕を前に出しながら、片膝を心持ち上げ、体を揺すり出す♀ローグ。 ♀セージがその構えを見て警戒を強める。 「むう、その構えは……」 「知ってるんか♀セージ!?」 「ああ、これぞまさしく霧獲蛇射(ムエタイ)の構え。まさかこの技の継承者が残っていようとは……」 『霧獲蛇射』(むえたい) かつて隆盛を誇ったグラストヘイム城から数千キロ離れた大地 そこにある侘唖吐瑠=亞維嵐怒(たあとる=あいらんど)と呼ばれる島に伝わる一子相伝の必殺拳法 それを真似て喪賂九の商人が見よう見まねで作り上げ 街の道場で売り出したのがそもそもの起源と言われている ちなみにかの商人は詐欺の容疑で既に所轄署に書類送検されている 当人はコメントで 「これは健康に良いのです。老いも病も無い国に行きたければ頑張る事です」 と残していたという 民萌書房刊 『喪賂九烈士伝 第856980章』より抜粋 ♀ウィズがすんごい真顔で言う。 「バカにしてんの?」 「私は今までお前をバカにした事なぞ一度も無いぞ」 「わかった。じゃああなたがとんでもないバカなのね」 「私はお前をバカ扱いした事は無いというのに、お前は私をそう扱うのか。ひどい奴だな」 「……だーれーかー、私をこの空間から救い出してー」 ♀ローグは、懐から鉢巻きを取り出し頭にはめる。戦闘準備完了だ。 バックに巨大な文字が浮き出てくる。 一つ、武器防具を使いません! 二つ、死んでも、回復アイテムは使いません! 絶対に! 三つ、主役は私、パーティーは組みません! 四つ、狂気ポーションも使いません! 五つ、最強の、ローグスキルを使います! 『 ローグ!!!!!!!! 』 ♀ローグの余りの気迫に全員言葉も無い。 しかし、ひっくり返った♂ローグは一人、ぼそっと呟いた。 「……それだと、俺まで含まれちまうからヤメレ」 まずは第一撃、足下に転がる♂ローグに踵の一撃を振り下ろして黙らせると、激怒した♀クルセが襲いかかってくる。 ♀アルケミも同時に踏み込み、その後ろで♀セージが詠唱を始める。 ♀ローグはそれを見るなり、♂ローグが張り付いたままのイスを蹴り上げてその場に立てる。 ちなみに♂ローグは白目剥いた状態で、なすがままである。 そうして立ち上がったイスの上に♀ローグは飛び上がり、それを蹴って、踏み込んでくる♀クルセの肩の上に飛び乗る。 「なっ!?」 ♀クルセが反応するより早く、今度は♀アルケミの肩に飛び乗り、更に奥へと飛び込んだ。 空中から片肘を振り上げて迫るは♀セージ。 「くっ!」 辛うじてのけぞってその肘をかわしたが、すぐさま放たれた♀ローグの後ろ回し蹴りをまともに喰らう。 鳩尾にまともに入ったそれに、苦悶の表情を浮かべる♀セージ。 「何をしている♀ウィズ!」 一人、端っこで座り込んでる♀ウィズ。 「……私は花よ。野に咲く名もない花。だから話しかけても返事なんてしないわよ」 「何?」 「そーんな世界に巻き込まれるのはまっぴらって言ってるのよーーーーーっ!!」 半泣きになりながらそう叫ぶ♀ウィズの肩を、♀プリーストが肯きながら叩いたりしている。 しかたが無いので、自分でなんとかするべく考える♀セージ。 その間に♀ローグは、♀アルケミと♀クルセの二人相手に死闘を演じていたりする。 「往生せーや!! 事後回収用紐付きメマーナイトーーー!!」 「正義剣! ジャスティス乱れ打ち!」 「なんの! アルティメット極殺技! 爆裂究極すくりゅーあっぱーーーーー!!」 ふと思いつく♀セージ。 「そういえば、♀ローグはアンデッド歴があるんだったな……ならば」 地味ーに、ぽっとファイアーウィールを出してみる♀セージ。 「あっつーーーーーーーー!!」 殊の外効果的であったようで、♀ローグは凄まじい勢いでその場を走り去っていった。 「あらら、なんやエラク火の付きええなあの人。両足ばりばり燃えてるでアレ」 そう言う♀アルケミだったが、返事は無い。 ふと見ると、♀クルセと♀プリーストは二人揃って♂ローグの介抱をしていた。 「ひーる! け、怪我は大丈夫ですか?」 「ああ、怪我はな……」 「そうか、何か欲しい物とかあるか? 食事でもなんでも用意するぞ?」 「いや食事はいい……だがな、お前等。一つ言わせてくれ」 「はい?」 「なんだ?」 「この期に及んで! なんでまだ俺の縄解かねーんだよ!」 「いや、その……それ外しますと♂ローグさんはきっと……」 「そ、そうだな……多分逃げてしまうような気が……その……」 「……変な所で、勘良すぎだお前等……」 「弱ったな~。♀アコさん何処にも居ないよ……」 ♀モンクは一人、途方に暮れていた。 ごめんなさい優先度ダントツトップの彼女に謝らずして、ごめんなさい行脚は始まらない。 とりあえずそこらに居る人に聞いてみる事にした。 「あの~。♀アコさん見なかった?」 その声に振り返った彼女は、メイド服に身を包んだアリスだった。 「はい? ええ、見ましたよ」 「ほんと!? 何処に居るかな?」 「ええっと、先ほど♂シーフさんとあの川を渡って行かれました。お二人ともとても楽しそうでした……まるで金の野原を駆けているように……」 らん♪ らんらららんらんらん♪ らん♪ らんららら~ん♪ 「わあ、♀アコさん、川が金色に光ってるよ~」 「すごい……これがあるぎおぺの……ステキね、♂シーフさん」 「さあ、あっちまで一緒に走ろう♪」 「ええ♪」 らん♪ らんらららんらんらん♪ らららんらんらんらん♪ ジト目の♀モンク。 「二人の服、めっちゃ青そー」 その光景を思い出したのか、何やら夢見るよーなアリス。 敢えてツッコまずにいると、奥から人が会話する声が聞こえてくる。 「……ほら、早く行かないとアリスさん待ってるよ」 「うっさいわね~。大体私の方が荷物多いって何かおかしくない?」 何やら聞き覚えのある声だと♀モンクが思っていると、すぐに会話している二人が姿を現した。 その姿を見た♀モンクが硬直する。 「何言ってるんだい。秋菜でもなきゃそんな大荷物持てる訳ないじゃないか」 「そりゃそうだけど……何かこー不条理よ、この荷物配分」 ぶちぶち言いながらアリスの前に山ほどの食べ物を置く秋菜。 「まあまあ、そう言わないで……あれ? そちらは♀モンクさん? 良かったら一緒に食べない?」 ♀モンクはバカみたいな口をぱくぱくさせるだけだ。 秋菜はそんな♀モンクを見て、足下に置いた食べ物から、アンパンを一個取り出す。 「ほい」 「むぐ? ……むぐむぐむぐ……ごっくん。ってちがーーーーーう!」 「何よ騒々しいわね~。心配しなくても牛乳もあるから一緒に飲めば」 妙に食い合わせに詳しい秋菜に驚きつつも、♀モンクは後ろに飛び下がって構える。 「なんであんたがココに居るのよ!」 そう言われた瞬間秋菜のこめかみに青筋が浮き出る。 「……うっさいわね。ヤられたのよ。ああーーーーー!! ありえない! なんだって私があいつらなんかに! うがーーーーー!!」 大声あげる秋菜の口に、今度は♂GMがアンパンを差し込む。 「あーーーもがっ……んぐんぐ……ごっくん」 一息に食べると、牛乳を取って腰に手を当てる。 「ごきゅ……ごきゅ……ごきゅ……ぷはー!」 満足したのか、満面の笑みを見せる秋菜。 ♀モンクは見たままの感想を述べる。 「おっさんくさっ」 「何よーーーー!!」 ムキになる秋菜を♂GMがなだめてる間に、いつのまにかアリスがビニールシートを広げて、その上に食事を広げている。 「さ、準備出来ましたよ。みなさんいただきましょう……早々につまみ食いしてる悪い子も、今日だけは見逃してあげますから」 なし崩しに山と積まれた食料を囲んで四人が座る。 「では、いただきます」 アリスの号令に、♂GM、秋菜、♀モンクが続く。 『いただきます』 そう言うなりアリス、♂GM、秋菜の三人は揃って好きな物を手にとって口にする。 好きな物ばかり食べているのだから、自然三人の顔は笑顔になった。 そんな三人を横目に見ながら、♀モンクはおずおずと、中のチーズトーストを取る。 腕が震えるのが自分でもわかった。 それを横目で見ていた秋菜の目が光る。 「隙ありー!」 ♀モンクの手からひょいっとチーズトーストをひったくると、即座に自分の口に入れる秋菜。 「あーー! 何するのよ!」 「ひゅひあるほーがわるひー」 「口の中の物食べてからしゃべりなさいよ!」 ぶちぶちと文句言いながら♀モンクは、メロンパンを手に取る。 「全くもう、油断も隙もあったもんじゃない……」 今度はすぐに口に入れた。 メロンパンの甘い味と、ほんのり香るメロンの風味。 ついつい、顔に出てしまったのか、それを見たアリスが嬉しそうに聞いた。 「おいしいですか♪」 ♀モンクは、すぐに肯定しようとして口を開きかけるが、うまくそれが出来なかった。 ぼろぼろと涙がこぼれるのを止める事が出来なかった。 心配そうに、みんながこちらを見ている。 だから、♀モンクは涙を一生懸命堪えながら言った。 「ぐすっ……おいしいよ。これ、すっごくおいしい。ありがとう」 ♀ウィズは、一人さっさとあの忌まわしい場所を離れて放浪を始めた。 そしてすぐに声をかけられる。 「災難だったな」 無駄にさわやかスマイルなのは、♀剣士だ。 「……あなた、わかってて逃げたわね」 「はっはっはっはっは」 「笑って誤魔化さないの。どうして一声かけてくれなかったのよ……」 「そう恨みがましい目で見るな、私だって苦手な事ぐらいある」 「脳味噌沸騰するかと思ったわよ……しばらく会わない間に♀セージの天然にも磨きがかかってるし」 「ああいう、大騒ぎは苦手か?」 「勘弁してちょうだい、私ああいうの本気でダメなのよ」 心底嫌そうな顔をする♀ウィズを見て、流石に可哀想に思えてきた♀剣士。 その目が、ある人物を見つけると自然鋭くなる。 ♀剣士の気配を感じ取った♀ウィズも、緊張した顔で、♀剣士の視線の先を見ると、そこには♂アサシンが居た。 二人の気配に気付くと、♂アサシンは振り向いた。 「あんたか……色々迷惑かけたな」 まともな言葉が返ってきた事に驚く♀剣士。 そんな♀剣士の様子に気付かないのか、♂アサシンは歩み寄りながら言う。 「だが、誰よりもヘコんでいるのは俺自身だ……察してくれ」 「まさか、元に戻ったのか?」 「ああ……正直、泣きたい気分だ」 理由はわからない、だがまともに戻ったというのは本当らしい。 「だとしても、私も恨み言の一つも言いたい気分だ。散々手こずらせてくれたからな、お前は」 苦々しい顔で♀剣士を見る♂アサシン。 「覚えている。よりにもよって……狩り専とはいえ、アサシンの俺が剣士に……ぐあー、俺のプライドを返せー」 「当人を前にしてそういう事を言うな」 とか言いながらも、♂アサシンの身の上には同情を禁じ得ない♀剣士。 ♀ウィズは、これを黙って聞いていては不毛な会話にしかならないとふんで、不意に話題を変えてみる。 「へ~。狩り専なんだ。いつもは何処で狩りしてるの?」 「ん? 俺は……そうだな、最近は時計上4とかか。亀地上は……まあ、色々あってな」 それを聞いた♀剣士が大きく目を見開く。 「上4? 鍵が必要なあそこを狩り場にしているのか?」 「ああ、どうせ重量過多になるまで篭るしな。その間に鍵の一本や二本ぐらいは出るさ」 「いや、それ以前にどうやってあんなキツイ狩り場に……」 「そうか? 太陽剣とQマシリャスカッターがあれば、永遠に篭ってられるぞ?」 その言葉に♀剣士は吹き出す。 「太陽剣!? そんなものまで持ってるのかお前は?」 興を引かれたのか、♀ウィズが訊ねる。 「ねえ、他の装備は?」 「ああ、時計上4行く時なら、TBrグラ、QBfマイン、DADBfマイン、HyDtiジュルに、鎧各種って所か」 「へ~。結構揃ってるじゃない。もしかしてかなりブルジョア?」 「時計行く前は、死ぬほどコンロン通ってたからな。あんたは何処で狩りを?」 「私? 私は……最近は監獄が多いかな?」 再度吹き出す♀剣士。 「こ、こら♀ウィズ。監獄ってお前あんな沸きの良い所でどうやって……」 「ん? 立ち回りうまくやればなんとかなるわよ」 そして♂アサシンと♀ウィズの二人で上級狩り場ソロ狩り談義で盛り上がる。 もちろん、どちらの狩り場も即死の危険が目一杯なので、♀剣士は絶対に近づいたりしない場所だ。 何かこー突然二人が別世界の生き物に見えてきて、それを確認すべく♀剣士は一つの質問をした。 「なあ、二人は防具精錬どこまで進んでいるんだ?」 「オール+7だな」 「オール+8ね」 くらっと目眩に襲われる♀剣士を余所に、二人は更に盛り上がる。 「ほ~。オール+8とはなかなかやるじゃないか」 「あなたと違って武器はいらないからね。そもそもウィズが被弾前提で戦う訳にもいかないんだけど、ほら、一応安心したいじゃない」 「そうだな、カリッツ盾やらティアラやらは揃えたのか?」 「一応ね。もうちょっと良い防具使えれば楽なんだけどね~。そういう所はあなたが羨ましいわよ」 「そうか? 確かに防御力はあるが、マントの+7とかは他に類を見ない程金かかるぞ。俺はお前の金かけなくても得られる無法な殲滅力が羨ましくてしかたがないぞ」 最早異次元の会話と化した二人を見て♀剣士は思った。 『……こいつら、装備ありでこのゲームやってたら一体どうなっていたのだろうな……』 聞いてるだけで、とんでもなく空しくなってきた♀剣士は、足早にその場を去ろうとしたが、突然二人の声が大きくなった事に気付き、その足を止める。 「待て。それは誤解だ。お前はアサシンという職業を甚だしく誤解している」 「そうかしら? 殺しを生業にしてる職なんでしょ? だったら対人戦なんてお手の物じゃない」 「ふざけるな! 俺達アサシンはな、モンスター相手にしてる時が一番輝くんだよ! それもPTなんか組まないで一人でやってる時にな!」 何やら鬱屈しているものがあるのか、声を荒げる♂アサシン。 「くそう、そんな俺に殺し合いなんてさせやがって……俺なんてな、ヤワだし、バッシュよけられないし、スタンしたらいつまでもぴよりっぱなしだし、範囲攻撃無いし、囲まれるとボコスカ殴られるし、どんなに早く動いても禿にゃーずばーっとぶった斬られるし、武器には金かかるし、かといって防具疎かにすると5%の壁に泣く事になるし……よっぽどローグの方が人殺しには向いてるんだよ!」 「……まあ、確かにローグは男も女も終盤まで元気だったけどね」 「黒蛇王なんて大っ嫌いだ! MVPボスなんざ狩りの障害以外の何者でもねーやばっきゃろー!!」 隣の芝は青く見える。そんな事を考えながら♀剣士はさっさとその場を離れた。 『これ以上あの場に居たら、あの二人殴りたくなってくるからな……』 最早同情する気すら起きなくなった♀剣士はそんなことを考えていた。 ドッペルゲンガーは、彼方で何やら揉めている三人を見つけ、ふと興が乗ったのかそちらに行ってみる事にした。 ♀騎士♂騎士の二人が、♀ハンターへの仕置きタイムでドッペルゲンガーに全く構ってくれないのは、全然関係無いが。 「一体何を揉めておるのだ?」 ドッペルゲンガーを見た月夜花は嬉しそうに飛び上がる。 「ドッペルゲンガー! ねえ聞いてよ! この子が♂剣士君を独り占めするんだよ!」 「何よ! ♂剣士は私のなの! それを横からしゃしゃり出てえらそうに言わないでよね!」 何よりもまず、♂マジの女言葉に面食らったドッペルゲンガーだが、おくびにも出さずに答える。 「ふむ、二人で仲良く分ければ良いのではないのか?」 悲鳴を上げる♂剣士。 「さらっと無茶な事言わないでくれー!」 無理との事なので、更に考え込むドッペルゲンガー。そして、ふと妙案を思いつき手を叩く。 「では、こういうのはどうだ? 外見も一緒であるし、私が代りにどちらかの相手をしよう」 『ヤだ』 月夜花と♂マジの二人に速攻で拒否された。 「ふむ……そうか」 他に案も思いつかず、またまた考え込むドッペルゲンガー。 「もーいいもん! こーなったら力ずくだー!」 そう叫ぶやいなや月夜花は♂剣士を抱えて、猛ダッシュで逃げ出した。 「こらー! 待ちなさい! 絶対許さないわよ!」 凄い勢いで追いかける♂マジ。 「……せめて人間扱いをぷりーず……」 ♂剣士の主張は綺麗に二人に無視されたようだ。 一人、取り残されたドッペルゲンガーは再度呟く。 「そうか、私ではダメか……そうか」 またとぼとぼと歩き出すドッペルゲンガー。 ふと河原の側に、ペコペコ管理兵の二人を見つけた。 二人は、何やら川に向けて石を投げて居た。 「くそっ! どーしてもあたらねー!」 「今度は俺が! ……ってあんな遠くの狙おうなんて言ったの誰だよ。当たる訳ねーじゃん」 ドッペルゲンガーは声をかけてみる事にした。 「どうした?」 「おうドッペルゲンガーの旦那。実はな、ペコがさっさと川渡っちまったんで、俺達する事無くてさ」 「悔しいから、川の中州にある変な形した石目がけて石投げたんだけど、当たらねんだこれが」 「当たらないってなると絶対当てたくなるのが人間ってもんでな」 「さっきからずーーーーーーーっと狙ってるんだが、一回も当たらねんだ」 妙にテンポと歯切れの良い二人の会話にやっぱりドッペルゲンガーは驚いたが、顔には出さなかった。 「ふむ……では私がやってみよう。当たれば良いのだな?」 『おう!』 ここまで息の合った話し方をされると、何やら小気味よい。 そんな事を考えながら、ドッペルゲンガーは石を拾って狙いを定め、投げた。 「すっげーーーー!! 一発命中!」 「さっすが旦那! よっ! ゲフェンの魔王!」 「ふむ。別に特別な事でも無いと思うが……」 無表情のままで、もう一個石を拾うドッペルゲンガー。 今度はアンダースローの要領でそれを投げる。 投げ込まれた石は、水面を跳ねながら目指す石へと向かって行き、見事命中。 「おおおっ! 今度は大技混じり!」 「はらしょーどっぺる! 神業? 魔技? かっこいー!」 「ふむ。では次は……」 その表情からは全く察する事が出来ないが、ドッペルゲンガーは、何やら嬉しい様子であった。 「さーんばーにあわっせて♪ おっどりだすぅー♪」 BGMに合わせて見つめ合う♂BSと♀BS。 「ああ……俺さ、その……なんて言っていいか……」 そこまで言った♂BSの唇に♀BSは自分の指先で触れる。 「こうして、二人で居られるんだからいいの。私には……それで充分」 「そか……ありがとう」 「きゃんゆーせれぶれーいと♪ きゃんゆーきすみーとぅなーい♪ うぃーうぃるろーんぐ♪」 突然むすっとした顔になる♂BS。 「空気読んでくれよ、ここはBGMいらない所だろ」 ♀BSも口をへの字に曲げる。 「そうよ。気を効かせてこの場を離れるぐらいして欲しいわね~」 文句を言われた♀商人は目の幅涙を流しながら言った。 「うぅ~。私だって好きでやってるんじゃないんですぅ~」 ♂♀BSは揃ってジト目だ。 「じゃあ、また♀シーフさん達の所で折檻される? 商売柄、声出すのは得意だからって言ったの君だよ?」 「そうよそうよ、それが嫌だからってBGM役引き受けたんじゃない。文句なんて言ったらバチ当たるわよ」 「うぇーん、わかりましたぁー。歌いますよー。次の曲は……えっと……のーばでぃのーず?」 ♀BSが嬉しそうに言う。 「それ私大好きなの! ほわっとごーいんおん! 気付いたのさ♪ 越えよう!」 「いや……ちょっとこれ一人じゃ無理が……」 「じゃあ、次の俺のリクエストよろしくっ」 「はーい。次は何かな~」 そうして手元のリストを見た♀商人の表情が変わる。 「……せっくすましんがんずって本気ですかぁ?」 「おっけーい! 俺の心の糧、1stアルバム全曲一気でごー!」 「……死にます。絶対確実に。吠えきれません、私じゃ」
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デスハンド に戻る 画像 スキル名 スキル詳細 説明 効果 コンボタイプ 属性 アタックタイプ マジックタイプ ク|ルダウン
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デスハンド に戻る 画像 スキル名 スキル詳細 説明 効果 コンボタイプ 属性 アタックタイプ マジックタイプ ク|ルダウン
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夏空のモノローグ メーカー オトメイト(アイディアファクトリー) 対応機種 PS2 発売日 2010年7月29日 ジャンル 夏色タイムループAVG タイムループで何度も繰り返す7月29日の謎を描いた女性向けの恋愛AVG
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【プロローグ】 人間には向き不向きがあると思う。 たとえば完全に文系脳の人間がノーベル化学賞を取る事もなければ、 ボールに碌に触った事もない茶道部の連中が、野球で甲子園出場常連校に適うはずもない。 蛸は空を飛べないし、烏賊が地上を走りもしない。ゴキブリは死ね。 その素質のない生物が、自分にまるで適していない環境に上るのは到底不可能と言っていい。 それが世の理である。 ……だというのに。 京太郎「俺……プロなんだよなぁ」 京太郎「プロに……なったんだよなぁ……」 何の因果か自分は、プロになっていた。 高校一年生のときの自分が見たら、到底信じないだろう。 今の俺でも信じられないのだから、猶更である。 自分には才能があるのか、それは結局未だ分かっていない。 自分の知っている彼女――あの時の彼女のようなものこそ、才能があると言ってよいのだと思う。 ただ、プロとして生活を送っているのは、確かな話なのだ。 須賀京太郎。もうお酒も嗜める年齢。 ちなみに、職業は――――麻雀プロである。 6 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 21 55 40.29 ID vE61e2jVo という訳で、始まりますがそのまえに……京太郎のプロとしてのレベルを決めましょう 今のところ特に闘牌の予定はないのでフレーバーのようなものですが…… もし闘牌があるんなら、色々と補正がついたりなんとか あるのは下のパターン 実力よりルックス勢 料理教室やってたり、ドラマに出てたりとどちらかと言えばタレント感覚 安価先の処理内容がそんな感じの傾向に。ルックスもイケメンだ! ガチ勢 MANS(男子麻雀)ランキング15位以内。もし麻雀をやるんなら、様々なスキル持ちになる 仮にルートとかあるんなら、勝ったら好感度が上がったり上がらなかったりするかも 安価先の処理内容も麻雀の解説とか、対局で顔を合わせたとかになる で、次安価出すんやけどいいかな 10 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 21 58 55.93 ID vE61e2jVo 京太郎は…… 1:実力よりもルックス勢 2:麻雀ガチ勢 3:『ルックスもイケメン』『麻雀も強い』……両方やらなければならないのが、安価スレの辛いところだな ↓3 13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします投稿日:2013/08/17(土) 22 00 21.74 ID GBT/hZcFo 2 20 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 22 12 02.73 ID vE61e2jVo 13の選択:2 というワケでガチ勢です じゃあ、順位を決めましょうかね。MANSランキングの 以下、ランキングと異名 2位 「闇を裂く雷神」 オカルト 須賀プロに放銃してしまった相手は、ショックからか次局から思い通りに打てなくなるようだ また、須賀プロがレーダーでも使ってるかのように相手の待ちを見切ったりする場面も…… 3位 「赤き腕を持つ帝王」 技術昇華+オカルト 堅実な防御力を誇る須賀プロ。 直撃を受けても、まるで受けた傷口を再生させるかのように、似たような点数で和了するぞ 6位 「国産戦闘鬼」 オカルト 須賀プロから直撃を受けたり、須賀プロに直撃をした人間は動きが非常に悪くなる また、糸を張っているかのように誰かへの直撃を肩代わりする場面も…… 8位 「神眼の拳闘家」 技術昇華+運 基本的に打点が高い、須賀プロ 一時番組の企画で出た格闘技大会でも、なかなかの成績を収めたらしく……眼もいいのだろうか 9位 「悪魔の天敵」 技術昇華+運 圧倒的なスピードで、かすめ取るように誰かの和了を奪い取る須賀プロ とあるプロとの戦いで、彼女を激しく妨害した事からこの名前が付いたらしい 10位 「夢を盗む天使」 オカルト 須賀プロと対戦した相手は、何故か『都合のいい夢のようなもの』を見るというが…… 12位 「天上の荒武者」 技術昇華+運 精密射撃と呼べるほどの狙い撃ちを披露する須賀プロ どうやら、相手との順位差があるほど彼は燃えるらしいが…… 15位 「視えざる空の支配者」 運 ある種、流れを引き寄せる才能を持っているというべきか……。 連続して和了した須賀プロを止めるのは至難の業。驚異的な速度を発揮する 元ネタがあるから、別に 1は中二病じゃないから 23 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 22 15 02.66 ID vE61e2jVo あ……13位で 13位「オカルトスレイヤー」 技術 際立った特徴を見せないものの、堅実に練習したのであろう 派手さはないが、オールラウンダーな強さを見せる ってのも追加 それじゃあ次、ランキング決めるから……ええかな? 26 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 22 20 20.94 ID vE61e2jVo 京太郎の順位と異名は…… 2位 「闇を裂く雷神」 オカルト 3位 「赤き腕を持つ帝王」 技術昇華+オカルト 6位 「国産戦闘鬼」 オカルト 8位 「神眼の拳闘家」 技術昇華+運 9位 「悪魔の天敵」 技術昇華+運 10位 「夢を盗む天使」 オカルト 12位 「天上の荒武者」 技術昇華+運 13位「オカルトスレイヤー」 技術 15位 「視えざる空の支配者」 運 ↓5 31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 投稿日:2013/08/17(土) 22 21 52.39 ID UzkKzvPQo 13位 35 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 22 23 47.37 ID vE61e2jVo ……という訳で京太郎は 13位「オカルトスレイヤー」 技術 際立った特徴を見せないものの、堅実に練習したのであろう 派手さはないが、オールラウンダーな強さを見せる となりました ガチのオカルト持ちと戦ったらワンパンKOされてミンチになるレベルの強さです! おめでとう! 37 名前:1 ◆rVyvhOy5r192 投稿日:2013/08/17(土) 22 29 05.65 ID vE61e2jVo これは、男子だけじゃなくて女子も含めてのランキングっぽいね 凡人が故に技術を磨いたけど、技術だけでは本物のオカルトに鎧袖一触されるという…… それでも研究して、オカルトに食い下がらんと……って京太郎
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カセドリア連合王国軍アマテラス~精錬の書~ エピローグ ブルーヘクサの乱と言われたあの戦いから2年が経った。 あの後、佐紀は奇跡的に一命を取り留めた。 驚異的とも言える程の自然治癒能力で、数日後には立って歩けるほどに回復した。 結局、スモーキーさんを見つける事はできなかった。 落下地点と思われる場所には、夥しい血痕があった。 そしてそこから移動していったと思われる血痕が残っていた。 しかし途中で血痕は消えており、その後の足取りは不明だった。 終戦を機に、5カ国は不可侵条約を締結した。 これにより、永きに亘り続いた戦乱の世は終わりを告げた。 今ではどの国の人だろうと、5カ国を自由に行き来できるようになっている。 5カ国間全ての問題が無くなった訳ではないが、昔に比べれば無いに等しいと思えた。 ~カセドリア連合王国首都・アズルウッド~ 兵士育成機関のグラウンドに、金属同士がぶつかる音が響いている。 グラウンドでは、二人の兵士が戦っていた。 その二人とは…。 沙「まだ30分位しか経ってないのに、動きが遅くなってきてるわね。 もう疲れたのかしら?」 佐「まだまだッ!」 後退して佐紀と距離をとろうとした。 それを見て、佐紀が突進してきた。 佐「ヤーッ!」 沙「甘い!」 佐紀の隙をついて、ルグナザドを喉元に突きつけた。 佐紀はそれを確認すると、その場に膝をついた 佐「今日こそ勝てると思ったのに!」 沙「まだまだ佐紀には負けないわよ。」 ルグナザドを鞘に納めると、どこからか拍手が鳴った。 佐紀との訓練に夢中で、人が居る事に気づかなかった様だ。 音の鳴る方を見ると、拍手をしているのはベルだった。 ベ「久しぶりですね。唯一無二の親友にして、世界を救った英雄沙羅。」 沙「久しぶりね、会えて嬉しいわベル。 でも、私は世界を救って無いわ。」 何故私が世界を救った英雄と言われるのかには訳がある。 あの戦いの後、ブルーヘクサを倒したのは私だという噂が世界に広まったのだ。 私自身は何もしていないのに……。 沙「ブルーヘクサを倒して、本当に良かったのかな…。」 そう言うと、私は俯いた。 すると、ベルが近づいてきた。 そして、私の手を取って言った。 べ「良かったと思います!」 沙「…ベル。」 べ「ブルーヘクサを倒したのは、他の誰でもない貴女自身なのよ。 貴女がそんなでは、あの戦いで死んでいった兵士達に失礼ですッ!」 佐「そうだよ。お姉ちゃんは世界に、平和という名の光を齎したんだよ!」 沙「……うん。」 二人の言葉に自然と涙がこぼれた。 後日、私はフレイヤ王に呼ばれたので、シルヴァン城へと向かった。 謁見の間に通されると、玉座にフレイヤ王が座っていた。 フ「突然呼び出したりして、失礼だったかしら?」 沙「いえ、問題ありません。それにしても、何か用事でしょうか?」 フ「貴女に見せたいものがあるのよ。」 フレイヤ王に案内され、宝物庫らしき場所に着いた。 中に入ると、宝石や綺麗なドレス等が飾ってあった。 しかし私が驚いたのは、ある物が飾ってあった事だ。 それは宝石やドレスが飾ってある部屋にはそぐわない物だった。 沙「これは……フェンリル?!」 そう、スモーキーさんが使っていた武器だった。 フ「驚いた?あの戦いの時に見つけたものよ。」 あの戦いのときに見つけた? しかしこれは、スモーキーさんが持ったまま落ちたはず…。 私はフレイヤ王に近づき、その目を見た。 沙「これが発見された場所には、ブルーヘクサが居ませんでしたか?!」 もしかしたら、という淡い思いが頭を過ぎった。 しかしフレイヤ王は首を横に振った。 フ「ブルーヘクサは貴女が倒したのよ? もうこの世にはいないわ。」 沙「……そうですか。」 私はフレイヤ王の雰囲気に、少し違和感を感じた。 しかし、それが何なのかは解らなかった。 沙「それにしても、何処と無く変わられましたね。」 フ「そうかしら?」 そう言いつつ、下腹辺りを摩っている。 沙「あの、失礼かもしれませんが、妊娠なされているのですか?」 私の言葉に、フレイヤ王は笑みを浮かべた。 フ「そうよ。」 沙「お相手は誰なんですか!? 何処かの国の貴族か王族ですか?」 フレイヤ王は世界でも屈指の美女だ。 しかも一国の王ともなると、相手は相当な貴族かそれとも…。 フ「貴族でも王族でもないわ。」 沙「それじゃ、庶民と結婚されるんですか!?」 フ「そうよ。 昔ね、約束したのよ。大人になったら結婚しようって。 もう忘れてるものと思ったけど、彼も覚えてくれてたみたいなの。」 フレイヤ王の顔を見ると、その人をとても愛しているのが解った。 そして何かを思い出したのか、はっとしたような顔をした。 フ「そうそう、彼から伝言があったわ。 今の貴女にはぴったりかもしれないわね。」 今の私にぴったり? 沙「何でしょうか?」 フ「少し乱暴な言葉だけど、最後まで聞いてね。 お前は世界に光を齎したんだから、胸を張って前を見ろ。 それができないならずっと後悔すればいい、この甘ちゃんが。 私も、貴女は世界に平和を齎したんだから、前を向いていて欲しいわ。」 ……甘ちゃん。 その言葉だけで、彼というのが誰なのか解った。 沙「……解りました。もう自分がしたことに後悔なんてしません。」 数日後、私は佐紀を連れて世界を見て回り始めた。 平和になった世界を、この目で見てみたいと思ったからだ。 沙「行くよ、佐紀!」 佐「うん!」 全ての人々に、クリスタルの加護のあらんことを・・・ 。 カセドリア連合王国軍アマテラス~精錬の書~ 完 長文駄文なSSでしたが、無事に終わりました。byスモーキー