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聖王のゆりかご深部―― 「茶番はおかしいものでしょう?」 「もう少し見ていたかったけど時間が無くなってきたわ。そろそろ終わりにしましょう」 「貴女たちが今までやってきたことは、全て我々が計画した演習だったのよ」 「F計画とは――使い魔を超える人造生命の作成、だったかしら?」 「だが、それはジェイル=スカリエッティが組み上げた基礎理論を プレシア=テスタロッサが発展、完成させたもののことではないわ」 「スカリエッティ。貴方が自分の意思で起こしたと思っているこのテロこそが、 そのための演習だったのよ。PT事件や闇の書事件を再現するためのね」 「管理局上層部の暗躍、特異性を持つ新入隊員たち、そして闇の書を模したレリック……。 それらが全て偶然だと本当に思っていたの?」 「ゼストやメガーヌの蘇生は『最高評議会』の指示。 スバルたちを八神はやてにスカウトさせたのも私の情報操作によるものよ。 これが演習だと気づいたレジアス中将は自分の役割を忠実に演じてくれたわ……」 「あのヴィヴィオは闇の書の再現。でもそれだけではないわ。 管理局から『最高評議会』の情報を削除するための引き金でもあった」 「あんな脳髄の集まりが管理局の中枢だと本気で思っていたの? スカリエッティ、貴方の目論見はとっくに挫かれていたのよ」 「ルーテシアは違う、彼女はこちら側の人間……母親の蘇生と保護を条件に雇った試験官よ。 新米どもの仕上がりを確かめ、本演習に進めるかどうかを判断するためのね」 「彼女がエリオらを撃破すればその時点で演習は終了、 そういうことだった。この演習に失敗は許されないからね」 「ある状況であるストーリーを背負わせる、 そうすることで誰でもフェイトやなのはになれる……。 そこまでいかなくとも、新兵でも老兵の戦果を挙げることができる……」 「即席で最強の兵士……その練成プログラムを作るためのデータ収集が目的だった」 「貴方も、ナンバーズも、六課も……シミュレーションを行うための 駒として配置されたにすぎないのよ」 「スカリエッティ。貴方とナンバーズが選ばれたのは、 貴方たちの関係がはやてと闇の書に酷似していたからよ」 「そしてそのナンバーズが闇の書事件でフェイトやなのはと闘ったヴォルケンリッターの役よ。 ヴォルケンリッターに匹敵する戦闘集団はナンバーズをおいて他になかったからね」 「貴方達と六課を闘わせるためにありもしない予言の話をでっちあげた。 いえ、それだけではないわ。八年前、ゼスト隊を闇に葬りさった時から 計画は始まっていた。スバルの母親の抹殺もその一部よ」 「より遡るならコード『アンリミテッド・デザイア』による ジェイル=スカリエッティの誕生そのものだけど。 それを仕組んだのが『最高評議会』のように見せて、憎悪を煽ったのよ」 「貴方は我々の思惑通り復讐に走ってくれた……」 ――ちなみにこのティアナ、幼少時にある作戦中に欠損した右手を、 『最高評議会』が極秘に亜空間から回収したアリシアの肉体で補ってます。 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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八神はやて リインフォースⅡ シャマル ザフィーラ ヴァイス・グランセニック シャリオ・フィニーノ グリフィス・ロウラン アルト・クラエッタ ルキノ・リリエ 八神はやて(一人称:私) なのは:なのはちゃん 、なのは隊長、高町教導官 フェイト:フェイトちゃん、フェイト隊長、テスタロッサ・ハラオウン執務官 ヴィヴィオ:ヴィヴィオ スバル:スバル ティアナ;ティアナ エリオ:エリオ キャロ:キャロ リイン:リイン、リインフォース、リイン曹長 シグナム:シグナム、シグナム副隊長 ヴィータ:ヴィータ、ヴィータ副隊長 シャマル:シャマル ザフィーラ:ザフィーラ ヴァイス:ヴァイス君 グリフィス:グリフィス君 アルト:アルト ルキノ:ルキノ ギンガ:ギンガ ゲンヤ:ナカジマ三佐 クロノ:クロノ君 ロッサ:ロッサ、アコース査察官 ユーノ:ユーノ君 リンディ:リンディさん マリー:マリーさん レジアス:レジアス中将 オーリス:オーリス三佐 カリム:カリム シャッハ:シスターシャッハ、シスター エイミィ:エイミィさん アリサ:アリサちゃん すずか:すずかちゃん アギト:アギト スカリエッティ:スカリエッティ レティ:レティ提督 グレアム:グレアムおじさん リインフォース:初代リインフォース グラーフアイゼン:グラーフアイゼン リインフォースⅡ(一人称:私、リイン) なのは:なのはさん フェイト:フェイトさん はやて:はやてちゃん、マイスターはやて スバル:スバル ティアナ:ティアナ エリオ:エリオ キャロ:キャロ シグナム:シグナム ヴィータ:ヴィータちゃん シャマル:シャマル ヴァイス:ヴァイス陸曹 シャーリー:シャーリー アルト:クラエッタ二等陸士 ルキノ:リリエ二等陸士 ギンガ:ギンガ クロノ:クロノ提督 カリム:騎士カリム アルフ:アルフ アリサ:アリサさん 桃子:桃子さん ルーテシア:ルーテシア ゼスト:騎士ゼスト フリード:フリード リインフォース:先代リイン、リインフォース 蒼天の書:蒼天の書 レイジングハート:レイジングハート バルディッシュ:バルディッシュ マッハキャリバー:マッハキャリバー クロスミラージュ:クロスミラージュ グラーフアイゼン:アイゼン シュベルトクロイツ:シュベルトクロイツ 夜天の書:夜天の書 ストームレイダー:ストームレイダー シャマル(一人称:私) なのは:なのはちゃん フェイト:フェイトちゃん はやて:はやてちゃん、八神部隊長 ヴィヴィオ:ヴィヴィオ スバル;スバル ティアナ:ティアナ リイン:リインちゃん シグナム:シグナム ヴィータ:ヴィータちゃん ザフィーラ:ザフィーラ ヴァイス:ヴァイス君 シャーリー:シャーリー アルト:アルト ギンガ:ギンガ クロノ:クロノ提督 マリー:マリーさん カリム:騎士カリム シャッハ:シスターシャッハ リンディ:リンディ提督 レティ:レティ提督 すずか:すずかちゃん アギト:アギトちゃん クラールヴィント:クラールヴィント クロスミラージュ:クロスミラージュ ザフィーラ(一人称:私) はやて:主はやて ヴィータ:ヴィータ シャマル:シャマル アルト:アルト リインフォース:リインフォース ヴァイス・グランセニック(一人称:俺) なのは:なのはさん フェイト:フェイトさん はやて:八神隊長 リイン:リイン曹長 シグナム:シグナム姐さん ザフィーラ:旦那 アルト:アルト ラグナ:ラグナ ストームレイダー:ストームレイダー シャリオ・フィニーノ(一人称:私) なのは:なのはさん、高町一等空尉 フェイト:フェイトさん はやて:八神部隊長 ヴィヴィオ:ヴィヴィオ スバル:スバル エリオ:エリオ リイン:リイン曹長、リインフォースさん シグナム:シグナムさん ヴィータ:ヴィータさん アルト:アルト ルキノ:ルキノ ロッサ:アコース査察官 レイジングハート:レイジングハートさん グリフィス・ロウラン(一人称:僕) なのは:高町一等空尉 フェイト:テスタロッサ・ハラオウン執務官 はやて:八神部隊長 ヴィータ:ヴィータ副隊長 シャーリー:シャーリー ルキノ:ルキノ アルト・クラエッタ(一人称:あたし、私) なのは:なのはさん フェイト:フェイトさん はやて:八神部隊長 ヴィヴィオ:ヴィヴィオ スバル:スバル ティアナ:ティアナ キャロ:キャロ エリオ:エリオ リイン:リイン曹長 シグナム:シグナム副隊長 シャマル:シャマル先生 ヴァイス:ヴァイス先輩、ヴァイス陸曹 グリフィス:グリフィスさん ルキノ:ルキノ フリード:フリード ストームレイダー:ストームレイダー ルキノ・リリエ(一人称:あたし) なのは:なのはさん フェイト:フェイトさん シグナム:シグナム副隊長 ヴァイス:ヴァイス陸曹 アルト:アルト クロノ:クロノ艦長
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雲を突き抜けて聳え立つ管理局地上本部。 魔法の力によるものかその背後に小さく見える本部より低い標高の山々に雪化粧が施されていたが、地上本部の上へは雪がかかることはない。 その屋上に、夜になってから三人の男が集まっていた。新月の日を選んでいたが、星明りが男達の顔が浮かび上がらせる。 飛蝗の顔をし持つRX。白いスーツを着たヴェロッサ・アコースは風に靡く髪を手で押えていた。 レジアス・ゲイズは陸の制服を着込んで一人だけ寒そうにしている。 雲の上にあるそこは何の装備もなしに外で待つには寒々しい場所だった。 だが地上本部以上に高いビルは存在しないので、雲の上になるため盗み見る者の姿を発見しやすいという利点があった。 額の第三の目とも言うべきレーダーと二つの複眼を使って周囲を探るRXに二人の視線は向けられていた。 「ゲル怪人のことは聞いておるが、新しい情報はない」 「本当ですか?」 「既にスカリエッティに関する情報は全て提供してある。あんなことはもう起きないだろうとぬけぬけと言いおったがな」 疑うような目をして尋ねるヴェロッサに、レジアスが白い息を吐きながら言う。 だがそれもスカリエッティ自身の言葉を信じるならばという条件付きで、信じるつもりはこの場に集まった3名にはなかった。 加えてレジアスの言う情報も、レジアス自身の保身の為に都合のよい情報しか明かされていないのだということは明白だった。 冷えていく体を自前の筋肉が生み出す熱で暖めている中年を見ないようにしながら、疲れが溜まっているのか、ヴェロッサは張りが無い声で更に尋ねた。 「僕の方もまだ成果はありません。レジアス中将、彼の資金を断つ事は出来ないんですか?」 「無理を言うな! 私とお前達との繋がりが疑われたらどうする。貴様らこそいつまで時間と金を浪費するつもりだ!?」 「気長に待っていただくしかありませんね。スカリエッティの居所を掴めるような情報はありませんから…」 ヴェロッサとレジアスは互いに神経を逆なでするような声を出す。 索敵を終了したRXも含めて、3名ともに焦りがあった。 殆ど地上にはいないクロノの紹介で知り合ったヴェロッサは、先日のゲル化した戦闘機人の件で犯罪に手を染めていたレジアスに対し否定的な感情を持っていた。 RXの紹介でヴェロッサと密談を交わすこととなったレジアスは、成果を出す事が出来ない上にレアスキル持ちのヴェロッサに端から否定的だった。 レジアスがRXに対して好意的になったのも、犯罪者を何十人か届けた末のことだったようにもっと回数を重ねれば信頼も生まれるのかもしれないが、二人は共に忙しく仕事の面でも全く接点がない。 二人の間には深い溝があった。 「それよりも」 RXは彼にしては神経質に周囲をもう一度見回った。 「俺の感覚では大丈夫なようだが、ここは安全なのか?」 「…無論だ」 「事前に調べておいたけど、盗聴等の危険はなかったよ」 だけど、とヴェロッサはレジアスを見咎める。 「レジアス中将。貴方の所にいる内通者を即刻排除してもらいたいですね」 「内通者はわかっていれば使い道もある…私の動きには気付いないか危険視していないはずだ」 不機嫌そうに眉を寄せるレジアスの手をヴェロッサは指した。 そこには真新しい指輪が光っている。レジアスの顔に赤みが差した。 「正直に言って、スパイと再婚した貴方の事を信用していいのか僕は迷っています」 「アレか」 「彼女の本名はドゥーエ。スカリエッティの作り出した戦闘機人です」 レジアスの目がヴェロッサから外れ、微かに緩む。 ヴェロッサの不安を煽る反応をレジアスはすぐに仕舞い込んだ。 ニュースで見ることの出来る表向きの顔。強く、重みを感じさせる硬い表情を作り出していた。 「フン、泳がせておるだけだ。貴様のことは知らん」 「失礼ですが魔法を使われたのでは?」 レジアスは魔法が使えない。 その上地上本部の対策についてヴェロッサは信用していなかった。 通常であれば問題がないが、スカリエッティを相手にするには不安過ぎる。そういう評価をしていた。 「問題ない。地上本部の対策は万全だ」 「僕等は命がけなんですよ。他にも何名も…」 「貴様こそもう少し声をかける人間を選ぶのだな。不穏な動きがあると最高評議会が感づきつつある」 「それについてはご心配なく。順調そのものです」 声を荒げつつある二人を一歩離れた位置で見ていたRXが言う。 「…何が必要だ?」 「せめて奴がいる世界を特定出来る情報が欲しい。以前使っていた形跡のある場所位しか見つかっていなくてね」 偽ライドロン、通信の発信源、ゲル化した戦闘機人の処理報酬として支払われたデバイス。 どれもバラバラの位置から送られていてスカリエッティの現在位置を特定する助けにはなっていない。 管理世界だけでも100を超えている上に他にも仕事を抱えるヴェロッサが、管理局にはばれずにその中から一人の科学者を発見するのは容易なことではなかった。 だが既にRXも彼自身が知る情報はほぼ伝えて終わっていた。 「…他の情報は、奴が服を注文した店位しか知らないな」 「教えてもらっていいのかい?」 「構わないさ。メモは…」 ヴェロッサが問題ないと身振りで示したのに、僅かに間を置いてRXは幾つかの管理世界の名前とそこにある店を挙げていく。 「他には何か? この際だ。些細な事でも知っていることがあれば教えてもらいたいね」 RXは記憶を探り、できるだけ詳しい情報を思い出そうとしていた。 もう数年前になるが、スカリエッティが使っていたブランドなども今では分かる。 2人、あるいは3人で暮らしていた時のことが浮かび、熱いコーヒーの香りや洗剤の柑橘系の匂いを思い出す。 その中で彼女が言った言葉でひっかかりを覚えるものもRXは挙げていった。 「ありがとう。何かわかったら連絡するよ」 全て聞き終えたヴェロッサはRXに礼を言う。 三人はそれから暫く寒空の下屋上から見下ろせるミッドチルダの治安について暫く意見を交わしていた。 と言ってもヴェロッサは特定の世界を守る為に動く役職に就いた経験さえないので耳を傾けるに留まっている。 何らかの調査ならまだしも、市民を襲う犯罪にどう対処するかなどの問題についてはRXと大差ない素人考えしか浮かばないのだった。 その話が現場で働いている者達のことへと変り、RXがレジアスの他に犯人を引き渡していたゲンヤ・ナカジマに及んだ時に…レジアスの表情が曇った。 RXにはまだ告げていない事を告げるべきか否か。 ゲンヤ・ナカジマの妻等優秀な者達を率いていたかつての友、ゼスト・グランガイツがどうなってしまったか… 暫し考えた後、レジアスはやはり話さないことを選択した。 もう彼らは何年も前に死んでしまい、今更レジアスにはどうすることもできない。 彼らの遺体や、ゼストの部下だったメガーヌ・アルビーノのまだ幼い娘がレジアスには通達の無いまま管理局によって引き渡され、その後どうなったのかなど考えるまでも無いことだった。 もっと早く気付き配置換えを行っておけば殉死することはなかったし、子供も引き渡さずに済んだという負い目が残っていたが、そんなことは今スカリエッティを捕らえることにすら全く関係が無い。 RXの管理局に対する嫌悪感を強くするだけでしかないとレジアスは頭を振って、感傷を頭の中から追い出そうとした。 その為に強引に自分の管轄で情報漏洩が疑われた不快感を蒸し返し、いけ好かない本局から来たヴェロッサへ怒りを燃やす。それが最も手っ取り早かった。 ぼんやりしていたかと思えば、頭を振り、不快そうに眉間に皺を寄せるレジアスをRXとヴェロッサは不思議に思ったが、二人はマスクド・ライダーに対抗する手だてを練り行動する犯罪者への対策に熱を上げていた。 「ところで六課はホテル・アグスタの警備に回されるそうだな」 「ああ」 突然話を変えたレジアスの態度は不可解だったが、RXは簡潔に答えた。 男の表情から、RXは何があったのかはわからないが、レジアスが深く傷ついた出来事をまだ忘れられずにいることだけは察していた。 ・・ 「あの犯罪者がどうなろうと知ったことではないが、偶然、その前後数日の間にロストロギアがミッドチルダに持ち込まれるという情報がウチに舞い込んでおる」 それを聞いて、表情を変えられないため余人には読み取る事は出来ないにしろ、RXが身に纏っている雰囲気が剣呑なものに変る。 空港でのことや、先日のライドロンのことが頭に浮かぶ。 だがそれよりもRXは、レジアス自身は六課のことを嫌っているのは知っていても、レジアスの棘のある言葉にも反発を覚えた。 ヴェロッサもそれは同じだった。 「ちょっと待ってください。はやて達のどこが犯罪者だと言うんですか!?」 「何を言っておる!! 貴様闇の書事件を知らんとでも言うのか!?」 「貴方が言う事か!!」 はやて達への侮辱に険しい目をするヴェロッサの方へRXが顔を向ける。 「落ち着くんだ。レジアスもはやてちゃん達を侮辱するようなことは言わないでくれ」 咎められたヴェロッサは、レジアスに詰め寄ろうとするのを止めた。 ミッドチルダに集まる情報に全て目を通しているわけではないヴェロッサは、出所を調べてみようとだけ述べた。 「僕はこれで失礼する。こちらも真偽が分かり次第連絡させてもらうよ」 気分を害したヴェロッサがこの場を後にしようとするのを止める手はRXにはなかった。 恐らくはこのまま海へと戻り、仲間達と打ち合わせて別の管理世界に向かうのだろう。 RXは去っていくヴェロッサを見送った。去って言った後、RXは念を押して強い、怒りを含んだ声を出す。 「レジアス。あんな事を言うのは止めてくれ」 「…わかっておる」 ふてくされた子供のような不満げな顔で答えるレジアスにRXは苛立ったが、レジアスの態度にまで口を挟まなかった。 管理局の陸と海の確執もあり、今これ以上の事を求めてもこじれてしまうだろう。 水際で情報を入手する事が出来たのか、戦力を分散させる事を目的とした何者かが手を打ったのか。 「さっきの件だが、こちらでも目下調査中だ。何か分かり次第連絡がつくようにはしておくが…当日までに真偽が判明するかは望み薄だ」 やけに自信たっぷりなRXにしかめっ面のレジアスが言う。 それから二人は、近頃のミッドチルダの状況について暫く話しを続けた。 ミッドチルダの治安は良くなり、陸士を希望する者や協力的な者も年々増加していたが、スカリエッティ以外の犯罪者のことでも二人の間には話す事柄は多数存在していた。 途中で事件が発生する事もなく、どんな犯罪が増加しているのかや灯りに群がる蛾のように集まってくる強力な力を持つ犯罪者について、二人は意見を交わした。 不機嫌そうなレジアスの表情も話す間に険が取れていく。 「おっと、もうこんな時間か。悪いがワシもそろそろ失礼する」 寒空の中話しこみ過ぎたせいだろう、レジアスが体を震わせて時計を見た。 「妻を待たせているのだ」 それを合図に話を打ち切ろうとするレジアスへRXは遠慮がちに尋ねる。 「…レジアス。確かめておきたいんだが、本当に大丈夫なのか?」 「ドゥーエのことなら問題ない…今はまだ奴等はワシを殺したりはせん。ワシを殺す方がデメリットが大きいからな」 ヴェロッサと同じ懸念を示すRXに不愉快そうにレジアスは言った。 「何より奴等はお前を意識しておる。ワシはそれを逆手に都合のいい話を吹き込んである。ワシを排除した場合お前が奴等を探しに行くのではないかとな」 「そうか…」 冗談交じりの言葉に歯切れの悪い返事を返されたレジアスは訝しむような目でRXを見る。 RXはもう一つレジアスに尋ねたい事があったが、口に出せずにいる。 それについては、情に流されない合理的な考えだと言う事も出来る。 だが本当は、それは臆病さを隠しているだけだとRXは気付いていた。 「BLACK。管理世界ではどんな相手でも対象から外れることはない。例え相手がワシを裏切るのかもしれなくても…うっかりワシを握りつぶしてしまうかもしれない相手でもだ」 「!? いきなりなんだ?」 「…だが、その相手によってはお前のことをお義兄さんと呼ばなくてはならないかと考えると、年甲斐のない気持ちにさせられる」 「馬鹿なことを言うなっ」 反射的に返すRXの態度は犯罪者を連行してきたり、スカリエッティのことを考えている時とは違い、若いを通り越して幼さが感じられた。 「ここはミッドチルダだ。予断は許さん状況だが、以前に比べればこの地上本部の人間もBLACKがいるせいで緊張感がなくなっておる有様だ。もう少し……その、気楽に考えてはどうだ?」 そういったレジアスの声は彼の顔に似合わず優しげな響きをしていた。本人もらしくないと感じたのか、言うなりレジアスはそっぽを向く。 「どうしてそんなことを? ロストロギアの事を聞かされたらそうも言ってられないじゃないか」 「ロストロギアによって危機に瀕している世界は他にもある。管理局では割と日常的な話だ。お前の仕事が来るまでに疲れてもらうわけにはいかん」 「わかった。だがウーノ達は俺達の敵だろう」 「勿論だ。奴等ではなく…」 レジアスはその返答を妙に思ったが、口をつむぐ事にした。 よく考えて見れば、六課にスカリエッティが生み出した技術によって生み出された隊員が複数いることなど話すわけも無い。 そのまま二人は逃げるようにその場を去っていった。 レジアスは残作業を予定していた時間まで進めて家に戻り、ヴェロッサから改めてスパイだと念を押された新妻と遅い夕飯を取った。 分かっていたことだったがいざ他人から指摘を受けたせいで、下手をすれば娘より年下だったのかもしれないとサーモンソテーを食べながら冷や汗をかく羽目になった。 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第20話【無限の欲望】 フェイト「ジェイル・スカリエッティ。いくつもの世界で指名手配された広域次元犯罪者。 通信映像や音声のデータは数多く残っているものの、未だ、人前に姿を現したことはなく、 逮捕歴もない。多くの命を弄び、生体改造兵器を作り出し、管理局地上本部にテロをしかけ、 とうとう、古代の遺産まで呼び起こしてしまった。空へ上がる聖者の船を前に、私たちは」 シャッハ「騎士カリム。これが、あなたの予言にあった」 カリム「踊る死者たち、死せる王の下。聖地より帰った船。古代ベルカ、聖王時代の究極の質量兵器。 天地を統べる聖者の船。聖王の…ゆりかご」 はやて「一番なって欲しくない状況になってもうたんかな?」 カリム「教会の、ううん、私の不手際だわ。予言の解釈が不十分だった」 はやて「未来なんて、分からへんのが当たり前や。カリムや教会の皆さんのせいとちゃう。さて、どないしよか」 クロノ「はやて、クロノだ。本局は、巨大船を極めて危険度の高いロストロギアと認定した。 次元航行部隊の艦隊は、もう動き出している。地上部隊も協力して、事態にあたる。機動六課、動けるか?」 はやて「うん」 ウーノ「聖王の器とゆりかごは、安定状態に入ったわ。クアットロとディエチはゆりかご内より私と交代。 トーレとセッテ、セインはラボでドクターの警護。ノーヴェは、ディードとウェンディ、13番目と一緒に。 ゆりかごが完全浮上して、主砲を撃てる位置」 クアットロ「二つの月の魔力を受けられて、地上攻撃ができる軌道位置までたどり着ければ、ゆりかごはまさに無敵」 トーレ「ミッドの地上全てが人質だ。その状態なら、本局の主力艦隊とでも渡り合える!」 ウェンディ「そういや、一個疑問があるんッスけど」 トーレ「なんだ?」 ウェンディ「あのゆりかごの中にいる聖王の器とかいう女の子って、ぶっちゃけ何?」 スカリエッティ「ふふふ、私が教えようか?」 トーレ「ドクター」 スカリエッティ「今から、10年ばかり前になるかね。聖王教会にある司祭がいてね。 彼は敬謙な教徒にして、高潔な人格者だった。それゆえに、聖遺物管理という重職についていたんだよ」 ウェンディ「せい、いぶつ?」 クアットロ「聖王教会の信仰の対象。古代ベルカ時代の聖なる王様、聖王陛下の持ち物だったものとか、遺骨とかのことよ」 ウェンディ「へぇ~」 スカリエッティ「だが、司祭といえど人の子だ。彼は、ある女性への愛から、 それに手をつけてしまったんだよ。そして、聖ナイフに極わずかに含まれた血液からは、 遺伝子情報が取り出された。古代ベルカを統べた偉大な王。聖王の遺伝子データがね。 そうして、聖王の種は各地に点在する研究機関で極秘裏に複製され、再生を待った」 セイン「はい、ドクター。質問」 スカリエッティ「どうぞ、セイン」 セイン「レジアスのおっちゃんはまぁいいとしてさ。最高評議会だっけ?あっちのほうはいいの? ガジェットの量産とか人造魔道師計画の支援をしてくれたのってあの人たちだよね?」 スカリエッティ「ああ、そうとも」 セイン「ゼスト様とかルーお嬢様も評議会の発注で復活させたんでしょ? 評議会には評議会で何かプランとか思惑とかあったんじゃ」 スカリエッティ「レジアスも最高評議会も希望は一緒さ。地上と次元世界の平和と安全。 そのために、レジアスは計画を頓挫させられた戦闘機人に拘り、 最高評議会はレリックウェポンと人造魔道師計画に拘わった。平和を守り、正義を貫くためなら、 罪もない人々に犠牲を出してもいいと、なかなか傲慢な矛盾を抱えておいでだ」 セイン「ん~、何かよく分かんないなぁ」 ウェンデイ「ッスね~」 セイン「ともかく、スポンサーである評議会のことを無視して、あんなでっかいおもちゃを呼び出したりしたら、 怒られるんじゃないのって私は心配」 スカリエッティ「はははは、ちゃんと怒られないようにしてあるさ。君たちは何も気にせずに楽しく遊んできてくれればいい。 遊び終わったら我らの新しい家に、ゆりかごに帰ろう。そうすれば、世界の全てが我々の遊び場だ」 セイン『へぇ、相変わらずドクターの話はよく分からんねぇ~』 ウェンディ『そうッスね~。ま、あたしら別に夢や希望があるわけでもなし。生みの親の言う通りに動くしかないッスけどね~』 「ジェイルは少々やりすぎだな」 「レジアスとて、我らにとっては重要な駒の一つであるというのに」 「我らが求めた聖王のゆりかごも、奴は自分のおもちゃにしようとしている。止めねばならんな」 「だが、ジェイルは貴重な個体だ。消去するにはまだ惜しい」 「しかし、かの人造魔道師計画もゼストは失敗。 ルーテシアも成功には至らなかったが聖王の器は完全なる成功のようだ。そろそろ、良いのではないか?」 「我らが求むるは優れた指導者によって統べられる世界。我らがその指導者を選び、 その影で我らが世界を導かねばならぬ。そのための生命操作技術。そのためのゆりかご」 「旧暦の時代より世界を見守るために、わが身を捨てて永らえたが、もうさほどは長く持たぬ」 「だが時限の海と管理局は、未だ我らが見守ってゆかねばならぬ。ゼストが五体無事であればな。 ジェイルの監査役として最適だったのだが」 「あれは武人だ。我らには御せぬよ。 戦闘機人事件の追跡情報とルーテシアの安全と引き換えにかろうじて鎖をつけていただけだ。 奴がレジアスにたどり着いてしまえば、そこで終わりよ」 ミゼット「旧暦の時代。バラバラだった世界を平定したのは最高評議会の三人。 現役の場を次の世代、私たちや時空管理局ってシステムに託してからも、 評議会制を作って見守ってくれていた。レジィ坊や…、ジアス中将もやり方が時々乱暴ではあったけど、 地上の平和を守り続けてきた功労者。だから、彼らが今回の事件に関わっているなんて、 信じたくは、ないのだけれど」 クロノ「……」 はやて「理由はどうあれ、レジアス中将や最高評議会は、偉業の天才犯罪者、ジェイル・スカリエッティを利用しようとした。 そやけど、逆に利用されて裏切られた。どこからどこまでが誰の計画で、何が誰の思惑なのか、それはわからへん。 そやけど今、巨大船が空を飛んで町中にガジェットと戦闘機人が現れて、市民の安全を脅かしてる。 これは事実。私たちは、止めなあかん」 フェイト「ゆりかごには、本局の艦隊が向かってるし、地上の戦闘機人たちやガジェットも各部隊が協力して対応にあたる」 なのは「だけど、高レベルなAMF戦をできる魔道師は多くない。 私たちは3グループに分かれて各部署に協力することになる」 フェイト「別グループになっちゃったね。ごめんね、私、いつも大切な時に二人の傍にいられないね」 エリオ「そんな」 キャロ「フェイトさん、一人でスカリエッティのところになんて心配で」 フェイト「緊急事態のためにシグナムには地上に残ってもらいたいし、アコース査察官やシスターシャッハも一緒だよ。 一人じゃない。二人とも頑張って。絶対無茶とかしないんだよ」 キャロ「はい」 エリオ「それは、フェイトさんも同じです」 シグナム「ゼスト・グランガイツと融合器アギトだな」 リイン「え!?」 シグナム「騎士ゼストについては、ナカジマ三佐がご存知だったよ。元管理局員、首都防衛隊のストライカー級魔道師。 八年前に亡くなられたはずの、レジアス中将の、親友だそうだ」 なのは「今回の出動は、今までで一番ハードになると思う」 ヴィータ「それに、あたしもなのはもおまえらがピンチでも、助けにいけねぇ」 なのは「だけど、ちょっと目を瞑って今までの訓練のことを思い出して。ずっと繰り返してきた基礎スキル。 磨きに磨いたそれぞれの得意技。痛い思いをした防御練習。 全身筋肉痛になるまで繰り返したフォーメーション。いつもボロボロになるまで私たちと繰り返した模擬戦」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「ぐぅ」 なのは「目、あけていいよ。まぁ、私が言うのもなんだけど、きつかったよね」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「あははは」 ヴィータ「それでも、四人ともここまでよくついてきた」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「え?」 なのは「四人とも、誰よりも強くなった、とは、まだちょっと言えないけど。だけど、どんな相手がきても、 どんな状況でも絶対に負けないように教えてきた。守るべきものを守れる力。救うべきものを救う力。 絶望的な状況に立ち向かっていける力。ここまで頑張ってきた皆は、それがしっかり身についてる。 夢見て憧れて、必死に積み重ねてきた時間。どんな辛くても止めなかった努力の時間は、絶対に自分を裏切らない。 それだけ、忘れないで」 ヴィータ「きつい状況をビシっとこなしてみせてこそのストライカーだからな」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!」 なのは「じゃあ、機動六課フォワード隊、出動!」 ヴィータ「いってこい!」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」 なのは「スバル。ギンガのこともあるし、きっと」 スバル「あの!違うんです!」 なのは「っ」 スバル「ギン姉はたぶん、大丈夫です。私が、きっと助けます。今は、なのはさんとヴィヴィオのことが」 なのは「ありがとう、スバル。でも大丈夫だよ。一番怖いのは、現場に行けないことだったんだけど、 八神部隊長がそこをクリアーしてくれた。現場に行って全力全開でやっていいんだったら、 不安なんて何もない。ヴィヴィオも大丈夫。私がきっと助けてみせる。だから、心配ないよ」 スバル「あ」 なのは「スバルが憧れてくれたなのはさんは、誰にも負けない、無敵のエースだから」 スバル「はい」 なのは「スバルだって、うちの自慢のフロントアタッカーなんだからね。相棒と、 マッハキャリバーと一緒に、負けないで頑張ってきて」 スバル「はい!」 ティアナ「出動前に何泣いてんのよ」 スバル「なのはさん、頑張ってって言おうと思ったのに」 ティアナ「逆に励まされて帰ってきた?」 スバル「うん」 ティアナ「馬鹿ね~。あんたがなのはさんを励ますなんて10年早いってことでしょ? なのはさんを励ましたいなら、今よりずっと強くなって立派にならなきゃさ」 スバル「うん」 はやて「ほんなら、隊長陣も出動や!」 なのフェ「うん!」 ヴィータ「おう!」 カリム「機動六課隊長、副隊長一同。能力限定、完全解除。 はやて、シグナム、ヴィータ、なのはさん、フェイトさん、皆さん、どうか」 はやて「しっかりやるよ」 フェイト「迅速に解決します」 なのは「お任せください」 カリム「うん。リミット、リリース!」 フェイト「なのは」 なのは「フェイトちゃん」 フェイト「なのはとレイジングハートのリミットブレイク、ブラスターモード。なのはは言っても聞かないだろうから、 使っちゃ駄目、とは言わないけど。お願いだから、無理だけはしないで」 なのは「私はフェイトちゃんのほうが心配。フェイトちゃんとバルディッシュのリミットブレイクだって、 凄い性能な分危険も負担も大きいんだからね」 フェイト「私は平気。大丈夫」 なのは「んぅ、フェイトちゃんは相変わらず頑固だなぁ」 フェイト「な、なのはだって、いつも危ないことばっかり」 なのは「だって、航空魔道師だよ?危ないのも仕事だもん」 フェイト「だからって、なのは無茶が多すぎるの!」 はやて・ヴィータ「はあぁ」 フェイト「私が、私たちがいつも、どれくらい心配してるか」 なのは「知ってるよ」 フェイト「ん」 なのは「ずっと心配してくれてたこと、よく知ってる。…だから、今日もちゃんと帰ってくる。 ヴィヴィオを連れて、一緒に元気で帰ってくる!」 フェイト「ぁ、うん!」 はやて「あの、フェイトちゃん。そろそろ」 フェイト「あ、ぁ、うん!」 ヴィータ「フェイト隊長も無茶すんなよ。地上と空は、あたしらがきっちり抑えるからな!」 フェイト「うん!大丈夫」 なのは「頑張ろうね」 フェイト「うん。頑張ろう」 なのは『悲しい出来事。理不尽な痛み。どうしようもない運命。そんなのが嫌いで、 認められなくて、撃ち抜く力が欲しくて…私はこの道を選んで、 おんなじ思いを持った子たちに技術と力を伝えていく仕事を選んだ。 この手の魔法は、大切なものを守れる力。思いを貫き通すために、必要な力。待っててね、ヴィヴィオ!』 ドゥーエ「あなたが見つけ出し、生み出し育てた異能の天才児、 失われた世界の知恵と限りない欲望をその身に秘めたアルハザードの遺児。 開発コードネーム。アンリミテッドデザイア、ジェイル・スカリエッティ。 彼を生み出し、力を与えてしまった時点でこの運命は決まっていたんですよ。 どんな首輪をつけようと、いかなる檻に閉じ込めようと、扱いきれるはずもない力は、必ず破滅を呼ぶものです」 ヴィータ「中への突入口を探せ!突入部隊!位置報告!」 なのは「第7密集点撃破!次!!」 隊員「は、はい!」 次回予告 なのは「ゆりかごへ突入する私と、ヴィータ副隊長」 フェイト「スカリエッティのアジトへ突入する、私とシスターシャッハ」 なのは「そして、フォワードたちも…」 フェイト「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第21話」 なのは「決戦」 なのフェ「Take off!」
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時空突破グレンラガンSTrikerS クロス元:天元突破グレンラガン 最終更新:09/11/14 第01話「あたしを誰だと思ってる!!」 第02話「貴様の気合いを見せてみろ!!」 天元突破リリカルなのはSpiral クロス元:天元突破グレンラガン 最終更新:08/09/02(更新停止) 更新停止のお知らせ 諸事情から「リリカルなのはSpiral」の執筆に詰んでしまい、色々と悩んだ結果、この度「グレンラガンStrikerS」という形で再スタートさせて頂くことにしました。 リメイク作品の執筆開始にあたり、申し訳ありませんが「リリカルなのはSpiral」の更新は停止させて頂きます。 長い間ご愛読ありがとうございました。 プロローグ「わしを……誰だと思っている!!」 第1話「貴方は、何者なんですか?」 第2話「軽くこれまでのおさらいしとこーか」 第3話「あたしの拳は天を突く!!」 第4話「二人合わせてラゼンガン」 第5話「皆さん、螺旋研究所へようこそ」 第6話「色々と波乱万丈やね、うん」 第7話「これからウチらの向かう先には……何かあるで」 第8話「騎士はやて……貴女は、卑怯だ……!」 第9話「一緒に飛んでみませんか?」 第10話「ジェイル・スカリエッティ……!」 第10.5話「初めて会っていきなりだけど、一緒に頑張ろうね」前編 中編 後編 完結編 第11話「スバル達は強くなるよ」 外伝「そんな、優しい夢を見ていた」前編 中編 拍手感想 :グレンラガンとのクロスオーバー とてもおもしろいです! 更新楽しみにしています。 :漢女(おとめ)の魂完全燃焼キャノンボールアターーーック!!! :逃げるんだよぉぉぉ!!スモーキー!! :リニアを止めるって操縦はどうすんだよ!『パイロット』を!あんたらここまで来てこんな大切なこと忘れてどうする気だ!ヒヨっ子のオレたちの誰が操縦できるって言うんだ! コメント欄です 感想や応援メッセージなどをお気軽にどうぞ(無名コメントも可能です) 久々の最初から見直しました 武装隊ノリノリ過ぎww -- 名無しさん (2008-09-05 17 14 30) シモンは今二十代?それともオヤッさん? どっちにしても燃えまくる!!! 続き頑張って下さい!! -- 名無しさん (2008-09-06 21 31 36) グレパラ最終回、もしくは劇場版アバンを見てしまうと、スバルと共に戦うことになったラゼンガンが、けだし意味深ですね ロージェノム…! -- へまむしN (2008-09-17 03 30 51) ふと・・・この世界のレジアス中将は螺旋の戦士として大暴れしているような気がしたw -- 名無しさん (2008-10-11 06 16 33) 「燃える展開」という言葉はこの作品のために生まれて来たのだ、と確信しました。 -- 携帯から失礼します (2009-01-06 13 42 12) 超天元突破ラゼンガンは、緑色に輝く宇宙規模のマントだけ全裸スバル………ゴクリ -- 名無しさん (2009-04-27 04 37 11) いやぁ、スバルは、グレンラガンに対してまったく違和感ないね〜 口上絶叫してる姿がありありと想像できる魔法少女も、どうかとおもうが -- 名無しさん (2009-11-18 09 00 55) 流石スバルはもちろん、エリオあたりも親和性が高そう、新作も応援してます。がんばってください -- 名無しさん (2009-11-27 16 14 30) 読ませてもらいました。グレラガキャラとスバルのクロスコンビ、どこまで行くか楽しみです!グレラガSTS!! -- 999 (2009-11-29 01 52 19) 名前 コメント TOPページへ このページの先頭へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第20話【無限の欲望】 フェイト「ジェイル・スカリエッティ。いくつもの世界で指名手配された広域次元犯罪者。 通信映像や音声のデータは数多く残っているものの、未だ、人前に姿を現したことはなく、 逮捕歴もない。多くの命を弄び、生体改造兵器を作り出し、管理局地上本部にテロをしかけ、 とうとう、古代の遺産まで呼び起こしてしまった。空へ上がる聖者の船を前に、私たちは」 シャッハ「騎士カリム。これが、あなたの予言にあった」 カリム「踊る死者たち、死せる王の下。聖地より帰った船。古代ベルカ、聖王時代の究極の質量兵器。 天地を統べる聖者の船。聖王の…ゆりかご」 はやて「一番なって欲しくない状況になってもうたんかな?」 カリム「教会の、ううん、私の不手際だわ。予言の解釈が不十分だった」 はやて「未来なんて、分からへんのが当たり前や。カリムや教会の皆さんのせいとちゃう。さて、どないしよか」 クロノ「はやて、クロノだ。本局は、巨大船を極めて危険度の高いロストロギアと認定した。 次元航行部隊の艦隊は、もう動き出している。地上部隊も協力して、事態にあたる。機動六課、動けるか?」 はやて「うん」 ウーノ「聖王の器とゆりかごは、安定状態に入ったわ。クアットロとディエチはゆりかご内より私と交代。 トーレとセッテ、セインはラボでドクターの警護。ノーヴェは、ディードとウェンディ、13番目と一緒に。 ゆりかごが完全浮上して、主砲を撃てる位置」 クアットロ「二つの月の魔力を受けられて、地上攻撃ができる軌道位置までたどり着ければ、ゆりかごはまさに無敵」 トーレ「ミッドの地上全てが人質だ。その状態なら、本局の主力艦隊とでも渡り合える!」 ウェンディ「そういや、一個疑問があるんッスけど」 トーレ「なんだ?」 ウェンディ「あのゆりかごの中にいる聖王の器とかいう女の子って、ぶっちゃけ何?」 スカリエッティ「ふふふ、私が教えようか?」 トーレ「ドクター」 スカリエッティ「今から、10年ばかり前になるかね。聖王教会にある司祭がいてね。 彼は敬謙な教徒にして、高潔な人格者だった。それゆえに、聖遺物管理という重職についていたんだよ」 ウェンディ「せい、いぶつ?」 クアットロ「聖王教会の信仰の対象。古代ベルカ時代の聖なる王様、聖王陛下の持ち物だったものとか、遺骨とかのことよ」 ウェンディ「へぇ~」 スカリエッティ「だが、司祭といえど人の子だ。彼は、ある女性への愛から、 それに手をつけてしまったんだよ。そして、聖骸布に極わずかに含まれた血液からは、 遺伝子情報が取り出された。古代ベルカを統べた偉大な王。聖王の遺伝子データがね。 そうして、聖王の種は各地に点在する研究機関で極秘裏に複製され、再生を待った」 セイン「はい、ドクター。質問」 スカリエッティ「どうぞ、セイン」 セイン「レジアスのおっちゃんはまぁいいとしてさ。最高評議会だっけ?あっちのほうはいいの? ガジェットの量産とか人造魔道師計画の支援をしてくれたのってあの人たちだよね?」 スカリエッティ「ああ、そうとも」 セイン「ゼスト様とかルーお嬢様も評議会の発注で復活させたんでしょ? 評議会には評議会で何かプランとか思惑とかあったんじゃ」 スカリエッティ「レジアスも最高評議会も希望は一緒さ。地上と次元世界の平和と安全。 そのために、レジアスは計画を頓挫させられた戦闘機人に拘り、 最高評議会はレリックウェポンと人造魔道師計画に拘わった。平和を守り、正義を貫くためなら、 罪もない人々に犠牲を出してもいいと、なかなか傲慢な矛盾を抱えておいでだ」 セイン「ん~、何かよく分かんないなぁ」 ウェンデイ「ッスね~」 セイン「ともかく、スポンサーである評議会のことを無視して、あんなでっかいおもちゃを呼び出したりしたら、 怒られるんじゃないのって私は心配」 スカリエッティ「はははは、ちゃんと怒られないようにしてあるさ。君たちは何も気にせずに楽しく遊んできてくれればいい。 遊び終わったら我らの新しい家に、ゆりかごに帰ろう。そうすれば、世界の全てが我々の遊び場だ」 セイン『へぇ、相変わらずドクターの話はよく分からんねぇ~』 ウェンディ『そうッスね~。ま、あたしら別に夢や希望があるわけでもなし。生みの親の言う通りに動くしかないッスけどね~』 「ジェイルは少々やりすぎだな」 「レジアスとて、我らにとっては重要な駒の一つであるというのに」 「我らが求めた聖王のゆりかごも、奴は自分のおもちゃにしようとしている。止めねばならんな」 「だが、ジェイルは貴重な個体だ。消去するにはまだ惜しい」 「しかし、かの人造魔道師計画もゼストは失敗。 ルーテシアも成功には至らなかったが聖王の器は完全なる成功のようだ。そろそろ、良いのではないか?」 「我らが求むるは優れた指導者によって統べられる世界。我らがその指導者を選び、 その影で我らが世界を導かねばならぬ。そのための生命操作技術。そのためのゆりかご」 「旧暦の時代より世界を見守るために、わが身を捨てて永らえたが、もうさほどは長く持たぬ」 「だが時限の海と管理局は、未だ我らが見守ってゆかねばならぬ。ゼストが五体無事であればな。 ジェイルの監査役として最適だったのだが」 「あれは武人だ。我らには御せぬよ。 戦闘機人事件の追跡情報とルーテシアの安全と引き換えにかろうじて鎖をつけていただけだ。 奴がレジアスにたどり着いてしまえば、そこで終わりよ」 ミゼット「旧暦の時代。バラバラだった世界を平定したのは最高評議会の三人。 現役の場を次の世代、私たちや時空管理局ってシステムに託してからも、 評議会制を作って見守ってくれていた。レジィ坊や…、ジアス中将もやり方が時々乱暴ではあったけど、 地上の平和を守り続けてきた功労者。だから、彼らが今回の事件に関わっているなんて、 信じたくは、ないのだけれど」 クロノ「……」 はやて「理由はどうあれ、レジアス中将や最高評議会は、偉業の天才犯罪者、ジェイル・スカリエッティを利用しようとした。 そやけど、逆に利用されて裏切られた。どこからどこまでが誰の計画で、何が誰の思惑なのか、それはわからへん。 そやけど今、巨大船が空を飛んで町中にガジェットと戦闘機人が現れて、市民の安全を脅かしてる。 これは事実。私たちは、止めなあかん」 フェイト「ゆりかごには、本局の艦隊が向かってるし、地上の戦闘機人たちやガジェットも各部隊が協力して対応にあたる」 なのは「だけど、高レベルなAMF戦をできる魔道師は多くない。 私たちは3グループに分かれて各部署に協力することになる」 フェイト「別グループになっちゃったね。ごめんね、私、いつも大切な時に二人の傍にいられないね」 エリオ「そんな」 キャロ「フェイトさん、一人でスカリエッティのところになんて心配で」 フェイト「緊急事態のためにシグナムには地上に残ってもらいたいし、アコース査察官やシスターシャッハも一緒だよ。 一人じゃない。二人とも頑張って。絶対無茶とかしないんだよ」 キャロ「はい」 エリオ「それは、フェイトさんも同じです」 シグナム「ゼスト・グランガイツと融合器アギトだな」 リイン「え!?」 シグナム「騎士ゼストについては、ナカジマ三佐がご存知だったよ。元管理局員、首都防衛隊のストライカー級魔道師。 八年前に亡くなられたはずの、レジアス中将の、親友だそうだ」 なのは「今回の出動は、今までで一番ハードになると思う」 ヴィータ「それに、あたしもなのはもおまえらがピンチでも、助けにいけねぇ」 なのは「だけど、ちょっと目を瞑って今までの訓練のことを思い出して。ずっと繰り返してきた基礎スキル。 磨きに磨いたそれぞれの得意技。痛い思いをした防御練習。 全身筋肉痛になるまで繰り返したフォーメーション。いつもボロボロになるまで私たちと繰り返した模擬戦」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「ぐぅ」 なのは「目、あけていいよ。まぁ、私が言うのもなんだけど、きつかったよね」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「あははは」 ヴィータ「それでも、四人ともここまでよくついてきた」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「え?」 なのは「四人とも、誰よりも強くなった、とは、まだちょっと言えないけど。だけど、どんな相手がきても、 どんな状況でも絶対に負けないように教えてきた。守るべきものを守れる力。救うべきものを救う力。 絶望的な状況に立ち向かっていける力。ここまで頑張ってきた皆は、それがしっかり身についてる。 夢見て憧れて、必死に積み重ねてきた時間。どんな辛くても止めなかった努力の時間は、絶対に自分を裏切らない。 それだけ、忘れないで」 ヴィータ「きつい状況をビシっとこなしてみせてこそのストライカーだからな」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!」 なのは「じゃあ、機動六課フォワード隊、出動!」 ヴィータ「いってこい!」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」 なのは「スバル。ギンガのこともあるし、きっと」 スバル「あの!違うんです!」 なのは「っ」 スバル「ギン姉はたぶん、大丈夫です。私が、きっと助けます。今は、なのはさんとヴィヴィオのことが」 なのは「ありがとう、スバル。でも大丈夫だよ。一番怖いのは、現場に行けないことだったんだけど、 八神部隊長がそこをクリアーしてくれた。現場に行って全力全開でやっていいんだったら、 不安なんて何もない。ヴィヴィオも大丈夫。私がきっと助けてみせる。だから、心配ないよ」 スバル「あ」 なのは「スバルが憧れてくれたなのはさんは、誰にも負けない、無敵のエースだから」 スバル「はい」 なのは「スバルだって、うちの自慢のフロントアタッカーなんだからね。相棒と、 マッハキャリバーと一緒に、負けないで頑張ってきて」 スバル「はい!」 ティアナ「出動前に何泣いてんのよ」 スバル「なのはさん、頑張ってって言おうと思ったのに」 ティアナ「逆に励まされて帰ってきた?」 スバル「うん」 ティアナ「馬鹿ね~。あんたがなのはさんを励ますなんて10年早いってことでしょ? なのはさんを励ましたいなら、今よりずっと強くなって立派にならなきゃさ」 スバル「うん」 はやて「ほんなら、隊長陣も出動や!」 なのフェ「うん!」 ヴィータ「おう!」 カリム「機動六課隊長、副隊長一同。能力限定、完全解除。 はやて、シグナム、ヴィータ、なのはさん、フェイトさん、皆さん、どうか」 はやて「しっかりやるよ」 フェイト「迅速に解決します」 なのは「お任せください」 カリム「うん。リミット、リリース!」 フェイト「なのは」 なのは「フェイトちゃん」 フェイト「なのはとレイジングハートのリミットブレイク、ブラスターモード。なのはは言っても聞かないだろうから、 使っちゃ駄目、とは言わないけど。お願いだから、無理だけはしないで」 なのは「私はフェイトちゃんのほうが心配。フェイトちゃんとバルディッシュのリミットブレイクだって、 凄い性能な分危険も負担も大きいんだからね」 フェイト「私は平気。大丈夫」 なのは「んぅ、フェイトちゃんは相変わらず頑固だなぁ」 フェイト「な、なのはだって、いつも危ないことばっかり」 なのは「だって、航空魔道師だよ?危ないのも仕事だもん」 フェイト「だからって、なのは無茶が多すぎるの!」 はやて・ヴィータ「はあぁ」 フェイト「私が、私たちがいつも、どれくらい心配してるか」 なのは「知ってるよ」 フェイト「ん」 なのは「ずっと心配してくれてたこと、よく知ってる。…だから、今日もちゃんと帰ってくる。 ヴィヴィオを連れて、一緒に元気で帰ってくる!」 フェイト「ぁ、うん!」 はやて「あの、フェイトちゃん。そろそろ」 フェイト「あ、ぁ、うん!」 ヴィータ「フェイト隊長も無茶すんなよ。地上と空は、あたしらがきっちり抑えるからな!」 フェイト「うん!大丈夫」 なのは「頑張ろうね」 フェイト「うん。頑張ろう」 なのは『悲しい出来事。理不尽な痛み。どうしようもない運命。そんなのが嫌いで、 認められなくて、撃ち抜く力が欲しくて…私はこの道を選んで、 おんなじ思いを持った子たちに技術と力を伝えていく仕事を選んだ。 この手の魔法は、大切なものを守れる力。思いを貫き通すために、必要な力。待っててね、ヴィヴィオ!』 ドゥーエ「あなたが見つけ出し、生み出し育てた異能の天才児、 失われた世界の知恵と限りない欲望をその身に秘めたアルハザードの遺児。 開発コードネーム。アンリミテッドデザイア、ジェイル・スカリエッティ。 彼を生み出し、力を与えてしまった時点でこの運命は決まっていたんですよ。 どんな首輪をつけようと、いかなる檻に閉じ込めようと、扱いきれるはずもない力は、必ず破滅を呼ぶものです」 ヴィータ「中への突入口を探せ!突入部隊!位置報告!」 なのは「第7密集点撃破!次!!」 隊員「は、はい!」 次回予告 なのは「ゆりかごへ突入する私と、ヴィータ副隊長」 フェイト「スカリエッティのアジトへ突入する、私とシスターシャッハ」 なのは「そして、フォワードたちも…」 フェイト「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第21話」 なのは「決戦」 なのフェ「Take off!」
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「…ふぅ」 レジアス・ゲイズ中将は今日もお疲れだった。 地上の少ない人員の遣り繰り、廃棄都市区画の治安維持、 そろそろ年齢的にやばい娘の結婚について、etc... 頭を悩ますことが多すぎるのである。 ちなみに娘は今日は家にいない。 なんでも学生時代の同窓会なんだとか。 あわよくば学生時代の恋人とヨリを戻すなりなんなりして 早く親を安心させてほしいものである。 まあそんなわけで本日は家に一人。 子供なら「夜更かししても誰にも怒られないぜヒャッホーイ」と喜んだかも知れないが、 この歳になるとそれなりに広いこの家に独りというのは少し寂しい。 しかし目下の問題はそこではない。 「腹が空いた…」 そう、夕食である。 普段は地上本部の食堂だし、料理なんてめったに家に帰れないため作り方はうろ覚えだし、 正直腹が減ってそんなことする気力なんて無いのである。 そんな時、新聞の折込広告が目に止まった。 ピッツァマンという名の宅配ピザの広告。 「ピザか…」 いいかもしれない。少し時間はかかるが自分で作って変な味の物を食べるよりはマシだろう。 そう思い、早速ピザを注文した。 「遅い…」 なんだこの遅さは。 ふざけてるのか。 30分以上かかるとかどういうピザ屋だ。 実になっとらん。地上本部の総力を挙げて取り潰してやろうか。 ピンポーン 「っ、やっと来たか。」 そう言いつつ、インターホンへ向かう。 「はい、ゲイズです」 『ピッツァマンでーす。ピザお持ちしましたー』 「はい、今ドアを開けますので」 一刻も早くピザを食べ、この空腹を何とかしたい。 そう思いながら玄関に向かい、ドアをに手を掛け――― 『あ、ドア開ける前に「ピッツァマーン♪」って言って貰えますか』 止められた。 「……何故だ」 『30リリカル引きになるんですよ』 ちなみにリリカルとはミッドチルダの通貨単位である。 レジアスは幾秒か懊悩し、そして結局 「………ピッツァマーン♪」 言った。 その途端、ドアが開けられた。 「そんなに30リリカルが欲しいのか」 「…貴様が言えと言ったんだろう」 「まあね♪」 「というか第一なんでこんなに時間かかってるんだ?どこにあるのだ貴様の店は」 「ここから300mほどですねー」 「じゃなんでこんなにかかっとるんだ」 「ほら、学校の近くに住んでる子ほどよく遅刻するでしょ。まあ、いわゆる油断ですよ」 「仮にも宅配ピザ屋だろう貴様。ピザが冷めたらどうする気だ」 「ははは。えーっと3870リリカルになります」 ………………は? 「…すまんが、もう一度言ってくれるかね」 「3870リリカルになります」 「何でそんなに高いのだ」 「いや、キャンペーン中だから」 キャンペーン中?キャンペーンだったら普通高くなるんじゃなくて安くなるのが常識という物ではないのか? 「まあ、高いキャンペーンってのもギリギリ無い話じゃないですからね でもね、いまこれ付いて来るんですよ、これ」 「何だその段ボールは?景品か何かか?」 「これはですね、あのね」 「テレビ局開局キットです」 「は?」 「あのね、これがあればね、誰でも今すぐテレビ局開局できんの」 段ボールを叩きながら店員がそれについての説明を始める。 ぶっちゃけどうでもいい。早くピザを食べたい。腹が減った。 「嘘だろう」 第一こんな段ボール箱一個に入るだけの設備でテレビ局を開設出来る訳がない。 「あ、納得してないねあんた」 「するわけないだろう。………もしやこれが着いてくるからそんなに高いのではあるまいな」 「…ハァ、あんたも珍しい人だねえ。景品に文句つけるの? キャラメルのおまけにさあ、マリアージュの人形付いてたってさあ、何だこれってアンタ言わねえだろうがよ!」 「言うわあ!」 というか何だマリアージュって。新手の芸能人か何かか。 「やんのかあ!やらないよ俺は! いいから貰っといてよこれ。ね」 「いや、いいって言ってるだろう」 「ターダだから。どうもありがとー!」 「タダじゃなくて3270リリ…」 言い終わらない内にバタン、とドアが閉められた。 「さっきの奴はなんだ、まったく…」 後で絶対返しに行ってやる。 そう決めながらも、空腹で死にそうなのでまずレジアスはピザを食べることにした。 しかし、彼は知らない。 そのテレビ局開局キットが、彼をある陰謀 ―ゲーム― へと巻き込んでいく事を。 「戦闘機人ナンバー2、ドゥーエ。あなたに治安維持法違反の容疑で逮捕状が出ています」 「署までご同行願います」 「……私達戦闘機人はね、甲羅の無い亀にはならないのよ!」 「暗躍は生涯に一回位でいいけどバブルは二回あってもいい…そう思わないかい?」 「…そのバブルとテレビ局と何の関係があるのだ、スカリエッティ」 「つまり……Lyrical`s HIGHだよ。レジアス・ゲイズ」 「Lyrical`s HIGH……」 「いよいよ地上波からお別れかあ。これからはBSの時代やな」 「いや、地デジの時代だと思うのだが」 「まあ、それはさておいて衛星打ち上げロケットの準備は万端や。 燃料の灯油もバッチリ満タンやで!レジアス中将!」 「灯油!?液体酸素と液体水素ではないのか!?」 「…ようやく追い詰めた、ジェイル・スカリエッティ。 治安維持法その他諸々の違反で、逮捕します」 「わしはレジアス・ゲイズであの変態化学者ではない! お前の隣に居る男が本当のスカリエッティだ!」 「騙されてはいけない、ハラオウン執務官。…その恰幅のいい男が本当のスカリエッティだ」 「ご無事ですか、中将。…実はこの部屋には外に通じる穴があるのです」 「そこのポスターの裏だろう?だがCの字状になってて反対側の壁に繋がってるだけだったぞ」 「穴に入る前にちくわの神様にお願いしなかったでしょう?だからですよ。 お願いすればちゃんと外に繋がります」 「二度とたけわと言うな。…ちくわと言え」 「もうたけわって言いません」 「ねえ、本当のメガネは心の中にある……そう思わないかい?」 「合言葉は、HELP ME」 「ピスタチオの豆で作ったピスタチオコーヒーです。飲みますか?」 『わしは聖王を人質にとったぞゴラァ!無事に帰して欲しかったら、身代金300万リリカルを払わんかゴラァ!』 「…牛丼屋でも、始めるか」 このゲームは、視聴率80%を取るまで終わらない。 Lyrical`s HIGH、いつかにつづく。 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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最悪の予言に対抗するために作り上げた、うちらの組織。 新人や実験体などを集め、ようやく形になった。 不安ではあるけれど、それでも前に進まなければならない。 最悪の予言を打ち砕くために、今最初の一歩を踏み出してゆく。 第四話「機動六課」 「このザクウォーリアは、テストタイプを元に量産化を視野に入れて製造された、正式採用タイプのバリアアーマーになります」 手元の資料をめくりながら、シンは説明する。こういう仕事はレイの方が得意なのだが、彼は今もっと厄介な場所で仕事をしている。 目前にいる上層部の老人たちに解説するのは、必然的に自分の仕事になってしまった。 「基本的な能力については手元の資料を参照ください」 内心緊張を覚えながらも、そつなく説明を行うシン。説明文書はレイと作ったものだし、これ以上何を言うべきかわからないぐらいに要点はまとめてある。 「ザクウォーリアのもっとも特徴的な点は、ウィザードという追加武装パックを装着することにより、状況に対応した魔道士を適切に配備できることです。 装着者の適正はもちろんありますが、状況に対応する魔道士を選出するよりも早く、確実に戦力を補充し対応できる。機械式の優位はここにあります。 Bクラスの陸戦、空戦、砲撃戦用魔道士の必要な場所にフレキシブルに対応することを可能にする。バリアアーマーは人員不足を解消する為の装備です」 今までザクウォーリアの三面図だった画像が切り替わる。各ウィザードの紹介をするためだが、便宜上色が塗り分けられたザクに一瞬懐かしささえも覚えた。 今のシンの服装は、ベージュ色のジャケットにズボンと革靴。レジアス中将から正式な辞令を受けてここにいる。 もっとも、その中身に関してはまだ眉唾物ではあるのだが。 「レジアス中将から説明は受けとるし、そんなにかしこまらんでもええよ」 装備解除したシン達は、まだ段ボールの残るオフィスの一角に案内された。 栗色のショートカットの女性は八神はやてと名乗り、怪訝そうな顔を浮かべるシン達に書類を手渡しながらにこにこと解説を始める。 「説明、とは何を指しているんです?」 「んー。二人の出身地とか、バリアアーマーのテストのこととかかな。ほかにも一通り聞いとるけど」 感情を読ませないためといっても差し障りがなさそうな、笑顔を崩さないはやて。レイはそれ以上の追撃を諦め、資料に目線を向ける。 「さすがに、友達を狙った理由がデモンストレーションってのにはちょっと関心せえへんけど、あれは状況が状況やったし。 こっちが先に仕掛けてるからお互い水に流すとして」 さらりとした説明の端々にトゲが混じるのも仕方のないことなのだろう。その辺りは無視してシン達は先を促す。 「デモンストレーション?」 しかし、そこになのはが食いついた。 「そや。バリアアーマーっちゅう新兵器を宣伝するためには、すでに実績を出してる魔道士を倒しました、ってすると印象がちゃうやろ? 元々人員不足の魔道士を補填するための装備とはいえな」 「実力があれば、すぐに認められる。そのために必要なのは相手のネームバリューってことか」 はやての説明にフェイトが頷き、空気が一瞬固まる。とにかく、とその場を取りなしたのは意外にもはやてだった。 「そういう理由だったら、もっと確実な方法がありますよって中将と交渉してな、交換条件付きで2人を機動六課に組み込むことにしたんよ。 2人とも叩けば伸びるし、実績も重ねられる。それに、2人にもそんなに悪い話やないんやで? 資料の中に関係書類あるから、めくってみ」 何が楽しいんだろう、と思うばかりの笑顔を浮かべるはやて。進められるままに資料をめくると、そこには妙な物が付随されていた。 「移民、届?」 「そう。2人の身柄は時空管理局預かりとして、ミッドチルダの市民に登録しようってこと。 2人とも、あっちにはもう戻れないんやろ?」 はやては笑みを納め、真剣な表情を浮かべた。2人をまっすぐに見つめ、重い沈黙が場を支配する。 「……どこまで知ってるんです?」 「一通りは、レジアス中将から聞いとる。デスティニープランのこととか、戦争の結末とか」 あの場の空気に飲まれたとはいえ、そこまで悪い話でもない。 そう思っていたシンの思考は、手を挙げたはやての質問で現実に引き戻された。 「あの二つ目のバリアアーマーは、ザクとどう違うん?」 「インパルスはよりフレキシブルな運用を行うために、わずかな時間でウィザードを取り替えることを可能にしています。 その分取り回しが難しく、ザクにはこの方式が採用されませんでした」 「どうしてかな? 状況に対応するにはそっちの方が便利だと思うけど」 説明中に予定調和のごとく飛んでくるなのはの質問。意外なことだが機械に関してなのはの知識は深く、配属が決まったと同時に質問責めに合いそうになったのは記憶に新しい。 まとめて解説すると言うことでその場を逃れ、今回の説明会が開かれている。 ちなみに、レイはレジアス中将と共に陸軍で説明を行っており、機動六課内部での説明をシンが担当している。 「特性がいきなり切り替わるのに、操縦者が対応できないケースが相次いだんです。 そこまでころころ変わる必要もないってことで、ザクは任務中にウィザードの変更を考えない設計になってます」 「じゃあ、シンがインパルスを使ったのはイレギュラーだったって事か。あっちの方がいろいろ便利そうなのに」 ペン先を顎に当て、フェイトが小首を傾げる。他の面々から質問が出ないことを確認してから、シンはこの場を締めくくる言葉を発した。 「機動六課に配備されるのは、新型のザクとインパルスという事になっています。運用面でいえば、インパルスの利便性はデータが欲しいとのことで」 切り替えまで含めてインパルスを使えるのはシンのみであり、運用も彼の配属先で行おうとすんなり決定した。 また、前回の運用結果を受けて、ある程度強化したザクも試験的にこちらに持ち込みになっている。 破格の条件にも見えるが、実際の運用データがない以上最善を尽くさなければならないのは当然の流れで、 魔道士達との共同戦線が張れるかがかかっている以上当然の帰結とも言える。 「そういえばシン。向こうから伝言を預かってるんよ。 『美人揃いの職場で羽目外しすぎるなよ』やて。愉快な人やったなぁ」 場を締めくくるはやての言葉に、がっくりと肩を落とすシン。 (この場で言う事じゃないでしょうに、あの人は……) 今度会ったときに覚えてろ、とシンは心に堅く誓った。 「それで、他の人員はどうなってるのかね?」 「選出は完了しているそうだ。訓練が完了し次第実任務にも出ることになるらしい。 隊長陣はリミッターがかけられているし、しばらくは大きな任務はないだろうな」 機動六課のガレージにて、シンとレイは会話しながらバリアアーマーの調整を行っていた。 インパルスはなのはとの激戦で機器を総入れ替えしているし、レイのザクは新型である。自分達も完熟訓練が必要な有様であった。 (まあ、関連機体を扱った経験があるだけましと言うところか) 「俺たちの立場は?」 「隊長直下の遊撃戦力扱いらしい。 魔道士でない以上通常の戦力には見なされない、ある意味ワイルドカード扱いのようだな」 「ジョーカー扱いも困るってのにな。何でもできる訳じゃないぞこっちは」 作業の手を止め、天を仰ぐシン。仕方のない扱いとは言え、少々荷が勝ち過ぎなのではないかと思う。 「状況に応じて変化対応する点では一緒だろう。 ともかく、しばらくは大きな任務もなさそうだし、今のうちに新しい機体に慣れないとな」 調整の完了したメンテナンスハッチを閉めながら述懐するレイ。 形はザクと同型とは言え中身は別物の機体整備にしては鮮やかな手際である。 「あ、いたいた。2人とも、ちょっとええかな?」 ガレージに似つかわしくない、華やいだ声。振り返った2人の目に、小走りでやってくるはやての姿が飛び込んできた。 「どうしました、八神隊長。完熟訓練がまだですので機体データの提出はできませんが」 次のメンテナンスをする為の作業の手を止め切り出すレイに、はやては両手をあわせて拝む姿勢を作った。 「飛び込みで悪いんやけど、一件2人に動いて欲しい依頼が飛び込んできてるんよ。 こっちからもフォローはするし、受けてもらえへんかな?」 「……こっちはまだ完熟訓練もすませてないんですが」 「そこを何とか! こっちもいきなりで対応できる人間がおらんのよ。 なのはちゃん達は新人の訓練やし、シグナム達は別件で動いとるし……」 「それでも、受けなければまずい要請がきた、と」 拝み倒しの体勢に入るはやてに、ため息を一つついて続きを促すレイ。嘆きたいのはこっちも同じなのだが、それでは話が進まないと割り切ることにしたようだ。 「時空管理局本部に、うちらが関わっていくことになる遺物、通称「レリック」の調査報告を運ぶって事なんやけど、 詳細なデータなんかも入ってるから護衛を出せって上からお達しがあってな」 「ついでに、バリアアーマーの戦闘力も確認したい、と」 はやてに対するレイの口舌のは射場は鋭い。うっと一瞬詰まったところに、少々考えるようにしてから一度頷いた。 「出さなければまずいんでしょうし、そこについては問題ありません。 ただし、運用の都合上どうしても飲んで欲しい条件が一つあるんですが」 第四話『機動六課』(後編) 『これから警備開始の時間に入る。準備いいか?』 『こちらは問題なし、だ。ロングアーチとのレーダー同期を開始する』 『了解』 短い通信の後、シンはインパルスの足下を何とはなしに確認した。両脚部はきっちりロックされ、列車の上部に固定されている。 この列車の中に何らかの形で保持されているデータの運搬警備。それが今回の任務だ。 「セット、ブラストシルエット」 『Roger!』 足周りを確認してから、シンはインパルスのシルエットを呼び出した。背部に大型の砲が装着され、装甲が緑を中心とした砲撃戦用に入れ替わる。 移動手段が列車だと聞いてからシン達が立てたプランは実に単純なもので、上部にシンが砲撃戦用のブラストインパルスで待機して砲台となり、足らないレーダー距離をレイが列車内部で情報を得ながら補うという砲撃防御スタイルであった。 『ロングアーチとのレーダー同期開始。敵、距離3500まで接近』 『了解。1500まで接近の後、砲打撃戦を開始する』 予想通りの情報がもたらされ、シンは背部の大砲ケルベロスのチャージを開始した。最大射程の照射モードでなぎ払う構えである。 『ケルベロスの最大射程は2000……。配置に変化なし、ポイントゼロまでは何とか持たせろ』 レイの言葉が遠くに聞こえる。じっとレーダーを見つめていたシンだったが、一つ深呼吸の後ケルベロスを砲撃状態に構える。距離はまだ、射程の外。レーダーが変化をとらえたのは、シンの指がトリガーを引く直前だった。 『……後方部隊の一角が速度を上げて接近。電撃作戦(ブリッツ)だ! 距離1800!』 『仕掛ける! プラン変更はまだなしだ!』 叫びに近い声色のレイに答えるように、ケルベロスが砲声を轟かせる。爆散の様子は見えないが、いくつか光点が消滅していることから効いてはいるのだろう。 ここからは、時間との戦いになる。タッチダウンはどちらが先か。足下に電車のレール音を聞きながら、シンはめまぐるしい装備変更に忙殺されていった。 一方、シンの奮戦を眺めているどことなく暢気な一団があった。訓練時にありがちな、緊張と弛緩が入り交じった空気が周囲を支配している。 「光点に反応あり。フェイス01、02共に戦闘態勢に入りました」 「こちらに仕掛けてくる様子はありません。全機列車を狙っている模様です」 観測手の報告を聞きながら、指揮官席に座るはやてはこめかみのあたりを指で押さえた。 (大丈夫とは言ってたけど、ホントとは……。シグナム残しても大丈夫だったかな) 今回の任務に必要とのことで、ロングアーチの訓練飛行を今日に前倒ししたものの、眼下に大挙する傀儡兵が一体もこちらを狙ってこないというのも無視されているようで不気味に感じる。 万が一こちらを狙ってくるかとスタンバイさせているシグナムも、暇を持て余すことになりそうではあった。 「主はやて。彼らの応援には行かないでよろしいのですか?」 「うん。どうしようもなくなったら連絡するって言うてたし、まだ予測の範疇なんやろな。だからまだ待機。そのかわり、通信入ったらすぐ応援に行ったって」 シグナムの質問に緊張感を残しながらも柔らかく答えつつ、はやてはレーダーの光点ほうに注意を戻した。彼らから連絡がなくても、まずいと感じたらすぐに応援を出せるように。 備えは大切なのだ。どんな時も。 (けど、この距離と情報にこの数……。多すぎる気がするけど) 個人的な感想ではなく、指揮官としての勘。 情報が欲しいのは分かるが、それにしては戦力の投下に思い切りがよすぎる。まるで、いらなくなったものを投げ売っているかのような……。 はやては思考に浸りつつ、シグナムの投下タイミングだけは間違えないようにしようと決めた。 列車はまだ順調に走っている。もっとも、投入されている戦力からすれば奇跡のような状態ではあったが。 「まだまだあっ!」 何体目になるか分からない、上から取り付こうとした傀儡兵を両手持ちにしたジャベリンで貫く。 その間にも背中のファイアビーは唸りを上げて空中の敵を牽制し、両肩に装備されたレールカノンは後方の敵を貫いている。 チャージが完了すればケルベロスをなぎ払うように発射しているが、そんな程度ではこの数をどうにもできない。シルエットの全火力をフル回転させてようやく、冗談のような均衡を保っているのだった。 『ポイントまで後2分! レイ、さすがに限界だ!』 半ばやけになりながらバルカンで傀儡兵を振り落とすシンの通信に、レイが窓から身を乗り出した。敵影で空も見えない状況を察し、窓から身を踊らせつつ叫ぶ。 「了解した。プランBに移行しよう。直衛に入る。ブレイズ・ザクファントム」 『Roger!』 窓から飛び出すレイの姿が、白い装甲に覆われる。巨大なブースターと両肩のシールドが目立つ、新型のザク。手にしたマシンガンで牽制射を入れながらバーニアを使い、空へと舞い上がる。 「後三分防ぎきった後、敵戦力に突撃をかける。もう少しの辛抱だ」 オープン回線で声をかけつつ、牽制に徹するレイ。背部のファイアビーを一度だけフル発射し、近寄る敵影を押し止める。 無駄のない攻撃を心がける様はシンとは正反対に見えるが、元から敵機の量が多すぎるせいもあり火力不足にすら感じられた。 「ジェネレーターの方が限界だ! フォースシルエットで防備に移る!」 最後の一斉射を打ち切った後、異様な煙を吐き始めたブラストシルエットに見切りをつけ、シンが叫ぶ。脚部のロックを解除し、一気に跳躍しながら空中でシルエットを排除する。 「チェンジシルエット! フォースインパルス!」 『Roger!』 緑色だった装甲が、青に染まる。背部に大型ブースターが装着され、今まで砲撃を行っていたケルベロスが虚空に消える。 右手に握られたライフルを連射しつつ空に飛び出すと、どうにか損傷を免れていた列車がややスピードを落としながら駅に向かっていくのを見送ることができた。 「後はこちらに引き寄せておくだけ、か。どれくらいだ?」 「三分で交代場所に到着する。人員交代を含めて五分というところだろうな」 「……無茶なデータをありがとう、っと」 軽い言い合いをしながらも、傀儡兵を打ち落とす手は止めない。作戦そのものは物量というどうしようもない大技を前に破綻しかかっているが、自分の仕事をやりきるという意味では下がるわけにはいかない。歯噛みしながら傀儡兵を引き受けるシンたちを脅威に感じたのか、後方に行くのを止めた兵たちがシン達に狙いを定めた直後。 数匹の兵士達が、まとめて横にズレた。自分達のさらに後ろから誰かが仕掛けてきているのを認識するよりも早く、連結された銀の刃が傀儡兵達を砕き散らしてゆく。 「一体、これは……?」 「援軍の到着らしい。しびれを切らしたってところだろうな、この暴れようは」 シンとレイが肩をすくめつつも応戦する中、七割方傀儡兵を切り捨てた騎士が二人の前に躍り出る。 「ライトニング2、シグナムだ。これから残敵の掃討戦に移る。援護しろ」 『……了解』 深紅の髪を揺らしながら告げるのは、明確な指示。あまりといればあんまりな戦力差にそろってため息をついた後、響くような声で了解の意を告げるシンとレイであった。 情報を乗せた列車の方は無事に目的地に到着し、残った傀儡兵達は任務の成功を見て取るや飛び出していったシグナムの奮戦で片がつきかけている。 その様子を眺めながら、はやてはふう、と息を吐き出し思考に入った。 (あの二人は強い……。いや、強すぎる) まず最初に考えたのは、シンとレイの戦い方。自分達に足りないものをしっかりと理解し、役割を果たすために必要なものを求めることができる自己の客観視は自分達にさえない資質だ。 だが、それだけに戦闘方法が異質になってしまっているように思える。一般的な魔道士とは異なる運用が必要だろう。戦闘力は今訓練中の四人とほとんど同じだろうが、まだ延び白のある彼らとは成長の仕方も、方法も違う。 任務を任せることはできるが合同任務は難しく、しばらくは単独での運用しかない。 (そもそも、あの二人に訓練も必要なわけやし。そうなるとこっちも手が足らないから……) そこまで考えて、はやての顔に笑みが浮かんだ。 「そうや。今組めてる訳なんだから」 はやてはそう結論付けると、書類に何事か書き始めた。 任務翌日、シンとレイは揃ってガレージにて作業をしていた。 目的はバリアアーマーのメンテナンスである。まだまだ調整が難しい兵器のため、シンたちは自分で調整を行っているのだ。 「ブラストはしばらく使用不能。ソードもまだエクスカリバーの方がうまく行ってない、と……」 「ザクファントムも無理はさせられないな。ファイアビーを使いすぎた」 お互いに自分の相棒の状態を確認する。細かいところはともかく、大雑把に相手の状態がわかっていないとコンビネーションも組めないのだ。 「任務は果たせたが、しばらくは調整が必要だな。交換部品も頼まないと……」 「そもそも任務をやること自体が無茶だったんじゃないか? あの数相手に」 「だからと言って諦めるよりは良いだろう。愚痴る前に手を動かせ」 投げやりな口調のシンをいさめるレイ。お互いに手は一定の動作を続けており、段々と雑談めいた内容になってゆく。 「だが、任務自体は成功した。よくやったな二人とも」 そんな二人の言葉を引き継いだのは、凛とした声だった。慌ててバリアアーマーから顔を出すと、そこには赤毛の女性が静かに立っている。 「今後の予定が確定した。これからは私が専任で、おまえ達の訓練に当たる」 言いながら騎士甲冑を見につけるシグナム。既にレヴァンティンを持ち、戦闘準備は万端であった。 「あまり教えるというのには慣れていないのでな、実戦形式でこれから訓練を行う。すぐに準備しろ」 顔を見合わせる伸達の前で、シグナムは静かに、そして確かな声で宣言するのであった。 機動六課がにわかにざわめきだすのは、こうして六人の訓練が開始されたことによるものである。
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高層建築の立ち並ぶ都市の一角。 夜の闇と、静かに降る雨に包まれながら一つの人影が歩いていた。 整った顔立ちだが、不思議と印象に残らない容貌の男。落ち着いた風格がある一方で 全てに興味が無い無関心さを連想させる。 男は無言で状況を確認するように周囲を見渡す。 突然男の一歩後ろ、一瞬前まで誰もいなかったはずの空間に二つの影が現れた。 否、実際にそこには誰もいない。二つの影は男にしか見えない『悪魔』だ。 「さて、僕らは何故こんなところにいるんだろうね? さっきは『魔法』なんてものも見たし、どう考えても 僕らの知る世界ではない。」 右の影―――どこか楽しげな笑顔を浮かべた半月眼鏡の青年。そんな皮を被った悪魔に もう一つの影―――彫りの深い怜悧な顔立ちに長い銀髪、ワインレッドのスーツという 眼鏡の悪魔に比べ随分派手な悪魔が似合わない訛りで応える。 「そんなん俺に分かるわけ無いやろが。そうゆうん考えるんはお前の仕事やろ、ひょうたん眼鏡」 「別に答えを期待したわけじゃない。ただ、お前なりの見解を聞きたかっただけさ。 ……そういえば『ひょうたん眼鏡』なんてあだ名をつけたのはお前だそうじゃないか、ベリアル。 別に間違ってはいないと思うが、お前のおかげで海野君にまでそんな名前で呼ばれてしまった。 どうしてくれるんだおちゃらけ蛇。 まったく、何で僕はまともなあだ名がつけられないんだ。 『指導者』はまだ良かった、地味だが的確に僕の役割を表していた。 それでも自分のライバルになり得ると目していた相手に妙なあだ名で呼ばれてしまう上に 久美子君には『ベルぱー』なんて呼ばれてしまう始末だ。 信じられるか? 『ベルぱー』だぞ、『ベルぱー』! 確かにそれは僕が指定した『ベルゼブブ・パターン』の略称だろう。 だが、その呼び方はどうなんだ、セルネットの創始者を呼ぶには些かどころではなく 迫力や風格が削がれてしまうじゃないか!!」 どうやら話が長くなる傾向があるらしい眼鏡の悪魔はひとしきり不平を言うと気を取り直し続けた。 「―――話が逸れたな。実のところ僕は僕たちがどこにいるのかという問題に対し一つの仮説がある」 「なんや? その、仮説いうんは」 「何というか……かなり馬鹿馬鹿しいんだが、『ここ』は『異世界』とか『異次元』とか言うヤツじゃないかと思って る」 「……はぁ?」 眼鏡の悪魔がいきなり突拍子も無い事を言うのには慣れていた銀髪の悪魔も、それしか反応できなかった。 眼鏡の悪魔もその反応に頷きながら説明する。 「その反応は予想できたさ。自分でも相当に馬鹿な事と思っているぐらいだからね。 だが、それ以外では僕には説明ができない。 『王国』?それはあり得ない。 我らが陛下は眠りについた筈だし、物部君の心象にこんな大都市があるわけがない。 ではカプセル以外の何らかの要因による幻覚? 肉体があるバールはともかく、僕やベリアルに影響があるなんて考えられない。 そして先ほど目にした『魔法』。どう見ても、僕らが知るオカルト的な魔術では無かったし この通りを歩いていて目に入る看板や標識の文字。少なくとも僕の知識にはあんな文字は無い。 もっとも『ここ』でそれなりの時間を過ごしていれば、いずれ分かる事だけどね。 それ以上に気になるのは『それ』だ」 眼鏡の悪魔が指を向けたのは、それまで二人の悪魔の会話に反応すらしなかった前を行く男のポケット。 正確には、その中に有るものだ。 「陛下が眠りについた物以外は一つ残らず消えたはずの『カプセル』が、何故そこにあるんだろうね。 僕にも説明がつかない。 それで、どうするんだいバール 地獄の底で待っていろなんて言っていたけど、こんな所にいるんじゃね」 それに、初めて男―――バールが反応した。 「是非もない。知らない場所だからと迷う必要は無いだろう。 葛根市では退くことになったが、『ここ』で二度目を行なえばいい」 「……聴いたか、ベリアル。このミスター・ハードボイルドは こんなわけの分からないところで続けるつもりのようだ。本当にマスターオブオカルトの名は彼に譲るしかないな」 「いやそれはいらんちゃうんかなぁ、少なくとも俺はいらん。 ま、ええんちゃう? 陛下がおらんで何ができるかわからんけどな」 見知らぬ場所に突然迷い込んだというのに全く意に介さない男の言葉に 二人の悪魔は呆れたように嘆息しながらも反対する様子は無く、むしろ楽しそうにおどけた敬礼を返した。 そして男は、ゆっくりとその姿をかき消していく悪魔たちと声を揃える。 「「「エロイムエッサイム」」」 リリカル・クラッカーズ 『ミッドチルダにカプセルが蔓延し始めたようです』 「本当にすいませんフェイトさん、わざわざ送らせてしまって。なのはさんは元気でしたか?」 黒いスポーツカーの助手席に座るティアナは運転しているフェイトに頭を下げた。 「うん、相変わらず元気だったよ。……完全に親バカの顔でヴィヴィオの写真 大量に見せられて少し困ったけど。スバルはどうだった?」 多忙な執務官の少ない休暇を利用して二人は、それぞれの親友を訪ねていたのだ。 「スバルも変わらないですよ、ギンガさんも。 ただ、ゲンヤさんが最近かなり忙しくて自分たちも休みを取りづらいって言ってましたけど」 「レジアス中将の穴を埋めるのに苦労してるんだね……」 そう、現在管理局は『陸』と呼ばれる地上本部、『海』と呼ばれる本局の双方が混乱した状態にあった。 JS事件で殺害されたレジアス・ゲイズ中将―――長年地上本部で辣腕を振るった英雄を失ったことが原因である。 JS事件直後こそジェイル・スカリエッティとの繋がりや、違法行為スレスレの手段をとってきた事で批判が集中していたが 調査が進むにつれ中将にそういった手段をとらせてしまった地上本部の窮状が表沙汰になる。 少ない予算、貧弱な装備、本局に引き抜かれていく人材。 そういった状況を作り出す事になった本局に対する批判が湧き上がった。 さらに、強烈なリーダーシップをとる―――悪く言ってしまえばワンマンだった中将の指示が無くなった事で業務が停滞。 それを解決するために『一時的に』本局が『支援』する動きが持ち上がるが、逆にそれまでの本局の地上本部への所業を知る『陸』の局員 特に経験豊かな中堅世代が一斉に辞職。混乱を助長することになってしまう。 『海』でも、かつての『陸』の局員だった者が『陸』に大量に復帰しようとした事から事態は管理局全体に広がった。 そのため管理局は組織を再編、『陸』と『海』の関係の改善を図る。 その一環として『陸』に残った数少ないベテランの一人であるゲンヤ・ナカジマ三佐は、『海』との繋がりを持つことから 現場を指揮する立場から『陸』の上層部へ本人も望まない形での抜擢をされる事となった。 「ギンガさんが言ってたんですけど、最近ミッドでも犯罪が増えてるんですって。 本局の方も色々問題出てきてますし、早く何とかしないといけませんね……」 機動六課の一人としてJS事件には深く関係したティアナは、少し複雑な気分のようだ。 沈んだ様子のティアナを励ます意味を込めてからかい混じりにフェイトは返答するが 「そのためには私たちも頑張らないと。ティアにも早く一人前になってもらわなきゃね。 ――――――ッ!?」 自動車の進路上に、身を投げ出すように倒れこむ人影が目に入り慌ててブレーキを踏み込んだ。 周囲にゴムの擦れる独特の音を撒き散らし、スポーツカーは倒れる人影の直前で止まる。 車内の二人は、ドアから飛び出し人影に駆け寄った。 倒れていたのは中性的な顔立ちをした少年だ。華奢で小柄な体を丈の長いブルーのウィンドブレーカーで包んでいる。 「……あ、ず…ちゃ……」 意識の無い少年は、うわ言で何事かを呟いた。 フェイトが少年の体を起こすと、少年の首に下がったクロスのペンダント―――ちょっとした仕掛けで中にちいさな収納スペ-スがある物だ―――から小さな何かが零れ落ちた。 ティアナが拾い上げたそれは、 「カプセル剤?」 赤と白。二色に塗られたどこにでもあるカプセル錠だった。 「『カプセル』……ねぇ」 複数の陸士部隊から提出された麻薬事件の報告書。それらに添付された新手のドラッグの画像を眺め、ゲンヤ・ナカジマ『一佐』は唸った。 どうにも妙な事件だ。 最近の管理局内部の混乱で捜査の手が足らなくなり犯罪が増える以前から ドラッグに関係した案件も少なくは無かったが、こんなクスリが流行ったことは無かった。 幾人か売人を締め上げたが、どいつも組織的な背景の無い雑魚ばかりで どこから仕入れたかという話になると急に要領を得なくなる。 肝心の『カプセル』についても、押収したものを調べさせたが何かの化学物質かもしれない、と何も分からないと同義の結果だ。 『カプセル』のドラッグとしての効用も他のクスリと比べて、目新しいものではない。 そのくせ馬鹿な若い連中がやたらとハマっているそうだ。 そして、『カプセル』には奇妙な噂があるという。曰く「願いが叶う」と。 陸士部隊の指揮統括を行なう立場になった身としては一つの事件にばかり掛かりきりではいけない。 数は多いが事件としての規模も大したものではない。だが、ゲンヤは妙にそのドラッグのことが気になった。 「……やれやれ」 懇意にしている陸士部隊の隊長―――自分と同じ今では数少ないベテランだ―――に連絡する。 『カプセル』に関して優先的に捜査するようにという指示だ。このぐらいの勝手ならば問題は無いだろう。 ゲンヤは『カプセル』の報告書を処理済の書類の山の一番上に載せ、未処理の書類の山脈へ目を向ける。 「今日も泊まりかね。レジアス中将、あんたすげえよ」 今の自分を遥かに超えるであろう仕事を長年こなし続けた、あまり好きにはなれなかったかつての上司への偽らざる賞賛だった。 『廃棄都市区画』の片隅で鋲のついた皮のジャケットを着た精悍な青年が一人ごちる。 「何だって俺はいきなりこんなトコにいるんだ? ま、なかなか面白そうだがな。 っかし、『魔法』、『魔法』ねぇ」 青年―――葛根市のアンダーグラウンドで最強と謳われた男は、歯を剥き出しにした獰猛な笑みを浮かべる。 「そんなモンが本当に存在するとはな。お前が見たら何て言うのかね? なぁ、『ウィザード』」 目次へ
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暑い日々如何お過ごしでしょうか。 党員の皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 去る8月7日に引退されました前党首レジアス氏から、置き土産を預かっております、 空気のような副党首です。テニエルです。すみません。 党首不在のため、僭越ながら空気副党首なテニエルが仕切らせていただきます。 エルさんお願い早くINしてえええぇ。 とりあえず9月末頃に党会議を開催し、アイテムの分配を行いたいと思います。 具体的な日程は決めておりませんが、なるべく多くの党員の方々に参加していただきたく思いますので、週末夜辺りで実施を考えております。 実施日時の設定に関して、何かご希望などあればGE内にてテニエルにご連絡いただくか、 当HP上にコメントを寄せていただけますと助かります。 分配方法などは、案が固まり次第追って当HP上で情報をあげていきたいと思っておりますので、党員各位様、情報のチェックを欠かさぬようお願い申し上げます。 いい加減疲れてきましたこの口調。 以下、分配予定アイテムリスト 8/30更新(随時更新) [武器] ヴァンパイアリックエッジ+5 (Lv100・曲刀・攻撃14%・+14念動) デーモンスレイヤー(Lv100・大剣) ギガンティックポールアックス+5(LV100・槍、斧・恐竜27%) ジズの槍(Lv92・槍、斧・速度25%・+電撃100・感電5%) アロンダイト+5(LV92ユニ・長剣・攻撃45%・速度9%) クワトロフィーンド+6(LV92・拳銃・攻撃26%・速度20%) ラス(LV92・散弾銃・攻撃12%・命中13・5%フィアー) ゴールデンキャノン(LV92ユニ・大砲・攻撃10%・クリ3・命中9) パラディンメイス(LV88・鈍器・スタン4%・氷結46・アンデッド32%) シャープライフル着剣(LV88・銃剣・念動+28) マグナム+7(Lv68・拳銃・攻撃35%) シャープライフル36口径(LV68・長銃・+10念動・等級2) プルックスソード(Lv40ユニ・大剣・攻撃18%・攻撃速度1%) カストロソード(Lv40ユニ・大剣・攻撃12&・攻撃速度6%) プルックスウィング(Lv40ユニ・盾・防御4・ガード3) [防具] ル・ブラン(Lv100・皮鎧・スカ用) コルセア・ロッソ(LV92・礼服・速度7%・氷結抵抗17) [その他] [コス] 花輪(Vet専用・頭コス・基本キャラ用) ×2 テリオスヘアー(Lv84・頭コス・ファイ♂) ディスターシャコス(LV1・ナジブ専用)&ハット(Lv44・ナジブ(ry) [リング] フューリーリング ヒーリングリング ギガントマルシャリング メディテーションリング アクセラレーションリング コンセントレーションワッド建築リング グラディエーターベインリング クリティカルディズィーズリング チリングタッチリング ラジャーエンラクタリング ファイアボールリング とにかく数が多いです。 多ければ多いほど、分配は大変になるので、こんなん誰もいらねwwwってな感じのアイテムがありましたら、一言いただけると助かります。 売っ払ってVisで分配いたします。