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第七話「追うものと追われるもの」 12月9日 0834時 海鳴市 八神家が見えるどこか 情報部員として監視を始めてから今日で10日になる。 冬場の冷たい雨が降る中、『闇の書』の主とその守護騎士の監視するのはなかなか堪える。 話は変わるが日本での冬という季節は梅雨並みに雨の降る回数が多いそうだ。 これではM9に搭載されているECSもあまり使えない。 「今日も異常なし・・・」 退屈である。自分達にとってあの日まで何も起きないほうがいいのだが 流石にこうも何も無いと飽き飽きする。 別のところから監視している作戦部の連中に通信でも入れて 暇つぶしでもしようかとも思ったが、流石に思いとどまった。 私が表に出ることはなるべく避けたほうがいい。それが情報部員のセオリーでもあり 自分の存在を管理局に知られないようにする一番の安全策だ。 「とは分かってはいるもののやっぱり暇ね~。」 しょうがないので最近買った携帯ゲーム機で時間を潰すことにした。 しかし、あと2~3時間で監視対象が買い物に行く時間だ。 そうすれば少しはこの暇な状況もどうにかなるだろう。 「戦場はつかの間の平和を満喫しているか・・・。」 シューティングゲームを3週したところで監視対象が出てきた。 予想通り買い物に行くようだ。シグナム、シャマル、ヴィータを連れている。 この何も知らない無垢な少女が最悪の特定遺失物である『闇の書』の主だと誰も思わないだろう。 いや、本人の意思に関係なくあれは不幸を撒き散らす。 関わってきた人間の生き血を啜り、心の闇を喰らいあらゆるものを侵食する。 それが例え自らの主だとしても・・・・ 12月9日 1015時 海鳴市 スーパーマーケット ぱらぱらと雨の降る中の買い物は、やはり大変であるのだが お天気キャスターの天然パーマのお兄さんが言うにはこれから数日間雨が降る予定らしい。 とりあえず今日の内に食料を買い占めておいたほうがよさそうだという結論に至り はやてはシャマルとシグナム、ヴィータを引き連れて贔屓にしているスーパーマーケットにやって来た。 「うーん、数日分の献立考えるのはやっぱり大変やな」 八神家の主兼コック長であるはやてでも数日分の献立を考えるのは大変なことなのだ。 「じゃあ、食品を見ながら考えましょうか。」 「そやな。」 「ねえねえ、はやてはやてアイス買っていい?」 「ヴィータがきちんと手伝いしてくれたらな~」 数日分の食料はそれはそれは多くなる。運び手は多いほうがいいのである。 本当ならシグナムとシャマルで足りるのだがヴィータがついて行くと言って聞かなかったので 連れて来たが、どうやら目的はアイスだったようだ。 「うおー!やったー!」 小躍りを始めるヴィータは果然やる気が出てきたらしく目がキラキラ輝きだした。 そうこう言ってる間に食品コーナーに着き、はやてとシャマルは物色を始める。 「そういえばシャマル。ちょっと聞きたいことあるんやけど。」 「なんですか?はやてちゃん」 「この前シグナムがカフェで話してた相手って誰なん?」 図書館に行ったあの日シグナムはカフェで若い男2人と何やら話していた。あのシグナムが、である。 遠くからだったので何を話していたか分からなかったし、シグナムにあれこれ聞くのは 野暮だとは思ったが、そこはまだ9歳の女の子である。 恋仲やったらどないしよう?赤飯でも炊いてお祝いするべきなんやろか? などということが。はやての頭の中を駆け巡っていた。 「ええと、その、街で偶然知り合った人らしいですよ?」 「やっぱりええ関係なんかな?」 「ええ!?それは、そのう・・・シグナムに直接聞てください。」 主の頭の中で自分達と監視者の関係について凄まじい超展開が 起きていることに驚き、フォローを諦めシグナムにバトンを強制的に渡す。 別の場所でヴィータとジャガイモ論争をしているシグナムをちらりと見るはやて。 何やら男爵とメークインのどちらが優れているかで揉めているらしい。 「本人だと、やっぱり聞き辛いやん?そういえば名前はなんて言うん?」 「確か、サガラソウスケさんとクルツ・ウェーバーさんていう方です。」 「何されてる人達なんやろか?」 シャマルは答えを窮した。なんと言えばいいのだろうか? シグナムの話ではこの世界の組織から自分達を守る為に来たということらしい。 それが本当かどうかは自分には判断しきれないが、自分達のリーダーの目を信用することにしている。 「すいません。そこまでは聞いてません。」 仕方ないのでシャマルは素直に分からないと答えることにした。 それにザフィーラが言うには昨日からあの刺激臭がしなくなったそうだ。 もしかすると護衛任務が終了して撤収してしまったのかもしれない。 元から彼らの戦力は当てにはしていなかったし自分達の主敵は管理局だ。 この前の女の子を蒐集したおかげでかなりのページが埋まった。 あと133ページ、管理局の妨害もあるだろうがやるしかない。 はやてはシャマルの言葉にそうか~と残念そうに頷き、ジャガイモの山の前で もはや喧嘩腰になるつつあるシグナムとヴィータを止めに行ってしまった。 余談だが、この喧嘩のせいでヴィータはアイスを食べ損ねてしまった。 12月11日 1540時 海鳴市 闇の書事件対策本部 今日はアースラの主要メンバーを集めての会議があった。 もちろん民間協力者としてなのはとフェイト、ユーノ、アルフも参加している。 会議はまず最初にランディが闇の書関連についての報告を始める。 「前回の襲撃からまだ遭遇はしていませんが被害は拡大しています。 魔導師が2人、大型動物が65頭が襲われリンカーコアが蒐集されています。」 「大型動物?」 「どうも蒐集相手は人間じゃなくてもいいようです。それに魔導師を避けてる傾向があります。」 「では、我々捜索隊の探索範囲も限定されてきますな。」 アースラ捜索隊の責任者のギャレットは、エイミィ達オペレーターがまとめた行動パターンの 資料を見ながら頭の中で今後の重点的に探索範囲を勘案していた。 「恐らく、魔導師相手より獣相手のほうが楽だと踏んだのでしょう。 人間の天敵は常に人間ですから」 ランディがそう言って報告を終える。 「クロノ執務官はなにかありますか?」 「守護騎士達の目的が『闇の書』の完成だということにもはや疑いは無いと思います。 過去のどの例も暴走し現れた土地も甚大な被害を受けました。 問題は、そんな危険物をこの世界の人間までもが狙ってるということにあります。 どこで『闇の書』のことを知ったのか分かりませんが、これは危険なことです。」 「でもクロノ、『闇の書』は主にしか使えないんでしょ?」 「そのことを知らないのか、もしくは完成前に主を捕え洗脳しようとしているのかもしれない。」 「その前にあたし達が『闇の書』の主を拘束すれば全てが解決するわけだ。」 「そうだ。我々の第一目標は『闇の書』だ。現地組織については後からでも調べることが出来る。」 「分かりやすくていいね。」 フェイト、アルフがクロノに質問し今後の方針の形が整う。 そう、自分達の任務は乱入者の相手ではなくロストロギアの回収である。 もちろん、ふりかかる火の粉は払うことになるが・・・ 「武装隊の一個中隊が来てるとはいえ凄腕揃いの守護騎士を相手にするのはちょっと無理があるよ。」 管理局の一個中隊はおよそ150人であるが個人転送が出来る範囲に戦力を分散しており 彼らの相手はかなり難しい。足止め程度は出来るだろうが決定打に欠けるのだ。 今のところクロノとアルフは出撃可能ではあるのだが・・・最悪5対2の状況もありうる。 現在なのはの魔力はほぼ回復しており、デバイスも例の部品を積み込めば修理も完了だ。 あとは医師のお墨付きが出れば出撃可能だ。 ただ、不安もある。あの部品を積み込めば守護騎士達に対抗できるようになるのだろうが安全性の問題がある。 本局の研究班の馬鹿共はあのシステムを使うAAAランク魔導師の実戦データが取れると喜んでるらしい。 本来なら反対する所だが、それがあの子たちの願いでもあった。 もう負けたくないと、あんな思いはもうしたくないと、頑なに訴えるあの子たちを説得するのは無理だった。 「まあ確かにそうだが、数日後には戦力は回復する。心配するほどのことでも無いだろう。 問題があるようなら僕達が全力でフォローすればいい。」 「それはそうかもしれないけど・・・」 「大丈夫ですよエイミィさん、『闇の書』が完成したら大変なことになるんですよね? だったら迷うことなんて無いです。」 協力者であるなのは本人の言葉を聞いてエイミィの心も固まった。 この子達なら大丈夫、きっと何とかしてくれる。そう信じることにした。 前へ 目次へ 次へ
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「ん……?」 グレイがこの世界に現れてから二日が経った。 彼が目覚めたのはベッドの上。それも宿屋にあるような上等なものではなく、どちらかと言うと簡素なものだ。 しばらくグレイはその場で停止する。どうやら状況を飲み込んだ上で、これからの行動を考えているのだろう。 この状況になるまでに憶えている事は、エロールによってこの世界に飛ばされたこと。続いて燃え上がる建物の中での戦闘。それからの記憶は無い。 これがどういう事かを考え、戦闘後に建物から連れ出され、ここに運び込まれたのだと結論付けた。 あの場にいた中でそれができそうなのは、白服の女、高町なのはただ一人。あの後で誰かが来たのでなければ、なのはに連れ出されたのだろう。 ふと、近くに来ていた看護婦が気付き、話しかけてきた。 「あら、目が覚めたんですね」 そう言うと、看護婦がグレイへと歩み寄ってくる。対するグレイは、その看護婦に問い、看護婦もそれに答えた。 「ここはどこだ? 何故俺はここにいる」 「ここですか? ここは聖王医療院です。あなたはミッド臨海空港でモンスターと戦って、その後ここに運び込まれたんですよ」 実に簡潔な回答。おかげで先程の考えが正しかったと証明された。 さて、グレイの頭には現在、一つの単語が引っかかっていた。『ミッド臨海空港』という単語である。 ここで言うミッドとは、おそらく彼の目的地であるミッドチルダ。つまり到着時の状況はともかく、目的地には到達できたという事らしい。 と、ここで看護婦がグレイに一つ伝言を伝えてきた。 「ああ、そうそう。あなたが目を覚ましたら伝えるように言われていたことがあったんでした。 目が覚めて、もし動けるようになったら時空管理局本局に来てほしいって、高町教導官からの伝言です」 ……本局とは一体どこだ? Event No.02『高町なのは』 目覚めてから数日後、グレイが本局ロビーの椅子に座っている。受付の順番待ちである。 普段から腰に差している古刀は無い。どうやら管理局で預かっているようだ。 先日の伝言には、本局に来たときに返すとの旨もあった。だから刀を返してもらう意味でもこちらには来る必要があったのである。 ちなみに他の荷物は病院を出る際に返してもらっている。 と、そんなことを言っている間にグレイの番が来たようだ。受付カウンターまで移動し、用件を伝える。 「高町教導官という人物に呼ばれて来た。取り次いでくれ」 「高町教導官に……ですか? ただいま確認しますので、少々お待ちください」 そう言うと受付嬢は通信モニターを開き、なのはへと連絡を取る。 こう言っては悪いが、いきなり現れてエースオブエースとまで呼ばれるような有名人に呼ばれたといわれても信用するのは難しい。 待つこと数十秒、モニターの向こうになのはの姿が映った。 「あ、高町教導官。あの実は、教導官に呼ばれたっていう男の人が来ているんですが……」 『男の人? その人って、灰色の長い髪をしてませんでしたか?』 「え? あ、はい。確かにそうでしたけど……」 その言葉になのはがしばらく考える。対する受付嬢は反応の無くなったなのはに怪訝そうな表情だ。 (もしかして、空港の時のあの人じゃあ……) 「あの……高町教導官?」 『あ、すいません。じゃあ、その人に待合室で待ってるように言ってくれませんか?』 受付嬢の表情が変わった。本当になのはに呼ばれていたのがそんなに驚くような事なのだろうか? とにかく、すぐに了承して通信を切り、グレイにその旨を伝えた。 「遅い……」 十数分後の待合室。グレイが暇そうな表情でそこにいた。 近くの本棚から本を取り出して読もうとするも、マルディアスとは文字が違うために読めない。 かといって剣の練習もこんな狭いところではできないし、術の練習もまた然り。 それ故に暇潰しすらできずに椅子に座っているほかなかった。他にできる事があるとすれば集気法で回復速度を上げるくらいか。 と、待合室のドアが開く。そこから現れたのはグレイにとっても見覚えのある女性だった。もっとも今は服装も髪型も違っていたが。 「えっと……怪我の具合はどうですか?」 「見ての通りだ。動ける程度には回復している」 まずはその女性、なのはがグレイの具合を聞き、それに答えを返す。 もっとも、動ける程度に回復したら来るよう言われていたので、ここに来ている時点である程度想像はつくのだが。 それを聞き、なのはがほっとしたような表情を浮かべて礼を言う。 「そうだ、あの時はありがとうございました」 急に礼を言われ、頭に疑問符を浮かべるグレイ。どうやら例を言われる理由がサッパリらしい。 どういうことか分からないので、なのはに直接聞くことにしたよう。 「……? 何の事だ?」 「ほら、あの時命がけでモンスターと戦ってたじゃないですか」 「その事か……あそこを出るのにあれが邪魔だっただけだ。感謝されるいわれは無い。 それより、俺を呼び出して何の用だ、高町教導官?」 グレイがそう聞くと、なのはの表情が変わる。今までの優しい顔から多少厳しい顔に。 「一つ、あなたにとって重要な話をするために呼びました」 話は空港火災の日まで遡る。 「なのはちゃん、ちょっと話があるんやけど」 「どうしたの?」 空港火災の日、そこで指揮を執っていた茶の短髪の女性『八神はやて』がなのはを呼び止めた。 表情からすると、何か真面目な話題なのだろう。いつになく真剣な顔である。 「まず、これを見てくれへん?」 そう言ってはやてが出したのは、空港内で確認された何かの反応のデータが映ったモニター。 それは人間だったりモンスターだったり、あるいは炎だったり色々である。 少しずつ時間を進めるような形でデータを進め、そしてある所で一時停止をかける。 「……ここや」 はやてが指差した箇所。その箇所には一秒前まで何の反応も無かった。一秒前までは。 だが、そこに突如人間一人分の反応が現れた。同じように転移の反応も同時に。 これが何を意味するか、理解に時間はかからない。 「え? これって、もしかして……」 「せや。転移魔法かそれとも次元漂流者かは分からへんけど、この時間に誰かがここに転移して来てるって事や」 そのまま再生ボタンを押し、その反応を追う。その反応はどうやら出口を探しながら移動しているようだ。 移動した軌道上のモンスターの反応は少しずつ減っていっている。その反応の主が倒したのだろうか? そしてある程度進んだ時点で再び一時停止。 「そして、この反応がなのはちゃんや」 そう言いながら、その反応の近くにある別の反応を指差す。どうやらこれがなのはの反応らしい。 近くには子供一人分の反応と、大物モンスターの反応もある。 「はやてちゃん、これ……」 なのははすぐに感づいたようだ。その反応の主の正体に。 そう言ったなのはに対し、はやても頷いて返した。 「これは多分、なのはちゃんが助けた灰色の髪の人の反応やろな」 そして、その詳細や目的を確かめるためになのはがグレイを呼び出し、今に至るという訳である。 「えっと……」 そういえばなのははグレイの名を知らない。そのため少し言いよどむ。 それを察したグレイが、自分の名を名乗った。 「まだ名乗っていなかったな。俺の名はグレイ」 「それじゃあ、グレイさん……ここは、あなたがいた世界ではありません」 この後の反応はなのはにも予想はできている。おそらく驚くか、あるいは現実を受け入れるのに多少考えるかの二択。 今までの次元漂流者の場合は、ほぼ全てがそのどちらかだったと、データで見たことがあったし、今まで見てきたのも大抵そうだったからだ。 だが、グレイの反応はそのどちらでもなかった。 「知っている。ミッドチルダだろう?」 その事に逆になのはが驚いた。 ここが異世界だと知っている上で、それで猶ここにいる。それはどういうことか。 いくつか思い当たる可能性はあるが、直接聞いたほうが早い。もしかしたら犯罪目的で違法に転移を行った可能性もある。 表情を若干厳しいものに変え、その疑問を口に出した。 「それはどういう事なんですか? 場合によっては、あなたを拘束しなければいけなくなるかもしれません」 これはどうやら、グレイがエロールから聞かされていた真相を話す必要があるようだ。というより、そうしないと面倒になりそうである。 意を決し、その真相を話した。 「――――俺が聞かされているのは、それで全部だ」 その話は、なのはにとっては信じがたい事であった。 何せ異世界の邪神が復活し始め、完全な復活のための力を蓄えるためにミッドチルダに来ているなどと聞かされても、どう反応すればいいのか分からない。 だが、グレイの目は嘘をついている目ではない。おそらくは真実なのだろう。 「じゃあ、一人でそのサルーインと戦っているんですか?」 相手が神だというのなら、一人で戦うのは無謀。なのに一人でいる……という事は、まさか一人で戦っているのだろうか。 なのははそう思い、グレイへと尋ねる。そして返ってきたのは否定だった。 「いや、仲間があと四人いる。この世界に飛ばされる時に散り散りになったようだがな。 ……そうだ、時空管理局……だったか? お前達の方で同じように見つけてはいないのか?」 飛ばされる時に散り散りになった四人の仲間。それがこの世界に来ているのならば、管理局の方で見つけているはず。 その事に一縷の希望をかけて同じように質問を返すが、なのはから返ってきたのは否定。 「……残念ですけど、あの日に転移してきたのはグレイさんだけでした」 「そうか……分かった」 やはり落胆しているのだろうか、グレイは声のトーンを幾分落として返す。 そうして次の瞬間には、席を立った。 「仲間を探す時間は無い。俺はサルーインを探しに行く」 それはあまりにもいきなりな事。そのせいでなのはは面食らい、のけぞる。 そのまま椅子ごと後ろに倒れるのを何とか踏みとどまり、何とかグレイを引き止めようとした。 あても仲間もないのに出発するという自殺行為を止めたいという一心で。 「待ってください! 出発するって言っても、あてはあるんですか?」 沈黙。 やはりあては無かったらしい。 「それに、相手は神なんですよね? 一人で戦って勝てる相手なんですか?」 さらに沈黙。 「あ、これは絶対無茶だ」という思考が頭を支配しているのだろう。だからといって他の手など思いつかない。 そういう事を考えていたグレイに対し、なのはがとある提案を持ちかけようとした。 「……グレイさん、管理局に協力する気は『なのはさん!』 が、急にオペレーターからの通信が入り、中断せざるを得なくなった。 「どうしたんですか?」 『例の海賊たちです! 次元航行艦が一隻襲われました!』 海賊? この世界にも海賊がいるのだろうか。 そのような疑問を浮かべるグレイを尻目に、通信で二言三言話したなのはが椅子から立ち上がる。 そしてグレイへと向け、謝罪の言葉を口にして部屋を飛び出した。 「ごめんなさい、グレイさん! 急ぎの用ができました! 後で続きを話すので、ここで待っててください!」 部屋に残されたグレイは、一人考えていた。 会話の内容からすると、その急ぎの用とは海賊退治だろう。 ならばある程度役に立つことはできるだろうし、何より待たされるのは御免だ。 そして結論……なのはに同行し、手を貸す。話の続きは移動中でも可能だろう。 その結論を出したグレイは、荷物袋から予備として持っていた武器『アイスソード』を取り出し、それを背に負って駆け出した。 戻る 目次へ 次へ
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「おい、ハチマキ」 「だーかーら、『スバルお姉ちゃん』。何でノーヴェはギン姉にだけで私には言ってくれないのかな?」 「うるせえ!!それはギンガ姉と他のお姉達だけだ!!」 「会う度にいつもこんな事してるけど飽きないのかな?家でもこんなのなの?」 「そうですねぇ・・・。はいはい、二人ともそれまで。続きは次の機会にしなさい?」 「「はーい」」 なのははギンガ・スバル・ノーヴェ三姉妹を引き連れて歩いていた。格好は新しく一新された管理局の 共通制服の航空総隊バージョン。若干の違いを除けば他の三人の着用している陸上総隊の制服と変らない。 ノーヴェは更生プログラム終了後、ナカジマ家に養子となり一応は末っ子となる。 能力制限は更生プログラムの成績がよかったため殆ど掛けられていない。 四人組が歩くのは殺風景な廊下。人の気配は無かった。 「ほんとにこの道でいいんですか?」 スバルが聞いてくる。 「とりあえず間違いは無いはずだけど・・・」 「たしか情報によると控え室がここら辺にあるはずですよ」 なのはの答えを補足する形でギンガが付け加える。 「しかしまた単純な構造の施設だな」 ノーヴェはあらかじめ渡されていた地図を表示する。幾つかの円筒形の空間と工場地区、 それをつなぐ通路、そして輸送プラントを持つ施設。 「『渡鴉の巣』。かつて数多のレイブン達がレイブン試験を受け巣立って行った所・・・。最近 アリーナが一般に知られるまで場所は秘密だった見たいね・・・」 「鳥頭の巣らしく単純な構造ってか?」 ノーヴェが混ぜっ返す。 「ノーヴェもすぐにかっとなって突撃するじゃない?」 「てめえ!!ハチマキ、もう一遍言ってみろ!!」 「そうやってすぐ熱くなるのが駄目だって、チンクちゃんが言ってたじゃない?」 「・・・今ここであの時のチンク姉の仇討ってやる!!」 スバルは妹ができたのがうれしいのかよく“瞬間湯沸かし器”ノーヴェに話しかけている。 スバルなりの愛情表現なのだが何故か喧嘩になる。二人のやり取りを見ればなぜ殴り合いの 喧嘩にならないのか不思議に思うのだが二人のやり取りを見た人は結局姉妹の痴話喧嘩にしか見えない という感想を持つ。その程度の口喧嘩である。 「二人とも・・・、頭冷やそうか・・・?」 「ドリルで・・・、その頭に排熱孔開けようか・・・?」 「「・・・すいません・・・」」 さすがに仕事中ともあればその程度の痴話喧嘩に付き合う必要はない。 「控え室、ここですね」 「でも人がいねえよ」 「時間はまだ早いと言う訳ではないけど」 「鴉達はお出かけ中、といったところかしら?」 「何か御用ですか?」 いつの間にかモップとバケツを持ったエプロン姿の少女が横に立っていた。 人の気配がしなかったので留守かと思ったがどうやら人はいたらしい。 「あー、ここのお手伝いさん?えーと、レイブンの人たちは今日は来ないのかしら?」 「・・・私もこう見えてもレイブンです。お望みとあれば戦いますか?」 「まあまあ、そういわないで。お名前は?」 いきなりギンガに挑戦しようとする少女を止める為、なのははまずお話から始めようとする。 「エネって呼んでください。コアデバイスはピースフルウィッシュ。今は整備中ですが・・・」 「レイブンさんが何でモップ持って掃除してるのかな?」 「実は私、ランクで言えば下から数えたほうが早いんです。だからこうやってお茶組みしたり 軽い食事作ったり、掃除したり・・・。でもそれでみんなからチップもらってるからいいんですよ」 「私は高町なのは。こっちの三人はギンガにスバルにノーヴェ。三姉妹だよ」 「し、失礼しました!!まさか管理局ののエースオブエースご本人だったとは知らず・・・」 そういうとエネは姿勢を正し頭を下げる。 「いいよ、そんな畏まらなくても。ちょっとお話が聞きたいんだよ」 「お話ですか・・・?」 「そう、昔の話が聞きたいの」 「私はそんな昔から居る訳ではないですから・・・、ここ最近のことでしたら・・・」 「“不死鳥”と言われたレイブン。あなたは出会ったことはある?」 こういう聞き込みは元々捜査畑にいたギンガの方が適切だろう。 そう考えてなのはは話し相手をギンガに任せた。 「私は・・・、アリーナで何度か手合わせをしてもらいました。まったく適いませんでしたが・・・」 「ここに来る事はある?」 「あの人は・・・、アリーナには興味が無いのかここで見かけることは無いですね・・・」 一旦、区切り少し考えるエネ。 「アリーナって言うのは昔のようにレイブン同士が戦ったりするだけじゃなくて情報を交換したり、 仕事上のパートナーを探したり、依頼を探す場所になったりしてるんです。特に今のように レイブンズアークが崩壊して依頼の斡旋組織が機能してない状態ではなおさらです」 「知ってそうな人は?」 「最近、レイブンを雇おうとする人が多いから・・・。仕事が多くてアリーナに来る人も少ないんですよ」 糸が途切れたかな?管理局の四人が同じような事を考えた。それを感じたのかエネと名乗った少女は 「あ、でもアリーナ最古参のレイブンって言われてる人がいますよ」 そういうとエネは隣のソファの裏に寝転がっていた中年の男を起こそうとする。 ぜんぜん気が付かなかった・・・。四人が揃って考えたのはそんなことだった。 「伍長、起きて下さい。伍長!!」 「何だエネか、俺の出番でも来たのか?」 「違いますよ。管理局の人が昔の話を聞きたいって・・・」 「管理局?しかも昔の話だ?」 そういいながら男は起き上がり、なのは達の座っているソファに向かって重い靴音を響かせながら歩き出す。 『お父さん見たいな体系だね』 『いやもっと細い体型だよ』 『どっちにしろヤバイだろ』 『帰ったらお父さんを健康診断に連れて行こうか?』 『『賛成!!』』 『・・・みんな容赦ないね・・・』 ナカジマ三姉妹の容赦ない念話に相槌を打ちながらうちのお父さんも若作りしてるけど一応 健康診断に行ってもらおうかな?そんなことを考えながらなのはは立ち上がり右手を差し出し 握手を求めながら名前を名乗る。 「地雷伍長。本名は必要ないだろう。コアデバイスはデンジャーマイン」 「高町なのは。所属は航空総隊戦技教導隊ですが現在は・・・」 「知ってる。アリーナ万年最下位の俺でも知ってるぐらいの有名人だろ」 「そ、そうですか・・・。こっちはギンガにスバル、ノーヴェ。陸上総隊所属です」 「話するのはかまわんができたらそっちの人数を減らしてくれ。いきなり襲われたりしたら適わん」 「ねえねえ、エネさん?」 難しい話をし始めたなのはとギンガ、そして地雷伍長と名乗った男から少し離れたソファに 座りながらスバルは前に座るエネに話かける。 「えーと、スバルさん、でしたっけ?」 「そうだよ。ちょっとお願いがあるんだけど・・・」 「何でしょう?」 「うちのノーヴェと一戦やってくれない?どうせ暇でしょ?」 そう話しながらスバルは隣に座るノーヴェの頭をなでる。 「この子まだまだ経験が浅くてね」 「ちょっ・・・、ハチマキ、何言ってやがる!!こんな小娘に遅れをとるほど弱くねえよ!!」 「なな・・・、あなたがどんな魔導士か知りませんがこう見えてもレイブンの端くれです!!」 「レイブンだろうがなんだろうが小娘には代りねぇだろ・・・」 「いいでしょう・・・。そっちがその気なら白黒つけましょうか!!」 言うが早いか二人は勢いよく立ち上がりにらみ合う。 「それでは十分後、ドーム・Aに来てください。別に尻尾を巻いて逃げ出しても構いませんが・・・」 「それはこっちの台詞だぁ!!」 「あー、なんか話が変な方向に言ってるような・・・」 ふと視線を感じると冷たい目で見るなのはとギンガと目が合う。 『スバル・・・、後で特別メニューね』 『たっぷり稽古つけてあげるから・・・』 『ご、ごめんなさい・・・』 念話からもなのはとギンガの怒りが感じられた。聞こえてきた声は低く冷たい・・・。 地雷伍長は何がおかしいのか笑いをこらえるのに必死そうにしていた・・・。 「何でレイブンになったの?管理局や他の組織でもよかったんじゃない?」 ギンガはコアデバイス、汎用魔導甲冑を着込み最終チェックをするエネに話しかける。 「家族が病気なんです。だから、・・・少しでも実入りの良い仕事をしようって思って。 こう見えても管理局基準で陸戦B+を持ってるんですよ」 「管理局の局員にならない?陸戦のB以上なら中途採用でも歓迎されるわよ」 「・・・やめときます。世間ではあまり良く言われる事は無いですけど、レイブンの人たちって男女問わず 良い人たちなんですよ?」 「そう、気が変わったらここに連絡して。お父さんの部隊だけど管理局は万年人手不足だから歓迎されるわよ」 考えておきます。そういうとエネは甲冑の重い足音を響かせながらアリーナのゲートへと向かった。 それはそこに眠っていた。かつてプログラムはそれを操り、数多のレイブンを葬り、戦場となれば 敵味方容赦なく弱者を踏み潰してきた。 「力を持ちすぎた者」 ある日、それは上位存在と言うべき存在を失い、その力を振るうべき理由をなくした。 「秩序を破壊する者」 上位存在を打ち砕いた者、レイブンに戦いを挑んだ。そして自身もまた打ち砕かれた。 「プログラムには不要だ・・・」 上位存在を失った後、プログラムは停止したはずだった。 だが怨霊ともいうべき人に近い思考はずっとそのプログラムの目的、力ある者を排除するという目的を 果たそうとしていた。 錆付き、ボロボロになりメンテナンスするものもいない機体達の中から動ける機体を選別、起動。 それらは動くのも厳しいように見えた。 そして一本の通路を目指す。それはアリーナへと続く秘密通路だった・・・。 戻る 目次へ 次へ
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「多分、母さんがライダーになったのも、アリシアを生き返らせるためだと思います。 ライダーになって、最後の一人になるまで生き残れば、願いが叶うって聞きましたから」 「そうか…それで、お前は次にあの女が出たとき、どうするつもりだ?」 シグナムの疑問ももっともだ。 その女に作られたクローンだったとはいえ、一度は母として慕った存在だ。 次に会ったとき、戦うことが出来るか。それを疑問に思っているのである。 「その時は…私が止めます。あの人は、私が止めなくちゃいけないから」 「あれ…もしかしてあの人、脱獄犯の浅倉威?」 レストランで食事を終え、店から芝浦が出てくる。浅倉を見かけたのはこの時だ。 と、このタイミングで例の金属音。モンスターだ。 「モンスターか…?」 どうやら浅倉も、この音に気付いているようだ。 もしかして、と思い、芝浦がカマをかけに行った。 「へぇ、これに気付いたって事は、あんたもライダーなんだ」 「何?という事は、お前もライダーか」 「ま、そーゆー事」 それを聞くと浅倉は芝浦へと近づいた。その目からは戦意がありありと見える。 「ライダー同士は戦うものだったな…」 それを聞き、いぶかしむ芝浦。 「何?もしかして、まだ誰とも戦ったこと無いの?」 「他のライダーが見つからなかったからな…だが、やっと見つかった」 やはりまだモンスター以外とは戦っていなかったようだ。正直、かなり意外だ。 「デビュー戦ってわけね。だったらさ…どうせなら因縁のある相手と戦ってみたらどう?」 「どういう意味だ…?」 「弁護士の北岡秀一って知ってる?」 北岡秀一、その名を聞いて浅倉の眉がピクリと動く。 「知ってるよね?あんたを弁護した弁護士なんだから」 この時点で浅倉にも言っている意味は分かった。だが、一応聞き返す。 「何が言いたい…」 「あの人もライダーだよ」 やはりか。つまり北岡と戦えと言っているのだろう。 ならば、その思惑に乗ってやろう。浅倉はそう考えた。だが、話が終わっていないようなのでまだ去らない。 「頑張んなよ。デビュー戦って大事だからさ」 それを聞くと、浅倉は去っていった。いや、さっきまで芝浦がいたレストランへと向かっていった。 浅倉が視界から消えた後、芝浦が携帯電話を取り出し、どこかへと電話をかける。 「あ、もしもし、警察ですか?実は―――」 春休みの最終日、4月7日。この日、ライダーの戦いに動きが起こる。 第十三話『集結』 なぜ、こんな状況になっているのだろうか。 「お願いです、この子を放して下さい!お願いします!」 「黙れ」 浅倉がレストランに立て篭もっている。ご丁寧に銃と人質まで用意して。 芝浦が警察を呼んだ後何が起こったか、その顛末はこうである。 浅倉がそのレストランへと入る寸前、店の窓ガラスに龍騎の姿を見た。 「ここにも別のライダーがいたか…」 北岡との戦いの前に前哨戦もいいだろう。浅倉はそう考え、王蛇のデッキを取り出した。 だが、浅倉が変身するより早くサイレン音。さらには複数台の車のエンジン音。 何が起こったかと思い周りを見渡すと、警察に囲まれていた。ここまで仕事が早いとは、日本の警察もバカにしたものではなさそうだ。 「警察ってのは、何でこんなにイライラさせるかねぇ?」 そうつぶやく頃には、見渡す限りパトカーだった。 「動くな!抵抗をやめ、おとなしく投降しろ!」 数人の警官が出てきて、浅倉を取り囲む。何人かは銃を持っているようだ。 それをどう切り抜けるかを考えていると、一台のパトカーから見知った顔が出てきた。 「匿名のタレコミが入ったときはいまいち信用していませんでしたが…本当だったようですね、浅倉」 「須藤刑事か…」 かつて逮捕した者とされた者の再会であった。 「浅倉…もう一度、あなたを逮捕しに来ました」 「そうかい…やってみろ」 言うが早いか、浅倉は警官のうち一人を叩きのめし、気絶させる。 「やめるんだ!大人しく両手を挙げろ!」 そうこうしている間にも、どんどん警察が増える。と、その時。 「千佳、ダメよ!」 子供が一人、店から出てきた。 それを見た浅倉は、先ほど叩きのめした警官から銃を奪い、その子供の方へと走る。 「浅倉!何をするつもりです!?」 「何をだと?こうするつもりだ!」 浅倉はその子供(千佳というらしいので、今後はそう呼称)を抱え上げ、先ほど奪った銃を頭に突きつけた。 それを見た警官が、一斉に浅倉に銃を向ける。 「俺に近づくな!イラつく…」 で、今のこの状況が出来上がっているというわけだ。 浅倉が外を見る。見事なまでに人の海だ。ちなみにほとんどは警官と記者だ。 「それもこれも、あの弁護士が役立たずなせいだ…」 そう言うと、連絡用に持たされた携帯電話を使い、外の警官に連絡を入れる。 「浅倉だ、要求がある。弁護士の北岡秀一を呼べ」 浅倉が篭城を始めた頃、真司がミラーワールドから戻ってきた。 「っと、仕事仕事。また編集長に怒られ「千佳!」…え!?」 その声に驚き、思わず物陰に隠れる真司。 前と…タイムベントで時が戻る前と同じ。浅倉による篭城事件だ。 「嘘だろ…?またこうなるのかよ…」 真司にとって幸いなのは、前の篭城事件を知っていることだ。これならある程度は打つ手もある。とりあえず、令子へとメールを送信した。 内容は、今真司が現場の建物の中にいること、まだ気付かれていないということ、中の様子、そして…おそらく浅倉がライダーだということ。 それが終わると、今度は北岡へと電話を入れた。今回は前にライダーだった人間で分かる限りの連絡先を携帯に入れていたのだ。 ちなみに、バレないようにトイレからの連絡だ。万全を期し、可能な限り声も潜めている。 『はい、こちら北岡弁護士事務所』 「もしもし、北岡さんですね?」 『ええ、そうですが。何か?』 「浅倉威が立て篭もり事件を起こしたのは知ってますよね?おそらくあれは…北岡さんを呼び寄せるためのものです」 『…言っている意味がよく分かりませんが?』 「ならはっきり言います。浅倉はライダーで、北岡さんと戦うためにこの事件を起こしたんです」 その頃外は。 「…嘘!?」 令子が一言、そう驚く。今しがた届いた真司からのメールが原因だということは言うまでもない。 とにかく編集長に連絡を入れようと思い、すぐに電話をかける。 『…何、真司が!?本当かよ?』 「はい。どうしてだか分かりませんけど、確かに店の中にいるみたいです」 『そうか…分かった。俺も今からそっちに行く』 「あの中にライダー二人か…面白すぎるよ」 外の車から、芝浦が見ている。 ちなみに真司のことを知っているのは、先ほどのモンスター戦で真司の手助けをしたからだ。 無論、「こんなのがいたらせっかくの状況が盛り下がる」という理由だが。 「どうせならもっと盛り上げようかな」 そう言うと、芝浦は去っていった。おそらく盛り上げるための工作に向かうのだろう。 「浅倉から何か連絡はありましたか?」 須藤が部下の警官に聞く。 「いえ、今のところは何も…あ、今来ました!」 連絡用の携帯電話から、浅倉の声が聞こえる。 『浅倉だ、要求がある。弁護士の北岡秀一を呼べ』 その一言とともに電話が切れた。 「北岡弁護士を?一体何故こんな要求を…?」 そもそも須藤が知る限りでは、北岡と浅倉の接点が無い。 どういうことかを署に問い合わせると、北岡が浅倉の担当弁護士だという事らしい。 「担当弁護士、ですか…」 「どうします?」 今は浅倉を刺激しないほうがいい。そう判断した須藤は、この決断を下した。 「…協力を要請しましょう」 「あれ?何やろ?なんか人だかり出来とるけど…」 買い物から帰る最中の、はやてとシャマルが通りがかった。 「…ちょっと、行ってみましょうか」 好奇心に負けた。という訳で二人ともその人だかりに近づいた。 …と、見知った顔を見かけ、声をかける。 「なのはちゃん…こんな所でどないしたん?」 「あ、はやてちゃん。シャマルさん。」 何故なのはがここにいるのか。理由は多分この二人と同じだろう。 「ほら、この通りここは人がいっぱい集まってるでしょ?だから何かあったのかな?って」 予想通りである。 「それで、何かあったん?なんか警察の人もたくさん来とるみたいやけど…」 「ほら、何ヶ月か前に、浅倉威って人が脱獄したでしょ?その人がここに立て篭もってるらしいの」 それを聞くと、二人とも黙り込んでしまった。 「こんな事をしても、何にもならないのに…」 シャマルが呟く。その時はやてが何かに気付いた。 「あれ?あそこにいるの…編集長さん?」 戻る 目次へ 次へ
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ティアナの正面、次の角から先ほどと同じ灰色の機体が二機、姿を現す。 相手が発砲する前に右のクロスミラージュで魔力弾を二発発砲。長い直線、正面の目標、誘導は必要無し。 向かいあう二体も射撃開始。主武装であるガトリングガンが弾幕を張る。 「邪魔!!」 飛んでくる魔力弾をスライディングとシールドで回避。 相手の数が判らない以上、暴露面積を少なくし無駄な魔力の消費は避けたい。 打ち出した二発は多重弾殻を利用した対装甲目標用。 二発はティアナが操作する必要もなく一機の膝関節を二本撃ち抜く。 一機がその場で各坐、もう一機は射角を調整し、ティアナを捕捉しようとする。 だがティアナも然る者、スライディング中にもう二発を右のクロスミラージュの銃身兼カートリッジより 魔力弾を一発生成、弾種は最初の二発と同じ、多重弾殻。 狙いは四本の足の関節が集まる腰部、多脚兵器の弱点。 「シュート!!」 命中、貫通し機体の向こう側まで抜けた魔力弾は壁にぶつかり消滅。 被弾した機体は重量を支えきれず崩れ落ちた。 「よっと・・・」 ティアナはスライディングから態勢を立て直す。 <機種識別、ナースホルンです> 「えーと、警備・市街地戦用の機体だったかしら?」 <はい、装備はガトリングガンのみです> 「施設内にピッタリ・・・」 ティアナがクロスミラージュに返答した瞬間、右脚を打ち抜かれたナースホルンが左足のみで旋回、 砲をティアナに向ける。 「タガーモード!!」 すかさず右手側のクロスミラージュに魔力刃を形成。 さらにナースホルンの懐に潜り込み射撃できない位置へ、そしてそのまま勢いで向けられた砲身を刃部で切断する。 だが、相手はそのまま旋回、ティアナは懐に潜り込んだため、脚の旋回コースに乗っていた。 「あー、もう!!」 左手側のクロスミラージュもタガーモードへ変更。 迫る左前脚を切断し、切り飛ばした足を蹴り飛ばし、勢いを乗せたまま旋回する左後脚も斬り飛ばす。 「おとなしく・・・」 「畜生!!」 ティアナの投降勧告、だがナースホルンのハッチから搭乗員が脱出する。手にはアサルトライフルタイプのデバイス。 抵抗する気は満々、おとなしく手を上げる積もりは無いようだ。 「手間を・・・」 ティアナはナースホルンの車体を使ってステップ。搭乗員の真後ろへ回り込む。 「・・・取らせない!!」 「・・・が!!」 クロスミラージュの握把を首に叩き付け一撃で気絶させる。 「おい!!てめぇ!!」 各坐させたもう一機からも搭乗員が出る。こちらもライフルデバイスを所持。 今度はティアナは落ち着いてクロスミラージュを向け発砲。弾種はスタン弾。 「ぐ・・・、まだぁ!!」 命中、一瞬バランスを崩す。だが搭乗員は気絶することなくライフルデバイスを向ける。 「抵抗するなら!!」 呪いの言葉を吐きながら今度は強めのスタン弾を発砲しつつ回避運動。 「ぎゃ!!」 今度も命中。ティアナが遮蔽物代わりの機体からゆっくりと顔を出す。今回は確実に気絶させた。 「やれやれだわ・・・」 <まったくです> 珍しくクロスミラージュが同意する。気を取り直し気絶させた相手を検分。 「武装はライフルデバイス。ボディアーマーも出回ってる対魔力・対破片用・・・、レベルⅡぐらい?」 それに戦車サイズの多脚機動兵器。 「只のテロリストじゃない・・・かな?」 <ナースホルンは旧式で火力も貧弱とはいえ広く使われています> 「火力が貧弱でも・・・、結構な数がいそうね・・・?」 <確かに。センサーに感、同じく二機> 閉鎖空間の為、音はよく響く。 敵性戦力の存在を目視する前にティアナは走り出す。次の角を曲がればおそらくは接敵する。 角を曲がる。予想道理正面に先ほどと同じように二機。 今度は走りつつ正面から、小技抜きで両手のクロスミラージュを発砲。さらに周囲に射撃用のスフィアを形成、 二機を弾幕で包む。 だが相手も発砲、それをシールドで防御。シャワーの如く打ち出される敵弾の中を突っ切る。 弾数なら負ける、だが、威力と精度で押せば負けはしない!! ティアナの放った魔力弾は前部装甲で弾ける。だがその中の本命は砲身の基部と腰部に命中。 命中を確認後、炸裂させる。だが搭乗員の戦意を奪ってはいない。 案の定ハッチの開く音が聞こえた。今回はそれを折込み済み。予めスタン弾を射出・誘導。 ハッチから出ようとした搭乗員も確実に気絶させたことを確認。ティアナは一息つく。 「フェイトさん、敵性機体を四機撃破。搭乗員はスタン弾で気絶させてあります」 『こっちは六機撃破。地上のトーレ達から連絡があってあっちも小隊規模の敵性勢力と交戦中だって・・・』 一瞬、通信が途切れる。 『七と八機目!!』 <敵機撃破> 雑音が混じる通信、フェイトは交戦しながら通信、その中でバルディッシュの撃破報告が聞こえた。 あちらは交戦開始の時間を考慮してももう八機撃破している。自分は四機と搭乗員四人に手間がかかった。 これが努力した凡人と天才の差かな・・・?ティアナが自嘲する。 「こちらは撃破するのには時間がかかります」 『ティアナはそのまま施設内の掃討を続けて。相手は集団で戦闘に来ないから、分散してるうちに交戦、大丈夫?』 「大丈夫です。行けます」 少しぐらい無理をしても問題はない。 『敵の数は判らない。だから十分注意して』 「了解!!」 「はぁぁ!!」 フェイトが弾幕を正面から受け、最短距離を高速で近接。ハーケンフォームのバルディッシュを振るう。 バルディッシュの魔力刃は一機のナースホルンの腰間接を勢いのまま斬り飛ばし行動不能に追い込む。 僚機に対してはバルディッシュの石突を同じく腰部に打ち込み自身の魔力変換資質を使い電撃を放電、内部の電子機器を焼く。 放電された機体は緊急機構が作動ハッチが開くが搭乗員は中で気絶している。 「はっ!!」 だが最初の一機の搭乗員はまだ“起きて”いる。 もう一機には手甲に覆われた手を押し付け放電。これでこちらも緊急機構が作動するが内部の搭乗員は気絶中。 「バルディッシュ、これで何機目?」 <ナースホルンを十機、イーゲルを二機です> 「搭乗員は?」 <死者無し> 自身にとって半身とも言うべきバルディッシュの簡潔な報告を聞く。 明確な殺意を持って襲撃してくる相手をいなし、気絶させるのは骨が折れる。 「ティアナとのリンクは?」 <室内なので厳しいです。さらに薄いですがジャミングがかかっています。近距離であれば可能です> ティアナは現在執務官の下、執務官補の地位にある。 この立場は執務官補佐と違い、限定的ながら執務官の権限を行使できる地位として設置されたもので、 人数の不足している執務官を補助するものとして導入された。なおティアナはその一号。 執務官への階段、その一段下に位置する地位。それなりの才能と経験が要る。 「バルディッシュ、地図は?」 忠実なデバイスはすぐさまフェイトの正面にマップを表示。 「ここが資材の保管区画だとして、この下り坂は・・・」 下り坂の終わりの先は見えない。 <Sir> 「どうかした?」 <不明瞭ですが生体反応が確認できます> 表示したマップに反応を重ねて表示。反応はまだマッピングされていない奥側に固まっていた。 「・・・じゃあ、この先が正解、って言うことだね」 眼前の表示を消し、フェイトが先を見据える。 「いくよ」 <Yes sir> 地下施設内でフェイト・ティアナ組が交戦していた頃、地上にいる二組と二個小隊も戦火を開いていた。 「・・・意外と動きがいい」 敵はうまく散開し、お互いに援護できるポジションを維持し、隊形はジグザク、ツーマン・ターセルで近づいてくる。 「誘導弾、第四波来ます」 セッテの警告。トーレはさっきから飛んでくる誘導弾を視認。先ほどからほとんど同じ方向から飛んでくる。 「セッテ、迎撃しろ。飛び回るのは暫く私が相手をする」 大して問題ではない。だが迎撃のためセッテが手一杯になるのは痛い。 「判りました」 「管理局の航空隊よりは手強いだろう」 セッテが迫る巡航誘導弾へ迎撃のためEO四基を連れ、さらに上空へ上がる。 迎撃が終わるまでここに展開する敵性戦力を相手にするのは自分だけだ。 陸の局員は二人の高速戦闘には向いていない。進入口の防衛に徹して貰う。 「はっ!!」 戦闘機人の持つ策敵機能を利用し周囲を策敵。敵影は十四、探知範囲を広げると誘導弾の発射源と思われる反応を感知。 だが、今は発射源より手近な相手を減らすこと。近い位置にいた一組・二機に目標を定めて加速。 相手の機種はスーパーシミターが中心。セッテの索敵では支援機と思われるイーゲルが二機いるとの事。 案の定、狙った組の両翼の組の射線につかまる。狙われた組はバルカン砲を撃ちながら推力を生かし跳躍、 地面スレスレを飛ぶトーレの頭上を取る。 両翼下のハードポイントに装備されたロケット弾ポッドから無誘導の魔力推進ロケットが飛び出る。 ロケット弾が指向されたのはトーレの進行方向。 本来なら左右どちらかに回避するべき状況。だがトーレはさらに加速、着弾の前に相手の後ろを取る。 トーレを撃つ本命とも言うべき左右の二組はさらに前進したトーレの動きに面食らった。 目標が左右どちらかに避ければ動いたほうの組が同じように進行方向にプラズマランチャーもしくはロケットを打ち込む筈であった。 彼らにとっての目算が崩れる。だがトーレが考えたとおり、すぐに態勢を立て直す。 トーレの見立て通り相手は分散した。自身が陣形に突入したほうは四個組が、他の組はトーレを無視し前進する。 彼らに与えられた任務は出来る限りこちらの戦力を減らすことらしい。 それを迎撃すべきセッテは以前向かってくる誘導弾の迎撃に手をとられている。 『セッテ、急げ』 『次ので最後です。すぐにでも迎撃します』 『イーゲルに注意しろ。下手に射線に捕まればすぐに削られる』 『承知しています』 『フェイトお嬢様の指示もだ。誰一人殺すなよ』 『それも承知しております』 通信終わり。一々喚いたり文句を垂れるたの妹達より手がかからない事は良い事だ。トーレはそう思った。 自身の置かれた状況はスーパーシミターが地上に二組・四機、上空にも同数。 三次元機動は可能。まずは相手の数を減らすのが肝要。 目標を定める。まずは地上にいる一組。 自身のIS“ランドインパルス”を発動、加速するだけがこのISの能力ではない。 まずは前進、案の定、相手の射線に捉る。ここであえてキル・ゾーンに入り相手の射撃を誘う。 相手はこちらの高速・加速性能を考慮にいれ射撃を開始する。 見事な連携と射撃方向の設定・・・。 戦闘中であるがトーレは感心した。それも一瞬で次の動きに移る。 機動力を生かした直角ターン。勿論それを見越して射撃を受ける。 今度は後方にバックを行い、距離をとる。 一瞬で自身の高速機動によって出来るはずの相手の火網の穴を探る。 (見つけた!!) 高速機動に対応するため面制圧を重視し広く満遍なく撃ちこんだ為、どうしても薄くなる場所が出来る。 それを狙ったのだ。 まず地上の四機に再び目標を定める。四機からは自分達の射撃で舞い上がった雪等でこちらが見えていない。 一気に接近、トーレが突撃してきた事に驚愕したのか一瞬、彼らの判断が遅れる。 「はっ!!」 すかさず一機の懐に潜り込んだトーレが左拳を打ち込む。 『絶対に殺したら駄目だからね?』 フェイトの指示が脳裏を掠める。その言付け通り拳は搭乗員の体を突き抜ける事は無く打ち込まれた。 機体の機能のみを奪う。 「一機目!!次!!」 すばやく次の獲物へトーレが動く。 セッテは接近する巡航弾をブーメランブレードで迎撃すると急降下、地上の目標へと向かう。 まず狙うのはトーレに注意を促された二機のイーゲル。 一機の一機に標的を絞り急降下。 二機のイーゲルは待ち構えていたのか砲塔部を旋回、両腕部に装備された連装機関砲・合計四門をセッテに向け発砲する。 右へ左へ回避機動、だが目標からは目が離さない。 (もし・・・鷹の獲物が抵抗したら鷹もこのような光景を見るのでしょうか・・・?) セッテは図鑑でしか見たことはない猛禽類達を思い浮かべた。 飛行し、獲物へと襲い掛かる。まさに自分らの用ではないか? 思考中断。今は眼前の敵を撃破すること。戦闘は先頭機人として生まれた自分にとって生きることと同義。 EOを散開させる。両手にブーメランブレードを実体化させる。 「斬る!!」 近付けば近づくほど濃密になる火網を物ともせずセッテは突入する。 狙うのは標的の胴体側の脚接続関節。 ブーメランブレードの刃が接触するかしないかの位置まで近接した瞬間、急制動をかける。通常やらないような急制動、 並の航空魔道士では命は助かっても肉体がが持たない。フェイトでもそんな非常識なことはしない。 戦闘機人であるセッテだから出来る高速機動。 そのまま後ろに向かって切り裂く。 「浅い?」 イーゲルは転倒しなかった。後ろに離脱したセッテに向けて砲塔を旋回、再び連装機関砲を発砲。 セッテはトーレと違い射撃系を織り交ぜたテクニックを使う。 回避しつつ塞がっている両手の代わりにブーメランブレードの刃先を向け、そこに射撃用スフィアを展開・収束。 「ファイヤ!!」 撃ち出したのは二線、狙いは胴体と脚の接続部と胴側の脚間接部。 射撃後、態勢の立て直しもかねて着地。速度がついていた為か新雪の上を滑る。 停止、その時にはセッテの両手にあった筈のブーメランブレードは無い。 セッテが止まるのと同時に二機のスーパーシミターも停止した。ブーメランブレードを突き刺されて・・・。 射撃後、着地する瞬間に投擲、自身のIS“スローターアームズ”で誘導、直撃させた。 「殺してはおりません」 撃破したイーゲルと二機のスーパーシミターを見てぼそりと一言。 「残り三機・・・、このセッテがお相手いたします」 再びブーメランブレードを実体化させ構える。残り三機。 「あまり時間はかけれない・・・」 地上の宿営地組、こちらも交戦中。エリオは宿営地から離れることなく支援を受けつつ遊撃戦を展開していた。 青い塗装をされた二機が交差しつつ右手で保持しているロケット弾発射機を撃ちながら接近、近接戦を挑む。 エリオは放たれたロケット弾を下がる事無く正面で回避、迎え撃つ。 「ふっ!!」 一瞬互いの間合いに入る。相手は左手を繰り出し接触する寸前、カートリッジをロード。 (ペレットパンチ!!) あまり一般的な武装ではない。カートリッジに充填された魔力を直接収束、相手に叩きつける近接用兵器。 だがカートリッジの最大出力をそのまま叩きつけるので侮れない威力はある。 エリオは一機目のパンチをステップで回避、もう一機のパンチはジャンプで回避。 予想通り、後方にいた他の機体を確認、前方にいた味方機との同士討ちを避けるためこちらも接近戦を挑む。 <ソニックムーヴ> 機体同士の隙間を縫うようにしてジグザグ機動、無論手を出すのを忘れない。 ストラーダの刃部で斬りつける。確かな手ごたえを感じる。 エリオの駆け抜けた後、二機が背中のジェネレーターを突き刺され稼動不能に陥り各坐、 もう一機は左腕を切り飛ばされる。 「まだうまくいかないか・・・」 ソニックムーヴを利用した複数に対する一撃離脱、研鑽を重ねた技ではあるがまだ自分は未熟。 「ストラーダ、このまま誘導するよ、行けるね?」 <ヤボール> 戦闘不能の二機を残し、他の四機をエリオを追う。 エリオは不利とわかりつつ追撃を受ける。 『いいよガリュー、そのまま誘導して・・・』 ルーテシアが通信を送る。ガリューは了解という意味の短い信号を送ってくる。 具体的にわかるというわけではない。だが彼女にはわかる。ガリューと他の虫達の送ってくるコトバが。 ガリューは適当に相手をいなし誘導する。 今の所うまく言っている。予定通り・・・。 「キュー?」 「エリオ君なら心配ないよ、ルーちゃんやガリューも」 「キュー・・・」 キャロは廃ビルの二階にフリードと共に潜んでいた。 キャロの役目は一箇所に集めた相手を火力で持って動きを止めること。 「いつでも出来るように準備しておいてね、フーリド?」 「キュ!!」 「うん、がんばろう!!」 「ガリュー、そっちはどう?」 『・・・・・・』 『ガリューがちょっと遅れるって・・・』 ルーテシアの通訳がつく。エリオは一瞬考える。このまま行くか?タイミングが命、少しでも息が合わなければ ルーやキャロ達から同士討ちを受ける心配がある。だが時にはリスクを重ねなければ強くはなれない。 騎士道に於ける師匠、シグナムはそういっていた。 「このまま行こう、キャロ、竜魂召還を用意して!!」 『うん、まかせて!!』 予定通り角を曲がる、相手はそのまま追撃してくる。道路幅は変わっていない。 左右を遮蔽され、待ち伏せ向けの場所。 前方から一寸遅れたガリューが見えた。だが誤差の範囲、いける!! エリオとガリュー、高速ですれ違う。 「キャロ、今!!」 『すばしっこいガキが!!』 『早い、射撃が当らん!!』 『全員落ち着け、そっちはどうだ?』 『すばしっこい虫野郎を追跡中、速度はそこまででもないがゴキブリ並みにすばやい』 『そのまま追い込めこっちの白衣のガキと一緒に挟撃する』 機会はすぐに来た。エリオを追跡する四機が角を曲がりきると遅れてもう一隊に追跡される虫野郎が見えた。 『よし全機、射撃開始!!同士討ちは気にしないで撃て!!』 しかし撃とうとした瞬間、白衣のガキと虫野郎が交差したと思った瞬間、二人は飛び上がった。 『馬鹿が!!いただ・・・』 右手の発射機を空に向けた瞬間だった。 大きなピンク色の光を視認、そこから現れたのは・・・。 白銀の飛竜!! 「フリード、ブラストフレア!!」 「キュクー!!」 通りを一瞬で埋め尽くす火炎の渦。 チビ竜モードではない、本物の竜の力。一応は手加減しているが・・・。 「ルーちゃん、次をお願い!!」 「うん・・・」 ルーテシアがベルカ式の三角の魔方陣を形成。 「トーデス・ドルヒ・・・」 周囲に形成されたのは無数の黒いタガー。 「ファイヤ・・・」 一斉に加速する無数のタガー、狙いは通り全体。 着弾し爆発。 「ストラーダ!!ロードカートリッジ!!」 締めはエリオ、地面に向かいデバイスを突き立てるように垂直降下。 自身の魔量変換資質を利用して大量の電力を発生させ蓄電する。 急制動をかける。 大きな衝撃を小さな体で受ける。凄まじい圧力。だがそんなもの気にしてはいられない。 「電撃開放!!」 止めで強力な電撃を流す。エリオは一回転して華麗に着地。 ストラーダについた汚れを一振りして落とす。 前後には各坐した機体が八体。 「やった・・・!!」 キャロがフリードの上で親指を立てている。 エリオはそれに同じく親指を立て返す。そしてルーテシアにもサインを送る。 ルーテシアも小さく親指を立てて返してきた。 本当はハイファイブをしたいが我慢しよう。エリオはそう思った。 施設内ではティアナが走る。角を曲がり、あらかじめ索敵しておいた方向へクロスミラージュを向ける。 『来た!!』 『射撃開始、撃て!!』 待ち構えていたナースホルン二機が発砲。ガトリングガンのショットガン現象も併せて二機は弾幕を張る。 打ち出された弾は壁を削り、あるいは天井で跳弾、床に空ける。 『やった!?』 いくらBJといえど回避の出来ない弾幕をこれだけ受ければ・・・。 『待て!!いないぞ!?』 『まさか?』 光学系電子系のセンサーを使用し探知、確かに倒れているはずの相手がいない。 『どうなって・・・、警報?至近に魔力反応って!?』 『位置は・・・、真横!?』 二人が同時に横を見る。 そこには両手を開き魔力弾用のスフィアを拳銃型デバイスの先に生成した少女がいた。 「シュート!!」 弱点である腰部を対装甲魔力弾で打ち抜く。脱出する搭乗員に対してはスタン弾で気絶させる。 崩れ落ちる二機。 ティアナの使える“渋い”幻影魔法を使った戦術。幻術系は使用者が少ないのでうまくやれば簡単な引っかけでも 効果は絶大だ。 「フェイトさんやエリオみたいに変換資質持ってれば苦労しなくて済むけどね・・・」 <全くです> 「・・・あなた最近、誰に似てきたの?」 <そうでしょうか?> こんな性格してる人、周りに居るかしら・・・? ティアナは疑問に思った。 もしこの性格が本当のクロスミラージュだとしたら・・・?ティアナは戦慄した・・・。 <何をお考えですか?マスター?> 「ん?い、いやなんでもないよ?さあ行こう?」 人差し指でクロスミラージュを回転させ握りなおし、ティアナ通路を再び駆け出した。 戻る 目次へ 次へ
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「あれ?ノーヴェ、スーツのデザイン変えたの?」 「ああ、ギンガ姉のアドバイスでな」 「へぇー。装甲を増やしたの?」 ナンバーズ共通のスーツは変わらず、両肩に取り付けた装甲板に自身の名前である数字の9をペイントし、 右側だけだったジェットエッジを左右に装備、の二の腕と体の正面を守る目的で増加装甲のプレート。 「一応、着脱できる・・・って、何でお前に教えなきゃいけないんだよ!!」 「ノーヴェは突撃型じゃなくて、汎用前衛を目指すんだ?」 ノーヴェは認めたくないがもし禁じ手無しで真っ向勝負をスバルとした場合、IS・振動破砕を持つスバルには 勝機は無い。しかも経験や技のレパートリーでも大きく水を開けられている。 おかげで何度もスバル挑んでは連敗記録を更新していた。 紙装甲でも一本道な突撃が出来るのが防御魔法も使える姉二人。それと比べると同じ紙装甲でも魔法による 強化が出来ないノーヴェには同じ戦術は出来なかった。 そんな時、稽古をつけいたギンガが、 『スバルと同じスタイルを目指すより自分自身のスタイルを見つけなさい』 そういわれて考え、試行錯誤の末辿り着いたのが現在のデザインだった。 相手の射撃に臆することなく突撃、機動、回避、防御、確実に相手に打撃を打ち込む。 そのために今までの機動を邪魔しない範囲内で装甲を増やす。 高速を突き詰めても防御魔法が出来なければ同じ装甲でも意味合いが違う。 だが気に入っている本当の理由は。 『ほう、ノーヴェ、デザインを変えたのか?よいデザインだ。しかしうらやましいな、姉も変えてみるか』 チンク姉に褒められたからである。 「まあな」 そうやってお茶を濁す。今度こそ勝ってやると思っている相手にあまり見られたくない。 「ノーヴェ、がんばって」 そういうスバルに背を向け、ノーヴェはアリーナの入り口に向かった。 ゲートが開き、アリーナ内に足を踏み入れる。そこは広い円柱状の施設だった。 『高さはあるが狭いな』 ノーヴェにとっては閉所戦闘は得意な戦場となる。ジェットエッジによる機動力と腕のガンナックルによる打撃力を持つ 自分のほうが有利。そうノーヴェ踏んだ。 「・・・時間通りですね」 「ふん・・・」 ノーヴェの入ってきたゲートの正面のゲートより先に入場していたエネが話しかける。 相手の武装は軽量二脚型。武装はハンドガンにサーベル。左肩に用途不明の箱、右肩にチェーンガン。 目指す戦闘スタイルは同じか近いモノらしい。 「ギンガさんにお話を聞きました。ただの魔導士じゃないそうですね?」 汎用魔導甲冑の頭部ハッチから顔を出すエネの言葉にノーヴェの口元が引きつく。 「戦闘機人、強化人間ですか?」 「だったら?」 「話に聞く強化人間は壊れた人たちが多いものですから・・・」 「・・・わたしはそんなんじゃない」 上の方の窓から見下ろすギンガ達を見る。 自分を製造したジュエル・スカリエッティ博士。 今では何人か欠け、出会わなかった姉もいる、共に居れた時間も少ないが確かな家族だった十二人。 JS事件終了後、自分達戦闘機人に世界で生きるための知識を教えたギンガ。 無理を承知で頼み込んだ自分を本当に養女にしてくれたゲンヤ。 壊れるような理由がどこにあっただろうか?博士もゲンヤもギンガも自分に意味を与えてくれた。 「わたしはノーヴェ・ナカジマ。お前は?」 名前なら最初に教えてるてるのに・・・。きっと上で見ている三人と一人はそう思っているのだろう。 「エネ。ピースフルウィッシュ、いきます!!」 エネも乗ってきた。同やらノリの良い性格らしい。 <Get Ready Set> エネのデバイス、ピースフルウィッシュが頭部ハッチを閉鎖し、スターター役をする。 <Ready Go!!> 開始と同時にジェットエッジのローラーを使って一気に相手との距離を詰め、一気にケリをつける。 それがノーヴェの選択した戦術だった。 だがエネも初動で距離を詰めようと右手のハンドガンを打ちながら接近。 「・・・ちっっ!!」 数発がごく至近を通過。射撃の腕は少しはやるらしい。 「そこ!!」 エネが左手のサーベルを展開、右側、やや下側から横薙ぎに切りつける。 ノーヴェは左にに半身を取ってその斬撃を軽く受け流す。 。同時に右足のジェットエッジを加速、そのまま振り上げ エネの開いた胴体を蹴り上げる。 「っく!?」 最初の一撃はこっちがもらった。不用意に突撃し、右の胴蹴りを受けたエネは足裏を滑らせながら下がる。 最初の一撃からこっちのペースに引き込むことで有利に立つ。 もし相手がこちらより高ランクであっても低ランクであっても先手をとることが重要。 新しい戦いの師、ギンガに教わった戦い方だった。 「・・・やりますね」 「お前じゃ勝負にならねえよ」 「そうですか・・・」 言葉とは裏腹にエネは機体を立て直す。まだまだやれるという意思表示として。 「まだ始まったばかりですから!!」 言うが早いか即座に行動を開始するエネ。それに合わせてノーヴェも動く。 ノーヴェがローラーでダッシュしつつ左手篭手部に装備された発射口から光弾を連続発射。 相手を削り消耗させ追い込もうとする。 それをダッシュと機体の動きで回避するエネ。機を見てこちらは正確な照準の発砲、連射。 今度はノーヴェが攻撃を受け止める番。両腕部のシールドで攻撃を受け止める。 「意外と一発が重い!?しかも熱!?」 「はぁぁ!!」 右手のハンドガン、それに右肩の単装チェーンガンで弾幕を張り動きを制約する。 相手の動きを固め、高速で接近、寸での所で飛び上がり相手を切りつける。レイブンの常套な近接戦闘法。 プレート状のシールドに電気的な負荷を掛ける。今回はサーベルをかわさずシールドで受け止めるため。 エネルギーとエネルギーの接触する音。 コア・デバイスの甲冑の機能でいくらか軽減される中のエネと違い、ノーヴェは直接エネルギーの衝突の 余波を受ける。 「・・・っと!!」 「まだまだ!!」 一瞬だが固まるノーヴェ。機を逃さずブレードで斬りつけるエネ。 だがノーヴェが右手でレーザーブレードの本体がある左の二の腕を手で止める。 「熱・・・!!」 ブレードの部分の至近は放散される前のエネルギーが残り空気が高熱を持つ。 それでも素早く左手で胸部にブローを一発、機構的な限界まで左手を捻り上げ、振りほどこうとするエネを押さえ、 今度は足を払い相手をあお向けに倒す。 「これでとどめ!!」 ノーヴェの右の拳が振り下ろされようとした瞬間、今度はエネが機体のブースターを点火し転がりながら逃げる。 ブースターを付けぱなっしにしながら立ち上がると最高速度で相手に接近。 「まだいけます!!」 今度は機体自体の質量を武器にしたショルダーアタックを敢行。降ろし打ちが外れ、追撃に移ろうとした ノーヴェと正面からぶつかり合う。 「がはぁ!!」 軽量二脚型とはいえ重量はそれなりにある。それを加速つきで受けたのだ。戦闘機人のノーヴェといえど唯ではすまない。 吹っ飛び、転がってゆくノーヴェ。無理にとめようとせず勢いが弱るタイミングを計る。 弱ってきたタイミングを計り、左肩と腕で、手のひらに力を集め左手一本で数メートルを一気に跳躍。距離を稼ぐ。 「やりますね・・・」 息を切らせながらエネが口を開く。 「おまえこそ・・・。どんな相手でも油断するなとギンガ姉に教えられていたのを忘れてたぜ」 体内の損傷箇所をチェック。機能不全を起こした部分の維持装置をカット。ゆっくりと構えに戻るノーヴェ。 「まだまだいけるな?」 「勿論!!」 エネがうれしそうに答える。 ノーヴェはエアライナーを展張。 「いくぞ!!」 「いいでしょう、空中戦でも!!」 エネもブースターに点火し飛び上がる。 交差する一瞬で一合結び合う。それを何度も繰り返しながらも互いに一歩も譲らない。 自由に空を移動し360度を攻撃できるエネのピースフルウィッシュとコースは限定されるが強力な足場を自由に設定し、 機動の自由を持つことが出来るノーヴェ。 二人の戦いぶりを見ながらスバルとギンガは驚嘆していた。 「最初に名乗りあげてから戦うなんてさ、一騎打ちみたいだよね」 「家でよく時代劇よく見てましたから、・・・父さんと」 「ギン姉も一緒に見てたような・・・」 「・・・スバルなんか言った?・・・でも、レイブンとはいえ、ノーヴェが下位にここまで苦戦するとはね」 「すごいよ、あの子・・・」 「そりゃそうだ、あれぐらい出来なければレイブンを名乗れんよ」 地雷伍長が口を挟む。 「伍長はかつて“不死鳥”の戦いを見たことがありますか?」 同じように観戦していたなのはが伍長に聞く。 「俺はやつに簡単に踏み台にされただけだからな」 そういうと豪快に笑った。 「だが、やつのアリーナ内の戦いはこの特等席から見ていたよ。やつは、そうだな、奇に衒わない装備と機体を 使っていたよ。戦術もそれ相応のものだった。確実にマシンガンを打ち込まれ削られ、動きを掴もうとすれば いつの間にか誘導弾が飛んでくる。弾幕を掻い潜れば今度は斬り付けられる」 そういうと地雷伍長は拳を作りなのはの目の前で開いてみせる。 「ボン!!・・・どうやって勝てばよかったんだろうな?」 「砲戦タイプじゃない?」 「時々、グレネードやレーザーランチャー積んでるを見たが接近戦の手数を好んでいたようだな、あいつは」 「あれ?なんだろ?」 「エネさんのお仲間かしら?」 最初に気づいたのは二人の戦いに見入っていたスバルとギンガだった。 言葉につられて四人の視線が集まったのは黒と赤のツートンカラーに染められた魔導甲冑だった。 「な・・・、何であいつが・・・?あいつはやばい!!エネ、それに遊んでる嬢ちゃん!!すぐに脱出しろ!!」 それの意味に気が付いたのは地雷伍長だけだった。 「どうしたんですか?」 突然焦りだしたなのはが地雷伍長に聞いた時だった。 『館内放送、管理者権限を有するプログラムの指示により施設内の全隔壁を閉鎖。敵性侵入者を排除します。 繰り返します・・・』 「「「っい!?」」」 館内の灯が消え非常用電源に切り替わる。そして分厚い耐衝撃ガラスをサンドイッチする形で 厚い装甲シャッターが下りる。 「まって!!」 あわててドアに駆け寄るスバル。だが簡単にドアにはシャッターが降りる。 耳を澄ませば多数のシャッターが下りる音が響いてくる。 「閉じ込められた?」 「そうみたいだね・・・」 なのはは落ち着いて状況を考える。敵性の侵入者とはおそらく自分達しか居ない。 「ギンガ、スバル、バリアジャケット着用!!おそらくさっきの魔導甲冑が排除用の抗体だよ。すぐにノーヴェと エネさんを助けに行くよ」 そういうとすぐにレイジングハートを起動。続けてスバルとギンガもマッハ・ブリッツの両キャリバーを起動。 三人ともバリアジャケットを着用。 「どうしますか?」 ナンバーズのスーツを自分仕様に仕立てたバリアジャケット姿のギンガが聞く。 「とりあえずノーヴェとエネさんを助けに行かないと!!」 こちらは殆ど代らぬデザインのバリアジャケットを着装したスバル。 「この壁を抜いてすぐに行こう」 早速先ほど窓があった壁にレイジングハートを向ける。 「やめとけ、ここの壁は基本的に両面AM処理済の素材だ。ドーム内での下手に強力な魔力放出に耐えれるようにな」 そういうと同時に壁の向こう側から大音響で爆発音が部屋に響く。 「しかも内側は魔力を拡散放射するミラー入り」 「私の砲撃なら!!」 「はじき返せなかった分はミラー内で流れるからな他の壁が爆発する。外側にも逃がそうそうとするから・・・、 内部の人間はえらい目にあうだろうな」 「ドアは?」 「・・・只の対爆仕様だよ」 「・・・スバル!!」 「はい!!」 ギンガが聞き、地雷伍長が答え、なのはが指示し、スバルがナックルでドアを吹き飛ばす。所要時間は三十秒。 四人が部屋を出る。廊下は非常灯だけが点灯し、分厚いシャッターが下りていた。 「ノーヴェの方のゲートのほうが近いです。そっちにいきましょう」 「奇遇だな。俺のデジャーマインもそっちにあるんだが・・・」 「スバルとギンガ、シャッターはすべて吹っ飛ばして。無理だったらISの使用も許可するよ」 「「了解!!」」 二人がキャリバーを加速。一気に二人を置いてけぼりにして進んでいく。 「二人とも、早いもんだな」 「伍長は後から来てください。ではお先に!!」 そういうとなのはもジャンプ。一気に加速して飛ぶ。 「やれやれ急いで行く事もなさそうだな・・・、やつが簡単にくたばるとは思わなかったが・・・、 あいつがしくじったとも思えん・・・」 三人を見送り、言葉を区切って自分の歩いて行くべき道を見つめ一人つぶやく。 「アリーナの、レイブンズ・ネストの亡霊か・・・」 <ボス、甲冑を着用しますか?> 「いや、まだいいよ、ゆっくり行こう」 <ラジャー、ボス> 胸元からぶら提げる地雷の形をしたネックレスに答える。少し考えた後、地雷伍長はゆっくりと歩き出した。 ドーム内ではノーヴェとエネが戦闘を中止し、正体不明の乱入者と相対していた。 「お仲間を呼ぶとはな。いい性格してるじゃねえか!?」 ノーヴェがエネに対して凄む。 「知らないわよ!!・・・ちょっと、いきなり乱入するなんていったい誰よ!?」 どうやらあちらも知らないらしい。 そしてこちらも知らないということは・・・。 「まあ、どっちにせよ、ぶっ倒すだけだ。エネ、お前の相手は後だ。こいつはわたしが相手してやる」 「該当なし?旧式のパーツで構成された機体って事だけ?・・・まあ、邪魔されたお礼はしないとね。 私も倒すのは手伝うわ。勝負はその後で。いいですか?」 もちろん、そうノーヴェは首肯する。 ノーヴェとエネ、両者ともに戦闘体制で構える。 相手は動かない。装備は右肩に誘導弾ポッド、左肩にグレネードランチャー、右手にパルスライフル、 左手のサーベル、どう見ても普通のレイブンの装備だった。機体も非の打ち所が無いほどバランスが 取れた中量級機動型。肩には黒い⑨のマーキング。 「仕掛けてこないなら・・・」 最初に仕掛けたのノーヴェだった。 「こっちから行く!!」 エアライナーを展張、目標の黒い機体の周囲に広げ足場を確保。常人では耐え切れないような加速で突撃。 「では私も!!」 それに合せるかのようにエネのピースフルウィッシュが動く。こちらは自身の定石通りの相手の動きを 固めてから弾幕を張り動きを封じる。一応ノーヴェがいるが、あまり気にはしていない。 「・・・上等!!」 火の中に突っ込むノーヴェ。相手は固まっている。そう考えたノーヴェが一気に距離を詰める。 「え・・・?」 一瞬の動きだった。弾幕の中で動かなかった相手が突然、動いた。一番危険であろうノーヴェでは 無くエネに向かって。 「こいつ・・・、くそ!!」 ジェットエッジで緊急制動を駆け、ターン。だが後ろを振り向いたとたん襲って来たの誘導弾二発。 開始しようとするが近接信管が起動。大量の破片と魔力片をばら撒く。 上半身の装甲で受け止めるが大幅に姿勢を崩す。 姿勢を直しつつ体内と装備の状態をチェック。異常なし。まだやれる!! 「このこの!!当らない?なんで!?」 エネが必死に機動し、ハンドガンを放つ。チャンスを作ろうとするがあざ笑うかのように敵は近づいてくる。 敵機が右手を構え、パルスライフルの銃口がこちらを向く。 「そんな豆鉄砲で!!」 発砲炎が見えた。その次の瞬間には右手の機能異常を知らせるアラート。 「・・・嘘、間接を一発で?でもまだ!!」 そう吐き捨てながら前方を睨む。いた。もう目の前に左手を振り上げた黒と赤の機体が。 「そんな・・・」 次に感じたのは衝撃で倒れる感覚と地面を滑っていく感覚だった。 ノーヴェから見えたのは一瞬だった。左手を腹に打ち込み相手を倒し加速していく背中。 次の瞬間、機体は左へターンし、円形のドームを一周。赤と黒の機体はノーヴェの背後に回るする。 ノーヴェの正面には股関節部分を打ち砕かれたエネの姿が見えた。 「ごめんなさい・・・、戦闘機動は無理そうね・・・」 「そいつじゃ勝負出来ねえだろうが、下がってな。こいつはわたしが相手にする」 「・・・了解、お願いするわ」 さすがはレイブンの端くれ、引き際は早い。 「すぐにギンガ姉たちが助けに来てくれる。それまで待ってろよ」 そういいながら相手に振り向いたとき、ゲートの開く音が聞こえた。それに続いてきたのは・・・。 「きゃぁぁぁーーーー」 エネの悲鳴。ゲートの開いた先にいたのはまったく同じ機体がもう一機、いた。 「な、てめえ!?」 機体はほとんど動けないエネの胸元をつかむと軽々と持ち上げ投げ捨てる。 そして左肩のグレネードランチャーを伸ばす。狙いは・・・、エネとピースフルウィッシュ。 「おい、待てよ?そいつはもう動けね・・・」 容赦なく引き金を引いた。真っ赤な火球が轟音とともに一瞬発生し、静寂に戻る。 残ったのはノーヴェと二機の敵、そしてくすぶるエネとピースフルウィッシュ。 「2対1か上等!!やってやるよ!!」 ノーヴェは構える。 『・・・ギンガ姉とチンク姉に私はここまで成長したって言ってやるんだ。 それでハチマキにだって勝ってやるんだ!!』 ブレイクライナーを発動。狙いを一機に絞りノーヴェは加速した。 戻る 目次へ 次へ
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マジカルプリンセス(MP) 愛と勇気で肉弾戦をもこなす魔法少女。マジカルチェンジで自身の能力を極限まで高め、全体攻撃で敵をなぎ倒す。当然魔法も使いこなせるため、いかなる局面でも戦える万能クラス。 特徴 得意武器は剣。SO経由の場合、杖にも補正がつく。 前作と同じく大器晩成型の職業。他の職業が伸び悩んでくるあたりからが本領。クラスチェンジ可能になるLv30あたりでは、他のMU系クラスと同様の能力値なので前衛をさせるのは危険。Lv30以降はHP等もしっかり育つ。 スキルはアタッカー、エンチャンター、タンクまでこなす万能さを兼ね備えている。その引き換えとしてSP不足に悩まされる。SP振りは他のメンバーとの兼ね合いで計画的かつ効率的に。 マジカルチェンジのTP消費を気にせず、常に使えるようになってから真価を発揮する。 カバー&イリュージョン&根性で回避盾にできる。その性質上、単体に対しての物理攻撃力が高い敵に有効。 今作はカバーの信頼性が低下している。本人の死ににくさは相変わらずだが、味方は守り切れない事が多い。 ソーサレス→マジカルプリンセス運用考察 エンチャントレス→マジカルプリンセス運用考察 前作から変更された点 マジカルスパーク追加 レインボーフラッシュの範囲変更([旧]敵全体→[新]横一列) 装着可能な装備種 武器 ショートソード、ロングソード、ダガー、メイス、スタッフ、ショートボウ、ダーツ 盾 バックラー、レザーシールド 頭 マジックハット、レザーヘルム 胴 ローブ、レザーアーマー クラスツリー マジックユーザー ソーサレス ウィッチ マジカルプリンセス エンチャントレス マジカルプリンセス セージ プリーステス セージ ビショップ スキル一覧 スキル名 タイプ 必要SP 消費TP 詳細 カバー 技 Lv×2最大Lv5 7+Lv×2 味方への物理攻撃を自分が代わって受ける。LvUp時 カバー持続率アップ 効果ターン数アップ 行動後速度修正アップ消費TPアップ マジカルバリア 技 Lv×1最大Lv10 19+Lv×3(~Lv7)12+Lv×4(Lv8~) 味方全員の魔法ダメージを一度だけ軽減する。LvUp時 ダメージ軽減率アップ 効果ターン数アップ 行動後速度修正アップ消費TPアップ マジカルチェンジ 技 Lv×3最大Lv5 44+Lv×8 自身の能力を上昇させる。LvUp時 能力上昇値アップ 効果ターン数アップ消費TPアップ マジカルスラッシュ 技 Lv×1最大Lv10 32+Lv×4(~Lv5)22+Lv×6(Lv6~) 剣装備時、敵全体を攻撃する。LvUp時 攻撃力修正アップ 行動後速度修正アップ消費TPアップ マジカルスパーク 技 Lv×1最大Lv10 2+Lv×3 近距離武器装備時、敵一人に強力な雷の一撃を放つ。LvUp時 攻撃力修正アップ 命中率修正アップ 行動後速度修正アップ消費TPアップ レインボーフラッシュ 魔法 Lv×1最大Lv10 16+Lv×6(~Lv5)26+Lv×4(Lv6~) 敵一列に無属性のダメージ。LvUp時 魔法ダメージアップ 魔法命中アップ消費TPアップ 詠唱速度ダウン アクセラレーター 魔法 Lv×2最大Lv5 12+Lv×3 味方一人の行動速度アップ。LvUp時 行動速度増加率アップ 行動後速度修正アップ 詠唱速度アップ消費TPアップ イリュージョン 魔法 Lv×2最大Lv5 18+Lv×4 自身に幻影を作り出し、敵の攻撃を回避するLvUp時 幻影数アップ 効果ターン数アップ消費TPアップ ソードマスタリー パッシブ Lv×1最大Lv10 - 剣装備時、攻撃力にボーナス。LvUp時 攻撃力にボーナスアップ ダブルアタック パッシブ Lv×2最大Lv5 - 通常攻撃時、ときどき2回攻撃。LvUp時 ダブルアタック発動率アップ 根性 パッシブ Lv×2最大Lv5 - 死亡時、HP1で生き残ることがある。LvUp時 根性発動率アップ スキル解説 カバー 移動中使用可。 イリュージョンと併用することで安定した盾役になることが出来る。但し、イリュージョンは非常に長い詠唱時間が問題になるため、同等の効果を持つアイテムを多数入手できるようになるまでは、PLやVLのような安定した盾役にし難い。 味方をかばった際、一定確率で効果が消える。スキルLvが低い場合、1回で効果が消えることも多い。 Lv5でも1回で消えることが多々あるため、かけ直しの効率は悪い。 Lvを上げると行動後速度修正が上昇するので、できるだけ高Lvが望ましい。Lvを上げて持続ターンが増えると、イリュージョン等が育っていない場合には返って危険にもなる。 育成状況を見て上げていこう。Lv1でもそこそこ役には立つ。 全体攻撃に対しては発動しない。ぶんまわしなどのランダムターゲットかつランダム回数攻撃の攻撃には1HIT時のみカバーする。 アヴェンジャー等のカウンターにもきっちり反応してかばう。 気絶していてもカバーは発動する。睡眠と石化では発動しない。(石化進行中は発動する) 威嚇射撃はカバーできるが、行動阻止効果は無効化できない。 一部の敵が使うファミリア等、挑発対象に選べない単体攻撃はかばうことが不可能。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 消費TP 10 14 18 21 24 最大効果ターン数 4 5 6 7 8 マジカルバリア 移動中使用可能。 VLのスペルガードの上位互換。VLがいても取得推奨。スペルガードより持続ターンが長い。 とりあえずLv1取得するだけでも十分役に立つ。 ダメージ軽減効果は大きいが、効果は1回だけなので過信は禁物。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 消費TP 22 25 28 31 34 37 40 44 48 52 最大効果ターン数 5 5 5 6 6 6 7 7 7 8 ダメージ軽減率 22% 24% 26% 29% 32% 35% 38% 42% 45% 48% マジカルチェンジ 移動中使用可能。 全てのステータスに依存する性質上、終盤になるほど効果が大きくなり実用性が増す。 敵のダークオーラの効果(-10%)とは減算相殺する。 TP消費が非常に激しいので、中盤あたりでは使いにくい。SPとTPに余裕が出来るまでは無理に育てなくてよい。 最終的にはLvMAXにすべきだが、様子見で少しずつ使いたいなら持続ターンが増えるLv3がおすすめ。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 消費TP 52 60 68 76 84 効果ターン数 4 4 5 5 6 ステータス加算率 +20% +25% +30% +34% +38% マジカルスラッシュ 近距離全体攻撃。斬属性。行動後速度修正0.90~1.10 付加効果はないものの、即時発動する全体攻撃はそれだけで便利。TP消費は高め。 真価を発揮するのは強力な剣が手に入ったり、マジカルチェンジを多用出来るようになってから。中盤あたりではHPが低く、前衛に出すのが危険な上、攻撃力の低さからダメージもそこまで期待出来ない。 ダークオーラは受けてしまうのが欠点。とはいえ、終盤の攻撃力による高いダメージは魅力的。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 消費TP 36 40 44 48 52 57 62 66 70 74 ATK倍率 116% 120% 124% 128% 132% 136% 140% 144% 148% 152% マジカルスパーク 近距離攻撃。雷属性。行動後速度修正1.08~1.20速度修正に優れ、マジカルチェンジと併用することで驚異的な速度で攻撃を繰り出せる。 TP消費も低いので、相手の雷耐性にさえ気を配れば非常に使いやすい。 近距離攻撃のため、反撃やダークオーラを受けてしまうのが欠点。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 消費TP 5 8 11 14 17 20 23 26 29 32 ATK倍率 125% 134% 143% 152% 162% 172% 182% 193% 204% 216% レインボーフラッシュ 無属性一列魔法。威力の割には詠唱は短め。 MPになりたてだとマジカルスラッシュの2~3倍の威力がある。Lv1あれば当面の攻撃手段になる。 Lvをあげると詠唱が遅くなるので上げ過ぎに注意。 特にSO経由だとファストキャストがないので注意。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 消費TP 22 28 34 40 46 50 54 58 62 66 魔法基本値 310 350 390 430 470 510 550 590 630 670 アクセラレーター 移動中使用可能。 効果ターンは2ターンと短く、キャンプから使用すると15歩で切れる。 非常に有効だが、戦闘中全員に掛け直すのは難しいので、ボスや固定敵の直前に掛けて戦闘に入るのが無難。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 消費TP 15 18 21 24 27 イリュージョン カバーと併用することで安定した盾役になることが出来る。 魔法・固定ダメージを含めたあらゆる攻撃を、発動確率に左右されずに防げることが最大の利点。反面、移動中使用不可であり、長めの詠唱時間が必要となる。 幻影の数と持続ターンいずれもが重要になるので、使うならLvMAXが望ましい。 一方で、どんな些細な要因に対しても発動してしまうので、毒には注意。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 消費TP 22 26 30 34 38 最大効果ターン数 4 4 5 5 6 幻影数 1 2 3 4 5 ソードマスタリー マジカルスラッシュ等で攻めるなら取得推奨。レインボーフラッシュやSO・ENのスキルを主力とするなら不要。 覚えるべきスキルが多いので、高レベルにできるのは終盤。とりあえず少しだけ取っておくのも手。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 ATK倍率 103% 105% 107% 109% 110% 111% 112% 113% 114% 115% ダブルアタック SPが足りないので取得しないほうがいい。加えて、今作ではマジカルスパークが追加されたため、通常攻撃を行う必要性はほぼ無い。限定的だが、雷耐性の高い敵にはスパークよりも通常攻撃の方がダメージが取れたりするので全くの無駄でもない。とはいえ他スキルより優先するほどでもない Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 発動率 9% 12% 15% 18% 21% 根性 とりあえずLv1でも取れば生き残る可能性が出てくる。それ以上はSPが余ってからでも十分。 Skill Lv Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 発動率 10% 15% 20% 25% 30% このページを編集 コメント 物理は道中適正だと半端に感じるのはしょうがない。能力にしろ装備にしろ最終盤から本領発揮だね。 -- 2014-10-19 19 35 05 Lv30時点でもミニフレッシュに全ツッパして、 スラッシュLv1とスパークそれなりに打ってるだけで十分物理として使えるな。 ボス戦前にはサークルブレイブとかかけれるし。 -- 2014-10-23 03 13 05 物理型はレベル70くらいからがスタートだとおもえばいい そこらへんから取得SPの多さもあって、文字通り加速度的に速く、強くなっていく -- 2014-10-27 14 08 06 絶対幸運剣手に入れるまで正直PTのお荷物だった -- 2014-10-27 20 37 09 個人的には別塔でフィルス買ってからでも遅くない感じだなー物理MPは -- 2014-10-27 21 29 09 複数回行動が圧倒的なので二人連れてるw -- 2014-12-13 10 51 46 物語が進むと強くなるって意味ではある意味正しい設定。 -- 2014-12-18 21 22 45 TP回復エンチャって割合じゃなくて固定だったのね・・・消費する数字のでかいMPなら速度優先したほうがいいな -- 2015-02-02 14 45 09 イリーナだけはMPじゃなくてMQじゃね? -- 2017-02-08 14 26 50 言いたいことはわかるが、それでもMPだからこそあの表情なわけで……WTとかの方がずっとヤバイんだけどそこんところ -- 2017-02-15 22 57 56 コメント すべてのコメントを見る
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お約束 ローカルルール(LR?)ジャニーズ2板編 ジャニーズ2板のお約束(全部読んでから参加すること) ◇この板は「2003年以降」に「CDデビューして」「ジャニーズWEB?に独立カテゴリーが設けられた」ユニットもしくは個人タレントを扱います。(NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUN) (※万が一ユニットが消滅しても他板への移動は無し) ・SMAPの話題は【スマップ板?】へ ・TOKIO、KinKi Kids、V6、嵐、タッキー&翼、近藤真彦、少年隊、岡本健一、内海光司、赤坂晃、佐藤アツヒロ、 その他OBの話題は【ジャニーズ板?】へ ・ジャニーズJrの話題は【ジャニーズJr板?】へ ■2ちゃんの基本とルール 【使い方】 【FAQ?】 【書き込む前に読んでね】 ■ジャニーズ2板初心者の方へ ・【初心者案内スレッド?】を必読 ・タレント個人・ユニット・各種コンビ・アンチ(タレント叩き)の話題はそれぞれ本スレッド1つのみ(重複不可) ・事務所を辞めてしまったタレントやオリキに関しては既存の総合スレッドを使用すること ・「○○君のスレッドが見つからない」「このスレッドは立てるべき?」など迷った時は【くだらない質問はここに?】スレッドで相談(age進行) ・801?話禁止 ■一般人のプライベート情報の書き込みは禁止 ●個人の特定出来る書き込みを見つけたら→【削除要請板?】 ジャニーズ2板での実況?・チャット厳禁 実況は各実況chへ
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YOU-z マジカル部を愛してやまないただの他人。 このwikiを編集するのが生きがい。 使用デッキはなにやらいっぱい。 基本的にはハイランダーのようだ。 アニメに対する情熱は他の追随を許さない。 傍から見たら恐怖すら覚える。 会話中でもアニメを優先することもしばしば。 しかし本人曰く「アニメはマジカル部の次に好き」だそうだ。 日課 ものすごい勢いで街中でも下ネタを連呼する。 大きな声で叫ぶこともしばしば。 本人曰く「魂のシャウト」だそうだ。 こんな残念な方もいるのですね・・・ -- 名無しさん (2010-02-20 02 41 17) きっと本当はいい人ですよ! -- 名無しさん (2010-02-20 02 42 08) こういう人は外に出ないでほしいですね -- ユキ (2010-02-20 02 42 48) マジカル部を荒すな!!!!!!! -- 名無しさん (2010-02-20 02 43 08) マジカル部をバカにするな!!!!!!!! -- 名無しさん (2010-02-20 02 43 41) 『オナニー』をしてみました。 気持ちよかった。 -- プルル看護長 (2010-02-20 02 44 42) マジカル部氏ね -- 名無しさん (2010-02-20 02 45 13) ネットの知り合いに教えてもらったところにいったらマジで生で中に出しまくるだけで30まんもらえたし(笑) 昨晩はクチに五回出してきた(爆笑) http //paiotsu.net/ -- 逆出張ヘルスK (2010-02-20 02 45 57) マジカル部を荒らすのやめろ!! -- 名無しさん (2010-02-20 02 47 28) コメント欄が荒れるのも、この人の人徳が成せる技ですね。 -- 名無しさん (2010-02-20 02 48 53) マジカル部(笑) -- 名無しさん (2010-02-20 02 48 59) 死ね糞ども -- 名無しさん (2010-02-20 02 49 28) 死ねカス -- 名無しさん (2010-02-20 02 49 46) 荒し擁護は死ね -- 名無しさん (2010-02-20 02 50 00) マジカル部つぶれろ -- 名無しさん (2010-02-20 02 50 35) 厨房はもう寝ろよ^^ -- 名無しさん (2010-02-20 02 50 52) 皆さん心無い荒らしはやめましょう、創価学会に入りましょう。 -- 名無しさん (2010-02-20 02 51 08) ↑は消えろ。二度とくるな。 -- 名無しさん (2010-02-20 02 51 14) wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2010-02-20 02 52 35) 自演乙 -- 名無しさん (2010-02-20 02 54 45) ホントにマジカル部は糞だな -- 名無しさん (2010-02-24 04 38 02) うn -- 名無しさん (2010-05-12 23 47 42) 名前 コメント
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南イタリア ネアポリス空港 両替所にて、クロノはある程度まとまった金を両替した。 「すまない、市内までタクシー代はどれくらいかかるだろうか?」 「4000~5000ってとこかね」 「そうか、ありがとう」 金を財布に入れ、もう一人の同行人の元に戻ると、札束の半分辺りを手渡す。 「おおよそ、10、20万あるはずだ、ある程度雑貨品も買い込む必要があるし足りなくなれば言ってくれ」 「お金の管理はちょっと苦手かも…ユーノ君お願い出来るかな?」 「いいけど、持つときは複数の場所に分けてね、スられた場合の保険に」 肩にフェレット、ユーノを乗せた高町なのは。いつもの制服ではなく私服なので、多少は周りに溶け込めていた。 「こういう服はあまり着た事無いから…ちょっと慣れないな」 「似合ってるよクロノ君、普通の人みたい」 「いや、普通の人だが」 対してクロノはいつもの執務官服ではなく、黒の上下に藍色のジャケットを羽織っていた。 二人とも少々大きめのスーツケースを引いている。ぱっと見は単なる旅行者以外の何物でもない。 「普段は普通に見られていなかったのか…」 「さて、タクシーで拠点に向かおうか、なのは」 がっつりと落ち込むクロノはあえて無視する。 「そ…そうだね…」 「ねえ、タクシー探してる?」 二人(と一匹)に声をかける者がいた。 「アルバイトでこれから帰る所だから安くしておきますよ…8000でどう?」 服は胸元がハートの様な形に開いた、暗い配色の…制服…だろうか? 輝く様な金髪の前髪を3つ丸めて束ねている、年の瀬はクロノより少し年上なのだろうか。 「厚意はありがたいが、ちゃんとタクシー乗り場で乗る事にするよ…流石にそこまで暴利ではね」 「く…クロノ君…」 なのはは物言いを多少咎めるのと同時にタクシー乗り場に目をやった。 乗り場にはかなりの長蛇の列、タクシーが来る時間の割合を考えると1、2時間で済むだろうか…? 「…あっちの客には声をかけないのか?」 「君達が断るなら…これから…、じゃあ、2000円ならどうかな?」 「…いきなり安くなったな」 「チップは無しなんだから、荷物は自分で助手席に積んでくれ、そっちのレディは別だけどね…」 「…わかった、それでいい…なのはは後部に荷物と一緒だ、僕は荷物を前に載せて後ろに」 「うん」 かなり大きめの荷物を前に乗せるクロノ。 「ちゃんと指定の場所まで送ってくれよ?僕らはただの観光客じゃないんだからな…」 「正直に送り届けますよ」 そして、なのはとクロノが後ろに乗り込もうとした時 「ただし、空のバッグだけを、ですがね」 車が急発進した。 「…ふぇぇ!?ま、まだ乗ってないよ!」 「早速か…やれやれ…誰も手をつけたがらないのも納得だ…」 「止めるよ!」 少年はバックミラーで二人の表情を確認した。呆気にとられて慌てる少女と頭に手をあてやれやれと首を振る少年。 だが、追ってくる様子すらない、奇妙に思ったが振り切ってしまえば此方の物だ。 「チャオ」 だが空港を抜けようとしたその時、車がガクン!!と前につんのめり、止まった。 タコメーターはエンジンの不調を訴えてはいない、ガソリンも十分。だがタイヤは地面を空回りするばかりで前に進まない。 「ユーノ君……凄い…」 「一瞬でこれだけのバインドを編んだのか…」 一般人には見えないが、二人には見えていた。周囲にあるガードレールや電柱に縦横無尽に絡まり車を二重三重に捕縛したチェーン・バインドが。 「僕だって一応修行してるんだよ、ま、奴への引導は二人にお願いするけど」 クロノは焦る事無くゆっくりと車に近づく。運転している少年はまだ車を弄っていた。 「言っただろう?ただの観光客じゃないって…」 声をかけ、助手席の扉に手をかけると、流石に感づいた様で少年は運転席から飛び出した。 「荷物だけ置いていけばいい、追う必要もない…」 当然、クロノはこの少年が計画が失敗した事でパニックと罪悪と敗北の表情をするだろうと思った。 しかし…彼はそのどの表情もしなかった…少年は微笑んでいるのだ…… ただ平然ともの静かに微笑んでクロノを見ていた……… その表情には『光り輝くさわやかさ』さえある様にクロノには感じられた………。 少年はそのまま、さっと踵を返し何処へと消えた。 「クロノ君、大丈夫?」 「ああ…だがちょっと奇妙な奴だった…しかし、」 「二人とも…後ろの二人がちょっと面白い事を話してる…」 クロノの話を遮ってユーノが割り込んできた。二人はそのまま聞き耳を立てるが旨く聞こえない。 「念話で聞こえる様にするよ…」 「案外万能なんだな…」 「ユーノ君の一族遺跡発掘のプロだからね、言語、念話関連は凄く得意みたいだよ」 話の内容を漏らさぬ様に、急いだユーノのお陰ですぐに声が聞こえてきた。 「…ョルノの奴エンストして失敗したみたいだぞ」 「あいつ、半分日本人のくせして日本の旅行者をだまそうとするからバチが当たったんだ」 「もっとも、あの髪の色じゃあジョルノ・ジョバーナを日本人とわかる奴はいないがな…」 「いや…染めたんじゃないらしいぜ、黒い髪だったのがここ最近、急に金色になったらしいんだ、妙な体質だな…」 「本人はエジプトで死んだ父親の遺伝と言っている…」 「ジョバーナ…?」 クロノは胸元から写真を取りだした、黒髪の少年で、此方の組織と取引している条件…体組織の採取するべき少年だ。 「ジョルノ・ジョバーナ…汐華初流乃………初ルノ…シォハナ…」 「それ…さっきの人なのかな?」 なのはに言われて、先程の男の顔と当てはめてみる、確かに似てはいるが、まだクロノには今ひとつ確信が持てない。 「わからん…組織とコンタクトをとってより情報が手に入れば良いんだが…」 「クロノ、ところで君の荷物は…?」 言われて助手席に目をやるが、先程確かに自分で助手席に積んだ筈のスーツケースだが、それが今は影も形も無い。 「無い…だがさっきの奴は何も持っては……?」 よく見ると、助手席のところに何かへばりついている。粘性のボールの様な『それ』は更に内部に何かが入っている。 「これは…僕の荷物…なのか!?」 先程のクロノのスーツケースについていた名札『黒野』と言う文字が中に見える。 しかしそれは何度か鼓動を脈打ちながら別の物に変化…いや成長してゆく。 『それ』は呆気にとられているクロノの目の前で生物に変わってしまった。 『カエル』に 「魔法なのか…聞いた事もないぞこんな魔法はッ!!」 カエルはぴょいっとクロノの手にのっかる、ペトリとした粘性の手足の感触、重量、それは蛙に他ならない。 「生き物だ…変化魔法の類や幻術でもない…本物のカエルだ…」 「で、でも…最初はスーツケースみたいだったし、生き物だとしたらクロノ君の荷物は…?」 狼狽える二人を尻目に、カエルはクロノの手を飛び降り、そのまま排水溝から下水へと消えた…。 「…なのは、すまないが別行動だ僕はあいつを捜してみる、拠点の住所は覚えているだろう?そこに向かっていてくれ…なのはを頼むぞユーノ」 「はいはい」 「あまり無理しないでね…」 クロノはそのまま、市街へ向かって駆けだしていった。 「で、どうしようか、なのは」 「地図で見ると…少し歩くけどケーブルカーがあるみたい…そっちの方が良いかな」 二人は流石にこれからタクシーに乗る気は起きなかった。 ジョルノ・ジョバーナを探しに市街方面に向かったクロノだったが、その本人はまだ空港敷地内にいた。 滑走路の外れ、離陸する飛行機を眺めているジョルノ、待ち合わせしている様にもみえる。 相手はすぐに現れたようだ。先程のカエルが側の排水溝から、ジョルノの手の上に飛び乗った。 「よし…」 そのカエルは見る間に膨れあがり、先程のクロノのスーツケースへと戻った。 その場で中身を改めるジョルノ、だが容量の割に中身は少なく金になる物はせいぜい衣類か宿泊セット、目的のパスポートや財布は鞄の中ではなかったようだ。 「……やれやれ…無駄骨か…これだから無駄な事は嫌いなんだ、無駄無駄…」 前へ 目次へ 次へ