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―――汝は己が乗り越えねばならぬ壁の高さに怯え竦みし弱き者か?――― ―――それとも己が乗り越えねばならぬ壁の高さに怯えず立ち向かう強き者か?――― ―――さあ、汝の強さを見せてみよ!――― リリカルプロファイル 第二十六話 四層 はやて達の活躍により見事に第三層を突破した一同は順調に進み第四層の試練場へと辿り着くと、暫く滞在していた。 第四層…此処を突破すればいよいよ神の領域に辿り着く事が出来る… するとなのはの下にフェイトが駆け寄り話し始める、フェイトは次の試練は間違いなく自分達の番であると。 だがなのはの様態は未だに思わしくない為、ブラスターシステムを使用しないで欲しいと注意を促す。 するといつもの笑みを浮かべ快く了承なのは、しかしなのはの性格を知っているフェイトはその笑みに 深い溜息を吐くと二人の体が光に包まれ始め、試練が始まる印象を感じていた。 「やっぱり最後は私達か……」 「少し…緊張するね」 珍しく緊張をしている二人に対し、一同は激励を込めると少し解れたのか笑みを浮かべ、 二人は転送され、それを見守り無事を願う一同であった。 …フェイトが跳ばされた場所は金色に輝く空間で、辺りを見渡すと奥に続く下り道があり、 皆が話していたのと同じ造りに納得していながらも、道なりに進み広場へと赴く。 広場の中央には黒いウェーブがかかった長髪に黒いローブを纏った女性が後ろを向いて佇んでいる。 その姿に思わず息を飲むフェイト、其処には彼女が緊張する程の人物が立っていたのだ。 「まさか!何故アナタが!!」 「あら?どんな奴が相手なのかと思ったら、かつて私が作った“人形”じゃない」 そう言ってフェイトを“人形”扱いする人物、プレシア・テスタロッサその人である。 彼女はフェイトの生みの親で十年前のジュエルシード事件の張本人でもあり、 時の庭園の崩落の際、愛娘であるアリシアの遺体と共に虚数空間に飲み込まれたハズであった。 しかしプレシアは虚数空間の中を漂っていると、流浪の双神に拾われアリシアと共に此処で生活兼アルハザードへの研究をしていたところ、 神から一つの案が提示される。 その内容は今から転送される人物を倒せば、プレシアの念願でもあるアルハザードへの道を開いてくれるというものであった。 「だから…大人しく倒されなさい、操り糸が切れた“人形”のように…」 「アナタはまだ!そんな幻想を!!」 フェイトはプレシアに吐き捨てるかのように言葉を口にするが、さも当然のような口振りを見せるプレシア。 元々フェイトはアリシアの“代用品”として造られた存在、それが全てである。 使えなくなった“人形”はただ捨てられるだけ…しかし今回は“いらない人形”を捨てさえすれば 自分が欲しかった物が手に入る為、価値のある廃棄だと笑みを浮かべ語る。 「初めて私の役に立つのだからサッサと倒されて頂戴」 そう言って蔑むような目線を見せると、フェイトは怒りとも悲しみとも取れる表情を醸し出していた。 …プレシアは十年たった今でも一切変わってはいなかった、愛娘に対する愛情も…自分に対する憎しみも…アルハザードに対する縋るような想いさえも… だが自分は十年前とは違う…一緒に過ごしてきた仲間や友、そして自分を拠り所としてくれる二人… それら十年の経験を無碍にするようなプレシアの態度と言葉にフェイトはバルディッシュを起動させ強い眼差しで見つめる。 「残念ですが、もう私はアナタの“人形”ではありません、此方にも負けられない理由があるのです!」 「そう……やはり欠陥品は欠陥品のままね…」 そう言うと懐から一つの柄を取り出す、するとその柄の先から金色の細長い鞭が姿を現し、鞭からは稲光が走っていた。 ライトニングエッジ、魔力鞭で構成され剣にも変化する攻・防・縛の三種に対応した管理局時代から使っている愛用のデバイスである。 「だったら…実力でねじ伏せるしかないわね」 そう言うや否や魔力鞭を二回程床を叩き、魔力鞭をフェイトに向けうねりながら伸ばすと、 フェイトはハーケンモードに切り替え魔力刃にてプレシアの攻撃を防ぐ、 するとプレシアは大きく円を描く動作を行い、魔力鞭がうねりをあげバルディッシュごとフェイトを縛り付けた。 そしてプレシアは床にフェイトを叩き付け更には左右の柵、床を削るように振り回し遠心力が掛かったところで縛を外し上空へと吹き飛ばした。 しかしフェイトは空中で体勢を立て直し更に急降下、床ギリギリまで降りると這うようにプレシアの下へ向かう。 するとプレシアは迎撃の為にフォトンランサーを展開、槍の形をした無数の魔力弾が雨のようにフェイトに襲いかかる。 その中を縫うようにして迫るフェイト、そしてフォトンランサーの群を抜けるとソニックムーブにてプレシアの背後を捉え、一気に振り抜く。 しかし既にフェイトの動きを予測していたプレシアはフェイトの動きに合わせ左手をかざすとサンダースマッシャーを撃ち抜きフェイトを飲み込んだ。 だが跡地にはディフェンサーを展開させているフェイトの姿があった、飲み込まれる直前にバルディッシュがディフェンサーを展開させて事なきを得たのだ。 「やはり…十年も立てば“人形”でも力を付けるのね……」 そう一言呟くと魔力を高めフォトンランサーを撃ち出す、すると今度は上空に逃げ込みハーケンスラッシュをプレシアに向け撃ち出すが、 プレシアはサンダースマッシャーで迎撃すると今度は左手に環状魔法陣が展開され、 加速増幅されたサンダースマッシャー、プラズマスマッシャーを撃ち抜く。 プレシアのプラズマスマッシャーをソニックムーブで回避したフェイトは左手をかざし カートリッジを消費しトライデントスマッシャーを撃ち抜くが、ディフェンサーを展開され攻撃を防がれてしまう。 そしてフェイトの一撃により辺りは魔力の残滓が舞いプレシアの姿を隠していると、 床から突き抜けるように金色の魔力鞭がフェイト目掛けて伸び迫ってきており、それに気が付いたフェイトは縦横無尽に逃げ惑うが、 魔力鞭は徐々に距離を詰めバルディッシュの魔力刃に纏わりつくと一気に引き寄せられ、四方あらゆる場所に叩きつけられるフェイト、 このままでは危険だと感じたフェイトはハーケンモードからライオットブレードに切り替え、魔力鞭を切り裂き難を逃れる。 その様子を見たプレシアはこのままでは少しキツいと感じ魔力を更に高めると服装が変化し始める。 プレシアが着ていた黒いローブは黒いハイレグカットされた軽装に変わり足元は高いヒール、 両手には黒い皮の手袋が付けられており、長い髪はポニーテールとして纏められていた。 その姿はかつて管理局時代に活躍していた姿で、フェイトのソニックフォームを彷彿としていた。 「この大魔導師、プレシア・テスタロッサの実力を見るがいい」 そう呟くとソニックムーブにてフェイトの目の前まで近づき膝蹴りを腹部に打ち込み、くの字に曲げるとライトニングエッジを剣に変え一気に振り下ろす、 だがフェイトはブリッツアクションにて全身のスピードを高め、なんとかして攻撃を防ぐ。 しかしプレシアはライトニングエッジを鞭に変えると一瞬にしてフェイトを縛り上げ更に電撃を与えた。 「う…うぁぁぁああああああ!!!」 「そう言えば十年前も、こんな事したわね…懐かしいわ」 そう言って感傷に浸りながらフェイトにバインドを掛け魔力鞭の縛を解くと、何度も何度もフェイトの身を打つ。 フェイトの身に打ち込まれる度に声を上げ苦しむ姿を堪能したプレシアは上空へと移動すると 左手をかざし徐々に魔力が集い圧縮されていくと閃光のように輝き始めていた。 「墜ちなさい!フォトンバースト!!」 撃ち出されたフォトンバーストは真っ直ぐフェイトの元へ向かい飲み込むと一気に爆発、 辺りは閃光によってまばゆく光り、プレシアはその光景をじっと見つめるのであった。 場所は変わり、なのはは桜色に輝く空間へと転送され先に続く緩やかな下り階段を下りていた。 その中でなのははフェイトとの約束を思い返していた、それはブラスターシステムの使用を禁ずるものである。 なのはの体は万全とは言い難く魔力に至っては未だ回復の兆しを見せてはいない、その為の処置であった。 しかしこの先の試練でブラスターシステム無しで立ち向かえられるのかどうか不安もあった。 …もし現状の能力で不可能であれば、使わざるを終えんだろう…そう考えている内に広場にたどり着くなのは。 広場の中心には一人の男性が佇んでおり、年は自分と同じぐらいだろうという印象を受けていた。 そして男はなのはの存在に気が付き振り向くと、その瞳は鋭くなのはを見つめており、その目線に懐かしさを覚えていると男の口が動き出す。 「次の相手はお前か…」 「アナタは一体?」 「私か?私の名は不破士郎、御神流の後継者だ」 士郎の言葉に目を見開くなのは、御神流と言えば兄や姉が父に習っている剣術である。 するとなのはは士郎の目をじっくりと見る、そしてどうりで見覚えがあるハズだと感じていた。 何故ならあの目は道場で兄達に稽古をつけている時の父と同じ目であるからだ。 では今目の前にいるのは若かりし頃の父、士郎なのではないのか…なのはは動揺を隠せないでいた。 …だが実は彼は、なのはの知る士郎ではなく、“同一人物”で“別人”の士郎なのである。 彼はなのはの出身世界である地球の平行世界から来た人物で 一人で修行している中に神に誘われ、此処で鍛錬をしていたところになのはが姿を現したのである。 話は戻り、未だ動揺を隠せないでいるなのはを後目に、士郎は更に話を続ける。 「此処に来て様々な奴と戦ってきたが、女…しかも人間の女を相手にするとはな」 士郎は此処に来てから様々な相手をしてきた、頭が三つもある猛獣、蛇が髪の毛のように生えた巨大な目玉、金属で出来た巨人など その中で次の対戦相手が女である事に疑問を感じるも、もしかしたらかなりの実力者なのかもしれないとも考える士郎。 「では…そろそろ始めるか……」 そう言って腰に抱えている小太刀を引き抜き構えると、なのはもまたレイジングハートを起動させて構える。 そして対極に対峙する中で、なのはが最初に動き出しアクセルシューターで士郎を牽制しようとする、 だが士郎は手に持っている小太刀を振るい次々とアクセルシューターを切り裂き、更になのはに迫り右の小太刀を振り払う。 しかしなのははラウンドシールドで士郎の攻撃を防ぐと流石の士郎も驚く表情を見せる。 「ほぅ…そんな能力も持っているとはな」 そう言って不敵な笑みを浮かべると右手に力を込め一気に振り抜くとラウンドシールドが真っ二つに切り裂かれる。 その光景になのはは目を丸くする、何故ならば自分の防御魔法の中で最も強固なラウンドシールドがいとも簡単に切り裂かれたからである。 なのはの驚きを後目にに士郎は左の小太刀を振り下ろそうとした瞬間、なのははとっさに後方へと飛ぶが士郎もまたついて回り 士郎の斬撃をプロテクションにて防御していると、士郎が左に力を込めるのを察し、 左の一撃に合わせて士郎の右後方へと移動、すぐさま振り向きカートリッジを消費させディバインシューター六発を士郎に纏めて撃ち込む。 しかし士郎は迫ってくるディバインシューターに対し右の小太刀を逆手に持ち替え左回転にてディバインシューターを弾き飛ばす。 なのはは士郎の動きに驚く一方で士郎がなのはの下へ真っ直ぐ向かってくるのを見て、 地上戦では此方が不利と感じ士郎の左の突きをギリギリで回避し上空へと逃げ込むと、 更にレイジングハートをエクシードモードに替えカートリッジを消費、ディバインバスターを撃つ体勢に入る。 「なるほど、考えたな…だが、対空用が無いとは言ってないぞ」 そう言うと持っていた小太刀を仕舞い懐から一本の棒手裏剣、飛針を取り出すとなのは目掛け投げつける。 一方なのはは既に魔力チャージを始めており一歩も動けない状況の中、飛針はなのはの肩を掠める程度に終わり悔しがる表情を垣間見せる士郎。 「ちっ…距離を見誤ったか」 そう言うと懐から六本の飛針を取り出すと、なのはの急所目掛け投げつける。 六本の飛針がなのはに迫る中、ディバインバスターのチャージが終わりすぐさま撃ち出すと、ディバインバスターは飛針を飲み込み士郎に迫る。 その勢いに驚きの表情を見せる士郎を後目にディバインバスターは床に突き刺さり爆発、辺りには魔力の残滓が煙のように舞うと、 その光景を上空から見つめるなのは、すると煙の中から切り裂くような勢いで四本の飛針が飛び出す。 それをラウンドシールドにて弾いた瞬間、足に違和感を感じ見てみると、足には鋼糸がまとわりついていた。 そして煙が晴れていくと其処には不敵な笑みを浮かべ鋼糸を握る士郎の姿がいた。 「捕まえたぜ!そらぁ降りて来い!!」 そう言って士郎は鋼糸を床に激突するように引き、なのはは背中から床へと激突、なのはの身には悶え苦しむ程の衝撃を受けていた。 しかし士郎の行動は終わらず、自分の元へなのはを引き寄せると鋼糸を手放し左手で顎を掴み、そして右手で小太刀を引き抜く。 「これで終わりだ」 そう一言口にするとなのはの心臓目掛け突き刺す体勢をとる士郎であった。 場所は変わり上空でフェイトの様子を見つめるプレシア、するとフェイトのいた場所から金色の魔力が現れ、中心には身なりが軽くなったフェイトの姿があり、 その手には二本の剣が握られており、柄の端は魔力の糸で結ばれていた。 これがフェイトの切り札、真・ソニックフォームとライオットザンバー・スティンガーである。 真・ソニックフォームは防御を一切無視し速度を重視した超高速特化形態で、 スティンガーはライオットブレードの二刀流の事を指し、柄が繋がれている事で安定した切れ味を実現したものである。 「チッ!…さっさと倒れればいいのに!」 「私は負けない!私にはその理由があるから!!」 自分には自分を待つ人がいる、自分は戻らなければならない場所がある、だから此処で倒れるわけには行かない! そう力強く言葉にするフェイトを苛つきの目で見つめるプレシア、 そしてフェイトはカートリッジを消費すると瞬間移動ともとれるような速度でプレシアの懐には入り右の魔力刃を振り下ろす。 しかしプレシアはブリッツアクションにて右手の動きを速めフェイトの一撃を止めると魔力刃を縛り上げる。 だがフェイトは左の魔力刃にて魔力鞭を切り落とし更にプレシア目掛け振り下ろすが プレシアはソニックムーブにて後方へと回避、フェイトの刃はプレシアの前髪を掠める程度に終わった。 するとプレシアは左手をかざしプラズマスマッシャーを撃ち出すが、フェイトはソニックムーブにて難なく避け背後を捉えると両手を振り上げる体勢をとる。 しかしプレシアは既にフェイトの動きを予測しており、振りかざした瞬間を狙って二本纏めて魔力刃を縛り上げた。 「二刀流とは考えたわね、でもこうやって二本ごと縛り上げれば意味ないんじゃない」 「まだまだぁ!!」 そう言うとスティンガーの鍔を合わせ一本の巨大な大剣へと姿形を変える、 ライオットザンバー・カラミティ、二刀のライオットブレードを合わせる事で生まれる破壊力重視の大剣形態である。 そしてカラミティの巨大な刃に耐えきれず魔力鞭の呪縛が断ち切られるとそのまま振り下ろし、プレシアは弾丸のような速度にて床に激突する。 プレシアが激突した辺りは舞い上がった塵に覆われており、上空からその光景を見つめていると 魔力によって塵を吹き飛ばしフェイトを見上げるプレシアが姿を現した。 「おのれ!このクソガキがぁ!!」 プレシアの表情は怒りによって歪み殺気を籠もった瞳で睨み付けるが、フェイトは冷静にカラミティからスティンガーに切り替える。 するとプレシアはソニックムーブを起動させフェイトの懐に入り、一気に振り抜くが紙一重にて攻撃を回避、だがプレシアはソニックムーブにてフェイトの後を追いかけると フェイトは一度立ち止まりソニックムーブにて急転、プレシアに迫り右の払いを繰り出すとプレシアはディフェンサーにて攻撃を防ぐ。 その時である、防御により動きを止めたプレシアの隙をつき左のライオットブレードを繋げカラミティにしプレシアの障壁を砕くとスティンガーに戻す。 そしてカートリッジを三発消費し更にブリッツアクションを用いて体全体の速度を高め次々と斬撃を繰り出す。 その斬撃はまるで無限の剣閃と呼べる程でプレシアの体に続々と金色の軌道が描かれフェイトは振り上げた瞬間カラミティに替えプレシアの顔目掛け一気に振り下ろす。 「はぁぁぁああああああ!!!」 フェイトのカラミティを受け止めたプレシアの顔が徐々に歪む中、フェイトはプレシアを連れ一気に急降下、そしてプレシアごと床に叩きつけると床は大きく円形にへこんだ。 そのへこみの中心でプレシアは信じられないといった表情でフェイトを見上げていた。 「…バカな!この…私が……負ける…ハズが……」 しかしプレシアの目に写るのは凛とした姿で佇むフェイトの姿で、その姿に思わず口元が緩むと意識を無くし倒れるプレシア。 その光景を最後まで見届けたフェイトは、まるで糸が切れたかのように膝を突き頭の中が真っ白になりながら倒れ込むフェイトであった。 一方でなのはの心臓に士郎の凶刃が迫りバリアジャケットにふれた瞬間バリアジャケットが爆発、士郎の攻撃を相殺した。 リアクターパージと呼ばれる防御機能で対象において限界と思えるダメージが起きた場合、バリアジャケット自らが爆発しダメージを相殺するのである。 リアクターパージはなのはにとって最終的な防御手段、それを発動させる程の一撃を士郎は繰り出していたのだ。 それもそのハズ、士郎は徹と呼ばれるドラム缶を一刀両断できる技を繰り出していたからである。 士郎は自分の一撃を爆発によって相殺された事に驚きの顔を見せると、その隙をついてなのはは即座にショートバスターを撃ち抜く。 すると士郎は左の小太刀を抜き手前で交差させてショートバスターを受け止めるが見る見ると押されていき、50m程放されるとショートバスターを四散させる。 「ここまでやるとは驚きだ!…仕方がない“本気”を出すか」 士郎のふとした言葉に目を見開くなのは、士郎にとって今までの攻撃は本気を出してはいないというのだ。 そんなバカな…ただの強がりだ…そう自分に言い聞かせレイジングハートの先端に魔力刃を形成し鋼糸を断ち切ると、 士郎は小太刀を仕舞い、瞳から光が消えまるで人形を思わせるような瞳に変わり全身からなのはに向け殺気を放ち始める。 士郎の殺気になのはの全身は粟立ち頬からは冷たい汗が垂れ、左手が震え始める、 …飲まれるな!!そう自分を奮い立たせていると真正面にいた士郎が消え目の前に姿を現す。 そして士郎はなのはの左手を掴むと、なのはは回転しながら宙を浮き背中から床に叩きつけられる。 なのはは背中から来る衝撃と痛みに苦しみながら士郎を見上げると、士郎は右足でなのはの顔を踏みつける体勢をとっており、 とっさに右に転がり士郎の踏みつけを躱すとアクセルシューターを撃ち出す体勢に入る。 しかしその瞬間を狙って士郎は左掌底をなのはの胸元に突きつける、するとなのはの体の中に猛烈な衝撃が響き、 その衝撃によって傷つけられた内臓の出血により口から血を吐き出す。 すると今度は左拳を握り顎をカチ上げ脳を揺らすと、がら空きになった腹部目掛け右の掌底を打ち込み吹き飛ばす士郎。 御神流は何も剣術だけが取り柄ではない、表面を傷つけず内部のみを破壊する当て身や受け身がとれない投げ技なども存在し、 先ほど使用した飛針や鋼糸などもまた御神流の技の一つなのである。 一方、腹部に強烈な打撃を受けたなのはは士郎の強さを実感していた、御神流は力よりも速度を用いた武術、 その速度はエクシードを使用したなのはの瞳にすら映らぬ程の速度であった。 …今のままでは確実に殺される、しかし自分はこのまま殺される訳には行かない 自分には助けたい者がいる守りたい者がいる、自分の帰りを待っている人がいる。 だからこそここで負けるわけには行かない!するとなのははレイジングハートに命じる。 「レイジングハート…ブラスターシステム起動!ブラスター2!!」 しかしレイジングハートはなのはに注意を促す、今のなのはの肉体でブラスターシステムを起動させれば 二度と魔法が使えなくなる可能性があり下手をすれば死んでしまうと。 しかしなのははこう答える、今此処で負けれる事は死を意味する、今更自分の肉体に気を使った所で奴に勝つ事は出来ない。 たとえ自分の肉体に不幸な事故が起きたとしても、此処で自分が勝てば仲間達が先に進むことが出来る。 それに自分は死ぬつもりはない、そう笑みを浮かべ話すとレイジングハートは屈伏した様子でブラスターシステムを起動する。 なのはの身に大量の魔力に満ちるとA.C.Sドライバーを起動させレイジングハートに魔力羽が展開される。 そして魔力によって反応速度、胴体視力、加速を高め士郎の動きを見極めようとしていた。 結果は士郎の動き全てを見る事は出来なかったが、出だしの一歩を見極める事に成功、A.C.Sドライバーにてかろうじて回避する。 しかし負けじと士郎も追いかけるが、瞬間的に移動・回避しイタチごっこが続いていく。 「逃げてばかりでは勝てん―――」 イタチごっこに飽き飽きして言葉を発した次の瞬間、正面で構えるなのはとは別方向、 士郎を中心に右上後ろから桜色の直射砲が降り注ぐのに気がつき転がるように回避 攻撃された方向を見つめると其処には金色のブラスタービットが宙に浮いていた。 「チッ!小賢しい!!」 そう言って懐から飛針を三本取り出して投げ、ブラスタービットを破壊する。 これで安心と考えた矢先、今度は後ろから桜色の直射砲が撃ち抜かれ、小太刀にて受け止め切り払う。 そして鋼糸にて縛り上げるとブラスタービットは一瞬にしてバラバラとなった。 すると他のビットによって右腕をバインドで縛り上げられ左の小太刀にてバインドを断ち切ろうとした瞬間、なのはのディバインバスターが士郎に迫ってくる。 「チッ!…仕方がないな」 士郎はバインドを断ち切った瞬間、一瞬にして移動なのはのディバインバスターを回避、更に飛針にてビットを破壊した。 その動きを一通り見たなのはは、恐らく性質としてはソニックムーブと同じだが、速度は遥かに越えていると判断していた。 「チッ…いくつこれはあるんだ!」 「そんなの答える訳ないじゃないですか!」 なのはのもっともな意見に不敵な笑みを浮かべる士郎、 実際問題として、ここまでやれるとは想っても見なかったのだ。 しかしこのままジリ貧が続くのは戴けない、この状況を打破するには“アレ”を使うしかないと悟ると 小太刀を仕舞い前傾姿勢で構える士郎、その構えを見たなのはもまたレイジングハートを士郎に向け構えていた。 「これで終わりにする…」 そう一言呟くように口にすると辺りは静寂に包まれ重苦しい空気が二人の肩にのしかかる。 そしてなのはは士郎の動きを見逃さんとジッと見つめていると、一瞬にして士郎が姿をかき消える。 なのはは驚きともにどこに行ったのか?と脳が考え始める瞬間に後方でキンッと小太刀を仕舞う音が聞こえ、 その音が耳から消え去った瞬間、なのはの胸元は大きくバツ印で刻まれ、傷口から血が噴き出し膝をついて前のめりで倒れた。 神速…御神流の中で奥義と称される歩法で自らの意志で認識速度を高め、常人を越える判断能力・攻撃・速度の可能としている。 しかし本人の肉体にも多大な負担を抱える為多用は出来ないが、その分一撃必殺ともいえる攻撃力を秘めているのである。 士郎の一撃はなのはに致命傷を与え、もはや立ち上がれないと確信に似た表情で士郎は振り向くと 其処にはレイジングハートを支え棒代わりに立ち上がろうとするなのはの姿があり、 思わず目を見開き驚きの表情を見せるがすぐに冷静な顔になり、なのはの行動に疑問する士郎。 「何故立ち上がろうとする?」 「……私には…負け…られない……理由…が…あるから」 自分には命を賭しても守りたい者がいる、自分を大切にしてくれる人がいる、大切な者を救う為に此処に来た。 だから此処で倒れている訳には行かない、たとえ気絶するような痛みでも、致命傷を受けたとしても、立ち上がらなければならない。 そう言って立ち上がり胸を張ると振り返り士郎を瞳を睨みつける、その瞳はとても半死人に見えず強い決意が滲み出していた。 そしてその瞳見た士郎は、なのはの中に母の強さを感じふと目を閉じる、其処には1歳とも見える小さな男の子が写り出す。 自分もまた、命を賭してまで守りたい者がいる、すると士郎の顔が暗殺者としての顔から父親の顔へと変化し、なのはに向け神速の構えに入ると なのはもまたレイジングハートを向けA.C.Sドライバーの体勢に入るとブラスター3を起動させる。 それによって得た魔力を先ほど受けた致命傷部分に注ぎ覆う事で応急処置的に傷を塞ぎ、残りの魔力は反射神経・動体視力・加速のみに集中させた。 そして互いの間の空気が緊張に満ちていくと、士郎がその想い空気の中、口を開く。 「…何か言い残すことは?」 「無い…」 自分は負けるつもりは無い、だからこそ言い残す言葉など無いと力強く答えるなのは。 なのはの言葉に決意を見た士郎は、なのはの強さに感服するも全力で相手をすることを決めていた。 「行くぞ!我が奥義によって散れ!!」 「私は負けない!全力全開で立ち向かう!!」 そう言ってカートリッジを全て消費すると先にかき消える士郎、そして間髪入れずになのはもまたかき消えるように姿を消した。 そして互いが対峙していた中心にて周りの柵が揺れ床にヒビが入る程の強烈な衝撃が響く。 そして衝撃波の発生元では小太刀を交差させた士郎と魔力刃にて小太刀を受け止めるなのはの姿があった。 互いの一撃は強力で小太刀の交差した中心部分に亀裂が走り始めるが、レイジングハートは全体的に亀裂が走っており、砕けるのも時間の問題である。 「このまま砕け散れ!!」 「砕けはしない!レイジングハートは!私の心は!!」 そう言うと小太刀のヒビが徐々に広がりを見せ、とうとう小太刀を打ち砕くと 空になったカートリッジを抜き出し新しいカートリッジに入れ替え装填、レイジングハートに環状の魔法陣が展開され先端では魔力が増幅していった。 「不屈の心だからぁぁぁ!!!」 そしてなのはの決死のディバインバスターが撃ち出されると桜色の魔力は士郎を飲み込み、 なのはもまた自身が撃ち抜いた魔力の光に包まれるのであった。 場所は変わり一人倒れていたフェイトが気が付き起きあがると其処は白い空間が広がっていた。 その時である、先程まであれだけの激戦を繰り出していたハズなのに自分の身がとても軽いことに気が付き首を傾げていると、 目の前に一つの魔法陣が姿を現し中から黒いローブ姿のプレシアが現れ、警戒の眼差しで見つめていると、肩をすくめるプレシア。 「安心して…もうアンタに手を出さないから」 フェイトがここに呼ばれた理由はプレシアに勝った為、だから自分はこれ以上手を出すことは出来ないと。 神はフェイトの奥に潜む母への想い、そして憧れそしてフェイトの中にある母性の力が母より越えているのかという物であった。 結果、プレシアの想いよりフェイトの想いが強く母の陰を乗り越えたという事と判断したのだという。 「これで私の願いも終わりなのね…忌々しい……」 そう言いながら顔が緩んでいるように見えたがすぐにフェイトに背を向けるプレシア。 フェイトは哀しくも変わらないプレシアの態度に苦笑いを浮かべると転送され始める。 すると背を向けたままのプレシアから言葉が聞こえる。 「……じゃあね“フェイト”」 「えっ!?母さ―――」 最後の一言に驚いた表情を見せながらフェイトは転送される。 そして一人残されたプレシア、神によるアルハザードへの道は閉ざされた… アルハザードへの道は自分で切り開くしかないか…そう諦めた様子を見せていると、プレシアの目の前に一人の金髪の少女が姿を現す。 「……お母さん?」 「アリシア!?」 その少女はアリシア本人であった、プレシアは目の前の愛娘に思わず抱きしめ、どうして此処にいるのか訪ねると、笑みを浮かべながら話し始める。 …今まで自分はとても長い夢を見ていた、その夢の中では母が一生懸命私を構ってくれていた。 ある日、母がいなくなり一人寂しくしていると、自分そっくりの少女と出会う。 少女は自分の“妹”だと名乗りそれから毎日“妹”と仲睦まじい生活を送っていた。 するとある日、“妹”がこう言った「そろそろ自分は行かないと」アリシアは一人にしないで欲しいと叫ぶと “妹”は…もう一人じゃないから大丈夫だよ…と優しい笑みを浮かべ光の中に吸い込まれていき、自分は追いかけていたら此処に立っていたと話す。 「変な夢だった…私には“妹”なんていないのに……」 「………そうでもないかもよ?」 プレシアは一言を発し天を仰ぎ目をつぶると…神も粋な計らいをしてくれるものだ…と、 そう心の中で呟いていると母の行動に首を傾げ疑問の表情を見せるアリシア。 するとそれに気が付いたプレシアは満面の笑みを浮かべ、アリシアの手を取り光の中を歩み始めるのであった。 一方で光に包まれたなのはは一人立ち尽くしていた。 そして今まで受けていた傷全てが完治しており、当初から存在していた体の不調、魔力の低下も見られず、 寧ろ絶好調とも言えるコンディションであった。 一体自分の身に何が起きたのだろう?そう疑問に満ちた表情を見せていると目の前に士郎が姿を表す。 「落ち着け、もう戦いは終わりだ…お前の勝利によってな」 士郎の言葉に一瞬唖然とするが徐々に喜びに満ちた表情を見せるなのは。 するとその表情を見た士郎は頭を掻きながら完敗を宣言する。 正直、自分と此処まで戦えて更に自分が負けるとは思ってはいなかった。 その強さは恐らく守る者の力の差なのだろうと、肩をすくめ首を振る士郎。 「出来る事ならお前の名前を教えて欲しい…私に勝ったお前の名を」 「私の名前は……“なのは”です」 「“なのは”か……良い名前だ、覚えておくぞ…」 そう言うと時間切れなのか徐々になのはの体は転送されていき、その場を最後まで見守る士郎。 そしてなのはが完全に転送されたのを確認すると歩み始め、その道中で考え事をしていた。 …もし、自分に娘が出来たとしたら、その子に“なのは”と名付けよう… ……不屈の心を宿すその名を…… 場所は変わり此処は海鳴市に存在する翠屋、時間は既に深夜を回っており、住民も寝息を立てている中 住人の一人である一人の男がふと目を覚ましベッドから起きあがる、すると隣で寝ていた妻である桃子が気付きふと声をかける。 「どうしたの?アナタ」 「いや…何でもない、少し夜風に当たってくる」 そう言うと男は妻を寝かしつけ部屋を出ていき、玄関へと赴く。 外は静寂に包まれ空は満天の星空に覆われており、ふと男は空を見上げると呟くように言葉を口にする。 「頑張れよ……なのは…」 …何故自分はそのような事を口にしたのかは分からない、ただ何故かそう思う父“士郎”であった。 前へ 目次へ 次へ オマケへ
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リリカルなのはFeather 第二話 「天使VS戦乙女」 「……ねぇ、ティア……何なんだろう?……あれ?」 スバルがイーグルを指し、ティアナに答えを求める。 「知らないわよ、こっちが聞きたいぐらいなんだから?!」 ティアナは混乱していて、冷静な判断力が失われていた。 ( わからない。 いま、起こっているすべてが、あたしの理解を超えてる。) 「大丈夫だよね? エリオくん」 キャロはエリオの片腕をつかみエリオに問いかける、そのエリオは。 「……すごい……」 イーグルの気高さと強さに憧れと羨望の眼差しを向けてる。 そしてヴィータはこの状況を今ひとつ掴みきれてなかった。 「なんだ、あれ? どっかの特撮の撮影か?」 ヴィータは辺りを見て、ある筈の無いカメラがあるかどうか探し、コンサートホールの上を視た時、一瞬でイーグルがスバル達の上空に現れた。 「 ど、ど、ど、どうしよう?」 スバルは急にイーグルが現れた事に驚いていた。 「嘘でしょ? 何でいきなり……現れるのよ」 ティアナは悲愴の表情でイグールを見つめて言った。 「……カッコイイ……」 「ねぇ、エリオくん、エリオくん。 お願いだか聞いてよ!」 もうイーグルの事しか考えていないエリオにとってキャロの必死の叫びは届いてはいない。 ヴィータは正常な状態ではない、スバル達を落ち着かせようとしていた。 「いいか、もしあいつが敵だとしても、あたしらが敵わないって決まってねぇから落ち着け。 それともあたしがアイツに負けるとでも想っているのか?」 そう言って、ヴィータはスバル達を見つめる。スバル達も日頃から感じてるヴィータの強さがイーグルに対する不安や恐れを消してゆく。 そしてイーグルがスバル達に所に近づいて来た。 「来やがったな、よしお前らッ! デバイスを起動させるぞ!!」 「はい!」 「グラーフアイゼン」 「マッハキャリバー」 「クロスミラージュ」 「ケリュケイオン」 「ストラーダ」 「set, up」 半壊したコンサートホールにスバル達の声が響き、それぞれのバリアジャケットとデバイスを展開した。 デバイスを構え、イーグルを迎え撃とうした時、イーグルは、一瞬でスバル達の視界から消え、スバル達の後ろに回った。 「え、そんなのあり? 」 スバルが驚きながら、後ろのイーグルに向かって言った。イーグルは気絶してる、つばさを抱きかかえ、 淡い光を発しながら飛翔の姿に戻った。決して裸ではなく服を着た状態で戻った。飛翔は辺りを見回し、一際に目立つ格好をしてるスバル達の方を見つめ、 数秒の沈黙の後、つばさを地面に置き、飛翔は恐る恐るスバル達に問いかける。 「あのー、貴方達は、何なんですか?」 飛翔の問いにスバルが必死に説明をする 「えっと、 あたし達は時空管理局本局 古代遺物管理部 機動六課のスターズ分隊とライトニング分隊で、 あっちのから、ティアナ、エリオ、キャロ、ヴィータ副隊長で、あたしがスバルだよ」 スバルは満足そうに説明を終え、飛翔を見つめる、対する飛翔は恐怖が頭を渦巻いている、 普通の一般人の飛翔がこの説明を聞いても、とても理解出来るものではない、そこにヴィータが面倒くさそうに飛翔に言い。 「はぁ~。 とりあえず、一緒に来い」 言い終えた時、シグナムがバーサーカとの戦いで出来た天井の穴から現れ、その事により飛翔の恐怖は更に増した。 シグナムも飛翔の様子を見て、状況の確認と飛翔の事をヴィータに聞く。 「なぁ、ヴィータ。そいつは誰だ、先程から今にも死にそうな顔をしてるのだが。 あと、ここで暴れて居た怪物はどうした?」 「あぁ、コイツ?変身ヒーロで怪物もコイツが倒した」 ヴィータの答えにシグナムは困惑した。 シグナムの眼から見ると、怪物を倒せると到底理解出来る物では無く、更にヴィータの変身ヒーロとゆう言葉が寄り困惑を招いた。 「ちょと待て、ヴィータ。その変身ヒーロとは具体的に何だ?」 「えっと、めちゃくちゃ速いスピードと炎使いで剣も使ってたぞ」 「なに、それは本当か」 シグナムから困惑は消え、変わりに歓喜と好奇心がシグナムを支配した。 自分と同じ炎使いで剣も使う物、その言葉にシグナムはとっては行けない行動を起こした。 レヴァンティンを飛翔に向けた、その事により飛翔は錯乱状態に陥り、勝手に左手のゴッドフェザー が覚醒し、 飛翔をライディーンイーグルに成った。 「おお、これがお前の力か?なかなか強そうだな!」 そお言い、嬉しそうにレヴァンティンを構えるシグナムの視界からイーグルが消え、次の瞬間シグナムの騎士甲冑ごとを斬られいた。 「何しやがんだ、テメェ!」 ヴィータはイーグルを激しく睨んだ。対するイーグルは冷たい視線でスバル達を見つめ。 「貴様らは、敵だ」 虚ろな声で言い、イーグルは又スバル達の視界から消え、エリオ、キャロ、ティアナを炎を纏った拳で殴り、バリアジャケット でも吸収できない、衝撃が3人を襲い、気を失った。その光景を見たヴィータは怒りの儘にイーグルに向い、イーグルも天井の穴から屋外に出て ヴィータを迎え撃つ。 「テメェだけはゆるさねぇ!!」 ヴィータの怒声とコッキング音が響き、ハンマーフォルムからラケーテンフォルムへ変形し、イーグルに攻撃を仕掛ける。 「はぁぁぁ!」 「ハァッ!」」 ヴィータの怒りに任せた攻撃は全てイーグルにかわされ、隙を突いてヴィータの騎士甲冑を切り刻んでゆく、 その事にヴィータの怒りが増し更に隙が多くなるとゆう悪循環が続く。 スバルは斬られたシグナムに駆け寄り、シグナムを気遣った 「大丈夫ですか?シグナム副隊長」 「あぁ、大丈夫だ、斬られた傷もそれ程、深くはない。私達もアイツを倒す」 「は、はい」 シグナムとスバルはイーグルとヴィータが戦っている、コンサートホールの上空に向う。 イーグルはヴィータに止めを刺そうとしてた。 「イーグルフレアー」 そう叫んだ瞬間、背後からシグナムとスバルの攻撃を受け、イーグルフレアーは軌道を反れ、ヴィータに当たらなかった。 シグナムが叫んだ。 「ヴィータ、スバル一気に方をつけるぞ!」 「おう」 「はい」 そして3人、それぞれの必殺技に撃つ。 「飛竜……一閃」 「ラケーテンハンマー」 一撃、必倒! ディバイン……バスタァァー!!」 三つの必殺技がイーグルに迫る、イーグルは虚ろの声で囁く 「ゴッドバードチェンジ」 イーグルは一瞬で炎の鳥に変わり、その姿にスバル達も驚いていた。 三人の必殺技とイーグルのゴッドバードアタックがぶつかり合い、相殺して4人は気を失なう。 少し時間経ち、コンサートホールにロングアーチの隊員が証拠隠滅と気を失っている、スバル達の回収を行っている。 「急げ、時間がない」 上司の男が部下を命令してる時、ある隊員が飛翔を発見し上司の男に報告する。 「隊長、この者に魔力で攻撃された箇所が多数見受けられます」 上司の男も困惑気味で話す。 「と、とりあえず、この男をクラウディアに連れて行く」 部下は飛翔を運び出そうとしたがつばさを抱きしめてた腕が解けずに上司の男に相談する 「隊長、この男が抱きしめている女の子は如何すれば良いのでしょうか?」 上司の男は焦りながら 「もう時間が無い、一緒に連れてけ!」 そして飛翔はクラウディアの客室で眼を覚ました。 「おはよう、鷲崎飛翔くん」 はやては微笑みながら、飛翔の名を呼んだ。 「何で俺の名前を知ってるんですか?」 飛翔は平常心を装っているが内心は気が気ではない。 「別に、ただ、君のことを調べただけや。名前以外の事も知ってるよ」 はやては笑顔で飛翔の質問に答えた、その答えに飛翔は驚き、ある言葉が頭に浮かんだ、時空管理局。 「貴女もあの人達の仲間なんですか?」 飛翔はあの時の恐怖が甦り始めた。はやてはそれに気付き、飛翔に謝りだした 「あー、あれはこっちが悪いはかんにんな。あないな事が遭った、後にいきなり管理局やら剣を向けって、本当にごめんな」 不思議そうにはやてを見る飛翔。 「で、物は相談なんせやけど、時空管理局に入ってみない?」 飛翔は突然の勧誘に驚き、思考が数秒間停止した。 「あー、ごめんな、いきなりこんな事、言うて。でも良い話と想うけどな」 はやては飛翔に何か言いたそうにしている、それに気づき飛翔は、はやてに尋ねる。 「何ですか、良い話って」 「プライベートな事に口を鋏むのはあまりしたく無いけど……飛翔くんの両親、交通事故にあって 意識不明の重体でしょ。」 はやての言葉に飛翔は驚愕する、はやても話を続ける。 「そして、今は親戚の叔母さんの所に住んでるけど、あまり迷惑は掛けたくない? でも、つばさちゃんを面倒見るには衣食住とお金が要る、だから叔母さん家に居なきゃいけない、でも管理局に来れば お金と衣食住すべて手に入るんや、良い話と想わないかな?」 はやては問い掛ける、飛翔も叔母さんに迷惑をかけずに居られるならそれで良いと想い。 「分かりました、管理局に入ります」 「ありがとう、飛翔くん」 はやては飛翔と握手をして、満面の笑みであった、ただ一瞬、邪な笑顔がちらついていた。 戻る 目次へ 次へ
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「人型デバイス……エインフェリア!?」 「そうだ……」 ある次元世界の一施設にて、モニターに映し出された最高評議会のエンブレムがそう応えると、説明を始める… 正式名称は等身大・人型インテリジェントデバイス・エインフェリア、XV級大型次元航行船の動力とほぼ同じ魔力を生むことが出来る小型魔力炉を搭載したデバイスで、 人造魔導師とは異なりリンカーコアを使わずに魔力を作成できる事が出来るようになった。 そして本体はユニゾンデバイスの構成情報を元に作成され、 クローン技術とは異なり、弾力性のある金属を利用した人工強化筋肉と皮膚を採用する事で強固な造りを実現していると言う。 更に他のインテリジェントデバイスと同様、人工知能も搭載され非殺傷設定も可能であると。 だが此方の命令には“絶対服従”で、逆らわないようプログラムが施されているという。 リリカルプロファイル 第十八話 強化 一通り説明を終えると疑問を持ったクロノがガノッサに質問を投げかける。 「これは…まるで“生体兵器”では無いですか!こんなモノが認められる訳が―――」 「何をいう…コレらは歴としたデバイスである、 …違うと言うのであれば、貴様の仲間が持つユニゾンデバイスもまた“生体兵器”と呼ばねばなるまい」 ガノッサの言葉に声を失うクロノ、クロノの親友が持つデバイス、リインフォースIIは言うなれば古代ベルカの技術の粋を集め造られたデバイス そしてこのエインフェリアもまた現在の魔導技術の粋を集め造られたデバイス、つまり倫理的に問題はないと。 更にこのエインフェリアにデバイスを持たせれば、Sランクの魔導師二人分の実力を誇り、 それが十体も存在しているという事は、このエインフェリアの戦力はあの“六課”を超える戦力であると語る。 …ただ一体造るのにXV級大型次元航行船三隻分の費用が掛かるのがネックであるとの事であった。 「……しかし何故この様なモノを私に見せたのですか?」 「それについては最高評議会より伝達がある」 クロノの問いにガノッサがそう答えると、最高評議会が直接伝達を読み上げる。 最高評議会の伝達とは此処にいる十体のエインフェリアを元“六課”の隊舎に運び入れ、 其処を拠点にエインフェリアを中心とした部隊を編成・指揮し、ミッドチルダを護るというものである。 現在ミッドチルダはレザードの脅威に晒されており、 地上本部の戦力だけでは心許ないと判断した処置であると。 「ではクラウディアはどうするのですか」 「…貴様の判断に任せる」 最高評議会のたった一言にクロノは不満を覚えつつ敬礼をすると、最高評議会の伝達を受け取る。 そして最高評議会は「以上である」と一言告げると、エンブレムと共に消え青髪の秘書はモニターを閉じ、 ガノッサと共にその場を後に去ると、現場にはクロノとジェイクリーナスが佇んでいた。 そしてクロノは顎に手を当て理解した、何故“六課”の解散があんなにもスムーズに行われたのかを。 それはこのエインフェリアの存在にあった、本局は既に新たな“切り札”を手にしていたのだ。 しかも“六課”とは異なりデバイスである為、部隊で保有できる魔力ランクの総計規模に引っ掛からず、いくらでも保有する事が出来る。 しかしそれを活用出来る場所がない、其処で今回失態を起こした“六課”に目を付け、 解散させる事により空く隊舎を利用し、地上本部近くに本局にとって都合が良い隊舎を造る事で、監視・牽制をする事が出来るのだ。 無論、ミッドチルダの安全の事も考慮しての行動だと思われるが… クロノは一通り考えを纏めるとジェイクリーナスにエインフェリアをクラウディアに乗せるように指示、そしてクロノは一足早くこの場を後にした。 「え~っ!?クロノさんとジェイクさん、ミッドに向かうんですか?」 「あぁ、其処でクラウディアチームはロウファを代理艦長として行動してくれ」 「了解です、艦長」 現在、エインフェリアを積んだクラウディアは一路ミッドチルダへと進路を取っていた。 その中、クロノの指示によりクラウディアの全権をロウファに委ねる事が決まり、更にクロノはロウファに話を続ける。 「そうだロウファ“俺の部屋の汚れ物”が増えたから、代わりに“洗って”おいてくれ、何なら“洗濯屋”に頼んでもいい」 「なるほど……分かりました艦長」 「うわぁ…艦長、幾ら単身赴任でも洗い物はこまめに出さなきゃダメですよ」 クロノとロウファの会話に口を挟む夢瑠、そのあっけらかんとした言葉に頭を押さえる二人であった。 六課解散から数日後…此処聖王教会にある教会騎士団訓練所にて、エリオとフリードリヒに乗ったキャロが、シャッハ相手に模擬戦を行っていた。 それを遠くで腕を組みながら見守っている二つの姿がある、アリューゼとシグナムである。 「……そうか、奴と対峙したか」 「あぁ……」 シグナムは予めレザードの存在をアリューゼからそれとなく聞いていた。 だがアリューゼの言葉の全てを鵜呑みにすることは出来なかった。 しかし今回レザードと対峙する事で実感し、改めて自分の認識の甘さを嘆いたことはなかったと語る。 奴…レザードの能力は凄まじく魔力に至っては底が見えない程で、まるで天災にでも遭ったかのような印象を受けたと語る。 あの時ほど自分の身を凍らせた事は無かった、だが此処で立ち止まるわけには行かないとシグナムは話し続ける。 「あの二人も努力している訳だしな」 「お前が連れてきた小僧達か」 アリューゼの問いに頷いて答えるシグナム、あの戦いはエリオとキャロにとってもトラウマ的な衝撃を受けた戦いでもあった。 更に六課の解散により二人はフェイトとまた離れ離れになる事となり、さすがに落ち込んでいたという。 それをすくい上げたのはシャッハであった、シャッハはエリオ達に今のまま塞ぎ込んでいる姿を見たらフェイトが心配すると語り、 フェイトを安心させるには二人が元気にしている所を見せることだ…と微笑みを浮かべながら語ると、 二人はシャッハの言葉を胸に刻み今に至っていると言う。 「流石はシスターと言うべきだな」 「…それより、お前は模擬戦に加わらないのか?フェイトに頼まれたんだろ?」 「…私は人に教えるのが苦手なんでな」 例えアドバイスを促そうとしても、攻撃の届く所まで近付いて斬れ、位しか言えないと語る。 それにエリオは自分とタイプが違うと話す、自分はアリューゼのように威力重視の一撃タイプ、 それに対しエリオは速度重視による一撃タイプ、それはフェイトやシャッハと同じタイプだと語る。 つまり自分と模擬戦するより、シャッハとの模擬戦の方が学ぶことが多いハズだと話している最中、 辺りを見渡しザフィーラの姿を見えない事に疑問を感じるシグナム。 「そう言えばザフィーラはどうした?」 「…例の如くカリムに捕まっている」 なる程といった様子を浮かべつつ頭を押さえるシグナム、本来ならキャロの支援方面をザフィーラに頼もうとしていたからだ。 そのザフィーラが無理となるとキャロの相手はシャマルが妥当だろうと考える。 シャマルは支援魔法のエキスパートで鋼の軛も使用できる、つまりキャロにとってお手本となる存在だ。 すると噂をすれば影と言うべきかシャマルが二人の前に姿を現す。 「いいタイミングで来てくれたな、シャマルに―――」 「それよりもシグナムに通達があるの」 シャマルの言葉に首を傾げると一枚の書類を渡される。 書類には元機動隊の隊舎へと向かうように指示されており、対象にシグナムの他ザフィーラ、エリオとキャロの名も書かれていた。 そしてシャマルもまた同じく呼び出されていると話す。 「一体何の用なんでしょ?シグナム、心当たりない?」 「………………………」 …かつての六課のメンバーを、かつての機動隊隊舎に集わせる、こんな事をするのは一人しかいないだろう…そう考えるシグナムであった。 一方此処はある地上部隊の隊舎、其処でスバルとティアナが事務作業を行っていた。 二人は六課解散後、部隊をたらい回しにされていた、その理由とは二人の肩書きのせいである。 “六課の人間”…その肩書きにより同僚から煙たがれ、上司には白い目を向けられていた。 だが二人は気にもとめず今の仕事をこなし、二人で自主練を行う毎日なのである。 二人は黙々とデスクワークをこなしていると、部隊長に呼び出され、 二人は部隊長の前で敬礼をすると部隊長は二人を休ませる、そして二人に一つの書類を渡す。 書類にはスバルとティアナの両名は今所属している部隊を抜け、元機動隊隊舎へと向かうように書かれていた。 スバルはまた何処かに飛ばされるのかと考え、ティアナは厄介払いが出来ただろうなと考えるも、 自分達は出来る事をすればいいと考え直し通達を受け取った。 場所は変わり此処は元機動隊の隊舎前、スバルとティアナがその場に辿り着くと、 かつての六課のメンバーが集まっており、その中になのはの姿を見かけ声を掛ける。 話を聞くとなのはもまた呼び出されたらしく、何が始まるのかは分からないでいるという。 すると隊舎の入り口から八神はやてとリインが姿を現す。 「よく集まってくれたなぁ、みんな」 「はやてちゃん?!一体どうしたの?みんなを集めて」 「ふっふっふっ……そらぁ勿論、新しい部隊“機動六課”の設立の為や!!」 全員が雁首そろえて傾げ困惑する中、意気揚々と説明するはやて。 首都機動防衛隊・古代遺物管理部第六課、通称“機動六課”とは首都防衛隊の亜種でロストロギアの管理及び地上の防衛を任務とし レジアスの権限により保有できる魔力ランクの総計規模を無視する事が出来る、超法規的処置が施された部隊であると話す。 ランク無視で集められた部隊、そんな部隊が必要とする相手はただ一人レザードだけである。 つまりこの部隊はレザードに対する対抗手段という意味を指す。 「せやけど、レザードはホンマもんのバケモンや!怖じ気ついたんならこの場を去ってもえぇ、それが当然の反応やし」 だが集まった全員の目に恐れの色は無く一同敬礼をするとはやてを称え はやてもまた残ってくれたみんなに対し、感謝の念がこもった敬礼で返すのであった。 それから数日後、此処機動六課に存在する会議室にて会議が行われていた。 会議室には、はやてを中心になのは・フェイト・シャーリーと並びモニターの脇にはグリフィスが佇んでいた。 そして時間になり会議は開始される、会議の内容はレザードについてである。 レザード・ヴァレス、そう名乗った魔導師はホテル・アグスタ襲撃事件及びミッドチルダ失踪事件の首謀者と認定され多次元指名手配となった。 だが、レザードは他の次元世界での目撃者が殆どなく、寧ろミッドチルダでの犯行が多い為、 ミッドチルダを中心に捜索をしているが、未だ手掛かりが掴めていないでいた。 しかし真に恐ろしいのはレザードの所業より自身の能力にあるとグリフィスは説明する。 レザードの能力、特に魔力は凄まじく高く、その魔力から繰り出される魔法は他の魔法と一線を引いても良いほどである。 それだけではない…彼の魔法は炎、雷、難しいとされる凍結、更に光や闇などの魔力変換を主としていると。 すると今度ははやてがモニターを注意深く見るように告げ、 スライドするようにレザードが魔法を撃つ姿が次々に写し出され、最後はレザードが放ったディバインバスターの画が写し出される。 その画を食い入るように見つめていると何やら違和感を感じる、するとなのはがその画の異変に気がつく。 「足下に魔法陣が…無い?」 「せや…んでもって、このディバインバスターの時もそうなんや」 その言葉に唖然とする一同、確かにレザードが魔法を撃つ際、足下には魔法陣が展開されていない。 そもそも魔法陣とは魔法を撃つ為に必要な魔力の収束・圧縮をスムーズに行う為のもの、それは魔力変換も例外ではない。 しかしレザードの魔法にはそれがない、つまりレザードにとって魔力変換など魔法陣を必要とする程の技術ではない事という事になる。 そのレザードが魔法陣を使用したのは三つ、移送方陣と呼ばれる転送魔法、不死者召喚、広域攻撃魔法である。 どれも高度な魔法であるが、その中で広域魔法の威力は常軌を逸しているとグリフィスは語る。 「もっとも…あれだけの魔力を保有していれば当然かもしれませんが…」 だがレザードの魔法は何も攻撃面のみ特化している訳では無いと眼鏡に手を当て話を続けるグリフィス。 シールド、バリア、フィールドと三種に使い分ける事が出来るガードレインフォース、しかもフェイトの話では支援効果も見受けられてたという。 つまり肉体自体の防御力も強化させる事が出来る防御魔法なのである。 そして生半可な魔法では反射されてしまう魔導師泣かせのリフレクトソーサリーも存在し、 この両者を撃ち破るには純粋に圧倒的な威力がある魔法か、バリア破壊の効果を持つ魔法、あとは直接攻撃のみであるという。 しかもそれだけではない、力を拘束するレデュースパワー、防御を拘束するレデュースガード、そして魔力を封じるプリベントソーサリーまで存在する。 特にプリベントソーサリーの効果は恐ろしく、まさに魔導師殺しと言っても過言ではないバインドである。 「まさに魔法の申し子っちゅうところやな、だけとな…レザードの恐ろしさはそれだけや無いんや…」 そう神妙な面持ちで話すとはやては席を立ち、グリフィスが立つ位置まで移動、 そしてグリフィスが持っている差し棒を奪うとモニターに写るレザードの顔を力強く指す。 「見や!眼鏡をかけていても尚!!イケメンっちゅうところや!!! …………………………………あり?」 はやての言葉に対し一斉に白い目で見る一同、その冷たい目線から逃げるように背を向け、 一つ咳をすると振り返り、差し棒をグリフィスに返し何事もなかったかのように席に座ると今後のレザード対策へと話題を移す。 変な空気が辺りを包む中、なのはとシャーリーが席を立ちモニターへと赴くと説明を始める。 なのははフォワード陣の技術の向上と、デバイスのリミッター解除によってもたらされるフルドライブを使いこなせるようにすると説明。 次にシャーリーがデバイスに新しい機能を取り付け強化させると話す。 エリオにはフルドライブのデューゼンフォルムとは異なり範囲攻撃・強化を持たせたウンヴェッターフォルムを、 キャロには射撃能力と強固な防御魔法を追加されたセカンドモードを超える、更なる防御魔法を加えたサードモードを、 ティアナには長距離特化されたロングレンジタイプのブレイズモードを、 そしてスバルにはギアセカンド以上の加速を実現させる為、A.C.Sを利用したギアエクセリオンを起用すると説明した。 「エクセリオン?!それは大丈夫かいな?」 「昔と違って安全性は保証されていますから大丈夫ですよ」 はやての不安に自信を持って答えるシャーリー、だがシャーリーのプラン説明はまだ終わっていなかった。 次にレヴァンティンのリミッター解除によるボーゲンフォルム グラーフアイゼンにはギガントフォルムとラテーケンフォルムの長所を持つツェアシュテールングスフォルムをそれぞれ追加、 そしてフェイトのバルディッシュにはフルドライブのライオットブレードの進化系ライオットザンバーと真・ソニックフォームを起用すると話す。 ライオットザンバーとはシグナムとの度重なる模擬戦によって編み出された戦闘フォームで二種類の形態を持つ。 そして真・ソニックフォームとは先日のレザードとの戦いの際、ソニックムーブとブリッツアクションを用いた攻撃を防がれた為、 かつて使用していたソニックフォームを基礎に防御を一切無視した完全速度重視の超高速特化形態であると説明した。 そしてなのはのレイジングハートにはエクシードを更に超えるブラスターモードを追加するという。 ブラスターモードとはエクセリオンモードと自己ブーストを複合したようなシステムで 使用者・デバイス双方に限界を超えた強化を主体とした形態で、三段階に分かれており ブラスターモードによってブラスタービットと呼ばれる遠隔操作機を操作でき、ブラスターの段階によって2~4基操作・制御出来ると説明する。 説明を終えたなのはとシャーリーは元の席に座ると、はやてはシャーリーとなのはのプランを了承し会議は終了、 それぞれ席を立つと会議室にはグリフィスとはやてが残され、はやては腕を組み首を傾げる。 「なんでウケへんやったんやろ…とっておきやったのにな……」 「…はやて部隊長、時と場所を考えてください」 そう言ってはやてを窘めるグリフィスであった。 一方此処、ゆりかご内に存在するレザードの施設にて、ベリオンの起動実験が行われようとしていた。 立会人にはレザードと助手のクアットロ、ベリオンの起動を見に来たセインとウェンディ、そしてレザードに呼ばれたノーヴェとディエチの姿もあった。 レザードの合図の下クアットロは電源を入れる、するとベリオンに搭載されているリンカーコアが活性化し回路に魔力が満ちると 頭部のモノアイが光りを放ち、全長3メートルもあろうかと思える巨体がゆっくりと起き上がる。 「オハヨウゴザイマス、御主人様」 「ふむ、うまく機能しているようですね」 ベリオンの出来に納得するように頷くと、ノーヴェとディエチに目を向け不敵な笑みを浮かべるレザードであった。 場所は変わり此処は訓練所、部屋にはノーヴェ・ディエチ・ウェンディの姿があり、彼女等の対極の位置にベリオンが佇んでいる。 一方モニター室にはレザードとクアットロに野次馬根性全開のセイン、そして今まで訓練していたオットーとディードの姿も見受けられた。 「博士?本当に本気で攻撃していいんだな?」 「えぇ、そうでなくては意味がない……」 レザードの答えにノーヴェは頷くと早速準備運動を始め、体がほぐれた頃を見計らいレザードが開始の合図を出した。 まずはノーヴェが先手をとりエアライナーをベリオンの頭上まで伸ばし滑走、 右手を握り締めるとベリオンの左頭部コメカミ辺りを打ち抜く。 だがノーヴェの一撃はベリオンの巨体どころか頭部すらは揺るがす事が出来ず 寧ろベリオンの左手がノーヴェの右手を掴むと振り回し、壁に叩きつけられた。 だがベリオンの攻撃はまだ終わってはいない、ベリオンは左手をノーヴェに向けると左手の中心が丸く開き銃口を覗かせると マシンガンのように光弾を撃ち出す、ノーヴェのガンナックルに搭載されているシステムと同質の物だ。 「ウェンディちゃん!華麗に参上ッス!!」 ベリオンの攻撃がノーヴェに迫る中、ライディングボードに乗ったウェンディが間に入り、ライディングボードを盾にしてベリオンの攻撃を防ぐ。 一方ディエチはベリオンを挟んでノーヴェ達の位置とは対極の位置に移動すると、イノーメスカノンをベリオンに向けチャージを始める。 そしてある程度チャージするとエネルギー砲を発射、発射されたエネルギー砲は真っ直ぐベリオンに向け延びていった。 だが―――― 「ガードレインフォース」 ベリオンはバリア型のガードレインフォースを展開、ディエチの攻撃を防ぐ、 ディエチは驚いた、自分の攻撃を防がれた事に対してでは無く、機械であるハズの存在なのに魔法を使用した事に対してだ。 そんなディエチを余所にベリオンはノーヴェ達への攻撃を止め、ディエチが構えている方向へと向くと右手を突き出す。 すると右手の平の中心が丸く開き銃口を覗かせるとエネルギーがチャージされていく。 だが――――― 「チャージなんかさせるかよ!!」 ベリオンがチャージしている間に、ライディングボードからノーヴェが飛び出すように姿を現すと、エアライナーをベリオンの頭上まで展開させ滑走 そして加速を維持したままベリオンの頭上目掛け飛び降りると、両の拳を合わせ後頭部めがけて一気に振り落とす。 更にノーヴェは両手でベリオンの頭を掴むと逆立ちのような体勢をとり、加速を付けて何度も膝蹴りを打ち抜き バク宙のような縦回転を始めると、ブレイクギアを用い踵のジェット噴射を利用した右足で蹴り上げた。 この連撃に流石のベリオンもチャージを止めるが、大したダメージは受けておらず何事もなかったかのようにノーヴェの蹴り上げた右足を掴むと、勢い良く床に叩きつけた。 その衝撃は強烈でノーヴェの体を宙に浮ばせる程であり、ベリオンはノーヴェの足を離すと右拳を堅く絞め振り下ろす。 だがその瞬間、ディエチが速射砲に切り替えたイノーメスカノンでベリオンを撃ち抜く。 ディエチの攻撃はベリオンの右頭部・肩・腕に三発・わき腹辺りを撃ち抜き、 その攻撃によりベリオンは動きを止めると、その隙をついてライディングボードに乗ったウェンディがノーヴェを回収、ベリオンの上空を旋回していた。 するとベリオン左手のマシンガンが火を噴き、ウェンディを撃ち落とそうとしていた。 「ちょっ?!マジ勘弁してほしいッス!!」 焦るようにそう言うと、ライディングボードの面をベリオンに向け攻撃を防ぐ、 その間にディエチはチャージしていた最大出力のエネルギー砲を放射するが、ベリオンはバリアを張る。 しかしエネルギーの渦はバリアごとベリオンを飲み込み壁に激突した。 ベリオンが直撃した壁辺りは土煙に覆われていたが、それが徐々に晴れていくとベリオンは平然と佇んでおり、ディエチに右手を向け直射砲を放つ。 ディエチはイノーメスカノンを持ったままだと回避できないと判断し、 イノーメスカノンを手放しベリオンの直射砲を左に転がるように回避難を逃れる、そして腰に付けていたスコーピオンを取り出す。 マシンガン型イノーメスカノン・スコーピオン、イノーメスカノンを失った際の穴埋め的な形で造られた簡易版イノーメスカノンで、 ディエチのISヘヴィカノンに合わせ、多彩な弾倉(マガジン)を交換することにより様々な銃弾を撃ち出すことが可能な銃なのである。 ディエチは走りながら速射用マガジンに切り替え照射、それに合わせてノーヴェはウェンディの進行とは逆の方向へエアライナーを展開させ滑走すると光弾で応戦 ウェンディもまた床に着地するとライディングボードにて砲撃を開始した。 一方でベリオンは三方向からの攻撃に対しバリアを展開、見事に防いでいる。 その様子を見たディエチはノーヴェにバリアの破壊を指示、その間ウェンディと二人でノーヴェをサポートする事となった。 二人のサポートを受けたノーヴェは早速ブレイクギアを起動させるとスピナーが音を立てて回転していく。 そしてスピナーの加速が最大になりジェット噴射と共にバリアを左足で蹴り降ろす。 「砕けろぉぉぉぉ!!!」 ノーヴェの蹴りは見事ベリオンのバリアを破壊すると、今まで援護していたウェンディが反応炸裂弾に切り替えベリオンに向け撃ち出す。 撃ち出された反応炸裂弾はベリオンの胴体に接触すると榴弾のように炸裂、ベリオンは桜色の光に包まれる。 すると今度はディエチが徹甲弾が詰まったマガジンに切り替えると、ストックを伸ばし足を肩幅ぐらいに広げ脇を絞め構えると、 ヘヴィカノンの効果によりスコーピオンからエネルギーによって被帽化された徹甲弾が撃ち出される。 撃ち出された徹甲弾は金属を貫く鈍い音を奏でており、マガジンに詰まっていた徹甲弾を撃ちきると、ベリオンは動きを止め胴体には幾つか穴が空いていた。 流石にベリオンの装甲がミスリル銀であっても、ディエチによって強化された徹甲弾は防ぐ事は出来なかったようである。 そして辺りが静寂に包まれると急にベリオンの声が響く。 「…警戒レベル1カラレベル2へ移行、アクセルモードカラバスターモードニ切リ替エマス」 するとベリオンの魔力が上がり穴の空いたベリオンの胴体から徹甲弾が押し出される、 どうやら徹甲弾は内部に存在するダマスクスによって防がれていたようである。 更に穴は徐々に塞がっていき跡形もなくなる、リジェネーションヒールと呼ばれるスキルである。 ベリオンにはルーンと呼ばれる紋章が内部に幾つか刻まれており、その並びにより様々なスキルが使えるのである。 しかしルーンはバスターモードでないと機能せずスキルも最大三つしか機能させる事が出来ないという弱点もあるのだ。 だがそれらを省いても今のベリオンは強力な存在である。 「チッ自己再生か!」 「厄介な能力ッスね!!」 ノーヴェが舌打ちをしウェンディが文句を言っているとベリオンの足下が輝き一気に加速、ディエチの目の前に現れる。 ディエチはその場から逃げようとするが時すでに遅く、両拳を合わせたベリオンの剛腕が振り下ろされた。 その光景を見たノーヴェはベリオン目掛け突撃、右のハイキックを打ち込むが、容易く受け止められ寧ろノーヴェの足を掴むと壁へと振り投げる。 ノーヴェは悲鳴を上げながら吹き飛ばされるが、ウェンディによって壁との激突は免れた。 だが二人の前には既にベリオンが姿を見せており、二人はベリオンの右拳をなす統べなく撃ち込まれてしまったのであった。 ディエチは床にめり込むように沈み、ノーヴェとウェンディは重なり合うように壁にめり込んでいると、 ベリオンは少し離れ上空から三者を見下ろす位置に立つと、右手をディエチに、左手をノーヴェ達に向け止めの体勢に入る。 「其処までです、ベリオン……」 其処にレザードの一言により動きを止めるベリオン、そして待機モードとなったベリオンは床に降りると静かに佇んでいた。 一方モニター室ではベリオンの強さに圧倒されるセインに、戦いの一部始終をじっと見つめていたオットーとディード そして上々といった様子で眼鏡に手を当て笑みを浮かべるレザードの姿があった。 「…………此処は?」 「気がつきましたかディエチ…」 レザードに起こされたディエチはゆっくりと体を起こす。 どうやらベリオンとの戦闘は終了したらしく今訓練所は破損した部分をガジェットが修理していた。 一緒に戦ったノーヴェとウェンディも無事なようでディエチの両脇で眠りについている。 そして正面を見ると右肩にオットー、左肩にディードを乗せたベリオンの姿が見受けられた。 どうやら今回の戦闘で、二人はベリオンの事を気に入ったのではないかと言うのがレザードの話である。 「貴女達のお陰で十分なデータがとれました、後は“鍵”の完成を待つばかりです」 するとディエチはベリオンの強さについてレザードに問いかけるとレザードは笑みを浮かべ簡単に応じる。 ベリオンにはアクセル、バスターと二種類のモードを持っており、警戒レベルに合わせて能力、機能が変わるのだという。 「尤も今現在は…ですがね」 レザードは意味深な台詞を吐くと、眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるのであった。 一方機動六課の会議から二週間が経ち、今日も午後の訓練が終わりフォワード陣が集められていた。 会議後の訓練は更に厳しくなり、エリオは電気の変換資質を開花させてからフェイトにみっちりシゴかれており、 スバルはA.C.Sの運用をティアナには砲撃・遠距離による支援の極意をなのはから、みっちり教えられていた。 そして今回の訓練はテストも兼ね備えていたようで、なのは・フェイトの両名から合否の判断が委ねられる。 結果は合格、今のフォワード陣ならばフルドライブを十分に扱えるだろうという判断である。 なのは達の判断に喜ぶメンバーであるが話はまだ終わってはいなかった。 「今回、みんな苦しい訓練に耐え抜いたから、明日は一日お休みにします!」 なのはの言葉に唖然とする一同、だがすぐに満面の笑みを浮かべる一同にヴィータが釘を指す。 「そん代わり明後日からセカンドモードを基本にした訓練になるからな!」 ヴィータの言葉に力強く返事をする一同、そしてなのはは解散させると速攻で隊舎に戻る。 その姿に頬掻くなのはに対しヴィータは問いかける。 「だがよ、本当によかったのか?フルドライブは…まぁモノにはなって来てるみてぇだが」 「確かにフルドライブ以上になると安定はしていないけど、それはまだ先の話だし、それに………」 「それに何なんだよ?」 フォワード陣に休暇を与えたのは体と心をリフレッシュさせるだけではない、 自分達もまた鍛え上げる為にフォワード陣に休暇を与えたと話す。 「新しい機能を把握するには実戦に近い模擬戦が一番だからね」 「なるほど確かにな……」 なのはの答えに頷くシグナムにフェイト、その中ヴィータは一人青冷めていた。 かつてなのはと一日中模擬戦をした時、次の日の朝、全身筋肉痛で動けないでいた。 その悪夢が明日起きようとしている、しかも今回はみんなリミッターが外れでおり、更に新機能のテストも兼ね備えている。 フォワード陣には明後日の事をあぁ言ったが、もしかしたら自分達の方が明後日動けないんじゃないか…そう不安がよぎるヴィータであった。 場所は変わり此処はとある次元世界の収容施設、クラウディア艦長代理であるロウファは看守の案内により一つの部屋へと向かう、其処には一人の中年男性の姿があった。 「オイ、起きろ…」 「…んあ~?いつものクロ助じゃねぇな」 「黙れバドラック、刑を減らして欲しいんなら働け」 ロウファの言葉に鼻で笑うバドラックと呼ばれた男性、彼はかつて魔導師暗殺により逮捕された人物で、今は此処に収容されている。 バドラックはロウファの依頼を聞くと笑い始める。 「そりぁいい!ソイツは俺向きの仕事だな!」 「ほぅ何故だ」 「そりゃあおめぇ、俺ぁ“口が達者”なんだよ」 昔はそれでよく人を騙し金を稼いでいたと自慢するように話すバドラック、 だが、それに対し冷たい目線を送り役に立つのか不安になるロウファであった…… 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第5話 【星と雷】 キャロ「私の新しい居場所。大好きな人と、優しい人がいっぱいいる場所。 だけど、どこかでまだ迷ってる。きっと、自分のことが怖いから。 一緒に戦うパートナーと一生懸命な先輩たちと、きっと私と同じ思いを持った優しい子。 迷っていられない。決めたから。自分がこれから進む道。魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」 なのは「ヴァイス君、私も出るよ。フェイト隊長と二人で空を押さえるっ!」 ヴァイス「うっす、なのはさん。お願いします」 なのは「キャロ。大丈夫、そんなに緊張しなくても。離れてても通信で繋がってる。一人じゃないから。 ピンチの時は助け合えるし、キャロの魔法は皆を守ってあげられる、優しくて強い力なんだから。…ね?」 リインフォースII「任務は二つ。ガジェットを逃走させずに全機破壊すること。 そして、レリックを安全に確保すること。ですから、スターズ分隊とライトニング分隊、 二人ずつのコンビでガジェットを破壊しながら、車両前後から中央に向かうです。 レリックはここ。7両目の重要貨物室。スターズかライトニング。 先に到達したほうがレリックを確保するですよ!」 リインフォースII「デザインと性能は、各分隊の隊長さんのを参考にしてるですよ。ちょっと癖はありますが、高性能です!」 局員「確かにすさまじい能力を持ってはいるんですが、制御がろくにできないんですよ。 竜召還だって、この子を守ろうとする竜が勝手に暴れまわるだけで。 とてもじゃないけど、まともな部隊でなんて働けませんよ。せいぜい単独で殲滅戦に放り込むぐらいしか」 フェイト「ああ、もう結構です。ありがとうございました」 局員「それじゃあ」 フェイト「いえ。この子は予定通り私が引き取ります」 キャロ「私はこれからどこへいけばいいんでしょう?」 フェイト「それは君がどこに行きたくて何をしたいかによるよ。キャロはどこに行って何をしたい?」 なのは「発生源から離れればAMFも弱くなる。使えるよ!フルパフォーマンスの魔法が!」 はやて「スターズの三人とリィンはヘリで回収してもらって、そのまま中央のラボまでレリックの護送をお願いしようかな」 リインフォースII「はいですぅ!」 グリフィス「ライトニングはどうします?」 はやて「現場待機。現地の職員に事故処理の引継ぎ」 次回予告 なのは「初出動を終えて、日々の訓練もちょっとレベルアップ」 フェイト「そして事件は少しずつ、ひそやかに、その姿を現していく」 なのは「次回魔法少女リリカルなのはStrikeS第6話」 フェイト「進展」 なのは&フェイト「Take off!」
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マジカル頭脳パワー!! 司会 解答者 クイズ・ゲーム マジカル頭脳パワー!! PARTY SELECTION 参考リンク コメント 1990年から1999年まで日本テレビで放映されていたクイズ・ゲームバラエティ番組であり、日本の代表的なクイズ番組の一つ。 放映当時は高い視聴率を誇り、ブームになったクイズやゲームも多く、昨今でいう“脳トレ”ブームの先駆けともいえよう。特に「マジカルバナナ」は流行語にもなった。 なお、「マジカルぞうさん」において、お題に「ポケモンについて」が出題されたことがある。 司会 ナッシー:板東英二 持ち物:しあわせタマゴ 解答者 フーディン:所ジョージ 賢さMAX推奨。 アズマオウ:今田耕司 所さんに飽きたら使ってみよう(所ジョージが座っていた席の後任)。 サーナイト:加藤紀子 ミュウツー:俵孝太郎 カビゴン:松村邦洋 スカタンク:間寛平 ピクシー:千堂あきほ エレキブル:北野大 ウォーグル:風見しんご ミロカロス:山咲千里 バイバニラ:早坂好恵 ゴルーグ:定岡正二 バクーダ:高田純次 カポエラー:清水圭 ゴチルゼル:麻木久仁子 ゼクロム:高橋英樹 ミミロップ:飯島愛(故人) クイズ・ゲーム エテボースorトロピウス:マジカルバナナ 持ち物:ナナのみ ウソッキー:早押しエラーを探せ! デオキシス:マジカルチェンジ ドーブル:マジカルアート伝言バトル スケッチ必須 バクオング:マジカルシャウト ハイパーボイス必須 コノハナ:いじわる実験室 いじわるポケモンなので アンノーン:立体文字クイズ カポエラーorカラマネロ:さかさま指令 ドンファンorダイオウドウ:マジカルぞうさん ヒヒダルマ:マジカルだるまさんがころんだ ルージュラ:マジカルリップ伝言バトル ベトベトンorネンドール:マジカルねんど伝言バトル 持ち物:ひかりのねんど パッチールorヤンチャム:マジカルパンダ プラスル:マジカルプラス あわせていくつ ラッキー:マジカルたまご ミルタンク:マジカルミルク キマワリ:マジカルニコニコ テッカニンorアギルダーorゲッコウガ:マジカル忍者 ペラップ:ものまねワンダーランド ものまね必須 ギャロップ:マジカルメリーゴーラウンド メタグロス:スーパークイズコンピュータ マジカル君の出す頭脳指数レベルの問題 スターミー:マジカルミステリー劇場 キングドラ:逆から早撃ちクイズ 特性スナイパー推奨 キマワリ:マジカル笑って何ホーン? ミミロップorホルード カメックスorコータスorドダイトスorアバゴーラorクレベース エルレイド:もしもし桃太郎 リザードン レシラム カメックス ゼクロム:4色旗上げ メタモン:マジカルコピー ヒトモシ:マジカルバースデー オニゴーリ:マジカルまっくら 鬼さんだぁ~れ!! ディグダ:あわせて顔出せ!! マジカルもぐら ケララッパ:マジカルラッパ伝言バトル マジカル頭脳パワー!! PARTY SELECTION ニャオニクス♀:アロン ブーピッグ:ノントン ドーブル:オネスト ヨルノズク:ワイズ バオッキー:クイッキー レシラム:エース メタグロス:カジマル 参考リンク Wikipediaによる番組解説 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 クイズ・ゲーム メタグロス:クイズスーパーコンピュータマジカル君の出す頭脳指数レベルの問題 スターミー:マジカルミステリー劇場 キングドラ:逆から早撃ちクイズ 特性スナイパー推奨 キマワリ:マジカル笑って何ホーン ミミロップorホルード カメックスorコータスorドダイトスorアバゴーラorクレベース エルレイド:もしもし桃太郎 リザードン レシラム カメックス レシラム:4色旗上げ -- (ユリス) 2014-12-06 10 15 26 「ガネーシャ」というポケモンは実在しないので記述から外しておきました。 何かの誤認ではないでしょうか? -- (管理人) 2011-05-13 21 23 55
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炎が踊る。 殺意と志向性を持った紅蓮の波が全てを焼き尽くそうと迫る。 自らの相棒を構えた若き魔導師――――――フェイト・T・ハラオウンはそれをオーバーとも言える動作で回避する。 理由は単純。 炎の当たり判定は、周囲の空気すら含むから。沸騰した大気は炎自体よりは威力が低いものの、それでも十分。 バリアジャケットの上から受けたというのに、掠っただけの左腕はほんの少し動かすだけでも苦痛を伴う。・・・・・・もっとも、それだけで済んだと考えてもいいかもしれない。 つまりクリーンヒットしてしまえばそのまま戦闘不能に追い込まれかねない、ぞっとするような威力。そしてそれ以上に―――――― 「・・・・・・バルディッシュ!」 Plasma Lancer 複数射出された雷撃の槍が、緑の炎に覆われた四つ足――――――フレイムマンへと殺到する。 が、その攻撃はフレイムマンを覆う緑の炎に触れた瞬間、あっけなく弾かれてしまう。 ――――フレイムマンの緑の炎はあらゆる攻撃に対して無敵。そんな常識外のロジック、初見で看破する事などどう考えても不可能である。 AMFとはまた違う、攻撃そのものを防ぐフィールドと考えるべきか。何よりも厄介なのが、それだった。 間違いなくヒットしているというのに『手ごたえが無い』。接近して魔力刃を叩き込んでもみたが、まるで壁を殴ったような感触が手に残っただけ。普通のプロテクションなどならば 弾かれるような手ごたえがあるはずだというのに、だ。幻影の類かとも疑ってみたが、鋼の四肢が打ち下ろされる度に床を砕く様子からも実体であると断定せざるを得ない。 厄介な敵。それも『強い』ではなく『悪質な』。 屋内という、自分の力がフルに発揮できない状況であることもまたネガティヴポイント。こんなところでザンバーフォームなど使えば、下手すれば崩落を促進しかねない。生き埋めは流石に遠慮したい。 ならば『高速機動で撹乱しつつ空中から連打』という戦法を考え付いたが、相手も甘くは無かった。 ――――オレンジ色の高速誘導弾。 まるで意思を持っているかのように追いすがる二つの炎弾が空中を走る。この攻撃もまた厄介で、『フェイトが空中に居るとき』のみ使ってくる。こちらは切り裂く事は出来るが、すぐに形を取り戻して しまうため、いくら迎撃しようとも無意味。だが不自然な事に、こちらが床に足をつけているときには何の動きも見せないのだ。 そうなると魔力の消費を抑えるために必然的に床に足をつけて戦う事になってしまうわけで。 (やりづらい・・・・・・・・・!) Arc Saber 連続して放たれる火柱を高速で回避しながらバルディッシュを振り、光刃を射出。が、やはりこの攻撃も無効化され、思わず舌打ち。 数メートルはある蜘蛛の如き巨体のどこにも、この状況を打破するための取っ掛かりが見つからない。 そして、もう一つ。離脱という選択肢があるにも拘らず、ここまで不利な状況でそれを選択しないのか。別にフェイトは敵に背を向ける事を恥と思っているわけではない。敵を見逃す事に多少の感情は沸くが、命には代えられない。 その気になればダメージ覚悟で誘導弾を突っ切り、一気に地上まで戻る事もできる。―――――――自分一人なら、の話だが。 そう。 フレイムマンからは見えない位置に、要救助者の少女―――――ギンガ・ナカジマがいる。彼女を抱えながら高速飛行し、あの誘導弾を回避、突破するのは難易度が高すぎる。 だからこそフェイトはフレイムマンを撃退するべく戦闘を行っているわけなのだが・・・・・・・・・・・・・・・ 「ヴォォォォォォォォォォッ!ちょこまかと目障りなヤツだ!」 ―――――轟! 仮面を思わせるフレイムマンの頭部から、灼熱が放射される。先ほどとは違う、威力よりも効果範囲を重視した攻撃だ。 回避、後方。 ブーツを鳴らし、サイドステップを織り交ぜながら炎から逃れる。 汗がひどい。 バリアジャケット越しにも分かる熱気に辟易しながら、火の海の中を駆ける。手袋の中でさえ汗にまみれて、ふとした拍子にバルディッシュを取り落としかねない。 息が上がってきているのが分かる。 呼吸をすれば、入ってくるのは肺を焦げ付かせるような熱い気体。いくら呼吸をしても満たされる事の無いような、そんな考えがフェイトの脳裏を駆け巡り―――――――――そこで、唐突に気付いた。 (・・・・・・・・・・・・え?そんな、まさか・・・・・・・・・・・・) 炎。それは、貪欲に酸素を喰らい尽くす魔物であるという事を。 ―――――どこかで少女が倒れる音がした。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 火災現場。 そこで恐れられているのは炎・・・・・・・・・だけではない。いや、むしろそこでは炎など、序列で言えば大した危険ではない。 多少の知識がある者ならば分かるだろうが火災現場において最も危険な物、それは―――――――気体である。 酸素と水素を糧として膨れ上がる炎はあらゆる物を飲み込み、本来ならば燃やしてはいけないものを燃やす。それによって発生するのは、有毒な気体。 有毒でなくともその空気にもう酸素は残っておらず、人は満足に呼吸する事も叶わぬまま死亡してしまう。 魔導師であろうとも結局は人というカデコリに含まれるわけである。 つまり現在の状況がより一層最悪に近いものだと、ようやくフェイトは気付いたのだ。 ・・・・・・・・・手遅れ気味ではあったが。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 戦況は変わらずフェイトの不利。加速度的に状況が悪くなっているのが自分でも理解できる程に、だ。 回避しきれなかった数回分の余波はずくずくと身体の各部を蝕んでいる。 酸欠気味の頭を振り、ぼやけ始めた視界をどうにか修復しようとする。頭痛が激しい。 (時間が無い・・・・・・・・・どうする?) キレの無くなり始めた動きを見逃さない敵の炎が放たれる。火柱が連続で吹き上がり、さながら壁のように押し寄せてくる。 「ヴォォォォォォォォォォォォ!ただの人間が、よく耐えるものだ!そろそろ諦めたらどうだ?」 「・・・・・・誰がそんな事ッ!」 バックステップ。 拡散する炎は、その分射程が短い。――――――相手の攻撃パターンは二つ。誘導式の火柱か、拡散式の壁。どちらも速度はほぼ同じ。 熱された空気が対流を引き起こす。地下だというのに吹き荒れる熱風はますますフェイトを苛む。 ひょう、と空気を吸い込む音から遅れる事数秒、またも火炎が来る。 (しつこい・・・・・・・・・ッ!) 相手の作戦はもうわかっている。強固な防御で耐えつつこちらの体力を削る持久戦だ。 焦る。 今まで様々な経験をしてきた自分でさえ消耗しきっている。・・・・・・ならば、あの少女はどうだろうか? そう思ってわずかに視線を動かしフェイトはギンガの隠れている方向を見て、 「ヴォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・なるほど、そこか」 ぎょろり、とフレイムマンの頭がそちらを向いた。 (―――――――――――っ!) 驚愕するフェイト。だがそれを見ることも無く、フレイムマンは頭部へと渦巻く火炎を集中させる。 轟、とやけに明瞭な音と共に紅蓮の花が咲いた。 ――――――放射。 フェイトがバルディッシュから雷槍を放つが、一瞬の痛痒をも与えることなくそれは緑の炎にかき消される。 間に合え、と床を蹴り疾走。 火柱が迫る。速い。炎が直撃すれば、バリアジャケットを纏っていない少女など灰も残らず焼き尽くされてしまうだろう。 ――――――――だがフェイトは、間に合わないと確信していた。 遅い。何から何まで遅すぎる。自分の動きが、自分の速さが、足りない―――――――! 逃げて、という声が溢れる。 傷つく人はこれ以上見たくない。ましてや死人なんて。 しかし、非情にも炎はその勢いを止めることなく一直線に熱量を振りまき―――――――――― 「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」 ―――――――唐突に、声と共に飛来した水の弾丸がその炎を吹き飛ばした。 ● 命中を確認。直情からの視点であるからこそ分かったが、どうやら倒れている少女へと放たれたれしい炎は、バブルスプレッドでの迎撃に成功。ぶっつけ本番もいいところだったが、上手くいったことに安堵する。 相変わらず猛スピードで降下中のロックマン.exeは砲へと姿を変えた右腕からチップデータを排出、さらに連続でチップデータを叩き込む。 ――――――セット:エアシューズ ――――――セット:フウアツケン 右腕が幅広のブレードと化し、風を纏う。さらに足裏からエアが放たれ、空中での姿勢制御を可能とする。 「でやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 起動、噴出、加速、疾駆――――――! 一瞬で間合いを詰めたロックマンは右腕のブレードを振り、斬撃と同時にそこに宿る力を解放する。 烈風。 全てをなぎ倒す風圧は狙いを外れることなく、奇襲に驚くフレイムマン―――――――――その背に燃えるロウソクの緑とオレンジの火を吹き飛ばした。 それと同時に絶対の鎧が解除される。フレイムマンの背に着地したロックマンはそのまま半回転しながらブレードを振るい、ロウソクを半ばから切断する。 「ヴォォォォォォォォォォォォ!?貴様、なぜそれを―――――――!?」 驚愕の声を上げるフレイムマンの背から跳躍、チップデータを排出し顔面へと向けてロックバスターを連射する。たまらずのけぞったところで、ロックマンはチップをロード。 接近戦、敵大型、炎属性。 そこから導き出すのは、一撃必殺を可能とするたった一枚のチップ。 ―――――――セット:バリアブルソード・・・・・・・・・・・・ 形成されるのは、流体の刀身。主の思うがままに姿を変える、テクニカルソード。 イメージは、衝撃波。それも四色の四連斬。制御の難しいこのチップの中で、最大の威力を持つ『技』。 下段から逆袈裟の軌道で抜き放つ刃は、四色に輝いて。 「――――――喰らえっ!」 ―――――――・・・・・・エレメントソニック!! 炎。 水。 雷。 木。 暴力的なまでの威力を持つ斬撃がフレイムマンを滅多切りにしていく。 ● フェイトには目の前の光景が信じられなかった。 突然降ってきて今の今まで自分が酷く苦戦していたはずの敵をあっけなく切り刻んでいくその姿が。青いバリアジャケット(?)に身を包んだ少年は見たこともないようなデバイスを使って、砲撃射撃から近接戦闘まで やってのけているのだ。それも、恐ろしいほどの練度で、だ。 自身が戦闘経験があるからこそ理解できる、異常と言っても差し支えないほどに洗練された無駄の無い動き。 少しの間呆然としていたフェイトだが、すぐさま意識を切り替える。今なら、攻撃が通用する。確信じみた直感に賭けて、痛みを上げる左手に魔力を集中させる。 「バルディッシュ、カートリッジロード!」 Load Cartridge コッキング音は続けて三回。薬莢が落下するよりも速く左手を振り抜き、金色の輝きを纏う左の掌をフレイムマンへと突きつける。 「君!離れて!」 こちらをちらりと見たその少年は一瞬で状況を判断したのか、大きくバックステップ。離脱する。 円形の魔法円を展開。カートリッジから供給された暴力的な魔力が体中を駆け巡り、バレルと化した左腕一本へと殺到。 鮮烈な金色の閃光が電気を撒き散らしながら膨れ上がり―――――― Thunder Smasher 「―――――ファイア!!」 ――――――咆哮にも似た嵐音と共に放たれるのは、柱の如き極太の稲妻の槍。反応しきれぬほどの速さで迫るそれをフレイムマンは避ける事すら出来ず、まともに正面から喰らった。 超高温高電圧高熱量の砲撃は狙い過たずにフレイムマンを飲み込み、その身に深々と傷を負わせる。悲鳴すら大気を灼くスパークにかき消され、のたうちまわる暇さえなかった。 数秒後、その身体がぐらりと揺れ、 「ヴォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・す、い・・・・・・・、せ・・・・・・・・・・・・・ィ・・・・・ま・・・・・・」 ―――――――――爆散。 ご、と灼熱したかと思うと、余りにあっけなくフレイムマンは消滅した。後には何も―――身体の一欠片すら残らない。 無敵の鎧があるならばそれを纏う者には防御力など必要ない、ということだろうかとフェイトは予測を立ててみた。 ・・・・・・だが、今はそれ以上に重要な用件がある。 見る。視線の先に居るのは、青いバリアジャケットの少年。まだあどけなさを残した、しかしそれで居て戦士の顔をした正体不明の少年。 視線が交錯する。 噴出音と共にバルディッシュが魔力の残滓を吐き出す。 それが何故か会話の糸口を作った気がして、フェイトは口を開く。 「・・・・・・・・・君は―――――――?」 戻る 目次へ 次へ
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(こちらA班、異常無し) (B班了解。こちらも異常無し) (C班了解、同じく異常無し…主はやて、この口調は何とかならないのですか?) (別にええやろ。気分の問題や。気分の) (気分の…ですか) (シグナムさん、あんまり気にすると肩凝りますよ?) 彼女らは今、島田を見張っている…いや、正確には島田を誘拐しようとする犯人を待っている。 事の始まりは、令子が見合いに参加したことからだ。その日から令子はストーカーに悩まされ、挙句の果てに誘拐されるという事態に。 真司はそれを見合い相手による腹いせと判断し、蓮やなのは、北岡達と結託して犯人を捕らえようと行動しているのだ。 そして今、島田を餌に罠を張り、誘拐犯を待ち伏せしているところである。 …ちなみにこのどこかの諜報部隊のような会話については、はやての言うように「気分の問題」という事で納得していただきたい。 (でも意外よね。まさか北岡さんが令子さんのこと…) (え?シャマル、それほんまなん?) (…確かにな。まあ、そうでもなければ北岡が協力するとも思えんが) (*1)) この一件で北岡の想い人が発覚したようだ。 ちなみになのは・ヴィータ・リィンのお子様トリオは話の内容を理解できていないらしく、疑問符を5つほど浮かべている。放って置けばまだ増えるだろう。 「なのはちゃん…なのはちゃん!」 「ふぇ?な、何ですか優衣さん…」 優衣によって現実へと引っ張り戻されるなのは。どうやら聞き入っていたらしい。その証拠に、さっきからの優衣の声にも気付いていなかった。 「島田さんがいないの…多分、島田さんもさらわれたんだと思う…とにかく他の班のみんなに連絡して!」 「はっ、はい!」(こちらA班、異常発生!) それからさらに数日後。 「はじめまして。倉井忍です」 「神崎優衣と申します…ほほ」 再び罠を張る。今回の餌は優衣だ。 その頃外では、蓮が真司を踏み台にし、塀の上から中の様子を見ていた。 今回はその近くに蓮の車が停めてあり、中ではやてとヴォルケンリッター達が待機している。 「ついに優衣まで引っ張り出すことになったか… しかしこれであの男が犯人じゃなかったら、凄まじい無駄骨だな」 「安心しろ…信じるものは救われるんだよ…」 第二十話『現れる戦神』後編 再び中の様子。 「フン、君も遊び半分ですね。君のような女性が、私なんかに興味を持つはずが無い」 どうやら倉井は、初めから諦め果てているようだ。あぐらをかき、扇子で扇いでいる。 ところが、優衣の返答は倉井が予想だにしなかった事だ。 「いえ…お付き合い、させて下さい」 驚き、慌てて扇子をたたみ、正座をした。 「どういうつもりだ?優衣の奴、まさか本気で…!」 見張りを交代したヴィータが危惧する。まさか、まさか…! 「違う。神崎はああやって、奴の身辺を探ろうとしているんだ」 「なるほどな…」 同じく見張りを交代したシグナムに説明され、ヴィータも納得がいったようだ。 …近所の幼稚園児がじっと見ていた。そしておもむろに走り出す。 「ママー、へんなひとたちがいるー」 数十分後、倉井の住むマンションの一室。 「ささ、汚い所ですがどうぞどうぞ」 「おじゃましますわ」 倉井が優衣をリビングへと誘導する。この部屋に女性が入ったのは初めてなので、いくぶん興奮しているようだ。 コーヒーを入れにキッチンへと駆け込む倉井。部屋の中を探ろうと、隙をうかがう優衣。 だが、十秒と経たないうちに倉井が戻ってくる。 「すいません、コーヒーを切らしてました!すぐ買って来るので、待っててくださいね!ね!」 優衣の手を取ってコーヒーを買いに行く旨を伝え、そして部屋から駆け出していった。 優衣にとっては千載一遇のチャンス。倉井が部屋を出たのを確認し、動きやすいよう着物のすそをたくし上げる。 …行動開始だ。 隣のビルの屋上から、真司たちが部屋の中を見ている。 無論この距離からではよく見えるはずも無いが、幸い真司の私物に双眼鏡があったため、そのおかげで中の様子が丸分かりだ。 「貸せ!」 蓮が真司の双眼鏡をひったくろうとする。 「ずりーぞ、あたしにも見せろよ!」 さらにはヴィータが双眼鏡をひったくろうとする。 「あ、私も私も」 シャマルまでもが争奪戦に参加。もはや見張りとどちらがメインか分からない。はやてとシグナムは横からそれを眺めていた。 …ちなみに争奪戦を続ければ続けるほど、真司の首が絞まっていく。顔が青くなってきた。そろそろ落ちる頃だろう…あ、落ちた。 「城戸…?おい城戸!城戸ォォーーーーーッ!!」 三分ほど後。真司は未だに落ちたままだ。 突如、真司の携帯が鳴る。北岡からの着信である。 落ちていて出られない真司に代わり、シグナムが代わりにでる。 「もしもし…ああ、城戸は今落ちているからな。それで、一体何が…それは本当か!?」 『ああ、倉井忍は犯人じゃない。令子さんが誘拐された日、奴にはアリバイがある』 「ならば一体誰が…」 その頃、優衣はというと… 「令子さーん!島田さーん!」 部屋中を荒らしまわりながら、令子と島田を探し回っていた。 普通いないだろうと思われる台所の戸棚や、電子レンジの中まで探していることから、多少の錯乱も入っているだろう。 …と、その時。部屋の呼び鈴が鳴った。あわてて着物のすそを戻し、応対に出る。 「あら…」 呼び鈴を鳴らしたのは、近所の部屋に住むおばさんだった。倉井の部屋から女性が出てきたことに驚いているようだ。 「すいません、もうちょっと静かにしてもらえますか?」 近所の人が苦情を言いに来るほどだ。よほどうるさかったのだろう。 …まあ、部屋の扉や本棚を破壊しながら探していたのだから無理も無い。 「すいませ~ん…」 一応謝る優衣。その時、そのおばさんの首にあるものを見つけた。 そのあるものとは…令子が付けていた物と同じネックレス。優衣は即座に「この女が怪しい」と睨んだ。 だが、それをおくびにも出さず、愛想笑いで流す。 そしてそのおばさんが部屋に戻ったのを見届けると、名を確かめるために表札を見る。 表札には「竹内」と書かれていた。 ちなみに、倉井がその後どうなったのかは誰も知らない… 「竹内マリ?」 「ああ。今度こそ本物の犯人だ。編集長の話によれば、OREジャーナルに恨みを持ってるらしい」 翌日の昼、翠屋にて。 今回の件のメンバーを集め、真犯人であるはずの竹内の情報と作戦会議を兼ね、昼食をとっていた。 ちなみに竹内についての情報は、大久保が一晩かけて調べ上げた。そのせいで徹夜になり、現在会社で熟睡中である。 「以前怪しげな会社の女社長だったんだけど、編集長の記事のせいで会社が潰れて…」 「その女が犯人だという根拠はあるのか?」 「ネックレスだよ。優衣ちゃんが昨日のマンションで見つけたんだ。その女が令子さんと同じネックレスしてるのをさ。 まさに作戦通りってやつだな」 「ただの偶然だろう。作戦も何も無いな」 「全くだよ。要するに令子さんは、お宅の編集長のいいかげんな仕事のとばっちりを受けたって訳?」 「編集長の悪口言うな。いいかげんなのはそっちだろ」 「俺のどこがいいかげんなんだよ」 「…よせ、もううんざりだ」 今まで黙っていた蓮が口を開く。 「これ以上下らない言い争いを続けるなら、俺は降りる」 「降りる?何だよそれ…」 「いちいち突っかかるなって…大体俺達が組んでること自体無理があるんだよ。お前らといると妙に疲れる…」 「…確かに」 そうこうしている間に完食。作戦はどうやら各自で立てることになったようだ。 …なのは達が多少空気と化しているが、気にしたら負けだ。だから気にしてはいけない。 翌日、マンションにある竹内の部屋の前。 真司がそこにいた。何故かトランクを持ち、スーツを着て、似合わないメガネをかけて。 部屋の呼び鈴に手を伸ばし、押す。数秒で竹内が出て来る。そして用を聞く竹内に開口一番。 「実は耳寄りなセールスのお話があるんですけど」 どうやらセールスになりすまし、潜入して調査という策のようだ。 …同じ頃、蓮がマンションの前にいた。真司と同じような格好で… 「まぁまぁ今日はいい男が二人も。ちょうどヒマだったのよ。今冷たいものでも入れますからね」 そう言ってキッチンへと向かう竹内。真司はそれに対して軽く会釈すると、椅子に座っている北岡に気付いた。 竹内の様子を見て、もうしばらく戻らないと踏んだ真司は北岡へと近づく。 (あんた、セールスマンになりすまして様子を伺おうって作戦だな?いい作戦じゃない) (何も言うな) (俺と同じだよ) (…恥ずかしくなる) 会話の間に再び呼び鈴が鳴る。いや、北岡も鳴らしたことを考慮すると…三度というべきだろうか。 竹内がすぐに接客に出る。その後すぐに声がした。 「まぁまぁまぁいい男が三人も…今冷たいものでも入れますからね。ビールがいいかしら?ホホホ―――」 その声とともに、呼び鈴を鳴らした張本人が現れる…お前もか蓮。 隣のビルの屋上にて。なのは・はやて・手塚・ヴォルケンリッターが中の様子を見ていた。 ちなみに使っている双眼鏡は真司の私物だ。 「…やれやれ、まさか三人揃って同じ作戦なんてな」 どうやら手塚とヴィータの番らしく、一つの双眼鏡を二人で使っている。 「手塚さんは行かなくてよかったんですか?」 「ああ、俺は秋山から『ここから中の様子を見ろ』と言われている」 手塚がなのはの質問に答えたとき、下の階から何者かが現れる。 「…どうやら、考えることは皆同じのようだ」 下の階から上がってきたのは吾郎だった。 数分後、三人揃っての商談が始まった。屋上からの監視組も双眼鏡から目を光らせている。 ちなみに吾郎は吾郎で携帯双眼鏡を用意していた。サイズの都合上、二人での使用は難しいだろう。 まずは潜入組の様子から見てみるとしよう。 「こちらでございます」 「まあ…素敵なカップね」 蓮が取り出したのは白いティーカップだ。どこかで見覚えがあるような気がしないでもない。 「ええ、イギリス製の一品です。大変お買い得だと思いますが」 見覚えがあると思った真司が目を光らせ、そして気付いた。 「あ!翠屋の…」 「ミドリヤ?」 そう、蓮の商品は翠屋で使われているティーカップだった…さらに言うと、無断借用である。 「ええ、ミドリヤというブランドです」 その頃監視組は。 「あれ?なのはちゃん、あのティーカップ…どこかで見覚えあるような気がするんやけど…」 真司同様、はやてが何かに気付く。ティーカップに見覚えがあるようだが… 「え?あ、あーっ!あれ翠屋にあったカップだよ!」 さすがにしょっちゅう見ているだけあって、すぐにその正体に気付いたようだ。 なのはの様子から、あのカップを使うという話は聞いてなかったと予測できる。 「今朝の物音って、ひょっとしてあれを用意する音だったのかな?」 「それより勝手に借りてった方が問題やと思うんやけど…」 ちなみに、今回の無断借用はその後手塚によって報告され、蓮はしばらく減給になったのだがそれはまた別の話。 それはともかく、今度は真司が何かを取り出したようだ。 「はやてちゃん、あのお鍋…もしかしてはやてちゃん家にあったやつじゃ…」 「今度みんなにアイス奢ってくれる言うたから、真司君に貸したんや。 私はタダでも貸してあげる気やったけど、奢ってもらえるなら奢ってもらったほうがええかと思てな」 薄給の身でそんな約束していいのか真司よ… 再び視点を潜入組に移そう。 「で、あなたは何をお持ちですか?」 鍋を取り出し、セールストークを終えた真司が北岡に聞く。 すると北岡は内ポケットから財布を取り出し、名刺を渡す。 「弁護士の北岡秀一です。何かお困りの際は、うちにご相談を」 「…はい」 竹内もまんざらではないような表情で名刺を受け取る。 (おい、なんて奴だ。今回の事件で商売しようってのか!) (違うって) (何が違うんだよ!このおばさんを弁護して儲けようってんだろ) (だから違うって!) (いいかげんにしろ!) 真司と北岡の言い争いを蓮がたしなめる。そして再び前に目線を向けると…竹内がいない。 一度冷静になろうというつもりか、指でメガネを押し上げる。そして… 「いないぞ!」 視点を監視組へ。 「動いた!奴はおそらく下だ!」 現在監視の順番が回っていたシグナムが叫ぶ。それを合図に全員が一階目指して駆け出した。 エレベーターに乗り、一階へと急ぐ。幸いこのエレベーターは普通のものよりも早い…というかフリーフォール並みの速さだ。 あっというまに一階に到着。 だが、何人かのメンバーは乗り物酔いで動けないため、今動けるはやてとシグナム、手塚が先行した。 「うう…エレベーターなんかで乗り物酔いになるなんて…」 竹内がエレベーターを使い、一階へと逃げる。 エレベーターを降り、外へと向かおうとしたが…すでにはやて達三人により待ち伏せされていた。 それを見て後ずさる竹内。ちょうどその時、真司ら三人が追いつく。 「終わりやな。令子さんたちをどこにやったか、話してもらうで」 竹内へと詰め寄る六人。鏡のほうへと後ずさる竹内…それがまずかった。 キィィィン… 例の金属音が響く。発信源は…竹内のすぐ後ろの鏡だ。 鏡にサメ型モンスター『アビスハンマー』が写り、そして竹内を引きずり込んだ。 「なっ!?全く、何故こんな時に…!」 突然の出来事に驚き、ぼやくシグナム。 「今はんなこと言ってる場合じゃないだろ!」 真司の一言が合図となり、その場にいた全員が変身、もしくはデバイスを起動させる。 そしてすぐさまミラーワールドへと飛び込んだ。 最初に飛び込んだ龍騎が、左の拳を叩き込む。 続いてナイト・シグナムの両者による斬撃、さらにははやて・ゾルダの同時砲撃。 これだけやられて無事だとは思えないが… 「手応えが無い…かわされたというのか?」 シグナムの斬撃には手応えが無い。その事でシグナムは思案する。 だが、これが大きな隙となり、アビスハンマーにつけ入る隙を与えてしまった。 持ち前の高速移動を利用し、シグナムの背後へと回る。そして、胸部の大砲から砲撃を放とうとした。 だが、それが放たれることは無かった。ライアのエビルウィップが直撃し、アビスハンマーを弾く。 「どうすんだ?あのおばさんがやられちまって、令子さん達がどこにいるのかもう分かんないぞ!おい蓮!」 令子や島田の居場所を知っているはずの竹内が喰われた。それはつまり、令子達の居場所が分からないということだ。 不味い。非常に不味い状況だ。だが、それを無視して蓮が向かっていく。 やむを得ず真司も向かおうとするが…別のモンスターの気配を感じ取り、立ち止まる。 そして周囲を見渡すと…蝉型モンスター『ソノラプーマ』がいた。ご丁寧にセミが木に止まるかのようにビルの壁に張り付いている上、さらにセミのような鳴き声を出しているからセミ型だと分かりやすい。 「あれは…」 真司はソノラプーマを見て、思い出す。島田の見合いの日、北岡の車にいたモンスターを。 「そうか、あれがもし島田さんたちを狙ってるなら…!」 モンスターは狙った獲物は逃さない。島田が狙いなら、つけて行けば令子達の監禁場所も分かるという狙いだ。 ここ最近の真司は妙に冴えているような気がする。バカと天才は紙一重という言葉もあながち間違いではないのかもしれない。 思考時間は一秒、それを終えるとすぐにソノラプーマを追う。 それに気付いたはやても真司を追い、そして真司の考えを聞いて納得したようだ。 その頃アビスハンマーと戦っているナイト・シグナム・ライアはというと。 「速いな…それなら!」 『NASTYVENT』 ソニックブレイカーを放ち、アビスハンマーの動きを封じる。 その隙に追撃を仕掛けようとはしたが…思いのほか動けるようになるのが早かった。 125km/hの高機動で、ライアへと迫る。そして、大砲を放とうとして、一瞬だけ動きが止まった。 …それは確かに一瞬。だが、シグナムにはそれで十分。 ガイをミラーワールドから叩き出した時同様、シュランゲフォルムで縛り上げ、上空へと放り投げる。 「今だ!秋山、手塚、やれ!」 シグナムの声に呼応し、両名が一枚のカードを装填した。 『『FINALVENT』』 空へと舞い上がるアビスハンマー。それに対し、飛翔斬とハイドベノンを同時に叩き込む。 それらは見事に決まり、アビスハンマーが粉微塵に爆ぜた。 そしてソノラプーマを追っていった龍騎は現在、ミラーワールドの外にいた。 その理由は単純明快。ソノラプーマがミラーワールドから外に出ていたからである。 そしてソノラプーマを奥まで押し込み、その衝撃でブルーシートがはがれる。 ブルーシートの向こうには、眠っている令子と島田がいた。睡眠薬か、それともソノラプーマの鳴き声に含まれる催眠超音波のせいかは不明だが。 「ビンゴ!」 二人の無事に安堵する龍騎。その隙にソノラプーマの一撃を貰う。 多少吹き飛ばされるが、大したダメージは無い。そのまま格闘戦となった。 ソノラプーマの攻撃を何発か受けながらも、龍騎がそれを押さえ込む。 「はやてちゃん、行くぞ!」 偶然かそれとも狙い通りか、龍騎の近くには先ほど戻ってきたときの鏡。その近くにははやてとゾルダが攻撃準備を整えていた。 そして声の後、ソノラプーマをミラーワールドに放り込む。 そして再びミラーワールド。 ソノラプーマが先ほどの鏡から飛び込んでくる。それを見たゾルダは、あらかじめ用意しておいたギガランチャーを構える。 そして立ち上がった瞬間を見計らい、撃った。 ギガランチャーの弾が直撃し、思い切り吹き飛ばされるソノラプーマ。そして… 「咎人達に滅びの光を!星よ集え!全てを撃ち抜く光となれ!貫け!閃光!スターライトブレイカー!!」 上空から巨大な魔力光。中距離集束砲『スターライトブレイカー』が、ソノラプーマめがけて飛ぶ。 その光は一瞬にしてソノラプーマを消し飛ばし、ついでに地上にも少なからずダメージを与えた。明らかにオーバーキルである。 …まあ、現在地はミラーワールドなので誰にも影響は無いはずだが。 「これは…強力すぎやな。当分使わないようにせな…」 片をつけ、一度ミラーワールドへと戻る龍騎。こちらの方が近道だからである。 ミラーワールドへと戻り、皆と合流。ちょうどその時、乗り物酔いでダウンしていたメンバーが合流したようだ。 「遅かったな。お前達が参っている間に片はついた」 それを聞き、驚くヴィータ。 「え!?…で、でもまだ令子達は見つかってないんだろ?だったら今から探せば…」 「ああ、令子さん達ならもう見つけた。そこの鏡から入ったとこにいたよ」 さらに驚く。モンスターは片付き、令子達も見つかった。それはつまり… 「もしかして、あたし達…役に立たなかったってのか?」 「ま、そういうことだね。ご愁傷様」 ゾルダの一言がトドメとなり、ヴィータが大いにへこむ。 「あ、あはは…まあ、楽できたって考えればまだ…」 なのはがフォローを入れるが、ヴィータがいない。どうやら精神的だけでなく、物理的にも沈みきっているようだ。 「じゃ、令子さん達連れてさっさと帰ろうか…ん?」 帰ろうとしたとき、突如すぐ近くから金色の光が。そちらへと振り向くと… 「何…あれ…!」 謎の金色のライダーが、光の中にいた。 「あいつ…オーディン!?」 龍騎以外には、全く見覚えが無い。だが、名前は真司から聞いていた。 そう、すなわちこいつが13人目の仮面ライダー『オーディン』なのだ。 「戦いを続けろ…生き残った者は私と戦い、力を得られるだろう。13人目であるこの私と…」 ゆっくりと、しかし誰にも文句は言わせないというような雰囲気でオーディンが言う。 「ああ、戦ってやるよ…但し、てめえとだ!」 「な!?ヴィータ、待て!」 いつの間に戻ってきたのか、ヴィータがグラーフアイゼンを構え、オーディンへと向かっていく。 「あいつが仕掛け人なんだろ?だったらあいつをぶっ潰せば戦いは終わる!」 もちろん、そんな保証はどこにも無い。だが、ヴィータはそう信じ、オーディンへと殴りかかる。 刹那、金色の羽が舞う。それと同時にオーディンの姿が消えた。 「え?うあっ!」 オーディンの持つ特殊能力、それは金色の羽とともに瞬間移動する能力だ。 その能力を使い、ヴィータの背後に回る。そして一撃を見舞う。 それが合図になったかのように波状攻撃が始まる。 アクセルシューター、ミストルティン、ウイングランサー、シュランゲバイゼン、ギガキャノン。 それぞれが避ける隙も与えずに仕掛けるが、瞬間移動でかわされ、それぞれが一撃ずつ殴られた。 「まだ私と戦うときではない。お前達は今のまま戦いあえばいい。 魔導師という不確定要素があるようだが、まあいい。修正すべき箇所の修正は終わった」 そう言い、最後に龍騎に一撃を見舞おうとするオーディン。 だが、龍騎はオーディンが現れるより前に一枚のカードを装填した。 そしてオーディンが龍騎を殴ろうとしたとき、逆に龍騎がオーディンを殴った。 先ほど使ったカード、ストライクベントのドラグクローを使って。オーディンは全くこたえていないようだが。 「ほう、何故私が現れる場所がわかった?記憶が消えなかったのか?」 「さあね…お前を一発殴りたかった!」 「殴ったうちには入らないがな…」 その一言とともに、龍騎を殴る。オーディンのパンチ力は相当のものらしく、食らった全員が結構な距離を飛ばされた。 「一体…何のためにこうやってやり直させたんだ!」 「知る必要は無い。お前達の戦いは、何も変わらない。ただライダー同士で殺しあうのみだ」 「いや…変わったよ」 「何?」 「重さが…消えていったライダーの重さが2倍になった!これ以上は増やさない!」 その言葉とともに、龍騎が立ち上がる。 「人を守るためにライダーになったんだから、ライダーを守ったっていい!」 「城戸…」 龍騎の言ったことを聞いていたのか否か、オーディンはすぐに去っていった。 「私と戦うのは最後の一人だ。続けろ。戦いをやめるな」 戻る 目次へ 次へ
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「それでは、フェイトちゃんの嘱託魔導師試験合格を記念して・・・」 「乾杯!」 アースラ艦内では、本局で試験を終えたフェイトのささやかな祝賀会が開かれていた。最低限のオペレーター以外は食堂に集合し、そ の主役のフェイトはその中で恥ずかしそうにしつつ、皆に持ち上げられていた。 「あ・・・ありがとございま」 「飲めー!歌えー!騒げー!デストローイ!!!」 「ハイ、ハイ、ハイハイハイハイリンディ提督のちょっといいトコみてみたーい!!!」 「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAHUUUUUUUUUUUUUUUU!!!!」 ささやかと言うには騒ぎ過ぎである。この艦の理性でもあったクロノ・ハラオウンがいないと言う事はこれほどまでに混沌を呼ぶのか。 「どーしたのー?フェイトちゃんの為の宴なのに~」 「リンディ提督、いえ、その・・・うわ、酒臭」 「ぶふ~ん、リンディママに全部話して御覧なさ~い、っていうかなのはちゃんでしょ~?」 「・・・はい」 その時、通信音が響き、ヘッドセットをつけっぱなしのエイミィが出た。 「はいはい~ああ、クロノ君?」 通信に応対するエイミィのさりげない言葉に戦慄が走り、全員が一瞬で凍りつく。 「うん、今フェイトちゃんの試験終わって・・・え?組織の人と連絡取りたい?わかった・・・最寄の電話ボックスと組織の人を繋ぐから」 「組織・・・?」 フェイトがリンディに怪訝な顔をして尋ねる。リンディは少々顔を引き締める。 「ええ・・・クロノとなのはちゃんには今、捜査の依頼が来ていたからそちらに向かってもらっていたの、後数時間で定期連絡が来るだろう し、その時に一度戻ってもらうように言っておきましょうか?」 「いえ・・・大丈夫です、ですが」 フェイトは真っ直ぐにリンディを見つめ、言った。 「私の方から会いにいきます」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ネアポリス市内のケーブルカー 車掌の笛の音が響く。 「ふぇぇー!!待ってぇ!待ってください!」 ドアが閉まりきる前に間一髪滑り込んだなのは、周りの乗客の注目の的となり、軽く誤魔化し笑い。 「危なかったぁ・・・」 「もう少し待ってくれてもいいよね・・・外国の交通はしんどいよ・・・」 席を探すなのはとユーノだがその最中とんでもない人物を見つけてしまった。 「あ」 「あ」 「あ」 先程空港で自分達を騙した人物・・・ジョルノ・ジョバーナと聞いた彼がボックス席にいた。 「えと・・・座ってもいいですか?」 「え?いや、ああ、どうぞ・・・」 ジョルノと向かい合って座るなのは、荷物は通路側に置く。なのはの横の座席にユーノがちょこんと座る。 「君は・・・いや、覚えてないのか・・・?」 「さっき、空港で会った、ジョルノ・ジョバーナさんですよね?」 「・・・ああ、そうだけど・・・」 「荷物・・・無いんですか・・・」 若干落胆した顔を見せるなのは、ジョルノはそこで話を切り出す。 「その・・・さ、こう言うのは何だけど君は危機感が足りないように思えるんだ、僕が泥棒まがいの事をしていると知っているならわざわざ近寄ったりしないと思うし、荷物だって抱えて持つほうが安全じゃないか?」 「じゃあ、また盗むんですか?」 流石のジョルノも頭痛を覚えた。 「出来るなら今やってみてください」 「(なのは・・・ちょっと怒ってる・・・?)」 「(うん)」 念話での会話すら・・・いや、念話だからこそなのはの静かな怒りが伝わってきた。元よりなのはは曲がった事が嫌いであった、如何なる 理由があっても、どんな境遇であろうと、犯罪に手を染める事を許せない、頑固で真っ直ぐな性格であった。 「出来るのなら今すぐに、盗んでみてください」 「・・・なら、遠慮無く」 ジョルノは即座になのはの荷物を掴む、だが、そこまでだった。 「これは!?重い・・・!!」 出発前 「はいこれ、なのはちゃんは女の子だから色々入れなきゃいけないでしょ?盗まれたりするかもしれないし、特性のスーツケースを用意したのよ」 「なのはちゃんの魔力波動を登録すれば他の人には開けるどころか持つ事すら出来ないようにしてみたよ、開けっ放しには注意してね」 「ありがとうございます、エイミィさん、リンディさん」 「提督・・・僕には・・・」 「それじゃあいってらっしゃい」 「・・・はい・・・」 ジョルノは自分の判断が間違っていた事に気付いた。 この少女は・・・危機感が無いのではない。 危機感を持って、あえてこの場所にいるのだ・・・と 「そうか、お前がジョルノ・ジョバーナか・・・」 そんな中、唐突に話しかけてくる男がいた。ケーブルカーの上の方からゆっくりと歩いてくる、おかっぱ頭の男。 「・・・あんた、誰です?」 「あ、すみません、今ちょっと取り込み中なのでお話なら後にして・・・」 なのはの言葉が途切れる、そばで見ていたユーノは男がなのはに向かって手を突き出したのを見た。 「すまないが・・・ちょっと話したい事があってね、少し時間をもらうよ」 男がすぐに手を離した、にも拘らずなのはは口を塞がれたかの様に呻いている。 「むぐッ!?むぐう!!?」 『ジッパー』がなのはの口に縫い付けられている所為で喋れないのだ。 「ば、馬鹿な!?こんな事が・・・」 「ジョルノ・ジョバーナ、率直に聞きたい・・・このような能力を使う者を見た事は無いか?」 「この様な・・・他にも能力を持つ者がッ!!」 殴った。振り下ろすような拳がジョルノの顔を打ち抜く。 「質問はいらない、ただ答えればいい・・・ここ数日ギャングの中で腕に心得のあるやつが連続して狙われている・・・俺の仲間もその襲撃にあっている、それはどうやら特異な能力を持った奴らが、何らかの目的で集中してここ一帯を狙っている・・・という事なんだ・・・」 「・・・」 「お前が空港周辺で稼いでいるのは知っている・・・だから、妙な奴が来たなら一番お前が詳しいと思ってな・・・」 「・・・魔術士連続襲撃事件か」 「(ゆ、ユーノ君!)」 男が声の方向に向き直る、しかしフェレットであるユーノを当然無視してなのはへと。 「今のは君の声かい?オカシイ、な?口を閉じているのに喋るなんて・・・それに何やら・・・連続襲撃事件と聞こえたが気の所為かい・・・?」 「(ごめんなのは・・・!!)」 「・・・」 なのはは何も言わずじっと堪えた。男はそれを恐怖で緊張していると感じ取ったのか、少し優しい口調で 「じゃあ一つだけ答えてくれないかな・・・?俺の言ったギャングが連続して狙われている事件について、君は心当たりがある・・・イエスかノーか首を動かして答えてくれ」 イエスと応じれば、当然更なる追及を受けるだろう。 ノーと応じれば・・・解放してはくれないだろう、解放してくれたとしても背後関係を洗われる。 どちらも選べない状況で逡巡するなのは、顔に一筋流れる汗を ベロンッ! 男が舐め取った。 「!!??!?!?」 「(こいつ・・・!!)」 「・・・」 「俺ね・・・人が嘘をついてるかどうか汗の味で解るんだ・・・この味は答える事に嘘・・・つまり答える事を隠したい・・・って事」 今度はなのはの肩口から二の腕の辺りまでがジッパーで大きく開かれた。 「ムゥー!!ムグゥー!!」 なのははすっかり気が動転していた。無理も無い、こんな身の危機では成人男性ですら悲鳴を上げて逃げ出す程だ。 「もう少し、話を聞く必要があるようだな・・・俺の名はブローノ・ブチャラティ・・・あまりにだんまりが続くようなら質問を『拷問』に変える必要があるぜ・・・」 「(なのは!!目くらましと解呪をセットでぶつける!!この場は脱出だ!)」 念話の声に理性を取り戻すと同時に、閃光弾の様な光が炸裂した。 「ぐぅっ!!?」 「うああッ!!」 ジョルノとブチャラティが目を押さえて仰け反る。 解呪によって身体のジッパーが無効化した事を確認すると、脱出経路を探そうと目を走らせた刹那、なのはに見えた。 『Protection』 窓の外で鉄槌を振りかぶる少女の姿が 「おらあああぁぁぁ!!!!」 窓ガラスを突き破って来た少女の鉄槌がなのはのプロテクションに食い込み・・・ぶち破った。 衝撃でそのまま反対側の壁まで吹っ飛ばされるなのは 「っかはっ・・・」 瞬時にバリアジャケットを展開していなかったら壁に叩きつけられて気絶していただろう・・・同時にレイジングハートを展開し、対峙するなのは。 「誰なの!?」 「命はもらわねぇ・・・おとなしくやられてくれ」 to be continue・・・ 前へ 目次へ 次へ
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プロローグ 11月27日 2030時(現地時間) イギリス ロンドン郊外 ロンドン郊外にある大きな館。 ミスリル創始者であるマロリー伯爵の館である。 「それで今日は何の用だ?」 客間で旧友と会っているマロリー卿が言う。 旧友―――長い付き合いだがどこで何をしているか、いまいち分からない友の髪は もう自分と同じように白くなっている。 その旧友の後ろに護衛として二人の黒髪の男が控えている。 「何、個人的な頼みがあるんだ・・・」 「個人的な頼み?」 マロリー卿が怪訝そうに聞き返す。 「・・・ミスリルの部隊を貸して欲しい。」 「馬鹿な。我々ミスリルは国際紛争の火消し役だ。ごく個人的なことでは 動かすことはできない。それは出資者であるお前もよく分かってるはずだ。」 取り付く島もなくマロリー卿は断る。しかし久しぶり尋ねて来た旧友は続ける。 「なんらかの組織が日本で作戦を起こすという情報があるのは マロリー、お前も知っているだろう。この頼みはそれと関係しているんだ。」 旧友の言葉にわずかに目を細め、マロリーは黙る。なぜそのことを知っているのか? もう二十年以上の付き合いになるが、この旧友の得体の知れなさは相変わらずである。 そして30秒ほど考え込み答えた。 「分かった。ちょうど日本に常駐している作戦部のエージェントを知っている。 しかし、情報の出所が不明な点を考慮して派遣できるのは少人数になる。 何かの陽動の可能性もあるといかんのでな。」 マロリー卿は自分の人を見る目を信じて見ることにし 先日、ミスリル上層部の前で啖呵を切った若い傭兵を思い出した。 そうして、海鳴市に戦争馬鹿が派遣されることが決定された。 11月31日 1710時 東京都 陣代高校生徒会室 授業が終わり特に生徒会の仕事もなく家に帰っても暇なときは 生徒会のメンバーはここで好きなことをして時間を潰す。 かなめも特にすることがないらしく、生徒会室の備品であるテレビで再放送のドラマを見ている。 宗介も机で書類を作成していた。香港での事件後に上層部と掛け合った契約内容の変更についてのだ。 ちょうどテレビのドラマが後半に差し掛かるときに宗介の携帯が鳴った。 「相良だ。・・・了解、ポイントエコーで合流する。」 そう言って帰り支度を始める宗介にかなめがテレビから視線を外して聞く。 「どこいくのよ、宗介。まさかまた任務じゃないでしょね?単位やばいってのに平気なの?」 「肯定だ。単位は何らかの口利きをしてくれると言っていたので 長い任務になるかもしれん。なるべく一人で出歩くなよ。」 「長いって、どれくらいになるの?」 「分からん。もしかすると冬休みにまでずれ込むかもしれん。」 そういって、支度を整え終え宗介は生徒会室を出る 「・・・ホント大丈夫なの?ちゃんと早く帰ってきなさいよ。」 「了解した」 11月31日 1924時 MH-67 ペイブ・メア 汎用ヘリ コールサイン "ゲーボ9" 「なあ、姐さん。かなめの護衛任務のときに経験したとは言え この装備はいくらなんでも過剰じゃねぇか?今回は俺ら3人だけじゃなくて 情報部の奴も参加するんだろ?」 絵に描いたような金髪碧眼の美形―――クルツ・ウェーバー軍曹は チームリーダーであるメリッサ・マオ曹長に素直に疑問をぶつける。 「アンタ、少佐の説明に聞いてなかったの。情報部の援軍と言ってもたった一人だけなのよ。 私たちが選ばれたのもかなめの護衛任務の経験があったからでしょうね。」 「しかしねぇ、一回やったとは言えASを持って来るのは、やっぱりやりすぎだろ。」 クルツは自分がやりすぎと称した装備―――ASを見る。 それは一見、華奢そうに見えるが力強い人型をしていて装甲板と頭部は丸く ブレードアンテナが伸びていた。ミスリルが所有している第三世代ASのM9である。 確かに過剰と言えば過剰かもしれないが・・・ 「この少人数でやるなら不可視型ECSを搭載したASのセンサーと火力がいるわよ。」 「そういうもんかね・・・おい、ソースケ何してるんだ?」 クルツは興味が失せたらしく、宗介のほうを向く。 「契約内容の変更に必要な書類の確認だ。学校に通えるように最大限の便宜を図ってくれるそうだ。」 「本当に契約の変更するのかよ。俺もあやかりてーな。」 「ならばお前も上層部に掛け合ってみるか?」 さらっと宗介は恐ろしいことを口にする。クルツはそれを聞いて即答した。 「いや、止めとくぜ。そのままクビになりそうだし。それにしても今回の任務、お前はどう思う?」 マオにぶつけた質問をクルツは宗介にも聞いてみる。 「任務の目的が不透明で人員が少ないのは、いつものことだ。早く終了して欲しいとは思うが」 「そうじゃなくて、今回の護衛対象だよ。まだ九歳の女の子とその親戚だぜ? この娘たちもかなめの同類なのかね。」 宗介は少し考え込み返答する 「資料にはウィスパードやそれに類する単語はなかった。ただこの娘と親戚が 何らかの組織に狙われている可能性があるから最大一ヶ月間護衛せよというだけだ。」 「ウィスパードでもないのに九歳の子供が狙われる理由ね・・・。防衛省に紛れ込んでる スパイの名前でも知ってしまったのかね~。」 「それは分からん、ただ一ヶ月護衛すればいいと言うのだから時間が解決する類のものなのかもしれん。」 それを聞いてクルツは、もう一度資料に目を通す。 ――――――――八神はやてとその親類たち それが今回の護衛対象である。 目次へ 次へ
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「・・・まったく、どんだけ物資を使い込めばこんな請求ができるんや?」 「はやてちゃん、お顔が怖いですよ・・・」 「これだからレイヴンとかいう連中は信用できんというんや・・・」 戦術部隊本部施設、八神はやては指揮下にある諸隊から送られてくる補給要請の書類と格闘していた。 はやての指揮する第四部は補給を担当する部署であり、どんな部隊にとっても重要な後方での任務を負っていた。 補給物資を揃えて輸送手段を確保し、必要とする部隊に配送する“カンバン”方式。 部隊が必要とする物資の要請を受け後方の集積所から適時配送する。 だが戦術部隊の戦闘地域が広がれば広がるほどはやての仕事は倍になっていった。 特に戦術部隊所属のレイブンや本隊の要求する物資がとんでもない量になり、しかもそれが広く分散したため、 指揮下の輸送隊では足りず、他の部隊と調整しなければならならなくなり、それが更に仕事量を増やしていた。 「まったく・・・、こっちはお腹の贅肉とも戦わ無きゃならんのに・・・。昔見たく打ちまくって破壊すればいい モンじゃないんやで・・・」 ユニゾンデバイスで公私共に重要なパートナーのリインフォースⅡが仕事を手伝ってくれているとはいえ仕事量は多い。 しかも本部の残留組で最先任がはやてであるため、作戦による付随被害の抗議書も自分に回ってくる。 それの対応もしなければならない。 「従来型の“集積方式”の方が効率いいんやないか?大体、ウチなら一発でみんな掃討したるわ・・・」 「・・・はやてちゃん、お休みしませんか?」 さすがに荒れつつあるマイスターを見かねてリインフォースⅡが進言する。 「そうやな、リイン。ちょっと休もうか。せやけどその前に・・・」 そういいながらはやては椅子を後ろに下げ机の下を見る。 「はやてちゃん?」 リインが不思議がって聞いてくるが聞いてない振りをする。 「・・・手癖が悪いのはこの指か?それとも頭か?」 「へへ、そんなこと言わないでくださいよ」 そういいながらはやての足元から首を出したのは元ナンバーズのNo6、セインだった。 「セインちゃん!!またそんな所から!!ちゃんとドアから入ってきなさいと・・・」 「気にしない気にしない」 「少しは気にしなさいです!!」 そう笑いながらセインは地面から体を出す。どうやったらそんな器用なことが出来るのか? はやては聞きたくて堪らなかった。 「お帰りや、セイン。首尾はどうや?」 「上々、ってところですかね?」 はやてはレアスキル中のレアスキル『ディープダイバー』を持つセインを直属の秘書兼密偵として使っていた。 「やっぱりあのエヴァンジェって言うの、怪しいですよ。最近、戦術部隊本隊が妙な行動するように なってますし・・・。まあ、レイブンを名乗る連中は一癖も二癖もありますけどね」 「ふーん、で、その紙袋は何や?」 「じゃーん。こっちのほうも大漁です」 セインが紙袋の中身を机の上に出す。はやての机の上に出てきたのは大量の菓子類だった。 「わーい!!お菓子ですぅ!!」 「こらこら、先にお湯沸かしてきてな。お茶にしよか」 「はいです!!」 「・・・ところで、どっからくすねてきたん?」 「く・・・、くすねてなんかいないですよ」 はやての質問にすまし顔で答えるセインだった。 ま、報告を聞いた後にでもしっかり答えてもらおか・・・。 戦闘機人はJS事件後、戦闘機人の処遇に関しては無力化処置後の更生プログラムの終了後が問題になった。 そのまま自由放免にしてしまえば管理局の機密情報がいつ漏洩するやも知れず、一部の戦闘機人はこの時点で 保護下に入り更生プログラムを受けていなかった。 過去の情報を彼女らの記憶領域から削除すれば人格や経験値をリセットする必要があるという更生プログラムの 教官からの報告もあり、一から調整するのは手間がかかる。一時は破棄するという論調が上層部で大半を占めた。 それでも結局は能力は惜しい、それと資材の有効活用という面から戦闘機人計画を進めたレジアス中将の遺児、 オーリス二佐が自身の部隊で試験機材として管理することになった。 だがその部隊も平時は少数の本部要員のみで構成され、有事の際に他部隊を編入し行動するという任務部隊方式 の本部班だった。言わば危険分子の体の良い飼い殺しである。 この一連の処置に平行して管理局内では陸のレジアス=武闘派に対する締め付けが海空主導で行われており、 汚職まみれの陸とそれを取り締まろうとする本局・海・空という構図で進んでいた。 陸上部隊内では魔女狩りか黒死病かとまで評される上級指揮官の左遷・退職の乱発に嫌気の差した下級指揮官・ 下士官・陸士の大量退職が発生、戦力の低下を招き、さらに残った隊員も士気の低下が表面化し始めていた。 陸の内部では疑心暗鬼に猜疑心が蔓延、これを決定的にしたのがゲンヤ・ナカジマ一佐のミッドチルダ方面管区 本部長代行就任であった。彼自身が就任したのは当時ミッド方面管区内では最先任者であったし、JS事件でも ガジェット群の鎮圧の為に自身の陸士108部隊を指揮し解決に尽力、思想的には穏健派に近い。また妻を任務で失い、 男手一つで娘二人を育て、しかも母親譲りの高ランクの魔導師に育てる・・・。 そのようなストーリー持ちである点からも最適な人選といわれた。 だが問題は彼の二人の娘だった。 当時二人とも機動六課-口さがない陸士は“能力の無駄使い”といった-に出向か所属しており、さらに108と六課が 良好な関係、それもその筈、六課長・八神はやてとは師弟関係にあり、それが穿った見方を助長した。 「娘二人を本局・海空に売り渡して今の地位を得た」 「陸士の実情を知りながら本局海空と対立したレジアス中将の失脚に協力し地位の安定を図った」 大半は根も葉もない噂であり彼自身も特に気にするような素振をしなかった。 だがレジアス=武闘派の締め付けが厳しくなる中で本局と親しい人材が重要ポストに就いた事はそれだけで 陸士間に亀裂を入れるのに十分だった。 人員も士気も連携もガタガタになる陸を尻目に、海空は陸の削減分の予算というパイの奪い合いを本局を巻き込んで 始める。ただ海空両者の内部も一枚岩ではなく、中の派閥間でも政争を繰り広げるといううという少数の 良識派が頭を抱える事態となった。 だが、そんな状況を終わらせたのは新興の武装勢力バーテックスと各管理世界で同時多発的に発生する 武装勢力のテロだった。 明らかに統制の取れた、寄せ集めとは思えないバーテックスの戦術とそれを支援するかのように行動する 独立武装勢力の大規模テロ。広域化・大規模して行くにつれ、徐々に手に負えなくなりつつあった。 管理局設立協約加盟国からは早期の治安改善と武装勢力の取り締まりに力を注ぐよう要請が何度も出されたが 今度は本局内でバーテックス、独立武装勢力の跳梁を許したという問題の責任の擦り付け合いが始まるという 醜聞としかいえない事態となった。 後手後手に回る管理局の対応に業を煮やした加盟各国が自国の軍事組織・治安組織による管理局の各管区施設の 閉鎖と制圧、協約からの脱退といった通達を突きつけるまで発展。さすがに自分達の立場が危うくなり始めたのに 対して各派閥が妥協と打算を繰り返した結果、権力争いは後回しとし、目先の事態の解決を目指すことを大綱として 設定することとなった。 その中で強力な鎮圧部隊をバーテックスの鎮圧に向けて編成することも計画された。 今度は指揮官職で揉める事となったが、外部から招聘することで一致を見た。 そして編成されたのが管理局・戦術部隊、指揮官にはレイブン、つまり風来坊の傭兵が就任した。 名はエヴァンジェ、かつてアークの主催であるジャック・Oと対立し、アークを追放された男。 その彼が指揮官に就任することなった。 はやてはその中で戦術部隊内で補給を担任する部署への就任命令を下された。 結局これも局内における権力闘争の一端ではあったが、はやては辞令を受け本部へと出向した。 その後、補給要請を受けては対応し、足りない物資を予め準備するといった普段の業務を行っていた。 そして今に至っている。 セインは更生プログラム終了後、機会を見ては外の世界をふらついていたがある日、因縁のある聖王教会の シスターにばったりと再会し、話を聞いて再度改心、教会の手伝いとして出向した。 表向きはそうなっているが・・・、実施はとある司書長ととある教導官に依頼されて学校に忍び込んだところを シスターに発見され捕まった。結局忍び込んだ罰として教会の手伝いを言い渡された。 なお二人の演じた逃走劇はいまだ関係者の間で語り草となっている。 そんなある日、世間話に来たはやてとシスターの上司との会話を聞いて面白そうだからとはやてについて行って、 結局密偵として働いている。 「この間、エヴァンジェが何で戦術部隊司令官に抜擢されたのか・・・、って話されてましたよね?」 「ああ、あれか?なんか分かったんか?」 「まあ、なんと言いますか・・・。ミラージュ社、知っていますよね?」 セインが制服に着替えた後、お茶をすすりながらはやてに今回の出張の収穫を報告する。 因みにリインフォースⅡはセインのくすねてきたお菓子にご執心で話に入る素振も見せない。 「管理局に色々と納入しとる企業さんやからな、知らんのもおらんやろ」 「エヴァンジェが企業との専属契約でアーク上層と衝突して放逐された前後でかなりの企業寄りの仕事をしてます」 「そんなん良くある事やろ?」 特定の主義主張に肩入れしないのがレイヴンの掟。だが、各レイヴンが持つ主義主張は色々だ。 破壊を楽しむもの、美学を持って戦うもの、信念で戦うもの・・・。 その中で企業に肩入れするレイヴンが居ても不思議ではない。 「そうです、でも問題なのはミラージュ社の他社の権益に強行介入した事件、前線の指揮とってたのあいつなんですよ」 「それって、確か資源採掘権を巡ってた時のか?」 「この時、企業に大分気に入られたみたいですよ。で、あいつが戦術部隊の隊長に潜り込めたの、 企業側から統合幕僚本部に強く推薦されたから・・・、らしいです」 はやては合点がいった。陸と並んで企業とべったりなのはどうやら本局・海・空も変わらないらしい。 レイヴンを重要ポストに据えたのも、本隊の部隊長クラスにも多数のレイヴン、本隊には各企業の息がかかった部隊、 それらには最新の魔導甲冑に装備が提供されている。 「まあ私は性格的にもあんまし好きじゃないですよ」 これには苦笑するしかない。彼と同じ会議の席上に座ればいやでも彼の性格が分かる。 普段の口調からも感じられるが自己顕示欲の強さには眩暈がしてくる、はやてはそう感じていた。 「よく調べおったな」 「本局の偉いさんの部屋でちょっと拝見しました。後から聞くのは難しいけど、今入って見るの簡単ですよ」 実ははやてはセインの行動を掌握していない。彼女の行動を追跡できるのはセインの天敵、あのシスターだけだ。 今回の“出張”もどうやら遥々本局まで出かけて潜り込んだ挙句、警備が厳重な偉いさんの部屋にお邪魔して端末を 操作したのだろう。 まさにセインのISディープダイバーの正しい使い方といったところ。 だが、そんな仕事を楽しむのもいいがもう一つの秘書としての仕事ではまったく使えない。 おかげで簡単な書類の決裁まで自身でやらなくてはならずデスクに座る時間を増加させていた。 「はーい、八神一佐のお部屋です~」 隣の部屋の部下からの内線をリインが上機嫌に受ける。 「リイン曹長、八神部長はいらっしゃいますか?」 「いらっしゃるですよ~」 「はいはい、どした?」 はやてがリインから内線を変わり、今では見知った部下に話しかける。 「お客様が見えられています」 「お客?なら私は席を外したほうが・・・」 「ええでそこにおって。あ、お客さんはお通ししてくれや~」 「わかりました」 「セイン!!」 「はいはいセインさんですよ~、・・・ん?げ!!シスター!!」 開きっ放しのドアから入ってきた、もとい突入してきたのはシスター・シャッハだった。 セインを確認する・・・、その前にドア前でヴィンデルシャフトを起動、騎士甲冑を着込んでいた。 「待ちなさい!!」 「いやだ!!」 セインがディープダイバーを発動、床に潜り込んで逃げようとする。 だが、一瞬の反応でシャッハのほうが早かった。 セインの襟首を掴み、無理やり引き上げる。 「わ、わ、はなし・・・」 喚くセインが見たのは優しく慈母の様に微笑むシャッハの顔。 だがその背後に燃える怒りの焔の大きさはセインが一番理解している。 「セイン、最近見かけないと思ったら・・・、こんな所にいたんですね・・・?」 嘘だ。はやては彼女が知ってていってるのが判る。 当のシャッハからは毎日の如くはやてに迷惑をかけていないかどうか、ちゃんと仕事をしているかどうか、 確認するメールが送られている。 「いや、それはその・・・妹達が心配で・・・」 「なら八神部長の下ではなく、オーリスさんのところに行くのが筋でしょう?」 「しかも・・・、最近人のお菓子をくすねているそうですね?」 「な、何で知ってるんですか!!」 「あなたは教会に居た時でもつまみ食いとかしていたでしょう!!」 そういわれて、セインは悪事をした後の子供のようにおとなしくなる。 「今回は、ちゃんと仕事して人に迷惑をかけ無くなるまでになるまで外出は禁止です!!」 「あ、一応役にはたっとるから一週間ぐらいで返してな~」 「八神たいちょ~・・・、リイン~、助けて!!」 「セインちゃん、心を入れ替えて帰ってくるんですよ~」 そんな上司と同僚(?)に笑顔と手を振られて送り出され、シャッハに襟首掴まれたまま、セインは連れて行かれた。 「まぁ、明日には逃げてくるやろ」 「きっとそうなのです」 二人はそう言うとデスクに戻って仕事を再開した。 「八神部長、301機動隊からの補給申請が来ました」 部下の隊員が申請書類を携えて入ってくる。 「お、ありがとな、・・・なんや多弾頭誘導弾?リイン、どっかに在庫が残ってないか調べてくれんか?」 「ハイです。困りましたねぇ・・・うちに在庫が無いですぅ・・・」 「あー、そこらの武器商人から買うしかなさそうやな」 「とりあえず在庫が在りそうな人たちのリストです」 「選別して契約、取り纏めといてな。言い値で買うんやないで?」 「判っています」 「商談が纏ったら会計課に行って必要経費とか提出しといてな」 「わかりました」 最初の隊員が出て行くと次の隊員が入ってくる。 「バレーナ社に連絡して注文したカートリッジの納入を早めるよう伝えておいてな」 「弾薬類のストックも減っています。今のペースでは一週間後には備蓄は目標の八割をきりますよ?」 「あわせて追加注文や」 指示を受けた隊員が出て行くと次の隊員が入ってくる。 「輸送3班、帰還しました。受領確認書と追加申請です。確認をお願いします」 「プラズマライフル用の取り替え用パーツ一式、カラサワなんて一品モノを使うてるんは隊長ぐらいやろ」 「ストックが残り二セットあるはずです」 「次の本隊行きの便で送ろうか。ついでにストックも送ったれや。その二セットの為に味わった苦労も書き連ねてなぁ」 「70式装輪装甲車の部隊受け取り分が搬入されましたけど、クレスト社の人が点検してほしいと」 「すぐに誰か代理で行かせといて、不良品を掴まされるんやないで。しっかり点検しとくよう伝えて」 「・・・逃げてきました~」 どうやらセインが逃げてきたらしい。 「お、ええ時に良い子が帰ってきたな~。ほらセイン、こっちの書類の束にウチの名前でサインしといてや」 「は~い~・・・」 「セインちゃん!!自分の名前を書かない!!しかもなんでスカリエッティの名前を書くですか!?」 「あ~、もうこんな時間ですぅ・・・」 リインのボヤキが聞こえた。はやても釣られて時計を見るともう、21時を過ぎていた。 「もういやです・・・こんな仕事・・・。地面に潜りたい・・・」 セインも机にぐったりと突っ伏して嘆く。 「今日明日の決済分は大分済ましたから明日は大丈夫やろ・・・」 はやても上着を脱いで椅子に深々と体を預ける。 そんなこんなではやてと第四部の一日は更けていく。 戻る 目次へ 次へ