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キリスト教 概要 『ルカによる福音書』とは、キリスト教の聖典新約聖書の1である。 処女懐胎とかが書いてある。 作者は、結構いい処で勉強し得た人らしい。その人が、[[エジプト}]、パレスチナ以外で地中海沿岸部の、どっか大都市で、80年ころ書いたらしい。その書記は、『使徒行傳』えーと『使徒言行録』も書いてるらしい(*1)。
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ヨハネ 名前 ヨハネ BP 4万 タイプ1 使徒 タイプ2 男 関連聖書 マタイによる福音書 マルコによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書 ヨハネの手紙 - 能力 ヨハネによる福音書 この聖書が「ヨハネによる福音書」なら、即座にこのバトルに勝利する
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キリスト教 聖書 概要 『マルコによる福音書』とは、キリスト教の聖典新約聖書の1である。 「マルコ」さんということになっている人は、南シリアの辺りで、AD70年頃にこれを書いてたらしい。 ユダヤ系とかでない、外人である可能性が考えられる。 中身は、「孤独なインテリ」イエスがいかに弟子の理解を得られず、温かく見守る民衆にもなんか引かれるか、と来て十字架刑、という構成である。 参考資料 岩波翻訳委員会訳 合本 915頁(佐藤研)
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キリスト教 概要 福音書とは、『新約聖書』の1である。 「エウアンゲリオン」(このラテン語をそのまま読んだのがドイツ語の「エヴァンゲリオン」)は、戦勝の報告を指す語であった。 ヨハネによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 マルコによる福音書
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福音書(希 ευαγγέλιον, ラテン語 Evangelium)は、イエス・キリストの言行録である。通常は新約聖書におさめられた福音書記者による四つの福音書(マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書)を意味する。その他にトマスによる福音書やペトロによる福音書などがあるが、正典として認められなかった外典文書である。 マタイによる福音書 [65-70年頃] マルコによる福音書 [70-75年頃] ルカによる福音書 [80-85年頃] ヨハネによる福音書 [90-100年頃] うち、マタイ福音書、マルコ福音書、ルカ福音書は記述が並列することから、共観福音書と呼ばれる。 内容 以下の時系列は、基本的には最も古いマルコ福音書の記載を中心に進めるものとする。 1.誕生の次第、幼年時代 (マタイ1 18-2章)(ルカ1 5-2章) 洗礼者ヨハネの受胎告知 (ルカ1 5-25) イエスの受胎告知 (マタイ1 18-25)(ルカ1 26-38) エリザベト訪問(ルカ1 39-56) 洗礼者ヨハネの誕生(ルカ1 57-80) キリストの降誕 (ルカ) 神殿奉納 (ルカ) 東方の三博士 (マタイ) エジプトへの逃避 (マタイ) イエスの幼少時代 (ルカ) 2.公生涯の準備(マタイ3章-4 16)(マルコ1 1-14)(ルカ3章-4 13)(ヨハネ1 6-2 12) イエスの洗礼 (マルコ1 2-11) 荒野の誘惑 (マルコ1 12-13) カナの婚礼 (ヨハネ) 3.ユダヤでの初期の活動(ヨハネ2 13-4 42) ニコデモとの会話 (ヨハネ) 4.ガリラヤ及びその周辺での公の活動(マタイ4 17-16 20)(マルコ1 15-8 30)(ルカ4 14-9 21)(ヨハネ4 43-7 9) 洗礼者ヨハネの投獄と宣教の開始 (マルコ1 14-15) 最初の弟子たち (マルコ1 16-20) 悪霊につかれた男をいやす (マルコ1 21-28) ペトロの姑をいやす (マルコ1 29-34) ガリラヤでの最初の宣教旅行 (マルコ1 35-39) 山上の説教 (マタイ) 主の祈り(マタイ、ルカ) レビの召命 (マルコ2 13-17) 安息日の労働 (マルコ2 23-28) 十二使徒の選定 (マルコ3 13-19) 平地の説教 (ルカ) 獄中のヨハネの質問 (マタイ、ルカ) ベルゼブル論争 (マルコ3 20-30) イエスの母と兄弟 (マルコ3 31-35) 2度目のガリラヤ巡回 (ルカ) 嵐を静める (マルコ4 35-41) ヤイロの娘の復活(マルコ 5 21-43) ナザレでの排斥 (マルコ6 1-6) 十二弟子の派遣 (マルコ6 7-13) 洗礼者ヨハネの死 (マルコ6 14-29) パンと魚の奇跡 (マルコ6 30-44) 水の上を歩く (マルコ6 45-52) 言い伝えに関する議論 (マルコ7 1-23) 信仰による癒し (マルコ7 24-30) ガラリヤでのさまざまな癒し ペトロの信仰告白 (マルコ8 27-30) 5.ガリラヤでの私的な活動(マタイ16 21-18章)(マルコ8 31-9章)(ルカ9 22-9 56) キリストの死と復活の預言(1回目) (マルコ8 31-9 1) 主イエスの変容 (マルコ9 2-13) キリストの死と復活の預言(2回目) (マルコ9 30-32) 6.ユダヤでの後期の活動(マタイ19-25章)(マルコ10-13章)(ルカ10-21章)(ヨハネ7 10-12章) 神の国の到来 (ルカ) 離婚に関する教え (マルコ10 1-12) 天国に入れる者 (マルコ10 13-31) キリストの死と復活の預言(3回目) (マルコ10 32-34) エルサレム入城 (マルコ11 1-11) イエスの宮きよめと教え (マルコ11 15-19) カイザルへの税金 (マルコ12 13-17) 一番大切な戒め (マルコ12 28-34) ダビデの主キリスト (マルコ12 35-37) 罪の女 (ルカ) 姦通の女 (ヨハネ) 終末の預言 (マルコ13 1-23) 最後の晩餐 (マルコ14 12-25)[ニサンの月の14日(木)昼~15日(金)晩] ペトロのつまずきと弟子たちの離散の預言 (マルコ14 26-31) 7.告別演説(ヨハネ13-17章) 8.イエスの死と復活(マタイ26-28章)(マルコ14-16章)(ルカ22-24章)(ヨハネ18-21章) ゲツセマネの祈り (マルコ14 32-42) イエスの逮捕 (マルコ14 43-52) 大祭司の審問 (マルコ14 53-65) ペトロの否認 (マルコ14 54,66-72) ピラトの審問 (マルコ15 2-5) ユダの自殺 (マタイ、使徒) バラバ釈放と兵士のあざけり (マルコ15 6-20) イエスの磔刑 (マルコ15 21-41)[ニサンの月の15日(金)昼] イエスの埋葬 (マルコ15 42-47)[ニサンの月の15日(金)夕] イエスの復活 (マルコ16 1-8)[ニサンの月の17日(日)朝] イエスの顕現 イエスの昇天 9.その他 イエスの系図 また、全編にわたってイエスのたとえ話が収められている。 福音書の成立時期 四つの福音書の成立時期に関する説はいろいろあって、そのどれも確証に欠くきらいがある。一部の保守的な研究者たちは伝承どおり、福音書の成立を1世紀の中ごろから後半と考えるが、現代もっとも広く受け入れられている説は以下のようなものである。ここでは現代を代表する聖書学者の一人レイモンド・ブラウン(Raymond E. Brown)の著作から成立時期に関する解説を参照してみる。 マタイ:70年~100年ごろ成立 マルコ:68年~73年ごろ成立 ルカ:80年~100年ごろ成立(もっとも有力な説は85年ごろの成立) ヨハネ:90年~110年ごろ成立 それぞれの福音書の特徴 マルコ福音書 マタイ福音書 ルカ福音書 ヨハネ福音書 時期 60年代 70年代 80年代 90-100年代 イエス観 主の僕 この世の王 人の子 神の御子 受け取り手 ローマ人 ユダヤ人 異邦人 全ての人類 福音書のシンボルとエゼキエル書との関連 各福音記者のシンボルは、エゼキエル書1章1-28節に出てくる四つの有翼の生き物(10節によると人間、獅子、牛、鷲)とそれも踏まえた黙示録4章1-11節に出てくる同様の生き物(7節によると獅子、雄牛、人間、鷲)がやがて教父たちにより、四福音記者のシンボルとして解説されるようになる。 エゼキエル1 5-11 またその中には、四つの生き物の姿があった。その有様はこうであった。彼らは人間のようなものであった。それぞれが四つの顔を持ち、四つの翼を持っていた。脚はまっすぐで、足の裏は子牛の足の裏に似ており、磨いた青銅が輝くように光を放っていた。また、翼の下には四つの方向に人間の手があった。四つとも、それぞれの顔と翼を持っていた。翼は互いに触れ合っていた。それらは移動するとき向きを変えず、それぞれ顔の向いている方向に進んだ。その顔は人間の顔のようであり、四つとも右に獅子の顔、左に牛の顔、そして四つとも後ろには鷲の顔を持っていた。顔はそのようになっていた。翼は上に向かって広げられ、二つは互いに触れ合い、ほかの二つは体を覆っていた。 ヨハネの黙示録4 6-7 また、玉座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。この玉座の中央とその周りに四つの生き物がいたが、前にも後ろにも一面に目があった。第一の生き物は獅子のようであり、第二の生き物は若い雄牛のようで、第三の生き物は人間のような顔を持ち、第四の生き物は空を飛ぶ鷲のようであった。 2世紀末のリヨンの司教イレネウス(エイレナイオス)は、上述の四つの生き物をまず神の救いの計画の四つの次元を表すものと考えた。獅子はキリストの王としての姿、雄牛は大祭司キリストの奉献、人間はキリストの人としての来臨、鷲は教会に降る聖霊のシンボルと考えた彼は、さらに獅子をヨハネ福音書、雄牛をルカ福音書、人間をマタイ福音書、鷲をマルコ福音書のシンボルとした。 その後、教父により四つの生き物のあてはめ方が多少変わるが、4世紀のヒエロニムスは、人間をマタイ、獅子をマルコ、牛をルカ、鷲をヨハネに当てはめ、これが定着した。
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1945年にエジプトで見つかったナグ・ハマディ写本に含まれていた初期キリスト教のグノーシス主義的な文書で、正典に取り入れられなかった外典の一つ。 ナグ・ハマディ写本はコプト語で書かれている。もとは2世紀後半に東シリアで成立したと考えられている。 『フィリポによる福音書』と呼ばれているが、本文中に使徒の名前はフィリポしか登場しないので、そう呼ばれているだけである。 福音書とは言いながら、イエスの言行の記録は他のものに比べて少なく、話の一貫性もあまり備えない。初期キリスト教のグノーシス主義的な思想にもとづき箴言や戒め、論考などを記した抜粋集のような形式である。 マグダラのマリアに関して、イエスの伴侶と紹介され、イエスが彼女をすべての弟子たちよりも愛していたとの記述が話題を呼んでいる。 マグダラのマリアは2カ所で触れられている。 フィリポ32 三人の者がいつも主と共に歩んでいた。それは彼の母マリアと彼女の姉妹と彼の伴侶と呼ばれていたマグダレネーであった。なぜなら彼の姉妹と彼の母と彼の同伴者はそれぞれマリア(という名前)だからである。 フィリポ55a 不妊の女と呼ばれるソフィアは[天]使たちの母である。そして[キリスト]の同伴者はマ[グ]ダラの[マリ]アである。 フィリポ55b [主は]マ[リア]を[すべての]弟[子]たちよりも[愛して]いた。[そして彼(主)は]彼女の[口にしばしば]接吻した。他の[弟子たちは]彼が[マリ]ア[を愛しているのを見た。]彼らは彼に言った、「あなたはなぜ、私たちすべてよりも[彼女を愛]されるのですか」。救い主は答えた。彼は彼らに言った、「なぜ、私は君たちを彼女のように愛さないのだろうか」。
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洗礼者ヨハネ 名前 洗礼者ヨハネ BP 6万 タイプ1 預言者 タイプ2 男 関連聖書 マタイによる福音書 マルコによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書 - - 能力 洗礼 この聖書につけられた得点がマイナスの言葉カード1枚を捨札にする
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正典におさめられなかった福音書であってもスタイルや内容において正典の福音書と共通点のあるものもある。 特定の思想によらない外典福音書 ペトロによる福音書 [2世紀頃] エビオン派福音書 [2世紀] エジプト人の福音書(ギリシャ語) [2世紀] ヘブライ人の福音書(ヘブル人福音書) [2世紀] ナザレ人福音書 [2世紀初頭?] ニコデモによる福音書(ピラト行伝) [4世紀頃] オクシリンコス・パピルス840 [3世紀] オクシリンコス・パピルス1224 [4世紀] 十二使徒の福音書 マッテヤ福音書 イエスとヨハネの対話の断片 マリアの質問 グノーシス派の外典福音書 ナグ・ハマディ写本 トマスによる福音書 [2世紀末頃] フィリポによる福音書 [2世紀後半] その他 マリアによる福音書(マグダラのマリア福音書) ユダの福音書 救い主による福音 マリアの「ゲンナ」 ケリントスの福音書 バシリデスの福音書 イエスの幼児期を伝える外典福音書 ヤコブによる原福音書(ヤコブ原福音書) [2世紀] トマスによるイエスの幼時物語 [2世紀末] http //d.hatena.ne.jp/odd_hatch/20150108/1420667497
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1 1 アブラハムの子,ダビデの子,イエス・キリストの系図。 1 2 アブラハムはイサクの父となり,イサクはヤコブの父となり,ヤコブはユダとその兄弟たちの父となり, 1 3 ユダはタマルによってペレツとゼラの父となり,ペレツはヘツロンの父となり,ヘツロンはラムの父となり, 1 4 ラムはアミナダブの父となり,アミナダブはナフションの父となり,ナフションはサルモンの父となり, 1 5 サルモンはラハブによってボアズの父となり,ボアズはルツによってオベドの父となり,オベドはエッサイの父となり, 1 6 エッサイはダビデ王の父となり,ダビデはウリヤの妻であった女によってソロモンの父となり, 1 7 ソロモンはレハブアムの父となり,レハブアムはアビヤの父となり,アビヤはアサの父となり, 1 8 アサはヨシャファトの父となり,ヨシャファトはヨラムの父となり,ヨラムはウジヤの父となり, 1 9 ウジヤはヨタムの父となり,ヨタムはアハズの父となり,アハズはヒゼキヤの父となり, 1 10 ヒゼキヤはマナセの父となり,マナセはアモンの父となり,アモンはヨシヤの父となり, 1 11 ヨシヤは,バビロンへの流刑のころにエコニヤとその兄弟たちの父となった。 1 12 バビロンへの流刑ののち,エコニヤはシャルティエルの父となり,シャルティエルはゼルバベルの父となり, 1 13 ゼルバベルはアビウドの父となり,アビウドはエリアキムの父となり,エリアキムはアゾルの父となり, 1 14 アゾルはサドクの父となり,サドクはアキムの父となり,アキムはエリウドの父となり, 1 15 エリウドはエレアザルの父となり,エレアザルはマタンの父となり,マタンはヤコブの父となり, 1 16 ヤコブはマリアの夫ヨセフの父となった。このマリアからキリストと呼ばれるイエスが生まれた。 1 17 それで,アブラハムからダビデまでの世代は全部で十四代,ダビデからバビロンへの流刑までは十四代,バビロンへの連行からキリストまでは十四代である。 1 18 さて,イエス・キリストの誕生は次のようであった。彼の母マリアはヨセフと婚約していたが,二人が一緒になる前に,彼女は聖霊によって妊娠していることが分かった。 1 19 彼女の夫ヨセフは正しい人で,彼女をさらし者にしたくなかったので,ひそかに去らせようとした。 1 20 しかし彼がこうした事について考えていると,見よ,主のみ使いが夢の中で彼に現われて,こう言った。「ダビデの子ヨセフよ,あなたの妻マリアを迎え入れることを恐れてはいけない。彼女の内に宿っているのは聖霊によるものだからだ。 1 21 彼女は男の子を産むだろう。あなたはその名をイエスと呼ぶことになる。この者こそ,自分の民をその罪から救うからだ」。 1 22 ところで,このことすべてが起こったのは,預言者を通して主によって語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。 1 23 「見よ,処女が妊娠し, 男の子を産むだろう。 彼らはその名をインマヌエルと呼ぶだろう」。 この名は,訳せば,「神はわたしたちと共に」という意味である。 1 24 ヨセフは眠りから覚め,主のみ使いが彼に命じたとおりに行ない,自分の妻を迎え入れた。 1 25 しかし,彼女が初子を産むまでは,彼女を性的には知らなかった。彼はその子をイエスと名付けた。 2 1 さて,イエスがヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムで生まれた時,見よ,東方からの賢者たちがエルサレムに来て,こう言った。 2 2 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので,その方を拝むために来たのです」。 2 3 それを聞いてヘロデ王は動揺し,彼と共に全エルサレムも動揺した。 2 4 彼は祭司長たちと民の律法学者たちとをすべて集め寄せ,キリストがどこで生まれることになっているのかを彼らに尋ねた。 2 5 彼らは彼に言った,「ユダヤのベツレヘムです。預言者を通してこのように書かれているからです。 2 6 『ユダの地のベツレヘムよ, あなたは決してユダの君主たちの間で最も小さいものではない。 あなたから一人の統治者が出て, わたしの民イスラエルを牧するからだ』」。 2 7 そこで,ヘロデは賢者たちをひそかに呼んで,星が現われた時期を詳しく聞き出した。 2 8 彼らをベツレヘムに遣わして言った,「行って,その幼子のことを念入りに調べよ。見つけたら,わたしに報告せよ。わたしも行って拝むためだ」。 2 9 王の言葉を聞いてから,彼らは出かけて行った。すると見よ,東方で見た星が彼らの先を行き,ついに幼子のいる場所の上にやって来て,止まった。 2 10 その星を見て,彼らは非常に大きな喜びをもって喜んだ。 2 11 家の中に入ると,その母マリアと共にいる幼子を見,ひれ伏して彼を拝んだ。自分たちの宝箱を開いて,金と乳香と没もつ薬を贈り物としてささげた。 2 12 夢でヘロデのもとに戻らないよう告げられたので,別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。 2 13 さて,彼らが去って行くと,見よ,主のみ使いが夢の中でヨセフに現われて,こう言った。「起きて,幼子とその母を連れてエジプトに逃げ,わたしが告げるまではそこにとどまりなさい。ヘロデがこの幼子を探し出して滅ぼそうとしているからだ」。 2 14 彼は起きて,夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトに去って行った。 2 15 そしてヘロデが死ぬまでそこにいた。それは,預言者を通して主によって語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。「エジプトから,わたしは自分の子を呼び出した」。 2 16 それからヘロデは,賢者たちにだまされたことを知って非常に腹を立て,人を遣わして,賢者たちから詳しく聞き出した時期に基づき,ベツレヘムとその周囲の全地域にいる二歳以下の男の子をすべて殺させた。 2 17 その時,預言者エレミヤによって語られたことが果たされた。こう言われていた。 2 18 「ラマで声が聞こえた, 泣いて,大いに悲しむ悲嘆の声が。 ラケルは自分の子供たちのために泣き, 慰めてもらおうとしない。 彼らがもういないからだ」。 2 19 しかし,ヘロデが死ぬと,見よ,主のみ使いがエジプトにいるヨセフに夢の中で現われて,こう言った。 2 20 「起きて,幼子とその母を連れてイスラエルの地に入りなさい。幼子の命を求めていた者たちは死んだからだ」。 2 21 彼は起きて,幼子とその母を連れてイスラエルの地に入った。 2 22 しかしアルケラオスがその父ヘロデの代わりにユダを治めていると聞き,そこに行くのを恐れた。夢の中で告げられて,ガリラヤ地方に退いた。 2 23 そして,ナザレと呼ばれる町に来て住んだ。預言者たちを通して,「彼はナザレ人と呼ばれるだろう」と語られたことが果たされるためであった。 3 1 そのころ,バプテスマを施す人ヨハネが現われ,ユダヤの荒野で宣教して言った, 3 2 「悔い改めなさい。天の王国は近づいたからだ!」 3 3 この者は,預言者イザヤによって語られた者だったのである。こう言われていた。 「荒野で叫ぶ者の声がする, 主の道を整えよ, その道筋をまっすぐにせよ」。 3 4 ところで,このヨハネはラクダの毛で作った衣を身に着け,皮の帯を腰に巻いており,イナゴと野みつを食べていた。 3 5 その時,エルサレムとユダヤ全土とヨルダン周辺の全地方の人々が彼のところに出て来た。 3 6 人々は自分の罪を告白して,ヨルダンで彼からバプテスマを受けていた。 3 7 しかし,ファリサイ人たちやサドカイ人たちの多くが彼の施すバプテスマに来るのを見た時,彼は彼らに言った,「マムシらの子孫よ,来ようとしている憤りから逃れるようにと,だれがあなた方に告げたのか。 3 8 それなら,悔い改めにふさわしい実を生み出しなさい! 3 9 『我々の父にアブラハムがいる』などと考えてはいけない。あなた方に告げるが,神はこれらの石からでもアブラハムに子孫を起こすことができるのだ。 3 10 「おのはすでに木々の根もとに置かれている。だから,良い実を生み出さない木はみな切り倒されて,火の中に投げ込まれるのだ。 3 11 わたしは確かに,悔い改めのためにあなた方に水でバプテスマを施しているが,わたしの後に来る方はわたしより強力だ。わたしはその方の履物を脱がすにも値しない。その方は,あなた方に聖霊*でバプテスマを施すだろう。 3 12 ふるい分けるフォークがその手にあり,その脱穀場をすっかりきれいにする。その小麦を倉に集め,もみ殻のほうは消すことのできない火で焼き尽くすだろう」。 3 13 その時,イエスはガリラヤからヨルダンに,ヨハネのところに来た。彼からバプテスマを受けるためである。 3 14 しかしヨハネは,イエスをとどめようとして言った,「わたしこそあなたからバプテスマを受ける必要があるのに,あなたのほうがわたしのところに来られるのですか」。 3 15 しかしイエスは答えて彼に言った,「今はそうさせてもらいたい。このようにしてすべての義を果たすのは,わたしたちにとってふさわしいことなのだ」。そこで彼はイエスの言うとおりにさせた。 3 16 イエスはバプテスマを受けると,すぐに水から上がった。すると見よ,天が彼のために開いた。彼は,神の霊がハトのように自分の上に下って来るのを目にした。 3 17 見よ,天から出た声が言った,「これはわたしの愛する子,わたしの心にかなう者である」。 4 1 それから,イエスは霊によって荒野に導かれた。悪魔から誘惑を受けるためである。 4 2 四十日四十夜断食し,そののち空腹を感じた。 4 3 すると誘惑する者がやって来て,彼に言った,「もしあなたが神の子なら,これらの石がパンになるように命じなさい」。 4 4 しかし彼は答えた,「『人はパンだけで生きるのではなく,神の口から出て行く一つ一つの言葉によって生きなければならない』と書いてある」。 4 5 それから悪魔は彼を聖なる都の中に連れて来た。神殿の高い所に立たせて, 4 6 イエスに言った。「もしあなたが神の子なら,下に身を投げなさい。こう書いてあるからだ,『神はあなたについてご自分のみ使いたちに指示をお与えになるだろう』,そして, 『彼らはその手であなたを支え, あなたが石に足を打ちつけることのないようにする』」。 4 7 イエスは彼に言った,「『あなたは,あなたの神なる主を試みてはならない』とも書いてある」。 4 8 さらに悪魔は彼を非常に高い山に連れて行き,世のすべての王国とその栄光とを見せた。 4 9 彼はイエスに言った,「もしあなたがひれ伏してわたしを拝むなら,これらすべてをあなたに与えよう」。 4 10 その時,イエスは彼に言った,「サタンよ,わたしの後ろに下がれ! 『あなたの神なる主をあなたは崇拝しなければならず,その方だけに仕えなければならない』と書いてあるからだ」。 4 11 それから悪魔はイエスを離れた。そして見よ,み使いたちがやって来て,彼に仕えた。 4 12 さて,イエスはヨハネが引き渡されたことを聞くと,ガリラヤに退いた。 4 13 ナザレを離れ,ゼブルンとナフタリの地域にある海辺のカペルナウムに来て住んだ。 4 14 それは預言者イザヤを通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。 4 15 「ゼブルンの地とナフタリの地, 海に向かう地とヨルダンの向こうの地, 異邦人たちのガリラヤ。 4 16 闇の中に座っている民は大きな光を見た。 その地方で死の陰で座っている者たち, その者たちに光が昇った」。 4 17 その時からイエスは宣教を開始して,こう言い始めた。「悔い改めなさい! 天の王国が近づいたからだ」。 4 18 ガリラヤの海辺を歩きながら,彼は二人の兄弟,すなわちペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレが,海で網を打っているのを目にした。彼らは漁師だったのである。 4 19 彼は彼らに言った,「わたしの後に付いて来なさい。そうすればあなた方を,人を捕る漁師にしよう」。 4 20 すぐに彼らは網を捨てて彼に従った。 4 21 そこから進んで行くと,ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが,その父ゼベダイと一緒に舟の中で自分たちの網を繕っているのを目にした。彼は彼らを呼んだ。 4 22 すぐに彼らは,舟とその父を残して,彼に従った。 4 23 イエスはガリラヤ全土を歩き回り,その会堂で教え,王国の福音を宣教し,民の中のすべての疾患と病気をいやした。 4 24 彼に関する評判はシリア中に広まった。人々は病気の者,すなわち,いろいろな疾患や苦痛で苦しんでいる者,悪霊に取りつかれている者,てんかんの者,体のまひした者などを,すべて彼のもとに連れて来た。そこで彼は彼らをいやした。 4 25 ガリラヤ,デカポリス,エルサレム,ユダヤ,またヨルダンの向こうから来た大群衆が彼に従った。 5 1 その群衆を見ると,彼は山に上った。彼が座ると,弟子たちがそのもとにやって来た。 5 2 彼は口を開き,彼らを教えてこう言った。 5 3 「霊において貧しい人たちは幸いだ, 天の王国はその人たちのものだからだ。 5 4 嘆き悲しむ人たちは幸いだ, その人たちは慰められるからだ。 5 5 柔和な人たちは幸いだ, その人たちは地を受け継ぐからだ。 5 6 義に飢え渇く人たちは幸いだ, その人たちは満たされるからだ。 5 7 あわれみ深い人たちは幸いだ, その人たちはあわれみを受けるからだ。 5 8 心の清い人たちは幸いだ, その人たちは神を見るからだ。 5 9 平和を造り出す人たちは幸いだ, その人たちは神の子供と呼ばれるからだ。 5 10 義のために迫害されてきた人たちは幸いだ, 天の王国はその人たちのものだからだ。 5 11 「人々がわたしのゆえにあなた方を非難し,迫害し,あなた方に敵対してあらゆる悪いことを偽って言うとき,あなた方は幸いだ。 5 12 喜び,かつ喜び踊りなさい。天においてあなた方の報いは大きいからだ。人々はあなた方より前の預言者たちも同じように迫害したのだ。 5 13 「あなた方は地の塩だ。だが,塩がその風味を失うなら,何によって塩づけられるだろう。そうなると,もはや何の役にも立たず,外に投げ出されて人々の足の下で踏みつけられるだけだ。 5 14 あなた方は世の光だ。丘の上にある町は隠れることができない。 5 15 あなた方はともし火をともすと,量りかごの下ではなく,台の上に置く。そうすれば,それは家の中にいるすべての人に輝くのだ。 5 16 このように,あなた方の光を人々の前で輝かせなさい。人々があなた方の良い行ないを見て,天におられるあなた方の父に栄光をささげるためだ。 5 17 「わたしが律法や預言者たちを破棄するために来たと考えてはいけない。破棄するためではなく,達成するために来たのだ。 5 18 本当にはっきりとあなた方に告げるが,天と地が過ぎ行くまでは,律法から最も小さな文字の一つやごく小さな字画の一つも決して過ぎ行くことがなく,すべての事柄が実現するのだ。 5 19 だから,これらの最も小さなおきての一つを破り,そうするようにほかの人たちに教える者は,天の王国において最も小さな者と呼ばれるだろう。だが,そのおきてを行ない,またそうするようにほかの人たちに教える者は,天の王国において大きな者と呼ばれるだろう。 5 20 あなた方に告げるが,あなた方の義が律法学者たちやファリサイ人たちのものにまさっていなければ,あなた方は決して天の王国に入ることはないからだ。 5 21 「古代の人々に対して,『あなたは殺してはならない』,そして,『殺す者は裁きを受けるだろう』と言われたのをあなた方は聞いた。 5 22 だが,あなた方に告げるが,自分の兄弟に対して理由なく腹を立てる者はみな裁きを受ける。自分の兄弟に対して『ラカ!』と言う者は最高法院に引き渡され,『愚か者!』と言う者は燃えるゲヘナに投げ込まれる。 5 23 「だから,供え物を祭壇にささげようとして,兄弟が自分に対して何か恨み事を抱いていることをそこで思い出したなら, 5 24 あなたの供え物をそこ,祭壇の前に残しておいて,出かけて行きなさい。まず自分の兄弟と仲直りし,それから戻って来て,自分の供え物をささげなさい。 5 25 あなたを訴える者とは,あなたが彼と共にその途上にある間に,急いで和解しなさい。その告訴人があなたを裁判官に引き渡し,裁判官があなたを役人に引き渡し,あなたがろうやに投げ込まれてしまうことのないためだ。 5 26 本当にはっきりとあなた方に告げる。最後の小銭を払い切るまで,あなたは決してそこから出ることはないだろう。 5 27 「*『あなたは姦淫かんいんを犯してはならない』と言われたのをあなた方は聞いた。 5 28 だが,あなた方に告げるが,女を情欲を抱いて見つめる者はみな,心の中ですでにその女と姦淫かんいんを犯したのだ。 5 29 もしあなたの右目があなたをつまずかせるなら,それをえぐり出して捨て去りなさい。あなたの肢体の一部が滅ぶほうが,あなたの全身がゲヘナに投げ込まれるよりは,あなたにとっては益になるのだ。 5 30 もしあなたの右手があなたをつまずかせるなら,それを切り取って捨て去りなさい。あなたの肢体の一部が滅ぶほうが,あなたの全身がゲヘナに投げ込まれるよりは,あなたにとっては益になるのだ。 5 31 「また,『自分の妻を離縁する者は,彼女に離縁状を与えるように』と言われた。 5 32 だが,あなた方に告げるが,淫いん行以外の理由で自分の妻を離縁する者は,彼女に姦淫かんいんを犯させるのであり,離縁された女と結婚する者は,姦淫かんいんを犯すのだ。 5 33 「古い時代の人々に対して,『あなたは偽りの誓いをしてはならず,主に対して自分の誓いを果たさなければならない』と言われたのをあなた方は聞いた。 5 34 だが,あなた方に告げるが,いっさい誓うな。天にかけても誓うな。それは神のみ座だからだ。 5 35 地にかけても誓うな。それは神の足台だからだ。エルサレムにかけても誓うな。それは偉大な王の都だからだ。 5 36 あなたの頭にかけても誓ってはならない。あなたは髪の毛一本さえ白くも黒くもできないからだ。 5 37 そうではなく,あなた方の『はい』を『はい』に,『いいえ』を『いいえ』にならせなさい。これ以上のことは悪い者から出るのだ。 5 38 「『目には目,歯には歯』と言われたのをあなた方は聞いた。 5 39 だが,あなた方に告げるが,悪い者に手向かうな。むしろ,あなたの右のほおを打つ者には,反対側をも向けなさい。 5 40 だれかがあなたを訴えて上着を取ろうとするなら,外衣をも取らせなさい。 5 41 あなたに強要して一マイル行かせようとする者とは,一緒に二マイル行きなさい。 5 42 求める者には与えなさい。そして,借りたいと望む者には背を向けてはいけない。 5 43 「『あなたは隣人を愛し,敵を憎まなければならない』と言われたのをあなた方は聞いた。 5 44 だが,あなた方に告げるが,敵を愛し,のろう者を祝福し,虐待し迫害する者たちのために祈りなさい。 5 45 あなた方が,天におられるあなた方の父の子供となるためだ。その方は,悪い者の上にも善い者の上にもご自分の太陽を昇らせ,正しい者の上にも正しくない者の上にも雨を降らせてくださるからだ。 5 46 自分を愛してくれる者たちを愛したからといって,あなた方に何の報いがあるだろうか。徴税人たちも同じことをしているではないか。 5 47 自分の友人たちだけにあいさつしたからといって,あなた方は何の優れたことをしているのか。徴税人たちも同じことをしているではないか。 5 48 だから,あなた方の天の父が完全であられるように,あなた方も完全でありなさい。 6 1 「見てもらおうとして,人々の前で施しをしないよう注意しなさい。そうでないと,あなた方には天におられるあなた方の父からの報いはない。 6 2 だから,あなたがあわれみの行為をする時には,偽善者たちが人々から栄光を受けようとして会堂や通りでするように,自分の前でらっぱを吹き鳴らしてはいけない。本当にはっきりとあなた方に告げるが,彼らは自分の報いをすでに受けている。 6 3 むしろ,あなたがあわれみの行為をする時には,右の手がしていることを左の手が知ることのないようにしなさい。 6 4 あなたのあわれみの行為がひそかになされるためだ。そうすれば,ひそかに見ておられるあなたの父が,公然とあなたに報いてくださるだろう。 6 5 「あなた方は祈る時,偽善者たちのようであってはならない。彼らは,人々に見られるために会堂や通りの角で立って祈ることが大好きなのだ。本当にはっきりと,あなた方に告げるが,彼らは自分の報いをすでに受けている。 6 6 むしろ,あなたが祈る時には,奥の部屋に入り,戸を閉めてから,ひそかな所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば,ひそかに見ておられるあなたの父が,公然とあなたに報いてくださるだろう。 6 7 祈る時は,異邦人たちがするように無駄な繰り返しを費やしてはいけない。彼らは言葉が多ければ聞かれると思っているのだ。 6 8 だから,彼らのようになってはいけない。あなた方の父は,あなた方が求める前に,あなた方の必要なものを知っておられるからだ。 6 9 このように祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ,あなたのお名前が神聖なものとされますように。 6 10 あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が,天におけると同じように地上においてもなされますように。 6 11 今日,わたしたちの日ごとのパンをお与えください。 6 12 わたしたちの負い目をお許しください。わたしたちも自分に負い目のある人たちを許しますから。 6 13 わたしたちを誘惑に陥らせることなく,悪い者からお救いください。王国と力と栄光は永久にあなたのものだからです。アーメン』。 6 14 「あなた方が人々の罪を許すなら,あなた方の天の父もあなた方を許してくださるのだ。 6 15 だが,あなた方が人々の罪を許さないなら,あなた方の天の父もあなた方の罪を許してくださらないだろう。 6 16 「また断食する時には,偽善者たちのように陰気な顔つきをしてはいけない。彼らは,断食していることが人々に見られるようにと,その顔を見苦しくするのだ。本当にはっきりとあなた方に告げるが,彼らは自分の報いをすでに受けている。 6 17 むしろ,あなたが断食する時には,頭に油を塗り,顔を洗いなさい。 6 18 断食していることが人々にではなく,ひそかに見ておられるあなたの父に見られるためだ。そうすれば,ひそかに見ておられるあなたの父が,あなたに報いてくださるだろう。 6 19 「あなた方は自分のために地上に宝を蓄えてはいけない。そこではガやさびが食い尽くし,盗人たちが押し入って盗む。 6 20 むしろ,あなた方は自分のために天に宝を積み上げなさい。そこではガやさびが食い尽くすことも,盗人たちが押し入って盗むこともない。 6 21 あなたの宝のある所,そこにあなたの心もあるからだ。 6 22 「体のともし火は目だ。だから,あなた方の目が健全なら,あなた方の全身は光で満ちているだろう。 6 23 だが,あなた方の目がよこしまなら,あなた方の全身は闇で満ちているだろう。それで,あなた方の内にある光が闇であれば,その闇はどんなに深いことか! 6 24 「だれも二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか,一方に身をささげて他方をさげすむかのどちらかだからだ。あなた方は神と富の両方に仕えることはできない。 6 25 だから,あなた方に告げる。何を食べ,何を飲もうかと自分の命のことで,また何を着ようかと自分の体のことで思い煩ってはいけない。命は食物より,体は衣服より大切ではないか。 6 26 空の鳥たちを見なさい。種をまいたり,刈り入れたり,倉に集め入れたりしない。あなた方の天の父がそれらを養っておられる。あなた方はそれらよりもはるかに価値のあるものではないか。 6 27 「あなた方のうちのだれが,思い煩ったからといって,自分の寿命に一キュビトを加えられるだろうか。 6 28 あなた方はなぜ衣服のことで思い煩うのか。野のユリがどのように育つかをよく考えなさい。労したり,紡いだりしない。 6 29 だが,あなた方に告げるが,栄光を極めたときのソロモンでさえ,それらの一つほどにも装っていなかった。 6 30 では,神が,今日生えていて明日かまどに投げ込まれる野の草にこのように衣服を与えておられるのであれば,あなた方にはなおのこと衣服を与えてくださらないだろうか,信仰の少ない者たちよ。 6 31 「だから,『何を食べようか』,『何を飲もうか』,『何を着ようか』と言って思い煩ってはいけない。 6 32 こうしたものすべては,異邦人たちが追い求めているものだからだ。あなた方の天の父は,あなた方がこうしたものすべてを必要としていることをご存じなのだ。 6 33 むしろ,神の王国と神の義を第一に求めなさい。そうすれば,こうしたものすべてもあなた方に与えられるだろう。 6 34 だから,明日のことで思い煩ってはいけない。明日のことは明日が思い煩うからだ。その日の悪いことだけで十分だ。 7 1 「裁いてはいけない。裁かれないためだ。 7 2 あなた方が裁くその裁きで,あなた方が裁かれることになるからだ。そして,あなた方が量るそのはかりで,あなた方に量られるだろう。 7 3 なぜあなたは,兄弟の目の中にあるちりは見えるのに,自分の目の中にある丸太のことを考えないのか。 7 4 また,どうして兄弟に『あなたの目からそのちりを取らせてくれ』と言えるのか。見よ,自分の目の中には丸太があるのだ。 7 5 偽善者よ! まず自分の目から丸太を取り出しなさい。そうすればあなたは,はっきりと見えて,兄弟の目からちりを取り出すことができるだろう。 7 6 「聖なるものを犬たちに与えたり,あなた方の真珠を豚たちに与えたりしてはいけない。彼らがそれらを足の下で踏みつけ,向き直ってあなた方を引き裂くことのないためだ。 7 7 「求めなさい,そうすれば与えられるだろう。探しなさい,そうすれば見いだすだろう。たたきなさい,そうすれば開かれるだろう。 7 8 だれでも求めている者は受け,探している者は見いだし,たたいている者には開かれるのだ。 7 9 あるいは,あなた方のうちのだれが,自分の息子がパンを求めているのに石を与えるだろうか。 7 10 また,魚を求めているのにだれが蛇を与えるだろうか。 7 11 それなら,あなた方が,悪い者でありながら,自分の子供たちに良い贈り物を与えることを知っているのであれば,まして天におられるあなた方の父は,ご自分に求める者たちにどれほど良いものを与えてくださるだろう! 7 12 だから,あなた方が人々からして欲しいと思うことは何でも,人々にも同じようにしなさい。これこそ律法と預言者たちだからだ。 7 13 「狭い門を通って入りなさい。滅びに至る門は広く,その道は広々としており,そこを通って入る者は多いからだ。 7 14 命に至る門はなんと狭く,その道はなんと狭められていることか! それを見いだす者は少ない。 7 15 「偽預言者たちに用心しなさい。彼らは羊の皮をつけてあなた方のところへやって来るが,内側はむさぼり食うオオカミだ。 7 16 あなた方はその実によって彼らを見分けるだろう。あなた方はイバラからブドウを,またはアザミからイチジクを集めるだろうか。 7 17 このように,良い木はみな良い実を生み出すが,腐った木は悪い実を生み出す。 7 18 良い木が悪い実を生み出すことも,腐った木が良い実を生み出すこともできない。 7 19 良い実を育てない木はみな切り倒されて火の中に投げ込まれる。 7 20 だから,あなた方はその実によって彼らを見分けるだろう。 7 21 わたしに向かって,『主よ,主よ』と言う者がみな天の王国に入るのではなく,天におられるわたしの父のご意志を行なう者が入るのだ。 7 22 その日には,多くの者がわたしに向かって,『主よ,主よ,わたしたちはあなたの名において預言し,あなたの名において悪霊たちを追い出し,あなたの名において多くの強力な業を行なったではありませんか』と言うだろう。 7 23 その時,わたしは彼らに告げる,『わたしは少しもあなた方を知らない。不法を働く者たちよ,わたしから離れ去れ』と。 7 24 「だから,わたしのこれらの言葉を聞いてそれを行なうすべての者を,わたしは岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえよう。 7 25 雨が降り,洪水が押し寄せ,風が吹いてその家に打ちつけても,それは倒れなかった。岩の上に土台を据えていたからだ。 7 26 わたしのこれらの言葉を聞いてもそれを行なわないすべての者は,砂の上に自分の家を建てた愚かな人に似ている。 7 27 雨が降り,洪水が押し寄せ,風が吹いてその家に打ちつけると,それは倒れた。そして,その倒壊はひどいものだった」。 7 28 イエスがこれらの事を話し終えると,群衆は彼の教えに驚いていた。 7 29 律法学者たちのようにではなく,権威をもって彼らを教えたからである。 8 1 彼が山から下りて来ると,大群衆が彼に従った。 8 2 見よ,一人のらい病の人が彼のもとに来て,彼を拝んで言った,「主よ,あなたは,もしそうお望みになれば,わたしを清くすることがおできになります」。 8 3 イエスは手を伸ばして彼に触り,こう言った。「わたしはそう望む。清くなりなさい」。すぐに彼のらい病は清められた。 8 4 イエスは彼に言った,「だれにも告げないようにしなさい。ただ行って,自分の体を祭司に見せ,モーセの命じた供え物をささげなさい。人々への証明のためだ」。 8 5 イエスがカペルナウムに入って来ると,一人の百人隊長が彼のもとに来て,彼に請い願って 8 6 言った,「主よ,わたしの召使いが家で横たわっています。体がまひして,ひどく苦しんでいるのです」。 8 7 イエスは彼に言った,「わたしが行って彼をいやそう」。 8 8 百人隊長は答えた,「主よ,わたしは自分の屋根の下にあなたをお迎えするほどの者ではありません。ただお言葉を下さい。そうすればわたしの召使いはいやされるでしょう。 8 9 というのも,わたしも権威の下にある者ですが,わたしの下にも兵士たちがいます。わたしがある者に『行け』と言えば行きますし,別の者に『来い』と言えば来ます。またわたしの召使いに『これをしろ』と言えばそれをします」。 8 10 イエスはこれを聞いて驚嘆し,自分に従っている者たちに言った,「本当にはっきりとあなた方に告げる。イスラエルにおいてさえ,わたしはこれほどの信仰を見いだしたことがない。 8 11 あなた方に言うが,大勢の者が東から,また西からやって来て,天の王国でアブラハム,イサク,ヤコブと共に席に着くだろう。 8 12 だが王国の子らは外の闇に投げ出されるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう」。 8 13 イエスは百人隊長に言った,「行きなさい。あなたの信じたとおりになるように」。彼の召使いはその時刻にいやされた。 8 14 イエスがペトロの家に入ると,そのしゅうとめが熱病で横たわっているのを目にした。 8 15 彼女の手に触ると,熱は引いた。彼女は起き上がって彼に仕えた。 8 16 夕方になると,人々は悪霊に取りつかれた者を大勢,彼のもとに連れて来た。 彼は言葉で霊たちを追い出し,病気の人をすべていやした。 8 17 これは預言者イザヤを通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。「彼はわたしたちの弱さを引き受け,わたしたちの病気を担った」。 8 18 さて,イエスは大群衆が自分の周りにいるのを目にして,向こう岸に出発するよう弟子たちに指図を与えた。 8 19 一人の律法学者がやって来て,彼に言った,「先生,あなたの行かれる所なら,どこへでも従って行きます」。 8 20 イエスは彼に言った,「キツネたちには穴があり,空の鳥たちには巣がある。だが,人の子には頭を横たえる所がない」。 8 21 弟子のうち別の者が彼に言った,「主よ,まず,行ってわたしの父を葬ることをお許しください」。 8 22 しかしイエスは彼に言った,「わたしに従いなさい。そして,死んだ者たちに自分たちの死者を葬らせなさい」。 8 23 彼が舟に乗り込むと,弟子たちが彼に従った。 8 24 見よ,激しいあらしが海に起こり,舟が波で覆われるほどであった。しかし彼は眠っていた。 8 25 彼らはそばに来て,彼を起こして言った,「主よ,わたしたちをお救いください! わたしたちは死んでしまいます!」 8 26 彼らは彼に言った,「なぜ恐れるのか,信仰の少ない者たちよ」。それから,起き上がって風と海をしかりつけると,大なぎになった。 8 27 彼らは驚いて言った,「風や海さえも従うとは,いったいこの方はどういう人なのだろう」。 8 28 彼が向こう岸に着き,ゲラサ人たちの地方に入ると,悪霊に取りつかれた二人の者が墓場から出て来て彼に出会った。非常に狂暴で,だれもその道を通り抜けることができないほどであった。 8 29 見よ,彼らは叫んで言った,「神の子イエスよ,わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのか。あなたはわたしたちを苦しめるため,その時より前にここに来たのか」。 8 30 ところで,彼らから遠く離れた所で豚の大群が飼われていた。 8 31 悪霊たちは彼に懇願して言った,「わたしたちを追い出すのなら,あの豚の群れの中に去って行くことを許してくれ」。 8 32 彼は彼らに「行け!」と言った。 彼らは出て行って豚の群れの中に入った。すると見よ,豚の群れ全体ががけを下って海に突進し,水の中で死んだ。 8 33 飼っていた者たちは逃げて町の中に去って行き,悪霊たちに取りつかれていた者たちに起きたことを含め,すべての事を告げ知らせた。 8 34 見よ,町全体がイエスに会おうとして出て来た。彼を見ると,自分たちの地域から去るようにと懇願した。 9 1 彼は舟に乗って向こう岸に渡り,自分の町に入った。 9 2 見よ,人々が彼のもとに,体のまひした人を寝台に横たえたまま運んで来た。イエスは彼らの信仰を見て,体のまひした人に言った,「子よ,元気を出しなさい! あなたの罪は許されている」。 9 3 見よ,数人の律法学者たちが心の中で言った,「この男は冒とくしている」。 9 4 イエスは彼らの考えに気づいて,こう言った。「なぜあなた方は心の中で悪いことを考えているのか。 9 5 体のまひした人に,『あなたの罪は許されている』と言うのと,『起き上がって歩きなさい』と言うのでは,どちらがたやすいか。 9 6 だが,人の子が地上で罪を許す権威を持っていることをあなた方が知るために……」(それから体のまひした人に言った),「起き上がって,寝床を取り上げて,自分の家に帰りなさい」。 9 7 その人は起き上がり,自分の家に去って行った。 9 8 一方,群衆はそれを見て驚嘆し,このような権威を人に与えた神に栄光をささげた。 9 9 イエスはそこから進んで行くと,マタイと呼ばれる人が収税所に座っているのを見て,「わたしに従いなさい」と彼に言った。彼は立ち上がって,イエスに従った。 9 10 彼の家でイエスが食卓に着いていたときのことである。見よ,大勢の徴税人や罪人がやって来て,イエスや弟子たちと共に座っていた。 9 11 ファリサイ人たちはこれを見て,彼の弟子たちに言った,「なぜあなた方の教師は,徴税人たちや罪人たちと共に食事をするのか」。 9 12 イエスはこれを聞いて,彼らに言った,「健康な人たちに医者は必要でなく,病気の人たちに必要なのだ。 9 13 それで,『わたしはあわれみを望み,犠牲を望まない』とはどういう意味か,行って学んで来なさい。わたしは義人たちではなく,罪人たちを悔い改めへと呼び寄せるために来たのだ」。 9 14 それから,ヨハネの弟子たちが彼のもとに来てこう言った。「わたしたちとファリサイ人たちはたびたび断食するのに,あなたの弟子たちが断食しないのはなぜですか」。 9 15 イエスは彼らに言った,「花婿の友人たちは,花婿が共にいる間は,悲しむことができるだろうか。花婿が共にいるかぎり,彼らは断食できない。だが,花婿が彼らから取り去られる日々が来る。その時には,彼らは断食するだろう。 9 16 縮んでいない布切れを古い衣に当てる人はいない。その継ぎ切れが衣を引き裂き,破れはいっそうひどくなるからだ。 9 17 新しいブドウ酒を古い皮袋に入れる人もいない。そんなことをすれば,皮袋は張り裂け,ブドウ酒はこぼれ出て,皮はだめになるだろう。やはり,人々は新しいブドウ酒を新しい皮袋に入れる。そうすればどちらも保たれるのだ」。 9 18 彼らにこれらの事を話している間に,見よ,一人の支配者がやって来て,彼を拝んで言った,「わたしの娘がたった今死んでしまいました。ですが,おいでになって,娘の上にあなたの手を置いてください。そうすれば生き返るでしょう」。 9 19 イエスは立ち上がって彼に付いて行った。弟子たちもそうした。 9 20 見よ,十二年間も血の流出をわずらっている女が彼の後ろに近づき,その衣の房べりに触った。 9 21 というのは,彼女は,「あの方の衣に触りさえすれば,わたしはよくなるだろう」と心の中で言っていたからである。 9 22 しかしイエスは振り向いて,彼女を目にして言った,「娘よ,元気を出しなさい! あなたの信仰があなたをよくならせた」。するとその女はその時以来よくされた。 9 23 イエスは支配者の家に入って,笛を吹く者たちやうるさく騒いでいる群衆を目にすると, 9 24 彼らに言った,「部屋を空けなさい。少女は死んだのではなく,眠っているのだ」。 人々は彼をばかにした。 9 25 しかし,群衆が外に出されると,彼は中に入り,彼女の手を取った。すると少女は起き上がった。 9 26 この知らせはその地方全体に広まった。 9 27 イエスがそこから進んで行くと,二人の盲人が大声で叫んで,「ダビデの子イエスよ,わたしをあわれんでください!」と言いながら,彼に付いて来た。 9 28 彼が家の中に入ると,盲人たちはそのもとにやって来た。イエスは彼らに言った,「あなた方はわたしにそれができると信じるか」。 彼らは彼に言った,「はい,主よ」。 9 29 そこで彼は彼らの目に触り,「あなた方の信仰どおりのことが,あなた方に起こるように」と言った。 9 30 彼らの目は開かれた。イエスは彼らに厳しく命じて,「だれにもこのことを知られないようにしなさい」と言った。 9 31 しかし彼らは出て行って,その地方全体に彼の評判を言い広めた。 9 32 彼らが出て行くと,見よ,悪霊に取りつかれた口のきけない人が彼のもとに連れて来られた。 9 33 悪霊が追い出されると,口のきけない人はものを言った。群衆は驚いて言った,「イスラエルの中でこのようなことが見られたことは,これまで一度もない!」 9 34 しかしファリサイ人たちは言った,「彼は悪霊たちの首領によって悪霊たちを追い出しているのだ」。 9 35 イエスはすべての町や村を歩き回って,その会堂で教え,王国の福音を宣教し,民の中のすべての疾患と病気をいやした。 9 36 また群衆を見ると,彼らに対する哀れみに動かされた。彼らが羊飼いのいない羊のように苦しめられ,追い散らされていたからである。 9 37 そして彼は弟子たちに言った,「収穫は確かに多いが,働き人が少ない。 9 38 だから,収穫に働き人を遣わしていただくよう,収穫の主人にお願いしなさい」。 10 1 彼は自分の十二人の弟子たちを呼び寄せて,彼らに汚れた霊たちに対する権威を与えた。それらを追い出し,あらゆる疾患と病気をいやすためであった。 10 2 十二使徒の名前は次のとおりである。まず,ペトロと呼ばれるシモン,その兄弟アンデレ,ゼベダイの子ヤコブ,その兄弟ヨハネ, 10 3 フィリポ,バルトロマイ,トマス,徴税人のマタイ,アルファイオスの子ヤコブ,そして,またの名をタダイオスというレバイオス, 10 4 カナナイ人シモン,それにユダ・イスカリオテ。このユダはまた,彼を売り渡した者でもある。 10 5 イエスはこれら十二人を遣わし,彼らに命じてこう言った。「異邦人たちの間に行ってはいけない。また,サマリア人の町に入ってはいけない。 10 6 むしろ,イスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい。 10 7 行くときには,『天の王国は近づいた!』と宣教しなさい。 10 8 病気の人たちをいやし,らい病の人たちを清め*,悪霊たちを追い出しなさい。あなた方はただで受けたのだから,ただで与えなさい。 10 9 財布の中に金も銀も真ちゅうも入れて行ってはいけない。 10 10 旅のための袋も,二枚の上着も,履物も,つえも持って行ってはいけない。働き人は自分の食物を受けるに値するからだ。 10 11 あなた方の入るどの町や村でも,ふさわしい人を見つけ出して,旅立つまではそこにとどまりなさい。 10 12 その家の中に入るときには,家の者たちにあいさつをしなさい。 10 13 その家がふさわしいなら,あなた方の平安をその上に臨ませ,ふさわしくないなら,あなた方の平安をあなた方のもとに戻らせなさい。 10 14 だれかがあなた方を受け入れず,あなた方の言葉に耳を傾けないなら,その家や町から出発する時に,あなた方の両足からちりを払い落としなさい。 10 15 本当にはっきりとあなた方に告げる。裁きの日には,ソドムとゴモラの地のほうがその町よりは耐えやすいだろう。 10 16 「見よ,わたしはあなた方を,オオカミのただ中の羊のように遣わす。だから,蛇のように賢く,ハトのように純真でありなさい。 10 17 また,人々に用心しなさい。彼らはあなた方を地方法廷に引き渡し,その会堂であなた方をむち打つだろう。 10 18 いやそれどころか,あなた方はわたしのために総督たちや王たちの前に連れ出されることになる。彼らと異邦人たちに対する証言のためだ。 10 19 だが,人々があなた方を引き渡す時,どのように,あるいは何を言おうかと思い煩ってはいけない。言うべきことは,その時にあなた方に与えられるからだ。 10 20 語っているのはあなた方ではなく,あなた方の内で語るあなた方の父の霊なのだ。 10 21 「兄弟は兄弟を,父は子供を死に引き渡すだろう。子供たちは両親に敵対して立ち上がり,彼らを死に至らせるだろう。 10 22 あなた方はわたしの名のゆえにすべての者たちから憎まれるだろう。だが,最後まで耐え忍ぶ者は救われるだろう。 10 23 また,人々があなた方をある町で迫害するときには,次の町へ逃げなさい。本当にはっきりとあなた方に告げるが,あなた方は人の子が来るまでにイスラエルの町々を回り終えることはないだろう。 10 24 「弟子はその教師より上ではなく,召使いはその主人より上ではない。 10 25 弟子はその教師のようになれば十分であり,召使いはその主人のようになれば十分だ。人々が家の主人をベエルゼブルと呼んだのであれば,ましてその家の者たちをどんなにか悪く言うだろう! 10 26 だから,彼らを恐れてはいけない。覆われているもので明らかにされないものはなく,隠されているもので知られないものはないからだ。 10 27 わたしがあなた方に闇の中で告げることを,光の中で話しなさい。また,耳もとでささやかれて聞くことを,屋上で宣明しなさい。 10 28 体を殺しても,魂を殺すことのできない者たちを恐れてはいけない。むしろ,魂も体も共にゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい。 10 29 「二羽のスズメは一アサリオンで売られているではないか。あなた方の父のご意志によらなければ,その一羽も地面に落ちることはない。 10 30 ところが,あなた方の髪の毛さえも,みな数えられている。 10 31 だから恐れるな。あなた方はたくさんのスズメよりも価値があるのだ。 10 32 それで,人々の前でわたしのことを告白する者はみな,わたしも天におられるわたしの父の前でその者のことを告白するだろう。 10 33 だが,人々の前でわたしのことを否認する者は,わたしも天におられるわたしの父の前でその者のことを否認するだろう。 10 34 「わたしが地上に平和をもたらすために来たと考えてはいけない。平和ではなく,剣をもたらすために来たのだ。 10 35 わたしは人をその父と,娘をその母と,嫁をそのしゅうとめと争わせるために来たからだ。 10 36 人の敵は自分の家の者たちだろう。 10 37 わたし以上に父や母を愛する者は,わたしにふさわしくない。また,わたし以上に息子や娘を愛する者は,わたしにふさわしくない。 10 38 自分の十字架を取り上げてわたしの後に従わない者は,わたしにふさわしくない。 10 39 自分の命を見いだす者はそれを失い,わたしのために自分の命を失う者はそれを見いだすだろう。 10 40 あなた方を受け入れる者は,わたしを受け入れるのだ。そして,わたしを受け入れる者は,わたしを遣わした方を受け入れるのだ。 10 41 預言者という名のゆえに預言者を受け入れる者は,預言者の報いを受けるだろう。また,義人という名のゆえに義人を受け入れる者は,義人の報いを受けるだろう。 10 42 弟子という名のゆえにこれら小さな者の一人に一杯の水を与える者については,本当にはっきりとあなた方に告げるが,彼はその報いを決して失わないだろう」。 11 1 イエスは自分の十二弟子に指図し終えると,彼らの町々で教えまた宣教するため,そこから去って行った。 11 2 さて,ヨハネはろうやの中でキリストの業について聞くと,自分の弟子のうちの二人を遣わして 11 3 彼に言った,「あなたが来たるべき方なのですか。それとも,わたしたちはほかの方を待つべきでしょうか」。 11 4 イエスは彼らに言った,「行って,あなた方が見聞きしている事柄をヨハネに告げなさい。 11 5 目の見えない人たちは見えるようになり,足の不自由な人たちは歩き,らい病の人たちは清められ,耳の聞こえない人たちは聞き,死んだ人たちは生き返らされ,貧しい人たちには良いたよりが宣教されている。 11 6 わたしにつまずきのもとを見いださない者は幸いだ」。 11 7 これらの者たちが帰って行くと,イエスは群衆にヨハネについてこう言い始めた。「あなた方は何を見るために荒野へ出て行ったのか。風に揺れるアシか。 11 8 そうでなければ,何を見るために出て行ったのか。柔らかな衣の人か。見よ,柔らかな衣を身に着けた者たちなら王たちの家にいる。 11 9 そうでなければ,なぜ出て行ったのか。預言者を見るためか。そうだ,あなた方に言うが,預言者よりはるかに優れた者だ。 11 10 この者は,『見よ,わたしはあなたの面前にわたしの使者を遣わす。その者はあなたの前に道を整えるだろう』と書かれている者だ。 11 11 本当にはっきりとあなた方に告げる。女から生まれた者の中で,バプテスマを施す人ヨハネより偉大な者は起こされていない。だが,天の王国で最も小さな者も,彼よりは偉大だ。 11 12 バプテスマを施す人ヨハネの日々から今に至るまで,天の王国は猛攻を受けている。そして,猛烈な者たちが力ずくでそれを奪い取っている。 11 13 すべての預言者たちと律法とは,ヨハネに至るまで預言したからだ。 11 14 あなた方がそれを受け入れる気があるなら,この者こそ来たるべきエリヤなのだ。 11 15 聞く耳のある者は聞きなさい。 11 16 「だが,わたしはこの世代を何と比べようか。それは,子供たちが市場に座って,自分たちの遊び仲間に呼びかけるのに似ている。 11 17 こう言うのだ,『君たちのために笛を吹いたのに,踊ってくれなかった。君たちのために悲しんだのに,嘆いてくれなかった』。 11 18 というのも,ヨハネがやって来て食べも飲みもしないと,彼らは,『彼には悪霊がいる』と言う。 11 19 人の子がやって来て食べたり飲んだりすると,彼らは,『見ろ,大食いの大酒飲み,徴税人たちや罪人たちの友!』と言う。だが,知恵はその実によって,正しいことが証明されるのだ」。 11 20 それから彼は,彼の強力な業の多くがなされた町々を非難し始めた。それらが悔い改めなかったからである。 11 21 「災いだ,コラジンよ! 災いだ,ベツサイダよ! あなた方の中でなされた強力な業がテュロスやシドンでなされていたなら,彼らはとっくの昔にあら布と灰の中で悔い改めていただろう。 11 22 だが,あなた方に告げる。裁きの日には,テュロスとシドンのほうがあなた方よりは耐えやすいだろう。 11 23 カペルナウム,天まで高くされた者よ,あなたはハデスにまで下ることになる。あなたの中でなされた強力な業がソドムでなされていたなら,彼らは今日に至るまで残っていたことだろう。 11 24 だが,あなた方に告げるが,裁きの日にはソドムの地のほうがあなたよりは耐えやすいだろう」。 11 25 その時,イエスは答えた,「父よ,天地の主よ,わたしはあなたに感謝します。あなたはこれらの事を賢い者や理解力のある者から隠し,それを幼子たちに明らかにされたからです。 11 26 そうです,父よ,そのようにして,あなたのみ前で意にかなうことが生じたのです。 11 27 すべての事が,わたしの父によってわたしに引き渡されている。子を知っている者は父のほかにはおらず,父を知っている者は子と子が明らかにしたいと望む者のほかにはいない。 11 28 「労苦し,重荷を負わされているすべての者よ,わたしのところに来なさい。そうすれば,わたしがあなた方に安らぎを与えよう。 11 29 わたしのくびきを負って,わたしから学びなさい。わたしは柔和で心のへりくだった者だからだ。そうすれば,あなた方は自分の魂に安らぎを見いだすだろう。 11 30 わたしのくびきは負いやすく,わたしの荷は軽いからだ」。 12 1 そのころ,イエスは安息日に穀物畑を通った。彼の弟子たちは空腹だったので,穀物の穂を摘んで食べ始めた。 12 2 しかし,ファリサイ人たちがこれを見て,彼に言った,「見よ,あなたの弟子たちは安息日に行なうことが許されていないことをしている」。 12 3 しかし,彼は彼らに言った,「ダビデが,自分も共にいた者たちも空腹だったときに何をしたか,あなた方は読んだことがないのか。 12 4 彼がどのようにして神の家に入り,祭司たちのほかは自分も共にいた者たちも食べることが許されていない供えのパンを食べたかを。 12 5 あるいは,安息日に神殿の祭司たちが安息日を犯しても罪にならないことを,律法で読んだことがないのか。 12 6 ところが,あなた方に言うが,神殿よりも偉大な者がここにいるのだ。 12 7 だが,『わたしはあわれみを望み,犠牲を望まない』とはどういう意味かを知っていたなら,あなた方は罪のない者たちを罪に定めたりはしなかっただろう。 12 8 人の子は安息日の主なのだ」。 12 9 彼はそこを去って,彼らの会堂に入った。 12 10 すると見よ,片手のなえた人がそこにいた。彼らはイエスを訴えようとして,「安息日にいやすことは許されているのか」と尋ねた。 12 11 彼は彼らに言った,「あなた方のうちのだれが,一匹の羊を持っていて,それが安息日に穴に落ちたなら,それをつかんで引き上げないだろうか。 12 12 それなら,人は羊よりもどれほど価値があるだろう! だから,安息日に善を行なうことは許されているのだ」。 12 13 それから,「あなたの手を伸ばしなさい」とその人に言った。手を伸ばすと,その手はもう一方の手と同じようによくなった。 12 14 しかしファリサイ人たちは出て行き,どのようにして彼を滅ぼそうかと,彼に対する陰謀を企てた。 12 15 それに気づいて,イエスはそこから退いた。大群衆が彼に従った。そこで彼は彼らすべてをいやした。 12 16 そして,自分を知らせないようにと,彼らに命じた。 12 17 それは預言者イザヤを通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。 12 18 「見よ,わたしが選んだわたしの召使い, わたしの魂を喜ばせるわたしの愛する者。 わたしは自分の霊を彼の上に置く。 彼は異邦人たちに公正を宣明するだろう。 12 19 彼は争わず,叫ばず, 通りでその声を聞く者もいない。 12 20 彼は傷つけられたアシを砕かない。 彼はくすぶる亜麻の灯心を消さない, 公正を勝利に導くまでは。 12 21 異邦人たちは彼の名に望みをかけるだろう」。 12 22 それから,悪霊に取りつかれており,目が見えず口のきけない人が彼のもとに連れて来られたので,彼はその人をいやした。そのため,目が見えず口のきけない人はものを言い,見えるようになった。 12 23 群衆は皆びっくりして,「この人がダビデの子ではないだろうか」と言った。 12 24 しかし,これを聞いてファリサイ人たちは言った,「この男が悪霊たちを追い出すのは,悪霊たちの首領ベエルゼブルによる以外にはない」。 12 25 彼らの考えに気づいて,イエスは彼らに言った,「自らに敵対して分裂する王国はみな荒廃に至り,自らに敵対して分裂する町や家はみな立ち行かないだろう。 12 26 もしサタンがサタンを追い出すなら,彼は自らに敵対して分裂している。ではどうしてその王国は立ち行くだろうか。 12 27 わたしがベエルゼブルによって悪霊たちを追い出しているのなら,あなた方の子らはだれによってそれらを追い出しているのか。それで,彼らがあなた方を裁く者になるだろう。 12 28 だが,わたしが神の霊によって悪霊たちを追い出しているのなら,神の王国はすでにあなた方の上に来ているのだ。 12 29 また,まず強い者を縛ってからでなければ,どうして強い者の家に押し入ってその家財を略奪することができるだろうか。縛ってから,その家を略奪するだろう。 12 30 「わたしと共にいない者はわたしに敵対しているのであり,わたしと共に集めない者は散らしているのだ。 12 31 だから,あなた方に言う,人はあらゆる罪や冒とくを許されるが,霊に対する冒とくは許されないだろう。 12 32 だれでも人の子に逆らう言葉を語る者は許されるだろう。だが,だれでも聖霊に逆らう言葉を語る者は,この世でも,来たるべき世でも,許されないだろう。 12 33 「木を良いとしてその実を良いとするか,木を腐ったものとしてその実を腐ったものとするかのどちらかにしなさい。木はその実によって見分けられるからだ。 12 34 マムシらの子孫よ,あなた方は悪い者でありながら,どうして良いことを語れるだろうか。心に満ちあふれているものの中から,口は語るからだ。 12 35 善い者は自分の良い宝の中から良いものを取り出し,悪い者は自分の*悪い宝の中から悪いものを取り出す。 12 36 あなた方に言うが,人々の語るすべての無益な言葉,それについて人々は裁きの日に言い開きをすることになる。 12 37 あなたは自分の言葉によって義とされ,また自分の言葉によって罪に定められるからだ」。 12 38 すると,律法学者たちとファリサイ人たちのある者たちが尋ねた,「先生,わたしたちはあなたからのしるしを見たいのですが」。 12 39 しかし彼は彼らに答えた,「悪い姦淫かんいんの世代はしるしを求めるが,預言者ヨナのしるしのほかには何のしるしも与えられないだろう。 12 40 ヨナが大魚の腹の中に三日三晩いたように,人の子も地の心に三日三晩いることになるのだ。 12 41 ニネベの人々は裁きの際にこの世代と共に立ち上がり,この世代を罪に定めるだろう。彼らはヨナの宣教することを聞いて悔い改めたからだ。そして見よ,ヨナよりも偉大な者がここにいる。 12 42 南の女王は裁きの際にこの世代と共に立ち上がり,この世代を罪に定めるだろう。彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てからやって来たからだ。そして見よ,ソロモンよりも偉大な者がここにいる。 12 43 また,汚れた霊は,人から出て来ると,休み場を求めて水のない場所を通るが,見つからない。 12 44 そこで,『出て来た自分の家に戻ろう』と言う。そして帰って来ると,そこが空いていて,掃き清められており,きちんと片づけられているのを見つける。 12 45 そこで,出て行って,自分より悪いほかの七つの霊を共に連れて来る。そして彼らは中に入ってそこに住みつく。その人の最後の状態は,最初よりも悪くなる。この悪い世代もそのようになるだろう」。 12 46 彼がまだ群衆に話している間に,見よ,彼の母と兄弟たちが外に立って,彼に話をしようとした。 12 47 ある人が彼に言った,「ご覧なさい,あなたのお母さんと兄弟たちが外に立って,あなたに話をしようとしています」。 12 48 しかし彼は,自分に知らせた人に答えた,「わたしの母とはだれか。わたしの兄弟たちとはだれか」。 12 49 自分の弟子たちのほうに手を差し伸べて言った,「見よ,わたしの母とわたしの兄弟たちだ! 12 50 だれでも天におられるわたしの父のご意志を行なう者,その者がわたしの兄弟,また姉妹,また母なのだ」。 13 1 その日,イエスは家を出て,海辺に座っていた。 13 2 大群衆がそのもとに集まったので,彼は舟に乗り込んで座った。そして群衆はみな浜辺に立っていた。 13 3 彼はたとえを用いて彼らに多くの事を語って,こう言った。「見よ,ある耕作人が種をまきに出かけた。 13 4 種をまいていると,幾つかの種は道ばたに落ち,鳥たちがやって来て,それらをむさぼり食ってしまった。 13 5 別の幾つかの種は土の少ない岩地の上に落ちた。そして,土が深くなかったので,すぐに芽を出した。 13 6 太陽が昇ると焦がされ,根がないために枯れ果ててしまった。 13 7 別の幾つかの種はイバラの間に落ち,イバラが伸びて来てそれらをふさいだ。 13 8 さらに,それ以外の種は良い土に落ち,あるものは百倍,あるものは六十倍,あるものは三十倍の実を生み出した。 13 9 聞く耳のある者は聞きなさい」。 13 10 弟子たちが近寄って来て,彼に言った,「なぜ彼らにたとえでお話しになるのですか」。 13 11 彼は彼らに答えた,「あなた方には神の王国の秘密を知ることが許されているが,彼らには許されていない。 13 12 だれでも持っている人,その人にはさらに与えられて,あり余るほど持つことになるが,持っていない人,その人からは持っているものまでも取り去られることになるからだ。 13 13 だから,わたしは彼らにたとえで話す。それは彼らが,見ても見ず,聞いても聞かず,理解もしないからだ。 13 14 イザヤの預言は彼らの内で果たされている。こう言われていた。 『あなた方は聞くには聞くが, 決して理解しないだろう。 見るには見るが, 決して分からないだろう。 13 15 この民の心は無感覚になり, 耳は聞くことに鈍くなり, 目は閉じてしまった。 そうでなければ,彼らは目で分かり, 耳で聞き, 心で理解したかも知れず, こうして立ち返っただろう。 そうすれば,わたしは彼らをいやしただろうに』。 13 16 「だが,あなた方の目は見ているゆえに,またあなた方の耳は聞いているゆえに幸いだ。 13 17 本当にはっきりとあなた方に告げるが,多くの預言者たちと義人たちは,あなた方が見ているものを見たいと願ったのにそれを見ず,あなた方が聞いていることを聞きたいと願ったのにそれを聞かなかったからだ。 13 18 「だから,耕作人のたとえを聞きなさい。 13 19 だれかが王国の言葉を聞いても理解しない場合,悪い者がやって来て,その心にまかれたものを奪い去る。道ばたにまかれたものとは,そういう人のことだ。 13 20 岩地の上にまかれたものとは,こういう人のことだ。み言葉を聞くと,喜んですぐに受け入れる。 13 21 だが,自分の内に根がないので,しばらくしか続かない。み言葉のために圧迫や迫害が生じると,すぐにつまずく。 13 22 イバラの間にまかれたものとは,こういう人のことだ。み言葉を聞いても,この世の思い煩いや富の欺きがみ言葉をふさぎ,その人は実を結ばなくなる。 13 23 良い土の上にまかれたものとは,こういう人のことだ。み言葉を聞いて理解し,ある者は百倍,ある者は六十倍,ある者は三十倍の実を生み出すのだ」。 13 24 彼は彼らに別のたとえを示して,こう言った。「天の王国は,自分の畑に良い種をまいた人のようだ。 13 25 人々が眠っている間に,彼の敵がやって来て,毒麦を小麦の間にまき足して,去って行った。 13 26 さて,葉が出て実を生じると,毒麦も現われた。 13 27 家の主人の召使いたちがやって来て,彼に言った,『ご主人様,畑には良い種をまかれたのではありませんでしたか。この毒麦はどこから出て来たのでしょうか』。 13 28 「彼は彼らに言った,『敵がこのことをしたのだ』。 「召使いたちは彼に尋ねた,『わたしたちが行って,それらを抜き集めることをお望みですか』。 13 29 「だが彼は言った,『いや,毒麦を抜き集める時に,一緒に小麦を引き抜いてしまうといけない。 13 30 収穫まで両方とも一緒に成長させなさい。そして収穫の時になったら,刈り取る者たちに,「まず毒麦を抜き集めて,燃やすためにそれらを縛って束にしなさい。そして小麦のほうはわたしの倉に集めなさい」と言おう』」。 13 31 彼は彼らに別のたとえを示して,こう言った。「天の王国は一粒のからしの種のようだ。ある人がそれを取って,自分の畑にまいた。 13 32 実際,それはどんな種よりも小さい。だが,それは成長すると,どの野菜よりも大きくなって,一本の木になる。そのため,空の鳥たちがやって来て,その枝に巣を作る」。 13 33 彼は彼らに別のたとえを語った。「天の王国はパン種のようだ。ある女がそれを取って,三ますの粉の中に隠すと,ついには全体が発酵した」。 13 34 イエスはこれらの事をみな,たとえで群衆に語った。たとえなしでは人々に語らなかった。 13 35 預言者を通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。 「わたしはたとえをもって口を開き, 世の基礎が据えられて以来隠されている事柄を言い表そう」。 13 36 それからイエスは群衆を去らせて,家の中に入った。弟子たちは彼のもとに来て,「畑の毒麦のたとえをわたしたちに説明してください」と言った。 13 37 彼は彼らに答えた,「良い種をまく者は人の子だ。 13 38 畑はこの世界だ。また良い種,それらは王国の子らだ。そして毒麦は悪い者の子らだ。 13 39 それらをまいた敵は悪魔だ。収穫とはこの時代の終わりのことで,刈り取る者たちはみ使いたちだ。 13 40 だから,毒麦が抜き集められて火で燃やされるように,この時代の終わりにもそのようになるだろう。 13 41 人の子は自分の使いたちを遣わし,彼らは,つまずきのもととなるすべてのものと不法を行なう者たちを彼の王国から集め出し, 13 42 火の炉に投げ入れるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう。 13 43 その時,義人たちは彼らの父の王国で太陽のように輝きわたるだろう。聞く耳のある者は聞きなさい。 13 44 「また,天の王国は,畑の中に隠されている宝のようだ。ある人がそれを見つけてから隠した。彼は喜びながら,行って自分の持っているものをすっかり売り払って,その畑を買う。 13 45 「また,天の王国は,良い真珠を探している商人のようだ。 13 46 一つの高価な真珠を見つけると,行って自分の持っていたものをすっかり売り払って,それを買った。 13 47 「また,天の王国は,海に投げ入れられ,あらゆる種類の魚を集める引き網のようだ。 13 48 それがいっぱいになると,人々は浜辺に引き上げた。彼らは座って,良いものを器の中に集め,悪いものを投げ捨てた。 13 49 この世の終わりにもそのようになる。み使いたちがやって来て,義人たちの中から悪人たちをより分け, 13 50 彼らを火の炉に投げ入れるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう」。 13 51 イエスは彼らに言った,「あなた方はこれらの事をすべて理解したか」。 彼らは彼に答えた,「はい,主よ」。 13 52 彼は彼らに言った,「だから,天の王国の弟子になった律法学者はみな,自分の宝の中から新しいものと古いものを取り出す家の主人のようだ」。 13 53 イエスはこれらのたとえを語り終えると,そこから去って行った。 13 54 自分の故郷に入ると,そこの会堂で人々を教えた。そこで人々は驚いてこう言った。「この人はこのような知恵とこれらの強力な業をどこから得たのだろう。 13 55 この人は大工の息子ではないか。その母はマリアと呼ばれ,兄弟たちはヤコブ,ヨセ,シモン,ユダではないか。 13 56 その姉妹たちはみな,我々と共にここにいるではないか。それでは,この人はこうした事柄をどこから得たのだろう」。 13 57 人々は彼のために不快になった。 しかしイエスは彼らに言った,「預言者は,自分の故郷や自分の家以外では,敬われないことはない」。 13 58 彼らの不信仰のゆえに,その場所では強力な業を多くは行なわなかった。 14 1 そのころ,領主ヘロデはイエスに関する評判を聞いて, 14 2 自分の召使いたちに言った,「これはバプテスマを施す人ヨハネだ。彼は死んだ者たちの中から生き返ったのだ。それで,こうした力が彼の内に働いているのだ」。 14 3 というのは,ヘロデは,自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのために,ヨハネを逮捕して縛り,ろうやに入れていたからであった。 14 4 それは,ヨハネがヘロデに,「あなたが彼女を有しているのは,許されることではない」と言ったからである。 14 5 ヘロデは彼を死に至らせたいと思っていたが,群衆を恐れた。人々は彼を預言者とみなしていたからである。 14 6 ところが,ヘロデの誕生日がやって来た時,ヘロディアの娘が彼らの間で踊ってヘロデを喜ばせた。 14 7 そこで,彼は彼女の求めるものは何でも与えると,誓って約束した。 14 8 彼女はその母に促されて言った,「バプテスマを施す人ヨハネの首を大皿に載せて,わたしにお与えください」。 14 9 王は悲しんだが,自分の誓い,また自分と共に食卓に着いていた者たちのゆえに,それが与えられるように命じ, 14 10 人を遣わして,ろうやでヨハネの首をはねさせた。 14 11 彼の首は大皿に載せて運ばれて,乙女に与えられた。そして彼女はそれを自分の母のところに持って行った。 14 12 ヨハネの弟子たちはやって来て,彼の死体を引き取り,それを葬った。そして,出て行ってイエスに知らせた。 14 13 さて,イエスはこのことを聞くと,舟でそこを去り,自分だけで寂しい場所に退いた。群衆はそれを聞いて,町々から徒歩で彼に従った。 14 14 イエスは出て来て,大群衆を目にした。彼らに対して哀れみを抱き,彼らの中の病気の人をいやした。 14 15 夕方になった時,弟子たちが彼のもとに来て,こう言った。「ここは寂しい場所ですし,すでに時刻も遅くなっています。群衆を去らせて,彼らが村々に入り,自分たちで食物を買うようにさせてください」。 14 16 しかしイエスは彼らに言った,「彼らが出かけて行く必要はない。あなた方が彼らに食べ物を与えなさい」。 14 17 彼らは彼に言った,「わたしたちはここに,五つのパンと二匹の魚しか持っていません」。 14 18 彼は言った,「それをここに,わたしのところに持って来なさい」。 14 19 彼は草の上に座るよう群衆に命じた。そして,五つのパンと二匹の魚を取り,天を見上げて祝福し,パンを裂いて弟子たちに与え,弟子たちが群衆に与えた。 14 20 みんなは食べて満ち足りた。彼らは余ったパン切れを,十二のかごいっぱいに拾い集めた。 14 21 パンを食べたのは,女や子供を除いて,およそ五千人の男たちであった。 14 22 すぐにイエスは,弟子たちを舟に乗り込ませ,向こう岸のベツサイダへ彼より先に行かせ,その間に自分は群衆を去らせた。 14 23 人々を去らせてから,祈るために自分だけで山へ上って行った。夕方になっても,ひとりでそこにいた。 14 24 他方,舟はすでに海の真ん中にあり,波に苦しめられていた。向かい風だったからである。 14 25 夜の第四見張り時に,イエスは海の上を歩きながら彼らに近づいて来た。 14 26 弟子たちは彼が海の上を歩いているのを見て,「幽霊だ!」と言って動転し,恐れのあまり叫び声を上げた。 14 27 しかし,イエスはすぐに彼らに話しかけ,彼らに言った,「しっかりしなさい。わたしはある! 恐れることはない」。 14 28 ペトロが彼に答えて言った,「主よ,あなたでしたら,水の上を歩いてあなたのもとに来るよう,わたしにお命じください」。 14 29 彼は言った,「来なさい!」 ペトロは舟から降りて,水の上を歩いてイエスのほうへ行った。 14 30 しかし風が強いのを見て,怖くなり,沈み始めた時,叫んで言った,「主よ,お救いください!」 14 31 すぐにイエスは手を伸ばして彼をつかみ,彼に言った,「信仰の少ない者よ,なぜ疑ったのか」。 14 32 彼らが舟に乗り込むと,風はやんだ。 14 33 舟の中にいた者たちは近寄り,「確かにあなたは神の子です!」と言って,彼を拝んだ。 14 34 彼らが海を渡ると,ゲネサレトの地に着いた。 14 35 その場所の人々は,彼だと分かると,周囲の地方全体に人を遣わし,病気の人たちをみな彼のもとに連れて来た。 14 36 そして,その者たちにその衣の房べりにでも触らせてもらえるよう,彼に懇願した。そしてそれに触った者は皆健康になった。 15 1 それから,ファリサイ人たちと律法学者たちが,エルサレムからイエスのところにやって来て,こう言った。 15 2 「あなたの弟子たちが年長者たちの伝統を破るのはなぜか。彼らはパンを食べる時に自分の手を洗っていないのだ」。 15 3 彼は彼らに答えた,「あなた方も自分たちの伝統のゆえに神のおきてを破るのはなぜか。 15 4 というのは,神は,『あなたの父と母を敬え』,そして,『父や母を悪く言う者は死刑に処せられるべきだ』と命じられたからだ。 15 5 ところがあなた方はこう言う。『自分の父や母に向かって,「あなたがわたしから得られたはずの役に立つものはみな,神に献納された供え物です」と言うのがだれでも, 15 6 その者は自分の父や母を敬ってはならない』と。あなた方は自分たちの伝統のゆえに神の言葉を無効にしている。 15 7 偽善者たち! イザヤは,あなた方偽善者たちについてみごとに預言した。こう言われていた。 15 8 『この民は口でわたしに近づき, 唇でわたしを敬うが, その心はわたしから遠く離れている。 15 9 彼らがわたしを崇拝するのは無駄なことだ, 人間の作った規則を教理として教えているからだ』」。 15 10 群衆を呼び寄せて,彼らに言った,「聞いて,理解しなさい。 15 11 口から入って来るものは人を汚さない。口から出て行くものが人を汚すのだ」。 15 12 その時,弟子たちが近寄って来て,彼に言った,「今の言葉を聞いて,ファリサイ人たちが不快になったのをご存じですか」。 15 13 しかし彼は答えた,「わたしの天の父が植えられたのではない植物は,すべて根こそぎにされるだろう。 15 14 彼らをそのままにしておきなさい。彼らは盲人のための盲目の案内人だ。盲人が盲人を導くなら,両方とも穴に落ちてしまうだろう」。 15 15 ペトロが彼に答えた,「あのたとえをわたしたちに説明してください」。 15 16 するとイエスは言った,「あなた方もまだ理解していないのか。 15 17 すべて口から入るものは,腹の中を通って,それから体の外に出て行くということが分からないのか。 15 18 だが,口から出て来るものは心から出て来るのであり,それがその人を汚す。 15 19 というのは,心の中から,悪い考え,殺人,姦淫かんいん,淫いん行,盗み,偽りの証言,冒とくが出て来るからだ。 15 20 これらのものが人を汚すのだ。だが,洗っていない手で食事をすることが人を汚すことはない」。 15 21 イエスはそこから出発し,テュロスとシドンの地方へ去って行った。 15 22 見よ,その地方出身のカナナイ人の女が出て来て,叫んで言った,「主よ,ダビデの子よ,わたしをあわれんでください! わたしの娘がひどく悪霊につかれています!」 15 23 しかし彼は彼女に一言も答えなかった。 弟子たちが近寄って来て,彼に願ってこう言った。「彼女を追い払ってください。わたしたちの後ろで叫んでいますから」。 15 24 しかし彼は答えた,「わたしはイスラエルの家の失われた羊のほかにはだれのところにも遣わされなかった」。 15 25 しかし彼女は来て,彼を拝んで言った,「主よ,わたしをお助けください」。 15 26 しかし彼は答えた,「子供たちのパンを取って犬たちに投げ与えるのはふさわしくない」。 15 27 しかし彼女は言った,「そうです,主よ。でも,犬たちでさえ,その主人たちの食卓から落ちたパンくずを食べるのです」。 15 28 それで彼は彼女に答えた,「女よ,あなたの信仰は偉大だ。あなたの望むとおりのことが起きるように」。すると,彼女の娘はその時刻にいやされた。 15 29 イエスはそこを去って,ガリラヤの海の近くにやって来た。そして山の中に上って行き,そこに座った。 15 30 大群衆が,足の不自由な人,目の見えない人,体の不自由な人,その他大勢の人を連れて,彼のもとにやって来た。そして彼らを彼の足もとに置いた。彼は彼らをいやした。 15 31 そのため群衆は,口のきけない人がものを言い,傷を負った人が健康になり,足の不自由な人が歩き,目の見えない人が見えるようになったのを目にして驚き,イスラエルの神に栄光をささげた。 15 32 イエスは弟子たちを呼び寄せて言った,「わたしは群衆に対して哀れみを抱く。彼らはもう三日もわたしと共にいるのに,食べる物を何も持っていないからだ。 わたしは彼らを空腹のままで去らせたくはない。そんなことをすれば,彼らは途中で気を失ってしまうかも知れない」。 15 33 弟子たちは彼に言った,「この寂しい場所で,これほどの大群衆を満足させるほど多くのパンをどこから手に入れるのですか」。 15 34 イエスは彼らに言った,「あなた方はパンを幾つ持っているのか」。 彼らは言った,「七つです。それに小さな魚が少し」。 15 35 彼は地面に座るよう群衆に命じ, 15 36 七つのパンと魚を取った。感謝をささげてからそれを裂き,弟子たちに与え,弟子たちが群衆に与えた。 15 37 人々は食べて満ち足りた。彼らは余ったパン切れを七つのかごいっぱいに拾い集めた。 15 38 食べたのは,女と子供を除いて,四千人の男たちであった。 15 39 それから彼は群衆を去らせ,舟に乗り,マグダラ地方に入った。 16 1 ファリサイ人たちとサドカイ人たちがやって来て,彼を試そうとして,天からのしるしを見せるようにと彼に求めた。 16 2 しかし,彼は彼らに答えた,「あなた方は,夕方になると,『晴天になるだろう,空が赤いから』と言う。 16 3 朝には,『今日は荒れ模様だろう,空が赤くてどんよりとしているから』と言う。偽善者たち! あなた方は空模様の見分け方は知っていながら,時のしるしは見分けられないのだ! 16 4 悪い姦淫かんいんの世代はしるしを求めるが,預言者ヨナのしるしのほかには何のしるしも与えられないだろう」。 彼は彼らを残して去って行った。 16 5 弟子たちは向こう岸に行ったが,パンを持って来るのを忘れた。 16 6 イエスは彼らに言った,「ファリサイ人たちとサドカイ人たちのパン種に注意し,用心しなさい」。 16 7 彼らは互いに論じ合って言った,「我々はパンを持って来なかった」。 16 8 それに気づいて,イエスは言った,「なぜあなた方は,『パンを持っていないからだ』などと互いに論じ合っているのか,信仰の少ない者たちよ。 16 9 まだ気づかないのか。覚えていないのか。五千人のための五つのパン,そしてあなた方が幾つのかごに拾い集めたかを。 16 10 また,四千人のための七つのパン,そしてあなた方が幾つのかごに拾い集めたかを。 16 11 あなた方にパンについて話したのではないことが,どうして分からないのか。ただ,ファリサイ人たちとサドカイ人たちのパン種に用心しなさい」。 16 12 その時,彼らは,イエスが自分たちに用心するように言ったのは,パンのパン種のことではなく,ファリサイ人たちとサドカイ人たちの教えのことだと理解した。 16 13 さて,イエスは,カエサレア・フィリピ地帯に入ると,弟子たちに尋ねて言った,「人々は,わたし,人の子をだれだと言っているか」。 16 14 彼らは言った,「ある者たちはバプテスマを施す人ヨハネ,ある者たちはエリヤ,ほかの者たちはエレミヤか預言者たちの一人だと言っています」。 16 15 彼は彼らに言った,「だが,あなた方はわたしをだれだと言うのか」。 16 16 シモン・ペトロが答えた,「あなたはキリスト,生ける神の子です」。 16 17 イエスは彼に言った,「シモン・バルヨナ,あなたは幸いだ。あなたにこのことを明らかにしたのは肉と血ではなく,天におられるわたしの父だからだ。 16 18 わたしもあなたに告げるが,あなたはペトロであり,この岩の上にわたしは自分の集会を建てる。ハデスの門もそれに打ち勝たない。 16 19 わたしはあなたに天の王国のかぎを与えよう。そして,あなたが地上で縛るものは天でも縛られ,あなたが地上で解くものは天でも解かれるだろう」。 16 20 それから,自分がキリストだということをだれにも告げないようにと弟子たちに命じた。 16 21 その時以後,イエスは,自分がエルサレムに行き,長老たちや祭司長たちや律法学者たちから多くの苦しみを受け,かつ殺され,そして三日後に起こされなければならないことを,弟子たちに示し始めた。 16 22 ペトロは彼をわきに連れて行き,彼をしかり始めて言った,「主よ,とんでもありません! あなたには決してそんなことは起きないでしょう」。 16 23 しかし,彼は背を向けてペトロに言った。「わたしの後ろに下がれ,サタンよ! あなたはわたしのつまづきの石だ。あなたは神の物事ではなく,人間の物事を考えているからだ」。 16 24 それからイエスは弟子たちに言った,「だれでもわたしに付いて来たいと思うなら,その人は自分を否定し,自分の十字架を取り上げて,わたしに従いなさい。 16 25 自分の命を救おうと思う者はそれを失うことになり,わたしのために自分の命を失う者はそれを見いだすことになるからだ。 16 26 というのも,人が全世界を手に入れても,自分の命を失うなら,何の益になるだろうか。人は自分の命と引き換えにいったい何を支払うというのか。 16 27 人の子は,自分の父の栄光のうちに自分の使いたちと共に来るが,その時,彼はすべての人にその行ないに従って報いるのだ。 16 28 本当にはっきりとあなた方に告げる。ここに立っている者の中には,人の子が自分の王国のうちに来るのを見るまでは決して死を味わわない者たちがいる」。 17 1 六日後,イエスは自分のペトロとヤコブとその兄弟ヨハネを伴い,高い山に彼らだけを連れ上った。 17 2 彼は彼らの目の前で変ぼうさせられた。その顔は太陽のように輝き,その衣は光のように白くなった。 17 3 見よ,モーセとエリヤが彼らに現われて,イエスと語り合っていた。 17 4 ペトロが答えてイエスに言った,「主よ,わたしたちがここにいるのは良いことです。もしお望みなら,ここに幕屋を三つ作りましょう。一つはあなたのため,一つはモーセのため,一つはエリヤのためです」。 17 5 彼がまだ話しているうちに,見よ,輝く雲が彼らを影で覆った。見よ,その雲から声がして,「これはわたしの愛する子,わたしの心にかなう者である。この者に聞き従いなさい」と言った。 17 6 これを聞くと,弟子たちは顔を伏せて非常に恐れた。 17 7 イエスが近寄り,彼らに触って言った,「起き上がりなさい。恐れてはいけない」。 17 8 彼らが目を上げると,イエスひとりのほかはだれも見えなかった。 17 9 彼らが山を下りて行く時,イエスは彼らに命じて言った,「人の子が死んだ者たちの中から生き返るまでは,目にしたことをだれにも告げてはいけない」。 17 10 弟子たちは彼に尋ねて言った,「それでは,なぜ律法学者たちは,まずエリヤが来なければならないと言うのですか」。 17 11 イエスは彼らに言った,「確かにまずエリヤが来て,すべてのものを回復する。 17 12 だが,あなた方に告げる。エリヤはすでに来たのだ。そして人々は彼が分からず,したい放題のことを彼に対して行なったのだ。同じように,人の子も人々から苦しみを受けるだろう」。 17 13 その時,弟子たちは,彼がバプテスマを施す人ヨハネについて自分たちに話したのだということを理解した。 17 14 彼が群衆のところに来ると,一人の人が彼のもとに近づき,彼の前にひざまずいて言った, 17 15 「主よ,わたしの息子をあわれんでください。てんかんで,ひどく苦しんでいるからです。たびたび火の中に落ち,たびたび水の中に落ちるのです。 17 16 そこで,この子をあなたの弟子たちのところに連れて来ましたが,彼らにはこの子をいやすことができませんでした」。 17 17 イエスは彼らに言った,「信仰のないねじ曲がった世代よ! いつまでわたしはあなた方と一緒にいようか。いつまであなた方のことを我慢しようか。その子をわたしのところに連れて来なさい」。 17 18 イエスが彼をしかりつけると,悪霊は彼から出て行った。そして,少年はその時以来いやされた。 17 19 それから,弟子たちはひそかに彼のもとに来て,「なぜわたしたちはあの霊を追い出せなかったのでしょうか」と言った。 17 20 彼は彼らに言った,「あなた方の不信仰のためだ。本当にはっきりとあなた方に告げるが,もしあなた方に一粒のからしの種ほどの信仰があるなら,この山に『ここからあそこに移れ』と言えば,それは移るだろう。そして,あなた方に不可能なことはないだろう。 17 21 だが,この種のものは,祈りと断食によらなければ,出て行くことはない」。 17 22 彼らがガリラヤに滞在していた時,イエスは彼らに言った,「人の子は人々の手に引き渡されようとしている。 17 23 そして人々は彼を殺すだろう。そして三日目に彼は起こされるだろう」。 彼らは深く悲しんだ。 17 24 彼らがカペルナウムに来た時,ディドラクマ硬貨を徴収する者たちがペトロのところに来て,「あなた方の教師はディドラクマを払わないのか」と言った。 17 25 彼は言った,「払います」。 彼が家の中に入ると,イエスは彼より先にこう言った。「シモン,あなたはどう思うか。地上の王たちは税や貢をだれから受けるのか。自分の子供たちからか,それともよその者たちからか」。 17 26 ペトロはイエスに言った,「よその者たちからです」。 イエスは彼に言った,「それなら,子供たちは税を免じられているのだ。 17 27 だが,わたしたちが彼らをつまずかせることがないように,海に行って,つり針を投げ,最初に釣れた魚を取りなさい。その口を開くと,一枚のスタテル硬貨を見つけるだろう。それを取って,わたしとあなたの分として彼らに与えなさい」。 18 1 その時,弟子たちがイエスのもとに来て,「天の王国では,いったいだれが一番偉いのですか」と言った。 18 2 イエスは幼子を自分のところに呼び寄せ,彼らの真ん中に座らせて 18 3 言った,「本当にはっきりとあなた方に告げる。立ち返って幼子たちのようにならなければ,あなた方は決して天の王国に入ることはないだろう。 18 4 だから,この幼子のように自分を低くする者,その者が天の王国で一番偉いのだ。 18 5 わたしの名のゆえにこのような幼子の一人を受け入れる者は,わたしを受け入れるのだ。 18 6 だが,わたしを信じるこれら小さな者たちの一人をつまずかせる者は,首に大きな臼うす石をかけられて海の深みに沈められる方が,その者にとっては良いだろう。 18 7 「数々のつまずきのもとのゆえに,この世は災いだ! つまずきのもとは必ずやって来るが,自分を通してつまずきのもとがやって来るその人は災いだ! 18 8 もしあなたの片手か片足があなたをつまずかせるなら,それを切り取って捨てなさい。両手や両足をつけて永遠の火に投げ込まれるよりは,不具または足の不自由なまま命に入る方が,あなたにとっては良いのだ。 18 9 もしあなたの片目があなたをつまずかせるなら,それをえぐり出して捨てなさい。両目をつけてゲヘナの火に投げ込まれるよりは,片目で命に入る方が,あなたにとっては良いのだ。 18 10 あなた方は,これら小さな者たちの一人をさげすんだりしないように気をつけなさい。あなた方に告げるが,彼らのためのみ使いたちは,天におられるわたしの父のみ顔を,天でいつも見ているのだ。 18 11 人の子は失われたものを救うために来たからだ。 18 12 「あなた方はどう思うか。ある人に百匹の羊がいて,そのうちの一匹が迷い出たなら,その人は九十九匹を残して山に行き,迷い出ているものを探さないだろうか。 18 13 もしそれを見つけたなら,本当にはっきりとあなた方に告げるが,迷い出なかった九十九匹のこと以上に,その一匹のことを喜ぶのだ。 18 14 このように,これら小さな者たちの一人が滅びることは,天におられるわたしの父のご意志ではない。 18 15 「あなたの兄弟があなたに対して罪を犯したなら,行って,あなたと彼だけの間でその過ちを示しなさい。彼があなたに聞き従うなら,あなたは自分の兄弟を取り戻したのだ。 18 16 だが,聞き従わないなら,あなたと共にもう一人か二人を連れて行きなさい。二人か三人の証人の口によって,すべての言葉が確証されるようにするためだ。 18 17 もし彼が彼らに聞き従うことを拒むなら,集会に告げなさい。もし彼が集会に聞き従うことも拒むなら,彼をあなたにとって異邦人や徴税人のようにならせなさい。 18 18 本当にはっきりとあなた方に告げる。あなた方が地上で縛るものは天でも縛られ,あなた方が地上で解くものは天でも解かれるだろう。 18 19 重ねて,本当にはっきりとあなた方に告げる。あなた方のうちの二人が,自分たちの願い求める事柄に関して地上で一致するなら,それは天におられるわたしの父によって実現するのだ。 18 20 二人か三人がわたしの名において共に集まっているところでは,わたしが彼らの中にいるからだ」。 18 21 その時,ペトロが近寄って来てイエスに言った,「主よ,兄弟がわたしに対して罪を犯した場合,彼を何度まで許すべきでしょうか。七回までですか」。 18 22 イエスは彼に言った,「わたしはあなたに七回までとは言わない。七十七回までだ。 18 23 だから,天の王国は,自分の召使いたちと貸し借りを精算しようとした一人の王のようだ。 18 24 精算を始めると,一万タレントの借金がある者が王のもとに連れて来られた。 18 25 だが,返済できなかったので,主人は彼に,妻や子供たちやすべての持ち物を売って支払いをするように命じた。 18 26 そのため,この召使いはひれ伏し,主人の前にひざまずいて,『ご主人様,わたしのことをご辛抱ください。すべてをお返ししますから!』と言った。 18 27 その召使いの主人は,哀れみに動かされて,彼を解放し,その負債を帳消しにしてやった。 18 28 「ところが,その召使いは出て行って,自分に百デナリの借金がある仲間の召使いたちの一人を見つけると,捕まえて首を絞め,『借りているものを返せ!』と言った。 18 29 「それで,仲間の召使いは彼の足もとにひれ伏し,彼に懇願して,『わたしのことを辛抱してください。返しますから!』と言った。 18 30 彼はそうしようとせず,行って,その者が借金を返すまで,その者をろうやに投げ入れた。 18 31 そこで,起きたことを見た時,仲間の召使いたちは深く悲しみ,行って,起きたことをみな彼らの主人に告げた。 18 32 すると主人は彼を呼び出して,彼に言った,『悪い召使いだ! わたしはお前が懇願したから,負債をみな帳消しにしてやったのだ。 18 33 わたしがお前をあわれんだように,お前も仲間の召使いをあわれんでやるべきではなかったか』。 18 34 主人は腹を立て,彼が借金をすべて返すまで,彼をろうやの役人に引き渡した。 18 35 もしあなた方がそれぞれ自分の兄弟の罪過を心から許さないなら,わたしの天の父もあなた方に対して同じように行なわれるだろう」。 19 1 イエスはこれらの言葉を語り終えると,ガリラヤを去って,ヨルダンの向こうのユダヤ地方に入った。 19 2 大群衆が彼に従った。そこで彼はその場所で彼らをいやした。 19 3 ファリサイ人たちがやって来て,彼を試そうとして言った,「どんな理由でも,男が自分の妻を離縁することは許されているのですか」。 19 4 彼は答えた,「あなた方は読んだことがないのか。人を造られた方は,はじめから彼らを男性と女性に造られ, 19 5 そして,『このために,男は自分の父と母を離れて,自分の妻と結び付く。こうして二人は一体となる』と言われたのを。 19 6 それで,彼らはもはや二つではなく,一体なのだ。だから,神が結び合わされたものを,人が引き離してはいけない」。 19 7 彼らは彼に尋ねた,「それでは,なぜモーセは,離縁状を与えて妻を離縁することをわたしたちに命じたのですか」。 19 8 彼は彼らに言った,「モーセは,あなた方の心のかたくなさのゆえに,あなた方が自分の妻を離縁することを容認したのであって,はじめからそうだったわけではない。 19 9 あなた方に告げるが,淫いん行以外の理由で自分の妻を離縁して別の女と結婚する者は,姦淫かんいんを犯すのであり,離縁された女と結婚する者は,姦淫かんいんを犯すのだ」。 19 10 弟子たちは彼に言った,「妻についての男の実情がそのようなものであれば,結婚するのはうまいことではありません」。 19 11 しかし彼は彼らに言った,「すべての人がこの言葉を受け入れることができるわけではなく,授けられている人たちだけがそうできる。 19 12 母の胎からそのように生まれついた去勢者がおり,人に去勢させられた去勢者がおり,天の王国のために自分を去勢した去勢者がいるからだ。それを受け入れることができる者は,受け入れなさい」。 19 13 その時,その上に両手を置いて祈ってもらおうとして,幼子たちが彼のもとに連れて来られたが,弟子たちは彼らをしかりつけた。 19 14 しかしイエスは言った,「幼子たちをそのままにしておきなさい。彼らがわたしのところに来るのをとどめてはいけない。天の王国はこのような者たちのものだからだ」。 19 15 両手を彼らの上に置いてから,そこを去って行った。 19 16 見よ,ある人が彼に近寄って来て言った,「善い先生,永遠の命を得るためには,どんな善いことをしたらよいでしょうか」。 19 17 イエスは彼に言った,「なぜ,わたしのことを善いと呼ぶのか。神おひとりのほかに善い者はいない。だが,命に入りたいなら,おきてを守りなさい」。 19 18 彼はイエスに言った,「どのおきてですか」。 イエスは言った,「『あなたは殺してはならない』,『あなたは姦淫かんいんを犯してはならない』,『あなたは盗んではならない』,『あなたは偽りの証言をしてはならない』, 19 19 『あなたの父と母を敬いなさい』,そして,『あなたは隣人を自分自身のように愛さなければならない』」。 19 20 その若者はイエスに言った,「わたしはそうした事すべてを幼いころから守ってきました。まだ何が足りないのでしょうか」。 19 21 イエスは彼に言った,「もしあなたが完全でありたいと思うなら,行って,持ち物を売り,貧しい人たちに与えなさい。そうすれば,天に宝を持つことになる。それから来て,わたしに従いなさい」。 19 22 しかし,この言葉を聞くと,その若者は悲しそうに去って行った。多くの資産を持っていたからである。 19 23 イエスは弟子たちに言った,「本当にはっきりとあなた方に言う。富んだ人が天の王国に入るのは難しいことだ。 19 24 重ねて,あなた方に告げる。富んだ人が神の王国に入るよりは,ラクダが針の穴を通り抜ける方が易しいのだ」。 19 25 これを聞いて,弟子たちは非常に驚いて言った,「いったいだれが救いを得られるのだろう」。 19 26 イエスは彼らを見つめて言った,「人には不可能だが,神にはすべての事が可能だ」。 19 27 その時,ペトロが彼に答えた,「ご覧ください,わたしたちは何もかも後にして,あなたに従いました。それで,わたしたちは何を持つことになるのでしょうか」。 19 28 イエスは彼らに言った,「本当にはっきりとあなた方に告げるが,再生の際,人の子が自分の栄光の座に着くときには,わたしに従ってきたあなた方も十二の座に着き,イスラエルの十二部族を裁くだろう。 19 29 わたしの名のために,家々,兄弟たち,姉妹たち,父,母,妻,子供たち,あるいは畑を後にする者は,その百倍を受け,また永遠の命を受け継ぐことになる。 19 30 だが,多くの最初の者が最後に,最後の者が最初になるだろう。 20 1 「天の王国は,自分のブドウ園に働き人を雇うために朝早く出かけた家の主人のようだからだ。 20 2 働き人たちと一日一デナリオスで合意すると,彼らを自分のブドウ園に送り出した。 20 3 第三時ごろに出て行き,ほかの者たちが市場で仕事をせずに立っているのを見て, 20 4 彼らに言った,『あなた方もブドウ園に行きなさい。そうすれば,正当なものを払おう』。そこで彼らは出かけて行った。 20 5 第六時と第九時ごろにも再び出て行き,同じようにした。 20 6 第十一時ごろに出て行くと,ほかの者たちが仕事をせずに立っているのを見つけて,彼らに言った,『なぜあなた方は仕事もしないで一日中ここに立っているのか』。 20 7 「彼らは彼に言った,『だれもわたしたちを雇ってくれないからです』。 「彼は彼らに言った,『あなた方もブドウ園に行きなさい。そうすれば,正当なものを受け取るだろう』。 20 8 夕方になった時,ブドウ園の主人は自分の管理人に言った,『働き人たちを呼んで,最後の者から始めて最初の者まで順に賃金を払いなさい』。 20 9 「第十一時ごろ雇われた者たちが来て,それぞれ一デナリオスずつ受け取った。 20 10 最初の者たちが来て,もっと多く受け取るものと思ったが,彼らもやはりそれぞれ一デナリオスずつ受け取った。 20 11 それを受け取ると,彼らは家の主人に対して不平をもらして 20 12 言った,『これら最後の者たちは一時間働いただけだ。それなのに,あなたは彼らを,一日の重荷と焦げ付くような暑さに耐えたわたしたちと同じにした!』。 20 13 「だが,彼はその一人に答えた,『友よ,わたしはあなたに何も不正をしていない。あなたはわたしと一デナリオスで合意したではないか。 20 14 あなたの分を取って,帰りなさい。この最後の者にもあなたと同じように払ってやりたいのだ。 20 15 わたしが自分のもので自分のしたいことをするのは許されていないのか。それとも,わたしが善良なので,あなたの目はよこしまになるのか』。 20 16 このように,最後の者が最初に,最初の者が最後になるだろう。招かれるものは多いが,選ばれる者は少ないのだ」。 20 17 エルサレムに上って行く際,イエスは十二弟子をわきに連れて行き,途上で彼らに言った, 20 18 「見よ,わたしたちはエルサレムに上って行く。そして,人の子は祭司長たちや律法学者たちに引き渡される。彼らは彼を死に定めて 20 19 異邦人たちに引き渡すだろう。あざけり,むち打ち,はりつけにするためだ。そして三日目に彼は起こされる」。 20 20 その時,ゼベダイの子らの母がその息子たちと一緒に彼のもとにやって来て,ひざまずいて何事かを彼に求めた。 20 21 彼は彼女に言った,「何を望むのか」。 彼女は彼に言った,「これらわたしの二人の息子が,あなたの王国で,一人はあなたの右に,一人はあなたの左に座るようお取り計らいください」。 20 22 しかしイエスは答えた,「あなた方は自分が何を求めているかを知っていない。あなた方は,わたしの飲もうとしている杯を飲み,わたしの受けているバプテスマを受けることができるか」。 彼らは彼に言った,「できます」。 20 23 彼は彼らに言った,「確かに,あなた方はわたしの杯を飲み,わたしの受けているバプテスマを受けるだろう。だが,わたしの右や左に座ることは,わたしが与えるものではなく,わたしの父によってそれが備えられている人たちのためのものだ」。 20 24 ほかの十人はこれを聞き,二人の兄弟のことで憤慨した。 20 25 しかし,イエスは彼らを呼び寄せてこう言った。「あなた方が知っているとおり,異邦人たちの支配者たちは人々に対して威張り散らし,偉い人たちは人々の上に権力を行使している。 20 26 だが,あなた方の間ではそうであってはならない。むしろ,あなた方の間で偉くなりたいと思う者は,あなた方の召使いでなければいけない。 20 27 だれでもあなた方の間で第一でありたい者は,あなた方の奴隷でなければいけない。 20 28 それはちょうど,人の子が,仕えてもらうためではなく,むしろ仕え,自分の命を多くの人の身代金として与えるために来たのと同じだ」。 20 29 彼らがエリコから出て来ると,大群衆が彼に従った。 20 30 見よ,道ばたに座っている二人の盲人が,イエスが通り過ぎると聞いて,叫んで言った,「主よ,わたしをあわれんでください,ダビデの子よ!」 20 31 群衆は,静かにするように言って彼らをしかりつけたが,彼らはますます叫んで言った,「主よ,わたしをあわれんでください,ダビデの子よ!」 20 32 イエスは立ち止まって彼らを呼び,「何をして欲しいのか」と尋ねた。 20 33 彼らは彼に言った,「主よ,わたしたちの目が開くことです」。 20 34 イエスは哀れみに動かされて,彼らの目に触った。すると,すぐに彼らの目は見えるようになった。そして彼らはイエスに従った。 21 1 彼らがエルサレムに近づき,オリーブ山のふもとのベツファゲにやって来たその時,イエスは二人の弟子を遣わして 21 2 彼らに言った,「向こうの村に行きなさい。するとすぐに,ロバがつないであり,一緒に子ロバがいるのを見つけるだろう。それらを解いて,わたしのところに連れて来なさい。 21 3 もしだれかがあなた方に何か言うなら,『主がこれを必要としているのです』と言いなさい。そうすれば,その人はすぐに行かせてくれるだろう」。 21 4 このことすべてが起こったのは,預言者を通して語られたことが果たされるためであった。こう言われていた。 21 5 「シオンの娘に告げよ, 見よ,あなたの王があなたのところにやって来る, 謙そんで,ロバに乗って, ロバの子である子ロバに乗って』。 21 6 弟子たちは出て行き,イエスが彼らに命じたとおりに行なった。 21 7 そして,ロバと子ロバを連れて来て,その上に自分たちの外衣をかけた。すると彼はそれらに乗った。 21 8 おびただしい大群衆が自分たちの衣を道に敷いた。ほかの者たちは木から枝を切り落として来て街道に敷いた。 21 9 群衆は,先に行く者も付いて行く者も,こう叫び続けた。「ダビデの子にホサンナ! 主の名において来る者は幸いだ! いと高き所にホサンナ!」 21 10 彼がエルサレムに入ると,都全体が騒ぎ立ち,「この人はだれだ」と言った。 21 11 群衆は言った,「これは,ガリラヤのナザレから来た預言者イエスだ」。 21 12 イエスは神殿に入り,神殿で売り買いしていた者たちをみな追い出し,両替人たちの台とハトを売る者たちの腰掛けをひっくり返した。 21 13 彼らに言った,「『わたしの家は祈りの家と呼ばれるだろう』と書いてある。それなのにあなた方は,それを強盗たちの巣にしてしまった!」 21 14 神殿で,目の見えない人たちや足の不自由な人たちが近寄って来たので,彼らをいやした。 21 15 しかし,祭司長たちと律法学者たちは,彼が行なった驚くべき事柄を見,また子供たちが神殿で叫んで,「ダビデの子にホサンナ!」と言っているのを見て憤慨し, 21 16 彼に言った,「これらの者たちが言っていることが聞こえるか」。 イエスは彼らに言った,「聞こえる。あなた方は,『赤子や乳飲み子の口から,あなたは賛美を備えられた』とあるのを読んだことがないのか」。 21 17 彼らを残して,都を出てベタニアに行き,そこで夜を過ごした。 21 18 さて,朝早く都に戻るとき,空腹を感じた。 21 19 道ばたにイチジクの木があるのを見て,そこに行ったが,その木には葉のほかには何も見つからなかった。その木に言った,「もうお前からは永久に実が出ないように!」 すぐにそのイチジクの木は枯れた。 21 20 弟子たちはこれを見て驚き,「どうしてこのイチジクの木はすぐに枯れたのですか」と言った。 21 21 イエスは彼らに答えた,「本当にはっきりとあなた方に告げる。もしあなた方に信仰があって疑わないなら,このイチジクの木に生じたことができるだけでなく,この山に『持ち上げられて海の中に投げ込まれるように』と言えば,それは起きるだろう。 21 22 祈りの中で信じつつ求めるすべてのものを,あなた方は受けるだろう」。 21 23 彼が神殿に入ると,祭司長たちと民の長老たちが,彼の教えているところにやって来てこう言った。「あなたは何の権威によってこうした事をするのか。だれがその権威をあなたに与えたのか」。 21 24 イエスは彼らに答えた,「わたしもあなた方に一つのことを尋ねよう。あなた方がわたしに告げるなら,わたしも何の権威によってこうした事をするのかをあなた方に告げよう。 21 25 ヨハネのバプテスマはどこからのものだったか。天からか,それとも人からか」。 彼らは互いに論じ合って言った,「我々が『天から』と言えば,彼は『あなた方が彼を信じなかったのはなぜか』と言うだろう。 21 26 我々が『人から』と言えば,我々は群衆が怖い。みんながヨハネは預言者だと考えているからだ」。 21 27 彼らはイエスに答えて言った,「わたしたちは知らない」。 イエスも彼らに言った,「わたしも,何の権威によってこうした事をするのかをあなた方に告げない。 21 28 ところで,あなた方はどう思うか。ある人に二人の息子がいた。そして,兄のところに行って,『子よ,今日,わたしのブドウ園に行って働きなさい』と言った。 21 29 彼は『行きません』と答えたが,後で思い直して出かけて行った。 21 30 弟のところに来て,同じことを言った。彼は『お父様,参ります』と答えたが,行かなかった。 21 31 この二人のうち,どちらが自分の父の意志を行なったか」。 彼らは彼に言った,「兄のほうだ」。 イエスは彼らに言った,「本当にはっきりとあなた方に告げるが,徴税人たちや売春婦たちのほうが,あなた方より先に神の王国に入りつつある。 21 32 ヨハネは義の道をもってあなた方のところに来たのに,あなた方は彼を信じず,徴税人たちや売春婦たちが彼を信じたからだ。あなた方はそれを見ながら,後で悔い改めて彼を信じようとさえしなかった。 21 33 「別のたとえを聞きなさい。家の主人がいた。彼はブドウ園を造り,その周りに垣根を巡らし,ブドウ搾り場を掘り,塔を建て,それを耕作人たちに貸して,外国に出かけた。 21 34 実りの季節が近づくと,彼は自分の召使いたちを耕作人たちのところに送って,自分の実りを受け取ろうとした。 21 35 耕作人たちは彼の召使いたちを捕まえ,ある者を打ちたたき,別の者を殺し,別の者を石打ちにした。 21 36 彼は再び,ほかの召使いたちを最初よりたくさん送ったが,耕作人たちは彼らも同じように扱った。 21 37 それでも最後に,『わたしの息子なら敬うだろう』と言って,彼は自分の息子を送った。 21 38 ところが耕作人たちは,その息子を見て,互いに言った,『これは相続人だ。さあ,こいつを殺そう。そうすれば,その相続財産が手に入る』。 21 39 そこで彼らは彼を捕まえ,そのブドウ園の外に投げ出して殺した。 21 40 それで,ブドウ園の主人がやって来たとき,これらの耕作人たちをどうするだろうか」。 21 41 彼らは彼に告げた,「それら卑しい者たちをみじめな仕方で滅ぼし,季節ごとに実りを収めるほかの耕作人たちにそのブドウ園を貸し出すだろう」。 21 42 イエスは彼らに言った,「あなた方は聖書の中で読んだことがないのか。 『建てる者たちが退けた石, それが隅の親石となった。 これは主から生じたことで, わたしたちの目には不思議なことだ』。 21 43 「だから,あなた方に告げる。神の王国はあなた方から取り上げられ,その実を結ぶ民族に与えられる。 21 44 この石の上に落ちる者は粉々に砕かれ,その石がだれかの上に落ちれば,それはその者をみじんに砕くだろう」。 21 45 祭司長たちとファリサイ人たちは,彼のたとえを聞いた時,彼が自分たちについて話していることに気づいた。 21 46 彼らは彼を捕まえようとしたが,群衆を恐れた。群衆は彼を預言者だと考えていたからである。 22 1 イエスは答えて,再びたとえで彼らに話してこう言った。 22 2 「天の王国は,自分の息子のために婚宴を催した一人の王のようだ。 22 3 自分の召使いたちを遣わして,その婚宴に招いておいた者たちを呼ばせたが,彼らは来ようとしなかった。 22 4 彼は再びほかの召使いたちを遣わして言った,『招いておいた者たちにこう告げなさい。「見よ,わたしは夕食を整えた。わたしの牛と肥えた家畜はほふられ,何もかも整った。婚宴に来なさい!」』 22 5 だが,彼らは意に介さず,ある者は自分の農園に,別の者は自分の商売に出かけて行った。 22 6 また,残りの者たちは王の召使いたちを捕まえ,ひどい扱いをし,殺してしまった。 22 7 それを聞いて王は腹を立て,自分の軍隊を送り,それらの人殺したちを滅ぼし,彼らの町を焼き払った。 22 8 「それから彼は自分の召使いたちに言った,『婚礼の用意はできているのだが,招いておいた者たちはふさわしくなかった。 22 9 だから,大通りの十字路に行って,あなた方が見つける者をみな婚宴に招きなさい』。 22 10 それらの召使いたちは大通りに出て行き,見つけた者をみな,悪人も善人も共に集めた。婚礼は客でいっぱいになった。 22 11 ところが,王が客を見ようとして入って来ると,そこに婚礼の衣服を着けていない者を見つけた。 22 12 そこで王は彼に言った,『友よ,どうして婚礼の衣服を着ないでここに入って来たのか』。彼は何も言えなかった。 22 13 すると王は召使いたちに言った,『彼の手足を縛って連れて行き,外の闇に投げ出せ。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう』。 22 14 招かれるものは多いが,選ばれる者は少ないのだ」。 22 15 その時,ファリサイ人たちがやって来て,どのようにして彼の言葉じりを捕らえてわなにかけようかと相談した。 22 16 彼らは自分たちの弟子たちをヘロデ党の者たちと一緒に彼のもとに遣わしてこう言わせた。「先生,わたしたちはあなたが正直な方で,だれに対しても真実をもって神の道を教えられることを知っています。あなたはだれをもえこひいきすることがないからです。 22 17 それで,わたしたちに教えてください。カエサルに税金を払うことは許されているでしょうか,許されていないでしょうか」。 22 18 しかし彼は,彼らの邪悪さに気づいて,こう言った。「偽善者たち,なぜあなた方はわたしを試すのか。 22 19 税の貨幣をわたしに見せなさい」。 彼らは彼のもとに一デナリオスを持って来た。 22 20 彼は彼らに言った,「これはだれの像と銘なのか」。 22 21 彼らは彼に言った,「カエサルのです」。 すると彼は彼らに答えた,「それなら,カエサルのものはカエサルに,神のものは神に返しなさい」。 22 22 これを聞いて彼らは驚嘆し,彼を残して去って行った。 22 23 その日,サドカイ人たちが彼のもとにやって来た。(復活などはないと言う者たちである。)彼に尋ねて 22 24 言った,「先生,モーセは,『もしある人が子供を残さずに死んだ場合,彼の弟がその妻をめとり,自分の兄のために子孫を起こさなければならない』と言いました。 22 25 さて,わたしたちのもとに七人の兄弟がいました。最初の者が妻をめとりましたが,死にました。そして子孫がいなかったので,その弟にその妻を残しました。 22 26 二番目も,三番目も,ついには七番目まで同じようになりました。 22 27 みんなの最後にその女も死にました。 22 28 それで,復活において,彼女は七人のうちだれの妻になるのですか。みんなが彼女を妻にしたのですから」。 22 29 しかしイエスは彼らに答えた,「あなた方は,聖書も神の力も知らずに,思い違いをしている。 22 30 復活において,彼らはめとったり嫁いだりせず,天にいる神のみ使いたちのようになるからだ。 22 31 だが,死んだ者たちの復活について,あなた方はモーセの書の『茂み』のくだりで,神があなた方に語られたことを読んだことがないのか。こう言われた。 22 32 『わたしはアブラハムの神,イサクの神,ヤコブの神だ』。神は死んだ者たちの神ではなく,生きている者たちの神なのだ」。 22 33 群衆はこれを聞いて,彼の教えに驚いた。 22 34 しかしファリサイ人たちは,彼がサドカイ人たちを沈黙させたことを聞いて,共に集まった。 22 35 彼らのうちの一人の律法学者が,彼を試そうとして一つのことを尋ねた。 22 36 「先生,律法の中で最大のおきてはどれですか」。 22 37 イエスは彼に言った,「『あなたは,心を尽くし,魂を尽くし,思いを尽くして,あなたの神なる主を愛さなければならない』。 22 38 これが最大で第一のおきてだ。 22 39 第二もこれと同様であって,こうだ。『あなたは隣人を自分自身のように愛さなければならない』。 22 40 律法全体と預言者たちとは,この二つのおきてにかかっている」。 22 41 さて,ファリサイ人たちが共に集まっているとき,イエスは彼らに一つのことを尋ねて 22 42 言った,「あなた方はキリストについてどう思うか。彼はだれの子か」。 彼らは彼に言った,「ダビデの子だ」。 22 43 彼は彼らに言った,「どうしてダビデは霊によって彼を主と呼んでいるのか。こう言っている。 22 44 『主はわたしの主に言われた, 「わたしの右に座っていなさい, わたしがあなたの敵たちをあなたの足台とするまで」』。 22 45 「ダビデが彼を主と呼んでいるのなら,どうして彼はダビデの子なのか」。 22 46 だれも一言も彼に答えることはできなかった。そしてこの日以降,彼にこれ以上あえて何かを尋ねる者はいなかった。 23 1 それからイエスは群衆と弟子たちに語って 23 2 言った,「律法学者たちとファリサイ人たちはモーセの座に着いている。 23 3 だから,彼らがあなた方に守るよう教えることはみな守り行ないなさい。だが,彼らの業には見倣ってはいけない。彼らは言いはするが,行なわないからだ。 23 4 担いきれないほどの重荷を束ねて人々の肩に載せるが,自分では彼らを助けるために指一本も持ち上げようともしない。 23 5 自分たちの業すべてを,単に人に見せようとして行なっているのだ。自分たちの聖句入れを広くし,自分たちの衣の房べりを大きくする。 23 6 彼らが好むのは,祝宴での上座や会堂での上席, 23 7 市場でのあいさつや人々に『ラビ,ラビ』と呼ばれることなのだ。 23 8 だが,あなた方は『ラビ』と呼ばれてはいけない。あなた方の教師はただ一人,キリストで,あなた方はみな兄弟だからだ。 23 9 地上のだれをも自分たちの父と呼んではいけない。あなた方の父はただ一人,天におられる方だからだ。 23 10 また,師と呼ばれてはいけない。あなた方の師はただ一人,キリストだからだ。 23 11 だが,あなた方の間で一番偉い者は,あなた方の召使いになるだろう。 23 12 だれでも自分を高くする者は低くされ,自分を低くする者は高められるだろう。 23 13 「あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方はやもめたちの家々を食い物にし,見せかけのために長い祈りをするからだ。だから,あなた方は最も厳しい裁きを受けるだろう。 23 14 「だが,あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方は人々の前で天の王国を閉ざすからだ。自分たちが入らないばかりか,入ろうとする者たちにも入らせないのだ。* 23 15 あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方は一人の改宗者を作るために海と陸を巡り歩き,それができると,自分に倍するほどのゲヘナの子とするからだ。 23 16 「あなた方は災いだ,盲目の案内人たち,『だれでも神殿にかけて誓うなら,それは無意味だが,神殿の金にかけて誓うなら,その者には果たす義務がある』と言う者よ。 23 17 盲目の愚か者たちよ! 金と,その金を聖別する神殿とでは,どちらが偉大なのか。 23 18 また,『だれでも祭壇にかけて誓うなら,それは無意味だが,その上にある供え物にかけて誓うなら,その者には果たす義務がある』とも言う。 23 19 盲目の愚か者たちよ! 供え物と,その供え物を聖別する祭壇とでは,どちらが偉大なのか。 23 20 だから,祭壇にかけて誓う者は,祭壇とその上にあるすべての物にかけて誓っているのだ。 23 21 神殿にかけて誓う者は,神殿とそこに住んでおられる方にかけて誓っているのだ。 23 22 天にかけて誓う者は,神のみ座とその上に座っておられる方にかけて誓っているのだ。 23 23 「あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方はハッカ,イノンド,クミンの十分の一税は納めていながら,律法のもっと重要な事柄,すなわち公正とあわれみと忠実をなおざりにしている。 23 24 盲目の案内人よ,ブヨはこして除きながら,ラクダをのみ込む者たちよ! 23 25 「あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方は杯と皿の外側は清めるが,内側は強奪と不義で満ちているからだ。 23 26 盲目のファリサイ人よ,外側も清くするために,まず杯と皿の内側を清めなさい。 23 27 「あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方は白く塗った墓に似ているからだ。外側は美しく見えるが,内側は死んだ者たちの骨とあらゆる汚れでいっぱいだ。 23 28 このようにあなた方も,人には外側は義人のように見えるが,内側は偽善と不法でいっぱいだ。 23 29 「あなた方は災いだ,律法学者たちとファリサイ人たち,偽善者たちよ! あなた方は預言者たちの墓を建て,義人たちの墓を飾り立てて, 23 30 『我々が父祖たちの日々に生きていたなら,彼らと共に預言者たちの血にあずかる者にはならなかっただろうに』と言う。 23 31 こうしてあなた方は,預言者たちを殺した者たちの子供であることを自分で証明している。 23 32 それなら,あなた方の父祖たちのますを満たしなさい。 23 33 蛇よ,マムシらの子孫よ,あなた方はどうしてゲヘナの裁きを逃れることができようか。 23 34 それゆえ,見よ,わたしはあなた方に預言者たちと賢人たちと律法学者たちを遣わす。あなた方は,そのうちのある者たちを殺してはりつけにし,ある者たちを自分たちの会堂でむち打ち,町から町へと迫害するだろう。 23 35 それは,義なるアベルの血から,あなた方が聖所と祭壇の間で殺したバラキアの子ザカリヤの血に至るまで,地上で流されたすべての義なる血があなた方の上にふりかかるためだ。 23 36 本当にはっきりとあなた方に告げる。こうした事柄すべては,この世代の上にふりかかるだろう。 23 37 「エルサレム,エルサレム,預言者たちを殺し,自分のところに遣わされた者たちを石打ちにする者よ! めんどりがそのひなを翼の下に集めるように,わたしは幾たびあなたの子らを集めようとしたことか。だが,あなた方は応じなかった! 23 38 見よ,あなた方の家は荒れ果てたままに残される。 23 39 あなた方に告げるが,あなた方は,『主の名において来る者は幸いだ!』と言うときまでは,今後決してわたしを見ることはないだろう」。 24 1 イエスは神殿から出て行き,進んで行こうとした。弟子たちが彼に神殿の建物を示そうとして近寄って来た。 24 2 しかし,イエスは彼らに言った,「あなた方はこれらすべてのものを見ていないのか。ここで石が崩されずにほかの石の上に残ることはないだろう」。 24 3 彼がオリーブ山の上で座っていた時,弟子たちがひそかに彼のもとに来て,こう言った。「わたしたちに教えてください。それらのことはいつ起きるのですか。あなたの来臨と時代の終わりのしるしは何ですか」。 24 4 イエスは彼らに答えた,「だれもあなた方を惑わすことがないように注意しなさい。 24 5 多くの者がわたしの名においてやって来て,『わたしがキリストだ』と言って,多くの者を惑わすだろう。 24 6 あなた方は戦争のことや戦争のうわさを聞くだろう。動転しないように気を付けなさい。これらのすべてのことは起こらなければならないが,終わりはまだなのだ。 24 7 民族は民族に,王国は王国に敵対して立ち上がるからだ。あちこちでききんと伝染病と地震がある。 24 8 だが,これらのすべてのことは産みの苦しみの始まりだ。 24 9 その時,人々はあなた方を苦しみに引き渡し,あなた方を殺すだろう。あなた方はわたしの名のためにすべての民族から憎まれるだろう。 24 10 その時,多くの者がつまずき,互いに引き渡し合い,互いに憎み合うだろう。 24 11 多くの偽預言者たちが現われて,多くの者を惑わすだろう。 24 12 不法が増してゆくので,多くの者の愛が冷えてゆくだろう。 24 13 だが,最後まで耐え忍ぶ者,その者が救われるだろう。 24 14 王国のこの福音は,あらゆる民族に対する証言のために,全世界で宣教されるだろう。そしてそれから終わりが来る。 24 15 「それで,預言者ダニエルを通して語られた,荒廃させる嫌悪すべきものが,聖なる所に立っているのを見るなら(読者は理解せよ), 24 16 その時,ユダヤにいる者たちは山に逃げなさい。 24 17 屋上にいる者は自分の家から物を取り出そうとして降りてはいけない。 24 18 畑にいる者は外衣を取りに戻ってはいけない。 24 19 だが,それらの日,妊娠している者たちと乳を飲ませている母親たちにとっては災いだ! 24 20 あなた方の逃走が冬や安息日に起こらないように祈っていなさい。 24 21 その時,世のはじめから今に至るまで起きたことがなく,また二度と起きないような苦しみがあるからだ。 24 22 それらの日が短くされなかったなら,肉なる者はだれも救われないだろう。だが,選ばれた者たちのために,その日々は短くされるのだ。 24 23 「その時,だれかがあなた方に,『見よ,ここにキリストがいる!』とか,『あそこだ』などと告げても,それを信じてはいけない。 24 24 偽キリストたちや偽預言者たちが現われて,できるなら選ばれた者たちをさえ惑わそうとして,しるしと不思議な業を行なうからだ。 24 25 「見よ,わたしはあなた方にあらかじめ告げている。 24 26 だから,人々があなた方に,『見よ,彼は荒野にいる』と言っても,出て行ってはいけない。『見よ,奥の部屋にいる』と言っても,それを信じてはいけない。 24 27 いなずまが東から出て,西にまで輝きわたるように,人の子の来臨もそのようだからだ。 24 28 どこでも死体のあるところ,そこにハゲワシたちも集まって来るのだ。 24 29 だが,それらの日の苦しみのすぐ後に,太陽は暗くなり,月は光を放たなくなり,星々は天から落ち,天にあるもろもろの力は揺り動かされるだろう。 24 30 そしてその時,人の子のしるしが天に現われるだろう。その時,地のすべての部族は悲しみ,人の子が力と大いなる栄光をもって天の雲に乗って来るのを見るだろう。 24 31 彼は大きならっぱの音と共に自分の使いたちを遣わし,彼らは四方の風から,天の一方の果てから他方の果てまで,自分の選ばれた者たちを集め寄せるだろう。 24 32 「さあ,イチジクの木からこのたとえを学びなさい。その枝が柔らかくなり,葉を出すと,あなた方は夏の近いことを知る。 24 33 そのようにあなた方も,これらのすべてのことが起こるのを見たなら,彼が戸口にまで近づいていることを知りなさい。 24 34 本当にはっきりとあなた方に告げる。これらのすべてのことが実現するまでは,この世代は過ぎ去らない。 24 35 天と地は過ぎ去るだろう。それでも,わたしの言葉は過ぎ去らないのだ。 24 36 だが,その日や時刻についてはだれも知らない。天のみ使いたちも知らず,ただ父だけが知っておられる。 24 37 「人の子の来臨はノアの日々と同じようだ。 24 38 というのも,洪水前のそれらの日,ノアが箱船に入るその日まで,人々は食べたり飲んだり,めとったり嫁いだりしていて, 24 39 洪水が来て彼らすべてをさらって行くまで,気づかなかったのだ。人の子の来臨もそのようになるだろう。 24 40 その時,二人の男が畑にいるだろう。一方は取り去られ,他方は残される。 24 41 二人の女が引き臼うすをひいているだろう。一方は取り去られ,他方は残される。 24 42 だから,見張っていなさい。あなた方は自分たちの主が来るその時を知らないからだ。 24 43 だが,このことを知っておきなさい。家の主人は,夜のどの見張り時に盗人が来るかを知っているなら,見張っていて,自分の家に押し入られることを許さなかっただろう。 24 44 だから,あなた方も用意をしておきなさい。あなた方の思いもしない時に人の子は来るからだ。 24 45 「それでは,主人が,時節に応じて家の者たちに食物を与えさせるため,彼らの上に任命した,忠実で賢い召使いは,いったいだれか。 24 46 主人がやって来た時,そうしているのを見られるその召使いは幸いだ。 24 47 本当にはっきりとあなた方に告げるが,主人は彼を自分のすべての持ち物の上に任命するだろう。 24 48 だが,それが悪い召使いで,心の中で,『わたしの主人は来るのが遅れている』と言い, 24 49 自分の仲間の召使いたちを打ちたたき始め,酔っぱらいたちと食べたり飲んだりしているなら, 24 50 その召使いの主人は,彼の思いもしない日,彼の知らない時にやって来て, 24 51 彼をずたずたに切り裂き,その受け分を偽善者たちと共にならせるだろう。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう。 25 1 「その時,天の王国は,自分のともし火を持って花婿を迎えに出た十人の処女のようになる。 25 2 そのうち五人は愚かで,五人は賢かった。 25 3 愚かな者たちは,ともし火を持って行くとき,一緒に油を持って行かなかった。 25 4 だが,賢い者たちは,ともし火と一緒に油を器に入れて持って行った。 25 5 さて,花婿が遅れている間に,彼女たちはみな,うとうとして眠り込んでしまった。 25 6 ところが,真夜中に,『見よ! 花婿が来た! 彼を迎えに出よ!』という叫びが上がった。 25 7 その時,それらの処女たちはみな起き上がり,自分たちのともし火を整えた。 25 8 愚かな者たちは賢い者たちに言った,『あなた方の油を少し分けてください。わたしたちのともし火は消えそうですから』。 25 9 だが,賢い者たちは答えて言った,『わたしたちとあなた方に足りるほどはないかも知れません。それより,商人たちのところに行って,自分のために買いなさい』。 25 10 彼女たちが買いに出ている間に,花婿が来た。そして,用意ができている者たちは,彼と共に婚宴の部屋に入った。それから戸が閉められた。 25 11 その後,ほかの処女たちもやって来て,『主よ,主よ,わたしたちに開けてください』と言った。 25 12 だが,彼は答えた,『本当にはっきりとあなた方に告げる。わたしはあなた方を知らない』。 25 13 だから,見張っていなさい。あなた方は人の子が来るその日もその時も知らないからだ。 25 14 「それは,外国に出かけるとき,自分の召使いたちを呼んで,彼らに自分の財産を託した人のようだからだ。 25 15 それぞれの能力に応じて,ある者には五タレント,別の者には二タレント,別の者には一タレントを与えてから,旅に出た。 25 16 五タレントを受けた者はすぐに出て行き,それを使って商売をし,ほかに五タレントをもうけた。 25 17 二タレントを受けた者も,同じくほかに二タレントをもうけた。 25 18 だが,一タレントを受けた者は,出て行って地面に穴を掘り,自分の主人のお金を隠しておいた。 25 19 「さて,長い時ののち,それらの召使いたちの主人がやって来て,彼らと貸し借りを精算した。 25 20 五タレントを受けた者が進み出て,ほかの五タレントを差し出して言った,『ご主人様,あなたはわたしに五タレントを渡されました。ご覧ください,わたしはさらに五タレントをもうけました』。 25 21 「彼の主人は彼に言った,『よくやった,忠実な善い召使いよ。あなたはわずかなものに忠実だったから,多くのものの上に任命しよう。あなたの主人の喜びに入りなさい』。 25 22 「二タレントを受けた者が進み出て言った,『ご主人様,あなたはわたしに二タレントを渡されました。ご覧ください,わたしはさらに二タレントをもうけました』。 25 23 「彼の主人は彼に言った,『よくやった,忠実な善い召使いよ。あなたはわずかなものに忠実だったから,多くのものの上に任命しよう。あなたの主人の喜びに入りなさい』。 25 24 「一タレントを受けた者も進み出て言った,『ご主人様,わたしはあなたが厳しい方で,種をまかなかった所で刈り取り,散らさなかった所で集められるということを知っていました。 25 25 わたしは怖くなり,行ってあなたの一タレントを地中に隠しました。ご覧ください,これがあなたのものです』。 25 26 「だが,彼の主人は彼に答えた,『無精な悪い召使いよ。あなたはわたしが種をまかなかった所で刈り取り,散らさなかった所で集めることを知っていたのか。 25 27 それなら,わたしのお金を銀行家に預けておくべきだった。そうすれば,帰って来た時,自分のものを利息と一緒に戻してもらえただろうに。 25 28 だから,その一タレントを彼から取り上げて,十タレント持っている者に与えなさい。 25 29 だれでも持っている者にはさらに与えられて豊かになるが,持っていない者からはその持っているものまでも取り去られることになるからだ。 25 30 この役に立たない召使いを外の闇に投げ出せ。そこには嘆きと歯ぎしりとがあるだろう』。 25 31 「さて,人の子が自分の栄光のうちに到来し,すべての聖なるみ使いたちが彼と共に到来するその時,彼は自分の栄光の座に着くだろう。 25 32 すべての民族が彼の前に集められるだろう。そして彼は,羊飼いが羊をヤギからより分けるように,彼らを互いにより分け, 25 33 羊を自分の右に,ヤギを自分の左に置くだろう。 25 34 その時,王は自分の右にいる者たちにこう告げるだろう。『さあ,わたしの父に祝福された者たち,世の基礎が据えられて以来あなた方のために備えられていた王国を受け継ぎなさい。 25 35 わたしが飢えると食べ物を与え,わたしが渇くと飲み物を与え,よそから来ると宿を貸し, 25 36 裸でいると服を着せ,病気でいると見舞い,ろうやにいると来てくれたからだ』。 25 37 「その時,義人たちは彼に答えてこう言うだろう。『主よ,いつわたしたちは,あなたが飢えておられるのを見て食物を差し上げたり,渇いておられるのを見て飲み物を差し上げましたか。 25 38 いつわたしたちは,あなたがよそから来られたのを見て宿を貸し,裸でおられるのを見て服をお着せしましたか。 25 39 いつわたしたちは,あなたが病気をなさったり,ろうやにおられるのを見て,あなたのところに参りましたか』。 25 40 「王は彼らにこう答えるだろう。『本当にはっきりとあなた方に告げる。これらわたしの最も小さい兄弟たちの一人にあなた方がしたことは,わたしにしたのだ』。 25 41 それから,王はまた自分の左にいる者たちにこう言うだろう。『のろわれた者たちよ,わたしから離れて,悪魔とその使いたちのために備えられた永遠の火に入りなさい。 25 42 わたしが飢えても食べ物を与えず,わたしが渇いても飲み物を与えず, 25 43 よそから来ても宿を貸さず,裸でいても服を着せず,病気でいたり,ろうやにいても見舞ってくれなかったからだ』。 25 44 「その時,彼らも答えてこう言うだろう。『主よ,いつわたしたちは,あなたが飢えておられたり,渇いておられたり,よそから来られたり,裸でおられたり,病気をなさったり,ろうやにおられるのを見て,お世話をしませんでしたか』。 25 45 「その時,彼は彼らに答えてこう言うだろう。『本当にはっきりとあなた方に告げる。これらわたしの最も小さい兄弟たちの一人にあなた方がしなかったことは,わたしにしなかったのだ』。 25 46 これらの者は永遠の処罰に入り,義人たちは永遠の命に入るだろう」。 26 1 イエスは,これらすべての言葉を語り終えた時,弟子たちにこう言った。 26 2 「あなた方が知っているとおり,二日後には過ぎ越しがやって来る。そして人の子ははりつけにされるために引き渡される」。 26 3 その時,祭司長たちと律法学者たちと民の長老たちは,カイアファスと呼ばれる大祭司の邸宅に集まった。 26 4 策略によってイエスを捕まえて殺そうと相談した。 26 5 しかし彼らは言った,「祭りの間はいけない。民の暴動が起きるかも知れないからだ」。 26 6 さて,イエスがベタニアでらい病の人シモンの家にいた時, 26 7 一人の女が,非常に高価な香油の入った雪花石こうのつぼを持って彼に近寄って来て,それを食卓に着いている彼の頭に注いだ。 26 8 しかし,これを見て弟子たちは憤慨し,こう言った。「なぜこんな無駄づかいをしたのか。 26 9 この香油なら高く売れたし,そうすれば貧しい人々に施すことができたのに」。 26 10 しかし,これを知ってイエスは彼らに言った,「なぜあなた方はこの女を悩ませるのか。彼女はわたしに良い行ないをしてくれたのだ。 26 11 あなた方には,貧しい人々はいつでも一緒にいるが,わたしはいつでもいるわけではないからだ。 26 12 彼女がわたしの体にこの香油を注いだのは,わたしに埋葬に備えるためだったのだ。 26 13 本当にはっきりとあなた方に告げる。世界中どこでも,この福音が宣教される所では,この女の行なったこともまた,彼女の記念として語られるだろう」。 26 14 その時,十二人の一人で,ユダ・イスカリオトと呼ばれていた者が,祭司長たちのところに出て行き, 26 15 「彼をあなた方に引き渡せば,わたしに何をくれますか」と言った。彼らはそれを聞いて喜び,彼にお金を与えることを約束した。彼らは彼に銀三十枚を量り分けた。 26 16 その時以来,彼はイエスを売り渡す機会を探り求めた。 26 17 さて,種なしパンの最初の日,弟子たちがイエスのもとに来て,こう言った。「過ぎ越しの食事をなさるため,わたしたちがどこで用意をすることをお望みですか」。 26 18 彼は言った,「市内に入って,ある人のところへ行き,こう告げなさい。『先生が,「わたしの時が近づいた。わたしは弟子たちと共にあなたの家で過ぎ越しを祝う」と言っています』」。 26 19 弟子たちはイエスが彼らに命じたとおりに行ない,彼らは過ぎ越しの用意をした。 26 20 夕方になった時,彼は十二弟子と共に食卓に横になった。 26 21 彼らが食事をしていると,彼は言った,「本当にはっきりとあなた方に告げるが,あなた方の一人がわたしを売り渡すだろう」。 26 22 彼らは深く悲しみ,一人ずつ彼に「主よ,それはわたしではないでしょうね」と尋ね始めた。 26 23 彼は答えた,「わたしと共に手を鉢に浸している者,その者がわたしを売り渡すだろう。 26 24 人の子は自分について書いてあるとおりに去って行く。だが,人の子を売り渡すその者は災いだ! 生まれて来なかった方が,その者のためには良かっただろう」。 26 25 イエスを売り渡したユダが答えた,「ラビ,それはわたしではないでしょうね」。 イエスは彼に言った,「あなたがそう言った」。 26 26 彼らが食事をしていると,イエスはパンを取り,それに対する感謝をささげてからそれを裂いた。弟子たちに与えてこう言った。「取って,食べなさい。これはわたしの体だ」。 26 27 杯を取り,感謝をささげてから,彼らに与えてこう言った。「あなた方は皆,この杯から飲みなさい。 26 28 これは新しい契約のためのわたしの血だ。それは罪の許しのため,多くの人のために注ぎ出されるのだ。 26 29 だが,本当にはっきりとあなた方に告げるが,わたしの父の王国においてそれを新たに飲むその日まで,わたしは今後ブドウの木のこの産物を飲むことはない」。 26 30 賛美の歌を歌ってから,彼らはオリーブ山へと出て行った。 26 31 それからイエスは彼らに言った,「今夜,あなた方全員がわたしのためにつまずくだろう。『わたしは羊飼いを打つ。すると羊の群れは散らされるだろう』と書いてあるからだ。 26 32 だが,わたしは起こされた後,あなた方より先にガリラヤに行くだろう」。 26 33 しかしペトロは彼に答えた,「みんながあなたのためにつまずいたとしても,わたしは決してつまずきません」。 26 34 イエスは彼に言った,「本当にはっきりとあなたに告げるが,今夜,おんどりが鳴く前に,あなたは三度わたしを否認するだろう」。 26 35 ペトロは彼に言った,「あなたと一緒に死ななければならないとしても,わたしはあなたを否認しません」。ほかの弟子たちも皆,同じ事を言った。 26 36 それからイエスは彼らと共にゲツセマネと呼ばれる場所にやって来た。彼は弟子たちに言った,「わたしがあちらに行って祈っている間,ここに座っていなさい」。 26 37 彼はペトロとゼベダイの二人の子らを伴って行ったが,悲しみ,またひどく苦悩し始めた。 26 38 その時,彼は彼らに言った,「わたしの魂は死ぬほどに深く悲しんでいる。ここにとどまって,わたしと共に見張っていなさい」。 26 39 少し進んで行ってうつ伏し,祈って言った,「わたしの父よ,もしできることなら,この杯をわたしから過ぎ去らせてください。それでも,わたしの望むことではなく,あなたの望まれることを」。 26 40 弟子たちのところに来て,彼らが眠っているのを見つけて,ペトロに言った,「何と,あなたはわたしと共に一時間も見張っていられなかったのか。 26 41 あなた方は誘惑に陥らないよう,見張って,祈っていなさい。霊はその気でも,肉体は弱いのだ」。 26 42 再び,二度目に離れて行き,祈って言った,「わたしの父よ,わたしが飲まない限り,この杯がわたしから過ぎ去らないのでしたら,あなたの望まれることが行なわれますように」。 26 43 もう一度やって来て,彼らが眠っているのを見つけた。彼らの目は非常に重くなっていたのである。 26 44 彼は彼らを残して再び離れて行き,三度目に同じ言葉で祈った。 26 45 それから,三度目に弟子たちのところに来て,彼らに言った,「なお眠って,休息をとりなさい。見よ,時が来た。そして人の子は罪人たちの手に売り渡される。 26 46 立ちなさい,さあ行こう。見よ,わたしを売り渡す者が近づいて来た」。 26 47 彼がまだ話しているうちに,見よ,十二人の一人のユダがやって来た。そして彼と共に,祭司長たちと民の長老たちのもとから来た群衆が,剣やこん棒を手にしてやって来た。 26 48 さて,イエスを売り渡した者は,「わたしが口づけするのがその者だ。それを捕まえろ」と言って,彼らに合図を伝えていた。 26 49 すぐにイエスに近寄り,「こんばんは,ラビ!」と言って,口づけした。 26 50 イエスは彼に言った,「友よ,なぜここにいるのか」。その時,彼らはイエスに手をかけて捕まえた。 26 51 見よ,イエスと共にいた者の一人が,手を伸ばして剣を抜き,大祭司の召使いに撃ちかかり,その片耳を切り落とした。 26 52 その時イエスは彼に言った,「剣をもとの所に納めなさい。すべて剣を取る者は剣で死ぬからだ。 26 53 それともあなたは,わたしがわたしの父に求めて,今すぐに十二軍団以上のみ使いたちを遣わしていただくことができないとでも思うのか。 26 54 だがそれでは,こうならなければならないと書いてある聖句はどうして果たされるだろうか」。 26 55 その時,イエスは群衆に言った,「あなた方は強盗に対するかのように,剣とこん棒を持ってわたしを捕まえに出て来たのか。わたしは毎日神殿に座って教えていたのに,あなた方はわたしを逮捕しなかった。 26 56 だが,このすべてが起こったのは,預言者たちの聖句が果たされるためなのだ」。 その時,弟子たちは皆,彼を残して逃げて行った。 26 57 イエスを捕まえた者たちは,彼を大祭司カイアファスのところに引いて行った。そこには祭司長たちと長老たちが集まっていた。 26 58 他方,ペトロは遠くからイエスに付いて行き,大祭司の中庭までやって来た。そして中に入り,成り行きを見ようとして,役人たちと共に座った。 26 59 さて,祭司長たちと長老たちと最高法院全体は,イエスを死に渡すため,彼に不利な証言を探していたが, 26 60 何も見つからなかった。多くの偽りの証人が進み出たにもかかわらず,何も見つからなかった。しかし,最後に二人の者が進み出て, 26 61 こう言った。「この者は,『わたしは神の神殿を壊し,それを三日で建てる』と言いました」。 26 62 大祭司が立ち上がって彼に言った,「何も答えないのか。これらの者たちがお前に不利な証言をしているのは,どういうことなのか」。 26 63 しかし彼は黙っていた。大祭司は彼に尋ねた,「生ける神に誓ってお前に命じる。我々に告げよ,お前は神の子,キリストなのかどうか」。 26 64 イエスは言った,「あなたがそう言っている。それでも,あなた方に告げるが,今後,あなた方は人の子が力ある方の右に座り,天の雲と共に来るのを見るだろう」。 26 65 その時,大祭司は自分の衣を引き裂いてこう言った。「この者は冒とくを口にした! どうしてこれ以上証人が必要だろうか。見よ,あなた方は今,冒とくの言葉を聞いたのだ。 26 66 あなた方はどう思うか」。 彼らは答えた,「この者は死に値する!」 26 67 それから,彼らは彼の顔につばをかけ,こぶしで殴り,「預言しろ!」と言い始めた。ある者たちは彼を平手で打って, 26 68 こう言った。「キリストよ,我々に預言しろ! お前を打ったのはだれか」。 26 69 さて,ペトロが外の中庭に座っていると,一人の女中が彼のところに来て,こう言った。「あなたもガリラヤ人イエスと一緒にいました!」 26 70 しかし彼はみんなの前でそれを否定して言った,「わたしはあなたが何のことを言っているのか分からない」。 26 71 彼が入り口の方に出て行くと,別の女が彼を見て,そこにいる者たちにこう言った。「この人もナザレ人イエスと一緒にいました」。 26 72 彼は誓いつつ再びそれを否定した。「わたしはその人を知らない」。 26 73 しばらくして,そばに立っていた者たちが近寄って来てペトロに言った,「確かにあなたも彼らの一人だ。方言であなたのことが分かるからだ」。 26 74 その時,彼はのろったり誓ったりし始めて言った,「わたしはその人を知らないのだ!」 すぐにおんどりが鳴いた。 26 75 ペトロは,「おんどりが鳴く前に,あなたは三度わたしを否認するだろう」とイエスが自分に言った言葉を思い出した。そして,外に出て,激しく泣いた。 27 1 さて,明け方になると,祭司長たちと民の長老たち全員は,イエスを死に渡そうとして相談した。 27 2 そして彼を縛って連れ出し,総督ポンティウス・ピラトに引き渡した。 27 3 その時,イエスを売り渡したユダは,イエスが罪に定められたのを見て後悔し,銀三十枚を祭司長たちと長老たちに返して 27 4 言った,「わたしは罪のない血を売り渡して罪を犯した」。 しかし彼らは言った,「それが我々にどうしたのか。自分で始末しろ」。 27 5 彼はそれらの銀を聖所に投げ入れて立ち去った。出て行って,首をつって死んだ。 27 6 祭司たちはそれらの銀を取って言った,「これらを宝物庫に入れることは許されない。血の代価だからだ」。 27 7 彼らは相談し,よそ人たちの埋葬のためにそれらで陶器師の畑を買った。 27 8 それで,この畑は今日に至るまで「血の畑」と呼ばれている。 27 9 その時,預言者エレミヤによって語られたことが果たされた。こう言われていた。 「彼らは銀三十枚を取った, 値をつけられた者, イスラエルの子らのある者たちが値をつけた者の代価を。 27 10 そして,陶器師の畑としてそれらを与えた。 主がわたしに命じたとおりである」。 27 11 さて,イエスは総督の前に立った。そこで総督はイエスに尋ねて言った,「お前はユダヤ人の王なのか」。 イエスは彼に言った,「あなたがそう言っている」。 27 12 祭司長たちや長老たちから訴えられている時,彼は何も答えなかった。 27 13 ピラトは彼に言った,「彼らがお前に対してどれほど多くの事を証言しているか,お前は聞こえないのか」。 27 14 しかしイエスはそれ以上何一つ答えなかった。そのため総督は非常に驚いた。 27 15 さて,総督は祭りの際に,群衆が彼に願い出る囚人を一人,彼らのために釈放するのを慣例としていた。 27 16 その時,彼らにはバラバと呼ばれる有名な囚人がいた。 27 17 それで,彼らが集まって来た時,ピラトは彼らに言った,「お前たちはだれを釈放して欲しいのか。バラバか,それともキリストと呼ばれるイエスか」。 27 18 彼らがねたみのためにイエスを引き渡したことに気づいていたからである。 27 19 彼が裁判の席に着いているとき,その妻が彼のもとに人を遣わして言った,「あの義人とかかわりを持たないでください。わたしはその人のために,今朝,夢の中でさんざん苦しめられたのです」。 27 20 さて,祭司長たちや長老たちは,バラバを求めてイエスを滅ぼすよう群衆を説得した。 27 21 一方,総督は彼らに答えた,「お前たちは二人のうちのどちらを釈放して欲しいのか」。 彼らは言った,「バラバを!」 27 22 ピラトは彼らに言った,「それでは,キリストと呼ばれるイエスはどうしたらよいのか」。 みんなは彼に言った,「はりつけにしろ!」 27 23 しかし総督は言った,「なぜだ。彼がどんな悪事をしたというのか」。 しかし彼らは激しく叫んで言った,「はりつけにしろ!」 27 24 そこでピラトは,手のつけようがなく,むしろ騒動になり始めたのを見て,水を取って群衆の前で両手を洗い,「わたしはこの義人の血について罪はない。自分たちで始末せよ」と言った。 27 25 民全体が答えた,「彼の血は,我々と我々の子孫の上にふりかかってもよい!」 27 26 そこでピラトはバラバを釈放した。他方,イエスをむち打ってから,はりつけにするために引き渡した。 27 27 総督の兵士たちはイエスをプラエトリウムの中に引いて行き,全部隊を彼のところに呼び集めた。 27 28 彼から衣をはいで,赤い衣を彼にまとわせた。 27 29 イバラの冠を編んで彼の頭に載せ,右手にアシを持たせた。そして彼の前にひざまずいて彼をなぶりものにして,「ユダヤ人の王様,万歳!」と言った。 27 30 彼につばをかけ,アシを取り上げて彼の頭をたたいた。 27 31 彼をなぶりものにした後,彼から衣を脱がせて,もとの衣を着せた。そして,彼をはりつけにするために引いて行った。 27 32 出て行くと,シモンという名のキュレネ人を見つけたが,彼を一緒に来させて,イエスの十字架を運ばせた。 27 33 「ゴルゴタ」,訳せば「どくろの場所」と呼ばれる場所にやって来た。 27 34 彼らは胆汁を混ぜた酸いブドウ酒を与えた。彼は味を見ると飲もうとしなかった。 27 35 彼をはりつけにしてから,くじを引いて,互いにその外衣を分けた。 * 27 36 そして,そこに座って彼を見張っていた。 27 37 彼の頭の上には,「これはユダヤ人の王イエス」と書いた罪状書きを掲げた。 27 38 それから,彼と共に二人の強盗をはりつけにし,一人はその右に,一人はその左に置いた。 27 39 通りかかった者たちは,頭を振りながら彼を冒とくして 27 40 言った,「神殿を壊して三日で建てる者よ,自分を救ってみろ! 神の子なら,十字架から降りて来い!」 27 41 同じように,祭司長たちも律法学者たちやファリサイ人たちや長老たちと共に,あざけって言った, 27 42 「ほかの者たちは救ったが,自分は救えないのだ。あれがイスラエルの王なら,今,十字架から降りて来てもらおう。そうしたら彼を信じよう。 27 43 彼は神に頼っている。神が彼をお望みなら,救い出してもらうがよい。『わたしは神の子だ』と言ったのだから」。 27 44 一緒にはりつけになっていた強盗たちも,同じように彼を非難した。 27 45 さて,第六時から闇が全土を覆い,第九時にまで及んだ。 27 46 第九時ごろ,イエスは大声で叫んで,「エリ,エリ,リマ,サバクタニ」と言った。これは,「わたしの神,わたしの神,なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 27 47 そばに立っていた者たちの何人かは,それを聞いて,「この人はエリヤを呼んでいるのだ」と言った。 27 48 すぐに彼らのうちの一人が走って行き,海綿に酢をたっぷり含ませて,アシの先に付け,それを彼に飲まそうとした。 27 49 残りの者たちは,「彼をそのままにしておけ。エリヤが彼を救いに来るかどうかを見よう」と言った。 27 50 イエスは再び大声で叫んで,自分の霊をゆだねた。 27 51 見よ,神殿の幕が上から下まで二つに裂けた。地が揺れ,岩々が割れた。 27 52 幾つもの墓が開き,眠りについていた聖者たちの体が数多く起こされた。 27 53 そして,イエスの復活ののちに墓から出て来て,聖都に入り,大勢の人に現われた。 27 54 その時,百人隊長と,イエスを見張っていた者たちは,地震や起きた事柄を見て非常に恐れ,「本当にこの人は神の子だった」と言った。 27 55 そこでは大勢の女たちが遠くから見ていたが,それはガリラヤからイエスに仕えながら従っていた者たちであった。 27 56 その中にはマリア・マグダレネ,ヤコブとヨセの母マリア,それにゼベダイの子らの母がいた。 27 57 夕方になると,ヨセフという名で,アリマタヤ出身の富んだ人がやって来た。彼自身もイエスの弟子となっていた。 27 58 この人がピラトのところへ行き,イエスの体を渡してくれるよう願い出た。それでピラトは死体を与えるよう命じた。 27 59 ヨセフは死体を取り降ろして,きれいな亜麻布に包み, 27 60 岩に切り掘ってあった自分の新しい墓に横たえた。墓の入り口に大きな石を転がしてから,去って行った。 27 61 マリア・マグダレネともう一人のマリアは,墓に向かって座っていた。 27 62 さて,次の日,すなわち準備の日の翌日,祭司長たちとファリサイ人たちはピラトのもとに集まって 27 63 こう言った。「閣下,わたしたちは,あの詐欺師がまだ生きていたとき,『三日後にわたしは生き返るだろう』と言っていたのを思い出しました。 27 64 ですから,三日目まで墓を警備するよう命じてください。そうでないと,夜中に弟子たちが来て彼を盗み出し,『彼は死んだ者たちの中から起こされた』などと民に告げるかも知れません。そうなれば,この最後の欺きは最初の欺きよりも悪いものになるでしょう」。 27 65 ピラトは彼らに言った,「お前たちには警備兵がある。行って,できる限りの警備をするがよい」。 27 66 そこで彼らは警備兵を連れて行き,石に封印をして,墓の警備をした。 28 1 さて,安息日ののち,週の初めの日が明け始めるころ,マリア・マグダレネともう一人のマリアが墓を見に来た。 28 2 見よ,大きな地震が起きた。というのは,主のみ使いが天から降りて来て近寄り,入り口から石を転がして,その上に座ったからである。 28 3 彼の外見はいなずまのようであり,彼の衣は雪のように白かった。 28 4 警備兵たちは,彼に対する恐れのために震え上がり,死んだようになっていた。 28 5 み使いは女たちに答えた,「恐れてはいけない。あなた方がはりつけにされたイエスを探していることを,わたしは知っているのだ。 28 6 彼はここにはいない。彼は,自分で言ったとおり,起こされたからだ。さあ,主の横たえられた場所を見なさい。 28 7 急いで行って,彼の弟子たちに,『彼は死んだ者たちの中から起こされた。そして見よ,彼はあなた方より先にガリラヤへ行く。あなた方はそこで彼を見るだろう』と告げなさい。見よ,わたしはあなた方に告げた」。 28 8 彼女たちは,恐れと大きな喜びをもって,急いで墓を立ち去り,弟子たちに知らせるために走って行った。 28 9 彼女たちが弟子たちに告げに行く途中で,見よ,イエスが彼女たちに出会って,「喜べ!」と言った。 彼女たちは近づいてその両足を抱き,彼を拝んだ。 28 10 その時イエスは彼女たちに言った,「恐れてはいけない。行って,わたしの兄弟たちにガリラヤに行くように告げなさい。彼らはそこでわたしを見るだろう」。 28 11 さて,彼女たちが進んでいる間に,見よ,警備兵たちのうちの数人が都に入り,祭司長たちに起きたことすべてを告げた。 28 12 彼らは長老たちと集まって相談したのち,兵士たちに多額のお金を与えて, 28 13 こう言った。「彼の弟子たちが夜中にやって来て,自分たちが眠っている間に彼を盗んで行った,と言え。 28 14 もしこのことが総督の耳に入っても,我々が説得して,お前たちには迷惑がかからないようにしてやろう」。 28 15 そこで,彼らはお金を受け取って,告げられたとおりにした。この話はユダヤ人たちの間に広まって,今日に至っている。 28 16 しかし,十一人の弟子たちはガリラヤに行って,イエスが彼らに伝えておいた山に上った。 28 17 彼を見ると,彼らは彼に身をかがめた。しかし,ある者たちは疑った。 28 18 イエスは近寄って来て,彼らに話して言った,「わたしには天と地のあらゆる権威が与えられた。 28 19 だから,行って,あらゆる民族の人々を弟子とし,父と子と聖霊の名において彼らにバプテスマを施し, 28 20 わたしがあなた方に命じたすべての事柄を守るように教えなさい。見よ,わたしは,この時代の終わりまで,いつもあなた方と共にいるのだ」。アーメン。 脚注 [1] 1 1に戻る キリスト(ギリシャ語)とメシア(ヘブライ語)はいずれも「油注がれた者」を意味する [2] 1 16に戻る 「イエス」は,「ヤー(神の名の短縮形)は救ってくださる」を意味するユダヤ名「イェホシュア」のギリシャ語の変異形。「イエス」は「救い」を意味する「イェシュア」の男性形でもある。 [3] 2 1に戻る 「賢者たち」(magoi)という言葉は,教師,祭司,医師,占星術師,予見者,夢の解釈者,魔術師たちをも意味する。 [4] 3 6に戻る または,浸礼を受けていた [5] 3 7に戻る または,浸礼 [6] 3 11に戻る または,浸礼を施している [7] 3 11に戻る TRとNUは「と火」を加えている [8] 4 10に戻る TRとNUは「わたしの後ろに下がれ」の代わりに「離れ去れ」と読んでいる [9] 4 18に戻る TRは「彼」の代わりに「イエス」と読んでいる [10] 5 18に戻る 字義,イオータ(ギリシャ語のアルファベット) [11] 5 18に戻る または,セリフ(文字のひげ飾り) [12] 5 22に戻る 「ラカ」は,「からっぽ」に当たる単語と関連があり,能なしという概念を表現するアラム語の侮べつ語。 [13] 5 22に戻る ゲヘナは地獄の別名で,死体と共に燃やされているごみの山を連想させる。 [14] 5 26に戻る 字義,コドラント。1コドラントはおよそ2レプタ(やもめの献金)の値打ちの,小さな銅貨で,ほとんど何も買うことができない。 [15] 5 27に戻る TRは「古代の人々に対して,」を加えている [16] 7 14に戻る TRは「なんと……ことか」の代わりに「なぜなら……からだ」と読んでいる [17] 8 15に戻る TRは「彼に」の代わりに「彼らに」と読んでいる [18] 9 36に戻る TRは「苦しめられ」の代わりに「疲れ果て」と読んでいる [19] 10 8に戻る TRは「,死んだ人たちを生き返らせ」を加えている。 [20] 10 29に戻る 1アサリオンは1ドラクマの10分の1もしくは1デナリオス(農業労働者のおよそ1日分の賃金)の16分の1の値打ちの,小さな硬貨 [21] 12 35に戻る TRは「心の」を加えている [22] 13 25に戻る 毒麦は雑草(たぶんbearded darnelかlolium temulentum)で,成熟して違いがはっきりするまでは小麦と非常によく似ている。 [23] 13 33に戻る 字義,サタス。3サタス=約0.5ブッシェルまたは22リットル [24] 14 25に戻る 夜は4つの見張り時に区分されていた。それで第4見張り時は大体午前3時から日の出まで。 [25] 14 27に戻る 出エジプト記 3 14を見よ。 [26] 16 18に戻る ペトロの名(ギリシャ語でPetros)は特定の岩や石を表わす単語。 [27] 16 18に戻る ギリシャ語でpetra,岩塊や床岩。 [28] 17 24に戻る 1ディドラクマは,2ドラクマ,約2ローマ・デナリ,またはおよそ2日分の賃金の価値があるギリシャの銀貨。 [29] 17 27に戻る 1スタテルは4アッチカ,2アレクサンドリア・ドラクマ,または1ユダヤ・シェケルに相当する銀貨。半シェケル神殿税2人分をまかなうのにちょうど足りる。 [30] 18 9に戻る または,地獄 [31] 18 24に戻る 1万タレントは非常に大きな金額を表わしている。1デナリオスが農業労働者の典型的な1日分の賃金であるのに対し,およそ60,000,000デナリに相当する。 [32] 18 28に戻る 100デナリは1タレントの約60分の1。 [33] 20 2に戻る 1デナリオスは1ローマ・アウレウスの25分の1の価値のローマ銀貨。農園労働者の1日分の一般的な賃金。 [34] 20 3に戻る 時刻は日の出から日の入りまでを基準とする。それで,第3時は午前9 00ごろだろう。 [35] 20 5に戻る 正午と午後3 00 [36] 20 6に戻る 午後5 00 [37] 20 26に戻る TRは「でなければいけない」の代わりに「であるように」と読んでいる [38] 21 1に戻る TRは「ベツファゲ」の代わりに「ベトファゲ」と読んでいる [39] 23 14に戻る 幾つかのギリシャ語写本は13節と14節の順番を入れ替えている。また幾つかの写本は13節を省き,14節を13節としている。 [40] 23 23に戻る クミンはCuminum cyminumから取れる芳香性の種子で,風味や外観はキャラウェーに似ている。香料として用いられる。 [41] 23 25に戻る TRは「不義」の代わりに「放縦」と読んでいる [42] 24 28に戻る または,ワシたち [43] 24 34に戻る ここで「世代」と訳された言葉(genea)は,「種族」と訳すこともできる。 [44] 25 40に戻る この「兄弟たち」という言葉は,ここでは,正確には「兄弟たちと姉妹たち」または「きょうだいたち」とも訳せる。 [45] 26 26に戻る TRは「に対する感謝をささげて」の代わりに「を祝福して」と読んでいる。 [46] 27 35に戻る TRは,「それは,預言者によって語られたことが果たされるためであった。『彼らは互いにわたしの外衣を分けた。わたしの衣のために彼らはくじを引いた』」を加えている。[詩編 22 18,およびヨハネ 19 24を見よ。] [47] 27 41に戻る TRは「ファリサイ人たち」を省いている [48] 27 45に戻る 正午 [49] 27 45に戻る 午後3 00 [50] 27 46に戻る TRは「リマ」の代わりに「ラマ」と読んでいる [51] 28 10に戻る この「兄弟たち」という言葉は,ここでは,正確には「兄弟たちと姉妹たち」または「きょうだいたち」とも訳せる。
https://w.atwiki.jp/mormon/pages/1324.html
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