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スティルベ ギリシャ神話に登場する女性。 関連: ペネイオス (父) クレウセ(3) (母) アポロン (夫) ラピテス (息子) 別名: スティルベー
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スティルボ ギリシャ神話の水の精オケアニスの一人。 別名: スティルボー
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ピスティル(ユーゴック語:fistir)とは、ユーゴック語の単語。悠里コミュニティにおいては特別な意味を持っており、一種の「ぴすてぃる文化」のようなものを構成している。 目次 悠里界隈のメタ的扱いにおいて 関連リンク 悠里界隈のメタ的扱いにおいて ユーゴック語のピスティル(fistir)は、有日辞書においては「(特に女性に)/ree(*1)/に淫らなイタズラをする」という意味である。悠里における「ぴすてぃる文化」はこの原義とは殆ど関係ない。これに関する解説は包括wikiにおける説明が非常に分かりやすい。原始的な悠里の構成時期において、ユーゴック語においてこのような単語が造語されており、構成メンバーがこれをネタにしたのが始まりとされている。しかし、以降の発展の様子は明確には記録されておらず、個人によってぴすてぃるに対する考え方は違うので注意が必要である。 関連リンク ピスティル……Undeerlにおける解説 ぴすてぃる……悠里包括wikiにおける解説 Introduction of Fistir studies……ウィスコンシン・ピスティル先端技術大学のウィリアム・J・ピーターソンが書いたとされるテクスト ぴすてぃる教関連啓典ぴれはむぬ 言行録ぴすける 救世録ぴあでくほ ぴすてぃる宣言
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リスティル 北欧神話に登場する女性。 上品なリスティルと呼ばれる。 関連: カルル (父) シュヌール (母)
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エラスティル エラスティルは植物、動物、農耕、狩猟などの基本的な農耕民族の生活に根ざした自然の神格である。 エラスティルは緊密な共同体と家族の守り手でもある。 エラスティルはクルセイドやヒロイズムに関わるような神ではないし、 邪悪な生き物の跋扈する世界から民を守護するような神でもない。 エラスティルは信奉者の日々の平和な暮らし(魔物に襲われたり、軍にふみにじっれたり、世界を滅ぼすような魔法で破壊されたりしないように)を守る神なのである。 (中略) エラスティル信仰では大鹿は重要な動物で、エラスティルのドルイドは大鹿の角を身に着けていたり、 大鹿の頭や首から獲られた皮でドレープを作っていたりする。 信仰深い者のうちでは大鹿のイコン(意匠をこらしたグッズ)は一般的である。 ドアなどに大鹿の角が描かれていたり、本物の大鹿の頭や枝角が壁にかけられている。 エラスティル信者は大鹿を狩ることをタブー視してはいない。 この動物は食糧にもなるし、皮もとれる大いなる恵みなのである。 (中略) エラスティルは秩序の神であり、彼は農耕、狩猟、貿易、そして家族を守護する。 エラスティルの武器はロングボウである。 (エラスティルのクレリックとドルイドはロングボウとショートボウの両方に習熟している:コンポジットを含む) エラスティルの神聖なる象徴は大鹿の角に刺さった矢と弓である。 エラスティルの領域は動物、共同体、善、秩序、そして植物である。 (中略) エラスティル信者は以下のボーナスを受ける。 ・2レベル呪文としてグッドベリーを呪文リストに追加する。(クレリック、パラディン、レンジャー) そしてドルイドは、木の実や種にグッドベリーを掛けられるようになる。 ・2レベル呪文としてアニマル・メッセンジャーを呪文リストに追加する。(クレリック、パラディン) また、エラスティルの司祭は敵意を持たないすべての動物にこの呪文をかけることが出来る。 ・以下の呪文を追加する。 トラッキング・マーク (力術) 1標準アクション、射程:400フィート+40ft×レベル) レベル:ドルイド、クレリック、パラディン、レンジャー1 ターゲット:生物1体 持続時間:10分×レベル セーヴィング・スロー:意志セーヴで無効となる 呪文抵抗:可能 効果: 君はターゲットとした生き物の追跡に関する超自然的な直感を得る。 ターゲットを追跡するための生存判定はDC-5として扱う、そしてターゲットの隠密などに気づくための 知覚判定に+5ボーナス得る。 デッド・アイズ・アロウ (力術) 1標準アクション、射程:100ft+10ft×レベル レベル:クレリック2、ドルイド、パラディン、レンジャー1 持続時間:瞬時あるいは1ラウンド セーヴィングスロー:不可 呪文抵抗:可 効果: 君は火花を散らす電気で出来た矢を作ることが出来る。 以下の2つから効果を選ぶ。 1:攻撃 君は矢を中距離射程で飛ばすことも出来るし、弓につがえて打つことも出来る。 弓につがえて打つ場合、射程は弓のものを採用する。 いずれにせよ、この攻撃は遠隔接触攻撃として扱う。 矢は1d6+1/レベルの電気属性ダメージを与える。 2:標識 君は頭上に矢を打つことができる。 最大射程か、天井に達した場合、それは雷となって爆発し、 エラスティルの神聖なシンボルに似た電気の輝きとなって、1ラウンドの間、残る。 雷と光は自然の雷鳴と同じ程度の音と光を放つが、近くにいる動物を傷つけることはない。 ・エラスティルを信仰する者は、サモン・モンスターあるいはサモン・ネイチャーズ・アライの 召喚リストに以下のモンスターを追加する(呪文自体を追加するわけではないことに注意) ☆サモン・モンスターⅡ、サモン・ネイチャーズ・アライⅡ セレスチャル・エルク ☆サモン・モンスターⅢ、サモン・ネイチャーズ・アライⅢ セレスチャル・ダイア・ボア ☆セレスチャル・エルク(セレスチャル種、ヒットダイス2、脅威度1) 秩序にして善/中型 イニシアチブ+3 感覚:薄明りの光が見える、知覚+7、暗視60ft(セレスチャル種) アーマークラス:10+3(敏捷修正値)、接触13、立ちすくみ10 ヒットポイント:15(2ヒットダイス、d8、追加HP6[2d8+6]) セーヴィングスロー:頑健+6、反応+8、意志+2 移動速度:50ft 近接攻撃: 角:攻撃ロール+3 ダメージ1d6+2 蹄×2:攻撃ロール-2 ダメージ1d3+1 呪文抵抗:6(セレスチャル種) 属性抵抗:[酸][電気][冷気]に対して5 特殊攻撃:悪を討つ一撃(セレスチャル種) 1日1回、1回の即行アクション(複数の、属性が悪の敵に対して【魅力】のボーナスを攻撃ロールに加え、かつHDに等しいダメージ・ボーナスを得る;一撃は1体の目標が死亡するか、セレスチャル種クリーチャーが休息を取るまで持続する)。 <参考事項>(反映済) 筋力14、敏捷17、耐久力16、知力2、判断力15、魅力7 基本攻撃ボーナス+1、CMB+3、CMD16(対足払い20) 特技:神速の反応、疾走 技能:知覚+7 ☆セレスチャル・ダイア・ボア(セレスチャル種、ヒットダイス5、脅威度4+1(ヒットダイス5以上のセレスチャル種)) 秩序にして善/大型サイズの動物 イニシアチブ +4; 感覚 夜目、暗視60ft、鋭敏嗅覚;〈知覚〉+12 アーマークラス:15(10+6[外皮]-1[サイズ])、接触9、立ちすくみ15 ヒットポイント:42(ヒットダイス5、d8、追加HP20;5d8+20) セーヴィングスロー:頑健+7、反応+4、意志+2 防御的能力 凶暴性 (凶暴性を持つクリーチャーは、ヒット・ポイントが0未満になったときでも意識を保ち戦い続けることができる。クリーチャーはよろめき状態となり、毎ラウンド1ポイントのヒット・ポイントを失うのは変わらない。凶暴性を持つクリーチャーでも、負のヒット・ポイントが【耐久力】と同じかそれ以下になってしまったのなら死亡する。) 移動速度 40フィート 近接攻撃: 突き刺し:攻撃ロール+8 ダメージ2d6+9 呪文抵抗:10(セレスチャル種) 属性抵抗:[酸][電気][冷気]への抵抗10(セレスチャル種) DR:10/悪(セレスチャル種) 特殊攻撃:悪を討つ一撃(セレスチャル種) 1日1回、1回の即行アクション(複数の、属性が悪の敵に対して【魅力】のボーナスを攻撃ロールに加え、かつHDに等しいダメージ・ボーナスを得る;一撃は1体の目標が死亡するか、セレスチャル種クリーチャーが休息を取るまで持続する)。 <参考事項> 【筋】 23、 【敏】 10、 【耐】 17、 【知】 2、 【判】 13、 【魅】 8 基本攻撃 +3; CMB +10; CMD 20 特技 《イニシアチブ強化》、《技能熟練:知覚》、《追加hp》 技能 〈知覚〉+12
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【元ネタ】グリム童話『ルンペルシュティルツヒェン(邦語訳:がたがたの竹馬こぞう)』 【CLASS】アサシン 【マスター】ケイネス・エルメロイ・アーチボルト 【真名】ルンペルシュティルツヒェン 【性別】男性 【身長・体重】130cm・22kg(変動あり) 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力D 耐久C 敏捷A 魔力B 幸運D 宝具B 【クラス別スキル】 気配遮断:A サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。 【固有スキル】 辛酸の約定:B+ 秘密保持のスキル。かつて約束を破られたことから発生。 彼から情報を聞き出すのは拷問などのスキルが必要。 変化:C 本人の身長、体重を自在に変化させる。 ただし、妖精の尖った耳だけは調整できない。 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。。 本来はセイバーのスキルであるが、魔力の塊である妖精であるために該当。 【宝具】 『答えよ我が名さもなくば死せり(ゴルドフルディエヘルツ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 一つ目の宝具で、基本的にこちらしか使わない。この宝具で交わされた約束は、破ると自身の心臓が代償として奪われるという即死効果がある。 基本的に黄金を与えて取引をすることが多いが、実は黄金を使わなくとも取引さえすれば発動可能。 宝具を無効にするにはどちらかが死ぬか、ルンペルに契約を無効にさせる必要がある。ただし、過去に一度約束を反故にされたことのあるアサシンは、基本的に人を信用しない。 『我が身を引き裂け悪魔の囁き(ルンペルシュティルツヒェン)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 真名解放が引き金となる宝具。アサシンが生存している状態で本人の前でこの名を口にすることによって発動する。 つまり自力では発動できない。アサシンは本能がまま自身を引き裂いてしまう。その時点でアサシンは死ぬが、直後名を唱えた人物に対して悪魔の呪い(厳密には妖精の呪い)が掛かる。 呪いは対象の幸運を一瞬EXまでランクを『下げ』、マスターならば令呪を一角、サーヴァントなら宝具を一つ封印する。 そして名を唱えた人物にとって最悪の結果を、最悪のタイミングで引き起こす。ただしいつ発動するかは神のみぞ知る。 【Weapon】 黄金 アサシンの手から溢れ出る程の黄金。 あぶく銭程手元に残らない、という教訓でもある。 【解説】 通称ルンペル。情報戦に特化したサーヴァント。召喚の触媒は針紡ぎ、もしくは金髪少女。 『黄金を使う』、『名前を当てられると死ぬ』と真名の特定には困らないため、性能からしてそこに注意が必要となる。 尤も、気づいたところで軽々しく彼の名前を口にすると、二つ目の宝具で大変悲惨な目に遭うことになるが。 外見は普通の子供より気持ち小柄なぐらいで、初見ではサーヴァントとは分からない。唯一の特徴である耳は、大体帽子で隠されている。 原作では貧しい農家?の娘に指輪、ネックレス、そして本人が嫁ぐことを条件に黄金を生み出した。娘は嫌がり、結果彼の名を使って契約を破棄した。 結果彼は絶望し、自分の体を八つ裂きにして死ぬことになる。 しかし誰が知るだろうか。 ルンペルの恋は本物だったことを。 娘の真意を知った彼が、自分から名を明かしたことを。 ケイネスで召喚できた理由は「金髪」と「女難の相及び破滅」という共通点から。 CVは我修院達也を切望。
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前ページ次ページゼロの黒魔道士 ――おっほ、寒ぃ寒ぃ…… 日が落ちるのも早けりゃ寒くなりやがんのも早ぇえなぁ―― ととと、鍵鍵鍵……あぁ、あったあった。 うーし、看板良し、灯り良しっとぉ……今日も一日御疲れさん。 ――しっかしシケてやがんぜ、トリステインってのは…… 下手に目が肥えてやがって口うるせぇ割に、財布が固くてしゃぁあんめぇ。 あーぁ。キングス商会なんぞが出張ってこなけりゃなぁ。 今でもヴィンドボナでお気楽な商売できたってのによぉ~…… ……っち、マジに冷えてきやがった。一杯やってくか…… ――おひょっ!?あぁ、すいやせんお客さん、本日はもう店じま…… あ、これはこれは!こないだの!タルブご出身の!!いやぁ~、その節は…… え、わ、ちょちょちょ!?声が大きいでござんすよ!? それも人聞きの悪い、『ペテン師』ってぇのはどういうこってすか、お客様。 手前共はこれでも誠心誠意、嘘偽りなく商売を…… へ?掘りにいってきた?地図の?『5枚1組の宝の地図』の? ……あー……そういうこってすか…… ひっ!?い、いえいえいえ、そそそんな滅相も無い!? 手前、一切の嘘は申しておりませんぜ!? つまり、こういうこってしょ?「何も無かったのに、何が宝の地図だ」、でござんしょ? い、いやほれ……『宝』が掘り出されても、“かつて”そこに『宝』がありゃそれは『宝の地図』って寸法で…… うわわわっ!?しーしーしーっ!?でっけぇ声出さねぇでくださいやせよぉ、お客様っ!? さ、詐欺とぁ人聞きの悪ぃ……(たく、嘘はついてねぇんだからいいじゃねぇか)…… い、いえ、何も申しておりやせんぜ?えぇ、誓って! うーん、代金を返せとおっしゃられてもねぇ…… 良ござんすか?こちとらは『地図』をお売りした、そちらは『地図』に対価をお払いになった。 そこに『宝』があるかどうか、その『宝』の価値がどれほどのもんかってのは、商取引の範疇外でござんすぜ? お客さんにゃぁ悪かろうってぇなもんですが こいつはゲルマニアだろうがトリステインだろうが、お上は手前の御味方だぁ。 何しろ商売上の筋が通ってるのは、こっちなんでござんすからね? あぁ、そう睨まねぇでくださいやせ。 しかしまぁ……納得なさるわけぁ無ぇでしょうなぁ…… 筋ぁ通ってても、道義ってぇもんがございやす。 手前も商売人の端っくれ、矜持ってぇもんもございますや。 ――よっし、仕方がありやせん!一肌脱ぎやしょう! 『地図』の代わり、『宝』の代わりになるとは申しやせんがね、 門外不出、手前の秘密中の秘密、取って置きの話をお聞かせいたしやしょ―― あ、ちょちょちょ!?拳はゆるめて!?危なっかしいじゃぁござんせんか、もう…… 手前、こう見えてもゲルマニアの商工会じゃぁちっとばっかし顔でござんしたんでね? 物語ることにかけちゃぁあ少々の自負もございやさぁ。 何しろ口八丁でお客をひっか――ゲフンゲフン、今のぁ言葉のアヤでさ、アヤ。 拳はどうぞお引っ込めあそばして…… えー、どこまで申しやしたっけ? あぁ、そうそう、『とっておきの物語』ってぇヤツだぁ…… 手前としても惜しいんですがね。 この話ぁ芝居にすりゃ大儲け間違いなしってんですが。 実ぁね、お客さん。この話ぁこの『5枚1組の地図』と遠からぬ縁ってのがございやして…… 物語ってぇのはね、お客さん? 『出会い』。こいつから始まるってのが常なんでさぁ…… ゼロの黒魔道士 Another Note ~第弐篇~ 1000の言葉 口笛を吹けば、世界をぐるっと一周しそうなぐらい空が高かった。 遠い所へ行ってしまった誰かに、思いを伝えるなら丁度良い頃合いだ。 別に、口笛じゃなくても良い。歌でも、叫びでも何でも良い。 言いたかったこと、言えなかったこと、 今なら風も空も小粋な手伝いをしてくれそうだ。 「ぶぇっくしょい!?ふぇーっくしょい!?」 とはいえ、くしゃみは無いだろう。 誰が伝えて欲しいと願うのだ。そいつの鼻具合なんぞを。 「ひぇーっくしょいっ!?」 盛大にもう一発、それが空にこだました。 水温も秋風も、身に冷たい。 したくも無い高高度からの飛び込みと、着衣水泳をやらかし、 精神も体力も消耗した。 風邪っぴくにゃぁ丁度良い塩梅。 最も、風邪を引くのは『馬鹿じゃない』ことが条件、となれば…… 「す、すすいませんっ!私が急に大声出したりするから……」 「――気にすんな、こいつの自業自得だから」 「し、師匠ぉ~~……もっとばやく助げてくれだって……ぶぇーっくしょいっ!?」 馬鹿なら問題無い。ましてや大馬鹿なら。 くしゃみは盛大だが、大した病気にはなるまい。 スティルツキンは師匠師匠と五月蝿く喚く男を放っておき、 崖の上に立っていた少女に優しく話しかけた。 白い髪、白い肌、白い衣服。 粉雪や霞草を思わせる儚げで美しい女の子だった。 種族が同じなら、デートにぐらい誘ったかもしれない。 スティルツキンとて男だ。 可憐な女性を誘うぐらいのマナーは心得ている。(実際に誘ったことは滅多に無い) あいにく、自分はモーグリ族であり、少々背丈が足りないことも含めての心得だが。 「ご、ごめんなさいっ!!本当に!!大丈夫ですか!?」 「だいじょばない……だいじょばないけど、大丈夫ー!お気づかい悪ぃね……ふ、ふえっくしょいっ!?」 「体だけは丈夫だから、死にゃしめぇよ。何なら、もう一回落してもいいぜ?」 「師匠ぉ~っ!?冗談にしてもそりゃあんまりだぁ~!?」 残念ながら本気だ、と本音を漏らすほど無粋でも無い。 なので、スティルツキンは五月蝿い男と視線を合わせ無かった。 この4本腕の方ばかりに栄養が行き、赤髪の中の脳味噌が空っぽそうな男の顔を見て、 こんな男を拾ってしまった自分の行動を後悔するは御免こうむりたかったためである。 「ふふっ、仲が良いんですね」 「――お、笑ってくれた」 「馬ー鹿。笑われてんだよ、この大ボケが」 スティルツキンはやれやれと、バンダナ越しに自分の頭を掻いた。 笑われる要素しか無いこいつとは、どこかの酒場で別れよう。 この純粋なほど真っ白なお嬢さんに町か村までの道を聞こう。 そんなことを考えながら。 「まぁ、それはどっちでもいいや。笑った方が良いよ。うん、そっちの方が良い」 「……えぇ」 と、道案内になって戴きたいお嬢さんの顔を下から仰ぎ見る。 俯き加減になった白い少女の顔は、背の低いモーグリ族にはむしろ見えやすい。 先ほどのクスクス笑いは、無理矢理絞ったものなのだろうかと思わせる顔だった。 細雪の儚さ。霞草の切なさ。 詩的な表現が苦手なスティルツキンでも、そう思わせるような寂しげな顔。 「――なーんか、悩み事?」 「え?」 「いや、お節介なのは分かってるけどさ、顔が暗かったから」 ほう、と思わずうなってしまいそうになる。 まさかこの男からこんな台詞が飛び出すとは。 「意外に良く見てるな、お前」 「意外は余計っすよォ、師匠~」 能天気な割には、それなりに人の顔ぐらい見ることはできるのか。 スティルツキンは男に対する評価を、 『大馬鹿』から『ただの馬鹿』に引き上げることとした。 「……」 「あー、いや、うん。気にすんな。助けてもらったからさ、お礼ぐらいしなきゃなって思っただけだから。 ――今にも、身投げしそうな感じだったしさ」 「……身投げ、ですか?」 海からの風が少し強くなった。 潮っ気を含んだ香りが、涙の味に似ていた。 「おう。いや、落ちて分かったけど、結構高くて怖いぞ、ここ。 そんなとこにあんな顔で立ってたら、そりゃ身投げって思うって」 「説得力あんだか、無いんだか分からねぇな」 身を投げても死なないってことじゃないか、 と言おうとして、スティルツキンは結局止めた。 中途半端に体が丈夫なのだ、この馬鹿は。 すぐにでも折れてしまいそうな少女や自分とはガタイが違う。 まぁ最も、中身はスッカスカだがな、とスティルツキンは思った。 「いえ、あの……身投げ、ってわけじゃないんです」 「あ、そうなの?」 そう言ってから、少女は押し黙った。 風の唸り声だけが、空に響く。 男のくしゃみすら止まって、少女の言葉を待っていた。 「……人を、待っていたんです」 「こんなとこで?」 「えぇ……こんなとこで。そう、こんな所で……」 少女は、そう言って空を見る。 薄い雲が拡がって、灰色が太陽を隠していた。 「本当に、ときどき。ときどきなんです。あの方が竜に来てくださるのは」 『あの方』、という言い方から察するに男だろうとスティルツキンは当たりを付けた。 それも少女にとって、特別な。 「2つの宝石が埋まったみたいな目に、キラキラとした金色の髪」 「冗談ばっかり言って、私をからかって……」 少しずつ思い出すように、少女は語る。 こういう語り方ということは、大体話のオチは想像がつく。 だがスティルツキンは口を挟むことなく聞き役に徹することとした。 無粋ではあるが、それぐらいの空気は読める。 「最後に会ったのは……もう、何ケ月も前」 やっぱりな、とスティルツキンはそう思った。 風が強くなってきた。 少女の白い髪が海風になびく。 「これからは、しょっちゅう会えるよ、なんて言ってくださったんですけど……」 もう一度、少女は空を見る。 雨や雪ではなく、その『あの方』とやらが降ってこないかという風に。 「ある日、空が虹色に染まって……胸騒ぎは、したんです」 虹色に空が染まる?スティルツキンは疑問に思った。 それは、『この世界』じゃよくあることなのだろうか。 だが、胸騒ぎということは、やはり異変でもあったのだろう。 スティルツキンはそう納得した。 「……あの日から、あの方は来てくださらなくなった……」 沈黙、海風が唸る。 スティルツキンは、自分はおろか少女までも飛ばされるんじゃないかと気が気じゃ無かった。 「それから毎日、ですね。どうしてもここに来てしまうんです」 目にかかった白い髪を掻き上げながら、少女は声を絞った。 少し、震えた声だった。 「『やぁ、遅くなったね』とでもあの方が言って青い竜から降りてくるんじゃないかって……」 言葉尻の方が段々萎んでいく。 煙のように消えそうになりながら。 「変……ですよね?」 変じゃぁないだろう、と言葉にはしなかったものの、スティルツキンはそう思った。 何も分からなかったとは言え、世界をそれなりに巡って来た自負はある。 その経験から言って、少女の行動は何にもおかしなことは無い。 その『あの方』ってのがどんな奴かは知らないが、きっとこの少女にとってそいつは―― 「――好きだったのか?」 意外なことに、こう聞いたのはスティルツキンではなく、隣で鼻水垂らしていた男の方だった。 流石に、この馬鹿にも察しはついたらしい。 その『あの方』とやらのことを話すときの、少女の嬉しさと寂しさの混じった表情から。 「そういうのじゃ……無いと思うんです。 私、このセント・マルガリタ修道院でずっとずっとすごしてたから、同世代の男の人って初めてで……」 だが、少女はそれを否定した。 修道院?スティルツキンはすっと少女の後ろの方を見た。 なるほど、山に囲まれるようにして、小さく建物が見える。 ここから見ても堅牢に造ってあるんだろうと分かるような建物だった。 まるで牢屋だな、スティルツキンはそう感想を抱きながら体をぶるっと震わせた。 どこにも行けない籠の中の鳥になる想像ほど、彼を恐れさせるものは無かった。 「私にとって、きっと『兄』みたいなお方だったと思うんです。えぇ、きっと……」 まるで、自分にそう言い聞かせるように、 『好きだった』ということを否定したいかのように、少女はそう呟いた。 「でも……あの方が来なくなってから……胸の奥が、こう、ポッカリ空いてしまったような……」 潮っ気混じりの風が冷たくなったのか、少女は自分の体をぎゅっと抱きしめた。 小さな胸と、小さな体を折りたたむように、ぎゅっとぎゅっと抱きしめた。 「変……ですよね?あんなに冗談ばっかり、下らないことばかり話していたというのに」 薄雲が出てきたとはいえ、雨は降っていない。 だが、少女の頬は、うっすらと濡れてきていた。 「今、ポッカリ空いた胸の奥で、色々、モヤモヤってするんです。 言えなかった、1000の言葉が、グルグルのモヤモヤーって……」 その内容まで聞くほどスティルツキンは野暮じゃない。 ここまで言われれば察しはつく。 よって、スティルツキンは沈黙をもって彼女を見守ることとした。 冒険ばかりの無粋者なので、こういうときどう慰めて良いか検討がつかなかったためというのもある。 「……使うか?」 動いたのは、さっき海に落ちた男だった。 あろうことか、自分の体を拭いた布なんぞを差し出している。 「バカヤロ、誰がお前の鼻水付き使うんだよ」 汚いだろうが、とスティルツキンは男に突っ込んだ。 まぁ、沈黙を破ったのは偉いがとこっそり心で拍手を送りながら。 妙な沈黙は苦手でしょうがない。 「……すいません、こんなこと、見ず知らずの方に……」 少女は、自らハンカチを取り出して、くしゃくしゃっと顔を拭いた。 だが、その表情まで晴れることは無かった。 ふぅ、とモーグリ族の冒険家は溜息をついた。 「――スティルツキン」 「え?」 「俺の名前、スティルツキン。これで、もう見ず知らずじゃないだろ?」 垣根を取っ払うのが先決だ、とスティルツキンは判断した。 やれやれ、こんなお節介焼きじゃないんだが、と思いながら。 だが、泣きべその少女を放っておくほどまで、無粋でも無い。 「……えぇ」 「あんたの名前は?」 「――ジョゼットです」 ジョゼット、か。 小さく跳ねるような音の響きが、 本当はよく笑い、よく怒り、くるくると感情の変わるだろう少女の普段を思わせた。 それが寂しそうな面をしているのは、やはりもったいない。 「あ、俺の名前は――」 「聞いてねぇ」 「ひどぉっ!?師ィ匠ォ~、それひどすぎっしょ!?」 「スティルツキンさん、私、どうしたら良いんでしょう……?」 「ふぅーむ……」 馬鹿な従者は捨て置いて、スティルツキンは思案した。 お節介に首を突っ込んだは良いが生憎と、不器用、無粋、無頼を通した根なし草。 こういった愛だの恋だのといった問題は苦手としていた。 とはいえ、何とかしたいという気持ちも無くは無い。 さてどうしたものやら…… 「――どうしたら?そんなもん、決まってるんじゃねぇの?」 「え?」 鼻垂れの馬鹿たれが、やおら声を上げる。 また馬鹿言いだすんじゃないだろうなと、スティルツキンは気が気じゃ無かった。 「そいつを探しに行く!!そんで、言えなかったこと全部言っちまえよ!」 「探しにって、そんな……何処に行かれたかも分からないのに……」 呆れるほど、脳味噌が無い意見だった。 第一……その『あの方』とやらは死んでいる可能性だってある。 他所に女ができた、っていうよりは慰めがある上に極めて高い可能性だ。 空がいくら高かろうと、どれだけ力の限り叫ぼうとも、声が届かぬ空の先に逝っちまっててはどうにもできない。 会えない可能性の方が断然高いというのに、それでも探しに行くと? 「行かなきゃ分からないだろ?世界なんて案外狭いぜ?」 「――その狭い所で迷う馬鹿はどこのどいつだ」 この一言は、あくまでもこっそりと、ぼやくように言った。 愚痴の1つは言わせてもらっても良いだろう。 この馬鹿を拾ってしまった愚痴ぐらいは。 「でも――私、ここから出たことなんて無いですし……」 「ここ、景色良いよな」 「え?」 ころっと、話がずれる。 脳味噌筋肉馬鹿はこれだから困る。 話がどう落ちつくかが読めなくて、隣にいるだけでハラハラしてしょうがない。 「でもさ、同じ景色ばっかりじゃ飽きるだろ? だから行こうぜ、もっとすっげぇ景色を見せてやるよ!!」 「珍しく、まともなこと言うなぁ。明日は雪か?」 スティルツキンは、『ただの馬鹿』から『それなりの馬鹿』と評価を上げてやることにした。 冒険家の意義はそこにある。 色々見たいから、だから旅に出る。 それをこいつが理解しているとはちょっとした驚きだった。 「悩んでたら、可愛い顔が台無しだぜ?」 「……ええっと……」 「行く、行かない、2つに1つっ!!大丈夫、師匠も、俺もついて行く!!」 「俺はともかく、お前がいると不安だがな」 「師匠ひどっ!?」 とはいえ、やや強引な誘い方に、スティルツキンはやっぱり『ただの馬鹿』と評価を下げることにした。 旅慣れている自分はともかく、道どころか人生にすら迷いだらけのこいつは不安の種でしかない。 「……行きます!!」 今度の沈黙は、短かった。 スティルツキンは、ほうと唸った。 ジョゼットと言うこの少女、存外思い切りが良い。 思い切りが良い奴は、男だろうが女だろうが、スティルツキンは好きだった。 「よおっしっ!!」 「――ま、アテの無い旅よりゃ目的でもあった方がマシかもな」 そう言って、ふんとスティルツキンは鼻を鳴らした。 冒険の荷物がまた増えてしまったが…… 『旅は道連れ世は情け』なんて言葉もある。 こんな旅もたまには悪く無い。 スティルツキンは珍しく寛大な気持ちで、この異世界での冒険への一歩を踏み出すこととした。 前ページ次ページゼロの黒魔道士
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スティルベー スティルベの別名。
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スティルボン ギリシャ神話の星の神アストラの一人。 別名: スティルボーン
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スティルボー スティルボの別名。