約 2,133,717 件
https://w.atwiki.jp/jojotoho_row/pages/347.html
◆753g193UYk氏の投稿SS 投下数 06 No. タイトル 登場人物 投下日 127 デュプリシティ 射命丸文火焔猫燐ホル・ホース 2015/10/15 149 ALIVE 射命丸文火焔猫燐ホル・ホースファニー・ヴァレンタイン 2016/10/16 171 雪下の誓い ジャイロ・ツェペリ射命丸文ホル・ホース 2017/10/14 173 存在の証明 吉良吉影封獣ぬえ 2017/11/30 192 雨を越えて 姫海棠はたてウェザー・リポート太田順也 2018/09/17 195 夢見るさだめ パチュリー・ノーレッジ岡崎夢美吉良吉影封獣ぬえエシディシディアボロ 2019/03/27 登場させたキャラ 回数 キャラクター 03 射命丸文,ホル・ホース 02 火焔猫燐,吉良吉影,封獣ぬえ 01 ファニー・ヴァレンタイン,ジャイロ・ツェペリ,姫海棠はたて,ウェザー・リポート,太田順也,パチュリー・ノーレッジ,岡崎夢美,吉良吉影,封獣ぬえ,エシディシ,ディアボロ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/jyouba/pages/20.html
乗馬 プロテクタ ノートンプロテクター 前肢+後肢セット 在庫処分★バーゲン★50%オフ!プロテクター豪華3点セットHEXA PRO ホースブーツ&アンクルブーツ&前肢用インナープロテクション-シルバーグレー(乗馬用品-馬用プロテクター) 在庫処分★バーゲン★50%オフ!プロテクター豪華3点セットHEXA PRO ホースブーツ&アンクルブーツ&前肢用インナープロテクション-ブラック(乗馬用品-馬用プロテクター) 在庫処分★バーゲン★50%オフHEXA PRO ホースブーツ専用インナープロテクション(乗馬用品-馬用プロテクター) 在庫処分★バーゲン★50%オフHEXA PRO アンクルブーツ専用インナープロテクション(乗馬用品-馬用プロテクター) ESKADRON ネオプロテクター(リア) ノートンプロテクター 後肢 ノートンプロテクター 前肢 ESKADRON ネオプロテクター(フロント) ESKADRON ネオプロテクター(リアロング) #blogsearch2
https://w.atwiki.jp/carwax/pages/47.html
カーシャンプーの上手な泡立て方 127:名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/22(土) 12 22 19 エネオスのCMみたいにもこもこの泡を作るにはどうすればいいでつか。 スポンジをいいやつに変えればもこもこするかな? いいシャンプーにすればいいのかな?(今は2リッターぐらいのお徳用) シャンプーはバケツにホース攻撃で作ってます。 129:名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/22(土) 12 30 58 127 ホースの先にホームセンターで売っているノズル(700円くらい)をつけなさい。 ストレート、シャワー、ジョロと切り替えられる。 バケツに洗剤入れておいて、50センチくらい離して真上からシャワーをかければモコモコ。 131:名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/22(土) 12 56 36 129 そうかシャワーか! いちおノズルはついてるんだけど、ストレートでやってた。 今度シャワーで作ってみます。ありがとう。 ストレートでやってたからか、モコモコというよりボコボコの泡ができててw 136:名無しさん@そうだドライブへ行こう:2005/10/22(土) 13 36 18 131シャワーってかあれだ、ノズル外してホースの先を押さえると水が2方向から出るべ? その片側の水をバケツに入れる感じでやるんだわ ポイントはバケツの深さと水の勢い バケツは胴体が蛇腹になってるのとかは便利だった(1年半位で劣化して蛇腹に亀裂できやすいのが難点) 水はホースすっぽ抜けない程度で可能なかぎり強くって事で
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2205.html
7 平穏な村の最後の朝 太陽という面倒な存在が疎ましく感じたのは幾度となくあったが、今日ほどその存在を憎く思ったことはない。 弱弱しい光りですら自分の白い肌は過剰に反応して赤く染まり、ピリピリと焼けるような痛みを伝えてくるのだ。いっそ、世界が永遠に夜だったら良いのにと思う。 まだ寝床に入ってばかりのような気がする霞みかかった頭を振って体を起こしたのは、ティファニアの腕に抱かれて眠っていたエルザだった。 まだ眠り足りない。だというのに、薄いカーテンの向こうから射し込む光りは容赦なくエルザの肌を焼く。太陽の光りを直接受けたわけではないから火傷するほどではないのだが、それでも痛いものは痛いのだ。 世界で最も嫌いなものの上位に食い込む存在から逃れるように、ベッドの下に放置していた布の塊を広げ、それで全身を覆う。実のところ、こんな布では十分に日の光を遮れ切れていないのだが、それを誰かに訴える気はしていない。体質なんて理由で迷惑をかけたくはないのだ。 硬いベッドを下りたエルザは、寝心地の良い枕となってくれた憎き二つの脂肪の塊を妬ましく見つめた後、位置のずれた毛布をティファニアの体にかけ直した。 日陰を探して、もう一眠り。と行きたい所だが、意外にも日当たりが良く、油断をしていると本格的に火傷をしそうだった。 太陽がもう少し昇れば、この部屋も日の光に包まれるだろう。 全身に広がっている寝起きの気だるさを感じつつ、ヨロヨロと覚束無い足取りで部屋を出ると、見慣れないワインの瓶が居間のテーブルの上に乗せられていることに気が付いた。 「……わたしたちが眠った後に酒盛りでもしたのかしら?」 瓶を手に取り、その口から漂う甘い匂いにホッと息を吐く。同じような匂いのする木杯とグラスが一つずつあるということは、飲んだのはホル・ホースとフーケだろう。 少々腹立たしい事実だが、お酒の飲めない自分では現場にいても盛り下げるだけだと、少し気を落として諦めておく。 昨晩の奇妙な話の状態がそのままになっているテーブルの上を片付け、床に置かれていた安物のワイン瓶を先程の甘い匂いのする瓶と一緒に片隅に置いておく。 一応、世話になっているのだから、これくらいはしても良いだろう。 軽くテーブルの上を拭き、キッチンに溜まったままの食器を洗い始める。水場の台は自分の身長では足りないようなので、椅子を土台にしておいた。 突然の来訪者を迎えたために、片付けなければならないものが放置されているようだ。その点に関しては、少し申し訳なく思う。 洗い物が片付くと、ちょうど使用していた水を溜めた樽の中身が心もとないことに気が付いて、エルザは外に出ることを考えた。 近くに川があることは昨日の風呂の話である程度聞いている。少々遠いかもしれないが、あまり大きくない樽一つなら抱えて行き来出来ないこともないだろう。 ついでに、外に用意された寝藁を使って眠っているはずのホル・ホースを起こし、二人だけで朝食を取るのも良いかもしれない。 王宮では大きな食堂を使っていたし、他の場所ではムードもなにもなかった。地下水が旅の道連れになってからは、二人きりという場面はゼロ。たまには、こういうチャンスを利用しなければ。 少しずつ高揚する気分に残っていた眠気が消えていくのを感じる。 鼻歌交じりに樽を両手で抱え上げたエルザは、中身の少ないそれの重さなど意に介することも無く玄関へと足を向けた。 「……一応、ね」 一人呟いて、布で隠れた髪やフーケから借りている服を整える。身嗜みを整えるのは、淑女の義務だ。こんなときだって、いや、こんなときだからこそ念入りにしておかなければ。 まだ伸ばし始めてばかりの前髪をつまみ、絡まっていないかを確認すると、体を覆う布の位置を直して玄関の戸を開ける。 このすぐ向こうには、寝藁に体を寄せて眠っている愛しい人の姿が、 「おう、起きたか。オラ、テメエらも挨拶しとけ。こわーい吸血鬼の姉ちゃんだぜ」 子供達と戯れる地下水の姿に変わっていた。 二十人を超える子供達が地下水に元気良く返事をしてエルザに向き直ると、朝の挨拶をする。 わけがわからずにエルザが挨拶を返すと、子供達はわっと村のあちこちに散らばった。 ウェストウッド村は孤児院だ。子供がいることは不自然ではないし、朝なのだから起きてきてもおかしくはないだろう。明るい外の景色に目を向ければ、もうそれなりの時間だということはわかる。 しかし、それが地下水と子供達に繋がるかというと、そういうわけではない。 「……どういうこと?」 そう尋ねると、地下水はウェールズの顔でニヤリと笑った。 「なに、本来の保護者が寝坊しているみたいなんで、暇つぶしにちょっと相手をしてやっていただけだ。具体的には俺の武勇伝とか、武勇伝とか、武勇伝とか語って」 つまり自慢話を聞かせていたわけだ。 それでも子供達にうんざりした様子がないということは、語った内容が面白かったのか、或いはこいつ自身の語り方が上手かったかのどちらかだろう。いや、ただ辺境の村であるために娯楽が少ないだけかもしれない。 もしかしたら、地下水には語り部としての才能でもあるのかもしれない。ウェールズの姿で羽帽子と楽器を手にしていれば、なんとなく吟遊詩人にも見えなくもないだろう。 本体がナイフでなければの話だが。 「まあいいわ。それより、お兄ちゃん知らない?ここで寝てると思ったんだけど……」 本来は地下水のいる場所にホル・ホースが寝る予定だったはずだ。代わりに地下水がいるということは、ホル・ホースは別の場所で眠っているということになる。 寝床を譲られたのなら居場所くらいは知っているだろう、と思っての質問だったが、地下水は困った様子で首を横に振るだけだった。 「いや、表には出てきてねえぜ。多分、まだ家の中なんじゃねえのか?」 そんな言葉に、エルザは首を傾げる。 どうやら、寝床を変わってもらったという話でもないらしい。初めからホル・ホースはここには来なかったということだ。 ウェールズの肉体のほうはともかく、地下水自身は眠ることはない。その地下水が気付かなかったのだから、少なくとも玄関は通っていないのだろう。ということは、ホル・ホースは家の中にいることになる。 裏口から出て行ったという可能性も無くはないが、いちいちそんなことをする理由をエルザは思い当たらなかった。 「そんなことより朝飯食わねえか?話の最中にガキ共が腹減ったって、うるさくてよ」 耳聡く地下水の朝飯という言葉を聞きつけた子供が、遠くから期待の籠もった視線を向けてくる。 見た目的には子供達とあまり変わらないエルザだが、地下水が吸血鬼ということを喋ったことで中身の年齢が違うことを知っているらしい。 こんな村の住人なのだから、子供だからと言って料理ができないということもないと思うのだが、ティファニアの性格を考えると子供達を甘やかしている気がする。刃物の類は持たせていないのかもしれない。 子供達の世話は本来の保護者であるティファニアかフーケを起こしてやらせればいいような気もするが、寝不足なのは皆同じだ。無理に起こすこともないだろう。子供達も似たようなことを思ってお腹が減っているのを我慢しているのかもしれない。 どうせ、自分の分の朝食は作るのだ。洗い物を片付ける傍ら、キッチンの間取りも大体覚えたから、扱えなくはないだろう。 せっかくのホル・ホースとの二人きりの朝食がお預けになるのは残念だが、この際気にしても仕方がないだろう。どの道、この様子では二人きりになんてなりようが無かったのだから。 はあ、と溜息を吐いたエルザは、渋々ながらも居候という身分を考えて首を縦に振った。 「いいわ、適当なものを用意してあげる。けど期待はしないでね。あんまり料理なんてしないから、味の保証はないわよ」 その言葉に、子供達が歓声を上げた。 ティファニアの家の大きさでは、子供達全員を収容することは出来ない。 普段は庭先にテーブルを並べ、そこで食事をしているらしい。雨の日などはそれぞれの家に適当な人数を集めて行っているようだ。 幸いにして今日は晴れ。エルザにとっては最低の天気だが、子供達が食事を取るには最高の天気である。 料理用に使う水を汲みに何人かの子供を走らせ、他の子供達に庭で食事の準備を行うように指示を出したエルザは、食料庫から適当な食材を集めてティファニアの家のキッチンに立っていた。 籠に盛られた山のような野菜と丁寧に洗った肉。調味料の類はあまり置いてないらしく、森の中で取れる香草と比較的安価で流通している塩が味付けの基本だ。 ホル・ホースが大金と一緒にシャルロットの家に預けてしまった旅行鞄の中には、旅の必需品だと言って集めていた調味料が豊富に入っていたが、今はそれを求めても仕方のないことだろう。 代わりに、便利な道具を用意したいと思う。 包丁を握れなくはないが、身近にもっと便利なやつがいるので、切る専門の助手を配置するのだ。 丁寧に刀身を洗った地下水である。 「俺の身体、こういうことに使うもんじゃねえんだけど」 「人間切るのも野菜切るのも、切ることに変わりはないじゃない。文句言わない」 吸血鬼の感覚なら人間と野菜の価値は食料という意味では一緒らしい。 なんとも反論し辛い意見に口を閉ざした地下水は、抵抗を諦めて山の中からイモを一つ取り出して、その皮を剥き始めた。 魔法の汎用性も、野菜の皮を剥くのにまでは対応していない。地道な作業である。 きちんと作業をしているのを確認して、エルザは既に火の入れられた釜の上に鍋を置き、油を敷く。暫く待った後、水滴を鍋の上に飛ばして熱を計り、ちょうど良い温度を探して釜の火を調節する。すぐに鍋は温まり、暖められた油が鍋の上を滑った。 手馴れているように見える光景だが、エルザの胸はドキドキしっ放しである。 なぜなら、エルザには料理の経験など数えるほどしかないからだ。 両親がいた頃には料理なんてしなかったし、ホル・ホースと出会う間には正体を隠して子供の振りをしていたから、血液以外の食事は大人が用意していた。料理を始めたのは、タルブ村の“緑の苔”亭で出た料理の味をホル・ホースがどことなく懐かしそうに食べていたからだ。 故郷の料理ではないそうだが、以前食べたことのある味らしい。名前も覚えていない料理名だから固執するほどのものでもないのだが、エルザはホル・ホースが毎日美味しそうに食事をする姿を見て、彼を満足させる料理を作りたくなったのだ。 たった一泊しかしなかった“緑の苔”亭で夜に一度だけ、女将の手ほどきを受けた。後は独学だ。時折、ガリアのヴェルサルテイル宮殿にある厨房を借りて、メイドたちの見守る中、拙い料理を作ってホル・ホースの食事に混ぜたことがある。 何故か熱っぽく応援してくれたメイドたちの協力を得ての作品。正直、自信作だと思えたものも数多くあった。 だが、それとなく聞いた味の感想は、良くも無く、悪くも無くだ。 料理の道は険しいらしい。 初めて一人で挑戦する大人数を相手にした料理に、エルザはゴクリと喉を鳴らした。 「あまり多くない食材、味付けを誤魔化せる調味料はなし、敵は複数、そして、恐らくは舌が肥えている」 フーケの趣味かティファニアの趣味か、キッチンには料理道具が豊富に揃っていた。それは料理を作ることに喜びを見出している人間がいる証拠だ。 そんな人物の料理を口にする子供達が、果たして自分の料理を受け入れてくれるだろうか。 不安だった。 だが、戦う前から負けを認めるわけにはいかない。 敵前逃亡など、誇り高き吸血鬼の自分には存在し得ない選択肢なのだから。 「地下水、準備はいいわね!」 「ぼちぼちだな」 想像を膨らませた脳内設定で無意味にテンションを高めたエルザを前に、地下水は朝から疲れた様子で下拵えの終えた野菜と肉の山を籠の上に集めた。 赤、黄、緑、橙、ピンク。様々な色が交じり合った二十人前強の食材の山に、エルザの表情が凍りつく。 肉も野菜も、元の形がまったく判らないくらいに細切れになっていたのだ。 「な、なによこれー!?」 「肉と野菜に決まってんだろ」 頬を押さえて叫ぶエルザに、何がおかしいのかと地下水は憮然とした表情を浮かべた。 「いちいち刻んでるのが面倒くさくなって魔法で切ったら、そうなったんだよ。ああ、安心しろ。指示された野菜の皮はちゃんと剥いておいたげぶっ!?」 どこか自慢げに言う地下水を拳で黙らせ、エルザは頭を抱えた。 タダでさえ碌にレパートリーなど持ち合わせていないのだ。こんな状態になった食材を再利用する案はない。かといって、捨てるにはあまりにも惜しい気がする。というか、他人の家の食材だ。子供達の世話を肩代わりしているとはいえ、無駄遣いはなんとしてでも避けたい。 焼けば良いのか、煮れば良いのか、蒸せば良いのか、それとも、スープにすれば良いのか。 最後の案はなんとなく良い気もするが、実行に移すには躊躇われる。ほぼすり身に見えるカラフルな山は、水につけたら溶けてなくなりそうだった。 「ど、どうしよう!?」 庭先からは子供達の談笑する声が聞こえてきている。 腹を空かせてエルザの用意する料理を待っているはずだ。素人であるため、少し時間がかかることは伝えてあるが、このままでは用意そのものができない。 キッチンの周りをうろうろと歩き回り、良い案がないかと地下水を足蹴にしながら考える。 だが、一考に閃きは訪れなかった。 「……こ、こうなったら!」 諦めるのが早過ぎるなんて言わないで欲しい。万策尽きたのだ。最早、最終手段しか残されてはいない。 エルザの足が素早く動き、最終手段たる目的の場所に向かって走り出した。 「テファちゃーん!わたしを助けてー!!」 懇願の声と共に扉を開け放ち、未だ眠りの中にあるティファニアの体に飛び込んでいく。 硬いベッドの上に転がり、過剰に巨大な魅惑の脂肪球体怪獣ティファニアの上に着陸したエルザは、突然の衝撃に戸惑いながら目を覚ましたティファニアの胸を鷲掴みにしながら涙目で懇願した。 「ごめん、テファちゃん!子供達のご飯作るの失敗しちゃったの!こんな不甲斐無いわたしを助けて!お願い!!」 「へ?え?わたしの代わりに、エルザちゃんが?って、もうこんな時間!?ごめんなさい、本当ならわたしがやらなきゃならないのに!」 どう見ても助けを求めるような態度ではないのだが、寝起きのティファニアにはエルザの細かい行動まで気が回らないのか、上体を起こしてエルザを抱えると、そのまま居間へと走り出した。 床に倒れている地下水に驚きながら横切り、キッチンの台に置かれた大きな籠の上に盛られた不思議な山を見て、目を円くする。 「……こ、これ、なに?」 一見して理解できない代物に、ティファニアが呆然とした。 「あ、えっと……、あのね?それ、倉庫から持ってきた食材なんだけどね……?ちょっと刻み過ぎちゃって。あ、あっ、わたしじゃないよ!?地下水が、面倒くさいからって魔法使ったらこんなになっちゃったの!食べ易い大きさに切ってって言っただけなのよ?」 自分を抱えるティファニアの腕から逃れたエルザが、あくまでも自分の責任ではないことを強調しつつ、床に倒れた地下水のナイフを足蹴にした。 「いてっ!こら、蹴るな!食べ易いって言ったから、わざわざ飲めるくらい細かくしたんじゃねえか!物を食うって動作は、けっこう面倒臭いんだぞ!腹に入れたら一緒なんだから、どんな形でもいいじゃねえか!!」 味などわからない地下水独特の感覚なのだろう。一挙手一投足を操っているのだから、わざわざ口を動かす手間は省きたいというのが本音かもしれない。ナイフである地下水の感覚からすれば、咀嚼という行為そのものが無意味に見えている可能性もあった。 「黙れ無機物!」 「ぎゃふ!?」 エルザの足が地下水の刀身を踏み潰した。 完全に沈黙したのを確認したエルザは、そのまま視線をティファニアに向ける。 「で、どう?この食材、何かに使えないかな?子供達、もう外で待ってるんだけど……」 縋るような視線を向けると、ティファニアはそれに気が付いて困ったように眉を寄せた。 「ご、ごめんなさい。わたしもあんまりお料理上手じゃなくて……、姉さんに教えてもらったレシピでしか作れないの……」 こんな場所では料理の師匠になってくれる相手もいなければ、料理することに喜びを覚えられるほど沢山の食材に囲まれることもないのだろう。品評する相手は子供達だだけから、彼らの舌が現在の味に馴染んでしまえば成長は望めなくなる。 これでは、料理の腕を磨くのは難しい。 ティファニアは少ないレパートリーを何とか遣り繰りしながら過ごしているようだ。 そうなると、この家のキッチンに鍋やらフライパンやらが種類多く揃っているのはフーケの趣味ということになる。 意外な一面にびっくりしたいところだが、今はそれどころではない。 ほぼ粉状になっている食材は空気に晒されて劣化を早めている。対処を急がなければ、本当にこの不思議な山を捨てることになる。 エルザとティファニアは助けを求め、この家にあるもう一つの部屋に向かった。 ティファニアの部屋と同じデザインの扉をノックもしないで開き、中で眠っているウェストウッド村の本当の保護者の姿を探す。 そして、部屋の中に緑色の髪の女性と帽子を被った金髪の男を見つけた瞬間、エルザの目が鋭くなって暗い色を宿した。 「……へ、へええぇ。人を寝かしつけといて、自分は別の女と酒盛りした挙句に部屋へ連れ込んで一緒に寝てるわけ……?ふうぅん、そーなんだー、なるほどねー」 普段のような子供の声ではない、少し低めの大人びた声で淡々と呟く。それは、殺意とか悪意とかというものから切り離されて生活してきたティファニアが、本能的に恐怖を抱いてしまう声だった。 身を竦めて立ち尽くすティファニアを置いて、ゆっくりとホル・ホースたちの下に近付いたエルザは、そこで更なる事実に気が付く。 フーケの眠るベッドに寄りかかるようにして寝息を立てているホル・ホースの手が、フーケの手と重なっていたのだ。 心臓を締め付けられるような感覚と腹の奥深くから沸きあがる不快感が命じるままに、エルザはその手を掴み、引き剥がそうとする。 だが、思いのほか強く握られているそれは、簡単には放せそうに無かった。 「くっ、しぶといわね!」 小さな体とはいえ、エルザの腕力は大人のそれに匹敵する。それでも引き剥がせないとなると、眠っている間に筋肉が硬直したのかもしれない。 苛立ちばかりが強まる中、朝食を食べていない空腹感も手伝ったのか、エルザの視線が特定の一箇所に向けられた。 これは復讐だ。 自分というものがありながら浮気した男に対する、復讐なのだ。 言い聞かせるように心の中で呟いたエルザは、眠るホル・ホースの背中にそっと抱き付いた。 広い背中は自分の小さな体など簡単に収まってしまう。肌に伝わる体温を感じると、何もかもがどうでもよくなるような錯覚を受けてしまうが、今はそれに身を任せるわけには行かない。 両腕をホル・ホースの肩の上から伸ばし、しっかりと絡みつかせる。自然と、ホル・ホースの顔に近付いたエルザの唇が、奥に光る白い牙と共に開かれた。 首筋を伸ばした舌で軽く舐め、癒えきっていない小さな傷跡を見つける。 舌先に感じる錆びた鉄のような味が、脳味噌を溶かすような快感を覚えさせた。 じゅるり、と口の端から垂れる涎を飲み込み、何処かの誰かに祈りを告げた。 いただきまーす、と。 「がぶー」 「痛ってえええええええぇぇぇぇっ!?」 何度も経験している痛みが今日は一層強く走り、深い眠りにあったホル・ホースの脳が活性化して強制的に覚醒させられる。 飛び起きたホル・ホースの背中にはエルザが組み付いて首筋に牙を突きたて、まだ血を吸い続けていた。 「な、なにさ!?なんなのさ!?」 ホル・ホースの悲鳴を間近で聞いたフーケも目を覚まし、体にかけられた毛布を掴んで体を隠そうとする。普段からネグリジェなどの薄い生地を寝巻きにしている女性の行動だが、今のフーケは衣服を来たままで、隠す必要などどこにもない。 それに本人が気付いたのは、毛布を手に取ろうとしても掴むことの出来ない理由が、今もまだ自分の手がホル・ホースの手を握ったままだということを気付いてからだった。 「え、え、ひゃあ!?」 「おわ!」 突然手を放されたためにバランスを崩したホル・ホースが床に倒れる。それでもエルザを下敷きにしないのは、彼らしいといえば彼らしかった。 「オイ、エルザ!?放せって!血を吸うなコラ!月に一度の約束だったろうが!テメエ、幾らなんでも吸い過ぎだぞ!!」 エルザをザビエラ村から連れ帰ってきたときに交わした約束では、確かに月に一度の血液提供のはずだった。だが、実際には二日に一回は吸われている。いろいろ条件が重なって今までは大目に見てきたが、このままでは流石に血が足りなくなって死んでしまう。 だが、エルザはそんなことを気にした様子も無く、牙の突き立った首筋から流れる血液を赤子が母親の母乳を飲むように必死に吸い続けていた。 「あ、やばい、洒落にならねえ……、本格的に意識が遠く……」 血色の悪くなったホル・ホースの顔から力が抜け、瞼が少しずつ落ち始めている。唇も瑞々しさを失って干乾びたような状態になっていた。 やがて目の前に花畑が広がっている幻覚を見始めたホル・ホースから頃合を見て離れたエルザは、腰に手を当てて満足気に鼻を鳴らした。 「よし、今日はこのくらいにしておいてあげる!また浮気なんてしたら、今度は死んじゃうまで吸ってあげるんだから!覚悟しなさい! ピクピクと痙攣して危ない状態になったホル・ホースが聞いているとは思えないが、それはそれで満足なのか、エルザはもう一度鼻を鳴らして呆然としているフーケに向き直った。 「マチルダお姉ちゃん、ちょっと困ったことになってるの。助けてくれない?」 「……へ、あたし!?っていうか、なんであたしが」 死に掛けているホル・ホースに視線を向けていたフーケが、エルザの言葉に反応して戸惑いの声を上げる。 「いいから、こっち来て!」 「姉さん。わたしからもお願い」 エルザとティファニアに手を引かれたフーケは、抵抗する間も無くベッドの上からキッチンへと移動させられる。 ここにも倒れ付す男が一人居たが、それが地下水に操られたウェールズであることに気が付くと、すぐに顔面を蹴り飛ばした。 そして、問題の山と向き直る。 「で、これはなんなんだい」 変わらぬカラフルさを称える大きな山を見て、フーケが呟いた。一見しただけでは判らないようだ。 肩を窄めるエルザとティファニアにフーケが視線を送ると、言い辛そうにするエルザの説明から、それが人の食べ物であったことだけは判明した。いや、今も一応人間の食べ物ではある。 「なんとか、お料理に使えないかしら?」 そう尋ねるティファニアに、フーケは両腕を組んで溜息を吐いた。 「無理だね。アタシ、料理なんて肉を焼くくらいしか出来ないし」 これに悲鳴を上げたのはエルザだった。 「ええええっ!じゃ、じゃあ、このキッチンにある機材の山は!?料理が趣味だから集めたんじゃないの!?」 「誰がそんなことを言ったのか知らないけど、昨日の話を聞いていれば分かるだろ?アタシもティファニアも、元は貴族の、その中でも上流階級の娘だったんだ。料理なんて習ってるわけないだろ」 言われてみればそんな気もするが、エルザは納得いかないように唇を尖らせて頬を膨らませた。 「なによー、それならこれ見よがしに機材ばっかり買い揃えてんじゃないわよ。てっきり、料理の鉄人でもここに住んでるのかと思っちゃったじゃないの」 「うるさいねえ。実力がないからこそ、料理道具だけでも買い揃えて腕を補おうって言ってるんじゃないか。まあ、なんにせよ、作れないことに変わりはないさ。これまでに見聞きしたレシピは全部ティファニアに教えてあるし、この子が作れないものはあたしにも作れないよ」 そんな説明に、エルザはとうとう項垂れる。 唯一頼りになりそうな相手がこれでは、もはやカラフルな食材の山はただの生ゴミだ。畑にばら撒いて次の野菜の栄養にでもするしかない。 下手をすれば、自分が一番この村で料理上手なのではないのか。 そんなことを思ったエルザが、かつて食材であったものの乗った籠を手にかけたとき、後方から疲れた声が響いてきた。 「うおおお、死んでたまるかぁぁ……!」 部屋から這いずって来たホル・ホースが、か細い呼吸を繰り返しながらも生きるという強い意思を見せて現れたのだ。 「に、肉を寄越せ……!血が必要だ……!」 真っ青な顔で言うホル・ホースの表情には、切羽詰ったものがある。 酷く荒れた呼吸と痙攣する四肢、そして、体を前に出すたびに閉じそうになる瞼。 どう見ても限界だった。 思わずゴクリと息を呑んだフーケとティファニアが道を開け、エルザは流石にやり過ぎたかなと反省をして脂汗を流した。 徐々に近付くホル・ホースが椅子に手をかけて、それを支えにゆっくりと立ち上がると、エルザは申し訳無さそうにチラリと食材だったものの山に視線を送る。 ホル・ホースが求めるものは、ここにはないのだ。 「ご、ゴメンね、お兄ちゃん。ご飯はまだなの、っていうか、失敗しちゃ……」 「な、なんだ?……ミートローフか?にしては、具を細かく切り過ぎてる気がするが……」 エルザの言葉を遮って、目を食材だったものの山に向けたホル・ホースが力なく笑った。 「一応、肉料理なら問題ねえ……。だが、野菜の比率が多過ぎるぜ。もっと、肉を追加するんだ……!」 ぐったりと椅子に腰掛けたホル・ホースに、エルザもティファニアもフーケも、驚いたように声を上げた。 「お兄ちゃん」 「ホル・ホースさん」 「アンタ」 声が揃ったことにも気付かず、言葉が繋がる。 「これを使った料理に心当たりがあるの!?」 食うばかりで作るほうにはまったく知識がないと思っていた思わぬ伏兵の登場に、全員が信じられない様子で視線を向けた。 体への気遣いは、既にない。 「なんだ、なんの話だ……?手短に言ってくれ、意識が飛びそうなんだ……」 「み、みーとろーふ?の作り方教えて!これ、間違って切り過ぎちゃったの!どうやって料理すればいいのか、全然分からなくて……、助けてよ!」 飛びついたエルザに頭を揺さぶられて、ホル・ホースの顔が更に青褪めていく。それを慌ててフーケが止めると、ティファニアの名前を呼んだ。 「アレ、持ってるだろ?こんなことに使いたくはないけど、緊急事態だ。少しはマシになるかもしれない。使ってやりな」 「え、あ、はい。分かりました、マチルダ姉さん」 コクリと頷いて、ティファニアが指に嵌められた小さな宝石の乗った指輪をホル・ホースの体に寄せた。 薄い唇から漏れる聞き慣れた旋律。それは、間違いなく先住魔法のそれなのだが、エルザは昨日、ティファニアは先住魔法を使えないと聞いていた。 アレはウソだったのか?いや、系統魔法が使えるなら、先住魔法が使えるという線は強くはない。それに、ウソをつけるほどティファニアは器用では無さそうだった。 なら、それは指輪を使うためのキーワードでしかないのだろう。マジックアイテムには、言葉を鍵として発動するものが幾つかあることくらいは、エルザも知っていた。 「……このくらいで、いいかしら?」 ほんの数秒間、指輪の淡い光りを受けたホル・ホースの顔色が僅かに良くなっている。完治とは行かなくとも、応急手当にしては十分過ぎる効果だ。 「……お、なんだ?気分が良くなってきたぞ」 虚ろな瞳を宙に向けていたホル・ホースが正気を取り戻して言葉を溢す。 「感謝しな。わざわざ水の秘宝を使ってやったんだ。本当なら金貨の百枚か二百枚貰いたいところだけど、今は貸しということにしといてやるよ」 「マチルダ姉さん、わたし、そんなつもりで使ったんじゃないわ」 厄介事を招くことの多いホル・ホースに恩を売って、いざというときの盾にでもするつもりだったのだろう。だが、そんな思いも横から飛んだ声に掻き消されて意味を無くしてしまう。 指輪はティファニアの私物らしい。その使用はティファニアに一任されているようだ。 フーケはティファニアの剣幕に押されて、情けない笑いを浮かべていた。 とりあえず助かったことを自覚したホル・ホースは、治療をしてくれたティファニアの手を取って感謝の言葉を述べると、首の辺りをさすって立ち上がった。 「ええと、ミートローフの作り方だったか?」 「うん。あの山を料理に使いたいんだけど、わたし達じゃアレをどうすればいいのか分からなくって」 すっと、エルザの視線が例の山に向けられると、ホル・ホースが呆れたように溜息を吐いた。 「なるほどねえ。女三人いて、誰もこいつを片付けられねえってか」 何気なく出た言葉が、ぐさり、と女性陣に胸を抉る。 ハルケギニアは、料理は女の嗜み、なんてことを言うような世界ではない。だが、一般的にはやはりキッチンに立つのは女性であるのが通常だ。男は外で働き、女は家の中で働く。そんな分業制はハルケギニアにも根付いている。 生まれが生まれであるために本来ならそんなことを気にすることはないのだが、やはり女としての誇りのような物があるのか、エルザたちは悔しそうな表情を隠しきれないでいた。 そんなことには気付かず、一人キッチンの前に立ったホル・ホースは、顎を撫でてアレな山を見つめる。 「ふーん。このままだと、流石にどうにも出来ねえな……」 ホル・ホースの呟きが聞こえてくると、女性陣は揃ってホッと息を吐いた。 こんなダメ人間っぽいオッサンには負けはしないのだと、ちょっと安心したのだろう。 だが、それは容赦なく裏切られた。 「肉の量が少ねえな。これじゃあ、繋ぎを増やしても固まりそうにねえか。ティファニアの嬢ちゃん、肉はまだあるか?それと卵だ。10、いや、20個は揃えよう。パン粉もいる」 その言葉にはっとなったティファニアがホル・ホースを連れて裏口から家の外へと出て行く。 食料を保存している倉庫は、家の外にあるのだ。 やっぱり解決策を持ってるんじゃないか。と、いじけるエルザとフーケが床に転がった地下水を適当に弄りながら暫く待っていると、ホル・ホースとティファニアが両手いっぱいに荷物を抱えて戻ってくる。 先程言ったものより、少し材料が増えているようだ。 「多分、味が物足りなくなるからチーズと蜂蜜も使わせてもらうぜ」 「……あ、ああ。好きにしな」 本来なら、チーズも蜂蜜も高級品なのだが、元々使う予定だったのか、特に止めることもなくホル・ホースの行動をフーケは見守った。 手を洗い、肩を回して気合を入れる。それからのホル・ホースの動きは、大きな体に似合わない滑らかなものだった。 新しく用意した肉を細かく刻み、それを例の山と一緒に大きな鍋に移すと、上から卵とパン粉を大量に放り込み、ついでに料理用のワインを少量投入し、混ぜ合わせ始める。 量が量であるために混ぜるのは簡単ではない。途中から面倒を起こした原因である地下水を起こし、魔法で鍋の中を引っ掻き回してペースト状にしてしまうと、今度はそれを小麦粉をまぶした台の上で叩き一人分の量を分け始めた。 エルザから聞き出した子供の人数に、この場にいるホル・ホースとエルザ、それにフーケとティファニア、最後に地下水に操られるウェールズの分を加えた数を用意すると、エルザが最初に用意していたフライパンよりも一回り大きいものを取り出し、油を敷いて数人分を纏めて焼き始める。 「よし、後は用意したヤツを焼くだけだぜ。ああ、それと、フライパンの上に出る肉汁は捨てるんじゃねえぞ。焼き終わるたびに別の器に取っておいて、後で溶かしたチーズと蜂蜜を絡めてソースの代わりにするからな」 火にかかったフライパンに蓋をしながらの説明に、女性陣がコクリと頷いた。 作るものは、要は野菜を混ぜた肉団子らしい。ちょっと考えれば思いつきそうな料理に、エルザもフーケも、ティファニアも、面食らった様子でホル・ホースの手元を見つめていた。 「お兄ちゃん、お料理出来たんだ……」 「ん、まあ、自分の飯くらい自分で面倒見れねえとな。というか、こんなもん料理って程でもねえだろ。作り方もテキトーだし、美味いって保証もねえぞ」 とは言うものの、漂ってくる匂いは香ばしく、食欲をそそられるものだ。少なくとも、不味いということはないだろう。 気を抜くと腹の虫が盛大に合唱を始めそうなのに、ホル・ホースは思い出したかのように香草を刻んで投入し始めて香りを更に高めていく。ダメ押しってやつだろうか。 鼻につく匂いに次から次へと涎が出てきて、口の中がいっぱいになりそうだった。 「まあ、こんなもんか。な?簡単だろ」 確かにやっていることは簡単そうだが、なぜか真似できそうにない。 そんな感覚が胸に広がったことで、女性陣は深く、深く溜息を吐いた。 一番負けたくない相手に負けた。 そんな気がしたのだ。
https://w.atwiki.jp/gunnersunion/pages/273.html
8-1 8-2 8-3 8-4 8-5 8-1 第一戦 報酬 資金x1,400 敵部隊情報 世代 名称 HP 攻撃タイプ 攻撃回数 射程 ガード回数 数量 備考 3 シューター 120 単体 1 3 0 2 3 アーチャー2 80 単体 1 3 2 2 3 ヴァンパイア 90 ライン(電) 1 5 0 2 3 ランサー2 60 単体 1 2 2 2 配置 後 ■ ■ シューター ■ ■ シューター 中 ■ ヴァンパイア ■ アーチャー2 ■ ヴァンパイア ■ アーチャー2 前 ■ ランサー2 ■ ■ ランサー2 ■ 8-2 第一戦 報酬 資金x1,400強化フレーム 敵部隊情報 世代 名称 HP 攻撃タイプ 攻撃回数 射程 ガード回数 数量 備考 3 ゴブリンロード 105 ライン(突) 1 2 0 2 3 イントルーダー2 70 単体 2 1 2 2 3 レギオン 90 単体 1 2 0 2 3 ランサー2 60 単体 1 2 2 2 配置 後 ■ レギオン ■ ■ ■ レギオン 中 ■ ランサー2 ■ ゴブリンロード ■ ゴブリンロード ■ ランサー2 前 ■ イントルーダー2 ■ ■ ■ イントルーダー2 8-3 第一戦 報酬 資金x1,400 敵部隊情報 世代 名称 HP 攻撃タイプ 攻撃回数 射程 ガード回数 数量 備考 3 ウォリアー 105 単体 1 2 0 2 3 イントルーダー2 70 単体 2 1 2 2 3 ファントム 120 ライン(支) 1 3 0 1 3 アーチャー2 80 単体 1 3 2 2 配置 後 ■ ■ ■ ■ 中 ■ ファントム ■ アーチャー2 ■ アーチャー2 ■ ファントム 前 ■ イントルーダー2 ■ ウォリアー ■ ウォリアー ■ イントルーダー2 8-4 第一戦 報酬 資金x1,400ムラクモブースト設計図 敵部隊情報 世代 名称 HP 攻撃タイプ 攻撃回数 射程 ガード回数 数量 備考 3 ホブゴブリン2 105 単体 2 2 0 2 3 ホースフライ2 120 単体 2 3 0 2 3 ホーネット2 90 単体 2 2 0 2 配置 後 ■ ホースフライ2 ■ ■ ■ ホースフライ2 中 ■ ■ ホースフライ2 ■ ホースフライ2 ■ 前 ■ ホブゴブリン2 ■ ホーネット2 ■ ホーネット2 ■ ホブゴブリン2 8-5 第一戦 報酬 資金x1,400 敵部隊情報 世代 名称 HP 攻撃タイプ 攻撃回数 射程 ガード回数 数量 備考 3 ゴブリンロード 105 ライン(突) 1 2 0 2 2 アラクネ 1200 クロス 1 5 1 1 3 ファントム 120 ライン(支) 1 3 0 2 3 ヴァンパイア 90 ライン(電) 1 5 0 2 配置 後 ■ ヴァンパイア ■ アラクネ ■ ヴァンパイア 中 ■ ■ 前 ■ ゴブリンロード ■ ファントム ■ ファントム ■ ゴブリンロード 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/phandalin/pages/37.html
新バタースカル牧場 解説 トライボアの町では保安官として活躍した牧場主の”ビッグ・アル”カラゾーンが、雌牛のペチュニアと共に開いた牛乳店です。 まだ規模は小さいものの、家畜の飼育を始めており、旧友であるオールダーリーフ家の支援を受けて新たな一歩を踏み出しました。 ビッグ・アルはオークに対する復讐心と、ファンダリンから手を差し伸べてくれた友人たちへの恩返しに燃えており、改めてファンダリンの保安官に就任したばかりです。 彼が生き残ったことで、ファンダリンは心強い味方を得ました。また、バタースカルは誰もが好む名産品で、住人はこのごちそうが再び店頭に並ぶのを待ち望んでいます。 今はリハビリがてら町内の治安維持と、冒険者志願の子供たちに稽古をつけてあげるかたわら、オールダーリーフの農園に仮住まいをしています。 販売商品 競走馬(ライディング・ホース)…75gp ポニー…30gp 乗用の鞍…10gp 荷馬(ドラフト・ホース)…50gp ドンキー…8gp 荷馬用の鞍…5gp 装備品 鞍袋…4gp はみとくつわ…2gp 荷馬車…35gp 荷車…15gp 15mの麻のロープ…1gp 牝牛…10gp 牡牛…15gp ※バーディングその他の軍用品、上等な旅客用馬車は取り扱っていない。 NPC アルフォンス・”ビッグ・アル”・カラゾーン(保安官)経験豊富なヒューマンの男性 不幸だって?ペチュニアとバタースカルをまた作れて、命も拾えたのだからツイているよ。 本当に不幸なのは俺を殺し損ねたオークどもだ。命でツケを支払うことになるんだからな。 子供たち、武器を持つのはまだ早いぞ。まずは体力づくり、信じられる筋肉を作るんだ。 俺みたいにデカくなりたいか?それなら牛乳を飲め、牛乳を! ファンダリンの町へ
https://w.atwiki.jp/tenken3ps/pages/143.html
最新版は 連絡/市場調査結果/2010-05-21 調査内容 シャフトホルダー、落下防止リング(各内径15mm)の取り扱い、取り寄せは可能か。 銅箔に変わる、ステンレス箔(厚さ0.1mm)の購入。 ステッピングモーターの軸となるダボ(D型、太さ6mm、長さ12mm以上)の購入。 スリップリング周り、縦パイプに最初に付ける(電気を通さないための)ホース(内径15mm、外径19mm) スリップリング周り、縦パイプに二番目に付ける(導線の溝を作れるような)ホース(内径20or22mm、厚さは任意) 結果 シャフトホルダー、落下防止リングは取り扱い、取り寄せ両方不可。ハンズは一般消費者を対象にしているためだそうです。 ステンレス箔はハンダ付け不可能なので難しいかと。ハンダ付け可能な真鍮箔は置いてある。厚さ0.1mm×縦365×横600で1900円。 条件に合うダボは見当たらず。六角形ダボは振動に弱いとのこと。3Psとして直径6mm、長さ35mmの円形ダボがあるなら、削ってD型にした方が良いのでは。 ホースは両方見当たらず。 課題 シャフトホルダー、落下防止リングは工業用なので、工事現場で働くような人が行くような専門店に行った方が良いと勧められた。 ホースもコーナンプロなら様々なサイズがあるかもしれない。 参考資料:金属素材の特徴(画像荒くてごめんなさい。下の添付ファイルから見た方が少しは見やすいです) ハンズ三宮店調査、ご苦労様です。 -- ルウ (2010-05-13 16 03 30) ご苦労様です. コーナン PRO, 原付で行ってみます. なければ通販ですね. -- haruto (2010-05-13 20 23 16) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/bg5c/pages/26.html
クラッチ&ブレーキのペダルゴムバッド ¥280 P/SホースA ¥2280、P/SホースB ¥1910 P/Sホース用クリップ @¥250(3個使用)、¥300(1個使用) ボンネット裏の断熱材(インシュレータ)のクリップ ¥170 純正フロントグリルのオーナメント ¥2290 リアウィンドウの「4WD ABS」のラベル ¥1340 後部サンルーフassy ¥47800(交換工賃¥41250) シム,リッドA ¥140 (4個使用) シム,リッドB ¥60 (4個使用) FAST-Ⅱでの部品単価表示 FAST-ⅡのA-1版CDの中のSFFASTPG/win/MDAC_TYPをインストール →部品を選択した後に、「部品番号検索」というアイコンをクリック
https://w.atwiki.jp/rdr2jp/pages/813.html
東へ… 東へ…概要 ミッション攻略 ゴールドメダル取得条件 余談 概要 力を取り戻し、ついに天候も落ち着いたので、ギャングは麓を目指して下山し、ホースシュー高台にキャンプ設営する。 ミッション攻略 ここから自由にアメリカを散策できるようになる。キャンプも設置されさまざまなことが可能になる。日誌も書けるようになる。 ×長押しでキャラバンとスピードを合わせる 川を渡ると車輪が取れるので修理する。 △で馬車に乗れ ホースシュー高台に行け ゴールドメダル取得条件 ホースシュー高台に入った所でハビアと合流しろ。 入ると話しかけてくるので馬車をとめて乗せてやる。 6分以内にミッションをクリアしろ。 ムービーはスキップ。 余談 道中崖上からワピチインディアンが見ているとホゼアが言う。このあたりのインディアンはひどいめにあわされているらしい。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2335.html
「でも、いちおう忠告しておくわよ」 ゴーレムに体を開放されたマリコルヌが駆け足で戻ってくるのを確認して、モンモランシーは言い含めるように言葉を紡ぐと、ちらり、とマリコルヌに圧し折られそうだった足を押さえてヒイヒイ言っているギーシュを一瞥して強く言い放った。 「自分の身は自分で守ること。そっちのシエスタってメイドと違って、あんたを助けてくれるやつなんてここには居ないわよ?危なそうならすぐに逃げる。それを約束できるなら、連れて行ってあげるわ」 シエスタと同じく、マリコルヌの身の危険もあるが、もうモンモランシーは心配するのも馬鹿馬鹿しくなってきていた。 それに、マリコルヌは仮にもメイジだ。授業で戦いに用いる魔法は習得させられているはずだし、外見に似合わず逃げ足は速いという噂もある。魔物に襲われる心配はきにするほどではないだろう。むしろ、変態であることに気をつけたほうがいいくらいだ。 「約束する!約束するとも!はははっ!やった!僕はやったぞ!家族以外の女性とお出かけなんて初めてだ!生まれてきて良かったあぁー!」 両腕を振り上げ、全身で喜びを表現する自称ぽっちゃりさんに生暖かい視線を投げかけ、モンモランシーは心のどこかで、やっぱり止めときゃよかったかな、と呟いた。 それも、もう今更だ。考え直して、やっぱり連れて行かない、なんて言えば、ギーシュの代わりにマリコルヌの異常で執拗な攻めを自分が受けることになる。それだけは、勘弁願いたい。 「とりあえず、これでメンバーは全員かしらね」 「集合地点でしかなかったのに、なんでこんなに時間がかかるのよ。出発前から疲れちゃったわ……」 メンバー全員を見回して呟いたキュルケに、ぐったりした様子でモンモランシーは呟き、その肩に手を乗せる。苦笑したキュルケは、そんなモンモランシーの背中を、ぽん、と軽く叩くと、先導するように学院の出入り口である門を一足先に越えた。 「さー、行くわよ、みんな!まずは東に向かって、呪いの仮面を手に入れるわよ!」 腕を振り上げてやる気を見せるキュルケの背中を追って、才人たちは足進める。 いきなり不吉そうな物の名前が出てきたことに若干のしり込みはあったが、どうせ噂話を追い求めるくだらない旅だ。こちらの方が盛り上がるだろうと、才人やマリコルヌは意気揚々と出発を始めていた。どこからとも無くギーシュやキュルケの使い魔も姿を現し、鳴き声を上げて行進する様子が見える。 突然顔色を悪くしたタバサを、空から舞い降りたシルフィードがマントを口に咥えて飛び上がり、それを追って、マリコルヌの使い魔である白いクヴァーシルという鳥が舞い上がった。 「元気なものねえ」 こういうイベントにはあまり縁が無い、所謂生真面目なタイプであるモンモランシーは、悪戯グループの異様な体力を前に、早速着いていけないような気分になりつつある。 はあ、と今日何度目かの溜め息を吐き、着いて行かなければと足を動かしたところで、ふと、地面で悶えていたはずのギーシュの姿が無いことに気が付いた。 趣味の悪いシャツや無駄に派手な造花の薔薇は目立つ。見失うはずが無いと、視線を彷徨わせるモンモランシーは、晴れた空に唐突に影が降りたことで、視線を上に持ち上げた。 身長の高さから見上げる位置にあるギーシュの横顔。それが、なんとも情けない笑顔を浮かべてこちらを見ている。そこにあるのは、バカがいつものように格好をつけているときの目だ。 ただ、ほんのちょっとだけ、真剣な色がそこにはあった。 手が一回り大きな手に包まれて、引っ張られる。ギーシュが、モンモランシーの手を握って早足で歩いていた。 一体どうしたのかと尋ねるべく、モンモランシーは口を開く。 だが、それよりも一瞬早く振り返ったギーシュは、モンモランシーの顔を見つめた後、いつも通りに造花の薔薇を構えて、なんと無しに言った。 モンモランシーは僕が守るよ、と。 耳元で囁くわけでもなく、ムードのある雰囲気で語るわけでもなく、才人の言葉に触発されて言いたくなっただけの言葉だろう。 「ハア?なに言ってるのよ、アンタ」 「いやあ、こういう台詞、一度言ってみたかったんだよ」 そう言って、いつものように軽く笑うギーシュに、やっぱり、と心の中で言葉を溢して、モンモランシーは頬を膨らませる。 こういう台詞は、もうちょっと雰囲気のあるところで言うべきだろう。そうすれば、もっと効果があるはずだ。 言うタイミングを間違えてるわよ、このバカ。 そう言おうとして、手に感じる温もりに口を閉ざす。 普通なら間違いなく言うタイミングを間違えているが、どうやら、自分は例外だったらしい。 なんでこんな馬鹿に惚れちゃったのか。 自分で自分を情けなく思いつつも、なんだかドキドキする胸の鼓動が嬉しくなって、モンモランシーは繋いだ手に力を込めて早足のギーシュを追いかけるように小走りになる。 いつの間にかキュルケを追い越して、二人が先頭に歩く格好になったところで、金髪の少女はちょっとだけ金髪の少年に体を寄せて呟いた。 バカ。 聞こえているかどうかは知らないが、どっちでもいいだろう。どうせ、いつも言っている言葉だ。 ただ、そこに乗せた意味が聞こえてなければいい。 聞こえていたのなら聞こえていたで、それでもいいかと思って、モンモランシーは笑う。 意外と楽しい旅になるかもしれない。そんな予感と共に。 黒い帽子を飾るリボンが風に揺れ、それに合わせるようにドレスのフリルもふわふわ揺れる。 高い場所を飛んでいるからだろう。暑いはずの夏場でも肌を冷やすのには十分過ぎる風が絶え間なく吹き続け、ちょっとした身震いを呼び起こす。 トリスタニアを昼頃に出発したエルザたちは、現在、出発点と目的地を繋ぐ街道の上を風竜に乗って移動中である。一番先頭に竜を操るカステルモールが、その後ろにジェシカやエルザが続く形で騎乗している。 本来なら朝方に出発し、昼前にトリステイン魔法学院に到着することで用事を済ませ、そのままタルブの村に帰還する予定だった。だが、ホル・ホースが昼間で寝ていたことや、朝からエルザが出かけたことに加え、想像以上に前日に地下水がやった無茶がカステルモールの体を痛めつけており、全ての準備が整うまでに時間がかかったのである。 訪ね先にあらかじめ連絡がしてあるわけでもないので別に急ぐ必要も無いのだが、地下水がせっせと急かすためにやむを得ず忙しない行動をしているのだ。 とはいえ、世の中の人から見れば、十分にのんびりとしているのだろうが。 風竜の背中で風に吹かれること二十分。そろそろ、魔法学院の姿が青く染まる空気の向こうに浮かび上がってくる。ゆっくりと飛んでいても、馬による移動時間の半分もかからないのだから、竜というものは便利なものだ。 少しずつ近づいてくる学院の姿にカステルモールが、経験から推測したおおよその到着時間を知らせる。 後十分前後。目に見える距離に収めれば、到着は早いらしい。 そろそろ到着か。と、短い空の旅に感慨も沸かなかったエルザは、その場で振り向いて後ろに居るはずのホル・ホースに視線を向けた。 「……よく眠るわねえ」 先ほどまで起きていたはずなのに、ホル・ホースはいつの間にか寝息を立てていた。 かくん、かくん、と頭が上下に揺れているのに、体だけは妙に安定している。馬に乗ることが得意だというから、馬の上でも居眠りできる訓練でも積んでいるのかもしれない。 ふむ、と言葉にならない声を漏らしたエルザは、体ごと振り返ってホル・ホースに対面するように座ると、目の前にある間抜けな寝顔を見上げて首を傾けた。 身長に差があり過ぎるために、ホル・ホースの首が下を向いてもエルザの頭に当たることは無い。かくん、と落ちた頭の位置にエルザが手を伸ばすことで、やっと指先が届くか届かないかといったところだ。 そのことを実践して確かめたエルザは、普段ホル・ホースの腕に抱えられている状態が一番顔が近かったのだと改めて思い、なんとなく寂しくなった。 自分の身長はこんなにも小さいのに、相手の体はこんなにも大きい。なのに、この差が埋まるのは百年近くも先のことだ。 その頃には、この指先に触れる暖かさは冷たく変わっているだろう。 残酷な現実に、エルザは目の前にある大きな胸の中にそっと身を寄せる。 種族の違いは思いの他大きくて、乗り越えようにも乗り越えられないものらしい。なら、今だけは、こうしていられる間だけは、ちょっとくらい甘えてもいいはずだ。 自分は子供で、相手は大人。心の形はそうではなくても、見た目の関係だけなら何とかなる。 それは望んだ関係ではないけれど、きっと最大の妥協点だ。 これでいい。これで。 悲しそうに眉の形を歪めて、エルザは膝立ちになって背伸びをする。 伸ばした手が、ホル・ホースの頬を挟み込む。 精一杯我慢するのだから、このくらいの役得はあってもいいだろう。 乾いた唇に自分の唇を重ねようと、残ったほんのちょっとの距離を詰めて目を閉じる。 互いの呼吸が肌を撫でて、少しだけくすぐったかった。 暖かい感覚が、唇に触れる。いや、触れる前に、すっと遠ざかった。 「……?」 膝立ちの足を伸ばして、足の裏を風竜の鱗に触れさせる。 今の体勢では、目的の場所まで届かなかったようだ。引き寄せたはずの手は遠退いて、いつの間にか肘が伸びている。 接触する少し前に閉じた目を開けてみれば、何のことは無い。相手がちょっと遠ざかっていただけだ。 居眠り中だったのだから、頭が動くのは仕方が無い。もうちょっと背を伸ばせば、今度こそ届くだろう。 心持ち唇を伸ばして更に前に進む。 だが、やっぱり唇はもう一つの唇に辿り着かなかった。 「……あ、あれ?ちょ、ちょっと!」 こっちは近づいているというのに、向こうは更に遠くなっている。 なんで逃げるのか。 そんな疑問を抱くエルザだったが、理由なんて考えなくても分かっていた。ちょっと真実から目を逸らしていただけだ。 唇に固定されていた視線を僅かに上に向けてみれば、そこにはちゃんと疑問の答えが用意されている。青く染まった顔に、怯えたような目をした真実が。 何時の間に目を覚ましたのか、近づくエルザからホル・ホースが背中を反らして逃げていたのだ。 「……お、おいおいおい、おっかねえなあ。とうとう寝込みを襲うようになったのかよ、この変態幼女は。犯罪者になる気はねえって言ってるのに、あくまでもオレをペド野郎に仕立て上げたいわけか。か、勘弁して欲しいぜ……、ヒ、ヒヒヒ、ひぃ」 馴染みの引き攣った笑いも、いつものような切れが無い。無防備なところを襲われたのが相当にショックだったようだ。 ずりずりと腰を滑らせて後退するホル・ホースの目に映るエルザの姿は、飢えたケダモノに他ならない。涎を垂らし、後一歩のところで獲物を捕らえることが出来たはずなのにと、悔しげに獲物を睨む猛獣の幻像が重なっているのだ。 「あ、え、いや、ちょっと……、違うのよ?これは、その……」 弁解する言葉も見つからず、もごもごと口を動かすエルザに、ホル・ホースは更に後退すると、帽子で顔を隠して視線を逸らす。言い訳を聞く気もないらしい。 その態度にカチンときたのか、戸惑っていたエルザの態度が急変し、のんびりと空の旅を楽しんでいたジェシカや地下水が驚くような怒声を上げた。 「な、なな、なによ、その態度!こんなに可愛い女の子が迫ってるんだから、嬉しそうな顔をするのが普通でしょ!?なのに、怯えるって何よ?受け流しなさいよ!素直にキスされて、唇を離したところで余裕の笑みの一つも浮かべればいいじゃない!どうしてそんな本気で怯える必要があるわけ!?ちょっとは受け入れてよ!!」 心の叫びが口から飛び出し、空回りする気持ちをぶつけてやろうとホル・ホースを攻め立てる。キスを拒まれた乙女の心は、深く入った亀裂によって張り裂ける寸前だ。 純情な気持ちを踏み躙られたと悲鳴を上げれば、流石にホル・ホースといえども逃げ続けることは出来なくなる。女の涙は男の退路を断つ最強の武器。抵抗の術は無い。 ポロリと落ちた滴に、ホル・ホースもエルザに目を向けた。 「女のアプローチを受け止めるのも男の甲斐性でしょ!?いいじゃない、減るもんじゃないんだから!全然相手してくれないから、夜も寝るのが大変なのよ!?分かる?体力ばっかり有り余って発散する機会が無いのって地獄なのよ?鼻先に感じる男の匂いに身悶えするしかないわたしの気持ちを察してよ!端的に言えば、襲わせろー!」 高く上げた両手を鉤爪状に曲げて目を光らせたエルザが、荒い息を吐いてホル・ホースに詰め寄る。先程落ちた落ちた滴も涎だ。まさにケダモノ。まさに変態。 純な乙女の気持ちを吐いていれば別の結果を導き出せた筈なのに、こういう場面で欲望に塗れた本音が出てくるところがエルザのダメなところだった。 「じょ、冗談じゃねえぞテメー!本気でオレを性犯罪者にする気か!?」 爛々と目を輝かせて荒い息と共ににじり寄って来るエルザから逃れようと、ホル・ホースは徐々に風竜の尻尾の方へ移動する。足場は既に座れるほどの幅が無いため、鱗に捕まっている状態だ。 「性犯罪者どころか、二度と帰って来れないマニアな道に引きずり込んでやるわよ!めくるめく禁断の愛の情動に、いろんな意味で足腰立たなくしてあげるわ!!」 きっと、エルザの脳内ではアレやコレなどのネチョッとした粘膜のすり合わせが行われているのだろう。血走った目には理性の光は無く、ただ肉欲だけが渦巻いている。 素手による肉弾戦は、体の大きさに違いがあるとはいえ、ほぼ同等。ホル・ホースのスタンドであるエンペラーの汎用性の無さを考えれば、先住の魔法が使えるエルザが有利だろう。 取っ組み合いになれば、そのまま夜のプロレス講座に持っていかれる。 それだけはなんとしても避けなければと、ホル・ホースは更に後退して風竜の尻尾の先端を目指す。現状において、もはや、逃げ場所はそこしかないのだ。 「ま、待て!話し合おうぜ!な?一方的な愛情ってのは、お互いに不幸になるだけだ。こういうことは、もうちょっとお互いを知ってからだな……」 「年頃の初心な少女みたいなこと言ってないで、大人しくわたしのものになりなさい!心配しなくても、ちょっと下半身がイケナイことになるだけだから!大丈夫!!」 一体何が大丈夫なのか。尻尾にしがみ付いて少しずつ先端へ向かうホル・ホースを追うエルザは、口持ちに手を添えて艶かしく笑い、丸い尻尾の上を軽い足取りで歩く。 風竜の尻尾は、飛行姿勢を安定させるために常時動いている。だが、そんな場所でも危なげなく歩くエルザの足は、確実にホル・ホースとの距離を詰め、眼前に迫ろうとしていた。 もう少しで、あの小さくも禍々しい手が届く。 もはや退路の無いホル・ホースは、なおも逃げようと尻尾の先端へと這い進み、もはや片手で掴める程度しかない太さの部分にぶら下がった。 「さて、そこからどうするのかしら。逃げ場所は、もうどこにも無いわよ?」 先住の魔法を使い、風を味方につけたエルザがゆっくりと尻尾の上を歩いてホル・ホースに近寄る。自分の腕の太さほども無い場所でも、バランスを崩す気配は無かった。 「て、テメェ、今回はホントにキレてやがるな……」 「そうねえ、自分でもちょっとやり過ぎかな、って思うのよ?でも、体の熱さがどうしても抜けないの。最低でも一度は発散しないと、流石に止まりそうにない気がするわ」 しゅる、と衣擦れの音を響かせて、ドレスの胸元を飾るリボンを解く。その下からドレスを体に縛っている編み上げられた紐が露出すると、エルザはそれにも指をかけて解き始めた。 太陽の光を浴びていない、白い肌が少しずつ露出していく。 幼い少女を思わせる衣装の中から、火照った肌があらわになっていく姿は、その手の趣味の人間にはたまらない光景かもしれない。だが、ホル・ホースにその趣味はないし、尻尾の先を掴む手が痺れてきていて、エルザを見ている余裕もなくなってきていた。 このままでは、握力が無くなって地面に落ちてしまう。 しかし、エルザは焦った様子も無く、緩めた胸元をそのままに怪しく微笑んだ。 「あら、落ちるのかしら?それもいいわねぇ。空を飛びながら激しく交じり合うのも、意外と良い思い出になるかもしれないわ」 魔法を使えば、高さなんて関係ない。いや、むしろ完全にホル・ホースの行動を支配化におけるだけ有利とさえいえるだろう。 怪しく輝くエルザの目は、ホル・ホースに落ちろと念じているかのようだった。 「チッ!この状態はなんともなんねえか……」 進むことも退くことも封じられ、待っていても相手から来てしまう。 チェスで言うならチェックメイトだ。敗者は大人しく、勝者の言い分に従うしかない。 「んふふふふふふふ……、ああ、なんか幸せな気分になってきたわ……、人生の絶頂ってこういうものなのかもしれない……、あは、あはは、あははははははははははッ!!」 サディスティックなエルザの本性に、ホル・ホースは頬を引き攣らせ、背筋を凍らせる。 狂ってる。 その一言に全ての意味を乗せて呟くと、僅かに残る希望に期待を寄せて、ホル・ホースは痺れる手から力を抜いた。 一瞬の落下の後、浮き上がった体が重力を見失う。 これが、落下の感覚なのか。 そう思ったホル・ホースは、すぐにそれが違うものだと判断した。 風に体が持ち上げられたのは確かだ。だが、自然の風ではない。ホル・ホースが手を放した瞬間にエルザが生み出した、精霊の風によって浮いているのだ。 ニヤリと口元に笑みを浮かべたエルザは、自らにかけられた風の魔法がホル・ホースに移されたことでバランスをとり続けられないことさえ好都合と、スカートの端を摘んで尻尾の上から飛び降りようとする。空中に滞空するホル・ホースの上に降りるつもりらしい。涎をじゅるりと飲み込む姿は、変態以外の何者でもない。 だが、それを簡単に許すホル・ホースでもなかった。 「調子の悪いオレのエンペラーなら、こういうことも出来るんだぜ?」 突き出した右手が、通常の人間には見えない特異な力によって生み出された銃を握る。 間髪入れずに人差し指が引き金を引き、銃口から飛び出したどこか弱弱しい弾丸がエルザ目掛けて放たれた。 「きゃあっ!?」 額に激突した弾丸にエルザが悲鳴を上げる。 額の一点がじわりと赤く染まり、そこから潰れたエンペラーの弾丸がポロリと落ちた。 少女の柔肌を貫くことすら出来ないスタンドは、殺すことは出来なくとも、エルザの集中を乱すことくらいは可能。ホル・ホースの目的は、エルザの魔法を解くことにあった。 「悪いな、エルザ。オレは、ガキに好きなようにされるくらいなら、死を選ぶ。そういう男なんだ」 魔法の効果が途切れ、浮いていたホル・ホースの体が再び自由落下を始める。 その一方で、不意の攻撃にバランスを崩したエルザの体が、風竜の尻尾の先端から滑り落ち てしまう。痛みに額を押さえていた手は、動きが出遅れて尻尾を掴むことが出来なかった。 もう一度、魔法を。 そう思ったが、一度にかけられる魔法は一人だけだ。風の魔法で浮いていたホル・ホースの上に飛び乗れば落ちることは無かったが、今は違う。 落下するホル・ホースか、自分か。救えるのは一人だけ。 究極の選択だ。だが、悩んでいる時間は無い。 悩む気も、エルザには無かった。 自分を拒んだ男を瞳に映して、エルザは悲しげに笑った。 「何を遊んでいるんだ、お前らは」 草原に尻餅をついたホル・ホースとその隣に両足で着地したエルザに、風竜の背中から降りようとしているジェシカに地上から手を貸していたカステルモールが、呆れた表情を浮かべて問いかけた。 足元に広がる芝生はトリステイン魔法学院の中庭のものだ。しっかりと手入れがされ、実にふみ心地の良いものに仕上がっている。 ホル・ホースたちは、既にトリステイン魔法学院に到着していたのだ。落下がどうとか言う以前に、そもそも地面はすぐそこにあった。つまりはそういうことである。 立ち上がったホル・ホースはひょいとエルザを持ち上げて、いつものように片手で胸の高さまで抱き上げると、互いに顔を見合わせてヒヒと笑う。 悪戯が成功して喜ぶ子供のような笑みだった。 「移動中ってやつは退屈だからよ。まあ、いいじゃねえか。ただの冗談なんだし」 「わたしは半分くらい本気だったけどね。激しく責めるのも悪くないかも、なんて。いやん」 ポッと赤く染まった頬に手を当てて体ごと首を振るエルザに、ちょっとだけホル・ホースの顔色が悪くなる。今まではあまり気にしていなかったが、うっかりしていると、本当に眠っている間に性的な意味で食べられる可能性があることに、今頃気が付いたのだ。 じとっとした湿気の強い視線をエルザに向けてみると、視線を反らしてワザとらしく口笛などを吹き始める。 この幼女、ヤる気満々だ。 危険物を排除すべくエルザを放り出したホル・ホースが、謝りながら追いかけてくるエルザと鬼ごっこを始めたのを横目に、カステルモールはジェシカと共に学院の中央に聳え立つ塔を眺めた。 白亜というには古臭い、高く聳える塔。巨大ではあるが、魔法だけでなく、建造物においても一歩先を行くガリアの出身であるカステルモールにしてみれば、驚くには値しない建物だ。 「ここが、シャルロット様の学び舎……か」 己の主を思い、しみじみと呟く。 思えば、こうして奇妙な連中の下らない提案に乗ったのは、この場所に来る理由を作るためだったのかもしれない。周辺の安全を確認するためにも、本来ならもっと早くこの場所に訪れて情報を集めたかったのだが、シャルロット本人がそれを拒んでいたために、今の今まで実現しなかったのだ。 今回は無理矢理な来訪だが、気に入っているらしい変人達に無理矢理連れて来られたと言い訳すれば、責められはしないだろう。 これも全て主を思うための行動だと、カステルモールは青い髪の少女とその父親への忠誠に酔っ払いながら心の中で呟いた。 「で、姉ちゃんよ。ここに用があるんじゃなかったのか?」 品の無い言葉がジェシカの口から飛び出す。それに驚いたのは、隣に居たカステルモールよりも、むしろ、言った本人だっただろう。 口を押さえて、なんでこんなことを言ったのかと戸惑ったジェシカは、ふと腰に下げた背の低い刃物のことを思い出して、怒ったように眉の形を変形させた。 「地下水!あんた、出発する前に人の体を勝手に使わないでって言ったでしょ!?」 「おおう、すまねえ。どうも癖でな。人の体に接していると、どうしても操りたくなるんだ」 万が一風竜から体を滑らせて落っこちてしまったときのために持っていたのだが、時折こうして嫌がらせ紛いのことをする。本人に悪気はないらしいのだが、その癖が厄介過ぎるために笑って許すことも出来ない。 まったく、と胸を持ち上げるように腕を組んだジェシカは、気を落ち着かせて先ほどの地下水の質問の返事をした。 「確かに、ここに用事はあるよ。でもね……」 言葉を止めて、どこまでも真っ青な空に視線を向けると、遠い目で呟いた。 「竜ってのがこんなに早く移動できるものだと思わなくてさ。トリスタニアで時間を潰したのに、予定より三日も早く到着しちゃったんだよねえ」 つまり、用事を済ませるには早く来過ぎたということだ。 「だったら、トリスタニアでゆっくりしていれば良かったんじゃないか!」 「そうは言うけどさ、この地下水が急げ急げって煩くて、言う暇が無かったんだよ」 「え、マジで?俺のせい?」 昨夜の騒動で筋肉痛の取れていないカステルモールが責めるように言うと、その責任をジェシカは無機物に反らし、地下水が呆然と呟く。 このまま責任を被ってもいいが、急いだ理由を聞かれると困る地下水は、更なる責任の所在を探して意識をあちこちに視線を向ける。視線を向ける、とはいっても、目が無いために実際にどうやって認識しているのかは永遠の謎だ。 探しているにしては具体的な目標を見定めている地下水が、追いかけっこをしている変人二人を槍玉に挙げてやろうと周囲を探っていると、その途中で懐かしい気配を感じてカタカタと金属音を鳴らした。 突然に中庭に降り立った竜を見るためにいつの間にか集まった無数の学生達の間から、緑色の髪を纏めた妙齢の美女が足音を鳴らして近づいてくる。 緑の髪で地下水の知り合いといえば、一人しか居ない。フーケことマチルダだ。 「あなた達、こんなところで何をしているのですか!」 妙に似合う伊達眼鏡を軽く持ち上げ、杖を振るって強く言い放つ姿は女教師という風貌らしさが出ていて実に似合う。口調が若干丁寧なのは、生徒達の目があるために演技を継続しているからだろう。 適度に距離を詰めて話し声が他の人間に聞こえない位置に立つと、ふっと雰囲気が一変して粗野な印象が強まった。 こっちこそ、フーケの本来の雰囲気だ。 「えっと、あんた確か、タルブ村に居たガリアの騎士だね?元、が付くけど。地下水はどうでもいいとして……、そっちのお嬢ちゃんは初めてか」 「俺の扱いがヒデェな」 小さく文句を垂れる地下水を無視して、マチルダはジェシカに手を差し伸べる。 「隠しても、どうせ口の軽いヤツラが喋っちまうだろうから先に教えておくよ。あたしはロングビル。学院長付きの秘書……、というか、学院長の代行をやってる。ま、その名前は実は偽名で、本当はマチルダって言うんだ。好きに呼べって言いたいところだけど、一応正体を隠してるから、出来ればロングビルの名前を使っておくれ」 「じぇ、ジェシカです。ええっと、その、本日はお日柄も良く、御目出度い席にお呼びいただき蟻が、ありが、アリ?」 差し出された手を取り握手をしたジェシカが、なぜか慌てた様子で奇妙なことを口走る。 どうやら、マチルダの肩書きの学院長代行という部分にビビッたらしい。そこらの貴族相手では物怖じしないジェシカも、従兄弟の勤める職場のトップ同様の相手ではいつもの調子が保てないようだ。 平民相手にそういう態度をとられた事のあるカステルモールは、すぐにジェシカの様子が変化した原因に気付いたが、あまり馴染みの無い地下水やマチルダは首を傾けて頭上に疑問符を浮かべていた。 ぷ、と誰かが噴出したことで、緊張が緩んだ。 「あっははははは!なんか、変なお嬢ちゃんだね。まあ、普通の子みたいだし、歓迎くらいはしてあげるよ。と言っても、さっきも聞いたように、ここに来た理由を教えてもらってからだけどね」 学院内に不審者を入れるわけにはいかない。そういう後で面倒になる部分はきちんと聞いておくつもりのようだ。 しかし、唐突な訪問でも怒らないというのは、実に珍しい。 マチルダは絶対に厄介事を嫌うタイプだと思っていた地下水としては、なんだか不気味で仕方がなかった。 「フーケの姐さん、いったいどうしたんだ?なんか、いつもと調子が違うじゃねえか」 「ふ、あたしは生まれ変わったのさ。あのクソッたれの大小コンビが運んでくる面倒ごとに比べれは、日常に存在するあらゆる出来事は取るに足りないことだって理解したんだよ。どうでもいいことで怒っていても仕方が無い。適度に受け入れて、笑っていたほうが幸せに慣れるんだってね」 かなり老け込んだ人間の考え方である。 外面では分からなかったが、大小コンビことホル・ホースとエルザの二人組みに関わっている間、密かにストレスを溜めていたらしい。うっかり悟りを開いてしまうほどに。 これからは、もうちょっと優しく接してやろう。 そう思った地下水だったが、さっそく優しくない報告をしなければならないことを思い出す。 マチルダは気付いていないようだが、ここに来たのはカステルモールや地下水、ジェシカだけではないのだ。 だが、ジェシカたちを客間に案内しようと動き出したマチルダにどう切り出したものかと地下水が迷っている間に、騒動の火種は向こうからやってきた。 どこまで走り回っていたのか。中央に聳える塔と周囲を囲む五つの塔を結ぶ渡り廊下の向こうに姿を消していたホル・ホースとエルザが、何かを手にして姿を現した。 「小汚ないテントの中漁ったら、なにか変なもの拾ったわ!」 「柄は違うが、トランプだよな、これ?こっちの世界にもあったんだなあ」 硬そうな薄っぺらい長方形の板の束を両手で運ぶエルザに、ホル・ホースが懐かしそうに目を細めている。時折、だーびーに魂がどうのこうのと口走っているが、それがどういう意味か理解できるのは、一人も居ない。多分、故郷の思い出話だろう。 「地下水……」 「は?うおおぉぉッ!?」 底冷えする声に反応する間もなく、ジェシカの腰から掴み上げられた地下水は、憎々しげに歪んだマチルダの表情に驚いた声を上げた。 「こ、これは、どういうこと!?あいつらが居るじゃないか!なんで連れて来てるって言わないんだい!!」 「一緒じゃないなんて一言も言ってないだろ!?姿が見えないからって、かってに居ないものと勘違いしたのは姐さんだぜ!」 「最初に言うんだよ、そういうことは!」 地下水を地面に叩きつけ、踏みつけるように蹴りを数発繰り出すと、マチルダは頭を抱えて蹲った。 「絶対、なにか厄介で面倒なことを運んできているに違いないんだ。嫌だ!せっかく安住の地を見つけたんだ!セクハラも無くなって、それなりの肩書きだって手に入れたんだ!あの子達を養っていける真っ当な職なんだ!手放したくない!!」 心の内を声高に叫んで、駄々っ子のように首を左右に激しく振る。 拒絶しても、多分、ダメだろう。そんな確信がマチルダにはあった。最低でも、何か一つを失う。そんな確信が。 「お、フーケじゃねえか。なにを苦悩してるんだ?あの日か?」 「フーケのお姉ちゃん、頭痛いの?お薬飲む?座薬だけど」 マチルダの存在に気付いたホル・ホースとエルザが、蹲るマチルダの様子を確かめようと顔を覗き込む。本人達には悪意は無いのだろうが、その行動はほとんど嫌がらせだ。 必死に手で追い払おうとするマチルダになにかを感づいたのか、纏わり付く勢いが増したホル・ホースとエルザを冷めた目で眺めていたカステルモールは、ふと、今が夏だったことを思い出して空を見上げ、明るく輝く太陽の光に目を細めた。 「これが……平和か」 絶対に違うと訴える主の姿を太陽の中に映し見て、カステルモールは最近増えてきた溜め息の回数を、また一つ増やしたのだった。