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『ジェーン・ドゥと天使と悪魔とその尻尾』 トップ > SS置き場 ■ジェーンさん:白いゴスロリの魔法使い。 見た目は小学生。 女難の相あり。←自業自得。 通称:ジェーン・ドゥ 今生名 瑠璃堂院月子 イラストは、( 「ケモ魔女メーカー」 )にて作成 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ■セブンさん:【運命の方翼】の1人。 赤いライオンヘアでトゲトゲアクセサリーのパンクな女。 実は世界有数の大財閥の令嬢。 独占欲が強く、ジェーンさんを独り占めしたがる。 本名:葉車奈菜(はくるまなな) イラストは、( 「女メーカー」 )にて作成 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ■幸男(ユキ)さん:ジェーン大好き。女装男子→女。 中国拳法と東洋医術を修めている。 推しの幸せは...私の幸せ... 【運命の方翼】武力担当 通称:ユキ 本名:那須幸男(なすゆきお) イラストは、( 「ひよこ男子」 )にて作成 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ■千穂ちゃん:お嬢様言葉を使う月子様大好き少女。 【運命の方翼】記憶担当、魔法使い(弱)、何気に高い行動力。 4人の中ではお母さん的存在。 本名:朋田千穂(ともだちほ) イラストは、( 「柊祈式女子メーカー」 )にて作成 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ■ジェニー ジェーンさんの因子から組み上げられた、ナノマシンで構成された機械生命体。 生きたコンピューター。 設備なしでインターネットにつながることができる。 ジェーンさんが「魔術師(ウィザード)」であるのに対して彼女は「超級ハッカー(ウィザード)」…になるかもしれない。 通称:ジェニー・ドゥ 本名:瑠璃堂院穂子(るりどういんみのりこ) イラストは、( 「ケモ魔女メーカー」 )にて作成 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 尻尾……動物のお尻のとこにあるしなやかな部分。長さはさまざまである。 人間には基本付いていない……が彼女のお尻にはそれが生えていた。 狭義の意味で人間ではない彼女の種族は、それでも尻尾がある生物ではない。 けれど昨今世界的に蔓延した疫病に対する、ワクチンによる副作用で生えたのだ。 通常のワクチンならこんなことにはなりはしないが、なんとこのワクチン……学園製であった。 つまり……普通ではあり得ないことが起こる。 例えば、己の中の古の血筋である妖精の血脈に目覚める者。 例えば、手からマシンガン膝からロケットを打ち出せるようになる者。 例えば、水をかぶると性別が変わる者。 通常なら大問題だがここは蓬莱学園である。 概ね好意的に捉えられていて、さほど問題にはなる事はなかった。 彼女もその1人であるはずだが、どうにもノリきれていなかった。 彼女の副作用は『尻尾が生えて本物の腕と同じように使える』と言うものだ。 しかし一見便利そうなコレを、彼女は人前で使ったことがない。 『尻尾』が問題なのではない。 生えてる場所が問題なのだ。 彼女の尻尾は黒くしなやかで先端部分には青白い炎が点っている。 因みに、熱くはないこの炎が『手』の役割を果たす。 つまり、自由に動かそうと思うと、スカートがバッサバッサと捲れるし、下着だって既製品だとほぼ半ケツで収まりが悪い。 もちろん中には、尻尾の生え際問題をクリアできる物もあるにはあったが「ひもじゃろ!?こんなん隠せてないに等しいじゃろ!」 と絆創膏サイズの布を見て悲鳴を上げ見送ることにしたのだ。 では、今までどうしていたのか? 尻尾が生えたのは2年以上前であるのに、今になってなぜ恥ずかしがるのか。 かつて彼女はドロワーズという古風なタイプの下着を付けていた。 裾の長いかぼちゃパンツである。 彼女の尻尾はその太ももや腰に巻かれて、下着の中に入っていた。 つまり『収まりが悪い問題』は、下着を現代的なものに変えたことにより発生したのだった。 それでも彼女は約半年の間、我慢を重ねてきたのだ。 なぜなら、その下着を選んでくれたのが他ならぬ恋人たちだからであった。 ※※※※ 「センセェ?どうしたんですか、様子がおかしいですよ?」 職場である委員会センタービルから男子寮である恵比寿寮への往診の途中でのことである。 「あぁ……なんでもない」 「……あっ……予備なら持ってますよ、どうぞ使ってください」 そう言ってカバンから取り出したものを握らせた。 握らされたものを一目見たジェーンはそれを幸男(ユキ)に返しつつ「必要ない」とだけ答えた。 「でも様子が変ですよ?」 ジェーンを覗き込んで心配する幸男(ユキ)になんと答えたものかと思考を巡らす。 (素直にパンツずれ落ちそうって言う?しかし、今日のは幸男(ユキ)がプレゼントしてくれたものじゃ、悲しませたくはないし、お腹痛いって言う?医者の不養生って言われて心配されるだけじゃし……ああ、どうしたらいいんじゃ!) ジェーンのスカートの上から腰あたりを気にしてる仕草を見て「あ!なるふぉど!」とジェーンの手を引き物陰に入り「解け易いですもんね、気がつくのが遅くなってごめんなさい」と当たらずも遠からずと言った内容で謝ってきた。 物陰に隠れてスカートを捲り紐を結び直す……とは言え問題はそこではないためその後もしばらく歩くたびに同じことを繰り返す。 「なるふぉど……そう言うことでしたか」 ジェーンを心配する幸男(ユキ)の圧に負けて全てを打ち明けると、呆れたように返ってきた。 ※※※※ 「と言うわけで、皆んなで考えましょう」 その日の夜。 いつもの夕食後ののんびりタイム。 「そうはいってもな……以前のようにドロワーズでいいんじゃないか?」 「奈菜さんはわかっていませんね 月子様の服装にバリエーションが出来たのは、服の邪魔にならない下着を着けるようになったからですよ」 「どんな服装だろうがジェーン(こいつ)はジェーン(こいつ)だろうが」 「それでも着飾っていて欲しいし、着飾りたいと言うのが女心でしょ?」 「そんなもんかねぇ」 セブンが首を捻りながら「俺はそうでもないけどなぁ」と呟いた。 それを聞いたジェニーが 「セブンは心に○んこ生えてる」と呟いた。 「な!?……なんつった?ああ?!!」 セブンは椅子を蹴って立ち上がりジェニーに凄んで見せる。 「まぁまぁ やめなさい2人とも」とすかさず幸男(ユキ)が間に入り 「穂子さんもそう言うことを言ってはいけません」といつもの光景であった。 「それに尻尾の問題は貴女も同じでしょう?」とジェーンの因子を元に作られたナノマシーンの集合体、機械生命体であるジェニー・ドゥこと瑠璃堂院穂子にも尻尾はあった。 ジェーンとの違いは、後天的か先天的か。 「穂子さんはどうしてるんです?」 「我ははいてないから問題ない」 「「「え?」」」 「そうじゃ!その手があったか!」 「「「ええええ!?」」」 当然ながら3人から反対されて却下されたのだった。 ※※※※ 「つまり服に穴をあけるのが、尻尾的には1番楽と?」 「まぁそうじゃな のびのびしとる方が楽なのは間違いないの」 ジェニーも横で頷いている。 「でも、問題があると?」 「うむ、生え際がもうお尻なんじゃ……そこに穴が空いとるなど、お尻を出した子一等賞じゃ」 「は?」「ふざけないでくださいませ」「センセェのお尻なら常に一等ですぅ」 「お姉ちゃんや 我にはわかっておるからな」 「……うむ」 「つまり穴は開けたいけど、開けたところからお尻が見えるのが嫌と」 「うむ」 「なんと言うか……尻尾の付け根付近も【お尻】な感覚なんじゃ」 そう言って皆の注目を集めるお尻を手のひらで隠す。 「センセェ、確かめさせて下さいください。今まで意識して観察した事ないので良くわからないので!確かめる必要があります!」と幸男(ユキ)が早口で提案した。 ・ ・ ・ 「うぅ……こんな状況……数百年ぶりじゃ……ええぃ!まだか!?まだ終わらんのか!?」 椅子に手をついてスカートを捲り上げ下着を下ろし、お尻を突き上げた状態で観察されているジェーンは恥ずかしくて仕方がなかった。 ジェニーはといえば「同じなんだから1人が見せれば十分だ」とコレを断固拒否したのだった。 確かに尻尾は尾骨の延長の様に生えている。 つまりお尻の割れ目を数センチ進んだところ。 もう数センチいけば菊の花が咲いているのだから、恥ずかしがるのは無理もない事だった。 「もういっその事 長い手袋みたいなのにすればいいんじゃないか?」 「「「「それだ!」」」」 こうして紆余曲折あったものの、レースで作られ帯に、尻尾の根元10数センチをカバーする筒のついた物を作成。 コレでスカートやパンツに穴を開けてもお尻から根元までを見られる事は無くなった。 「センセェが恥じらってる姿……もっと見たかったなぁ」 ※※※※ 「しかし……改めて見ると、長いですねぇ」 幸男(ユキ)が尻尾の根本から先っぽの炎までを撫でながらそう言うと 「測ってみようぜ!」と、セブンが言い出した。 それに千穂が乗って筆箱から取り出した15cm定規で測り出す。 「……流石にこれでは計りずらいですね……多分ですけど、180cmはないと思いますが……」 「180!?長すぎんだろ!」 「お姉ちゃんの身長から考えると、身長の130%か……哺乳類最大の尻尾を持つフサミミクサビオリスというリスのみたいな比率だな」 「よくそんなの知ってたな」 「センセェはリス?カワイイ!」 「穂子さんの尻尾は…………150位?」 「うん……自分のを測った事ないが、そんなもんだと思う」 ※※※※ ジェニーこと穂子が前へ倣えしてみせた。 尻尾をお尻から肩の上を緩やかな曲線を描きながら、両手の間へその先っぽを持ってきてみせた。 頑張ればもう数センチは前へ伸ばせるけれど、硬い関節が突っ張る様な感覚があって辛いとのことだった。 ※※※※ 「そんだけ長いとバランスどうなってんだ?」 ジェーンとジェニーは顔を見合わせて不思議そうな顔をした。 「我は元から尻尾があるから、無い状態が想像できない お姉ちゃんは最近だろう?尻尾生えたの」 「最初は崩しがちじゃったが、今は順応しとるな。体が慣れたのか魔法が聞いとるのかわからんが、特に問題ないの」 頭の後ろで尻尾を揺らしながらそう自身を顧みた。 ※※※※ 「しかしよ、実際何ができるんだ?」 「確かに気になりますわ」 「センセェが尻尾を使ってるところを見た事ないですからねぇ」 「我は普通に一通りできるぞ なにせその様に作られたからな」 「穂子さん【作られた】はNGでしょ?【生まれた】でしょう?」 千穂はジェニーを人間として扱うために、言葉を言い換えさせていた。 例えば【視覚センサー】は【目】、【聴覚センサー】は【耳】等等……。 当のジェニーは【機械生命体】という個性を気に入っているため、さほど気にしてはいないが、トラブルを避けるためと言われれば従うのも吝かではなかった。 閑話休題 「我はこの体で生まれたからな、元より制御出来ている」 右手で左袖のボタンをつけ外ししながら、尻尾で右袖のボタンをつけ外ししてみせた。 「おお!便利ですね!」 「器用ですわね!」 「でも、地味じゃねぇ?」 「……は?」 ジェニーの眉が吊り上がる。 「じゃあセブンにできるのか?」 「出来ねぇよ。でも、別にこまらねぇし、世の中の道具が2本腕用だからなぁ……もう一本あれば2人力だったろうに……今にの状態じゃ活かしきれねぇだろ」 「……それはそうだけど……でも!ギターのコードを左手と尻尾でやれば運指も楽だぞ!」 「だとしたら1本の腕でそれができる方がすごいだろ」 「うぐ……タイピングが人類の1.5倍速!」 「お前の場合、タイピングより直接繋がって入力した方が早いだろう?」 「それはそうなんだけど……そうだ!タイピングしながら食事ができる!」 「食事中は行儀良くしろ ぶっ飛ばすぞ?」 「……うぅ お姉ちゃん!」 言い負かされたジェニーは半泣きを装いながら、自身の元になった存在へ助けを認めた。 「儂はまだ実践した事ないから大したことは言えんがの……先ずは体洗う時に便利じゃな、背中も前と同じ様に洗えるしの」 「あら、それはいいですわね」 「センセェの背中は私が洗ってあげますよぉ」 「なるふぉど……ちょっといいな」 「背中を洗う……ってなんだ?」 視線が集中する中、居た堪れなくなって早口で口を開く「いや、今 検索した 体表に老廃物など出ない我には必要ない事の様だ!」 「今日は皆んなで大浴場へ行くか!洗ってやるよ!」 乱暴な口調ではあるものの、面倒見の良いところも魅力じゃなと、うんうん頷くジェーンであった。 「他にはそうじゃな……隙間に落ちたものを取りやすいの!」 一同「なるふぉど」と頷いて後、千穂がふと思いついた質問を口にすry。 「特別力が強かったりするんですか?」 「カカカカッ!いいとこに気がついたの!」 「あ やっぱり怪力だったりするんですか!?」 「いんや 他の腕と変わらんカカカカ 鍛えれば強くもなろうが、良くも悪くも『ジェーンの腕』じゃ!」 「腕相撲ランキングに変わりはないってことか」 腕相撲ランキングとは、この場にいるジェーン、千穂、幸男(ユキ)、セブン、ジェニーの5人に加えてセブンの妹の九重、兄嫁である忍の7人で競われた腕相撲の順位の事であった。 「あとはそうじゃな……相手の意表をついて攻めることもできるじゃろうな」 「確かに!予想外のところから腕が伸びてきたら確実に一本取られますね!」 「うむ、少なくとも1.5人の相手を強いるわけじゃからな」 「センセェは先ず見た目で相手の油断を誘えますからね、随分トリッキーな感じになりますね」 「危ない事は……」千穂がそう言って心配そうに見ている。 その手をとって「何も進んで危ない事をしようと言うわけじゃ無い ただその場を切り抜けるのに備えておく必要があると言うだけじゃ」 ヨシヨシと頭を撫でてやる。 するとセブンと幸男(ユキ)も無言でヨシヨシをせがんでくる。 ジェニーはそれを苦笑いで眺めていた。 「ああ、もう一つあったぞ」 3人を同時にヨシヨシしながら思いついたジェーンは、4人で過ごした夜のことを……彼女達の嬌声を思い出しながらどう説明したものかと腕を組んで考えたかったが、ヨシヨシを優先したため空いておらず、あと2本尻尾があればいいのにと苦笑したのでした。 ※※※※ 試行錯誤の末、スカートには穴を開けないことにした。 ズボンならある程度肌に近いがスカートは大きく揺れ動き穴の位置も同じく揺れ動くため、かえって落ち着かないとの感想があった。 「まくった袖がずり落ちてくる様な、なんとも落ち着かないんじゃ」 しかし、尻尾用に作った帯――テールベルトと命名――のおかげで紐パンであっても、半ケツであっても以前より収まりが良くなって、ジェーン ジェニーの姉妹は人心地が付いたのでした。 ※※※※ それで結局尻尾はどうしたかと言うと…… 「今まで通り腰や太ももに巻き付けておるんじゃ」 恵比寿寮への往診の途中、幸男(ユキ)との会話の際だった。 春一番が吹き2人のスカートを捲り上げていった。 それを偶然みた男子生徒によって噂が流行ることになる。 曰く「那須幸男(ユキ)は純白の下着とタイツとガーターベルトでまるで天使の様だった」 曰く「白いヤブ医者は黒い貞操帯を付けていた 女癖が悪くて幸男(ユキ)さん達に付けられたに違いない」 ・ ・ ・ その噂を耳にした彼女達は 「貞操帯なんぞここ数百年付けとらんわ!」 「つけたとこあるんですか?」 「昔、ヨーロッパにいた時にの」 「んじゃ付けとくか!」 「そうですわね!」 「センセェの貞操帯姿見てみたいです!」 「……え?……嘘じゃろう?……おい、セブン?その手に持ってるのはなんじゃ!?おい!やめろ!ユキ!なんでスカートを捲るんじゃ!千穂ちゃん!その手を離せ離すんじゃぁ!はなせぇ!この悪魔どもぉ!」 「本当にお姉ちゃんたちは仲がいいなぁ」 ※※※※※※ ジェーン・ドゥと天使と悪魔とその尻尾 終り
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『ジェーン・ドゥと神在月(ハロウィン)』 トップ > SS置き場 「ハロウィン?」 「そう!一緒に仮装しようぜ!」 10月30日 セブンの部屋で夕食(秋刀魚の塩焼き、かぼちゃの煮物、揚げ浸し、お味噌汁、麦飯)を頂いてる時だった。 「そもそも日本の風習ではなかろうが」 「いいじゃねぇか『祭りの嫌いな神はなし』って言うし、八百万の神も許してくださるだろうよ!あれ?祭りじゃなくて酒だったか?まあいいや!」 首を傾げて「そんなもんかのぉ?」と呟くジェーンに 「な!仮装して馬鹿騒ぎしようぜ!」と改めて迫るセブン。 「断る」 「とりあえず一回断るってのは辞めようぜ?」 「……ならば最後まで断り続けるとしようかの」 「仮装ぐらいいいじゃねぇか!」 「口に物を入れて喋るでない」 ゴクリと飲み込む音が聞こえて「仮装ぐらいいいじゃねぇか!」 「言い直したからといってせんぞ」 「ジェーンだったら似合うのになぁ……」 「……」 「きっと可愛いんだろうなぁ」 「……」 「せっかく九重が衣装貸してくれるって言うのによ」 「(九重ちゃんが?ちょと気になるの)」 「(お!気になり出したな!)九重が『ジェーンんお姉様の為に!』って用意してくれたんだよ」 「(なんと……)」 「着ないってなると悲しむだろうなぁ」 「(……いや……乗せられてはいかん、絶対面倒なやつじゃし)」 「終わったらモツ鍋なんだけどなぁ」 「(九重ちゃん家(ち)のもつ鍋かぁ...美味いんじゃよなぁ…)」 「因みに、仮装して九重の家に集合して飯を食うだけのイベントだ」 「ハロウィンとは……」 「仮装して馬鹿騒ぎする祭りだろ」 「……まぁヨシ!」 「んじゃ、これだ」 そう言ってジェーンの前へ押しやったのは、霧の箱。 「これは?」 「開けてみろよ」 「……着物かの?」中身を手に取りそういうと、続けて「儂、着付けれんぞ?」 「俺が着付けてやるよ」 「ちゃんとできるのか?」 「九重に着せてやってたの、俺だぜ?余裕よ」 自慢げにそう言ってジェーンの肩を叩いた。 10月31日 14 30 セブンの部屋 「似合うじゃねぇか!」 「……」 そこには、黒地に鞠模様の振袖、帯は小万結び(こまんむすび)に結んで頭には禿(かむろ)のカツラを被っているジェーンの姿があった。 どこからみても『座敷童(ざしきわらし)』だった。 「どうした?青い顔して?」 「……この着物……絹じゃろ……それに……結構古い……これ絶対高いじゃろ?」 「あーまぁ…気にすんな!」 ジェーンの心配を笑い飛ばすセブンだが、彼女の不安は深まるばかりだ。 「儂、このレベルのモンを弁償なんぞできんぞ……因みに、いくら位じゃ?」 「(嘘言ってもどうせバレるし……ここは正直に)これぐらいだ」と指を2本立てて示す。 「!な!なん……じゃと……(200万もするのか!)」 「(2000万だからなぁ)安い物(やすもん)だ。気にすんな!」 「儂……誘拐されるんじゃないか?着物目当てに」 「あっはっはっはっはっは!そん時は着物よりお前だろ!」 笑い飛ばすセブンはさらに続けて 「それに誘拐されるようなタマでもねぇだろ」 「着物を痛めやしないかと、不安で力を発揮できん気がする……」 「着物よりお前のが大事だからよ、そん時は全力でやれ」 「(これが……金持ちってやつか……改めて感覚が違うのぉ)」 10月31日 15 00 女子寮前 座敷童に扮したジェーンと セブンは白い布を頭から被って足元だけがみえている。 その足元はサンダル。 二人は寮を出て町を散策して後に九重の屋敷に向かう予定となっていた。 「ところでお主のその仮装はなんじゃ?」 「なんだと思う?当ててみろよ」 「当てたらいい事あるのか?」 「明日の晩飯奢ってやるよ。その代わり外れたら晩飯奢れよな!」 「儂は肉が食いたいの」 「同感だ。……さぁ当ててみな!」 頭から被った白い布に足元はサンダル……顔に当たる部分は大きな目が描かれておる……これはあの方じゃとおもうが……現代日本で、あの方の仮装など……? ジェーンは昔を思い出していた。 あれは初めてエジプトへ行った時の話。 この頃のジェーンはまだ転生したことがなく、自分自身でもただ見た目が若いだけだと思っていた頃。 「メジェド様?」 「ええ。【打ち倒す者(メジェド)】という、敵を目から出した光線で倒す神様です」 碑文を黒曜石に刻んでいた神官がそう教えてくれた。 世界には多くの神が在り、手がいっぱいあったり、顔がいっぱいあったりと書くのが大変な神々が多い中で、書きやすい神だないう印象を受けたのを覚えている。 セブンの仮装はそのメジェド様にそっくりだった。 「で?なんの仮装かわかったのかよ?」 セブンの声でメジェド様が聞いてくる。 「うむ。エジプト神話のメジェド様じゃろ!」 「……正解だ……なんで知ってんだよ?」 「エジプトへ行った時にの、聖刻文字(ヒエログリフ)に載っておったのをみたことがあるんじゃ」 「ちっ……色んなとこ行ってやがんな」 「明日はカツ丼が良いのぉ!玉子はとろとろで頼むぞ!かかか!」 10月31日 15 45 かぼちゃの提灯がならぶ学食横丁 学食横丁を歩き始めて間もなく。 「すまん!委員会の仕事が入った!すぐ終わるとは思うが、ひとまず単独行動で頼む!19時には九重ん家(ここえんち)な!」 「ちょ!?おい!……行ってしもうた……」 学食横丁で置いてけぼりの形となったジェーン。 周りには、色んな仮装が行き来している。 「なかなかクオリティ高い仮装じゃなぁ……」 その中でも特に目立つのが【6枚羽の天使が率いる一団】や、それと睨み合ってる【まるでマフィアの様な格好の悪魔の一団】だ。 彼らは浮いて光ったり、硫黄のような匂いを漂わせながら周りが暗くなったりと演出などもバッチリだ。 目を移せば、眼帯で両眼を覆った髪が蛇の女(メデューサ)と鏡の盾を持った筋肉男(ヘラクレス)が仲睦まじく、ハロウィンデートの真っ最中だ。 他にも像の頭の男(ガネーシャ)や三面六臂の人物(アシュラ)がいるかと思えば、空をドラゴンと箒に乗った魔法使いが編隊を組んで飛んでいた。 「流石、学園生徒よのぉ仮装のチョイスが神かかっておる。神話だけに神かかっておる……くっ」恥ずかしさに一人赤面したのだった。 もちろん中には頭に猫耳つけただけの生徒もいれば、安っぽくはあっても全身仮装している生徒もいる。 クオリティは千差万別。 「一人ではつまらんのぉ」 喧騒の中、ぽつりと呟いた。 その呟きは誰かの耳に届くはずはなかった。 はずもなかったが一瞬、クオリティの高い連中が振り向いたように見えた。 「……?」 「……」 「ん?おお!もう委員会は良いのか?」 振り向くと『頭から白い布をかぶって足元はサンダル。顔のところに大きな目』の……メジェド様が立っていた。 「てっきり時間がかかると思っておったが、意外と早かったの?」 「……」 「なんじゃ?腹が減ったと?この後で九重(ここえ)ちゃんとこで鍋を囲むんじゃろ?」 「……」 「別腹とな?」 大きく頷くのを見て、肩をすくめる。 「まぁ良いわぇ。では、屋台を制覇しようではないか!」 10月31日 黄昏時 かぼちゃの提灯に怪しい灯が灯る学食横丁。 こうして座敷童(ジェーン)とメジェド様は、まるで縁日のような屋台が並ぶ街中をあっちへふらふら、こっちへふらふら。 そんな中…… 「臭い臭い!おお!何が臭いかと思えば地獄の底に落とされた生ゴミどもじゃないですか」6枚羽がそう言うと。 「ああん?誰かと思えば、ゴキブリエルじゃねぇか!」尻尾の生えたお洒落なマフィアが、その尻尾で地面をパシン!と叩きながらそう返した。 「な!なな!なんだと!」 「生ゴミにわざわざよって来るのはゴキブリくらいなもんだろ?羽も生えてそっくりじゃねぇか?なぁ?野郎ども!」 がっはっはっはっ!と取り巻きから哄笑が響く。 鏡の盾を持った筋肉男(ヘラクレス)が、髪が蛇の女(メデューサ)にたこ焼きを「あーん」してる。 神話では、敵対関係にあった両者は日本に来て恋仲になったらしい。 (ヘラクレスには『へーべー』と言う奥さん女神がいたと思ったが……) 像の頭の男(ガネーシャ)は手と長い鼻を使い型抜きに挑戦して、三面六臂の人物(アシュラ)はイカ焼き、たこ焼き、焼きとうもろこしをそれぞれの手に持ち、それぞれの口で食べていた。 (あっという間にお腹いっぱいになりそうじゃな) 人混みの中、背の低いジェーンはどうしても周りから見えにくい。 しかも混雑していて、相手が酔っ払いなら尚更だ。 酔った褌姿の生徒がジェーンと当たってよろめいた。 「おぉっとごめんヨォ」 よろめいた先には悪魔の尻尾が在り、踏んでしまう。 「ひぎゃぁ!?」 踏まれた悪魔は驚いて怪光線を出してしまい、当たった屋台がハデに爆発。 プロパンガスのボンベがふっ飛んでいく。 「あああああ俺の屋台がぁあああ!?」 爆発した屋台の近くにいた天使は攻撃されたと勘違いして 「おのれ悪魔め!天罰を喰らえ!」 周囲に雷を落とす。 上空を飛んでいたドラゴンと魔法使いが巻き込まれて 「あんぎゃあああ!」 「あばばばば!」 墜落し、その巨体で衆人を薙ぎ払う。 「ぎゃぁあ!」 「いやぁ!」 「ぺっちゃんこ!?」 魔法使い達は編隊を組み直し 「人間ごときが魔法だと!?おのれ劣等種め!」と上空から魔法の矢を降らす。 デート相手を薙ぎ払われた髪が蛇の女(メデューサ)が怒り心頭「ダーリンの仇!」とマスクを取って周囲を石化していく。 石化を回避できた者は我先に逃げ出し混乱と爆発の連鎖が広がっていく。 周囲は神話級の大混乱となっていた。 あまりの現実離れした事態に、ふとこんなことを考えてしまう。 「イシュタル様(おかあさま)のはいらっしゃらないのかのぉ」 混乱と爆発は更に撒き散らかされ、ついにはジェーンも巻き込まんとした時、メジェド様が彼女を庇うように進み出た。 次の瞬間、閃光と轟音と共に一帯が薙ぎ払われていく。 ジェーンにはメジェド様の背中しか見えていなかったため何が起こったのかわからない。 「なんじゃぁ!?なにが起こっとるんじゃ!?セブン大丈夫か!?」 そして轟音が鳴り止んだ時、辺りは更地になっていた。 「いったい……何が起きたんじゃ……」 目の前の光景に唖然とするジェーン。 ふとメソポタミア(ふるさと)の風を感じて、意識が遠のく。 倒れ込みそうになる彼女を支えたのは、柔らかくて温かい……懐かしい何かだった。 「………………。」 10月31日 15 50 かぼちゃの提灯がならぶ学食横丁 道路脇のベンチ 「ん……ん〜……」 大きく伸びをすると背中がバキバキと鳴った。 いつのまにか寝ていたようだ。 「はて?なんでこんな所で寝るんじゃろうか?」 記憶を辿る……。 確か、セブンが委員会に行ったところまでは覚えている。 そのあとの事はイマイチ思い出せないが……休憩の為にベンチに座った所で寝てしまったのだろうと推測した。 「随分と……大変な夢を見た気がするのぉ」残念ながら内容までは思い出せなかったが。 さて、取り敢えずどうするかと立ち上がってお尻の埃を払い、持ち物などを確認する。 盗られて1番困るのは九重(ここえ)ちゃんから借りた着物だが、巾着に入れた財布やスマホもそれなりに心配だ。 巾着の中には財布やスマホ以外にも、細々としたものと……小麦の穂が入っていた。 「はて?入れた覚えはないんじゃが?」 遠く故郷の匂いがするそれを巾着に戻すと、自然と笑顔になってることに気がついた。 遠くに知った顔をみつけた。 約束の時間にはまだ余裕もあるし、何より気分がいい。 ジェーンは声をかける事にした。 了 ※第89話 『そしてまつりのなかへ』 と続く エピローグ ※第89話『まつりのなかへ』の後 九重(ここえ)の屋敷に遅れて来たジェーンは、待っていたセブンと一緒に鍋を囲った後の事。 「何度も謝っとるじゃろ!」 「……」 「お主が儂の代わりに屋敷の者達に頭を下げてくれた事も聞いておるし、それについて感謝もしておる。とはいえ何度も言った通り迷子の案内をしておったんじゃ……本当にすまぬ」 遅れて来た事については屋敷の者達に謝罪を済ませていた。 だが、セブンの機嫌だけが治らない。 「のぉ……何を怒っとるんじゃ?」 「……」 セブン自身も何を怒っているのか分かっていなかった。 ただ気に入らない何かがあった。 「遅くなった事か?」 「……理由が理由だ…しょうがねぇよ」 「ならば連絡をせんかった事か?」 「それもあるけど……違う」 「……じゃぁなんなんじゃ?」 ジェーンはセブンの隣へ座りその手を重ねる。 「お主の機嫌が悪いと、どうにも座りが悪いんじゃ…機嫌を治してくれんかのぉ?」 「(ああ…分かった、知らない香水の香りだ!……でも、なんでそんなもんで不安な気持ちにならなきゃいけねぇんだ?)」 「どうした?何か分かったかの?」 「香水変えたか?」 「は?……変えとらんが?」 そう言いながら、ジェーンは自分の匂いを嗅いでみる。 確かに普段使わない香りがした。 「これ……昔、神殿で捧げた香に似ておるの」 「……て事は昔馴染みと会ってたって事か?」 「そんな事はありえんの……それにこの香はもう作れんはずじゃし」 何度も何度も匂いを嗅ぎながら考えるが結局「色んなのが混ざって偶然こうなったんじゃろな」と言う結論になった。 「(なるほど偶然か……)ならしょうがないな!」 みるからに機嫌の治ったセブンだった。 「かかか!泣き虫セブンの機嫌が治ったか!」 「誰が泣き虫だ!」 「なんじゃさっきまで泣きそうな顔をしておったクセに!」 「はぁ!?…は…はぁ!?」 「かかかかか!痛!痛ったい!!暴力反対じゃ!」セブンの肩パンである。 「うるせぇ!着物で蹴り足をあげれねぇ今がチャンスなんだよ!」 「くそ!お主それが狙いだったのか!?」 「偶然だが!この偶然を最大限活かす!」 「くっそぉ!この悪魔め!」 「メジェドは神だってんだよ!」 二人の戯れ合いはメイドの大名東が止めに入るまで続き、二人して裸に剥かれて風呂へ放り込まれたのだった。 エピローグ2 宇津帆島のはるか上空。 月明かりに照らされて、一際光る雲がある。 その雲の上。 日本の神在月に合わせて異国の神も集まっていた。 古の時代は集まることすら一苦労。 予定通り集まれるかさえ怪しい時代だった。 それ故に人々の縁結びの会議に一月を要していたのだが、今やその人々のおかげで簡単に移動できるようになり、そこに問題はなくなった。 移動に時間が取られなくなった分、空いた時間で宴会となるのは自然の流れだった。 この宴会を目当てに今や世界各地から、異国の神々も集うようになっていた。 今年は宇津帆島が会場に選ばれていた。 そして今、はしゃぎ過ぎた彼らは正座させられていた。 地上に降りたのは……いい。 姿を見られたのも、ハロウィン中の事だしそれもいい。 魔法だって、宇津帆島での事だ、まぁいいとしよう。 しかし、それが人々に被害をもたらしたのは問題だ。 話し合いの結果、時間の巻き戻しが決まり実行された。 世界中から神々が集う今だからこそ、簡単に採決され実行されたのだが……とはいえ人々に影響が残らなかったわけではない。 むしろ、敢えて影響を残す神々もいた。 それはごく僅かなものとして見逃される程度のものだったが。 ある女神は己のシンボルである小麦の穂を、クルクル回し微笑んでいた。 彼女が微笑むのは、目の前で繰り広げられる『ヘラクレスの配偶神(ヘーベー)×鏡の盾を持った筋肉男(ヘラクレス)×髪が蛇の女(メデューサ)』の修羅場を眺めてかそれとも、地上の愛娘を眺めてか……。 了
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ウェールフープ学において能力(理:welfanfi e)とは、ケートニアーそれぞれに発現する固有の能力。個人ごとに能力は厳密には異なるが、ウェールフープ学上ではカテゴリー化され名付けられている。 目次 概要 能力の一覧火炎 氷結 電撃 小空間時間停止 概要 古来からケートニアーのウェールフープ能力は「共通能力」(dalarwelfanfi e)と「固有能力」(lerndalarwelfanfi e)の二つに分けて認識されていた。前者はネートニアーを凌駕する回復能力やモーニ体を始めとする体内組成の違いなどが挙げられる。しかし、後者は昔から人物ごとに異なった能力を持っており、非常に多様なものであった。 能力に関しては理論的な説明が行われず、ただ単に「~ができる」ということを記述している事が多い。 ケートニアーの能力は14~15歳頃に発現することが多い。この年齢であることはおそらく子供のときに考え無しに能力を発言して自傷他害することによってコミュニティを害する個体が進化の過程で選別された結果だと考えられている。発現の補助を行う能力を持っているものも居る(*1)。 能力の一覧 火炎 保持者:八ヶ崎翔太(Kranteerlシリーズ) 炎を放ったり、制御したりすることができる(*2)。 氷結 保持者:レシェール・クラディア(Kranteerlシリーズ)、レシェール・シュカージュ(Kranteerl y io xal) 氷を整形したり、それを制御して攻撃や足場とすることができる(*2)。 電撃 保持者:レシェール・ラヴュール(Kranteerlシリーズ、覚悟と責任) 電気を操ることが出来る(*1)。 小空間時間停止 保持者:夕張悠里(Kranteerlシリーズ) 小さい空間で時間を停止することが出来る。現在のウェールフープ理論では説明が困難であるとされる(*3)ため、正史人物への適用は避けられたい。
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『ジェーン・ドゥと彼奴の誕生日(クリスマス) 第一部』 トップ > SS置き場 11月20日 放課後 委員会センタービル1階、裏口近く。 白いヤブ医者ことジェーンの診療所(ほけんしつ)。 「クリスマスに温泉旅行とな?」 「そぉですよセンセェ…温泉行く約束してたじゃないですかぁ?」 「うむ。温泉は行く約束はしたの」 今年の宇津帆島は異常気象で本土並みに寒い。 外では寒風が吹き、落ち葉が円舞曲(ワルツ)を踊る季節になっていた。 そんな放課後。 ストーブにヤカンとお餅を如何に芸術的に並べられるかと、唸っていた最中のことだった。 「だからぁクリスマスに温泉旅行行きましょう?」 「……クリスマスのぉ」 「それとも、もう予定があるんですかぁ?」 「ふぅむ……」この診療所の主、銀髪金眼、右眼を黒い眼帯で覆っている白ゴスなロリッ娘ジェーンは、この診療所の看護婦長である、那須ゆき(本名 那須幸男)に誘われて悩んでいた。 そもそも、祝われてる彼自身に誕生日を祝う習慣などなかった。 そのうえ不老転生体(ふろうてんせいたい)であるジェーンは3000年以上の人生を生きている。 その中で彼女の信仰は『愛と美・戦と王権・豊穣の女神であるイシュタル(おかあさま)』へ捧げられている。 それを自分よりも年下の人物に信仰を寄せるはずもない。 故にクリスマスに特別何かすると言った事もない。 しかしながら、ここ数年は特定の人物から誘われて宴会に参加するようになっていた。 おそらく、今年もそろそろ誘われる時期なのだ。 「ねぇセンセェ?予定がないなら行きましょうよぉ?」 「予定はないと言えばないが、あると言えばあるんじゃよ」 「……あの赤いデカクソ女ですか?」 「誰の事か知らぬが、もし、わしの知ってる女の事なら、其奴の名誉のために、お主と決闘する覚悟をせねばならんの」 そう言って那須の眼をじっと覗き込む。 ジェーンは右眼を眼帯で覆っているので実質隻眼であるが、それがまた見るものを威圧する。が、例外も存在する。 「(ああ!カッコいい!この力強い視線がたまらないわぁ!)」 那須はブルリと震える。 「(震えておるのか…怖がらせてしもうたの…反省せねば)」 「ごめんなさい、センセェ。誰の事でもないの。ホントにごめんなさい」 そう言ってジェーンの手を取って、その手を抱きしめるように包み込む。 「ふぅ……ならば良い。だが気をつけよ【言葉は人格に成り、行動になり、習慣となって人生になる】古い言葉じゃが真理の一つじゃ。お主にはより良い人生を送って欲しいのでな」 そう言ってジェーンは那須の頭を抱きしめる。 「(あわわわ柔らか!いい匂い!あわわ)」 「あ……お主鼻血が出とるぞ!」 「あ!……センセェ!ごめんなさい!鼻血がついちゃいました!?」 「なぁに、白衣に少し付いただけじゃ。それより、のぼせたのなら横になっとけ、水を用意してやろう」 「ありがとセンセェ」 今日も閑古鳥がなくジェーンの診療所(ここ)のベットに潜り込んだ那須は、コップに氷を入れて準備する想い人の背中を見守って、さらに顔を赤くするのだった。 ※※※※ 11月22日 リモート会議 「今年は神戸へ戻ろうと思うんだ」 『え?……えっ!?』 毎年恒例になっているクリスマス宴会 その予定確認。 リモート定例十人会議での一幕。 十人会議とは葉車十人兄妹の家族会議である。 時には、世界経済に影響を与え、時には妹達のスカート丈に文句を言う……。 そんな兄妹達の話し合いの場であった。 1箇所に集まることが難しい彼等はリモートで会議を行なっている。が、第三子三男の三月(みつき)、第四子四男の肆楼(しろう)、第五子長女の五葉(いつは)、第六子次女の六花(りっか)、第九子五女の九重(ここえ)は島内にある九重の屋敷からのアクセスしている。 画面越しでは寂しいということから、フルダイブ式の仮想空間で会議をしようと言う意見もあるが、実用化にはもう少し時間がかかる見込みだった。 在校生である兄妹達は、年末年始を実家で過ごすことはあっても、クリスマスは学園で馬鹿騒ぎするのが恒例だった。 今回の議題も『みんなで宴会やるよね?』っていう予定の確認に過ぎなかった。 しかし、第七子で三女の奈菜(なな) 通称セブンが……親と喧嘩して以来、実家へ帰ったことなど一度しかないセブンが……実家のある神戸へ行くと言っているのだ。 兄妹達は驚き『ついに仲直りするのか』と歓迎ムードだ。 「ジェーンを案内してやろうと思ってよ」 『……ジェーンと言えば毎年、奈菜が友人として連れてくるあの小さなお嬢さんだろ?』 「ああ、どうせ年末にはお祖父様へ挨拶するつもりだし、前乗りしようと思ってな」 『奈菜お姉様本当にクリスマスに戻って来られるのですか!?』 本土の小学校に通う末の妹の十美恵が、画面の向こうで喜んでいる。 「ああ。ダチを1人連れて行くからよ!楽しみにしとけ」そう言って満面の笑みを浮かべるセブンだった。 その後も話題を移しつつ会議は続き、セブンが親と仲直りするかどうかという事については、遂に触れられないままに終わるのだった。 ※※※※ 11月23日 朝 セブンの部屋 今朝は一段と冷え込んでいる。 弁天寮の自室で登校の準備をしながら、TVをながら見しているセブン。 『今年は異常気象の所為で非常に寒い冬となります。今夜にでも初降雪があるでしょう。』 TVから流れてくる情報に雪かと呟いて、しまい込んでいたコートを探し始める。 TVは情報を流し続けていた。 『インストールするだけでコンピューターの性能を飛躍的に上げると世界中で話題となっていた【演算補助アプリ Om-E-Kne】について、アメリカ国防総省はプログラムにブラックボックスが存在するとして、政府関係機関での使用を制限する方針を……』 ※※※※ 11月23日 放課後 ジェーンの診療所(ほけんしつ) セブンはその入り口で固まっていた。 そこは下着姿で戯れ合う女、女、女。 まるでハーレムのようだ。 そんななか奥の玉座(実際にはいつもの椅子だがセブンにはまるで玉座のように見えた)に座るジェーン。 「ジェーン……お前……とうとうやりやがったな!?」 戦慄きながらジェーンへと歩みを進める。 あと数歩というところで、背後でドアが閉まる音がした。 慌てて振り向くと、ジェーンの部下の那須が後ろ手にドアを閉めたところだった。 「開放厳禁ですよ」そういって微かな笑みを浮かべる那須。 「解放……厳禁だと!?……ジェーンお前そこまで堕ちたのか!」 「何を言っておる……これこそが儂じゃろう」 そう言って薄く笑うジェーンに「センセー早くしてくださいよ!風邪ひいちゃうじゃん!」と下着姿の女生徒がいう。 「うむ、定期検診なぞサクッと終わらせようではないか」 「……定期……検診……?」 「センセェ?委員長閣下は『定期検診』をご存知ないようですよぉ?」 「……健康診断ではなく?」 「うむ、性愛研企画、生活委員会協賛の定期検診じゃ。クリスマスも近いでな」 セブンの表情を見て 「なんじゃイマイチわかっとらんな?」 「センセェ、委員長閣下はぴゅあっぴゅあなんですよぉ」那須がくすくすと笑う。 「よいよい。知らぬで困ることもない」 「センセーはやくぅ!」 「うむ、セブンよ急ぎでなければ寮に戻ってから聞こうぞ」 セブンは「もういい!」と顔を真っ赤にして言い放ち大股で立ち去る。 部屋を出て行く際に、那須がぽつりと呟いた。 「貴女には勿体無いわ」 セブンの耳にだけ届いたその言葉は、彼女の胸に深く突き刺さるのだった。 ※※※※ 11月23日 放課後 委員会センタービルと執務室 委員会センタービル前の大階段を降りて右へ曲がって少し。 通称『屋台通り』 最盛期には100件近く屋台が軒を並べたこの通りは、取り締まりにより今や30件ほどまでその数を減らしている。 公式な理由は『治安維持』『衛生管理』となっている……が、関係者の一部はそれが本当の理由ではない事を知っていた。 本当の理由、それは『執務室から見える景観を損ねるから』というものだった。 この個人的な理由にもっともらしい理由をつけて実行に移せるのは、かなりの権力者でなければできないはずだが……彼にはそれができた。 委員会センタービル上層。 生活委員会副委員長執務室。 照明の光度が抑えられ、まるで上等なラウンジのような雰囲気を醸している。 ヤッターeatsでお料理研のステーキハウス「アノニク」から取り寄せた二人前のステーキセットとコーヒーを前に彼は呟く。 彼の名前は『嘉木城響(かぎしろひびき)』という。 この部屋の主。 「あと少しなのに……鬱陶しい……」 彼は真面目ではあったが、清廉潔癖かと言えばそうではない。 一目惚れした女生徒のデータを『不正取得』し密かに行動を監視させるという一種のストーカーであった。 組織を利用した大胆な行為ではあるが、普段はむしろ小心者だといえる。 「あそこにはね、違法な屋台がひしめいて居たんだよ。けれど、見苦しいだろう?僕が撤去させたんだよ」自慢げに話す。 『屋台通り』の屋台の多くは違法営業ではあったものの、正規の手続きをとって営業しているところもあった。 そして今残っているのは、その正規の手続きを踏んだものたちだ。 しかし、約100件あった屋台が30件まで減った事に気持が大きくなってる彼は、その30件さえもなんとか撤去させたいと思っていた。 「My honey 君はいつ見ても美しいが、たまに見せる物憂げな顔もまた一層美しいね」 嘉木城はそう言って、向かいの席に声をかける。 そこには手がつけられていない料理がそのままに、席の主の姿は無かった。 「……もうすぐ……君に、この美しい夜景を見せてあげれるよ……喜ぶ顔が楽しみだ」 コーヒーを飲みながら嘉木城は思いを馳せる。 思い描く夜景を作り出した自分に、彼女が満面の笑みを向けてくれる様を。 ※※※※ 11月23日 夜 弁天寮・セブンの部屋 電気もつけずベットの上で丸くなってじっとしている。 明かりは窓から入る月明かりのみ。 今日の放課後、勘違いから恥をかいた。 それは……まぁいい。 知らぬ事なら知ればいい。 勘違いなら正せばいい。 それだけのことだ。 けれど、帰り際に那須の言った【貴女には勿体無いわ】という言葉が、抜くことのできない棘となってセブンの心に刺さっていた。 「(俺とジェーンが釣り合わないって言うのか?俺たちは対等だと思っている……もしかしたら自分の方が世話を焼いてると思うことすらある……それなのに、まるで……)」 イライラする。 ジェーンを思い浮かべる。 「(見た目は小学生だ……胸はある方だろう……けど、そう言うことじゃないはずだ……顔は整ってる……かわいいと言うよりカッコいい……けれどこれも違う……と思う)」 寝返りを打つ 「(時々……大人に見えることがある……内面の話か?……でも、普段のあいつを見てればとてもそうは見えない……)」 「(俺の知らないジェーンを那須幸男(あいつ)は知ってるって言うのか?)」 「(でもそんなの……誰だってそうじゃないか!俺だけが知ってるジェーンだっているんだ!……じゃぁなんだよ……)」 イライラが募りに募って 「くっそイライラするに“ゃぁあ”!!」 セブンは真剣に考えて本当にイラついている。 けれど、『にゃん語』にする事で状況にユーモアが混ざる。 それによって怒りの純度を下げているのだ。 怒りに身を任せてしまわないように、セブンなりのセルフコントロールの一種だった。 「(大人に見えるジェーン(あいつ)に対して……子供?俺が?たしかに高校生は子供だと思う……でも、きっとこう言うことじゃない……俺とジェーンを比べて?俺と幸男(ゆき)を比べてか?)」 セブンは部屋に戻ってからずっとこんな調子だ。 「(ジェーンは確かに同年代と思えない時がある……妙に落ち着いて、なんでも知ってるし……時々、本当に大人に見えることがある……あんなに小さいのに……)」 小学生にしか見えないジェーンの姿を思い浮かべながら、考える。 「(幸男は……ゆきは……多分、俺にはわからない苦労があったんだろう……男として生まれて、女になろうと頑張ってる……じゃ俺は?)」 ふと自室の風景が目に入る。 女子寮としては平均的な広さのワンルームのはずだ……けれど、ここよりもっと狭い部屋もあることを知っている。 横に長いデスクは勉強と仕事と趣味をこなせるうえにまだ余裕がある。 部屋の隅には何本ものギター、興味本位で手に入れたサックスフォン、シンセサイザーなどの楽器たちが置いてある。 壁には海外の有名なミュージシャンのポスターと一緒に、お爺様から頂いた日本画や、現代芸術として話題になった絵も飾ってある。 クローゼットの中には、実家から送られて来たドレスや着物なんかが所狭しと収納されている。 この部屋に置いてある物だけで数千万にはなるだろう……。 「(恵まれている……改めて、ありがたいことだと思う)」 セブンは庶子……つまり妾の子だ。 母こそ違えど兄弟は皆仲がいいし、母達も分け隔てなく愛してくれる。 名前に「重」とつかない名前の子が妾の子だ。 彼ら彼女らは6歳までを母と共に生活をして、7歳で母と共に葉車の家に入る。 だからこそ、今の自分が恵まれていることを知っていた。 「(俺自身について考えてみよう……名前は葉車奈菜。葉車財閥の娘。家族からは愛されているし愛してる。仲の悪い父親からも愛されていることを知っている。ハードロックを愛している。査問委員会の委員長という肩書きもある。将来は音楽に携わっていたいと思ってる。九重のように家のための結婚なんて、考えられない……。社交会とやらにも興味はない。……我儘だろうか?……家の恩恵を受けるだけ受けて……我儘だろうか……今の俺が有るのは葉車家という存在があればこそだ……)」 喉が乾く 冷蔵庫にアルコールがあるのを思い出し、ベットから降りる。 普段はジェーンに怒られるから飲まないセブンだが、今日は怒られてもいいから飲みたい気分だった。 裸足にフローリングの床が冷たかった。 冷蔵庫を開けると今夜の晩御飯にと仕込んでいた食材が目に入る。 「用意しなきゃ……」 アルコールの事は一旦忘れて、晩御飯の準備に取り掛かる。 献立は『水炊き鍋』 具材には鶏肉、お豆腐、白菜、水菜、人参、大根。 人参はサクラ形に切ってあった。 調理も完了し、後はジェーンが帰ってくるのを待つだけだ。 いつものジェーンの席にはガラス製のお猪口が置かれている。 台所では日本酒『大吟醸 猿女君(さるめのきみ)』がスタンバッている。 チラリと壁掛けの時計を見る。 いつもならとうの昔に帰ってきてるはずの時間だ。 急患でも出たのか?……連絡もない。 ふと、昼間の幸男(ゆき)のセリフを思い出す。 …… 幸男(ゆき)はジェーン(あいつ)が好きだ。 ジェーンに好かれようと努力してる。 男に生まれて、女になろうと努力して生きてきた幸男(ゆき)が 『それを捨ててでもジェーンに好かれたい』と言っていた。 人生を左右する覚悟を持って努力してる。 「(それに比べて自分はどうか?)」 ジェーンからは大事にされている。 けれどそれに胡座をかいてやしないか? 「(自分の我儘を押し付けてばかりで、ジェーンの我儘をどれだけ聞いた?)」 「(……そもそも、俺にとってジェーンとは何者なのか?)」 「(隣人?友人?親友?……家族?……幸男(ゆき)がライバル視する関係?……恋……そんなはずはない!女同士だぞ!?)」 キッチンのお酒を思い出す。 胴体部の凹みに氷を入れて徳利内部を冷やす事ができる酒器、ポケットカラフェ。 これに氷と酒を入れてテーブルへ持っていく。 ジェーンはまだ来ないがむしゃくしゃするので、酒を飲んでやろうという気持ちになっていた。 フルーツのような甘い香りが鼻腔をくすぐり、口に含むと甘くフレッシュな舌触り。 嚥下するとアルコールが喉をやいていく。 素直に美味しいと思った。 部屋の暖房で熱った体に冷やした酒が心地よい。 おかわりを繰り返し、都合3合目に差し掛かる頃……。 「いやぁ!遅くなってすまん!」 コートを脱ぎながら玄関ドアをすり抜けて入ってきたジェーンは、もはや自分の家並みに慣れた様子で上がり込む。 「屋台通りで乱闘があっての……どうした?飲んどるのか?」 「……遅い」 「すまん。屋台通りで乱闘があっての、仲裁やら診療やらで手が離せんかった。連絡が遅くなったのもすまんかった」 そう言って、女子寮近くの装甲屋台「Strawberry march」で買ってきた『ブルーベリーレアチーズタルト』を差し出す。 セブンはフラリと立ち上がってそれを受け取ると、無言のままキッチンへ。 「大丈夫かのぉ……結構待たせたから量を飲んどるんじゃなかろうな……」 手を洗って席で待つ事数分。 ふらりと戻ってきたセブンは 「なぁ……お前にとっれ……おれっれなんら?」と座った目でジェーンを見つめる。 その手には包丁が握られている。 「(えぇ……なんじゃこの状況!?)」 「なぁ……なんなんら?」 「(みすみす刺されるつもりはないが……)」 ジェーンは魔法使いだ。 魔法を使えばこの状況をどうにでもできる。 しかし何故、こうなったかを知らねばならなかった。 二人の今後のためにも。 ※※※※ 11月23日 夜 生活委員会副委員長執務室 「失敗したぁ!?」 嘉木城は執務室でとある報告を待っていた。 そして電話でその報告を受けて出たのが、先ほどの言葉だ。 「ああ!?全員吹っ飛ばされたってどういう事だ!ごろつきとは言え元拳法部の連中だろう!」 スマホに向かって怒鳴り声をあげる。 「しかも大部分が公安に逮捕されされただと!?」 執務室をウロウロしながら通話を続ける。 「その上相手がどこの誰だかわからないままだと!?」 ソファーに八つ当たりをして、その足が痛かったのかその場にうずくまる。 「馬鹿野郎!高い金払ってんだ!仕事は最後までやりやがれ!」 散々悪態をついたら少し落ち着いたのか「邪魔したやつの調査と対処は任せるからな!」 そう言って通話を一方的に切った。 部屋の中を再びウロウロしながら今後の方針を考えるが、屋台通りの事よりも保身の事で頭の中はいっぱいだった。 ※※※※ 11月23日 夜 セブンの部屋 「なぁ!黙ってちゃわかんないれしょ!」 「(あれほど飲むなというておったのに……)わかったわかった、だからその包丁をしまえ」 「包丁?……あーケーキ切る途中だったわ……」じっとその包丁を眺めるセブン。 すぃっとその包丁をジェーンに向けて 「なぁ……お前とっれ俺はなんら?俺にとってはなんら?」 「答えるとも、だからまずは包丁をしまえ。儂が好きなセブンはこんなことせんじゃろう?の?包丁をしまえ」 「……わかった……」 そう言って包丁をキッチンへ片付けに行ったのだった。 セブンを食卓につかせると入れてきた水を差し出す。 「落ち着いたか?」 「元から落ち着いれる」 「うむ、そうじゃったなすまんの」 しばしの沈黙……それを破ったのはジェーン。 「さて……儂にとってお主が何か?か……そうじゃの(どこから話そうか……出逢いからとなると……紀元前の話じゃが、輪廻転生するお主を探して何度か一緒に暮らしてきた……などとは言えぬしのぉ)」 「そんなに答えれないもんなのか?」 俯いたままそう口にするセブンの声は震えている。 「いや、ただうまい言葉が見つからなくての……お主が悩むように、儂とて悩むことはある。少し待て……(とは言え、セブンは儂ら不老転生体のように記憶を持って転生するわけではないし、そんなお主を見つける旅をしてきたとも言えぬし……)」 セブンとジェーンの関係は、最初は命の恩人だった。 大体において親友だった。 恋人になった人生もあった。 総じて良好で最低でも親友だった。 こうやって、セブンの魂を探して寄り添うのがジェーンの旅の理由の一つだった。 運良く生きてる時代が重なって、運良く見つけ出せればの話ではあったが。 そして長い時間の中で数度の人生を共にすることができた。 では今『親友』だと言って収まるのか? セブンの欲しい言葉は本当にそれだろうか? 「(セブンの心を読めば、どんな言葉が欲しいのかすぐにわかる……けれど、 ……)」 不安に涙するセブンを目の当たりにして、いつも通り正直でいようと決めた。 「わからぬ。お主のことは大切に思っておる。思っておるが、それが……深い友情(フィリア)か無償の愛(アガペー)か家族愛(ストルゲー)なのか情欲的な愛(エロス)なのかさえわからぬ(何せ全てあった事だしのぉ)」 「……難しいこと言って……はぐらかそうとしてるんでしょ……」 徐(おもむろ)に立ち上がったセブンはジェーンの腕を掴み「来て」とベットへ押し倒す。 「お前が言ってることがわからないし、おれ自身の気持ちも分からない……だから、確かめる」 そう言って、ジェーンの服を脱がしていく。 ジェーンは抵抗しない。 むしろ脱がしやすいように、それとなく体をひねったりしている。 全裸となったジェーンを、自分の服を脱ぎながら眺めるセブン。 絹のような、緩いウェーブのかかった銀髪。 白磁のように滑らかな白い肌と桜色のアクセント。 自らも全裸となったセブンはふと気がつく。 ジェーンの眼帯代わりの黒い布がそのままだったことに。 手をかけようとするが、顔を背けて拒否される。 下着でさえ協力的であったのに、何故なのか? ジェーンに馬乗りになって、右手でその両手を頭の上で押さえ込む。 空いている左手で眼帯に手をかけようとした瞬間、セブンの意識は睡魔によって刈り取られたのだった。 ※※※※ 11月23日 深夜 葉車九重(はくるまここえ)の屋敷。 数寄屋造の屋敷に洋館を増設した作りになっている。 この屋敷にはやたらと大きな庭があり、その一角に竹林がある。 屋敷の機械式の警備網も密生する竹に阻まれて効果が落ちている……風を装っている。 屋敷の警備担当曰く 「どこからくるかわからないよりも、侵入経路がわかっている方が対処しやすい」との事だった。 今宵も外国の軍需産業や反葉車勢力が、葉車財閥の弱点になり得る子供、九重の誘拐、或いは排除を狙って刺客を送り込んでいた。 しかし、この竹林こそが彼らにとっては死門となっていることに気づかずに。 「お見事です」 暗闇から声がかけられる。 「……はぁ」 「如何されました?」 短刀を片手で弄んでため息を吐いたのは、葉車三月の婚約者である百地忍。 「手応えがなさ過ぎて運動不足になりそうです」 彼女は振り返る事なく返事を返す。 暗闇から月明かりの中へ出てきたのは、メイド姿の大名東(おおめいとう)。 彼女はこの屋敷の警備主任であり、九重に仕えるメイドの一人だ。 因みに本名ではない。 他の使用人同様にコードネームであった。 彼女と忍の付き合いは実は長い。 婚約者である三月よりも先にお互いを知っていた。 友人ではないが、ただの知り合いでもない。 好敵手(ライバル)と言うのが1番近いだろうか……。 今は忍の立場が変わり、同じ葉車の一員として轡を並べる仲だ。 「忍様は大事なお身体ですし、このような事は私共(わたくしども)に任せていただければ」 「実戦をこなさないと『勘』が鈍りそうでね」 大名東は足元の侵入者だった物の装備を手に取って見る。 それは消音器(サプレッサー)付きの短機関銃だった。 SF映画にでも出てきそうな独創的な形をしたそれは、特殊な樹脂で作られているようだった。 大名東は徐(おもむろ)に、その銃を空に向けて構えると引き金を引いた。 銃口から発せられた僅かな銃火が、瞬きほどの時間辺りを照らす。 監視者達がモニター越しに見たのは銃を構えた大名東と、その足元に転がる元部下たちだった。 ※※※※ 11月24日 朝 セブンのベット 先に目を覚ましたのはジェーン。 「(さて、あのまま寝たのはいいが……この状況をどうすべきじゃろうか?)」 ジェーンもセブンも全裸である。 さらに言えばセブンに抑え込まれて碌に動けないまま一夜を明かしてしまった。 「(抜け出すことができないわけではないが……こやつとこうやって肌を合わせるのは500年ぶりじゃろうか……あの時も同じセリフを口にしておったのぉ)」 ふふふと笑みを零しながら当時を思い出す。 「(あれは希望峰を通過する船の中だったのぉ)」 すると当時の感情が一気に蘇ってきた。 セブン自体は性別も人種も違うが、宿る魂は同じものであった。 【愛おしい】 しかし昔が懐かしいだけだということも分かっている。 炎のように燃える想いは時間と共に燃え尽きるだろう。 しかし今、500年ぶりの恋人との同衾を楽しむことになんの罪があるだろうか? いや無い。 ならばと……セブンをどかして一息つく。 全裸のセブンを眺めながら「(最初にあった時は小さな娘であったのにのぉ……大きくなりおって……)」 セブンの瞼はまだ開かない。 横に眠るセブンの髪を、頬を、唇を撫でる。 「お主にとって儂がなんなのかまではわからんが……」愛おしげにセブンの寝顔を眺めながら、ヒソヒソと己の胸の内を吐き出していく。 「儂にとっては唯一無二の存在じゃ」 髪に口づけし「昔も今も、これからもの」 セブンは少し前から起きていた。 昨日の事ははっきりと覚えている。 恥ずかしさのあまり叫びながら走り出したい衝動に駆られていたが、ジェーンを起こすわけにもいかなかった。 するとジェーンが起きてジェーンと重なっていたセブンの体をどかす。 そして語り出すジェーンの言葉を寝たふりをしながら聞いていた。 髪を撫でられ、頬や唇もジェーンの指が這う。 くすぐったいながらも、幸せを感じた。 そして…… 「これが今のわしの気持ちじゃ」 そう聞こえた。 唇に柔らかな感触。 再び睡魔に襲われる。 けれどここで寝るわけにはいかない、目を開けて、起きて確認しなければならない。 今のは指だったのか、キスだったのかを! ジェーンに聞きたい! 「セブンよ寝て起きよ。其方(そなた)の…………」 最後まで聞き取ることができないまま、眠りに落ちていったのだった。 ジェーン・ドゥと彼奴の誕生日(クリスマス) 第一部 了
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ジェームズ・バッジ・デイルをお気に入りに追加 ジェームズ・バッジ・デイルのリンク #blogsearch2 ジェームズ・バッジ・デイルとは ジェームズ・バッジ・デイルの59%は乙女心で出来ています。ジェームズ・バッジ・デイルの20%は白い何かで出来ています。ジェームズ・バッジ・デイルの20%は勇気で出来ています。ジェームズ・バッジ・デイルの1%はアルコールで出来ています。 ジェームズ・バッジ・デイル@ウィキペディア ジェームズ・バッジ・デイル ジェームズ・バッジ・デイルの報道 最新作からレジェンド作まで!20世紀スタジオ特選「背筋も凍る“ホラー映画”」 - スクリーンオンライン その名前を唱えた者は皆消えたー。超常現象ホラー映画『エンプティ・マン』 - スクリーンオンライン 『SHAME -シェイム-』のジェームズ・バッジ・デールが映画『アイアンマン3』悪役の仲間入り - シネマトゥデイ 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 ジェームズ・バッジ・デイルのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ジェームズ・バッジ・デイルの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ジェームズ・バッジ・デイル このページについて このページはジェームズ・バッジ・デイルのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるジェームズ・バッジ・デイルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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カラミティ・ジェーン P 無色[ジョーカーズ] (6) クリーチャー:ジョーカーズ 7000 ■ウォンテッド6-このクリーチャーが表向きで自分の山札の一番上から離れる時、バトルゾーンまたはマナゾーンに自分のジョーカーズが合計6枚以上あれば、かわりにバトルゾーンに出してもよい。 ■ハイスピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いせず、バトルゾーンに出た時、すぐに攻撃してもよい) ■W・ブレイカー 作者:wha +関連カード 《ウォンテッド・ドロー》 《ウォンテッド・ライフ》 《ジョリー・ザ・ジョーキッド》 《カラミティ・ジェーン》 カードリスト:wha 評価 名前 コメント
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『ジェーン・ドゥと彼奴の誕生日(クリスマス) 第六部』 トップ > SS置き場 ■ジェーンさん:白いゴスロリの魔法使い。 見た目は小学生。女難の相があるっぽい。 押しに弱いのかもしれない。 本名 瑠璃堂院月子 イラストは、( 「ケモ魔女メーカー」 )にて作成 ■セブンさん:ジェーンが【運命の方翼】と呼ぶ女。輪廻の中でジェーンと親子だったり恋人だったりと切っても切れない中。 セブンにはその記憶は無い。 ジェーン曰く「暴力すぐ暴力!」 イラストは、( 「女メーカー」 )にて作成 ■那須さん:ジェーン大好き。女装男子。 中国拳法と東洋医術を修めている。 推しの幸せは...私の幸せ... 今回出番なし イラストは、( 「ひよこ男子」 )にて作成 ジェーン・ドゥと彼奴の誕生日 第六部 12月22日 朝 展望台 ビーナスブリッジ 「おお!これは良いの!」 「だろう?これを見せたかったんだよ」 昨夜は『休憩』ではなく『宿泊』に切り替えて、二人は日の出前にホテルを出た。 ベスパは預けたままにしてある。 ホテルを出てすぐの神社へ参拝し、そこから山道に入り数分登った所に、かつて金星観測をする場所だった展望台がある。 二人はそこで朝日を持っていたのだ。 「綺麗じゃな」 「ああ……(お前もな、なんて言うべきだろうか?銀髪金眼は朝日に映えて本当に綺麗だ)」 「……お主の赤い髪も朝日に照らされて輝いとるの……綺麗じゃぞ、奈菜」 「な!?……ななな……!?」 「自己紹介か?お主の名前なら知っとるぞ、カカカカ!」 「うるせぇ!」 「痛った!昨夜のお主と同じ人物とは思えんの!」 顔を真っ赤にして肩パンを繰り出すセブンに、昨夜の事で煽るジェーン。 「そっ!そう言う事いうなよ!」 「カカカカ!一生懸命な奈菜も可愛かったよ?」 「お前だって!……お前だって……綺麗だった……」 お互いに顔を真っ赤にして見つめ合い、距離を縮める。 けれど、身長差があって姿勢が辛い。 だからセブンをベンチに座らせて、これでちょうどいい高さだ。 朝日に染まる世界はまるで黄金で染めたかのよう。 「(ジェーンの瞳の色だ……)」 「なんじゃ?これが気になるか?」 そう言って眼帯に触れる。 「ああ……でも、事情があったりするなら別に……」 「……良い……見ておけ」 シュルリ そんな音と共に勝手に解け掌に収まる眼帯代わりの黒い布。 ジェーンは右目をゆっくりと開く 金眼……けれど微かに見える、魔法陣の様な紋様がキラキラと煌めいている。 「綺麗だな……太陽を溶かしたみたいだ」 「その太陽も今は、お主のものじゃ」 「ありがとう」 「うむ……ところで」セブンの横に座る。 「うん?」 「あのホテル、ずいぶん使い慣れてるの?」 「ああ、すぐそこに通ってた中学があるんだが、親父と喧嘩したり、疲れた時とかに利用してたんだ」 「そんな事できるのか?」 「……家の名前のおかげだな。あそこも葉車(うち)に縁があるんだよ。だから、言ってみたら、知り合いの家に保護されてた……ってとこだな」 「ラブホでか?」 「知らん男に保護されるよりはマシだと思ったんだろ」 「親不孝者じゃの」 「そう言やさ……ジェーンの親のことも聞かせてくれよ」 「気になるのか?」 「まぁ一応、ジェーンの親だし……知っておくべきかなって」 ジェーンは悩む。 ジェーンにとって親といえば三種類いるからだ。 一つは、信仰の対象で彼女に力を授けた存在である『戦と王権と豊穣と愛と美の女神【イシュタル】』 一つは、彼女の最初の親。 一つは、転生時にその肉体を産んだ親。 前二つはジェーンが不老転生体である事を説明する事になり、これは避けるたい。 普通に考えれば最後の親が残るが、そこも幸せなものではない。 単純に、彼女の容姿が日本人離れしすぎているせいで両親は離婚してしまい、その後も幸せな幼少期とはいえなかった。 ジェーンからすれば、慣れっこなのでそれほど辛くはなかったが……。 セブンがジェーンの手を握る。 暖かさが伝わってくる。 結局のところ選択肢は一つしかないのだ。 「両親は離婚しておる……理由は儂の見た目じゃ」 「そうか……ごめんな……でも、珍しいとは思うけど、そんなに親御さんと違うのか?」 「そうか……お主は知らなんだの……儂の本名は『瑠璃堂院月子(るりどういんつきこ)という……両親とも純血日本人じゃ」 「……ん!?……んん!?」 「カカカカ!予想通りの反応じゃの!」 「なんだよ、冗談かよ!一瞬混乱したぜ!」 「いや、冗談ではないぞ?」 「……えぇ……」 「つまり、ジェーンは日本人で?」 「うむ」 「ジェーンはジェーンではなくて?」 「うむ」 「るり……なんだっけ?」 「瑠璃堂院月子」 「ああ……その瑠璃堂院月子が本名と?」 「うむ」 「なるほど……確かに、日本人って言うより東欧か、西アジアって言われたほうがしっくり来るもんな」 「じゃろう?」 「でもなんで、ジェーンなんだ?」 「……(転生を繰り返す儂としてはその度に名前を変えるのがめんどうだから……とはいえぬし……そうじゃ!)月子よりしっくり来るじゃろ?」 「確かにな……ごめんな」 握られた手を解き、指を絡ませる。 所謂『恋人つなぎ』と言うやつだ。 お互いを思う気持ちが繋がれた手を伝う。 「……ん」 「ん……」 想う気持ちはどちらともなく二人を引き寄せた。 朝日も登り切り黄金の様な時間は過ぎ去った。 「そろそろ行くか」 「うむ」 「ジェーン……いや、月子って呼んだほうがいいか?」 「ジェーンで良い、儂もそっちの方がしっくりくるしの」 「分かった」 セブンは立ち上がる。 「ジェーン」彼女の名前を呼ぶ。 「愛してる」振り向いたセブンの顔はテレがあるもののとても爽やかで、言われた者の胸を高鳴らせるには十分だった。 「儂もじゃ」 二人は笑いながら、手を取り山を降りていく。 世界の色は黄金色ではなくなったけれど、二人の胸にはそれよりも価値のあるものが残っていた。 ※※※※ 12月22日 昼前 葉車本邸 「奈菜!こんな時間まで何をしていた!」 「ビーナスブリッジからの景色を見に行ってたんだ。『ロンドン』のおばさんとこで泊めてもらった」 「……そうか……他所様のお子さんをお預かりしているのだから、心配かけるような行動はするな」 「わかってるよ!」 家に着くなりセブンの父、葉車京一がそう言ってセブンを叱ったのだが、セブンは機嫌を損ねる。 「ジェーン!行くぞ!」 「待ちなさい!奈菜!」 「うるせぇ!俺が何してても自由だろ!」 そう言って手を取り引っ張って行こうとするもその手は振り払われる。 「奈菜、挨拶がまだじゃ待っておれ」 ジェーンは静かにそう言って、その場に正座する。 「お初にお目にかかります。ジェーンと申します。奈菜さんをはじめご兄弟方にはお世話になっております。この旅行中の宿泊をお許しいただき有難うございます。これはつまらないものですが……ご笑納ください」 「もう!そんな挨拶、爺さんにはしたんだから良いんだよ!行くぞ!」 セブンはジェーンを無理に立たせて連れ去る。 「……はぁ、親の心子知らずとはこう言うことか……」と、肩を落とす京一とそれを励ます使用人達。 「どうすれば伝わるのかなぁ」 世界屈指の巨大財閥である葉車グループ。 その次期総帥である京一は、娘の事となると普通のお父さんと変わりなかった。 ※※※※ ジェーンの部屋 「大丈夫か」 「……また、やっちまった……どうにも素直に謝れねぇ」 「ふむ……不器用じゃの」 「うるせぇよ」ソファーのクッションに顔を埋めながらそう言うセブンの横に座るジェーン。 「カカカ……どれこっちへ頭をよこせ」 「……」無言のまま向きを変えてジェーンの太ももを枕にする。 「きっかけが欲しいか?」 「……」 「儂が魔法をかけてやっても良いぞ?」 「いや…………いい」 「……そうか」甘え甘やかしてセブンの頭を撫でてやる。 「儂としてはお主の父へ、ちゃんと紹介して欲しいんだがの」 「……今更、なんて言えば良いかわかんねぇ」 「父の事は嫌いか?」 「……」 「嫌いなら、儂が始末してやっても良い」 「!?なに冗談いって……」 そこには真剣な目で覗き込んでくるジェーンがいた。 セブンは知っている、これは本気の時の目だ。 「馬鹿野郎!そんな事!そんな事させるわけねぇだろう!」 「カカカ!冗談じゃ冗談じゃ、大事に思っておるなら、それを伝えるが良い、感謝もしておるんじゃないか?ならそれも伝えるが良い、甘えるつもりで行ってこい」 「……このロリババァめ」 「ほほぅ?そのババァに求愛したのは誰じゃったかの?」 「……」 「儂の記憶が正しければ、赤毛の綺麗なガキだった気がするの」 「ボケたのか?正しくは「赤毛が綺麗な巨乳の美人」だろ」 「黙れ……ん」 「ん……はぁ、勇気もらったわ……これも魔法か?」 「さてのぉ?」 「今から行ってくる……褒美を用意して待ててくれ」 「断る!……儂もついて行ってやろう」ニヤニヤと笑う彼女をみて 「この悪魔め」いつものやり取りではあったけれど、不思議と心が軽くなるのを感じた。 「(一緒にいるだけで魔法にかかったみたいだ。ありがとう……月子)」 ※※※※ 12月22日 昼過ぎ 葉車邸 冬の庭 「なんでうちの男どもは庭にでたがるんだ?」 「ついでに聞いてみるが良かろ?」 「……緊張して来た」 「ほれ、勇気を補充してやろう……ん」 「ん……補充されたわ」ふふふと笑みをこぼしたセブンは「お父さん!話があります!」声を張って庭に出ていく。 その背中を見守って「あの時を思い出すのぉ」 それは2000年以上も前ジェーンを守るために、敵対していた不老転生体へ立ち向かっていく彼女の後ろ姿に重なって見えた。 「カカカ……まだまだ頼りないがの」 ※※※※ ジェーンは縁側に座って待っている。 時折聞こえる大声が白熱する様子を連想させた。 日も傾き庭も暗くなる頃、灯籠に灯りが灯り椿の赤い花が映える。 セブンが寒空の下で話し込んでいることを考えると、自分だけ暖房魔法(あったかまほう)を使うのは違う気がして、ただただ戻ってくるのを待っていた。 「ジェーン」 振り向くとセブンの祖父、那由多がお盆を持って立っていた。 「隣、失礼しても良いかの?」 「はい、どうぞ」といって横へずれ場所を開ける。 那由多はお盆をそこへ置くと「ほれ」と言って盃を差し出す。 「いける口だと聞いたのでな、口に合うか分からないが」 「セブンが……奈菜が、戦っています。今、頂くわけにはいきません」そう断った。 「そうかそうか、あれも良い相棒を持ったものだ」 「……」 那由多は盃を空ける。 その盃を弄びながら昔話を始める。 ジェーンは銚子を取り那由多へ酌をする。 「かー〜! はははっ君の様な若い子に、酌をされるのがこんなにも美味いものだとは!」 「私なんぞで良ければ、いつでもお付き合いいたします」 「(大名東からの報告とはずいぶんと印象が変わるな)……そうだ、酒は控えるのはわかった、では肴はどうだ?」 「さかな……肴ですか?」 「そう、君は鍋が好きだと聞いてるのでな、湯豆腐を用意した」 「湯豆腐……」ゴクリと喉が鳴る 「はははっ良い返事だ!」 すると、すぐに女中が現れて鍋を準備していく。 冷めない様に鍋の下には炭が入っていた。 那由多が自ら取り分けた小鉢を差し出すと、ジェーンはそれを受け取る……が、箸をつけないまま、ただ手に持っているだけだった。 「(あくまで奈菜を待つつもりか、本当に良い相棒を持ったのだな)」 炭が燃え尽き白くなる頃、セブンと京一が戻ってくるのが見えた。 「セブン!」 走り出すジェーン。 「寒かったろう?今、温めてやろう」 周囲の気温が一気に上昇する。 「あったけぇ」 「おお!?……そうか、これが月子君の『魔法』と言うやつか」 「……」 「すまん、説得するには話す必要があった」 「必要だったなら仕方ないが、どうかこの場での話と留めていただきたく……」 「ふむ……事情があるらしいとは聞いているからね、承知した。良いだろう親父?」 「ああ、良いとも」 ジェーンの後ろからやってきた那由多がそう答える。 「しかし……曾祖父さんが生きてれば喜んだろうになぁ」 「曾祖父さん?」 「ああ、爺ちゃんの親父の事だよ」 「なんで曾祖父さんが喜ぶんだよ?」 「曾祖父さんが子供の頃……千吉と言ってな、天狗に助けられたことがあると言っておった。誰にも相手にされなかったがな」 「「へぇ」」 「カカカ!親子じゃのう!見事なハモリじゃ!」 「ジェーン……いや、月子か……それが君の素なんだな?」 「……そうじゃ」 「はははっそのままでいい、わした らは家族だと思ってくれ」 「……うむ、ありがとうございます」 「ははは!まだ固いが、いずれ慣れるだろう」 「親父、中へ入ろう。月子君のおかげで暖かいとはいえ、いつまでもここでって訳にはいかないだろう?」 「ああ、そうだな……ただ、わしは少し月子と話がある。京一、奈菜は先に戻ってなさい」 「ジェーン、後でな」 「うむ」 京一、奈菜親子が屋敷に戻るのを見届けてから……。 周囲に向かって話し出す。 「今宵ここで交わされた話の内容は一切の口外無用!記録も全て消去し無かったものとせよ!これから交わされるものも全て同様である!」 ジェーンは驚きを隠せなかった。 全て盗聴されていた事を示しているからだ。 ジェーンは憤りを感じたがそれでも、ジェーンの前でそれを示す事で誠意を見せたと理解した。 縁側に戻り魔法で鍋を温め直す。 「月子」 「はい」 「千吉という名前、以前に聞いた事は?」 「さての」 「…………親父が言うには、その天狗は君の特徴にそっくりなんだがの」 「そうすると、儂は何歳ということになるんじゃ?」 「100歳は超えてることになるの」 「そんなお婆ちゃんに見えるかの?」 「見えんなぁ」 「そうじゃろ?カカカ」 「けどの、千吉はその天狗について生涯を通じて調べたのよ」 「……(千吉……おセンのことか?しかし、おセンは女の子だったはずじゃ)」」 「なにがわかったと思う?」 「……なにがわかったんじゃ?」 「長生き、そして死ねば灰の様に崩れて死体を残さない……なのに、再び歴史に現れる……」 「化け物じゃな」 「……千吉は考えて一つの結論に行き着いた。……どんなものだと思う?」 「……わからんの」 「そんなに警戒しなくて大丈夫だよ。千吉は命を救ってくれた天狗に恩返したかったんだ、だから……もし会えたら……天狗に会えたらって、わしも子供の頃から聞かされてた」 「そうか……ただ、だからといって天狗が儂だとは限らんじゃろ?」 「天狗の名前が『ジェーン・ドゥ』だとしても?」 「名無しの権兵衛みたいなもんじゃ、はぐらかされたんじゃろ」 「……『天狗はなにも持ってないのに、どこからともなく酒を取り出した』……昨日、君がわしにお土産を渡した時もそうだった」 「見間違いじゃろ」 「……今日、京一へお土産を渡した時、その場にいたメイド達も同じように証言してる」 「魔法使いなら、学園にいっぱいおる。儂じゃなくても同じ事ができよう」 「しかし、すべての条件に合うものが他にいるか?」 「……いるかもしれんではないか」 「生徒名簿を調べさせたよ。過去分も合わせて全てね……君しか居なかった」 「学園以外にも魔法使いはおるじゃろ……どことはいえぬが……」 「……しぶといねぇ」 「身に覚えがないからの」 「やはり、100年以上生きてるとボケが?」 「ボケとらんわ!失礼な!」 「いやぁどうだろう?千吉の事を覚えていない様だし?」 「千吉と言うのは知らん!儂が知っとるのは『おセン』と言う名の女の子じゃ!」 「……ボケてないようで安心した……千吉は幼少期、女の子の様に育てられ『セン』『おセン』と呼ばれていたんだよ」 「……はめたな?」 「天狗殿が頑固なのが悪い」 「はぁ〜おセンも小賢しい童であったが……そう言うところは、血筋じゃったか」 「はははっでなければわしらの世界では生きていけない」 「葉車も大きくなったものよな」 「千吉を救ってくれたお陰だ」 「カカカ、大きくしたのはお主らじゃろう、儂はなにもしておらぬ」 「千吉を置いて他の男子は戦場の露と消えた」 「……」 「天狗に感謝してるのは親父だけじゃない、わしも感謝してるんだ」 「律儀が過ぎよう」 「【恩は倍返し】わしらの基本だよ」 「はぁ……おセンめ……余計な事を」 「はははっ!諦めて恩返しされな!」 「……そこまで言うなら……」 灯籠に照らし出された赤い花 丸く輝くお月様 人の一生を超えて受け継がれた想いに ジェーンの心は涙で濡れる ※※※※ 12月23日 朝 ジェーンの部屋 キングサイズのベッドにジェーンとセブンが寄り添う様に寝ている。 そこに忍び寄る一つの影。 二人が寝ている事を確認した影はベッドによじのぼり、そして二人へダイブする。 「起きてください!お姉様!」 九重のダイブを受けて 「うおぉ!?なんじゃ!?」 「うわぁ!?なんだ!?」 「……お二人ともパジャマはどうしたんですか?」 「「……」」 「あ……暑くて」 「空調の不調でしょうか?」 「ああ!そうだな!確かに昨日は暑かった!汗いっぱいかいたしな!」 「そうなんですね。後で治す様にいっておきます。さ、お二人とも朝ごはんですよ」 「う、うむ」 「ありがとう九重、朝イチで九重の笑顔が見れて俺は嬉しいよ」 「まぁ!三月お兄様みたいな事言って!ジェーンお姉様がやきもち焼いたらどうするんです?」 顔を見合わせるセブンとジェーン。 「さぁさぁ!着替えて着替えて!私は先に行ってますからね!」 「焼くのか?」 「馬鹿者」 「ん」 「馬鹿者め……ん」 ※※※※ 大食堂 そこには那由多、京一、京一の妻達、奈菜、九重、ジェーンが席につき、少し離れた所に使用人達用のテーブル。 それに着く大勢の使用人達。 「壮観じゃな」セブンに耳打ちすると「久しぶりで正直ビビってる」と正直に答えるセブン。 「なんて言うか……奥方達と言うべきじゃろうか?お母さん達と言うべきじゃろうか?……何にせよ、みな美人じゃの」 「子供の頃は嫌だったけどな……今になって思うんだ……よその家だと母親は一人しかいないけど、俺たちには七人もいるんだぜ!良いだろう!ってさ」 それが聞こえたのか、向かい側の席に座る赤毛の婦人が涙を拭う。 それを周りの婦人が労っている。 その様子を見てジェーンはポロリと口にする 「親父殿は凄いの……こんなにも愛されとるんか……」 「ん?どう言う事だ?」 「親父殿への愛があるからこそ、お互いに温かく接しておれるのじゃろう?女同士をそこまで纏めるのは大変な事じゃろうしの」 「そんなもんか?」 「うむ、儂もあんな風に愛されたいものよ」 セブンからすればこのセリフは自分に向けられた物だと理解している。 だからこそ、かつてジェーンが放った冗談を取り上げると言う形の、冗談を口に出したのだ。 「そう言えば、『親父を紹介してくれ』って言ってたよな」 その瞬間、このテーブルの空気が変わった。 婦人達は凍りつき、那由多は我関せずと明後日の方向を見ている。 京一は「ジェーン君……僕はね、君を見た時に思ったんだよ……なんて綺麗な子なんだと」 ばきっ と何かが折れる音が聞こえた。 「その綺麗な髪」 ばきっ 「金色の瞳は僕の心をとらえて離さない」 ばきばきっ 「君の声は聞いてるだけで僕の心を癒してくれるよ」 ばきっ 「君が僕のために微笑んでくれたなら、僕は世界を敵に回しても良い」 ばきっ! 「これ……儂、口説かれとるんか?」 「てんめぇ!このクソ親父!人のモンを口説いてんじゃねぇ!」 「そうですよ!京一さん!それに私にいってくれたセリフじゃありませんか!」 「私もですよ!私とだけの思い出じゃないんですか?」 「ケーイチ!ヒドイヨ!ワタシタチノ アイノ セリフ ソノコニツカウナンテ!」 非難轟々である。 とは言え慣れた様子で彼女達を宥めていく京一。 セブンだけは事情が違ってしばらく経ってもその怒りは収まっていなかった。 ジェーンは自分のお膳を那由多の隣へ持っていき、食事の続きを始める。 「慣れたものといったところかの?」 「好みのメイドや女中がいるとその都度こうじゃからの」 「まさかとは思うが……」 使用人テーブルの方へ視線をやると 「流石に、後々のことを考えて家中には手を出すなといってあるよ」 「守られてるのか?」 「僕が知る限りはないよ……多分だけど」 「その情報源はどこなんじゃ?」 「……」 「血は争えんと言うことか」席を離すジェーンであった。 「ジェーンさん」 「ん?」そこには着物を着た緑の黒髪の女性が立っていた。 年の頃は30前後に見える。 「私は千夜重と申します。子供達がお世話になっている様で、御挨拶が遅れて申し訳ございません」 「あ!いや!こちらこそ、お世話になっております!ご挨拶が遅れて申し訳ありません!……千夜重さん……九重ちゃんのお母様ですね?」 「そうですが、そうではありません」 「え?」 「皆、私の子供達ですから」 そう言って柔らかく微笑む千夜重を見て「(菩薩ってこんな風じゃろうなぁ)」と思うほど優しい笑みだった。 「この度は奈菜ちゃんの事、ありがとうございました」 「はて?何かしたじゃろうか?」 「……貴女の献身に心から感謝を」 「何もしとらんのに感謝されてもの」 「本当に、この天狗様は」 「おい!那由多!ダダ漏れではないか!」とヒソヒソ声で那由多を責める。 「あぁすまないね、その子だけは特別なんだよ、何せ情報を統括して裏で葉車を守ってるのは彼女とその配下だからね」 「天狗様、そう言う事ですのでご安心ください」 「ふぅ……承知した」 「千夜重殿も大変な立場よの……儂にできる事があれば言うが良いぞ、セブンや九重ちゃんのためになら一肌脱いでも構わぬ……とは言え、大した事はできぬがの」 「ありがとうございます。子供達を守る為に、こんなに心強い事はありません」 「(親とはかくもありがたいものなのじゃなぁ……感謝しかないの)」 彼女の親、つまり【女神イシュタル】 それからジェーンの生みの親達に感謝の念を抱く。 とは言え、産んですぐ殺しにくる様な親は例外ではあったが。 視線を巡らせる。 彼ら彼女らにも親がいるのだなと当たり前の事に思いを巡らせ、この家に【イシュタルの祝福】を祈らずには居られなかった。 「(我が神にして我が母、戦と王権、豊穣と美を司りし愛の女神イシュタル様(おかあさま)、どうかこの者たちが愛に恵まれます様に……ウル・アスタルテが願い奉ります)」 そんなジェーンのすぐそばで 未だにセブンと京一のジェーン取り合戦は続いていた。 ※※※※ 12月23日 昼 神戸ハーバーランド モザイク カフェ・La scala dell angelo 名物の「天使の梯子パフェ」を頂きながら次の予定の確認をしている最中。 「そう言えば、妹がもう一人いたんじゃなかったか?」 「……ああ、十美恵のことか?」 「うむ、確かまだこっちにいるはずじゃろ?」 「ああ……そういえば見てないな」 「薄情なお姉様じゃの」 「いや……色々あったし……普段会ってないから違和感なくてよ……すまん」 「儂に謝ってどうする……しかし、会ってないってそんなことあるのか?」 そういえばセブンが神戸に帰ると言った時あんなに喜んでくれたのだ、それが全然姿を見せないなんてあるだろうか? 気になり始めると心配がますばかりで、この後の映画を楽しめなさそうだ。 「ちょっと千夜重母さんに聞いてみるよ」 「うむ」 コールが始まってすぐに繋がった。 挨拶もそこそこに十美恵のことを聞くと「これは大人達で何とかするつもりだから……貴方達は気にしなくて良いのよ」 「……トラブルかなにかですか?」 「(千夜重殿には敬語なんじゃなぁ)」 「これから映画なんでしょう?楽しんでおいでなさい。戻ってから話をしてげますから」 そう言って電話は切れたが、そんな状態で映画を楽しめるはずもなく……。 二人で話し合い途中で退館、実家へと戻ることにした。 ※※※※ 12月23日 夕方 葉車本邸 竹の間 「お帰りなさい 早かったのね」 「気になって途中で抜けてきたんだ」 「あらあら、奈菜ちゃんはジェーンさんをエスコートしてる立場なのに、ダメじゃない」 「いや千夜重殿、二人で話し合って決めたんじゃ、奈菜は悪くない。責めんでやってくれ」 「そう言うことでしたら、叱る理由はありませんね」 「で、十美恵はどうしたんですか?」 「そうね……どこから話そうかしら……」 千夜重は顎に指を当て小首を傾げて見せた。 「(あ、これ九重ちゃんがよくやる仕草じゃ……親子じゃのぉ)」 「先ずは……【演算補助アプリ Om-E-Kne】って知ってるかしら?」 「なんか聞いたことあるな」 「儂は知らぬ」 「ニュースでよくやってるわよ」 「テレビ持ってないんじゃ」 「あるけど見ないな」 「……これがジェネレーションギャップってやつかしら……ちょっとショックだわ」 「そんな事はいいから、千夜重母さん!十美恵の事を教えてよ」 「せっかちなんだから……治しなさい?でないとジェーンさんに捨てられるわよ?」 「!?そんな事ない!ジェーンはずっと一緒じゃって言ってくれたし!」 「……セブンがせっかち過ぎで儂、時々叩かれるんじゃ……」 「なんですって!?奈菜!貴女って子は!」 「おい!ばか!今はそんな冗談言ってる場合じゃねぇだろ!」 「冗談かのぉ……その無駄にでかい胸に手を当てて聞いてみるが良いぞ?」 「てめぇ!僻んでんのか?僻んでんだな?でも、今はそんなことしてる場合じゃねぇ!重くて肩も凝るし十美恵の事も心配あだだだだだ!」 「そんなに肩が凝るなら捥いでやろう!」 「バカやめろ!」 「痛った!すぐ暴力!暴力反対じゃ!」 「うるせえ!いつもなら十倍は殴ってるとこだぞ!今はそれより十美恵の事がさきだ!」 「……十倍は叩いて来るんです」 「奈菜……後でアンジェリカお母さんに折檻してもらいなさいね」 「ジェーン!」 「いつか訴えてやると言ったろ?」 「タイミングを考えろよ!十美恵の事が心配だろうが!」 「儂らの出る幕はない……あっても、今じゃない……そうじゃろ?千夜重殿?」 「その通りですよ奈菜ちゃんは本当落ち着きを身につけなさい」 「……わかりましたよ!!それで?十美恵の事は?」 「ふぅ……【演算補助アプリ Om-E-Kne】を説明すると、どんなコンピューターでもその演算能力を劇的に向上させるアプリで今や全世界の40%のコンピューターに入ってるわ。アメリカ国防総省はこのアプリを危険視して政府関係機関のコンピューターからアンインストールを指示したわ。そしてこのアプリの製作者の身柄を引き渡せと日本政府に圧力をかけて来たのよ」 「もしかして……その製作者ってのが……」 「そう、十美恵ってわけ」 「それで!引き渡したのか!?くそ!見損なったぜ!」 「セブン 落ち着け」 「そうですよ、落ち着きなさい」 「これが!落ち着いて!いられるかよ!大事な妹を取られて!それをなんとも思わない親に!落ち着いていられるか!」 「ええい!このばかセブン!少しは黙って話を聞かんか!」 強制的に口を塞ぐジェーン。 「んん!ジェーンんぐぐ……ん……ん……はぁはぁ」 「はぁはぁ」 「最近の若い子は凄いのね……我が子のそんなとこ目撃することになるなんて……京一さんは今夜スケジュール空いてたわよね……」 「「……」」 「んん“……十美恵ちゃんは引き渡してなんかいません。当然でしょう!」 「じゃぁ十美恵は今どこに?」 「ある意味、世界で一番危険で一番安全な場所に隠しました」 「それって……」 「奈菜ちゃん、分かったとしてもわざわざ口に出す必要はありませんよ」 「(なるふぉど……それでこんなにも落ち着いておったのか……)」 「安心していいんですね?」 「ええ、もちろんです。それにいざとなったら核兵器以上に厄介なカードも有りますからね。ふふふ」 「千夜重母さん……怖いよ」 「たとえアメリカだろうがなんだろうが、誰に喧嘩を打ったのかを思い知らせてあげないと。なんせ私たちは【葉車】なのですから」 柔らかく、それはそれは優しげな菩薩のような笑みを浮かべたのでした。 ジェーン・ドゥと彼奴の誕生日(クリスマス) 第六部 了
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ジェームズ・ブローリン 名前:James Brolin 出生:1940年7月18日 - 職業:俳優 出身:アメリカ 出演作品 2020年代 2022年 バズ・ライトイヤー(ザーグ):銀河万丈
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《聖母の微笑 アーシア・アルジェント》 キャラクターカード コスト2/緑/CP4000/RANK1 【オカルト研究部】/【悪魔】/【僧侶】 ボーナスアイコン なし [コネクトアタック(5)] このカードがコネクトアタックをした場合、 自分のキャラ1枚は、ターン終了時までCP+1000を得る。 その後、自分のキャラ1枚を活動状態にすることができる。 このカードがコネクトアタックで表になった場合、 自分はライフを2点得る。 悪魔の皆さんは、絶対に触れないようにして下さい。 ハイスクールD×D スターターデッキで登場した緑色・【オカルト研究部】・【悪魔】・【僧侶】を持つアーシア・アルジェント。 関連項目 アーシア・アルジェント 収録 ハイスクールD×D スターターデッキ 01-093 R(ST)