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譲らぬ決意 一面を白く染める霧を懐中電灯の光が丸く切り裂いていく。 ハリー・メイソンは隣を歩くともえの横顔をチラリと眺めると、再び視線を前に戻した。 彼女が着いて来ると聞いた時に感じたのは頼もしさではなく不安だった。恐らくそれは彼女も同じことだろう。民間人が連れ添って行動するより、警察官であるジル達と行動した方が安全なのは言う迄もない。 ただ、自分には我が身の安全を確保するよりも大切な事があった。それは背中の彼女の事であり、愛娘の捜索でもある。 トモエも同じように何か胸に抱くものがあるのだろう、そうでなければ戦闘経験のない一般市民と行動を共にするといった不利益な行動を取るはずはない。生憎とそれが何なのかを伺い知る事は出来ないが。 「どうして…ケビンはあんなことをしたのかしら。」 不意にトモエが口を開いた。本人は気丈に振る舞っているつもりだろうが、彼女がショックを受けているのは誰の目にも明らかだ。 彼女はケビンの死に際して自身に少なからず責任があると考えているようだが、責任があるという点では自分も同じ、あの場にいた全員が責任者だ。 何せ、彼の死をただ見ていることしか出来なかったのだから。 「彼のことかい?」 「ええ…どうして、ケビンは自分が死ぬと分かってるのにあんな無茶をしたのかしら。……勘違いしないでね、ハリー。私は彼の後を追うつもりはないから。」 「それは安心したよ。私の“目”になってくれるんだろう?目を失っては私も困るからね。」 微笑みを返しながらハリーは言った。 彼が何故あのような行動に出たか。彼と親しかった訳ではないし、どのような性格であったかという事さえ知らない。だから彼が命を失った時にも憐れみの情を抱きこそすれ、悲しいとは思わなかった。 ただ、彼の決意は自分のそれと似通っていたのかもしれない。 自分も、トモエも。そしてケビンも。 何故進んで自分の身を危険に晒す? まるで自分の命などいらない、くれてやると言うように。そこまでして守るべきものは? 「…私は彼についてよく知らない。君やジル程長い間一緒にいた訳でもないし、ジムのように友人だった訳でもない。でもね、彼の考えた事が少しだけ解るような気がするんだ。」 「どういう事?」 「私は、人間には譲れないものが一つはあると思うんだ。 私にとってのそれは娘だ。私は娘の為ならなんだってする。自分の命だって惜しくはない。 彼はきっと、譲れないものを守ろうとしただけなんじゃないかな。…慰めにしか聞こえないかも知れないが、彼のお陰で私達はここに生きていられるんだ。」 「譲れないもの…?」 「そうだ。君にもあるはずだよ。そうでなければわざわざ私に着いて来たりしないだろう?」 ハリーに疑問を投げ掛けられたともえは一瞬だけためらい、帯に挿した拳銃のグリップをなぞりながらはっきりと告げた。 「私は、ケビンに守ってもらったから。だから私はケビンの代わりに誰かを守ってあげようと思ったの。 ケビンの代わりに誰かを守ってあげる事が、私の“譲れないもの”よ。」 「感謝する。私も、私の譲れないものを早く見つけてやらないとな。」 「ええ、私も……!? ハリー、あれ!!」 ともえの叫び声にハリーは内心舌打ちしながら振り返った。すぐ前方、15メートル程先にナース服を着たモンスターが歩いている。 (こんなに近くに…霧の所為で気付かなかったか……。) ハリーは内心で舌打ちしながら振り返った。ミヤコを背負っている状態では銃を撃てない。銃の初心者であるトモエの射撃もあまり期待出来ないだろう。 だが、幸いにも相手は自分達に気付いていない。ならばこのままどこかに隠れてやり過ごすのが得策だ。 「よし、トモエ。あいつの視界は見えるか試してくれるか?」 「ええ…やってみる。」 しゃがみながら小声でともえに告げる。 「………ダメ。何か変なもので覆われてるみたい。」 「そうか…仕方ないな。なら」 少しここで隠れていよう、と言おうとしたハリーの声は突然の爆音に掻き消された。 爆音の発生源であろう大型の白バイは先程までそこにいたモンスターを断末魔と共に轢き潰し、呆気にとられるハリーの目の前に停車した。流れるような動作でバイクを降りた運転手は無言のままともえに向けて拳銃を構え、引金を引いた。 鈍く重い音を立ててともえの真後ろで先程とは別のモンスターが倒れる。それを確認した運転手はヘルメットを外し、ハリーに再会の挨拶を行った。 「久しぶりね、ハリー。相変わらず元気そうじゃない。」 「シビル!?シビルか!?」 「緊急事態とはいえ、恐がらせてごめんなさいね。トモエさん。」 互いに自己紹介を終えた後、シビルはともえに非礼を詫びた。 「大丈夫。助けてもらったんだから、文句は言わないわ。」 「そういってもらえるとありがたいわね。…ところでハリー、貴方は何故ここに?」 あの奇怪な名簿に名前があった以上ハリーがもう一度サイレントヒルへ来ているであろう事は容易に予想出来たが、その理由が分からない。 娘を失った忌々しい土地に再び来訪する理由が。 「娘を探しているんだ。さっきも言っただろう。そうだ、この辺りで娘を見かけなかったか?」 「娘さん…?いえ、見かけてないけど……。」 おかしい。 ハリーは数年前に娘を失ったはずだ。それもこのサイレントヒルで。なのにこのハリーは未だに娘を探し続けている。 (このカミカクシの正体はタイムスリップのようなもの、ね…。) キリサキの言っていた言葉が頭をよぎる。もしハリーが自分よりも過去の存在だとすれば、娘の死に気付いていないのも合点がいく。 しかし、この状況をハリーに対してどう説明すれば良いのだろうか。突然現れて娘の死を告げたところで、彼がそれを信じるとは到底思えない。 (そういえば、死んでいない可能性もあるんだっけ…。) アレッサが現在も教団によって生かされているというキリサキの推理。本人は推測に過ぎないと言っていたが、もし当たっていたとしたら………。 とりあえず、今この話をするのは止めておこう。ハリーの為にも、自分の為にも。 バイクに寄りかかりながら思案するシビルの横で、ハリーは美耶子を背負い直した。 「彼女は?娘さんじゃなさそうだけど。」 「この子はもう死んでいるんだ。少しの間一緒にいたから、放っておくのも忍びなくてね。」 「ああ…。それで教会に?」 「いや、それだけじゃない。娘が教会に行くと言っていたのを聞いていた人がいてね。」 「なんですって!?」 有り得ない、と叫びそうになるのを必死で抑える。 …どうやら最悪の形でキリサキの推理は当たってしまったらしい。“自分に”届いた手紙と僅かな情報を頼りに教会を目指したハリー。恐らく彼女はまだ“生かされて”いて――――― (私達を引き合わせようとした、のかしら…。) 「この辺りにシェリルはいなかったんだろう?なら教会の中にいるかも知れない。」 「ハリー、待ちなさい。私も一緒に行くわ。」 既に教会のドアに手を掛けているハリーを押し退け、ドアノブを握る。片手は拳銃を握ったままだ。 (さて……アレッサ、今度は何を伝えたいというの?) 中で待ち受けるのは、アレッサか、『ヘザー』か。あるいはもっと恐ろしいものかも知れないと思いながら、シビルはドアを開けた―――――。 【C-2/教会玄関前/二日目 黎明】 【シビル・ベネット@サイレントヒル】 [状態]:精神疲労(中~大)、肉体疲労(小) [装備]:SIG P226(2/15) [道具]:旅行者用バッグ(武器、食料他不明)、グレネードランチャーHP LV4(炸裂弾5/6)@バイオハザードアンブレラクロニクルズ、白バイ、スタンレー・コールマンの手紙と人形 白バイのサイドボックス(炸裂弾:13、アグラオフォテス弾@オリジナル:23、他不明) [思考・状況] 基本行動方針:要救助者及び行方不明者の捜索 0 アレッサとヘザーには何か関係が? 1 ハリー、ともえと教会内部を探索 2 その後キリサキ、ユカリと合流する 3 前回の原因である病院に行く 4 ハリーに過去のサイレントヒルでの出来事を伝える ※風海達と情報を共有しました。 ※白バイのサイドボックスに道具が入っているようです。 サイドボックスの容量が普通だとは限りません。 ※ハリーが自分と異なる時代から来ていることに気付きました。 ※アレッサが自分とハリーを教会に呼び寄せたと思っています。 【ハリー・メイソン@サイレントヒル】 [状態]:健康 [装備]:ハンドガン(装弾数15/15)、神代美耶子@SIREN [道具]:ハンドガンの弾(20/20)、栄養剤×3、携帯用救急セット×1、 ポケットラジオ、ライト、調理用ナイフ、犬の鍵、 [思考・状況] 基本行動方針:シェリルを探しだす 0 シビル、ともえと教会内部を探索 1 美耶子を安置する 2 学校に向かう 3 機会があれば文章の作成 4 緑髪の女には警戒する 【太田 ともえ@SIREN2】 [状態]:右頬に裂傷(処置済み)、精神的疲労(中)、決意 [装備]:髪飾り@SIRENシリーズ、ケビン専用45オート(7/7)@バイオハザードシリーズ [道具]:ポーチ(45オートの弾(9/14)) [思考・状況] 基本行動方針:夜見島に帰る。 0 ハリー、シビルと教会内部を探索 1 ケビンの代わりにハリーを守る 2 夜見島の人間を探し、事態解決に動く。 3 事態が穢れによるものであるならば、総領としての使命を全うする。 ※闇人の存在に対して、何かしら察知することができるかもしれません ※幻視のコツを掴みました。 back 目次へ next 『澱み』 時系列順・目次 Survivor ――Eye of the Tiger―― Born From A Wish――隙間録・ジェイムス・サンダーランド編 投下順・目次 YOU RE GONNA BE FINE back キャラ追跡表 next 春のかたみ 太田ともえ 最後の詩 春のかたみ ハリー・メイソン 最後の詩 Phantom シビル・ベネット 最後の詩
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ゼロの調律 漂う空気に乗せられている、肺の中にこびりつく様な生臭さと鉄臭さ。 壁や床の上をコーティングしている、焼け焦げた肉とも泥々と溶けかかった粘膜とも付かない質感を施した、正体不明の赤黒い汚れ。 静寂だけが支配する筈の空間に時折聞こえてくる、亡者達が獲物を求めてさ迷い歩く足音と呻き声。 思わず鼻を覆いたくなる様な。目を背けたくなる様な。耳を塞ぎたくなる様な。 立ち入る者の心の内を不快と不穏で彩る、その裏返った世界では最早ありふれているとも言えるのに、誰もが決して馴染む事のない光景。 その一部と化しているラクーン大学エントランスホールに、血溜まりの中、うつ伏せに倒れた一人の少女の肉体がポツンと残されていた。 身体にくっついている事が不思議な程、千切れかかっている左腕。 元よりはみ出していた状態で這いずり回ったせいで、余計に床に擦りつけられ引き摺り出されたピンク色の腸。 最後に獲物を掴み取ろうとした為か、爪の剥がれかかっている右腕は前方に伸ばされたまま床の上に落とされており、白く濁りを見せた目の上には二つの小さな風穴が開いていた。 レオン・S・ケネディによって射殺された、ゾンビと化した一人の少女、雛咲深紅の肉体だ。 彼女の肉体は既に死体。その身体には、魂は存在しない。 この町に迷い込み、この町の中で命を落とした、この町に『呼ばれし者』達――――それは、名簿に載っている者、載っていない者を問わず、だが。 『今の』サイレントヒルにおいて彼等の魂、精神は、『澱み』に取り込まれる運びとなっている。 そして、その魂が『澱み』から出て来る事は、日野貞夫の持つ鏡石の異例を除いては有り得ない事。 そう、それには只一人の例外も無い。決して有り得ない事なのだ――――。 ゆらりと、横たわる雛咲深紅の身体に触れる何かがあった。 それは、誰の目にも決して映らない力だった。 いつの間に触れたのかも、何処から近づいたのかも、誰も知る事はない。 緩やかに、静かに、しかし、確かな強さを持って存在する奇妙な力。 何者にも捉えられず、認識もされない。理解出来るのは、その力が生み出した後の結果だけだ。 ――――人々の潜在意識を反映し、具現化する、サイレントヒルの町そのものの性質―――― その力に触れられた雛咲深紅の身体から、一つのエネルギー体が立ち昇る。 それは、雛咲深紅本人の身体に残る魂の残滓から創り上げられたもの。 ともすればそれは、幽霊、と呼ばれる存在に見えるだろう。 厳密に言えばそうではない。雛咲深紅の霊魂は既に『澱み』に囚われているのだから。 言うなればそれは、かつてのサイレントヒルでジェイムス・サンダーランドの精神より生まれたレッドピラミッドシングやバブルヘッドナース、或いはマリアに近しい存在。 町の力が何者かの精神を反映し、生み出したのは、憐れな意識と魂の分身達。 元となる精神が、雛咲深紅や雛咲真冬、氷室霧絵のものなのか。それとも別の誰か――――この町に既に囚われている何者かのものなのか。そこまでを特定出来る者は誰もいないが。 雛咲深紅達が住まう世界での“ありえないもの”とされる存在が、このサイレントヒルの世界でも生み出される理由がそれなのだ。 そしてそれ故に、雛咲深紅達の知る“ありえないもの”とは若干の差異も生じてしまっているのだが。 ジェニファー・シンプソンが心を痛めて、鷹野三四が僅かな好奇心を覗かせて、雛咲深紅の死体の横を通り過ぎた時。 誰にも聞かれる事のない形にならない安堵の呟きが、エントランスホール内に溶け込む様にして消えた。 『深紅』は儚げな笑みを浮かべて、胸を撫で下ろしていた。 死に際の彼女が心配していた事――――ジェニファーの安否を確認出来たから。 ジェニファーを手助けしてくれる協力者も出来た様子だから。 しかし、気がかりが全て無くなった訳ではない。 今の『深紅』の思い残したもの。それはあのホテルでの事だ。 あの不思議な感覚を覚えた一室。 あの部屋で唯一動かす事の出来た日記から読み取れた二人の少女の、一つの想い。 深紅の真冬への想いを膨れ上がらせ、そのまま彼女の脳裏に焼き付いた故にこうして『霊体』となった今も気にかける事の出来るあの想い。 父親への、思慕。 ハリー・メイソンという男性。 その娘と思われる二つの姿を見せた少女。 イメージの中にもあった霧の町。 あのホテルには必ず何かがある筈。 それは、この町との関係も隠されているのかもしれない。 誰かに伝えなくてはならない。 『地縛霊』と化してしまった為、『深紅』は最早ここから動く事は出来ないが。 どうにかして誰かに伝えたい。 あの想いを、伝えなくてはならない。 誰かに。 誰かに――――。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 研究所――――地図上ではそう表記されていた筈の区域内の棟。 広々として殺風景なエントランスホールで四人を出迎えたのは、一人の少女の死体だった。 年の頃は、十五、六だろうか。まだ中高生だと思われる。 左腕は千切れかけ、腸は跳び出している上に、額には銃痕まで残された無残な死に方。 三沢は推察する。彼女もまた、『あっち側』に行ってしまった為に生き残りの誰かに殺されたのだろうと。 ゾンビの様な連中は銃を使わない。また、三沢の知る限りの、ではあるが、銃を扱う化け物共に殺されたのなら彼女も奴等の仲間入りをしている筈。 それが、理由だ。 見い出せた期待を一笑するかの様に現れた惨劇。 ロッキーのテーマを口ずさんでいたジムも気が滅入ってしまったらしく、少女を見るなり歌を止めてしまっていた。 「……ジム。それで、どっちに行けばいいの?」 「あ、ああ。……こっちだよ。ついてきな」 ジルの促しにより、重い空気の漂う場で三人が動き出す。 出来る事をやる。 まだ十代の子供であろうと、死に様が憐れであろうと、死者にかまけてはいられない。それは三沢も正しい選択だと考える。 そういった判断が下せるのは彼女がそれなりに修羅場をくぐり抜けている事の証明だ。 永井頼人とそうは変わらぬ年齢だろうに、やはり国柄というものか。 入り口から左側にあった通路に入ったジムの後を、ジル、須田の二人が続いた。 動かないのは、三沢のみ。 三沢は一人、この場に来た時からジム達には聞こえない声を――――目の前で死んでいる少女の霊体の声を聞いていた。 これは悪夢や幻覚ではない。しかし、化け物の様な敵意や害意は一切感じられない、三沢も初めて見る種類の『あっち側』の存在。 少女が訴えかけている必死の想いを、三沢は確かに感じ取っていた。 “南のホテルへ” “あの部屋の少女” “ハリー・メイソン” “彼の……こども……?” 高ぶっている感情を吐き出す様に、繰り返されている四つの言葉。 そこに何かがあるというのか。ハリー・メイソンとは警察署で出会った男の事なのか。 彼の子供とは、シェリル・メイソンを指しているのだろうか。 疑問は浮かぶが、何だそれはと問い掛けようとも、少女の霊はただ繰り返すのみ。 「南のホテル、か」 確認するでもなく、ぽつりと呟いて。 三沢は身体を返して少女に背を向けた。 少女はいつまでも、ただ言葉を繰り返していた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ジムが言うには、細い通路の突き当たりにはエレベーターがあり、ウィルスのワクチンを作る為にはそれで三階に行かねばならないらしい。 まずはそのワクチン精製の機械が存在しているかどうかを確認しなければ始まらない、との事だ。 仮に材料が揃おうとも、その機械がなければワクチンは作れないのだから、言わんとする事は恭也にも分かる。 「あれ、ミサワはどうしたんだ?」 それはそれとして最初に生じた問題は、この僅かな移動の中でも三沢がただ一人ついてきていないという事だった。 「え……? あ、俺見てきます」 「おいおい、頼むぜ、まったくさ」 二つの溜息を背中で聞き、恭也は早足で短い一本道を戻る。 エントランスホールに入れば、果たして三沢は未だ少女の死体の前に立ち尽くしていた。 「三沢さん。あの……もう行かないと。みんな待ってますよ」 声をかけるが、反応はない。 恭也の声が聞こえない程に少女の死を悼んでいるのか。しかし、そういう感じにも思えない。 訝しげに首を傾げる恭也が気付いたのは、三沢の視線だ。 三沢は少女の死体の前に立ちながらも、死体そのものを見ている訳ではないのだ。 彼の視線は、虚空の一点を凝視している様に止まっている。 恭也もそちらを見やるが特に目立つものは無い。一体、何を見ているのか。 「三沢さん?」 やはり返事はない。 三沢が何を見ているのか。それを再度意識した瞬間、恭也の視界が若干の乱れを帯びた。 唐突に飛び込んできた映像に、僅かに呻きながらも恭也は――――それを見た。 (な、なんだ、これ……?) 死体となって床に倒れている少女。その上に立つ、色褪せた彼女の姿を。 そして聞いた。 南のホテルへ。あの部屋の少女。ハリー・メイソン。彼の子供。 何度も何度も、ただその四つの言葉だけを繰り返す、彼女の声を。 「っはぁ……」 吐息と共に幻視を解く。 慌てたように少女の死体を確認するが、彼女の姿などは何処にも見えやしない。 しかし死体の位置からしても、今のは、間違いなく三沢の見ていた映像だ。 今のは、幽霊というやつなのだろうか。いや、そうとしか思えないのだが。 率直に言えば奇妙な男だとは恭也も思っていたが、まさかそんなものが見えていようとは――――。 「南のホテル、か」 二度の呼び掛けにも無反応だった三沢が口を開き、ぼそりと呟いたのは、幻視の中の少女が散々繰り返していた単語の一つ。 振り返った三沢が、漸く恭也に目を向けた。 「どうした?」 「いや、どうしたって……今“視えてた”のって……本物の幽霊なんですか?」 「さあな」 それだけを残すと三沢は恭也の横を通り、エレベーターへの通路へと入っていく。 おせえよ、とのジムの悪態が聞こえてきた。二言三言、ジムはそのまま騒がしく喚いている。 恭也もそのまま戻ろうとして――――ふと足を止め、少女の死体を見返した。 他に何も見えないその場所に、儚げに立つ少女の姿が思い出される。 今も少女はあの言葉を繰り返しているのだろうか。 “視える”者にしか映らない姿で。“聴こえる”者にしか届かない声で。 まっすぐと、恭也を見つめて――――。 背筋に寒いものが走り、恭也は小さく身震いをした。 【Dー3/研究所(ラクーン大学)・1階エレベーター前通路付近/二日目黎明】 【三沢 岳明@SIREN2】 [状態]:健康(ただし慢性的な幻覚症状あり) [装備]:89式小銃(30/30)、防弾チョッキ2型(前面のみに防弾プレートを挿入) [道具]:マグナム(6/8)、照準眼鏡装着・64式小銃(8/20)、ライト、64式小銃用弾倉×3、精神高揚剤 グロック17(17/17)、ハンドガンの弾(22/30)、マグナムの弾(8/8) サイドパック(迷彩服2型(前面のみに防弾プレートを挿入)、89式小銃用弾倉×5、89式小銃用銃剣×2) [思考・状況] 基本行動方針:現状の把握。その後、然るべき対処。 0:「南のホテルへ、あの部屋の少女、ハリー・メイソン、彼のこども」か…… 1:民間人を保護しつつ安全を確保 2:どこかで通信設備を確保する ※ジルらと情報交換していますが、どの程度かはお任せします。 【須田 恭也@SIREN】 [状態]:健康 [装備]:9mm機関拳銃(25/25) [道具]:懐中電灯、H K VP70(18/18)、ハンドガンの弾(140/150)、迷彩色のザック(9mm機関拳銃用弾倉×2) [思考・状況] 基本行動方針:危険、戦闘回避、武器になる物を持てば大胆な行動もする。 0:今の……幽霊? 1:この状況を何とかする 2:自衛官(三沢岳明)の指示に従う ※少女(深紅)の地縛霊の言葉を、三沢への幻視を通して聞きました。 【ジル・バレンタイン@バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ】 [状態]:疲労(中) [装備]:レミントンM870ソードオフVer(残弾6/6)、ハンドライト、R.P.D.のウィンドブレーカー [道具]:キーピック、M92(装弾数9/15)、M92Fカスタム"サムライエッジ2"(装弾数13/15)@バイオハザードシリーズ ナイフ、地図、携帯用救急キット(多少器具の残り有)、ショットガンの弾(1/7)、グリーンハーブ [思考・状況] 基本行動方針:救難者は助けながら脱出。 1:ワクチンを入手する ※闇人がゾンビのように敵かどうか判断し兼ねています。 ※幻視についてある程度把握しました。 【ジム・チャップマン@バイオハザードアウトブレイク】 [状態]:疲労(中) [装備]:89式小銃(30/30)、懐中電灯、コイン [道具]:グリーンハーブ×1、地図(ルールの記述無し) 旅行者用鞄(26年式拳銃(装弾数6/6 予備弾4)、89式小銃用弾倉×3、鉈、薪割り斧、食料 栄養剤×5、レッドハーブ×2、アンプル×1、その他日用品等) [思考・状況] 基本行動方針:デイライトを手に入れ今度こそ脱出 1:ワクチンを入手する 2:死にたくねえ 3:緑髪の女には警戒する ※T-ウィルス感染者です。時間経過でゾンビ化する可能性があります。 ※『呼ばれし者』の魂は『澱み』に囚われる為、浮遊霊化、地縛霊化、怨霊化等の現象で生まれるクリーチャーは魂とは違う存在(岩下明美の例を出すと魔力の塊)とします。 ※この場合の『呼ばれし者』の浮遊霊等は、性質としては零のそれと殆ど変わらないものとします。 それ故、本来の霊への対抗手段である射影機や裂き縄等でも封印は可能です。 ※これに伴い、『呼ばれし者』以外の幽霊(氷室邸から発生した浮遊霊等)は、本来の霊魂の存在である故に魔力の塊では無い事とします。 ※流行り神の『死者の霊魂』化につきましても、こちらの設定を当てはめさせて頂きます。 ※裏世界での研究所の破壊痕が、サイレン後の表世界に影響しているかどうかは後続の方に一任します。 back 目次へ next DIE HARD 時系列順・目次 Obscure Against the Wind 投下順・目次 聲 back キャラ追跡表 next Survivor ――Eye of the Tiger―― 須田恭也 最後の詩 Survivor ――Eye of the Tiger―― 三沢岳明 最後の詩 Survivor ――Eye of the Tiger―― ジル・バレンタイン 最後の詩 Survivor ――Eye of the Tiger―― ジム・チャップマン 最後の詩
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追跡者 「わぁ~っ~・・・・凄い霧ぃ~」 「レナ…手ぇ離さないでよ。これではぐれたら、本当にどうなるか解んないからね」 「えへへ…魅ぃちゃん怖がり~」 「違うって!しっかし、それにしてもほんとに酷い霧だね!まるで前が見えやしない」 ねっとりとした、ミルク色の恐ろしく深い霧を掻きわけて、 手をつないだ二人の少女が人気の無い道を歩いている。 一方の少女は、かわいらしい顔をした、セミロングボブの美少女で、 白色を基調としたワンピースを着て、白色に黒いラインの入った帽子をかぶっている。 もう一方の少女は、ポニーテールの、どちらかと言えば凛々しい印象の美少女で、 黄色いシャツにジーパン、とラフな格好をしていた。 前者の少女の名は竜宮レナ、後者の少女は園崎魅音。 共に××県、雛見沢村に住む中学生だ。 彼女たちは、本来、最近明らかに調子がおかしい同級生、 前原圭一のお見舞いに行く為に、雛見沢の舗装もされてない田舎道を、 二人、前原邸へと向けて歩いていた訳だが… 「本当に、何にも見えないねぇ…天気予報では何も言って無かったのに…」 「はうぅ…これじゃ圭一君の家に行けないよォ…」 突如、恐ろしく濃く、陰気な霧が彼女達を包み、方角すら解らなくなってしまったのである。 かろうじて足元に見える道をたどりながら前へ前へと進むも、一向に何も見えてこない。 霧に呑まれてから、かれこれ十分は歩きとおしているのだが、一向にこれといった建物すら見えないのは、 いくら過疎化が著しい雛見沢でも、どうにも様子がおかしい。 「う~ん…迂闊に道を外れると何処に出るか解んないしなぁ~…うっかり山にでも迷い込んだら事だし…」 「ねぇねぇ、魅音ちゃん…」 「ん?どうしたのさレナ」 「何か…聞こえない?」 「えっ?」 レナに言われて、耳を澄ます魅音。 そうすれば、たしかに道の先から、何か豆を炒る様な乾いた音と、 誰かの声と、何か獣の様な呻き声が聞こえて来たのだ。 「本当だ…誰かいるみただねぇ。よし、レナ!善は急げだ、行くよ~!」 「わわ!?魅ぃちゃん速いよ~!」 ようやく人の気配を感じた為か、魅音はレナの手を引きながら、 音の方向へ…即ち霧の道の向こう側へと走り出す。 その先に、何が待つかも知らずに。 ◆ 暫くの間、音のした方向へとひた走っていたレナと魅音だったが、 その途中で、奇妙な事に気が付いた。それは… 「魅ぃちゃん…」 「解ってるよレナ。一体全体、おじさん達、何処にいるんだろうねぇ…」 突如、途中から道路が舗装された綺麗な物に代わっている。 道路の脇には花壇の様な物も見えて、そこにはいくらか花も咲いている。 ただ、管理は杜撰なものらしく、花の生え方は雑多で、雑草も抜かれていない。 少し行った所には、花壇の土に大きなスコップが突き立ってさえいる。 「レナ…おじさんから離れないでよ…」 「解ってるよ魅ぃちゃん…なんだか…様子が変だよ…」 魅音が、レナの手をぎゅっと握りしめた。 当初、二人は興宮市にまで来てしまったのかと思っていた。 しかし、興宮にしてはどうにも様子がおかしい。 街の家々には明かりが一切見えず、街灯も点いていない。 何より、人の気配が全くと言っていいほどしないのだ。 感性の鋭敏なレナには、まるでここが「人間の世界」ではない、どこか「別の世界」にすら感じられる。 肩を寄り添わせながら、ゆっくりと、慎重に道を進む二人であったが、 ふと、二人の進行方向の霧の向こうに、朧な人影が一つ現れた。 「誰っ?」 レナが思わず厳しい口調で人影に呼び掛ける。 すると人影は、足を少し引き摺りながら、 「ううっ…ううっ…」 と呻き声をあげている。 そんな人影が、霧の向こうから姿を明らかになる。 「助けて…助けて…」 それは、少し情けない風貌の、黄色いジャケットに、迷彩のズボンを履いた、 やや身長が高めの… 「えっ、怪我人!?」 「おじさん、大丈夫ですか!?」 右肩を真っ赤に血で染めた男だった。 それ以外にも、全身に少なく無い傷を負っている。 その情けない風貌の顔は、痛みと恐怖で蒼褪め、さらに情けない顔になっていた。 「助けて…助けて…」 男は、レナと魅音の姿を確認するや、 少しばかり安堵の笑みを浮かべながら、二人の方へ手を伸ばす。 二人は、少し顔を見合わせたが、直ぐにこの怪我人を介抱すべく、男に近づこうとする。 正にその瞬間、レナ・魅音の二人と、怪我人―ブラッド・ヴィッカーズ―の間に突如、 空より黒く大きな何かが割って入って来たのである。 それは、2メートルを超える、いや下手をすれば3メートルにも達する大男であった。 黒いロングコートに身を包み、黒いズボンを履き、黒いブーツを履いた、 剥き出しの歯茎と、潰れた右目、濁った左目に、人間とは思えぬごつごつした茶色の皮膚をし、 体の随所に紫の触手を巡らした大男の怪物であった。 『Dieee....“INVITED”....Guoooooooo!』 怪物は低い声でそう言うと、悲鳴を上げながら逃げようとするブラッドへと追いすがる。 直ぐに追いつかれたブラッドは、大男の左手で胸倉を掴まれ、引き摺り上げられる。 余りの突然の、現実離れした出来事に、 レナも魅音も、ただ茫然と、その光景を見ている事しかできない。 「助けて…助けて…助けてっ!」 悲痛な叫びを上げながら、何とか逃れんと体をよじるブラッド。 しかしその抵抗も空しく、大男の右の掌が、ブラッドの顔に翳されて、 掌から飛び出した紫の触手が、ブラッドの頭部を突き貫いた。 がすっ、と鈍い音がして、恐ろしく鋭い触手の先端が、ブラッドの後頭部から飛び出る。 もはや命の無いブラッドの体が、びくびくと痙攣した。 レナの隣で、ぺたんと、魅音は尻もちをついた。 しかしレナはそれに気づく様子も無く、視線は、大男に釘付けであった。 魅音も、尻もちを突きながらも、視線は大男に向いたままだ。 大男は、レナ達の方へ振り向きながら、ブラッドの死体を投げ捨てる。 ゴミの様に投げ捨てられたブラッドの死体の右手より、 拳銃がこぼれ落ちて転がり、魅音の爪先に当たって留る。 大男の濁った左目から、二人に向かって向けた大いなる殺意の塊を感じ取った時、 ようやく、レナは自失状態から回復した。 「魅ぃちゃん!逃げよう、逃げよう!早く逃げようっ!」 魅音の左手を必死に引っ張りながら、レナは叫ぶ。 しかし… 「は…は…はは…ごめん、レナ…」 顔をひきつらせながら力なく笑う魅音は立ち上がらない、否、立ち上がれない。 「お、おじさん…腰が抜けちゃったみたい…」 『DIEEEEEEEE!“INVITED”!GUOOOOOOOOOOO!』 雄たけびを上げる大男の姿と、魅音との間をせわしなく何度か視線を往復させるレナだが、 ふと、何かに気が付き、表情を鋭く引き締めると、 「魅ぃちゃん、逃げて!」 「レ、レナっ!?」 何を思ったか、レナは大男の方へと走り出す。 これには、二人の方へと歩き始めていた大男も、意外だったのか、 ややタイミングを外して繰り出した右手のスイングは、 レナが身をよじることで回避されてしまう。 うまい具合に大男の脇を走り抜けたレナは、その後方の花壇に突き刺さったスコップを引き抜いて、 「えぇぇぇぇいっ!」 横殴りに、大男の脇腹に叩きつけたのだ! ガスッ! 鈍い音がする。先端が研ぎ澄まされたスコップは、見事、大男の脇腹に突き立っていた。 スコップは大いに凶器になりうる。 第一次世界大戦の塹壕内での接近戦で最も多くの人間を殺したのはスコップだと言われている。 先端を研ぎ澄ましたスコップは人間の首すら切断する時があると言う。 ロシアの特殊部隊“スペツナズ”ではCQC(近接格闘)用の武術であるコンバットサンボの一部に、 「スコップ術」を取り入れている事実も、スコップの凶器としての優秀性に箔を付けるだろう。 ましてやレナは、その細腕に似合わず、片手で斧や鉈を振り回す怪力の持ち主である。 その力で振るわれるスコップは、正に、恐るべき凶器であった。 しかし… 「…えっ!」 特に痛みを感じた様子も無く、 大男はその右手を振りかぶると、レナの胸元をつかみ、 「きゃ、きゃああああっ!」 無造作に投げ飛ばす。 とっさに頭をかばった為に重傷は免れたが、 背中を強く打ち、一瞬、レナは呼吸が出来なくなる。 「・・・・ッ!」 悶絶しつつも、必死に立ち上がらんとするレナへと、 スコップを引き抜いた大男は、とどめを刺さんと足を進める。 そんな大男の背後で、銃声が鳴り、銃弾が背中に突き立つ! 大男が振り向けば、 「こっち向けぇ、バケモノ!レナから離れろ!」 立ち上がり、拳銃を構えた魅音の姿があった。 (レナが…レナが…殺されちゃう…) 抜けてしまった腰で、何とか立ち上がらろうとするも、立ち上がれないまま、 レナが投げ飛ばされるのを見た魅音だが、恐怖に声も出なかった。 しかし、一方で、仲間であり、友人である竜宮レナの生命の危機に、 何とかしなければ、という強い思いが駆け巡る、その時、 カツン 乾いた金属音。 気が付けば、爪先で、軽く足元のブラッドの拳銃、 ベレッタM92を蹴飛ばしていたのだ。 拳銃の存在にようやく気が付いた魅音は、這うようにしてそれをひん掴む。 冷たい鉄の感触を感じた瞬間、彼女を体を縛っていた恐怖が薄らぐ。 園崎家の次期頭首として、幼少より訓練をさせられた銃器の技法… 確かな殺人の手段が手の内にあるという事実が、彼女の心の追い風になる。 今までまるで立ち上がれなかったのが嘘のように、 すくっと、魅音は立ち上がると、両手でベレッタを構え、 大男の背に向けて一発! タァーン! 男の背中の一部が爆ぜ、赤い血が飛ぶ。 (赤い血が出る…血が出るなら、殺せる!) 「こっち向けぇ、バケモノ!レナから離れろ!」 魅音が気を吐き、振り向いた大男に向けてベレッタを続けざまに撃ちこむ。 二発目! 再び大男の背中に銃弾が突き立ち、大男が振り向く。 大男の意識は、完全に此方に向いたようだ。 さらに三発目! 今度は男の胸に突き立つ。 しかし、男は其れを意に介した様子も無く、魅音の方へとゆっくり近づいてくる! 四発目、五発目! 二連射。しかし大男は止まらない。 (きいてないっ!?) 拳銃弾を五発も食らっても平然としてる大男に、 魅音は再び焦り出す。 防弾チョッキを着ていても、銃撃時の衝撃までは消せず、 多かれ少なかれダメージは負う筈なのに、その様子すら無い。 「ば、化け物ぉっ!」 六発目、七発目、八発目! 今度は三連射。しかし大男は止まらない! 「あ・・・・ああっ!」 魅音の顔が蒼褪める。 慌てて、引き金を引くが。 カシン… 「ッ!?うそっ、弾切れ!?」 ベレッタの装弾数は15発のはず…まだ8発しか撃ってないのに弾切れ。 どうやら、殺された男、ブラッドが、すでに7発使っていたらしい。 為す術の無くなった魅音に、大男は近づいてくる。 「魅ぃちゃん逃げてっ!」 ようやく立ち上がったレナが叫ぶも、魅音は動かない。 余りの状況に、心が折れてしまったらしい。 すぐ手を伸ばせば、大男が魅音を捕まえられる位置に来ても、 魅音は、 「はは…ははは…」 乾いた笑いを洩らすのみ。 大男が右手を振りかぶる。掌からは、先の鋭利な触手が飛び出し、蠢いている。 魅音は思わず目を瞑る。 そこに、 『こっちを向きな、バケモノ!』 思わぬ、第三者の声。そして、 タタタンッ! 銃声。 魅音が目を開ければ、大男は既に此方を見ていない。 大男の視線の先には、霧の向こう側に出現した朧な緑色の人影が… タタタンッ!タタタンッ! マズルフラッシュが輝き、銃弾が3点バースト撃ちで吐きだされる。 ベレッタよりも遥かに力強い銃声が響く。恐らくはライフル弾。 タタタタタタタンッ! 介入者へと向けて早足で接近していた大男に、 今度はフルオート射撃が叩き込まれる。 威力の高い5.56mm NATO弾のフルオート射撃は、流石に、 僅かながらも大男の体を怯ませる。 その隙を、介入者は見逃さなかった。 ポンッ! という音と共に、介入者の武器、 コルトM4A1カービンの銃身下部にアタッチメントされた、 M203A1グレネードランチャーより発射された、グレネード弾は、 狙いを誤らず大男の顔に吸い込まれ、 ドォォォォンッ! 爆発ッ! 流石にグレード弾の威力は大男にも効果があったのか 『Guooooooooooooooooooooo!』 立膝を突き、両の手で顔を押さえて呻く。 「今だっ、こっちに来るんだ!」 霧の向こうの介入者が大きく手を振っている。 「魅ぃちゃん、早く、早く!」 レナは、どうやら人影に付いていくつもりらしい。 人影を追いかける体勢になりながらも、振り向いて魅音へと呼びかける。 魅音も意を決して、呻く大男の隣を素早く通り抜けながら、 人影を追って走る、走る、走る! 「早く、早く…来るんだ、あいつが起きないうちに!」 声から察するに、人影の正体は男性らしい。 力強く、そして若々しい声だ。 男に従って走るレナと魅音。 暫く霧を駆け抜けていると、急に大きな黒い影が見える。 「ここだっ、一先ず、ここに逃げ込め!」 それは、大型のショッピングモールであった。 ショッピングモール一階のある飲食店。 そこのカウンターの裏に、三人はいた。 「とりあえず…ここなら、しばらくは見つからないだろ。たぶんマケるはずだ」 男が、息の上がったレナと魅音に笑いながら語りかける。 同じ距離を全力で走ったのに、男の方は少し汗をかいているだけだった。 男は、日本人では無かった。 黒い髪、黒い目をしていたが、その顔立ちは、 恐らく南米系のものだと思われる、彫りの深い、男臭い顔立ちだった。 緑と白の戦闘服に、タクティカルベスト、そして軍用のブーツといったイデタチで、 戦闘服の背中には、独特の傘の様なエンブレムが染め抜かれている。 「はぁ…はぁ…助けてくれて…ありがとう」 「本当に…ところで、貴方は誰ですか?」 レナの質問に、男はニヤッと笑いながら答えた。 「U.B.C.S.( アンブレラ・バイオハザード対策部隊)、カルロス・オリヴェイラ伍長…」 「君達を助けにきたのさ!」 【E-2 ショッピングセンター1階 飲食店カウンター裏/ 一日目夕刻】 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】 [状態]: 軽度の打撲、軽度の混乱、L3- [装備]:なし [道具]: なし [思考・状況] 基本行動方針: 状況を把握する。 1:カルロスの話を聞く 2:あの化け物…一体…? 【備考】 ※鬼隠し編からの参戦 【園崎魅音@ひぐらしのなく頃に】 [状態]: 健康、軽度の混乱、L2 [装備]:ベレッタM92(残弾0/15) [道具]: なし [思考・状況] 基本行動方針:状況を把握する 1:カルロスの話を聞く 2:もう、アレには二度と会いたくないねぇ… 【備考】 ※鬼隠し編からの参戦 【カルロス・オリヴェイラ@バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ】 [状態]:健康 [装備]:コルトM4A1(残弾30/30)、M203A1擲弾発射器(残弾0/1) [道具]: SIG P226(残弾15/15)、M4A1の予備マガジン×3、コンバットナイフ [思考・状況] 基本行動方針:U.B.C.S.隊員として、市民の救助を行う 1:レナ、魅音の保護をする。 2:はぐれた他のU.B.C.S.隊員と合流する。 3:生存者を連れて、集合場所からヘリで脱出する。 【備考】 ※サイレントヒルをラクーンシティーだと勘違いしています。 レナ達三人が去って暫くたった後、顔を押さえ、呻いていた怪物は、呻きを止め、立ち上がった。 驚くべき事に、グレネード弾を直撃した筈の顔面にはもうすでに、 傷らしい傷は見当たらないではないか! 魅音に撃たれた9mm弾の傷などは、最早影も形も見えない。 恐るべき再生力の持ち主だ。 怪物は低い声で呟く。 『Dieee....“INVITED”....Guoooooooo!』 本来、この怪物は、ラクーンシティーに残された、 『ある特定の人物達』を抹殺するために送り込まれた筈の存在であった。 しかし、誰かがその使命を上書きしたのか、 あるいは、このサイレントヒルの魔の瘴気に侵された結果か、 今の怪物の脳髄を満たす使命は、かつての物とは全く異なる物に変貌していた。 すなわち…“INVITED”、「呼ばれし者」達の抹殺こそ、この怪物の今の使命。 立ち上がった怪物は、周囲を優れた感覚で探りながら、『彼ら』を探す。 この怪物には一つの仇名がある。 それは「追跡者」。狙った獲物は、その命が尽きるまで、どこまでもどこまでも追い続ける。 怪物の脳裏に浮かぶのはある三人の人物の映像。 竜宮レナ、園崎魅音、カルロス・オリヴェイラ。 怪物の魔手から逃れた故に、彼女達は、怪物「追跡者」の抹殺対象の最優先個体として認識されてしまう。 「追跡者」は、完全に破壊されるまで、彼女達を追い続けるだろう。 はたしてレナ達は、この恐るべき「追跡者」から逃れられるだろうか? 【E-2 路上/ 一日目夕刻】 【クリーチャー】 【タイラント NEMESIS-T型「追跡者」(第一形態)】 [状態]:頭部、胸部に軽度のダメージ(回復中) [装備]:耐弾耐爆コート(損傷率5%) [道具]:無し [思考・状況] 基本行動方針:「呼ばれし者」の皆殺し 1:レナ、魅音、カルロスを優先的に追跡、殺害する 2:それ以外の「呼ばれし者」と遭遇した場合、その場で殺害する。 3:上記3人と、それ以外の「呼ばれし者」を同時に発見した場合、 レナ、魅音、カルロスの殺害を優先。 4:3人を全員殺害完了し次第、新たなターゲットの探索に戻る。 【備考】 ※耐弾耐爆コートが完全損傷した段階で、本個体が完全破壊されて無い場合、 第二形態へと移行する。 【ブラッド・ヴィッカーズ@バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ 死亡】 ※ブラッドの死体はこのまま放置していた場合、ゾンビ化します。 ゾンビ化した場合、その耐久力は通常のゾンビの2倍以上あります。 back 目次へ next 笑う死神 時系列順・目次 親バカ日誌 霧笛 投下順・目次 戦士の心 back キャラ追跡表 next ― ブラッド・ヴィッカーズ 死亡 ― カルロス・オリヴェイラ ALONE IN THE DARK ― 竜宮レナ ALONE IN THE DARK ― 園崎魅音 ALONE IN THE DARK
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夜見鍋 出典:SIREN2 夜見島名産の海の幸、山の幸をふんだんに盛り込んだ郷土料理。 各素材には全く包丁を入れず、月の灯りの下で食すのが正式な作法。 最高の珍味とされる夜見アケビが入っており、一夜の間、強烈な高揚感と多幸感に包まれる。 しかし、運次第では翌朝に地獄を見ることになる。 備考 『SIRENどうあがいても絶望料理』シリーズの一つ、実際に作ったスタッフによると、やはり「まずい」とのこと。 また、全く包丁を入れず、とあるが、アーカイブの写真を見ると人参やらナルトやらが輪切りにされてることから手で千切ったり、包丁以外の道具を使用するなど、何らかの方法で切断したとかんがえられる。 また、若干の幻覚作用などをもたらし、激しい下痢を誘発する場合があるため食用には慎重さを要する。
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MEMORY――隙間録・三上脩、加奈江編 【 三上脩 】 夜見島/蒼ノ久集落/三上家二階 1976年某日 20時09分29秒 【 三上脩 】 夜見島/蒼ノ久集落/三上家二階 1976年某日 20時09分30秒 【 三上脩 】 夜見島/蒼ノ久集落/三上家二階 1976年某日 20時09分31秒 【 三上脩 】 夜見島/蒼ノ久集落/三上家二階 1976年某日 20時09分32秒 「あのね! おねえちゃんがきょうね、おねえちゃんのおかあさんのおはなししてくれたんだよ」 父親が整えている布団の中から、三上脩の幼い声が上がった。喜びの込められた純粋な声だ。 眠りに落ちる前のほんの僅かな時間。脩がその日一番の出来事を語るのは、三上家の日常的風景だった。 「ん?」 「かみさまがしんだの。そしたらおねえちゃんのおかあさんがうまれたんだって」 「はっはっは。神様か。おねえちゃんがそう言ってたのか?」 「うん!」 満面の笑みを浮かべて頷く脩に対し、父・隆平はぎこちない笑みを返していた。 “お姉ちゃん”――――数ヶ月前に夜見島港の岩場に流れ着いていた少女、加奈江の事だ。 少女は記憶を失っていた。身元を証明する様な私物も無く、その身に何が起きたのか、一体何処の誰なのか、未だに誰にも分からない。 脩が少女に妙に懐いてしまった事や、少女が隆平の亡き妻・弥生に瓜二つだった事等々の事情から、隆平には少女を捨て置く事は出来なかった。 故に発見したその日から、隆平の家で保護する運びとなり、今に至る訳だが――――その加奈江の言動や行動には、誰の目にも奇妙に映るものが多い。 少女が脩に対し、夜見島に古くから伝わる文献――とても一般的には知られていないはずの代物だ――の一部を詩として語っていた事もあった。 少女は一体何者なのか。隆平が少女の事を思い浮かべる度に頭をもたげてくる疑念。 この時にも同様だ。隆平の笑みの裏には、その疑念が生まれていた。 「それでね、おねえちゃんのおかあさんはね」 隆平は話を続けようとする脩の頭に、緩やかに手を乗せた。 その眼差しは、加奈江の事を案じる気持ちとは裏腹に、優しく、暖かい。 「脩。もう遅いからな。お話はまた明日聞かせてくれるか?」 「わかった!」 「お休み、脩」 「おやすみなさい!」 脩が目を瞑ると、隆平は息子の頭を撫でていた手を静かに離して立ち上がった。 電気が消され、隆平が階段を降りていく足音のみが脩の寝る和室内に届く。 脩は閉じた目の中で加奈江から聞いた“お話”を反芻していた。 明日、父親に話して聞かせる事をとても楽しみに思いながら。 おねえちゃん おはなししてくれた おおきいかみさま しんだ おねえちゃんのおかあさん うまれた いっぱいうまれた おねえちゃんのおかあさん とんでいった とおいところ しらないところ いっぱいとんでいった おねえちゃんもいけないところ いっぱいとんでいった みかみしゅう 4さい 【 加奈江 】 夜見島港/沖合 1976年08月03日 05時46分46秒 【 加奈江 】 夜見島港/沖合 1976年08月03日 05時46分47秒 【 加奈江 】 夜見島港/沖合 1976年08月03日 05時46分48秒 【 加奈江 】 夜見島港/沖合 1976年08月03日 05時46分49秒 空が明るさを増していく。 海面に浮かぶ加奈江に、朝日は容赦無く降り注ぎ、身体を徐々に焼いていく。 身を隠す場所は無い。全身を包む海水は黒衣の代わりにはなりはしない。もう加奈江が助かる望みは何処にも無い。 だが、それを選んだのは他ならぬ加奈江自身だ。 母の力を受け入れて母の元へと帰還する。その道も無い訳では無かった。 帰還してさえいれば、こうして光に焼かれる事も無かったのだが――――。 脩。 脩を、守りたい。 脩を、母の住む世界――――虚無の世界へと送り、殻として扱いたくはない。 加奈江はその一心で、母を裏切り、帰還を拒んだのだ。 島民達に追い詰められ、海へと落下した場所が灯台付近だったとはいえ、その灯台にあった小舟が流される二人の側に漂ってきたのは本当に幸運だった。 脩を助ける為の唯一の希望。身体に残された力を振り絞り、どうにか小舟まで泳ぎ切り、脩をそれに乗せる事には成功した。 あいにくそこで力尽き、自らが乗り移る事は叶わなかったが、構わない。舟の上だろうと下だろうと、どうあれ加奈江が陽光から身を守る手段は無いのだから。 残る不安は――――救助隊に発見されるまでの間、脩の体力が持つかどうか。 それは運次第となってしまうだろうが、出来るだけの事はした。助かって欲しい。助かってくれるはずだ。そう祈るしかない。 加奈江は安らかに両目を閉じた。 これでもう、鳩としての使命も終わりだ。 陽光に曝された身体は、数分もしない内に全てが焼き尽くされるだろう。 呆気無いと言えば、実に呆気無い最後だ。自分が帰還しなかった事に、母は落胆しているだろうか。 それでも加奈江には後悔は無い。 このまま消滅しても。母を裏切る結果となってしまっても。 脩を、守りきれた。それだけで、充分だ。 脩の安否以外には、後悔も、未練も、加奈江の中には無い。 ――――ただ。 加奈江の脳裏には、とある疑問が生じていた。 それはあの赤い津波の中での事。 あの津波は、母が自分を呼び戻す為に引き起こした現象だ。 津波そのものは幻に過ぎないが、現世に干渉する母の力が形として現れたものだ。それは、間違いない。 しかし、あの時。 加奈江が赤い津波に呑み込まれ、写し世へと流れる濁流の中で脩を守ろうと必死に抗っていた時。 濁流の中に、“母のものとは異なる力と意志”が紛れ込んでいた事に、加奈江は気が付いたのだ。 母の力が、巻き込まれた島民達を写し世へと引きずり込んでいく最中に、その異なる力が確かに“写し世ではない何処か”へと通じる入り口を開いていた。 加奈江には心当たりの無い、謎の力と意志。 母のものとも、出来損ないの屍霊達のものとも違う力だったが、それでもあの力からは、何処か母と近しいものを感じ取れた。 そして、あの意志からは、何処か加奈江のものと似た想いが感じ取れた。 加奈江と、似た想い――――。 加奈江の、脩に対する想いと似た――――。 あれは――――そう。 誰かに対する、思慕、だったのではないか――――。 しかし、一体あれは、何者の力と、意志だったのか――――。 閉じていた瞼が光に焼かれ、溶け落ちて。視界が無理矢理に開かれた。 脩が小舟から、加奈江を見つめていた。 何が起きているのかまでは理解し切れていないだろうが、溶けゆく加奈江の身体を、脩が見つめていた。 「脩、見ちゃダメ」 後悔も未練も無かったはずが、たった今生まれた悔いがあった。 このままでは脩に、自身が人間ではないと悟られてしまう。 脩に、泥々に溶解する自身の身体を見せつけてしまう。 それだけは、どうしても嫌だった。 「見ないで」 脩には、醜く消える姿を見られたくなかった。 怯えさせたくなかった。 嫌われたくなかった。 だが、今の加奈江に残された力は無い。 願いを口に出す事すら、加奈江にはもう、出来なくなりつつあった。 「脩、見ないで」 それが最後の言葉となった。 海水と同化する様に、自らの身体が溶けていく。 意識もまた、同様に。 暗く落ちる意識の中。加奈江は、見ないで、とそれだけを願っていた。 脩が見つめ続ける中。加奈江は、ただそれだけを願っていた。 ――――Continue to SIREN2 back 目次へ next 天狗風――隙間録・間宮ゆうか編 隙間録・目次 Born From A Wish――隙間録・ジェイムス・サンダーランド編 Obscure 投下順・目次 Born From A Wish――隙間録・ジェイムス・サンダーランド編
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太陽の聖環@サイレントヒルシリーズ 神を表す紋章の一つで、教団の象徴として用いられる。 外側の二つの円は慈悲と再誕、内側の三つの円は現在、過去、未来を意味している。 通常は赤で描かれる。黒などの赤以外の色で描く事もあるが、青で描くことはその意味を逆転し、神への呪いとなるので禁じられている。 ※闇人に対しては吐き気と1m範囲内に近づけないという効果を持ちます。 ※神の力で創り出されたクリーチャーに対しては10m範囲内に近付けば衰弱させられるという効果を持ちます。
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64式小銃(狙撃仕様) 7,62mmNATO弾を使用する自動小銃で1964年に陸海空自衛隊に正式採用された。 この小銃にはマークスマン(選抜射手)向けに中倍率の狙撃用照準眼鏡を取り付けてある。 装弾数20発。
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罰物語‐バツモノガタリ‐ 【7】 『マシンガン』と『自分の命』。 どちらが惜しいかと聞かれたら、死にたがりでもない限り、『自分の命』を選ぶだろう。 詩音は雛見沢症候群によって狂人と化してはいるものの、 だからと言って、命を捨てるような行動に出るほど狂ってしまっているわけではない。 故に、暴れている自衛隊員からの逃走を選ぶ。 「ワンちゃん、一旦此処から離れましょ」 死体を貪っている犬に命令する。 犬はそれに気付くと、すぐに捕食を止め、彼女の元に駆けだした。 相変わらず利口な子だ――詩音は口元を歪める。 死体を食らうのは少々頂けないが、それを差し引いてもお釣りが出るほど、この犬には魅力がある。 人を乗せて疾走できる程に大柄だから、移動が大変楽になるし、 口に生えた牙は人間の肉など容易く引き裂いてくれる。 そして何よりも、『ご主人様』に忠実なのだ。 自らの手足として行動してくれる従者――なんと便利なことか。 「時計塔には迂回して行くことにするわ。」 犬は命令に従い、彼女が指し示した方向に向かって走り始める。 肉を食らって栄養を付けたのだろうか、速度は以前よりも速くなっていた。 「くけけっ」 詩音は、やはり笑っている。 【8】 風間と宮田から離れた四人は、地図に書かれた教会に移動する為に北に向かっていた。 バスは使用していない。エンジンが付かなかったのだ。 故に、全員徒歩である。 「ミヤタは大丈夫なのかねえ……不安でならねえや」 「彼は『構わない』と言ったんだ。きっと大丈夫だろう」 「そうですよ。あの人が下手な真似でもしない限り……」 「その『下手な真似』をしたらどうするんだ?」 「美耶子様……縁起でもない事言わないで下さいよ……」 バスが動かないのは燃料が足りなかったせいだ、とジムは言っていたが、 明らかにそれ以外にも理由があるだろ、と美耶子は思わずにはいられない。 「……教会には何もないって宮田が言ってたんじゃないのか?」 「研究所に向かう『ついで』さ」 質問に答えたのは、えらく上機嫌なジムだった。 風間とか言う少年と別れれたのが、それほどまでに嬉しかったのだろう。 『研究所』。 ジムはそこを目指していると言っていた。 羽生蛇村で一生を過ごす自分には、永遠に関係のない施設の一つだ。 この変異が儀式によって起こったのなら、何故そんな「村と全く関係の無い場所」が存在するのだろうか。 地図を見たときにもそう思った。 「ボーリング場」に「ショッピングセンター」、それに「リトル・バロネス号」。 見た所か、聞いた事すらない施設ばかりなのである。 ――疑問を抱かざる、おえなかった。 「……なぁ、牧野」 「はい?何でしょうか」 「思ったんだが……この変異……本当に儀式を行なえば終わるのか?」 「…………え?」 あまりにも想定外の質問だったのか、牧野は思わず間抜けな声を出していた。 美耶子の口からそんな発言が飛び出すなど、夢にも思わなかったのだろう。 彼女にとっては、それがどうにも腹立たしかった。 「あの……何を言っているのですか?」 「だって儀式と全然関係ないじゃないか、この町」 「……そんな理由で怪しがってるんですか」 「怪しくはないだろ。オレもミヤコの言ってる事は正しいと思うぜ」 ジムが割って入ってきた。 彼もまた、牧野の「儀式によって全てが終わる」という説に否定的だったのだ。 牧野の方は、「どうして信じてくれないのだ」と言いたげな顔をしている。 「美耶子様はただ儀式の為に動いていてくれればいいんです。妙な事はあまり考えないで下さい……」 「どうして考えちゃいけないんだ。お前にとって私は人形なのか?」 「……そ、そんな事言っていませんよ、ただ、あまり変な意識を持つのは、儀式に影響があるんじゃないかと……」 「…………!お前はさっきから儀式の事しか言ってない……!」 美耶子の中に、怒りが蓄積されていく。 穏やかだった空気が、急激に張り詰めていく。 ジムとハリーも止めに入ろうとするが、彼女は意に介さない。 「……儀式なんて!そんなの関係ない!お前が勝手にそう思っているだけだ!そうに決まってる!」 牧野の手を振り払い、彼の目の前に立って言い放った。 これには流石の牧野も我慢ならなかったのだろう。彼も強い口調で反論する。 「い……いい加減にしてください!み、美耶子様は、私と同じように役割を――――――」 牧野が言い終わる、その寸前に、 発砲音が夜の街に鳴り響き、 ――――数発の弾丸が、美耶子の肉体を貫いた。 【9】 「ぐぎゃぎゃぎゃ!こぉんばぁんわぁ!獲物の皆さぁん!」 襲撃者は笑っていた。 それはそれは愉快そうに、さながらピエロのように。 「屋台の射的で景品に鉄砲を当てる」感覚で、少女の肉体に鉛球を埋め込んでみせたのだ。 緑色の髪をした敵は、『獣』に乗っていた。 ハリーはあの獣を以前見た事がある。 間違いない。あれの正体は「ケルブ」だ。 かなり印象――それどころか、何故か体格まで変わっているが、あれは確かに、自分が蹴り飛ばしたあの狂犬なのだ。 体中に弾丸を撃ち込まれ倒れた美耶子を中心に、血の池が出来上がっている。 それは、それほどの血を流させる程の傷が、彼女に刻まれてしまった事を意味していた。 あれではもう生存は絶望的だろう。 ハリーとジムが拳銃を取り出そうとする――が、 それよりも早く、詩音は近くで跪いていた牧野の額に、銃口を押し付けた。 「アンタ達が私を撃つのと、私がコイツを撃つ……どっちが早いのかしらねぇ……けけッ」 人質をとられた――ハリーは内心で舌打ちをする。 この状況で銃を向けてみろ。間違いなく、撃つ前に牧野の頭が吹き飛ぶだろう。 二人とも拳銃から手を離し、腕を上げた。 「分かってるじゃない」 詩音がケラケラと笑うのをを見たジムが、他人には聞こえない程度の歯軋りをする。 人を殺しておいて、何故あんなに愉快そうなのか。 ――クソッタレが!あのアマ、ヤクでもやってるに違いねえ! 「…………何が目的だ」 ハリーが、詩音に問いかける。 声が若干震えているのは、怒りを押し殺しているからだ。 「何が目的ィ?……そりゃぁもう!皆ブチ殺して『私の』悟史君を生き返らす為に決まってるじゃない!」 それを聞いた三人は――唖然した。 まさか、あのチラシを鵜呑みにした奴がいたなんて! 狂っているとしか、言いようがなかった。 「というわけだから……死にたくなかったら今までアンタ達が会った人間が 今何処に居るか教えなさい。ゲロったらもれなく『今は』殺さないであげるわよ!くけけけけけ!」 ――嘘だ。喋っても喋らなくても殺すつもりだ。 ハリーは生唾を飲み込む。 どうすれば良い。どうすればこの状況を突破できる。 牧野を見捨てて女を撃つか?それとも隙ができるのを待ち続けるか? 両方とも大きなデメリットがある。 前者では確実に一人の人間が目の前で殺されてしまうし、 かと言って後者を選んでも、チャンスが巡ってこずにそのまま射殺される――というパターンが考えられる。 そしてこれら二つに言えるのは、『確実に撃退できるという保証が無い』という事だ。 彼女は何故かケルブをお供として連れており、 奴にまで襲われたら、三人とも無事でいられる確証は何処にもないのだ。 どうする――どうすれば乗り越えれる! 「さぁて……まずはアナタよ――修道服!さぁ!他の獲物は何処!?」 詩音は、顔をハリー達に向けたまま、牧野に当てた銃口をさらに強く押し付ける。 彼は答えようとはしない。歯をガチガチと鳴らすだけだ。 「……『歯を鳴らせ』なんて言ってないわよ」 詩音が牧野の腹に蹴りを入れ込む。 蹴られた腹を押さえながら、彼は呻き声をあげる。 「もう一度チャンスをあげるわ……他の獲物の場所は……ど、こ、に、い、る、の?」 この質問に答えなければ、待っているものは間違いなく「死」だ。 もういい。全部吐いてくれ。二人は必死に懇願する。 そうだ、全部吐きだせ、そうしたら楽に殺してやる。狂人は口元を吊り上げる。 少しして、牧野の口が開き、言葉を紡いだ。 ――しかし、彼の言葉は、二人の想像とは全く別のものだった。 「……ぅしろ…………」 詩音に向かって指を差しながら、蚊の鳴く様な声で、彼は言った。 震えた指で、彼女よりも恐ろしいものを見るような目で。 後ろ? 後ろに何が居る? 自分よりも恐ろしい存在が、自分の後ろで何をしている? 詩音は牧野の指差した方向に視線に移す。 そして、それの正体を知り――――驚愕した。 視線の先にいたのは――――大鉈を持った怪人! 三角錐型の鉄製の箱を被った屈強な男が、今正に大鉈を振り下ろそうとしているのだ! 大急ぎで詩音は回避行動を取ろうとするが――――時既に遅し。 ヒュン、という空気を切り裂く音と共に、細い腕が一本、鮮血を撒き散らしながら宙を舞った。 【10】 「あ゙あ゙あ゙ああぁぁああ゙あああ゙ああ゙ああぁぁぁぁああぁ!!?」 片腕を吹き飛ばされた詩音の絶叫が、辺りに木霊した。 切断面からは、滝の如く血が流れ落ちている。 突如起こった二度目の惨劇に、ハリーですら動揺を隠せずにいた。 しかし、彼女を襲撃したクリーチャー――レッドピラミッドシングはそれを気にもとめずに、再び大鉈を構える。 「あ……がッ…………」 それにいち早く察した詩音は、逃げるように走り出す。ケルブもそれに気付き、彼女の後を追った。 レッドピラミッドシングは、しばらくの間は彼女の事の逃げた先に体を向けていたが、 追う必要は無いと考えたのか、全く別の方向に進み始める。 ハリーとジムは、呆然としたままそれを眺めていた。 「……オレ達は襲わないんだな」 怪人が見えなくなった頃、ようやくジムが口を開いた。 「そうみたいだな……しかし何故……」 危機は逃れれたが、そこで同時に疑問が生まれる。 人間を襲っていたのだから、恐らくは奴らもチラシに書かれていた『鬼』の一種なのだろう。 ならば、どうして同じ存在である自分達を襲わないのだ? 「……まあ、死なずには済んだんだからいいとするか」 「ああ、だが…………」 ハリーは牧野に目を向ける。 彼は――じっと息絶えた美耶子を見つめていた。 口を半開きにしたまま、何も考えずに、ずっと。 重苦しい空気が、三人を囲んでいる。 それはまるで、花嫁の死を悲しむかのようで――。 【神代美耶子@SIREN 死亡】 【夜中/A-2/路上】 ※三人の近くに『レミントンM870ソードオフVer』が落ちています 【ハリー・メイソン@サイレントヒル】 [状態]:健康、強い焦り [装備]:ハンドガン(装弾数10/15) [道具]:ハンドガンの弾:34、栄養剤:3、携帯用救急セット:1、 ポケットラジオ、ライト、調理用ナイフ、犬の鍵、 奈保子のウエストポーチ(志村晃の狩猟免許証、羽生田トライアングル、救急救命袋、応急手当セット) [思考・状況] 基本行動方針:シェリルを探しだす 1:教会に行って手掛かりを探す。その後は研究所へ 2:他にも機会があれば筆跡を残す 3:緑髪の女には警戒する 【ジム・チャップマン@バイオハザードアウトブレイク】 [状態]:疲労(中) 、怒り [装備]:26年式拳銃(装弾数6/6 予備弾4)、懐中電灯、コイン [道具]:グリーンハーブ:1、地図(ルールの記述無し)、 旅行者用鞄(鉈、薪割り斧、食料、ビーフジャーキー:2、 栄養剤:5、レッドハーブ:2、アンプル:1、その他日用品等) [思考・状況] 基本:デイライトを手に入れ今度こそ脱出 1:教会まではハリーと一緒に行く 2:その後できるだけ早く研究所へ行く 3:死にたくねえ。 4:緑髪の女には警戒する ※T-ウィルス感染者です。時間経過、死亡でゾンビ化する可能性があります。 【牧野慶@SIREN】 [状態]健康、ヘタレ、疲労(大) 、精神疲労(大)、絶望 [装備]修道服 [道具] [思考・状況] 基本:??? ※ここが羽生蛇村でない事に気づいているようです。 ※儀式を行なえば変異は終わると思っています。 「…………ああ……!あの野郎……!」 撤退した詩音は、路地裏の壁に背中を預けて座っていた。 切断された右腕には、倒れていたゾンビから剥ぎ取った衣服を、包帯代わりに巻き付けている。 衛生的ではないが、何もしないよりかは幾分かマシだろう。 あの怪人に利き腕を奪われたのは、かなり致命的な損害だった。 持っている銃は本来両手を使うのが前提の物であるから、もう使いようがない。 武器がないのでは、『呼ばれし者』どころかクリーチャーすら殺せないではないか。 「…………クソッ…………クソッ……!」 自然と、目から雫が流れ出た。 せっかく与えられたチャンスが、手からすり落ちていく。 唯、救いたいだけなのに。 笑顔の彼に頭を撫でてもらいたいだけなのに。 神はそれすら許さないのか。 クゥンという鳴き声に頭を上げると、そこにはあの犬が座っていた。 微動だにせずに、じっと詩音だけを見つめている。 「来てくれた……のね……」 なんて健気で、忠実な犬なのだ。 『名犬』という言葉は、きっとこの子の為にあるのだろう。 ケルブは詩音に近付いてきた。 彼女は、そっと愛すべき名犬を抱き寄せる。 ――やわらかい。 どうやら名犬の体毛は、怒りも、悲しみも、全部絡め取ってしまうみたいだ。 そうだ。まだこの子がいるし、自分にだってまだ「ハンティングナイフ」という武器がある。 諦めるには早過ぎる。まだ十分チャンスがあるではないか。 まだ神は、自分を見捨ててはいない――! 全部終わらせて、悟史君を生き返らせたら、この子と一緒に暮らそう。 悟史君とワンちゃんで、ひぐらしの鳴き声を聞きながら幸福に過ごすのだ。 だからこそ、こんな場所で挫けてはならない。 ――――挫けるわけにはいかないんだ! ケルブは人懐っこく詩音にすり寄ってくる。 今は、休憩代わりにこの子と遊んでいてもいいだろう。 再び詩音に、優しく抱擁されたケルブは、そのまま詩音の首に近づき――。 「…………――――!?」 【12】 『詩音だったもの』の首から、おびただしい量の血が垂れ流されている。 ケルブは牙を血で濡らしながら、薄汚れたしっぽを揺らしていた。 愛情などない。どうして人間に愛などを感じようか。 負傷している時点で、彼女はもう用済みだ。 恨むのなら、注意力の散漫のせいで利用価値を失った自分自身を恨んでほしいものだ。 だが、欲しかった殻を仕留めたという点は一応評価できる。 あの殻は今どうしているだろうか。できるだけ綺麗なまま横たわっていればいいが。 できるだけ早く確認し、確保しなければならないだろう。 だが、今はそれよりも――食事の方が優先だ。 【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に 死亡】 back 目次へ next 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 時系列順・目次 R Death13 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 投下順・目次 菊花の約 back キャラ追跡表 next 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 神代美耶子 死亡 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 牧野慶 Collapse 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 宮田司郎 罪と罰――Accusation&Banishment―― 罪物語‐ツミモノガタリ‐ ハリー・メイソン Collapse 罪物語‐ツミモノガタリ‐ ジム・チャップマン Collapse 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 風間望 罪と罰――Accusation&Banishment―― 罪物語‐ツミモノガタリ‐ 園崎詩音 死亡
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鬼の霍乱 観光パンフレットには載ってすらいない道を南下し、突き当たった頃。 シビルから聞いていた事だったとは言え――――唐突に訪れたそれには、水明もユカリも驚きを隠せなかった。 時刻は丁度午前一時。 何処からともなく響き出すサイレン。 町中が、蠢き始めた。 血と赤錆。赤と黒をベースとした、不快と不安を刺激する風貌が消えて行き、その代わりに辺りを覆い出したのは白い濃霧。 ゴーストタウンには変わりはないが、視覚的、精神的にはまだ優しい、一般的な様相の町並みが現れる。 ほう。と水明が感嘆の息を吐き出した。それに機敏に振り返ったユカリは、彼の前に掌を突き出した。 何かを言おうと開かれた水明の口が、不可思議そうに止まった。 「余計な都市伝説とかはいらないからね」 一拍を置いて水明は、その少しこけた頬に苦笑を見せた。 「別にお勉強をさせようとしたわけじゃないんだがな。ただ、映像化されたキングの『霧』よりはまだ視界が利くようだと思っただけさ」 「……無駄話には変わんないじゃん」 何処となく気恥ずかしさを覚えたのか、ユカリは顔を赤く染め、水明から顔を逸らす。 一頻り、辺りの建物を照らして様子を確認すると、観光パンフレットに挟んでいた一枚の用紙を取り出した。 「ねえ……これってさ、ルールに書いてあったよね……?」 用紙の上に懐中電灯の光を当てるユカリの目線は、とある一点を見つめていた。 水明は、敢えて見ずとも該当箇所は頭に入れてあった。 「オジサンさ、さっき氷室邸が町の一部として機能してるって言ってたよね……? このルールも……やっぱりおんなじなんじゃないのかな?」 「ふむ。つまりルールも町の一部として機能している、と」 「……うん。だって、今のサイレンって……」 言葉を濁すユカリだったが、言わんとする事は水明にも通じていた。 “ルール2。サイレンで街は裏返る” 裏返る。その意味の解釈次第ではあるが、“ルール2”が今起きた現象を書き表していると見るには何の不自然さも無い。 そして、ルールの一つが――――それも超常現象としか考えられない事象が確かに機能していると言うのならば、他の全てのルールが同様に機能していると考える事にもまた不自然さは無い。 いくら水明の弟、風海純也の側でルールや名簿と現実に食い違いを見つけようとも、ユカリにとってそれは伝聞に過ぎない。 実体験としてルールを実感したユカリが改めて不安を抱いてしまうのは、やむを得ない事だ。 「そうだな。はっきり言ってしまえば、ルールが町の事象に組み込まれていないと断定することは俺には出来ない」 自ら言い出した事だったが、否定の言葉を期待していたユカリは意外そうに水明を振り返った。 ユカリの目に、真剣な眼差しを返し、水明は続ける。 「サイレンの鳴る町。霧の立ち込める町。それからさっきまでの赤錆の世界は全て“都市伝説・サイレントヒル”の噂として語られているものだ。 それらの事象が起きたとしても、それは単にサイレントヒルという町の特色とも言える。 ただ、今の変化がチラシに書かれている“ルール2”と符合しているように見えるのも確かだ。 つまりこの場合の変化は、そもそもの町の事象として起きたものなのか、ルールとして起きたものなのか、可能性としてはどちらとも取れるってことだな」 曖昧に、ユカリは頷いた。 なんとなしに、用紙に目を落として。 「後者にしても、そもそもの町の事象がチラシに書かれただけだという可能性もあるが……。 いずれにせよ、どちらと断定するだけの判断材料は無い。だがな、そんなことはどっちでも良いし、どうでも良いことなんだ」 「……どうでもいいって?」 「さっきも言ったが、殺し合いのルールと町の異界化には直接的な関係は無いと俺は考えている。弟のおかげでな。 ……直接的な関係が無いのなら、ルールを無視したところで怪異の中枢にいる者の気を損ねることも無いだろう? まあ、要するに――――」 水明は一旦言葉を切ると、ユカリに歩み寄り、手を伸ばした。 僅かに構えるユカリだったが、彼の手が目的としたのは、ユカリの持つ用紙とパンフレットだった。 「重要なのは、怪異の原因を突き止めることだ。 根底から外れているルールが町の事象として組み込まれていたところで、俺達のやることは変わらない。 君は友人達を見つけたい。俺は原因となったものを突き止め怪異を終わらせたい。それだけさ。そこに殺し合いのルールが関わってくる余地はない。必要以上に構えなくても良いんだ。 ルールを真に受けて殺し合いに乗るような輩が危険なのは否定しないが、町に跳梁跋扈している魑魅魍魎に比べればまだ話が通じるだろうよ」 言っている間に、水明はパンフレットからもう一枚の用紙を取り出していた。 その用紙は、地図と抱き合わせとなっていたルールの用紙。 それを予め出されていたルールの用紙と合わせ、地図を見ながら右手に取ったペンでパンフレットに書き込みを始める。 「それでも、君がどうしても気になるというなら………………よし、こんなところだな」 そしてパンフレットのみをユカリに返し、一度口元を吊り上げると、水明は二枚のルールの用紙に両手をかけた。 ――――彼の手の中で、紙の破られる音が繰り返し立てられた。 「ちょっ……!? 何してんの!?」 「これでどうだ? 気休めくらいにはなるだろう?」 「気休めって……いいの? ……地図だってあるのに」 「構わないさ。このルールは俺達には不要なものだからな。地図は今、簡易にだがそのパンフレットに書き写した。心配はいらない。……もう一度言うぞ。殺し合いのルールなんて、今はもうどうでも良いことなんだ」 会話の最中に、バラバラに千切られた用紙が、開かれた水明の手からヒラヒラと地面に落ちた。 その様が、ユカリには妙に儚げに見えた。 「なんか……ごめん」 「ほう? 珍しく素直じゃないか。普段からそうなら岸井くんも楽なんだろうがな」 それは、先程水明が似た者同士の親友に言われたものと同じ様な言い回し。 そうとは気付かず口にした水明に、晴れない顔をしていたユカリは、大きなお世話、とそっけない呟きを返して、いたずら小僧の様に笑う彼を睨みつけた。 水明には、例によって意に介した様子は全く無い。 「さてと。恐らくここはネイサン通りと言って良いんだろう。東に向かえばすぐに町と外との境目だ。何があるのか一応確かめて――――」 そこで言葉を止めた水明は、眉間に皺を刻んでいた。 東からの風に乗る、仄かに漂う異臭。明らかに、先程まで二人が嫌という程嗅いできた臭いだった。 ユカリもそれに気付き、水明に声をかけた。 東に目を向けた二人が見るのは――――闇に混ざる真っ白の濃霧だけ。 しかし、その先に何が居るのかは、二人とも容易に想像がついていた。 「……確かめるのは、次の機会にするとしようか。行こう。もたもたしているとまた厄介なことになりそうだ」 「うん……!」 細切れになったルールの用紙が二人の足に踏みつけられ、蹴られた拍子に舞い上がった。 風に乗ったそれは中空で散り散りにばら撒かれ、ささやかな紙吹雪となり、すぐに霧の中に溶け込む様に消えていった――――。 【E-5/ネイサン通り/二日目深夜】 【霧崎水明@流行り神】 [状態]:精神疲労(中)、睡眠不足。頭部を負傷、全身に軽い打撲(いずれも処置済み)。右肩に銃撃による裂傷(小。未処置) [装備]:携帯電話、懐中電灯 [道具]:10連装変則式マグナム(10/10)、ハンドガンの弾(20発)、宇理炎の土偶(?) 紙に書かれたメトラトンの印章、自動車修理の工具 七四式フィルム@零~zero~×10、鬼哭寺の御札@流行り神シリーズ×6、食料等、本物のルールと名簿のチラシ、他不明 [思考・状況] 基本行動方針:純也と人見を探し出し、サイレントヒルの謎を解明する。 1:街の南西へ向かい岸井ミカと式部人見を保護する。 2:アレッサ・ギレスピーと関係した場所、および氷室邸を調査する。 3:そろそろ煙草を補充したい。 4:氷室邸は異界からの脱出口になるかもしれない? ※ユカリには骨董品屋で見つけた本物の名簿は隠してます。 ※胸元から腹にかけて太陽の聖環(青)が書かれています。 【長谷川ユカリ@トワイライトシンドローム】 [状態]:精神疲労(中)、頭部と両腕を負傷、全身に軽い打撲(いずれも処置済み) [装備]:懐中電灯 [道具]:太陽の聖環の印刷された紙@サイレントヒル3 地図を書き込んだサイレントヒルの観光パンフレット、(水明が書き写した)名簿 ショルダーバッグ(パスポート、オカルト雑誌@トワイライトシンドローム、食料等、他不明) [思考・状況] 基本行動方針:チサトとミカを連れて雛城へ帰る 1:ミカを助けに街の南西に向かう。 2:とりあえず水明の指示に従う。 3:チサトを探したい。 4:無事とはいえシビルが心配。 ※Edge of Darkness~今作の時間帯の間に、人見、小暮、風海、ミカと電話で連絡を取った可能性も有り得る事とします。 ※水明が破り捨てたのは、骨董品屋で水明が書き写したルールの用紙と、裏面に地図が描かれているルールの用紙です。 back 目次へ next ワルタハンガ 時系列順・目次 The Others My Dear Sweet Sister 投下順・目次 蒼い朝 back キャラ追跡表 next Edge of Darkness 霧崎水明 Obscure Edge of Darkness 長谷川ユカリ Obscure
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白と赤 全部夢だったらいいのに。 この鳴り止まない吹雪の音も、ペンションで起きた惨劇も、そして、この血塗れた私の姿も、彼がすべての元凶だったという事実も。 手に握りしめたストックから血がぽたり、ぽたりと滴っている。 そして、私の目の前には血の海の中に倒れた透。じっと私を見据えた目にはもう輝きはない。 私が彼の喉を突き刺した時、彼は何かを私に言おうとしていた。何を伝えようとしていたのだろう? 彼が死んでしまった以上、その答えはもうわからない。 カタン。 全身から力が抜け落ちて、木製の床に私はしゃがみ込んだ。 手からすべり落ちたストックが床を転がっていく。 「うっ…」 透を殺した。私が。 その現実に気がつくと、吐き気がこみ上げてきて、たまらず嘔吐する。 目の前に倒れていた透の髪にべったりと嘔吐物が絡み付いた。 彼を殺し、そして汚してしまった。 彼は私に何を伝えようとした? 彼は本当に皆を殺したの? 必死に私を守ろうとしてくれていたあの逞しい姿。あれもすべて演技だったというの? 私は取り返しのつかないことをしてしまったのではないか。 「透…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」 私の謝罪の言葉も、嗚咽する声も、吹雪の音がすべて飲み込んでしまった。 透はただ、うつろな目で私を見ている。 私の後悔も掻き消してくれればいいのに、悲しい想いだけは雪のようにただただ降り積もっていくばかりだった。 全部夢だったら。目を開ければいつもの通り透がいて。 時々エッチなこともしてくるけど、優しくて。面白いことをいって和ませてくれて。 二人で一緒に叔父さんの美味しい料理を食べて、叔母さんと楽しくお話をして、敏夫さんとみどりさんと一緒にスキーにいって。 お客さんたちとの出会いがあって。 日常に帰れたら。こんな夢をみたって、皆に話して、そして言ってもらおう。 「全部夢だったんだから、大丈夫だよ」 ぴたりと吹雪の音が止んだ。何の音もしない静寂の世界。 ただ、ここもやはり白い世界だった。幾分のも霧の層に覆われて視界が悪い。 「白」… 白が怖かった。現実を突きつけられているようで、身体が震えるのがわかる。 「助けて…誰か助けて…」 小さな声なのに、不気味なほど辺りに響いた。そんな自分の声にまたぶるりと身体を震わせる。 殺人鬼が、私を殺しにやってくるかもしれない。ペンションで生き残った私を殺しに。 あるいは、罪のない透を殺してしまった私を『裁き』に。 どちらにせよ、私も死ぬ。殺されてしまう。 (でも、もしかしたら) もう悪夢は終わったのかもしれない。 ここはもう現世じゃなくて、別の世界で。透もいて、皆もいて。 今度こそ上手くできるかもしれない。透に会って、謝ろう。謝っても許してもらえないかもしれない。 それでもいい。許してくれなくても構わない。 ただ、謝罪の言葉さえ伝えられれば…私はきっと楽になれる。 突如、静寂は破られ、私は現実に引き戻された。霧の向こうから、慌ただしい足音が響いてきた。 何かから逃げている足音… (まだ…終わらないの?終わらせてくれないの?) 足に力が入らない。 手元の転がっていたストックを杖代わりに、ゆっくりと立ち上がる。 ストックの先にはまだ乾ききってない血液が付着していた。 駆けてきたのは学生の少年だった。霧のせいで姿形がはっきりしないが、少年特有の細身のシルエット、金に染められた頭髪に不似合いなワイシャツときちっとしたズボンの組み合わせ。 『普通』の少年。 「たす、助け…!」 (助けを求めている…?) 彼が近づいてくるにつれて、より少年の姿が鮮明に見えてくる。そこで一つ、『普通』の少年だったはずの彼の姿に違和感を覚えた。 彼の校章入りのシャツにべったりと赤黒いシミがついていた。彼の頬、額にもその痕跡がある。 見間違えるはずがない。この色は『血』の色だ。ペンションの惨劇の印の血の色の赤。 少年はこちらに向かって走ってきた。 たしかに彼は私に助けを求めていた。 だから、私は、 ストックを握りしめると彼から逃げ出した。 よく考えてみれば、ペンションに集まった人たちだって、透だって、私だって、『普通』の人間だった。 だが、たしかにあの中に人殺しが混じっていたのだ。 誰が?どうして?なんのために?そんなこと、もはやわかるはずがない。 でも、たしかに殺人は行われて、そして、私は透を殺した。 少年は血を浴びていた。 彼もまた誰かを殺したに違いない。 そして、今度は私を… 足音が聞こえる。彼は私を追いかけてきている。私を殺そうとしている。 (助けて……透!) ぐらり、と世界が回った。 少し遅れて地面に叩き付けられる衝撃と痛みが全身を走り、息が止まった。 「けほっ!けほっ!」 足を縺れさせて転けてしまった。その際に胸を強打し、一時的な呼吸困難に陥ってしまった。 (来る、来てしまう…殺人鬼が) 足音はなおも近づいてくる。 (誰も助けてくれるはずがない。だって透は私が…) タッタッタ(ギィ…)ッタッタ(ギィ…) 足音に混ざる不調和音。 ガラスに爪を立てた時のような耳障りな音が聞こえる。 足音がピタリと止み、代わりに少年の悲鳴が音を掻き消した。 「ば、ば、…化け物ッ!!!!!」 隆恭は振り向くこともなく走り続けた。どこに向かっているかはわからない。 とにかく今はあの危険な男から逃げ出さなければ。 喉が焼けるように熱く、息が上がり、視界がぶれている。 大声を上げてしまいたかった。だが、上げてしまえばあの男に居所がばれてしまって、そして… あの死体のように、自分も人生の結末を迎えてしまう。 (あんな死に方だけはしたくない!) まだ、マシな死に方があるはずだ (…もちろん、死に急いでるわけじゃない) 誰かまともな人間はいないのか。幸いか不幸か、自分には『天眼』がある。人の良し悪しは見抜けるはずだ。 「はっ…はっ…はっ…は…」 どれくらい走っただろう。 長い時間に感じたが、実際はほんの数分くらいの出来事なんだろう。 これであの男を撒けたとは到底思えない。 霧のせいかずっと同じような風景が続くのもまた不安を煽られた。 しかし、一つの変化に隆恭は気がついた。人が一人かがみ込んでいる。 それがどんな人物なのか、今の隆恭には考える余裕がなかった。ただ助けてほしい。隆恭はその人影にむかって足を早めた。 「たす、助け…!」 するとその人影が顔を上げた。長い黒髪をもった女性のようだ。手に棒状の何かを持ち、それにしがみつくようにして立っている。 女性に助けを求めるのもなんだか格好が悪いが、なりふり構っていられない。 ようやく女性との距離が縮まった。だが、その瞬間。 彼女は驚嘆の表情を浮かべ、突然走って逃げてゆく。もしや、後ろからあの男たちが…? 後ろを振り返るが、一面に霧が広がっているだけで誰の姿も見当たらない。 また正面を向くと、女性の姿が遠くなっている。まずい、一人は危ない。 隆恭は彼女を追いかける。 彼女を一人にするのは危ない…というよりむしろ一人になりたくなかった。必死に彼女を追いかける。 だが、意外にもあっさり彼女に追いつくことができた。 彼女が転倒したのだ。転倒した拍子に手に握られていた棒状のもの…ストックが転がって彼女の手元を離れた。打ちどころが悪かったのか咳込んで苦しそうにしている。 ギィ…ギィ… 隆恭が彼女に声をかけようとした時、不気味な音と共に霧の向こうからまた別の影が現れた。 人の形をしているが、頭が大きすぎる。その頭は先の尖った三角形の金属で出来ている。 そして不気味な音の正体。 彼は異常な大きさをもった大鉈を引きずって歩いていた。鉈が地面と擦り合い、耳障りな音を作り出している。 その鉈が赤黒く染まっていることに、まだ隆恭は気がつくことはできなかったが、見るものを絶望と恐怖に陥れ、動揺させるのには十分すぎるくらいの非現実的で、恐ろしいものだった。 「ば、ば、…化け物ッ!!!!!」 声を張り上げて叫ぶが、女性はまだ呼吸が出来ず咳込んだまま立ち上がらない。 幸いその怪物…三角頭の歩みは自分の歩みに比べればずっと遅い。 隆恭は女性の手から離れたストックを握りしめ、立ち上がることのできない女性に肩を貸し、起き上がらせる。 (逃げないと…!) 三角頭と反対の方向へ、女性を抱えたまま歩み出す。彼女も必死に足を動かすが、歩みは遅い。 「大丈夫っすか!」 「けほっ…けほっ……」 ギィ…ギィ…ギィ… 後ろの目線をやると、そう距離を縮められているようには見えない。だからといって引き離せているわけではない。 歩みはほぼ同じペース。もし、あの男たちが向こうからやってきて挟まれたら… 「…はぁ…はぁ…」 女性の咳が止んだ。 「だ…大丈夫すか、走れますか?」 「……」 女性が頷く。 「よ…よ、よし。」 あの歩みの速度なら走って逃げればきっと振り切れる。隆恭はその女性の手を取ると、彼女を引っ張りながら走りだす。 手がガクガクと震えているのが情けない。だが、その女性もまた恐ろしい気持ちは同じのようで痛いほどにその震える手を握りしめていた。 後ろに目をやると、少しずつだが三角頭が遠ざかっている。逃げ切れる…隆恭は心の片隅で考えた。 ようやく出会えたまともそうな女性。自分に頼ってくれる存在。隆恭の心のどこかで安堵、希望が芽生え始めた。 しかし、隆恭の足が突如止まった。 女性の足も遅れて止まる。 「…どうしたの?早く…!」 三角頭を気にしながら女性が隆恭を急かす。それでも先に行こうとしない隆恭。女性は彼の視線の先を追った。 「ようやく追いついたよ。坊や。」 もっとも恐れていた人物が、そこに立ちはばかった。日野貞男だ。 そして、彼ともう一人。 彼は日野の後ろで静かに事を眺めている。まるでこちらが少しでもうかつに動いたら的確に撃ち殺せるように身構えているように隆恭の目には見えた。 少なくとも、日野と同行している以上『まともな』人間ではない。 じりじりと迫る三角頭。まともじゃない人間たち。 「仲間も増えたようだね。」 不安そうに女性が手を握り締めてくる。隆恭も彼女の手を握り、それに答えた。 右目の視界にチラチラと入る、黒いオーラ。 …どうしようか。 【駅付近の路上/一日目夕刻】 【真理@かまいたちの夜】 [状態]:強い疲労、軽い打ち身、恐慌状態、疑心暗鬼、返り血 [装備]:特になし [道具]:特になし [思考・状況] 基本行動方針:死にたくない 1:隆恭と共に三角頭から逃走する 2:日野、宮田を警戒 3:先ほど逃げ出したこと、疑ったことを隆恭に謝りたい 透を殺した罪悪感から三角頭に狙われています。自覚症状は今のところありません。 隆恭の名前を聞いていません 【駅付近の路上/一日目夕刻】 【賽臥隆恭@アパシー 鳴神学園都市伝説探偵局】 [状態]:疲労、恐慌状態、身体の全面が血塗れ、左右で目の色が違う(天眼解放状態) [装備]:ストック [道具]:学生鞄(中身は不明)、コンタクトのケース(カラコン入り) [思考・状況] 基本行動方針:元の世界に帰りたい。 1:真理と共に三角頭、日野、宮田から逃走。 2:どうしよう 3:いざとなればストックを武器に戦う。 真理の名前を聞いていません 【駅付近の路上/一日目夕刻】 【日野貞男@学校であった怖い話】 [状態]:健康、殺人クラブ部長 [装備]:特になし [道具]:学生鞄(中身は不明)、霊石ラジオ@零~赤い蝶~ [思考・状況] 基本行動方針:殺人クラブ部長として、街にいる者を皆殺しにする。 1:坊や(賽臥隆恭)を殺す。 2:口封じのために真理を消す。 3:宮田はまだ殺さない 4:他に殺人クラブのメンバーがいれば、合流して一緒に殺しまくる。 原作新堂6話目より発生する「殺人クラブ」ルート、七不思議の集会直前より参加。 【駅付近の路上/一日目夕刻】 【宮田司郎@SIREN】 [状態]:健康 [装備]:特になし [道具]:懐中電灯 [思考・状況] 基本行動方針:状況を把握する。 1:日野と同行する。日野のすることは今は基本的に傍観。 原作OP直前、恋人恩田美奈を殺して埋めた直後より参加。 日野貞男、及び宮田司郎は三角頭が近づいてきていることに気がついていません。 【キャラクター基本情報】 真理(GBA版によると小林真理) 出典:『かまいたちの夜』 年齢/性別:18~19歳(大学1年生)/女性 外見:長い黒髪、容姿端麗、スタイル抜群。作中で原田○世、松た○子、石原○華に似ているといった表現がでてくる。 環境:90年代日本の女子大生。叔父が「シュプール」というペンションを営んでいる。 性格:しっかりものので頭が良い。少々気の強い一面もある。 しかし、殺人が起きるとボーイフレンドである透に頼ったり、弱音を吐いたりといった女性らしい部分も見せる。 能力:雪国育ちのため、スキーの腕は確か。護身術のたしなみもある。 口調:一人称「わたし」 二人称「あなた」 ハキハキとした女性らしい言い振る舞い。目上の人には「~さん」、年の近い同性などは「~ちゃん」と呼ぶ。 交友:かまいたちの夜の登場人物とは顔見知りで、小林夫妻は叔父叔母と姪という関係である。 主人公の透とは友達以上恋人未満である。 ただ、BADED後なので全員惨殺されたと真理は思っている。 備考: かまいたちの夜では様々なルートがあり、ルートごとに登場人物の設定が変わってくるが、今回はメインシナリオであるミステリー編の設定です。 ミステリー編では透と真理の大学生カップルが真理の叔父の経営するペンション「シュプール」で奇妙なバラバラ殺人事件と遭遇することになる話。 その後の選択肢により、第2、第3と殺人が行われていき、最終的に宿泊客のほぼ全員が謎の人物に殺害される展開もあります。 BADED「彼女にストックで…」は真理が主人公である透を犯人だと思い込み、透を殺害するといった内容になっています。