約 944,555 件
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/348.html
FIGHT THE FUTURE (一) 絶え間ない振動に、つり革がゆらゆらと揺れる。 赤錆で汚れた車内というものは、留まっていて気持ちのいいものではない。調子に乗った若者の落書きが高尚な芸術に見えてくるほどだ。 ケビンは壁を背に、大きく吐息を吐いた。貫通扉の窓から見えない座席にともえを座らせるジルをちらりと見て、隣の車両に意識を集中する。 声や衣擦れの音すらしない。無論、そういったものは走行の際の騒音で紛れてしまうものだが、気配というものは消せない。 そこに人が在るという存在感は、得てして壁すらも通り抜けて伝わってしまうものだ。ましてや、鮨詰めになるほど乗っている車両ならば尚のことだ。 ラクーンシティで嫌というほど目にしたゾンビの類とはそこが違う。 これが、本当の幽霊というものなのだろうか。 気配は感じないが、悪寒だけは嫌でも身体を這いあがってくる。無意識に、ケビンはベルトに挟んだ日本刀に手を触れた。 ゾンビや怪物の相手だけでも嫌気が差したというのに、幽霊相手に銃や剣で立ち向かわねばならないとは冗談としても最低だ。 幸い、隣の車両の乗客たちはケビンたちに気付いていない。もっとも、彼らに"気付く"という行為が出来るのかすら甚だ疑問ではあるが。 戻ってきたジルが声を落として言った。 「今のところは息を潜めていましょう。気付かれずに済むのに越したことはないから」 「気付かれたら?」 「そのときは銃で撃つ。銀の銃弾でもあれば良かったんだけど。どこかに落ちていたりしないかしらね」 ジルはもう片方の車両に視線を向けた。 幽霊騒ぎで目を離してしまったが、後部車輛の確認をしていない。あちらにも東洋人の群れがいるのか、看護婦の化け物のままなのか。 どっちにしろ、身動きが取れないことには変わりがない。 ジルの表情も心なしか強張ってきている。 訓練も想定もしていないことの連続だ。さすがの女傑も堪えるらしい。 そもそも現実というものは、いくら準備したところでそれを楽々と踏み越えてくるとはいえ、限度がある。 幽霊もその一つだ。残念なことに、現実のFBIにX-ファイル課は存在しない。 ケビンは首筋をぼりぼりと掻きながら、ジルに向けて指を立てた。 「ひとつ提案があるんだが、いいか?」 「この状況を打開できるならなんでもいいわ。言ってみて」 「あいつらが幽霊なら、銃弾よりも掃除機を調達するべきではないかと――」 「黙りなさい。いいから」 ジルはにべもなく切り捨てると、後部車輛の監視へと戻っていった。 焦燥感こそあるものの、傍目には穏やかな時間が過ぎていく。 車内を騒がすのは車体の軋みのみだ。車窓からの景色は面白みのない暗闇だが、明かりがあったところで気持ちのいいものは見られそうにない。 このまま無事に駅に到着出来れば、なんら問題ないのだ。 突然、線路が甲高い悲鳴を上げた。車体が大きく揺れ、ケビンは思わず目の前のポールに掴まった。ともえが小さく悲鳴を上げる。 急ブレーキをかけた列車は、ため息を吐くような音を立ててそのまま停止した。窓の外には何も見えず、扉が開くようなこともない。 想像でしかないが、列車は線路の真ん中で停車したのだろう。 配電部分に故障でも起きたのか、車内の蛍光灯が点滅し始めた。 「……そういうもんだわな」 ラクーンシティでも、トラブルで電車に乗りそびれたのだった。 諦観の呟きを漏らし、ケビンはジルとともえを見た。 ジルは困惑げにケビンに視線を送っている。ともえは座席から転げ落ちていた。足を畳む日本式の座り方でいたのだから、当然の結果といえばそうなのだが。 ケビンは隣の車両を見た。顔色の悪い乗客たちは急停車したことにも気づいていないのか、最初と変わらない泰然とした姿のままで車内に佇んでいる。慣性の法則も彼らには触れられないらしい。 「そっちの車両はどうなってる?」 「白衣の天使たちがアル・セント・ジョンみたいにすっ転んでいるわ。これ、駅に着いたわけじゃないわよね?」 「らしいね」 ジルは速足でこちらに来て、立ち上がろうとするともえに手を貸した。 何か人知れず決心でもしたのか、つい先ほどまでは覇気に満ちていた顔が一気に沈んでいる。 ケビンは背後の扉を親指で指した。 「運転台に行って文句言ってこようと思うんだが。なんとなく、運転士なんていねえ気がするけど」 「……同感。無駄足よ」 「だからって、じっとしていて動くとも思えねえがな。運転士がいなけりゃ、動かすしかねえだろ」 「動かすって……私、やったことないわよ」 「俺もねえよ。ま、状況が状況だし、始末書ぐらいで済むさ。今はひとまず、いちかばちか命を掛けてみるとしようや」 「やめなさいよ、そういう格好よさは。分が悪すぎるわ。オッズを見るまでもない」 ジルのもっともな言葉に、ケビンは大仰に肩を竦めた。 「その分、当たれば大儲け。だろ? ま、最初は俺がやってみるわ」 「簡単に言うけど、車動かすのと訳が違うのよ?」 「大丈夫だって。先週フレッドに返したビデオで予習済みよ。キアヌが爆弾処理班のやつ」 「あなたねえ……。そもそも、あれって結局脱線した記憶があるんだけど」 半眼になったジルから顔を逸らし、ケビンは鼻を鳴らした。 「だからってなあ。このまま、ここで大人しく後続列車にケツ掘られるのを待つのか?」 「運行管理システムが正常に動いてるはずはないでしょうね。だけど、あなたのしようとしていることはリスクの上乗せのようにしか思えないのよ」 「じっとしてても、どのみち俺たちは死ぬんだぜ。なら早いか遅いかの違いだ」 「たとえ残り一分の命でも、それを懸命に生かすべきだって言ってるのよ。あなたのは死に急いでるだけ――」 「あの……もう少し待って、状況を見てからじゃ駄目なの?」 ともえが気遣うような視線をケビンに送る。座るのに懲りたのか、彼女は手すりに縋るように立っていた。 ケビンは顎を撫でた。無精ひげが指の腹の上で音を立てる。 「駄目なの。運行の間隔が分からねえから、そうのんびりもしてられねえのさ。最悪ドアこじ開けて外に出る手もあることにはあるが。物音で幽霊に気付かれるってんなら、この行動自体に陽動の意味合いも出来てくるしな」 「……果たして意味があるかしらね。だけど、どうしてもっていうのなら私が行く。あなた、自分の銃に弾がほとんどないの分かってる?」 ジルが苛立たしげに言った。 ケビンは思わず苦笑した。彼女は自分よりも頭がいいはずなのに、簡単なことを分かろうとしない。 「逆だ逆。あの小汚い白衣の天使どもにゃ鉛玉が効くんだ。状況によっては、最後尾車両まで下がることになるかもしれねえ。そんとき、俺じゃどうしようもなくなっちまう。さすがの俺でもな、サムライブレードでミフネみたくやれるなんざ思っちゃいねえよ。だからこそ、確実に効果がある方に弾を多く残すべきだろうが」 「武器を交換するって手もあるんだけど?」 「……あのな、冷静に考えてくれよ。おまえが行くってことは、三十路超えた鰥夫とうら若き乙女を二人きりにするってことだ。危険だぞ、もの凄ーく」 「………………」 ジルが苦しげに頬を歪めた。彼が実際に云わんとしていることを察してくれたようだ。 ケビンと彼女ら二人で決定的に違うことが――よく考えるといくつもあるが、その中でも一番注視しなければならないものが一つだけある。 T-ウィルスの感染者であるか否かということだ。 現時点でウィルスの影響は然程表面化していないが、今後どうなるか分からない。 ラクーンシティの崩壊からすでに一週間ほど経っている。 ジルの知識と合わせて鑑みても、いつ"人喰い病"が発症してもおかしくない状態であることには変わりない。 諦めたように、ジルは大きく嘆息した。 きっと、彼女には"S.T.A.R.S."であるという自負があるのだろう。"S.T.A.R.S."が解体された今でも、常に第一の盾であれと。 己が選ばれず、彼女が選ばれた理由が何となくだが分かった気がした。仮にラクーン市警が続いていたとしても、己が"S.T.A.R.S."に選ばれることはなかっただろう。 ケビンはぽんとジルの肩を叩いた。 「ジル、偶にゃ男の後ろで守られてろよ。恰好つかねえだろ」 「……守られてるっていうより、単なる役割分担よね。これ」 「細かいねえ。"S.T.A.R.S."の姐さんは」 ジルの疲れたような微笑みが一瞬だけ見えた。 決死隊とはこういう気分かと、ケビンは思った。相手が幽霊と決まったわけではないが、まともな相手ではないことは確かだ。 連中がハロウィンの仮装行列という真相も嫌いではないし、現実的でもあるが、非常識な状況の中でそれを期待するのも酷な話だろう。 あの夜から、己の"日常"の箍は外れてしまっているのだから。 とにかくも、今は迅速な行動が第一だ。物理的な脅威はほぼ確実に迫っているのだから。 ケビンは二人に向けてにやりと笑った。 「すぐ戻る……なんてな」 そう言い残して、ケビンは貫通扉を少し開けて身体を滑り込ませた。空調が狂っているのか、酷く寒い。 残されている時間は多く見積もって五分と見ておいた方がいい。 明滅する明かりの中、大勢の東洋人が浮かび上がる。どれもが虚ろな表情で、声もなく佇んでいる。まるで人の形をした墓石が並んでいるようだ。 まだ、彼らはケビンに気づいていない。即座に、この車内を駆け抜けられる隙間を確認する。 とはいえ、ちかちかと光と闇が入れ替わる車内では視覚はほとんど頼りにならない。要は思い切りと切っ掛けだ。後は己の勘と運を信じる他ない。 短く息を吸い込むと、ケビンは水に飛びこむ様な気持ちで床を蹴った。 体勢を低くし、人と人の僅かな隙間に潜りこんだ。両腕で泳ぐ様に人の波を掻く。剥き出しの腕に伝わるのは大きさの割に空虚さを伴う抵抗と冷気だ。 一歩一歩が酷く緩慢に感じられる。 前方の東洋人が、冬の湖を思わせる瞳をケビンに向けた。いや、それだけではない。粟立つ肌が、数多の視線が己へと注がれていることを報せてくれている。 突き出された腕を払いのけ、前方の空間に身を投げ出す。受け身を取って、すぐさま転がるように走る。 ブーツが何か柔らかいものを踏み潰した。目の端に映ったのは、根元から千切られた女の腕だ。あの看護婦たちのものか。 相手はゾンビではなさそうだが、中身は然程変わらないらしい。 捕まればどうなるのか。ほんの目と鼻の先に在る未来が、明確な像となって瞼に焼きついた。 ケビンの逃走を妨げるように立つ東洋人の膝頭を蹴りつけ、動きの起点を潰す。蹴りだした足をそのまま踏み込みに変えて、勢いを殺さずに体を捌いた。 幾つもの手が空を切ったのを、風音で悟る。 床を軽く蹴り、ステンレス製の座席に跳び乗る。かんかんとけたたましい音が闇に踊った。食らいつこうとした東洋人の顎を膝頭で弾き飛ばし、座席から飛び降りる。 己の予感を信じ、踏み出す呼吸を一つ外した。目の前で、覆い被さろうとした東洋人の影が踏鞴を踏んだのが分かる。間髪置かず、ケビンは鋭く息を吐いた。腰に重心を落とし、肩からの当て身で東洋人の身体を押し退けた。手術着がめくれ、東洋人の身体に大きな穴が空いているのが見えた。 貫通扉を引き千切る様に開ける。その軋む音は、己の焦りを増幅させた。 次の車両にも東洋人たちが乗り合わせていた。彼らの頭の向こうに、先頭車両の小さな窓が見えた。あと二十歩といったところか。 小さく踏み変えて、その足を軸にして身体を入れ替える。すれ違うようにして東洋人の脇を抜けた。 足を滑らせるに任せて大きく踏み出す。その分だけ身体が沈んだ。腕が頭髪を掠めていく。股関節に痛みが走るのを無視して、後に残した足を一気に引き寄せる。 あと十歩――。 と、駆け抜けようとしたケビンの身体が、強い力によって縫い止められた。 原因を探る間もなく、腰から一気に身体を後方に引き摺られる。日本刀を掴まれたのだと理解するのと同時に、複数の東洋人が上から抑え込んでくる。ケビンの膝が床を叩いた。 跳ね除けようと足に力を込める。と、抑え込まれた左肩が鈍い音を立てた。激痛にケビンの身体が跳ねる。愛銃が手から毀れ落ちた。銃はからからと床を滑って行く。 丈夫な生地を突き破り、氷のような指が肩や背中の肉に潜り込んだ。 苦鳴を噛み潰し、ケビンは右手で日本刀の柄を掴んだ。それを一気に引き抜く。 流れるような鞘滑りの音が暗がりの車内に響く――。 途端、拘束の手が微かに緩んだ。雄叫びを上げながら、上体を押し上げる。爪先で床を蹴りあげ、前方へと身体を投げ出した。 背中が引き攣って別の痛みを生み出したが、それに構ってはいられない。 ケビンは足を動かすことだけに集中した。肩から先の感覚が鈍いが、それも意識の外に押し出す。 視界に右側の半個室を捉えた。運転台はあの中だ。 ケビンは戸を背に振り向いた。爪先が拳銃らしき塊に触れたが、それを拾う時間はない。光が戻るたびに、東洋人たちとの距離は縮まっていく。 ケビンは金属の取っ手に手を掛けた。が、びくとも動かない。目だけを動かして確認すると、運転台の戸は溶接されたように融合し、赤黒い壁と成っていた。 これでは専用の機材でも持ってこない限り入れはしない。 ジルの意見は正しかったというわけだ。本当に無駄足だった。 電灯が狂ったように瞬き、そして周囲は黒に沈んだ。 刃先を東洋人たちに向けながら、ケビンは大きくため息をついた。 (二) 貫通扉の窓の向こう、ケビンの背中が東洋人たちの中へと消えた。東洋人たちの群れはケビンを追って、貫通扉から離れて行った。 ジルは大きく息を吸って、それから目を背けた。心がそぞろだっているのが分かる。明滅する車内は、己の不安そのもののようだ。 洋館事件から、己は臆病になったのだろうか。目の届かないところで見知った誰かが死ぬ。それがとても怖ろしい。 陽気な毒舌家のジョセフ。寡黙で勇敢なエドワード。同じ歳とは思えないほどの傑物だったリチャード。全幅の信頼を置いていたケネスとエンリコ。そして――誰よりも世話になったフォレスト。 皆死んでしまった。個人のくだらない欲のために、彼らは永遠に失われてしまった。 フォレストを撃ったクリスの顔は、今でも鮮明に覚えている。哀しみという言葉では到底言い表せない深い苦悶に苛まれた、あまりにも痛々しい表情――。 いや、彼ら"S.T.A.R.S."だけではない。ラクーン市警に勤務する警官の殆どが殉職したとケビンは言っていた。また、中央政府によって空爆による滅菌作戦が行われるとも聞いた。 彼女が単独で行動している間に、事態はそこまで進行してしまっていたのだ。 そして、ケビンは悪魔のウィルスに身を犯されている。何も出来なければ、彼の末路はフォレストやエドワードと同じだ。それを悟っているケビンは、ジルに手を汚させまいと不器用にも心を配ってくれている。 こんな無謀な賭けに率先して動いたこともそうだ。だからこそ、反対したのだ。認めたら、頼りない自分を再確認してしまう。否定したところで変わりはしないのに。 あちこちで火の手の上がっていたラクーンシティの光景が蘇る。あの劫火は、ジルが今まで歩んできた証までをも燃やし尽くしてしまうようだ。 それらを思うと、己の弱虫な部分が大声で騒ぎだしそうになる。今更ながら、傍にクリスがいないことが心底堪えた。頼るべき背中がないという事実がとても心細い。 とはいえ、この状況を恨んだところで意味はないのだ。予想外の出来事こそあれ、ひと月前から一人で戦わねばならないことは覚悟していたのだ。 今は弱さをひっくるめて"S.T.A.R.S."という殻で覆い包み、己の奥底に押し込めていくことより他ない。 「……ねえ、ジル。ケビンって、なんていうか……その、色狂いの気があるの?」 ともえの言葉の突拍子のなさに、物思いに沈んでいたジルは眉根を寄せた。しばし黙考し、ケビンの口にした戯言を真に受けたのだということに思い当たった。 「――ああ。あれは彼なりの冗談よ。かといって、紳士かって訊かれたら否定するけど。それはもうきっぱりと」 諧謔を含んだジルの言葉に、ともえが安堵したように息を吐く。あ。と、ともえが小さく呟いた。 「――彼に鯉口切れって言ってあげれば良かった……」 「……コイクチキレ?」 何ともなしに問うと、ともえは自答するように呟いた。 「刀をちょっとだけ抜くってこと。鬼や化生は金気――特に刃物を嫌うから、そうしておくと寄り付かないらしいの」 「一種の御呪いね。帰ってきたときに言ってあげたら?」 「……早く言えって大騒ぎしそう」 「やりそうね、彼なら。ま、そういう見世物だと思って楽しみましょうよ」 二人で笑った時、ふいにケビンが入った方とは反対の貫通扉ががんと音を立てた。目を走らせると、貫通扉の向こうで看護婦たちが激しく叩いているのが分かった。 「……あれは楽しむって範疇をもう超えているけど」 拳銃を構え、侵入してきても押し留められるよう息を整える。おそらく弾込めをしている猶予はない。 よって、使える弾は三十発。空間が限定されているから外れはしないだろうが、それでも二十体を無力化できれば御の字だ。 「トモエは自分が生き残ることだけを考えて。いい?」 「……わかったわ」 ともえがジルの邪魔にならない位置に身を寄せた。扉の軋み上げる音が車内を支配する。力づくで押し開けようと言うのか、一番扉に近い看護婦が押し潰され、窓がどす黒い赤に染まった。 ばきと音を立てて戸が敷居から外れ、半ばからひしゃげた。 隙間から溢れるようにして看護婦たちが車内に傾れ込む。 電灯と呼応するように、ジルの銃口から閃光が迸る。ハンドライトの明かりの中で看護婦たちが血と共に踊った。 「ジルっ!」 ともえの悲鳴が聞こえた。逼迫した声に思わず振り向くと、背後の貫通扉の窓から何人もの東洋人がこちらを覗き込んでいた。 銃声を聞いて戻ってきたらしい。貫通扉が冗談か何かのように弾け飛び、壁に跳ね返った。 土気色をした東洋人たちの姿は、ゾンビというよりも幽鬼そのものに見えた。 怨み。哀しみ。苦しみ。憎しみ――。 恥辱。恐怖。憤怒。無念――。 彼らの虚ろな表情は、そういった負の感情を全て湛えているが故のもののように思えた。噎せ返るような瘴気は、毒のようにジルの意識を揺さぶる。 ジルは舌打ちしながら、ライトを拳銃に持ち替えた。ともえを背中に庇うように姿勢を変える。二つの咆哮はいくつも重なり、あたかも雷鳴のように車内を暴れ狂う。 看護婦は崩れ落ちたが、撃たれた幽鬼は足を僅かに止めただけですぐに歩みを再開する。 ケビンの言葉通り、看護婦の群れの方に活路を見出すのが賢明か。 冷や汗に身体を濡らしながら、ジルは思考を巡らせる。それとは別に、頭の冷えた部分が銃声の数を刻んでいく。 貫通口の隙間から出てこようとした看護婦が、ジルが引き金を引く前に後ろへと引き摺り倒されるのが見えた。隙間から投げ出された生白い足が苦しそうにもがき動く。 ひしゃげていた扉が開き戸のように内側へと折れ曲がった。そこから現れたのは同じような白い手術着をまとった幽鬼の群れだ。あの看護婦たちはジルに気付いたのではなく、あれから逃げてきていたのだ。 右手の拳銃の遊底が引かれたままの位置で止まる。弾切れだ。 車内の電灯が断末魔のように激しく点滅し、やがて消えた。あたりに暗闇が落ちる。素早く用無しになった拳銃とライトを交換する。 無駄と分かりつつ、引き金を引く。陰火のような閃光が数度闇を裂いた。 溜息を吐くような音を立てて乗車口が開いた。とどろとどろとした風声が車内に入り込む。すぐに扉は閉まり、ゆっくりと軋みを上げながら列車は動き始めた。ケビンは上手くやったようだ。 だが、彼の偉業を讃えることはできそうにない。 残った拳銃も弾を撃ち尽くした。虚しい空撃ちの音が手元から毀れていく――。 ふと、ジルは眉根を寄せた。幽鬼たちの歩みが止まっている。周囲五ヤードよりも内側に入ってこようとしない――いや、入ってこようとはしている。それは彼らの動きで分かる。 だが――入ってこられない。 ジルは己の周りに人の気配が充満していることに気付いた。しかし、ライトを翳しても何も見えない。 ただ、息が詰まるほどの懐かしさが胸の内に湧き上がった。 ひとつひとつの区別は難しいが、この感覚は肌が覚えている。ほんの数ヶ月前まであった安心感が胸を満たしていくのを感じた。 電車の速度が上がるのに呼応するように、周囲の空気が激しく震えていくのが分かった。それは目の前が真っ赤に染まるような、烈しい感情の奔流だ。 混ざり気のない、身悶えするほどの激情の波が車内を包みこんでいく。幽鬼たちは慙愧とも狼狽ともとれぬ表情を、虚ろの中に宿していた。 それは幽鬼だけでなく、ジルたちにも向けられているように思えた。 憂慮も不安も全て吹き飛ばし、昇華させるが如く身体の芯が火照っていく。 「お父様……なの?」 ともえが戸惑いの声を上げた。 と、車窓から淡い光が差し込んだ。駅に――着いたのだ。 車体に先ほどと同じような急ブレーキがかかり、ジルはよろめいた。そのとき、誰かに肩を支えられた心地がした。しょうがねえなあ。という苦笑すら聞こえた気がした。 扉が開くと、幽鬼たちは潮が引くように薄れて消えていった。何事もなかったかのように、車内に光が戻る。 その刹那、ジルは陽炎のような長髪の男の影を見た。その横顔には、いつもの不敵な笑みが刻まれていたように思えた。 ぶるりとジルは身体を震わせた。心に残る温もりを零さないように、両手を胸で抱く。 まだだ。まだ終われない。 ジルは深く長く息を吐いて、ともえに向き直った。彼女は泣きそうな顔で一点を見つめていた。ジルの眼には何もない虚空にしか映らないが、彼女には何か見えたのだろう。 彼女の肩を叩き、開け放たれた扉を指差す。 「……降りるわよ」 「でも、ケビンがまだ――」 「生きているのなら、彼も降りる。そうでないのなら、ここで待っていても意味はないわ」 うむを言わさずにともえの手を掴み、ジルはプラットホームに降りた。その背後で扉が閉まり、列車は走り去って行った。 プラットホームは相変わらず赤黒く汚れ、照明も満足ではないが、その光がとても眩しいように感じられた。 しかし、ゆっくりとしている時間はない。ここでは何かに囲まれるかもしれないし、大蛇が追ってくる可能性も否定できない。 ジルはともえの手を離し、行きましょうと言った。 見える範囲でケビンの姿はない。その事実を噛み締めながら、無人のプラットホームを歩く。ともえの足取りも重い。 「……よお。遅かったなあ、お嬢さん方」 柱の影から、多少くたびれた声が聞こえた。ずりずりと這うようにケビンが現れた。背中を柱に預け、ケビンはジルたちににやりと笑いかける。 相変わらずの表情だが、その顔が白いのは照明のせいだけではないだろう。左腕は力なく垂れ、少なくない血が滴っていた。 ケビンがこちらに向かおうと足を踏み出すが、小さくよろけた。 ともえが慌てて駆けて行き、ケビンに肩を貸す。身長差が大きいため、どちらかというとケビンに潰されているような見た目になったが。 「ありがたいが、綺麗な服が汚れっちまうぞ」 「……私の染み抜きの腕、嘗めないでよ」 ケビンの左肩の形が変わっていた。服を脱がせないと最終的な判断は下せないが、軽傷では決してないだろう。 制服の肩当てには人間の五指による深い傷が刻まれ、その奥の肉にまで達しているようだ。 銃を受け取りながら、ジルはケビンに笑いかけた。 「やってみるもんね。あの映画、生きて帰れたら私も借りて見直すわ」 「……俺じゃねえよ。運転台にゃ入れなかった。勝手に動き出したんだ」 骨折り損だと、不貞腐れたようにケビンが溜息をついた。首筋をぼりぼりと掻く。 「なんつーかよ、真っ暗になってからフレッドやジャンがいたような気がするんだよな。俺も焼きが回ったかね」 「いたんじゃないの? 私も死んだ仲間に会えた気がする」 階段に足をかける。ともえとケビンの足元をライトで照らしてやりながら、神経を背後に配る。 安全を確認したら、すぐにでも銃に弾丸を装填しなくてはなるまい。そして、どこか安全と言えそうな場所でケビンの手当てもしなければ――。 「生きろってことよね……?」 ともえが言った。 生きろ――。 確かに、ジルたちは生かされた。だが、それだけだろうか。 あの激情は、そんな穏やかな言葉では言い表せないように思えた。 もっと強い言葉だ。強く、雄々しく、聴く者を奮い立たせようとする言葉――。 エンリコの、野太い叱咤の声が甦った。 「……"戦え"――じゃないかしらね」 「戦うって、誰と……?」 ともえの言葉を反芻する。 誰と――。 何と――。 即座に排除すべき敵の姿はあっても、この事態の全貌は、この街と同じように霧に包まれたように見えてこない。 ただし、それは生き残った"S.T.A.R.S."が身を置く戦場と変わらない。 捉えられない敵。終わりの見えない戦い。 そんな自分たちが戦わねばならないのは何か――。 「そうね……きっと――」 階段を上がり切ると、改札口からの冷たい風が頬を撫でた。 【C-3/C-3駅の改札付近/一日目夜中】 【ケビン・ライマン@バイオハザードアウトブレイク】 [状態]:身体的疲労(中) 、左肩と背中に負傷(左腕の使用はほぼ不可)、T-ウィルス感染中、手を洗ってない、ともえに肩を借りている [装備]:ハンドライト [道具]:法執行官証票、日本刀 [思考・状況] 基本行動方針:救難者は助けながら、脱出。T-ウィルスに感染したままなら、最後ぐらい恰好つける。 1:駅から出る。 2:警察署で街の情報を集める。 ※T-ウィルス感染者です。時間経過、もしくは死亡後にゾンビ化する可能性があります。 ※傷を負ったためにウィルス進行度が上がっています。 ※左腕が使用できないため『狙い撃ち』が出来なくなりました。加えて精度と連射速度も低下しています。 ※闇人がゾンビのように敵かどうか判断し兼ねています。 【ジル・バレンタイン@バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ】 [状態]:疲労(中) [装備]:ケビン専用45オート(装弾数3/7)@バイオハザードシリーズ、ハンドライト [道具]:キーピック、M92Fカスタム"サムライエッジ2"(装弾数0/15)@バイオハザードシリーズ、M92(装弾数0/15)、ナイフ、地図、ハンドガンの弾(24/30)、携帯用救急キット、栄養ドリンク [思考・状況] 基本行動方針:救難者は助けながら、脱出。 1:駅から出る。 2:どこかでケビンの傷の処置をする。 3:警察署で街の情報を集める。 ※ケビンがT-ウィルスに感染していることを知っています。 ※闇人がゾンビのように敵かどうか判断し兼ねています。 【太田ともえ@SIREN2】 [状態]:身体的・精神的疲労(中)、ケビンに肩を貸している [装備]:髪飾り@SIRENシリーズ [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:夜見島に帰る。 0:夜見島の人間を探し、事態解決に動く。 1:ケビンたちに同行し、状況を調べる。 2:事態が穢れによるものであるならば、総領の娘としての使命を全うする。 ※闇人の存在に対して、何かしら察知することができるかもしれません ※「名前の無い駅」周辺には「悪魔の実験」の犠牲者以外の魂も囚われているようです。 ※銃撃や打撃で実体化した霊魂を無力化することはできませんが、ほんのわずかだけ動きを止めることが出来るようです。これは怨霊にも当てはまるのか、またその効果が裏世界特有の事象であるか否かは後の書き手さんにお任せします。 back 目次へ next メトロ・サヴァイブ 時系列順・目次 その誇り高き血統 屍とふたりとときどき、駐車場 投下順・目次 傀儡とキリングフィールド back キャラ追跡表 next メトロ・サヴァイブ ジル・バレンタイン その誇り高き血統 メトロ・サヴァイブ 太田ともえ その誇り高き血統 メトロ・サヴァイブ ケビン・ライマン その誇り高き血統
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/324.html
けびーん -- 暴犬 (2011-03-19 21 32 10) 腹がw マークの変装ではなかろうかw もしくはケビン10年後……? -- 名無しさん (2011-03-19 22 45 47) 時間は残酷にございます。三十路から出る人は出ますよね。ただでさえアメリカ人だしバリー出てるし。 -- 暴犬 (2011-03-20 08 38 25) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/401.html
じぇにふぁー・・・こるびの -- 暴犬 (2011-04-16 00 59 21) 犬と交信中でしょうか。今一通じ合っておりませぬぞ! -- 名無しさん (2011-04-16 09 10 21) 犬のことなど、所詮人が勝手に擬人化しているだけにございます -- 暴犬 (2011-04-16 11 07 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/235.html
Controversial Participation 【 クローディア・ウルフ 】 サイレントヒル 遊園地 18時00分00秒 【 クローディア・ウルフ 】 サイレントヒル 遊園地 18時00分01秒 【 クローディア・ウルフ 】 サイレントヒル 遊園地 18時00分02秒 「これは……」 下腹部から発せられる鋭い痛みに、クローディアは顔を青ざめる。 どこかから聞こえてきた咆哮。それに自身の神が反応しているようだ。 共感・反発、どちらかは知れないが、これは相当な負担だ。 よろよろと遊園地を後にし、車道へ出る。 彼方に見える灯台の光が、蝋燭の灯火のように感じられた。 それ以上に目を引いたのが、眼下に広がる赤い湖だ。 ここに住んで久しいが、こんなものは知らない。 (まさかこれすべてがアグラオフォティス……) 一瞬絶望に打ちひしがれるが、すぐに否定する。 あれ特有の不快感はない。これだけあれば、かなりの拒絶を示すはずなのに。 轟音そのものが去っても、残響がクローディアを苦しめる。 同胞を求める声か、地獄へ誘う叫びか。自身を蝕むその存在に、彼女は憎悪を抱く。 それによって神は胎動を始め、更なる痛みを呼ぶ。 痛みが憎しみを生み、その憎しみが痛みを生む。 その悪循環はクローディアにとって好都合だったが、 さすがに限界はある。おぼつかない足取りはやがて停止し、膨れ上がる苦痛に耐えかねてくずおれてしまう。 「大丈夫かよ、オイ!」 遠くから男の声と、複数の足音が近づいてくる。 サイレントヒルに迷い込んだ連中だろう。 自分に害をなす怪物に遭わなかったのは幸運だ。 いや、神のご加護というべきか。 「しっかりしろ!」 「……大丈夫です。心配していただき、ありがとうございます。 ここで会ったのも神のお導きでしょう。どうかご一緒させてください」 とりあえずこの男に取り入ろう。親切な人間は扱いやすいものだ。 神の尊さ、楽園の素晴らしさを説けば、従順な信徒が出来上がることだろう。 サイレンの影響ももうない。これでまた普段通りの行動が可能だ。 どのように動くべきか、復帰した理性で思考する。 「そう。じゃあここで私に撃ち殺されるのも、神のお導きって奴なのかしらね。 どうなの、可哀想なクローディア?」 頭上から降ってきた声に、顔を上げようとしたクローディアは硬直した。 心臓が止まったような感覚さえする恐怖と驚愕。 一発の銃声が、暗闇を駆け抜けた。 ¶ 「アレはさすがにねぇんじゃねえの?」 「アレくらいビビらせないと、本当のことなんて吐かないわよ」 リロードを終えた銃をしまい、ヘザ―は阿部から、少し離れた椅子でぐったりしているクローディアに視線を移す。 「やっぱお前を怒らせたらヤベ―な」 「何かいった?」 「いや、こっちの話」 聞き取れなかった呟きに首を傾げつつ、ヘザーは地図を広げる。 「とりあえず、遊園地についてはあの子から情報が手に入ったし、 このまま電車で教会に向かいましょ。あなただってウサギの群れと遊びたくはないでしょう?」 「まあな」 ヘザ―の放った銃弾はクローディアの髪の毛や理性を削り取った。 結果、彼女と阿部は貴重な情報源を容易く入手し、こちらにイニシアチブを確立させた。 教団の不在、神の再生、力の制限……これらの情報に確証はないが、クローディアにとって偽証は自身の死や楽園の頓挫を意味するため、 かなりの信憑性がある。 「でも電車があったとしても、動くのかよ。錆まみれじゃねえか」 周囲の悲惨な状態を眺めて阿部が嘆くと、ヘザ―が頷く。先程のサイレンを境に周囲は『あの世界』へと変貌した。 現在のサイレントヒルには、そういう法則性があるのかもしれない。 「そうね。仮に動いても、“まともに”動く保証はない。 そうなったら歩くしかないけど、迂闊に地上を歩くよりはマシなはずよ」 「それもそうだな」 自分達が出会った過程を思い出したのか、男がうんうん、と同意する。 「それでよ、あいつはどうするんだよ」 親指でクローディアを指され、ヘザ―は唸る。 「本当なら殺したくはないの」 「よく言うぜ」 「本当よ。殺さずに済むなら、その方がいいわ。 それに、間接的にとはいえ、一回あの子殺してるのよね」 死者蘇生。宗教にはよくある現象・行為だが、たいていは空想だ。 しかし、今回もそうであろうか。たしかに死体はなかったが、クローディア・ウルフという人間はあの時に死んだはずだ。 もし神と融合していたとしても、その神も自分は手に掛けている。結局は死ぬしかない。 なのに、クローディアは生前そのままの姿でここにいるし、弱体化したとはいえ、『神』もその身に宿っているという。 自分や阿部を連れてきたのがその神や彼女の仕業であったのなら、すぐに始末するつもりだった。 だが、あの教団関係者は今回の件は関与していないというし、リセットされた神にそれ程の力があるとは思えない。 少なくともクローディアにしろ神にしろ、抵抗する力があるなら、さっきの銃撃に反応したはずだ(あの発砲にはそういう意味もあった)。 「今のあの子はまだ脅威じゃないわ。 それより問題なのは、このイカれた世界を作った元凶が何かってこと。 それが教団かどうかは教会を調べてから結論を出すとして、 もし別の勢力が原因だったら、ここで彼女を殺すのはマイナスになるかもしれない。 もしかしたら、あの子も協力してくれるかもしれないからね」 「敵の敵は味方ってか? そんなにうまくいくかねぇ」 確かに阿部の言う通りだ。共通の敵を持ったとしても、団結できるとは限らない。 信用した矢先に裏切られては、死んでも死にきれない。武器は没収したが、それでも危険なのは変わりないのだ。 ここにいるかもしれない父や友人に会うためにも、自分はまだ死ぬわけにはいかない。 クローディアのことを鑑みれば、彼らも自分の記憶通りの姿でいる可能性が高いだろう。 期待と焦燥が胸中を支配しているが、表に出さないように努めている。 「あなたもそれに合わせてくれとは言わない。これは私のわがままだから。 もし私やクローディアを信じられないなら、遠慮せずに離れてくれればいいし、 殴りかかっても文句はない。さすがに抵抗はするでしょうけどね」 「わーった、わーったよ」 ヘザ―の真剣なまなざしに阿部は「お手上げだ」とでも言うように両手を上げ、 「おめーについていくよ。文句はねえ。だけど、ヤバい時は頼むぜ」 「ええ、任せて。もしもの時は、私が決着をつける」 ヘザ―の差し出した手に阿部はきょとんとする。やがてどういう意味か察したらしく、その手を握る。 クローディアはといえば、そのへんで拾った栄養ドリンクをラッパ飲みしていた。 【A-4/駅/1日目夜】 【ヘザー・モリス@サイレントヒル3】 [状態]:憤怒、この場所へ呼んだ者への殺意 [装備]:スタンガン(電池残量5/5) [道具]:L字型ライト スタンガンバッテリー×2、SIGP226(装弾数15/15予備弾21)、携帯ラジオ、地図 、ナイフ [思考・状況] 基本行動方針:主催者を探しだし何が相手だろうと必ず殺す。 1:教会へ向かう。 2:他に人がいるなら助ける。 3:名簿の真偽を確かめたい。 【阿部倉司@SIREN2】 [状態]:健康 [装備]:バール [道具]:懐中電灯、パイプレンチ、目覚まし時計 [思考・状況] 基本行動方針:戦闘はなるべく回避。 1:ヘザーについていく。 2:まともな武器がほしい。 3:どうなってんだこの名簿? 【クローディア・ウルフ@サイレントヒル3】 [状態]若干の不安と恐怖 [装備] [道具] [思考・状況] 基本行動方針:神を降臨させる。 1:ヘザ―に逆らわない。しかし神が危険な場合はその限りではない。 2:邪魔者は排除する。 3:赤い物体(アグラオフォティス)は見つけ次第始末する。 ※神はいったんリセットされ、初期段階になりました ※アグラオフォティスを所持すると、吐き気に似た不快感を覚えます ※力の制限は未知数(被検体が悪い)。物語の経過にしたがって変動するかもしれません back 目次へ next Implication 時系列順・目次 錆びた穽 Implication 投下順・目次 Self question back キャラ追跡表 next 困惑 阿部倉司 混ぜるな危険 困惑 ヘザー・モリス 混ぜるな危険 Close Encounters of the Third Kind クローディア・ウルフ 混ぜるな危険
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/228.html
唐揚げ弁当大盛り 流行り神世界のコンビニで売っているただの弁当。870円。 流行り神2にて犬童が風海に買いに行かせた。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/186.html
雲上海下(うんじょうかいか)前編 アパートの一室 部屋の隅で小鹿のようにカタカタ震えながら 命乞いをする心の準備をしている少女がいた。 酷く怯えていて声もなく涙を流しながら身を縮めている。 彼女の名は福沢玲子、鳴神学園一年G組に属している極々普通の女子高生である。 しかし、 彼女より前にこの地に召喚された 新藤誠や日野貞夫がそれを聞いたら、 きっと大笑いするだろう。 『普通の』?アイツが? 自らの祖父すら『死』を見るための観察対象にし、 七不思議の集会を使った狩りでは主に グロテスクな怖い話を好む性質。 更に言うと彼女が殺人を犯す時にもっとも重点を置くのは死の表情、死の瞬間。 新藤のような試合に見立てた命の取り合いや 風間のような他人を見下す愉悦を味わうため といったような 普通に試合をすればいい。 偉くなれば得られる。 というような代えの効くものでも無く、 岩下のように憎いから、愛しいから殺すといった 特定の相手を選ぶという事もない。 ---面白いから殺す。 そういった最も快楽殺人者的な思考回路を持ち、 部長である日野を除けば『殺人クラブ』の趣旨に最も合致する人間。 そんな奴が普通なら、きっとこのクラブ活動は全国に広まってるだろうぜ? そういって笑うだろう だが、ここにいるのは正真正銘『普通の』高校生活を営む福沢玲子である 水泳部の部室で呪いのロッカーに引きずり込まれ 自分の体が水になっていくのを感じ・・・・・ そうして気がついたらここにいたのだ。 それだけならまだここまで追い込まれることは無かったろう、 彼女は本来楽天家で、明るいのが取り柄の少女なのだから。 話は15分前に遡る 「私・・・・もしかして死んじゃったの?」 薄暗いアパートのロビーで1人呟く。 彼女の周囲には女子水泳部室にあった鏡やバッグ、水着などの私物が あたかも此方に投げつけられた後かのように置いてあった 「ここ何処なんだろ?坂上くんは居ないのね、良かった・・・・」 福沢はほっとしたように 流石に自分のせいで人が死んじゃったら 寝覚めが悪いもんね そう心の中で付け加える。 「それにしても何でこんなに濡れてるかなぁ、 中までグショグショじゃない・・・・ なんか気持ち悪ぅい」 スカートを持ち上げパタパタと乾かすも、どう考えても気休めである。 ふと、窓の外を見る。 赤々とした夕霧がすごく綺麗で、 まるで雲の中にいるようだった。 このアパートのボロい内装にさえ目を瞑れば良さそうな所、 もしかして死んで正解だったのかも、 もう勉強の事も、将来の事も考えなくていいんだもん、 まぁ今までも考えたことなんて無いけど、キャハハハ。 ん~っと伸びをして、欠伸を1つ 荷物を纏めて部屋を見よっと そんな呑気な事を考えていた。 本当に、本当に幸せな事この上ない思考だ。 これまでこの地で何人もの人間が死に、 死して尚、誰かに何かを残したというのに、 まだ生きている人間達は ほとんど誰もがこの地の事を真剣に考えているというのに・・・・ だが現実は非情である。 夢は覚めるのだ。 目覚まし時計のベルさえなれば、 魑魅魍魎の跋扈する丑三つ時だろうと 存在しない筈の25時だろうと 無理矢理布団を引き剥がされ ベッドから引きずり出される羽目になるのだから。 各部屋をまわった後の上りは面倒だからぁ まず三階からね♪ あと一分と三十秒。 二階に着いた、思ったより荷物重~いちょっと一休みしよ。 あと五十二秒。 やっと着ーいた、さてと、いい部屋があるといいなぁ。 ドアを開け通路を見渡す。 あと----- 街中に獣の唸り声と地鳴りの中間のような音が響き渡り 電灯が瞬く間に消えてしまった。 真っ暗闇の廊下で ブー垂れながらライトを取り出す。 その瞬間福沢は息を飲んだ。 ボロい程度にとどまっていたはずの急激に赤錆た壁、 先程まで無かったはずの右側の金網、 そのどれもが信じがたい事実。 「何よ・・・・・・何なのよこれ・・・・」 あまりの状況の変化に思わず腰が抜けそうになりながらも、 何とか立っている状態だったが、それも長くはもたなかった。 何故なら通路の向こうから首を絞められた鳥のような奇妙な鳴き声が聞こえるのだ。 ぺしゃん、ぺしゃん・・・・・ 足音のようなのも聞こえてきた、恐る恐るそちらの方を照らすと・・・・ その縦に大きく裂けた口から生ゴミの煤けたような臭いを吐き出しながら ぬらぬらとした表皮を持ったこの世の物とは思えぬ 奇怪な生き物が三体も向かって来ていた。 今度こそ完全にへたり込んでしまった。 アレ等を駆逐できるような武器は生憎持ち合わせていない。 「こ・・・・来ないで!来ないでよ!!」 言いながらバッグの中の物を無我夢中で投げつける。 必死に動かない下半身を動かして後退するが後ろは金網。 すぐに後が無くなってしまった。 無力感が全身を覆い、頬を涙が伝う。 過呼吸で息が苦しくなる。 最後に投げたスプレーは弧を描いて怪物の口の中に入り、腐っていった。 福沢は思った。 そっかぁ、そうだよ!これは夢なんだよ!きっと! だって、物が腐る唾液なんてかけられたら死ぬほど痛いもん! そんなの・・・・そんなのやだよ・・・・ 目の前の怪物が毒液を溜めた、恐怖で目を閉じることさえ出来ず、ただ死を待つだけだった。 が、神に願いが通じたのか怪物は目の前で数歩よろけて 爆発した。 さっきのスプレーの中に残っていたガスが膨張し、毒液の熱に耐えられなくなったが故の爆発だった。 他の2体も爆発の衝撃で倒れている。 ひっ、と短い悲鳴をあげ、茫然としながら立ち上がる。 ここは天国なんかじゃなかった、 きっとあの後坂上くんも死んじゃったんだ・・・・ だからこんな地獄に送られたんだ・・・・・ だがしかし、飛んできた肉片の生暖かさは、 これが夢でも、無論あの世でも無い事を物語っていた。 もう・・・・・部屋に入ろう、もしかしたら部屋の中くらいは安全かもしれない。 自分の我が儘に付き合って人が死んでしまったかもしれないという罪悪感と 水と化け物の血でじっとりと濡れた衣服の不快感が纏わり付き 彼女の思考力を奪っていった。 『301号室』の扉を開きその中へと入り込む。 ドアに鍵を掛けて安全確認したら、ゆっくりしよう。 キィイイイ・・・・・パタン、カチャリ。 ドアが閉まった瞬間。 爆発に巻き込まれた筈の死体は カタカタと不気味な音を鳴らしながら、醜悪なその身を ゴキブリのように素早く引きずり 半開きのドアを通って階段を降りていく。 その様子を金網の外側から、『断罪』の体現者が見ていた--- 【坂上修一について】 彼は学校であった怖い話本編の主人公であり新聞部に所属している。 日野貞夫をはじめとした殺人クラブの面々、 語り部として集まった者達なら面識がある。 back 目次へ next サイレン一周目 時系列順・目次 雲上海下(うんじょうかいか)後編 Close Encounters of the Third Kind 投下順・目次 雲上海下(うんじょうかいか)後編 back キャラ追跡表 next ― 福沢玲子 雲上海下(うんじょうかいか)後編
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/49.html
雛咲深紅 出典:『零~zero~』 年齢/性別:17歳/女性 外見:黒髪のポニーテール、白い服に赤いスカーフ。 環境:1986年現在、母を亡くし兄と二人家族だったが、『零~zero~』本編内でその兄も亡くす。 ちなみに全員強い霊力を持っており、母親はその霊力と射影機の力に耐え切れず自殺した。 性格:内向的で、その霊力の高さゆえに兄以外に心を開けないでいる。 しかし兄を想う心は強く、優しい少女。 能力:強い霊力により、霊を見、その声を聞くことができる。 射影機があればその力で霊を撃退することも。 口調:一人称は私、年上は名前や苗字に「さん」をつける。 丁寧で女の子らしい口調。年上には敬語を使う。 交友:肉親である兄・真冬以外とはあまり活発に交流はしていない模様。 兄の友人、仕事仲間とは顔見知りであることも多いらしい。 続編『零~刺青の聲~』では、兄の友人の婚約者である黒澤怜の元でアシスタントを務めており、 兄の仕事仲間である天倉螢の顔を知っていた。 備考:本編クリア後より参加。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/91.html
G-ウィルス アンブレラ研究員のウィリアム・バーキンが被験者リサ・トレヴァーに“ネメシス”の試作体を投与した際に発見した。 G-ウイルスは、感染した生命体自身と時間をかけて融合し、新たな生物へと劇的な進化を幾度となく繰り返させる特徴を持つ。 しかも、その生物は繁殖可能な“G生物”を生み出す性質まである。 G生物との接触によって胚を植えつけられた場合、感染者は二つの道を辿ることになる。 G生物と感染者に血縁のある場合:G生物となり、劇的な進化を繰り返すようになる。 G生物と感染者に血縁のない場合:拒絶反応を起こし、疑似複製という特殊な繁殖方法を取る。肉体の一部を利用して形成された“G成体”なる不完全な生物が、感染者の肉体を突き破って出てくることになる。その口腔からは“G幼体”という小型生物を排出し続ける。このG幼体に生殖能力はない。 G-ウィルスそのものが生命の胚という見方も出来、その感染体はT-ウィルスのように生きているものである必要はない。 G-ウィルスに感染した場合、“DEVIL”と名付けられた抗原体を投与しなくてはならない。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/343.html
T-ウィルス アンブレラ製薬会社が開発した新型RNAウィルスの総称。 正式名称は「Tyrant Virus」 1966年にオズウェル・E・スペンサーがジェームズ・マーカス、エドワード・アシュフォードと共に発見した始祖ウィルスをベースにしている。 「生体の遺伝子を組み替える」という特性を持ち、これが数多の生物兵器を世に生み出す原動力となった。 同時に、別種の生物同士の遺伝子を組み合わせし易くする緩衝材の役割も担っている。 一方で、T-ウィルスに感染した生物は凶暴となる副作用を持ち、これが名前の元となる。 変異の大きいのウィルスであり、感染経路は経口から空気まで多岐に渡る。 感染した生体に起こる変異も一定しない。 おおまかに分類すると、 爬虫類、両生類、魚類、甲殻類等:著しい巨大化と凶暴化 鳥類:凶暴化 哺乳類:新陳代謝の活性化による耐久力の上昇と、その副作用としての表皮や内部組織の劣化、及び凶暴化 となる。 潜伏期間も一定しておらず、感染から所謂“ゾンビ化”までの時間にばらつきがある。 空気感染の場合は、初期症状が現れるのに24時間、脳組織の劣化まで5日、完全な“ゾンビ化”まで10日ほどと見られるが、あくまで一つのケースである。 しかし、肉体の弱体化に比例して症状の進行速度は上がり、死に瀕する状態となった場合には即座に“ゾンビ”となる。 また、上記のように、T-ウィルスによる“ゾンビ”は厳密に言うと甦った死者ではない。 死体に見えても、それは仮死状態と見るのが妥当と思われる。 驚異的な感染力を持つT-ウィルスだが、人間の場合、10人に1人の割合で抗体を持っている者がいる。しかし、あくまで感染しにくいだけである。 一方で、極稀に完全な適応力を持つ場合も存在する。
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/488.html
譲らぬ決意 一面を白く染める霧を懐中電灯の光が丸く切り裂いていく。 ハリー・メイソンは隣を歩くともえの横顔をチラリと眺めると、再び視線を前に戻した。 彼女が着いて来ると聞いた時に感じたのは頼もしさではなく不安だった。恐らくそれは彼女も同じことだろう。民間人が連れ添って行動するより、警察官であるジル達と行動した方が安全なのは言う迄もない。 ただ、自分には我が身の安全を確保するよりも大切な事があった。それは背中の彼女の事であり、愛娘の捜索でもある。 トモエも同じように何か胸に抱くものがあるのだろう、そうでなければ戦闘経験のない一般市民と行動を共にするといった不利益な行動を取るはずはない。生憎とそれが何なのかを伺い知る事は出来ないが。 「どうして…ケビンはあんなことをしたのかしら。」 不意にトモエが口を開いた。本人は気丈に振る舞っているつもりだろうが、彼女がショックを受けているのは誰の目にも明らかだ。 彼女はケビンの死に際して自身に少なからず責任があると考えているようだが、責任があるという点では自分も同じ、あの場にいた全員が責任者だ。 何せ、彼の死をただ見ていることしか出来なかったのだから。 「彼のことかい?」 「ええ…どうして、ケビンは自分が死ぬと分かってるのにあんな無茶をしたのかしら。……勘違いしないでね、ハリー。私は彼の後を追うつもりはないから。」 「それは安心したよ。私の“目”になってくれるんだろう?目を失っては私も困るからね。」 微笑みを返しながらハリーは言った。 彼が何故あのような行動に出たか。彼と親しかった訳ではないし、どのような性格であったかという事さえ知らない。だから彼が命を失った時にも憐れみの情を抱きこそすれ、悲しいとは思わなかった。 ただ、彼の決意は自分のそれと似通っていたのかもしれない。 自分も、トモエも。そしてケビンも。 何故進んで自分の身を危険に晒す? まるで自分の命などいらない、くれてやると言うように。そこまでして守るべきものは? 「…私は彼についてよく知らない。君やジル程長い間一緒にいた訳でもないし、ジムのように友人だった訳でもない。でもね、彼の考えた事が少しだけ解るような気がするんだ。」 「どういう事?」 「私は、人間には譲れないものが一つはあると思うんだ。 私にとってのそれは娘だ。私は娘の為ならなんだってする。自分の命だって惜しくはない。 彼はきっと、譲れないものを守ろうとしただけなんじゃないかな。…慰めにしか聞こえないかも知れないが、彼のお陰で私達はここに生きていられるんだ。」 「譲れないもの…?」 「そうだ。君にもあるはずだよ。そうでなければわざわざ私に着いて来たりしないだろう?」 ハリーに疑問を投げ掛けられたともえは一瞬だけためらい、帯に挿した拳銃のグリップをなぞりながらはっきりと告げた。 「私は、ケビンに守ってもらったから。だから私はケビンの代わりに誰かを守ってあげようと思ったの。 ケビンの代わりに誰かを守ってあげる事が、私の“譲れないもの”よ。」 「感謝する。私も、私の譲れないものを早く見つけてやらないとな。」 「ええ、私も……!? ハリー、あれ!!」 ともえの叫び声にハリーは内心舌打ちしながら振り返った。すぐ前方、15メートル程先にナース服を着たモンスターが歩いている。 (こんなに近くに…霧の所為で気付かなかったか……。) ハリーは内心で舌打ちしながら振り返った。ミヤコを背負っている状態では銃を撃てない。銃の初心者であるトモエの射撃もあまり期待出来ないだろう。 だが、幸いにも相手は自分達に気付いていない。ならばこのままどこかに隠れてやり過ごすのが得策だ。 「よし、トモエ。あいつの視界は見えるか試してくれるか?」 「ええ…やってみる。」 しゃがみながら小声でともえに告げる。 「………ダメ。何か変なもので覆われてるみたい。」 「そうか…仕方ないな。なら」 少しここで隠れていよう、と言おうとしたハリーの声は突然の爆音に掻き消された。 爆音の発生源であろう大型の白バイは先程までそこにいたモンスターを断末魔と共に轢き潰し、呆気にとられるハリーの目の前に停車した。流れるような動作でバイクを降りた運転手は無言のままともえに向けて拳銃を構え、引金を引いた。 鈍く重い音を立ててともえの真後ろで先程とは別のモンスターが倒れる。それを確認した運転手はヘルメットを外し、ハリーに再会の挨拶を行った。 「久しぶりね、ハリー。相変わらず元気そうじゃない。」 「シビル!?シビルか!?」 「緊急事態とはいえ、恐がらせてごめんなさいね。トモエさん。」 互いに自己紹介を終えた後、シビルはともえに非礼を詫びた。 「大丈夫。助けてもらったんだから、文句は言わないわ。」 「そういってもらえるとありがたいわね。…ところでハリー、貴方は何故ここに?」 あの奇怪な名簿に名前があった以上ハリーがもう一度サイレントヒルへ来ているであろう事は容易に予想出来たが、その理由が分からない。 娘を失った忌々しい土地に再び来訪する理由が。 「娘を探しているんだ。さっきも言っただろう。そうだ、この辺りで娘を見かけなかったか?」 「娘さん…?いえ、見かけてないけど……。」 おかしい。 ハリーは数年前に娘を失ったはずだ。それもこのサイレントヒルで。なのにこのハリーは未だに娘を探し続けている。 (このカミカクシの正体はタイムスリップのようなもの、ね…。) キリサキの言っていた言葉が頭をよぎる。もしハリーが自分よりも過去の存在だとすれば、娘の死に気付いていないのも合点がいく。 しかし、この状況をハリーに対してどう説明すれば良いのだろうか。突然現れて娘の死を告げたところで、彼がそれを信じるとは到底思えない。 (そういえば、死んでいない可能性もあるんだっけ…。) アレッサが現在も教団によって生かされているというキリサキの推理。本人は推測に過ぎないと言っていたが、もし当たっていたとしたら………。 とりあえず、今この話をするのは止めておこう。ハリーの為にも、自分の為にも。 バイクに寄りかかりながら思案するシビルの横で、ハリーは美耶子を背負い直した。 「彼女は?娘さんじゃなさそうだけど。」 「この子はもう死んでいるんだ。少しの間一緒にいたから、放っておくのも忍びなくてね。」 「ああ…。それで教会に?」 「いや、それだけじゃない。娘が教会に行くと言っていたのを聞いていた人がいてね。」 「なんですって!?」 有り得ない、と叫びそうになるのを必死で抑える。 …どうやら最悪の形でキリサキの推理は当たってしまったらしい。“自分に”届いた手紙と僅かな情報を頼りに教会を目指したハリー。恐らく彼女はまだ“生かされて”いて――――― (私達を引き合わせようとした、のかしら…。) 「この辺りにシェリルはいなかったんだろう?なら教会の中にいるかも知れない。」 「ハリー、待ちなさい。私も一緒に行くわ。」 既に教会のドアに手を掛けているハリーを押し退け、ドアノブを握る。片手は拳銃を握ったままだ。 (さて……アレッサ、今度は何を伝えたいというの?) 中で待ち受けるのは、アレッサか、『ヘザー』か。あるいはもっと恐ろしいものかも知れないと思いながら、シビルはドアを開けた―――――。 【C-2/教会玄関前/二日目 黎明】 【シビル・ベネット@サイレントヒル】 [状態]:精神疲労(中~大)、肉体疲労(小) [装備]:SIG P226(2/15) [道具]:旅行者用バッグ(武器、食料他不明)、グレネードランチャーHP LV4(炸裂弾5/6)@バイオハザードアンブレラクロニクルズ、白バイ、スタンレー・コールマンの手紙と人形 白バイのサイドボックス(炸裂弾:13、アグラオフォテス弾@オリジナル:23、他不明) [思考・状況] 基本行動方針:要救助者及び行方不明者の捜索 0 アレッサとヘザーには何か関係が? 1 ハリー、ともえと教会内部を探索 2 その後キリサキ、ユカリと合流する 3 前回の原因である病院に行く 4 ハリーに過去のサイレントヒルでの出来事を伝える ※風海達と情報を共有しました。 ※白バイのサイドボックスに道具が入っているようです。 サイドボックスの容量が普通だとは限りません。 ※ハリーが自分と異なる時代から来ていることに気付きました。 ※アレッサが自分とハリーを教会に呼び寄せたと思っています。 【ハリー・メイソン@サイレントヒル】 [状態]:健康 [装備]:ハンドガン(装弾数15/15)、神代美耶子@SIREN [道具]:ハンドガンの弾(20/20)、栄養剤×3、携帯用救急セット×1、 ポケットラジオ、ライト、調理用ナイフ、犬の鍵、 [思考・状況] 基本行動方針:シェリルを探しだす 0 シビル、ともえと教会内部を探索 1 美耶子を安置する 2 学校に向かう 3 機会があれば文章の作成 4 緑髪の女には警戒する 【太田 ともえ@SIREN2】 [状態]:右頬に裂傷(処置済み)、精神的疲労(中)、決意 [装備]:髪飾り@SIRENシリーズ、ケビン専用45オート(7/7)@バイオハザードシリーズ [道具]:ポーチ(45オートの弾(9/14)) [思考・状況] 基本行動方針:夜見島に帰る。 0 ハリー、シビルと教会内部を探索 1 ケビンの代わりにハリーを守る 2 夜見島の人間を探し、事態解決に動く。 3 事態が穢れによるものであるならば、総領としての使命を全うする。 ※闇人の存在に対して、何かしら察知することができるかもしれません ※幻視のコツを掴みました。 back 目次へ next 『澱み』 時系列順・目次 Survivor ――Eye of the Tiger―― Born From A Wish――隙間録・ジェイムス・サンダーランド編 投下順・目次 YOU RE GONNA BE FINE back キャラ追跡表 next 春のかたみ 太田ともえ 最後の詩 春のかたみ ハリー・メイソン 最後の詩 Phantom シビル・ベネット 最後の詩