約 3,630,361 件
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/439.html
J-249 ペット・ショップ J-249 U キャラ スターダストクルセイダース 血 P2 S0 T0 ☆☆☆ ●地獄の門番 このキャラは《DIOの館》でブロックする時、「P+2」される。 幽○ ペット・ショップ 動物 出典:
https://w.atwiki.jp/keikenchi2/pages/1014.html
イッシュ地方のとある町にタブンネ専門のペットショップがある。 タブンネ専門なんて、経営が成り立つのかと思うことだろう。 普通ならば成り立つはずもない。しかし、この店ではそれが成り立っているのだ。 大きな理由として、この店のタブンネはとても質がいいということがある。 どのタブンネもお客さんに笑顔を向け、手を振ったりなど、とても愛くるしい。 さらに、ここのタブンネたちは飼い主の言うことをよく聞くいい子だと評判だ。 何か秘訣があるのだろうか? ブリーダーのもとからたくさんの子タブンネたちが送られてきた。 親から引き離されたうえに、知らない場所に不安を感じ「チィチィ」と鳴いている。 その様子を見て、この店を一人で経営している男はため息をつく。 「いつまでもピィピィ泣いてんじゃないぞ。ほら、笑顔だ笑顔だ」 男はそう言うと、子タブンネのうち1匹のほっぺをつかみ上に引っ張る。 無理やり笑顔をつくらされた子タブンネは「フィィ!」と抗議の声を上げる。 しょうがないと息を吐くと、男はあるものをテーブルの上に置いた。 中くらいの大きさのタブンネが入った、大型のミキサーだ。 ミキサーの中のタブンネは「ミィッ! ミィッ!」と鳴いている。 この中から出してくれるように訴えているのだ。 何が始まるのという顔の子タブンネたちの目の前で、男がミキサーのスイッチを押す。 ガガガ!という機械音にあわせて、ミィィィ!というタブンネの声が響く。 タブンネの体がミキサーの中で液体になっていくと、その声も徐々に小さくなっていった。 やがて、ミキサーの中はどろどろとした液体だけになってしまった。 タブンネの声はなく、ミキサーが稼働するガガガという音だけが鳴り続ける。 「お前たち、笑顔は?」 1匹のタブンネをペーストにした男が静かな声で笑顔を要求する。 あんなものを目の前で見せられた子タブンネたちはそれどころではない。 恐怖と混乱で、どの子タブンネの表情も引きつっている。 そんな子タブンネたちのうちの1匹を男がつかんで持ち上げる。 片手で子タブンネを持ち、もう片手はミキサーのふたを押さえている。 「あと2,3匹くらいなら、この中入りそうなんだけど」 男はミキサーのふたを開けると、手に持った子タブンネをミキサーの真上に持っていく。 恐怖で子タブンネたちがパニックを起こし、「チィチィ」と鳴きはじめる。 「笑顔はどうしたって言ってんだろうが! この糞っ垂れどもがぁ!」 男が大声で叫ぶと、子タブンネたちの騒ぎがピタリと止まる。 やがて1匹が笑顔を作ると、それに続くように他の子タブンネたちも笑顔をつくっていく。 引きつっていたり歪んでいたりするが、笑顔は笑顔だ。 まあ合格点かとつぶやくと、男は手に持っていた子タブンネを解放する。 解放された子タブンネは両手で口を無理やり上げて、なんとか笑顔を作っている。 「……まあいいや。これから店にいるときは常に笑顔でいろよ」 子タブンネたちは不自然な笑顔で直立し、微動だにしない。 目の前の男に逆らってはいけないと学習したのだ。 その様子を見ながら男はミキサーに手をかける。 「返事は?」「「チィィィィ!」」 こうして、子タブンネたちはいろいろと教育を施されていった。 笑顔の作り方はもちろん、餌の食べ方やトイレのしつけまで、様々なことを教えられていった。 あまりにも物覚えが悪いタブンネは肉体的に痛めつけられることもあった。 商品である以上、ケガが表面に出ない程度にぎりぎりまで。 男から徹底的に教育された子タブンネたちはどんどん売れていった。 どんな時も笑顔で、行儀よく餌を食べる姿は多くのお客さんの心をつかんだ。 お客さんに抱っこされれば、満面の笑みでしがみつき、ケースに戻されそうになったときは、 悲しそうな顔でお客さんに両手を伸ばす。 自分のことを求めてくれてる!と、その姿にメロメロになってしまった人も多い。 「ええ、それではこの子をかわいがってあげてください」 今日も1匹の子タブンネが買われて、引き取られていく。 客の持つキャリーケースの中で、子タブンネは嬉しそうに「ミィミィ♪」鳴いている。 優しそうな飼い主に引き取られる喜びか。 地獄のような場所から逃れられる喜びか。 子タブンネは確信しているのだ。これから幸せな生活が待っていると。 「もし、なにか困ったことがあったらここに連れてきてください 言うことを聞かないとか、トイレをうまくできないとか、何でもいいです。 購入後のしつけやトレーニングも仕事のうちですから」 その言葉に子タブンネの体がびくりと震える。またここに来るの、と。 男はキャリーケースの中の子タブンネに話しかける。 「いい子にしてるんだぞ。」 子タブンネの体がカタカタと震えだす。 タブンネの繊細な聴覚だからこそ聞き取れた、わずかな声色の変化。 小さな体に刷り込まれるほどの地獄の日々。そのなかで聞きつづけた怖い声。 キャリーケースの外から自分に向けられる男の視線。 口元は笑っているが、目は笑っていない。 戻ってきたときは覚悟しておけ。そう語っているようだった。 子タブンネは決意する。二度と戻って来ないように、いい子でいよう。 子タブンネたちが送られてきてから数か月。 ショーケースには新しい子タブンネたちが入れられている。 どの子もショーケースの中で屈託のない笑顔を見せている。 そして、ショーケースから離れた店の隅にあるケージ。 大特価!!という紙が貼られたケージには、中くらいの大きさのタブンネが入っている。 この大きさになるまで売れ残ってしまったタブンネだ。 「おいタブンネ行くぞ」 男がタブンネをケースから出すと、タブンネはニコニコと笑う。 どこに行くのかはわからないが、ケースから出してもらうのは何日かぶりだ。 そんなタブンネを見ながら、男は棚を開ける。 その中に入っている大型ミキサーを取り出すために。 (おしまい)
https://w.atwiki.jp/keikenchi/pages/1399.html
イッシュ地方のとある町にタブンネ専門のペットショップがある。 タブンネ専門なんて、経営が成り立つのかと思うことだろう。 普通ならば成り立つはずもない。しかし、この店ではそれが成り立っているのだ。 大きな理由として、この店のタブンネはとても質がいいということがある。 どのタブンネもお客さんに笑顔を向け、手を振ったりなど、とても愛くるしい。 さらに、ここのタブンネたちは飼い主の言うことをよく聞くいい子だと評判だ。 何か秘訣があるのだろうか? ブリーダーのもとからたくさんの子タブンネたちが送られてきた。 親から引き離されたうえに、知らない場所に不安を感じ「チィチィ」と鳴いている。 その様子を見て、この店を一人で経営している男はため息をつく。 「いつまでもピィピィ泣いてんじゃないぞ。ほら、笑顔だ笑顔だ」 男はそう言うと、子タブンネのうち1匹のほっぺをつかみ上に引っ張る。 無理やり笑顔をつくらされた子タブンネは「フィィ!」と抗議の声を上げる。 しょうがないと息を吐くと、男はあるものをテーブルの上に置いた。 中くらいの大きさのタブンネが入った、大型のミキサーだ。 ミキサーの中のタブンネは「ミィッ! ミィッ!」と鳴いている。 この中から出してくれるように訴えているのだ。 何が始まるのという顔の子タブンネたちの目の前で、男がミキサーのスイッチを押す。 ガガガ!という機械音にあわせて、ミィィィ!というタブンネの声が響く。 タブンネの体がミキサーの中で液体になっていくと、その声も徐々に小さくなっていった。 やがて、ミキサーの中はどろどろとした液体だけになってしまった。 タブンネの声はなく、ミキサーが稼働するガガガという音だけが鳴り続ける。 「お前たち、笑顔は?」 1匹のタブンネをペーストにした男が静かな声で笑顔を要求する。 あんなものを目の前で見せられた子タブンネたちはそれどころではない。 恐怖と混乱で、どの子タブンネの表情も引きつっている。 そんな子タブンネたちのうちの1匹を男がつかんで持ち上げる。 片手で子タブンネを持ち、もう片手はミキサーのふたを押さえている。 「あと2,3匹くらいなら、この中入りそうなんだけど」 男はミキサーのふたを開けると、手に持った子タブンネをミキサーの真上に持っていく。 恐怖で子タブンネたちがパニックを起こし、「チィチィ」と鳴きはじめる。 「笑顔はどうしたって言ってんだろうが! この糞っ垂れどもがぁ!」 男が大声で叫ぶと、子タブンネたちの騒ぎがピタリと止まる。 やがて1匹が笑顔を作ると、それに続くように他の子タブンネたちも笑顔をつくっていく。 引きつっていたり歪んでいたりするが、笑顔は笑顔だ。 まあ合格点かとつぶやくと、男は手に持っていた子タブンネを解放する。 解放された子タブンネは両手で口を無理やり上げて、なんとか笑顔を作っている。 「……まあいいや。これから店にいるときは常に笑顔でいろよ」 子タブンネたちは不自然な笑顔で直立し、微動だにしない。 目の前の男に逆らってはいけないと学習したのだ。 その様子を見ながら男はミキサーに手をかける。 「返事は?」「「チィィィィ!」」 こうして、子タブンネたちはいろいろと教育を施されていった。 笑顔の作り方はもちろん、餌の食べ方やトイレのしつけまで、様々なことを教えられていった。 あまりにも物覚えが悪いタブンネは肉体的に痛めつけられることもあった。 商品である以上、ケガが表面に出ない程度にぎりぎりまで。 男から徹底的に教育された子タブンネたちはどんどん売れていった。 どんな時も笑顔で、行儀よく餌を食べる姿は多くのお客さんの心をつかんだ。 お客さんに抱っこされれば、満面の笑みでしがみつき、ケースに戻されそうになったときは、 悲しそうな顔でお客さんに両手を伸ばす。 自分のことを求めてくれてる!と、その姿にメロメロになってしまった人も多い。 「ええ、それではこの子をかわいがってあげてください」 今日も1匹の子タブンネが買われて、引き取られていく。 客の持つキャリーケースの中で、子タブンネは嬉しそうに「ミィミィ♪」鳴いている。 優しそうな飼い主に引き取られる喜びか。 地獄のような場所から逃れられる喜びか。 子タブンネは確信しているのだ。これから幸せな生活が待っていると。 「もし、なにか困ったことがあったらここに連れてきてください 言うことを聞かないとか、トイレをうまくできないとか、何でもいいです。 購入後のしつけやトレーニングも仕事のうちですから」 その言葉に子タブンネの体がびくりと震える。またここに来るの、と。 男はキャリーケースの中の子タブンネに話しかける。 「いい子にしてるんだぞ。」 子タブンネの体がカタカタと震えだす。 タブンネの繊細な聴覚だからこそ聞き取れた、わずかな声色の変化。 小さな体に刷り込まれるほどの地獄の日々。そのなかで聞きつづけた怖い声。 キャリーケースの外から自分に向けられる男の視線。 口元は笑っているが、目は笑っていない。 戻ってきたときは覚悟しておけ。そう語っているようだった。 子タブンネは決意する。二度と戻って来ないように、いい子でいよう。 子タブンネたちが送られてきてから数か月。 ショーケースには新しい子タブンネたちが入れられている。 どの子もショーケースの中で屈託のない笑顔を見せている。 そして、ショーケースから離れた店の隅にあるケージ。 大特価!!という紙が貼られたケージには、中くらいの大きさのタブンネが入っている。 この大きさになるまで売れ残ってしまったタブンネだ。 「おいタブンネ行くぞ」 男がタブンネをケースから出すと、タブンネはニコニコと笑う。 どこに行くのかはわからないが、ケースから出してもらうのは何日かぶりだ。 そんなタブンネを見ながら、男は棚を開ける。 その中に入っている大型ミキサーを取り出すために。 (おしまい) 何気にループしてる -- (名無しさん) 2013-10-19 10 30 11 これって「産んで育てて連れ去られ」の 連れてかれた子タブンネのその後? -- (名無しさん) 2013-10-23 20 11 37 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/317.html
「そろそろ産まれる頃か・・・」 青々とした茎に一列に実る、3匹の小さなゆっくりたち。それをぼんやりと眺めながら、青年は一人ごちた。 専門店でこそないが、ゆっくりを扱う町のペットショップ ― 彼はその店員である。 そして今は業務の一環として、この世に生を受ける直前の実ゆっくりを見守っているのだった。 「こいつらは両親共に金バッジだし、それなりに優秀なはず・・・。というか、優秀であって欲しい。結構高かったし。」 優秀なゆっくりを掛け合わせて作られた、優秀な餡子を持った実ゆっくりたち ― その両親は今この場にはいない。 実ゆっくりたちはしっかりと、へその緒たる茎に実ってはいるが、その茎の根元にあるのはコップに入ったオレンジジュースだ。 この店では、産まれるの直前に茎ごと『収穫』されたゆっくりを入荷し、産後ある程度の『教育』を施してから販売するという形式をとっている。 一般的とは言えないやり方ではあったが、バッジ取得済みのゆっくりを入荷するよりはコストが低く抑えられたし、 何より、『店で教育を施す』ことによってゆっくりの品質をある程度管理できるメリットもあって、この方法はなかなか上手くいっていた。 ぷるぷる ぷるぷる 「! いよいよ産まれるな。」 ついに生れ落ちようと身震いを始める、3匹の小さなゆっくり。内訳は、まりさ種が1匹にれいむ種が2匹である。 ペットショップの商品として彼らは、これから一体どんなゆん生を送るのだろうか ― 「ゆっきゅりうみゃれたのじぇ!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 ------------------------------------ 「ゆっくちうみゃれたのじぇ!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 ぽとり ― と、姉達が生れ落ちていく声が聞こえる。 「ゆっきゅりうみゃれちゃよ!ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 最初の挨拶は長女のまりさ、二番目は次女のれいむの挨拶だ。 なんてゆっくりしているんだろう ― どちらもとても元気で幸せそうな声。きっと、おとうさんとおかあさんに挨拶しているに違いない。 自分が生まれるのは3匹の中で一番最後だけれど、姉達に負けないように精一杯挨拶しよう ― れいむはそう思った。 ぷるぷるぷる、と体が自然に震えだす。この世に生を受ける喜びが、体中の餡子に満ちていくのを感じる。 プツン、と音を立てて茎から体が離れ、落下していく浮遊感がれいむの小さな体を包んだ。 ぽとり 「れいむゆっくちうみゃれちゃよ!きゃわいくっちぇごめんにぇ!」 着地の柔らかのな衝撃に、反射的に挨拶が飛び出す。おとうさんとおかあさんに会える喜びが、そのまま声になったみたいだ。 れいむにとって産まれて初めての挨拶だったが、両親に初めて送るにふさわしい、この上なくゆっくりした正に会心の挨拶だった。 「・・・・・ゆ?」 しかしどうしたことか、両親からの返事がない。不安げに上を見上げ、両親を探すれいむ。 「おちょーしゃん、おきゃーしゃん・。・・・どきょにいりゅにょ?いじわりゅしにゃいででてきちぇにぇ!」 視線を上げれば、すぐに見つけられるはずの両親。しかし、その姿はどこに見えない。 そこにはただ、オレンジジュースで満たされたコップと、そのコップに差し込まれた緑色の茎があるだけだった。そしてその茎は、たしか ― 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 混乱するれいむに唐突に声がかけられた。金色の髪に真っ黒で大きな帽子 ― 長女のまりさだ。 「まりしゃはまりしゃなんだじぇ!れいみゅのおにぇーしゃんなんだじぇ!ゆっくち!」 それに続くように、次女のれいむも末っ子れいむに挨拶をした。ツヤのある黒髪に赤いリボンが楽しげに踊る。 「れいみゅはれいみゅだよ!れいみゅのいもーちょしゃん、ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」 末っ子れいむのことが好きで好きで仕方ないと言わんばかりの姉達の笑顔に、れいむも思わず嬉しくなって顔がほころぶ。 両親が見当たらないことの不安も、挨拶が返ってこなかった戸惑いも、このときばかりは吹き飛んだ。 「ゆっくち!れいみゅはれいみゅだよ!まりしゃおにぇーしゃん、れいむおにぇーしゃん、ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 れいむも、おねえちゃんたちが大好きだよ ― そう伝えたくて、精一杯に声を張り上げる。 産まれて初めての挨拶こそ不発に終わったものの、2回目の挨拶はちゃんと交わすことができた。そのことにれいむはとても満足だった。 幸せな様子の3匹に、今度は挨拶ではない ―ゆっくりのものでもない― 声がかけられる。 「おー、ようやっと産まれたな、ゆっくりども。」 「「「ゆゆっ!?」」」 突然の出来事に驚くれいむ達。振り返るとそこには、いつの間に近づいてきたのだろう、一人の青年が立っていた。 腰を曲げ、覗き込むようにれいむたちを見下ろす青年 ― 彼がなんなのか、れいむはすぐに分かった。正確には、れいむの餡子が知っていた。 ゆっくりと同じように言葉を話すけれども、決してゆっくりではない存在、「にんげんさん」だ。 「ちゃんとクッションの上に落ちたか?怪我してる奴はいないな?どこか痛いところは?」 3匹の驚きを気にも留めず、矢継ぎ早に、意味の分からない言葉を交えて質問を繰り出すにんげんさん ― れいむは強い苛立ちを覚えた。 突然声をかけてれいむたちを驚かせるなんて、なんてゆっくりしていないのだろう。しかもそれを謝らないなんて、本当にゆっくりしていない。 おとうさんとおかあさんがいないのも、ゆん生最初の挨拶に返事がもらえなかったのも、きっと全部このにんげんさんのせいだ。 「まりしゃはまりしゃだじぇ!にんげんさん、ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 「れいみゅたち、どこも『けが』ちてにゃいよ!ゆっきゅりありがちょうにぇ!」 しかし、姉達はそのことに気づいていないらしい。それどころか、怪我の心配をされたことにお礼まで言っている。 薄汚いにんげんさんなんかにそんなことをする必要はないのに ― れいむはますます苛立った。 れいむ達の無事を確認した青年は、しかしやはり返事をしようとしない。今度は先ほどのコップへと手を伸ばし、そこから緑色の茎を抜きとる。 「じゃあ、これからお前らにエサを配るから、ちゃんとお礼を言ってから食べろよ」 そう言いながら、慣れた手つきでポキポキと茎をほぐしていく青年。硬かった茎は見る間に柔らかくなっていく。 青年は、見事にへなへなになったそれをちぎって3等分にすると、それぞれを3匹の前に落としてきた。 「いいか、ちゃんと俺にお礼を言ってから食べるんだぞ?」 ------------------------------------ 「おいちしょうなんだじぇ!にんぎぇんしゃん、ゆっくちありぎゃちょう!」 「ごはんしゃんをありがちょう、にんぎぇんしゃん!ゆっきゅりいたじゃきましゅ!」 青年の言葉に、返ってきたお礼は2つ ― 長女まりさと次女れいむのものだ。この2匹はしっかりと両親の良い素質を受け継いでいるらしい。 青年は安堵した。これでこそ、それなりの金額を払ってこの3匹を仕入れた甲斐があったというものだ。 「よし、2匹とも食べていいぞ。」 そう言われてから、むーちゃむーちゃ、と食事を始めるまりさとれいむ。問題は残りの一匹 ― 末っ子れいむだ。 「むーちゃ、むーちゃ、・・・・・・しししししあわちぇぇえ~~~~~~~~~~~~!」 青年の話を聞いていなかったのか、末っ子れいむは姉達がお礼を言っているときにはもう一人で食事を始めていた。 目をきらきら輝かせながら、ゆん生最初の食事に舌鼓を打っているれいむに、青年の怒りのこもった低い声がかかる。 「・・・・・おい、なに勝手に食べ始めてるんだ?」 「ゆっ!にゃにいっちぇるにょ!?きょれはれいみゅのごはんしゃんだよ!ばーきゃばーきゃ、ゆきゃきゃきゃきゃきゃ!」 ゲラゲラと下品に笑い始める末っ子れいむ。やはり青年の話を聞いていなかったらしい。いや、そもそも人間の話を聞くつもりもないのだろう。 優秀なゆっくりを掛け合わせても、ハズレが産まれてしまうことはままあることだが、同じ姉妹でこうも違うものか。 「いみゃはれーみゅのしゅーぴゃーむちゃむちゃたいみゅだよ!かっちぇにみにゃいでにぇ!」 「みちゃかっちゃりゃ、れいみゅにあみゃあみゃもっちぇきてにぇ!いみゃしゅぐでいいよ!もってきちゃらしんでにぇ!」 「ききょえにゃいにょ!?ゆっくちちにゃいではやきゅあみゃあみゃもっちぇきょい!ばきゃにゃの!?しにゅの!?ぷきゅー!!」 ゆん生最初の食事を与えてくれた恩人に向かって、末っ子れいむが暴言をまくし立てる。 強い落胆と共に青年は確信した。 ― 間違いない。こいつは大ハズレ中の大ハズレ、ゆっくりの中でも最低最悪のゲス、『でいぶ』だ。 虐待用のゆっくりを取り扱っていないこの店で、こんなゲスを商品として出すわけにはいかない。 通常であれば、不良品として安楽死させるのが妥当なところだろう。もしこのまま放置すれば、他の2匹にも悪影響が出かねない。 (・・・とは言え、こいつも金を出して仕入れているわけだし、ちょっと惜しいな。何か有効活用できる方法はないもんか・・・・・。) 青年がそう思い悩んだとき、唐突に2つの甲高い声が上がった。長女まりさと次女れいむだ。2匹はなにやら怒っているらしい。 「れいみゅ!しょんなこといっちゃだみぇなんだじぇ!きょのごはんしゃんは、にんぎぇんしゃんがつくってくれたんだじぇ!」 「しょうだよれいみゅ!しょれに、にんぎぇんしゃんに『ぷきゅー』にゃんてしちゃ、めっだよ!ゆっきゅりできにゃいよ!」 末妹の無礼を注意するまりさとれいむ ― これには青年も感心した。流石、金バッチの両親から受け継いだ『優秀な餡子』は伊達ではない。 一方、最愛の姉達から怒られた末っ子れいむはショックを隠せないようだった。 「にゃんでおにぇーしゃんたちおこっちぇるのぉ?れいみゅはゆっくちちてちゃだけにゃのにぃぃぃ!」 「まりちゃたちがゆっくちできちぇるにょは、にんぎぇんしゃんのおかげなんだじぇ!だきゃら、おれいをいわにゃいといけにゃいのじぇ!」 「にんぎぇんしゃんをわりゅくいうのは、ゆっきゅりできにゃいよ!れいみゅ、ゆっきゅりできにゃいこはきりゃいににゃるよ!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ!?どうちてしょんなひどいこちょいうにょ!?れいみゅなんにもわりゅいことしてにゃいでしょぉぉぉ!」 状況を理解できず、ついに泣き出してしまう末っ子れいむ。しかし、まりさとれいむの説教は止まらない。 「しゃきにひどいことをいったにょは、れいみゅのほうなんだじぇ!れいみゅはにんぎぇんしゃんにあやみゃるんだじぇ!」 「わりゅこちょして、ごめんにゃしゃいができにゃいこは、わりゅいこだよ!れいみゅ、わるいきょはきりゃいだよ!」 どうやらこの2匹には、『ゆっくりは人間をゆっくりさせるために存在する』という意識が生まれながらにして備わっているようだ。 青年もペットショップの店員になって数年経つが、ここまで優秀な赤ゆっくりは見たことがなかった。 「ゆわあーーーん、おにぇーしゃんぎょめんなしゃいぃぃぃ!あやみゃるかりゃ、れいみゅのこちょきらいにならにゃいいでぇぇぇ!」 「ゆゆっ、ちゃんとごめんなしゃいできたんだじぇ!ごめんなしゃいができるこは、いいこしゃんにゃんだじぇ!」 「しょのちょーりだにぇ!じゃあれいみゅ、ごめんさしゃいができちゃりゃ、ちゅぎはにんぎぇんしゃんにおれいをいおうにぇ!」 「ゆぅぅ・・・・うぅ・・・・・、ぐすっ・・・・にんぎぇんしゃん、いちゃじゃきましゅ・・・・ぐすっ・・・・・・」 「「ゆー!よきゅできまちた!」」 姉2匹の剣幕に折れたれいむが謝り、とうとう青年に『お礼』まで言った ― 驚きの展開である。 正確には『いただきます』はお礼ではないし、謝る相手も間違っていたが、それでも通常『でいぶ』には滅多に見られないほどの進歩であった。 (・・・なるほど、これはひょっとしたらひょっとするかも知れないぞ・・・・・。) 長女まりさと次女れいむは、ほぼ教育する必要がないくらい優秀だ。無事に成長して子ゆっくりにさえなれば、そのまま売りに出せるだろう。 末っ子れいむは人間の言うことは聞かないが、姉2匹の言うことは聞くようだし、これをうまく利用すれば再教育できる可能性もある。 失うものは特にないし、その可能性に賭けてみるのもいいだろう。 「ちゃんとおれいがいえりゅなんちぇ、さしゅがまりちゃのいもーちょにゃのじぇ!」 「れいみゅはいいこしゃんだにぇ!いいこしゃんにはしゅーりしゅーりちてあぎぇようにぇ!しゅーりしゅーり!」 「ぐすっ・・・・しゅーりしゅーり・・・・・・・。・・・ゆふふ・・・・・しあわせー・・・・・・・。」 姉2匹にすーりすーりをされた末っ子れいむが笑顔を取り戻すと、3匹はむーちゃむーちゃと仲良く食事を再開した。 幸せそうなその様子を見ながら青年は、この末っ子れいむを具体的にどうやって再教育しようかと思案する。 「うーん・・・。俺一人じゃ考えがまとまりそうにないな。よし、あとで店長に相談しに行こう」 緑の茎がなくなるのを待ってから、3匹をゆっくり飼育用のアクリルケースに移した青年は、そのまま店長の元へと向かった。 ------------------------------------ 翌日 「いいか、人間のことを『人間さん』って呼んじゃ駄目だぞ。男の人は『お兄さん』、女の人は『お姉さん』と呼びなさい。」 青年は床に置かれたアクリルケースのすぐそ場に立ち、中にいるれいむ達に向かって話しかけていた。3匹を飼いゆっくりとして教育するためだ。 昨日の話し合いの結果、店長の命令でこの3匹の教育方針は『規定通りの教育を施して様子を見る』ということに決まった。 青年としては、末っ子れいむをとりあえず隔離したりしたかったのだが、店長には何か考えがあるらしい。 その考えとは何なのか ― 青年は疑問に思ったが、決まってしまったものは仕方ないと、淡々とゆっくりたちに一般常識を教えているのだった。 「ゆー!ゆっくちりかいしたのじぇ!にんぎぇんしゃんはおときょのひとだきゃら、おにーしゃんにゃのじぇ!」 「れいみゅもゆっきゅりりかいしちゃよ!きょれからは『にんぎぇんしゃん』じゃにゃくちぇ、おにーしゃんてよぶにぇ!」 大方の予想通り従順に従ってくれる長女まりさと次女れいむ。やはりこの2匹が優秀なことに疑いの余地はないようだ。 そして、残りの1匹にゲスの素養があることも、大方の予想通り間違いないようだった。 「ごーきゅごーきゅ、ゆっくちー!おみじゅしゃんはとっちぇもゆっくちできりゅにぇ!ゆっくちーにょひー♪まっちゃりーにょひー♪」 青年の方を見向きもせず、水を飲んだり歌を歌ったりして好き勝手に振舞う末っ子れいむ。尊敬の眼差しで青年を見上げる姉2匹とは対照的だ。 親が金バッチではない通常の赤ゆっくりでも人間が話しかければ反応するものだが、このれいむは青年を意識的に無視しているようだった。 「おい、そこのれいむ。俺の話ちゃんと聞いてんのか?」 「ゆゆっ!?ゆっくちちてにゃいくしょどれいが、なにかいっちぇるよ!ゆっくちできにゃいにぇ!ぷきゅー!」 昨日姉2匹に怒られたことも忘れたのか、青年の注意に末っ子れいむはあからさまに機嫌を損ねて膨れてみせる。と、その脹れっ面に ― ぺチン、と青年の中指が炸裂した。そのままコロコロと壁際まで転がっていく。 「ゆ・・・ぅ・・・・・ゆわあーーーーーーーん!!いぢゃいーーーーーーーーー!びぢゃいよぉーーーーーーーーーーー!」 「ゆぅ~!?れいみゅー!しっきゃりしゅるんだじぇーーー!」 れいむを壁際まで転がしたのは、他ならぬ青年のデコピンである。 赤ゆっくりが死なない程度に手加減されたデコピン ― それが、人間へ無礼を働いたゆっくりへの規定通りの罰則だった。 「・・・はぁーあ、畜生。」 火がついたように泣き喚く末っ子れいむと、それに駆け寄っていく長女まりさを見下ろしながら、青年は大きくため息をついた。 やはりこうなってしまったか、と。 「まりちゃ!れいみゅのときょろにいっちゃだみぇ!」 しかし、ここで予想外のことが起こる。次女れいむが長女まりさを引き止めたのだ。 「いみゃにょはれいみゅがわりゅいよ!おにーしゃんに『ぷきゅー』しちゃだみぇっちぇ、れいみゅきのうみょおしえちゃよ!」 「しょれにゃのに、おにーしゃんのいうこともじぇんじぇんききゃないじぇ、まちゃ『ぷきゅー』しちぇ、とってもわりゅいこだよ!」 「『ぺしん』てしゃれて、とーじぇんだよ!れいみゅはしょこでしっかりはんっせいっしちぇね!」 それは通常、ゆっくりにはあり得ないことだった。 この状況なら、どんなに優秀なゆっくりでも泣いている姉妹に駆け寄って慰め、罰則に対して抗議するのが普通である。 今回も、妹の仇を取ろうと息巻く2匹に力の差を理解させる展開になるとばかり思っていたのだが、次女れいむは青年の予想を完全に覆してくれた。 青年はあっけにとられながらも、引き止められたまりさの出方を冷静に見守る。 「ゆー!?でみょでみょ、いもーちょのれいみゅがいたがっちぇるのじぇ!かわいしょうなんだじぇ!」 「まりちゃおねーしゃん、よきゅかんがえちぇね!ここであみゃやかちたら、れいみゅのためにならにゃいよ!」 次女れいむにたしなめられた後も、末っ子れいむが心配でたまらない様子のまりさ ― オロオロと2匹を交互に見比べている。 「ゆびぇぇーーーん!れいみゅのおきゃおいちゃいよぉーーー!おにぇーしゃんぺーりょぺーりょしぢぇよぉーーーーー!」 まりさが険しい顔で目を閉じ、考え込む。数秒の間が空き、そしてカッとその目が見開かれた ― 決意が固まったのだ。 この場にいる全員に宣言するように、まりさが声を張り上げる。 「わかっちゃよ!まりしゃ、れいみゅのためにここりょをおにしゃんにしゅるよ!れいみゅはゆっくちはんっせいっしてにぇ!」 「ゆんやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!おにぇーしゃんどおじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 れいむを突き放すまりさの決意表明 ― 突き放された方のれいむは、この状況が理解できないようだった。 ぼろぼろと涙を流しながら、傷ついた体を引きずるようにして姉2匹に縋り付く。 「おにぇーしゃんなんじぇにゃのおぉぉぉ!?でいびゅのごじょ、ぎりゃいになっちゃっだにょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 「ごみぇんなじゃい、ごべんにゃじゃい、ごべんびゃじゃいぃぃぃぃぃぃ!れいみゅのごじょぎらいににゃらないじぇぇぇぇぇぇぇ!」 「でいびゅいいこになりまじゅがらあぁぁ、にんぎぇんしゃんのいうごとぎぎまじゅかがらあぁぁぁ!おべぎゃいじまぢゅうぅぅぅぅぅ!」 最愛の姉達に突き放されたことが相当堪えたのか、藁にもすがりそうな勢いで謝りはじめる末っ子れいむ。 ついには、人間さんの言うことを聞く、とまで言い始めた。 (・・・なるほど、店長の考えってのはこういうことか!) 生まれながらにゲスなれいむの『青年の話は聞かないが、姉達の言うことはよく聞く』という性質 ― それを最大限利用した教育法。 店長がこの現象を狙ったというのなら得心が行く。それは今青年の目の前で、完璧な形で実現していた。 「れいみゅにゃんか、しらにゃいんだじぇ!きょうのところはしゅみっこのほうで、はんっせいっしちぇるんだじぇ!」 「しょんにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!ひどいよおぉぉぉぉぉぉぉ!でいびゅ、あやみゃっぢぇるにょにいぃぃぃぃぃぃ!」 まりさに振り払われ、れいむが一際大きい声で泣き喚く。 まりさの言葉に習うわけではないが、今日のところは隅っこの方で泣いていてもらうことにしよう。 どうせ今日は一緒に教育しても2匹の邪魔になるだけだろうし、すぐに復帰させるより反省期間をおいた方が効果的だ。 (・・・明日からは必死になって俺の言うことを聞くだろうな。姉2匹に嫌われたくない一心でさ。) 明日からの再教育には期待が持てそうだ ― 青年はそう思いながら、一人泣き続ける末っ子れいむを尻目に2匹への教育を再開した。 ------------------------------------ 1週間後 「いやじゃいやじゃいやじゃーーーーー!しょんにゃのゆっくちできにゃいぃーーーーー!」 3匹が暮らす飼育用アクリルケースの中で ― 末っ子れいむは泣き喚いていた。日々の教育に耐えられなくなったのだ。 「もぅれいみゅやじゃよ!なんじぇきょんにゃこと、まいにちしなきゃいけにゃいのぉ!?れいみゅはこんなにゆっくちちてるのにいぃぃ!」 長女まりさに突き放された日の翌日からここ数日、れいむは姉達と一緒に様々なことを教わってきた。 『人間の許可なくおうたを歌ってはいけない』『他のゆっくりや人間の悪口を言ってはいけない』『物を食べるときにしゃべってはいけない』 ― 青年の教育内容は多岐に渡ったが、れいむのとってそれは全てゆっくりできない ― 屈辱的なことだった。 「おいおい、寝るときにお飾りをはずすのなんて基本中の基本だろ。そんなんじゃ立派な金バッチになれないぞ。」 失敗するたびに長女まりさに励まされ、デコピンをされるたびに次女れいむに慰められながら今日まで頑張ってきたが、それももう限界だ。 おかざりをはずすなんて、そんなゆっくりできないことが出来るわけがない。 「うるしゃいよ!くしょどれいのくせに、れいみゅにめいれいしないでにぇ!」 昨日までは姉達の手前『にんげんさん』と呼んでいたが、それも二度とごめんだ。こんなゆっくりしてない存在は『くそどれい』で十分なのだ。 そもそも、『にんげんさん』と呼んだところで、すぐに「『おにいさん』だろ」とデコピンが飛んでくるので、れいむにとっては同じことだ。 「あみゃあみゃをもってくりゅことちか、のうがないくじゅのくせに!おまえにゃんか、もぅいらにゃいよ!ゆっくちちね!」 死ね ― そうだ、死んでしまえばいい。このクソ奴隷さえいなければ、まりさおねえちゃんもれいむおねえちゃんも、やさしいのに。 2匹とも自分と同じくらい、とてもゆっくりしたゆっくりでいられるのに。 「れいみゅ!おにーしゃんに『ぷきゅー』しちゃだみぇって、いつもいっちぇるのじぇ!ゆっくちあやみゃるんだじぇ!」 「どうちちゃの、れいみゅ!いままじぇいっちょにおべんきょーがんばっちぇきちゃにょに。おにぇーしゃんかなちいよ!」 その姉達がいつものようにれいむをたしなめてくる。2匹とも青年の言いつけを守って、お飾りをしていない。なんてゆっくりしてない姿だろうか。 次女れいむが末っ子れいむの方へさらに近づき、励ますように声をかけてくる。 「だいじょーびゅだよ、れいみゅ!なんにもしんぱいいらにゃいよ!おにぇーしゃんたちがついちぇるよ!」 「きゃわいいでいびゅにちかよるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 ぽん! ― 最愛の姉であるはずの次女れいむを、末っ子れいむが突き飛ばした。しかも、全力の体当たりで。 「ゆわーん!いちゃいよー!れいみゅなんできょんなことすりゅのー!?」 「ゆぅ~!?れいみゅー!しっきゃりしゅるんだじぇーーー!ぺーりょぺーりょ!」 コロコロと壁際まで転がり泣き始めるれいむと、それに駆け寄ってぺーろぺーろを始めるまりさ。まるでいつかの焼き直しだ。 尤も、そのときは泣いていたのは自分だったし、まりさはぺーろぺーろをしてくれなかった ― れいむの中の怒りが更に高まっていく。 「おかざりをちてにゃいゆっくちにゃんて、おにぇーしゃんじゃないよ!おかざりのにゃいくじゅは、さっさとちんでにぇ!」 寄り添っている2匹に、更なる制裁を加えようとれいむが飛び上がる ― その時、空中にいるれいむを青年の手がつかんだ。 「ゆゆ!?れいみゅおしょらをとんじぇるみちゃいー!」 「何がお空だよ、ったく。」 そのまま青年の目線の高さまで持ち上げられる ― いつも自分を見下ろしていた存在と目があって、れいむは何だか自分が強くなった気がした。 宙に浮いた体をグニグニと体を動かしながら、青年に向かって堂々と宣言する。 「ゆ!くしょどれい、そこにいちゃんだにぇ!いみゃかられいみゅが、せいっさいっしてあげりゅよ!こうえいにおもっちぇにぇ!」 「残念だったな。制裁されるのは、お前だよ。」 れいむの体が、ぽいっと空中に投げ出された。生まれた時以来の浮遊感 ― 「ゆべっ!」と悲鳴を上げてケースの外に着地するれいむ。 今までの暮らしに特に不自由を感じなかったので、外に出たいなどとは思いもしなかったが、思えばおうちの外に出るのは久し振りだ。 「いちゃいぃ!にゃにしゅるの、このくしょどれい!れいみゅほんきでおきょっちゃよ!ぷきゅー!」 もう許さないとばかりに膨れてみせるれいむに、すっかり立ち上がった青年が右足を振りかぶりながら低い声で答えた。 しゃがんでいない青年は、いつもよりずっと大きく見える。 「これも店長の命令だ。悪く思うなよ。」 どんっ! ― 猛烈な勢いで青年のつま先がれいむの顔面に迫り、そして突き刺さった。 デコピンとは比べ物にならない衝撃 ― そのままの勢いで空中を飛んでいき、壁に激突する。産まれて初めて触るコンクリートは、冷たかった。 「ゆ”・・・・・べっ・・・・・・え”・・・・・・・」 壁に餡子のあとを残しながら、ずりずりと地面に向かって落ちていく。痛い。とんでもなく痛い。泣くこともできないほどに。 「おいおい、まだ死ぬなよ。まだ始まったばっかりなんだから。・・・まあ、死なせないけど。」 痛みのあまり、れいむには何も理解できなかった。青年が言っている「死なせない」という言葉の意味も分からなかったし、 先ほどの一撃で自分の歯が全部なくっていることも、右目が取れてしまったことも、体が破裂して餡子が漏れ出していることも自覚できなかった。 ただ、自分がいま死にかけていることだけは、はっきりと分かっていた。恐怖と衰弱で、体が勝手に痙攣する。 ようやく地面にたどり着いた餡子まみれのれいむを、青年の右手が拾い上げた。 「ゆぐっ・・・・ば・・・ばなじぇ・・・・・・」 「よしよし。死んでねえな。」 れいむに息があるのを確認すると、青年は右手ごとれいむを水槽の中の液体に突っ込み、すぐに取り出した。 体中の傷が癒えていくのを感じる ― オレンジジュースだ。 青年と再び目が合ったが、逆光のせいか、それともれいむの目の焦点が定まらないせいか、その表情は読み取れない。 「じゃあ、これからたっぷり味わってもらうからな。人間とゆっくりの力の差って奴を。」 青年の制裁が始まった。 ------------------------------------ ヒュン! ― 「おしょりゃをとんじぇるみちゃい!」 ベチャッ! ― 「ゆべし!」 ボチャン! ― 「ゆ・・・・・が・・・・・・あ・・・・・・・」 痙攣するれいむを、青年が拾い上げる。 ヒュン! ― 「おしょりゃをとんじぇるみちゃい!」 ベチャッ! ― 「ゆべえ!」 ボチャン! ― 「ゆ・・・げ・・・・・・・・え”・・・・・・・・」 壁に向かってれいむを投げつけ、コンクリートの壁に激突させ、真下に設置した水槽の中に落下させる。 水槽に入ったオレンジジュースの中で回復したそれを拾い上げ、また投げつける。その繰り返し。 ― それが、青年の制裁だった。 その繰り返しの中で、時折れいむに尋ねてみる。 「なあ、人間とゆっくりだったら、どっちが強いと思う?」 「ぼう・・・・・ゆ・・・るじで・・・・ぐだじゃい・・・・・」 ヒュン! ― 解答を間違えたれいむを再び壁に投げつける。 「おしょりゃをとんじぇるみちゃい!」 毎回オレンジジュースの中で回復さえているとはいえ、れいむの体はもう見るからにボロボロだった。 損傷と治癒を繰り返された体はいびつに歪み、口や目の位置さえずれて来ている。既に言葉を発することさえ難しそうだ。 それなのに、テンプレートの台詞だけは不思議としっかり発音できるらしい。いよいよ持ってわけの分からない生き物である。 ベチャッ! ボチャン! 水槽の中に浮かぶれいむを拾い上げ、もう一度問いかける。青年もそろそろ飽き飽きしていた。 「もう30分もこうしてるわけだけど、いつになったら正解できるんだ?人間とゆっくり、どっちが強いか聞いてるだけだぞ?」 「ゆ・・・・・・ぶ・・・・・・」 怒りのあまりれいむを握りつぶしてしまわないように気づかいながら、青年は辛抱強く回答を待つ。 「で・・・でいびゅが・・・・わりゅがっだでじゅ・・・・・おでがいでじゅがりゃ・・・・」 「そんなこと聞いてんじゃねえよ!」 ヒュン! ベチャッ! ボチャン! れいむを投げる手に思わず力が入ってしまったようで、凄まじいスピードでれいむが水槽に到着した。 速すぎてテンプレートの台詞を言う暇もなかったらしく、れいむは静かにオレンジジュースの中に浮いている。それをすぐに拾い上げた。 「分かってるだろ?俺はいつでもお前を殺せるんだ。さっさと正解して俺の仕事を終わらせろ。」 「もう一度だけ聞くぞ。万物の霊長たる人間様と、出来損ない饅頭のゆっくり、どっちが強い?」 握力をこめた右手の中で潰れそうになっているれいむに向かって、青年は最後の質問をした。 これで正解が出なければ、このまま握りつぶしてしまうつもりだ。店長は怒るかもしれないが、ここまでして駄目ならもう望みはない。 左右非対称に歪んだ歯のない口を何とか動かして、れいむが質問に答える。 「・・・に・・・・にんぎぇんしゃん・・でじゅ・・・。・・・ゆっぐび・・・ば・・・にんぎぇんじゃんには・・・がないばじぇん・・・・・。」 「・・・だぎゃら・・・・・だぎゃらぼう・・・・だじゅげでぇ・・・。だじゅげじぇくだじゃいぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・!」 ようやく正確を口にしたれいむが、今度は謝罪を始める。 ― もう遅いのに、何もかも手遅れなのに。 「でいびゅわりゅいこでちだぁぁぁぁぁぁぁ!ごびぇんばじゃぁぁぁぁぁぁぁい!ぼう、おにぃぃじゃんのばるぐちいいばじぇえぇぇぇん!」 「おにぃぃざんのいうごじょ、じぇんぶぎぎまじゅがりゃ!でいびゅいいぎょになりばぢゅぎゃりゃ、ゆるじでぐだじゃぁぁぁぁぁいぃ!」 「おべがいじばじゅぅぅぅぅ!ごべんばじゃいぃ!おべがいじばじゅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅ!」 まだ無事な方の左目から流れる涙で、顔をぐちゃぐちゃにしながら青年に許しを請うれいむ。 謝罪の内容から見て、どうやら自分の罪を理解しているのは本当らしい。『ごめんなさいは鳴き声』と言われるゆっくりらしからぬことだ。 でいぶはでいぶでも、流石に金バッチの両親から生まれているだけの事はある。が、しかし ― 「うるせえよ」 ヒュン! ベチャッ! ボチャン! 青年はれいむを許すつもりはなかった。れいむが謝ったので、これでようやく次のステップに進める ― ただ、それだけの事だ。 水槽の中のれいむをまた拾い上げると、青年は次の準備を始めた。 「えーっと、確か針金はこの中だったかな」 痙攣するれいむを手にしたまま、引き出しから細めの針金を取り出す青年。 その針金は、あらかじめ10センチ程度に切られており真っ直ぐで、更に言えば先端が鋭利にとがっていた。それを迷わずれいむに突き刺す。 ぷすっ 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 れいむが悲鳴を上げるのにも構わず、青年は淡々と作業を続けた。れいむのあんよ側から突き刺した針金を、そのまま頭の方へ貫通させる。 れいむを針金の中央部分にまで移動させて、とりあえずの作業は完了だ。 「いじゃいぃぃぃぃ、いじゃいぃぃぃぃぃぃぃ!ごれとっじぇぇぇぇぇぇぇぇ!とっじぇくだじゃいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 頭から飛び出した針金を専用の台に引っ掛け、泣き叫ぶれいむを灰皿の上に吊るし上げる青年。その右手には、ライターが握られている。 青年はライターをれいむの目の前まで近づけ、見せ付けるように火をつけた。 「なあ、れいむ。これが何か分かるか?『火』だ。」 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ひしゃんんん!!ひしゃんはゆっぐぢできびゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 産まれて初めて見るはずの火に拒絶反応を見せるれいむ。火への恐怖はゆっくり共通の知識として、餡子の中に受け継がれているらしい。 「まあ安心しろよ。お前を直接焼きはしないから。それやると死ぬだろうし。」 そう、今回焼くのはれいむの体ではない。針金の方だ。あんよの方から飛び出している針金を、青年がライターで炙り始める。 細めの針金にライターの熱が伝わっていく ― 一分もしないうちに、れいむが異変に気づき苦しみ始めた。 「あじゅい、あじゅい、あじゅいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!ゆっくぢできびゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 内側から餡子を焼く熱に、れいむがもがき苦しむ。しかし、その熱から逃れようともがいても、れいむの力で針金をはずすことはできない。 れいむの全身から汗が噴出し、しーしーが漏れ、左目からは涙が流れるが、針金の熱は餡子を焼き続ける。 「あじゅいぃぃぃぃ!いぢゃいぃぃぃぃいぃぃぃぃ!あじゅいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!だりぇぎゃだじゅげでえぇぇぇぇえぇぇぇぇ!」 「おにぃぃじゃん、おべがいじばじゅうぅぅぅぅ!やびぇでぐだじゃいぃ、ゆるじじぇぐだじゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 「おどーざん、おがーざん、おねぇぇじゃんんんん!でいびゅをだじゅげでぐだじゃいぃぃ!ぼうわりゅいごどじばじぇんがらぁぁぁ!」 苦しみに耐えられなくなったのか、この場にいない姉達や、会ったこともない両親に助けを求め始めるれいむ。 中枢餡がやられ始めているのだろう。もう少し見ていたい気もするが、そろそろ限界だ。青年は針金からそっとライターを離した。 「まあ、こんなもんか。・・・ところでれいむ、お前そろそろ寝る時間だったよな」 「ゆぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!でいびゅじにだぎゅにゃいぃぃぃぃぃぃ!」 いまだ余熱で苦しみ続けるれいむに、青年は世間話でもするかのような調子で声をかけると、再びライターをれいむに近づけた。 ライターの火は、まだついたままだ。 「今日教えたよな?寝るときはお飾りをはずさなきゃいけないんだ。今は忙しいだろうから、俺がはずしてやるよ。」 ライターの火が、れいむの髪の毛に燃え移る。勢い良く燃え広がった火は、あっという間にリボンを包み込んだ。 ゆっくりであるれいむにとって、命よりも大切なはずのリボンが黒く変色していく。 「ゆああぁぁぁぁぁぁぁぁ!でいびゅのぎれいなかみのけしゃんぎゃあぁぁぁ!ゆっくぢぢたりぼんしゃんぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」 「ひしゃんおねぎゃいじまじゅうぅぅぅぅぅ!ゆっぐぢぎえでぐだじゃいぃぃぃぃ!でいびゅのりぼんしゃんとらないでぇぇぇぇぇ!!」 自分の頭上で灰に変わっていくリボンと髪の毛を見つめながら、絶叫するれいむ。 頭の上で火が燃えているのだから、それなりに熱いはずなのだが、れいむにとってはリボンを失うのことの方が重大らしい。 とうとう完全に燃えてしまったリボンが、足元の灰皿へと落ちる。鮮やかな赤だったそれは、見る影もなく真っ黒になっていた。 「ゆ、ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 白目をむき、そのまま動かなくなるれいむ ― お飾りを永遠に失ったショックで気絶したらしい。 このまま死なれては困るので、まだ燃えている髪の毛をオレンジジュースで消火してやった。 お飾りも髪の毛も失ったれいむの姿は、まさに『はげ饅頭』と呼ぶにふさわしい醜さだ。 「ゆっくり眠っておけよ。明日に備えて、な」 気を失ったままのれいむにそう声をかけると、青年は灰皿だけ片付けて部屋を後にした。 ------------------------------------ 果てしなく広がる闇の中で ― ここはどこだろう、とれいむは思った。こんなに暗い場所をれいむは知らない。 自分はどこから来たんだろう。何かを思い出そうとしても、体の奥がズキズキと痛むだけで、何も思い出せなかった。 不意に、懐かしい声が聞こえる。 「・・・・がゆっくちできちぇるにょは、にんぎぇんしゃんのおかげなんだじぇ!」 このとてもゆっくりした声は、誰の声だろう。思い出せないが、この声はとても大切なことを言っているような気がする。 『人間さんのおかげ』 それをしっかり理解していれば、れいむはこんな目に会わずにすんだのに。 こんな目?こんな目って何だっけ? ― それを思い出そうとして、れいむはやっとこれが夢であることに気づいた。 「ゆっくちありがちょうなんだじぇ!おにーしゃん!」 「おにーしゃんありがちょうにぇ!れいみゅとっちぇもうれちぃよ!」 ゆっくりとれいむの左目が開くと、ぼんやりと姉達の姿が見えた。姉達はこぞって青年にお礼を言っている。 そうか、おうちに戻ってこれたんだ ― れいむは安堵した。またおねえちゃんたちと一緒に暮らせるんだ。本当に良かった。 体を貫く針金のせいで寝転んだまま起き上がれない自分のもとに、姉達がぴょんぴょんと駆け寄ってくるのが見える。 顔はぼやけてよく見えないが2匹とも笑っているらしい。きっと傷ついたれいむの体をぺーろぺーろしてくれるのだろう。 「「ゆっくちいちゃじゃきま~しゅ!」」 「ゆ”・・・・・・・?」 れいむには今何が起こっているのか、全く理解できなかった。 姉達は今何を言ったのだろう。なぜ今「いただきます」なんて言うのだろう。ごはんなんて、どこにあるのだろう。 状況が飲み込めないれいむに、姉2匹が同時に食らいついた。 「ゆぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃ!いぢゃいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 「「むーちゃむーちゃ、しあわちぇーーー!」」 体を食いちぎられる痛みに、れいむが絶叫する ― ごはんは、れいむだった。 「こらこれ、お前達。食べるときに声を出しちゃ駄目って教えただろ?『しあわせー』は飲み込んだ後に言うんだ。」 「ゆー、おにーしゃんごめんなしゃいだじぇ!でみょこりぇ、すっごくおいちいのじぇ!ゆっくちありがちょうなんだじぇ!」 「ごめんなしゃいおにーしゃん、きをちゅけましゅ!・・・おにーしゃん、きょれはなんにゃの?なんでしゃべりゅの?」 れいむの悲鳴を聞きもせず、青年と会話する長女まりさと次女れいむ。どうやら今食べているものが自分と妹だとは思ってもいないようだ。 それは無理もないことだった。今のれいむにはお飾りも髪の毛もない。それらはもう、永久に失われてしまった。 お飾りがなければ、姉達は二度とれいむを自分の末妹だと認識することは無いだろう ― れいむの絶望をよそに、姉達と青年の会話は続く。 「ん?あー、しゃべるのは新鮮だからだよ。それはただのお団子だから、何を言ってても気にせず食べなさい」 「「ゆー!ゆっくちりかいちたよ!」」 青年の命を受けて、長女まりさと次女れいむが末っ子れいむのほうに向き直る。食事を再開するために。 「ゆんやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!やべでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 懇願はむなしくも聞き届けられず、れいむの体に再び歯がつきたてられた。 皮を剥ぎ取られる激痛と、餡子をなめ取られる猛烈な不快感が襲ってくる。 「おにぇーしゃんやべでぇぇぇぇ!でいびゅはでいびゅだよぉぉぉ!おにぇーしゃんのいもーちょだよぉぉぉぉぉぉぉ!」 「ゆゆっ!にゃにいっちぇるのじぇ!まりちゃのいもーちょには、おかざりしゃんがあるのじぇ!」 「しょーだよ!しょれにれいみゅのいもーちょは、こんなにきちゃなくにゃいよ!もっちょきれいだよ!」 火傷だらけでお飾りもないれいむの言葉を否定しながら、長女まりさと次女れいむは妹の体を食べ続ける。 食いちぎって開けた皮膚の穴から、れいむの餡子を舌で舐め取っていく。餡子の味が気に入ったらしい。 「いぢゃいよぉぉぉぉぉ、ぎぼじわりゅいよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!だじゅげでぇ、だれがだじゅげでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 実の姉妹に食べられる苦痛 ― こんなことならおうちになんて帰ってこなければよかった。ここは、地獄だ。 今すぐここから逃げ出したいが、体に刺さった針金のせいか、昨日中枢餡を焼かれたせいか、体が思うように動かない。 ふと、れいむの餡子をむさぼる姉たちの向こうに、青年の姿が見えた。藁にもすがる思いで助けを求める。 「お、おにーしゃん、でいびゅをだじゅげでくだじゃいぃぃぃぃぃぃ!でいびゅなんべもいうごぢょぎぎまずがらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 れいむはもうここには居たくなかった。ここにいるくらいなら、青年に痛めつけられている方がずっとマシだった。 れいむの叫びに、青年がにやりと笑って小さく答える。 「駄目だな。人間に逆らった罰だ。お前はそこで食われてろ。」 「ゆぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 餡子を少しずつ少しずつ舐め取られる苦痛の中で、最愛の姉たちに食べられていく絶望の中で、れいむは何度も絶叫した。 体の中の餡子は少しずつなくなっていき、そして ― れいむは意識を失った。 ------------------------------------ 数日後 「いやーあの2匹、あんなに高値で売れるとは・・・。」 青年はペットショップで一人、今日売れていった長女まりさと次女れいむについて考えていた。 あの2匹はその後、異例の速さで金バッチを取得し、超優秀なゆっくりとして相場の3倍近い価格で売られていったのだ。 2匹を育てたものとして、青年も鼻が高い。 「あ、そういやあいつどうしたかな?そろそろ回復してもいい頃だと思うけど」 青年はそう一人ごちると、手近な引き出しの中から一つの箱を取り出した。片手で持てるくらいの小さな木箱だ。 衝撃を与えないようにゆっくりと蓋を開け、その中を覗き見る。 「・・・・・ゆ・・・ぅ・・・・・・?」 「おお、気がついたか。」 小さな木箱の中で、砂糖水にぬれた脱脂綿に包まれた赤ゆっくり ― あの末っ子れいむだ。 れいむはあの後、姉たちに食べ残され気を失ったところを青年に回収され、今まで治療されていたのだった。 未だ動けないれいむに、青年が楽しげに語りかける。 「なあれいむ、何でお前が今生かされるのか分かるか?お前の有効活用法が見つかったからだよ。」 「お前を食べたあの2匹な、あれから更に優秀になったんだぜ。お前の餡子を食べてお前の中の『人間への恐怖』ってのを受け継いだらしい。」 「店長が言うには、『餡子を食べても記憶を受け継ぐだけで、性格は受け継がない』んだそうだ。」 「店長ははじめっから、そこまで考えていたんだと。すげえよなあ。」 「そんなわけでこれからも赤ゆっくり用意するから、そいつらに食べれ続けてくれよな。『人間への恐怖』を引き継ぐためにさ。」 れいむの地獄は終わったわけではない。むしろここから始まるのだ。 れいむはこれからも、他のゆっくりに食べられ続け、治療され続けるだろう。より優秀なゆっくりの生産のために。 ペットショップ ―完―
https://w.atwiki.jp/viptndr/pages/1067.html
149 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/05(水) 00 19 56.17 ID tEILlW7yO [3/4回発言] ペットショップにて(かなみさんVer.) 女「……」 男「おい、何やってんだかなみ」 女「あ、タカシ」 男「そこ小動物のコーナーだろ? お前犬飼いたいっつってたから来たんじゃん」 女「そうだけど……ウサギが可愛いから見てただけよ」 男「ウサギねぇ。見るのは勝手だけど、目的忘れて没頭すんなよな」 女「だって、指近づけたら鼻寄せてクンクンしてくるし……」 男「それくらい犬だってするだろ? ほら、行った行った」グイグイ 女「うぅ~……」チラチラ 男「落ち着かねえなぁ……わかったよ、犬でもウサギでも好きなほう飼えば?」 女「えっ? 本当に?」 男「あぁ。その代わり、後々の文句は受け付けないからそのつもりでな」 女「ふ……ふん、別にあんたの許可なんか得なくても好きなほう選ぶわよ!」 男「嘘つけ。俺がいなきゃ絶対決めかねてたくせに」 女「そんなことないわよ!!……確かにどっちも可愛かったけど」 男「やっぱり決めかねてるがな」 160 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/05(水) 00 57 00.75 ID tEILlW7yO [4/4回発言] ペットショップにて(ちなみさんVer.) 女「タカシ……これ見ろ……ヘビだぞヘビ……」 男「ん……」 女「毒とかあるのかな……噛まれたら死ぬ……?」 男「そんな猛毒持ったのをペットには出来んだろ」 女「餌とか……何食べるのかな……」 男「さぁな、ネズミとかじゃね?」 女「ふーん……そっか……」ジーッ 男「……あのさぁ」 女「……何?」 男「なんでさっきから、ヘビやらトカゲやらゲテモノチックな動物しか見ない訳?」 女「私の好み……悪い……?」 男「なんか心が荒んでくるんだよ! せめて女らしい可愛いの見ろよ!」 女「爬虫類だって充分可愛い……余計なお世話……」 男「……まさかそれ、飼おうだなんて思ってないよな?」 女「……さぁ? 見てるだけかもしれないし……明日の朝、タカシ のベッドでこの子が一緒におねむしてるかもしれないし……」 男「冗談でも止めてくれ……夢に出そうだ」 女「ふふふ……」ニヤリ 男「怖っ! お前なんか怖っ!」 ここから628.7スレ 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 01 08 44.82 ID i1aOmlqeO [3/29] ペットショップにて(尊さんVer.) 男「おぉ……動いた」 尊「悠然としているな……」 男「やっぱアロワナっていいなー。見てて飽きないわ」 尊「お前の言うことだから特に期待してはいなかったが、熱帯魚も良いものだな」 男「俺、こういうデカい魚が好きなんだわ。見に来て正解だったろ?」 尊「そうだな。悔しいがそこは否定すまい」 男「でも高いんだよなぁ。俺の小遣いじゃとても手が届かねー」 尊「それ以前に、ずぼらなお前では買って三日でダメにするに決まっている」 男「なんでよー、俺好きな物はめちゃくちゃ大事にするぜ?」 尊「どうだかな」 男「本当だよ。尊だって、日頃俺がどれだけ尊を大切に扱わってるかは分かるだろ? それと一緒」 尊「私は魚と同列か」 男「惚れた弱味って点では一緒じゃね?」 尊「またキザなことを……そんなことで私が動揺すると思うてか」 男「そりゃあ毎日聞いてりゃ、キザな台詞にも慣れるわな」 尊「……ふん。分かっているなら自重しろバカ」 309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 19 37 34.62 ID i1aOmlqeO [16/29] ペットショップにて(纏さんVer.) 纏「あ」 男「ん?」 纏「見やれ、タカシ。亀がおる」 男「おう、いるな」 纏「少し見ていって良いかえ?」 男「あぁ、いいぞ」 纏「すまぬな……」 男「亀好きなのか、お前?」 纏「うむ。このくりくりした瞳なぞ、可愛いと思わぬか?」 男「わっかんねぇなー。爬虫類とか両生類は薄気味悪いとしか思えねぇ」 纏「それは主の偏見じゃ」 男「そうかなぁ。なんか不気味で好きになれないんだよなぁ」 纏「ならば、今度儂の家へ遊びに来い。亀の良さをたっぷり教えこんでやるからのぅ」 男「えっ。お前って動物飼ってたっけ?」 纏「ふふふ、最近念願叶ってやっと飼うことを許されたんじゃ」 男「へー、そうなんだ。名前は何にしたんだ?」 纏「……へ?」 男「名前だよ、名前。まさかそのまま亀って呼んでる訳じゃないだろ?」 纏「そ、それは……タカ……」 男「タカ? 亀なのに鷹とはこれいかに」 纏「……か、亀太郎じゃ!」 男「はぁ? なんだその取って付けたような投げやりなネーミングは?」 纏「ううううるさい! 主に名前のことでとやかく言われとうないわ!」 男「な、なんだよ……そんなに怒るなよ」 312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 19 52 37.58 ID i1aOmlqeO [17/29] ペットショップにて(僕っ娘Ver.) 女「ねー! タカシこっち来てー!」 男「んだよ……あんまし騒がしくすんなよな」 女「見てこれ! 子猫がいっぱいいるよ!」 男「そりゃそうだ。ペットショップだからな」 女「ふぁっふぁのモッフモフだよ? きっと触ったら一生離れられなくなるよ?」 男「猫からしたらいい迷惑だな」 女「やっぱりこういうとこの猫って品種から違うのかなー?」 男「その質問に答える前に値札見てみろ。目ん玉飛び出るから」 女「ん、どれどれ……」 っ【スコティッシュフォールド・血統書付 \230,000】 女「……」 男「な?」 女「……よし、タカシ買え。36回ボーナス払いで買え」 男「誰がお前のために月賦で猫なんぞ買うか」 女「なんだよー、タカシのケチ、締まり屋!!」 男「値段見てから言え。どこのセレブになったつもりだ」 女「たまには甲斐性見せろ駄目旦那ー!!」 男「うるせーわがまま嫁が」 店員(あの夫婦うるせーなぁ……どっか行ってくんないかな) 320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 20 17 23.91 ID i1aOmlqeO [18/29] ペットショップにて(お嬢Ver.) 女「タカシの家は、何かペットを飼っておいでかしら?」 男「んにゃ、特に。なんでだ?」 女「私も近々何か飼いたいと思ってますの。だから庶民代表の タカシの意見でも参考にしようかと思いましたのよ」 男「庶民の意見なんか参考になるのかよ?」 女「誰も最初から頼りになんかしていませんわ。だから気軽に答えなさいな」 男「お前ってちょいちょい俺を下に見るよな……まぁいいけど」 男「けど俺も、犬くらいしか飼ったことないぞ?」 女「そうですの。できれば鳥類を飼った経験があれば良かったのですけれどね」 男「鳥類なぁ……インコとか文鳥とかか?」 女「孔雀やダチョウが妥当なところかと思っていたところですわ」 男「くじゃ……え?」 女「まぁ、お父様の趣味でハシビロコウを飼うことになると思いますけれど」 男「……リナ?」 女「なんですの?」 男「その手の鳥類の扱いを庶民に聞くな、アホッ!」 女「な、なんですのその言い種は!?」 325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 20 39 12.24 ID i1aOmlqeO [20/29] ペットショップにて(いいんちょVer.) 女「……」クスッ 男「どしたー、いいんちょ。何笑ってんだ?」 女「あ……別府くん。見てください、これ」 男「おん?」 女「子犬が二匹、抱き合って寝てるんです」 男「ほー。こりゃ可愛いなぁ」 女「なんだか、微笑ましいですよね。私、こういうのに弱くて……」 男「ふーん。いつもの鉄のいいんちょとは思えない殊勝な言葉ですなぁ」 女「からかわないでください。それに、私を鉄の委員長と呼ぶのはあなただけです」 男「まぁ、なんにせよ子犬が可愛いのは平和で良いことだ」 女「なんだかはぐらかされた気しかしませんが、それには同意します」 男「しかし、いいんちょは犬派なんだな。俺は猫派だから若干残念だ」 女「これを期に犬派に転向しちゃえばいいのに。そしたら私とお揃いですよ?」 男「お揃いになると何かいいことでも?」 女「そしたら……私が少しだけ、嬉しく思います」 男「……ん? それって?」 女「深い意味はありません。あー子犬は可愛いなぁっと!」ナデナデグリグリ 男「おい、今ので犬起きたぞいいんちょ」 女「あ……」 331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 20 58 32.02 ID i1aOmlqeO [22/29] ペットショップにて(かつみさんVer.) 男「お、見ろよかつみ。ダックスいるぞダックス」 女「あー……」 男「俺ダックスフント好きなんだよなぁ。この間抜け面がいいよな」 女「はいはい」 男「でもダックスって、こう見えて狩猟犬なんだぜ? その意外性もまた可愛いよなー」 女「うっせーなー、これだから犬フェチはうぜぇんだよ」 男「なんだよ、お前も楽しめよ。そりゃ休日に無理やり連れ出したのは悪かったけどさ」 女「俺はもともとそんなに動物好きじゃねぇんだよ。なつくと鬱陶しいし、なつかねぇとムカつくし」 男「それ、お前が四六時中殺気立ってるからじゃね?」 女「うっせぇ、蹴り飛ばすぞ」 男「おー怖。あまりの形相にダックスちゃんも怯えてるぞ」 女「言うに事欠いてちゃん付けかよ。いよいよ気持ち悪いな」 男「なんと言われても可愛いもんは可愛いもんねー、ダックスちゃん」ナデナデ 女「……」 ガシッ 男「ん? どうした?」 女「犬ばっか触ってんじゃねーよ。半分俺と手ぇ繋げ」 男「なんでそうなる。片腕で犬触って片腕手ぇ繋ぐっておかしいだろ」 女「その犬っころは売り物だぞ。あんまりベタベタ触るもんじゃねぇだろが」 男「ん……それもそうだが。にしても手を繋ぐ必要性は皆無……」 女「だーっ!! 食い殺されてぇか、テメェ!! 御託抜かすな!!」ガーッ 男「怖っ! この人怖っ!」 女「ったく……(俺のことは普段可愛いなんて言わないクセによぉ……)」 341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/10/11(火) 21 27 47.15 ID i1aOmlqeO [25/29] ペットショップにて(無表情さんVer.) 男「おっ、あんなところにむみがいる。おーい!」 女「……」スタスタ 男「おうふ。なぜ避けるし」 女「校外でまで顔を合わせたくないから。以上」 男「端的にどうも。しかしむみって、ペットショップとか寄るのな」 女「飼うことは出来ないけど、見るのは只だからね」 男「もしかして、意外に動物好きだったりする?」 女「……私が動物好きだと意外かしら?(タカシの胸ぐら掴む)」 男「い、いいえ」ブンブンブンブン 女「だったらほっといてちょうだい」 男「はぁ……なんでこうも当たりがキツいのかなぁ、あの娘は」 女「……」ジー 男「……ん?」 女「……」ニマー 男「……なぁ、むみってハムスター好きなん?」 女「あら、まだいたの。あなたに教える義務はないと思うけど?」 男「けどお前、顔が弛んでるぞ」 女「……なんですって?」 男「やっぱり無意識だったか。うり、うり」フニフニ 女「うぐあ……や、止めろ。頬をつつくのを止めろ!」 男「こんにゃろ。可愛いとこ見せやがってこんにゃろ」グニグニ 女「うあぁ……一生の不覚……」
https://w.atwiki.jp/homuhomu_tabetai/pages/747.html
作者:QeMjPBVQo 340 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage] 投稿日:2011/08/23(火) 22 40 29.80 ID QeMjPBVQo リポーター「みなさん、おはようございます。本日はグンマー県の見滝原市に位置するペットショップQBに取材に来ています。 では、早速取材を初めてみましょう。こちらが店長の久兵衛さんです。久兵衛さん、おはようございます」 久兵衛「おはようございます。ペットショップQBの店長を務めている久兵衛と申します。よろしくお願いします」 リポーター「こちらこそ、今日はよろしくお願いします。では早速取材を始めさせていただきます。 ペットショップQBはカントー地方でも数少ないほむほむ種専門のペットショップと伺っておりますが?」 久兵衛「研究され始めたのが比較的新しい種ですからね。、まだ犬や猫ほどペットとして広まっていないんです。 しかしほむほむ種の育てやすさと愛らしさに惹かれて、年々ペットとしての需要は高まっているんですよ」 リポーター「確かに一般の書店にほむほむ種の飼育書が置かれているのも最近はよく見る光景ですね。 久兵衛さんはご自身のお店の店長を務めると同時に、グンマー大学の准教授としてほむほむ種の研究をされているとか」 久兵衛「ええ。元々この店は祖父の代から続いてきたものを私が受け継いだものでして。 子供の頃からずっと一緒に育ってきたほむほむ種の事をもっと知りたいと考え、大学に残る道を選んだんです」 リポーター「ほむほむ種は未だに解明されていないことが多い種ですからね。 しかし、大学での研究のお仕事と二足の草鞋で店長をされていては毎日休む暇もないのでは?(笑)」 久兵衛「ええ、ですから私の妻に副店長を務めてもらっているんです。 普段私は平日は夕方までお店の方に顔を出せませんから、妻には迷惑を掛けてしまっています(笑) では、お店の方に入りましょうか」 ~店内~ 久兵衛氏の後を追い、我々は店内に入った。 店内は結構な広さにも関わらず掃除が行き届いているのか、清潔で落ち着いた雰囲気の内装が印象的であった。 入り口から正面10m程奥にほむほむ種が飼育されていると思しき水槽が並べられている。 店内を見渡すと久兵衛氏と同じ制服を着ている店員は、現在レジのカウンターに座っている女性が1人と、 商品の陳列をしている女性が1人、店内の掃除をしている男性が1人の計3人のようである。 平日の昼間にも関わらずお客さんの人数は5、6人はいるようで、繁盛している様子であった。 ???「テレビの取材の方々ですね。今日はよろしくお願いします」ニッコリ リポーター「あ、お邪魔させていただいてます。よろしくお願いします」 店内を観察していると、久兵衛氏と我々の入店に気が付いたレジの女性店員に声を掛けられた。 久兵衛「こちらは私の家内の真実です。副店長を務めてもらっています」 真実「初めまして。副店長を務めている真実と申します。よろしくお願いします」 リポーター「久兵衛さんの奥様でしたか。改めてよろしくお願いしますね。」 どうやら、レジの女性は久兵衛氏の奥方だったらしい。 こんな綺麗な女性を妻に持つ久兵衛氏が羨ましい限りである(笑) 久兵衛「あの水槽の中でほむほむ種を飼育しています。早速見ていただきましょうか」 久兵衛氏はそう言って、ほむほむ種が飼われている水槽の一つを指差した。 仔ほむ1「ほみゅ……」スヤスヤ 仔あん3「くーかい!」モグモグ 仔まみ3「みゃみみ~♪」ケヅクロイ 仔さや2「まどかはわたしのよめになるのだー」ダキッ 仔まど2「さやかちゃーん?」クスクス 仔ほむ6「ほみゃぁぁぁ……」オオアクビ 50cm四方ほどの大きな水槽の中で、20匹程のほむほむ種が生活しているようだ。 てっきり種類別に飼育されているのかと考えていた我々は、ほむほむ種がまとめて一つの水槽で育てられている事に驚いた。 リポーター「何とも癒される光景ですね。いかがでしょうか、この愛らしさ!ほむほむ種の人気が巷で高まっているのも頷ける話です。 ところで、この中のさやさや、あんあん、まみまみはほ食類として知られていますよね。飼育する時、安全上問題はないのでしょうか?」 久兵衛「問題ありませんよ。確かに野生のさやさや、あんあん、まみまみはほむほむを食料として利用することもままあります。 ですが野生のほ食類がほむほむを食べるのは本能的性質ではなく、親の教育でほむほむを餌と教えられているからというだけの理由なんです。 飼育用として生まれ育てられたほ食類は決してほむほむを食さず、むしろ仲間として受け入れてくれるんです。 元々ほむほむ種は仲間想いで優しい子ばかりですから(笑)」 そう言って照れたように笑う久兵衛氏はどこか誇らしそうだ。 リポーター「元々ほむほむ種は種類を問わず一緒に仲良く暮らすことが出来るという事がよく分かりました。 20匹程のほむほむ種が1つの水槽で育てられていますが、ほむほむ種は複数飼いが基本なのでしょうか?」 久兵衛「そうですね、先程ほむほむ種は仲間想いと言いましたが、裏を返せばとっても寂しがり屋なんですよ。 ペットとして入った家庭で人間との交流が密なら単独で飼うことも出来るんですが、 誰とも関わり合いを持てずに、長い間孤独の状態に置かれたほむほむ種は心身共に弱ってしまうことが多いんです。 特にその傾向が顕著なのが、野生でも群れを形成するほむほむと、他のほむほむ種に輪を掛けて寂しがり屋のまみまみなんです」 リポーター「ほむほむ種は人間のように集団で生活する社会性の強い動物として知られていますが、 ほむほむ種も人間と同様に『寂しさ』という感情を持っているんですね」 久兵衛「感受性の強い子達ですからね(笑)ところで先程、色々なほむほむ種をまとめて育てている事に驚かれていましたよね? そうするのは各家庭でほむほむ種が複数飼いされることが多いからなんですよ。自分以外のほむほむ種に仔共の時から慣れておけば、 家庭で飼われた時に余計なストレスを溜めずに済みますから」 リポーター「なるほど。種類ごちゃ混ぜで育てているのにはそういう理由が有ったのですね ところで、家庭で飼われた時のお話が出ましたが、ほむほむ種によって新しい環境への適応力には違いがあるのでしょうか?」 久兵衛「ええ、もちろん個体差はありますが最も適応が早いのはほむほむですね。元々野生のほむほむは単体では力が弱いため 有事の際はほむほむの群れ同士で協力しあうことも多いんです。そういった性質の分だけ新しい人にも環境にも慣れるのが早いんでしょう(笑)」 同じ理由でほむほむと番を為すまどまども適応力が高いです」 リポーター「では逆に、最も適応が遅い種はどれなのでしょうか?」 久兵衛「やはりまみまみ、になってしまうでしょうね……。 また野生の話になりますが、まみまみは狩りの性質上、一家族単位以上で固まって行動することがありませんからね。 離れた場所から静かに獲物を狙撃するのがまみまみの狩りですから、生きたほむほむ種と出会う機会もそうありませんし(苦笑)」 リポーター「では、まみまみを飼った時は、慣らすのに少々苦労することも多いかもしれませんね(苦笑)」 久兵衛「確かに他の種と比べるとまみまみは神経質なところがあって初心者向けではないかもしれませんね(苦笑) しかし数少ない仲間1人を、10人分も100人分も大切にする。そういった情の深さも併せ持っているのがまみまみなんです。 水槽の中を見て下さい。仔まみが仔ほむの髪をブラッシングしてあげているでしょう?」 そう言って一組の仔まみと仔ほむに視線をやる久兵衛氏。 その視線を追うと、仔まみがミニサイズの櫛で仔ほむの髪を梳いている光景が目に映った。 仔まみ3「まみゅまみゅっ」シュッシュッ 仔ほむ4「ほみゅぅ~......」ウトウト...... リポーター「確かに面倒見の良さはピカイチのようですね。 やはり他のほむほむ種がこの仔まみのような行動をすることは少ないのでしょうか?」 久兵衛「そんなことも無いんですが、その頻度が一番高いのはまみまみですね。神経質な分、一番細やかな配慮の出来る種でもありますし。 例えば親を亡くした仔共の面倒を見る時、一番頑張って里親の役をこなしてくれるのもこのまみまみなんです。 慣れてくれるのに時間は掛かるけれど、愛情を持って根気強く育てたらその何倍もの愛情で返してくれる。それがまみまみという種なんですよ。 以前はその育てにくさからほむほむ種の中で一番人気が無かったのです。しかし、今言ったようなまみまみの性質が次第に広まっていった結果、 現在は他のほむほむ種と遜色無いくらいの人気を獲得するに至ったんです」 リポーター「なるほど、現代社会は人との関係が希薄な無縁社会とも言われていますから、 それだけまみまみの情の深さに癒される人が多いのかもしれませんね」 我々がふと時計を見やると、予定していた収録時間を大幅に越してしまっている事に気が付いた。 いつの間にこんな時間が経っていたのか……一日がゆっくりと流れるほむほむ種の生活を見ている間に、我々も時間を忘れてしまっていたらしい。 リポーター「居心地が良くて時間が経つのを忘れていましたが、そろそろお別れの時間のようですね」 久兵衛「おや、もうそんな時間でしたか。今日は私ばかり話し込んでしまって申し訳ない」 リポーター「とんでもない!今日は貴重なお話を聞かせて頂いてありがとうございました。」 そう言い残し、我々はペットショップQBを後にした。 今日の取材は10分程度にまとめられMHKの教育番組で放送される予定だ。 最近は犬や猫を飼いたがる子供に、代わりに比較的安価で手のかからないほむほむ種を買い与える親が増えていると聞く。 会社に戻った私は「今回の放送の評判が良ければ毎週5分枠程度ではあるが、番組内でシリーズ化される予定だ」という旨の話を上司からほのめかすような形で聞かされた。 もしかしたら、またあの居心地の良いペットショップでほむほむ達に囲まれながら、久兵衛氏と対談する機会があるのかもしれない。 何度も辛い目に遭い、何度も惨めな思いをし、何度辞めようかと悩んだか分からない仕事だったが、そう考えると 普段なら苦痛にしか感じない面倒な編集作業を目の前にして、自然と握りこぶしに力が入り、皮膚の下を流れる血液が脈打つのを感じた。 終わり 感想 すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/acjojo/pages/108.html
test
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/9967.html
1999年放送。 監督 平田敏夫 原作 秋乃茉利 シリーズ構成 今川泰宏 キャラクターデザイン 阿部恒 美術監督 加藤浩 撮影監督 山口仁 音響監督 本田保則 効果 今野康之 音楽 山口一久 オープニングアニメーション りんたろう アニメーション制作 マッドハウス 脚本 今川泰宏 浦畑達彦 井上茜 絵コンテ 平田敏夫 浜崎博嗣 川尻善昭 西村聡 演出 ながはまのりひこ 浜崎博嗣 高柳滋仁 作画監督 江口摩吏介 蒔田史海 山沢実 田崎聡 ■関連タイトル ペットショップ オブ ホラーズ ― オリジナル・サウンドトラック 秋乃茉莉イラスト集 幻華宵月 原作コミック 秋乃茉莉/Petshop of horrors 1巻
https://w.atwiki.jp/eramegaten/pages/812.html
ver0.309 概要 依頼者 アンソニー 依頼者 ミセス・リョーコ 概要 それぞれの依頼ごとの条件に合った売却可能悪魔を売却することで報酬を得る。(半魔人などは不可) 条件がランダムな一般依頼と、特定の条件が付いた依頼が有る。 依頼者 アンソニー 夢幻の逢瀬報酬:1000魔貨及び耐力の香 条件:妖魔 リリム能力[C感覚]がLv3以上 能力[B感覚が]Lv3以上 能力[V感覚]がLv2以上 魅惑の精出現条件:夢幻の逢瀬達成&調教師名声50以上 報酬:4000魔貨及び耐力の香 条件:妖魔 リャナンシー素質[処女]及び素質[素直]を所持素質[素直]持ちのリャナンシーを作るには邪教の館で素質[素直]持ちの悪魔二体を合体させることで作れる あの娘にもう一度出現条件:魅惑の精達成&調教師名声250以上 報酬:8000魔貨及び速さの香 条件:凶鳥 モー・ショボー素質[処女]及び素質[V敏感]を所持、能力[V感覚]がLv5以上邪教の館で素材となる悪魔二体の忠誠度平均を5000にすることで引き継ぎLV5を行える 依頼者 ミセス・リョーコ 興味報酬:条件を満たした悪魔の価値に応じた魔貨+インストールソフト[エネミーホイホイ] 条件:素質[小柄体型]を所持男である あるいは レズっ気Lv3以上かつレズ中毒Lv1以上 向学出現条件:調教師名声100以上 報酬:条件を満たした悪魔の価値に応じた魔貨+インストールソフト[エネミーバイバイ] 条件:[獣]である男である あるいは レズっ気Lv3以上かつレズ中毒Lv1以上 実験出現条件:調教師名声400以上 報酬:条件を満たした悪魔の価値に応じた魔貨+インストールソフト[コペルニクス] 条件:素質[治療]を所持 能力[サドっ気]がLv5以上男である あるいは レズっ気Lv3以上かつレズ中毒Lv1以上 好奇出現条件:調教師名声800以上 報酬:条件を満たした悪魔の価値に応じた魔貨+インストールソフト[パラケルスス] 条件:[触手]を所持男である あるいは レズっ気Lv3以上かつレズ中毒Lv1以上 探求出現条件:調教師名声1200以上 報酬:条件を満たした悪魔の価値に応じた魔貨+インストールソフト[ラプラス] 条件:素質[禁断の知識]を所持男である あるいは レズっ気Lv3以上かつレズ中毒Lv1以上 メモ:素直リャナンシー モーショボー+ゾンビアーミー -- (名無しさん) 2015-01-26 00 38 43 V敏感モーショボー ネコマタ+ラミア -- (名無しさん) 2017-10-01 20 53 29 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/maymaybesatsuki/pages/45.html