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【パーソナリティ】 名前:フェリア 年齢:14 性別:女 レベル:3 ワークス:女僧侶 非常に小柄 思慮深く、慎重堅実 【能力値】 体力:2 運動力:1 知力:4 魔力:7(+2) 【副能力値】 防御:胸8/腰6/その他0 FA3/MA9 HP:32 MP:15 IV:4 ex 27 【魔法】MP:15 スプリット 能動 魔術 4 なし 単体 直後の[魔術]による魔法の対象を、"単体"から"範囲"に 変更する。 シールド 受動 魔術 3 あり単体【魔力】ぶんだけダメージを減少させる。 ガッツ 特殊 任意 3 なし判定のダイスを振る直前に使用を宣言する。判定に+1D。 マジックルーン 補助 魔術 2 なし 自身 直後の[魔術]による判定に+1D6を得る。 ルミナスレイ 能動 魔術 3 あり 単体 2D6+【魔力】のダメージを与える[魔術]攻撃。 ウィークポイント 能動 一般 3 あり 単体 3対象の【防御力】を、【知力】分減少。 【クライシスアクト】 ポテンシャル 特殊 任意 判定に+[(消費したCP)D6] レゾリューション CP3 【HP】が0になり、戦闘不能になった状態から、 【HP】が最大値の半分まで回復した状態で復活できる。 オーバーロード CP3 直後の魔法の判定に+5D6の修正を得る。 杖 [魔術]判定に+2を得る。 プリティローブ ねこみみ 1 0 視覚に関する一般行為判定に+1D6を得る。 【クライシスアクト】 CP: SP:26 名称 CP SP 使用条件 潮吹き 2 1 HPへダメージ 隷属の喜び 2 1 視姦の檻 1 1 淫らなる緊縛 2 1 [拘束]状態になった時 ぱんつはいてない 1 1 腰APへダメージ 秘密の花園 1 0 汚された肢体 1 0 HPダメージ 疼く体 1 1 APないしHPへダメージ 異世界より飛ばされてきた、僧侶の人。 右も左も分からないところを、悪魔と戦えとの天啓を受け、とりあえずそのとおりに。
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フェリアー イングランドのサフォーク州にいる妖精。 子供をさらう。 別名: フェリシャー
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▼こちらのボタンをクリックすればランク別ページへ移動します html2 plugin Error このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。 龍人 ルーフェリア 龍人 ルーフェリア 龍人 ルーフェリア ランク B+ レベル 1 10 最大Lv40 Aスキル ハードラッシュ+ 進化素材 緋色のドライアド? - コスト 9 HP - - 775 Sスキル 火炎の魔術 ???? - 属性 火 攻撃力 - - 709 進化費用 ???? ???? - 進化元 - 売却価格 ???? ???? - データ編集 進化先 龍姫 ルーフェリア 備考 - 出現クエスト・入手方法 クリスタルガチャ コメント 龍人ルーフェリア Lv40 HP775 攻撃力709 -- 2013-03-30 05 02 52 進化素材は緋色のドライアド、ヒタヌキ、フレイフラウ、火石のロシェ 進化費用が81000 -- 2013-05-09 17 31 15 コメント すべてのコメントを見る
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▼こちらのボタンをクリックすればランク別ページへ移動します html2 plugin Error このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。 龍姫 ルーフェリア 龍姫 ルーフェリア 龍姫 ルーフェリア ランク A レベル 1 10 最大Lv50 Aスキル ハードラッシュ++ 進化素材 木漏れ日の神樹? ???? コスト 15 HP 594 - 1264 Sスキル 紅炎の魔術 オヤブンヒタヌキ? ???? 属性 火 攻撃力 485 - 1078 進化費用 150000 ???? 火石のロシェ? 進化元 龍人 ルーフェリア 売却価格 12300 ???? - データ編集 進化先 炎山の龍姫 ルーフェリア 備考 - 出現クエスト・入手方法 進化合成 コメント 最大HP攻撃力共にわかりますが需要あります? -- 2013-03-29 22 20 35 おはようございます、教えて頂ければ幸いです (_ _) -by管理人 -- 2013-03-30 04 33 24 わかりました。書いていない所を全てコメントしておきますので反映お願いします。あまり進化させてないですけど・・・。 -- 2013-03-30 04 59 47 龍姫ルーフェリア Lv50 HP1264 攻撃力1078 -- 2013-03-30 05 01 11 ご協力ありがとうございます、大変助かります!(^_^)ノ-by管理人 -- 2013-03-30 06 33 04 木漏れ日の神樹持ってるけど進化素材じゃないっぽいですよ(--;) -- 2013-05-24 18 12 40 コメント すべてのコメントを見る
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魔族「スロゥス」 「魔族」全体 ペンタスロゥス・天 ペンタスロゥス テトラスロゥス トライスロゥス 他の勢力を表示聖龍獣牙飛天鎧羅皇魔中央都市魔界大魔界神魔界メビウス創造神破壊神天界地上界羅震鬼羅震獄鳳凰学園耶馬都外海青龍白虎朱雀玄武麒麟白面九尾隠神刑部魂獣界魂獣大帝人間界魔族邪神聖魔族オリンポステイルズ オブ勢力一覧 ペンタスロゥス・天 全員の速が18%アップ スロット効果 速が8アップ No_カード名 R T C HP 攻 防 速 基本技 必殺技 0523_夜魔王ベルフェリア F 魔 6 880 705 510 125 敵全体を攻撃TYPE 無の相手にクリティカル 敵全体を攻撃クリティカル発生時に大ダメージ このページの先頭へ ペンタスロゥス 魔族の速が12%アップ スロット効果 速が10アップ No_カード名 R T C HP 攻 防 速 基本技 必殺技 8004_夜魔王ベルフェリア PR 魔 6 775 665 460 115 敵全体を攻撃 敵全体を攻撃クリティカル発生時に大ダメージ 8114_夜魔王ベルフェリア H 魔 6 775 615 510 115 敵全体を攻撃 敵全体を攻撃クリティカル発生時に大ダメージ 10548_夜魔王ベルフェリア H 魔 6 805 620 520 120 敵全体をX字に攻撃対象不在時、正面の敵を攻撃 ブースト発動 敵全体をX字に攻撃対象不在時、正面の敵を攻撃 ブースト発動 このページの先頭へ テトラスロゥス 魔族の速が12%アップ スロット効果 速が8アップ No_カード名 R T C HP 攻 防 速 基本技 必殺技 8204_遊星輝候デカラビア S 技 5 640 530 530 100 敵全体を攻撃 敵全体を攻撃 このページの先頭へ トライスロゥス 魔族の速が7.5%アップ No_カード名 R T C HP 攻 防 速 基本技 必殺技 8124_怪魔男爵カルドディーモ N 力 3 375 310 310 100 ランダムに敵を攻撃 ランダムに敵を攻撃 8217_虚妄子爵デマノン N 技 3 390 350 240 110 正面の敵の被ダメージをアップ 敵全体の被ダメージをアップ 8311_玉子男爵エンプチー N 魔 4 480 365 300 120 正面の敵になぎ払い攻撃 正面の敵になぎ払い攻撃 8123_妖魔子爵リトビー N 魔 3 385 290 290 110 正面の敵の与ダメージをダウン 敵全体の与ダメージをダウン このページの先頭へ
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クラス:キャスター 属性:中立・善 真名:歌劇姫・フェリア 出典:シャドウバース、進撃のバハムート 性別:女 身長・体重:不明 ステ―タス:筋力E耐久E敏捷D魔力B幸運B宝具C クラス別スキル 陣地作成(E) 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 小さな劇場の様な空間を作り出す。 保有スキル 自己暗示(C) 自身にかける暗示。 精神攻撃への耐性をあげるスキル。 自身の望む姿へと性格、人格を一時的に変更する。 しかし、予想外の出来事があると解けてしまう。 心眼〔真〕(E) 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。 劇の練習により低ランクではあるが保持している。 女神の微笑み(D) 女神の様な微笑み。 Dランクであれば異性に微笑んだ場合に低確率で魅了する。 『自己暗示』により得ているためランクは低い。 宝具:『心揺らす舞台(テアトル・エモシオン)』 ランク:C 種別:対人 レンジ:0 最大補足:10人 心を揺らすほどの演劇を行う。 宝具発動中のキャスターを見た者は一時的な行動不能状態に陥る。 見た者の芸術への知識が深い程行動不能時間が長くなっていく。 名前
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ヴァングル盗賊団から逃亡してきたトリック・ブルーが独自に組織した義賊集団。 名前は彼らが根城にしている、ストーンカ帝国時代の古城フェリアスが由来。 無益な殺生は行わず、盗賊たちの手から領土を守っているため 近隣住民からの支持は強く、入団を希望する者も多い。 拠点 フェリアス 君主 トリック・ブルー 所属武将 『フォース』他 アザミ アナベル 月心 『愛しき邪悪』他 アナベル 同盟勢力 ハネーシャ艦隊軍(ディアルゴ諸島) 登場作品 スペクトラルフォース スペクトラルフォース2 スペクトラルフォース~愛しき邪悪~ 純情で可憐メイマイ騎士団 スペクトラルフォース聖少女外伝 スペクトラルフォース3~イノセントレイジ~ ネバーランド研究史 いつかこの手が穢れる時に -SPECTRAL FORCE LEGACY-
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標的は立つ。人型を模した、塗装のない銀色の標的。 その眼前に立つ、一体の青が手にするのは、黄金色に輝く拳銃。 見た目に違わず、サイズに反し、心地よい重さが掌に返る。 銃弾を装填し、まっすぐに構え、標的に狙いをつけ、そのトリガーを――― 桜華絢爛ベルフェリオン 第七話「突撃! となりの町工場」 白く、真っ白く、どこまでも白く。 純白の部屋に飾られた写真、隣には果物のバスケット。 「……そう。大変だったのね、総一」 「本当になー」 遠い目になる総一の前には、大きく白いベッド。 そこに寝ている彼女に比べたら、総一の両腕の包帯など些細なものであろう。 ベッドの札には―――天城悠菜、と刻まれている。 「で、母さんの調子は?」 歳を感じさせない妙齢の女性は、微笑みながら返す。 「そうね……最近は落ち着いてるかしら。それより総一こそ、あんまり無茶しないでね」 それを聞いて安心する。 この際、最近の散々無茶しまくった諸々は置いておくとして。 「ああ。無茶して稼げなくなるなんてこたねェから、安心して治してくれよ」 彼女を元気付けようとサムズアップ。 「まずはその包帯を取れるようになりなさい」 「ごもっともです」 結局腕の包帯が説得力をなくしている。残念。 「……まあ、元気そうでよかったわ。 次に来るときは、もうちょっと余裕をもってから来なさい」 「うい」 この状況では反論のしようがない。 何のために見舞いに来たんだろうか……元気そうでよかった、といえばそうなのだが。 「ほら、しゃんとしなさい。総一が来てくれるだけで嬉しいんだから、私は」 その言葉で、微妙な心境が顔に出ていたことに気付く。 取り繕うように笑いながら、荷物を手にとって立ち上がる。 「ああ。じゃあまた来るわ。今度何持ってきてほしい?」 「広瀬さんのサイン」 「即答かよ!? ……かけあってみる」 ひらひらと手を振りながら、席を立つ。 「……総一。あんま無理しちゃ駄目よ?」 「言ったろ、また来るって。またな、母さん」 釘を刺す言葉に、もうひとつ返して。 『「ボノロン」がぁ!!! 捕まえてぇぇ!! 「ボノロン」がぁ!』 「ごーごーれっつごー画面端ー!」 速攻で落ちる拳骨という名の鉄槌。 病室から待合室に戻ってみると、立ちながら騒いでいたポニーテールの少女がいたのだった。 生憎今の鉄槌は脆く、「げんこつ」の4文字が退いた時には拳を抑えて呻く総一がいた。 「病院で騒ぐな、恥ずい」 「ぇー」 やっぱりこいつに常識なんてなかった。 悩みの種は減らないばかりである。 「やっぱこいつから目ェ離せねーわ」 「あ、ひょっとして惚れてます? そのままベッドイン? 子供は何人にします?」 「黙れ」 「ひゃにゅううっ!?」 勘違いしているようなので脇腹つっついてやる。 あくまで目を離すととんでもない行動をしでかすからである。 それにパールと一緒にいないと、片方が狙われたときに対処できない。 ……流石に、悠菜の前でこんな奴を連れてくるわけにはいかない、 という思考を存分に後悔することになった総一。 その一瞬後、連れて来ても後悔するだろうなという思考で進むことにした。 実際後悔するだろう。確実に。 「……で、ああ、試合か」 テレビを見ていると、どこかのロボットバトル試合中継のようだ。 このボノロンというドライバーだが、 前に皆で泊まることになった時の車内で見たような覚えが総一にはあった。 機体もBMM三型のストラディバリウス。 だからってどうというわけでもないが。 「さて、じゃあ行くか。今日は休みだしな」 「おー♪」 お前は来るな、と言いたいがそうもいかないのが悲しいところ。 「……ぁー」 来るなと言えない、で思い出す。 一度学校に出てきて騒ぎになったのだが、学校にもついてくるなとは言えなかった。 「月曜相談するか」 「何をですか?」 「てめーの処遇だよ」 とても盛大な溜息をつきながら、病院を後にした。 ……律儀にも携帯の電源はオフにしていたらしく、開いたらメールがなだれ込んできた。 「何ですかそれ?」 「携帯電話。遠くの相手にも連絡がとれる奴。やらん」 「まだ何も言ってないじゃないですかーっ」 無視してメールチェック……すると、届いたメールは春緋からだった。 「なになに……今日どっか遊ばないかって?」 ……あそこに行くのは明日でいいか。 予定を整理して、肯定の文章を打ち返す。 「わー、おー」 隣の席ではしゃぎ立てるパールとともにバスに乗っていたはいいが、うるさい。 今突っ込もうにも、傷口が開くとまずい。 「んひいっ!?」 脇腹つっつく程度で許してやることにする。 「もう、何ですかマスターの変態」 「じゃかあしい。黙ってろ」 ふう、と盛大に溜息をついてまた眺める。 風景が窓越しに流れる。 全市民が利用する中央区から日本区に差し掛かるところだった。 「風景、変わりましたね」 「こっちは日本区だな」 こうしてみると、同じ近代的といえど、中央区は特に最新高層建築物等が立ち並ぶ。 日本区を初めとして、各区ではそういうものは目立たず、 高層ビル街はまさにエルヴィンの中枢である象徴だといえる。 「そういえばマスター、あれ何ですか? 一つ飛び抜けて高い建物があるんですけど」 「ああ―――セントラルタワーだ。エルヴィンの技術的中心で象徴のひとつ」 表情が曇る。 嫌でも目に付くセントラルタワーは、エルヴィンの光景の中でも突き抜けていた。 各国から技術者が集まるエルヴィンの技術が集結する中心部。 天城総一は、そのセントラルタワーに特別な感情を抱いていた。 それは、まだ付き合いの薄いパールでも目に見えて察することができるほどの態度で。 「へー……」 その遠い目を見つめながら、パールは想う。 彼が自分を引き寄せたほどの強い想いは、どこから生まれるのだろうか、と。 バスを降りると、そこには春緋が待っていた。 いつも通り、スカートの下にスパッツを穿いた動きやすそうな服装だ。 「遅いじゃない」 「バスに言え」 早々に突っ込みながらバスを降りる。 「で、総一。あたし考えてきたことあるんだ」 そして、他愛もない会話とともに足を進める。 ここは工業地帯。土曜日にも関わらず、あちらこちらで作業の音が飛び交う。 二人が会話を始めている時には、既にパールは周囲の光景に気を取られていた。 「何が?」 「必殺技。何も名前がないのも寂しいでしょ?」 「いきなり何を言い出す」 「決まってるじゃない! ベルフェリオンの技よ! ロボットの技の一つや二つ、名前がないなんて味気なさすぎるじゃない!」 果たして力説するところだろうか。 春緋の考えていることはおそらく報道的なものだろうが。 「別に考えなくても……」 「いいんじゃないですか? 技の名前決めたらより強く意識できると思いますし」 今更パールが口を挟んできた。いいのかよそれで。 呆れはするものの、どっちにしろ使わなきゃ変わりないと思い、先を促す。 「で、何だその名前って」 「聞いて驚くなーっと。その名も『爆牙天襲脚』!」 参考にはならないとは思ってたが、案の定どっかのゲームで聞いたような名前だった。 「ほら、あの最後のキックの名前! 空高くジャーンプするところとか、こうどっかーんってするところとか、それっぽくない?」 「どちらかっつーとアホっぽくて子供っぽい」 即答。 厳密にはキックというより踵落としなのだが、 そこまで突っ込むほど総一は技を意識してなかった。 技という意識よりも、一撃を叩き込むことだけに全思考を集中し、実際に叩き込んだだけである。 「なーによー」 何度も春緋に頬をつっつかれながら、やめれと引き剥がす。 「つーかイメージって言われてもな。あン時は無我夢中だったから、 必死こいて落としたってだけで、技とか意識してなかった」 「もったいない」 「もったいないって何だ!」 きっと多分使わない。 春緋の言葉を聞き流しながら……聞き流してない? 何? 聞こえんなぁ? とにかく、わいやわいやと歩いていると工場の前にたどり着いた。 「ここですか?」 「ああ。後ろ見てみな?」 総一に見るように促され、パールは後ろを覗いてみる。 ……確かに広大な敷地がある。20m級の機動兵器が動くには十分だろう。 「うわ、ほへー。ここ……何ですか?」 「あれ見てみ。ロボット試験場だよ、ここ」 その敷地内で舞うのは、白を基調に青のアクセントカラーでまとめられたBMM。 「各工場それぞれがこんな敷地なんて持てないから、試験場を借りてやってるんだ。 つっても、此処は工場が単独所持してるんだけどな」 「へー。でも、ここに何しに来たんですか? 誰か関係あるんですか?」 パールの疑問も最もだ。彼女が此処に来たのは初めてで、友好関係も何もない。 「それは秘密ー。さて、じゃあ行きますか」 「だな」 春緋の呼びかけに総一も答え、二人が歩き出す。 行き先に見えるのはBMMのサイズに合わせた、いかにも町工場といった感じの場所。 ここに何の用があるのだろうか……? 「ま、待ってくださいよーっ」 考えていたら置いていかれそうだったので、一度考えを打ち切り、とてとてと二人を追いかける。 どの道、中に入ればわかるだろう。 中も中で凄かった。 それぞれ白をメインに緑と赤のアクセントがついたBMMが一機ずつ残っており、その脇には、 初見では何がなんだか分からない様々なパーツが、吊るされたり、格納されたりしている。 「……?????」 わけがわからなすぎて目が?マークになってきた。 とりあえず手を振って誘っている総一のもとに向かうパール。 「えーと……ここが工場ですか?」 「こっちは格納庫な。工場は敷地内の別の建物」 「はひー……」 「ちょっと、パールちゃん混乱しちゃってるでしょ」 むにー、と頬を春緋に引っ張られ、総一はようやっとパールの現状に気付く。 「そういや、全然まるっきし知らないんだな、BMMのこととか」 「びーえむえむ?」 頭を抱える。本気で何も知らなかったようだ。 「……まずそっちまわりから説明するな」 「いや、その必要はないよ」 グダグダになってきた空気に鋼の救世主が! 「あ、誠二の父さん。ちーす」 「よーっす」 二人に手を上げて挨拶する眼鏡の優男。 しかし、この場の中で一人だけ、パールは硬直する羽目になった。 「え、と……? 誠二さんの父さん、ってことは……?」 「そ。ここ、誠二んちの工場」 春緋の言葉で確信した。パールの脳内に、その言葉が響く。 ―――「な、なんだってー!?」 BMM。正式名称「ブラスティング・モビル・マニピュレーター」。 その機体の歴史は意外と浅く、数年前までは各企業がそれぞれ 個別基準のロボットを製作していたが、このBMMの登場で各企業の中でも規格統一が図られた。 大きさは18m近辺、これまでにエルヴィンで発展してきた様々な技術が投入されている。 また、各機の名称は全て音楽関係で統一されている。 「―――まあ、初めてならこのあたりを抑えておけばいいね」 モニターに表示される簡易資料を、食入るように見つめるパール。 「目ェ悪くなんぞ」 総一に顔を引き剥がされ、そこでようやっとまともに座る。 次に表示された画面では、そのBMMの各種説明に移っていた。 ―――BMM-01マズルカ。 BMMという規格を決定付け、シェアを得るきっかけとなった機体。 完成度が高く、腕・脚・背面・肩と一通りハードポイントが備わっており、 装備次第であらゆる状況に対応できる。 特に、背面に専用バックパックを装備することで、用途に応じた性能を得ることができるという 最大の利点が存在し、今までBMM業界を引っ張ってきた。 素の機体自体は軽量気味のプレーンなものであり、まさしくスタンダードに相応しい。 ―――BMM-02サラバンド。 マズルカから日を置き登場した新たなBMM。 背部ハードポイントの互換性を若干犠牲に、内部ハードを高性能にした高級品。 マズルカでは対応し切れなかった各種機能が追加されている反面、 内部ハードが脆く、デリケートな機体である。 とはいえマズルカに専用パックを装備するより安上がりに、 安定して高性能の情報処理能力を得られるのは大きかった。 ―――BMM-03ストラディバリウス。 諸々の関係上サラバンドに遅れて登場することになった機体。 デザイン更新により、肩の『装甲』にハードポイントが増設された。 また駆動系の不調を見越してか、油圧式の予備駆動装置を装備し、安定性を得た。 だが、装甲も重くなり、フレームも重くなり、 結果として重量が予定より多くならざるを得なくなってしまった。 そのため、これを通常の機体通り動かそうとすると燃費も悪くなるが、 安定性が極めて高く、負荷の大きい仕事に向いている。 「……という感じだね。わかりやすく言ってみたつもりだけど、どうかな?」 「よくわかりません」 総員ずっこけた。 「ここまで説明してわからないで済ますなァァァ!?」 全力で突っ込むのも無理はない。 なにせ、彼らとパールでは常識が違うのだから。 この話は、総一達が在籍しているエルヴィン第一高校の一年次の授業の内容である。 ガチで無知なパールと会話がかみ合わないのも致し方なし。 「……そのうち慣れるわよね。きっと。うん。多分」 春緋でさえこれだ。 「まあ、そのあたりはおいおい。パールちゃんも当分はエルヴィンにいるんだろう? だったら、生活していくうちに覚えるさ」 「ですよねー」 そこは違うだろ! という言葉を心に呑み込み、パールに拳骨ひとつ。 「ああはいはい、無茶しないの」 やっぱり治ってませんでした。 拳を抱え蹲る総一……何度目だ? 反射的だからしょうがない。 「ところで。前に話した『アレ』、試作品できたよ」 「マジすか。もうそこまで?」 「へー。見せて見せて!」 アレ、という誠二の父の言葉を聞いた総一がぴくりと反応した。 春緋もカメラを持ってはしゃいでいる。 「せっかくだから、パールちゃんも見るかい?」 呼ばれて、こくり。 「じゃあ、ちょっと待ってね。実装テスト前だから此処にあるんだ」 そう言って、パネルを操作する誠二の父。 格納パネルの一部分が開き―――そこにあったのは、二挺の拳銃。 爛然と煌く黄金色の外装に紅の装飾を加えた、 創作物でもよく使われる大口径自動拳銃「デザートイーグル」を巨大化したようなデザイン。 ドがつくほどに派手な拳銃の本体もあり、そのすぐ近くにはその予備弾倉と思われるパーツ、 そしておそらくBMMの腕部ハードポイントに装備されるであろうと推測されるパーツ。 「拳銃式のレールガン、言うならばハンドレールキャノンさ。小型化かつ威力重視だから 命中率があまり高くないけど、ストラディバリウスのコンテナあたりには格納できる。 ……まあ、まだ試作段階だから問題点は多いけどね」 と語りながら、関連データを出してくれる。 外観やデータ等のものであり、流石に中身やプログラムまではいくはずがないとはいえ、 開発中のものをここまで他者に漏らすというのはまず有り得ない。 誠二と長い付き合いの総一や春緋には、こうやって仕事の話をすることも多いが、 これは二人が外部機密を漏らすことなどないと信頼してのことであり、他言無用は絶対。 彼が言うには、若い視点からの意見が欲しいようだが、自慢の要素も何かしらあるだろう。 実際誠二の父はパーツ開発責任者であり、彼の作ったパーツのうちいくつかは大企業に採用され、 ある程度実績を残しているらしい。 「へえ……弾自体にコンデンサ仕込んでるんですね」 「そう。レールガン発射時の必要な電力をコンデンサから供給する方式だね。 現代の拳銃が火薬を仕込んでいるところにコンデンサを仕込んで……」 実際どういう仕組みで動いているのかまでは、二人は理解できない。 質問した春緋でさえ、大体の原理を聞ける以上のことは叶わない。 「……ん、戻ってきたか」 話し込んでいるうちに、巨大な足音が、地響きが迫る。 白をメインに水色のアクセントのついた機体が格納庫に入ってきた。1型のマズルカだ。 胸部のコクピットが開き、機体から降りる姿は……彼らのよく知っている人物。 「何やってるんだ、親父……あとお前らも」 「おーう、誠二」 ヘルメットを外し、普段はしていない眼鏡を直しつつ、一息ついた彼に向けて手を上げる。 「別に。ただ暇だから」 「いつものこととはいえ……もっと他になかったのか?」 「だって『ボノロン』戦は午前中だったしー、今日予定ないしー」 ボノロン。誠二と春緋のやりとりの中で、総一は午前中のことを思い出す。 ……ああ、あった。病院の中でパールが観戦してひどい恥かいた。 「……って、何やってんだてめェ」 見てみると、パールは画面を食入るように見つめて離れない。 しかも誠二の父の方も調子に乗って、いろいろ説明しているようだ。 仕方なくむんずと掴んでつまみ…… 「ぬぐ!?」 出せない。微動だにしない、動かない。 いくら自分が手負いとはいえ、少女一人相手に 痛みで腕が悲鳴を上げるのが先だったというのは情けない話だ。 「おいパール、聞いてンのか?」 声をかけても無反応。仕方なく視界を塞ごうと手を――― 「痛づうッ!?」 払われた。しかも無茶苦茶全力で。 「……という感じだけど、ってどうしたんだい総一君?」 騒いでいるうちに説明が終わってしまったようで、悶絶しているところに声をかけられてしまう。 恥の上塗りである。 「何でも……」 たはは、と力なく笑うしかできなかった。 「だっさー」 春緋にまでからかわれてしまい、何も言い返せない。 しかし、パールのどこにあのような力があったのだろうか。 「……おい、パール」 過剰なまでに反応した、おそらく弱点と思われる脇腹をつっついてみる。 ……反応がない。 「おーい?」 何度かつっついてみる。やっぱり反応がない。仕方がないので、一度思い切りくすぐってみる。 次の瞬間、繰り出された肘は見事に腹にめり込み、悶絶。 「セクハラ」 その上レッテルまで張られるという始末。天城総一、踏んだり蹴ったりである。 「自業自得だな」 確かにその通りだが、誠二の言葉はあまりにストレートに総一に刺さる。 肉体的苦痛と精神的苦痛のダブルパンチ。 「いや、おかしいだろ明らかに。突然反応がなくなって……」 溜息混じりにパールを指して、自身の正当性を主張する総一。 だが、誰かが反応を返す前に 「はにゃあああああああああっ!?」 びくんっ! いきなり跳ね上がって倒れるパール。 「どうした? パール?」 流石に駆け寄って様子を伺う総一だったが……自業自得の恐怖はここからだった。 「わーんマスターの馬鹿ーあそこでくすぐるの卑怯ですよー変態ー!」 本気で気に障ったのか、すっごい!ボコ殴りが始まった。 以下しばらくエンドレスエイト/∞/デンプシーロールなフルボッコシーンを見ながらお待ちください。 「ところで、マスター」 「何だ」 パールの言葉に答えるのは、見るも無残な姿になった総一の姿だった。 自業自得故致し方なし。 「あのBMMとかいうの、ベルフェリオンと同じくらいの大きさですよね」 「知らん。ただ、お前がそう思ったんならそうなんじゃねーか?」 実際に戦っている身からすれば、ベルフェリオンは自分自身の写し身でもある。 故にどのくらいの大きさとか、そういう思考は彼になかった。 「じゃあ、あの銃も使えるかもしれませんね」 「無理。俺が銃使えねェ」 「まあ、持ってても生身の武装はあたしらには無理だけど。学生だし」 だが、それゆえに能力は本人依存となる。 そもそも一般市民で、さらに言えば学生である総一は、銃が使えないのが当たり前である。 その割にはエルヴィン外で、学生が銃器関連でどうこうってニュースを聞いた覚えがあるが、 法規に反した事態であるためここでは考えないことにしておく。 「ただ、ずっと格闘依存ってわけにもいかないだろ? 総一」 「……ああ」 武器がないということが、これほど厳しいと感じるとは思わなかった。 誠二の言葉には、苦い表情で頷くしかない。 「あのベルフェリオンね? 風の」 完膚なきまでに、一撃で叩きのめされた昨日の事件。 忘れるわけがない。あれは、自身の乗り越える壁。 あそこまで到達しなければ、少なくともデバイスを巡る戦いにはついていけないのだ。 「随分悩んでるみたいだね」 そこに現れた誠二の父。どうやらココアを人数分入れてきたようだ。 「ああ。こいつが―――」 ふと、誠二は状況に気付く。 ベルフェリオンは総一とパールが居れば厳しい召喚条件は特にない、 BMMと同程度の大きさの巨人である。 そして、此処は格納庫であるがゆえ、BMMが使える『武装』を多く積んでいる……。 「親父。後でBMMの武器を貸してくれないか? 天城、パール、後で話がある」 彼はひとつ閃いた。 一体倒したところで何も変わりはしない。だから、何かしらの武器が必要だと感じたのだ。 といっても、仕様上武器を持ち運びはできないので、相手か「第一回! BMMアームズコンテスト、開催ー!」 『どんどんぱふぱふー』 『お前らなあ!?』 紆余曲折があり、試験場に立ち尽くすベルフェリオン。 床に落ちているのは、レーザーブレードだのレールガンだの実体剣だのマシンガンだの、 全てBMMの手持ち武器である。 ……ベルフェリオンの腕は一応罅は目立たない。 ちゃんと治りきっていないとも言い切れないが、本当に大丈夫なのだろうか? 「壊すなよー」 誠二まで乗り気である。というか、言いだしっぺがこいつである。 別にこんなノリを作ったとかそういう意味ではない。 今のベルフェリオンに武器はない、故に非常にリーチが短いのだ。 今までは何とかなったからいいが、集団戦闘を彼がまともに制したことは一度もない。 距離をとりながら射撃戦といった戦法で簡単に固められてしまうのだ。 ら奪う、借りるなどの手段が必要だが。 『ったく、みんなしてこれかよ』 とか言いながらやることはやる総一も、理由を実感しているからこそだった。 だが、一つ誤算があった。 『なあ、誠二』 「何だ」 『これ、どうやったら動くんだ?』 ベルフェリオンの特徴の一つとして、通常の機体に標準装備されているコネクタがない。 古代の力にそんなものあるはずがないが、それ故にエネルギーを機体から供給する武器は使えない。 レーザー系武器は全て本体からエネルギーを供給し使用するし、 超高速で振動し物体を切削するバイブレードもその機能が失われる。 ただの実体剣でBMMの相手をするには……これも、ぶっちゃけてしまえばすぐには無理。 BMMの場合モーションがある程度最適なものを選択したり、自動修正されたりするが、 ベルフェリオンの場合そんな便利なものがないため、本人が熟練しなければ扱うのは難しい。 「……ああ、無理だな」 結論として、大半の武器が使用不可能になってしまう。 なんてこった。 『結局何なら使えるんだ?』 「トリガー依存の射撃武器だな。基本的な実弾兵器なら使えるはずだ」 レーザー系武器は先の通り無理。ロックオンが必要なミサイル類は論外。しかも高い。 となれば、必然的に人間が使う武器に近い、 トリガーを押せば発射される実弾射撃武器が使用可能領域になる。 『なら、こいつか!』 手に取ったのは、長大な砲身を持つ、いかにもトリガー式の実弾兵器。 ターゲットを相手に狙いをつけ……トリガーを引く! 『……あら?』 しかし なにもおこらない 「それはレールガンだ……無理に決まってるだろ」 溜息をつく誠二。 トリガー式実弾武器といえど、発射のために多大な電力を使うレールガンは 基本的にエネルギーを本体から供給してもらうため、使用できないのだ。 『マジかよ。あと何があるんだ?』 「火薬式各種ライフル、火炎放射器。あと無理矢理使うなら実体剣。 手持ち式バンカーは腕ハードポイントで固定するからなしな」 選択肢が相当狭いのを痛感する。 見栄え的にも継戦能力的にもレーザー系武器が主流となっている現在では実用的でないものばかり。 バンカーはあの白アフロが使ってはいたが、現実的に考えて扱いは相当難しい。 そして、まず欲しいのは射撃武器。 『何だ、モヒカンにでもなってヒャッハーすればいいのか?』 『汚物は消毒ですねマスター!』 『誰か世紀末救世主持ってこい』 だからどこからそんな知識を……。 「じゃああれは? あの拳銃ってエネルギーを弾で補ってるんでしょ?」 疑った先の春緋が持ち出したこの言葉。 そう、拳銃式レールガン。 あれならば彼女の言葉通り、銃弾さえあればそこから必要なエネルギーを供給できる。 使用にあたり、外部依存しないという安定性はある。 『使っていいのか?』 だが、仮にも開発中の商品である。 いくらなんでも、いきなりOKなんてそんなことは 「OK」 あった。 『いいの!? 流石にいいのそれは!?』 「なに、子供の友達が困ってるのを突っぱねる必要が今更あるのかい? それに、僕こそこんな間近で……ベルフェリオンだっけ? それを見られるのもありがたいよ。 君達なら漏らさないだろうし、おあいこってことで」 確かに、こんなチャンスなど滅多にないだろう。それはお互い様。 呑気に笑うその男を見て、それで納得するのならと、総一は手を伸ばし、拳銃を掴む。 見た目に違わず、サイズに反し、心地よい重さが掌に返る。 銃弾を装填し、まっすぐに構え、標的に狙いをつけ、そのトリガーを――― 「あいでででででで」 「やっぱすぐには無理ね、この調子じゃ」 苦痛に悶える総一の包帯を巻き直しながら、春緋が溜息をつく。 あの一撃を放った時、強烈な反動が治りきっていない腕を襲ったのだ。 銃というものを理解してない結果がこれ。お前調子ぶっこきすぎた結果だよ? 「……それにしても親父。何だこの威力は」 誠二は目標の的を見上げていた。 それは中心部から吹き飛び、ぽっきりと折れていた。 素材がBMMの装甲と同じであるため、ある程度以上の強度はあるはずなのだが、 それを此処まで打ち砕くのはレールガンの恐ろしさだろうか。 「総じて高反動・高威力。フルオート機能は諦めるしかないね。 問題は弾の補給なんだけど……腕部ハードポイント潰すからなあ」 そう悩む父親に、溜息の絶えない誠二。 「ぁー……悪い、壊しちまって」 「いや、いい。あの威力があるなら、どうせ試験で同じことになる」 平謝りする総一に、誠二は返す。別段、今回のことを悪く思ってはいないらしい。 「それより、お前は戦い方を考えたほうがいい。 素手でもちゃんとした戦術・戦法がないと、勝てるものも勝てないからな」 誠二の言葉が突き刺さる。 誰より分かっているのは自分。このままベルフェリオンの戦いに勝つことなど、望めない。 そして―――パールは今日一日だけで、固まったり、何かを呟いていたりが多すぎる。 彼女に何が起こり、何が必要なのか、今はわからない。 ただひとつ言えるのは。 全くの手探りで、自分と彼女、二人分のこれからを探さなくてはならないこと。 「ほーら、動かない!」 包帯がきつく巻かれるのを感じ、まずはこれを治してからか……と、ぼんやり思う。 そうして、日常は過ぎていく。 どこか外れた日常を。 桜華絢爛ベルフェリオン・SSに戻る next back
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龍姫 ルーフェリア コスト 15 レベル 1 MAX 進化元 龍人 ルーフェリア (B+) 進 化 素 材 木漏れ日の神樹 (樹A+) 躍動のフレイフラウ (フラウB+) ランク A HP 594 1,264 進化先 炎山の龍姫 ルーフェリア (A) オヤブンヒタヌキ (タヌキB+) ヒノキノ・ルーキー (キノコC+) MAX Lv 50 攻撃 485 1,078 進化費用 150,000 躍動のフレイフラウ (フラウB+) 火石のロシェ (ロシェC+) No.0297 Aスキル ハードラッシュ++ 敵単体へのダメージ中アップ 売却価格 12,300 躍動のフレイフラウ (フラウB+) - 編集 Sスキル 紅炎の魔術 (6) 敵全体へ火属性の中ダメージ 入手方法 進化 個別データ 備考
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天城総一は焦っていた。 これ以上ないほどに焦っていた。 何もかもを上回るほどの大敵が、目の前の現実である。 こればかりは、JDAだろうと何だろうと勝てるわけがない。 人生最大の難関である。 「どうすりゃいいんだ、これわ」 果たして、彼はこのどうにもならない状況を切り抜けることができるのだろうか。 戦わなければ生き残れないという言葉があるが、彼の場合はむしろ逆だろう。 生き残れなければ戦えない。なんとしっくり来る言葉か―――。 桜華絢爛ベルフェリオン 第三話「騒動、その後で」 エルヴィンという世界。 周囲の世界でも常識を逸した光景が、戦闘後も見られる街。 それはたとえば、踏み砕かれた道路が、 何の手もかけていないのにもとの状態を取り戻し始めていたり。 自動修復―――さすがに今は公共物とその他一部くらいしか存在しないが、 それでも他の常識では考えられない超がつくほどのオーバーテクノロジーである。 状況の復帰が終わり、病院近辺はもとの静けさを取り戻していた。 その中に工事の騒音が入らないのがエルヴィンである。 ……病院自体は難を逃れたものの、部屋はレールガンの直撃を受けたためか、修復に時間がかかる。 処置は終わったので、『手配』が済むまで別の部屋を借りて話をすることとなった。 「で」 ベルフェリオンのダメージは、本人に直接フィードバックされる。 つまり、アフロとの戦いで受けたダメージは彼のものとなった。 脇腹あたりに新たに巻かれた包帯が、戦いの激しさと代償を物語る。 「何がどうなってるのか、知ってる限り全部話してもらおうか?」 この場に居る全員の視線は、一人の青髪の少女に集中していた。 ベルフェリオンの顕現、デバイスという単語、そしてカプセルの中にいた少女と同一人物なのか。 とにかくまずは、彼女から情報を聞き出すのが第一になる。 「わかりましたけど、どうしたんですか? 皆さんそんなに息詰まって」 「お前が緊張感なさすぎんの!」 その状況で当の本人がこれである、総一が全力で突っ込むのも無理はない。 「で、ベルフェリオンとかデバイスって何だ」 呆れ果てながら、一番気になることを聞く。 まず自分の持っているこの力を知らないことには、満足に動くことすらできないだろう。 「デバイスというのは、古来より伝わる秘宝です。 デバイスの持つ人智を超えた力を所有者に与え、 6種すべてを手に入れたときには望む願いをひとつ叶えることができます」 「……で、その古代秘宝ってのは人間なのか?」 「人間型なのは私だけですよ?」 視線は語る。お前みたいなのが複数沸くのは困るな、と。 「で、その6種は光、闇、炎、水、大地、風。こう割り振られているとわかりやすいでしょう?」 「まるでどっかのゲームみたいよね、その割り振り」 口を挟んだのは春緋。椅子の背に腕を乗せて、座っているというよりもたれかかっている。 「属性……ってことか?」 「ぶっちゃけて言えばそうですねー。そんなものとでも思ってくれれば」 「なら、それぞれに相性はあるのか?」 ゲームやら属性やらで想像できたのか、適当にベッドに座っていた誠二が声を挟む。 「んー、一概に相性というのはありませんね。能力的に活かしにくい相手とかはいますが」 「理解に苦しむな、そりゃ」 「簡単なことですよ。たとえば高熱で攻める火の能力には、熱を奪う媒体を持つ水や風が有効とか」 いまいち理解しづらい総一は頭を抱える。 「現象自体は起こせるが、その現象に干渉するのは基本的な法則に従う、ということか」 「そんな感じですね」 誠二の方が理解が早かった。 理科の成績を考え、総一は困ったように声を漏らしながら若干顔を逸らす。 「はいはい、現実は逃げてくれないからねー」 「理科はあんま得意じゃねェんだよ」 それもすぐ春緋に戻され。 あんた全体的にあんま勉強できないでしょ、と言われるとぐうの音も出なかった。 「……あとで該当部分の見直しが必要だな」 「覚悟しとく。それで、お前の属性は?」 とりあえずこの場を適当に流し、総一の視線は再びパールに戻る。 ……。 「……パール?」 無言の時間経過に耐えられず、総一が再び声をかける。 「まさか、この期に及んで応えられないとか、忘れたとか言うなよ?」 「覚えてません」 その瞬間、場の空気が凍りついた。 「待てェェェ!? 覚えてないって何か、属性なしで戦えって!? それでいて素手で戦えと!? 何だそりゃ、速攻で頭打ちってか!?」 「落ち着け」 「オウフ」 硬直を破った総一、しかし暴走しきったため誠二の介入で再び落ち着く。 ばきゃ、とひどい音がしたが気のせいだろう、きっと。 「でも、もとよりないかもしれません。 デバイスが解析されて作られた人造デバイスというのがありまして、私がそれですから」 「……ってことは、人工的に作られたから属性なんてものはないと」 「です」 どうすりゃいいんだ。頭を抱える総一。 何よりこれからベルフェリオンは、拳ひとつで戦い抜かねばならない。 戦いの素人がこんな条件で、しかも属性のついた相手に勝てるのだろうか……? そう考えていると、一つの違和感にたどり着く。 「そういや、あれって何だったんだ。白アフロにとどめさした奴」 白アフロの機体の、バンカーどころか腕までも消失させた左腕。 あれだけが、総一が今までに感じたベルフェリオンの「異質」だった。 「あれはですね。ごく短い時間だけ、相手を『否定』しつくすことができるんです。 否定の結果は消失、触れるもの全てが耐えられず消失します」 「ってことは……どういうことだ?」 「何でもかんでも分解しちゃうってことですね、要するに。 使いすぎると自分も巻き込まれちゃうんで注意してくださいね」 ようやく納得した総一。 しかし、今の彼にはそれ以上、否、それ以外の手札はない。 「強いけど頼りきれないってことかね」 あまりに不完全で、それ以上の手段がない。 後先が非常に不安で、思わず漏れるため息。 「それを考えるのは、相手の戦力を知ってからだ」 総一の思考を遮った一筋の声。 その主は、はちきれんばかりの肉感的な身体をスーツ姿に秘めた女性。 果たして、この美麗な風貌から彼女が百戦錬磨の強者だと一発で理解できる人間はいるのだろうか。 「……広瀬さん」 広瀬涼。彼女の名を知らない者は、エルヴィンには存在しない。 彼女こそが無敗の『弁護士』、逆転に愛されし者。 この弁護士という仕事の中身は、通常考えうるそれとは違うものの、人を守ってきたことに代わりはない。 「他に聞きたいことはないのか?」 涼が総一に持ちかけたのは、『自分が聞きたいことを聞け』という一点。 それゆえ保護側の涼と俊暁は、ただ話を聞いている状態であった。 「ああ……今お前が分かっている能力はそれだけなのか?」 「はい」 話はパール中心に戻る。 これ以上、ベルフェリオンとデバイスの利点については聞けないだろう。 そう判断した総一は、話題を切り替えることにした。 「わかった、話を変える。お前は事件のとき、カプセルの中にいたってことで間違いないか? でないと俺とお前の接触機会が他にない」 「はい、あのときに私はマスターの存在を感じました。 マスターの『守りたい』って願いを感じて呼び寄せ、仮契約したんです」 「仮……契約?」 あのときに手を伸ばし、それからの記憶がない。 総一にとって、そこは意識外の話であった。 「はい。今は本契約を済ませたので、ちゃんとした形になったんですが。 マスターは仮契約のあと、自身の『守りたい』という心だけで ロボットたちを相手に戦ったんです」 「成る程、だから意識外ね」 それならば納得がいく。 外で発見されたというのも、暴れに暴れた後倒れていたのが発見されただけだろう。 「で、契約って具体的にどんな状態になったんだ?」 「デバイスと契約をすると、そのデバイスの力を行使できるようになるのは話しましたが。 契約者同士の戦いに敗れた後、力尽きた側はデバイスに魂を飲まれ、封じられてしまいます」 嫌な言葉を聞いた。 実質、封じられたということは人間的に死ぬとほぼ同義。 「そうして残った最後の一人だけが、願いを叶えられるんです」 理解した。天城総一は、この身ひとつで途方もない次元の戦いに呑み込まれていたのだと。 「……だいたい分かった。今思いつくのはこのぐらいだ」 これ以上は、本当に重要なことではない。 今までの話に現実味は皆無だが、ベルフェリオンが実際に現れた今となっては、 信じる以外のことはできない。受け入れるしかない……これが事実なのだ、と。 それを客観的に感じることができるくらいには、まだ天城総一は冷静だった。 「よし。確認するけど、君ら今後予定なくて、天城君は帰宅予定だよな?」 状況を次に進めようとする俊暁の言葉。 しかし、それを聞いていた三人の頭上には?マークが浮かんでいた。 轟―――ッ! 空間を裂くように放たれたのは碧の光条。 長大な砲身から放たれる光は周囲の光景を歪め、 しかしブースターを全力でふかした紅い機体はその光景を読みきっていたのか、 その光の射線上に存在していなかった。 チャージに時間のかかる、取り回しのあまりきかない武器。 特性を理解し、攻め時だと理解した紅い機体がその加速力を活かし突撃。 腕部に装備されているガトリングを撒かれると、碧の機体は自由な身動きがとれず。 もともと後衛で射撃に専念するコンセプトのチューニングが成された機体には、 前衛の消えた状態で接近戦に持ち込まれた瞬間、すでに勝機はうせているも同然だった―――。 『決まったーッ! 「ストラディバリウス」の腕部ショットバンカーが炸裂!』 実況が車内に流れる。 BMMの三型、ストラディバリウスの一撃により勝負が決まった。 このエルヴィンは、ロボットによる戦闘が法廷の結果すら左右する世界。 そして戦闘は娯楽・商業となり、賭博対象にも、各社の宣伝にもなりうる。 戦闘で活躍する会社も、その会社の戦闘で活躍したパーツ類も、 この戦闘によって名を上げることもできる。 細かい取り決めこそあるものの、ロボットは社会の中に組み込まれ、 強いパイロットは花形としてエルヴィンでも有名になる。 「ハルがこの光景見てなくてよかったと本気で思った」 「あいつ、負けたほうに賭けてたからな」 後部座席で様子を見ていた総一と誠二が言葉を漏らす。 現在車は春緋宅で停車中。彼女を迎え、これから総一の家に向かう予定になっている。 しばらくは目の届く位置に居たほうがいい、という俊暁の言葉に、春緋が 「じゃあ一人暮らしなのに部屋が広い総一の家にまとまった方がいいんじゃない?」 という一言を重ね、すぐ決定したという。 「確かに今は一人だけどさ……」 「そういえば天城、母さんの容態は?」 「それなりに安定してる。直接会ったりはしなかったが」 と話を重ねている二人の会話が気になったのか、運転席の俊暁が会話に割り入る。 「総一君。一人暮らしって言ってたよな、父さんはどうしたんだ?」 「いねェ」 その話になった途端、機嫌を損ねたようにそっぽを向く。 「俺ァ母さん方について、母さんが病気したから一人暮らし」 「ああ……悪かった」 俊暁は理解と共に後悔した。 親の離婚。総一も例外ではなく、人によっては触れたくない部分なのだろう。 「だから生活費もバイト。落ち着いたら連絡しなきゃなんねェ」 最近こればっかりなため息が、また総一から漏れる。なるほどな、と頷く俊暁。 「おまたせーっ。色々持ってきたから遅くなっちゃった」 バッグに入りきらない荷物を抱えて、春緋が車に戻ってくる。 「お前、ガキのお泊りじゃあるまいし。そんなごっちゃに荷物持ってこなくてもいいだろ」 「なによ、文句言うわけ? あたしらに合う女物とかあんたの家にないでしょ、 むしろあったら引くわよ」 そして春緋が席に座ると、総一が押しつぶされかねない位置にいた。 荷物を抱えた二人に挟まれているせいで。 「あードチクショウ」 仕方ない。 俊暁は運転手で、助手席の涼は普段の彼女に似つかない緩みきった寝顔で大爆睡をこいている。 ちなみにパールといえば、彼の腕にかけられているブレスレットの姿になっている。 窮屈だから嫌だとは言っていたが、車の都合でやむなくこの姿に戻っているらしい。 これがデバイスとしての本来の姿らしい。 ずっとこの姿になっていれば……と思う総一だった。 車は走り出す。目指すは総一宅。 「……それと、君たちには知ってもらいたいことがあるんだ。あの組織のことで」 日が傾き、朱に染まりかけた空の下で。運転しながら、俊暁が三人に声をかける。 「組織?」 「ああ。君たちを襲った集団は、俺たちが追っていた組織の一部だってことがわかっている」 「ってことは、そいつらはデバイスに関する何かを握ってるってことスか?」 となると、非常にまずい。 総一の懸念どおり、俊暁はその言葉に頷いた。 自身のデバイスは属性ももたず、能力も不完全な模造品であれば、 もとのデバイスを持っている組織に対抗することは大変なものになる。 「ジャンヌダルク。最近このエルヴィンで暴れていることがわかった、大きな犯罪組織だ。 これは秘匿情報なんだが、被害者でこれからもターゲットにされそうな君達には 話しておく必要がある。他言は禁止な」 聞いたことのない単語……。三人ともに頷いて返す。 「資料を調べているうちにわかったことなんだが、ジャンヌダルクは拉致した人間を洗脳し、 自身の手駒にして操っていたらしい」 一歩間違えば自分達も……。息を呑む総一。 そして手駒として使うという理由なら、あの場にデバイスがあってもおかしいものではない。 状況は納得できた。 「で、他の情報は?」 「いや、それが警察のほうでも掴みきれてなくてね。今回が最初の情報さ。 まったく厄介なことしでかしてくれるよ」 春緋の言葉に俊暁が返す。 本当に『秘密結社』とかそういうノリなのだろうか? 勘弁してくれ、と頭を抱える総一……その場に突如鳴り響いた、携帯の音。 天城総一は焦っていた。 これ以上ないほどに焦っていた。 何もかもを上回るほどの大敵が、目の前の現実である。 こればかりは、JDAだろうと何だろうと勝てるわけがない。 人生最大の難関である。 「どうすりゃいいんだ、これわ」 果たして、彼はこのどうにもならない状況を切り抜けることができるのだろうか。 戦わなければ生き残れないという言葉があるが、彼の場合はむしろ逆だろう。 生き残れなければ戦えない。なんとしっくり来る言葉か―――。 携帯の内容は、無断欠勤によるクビ宣告だった。 この傷であればこの先しばらくも働けそうにないのだが、 一つを落としたということは生活もままならなくなるということ。 どうすればいいんだ。苦難が苦難を呼ぶ状況にがんじがらめな総一。 「総一君だったか。少し話してもいいか?」 しかし、案外救いの手は来るものである。 彼の視線が向いた先には、桃色の寝巻きに身を包んだ涼が居た。 時間にして午後6時28分、現在俊暁が残っている材料で夕飯の作成中である。 その間風呂に入れる人間は交代で風呂に入って、女性陣が最初に入ることになっていた。 もちろんパールも風呂に入っている。現在は春緋と二人で占領中。 「何の事スか」 今の彼には、涼の寝巻きから零れる無防備な谷間を気にしている余裕すらない。 それほどまでに今回のクビ宣告は堪えたようだ。 明らかに焦りと不安にかられた総一は、 「単刀直入に言う。金は出すから仕事を手伝って欲しい」 しかし、直後のこのセリフに反応を返すまで、完全に固まりきっていた。 「バイトという形で私のところに来て、実際に仕事を手伝う名目で一緒に行動をしてもらう。 そうすれば君は新しいバイトが見つかり、私達の可能な限り保護も受けられる。 丁度、私も一人でやるにも限界が来ていたところだ。 給料は……後で相談になるが、学費と入院費と生活費は保証できるが、 兼業はしないで一本化をしてもらいたい」 なにこの魅力的な話。 迷うまでもなく、総一はこの話に食いつく。食いつかざるを得なかった。 「いただきまーす」 そして食卓。 テレビもつけて、完全に団欒モードに入っている周囲の中で、 こいつら本当に状況わかってんのか、と内心思いながらもベーコンに箸を伸ばす総一がいた。 チャンネルは先ほどの戦闘を報道するニュースで持ち上がっている。 「そういえば、春緋さんでしたか?」 「ん、何?」 またパールが何か話そうとしている。 どうでもいいか、とスープを口にする―――それが間違いだった。 「明日休みなら、服とか下着とか選んでくれませんか?」 吹いた。そしてむせた。 「ほら水」 誠二は本当に空気の読めるお人。 出された水を飲み干し、とりあえず落ち着いた総一。 「あのなあ!? 今食事中、それをさっ引いても男らのいる中でそーゆー話するんじゃねェよ!」 「だって現実問題ですし」 「空気っての読める!?」 「からけ、とは読みませんよ?」 「ちげええええええええ」 パールには一般常識がなかった。誰もが理解するには、このやりとりで十分すぎた。 「……で、何であたし?」 「サイズが一番近そうだからです」 確かに、彼女の戦闘力―――と書いてスリーサイズと読む―――は春緋と近そうだが。 「でも春緋ちゃんの方が少し薄くn」 俊暁の顔面に飛ぶ水平チョップ。 広瀬涼、女として無言の制裁。だくだくと流れる鼻血は、誠二の出したティッシュで拭う。 「だってこれから、マスターの家に住むんですから。服くらい持ってないと大変でしょう?」 誰もが思考から外していた問題が、この瞬間浮き彫りになる。 総一とパールは契約関係にあり、状況的に引き剥がせない状態にある。 それ即ち、パールが天城宅にお世話になることであり。 「な……なんてこったい」 真っ青になる総一。 無理もない、いっぱしの青少年には、傍から黙って見れば美のつきそうな少女との同棲生活。 彼にとっては拷問になりかねないだろう。 誠二は頭を抱え、春緋は「あ……あ……?」となにやら赤くなり、 俊暁は妬ましいとばかりに本心が総一とパールに視線を投げる。 「あ、じゃあお肉いただきますね」 三者三様のリアクションの中、パールは状況を理解しきっていない。 それどころか、この状況で他人のおかずを奪いに行くとはなんという。 ……異様な空気の中、それまで試算をしていた涼が一言。 「4万くらい追加したほうがいいか」 「お願いします」 その言葉に土下座までしながら応える総一。 瞬間、三人の気持ちは一つになった。 「「「そっちかい!!」」」 天城総一、色より金の男。これでも苦学生です。 夜も深くなり、とりあえず一通りの警戒はしながら休息をとることになった。 二階建ての一軒家、一人暮らしにはいささか広すぎるそこに、 今日は久方ぶりに人で埋まることになった。 月に照らされる誓約書。仮ではあるが、これで総一は金銭難を乗り越えることができるのだろう。 あとはこの傷さえ治れば……。痛みが教えてくれる、今までのことは真実だと。 部屋でひとり、本当に疲れた、とため息をつく総一。 さすがに部屋にベッドは一つ、パールと一緒に寝るわけにもいかず、 怪我人でかつ家主のような立場の人間を地べたに寝かせるわけにもいかなかったので、 パールは涼に預け一人で寝ることとなった。 窓からは月がよく見える。今宵の月は満ちて、冬晴れの空がよく光を通す。 静かな世界に、ふとノックの音が、こん、こん。 「誰だ?」 「あたし」 入っていいとも言ってないのに、勝手に開けて入ってきた。 もはやプライバシーというものはないのだろうか。 「凸か」 その顔面に枕が直撃する。 「言わないでって、それは」 髪型の都合上おでこが露出してしまうのは仕方ない。 生え際を心配するような広さでもないのだが、やっぱり女の子が言われると傷つくのだろうか。 「で、男の部屋に入り込んでどうした、ハル」 枕投げをしに来たという訳でもないだろう。顔を抑えながら、苛立たしげに聞く。 「寝れないのよ」 「寝ろ」 「寝れないから来たんでしょ」 「気合で寝れ」 「寝れないって言ってんのよ馬鹿」 「寝れ」 話が進展しない。 一人は寂しいと感じる時はあっても、一人になりたい時だってある。 「だって、寝れないの総一のせいだし」 「俺の?」 心当たりがない。春緋に何かしたのだろうか? 不意をつかれた総一のベッドに、黙って潜り込む春緋。 「おま」 固まる。 遠慮なく、その柔らかな肉体が、若干少ないものの二つの膨らみが、総一に押し付けられる。 流石に固まらない男がいたら聞きたいくらいだ。 「無理しすぎ。事件のたびそんなボロボロになってたら、いつか死んじゃうじゃない。 あたしは嫌、みんながいるのに総一だけいないなんて嫌だから。 だから、総一が一緒じゃないと寝らんないの」 理屈を並べながら、きゅ、と腕を抱いて眠りそうな春緋。 ばーか、そう簡単に死ねっかよ。 夜闇に言葉を響かせながら、その額を撫でて。 しかし、天城総一は知らなかった。 藍澤春緋という人間のことを、『そこ』までは。 闇の中、火が灯る電子画面。 そこに映っているのは天城総一、その詳細データベース。 「……これか」 男は、笑う。それは、哂っているのかもしれない。 「泳がせておくか。私の願望を叶えるために、この男が選ばれたのだ」 闇に、声は響く。 低く、重たく、その声は闇に相応しく響いていた。 ベルフェリオンは『がんぼうき』。望みを叶える『がんぼうき』。 ベルフェリオンは、ひとつではない。 4話予告 総一「(太鼓打ちまくる)」 春緋「(ギター弾きまくる)」 パール「(トランペット吹きまくる)」 誠二「おい、次回予告しろよ」 総一「特訓って言われてたからさ」 誠二「こんな時までやるんじゃない。藍澤とパールは関係ないだろ」 春緋「ばーれーたーかー」 パール「ぇー」 涼「……この調子で次回予告任せられるのか?」 総一「何、気にすることはない。 次回、桜華絢爛ベルフェリオン『鍛える冬』」 涼「グラウンド30周追加」 総一「いきなり!? てかグラウンドってどこに」 涼「50周だ」 総一「ありえん(驚)」 桜華絢爛ベルフェリオン・SSに戻る next back