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緑神龍アースガルド R 自然文明 (10) クリーチャー:アース・ドラゴン 6000 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のマナゾーンから好きな枚数のカードを選び、自分の墓地に置く。その後、こうして墓地に置いたカードの枚数まで相手のマナゾーンからカードを選び、持ち主の墓地に置く。 ■W・ブレイカー 作者:焼きナスオ 天変⇒ミルドガルムス⇒ザールベルグの流れの、更に次のカード・・・と考えてみた。マナ差にモノを言わせて相手のマナをすっからかんにしてやろうと言った戦略。 企画用のオリカだったが、後に焼きナスオの作成エキスパンションに収録された。 2012-05-03変更:cip天変2連発効果から変更。10マナらしく派手なランデス効果に。 フレーバーテキスト 【企画】3大アイデアグランプリ、DMA-07その一歩は幾多もの大陸を沈め、その咆哮は幾多もの海を干上がらせた。 収録 【企画】3大アイデアグランプリ DMA-07「アナザーエピソード2 リベリオン・ステイト」18/55 評価 名前 コメント
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はじめてのアスガル語・その6 ハク : こんにちは~。アスガル語講座、第6回目だよ。今回は代名詞の残り6個についてから始まりま~す。 リア : うむ、6個というのはつまりyi ci þi ji xi waだな。すでに出たku pu tiを含めて表にしたものがこれだ。もっとも和訳、英訳は便宜上の物に過ぎず、かなり適当だぞ。 和訳 英訳 アスガル語 これ this ku それ that pu あれ that ti これ it yi それ it ci それ one þi ~自身 oneself ji とある~ certain xi 何か someone wa ハク : 一番気になるのは、yiが「これ」でitってあたりかな。これだけだとちょっと意味がわからないよ。 リア : このyiは、itthat構文のitとよく似た用法だ。一言でまとめると「自分しか理解していない(が相手にも了解しておいて欲しい)事」だな。平たく言えば「未出の話題」を指す言葉だ。 ハク : ああ、和訳が「これ」になっているのはそういうことか。「『これ』はここだけの話なんだけど、~」みたいな使い方をイメージすればいいのかな? リア : そういうことだな。日本語では同じ「これ」でも、アスガル語でそういう場合にkuを用いると既出の話題と誤解されるので注意する必要がある。 ハク : あとは、「それ」が3つもあるのも注意点かな? リア : ciとþi、および先程のpuは日本語では全て「それ」になるが、英語ではit one thatに分かれる。英語での使い方を念頭に置いておけば間違える心配は無かろう。 ハク : 「とある~」と「何か」って、両方とも何だかよく判らない物を指す言葉だと思うんだけど、二種類に分かれてるってことはやっぱり使い方が違うの? リア : 全然違う。xiの場合、それが何であるか自体ははっきりしている。それを話し手が知っているかどうかはともかくとして、誰かしらちゃんと知っている者はいるわけだ。伝聞でもない限り、普通は話し手も知っているだろう。その一方waの場合だと、基本的には誰も知らないわけだ。 ハク : なるほど、そういうことだったんだね。それでえ~っと、これで代名詞については終わりかな? リア : 最後に一つだけ、再帰代名詞の用法について補足しておこう。これは実際に文中で用いる際に例外的な処理をする場合がある。 ハク : 再帰代名詞って、つまりjiのことだよね? 「~自身」って書いてあるし。 リア : そうだ。再帰代名詞のjiは対格、つまり「~を」という意味で用いる際にjeという形に変化する。具体的にはJa la vët je naëc.(私は自分自身を海に運ぶ)といった具合だ。 ハク : まず一つ、naëcの前に「~に」にあたる言葉が入ってないけどそれでいいの? それから、それって自動詞にしてJa þe vët naëc.(私は海に移動する)って言っても同じ意味じゃないの? リア : まず前者について答えるが、それは全く問題無い。jeはjiの対格形であると同時に与格標識viと同じ働きも兼ね備える。つまりjeはri ji viの略だと思っておいて構わない。 ハク : なるほど~。jeひとつで「自分を~に」っていう意味になるのか。これは便利だね。それじゃあ、自動詞文との意味の違いは? リア : 主語の意思の有無だ。アスガル語の他動詞は「そうしようと思ってそうする」というニュアンスを含む。Ja þe vët naëc.と言っても基本的には同じ意味であるのにあえてJa la vët je naëc.と言うのは「私は『自分の意思で』海に移動する」という意味合いを持たせる為だ。 ハク : え~っと、ということは、Ja þe vët naëc.だと「私は『自分の意思とは関係無く』海に移動する」って感じの意味になるのかな? リア : ならない。他動詞は「主語の意思による行動」を表し、自動詞は「主語の意思によらないか、あるいはそもそも主語の意思の有無が問題とされない場合の行動」を表すと覚えておけ。 ハク : そうか~。じゃあこの場合、実は本人が自分の意思で移動してるのかもしれないわけだね。 リア : そういうことだな。さてと、意外と代名詞についての解説が長くなってしまったな。名詞の単複については次回に回すとするか? ハク : さんせ~い。一度に教えられても頭に入らないもんね。 リア : よし、それでは今回はこれで終わりだ。次回まで復習を怠らないように。 次回の講座は名詞の単複についてだが、元々この講座の後半に予定していたものなのでかなり短くなるだろう。 以上、解散。 ハク : (ほんとに短くなるのかなぁ…… 先生って意外と先の見通しが甘いみたいだって段々わかってきたような……) それじゃ~みんな、次回の授業を楽しみにねっ! リア : Þa lut.
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第一章 エピローグ ある日帰宅しログインすると俺は愕然とした・・・ 運営によりアスガルドのサービス終了の告知が発表されていた。 残された時間は一カ月。いつかはこの時が来るだろうと覚悟していたつもりだった。 だが、いざそれに直面するとなんとも言えないような気持ちになるものだった。 その日は全員、狩りに行こうと言い出す人もいなければクエストをやる人もいなかった。 ただただアジトで適当に駄弁り、だれもサービス終了の文字を発することはなかった。 皆口にすると焦燥感や虚無感が襲いかかってくることを悟っていたようだ。 いつもはほっしゅやほしゅがるどで埋まるスレも雑談や冗談で埋まっている。 残された最後の一カ月を全力で楽しもうというギルドメンバーのそれは俺を余計に空しくさせた。 一か月と言ってもまだまだ時間はたっぷりある 最後の一週間になるまでは今まで通り狩りやクエストに没頭した VIPで集められたといっても俺たちの絆は確実に結ばれていた のこり一週間を切った日に重い口を開いた者がいた 「とうとう残り一週間だ、寂しくなるけど本当に楽しい時間が過ごせたよ、ありがとう」 誰もが口にしなかった別れの言の葉を 終わりの再認識を 虚無感へのスタートテープを切ってしまった 皆が皆、塞き止めていた何かが崩壊したかのように寂しさや哀しさを吐き出した 皆が語る思い出は、もう二度と再現のきかないものだ 家庭用ゲーム機のゲームじゃない、携帯用ゲームでもない ネトゲのサービス終了というものは全てが無に帰る 長い人生の中で二度とプレイできない、何物にも代えがたいものなんだ 「わざわざサービス終了を待つ必要はない。今日でクリアする。じゃあな」 そう言ってクリアして行く人を引き留める手段ももう持ちあわせていない 俺はただただ元気でな。と言って見送ることしかできなかった これだけ長い時間を一緒に過ごしたんだ くだらないダジャレで盛り上がったりもした 全壊PTも経験したし誰かの欲しいアイテムをみんなで取りに行ったりもした なんでそんなに簡単に離れてゆけるのだ? 俺には理解できなかった 日に日にギルドリストに光る文字が少なくなっていく それに気が付いてしまう度に胸のどこかがズキズキと痛んだ 賑わっていたアジトには5,6人の姿 市場に店を出している人間は2人 F2の最終書き込みは2週間前だ 最後の時間を意識して生活しいよいよ最後の日がやってくることとなる 日本時間のAM0:00に切り替わった瞬間、すべてのサーバーが落ちるとの事らしい 最終日、俺は仕事を休むことにした 朝起きてログインすると残りのメンバーも仕事を休んだのか アジトで雑談をしていた 俺もその雑談にまじろう!と思いキーボードに手を載せる その刹那、急激な腹痛に襲われた おそらく寝る前に食べたヨーグルトのせいだろう・・・ お腹が痛くなる原因は、牛乳に含まれる「乳糖」と言うたんぱく質だ わたし達が食べた物は、体内で消化・吸収される 吸収とは、食べた物の栄養素を体中に取り込む事で、消化とは、食べた物を化学的に分解し、吸収しやすくする事だ そして食べた物を消化するにあたり活躍するのが、消化酵素と呼ばれる物質で 先ほどの乳糖の分解を担当するのは、ラクターゼと呼ばれる消化酵素だ ラクターゼは小腸の中で、乳糖を2つ(ぶどう糖とガラクトース)に分解する 小腸は、ぶどう糖とガラクトースなら吸収できるのですが、乳糖のままでは吸収不可能なのだ そのため、分解されなかった乳糖は、吸収されずに大腸へ流れていってしまうんだ ここからが、腹痛の本番。 大腸に流れ込んだ乳糖は、大腸内の細菌によって、様々な酸やガスに分解さる このガスが大腸内に充満すると、お腹が張ったり、ガスが腸内を移動する事で音が出たりし、 酸は大腸の壁を刺激する事で、腹痛を引き起こす また、分解されなかった乳糖は、大腸が食べ物から水分を吸収するのを妨害するんだ 水分が吸収されなかった食べ物は、そのまま水っぽい便となってしまう 以上をまとめると、牛乳で腹痛になる原因は、 「牛乳に含まれる乳糖が分解されず大腸に行く事で、酸に変化し、大腸を刺激するから」 下痢になる原因は「大腸内でも分解されなかった乳糖が、水分を吸収するのを妨害するから」となる ところで、「小さい頃は平気だった」と言う人も大勢いるし、事実、赤ん坊の頃は母乳で育つ では、何故成長につれて牛乳に弱くなるのか? 乳糖を分解する消化酵素は、ラクターゼ。 そのラクターゼは、人間の成長とともにその数を減らし、14~15歳で、0歳の時の約10%にまで減り、 成人になると限りなく少なくなってしまう。 そのため、成長とともに牛乳に弱くなってしまうという理屈だ 実を言うと、全世界の約8割の人が、牛乳に弱い体質(乳糖不耐症)を持っている。 ただ、その症状に個人差があるため、牛乳が原因だとはっきりわかる人は少ないのだ。 何故ラクターゼの数が成長とともに少なくなるのかは、はっきりしたことはわかっていないが、 一説には、「離乳しやすいから」と言われている。 乳糖は、牛だけでなく、人間を含む全哺乳類の母乳に含まれている ラクターゼが少なければ、乳糖を含む母乳を飲んだ後、腹痛を覚える それを繰り返すうち、赤ん坊(その頃には、赤ん坊とは言えないが…)は自然と離乳する だから、ラクターゼが少なくなるのではないか…と考えられているのが結論だ それでも牛乳を飲みたい方は、「乳糖分解牛乳」などと書かれた牛乳をお飲みください そんな事を考えていると腹痛はピークに達し 俺は床の上でのたうちまわった 這う力も無く、立つこともできず、トイレにもいけない 俺が糞尿まみれになるのは当然の結果だった 仲間と過ごす最後の一日、俺はトイレに行く時間すらも惜しくてアスガルドをした 糞尿まみれ?それがなんだ 俺は「今」俺の守りたいものを守る、信念を貫き通すんだ 寂しさの中でもやはり空腹は妨げられない 俺は糞尿を食ってやった それだけ大切な絆がそこには存在するから・・・ トイレも食事も、全てを差し置いて仲間と全力で笑い転げた 糞尿まみれだっていいじゃないか のどの渇きを尿でしのいでもいいじゃないか 俺はギルドメンバーにその状況を正直に話した 考えることは皆同じだった。皆食事も排便もすべてを投げ出してアスガルドをしていたんだ はっはっはと笑いあい 糞尿まみれの俺達は最後の時間を迎えた みんなでカウントダウンをした そして―――― ――――――10年後―――――――― チュンチュン、チュンチュンチュン 嫁「あなたー御飯よー」 俺は眠い目を擦り食卓に付く 適当に朝食を済ませて、5年前に立ち上げた会社の事務所へ出社する A「社長、おはようございます」 俺「おう、おはよう。そういえば、今日だったよな」 A「はい、順調にテストサーバーを公開できました!」 俺「よくやった。俺たちの開発したアサッテガルドは10年前のゲームを モチーフに作っている。レトロゲームとしてのヒットを狙うんだぞ」 A「はい!がんばって人口を集めましょうね!」 俺はすがすがしい気分だった。 事務所のパソコンを立ち上げVIPを開く そして俺は1つのスレを立てた 「VIPでアサッテガルドinテストサーバー」 俺の名前ははジョウノウチ君、うんこだいすき、ばななうんちパクパクモグモグ ――――――20年後―――――――― 俺「A,とうとう俺たちのアサッテガルドもゲーム人口20億人突破したな」 A「うんこ」 俺「ブリブリニュキュル、ビチビッチブチチブリン」 A「もぐもぐ」 俺「おいしいうんちおいしい!!!!!」 fin
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はじめてのアスガル語・その4 リア : Þe ßeh juv. Yo taut ßu ok qu? 教師役のリアンチリャインプだ。 ハク : みなさんこんにちは~。生徒役の、可憐な男の娘ハクトです。 このアスガル語講座も四回目まで来たね~。では先生、今日のテーマは何ですか? リア : 今日は、いわゆるBe動詞について教える。これは、今までの講座で出て来た「前置詞+名詞」という形のものとは違い、単語一つだけで成り立つ動詞だ。 ハク : Be動詞かぁ。そういえばまだだったね~。 リア : 具体例を挙げていこう。例えば「これは兎です」はKu ßa laïp.となる。 ハク : laïpは兎だね、前にも出てきたよ。アスガル語は主語が最初に来るから、kuが「これ」で、ßaがBe動詞かな? リア : そうだ、ßaがBe動詞にあたる。Ku ßa ket.ならば「これは猫です」だな。 ハク : ketのところに形容詞は来れるの? リア : その場合はßaではなくßuになるな。Ku ßu vuh.で「これは大きいです」といった具合だ。英語では一つのBe動詞で広い範囲をまかなうが、アスガル語では場合によって複数の動詞を使い分ける。 ハク : 名詞か形容詞かで形がかわってくるのかぁ。めんどうだな~。 リア : 逆に考えるんだ、そのおかげで名詞形と形容詞形が違う語がアスガル語には無いんだと。だからむしろ、楽をする為にある規則だと言えるのではないか? それにある程度言語に習熟してくると、意味の広い語の方が余程面倒に感じるようになる。 ハク : ものは言いようって気もするけど…… (- -; まあいいや。え~っと、他にもそういうバリエーションはあるの? リア : アスガル語で「その単語だけで動詞」となる物は全部で五つ。具体的にはßa、ßu、ke、te、tuだな。 ハク : 英語だと同じBe動詞なのに、5つも!? っていうか、Be動詞の意味にそんなに色々とあったかなぁ……? リア : 説明の便宜上「Be動詞」という語を例えに使っているが、これら5つの語の守備範囲を合わせたものと、英語のBe動詞の守備範囲が同じであるわけではない。単に5つの重要単語を覚えるつもりでいれば構うまい。どれもそれほど複雑な用法ではないし、すぐに覚えられるだろう。 ハク : まぁそうだね、まずは具体的な使い方を聞かないと。ええっと、ßaとßuはわかったから、その次のkeっていう動詞の使い方から教えてよ。 リア : keは「いる、ある」を表わす動詞だ。例えばFe ke mais.で「彼女は家にいます」となる。 ハク : 「彼女」がfeで、「家」がmaisか。そして「~が…にいる」が~ ke …と。これって英語にするとShe is at home.とかそんな感じだよねぇ。なるほど、たしかにこれもBe動詞だ。って、あれ? このatを訳した言葉はいらないの? リア : 要らない。ke ~だけで「~(という場所)にいる」という意味を含んでいるからな。 ちなみに、このatのように場所を表わす前置詞をアスガル語ではböという。今は覚えておく必要は無いが。 ハク : ke ~で「~にいる」と。うん、覚えたよ。じゃあtuっていうのは? リア : tuは英語的な感覚ではBe動詞と呼びづらい面があるな。日本語の「~は…です」と訳す分には問題無いんだが。 ハク : んみゅみゅ~? どういうこと? リア : そうだな、例えば何人かで食堂に出掛けたとしよう。そこに知人が現れ、何を頼んだのかを聞かれた。ハクトは「僕はウナギだよ」と答えた。……どうだ、何か不自然な点はあるか? ハク : 不自然な点? 別にどこにも無いと思うけど…… リア : ではその知人が英国人だったとしよう。ハクトは先程と同じ流れでI m an eel.と答えた。これならどうだ? ハク : それは明らかに変だよ~。だって僕、ウナギじゃないもん。 リア : ほほう、どうしてだね? 先程は「僕はウナギだよ」という台詞は不自然ではないと言ったではないか。 (・∀・) ニヤニヤ ハク : え、え~とそれは…… う~ん、よくわかんないけど、日本語と英語は違うの! それでいいじゃない。 リア : ふむ、まあ確かにこの際、理由はどうでも良いな。問題は「違う」という事をちゃんと認識出来ているか否かだ。 ハク : あ、そうか…… ひょっとして、そういうこと? リア : その通りだ。tuはこのように、日本語の「~は…です」とは訳せるが英語のBe動詞では訳せない場合に用いる。例えば先程の「僕はウナギだよ」はJa tu quih.となる。 ハク : jaが「私」で、quihが「ウナギ」だね。そして、「Ja tu quih.=私はウナギです」ではあるけれど、「Ja tu quih.=I m an eel.」ではない、と。 リア : そういう事だ。こういう文を「ウナギ文」と呼ぶ。私が勝手に名付けたわけではないぞ。 ハク : へぇ、ホントにそんな名前がついてるんだ。面白いねぇ、後でグー●グル先生にきいてみようっと。 さ~て、じゃあ残ったのはteかな。いよいよこれで最後だねぇ。 リア : これも英語のBe動詞では訳せない語だな。むしろ代動詞のDoに近いかもしれん。具体的には「前述の動詞を受けて同じ内容を示す動詞」だ。日本語に訳す場合は「そうする」あたりが近いかな。 ハク : じゃあ、例えば誰かの「私は海に行く」という台詞に続けて「僕も」っていう場合はJa te.だけでよかったりするの? リア : そうだな。Ja þe vët naëc.に続けてJa te.と言ったとした場合、teが直前のþe vët naëc(=海に移動する)を受けたと解釈すれば、それだけで充分に通じる。 ハク : すると、英語だとどっちかっていうとMe too.みたいに訳した方がいいのかな? こっちは動詞じゃなくて副詞だけど。 リア : 状況によるが、そういう場合も少なくはなかろう。だがそうだな、具体的な使い方は、一通り基本的な文法を済ませてからまた教えるとしようか。今回はこのあたりで講座を終えておこう。 ハク : わかりました~。お疲れさま。 リア : それでは諸君、次回の講座までに怠らず復習を済ませておくように。 以上、解散。 ハク : それじゃーまたね~、バイバ~イ! リア : Þa lut. Ju þa koetceov.
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はじめてのアスガル語・その5 ハク : みなさん、こんにちは~。アスガル語講座、第5回目だよ。僕は毎度おなじみ、生徒役の稲葉ハクトです。 リア : 教師役のリアンチリャインプだ。今回の講座は代名詞についてだ。 ハク : 「私」とか「あなた」とか「これ」とか「あれ」とかだね。 リア : 「私、彼女、これ」は出てきた事があるな、覚えているか? どちらにせよ改めて教えるのでどちらでもよいが。 ハク : 「私」がjaで「彼女」がfe、そして「これ」がkuじゃなかったかな? リア : 正解だ、意外に大したものだな。残りもこの調子でいくぞ。 ハク : よーし、サクサクいくよ~。まず生きていないものは何ていうの? つまり、「これ、それ、あれ」ってやつ。 リア : 「これ」はkuで、「それ」はpu、そして「あれ」はtiだ。 ハク : 「これ、それ、あれ」がkuputiか。うん、覚えた。 じゃあ生きてるのは? 「あなた」とか「彼」とか。 リア : 「私」はja、「貴方」はye、「彼女」はfe、「彼」はme、そして「その人」がheだ。heは男性でも女性でもないか、あるいは逆に男性でも女性でもあり得る場合に使う。 ハク : he (アスガル語)って英語だとわざわざhe or sheとか面倒な形にしてるのを見るよね。昔は全部he (英語)にしてしまってたんでしょ? リア : (今のハクトの台詞、耳で聞く分にはともかく字に起こすとかなり紛らわしくなるだろうな……) 性別が無ければitを使えば良かろうと私などは思うのだが、やはり英米人の感覚では人にitは違和感があるのかな? まあどうでも良いが。 ハク : それで、これってImymemineとかweourusoursみたいな変化は無いの? リア : ある。ただしIとme、myとmineはそれぞれ同じ形だ。とりあえず単数形に絞って話を進めるが、変化の仕方も拍子抜けするくらい簡単だぞ。 Iとmeがjaなのは先程教えた通りだが、これをmy及びmineにするには母音に字上符を付ける。つまりjäとなる。「これ、それ、あれ、私、貴方、彼女、その人、彼」全てが同じ要領だ。 ハク : ってことはjäyëfëhëmëだね。これは楽でいいや。 リア : それとküpütïも忘れるな。文字通り「これの、それの、あれの」という意味だが、「この、その、あの」と誤解しないようにな。 では次に、複数形についてだ。アスガル語は英語のように普段から単複を意識する言語ではないが、jayefehemeだけは例外的に単数と決まっている。 ハク : jayefehemeだけってことは、Iとweは区別するけどthisとtheseは同じ形ってことだね。 リア : そういう事だ。必要があればkuputiも単複を明示する事は出来るが、それについては次回の講座で教えよう。 さて、それでは一気に行くぞ。jaの複数形はjoとju、yeの複数形はyo、feとheとmeの複数形はhuだ。 ハク : fehemeの複数形が共通してhuなのは、英語のhesheとtheyの関係と同じだと考えれば解かるんだけど、joとjuの違いは何なの? リア : joは「貴方」を含まない「我々」、juは「貴方」を含む「我々」だ。 ハク : あ、それって「除外」と「包括」ってやつでしょ? どこかで聞いたことある。 リア : ほう、知っているとは思わなかったぞ。だが考えてみれば、インドネシア語のkamiとkitaの区別などで意外と有名かもしれんな。 ハク : ourとかtheirとかにあたるのは、やっぱりjöjüyöhüでいいの? リア : そうだ、その通り。 ハク : よし、覚えたよ。ふぅーっ、代名詞はこれで全部かな? リア : まだ12個しか出ていない。全部で18個あるので、あと6個残っているぞ。 ハク : ふにゅ~、まだそんなにあったの? 脳みそが疲れたよ・・・・・・ リア : そうだな、続きは次回の講座に回そうか? ハク : そうだね、賛成。そうしよう。 リア : そういうわけで、今回はこれで終わりだ。次回の講座は代名詞の続き、及び単数複数についてだ。復習を忘れないように。 以上、解散。 ハク : お疲れさまでした~。 おまけ \ 単数形 複数形 除外 包括 一人称 ja jo ju 二人称 ye yo 三人称 女性 fe hu 中性 he 男性 me
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はじめてのアスガル語・その2 リア : Yo taut¿ Þe ßeh juv. 教師役のリアンチリャインプだ。今回で2回目となるアスガル語講座だが、ハクトは前回の内容をちゃんと覚えているかな? ハク : もちろん。ばっちり覚えてるよ。(年齢ネタは禁物って事も含めてね……) リア : そうか、それは結構。それで、アスガル文字の読み方は身に付いたか? たしか、草書体だけならすぐに使えるようになると言っていたはずだが。 ハク : う~ん、家に帰って復習してみたけど、形がfなのにハ行だったりsなのにシャ行だったりでまだちょっと違和感あるかな。それになんといっても、bがßの形をしててþがbの形をしてるんでどっちがどっちだか判んなくなっちゃうよ。確かに大文字しか知らない子供とかに見せたら、ßの方がよっぼどBの小文字らしい形してるって言いそうだけどさ。 リア : まあそのあたりはおいおい慣れていってもらうしかないな。とは言っても、英語に親しんだ人間が新たにロシア語を学び始める際の混乱に比べれば微々たるものだろう。 ハク : え~と、それで例えば僕の名前はinaßa fakutoって綴るわけだよね。これ、知らないと絶対「いなさ・ふぁくと」って読んじゃうよねぇ…… リア : 「ふぁくと」はともかく「いなさ」はどうかな? ドイツ語の知識が無い者であれば、ßをbの異字体にでも解釈して「いなば」と読みそうな気もするが。 (ところで、ここで一つ講座を見ている諸君に了解しておいてもらいたい事がある。この講座では視覚的な解りやすさを優先してbの代わりにßを、dの代わりにðを使って表示している。他にもCの代わりにÇを使っていくつもりだ。大文字と小文字を別系統の文字で転写するとデータ処理の際に面倒が起こる可能性があるので、本来ならばあまり推奨される方法ではないがな。) ハク : (ええっと、何かあさっての方を向いて妙な思念を送っていたような気がしたんだけど、いったい何だったんだろ……) さ、さてと先生、今回の授業の無いようは何ですか? リア : (今、明らかに「内容」の発音が妙だったが…… まあ言わんとする事は汲み取れたし、余計な突っ込みで流れを止める事もあるまい。) そうだな、今回は語順についてだ。まずは形容詞からいこう。 日本語では「白い兎」というように形容詞が先に来るな。これをアスガル語にするとlaïp sa liäcとなる。「名詞+前置詞+形容詞」だな。このsaは名詞を形容詞に変える前置詞だ。 ハク : 形容詞は前置詞sa付きで後ろに置く、と。「名詞+sa+形容詞」だね。うん、覚えたよ。 リア : もっとも、これは実はliäc laïpといっても同じ意味になるんだがな。この場合は「形容詞+名詞」だ。 ハク : え? ……ええっと、それってどう違うのかな? 何かニュアンスの違いとかあるの? リア : どうも違わない。正確に言うと、微妙な違いはあるが今の段階で覚える必要は無い。とりあえずは、語で修飾する際は前に、句で修飾する際は後ろに形容詞がくるとだけ覚えておけ。 ハク : わかったよ。言ってみれば英語と同じ語順だってことだね。まぁ英語にはsaみたいな前置詞は無いけど。 それで、じゃあ文はどう作るの? リア : 文を作るには動詞が必要なので、まずはその作り方からだな。例えば「照らす」という動詞は「光」を意味する名詞lüpの前にþeを置く事によって作る。þe lüpで「照らす」だ。このþeは名詞を動詞に変える前置詞のようなものだ。 あとは英語と同じだな。例えば「月が兎を照らす」だと、「月+照らす+兎」の順番になる。「主語+動詞+目的語」だ。「月」はyuäfなので、「月が兎を照らす」はYuäf þe lüp laïp.となる。 ハク : へぇ~。動詞も形容詞といっしょで「前置詞+名詞」で作るんだね。それ以外は基本的に英語と同じ感じで、と。 リア : では問題だ。「大きな月が小さな兎を照らす」は何という? 「大きい」はvuh、「小さい」はpitだ。 ハク : 形容詞はそのまま名詞の前に置けばいいから、「大きな月」はvuh yuäfで、「小さな兎」はpit laïpか。 「照らす」はþe lüpという句で、全体の語順は「主語+動詞+目的語」と…… Vuh yuäf þe lüp pit laïp.かな? それからYuäf sa vuh þe lüp laïp sa pit.でもいいんだよね。 リア : その通りだ。別にどちらの言い方でも良いが、普通は短く言える前者を選ぶかな。 しかし、思ったより飲み込みが早いな。この調子だとかなりの速度で講座内容を消化できそうだな。 ハク : えへへ……照れるなぁ。でも、お手柔らかにお願いしますね。 リア : お手柔らかに、か…… そうだな、前向きに検討しよう(お役所言葉的な意味で)。 さて、今回の講座はこのあたりで終わりにしておこう。次回の講座は今回の内容を発展させたものにするつもりなので、特に復習を怠らないように。 以上、解散。 ハク : それじゃ~またねっ。
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スガル(螺蠃) 日本神話に登場する人物。 別名: チイサコベノムラジ (少子部連) チイサコベノスガル (少子部螺蠃)
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はじめてのアスガル語・その7 リア : 今回は手短に進めるぞ。前回は、アスガル語では一部の例外を除き、名詞を見ただけでは単複の区別がつかない、という内容を解説した。 ハク : え~と、じゃあ例えばKu ßa ket.って文は、This is a cat.ともThese are cats.とも訳せるって事だよね。 リア : そういう事だな。だが大丈夫だ。単にketと云うだけでは特定できない名詞の単複を簡単にはっきりさせる方法がある。 ハク : おお~、いよいよ今日のメインディッシュがやってきましたよ~。パチパチパチ。 リア : (いよいよ、と言うほど前振りが長かったとは思えんが……) 単数なら名詞の後ろにnaを添える。複数ならneだ。そして近似複数ならnuだ。つまりket na、ket ne、ket nuという形になる。 ハク : は~い先生、質問です。その近似複数って何ですか? 普通の複数形とはどう違うの? リア : 普通の複数形ket neは「猫がたくさん」、近似複数形ket nuは「猫とか犬とか兎とかがたくさん」という感じだな。 ハク : それは盛りだくさんでお得感がいっぱいだぁ! アニマル・パフェだね!! リア : (………… いや、何も言うまい…… というか、どう突っ込むべきかも判らん……) ……そういう事だな。近似複数形ket nuだと猫以外にも色々と付いてきてお得だ。良かったな、ハクト。 ハク : あにまる、あにまる~。もふもふ~。 (゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚) リア : (…………やれやれ) 少し補足しておくと、英語の複数形は基本的にneの意味しか無いが、日本語の「~達」はneとnu両方の意味を持つ。これは例えば、「山田君達」は普通「山田君と山田君と山田君」という意味ではない事からも解る。 ハク : けもけも~。ふにゅふにゅ~。ぱたぱた~。*・゜゚・* .。..。. *・゜(n‘∀‘)η゚・* .。..。. *・゜゚・* リア : (…………) 単にket nuとある場合、猫そのものは一匹かもしれない点は一応注意しておくべきかもしれない。近似複数形ket nuだけでは「一匹の猫をはじめとする複数の何か」なのか「複数の猫をはじめとする複数の何か」なのかは判らないからな。 ハク : とことこ~。ぴょこぴょこ~。たったか~。 (*´д`*)ハァハァ リア : (……) それでは諸君、今回の講座はこのあたりでお開きにしよう。次回までに復習を忘れないように。 以上、解散。
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第6話:「スリーピング・ダーティー」 土くれのフーケ。そう呼ばれる盗賊がいる。 貴族の所有する秘宝、特に希少なマジックアイテムを好んで狙う怪盗であった。 強力な『固定化』の掛けられた壁や扉をものともせず、それらをことごとく砂や粘土に変えて侵入を果たすやり口がその二つ名の由来である。フーケは『錬金』の使い手なのだった。 フーケの手にかかれば、よほど強力な『固定化』の魔法を施した壁でないかぎり、『錬金』によって障害にはなり得なかった。 忍び込むばかりではない。力任せに屋敷ごと破壊する場合はゴーレムを使役するのだった。その身の丈はおよそ三十メイル。城壁すら破壊可能な巨大な土ゴーレムであった。 そしてこの盗賊は一種義賊的な側面を持ち合わせていた。何よりも、平民を狙わないのだった。 無論、そもそも平民が高価な宝物を所持しているということ自体があり得ぬ話ではあるが、貴族に虐げられる衆民にとって信じる物事は楽しければ楽しいほどよい。彼らにもその程度の自由はあるのだった。 貴族にとっては頭の痛い話である。何よりも体面と面目を重んじる貴族に、『盗賊一人に為す術もなく秘宝を奪われた』という醜聞は致命的なものであった。 平民の喝采と貴族の憎悪を一身に受けたフーケの噂は瞬く間に広がり、今や捕らえれば王国騎士である『シュヴァリエ』の称号を得られるほどの存在になりおおせたのだった。 そして、そのフーケが今狙っているものは、トリステイン魔法学院の宝物庫に収められた『破壊の杖』と呼ばれるマジックアイテムである。 「突破口を開けてくれたのはあのゴーレム。そして邪魔をするのもあのゴーレム、か……」 二つの月の明かりを背に受けて、青く長い髪を揺らしながら呟く人影。学院別館の屋根から送られるその視線は、魔法学院本塔五階にある宝物庫を捕らえて放さなかった。 そこには亀裂がある。ルイズとギーシュの決闘の最後に、アースガルズがその拳を叩き付けた場所であった。アースガルズは強力な『固定化』の施された壁を、その豪腕の物理的な破壊力だけで打ち砕いたのだった。 そしてその亀裂を隠すように、アースガルズは屹立していた。どことなくバツが悪そうな佇まいであった。 手当を受けたあと丸一日眠り込んでいたルイズは起きると同時にアースガルズをこっぴどく叱りつけ、教師による修復がされるまで誰もそこに近づけさせぬように命じたのだった。 フーケとしては痛恨である。今となってはあの一日だけが好機であった。 無論、その日には学園に潜り込んでいるフーケにも雑事――他ならぬ決闘の後始末――があったのだが、お宝さえ手に入ったあとは存在が露見しようがどうでもよいはずであった。 鈍ったか、とフーケは己を哂った。 他愛ない喧騒。取るに足らない確執。穏やかな時間。当たり前の朝。緩やかな昼。次の目覚めが約束された夜。 それら全ては、フーケという存在から縁遠いものでだった。 もしかすると、フーケはただただ『チャンスを待つ』時間が過ぎることを望んでいたのかもしれなかった。 ここでは安定した給金が受け取れた。 警吏に脅える事のない生活が送れた。 時期ではない、時期ではないと言い聞かせながら、フーケ己がこの学園に順応していくことを感じていた。 それは恐怖であり、同時に心地良さをもたらすものであったのは確かだ。 地下に巣食う全ての者がそうであるように、フーケもまた人として望むべき輝きがあることを理解していた。そうでなければ、けだものになるしかない。 そして、『時期』は来た。動かねばならなかった。裏切れぬものもあった。 望んだところで手に入るかどうかも定かではない輝きよりも、己の手にある仄かな欠片こそがフーケの守るべきものであった。 「ままならないねえ、何もかも――――うん?」 夜目を研ぐ。真白のシーツを引きずるように広場に現れた人影を、フーケはとらえた。 頭に包帯。腕に添え木。軽く突っかかるような足取り。小柄な体格。夜にも鮮やかなピーチブロンド。 巨人の主、ルイズであった。 アースガルズの足元に辿りついた彼女は、しばらく巨人を見上げたあと、ゆっくりと手を伸ばした。 己の足元に辿りついた主人を見下ろすと、ゴーレムは仕方ないなとでも言いたげに瞳をちかりと瞬かせ、ゆっくりと手を伸ばした。 ほう、とルイズは触れ合った巨大な手にどこか満たされた息を吐き出して、その手に乗り込んだ。傷が痛むのか、ひどく苦労しているようだった。 それが当然であるかのように、アースガルズはその胸の前で主人を捧げ持った。ルイズはこの夜で最も安心できる場所から、世界の果てを眺めた。 それだけだった。それだけで、ルイズは体に残る鈍痛を忘れた。滑り込むように、眠りの淵へと落ちていく。 病室を抜け出したのはまずかったかしらね。わたしを最初に見つけるのはやっぱりシエスタかしら。まあいいわ、シエスタに優しく叱ってもらうのは、悪くないもの――――そんなことを考えながら。 遠い塔の上からその光景を眺めたフーケは柔らかく微笑み、次いでぞっとするほど酷薄な笑みを浮かべた。これは『使える』 くすくすと、暖かさと冷たさの混淆した笑みを零しながら、フーケはゆっくりと己が身を夜へと飲み込ませていった。 ■□■□■□ 病室を抜け出したのはまずかった。そしてルイズを最初に見つけたのはやはりシエスタであった。 ただし、優しくは叱らなかった。 「お聞きですかミス・ヴァリエール」 「聞いてる。聞いてるわ。聞いてます、二時間も前からずーーーーっと」 「そうですか、もう二時間も経ちましたか。では包帯を替えて薬を塗りましょう。染みるやつを」 「ごめんなさいシエスタごめんなさい」 「アースガルズさんも止めてくださったらよかったのに……」 「えへん。アースガルズは世界で一番主人に忠実な使い魔だからね、当然よ」 「べりべりべりべり」 「痛い痛い痛い! 絆創膏剥がさないでってばッ!」 ルイズの私室。暖かな陽光の差し込む室内。ベッドの上で体を起こしている主人。傍らに控えるメイド。 もはやそこには栄えあるヴァリエール侯爵家令嬢の姿はなかった。しっかり者の姉に――あるいは、母に――叱られているお転婆な少女がいるだけだった。 重病人が失踪したという騒ぎを聞きつけた瞬間にシエスタは駆け出し、そして当然のようにルイズを見つけ出したのだった。もちろんその場でアースガルズもきっちり叱っている。神々の砦涙目。 シエスタはそっと息を吐いた。密やかなそれは、嘆息というにはいささか嘆きが足りなかった。 絆創膏で傷を隠したルイズの頬を、シエスタは撫でた。微かな戸惑いを見せたあと、彼女の主人は目を閉ざしてシエスタの掌に顔を預けた。唇の端に浮かべた微笑みが彼女の心境の全てであった。 シエスタは不意に泣きそうになった。この方は貴族で、メイジで、素直すぎるほどに素直になれない女の子で、そして私の主人。 では私は、この方のいったい何なのだろう。 「私などが、あなたを心配してはいけませんか……?」 「いけないわ。鬱陶しいもの」 高慢な口調で言い返し、それでいて極上の宝石でも扱うような手つきで、ルイズは頬に当てられたシエスタの掌に己の掌を重ねた。強く握り締める。無条件に愛されることに彼女は慣れていなかった。 「嫌いよ、何もかも。同情も、憐れみも、侮蔑も、嘲笑も、わたしに向けられるありとあらゆる感情が嫌い。全てがわたしの足枷よ」 シエスタは何も言わずに、そっと主人を抱き寄せた。 今のルイズの顔色を窺うことがたまらなく不敬に感じた。同時に、この世の誰にも今のルイズの表情を見せたくはなかった。ある種の独占欲なのかもしれなかった。 シエスタの胸元に額を押し当てて、ルイズはくぐもった声を洩らした。でも、とその声は聞こえた。 「嫌いだけどね、シエスタ。嫌いだけど、あんたはその中でもいちばんマシだわ――――ほんとうに、大嫌いだけど」 ますます強くしがみ付いてくるルイズを、シエスタは無言のまま受け入れた。表情は見えなかったけれども、首元まで真っ赤に染めた主人に何かを問う必要などないと思った。 暖かすぎてくすぐったさまで感じるルイズの吐息を胸に浴びながら、シエスタは手を動かした。主人の髪をゆっくりと梳く。陽光が弾け、淡い桃色の輝きが撒き散らされた。 「お嫌ですか。こうされるのは」 「……嫌いよ、子ども扱いされてるみたいだもの。もっとして」 「承りました」 主人についての何もかもを心得たメイドは、それだけでルイズの告げた言葉の意味と、告げなかった言葉の意味と、告げざるをえなかった言葉の意味と、隠したがっている言葉の意味を把握した。 ならばあとには何もいらない。私はメイドでよかったと、この時ほどシエスタが強く思ったことはなかった。 遠くに授業を受けている学生の声を聞いた。さらに遠くに誰かの使い魔の鳴き声を聞いた。そして直ぐ身近に、己の主人の吐息を聞いた。私はメイドでよかった。 「……ねえ、シエスタ。」 「はい、ミス・ヴァリエール」 眠気の混じった声に揺らされて、シエスタはたおやかな感動から立ち戻った。 ふと己の胸元を見ると、ルイズが蕩けるような微笑みを浮かべてこちらを見上げていた。誰も彼もが笑みを返さずにはいられない、そういった微笑みであった。鼻血が出るかと思った。 「シエスタは、アースガルズとおんなじ匂いがするわねぇ……」 そう言って、こてんと再び己に頭を預ける主人を、メイドは丁重が過ぎるほどの態度で抱えなおした。 今のは褒め言葉なのかしらと、そんなことを考えながら。 ■□■□■□ 夕暮れ。 全ての授業が終わったことを示す鐘が鳴り響いてしばらくしてから、一人の客がルイズの私室に訪れた。 何の手当もせず、赤い線の引かれた頬をむしろ見せ付けるように示す少年。薬すら付けていないのは、少しでもその傷の治りを遅らせることを望んでいるようにしか見えなかった。 彼は男性として洗練された態度で室内からの招きに応ずると、まずメイドに見舞いの品を手渡した。香りのよい花束と、女子がよく好みそうないくつかの果物。 そして最後に取り出された一品にルイズは苦笑し、シエスタは礼儀正しく目を逸らした。それは一回りのクックベリーパイであった。 「それでどうしたのギーシュ。あんた今だいぶ愉快な顔になってるわよ」 「ああ、これかい?」 ルイズの問いに、傷側と反対の頬を指しながら、ギーシュはにっと笑った。誰かに思い切り頬を張られでもしたらしく、くっきりと赤い手形が残っている。 口元を歪めたまま彼はその跡を指でなぞった。傷とは別な意味で、これもまた彼の勲章なのだった。 「ケティに言ったのさ。僕はあらゆる女性の心を潤す薔薇になりたい。君一人のためだけの薔薇にはなれそうにもないが、それでも君は僕を愛してくれるだろうか、とね」 そしたらばちーん! さ。とギーシュはもう一度笑った。 「格好いいんだか格好悪いんだかわからないわね……っていうかあんた全然反省してないじゃない」 「ちなみにモンモランシーには泣きながら縋り付いて許してもらった」 「格好悪ッッ!!」 短く突っ込みを入れたルイズに向かって、それでも尚ギーシュは朗らかな態度を崩さなかった。そこには負の感情など一切存在しない。心の底から今の己を楽しんでいるようだった。 あの敗北が彼の何かを変えたらしかった。情けなくとも気障な伊達男。それが彼が新たに自分に課した立場であった。 ルイズはそれに気付かぬ振りをした。悪くないと思ったからだ。彼女にとってはそれで充分だった。 軽く腕組みをしながらギーシュは言葉を探す。そういえば、ヴァリエールはあの後の顛末を知っていただろうか。 「あとは……そうだね。敗者の責として先生方のところに行ったのだが――――」 「ちょい待ち。あれはわたしの反則負け、よくて引き分けでしょう?」 「莫迦を言うなよヴァリエール。誰が、君が、なんと言おうと、あれは僕の敗北さ。これだけはたとえ君でも譲れないね」 「でも」 「これ以上なにか言うなら、僕は君が怪我人だろうが何だろうが今すぐ決闘を申し込ませてもらうよ。僕の敗北を賭けてね」 「…………わかったわ、降参。あれはわたしの勝ち、そういうことね」 「無論だとも」 客人に振舞う紅茶を用意しながら、シエスタは微かに肩を震わせた。今の会話を大真面目に語る二人の貴族が可笑しかった。 無論、部屋の空気となり、部屋の雰囲気そのものとなるべきメイドは、吹き出すなどといった礼を失した態度などとらなかった。 代わりに砂糖の量を増やし、紅茶の甘さを強くする。喜劇役者めいた二人への、復讐にもならぬささやかな復讐であった。 紅茶は音を立てることもなく、ギーシュの座った卓に置かれた。寝床のルイズには直接手渡される。 ありがと、シエスタ。メイドは深々と頭を下げ、部屋の隅に控えた。彼女らのやり取りを軽く片眉を上げて見ていたギーシュは、カップを手に取ると僅かに掲げ、メイドに向かって微笑んだ。 「ありがとう、シエスタ君」 「いえ」 同じく礼で返したシエスタは、あら、と内心で首をかしげた。ミスタ・グラモンはこういうことで「ありがとう」なんて言う方だったかしら? シエスタか答えを思いつくよりも先にギーシュはルイズへと向き直った。なんのてらいもない仕草だったが、にやにやと笑うルイズにはさすがに嫌な顔をしてみせる。 こほんと空咳して、ギーシュは話を戻した。 「さて、あの後の話だがね。退学処分だろうが便所掃除一週間だろうが甘んじて受けようと、僕は雄々しく職員室へ向かったわけだが」 「落差のある喩えをしないで」 「話の腰を折らないでくれよヴァリエール。君は少々物事を直接的に表現したがる癖がある。しかも我慢知らずだ。それはレディとして直すべきだと思うよ。 ……ああ、いやいや何の話だったかな。そうそう、処分の話だ」 「発言の前半はいくらでも反論したいところだけどまあいいわ。で、処分は。あまりにも重いなら私が直談判に出るわよ、覚悟しなさい」 「それはそれは跡形も残らなさそうな話だ。まあいい、その心配はない。なにしろ両者おとがめなしだ」 「――――は?」 「両者、おとがめ、なし」 「なんで?」 「知るものか」 そこで初めてギーシュは姿勢を崩した。足を組み替えて、椅子の背に体重を預ける。どうやら彼にしてもあまり納得がいっていないらしかった。 なにがしかのペナルティを受けてこそ己の敗北は完成するのだとでも言いたげであった。女子には理解できぬ男としての思考だった。ヴァリエールならば理解できるかもしれないが、と彼は内心で苦笑する。 「なんというか、こう……女性の服を脱がせると、胸に大量の詰め物がされてあったような気分だよ」 「だから妙な喩えをしないでってば!」 「うむ、失礼」 まったく悪びれることなくギーシュは頷き、紅茶を一口。 甘かった。 「まあ、言いたかないが僕らは大貴族だ。落としどころに困ったあげくに有耶無耶になってしまった――――というのが僕の想像力の限界かな」 「ううん……そんなところかしらねえ。なんだか気持ち悪い話だわ」 「はは、やはり君になら僕の気持ちが理解できたか」 「なんの話?」 「こちらの話、さ」 しばらく訝しげな表情を作っていたルイズだったが、まあいいわと首を振り、シエスタに呼びかけた。 「シエスタ、そこの戸棚の上に軍略盤と駒があるの。ちょっと持ってきてくれるかしら」 「うん? 何をするつもりなんだい」 「罰がなくて欲求不満なんでしょ?」 ルイズはちらりと微笑んだ。朝にシエスタに向けたふわりと艶やかな笑みではなく、どこか悪戯な、悪童めいた笑みであった。 「怖いメイドの監視下に置かれて、ベッドから抜け出す事のできない哀れな少女の暇つぶしに付き合いなさい。これ、決闘の勝者からの命令だからね」 「なるほど。敗者としては諾々と従わざるを得まい」 ルイズとギーシュ。二人はこの時から関係を深めていくことになる。ところが不思議なことに、年頃の男女として色気のある話が湧いたことはただの一度もない。 後に、この二人の関係にやきもきすることすら疲れたモンモランシーがぽつりと洩らした一言があるのだが、それは速やかな納得と共に瞬く間に定着することになる。 曰く――――――――『知的な体育会系』 次へ進む 一つ前に戻る 目次に戻る
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アースガード(英語:Asgard)は、北欧神話に登場する領域「アースガルズ」のこと。 参考Webリンク Asgard - Wikipedia Asgard - Wiktionary 作品 パズル ドラゴンズ ウィンド・オブ・アスガルド サイト・オブ・アスガルド 光槍グングニール&アスガルドハット タグ 北欧神話 英語