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2020年4月16日(木)20 00~ ニンゲン観察!モニタリング★豪華俳優陣!爆笑の素顔大公開SP![字] | TBSテレビ http //www.tbs.co.jp/tv/20200416_6056.html これまでモニタリングに出演してくれた超豪華俳優陣の皆様!中でも、ドラマや映画では見られない人間性を発揮してくれた爆笑の作品を一挙大公開!
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TBS系列 スポンサー情報 TBS系 木曜 ニンゲン観察バラエティ!モニタリング スポンサー情報 ニンゲン観察バラエティ!モニタリング 2024年1月〜3月 ニンゲン観察バラエティ!モニタリング 2024年4月〜6月
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自作 日本政府が行っている南極周辺での調査捕鯨によって目撃されたとされる、全身が真っ白で全長数十メートルの大きさの、 2ちゃんねるのオカルト板で語られるUMAのことを、それが人の形をしているようであることから何という? (2017年3月14日 #最初にリプきたお題で10問ペーパー作る Vol.2 ) タグ:生活 Quizwiki 索引 な~ほ
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----特徴---- 写真はおじさんばっかりw 男性女性の性別があります 剣を二刀流で扱うことができる ----歴史---- エリンの大地に住まう最も人口の多い人種。 魔族たちとエリンを巡って争ってきた
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東京 名古屋 大阪 で確認 概要 日本全国津々浦々どこでも見ることができる. メスの子供に手を出すと仲間を呼ばれるので注意 発見報告 名前 コメント すべてのコメントを見る 今朝、台所にて発見 -- (名無し) 2011-07-03 18 05 57
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TBS系列 TBS 木曜 ニンゲン観察!モニタリング スポンサー情報 2019年4月~19年6月|2019年7月~19年9月|2019年10月~19年12月|2020年1月~20年3月 2020年4月~20年6月|2020年7月~20年9月|2020年10月~20年12月|2021年1月~21年3月 2021年4月~21年6月|2021年7月~21年9月|2021年10月~21年12月|2022年1月~22年3月 2022年4月~22年6月|2022年7月~22年9月|2022年10月~22年12月|2023年1月~23年3月 2023年4月~23年6月|2023年7月~23年9月|2023年10月~23年12月|2024年1月~24年3月 2024年4月~24年6月
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ニンゲン観察バラエティ モニタリング 【MC】ブラックマヨネーズ 2013 Rate Time 10/10 9.1% 19 00-20 54 SP 10/31 9.6% 19 00-20 54 SP 11/14 8.1% 19 00-20 54 SP 11/28 9.2% 19 00-20 54 SP 12/12 9.0% 19 00-20 54 SP
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ニンゲンっていいな 白くて青くて、後は古びた灯台しかない、世の果ての浜辺。 其処に、一人の女が居た。 そこに、一人の男が現れた。 溝色の髪をした、性根の腐った顔を持つ男だった。 我は尋ねた。 「……何か用?」 「別に。」 「ならば去れ。」 「ぼくは道を聞きたいだけなんだけど。」 「……知らん。帰れ。」 「……帰り道もわからんのだけど。」 「……我に構うな」 「……いや、道を聞きたいだけなんだけど。」 問答には埒が開かなかった。 ふ、と溜息を吐く。 目の前の男は見ない顔だ。 元々、こんな場所に現れる輩などというのは、漂流者くらいなものだと決まっている。経験上。 それがこの男は、後ろの茂みから姿を表した。 この浜辺は、小さな無人島の一部だ。 無人島の筈だ。 ならば…… 「……去れ。」 「……どうやって?」 「……御前が来た道を辿ればいい」 「いやいやいやいや、ぼくは道に迷ってのらーりくらり、茂みを掻き分け魔獣の巣を抜け、ようやっと開けた場所に出たと思ったら、こんな所に来ちまってよぅ。」 「……それで?」 「帰り道が分かると思う?いや、わからん。」 「誇るな。」 「ツれないなー。……なぁ、ここは何処なんでしょうか。」 「……我にも、分からん。」 「おや、お宅も迷子?」 「……我は昔からずっと此処に居る。」 「へぇ……あ、そうそう、名前。」 「……?」 「なんて名前だい、きみ。」 「……名前などない。とうの昔に捨て置いた。」 「あ、そう。ぼくは涅(くり)。生成 涅(きなり くり)。……まあ、涅でいいや。」 「そうか。……もう要件はないか?」 「道を教えろ……と言いたい所だけれど、どうも教えてくれる気はないみたいだ。」 「ああ、我の前から去れ。疾々と。」 「……んー…………あんまり気は進まないんだけどさ。」 「…………?」 「力尽くで聞き出すってのは名案だと思わない??」 そう言うと、男……涅は片手に提げていた鞄を放って、構えた。 ……愚かな。 見た所、この男からは何の気も感じない。 妖怪の香りもしなければ、邪気を放ってもいない。 平凡至極、尋常なる人間だ。 まあ、いい。 一回投げ飛ばして、お仕舞いだ。 無言で、距離を詰める。 その体に染み付いた技で、涅の懐中へ潜り込み、遠心力で投げ飛ばす。 単純に速さについて来れなかったのか、銀はそのまま派手に地面に叩きつけられた。 口から血を吐いた。目を丸くしている。 受け身すら取れていなかった。無様で無惨で滑稽で恥ずかしくて、見ていられない。 「……まだ、やる?」 可能な限りの冷徹さを振り撒き、私は見下し投げかけた。 「……あっはははぁ……強いじゃ……ないの…………」 涅はよろよろ立ち上がった。 それから口に残った血反吐を両拳にぶち撒け、無邪気に殴りかかってきた。 「そーらぁっ!」 「…………」 このまま受ければ振り被られた右の拳が丁度私の右頬に当たるという所か。 無論、そのまま受ける筈がないが。 素早く腰を落とし、姿勢を低くする。 涅の大きく振り被った拳が空を裂く。 「……あら?」 大きな隙を晒した背中に、渾身の鉄拳を、全身全霊の気合を以って放つ。 「八大地獄でも巡ってこい」 「……っ!!」 破壊の化身と化した我の拳は、涅の無防備な背中を捉え、そのまま全身を衝き抜けた。 骨の砕ける感触があった。 撃ち落された鳥の如く、気持ちが悪い声を絞り出して、涅はその場に崩れ落ちた。 「がっ…ぐぇ…………」 「……まだ、やる?」 我は先刻と同様に呟いた。 「うぅぅ…ふふふ…ははははぁ…………やっぱり駄目かぁ。」 涅はゴミのように転がっていた姿勢からくるりと向き直り、仰向けになって血を吐きながら、尚も笑っていた。 気味が悪い。気持ちが悪い。吐き気がする。 我はその腹を踏み付けた。また、血を吐いた。足に力を篭めると、涅はまた苦しそうに喘ぎ呻いた。 それが余りにも胸糞悪かったから、我も少し手加減するのを忘れて、拳を握り締めた。 そしてそのまま、まっすぐ、仰向けに倒れ、我に踏みにじられたままの腹部に向かって、拳を振り下ろした。 拳は音を置き去りにせんばかりの勢いで、涅の腹を蹂躙し、間もなく貫いた。 ぽっかりと穴の開いた腹から、血塗れの拳を引き抜く。 内臓はボロボロに潰れ、中からは血が噴水の如く噴き出た。 涅は一頻り痙攣して何事か暈けたように呟いた後、糸の切れたように首をがくりと落とし、それきり動かなくなった。 我は少し乱れた息を整えると、心音の止まっているのを確かめ、涅の死体を持ち上げ、運び出そうとした。 その時、か。 死んでいる筈の身体から、声が聞こえ出した。 「あーあー……ひどいんだぁ…………」 「ッ!?」 思わず、動揺し、不覚にも涅を取り落とした。 涅はふらふらの足で器用に砂浜に降り立ち、右手で飛び出た腸やら何やらを掴み、泣きながら述懐し出す。 「いたい…いたいよ……どうしてくれるんだ…………ほら見てよ、お腹に穴が開いてるから…戻しても戻しても…また出てきちゃうんだぁ…………」 「……バケモノ、か。」 軽蔑を篭めて我が吐くと、涅は嘆くように訴えた。 「バケモノだって…?失礼しちゃうね。ぼくはれっきとしたニンゲンだよ!……ああもう、鬱陶しいな、内臓。」 眉を潜めてそう言うと、涅は飛び出た内臓を千切り、口に運んだ。 ぐちゃぐちゃと咀嚼する音が、酷く耳障りだった。 「あ、そうだ!臨死ついでに、面白い手品を見せてあげるよ」 涅は手に付着した血をぺろぺろ舐めとりながら、すぅと顎を引いた。 すると、我の背後にあった鞄が、奴の手許に引かれるように動いた。 奴が始めに放り出した鞄だ。 「はいキャーッチ……どう?驚いた?面白かった?びっくりした?タネも仕掛けも御座いませーん。」 「……」 大方、どこかに糸でも仕込んでいるのだろうが…… そんなことはどうでもいい。 涅は我が無言で眉を顰めているのを暫く見やり、がっくりと落胆した。深く肩を落として、「はぁ」と息を吐く。 それから肩を竦めて、鞄の中を探り始めた。 「ああ、大丈夫だよ?」 鞄を探りながら、涅は言った。 「ちょっとばかし卑怯なことをするだけだから。」 我は反射的に足に力を篭め、眼を見開き奔った。 一気に涅との距離を詰め、大きく右足を上げて蹴り掛かった。 奴は驚いたような顔も見せず、避けようともせず、大事そうに鞄を抱えて、蹴り飛ばされた。 我は血の軌跡を辿り、吹き飛んだ涅に一歩ずつにじり寄る。 涅は嘔吐しつつも、鞄から何か取り出した。 随分吹き飛ばしてしまった為、視認はできなかったが、奴はそれを自分の腕に宛がった。 寄ると、どうやらそれは注射器らしかった。 「よーし、これでやっときみと互角になれ」 「黙れ。」 両の拳を握り締め、歯を噛締めて振り砕く。 しかし、涅は頭から鈍い音を立てたのみで、ダメージを負った様子を見せない。 邪悪の予感がぴりと肌を裂き、無意識に一歩、退く。 「……ふふ、くっくく、あははははぁぁ…………いい気持ちぃー……」 涅は立ち上がり、千切れ汚れた服の袖で顔の血や吐瀉物を拭いながら、恍惚の表情で唸った。 「……気でも違え…いや、元々、か…………」 「ねぇ…それさぁ……」 言って、涅はこちらを指差す。 「いたい?」 無邪気に、涅は笑った。 一瞬の間の後に、急激な痛みが、両拳を襲った。 何の不思議もない。血が噴き出ていた。強いて言うなら、噴き出ていた原因が掴めないくらいだ。 涅は尚もにこにこ笑って、一歩ずつ退く我に無防備に近寄る。 「痛いよね…?痛いでしょ…?ううん、言わなくても判るよ。言わなくても判るから…そのまま…そのまま…じっとしてて……?」 今更ながら、明らかにこの涅という男は常軌を逸していた。 背筋に鳥肌が総立ちする程の本能的な気持ち悪さが、培った感情が、コイツを退けろと頭の中で暴れ狂っている。 涅が先程の注射で何を得たのかは解らずじまいだ。だが、この裂傷を負った拳を見るに、素拳の一撃が通用しないということは自明だ。 我はこの状況を打破する一手を導き出せず、ただ血痕の染みた砂浜を、奴が迫る毎に一歩、また一歩と後退する。 つうっ、と水滴が、一筋頬を撫ぜた。 だが、そんなものに構っていられる余裕はなかった。 「大丈夫…大丈夫怖くないよ……いっしゅんで…そう一瞬で……だからそのまま…痛くないから……こっちにおいで…じっとしてて……ねぇ……?」 涅は依然として、理解に苦しむ呪詛を呟きながら、一歩また一歩と、我との距離を詰めようとする。 じゃりじゃり、砂を掻く音と、奴の念だけが耳を支配する。 一歩後退するごとに、脳髄から侵されているようだった。 「痛くない痛くない痛くないよ…怖くない怖くない怖くないよ……ねぇ…止まってよぅ……きっと楽しいよ……?」 後退、前進。一歩、一歩。 怖気の闊歩。 いたちごっこは唐突に終わりを告げる。 退歩し続けた我の背後に、突如壁が現れた。 灯台だ。もうこんな遠くにまで歩いてきていたのだ。 「行き止まりーぃ……?」 「……ッ」 声なき声が、歯軋りとなって漏れ出す。 涅は我にとうとう追い付くと、酷く緩慢な動作で右に握り拳を作り、振り上げ、殴り掛かる。 「じゃあ…楽しく愉快に……壊してあげる!」 普段の我なら造作もなく避けれたであろう攻撃が、顔面に直撃する。 血の味が口内いっぱいに広がる。 脳が、頭が、揺さぶられる。 視界が曖昧になった。 意識が、朦朧とする。 「もういっぱーつ……」 その声だけが認識として届けられたが、我はもうそれを咀嚼して飲み下す能力を失っていた。 また、拳が風を切る音。 今度は腹だった。それだけが解った。 「ねぇ…ほら…楽しいでしょ……?」 拳撃。 「楽しい…楽しい……?」 殴打。 「まだ…まだ終わらせない……」 蹴撃。 「壊れちゃ…やだよ……?ふ、ふふふははははぁ……」 文字通り、蹂躙。 そして、暗転。 「……あれ?…壊れちゃった?」 かちり。 身体の底で、螺子がぴったりと嵌る音がした。 手は?動く。 足は?動く。 頭は?働く。 五体満足。 無言で、我は立ち上がった。 「あっはぁ…!まだ遊んでくれるんだぁ……?」 再び、緩慢な動作で涅が拳を振り被る。 足を滑らせ、胸座を引っ掴み、それを感じられる前に地に投げ落とす。 頭のぶつかる鈍い音と、呻き声が響く。 奴の立ち上がるのを待つ道理は無い。 倒れている涅の胴の上に圧し掛かる。そのまま、拳を振り下ろす。 手から、奴の顔から、腹から、血が噴出す。 拳を振り下ろす。 奴の口から、喘ぎと血反吐が雑じって嗚咽する。 拳を振り下ろす。 鉄拳から血が噴き出ようが、骨が飛び出そうが、もう知ったことではなかった。 ただ本能の赴くままに、目の前にいる敵性生物を殴り殺す事だけを考えた。 鈍い音と呻き声だけが、陽が落ちるまで響いた。 我の腕が千切れ掛ける頃、漸く涅の息が止まった。 念の為に心臓を抉り出しておく。もう二度と息を吹き返さぬよう、しっかりと止めを刺す。 かくして、殺し合いは終了した。 ふぅ、と息を吐くと、腕に激痛が走った。感覚が戻ってきたのだ。 ……ふと、手の中の心臓を見た。 本来あるべき場所から離されたのにも関わらず、どくどくと脈打っている。 奴が明らかに人間であったのに、異様な生命力を発揮したのは、恐らくこの心臓故だろう。 ごくり、と生唾を呑む。 此れを喰らえば、多少治癒の足しになるかもしれない。 顔を近付け、ゆっくりと、歯を立てる。 がりっ、という生々しい音と共に、血が少し噴き出す。 「……やっぱり、人は食べにくい。」 それでもまあ、無いよりはましだ。 海岸は夜空、役目を終えた灯台は、何かを照らす事を忘れて、ただ寄り掛かる者一人だけを、静かに受け容れていた。
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ニンゲン観察バラエティ モニタリング MC コメント 2012年10月24日からTBS系列で放送されているバラエティ番組。 2013年3月27日まで毎週水曜日 24 20 - 24 50(JST、以下略)に放送されたが、同年4月25日からは毎週木曜日 20 00 - 20 54に枠移動し、ゴールデンタイム進出を果たした。ゴールデン進出してから、19時台の番組『プレバト!!』(毎日放送制作)と共に改編期、改編期外にかかわらず2時間特番が多く組まれている。2013年10月からは通常編成時の開始時刻を19 56に変更したが、先述した2時間特番のみの放送実績しかなく、2014年4月改編からも、その「プレバト!!」と2週間隔交代で、木曜19 00 - 20 54に放映されている。 MC ミミロップ♀:ベッキー クリムガン♂:吉田敬(ブラックマヨネーズ) ソーナンス♂:小杉竜一(ブラックマヨネーズ) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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――ムーンブルク城の方に向かおう。 彼らの元に届いた、あの鐘の音がした方には間違いなく参加者がいる。 病院や遺跡も気になるが、とりあえずは北の方に向かってみよう。 ブチャラティはそう結論を出し、他の三人からも特に異論は出なかった。 ここで、支給品扱いだったためかデイパックに入る事ができたシルバは、歩かせ続けさせるよりはいいだろうと、一度はライフィセットのディバッグへと入ってもらう事にした。 それから、ムーンブルク城方面に向かおうと話が決まったわけだが、少し躊躇した後、ブチャラティはライフィセットにある事を告げた。 そして、今。 4人の参加者は、歩き続けていた。 「……本当に良かったんですか?」 少し咎めるような色も含まれる九郎の言葉に、ブチャラティは真面目な表情のまま返す。 「間違いなく正しかった、とは言えない」 ブチャラティは、ムーンブルク城へと向かう前にライフィセットにこれまでぼかしていた、第二回の放送の内容。 すなわち、彼の仲間であるマギルゥの死を告げた。 これがもし、平時だったのならばブチャラティも伝えるにしても、もっと気を使っていただろう。 第二回放送をライフィセットは聞いていない。故に、まだ暫くは誤魔化す事はできたかもしれない。 だが、今後も共に行動を続ければいずれ自力で気づく。いつまでも隠し通す事はできない。 彼の仲間とされる4人のうち、エレノア・ヒュームは最初の放送で退場。そして、ベルベット・クラウは変貌した挙句に敵対。そして、マギルゥもまた死んだ。 唯一の救いといえるのは、垣根の情報から残りの一人であるロクロウ・ランゲツはまだ生きている事ぐらいだ。 はっきり言って、はじめて会った時のナランチャよりもさらに幼い年齢のライフィセットに告げるには残酷すぎる事実。 (――だが) あの生死の境を彷徨っている時に見せてくれた、幼い風貌からは想像もつかない強い意思の込められた瞳。 決して、彼が守られるだけの子供ではない事を見せてくれた。 (もちろん、俺の身勝手な考えかもしれない) 元々の知り合い、そして仲間の人数の話でいえば、この中でもライフィセットは圧倒的に多い。 それは必ずしもいい事ではなく、放送の度に仲間の死が告げられる可能性が高くなるという事。 もちろん、ジョルノ一人でもブチャラティの心に与えた影響は大きい。 だが、これにアバッキオやフーゴ、ナランチャ、ミスタ、それにトリッシュなども加わっていたら負担はその比ではなかっただろう。 それに耐えろ、と無茶な事を要求しているだけかもしれない。 だが隠し続けるだけが優しさではない――ブチャラティは、子供を庇護する大人ではなく仲間としてそう判断したのだ。 今は、先頭を九郎とブチャラティが歩き、背後をライフィセットと梔子がついてくる形になっている。 そのライフィセットの表情は決して、明るくない。 普段の穏やかで朗らかな笑みはなく、暗い。 (マギルゥ……) 無言のまま歩を進めている。 エレノアに続いて、マギルゥまでもが死んだ。 つかみどころがなく、胡散臭く、飄々とした態度の仲間。 間違いなく本人は絶対に認める事はないだろうが、どーでもいいと言いつつ、熱いものを胸に秘めていた。 適当なように見えて、常に他の仲間とは違った視点で物事を見ており、ライフィセットにとっても大事な仲間だった。 さらには、敵対した相手とはいえオスカーまでもが死んでしまったらしい。 彼とは、元主であるテレサの弟であり、聖寮の元同僚という事になる。とはいえ、それはライフィセットが感情の封じられた頃の話であり、あまりそういった意識はない。 その立場上、非情な策を取る事はあってもオスカー自身は別に悪い人間というわけではなかった。 むしろ、民の安全を願い、姉の事を大事に想う極めて模範的で正しい人間といえた。 間違っても、死んで当然といえるような人間ではなかった。 (もし、マギルゥがここにいたら何か言ってくれたかな?) 思えば、深刻な事態に陥った時なども、マギルゥは常にマギルゥだった。 あれも彼女なりに、皆を気遣った上での言動なのだろう。 『――坊――』 当たり前のように、聞いていたはずのマギルゥの声。そしてどーでもいい言葉。 それが今は、遥か昔の事のように感じる。 (ううん。しっかりしなくちゃ。まだやるべき事も、やらなきゃいけない事もたくさんあるんだから) 沈んだ気持ちになるのを握りつぶすように、ライフィセットは手を強く握った。 そのライフィセットの横を歩きながら、梔子は無言だった。 それは決して彼女が冷酷な人間というわけではなく、かける言葉が見つからなかったからだ。 大事な相手がなくなるという気持ちは、梔子にとってもよく分かる。 だが、分かるからこそかける言葉が出てこない。 一声かけただけで、たちまちのうちに元気になるような魔法の言葉があるならば、梔子は弓野胡桃として現実に留まれた。 メビウスに来る事も、オスティナートの楽士・梔子になる事もなかった。 ふと、これから行くムーンブルク城で最初に出会った煉獄の事を梔子は思い出す。 彼なら、この少年を励ますような気の利いた言葉をかける事ができただろうかと。 だが、その煉獄も既にいない。 「……梔子、大丈夫?」 「え?」 「さっきから何か、難しそうな顔しているから」 よほど深刻な顔でもしていたのか、ライフィセットからそう訊ねられる。 「……いや、何でもない。大丈夫だ」 逆に気を使われたか、と梔子は内心で自嘲する。 今にして思えば、他の楽士達も、自分の事を相当に気にかけてくれていたと思う。 スイートPも、イケPも、それにこの会場で死んでしまったStorkや少年ドールも。ミレイですらも、高慢な態度でこそあったが気を使ってくれていたと思う。 この会場に来てからの、煉獄にしても彩声にしても、レインや静雄にしてもそうだ。 そんな風に梔子がそう考えている時、目的地が見えてきた。 「……皆。警戒してくれ」 そんな時、ブチャラティが静かに告げる。 ムーンブルク城。梔子からすれば、半日前にも見たはずのそこは、災害地のように成り果てていた。 いったい何が、などという疑問は出てこない。 あの病院同様に、参加者同士の争いがあったのだろう。 (この破壊の跡、それに病院からも近い位置にあるという点を考えれば、あのヴライの可能性もある) ブチャラティの推測は、まさに正解だった。 だが今大事なのは誰がやったか、ではなくこの場に危険人物が残っているかどうかだ。 そんな中、視界に入ってきたのは参加者と思しき三人の男女。 それに、妖精のように小さな存在がいるが、ビエンフーのような例もあるため、首輪もない支給品扱いの存在かと、特に驚く事はない。 いずれも、服はボロボロ。身体中に傷がある。 もっとも、それはこちらも同様。比較的、軽傷の梔子にしても逃亡の際についた掠り傷などはあり、唯一の例外といえるのは九郎だけだった。 向こう側も、こちらに気づいた様子だ。 その集団の中では、唯一の男性の参加者――隼人がこちらに銃を見せてくる。 ブチャラティにとって、見覚えのあるその拳銃に、一瞬、目を見開く。 (いや、今、考える必要があるのはそこじゃない。少なくとも、即座に攻撃を仕掛けてくる様子はなさそうだが) 二つの集団の視線が交差しあう。 そんな中、最初に口を開いたのはブチャラティだった。 「俺達は、殺し合いには乗っていない。もし、そちらもそうなのであれば、話し合いに応じてもらいたい」 それはかつて、最初にリュージ達と出会った時。そして、ホテルで九郎達と出会った時ともよく似た問いかけ。 だが、その時と異なる点として、ブチャラティは自分の名前を名乗っていない。 この面子が、『自称』ブチャラティと接触していたら、厄介な事になるからだ。 その誤解も解く必要があるが、まずは相手の出方を見るのが先だ。 「……」 互いに無言のまま、見つめあう。 相手側も、すぐに攻撃してくる様子はなさそうだが、警戒を完全に解いてはいない。拳銃を――ブチャラティにとってよく見知ったものであるミスタの拳銃を下ろす様子もない。 そんな中、均衡を破ったのが、 「……梔子、だよね?」 ぼそり、と呟くように声を出したのはバーチャドールであり帰宅部のアリアだった。 見覚えのある相手。同じ帰宅部の琵琶坂永至と何やら因縁があるらしい、楽士。当然、参加者として名前があり、今もなお生存している事は知っている。 「知り合いか?」 隼人達は、アリアに。ブチャラティ達は、梔子へと視線が動く。 それにアリアと梔子は無言のまま頷いた。 梔子にとっても、存在は認識している。 帰宅部側のバーチャドール。 「……一応は、敵対者という事になる」 梔子の言葉に、軽い緊張状態が生まれかけるが、 「それでも、そちらが仕掛ける気がないなら何かするつもりはない」 梔子からしても、琵琶坂の件を除いても帰宅部は敵だという事に変わりはない。 彼女にとっての残された楽園といえるメビウスの破壊を狙う存在である以上、それは避けられない。 だが、今のアリアはそうではないはずだ。ここがメビウスかも定かではなく、あくまで殺しあいの打破が目的で動いているならば梔子としても敵対する気はない。 そんな二人の様子を見て、ブチャラティが告げる。 「……問題がないのであれば、情報交換をしたいのだが。そちらは構わないか?」 隼人は、黙ってクオンを。アリアを。そして、早苗へと視線を動かしていく。 特に反対意見がない様子の彼女らを見て、隼人は頷いた。 「……いいだろう。こちらも、情報を整理する必要があった。クオン。それに、東風谷早苗。お前たちもそれでいいな?」 元々、クオンと早苗には聞く事があった。 どちらにせよ、現状では皆、すぐに動くにはダメージが大きく。弁慶らの生死を確認しにいったレインらが戻ってくるまでにはまだ時間がかかるだろう。 そういった考えもあり、隼人は情報交換に応じる事にした。 さきほどの場所から、少し離れた比較的、瓦礫なども少ない場所。 そこで、集まった全員で円を組むようにして座る。 死角をなくし、どこからか誰かが近づいてくればすぐにでも誰かが対応できる状態にするためだ。 一人ずつ、それぞれが持つ情報が交換されていく。 最初のうちは、自分の知る名前がでてきて反応する者も出て、その都度、話が途切れそうになる事があった。とにかく人数が多いため、ここでは質問を挟んだりする事はなく、そういった話は全員が話し終えるまで待とうという事で話は進んでいく。 はじめて知る情報もあれば、既に知っていた情報の補完もある。 重複する情報もあったが、それでも各参加者の十数時間ぶんの出来事の情報交換が終わるには、それなりの時間が要された。 「……とりあえず、凡そのことはわかった」 一通りの話が終わった事を確認した様子で、隼人が呟く。 全員の情報が出し終えられた事により、第二回放送を生き残った46人の参加者の情報、及びに動向も把握する事ができた。 まず、この場にいる7人の参加者。亡くなったビルドとマロロ。それにシドー。 生死不明の武蔵坊弁慶、十六夜咲夜、ジオルド・スティアート、佐々木志乃、黄前久美子、鎧塚みぞれ。 そして、つい先ほどまでブチャラティ達と会っていたカナメ、博麗霊夢。隼人達と会っていたレイン、平和島静雄。 完全に乗った側であるベルベット、麦野、夾竹桃、ウィキッド、ヴライ、鬼舞辻無惨。そして、詳細は不明ながら無惨と一緒にいたとされる高坂麗奈。ベルベットらのところで囚われていると思しきムネチカ。 スタンスの詳細は不明だがみぞれを襲ったとされる、琵琶坂永至。 一応、無力化されたとはいえ殺し合いを加速させるような真似をしていたフレンダ=セイヴェルン。 今は別行動だが反主催という立ち位置にいると思われる岩永琴子、リュージ、冨岡義勇、神崎・H・アリア、ヴァイオレット・エヴァーガーデン、流竜馬、垣根帝督、ロクロウ・ランゲツ、オシュトル。それに現状、どうなったかは不明ながらも、岸谷新羅も一応はここに含む。 フレンダの証言から、ホテルに来る前に遭遇したと思われる二人。侍風の青年と、貴族風の少女。前者はライフィセットの情報からシグレ・ランゲツ、後者は今は亡きキースやジオルドからの情報からメアリ・ハントだと思われた。 これにより、この会場に来てからの動向が全く不明なのは3人となる。 だが、そのうちの2人である間宮あかりに関しては神崎・H・アリアから。カタリナ・クラエスに関してはキース・クラエス、そしてジオルド・スティアートなどの証言から身元は分かっている。 つまり、唯一残る事になったのが――、 「えっと、その――」 ようやく質問を挟んでいい雰囲気になったためか、遠慮がちながらも早苗がブチャラティに問いかける。 「貴方もブローノ・ブチャラティさん、なんですよね?」 「そうだ。君の事も霊夢から聞いている。ブチャラティを名乗る男と行動していたという事も」 「……」 早苗からすれば困惑、という言葉しか出てこない。 他にも色々と情報は出てきていたが、一番の驚きといえる情報が『ブチャラティ』と名乗り、少なくない時間を過ごした同行者が偽名だと言われたのだ。 「その『自称』ブチャラティの正体が、ディアボロという参加者だというのか」 こちらのブチャラティとは初対面。もう一人のブチャラティとも面識がなく、中立に近い立場から隼人が訊ねた。 「ああ。俺と敵対する立場にいた相手だ。偽名として俺の名を騙ったのだと考えている」 「それを証明する事は?」 「残念ながら、今の俺にはできない」 ここに来る前の知り合いであるジョルノ。 敵対する立場とはいえ、こちらの顔も名前も知っていたであろうリゾット、チョコラータ。 彼らは皆、退場した。 唯一残ったのはディアボロこと偽ブチャラティだが、当事者である彼が自分の不利になる証言などしてくれるはずがない。 今は垣根や無惨が持つ、参加者の顔が分かるような支給品でもない限り、証明するのは難しい。 ゆえに、霊夢やカナメの時と同じように中立の立場であるならばそれでも良いか、などとブチャラティが考えた時――、 「ディアボロ……」 ぽつり、と呟くような声が漏れた。 声の主はクオンだ。 「えっと、その。いいかな?」 「クオン、どうかしたのか?」 隼人の問いに、少し間があってからクオンは答える。 精神的に憔悴した様子は変わらないまま。だが、そんな状態でも必死に記憶を辿っている様子であり、やがて答える。 「その、私がリゾットっていう参加者に最初に会ったという事は言ったよね?」 「ああ」 垣根の話にも出てきた暗殺チームのリーダーであり、スタンド使い。 ブチャラティとは結局、最後まで会う事のなかったパッショーネの構成員。 先ほどの情報交換の際には出会った事実のみを話し、会話の詳細まではクオンは語っていなかった。 「そのリゾットと会った時の事なんだけど、彼はこの戦いの目的を復讐だって言っていたんだ」 思い出すのは、この催しがはじまって、さほど時間が経っていない頃の話。 わずか半日前のはずだが、ずいぶんと昔に感じる。 リゾットと名乗ったあの男は、復讐こそが目的だというのと同時に、確かにこうも言っていたはずだ。 『……赤毛で顔にそばかすの目立つ男がこの殺し合いに参加している。名は「ディアボロ」。忠告しておく。そいつに手を出すな』 「! それって……」 クオンによって再現されたリゾットの言葉から出てきた、覚えのある外見の特徴に、早苗が目を瞬かせる。 「どうやら、その赤毛の男が君の言う『ブチャラティ』で間違いないようだな」 そんな早苗の反応を見て、ブチャラティは彼女の知る『ブチャラティ』の正体を確信する。 早苗としても、すぐに反論できない。 だが、認める事もできない。 それでも何か、自分の知る『ブチャラティ』を擁護する言葉を探そうとするがうまくまとまらない様子だ。 「……えっと、アタシからもいいかな?」 そんな様子の中、また一人、情報を提供する者が現れる。 「アリアか。どうした?」 意外な発言者に、隼人は先を促す。 「その、実は岩永とリュージと一緒にいた時の事なんだけど」 岩永。リュージ。 その二人の名前に九郎とブチャラティが反応しかけるが、ここはアリアの話を優先してもらう事にした。 「最初に会って情報交換をしていた時、岩永はリュージから最初にブチャラティ達と会ったって話を。『スタンド使い』だっていうブチャラティという人と出会ったって話をしてたんだけど」 チラリ、とブチャラティの方を見ながら言う。 最初に出会い、武偵のアリアとのスタンスの違いから生じたいざこざから、離別したリュージ。そのリュージが、ブチャラティが九郎と出会っていたのとそう変わらない時期に九郎の探し求める岩永琴子と出会っていたのだ。 何とも妙な縁を感じる。 「ああ。その『ブチャラティ』が俺で間違いない。リュージとは、キースとアリアと共に最初に出会っている」 ブチャラティが頷く。 だが、それだけでは足りない。 それでは、ただ『ブチャラティ』と名乗る男と最初に出会ったという話にしかならず、この『ブチャラティ』が本物だという証明にはならない。 故に、アリアは続けて言う。 「そのリュージは、異能(シギル)っていうの持っているらしいんだけど。リュージのは、嘘が見破れる力」 カナメや、レインらダーウィンズゲームの出身者達の持つ異能(シギル)。 リュージの持つそれは、嘘発見器(トゥルーオアライ)。 本人は「クソ異能(シギル)」などと呼んでいるが、実際には対人交渉において極めて強力だ。 そのリュージが、何の補足情報も付けずにブチャラティとの出会いを説明していたという事は、つまりブチャラティの言葉に怪しい箇所など何一つなかったという事。 それが答えだ。 「なるほど。どうやら、そちらの『ブチャラティ』の方がディアボロとやらの可能性が高そうだな」 全く繋がりのない二方向からの情報に、隼人も納得した様子だ。 そこまでこの場にいる方の『ブチャラティ』が仕込んだ、という事も考えにくく、情報を統合して考えるとその可能性が高い。 「そんな……」 早苗からすれば、彼女の知る『ブチャラティ』に、悪い印象はない。 一度、急にキレられたりはしたものの、それでも不信感にまでは発展しなかった。 不信感というのであれば、実の兄を平然と斬ろうとしていたロクロウや、それを推奨するような真似をしたオシュトルの方が上だ。 だが、彼女の知る『ブチャラティ』を『ディアボロ』だという前提で話を進めようとする気にもならず。 否定する事も肯定する事もできず、黙り込んでしまった。 この会場にいた鈴仙のように、狂気を操る能力を応用して嘘発見機のような真似ができるわけでもなく、心を読む程度の能力があるわけでもない。 自分の会った『ブチャラティ』こそが本物であると信じたくとも、確証は持てず、その心は揺らいできている。 そんな早苗の気持ちを汲み取ったのか、ブチャラティはひとまずは次の議題に入る事にする。 「とりあえずは、次の話に移ろう」 結局のところ。 現時点で、ディアボロがやっていると思しき事は、ブチャラティの名を騙った事のみ。一応、王の死体から首輪を奪い取るような真似こそしていたものの、それも早苗のような良識的な参加者が眉をひそめる程度。 生きた人間。それも、乗っていない側の参加者ならばともかく、『乗った』側の死体――王が『乗った側』である事は当時の早苗達にはわかりようがない事ではあったが――の死体からだというならば、程度の差こそあれ、犠牲なくして主催打倒は不可能だと考える参加者にとってはそこまで問題視される事でもない。 過去の因縁があるパッショーネに属する参加者達はともかく、他の参加者からすれば優先的にディアボロを狙う理由にはならない。 参加者達も善良な一般人ばかりというわけでなく、むしろそんな存在の方が少なく。 隼人にしても元テロリストだ。 ギャングのボスだという事も、そこまでマイナス材料にはならないだろう。 逆にフレンダがあれほどまでに参加者からヘイトを集めてしまったのは、この会場に来た『後』にやらかしたからである。単なる暗部組織の一員というだけなら、大した問題にはならなかった事だろう。 そして、次はそのフレンダに関しての話だ。 「ここに俺達が来る前に、レインと平和島静雄と名乗る参加者と会っているんだったんな」 「そうだ。その時はその二人しかいなかったし、お前らの言うフレンダとやらもいなかった」 カナメと霊夢に連れられ、レイン達と合流するために動いていたフレンダ。しかし、つい先ほど出会ったという二人の側にカナメも霊夢も。そしてフレンダもいなかったようだ。 「という事は、フレンダさん達は合流に失敗したという事でしょうね」 今度はブチャラティに代わって九郎が答える。 つい先ほど、目標の人物である静雄とレインが二人だけでこの場に来たという事はおそらく出会う事ができなかったのだろう。 ちなみに、竜馬を嵌め、悪評を振りまいたというフレンダの存在に対して隼人は「そうか」とのみ返したのみだ。 竜馬なら、その程度の事でどうにかなる事はないというある種の信頼もあったし、フレンダの策が継続しているのならばともかく、一応は企みが露呈したのであれば、こちらで騒ぎ立てるつもりはない。 もし今だにどこかで逃亡中だったのあれば、見つけ次第、始末してサンプル用に首輪の回収でもしていただろうが、一応は裁定が下されたのであれば、向こうから突っかかってこない限り、竜馬たちフレンダ被害者の会に任せる気でいた。 「いざという時の、再合流地点として病院を指定してある。見つからなければ、そちらに向かっているとは思うが」 その病院は、あのヴライによって災害跡地のようになっている。 ヴライに関しても、生き残っている可能性は十分にあり、危険地帯のままだ。 「えーと、それじゃあ次、アタシからいいかな?」 アリアがその小さな手であげ、次の議題を振る事を求める。 他の参加者達も頷きあったのを見て、アリアが続ける。 「その、永至の事なんだけど」 ぴくり、と梔子が反応する。 情報交換の際に出てきた、帰宅部の仲間である琵琶坂永至。 その琵琶坂が参加者の一人を殺害し、先ほど早苗達と共にいたみぞれをも殺しかけていたという話だ。 アリアからすれば、琵琶坂も仲間だという認識だけに、衝撃は大きい。 「正直、アタシとしては信じたくないんだけど」 「あの男なら、それくらい間違いなくやる」 辛辣な口調で、梔子は吐き捨てる。 「梔子……」 明らかに嫌悪感を込めて吐き捨てる梔子の様子に、アリアも言葉が出てこない。 琵琶坂永至は、アリアにとって帰宅部の仲間である。 確かに、おかしい点はあった。佐竹笙吾などは、琵琶坂の事を最初から露骨に怪しんでいた。 とはいえ、せいぜいが場の空気を悪くしたりする程度であり、実害らしい実害もなかった。 過激な発言もあったし、μをもっと直接的な手段で害そうと提案されたりした事に思う事はあった。 それでも、琵琶坂永至は仲間なのだという思いがアリアにはある。 帰宅部の活動にも、誰よりも真摯に取り組んでいたはずだ。 「……別に信じてくれなくても良い。けど、あいつは危険な男だ。それだけは言っておく」 それで話は打ち切る、とばかりに言い終えた。 梔子としては、下手に琵琶坂に注目が集まり過ぎて、優先的な標的とされる事も好ましくない。 そうなれば、自分の手で復讐が果たせなくなる可能性が高まってしまうからだ。 とはいえ、無関係で無害な参加者が犠牲になるのも望んでいるわけではなく。 そんな思いから、危険人物だという事は訴えても、それ以上に具体的な事は話さず。かなり中途半端な形となってしまった。 証人といえるみぞれに関してもこの場にはいないため、琵琶坂に関しての証言の真偽をこの場で確かめる事もできず。 結局のところは、対琵琶坂への対応はディアボロと同様に「会えば警戒して接する」程度で留まる事になった。 結局、琵琶坂に関してはここまでとなり次の議題へと入る。 「鬼舞辻無惨に関してだ」 ブチャラティが次に出した名は、鬼舞辻無惨。 煉獄杏寿郎や、冨岡義勇ら鬼殺隊が追い求めるという、鬼の首魁。 ブチャラティにとっては、ジョルノの仇でもある人物。その事に思う事はあれど、今、議論すべきは無惨という参加者の危険度だ。 「冨岡の追っていたという鬼の元締めか」 隼人にとって知る鬼とは、驚異的な治癒力や人に害をもたらす点など共通する事は多いが、やはり異なる存在。 隼人も義勇から、その存在に関して聞いている。 「そして、その男は当初、冨岡の名を騙っていたという事になるな」 「えっと、その。ブチャラティさん――私の知る方のブチャラティさんとヴァイオレットさんの言う冨岡義勇さんがその無惨という人の可能性があると?」 「そうだ」 早苗としては、やはり自分の知る『ブチャラティ』が名を騙る偽物だとはすぐに受け入れがたい様子だが、今問題にすべき事はそこではない。 隼人の知る義勇や梔子の知る煉獄の証言。そして何より、早苗の知る外見情報の『冨岡義勇』が、病院などで殺戮を繰り広げたという男と外見情報が一致する。 これに関しては、議論するまでもなく隼人達の知る『冨岡義勇』こそが本物と考えていいだろう。 「その、一緒にいたという高坂麗奈さんはどうしたのでしょうか?」 ヴァイオレットが気にかけていた相手だけに、その少女の事も気にかかる。特に彼女は一般人のようなので、そんな怪人物と一緒にいるのであれば、あまりに危険すぎる。 「みぞれさんの話によると、その人と一緒にいたらしいのですが……」 「推測でしかないが、その高坂麗奈という参加者は鬼にされた可能性がある」 義勇や煉獄の話によれば、鬼舞辻無惨には人を鬼にする力があるという。 参加者の数が限られたこの殺し合いにおいて、ある意味、戦闘力よりも警戒すべき力だ。 二人きりでいて、単なる一般人だという高坂麗奈をそのままにしておくというのも考えにくい。 本来、無惨には大量の配下の鬼がいたようだが、この会場にいたのはただ一人。その累も、既に退場した以上は新たな配下を必要としたと考えてもおかしくない。 「そんな……」 「言っておくが、助けようなどと考えない方が良い」 隼人が冷たく言い放つ。 「義勇の話によれば、無惨によって鬼にされた者は、飢餓衝動があれば身内でも食らうような危険な存在になり果てるらしい。仮に保護できたとしても、そばに置いておくだけで危険だ。そんな状態で生き続けるぐらいならば、楽にしてやる方が本人のためだ」 「でも……」 なおも食い下がろうとする早苗を、九郎が留める。 「あの。その話は一度、後にしませんか?」 「そうだな。その高坂麗奈にしても鬼にされたと決まったわけではない」 もっとも、無惨のような危険人物がただの一般らしい相手を手元に置いておくとしたら理由は人質か、何かしらの価値を見出したか。 いずれにせよ、ろくな事ではない。 だが、それを隼人も口に出さない。現時点では推測止まりという事もあるが、今の件で早苗とのスタンスの違いが浮き彫りになり、これ以上は余計な脱線を招くだけだと判断したのだ。 ヴライ、そしてウィキッドといった他の危険人物の話になり、前者ではクオンが、後者ではアリアが反応するも、特に口を挟む事はなく風貌や基本的な能力などについての情報が交わされただけだった。 「それで、だ。お前たちはこれからどうする気だ?」 危険人物たちの話に区切りをつけると、隼人が問いかけるように言った。 ここでいう「お前たち」は、ブチャラティ達だけでなく、クオンや早苗も含まれているのであろう事は、視線の動きで分かった。 クオンと早苗は、すぐに言葉が出てこない。 逆にもっとも早く、言葉を発したのはブチャラティだった。 「俺としては、遺跡の方に行ってみるべきだと考えている。話によれば、遺跡方面に人が集っているようだし、アリアと新羅の件を抜きにしても向かう価値はある」 「そうですね。それに、できる限り危険人物の情報は今みたいに大勢で共有すべきでしょう」 九郎もそれに同意する。 「そうだな。だが、一人一人接触した上で情報交換をしていたんじゃ、やはり時間がかかるな。もっと手っ取り早く、共有させる事ができればいいんだが」 「その、少し前から考えている事があったんですが、いいですか?」 「どうした?」 「ホテルにいた時、 ……その、例の映像が流れていたじゃないですか」 あまり口に出したい内容でもないため、内容に関してはぼかしつつ話す。 ブチャラティもすぐに察した。 「ああ。アレか」 映っていたのは、佐々木志乃。そして、罪歌。この事は既に知っているし、彼女がどうなってしまったかもだ。 彼女の知り合いだというアリアの事を考えると、思う事はあるが、今の問題はそこではない。 「アレって別に主催が流したとかではなくて、参加者が個人的に勝手に流したように思えるんですよね」 「そうだな。主催が流すにしても、意図が読めない」 一応、早苗は映像に出ていた佐々木志乃とも情報交換をしている。彼女はテレビ局にはいたようだが、特にその話は出ていない。 「それで思ったんですが、もしかしたらここの施設を使えば参加者でも映像を流せるんじゃないですか?」 九郎が地図を取り出し、「テレビ局」と書かれた箇所をさし示す。 「えっと、ごめん。その『てれび』って何かな?」 だが、この場には、テレビの存在に関して知らない者もいる。 クオンの言葉に九郎は頷き、テレビに関しての説明をした。細かい構造はともかく、どういったものなのかは伝える事ができた。 「えっと、もしかしたらそれ、僕たちも見ていたかも」 その説明を受け、ムネチカと共にデパートにいた時の事を思い出し、ライフィセットが言った。 それを聞いて、九郎の顔が引きつる。 「え? ……その、アレを見たの?」 「ううん。ムネチカに目を塞がれちゃってたからほとんど見てないよ」 グッジョブ、と内心で九郎は安堵する。 あれは、子供に見せるには教育上よろしくない。 そして、ここに岩永琴子がいなくて良かったとも。 この会場、彼女がいてくれればと思う局面が何度もあったが、今回に限っては間違いなくいなくて良かった。 もし彼女がにいれば、絶対に何か品性のない発言をしていた。確信ができる。 「それで、お前たちは見ていたのか?」 「いや、知らんな」 「アタシ達も見てなかったと思うよ」 ブチャラティの問いに、他の参加者達は皆、首を横に振る。 問題の放送があった時間帯、隼人とクオンは産屋敷邸にいた。 一方のアリアは、岩永と共に南西方面の施設を回っていたはずだ。 「放送できる範囲の問題か、あるいは単に近くにテレビやそれに相当する物がなかっただけの話かもしれんな」 あの時、ブチャラティ達も見たくて見たわけでもない。 こんな殺し合いの最中だ。仮に放送範囲が会場全域だとしても、見ていない参加者が多くても不思議はない。 「それでも、うまく使えば危険人物の情報をそれなりの人数で共有できるかもしれんな」 ブチャラティや冨岡の名を騙ったいたディアボロや無惨のように、危険人物を危険人物だと認識できない事が最悪の問題だ。 うまくテレビ局を利用できれば、それを大幅に減らす事ができるかもしれない。 「とはいえ、位置的に少し遠いな。やはり、行くとしても遺跡が先だな」 問題としては、現在地からテレビ局までそれなりに距離があるという点。やはり、まずは遺跡の方が優先だろう。 そうか、と隼人は頷いた後に続ける。 「俺の方は病院を経由して、研究所に向かう。元々の予定だし、首輪解除の糸口がつかめるかもしれん」 既に研究所にはオシュトルが行き、首輪解除の成果を出せなかったようだが今の隼人達にはビルドの忘れ形見もある。 行くだけの価値はあるだろう。 病院を経由するのは、半壊してしまったとはいえ、ある程度の薬や治療用の設備があればそれを使っておきたいという考えもあっての事だ。 無論、生存した状態で病院に残っている場合も考え、ヴライを警戒する必要があるが。 「ついでだ。フレンダとやらがいたら、竜馬に引き合わせるまで連れていってもいい」 「助かる」 ブチャラティとしても、フレンダの問題は最後まで責任を持ちたいという思いもある。 だが、ブチャラティの身体は一つしかないのだ。 レインと静雄が帰ってきた後、この二人をうまく合流させる事ができたとしても、竜馬に対してもフレンダにはけじめをつけさせる必要があるのだ。 最後に、ここがメビウスと呼ばれる世界に近い世界である可能性が高い事も、はじめて知る者もいるため、改めて情報を共有した。 ただし、岩永琴子やレインの推測に関しては、話さないまま。やはり、不確定な情報かつメンタルに大きく影響を与えかねないからだ。精神的に安定していない者もいる中、すべきではないとの判断からだ。 そこで一度話を打ち切り、各々が目の届く範囲で休憩をとりつつ、レインと静雄の帰還を待つ。 二人が戻ってくるのにあまりに時間がかかるようなら、書き置きを残して先に移動を開始するという事でいったんは解散となった。 ◇ ◇ ◇ 皆が散っていき、ブチャラティと九郎のみがつい先ほどまで議論していた場所に残っていた。 そのまま、ブチャラティと九郎はここで話し合っていた。 もちろん、これからの行き先に関しての問題だ。 「……やっぱり、一人は知っている顔がいた方がいいでしょうね」 「そうだな」 カナメ、霊夢は早苗と会っているが、この場で会った参加者達はフレンダに対しては初対面になる。 余計な警戒や問題を起こさないために、既に顔見知りの九郎は病院方面に行くべきだと考えていた。 「任せていいか?」 「ええ。僕が行くのが妥当でしょう」 「助かる」 遺跡には、ライフィセットの仲間であるロクロウが向かった可能性が高い以上、彼はそちらを選ぶだろう。梔子に関しても、彼と契約している関係上、一緒にいた方が良い。 そして、ブチャラティとしても、例の偽ブチャラティことディアボロが向かっている可能性がある以上、ここで何とかしておきたいという思いもあった。 「それと、話は変わりますが、例の身体ストックってありましたよね」 「ああ、今もここにある」 あの時の仲間の分は持ち出している。 そして今のブチャラティの片腕は、あのヴライとの戦いの際に切り外したまま放置されており、変わりに身体ストックのものをつけている。 ここまで違和感がないのであれば、実際のものと変わらない。 「それで思いついたんですが、それってさっきの話に出てきた鬼の飢餓衝動の対策として使えませんかね?」 鬼の食事は、人間の血肉。 当然の事ながら、気軽に渡せるものではない。 だが、この身体ストックはその代用品になるかもしれない。 「……なるほど。そういう使い方もできるのか」 ブチャラティにしても、もし無惨が善良な参加者を鬼にするような真似をしているのであれば、それを救いたいという思いもある。 だが先ほど隼人が言っていたように、鬼の特徴である飢餓衝動の問題を考えれば、仮に保護できたとしても、連れ歩く事すら難しいだろう。 だが幸い、といっては悪いが既に死亡している参加者の身体ストックならば使い道が他にない。 あまり想像したくない話だが、ブチャラティが持ち出したアリアや新羅のものは、次の放送で二人が呼ばれれば不要のものとなってしまうのだ。 「いい気はしないがな」 「そうですね」 九郎も一般的な価値観が欠如しているわけではなく、そこは同意する。 この話はこれまでとした時、ブチャラティが思い出したように言う。 「もし、このまま別れるならば、これも持っていってくれないか?」 取り出したのは、スパリゾート高千穂の男性ロッカーの鍵。 かつて、ホテルで入手したものだ。 「このまま、東の方向に向かうならお前が持っていてくれた方が良いだろう」 「それもそうですね」 九郎は頷く。 「それじゃあ、ブチャラティさんも、もし岩永と会えたらお願いしますね。色々と危なっかしい奴ですから」 「わかった」 ――もし仮に。 ここで、岩永琴子が遺跡方面に向かっていると知る事ができるのであれば。それも、偽ブチャラティことディアボロと一緒だと知る事ができれば。 間違いなく、九郎は遺跡方面への移動を決断しただろう。 だが、九郎は全知全能の神ではなく。それを知る事はできない。 この時点で彼が知れたのは、数時間前は西の方にいたという情報のみ。 今はどこにいるかは分からない。実際、同じくらいの時期にホテルにいた九郎にしても今は大きく移動している。 彼女らに目標の施設があった様子でもない以上、行先の特定は困難だったのだ。 ◇ ◇ ◇ 「その、本当に大丈夫なのか?」 「え? 何が?」 ライフィセットと梔子は、少し離れた場所にいた。 離れているとはいえ、少し声を出せばブチャラティ達に届くぐらいではあるが。 そこで、梔子はライフィセットに問いかけた。 「さっきまで、相当に危険な状態だったようだが普通にしていて大丈夫なのか?」 「まだ少し、疲れはあるけど大丈夫だよ」 「……そうか」 一時解散となった後、ついライフィセットについてきてしまったが、先ほどと同様に気の利いた言葉はでてきてくれず、少し気まずかった。 「その、改めて言うけどありがとう。梔子のおかげで、助かったよ」 そんな中、礼を言われる。 少し戸惑ったが、それが聖隷契約の事だと分かった。 「さっきも言ったが、別に気にする必要はない」 「ううん。それでもお礼を言わせて」 「私だけじゃない。他の皆のおかげでもあると思う」 あの際、ブチャラティがいなかったら、ライフィセットが助かっていてもヴライの襲撃の事件で終わっていた。 「そうだね。他の皆にも感謝してるよ。色々な人に助けられて、今の僕がいると思うから」 最初の同行者だったムネチカはもちろん、ブチャラティや九郎にしても、今ここにいる梔子にしてもそうだ。 「それに、フレンダって人も」 フレンダ。 その名前の相手に、梔子はあまりいい感情を持っていない。 フレンダ被害者の会のメンバーの大半が、梔子の元同行者達だったという事もある。 それだけでなく、単純に殺し合いに乗ったというだけでなく、人を煽り、安全圏に潜むようなやり方は、どこか琵琶坂を連想してしまい。 煉獄殺しの犯人と思われるミカヅチや、彩声の死因となったヴライよりもフレンダに対する梔子の嫌悪感は強かった。 「ブチャラティさんや桜川さんはともかく、フレンダはお前を助けたかったわけではないと思う。感謝する必要はない。何より、彼女は乗った側だった」 「聞いているよ。でも、それでも助けてくれたのは事実だから」 ライフィセットもその事は既に聞いた。 だが、それでも。 あの列車での戦いの時、フレンダの活躍によって、助けられた事にも変わりはない。 結局、フレンダとはまともに意識のあるうちに会話もできていないが、もしまた会えば礼の一言でも言っておきたいと思っていた。 「……人が良すぎると思う」 梔子も、そういったライフィセットの考えは好ましいと思う。 だが、この世にはそういった無垢な善意の者を踏み台のようにしか考えないどうしようもない存在がいる。 「世の中には、そういう考えの持ち主を平然と利用する本当に救いようのない外道がいるんだ」 「それって、琵琶坂って人の事?」 「……どうして、そう思った?」 琵琶坂に関して、あくまで危険人物だという事のみしか梔子は話していない。 梔子にとって、個人的な因縁や復讐相手だという事までは伝えていない。 「……何となく。梔子が琵琶坂って人の事を話している時の表情が、僕の知っている人によく似ていたから」 決して消えぬ焔を宿し、例え心や身体がどれだけ傷つこうとも仇を追い求めんとする姿。 一見、ライフィセットの知る『彼女』と共通点などほとんどないように見える梔子だが、そこだけはそっくりだったから。 根拠などなく、ただの勘。 故に、梔子が否定してしまえば、それまでの言葉。 それ以上に、追求する言葉をライフィセットは持たない。 「……」 梔子は、暫し躊躇する。 ここで、適当な事を言って言い逃れる事はできるかもしれない。 主催の打倒などより、特定の個人への復讐こそが最優先だと言ってしまえば、この団体での信頼度は落ちるかもしれない。 ――だが。それでも。 それでも、他の事ならばともかく、この件で偽りを吐きたくはなかった。 目を逸らすことなく真っ直ぐに訊ねてくる少年に対し、全てを己の欲の為に利用して平然とその舌から嘘を生み出すあの男と同じにまで堕ちたくない。 おんぼろに成り果てた心でも、これだけは偽りたくない梔子にとっての気持ち。 「……そうだ。琵琶坂への復讐。それこそが、私にとって残された全て」 「それが、梔子が戦う理由?」 「そうだ。琵琶坂永至の事を私は優先する」 確かに、この団体を。他の参加者達をその復讐に利用しようという思いが完全にないかといえば、それは嘘になる。 しかし、他の参加者達。特に、この場にいない静雄やレインも含めて世話になった参加者達が別にどうなってもいいと思っているわけでもない。 「だが、信じて欲しい。琵琶坂にとって益にならない限り、君や他の参加者達にできる限りの協力をするつもりだ」 嘘ではない。 もはや、琵琶坂への復讐こそが自分に残された全て。 だが、それでもそれが成された後に、この命が残っていたのならば、世話になった人達のために残された全てを差し出してもいい。 偽らざる梔子にとっての、本心だ。 「すまない。勝手な事を言っているのは分かっている」 個より全。 感情よりも理性。 その理からすれば、間違った事。 こんな状況下で、殺し合いの打破よりも、個人的な因縁を優先するのは愚かな事かもしれない。 だが、愚かであっても間違いであっても、確かな意思によって決められたのならば、それは人としての尊い決断だ。 その思いを、ライフィセットは否定したくなかった。 「梔子にとっては、それだけ大事な事なんだよね?」 ライフィセットの問いに梔子は頷く。 「琵琶坂への復讐は絶対に成し遂げる。大事なものも全部なくしてしまった私だが――それだけはやってみせる」 あの日、琵琶坂によって全てを奪われ、メビウスという偽りの楽園で過ごしていた梔子にとっての唯一の目的。 例え、第三者から意味のない事だと言われようとも、命にかえても成し遂げる気でいた。 そんな時――。 ぐしゃ、と瓦礫を踏む音が響いた。 「……あ」 音のした方に、二人が振り向く。 そこには、つい先ほどまで話していた参加者の一人――クオンがいた。 「……ごめんね、黙って聞いているつもりはなかったんだけど」 ばつが悪そうな様子のまま、クオンは続ける。 「さっきも自己紹介はしたけど、もう一度名乗っておくね。私はクオン。ライフィセットと梔子、で良かったよね? ……その、邪魔する気はなかったんだけど」 そう申し訳なさそうに軽く頭をさげ、クオンは近づいてきた。 ライフィセットに用があって、話しかけようとしていたのだが、二人の会話はクオンにとっても興味を惹かれる話でもあったため、声をかけるのが遅れてしまったのだ。 「ムネチカの事?」 ライフィセットにとっても、クオンはこの場が初対面になる。 当然、そんな彼女からの用となれば、二人を繋ぐ話題はそれ以外に考えつかない。 「うん。もし良ければ、もう少し詳しい話を教えて欲しいかなって思って」 先ほどの情報交換では、人数が多かった事もありあくまで最低限の説明のみだった。 クオンにとって、ムネチカはそこまで親しいというわけではない。 もう少し後の時間からであれば、共に戦う仲間という印象も強くなっていたかもしれないが、このクオンにとってムネチカは、ヤマトにいた頃によく遊びにきていたアンジュの保護者、ともいうべき立ち位置の印象が強い。 だが、それでも。 アンジュが、ミカヅチが、マロロが亡くなった今。 ムネチカが占める割合は、クオンの中で大きい。だからこそ、彼女を捕らえているという連中にも強い怒りを抱いた。 「私は席をはずそうか?」 「ううん。別に構わないかな」 離れようとする梔子に、クオンは首を左右に振る。 別段、聞かれて困るような話をするわけでもない。 「えっと、それじゃあ最初から話すとムネチカとはデパートで会ってから……」 そして、話し出す。 ムネチカと出会ってから、これまでの話を。 さきほどの情報交換とは違い、かなり細かい箇所の、どうでもいい話まで。 そんな情報から出てくるムネチカは、間違いなくクオンの知るムネチカだと確信できた。 だが、ムネチカはマロロ同様に、自分よりも後の時間軸からのようであり、やはり自分はオシュトルの下で戦っていたらしい事を確信する。 (……結局、みんなが見捨てられなかったって事かな) 自分は最後まで、冷酷なトゥスクル皇女としての仮面を被り続ける事ができなかったのか。 オシュトルに思う事があったとしても、皆の為にただのクオンとしてエンナカムイに残る事を選んだのだろうか。 偽りの仮面の真実を知らないクオンでは、ムネチカやマロロの知るクオンを理解できず、そんな風に考える。 そんな中、クオンはライフィセットの話を続けて聞いていく。 そして、別れのところまで話は終わった。 「そっか、ムネチカ……」 最後まで、この少年を守ろうとして戦ったらしいムネチカの事をとてもらしいと考える。間違いなく自分の知るムネチカだと。 だがここで、ついクオンの思考にある漢の事が過ってきてしまう。 (――それと比べて、あの漢は。オシュトルは) 内心で、苛立ちが募る。 この場にいない、仮面の右近衛大将に対して。 先ほどの話から、何度もオシュトルの事を脳裏に浮かべては、それを消してという事をクオンは繰り返していた。 元々、敵対していたヴライを除けば、もう一人の残された知り合いであるオシュトル。 どうしても、彼に対しての怒りが膨れ上がってくる。 今話しているライフィセットのように、オシュトルといたらしい早苗からはそこまで詳しい話を聞いていなかった。聞きたいとも思わなかった。 早苗自体も、先ほどオシュトルに対して語った内容は多くなかった。 元々、情報の量が多かったという事もあり、一人一人の説明に割ける時間も少なかったという事もある。 そして、早苗も別れた時のいざこざもあり、無意識のうちにオシュトルの事を長々と説明するのを避けてしまっており。 もし、もっと詳しく話をしていれば、自分の知る『オシュトル』と早苗の知る『オシュトル』の差異から違和感を覚えてかもしれない。 いや、それでも。 クオンにもう少しオシュトルに対する冷静な判断能力が残っていれば、『オシュトル』が「首輪解除のために大いなる父の遺跡を目指す」という行動自体が、彼女の知る『オシュトル』からすれば少しおかしいと考える事ができたかもしれない。 だが、そのオシュトルに対しては。 どこまでも悪い印象を抱いてしまっているオシュトルに対しては、詳しい話を聞いてみたいという気になれず。 結果として、偽りの仮面の正体に気づく事はなく。 オシュトルに対する怒りも修まらず、疑念や不信感が増大していくだけだった。 (そのオシュトルが近くにいる) 早苗によれば、オシュトルは遺跡を目指しているとの事。 手段を選ぶ様子はないようだが、それでも曲がりなりにも主催打倒のために動いてはいるようだ。 だが、それでも今の自分がオシュトルと笑顔で協力しあえるか――例え、表面だけでも取り繕い、手を取り合う。ムネチカ奪還に加え、主催打倒に向けて共に戦う。 とてもではないが、想像できない。 かつてならともかく、今の自分ではそれすら厳しそうだ。 そして、今のクオンにとっての問題はオシュトルだけではない。 (……ヴライ) ある意味、オシュトル以上に問題なのはこちら。 オシュトルが友を見捨て、自分だけ助かる見下げ果てた漢だったとしても、そもそもの元凶はコチラ。 これまで、関わる事がなかったため、いつしか思考の片隅に置かれかけていたが、ここでその存在が近くにいる事を知ってしまった。 (ヴライも近くにいる) ここから病院までの距離は短くない。 ブチャラティが完全に仕留めきれなかったとしても、まだ病院に残っている可能性も十分にある。 それでも、即座に駆け出さずに済んでいるのは、心身共に傷つき疲れ切った身体のためか。 ――あるいは、 (まだ、私は決めかねている、かな) 結局、最初にリゾットと出会った時の質問の答えをクオンはまだ出せていない。 過去に囚われた復讐か。 今を守り、未来へとつながる道を歩むか。 特にヴライに関しては、これが最初で最後の機会かもしれない。 だが、そもそも自分は本当にヴライに復讐がしたいのか。 ヴライを殺し、ハクの仇を取ったとして、それで自分は満足するのか。 それすらもわからない。 少なくとも、ハクは喜ばない。ハクは、間違いなく仇討ちなど望まないだろう。 「えっと、どうかしたの?」 ライフィセットに話しかけられ、思考の渦に吞まれかけていたクオンはついはっとした様子になる。 「あ、ううん。何でもないかな」 煮えたぎるようなオシュトルへの思いも、ヴライへの怒りも一旦は抑える。 そんなクオンに、少し躊躇した後、ライフィセットは訊ねる。 「あの、僕からもいいかな?」 「何かな?」 「クオンはベルベットと会っていたんだよね」 「……うん。一応ね」 彼の言う、ベルベットとクオンはこの会場で会っており、わずかではあるが交戦している。 すぐにそれは中断され、主催打倒のために休戦して、その後の戦いでクオンは意識を失ってしまっていたわけだが。 あの時点では、ベルベットは単の危険な参加者の一人にすぎず、クオンが戦ったのは当然の判断。 気絶している間に、彼女らと停戦協定を結んだのも隼人であり、そこにクオン自身に責任を感じる必要はないとはいえ、あそこでのクオンの行動一つでムネチカの運命も何かが変わっていたかもしれないという後悔はある。 「ライフィセットは、あのベルベットよりも先の時間のベルベットと親しかったんだよね?」 マロロの例もあり、時間軸の違う相手との戦う、という事に関してもクオンも少しは理解しているつもりだ。 「うん。色々な事があったけど――ベルベットは僕に名前をくれた。羅針盤を持たせてくれた。生きているんだって教えてくれた。大事な人なんだ」 「そっか……」 接したのはごくわずかとはいえ、殺意を発しひたすらに人を寄せ付けない雰囲気を纏っていた印象ばかりが強いクオンの知るベルベットからは想像もできない姿。 だが、この少年にとってきっと大事な。大切な存在だったのだろうという事は分かる。 そして、そんな大事に想う相手から、一方的に殺意すら持たれた状態で襲われる。その事の恐ろしさもだ。 マロロの際は、幸いにもすぐに和解する事ができたが、場合によっては殺し合いに発展していたかもしれない。 (私の場合、あの人と戦うようなものかな) ここでつい、ハクの顔がクオンの脳裏に浮かぶ。 自分で例えるならハクと命がけの殺し合いをするようなものだろうか――とクオンは思い、慌てて首を振る。 (何考えているんだろう――私は) ハクは死んでいる。そして、その会場にはいない。 いや、そもそも。どの時間軸からハクが呼ばれていようが、命がけの殺し合いをするような理由は自分にはない。 それは、決して起こりえない事。 ありえない事なのだから。 (……ふう。マロロの事があったせいか、おかしな方にばかり考えちゃうかな) 迷走するような思考を振り払う。 (そろそろ決めなきゃダメ、かな) 一つ、内心で息をつく。 単純に遺跡方面に向かうか、病院方面に向かうかという選択肢だけではない。 結局のところ、今のクオンにとって考えるべき二択は、ヴライという過去の因縁を取るか、オシュトルと共に未来を取るかだ。 ヴライの姿を思い浮かべる。 続いてリゾット、そしてつい先ほどまで話していた梔子の言葉も。 リゾットとも梔子ともクオンは違う。復讐は大事なものを全て失った者がする事なのだとしたら、自分はまだ全てを失ってはいない。ハクが死んで、この会場でアンジュが、ミカヅチが、マロロが死んでしまったとはいえムネチカを含めて残っているものは、まだまだいっぱいある。 今度は、脳裏ににオシュトルの顔を浮かべる。 どんなにクオンの中でオシュトルの評価が落ちたとしても、ネコネの兄であり、キウルの義兄だ。 その事実は、変わらない。 その事を考えれば、決してオシュトルに死んで欲しいわけではない。 仮に、この催しでオシュトルが死んでクオンだけが生き残った場合、ネコネやキウルにどの面を下げて会えよう。 (わた、くしは――) ならば、正しい道は一つ。一つのはずなのだ。 なのに、その結論をクオンはなかなか選べなかい。 過去か、未来か。 これは、クオンにとって大きな分岐点になるかもしれない選択肢。 その決断の時が迫っていた。 ◇ ◇ ◇ 「ちょっと意外じゃん、隼人」 「何がだ?」 先ほど話した場所とは、少し離れた場所。 そこに隼人、アリア、早苗がいた。 正確には、もう二人いる。ビルドとマロロだ。 その近くで、隼人は穴を掘っている。 簡易なものではあるが、この二人の墓を作る気でいた。 ブチャラティらが先ほどまでいた墓場があるが、さすがにそこまで持っていくわけにはいかない。それに、ビルドはここで眠る事を望むだろうという思いもあった。 ちなみに、ビルドの持っていた支給品は隼人が。マロロの持っていた方はクオンが受け取っている。 ビルドとの付き合いはこの場では一番長い隼人、元々の知り合いであるクオンが受け取るのは妥当だろうという事で、特に不満の声も出なかった。 支給品以外にも、大砲のようにこれまでの戦いで使っていたビルドの所持品に関しては、ひとまず整理して必要がなさそうなものは一緒に埋葬する気でいた。 「いや、あんたの事だから、すぐにでも行動にうつるのかと思っていたからさ」 確かに、他の参加者のみならず隼人までもが決して浅くない怪我を負っているとはいえわざわざ、いったん休憩しようなどと言い出すのはアリアにとっても意外だった。 これまでの付き合いからして、すぐにでも次の目的地に移動をはじめるとばかり思っていた。 「さっきの二人が帰ってきたから動いた方が、効率的だと判断しただけだ」 それも嘘ではない。 だが、実のところ、真に隼人が待っていたのは第三回の放送だった。 あとわずかまで迫っているのだ。どうせならば、他の参加者達の生死を確認してから動いた方が良い。 隼人自身、例え誰の名が呼ばれたとしても揺らがぬ気ではいるが、他の参加者はそうではない。その様子を見てから、改めて行動指針を考えるべきだろう。 「アリア。それよりも、お前はどうする気だ?」 「え?」 唐突に言われ、アリアは戸惑う。 「お前はどちらについていく気でいる」 「いや、アタシは梔子の様子からして、梔子とは別の方に行った方がいいかなとは思ってるけど」 琵琶坂を仲間だと認識するアリアを、梔子は間違いなく拒絶する。 アリアからすれば、琵琶坂の凶行を聞かされたとはいえそれは又聞きの情報という事もあり、まだ琵琶坂を信じていたいという思いが強い。 彩声が死んだ今、この会場に残る帰宅部の唯一の仲間なのだから。 だが、琵琶坂を仲間だとアリアが考える限り、梔子は同行を断るだろう。もし、これから琵琶坂と会う事になった場合に梔子と揉める事は確実なのだ。 「そうか」 それに対して、隼人の返事は短かった。 「クオンはどうするのかな……?」 「正直、五分だな」 クオンは、彼女の知り合いだというムネチカを捕縛しているという一味に対し、強い怒りを見せていた。 そのベルベットらと敵対する可能性が高いライフィセットやブチャラティと共に行く道を選ぶかもしれない。 一方の隼人としては、実のところベルベット・夾竹桃・麦野らの一味と必ずしも敵対する理由はない。 場合によっては、数時間前のように停戦や交渉も選択肢に入るが、クオンは間違いなく了承しないだろう。 ゆえに、危険人物に関しての議論になったさい、ベルベット・クラウらの話は意図的にしなかった。 その処遇で、クオンともめてしまう可能性が高かったからだ。 隼人にとって、これまでの話を統括しての優先的な排除対象とする参加者は、鬼舞辻無惨、ウィキッド、ヴライの3人だ。 これは戦闘能力の問題からではなく、明らかに交渉が通じそうにない性格やその方針からの判断だった。 逆に、ある程度の交渉は可能だった夾竹桃ら一味。偽名を騙っただけのディアボロらは、危険度は下がる。今は竜馬と行動を共にしているようだが、現状で何かしでかす様子はなさそうだったようなので一応は警戒といった程度。琵琶坂に関しては、梔子が詳細を語らなかった事もあり、判断は保留。 そして、他の参加者達の情報などを吟味すれば、元々の仲間である竜馬を除けば最も同盟相手として好ましそうな参加者といえるのはオシュトルだった。 彼は方針からして、対主催のために手段を選ぶ様子はなく、必要以上に暴れまわる気もなく、協調性もある。 隼人の方針を考えれば、理想的といえる同盟候補だった。 だがそのオシュトルと、クオンは遺恨がある様子だ。 もっとも、彼は遺跡方面に向かった様子なので研究所方面に隼人が向かってしまえば会う事はできないだろうが。 さらにいえば、今は失っているようだが、ウィツアルネミテアという力の存在も聞いた。 それほどの力がありながら、今は精神的に不安定。 それに加え、はっきりと口にする事はなかったがオシュトル、そしてヴライの話を聞いた時の反応からして、この両名に遺恨がある様子。 それらの理由から、今のクオンとは共に行動するのは危険な状態となっている。 ――とはいえ。 隼人もそれなりに長い時間、共に戦ったクオンに対して思う事がないわけでもない。 自分と共に来る道を選ぶなら、その時はその時で受け入れる気でいた。 「それで、お前はどうする気だ」 これまで黙って作業を眺めていた早苗の方に、隼人は視線を動かす。 「私は……」 早苗からしても、さきほどの情報交換は決して喜ばしいものではなかった。偽ブチャラティの件を抜きにしても、ヴァイオレットの元同行者と思しき二人の現状もそうだ。 妖夢を屠ったのは、垣根との情報と合わせて考えてチョコラータと累という参加者。垣根らが途中で見つけた死体がそうだろうという結論になった。その犯人であるチョコラータらは既に死んでいる。 仇が死んでざまあみろという感情もなければ、自分の手で仇を討ちたかったという感情もない。 ただただ虚しさだけが、早苗の胸中を支配する。 竜馬と会った時と同様に、ゲッターロボの関係者に出会ったという喜びも出てこない。 ここで病院に向かえば、高確率で霊夢とはまた会える。 だが会ってどうするというのか。一緒に魔理沙の仇を討つ手伝いをさせてくれとでもいうのか。霊夢と、それに彼女と一緒にいるカナメと同行するというのはそういう事だ。 だが、遺跡には例の自称ブチャラティがいる可能性がある。 もしいたら、何を話すというのか。「あなたは本物ですか?」とでも問い詰めるのか。 さらには、オシュトルやロクロウまでもがいる可能性が高い。彼らを前にして、また揉め事を起こさないでいられるのか。 こちらに行けば行ったで、問題は山積みだ。 ならば、誰とも同行せず、この場に残る。あるいは、全く別の場所に行く。それもまた一つの選択ではある。 「……」 隼人からしても、早苗の行き先を強制する気はない。 早苗の様子を見てすぐに結論を出す事はできないと判断したのか、やがて墓作りの作業に隼人は戻った。 (みんな……) アリアは、そんなやり取りを聞きながら考える。 この場の参加者。 そして、この場にはいない参加者達とも多く会ってきたが、彼ら、彼女らには、それぞれの事情があり思惑がありそれらが交差していた。 最善、という話をするならば、王やチョコラータのような一部の例外を除けば主催打倒が優先目標という点においてほとんどの参加者の利害は一致しているはずだ。 いったん、全ての因縁を無視して互いの知る情報を惜しみなく出し合えば、主催打倒に限りなく近づけるだろう。 だが結局のところ、参加者達は人なのだ。 必ずしも、最善の選択肢を選べない。 あの岩永琴子ですら、超然としながらも個人としての感情が見え隠れする事もあった。 個人の思い、憎しみ、願い。そういった感情が複雑に絡み合い、最も正しき道に最短で辿り着く事ができない。 だが、それでも決して不快だとは思わない。 それこそが正しいニンゲンだと思うから。 アリアは、ニンゲンではなくバーチャドールだ。 バーチャドールは決して、ニンゲンにはなれない。 そして、ニンゲンも決してバーチャドールにはなれない。 だからこそ、アリアはそのあり方を受け入れ、背中を押す手助けをしよう。アリアはバーチャドールとしてそう思った。 【C-5/夕方/ムーンブルク城/一日目】 【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】 [状態]:疲労(中)、強い決意、全身に火傷、ダメージ(中) [服装]:普段の服装 [装備]: [道具]:不明支給品1~3、 サーバーアクセスキー マギルゥのメモ 身体ストック(ライフィセットの両腕、ブチャラティの左腕使用済) [思考] 基本:殺し合いを止めて主催を倒す。 0:暫しの休息の後、遺跡に移動する。 1:放送を聞いた新羅への不安と、アリアへの心配。何とか合流したい。 2:魔王ベルセリアへの対処。 3:ヴライが生き残って襲ってきたら対処。 4:自称ブチャラティ(ディアボロ)に対して警戒。 5:テレビ局に行く事ができれば、そこを利用して情報を広める。 6:フレンダに関しては、被害者達とのけじめがつけば再度合流。 7:カタリナ・クラエスがどのような人間なのか、興味。 [備考] ※参戦時期はフーゴと別れた直後。身体は生身に戻っています。 ※九郎、新羅と知り合いの情報を交換しました。 ※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。 ※新羅から罪歌についての概要を知りました。 ※垣根と情報交換をしました。 ※霊夢、カナメと情報交換をしました。 ※持ち出した身体ストックはブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子、ア リア、新羅のもののみです。 ※隼人、クオン、早苗らと情報交換をしました。 【桜川九郎@虚構推理】 [状態]:健康 静かに燃える決意、魔王ベルセリアに対する違和感 [服装]:ホテルの部屋着(上半身の部分はほぼ全焼) [装備]: [道具]:基本支給品一色、不明支給品×1~3、スパリゾート高千穂の男性ロッカーNo.53の鍵 [思考] 基本:殺し合いからの脱出 0:暫しの休息の後、病院へと向かう。 1:あの彼女(魔王ベルセリア)、何とかしかければ……。 2:フレンダに関してはとりあえず被害者達に任せる 3:岩永を探す 4:人外、異能の参加者達を警戒 5:余裕があればスパリゾート高千穂を捜索 6:きっとみねうちですよ。 [備考] ※鋼人七瀬編解決後からの参戦となります ※新羅、ジオルドと知り合いの情報を交換しました。 ※アリア、ブチャラティと知り合いの情報を交換しました。 ※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。 ※新羅から罪歌についての概要を知りました ※魔王ベルセリアに対し違和感を感じました。 ※垣根と情報交換をしました。 ※隼人、クオン、早苗らと情報交換をしました。 【ライフィセット@テイルズ オブ ベルセリア】 [状態]:強い倦怠感、全身のダメージ(大)、疲労(中)、強い決意 [服装]:いつもの服装 [装備]:ミスリルリーフ@テイルズ オブ ベルセリア(枚数は不明) [道具]:基本支給品一色、果物ナイフ(現実)、不明支給品×2(本人確認済み)本屋のコーナーで調達した色々な世界の本(たくさんある)、シルバ@テイルズ オブ ベルセリア [思考] 基本:ベルベットを元に戻して、殺し合いから脱出する 0:暫しの休息の後、遺跡へと移動する 1:ブチャラティ達と行動する 2:ムネチカへの心配 3:ベルベットの同行者(夾竹桃、麦野)への警戒 4:ロクロウ達との合流 5:ヴライがアンジュを殺しているならムネチカやその仲間達に伝えるべき? 6:エレノア、マギルゥ……。 [備考] ※参戦時期は新聖殿に突入する直前となります。 ※異世界間の言語文化の統一に違和感を持っています。 ※志乃のあかりちゃん行為はほとんど見てません。 ※呼ばれた時間に差がある事に気づきました。 ※梔子と聖隷契約をしました。 ※現在はデイパックの中にシルバがいます。 ※隼人、クオン、早苗と情報交換をしました。 【梔子@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】 [状態]:健康、疲労(中)、精神的ダメージ、レインの仮説による精神的疲労(少し回復) [服装]:メビウスの服装 [装備]:ストップウォッチ@東方project(1回使用) [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1(心許ないもの)、静雄のデイバック(基本支給品、ランダウ支給品×1~2)、ライフボトル×2@テイルズオブベルセリア [状態・思考] 基本行動方針:琵琶坂永至に然るべき報いを。 0:暫しの休息の後、遺跡へと移動。 1:当面はライフィセット達と行動 2:彩声の義理を返す為、レインを死なせないようにする。 3:琵琶坂永至が本人か確かめる。 4:琵琶坂を擁護する限りアリアとは行動を共にしない。 5:本当に死者が生き返るなら…… 6:煉獄さん……天本彩声…… 7:私が虚構かもしれない、か…… [備考] ※参戦時期は帰宅部ルートクリア後、 また琵琶坂が死亡しているルートです。 ※キャラエピソードの進行状況は少なくとも誕生日のコミュは迎えてます。 ※静雄、レインと情報交換してます。 ※ブチャラティ、霊夢達と情報交換をしました。 ※ライフィセットと聖隷契約をしました。 ※隼人、クオン、早苗と情報交換をしました。 【神隼人@新ゲッターロボ】 [状態]:疲労(大)、全身にダメージ(絶大)、出血(大)、カタルシス・エフェクト発現(現在は疲労困憊のため使用不可能) [役職]:ビルダー [服装]:普段着 [装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品) [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、浜面仕上の首輪、錆兎の首輪、ビルドの支給品0~2 [思考] 基本方針:首輪を外して主催を潰し帰還する。 0:ビルドの遺品を整理する。 1:病院を経由して研究所に向かう。 2:病院で使えそうなものが残っているものがあれば回収。 3:ものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。 4:主催との対決を見据え、やはり首輪のサンプルはもっと欲しい。狙うのは殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。 5:竜馬と合流する。ついでにフレンダとやらも引き渡す。 6:ジオルドが生きていたら殺す。 7:無惨、ウィキッド、ヴライを見つけたら排除。 8:ベルベット、夾竹桃、麦野、ディアボロ、琵琶坂を警戒するが判断保留。 9:静雄とレインが戻ってきたら改めて情報交換する。 ※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です ※幻想郷の大まかな概要を聞きました。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 ※夾竹桃・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 ※カタルシス・エフェクトに目覚めました。武器はドリルです。 ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。 ※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。 【クオン@うたわれるもの 二人の白皇】 [状態]:全身にダメージ(絶大)、疲労(大)、出血(絶大)、精神的疲労(絶大)、オシュトルへの怒り、ウィツアルネミテアの力の消失 [役職]:ビルダー [服装]:皇女服 [装備]: [道具]:基本支給品一色、薬用の葉っぱ@オリジナル、不明支給品0~2、マロロの支給品3つ [思考] 基本:殺し合いに乗るつもりはない。皆と共に脱出を。 0:暫しの休息の後、遺跡か病院へ移動する。 1:オシュトルはやっぱり許せない。 2:ヴライが近くに…… 3:ムネチカを捕えた連中(ベルベット達)からムネチカを取り戻したい 4:アンジュとミカヅチとマロロを失ったことによる喪失感 5:着替えが欲しいかな……。 6:オシュトル……やっぱり何発か殴らないと気が済まないかな 7:優勝……ハクを蘇らせることも出来るのかな……ううん、馬鹿なこと考えちゃ駄目! 8:マロロ... [備考] ※ 参戦時期は皇女としてエンナカムイに乗りこみ、ヤマトに対しての宣戦布告後オシュトルに対して激昂した直後からとなります。オシュトルの正体には気付いておりません。 ※マロロと情報交換をして、『いまのオシュトルはハクを守れなかったのではなく保身の為に見捨てた』という結論を出しました。 ※ウィツアルネミテアの力が破壊神に破壊された為に消失しています。今後、休息次第で戻るかは後続の書き手にお任せします。 ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。 ※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。 【東風谷早苗@東方Project】 [状態]:霊夢に会えたことの安心感と同時に不安、全身にダメージ(大)、疲労(大)、精神的疲労(絶大)、臓器損傷、悲しみ(大) [役職]:ビルダー [服装]:いつもの服装 [装備]:早苗のお祓い棒@東方Project [道具]:基本支給品一色、不明支給品0~1、早苗の手紙 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。この『異変』を止める 0:暫しの休息。 1:ブチャラティ(ドッピオ)さん、信じていいんですよね……? 2:幻想郷の知り合いをはじめ、殺し合い脱出のための仲間を探す 3:ゲッターロボ、非常に堪能いたしました。 4:ロクロウとオシュトルに不信感。兄弟で殺し合いなんて…… 5:シミュレータにちょっぴり心残り。でも死ぬリスクを背負ってまでは... 6:魔理沙さん……。 [備考] ※ 参戦時期は少なくとも東方風神録以降となります。 ※ヴァイオレットに諏訪子と神奈子宛の手紙を代筆してもらいました。 ※オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。 ※霊夢、カナメ、竜馬と情報交換してます。 ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。 ※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。 【アリア@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】 [状態]:疲労(大、フロアージャックはしばらく使用不可)、悲しみ(絶大) [思考] 基本:μを止める、だけど…… 0:暫しの休息の後、隼人と共に移動する。 1:永至を信じたい [備考] ※参戦時期は少なくてもシャドウナイフ編以降。琵琶坂生存ルートです。詳しい時期はお任せします。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 ※夾竹桃・隼人・ビルド・琴子・リュージと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、 Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 ※フロアージャックはしばらく使えません ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。 ※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。 前話 次話 たとえようのないこの想いを 投下順 夕暮れのかなたから 前話 キャラクター 次話 裁定、そして災害(後編) ブローノ・ブチャラティ 閉じ込められた方舟の中で 裁定、そして災害(後編) 桜川九郎 閉じ込められた方舟の中で 裁定、そして災害(後編) ライフィセット 閉じ込められた方舟の中で 裁定、そして災害(後編) 梔子 閉じ込められた方舟の中で 水面下で絡まる思惑 神隼人 閉じ込められた方舟の中で 水面下で絡まる思惑 クオン 閉じ込められた方舟の中で 水面下で絡まる思惑 東風谷早苗 閉じ込められた方舟の中で