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第502統合戦闘航空団 ぺテルブルク基地 グンドュラ・ラル少佐執務室内 ラル「ガランド少将預かりの男性ウィッチ、か」 目の前で直立しこちらを見つめる黒い髪に黄色の肌を持つ青年と手元の書類を交互に見比べながら、執務用のチェアに腰掛ける少女――グンドュラ・ラル少佐は書類に記載された情報を呟いた。 柔らかい茶髪に服の内側から突き出す豊かな双房の持ち主は窓から差し込む逆光を浴び、どこか神々しくも妖艶な空気を纏っている。 瑞々しい桜色の唇から漏れ出す呼気と声音が帯びるのは男を惑わせる色香。 見目麗しいこの女性が激戦区の更に最前線部隊を束ねる女傑だと誰が思うだろうか。 ロスマン「”元”扶桑皇国陸軍大尉。元? 元とはどういうことですか?」 女傑の傍らに控える銀髪の女性は指示棒を片手に真っ直ぐ青年へと視線を注ぐ。 少女と間違えられるほど小柄な体躯の彼女が人類トップクラスのエース、別名を黒い悪魔とも称されているエーリカ・ハルトマンを育てたエディータ・ロスマンだと事前に書類で確認していた青年は尚も肩を強張らせた。 片や人類第三位の撃墜数を誇る名高きグレートエース。片や人類トップクラスのエースを育て上げたウィッチ。 緊張するなと言う方が無理である。 俺「細かい話を素っ飛ばすと本国での俺は戦死者扱いなんです。扶桑海事変の際に俺大尉は戦死。それが扶桑皇国陸軍の公式記録です」 尚且つ二人揃って見目麗しいのだから、その二つの視線に晒されながらどこか照れたような笑いを浮かべる青年。 名を俺という彼の経歴が記載されている書類の最下部には扶桑海事変の際に僚機を庇い撃墜されて死亡とある。 だが血色の良い肌はもちろんのこと、強い生命の光が弾かれている黒瞳はとても亡者のそれではない。 ラル「なら今私たちの目の前にいるお前は何だ? 幽霊とでも言うのか?」 俺「あくまで公式記録では俺は確かに死者ですが、実際はこうして生きています」 ちゃんと足もあるでしょう、と付け加えた俺が軽くブーツの踵で床を叩いてみせると確かにコツコツとした音が執務室内に木霊する。 俺「今の俺は扶桑皇国陸軍人ではなくアドルフィーネ・ガランド少将の私兵。簡単に言えば駒に過ぎません」 ロスマン「それはつまり少将が他の将官を気にせず秘密裏に独自の判断で動かせるウィッチ・・・・・・いえ、独立兵ということでしょうか?」 公式記録で戦死扱いを受けているからこそ、この世に俺という人間が既にいないからこそ、彼は少将の駒と成り得ているのだろう。 ラル「少将には後日個人的に確認を取る。初めに言っておくが、ここ第502統合戦闘航空団に所属する以上スタンドプレーは禁止する」 俺「ということは」 ラル「義勇兵ならどうとでも誤魔化しが効く。少将預かりの駒がどれほどの働きぶりを見せてくれるのか・・・・・・期待しているぞ?」 ロスマン「ようこそ、俺さん。”最前線”へ」 俺「えぇ。少将と、そしてブレイブウィッチーズの名に恥じぬ働き振りをお見せいたします」 ――― 俺「こうもすんなり上手く行くと返って拍子抜けだな」 クルピンスキー「何が?」 俺「はいぃ?」 格納庫で自身のストライカーを磨いている最中、誰にとも無く洩らした言葉への返事があり、慌てて振り向けばいつの間に目前まで迫っていたクルピンスキー中尉の存在に内心焦りながらも表情に出さないよう努めた。 クルピンスキー「見ない顔だね。新しい人?」 俺「本日付で配属されました俺と申します」 クルピンスキー「さっき隊長やパウラから聞いたよ。義勇兵なんて変わってるね。男性のウィッチならすぐに正規軍に入れるのに」 俺「これが一番動き易いので」 クルピンスキー「へぇ。でも僕の前ではそういう演技はやめて欲しいなぁ」 俺「・・・・・・やっぱりばれるものか?」 クルピンスキー「少なくとも僕は誤魔化せないよ。それに君・・・・・・本当は怖い人みたいだからね」 俺「男はみんな狼なんだぜ?」 茶目っ気たっぷりに両手を広げて襲い掛かる素振りを見せる。 クルピンスキー「あはははっ! 本当に面白い人だね、君は。僕はヴァルトルート・クルピンスキー中尉だ」 俺「聞いたことがある。優雅な立ち振る舞いから・・・・・・確かプンスキー伯爵だっけか?」 クルピンスキー「そう呼びたかったらお好きにどうぞ。一応今日からは背中を預ける仲間なんだ」 俺「そりゃどうも。俺も堅苦しいのは苦手でね」 クルピンスキー「その割には妙に慣れてたよね? あの二人の前でも」 俺「処世術さ。生きていくには時に本当の自分を押し殺す必要もある」 クルピンスキー「辛いね」 俺「誰にだってあるさ」 クルピンスキー「少なくとも今の君はずっと押し殺しているように見えるよ」 俺「初対面の相手に何を一体」 クルピンスキー「何でか、は聞かないよ。でも、それが原因でいなくなるなんてことだけはやめてよね」 軽く舌を出して悪戯めいた笑顔を浮かべて何処かへと去っていく伯爵の後姿を見つめながら俺は一人溜息を吐く。 普段は飄々としている癖に勘だけは恐ろしく鋭い。彼にとってプンスキー伯爵は苦手なタイプの女性だった。 俺「押し殺してる、か。やりにくいな・・・・・・この基地は」 言うだけ言って去っていく伯爵の背中を見つめながら呟いた彼の言葉は風に掻き消され誰にも届くことはなかった。 ―――― 基地内部廊下にて ロスマン「彼はどうだった?」 クルピンスキー「悪い人じゃなくて安心したよ。みんなにとっては良い刺激になるかもね」 ロスマン「男性のウィッチなんて珍しいもの。それにガランド少将お墨付きなんだから、きっと今の状況を変えてくれるはずよ」 クルピンスキー「そうだね。少なくとも僕たちにとっては強い戦力になるよ」 ロスマン「珍しいわね。あなたがそこまで褒めるなんて」 クルピンスキー「僕にだって人を見る目くらいあるさ。でも・・・・・・」 ロスマン「でも?」 クルピンスキー「やっぱり怖いね。彼」 ロスマン「怖い? あ、そういえば最近この基地の周辺でも共生派の集団の目撃情報が入って来てるみたい。みんなにも伝えておくけど、気をつけてね?」 クルピンスキー「うん。ありがとう」 ―――― 俺の自室 俺「さぁてと。依頼通り早い内に基地の防衛体制を把握しておく必要があるな。地図とかあれば助かるんだけど」 コンコン 俺「はい」 ???「あのっ。俺さんのお部屋で間違いないでしょうか?」 俺「開いてますからどうぞ」 ???「失礼します」 躊躇いがちな声が返ってきた後にゆっくりとドアが開かれ、廊下から一人の少女が姿を見せる。 肌と頭髪の色と言葉の訛りから見て自分と同じく扶桑の人間だろう。 ???「初めまして。下原定子少尉です」 俺「どうも。俺と言います。下原少尉は俺に何か御用ですか?」 定子「いえ。扶桑から男性のウィッチが来たと隊長から伝えられたので挨拶にと」 俺「これはこれは。こちらこそ新参者ですがよろしくお願いします」 定子「はい。これからよろしくお願いします」 ???「下原少尉・・・・・・私も」 俺「ジョーゼット・ルマール少尉ですね。初めまして。俺です」 ジョゼ「こちらこそ初めまして。これから・・・・・・よろしくお願いしますっ」 初めて目の当りにする男性ウィッチの存在に若干怯えたような顔色で小さく頭を下げるジョゼに彼の心の中で何かが弾けてしまった。 小動物系で守ってあげたくなる、そんなか弱い空気を漂わせる彼女の怯えた挙動は男心を悶えさせるには充分な威力を秘めていたのだ。 俺「ヒィィィィィィィィハァァァァァァァァ!!!」 定子「俺さん!?」 ジョゼ「だだだだ大丈夫ですか!?」 突如として発狂し悶絶し始める俺の異変に定子もジョゼもまた顔色を変えて傍へと駆け寄った。 常識人である二人らしい対応だが彼を古くから知る、とあるウィッチに言わせれば彼自身の悪癖が目覚めただけなので、何ら問題はないらしい。 俺「いや失敬。欲望が身体の端から滲み出てしまったようです。忘れてください」 すぐに正気を取り戻し紳士の笑みを見せる俺の豹変っぷりにたじろぎながら、軽い会釈をして部屋を出て行く二人が扉を閉めたと同時に今度は頭を抱えてしゃがみ込む。 俺「いかんな。変人と思われてしまったかもしれない」 既に自分が男として、そして何より人として手遅れの領域にまで足を踏み入れてしまっていることに気付くことの出来ない男を悔恨の念から引き上げたものは皮肉にも怨敵の襲撃を知らせる警報だった。 ――― あれからすぐにブリーフィングルームへと集合し、作戦会議を行ったとメンバー全員で出撃となった。 特に今回は部隊全員で俺の動きを見ておく為でもあるらしい。 ニパ「まさか配属初日で出撃なんて。これじゃ歓迎会も出来ないね」 扶桑製ストライカーを穿いて青空を飛翔し、ブレイブウィッチーズの面々と並んで戦闘区域へと飛行する最中、俺の右隣で少し退屈そうな表情を浮かべるニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長とは反対に左隣を飛ぶ少女―――管野直枝少尉が突き刺すような目線を向けて来た。 瞳に宿る感情から見てどうやら突然部隊に入り込んで来た自分の存在が気に喰わないらしい。 管野「お前が新入りか。こんな奴が使い物になるのかよ?」 初めてかけられた言葉には疑念と嘲りが含まれていた。どうしてこんなにも目の仇にされるのだろう。 やはり自分が新入りだからだろうか、それとも先ほどの作戦会議で欠伸を六回もしてしまったせいだろうか、と首を捻って色々悩んでいると意外にも助け舟を出してくれたのはクルピンスキー伯爵だった。 クルピンスキー「まぁまぁ、ナオちゃん。ガランド少将の推薦なんだし。そうだよね? 隊長」 ラル「あぁ。書類のサインも少将直筆のものだった。念のため本人にも確認を取った。間違いない」 俺「お言葉ですが管野少尉。自分が有能か無能かは戦場での働きを見て判断して頂きたい」 クルピンスキー「もう。いい加減、その言葉遣いやめたら? 似合わないよ」 俺「そうは言われましても・・・・・・」 チラッ ラル「はぁ・・・・・・礼儀さえ弁えていれば自分の好きにしろ」 俺「それはどうも。今言った通りだ。使えるか使えないかは戦闘が終わってからでも遅くないんじゃないか?」 管野「役に立たなかったからすぐに追い出してやるからな!!」 今にも噛み付きそうな管野を宥めながら俺は脳裏で猛犬を想像し、笑いを堪えるのに徹する羽目となった。 ――― 交戦が開始されてから十分近く経過したが、敵の数は一向に減る気配が見られない。 そんな状況の中、ラル、ロスマン、サーシャの三人は後方で他の隊員たちが討ち洩らした敵を叩きながら、俺の一挙一動を観察していた。 俺自身も三人分の視線を感じながら、彼女らが戦闘時における自身の能力を見定めているのだろうと気付き、普段通り敵を撃滅することだけを考えた。 いくら少将の推薦で派遣されたとはいえ実際に指示を出すのは、主にあの三人であり、背を向け合って戦うのは他の誰でもない彼女たちなのだ。だとすれば信用出来るのは上層部から与えられた情報でもなければウィッチ隊総監のサインでもなく自分たちの目で見た光景のみ。 定子「そういえば俺さんの固有魔法はどういうものなんですか? 俺「俺のは・・・・・・これかな!!!」 豪雨の如く降り注ぐビームを時に回避し、時にシールドで防ぎながら彼が片方の掌を中型ネウロイに向かって突き出した瞬間、黒い装甲が真正面から拉げた。コアをも巻き込んだ歪みは一撃で中型クラスを撃墜へと追い込んだ。 ジョゼ「今のは・・・・・・何が起きたんですか!?」 俺「衝撃波。俺の固有魔法は攻撃系統に分類されていてね・・・・・・まぁ文字通り魔力を衝撃波に変換してぶっ放す能力さ」 ニパ「随分軽く言ってるみたいだけど凄くないか? 銃いらないじゃないか」 俺「そうでもないさ。言った通り俺の魔力を変換してぶっ放す以上、撃ちすぎるとすぐに魔力が切れて最悪落っこちる可能性だってある。だから銃と併用しないといけないんだ」 クルピンスキー「小型、中型はなるべく銃で。装甲が硬い敵には衝撃波をっていう具合にかい?」 俺「その通り。でも今日はここでの初陣だし、働きっぷりを見せないと追い出されちゃうから出血大サービスだ!!!」 銃器を背負い、両の掌を同時に突き出し先ほどとは比べものにならない程の威力を秘めた衝撃波を小型の群れとその群れを統率する中型ネウロイに放つ。 ネウロイのビームとは異なる赤黒みを帯びる彼の衝撃波はいとも容易く、そして一瞬で敵の数を大量に減少させた。 ラル「広域破壊に優れているということか。流石は少将の懐刀か」 悪鬼さながらの活躍を見せる俺の行動を観察しながらラルは口端を吊り上げた。どうやら自分たちはとんでもない贈り物を貰ったようだ。 ロスマン「あぁ言った強大な能力は過信に繋がると聞きましたが・・・・・・彼の場合は違うようですね」 ラル「己の能力を知り尽くしているからこそ、ネウロイに対して有効な戦闘スタイルを構築できる。ほう、細い衝撃波を出すことで狭域破壊も可能なのか」 確かに初陣だけあって俺は背負っている銃器よりも固有魔法を多用し、次々と敵戦力を削っている。 一見すると先ほど自らの能力を疑問視した管野に対するあてつけにも見えるが、僚機の背後を取った小型ネウロイを指先から放つ極細の衝撃波で撃墜してみせる他にも戦艦の主砲級の衝撃波で大型の装甲を捲りコアを露出させ、それを他の隊員たちに攻撃させたりと連携を重視した戦術も同時に取っていた。 サーシャ「みんな動きやすそう・・・・・・援護して欲しい時に援護に入って、あえて敵を弱らせ全員で撃墜することで士気も上げる」 ロスマン「突出した一人だけが要となるのではなく、突出した一人が他の隊員の背中を押して部隊全員が要となる、か」 ラル「チームプレーをよく知ったものじゃないと出来ない。もしくは過去に大きな過ちを犯した者でなければ出来る芸当じゃない。それとも年の功という奴か」 一連の彼の行動に隠された意味とは自分たちに対しても己の有用性を見せつけるためのものだろう。彼の頭から発現している使い魔である鷹の翼はまるで彼自身が戦況を瞬時に見極め獲物を貪る鷹のようにも見えた。 喰えない男だと笑いながらラルはロスマン、サーシャを引き連れて戦場へと踏み込んでいく。 ラル「値踏みは終わった。さぁ私たちも往くぞ!! 新人に手柄を持っていかれたらたまらんからな!!」 結果としてその日の戦闘はいつにもまして速やかに終了した。 余談ではあるが今回の戦闘で誰のストライカーユニットも破損しなかったことで俺はサーシャから感謝されたとか。 続く
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死に群がる妖精/Faerie Death Swarm 死に群がる妖精/Faerie Death Swarm(2)(U) クリーチャー - フェアリー 飛行 死に群がる妖精が戦場に出たとき、このターン、いずれかのクリーチャーが死亡していた場合、あなたはカードを1枚引く。 2/1 参考 神霊廟-コモン
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Q: 231 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/08/02(木) 00 44 54 ID XrEWTuTH 酒場のテーブルにおいてある食べ物や飲み物、 みんな勝手に飲んでるけど、タダなんですか? A: 233 ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン 2007/08/02(木) 01 09 37 ID CwZzpv/S 231 この世界に於いて一流の料理人として認められる条件は単純な技術や味付けではありません。 結果がプラスでもマイナスでも料理を食べる事によって、人体に深刻な変化を起こせる事が必要なのです。 なのでどんなにおいしい料理でも、それでステータスに変化が起きなければそれは三流の料理なんですね。 酒場や大老伝で振る舞われている料理には諸説ありますが、 修行中の料理ネコが作った練習の料理だとも言われていますし 職員や竜人お姉さんが趣味で作った「効果の無い料理」とも言われています。 世間的には無価値な料理なので、無料で振る舞われているんですね。 たまには命懸けの一流料理だけでなく、そんな気軽な料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。 料理 酒場
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第502統合戦闘航空団 ぺテルブルク基地 グンドュラ・ラル少佐執務室内 ラル「ガランド少将預かりの男性ウィッチ、か」 目の前で直立しこちらを見つめる黒い髪に黄色の肌を持つ青年と手元の書類を交互に見比べながらグンドュラ・ラル少佐は呟いた。 柔らかい茶髪に服の内側から突き出す豊かな双房の持ち主は窓から差し込む逆光を浴び、どこか神々しくも妖艶な空気を纏っている。 瑞々しい桜色の唇から漏れ出す呼気と言葉には男を惑わせる色香を帯びていた。 見目麗しいこの女性が激戦区の更に最前線部隊を束ねる女傑だと誰が思うだろうか。 ロスマン「”元”扶桑皇国陸軍大尉。元? 元とはどういうことですか?」 女傑の傍らに控える銀髪の女性は指示棒を片手に真っ直ぐ青年へと視線を注ぐ。 少女と間違えられるほど小柄な体躯の彼女が人類トップクラスのエース、別名を黒い悪魔とも称されているエーリカ・ハルトマンを育てたエディータ・ロスマンだと事前に書類で確認していた青年は尚も肩を強張らせた。 片や人類第三位のグレートエース。片や人類トップクラスのエースを育て上げたウィッチだ。 緊張するなと言う方が無理である。 俺「細かい話を素っ飛ばすと本国での俺は戦死者扱いなんです。1937年の扶桑海事変の際に俺大尉は殉職。それが扶桑皇国陸軍の公式記録です」 尚且つ二人揃って見目麗しいのだから、その二つの視線に晒されながらどこか照れたような笑いを浮かべる青年。 名を俺という彼の経歴が記載されている書類の一番最後には扶桑海事変の際に僚機を庇い撃墜されて死亡とある。 だが血色の良い肌はもちろんのこと、強い生命の光が弾かれている黒瞳はとても亡者のそれではなかった。 ラル「なら今私たちの目の前にいるお前は何だ? 幽霊とでも言うのか?」 俺「あくまで公式記録では俺は確かに死者ですが、実際はこうして生きています」 ちゃんと足もあるでしょう、と付け加えた俺が軽くブーツの踵で床を叩いてみせると確かにコツコツとした音が執務室内に木霊する。 俺「今の俺は扶桑皇国陸軍人ではなくアドルフィーネ・ガランド少将の私兵。もっと簡単に言えば駒に過ぎません」 ロスマン「それはつまり少将が他の将官を気にせず秘密裏に独自の判断で動かせるウィッチ・・・・・・いえ、独立兵ということでしょうか?」 公式記録で戦死扱いを受けているからこそ、この世に俺という人間が既にいないからこそ、彼は少将の駒と成り得ているのだろう。 ラル「少将には後日個人的に確認を取る。初めに言っておくが、ここ第502統合戦闘航空団に所属する以上スタンドプレーは禁止する」 俺「ということは」 ラル「義勇兵ならどうとでも誤魔化しが効く。少将預かりの駒がどれほどの働きぶりを見せてくれるのか・・・・・・期待しているぞ?」 ロスマン「ようこそ、俺さん。”最前線”へ」 俺「えぇ。少将と、そしてブレイブウィッチーズの名に恥じぬ働き振りをお見せいたします」 ――― 俺「こうもすんなり上手く行くと返って拍子抜けだな」 クルピンスキー「何が?」 俺「はいぃ?」 格納庫で自身のストライカーを磨いている最中、誰にとも無く洩らした言葉への返事があり、慌てて振り向けばいつの間に目前まで迫っていたクルピンスキー中尉の存在に内心焦りながらも表情に出さないよう努めた。 クルピンスキー「見ない顔だね。新しい人?」 俺「本日付で配属されました俺と申します」 クルピンスキー「さっき隊長やパウラから聞いたよ。義勇兵なんて変わってるね。男性のウィッチならすぐに正規軍に入れるのに」 俺「これが一番動き易いので」 クルピンスキー「へぇ。でも僕の前ではそういう演技はやめて欲しいなぁ」 俺「・・・・・・やっぱりばれるものか?」 クルピンスキー「少なくとも僕は誤魔化せないよ。それに君・・・・・・本当は怖い人みたいだからね」 俺「男はみんな狼なんだぜ?」 茶目っ気たっぷりに両手を広げて襲い掛かる素振りを見せる。 クルピンスキー「あはははっ! 本当に面白い人だね、君は。僕はヴァルトルート・クルピンスキー中尉だ」 俺「聞いたことがある。優雅な立ち振る舞いから・・・・・・確かプンスキー伯爵だっけか?」 クルピンスキー「そう呼びたかったらお好きにどうぞ。一応今日からは背中を預ける仲間なんだ」 俺「そりゃどうも。俺も堅苦しいのは苦手でね」 クルピンスキー「その割には妙に慣れてたよね? あの二人の前でも」 俺「処世術さ。生きていくには時に本当の自分を押し殺す必要もある」 クルピンスキー「辛いね」 俺「誰にだってあるさ」 クルピンスキー「少なくとも今の君はずっと押し殺しているように見えるよ」 俺「初対面の相手に何を一体」 クルピンスキー「何でか、は聞かないよ。でも、それが原因でいなくなるなんてことだけはやめてよね」 軽く舌を出して悪戯めいた笑顔を浮かべて何処かへと去っていく伯爵の後姿を見つめながら俺は一人溜息を吐く。 普段は飄々としている癖に勘だけは恐ろしく鋭い。彼にとってプンスキー伯爵は苦手なタイプの女性だった。 俺「押し殺してる、か。やりにくいな・・・・・・この基地は」 言うだけ言って去っていく伯爵の背中を見つめながら呟いた彼の言葉は風に掻き消され誰にも届くことはなかった。 ―――― 基地内部廊下にて ロスマン「彼はどうだった?」 クルピンスキー「悪い人じゃなくて安心したよ。みんなにとっては良い刺激になるかもね」 ロスマン「男性のウィッチなんて珍しいもの。それにガランド少将お墨付きなんだから、きっと今の状況を変えてくれるはずよ」 クルピンスキー「そうだね。少なくとも僕たちにとっては強い戦力になるよ」 ロスマン「珍しいわね。あなたがそこまで褒めるなんて」 クルピンスキー「僕にだって人を見る目くらいあるさ。でも・・・・・・」 ロスマン「でも?」 クルピンスキー「やっぱり怖いね。彼」 ロスマン「怖い? あ、そういえば最近この基地の周辺でも共生派の集団の目撃情報が入って来てるみたい。みんなにも伝えておくけど、気をつけてね?」 クルピンスキー「うん。ありがとう」 ―――― 俺の自室 俺「さぁてと。依頼通り早い内に基地の防衛体制を把握しておく必要があるな。地図とかあれば助かるんだけど」 コンコン 俺「はい」 ???「あのっ。俺さんのお部屋で間違いないでしょうか?」 俺「開いてますからどうぞ」 ???「失礼します」 躊躇いがちな声が返ってきた後にゆっくりとドアが開かれ、廊下から一人の少女が姿を見せる。 肌と頭髪の色と言葉の訛りから見て自分と同じく扶桑の人間だろう。 ???「初めまして。下原定子少尉です」 俺「どうも。俺と言います。下原少尉は俺に何か御用ですか?」 定子「いえ。扶桑から男性のウィッチが来たと隊長から伝えられたので挨拶にと」 俺「これはこれは。こちらこそ新参者ですがよろしくお願いします」 定子「はい。これからよろしくお願いします」 ???「下原少尉・・・・・・私も」 俺「ジョーゼット・ルマール少尉ですね。初めまして。俺です」 ジョーゼット「こちらこそ初めまして。これから・・・・・・よろしくお願いしますっ」 初めて目の当りにする男性ウィッチの存在に若干怯えたような顔色で小さく頭を下げるジョゼに彼の心の中で何かが弾けてしまった。 小動物系で守ってあげたくなる、そんなか弱い空気を漂わせる彼女の怯えた挙動は男心を悶えさせるには充分な威力を秘めていたのだ。 俺「ヒィィィィィィィィハァァァァァァァァ!!!」 定子「俺さん!?」 ジョーゼット「だだだだ大丈夫ですか!?」 突如として発狂し悶絶し始める俺の異変に定子もジョゼもまた顔色を変えて傍へと駆け寄った。 常識人である二人らしい対応だが彼を古くから知る、とあるウィッチに言わせれば彼自身の悪癖が目覚めただけなので、何ら問題はないらしい。 俺「いや失敬。欲望が身体の端から滲み出てしまったようです。忘れてください」 すぐに正気を取り戻し紳士の笑みを見せる俺の豹変っぷりにたじろぎながら、軽い会釈をして部屋を出て行く二人が扉を閉めたと同時に今度は頭を抱えてしゃがみ込む。 俺「いかんな。変人と思われてしまったかもしれない」 既に自分が男として、そして何より人として手遅れの領域にまで足を踏み入れてしまっていることに気付くことの出来ない男を悔恨の念から引き上げたものは皮肉にも怨敵の襲撃を知らせる警報だった。 ――― あれからすぐにブリーフィングルームへと集合し、作戦会議を行ったとメンバー全員で出撃となった。 特に今回は部隊全員で俺の動きを見ておく為でもあるらしい。 ニパ「まさか配属初日で出撃なんて。これじゃ歓迎会も出来ないね」 扶桑製ストライカーを穿いて青空を飛翔し、ブレイブウィッチーズの面々と並んで戦闘区域へと飛行する最中、俺の右隣で少し退屈そうな表情を浮かべるニッカ・カタヤイネン曹長とは反対に左隣を飛ぶ少女―――菅野直枝少尉が突き刺すような目線を向けて来た。 瞳に宿る感情から見てどうやら突然部隊に入り込んで来た自分の存在が気に喰わないらしい。 菅野「お前が新入りか。ふんっ! こんな奴が使い物になるのかよ?」 初めてかけられた言葉には疑念と嘲りが含まれていた。どうしてこんなにも目の仇にされるのだろう。 やはり自分が新入りだからだろうか、それとも先ほどの作戦会議で欠伸を六回もしてしまったせいだろうか、と首を捻って色々悩んでいると意外にも助け舟を出してくれたのはクルピンスキー伯爵だった。 クルピンスキー「まぁまぁ、ナオちゃん。ガランド少将の推薦なんだし。そうだよね? 隊長」 ラル「あぁ。書類のサインも少将直筆のものだった。念のため本人にも確認を取った。間違いない」 俺「お言葉ですが菅野少尉。自分が有能か無能かは戦場での働きを見て判断して頂きたい」 クルピンスキー「もう。いい加減、その言葉遣いやめたら? 似合わないよ」 俺「そうは言われましても・・・・・・」 チラッ ラル「はぁ・・・・・・礼儀さえ弁えていれば自分の好きにしろ」 俺「それはどうも。今言った通りだ。使えるか使えないかは戦闘が終わってからでも遅くないんじゃないか?」 菅野「役に立たなかったからすぐに追い出してやるからな!!」 今にも噛み付きそうな菅野を宥めながら俺は脳裏で猛犬を想像し、笑いを堪えるのに徹する羽目となった。 ――― 交戦が開始されてから十分近く経過したが、敵の数は一向に減る気配が見られない。 そんな状況の中、ラル、ロスマン、ポクルイーシキンの三人は後方で他の隊員たちが討ち洩らした敵を叩きながら、俺の一挙一動を観察していた。 俺自身も三人分の視線を感じながら、彼女らが戦闘時における自身の能力を見定めているのだろうと気付き、普段通り敵を撃滅することだけを考えた。 いくら少将の推薦で派遣されたとはいえ実際に指示を出すのは、主にあの三人であり、背を向け合って戦うのは他の誰でもない彼女たちなのだ。だとすれば信用出来るのは上層部から与えられた情報でもなければウィッチ隊総監のサインでもなく自分たちの目で見た光景のみ。 定子「そういえば俺さんの固有魔法はどういうものなんですか?」 ガガガ!! 俺「俺のは・・・・・・これかな!!!」 豪雨の如く降り注ぐビームを時に回避し、時にシールドで防ぎながら彼が片方の掌を中型ネウロイに向かって突き出した瞬間、黒い装甲が真正面から拉げた。コアをも巻き込んだ歪みは一撃で中型クラスを撃墜へと追い込んだ。 ジョーゼット「今のは・・・・・・何が起きたんですか!?」 俺「衝撃波。俺の固有魔法は攻撃系統に分類されていてね・・・・・・まぁ文字通り魔力を衝撃波に変換してぶっ放すだけの能力さ」 ニパ「随分軽く言ってるみたいだけど凄いんじゃない? 銃いらないじゃん」 ガガガ!! 俺「そうでもないさ。言った通り俺の魔力を変換してぶっ放す以上、撃ちすぎるとすぐに魔力が切れて最悪落っこちる可能性だってある。だから銃と併用しないといけないんだ」 バシュゥン!! クルピンスキー「小型、中型はなるべく銃で。装甲が硬い敵には衝撃波をっていう具合にかい?」 俺「その通り。でも今日はここでの初陣だし、働きっぷりを見せないと追い出されちゃうから出血大サービスだ!!!」 銃器を背負い、両の掌を同時に突き出し先ほどとは比べものにならない程の威力を秘めた衝撃波を小型の群れとその群れを統率する中型ネウロイに放つ。ネウロイのビームとは異なる赤黒みを帯びる彼の衝撃波はいとも容易く、そして一瞬で敵の数を大量に減少させた。 ラル「広域破壊に優れているということか。流石は少将の懐刀か」 悪鬼さながらの活躍を見せる俺の行動を観察しながらラルは口端を吊り上げた。どうやら自分たちはとんでもない贈り物を貰ったようだ。 ロスマン「あぁ言った強大な能力は過信に繋がると聞きましたが・・・・・・彼の場合は違うようですね」 ラル「己の能力を知り尽くしているからこそ、ネウロイに対して有効な戦闘スタイルを構築できる。ほう、細い衝撃波を出すことで狭域破壊も可能なのか」 確かに初陣だけあって俺は背負っている銃器よりも固有魔法を多用し、次々と敵戦力を削っている。 一見すると先ほど自らの能力を疑問視した菅野に対するあてつけにも見えるが、僚機の背後を取った小型ネウロイを指先から放つ極細の衝撃波で撃墜してみせたり、果ては戦艦の主砲クラスの衝撃波で大型の装甲を捲りコアを露出させ、それを他の隊員たちに攻撃させたりと連携を重視した戦術も同時に取っていた。 ポクルイーシキン「みんな動きやすそう・・・・・・援護して欲しい時に援護に入って、あえて敵を弱らせ全員で撃墜することで士気も上げる」 ロスマン「突出した一人だけが要となるのではなく、突出した一人が他の隊員の背中を押して部隊全員が要となる、か」 ラル「チームプレーをよく知ったものじゃないと出来ない。もしくは過去に大きな過ちを犯した者でなければ出来る芸当じゃない。それとも年の功という奴か」 一連の彼の行動に隠された意味とは自分たちに対しても己の有用性を見せつけるためのものだろう。彼の頭から発現している使い魔である鷹の翼はまるで彼自身が戦況を瞬時に見極め獲物を貪る鷹のようにも見えた。 喰えない男だと笑いながらラルはロスマン、ポクルイーシキンを引き連れて戦場へと踏み込んでいく。 ラル「値踏みは終わった。さぁ私たちも往くぞ!! 新人に手柄を持っていかれたらたまらんからな!!」 結果としてその日の戦闘はいつにもまして速やかに終了した。 余談ではあるが今回の戦闘で誰のストライカーユニットも破損しなかったことで俺はポクルイーシキン大尉から感謝されたとか。
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能力 http //login.alteil.jp/lhCardDB/detail.php?id=234 解説 ネズミの群れ。アルジャーノンはいない。 相手の手札に応じてハンデスかSP削りを行うデコイ。 オープンタイミングでハンデスを行える軽量ユニットとして、嫌がらせ要因としては優秀なのだが、相手の手札が少ないとSP削りのほうに切り替わってしまうため、手札枯渇状態を維持させたい重度の【ハンデス】ファイルとは微妙に噛み合わない。 序盤の嫌がらせカードとしては優秀だが、デコイの中でも弱いし重め。 しかもLV一つ上には後半の戦闘要員としても働ける戦闘用魔法少女【隠密型】がいる。 とはいえ、ハンデスに専念するならば安さは利点。 コンボor必殺コンボ ゴミを作る 合計SP3で2枚ハンデス。 アドバンテージは無いが、無条件での2枚ハンデスとしてはかなりコストパフォーマンスがいい。 関連ファイル 【ハンデス】 似ているカード 駆け出しの暗殺者 アタック発動のためハンデス能力は低いが、戦闘能力は高く援護可。 収録 第3弾『神罰の代行者』
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荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐 ◆LwWiyxpRXQ 強さとは、力がある事ではない。優れている事でもない。 大きい事でも勢いがあることでもない。弱くないとういうことも負けた事を意味しない。 強さとは結局のところ、他の何者との関係の無い、それ自体が独立した概念であり、 それを手にいれようとするならば、 勝利や栄光といった他の全てを犠牲にする事を覚悟しなければならない 霧間誠一(-孤独と信念-) 1 不気味に三日月が輝く夜空の下、そこには無骨な橋があった。 流れゆく水の音をBGMにしながら、無機質な石造りの橋の上に立つ二人の人間が居る。 片や落ち着いた雰囲気を持つ初老の男。その腰には二対の剣が刺さっている。 片や鎧兜に身を包んだ鋭い目付きの男。その瞳はまっすぐと敵に向いていた。 彼らの共通点は眼帯をしていることだった。 二人の距離は決して遠くない、かといって近くもない。 剣を交えるには少しだけ、ほんの少しだけ遠い。そんな距離だった。 恐らくどちらかがあと一歩でも踏み出せば、次の瞬間には戦いの火蓋が切って落とされるだろう。 「ふむ、折角拾った命をわざわざ捨てに来たのかね」 最初に口を開いたのは初老の男だった。 厳しい口調で放たれた、明らかな挑発に対してもう片方の男はHA! と吐き捨てるように笑い、険しい眼差しと共に言葉を返す。 「あんたに負けたままにしとくワケにはいかないだろ、King」 そう堂々と告げる男の名は伊達政宗。 相対するは数時間前に邂逅した強敵、キング・ブラッドレイ。 前回見せ付けられた圧倒的な強さを前にしながら、全く臆する様子はなかった。 リンディスと別れて街を出たブラッドレイと、彼を追って北へ向かっていた正宗は再び出会うこととなった。 そして、それが意味することは即ち、闘争。 「下らぬ自尊心に縛られ死を急ぐか」 その言葉と共にブラッドレイは鞘から剣を抜く。 同時に政宗も黒竜を構え、戦闘態勢に入る。 「ゆくぞ、小僧よ」 「奥州筆頭、伊達政宗――推して参る」 そうして二刀と雷鳴の二度目の激突が幕を開ける。 その果てにあるものは―――――― 最初の一歩を踏み出したのはどちらだっただろうか。 地面を蹴る音から遅れること0.1秒、キィンと剣と剣のぶつかる甲高い音がそれに重なった。 そして、それから連続して剣がぶつかり合う音が続く。 音と音の間は均等ではなく不規則で、しかし途切れることはない。 政宗が黒竜を振るう。その一撃は鋭く、疾風のようにブラッドレイへと吸い込まれていったが、ブラッドレイはあくまで冷静にそれを受け流す。攻撃がいなされたことを知った政宗は、再度の攻撃に移る――前にブラッドレイが動き、隼の剣を走らせた。 「Shit!」 強引に体勢を変え、政宗は一撃を避ける。ブォン! 耳元を掠めた刃が空を裂き、そんな音を響かせた。回避は成功だ。しかし、ブラッドレイの剣はまだ残っている。もう一つの隼の剣が迫り、政宗はそれを何とか黒竜で受け止める。キィン。高い音。そして、衝撃。 「ふん!」 ただでさえ不完全な体勢だった政宗が一撃を完全に受け止めることなどできる筈もなく、ガードごとそのまま吹っ飛ばされた。追い討ちを掛けるべく動いたブラッドレイだが、防御しきれないと悟った政宗は衝撃の直前、敢えてその身から力を抜き、衝撃に身を任せた。 その結果、ブラッドレイの目測以上に距離が開き、剣は空を切った。 まさに紙一重の回避。そして、攻撃後の一瞬の隙を見逃すことなく、政宗は叫ぶ。 「HA!」 言葉と共に雷撃を打ち込んだ。 稲妻が空間を駆け抜け、爆音と共に衝撃がブラッドレイを襲い、砕かれた橋の破片が舞う。 やったか。政宗は吹き飛んだ身体を素早く立て直しながら、内心でそう呟いた。 「流石の威力だな。雷鳴の錬金術師よ」 だが、煙の中から聞こえた声が、戦闘の終了を否定する。 ぞわり、と政宗の背中を恐怖に酷似した感覚が駆け巡り、考えるよりも速く、本能に従うままに黒竜を構えた。 「だが、私を超えて王を名乗るにはまだ遠いな」 それが政宗の命を救うことになる。放たれた声を認識した時、目の前には既に凶刃が迫っていた。何度聞いたか分からぬ甲高い金属音が響かせながら、何とかそれを防御する。 しかし、ブラッドレイの猛攻は留まることを知らず、次の瞬間には既に二撃目が来ている。 キィンキィンキィンキィンキィンキィン。刃は次々と放たれ、鋭く、強く、そして疾い。 まさに隼のように攻撃は続き、政宗は身を守ることで精一杯だった。 剣の嵐の中、政宗はブラッドレイの顔に違和感を覚えた。眼帯だ。先ほどまで目を覆っていた眼帯がなく、その紅い瞳が晒されている。 (ッ! やっぱ、あの眼。あれがこいつのcrazyな動きを可能にしてやがる) 政宗は思い出す。一度目の戦いの際の驚異的な動きを。 特に眼帯を外した後の、あらゆる物を見切るような動きは圧倒的であり、一度自分は敗北したのだ。 状況は明らかに政宗に不利だった。ブラッドレイの攻撃に対し、政宗は防戦一方であり、次の瞬間には刃が身を切り裂いてもおかしくない。 そして、一度目の戦いで己の身を救ったイナズマはこの場に居ない。 政宗の額に冷たい汗が流れ、しかしそれを拭う余裕などある筈もなく、つぅと流れ落ちた。 「小僧、そのような体たらくで王を志すか」 ブラッドレイは冷たく言い放つ。 対する政宗はニヤリと笑い、ブラッドレイの剣を捌きながら、臆することなく言った。 「独眼竜は伊達じゃねえ、you see?」 そして、動く。守りに徹していた政宗は、その言葉を放つと同時に攻めに転じた。 黒竜を放ち、刃がブラッドレイを捉え、まさにその身を斬ろうとするが―― 「自棄になり、勝負を捨てたか」 赤い鮮血が舞った。 ブラッドレイの瞳がその隙を見逃す筈もなく、剣は政宗の左腕を抉っていた。 政宗の全身を痺れるような痛みが駆け巡り、悲痛な声を漏らした。 だが、その顔の笑いが消えてはいない。 「OK, Are You Ready?」 「ぬ……!」 そして、閃光。 3 橋が光に包まれた。 次の瞬間、爆音と共に石造りの橋が崩壊していく。 政宗が雷撃を放ったのはブラッドレイではなかった。仮にブラッドレイを狙っていたとしても易々と避けられていただろう。 狙ったのは橋だ。 それも既に一度雷撃を放った部分、即ちたった今政宗とブラッドレイが居る場を。 結果、爆音と共に橋は砕けることとなる。 「………………」 足場を失ったブラッドレイは、重力から開放される浮遊感を味わいながら険しい視線で周りを見渡した。 辺りは未だ暗く、加えて舞う土煙、視界は決して良いとは言えず、橋に戻ることは至難の技だろう。 しかし、水に落ちる訳にはいかない。それは致命的な隙になる。 ならば、取るべき道は一つ。 一秒にも満たない思考の末、ブラッドレイは視た。 憤怒のラース。ホムンクルスとして与えられた目を用いて、世界を深く覗く。 あらゆる物が遅く感じられ、崩れ行く橋、宙を舞う石の欠片、空気の流れさえも見切った。ブラッドレイはそこに一つの線を視る。 それからの行動は迅速だった。 足の筋肉を動かし、空中に飛び散っている橋の破片を仮の足場に跳躍する。 一歩、二歩、三歩、四歩。破片から破片へと飛び移り、空を歩いていた。 最強の目が視せた道を辿り、ブラッドレイは再び橋へと戻ろうと―― 「HA! やっぱあんたはcrazyだな!」 「ぬ……………!」 声がした。 そこにいたのは黒竜を振りかぶった伊達政宗。 月日に照らされ、奇妙な光を纏った剣を振りかぶっている。 普段のブラッドレイならば難なく避けられただろう。 それどころかそのまま反撃に転じ、それで勝負が決まったかもしれない。 だが、今この状況では無理だ。 今のこの不安定な足場では、動きようがなくその場に留まるしかない。 ブラッドレイの目はあらゆる物を視ることだけで見切ることが出来る。 故にどの道が最も無駄なく橋へ帰るかも分かる。分かってしまう。 だから、今の政宗には分かるのだ。ブラッドレイがどの道を通るかが。 一番無駄のない道に必ずブラッドレイがいる。 大体の位置さえ掴めれば、襲撃は簡単だった。 迫り来る刃を認識したブラッドレイが選んだのは、回避でも防御でもなく反撃。 前も後ろも右も左も行けないのなら、その場に留まるしかない。 故にブラッドレイは政宗を迎え撃つべく、隼の剣を振るう。 時間にすれば1秒にも満たない刹那の空中戦が始まり、剣が交錯する。 勝ったのは――― 政宗は己の身体に衝撃を感じた。 左だ。ブラッドレイの刃が彼の身体を弾き飛ばしていた。 政宗の左腕は一度目の戦いでダメージを受けており、そしてこの戦いの中でも裂傷を負っている。 その負傷が、左腕をほんの僅かに動きを遅らせた。 その隙をブラッドレイは見逃さなかった。 「―――――ッ!」 政宗は声にならない叫びを上げ、自分の攻撃が失敗したことを知る。 とはいえ、その足場の崩れた場からの不安定な太刀筋だったことが幸いして、致命傷には至っていない。 痛みを堪えて、跳躍し何とか橋へと戻る。 途中落ちていくブラッドレイを見つけた。 どうやら橋に戻ることは諦めたらしく、このまま川へ落ちるつもりらしい。 ブラッドレイならばこの高さからのダイブなど容易にやってのけるだろうし、今の政宗の状態では追い討ちを掛けることもないと判断したのだろう。 二度目の戦いは終わり、自分は手負いで相手は無傷。 自分は再び負けたのだ。 「HA!」 自嘲気味に笑い、空を仰いだ。 夜明けが近くなっているのだろう、三日月は今にも落ちようとしていた。 4 バシャ。 そんな音と共にブラッドレイは川から這い出る。 そして、そのまま歩き続けようとした所で――膝を付いた。 その息は荒く体力の消耗を感じさせる。 「やはり年だな……」 そう漏らしながらも動く様子はない。 度重なる連戦、最強の目の酷使はブラッドレイをかなり消耗させていた。 あれ以上長引けば、危なかっただろうとブラッドレイは判断する。 夜明けも近い。しばらくは体力を回復するべきだろう。 膝を付き、しばしの休息を取っていると自分の手に赤い線が浮いていることに気づいた。 それは血だった。どうやら先ほどの退けたと思った空中での一撃は当たっていたらしい。 無論、かすり傷に近い、ブラッドレイからしたら何でもないものであるが、一撃には変わらなかった。 「ふむ………」 今日既に二度戦った青年の顔を思い出しながら、ブラッドレイは一人呟く。 もう一度戦うことになるかもしれない。そう理由もなく思った。 【D-4 川の周辺 一日目 黎明】 【キング・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 【状態】疲労(大) ダメージ(中) 【装備】隼の剣@DQ2、隼の剣@DQ2 【道具】基本支給品×2、ランダムアイテム(個数、内容ともに不明) 【思考】基本:『お父様』の元に帰還するため、勝ち残る。 1:とりあえず人を探す。 2:介入してきた主催者への怒り。 3:休息を取る。 【備考】 ※『最強の眼』を使用している間は徐々に疲労が増加。 【D-4 橋 一日目 黎明】 【伊達政宗@戦国BASARA】 【状態】疲労(大)、左脇腹に裂傷(応急手当て済み) 、左腕に裂傷 【装備】黒竜@戦国BASARA 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、内容ともに不明) 2:次回放送時に伊達政宗とD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する) 【思考】基本:主催者の首を獲る。誰だろうと挑まれれば受けて立つ。 1:島の北側を探索して殺し合いに乗らない参加者や首輪を解除できる者を探す。 2:次回放送時にイナズマとD-4で合流する。(合流できなければ次の放送時に改めて合流する) 3:ブラッドレイを倒す。 4:イナズマにいずれ借りを返す。 【備考】 ※橋の一部が崩れましたが、通行に支障はありません。 BACK NEXT 036 狂戦士 投下順 038 絆を紡いで 036 狂戦士 時系列順 038 絆を紡いで BACK 登場キャラ NEXT 028 サムライ 政宗 [[]] 033 隼の邂逅 キング・ブラッドレ [[]]
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投稿日: 02/08/09 08 16 00275 能力名 命に群がる玉杓子(バイティング・ジ・アザー) タイプ 念弾・追尾\追跡 能力系統 放出系 系統比率 未記載 能力の説明 数十個の念弾を作り自分を中心に半径20mの球内に浮遊させる。 範囲内にいる対象なら狙った場所に念弾で攻撃できるが、直線的な軌跡なので避けられたらだめ。 範囲外への攻撃だと、自分と念弾を結ぶ直線上の移動しかできない。 自分と浮遊した念弾との距離が範囲を越えると範囲外にある念弾は自分で消すか、ただ浮遊させ続けることしかできない。 また、最大半径10mの「円」を併用すると自分の動きに円の範囲内の念弾が合わせて動き位置関係を保とうとする。 円の中にいる指定した対象(生物のみ)への自動追尾も行える。 制約\誓約 - 備考 - レスポンス 類似能力 コメント すべてのコメントを見る 念弾 放出系 追尾\追跡
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広大な広葉樹の森林や幾つかの湖など美しい自然の広がるマップ。強力な精霊が徘徊する。中央には巨大な樹。 N8マップとの境界には、少なくとも中庸を選択した場合には称号【氷雪竜討伐者】と【巨人王の謎掛け】を入手することで出現する審問の間が存在し、これをクリアしなければN9マップには進めない。このことはN8にて示唆される。 エリアポータルにある巨大な樹は、離れてみると単に巨大な樹木だが、根元から見ると先端が見えずいつまでも伸び続けている様子がわかる。そこを登攀することで天空マップN9u1へ到達できる。 690話においてキースからの情報提供によって紅蓮から「木登りしようぜ!」の号令がかかり祭り状態の賑わいとなる。 生産職による組織的なサポートも展開され、非常に多くのプレイヤーが参加することとなった。 あたかも蜘蛛の糸に群がる亡者のような光景が展開された。 主な出現モンスター ・日中 以下のモンスターの組み合わせ 属性 出現する精霊 光 ウィル・オ・ウィスプ 闇 シェイド 時空 ズーム 火 サラマンダー フェニックス・ジュブナイル フェニックス 風 シルフ ジンニーヤ 土 ノーム ノッカー 水 ウンディーネ ケルピー 氷 ジャック・オ・フロスト 雷 ライオット 木 ドライアド エント 塵 ハブーヴァ 灼 レーヴァ 溶 ガスクラウド 音 フォーン 分類不能 バンシー スプリガン スプリガン・センチネル ・夜間 エリアポータル名:精霊の宿木 エリアポータルボス イフリート ナージャ ジンニー アケル マイナーエント・ガーディアン +ポータルボス戦開始・終了インフォ ・開始インフォ 《生命の囁き》 《魂の叫び》 《祈りは地に還る》 《ここに在るのは残滓のみ》 ・終了インフォ 《生命の温もり》 《魂の輝き》 《祈りは天に届く》 《ここにその足跡を残すのみ》 エリアポータル開放者:キース(522話) 付随情報 東端 西端 南端 審問の間 北端
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世界は終わった 光は消え去り 命がついえて 魂が踊るよ 悩み 悲しみ ねたみ 苦しみ 夢と 欲望が 人を狂わせる (以下繰り返し) エリザベートのために したことよ 全て彼女の ためにしたこと 私たちに 罪はないんですよ 求めていた物が あまりにも大きい わが妻 エリザベート 気難しい いつも旅に出たまま 帰ってはこない ママ 何処に 帰って はにかみ屋だった 人嫌いで(エリーザベートー) 扇でいつも顔を隠していた(顔を隠して) ママと僕は似ている(エリザベート) 分かり合えるはずだった 自由が好きで ひとりぼっち ひとりで彷徨って何を求めてた 誰も知らない真実 エリザベート 誰も知らないその愛 エリザベート 誰も知らない真実 エリザベート 誰も知らないその愛 エリザベート -