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セットアップ確率 ソフトドロップあり ハードドロップのみ 左右反転含む 57.22% 42.38% 片側のみ 43.33% 32.22% スネイルSDTとは、ゆう氏考案開幕テンプレである。 動画
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スネイルSDT/Snail SDT テト譜 このテンプレのポイント 土台 片側セットアップ率 左右反転込みセットアップ率 このテンプレの弱み 派生一覧 テンプレ概要
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__ ,..''"´ ミ`ヽ_ / 、 彡, -´  ̄ ``ー',.ミ ヽ / ;;.ゞー' '´ ヾ '.. l / l l. | | l |_. l ! ゞ'´| || '´`ヽ、、 ,.-一- l ll | ゝ=。‐、 ,r‐。=、'' |. || |  ̄ ´ノ `  ̄ |、ノ | ´ l 、_ ` | ,,..-‐! , `ゝ‐' ´ ヽ |、. ''´ / . ゝ===ァ'! ノ ` ..、 / ヽ. ` ̄ ´ ノ,/ノ l ` ... / \ 、..,,_ _,,./,,." | / l.`ー- -―,.'' ./ | ヽ / !>ー―..<. ,' \ / ` / | `ヾ ,\! \/ ! | 〉ー〈 | `, エゴール・チムロヴィチ・ガイダルエリツィン時代初期の副首相。
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『過去とは バラバラにしてやっても 石の下から ミミズのように這い出てくる それが良い事であれ 悪いことであれ 』 8話 時刻は夕方。 場所はトリステイン魔法学校、その学園長室。 二人の男が身動き一つせず、声一つ出さずに遠見の鏡――術者が見たい景色を映し出すマジックアイテム、に映し出された、 ヴェストリの広場の状況を凝視していた。 やがて、二人の男のうち、生え際がかなり後退した中年の男――コルベールが口を開く。 「『ガンダールヴ』……まさか、これ程とは…………」 そして、それを白い口ひげと豊かな髭を蓄えた老人――オールド・オスマンが、 「まだ、そうと決まったわけではなかろう」 そう言って諌める。 だが、 「しかし」 と言って、オスマン氏は続ける。 「ミス・ヴァリエールの使い魔……あー、なんと言ったかのう?」 「ホワイトスネイクです。オールド・オスマン」 「あぁ~あ、そうじゃった、そうじゃったな。コールビー君」 「コルベールです。オールド・オスマン。どこかの傭兵とかぶってませんか?」 「そうそう、そんな名前じゃったな。君はど~も早口でいかんよ。 ま、それは良しとして……そのホワイトスネイクが極めて危険、ということだけは、確実と言えよう」 「そう、でしょうね……。ミス・ヴァリエールが一応の手綱は握って入るようですが……彼女では荷が重いかもしれません。 最悪、この学園内でホワイトスネイクと事を構えることになることも考えられます」 「……それだけは、避けたいところじゃな」 そう言って、オスマン氏は嘆息した。 オスマン氏がホワイトスネイクの監視を行っていた理由は二つ。 一つはコントラクト・サーヴァントを行う以前から、ホワイトスネイクに使い魔のルーンが刻まれていたこと。 もう一つは、ホワイトスネイクがエルフともオーク鬼とも異なる類の亜人だったこと。 前者については、まさしく前代未聞のことである。 使い魔として契約もしていないうちから既に召喚者の使い魔となっていた、というのだから常識外もいい所である。 オスマン氏でなくとも首を捻り、すぐにホワイトスネイクに対して調査を開始するだろう。 しかし……オスマン氏はその「調査」という過程をフッ飛ばし、一気に「監視」の段階に入った。 何故なら、オスマン氏はホワイトスネイクを見た瞬間に一つのことを悟ったからだ。 調査などと呑気なことを言っている余裕は無い。 あの使い魔はあまりにも危険だ、と長い歳月を経て培われたオスマン氏の直感が告げていた。 オスマン氏はすぐにホワイトスネイクの監視に入った。 方法は今ヴェストリの広場を監視のと同様、遠見の鏡によるもの。 だが流石に生徒のプライベートに関わる、部屋の中の監視までは行えないので、 実際に監視をしたのは、朝食の席、授業の二つの場面に限られた。 常日頃から秘書のミス・ロングビルにセクハラを働いているとはいえ、 生徒をその対象にするようなことはしない。 オスマン氏にも最低限のモラルはあるのだ。 そして決闘が終わるまで監視を続けた結果、オスマン氏は以下の事実を知った。 ○ホワイトスネイクが生物とは根本的に異なる存在である。 食事は基本的に必要としない。 ○障害物をすり抜けることが出来る。 ○自分自身の意思で、自分を実体化、非実体化できる。 ○ホワイトスネイクを視認するには、メイジであること、もしくは、 ホワイトスネイクを視認するための特別な才能(ホワイトスネイク曰く)が必要。 ○そしてその才能はメイドのシエスタが持っていた。 ○幻覚が使える。(ホワイトスネイク曰く) ○ホワイトスネイクが、ホワイトスネイク自身の体内で生成される円盤状の物体、 「でぃすく」によって、それを突き刺した相手の行動を制御できる。 ○ホワイトスネイクは相手の額に指を突き刺すことで、 相手の記憶を円盤状の物体「でぃすく」として取り出せる。 ○攻撃力は青銅のゴーレムを一瞬で青銅の塊に変える程に高い。 ○高度な心理学的知識、戦略的知識を持つ。 そしてこれらから導き出される事実は――ホワイトスネイクが、 これまでに学園で召喚された使い魔の中で五指に入るほどの危険性を備えていると言うことだった。 本能によって動くことは無く、あくまで冷静に状況を判断した上で行動する。 そして一端敵と対峙すれば、言動、挙動をフルに活用して相手を誘導し、そしてワナに嵌めて相手の「一手」上を行く。 主人であるルイズから20メートル離れられないという妙な弱点も存在するようだが、 仮にホワイトスネイクがルイズの命令を聞かなくなった場合、 ルイズの行動を「でぃすく」によって制限し、その上で持ち運びながら学園中を徘徊することも考えられる。 あまりにも、性質が悪すぎる。 そのことが、オスマン氏を悩ませていた。 ちなみにコルベールが監視に参加している理由だが、 これはコルベール経由で監視のことが知られないようにするため、と言い換えてもいい。 というのは、ホワイトスネイクの左手に刻まれた使い魔のルーンを調べていたコルベールが、 それが伝説の使い魔、ガンダールヴのものと同じだったことに大興奮し、 ノックもせずに学院長室に踏み込んだところ、遠見の鏡で監視の真っ最中だったオスマン氏に出くわしてしまったのだ。 しかもちょうどルイズが爆発で授業をメチャメチャにした後片付けをしている場面で。 当然、それを見たコルベールはすぐにオスマン氏が監視をしている理由を考え始めた。 わざわざ遠見の鏡まで使って、学院長が生徒の後片付けの様子を監視しているのだ。 きっとその目的は片づけをしっかりやっているかどうか、というところではない。 ならその目的は一体何か、とコルベールは考え、そしてすぐにホワイトスネイクのことにたどり着いた。 まあ彼自身もホワイトスネイクの使い魔のルーンのことで学院長室に入ってきたのだから、すぐ気づくのは当然である。 一方のオスマン氏のほうは、コルベールに監視してるところを見られた瞬間、「あ、やばい」と思った。 生徒思いのコルベールのことである。 すぐに自分を問い詰め、監視の理由を聞き出そうとするだろう。 まあ別にそれは構わないのだが、ホワイトスネイクに監視のことが知られるのはマズい。 知られればホワイトスネイクもそれに応じた行動をとるだろうし、 最悪の場合、ルイズの支配下から離れることが早まる事も考えられる。 監視のことを知られるのだけは、絶対にダメだ。 ならば、と考えたオスマン氏はコルベールに、遠見の鏡まで使って監視していた理由を明かし、 その上でコルベールも監視に参加するように言ったのだ。 たとえ監視のことがバレても、コルベールを学院長室から出しさえしなければ情報はもれないからだ。 そしてコルベールもコルベールでホワイトスネイクに興味があったので、あっさりと了承した。 というのが、本来部外者であるはずのコルベールが監視に参加している理由である。 なお、コルベールは自分が来たときに開けっ放しにしていたドアを閉めるや否や、 ホワイトスネイクの使い魔のルーンが、伝説の使い魔であるガンダールヴのそれと同じだったと、 興奮気味にオスマン氏に報告した。が、あんまり真面目には聞いてもらえなかった。 オスマン氏は「所詮伝説」としか、そのことについて考えていなかったのだ。 さて、話を学院長室に戻そう。 「学院内でホワイトスネイクと戦うのだけは、避けたい」 そう言ったオスマン氏は、これからのホワイトスネイクへの処遇について考えはじめる。 監視によってホワイトスネイクの情報はある程度集まった。 そしてそのことから、ホワイトスネイクの危険性も十分に把握できた。 しかし――これはあくまで監視によって得られた情報。 直接接触しなければ得られない情報もあるだろう。 いくらかの危険性――例えば、遠見の鏡で監視していたことがバレる、というようなことがあるかもしれないが、 それでもいずれはやらなければならないことだ。 ならば、なるべく早い方がいい。 それにあの使い魔を常に引き連れる状態にあるルイズに対しても、何らかの処遇を定めなければならない。 そう考え、そしてしばらくの沈黙の後、 「ミス・ロングビルはおるかね?」 と、自分の秘書の名を呼ぶ。 すると、学院長室のドアがコンコンと軽い音を立てる。 そしてその後にドアが開けられ、室内に理知的な顔立ちをした女性が入ってきた。 「お呼びですか、オールド・オスマン?」 その声に、オスマン氏は、うむ、と答えた後、 「ミス・ヴァリエールを呼んできてもらえるかの?」 そう言った。 ヴェストリの広場を出たルイズは、決闘のためにサボった授業には行かず、そのまままっすぐ自分の部屋に戻っていた。 授業をサボるのが悪いことだと言うのは分かるが、今は授業なんか受けてる気分じゃあなかった。 ルイズはベッドの上で仰向けになって、決闘のときのことを考える。 あのとき――ホワイトスネイクは、何か今までと別人みたいだった。 召喚したばっかりの昨日とか、今日の朝食のときは、決闘のときに感じたようなものはなかった。 でもよくよく思い出してみれば……授業の片付けのとき。 あのとき、「でぃすく」の力で自分が魔法を使えるようになる、と話したときのホワイトスネイクが、 ギーシュを追い詰めるときのホワイトスネイクに……ちょっと似てた、かもしれない。 でもよく分からない。 偉そうでちょっとムカつくけど、ちょっとだけ頼もしいホワイトスネイク。 残酷で恐ろしくて無慈悲で、それでいてすごく強いホワイトスネイク。 一体どっちが本当のホワイトスネイクなんだろう? 一体、どっちが本当のわたしの使い魔なんだろう? 朝起きたときとか、朝食のときとか、あのときのホワイトスネイクは単なる忠実な使い魔だった……と思う。 口の聞き方とか挙動とかに引っかかるところはあったけど、それでも自分に忠実だったのは確かだ。 ……召喚した日の夜にパンツ覗いたり、ご主人様を怖がらせたりとか、そういうこともあったけど、 授業で錬金に失敗して爆発を起こしたときは、身を挺して庇ってくれた。 あの時は召喚したばっかりの使い魔に庇われるなんて……なんて思って、情けないような気持ちになったけど、 それでも、ホワイトスネイクに対して頼もしさみたいなものは感じていた。 でも……決闘のときのホワイトスネイクは、全然違った。 人を殺すことを何とも思ってないような、そんなすごく怖い眼をしてた。 蛇がカエルを睨むときの眼って、あんな感じなのかもしれない。 とにかく、これから食い殺す獲物を見るような、そんな眼だったのは確かだ。 そしてギーシュのワルキューレをあっという間にみんなやっつけちゃったとき。 あの時は、ホワイトスネイクの強さにすごくびっくりした。 だってあんなに強かっただなんて、考えもしなかったから。 そして……あんなに恐ろしい、残虐なヤツだったなんてことも、考えもしなかった。 ギーシュを怖がらせて、追い詰めるためにあらゆる手段を使って、そしてその上で記憶まで奪い取ろうとした。 最後には記憶を奪うのにわざわざあんなふうに怖がらせたりしたのは…… きっと、ギーシュが最後に感じる感覚を「恐怖」とか、「絶望」とか、そういったものにしようとしたからだと思う。 まるで拷問だった。 まともな心の持ち主なら到底出来ないような、相手の心への拷問。 それを、ホワイトスネイクは平気な顔をしてやった。 つまり、あいつはそういうヤツなんだ。 そう考えてルイズは身震いした。 あんなに恐ろしいヤツを、わたしの使い魔として御しきれるんだろうか? 今でこそホワイトスネイクはわたしに忠誠を示しているけど、いつかはわたしを裏切るかもしれない。 そうなったら……この学院はどうなっちゃうんだろう? そのとき、ドアが軽い音を立ててノックされた。 来たのは誰だろう? 来た目的はどうせ決闘絡みだろう。 それでそのことで来るかもしれないのは……ギーシュ、モンモランシー、シエスタ、キュルケ、ぐらい。 他に、わざわざ自分の部屋に来そうなのはいない。 自分の知ってる顔を思い浮かべ、そんな事を考えながらルイズはむくりとベッドから起き上がってドアへ向かう。 そしてドアを開けると―― 「ミス・ヴァリエールですね? オールド・オスマンが学院長室でお待ちです」 部屋の前にいたミス・ロングビルが、そうルイズに告げた。 オスマン氏に呼び出された理由は、ルイズ自身にも大体察しがついていた。 きっと決闘をした事に関してのことだろう。 貴族同士で決闘をする事はこの学院では禁じられているのだ。 それを破った以上は、何らかのペナルティーは覚悟するしかない。 覚悟するしかないとして……一体どんなことをさせられるんだろう? 学院中の窓を拭く? 全ての空き教室の掃除? まさか女の子にトイレ掃除はさせないだろうが…… そんなことを考えているてますますブルーになりそうな気がしたので、 ルイズはこれから受けるペナルティーについて考えるのをやめた。 そして……部屋で考えていたことの続きに戻る。 そもそもホワイトスネイクは、一体何なんだろう? ホワイトスネイクも自分のことを背後霊だとか生物じゃないとか、よく分かんないけどそんな風に言ってたし、 よくよく思い出してみれば「別の世界から来た」とか言ってたような気もする。 それにホワイトスネイクみたいな亜人は図書館中の使い魔に関するどの本にも載ってなかったし…… ホワイトスネイクが言っていた事は、ひょっとしたら本当なのだろうか? そんなことを考えながらロングビルの後ろを歩いているうちに、学院長室のドアが見えてきた。 ルイズの前を歩いていたロングビルがドアの前で立ち止まり、ドアを軽くノックする。 「入りたまえ」 と、中からしわがれた声が聞こえた。 「失礼します」 と一言言って、ロングビルがドアを開けて室内に入る。 ルイズがそれに続く。 「いやいや、わざわざ呼び出したりしてすまんかったのう、ミス・ヴァリエール」 部屋に入ってきたルイズを見るなり、オスマン氏はにこやかにそう言った。 「い、いえ。え、えと。あの、その」 「そんなに固くならんでよい、ミス・ヴァリエール。さて……ミス・ロングビル。それにミスタ・コルベール。 君たちは退室してくれたまえ」 そうオスマン氏が言ったところで、ルイズは初めてコルベールが学院長室にいたことに気づいた。 そしてコルベールの顔を見る。 見て、ルイズは当惑した。 コルベールが普段の様子からは考えられないほどに、冷静で、表情の無い顔をしていたからだ。 普段のコルベールならば、学院長室に呼び出されて緊張している生徒を、笑顔の一つで落ち着かせようとしたりするだろう。 しかし……この時のコルベールは違った。 少なくとも、ルイズが今までに見知ったコルベールの顔ではなかった。 一体何があったのか……などとルイズが考えているうちに、コルベールはロングビルと一緒にさっさと退室してしまった。 学院長室には、ルイズとオスマン氏のみが残された。 「さて、ミス・ヴァリエール。急にこんな形で呼び出した非礼を、まずは詫びておこうかの。 そして君を呼び出した理由じゃが……それはわし自身の口から伝えておくべきことがあるからじゃ。 君が人づてにそれを知らされたとしても、君にはそうなった理由は分からんじゃろうし、 そうなった理由を説明できるものがわししか居らんのでな」 「はい」 緊張した面持ちで、ルイズが答える。 それにオスマン氏は頷くと、 「では、ミス・ヴァリエール。……君に、一週間の自室での謹慎を命じる」 そう言った。 「……オールド・オスマン」 ルイズが遠慮がちな様子で言う。 「何じゃ、ミス・ヴァリエール?」 「処罰の理由って……やっぱり、ギーシュと決闘したこと、ですよね? だとしたら、ちょっと軽すぎるような、と言うか、その、えっと……」 「学院中の窓拭きとか、空き教室の掃除とか、そういうものを期待しておったのかの?」 「い、いえ! えっと、別にそういう訳じゃ……」 「……まあ君が納得できんのも分かる。 それにそう言うじゃろうと思ったから、こうして君をここに呼んだわけじゃからのう」 「あ……」 ちょっと前にオスマン氏がそれを言ったばかりだったことを思い出し、赤面するルイズ。 「さて……今回の処罰は、決闘のことだけが原因ではない。 君の使い魔、ホワイトスネイクのことも考慮してのことじゃ」 ルイズは思わず、そう言ったオスマン氏の顔を見る。 「君とミスタ・グラモンとの決闘の事は、ミス・ロングビルから聞いておる。 そして、今回の処罰はそれから判断してのことじゃが……ホワイトスネイクは、この学院にとって危険すぎる。 他の生徒と接触しうる状況を作る事は危険じゃと、思ったのじゃ。 それにホワイトスネイクには、未知の部分もあまりに多い。 ホワイトスネイクのような亜人が召喚される例は、わしも見たことが無いでのう。 他にも召喚された瞬間から、コントラクト・サーヴァントもしていないのに使い魔のルーンが刻まれておったという、 前代未聞の事実もあるのじゃ。 決闘に関しての処罰は今言ったとおりじゃが……ホワイトスネイクへの処遇に関しては、まだこれからといったところじゃ。 気苦労をかけることも多いじゃろうが……了承してくれるかの」 「……分かりました」 仕方のないことだ、とルイズは自分に言い聞かせる。 ホワイトスネイクがいつまでも自分で制御しきれるかどうかは分からない。 あの時――ギーシュに記憶の「でぃすく」を返すように言ったとき、 ホワイトスネイクは少しだけ、ほんの少しだけだけど、嫌そうな顔をした。 いや、顔じゃないかもしれない。 ホワイトスネイクが持っている雰囲気に、そういうものが少しだけ感じられたように思ったのだ。 つまり、ホワイトスネイクは今の自分に満足していない。 いつか暴走するかもしれないのだ。 そうなってからでは、遅い。 だから、オールド・オスマンの判断は賢明なものだ。 自分が不当に罰せられてるような気はするけれど、それでも必要なことなんだからしょうがない。 そう言い聞かせた。 そして一方のオスマン氏は、今の発言に一つの「ウソ」を含ませた。 「ミス・ロングビルから決闘のことを聞いた」というところにである。 ウソの理由は、ホワイトスネイクに監視のことを悟らせないためだ。 ホワイトスネイクが実体化していない状態でも周囲の状況を完璧に把握できている事は、決闘からも明らかなこと。 目の前にはルイズしかいないようでも、ホワイトスネイクも自分が何を言ったのかを把握しているのだ。 である以上、下手な事は言えない。 そう考えてのことであった。 「それと、ミス・ヴァリエール」 そして、オスマン氏が不意に声を上げた。 「ホワイトスネイクを呼び出してもらえるかね?」 オスマン氏の注文の内容に驚くルイズ。 「え!? え、あ、その、えっと、オ、オールド・オスマンは、その……ホワイトスネイクを、ここで……」 「今ここでホワイトスネイクと戦う、と言っとるわけではないよ、ミス・ヴァリエール。 そうでなければ一週間の謹慎なんぞ、君に命じるはずが無いからの。 ……わしが望んでおるのは、ホワイトスネイクとの直接対話じゃ。 面と向かって話さんと分からんこともあるでのう」 暫しの沈黙の後、 「分かりました。……ホワイトスネイク、出てきなさい」 ルイズの声に応じ、瞬時にルイズの背後にホワイトスネイクが発現した。 ホワイトスネイクが現れたことを確認すると、ルイズはそっとホワイトスネイクの顔を見る。 しかしその目、その顔に表情は無く、ホワイトスネイクが今何を考えているのかは読み取れない。 「さて……話をするのは初めてじゃな。わしはオスマン。トリステイン魔法学院の学院長じゃ。 みんなからはオールド・オスマンと呼ばれておるよ」 どこぞのポケモン博士のような、ありきたりな自己紹介をするオスマン氏。 「ホワイトスネイク、ダ」 それにホワイトスネイクは淡白に答える。 「私ニ聞キタイ事、トハ?」 「まずは……そうじゃな。君の生態について、とでも言っておこうかの。 何せ、随分と長いこと生きてきたわしでさえ、君のような亜人には始めてお目にかかるものでのう」 ちなみに、オスマン氏はホワイトスネイクがキッチリ自分の質問に答えてくれることを期待していない。 生態というやつはその生物にとっての弱点とかかわりを持つことが多い。 このホワイトスネイクのことだ。 どうせ素直には答えてくれはしないだろう。 だがそれでもオスマン氏が困る事はない。 今聞いたことは遠見の鏡を使った監視で、ある程度は把握しているからだ。 しかし、聞かないなら聞かないで逆に不審を煽るだろう。 ここは聞いても無駄と分かっていても聞くのが得策だ。 そして―― 「ソレハ答エラレナイ。私ノ弱点ニ関ワル話ダ」 オスマン氏の予想通り、ホワイトスネイクは答えることを拒んだ。 「ちょっとホワイトスネイク! オールド・オスマンの頼みをそんなふうに無碍に断るってどういうこt」 そしてそれに対し、ルイズが声を荒げてホワイトスネイクを非難するが―― 「いや、いいんじゃよ、ミス・ヴァリエール。本人が答えたくない、と言っとる以上、強要するわけにもいくまいて。 これは君だけでなく、ホワイトスネイク君にも関わることじゃからのう」 オスマン氏がこのように言ってしまったので、ルイズはまだ何か言いたげだったが、バツの悪そうな顔をして押し黙った。 オスマン氏もオスマン氏で断られる事は予想していたので、 断られたことに関してはルイズのように腹を立てる事は無い。 無いのだが、 「でも答えてもらえんのは、やっぱり残念なことじゃのう……」 聞いたからには「はいそうですか」で終わると怪しまれるので、なるべく名残惜しそうに言う。 そして、しばらく間を取るかのようにオスマン氏は沈黙した。 それに合わせるようにルイズとホワイトスネイクも沈黙する。 こういう危険な手合いと会話するときには、話の進め方、口調、間など、様々なことに気を使わなければならない。 まったく面倒なことよ、とオスマン氏は内心に嘆息した。 そして、「わざと」思い出したかのように、本命の話題に入る。 「ああ、そうじゃ。もう一つ聞きたいことがあったんじゃよ」 「何ダ?」 「お前さんの思想、というかものの考え方、じゃな」 「話ガヨク見エンナ……ドウイウコトダ?」 「決闘でのことじゃよ、ホワイトスネイク。 君が何故、ミスタ・グラモンをあのように精神的に追い詰めるようなやり方をしたのか……それが知りたいのじゃ」 「……知ッテドウスル?」 「どうもこうも……あんな真似をする使い魔は学院の歴史の中でも君が初めてじゃ。 こっちが君なりのものの考え方も理解せんうちに他の生徒に危害を加えられる、というのは避けたいのじゃよ」 なかなかうんと言ってくれんのう、と内心に愚痴るオスマン氏。 さてどうしたものか、と思索を巡らせたところで―― 「イイダロウ」 ホワイトスネイクから了承が出た。 それを聞いてひとまず安心するオスマン氏。 一方のルイズは驚きに、思わずホワイトスネイクの方に振り向く。 ホワイトスネイクがさっきのように断るだろうと思っていたためだ。 「『何故あんなことをしたか』……ト言ワレレバ、『アノ小僧ガ敵ダッタカラダ』トシカ、答エヨウガ無イナ」 「ほう……」 「敵ハイカナル手段ヲ持ッテシテモ排除スル。 二度ト立チ上ガレヌヨウニ、二度ト歯向カエヌヨウニ。 例エ記憶ヲ奪ッテヤッテモ、心ノ淵ニ刻マレタドス黒イ怒リヲ潜在的ナ拠リ所トシテ、生キ続ケル者モイルノデナ。 念ヲ入レルトイウ意味デ、確実ニ始末スルタメニ、アノヨウニ『恐怖』ヲ与エル手法ヲ取ッタ」 記憶を奪われながらも、心の淵に刻まれたドス黒い怒りによって生き続ける者。 言うまでも無く、ウェザーのことである。 あの時――故郷での最後の夜の、ウェザーとの決闘で、プッチ神父は僅かながらもウェザーに情けをかけた。 記憶を奪うだけで、命は奪わなかったのだ。 そしてその結果、ケープ・カナベラルを目前にして死に掛ける羽目になった。 ホワイトスネイクがあのような行動を取ったのはそのためだ。 心にドス黒い怒りを刻むヒマすらないように、それを覚える余裕すらないように、ギーシュの精神を蹂躙したのだ。 そしてそれを聞いて……ルイズは改めてホワイトスネイクに恐怖を感じた。 やっぱり、こっちがホワイトスネイクの本性だったんだ。 決闘で見せた、恐ろしいホワイトスネイクが、本当のホワイトスネイクだったのだ、と。 そういうことを、改めて理解した。 「……なるほど、な。 君の考えはよく分かったよ、ホワイトスネイク君。 今君が言った、『記憶を奪う』……じゃったか? 決闘を見聞きしておったミス・ロングビルから聞いてはおるものの……まったく君は、不思議なことが出来るのじゃな」 ため息混じりにオスマン氏は言った。 そして、理解した。 精神的にも、能力的にも、ホワイトスネイクは危険すぎることを。 そして……近いうちに引導を渡してやらねばならないことを。 「今日はすまんかったの、ミス・ヴァリエール。 もう帰ってよいよ。 ああ、あとそうじゃ。 君はこれから一週間、自室で謹慎となるから、そのこともしっかり頼むぞい?」 「……はい」 ルイズは気を落とした様子で、オスマン氏の言葉に答えた。 そしてうつむき加減で学院長室のドアを開け、部屋から出た。 部屋の外にはロングビルとコルベールが控えていた。 コルベールは部屋から出てきたルイズを見て心底ほっとしたかのように息を吐くと、学院長室に入っていった。 そしてロングビルは、 「ミス・ヴァリエール。あなたの部屋までは私がお送りすることになっています」 と言って、今度はルイズに前を歩かせて、一緒にルイズの部屋の前まで着いて来た。 その様子を見て、ミス・ロングビルは、多分オスマン氏から詳しい話を聞いていなかったんだろう、と思った。 そしてコルベールのことも思い出し……コルベールはきっと、 ホワイトスネイクと一戦交える覚悟をしていたのだろう、と思った。 それほどに、ホワイトスネイクは危険視されているのだ。 そう考えると、やっぱり自分が情けなくって、涙が目に滲みそうになった。 ホワイトスネイクがどんなに危険なヤツなのかってことも知らないで、 使い魔が召喚できたことを単純に喜んで、使い魔が自分に忠実なことを単純に嬉しく思って……。 結局自分は、本当に何も分かってなかったのだ。 そう思うと、また悔しいやら、情けないやらで、泣きそうになっってくる。 でもロングビルがすぐ後ろにいる手前、頑張って泣かないようにした。 部屋の前まで来ると、ルイズはロングビルには何も言わず、すぐに部屋に飛び込み、ドアをバタン! と勢いよく閉めた。 このままだと涙が目からこぼれてしまいそうだと思ったからだ。 しかし一方の、何も事情を知らされていないロングビルは、 ルイズが与えられた罰則に不貞腐れているのだろうと、見当違いの推測をした。 なので、念を押す意味で、 「ミス・ヴァリエールはこれから一週間、自室で謹慎となります。 謹慎期間中に部屋から出た場合、さらに罰則が追加されますので、決して部屋からは出ないで下さい。 朝昼晩の食事は、部屋の前に用意させます。 例外として部屋を出ることが許可されるのは、トイレに行く時と、部屋の前の食事を取るときだけです」 と、あくまで事務的な口調で言ってから、また学院長室に戻っていった。 ルイズはその足音を聞きながら、ベッドの上に腰を下ろした。 そしてそのまま夜になって、着替えて寝るまで、ずっとそうしていた。 部屋の前に置かれた食事には、手をつけないままだった。 その夜――ルイズは、夢を見た。 見たことも無い、世界だった。 どうやらどこかの室内らしい。 壁は石造りのようで、滑らかで灰色。 天井には、ルイズが見たことも無いような、光を放つ不可思議な形をした道具。 そして壁には――血まみれになった男が一人、荒い息で、壁に背を預けて床に座っていた。 深い傷を負っているらしく、ぐったりとしている。 男の数メイル先には、なにやら金属で出来ているような、黒光りする道具が転がっている。 そのあまりにも奇妙な光景に、ルイズは言葉を失い、ただ目を見開いてそれを見るばかりだった。 そうこうしているうちに、男が誰かに話しかけるように、何かを喋り始めた。 だが、どこかノイズがかかっているようで、よく聞こえない。 「やっ……たな……。……を止め……るスタ…………いに! 手に入れ……。 そして………は死んだ。弾が………ブチ込んで……よ」 しかし、それに答える声は、あまりにも鮮明で、あまりにも聞き覚えがありすぎた。 そしてその声がするほうを見て、ルイズは絶句した。 「アア……目的ハ全テ手ニ入レタ」 声の主は、ホワイトスネイクだった。 (え……? ちょ、これって……ど、どういうこと? 何でホワイトスネイクがあたしの夢に? それにそもそもこの場所は一体何なの? この血まみれの男は一体何なの?) そう自問して、ルイズはあることに気づく。 (あいつ……『別の世界から来た』って言ってた……。 だとしたらこれは、あいつが前にいた世界……ってことなの……?) しかし夢の映像は、ルイズの疑問をも考察するかのように淡々と続いていく。 「君ノオカゲダ、ジョンガリ・A! 我々ハ本当ニイイコンビダ」 「フフ……頼む………に連れて行ってくれ………しちまった」 血まみれの男がホワイトスネイクに何か頼み事をしている。 だがホワイトスネイクはそれを意にも介さず――床に転がる、黒光りする道具を手に取った。 そしてそれを、男に向かって構える。 (ち、ちょっと、ホワイトスネイク! あんた一体何する気!? あの血まみれの男の人をさっさと助けなさいよ!) ルイズは夢の中で必死に声を張り上げる。 だがその声は、二人には全く聞こえていないらしい。 「なあ……俺の銃………ないか?」 男がキョロキョロしている。 さっきの道具を探しているらしい。 だが次の瞬間―― 「ココダ」 ドシュッ! ホワイトスネイクの手に握られた道具から放たれた弾丸が、男の喉を貫いた。 男は、声も上げずに死んだ。 (え……? な、なに? ホワイトスネイクのヤツ、今何したの? あの男の人、死んだの? ホワイトスネイクと男の人は仲間だったんじゃないの!?) 混乱するルイズを尻目に、夢の映像はやはり淡々と続く。 男を殺したホワイトスネイクは、ゆっくりと男の死体に近づき、そして男の手に、先ほどの道具を握らせた。 そして薄ら笑いを浮かべながら、言った。 「ケネディヲ暗殺シタ犯人モ……コウヤッテ人生ヲ終エタ。 ……リー・ハーベイ・オズワルド……ダッケ? 確カ……。 『死人ニ口ナシ』。ダカラ歴史ハ丸ク治マッタ……。 私ノ正体ヲ知ル者ハオマエダケダシ、『看守殺シ』ノ罪モ、オマエ一人ノ仕業ダ……」 そこで、夢が映し出す映像は暗転した。 そして次々と、いくつもの場面を映していく。 心に闇を抱えるものにつけ込み、利用するホワイトスネイクを。 他人の欲望を利用するホワイトスネイクを。 そして、ホワイトスネイクが付き従う、浅黒い肌の、黒服の男を。 黒服の男は、まさしくそれまでに映されたホワイトスネイクの人間版であった。 相手の心の闇を利用し、欲望を利用し、そして使い捨てる。 そしてそればかりではなかった。 敵と戦えばどんな姑息で卑怯な手段も平気で取った。 相手にとって何よりも、命よりも大切なものをエサにして逃走し、 追い詰められれば醜く命乞いをし、スキあらば一瞬で命乞いをした相手を殺す。 ホワイトスネイクは、そんな男に付き従っていたのだ。 そして、それらの行動をその身をもって支えていた。 そのことが、ルイズの心に一つの感情を灯していった。 そして、また一つの映像に行き着いた。 そこで黒服の男は、再び醜く命乞いをしていた。 神だの大いなる意思だの、わけのわからない大義を持ち出して、 相手がさも無知であるかのように、高説を振るっていた。 それを直接ぶつけられたわけではないルイズでさえ、吐き気を催すような気分になった。 そしてルイズには理解できた。 もうこの男は、ここまでだと。 その予想通り、相手の少年は命乞いを聞き入れなかった。 男は、これまでに重ねた邪悪な行いの全ての報いを受けるかのように、全身を細かく粉砕されて、死んでいった。 そこで、夢の映像は終わった。 夢の終わりと同時に、ルイズは目が覚めた。 むくりと起き上がって、窓の外に目をやる。 月はまだ高い。 夜明けはもう少し先だろう。 そんなことを考えながら、ルイズは自分の心の中にふつふつと湧き上がる感情の正体を、静かに理解した。 夢を見ていたときから、自分の中に芽生えてきていた感情だ。 そして、一つの名前を呼ぶ。 「――ホワイトスネイク」 その声に応じるかのように、ルイズの背後にホワイトスネイクが現れる。 「ドウシタ、マスター? コンナ夜遅クニ」 「……あんたに、聞きたいことが、あるのよ」 一言一言噛み締めるように、ルイズは言った。 その様子から普段との違いを即座に察知したホワイトスネイクは、多少の警戒感を込めながら聞き返す。 「……トイウノハ?」 ルイズは息を軽く吸ってから、それを言った。 「あんたはわたしの使い魔になる前に、一体どんなことをしてたの?」 ホワイトスネイクにとって、それは全く、思いもよらない質問だった。 だが、それでもホワイトスネイクは冷静だった。 冷静に、それに対応できてしまった。 そしてその冷静さが、この時はアダとなった。 「一人ノ男ニ仕エテイタ。ソシテソノ男ノ命令ニ従イ続ケタ。ソノ男ガ死ヌマデノ間ナ」 「私が聞いてるのはそんな大まかなことじゃないわ。 あんたがその男に仕えて、一体何してたかって事を聞きたいのよ」 ルイズの声の調子は先ほどと変わらない。 「ソレヲ聞イテドウスル?」 「聞いちゃいけないの?」 「ソウイウワケデハナイ。ダガ他人ノ過去ニアマリ首ヲ突ッ込ムモノデh」 「『死人に口なし』」 ホワイトスネイクの言葉を遮って、ルイズがぼそりと言った。 そしてその言葉に、ホワイトスネイクは久しく戦慄に近いものを感じた。 死人に口なし。 ホワイトスネイク自身もよく覚えている、ジョンガリ・Aに対していった言葉だ。 それを何故……マスターが知っている? いや、それともただの偶然か? 「何を驚いてるの? あんたらしくないじゃない、ホワイトスネイク」 ルイズの方もホワイトスネイクがいくらかは驚いている事は分かっている。 だがそれでもルイズの声の調子が変わることは無い。 「夢をね、見たのよ。そこであんたを見た。あんたが仕えてる男も見た。 ……もちろん、あんたが過去にしたことも、全部。 始祖ブリミルの思し召しかしら? ……こんな夢を見られたのは」 「…………」 ホワイトスネイクは何も言わない。 ただ、沈黙してルイズの言葉を聞くだけだ。 「仲間を裏切って殺して、他の人に近づいて、利用して、それで使い捨てて…… それなのに、あんたは自分からはほとんど戦おうとしなかった。 戦うにしても、戦う相手は自分が絶対勝てる相手だけ。 負けそうになれば、どんな手段を使ってでも逃げる。 逃げられなきゃ命乞いする…………これが、私が見た、あんたがしてきたことよ。 …………わたしはね、あんたが正直に、自分が何をしてきたかを言ってくれたら、こんなに怒ってなかったかもしれない。 ……そうでなくても十分怒ってたけど」 そこでルイズは一息ついて、 「ねえ、ホワイトスネイク。あんたは何で、さっき聞かれたときに誤魔化そうとしたの? 単純にあの過去を知られたくなかったからなの?」 口調こそ冷静だが、ルイズの心中にはふつふつと怒りが煮えたぎっていた。 ホワイトスネイクがしてきたことが、ルイズには心の底から許せなかったのだ。 確かにホワイトスネイクへの恐怖はある。 でもそれさえ木の葉のように吹っ飛んでしまうぐらい、ルイズは怒っていた。 「……マスターノ信用ヲ失ッテハ私モ戦イニククナル。 ソレデハマスターヲ守ル事モ難シクナr」 「黙りなさい、この卑怯者ッ!!」 ルイズの叫びが、室内に響いた。 「そうよ、あんたは卑怯者よ! ギーシュのワルキューレをあんな簡単にやっつけられちゃうぐらい強いくせして、戦いはいつも他人任せ。 自分が戦わなくちゃならないときは、どんな卑怯な手段でも使う! どんな姑息な真似だって平気でやる! 負けそうになれば命乞いでもなんでもする! ……あんた、恥ずかしくないの? あんなことして生き延びて、恥ずかしくないの!? 他人を利用して、使い捨てて、それでも罪悪感は感じないの!?」 一気にそこまで言い切ると、ルイズは肩を上下させて息をした。 そして一方のホワイトスネイクは、ルイズの心からの怒りに、 「……私ハカツテノ主人デアル男ノ精神カラ生マレタ。 私ハソノ男ノ深層心理ソノモノナノダ。 ソシテ、ソノ男ニハ全テヲ犠牲ニシテデモヤリ遂ゲヨウトスル事ガアッタ。 ソノタメニハ、ソノ男ハドンナコトデモシタ。 私ハ男ノ精神カラ生マレ出タ存在ダカラ、私ガソレヲ望ンデイルノモマタ事実ダ」 そう、あくまで冷静な口調で答えた。 そしてそれを聞いたルイズは、頭のどこかで、何かが切れるのを感じた。 「……言い訳のつもりなの? それ……」 そして、 「フザケてんじゃないわよッ!!」 再び、怒りに満ちた叫びを上げた。 「全てを犠牲にしてですって? そういうのはまず自分から率先してその犠牲ってヤツに回すからそう言うのよ! でもあんたの前の主人がやってきた事はそういうのじゃない! いつも犠牲にするのは他人ばっかりで、自分は何一つ手を汚そうとしない! そういうのは高潔でも立派でもない、この世でもっともゲスな行いよ! それに、その男の精神から生まれたとかなんとか、わたしにはよく分かんなかったけど……一つだけ言えることがあるわ。 それはあんたが、自分の性格を前の主人のせいにしようとしてるってこと。 そんなので言い逃れようと思ったのね、あんたは。この場だけは誤魔化そう、なんていうふうに……。 …………命令よ、ホワイトスネイク。『もう二度とわたしの目の前に姿を現さないで』」 もう二度と、自分の前に姿を現すな。 そう、ルイズは確かに命令した。 「マスター」 「これは命令よ、ホワイトスネイク!」 ホワイトスネイクが何か言いかけるが、ルイズがそれを遮った。 数秒、ルイズとホワイトスネイクの視線が交差する。 そしてその後、ホワイトスネイクは何も言わずにフッと姿を消した。 姿を消す瞬間、その表情には僅かながら、感傷に近いものが浮かんだ。 ルイズはホワイトスネイクが初めて見せる表情に、ほんの一瞬、戸惑いを覚えたが、すぐに怒りがそれをかき消してしまった。 そしてホワイトスネイクが完全に姿を消したのを見届けてから、再びベッドに横になった。 息はまだ、荒いままだった。 To Be Continued...
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(音声のみお楽しみ下さい) 「……ねえホワイトスネイク」 「ドウシタマスター」 「これはどういうことかしら?」 「昼食ハ既ニ、ホトンド食ベラレテシマッタヨウダナ。 スープトカモキット冷メテイルダロウ」 「……誰のせいなんでしょうねー」 「ソレハ錬金ニ失敗シタマスt」 ドグシャアッ! 「オゴォォッ!」 「あんたが『でぃすく』だの『魔法の才能』だの話し始めたからでしょうがぁあああああああああああ!!」 5話 つまり、こういうことである。 片付けをやっとこさ終えたルイズとホワイトスネイクは、他の生徒より大分遅れてアルヴィーズの食堂に入った。 そしてそこでお腹を空かせたご主人様ことルイズが目にしたのは―― もうほとんど食事が残っていない大皿と、湯気一つ上がらない、きっと冷え切っているであろうスープである。 もちろんお腹をすかせたご主人様はこんなものを見せられた日にはカンカンである。 まあ元はと言えば錬金を派手に失敗して教室を悲惨な状態にしたルイズにこうなった原因はあるのだが、 上記の通りルイズはそれをホワイトスネイクになすりつけた。 責任転嫁である。 その上ホワイトスネイクのスネを蹴っ飛ばしている。全力で。 ルイズとしては、しょうがないんだもん、あたしは魔法が使えないんだもん、みたいな感じでスネてるんだろうが、 責任転嫁された挙句蹴りを食らわされたホワイトスネイクとしてはたまったものではない。 しかし……相手が自分の主人である以上手を上げるわけにもいかず、結局堪えるホワイトスネイクであった。 スタンドの悲しい定めである。 蹴っ飛ばされた方の脚を抱えてケンケンしながら、 ヨーヨーマッもこんなかんじでいつもDアンGにぶん殴られてたに違いない、と思った。 そして一瞬ヨーヨーマッに同情しかけるが、ヨーヨーマッがドMだったことを思い出してすぐに止めた。 こうしてルイズが一人で怒っていて、ホワイトスネイクがケンケンしているところに―― 「あの……ミス・ヴァリエールでしょうか?」 いくらか遠慮のかかった声がした。 その声にルイズとホワイトスネイクが振り向く。 はたして、声の主はメイドであった。 彼女の髪の色は黒。 他のメイドや生徒と比べれば、ここでは珍しい色である。 「何? メイドがわたしに何の用?」 ルイズが思いっきり不機嫌な声でメイドに応える。 腹へっていても多少の愛想は必要だと思うホワイトスネイク。 そしてメイドの方にも、ルイズの不機嫌が分かったらしく、 「あ、あの! その……も、申し訳ありません。 ミス・ヴァリエールが昼食の席に現れなかったもので、お腹が空いてるんじゃないかと……」 「そーよ! もう食事はほとんど無くなっちゃってるし……おかげでこっちはお腹がペコペコよ!」 「で、ですから、大したものは用意できないかもしれませんが、昼食の方を用意しましょうかと……。 他の貴族の皆様がお召し上がりになったものと同じものは用意できませんが……」 これはありがたい。 今朝のようなアホみたいに豪華な食事は期待できないだろうが、それでも十分だ。 お腹をすかせた我が主人たるルイズにとって単純にプラスになることだし、 またこのままルイズが不機嫌なままだと、いつスネを蹴っ飛ばされるか分かったものではないので自分にとってもプラスである。 そうホワイトスネイクが考えていた矢先。 「イヤよ。わたしがいつも昼食で食べてるのと同じのじゃなきゃ、イヤ」 ホワイトスネイクはため息をつきたくなった。 腹減ってるのはしょうがないとして、何故そこで意地を張る。 どうせこのワガママなご主人様のことだ。 貴族はこんなもの食べないとかなんたらかんたら言うんだろうな、とホワイトスネイクは思った。 でもそれを言うとまたスネを蹴っ飛ばされるだろうから、口には出さない。 そう思っていたそのとき―― ぎゅるるるるるるるる……… ルイズのお腹が盛大な悲鳴を上げた。 そしてその音を出したのが自分だと分かると、ルイズは羞恥心で顔を真っ赤にして周囲を見回す。 周りの生徒が聞いていなかったのを確認してルイズはほっと一息ついた。 今のお腹の音を聞かれるのがイヤだったようだ。 食堂に残っている生徒達は皆談笑に夢中で、ルイズには気づかなかったことが幸いした。 まあ、あまり上品な音じゃなかったからな、と思うホワイトスネイク。 そして確認作業を終えたルイズはメイドの方に向き直ると、 「さ、さっきのは取り消し! あと、えっと、で、出来るだけ上品なものを作りなさいよ! 貴族が食べるものなんだからね!」 と、これまた顔を真っ赤にしていった。 何もそこまで恥ずかしがらずとも、と思うホワイトスネイク。 メイドの方もそんなルイズを見て困ったような笑みを浮かべながら、 「かしこまりました。スープの方は今から温め直しますので、そちらで少しだけお待ち下さい。 あ、あと使い魔さんの分も用意させていただきますね」 と言ってお辞儀すると、ぱたぱたと厨房の方へ走っていった。 「何故、マスターハアノ小娘ノ提案ヲ最初ニ断ッタ?」 「貴族は平民が食べるようなものは食べないのよ。下品だから」 「平民? アノ使用人ノ小娘ノコトカ?」 ホワイトスネイクが聞き返す。 「そう、平民。魔法を使えない平民は、あのメイドみたいにわたしたち貴族に奉仕するのよ」 「ナルホド、ナ」 ホワイトスネイクは朝食の席で、自分の姿が使用人に見えていないことは分かっていた。 そして一方、貴族――つまりメイジだが、そいつらには自分の姿が見えている。 (メイジニハ私ノ姿ガ見エル。シカシ使用人、ツマリ平民ニハ私ノ姿ハ見エナイ、トイウコトカ) そのように、ホワイトスネイクは納得しかけて――先ほどのメイドの言葉を思い出した。 (イヤ待テ。サッキアノ使用人ハ『使い魔さんの分も用意させていただきますね』トカ言ッタナ。 ダガ、アノ使用人ハマスターノ言カラシテモメイジデハナイ。 ダトスレバ……) ホワイトスネイクに、興奮に近い感情が湧き上がってくる。 (アノ使用人……スタンドノ才能ヲ持ッテイルノカ?) そして数分後。 ルイズ以外には誰も席に着いていないがらんとした食堂に、ルイズのためだけの食事が並んだ。 ……とは言っても、スープの他にあるのはシチューとローストした鶏肉だけだが。 しかし、量だけは十分ある。 というか二人分は十分ある。 やっぱりホワイトスネイクが見えているらしい。 「どうぞ、お召し上がり下さい」 メイドが笑顔で言う。 ルイズはメイドの声にそっけなく頷いて応えると、目の前のシチューをスプーンですくって、口に運ぶ。 料理の方も見た目には気を使って皿に盛ってはあったが…… やっぱり見た目がボチボチだったからそれが不満なんだろうか、と思うホワイトスネイク。 それでも、突き返さないだけまだマシだと思うことにした。 やっぱり腹減ってると怒る気力もなくなるんだろうか。 しかし、シチューを食べたルイズの感想は―― 「あら……美味しいじゃない!」 感嘆した調子で、ルイズは言った。 「そう言っていただけると嬉しいです」 メイドが嬉しそうに顔をほころばせて言う。 だがルイズは、一口食べて美味しいと分かったからだろうか、 それすら聞こえない様子で、ひたすら食事を口の中に運んでいた。 とはいえ、ガッつくような真似はしない。 由緒ある家柄の出であるルイズは、どんなにお腹が空いていてもテーブルマナーは守るのだ。 その分食事の時間は長くなるが。 そうしてルイズが食事を取っていると―― 「あの……使い魔さんは、お食事をなさらないんですか?」 メイドが、ホワイトスネイクに声をかけた。 「イヤ、イイ。私ハコウイッタ形式ノ食事ヲ取ラナイノダ」 「じゃあどんな食事をなさるんです?」 当たり障りの無いように断ったホワイトスネイクだったが、メイドはさらに深く聞いてきた。 「そうですか、分かりました」で収めればいいものを、と思うホワイトスネイク。 さて、どうするべきか。 自分がスタンドであることを話せば、このメイドにスタンドの才能があるところまで話さなければならなくなるだろう。 まだこちらの世界に来たばかりで、まだ状況のいまいち掴めていないホワイトスネイクとしては、 出来るだけ不要なトラブルは避けたい。 「スタンド使いとスタンド使いは引かれあう」というルールもあることだし、 今の段階でヘタにこの使用人に、スタンドのことは話したくない。 しかし……他の平民の使用人には見えない自分の姿が、この使用人の小娘には見えているのだ。 いずれこの使用人自身も、自分が他の平民とは異なることを知るだろう。 どうするべきか。 彼女にスタンドの才能があることを伝えるべきか、それとも言わずに置くべきか。 しばらく考えたホワイトスネイクは―― 「私ハ空気ヲ食ベル」 誤魔化すことにした。 勿論大嘘である。 空気食って生き延びる人型生物なんているわけ無いだろ常識的に考えて。 しかしこのメイドは―― 「そ、そうなんですか……」 真に受けた。 純真なのか、だまされやすいのか、いずれにしても、 「はいそうですか」で信用するのはどうかとホワイトスネイクは思った。 まあ深く突っ込んでこないのはこちらとしてもありがたいが。 ホワイトスネイクがそんなことを考えていた、そのときだ。 「ごちそうさま」 食事をしていたルイズから声が上がる。 どうやら食べ終わったらしい。 そしてさっきホワイトスネイクが適当なことをメイドに言ったことに反応しなかったあたり、 かなり集中して食事していたようだ。 よほど、お腹がすいていたんだろう。 そう思って、ホワイトスネイクが下を見下ろすと―― 「……全部食ベタノカ」 「だってお腹すいてたんだもの」 メイドがホワイトスネイクの分にと用意した食事まで、さっぱりなくなっていた。 つまり、二人分をきっちりルイズは食べたのである。 いくらなんでもあれだけ食べたら太りそうなものだ。 というか、あれが普通なのか? 「食ベ過ギジャアナイノカ、マスター?」 「別に食べすぎじゃないわよ。いつも歩いてるから太らないし」 そういう問題じゃないだろう、と思うホワイトスネイクであった。 「あなた、名前は何ていうの?」 ルイズがメイドに尋ねる。 「シエスタといいます」 「そう。じゃ、ありがと、シエスタ。おかげで助かったわ」 「い、いえ! そんな、滅相も無いです!」 「いいのよ、そんなに縮こまらなくて。あと、今回の恩は覚えておくわ」 「ミス・ヴァリエール……」 メイド――シエスタと名乗ったが、彼女が嬉しそうに言う。 「そんなに驚かないで。ヴァリエール家の女が恩知らずだなんて思われたら、 私の方が恥ずかしい思いをすることになるもの。 別に特別なことじゃないわよ」 「そ、そそそうですか。あ、ありがとうございます!」 シエスタがかなり恐縮しながら頭を下げる。 その様子から、 (ココマデ卑屈ニナルトハ……ヨホド、平民ニトッテ貴族、イヤ、メイジハ恐怖スベキ対象トナッテイルノダロウナ) そんなことをホワイトスネイクは考えた。 「で、でででは、わわ私はこれで失礼します!」 そんなことを言って、メイドがまた深々と頭を下げると厨房の方へ走って行った。 ちょうどそのとき。 「なあ、ギーシュ! お前、今は誰とつき合っているんだよ!」 「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」 「つき合う? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。 薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 こんな会話が聞こえた。 声の方向に目を向けるホワイトスネイク。 するとそこには金髪の優男と、それを取り巻く数人の男子学生が歩きながら談笑していた。 場所はちょうどシエスタが向かった厨房の近く。 「マスター、アレハ誰ダ?」 「あいつはギーシュよ。色んな女の子のところを、あっちへフラフラ、こっちへフラフラしてるナヨナヨしたヤツ。 わたし、あんまりあいつのこと、好きじゃないのよね」 「アレニ惚レル女ハアマリ幸福ニハナラナイダロウナ。 アレハ女ニ気苦労ヲカケルタイプダ」 「でしょうね。まったく、モンモランシーも何であんなのにゾッコンなのかしら……」 ギーシュを眺めながらそんなことをルイズとホワイトスネイクが話していると。 ぽとり、とギーシュのポケットから何かが落ちた。 何か小瓶のようなものだ。 そしてちょうど厨房に入るところだったシエスタがそれを見つけて拾い上げる。 「これ、落としましたよ」 そう言ってシエスタがギーシュに小瓶を差し出す。 だがギーシュは取り巻きとの会話に夢中で気づかない。 いや、今のシエスタの声はそんなに小さなものではなかったし、「気づかないフリをしている」とするのが正しいだろう。 しかしシエスタは、自分の声が小さかったからギーシュは気づかなかったのだと、誤解した。 そしてもう一度、 「あの、すいません。これを落としましたよ」 そう言って、改めてギーシュに小瓶を差し出すと、 「これは僕のじゃない。君は何を言っているんだね?」 ギーシュはそれを否定した。 しかし自分のポケットから落ちたものを自分のものじゃないと否定するとは、無茶もいいとこである。 そして実際、それは裏目に出た。 「おお? その香水はもしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」 「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分だけの為に調合している香水だぞ!」 「そいつがギーシュ! お前のポケットから落ちてきたってことは、 つまりお前は今モンモランシーと付き合っている! そうだな?」 「違う違う違う! いいかい、彼女の名誉の為に言っておくが……」 取り巻きたちに問い詰められたギーシュがそこまで言ったところで…… 一人の女子生徒がギーシュの元へぱたぱたと走り寄ってきた。 女子生徒のマントの色は、ギーシュやルイズのそれとは違う。 (ソウイエバ朝食ノトキ、アノ色ノマントヲ来タ連中ハ右側ノテーブルニツイテイタナ。 左側ニハ紫色ノマントヲ来タ連中ガイタ。 アノ小娘ガ茶色ノマントトナルト……1年生ハ茶色、3年生ハ紫色、トイッタトコロカ) そんなことを考えながらホワイトスネイクが見ていると、 「ギーシュさま……」 そういって、女子生徒がボロボロ泣き始める。 二股かけられてたことを、今のやりとりで理解したらしい。 「やはり、ミス・モンモランシーと……」 「違うんだよ、ケティ! 彼らは誤解してるんだ。 僕の心の中に住んでいるのは君だk」 ブワッシィィーーーーン! 「ぶげぁっ!」 有無も言わさぬ強烈なビンタが、ギーシュの頬に叩き込まれたッ! そして―― 「その香水があなたのポケットから出てきたのが何よりの証拠ですわ! さようなら!」 そう言うと、女子生徒は泣きながら行ってしまった。 女子生徒の姿が見えなくなった頃、騒ぎを聞きつけたのか、女子生徒がもう一人現れた。 顔つきを見る限り、おおよその状況は理解しているらしい。 というか、間違いなくギーシュをぶん殴るなり何なりするつもりの顔だ。 「あれがモンモランシー。 あの子、おだてられるのが好きなのかしらね。 いっつもギーシュの歯の浮くようなお世辞で顔を赤くしてるのよ」 テーブルに着いたまま、ホワイトスネイクと一緒に様子を見ていたルイズが、興味なさそうに言う。 「シカシマスター。コノママ放ッテオイテイイノカ?」 「どういうことよ?」 「アノ小僧……確カギーシュトカ言ッタナ。 ギーシュハ今カラアノモンモランシートヤラカラモ、何ラカノ制裁ヲ受ケルダロウ」 「でしょうね。で、それがどうかしたの?」 「私ガ言ッテルノハ、ソノ後ノコトナノダ。 状況ヲ簡潔ニ整理スレバ、ギーシュハ友人タチノ目ノ前デ二股ガ露見シ、アノヨーニフラレタ事ニナル。 果タシテ、コノママ自分ガ惨メナママデ済マセラレルカナ……?」 「え……ちょ、ちょっと待って! じゃあシエスタが……。でも、そんなのムチャクチャよ! フられたのはギーシュのヤツが二股かけてたからじゃない!」 「ダガ、元ヲ辿レバシエスタノ親切ガ招イタ事ナノダ。 ギーシュガシエスタニ責任ヲナスリツケナイ、トハ言イガタイナ」 「…………」 ちなみに、ホワイトスネイクにここまでの推測ができたのは、冒頭のルイズの理不尽な制裁があったからに他ならない。 ホワイトスネイクはあの一件で、この世界の理不尽を理解していたのだ。 貴族ならこれぐらいはやるだろう、と。 そのように考えられるようになっていたのだ。 何とも皮肉な話である。 そして現場では―― 「誤解だよ、モンモランシー! 彼女とはただ、一緒にラ・ロシェールの森へ遠乗りしただけで……」 ギーシュが首を振りながら疑惑を否定する。 だが、額には冷や汗が伝っている。 今時分が置かれた状況がディ・モールトヤバイことは自覚しているようだ。 「やっぱり……あの一年生に手を出してたのね」 「お願いだよ、『香水』のモンモランシー! 咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでくれ! 僕まで悲しくなってくるじゃあn」 ドグシャアッ! モンモランシーの蹴りが、ギーシュの股間に炸裂したッ! 「おごおおぉぉっ……」 呻き声を上げて、がっくりと膝を突くギーシュ。 なんというか、ギーシュはもうアワレすぎて何も言えない状態になってしまった。 それをモンモランシーは上から見下ろして、 「嘘つき!」 そう叫ぶと、肩を怒らせながら去っていった。 「お、おい。大丈夫か、ギーシュ」 取り巻きが心配そうにギーシュに言う。 ギーシュは荒い息をしながら、取り巻きの手を借りて立ち上がると、 額にびっしり浮いた冷や汗をハンカチでぬぐい、 「あの、レディたちは、ば、薔薇の、存在の、意味を、理解して、いないようだ」 やはりキザったらしい、芝居がかった口調で言った。 そのまますらすら言えたならもう少しマシだったんだろうが、 それほどにモンモランシーの放った金的は強力だったらしい。 そうして、ギーシュが股間の痛みに耐えながら立っていたとき。 「あ、あの……し、失礼します」 いきなり訪れた修羅場に、呆然と立ち尽くしていたシエスタが声を上げた。 ホワイトスネイクはそれを聞いた瞬間、シエスタが地雷を踏んだことを理解した。 そしてシエスタが背を向けて去ろうとすると―― 「待ちたまえ」 ギーシュがその背中に声をかけた。 その声に、びくっとシエスタは震えると、そろそろと振り向き、 「な、何でしょうか?」 震える声で、シエスタが言った。 「君が軽率に……香水の瓶なんか拾い上げてくれたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついたぞ! ……どうしてくれるんだね?」 「も、申し訳ありません! お許し下さい!」 シエスタはひたすら頭を下げる。 だが、仲間の前で恥をかいたギーシュは収まらない。 「どうやら君には、貴族へ無礼を働くとどうなるか、身をもって知る必要があるみたいだな……」 そう言うと、ギーシュはシャツに刺した薔薇の造花を抜く。 薔薇の造花はギーシュの杖である。 早い話、ギーシュはシエスタに魔法を使おうとしているのである。 その様子をテーブルから見ていたルイズは、 「信じられない……ギーシュのヤツ、シエスタに責任をなすりつけるどころか、魔法まで使うなんて!」 マスターが言えたことじゃないな、とホワイトスネイクは思ったが、そこは黙っておいて 「私ノ言ッタ通リニナッタナ。サテ……ドウスル、マスター?」 ルイズに決断を促した。 シエスタには申し訳ないが、仮にルイズが「何もしない」と言ったなら、ホワイトスネイクは放置するつもりでいた。 偶然にも見つけたスタンドの才能の持ち主を失うことにも多少厳しいものがあるが、 それでもスルーする選択肢も頭の中に入れていた。 しかし、ルイズはホワイトスネイクの言葉に頷くと、 「命令するわ、ホワイトスネイク。シエスタを助けなさい。 でも、ギーシュに攻撃しちゃダメ。あんたが攻撃されるまではね」 そう命令した。 その内容でさっきまでの自分の心配が杞憂だったことが分かり、ホワイトスネイクは内心に苦笑した。 そして、もう一度命令の内容をなぞる。 ギーシュに攻撃するな、とわざわざ言うということは、ルイズ自身になにか考えがあるということ。 その点に関しては、自分が考える必要はないだろう。 そう察したホワイトスネイクは、 「了解シタ、マスター」 と、それだけ言うと、ルイズの元から、風のようなスピードで離れる。 そして、杖を抜いたギーシュに跪いて怯えていたシエスタの前に、音も無く降り立った。 「……何だ? お前は」 ギーシュが訝しげにホワイトスネイクを見て、言う。 そして数秒後、授業中にペリッソンをぶちのめした、ルイズの使い魔だと分かると―― 「お、お前は……ルイズの、使い魔か! な、何だ! 何の用だ!」 瞬く間に取り乱し始めた。 ほんの一言、ルイズのことを「ゼロ」と言っただけのペリッソンを有無も言わさず叩きのめした、 このホワイトスネイクの恐ろしさは、ギーシュも自分の目でよく分かっていた。 「マスターノ命令ヲ遂行スルタメダ。『シエスタを助けろ』ト命令サレタノデナ」 ホワイトスネイクの言葉で、ギーシュは長机に着いていたルイズを見つけると、そちらへ目を向ける。 「どういうことだ、ルイズ! 何で君が首を突っ込むんだ?」 「あら、そんなの決まってるわ。私はそのシエスタに恩があるもの。 たとえシエスタが平民だろうと変わりは無いわ。受けた恩は、返すものよ」 当然の事と言わんばかりの調子で言うルイズに、ギーシュはますます苛立ちを募らせる。 そして、ルイズの言った「受けた恩は、返すもの」と言う言葉に、シエスタははっとしたようにルイズを見る。 「大体悪いのはあんたよ、ギーシュ。 二股なんてかければ、いずればれるに決まってるじゃない。 なのに、あんたはその責任を自分で取らないばかりか、シエスタにその責任をなすりつけようとした……。 貴族のすることじゃないわよ、ギーシュ」 そのルイズの言葉で、ギーシュは完全に頭に血が上った。 常日頃から「ゼロ」と呼んでバカにしているルイズに、ここまで言われたのがガマンならなかったのである。 「……いいだろう。そこまで言うのなら、ルイズ。君も覚悟できてるんだろうね?」 「覚悟?」 「『決闘』だ、ルイズ! 僕は君に、決闘を申し込む!」 きた、とルイズは思った。 シエスタを私刑に処しようとするギーシュの前に立ちはだかるということは、 真っ向からギーシュと敵対することを意味する。 そしてこういう場合、互いに決着をつけるには……決闘しかない。 決闘で、互いが納得するまで戦うしかないのだ。 たとえ「貴族同士の決闘を禁じる」ルールがあったとしても、 昼食の後に授業が控えていても、それ以外の決着は無い。 「いいわよ。場所は?」 「ヴェストリの広場だ。用意が出来たらすぐに来てもらおう!」 「用意? そんなの、いらないわよ。 杖はここにあるし、わたしにはやる気もある。 準備が必要なのは、あんたの方じゃないの?」 「まさか。君がレディだから、ほんのちょっぴり気遣っただけさ。 だが、それも必要ないというなら、今すぐにでも始めようじゃないか。 でも……」 そこでギーシュは言葉を切ると、 「君にはその不躾なメイドを慰めるなり何なりする仕事が残ってるだろう? それが終わったら、来るといい。僕は先に行っているよ」 そう言って、取り巻きたちと一緒に行ってしまった。 やがて、食堂にはルイズとシエスタ、ホワイトスネイクだけが残った。 「あ、あの、ミ、ミス・ヴァリエール……」 シエスタが震えた声でルイズに声をかける。 「心配しないで、シエスタ。あんなキザったらしいことだけしか脳が無いヤツに、わたしは負けたりしない。 それに、約束したでしょう? 『恩は返す』って。 わたしは約束は破らないわ」 「そ、その、でも……」 「大丈夫よ。あなたは何も間違ったことはしちゃいないし、後悔する必要も無い。 だから、あなたは今までどおりでいいのよ」 「は、はい! ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」 シエスタが声を震わせて、何度もルイズに頭を下げる。 ルイズはそんなシエスタを尻目に、ホワイトスネイクを引き連れて食堂を出た。 食堂を出たところで、不意にホワイトスネイクが、 「ソウイエバ、ダ。マスター」 「何よ?」 「何故、先ホド『ギーシュに攻撃するな』ト命令シタ?」 「『決闘』でぶちのめさなきゃ、意味が無いからよ」 「…………ナルホド、ナ。了解シタ、マスター」 正直、ホワイトスネイクにはよく分からない話だった。 敵がいるなら倒せばいい。 どんな方法を使ってでも、奇襲でも、だまし討ちでも、何でも。 それが、プッチ神父とともにあったころのホワイトスネイクだったからだ。 障害を突破するのに、手段は選ばない。 「目的」に到達さえ出来れば、その過程で何が起きようと関係の無いこと。 それが、プッチ神父の信条であり、ホワイトスネイクの信条だった。 しかし……今の主人であるルイズは違う。 過程を大事にして、その上で結果に到達しようとする。 過程においてさえも、プライドを高く保ち続ける。 プッチ神父とは逆の考え方だ。 だからこそ、ホワイトスネイクにはよく理解できない。 授業の片づけで、DISCによって魔法を使えるようになることを、拒んだことも含めて。 (今ハ……理解スル必要ハナイ。後デ、分カッテクルハズダ。 私ハマスターノ元ニ来テカラ、マダ1日ト少シシカ経ッテイナイノダカラ……) そう考えながら、ホワイトスネイクはルイズの後を追った。 二人の行き先は、ヴェストリの広場。 二人の目的は、決闘。 To Be Continued...
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スネイルSDTとは、ゆう氏考案開幕テンプレである。 動画 類似
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☆イリスネイル イリスの持つ、絶対に避けられない首飛ばしの鎌。 斬撃/冷気/即死 回避率無視 装備可:シズ・ベネ スキル習得867 (固有OD技 手操る魂のイリス) 冥王の娘、イリスが持つ暗黒の大鎌。 相手の名前を宣告してから鎌を振り上げれば、 振り下ろす鎌は必中となる。 それこそ星の反対側まで逃げても首が転がる。 魔法による切断攻撃なので、物理的な殺傷力には期待できない。 イリスは冥界のみならず、人間界にも出没するが、 神の目が光る地上では大した悪さは出来ない。 もし、彼女の無邪気な笑顔に騙されて、 冥界までついて行ってしまったら、彼女の玩具にされるだろう。
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スネイキュラス 生息地 カッサリ砂漠 外見 ステータス HP 205 MP 267 攻撃力 434 守り 277 魔防 386 素早さ 309 武器 [斧]ブロードアクス 所持金 643G 技 叩き落とし 鳴き声 勝利「愛しい子、頭から丸呑みしてあげようね…。」 敗北「お前の生き血を啜るまで諦めてなるものか!」 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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【名前】 マシントルネイダー 【読み方】 ましんとるねいだー 【登場作品】 仮面ライダーアギト 【分類】 ビークル 【所持者】 仮面ライダーアギト 【テーマソング】 「MACHINE TORNADER(スライダーモード時)」 【詳細】 仮面ライダーアギトの専用マシン。 アギトの変身時に発せられる特殊なエネルギーを受けて通常のバイクが変化したもの。 あらゆる性能が強化され、アンノウンの体当たりを受けても、傷を残さないほどの耐久力の高さを誇る。 最高時速は430km/h また、「闇の力」が能力を覚醒し、アギトの意思へ応じてスライダーモードと呼ばれるホバー形態へと変形できるようになった。 ボディをスライドさせて、タイヤを折り畳む形で変形し、スノーボードのようにアギトを乗せて飛行できる。 他の人物を一緒に乗せられるようで、劇中ではG3-Xが同乗した。 【余談】 スライダーモードの場合はCG以外の走行シーンは他の車両に牽引されているものと推察できる。
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"As there is little foolish wand-waving here, " (このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。) "many of you will hardly believe this is magic." (そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。) " I don't expect you will really understand the beauty of the softly simmering cauldron with its shimmering fumes," (フツフツと沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、) "the delicate power of liquids that creep through human veins," (人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……) "bewitching the mind, ensnaring the senses…" (諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。) "I can teach you how to bottle fame, brew glory, even stopper death" (我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法である) "-if you aren't as big a bunch of dunderheads as I usually have to teach." (──ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが) + 日本語吹替声優 土師孝也 実写映画シリーズ 野口響 『死の秘宝 PART2』(幼少期) 茶風林 『賢者の石』『秘密の部屋』『アズカバンの囚人』(いずれもゲーム版) 小説『ハリー・ポッター』シリーズの登場人物。 実写映画ではアラン・リックマン氏が演じている。 アラン・リックマン氏の端正なルックスと優雅な所作でナイスミドルの印象があるが、原作では陰気なブサメンとして描写されている。 ホグワーツ魔法魔術学校で魔法薬学教授にして、「スリザリン」の寮監を務める魔法使い。 翻訳版の吹き替えでは一人称は「吾輩」だが、一度だけ「僕」を使用している 魔法使いとしての実力はホグワーツの中でもトップクラスに優秀な人物だったが、 学生時代に自身が所属していたスリザリン寮への贔屓が露骨であるために他寮生に嫌われており、 とりわけ、入学当初からハリーを目の敵にしており、隙あらば揚げ足を取って過大な罰則を課したり陰険な嫌がらせを行うため、 在学時代のハリーとは非常に不仲であった。 また、ホグワーツ入学時点で当時のどの上級生よりも闇の魔術への造詣が深かったことに加えて、 ホグワーツ卒業後にヴォルデモート配下の死喰い人に加わり、ルシウス・マルフォイ、ベラトリックス・レストレンジと並んで片腕扱いされ、 「不死鳥の騎士団」をスパイする任務を与えられていた経歴があり、同僚にも彼に不信感を抱く者は少なくなかったのだが、 ホグワーツ校長及び騎士団リーダーだったダンブルドアが「スネイプは自分側の二重スパイだった」と証言して後ろ盾になったため、 本編時点では罪人としては扱われていない。 ハリーへの敵視は、スネイプが在学時代にハリーの父ジェームズと犬猿の仲を通り越した対立関係にあったことが原因である。 当時のスネイプは本編以上の陰キャで、スリザリン内でも浮いていた存在として扱われており、 後のハリーの母となるリリー及びルシウス・マルフォイ以外友人がおらず、 入学前のホグワーツ特急にてスネイプがリリーにスリザリン入寮を奨めた際に、 ジェームズが「スリザリンに入るくらいなら退学する」と口を挟んできたことをきっかけに衝突し、 ジェームズ及び彼の相棒であったシリウス・ブラックと互いに何度も呪いを掛け合うほど険悪な関係になった。 しかし、スネイプの主観では一方的にいじめを受けたという認識なのだが、 スネイプ相手に傲慢な態度で接していたジェームズにも非があったのも事実なものの、 ジェームズやシリウス達も何かと自分達に付き纏うスネイプを鬱陶しいと認識しており、 同時にスネイプは両名に目に物を言わせるべく他生徒を自分の開発した魔術の実験台にしていたなど、彼にも非が全くなかった訳ではなかった (他生徒で魔法の実験を行っていたのはジェームズもシリウスも同様だったし)。 また、スネイプは天才だったがジェームズ及びシリウスはそれを凌ぐ大天才だったため、 結果的に決闘となるとどうしても一方的な虐めに見える程の実力差があったのも問題であった。 具体的にはスネイプが真剣な害意の下で挑んでも、遊び半分・ふざけ半分のジェームズとシリウスに全く太刀打ち出来ない程の格の差があり、 両者の認識には大きな溝があった。 それがエスカレートして何とかジェームズを退学にするべく材料を探そうと周囲を嗅ぎ回るスネイプを鬱陶しいと考えたシリウスにより、 狼人間と化したリーマス・ルーピンに鉢合わせさせられそうになるという、下手すれば命の危機になりかねない出来事もあった*1。 その時にはシリウスから話を聞いたジェームズがスネイプを助けたことで事なきを得たが、 スネイプはジェームズが保身のためにやったことと認識しており感謝の念を持っておらず、 この件も「三人で共謀したがジェームズが日和った」と認識している。 とはいえ、この一件でルーピンが狼人間であることを知りながらも在学期間中は明かさず、 この事件を口実にジェームズ達を退学に追い込むような真似はしないなど、命を救われた義理は最低限果たした。 これらの経緯がジェームズの面影を多分に受け継いでいたハリーへの憎悪に繋がっている。 当然ながらハリーからしてみればとばっちりもいい所で、 当初こそなるべく敬遠する姿勢を取っていたものの、あまりのしつこさに加えて、 彼がジェームズへの偏見にまみれた中傷を行った中盤頃からどんどんスネイプに対して反抗的になっていき、 年齢を重ねてジェームズにも非があった事実を知ってなお、ハリーは内心スネイプに嫌悪感を抱いていた。 少なくとも『アズカバンの囚人』まで一方的にスネイプが八つ当たりしていたも同然であり、 当然ながらハリーへの度を越した冷遇は事情を知らない(スリザリン以外の)他の生徒や教師陣からも見咎められ、 ハリー以外にもよく称される嫌味で陰湿な人物という評価は、彼の自業自得な部分も非常に多くを占めている。 おかげで、しょっちゅう薬草などの材料を生徒から盗み出されているのに読者から同情されない 少なくとも生前のジェームズの旧友は大半が「ハリーは外見は父親似、内面は母親似」と称しており、 スネイプの父親似というハリーへの評価はジェームズへの恨みによる曇った目に映った偏見だらけのものである。 そして中盤のヴォルデモート復活に伴い、再び二重スパイとして活動。 騎士団や死喰い人のメンバーから不信感を抱かれつつも活動していたが……? + ネタバレ注意 スネイプは騎士団側の人間である。 終盤にてダンブルドアを殺害したため死喰い人側と思われていたが、 これもダンブルドアは承知の上で、2人で示し合わせて行った策略であった。 彼が仲間すら欺き命懸けでヴォルデモート相手にスパイ活動を行っていた動機は、 ハリーの母親であるリリーに片思いしていたためである。 ジェームズを嫌っていたのも、自分が思いを寄せるリリーに何かと絡んでいたのが気に喰わなかったのが原因で、 ジェームズとの実力の差を埋めるのと、徐々にジェームズを見直すようになったリリーに自分を向いてもらうべく、 学生時代のスネイプはますます闇の魔術の研究にのめり込むようになったのである。 ヴォルデモート最盛期には闇の魔術の使い手を羨望する声も相当数あったためこのような考えに至ったのだが、 リリーは闇の魔法使いを嫌っていたため、逆に距離が遠のくことになり、 最終的には「最悪の記憶」*2の一件で決裂することとなった。 ジェームズとリリーが結婚してからも思いを捨てきれなかったのだが、 ある時自分が得た情報が原因でヴォルデモートにリリーが命を狙われていてもたってもいられなくなり、 騎士団側に寝返り何とかリリーを救おうとするも、果たせずリリーは殺害されてしまった。 悲嘆に暮れるスネイプだがダンブルドアに叱責され、 リリーへの償いとして息子のハリーを守るのに協力するように諭され、 スネイプは初恋相手の忘れ形見となったハリーを守ろうとしたのである。 「ジェームズなんぞの子供に感謝や哀れみを向けられるのは耐えられない」という理由から、 スネイプはこの事実を知られることを強く忌諱しており、スネイプの本心を知るのはダンブルドア1人で、 それ故に騎士団の仲間もダンブルドアがスネイプを信じる理由が分からず不信感を抱く者が多数いたが、 ダンブルドアもスネイプの意を汲んでこの事実を話すことは無かった。 とはいえ、ダンブルドアがハリーの屠殺を前提とした計画を建てていたと知った時はガチトーンでキレており、 本人も無自覚の内にリリーへの義理立てだけでなくハリーという個人に多少の情が湧いていたと思われる場面もあったが、 それをダンブルドアに指摘された時も認めようとせず、あくまでリリーのためという姿勢を貫いていた。 もしもハリーがリリーそっくりの女の子だったら逆に甘やかしまくっていたに違いない 最終盤でこの事実を知ったハリーは、自分への逆恨みに思う所はあれども、 危険な二重スパイに身を置いてまで一途に思いを貫いたスネイプの覚悟と信念には敬意を抱くに至っている。 スネイプがダンブルドア陣営のスパイであることは他の死喰い人に疑われることも度々あったのだが、 スネイプはヴォルデモートの開心術でも破れない卓越した閉心術の使い手であったため、 疑い深いヴォルデモートもその本心を見破れず、駒としてだが重宝される程度には信頼を勝ち取るに至り、 多少の不審な点も「二重スパイ任務を受けていたから」という大義名分があったため、 ヴォルデモート復活後もまだ死喰い人として内通することが可能であった。 付け加えるなら、ヴォルデモートが自分よりスネイプをベラトリックスが何かと揚げ足を取っていたため、 そもそもベラトリックスがスネイプに噛みつくのは妬みと僻みが理由なのは死喰い人の間でも周知の事実であり、 その状況を逆手に取り「ベラトリックスがうるさいせいでいらん疑いが向いている」と周囲が思うようにスネイプが立ち回ったため、 死喰い人の間でもスネイプが内通者なのかベラトリックスのネガキャンなのか判断し辛い空気が生まれており、 結果的に最後まで騙し通すことに成功している。 MUGENにおけるセブルス・スネイプ sebastiao氏による、『JUS』風ドットを用いたMUGEN1.0以降専用のちびキャラが公開中。 魔法による遠距離攻撃を用いた射撃戦を得意とした性能をしている。 体力が3割以下の時のみ超必殺技「アバダ・ケダブラ」が解禁される。 AIもデフォルトで搭載されている。 参考動画 出場大会 「[大会] [セブルス・スネイプ]」をタグに含むページは1つもありません。 *1 この1件に関しては原作では解説をサラッと流されており、映画においても殆どカットされているためやや分かりづらいが、 良く考えなくても一歩間違えれば人狼化したルーピンがスネイプを殺害するという大惨事が起きていたということである。 スネイプの安否は当然のこと、病で理性を失っている間に親友に人殺しをさせられる方のルーピンからしたらたまったものではないため、 そりゃ日頃は仲良く悪さしているジェームズも止めに入って当然である (狼人間が獣化している際に理性を保つ「脱狼薬」は素材も高価で調合も困難)。 *2 ダンブルドアの指示でスネイプの元で閉心術の訓練をしていたハリーがたまたま見つけてしまった、スネイプが保管していた記憶。 スネイプの学生時代の頃の物で、ジェームズとシリウスによって逆さ吊りにされて大勢の前で恥をかかされるという物。 実際には前述の力関係やスネイプ自身の日常的な問題行動等もあって、一方的なイジメの現場というわけではないのだが (そもそもその逆さ釣りにする呪文自体スネイプが開発した闇の魔術の一種なので、スネイプによって誰かしらが被害を受けていた事になる)、 尊敬していた実の父親と名付け親が、あまりにも横暴で過激な振舞いをしていたことにハリーは大いにショックを受けた。 この「最悪の記憶」という名前は章タイトル「スネイプ最悪の記憶」から取られた通称であり、 この時点では嫌っていたジェームズ達にいい様にされていたスネイプの屈辱から「最悪」なのだと思われていた。 しかし実際に「最悪」だったのは、この直後に仲裁に入って自分を助けようとしてくれたリリーに対して、 ジェームズへの憤慨から来る興奮の余り「穢れた血が口を挟むな!」と暴言を吐いてしまったことであった。 この世界では魔法の力は遺伝的なもので、魔法が使えない人間(マグル)同士の子供は原則魔法を使えない(先祖返りや突然変異による例外もいる)。 そこで、マグルを見下す純血主義者達はマグルの遺伝子を「穢れた血」と呼んでおり、本人が魔力を使えても片親もしくは両親がマグルの場合、 これを強烈な侮辱語として用いることが過激な者達の間ではしばしばあった。……そしてリリーも本人は魔法が使えたが、両親と実姉はマグルである。 当時の時点でスネイプは分かりやすいほどに闇の魔術師と純血主義に傾倒しており、彼の知人の闇の魔術によってリリーの友人も被害を受けていた。 その点について度々リリーはスネイプに対して注意しつつも、仲裁に入った時のように友人としてスネイプの立場を庇ってはいたのだが、この一件で決裂。 流石のスネイプもその時ばかりは直ぐに「あれは本意ではなかった」と謝罪に向かったのだが、 「あなたは私と同じ生まれの魔法使いのことを全員『穢れた血』と蔑むくせに私だけは違う?どうしてそんなこと信用できるって言うの?」 と言われ、完全に愛想を尽かされてしまったのである。 作者のJ・K・ローリング女史は「スネイプ次第で二人が結ばれる未来もあり得た」と語っている。