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鳥竜種ランポス村クエスト出現ポイント 下位クエスト出現ポイント 上位クエスト出現ポイント 鳥竜種 ランポス 部位 斬 撃 打 撃 射 撃 火 水 雷 氷 龍 気絶値 全身 120 120 120 50 50 50 50 10 100 部位 回数 下位 上位 訓練所 トレジャー 本体 1 ランポスの皮ランポスの鱗ランポスの牙竜骨【小】 ランポスの上皮ランポスの上鱗ランポスの牙 投げナイフ 生焼け肉麻痺投げナイフ竜石【小】竜石【中】竜石【大】竜岩 村クエスト出現ポイント ★数 クエスト名 場所 ポイント その他条件 下位クエスト出現ポイント ★数 クエスト名 場所 エリア その他条件 ☆4 孤高の黒狼鳥 密林(夜) 4 上位クエスト出現ポイント ★数 クエスト名 場所 エリア その他条件 ★6-HR4 密林:素材ツアー 密林(夜) 4 ★6-HR4 密林:素材ツアー 密林(夜) 5
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http //blog.livedoor.jp/yukkuriplace_anko/archives/7105054.html https //w.atwiki.jp/ankoss/pages/1702.html 『飼いゆっくりれいむ』 D.O 我が家は、築100年を軽く超える古風な木造家屋である。 爺さんの若かった頃は農業をしていたとのことなので、蔵もあれば庭もあり、 さらにその周囲は生垣をはさんで小さな林まで広がっている。 外から見れば、歴史の重み、どころか幽霊屋敷の雰囲気漂わせていることだろう。 現在の主である私が手入れを怠っているので、庭はコケと背の高い雑草が生い茂り、生垣も所々穴が開いているからなのだが。 私が子供の頃は、周囲にまだ多くの農家も残っていたが、 十年ほど前に、ゆっくりの大規模な襲撃が起こり、すっかり疲弊してしまったようである。 もう少し山に近い田舎に立ち上がった、のうかりんを使った実験農場計画が始まった頃に多くの農地は売却され、 実験農場が順調な現状を考えると、このあたりも数年後にはのうかりん印の農場になりそうだ。 現在では町、というには空き家が多すぎる、少々寂しい地域となってしまっている。 そんなある日、仕事から帰ってみると、 庭にサッカーボールサイズと、テニスボールサイズの饅頭が一つづつ落ちていた。 日が暮れているので良く見えないが、赤白リボンの奴はたしかれ・・・れ?ゆっくりだ。 「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇっ!」 「・・・・・・。」 家の電灯に照らされてみれば、薄汚れていて何ともゆっくりしていない奴等である。 少なくとも、見ているこちらとしてはゆっくりできない。 親子なのは間違いなさそうだが、親の方は全身余すところ無く、 マジックで唐草模様が描き込まれているあたり、町からやってきたのは間違いないだろう。 「にんげんさん、れいむはしんぐるまざーなんだよ!」 「へぇ・・・。で?」 「かわいそうなれいむたちを、ゆっくりかっていってね!」 「きゃわいくってごめんにぇっ!」 「・・・はぁ。」 なんだか、やり遂げた表情でこちらを見ている。 刈って、狩って、・・・いや、飼っていってね、か? どうやら、こんなにゆっくりしたおちびちゃんなんだから、人間さんも飼ってくれるに違いない、ということらしい。 とりあえずサンダルの裏を、その自信満々の顔面に押し当てて、塀の方に転がしてやることにした。 「ゆべしっ!」 「ゆぴぃぃいい!」 「・・・ペッ!」 噛んでいたガムが母れいむのリボンにジャストミートする。 「・・・・・・飯作ろ。」 別にゆっくりとやらに大した関心はない。 単に、コソコソ隠れているなら可愛げもあるが、ずうずうしさが気に入らなかっただけである。 これまでも野良猫やらなんやら、しょっちゅう仮の宿に使われていたので、 今更ゆっくりが庭に舞い込んだところで気にしない。 糞をばら撒かれないだけ、犬猫よりはありがたいくらいだ。 庭に住みたきゃ勝手に住めばいい。 こちらには当然世話する義務なんぞ無いのだから。 「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛・・・・」 「ゆっくりー!」 痛みから回復したれいむ親子の方は、感動に打ち震えていた。 なにせ気がついたら、母れいむのリボンにペタリとついているのは、あの憧れの飼いゆっくりバッジ。 れいむも遠くで見ていたときは気づかなかったが、バッヂがまさか人間さんが口から吐き出されたものだったとは。 まあ、自分達もナワバリ(無意味極まるが)にしーしーでマーキングすることは多いのだから、そういうものなのだろう。 ・・・などと考えながら、リボンにへばりついたガムを、嬉し涙に潤んだ目で眺めていた。 そう、れいむはついに、ゆっくりの中でも最もゆっくりできると言われる、 あの飼いゆっくりにしてもらえたのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 翌朝。 便所から出て縁側を歩いていると、庭の隅に放置していた木箱から、れいむ親子が飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ん?まだいたか。」 朝からうるさい奴らだ。やはり猫の方がましだな。 「ゆーん。おにーさん、れいむたちにあさごはんちょーだいね!」 「ちょーらいにぇっ!」 昨日のゆっくり共が、これから仕事に行くという時に、なんだかずうずうしくゆぅゆぅ鳴いている。 「・・・・・・庭の草でも花でも、自分で適当に食え。」 「ゆゆっ!?おはなしゃん、たべちぇいいにょ?やっちゃー!」 「ゆーん、ごはんさんいっぱいだよ~。」 勝手に住むのはかまわんが、ゆっくりフードたら言うものまで買ってやる気など無い。 というか、ペットでもないのにいちいち飯などやらん。 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 「むーちゃ、むーちゃ。ゆ・・ゆぇーん。」 「どうしたの、おちびちゃん。」 「れいみゅ、こんにゃにむーちゃむーちゃちたの、はじめちぇ。」 れいむ達は、飼い主であるおにーさんの愛情を全身で味わっていた。 なにせ、適当に食え、と言って指差した庭には、 柔らかそうなゆっくりした草、 タンポポやシロツメクサの類の雑草寄りの花、 背の低い木には実や柔らかい葉っぱ、 それに、今は何も成っていないが柿やビワの木も生えており、季節が来たら食卓を飾ってくれることだろう。 当然昆虫やミミズも、その気になれば取り放題だ。 ここは、森の中にあったとしたら、数十匹のゆっくりを余裕をもって支えることができる最上級の狩場であった。 それらが全て、この2匹だけのためのごはんだと言うのである。 「おにぃさぁん、ありがとぉぉぉおおおぉぉ。」 そんなある日、夕食の生ゴミを袋に入れて、裏庭のポリバケツに入れようとしたところ、 ゆっくり共が、よだれを滝の様にたらしながらこちらを見ていた。 ・・・・・・そういえば、今都会では『ゆっくりコンポスト』なるものがはやっていると聞く。 正直言って生ゴミを貯めこむのは嫌だし、こいつらでも使ってみるか。 「・・・食え。」 翌朝、袋の中身がきれいさっぱりなくなっていた。 袋に何かが入っていた形跡すら無い。よだれらしきものでベタベタではあるが。 「ゆっくちちたおやさいしゃんだったにぇっ!」 「おにーさんにありがとうってするんだよ。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 「なるほど。こいつは便利だ。」 それからというもの、あの親子は毎日ポリバケツに放り込むはずだった生ゴミを、おやつだと大喜びで食べている。 生ゴミを放置しすぎて増えていたりぐるとかも減った。 生ゴミがなくなったからか、りぐるも食べているのか・・・ しばらくすると、いちいちこいつ等が『おうち』とやらにしている、庭の隅の木箱まで生ゴミを持っていくのもめんどくさくなってきた。 まずは縁側の下に少し穴を掘り、用済みとなったポリバケツを横倒しにしてはめ込む。 ポリバケツの内側に土をいくらか入れ、周囲の穴との隙間にも土を詰める。正面から見るとパッと見トンネルのような感じだ。 あとはあのゆっくり親子を中に放り込んで、自家製コンポストは完成。 「ゆわーい。きょきょはれいみゅたちのおうちなんだにぇ。」 「ゆっくりー!おにーさん、ありがとう!」 なんかぽいんぽいんと跳ねて喜んでいるが、台所からも食卓からも近いここが、 生ゴミを放り込むのに適していただけだ。 「ん、で、あと何が必要だ?」 「「ゆぅ?」」 なんといっても、使い道ができた以上、もはや野良猫と同等ではない。 金をかけてやるつもりはないが、それなりのメンテナンスはしてやろう。 コンポストとしてある程度長持ちしてくれなければ困るからだ。 「ゆ、ゆぅーん!れいむはみずあびができたらうれしいよ。きたないとゆっくりできないよ。それと・・・」 「それと?」 「おちびちゃんにも、ばっじさんがほしいよ!おちびちゃんもかいゆっくりのばっじさんがほしいよ。」 水浴びか。なるほど、こいつ等が饅頭のくせにカビないのは不思議だったが、やはり不潔にしておくのはよろしくないといったところか。 こっちとしても軒下にサッカーボール大のカビ饅頭があるのは気分が悪い。自分たちで清潔にしてもらおうか。 あとは・・・ん?おちびちゃん・・・にも? ・・・・・・妙に馴れ馴れしいのも合点がいった。まさか飼われているつもりだったとは。 まあ、使い道がある今となっては都合がよくもあったが。 「水は、そうだな。このタライに水を入れといてやる。勝手に使え。」 「ゆっくりー!」 「それと・・・バッジねぇ。ああ、あれでいいか。」 持ってきたのは、私が中学生時代に学生服につけていた、襟章だった。 鈍く銀色に光る襟章、どうせこいつ等がバッジとやらを活用する日は来ないのだから、これで十分だ。 リボンに乱暴にネジ式の襟章を突き刺して固定すると、赤色の中に鈍く光る銀色は、思いのほかしっくりときた。 「ゆわーい!ゆっくちちたばっじしゃんだー!」 「ゆぅぅ、よがっだねぇ、よがっだねぇぇえ、おぢびじゃぁぁああん。」 喜んでもらって何よりである。この調子で雑草むしりと生ゴミ処理を頑張ってもらいたいものだ。 翌日には、縁側下のコンポストの近くに「おといれ」と称してうんうん用の穴も掘っていた。 生活の場に排泄物を置いておくのはやはり嫌なのか。だが、これはこちらとしても都合がよかった。 このうんうんという排泄物については、定期的に土と雑草に混ぜて花壇の肥料にしている。 なかなか良質なようで、しかも採集の手間も要らないしありがたいものだ。 「ゆーん、おにーさん。おといれのおそうじしてくれてありがとう。」 「うんうんがなくなっちぇ、ゆっくちできりゅよ。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− こうしてれいむ親子がコンポストとなった数日後、家の庭に最近ご無沙汰だった来客が来た。 「ねこさんだぁぁあああ!ゆっくりできないぃぃぃ!!」 「ゆぴぃぃ、おきゃあしゃんこわいよぉぉ!」 「ん、ああ、トラか。久しぶり。」 生垣の穴から庭に入ってきたのは、近所で気ままな野良生活を送っている猫だ。 こいつに限らず、我が家を通り道にする猫は多い。 「ゆぁぁぁぁ、おにーさぁぁん。ねこさんこわいよぉぉぉぉ。」 「ゆっくちさせちぇぇぇぇ。」 「・・・嫌なら自分でなんとかしろ。」 「「ゆぅぅぅ、ゆっくりできないよぉ。」」 別にサッカーボールサイズの良くわからん物体にじゃれつく様な、酔狂な猫達でもないが、 町生活でトラウマでもあるのか、度重なる猫の襲撃に、れいむ親子は自分達で何とかすることにしたようだ。 数日後から、徐々にだが、目に見えて生垣の穴がふさがり始めた。 「ゆーえす!ゆーえす!」 「おきゃーしゃん、はっぱしゃんもってきちゃよ。」 「じゃあおちびちゃん、このすきまにはっぱさんをおしこんでね。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 生垣や塀の隙間に、小石を詰め、小枝を刺し、上から土を盛って、また葉っぱや枝を詰める。 近くで見るとやはり幼稚園児の工作の域を出るものではないが、遠目には生垣に溶け込んで見えなくも無い。 何重にもゴミを積み上げているので、強度のほうはちょっと蹴りを入れたくらいでは吹っ飛ばないくらいになっていた。 「これでねこさんはいってこれないね!」 「ゆっくちー。」 「にゅぁ~ん・・・ぐるるる。」 ・・・・・・。 「「どぼぢでねござんはいっでるのぉぉぉおお!?」」 「・・・塀の上からだろ。」 まあ一応は通りにくくなったので、特に頻繁にここに来る数匹以外は入ってくることも無くなり、 多少は平穏になったようだ。 それにしても、なんだか最近庭がきれいになってきた気がする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 生垣の穴がれいむによってあらかた埋まった数日後、 久しぶりに友人が家まで遊びに来た。 「ゆゆっ!?おにーさんのおともだち?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ。」 「おー、間知由。お前ゆっくり飼ってたんだな。エラい装飾過剰だけど。」 「いや、飼ってないし、あの唐草模様は来たときからだ。俺の趣味じゃない。」 「ふーん。つってもバッジついてんじゃん。」 「ありゃガムだ。」 「え゛・・・。」 「ああ、みかんの皮は庭のポリバケツに放り込んどいてくれ。」 「え?これってこいつらのおうちだろ?」 「いや。コンポスト。」 「んー。・・・え゛ぇ?」 「ゆわーい、おやつだにぇ!ゆっくちありがちょー。」 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 ついでに、夕食の魚の骨も放り込んでおいた。 「ぽりっ、ぽりぽりぽり・・・ゆっくりー!」 「・・・・・ふーむ。」 「どうした?」 「いや。ゆっくりって、案外飼いやすい生き物なのだろうかと思ってな。」 「ただの饅頭だろ。・・・・・・何だよ、その目は。」 「まったく。世の中にはどんだけ愛情注いでも懐かれない奴もいるってのに。」 「そんなもんかね。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そして、庭が放置しっぱなしの幽霊屋敷状態から、見違えるようにきれいになった頃、 れいむ達の平穏な毎日に、突然不幸が舞い降りてきた。 「Zzzzzz・・・。」 「すーや、すーや。」 今日は日曜日。おにーさんも日当たりの良い縁側で昼寝中。 れいむ親子も庭に生えた木の木陰でゆっくりと惰眠をむさぼっていた。 そのとき庭に、普段と違う空気が漂う。 「うー。」 「ゆぅ?・・・すーや、すーや。」 「あまあまー。」 「ゆ・・・すーや、すーや。・・・・・・れみりゃだぁぁぁああああ!!!」 庭に突然飛来したのは、本来夜行性のれみりゃ(胴無し)。 庭のすぐ奥にある林は、昼でも薄暗く、たまに昼でも活動するれみりゃが現れたりする。 しかも、このあたりは農家だったこともあり、害ゆ対策として、れみりゃを大量飼育していた時期もあったので、 最近森の奥でしか見なくなったれみりゃ種もチラホラいたりするのだ。 「おちびちゃん、ゆっくりにげるよ!」 「ゆあーん。れみりゃはゆっくちしちぇにぇ。」 ぽよん、ぽよん、と大急ぎでおうちに飛び込むれいむ親子。 れみりゃは追ってこなかった。どうやら助かったようである。 しかし、一つだけ気がかりがあった。 「ゆぅぅぅ、おきゃーしゃん、れみりゃはゆっくちできにゃいよぉ。」 「ゆ!おちびちゃん。ここはおにーさんがつくってくれたおうちだから、れみりゃなんてはいってこれないよ!」 「ゆっくちー。でみょ・・・。」 「おちびちゃん?」 「おにーしゃん、すーやすーやしてたよ?れみりゃにゆっくちひどいことされてにゃい?」 「ゆゆっ!?」 「そろーり!そろーり!」 おにーさんの無事を確かめるべくおうちから慎重に這い出るれいむ。 見つかったら命はないだけに、そろーりそろーりにも力が入る。 そして、れいむは驚愕の姿を目撃した。 「うー!うー!」 「Zzzzzz・・・・、じゃま・・・」 ・・・・・・れみりゃがおにーさんにじゃれていた。 「ゆぁぁぁああああ!おにーさんがたべられるぅぅぅううう!!!」 「うー?」 「やめてねっ!おにーさんをたべないでねっ!れみりゃはゆっくりどっかいってね!!」 ゆっくりしたおにーさんを助けるべく、れいむはれみりゃに立ち向かう。 しかし、口にくわえた木の枝をどれほど振り回しても、空を舞うれみりゃ相手には届かなかった。 「ゆぅ、ゆぅぅ、どうしてとどかないのぉぉ。」 「うー!あまあまー。がぶり。」 「ゆひぃぃぃぃ、れいむのあんこさんすわないでぇぇぇぇ・・・。」 「おきゃあしゃぁぁあん、ゆっくち、れみりゃはゆっくちしちぇぇぇぇ!」 「お、肉まん。」ぱさり。 「うー!うー!」 といったところで目が覚めたおにーさん。 玉網を使ってあっさりとれみりゃを捕獲したのであった。 それにしても、生ゴミを処理して肥料を作り、 庭の管理までやってくれた挙句、夕食のおかずをおびき寄せてくれるとは、 つくづく使いでのあるコンポストだ。 つい今さっきまでたっぷり飯を食っていたこの肉まん、中身がが詰まっていてうまそうだな。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇぇぇぇ。」 ザックザックザック 薄っぺらくなった方のれいむには、中身を詰めなおしてやることにする。 掘り出したのは、「おといれ」とやらになみなみと貯められた餡子。 こいつを、中身の減ったれいむの口からねじ込んでやることにした。 「ゆ゛っ、ゆぼぉっ!おにーざん、やべでぇ、ゆっぐぢでぎなっ!ゆぼっ!」 「おにーしゃん、やめてあげちぇにぇ!おきゃーしゃんがいやがっちぇるよ。」 無視。餡子は餡子だ。多少土が混ざっているが、中に詰めなおしてやれば問題ないだろう。 「ゆ゛っ、ゆっぐぢしていってね。ゆげぇ。」 「やっちゃー!おきゃーしゃん、げんきになっちゃよ。」 「ゆ、ゆぅぅ・・・おにーさん、ありがとぉ・・・。」 「しゅーり、しゅーり、ちあわちぇー!」 ふむ、消耗してはいるが、まだ当分は使えそうだ。 そして、その夜は多すぎて食べきれなかった肉まんの残りを、コンポストに放り込んでやった。 やはり一人暮らしにあのサイズは無茶な話だな。 「ゆわーい。きょうはごちそうだにぇ!」 「ゆーん。きっといっしょにれみりゃをやっつけたから、ごほうびなんだよ。」 「ゆっくち!ゆっくち!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そんな生活が、しばらく続いたが、 子れいむが成体にまで大きくなった頃、親れいむの方が死んだ。 あとで調べたが、町の野良の寿命は平均一年かどうかと、大分短いらしい。 我が家に来た時には中古のポンコツだったということか。 「お・・・おにーさん。おちびちゃんを、・・・これからもゆっくりさせてあげてね。」 「特になにも変らんよ。」 「おちびちゃん、・・・ゆっくりしていってね・・・・・・」 「おかーしゃん、おきゃあしゃぁぁぁあああん!!!すーりすーりしてね、ぺーろぺーろしてねぇぇえええ!!!」 リボンは子れいむの方が欲しがったのでくれてやり、死体のほうはぐちゃぐちゃにすり潰して肥料にした。 花壇の花も元気に育つことだろう。 「おかーさん。おはなさんになったんだね。」 「まあそうとも言えるな。」 「ゆっくりしていってね。おかーさん。」 まあ、そんなことはどうでも良かったのだが、少し問題が生じてきた。 コンポストの、生ごみ処理能力が落ちてしまったのだ。 「ゆぅぅ~。さびしいよぉ。」 「おちびちゃんがほしいよぉ。」 「すーりすーりしたいよぉ。」 どうも孤独な生活と発情期が重なって、ノイローゼ状態になったらしい。 頭数が減ったうえ、どうにも食欲が無い。庭の雑草もまた伸び始めてきた。 これは、新しいゆっくりを取ってくる必要がありそうだな。 その日、夕食の生ゴミをコンポストに放り込みながら、 れいむにつがいを探してやる、と言った時のれいむの喜びようは大変なものだった。 体が溶ける寸前まで水浴びをして、リボンのしわ一つ一つまで丹念にあんよでつぶして伸ばしていく。 コンポスト内の清掃も丹念に行い、 さらに子供が出来た後のために、花やイモ虫、果物の皮などのごちそうから保存食の干し草まで貯めこむ。 にんっしん中のベッドまで葉っぱと草を使って作り終えて、準備万端でその日を迎えた。 約束の日、私はれいむを連れて街を歩き、れいむ的に「すっごくゆっくりしてる」まりさを手に入れた。 この白黒饅頭、帽子にアイロンをかけた形跡もわずかにあり、恐らくバッジを引きちぎったのであろう傷痕も見られる。 飼われていたというなら、それなりの躾もされているのだろう。好都合だ。 「ゆふん!そんなにまりさをかいたかったら、かわせてやってもいいのぜ。」 「ゆっくり!まりさ、ずっとゆっくりしようね!」 「ゆん!なかなかゆっくりしたれいむだから、とくべつにすっきりしてやってもいいのぜ。」 本人も乗り気のようだから都合よい。つがいにしてやることにして、家に連れていった。 「ゆぅ~ん、まりさ。すーり、すーり。」 「ゆへぇぇ!いいからとっととまむまむをむけるのぜぇ!『ぼよぉぉおん!』」 「『ごろんっ』ゆぅ!?もっとゆっくりしてぇ!」 「しったこっちゃないのぜ!まりさのぺにぺにをおみまいしてやるのぜぇ!!」 ずぼぉっ!ずっぽずっぽずっぽずっぽ・・・ 「ゆぁーん、いだいぃぃぃい!らんぼうすぎるよぉ。もっと、ゆっぐりぃ!」 「ゆっふっ!ゆっゆっゆっゆっゆっゆっすっきりぃぃぃいいい!」 「ずっぎりぃぃ。」 とりあえずれいむの腹が膨れてきたので、予定どおりにいったようだ。 「ひどいよまりさ・・・」 「ゆふぅ。ひとしごとおわっておなかがすいたのぜ。にんげんさん、とっととごはんをもってくるんだぜ!」 「その辺のを適当に食え。」 「ゆゆ!?なにいってるのぜ。ゆっくりふーどさんなんて、どこにもないのぜ。」 「草があるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇぇ!くささんはごはんじゃないのぜ! ふーどさんがないならけーきさんでもいいのぜ!はやくもってくるのぜ、くそじじぃ!」 「ゆぅ。なにいってるの?おにーさんにあやまってね。くささんはおいしいよ。むーしゃむーしゃ。」 「ゆぎぃぃぃいい!もういいのぜ!はやくおうちにいれるのぜ!べっどですーやすーやするのぜ!」 「そこに家ならあるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇ!これはごみばこさんなのぜ!くさくてきたないのぜ!」 「ひ、ひどいよまりさ!おにーさんがれいむにくれた、ゆっくりできるおうちだよ! それに、れいむがいっしょうけんめいおそうじしたんだよ!ゆっくりあやまってね!」 「・・・いいよ別に。文句があるなら勝手に出ていけば。」 「ゆふん!まったく、ばかなじじぃとゆっくりしてないごみれいむのほうが、このおうちからでていくのぜ! ゆっくりしたまりささまが、とくべつにこのおうちをつかってやるのぜ!」 「ふーん・・・。れいむ、どうやら一緒に暮らすのは無理そうだが。」 「ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくりできないまりさだよぉ。」 とりあえず、私が家から追い出されるのは嫌なので、ゆっくりしたまりささまとやらは、門から丁重に出て行ってもらった。 あれだけ態度がでかいと、野良をやっていくのも大変だろうに、大したものだ。 しかし、ゆっくりと言っても、コンポスト向きのとそうでないのがいるのかもしれない。 黒帽子がダメなのか、飼われていたのがダメなのか、まあ、どうでもいいことだ。 れいむの腹にいるちび共の中に黒帽子がいたら、それもはっきりするだろう。 つがいこそいなくなったものの、孤独を埋めるという当初の目的は達成されたようである。 それから数匹分の食欲を発揮し始めたれいむは、3週間後、無事れいむ種一匹とまりさ種一匹を出産した。 赤ゆっくりが腹から射出される勢いには驚いたが、庭は柔らかい芝生であったのが幸いしたのか、 せっかくれいむが作っていた草のクッションから1m以上離れて着地したものの、つぶれることはなかった。 「「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!!」」 「ゆっくりしていってね!ゆぅーん、ぺーろぺーろ、おちびちゃんたちかわいいよぉ。」 これで、コンポストの方は今後も安泰そうだ。 母れいむがチビ共にもバッジが欲しいとか言ってきたので、画鋲のカサの部分をセメダインでくっつけておく。金バッジだ。 これで満足して生ゴミを処理してくれるのだから、安上がりなものだ。 ちなみに、ゆっくりしたまりささまに出て行ってもらってから二日後、門の前にみすぼらしく、 帽子もかぶっていないまりさ種が一匹転がっていた。 「やっばりがっでぐだざぃぃ・・・おねがいじばずぅ。」 とか言っていたが、ゆっくりを飼う趣味などないので、無視しておいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− それからしばらくは、コンポストとしても庭の芝生管理としても特に問題はなかった。 ピンポン玉サイズの子供たちでは、成体一匹分の処理能力を補えるかと、多少不安ではあったが、 どうやら、成長中のチビ共の方が食欲は旺盛らしく、生ゴミは毎日順調に処理され、肥料になっていった。 黒帽子の方も特に文句を言わず、生ゴミをムシャムシャ食らい、庭をぽよんぽよんと跳ねまわっている。 やはりあの態度は、育ちが問題だったようだ。 だが、赤ゆっくり達が産まれてから一月ほどたち、そろそろ冬の近づきを肌で感じ始めた頃、 またしてもコンポストの性能が低下してきた。 朝、コンポストの中をのぞいてみると、まだ昨日の生ゴミが残っている。 さらにその奥では、歯をガチガチと鳴らしながら、目の下にクマをつくったれいむ一家がいた。 「お、おおお、おにーさん、おうちがさむいよぉぉぉ・・。ねむれないよぉぉ・・。」 「しゃむくてゆっくちできにゃいぃぃぃ。」 「ごはんしゃんつめちゃいよ。むーちゃ、むーちゃ、しょれなりー。」 コンポストはれいむ達なりにきっちり入口を塞いでいるが、やはり所詮はポリバケツ。 まだ昼間は温かいが、壁一枚隔てた向こうの、夜の寒気を完全に防ぐことはできないようだ。 この時期でこれでは、冬の間はコンポストの機能が完全に停止しかねない。 家に入れるという選択肢はもちろんないが、 本格的にコンポストの改造を行う必要がありそうだ。 その日の昼、れいむ一家に『たからもの』とか言う小石や押し花や、ガムの付いたリボンらしきゴミをコンポストから出させると、 大規模な改装に取り掛かった。 まずは、ポリバケツを掘り出して、横倒しにすると天井になる、壁の一部を四角く切り抜く。 それに、ちょうつがいと留め金をつけて、外から開けるようにした。 ゆっくりは、冬には巣の入り口を密閉するらしいので、生ゴミの投入口をつけてやったわけだ。 次にバケツの入口、つまりゆっくりの出入り口だが、せいぜい直径30cm程度のゆっくりに対しては大きすぎる。 壊れたすのこを材料にして、ドーナツ状の板をつくり、バケツの口に取り付けてやった。 これでゆっくりの出入り口は、必要最低限の大きさになり、 木の枝などで塞ぐ手間も、寒気の吹き込む隙間もぐっと減るはずだ。 あとは、再び縁側の下にポリバケツを埋めなおし、これまではむき出しだった側面にまで土をこんもりと盛っておく。 外から見ると、生ゴミの投入口と、ゆっくりの出入り口だけ穴のあいた、砂場の砂山のような外観となる。 縁側の下なので、雨風で盛り上げた土が崩れる心配は無い。 地下は冬でも暖かいというので、これで断熱は十分だろう。 数十分の作業中、庭で遊ばせていたれいむ一家を呼び寄せた時の反応は、 以前コンポストを、はじめてつくった時以上のものであった。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆわぁぁぁぁああい!すっごくゆっくりしたおうちだよぉぉおおお!」 「ゆっくち!ゆっくちー!れいみゅたち、こんなゆっくちしたおうちにしゅんでいいにょ!?」 「ゆわーい!なかもあっちゃかいよー!ゆっくちー!」 「ふーい、疲れた。あとはこいつでも中に敷いとけ。」 「ゆぅぅぅぅうう!しゅごーい!ゆっくちちたおふとんしゃんだー!」 「おにぃさん、ありがと、う、ゆぇぇぇええん!」 「おきゃーしゃん、ないちぇるにょ?どっかいちゃいにょ?ゆっくちしちぇにぇ。」 「おちびちゃぁぁあん!れいむはうれしくってないてるんだよぉ。ゆっくりー、ゆっくりー!」 近所の農家から頂いてきた干し藁をひと束くれてやっただけだが。 とりあえず、この反応からして、今後はまたコンポストとして元気にやってくれそうだ。 こちらはやることやったので、あとのメンテはこいつ等がかってにやってくれればいい。 かつて母れいむと一緒に野良生活を送っていた頃、れいむには夢があった。 温かくて、雨の心配も、風の恐怖も感じないですむおうち。 毎日お腹いっぱい食べられるだけのごはん。 しかも、そのごはんを手に入れるために、命の危険など感じずにすむゆっくりプレイス。 外敵の心配もないそのゆっくりプレイスで、 ゆっくりしたおちびちゃん達とすーりすーりしたり、のーびのーびしたり、 おうたをうたったり、水浴びですっきりーしながら、毎日ひたすらゆっくりする。 夜になったら、ゆっくりしたおうちに帰り、ふかふかのおふとんの中で、 家族で肌を寄せ合ってすーやすーやする。 たまにはあまあまが食べられたら言うことはない。 これが、れいむのかつて夢見たすべてであった。 そして、今、この場所には、れいむが望んだもの全てがあった。 全てのゆっくりが追い求め、そして見つけることの出来なかった場所、ゆっくりプレイス。 だが、れいむにとってのそれは、人間さんがコンポスト、と呼ぶこの場所に、確かに存在していたのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆっくりー!」 「すーり、すーり、しあわせー。」 「すーり、すーり、・・・ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「ゆふぅん、だめだよまりさぁ。ゆふぅ、ゆふぅーん!」 れいむ親子が初めて我が家のコンポストとなって2年。 結局外部から新たなゆっくりを連れてくる必要はなくなった。 こいつらは、家族以外のゆっくりがいないとなると、姉妹同士でつがいを作り続け、今はすでに4世代目である。 今はこれまた姉妹である、れいむとまりさのつがいがコンポストとして活躍している。 それと、最近は花壇の世話もめんどくさくなったので、街でゲッソリしていたゆうか種も一匹拾って庭に住まわせている。 最初はコンポストの連中が花を勝手に食う、食わないでもめた時期もあったが、 群れでもない以上大した量を食われることもなく、しかも花の肥料がコンポスト産だということもあり、 それなりの折り合いをつけることで落ち着いている。 「「すっきりー!」」 などと思っているところで、また増えるつもりのようだ。 れいむの頭ににょきにょきと生えたツタには赤れいむが3に赤まりさが2。 まあ、構わない。どうせ代替わりが激しいゆっくりである。 うっかり病死などしないうちに子供を作ってもらわなければ余計な手間だ。 それに増えすぎるようなら何個か潰して肥料にするだけ。 庭もすっかり華やかになって、もう幽霊屋敷の頃の面影は残っていない。 「おはよーございます。」 「ああ、農場の。おはよう。」 最近ついにこの辺も、のうかりん農場化が進み始めた。 生垣の向こうから挨拶してきたのうかりんも、そこの従業員である。 「とってもゆっくりした庭ですね。きれい。」 「まあ、ゆうかが一匹でやってるんだがね。」 「うふふ。それは失礼しました。でも、それ以上に・・・あなたの飼われているゆっくり達。」 「?」 「とってもゆっくりしてますね。今までたくさん飼いゆっくりを見ましたけど、一番ゆっくりしてますよ。」 「ふーん。そんなもんかね。」 同じゆっくりである、あののうかりんが言っているなら正しいのだろう。 よくわからんが、この2年間で一つだけ確信したことがある。 こいつらには、コンポストという仕事が向いている、ということだ。
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記念ポスト・規格品以外のポスト こちらでは規格品(1号~14号)以外の郵便ポストを紹介します。 ■書状集箱(しょじょうあつめばこ) 郵便制度が始まった明治4(1871)年に設置されたポストを再現。黒く塗られている。 明治時代は木製だったが、再現品は金属製。 写真:ワープステーション江戸 ■黒塗柱箱 明治5(1872)年から使われていたポストを再現。黒い柱状で三角屋根。 バリエーション 江の島郵便局前などに設置の上から見て正方形タイプと川越元町郵便局前などに設置の上から見て長方形タイプがあります。 ■丸形庇付 差出箱1号に似ているが一回り小さく、差出し口周囲に装飾が施されている。個体によって装飾が多少異なる。 写真:古橋荒物店 バリエーション 右書きと左書き。 ■コンクリート製代用ポスト 戦時中、金属不足のためにコンクリートで作られたポスト。長野県上田市武石で一本が現役で使われている。 ■LETTERポスト 差出箱1号の試作品。昭和23~24年頃製造されたらしい。3本だけ見つかっており、そのうち2本は現役。いずれも「協和産業」製造。 1号との相違点は差出口に英語でLETTERの表示がある。天頂部のボルトが無い。取集時刻の枠が無い。 ■掛箱 差出箱2号に似ている。 時刻の枠が無い。 ■引出し型ポスト 札幌市内だけで見つかっている。7号に近いサイズ感。 ■郵トピア都市記念ポスト 1988年(昭和63年)に郵政省が全国から数十都市を郵トピアモデル都市を選定した。7号の変形でオブジェの載ったポスト、光るポスト、投函すると音の鳴るポスト等が設置された。郵トピア事業は2000年に終了し、ポストも撤去されつつある。 郵トピア構想モデル都市は以下の市 北海道:旭川市、小樽市、函館市 東北:八戸市、塩竈・多賀城地域(塩竃市、多賀城市、七ケ浜町)、秋田市、山形市、会津若松市 関東:宇都宮市、桐生市、佐倉市、小田原市、甲府市 東京:武蔵野市、小平市 信越:新潟市、上越市、松本市 北陸:富山市、金沢地域(金沢市、野々市町、内灘町) 東海:高山市、沼津市、瀬戸市、伊勢市 近畿:草津市、宮津市、八尾市、西宮市、桜井市、和歌山市 中国:米子市、松江市、岡山市、福山市、防府市 四国:高松市、松山地域(松山市、砥部町、松前町、重信町)、高知市 九州:久留米市、佐賀市、長崎市、熊本市、宮崎市 沖縄:那覇市 ■近年設置の私設ポスト 近年設置された私設ポスト。コンビニ用と同じポパル製と思われる。今のところ二口大型、一口大型、一口小型の三種確認。私設以外では成田郵便局空港第1旅客ビル内分室前に設置されている。
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配布されたマニュアルに、不明な専門用語があった。 ねずみ返し。 これを調べようと、初日から思っていたのに、十数回忘れ、先程やっと検索した。 http //rakuten-search.naver.jp/image?q=%E3%81%AD%E3%81%9A%E3%81%BF%E8%BF%94%E3%81%97 ねずみが、すんなりと目的地に到達できないように、 何らかの壁に衝突するようにした構造をいうらしい。 知らなかった。 農産物など、ねずみに狙われるものを保管する人にとっての常識か。 役に立つ情報だった。 さて、今朝、箱の底はかなり濡れており、土台にした薄いダンボール箱は湿気を吸っていた。 昨夜、玄関近くを通ると、ダンボールコンポストのにおい(悪臭ではないが)が感じられ、 もう家の中に入れてはいけない、と思う。 現在、雨でも大丈夫なのは、物置しかない。 どうにかして物置に設置し、天気のよい日中は外に出す、としよう。 今日の検討「赤かぶ漬物とたくあんの違い」について 同じ漬物なのに、分解速度が全く異なる。 たくあんが倍以上速い。 考えられるのは、1、野菜の性質の差 2、添加物の差 あと何かあるか? どちらも歯ごたえのある漬物。 しかし、経過が教えてくれる、水分は圧倒的にたくあんが多い。 その分、水分が出る。 また、かぶの方が繊維質。 思えば、新鮮な状態で、大根の方が水分多い。 投入の翌日に、ブツの周辺が非常に濡れていた「たくあん」。 それだけ多くの水分が出た、ということ、つまりそもそも「水っぽい」。 (食べられなくなったため、味を抜くため、水に浸したのが原因か) 「土が団子になっている」と思った生ごみは、「水分の多いもの」。 何と言ったらいいのか 素材に変更加えて(調理して)、おかずができるんだが、 そのおかずをダンボールコンポストに入れると、 調理を逆に遡り、素材、さらには細胞に戻っていく感じ。 うちのコンポストの猛烈な湿気の原因は、 どんなに水きりしようときれることのない、 「投入物そのものの持っている水分が多い」ってことも、無関係じゃない、かもしれない。 なんとなく、一番多く投入したものが、大根(刺身のつま)のような気がしている。
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書きたかった事 親は子を見限れるのか でぶれいむ。ぶよぶよ 注意点 口の中いっぱいに食べたら一日分の食事くらいの設定です 作者 チェンマガツ? 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 うららかな陽気に誘われてまりさとれいむ、そしてその子供達いずれもれいむ種の四匹が背の低い草が生い茂る原っぱで思い思いにくつろいでいる。 両親は子供達が遠くに行かないよう見守り、子供達は四匹仲良くかけっこや押し合いを興じている。 今年の冬も無事越す事ができ、順調にご飯も集まったことから早めの子作りをして番は群れのゆっくり達よりいち早く幸せそうな日々を送っている。 れいむが子供達を呼ぶとその小さな体で一生懸命に跳ねてくる。 そよそよと撫でるように静かに吹く風やその大きさの割にのっそりと動く雲のおかげでここはとてもゆっくりできる。 そして番と子供達は寄り添って昼寝を始める。 天高く昇った太陽が体を温めてぽかぽかと気持ちよく、日光はまるで餡子にまで染み渡るようだ。 そんなゆっくり達の平穏を破る者が現れた。 片手に鞄を持った人間だ。わざわざゆっくりがいる森の奧までハイキングをしてくるような変わった男である。 「ゆっくりしていってね!!」 無防備に眠っているゆっくりの家族に向かって男は挨拶する。 すると眠そうな目をしながら律儀に挨拶を返してきた。 「「ゆっくりしていってね!!」」「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 「おにいさん、ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだからでていってね!!」 「まあそんな事言わずにここでゆっくりさせてくれよ」 「れいむたちはねむねむなんだよ? そんなこともわからないの?」 「せっかく君たちに美味しい食べ物を持ってきてやったんだがいらないのかい?」 男のその言葉に反応したのは子供達だ。今は睡眠欲よりも食欲が優先される時期なのだろう。 男の足下まで跳ねてきて、我先にとぴょこぴょこと垂直に飛び上がる。 「しょれってゆっきゅりできりゅ?」 「ああできるとも」 「れいみゅにいっぱいちょうらいね!!」 「れいみゅも!! れいみゅも!!」 「はいはい順番にね。お前達はいらないのかい?」男は番であるまりさとれいむにも呼びかける。 「ゆゆっ!! れいむたちにもちょうだいね!!」 「よしよし」 どうやら家族全員が男からのご飯に興味をもったようである。 男は手持ちの鞄から大きいおにぎりを一つ取り出しゆっくり達の背後に向かって放り投げた。 すると男の手を離れ放物線を描くおにぎりを家族全員が目で追う。 そしてゆっくり達は一目散に駆けだした。 おにぎりに一番近い位置にいるのは親であるまりさとれいむであり、あっという間におにぎりに食らいついていた。 それに遅れたのは子供達である。男の足下にいたうえ、親よりも移動速度も遅いのだ。 急いで跳ねていくがきっと辿り着いた頃には無くなっているだろう。 「にゃんでにゃげたのー!!」 「ゆえーん、いじわるしないでにぇ!!」 男に悪態を付きながら必死に跳ねていった。 そのうちの一匹の赤れいむが出遅れた。 男の足下で跳ねていて丁度着地してグニャっと変形しているときに男がおにぎりを投げた赤ゆっくりだ。 姉妹達の様子からようやくご飯が遠くにあることを知って、泣きながら後を追い始めたが完全に出遅れていた。 男はその赤れいむを見逃さなかった。 素早く背後から捕まえては叫ばれないように口に粘着テープで蓋をする。 さらに後ろ髪のリボンともみあげの飾りを奪って鞄の中から透明な箱を取りだしてそれにれいむを放り込んだ。 次に男が取り出したのは別の透明の箱でその中には飾りのない同じ大きさの赤れいむがいた。 そのれいむにこれまた素早く先程奪った飾りを取り付け、怪我をしないようそっとご飯の近くに投げた。 もちろんこの間の男の行動を家族のどのゆっくりも見ていなかった。それほど男の与えたご飯に注視していた。 そして男は静かにその場を去った。親であるれいむとまりさは自分の子供の中身がすり替わった異変に気が付くだろうか、いや気が付かない。 飾りで個体識別をするゆっくりにとってもはや本体は付属品なのだ。 まるでおまけ付きお菓子のような存在である。 余談はさておきゆっくりの家族の様子を見てみよう。 「うっめ、めっちゃうっめ」 男の投げたたった一個のおにぎりを親まりさと親れいむは二匹で食べ終えてしまった。 「おかーしゃん、おにいしゃんのごはんは?」 「ゆあああ、おいしくてぜんぶたべちゃったああああ」 「どおじでわけてくれにゃいのぉぉぉ」 「おかーしゃんのばきゃぁぁぁぁ」 「ごめ゛んね゛えええええええ」 泣き崩れて情けない表情の親子の元に男によって中身の変えられた赤れいむが近づいてきた。 「おなかへっちゃからごはんちょうらいね!!」 「ゆう?」親まりさは声のトーンが少し低いその赤れいむを少し不審に思った。 こんな声の子供がいたっけ。でも姿は間違いなくまりさの子供だし……。 だがそれ以上まりさは深く考えない。 「みんなおうちにかえってごはんたべようね!!」 「「「「ゆゆ~ん」」」」 親まりさは自分の気持ちを一旦押し込めて子供達のご飯を与える事を先決した。 どうせ気のせいだろう。よく思い出せば前からこんな感じだったさと何とも楽観的に考えながら家族仲良く帰宅したのだった。 「こんにゃのじゃたりないよ!! もっちょもってきてにぇ!!」 「おちびちゃんちょっとたべすぎだよ……」 親達が保管していたご飯を子供達に配り、皆で食べ終えさらに一匹だけおかわりをした直後の赤れいむの台詞である。 残り三匹の赤れいむはと言えば、お腹いっぱいで丸々としたその姿のせいかころころと巣の中を転がり回っている。 しかし残り一匹の様子がどうもおかしいのだ。 この一匹は親まりさが昼間の原っぱで異変を感じた一匹だったが、どこがおかしいのかわからないでいる。 「ゆゆっ……、しかたないからもうすこしもってくるね」 そう言って親れいむは食物庫に入っていく。食べ物の保管量に関しては申し分無いのでなんら問題ないが、今までに無い事態に少し戸惑っていた。 「れいむはそだちざかりなんだね!!」 親まりさはむしろそれを喜ぶ事にした。そうだ自分達が子供の頃もこれくらい食べたものだ。 いつも親の手を煩わしていた気もする。 そう思いこむ事にした。そうして問題を先延ばしにしてしまった。 「さあおちびちゃん、ゆっくりたべてね!!」 「はふはふ、むしゃむしゃ、がつがつ……」 「いっぱいたべてゆっくりおおきくなってね!!」 気持ちいいの食べっぷりに両親の頬は緩んだが、しかしそれを豹変させる台詞を赤れいむは吐く。 「まだしあわしぇーできにゃいよ!! もっちょちょうだいにぇ!!」 「「ゆ゛ゆ゛っ!!」」 結局その後普段の五倍の量を食べて赤れいむは渋々満足した。 あれほど食べたのにかかわらず体型が変わらないのが不思議なくらいだ。大食いの赤れいむの横で眠る姉妹はあんなにも丸々しているのに……。 そこには両親は気が付いていない要素があった。この赤れいむのサイズが一回り大きくなっていた事だ。 たった一回の食事で急激な成長をしたことになる。 中身の餡子が増えただけでは表皮が追いつかず破裂しかねないが、この赤れいむはその特異的な柔軟な皮のおかげで形を保っていた。 ようやく眠りについた赤れいむを見つめながら親まりさと親れいむは安堵のため息をつく。 しかしその安堵もその日の晩のご飯の時に打ち砕かれた。 再び大量のご飯を要求する一匹の赤れいむによりあれほど蓄えていた食料も残りわずかになってしまった。 「このちびちゃんはごはんをたべすぎだよ……」 「ゆゆっ……。まりさががんばってごはんをあつめるからだいじょうぶだよ!!」 就寝前に両親が一匹の赤れいむについての話をした。 ご飯を食べ過ぎる本人ももちろん心配だが、明日も明後日もこれから先ずっとこのペースで食べ続けられると家族全員のご飯が無くなってしまう心配があった。 翌朝、親まりさと親れいむが目覚めるといつもの挨拶を交わし合う。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」 あれ?とまりさとれいむはどちらともなく思った。 そしてもう一度、今度は少し大きめの声で挨拶をする。 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!!!」」」 まりさとれいむは巣の中をよくよく見回した。 そこにいるのは赤れいむが三匹だ。たしか自分達の子供はもう少し多かったような気がするのだが。 「おかーしゃんどうしちゃの?」 二度にわたる挨拶に赤れいむの一匹は不思議そうな顔をしている。 もう一匹は未だ眠そうな顔を、そして残りの一匹は朝からとても元気である。 「おなかへっちゃからごはんちょうだいね!!」 「そうだね、ごはんにしようね!!」 「れいむたちはゆっくりまっててね!!」 自分達の子供が一人減っている事に気が付かない親まりさと親れいむ。 ご飯の催促を受けてまりさが単身朝ご飯の調達に向かい、れいむは子供達と歌を歌ったり頬擦りをしながらその帰りを今か今かと待つ事にした。 所変わってここは町の加工場、ゆっくりたちの阿鼻叫喚に包まれるまさにゆっくり地獄と呼べる空間に冒頭に出てきた男が勤めていた。 男が勤務する部署は廃棄物処理の工程に携わっていた。 ゆっくり食品の製造過程においていくつか発生する商品適応外のものを処理することがメインで、その他にも繁殖、飼育中に出てくる残飯、発育不良品、死体等の処理も行うのだ。 この工場ではそういった物を一元化してゆっくりに処理させる工程にある方法を取っていた。 いわゆるゆっくりコンポストである。 コンポスト内には工場稼働中は常にゆっくりの餌となるものが流し込まれていった。 一般家庭や街角に設置してあるコンポストとは比にならないほどの処理効率を求められた内部のゆっくり達は、世代を経るたびにそこで生き残る術を身につけていった。 コンポスト設置当初は何度もゆっくり達は処理しきれない餌にまみれて死んでいき、工場全体の動きを停止せざるを得ない状況に陥らせた。 そこで男達が投入したのが表皮の伸縮性の高いゆっくりだった。 ゆっくりの食欲が完全に満たされるのは自分の体がパンパンになりこれ以上ご飯が食べられなくなったときだ。 つまりその状況までいかなければいくらでも食べ続ける事ができた。 そして通称コンポストゆっくりと呼ばれる大喰いのゆっくりが誕生した。 表皮が厚くさらにとても伸びるコンポストゆっくりはコンポスト内を溢れかえらすこともなく、その無限の食欲で廃棄物処理を行っていった。 このゆっくりは大喰いもそうだがやたらと成長が早いこともその特徴だった。 沢山食べるから早いのか、もっと沢山食べるために早く成長するのかは定かではない。 またコンポストを空にするのが彼らの目的であるためうんうんしーしーもきわめて少ない。 その体皮も手伝って体内の老廃物はすべて溜め込んでいるようだった。 結果コンポスト内では水ぶくれ気味で健康的なゆっくりからすればかなり太った体型となっていた。 男はこのコンポストゆっくりを興味本位で野に放ち、野生での適応は可能かを試してみる実験としてまりさとれいむの子供をすり替えたのだ。 そしてそのコンポストゆっくりの赤れいむはまさに猛威を振るっていた。 朝のうちから狩りに出かけた親まりさが昼ご飯も兼ねてかなりの量のご飯を取ってきていた。 昨日の昼ご飯、晩ご飯のことを考えれば二回の食事はこれくらいあれば食べ盛りの赤れいむも満足するだろう、そう思った結果である。 一般的なまりさからしてもとても優秀なご飯回収量といえる。 しかし、その大量のご飯はあっという間にコンポストれいむの食欲によって消費されることになる。 「むーしゃ、むーしゃ、ふまんぞくー」 「「なんでええええええ!!」」 ゆうに一回の食事量の十倍は超えている、それも成体ゆっくり換算でだ。 見てみるとコンポストれいむの体高はすでに子ゆっくり並の大きさで、球体というより円柱に近い形をしている。姉妹と比べるとその異様さは目立つ。 たった一回の食事でここまで急成長し、さらにデブ体型である。コンポストれいむ恐るべし。 親まりさとれいむは戦慄した。このままでは親の威厳が保てないと感じた。 どこのゆっくりの世界に子供に満足にご飯を与えてやることのできないゆっくりがいるのかと。 子供をゆっくりさせてやれない親はゆっくりできないゆっくりだ。 なんとしてもゆっくりさせてやらねばならないというような変な責任感の元に朝ご飯が終わると両親揃って赤ゆっくりを巣に置いて狩りに出かけてしまった。 しかしここで妙な気合いを出すのは無駄な行為であるとはまりさとれいむは知る由もない。 それはいくらご飯を持ってきてもコンポストれいむに満足という言葉はないからだ。 太陽が空高く昇りきった頃、親まりさとれいむはその帽子と口に入るだけご飯を入れて自分達の巣に帰ってきた。 巣で待っていたのは同い年とは思えないほど体格差のあるれいむの姉妹が二匹待っていた。 「ゆゆゆっ!! れいむはどこにいったの!?」 親れいむは子供が一匹いなくなっていると気が付いた。この狭い巣の中では隠れようもないのでやはりいないのだ。 「しらにゃいよ!! おきたらいにゃかったよ!!」 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「もしかしておそとにでていっちゃったの!?」 「どおじですでまっでないのおおおお!!」 しかし赤れいむが巣から出た形跡は全くなかった。なぜなら巣に戻ったときに巣の入り口の偽装は破られてはいなかったからだ。 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「「れいむはすこししずかにしてね!!」」 両親はしつこく催促してくる赤れいむにご飯を与えて黙らせる。 その間に巣の周辺の捜索していなくなった赤れいむの行方を追った。 しかしどうしても発見できなかった。赤れいむの移動速度なぞたかが知れている。 ご飯を探している時間がかなりあったとしてもそれほど遠くまでいけないのだ。 それでも見つからないというのは捕食種に食べられたと考えるのが妥当だった。 「ゆあーん、おちびちゃんがだべられだあああああ」 「れいむしっかりするんだぜ、のこったれいむたちをゆっくりそだてればいいんだぜ」 「ばでぃざ、ごめんね゛ええええええ」 「れいむがあやまることじゃないんだぜ。ゆっくりすにもどるんだぜ」 子供が一匹いなくなったことを後悔するれいむとそれを何とかなだめようとするまりさ。すでにいなくなったのが二匹目であることはわかっていないようだが。 そんな二匹が巣に戻ると今度は驚く事態が発生していた。 「もっとごはんちょうだいね!!」 「「ゆがーん!!」」 あれほど集めたご飯がもうすでに消えていた。朝与えた量の二倍はあったのに。 さらに巣の中にあったなけなしの蓄えもすっかり消えていた。 丸々とした赤れいむとほとんど成体サイズに近い赤れいむの対比も両親を驚かせる。 たった二日ばかりでもうすでに自分達と同じ大きさまで育ってしまった。 しかし心はまだ赤れいむのそれである。 「「しゅーりしゅーり」」 隣にいる普通の赤れいむとはまるで親子のようなご飯後の頬擦りをする。 力加減を誤れば赤れいむが潰されそうな勢いで頬擦りするので両親は内心ハラハラしてそれを見守っていた。 そのうち昼寝の時間なのか二匹は寄り添って寝息を立て始めた。 それを確認するとまりさとれいむは巣を飛び出した。 この時間を見計らって両親は再び大量のご飯を用意しなければならないのだ。 両親が巣から出たあとしばらくするとコンポストれいむは目を覚ました。 その空腹から満足な睡眠をとることはできずたびたび起きてしまうのだ。 そしてその寝ぼけ眼に入ってくるのは美味しそうなご飯だ。 とても丸々として美味しそうなご飯。 その餡子に刻まれた記憶では丸々としたゆっくりはご飯でしかないのだ。 もはやその体格差から小細工など必要ないから姉と呼んでいた赤れいむを豪快に一飲みにしてしまった。 こうしてこのれいむは三匹の姉妹を寝ているときに襲っては食料にしていた。 両親が気が付かぬよう別段に気をつけていたということはないがたまたま見つからなかった、それだけのことである。 しかしそれはどこか自分が生き延びていくために行ったという自然な光景にも見えた。 自分に親が集めてきたご飯を集中させることが目的であるようなそんな光景だ。 とある群れのリーダーであるゆっくりぱちゅりーは最近起こっていたご飯泥棒をついに捕獲することに成功した。 自分達の群れには属さないが群れの近くで住んでいる薄汚いまりさとれいむの番だった。 大量のご飯を盗んでいるはずなのに本人達は痩せ細っているのが不可解だが盗みの現場を目撃した限りやはり犯人なのだろう。 「むきゅー、いままでもっていったごはんをかえしてもらうわ!!」 「ゆっくりりかいしたよ……」 「まりさたちについてくるんだぜ……」 ぱちゅりーが泥棒ゆっくり達にご飯の返還を要求すると二匹はそれにすんなりと応じた。 自分達の非を認める潔さがあるのに盗みを働いたことがなおさらぱちゅりーの理解の範疇を超えていた。 森の中を二匹を先頭に多くのゆっくりがぞろぞろと這っている。 自分達のご飯を返してもらうため二匹の巣に向かっているのだ。 かなりの量が巣に溜め込まれているとみて群れから成体ゆっくりのほとんどが駆り出された。 二匹の巣の前に到着すると不思議な物が目に入ってくる。 巣の前にうずたかく積まれた土の山である。 これだけの量があれば、山を固めてそれをくり抜く事で地上の巣を作る事が出来そうだ。 群れのゆっくりがゆっくりできそうな土の山に見惚れている間に、先頭にいたまりさとれいむは巣の前に着くと中に向かって叫んだ。 「「ゆっくりできるごはんだよ!!」」 「むきゅ、そのなかなのね!! みんなゆっくりとりかえしてね!!」 「「「「ゆゆ~!!」」」」 まりさとれいむの様子から巣の中に持って行かれたご飯があるものとぱちゅりーは判断して、群れのゆっくりに号令を掛けた。 その声に反応のしてゆっくり達が列になってぞろぞろと巣の中に入っていった。 これだけの土を掘り返した巣だ。中はきっととてもゆっくりできる空間になっているだろう。ぱちゅりーは巣の外から中の様子を予想した。 どんどん群れのゆっくりが入っていくがまだその流れは止まりそうにない。 二十はいた大人のゆっくりが巣の中に入っていた。それだけの数が入っても窮屈そうな声が聞こえてこない辺り、中の広さは予想以上なのだろう。 ぱちゅりーは巣の住人と一緒に巣の外で群れのゆっくりが出てくるのを待っていた。 しかしいくら待っても中に入っていったゆっくりが出てくる様子はない。 いくら広いと言ってもご飯の匂いを嗅ぎつけて食物庫に入り、ご飯を口に入れて出てくるくらいならそれほど時間はかからないはずだ。 「おかしいわね。ゆっくりしてないででてきてね!!」 ぱちゅりーは痺れを切らして自らその巣の中へと入っていった。 それほど広くない入り口付近のトンネルをどんどん奧に入っていくと急に柔らかい地面の部屋が現れた。 その空洞は部屋と呼ぶにはそれほど広くなく大人三匹が入れば窮屈になる部屋だ。 不思議なのはその狭さなのに群れのゆっくりはどこにもいないのだ。 「むきゅー、みんなはどこかしら。むぎゃ!!」それがぱちゅりーの最期だった。 突然部屋の天井が下がってきてぱちゅりーを押しつぶした。 すると天井は再び上がり、また下がってくる。そのうちぱちゅりーだったものは部屋の奥へと消えていき、群れのゆっくりと合流した。 いずれも完全に潰された形ではあったが。 「れいむ、あのむれのこどもたちをここにゆっくりつれてきてね。まりさはすをひろげるよ……」 「ゆゆっ、わかったよ……」 肉体的にも精神的にも疲れ切った二匹のゆっくりは一秒の時間も惜しいとばかりにすぐに動き始める。 自分達の子供をゆっくりさせるためだけの親と成り果てたゆっくり達の姿である。 結局自分の子供の異変に疑問を持つのは最後まで無かった。 むしろ自分達の不甲斐なさを呪うほど子供に傾倒してしまった。 自分達がゆっくりであるためには大喰らいの子供をゆっくりさせてやらなければならない。 もし出来なければ自分達はゆっくりできないのだ。 やはりゆっくりという生物はゆっくりできないようにできているようだ。 どこかで子供を見捨てれば別のとてもゆっくりできたゆん生があったのかも知れない。 しかしもしの世界は実現しない限りあり得ない話であったのだ。 そんなゆん生はこの両親にはこれからもなく、忙しなくご飯やときにはゆっくりをかき集める日々が死ぬまで続くのだ。 加工場の男は不幸な二匹が死に絶えるのを見届け、野生に放したサンプルに挨拶をした。もちろん巣の中に向かってお互いの姿は見えないままでだ。 「れいむ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!」 巣の中からはれいむの重低音が響く声が聞こえてきた。この声はコンポストゆっくりが太りきったときの特徴でもある。 「そんなことよりもごはんちょうだいね!! まだしあわせーできないよ!!」 巣の中からご飯を求める声が聞こえてくる。 きっとこいつも最期までご飯を求め続けた事になるのだろうと思う。 幸せを知らぬまま死ねるのは不幸も知らないという意味で幸せなのかも知れない。 男は持参していたドスパークに用いられるキノコを巣の前に一山置き、中のコンポストれいむに話しかけた。 「巣の前にキノコを置いたから食べるといいよ」 「ゆっくりたべるよ!!」 その瞬間巣の中から大蛇のようなれいむの舌が伸びてきてキノコをかっさらっていった。 その様子を見届けると男はその巣を後にした。 男が森を後にした頃、木々を揺らす地響きと共に巣の中から黒い煙が吹き出した。 あとがき カッコウの托卵っぽいのをテーマに書いてみました。 自分より体の小さな親に育てられるカッコウの写真を思い浮かべて貰えると丁度そんな感じかも。 初期のありすが托卵で増えるという設定は今ならかなり面白そうな気がする。 コンポストれいむの成長と共に移動が困難になり、巣を拡張することで肥大による圧迫を防いだそうです。 巣の中にまりさ達が入るときは親であると叫びながら入っていったそうな。
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スイカ含み、500g。気温30℃湿度55%(非常に低湿度)。 だが、コンポスト内は、比較的低温。 箱の底を見てみたら、たわんで濡れている。 3号箱を検討する時がきたようだ。 いや1号箱をさかさまにするだけだが。 メロン悪臭事件の推測 いろいろ読み回ったところ、次のような推定となる。 ダンボールコンポスト内に居る細菌は、3群らしい。 このうち、1つの群が、嫌気性で、好気菌のあと(最後)に活躍するらしい。 この嫌気菌が、悪臭(アルコール臭だかアンモニア臭だか)を出すらしい。 温度を上げているのは、これより前の菌群。 現在、臭気はひどくはないが、温度が下がっている。 メロンの投入時、メロン単独だったため、 菌群の働きが、3段階にきれいに分かれて進んでしまい、 最初はむやみに高温となり、続いて史上最高の臭気が発生→温度低下、 ということでは。 今日もスイカやところてんを入れているので、 夕方の状況次第で、米ぬかなどを入れようと思う。 1日2回かきまぜると温度が上がっていたものだが、 昨日はそれも無効だった。
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書きたかった事 親は子を見限れるのか でぶれいむ。ぶよぶよ 注意点 口の中いっぱいに食べたら一日分の食事くらいの設定です 作者 チェンマガツ 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 うららかな陽気に誘われてまりさとれいむ、そしてその子供達いずれもれいむ種の四匹が背の低い草が生い茂る原っぱで思い思いにくつろいでいる。 両親は子供達が遠くに行かないよう見守り、子供達は四匹仲良くかけっこや押し合いを興じている。 今年の冬も無事越す事ができ、順調にご飯も集まったことから早めの子作りをして番は群れのゆっくり達よりいち早く幸せそうな日々を送っている。 れいむが子供達を呼ぶとその小さな体で一生懸命に跳ねてくる。 そよそよと撫でるように静かに吹く風やその大きさの割にのっそりと動く雲のおかげでここはとてもゆっくりできる。 そして番と子供達は寄り添って昼寝を始める。 天高く昇った太陽が体を温めてぽかぽかと気持ちよく、日光はまるで餡子にまで染み渡るようだ。 そんなゆっくり達の平穏を破る者が現れた。 片手に鞄を持った人間だ。わざわざゆっくりがいる森の奧までハイキングをしてくるような変わった男である。 「ゆっくりしていってね!!」 無防備に眠っているゆっくりの家族に向かって男は挨拶する。 すると眠そうな目をしながら律儀に挨拶を返してきた。 「「ゆっくりしていってね!!」」「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 「おにいさん、ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだからでていってね!!」 「まあそんな事言わずにここでゆっくりさせてくれよ」 「れいむたちはねむねむなんだよ? そんなこともわからないの?」 「せっかく君たちに美味しい食べ物を持ってきてやったんだがいらないのかい?」 男のその言葉に反応したのは子供達だ。今は睡眠欲よりも食欲が優先される時期なのだろう。 男の足下まで跳ねてきて、我先にとぴょこぴょこと垂直に飛び上がる。 「しょれってゆっきゅりできりゅ?」 「ああできるとも」 「れいみゅにいっぱいちょうらいね!!」 「れいみゅも!! れいみゅも!!」 「はいはい順番にね。お前達はいらないのかい?」男は番であるまりさとれいむにも呼びかける。 「ゆゆっ!! れいむたちにもちょうだいね!!」 「よしよし」 どうやら家族全員が男からのご飯に興味をもったようである。 男は手持ちの鞄から大きいおにぎりを一つ取り出しゆっくり達の背後に向かって放り投げた。 すると男の手を離れ放物線を描くおにぎりを家族全員が目で追う。 そしてゆっくり達は一目散に駆けだした。 おにぎりに一番近い位置にいるのは親であるまりさとれいむであり、あっという間におにぎりに食らいついていた。 それに遅れたのは子供達である。男の足下にいたうえ、親よりも移動速度も遅いのだ。 急いで跳ねていくがきっと辿り着いた頃には無くなっているだろう。 「にゃんでにゃげたのー!!」 「ゆえーん、いじわるしないでにぇ!!」 男に悪態を付きながら必死に跳ねていった。 そのうちの一匹の赤れいむが出遅れた。 男の足下で跳ねていて丁度着地してグニャっと変形しているときに男がおにぎりを投げた赤ゆっくりだ。 姉妹達の様子からようやくご飯が遠くにあることを知って、泣きながら後を追い始めたが完全に出遅れていた。 男はその赤れいむを見逃さなかった。 素早く背後から捕まえては叫ばれないように口に粘着テープで蓋をする。 さらに後ろ髪のリボンともみあげの飾りを奪って鞄の中から透明な箱を取りだしてそれにれいむを放り込んだ。 次に男が取り出したのは別の透明の箱でその中には飾りのない同じ大きさの赤れいむがいた。 そのれいむにこれまた素早く先程奪った飾りを取り付け、怪我をしないようそっとご飯の近くに投げた。 もちろんこの間の男の行動を家族のどのゆっくりも見ていなかった。それほど男の与えたご飯に注視していた。 そして男は静かにその場を去った。親であるれいむとまりさは自分の子供の中身がすり替わった異変に気が付くだろうか、いや気が付かない。 飾りで個体識別をするゆっくりにとってもはや本体は付属品なのだ。 まるでおまけ付きお菓子のような存在である。 余談はさておきゆっくりの家族の様子を見てみよう。 「うっめ、めっちゃうっめ」 男の投げたたった一個のおにぎりを親まりさと親れいむは二匹で食べ終えてしまった。 「おかーしゃん、おにいしゃんのごはんは?」 「ゆあああ、おいしくてぜんぶたべちゃったああああ」 「どおじでわけてくれにゃいのぉぉぉ」 「おかーしゃんのばきゃぁぁぁぁ」 「ごめ゛んね゛えええええええ」 泣き崩れて情けない表情の親子の元に男によって中身の変えられた赤れいむが近づいてきた。 「おなかへっちゃからごはんちょうらいね!!」 「ゆう?」親まりさは声のトーンが少し低いその赤れいむを少し不審に思った。 こんな声の子供がいたっけ。でも姿は間違いなくまりさの子供だし……。 だがそれ以上まりさは深く考えない。 「みんなおうちにかえってごはんたべようね!!」 「「「「ゆゆ~ん」」」」 親まりさは自分の気持ちを一旦押し込めて子供達のご飯を与える事を先決した。 どうせ気のせいだろう。よく思い出せば前からこんな感じだったさと何とも楽観的に考えながら家族仲良く帰宅したのだった。 「こんにゃのじゃたりないよ!! もっちょもってきてにぇ!!」 「おちびちゃんちょっとたべすぎだよ……」 親達が保管していたご飯を子供達に配り、皆で食べ終えさらに一匹だけおかわりをした直後の赤れいむの台詞である。 残り三匹の赤れいむはと言えば、お腹いっぱいで丸々としたその姿のせいかころころと巣の中を転がり回っている。 しかし残り一匹の様子がどうもおかしいのだ。 この一匹は親まりさが昼間の原っぱで異変を感じた一匹だったが、どこがおかしいのかわからないでいる。 「ゆゆっ……、しかたないからもうすこしもってくるね」 そう言って親れいむは食物庫に入っていく。食べ物の保管量に関しては申し分無いのでなんら問題ないが、今までに無い事態に少し戸惑っていた。 「れいむはそだちざかりなんだね!!」 親まりさはむしろそれを喜ぶ事にした。そうだ自分達が子供の頃もこれくらい食べたものだ。 いつも親の手を煩わしていた気もする。 そう思いこむ事にした。そうして問題を先延ばしにしてしまった。 「さあおちびちゃん、ゆっくりたべてね!!」 「はふはふ、むしゃむしゃ、がつがつ……」 「いっぱいたべてゆっくりおおきくなってね!!」 気持ちいいの食べっぷりに両親の頬は緩んだが、しかしそれを豹変させる台詞を赤れいむは吐く。 「まだしあわしぇーできにゃいよ!! もっちょちょうだいにぇ!!」 「「ゆ゛ゆ゛っ!!」」 結局その後普段の五倍の量を食べて赤れいむは渋々満足した。 あれほど食べたのにかかわらず体型が変わらないのが不思議なくらいだ。大食いの赤れいむの横で眠る姉妹はあんなにも丸々しているのに……。 そこには両親は気が付いていない要素があった。この赤れいむのサイズが一回り大きくなっていた事だ。 たった一回の食事で急激な成長をしたことになる。 中身の餡子が増えただけでは表皮が追いつかず破裂しかねないが、この赤れいむはその特異的な柔軟な皮のおかげで形を保っていた。 ようやく眠りについた赤れいむを見つめながら親まりさと親れいむは安堵のため息をつく。 しかしその安堵もその日の晩のご飯の時に打ち砕かれた。 再び大量のご飯を要求する一匹の赤れいむによりあれほど蓄えていた食料も残りわずかになってしまった。 「このちびちゃんはごはんをたべすぎだよ……」 「ゆゆっ……。まりさががんばってごはんをあつめるからだいじょうぶだよ!!」 就寝前に両親が一匹の赤れいむについての話をした。 ご飯を食べ過ぎる本人ももちろん心配だが、明日も明後日もこれから先ずっとこのペースで食べ続けられると家族全員のご飯が無くなってしまう心配があった。 翌朝、親まりさと親れいむが目覚めるといつもの挨拶を交わし合う。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」 あれ?とまりさとれいむはどちらともなく思った。 そしてもう一度、今度は少し大きめの声で挨拶をする。 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!!!」」」 まりさとれいむは巣の中をよくよく見回した。 そこにいるのは赤れいむが三匹だ。たしか自分達の子供はもう少し多かったような気がするのだが。 「おかーしゃんどうしちゃの?」 二度にわたる挨拶に赤れいむの一匹は不思議そうな顔をしている。 もう一匹は未だ眠そうな顔を、そして残りの一匹は朝からとても元気である。 「おなかへっちゃからごはんちょうだいね!!」 「そうだね、ごはんにしようね!!」 「れいむたちはゆっくりまっててね!!」 自分達の子供が一人減っている事に気が付かない親まりさと親れいむ。 ご飯の催促を受けてまりさが単身朝ご飯の調達に向かい、れいむは子供達と歌を歌ったり頬擦りをしながらその帰りを今か今かと待つ事にした。 所変わってここは町の加工場、ゆっくりたちの阿鼻叫喚に包まれるまさにゆっくり地獄と呼べる空間に冒頭に出てきた男が勤めていた。 男が勤務する部署は廃棄物処理の工程に携わっていた。 ゆっくり食品の製造過程においていくつか発生する商品適応外のものを処理することがメインで、その他にも繁殖、飼育中に出てくる残飯、発育不良品、死体等の処理も行うのだ。 この工場ではそういった物を一元化してゆっくりに処理させる工程にある方法を取っていた。 いわゆるゆっくりコンポストである。 コンポスト内には工場稼働中は常にゆっくりの餌となるものが流し込まれていった。 一般家庭や街角に設置してあるコンポストとは比にならないほどの処理効率を求められた内部のゆっくり達は、世代を経るたびにそこで生き残る術を身につけていった。 コンポスト設置当初は何度もゆっくり達は処理しきれない餌にまみれて死んでいき、工場全体の動きを停止せざるを得ない状況に陥らせた。 そこで男達が投入したのが表皮の伸縮性の高いゆっくりだった。 ゆっくりの食欲が完全に満たされるのは自分の体がパンパンになりこれ以上ご飯が食べられなくなったときだ。 つまりその状況までいかなければいくらでも食べ続ける事ができた。 そして通称コンポストゆっくりと呼ばれる大喰いのゆっくりが誕生した。 表皮が厚くさらにとても伸びるコンポストゆっくりはコンポスト内を溢れかえらすこともなく、その無限の食欲で廃棄物処理を行っていった。 このゆっくりは大喰いもそうだがやたらと成長が早いこともその特徴だった。 沢山食べるから早いのか、もっと沢山食べるために早く成長するのかは定かではない。 またコンポストを空にするのが彼らの目的であるためうんうんしーしーもきわめて少ない。 その体皮も手伝って体内の老廃物はすべて溜め込んでいるようだった。 結果コンポスト内では水ぶくれ気味で健康的なゆっくりからすればかなり太った体型となっていた。 男はこのコンポストゆっくりを興味本位で野に放ち、野生での適応は可能かを試してみる実験としてまりさとれいむの子供をすり替えたのだ。 そしてそのコンポストゆっくりの赤れいむはまさに猛威を振るっていた。 朝のうちから狩りに出かけた親まりさが昼ご飯も兼ねてかなりの量のご飯を取ってきていた。 昨日の昼ご飯、晩ご飯のことを考えれば二回の食事はこれくらいあれば食べ盛りの赤れいむも満足するだろう、そう思った結果である。 一般的なまりさからしてもとても優秀なご飯回収量といえる。 しかし、その大量のご飯はあっという間にコンポストれいむの食欲によって消費されることになる。 「むーしゃ、むーしゃ、ふまんぞくー」 「「なんでええええええ!!」」 ゆうに一回の食事量の十倍は超えている、それも成体ゆっくり換算でだ。 見てみるとコンポストれいむの体高はすでに子ゆっくり並の大きさで、球体というより円柱に近い形をしている。姉妹と比べるとその異様さは目立つ。 たった一回の食事でここまで急成長し、さらにデブ体型である。コンポストれいむ恐るべし。 親まりさとれいむは戦慄した。このままでは親の威厳が保てないと感じた。 どこのゆっくりの世界に子供に満足にご飯を与えてやることのできないゆっくりがいるのかと。 子供をゆっくりさせてやれない親はゆっくりできないゆっくりだ。 なんとしてもゆっくりさせてやらねばならないというような変な責任感の元に朝ご飯が終わると両親揃って赤ゆっくりを巣に置いて狩りに出かけてしまった。 しかしここで妙な気合いを出すのは無駄な行為であるとはまりさとれいむは知る由もない。 それはいくらご飯を持ってきてもコンポストれいむに満足という言葉はないからだ。 太陽が空高く昇りきった頃、親まりさとれいむはその帽子と口に入るだけご飯を入れて自分達の巣に帰ってきた。 巣で待っていたのは同い年とは思えないほど体格差のあるれいむの姉妹が二匹待っていた。 「ゆゆゆっ!! れいむはどこにいったの!?」 親れいむは子供が一匹いなくなっていると気が付いた。この狭い巣の中では隠れようもないのでやはりいないのだ。 「しらにゃいよ!! おきたらいにゃかったよ!!」 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「もしかしておそとにでていっちゃったの!?」 「どおじですでまっでないのおおおお!!」 しかし赤れいむが巣から出た形跡は全くなかった。なぜなら巣に戻ったときに巣の入り口の偽装は破られてはいなかったからだ。 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「「れいむはすこししずかにしてね!!」」 両親はしつこく催促してくる赤れいむにご飯を与えて黙らせる。 その間に巣の周辺の捜索していなくなった赤れいむの行方を追った。 しかしどうしても発見できなかった。赤れいむの移動速度なぞたかが知れている。 ご飯を探している時間がかなりあったとしてもそれほど遠くまでいけないのだ。 それでも見つからないというのは捕食種に食べられたと考えるのが妥当だった。 「ゆあーん、おちびちゃんがだべられだあああああ」 「れいむしっかりするんだぜ、のこったれいむたちをゆっくりそだてればいいんだぜ」 「ばでぃざ、ごめんね゛ええええええ」 「れいむがあやまることじゃないんだぜ。ゆっくりすにもどるんだぜ」 子供が一匹いなくなったことを後悔するれいむとそれを何とかなだめようとするまりさ。すでにいなくなったのが二匹目であることはわかっていないようだが。 そんな二匹が巣に戻ると今度は驚く事態が発生していた。 「もっとごはんちょうだいね!!」 「「ゆがーん!!」」 あれほど集めたご飯がもうすでに消えていた。朝与えた量の二倍はあったのに。 さらに巣の中にあったなけなしの蓄えもすっかり消えていた。 丸々とした赤れいむとほとんど成体サイズに近い赤れいむの対比も両親を驚かせる。 たった二日ばかりでもうすでに自分達と同じ大きさまで育ってしまった。 しかし心はまだ赤れいむのそれである。 「「しゅーりしゅーり」」 隣にいる普通の赤れいむとはまるで親子のようなご飯後の頬擦りをする。 力加減を誤れば赤れいむが潰されそうな勢いで頬擦りするので両親は内心ハラハラしてそれを見守っていた。 そのうち昼寝の時間なのか二匹は寄り添って寝息を立て始めた。 それを確認するとまりさとれいむは巣を飛び出した。 この時間を見計らって両親は再び大量のご飯を用意しなければならないのだ。 両親が巣から出たあとしばらくするとコンポストれいむは目を覚ました。 その空腹から満足な睡眠をとることはできずたびたび起きてしまうのだ。 そしてその寝ぼけ眼に入ってくるのは美味しそうなご飯だ。 とても丸々として美味しそうなご飯。 その餡子に刻まれた記憶では丸々としたゆっくりはご飯でしかないのだ。 もはやその体格差から小細工など必要ないから姉と呼んでいた赤れいむを豪快に一飲みにしてしまった。 こうしてこのれいむは三匹の姉妹を寝ているときに襲っては食料にしていた。 両親が気が付かぬよう別段に気をつけていたということはないがたまたま見つからなかった、それだけのことである。 しかしそれはどこか自分が生き延びていくために行ったという自然な光景にも見えた。 自分に親が集めてきたご飯を集中させることが目的であるようなそんな光景だ。 とある群れのリーダーであるゆっくりぱちゅりーは最近起こっていたご飯泥棒をついに捕獲することに成功した。 自分達の群れには属さないが群れの近くで住んでいる薄汚いまりさとれいむの番だった。 大量のご飯を盗んでいるはずなのに本人達は痩せ細っているのが不可解だが盗みの現場を目撃した限りやはり犯人なのだろう。 「むきゅー、いままでもっていったごはんをかえしてもらうわ!!」 「ゆっくりりかいしたよ……」 「まりさたちについてくるんだぜ……」 ぱちゅりーが泥棒ゆっくり達にご飯の返還を要求すると二匹はそれにすんなりと応じた。 自分達の非を認める潔さがあるのに盗みを働いたことがなおさらぱちゅりーの理解の範疇を超えていた。 森の中を二匹を先頭に多くのゆっくりがぞろぞろと這っている。 自分達のご飯を返してもらうため二匹の巣に向かっているのだ。 かなりの量が巣に溜め込まれているとみて群れから成体ゆっくりのほとんどが駆り出された。 二匹の巣の前に到着すると不思議な物が目に入ってくる。 巣の前にうずたかく積まれた土の山である。 これだけの量があれば、山を固めてそれをくり抜く事で地上の巣を作る事が出来そうだ。 群れのゆっくりがゆっくりできそうな土の山に見惚れている間に、先頭にいたまりさとれいむは巣の前に着くと中に向かって叫んだ。 「「ゆっくりできるごはんだよ!!」」 「むきゅ、そのなかなのね!! みんなゆっくりとりかえしてね!!」 「「「「ゆゆ~!!」」」」 まりさとれいむの様子から巣の中に持って行かれたご飯があるものとぱちゅりーは判断して、群れのゆっくりに号令を掛けた。 その声に反応のしてゆっくり達が列になってぞろぞろと巣の中に入っていった。 これだけの土を掘り返した巣だ。中はきっととてもゆっくりできる空間になっているだろう。ぱちゅりーは巣の外から中の様子を予想した。 どんどん群れのゆっくりが入っていくがまだその流れは止まりそうにない。 二十はいた大人のゆっくりが巣の中に入っていた。それだけの数が入っても窮屈そうな声が聞こえてこない辺り、中の広さは予想以上なのだろう。 ぱちゅりーは巣の住人と一緒に巣の外で群れのゆっくりが出てくるのを待っていた。 しかしいくら待っても中に入っていったゆっくりが出てくる様子はない。 いくら広いと言ってもご飯の匂いを嗅ぎつけて食物庫に入り、ご飯を口に入れて出てくるくらいならそれほど時間はかからないはずだ。 「おかしいわね。ゆっくりしてないででてきてね!!」 ぱちゅりーは痺れを切らして自らその巣の中へと入っていった。 それほど広くない入り口付近のトンネルをどんどん奧に入っていくと急に柔らかい地面の部屋が現れた。 その空洞は部屋と呼ぶにはそれほど広くなく大人三匹が入れば窮屈になる部屋だ。 不思議なのはその狭さなのに群れのゆっくりはどこにもいないのだ。 「むきゅー、みんなはどこかしら。むぎゃ!!」それがぱちゅりーの最期だった。 突然部屋の天井が下がってきてぱちゅりーを押しつぶした。 すると天井は再び上がり、また下がってくる。そのうちぱちゅりーだったものは部屋の奥へと消えていき、群れのゆっくりと合流した。 いずれも完全に潰された形ではあったが。 「れいむ、あのむれのこどもたちをここにゆっくりつれてきてね。まりさはすをひろげるよ……」 「ゆゆっ、わかったよ……」 肉体的にも精神的にも疲れ切った二匹のゆっくりは一秒の時間も惜しいとばかりにすぐに動き始める。 自分達の子供をゆっくりさせるためだけの親と成り果てたゆっくり達の姿である。 結局自分の子供の異変に疑問を持つのは最後まで無かった。 むしろ自分達の不甲斐なさを呪うほど子供に傾倒してしまった。 自分達がゆっくりであるためには大喰らいの子供をゆっくりさせてやらなければならない。 もし出来なければ自分達はゆっくりできないのだ。 やはりゆっくりという生物はゆっくりできないようにできているようだ。 どこかで子供を見捨てれば別のとてもゆっくりできたゆん生があったのかも知れない。 しかしもしの世界は実現しない限りあり得ない話であったのだ。 そんなゆん生はこの両親にはこれからもなく、忙しなくご飯やときにはゆっくりをかき集める日々が死ぬまで続くのだ。 加工場の男は不幸な二匹が死に絶えるのを見届け、野生に放したサンプルに挨拶をした。もちろん巣の中に向かってお互いの姿は見えないままでだ。 「れいむ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!」 巣の中からはれいむの重低音が響く声が聞こえてきた。この声はコンポストゆっくりが太りきったときの特徴でもある。 「そんなことよりもごはんちょうだいね!! まだしあわせーできないよ!!」 巣の中からご飯を求める声が聞こえてくる。 きっとこいつも最期までご飯を求め続けた事になるのだろうと思う。 幸せを知らぬまま死ねるのは不幸も知らないという意味で幸せなのかも知れない。 男は持参していたドスパークに用いられるキノコを巣の前に一山置き、中のコンポストれいむに話しかけた。 「巣の前にキノコを置いたから食べるといいよ」 「ゆっくりたべるよ!!」 その瞬間巣の中から大蛇のようなれいむの舌が伸びてきてキノコをかっさらっていった。 その様子を見届けると男はその巣を後にした。 男が森を後にした頃、木々を揺らす地響きと共に巣の中から黒い煙が吹き出した。 あとがき カッコウの托卵っぽいのをテーマに書いてみました。 自分より体の小さな親に育てられるカッコウの写真を思い浮かべて貰えると丁度そんな感じかも。 初期のありすが托卵で増えるという設定は今ならかなり面白そうな気がする。 コンポストれいむの成長と共に移動が困難になり、巣を拡張することで肥大による圧迫を防いだそうです。 巣の中にまりさ達が入るときは親であると叫びながら入っていったそうな。
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書きたかった事 親は子を見限れるのか でぶれいむ。ぶよぶよ 注意点 口の中いっぱいに食べたら一日分の食事くらいの設定です 作者 チェンマガツ 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 うららかな陽気に誘われてまりさとれいむ、そしてその子供達いずれもれいむ種の四匹が背の低い草が生い茂る原っぱで思い思いにくつろいでいる。 両親は子供達が遠くに行かないよう見守り、子供達は四匹仲良くかけっこや押し合いを興じている。 今年の冬も無事越す事ができ、順調にご飯も集まったことから早めの子作りをして番は群れのゆっくり達よりいち早く幸せそうな日々を送っている。 れいむが子供達を呼ぶとその小さな体で一生懸命に跳ねてくる。 そよそよと撫でるように静かに吹く風やその大きさの割にのっそりと動く雲のおかげでここはとてもゆっくりできる。 そして番と子供達は寄り添って昼寝を始める。 天高く昇った太陽が体を温めてぽかぽかと気持ちよく、日光はまるで餡子にまで染み渡るようだ。 そんなゆっくり達の平穏を破る者が現れた。 片手に鞄を持った人間だ。わざわざゆっくりがいる森の奧までハイキングをしてくるような変わった男である。 「ゆっくりしていってね!!」 無防備に眠っているゆっくりの家族に向かって男は挨拶する。 すると眠そうな目をしながら律儀に挨拶を返してきた。 「「ゆっくりしていってね!!」」「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 「おにいさん、ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだからでていってね!!」 「まあそんな事言わずにここでゆっくりさせてくれよ」 「れいむたちはねむねむなんだよ? そんなこともわからないの?」 「せっかく君たちに美味しい食べ物を持ってきてやったんだがいらないのかい?」 男のその言葉に反応したのは子供達だ。今は睡眠欲よりも食欲が優先される時期なのだろう。 男の足下まで跳ねてきて、我先にとぴょこぴょこと垂直に飛び上がる。 「しょれってゆっきゅりできりゅ?」 「ああできるとも」 「れいみゅにいっぱいちょうらいね!!」 「れいみゅも!! れいみゅも!!」 「はいはい順番にね。お前達はいらないのかい?」男は番であるまりさとれいむにも呼びかける。 「ゆゆっ!! れいむたちにもちょうだいね!!」 「よしよし」 どうやら家族全員が男からのご飯に興味をもったようである。 男は手持ちの鞄から大きいおにぎりを一つ取り出しゆっくり達の背後に向かって放り投げた。 すると男の手を離れ放物線を描くおにぎりを家族全員が目で追う。 そしてゆっくり達は一目散に駆けだした。 おにぎりに一番近い位置にいるのは親であるまりさとれいむであり、あっという間におにぎりに食らいついていた。 それに遅れたのは子供達である。男の足下にいたうえ、親よりも移動速度も遅いのだ。 急いで跳ねていくがきっと辿り着いた頃には無くなっているだろう。 「にゃんでにゃげたのー!!」 「ゆえーん、いじわるしないでにぇ!!」 男に悪態を付きながら必死に跳ねていった。 そのうちの一匹の赤れいむが出遅れた。 男の足下で跳ねていて丁度着地してグニャっと変形しているときに男がおにぎりを投げた赤ゆっくりだ。 姉妹達の様子からようやくご飯が遠くにあることを知って、泣きながら後を追い始めたが完全に出遅れていた。 男はその赤れいむを見逃さなかった。 素早く背後から捕まえては叫ばれないように口に粘着テープで蓋をする。 さらに後ろ髪のリボンともみあげの飾りを奪って鞄の中から透明な箱を取りだしてそれにれいむを放り込んだ。 次に男が取り出したのは別の透明の箱でその中には飾りのない同じ大きさの赤れいむがいた。 そのれいむにこれまた素早く先程奪った飾りを取り付け、怪我をしないようそっとご飯の近くに投げた。 もちろんこの間の男の行動を家族のどのゆっくりも見ていなかった。それほど男の与えたご飯に注視していた。 そして男は静かにその場を去った。親であるれいむとまりさは自分の子供の中身がすり替わった異変に気が付くだろうか、いや気が付かない。 飾りで個体識別をするゆっくりにとってもはや本体は付属品なのだ。 まるでおまけ付きお菓子のような存在である。 余談はさておきゆっくりの家族の様子を見てみよう。 「うっめ、めっちゃうっめ」 男の投げたたった一個のおにぎりを親まりさと親れいむは二匹で食べ終えてしまった。 「おかーしゃん、おにいしゃんのごはんは?」 「ゆあああ、おいしくてぜんぶたべちゃったああああ」 「どおじでわけてくれにゃいのぉぉぉ」 「おかーしゃんのばきゃぁぁぁぁ」 「ごめ゛んね゛えええええええ」 泣き崩れて情けない表情の親子の元に男によって中身の変えられた赤れいむが近づいてきた。 「おなかへっちゃからごはんちょうらいね!!」 「ゆう?」親まりさは声のトーンが少し低いその赤れいむを少し不審に思った。 こんな声の子供がいたっけ。でも姿は間違いなくまりさの子供だし……。 だがそれ以上まりさは深く考えない。 「みんなおうちにかえってごはんたべようね!!」 「「「「ゆゆ~ん」」」」 親まりさは自分の気持ちを一旦押し込めて子供達のご飯を与える事を先決した。 どうせ気のせいだろう。よく思い出せば前からこんな感じだったさと何とも楽観的に考えながら家族仲良く帰宅したのだった。 「こんにゃのじゃたりないよ!! もっちょもってきてにぇ!!」 「おちびちゃんちょっとたべすぎだよ……」 親達が保管していたご飯を子供達に配り、皆で食べ終えさらに一匹だけおかわりをした直後の赤れいむの台詞である。 残り三匹の赤れいむはと言えば、お腹いっぱいで丸々としたその姿のせいかころころと巣の中を転がり回っている。 しかし残り一匹の様子がどうもおかしいのだ。 この一匹は親まりさが昼間の原っぱで異変を感じた一匹だったが、どこがおかしいのかわからないでいる。 「ゆゆっ……、しかたないからもうすこしもってくるね」 そう言って親れいむは食物庫に入っていく。食べ物の保管量に関しては申し分無いのでなんら問題ないが、今までに無い事態に少し戸惑っていた。 「れいむはそだちざかりなんだね!!」 親まりさはむしろそれを喜ぶ事にした。そうだ自分達が子供の頃もこれくらい食べたものだ。 いつも親の手を煩わしていた気もする。 そう思いこむ事にした。そうして問題を先延ばしにしてしまった。 「さあおちびちゃん、ゆっくりたべてね!!」 「はふはふ、むしゃむしゃ、がつがつ……」 「いっぱいたべてゆっくりおおきくなってね!!」 気持ちいいの食べっぷりに両親の頬は緩んだが、しかしそれを豹変させる台詞を赤れいむは吐く。 「まだしあわしぇーできにゃいよ!! もっちょちょうだいにぇ!!」 「「ゆ゛ゆ゛っ!!」」 結局その後普段の五倍の量を食べて赤れいむは渋々満足した。 あれほど食べたのにかかわらず体型が変わらないのが不思議なくらいだ。大食いの赤れいむの横で眠る姉妹はあんなにも丸々しているのに……。 そこには両親は気が付いていない要素があった。この赤れいむのサイズが一回り大きくなっていた事だ。 たった一回の食事で急激な成長をしたことになる。 中身の餡子が増えただけでは表皮が追いつかず破裂しかねないが、この赤れいむはその特異的な柔軟な皮のおかげで形を保っていた。 ようやく眠りについた赤れいむを見つめながら親まりさと親れいむは安堵のため息をつく。 しかしその安堵もその日の晩のご飯の時に打ち砕かれた。 再び大量のご飯を要求する一匹の赤れいむによりあれほど蓄えていた食料も残りわずかになってしまった。 「このちびちゃんはごはんをたべすぎだよ……」 「ゆゆっ……。まりさががんばってごはんをあつめるからだいじょうぶだよ!!」 就寝前に両親が一匹の赤れいむについての話をした。 ご飯を食べ過ぎる本人ももちろん心配だが、明日も明後日もこれから先ずっとこのペースで食べ続けられると家族全員のご飯が無くなってしまう心配があった。 翌朝、親まりさと親れいむが目覚めるといつもの挨拶を交わし合う。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」 あれ?とまりさとれいむはどちらともなく思った。 そしてもう一度、今度は少し大きめの声で挨拶をする。 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!!!」」」 まりさとれいむは巣の中をよくよく見回した。 そこにいるのは赤れいむが三匹だ。たしか自分達の子供はもう少し多かったような気がするのだが。 「おかーしゃんどうしちゃの?」 二度にわたる挨拶に赤れいむの一匹は不思議そうな顔をしている。 もう一匹は未だ眠そうな顔を、そして残りの一匹は朝からとても元気である。 「おなかへっちゃからごはんちょうだいね!!」 「そうだね、ごはんにしようね!!」 「れいむたちはゆっくりまっててね!!」 自分達の子供が一人減っている事に気が付かない親まりさと親れいむ。 ご飯の催促を受けてまりさが単身朝ご飯の調達に向かい、れいむは子供達と歌を歌ったり頬擦りをしながらその帰りを今か今かと待つ事にした。 所変わってここは町の加工場、ゆっくりたちの阿鼻叫喚に包まれるまさにゆっくり地獄と呼べる空間に冒頭に出てきた男が勤めていた。 男が勤務する部署は廃棄物処理の工程に携わっていた。 ゆっくり食品の製造過程においていくつか発生する商品適応外のものを処理することがメインで、その他にも繁殖、飼育中に出てくる残飯、発育不良品、死体等の処理も行うのだ。 この工場ではそういった物を一元化してゆっくりに処理させる工程にある方法を取っていた。 いわゆるゆっくりコンポストである。 コンポスト内には工場稼働中は常にゆっくりの餌となるものが流し込まれていった。 一般家庭や街角に設置してあるコンポストとは比にならないほどの処理効率を求められた内部のゆっくり達は、世代を経るたびにそこで生き残る術を身につけていった。 コンポスト設置当初は何度もゆっくり達は処理しきれない餌にまみれて死んでいき、工場全体の動きを停止せざるを得ない状況に陥らせた。 そこで男達が投入したのが表皮の伸縮性の高いゆっくりだった。 ゆっくりの食欲が完全に満たされるのは自分の体がパンパンになりこれ以上ご飯が食べられなくなったときだ。 つまりその状況までいかなければいくらでも食べ続ける事ができた。 そして通称コンポストゆっくりと呼ばれる大喰いのゆっくりが誕生した。 表皮が厚くさらにとても伸びるコンポストゆっくりはコンポスト内を溢れかえらすこともなく、その無限の食欲で廃棄物処理を行っていった。 このゆっくりは大喰いもそうだがやたらと成長が早いこともその特徴だった。 沢山食べるから早いのか、もっと沢山食べるために早く成長するのかは定かではない。 またコンポストを空にするのが彼らの目的であるためうんうんしーしーもきわめて少ない。 その体皮も手伝って体内の老廃物はすべて溜め込んでいるようだった。 結果コンポスト内では水ぶくれ気味で健康的なゆっくりからすればかなり太った体型となっていた。 男はこのコンポストゆっくりを興味本位で野に放ち、野生での適応は可能かを試してみる実験としてまりさとれいむの子供をすり替えたのだ。 そしてそのコンポストゆっくりの赤れいむはまさに猛威を振るっていた。 朝のうちから狩りに出かけた親まりさが昼ご飯も兼ねてかなりの量のご飯を取ってきていた。 昨日の昼ご飯、晩ご飯のことを考えれば二回の食事はこれくらいあれば食べ盛りの赤れいむも満足するだろう、そう思った結果である。 一般的なまりさからしてもとても優秀なご飯回収量といえる。 しかし、その大量のご飯はあっという間にコンポストれいむの食欲によって消費されることになる。 「むーしゃ、むーしゃ、ふまんぞくー」 「「なんでええええええ!!」」 ゆうに一回の食事量の十倍は超えている、それも成体ゆっくり換算でだ。 見てみるとコンポストれいむの体高はすでに子ゆっくり並の大きさで、球体というより円柱に近い形をしている。姉妹と比べるとその異様さは目立つ。 たった一回の食事でここまで急成長し、さらにデブ体型である。コンポストれいむ恐るべし。 親まりさとれいむは戦慄した。このままでは親の威厳が保てないと感じた。 どこのゆっくりの世界に子供に満足にご飯を与えてやることのできないゆっくりがいるのかと。 子供をゆっくりさせてやれない親はゆっくりできないゆっくりだ。 なんとしてもゆっくりさせてやらねばならないというような変な責任感の元に朝ご飯が終わると両親揃って赤ゆっくりを巣に置いて狩りに出かけてしまった。 しかしここで妙な気合いを出すのは無駄な行為であるとはまりさとれいむは知る由もない。 それはいくらご飯を持ってきてもコンポストれいむに満足という言葉はないからだ。 太陽が空高く昇りきった頃、親まりさとれいむはその帽子と口に入るだけご飯を入れて自分達の巣に帰ってきた。 巣で待っていたのは同い年とは思えないほど体格差のあるれいむの姉妹が二匹待っていた。 「ゆゆゆっ!! れいむはどこにいったの!?」 親れいむは子供が一匹いなくなっていると気が付いた。この狭い巣の中では隠れようもないのでやはりいないのだ。 「しらにゃいよ!! おきたらいにゃかったよ!!」 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「もしかしておそとにでていっちゃったの!?」 「どおじですでまっでないのおおおお!!」 しかし赤れいむが巣から出た形跡は全くなかった。なぜなら巣に戻ったときに巣の入り口の偽装は破られてはいなかったからだ。 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「「れいむはすこししずかにしてね!!」」 両親はしつこく催促してくる赤れいむにご飯を与えて黙らせる。 その間に巣の周辺の捜索していなくなった赤れいむの行方を追った。 しかしどうしても発見できなかった。赤れいむの移動速度なぞたかが知れている。 ご飯を探している時間がかなりあったとしてもそれほど遠くまでいけないのだ。 それでも見つからないというのは捕食種に食べられたと考えるのが妥当だった。 「ゆあーん、おちびちゃんがだべられだあああああ」 「れいむしっかりするんだぜ、のこったれいむたちをゆっくりそだてればいいんだぜ」 「ばでぃざ、ごめんね゛ええええええ」 「れいむがあやまることじゃないんだぜ。ゆっくりすにもどるんだぜ」 子供が一匹いなくなったことを後悔するれいむとそれを何とかなだめようとするまりさ。すでにいなくなったのが二匹目であることはわかっていないようだが。 そんな二匹が巣に戻ると今度は驚く事態が発生していた。 「もっとごはんちょうだいね!!」 「「ゆがーん!!」」 あれほど集めたご飯がもうすでに消えていた。朝与えた量の二倍はあったのに。 さらに巣の中にあったなけなしの蓄えもすっかり消えていた。 丸々とした赤れいむとほとんど成体サイズに近い赤れいむの対比も両親を驚かせる。 たった二日ばかりでもうすでに自分達と同じ大きさまで育ってしまった。 しかし心はまだ赤れいむのそれである。 「「しゅーりしゅーり」」 隣にいる普通の赤れいむとはまるで親子のようなご飯後の頬擦りをする。 力加減を誤れば赤れいむが潰されそうな勢いで頬擦りするので両親は内心ハラハラしてそれを見守っていた。 そのうち昼寝の時間なのか二匹は寄り添って寝息を立て始めた。 それを確認するとまりさとれいむは巣を飛び出した。 この時間を見計らって両親は再び大量のご飯を用意しなければならないのだ。 両親が巣から出たあとしばらくするとコンポストれいむは目を覚ました。 その空腹から満足な睡眠をとることはできずたびたび起きてしまうのだ。 そしてその寝ぼけ眼に入ってくるのは美味しそうなご飯だ。 とても丸々として美味しそうなご飯。 その餡子に刻まれた記憶では丸々としたゆっくりはご飯でしかないのだ。 もはやその体格差から小細工など必要ないから姉と呼んでいた赤れいむを豪快に一飲みにしてしまった。 こうしてこのれいむは三匹の姉妹を寝ているときに襲っては食料にしていた。 両親が気が付かぬよう別段に気をつけていたということはないがたまたま見つからなかった、それだけのことである。 しかしそれはどこか自分が生き延びていくために行ったという自然な光景にも見えた。 自分に親が集めてきたご飯を集中させることが目的であるようなそんな光景だ。 とある群れのリーダーであるゆっくりぱちゅりーは最近起こっていたご飯泥棒をついに捕獲することに成功した。 自分達の群れには属さないが群れの近くで住んでいる薄汚いまりさとれいむの番だった。 大量のご飯を盗んでいるはずなのに本人達は痩せ細っているのが不可解だが盗みの現場を目撃した限りやはり犯人なのだろう。 「むきゅー、いままでもっていったごはんをかえしてもらうわ!!」 「ゆっくりりかいしたよ……」 「まりさたちについてくるんだぜ……」 ぱちゅりーが泥棒ゆっくり達にご飯の返還を要求すると二匹はそれにすんなりと応じた。 自分達の非を認める潔さがあるのに盗みを働いたことがなおさらぱちゅりーの理解の範疇を超えていた。 森の中を二匹を先頭に多くのゆっくりがぞろぞろと這っている。 自分達のご飯を返してもらうため二匹の巣に向かっているのだ。 かなりの量が巣に溜め込まれているとみて群れから成体ゆっくりのほとんどが駆り出された。 二匹の巣の前に到着すると不思議な物が目に入ってくる。 巣の前にうずたかく積まれた土の山である。 これだけの量があれば、山を固めてそれをくり抜く事で地上の巣を作る事が出来そうだ。 群れのゆっくりがゆっくりできそうな土の山に見惚れている間に、先頭にいたまりさとれいむは巣の前に着くと中に向かって叫んだ。 「「ゆっくりできるごはんだよ!!」」 「むきゅ、そのなかなのね!! みんなゆっくりとりかえしてね!!」 「「「「ゆゆ~!!」」」」 まりさとれいむの様子から巣の中に持って行かれたご飯があるものとぱちゅりーは判断して、群れのゆっくりに号令を掛けた。 その声に反応のしてゆっくり達が列になってぞろぞろと巣の中に入っていった。 これだけの土を掘り返した巣だ。中はきっととてもゆっくりできる空間になっているだろう。ぱちゅりーは巣の外から中の様子を予想した。 どんどん群れのゆっくりが入っていくがまだその流れは止まりそうにない。 二十はいた大人のゆっくりが巣の中に入っていた。それだけの数が入っても窮屈そうな声が聞こえてこない辺り、中の広さは予想以上なのだろう。 ぱちゅりーは巣の住人と一緒に巣の外で群れのゆっくりが出てくるのを待っていた。 しかしいくら待っても中に入っていったゆっくりが出てくる様子はない。 いくら広いと言ってもご飯の匂いを嗅ぎつけて食物庫に入り、ご飯を口に入れて出てくるくらいならそれほど時間はかからないはずだ。 「おかしいわね。ゆっくりしてないででてきてね!!」 ぱちゅりーは痺れを切らして自らその巣の中へと入っていった。 それほど広くない入り口付近のトンネルをどんどん奧に入っていくと急に柔らかい地面の部屋が現れた。 その空洞は部屋と呼ぶにはそれほど広くなく大人三匹が入れば窮屈になる部屋だ。 不思議なのはその狭さなのに群れのゆっくりはどこにもいないのだ。 「むきゅー、みんなはどこかしら。むぎゃ!!」それがぱちゅりーの最期だった。 突然部屋の天井が下がってきてぱちゅりーを押しつぶした。 すると天井は再び上がり、また下がってくる。そのうちぱちゅりーだったものは部屋の奥へと消えていき、群れのゆっくりと合流した。 いずれも完全に潰された形ではあったが。 「れいむ、あのむれのこどもたちをここにゆっくりつれてきてね。まりさはすをひろげるよ……」 「ゆゆっ、わかったよ……」 肉体的にも精神的にも疲れ切った二匹のゆっくりは一秒の時間も惜しいとばかりにすぐに動き始める。 自分達の子供をゆっくりさせるためだけの親と成り果てたゆっくり達の姿である。 結局自分の子供の異変に疑問を持つのは最後まで無かった。 むしろ自分達の不甲斐なさを呪うほど子供に傾倒してしまった。 自分達がゆっくりであるためには大喰らいの子供をゆっくりさせてやらなければならない。 もし出来なければ自分達はゆっくりできないのだ。 やはりゆっくりという生物はゆっくりできないようにできているようだ。 どこかで子供を見捨てれば別のとてもゆっくりできたゆん生があったのかも知れない。 しかしもしの世界は実現しない限りあり得ない話であったのだ。 そんなゆん生はこの両親にはこれからもなく、忙しなくご飯やときにはゆっくりをかき集める日々が死ぬまで続くのだ。 加工場の男は不幸な二匹が死に絶えるのを見届け、野生に放したサンプルに挨拶をした。もちろん巣の中に向かってお互いの姿は見えないままでだ。 「れいむ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!」 巣の中からはれいむの重低音が響く声が聞こえてきた。この声はコンポストゆっくりが太りきったときの特徴でもある。 「そんなことよりもごはんちょうだいね!! まだしあわせーできないよ!!」 巣の中からご飯を求める声が聞こえてくる。 きっとこいつも最期までご飯を求め続けた事になるのだろうと思う。 幸せを知らぬまま死ねるのは不幸も知らないという意味で幸せなのかも知れない。 男は持参していたドスパークに用いられるキノコを巣の前に一山置き、中のコンポストれいむに話しかけた。 「巣の前にキノコを置いたから食べるといいよ」 「ゆっくりたべるよ!!」 その瞬間巣の中から大蛇のようなれいむの舌が伸びてきてキノコをかっさらっていった。 その様子を見届けると男はその巣を後にした。 男が森を後にした頃、木々を揺らす地響きと共に巣の中から黒い煙が吹き出した。 あとがき カッコウの托卵っぽいのをテーマに書いてみました。 自分より体の小さな親に育てられるカッコウの写真を思い浮かべて貰えると丁度そんな感じかも。 初期のありすが托卵で増えるという設定は今ならかなり面白そうな気がする。 コンポストれいむの成長と共に移動が困難になり、巣を拡張することで肥大による圧迫を防いだそうです。 巣の中にまりさ達が入るときは親であると叫びながら入っていったそうな。
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・れいむが死にません。 ・エロくありません。 ・最近れいむいじめがひどかったんで、れいむ愛でモード突入中。 ・仕事の都合もあって製作ペースが戻らないので、まだまだリハビリが必要な感じです。 『飼いゆっくりれいむ』 D.O 我が家は、築100年を軽く超える古風な木造家屋である。 爺さんの若かった頃は農業をしていたとのことなので、蔵もあれば庭もあり、 さらにその周囲は生垣をはさんで小さな林まで広がっている。 外から見れば、歴史の重み、どころか幽霊屋敷の雰囲気漂わせていることだろう。 現在の主である私が手入れを怠っているので、庭はコケと背の高い雑草が生い茂り、生垣も所々穴が開いているからなのだが。 私が子供の頃は、周囲にまだ多くの農家も残っていたが、 十年ほど前に、ゆっくりの大規模な襲撃が起こり、すっかり疲弊してしまったようである。 もう少し山に近い田舎に立ち上がった、のうかりんを使った実験農場計画が始まった頃に多くの農地は売却され、 実験農場が順調な現状を考えると、このあたりも数年後にはのうかりん印の農場になりそうだ。 現在では町、というには空き家が多すぎる、少々寂しい地域となってしまっている。 そんなある日、仕事から帰ってみると、 庭にサッカーボールサイズと、テニスボールサイズの饅頭が一つづつ落ちていた。 日が暮れているので良く見えないが、赤白リボンの奴はたしかれ・・・れ?ゆっくりだ。 「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇっ!」 「・・・・・・。」 家の電灯に照らされてみれば、薄汚れていて何ともゆっくりしていない奴等である。 少なくとも、見ているこちらとしてはゆっくりできない。 親子なのは間違いなさそうだが、親の方は全身余すところ無く、 マジックで唐草模様が描き込まれているあたり、町からやってきたのは間違いないだろう。 「にんげんさん、れいむはしんぐるまざーなんだよ!」 「へぇ・・・。で?」 「かわいそうなれいむたちを、ゆっくりかっていってね!」 「きゃわいくってごめんにぇっ!」 「・・・はぁ。」 なんだか、やり遂げた表情でこちらを見ている。 刈って、狩って、・・・いや、飼っていってね、か? どうやら、こんなにゆっくりしたおちびちゃんなんだから、人間さんも飼ってくれるに違いない、ということらしい。 とりあえずサンダルの裏を、その自信満々の顔面に押し当てて、塀の方に転がしてやることにした。 「ゆべしっ!」 「ゆぴぃぃいい!」 「・・・ペッ!」 噛んでいたガムが母れいむのリボンにジャストミートする。 「・・・・・・飯作ろ。」 別にゆっくりとやらに大した関心はない。 単に、コソコソ隠れているなら可愛げもあるが、ずうずうしさが気に入らなかっただけである。 これまでも野良猫やらなんやら、しょっちゅう仮の宿に使われていたので、 今更ゆっくりが庭に舞い込んだところで気にしない。 糞をばら撒かれないだけ、犬猫よりはありがたいくらいだ。 庭に住みたきゃ勝手に住めばいい。 こちらには当然世話する義務なんぞ無いのだから。 「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛・・・・」 「ゆっくりー!」 痛みから回復したれいむ親子の方は、感動に打ち震えていた。 なにせ気がついたら、母れいむのリボンにペタリとついているのは、あの憧れの飼いゆっくりバッジ。 れいむも遠くで見ていたときは気づかなかったが、バッヂがまさか人間さんが口から吐き出されたものだったとは。 まあ、自分達もナワバリ(無意味極まるが)にしーしーでマーキングすることは多いのだから、そういうものなのだろう。 ・・・などと考えながら、リボンにへばりついたガムを、嬉し涙に潤んだ目で眺めていた。 そう、れいむはついに、ゆっくりの中でも最もゆっくりできると言われる、 あの飼いゆっくりにしてもらえたのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 翌朝。 便所から出て縁側を歩いていると、庭の隅に放置していた木箱から、れいむ親子が飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ん?まだいたか。」 朝からうるさい奴らだ。やはり猫の方がましだな。 「ゆーん。おにーさん、れいむたちにあさごはんちょーだいね!」 「ちょーらいにぇっ!」 昨日のゆっくり共が、これから仕事に行くという時に、なんだかずうずうしくゆぅゆぅ鳴いている。 「・・・・・・庭の草でも花でも、自分で適当に食え。」 「ゆゆっ!?おはなしゃん、たべちぇいいにょ?やっちゃー!」 「ゆーん、ごはんさんいっぱいだよ~。」 勝手に住むのはかまわんが、ゆっくりフードたら言うものまで買ってやる気など無い。 というか、ペットでもないのにいちいち飯などやらん。 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 「むーちゃ、むーちゃ。ゆ・・ゆぇーん。」 「どうしたの、おちびちゃん。」 「れいみゅ、こんにゃにむーちゃむーちゃちたの、はじめちぇ。」 れいむ達は、飼い主であるおにーさんの愛情を全身で味わっていた。 なにせ、適当に食え、と言って指差した庭には、 柔らかそうなゆっくりした草、 タンポポやシロツメクサの類の雑草寄りの花、 背の低い木には実や柔らかい葉っぱ、 それに、今は何も成っていないが柿やビワの木も生えており、季節が来たら食卓を飾ってくれることだろう。 当然昆虫やミミズも、その気になれば取り放題だ。 ここは、森の中にあったとしたら、数十匹のゆっくりを余裕をもって支えることができる最上級の狩場であった。 それらが全て、この2匹だけのためのごはんだと言うのである。 「おにぃさぁん、ありがとぉぉぉおおおぉぉ。」 そんなある日、夕食の生ゴミを袋に入れて、裏庭のポリバケツに入れようとしたところ、 ゆっくり共が、よだれを滝の様にたらしながらこちらを見ていた。 ・・・・・・そういえば、今都会では『ゆっくりコンポスト』なるものがはやっていると聞く。 正直言って生ゴミを貯めこむのは嫌だし、こいつらでも使ってみるか。 「・・・食え。」 翌朝、袋の中身がきれいさっぱりなくなっていた。 袋に何かが入っていた形跡すら無い。よだれらしきものでベタベタではあるが。 「ゆっくちちたおやさいしゃんだったにぇっ!」 「おにーさんにありがとうってするんだよ。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 「なるほど。こいつは便利だ。」 それからというもの、あの親子は毎日ポリバケツに放り込むはずだった生ゴミを、おやつだと大喜びで食べている。 生ゴミを放置しすぎて増えていたりぐるとかも減った。 生ゴミがなくなったからか、りぐるも食べているのか・・・ しばらくすると、いちいちこいつ等が『おうち』とやらにしている、庭の隅の木箱まで生ゴミを持っていくのもめんどくさくなってきた。 まずは縁側の下に少し穴を掘り、用済みとなったポリバケツを横倒しにしてはめ込む。 ポリバケツの内側に土をいくらか入れ、周囲の穴との隙間にも土を詰める。正面から見るとパッと見トンネルのような感じだ。 あとはあのゆっくり親子を中に放り込んで、自家製コンポストは完成。 「ゆわーい。きょきょはれいみゅたちのおうちなんだにぇ。」 「ゆっくりー!おにーさん、ありがとう!」 なんかぽいんぽいんと跳ねて喜んでいるが、台所からも食卓からも近いここが、 生ゴミを放り込むのに適していただけだ。 「ん、で、あと何が必要だ?」 「「ゆぅ?」」 なんといっても、使い道ができた以上、もはや野良猫と同等ではない。 金をかけてやるつもりはないが、それなりのメンテナンスはしてやろう。 コンポストとしてある程度長持ちしてくれなければ困るからだ。 「ゆ、ゆぅーん!れいむはみずあびができたらうれしいよ。きたないとゆっくりできないよ。それと・・・」 「それと?」 「おちびちゃんにも、ばっじさんがほしいよ!おちびちゃんもかいゆっくりのばっじさんがほしいよ。」 水浴びか。なるほど、こいつ等が饅頭のくせにカビないのは不思議だったが、やはり不潔にしておくのはよろしくないといったところか。 こっちとしても軒下にサッカーボール大のカビ饅頭があるのは気分が悪い。自分たちで清潔にしてもらおうか。 あとは・・・ん?おちびちゃん・・・にも? ・・・・・・妙に馴れ馴れしいのも合点がいった。まさか飼われているつもりだったとは。 まあ、使い道がある今となっては都合がよくもあったが。 「水は、そうだな。このタライに水を入れといてやる。勝手に使え。」 「ゆっくりー!」 「それと・・・バッジねぇ。ああ、あれでいいか。」 持ってきたのは、私が中学生時代に学生服につけていた、襟章だった。 鈍く銀色に光る襟章、どうせこいつ等がバッジとやらを活用する日は来ないのだから、これで十分だ。 リボンに乱暴にネジ式の襟章を突き刺して固定すると、赤色の中に鈍く光る銀色は、思いのほかしっくりときた。 「ゆわーい!ゆっくちちたばっじしゃんだー!」 「ゆぅぅ、よがっだねぇ、よがっだねぇぇえ、おぢびじゃぁぁああん。」 喜んでもらって何よりである。この調子で雑草むしりと生ゴミ処理を頑張ってもらいたいものだ。 翌日には、縁側下のコンポストの近くに「おといれ」と称してうんうん用の穴も掘っていた。 生活の場に排泄物を置いておくのはやはり嫌なのか。だが、これはこちらとしても都合がよかった。 このうんうんという排泄物については、定期的に土と雑草に混ぜて花壇の肥料にしている。 なかなか良質なようで、しかも採集の手間も要らないしありがたいものだ。 「ゆーん、おにーさん。おといれのおそうじしてくれてありがとう。」 「うんうんがなくなっちぇ、ゆっくちできりゅよ。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− こうしてれいむ親子がコンポストとなった数日後、家の庭に最近ご無沙汰だった来客が来た。 「ねこさんだぁぁあああ!ゆっくりできないぃぃぃ!!」 「ゆぴぃぃ、おきゃあしゃんこわいよぉぉ!」 「ん、ああ、トラか。久しぶり。」 生垣の穴から庭に入ってきたのは、近所で気ままな野良生活を送っている猫だ。 こいつに限らず、我が家を通り道にする猫は多い。 「ゆぁぁぁぁ、おにーさぁぁん。ねこさんこわいよぉぉぉぉ。」 「ゆっくちさせちぇぇぇぇ。」 「・・・嫌なら自分でなんとかしろ。」 「「ゆぅぅぅ、ゆっくりできないよぉ。」」 別にサッカーボールサイズの良くわからん物体にじゃれつく様な、酔狂な猫達でもないが、 町生活でトラウマでもあるのか、度重なる猫の襲撃に、れいむ親子は自分達で何とかすることにしたようだ。 数日後から、徐々にだが、目に見えて生垣の穴がふさがり始めた。 「ゆーえす!ゆーえす!」 「おきゃーしゃん、はっぱしゃんもってきちゃよ。」 「じゃあおちびちゃん、このすきまにはっぱさんをおしこんでね。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 生垣や塀の隙間に、小石を詰め、小枝を刺し、上から土を盛って、また葉っぱや枝を詰める。 近くで見るとやはり幼稚園児の工作の域を出るものではないが、遠目には生垣に溶け込んで見えなくも無い。 何重にもゴミを積み上げているので、強度のほうはちょっと蹴りを入れたくらいでは吹っ飛ばないくらいになっていた。 「これでねこさんはいってこれないね!」 「ゆっくちー。」 「にゅぁ~ん・・・ぐるるる。」 ・・・・・・。 「「どぼぢでねござんはいっでるのぉぉぉおお!?」」 「・・・塀の上からだろ。」 まあ一応は通りにくくなったので、特に頻繁にここに来る数匹以外は入ってくることも無くなり、 多少は平穏になったようだ。 それにしても、なんだか最近庭がきれいになってきた気がする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 生垣の穴がれいむによってあらかた埋まった数日後、 久しぶりに友人が家まで遊びに来た。 「ゆゆっ!?おにーさんのおともだち?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ。」 「おー、間知由。お前ゆっくり飼ってたんだな。エラい装飾過剰だけど。」 「いや、飼ってないし、あの唐草模様は来たときからだ。俺の趣味じゃない。」 「ふーん。つってもバッジついてんじゃん。」 「ありゃガムだ。」 「え゛・・・。」 「ああ、みかんの皮は庭のポリバケツに放り込んどいてくれ。」 「え?これってこいつらのおうちだろ?」 「いや。コンポスト。」 「んー。・・・え゛ぇ?」 「ゆわーい、おやつだにぇ!ゆっくちありがちょー。」 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 ついでに、夕食の魚の骨も放り込んでおいた。 「ぽりっ、ぽりぽりぽり・・・ゆっくりー!」 「・・・・・ふーむ。」 「どうした?」 「いや。ゆっくりって、案外飼いやすい生き物なのだろうかと思ってな。」 「ただの饅頭だろ。・・・・・・何だよ、その目は。」 「まったく。世の中にはどんだけ愛情注いでも懐かれない奴もいるってのに。」 「そんなもんかね。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そして、庭が放置しっぱなしの幽霊屋敷状態から、見違えるようにきれいになった頃、 れいむ達の平穏な毎日に、突然不幸が舞い降りてきた。 「Zzzzzz・・・。」 「すーや、すーや。」 今日は日曜日。おにーさんも日当たりの良い縁側で昼寝中。 れいむ親子も庭に生えた木の木陰でゆっくりと惰眠をむさぼっていた。 そのとき庭に、普段と違う空気が漂う。 「うー。」 「ゆぅ?・・・すーや、すーや。」 「あまあまー。」 「ゆ・・・すーや、すーや。・・・・・・れみりゃだぁぁぁああああ!!!」 庭に突然飛来したのは、本来夜行性のれみりゃ(胴無し)。 庭のすぐ奥にある林は、昼でも薄暗く、たまに昼でも活動するれみりゃが現れたりする。 しかも、このあたりは農家だったこともあり、害ゆ対策として、れみりゃを大量飼育していた時期もあったので、 最近森の奥でしか見なくなったれみりゃ種もチラホラいたりするのだ。 「おちびちゃん、ゆっくりにげるよ!」 「ゆあーん。れみりゃはゆっくちしちぇにぇ。」 ぽよん、ぽよん、と大急ぎでおうちに飛び込むれいむ親子。 れみりゃは追ってこなかった。どうやら助かったようである。 しかし、一つだけ気がかりがあった。 「ゆぅぅぅ、おきゃーしゃん、れみりゃはゆっくちできにゃいよぉ。」 「ゆ!おちびちゃん。ここはおにーさんがつくってくれたおうちだから、れみりゃなんてはいってこれないよ!」 「ゆっくちー。でみょ・・・。」 「おちびちゃん?」 「おにーしゃん、すーやすーやしてたよ?れみりゃにゆっくちひどいことされてにゃい?」 「ゆゆっ!?」 「そろーり!そろーり!」 おにーさんの無事を確かめるべくおうちから慎重に這い出るれいむ。 見つかったら命はないだけに、そろーりそろーりにも力が入る。 そして、れいむは驚愕の姿を目撃した。 「うー!うー!」 「Zzzzzz・・・・、じゃま・・・」 ・・・・・・れみりゃがおにーさんにじゃれていた。 「ゆぁぁぁああああ!おにーさんがたべられるぅぅぅううう!!!」 「うー?」 「やめてねっ!おにーさんをたべないでねっ!れみりゃはゆっくりどっかいってね!!」 ゆっくりしたおにーさんを助けるべく、れいむはれみりゃに立ち向かう。 しかし、口にくわえた木の枝をどれほど振り回しても、空を舞うれみりゃ相手には届かなかった。 「ゆぅ、ゆぅぅ、どうしてとどかないのぉぉ。」 「うー!あまあまー。がぶり。」 「ゆひぃぃぃぃ、れいむのあんこさんすわないでぇぇぇぇ・・・。」 「おきゃあしゃぁぁあん、ゆっくち、れみりゃはゆっくちしちぇぇぇぇ!」 「お、肉まん。」ぱさり。 「うー!うー!」 といったところで目が覚めたおにーさん。 玉網を使ってあっさりとれみりゃを捕獲したのであった。 それにしても、生ゴミを処理して肥料を作り、 庭の管理までやってくれた挙句、夕食のおかずをおびき寄せてくれるとは、 つくづく使いでのあるコンポストだ。 つい今さっきまでたっぷり飯を食っていたこの肉まん、中身がが詰まっていてうまそうだな。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇぇぇぇ。」 ザックザックザック 薄っぺらくなった方のれいむには、中身を詰めなおしてやることにする。 掘り出したのは、「おといれ」とやらになみなみと貯められた餡子。 こいつを、中身の減ったれいむの口からねじ込んでやることにした。 「ゆ゛っ、ゆぼぉっ!おにーざん、やべでぇ、ゆっぐぢでぎなっ!ゆぼっ!」 「おにーしゃん、やめてあげちぇにぇ!おきゃーしゃんがいやがっちぇるよ。」 無視。餡子は餡子だ。多少土が混ざっているが、中に詰めなおしてやれば問題ないだろう。 「ゆ゛っ、ゆっぐぢしていってね。ゆげぇ。」 「やっちゃー!おきゃーしゃん、げんきになっちゃよ。」 「ゆ、ゆぅぅ・・・おにーさん、ありがとぉ・・・。」 「しゅーり、しゅーり、ちあわちぇー!」 ふむ、消耗してはいるが、まだ当分は使えそうだ。 そして、その夜は多すぎて食べきれなかった肉まんの残りを、コンポストに放り込んでやった。 やはり一人暮らしにあのサイズは無茶な話だな。 「ゆわーい。きょうはごちそうだにぇ!」 「ゆーん。きっといっしょにれみりゃをやっつけたから、ごほうびなんだよ。」 「ゆっくち!ゆっくち!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そんな生活が、しばらく続いたが、 子れいむが成体にまで大きくなった頃、親れいむの方が死んだ。 あとで調べたが、町の野良の寿命は平均一年かどうかと、大分短いらしい。 我が家に来た時には中古のポンコツだったということか。 「お・・・おにーさん。おちびちゃんを、・・・これからもゆっくりさせてあげてね。」 「特になにも変らんよ。」 「おちびちゃん、・・・ゆっくりしていってね・・・・・・」 「おかーしゃん、おきゃあしゃぁぁぁあああん!!!すーりすーりしてね、ぺーろぺーろしてねぇぇえええ!!!」 リボンは子れいむの方が欲しがったのでくれてやり、死体のほうはぐちゃぐちゃにすり潰して肥料にした。 花壇の花も元気に育つことだろう。 「おかーさん。おはなさんになったんだね。」 「まあそうとも言えるな。」 「ゆっくりしていってね。おかーさん。」 まあ、そんなことはどうでも良かったのだが、少し問題が生じてきた。 コンポストの、生ごみ処理能力が落ちてしまったのだ。 「ゆぅぅ~。さびしいよぉ。」 「おちびちゃんがほしいよぉ。」 「すーりすーりしたいよぉ。」 どうも孤独な生活と発情期が重なって、ノイローゼ状態になったらしい。 頭数が減ったうえ、どうにも食欲が無い。庭の雑草もまた伸び始めてきた。 これは、新しいゆっくりを取ってくる必要がありそうだな。 その日、夕食の生ゴミをコンポストに放り込みながら、 れいむにつがいを探してやる、と言った時のれいむの喜びようは大変なものだった。 体が溶ける寸前まで水浴びをして、リボンのしわ一つ一つまで丹念にあんよでつぶして伸ばしていく。 コンポスト内の清掃も丹念に行い、 さらに子供が出来た後のために、花やイモ虫、果物の皮などのごちそうから保存食の干し草まで貯めこむ。 にんっしん中のベッドまで葉っぱと草を使って作り終えて、準備万端でその日を迎えた。 約束の日、私はれいむを連れて街を歩き、れいむ的に「すっごくゆっくりしてる」まりさを手に入れた。 この白黒饅頭、帽子にアイロンをかけた形跡もわずかにあり、恐らくバッジを引きちぎったのであろう傷痕も見られる。 飼われていたというなら、それなりの躾もされているのだろう。好都合だ。 「ゆふん!そんなにまりさをかいたかったら、かわせてやってもいいのぜ。」 「ゆっくり!まりさ、ずっとゆっくりしようね!」 「ゆん!なかなかゆっくりしたれいむだから、とくべつにすっきりしてやってもいいのぜ。」 本人も乗り気のようだから都合よい。つがいにしてやることにして、家に連れていった。 「ゆぅ~ん、まりさ。すーり、すーり。」 「ゆへぇぇ!いいからとっととまむまむをむけるのぜぇ!『ぼよぉぉおん!』」 「『ごろんっ』ゆぅ!?もっとゆっくりしてぇ!」 「しったこっちゃないのぜ!まりさのぺにぺにをおみまいしてやるのぜぇ!!」 ずぼぉっ!ずっぽずっぽずっぽずっぽ・・・ 「ゆぁーん、いだいぃぃぃい!らんぼうすぎるよぉ。もっと、ゆっぐりぃ!」 「ゆっふっ!ゆっゆっゆっゆっゆっゆっすっきりぃぃぃいいい!」 「ずっぎりぃぃ。」 とりあえずれいむの腹が膨れてきたので、予定どおりにいったようだ。 「ひどいよまりさ・・・」 「ゆふぅ。ひとしごとおわっておなかがすいたのぜ。にんげんさん、とっととごはんをもってくるんだぜ!」 「その辺のを適当に食え。」 「ゆゆ!?なにいってるのぜ。ゆっくりふーどさんなんて、どこにもないのぜ。」 「草があるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇぇ!くささんはごはんじゃないのぜ! ふーどさんがないならけーきさんでもいいのぜ!はやくもってくるのぜ、くそじじぃ!」 「ゆぅ。なにいってるの?おにーさんにあやまってね。くささんはおいしいよ。むーしゃむーしゃ。」 「ゆぎぃぃぃいい!もういいのぜ!はやくおうちにいれるのぜ!べっどですーやすーやするのぜ!」 「そこに家ならあるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇ!これはごみばこさんなのぜ!くさくてきたないのぜ!」 「ひ、ひどいよまりさ!おにーさんがれいむにくれた、ゆっくりできるおうちだよ! それに、れいむがいっしょうけんめいおそうじしたんだよ!ゆっくりあやまってね!」 「・・・いいよ別に。文句があるなら勝手に出ていけば。」 「ゆふん!まったく、ばかなじじぃとゆっくりしてないごみれいむのほうが、このおうちからでていくのぜ! ゆっくりしたまりささまが、とくべつにこのおうちをつかってやるのぜ!」 「ふーん・・・。れいむ、どうやら一緒に暮らすのは無理そうだが。」 「ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくりできないまりさだよぉ。」 とりあえず、私が家から追い出されるのは嫌なので、ゆっくりしたまりささまとやらは、門から丁重に出て行ってもらった。 あれだけ態度がでかいと、野良をやっていくのも大変だろうに、大したものだ。 しかし、ゆっくりと言っても、コンポスト向きのとそうでないのがいるのかもしれない。 黒帽子がダメなのか、飼われていたのがダメなのか、まあ、どうでもいいことだ。 れいむの腹にいるちび共の中に黒帽子がいたら、それもはっきりするだろう。 つがいこそいなくなったものの、孤独を埋めるという当初の目的は達成されたようである。 それから数匹分の食欲を発揮し始めたれいむは、3週間後、無事れいむ種一匹とまりさ種一匹を出産した。 赤ゆっくりが腹から射出される勢いには驚いたが、庭は柔らかい芝生であったのが幸いしたのか、 せっかくれいむが作っていた草のクッションから1m以上離れて着地したものの、つぶれることはなかった。 「「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!!」」 「ゆっくりしていってね!ゆぅーん、ぺーろぺーろ、おちびちゃんたちかわいいよぉ。」 これで、コンポストの方は今後も安泰そうだ。 母れいむがチビ共にもバッジが欲しいとか言ってきたので、画鋲のカサの部分をセメダインでくっつけておく。金バッジだ。 これで満足して生ゴミを処理してくれるのだから、安上がりなものだ。 ちなみに、ゆっくりしたまりささまに出て行ってもらってから二日後、門の前にみすぼらしく、 帽子もかぶっていないまりさ種が一匹転がっていた。 「やっばりがっでぐだざぃぃ・・・おねがいじばずぅ。」 とか言っていたが、ゆっくりを飼う趣味などないので、無視しておいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− それからしばらくは、コンポストとしても庭の芝生管理としても特に問題はなかった。 ピンポン玉サイズの子供たちでは、成体一匹分の処理能力を補えるかと、多少不安ではあったが、 どうやら、成長中のチビ共の方が食欲は旺盛らしく、生ゴミは毎日順調に処理され、肥料になっていった。 黒帽子の方も特に文句を言わず、生ゴミをムシャムシャ食らい、庭をぽよんぽよんと跳ねまわっている。 やはりあの態度は、育ちが問題だったようだ。 だが、赤ゆっくり達が産まれてから一月ほどたち、そろそろ冬の近づきを肌で感じ始めた頃、 またしてもコンポストの性能が低下してきた。 朝、コンポストの中をのぞいてみると、まだ昨日の生ゴミが残っている。 さらにその奥では、歯をガチガチと鳴らしながら、目の下にクマをつくったれいむ一家がいた。 「お、おおお、おにーさん、おうちがさむいよぉぉぉ・・。ねむれないよぉぉ・・。」 「しゃむくてゆっくちできにゃいぃぃぃ。」 「ごはんしゃんつめちゃいよ。むーちゃ、むーちゃ、しょれなりー。」 コンポストはれいむ達なりにきっちり入口を塞いでいるが、やはり所詮はポリバケツ。 まだ昼間は温かいが、壁一枚隔てた向こうの、夜の寒気を完全に防ぐことはできないようだ。 この時期でこれでは、冬の間はコンポストの機能が完全に停止しかねない。 家に入れるという選択肢はもちろんないが、 本格的にコンポストの改造を行う必要がありそうだ。 その日の昼、れいむ一家に『たからもの』とか言う小石や押し花や、ガムの付いたリボンらしきゴミをコンポストから出させると、 大規模な改装に取り掛かった。 まずは、ポリバケツを掘り出して、横倒しにすると天井になる、壁の一部を四角く切り抜く。 それに、ちょうつがいと留め金をつけて、外から開けるようにした。 ゆっくりは、冬には巣の入り口を密閉するらしいので、生ゴミの投入口をつけてやったわけだ。 次にバケツの入口、つまりゆっくりの出入り口だが、せいぜい直径30cm程度のゆっくりに対しては大きすぎる。 壊れたすのこを材料にして、ドーナツ状の板をつくり、バケツの口に取り付けてやった。 これでゆっくりの出入り口は、必要最低限の大きさになり、 木の枝などで塞ぐ手間も、寒気の吹き込む隙間もぐっと減るはずだ。 あとは、再び縁側の下にポリバケツを埋めなおし、これまではむき出しだった側面にまで土をこんもりと盛っておく。 外から見ると、生ゴミの投入口と、ゆっくりの出入り口だけ穴のあいた、砂場の砂山のような外観となる。 縁側の下なので、雨風で盛り上げた土が崩れる心配は無い。 地下は冬でも暖かいというので、これで断熱は十分だろう。 数十分の作業中、庭で遊ばせていたれいむ一家を呼び寄せた時の反応は、 以前コンポストを、はじめてつくった時以上のものであった。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆわぁぁぁぁああい!すっごくゆっくりしたおうちだよぉぉおおお!」 「ゆっくち!ゆっくちー!れいみゅたち、こんなゆっくちしたおうちにしゅんでいいにょ!?」 「ゆわーい!なかもあっちゃかいよー!ゆっくちー!」 「ふーい、疲れた。あとはこいつでも中に敷いとけ。」 「ゆぅぅぅぅうう!しゅごーい!ゆっくちちたおふとんしゃんだー!」 「おにぃさん、ありがと、う、ゆぇぇぇええん!」 「おきゃーしゃん、ないちぇるにょ?どっかいちゃいにょ?ゆっくちしちぇにぇ。」 「おちびちゃぁぁあん!れいむはうれしくってないてるんだよぉ。ゆっくりー、ゆっくりー!」 近所の農家から頂いてきた干し藁をひと束くれてやっただけだが。 とりあえず、この反応からして、今後はまたコンポストとして元気にやってくれそうだ。 こちらはやることやったので、あとのメンテはこいつ等がかってにやってくれればいい。 かつて母れいむと一緒に野良生活を送っていた頃、れいむには夢があった。 温かくて、雨の心配も、風の恐怖も感じないですむおうち。 毎日お腹いっぱい食べられるだけのごはん。 しかも、そのごはんを手に入れるために、命の危険など感じずにすむゆっくりプレイス。 外敵の心配もないそのゆっくりプレイスで、 ゆっくりしたおちびちゃん達とすーりすーりしたり、のーびのーびしたり、 おうたをうたったり、水浴びですっきりーしながら、毎日ひたすらゆっくりする。 夜になったら、ゆっくりしたおうちに帰り、ふかふかのおふとんの中で、 家族で肌を寄せ合ってすーやすーやする。 たまにはあまあまが食べられたら言うことはない。 これが、れいむのかつて夢見たすべてであった。 そして、今、この場所には、れいむが望んだもの全てがあった。 全てのゆっくりが追い求め、そして見つけることの出来なかった場所、ゆっくりプレイス。 だが、れいむにとってのそれは、人間さんがコンポスト、と呼ぶこの場所に、確かに存在していたのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆっくりー!」 「すーり、すーり、しあわせー。」 「すーり、すーり、・・・ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「ゆふぅん、だめだよまりさぁ。ゆふぅ、ゆふぅーん!」 れいむ親子が初めて我が家のコンポストとなって2年。 結局外部から新たなゆっくりを連れてくる必要はなくなった。 こいつらは、家族以外のゆっくりがいないとなると、姉妹同士でつがいを作り続け、今はすでに4世代目である。 今はこれまた姉妹である、れいむとまりさのつがいがコンポストとして活躍している。 それと、最近は花壇の世話もめんどくさくなったので、街でゲッソリしていたゆうか種も一匹拾って庭に住まわせている。 最初はコンポストの連中が花を勝手に食う、食わないでもめた時期もあったが、 群れでもない以上大した量を食われることもなく、しかも花の肥料がコンポスト産だということもあり、 それなりの折り合いをつけることで落ち着いている。 「「すっきりー!」」 などと思っているところで、また増えるつもりのようだ。 れいむの頭ににょきにょきと生えたツタには赤れいむが3に赤まりさが2。 まあ、構わない。どうせ代替わりが激しいゆっくりである。 うっかり病死などしないうちに子供を作ってもらわなければ余計な手間だ。 それに増えすぎるようなら何個か潰して肥料にするだけ。 庭もすっかり華やかになって、もう幽霊屋敷の頃の面影は残っていない。 「おはよーございます。」 「ああ、農場の。おはよう。」 最近ついにこの辺も、のうかりん農場化が進み始めた。 生垣の向こうから挨拶してきたのうかりんも、そこの従業員である。 「とってもゆっくりした庭ですね。きれい。」 「まあ、ゆうかが一匹でやってるんだがね。」 「うふふ。それは失礼しました。でも、それ以上に・・・あなたの飼われているゆっくり達。」 「?」 「とってもゆっくりしてますね。今までたくさん飼いゆっくりを見ましたけど、一番ゆっくりしてますよ。」 「ふーん。そんなもんかね。」 同じゆっくりである、あののうかりんが言っているなら正しいのだろう。 よくわからんが、この2年間で一つだけ確信したことがある。 こいつらには、コンポストという仕事が向いている、ということだ。 リクのあったゴミ処理場ネタは今度また書きます。 それにしても自分のSS製作ペースがそれほど落ちたわけではないのに、 いつの間にか餡小話のそうとう下に追いやられてたり。 SS増加ペース早っ。 とりあえず、シリーズものについてはそろそろなんか書きます。 町れいむ、レイパー、計画中のペットショップシリーズ リクの消化もまだおわってないなぁ。 挿絵 by街中あき 挿絵 by??? 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 プラス本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 翌年 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ)
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