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代行インゴット 代行インゴットとは、#ライブに行けない時に他のユーザーが代わりに贈ってもらうインゴット。 概要 2021年6月8日のコズミのお昼配信にて観測された巨大インゴットが起源。 きっかけは6月7日にとらま氏がツイートしたもの。 「代わりに投げてくれる人いない??「とらまの代わりに贈るし!!」って言ってインゴット」 このツイートを見たやろうよ!白猫!氏がとらま(代理)というユーザー名に変えてコズミにインゴットを贈った。 また、2021年7月22日のアニャの#ライブにて、お部屋を紹介された柿根雄一氏の代わりにコキュートス氏がインゴットを贈った。
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仲良しインゴット 仲良しインゴットとは、2つ並んだ状態のインゴット。 概要 初出は2021年5月22日。 柿根雄一氏とやろうよ!白猫!氏の巨大インゴットが並んだ状態をアニャがそう呼んだことが起源。 「あ!2つ!並んでる!仲良しインゴットね!」 逆に巨大インゴットが離れた状態のことを不仲インゴットと言うこともあるがこちらは実際にアニャが言ったわけではない。 こちらは2021年5月25日に同2名の巨大インゴットが離れていた際に 「今日はちょっと、距離空いてるね。喧嘩してないかな?」 というアニャの発言から来たものと予測される。
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「むむむむむ……!」 手に持った地図を俺は見つめる。穴が開くんじゃないかとばかりにじっと見つめる。透けて向こうが見えてくるんじゃないかとばかりに睨み付ける。 だがどれだけ睨み付けようと書かれている内容は変わらない。 当然のことだ。地図に書かれた七個のバッテンは黙ってしかめ面の俺を見返してくる。 俺は仕方なく地図を机の上におろす。代わりに今度は名簿を手にとった。 「……はぁ」 いくつもの消された名前と一番下に新しく書きたされた名前。今度はうなり声じゃなくてため息が出た。 まったくやってられないぜ、このままいったらお先真っ暗じゃねーか。 「放送に備えて家ん中に隠れたのはまだわかる。内容をメモしないとやべぇからな、禁止エリアと死者発表は俺にとっちゃ死活問題だぜ。けどよォ……」 はぁ、と続きはため息で打ち消された。だってよぉ、肝心の放送の中身がこれだぜ? がっくり来るってのもわかるだろう。 一日の疲れがどっとわき、俺はそのままドサリと椅子に腰掛ける。背もたれに体重をかけそのまま天井を見上げる。 ほんとやってられないぜ……荒木のやつは俺に個人的な恨みでもあるのかね? 帽子を深く被りなおすと俺は目をつぶる。実際結構疲れてる。 夜は億奏の野郎にバレないように神経をすり減らしっぱなし、朝になって移動したはいいが会うやつ皆死体、死体、死体。 いや、いくら俺がそういうのに慣れてると言っても死体を見て喜ぶなんて趣味なんてねーしな。 ああ、そういえばダービーの所に行った時も危なかったな。とっさに承太郎のふりができた俺は天才だと思ったね。 それから潜水艦に引きこもって、あんまりのんびりしすぎるのもなんだしと露伴の格好をして飛びたしてきて…… 「のんびりしすぎたかねェ……」 反省とも後悔とも言えない言葉を吐くと俺は机の上の二枚の紙を取る。 俺にとって今回の放送はひでぇもんだった。正直言って本気でヤバいかもしれない。 「今回の放送でやべぇのは残りの人数の少なさ、ダービー島の閉鎖、禁止エリアの数と位置。まったくやってくれるぜ、荒木の野郎」 残り人数が減ったのは一見良さそうに見える。なんせ優勝を目指してんだからな、俺は。 でも冷静に考えればそれだけ人が少なくなるってことは他人に関する情報が一極集中してくるってわけだ。 この人数の少なさにやばいと感じたやつらが徒党を組めば、まずするのは情報交換だ。誰がいいやつで、誰が危ねーやつなのか、とかな。 これがマズイ。俺にとっちゃこれが非常にマズイんだ。 ただでさえボロが出かねない俺の変身能力。相手方が持ってる情報が多ければ多いほど当然ばれる可能性は上がる。 「なんもない時でさえ胃が痛いっていうのに……これじゃ化けられねーじゃねーか」 続いてダービー島の閉鎖。チケットを取り上げられた今の俺には一見関係ないように思える。 だけどこれだってよく考えれば一大事。荒木の野郎が本腰入れて参加者を突っつき始めたって考えられねーか、これ。 このタイミングでのダービー島の閉鎖と禁止エリアの集中は露骨すぎるぜ。 もしかしたら俺のほかにもダービーん所を避難所みたいに使ってたやつがいたのかもしんねェな。 とにかくこの状況で潜水艦にまた潜り直すのは考えものだ。荒木が本腰入れてきたって考えると『待ち』に入るのはどうも危ねー。 引きこもっていたら急に潜水艦が爆破! それがないとは言いきれねェんだもんなァ。 「化けてもダメ、化けなくてもダメ。一体どうしろって言うんだよ……」 考えれば考えるほど手詰まりのように思えてくる。こうなったらもうぼやくしかない。 ボインゴよ、今度こそ兄ちゃんはダメかもしんねえ。 「でもそんなこと言ってもよォ……やるしかねぇんだな、これが」 急に立ち上がったせいか、音を立ててイスが倒れた。俺は構わず荷物をまとめる。 地図と名簿をしまい込み、机の上に置いてあった食べかけの夕飯をたいらげる。最後にペットボトルで喉を潤すと俺は力強く拳を握った。 同時に俺の顔がグニャリグニャリと形を変えていく。 「色々辛いこともあるけど兄ちゃんは頑張ってるぞ、ボインゴ」 高慢な漫画家への変身が終わると俺は民家を飛び出し、路上に出る。 結局俺にできることと言ったら顔を変化させるだけだ。ならそれでなんとかするしかねぇだろ。 いざとなったらスタンド攻撃だ! なんて叫んで誤魔化すしかない。 いや、最悪泣いて謝って集団の中に入れてもらうしかねぇ。 とにかくだ、とにかく俺は死ぬわけにはいかねぇ。弟のためにも俺は生きて帰えんなきゃならねェ。 そうだ……死んでたまるか! ここまできたらやるしかない! やってやる……ブッちぎってやるッ! よし……なんだか急にいけそうな気がしてきたぞ! 今の俺だったら何千と飛んでくる矢の中でも平然と歩――― 「露伴さん!」 「うおおおおお!!」 真後ろから突然かけられた声に俺はびっくり仰天。文字通り飛び上がった俺は思わず変な叫び声を漏らしてしまった。 反射的に振り返る。日が暮れて真っ暗になった市街地、そんな中にいたのは…… 「……?」 「良かった……露伴さんも無事だったんですね」 とんでもなく目付きが鋭い一人のガキがいた。 ★ 日はもう沈んでしまった。真っ暗な住宅街はに蛍光灯がぽつりぽつりと等間隔に置かれている。 そんな暗闇の中で互いの表情はよくわからない。 二人が目指す先は西、中央にそびえ立つコロッセオ。あれだけ目立つ目印だ、他の参加者が集まっているだろうというのが二人の考えだった。 二人は小さい声ではあるが話しながら歩いている。いま話しているのは早人だった。 「でもその時僕はわかったんです。ウェザーさんは死んでしまった。ウェザーさんは僕の知らないどこかで死んだ」 オインゴはあえて立ち止まって情報交換をするようなことはしなかった。 オインゴは露伴と早人の関係を知らない。どれぐらい親しいのか、どれぐらい長い付き合いなのか。 逃げることができない状態で変身を続ける恐ろしさをオインゴは身をもって知っている。 だからこそ、いつでも逃げれるような状況を作った。 いざとなったら走って逃げよう。相手は子供、その上怪我もしてるんだ、おいつけられるわけがない。 そう思い、オインゴは移動しながら情報交換を続ける。早人の言葉に適度に相槌をうちながら、全神経を耳に集中させる。 「そこから先は正直言ってあんまり覚えてないんです。ただ探し回りました。町中を走って転んで倒れて……とにかく必死だったんです」 「それはまたなんで?」 「ウェザーさんの仇を討つため……ウェザーさんを殺したやつを殺すため」 闇夜に紛れて何者かが襲ってこないかと周りに向けていた視線を早人に向ける。 露伴に化けていたことも忘れオインゴは思わず表情を変えてしまった。 ブッとんでるぜ、率直にそう思った。 (仇討ちだァ? 馬鹿か、こいつは。億恭の話だとこいつはスタンド使いでもないはずだ。 こんなちっちぇガキがスタンドもなく武器もなく誰かを殺ろうなんてクレイジーすぎる。 しかも殺した相手もわからねぇ、生きているかどうか、そんなことすらもわかんねぇんだ。 これはもはや頭がおかしいだなんてレベルじゃねーぜ……) だがいい情報源であることは確かであった。辛抱強く前後の話、周りの状況を聞き出していくオインゴ。 早人の話が終わる頃には死んだ参加者を含むと実に10人以上の参加者の情報が手に入った。 もっとも中には役にたたない断片的なものもある。だがそれだってうまく使えば他の参加者からの信頼を得る武器になるのだ。 まさに今、オインゴがやっているように。 「……僕の話はこれぐらいです」 「そうか、ずいぶんと苦労したんだね。まったく……君には同情するよ」 夜の町に二人の足音だけがこだまする。 オインゴはかける言葉がみつからない、と言った振る舞いをしつつも、頭の中では別のことを考えていた。 情報を得た今、早人をこれからどうするか。オインゴは考える。 このまま走って逃げるという選択肢もある。露伴の悪評を振り撒くことにもなるし、それはそれでメリットがある。 その一方でこのまま早人と一緒にいる、という選択肢もありだ。 二人いれば誰か他の参加者と会ったときに信頼を得やすい。仮にゲームにのった者に見つかっても早人を囮に使うこともできる。これはこれで魅力的に思えた。 (けどよォ……) オインゴはその一方でどこかに不安を覚えていた。 早人はもしかして自分の変装を見抜いているのではないか。何か自分に隠している『とっておき』があるのではないか。 自分の体がどうなろうとも仇をとってやるという執念。そんな気持ちをオインゴは理解できない。 理解できないから底が知れない。底が知れないから何をしでかすかわからない。 オインゴは早人が持つ『可能性』に恐怖した。早人が持つどす黒くも確固たる『意志』を驚異に思った。 (……まぁ悩んでも仕方ねぇ。とりあえずの信頼は得たんだ、このまま同行してみるか。 問題は本人に会っちまった時だが……それを考えてたら何もできねぇしな。さすがにそれぐらいのリスクは負うべきだろ。 とにかくこのガキに出会えた幸運を生かないと俺に明日はない。これがラストチャンス、次があるだなんて甘っちょろい考えじゃダメだ) そこまで考えるとチラリと早人へ目線を向ける。足に怪我を負った早人が遅れていたのだ。 いつの間にかできてしまった間を縮めようと、オインゴはその場に立ち止まった。 その瞬間、ゾワリと全身の毛が逆立ったかのような感覚に襲われた。 身体中の毛穴が開き、汗が一気に吹き出してくる。 オインゴはこの感覚を知っている。 自分が仕えているDIO、彼が持つ絶対的な力と殺気、暴力の匂いと死の香り。 体が思うように動かない。ブリキ仕掛けの人形を無理矢理動かすように自分の体を動かし、なんとか振り向いた。 だが誰もいない。 蛍光灯の周りを虫たちが飛び回っているだけ。 人一人いない静かな住宅街は何も変わらず、ただオインゴたちを無表情に見返してくる。 「露伴さん……」 だが違う、気のせいであることなんてあり得ない。隣に並び立った早人がオインゴの腕にしがみつく。 早人も感じ取っているのだ。この圧迫感を、隠しきれない威圧感を。 闇夜に目を凝らしオインゴは周りを警戒する。だが敵を見つけたとしてもどうすればいい? 自分は化けるだけのスタンド使い。隣にいるのはわけがわからないブッとんでるガキ。 正直言ってどうしようもない、お手上げだ。 (死ぬのか? 弟に、ボインゴに会えず、俺はここで、死んでしまうのか?) 膝が震える、喉がカラカラだ。絶望と恐怖にオインゴは押し潰されそうになる。 自分は何もできない。ただここで死を待つだけなのではないか。それでも死にたくない。生きて弟の元に帰りたい。 無意識のうちにオインゴはしがみついてきた早人を庇う。 今まで弟に対してしてきたように、兄として守ってやる存在を庇うように。 二人は震えながらお互いを支え合っていた。 実際にそうしていたのはわずかな時間だろう。けれども二人にとっては果てしなく長い時間がたったように思えた。 唐突に二人の見ている前で遠くの街灯がプツリと音を立てて消える。 そして次にまた一つ、そしてまた一つ。電気がきれる音に紛れて足音が近づいてくることも二人はわかった。 だが動けない。蛇に睨まれた蛙のように二人は竦み上がった。どうしようもない圧倒的な存在を前に二人は無力だった。 一つ、更に一つ。近づいてくる人物の顔が見えない内に、まるで図られたかのように光が消えていく。 そしてとうとう二人の目の前で最後の光が消え、辺りは真っ暗になった。 「人間と人間でないものの違いとは一体何か? 考えてみればこれは興味深い問題だ……。 言い換えてみると……そうだな、人間が人間であることを証明するのは一体何なのだろうか?」 雲間から月の光が男を照らし出す。二人は息を飲んだ。 腕を伸ばせば触れる距離に立つ男、その姿は美しかった。 神々しいとも言えるしなやかな肉体、人の上に立つものが出すカリスマ的な迫力。 恐怖を忘れて二人は見つめる。男はそのまま話を続けた。 「人間……なぜ人間はこうも栄えたのか? なぜ人間は進化したのか? 人間とほかの動物の違いはなんだ? なぜ人間より優れた我々は滅んでしまったのか?」 二人の前に立つ男、エシディシの目線は二人に向いていない。 遠く月をにらみつけ、今しがた自分が出した問題に答えを出そうと考え込んでいる。 はたして彼は二人に気付いているのか、気づいていながら無視しているのか。 二人にはわからない。 ただ二人にできることは、目の前の男がなにもせずに通りすぎてくれるよう願うことだけだった。 「カーズが一族を皆殺しにした。ふむ、確かにそれもあるだろう。直接的な原因はそうだ、カーズにあるのだろうな。 だが果たして本当にそれだけか? カーズが全て悪いのか? あの太陽を克服しようとした、黄金のような『夢』を持った天才が?」 体全体を使い男は熱弁をふるう。たった二人の観客に身振り手振りを交えエシディシは叫ぶ。 呪われた一族の終わりを二人は黙って聞くしかできない。エシディシの話は続く。 「いいや、違う! 我々は恐れていたのだ! カーズの持つ夢が全てを食らいつくしてしまうのではないか、さらなる力は争いを生むだけではないか、と。 そう、我々は立ち向かう(stand up)ことをしなかっただけだ! カーズが可能性に賭けて立ち向かうならば、我々一族も同様に立ち向かうべきであった。 全ての生命を貪り尽くすのでは? その恐怖に立ち向かうべきだった。さらなる争いを生むのでは? その現実に立ち向かうべきだった。 人間がしてきたように、だ。 」 力強く話していたエシディシの声がやがて落ち付いてくる。最後の『人間』という言葉を強調するとともに彼は頭を垂れた。 その姿は死んだ一族を悼むように見える。人間に敬意を表しているように見える。 月明かりの中、住宅街の一角で静かに目をつむる大男。何とも言えない不思議な光景であった。 「だからこそ、俺は敬意を表するッ! 如何なる巨大な力を前にも屈しない人間たちに! 自分が死ぬ、そうわかっていても立ち向かってくる人間に!」 三人の傍をかけぬけるように風が吹いた。雰囲気が変わる。 黙っていた二人は本能的に身を縮める。今初めてエシディシの目線が二人に向いた。 演説を行ったときに見せた輝くような眼ではなく、養豚場のブタを見るような冷たい目だった。 自分たちは実験動物だ、二人は本能的に悟った。 そして今から自分たちにとって碌なことは起きない、と。 エシディシが軽く腕をふるう。 なんでもない動作だった。まるで優しく壁面をなでるように傍らに立った電柱に拳をぶつける。 それだけでひびが走った。拳を中心に電柱が軋みをあげて崩れ落ち、二人のそばに轟音を立てて倒れこんだ。 ゴォォオン……という音とともに砂埃が舞う。オインゴの額を汗がツゥ……と伝い、水滴となって顎より地面に落ちた。 勝てない。いや、そもそも戦う、なんて考えが馬鹿げてる。 こいつは、この男は化け物だ。 逃げようという気持ちさえ湧いてこなかった。 ただ俺は死ぬんだな、という諦めの感情が湧きあがった。決定的だった、どうしようもなく。 後悔はなかった。弟の顔を思い出しながらオインゴは死にゆく自分の運命を受け入れた。 エシディシがそっと手を伸ばしてくる。オインゴの顔を握りつぶそうとその手が迫ってくる。 だが何もできない、何もしない。オインゴは眼をつぶった。 どうしようもなく、どうしようもなかった。 「さっきの問題……答えは何なの?」 そんな時目を堅くつぶったオインゴの耳に声が飛び込んでくる。とてつもなく場違いに思えた。 うっすらと目を開くと視界いっぱいにエシディシの掌が映っていた。だがエシディシの目線はこちらに向いていない。 オインゴの隣に立つ早人はいつのまにかオインゴから離れ、エシディシをにらみつけていた。 エシディシがうっすらと笑う。 依然オインゴの顔を握りつぶそうとしたまま早人に言葉を返す。 「さっきの問題というと?」 「人間と動物の違いは? っていう問題のことだよ。人間が人間であることの証明は? とも言ってた、あれ。 結局答えないから……少し気になったんだ…………」 「そうだな……逆に俺はそれが知りたくてこうしている。この答えでは駄目か?」 「駄目だね。少なくとも僕からしたらお前は考えるのをやめてるように思える。 脅迫に近い形で答えを出そうなんて形がそもそも間違ってるんだ。本当に答えが知りたいなら……僕だったらそんなことはしない」 なんだか雲行きが怪しくなってきた。オインゴは今度こそしっかりと目を開き早人のほうを向く。 怪物を前に一歩も引かない早人。実験結果を楽しそうに分析するエシディシ。 オインゴを蚊帳の外にし二人の話は続く。早人が挑むような口調で言葉を口にする。 「あんたは人間を知りたいと思いながら人間を殺してる。すっごい矛盾だ。僕はそれが気になる。 もしかしたらあんたは人間を恐れてるんじゃないか……? 敬意を表するだとか人間の底力が知りたいだとか言ってるけどあんたは心の底でどっか不安を抱えてるんじゃないか?」 「ククク……このエシディシ、かれこれ10000年ほど生きてるがこれほど俺をなめきった小僧は貴様が初めてだ…… そもそも俺は『人間か動物かどうか』なんぞどうでもいいのだ。ただ人間の底力、それだけは認めているがなァ」 「……」 「だがこの俺が人間を恐れる? 人間が俺を超える? 下らんなァ…下らんなァアアーーーーッ! いいか、小僧ッ! 頂点に立つのは俺だッ! このエシディシだッ! もはや太陽も克服した! スタンドも手に入れたッ! 力、スピード、戦闘技術! 不死身、不老不死、スタンドパワー! そんな俺が食糧以下の人間を恐れることなどなかろうがァーーーーーッ!!」 「いいや、違うね。少なくとも僕は知ってる。あんたを跡形もなく粉みじんにできるスタンド使いを僕は一人知ってる」 「何?」 「俺も一人ほど心当たりがあるね……」 オインゴは恐怖も変身していることも忘れそう付け加えた。 今の今まで死ぬ覚悟をしていたのがうそのようだ。隣に立つ早人が頼もしい。 エシディシに向かって満面の笑みを浮かべてやる。正直ひきつらずにやれたかどうか、自信はないが。 それでもオインゴは口を開いた。隣に立つ早人もエシディシに向かって啖呵を切る。 「その方はまぎれもなく地上最強だ……。あんたと違って恐怖だの尊敬だのそんな感情すら抱かない。 ぶっちぎり自分がトップだと信じてるお方だ。少なくともあんたとは引けを取らない……。 いや、それ以上だと俺は思ってるぜ」 「そいつはものすごく『人間らしい』やつだよ……平穏な生活を第一にして植物のような生き方を望んでる。 能力はあるくせにそれを他人に見せようなんてことはしない。それを見せるときはあいつが誰かを『殺した』後だからね」 エシディシは黙って二人を見ている。さっきとまでは打って変わってその顔には余裕が見てとれない。 青筋がピクピクしているのがわかった。だがなぜかそれが愉快に思える。 今度こそ心の底からオインゴは笑った。おかしかった。史上最強と言いながら必死で人間を駆逐するエシディシに親近感が持てた。 早人が叫ぶ。 「これからあんたは僕たちを殺す。でもあんたは自分が自分が思った通り強いものなんかじゃない。 荒木の掌の上で転がされ、その中で必死で叫んでる井の中の蛙だ! 自分より強い存在なんかいない、そう言い張ってるくせに自分より強い存在はここにはいるんだ!」 エシディシが一歩だけ近づいてきた。オインゴの顔から手を離すとそのままその腕を振り上げた。 「お前は馬鹿丸出しだッ! あの世でお前が来るのを楽しみに待っててやるぞッ!」 早人の叫びが住宅街に響いた。そしてエシディシが腕を振る。 何かが砕けるような音がその後に続いて聞こえた気がした。 ★ たった今、ほんの少し前まで男と二人がいたところに視線を向ける。 電柱が丸丸一本折れ、地面には直径1メートル強のクレーター。 改めて考えるとゾッとする話だ。今になってもオインゴは自分が助かったことが信じられない。 荒れる息を整える。呼吸と鼓動が生きてることを実感させてくれた。 冷えた体、乾いた汗が急激に体温を奪っていく。このままいたら風邪をひいてしまう、そう思ってオインゴは立ち上がった。 さっき自分はこう思った。のんびりしすぎたかねェ、と。 だが一休みしないととてもじゃないが動けそうにない。休んだばかりだというのにひどく疲れたように思えた。 重い体を引きづり、近くの民家に倒れこむように入る。 また引き籠りか、自分よりちっさいガキが元気に走り回ってるっていうのに……。そう思うとひどく情けない。 だが仕方ないのだ。自分は自分、あいつはあいつだ。 それがオインゴなりの生き方なのだから。 オインゴはリビングに入ると窓越しに川尻早人が去って行った方向を見る。 短い付き合いだった。いずれ優勝を狙っている自分としては早人は殺すべき存在だ。 だというのにオインゴはなぜだが少しだけ死んでほしくないと思った。 少なくとも自分では殺したくないと思った。 そこまで考えて、オインゴはソファーに倒れこむ。目をつぶるとたちまち眠気に襲われた。 「ああ、そうか……」 何かに気付いたのか、オインゴはひとり呟く。 ゴロンと仰向けになるとちょうど窓から月が見えた。 きれいな満月だった。 「俺はお前に、ボインゴに、あいつみたいに立派になってほしいんだなァ……」 ちっぴりセンチメンタルな気分になるオインゴだった。 【F-4 中央の民家/1日目 夜】 【オインゴ】 [スタンド] 『クヌム神』 [時間軸] JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後 [状態] 身体的疲労(小)、精神的疲労(小) [装備] 首輪探知機、承太郎が徐倫に送ったロケット [道具] 基本支給品×2(食糧をいくらか消費:残りはペットボトルの水1本、パン1個) 青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、潜水艦 [思考・状況] 基本行動方針:積極的に優勝を目指すつもりはないが、変身能力を活かして生き残りたい。 0.疲れた…… 1.ひとまず情報収集の為、他人と接触したい。 2.他人の顔を使って悪評を振り撒こうかなぁ~。できれば青酸カリで集団に不和を起こしたい。 3.潜水艦はある程度使うが、引きこもる事は危険なのでもうしない。 [備考] ※顔さえ知っていれば誰にでも変身できます。スタンドの制限は特にありません。 ※承太郎、億泰、露伴、ウェストウッド、テレンス、シーザー、ジョージ、グェス、ホルマジオの顔は再現できます。 ※エルメェス、マライア、ンドゥール、ツェペリ、康一、ワムウ、リサリサの死体を発見しました。 しかし死体の状態が結構ひどいので顔や姿形をを完全に再現できるかどうかは不明です。 ※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。 ★ 「ハァハァハァハァ…………!」 もつれる足で必死に走るも目的の人物は見えてこない。一度立ち止まると早人は流れ落ちる汗をぬぐった。 右足がひどく痛む。当然だろう、無理矢理くっつけたものなのだ。 縫いつけた辺りを軽く叩いてみるがあまり効果はない気がする。 気休め程度にはなるだろうが根本的な解決にはならない。それでも痛みはいくらかひいた気がする。 足の持ち主のことを少し思い出した早人だったが、呼吸が整ったのをきっかけにまた走り出す。 とにかく走らないければならない。でなければあの化け物には到底追いつけないだろう。 吉良吉影という利用相手を見つけるのはなかなか難しい。 植物のように平穏な生活を望む。彼はきっとここ、殺し合いの舞台でもそんな心情を大切にしているだろう。 だからこそ、このチャンスを逃すわけにはいかない。 エシディシという巨大な力、これを逃すわけにはいかないのだ。これを逃したら次はない。 具体的な策があるわけではない。ただあの時エシディシが自分を見逃したという幸運を逃したくない。 彼は言っていた、人間に興味があると。必死になって抗う人間が見たいと。 ならばそれは自分なのではないか? 今の自分ほど必死な人間はいないだろう。 いるかどうかもわからない相手に敵討ち。冷静に考えれば途方もなく馬鹿馬鹿しい。 だがそれでも、それだからこそ早人は必死でいられたのだ。 少し走ると十字路に出た。辺りを見渡すも大男の影は見当たらない。 見失ってしまったのかだろうか、ゆっくりと早人の中で失望が広がっていく。 膝の力が抜けた早人は思わずその場に崩れ落ちる。 地面を見つめていると腹の底から何かが込み上げてきた。 怒り、悔しさ、ふがいなさ。形容しがたい激情に身を任せ、地面に拳を叩きつける。 今の自分は無力だ。 スタンドもない、武器もない。それどころか満足に走ることもできない。 「くそ……くそォ…………!」 死ぬことは免れた。でもそれだけだ、死んだまま生きていたって何の意味があるのだろう? 込み上げる悔しさ、湧き上がる失望。 早人は拳を振り上げては叩きつける。何度も何度も、そうやって振り上げては叩き下ろす。 そんなことしても何も変わらない。そんなことをせずに自分にはすべきことがあるはず。 ただわかっていってもそうするほかなかった。拳が真っ赤に染まり始めてもその動きをやめなかった。 早人は呪った。 スタンド使いになれなかった自分を。力を手に入れることができなかった自分の運命を。 静まり返った町に叫び声が響く。その声は悲痛で、虚しいものだった。 だが早人は気づいていなかった。そんな早人を見つめる男が一人いることに気付かなかった。 二階建ての民家の屋根によじ登り、エシディシは一人息を吐く。 顎に手をやるとふむ、とぽつりと唸る。視線の先には早人がいた。 「荒木の掌の上……か」 あの時何で二人を殺さなかったのか。理由は単純だ、気が変わったのだ。 激情に身を任せて二人を殺すのは簡単だ。エシディシにとって虫をひねりつぶすより容易い作業だ。 だが腕を振りかぶった時、思い出した。激昂してトチ狂ったところでなんもおもしろくない。 それよりこの二人だ……こいつらは見込みがある。 このエシディシ相手に見えを切った人間たち……死ぬ間際だったというのに彼らの目は死んでいなかった。 特にこの小僧はそうだった。あの男、ティッツァーノのように、どこまでもどす黒い目をしていた。 「俺に足りないのは……あれかもしれぬ」 緊張感、自分が死ぬかもしれぬという生き物の原点。 殺意、生き残るため相手を踏みにじるという行為。 波紋と一緒だ、とエシディシは唇をかみしめる。 宿敵波紋使いがその力を一点集中させた時、彼らは途方もない力を発揮した。 「結局貴様ら人間か……」 ゆっくりと腰をおろし屋根の上で胡坐をかく。 この後自分がどうするか、時間はたっぷりある。焦る必要もない、ゆっくり考え成長するのもいいだろう。 だというのにエシディシの目つきはどこまでも鋭い。 なにを考え、なにを見つめているのか。そしてこれから何を見ていくのか。 それはエシディシにもわからなかった。 【F-4 南部/1日目 夜】 【川尻早人】 [時間軸]:吉良吉影撃破後 [状態]:精神疲労(大)、身体疲労(中)、腹部と背中にダメージ大(応急手当済)、上半身ダメージ、右手人差し指欠損、 漆黒の意思、殺意の炎 [装備]:なし [道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品×1(確認済み) [思考・状況] 基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。 0.くそォ…… 1.吉良吉影を脅し、ウェザーの仇をとるのを手伝わせる。とりあえず吉良を探す。 2.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも・・・ 3.荒木の能力を解明したい [備考] ※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。 ※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。 歩いたり、走ったりすることはできるようです。 ※ある程度ジョセフたちと情報交換しましたが、三人を完全に信用していないので吉良吉影について話していません。 ジョセフも本人かどうか半信半疑なので仗助について話していません。 ※第二回放送をほとんど聞いていません。「承太郎の名前が呼ばれた気がする」程度です。 【エシディシ】 [時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間 [状態]:人間の強さを認めた [装備]:『イエローテンパランス』のスタンドDISC [道具]:支給品一式×2、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部~6部コミックスの最初に載ってるあれ) 不明支給品0~2(確認済み)、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、ブラックモアの傘 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いに優勝し、全生物の頂点にッ! 0.??? 1.南で参加者を殺して回る 2.億泰には感謝せねばなるまい。 3.常識は捨てる必要があると認識 4.ドナテロ・ヴェルサスを殺す際にメッセージを伝える。ヴェルサスの『進化』(真価)に期待 [備考] ※時代を越えて参加者が集められていると考えています。 ※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました 。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています ※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。 ※『イエローテンパランス』の変装能力で他者の顔を模することができます ※頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。 ※この後どこに向かうかは次の書き手にお任せします。 ※イエローテンパランスはまだ完全にコントロールできてません。また具体的な疲労度などは後続の書き手さまにお任せします。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 175 助けて! 上野クリニック! エシディシ 184 『因縁』同士は引かれ合う 171 Danse Macabre オインゴ 195 生きることって、闘うことでしょう? 176 七匹の子ヤギ 川尻早人 192 迷える奴隷 その①
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お祝インゴッド ハーフアニバーサリー記念期間限定エールの一つ。 概要 起源は2021年10月18日のユージェネ内におけるお知らせ。 「「高級花輪」「ハーフアニバ花火」「お祝インゴッド」「スターマイン花火」は今後再登場する可能性がございます」 インゴットだ、二度と間違えるな。
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ボインゴ、ボインゴよ。 兄ちゃんはここでいつまでもだらだらするわけにゃあ行かねえよな? だって考えてみろよ、ここではゲームに乗ってる奴と乗って無い奴が必ずいるだろ? 乗ってるやつは基本単独で動くだろうからここでは置いとくぜ。 だが乗って無い奴等は当然、仲間を集めて荒木を倒して脱出だ!って考えるわな? つまり俺が引きこもってる間に、どんどん組織的になっちまうってことだ。 結束が固まり、集団外の人間に対して警戒心が高くなる。 そんな中に俺が入れるか、ってえ話だよ。 スタンドは戦闘できない、人望も無い、そもそもほとんど知り合いがいねえ。 今のうちに誰かとのパイプを作んなきゃなんねえ。 自分の命以外どーでもいいけどよ。孤立化は避けたいところだぜ。 ひとまず他人になりすまして悪評振り撒きつつ情報収集…だな。 あーでも、潜り込めそうな集団に潜り込むってのもやってみるべきかもしんねえな。 何よりも、いつでもチケットを使って逃げられる、これはでかいぜ。 早くお前のとこに帰んなきゃあ、俺無しじゃお前は他人と口もきけねぇからなあ…。 今まで何もし無さ過ぎた兄ちゃんを許せよ。 まあ安心しな、最後に一人で笑うのは兄ちゃんなんだからよ。 つーわけで、遅れを挽回するために一先ず潜水艦を降りて、行動開始してみたんだぜ。 で、鏃の反応を頼りに歩いてたら大泣きしてる女を見つけちまったわけだが。 さーて、顔はどうしような? 承太郎は実は生きてましたってことにしても良いんだが、あいつのキャラを演じ切る自信が無いぜ…。 億泰に散々怪しまれたしよぉ。 ここはそうだな、名前と顔と喋り方がわかってる「露伴」にするぜ。 元々傲慢ちきな性格らしいから、悪評振り撒くにはもってこいじゃね? この女が露伴の知り合いじゃなきゃあやりやすいんだが、そこは懸けるしかねえ。 服は元の服で行くしかねえな。 待ってろよォォー、兄ちゃんすぐ帰るからな! ※ ※ ※ ヴェスヴィオの火山灰に埋もれた街、ポンペイ。 美しかったローマの属国を覆い尽くしたその灰は、既に風に散った後。 地面に横たわり朽ちた建築物も、今は植物の繁殖にその身を任せている。 だが、滅びと再生を一処で体現する美しい世界遺産も、己の虚無にむせび泣く者には只の陰気な石の塊でしかなかった。 乾いた石畳に涙が落ち、染み込む。 それを霞む目で見つめながら、女は泣く。泣き続ける。 ひんやりとした地面は彼女の体温を奪い、無為な時間の経過を実感させるかのようだ。 「あー、おい。君…」 「!!」 突如降ってきた声に、女は肩を弾ませて驚く。 岸辺露伴の顔をしたオインゴは相手の反応に自分も驚きそうになるのを抑えつつ、目の前の女を安心させるためさらに言葉を続けた。 「そんなに驚く必要は」 「う、うるせェエェー!あ、アタシに、チャラチャラ、は、話しかけてくんじゃねえェェエー!」 なだめるようなオインゴの調子を遮り、しゃくり気味ではあるが大声でどなり散らした女。 その声にポンペイの遺跡は反響し、空気を震わせてもなお静寂を押し返す。 差し出しかけた腕を盛大にはじき返され、オインゴはひきつった笑いを控えることができなかった。 (ゲェー、なんかしらんがプッツンしてやがるぜぇ…人選しくったか?) とはいえ、膠着気味である己の状態を打破するためには、他人とコミュニケーションを取る事が必須である。 この女、今見ただけではどういう状況なのか判断が難しいが、何か精神的ダメージを存分に受けている事だけはよく伝わってきた。 しかし殺し合いの最中に一人で泣きわめく女…こんな奴と関わって何か得があるのか。 迷った時は己の直感を信じ、即断即決。 オインゴは諦める事を決意した。 無言で踵を返すと、立ち去るため足を一歩踏み出す。 いそいそと五歩、六歩…そこで足に感じる違和感。 大の男である自分の歩幅が、小さいのだ。 前に進んでいる気がしない。 後ろを振り返ると、思ったよりもずっと近くに女がいる。 オインゴは一瞬何が起こっているのか分からずキョトンとした表情で、うずくまる女を見つめた。 「待ちな…。」 呆けるオインゴにそう言うと、先程まで座り込んで身も世もなく泣いていた女がフラリと立ち上がった。 オインゴは女を見上げる。 そもそもこの時点でおかしいのだ。 なぜ、長身であったはずの自分が、女を見上げるような格好になっているのか? 女の表情は影になりよく読めないが、足元には小さなスタンドのヴィジョン。 オインゴの背中を冷や汗が伝う。 攻撃、されている? オインゴはぎこちなく首を動かし、震えながら自分の体を見た。 手足のサイズが明らかにおかしい。 地面が近い。女の影が自分を覆い隠さんばかりだ。 「アタシはもう…狂人でいい。」 女、グェスは大きく宙を仰ぎ、眼は空を見ていた。だが瞳は虚を捉えて、ただただうつろ。 がくがくと震える足で逃亡を試みた小さな身体を軽くつま先で蹴飛ばす。 スライディングよろしく前へとつんのめり、数十センチすべるオインゴ。 小さくなったがゆえの激しい衝撃。 全く無意識のうちにスタンドを解除している己にも気が付くことができない。 元に戻った砂まみれの顔で手足をばたつかせ、匍匐前進の真似ごとを試みる様は壊れたねじまき人形の様だ。 「狂っていていい。元々まともなオツムなんて持ち合わせてなかったんだ。…あっちも狂人、こっちも狂人。何が起こるか分かりやしない。キャハハ…!」 空笑い、グェスはオインゴの衿首を造作もなく摘み上げると自らの眼の高さまで持ち上げて、下まぶたを膨らませる邪悪な笑いを晒す。 顔から血の気を引かせ、手足をばたつかせつつもオインゴは己のポケットへと手を伸ばしていた。 チケット。 後数センチ、それで助かる。 「さあ、楽しいィィダンスの時間だぜェェ?アタシの手のひらで最高にハイなタンゴを踊ってよ、ベイビー。」 「うおおぉぉ、だ、ダービィィー!」 叫んで身体を闇雲に捻り、己の身を鷲掴みにせんと迫っていたグェスの大きな手から抜け出すことに成功した。 地面に尻もちをつき、起き上がって走り出しつつ、ポケットから取り出した紙切れ。 それを開いて呼びかければ、フィールド外の小島へと自分だけを導いてくれるはずだった。 「待ちやがれミジンコ野郎ッ!ちくしょう、踏み殺してやる!みんなみんな踏み殺すッ!」 だがグェスも諦めず、転送が行われるよりも一瞬早く、今は小さなダービーのディバッグを引っ掴んだ。 ※ ※ ※ 「もー。なんて言うかさぁ…」 吹き抜ける海風。 頬を撫でて過ぎゆくそれは、寄せては返す潮騒と溶け合いながら遥か水平線を目指す。 海面を射す日光は、その情景に煌めきの彩りを添えていた。 「支給品ってのは、頑張って貰うためにサービスしてるんであって…別にこう使えって強制はしやしないけど…。」 ここは命がけのパラダイス。 命をチップに嗜むのは、ギャンブルという甘く、危険な最高の美酒。 そこに躍り出た一組の男女は、まずその場の明るさに瞳孔を細める。 そんな彼らに気だるげな視線を投げるのは、奇妙なタトゥーを顔面に施した男。 掛けていた椅子からゆったりと腰を浮かせ、礼を一つ。 彼の口から紡ぎ出されるのは機械的な自己紹介。 男の丁寧な物腰に来訪者である男女はたじろぐも、沈黙を貫いた。 さらにその様子を地下にて眺める楽園の主。 白い穴のような部屋で一人、背徳に酔いしれる荒木飛呂彦は呟いている。 目の前に放り出されたおもちゃをどう楽しむか、心を躍らせつつも困ったような様子で。 「サボられると、困るんだよね。」 首をゆるゆると左右に振り、あきれたような微笑を浮かべた。 彼はサイドに置いた携帯電話を軽快に開くと、ボタン上に指を走らせる。 「あ、僕。うん。今来たでしょ?ギャンブル?違う違う、そいつそんな気全ッ然無いから。ちょっと聞いて。」 足を高く組み直して、携帯を耳に当てている腕の肘に反対の手を添える。 座った柔らかな革のソファーが、上質なその枠組みを軋ませた。 「あのさー、そこは賭けごとをして色々楽しむとこなわけ。逃げ場所じゃあないの、でしょ?」 スピーカーからは不明瞭な音が漏れ聞こえる。 荒木はぴょんぴょんと組んだ方の足でリズムを取りつつ、会話を続けるのだった。 そして通話先と2、3言交わし、話はおおむねまとまった様子を見せた。 が、そこで彼は眉間にしわを寄せると、拗ねた子供の様な雰囲気を作る。 「あー、でもまた君ぶつくさ言って来ない?前も言ったけど、駒に手を加えるくらいいいでしょ?」 スピーカーからは短い返事が聞こえる。 「そう言うと思ったけどさー。それに君はギャンブルするために呼ばれてるんだし。逃げてきた奴と談笑なんて壁と喋ってた方がましとか思うクチかなって思ったんだけど。」 また短い返答音。 「いやあ、まともに君が同意してくれたのって初めてかも、ありがとね。あー、ゲームするかどうかは彼らに聞いてみてね。じゃ、よろしく。」 携帯電話をはたと置くと荒木はにんまりと舌を出し、楽しそうに笑う。 「あ、彼の事言い忘れちゃった…なんてね、ワザとだよー。ごめんね、ダービー。」 クスクスという忍び笑いが、白い部屋に満ちた。 ※ ※ ※ 携帯電話を静かに閉じ懐に仕舞うと、テレンス・T・ダービーは改めて来訪者に向き直った。 グェスはオインゴを宙にぶら下げたまま、怪訝そうな顔でダービーを凝視する。 オインゴは空中ブランコの様に大きく左右に揺れ、拘束から逃れようともがき続けていた。 ここで沈黙を破ったのはグェス。 「ヘッ…OKOK。今さらこんな事なんかで驚かねぇぜ。で?てめー今誰と喋ってた?」 彼女は腰に片手を当て、暴れるオインゴを地面に叩きつけた。 2度目の大きな衝撃に悲鳴を上げるもなんとか起き上がり、オインゴはダービーの方へと走り寄る。 逃げ込んだ靴の陰からグエスを伺いつつ、小さな声でわめく。 「ダービィィ!この女、イッちまってる!俺の姿を見ろ!助けろよ!な、オイ!」 その切実な願いを聞きダービーはにっこりと笑うと、手のひらで優しくオインゴを掬い上げた。 オインゴは心底ほっとした表情をし、口を緩ませてダービーと目を合わせる。 次の瞬間、ダービーは輝く様な笑顔をそのままに、斬首役人の様な躊躇の無さで言い放つ。 「お断りだ。」 ここでオインゴは焦っても、諦めることはしない。 まずい手を正し、うまい手へと変える努力をする。 彼は不器用ながらもチェスの駒を進め、自分の有利になるように盤上を整えようと画策する。 彼はいつだって心得ている。 強者に付き従い、その庇護を得るためにはまず、相手を喜ばせること。 「お、お前の言う事なら何でも聞くからよ。ここは見逃してくれ。あの女だけを元の場所に還らせれば済む話じゃねえかッ。」 「寝言は寝てから言うものです、オインゴ。いいか、私は誰の味方でも無い。ましてやここは賭博場。街角のカフェじゃあない。」 しかし近付く不幸は、その人間から一切の方法を奪い取るのだ。 ダービーはオインゴが手に握っていた小さなチケットをつまみ取ると、用も興味も無くなったと言わんばかりに、砂の上にオインゴを放り投げた。 オインゴは3たび訪れた落下の衝撃に耐え、なんとか着地を成功させる。 荒木の依頼はこれだった。 『チケット支給の目的にそぐわない使い方をする者、それを所持するべからず。』 「ち、ち、ちくしょう!覚えてろよ!?ぶっ殺す、てめえらぜってえぶっ殺すからな!」 オインゴが怒りに震えながら地団太を踏み、啖呵を切った時。 新たな駒がその沈黙を破った。 「ハッ…、しょーがねえなあ~。」 その声はグェスの背後より投げかけられた。 同時にグェスの腕をひねり上げ、拘束する第三の男。 突如感じた背後からの気配にグェスは振り向くことも叶わず、苦痛に顔を歪ませる。 「痛ってえなオイ!触んじゃねえよ、誰だてめえ!グーグードール…」 「やめな、無駄だ。」 グェスは何か尖った冷たいものが首筋に当たっている事に気が付く。 自分の状況を飲み込み、拘束をほどこうともがくのをやめる。 額に背中に、冷や汗がどっとわき出るのを実感するグェス。 大人しくなったグェスに男は満足し鼻を鳴らすと、耳元で低く脅しをかけてきた。 「言うまでもねーが、万年筆でも十分凶器になるんだぜ?おっと…お前のスタンドを使うか?ならこっちもスタンドを使うぜ、中々面白ぇ事になるだろーがよ。」 「…貴方は…ホルマジオ様。」 日光が作る濃い影達は微妙に揺らぎながら、お互いの動向を探り合う。 ホルマジオを除く3人の中に、グェスのデイバックが小さく開いている事に気付く者はいない。 先程まで身を潜めていた場所、狭いバックの中から外の空気に触れたホルマジオは大きく深呼吸をし、影のある笑みを作る。 プロシュートと別れてきた、あのこの世の掃き溜めの様な場所で。 あいつのスカしたスーツはぼろぼろで、血まみれ泥まみれ。 どうしてあんなボロカスみたいな死にざまになっちまったんだって、俺はそれが悔しくて。 あいつに何があったのか分からない、それが悔しくて。 何で死んだ、何で死んだって詰め寄っても、あいつ、答えやがらねぇ、それが悔しくて。 でも。 あいつの弟分は、まだ生きてる。 リーダーも、まだ生きてる。 そして俺も、まだ生きてる。 Low life___安っちい人生。 だが俺はまだこの舞台で踊る、踊り続けてやる。 例え荒木が俺たちを生ゴミの親戚くらいにしか思っていないとしても。 ホルマジオは唇に浮かんだ笑みを深める。 彼は背負った業を覚悟の炎で燃やし、この地獄の舞踏会に臨むのだ。 姿を現したのは、情報を収集するため。 テレンス・T・ダービーという名簿外の人間の存在。 当然荒木と通じているのだろう。 ならば拷問をしてでも情報を聞き出す価値がある。 しかし、その目論見は失敗に終わった。 曰く、テレンスも広義では参加者であり、荒木に付いて何を知っているわけでもない事。 曰く、この島と施設、ダービー自身ははいわゆる「支給品」であり、それだけの存在である事。 曰く、正規の情報を得るためには先ほど述べられたように魂を懸けたギャンブルというリスクを乗り越えなければならないという事。 突然の乱入者に心情を乱されるも、ダービーは説明しながら己の役割を思い出す。 同じく笑みを浮かべ、腕を軽く胸の前へ振りながら礼をした。 「さぁ…どうなさいます。ここは賭博場。魂を懸けるか、懸けないか。」 「チッ…プロ相手にそうやすやすと勝負には乗らねぇ。帰らせろ。」 ホルマジオはグェスに万年筆を突き付けたまま吐き捨てる。 見込みが外れた。何の策もない今の状態では負ける、確実に。 負けるとわかっていて向かっていくのはバカだ。戦うと言うのはそういう事ではない。 ホルマジオは職業柄、本能でそれを知っていた。 グェスは憎々しい背後の男を何とか振りほどく方法を必死に考えるも、相手の能力が不明な事に尻ごみをして全く行動に移せない。 オインゴは未だ小さい己の身を持て余しながらも、ダービーに呪いの言葉を呟き続けた。 「畜生、ダービィィ…覚えてやがれ、人でなしがァ…」 「これは心外。私は中立です。そんな罵りは的外れだな、オインゴ。」 承太郎の姿でこの島に現れた時、オインゴはばれていないつもりだったが、ダービーはしっかりと見抜いていた。 その時テレンスが完全に中立を貫くことで、自らが助かっていたとも知らず、オインゴは唸り続ける。 ダービーは3人を見渡し、片足を一歩下げるともう一度頭を垂れ腕を振り、己の役割の終わりを告げた。 「では、さようなら。グッドラック。」 ※ ※ ※ 「なんでだよ、ちくしょうッ。離せッ!アタシを放っといてよッ!」 場所はG-5、ポンペイ遺跡。 腕を拘束され、首筋に万年筆を突き付けられたまま、グェスは目を固く閉じて叫ぶ。 わめく彼女をよそに、ホルマジオは周囲を見渡し、他の人間がいない事を確認しつつ身を潜める場所を見繕っている。 そこでふとオインゴがいなくなっている事に気が付いた。 「あー、ちくしょう、さっきの小っこい奴は逃げたか…オイ、黙れ。じっとしねえと刺すぞ。」 ホルマジオは女をどうするのか決めかねていた。 如何に取り乱してるとは言え、殺し合いを止めるためにせめて情報収集くらいはせねばならない。 (しっかしこいつのスタンド能力…なんつーか、しょうがねーなァ…) 花京院のポケットから飛び出し、プロシュートの元を離れた先で再び見つけたのがこの女だった。 彼女のデイバックの中から全てを見ていたホルマジオだったが、自らとほぼ同じ能力者がいるとはまったく驚きで。 ふうと吐息をもらしつつも、今後の計画を瞬時に立てる。 ホルマジオは女が黙るまで待つつもりだ。 当然こちらに敵意があれば始末する。それは揺るがない。 しかし今は錯乱している感情を沈めなければ判断ができない。 このまましばらく黙らなければリトル・フィートを食らわせる事に決めていた。 スタンド能力、本人の性格、今の状況も顧みず泣き叫ぶ精神の幼さ。 どれを取っても同行させるには面倒くさそうな相手だ。 ならば持っている情報を全て頂き、小さくして持ち運んでやればそのうちおとなしくもなるだろう。 そして次に向かうべきはどこか、それはもう一度地図を見て考えなくてはならない。 プロシュート達の死に誓って、自分はゲームには乗らない。そう決めたのだから。 残ったチームの奴らが、一瞬でも優勝を考えた自分を受け入れてくれるかどうか、わからない。 (だが俺はまだ、まだこれからだ。まだやれる。まだ、生きてるんだからな。そうだろ、プロシュート、ギアッチョ。) 改めて万年筆が皮膚ぎりぎりのところまで押し当てられる。 金属質な切っ先の冷たさを感じ、グェスの目にはまた涙が浮かんだ。 全て失ってもなお、時間は過ぎ去り、己の身には起こらなくてもいいようなことが起こり続ける。 マップ外の島の存在を知り、そこに男がいる事、ギャンブルが行われている事、様々な情報が身の上を通り過ぎても、彼女には無価値だった。 今まで信じたかった事、好きになろうとした事、うまくいきそうだった事、全て全て、彼女の手を滑り落ちていく。 彼女は何も知らなかった。 徐倫も何も知らなかった 花京院も何も知らなかった。 只一人、一部の状況を分かっているフーゴは、保身ゆえに、その知能の高さゆえに、心を荒れるに任せるしかなかった。 お互い気持ちは近い場所にあったのに、状況が彼らを無知の状態に縛り付け、それぞれの心は遠ざかってゆく。 そして”知らない”のは”無い”のと同じなのだ。 悲痛な嘆きが再びポンペイ遺跡を訪れ、暗欝な響きを幾重にも反響させた。 【チーム・ザ・リトル結成?】 【G-5 ポンペイ遺跡/1日目 夕方】 【グェス】 【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後 【状態】:精神消耗(大)、疲労(中)、頬がはれてる、両腕にダメージ(中)、錯乱 【装備】:なし 【道具】:なし 【思考・状況】基本行動方針:ゲームに乗った? 0.離せよ、ちくしょう! 1.アタシは狂人でいい、みんな踏み殺してやる…でも、悲しくて何だかよくわかんないや…。 2.男の腕を何とか振りほどいて逃げたい。 【備考】 ※フーゴが花京院に話した話を一部始終を聞きました。 ※ダービーズアイランドを見ましたが、そこに何かがあるとは思ってません。→ダービーズアイランドが遠巻きに見た島だとは分かっていません。 ※馬がどうなったかは、次の書き手さんにお任せします →E-5繁華街を彷徨っていると思われます。 ※ゲームには乗ったつもりでいますが、悲しみによる錯乱が大きい状態です。落ち着いた後にどう考えるかは不明です。 【首輪について】 ※グェスが持っていた首輪は、ウィル・A・ツェペリ、ンドゥール、広瀬康一、ワムウの物です。 (現在、ワムウの首環は金属部分の一部が壊れていますが、頭につながる第二の爆弾は配線ごとくっついたままです。 中身が全て外に出されています、そして、信管と、爆弾の半分が無い状態です。) ※グェスは、首輪が付けていた本人が死亡すれば、何をしても爆発しないという事と、首輪の火力を知りました。 ※首輪についている爆薬は、人一人を余裕で爆死させられる量みたいです。 グェスは「もし、誰かの首輪が爆発したら周りの人間も危険な火力」と判断しました。 (ただし、首輪から取り出して爆破したからこの火力なのか ワムウの首輪だからこの火力なのかは不明です。) ※謎の機械はおそらく盗聴器、GPSだと思われますが、グェスは気づいていません 【ホルマジオ】 [時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。 [状態]:カビに食われた傷、精神的疲労(中)、肉体的疲労(中) [装備]:なし [道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(未確認) [思考・状況] 基本行動方針:荒木を『ぶっ殺す』! 0:踊ってやるぜ、荒木。てめえの用意した舞台でな。だが最後は必ず俺らが勝つ。 1:グェスが大人しくなり次第、情報を吐かせる。その後どこに向かうか決める。 (聞き分けが悪ければ攻撃し、大人しくさせる。さらにゲームに乗っているなら始末する。) 2:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。 3:ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。 4:ティッツァーノ、チョコラータの二名からもボスの情報を引き出したい。 5:もしも仲間を攻撃するやつがいれば容赦はしない。 6:仲間達と合流。 [備考] ※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ? ※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。 ※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。 ※チョコラータの能力をかなり細かい部分まで把握しました 。 ※ ※ ※ 「クソックソッ!」 一人、歩を進めながら帽子を取り、頭を掻き毟る。 オインゴは潜水艦には戻らなかった。 他者との接触は完全に出鼻をくじかれ、何よりも自分の切り札を失った。 それでも安全な潜水艦に戻らなかったのは、あれも支給品、つまりは荒木の息がかかっているものだから。 そこに引きこもっていれば潜水艦ごと爆発…などと言う事が起こりかねない。 首輪の爆発の方が現実的だが、オインゴはひたすら怯えて誇大な想像を繰り広げることを止められなかった。 何も知らずぬくぬくと寝ているうちに、海の藻屑。いかにもあり得そうではないか。 「ど、どうすりゃいい!?どーすんの俺!?」 オインゴは走る。 いつの間にか元のサイズに戻っているのは射程距離の問題であろう。何も不思議ではない。 それよりも、酸素不足で真っ白になりそうな頭でひたすら弟の所へと帰るために考える。 「優勝、それしか無ぇ…。」 ゴクリと喉を鳴らす。 バックに入っている青酸カリ。 これは飲み物などに混ぜると変質しやすい、致死量も200g前後と多く、はっきり言って毒殺には向かない薬品。 しかし、そう、問題なのは”使い方”だ。 誰も死なずとも、『誰かが毒殺を試みた』という疑いを起こせば、一気に疑心暗鬼が蔓延するだろう。 瓶を誰かの荷物に紛れ込ませるだけでも、状況次第では十分効果を発揮するかもしれない。 「でも、じ、自信無ぇぜ~…。とにかく目立たねーように、目立たねえように…こっそり動くしかねえな…。」 地図を開き、人の多そうな施設・場所に見当を付ける。 そして荷物をしまうと、壁に張り付き辺りをうかがいながら、建物の影から影へ。 格好悪くたって構わない。 大切な弟が待っているのだ。 彼は決して盲目ではない。 自分の能力を分かって、できる最大限の力量を発揮し、立ち回るのだ。 【G-5とG-4の間 ポンペイ遺跡のはずれ/1日目 夕方】 【オインゴ】 [スタンド] 『クヌム神』 [時間軸] JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後 [状態] 健康。胃が痛いのは完治。 [装備] 首輪探知機(※スタンド能力を発動させる矢に似ていますが別物です)、承太郎が徐倫に送ったロケット [道具] 支給品一式(食料を消費。残りはペットボトルの水2本、パン3個。その他の基本支給品は二人分)、 青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、潜水艦 [思考・状況] 基本行動方針:積極的に優勝を目指すつもりはないが、変身能力を活かして生き残りたい。 0.これからは『消極的攻め』で行くッ…自信無ぇ~… 1.ひとまず情報収集の為、他人と接触したい。 2.他人の顔を使って悪評を振り撒こうかなぁ~。できれば青酸カリで集団に不和を起こしたい。 3.潜水艦はある程度使うが、引きこもる事は危険なのでもうしない。 5.億泰のスタンド能力はもういいや… 。 ※顔さえ知っていれば誰にでも変身できます。スタンドの制限は特にありません。 ※承太郎、億泰、露伴、ウェストウッド、テレンス、シーザー、ジョージ、グェス、ホルマジオの顔は再現できます。 ※エルメェス、マライア、ンドゥール、ツェペリ、康一、ワムウ、リサリサの死体を発見しました。 しかし死体の状態が結構ひどいので顔や姿形をを完全に再現できるかどうかは不明です。 ※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。 ※ ※ ※ ___いつだってさ。 いつだって、運命は僕らを先回りする。いつも何もかもが足りないんだ。 でも足りないからこそ、彼らの様に抗うわけでしょ?それがいいんだよ。 僕は見たい。命をたぎらせて『常にどこかへ向かう』彼らの姿を。 だからこのゲームの中で、僕が彼らにとっての運命になるんだ。 彼は…オインゴは怠惰による代償を僕、つまりは運命に支払わされたのさ。 チケットはどうしよっかなあ~わかんない。 気が向いたらフィールド上にこっそり置いたりとかするかも。 ホルマジオの事は、んー、答える必要はない。 って言うか、教える義務もないし。 あんまり当てにされても困るなあ。 僕は気まぐれだからね、いちいち理由とか無いよ。 あ~、ジョルノくんに僕の居る場所ばれちゃったし、これからどうなるのかなあ。楽しみだよね! ___そう言った彼の顔は、本当に純粋な笑顔でした。 参加者が退場した後訪れた彼に、私は質問したのです、何故オインゴからここの入場許可証を取り上げたのかと。 そしてホルマジオの事を黙っていたのは何故なのかと。 私の問いにこう答えた彼に、参加者たちの前に姿を現しているときの邪悪さはありませんでした。 一体どちらがこの男の性分なのでしょうか。 わからない、だからこそ危険です。 この男は子供の様に純粋に楽しんでいる。 全ての子供の行動が主体的であるのと同様、この男は真の意味で客観が無いと言えます。 私は彼の笑顔を前に恐怖を感じなかったことはありません。 その顔で見つめられると足に根が生えたように動くことも叶わず、じりじりと緊迫を感じます。 この奇妙な笑顔は、底知れぬ不安と嫌悪に私を導きます。 そして自由ではない私は、がんじがらめな己の身を嘆きつつ、こう考えることを止めることができません。 誰でもいい、ただ、それが可能ならば。 稀なる才にてこの”奇”を凌駕し、すべてを終わらせて下さい、と。 ※ ※ ※ 「皆が僕の為に踊ってる…楽しいな!」 ここはまるでダンスホール。 皆が死の舞踏を踊る。 彼の目が微笑み、そこに注がれ続けている限り、狂気の宴は終わらない。 【荒木飛呂彦】 [状態] 健康 [装備] 無し [道具] 日記、ダービーズチケット、??? [思考・状況] 基本行動方針 運命そのものになって、それに抗う人々を見る。 0.僕は皆の運命になりたい。 1.さすがだ、ジョルノ君。 2.ダービーのことは出来る限り守る。楽しみが減るから。 3.次にダービーに勝った参加者には、自分と勝負する権利を与えてやっても良い。 ※チケットは荒木が持っています。忘れるかもしれませんが、気が向いたら他の参加者に渡してもいいと考えています。 【G-10 北西部 小島(ダービーズアイランド)/1日目 夕方】 【テレンス・T・ダービー】 [時間軸] 承太郎に敗北した後 [状態] 健康、精神疲労(大) [装備] 人形のコレクション [道具] 世界中のゲーム [思考・状況] 思考0.誰でもいい、救ってくれ… 思考1.荒木、この男、やはり読めない…ッ 思考2.私だって死にたくはないですよ。 思考3.この先の方針を考える。 状況1.参加者ではなく、基本はG-10にある島でしか行動できない。 状況2.荒木に逆らえば殺される筈だが……? 状況3.参加者たちとゲームをし、勝敗によっては何らかの報酬を与える(ように荒木に命令されている)。 [備考] ※ダービーは全参加者の情報について、顔と名前しか知りません(原作3部キャラの情報は大まかに知ってます)。 ただし、変装している参加者の顔は荒木が教えています。 ※ダービーズ・アイランドにも放送は流れるようです。 ※アトゥム神の右足首から先は回収しました。 ※第二放送を聞き逃しましたが、死亡者の名前は随時荒木が教えています。 ※ジョージ・シーザーと会話をしました(情報の交換ではありません) 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 163 Revolution 9 ― 変わりゆく九人の運命(前編) ホルマジオ 181 親指姫 163 Revolution 9 ― 変わりゆく九人の運命(前編) グェス 181 親指姫 158 赤ずきん オインゴ 180 Close to you ― 遥かなる『夢』を掲げて 168 プロモーション・キング(前編) テレンス・T・ダービー 177 第三回放送 168 プロモーション・キング(前編) 荒木飛呂彦 175 助けて! 上野クリニック!
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内緒インゴット 内緒インゴットとは、~ 概要 起源は2021年7月22日の~ 編集中だよ。りくろんこっち見んな。
https://w.atwiki.jp/yougene_ingot/pages/34.html
失恋インゴット 失恋インゴットとは、失恋の傷をインゴットによって癒す心理療法。 概要 2021年7月16日のアニャの#ライブが起源。 正確にはインゴットを用いてアスタリスタからAメッセージを貰い、慰めてもらうことで、失恋による心理的問題などの認知・情緒・行動などに働きかけ、そこに適応的な変化を図ることを目的とする。 この治療法の副作用としては、アスタリスタへの溺愛や精神的依存が挙げられる。 アスタリスタとの適切な距離感や関係を築きたい場合はオススメできないが、失恋によるダメージはひとそれぞれのため、用量・用法を守って正しく服用し、それでも症状が改善しない場合は医師またはクレイさんに相談しよう。
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ラストインゴット ラストインゴットとは、インゴッターが巨大インゴットを贈ることを辞める最後のインゴット。 概要 2021年6月14日にやろうよ!白猫!氏が言ったのが起源。 その後、同氏のAメッセージにてアニャから言及されている。 「記念のラストインゴット、心に響いちゃったわ」 やろうよ!白猫!氏曰く、有償ジェムで贈ることが礼儀とされる。 関連 卒イン インゴットリターンズ
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擬態するインゴット 様々なものに擬態するインゴット、またはインゴットに擬態する様々なもの。 ※正確な起源を調査できていないものが多いです。 ポテトインゴット まくらインゴット かりんとうインゴット 起源は2021年7月16日のアニャの#ライブ中の発言。 「かりんとうさんインゴットありがとう!食べられないタイプのかりんとうだ!ありがとう!」 なお、あくまでもインゴットではなくかりんとうである。 インゴットチョコ 花輪インゴット 起源は2021年9月21日のアニャの#ライブ(正しくはその前の回のやろうよ!白猫!氏のAメッセージ) 600ジェムの花輪のエールに擬態したインゴット。 2021年9月1*日のアニャの#ライブにて花輪に「巨大インゴット」と書かれた状態で贈られた。 これに対し、Aメッセージでアニャが「逆にインゴットを花輪にしてほしい」と言い出したのがきっかけ。 ちなみに本人は「2500ジェムで花輪を投げたくない」と納得していない模様。 その後、同氏のランキングメッセージでもアニャから絶賛されているため、お気に入りのようである。 ツノゴット インゴットにしては珍しく、コズミの#ライブで見られるインゴット。 擬態しているのか、インゴットとは別種なのかは不明。 本インゴット 起源は2021年10月6日のアニャの#ライブ。 ふつおたにて、本が沢山あって部屋が汚いという旨のお便りが読まれる。 当然のように、せわしなく本のエールが飛び交う中、「インゴットの研究」と書かれた巨大インゴットが贈られた。 もはや擬態しているかどうかも怪しい。
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かっきーインゴット かっきーインゴットとは、インゴッターの始祖である柿根雄一氏が贈ったインゴット。 概要 起源は2021年5月10日のアニャの#ライブ中の発言。 「あ!かっきーインゴット来た!かっきーいつもインゴットくれるの。ありがとう。今日も輝いてるわね、かっきー」 本来非公開であるはずのニックネームを#ライブ中に呼ばせるという格の違いを見せつけるインゴット。 その後もβ版では幾度となく登場し、ユーザーの認知度も非常に高かった。