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期間 2013年4月8日11時00分~2013年4月17日23時59分 ※当初発表のイベント期間 チャレンジバトルとは? イベント内でしか入手できない限定パイロットを獲得することが目的。 詳細はチャレンジバトルのページをご参照下さい。 限定パイロット 今回のイベントパイロット ★3レイ・ザ・バレル★3カミーユ・ビダン★4キラ・ヤマト CPUデッキ ランク CPUデッキ名 戦艦 地形 主な搭載機 CPU撃破に必要なデッキ攻 梅 vsディアナ親衛隊の強襲! ディアナ親衛隊のMSを倒せ! マゼラン 宇 竹 赤い彗星の勇姿! 赤い彗星率いる軍団を撃破! アルビオン 宇 松 舞い降りる翼! 4月ガシャ最強軍団とチャレンジバトル! アークエンジェル 地
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前ページ次ページいぬかみっな使い魔 いぬかみっな使い魔 第20話(実質19話) 船乗りは上陸が最大の娯楽である。 巨大な戦列艦も、性能を考えた設計をすれば、大砲や砲弾を積むスペースや 舷側の厚い装甲板、竜などの飛行幻獣を搭載するスペースや重量に 大部分を持っていかれてしまうため、戦闘能力に直接かかわらない人間の 搭載スペースがどうしても削られてしまう。いや、削らざるを得ない。 そのため食堂は手狭で風呂も無く、船員の寝室は狭い。いや、狭いとはいえ 寝室をもらえるのであればかなりましなほうだ。下士官の下、士官見習いが 数人押し込まれる狭くてベッドしかないような部屋ですら、かなり上等だ。 水兵ともなれば特定の寝室は存在せず、廊下や倉庫などにハンモックを吊るして そこで寝る事になる。下士官が数時間の間だけ使わないなと判断した一時的な 開きスペースで寝かされるのだ。当然、下士官の読みが外れたり突発事項が 起きたりすれば、その当面使わないはずだったスペースを使う事になり、 睡眠時間を削られる事になる。 航行中はちょっとした天気の急変で船員総出で躁艦をする羽目になることもあり、 やはり睡眠時間や休息時間を削られる事も多い。 食事は出航直後は新鮮な野菜や水も飲食できるが、日が経つにつれて 保存の利く根菜類、乾燥野菜、塩辛い漬物と蛆のわいたビスケットのみに腐った水 と悪化していく。風呂に入って体をすっきりさせることも出来ず、 わずかな水にタオルを浸して体を拭ければいいほう。もちろん飲み水も 制限され、一日に決まった量しか飲めない。酒も制限を受ける。 船上では緊急時を考慮して操船が出来る程度にしか酔えないのだ。 操帆のために帆下駄に登ろうというときに酔っ払っていたら死亡確定だからだ。 故に、船乗りは上陸が最大の娯楽である。 上陸すればこういったもろもろの悪条件から開放され、思う様飲み食いし、 ゆったりしたベッドで存分に眠り、後先考えずに酔っ払える。女も抱ける。 特に、戦闘艦の場合、戦闘後の血の高ぶりを解消するためには港に行って 商売女を確保するしかないこともあり、戦勝後には“できるだけ”港に立ち寄り、 褒美として最低一晩の上陸休暇を与えるのが慣例となっていた。 それは、海軍だけでなく空軍でも常識であった。 故に。アルビオン親征艦隊と黒色枢機卿艦隊に乗り込むほぼ全ての将兵達が、 スカボロー港で今夜はゆっくり羽を伸ばせると思っていた。 港を一つ、艦隊を二つ下し、アンリエッタの戦勝演説のが熱狂的な大盛況で終わった後。 啓太の執務室にぞろぞろと戻る薬草クラブ員達は、笑いさざめきながら 今夜の予定について話していた。 「どうする、ご褒美たくさんもらっちゃったし、今夜はスカボロー港に繰り出すか?」 「そうだな、レイナール! 是非そうしよう!」「う、うん、そうだよね!」 「さすがにモンバーバラみたいないい店があるかどうかわからんけど!」 「普通の店だって大歓迎さ」「女を射止める経験積まんとな」 「わっはははは!」「あはははは!」「わははははは!」 戦勝で沸き立ち、たくさんのご褒美ももらった薬草クラブ員達は、 港に大抵あるという娼館で女を買う相談を、声高にしていた。 上から下まで浮き立っている艦内では声を潜める必要も無く。 当然ながらそこを通りかかったものがいれば丸聞こえな馬鹿話である。 それは。 何の問題も無いはずであった。 そう。 その時。 たまたま、とある精神性疾患に悩む一人のオトコが通りかからなければ。 「やあ、ケータ君! どうだい、スカボローに着いたら娼館に一緒しないか?」 ヒクリ レイナールの邪気の無い誘いに、啓太の頬が、ひくついた。 そして、啓太は、相変わらず女を買う相談をしているレイナール達を見。 ついで本来ありえないことにしばらく前からひくつきもしなくなった 自分自身の下半身にちらりと眼をやった。 「ほう、そうか。」 凄絶な。 実に凄絶な笑みを浮かべて、啓太は笑った。 「そうか…港で女を、女を買って抱くのか。それに、俺を、この俺を誘っていると。」 レイナールが、彼の後ろで笑いさざめいていた同級生達が、異様な雰囲気を察した。 ぴたりと笑いをやめる。 「ど、どうしたんだい、ケータ君?」 啓太は、顔をうつむかせると、低い、非常に低くて誰にも聞き取れぬ声で ぶつぶつと陰気に呟いた。 「そうか。俺が女を抱く事が不可能になってる脇で、女を買いに行く相談か。 初陣を経験し、戦いに勝って手柄を立て、歴史の転換点を作った一員として 生涯誇りに出来るほどの栄誉に浴し、多大なご褒美をもらったという、 最高に幸福なこの時に、俺を尻目に、更なる幸福を欲張って 手に入れようというのか。実に、実にいい度胸じゃないか。」 「ど、どうしたんだい、具合でも悪いのかい?」 レイナールが、心配そうに聞く。 啓太が、顔を上げた。そのときには、啓太はにこりと笑いを浮かべ、 ごくごく普通の、普段どおりの啓太に見えた。 そう、少なくとも、そう見えた。 「いやあ、悪いな、みんな。実はそれはもうちょっと待ってもらわないといけないんだ。」 「ええ!?」「そ、そんな!?」「こんな大勝をした後なのに!?」 「こ、今夜はしっぽりと思ってたのに!?」「ダメなのかい!?」 皆が驚いて聞き返した。誰も彼もが今夜は羽を伸ばすぞといっている艦内で、 これは寝耳に水の宣告である。 啓太が事実上アンリエッタの軍事顧問として作戦立案を行っているのは、 その作業を手伝っている彼らが一番良く知っている。 ということは。 「さあ、姫様のために仕事だ。執務室にに戻るぞ、みんな。」 啓太が、ニッカリと。にっこりとではなく、ニッカリと有無を言わさぬ迫力で笑った。 そして。 「い、イヤだ~~~!」「今夜は、今夜は美人をはべらせて!」 「これだけの戦果を上げた上にさらになんて!」「欲張りすぎだよ!」 「少しは! 少しは休ませてくれ~~~」「休暇を! 休暇を請求する~~~!!」 泣き喚く少年達を引きずって、啓太は執務室に入ると、船の進路について通達を出し、 薬草クラブ員達をこき使って徹夜で作戦計画を練ったのであった。 前日から始まったアンリエッタの覇道は、すさまじい勢いで突き進んだ。 翌早朝。 ロンディニウム郊外にある造船港ロサイスを急襲した連合艦隊は、 数と錬度の力押しで勝利し、港を奪取した。ロサイスで長砲身のカノン砲を 搭載中であった巨艦レキシントンを初めとして多くを取り逃がしはしたものの、 代わりに損害も少ない勝利である。その後には陸戦隊を下ろして ロンディニウムに侵攻、ハヴィランド宮殿を制圧する構えを見せた。 レコンキスタ側は当然戦力をハヴィランド宮殿に集結させる。 だがこれは連合艦隊の欺瞞行動だった。王宮に兵を取られ、手薄となった ロンディタワーという、昔の王宮にして現在監獄に一隊を潜入させ。 多くの捕虜達を救出し、アルビオン親征艦隊の陣容を分厚くし、 不動の忠誠を確保した。目的を達した連合艦隊は、知らせによって レコンキスタ艦隊が救援に駆けつける前に早々と撤退した。 「お見事ですわ、ケータ殿。」 「ほんと、こんなにあっさり成功するなんて思わなかったわ。」 「啓太様、すごいです!」「キョロキョロキュ~」 はしゃぐ女性陣に対し、悲痛な声を上げるのが男性陣だ。 「ああああああ!」「ロンディニウムが、ロンディニウムが遠ざかっていく!」 「首都で、首都でいい店にいけると思っていたのに!」「ひどいよ!」 「そうだよ、こんなぬか喜びさせて!」「今度こそって思ったのに!」 「すまんな、思ったより敵の救援が来るの早かったんだ。」 泣いて訴える薬草クラブ員達に、啓太はニッカリと笑ってわびた。 「ううう、この欲求不満をどうしてくれる」「そうだそうだ!」 「(ふふふふ、貴様らに、貴様らだけにいい思いはさせん!)」 昨夜に続いて今日も女を抱く機会を失った彼らは盛大にブーイングを上げたが、 啓太はどこ吹く風でさらに彼らをこき使った。 その日の昼ごろ、続々と艦隊が合流した。 トリスティン後続艦隊。ガリアの傭兵達を乗せていた船をまとめて統率し、 指揮官をシャルロット王女に据えたガリア義勇傭兵艦隊。キュルケの実家が 保有していた大型武装商船3隻を中心としたゲルマニア補給艦隊。 真の連合艦隊となった彼らは、サウスゴータをあっさりと占領し、 膨大な食料を手に入れた。当然連合艦隊は、一晩の休暇を将兵達に与えた。 ガリア義勇傭兵艦隊を除いて。彼らは、レコンキスタのタイン本陣の 後輩に上陸して挟み撃ちにするため、早々に別行動を取っていたからだ。 それ以外は、街に入って、あるいは港に戻ってゆっくりと休暇を楽しんだ。 しかし。 「ようし、サウスゴータを制圧して兵糧の策源地を手に入れたぞ!」 「さあ、今日こそ街に繰り出して宴会だ!」「よし、宴会だ!」 「馬鹿やろう、その前に荷物の積み込みを手伝いやがれ! アルビオン軍が この補給物資を待ってるんだぞ! 気絶するまでレビテーション使え!」 「そんな、気絶するまで使ったら今夜遊びにいけないじゃないか!!」 「るせーるせー、作戦上必要なんだ、文句を言うんじゃねええぇぇ!」 「うわあああん、なんで俺たちだけ休めないんだああ!」 「お前らが下士官の下、見習い士官よりも下の臨時だからだ、 下っ端はこき使われて当然、きりきり働きやがれ!」 「いやだああああ!」「休暇を、せめて一晩の休暇を請求する!」 「却下だ~~~!」 トリスティンには大少数十の魔法学院がある。トリスティン魔法学院ほどの 権威と設備、教育水準を誇る学院は首都トリスタニアにも無いが、 そこには沢山のメイジの男女が学び、修行をしている。 首都にある学院の中で、比較的水準の高い学校から男性メイジ (生徒だけでなく、教師も含む。トリスティン魔法学院からコルベール等も来た) をかなりの数連れてきた後続艦隊は、メイジの比率を非常に高いものにしていた。 それらをうまく使い、通常ありえないほどの高密かつ迅速な軍事行動が、 連合艦隊によって繰り広げられていた。メイジを兵士や労役夫のように使う。 魔法を工作機械や工事用重機程度にしか考えない、啓太ならではの運用方法である。 そして、当然のことながら、最も酷使されたのは、啓太の前でうかつなことを 口走ってしまったがために八つ当たりの対象にされた、薬草クラブ員男子達であった。 (-人-) (ちーん) 薬草クラブ員達の過酷な労働は続いていく。 「よし、風石鉱山を占拠したぞ!」「大量の風石が手に入ったな!」 「鉱山町ってことは娼館もあるよな?」「ちょっと質は低そうだけど」 「多分あるんじゃないかな」「よし、今夜こそ!」「いくか!」 「よし、出航だ!」 「えええええ!」「え”え”え”え”え”!」「EEEEEEEE!」 「なんだ、文句でもあるのか?」 「なんで旗艦だけ出航するんだよ!」 「そうだそうだ!」 「二つの艦隊の旗艦の振りをしているから忙しいのは知ってるだろ。 ほれ、ペンキの塗り替えと帆の交換、銘板の交換手伝いやがれ!」 「そ、そんなああ!」「また、また女の子達が遠ざかっていく~~~!!!」 「やった、また一つ港を確保したぞ!」「ばんざ~~い!」 「けど守りきるだけの戦力が足りないぞ?」「なに、問題ない。」 「物資をもらって放棄すればいいさ。」「そうだな。」 「連合艦隊の拠点に運べばいいだけだ。」「攻撃こそ最大の防御!」 「戦争とは経済行動だ!」「もうかりゃいいのさ!」 「さておき、今夜こそ休暇だよな?」「早速娼館の予約に行こうぜ。」 「あ、それ無理。」 「ええええ!」「え”え”え”え”え”!」「EEEEEEEE!」 「なんでだよ!?」「そうだそうだ!」「説明を要求する!」 「偉い将官達がすでに借り切ってるからさ。 もうちょっと早く仕事を終えてればよかったのになあ。お前ら遅いぞ。」 「そそそそ、そんなあああ!」「こんなに仕事を割り振ったからだろ!」 「酷い、酷いよケータ君!」「休暇を、せめて一晩の休暇を要求する!」 「だから。一晩の休暇はやるって。女の確保まではしらんけどな。」 「ブーブー!」「酷い、酷いよケータ君!」 「なに見習いの分際で言ってんだ、お前らに必要なのは己を鍛えルことナンダぞ、 俺はオマエタチを鍛えてやってるんじゃナイか。そのうちこの修行が役に立つYO!」 どこかわざとらしく言う啓太である。当然ながら、薬草クラブ員達は納得しない。 「そのうちじゃなくて!」「今、いや、今夜だけでいいから!」 「何とか、何とか!」「ケータ君のコネなら一軒くらい何とかなるだろ!?」 「すまン、姫様たちすらおふろにまともに入れないのに我慢してるんダ、 俺にはお前達の力になってやることはできないYO!」 「う…それは、確かに。」「姫様たち、暗殺予防のために下船して無いからな。」 「それと比べればずっとましだけどさ」「でも、せめて、ちょっとだけでも!」 「だめなんだヨ。 ごめんナ!」 薬草クラブ員達は、見習いの身でありながら次々と手柄を立て、 分不相応な栄光を思い切り享受しまくっていた。 しかし、彼らはその分、不幸であった。 主に、約一名のビョーキからくる嫉妬によって、実に実に不遇であったのである。 後の歴史家は、この日々の事をこう評した。 アンリエッタ・ド・トリスティン王女は、その日自由に泳ぐ湖を手に入れた。 本人もまた「ケータ殿と私の関係は水魚の交わり」とたびたび発言している。 彼女は、孤立無援の王宮の中で、 1日にして多数の若き協力者達を獲得し、 2日にして専横を振るっていたマザリーニ枢機卿をひざまずかせて 王宮の文官大臣達の忠誠をとり戻して政治を王家に復帰させ、 3日にしてトリスティン艦隊将兵の心を掴んで軍権を掌握し、 4日にして艦隊の錬度を向上させて精強にし、 5日にしてロサイスに巣食った背教者達を捕らえて膨大な金を得るとともに 3度レコンキスタに勝利して多くの艦艇を手に入れトリスティンを強国にのし上がらせ、 6日にしてレコンキスタの支配する首都ロンディニウムを脅かすとともに ガリア義勇傭兵団とシャルロット王女を救援に差し向けてレコンキスタを敗走させ (略) 10日にして(略)プリンス・ウェールズとアルビオンを手に入れた。 これを、疾風怒涛の10日間と呼び、各国は覇王アンリエッタを褒め称え、恐れた。 また、ガリア王女シャルロットの勇名もハルケギニア中に鳴り響いた。 ある日を境にまったく宮廷でみられなくなったため、暗殺されたとさえ 囁かれていたシャルロット王女が、突如としてガリア義勇傭兵団を率いて アルビオン救援に駆けつけたのである。傭兵達への充分な給与と糧食を 支給されていたタバサは、率いるガリア人を中心とした傭兵達の心を 充分に掴んでおり、3千程度とはいえ士気高い兵力を配下としていたのだ。 しかも、使い魔の風韻竜と共に竜騎士隊を率いてもおり、背後を突いた ガリア義勇傭兵団はレコンキスタを震え上がらせ、浮き足立たせるのに充分であった。 この日、アルビオン軍は一気に攻勢に出て、レコンキスタを敗走させたのである。 ただ残念なことに、この時追撃はほとんど出来なかった。 意外に思うかもしれないが、戦争において最も戦果を上げられるのは、 正面決戦のときではない。正面決戦で勝利し、敵を追撃する段階になってからだ。 敵は逃げるのであるから当然背後から攻撃する事になり、しかも陣形は乱れており、 敵の戦意は喪失している。この追撃のときにどれだけ余力を残しているかで 大方の戦果が決まるのである。しかし、アルビオン軍にせよガリア義勇傭兵団にせよ、 レコンキスタと比べれば寡兵であり、勝利するのがやっとであったのだ。 勝利後に降伏し、帰順を願い出た部隊を取り込むのに時間がかかったのも タイムロスとなった。とはいえ、総合的な戦力での逆転は、この一戦で成されたのだ。 勝利後、アルビオンの主だったものたちと挨拶し、宴に出たタバサは、 黙々と食べ、話をし、それなりに宴を楽しんだ。 今のタバサは、憂いの多くが解消している。 母の毒はルイズのディスペルで無効化され、使用人含めて人質にされそうな 者達は安全な場所にいる。自分の戦力を手に入れ、後見を得たが故に ガリア王ジョゼフへの復讐の足がかりも出来た。シャルロットの名は 今度の戦で大いに喧伝され、ガリア貴族の取り込みも容易になるだろう、 ジョゼフの足元を切り崩すこともたやすくなる、とケータが請合ってくれた。 つまりは、残る一つの憂い、父の敵を討つという目的の目処もついたのだ。 それゆえに、タバサの心には余裕が出来ていた。 シャルロット王女をウェールズ王子の后に、などという話も持ち上がったりしたが、 「私にはやる事がまだございます、よって、お受けできません。」 と、落ち着いて断る事が出来た。 彼らは、大いに英気を養っていた。そう。レコンキスタとの決戦に向けて。 レコンキスタVSアルビオン軍&連合艦隊。 雌雄を決する決戦は、おそらく明後日と予想されていた。 前ページ次ページいぬかみっな使い魔
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クロノスタシア 登場人物 コメント 2014年4月24日にオトメイトから発売されたPlayStation Portable用女性向け恋愛アドベンチャーゲーム。 登場人物 ハピナス:ルシア・ソル ポケモン図鑑説明文が似ているので ルカリオ:キョウゴ・ナギ 雰囲気的に ドーブル:ティオ 性格きまぐれ推奨 シャンデラ:クライヴ・ニール 異名「歩く王立図書館」から ロズレイドorケンホロウ:オルフェウス・レクス・アルビオン ヒメグマ:ほりっクマ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 登場人物 バクーダ:ホリック・ソル 使い手のマツブサとの声優繋がり マフォクシー:エヴァ 特性マジシャン推奨 ドラピオン:アダム オドリドリ(めらめらスタイル):マリリン -- (ユリス) 2017-03-14 19 55 21
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メニュー トップページ 順位表 所属チーム 2010-2011シーズン アーセナル アストン・ヴィラ ブラックバーン・ローヴァーズ バーミンガム・シティ ボルトン・ワンダラーズ チェルシー エヴァートン フラム リヴァプール マンチェスター・シティ マンチェスター・ユナイテッド ストーク・シティ サンダーランド トッテナム・ホットスパー ウェストハム・ユナイテッド ウィガン・アスレティック ウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ ニューカッスル・ユナイテッド ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン ブラックプール トピックス プレミアリーグ概要 歴代得点王 国内カップタイトル リンク @wiki @wikiご利用ガイド 他のサービス 無料ホームページ作成 無料ブログ作成 2ch型掲示板レンタル 無料掲示板レンタル お絵かきレンタル 無料ソーシャルプロフ ここを編集
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階段を駆け上がった先から伸びる枝に沿って、一艘船が停泊していた。 一行はタラップから甲板へと次々と飛び乗る。すると甲板で寝込んでいた船員が目を覚ました。 「な、なんでぇ?おめぇら!」 「船長はいるか?」 「寝てるぜ。用があるなら、明日の朝、改めて来るんだな」 男はラム酒の壜をラッパ飲みにしながら、酔って濁った目で答えた。 「貴族に二度同じ事を言わせる気―――――」 ワルドがすらりと杖を引き抜き、脅しをかけようとしたその時、船員は目の色を変えて直立した。 「ま、マジか!昼間、街のガキどもが話してた噂は本当だったのかよ。本物の『ギーシュさん』じゃねえか!」 船員は既にワルドの言葉を聞いてなければ、見てもいない。 「船長大変だァ!」 男は硬い動きで後ろへ向き直り、興奮した声で叫びながら船長室へすっ飛んでいった。 ギーシュはその状況に呆気を取られていたが、ふと気付くとワルドがとても熱い視線を自分へと向けているのに気付いた。 「流石『ギーシュさん』の雷名!このような下々の者にまでッ!」 やたらと熱く熱く感動しているワルドの姿を、ルイズは何も見なかった事にした。アヌビス神とデルフリンガーもそれに倣った。 しばらくすると、びしっとした正装姿に船長を表す帽子を被った初老の男が船員と共にやってきて、目の前で片膝をついて傅いた。 「うちのかみさんも大層貴方様には参ってまして。いやぁこのような貨物船に『ギーシュ』さんに来て頂けるとは一生の誉れです」 ギーシュは『ぼ、ぼくのこと?』と自分を指差してキョロキョロしている。ワルドがそれに頷いて応えた。 「で、当船に何の御用向きでしょうか?」 やたらと目をキラキラ輝かせて問う船長に、ワルドが答えた。 「アルビオンへ、今すぐ出航してもらいたい」 すると船長がとても申し訳無さそうな顔をした。 「アルビオンがラ・ロシェールに最も近づくのは朝です。その前に出航したんでは風石が足りんのです……最短距離分しか積んでないんですよ」 「『風石』が足りぬ分は、僕が補う。僕は『風』のスクウェアだ」 ワルドの言葉に船長と船員は、顔を見合わせた。 「す、すげえですよ船長!流石あの『ギーシュさん』だ!お供の配下がスクウェアメイジだ!」 「ま、全くだ。正直少し噂は眉唾ものじゃねえかとも思ってたが、こいつは本物だな!噂以上じゃねえか!」 二人は揃って深々と頭を下げた。 「ならば結構で。船賃も結構でございます」 配下扱いされたワルドはやたらと良い笑顔を浮かべた。右手をぎゅっと固く握って小声で『よっしゃ!』とか言っている。 「無理を頼むのだ、只でとは言わん。積荷はなんだ?」 「硫黄で。アルビオンでは、今や黄金並の値段がつきますんで。新しい秩序を建設なさっている貴族のかたがたは、高値をつけてくださいます。 秩序の建設には火薬と火の秘薬は必需品ですのでね」 「その運賃と同額を出そう」 ワルドのその言葉に船長たちは『へへぇー』と甲板に平伏した。 「さ、流石『ギーシュさん』ですね!太っ腹だァ!」 船員の言葉に船長がこくこくと嬉しそうに頷いた。 「お前ら!あの『ギーシュさん』のご依頼で今すぐ出航だ!もやいを放て!帆を打て!」 「「「オォー!!」」」 夜分にも関わらず、気合の入った声で答えた船員達は、よく訓練された動きできびきびと出航の準備を始めた。 帆と羽が風を受け、ぶわっと張り詰め、船が動き出す。 「アルビオンにはいつ着く?」 ワルドが尋ねると、 「明日の昼過ぎには、スカボローの港に到着しまさあ」 と船長が答えた。 ギーシュは舷側から、ぐんぐんと離れていくラ・ロシェールの明かりを見ながら、少しぼーっとしていた。 良く判らないうちに有名になっているけどあれは一体……とも思ったが、何より残してきた三人が気掛かりでもあった。 明かりの中に大きく揺らぐ巨大な炎の渦のような物が見えた。 「あれってやっぱりあの三人なのかね……」 呟いた独り言に横から返事が帰ってきた。 「トライアングルメイジが三人なのよ。ちょっとやそっとじゃ負けないわよ」 それはルイズであった。 「そりゃそうだ。しかもうち一人はあの『土くれ』だったね」 ギーシュは少し小声で風に紛らせるようにして答えた。 二人がしばし、ぼさーっと地上を眺めていると、船長と話しを終わらせたワルドがやってきた。 「船長の話しでは、ニューカッスル付近に陣を配置した王軍は、攻囲されて苦戦中のようだ」 ルイズがはっとした顔になった。 「ウェールズ皇太子は?」 ワルドは首を振った。 「わからん。生きてはいるようだが……」 「何見当違いな心配してるんだお前等。そんな主要人物が死んだり掴まったりしてたら、もう戦争終わってるだろうが!さっきの街でも大騒ぎだっての」 ルイズのお尻から声がした。正論だが言い方が気に入らなかったので、ルイズは黙って声の主を甲板へびたんと叩きつけた。 「どうせ、港町は反乱軍に押さえられているんでしょう?」 アヌビス神をぐりぐりと踏みつけながら、ワルドと会話を続ける。 「そうだね」 「どうやって、王党派と連絡を取ればいいのかしら」 「陣中突破しかあるまいな。スカボローから、ニューカッスルまでは馬で一日だ」 「反乱軍の間をすり抜けて?」 「そうだ。それしかないだろう。まあ、反乱軍も公然とトリステインの貴族に手出しはできんだろう。 スキを見て、包囲網を突破し、ニューカッスルの陣へと向かう。ただ。夜の闇には気をつけないといけないがな」 ルイズは緊張した顔で頷いた。それから尋ねる。 「そういえば、ワルド、あなたのグリフォンはどうしたの?」 ワルドは微笑んだ。舷側から身を乗り出すと、口笛を吹いた。下からグリフォンの羽音が聞こえてきた。 そのまま甲板に着陸して、船員たちを驚かせた。 「船じゃなくって、あのグリフォンで行けばいいだろ」 ルイズの足元からアヌビス神の声がする。 「竜じゃあるまいし、そんなに長い距離は、飛べないわ」 ルイズが答えた。 「ご主人さまは脳味噌がマヌケか? ならタバサのシルフィードで行けば良かったじゃねえか……。 街で一日潰す必要が何処にあったんだよ!おれ達がゲロまみれにならずにすんだじゃねえか!ご主人さまでも許されざるミスだぞこれは!」 「全くだ小娘め!おかげであんな6000年最大の恥辱を味わう派目になったじゃねーか!」 アヌビス神に続いて背のデルフリンガーも抗議の声を上げる。 ルイズは黙って背中のデルフリンガーも足元に放り投げた。 ゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッ ゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッ ゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッゲシッ そして黙ったまま、右足を何度も上下に往復させた。 ワルドはその光景にもう見慣れたらしく、優しく微笑んだ後向き直り、ギーシュの隣へそそくさと移動した。 「アルビオンが見えたぞー!」 舷側で思う思うに時間を潰していると、鐘楼の上に立った見張りの船員の声が聞こえてきた。 「あれがアルビオンか?」 甲板に転がるアヌビス神の視界に、雲の切れ目から黒い巨大な何かが映った。 地表には山がそびえ、川が流れる。その光景に圧倒される。 横で立っていたルイズが言った。 「驚いた?あれが浮遊大陸アルビオン。ああやって空中を浮遊して、主に太洋の上を彷徨っているわ。 でも、月に何度か、ハルケギニアの上にやってくる。大きさはトリステインの国土程もあるわ。通称「白の国」」 「どうして『白の国』なんだ? 反乱が起こってるって位だから白痴ばっかって事だな?そうに違い無いな」 「馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ。あれよあれ」 ルイズは大陸を指差した。大河から溢れた水が、空に落ち込んでいる。その際、白い霧となって、大陸の下半分を包んでいた。 霧は雲となり、大雨を広範囲に渡ってハルケギニアの大陸に降らすのだとルイズは説明した。 「風にフラフラ彷徨って、白ってよりタコだな凧。タコの国で充分だ “風に吹き流されてふらふらタコの国”とおれが命名する」 ルイズがアヌビス神を踏みつけようとしたところで、見張りの船員が、大声をあげた。 「右舷前方の雲中より、船が接近してきます!」 この船よりも一回り大きい黒船が一隻近付いてくる。 「ちっ、大砲付きだな……」 アヌビス神の言葉にルイズは眉をひそめた。 「いやだわ。反乱勢……、貴族派の軍艦かしら」 後甲板で、ワルドと並んで操船の指揮を取っていた船長らが叫ぶのが聞こえてくる。 「く、空賊だ! 逃げろ!取り舵いっぱい!」 声に続けて、砲音が響き渡る。 「き、きたか?ついに憧れの甲板白兵戦か?」 アヌビス神が興奮した声を上げた。 黒船のマストに、四色の旗流信号がするすると登る。 「停戦命令です、船長」 アヌビス神がわくわくしていると、船長の諦めるような声が聞こえてきた。ワルドの魔法は打ち止めとの声も聞こえる。 「裏帆を打て。停船だ」 船長の停船の声が聞こえ、アヌビス神は舌打ちをした。 「ちっ、だらしねえ。 いや?きっと騙してこっちへ乗り込ませてから白兵戦だな!」 ルイズはいきなり現れて大砲をぶっぱなす黒船に、慌てて二振りを足元から拾って身に帯びる。 どうやら大砲の音がするまで居眠りをしてたらしいギーシュが、どうしたどうしたと騒ぎながらバタバタと走ってくる。 「空賊だ!抵抗するな!」 黒船から、メガホンを持った男が大声で怒鳴った。 黒船の舷側に弓やフリント・ロック銃を持った男達が並び、こちらに狙いを定めた。 鉤のついたロープが放たれ、ルイズらの乗った船の舷縁に引っ掛かる。 手に斧や曲刀などの得物を持った屈強な男たちが、船の間に張られたロープを伝ってやってくる。その数およそ数十人。 「あの位の人数余裕だな。ずばァーっと行こうぜずばァーっと!」 「いいねェ、腕が鳴るねェ」 アヌビス神とデルフリンガーが興奮していると、傍にきたワルドに止められる。 「やめておけ。敵は武器を持った水兵だけじゃない。あれだけの門数の大砲が、こちらに狙いをつけているんだぞ。 おまけに、向こうにはメイジがいるかもしれない」 「あんだけ近くなんだぜ。大砲なんか早々撃てねえよ。 こっちに爆薬とか爆発物満載だって脅せば絶対に撃てないっての。硫黄の塊でも投げてやりゃ疑って自滅恐れて撃てねえ。心配するなワルド坊ちゃん。 憶えて置けよ、言葉も武器だぜ」 「言うねえ!流石兄弟!それで行こうや」 わざとらしく渋い声で喋るアヌビス神にデルフリンガーがやんややんやと声をあげる。 その時前甲板に繋ぎ止められていたワルドのグリフォンが、乗り移ろうとする空賊たちに驚き、ギャンギャンと喚き始めた。 その瞬間、グリフォンの頭が青白い雲で覆われた。グリフォンは甲板に倒れ、寝息を立て始めた。 「眠りの雲……、確実にメイジがいるようだな」 「だからどうしたんだよ。おれたちは寝ないし。あんなん煙幕にもならねえ。 速攻で大将首落としてあの軍船頂こうぜ」 警戒するワルドをアヌビス神が笑い飛ばし、興奮を高める。 会話をしている間にも、空賊たちは甲板へと迫り、どすんと音を立てて降り立ってきた。 その中に一人派手な格好の空賊が居た。 元は白かったらしいが、汗とグリース油で汚れて真っ黒になったシャツの胸をはだけ、そこから赤銅色に日焼けした逞しい胸が覗いている。 ぼさぼさの長い黒髪は、赤い布で乱暴に纏められ、無精髭が顔中に生えている。丁寧に左目に眼帯が巻いてあった。その男が空賊の頭らしい。 「船長はどこでえ」 荒っぽい仕草と言葉遣いで、辺りを見回す。 「わたしだが」 震えながら、それでも精一杯の威厳を保とうと努力しながら、船長が手をあげる。頭は大股で船長に近付き、顔をぴたぴたと抜いた曲刀で叩いた。 「船の名前と、積荷は?」 「トリステインの『マリー・ガーランド』号。積荷は硫黄だ」 空賊たちの間から、ため息が漏れた。頭の男はにやっと笑うと、船長の帽子を取り上げ、自分がかぶった。 「船ごと全部買った。料金はてめえらの命だ」 船長が屈辱で震える。 「チャンスだ。向こうの頭がこっちにいるから大砲はこねえ。 一瞬で首を刎ねて、動揺した隙に雑魚どもも纏めてバラせば勝てる」 アヌビス神はルイズの後ろでオタオタしているギーシュへと叫んだ。 「ギィィィーシュ!ワルキューレだッ!」 その声に船長の顔がぱっと明るくなる。 「そ、そうだ『ギーシュさん』がいらしたんだ!」 頭の男が眉をひそめる。 「ギーシュ……さん?聞き覚えが……」 空賊の一人が慌てて頭の下へばたばたと走ってきた。 「近頃トリステインで噂の『愛』の『ギーシュさん』でさぁ」 「あの噂の?本物なのか?」 「ま、間違いありません。噂どおりの格好と髪型。あれこそ『ギーシュさん』 何よりもあの薔薇の造花。間違い有りませんぜ」 ギーシュは突然自分の名前を連呼され、振ろうとしていた薔薇の杖を止める。 ルイズは突然の展開に、小さくぶっと噴出した。 空賊たちが最低限を残し、頭の周りに集まり突然相談を始めた。 戦闘回避された空気を読み取ってアヌビス神は詰まらなさそうに、また舌打ち風に声を出した。 しばらくすると突然空賊の頭が、先程と一変した理知的な表情でルイズらの前までやってきた。 空族たちも表情を一変させ直立で並んでいる。 頭は、カツラであった縮れた黒髪をはぎ、眼帯を取り外し、作り物だったらしいひげをびりっと剥がした。現れたのは凛々しい金髪の若者であった。 「大変失礼した。まさか風の噂に聞いた『愛』のお方が乗船している船だとは。 私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令官……、本国艦隊といっても、既にあの『イーグル』号しか存在しない、無力な艦隊だがね。まあ、その肩書きよりこちらのほうが通りがいいだろう」 若者は姿勢をただし、威風堂々名乗りを上げた。 「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」 ルイズは口をあんぐりと開けた。ありえない、ありえなさ過ぎる。何で名乗り出るのよそこで!名乗り出てもらわないと困ったけど。 噂、噂が一人歩きしている。トリステインから飛び出てしまっている。あの日食堂で勢いに任せた事で起こった、小さな蝶の羽ばたきが大嵐になって吹き荒れている気がする。 流石にウェールズ本人にまでは大きく耳に入って無かったようだが、配下の者たちは明かに毒されている。 ワルドはさっきからなにやら、ウンウンと頷いている。何だか半端に偉い立場の人程影響を受けているのでは無いだろうか?ルイズはふとそう思った。 アンリエッタさま自身は左程知らなかった、しかし王宮内には知って心頭している者が居たようで、現にこのワルドも妖しい。 今の目の前のウェールズ皇太子も、アンリエッタさまと似た様な感じがする。もしかしたら立場上狭間で疲れてる人の心を打つのかしら? アヌビス神が『タコ皇子か、ぷっ』と馬鹿にしたがルイズの耳には入らなかった。 時々『ギーシュさん!ギーシュさん!ギーシュさん!』というコールは聞こえたが、聞こえなかった事にした。 ルイズが一人頭を抱えていると、何時の間にかワルドとギーシュが、ウェールズと話しを進めていた。 空賊に身をやつしていた理由、そして密書の件を話し自己紹介を済ませ、自分が指されていることに気付いた。 「そして、こちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢にございます殿下」 「なるほど!きみらのような立派な貴族が、私の親衛隊にあと十人ばかりいたら、このような惨めな今日を迎えることもなかったろうに!いや……『ギーシュさん』ならばお一人でも……。 おっと、話しが逸れた。して、その密書とやらは?」 少し呆けていたルイズはその言葉に慌てて、胸のポケットからアンリエッタの手紙を取り出した。 恭しくウェールズに近付いたが、途中で立ち止る。それから、ちょっと躊躇うように、口を開いた。 「あ、あの……」 「なんだね?」 「その失礼ですが、ほんとに皇太子さま?」 ウェールズは笑った。 ルイズの疑いを完全に理解しないままに……。 「まあ、さっきまでの顔を見れば、無理もない。僕はウェールズだよ。正真正銘の皇太子さ。なんなら証拠をお見せしよう」 ウェールズは、ルイズの指に光る、水のルビーを見つめて言った。 自分の薬指に光る指輪を外すと、ルイズの手を取り、水のルビーに近づけた。二つの宝石は共鳴しあい、虹色の光を振り撒いた。 その虹に一同おぉーっと声を上げる。 「こりゃヴェルダンデが見たらヨダレ垂らしながら全力で押し倒しに来るね」 ルイズは開いた手で、アヌビス神の鞘を止めるベルトを自然で流麗な動きで外して、脚元に落とした。 「この宝石は、アルビオン王家に伝わる、風のルビーだ。きみが嵌めているのは、アンリエッタが嵌めていた、水のルビーだ。そうだね?」 ルイズは頷いた。 「水と風は、虹を作る。王家の間にかかる虹さ」 「大変失礼をばいたしました」 ルイズ一礼して、手紙をウェールズに手渡す。 ウェールズは、愛しそうにその手紙を見つめると、花押に接吻した。それから、慎重に封を開き、中の便箋を取り出し、読み始めた。 「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……、従妹は」 ワルドは無言で頭を下げ、肯定の意を表した。 アヌビス神はふとアンリエッタの事を思い出した。 「二の腕から脇の斬り心地が実に良さそうな、あのアンリエッタ姫さまか」 「こ、この無礼も―――――」 「そう……昔からアンリエッタの二の腕は実に撫で心地が……ん?」 ルイズがアヌビス神を踏もうとしたところで、手紙を読みながら感いっていたウェールズが手紙に目を落としたまま、何か聞いてはいけない事を言った気がした。 「今の声は、ワルド子爵、きみかね?」 ウェールズの問いに、ワルドは違う違うと慌てて首を横に振った。『正直アンリエッタの腕に魅力を感じないし』と、うっかり言いかけて、口を押さえた。 ギーシュは何時の間にか、がっくりなっていた船長らを励ましに行っている為、此処には居ない。 船長らは『もう『ギーシュさん』に倣って王党派につきます!』と興奮気味に叫んでいた。 「そ、そそそ、その失礼致しましたっ!わ、わわ、わたしめの使い魔ですっ!」 ルイズが慌てて足元からアヌビス神を拾い上げる。 「後でたっぷりとお仕置きをして躾ておきますので、何とぞご無礼お許し下さいませっ!」 「褒め言葉が無礼とか、それこそ無礼だご主人さま」 ルイズとアヌビス神のやり取りを見て、ウェールズは少し微笑んだ。 「インテリジェンスソードが使い魔とは珍しい。 おっと、話しが逸れたね。今はそれどころでは、ないのだろう?」 読み終った手紙をたたみながら、ウェールズは続けた。 「姫は、あの手紙を返して欲しいとこの私に告げている。何より大切な、姫から貰った手紙だが、姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう。 ただしあの手紙は、今、手元にはない。ニューカッスルの城にあるんだ。 姫の手紙を空賊船に連れてくるわけにはいかぬのでね」 ウェールズは笑って言った。 「多少、面倒だが、ニューカッスルまで足労願いたい」 To Be Continued 21< 戻る
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前ページ次ページ蒼い使い魔 「では、ここで一旦お別れだな、使い魔君」 「………」 翌朝、ニューカッスルの秘密の港では『イーグル』号に女子供等の非戦闘員の搭乗が行われている、 その中で、バージルとワルドが向かい合っていた。 「ルイズが結婚式の準備でこれなくてね、見送りは僕だけだが、どうか許してほしい。 キュルケ達はタバサの風竜で帰るらしい、では再びトリステインで会おう」 特に会話をすることもなくバージルはさっさと『イーグル』号へと乗り込む。 全ての搭乗が完了した『イーグル』号は音をたて出港していった 「もう生きて会うことはないだろうがね…」 それを見送りながら誰にも聞こえないようにワルドがニヤリと口元を歪め呟く、 同時にワルドの姿が、一陣の風となってかき消えた。 『イーグル』号の出港から暫くした後… 始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂で、ウェールズは皇太子の礼装に身を包み新郎と新婦の登場を待っていた。 扉が開き、ルイズとワルドが現れた。ルイズは呆然と突っ立っていたが、ワルドに促され、 鎧兜に身を固めた十数人ばかりの衛士が作る花道を通り、ウェールズの前に歩み寄った。 非戦闘員は既に港に向かい、兵士達は最後の戦いの 準備を始めている。式を見守っている人間は、タバサとギーシュ、そしてキュルケの三人だけだった。 「でも、ビックリよねぇ、子爵ったら急に結婚式挙げるって言うんだもん、驚いちゃったわ」 キュルケは言葉とは裏腹にのんびりとした口調で言った。 「しかし、勇敢なウェールズ皇太子殿下に婚姻の媒酌を頼むとは…子爵も粋なことをするね」 ギーシュはなぜか誇らしげに見ている。 「ふーん…ところでダーリンは?」 「帰った」 タバサが短く答える、キュルケは「そう…」と呟くと足を組みルイズへと視線をもどした。 一方のルイズは戸惑っていた。 今朝方早く、いきなりワルドに起こされ、ここまで連れてこられたのだった。 戸惑いはしたが、自暴自棄な気持ちが心をしはいしていたので、深く考えずにここまでやってきた。 死を覚悟した王子たちと、昨夜のバージルの態度が、ルイズを激しく落ち込ませていた。 「でもなんか…ルイズの様子がおかしいわねぇ?」 キュルケが相変わらずのんびりとルイズを見て呟く 「そうかい?緊張してるんだよ、きっと」 「そうかしら?」 顔を寄せ合ってぼそぼそと続けられる彼らの会話は、ウェールズの声によって中断された。 「では、式を始める!」 彼の前にワルドとルイズが並ぶ。ルイズはうつむいたまま、顔を上げようとしない。 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、 そして妻とする事を誓いますか」 「誓います」 ワルドは重々しくうなずいて、杖を握った左手を胸の前に置いた。 ウェールズはゆっくりとルイズへと視線を移す。 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール……」 朗々と誓いの詔を読み上げるウェールズ。 今が、結婚式の最中だという事を改めてルイズは実感した。 相手は憧れていた頼もしいワルド。 二人の父が交わした結婚の約束。幼い頃、ぼんやりと想像していた未来が現実のものに。 ワルドの事は嫌いじゃない。むしろ好いている。好いているはずだ。 なのになぜ、自分の気持ちはこんなにも沈んでいるのだろう。 ……彼は……もう艦に乗っただろうか? まるで言う事を聞かない使い魔の事を、どうして思い出してしまうんだろう。 「新婦?」 心配そうなウェールズの声がかけられる。 ルイズは戸惑っている。この結婚が本当に正しいのか戸惑っている。 しかしワルドは、落ち着かせるように諭す。 「緊張しているのかい?しかし、何も心配する事はないんだ。 僕のルイズ。君は僕が守ってあげるよ。永遠に。それをたった今、誓った。 ……殿下、続きをお願いいたします」 しかしルイズは、拒否するように首を振る。 「新婦?」 「ルイズ?」 二人が怪訝な顔でルイズの顔を覗き込んだ。 ルイズはワルドに向き直り、悲しい表情で首を振る。 「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」 違うそうじゃない。でも、こんな気持ちのままじゃ結婚できない。 「日が悪いなら、改めて……」 ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振っていた。理由はわからない。わからないけど、気付くと首を振っていた。 「ごめんなさい。ワルド、わたし、あなたと結婚できない」 否定の言葉、それが出てきた。少なくともルイズに今わかると言えば、この結婚を望んではいないという事だ。 だって、望んでいたらこんな気持ちにはならないはずだ。 はっきりとルイズは言った。ワルドの顔が強張る。ウェールズは腰に手を当てる。キュルケ達は口をあんぐりと開けている。 「新婦は、この結婚を望まぬのか?」 「はいッ……! お二方には、大変失礼をいたす事になりますが……」 ウェールズの表情に緊張が走る。そして静かにワルドへと視線を向けた。 「子爵。誠に気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続ける訳にはいかぬ」 ワルドの両手がガバッとルイズの手を握るしめる。痛いほどに。 「……緊張しているんだ。そうだろルイズ。君が、僕との結婚を拒む訳が……ない!」 「ごめんなさいワルド。憧れだった、恋だったかもしれない。でも今は違う、違うの」 今度はルイズの肩を掴むワルド。表情は冷たく、双眸が鋭さを増した。 「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのために君が必要なんだ!」 豹変したワルドに戸惑うルイズ。しかし構わずワルドは興奮した口調で続ける。 「僕には君が必要なんだ! 君の『能力』が! 君の『力』がッ!」 恐ろしい、とルイズは思った。これが、あの優しかったワルドなの? 違う。ルイズが憧れたワルドは『彼』ではない。 「ルイズ、君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長するだろう……。 今はまだその『才能』に気づいてないだけだ!君の『才能』が必要なんだ!」 肩を握り潰されるほどの痛みに表情を歪めながら、ルイズははっきりと理解した。 ―ワルドは、私を愛していない… だから心から拒絶する。本心本音の奥底から。 「あなたは……私を愛していない、今解った……。 あなたが愛しているのは私にあるという在りもしない魔法の才能。 そんな理由で結婚しようだなんて……酷い……こんな侮辱……最低だわ……」 ルイズは暴れてワルドから逃れようとした。 ウェールズはルイズを引き離そうとワルドの肩に手を置いたが、逆に突き飛ばされてしまう。 その瞬間ウェールズが腰に当てていた手で素早く杖を抜きワルドへ向けた。 「なんたる無礼!なんたる侮辱!子爵!今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を引け! さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」 ワルドはようやくルイズから手を離し、再び訊ねる。 「こうまで僕が言ってもダメかい? ルイズ。僕のルイズ」 「誰があなたと結婚なんか……!」 「そうか……この旅で君の気持ちを掴むために努力はしたが……仕方ない。 こうなっては……『目的のひとつ』は……あきらめるとしよう……」 「目的?」 さっぱり意味が解らないというようにルイズは呟いた。 「そう。この旅における僕の目的は『三つ』あった。 そのうちの二つが達成できただけでも、よしとしよう。 まず一つは君だルイズ。君を手に入れる事……だがもう果たせないようだ。 二つ目の目的はアンリエッタの手紙だ。これは手に入れるのはたやすい……」 「ワルド、あなた……」 何やら只ならぬ雰囲気が場を支配する、キュルケとタバサがゆっくりと杖を構えた。 「そして三つ目……」 『手紙』という単語で今こそ確信を得たウェールズは魔法を詠唱する。 だがそれよりも早く、二つ名の閃光のようにワルドは杖を引き抜き呪文を詠唱。 ワルドは風のように身をひるがえらせウェールズの心臓を青白く光るその杖で貫いた。 「ウェールズ・テューダー、貴様の命だ」 「き、貴様……まさか…『レコン・キスタ』……」 ウェールズの口から、ゴボリと大量に吐血すると、その体が仰向けに床に倒れた。 ルイズは甲高い悲鳴をあげた。 「殿下!!貴様ァッ!!」 突然の暴挙に凍り付いていた衛士がいっせいにワルドに飛びかかる。 しかしワルドが杖の一振りで巻き起こした『ウィンド・ブレイク』で、その全員が紙切れのように吹き飛んだ。 それを見たキュルケとタバサがワルドに向け一斉に魔法を放つ、 だがそれはワルドが生み出した風の障壁によって阻まれ霧散した。 キュルケが杖を構える、タバサは自身の周りに氷剣を生成している。 ギーシュも慌てたようにワルキューレを生み出した。 ルイズはワルドに向かって叫ぶ。 「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」 ワルドは喉の奥で笑うと、頷いた。 「いかにも。だが『アルビオンの』というのは正確ではないな。我々『レコン・キスタ』は国境を 越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」 そう言ってから、ワルドは再び杖を掲げた。 「残念だよ、ルイズ。君の才能が僕たちには必要だったんだ。今からでも考え直してはくれないかい?」 ルイズは力を失ってへなへなと床にへたりこみ、涙を飛ばしながら首を振った。 「いやよ!あなたはわたしの知ってるワルドじゃないわ!」 「残念だよ…では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」 ワルドは冷たく言うと、杖を構える、その光景がなぜかルイズにはゆっくりと流れて見えた。 「―ッ!」 非戦闘員を満載させ、アルビオンから離れつつあるイーグル号の中でバージルが突如目頭を押さえた、 まただ、この視界、目の前にいるのは…ワルド…?ウェールズに向かい何かを言っている、 「ウェー…ズ・テ……ダー、貴様…命…」 その言葉とともにウェールズが崩れ落ちる 「貴族派…!ワルド、あなたアルビオンの貴族派だったのね!」 ノイズが消えルイズの声が聞こえる、 「残念だよ、では君を殺して手紙を奪うとしよう、そこの仲間も一緒にな」 そう言うとワルドが杖を引き抜く、そこで普段のバージルの視界に戻ってしまった。 「チッ……」 「どうしたよ?相棒」 「ワルドが裏切った…奴は貴族派のスパイだ」 「おいおい!どうすんだよ!いまさらアルビオンへは戻れないぜ!? てか相棒!お前薄々気がついてたんじゃねーのかよ!」 「チッ…」 バージルが忌々しく舌打ちをすると、砲撃音とともにイーグル号に激震が走る。 「何だ!?何が起こった!?」、 「貴族派の巡洋艦です!囲まれています!」 「クソッ!港がバレていたのか!?」 船内に船員たちの怒号が響く、 その言葉を聞きバージルは甲板に飛び出した。 バージルが甲板に出ると、巡洋艦が4隻、イーグル号を取り囲んでいた。 巡洋艦からは竜騎士隊が出撃し、イーグル号へと向かってきている、 バージルはそれを見てニヤリと笑うと、突如甲板から走り出し、宙へ身を投げ出した。 「おい!相棒!なにしてんだ!」 そのままデルフを引き抜き、飛んできた竜騎士にヘルムブレイカーを浴びせる、 頭を叩き割られた竜騎士は風竜を残しそのまま地上へ転落していった。 風竜を足場に次々と飛んでくる竜騎士を屠っていくバージル、やがてそれは巡洋艦の目に留まったのか 目標をバージルに変え、砲撃と魔法を仕掛けてきた、 軽く舌打ちをすると、竜騎士を風竜ごと叩き斬り、墜落しつつある死骸を器用に足場にしながら巡洋艦の甲板へと降り立つ。 甲板上の兵士は目の前に降りてきた男に戦慄しつつも武器や杖を抜き応戦の構えに入る、だがそれを振るう暇もなく男の姿が消えた。 次の瞬間、甲板上にいた兵士全てが大輪の血の花を咲かせる、それと同時に船が文字通り真っ二つに叩き斬られ地上へと落下していった。 「おでれーた!何したんだ相棒!?」 「黙ってろ」 そう言いながら、バージルは次々と同じように皆殺しにしながら巡洋艦を沈めて行く。 「な…なんだあれは…あ…悪魔だ…!」 あっという間に周囲にいた巡洋艦と竜騎士隊が全滅させられ最後の生き残りの一隻が撤退しようとする、 だが、それを見逃すはずもなく、その巡洋艦の甲板にバージルが着地した。 「ひっ…!悪魔めッ…!」 甲板に兵士たちが集まる、それを文字通り一瞬で殲滅すると、腕を斬り飛ばされ悶絶している生き残りの兵士に冷たく言い放つ。 「この船はもらった。今すぐ操舵に伝えろ、俺の言う通りにアルビオンへ進め、そうすれば命は助けてやる。」 「わっ…わかった!わかったから!たっ…助けてくれ!」 そう懇願しながら首を縦に振り、兵士は操舵室へと転がるように走って行った。 「相棒…相変わらずひでぇな…空賊よりタチわりぃぜ…」 「仕掛けてきたのは奴らだ、文句は言わせん」 イーグル号は、戦闘空域を離れたらしく、もう視界には入らなかった。 バージルは静かに、再び近づきつつあるアルビオンを睨みつけた。 するとアルビオンから一つの影が近づいてくる。 「………」 「おい相棒!ありゃシルフィードじゃねぇか?」 デルフの言うとおり飛んできた影はタバサの使い魔シルフィードであった。 「きゅいきゅい!大変なのね!今すぐ乗るのね!」 シルフィードがバージルに話しかけてきた、 「おでれーた!韻竜だったのか!?」 シルフィードが声を発したことに驚いたのかデルフが声を上げる。 「そんなことはどうでもいいのね!お姉さま達があぶないのね!」 その言葉を聞くとバージルはシルフィードの背中に飛び乗った。 右手には抜き身になった閻魔刀を握り締めている。 「おい…相棒まさか…」 ―ズッ…ズズズズ… デルフがバージルに声をかけた瞬間後ろの巡洋艦が音をたてて真っ二つになり、地上へと落下していった。 「おいおいおいおい!ここまでやるか!?命助けるって言ってたろ!?」 「知らんな…こいつが来れば奴らは用済みだ」 巡洋艦が素直にアルビオンに到達しても叩き斬るつもりだったのかバージルがしれっと言う 「かぁー…昨日の言葉を撤回するぜ…お前さんは悪魔だ…正真正銘の!」 叫ぶデルフを背にバージルはアルビオンへと向かった。 礼拝堂ではキュルケとタバサ、ギーシュ、そしてルイズがワルドと対峙していた。 四人はもはや満身創痍だ、一方のワルドは傷一つ負うことなく余裕の表情を浮かべている。 「どうしたのかね?魔法学院の生徒はその程度なのかね?」 「やっ…やっぱり僕らじゃダメなのか…?」 「ギーシュ!何弱音吐いてんのよ!!」 呻くように呟くギーシュにキュルケが檄を入れる。 「ハハハハ!実に美しい友情だな!」 そう笑うワルドにタバサがバージルの円陣幻影剣を真似た氷の剣を周囲に展開。 風を纏わせた杖を長剣に見立てこれもまた見よう見真似でスティンガーを突き放つ、バージルのそれには遠く及ばないが一応形にはなっていた。 その技の危険性を見抜いたのかワルドがバックステップで距離をとる、が、タバサが突き出した杖の先からエア・ハンマーが発動し、ワルドを吹き飛ばした。 モット伯邸で見て以来密かにバージルの戦い方や剣技を盗み日々必死に杖を振るい、自身の魔法を加えアレンジをしたのであろう、 「っ…!やるなっ…!」 ワルドがフライを使い空中で受け身をとり、タバサが追撃として飛ばした氷剣を叩き落とす。 「あれじゃまるでミニバージルね…」 切り結ぶ二人を見たルイズが小さく呟く。 危機的状況にも関わらずキュルケが噴き出す。 「あはは!それもそうね!頼もしいじゃないの、ここで死んじゃったらダーリンに笑われるわよ!」 そう言うと杖を握りワルドへフレイム・ボールを飛ばす、 「わっ…わかってるわよ!ギーシュ!行くわよ!」 そう言うと、ルイズは立ち上がりへたりこんでいるギーシュに檄を飛ばした。 「レディが戦っているのに僕だけ見ているなんて…そんなことはできないね!」 ギーシュは立ち上がり少ない魔力を絞り出しワルキューレを作り出した。 ルイズが「ファイアボール」を放つ、だがそれはあさっての方向が爆発し天井に小さな穴をあけてしまった、 穴から外の光が洩れ始祖像を照らす、 それを見たワルドが叫ぶ 「その力だ!その力こそ虚無の系統の証!君の力が欲しい!だから僕と来るんだ!ルイズ!」 「いやよ!誰が行くものですか!」 ルイズは再び拒絶の言葉を口にした、 ワルドが飛んでくる火球をかき消し、ギーシュのワルキューレを蹴散らすようにウインドブレイクで吹き飛ばす。 その破片がタバサに襲い掛かり手から杖が落ち、転倒してしまった。 「タバサッ!」 キュルケが叫ぶより早くワルドの足がタバサの腕を踏みつけ、顔に杖をつきつける。 「ぐっ…」 拘束されたタバサがうめき声をあげる。 「さて、ルイズ、君が僕と来るというならばこの仲間の命は助けよう、無論そこの二人もな、 それでも断るというならば…わかっているね…?」 ワルドは楽しそうにルイズに話しかける。 「くっ…人質を取るなんて…!そんなの卑怯よ!貴族の誇りも失ってしまったの!?」 「僕も本来はこんな手は使いたくないんだ、だが君が僕を困らせるからさ、さてどうするんだね? それとも使い魔の助けを期待してみるかね?残念だが彼は来ないよ、永遠にね…」 歌うようにワルドが口にした言葉にルイズが反応する 「バージルが…!?ワルド…貴方なにをしたの!?」 「簡単なことさ、貴族派にアルビオンの隠し港の場所を教えた。 彼の乗ったイーグル号は撃沈され今頃海の藻屑さ…」 その言葉を聞きルイズは崩れ落ち座り込む。 「そんなっ…バージル…」 あのバージルが…あんな別れ方してしまったのに…一言謝りたかったのに… ルイズの目から大粒の涙があふれる キュルケが呆然とした表情を浮かべている、 だが唯一あさっての方向を見ていたギーシュだけは視線をワルドに戻し鋭く睨みつけた。 「さて、そろそろ答えを聞きたいな、僕のルイズ、さぁ、大事な友達を救いたいなら僕と来るんだ…」 ワルドが優しく囁く、そしてルイズに向かって手を差し伸べようとしたその時 「ヴェルダンデ!!」 ギーシュの叫び声が礼拝堂内に響く、それと同時にタバサが倒れている床がボコッっと陥没し、 拘束を逃れたタバサは穴の中へと消えていった。 「何ッ!?」 ワルドが驚くのもつかの間、強烈な殺気を感じ即座に飛び退く、 その瞬間ワルドが立っていた空間が音を立てて切り刻まれた。 その場にいた全員が始祖像の上を注視する、そこには… 「「「バージル!!」」」 ルイズ達が驚愕の声を上げる、 始祖像の頭の上で彼を象徴する氷のように蒼いコートを翻しながら、バージルがワルドを睨みつけていた。 「返してもらうぞ…貴様には過ぎた力だ」 そう言いながら右手の閻魔刀をワルドに向け、 ルイズとワルドの間に割り込むように飛び降りる。 「バージル!遅い!遅いわ!一体何してたのよ!ご主人様を待たせるなんてっ!」 ルイズが大粒の涙を流しながら叫ぶ、そんなルイズを横目でチラとみるとバージルが口を開く 「お前らは下がっていろ、巻き込まれたくなかったらな」 そう言うと再びワルドへ視線を戻す、ギーシュがタバサを穴から救出し、キュルケがルイズを抱えそそくさと礼拝堂の隅へと移動していくのが見えた。 「貴様ッ!!なぜだ!あれだけの艦に囲まれてなぜ生きている!」 「フッ…本当に”あれだけ”だったな…奴らは今頃海の藻屑だ」 巡洋艦をすべて叩き落としてきたにもかかわらずしれっとバージルは言う。 「この世は…力こそ全てだ…こいつが欲しければ、俺から奪い取って見せろ」 「フッ…ハハハハハ!!!言ってくれるじゃないかガンダールヴ!いいだろう!ラ・ロシェールでは不覚を取ったが… 今度は全力で相手をしてやる!どんな手品を使っているかは知らんが、それが私に通用すると思わないことだ!」 ワルドが高らかと笑い、再び杖を構える、それを見たバージルがゆっくりと左手の閻魔刀に手をかけ静かに目をつむりながら宣告する。 「You shall die.(―死ぬがいい。)」 前ページ次ページ蒼い使い魔
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訓練施設【12層】MAD出現地点 MAD出現地点のアルファベットの色は「赤」がシンボルあり(確定出現)、「黒」はシンボル無し(お供としてランダム出現) MAD出現地点の「!」はイベント戦闘やクエスト討伐MADの配置地点 通常MADのドロップは上部が通常ドロップ&オーバーキルドロップ、下部がレアドロップ 巨大MADのドロップは上部が通常ドロップ、下部がレアドロップ&オーバーキルドロップ(!地点での巨大MADは上から通常ドロップ、レアドロップ、オーバーキルドロップ) 納品クエストの部分はドロップアイテムがクエストで必要な場合にクエスト名と必要数を記載(通常&オーバーキルドロップが対象) リムP解除の部分はドロップアイテムが他の部屋に進む為のリムーバルポイント解除に必要な場合に使用する場所と必要数を記載(通常&オーバーキルドロップが対象) 再出現しなくなるバグで特定地点にシンボル自体が全く出現しない場合もあります。その場合はセーブ&ロードや、マップに入り直せば出現するようになる可能性があるので試しましょう 地点ごとに何度も戦闘して確認はしていますが、出現確率が非常に低いMADもいるので、記載してないアルファベット地点にも出現する可能性もありますがご了承ください。 12層&13層に限り、!地点に出現するMADは撃破した後に雑魚MADとなり2回だけではなく何度でも戦えるようになります。ただし、オーバーキルアイテムは雑魚用に変更される為、2回挑戦できる1~10層と違い、ボスとしては1周で1度しかチャレンジできません。作成できない貴重なものばかりなので、欲しいプロテクターorアタッチメントだった場合はオーバーキルを狙ってみましょう。 ※NEXTキー11入手でコレクトBOXに音器設計図19~23追加 クリア後 ▲ 出現MAD MAD名 出現地点 外見 ドロップ 納品クエスト 討伐クエスト リムP除去 モールプフランツェ A 巨大MAD 青色の輝石魔石のカケラ 無し 無し 【13層】右の部屋左青色の輝石×4【13層】左の部屋右青色の輝石×4 魔獣機ツェルベルス A 巨大MAD 土色の輝石オーパーツ 無し 無し 【13層】最初の部屋右土色の輝石×4 ロア・レザール A、B トカゲ 王の尻尾赤色の幻石 無し 無し 最初の部屋右赤色の幻石×4 ハマドリュア A、C、D 花 エターナルリーフ土色の結晶 無し 無し 無し ローレライ B、C ピクミン 蒼穹の繊布虹色の幻石 無し 無し 中央の部屋上虹色の幻石×2 バラキート B 巨大MAD 緑色の輝石アリスマター 無し 無し 【13層】最初の部屋左緑色の輝石×4 エターナルドラゴン B 巨大MAD 青色の輝石賢者の石 無し 無し 【13層】右の部屋左青色の輝石×4【13層】左の部屋右青色の輝石×4 プシュケー B、C ガ 黄金のストロー緑色の幻石 無し 無し 右の部屋左緑色の幻石×4 デゼスワーム B、C イモムシ フォビットフルーツ緑色の幻石 無し 無し 右の部屋左緑色の幻石×4 ダーインスレイブ C 巨大MAD 赤色の輝石隕鉄 無し 無し 無し 醜神カマプアア C 巨大MAD 土色の輝石モーメントフーフ 無し 無し 【13層】最初の部屋右土色の輝石×4 フェニックス D 巨大MAD 赤色の輝石不老の涙 無し 無し 無し 魔獣機ダウンフォール D 巨大MAD 赤色の輝石ダークマター 無し 無し 無し アルビオン ! 巨大MAD NEXTキー11オリハルコンチュトラリージュエル 無し 無し 無し カイザードラゴン ! 巨大MAD 白色の輝石帝王の逆鱗ペンタクルジュエル 無し 無し 【13層】右の部屋下白色の輝石×2【13層】左の部屋上白色の輝石×2 カオスイグジスト !2 巨大MAD NEXTキー12カオスピースナイトキングジュエル 無し 無し 無し セラフィ !2 浮かぶ耳毛 不滅の清翼白色の幻石 無し 無し 【12層】右の部屋上白色の幻石×2【12層】左の部屋下白色の幻石×2 インゼクト・アンフェール !2 ひよこ虫 インフェルノクレイ黒色の幻石 無し 無し 【12層】右の部屋下黒色の幻石×2【12層】左の部屋上黒色の幻石×2 アルビオン&カイザードラゴン撃破後に以下追加 出現MAD MAD名 出現地点 外見 ドロップ 納品クエスト 討伐クエスト リムP除去 アルビオン D 巨大MAD 黒色の輝石オリハルコン 無し 無し 【13層】右の部屋上黒色の輝石×2【13層】左の部屋下黒色の輝石×2 カイザードラゴン D 巨大MAD 白色の輝石帝王の逆鱗 無し 無し 【13層】右の部屋下白色の輝石×2【13層】左の部屋上白色の輝石×2 カオスイグジスト撃破後に以下追加 出現MAD MAD名 出現地点 外見 ドロップ 納品クエスト 討伐クエスト リムP除去 カオスイグジスト E 巨大MAD 虹色の輝石カオスピース 無し 無し 【13層】中央の部屋上虹色の輝石×2 名前 コメント 育成方法や装備やセットしているアンプで同レベルでも全然ステータスは変わってくるのでこのレベルなら行けるとは一概に言えませんが・・・各階層の敵アイコンが緑色~青色になる位なら問題ないかと。後は1ターン撃破を狙うか無理なら敵の能力を下げながら地道に削るかですね -- 管理人 (2016-05-24 22 04 51) レベルがどれくらいあればここを突破できますか? -- 名無しさん (2016-05-24 17 28 29)
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前ページ次ページ確率世界のヴァリエール 彼(女)はカオスの伝導体 彼(女)は世界の特異点 確率世界の彼(女)の中で 虚無〈ゼロ〉と無限は等価となって 眠れる分岐が目を覚ます 確率世界のヴァリエール - Cats awaking the Box! - 第六話 テーブルを挟んで椅子に腰掛けた少女が二人。 両手をくねらせ猫耳を立てて、ルイズが喜色満面に黄色い声を上げる。 「こんな下賎な場所へお越し頂けるなんて、姫殿下! このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、 光栄の極みに御座いますわ!!」 「そんな、ルイズ・フランソワーズ。 そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい。 それはそうと、、、」 アンリエッタが部屋のすみをちらりと見る。 「もったいないお言葉ですわ! 姫殿下!」 「昔馴染みの懐かしいルイズ、ルイズ・フランソワーズ。 あなたまでそんなよそよそしい態度をとらないで。 で、ええと、、、」 「感激ですわ! 私を覚えてくださっていたなんて!」 「あ、あの、あちらのお二人は、、」 ルイズが部屋のすみの二人を指差し睨みつける。 「せーざっっ!!」 部屋のすみにはキュルケとシュレディンガーが、 頭の上にコブをこさえてぺたりと並んで座っている。 「なーによ。 ちょっとからかっただけじゃない」 先ほどのサカリの付いたメスライオンの様な表情はどこへやら、 キュルケがしれっとした顔で言い放つ。 「安心なさいなルイズ。 あんたみたいなオコチャマは好みじゃ無いし、 殿方もちゃんと好きだから」 「殿方「も」ぉお?!!」 ルイズが聞き返すのへ答えず、ぷい、とそっぽを向く。 「なんでボクまで、、」 涙目で頭のコブをさするシュレディンガーを怒鳴りつける。 「何で、じゃ無いでしょ何でじゃ! 助けなさいよあーいう時は!」 アンリエッタに向き直ると、にっこりと顔を作る。 「アレは隣部屋に生息する淫乱赤毛牛と 馬鹿で生意気な私の飼い猫です。 お気になさいませんよう、姫さま」 さわやかな笑顔で紹介する。 「で? そちらの姫さま、なーんかお悩みみたいだけど?」 「お黙んなさいよウシ女! 姫さまに悩みなんかあるわけ無いでしょう!!」 「い、いえ、実はその、ルイズ」 「、、え?」 アンリエッタが、胸の内の悩みをぽつりぽつりと語りだした。 「そーいうことならお任せ下さい、姫さま! 不肖、このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 姫殿下の憂いの種たるその手紙、 無事取り戻してご覧に入れますわ!!」 「な、何を言っているの、ルイズ! 私は宮廷の中では漏らすことすら叶わぬこの悩みを、 ただあなたに聞いてもらいたかっただけなの!! 戦時下のアルビオンへ赴くなど、そんな危険なこと、、 頼めるわけがありませんわ!」 「この身をご心配頂けるなんて、感謝の極みに御座います! でも、ご安心ください、姫さま。 私、こーいうの得意なんです!!」 アンリエッタがポロリと涙をこぼす。 「この私の力になってくれるというの? ルイズ、、」 「もちろんですわ、姫さま!」 ルイズが瞳をうるませつつアンリエッタの手をとる。 「友情を確認しあってるところ悪いんだけど、、、 その話、あたしも聞いてよかったの? あたしー、一応ゲルマニア貴族なんだけど」 「え?」「あ」 手を取り合う二人が固まる。 「ご心配なく姫さま。 後顧の憂いは今すぐこの場で永久に! 取り除きます!!」 ルイズが椅子を振りかぶる。 「ちょ、冗談よ冗談だって! 人の恋路に口出す野暮天なんて ツェルプストーにはいないわよ!」 キュルケが顔を引きつらせ両手をぶんぶんと振った。 アンリエッタが机でしたためた手紙をルイズに手渡す。 「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡して下さい。 すぐに件の手紙を返して下さるでしょう。 それから、これは母君から頂いた『水のルビー』です。 せめてものお守りに、、」 アンリエッタから手紙と指輪を受け取る。 「明日にでも馬車と手形を仕立てさせます」 ルイズがにっこりとお辞儀を返す。 「いいえ、それには及びませんわ、姫さま。 言いましたでしょう? こーいうの、得意なんです。 そうそう、キュルケ。 私がいない間に姫さまに手ぇ出したら頃スわよ!!」 ギロリとキュルケを睨みつける。 「あのねぇ、あたしだってそんな命知らずじゃ無いわよ。 安心して行ってらっしゃいな。 長引いたら明日の授業は代返しといたげるから」 キュルケがため息をつく。 「冗談よ。 さ、行くわよ、シュレディンガー!」 「了解っ!」 自分の使い魔の猫耳頭を抱え込む。 「では。 朝には戻りますわ、姫さま!」 にっこりとそう言うと、ルイズは使い魔と唇を重ね、『跳ん』だ。 ============================== 「きゃ! な、何を、、、え?」 突然の行為にアンリエッタが思わず目を伏せ、目を開けると そこに二人の姿はなかった。 「え?、、、へ?」 「あら、ご存じなかったんですか? 姫さま。 これがあのシュレちゃんのチカラですわ。 今頃二人はもうアルビオンですよ」 「あの使い魔さんの、、チカラ?」 「そう、あの子はどこにでもいてどこにもいない。 だから、どこにだって行けるそうなんです」 「え、、? それはまた、、なんという、、、」 「ま、マジメに考えるだけ無駄ですわ」 その時、コンコンとガラスをノックする音がした。 「ぅわお、いい男」 窓を開け覗き込んだ顔に、キュルケが思わず声を上げる。 「あのー、、姫殿下。 私はどうすれば、、、」 「あら、ごめんなさいワルド。 忘れてたわ。 部屋に戻って待っていて頂戴、朝には戻るわ」 「は、はあ、、、 かしこまりました」 髭を蓄えた男前が窓を閉めて夜に消える。 キュルケがベッドに座るアンリエッタの横に腰をおろす。 「ふう。 夜は長ごう御座いますわ、姫さま。 宜しければ、小さな頃のルイズとの思い出でも、、 お聞かせ願えますか?」 暗い面持ちで隣に座る姫君に、キュルケは優しく微笑んだ。 。。 ゚○゚ 浮遊大陸アルビオン。 宵闇に包まれようとする白の大陸、そのはるか上空。 そこにルイズ達は居た。 「うわー! すごい! ラピュタは本当にあったんだ!」 「ラ、、? アルビオンよアルビオン。 えーと、暗くてよく分っかん無いわね」 降下しながら空中に浮かぶ大陸を目を凝らして見下ろす二人を 突如として閃光が照らし出し、数瞬遅れて爆音が空を震わせる。 「ルイズ、あれ!!」 大陸と空との境界、せり出した岬の突端にそびえる城の一角が 煌々と燃えている。 「うそ?! あれってニューカッスル城じゃない!」 目指す手紙の所有者、アルビオンのウェールズ王子が居ると 思われるニューカッスル城は、今まさに艦砲攻撃を受けていた。 「え?アレって船? 戦艦? ルイズ、戦艦が浮いてる!」 「じょーだんじゃ無いわ、行くわよ!!」 ============================== 二人が口付けて跳んだ先は、およそ城の中とは思えぬ巨大な洞穴の中だった。 直後、轟音が洞窟を揺らし、岩の破片をそこらじゅうに降らせる。 「ちょ、何よここ、ホントにニューカッスル城の中なの?!」 「そうとも、で、君らは誰だ?」 後ろからの突然の声に二人が振り返る。 そこに居たのは篝火に照らされた凛々とした金髪の青年だった。 「こやつら、何者だ!」 「猫耳の亜人? 貴族派の間諜か?!」 杖を掲げた兵士達が二人を取り囲む。 「ち、違います、私達は貴族派なんかじゃありません! トト、トリステインの大使です!」 「ふざけた事を、、取り押さえろ!」 「まあ待て。 トリステインの大使といったな」 金髪の青年が進み出る。 「その大使殿がこんな所に何の用だ?」 「その、、アンリエッタ姫よりウェールズ皇太子殿下へ、 こ、この手紙を!」 手紙を取り出そうとした時、ポケットから指輪がこぼれ 青年の足元へと転げ落ちる。 「あっ、、! 姫様の指輪!」 青年がつま先に触れたその指輪を拾い上げる。 「これは、、! トリステインの『水のルビー』、、」 その時、青年の指にはめられた指輪と拾い上げた指輪の石が共鳴し、 虹色の光を振りまいた。 「水と風は、虹を作る。 王家の間にかかる虹だ。 皆、杖を下げよ。 このお二方はまごう事なきトリステイン大使であられる」 周りの兵士が杖を引き、二人に礼を取る。 青年は居住まいをただし、威風堂々、名乗った。 「ニューカッスルへようこそ、猫耳の大使殿。 私がアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」 手渡した手紙を一読し、件の手紙の返却を快諾したウェールズに付き従い 二人は砲撃の止んだ城内の階段を上っていく。 (ルイズー、その手紙って何が書いてあるんだろ?) シュレディンガーが歩きながらこそこそと耳打ちする。 (しっ!) 前を行くウェールズをちらりと見つつ、猫耳に口を寄せる。 (あんたってニブいわねー。 姫様の口調で気付かなかったの? ラブレターよラブレター。 姫様がゲルマニアにお輿入れしようって時に そんなものが見つかっちゃったら一大事でしょ?) (へー。 でも元カレに「ラブレター返してー」なんて、 可愛い顔してあのお姫様もキツいねー) (なに言ってんの! それだけ王家の責任ってのは重いものなのよ! それに、、それだけじゃないわ。 書いてらっしゃる時にチラッと見えちゃったんだけど、 殿下へトリステインへの亡命を、、) 「さあ着いた、この部屋だ」 扉の前で立ち止まったウェールズの声にかしこまる。 質素な部屋の机の中にしまわれた小箱を取り出す。 「宝物でね」 幾度も読み返されたのだろう、ぼろぼろになった手紙を 最後に一読した後、ルイズに差し出す。 「さ、確かにお返しいたしますよ、大使殿」 うやうやしく頭を下げ、王子より手紙を押し戴く。 「明日の朝、非戦闘員を乗せた最後の便が港を出る。 大使殿はその船に乗って姫の下へお帰りなさい」 「え、、、? 最、、後?」 「そう。 明日の正午に攻城を開始すると、叛徒共が伝えてきた。 城の中に残る兵共々、王家の誇りを存分に示すつもりだ」 「そんな、、、 王軍に、、勝ち目は、無いのですか?」 「此方は三百、彼方は五万。 万に一つも無かろうさ。 私に出来ることは、王家の務めを果たす事だけだ」 ルイズを見つめ、にこやかに微笑む。 ルイズの中で、現実が急に色あせていく。 皇太子は、この人は、明日の戦いの中で死ぬつもりなのだ。 あの手紙には、確かに亡命を勧める一文が添えてあったはずだ。 しかし、それをおくびにも出さず、己が務めに殉じようとしている。 どうして、恋人の切なる願いより、死を選ぶのか。 己が愛する人より大切なものなど、この世にあるのだろうか。 あるのだろう。 そしてそれこそが、貴族の務め、王家の務め、なのだろう。 優しく見つめる皇太子の瞳の中に、確固たる意思が見える。 己が憧れる真の貴族の姿が、そこにはあった。 あふれ出ようとする全ての感情と、言葉と、涙とを飲み込むと、 歯を食いしばって面を上げ、ルイズは精一杯の笑顔を返した。 「御武運を、お祈りいたします。 殿下」 「お心遣い、痛み入る。 大使殿」 † 最後の晩餐会。 絶望的な決戦を明日に控えた城内。 それでも兵達は皆、晴れやかな顔をしていた。 「猫耳の大使殿、このワインをお試しなされ! 上等なものですぞ!」 「いやいや、それよりこの鳥の蜂蜜焼きを! 頬が落ちますぞ!」 かわるがわるルイズをもてなす貴族達に、にこやかに答える。 シュレディンガーは年老いた貴族達が語る武勇伝を 目を輝かせて聞き入っていた。 やがて老王が立ち上がり、二人の大使への謝辞と 兵への労いが述べられると、共に立ち上がっていた貴族達から 「アルビオン万歳!」の大合唱が沸き起こる。 そこに居並ぶ誰も彼もが、曇り無き決意を顕わにしていた。 老王が去り、なお続く晩餐会で。 ルイズはテラスで一人、夜風に煽られていた。 「あ、ここに居たんだー」 声に振り返ると、猫耳の使い魔がそこにいた。 「どしたの? 不機嫌そ」 「どうもしないわよ」 不機嫌さを隠しもせずにそっぽを向く。 「すごいねー。 雲と一緒にふわふわ浮いてるなんて。 この大陸も、船も」 身を乗り出し、眼下を見下ろす。 宙に浮かぶ白の大陸の、切り立った岬の突端に築かれたニューカッスル城。 その端に構えられたテラスの下には、雲しか見えない。 「ここのみんなも意固地にならないでさー、 この雲みたいに亡命でも何でも、 どこにでも行っちゃえば良いのに」 のん気につぶやくシュレディンガーの胸ぐらを掴み、 歯を喰いしばり、ルイズは激しい剣幕で使い魔を睨みつける。 「あんたは、、、! あんたには、判んないわよ!! 彼らは、誇りを捨てた叛徒どもを相手に、 貴族の務めを全うしようしているの!」 「そーかなー?」 眉を上げ涼しい顔で返す。 「国と領地と領民を守ってこその貴族でしょお? 死んで守れるものなんて、ひとっつもないよ?」 「貴族の誇りを守れるわ!」 「だから死ぬの? それがルイズの思う『貴族の務め』?」 「そうよ! 彼らこそ、、彼らこそ、本当の貴族だわ!!」 知らず、絶叫する。 「だったらルイズ。 、、、どうして泣いてるの?」 その言葉で初めて、ルイズは自分の頬を伝うものに気付いた。 唇を震わせ、シュレディンガーを見つめ、胸に顔をうずめる。 小さく震えるルイズの頭をシュレディンガーが優しく抱く。 「シュレ、、、 あの人たちに、今日、はじめて会ったばかりなのに、、 私、、、わたし、、 私、あの人たちを、死なせたくない、、」 シュレディンガーは涙に濡れた頬にそっと手をそえると、 顔を引き上げてその唇にやわらかく口づけた。 ============================== 突風が髪を巻き上げる。 今までいたテラスよりさらに上、中空に張り出した見張り塔の 狭く急な円錐形の屋根の上に二人はいた。 「わわっ?!」 バランスを崩し、あわてて屋根の中央の避雷針を掴む。 「ルイズ、見える?」 隣で同じく避雷針を掴んだシュレディンガーが、 もう片方の手で遥か彼方を指し示す。 いくつもの山々の向こうに、天を照らす光りが見えた。 「あの港町に、さっきこの城を砲撃していた船、貴族派の旗艦 『レキシントン』号をはじめとした戦艦三隻が寄港してる。 王と王子を生け捕りにして「公平な」裁判にかけるのは諦めたみたい。 明日正午に殲滅戦をしかけてくるってさ」 ルイズがつばを飲みこみ、彼方の光を見つめる。 「けれど」 シュレディンガーが向き直る。 「僕ならルイズをあそこへ連れて行ける。 誰にも気付かれず、誰の目にも留まらず」 ゆっくりとルイズの目を見る。 「そして」 猫がうすく笑う。 「ルイズには『破壊の魔法』がある。 モチロン戦艦を沈めるのは難しいだろうけど、 動力炉や機関部を、燃料庫や火薬庫を 壊して回る事は出来る、かもしれない」 「、、、!」 ルイズの瞳に光が戻る。 「そうすれば彼らを助ける事が出来る、かもしれない」 「そうよ、それだわ! 私、皇太子を、、彼らを助ける!!」 ルイズが叫ぶ。 「でも」 緩やかに、その輪郭が夜に滲む。 闇が、さえずる。 「本当に、それで良いの? 本当に? 本当に? 確かに彼らを助ける事は出来るかもしれない。 でも、あとたった三百人が死ぬだけで終わるはずだった この戦争は、もっともっと続くことになるだろうね。 三百どころじゃあない、もっと死ぬよ、もっと死ぬ。 そしてその中には、君自身も居るかもしれない。 僕はカオスの伝導体、 僕は世界の特異点。 確率世界の僕の中で、 虚無〈ゼロ〉と無限は等価となって 眠れる分岐が目を覚ます。 僕は君に約束したよね。 いつでも、なんどでも、どこへだって、 君が望む場所に連れて行ってあげる、って。 でも、僕自身はただの力、ただの君の使い魔だ。 この力を使うのは、君の意思だ。 さあどうする? ご主人様。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 いつしかそこには、いつもと同じ姿をした、 しかし、ルイズの見知らぬ使い魔が居た。 その闇が、目を見開き、口元を歪ませ、問いかける。 その力を、『この世界』に使うのか、と。 確かに、この力を使えばどこにでも行ける。 戦艦の中へも、宝物庫へも、敵国の王の寝室でさえも。 この力を『この世界』へ使うとは、そういうことなのだ。 だが自分に、世界の運命を変える権利などあるのか。 だが自分に、人の命を奪う権利などあるのか。 否、そんな権利など、誰にも無い。 神にも悪魔にも、私にも。 あるのは権利ではない、運命を変える覚悟、命を奪う覚悟、ただそれだけだ。 その覚悟が、、、自分に、あるか。 顔を上げ、息を吐き、目を開く。 「私をなめないで、使い魔!! 私は言ったわ、「彼らを助ける」と! 「助かれば」でも「助けたい」でも無い、 「助ける」と言ったの! それは何も変わらない、変わらないわ! 彼らが死ぬのがこの世界の定めというのなら、 そんな定めは、私が変えてみせる! 変えられた運命が私を殺すと言うのなら、 そんな運命、 変 え て や る ! ! 」 手を離して屋根を蹴り、己が身を夜空に投げた。 もはや心に曇りは無い。 満天の星に包まれ、両手を広げ、遠く足元に浮かぶ ニューカッスル城を、アルビオン大陸を見上げる。 「はははっ! 了解っ! やっぱり君はすごいや、ルイズ!!」 いつの間にかそばに来ていたシュレディンガーが 満面の笑みを浮かべている。 その手を繋ぎ、夜空を滑る。 「そう、それが第一歩だよ、ご主人様。 ではご案内いたしましょう、ミス・ヴァリエール。 目覚めた分岐のその先へ!」 その夜、一人の少女と一匹の使い魔は 自らの運命と契約の口付けを交わした。 ============================== その日の未明ーーー、 アルビオン貴族派の旗艦『レキシントン』号は 正体不明の襲撃者の手により攻撃を受け損傷、 動力源の「風石」の大半と火薬の半分を失逸した。 また、伴船二隻もこの攻撃により係留樹より墜落、大破した。 これによりニューカッスル攻城戦は実行されず、 転機を掴んだ王党派は地下へ潜伏、ゲリラ戦に転ずる。 王党派による「大反攻」が、開始された。 † オ マ ケ ============================== 「ふう、何とか朝には戻れたわね。 あら、キュルケ。 姫さまはお休み?」 「そ、そーなのよ。 た、旅の疲れ、とかかな! アンったら疲れて寝ちゃって。 ねえ?」 「はぁ?! アンだあ~~っ?! 姫さまをなんて呼び方してんのよ!!」 ベッドで毛布をかぶっていたアンリエッタがぴょこりと顔を出す。 「ち、違うのよ、ルイズ! キュルケとは待ってる間に、お話をして仲良くなったの!! ご、ごめんなさいな、ルイズ。 こんな格好で。 ええと、あの、、そう! 長旅の疲れ? で!」 シュレディンガーがこわばった笑顔で、しっとりと湿った布切れを拾い上げる。 「えっと、ルイズー? こんなん見付けちった、あははー、、」 「そ、それ?! 私のショーツッ、、!」 アンリエッタが赤面し手を伸ばした拍子に、毛布で隠していた乳房がこぼれる。 「あ、、、、」 ルイズの猫耳が、ゆっくりと、逆立っていく。 「、、、キュルケ? 、、、姫さま? あなたさまの初恋のお相手の命を救うため、、、 こっちは命がけで、お務めを果たしてきたってのに、、、 ばっ、、! フッ! ザッ! けっ、ん、なぁ~~っっ!!!」 ルイズの怒りが白み始めた空を震わせた、とか。 。。 ゚○゚ 前ページ次ページ確率世界のヴァリエール
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (5)海無き港町ラ・ロシェール ラ・ロシェール近くに無事不時着した羽ばたき飛行機械。 ウルザがそれを手際よくと折りたたみ、待つこと暫し。 空に二つの影。グリフォンとワイバーン。 「ミスタ・ウルザ!彼女達がついて来ていることをご存知だったのですか!? なぜ追い返さなかったのです!」 「落ち着きたまえワルド子爵。 私も気付いたのは少し前のことだ。確信したのは奇襲後だがね。」 トリステイン魔法学院からつけて来たというタバサとキュルケ。 その処遇をどうするかで、ワルドとウルザの言い争い。 ワルドは追い返すべきだと主張。 一方のウルザは奇襲を受けた以上、タバサとキュルケの存在が敵に察知されたのは確実。それならば戦力として期待出来る以上、連れて行っても構わないと主張。 真っ向から対立する意見。 ルイズがグリフォンに騎乗するときもそうであったが、なぜこの二人はこんなにそりが合わないのだろう。 ウルザ、ワルド、共に普段は他人との軋轢を起こすタイプの人間ではない。 その二人が話を始めると、どうしてこうなってしまうのだろう。 ルイズは首を傾げるばかりである。 結局タバサとキュルケは連れて行くが、旅の目的を伝えない、という形で決着がついた。 ラ・ロシェールで一番上等な宿『女神の杵』亭に宿泊することにした一行は、その一階の酒場で、この後どうするかと話し合っていた。 別にアルビオンへ行ってどうする、といった話ではない。 空路を取った為、予定よりもかなり早くラ・ロシェールに到着したので、買い物にでも出ようかという算段である。 そこへ『桟橋』へ一人、乗船の交渉へ行っていたワルドが帰ってくる。 ワルドは席につくと困ったように、話を切り出した。 「アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ないそうだ」 「ええ!?急ぎの任務なのに……」 「つまり!今日一日はフリーってことね!おじさま、ショッピング、ショッピングに参りましょう!?」 「ふむ、なぜ船は明日にならないと出ないのかね?」 キュルケを無視してウルザ。応えてワルド。 「明日の夜は月が重なるだろう?『スヴェル』の月夜だ。その翌日の朝、アルビオンが最も、ラ・ロシェールに近づく」 山中の港町、月夜に関係して距離を変える陸地、果たしてアルビオンとはいかなる場所であるか、ウルザは考える。 「さて、それでは先に宿を取ってしまおう」 ワルドがそう口に出すと、ウルザが声をかける。 「そのことだがね、ワルド子爵。君が桟橋へ向かっている間にこちらで手続きを済ませておいた。 部屋割りは、ミス・タバサ、ミス・キュルケが相部屋。ミス・ルイズ、ギーシュ君が相部屋。 ……そして私と君が相部屋だ」 石膏のように固まるワルド。 「私は、ルイズの婚約者なのだが?」 「私もそういったのだがね、ミス・ルイズが君と自分はまだ結婚前だと言うのでね」 ワルドがギ、ギ、ギと首を動かしルイズを見る。 「………ルイズ?」 「子爵様、やはり、いけないわ、そんな…」 「そういうことだ、ワルド子爵。夜は年長者同士、仲良くしようではないか」 この時、淡々と話していたウルザの口元がにやりと笑ったように、ワルドは感じた。 その後、夜までの時間は各々自由時間という形で解散することとなった。 しかし、危険な任務ということもあり、自然と集団で行動するというのが暗黙の了解であったのだが、 「大事な話があるんだ。二人きりで話したい」 とのワルドの言で、ワルドとルイズだけは別行動をとるということとなった。 まだ日が残っている、しかし、暫くすれば夜の闇に包まれるであろう、桟橋。 「覚えているかい?あの日の約束……。君のお屋敷の中庭」 「あの、池に浮かんだ小船?」 あの夢の小船。 「君は、いつもご両親に叱られたあと、あそこで丸くなっていたね。まるで捨てられた子猫のように…」 「ほんとに、もう、変なことばかり覚えているのね」 「そりゃ覚えているさ。僕にとっては昨日の日のことのように思い出せるよ。 君はいつもお姉さんと魔法の才能を比べられて、出来が悪いなんて言われていたね」 ルイズは恥ずかしそうに俯くことしか出来ない。 それでもワルドは楽しそうに続ける。 「でも僕は、それはずっと間違いだと思っていた。 確かに君は不器用で、失敗ばかりだったけれど…誰にも無いオーラを放っていた。 それは君の魅力だった。君が他人にはない特別な力を持っているからさ。 僕だって並みのメイジじゃない、だからそれが分かるんだ」 「まさか…」 言いながら思い出す、以前、キュルケとどちらが買った剣をウルザが使うかを賭けて行った勝負。 その時に始めて成功した魔法、あの高揚感。不思議な感覚。 ――――――そして、手のぬくもり。 「まさかじゃない。例えば、そう、君の使い魔」 「ミスタ・ウルザのこと?」 「そうだ。彼が武器を掴んだときに、左手に浮かび上がるルーン、あれはただのルーンじゃない。伝説の使い魔の印さ」 「伝説の?」 「そうさ、あれは『ガンダールヴ』の印だ。始祖ブリミルが用いたという、伝説の使い魔の印だ」 ワルドの目が、鋭く、妖しく光る。 「誰でも持てる使い魔じゃない。君はそれだけの力を持ったメイジなんだよ」 「………信じられないわ」 「君は偉大なメイジになるだろう。そう、始祖ブリミルのように、歴史に名を残すような、素晴らしいメイジになるに違いない。 僕はそう予感している」 ワルドの熱病に冒されたような熱っぽい口調、ルイズの中に、小さな、棘の様な違和感。 「この任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」 突然のプロポーズ。 一瞬、何を言われたのかを理解出来ないルイズ。 「え……」 「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりは無い。 いずれは、国を、このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている」 ルイズの顔を覗き込むように、距離を近づけるワルド。 「確かに、君をずっと放っておいたことは謝るよ。婚約者だなんて、言えた義理じゃないことも分かってる。 でもルイズ、僕には君が必要なんだ」 ワルドがすっと、距離を離す。 「今、返事をくれとは言わないよ。 でも、きっとこの旅が終わったら、君の気持ちは僕に傾むいているはずさ」 夕焼けの中、ワルドが背を向けて去ってゆく。 その背中を見ながら、ルイズはいつも見ている背中を思い出した。 どうしてワルドは優しくて、凛々しいのに……。ずっと憧れていたのに……。 結婚してくれと言われて、嬉しくないわけではない。 けれど、何かが心に引っかかる、引っかかったそれが、ルイズを前に進ませないのであった。 『人を殴る時は、せめて椅子をお使いください』 ―――荒くれの港町ラ・ロシェール 『金の酒樽亭』の張り紙 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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グランドOP4「吸血姫」 RLシーンです。PCは登場不可。 まだ激戦の痕跡が残るロンデニオン郊外にて。 アルビオン連合王国軍の将校、アズリーリア女公爵は「流星」墜落現場へと辿り着いた。 風に揺れる長い金髪。すらりとした長身。激しい戦いの中でも全く汚れていない軍服姿。腰にはサーベル。 深いエメラルドグリーンの瞳には、つい先ほど「奇跡」をもたらした存在への興味が浮かんでいる。 (彼女は《清らかな衣》《神の恩寵》持ちなのです) 誰よりも早く「墜落現場」へと到達したアズリーリア女公爵は、そこに2人の若者の姿を見つけた。 まだ幼き容貌の、見慣れぬ服装の男女。武装もしていない。つい先ほどまで、ここは戦場の中心部だったのに! GM/アズリーリア女公爵:「‥‥フォーリナー、か」 ぽつりとつぶやく。そして微笑みを浮かべ。 GM/アズリーリア女公爵:「ようこそオリジンへ。歓迎するぞ。奇跡の担い手よ」 だが、歩み寄ったアズリーリア女公爵はひとつの事実に気づいた。少女の頬に手を当てる。 GM/アズリーリア女公爵:「死んでいる‥‥ 世界移動の影響か。それとも、先程の“光”の反作用か‥‥?」 GM/アズリーリア女公爵:もう一人の男性に触れる。「こちらは無事か」 GM/アズリーリア女公爵:「‥‥‥‥」 しばらく悩んだ後。彼女は《薔薇の抱擁》を使用。死亡していた少女を仮死状態へと復帰させることにした。 GM/アズリーリア女公爵:「フォーリナー相手とは我ながら無茶だが‥‥ 先程の“奇跡”の対価と思えば安いものだ」 GM/アズリーリア女公爵:「聞こえておらぬだろうが、礼を告げておこう」 2人のフォーリナーへと優しく微笑み。 GM/アズリーリア女公爵:「わたしの部下と、そして祖国を滅亡から救ってくれたこと。感謝しているぞ」 GM/アズリーリア女公爵:「願わくば、そなたらの道行にプロパテールの導きがあらんことを」 GM/アズリーリア女公爵:祈りつつ。少女の喉に牙を。 アズリーリア女公爵のLPは残り1点になりました。 少女「はるか」は死亡状態を解除。戦闘不能(HP0・LP1)となり、吸血鬼のブランチを新規獲得。 フォーリナー2名はそのまま女公爵に連れ帰られ、アルビオン連合王国軍に保護されることになった。 GM:さて。ここで兄さんに確認しておこうかな。 GM:この光景をキミは「ぼんやり覚えている」でもいいし、「まだ意識が戻っていなかった」ので知らなくてもいい。 秋彦:ぼんやりで GM:では。キミは妹はるかの白い喉笛に美人のおねーさんが牙を突き立てる光景を見つつ、再び意識を失っていく‥‥ シーンEND 次へ