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「アミロペクチン第一章-9話~テーデン山脈の夜~」 著 八幡神社 「シュワーツ人の居住は今から50万年以上をも遡る。 シュワーツ人とは大昔、西の大陸から移動してきた人達じゃ。 当時は洞窟や岩陰などに住み、狩猟・採取・漁労で生活をしていた。 氷河期が終わってくると気候も安定し、温暖になった。 それによって定住が可能になり、そう、稲作が始まったのじゃ。 稲作はたぶんノルニアの方から伝わって来たんじゃな。 5、6世紀頃になると最も優れた技術を持っていたノルニア人が北の大陸中に移住し始めた。 10世紀頃に世界的な寒冷現象が起きたことは知っておるな。 その時に暖を求めて南へ移ってきたのがヴァル人じゃ。 そして北の大陸の南部のノルニア人と混血して出来たのがノーデン人じゃ。 そこらへんは上級学校で教えたじゃろ。 その後はスターミネッセンス王国が出来てな・・・。」 我々はまだテーデン山脈の山中を歩いている。陽は西の空に橙色に輝いている。 私もフレシュも先生の話などには耳を向けず黙々と歩いていた。 疲れたのであろう。先ほどまで元気だったフレシュも喋っていない。 「先生、馬に乗ってもいいですか。」 「何を言う。こんな道で馬に乗ったら馬が可哀想ではないか。」 そう言って馬に乗せてくれないのである。だから疲れる。 「さて、続きを話そう。」 先生がスターライトの歴史を語っているうちに夜が来た。寒い。 「センセー、疲れたし寒いしもう寝ましょうよー。」 フレシュが震えながら言う。 「そうか。しかしこの山の中の何処にテントを張るというのじゃ。」 「何処かに小屋とかないんでしょうかね。そしてここはまだ標高が低いですから村もありそうですし。」 「そうか。ではもう少し進んでみよう。」 というわけで進んでみたものの、寒くなる一方であった。 しかし木の数はだんだん減ってきて空き地が多くなってきた。 「よし、ここにテントを張ることにしよう。」 我々は慣れない手つきでやっとテントを張った。 満天の星空の下である。 我々は寝袋の中にみの虫の如く潜り込んだがやはり寒い。 そこで皆で体を寄せ合った。こうすれば少しは暖かくなるはず。 その時私は感じた。 先生のお腹はすごく暖かいのだと。 続きを読む 用語集 西の大陸・・・北の大陸の南に存在する大陸。 名前 コメント
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「アミロペクチン第二章-29話 ~パン屋の華~」 祈りの時間が終わり、南リム街道が再び賑わい始めた。 私とシュルツはパンの販売をしながらベルツ店長夫婦を待った。 その時声が聞こえた。 「ただいま~」 女性の声である。奥さんが帰ってきたのであろうか。しかし奥さんとは違い、若そうな声である。 「あれ?お母さんもお父さんもいないのか。ああ、お祈りに行ってるのね」 お母さん?お父さん?もしかしてベルツさんの娘さんなのだろうか。 「ん?あなた達新人さんね、お米で作ったパンを広めてるとか」 「あ、はい」 「やっぱり。手紙で両親からきいてるわよ」 「あの、ベルツさんの娘さんですよね」 その時ベルツ夫婦が帰ってきた。 「おお、リリー。帰ってたか」 「お父さん!お給料届けに来たよ」 「おお、そうかそうか。ご苦労」 「リリー、新人さん達に挨拶はした?」 「あ、ごめんお母さん。挨拶忘れてた。え~と、私はリリーヴィルヘルミーネ・ベルツ。 もう分かってるでしょうがこのベルツベーカリーの娘よ。」 「どうも」 そう言って我々は頭を下げた。 ◆ リリーさんは首都リムの工場勤務の女工さんで、二十歳らしい。 化粧は薄く、ベルツ夫人と同じく赤茶色の長い髪をしていてなかなか美人である。 “大人の女性”という気風が漂っている。 両親の生活を支えようと頑張って働いている優しい人だ。 ◆ 我々が米粉パンを作っていると見慣れた人が店の前へ来た。 エシスシルチームのリーダー、ダンツィさんである。 続きを読む 用語 女工・・・工場で働いている女性。18世紀の産業革命と共に増えていった。 名前 コメント
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「アミロペクチン第一章-10話~国境~」 著 八幡神社 先生のお腹でぬくぬくしていた私はいつの間にか寝ていたらしい。 もう外が明るい。そしてかなり寒い。フレシュはまだ熟睡中である。 私は寒さをこらえ、テントの外に出てみた。霧が立ち込めている。 木の根に用を足した後、先生を探してみた。 霧でよく見えないが岩の向こうに人影が見える。 「先生?」 「おお、お前か。どうした、どうした。」 「先生、私はエシスシルでうまくいっていけるのでしょうか。しかも一人で・・・。」 「大丈夫じゃ。米への熱い思いをもっていれば生きていける。」 「エシスシルで一人で米粉パンを広めるのですよ・・・。」 「大丈夫、大丈夫。米粉パンを広めるという夢があるのじゃろう。 米をつかなければ餅は出来ない。何事も始めなければ終わらないのじゃ。」 「ぬぁぁぁ!」テントの中から声が聞こえた。フレシュが寒さに震えているのであろう。 我々は焚き火をし、簡単に朝食を済ませた後、再び出発した。 一日の間にこれほどまで進んだのかと驚いたが、 もともとサトゥール村は標高が高いため、その分早く着くのだ。 とうとう雪が見えてきた。空気も薄い。 「おい、そろそろ馬に乗らないか。」 「何を言っているんです先生、こんな急勾配では馬では登れませんよ。」 という案配で馬には乗れない。 「なんですかね、アレ。」 「ん?あれは・・・関所ではないか!」 「とうとうスターライトなんですね!」 北の大陸の南部の国々、フルス・スターライト・ノルニア・スプンタティア・エシスシルは ノーデン友好協力条約というものを結んでおり、国々の出入りが自由なのである。 我々は関所を越えた。わずか二日で着けるとは、意外とスターライトと近かったのである。 次回はスターライトの地図と共に宿を探そう。 ではSehen wir uns wieder. 続きを読む 用語集 Sehen wir uns wieder.・・・ドイツ語で「また会いましょう。」 名前 コメント
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「アミロペクチン第一章-19話~辛い!~」 著 八幡神社 「辛い!」 ニューナンヴィバティーの中心、エグバート一世像を取り囲む道路の一つである カライス・サーカス通りに面したカレー屋に我々は居る。 店は大部分が屋外となっているが、厨房あたりから流れ込んでくる辛い空気が 店内に溜まっている。たぶん道にも漏れていることであろう。 人が通れば目が痛くなること間違いなしである。 フレシュはマトンカレー、先生はチキンマサラ、私はカレーライスを頼んだ。 フルスからの観光客のためにカレーライスがあるのは嬉しいことである。 しかし本場はやはり違う。スパイスが効いていて辛すぎる。辛い。辛い。辛すぎる。 この辛さはもちろん「からい」であるが「つらい」も入っている。 カライス・サーカス通りに面しているから辛いのであろうか・・・。 「いや~、アレは辛すぎだよ~。あ、お前はカレーライスだから辛くないのか」 「何を言う、あのカレーライスは辛いぞ。これまでの人生で喰ったカレーの中で一番辛い」 「お前のは米があるからいいよな~。俺はナンにつけて喰ったから辛くて辛くて。 そもそも、カレーは辛いからカレーというのであるから、辛いのは然るべきじゃないのかな」 「それ違うだろ」 そして我々はニューナンヴィバティーをさまよったあげく新しい地図を購入することにした。 「先生たちはスプンタティアに行くんですよね。何処で別れるのです?」 「地図がないから分らん」 というわけで早く買うことにした。 そして購入したのがこれである。 続きを読む 用語集 マトンカレー・・・仔羊肉の辛口カレー。 チキンマサラ・・・スパイスを多く使った激辛カレー。 カレーライス・・・カレーを米の上にかけて喰う、フルスならではのカレー。 名前 コメント
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「アミロペクチン第一章-7話~やっと出発かよ~」 著 八幡神社 私は出発式のために中央広場へ行った。 そこには私を含めて7人集まっていたがあの美女の姿は見あたらなかった。 「セーフッ!」フレシュが滑り込んできた。 「あれ、お前も行くのかよお。」とフレシュ。そんなに嫌がらなくても良いではないか。 後ろの方から走ってくる人の姿が見える。とうとう彼女が来たのだ。 「お~い、こっちです。もう始まっちゃいます。」 フレシュの奴、もう彼女と仲良くなりやがったのか。 しかしよく見ると彼女ではなさそうだ。小太りである。髭を生やしている。 どう見てもパウフェウス上等学校の歴史の先生である。 「何故先生がここに居るのですか。」 「スプンタティアに行く予定だった女の子がな、急に熱を出してしまったらしいのだ。 それで代わりに儂が来てやったというわけだ。」 私は絶望した。 「え~と、お前は何処の国に行くんだっけ。」 「俺はエシシュシ・・・エシスシル王国だ。よく聞いておけ。」 「つまり・・・僕たちは最後までお前と一緒に行かなきゃならないのかあ。」 「俺は途中までお前と行かなきゃならんのだ。しかも先生まで・・・。」 「ん?なんか言ったか?」おにぎりを喰っている先生がこちらを向いた。 「いえ、なんでもありません。」 「それにしても何故先生が彼女の代わりになったのですか。」 「それはだな、この物語の進行上、都合が良いからだ。つまり筆者のハチマンジンジャが決めたのだ。」 「またあいつですか。勝手すぎる。」 出発式が終わり、我々は家族と村に別れを告げて村を出発した。 馬に乗って移動するため、あまり疲れはしないだろう。しかしここからエシスシルへの道は長い。 しかもフレシュや先生と共に行かなくてはならないと思うと精神的にも苦痛である。 しかし、薔薇色の人生のため、米粉パン普及のため! 続きを読む 用語集 先生・・・“私”やフレシュが上級学校時代に教わっていた先生。 パウフェウス上等学校・・・“私”やフレシュが通っていた学校。 名前 コメント
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「アミロペクチン第一章-22話~シャーダラ~」 著 八幡神社 シャーダラ街道を北西へ約4カナほど進み、シャーダラという町に着いた。 もう夜である。私は早々、寝ることにした。 町の中心部にある酒場で夕餉を済ませた後、宿屋へ行った。 ティアナを外の馬宿へ預けて私は一人で淋しく寝た。 身を刺すような寒さで私は起きた。 思えばもう冬である。暦の上では大雪の頃だ。 私は宿屋から出、朝餉のためにカレー屋へ出かけた。 特にカレーを食いたいという気分ではないがノルニアにはカレー屋しかないのである。 カレーライスが売っていなかったため、私はやむなくパンを頼んだ。 朝餉を終えた私は馬宿からティアナを引き取ってシャーダラ街道へ出た。 うむ。一人というのがここまで淋しかったとは。 思い返してみればフレシュと先生と共に旅をしていた頃はなんて楽しかったのだろう。 今や私は一人である。ティアナという愛すべき馬もいるが彼女は無言だ。 3カナほど進んだところに川が流れていた。 ここら辺はもう人は住んでいないため水は澄みきっている。 ここから先にはもう町はなく、ライタティア山脈が聳えている。 山脈を越えた先はエシスシルである。 私は喉が渇いていたため、この川で水分補給をすることとした。 ティアナも口乾なようで川の水を冷たそうに飲んでいる。 私も水を手ですくって飲んだ。 そうしていると何故か妙な孤独感が襲ってきた。 そういえば私はこれまでの19年間、一度も恋人というものを作ったことがなかった。 続きを読む 用語集 馬宿・・・馬を預けることの出来る施設。 何か旅行記みたいで面白いなあ・・・。 -- 辛子マヨ改 (2011-03-06 21 22 53) 名前 コメント
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「アミロペクチン第二章-30話 ~ダンツィ恋慕~」 我々がパンを作っていると、リーダーのダンツィさんが店へ来た。 私は一旦、作業をやめてそちらへ向かった。 「どうも、ダンツィさん」 「よお、ちゃんとやってるか」 「はい!ここは街道沿いなので客もたくさん来るのです」 「・・・」 「ダンツィさん?どうしました?」 「すまん、すまん。何でもない」 先ほどからダンツィさんはリリーさんの方を見て難しい顔をしている。 「どうだ、材料は足りてるか」 「材料なら充分ありますけど」 「うむ、それならよかろう」 いつものダンツィさんらしくない。どうしたのだろうか。 「それにしても・・・一目惚れというのは本当にあるのだな・・・」 なるほど。理解した。 「じゃぁな、米粉パン作り頑張るんだぞ」 そう言ってダンツィさんは行ってしまった。 私は工房へ戻った。 「ぉ、ダンツィさんなんか言ってたか」 「リリーさんに惚れたらしい」 「へ?」 ◆ 仕事が終わり、私とシュルツはミーツカゼルネ・コメタリアに戻った。 夕餉が終わったあたりにダンツィさんから呼び出しを受けた。 シュルツも同じだったようで、ダンツィさんの部屋に先に来ていた。 「おお、来たか。ちょっとお前たちに頼みたいことがあってな。 俺は・・・実は・・・ベルツベーカリーの娘さんに一目惚れをしてしまったんだ。」 「それなら私たちも承知です」 「なぬっ。まあ、いい。で、お前たちにあの娘さんの情報を探ってほしいのだが」 「好きなら“好き”って言っちゃえばいいじゃないっすか」 「おい、シュルツ」 「うん。そうしたいんだけどさ。やっぱり・・・うん。うん」 「分りました。何を訊けばいいのですか」 「え~と、ミッション1は・・・」 続きを読む 用語 街道・・・南リム街道 名前 コメント
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「アミロペクチン第二章-25話 ~田植えの季節~」 皐月上旬、田植えの季節である。 私は今、フリュアの“ベルツベーカリー”というパン屋にて米粉パンを焼いている。 どういう経緯を経てこのようなことをしているのかじっくり説明しよう。 ◆ エシスシルに入国した私はその後も数泊しながらシャーダラ街道を進んでいった。 途中で惜しくもエンルガ郊外の牧場へティアナを預けた。 しかしこれはカピカトル様の命令である。 そして、手配してくれた家があるフリュアへ向かった。 フリュアに到着した私は家を探した。 そこは木造3階建てアパートメントであった。しかし新築のようである。 そして私の部屋となる201号室へ入った。 その後も数人、どんどんとこのアパートメントに入居してきた。 新築であるからなのであろう。そして数日後、入居者全員の招集があった。 その招集にて分かったことだがこの米粉パンを広める活動は サトゥールだけで行うわけではなかったようだ。 どうやらフルスのコメタリア運動の団体が共同で行っているらしい。 そして「パン屋で米粉パンを作り、販売する」ということになり、 私はフリュア西部、ウェシスピリン川と南リム街道に挟まれた場所にある “ベルツベーカリー”へ行くことになったのだ。 ◆ 「おい、何分焼くんだっけ」 「25分だ、25分。ちゃんと覚えておかねば」 何分焼くのか私に聞いた男はアルベルト・フォン・シュルツである。 彼は私と共に“ベルツベーカリー”に勤めることになった、 フルス東部のフート・レプーカ出身のコメタリア主義者である。 同じ年であり、部屋が隣同士であって、 同じアンデット・フィフスファンだということもあり我々は意気投合した。 今では共に酒場へ行ったりしている。 彼のことは後々書きたくなくても書かなければいけなくなるであろう。 続きを読む 用語 コメタリア主義者・・・コメタリアン、米食主義者のこと。 名前 コメント
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「アミロペクチン第一章-6話~準備~」 著 八幡神社 とうとう出発する日が来た。私の心とは裏腹に清々しい朝である。 何故こんなにも早く出発する羽目になったのか。 それはこの筆者、ハチマンジンジャという変な名前の阿呆のせいである。 ハチマンジンジャとは我々が住む世界とは違う世界に存在する“ニッポン”という国の 宗教施設らしいがそんなことはどうでもよい。 彼はかなり怠惰らしいから出発するまでのことを書くのが面倒らしい。 もう少し時間をくれ。頼む。 というわけで一日だけ猶予を頂いた。 しかしスターライトやノルニアなどに行く方々は今日中に出るらしい。 つまり一人で出なくては行けないということだ。 筆者から猶予を頂いたというものの、皆と共に出かけたい。 ハチマンジンジャは一体何を考えているんだ。他の方々にも猶予を与えよ。 酷い。酷すぎる。ハチマンジンジャは「カピカトル様にわるいから。」 と他の方々には猶予を与えなかったのである。 私は決心した。こんな筆者からもらった猶予などいらない。 私は皆と共に出発することにした。 その中には上級学校時代からの親友、ゴードフレシュも居るのだ。 あいつは少し曲者だが心強い旅の味方となってくれることであろう。 カピカトル様は「その国で米粉パンを広めろ。」とおっしゃった。 一体何年かかるのだろう。一応言語は同じだが文化や習慣などは知らない。 私は昨日、長老に借りたエシスシルについての本も鞄に入れた。 鞄には一切れのパン、ナイフ、ランプも入ってる。ん?某映画の歌と同じだと? その他の荷物は馬に積んである。 正午の鐘が鳴った。 あと数時間でこの村を去ることになるのかと思うと虚しさが募るので思わないことにした。 スプンタティアまでの数週間はフレシュと共に行けるがそこからは一人である。 フレシュの奴、あの美女と一緒になりやがった。どこまでも憎い奴。 よく考えてみればその美女と数週間は一緒にいられるというわけだ。うむ。 続きを読む 用語集 ハチマンジンジャ・・・この作品の筆者。単なる阿呆。 一切れのパン・・・言うまでもなく米粉パンである。 名前 コメント
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「アミロペクチン第一章-18話~ニューナンヴィバティー~」 著 八幡神社 上が先ほど先生とフレシュが買ってきたナルニアの地図である。 「ちょっと簡素すぎないか?」 「しょうがない、しょうがない。金がないんだから」 「しかしこれでは道も分らないではないか。ニューナンヴィバティーでもう一つ買おう。 先生、ニューナンヴィバティーはどのくらいで着きますか」 「2カナと5ミレカナじゃ。日没には着くじゃろう」 そうして我々は馬を走らせた。陽は西に傾きかけている。 先生の言った通り、ニューナンヴィバティーには早く着いた。 ニューナンヴィバティーはノルニア王国の都であり、北の大陸一の大都市である。 “ニュー”と付くのであるから、付かない町があるのではないかと考えたであろう。 そう。ナンヴィバティーという町があるのである。 ナンヴィバティーは17世紀始めまでノルニアの都であった。 といっても現在のノルニア王国ではなく、 スターライトも含めた“ノルニア・ミネッセンス帝国”であった。 しかし17世紀始め、スターミネッセンス地方が反乱を起こし、 “スターライト王国”が建国された。 その後、帝政は崩れ、ノルニア王国となった。 そして政府が世界的グローバル都市開発計画として新たな町の開発を始めた。 それでナンヴィバティーの南方2カナ程に造られたのがニューナンヴィバティーである。 ニューナンヴィバティーはノルニア王国初代国王であるエグバート一世の像を中心に 放射状に街路が延びている。 そこには国会議事堂や中央官庁、大使館などがひしめいている。 国王の住む宮殿は少し離れた場所にある。 そして、フルスやスターライトの王都とはわけが違い、近代的な大きな建物が多い。 17世紀始めから現在の18世紀中頃まで急激に成長し、 今では古都のナンヴィバティーまでものみ込んでしまっている。 急いでいる我々はゆっくりとノルニア観光をしている場合ではない。 しかし先生とフレシュは「カレーを喰おう」と言ってカレー屋を探している。 このままでよいのであろうか・・・。 続きを読む 用語集 ノルニア・ミネッセンス帝国・・・12世紀から17世紀にかけて存在した帝国。 名前 コメント