約 3,475,428 件
https://w.atwiki.jp/vtuberbattle/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/katsuyaito/pages/5.html
まとめサイト作成支援ツールについて @wikiにはまとめサイト作成を支援するツールがあります。 また、 #matome_list と入力することで、注目の掲示板が一覧表示されます。 利用例)#matome_listと入力すると下記のように表示されます #matome_list
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/1081.html
執務室で坂本とミーナは資料を見比べていた。 空気は重苦しくどちらも信じられないといった表情で資料を見ている。 ミーナ「……なんてことなの」 坂本「だが、事実だ」 ミーナは机の上の資料を見て頭を抱えた。 ミーナ「確かに新型は多かったわ、でもまさか、まさか……」 坂本「……わたしだって信じたくない」 資料に載っている地図には所々に○印が付けられている。これはネウロイの巣がある場所だ。 しかし今はその○が×で殆ど上書きされており、ロマーニャのネウロイの巣だけが○印が残っているだけだった。 ミーナ「……巣を吸収するネウロイなんて」 資料に貼ってある写真には、まるでネウロイ化した赤城と同じような戦艦が空を飛んでいる姿だった。 ブリーフィングルーム ブリーフィングルームは普段と違い空気が重い。 普段は居眠りをしているハルトマンも今回は何かが違うと感じ取ったのか、真剣な表情でミーナを見つめる。 ミーナ「超大型ネウロイがこちらに向かってきています」 坂本「俺は知らないだろうが、以前わたしたちが戦ったような戦艦型のネウロイだ」 少しだけ部屋の空気が軽くなった様な気がした。 確かに超大型だが一度は勝っている相手だ、宮藤達も成長したことで油断さえしなければ勝てるだろうとミーナと坂本以外は思った。 俺「……」 もう一人、俺が難しそうな顔をしていた。 そんな俺を心配してかハルトマンが明るい声で俺に声をかける。 エーリカ「大丈夫だって、わたしたち一度勝ってるんだからさ!」 俺「……エーリカ、坂本少佐は『戦ったような戦艦型』と言いましたよ。今回は相手が違うということです」 坂本「その通りだ」 俺の言葉に坂本が続く。 坂本「今回のネウロイは各地の巣のコアを吸収してこちらに向かってきている」 ざわざわという音も、声も、物音ひとつしなかった。信じられないといった表情で全員が坂本の声に耳を傾ける。 坂本「わたしだって信じられない。各地の拠点を潰して一つの個体になるメリットがあるわけがない。それにわけのわからないルートを通ってここロマーニャへやってきた理由もな」 ミーナ「一度巣をまとめる為に作りだしたのか、それともわたし達ウィッチに全力で戦いを挑みに来たのか、理由はわかりませんがゆっくりとした速度でロマーニャへ向かってきています」 シン、と部屋内が呼吸音が聞えるほど静かになる。 バルクホルン「ミーナ、敵の大きさはどのくらいなんだ?」 腕を組んでいたバルクホルンが口を開く。 ミーナ「……全長2351メートル、全幅534メートル、高さ296メートル。各地のコアを吸収したにしては小さいかもしれないけれど、その分再生力、強度、攻撃力は桁外れよ。普通に攻撃したんじゃ装甲一枚剥がせないわ」 シャーリー「ん? ちょっといいかミーナ中佐」 シャーリーが手を上げてミーナに質問する。 シャーリー「どうしてそんな詳しく大きさとかわかるんだ? 測定の固有魔法を持ってるウィッチでもいるのか?」 どうやら全員同じことを思っていたようで全員同じように頷く。 ミーナ「信じられないかもしれないけれど……、これは実際にネウロイの上に乗って計測した数値らしいわ」 エイラ「んな馬鹿ナ!?」 ガタッと音を鳴らしながらエイラが立ち上がる。 エイラ「あり得ないだろうネウロイの上に測って計測なんテ!」 サーニャ「エイラ落ち着いて……」 ペリーヌ「わたくしもそう思いますわ、何故ネウロイの上に乗れるんですの!?」 ミーナ「……そのネウロイは自分からは決して攻撃してこないらしいの」 リーネ「ど、どういうことですか?」 坂本「言葉通り、ネウロイはわたし達が攻撃しない限り攻撃をしかけてこないそうだ。上に乗る程度なら造作もないらしい」 ミーナ「しかも攻撃をした相手を落したら、周りにウィッチが居ても攻撃を止める……」 宮藤「じゃ、じゃあ……」 宮藤の脳裏にあの人型ネウロイの姿が浮かぶ上。 ひょっとしたらわかりあえるかもしれない、そう思った宮藤の考えはミーナの言葉で砕かれる。 ミーナ「攻撃を止めるのはそのウィッチが死んだ時だけよ、宮藤さん。死ぬまで攻撃は続くわ」 坂本「過剰防衛、という言葉がネウロイにあるかは知らんが、間違いなくあのネウロイはわたし達の敵だ。わたしとしては複雑だが、あの人型ならわかりあえたかもしれないがな……」 宮藤「そう、ですか……」 リーネ「芳佳ちゃん……」 ルッキーニ「ね、ねえミーナ隊長」 泣きそうな声でルッキーニが発言する。 普段の明るい彼女からは考えられないほど怯えた表情をしていた。 ルッキーニ「ろ、ロマーニャから撤退するの? ロマーニャ守れないの?」 ミーナ「そのことですが、世界から一時的に全ウィッチがこの基地に集合することになっています」 坂本「敵がわざわざ一つになってくれたんだ、現在世界で確認できるネウロイはあの一機のみ、全兵力を投入してネウロイを撃破する」 ルッキーニ「じゃあ、勝てるよね! 絶対だよね!」 自分に言い聞かせるようにルッキーニは語気を強める。 シャーリー「そうだ、絶対勝てるさルッキーニ」 ミーナ「ウィッチが集合するのは明日の朝、攻撃開始は昼になる予定です」 坂本「ネウロイ自体は明日の明け方に巣に到着するようだが、コアを吸収し終えるまでにかなりかかるそうだ」 ミーナ「くれぐれも個人で何とかしようと思わないようにね宮藤さん」 宮藤「は、はい」 ミーナ「それでは解散、本日は自由行動とします」 バルクホルン「順調に運びこまれているようだな」 滑走路に次々と輸送機が入ってくる。 一時的にとはいえウィッチが集まるのだから物資だけでも相当な量になる。 輸送兵「全く、ここあのゴミ漁りの転属した基地じゃねえか……」 横を見るとめんどくさそうに頭を掻いている輸送兵がいた。輸送兵は視線に気づいたのかバルクホルンへと近づく。 輸送兵「ここのウィッチさんですか?」 バルクホルン「ああそうだが……」 輸送兵「そうですか、大変でしょう足手まといが居ると」 バルクホルン「足手まとい?」 輸送兵「俺ですよ、俺。戦わないくせにブンブン後ろを飛び回って士気を勝手に下げるただの足手まといですよ」 バルクホルン「……何を言っているかわからないんだが」 バルクホルンの言葉に輸送兵はきょとんとした表情になるが、すぐに笑顔に戻る。 輸送兵「気にしなくていいんですよ、俺の居た基地全員アイツのことは気に入らないし、隠す必要なんてないんですよ」 ケラケラと輸送兵は笑う。 輸送兵「今回だって沈没した船の残骸をわざわざ運んできたんですよ? わざわざ輸送船一つ丸々使って。どうせ後でどこかに売りつけるつもりなんでしょうよ、だからゴミ漁りって言われるのがわからないんですかねー」 バルクホルン「……そうか。確かに私もあいつは気に入らない」 輸送兵「でしょう?」 バルクホルン「だが、あいつは仲間だ! お前達がどう思っているかは知らないが少なくともこの基地全員があいつを信頼している!」 バルクホルンが睨みつけると輸送兵が一歩後ろへと下がる。拳を握りしめバルクホルンは輸送兵に向かう。 輸送兵へと拳を振り下ろす。が、その拳は途中で止まった。 俺「……いいんですよ、バルクホルン大尉」 俺がバルクホルンの腕を掴んでいた。 輸送兵「ひ、ひい!」 逃げるように輸送兵はその場から逃げだす。数回転びそうになりながら逃げる姿に、とても情けないとバルクホルンは思う。 俺「いいんですよ、もう」 バルクホルン「しかし俺……」 首を横に振ると俺はバルクホルンの腕を放す。 俺「……昔の自分と、今の自分は違います。自分はもう、逃げません」 バルクホルン「そうか……」 俺「それに文句を言いつつも頼まれたものはきちんと持ってきてくれていますし、悪い人じゃありませんよ」 バルクホルン「いやそれは命令だろう」 俺がちらりと港を見ると、そこには戦艦の後ろにもう一つ戦艦がけん引されているという奇妙な光景が広がっていた。 バルクホルン「ん? あの戦艦おかしくないか?」 装甲はボロボロ、大砲も途中で折れているし、なにより艦橋が無くなっている。 俺「沈没した戦艦ですよ。自分が頼みこんで引きあげてもらいました。引きあげ方や、けん引方法については秘密です」 バルクホルン「……俺、どうして沈んだ戦艦なんか集めるんだ? そのせいでお前はゴミ漁りなんて不名誉な名前まで付けられているんだぞ?」 俺「……バルクホルン大尉」 俺が袖をバルクホルンの手に触れさせる。柔らかな布の感覚をバルクホルンは感じた。 俺「この袖の中には今までネウロイによって沈められた戦艦や戦闘機が保存されています」 戦闘機まで集めているとは知らなかったのか、バルクホルンは驚いた表情をする。 俺「散っていった人たちに、ネウロイの居なくなった世界を、彼らが守ろうとした世界をせめて彼らが戦った戦艦や戦闘機に見てもらおうと思い集めていました」 バルクホルンはただの布でしかないはずの袖が何故か重く感じた。 俺「……しかし、自分は彼らを縛りつけているだけなのかもしれませんね」 俺が部屋に戻ると、いつものようにハルトマンは絵本を読んでいた。どうやら白雪姫のようだ。 普段と変わらない光景に安心したのか俺はほんの少し笑みを浮かべる。 エーリカ「ん? 俺なにか嬉しいの?」 俺「いえ、変わらないっていうのもいいかなと思いまして」 床に落ちている雑貨を避けながら、ベットの上で寝転がっているハルトマンの横に座る。 エーリカ「あ、そうだ俺」 むくりとハルトマンが起きあがる。 エーリカ「ほら、ずっと前にさハッピーエンドがいいってわたし言ったよね」 俺「……ああ、そういえば言ってました」 基地に来て日が浅く、白雪姫の絵本をハルトマンが読んでいた時にそんな話をした気がする。 エーリカ「俺ってどっちが好き?」 俺「ハッピーエンドかバッドエンドか、ですか?」 エーリカ「うん。聞こう聞こうと思ってたらいつの間にか忘れてて」 タハハ、とハルトマンが照れ臭そうに後頭部に手をやる。 俺「……自分はバッドエンドの方が好きですね」 エーリカ「なんで?」 ハルトマンが首をかしげる。 俺「悪い終わり方というのは、悲劇的であればあるほど印象に残りやすいんです」 エーリカ「あー……そうかも」 俺「でしょう? ……まあ、一番好きな絵本はシンデレラなんですが」 エーリカ「ハッピーエンドじゃんそれ」 俺「……ともかく、自分はバッドエンドが好きですね」 エーリカ「そっか……でも気にしないよ俺も言ってたしね、人それぞれだって」 俺「そうですね。では、自分は厨房に行って食材出してきます」 ベットから立ち上がるとギシリとスプリングが鳴る。 雑貨を避けながら俺は扉に手をかける。 俺「……もし自分が死んだら、貴女は自分のことを覚えてくれるでしょうか」
https://w.atwiki.jp/nyokiwasa/pages/40.html
[部分編集] ダイコン 説明 ここに説明文。改行はそのまま適用されます。 育て方 ここに育て方。改行はそのまま適用されます。 ニョキワサ度 ここに☆ ここにコメント。 育ててやすさ ここに☆ ここにコメント。簡単など。 場所の確保 ここに☆ ここにコメント。畑、鉢、プランターなど。 収穫までの時間 ここに☆ ここにコメント。 コスパ ここに☆ ここにコメント。 名前 コメント 最終更新2008/11/01 13 17 55
https://w.atwiki.jp/aikuti89/pages/24.html
麒麟戦車(キリンセンシャ) 特徴 麒麟の形をした戦車。 虎戦車同様、口から炎を吐き出す。 左右から矢を発射する。尾が刃になっている。 移動式・回転可能。 利点 炎で敵兵を焼死出来る。 角や尾で敵兵を斬る事が可能。 左右の矢より、敵兵を射抜く。 中に爆発盤が入っており、壊れたら爆発する様になっており、壊した兵を 倒せる。 欠点 火矢で攻撃されると、中の爆発盤が爆発し、自滅することになる。 雨天の場合、炎が出せない。 投石車・投石器に弱い。 5レスに1~2台しか出来ない。
https://w.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/1185.html
Top 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 閉鎖都市・「ゴミ箱の中の子供達」 第24話 ゴミ箱の中の子供達 第24話 24-1/6 扉が音を立てて閉まり、そのむこうでパタパタと鳴っているスリッパの音が遠ざかって、消えた。一人部屋に残された モニカはあてどもなくクッションを抱きかかえた。 自室の静けさがモニカの耳を打つ。机の上の置時計はデジタル式で、駆動音すら聞こえない。きん、と耳鳴りが耳を刺す 静寂が、モニカは世界が自分を隔離しているように思えた。この時間なら他の姉妹は恐らく熾烈なチャンネル争いに勝利し、 談話室のテレビで人気アイドルが主演するドラマの最新話に現を抜かしているだろう。或いは自室で手芸をするなり、 雑誌を読むなり、思い思いに消灯までの自由時間を満喫しているはずだ。彼女達はモニカが泣きはらした事など思いも よらないだろう。それは兄弟も同様で、兄も、ゲオルグも同じだ。あの自分の大泣きを誰も知らないのだ。そう思った途端 モニカはどうしようもない孤独感を感じ、ただクッションを抱く腕に力を込めた。もしかしたらマリアンは帰ってこないのかも しれない。思えば馬鹿馬鹿しい考えだが、ただ彼女が今現在この場にいないという事実がこの想像に現実味を抱かせた。 あの泣いていたときの抱いた温もりが、あのすがり付いた胸の柔らかさが、今は霧の様に思い出せない。寂しかった。 この誰の息遣いも感じられないこの自室が、ほんの僅かな過去に無二としてすがった姉妹の温もりを忘れた自分が どうしようもないほどに寂しかった。 もはや頼れるものはこれとばかりに、モニカはクッションをきつく抱きしめる。だが、クッションに移った自分の温もりが、 更に孤独感を際立たせた。だからこそ、突然のノックの音が、モニカには天の助けの様に聞こえた。 「俺だけど」 聞きなれたドラギーチの声でノックの主は言った。 24-2/6 モニカが、どうぞ、と促し部屋に入ってきたドラギーチは机と共にベッドの対面に設置してある椅子に腰を下ろした。 立てた方膝を抱え込んだドラギーチはベッドに座り込んだ部屋の主を見るでもなく視線を宙にさ迷わせる。モニカもまた 兄弟の顔を直視する気にはなれずただ正面を見つめる。二人の間に沈黙が下りた。 ドラギーチが椅子の背もたれをぎしぎしと鳴らした。耳をくすぐるその音がモニカから寂しさを忘れさせる。その音は 代わりとばかりに気まずさを意識させた。モニカが流石に居心地の悪さを感じ始めたところで、椅子の軋みが出し抜けに 止まった。 「振られたんだってな」 生まれた静寂を潰す様にドラギーチはポツリと言った。モニカは小さく首を降る。 「ちょっと、違う」 きしと、椅子が音を立てた。幾許かの間を空けてドラギーチが返す。 「あいつに嫌な事でもされたのか」 ドラギーチの言葉にモニカは今日の出来事を思い返す。喫茶店で傷の手当をするとき、ゲオルグはモニカを拒絶した。 これは悲しかった。だがしかし、これはドラギーチの言う嫌な事に含まれるのだろうか。逡巡、そして結論。これはニュアンスが 異なるのではないかとモニカは思った。 「ちょっと、違う」 また、椅子が軋んだ。今度は先ほどよりも長い。しばらく続いた背もたれへの拷問は、ドラギーチの溜め息と共に終わった。 「何があったんだ?」 もうお手上げとばかりに溜め息を吐き出して、ドラギーチはそう呟いた。 ドラギーチの疑問に答えるべくモニカは口を開く。だが、そこでおもわずモニカの口はすくんだ。今日何があったのか。 なぜ自分が涙を流す事になったのか。この問いかけに対するもっとも単純な答えから、ひたすら自分がそこにいた。 思考すらも捻じ曲げて認識の外に隠される答え。この一日でまざまざと見せ付けられたものは、口にするはおろか、 考えることも怖くてならなかった。 でも、と区切って、モニカは考える。でも、これはちゃんと受け止めなきゃいけないんだ。今日の一日を、あたしはちゃんと 見つめ返さなきゃいけないんだ。あたしのためにも。お兄ちゃんのためにも。あたしはお兄ちゃんのことが好きだから。 無愛想でそっけないところもあるけども、あたしのことを守ってくれる、強くて優しいお兄ちゃんのことが大好きだから。 だから―― 「あたしはお兄ちゃんを好きになっちゃいけないんだ、ってだから……」 言葉尻が震えた。悔しさと悲しさでモニカの視界が滲む。それでもモニカは口を続ける。認めたくない現実を見つめる ために。ただ自室で泣き続ける自分から決別するために。 「お兄ちゃんのこと諦める」 ――だから、さようならあたしの初恋。お兄ちゃんにはもっといい人がいるから。 デートではお兄ちゃんを引っ張りまわすしか出来なかったし、傷の事だって深刻に受け止めすぎて一人で勝手に落ち込んでいた。 つまりあたしは空回りしていたんだ。ベッドの上で自分の想いに気づいたあの日からずっとずっと一人で、からからと。あたしは お姉ちゃんみたいに待ち続けることが出来なかった。あたしはお姉ちゃんみたいにお兄ちゃんを理解することも出来なかった。 だからあたしの想いはお兄ちゃんには届かなかった。あたしの想いはお兄ちゃんと噛み合わず、一人で空回りし続けていた。 だから、あたしは諦める。お兄ちゃんを想い続けるのをもう止める。 決意を込めてモニカは搾り出した、それでも自分の言葉を聞くと涙があふれてきた。せめてこぼさぬ様に、モニカは抱きしめていた クッションに顔を埋めた。 24-3/6 部屋に響く小さな、ほんの小さなモニカの嗚咽。それに併せるかのように椅子が軋む音がした。ぎし、ぎし、と二人の間を埋めるように、 軋む音が響く。やがてその音はモニカに届いて、止まった。 「それで、いいと思う」 すすり泣くモニカを慰めるように、ドラギーチ呟いた。 「あいつとじゃ、幸せになれない」 モニカの決断を褒める様にドラギーチは言葉を続ける。だがその言葉がモニカには気にかかった。 「幸せになれないってどういうこと? あたしが妹だから? 同じ孤児院で暮らした兄妹だから?」 クッションから顔を上げたモニカの視線の向こうでドラギーチは顔をしかめる。 「あいつがやってる事とか知ってるだろ」 「あたし達のために頑張ってくれてるじゃない」 食って掛かるようなドラギーチの問いかけにモニカの語勢も強くなる。怒りを帯びたモニカの返答にドラギーチは椅子から立ち上がった。 「そうじゃないだろ。あいつの仕事とか、あいつが何で食べてるかとか、そっちの話だ」 「仕事って警備の派遣社員でしょ。どこに問題があるのよ」 派遣社員として、ある企業の警備や、重役の警護とかをする。就職する兄達はそう口々に語っていた。これは決して嘘ではないはずだ。 モニカの台詞にドラギーチはベッドへと歩むと声を張り上げた。 「お前、本気で言ってるのか?」 ベッドに座り込んでいたモニカの視界に、詰め寄ったドラギーチが影を落とした。蛍光灯の逆光の中で、見下ろすドラギーチの視線が 我慢ならない。素早くベッドから下りて、モニカは少しでも視線を高くする。 「本気よ。そもそもさっきからあいつあいつって、ドラギーチは兄ちゃんの事、何だと思ってるの?」 思い返せばドラギーチの口から兄の文字は見当たらなかった。ドラギーチは始めから一貫して兄のことをあいつと呼んでいた。 その口に出すのも汚らわしいという態度が気に入らない。 モニカが問い返すと、ドラギーチは悪びれる事もなく掃き捨てた。 「犯罪者だろ、あいつは」 返ってきたのは最上級の蔑みの言葉。モニカは思わず手が動いた。部屋に響く乾いた音。振りぬいたモニカの右手に、熱に似た 痛みが広がった。左頬を赤く染めて目を剥くドラギーチにモニカは声を張り上げた。 「知らないくせに。お兄ちゃんがどれだけ苦しんでるか知らないくせに」 もう口は止まらない。モニカは思っていた事をそのまま言葉にして叩きつける。 「出てって。もうドラギーチの顔なんて二度と見たくない」 ドラギーチの兄に対する完全な無理解。自分の想い人をここまで軽蔑する人間は、もはや視界に入るのも、同じ空気を吸うのも モニカには堪らない程嫌だった。 憎しみのこもったモニカの拒絶の言葉に、ドラギーチは怒りで顔を歪ませて、そして踵を返した。部屋の戸を壊さんばかりに大きな 音を立てて開けたドラギーチは、何も言わず廊下に消えた。 24-4/6 ドラギーチと入れ替わるようにマリアンが部屋に入ってきた。ビニール袋を手に提げた彼女は、遠くなるドラギーチの足音を 唖然とした様子で追いながら口を開く。 「今ドラギーチが凄い勢いで出てったけど、あんたたちなんかあったの?」 いつになく間の抜けたマリアンの言葉。その言葉を聞いた途端モニカは自分の中で何かが途切を聞いた。目頭が急速に熱を持ち、 視界があっという間に滲んでいく。モニカが掌で顔を覆うよりも先に、大粒の涙が零れ落ちた。ビニール袋が床に落ちる音が響き、 顔を隠したモニカを女性特有の柔らかさが包んだ。 「ごめん、私がドラギーチをけしかけたから、ごめんモニカ」 肩を震わせるモニカを抱きしめて、マリアンは謝罪する。その言葉を聞きながらモニカは首を降った。悪いのはドラギーチだ。 マリアンは悪くない。しかしその言葉は涙で満たされて、喉から出られない。 悲しかった。ドラギーチの無理解が悲しかった。兄が理解されぬことが悲しかった。自分達が暮らすこの孤児院が何のために 作られたか、この孤児院の運営資金の過半がどこから来ているのか、ドラギーチも知らぬはずはないだろう。兄はこの孤児院を 守るために、闇の世界に身を売ったのだ。孤児院の弟妹達を守るために兄は罪で身を汚し、幾重もの傷を負ってきた。その姿をして 犯罪者だと罵るのが清潔な場で生きた第三者ならまだ許せる。だが、その台詞は罪の恩恵を受けて暮らしている自分達が 言っていい事ではないはずだ。だからこそ、のうのうと犯罪者だと罵ったドラギーチが許せなかった。そして体を傷だらけにしながら、 分かってもらえるべき人に理解されてない兄が可哀想でならなかった。 果てたと思われたモニカの涙は流れ続ける。彼女の慟哭はまだ終わらない。 24-5/6 夜の闇の中をドラギーチは走っていた。街灯の明かりが、商店の電灯が、盛り場のネオンサインが、次々に現れては ドラギーチの脇を駆け抜けていく。すれ違った光をことごとく無視して、ドラギーチはただ前を、ひたすら遠くを目指していた。 走りながらドラギーチは自問する。俺が間違っているのか。モニカは俺が何も知らないと罵った。だがあの男はマフィア以外の 何者だというのか。そもそもマフィアのどこがいいんだ。あいつら皆犯罪者じゃないか。自分の都合で人から金を奪って、物も奪って、 そして命すらも奪っていく屑どもじゃないか。あのゲオルグだって今まで何人もの人間を殺してきた大悪人じゃないか。そんな 人間の何を理解しろと言うのか。俺のどこが間違いだというのか。 そもそもあの孤児院はマフィアが自分達の兵隊を育てるために作ったものだ。だからモニカにしてもマリアンにしてもマフィアの 肩を持つのは当然のことだ。だから孤児院の皆がマフィア側の人間であって、あの孤児院の中ではあれが正しい認識なのだ。 あいつらにとって俺の考えは異端そのもの。だから俺の味方はあそこにはいないのだ。 憤りが爆発して、ドラギーチは思わず叫んだ。夜中であることもかまわずあらん限りの力を込めてドラギーチは喉を振るわせる。 理不尽だった。自分は正しいことをしてるのに、自分だけが正しいこの状況があまりにも理不尽だった。ドラギーチの怒りの咆哮も すぐに後ろに流れて消えた。 もう孤児院には戻りたくなかった。この理不尽な状況から脱出できるどこかに行きたかった。マフィアの息のかかっていないどこかへ。 自分の味方がいるどこかへ。でもそれがどこなのかは分からなかった。少なくとも自分が今いるこの街は違った。この廃民街は マフィアの根城だ。だから、どこもマフィアの息がかかっている。この街を出ても味方がいるとも思えなかった。この都市にいる以上、 どこでも多かれ少なかれマフィアの影響力はありそうだったからだ。都市の外はどうだろうか。戯曲の中でしか登場しない壁の 向こうならば、マフィアの手も届かないのではないか。だが、壁は闇に埋もれて見えず、走っても走っても道は途切れず、 街の明かりはどこまでも続くように思えた。 24-6/6 走って、走って、走り続けて、やがて息が上がった。足の疲労は途中から峠を越えたように楽になったが、肺が持たなかった。 息苦しさに耐え切れずドラギーチは速度を緩める。途端に軽やかに回っていた足が重くなった。足先がもつれて、ドラギーチは 転ぶように崩れ落ちた。 地面に手を付いたドラギーチはしばらくそのまま肩で息をした。顎の先に汗が雫を作り、アスファルトの上に落ちた。膝を付いた 自分の両足は、まるで鉛でも詰められたかのように重く、もう一歩も歩けそうになかった。ここはどこだ。少し息を整えると、 ドラギーチは顔を上げて辺りを見渡した。街灯に照らされた道の両側にはシャッターを下ろした商店が軒を連ねている。 どうやらどこかの商店街らしい。具体的な場所は分からなかったが、1つだけ確信できる事があった。自分はまだ街の中にいる。 結局自分はどこにも行けないのだ。街を出ることは出来ず、壁を越えることは叶わず、自分はこの街にいるしかないのだ。 そう思い至ると、体から力が抜けた。もう状態を支えるのも億劫で、ドラギーチは冷たいアスファルトに額をつけた。 「もし」 もう考えるのも面倒で、ただ荒い息だけをしていると、突然頭上から声が降ってきた。優しげな男の声だった。 「もし、そこの市民、いかがなされましたか」 重い頭を持ち上げると、白いオーバーオールを着た初老の男が心配そうにこちらを覗きこんでいた。 「疲れてるんだ、放っておいてくれ」 もう走ることも、人と話すことも、何もかもが億劫だった。苛立ちをそのままぶつけて、ドラギーチはまたアスファルトに頭を下ろす。 にべのない態度だったが、男の気配は離れなかった。男は戸惑うように間を空けてると、おずおずとドラギーチにたずねてきた。 「市民は帰る所がおありですか」 痛いところを突かれた。自分が育った孤児院に戻る気がない今の自分に帰る場所なんてなかった。この鉛のような体を休める 場所なんてどこにもなかった。 「あってもなくてもあんたには関係ないだろ」 だが、それは自分の問題で男とは関係のないことだ。心配そうに見つめる男をドラギーチは突き放す。だが男は怯みもせずに 言葉を続けた。 「実は私どもはシェルターを運営しております。市民さえよろしければ、ここで一晩羽を休めてはいかがでしょうか」 シェルターの名前は聞いたことがあった。家庭内暴力などを受けた人間の駆け込み寺で、一晩からしばらくの間宿泊できる施設らしい。 まさに渡りに船だった。どのみち自分に行くあてなんてないのだ。ここは受け入れたほうがいいだろう。 「あんたのところ行ってもいいか」 ドラギーチが顔を上げてたずねると、男は嬉しそうに顔をほころばせた。 「かまいませんとも。私どもは市民の幸福のために存在しております。宿のない不幸な市民がおられるのなら、宿を与えるのが勤めと 言うものです」 そこまで言ったところで男は何かに気づいたように言葉を止めると、頭を下げた。 「申し送れました、私はホリア・"ウルトラバイオレット"・シマと申します。CCC、救世コンピュータ教会(Church of Christ Computer)という しがない教団を運営しております」 救世コンピュータ教会というのはいかにも怪しそうな名前だった。だがドラギーチは構わなかった。相手の腹に一物を抱えているのなら、 それこそ気兼ねなくその厚意を利用できるというものだ。それに、それ以上に体が重かった。とにかくどこかで体を休めたかった。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/terrabattle-wiki/pages/314.html
キャラクターアイコン一覧(仮)です □ページ1□ページ3□ページ4□ページ5□ページ6□ページ7□ページ8 未編集 未整理
https://w.atwiki.jp/terrabattle-wiki/pages/315.html
キャラクターアイコン一覧(仮)です □ページ1□ページ2□ページ4□ページ5□ページ6□ページ7□ページ8 未編集 未整理
https://w.atwiki.jp/terrabattle-wiki/pages/317.html
キャラクターアイコン一覧(仮)です □ページ1□ページ2□ページ3□ページ4□ページ6□ページ7□ページ8 未編集 未整理 ネタバレを含みます
https://w.atwiki.jp/terrabattle-wiki/pages/318.html
キャラクターアイコン一覧(仮)です □ページ1□ページ2□ページ3□ページ4□ページ5□ページ7□ページ8 未編集 未整理 ネタバレを含みます