約 534,231 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2372.html
玄宗姉弟とTさん達 調査結果と朝比奈 マドカ 玄宗姉弟とTさん達・情報交換 から ● 舞が天使――ハニエルに淹れてもらった紅茶を自棄気味に飲んでいる。給仕をしているハニエルはやけに嬉しそうだ。そんな光景を見てTさんは苦笑し、 ……さて。 思考を切り替え、舞と己の天使を興味深げに眺めている直希へと問いかけた。 「この情報は黒服さんには?」 「彼にもまた話すつもりだが」 それがどうしたのだろうか? そう言いたげな直希に「いや、ならまた詳しくは青年の口から言ってくれ。聞きたい事があったのでついでに伝えておこうと思っただけだ」と言いながら、「失礼」と携帯を取り出す。 数秒の呼び出し音の後、黒服が出た。 「……黒服さん、≪コーク・ロア≫の件、新たに一人加担しているモノの正体が分かった」 『能力なども?』 「ああ、契約しているのは≪セイレーン≫、遭遇者は≪光輝の書≫の契約者の姉だ。どうやらその歌声で相手を支配できるらしいが、これがどこまで効くのかは分からない。少なくとも彼女には効かなかったようだ。 詳しいことは彼女本人に聞くといい。彼女は精度の高い似顔絵も描く」 Tさんが話していると直希が怪訝な顔をした。 自分がまた話すのになぜそんなことを話すのかと言いたげな表情だ。Tさんはその表情を見て苦笑する。 最初の話題は呼び水だ。 「……それと」 一呼吸、 「調査結果は出ただろうか?」 彼の周囲の状況的にいきなり訊くには躊躇われる事柄で、しかしTさんにとってはここからが本題だった。 『はい、翼の元クラスメイトたちの≪悪魔の囁き≫の調査は終わってますよ』 「情報を流してもらっても構わないか?」 気になる情報ではあるが、彼が≪組織≫としてその情報を流せないと言うのなら無理に聞く気も無かった。 『ええ、構いませんよ』 返事は当然のように情報を渡そうとするもので、ありがたいとしか言いようがない。 『翼の高校の同級生たちからは≪悪魔の囁き≫は発見されませんでした』 「そうか……彼の、母親については?」 『……反応はありませんでした』 「そうか……わかった」 やはり彼にしては珍しく明らかな嫌悪が感じられる声だ。 Tさんはそう思いながら電話口に礼を言う。 「すまない、ありがとう」 『いえ、では私はこれで』 ああ、と応えて電話を切った。 得た情報を頭の中で簡単に整理し、 「青年、一ついいだろうか?」 直希に声をかけた。 「なんだい?」 気になっていた事がある。 「≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年の苗字、あれはこの町にある旧家のそれだろうか?」 舞が呻きながら机に伏せていた顔を上げた。 「チャラい兄ちゃんの苗字?」 「日景の事か。――確かにそうだが。翼はたしかそこの当主の孫にあたる」 「とーしゅ?」 「家で一番偉い奴のこったな。……え? なに? チャラい兄ちゃん実はいいとこの人間か?」 リカちゃんへ言葉を教えながら舞はTさんへと疑問符の浮かんだ顔を向けた。Tさんは思案顔で頷く。 「の、ようだな」 日景、学校町ではわりと古くからある家の家名のようだ。 「それがどうかしたのだろうか?」 「いや、以前小耳に挟んだことがあって、気になってな」 秋祭りが終わった直後、無理を通して秋祭りの運営を乗っ取った≪赤い靴≫の少女の父親に文句を言ってきた者たちがいたようだ。その文句を言ってきた者の中に日景の姓の者がいたという話を聞いた憶えがある。 ≪赤い靴≫の父親がその時愚痴交じりに言っていた話によると、 「たしか、政治家なども出していて各界に影響力を持っている家のはずだな」 「その通りだ。どうも翼自身はそのことを把握していないようだが」 「そうか」 「自分の家の事なのになー」 「ねー」 「翼にもいろいろあるんだ」 直希の困ったような言葉にTさんは無言で頷く。 ……家の関係で狙われている線もあるわけだ。 せめて犯行声明でも出てこれば黒服さんも仕事が楽だろうにと思う。 ふと気づくとハニエルが紅茶のポットを手に持って笑顔で横に居た。見ると、カップの中身が空になっている。 「ああ……すまんな」 表情を緩めると天使へとカップを差し出した。 ● 「じゃーん!」 なんかよく分かんねえが難しいってことはよく分かる会話をしてたTさんと直希の兄ちゃんが醸し出していた空気を盛大にぶち壊す効果音をセルフで発しながら出し抜けに現れた足とかの露出がすげえエリカの姉ちゃんに最速で反応したのはリカちゃんだった。机から飛び上がるとそのまま俺の鞄の中へと潜っていく。 「ああん、待って待ってー! ほら、お洋服作ったんだよープリーズカムバーック!」 姉ちゃんが片膝をついて手に持ったリカちゃんサイズの服をひらひら振りながら叫ぶ。 「およーふく、なの?」 「みたいだぜ」 中身がほとんど入っていない鞄から窺うように出てきたリカちゃんをそのまま取り出してエリカの姉ちゃんに渡す。姉ちゃんはリカちゃんに服を合わせてるけど……。 「すげえ」 この短時間で作り上げたのもすげえけどそれがぴったりと似合うのがまたすげえ。 「おねーさんがんばっちゃったからね!」 ピースサインしてるけどがんばっちゃっただけでロクに寸法も採ってない人形の服をあそこまで完璧に作れるもんなんだろうか? 「すごいの! きれいなのっ!」 確かに可愛いし、リカちゃんも嬉しそうだし、いっか。 「ほら、リカちゃん、お礼は?」 「ありがとうございます! なの」 「ああ、良い……っ!」 恍惚とした表情でなんか別世界にトリップしてる。目が超キラキラしてその視線がリカちゃんをひたと見据えている。 またリカちゃん怖がんねえかな……。 そんなことを考えながら姉ちゃんを見ていると、Tさんが席を立った。 「さて、そろそろお暇するとしようか」 言われて、つと窓の外を見るとそろそろ日が落ちる頃だった。 ありゃ、結構お邪魔してたんだな。 「じゃあ――ってなんかいろいろもらってばっかで悪りぃな」 俺も席を立ってご機嫌なリカちゃんを鞄に戻す。 「いや、こちらも姉さんが迷惑をかけてしまって申し訳ない」 直希の兄ちゃんがエリカの姉ちゃんを見ながら疲れた感じで言う。 「いやいやこんな良いもんもらえたんだし迷惑もくそもねえよ」 な? とTさんとリカちゃんに言うと二人はそれぞれ頷く。 帰ろうと部屋を出ようとすると、Tさんが直希の兄ちゃんを振り向いた。 「ああそうだ、青年」 「む?」 「愛という感情が分からないと言ったな」 「ああ、そうだが」 Tさんは力の抜けた笑みを直希の兄ちゃんに向ける。 「翼や誠、彼らに対する青年の友誼、それも広義には愛だ」 「ふむ……」 なんか難しそなこと考えてそうな顔になった直希の兄ちゃんにTさんは言葉を重ねた。 「青年が知りたい愛とは違うのだろうが、な」 「あれだ。ある時ぱっと気づくこともあるのかも知んねえぞ」 俺がそうだったし。もしかしたら気づいてないだけなのかも知んねえ。 「何か焦っているようだが辞書的な意味を知りたいわけではないのだろう? 自身でゆっくりと、通り一遍の知識ではなく青年の本当の愛を知っていくのが一番だ」 「君は、そうして愛を見つけたのだろうか?」 どうでもいいけどこの男共は愛愛言ってて恥ずかしくねえんだろうか……。 「ああ、俺はそうして幸せを見つけたよ」 そう言って抱き寄せられた。 「――っ!?」 何をっ!? や、ちょっ―― 「まあ少々蓮っ葉だがな」 腕の中で暴れてると笑みを含んだ言葉をかけられて、腕を離される。 直希の兄ちゃんはふむ、なるほどと頷くと、感情が薄い目で俺を見た。 「レディ、もう腕は離されているのに離れないのかい?」 「……」 そっぽを向いて無視してやった。 兄ちゃんは姉ちゃんになんか耳打ちされてふむ、と納得したように頷くと、Tさんに問いかけた。 「僕にも見つけることができるだろうか?」 「できるだろう」 またむやみやたらに断定口調だ。 直希の兄ちゃんは口の端を緩める。 「また、機会があれば話を聞きたい」 「ああ、では」 「いろいろあんがとな! 姉ちゃん、兄ちゃん!」 「ありがとうなの」 挨拶をして、俺たちは玄関へと向かっていった。 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで
https://w.atwiki.jp/llss/pages/341.html
元スレURL ことり「真姫ちゃん、ちょっとえっちなことしよっか?」 概要 南ことり 西木野真姫 ことまき 初出:2015/03/03 タグ ^南ことり ^西木野真姫 ^ことまき ^まきこと 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/646.html
2ページ目 prrrrr 女「もしもし」ガチャッ メリー「私メリーさん、今貴方の右にいるの」 女「え……」チラッ 女「……やっぱ壁の中なの?」 メリー「」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/javadsge/pages/9614.html
import google code="1rTYz-xxuuot_1u-sXW4Er0WR55IN7rKmSQJvRJo0LOA" sub=google.google() ws=sub.worksh(code,0) sub2=google.google() sub2.catchdata(code,ws) v=sub2.v x=sub2.x y=sub2.y sig=[] for tr in range(1,48) de=[] for i in range(len(v)) if y[i]==tr+1 de.append(v[i]) sig.append(de) print(sig[1])
https://w.atwiki.jp/83452/pages/6802.html
律「……ん? おぉー澪まだいたんだ」 ……え? 律「なぁーにそんな変な顔してんだよ! 私がどうかしたか?」 ベッドの上でカチューシャを外した入院着の律が、変わらない笑顔を向けていた。 うそ……夢、じゃないよな? 律「あっそだプレイヤーと携帯壊れた! みおー、退院するまでiPodかしt――うわっ」 駆け寄った。 抱きしめた。 腕の中で、身体の感触を確かめる。 ほんとに律だ……律は、無事だったんだ――。 たくさん言いたいことがあって、いろいろ責めたくて、 伝えたいこともあって……だけど、涙声はぜんぜん言葉にならなかった。 でも……本当にうれしかった。 律「ごめんなー、澪。心配かけちゃってさ」 どうしようもなく泣きじゃくる私の髪を、律はそっとなでてくれた。 澪「りつ…どうして? 体はだいじょうぶなの?」 いや、それがさあ――。 そう言って取り出したのは、焦げ跡のついたMDプレイヤーと、おそろいだった携帯電話。 律「ほら私、プレイヤー胸ポケットに入れっぱなしだったじゃん?」 澪「いまそんな話はしてないよ…」 律「そしたら携帯とプレイヤーの方に電流が通電して、心臓とかへの直撃が避けられたんだってさ」 澪「うそ…」 律「あれで右腕の火傷だけって奇跡の生還だよな! もう私アンビリーバボーとか出れんじゃね? あはっ」 映画みたいな話だよな、律はそう言って笑ってた。 私はまだ気持ちが抑えられなくて、ずっと律を抱きしめ続けた。 律「ってかさ、澪のおかげだよ。澪のじゃなかったらプレイヤーとっくに捨ててたもん」 ありがとうな、澪。 そう言って律は私の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。 律。 私、律のことだいすきだよ。 律「……目、真っ赤になってるぞ。ティッシュあるから顔拭いとけよな」 私がそう言ったら、律は照れたように顔をそらした。 でも、私が泣き止むまでずっと抱きしめた腕は離さずにいてくれた。 ◆ ◆ ◆ またまたかえりみち! 律「じゃあ私らこっからバスだから、そろそろなー」 唯「りっちゃん澪ちゃんまたね!」 澪「唯、明日の勉強会は遅れるなよ?」 唯「だーいじょうぶだって! 憂がちゃんと起こしてくれるもんっ」 梓「そこは自分で起きましょうよ!?」 紬「まぁまぁまぁまぁ」にこっ 梓「唯先輩、みなさんってこれから毎日勉強会なんですか?」 唯「そうだよ、だって受験生ですもん!」ふんすっ 梓「…わき目もふらず、ギターにもさわらず?」 唯「うっ…ギー太は、まあちょっとは夜中にかまってあげたりしてるかなぁ…えへへ」 梓「はぁ…そんなことだろうと思いましたよ」くすっ 梓「…そうそう唯先輩、ちょっと寄り道していいですか?」 唯「いいよ~。どこに?」 梓「川の方いきましょうよ。ゆいあず練習したとこです」 唯「そうだね! ・・・・ってもうここ土手じゃんっ」 梓「いつの間に着いたんでしょうか…」 どて! 梓「ずいぶん涼しくなりましたねぇ」 唯「昼間はすごかったのにねぇ。私、あまりの暑さにおかしくなっちゃうかと思ったよ」 梓「唯先輩、暑いの苦手ですもんね・・・・・あ、おみずのみましょうか」 唯「おぉ~ポカリ! やっぱ夏はこれだよねぇ」 梓「アクエリより甘くて好きなんでしたよね。はい」 唯「ねぇあずにゃんのませてぇ」 梓「なっ…はずかしいことさせないでください!」 唯「でも、ここ私たちしかいないよ?」 梓「もっもう……しょうがないですね、今回だけですよ?」 なんと、お願いしたら本当に飲ませてくれました! あずにゃんの膝に私の頭を乗せると、指でそっと私の唇を開いてポカリをちょっとずつ飲ませてくれます。 なんだか普通に飲むより身体中に冷たさが沁みいるようで、すごく心地よかったです。 唯「……ありがと、あずにゃん」 梓「唯先輩だけですからね、こんなことするの」 恥ずかしそうに顔を背けるあずにゃん。 その時は、なんだかいつもと様子が違って見えたんです。 なんだか夢みたいで、すぐにも消えてしまいそうなほどおぼろげで……突然怖くなりました。 あずにゃんが、どこか遠くに行ってしまいそうな気がして。 ――すぐ隣にいるのに、変な話だよね。 梓「ねぇ、唯先輩」 唯「なぁに?」 梓「……高校卒業したら、放課後ティータイムってどうするんですか?」 唯「続けるよ、いつまでも。みんなと離れたくないもん」 梓「ほんとですか?!」 あずにゃんは大きな目を輝かせて喜びました。 あはは、顔に出やすいなぁ。 ……でも、すぐにまたなにかを諦めてしまったような顔になってしまいます。 唯「どうしたの? あずにゃん、元気ないよ」 梓「なんでもないです。ちょっとナーバスになってるだけですよ」 その時、なぜか嫌な予感がしました。 私はもう二度とあずにゃんをぎゅってできなくなるのかもしれない。 いつかはあずにゃんも私から離れていって、思い出になってしまう。 そう思ったら、気づかない振りをしてた気持ちがどうしようもなく膨れ上がってしまったのです。 ――私は、あずにゃんのことが好きなのかもしれない。 友達ではなく、後輩でもなく、一人の女の子として。 でもそれを言ってしまったら、あずにゃんは気持ち悪がってしまうに決まってます。 だから……この気持ちはそっと封じ込めることにしました。 それなのに。 梓「……ゆいせんぱい」 あずにゃんの方から腕を伸ばし、私を抱きしめてしまったんです。 唯「……あは、あずにゃんからってめずらしいね」 梓「・・・・・・唯先輩のうそつき」 あ・・・・あずにゃん? 私、なにか嘘ついたかな……。 目に浮かんだ涙を私に見せまいとして、また顔をそむけようとするあずにゃん。 私は離れようとするあずにゃんを抱きしめようとして――なぜか、できませんでした。 唯(あれ……からだが、動かない?!) さっきまで自由に動いていた腕も足も力が抜けてしまって、指一本動かせません。 どうしよう、このままじゃ本当にあずにゃんと離れ離れになっちゃう…! 焦る私に向かって、あずにゃんは背中に回した腕をそっと緩め始めます。 あずにゃんの後ろに見えていた河川敷も、気のせいかぼやけていってる気がして。 唯「…ねぇあずにゃん、これって、どういう」 梓「夢だったんですよ、全部。唯先輩も、たぶん私も」 梓「私たちは、事故に遭ったんです」 唯「事故?」 梓「エレベーターの中に十時間近く閉じ込められて、唯先輩は熱中症起こして倒れたんです」 唯「そんな……そんな、ことって」 けれど、思い出そうとすると切れ端のような記憶が浮かんでは消えて。 屋上でフェンス越しに二人だけで見た夜明けの街。 カバンをまくらにして寝転がって、二人で音楽を聴いたこと。 ストックホルム・シンドローム。 澪ちゃんにメールが届いたとき、抱き合って喜んだこと。 認めたくないのに、認めざるを得ないほどつじつまが合っていて。 やっぱり、今見えてるのは夢で―― 梓「それだけじゃないです」 あずにゃんはそう言うと、抱きしめていた腕をぱっと離しました。 唯「あずにゃん……行かないでよ、こっちでもっとおしゃべりしよ?」 梓「私が今まで見てたのも……たぶん、夢みたいなものだったんですよ」 唯先輩のとは違う意味ですけどね、そう言ってあずにゃんはさみしげに笑うんです。 やだよ……そんな顔で笑わないでよ。 本当に、離れなきゃいけないみたいじゃん。 川の向こう岸はもう蜃気楼のように薄れて、溶けていくばかりです。 もう少しであずにゃんまでそれに飲み込まれそうでした。 なんとか腕を伸ばそうとしたけれど……腕は動きそうになくて。 梓「私が入学した年の新勧ライブ、覚えてますか?」 唯「うん…あのライブ見て、あずにゃんは入部してくれたんだよね」 あの日のライブは夢みたいでした。 あずにゃんはそう言って懐かしげにほほえみます。 梓「それからすぐに軽音部に入部して、唯先輩のことを見つけました」 梓「けど…そこで出会った唯先輩は、私がステージ上で見た人とは違ってたんです」 唯「あはは……」 やっぱ、幻滅されちゃったんだろうな。 私ってものごとが続かないし、コードも音楽用語も覚えてないし、 いっつも後輩のあずにゃんを頼ってばかりだったしね……しょうがないよね。 梓「そりゃ、はじめはちょっとがっかりしましたよ。でも同時に、もっともっと気になったんです」 唯「……え?」 梓「あの日あんなにたやすく私の心を奪っていった、唯先輩ってどういう人なんだろうって」 芝生に寝転がる私のすぐ横で、膝立ちで話すあずにゃん。 こぼれそうでこぼれない涙に気づきもせず、真剣な眼差しを向けています。 息づかいが伝わるほど、髪の匂いがわかるほど近くにいるのに……私はまだ抱きしめられないでいます。 梓「軽音部で過ごした時間は――もっと言うなら、唯先輩と過ごした時間が、夢みたいでした」 梓「気がついたら唯先輩は三年生で、もう卒業する年で」 梓「・・・・・それを考えたら、とたんに怖くなって」 本当に夢なら、いつかは覚めちゃうんじゃないか。 夢から覚めたら私はあずにゃんから、ただの中野梓に戻ってしまって、思い出しか残らないのかも。 あずにゃんは、そんな悲しいことを言うのです。 唯「ねぇ…あずにゃん?」 恐怖に耐え切れず、私は聞いてしまいました。 唯「私たち、夢から覚めたらどうなるの?」 梓「どうもしないですよ。唯先輩は無事救出されて、病院のベッドで眠ってますから」 唯「じゃ、じゃああずにゃんは?! あずにゃんの身に何かあったら――」 梓「安心してください、私も無事でした。それから、唯先輩を助けようとした律先輩も」 そっか……よかった、これからもあずにゃんと一緒にいられる。 梓「でも、夢は夢のまま終わらせようと思います」 えっ…いま、なんて? 梓「軽音部はすごく楽しくて、唯先輩は素敵な人でした。……けど全部あれ、夢だったんですよ」 唯「そんな…夢なんかじゃないよ、現実だよ!」 必死であずにゃんに言うけど、あずにゃんは諦めてしまったみたいにかぶりを振ります。 ――二人で、夢だったことにしましょう。そしたら気持ち悪い思いなんて捨てられますから。 愛する人が傷つくかもしれないのに、それでも付き合いたいとか、キスしたいとか、 そんな思いも全部思い出だったことにしてきれいなまま過去に閉じ込めてしまえますから。 私は、ただの後輩です。ただの、中野梓です。 ……あずにゃんは、ついにこぼれた涙をぬぐうこともせずに、そう言いました。 梓「これ以上、こんな気持ちを持ち続けるのは辛いんです。それは……唯先輩もそうでしょう?」 唯「なんであずにゃんにそんなことがわかるのさ!? 私は、あずにゃんのことが、本当に……」 梓「……分かりますよ。痛いぐらい伝わってます。だって今の私、唯先輩が見てる夢なんだもん」 梓「私が言ってること、半分以上は唯先輩が考えてたことじゃないですか」 そう……気づいていたんだ。 一緒に過ごす時間が夢みたいで離れたくないって思ってたのも、 諦めようって考えたのも、あずにゃんって呼ぶのやめようっていうのも、全部。 私があずにゃんへの気持ちをなんとか押し込めようとして考えたことだったって。 唯「でも……やっぱり、いやだよ。私――あずにゃんを他人にしたくないよ」 梓「他人じゃなかったら、なんなんですか?」 ……ダメだ。うまく言えない。 いや、ほんとうは分かってるんだ。 でもちゃんと言ってしまったら、現実に口に出してしまったら―― 梓「口に出したら終わってしまう、こうですか?」 あずにゃんは、あの映画で別れた恋人の台詞をそらんじてみせた。 そうだよ、終わってしまうんだ。 だってさあ、女同士だよ? 普通だったら、気持ち悪い関係なんだよ? 私はそういう人間だし、どう見られたって仕方ないと思うけど。 でも、あずにゃんが変な目で見られたり、傷ついたりするのは……耐えられない。 そう思って、何度も何度もあずにゃんとの未来を考えては忘れて、考えては忘れて、 ……そうやって、なかったことにしようとしたんだ。 だからかな……私の夢の中のあずにゃんも、少しずつ蜃気楼に取り込まれて消えていこうとしている。 でも。 でも、やっぱり、 唯「・・・・・あずにゃんは、あずにゃんだよ」 決めた。 私だって、あずにゃんと離れ離れになるのはいやだ。 唯「夢から覚めても、あずにゃんはあずにゃんのままでいてほしいよ!」 目の前のあずにゃんが、ついにしゃくり上げて泣き出した。 梓「……今さら、ずるいです。私の気持ちなんか、見ないふりしてたくせに」 ごめんね、あずにゃん。 あずにゃんが私のこと好きだって言うのも、本当は分かってたんだ。 だけど……口にするのが怖かった。 だったら仲のいい先輩と後輩でいいやって、そう思ってたから。 梓「いえるんですか。私のこと、どう思ってるか」 唯「いえるよ!? 私はあずにゃんのことが好き! 離れたくない、抱きしめたい、キスしたい、愛してる!」 梓「夢から覚めてもそれ言えるんですか?! 今まで逃げてたのに!」 あずにゃんの言葉が胸に刺さる。 今まで見てみぬ振りして、そうやってあずにゃんを振り回してたんだ。 このままじゃ……夢から覚めたら、本当にあずにゃんが離れていっちゃうかもしれない。 河川敷はもう白い光でいっぱいで、もうここがどこだかも分からなくなっている。 もうここには私とあずにゃんだけしかいなかった。 でも、そのあずにゃんも……腕や足の輪郭が薄くなっていく。 梓「夢を夢のままであらせ続けるって、唯先輩が考えてるよりずっと大変ですよ?」 わかってるよ、あずにゃん。 ステージ上で夢を見せるバンドマンだって、現実では夢を形にする努力をしてるんだもんね。 あずにゃんが教えてくれたことだもん。ちゃんと覚えてるよ。 唯「それでも、私はあずにゃんとずっと一緒にいたい」 だから、今度こそちゃんと言うよ。 ――待っててね、現実のあずにゃん。 唯「約束する。目が覚めたら、あずにゃんに私の気持ちを伝える」 梓「……分かりました。じゃあ、お願いがあります」 唯「なに?」 梓「最後に私のこと、いままでみたいにぎゅって抱きしめてください」 もう二度と離れ離れにならないように、ちゃんとその腕で抱きしめてください。 あずにゃんはそう言った。 私は動かない腕に力を込める。 するとゆっくりだけど身体が動いて、あずにゃんに少し近づく。 がんばればなんとか腕が動かせる。 抱きしめなきゃ。今すぐ、ぎゅうってしなくちゃ。 でもあずにゃんの身体はどんどん白い光に飲まれていく。 時間がない。 梓「…ゆいせんぱい」 さっきより身体が軽くなった気がした。 私は全力で手を伸ばして、 なんとか消えそうな輪郭をつかんで、 背中に腕を回して、小さくてやわらかい身体を私のもとに引き寄せて、 ――力を込めて、抱きしめた。 すべてが光に包まれる、ほんの一瞬。 泣き晴らしたあずにゃんが、笑ったように感じた。 9
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/550.html
小鳥「プロデューサーさん、チョコです」P「小鳥さん大好き!」 執筆開始日時 2012/02/15 元スレURL ログ速URL 概要 小鳥「プロデューサーさん、チョコです」 P「小鳥さん大好き!」 小鳥「えっ///も、もうプロデューサーさん、そんなこと言って…」 春香「プロデューサーさん、やっぱり小鳥さんのこと好きなんだ」 美希「小鳥、ハニーとお似合いなの。ミキも敵わないの」 伊織「もう、あんたたち結婚しちゃったら?」 小鳥「ほ、ほら…みんな誤解しちゃってるじゃないですか…」 P「誤解じゃないです」 小鳥「えっ…」 P「俺、前からずっと小鳥さんのこと…」 小鳥「プロデューサーさん////」 ちゅっちゅ HAPPY END タグ ^1レス完結SS ^オールキャラ まとめサイト プロデューサーさんっ!SSですよ、SS!
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2724.html
≪コーク・ロア≫≪悪魔の囁き≫編これにて終了! 主にストーリー進行をしておられた花子さんの人には乙と拍手を! 今回の≪コーク・ロア≫編、お話は≪マッドガッサー≫編の時と同じように複数人によるリレー形式でお話が進行している部分があります。 そのためうちの子達の視点の部分と他、最低限の部分のみをリンクで繋いだ 【Tさん「コーク・ロア」】 のみでは今回の事件の一部分のみしか語られてはおらず、話の全体像は掴みきれない事態になっております。 よろしければクロス企画の欄、【悪魔の囁き&コーク・ロア騒動】から他の話も見て全体像を掴んで頂けるとまた違った楽しみ方が出来るのではないかと思います。 なにかありましたらこちら(Tさん 「あとがき」)か避難所に御一報ください Tさん、エピローグに至るまで
https://w.atwiki.jp/25438/pages/1289.html
1 企画:純「ついてないなぁ」 ◆NEz87FEsYI その他短編SS 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る ジャズ研のあるアニメ版だと ハイスクール編は違った展開になりそうで それはそれで見てみたいな -- (名無しさん) 2015-05-31 02 19 25 うまくまとめてる。 本音をぶつけあえる3人の関係がいいですね。 -- (名無しさん) 2014-10-01 19 41 57 バレンタインに部室どうこうってことは、これ原作版だからジャズ研設定ないわけだ -- (名無しさん) 2014-02-19 10 33 07 純ちゃん、そんなこと言ったらジャズ研の同期や後輩の方がもっと不幸だよ… -- (名無しさん) 2013-10-17 02 58 46 憂さん流石だな この3人組の魅力がよく表現されてるね -- (名無しさん) 2013-04-13 09 57 20 良かった -- (名無しさん) 2013-04-12 22 03 58 憂の大岡裁き、この3人はやはりいい。 -- (名無しさん) 2013-04-12 01 29 57
https://w.atwiki.jp/25438/pages/750.html
左兵士「この城を出ると、隣に町が見えます。そこで、まず武器や防具を買いそろえると いいですよ。戦いでキズついたときは、町にもどり宿屋に泊まれば、キズが回復するでしょう」 唯「フム、了解です。Ⅰの場合は、はじめに宝箱の中にあったゴールドで買いそろえるんだね。 装備は何も持っていないんだ。えーっと、階段を下りて…と。 ふーん、お城の下の階はこんな感じなんだ。思ったより広くないんだね」 澪「なぁムギ、唯は画面では自然に階段を降りているようだけど、 実際の唯は台の上で小股で上下に揺れながらゆっくり歩いているようにしか見えないんだ。 ほんとにこれで階段を降りている感じになるのか?」 紬「本人に聞いてみればいいのよ。(マイクボタンを押しながら)唯ちゃん、聞こえる?」 唯「あっ、ムギちゃん?聞こえるよ!」 律「うは、ディスプレイ上の唯が喋ってて、まるでテレビの中継画面みたいだ」 唯「えっ?りっちゃん、私映ってるの?イエーイ!みんな見てるぅ?」 紬「唯ちゃん、今階段を降りてたところだったけど、どんな感じだった?」 唯「へ?普通に階段降りている感じだよ。どうしたの?」 律「唯、今お前はさっきの台の上で動いているだけなのに、階段を降りたことになっているんだぜ」 唯「あっ、そっかぁ。そう考えるとスゴイよね。自然自然。ほら、こんな感じで階段も登れるよ」 紬「さっきも話したけど、昨日私も少しやってみて、すごく自然に階段の上り下りができているから ビックリしたのよ。澪ちゃんも、ちょっとやりたくなったでしょ?」 唯「澪ちゃんも後でやってみようよ。面白いよ!」 澪「う…うん。考えとく…」 律「唯、いいことを教えてやる。城の中にあるツボの中を調べてみろ」 唯「ツボ?ねぇりっちゃん、ツボってあそこにあるツボのこと?」 律「そうだ。この中の一つにいい物が入っている」 唯「わかった。じゃあ手前のツボから調べてみよう」 ゆいはツボの中をのぞきこんだ。しかし何もみつからなかった。 唯「空っぽだ。真ん中のツボはどうかな?」 ゆいはツボの中をのぞきこんだ。しかし何もみつからなかった。 唯「こっちも空っぽ。じゃあ奥のツボにあるんだね」 ゆいはツボの中をのぞきこんだ。しかし何もみつからなかった。 唯「りっちゃーん、何も入ってなかったよー」 律「おかしいなぁ、確か手前のツボの中に薬草が…」 澪「律の勘違いじゃないのか」 紬「私がプレイしたときは入っていたわよ。多分『宝箱等のグレード設定』で『3豊富』じゃなくって、 『1質素』か『2そこそこ』のどちらかだと思うの」 澪「『1質素』と『3豊富』でどのくらい違うんだ?」 紬「マニュアルには『1質素』がオリジナルのFC版程度で、『3豊富』がSFC版程度って 書いてあるわ。『1質素』の場合、タンスやツボには何も入っていませんですって」 律「オリジナルのFC版程度ってことは、ひょっとしてステータスを上げる種もないってことか?」 紬「『1質素』ではステータスを上げる種は出現しませんって書いてあるわ」 とりあえず今の設定を確認してみるわね。(ピッ、ピピピピッ)」 プレイヤーの名前:『ゆい』、性別:『女性』、プレイヤーの容姿:『装備品ごとのビジュアル変更』、 ローラ姫のビジュアル:『タイプB』、特定のアイテムの出現場所の変更:『ランダム』、 宝箱等のグレードの設定:『1質素』、出現モンスターのグレードの設定:『1標準』 紬「みんなの予想通り、『1質素』になってるみたいね」 唯「ねえねえ、結局どういうこと?」 澪「このプレイは、本来よりクリアが難しい設定になってるってことじゃないのか」 律「そういうことだ。プレイし慣れた私には、モンスターのグレードが『1標準』だからまだ簡単、 しかし初心者の唯には厳しいってことだ。 私もアドバイスするけど、半分ぐらいしか効果がないと思うけどな」 唯「そんなぁ…」 紬「大丈夫よ、唯ちゃん。あくまでもテストプレイが目的なんだから。クリアしなくったっていいのよ」 律「とりあえず、城から出て東にある町に行こう。そこで装備を買いそろえるんだ」 唯「りっちゃん、東ってどっち?」 紬「唯ちゃん、右上に方位を示すマークが浮かんでいるでしょ?それを目印にしてね」 唯「あっ、これかぁ!わかったー。じゃあお城を出て左だね。ありがとう、ムギちゃん!」 フィールド 唯「わっ、お城を出たとたん景色が変わった。BGMも変わった。後ろのお城も急に小さくなった。 目の前に海があって、その向こう側の島のガケの上にもお城がある。 あそこが竜王の城なのかなぁ。とりあえず町は左側に…あったあった。 結構近くにあるんだね」 澪「フィールドに出ると、城が急に縮小したな」 紬「リアルな大きさだと、マップの移動も大変だからじゃないかしら。たぶん町も同じだと思うわ」 律「こう見ると、マップもそこまで広く作ってないみたいだな。これなら楽勝そうだ」 澪「でも、全体が映ってる右のディスプレイの唯は、動きが遅いな」 紬「右の表示では一つのマスが5m四方みたいなの。だから、5m分進んで一マス移動するのよ」 ラダトームの町 唯「わっ、町の目の前に来たら急に大きくなった!BGMも変わったね。とりあえず中に入ろう」 町人「ラダトームの町にようこそ」 唯「いやいやどうもどうも…。装備って武器防具だから、武器屋さんを見つければ… あの剣と盾のマークのお店だよね」 女性「いらっしゃいませ。中に進んでカウンターごしに話しかけてくださいな」 唯「はーい。あのー…」 武器屋「ここは武器と防具の店だ。どんな用だね?」 唯「武器と防具を買いに来たんですけど」 武器屋「(店の後ろに飾ってあるものを指して)どれにするかね?」 唯「竹ざお10G、こん棒が60G、銅の剣が180G、布の服が20G、革の服が70G、 革の盾が90G…うーん、どれを買えばいいかなぁ?」 唯「あのー、オススメってありますか? 武器屋「ちょっとよく聞こえなかったな。何を買うかね?」 唯「ちぇっ、質問には答えてくれないんだ。えーっと、どうしよう… あれ、アイテムを指さしたらコマンドが出てきた。竹ざおで攻撃力が7→9、こん棒で7→11、 銅の剣で7→17!銅の剣が一番強いね。すいません、これください!」 武器屋「銅の剣だな。しかし、こいつを買うにはお金が足りないようだぞ。 他にも何か用はあるかね」 唯「120Gしかお金なかったんだった。これは買えないや。でも…これが良いなぁ…」 律「120Gしか所持金がないのに、唯は何をやっているんだ…」 紬「まぁまぁ、唯ちゃんもⅠは初挑戦なんだから、いろいろ試行錯誤するのもいいんじゃないかしら」 澪「なぁ律、この場合竹ざお10Gと布の服20Gと革の盾90Gで、ちょうど120Gになるけど、 この選択がベストなんじゃないのか?攻撃力は+2しかならないけど、守備力が+6になって 今の唯なら攻撃力9、守備力8でバランスもいいと思うんだけど」 律「チッチッ、甘いな澪。もっと良い選択があるんだよ」 唯「うーん、こん棒と革の服…だったらお金が足らないし、竹ざおと革の服…こん棒と布の服…。 もしもし、りっちゃん隊長、応答願います、ドーゾ!」 律「おっ、唯から呼び出しだ。こちら律、唯隊員、どうかしましたかドーゾ!」 唯「結局始めに何を買えばいいの?」 律「人によって違うんだけどな、私のやり方では、武器屋で『こん棒』だけを買うんだ。 その後、道具屋で『竜のうろこ』を買って、装備するんだ」 唯「防具は買わなくていいの?」 律「『竜のうろこ』が防具の替わりになるからな。次の防具はお金が貯まってからでいい。 それと、次に買う場合は革の盾が先だぜ」 唯「わかった。そうしてみるよ。ありがとうございます、りっちゃん隊長!」 澪「律、防具はなくても本当に大丈夫なのか?」 律「『竜のうろこ』は20Gで買える道具だけど、守備力が+5あるんだ。これを装備すれば十分。 弱っちい防具よりはるかにお得だぜ。それに、はじめはラダトーム城周辺のスライム退治で 経験値を稼ぐんだけど、こん棒ならレベル1でも一撃でスライムを倒せるからな。 スライムの攻撃も強くないから、『竜のうろこ』だけで問題ないんだ」 澪「なるほど、攻撃は最大の防御っていうわけだ」 紬「さすがりっちゃん、手慣れてるのね」 律「まぁ、私の手にかかればドラクエなんて余裕余裕!」 唯「こん棒を下さい!」 武器屋「こん棒だな。さっそく装備するかい?」 唯「はい!」 武器屋「せっかく買ったんだから装備しなきゃなっ!」 ゆいはこん棒を装備させてもらった。 唯「おおっ、右手にこん棒が出てきた!なんかずっしりと重いや」 武器屋「他にも何か用はあるかね?」 唯「もういいです。ありがとうございましたー」 武器屋「また来てくれよ!」 唯「えーっと、次は道具屋さんっと…どこにあるのかなぁ。あっちの大きな建物かな?」 澪「唯のグラフィックの右腕に、こん棒がでてきたな」 紬「武器・防具を身に付けると、それに応じてグラフィックが変わるのよ」 律「そういえばFCの初代ドラクエⅠも、武器や盾を手に入れるまで、 グラフィックには表示されなかったはずだよな」 紬「さすがりっちゃん、よく知ってるわね」 宿屋「旅人の宿屋へようこそ。ひと晩3ゴールドですが、お泊りになりますか?」 唯「(あっ、ここじゃなかったんだ)ゴメンナサイ、間違えました…」 宿屋「さようなら旅の人。あまり無理をなさいませぬように…」 唯「あれ、宿屋さんの中にも入れるんだ。こっちの扉は鍵がかかってるよ。 こっちの部屋ではお爺ちゃんが寝ているし。えーっと、あの奥のカウンターは…」 預かり所「ここは、お金と持ち物の預かり所です。どんなご用でしょうか?」 唯「お店じゃなかったんだ。すいません、用はありませんでしたぁ」 唯「道具屋さんはどれだろう。あの二つの部屋がある建物かな?えーっと、すいませーん」 男「あなた、知ってますか?」 唯「え?な、何のこと?」 男「ウワサでは、どこかに魔法の鍵を売っている店があるらしいですよ」 唯「魔法の鍵って、さっき王様の部屋を出るときに使った鍵のことだよね。 ドラクエⅠって鍵を売ってるんだね。なくなるって事は、使い捨てなのかな? とりあえず覚えておこう。隣の部屋はなんだろう」 老人「わしは呪いをとく魔法を研究しておる。もしそなたが呪われたなら、ここに来るがよい。 きっと力になってやるぞ」 唯「へー、教会みたいな感じなのかぁ。ねぇお爺さん、それってタダでやってくれるの?」 老人「わしは呪いをとく魔法を研究しておる。もし…」 唯「ダメだ、同じことしか話さないや」 唯「じゃあ、この後ろの建物かな?あれ、ここも扉に鍵がかかってる。 鍵はもう使っちゃってなくなってるから入れないし、ここじゃないのかな?」 律「おーい!唯、聞こえるかー?」 唯「あっ、りっちゃん?ねぇりっちゃん、道具屋さんってどこ?」 律「南側の橋がかかってる島にある建物だよ」 唯「了解!ありがとう!」 律「まったく、唯のプレイを見ているとイライラしてくるなぁ。もっとサクサクと進めればいいのに」 澪「律、いろいろ言いたく気持ちはわからないでもないが、さっきムギも言ってたけど、 これはテストプレイなんだ。初プレイの試行錯誤の様子から、 貴重な意見が出るかもしれないだろ。初心者の意見も重要だろ」 紬「唯ちゃんのプレイから、私もいろいろ気づきが出ているから、結構助かるわよ。 唯ちゃん自身も、迷いながらも結構楽しんでいるみたいだしね。 りっちゃん、必要そうな時だけアドバイスすればいいんじゃないかな」 律「私の番になったら、サクサク進めてやるんだからな」 入口の商人「これはいらっしゃいませ!どうぞ中へお入りください」 唯「外から見てたら、中が真っ暗だ。こんな怪しい感じのところが道具屋さんなの? あっ!中に入ったら明るくなった」 道具屋「いらっしゃいませ!ここは道具屋です。どんなご用でしょう?」 唯「『竜のうろこ』ってありますか?」 道具屋「(後ろに飾ってある道具を指して)お買い上げですね。どれにいたしましょう?」 唯「商品名言っても、すぐに購入にはならないんだ…あれ(竜のうろこ)をください」 道具屋「『竜のうろこ』ですね。かしこまりました。はいどうぞ、ゆいさん。 他にも何かご用は?」 唯「ないでーす」 道具屋「ありがとうございました!今後ともごひいきに!」 澪「お店で、目的のものがはじめから決まっていて、○○下さいと言ったら、 セリフがショートカットできるといいな」 紬「そうね。でも、値段がわからずに買っちゃうケースになるかもしれないから、 そこは設定に工夫が必要かしらね」 律「おーい唯、聞こえるかー?」 唯「あっ、りっちゃん?竜のうろこ買ったよー」 律「必要なものも買えたんだし、さっさと進めようぜ!まずは町の外に出て、 しばらくは城の周りでスライムやスライムベスを倒して経験値を積むんだ。 おっとその前に竜のうろこを装備しろよ」 唯「りょーかい!」 唯は竜のうろこを身につけた。 フィールド 唯「町の北に林や山地があるんだね。その奥に高い岩山が見えるよ。 とりあえず林の中に入って…ふーん、林っていっても、ちゃんと通り道があるんだね。 木がいっぱい生えててあんまり見渡せないから、今自分がどこにいるか全然わからないや。 とりあえず先に進んでみよっと…うわ!目の前が光った!」 スライムがあらわれた!コマンド? 唯「スライムはドラクエのおなじみキャラだね。なんかカワイイ。 えーっと、ここで戦えばいいんだよね。こん棒で叩けばいいのかな?えい!」 ゆいのこうげき! ポコン! スライムに5ポイントのダメージ!! スライムを倒した! スライムをやっつけた。 1ポイントの経験値をかくとく!2ゴールドを手に入れた! 唯「へーっ。倒したらモンスターが薄くなって消えるんだぁ」 澪「スライムを攻撃した時に、スライムの目が『×』になるんだな。ちょっとカワイイな」 紬「ほとんどのモンスターもそういう設定になっているのよ」 澪「林のフィールドも、結構リアルに作ってあるんだな。いかにもモンスターが出そうな感じだし」 律「モンスターとのエンカウントはこんな感じなんだな。普通のランダムエンカウントか。 これがシンボルエンカウントだと、モンスターを発見しやすくなって、 逃げやすくもなるんじゃないのか」 紬「シンボルエンカウントね。確かにその方がリアルな感じよね。モンスターを区別して、 戦うこともできるわね。でも、そうしたらどうしても走って逃げようとしちゃうじゃない。 プレイベースでは『走る』ことにはまだついていけないの」 澪「ふーん、あっちが立てばこっちは立たずか」 唯「林を抜けたら、山みたいな、丘みたいな、でもって何にもないところに出ちゃった。 ここは坂道だね。とりあえず登ってみよう…って、わっ!また光った!」 スライムベスがあらわれた!コマンド? 唯「さっきと違う赤っぽい色のスライムだ。とりあえず戦おう。えいっ…て、うわっ!」 スライムベスのこうげき! バシン! ゆいは1ポイントのダメージをうけた! 澪「なぁムギ、唯が今「痛っ!」って叫んだみたいだけど…これって痛いゲームなのか? ダメージまで体感できるようになっているのか?」 紬「そうなの。マニュアルにはダメージを受けると、脳や脊髄へ微弱電気が走るようになっているの。 ゴーグル付きヘッドホンから、特殊な微弱電流が脊髄まで届いて、脳が体に痛みを受けた と錯覚するようにできているみたいなの。痛みは何かが当たったような鈍い痛みだから、 心配するような痛みじゃないわよ。ダメージの強さは最大HPに対する割合で大きくなるみたい」 律「へーっ。じゃあ、例えば最大HPが30で、15ポイントのダメージなら、どのくらいの痛みがくるんだ?」 紬「昨日の私のテストプレイでは、操作確認がメインだったからでそんなに長くプレイしていないし よくわからないんだけど、ゲームだから激痛ってことはないでしょ。他にも、炎攻撃のときに 熱の感覚も体感できるの。ビックリするわよ」 澪「でも…痛い話はやめてくれ…ガクガク」 唯「痛~い!先に体当たりして来たよ。ちょっと痛かったけど、でも大丈夫! よーし、お返しだぁ!」 ゆいのこうげき! ポコン! スライムベスに4ポイントのダメージ!! スライムベスを倒した! スライムベスをやっつけた! 2ポイントの経験値をかくとく!4ゴールドを手に入れた! 3
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2482.html
● 煙草を握りつぶしたりして先程まで騒いでいたのが信じられないくらい静かな、それでいて複雑な表情で沈黙した携帯電話を見つめているマドカ。 いきなり対面、とまではいかなかったが互いに対話の意思が明確になった。未だ隔意は抱いているようだが、まあ少しは関係も良い方向に傾いたという所だろうか。 Tさんはそんな彼女を見て思う。 さて、と一息し、マドカへと声をかけた。 「今貴女は一家が離散していて家なしの状態だったな?」 「それがどうしたんだい?」 携帯をTさんへと返したマドカはTさんたちが最初に会った時と同じ、少し豪快さを感じさせる笑みを浮かべた。 「今夜泊まる場所はあるのか?」 そう言ってTさんは頭上を示す。 既に陽は翳り、街灯が灯り始めていた。この時期、まだ夜は冷える。 「今日の宿泊場所は、まあ決めてないけど……」 どうにかならぁね。と言うマドカに舞が言う。 「なら今夜くらいウチに泊まってけよ」 「そうするの!」 続くように同意を示したリカちゃん。Tさんも頷いて「そうすると良い」と言う。マドカは数瞬迷うような表情を見せたが、 「そうだね、そろそろ懐が苦しくてねぇ、世話になろうかな」 困ったような笑みで答えた。 ● 舞たちが住んでいる集合住宅、その居間でマドカは万年コタツに足を突っ込み、リカちゃんをコタツ机の上に乗せて、特にすることもなくテレビを見ていた。 「なあ、姐ちゃんはそんなにチャラい兄ちゃんのじいちゃんばあちゃんが嫌いなのか?」 キッチンで夕餉の準備をしている舞が好奇心に惹かれたと言った体でマドカに話しかけた。 「糞爺も鬼婆も旧家の体裁が大事な奴らだったんだよ。やれ見合いだやれ次期戸主だとか縛られ続けてみなさいな、嫌気が差すよ」 リカちゃんを手で弄くりながら答えるマドカ。 「体裁かあ……」 調味料を適当に振り入れながら舞は苦笑した。 この調味料の入れ方は「こんな適当かつ大雑把な入れ方をしているから味付けが濃くなり嗜好もそちらに傾くのだ」とTさんに何度か注意されている。舞本人にもそれなりの自覚はあるが、だからといって無理に直そうとは思わない。理由は「俺の性に合わねえから」だ。マドカはそのような性に合わない無理な矯正を何度も、しかもかなり強引に受けたのだろう。 そいつはしんどいよなあ。性格に合わないこたぁやっぱやりたくねえしな。 意に沿わぬ事を無理にやらせられ続ければグレるのも当然だ。少なくとも舞などはそう思う。 「うちの親はそこら辺自由っちゃあ自由だからなー」 舞も高校生の一人暮らしで部屋に男を連れ込んでいるクチだ。 実家の方には適当に言ってあるし、基本的に舞の自由にさせてくれる親である。 旧家の体裁とかは良く分からない。だけど翼の親として振る舞う態度は間違っていたというのはよく分かる。でも反省してるんだしチャラい兄ちゃんもとりあえず話をしてみようぜ。それが舞の結論で、感想だった。 そうこうしている内に料理が完成した。 ● 配膳作業をTさんに任せて舞は調理器具の片付けをする。食卓に着き、食事が開始されるとTさんがマドカへと言った。「朝比奈マドカ、貴女が青年に会いたいと言うのなら日景の当主に会わないわけにはいかないだろうな」 それは電話口で黒服が提示した条件である。彼は未だ彼女の事を嫌っているようだ。 彼の冷たい声を思い出したのか、舞がいや参った参ったと苦笑する。 「黒服さん、あの電話での声音からしてもう怖いのなんのって」 「くろいふくのおじさん、おこってたの?」 「ありゃ雰囲気的に警戒してたとかそんな感じだったんじゃねえかな」 Tさんは舞の言葉に「そうだろうな」と頷く。 「黒服さんや青年にとっての貴女は、貴女にとっての日景の当主と同じようなものだろう」 会いたくはない存在だと、つまりはそういうことだ。それでももし青年に会おうと言うのなら、 「いくら会いたくなくとも、それくらいの条件は飲むしかないだろうな」 「分かってるさね」 不承不承と言った感じでマドカ。それよりも、とTさん、舞、リカちゃんを見て彼女は訊ねる。 「バカ亭主が起こしてる騒ぎのこと、もっと詳しく教えてくれないかい?」 「ああ、確かにそりゃ知っておいた方がいいぜ。――なあ?」と舞がTさんへと顔を向ける。 朝比奈秀雄のことは電話中に軽く話した程度だ。朝比奈マドカは都市伝説の事についても知っているようだし、無関係な問題でもない。教えておいた方がいいだろう。 Tさんは舞へと頷き、自分たちが見てきた今回の騒動についてマドカに話す。 この町で≪コーク・ロア≫および≪悪魔の囁き≫が大量に発生している事。朝比奈秀雄がそれらを操っているであろう事。彼には他にも都市伝説契約者の取り巻きがいるらしいこと。その目的がおそらく翼を利用した権力の奪取にあることを改めて説明し、今回の件のあらましを伝えた。 全てを聞いたマドカは「あーなるほどね」と呟く。 「それでさっき≪ユニコーン≫が走ってった後、私が狙われていたのなら≪悪魔の囁き≫の件が濃厚とか言ってたのね」 「ああ、まあ確証は無いのだがな」 「いろいろと教えてもらって悪いね」 「構わんさ。あの青年にも世話になったしな」 「ああ、本当にな……」 Tさんの言葉に少し遠い目で舞が深く頷く。 十中八九写真に収めた数々の思い出が頭の中を駆けまわっているだろうな。 Tさんが思っていると、マドカが興味を惹かれたような顔になる。 「ねえ、あんたたちから見た翼のこと、教えてくれるかい?」 マドカが息子の翼の事を知りたいと思うのも道理だろう。それに話すだけならロハだ。そう思い、Tさんは「いいだろう」と答える。 ≪首塚≫の事などは伏せた方がいいだろうな……。 頭の中でどの話をするか取捨選択していると、突然舞が勢いよく立ちあがった。 「任せとけ!」 そのまま自室へと駆けて行く舞。 「あの子、どうしたんだい?」 勢いよく駆けて行った舞を呆然と見送ったマドカにTさんは苦笑気味に言う。 「さて、どうしたのだろうな?」 写真を取りに行ったであろうことは明らかだ。 さて、この人にあれを見せたものか。Tさんは割と真剣に悩みながら少し味付けの濃い料理を口に入れた。 お伽話は真実で 純白の目的 見つけたらぶん殴る 一宿一飯の礼へ 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで