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※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。 ※オリ設定満載です。 ※ぬる虐めです。そして割と愛で気味です。 ※fuku2278の続きですが、読まなくても問題はありません。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そしてまりさはそんな不思議に満ちた生命体そのものだけど、自分たちが不思議だとは思ったことが無い。 「ゆっへっへ・・・まりさはこのもりでいちばんゆっくりはやくはしれるんだぜ!」 さっき、かけっこで今まで一度も勝ったことの無かったゆっくりちぇんに勝った。 ちぇんは凄く巧みに尻尾を使うから普通のまりさ達の3倍以上の速さで走ることができる。 でも、まりさはそのちぇんに勝った。ゆっくり頑張ったおかげでまりさはこの森でいちばん速いゆっくりになった。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「すごいよまりさ!ちぇんにかっちゃったよ!」 そういってまりさを褒め称えるのはこの森でいちばん可愛いれいむ。まりさの恋人だぜ。 「ゆゆっ!でもまりさはもっとうえをめざすんだぜ!」 「ゆぅ?でも、まりさよりはやいこなんてこのもりにはいないよ?」 「だからにんげんとしょうぶするんだぜ!」 「ゆゆっ!?まりさ、にんげんはこわいよ!!」 「ゆっ!だいじょうぶだぜ!にんげんがまりさのあしにかなうわけがないんだぜ?」 まりさを必死に引きとめようととするれいむ。可愛いやつだぜ。 でも、今のまりさは誰にも止められないんだぜ? 「でも、でもぉ・・・」 「れいむ、まりさをしんじてほしいんだぜ!」 そういって半ば強引にれいむにちゅっちゅして口を塞ぐ。 「ゆ、ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅう・・・」 すると、れいむは恥ずかしさで顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。 「れいむ、かえってきたら・・・いっしょにすっきりしようぜ!」 「まりさ・・・!うん、れいむゆっくりまってるよ!」 それからまりさは2日ほどかけて、人間の町に到着した。 「ゆ!ここがにんげんのまちなんだね!」 まりさがきょろきょろと町の様子を見ていると、後ろからいきなり話しかけられた。 「ねえ、そこのゆっくりまりさ。こんな朝早くに何してるんだ?」 「れいむたちもこんなあさはやくだよ〜!」 「ゆっくりはやおき〜!」 「「「「「「ゆっきゅり〜!」」」」」」 「・・・あんたらは黙ってなさい。ねえ、あんた、飼われ?それとも野良?」 「ゆ!まりさはまりさだよ!」 振り返ると、猫車(と言うらしい)にたくさんのゆっくりを乗せて、服の中にも2匹のゆっくりを隠している変なおねーさんが立っていた。 「いや、そんなトートロジーはいいから。じゃあ、どこから来たんだ?」 「まりさはもりからきたんだよ!それでね、いままちについたの!」 おねーさんはいつの間にかまりさの目の前にしゃがみこんでいた。 胸が邪魔で表情は良く見えないけど、酷いことをする人間ではなさそうだ。 「ふーん。で、何しに来たんだ?」 「ゆ?ゆゆっ!そうだ、おねーさん!」 「んあ?」 「まりさとかけっこでしょうぶしてね!」 「・・・なんで?」 おねーさんは首をかしげている。けれど猫車に乗っているゆっくり達は事情を察してくれた。 「ゆ!まりさはすごくはやいんだね!」 「ゆっくりはやいゆっくりなんだね!」 「・・・何のこっちゃ」 それでもやっぱりおねーさんは事情を飲み込めない。仕方ないからまりさがゆっくり説明してあげることにした。 「まりさはね!もりでいちばんはやいゆっくりなんだよ!」 「・・・ゆっくりにとって速いのは名誉なのか?」 「ゆん!そんなことどーでもいいんだよ!」 おねーさんがいちいち話の腰を折るからほほを膨らませつつ注意してあげた。 「ああ、ごめんごめん。で、その速いまりさが何しに町に来たんだ?」 「にんげんとしょうぶしにきたんだよ!」 「そうかそうか、勝負か、それは良かった、きっとどこかの気前のいい愛好家が日が暮れるまで付き合ってくれるよ。 そんな訳であと3時間もしたら大学で忙しく寝なければならない私はとっととどこかに消えるわ、それじゃさよなら」 首をかしげるのを止めたおねーさんはまくしたてるそれだけ言い切ると猫車を押して歩いていこうとする。 「ゆ!ゆっくりまってね!!」 立ち去ろうとするおねーさんをまりさは必死で追いかける。けど、おねーさんは速すぎてぜんぜん追いつけない。 どんなに急いで跳ねてもどんどんおねーさんとの距離は広がっていく。 「おねーさん、はやいよ〜」 「すぃ〜」 「「「「「「ゆっきゅりー!」」」」」」 そして、猫車に乗っているゆっくり一家もそれが当然と言った様子で楽しそうにしている。 まりさは一心不乱におねーさんを追いかける。途中、どこからかカーンカーンと甲高い音が聞こえてきたけど、気にせずまりさは跳ね続けた。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 疲れたから少し休んで呼吸を整える。足を止めておねーさんの方を見てみるとさっきより少しだけ距離が縮まっていた。 「ゆっ!まりさがんばるよ!」 まりさが少しずつ距離をつめていく間もおねーさんは黄色と黒色の縞々の棒の前でじっとしている。 「ゆっ!・・・ゆっ!・・・ゆっ!・・・ゆっ!・・・ゆっ!」 あと3歩・・・あと2歩・・・あと1歩・・・追いついた! そして、まりさがおねーさんを追い抜こうとしたとき、頭上からチョップが飛んできた。 「ゆぎぃ!?」 「待て待て待て待てっ」 チョップを仕掛けてきたのはおねーさん。きっとまりさに抜かれるのが悔しくて邪魔したんだろう。 でも、それはルール違反だから、おねーさんにゆっくり注意してあげようとしたとき・・・ ものすごい速さで、信じられないほど大きな緑色の何かがまりさの目の前を通り過ぎた。 「な、なな、なななななな・・・なにあれえええええええええええ!!?」 「あれはね、でんしゃだよ〜♪」 まりさの質問に答えてくれたのは猫車の上のれいむ。 「おねーさんがとめてくれなかったらゆっくりしんでたん・・・!」 猫車の上のまりさが喋っている最中に、またものすごく大きな何かがまりさの前を通り過ぎた それは白色で、さっきのよりもずっと速かった。 「ゆぎゅうううううううううううううう!!?」 そのでたらめな速さを目の当たりにしたまりさは何だか気持ち悪くなってきた。 エレエレエレエレエレエレエレ・・・・・・ そして、気がついたらあんこを吐き出していた。 「うおっ、こいつ餡子はいてるぞ?」 「だいじょうぶだよ!そのこはゆっくりできないものをみてきぶんがわるくなっただけだよ!」 さっきのゆっくり一家とおねーさんの声だろうか?どこか遠くの方から声が聞こえてくる。 「でも、アンタらは大丈夫だよね?」 「れいむたちはなれっこだからだよ!」 「ああ、なるほど。・・・で、こいつどうしよう?」 「おねーさん、ゆっくりたすけてあげてね!」 「やだ!」 「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!!」」 「「「「「「ゆーっ!!」」」」」」 「・・・・・・はぁ、わかったよ。でも、飼ってやるつもりは微塵も無いからな?」 「「ありがとう、おねーさん!」」 「「「「「「ゆっきゅりー!」」」」」」 目を覚ますと、見慣れない場所にいた。辺りを見回すとさっきのゆっくり一家とおねーさんがまりさを囲んでいる。 「・・・・・・ゆう〜?」 何があったんだっけ?よく思い出せないなぁ・・・。 「お〜い、何ぼけっとしてるんだ?」 そういって心配そうにまりさの顔を覗き込んだおねーさんは目の前で手のひらを思いっきり左右に振った。 「ゆぎぃいいいいいいいいい!?」 エレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ また、意識が遠のいた。 「またかよ・・・」 「おねーさん!なにやってるの!?」 「何って、無事を確認しようと・・・」 「そんなゆっくりしていないてをみせられたらゆっくりできないよ!」 「アンタら・・・本当に難儀な生き物だね」 「「「「「「ゆーっ!」」」」」」 「あとでゆっくりあやまってね!」 「はいはい、わかったよ。それより、そろそろご飯食べないか?」 「ゆっ!おねーさん、はなしをそらさないでね!れいむはたくあんがたべたいよ!」 「文句言うか、素直に話を逸らすかどっちかにしろ」 「まりさはさけかすがほしいよ!」 「「「「「「ゆっきゅりー!」」」」」」 そこでまりさの意識は途絶えた。 「清く正しく」 「きめぇ丸です」 何度目になるかわからないけど、またまた目を覚ますとまりさの周りを2匹のきめえ丸と呼ばれるゆっくりがぐるぐる回っていた。 エレエレエレエレエレ・・・ また、意識が遠のいていく。 「あなたもゆっくり飼っていらっしゃるなんて意外だわ」 「んー、まあちょっとした成り行きで」 「でも、ゆっくりは飼い主に似ると言う言葉通り、貴女の胸同様締りの無い面構えですわ」 「あー、はいはい、そうだねぇ」 「人の話を聞き流さないで下さらないかしら?」 「おねーさん、まりさがきめぇまるにいじめられてるよ」 「苛めは良くないなぁ・・・で、ゆっくりと飼い主がなんだっけ?」 「・・・な、なんでもありませんわッ!?」 おねーさんのお友達はちょっと高飛車な感じだな、と思った。 そして、またまた意識を失った。 またまたまたまた目を覚ますと今度は知らないおにーさんが目の前にいて、おもむろに手を左右に振り始めた。 エレエレエレエレ・・・ もう何度目だろうか。またまたまたまた意識が遠のいていく。 「なるほど・・・これは非ゆっくり過敏症だね」 「何すか、それ?」 「文字通り、ゆっくりしていないものを見ると気絶するゆっくりの性質が過剰に出てしまう症状だよ」 「で、それに何か不都合でも?」 「さっきの俺の手の動きがゆっくりしていないように見えたかい?」 「いや、遅すぎるくらいだったような・・・」 「そう、さっきのは時速3km程度。でも、この子にとっては自分より速いから非ゆっくりなんだよ」 「へぇ・・・でも、今朝は私が歩いているのを見ても平気でしたよ?」 「話を聞く限りだと・・・自分より圧倒的に速いものを立て続けに目の当たりにしたことで自尊心を打ち砕かれたのが原因だろうね」 「ふぅん・・・無力と貧弱を体現したような饅頭の癖に難儀なやつ・・・」 「おねーさん、このこかわいそうだよ!なんとかしてあげてね!」 「で、どうすれば治るんです?」 「人間のそばにいて定期的にカウンセリングを受けさせるしかないね」 「えーっと・・・先生!私からの気持ちです、受け取ってください!」 「いらん」 「ゆぅ・・・おねーさぁん・・・・・・」 「・・・はぁ、はいはい。わかったよ・・・」 こうしてまりさのゆっくり出来ない人里生活が始まった。 −−−あとがき−−− 雪辱は晴らすものではありません。 何と言うかね、ひたすらゆっくり出来ないものを見たまりさがエレエレするだけ。 斬新というか横着以外の何者でもない。これは酷い。 オリキャラは叩かれ易いという話がチル裏であったけど、オリキャラ(というか固有名詞持ち)って便利なんだよなぁ・・・。 (東方キャラで良いじゃないかって人もいるが、東方キャラだとそのキャラのイメージを変に気にするから書きづらくなる) スゥさんちのメアリーが色々アレでナニだけど、名前があると文章を書くときに色々便利だし。 特に自分みたいにキャラを使いまわす人はつけれるものなら名前をつけたいんじゃなかろうか? そんな訳でおねーさんの名前を考えていたら、思いついた名前が戸須磨 理沙(どすま りさ)。 だめだこりゃ。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。 ※オリ設定満載です。 ※ぬる虐めです。ボリュームも少なめです。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気がする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、私はよくわからない成り行きでそのゆっくりを9匹も飼う羽目になってしまった普通の女子大生だ。 「あ~・・・お酒が飲みてぇ・・・」 私の家にゆっくりがやって来てはや2ヶ月。ここ最近全くお酒を飲んでいない。 それまでは毎日リットル単位で酒盛りしていたのだが、連中の食費を捻出するために真っ先に嗜好品のための出費を切ってしまった。 そんな訳で、齢20にしてアル中同然の私の我慢はもはや限界。 しかし、たとえゆっくりと言えど2ヶ月も付き合っていれば愛着は湧く。 今更捨てるわけにもいかず、かといって「1杯だけ」と言ってお酒に手を付ければ転がりやすい坂式にまた飲みたくなるのは目に見えていた。 「あ~・・・ゆっくり酒飲みてぇ・・・」 再び呟くが、流石にこればっかりはどうにかなるものでもない。 ため息をつきつつ、しばらくボーっと空を眺めていたが、10分ほどして飲みたい衝動が落ち着いてきたところでのっそりと立ち上がる。 そして、「さて、今日も頑張るか」と誰に言うでもなく口にしたそのとき・・・ 「ゆっくりしていってね!」 「んあ?」 これでもかというくらい聞きなれたその挨拶に反応した私はすぐさま視線を地面に落とし、きょろきょろと足元を見回した。 そこにいたのは見たこともない大きな2本の角の生えた下膨れのどこか既に出来上がった感のある顔饅頭。 見たことはないが聞いたことはある。確かこいつはゆっくりすいかだ。 「なんだ、ゆっくりか」 「おねーさん、ゆっくりしていってね!」 「はいはい、ゆっくりしていってね・・・ん?」 少しでも目の高さをあわせるためにしゃがみこんだ私に満面の笑みと二度目の挨拶を向ける。 すると、私を“ゆっくりできるもの”と認識したすいかはふらふらと酔っ払いの千鳥足を髣髴とさせる足取りで私の傍へ寄ってきた。 「・・・あんた、酒臭いね?」 「あたりまえだよ!すいかゆっくりできるおさけをもってるもん!」 「・・・・・・ほうほう」 そうかそうか、お酒を持っているのか。 しかし、相手はゆっくりだ。お酒を製造する技術があるとは思えず、また保管する技術もあるとは思えない。 となると、こいつの言う「持っている」の意味するところは一つしかない。 「・・・いただきます」 「ゆっ?!いだい、いだいよっ!ゆっぐぢやべでね!!」 「む~しゃ、む~しゃ・・・なるほど酒饅頭か」 すいかに向かって手を合わせてから、彼女の他のゆっくりより弾力のある頬を少しちぎって食べると口内にご無沙汰だったような気がしなくもない風味が広がってゆく。 「ん~・・・でも、これはお酒とは言いがたいなぁ・・・」 「おね゛ーざん、なにずるの!?すいがおごっだよ!!」 なまじ酒の味がするだけに酒を飲みたい衝動が緩和されるどころか一層フラストレーションが溜まる。 一方、すいかは私のそんな身勝手な不満に気づく様子も無く、“ぷっくううううぅぅっぅぅぅううぅぅぅぅ~”と頬を膨らませて膨張していた。 さっきまでは角を除けば普通のゆっくりよりやや小柄なくらいだったのに、今やすいかの頭頂部は私の腰の高さにまで達している。 「みっぢんぐばわーしたすいかはこわいんだよ!はやくあやまってね!」 「ん、ああ・・・ごめんごめん」 鬱陶しいのでさっさと謝るとすいかはいっぱい溜めた空気を吐き出し、すぐに元の大きさに戻った。 なるほど、すいか種は他のゆっくりの頬のような伸縮性が全身に備わっているらしい。 元の大きさに戻ったすいかはお約束のゆっくりを浮かべ、何故かプルプルと震え始める。 「ゆゆっ!おこったら、おさけがのみたくなってきたよ!」 「・・・そうかそうか」 その言葉を聞いた瞬簡にもし、万が一にも「酒よこせ」と抜かしたら踏み潰そうか・・・などと考える。 しかし、すいかが取った行動は私の想像とは異なるものだった。 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆ~っ!」 元気良く叫んだ瞬間、ポロッと右側の角が取れ、ころころと地面を転がる。 そして、すいかは取れた角を咥えると、細い先端部を噛み砕いた。 「ご~くご~く・・・うめぇ~♪」 よくも飲みながら喋れるものだ、などと思いつつもある確信を得た私はすいかの左側の角を引っこ抜く。 それから、実はかりんとうで出来ている角の先端部を噛んで潰し、その中の空洞を覗き込んでみた。 「ゆぎゅ!おねーさん、なにずるの!?」 「おおっ!お酒が入ってる・・・」 15cm以上はあろうかと言うすいかの角のなかをいっぱいに満たす液体。 しかも、なかなか美味しそうな匂いがする。 もはや飲め飲めモードに突入した私は、すいかの文句を聞き流しつつ、一気に酒を飲み干した。 「ご~くご~く・・・うめぇ~!」 「ゆううううううう!すいかのおさけだよ!かってにのまないでね!?」 傍らで空気を吸って膨張したすいかが何か言っているが、何かアレなスイッチの入ってしまった私の耳には届かない。 爛々と目を輝かせながらすいかの頭を見てみると、信じられない事に、なおかつありがたい事にもう右の角が再生していた。 というわけで、引っこ抜きそして飲む。 量はしっかり回復していたものの、さっきのより味は悪い。 なるほど、ある程度寝かせておかないと味が良くならないのか。 「やめでえええええええええええ!?」 しかし、それでも十分飲める程度の味だ。気にするほどのものでもない。 再びすいかの頭を見てみると今度は左の角がきっちり再生していた。 本当にありがたい。これで久しぶりに心行くまでゆっくりとお酒が楽しめる。 「ひゃあ、我慢できねぇ!酒盛りだぁ!!」 「これぢゃゆっぐぢできないよおおおおおおお!!」 人目もはばからずに叫んだ私は相変わらず膨らんで威嚇しつつも泣きじゃくるすいかの左の角を引っこ抜いた。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ この後、我に返ったお姉さんはお詫びも兼ねてすいかを家に招待することになる。 彼女の家を気に入ったすいかも住み着いて、家計が更に逼迫することに。 それでも、彼女にとって水さえあれば酒を作れるすいかは最高のゆっくりだったという。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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たまたま庭で5匹のゆっくりを拾った。 れいむが1匹 子れいむが2匹 魔理沙が1匹 子まりさが1匹・・・ ふむ、よし。とするか。 「おにーさん、ゆっくり出来る人?」 「ゆっくりしていってね!!!」 大丈夫だ。俺がゆっくりさせてやる。ゆっくり・・・ね。 まず俺はれいむとまりさを別々の自作庭に入れた。 霊「ゆぅ・・・ゆ?ここはとてもゆっくりできるね!」 魔「ゆぅ、ちびちゃんたちもゆっくりするんだぜ!」 今からこいつらに試練を受けてもらう。 自作庭にはたくさんの草、イモムシといった しっかりとした環境が整っていた。 今からその狭い自作庭で試練を受けてもらう・・・ 第1の試練 まず、家が無いとゆっくり出来ないらしい。 2つのグループのゆっくりたちは同時に家を作り始めた。 魔「ちびちゃん達も手伝うんだぜ!」 子魔「がんばるんだじぇ!」 どうやら霊夢たちも家を作り始めたようだ。 霊「良くわかんないけど、おうちを作らなきゃ!」 子霊「ゆゆっ!れいむも手伝うよ!」 れいむ達も頑張って家を作っている。 霊「ゆーっ、疲れた・・・」 どうやら霊夢達のほうが早く完成したようだ。 霊「ちびちゃん、お疲れ様!」 子霊「「ゆぅ・・・つかれたよ!」 霊「ゆっ、ごめんね!疲れたから一緒におうちで休もうか!」 子霊「「ゆっくりーーー!!!」」 一方、魔理沙は霊夢と比べて ぜんぜん完成していなかった。 子魔「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 魔「まったく・・・これじゃ人手が足りないんだぜ!」 子魔「たりないんだじぇ!」 そこにあるのは、ぽっかりと大きな穴が開いた 木の枝かまくら。 まあ、俺は手助けもしないしする気もない。 頑張れ。と心の中で思ってその場を立ち去った。 第2の試練 子霊「おきゃーしゃん、おにゃきゃしゅいたー!!!」 いい始めたのは、子れいむ。 霊「ゆゆ?」 子霊「おにゃきゃしゅいたー!」 子霊「はやくあみゃあみゃもってきちぇー!」 甘える子れいむたち。 可愛い。キモい。ウザい。 泣いてすがる子れいむ。 子霊「ゆえーん、ゆえーん!」 子霊「れいむちんぢゃう!」 霊「ゆゆー・・・わかっちゃよ! 持ってくるから待っててね!」 子霊「「ゆーっ!!!」」 そういって、家を出た。 さて・・・ここで手を初めて加えるわけだ。 その内容とは、「餌」の事。 庭の隅にいもむしさんっ!を 3匹のみいれる。 後は木の実とかで頑張ってほしい。 霊夢はどうするだろうか・・・ 一方、魔理沙はどうなっただろうか。 子魔「おちょーしゃん、おにゃきゃすいたんだじぇ!」 魔「ゆ?家が完成するまで保留なんだぜ!!」 子魔「あまあまもってきてほしいじぇ!」 魔「ゆゆゆ・・・完成したらとってきてあげるぜ・・・ だから早く完成させるんだぜ!」 子魔「ゆーっ・・・」 それから俺はショッピングモールに昼飯、ゆっくりに必要な物を買いにいった。 昼飯はオニギリでいっか・・・ そこから帰ってみて、監視カメラ(俺が仕掛けたんだ) を見てみると、 魔「ゆっくり完成したんだぜ!」 子魔「おにゃかしゅいたーーー!!!」 見ると何とか完成していた。 やはり歪な形だ。 その中霊夢達は、 霊「おまたせ!あまあまもってきたよ!」 子霊「ゆううぅぅぅ!!!おにゃきゃしゅいちゃー!!!」 子霊「おきゃーしゃんおしょいよ!ゆっきゅりしないでっていったじゃん!」 霊「ゆぅぅ・・・ごめん・・・」 この箱庭には餌が少ない。 霊夢が持ってきたのは小さな木の実、イモムシ2匹。 だが、これぽっちじゃ足りない餌。 だが周りにまったく餌のない箱庭じゃ、かなり 貴重なものだった。 子霊「しゅくないよーーー!!!」 子霊「おきゃーしゃんばきゃなの?死ぬの?」 霊「ゆー・・・そんな事いうならご飯なしね」 子霊「「ゆ゛ーーー!ごめんなしゃい!」」 そうして子れいむ達は我慢して木の実を食べた。 木の実も食べるのか。 この後の行動が楽しみだ。 一方魔理沙は 魔「ゆー・・・疲れたんだぜ!」 子魔「やくしょくどおり、ごはんちょうだいね!」 魔「ゆ、今とってくるからゆっくり待ってるんだぜ!!」 子魔「ゆえー?いましゃらとっちぇくるの?」 魔「ゆっくりいい子にしてるんだぜ!!」 父魔理沙は周りにたくさん「あまあま」があるのだと思っていた。 魔「それじゃあいってくるんだぜ!」 子魔「はやくきゃえってきゅえるんだじぇ!」 そういって魔理沙は行ってしまった。 第3の試練 父魔理沙が帰ってきた。 魔「ただいまなんだぜ・・・」 子魔「おしょいよ!まりしゃおなかしゅいちぇるんだじぇ!」 魔「でも、あまあまがすこししかないんだぜ!」 そういって魔理沙はとって来た食べ物を出した。 子魔「ゆ!?なめてるの!?まりしゃはおにゃかすいてるんだよ!」 魔「ゆっゆ~・・・ごめんだぜ!」 子魔「ごめんじゃすみゃないんだじぇ!もっといまからもってくるんだじぇ!」 魔「っゆう・・・でも、わがままいっちゃだめなんだじぇ!」 子魔「まりしゃはこころがひろいからゆるしてあげるんだじぇ」 監視カメラで見てるだけでウゼェ・・・ そこで俺は、あるスイッチをオンにした。 ・・・カチッ。 ザー・・・ それにすばやく反応したのが、霊夢達。 霊「ゆゆっ、ちびちゃん! 雨が降ってきたからおうちにかえるよ!」 俺が降らしたのは、「水」だ。 シャワーを買って、作動させた。 子霊「ゆ?あめってなーに?」 霊「あたってるとゆっくり出来なくなるんだよ!」 子霊「ゆー?いまはちょっちぇもゆっくりしちぇるよ?」 子霊「ゆー・・・うんうんしちゃくなっちぇきたよ!」 霊「ゆっくり出来なくなってもいいなら構わないよ!」 子霊「ゆっくり理解したよ!」 子霊「理解できにゃいよ! うんうん!もりもりー!」 親霊夢と子れいむ1匹は家に入ったは良いものの、 後1匹はうんうんをし始めた。 子霊「うんうんまだでりゅよ!」 霊「ゆー!早く逃げてー!」 子霊「ゆっくりできなくなりゅよ!」 子れいむの上に、大量の水が降った。 子霊「うるちゃいなー!うんうんたいむのじゃましにゃいでよ・・・ ゆゆゆ!?」 体が溶け始めた。 子霊「ゆー!うんうんのじゃましにゃいでー!」 霊「ぢびぢゃん!はやくこっちおいで!」 子霊「しかちゃない・・・わかっちゃよ・・・っちぇ! う゛ごげな゛い゛よ゛お゛お゛お゛!!!」 霊「う゛う゛う゛!!!」 もう手遅れだった。 体の約20%が溶け、 子供の頃良く遊んでたスライムみたいになっている。 子霊「もっど・・・ゆっぐでぃ・・・」 子霊「・・・・・・・・・・・・・」 霊「ぢびぢゃあ゛あ゛あ゛ん!!!」 言うことを聞かない奴へのせいっさいっ!(笑)だ。 その頃魔理沙は・・・ 魔「雨さん降ってきたぜ!」 子魔「うわさでゆっくりできにゃくなりゅってきいちゃんだじぇ!」 魔「ゆゆっ!良く知ってるねぇ~。」 ・・・ただそれだけだ。つまらない。 だが俺が自ら手を加えすぎても、 加減が効かなくなってしまうし、さらにつまらない。 あとちゃんとした生物だし、哀れすぎると思う。 え?哀れと思っているのになぜこういうことをやっているのか? あ、ああ。これは「実験」なのだ。 ゆっくりを飼うのに、知識も必要。 だから色々なことをして、習性などを確かめたのだ。 子霊夢 1匹 LOST… 第4の試練 それから次の日、 霊夢や魔理沙もこの環境に慣れてきたし、 あるものを投入することにした。 「う~♪」 「ゆっくりれみりゃ」だ。 胴無し。 ゆっくりにとっては最大の天敵ともいえる。 なぜかペットショップで売ってたから買った。 「よし、れみりゃ。今からあの狭い箱庭にお前を投入する。 だが、絶対にやってはいけないことがある。」 「約束は守るんだど~」 「よし。えらいぞ。守ってくれたら超高級ウマウマプリンをやろう。」 「うー!ぷっでぃ~んだ!」 「(まあ、普通のプリンだがな・・・) じゃあ約束を言うぞ?しっかり聞いておけ。」 「1.今から投入する箱庭の中には 「ゆっくり」がいる。しかしそれを絶対食べてはいけないぞ。」 「なんでなんだど~?」 「・・・それ以上聞くな。プリン無しにするぞ。」 「う~・・・」 「2.箱庭の中に木があり、そこに木の実がなっている。 でも絶対そこの木の実を取るな。」 「木の実は好きじゃないんだどー。」 「よし、それなら話が早い。」 「この2つを守りつつ、ゆっくりを追いかけろ。 2つの箱庭があるから2回行ってもらう。」 「何かあったらおにーさんに助けてもらいたいんだどー・・・」 「安心しろ。何も無いはずだから。」 ・・・と話をして庭に放した。 「う~♪」 果たして銀バッジのこいつが約束守れるのか・・・ 監視室で見ていると・・・ れ「う~♪れいむ達たべちゃうんだどー♪」 霊「ぎゃああああ!れみりゃだあぁぁぁ!!!」 霊夢の表情がカオスってる。 当たり前だ。 子霊「れみりゃやめてええぇぇぇ!!!」 子霊夢も本能で表情がカオスってる。 多分約束は守ってくれるはず。 れ「う~♪う~♪」 霊「ぎゃあぁぁぁ!近寄るなあぁぁぁ!」 子霊「ゆっくり!ゆっくり逃げるよ!!」 あーあ。霊夢の家がグチャグチャ。 れみりゃは追いつかない程度に追いかける。 やっぱりこいつはいい知能だ。 ・・・もしかしてこいつ、金バッジ獲得出来るんじゃないのか・・・? 霊「ぎゃあぁぁぁ!もっどゆっぐりじだがっだあぁぁぁ!」 子霊「おきゃーしゃん、こわいよー!」 壁に追い詰められたようだ。 死を覚悟したのが分かる。 れ「うー・・・? あっちからぷっでぃ~んのにおいがするんだどー! こうしちゃいられない、すぐにいくんだどー!」 霊「ちびちゃん、よがっだでぇぇぇぇ!!!」 ナイス、れみりゃ。本当にこうなるとは思わなかった。 れみりゃが戻ってきた。 「霊夢は終わったんだどー! 次は魔理沙なんだどー!」 「凄いな、お前。 まさかちゃんと約束を守るなんてな…」 「おにーさんなにいってるんだどー? れみりゃのちのーをなめてもらっちゃ困るよ!」 いや、マジで凄すぎるよ。これはマジ。 うわさによれば生まれた頃から厳しく教えたとか。 それはそうと、霊夢はどうなったのだろうか。 霊「ゆー・・・家がわかんなくなっちゃったよ・・・」 子霊「ゆゆ・・・ゆっくりさがしょうにぇ・・・」 どうやら家が分からなくなったようだ。 まあこれを狙っていたんだがな。 「さあ・・・ここだ。」 「 ぷっでぃ~ん がほしいんだどー!」 そういって う~♪ といいつつ魔理沙の方へ飛んでった。 ・・・こう見ると可愛い。 さて・・・監視カメラを見よう。 子魔「ゆ?へんなこえがきこえるんだじぇ?」 れ「う~、う~!」 魔「れみりゃなんだぜ!ゆっくり出来ない奴なんだぜ!」 魔「ゆっくり逃げるんだぜ!」 こちらのグループはれみりゃとの遭遇経験もあったので 落ち着いて逃げた。 ・・・つまらない。 魔「家さんだと逃げられないんだぜ! 外へ逃げるんだぜ!」 しかし魔理沙たちの表情が一変する。 魔「ゆぎゃああぁぁぁ!」 子魔「かべさん、ゆっくりとおしてね!ゆっくりとおしてね!!! いじわりゅしにゃいでえええ!」 庭の隅に追い詰められた。 こうなれば逃げる所もない。 れ「うー!!たーべちゃーうぞー♪」 魔「れみりゃ、こっち来るんだぜ!」 魔理沙が囮になる。 れ「待つんだどー!」 れみりゃが追っかける。 魔「おちびだけでもいいから早く逃げるんだぜ!」 子魔「いやなんだじぇ!おちょーしゃんもいっちょににげようよ!」 魔「・・・おとーさんは無理なんだぜ。」 子魔「ゆ!なんでなんだじぇ!?」 魔「・・・見つかったからには・・・もう駄目なんだぜ・・・」 はいはい、感動感動。 ・・・まあれみりゃはこの後逃げるからな・・・ れ「うー?ふ、ふらんだどー!!!」(嘘) 魔「!!!!!?」 ・・・ここから逃げてくれるんだろうが、 ちょっと言いすぎじゃないか・・・? れ「逃げるんだどー!!!」 魔「魔・・・魔理沙も、逃・・・逃げるぜ!」 子魔「ふらん嫌なんだじぇ!」 そう言ってれみりゃはどこかへ行ってしまった・・・ という設定。 魔「れみりゃいなくなったけど、 ふらん来るんだぜ・・・ 早く家に戻るんだぜ!」 子魔「怖かったよー!」 魔「まだ安心できないぜ。早く行くぜ!!!」 そういって近くの家に入る。 さっきの感動崩壊。 れみりゃが仕事を終えて帰って来た。 「やったんだどー!」 「よーしよーし、偉いぞ。 給料は約束の ぷっでぃ~ん だ。」 「おいしそうなんだど~・・・」 「ほら、あっちに置いとくから食べてっていいぞ。」 「わーい!!!」 もう用済みのれみりゃは邪魔。 後で可愛がってやるからあっち行ってろ。 って感じだ。 ・・・霊夢グループはどうなったんだろう。 第4の試練 霊「ゆ~・・・お家が無くなっちゃったんだよ~・・・」 子霊「いもーちょがいなくなっちゃったよ・・・」 霊夢グループは壊れた(壊した)家を少しずつ直していた。 それも、周りの木の棒で。 そこで俺は、腹が減ったのでオニギリを食べる事にした。 ムシャムシャ。 それから俺は、外のゆっくりを潰す事にした。 グチョグチョ。 さらに俺は、友人の家で遊ぶことにした。 俺「なあ、ゆっくり虐待やってるか?」 友「まあ、少しな。」 俺「こっちでは今狭すぎる箱庭で観察やってるぜ。」 友「クソ~・・・面白そうじゃねえか。」 俺「じゃあお前も見るか?」 友「じゃあ、少しだけ見させてもらおうかな・・・」 こうして友人も仲間になった。 そして友人を家に招く。 俺「汚い家だけど、ゆっくりしていってね!」 友「恥ずかしい・・・な・・・お前。」 俺「そうか?」 俺「ほら、見てみろよ・・・ 魔理沙グループと霊夢グループだ。 面白いだろ? さっき、このれみりゃをこの箱庭に入れて、パニクらせたところだ。」 友「どーでもいいけどさ・・・この箱庭狭すぎだろ!」 俺「あ、そこかよ。」 そう、箱庭の狭さは、5平方メートルという、狭さだった。 まあ、後で拡張できないし・・・ 木一本という悲しさ。 俺「まあ見てr・・・!?」 なんということでしょう。 霊夢の家が完成していたのだ。 霊「ゆー・・・頑張ったね。」 子霊「・・・おにゃかしゅいた。」 友「おい、おなかすいてる様だぞ。 餌はやらないのか?」 俺「こいつらが勝手に取ってきてくれるから。」 だが、どういうことか、 れいむ達は餌を家の中にためていた。 霊「むーしゃ、むーしゃ」 子霊「むーちゃ、むーちゃ」 幸せそうな顔を見ているだけでイライラしてきた。 魔理沙の方も同じだった。 魔「ゆっくり木の実を食べるんだぜ!」 子魔「むーちゃ、むーちゃ・・・」 魔・子魔「「しあわせー!」」 魔「食べ終わった後はお口の周りを綺麗にするんだぜ!」 子魔「ここのせいかちゅにもなれてきたんだじぇ!」 魔「ここはとっても平和なところだから、ゆっくりできるぜ!」 子魔「ゆ~♪」 魔「ゆーん♪」 イライラ度MAX!!! もう耐え切れん! ・・・最終兵器を使うことにした。 俺「・・・」 友「・・・どうした?それにしてもこいつら、可愛いじゃないか。」 俺「・・・可愛いから、嫌なんだよ」 カチッ。 最後の試練 突然吹き始めた風に、両グループは驚いた。 魔「なんなんだぜ!?」 子魔「うわーん!!!とびゃされちゃうじぇ!!!」 霊「なんだかものすごい風さんだよ!??」 子霊「おきゃーしゃーん!!!たしゅけちぇー!」 両グループの反応も凄い。 そうだ、これだ!俺はこれを期待していたんだ!フハハハハハハハハ!!! 友「何だこれは?」 俺「“台風”だよ」 俺がやったのは、「台風発生装置」。 10個もの小型FANを一気に回した。 そのFANで発電され、その発電された電気で回るという、まさに「無限の回転装置」。 風がものすごく発生される。 霊「ゆわあああ!ちびちゃん、おかーさんのおくちのなかはいってね!」 子霊「ゆぅぅぅぅ・・・」 グシャ。 霊「!?」 子霊「!?」 という2匹の反応。 家が一気に崩れたらしい。 家は風に吹き飛ばされ、完全になくなった。 さあどうなるのか・・・楽しみだ! 魔理沙グループは、 魔「帽子が吹き飛ばされるのは困るんだぜ! 帽子はお口の中に入れるんだぜ!」 子魔「いれるんだじぇ!」 コチラの家はなかなか崩れない。 さすがゆっくり。と言いたい所だが・・・ 後で俺が実験終了後に潰してやる。 霊「・・・ばされる、とばされる!」 子霊「おきゃーしゃんゆっくりすればいいよ!」 霊「ゆっぐりーーー!じでいっでぇぇぇぇええ!!!!?」 とうとう霊夢の体が宙に浮いた。 霊夢は風に操られ右へ左へ上へ下へ。 最後は地面に叩き付けられた。 霊「ゆべぇ!」 お。とうとう口から餡子を吐いた。 霊「ゆ゛え゛ぇぇぇーーー!!!!!」 子霊「もっちょ・・・ゆっきゅり・・・」 子霊夢が口の中で死んだ。 霊「ちびぢゆぅぁあーーー ゆべっ!!!」 霊「いやだ!じにだぐない!」 子霊夢が口の中で死ぬとは、親もショックになって当たり前だろう。 魔「ゆっくりできるね!」 子魔「ゆっきゅりしちぇってね!」 魔「いい声なんだぜ!」 子魔「まりさはあいどるだよ!」 ウゼェ。死ね。 とりあえず実験終了。 結果といえば ゆっくり霊夢は生意気で ゆっくり魔理沙は賢い。 後どんなことよりもうんうんという行動を優先する。 俺「今から俺、魔理沙潰してくるわ!」 友「俺もついて行ったら駄目か・・・?」 俺「一人で、やらせてくれ・・・」 友「おう、頑張れよ。俺監視カメラで見てるから。」 俺「まあ、別にいいけど・・・ 行って来るわ。」 ゆっくりは面白い生物ともいえる。 そして潰しがいのある生物だ。 さて・・・実験も終了したことだし、 潰しに行くか。 れいむ達はどうなったか?フフフ・・・それはね・・・ 「もう死んだよ」 霊「ゆぅぅぅぅ・・・ ぢ・・・び・・・じゃ・・・・・・ん・・・」 続く
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何の苦痛もなく暮らすゆっくりがいます 食い意地の張った名無しのお姉さんの日常独白形式です 虐待描写は無いに等しいです 借り物設定、俺設定あり ------ゆっくりは何でできているの?------- What are little girls made of? Sugar and spice And all that s nice, That s what little girls are made of. 私が小さい頃、父が私と遊びながら歌っていた歌がある。 女の子は何でできてるの? 私はそんな風に歌われている女の子になりたかったが、ある時からその歌を歌うことをやめた。 それでも得意の菓子作りだけはやめられない……悔しいけど、そういうものよね。 私は目の前で堕落の限りを尽くす饅頭を見つめながらため息をついた。 「ゆゆっ!おねーさんだ、ゆっくりみていってね!」 「おねーさんゆっくりしていってね!」 「おねーさん、とかいはのありすはきょうもうつくしいでしょう?」 「むきゅー、びようのためにゆっくりすいみんをとったわ」 不愉快な声を聞きながら私は飼育箱にいる饅頭たちを見比べた。 れいむは肌艶もいい、まりさも今日は髪が乱れていない、ありすは自惚れ入ってお手入れに時間かけてないな。 ……ん?ぱちゅりーが珍しく生き生きしてる。 饅頭たちは私の言葉を待って目を輝かせて見つめている。こっちみんな。 「発表しまーす、今日一番可愛いのは……ぱちゅりーです」 そういうと饅頭たちはいっせいにぱちゅりーの方を向く。 「一番になったぱちゅりーには一番たくさんお菓子をあげるね」 「むきゅー?!」 当のぱちゅりーは自覚がないのかきょとんとしている。ぱちゅりーは今まで一番になった事がない。 他の3つに比べればまだまだだが貧弱饅頭の努力が実ったという事で今回は一番にして褒めてやることにした。 「ゆっ、あしたはれいむがいちばんになるよ」 「まりさももっときれいになってやるぜ」 「そうだね、頑張って綺麗になってね」 「ぱちゅりーゆっくりきれいになったよね」 「まえよりずっとげんきになったぜ」 「む、むきゅ?そう?」 普通なら罵声が上がりそうなものだがこの饅頭たちには三つの事を教えてある。 綺麗になったらもっとたくさんお菓子が食べられる。 可愛くない事を言ったりしたりするゆっくりはお仕置きされる上、ご飯が食べられない。 毎日綺麗になる努力をして頑張ったゆっくりからたくさん食べられる。 だからここで自分の方が、なんていえば餌抜きになるのを饅頭たちはよく知っている。 「ああああぱちゅりーにまけるなんてえええ」 ありすだけが自分の努力不足を認められないでいる。このありす、身体(といっても生首だけど)のお手入れが得意で最初から綺麗な方だった。 最初の方はずっと一位だったが最近はれいむたちが追いついてきて一位でない日の方が増えてきた。 「二位は……れいむもまりさもどっちも頑張ってるから二人とも二位。一番ダメなのはありす」 最近では面倒だから適当に順位をつけていたがありすを最下位にした事はなかった。 「ああああああああああありすがいちばんだめなのおおおおおおおお????」 あ、しまった。ストレスかけちゃダメ。 「かわいいありす、聞きなさい」 饅頭におべっか使うのも癪だがこうでも言わないとこいつは人の話を聞かない。 「ぱちぇりーが一番なのは今まで頑張ってきたから、れいむとまりさも頑張ってきた。ありすは今日、なにか頑張った?」 ありすは箱の中で少し考え、ようやく思い出したのか俯いた。本当に何もしてなかったのか、この饅頭。 別に何も努力しなくてもいいんだがストレスかけさせることだけはさせたくない。 「わかったのなら明日から真の都会派ビューティーを目指しなさい。可愛くなるのは好きでしょう?」 自分でも意味不明な事を言っているがありすは納得してとかいはびゅーてぃーを目指す決意を固めたようだ。 そして私は用意した餌をそれぞれの飼育箱に放り込んで部屋を後にした。 「もう頃合かな。あれだけストレスかけないようにしたんだから相当甘みはない筈……」 甘い饅頭は既に食傷気味だった。 家を出て、裏の小屋へ向かう。元々は鶏小屋だったが今ではあの小綺麗な饅頭の餌用の饅頭繁殖小屋だ。 一応今も鶏はいる事はいるが日中は庭を走り回っているし、夜は基本梁の上で寝ている。 最終的に自分がおいしく食べるためには餌の管理もしっかりやっておいた方が安心する。 あの小奇麗な饅頭に何を食べさせてもいいんだけど一応別の饅頭で一回濾過しておきたいというのはある。 まあ、天然物もそれはそれで好きだけど、人里近くに住む饅頭は人家のゴミを食べている可能性があるから。 天然物は基本的に山奥で採取することになるんだけどね。 「饅頭生きてる?」 「ゆゆゆっ!!!」 あからさまにゆっくりできない人が来たと言わんばかりの饅頭たちだが気にしない。鶏小屋に入って鶏が騒いだって気にする人はいないでしょ? 物置小屋の床の上には透明な箱がいくつか並んでいる。その中には大人饅頭がそれぞれ詰められていて大きめの箱には頭から何本も茎を生やした母親饅頭が何匹かいた。 何故か茎の数が昨日と変わっていない。 「あれ?もうとっくに落ちてると思ったのに。餌が足りなかったかな?」 「ゆっ、そうだよ、まだうまれてないよ。ゆっくりまっててね」 「ふうん……」 原因はすぐにわかった。母の一念岩をも通す、生まれ落ちたらゆっくりできないからずっと枝についていろと母饅頭の祈りが通じたようだった。 しかしよく見れば本来なら枝から離れる大きさであり、既に枝についたまま私の方をしっかりと見つめている。 生まれていてぶら下がっているのか、未だ生まれていないのか判別方法は簡単。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくりちていってね!!」」」 饅頭の条件反射に笑いたくもなるが母饅頭は真っ青な顔をしていた。 「ち、ちがうよ。いまのはれいむがしゃべったんだよ、あかちゃんはしゃべってないよ」 しかしそんな言葉など聞き流して饅頭の頭の茎の根元をつかむとグラグラ揺すった。 「やめてえええれいむのあかちゃんがおっこちちゃうううう」 枝の赤ん坊は事実上生まれている。単に枝に引っかかっているのと同じこと。 やがて小さな饅頭は枝からぽろぽろと零れ落ち、感動の親子対面となった。 まあコレくらいは許す。というかコレをやっておかないと美味しくならない。 「おかーしゃん、やっとおかおみれたあ」 「おかーしゃんおにゃかしゅいたー」 子供がすべて落ちる。生やした茎の数からするとちょっと赤ん坊饅頭の数が少ないが最近消費量増えて連続出産させてるから仕方ないか。 あの四匹用にそれぞれまりさ、ありす、ぱちゅりーの三匹同時に相手させて常に四種類取れるようにしてたからなあ。 饅頭の数を数えているうちに母饅頭の頭から茎がもげ、赤ん坊饅頭はそれにかじりついた。 最初が肝心、ここで最初で最期の幸せな想い出を作ってもらおう。 さて、このれいむはしばらく休ませて別のを母体にしよう。 赤ん坊饅頭がすべて腹を満たし幸せそうに母親に擦り寄っているのを確認し、私は母饅頭の髪をつかみ箱から取り出す。 「いいいだいいいいいいいいいいばな゛じでえええ」 「おかーしゃーん!!」」 空いている透明な箱に収め、さっさと回収作業開始。 髪が抜けそうになって頭皮の痛みに涙目になっていた母饅頭はようやく私の行動を理解したようだ。 「やめてええ゛え゛え゛れ゛い゛む゛の゛あ゛がち゛ゃんも゛っでがな゛い゛でえ゛え゛え゛え゛え゛」 私は鶏小屋で卵を拾うように生まれて間もない赤ん坊饅頭を拾っていく。 「ゆゆゆ?おかーしゃんはどこー?」 「おかーしゃんのところにちゅれてってね!」 「むきゅむきゅ?」 「とかいはのありすのかわいしゃにみとれてるにょね」 疑うことを知らない図々しいチビ饅頭は口々にそんなことを言うが拾った饅頭が入るのは母親とは違う別の箱。 「まずあなたたちはこっち、大丈夫よ」 とりあえず先に四種各一匹を完全防音の箱に入れ周囲の刺激から隔離する。こいつらが音も外の様子もわからなくなった所で残りの赤ん坊饅頭を見下ろす。 「おねーしゃん、れいむをおかーしゃんのとこりょにちゅれていってにぇ!」 「お母さんの所には連れて行かないよ、これからずっとゆっくりできない場所に連れて行ってあげる」 そういうとチビ饅頭たちは火がついたように泣き始めた。 「まっでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛れ゛い゛む゛ばな゛に゛ざれ゛でも゛い゛い゛がら゛あ゛がち゛ゃんばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 母親の悲痛な叫びにそれが脅しではない事を悟るチビたち。生まれたばかりのまっさらな餡子が次第に甘みを帯びていく。恐怖はこいつらの餡子を甘くする。 死んだ瞬間から本当の意味で饅頭になるこいつら、餡子を腐らないよう日持ちさせる方法って知ってる? そう、餡子の糖度を極限まで高めるの。 牛肉は三週間、鳥は十二時間、魚は数時間。 普通の動物なら死後硬直の関係で熟成期間というものがあるのだけど、こいつらに関してはそれがない、まるで動物ではないというかのように。 それでも私達はおいしくする方法を知っている。 小箱の四匹は小奇麗な饅頭の部屋においておき、先ほど回収した生まれたての大量のチビ饅頭を台所へ持ち込んだ。 「ゆゆっおかーしゃんのことろへゆっくちかえちてね?」 饅頭が何か喚いてるけどさて、飼ってる家畜のために餌の準備を始めましょうか。 私は饅頭に向き直って美味しくなるための呪文を唱える。 「あんたたち、実は親に捨てられたの」 本当は生む気がなくて枝についているうちに殺したかったの。 でも生まれちゃったから代わりに私が殺してあげる事になったの。 なんで私がって?だって子供殺したらゆっくりできなくなるもの。 だから汚れ役を私が引き受けたの、お母さんがゆっくりするためにね。 あんたたちのお母さん、演技うまいよね、アレだったら誰も子供殺しを依頼した母には見えないもんね。 うん、恨むならお母さんを恨みなさい。 お母さんは自分がゆっくり生き残るためにあんた達を捨てたの。 「おお、非道非道」 ……呪文長いよ。 言っておくが私は虐待お姐さんでもドSでもない。普通の動物は苦しまないようにさっさと絞めないと美味しくなくなるのにこいつらだけは逆なんだから全く面倒くさい。 鶏だったら逆さ吊りにして首落すだけなんだけどな。 とりあえず涙でふやけない様に布巾もたくさん用意したし、逃走防止に竹串で串饅頭にしたし、あとはあの家畜好みの甘~い饅頭に仕上がりますように、っと。 「もう一つ教えてあげる。あんたのお母さんね、できるだけあんた達を苦しめて殺して欲しいって。そういう約束だから」 胡散臭い方法だが言質は取ったのでまあ大嘘って訳ではないのだが。 包丁まな板菜箸お玉木杓子竹串鉄串爪楊枝タコ糸骨抜き擂り粉木当り鉢ささら簡易バーナー下ろし金ピーラー裏ごし器スライサーはさみ焼き網シノワやっとこ肉叩き、必要な道具はすべて揃えた。 「ゆっくり苦しんで逝ってね」 「「「「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」」」 あ、私の耳栓忘れた。 小奇麗な饅頭用にこのチビ饅頭を加工する。最終的にゆっくりだとわからなくなるように、髪の毛やら目玉やら歯やら舌やら丁寧に取り除く、もちろん生きたままで。 途中虐待お兄さんから教わった四十八の虐待技をいくつか試してみるがチビ饅頭だと加減が出来ずにオレンジジュースのお世話になることもしばしば。 いい加減チビ饅頭用の加減を覚えないと余計な金がかかって仕方がない。 今回収穫分の処理を終え、ご褒美お菓子がようやく完成した。 これじゃ足りないないなあと思いつつ、再び物置小屋へ戻る。来週収穫する分の種まきのためだ。 面倒な揺さぶり作業を終え、明後日収穫する茎付き饅頭の様子も確認。明後日はたくさん取れるから今回はまあ我慢しておくか。 収穫ごとの面倒な作業も終わり、小屋の隅の鶏スペースから卵をいくつか失敬しつつ私は小奇麗な饅頭の部屋へ行く。 チビ4匹の箱を開けると思った以上におとなしくしていた。私が覗き込んでいることにも気付いていないようだった。 チビ饅頭の箱に菓子を入れておいた所為か親から引き離された事など忘れて菓子を貪っていた。 「む~しゃむ~しゃ」 「ちあわせ~♪」 先週生まれた姉の成れの果てだというのにのんきなもんだ、このまま死ぬまでのんきに育って欲しい。 菓子を食べつくした所で私はチビ饅頭に声をかけた。 「ねえ、おちびちゃん」 「ゆゆっ?」 顔を上げたチビ饅頭を箱から出し手に乗せ、私は透明な箱の中でお洒落に余念がない四匹の饅頭を見せる。 「あそこにいるの、すごく綺麗なゆっくりでしょう?」 そういうとチビたちはぽかーんと口を開けて饅頭たちを見つめていた。 母親以外ほかの饅頭を見たことがないこのチビでもあいつらの美しさはわかるらしい、私には何がどう違うのかよくわからないけど。まあやつれた母親よりはずっと綺麗かな? 「しゅごーい……」 「きれい……」 チビの視線に気付いたか食材たちは優雅(……なのか?)に微笑んだ。 「これからね、貴方達はここであんな風に綺麗になるためにゆっくり過ごすの」 「ゆ?」 この小指の先ほどの餡子脳にもわかるように説明する。 近いうちにあの饅頭はもっとゆっくりできるところに行く。空いた部屋に入って次に綺麗にゆっくりするのは自分達、ご飯はいつも美味しくて甘いお菓子がついてくる。 箱の中はゆっくりし放題のベストプレイスであると。 チビは簡単に信じてくれた。実際に綺麗なゆっくりがゆっくり過ごしてる様子を見れば納得するしかない。 「ゆゆー!れいむゆっくりちゅるよ!」 「ゆっくりきれいになりゅよ!」 嬉しそうなチビ饅頭たちだったがその時、一匹が忘れかけていた事を言う。 「おかーしゃんは?おかーしゃんと一いっしょにきれいににゃれにゃいの?」 当然聞かれるとは思っている。答えはいつも同じ。 「お母さんはね、貴方達を生んで凄く疲れてるからゆっくり元気にさせているんだよ」 「おねーしゃんやいもうとたちはー?」 「今お母さんを元気にさせるためにお姉さんのお手伝いしてくれてるんだ。お母さんが元気になればみんなゆっくりできるよ」 「まりさもおかーしゃんゆっくりしゃしぇるのてちゅだうー」 「ううん、大丈夫よ。他の皆が手伝ってくれてるから。何で貴方達が特別にここに連れてこられたか教えてあげようか?」 「むきゅ?しりたいでしゅね」 「それは貴方達がほかのどのゆっくりよりもゆっくりして可愛かったから」 うそうそ、適当、超テキトー。 「だから貴方達は特別なゆっくりなの、もっと綺麗になってお母さんをびっくりさせようね?」 「「「「はーい」」」」 チビ饅頭はあっさり信じた。今度はでかい饅頭の方に話をすると綺麗な自分に憧れている赤ちゃんという事であっさり面倒を見るといった。 同種同士なら問題は起こりにくい。あとは頃合を見てでかい方を箱から出すだけ。 一応、赤ちゃんをいじめるのは美しくない行為だと教えたのでいじめる事はないだろう。 「ゆっくりきれいになってね!」 「ゆっくりきれいになるよ!」 箱の中からは元気な声が八つ聞こえてきた。 さあ、明日はあのデカ饅頭からようやく中身を取り出す日だ。 二ヶ月に一度の私の楽しみ、極上の食材が明日手に入る。 それだけで私の顔は自然と笑みを浮かべていた。 小奇麗な饅頭は食材用。時々食肉用の家畜に名前をつけて大事に可愛がる人がいるでしょう?あれとおんなじ。 潰して中身の餡子を食材にするだけなのに何故こんな面倒なことをするのかといえば理由は二つ。 一つは甘さ控えめにするため。 餌用は極限まで甘くして食材にとっては最高の菓子になるように作っているが、どれほど甘いものを食べさせてもストレスのかからない餡子脳は甘くならない。 虐待された饅頭は甘いが甘すぎてよほどの甘党でなければ食べられない上に非常に太りやすい食材だ。なので体重が気になる乙女としては甘さ控えめで自分の好みに調整できるくらいの方がいい。 お菓子好きにとって体重との戦いは最重要課題なのだ。 そしてもう一つの理由。 楽しく頭を使わせることでうまみやコクを増やすため。 無理矢理頭を使わせるとストレスがかかって甘くなるが、自分が綺麗になるための努力や工夫ならあの饅頭はストレスなく進んで少ない餡子脳を働かせる。 多頭飼いするのも向上心を持たせたり他人のアイディアを取り入れたりとよい方向で頭を使うからだ。 虐待饅頭が美味いのは己にふりかかる理不尽な暴力に対して必死に理由を求めるからで、使いすぎて頭が心ごと壊れると間違いなく味は最高だ。 けれども甘みも最高、カロリーも最高になってしまう、これは乙女にとって非常に辛いもの。 それを解決するためにこんな面倒な方法を使っている。 この方法が見つかってから私は潰した饅頭の中身で菓子を作って友人や職場の人間に配っている。 甘すぎず、しかし濃厚。最高の食材だ。 あの饅頭が材料だと気付かない人が多いのでその件は黙っている。おかげで私は職場ではお菓子作りの好きな女の子らしい女性と見られている。 女の子は何で出来てるの? 砂糖 スパイス 素敵な何か そんなこんなで出来てるわ。 そう、私はお砂糖とスパイス、そして人には明かせない何かでできている。 私はお菓子が好き、花を見るのが好き、愛らしい小物やキラキラ光る小石が好き。穏やかな陽だまりで日向ぼっこするのも好きだ。 けれど。 時々それがあの饅頭を思い出させて嫌な気分になる。 女の子なら誰でも持っているその菓子や可愛いものが好きな感覚をあの饅頭は持っている。 女の子は綺麗で可愛くありたがる。自己満足のために、愛しい人を手に入れるために、時に同性からの羨望の眼差しを受け悦に入るために。 私は饅頭の群れがそんな女の浅ましさを披露しているさまを見た。 この性別不詳の饅頭は、時として女よりも女らしい思考をしてみせた。 その瞬間、まるで自分がこの饅頭と同じだと言われたような気がした。 私は決して美人ではないけれど、石を投げられるほど不細工でもない。 何の特徴もない可もなく不可もなくそれこそ群れた饅頭のように。 大して美人でもないくせに、と男どもに笑われながらも着飾ることをやめられない。 私達が見るあの饅頭のように私たちも端から見ればどれも同じ、そういうことなのだ。 今まで腹の立つおやつとしか考えなかった私だが正体不明の腹立たしさの理由にに思い至りしばらく虐殺に走った。このとき虐待お兄さんと知り合ったがそれはまた別の話。 しばらくして、饅頭を殺しても私が女である事は変えようがないのだと気付いて虐殺はやめたが、おやつ集めと称して森に入ることは続いている。 それ以上に種別名の元ネタにされた人たち見たら悩むのが馬鹿馬鹿しくなったというのもある。 結局私は私、饅頭は饅頭ということ。 何も饅頭に乙女になれとか、駄目な女は饅頭になれとかそういうことではない。 誰かがこの饅頭たちは人間を映す鏡と言ったけれども残念ながら私は饅頭じゃない。少なくとも饅頭を見て己を省みるような事はしない。 「次は何を作ろうかなあ」 小屋で回収した卵を台所へ持ち込み、私は明日の予定を考える。 「ぱちゅりーの生クリームが上手くいっていたら明日の晩御飯はシチューね、後で鶏絞めとかないと。失敗して甘くなったら……」 んーと小さく呻いて私は手を叩いた。 「ババロアにするか。卵があるからありすはウフ・ア・ラ・ネージュのソースに使おう、残ったらシュークリームに入れればいいか」 残った皮や顔側について甘くなった部分はバラして食材饅頭の餌にしよう。 「そういえば由蔵さんがそろそろ冬用に豚潰す時期だっけ?まりさとれいむは晒し餡にして由蔵さんの豚肉と交換してもらおう」 明日は仕事も休みだし、朝から一日お菓子作りが出来るんだ。 そう思うと明日が楽しみで仕方なかった。 休み明けの職場、午後のお茶時。 誰かが外部から持ち込まない限り、お茶請けは裏の工場で作られている製品か開発室の試作品。 流石に皆饅頭には飽き飽きているようで、上司はメタボな腹を揺らしながら甘さ控えめシュークリームを絶賛している。 誰も中身のカスタードと生クリームがゆっくりだとは気付いていない。この流通課の人にはわからないみたい。 一人、小首をかしげているのは虐待お兄さん、職場の先輩であり虐待術の師匠でもある。流石に気付いたようで小声で話しかけてきた。 「これ、ゆっくりの中身だよな?」 「ばれましたか」 「甘くしないなんて虐待技を身につけた君らしくない調理法方だな」 「だって虐待すると甘すぎて……でもコレの餌は虐待技で甘くしてますよ?自分が美味しく食べるために手間は惜しみませんから。そうだ、来月暇あります?」 虐待お兄さんは私からの誘いに不思議そうな顔をした。 「知り合いが豚を潰すんですよ、よかったら一緒に手伝いに行きませんか?豚を絞めるのには虐待はありませんけど、解体作業とか新しい虐待技のヒントになるかもしれませんよ?」 しかし虐待お兄さんは首を横に振りながら苦笑する。 「俺は餡子以外の内臓には興味ないんだ」 「それは残念です」 由蔵さんが美味しくなあれと育てた豚も、私が美味しくなあれと育てた饅頭も、どっちも同じ食べ物なのに。 「そういえば社員旅行の観光コースどうします?やっぱり秋の虐待散策コースですか?」 「そりゃ当然、君はどうする?」 「んー、幻の芋饅頭栗饅頭姉妹も気になるんですが、幻追いかけるより素直に河原で鮭ときゅうり饅頭捕まえて酒飲んでますわ」 ちなみに河童饅頭はきゅうりの漬物が入ったおやき風の饅頭だ。 「河童饅頭にまで食欲掻き立てられるとは……」 「……饅頭に加虐心煽られる人に言われたくありません」 こうして午後の穏やかな時間がすぎて行く。 その後終業間際に急遽ドス饅頭と群れ饅頭が運ばれてきて伝票製作と工場への移送で残業になったが、それほど嫌な気分にはならなかった。 工場へ送られるドス饅頭たちを見送りながら、鼻歌交じりに餡子玉を口にする。 ゆっくりはなにで出来てるの? What are YUKKURI made of? 餡子 小麦粉 Beans Paste and dough. 不気味な何か And all that s eerie, そんなこんなで出来てるわ。 That s what YUKKURI are made of. 「……お前、また勝手に中身えぐったな?」 「いいじゃないですか、ほんの数百グラムですよ?」 ドス饅頭の餡子は大味で美味しくないとは思った。 end のちがき 初投稿 お姉さんは加工所の流通課、集荷場勤務 食いネタは幽々子様の専売特許だかそんなことは気にしない。 餌用饅頭の加工風景は気が向いたら書いてみます タイトルの元ネタは鵞鳥小母さん 男の子は何で出来てるの? What are little boys made of? 男の子は何で出来てるの? What are little boys made of? カエル カタツムリ Frogs and snails 小犬の尻尾 And puppy-dogs tails, そんなこんなで出来てるさ。 That s what little boys are made of. 女の子は何で出来てるの? What are little girls made of? 女の子は何で出来てるの? What are little girls made of? 砂糖 スパイス Sugar and spice 素敵な何か And all that s nice, そんなこんなで出来てるわ。 That s what little girls arc made of. このSSに感想を付ける
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"ゆっくり落とし" ゆっくり消しゴムを指で弾き、相手のゆっくり消しゴムにぶつけて盤上から落とす遊び。 テーブルやイスがあれば、どこでも行える。ゆっくりは柔らかく弾力に富んだ体をしており、 しかも若干ながら自分で動いたり声を上げたりできるため、 普通の消しゴム落としよりも変化の多い展開が楽しめる。 基本的には何も無い台の上で行う単純な遊びなのだが、 盤面に障害物を置いたり、台を傾けたりといった方法でゲームを複雑にすることもできる。 また、大きなゆっくり(消しゴムとしては)を用意したり、消しゴム自体を改造したりする者もいる。 改造の例としては、すべりを良くしてスムーズに動けるよう :体の底の部分に紙を貼る :糊を塗って乾かす :ホッチキスの針を刺す といったものがあるが、攻撃を受けた時に弾き飛ばされ易くなってしまう諸刃の剣でもある。 逆に、飛ばされにくくするための工夫としては :勝負に使う前のゆっくりを予め何かに強くこすり付けて粘液を大量に分泌させ、 それを利用して盤面にゆっくりを貼り付けてしまう :ゆっくりは丸っこい体をしており、攻撃された時にそのまま転がって落ちてしまうことがあるため 型に詰めたり掌で押し潰したりして、体の形を転がり難くする といったものもある。 追記 このゲームは、ある意味プレイヤーとゆっくりの連携が重要となる。 ゆっくりは勝手に動くので、勝負に勝つためには「盤の端に近寄るな」などといった立ち回り方を 教え込むことが欠かせない。 ゆっくりには幼児程度の知能と学習能力しか無いが、 根気良く教え込めば次第に覚えていく。最初は基本的なことから教えていくとよい。 水の中に転がし落として沈めたりすると、すぐに盤から落ちることを嫌がるようになる。
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(注)何の罪も無い、純粋で心優しいゆっくりが酷い目に遭います。 ゆっくり姉妹 前編 ある秋の休日、僕は自宅の庭でデッキチェアに寝そべり、のんびりと過ごしていた。 夏が終わった事を実感させる爽やかな風が心地よい。 すぐ側のテーブルに用意しておいたクッキーを食べながら紅茶を飲む。 とても穏やかな時間。だが、同時に孤独な時間でもあった。 誰か、訪ねて来てくれないかな、と思っていると、突然やかましい声が響いてきた。 「ちょうちょさん! ゆっくりまってね!」 子供のように甲高く、キンキンと頭に響く声。声の主はゆっくりまりさだった。 どうやら蝶を追いかけてここまでやって来たらしい。『まって、まって』と騒ぎながら、蝶の後ろを飛び跳ねている。 僕の家は森に囲まれているので、リスや鹿が庭に迷い込んでくることはあったが、ゆっくりは初めてだった。 小さく溜息をつく。確かに先程、来客を願ったが、こんなのが来るとは。 僕は騒がしい奴や、むやみやたらに動き回る奴が嫌いだった。 だが、身体を起こして追い払うのも億劫だったので静観することにした。 そのうち蝶と一緒に庭から出て行くだろう。 しかし、そんな僕の思惑とは裏腹に、まりさは僕の存在に気がついたようだ。 ヒラヒラと逃げていく蝶を放って置いて、ぴょんぴょんと僕の方に向かって来る。 そして、太陽のように輝く笑顔でお決まりの台詞を言う。 「ゆっくりしていってね!」 まりさは『してやったり』と言わんばかりの達成感に満ちた顔で僕を見つめている。 勝手に人の庭に入ってきて、ゆっくりしろとはどういう事だ。 鬱陶しい、と思ったが、相手をするのが面倒なので、僕はただ冷ややかにまりさを見下ろしていた。 相手にされないと分かれば何処かへ行ってしまうだろう。 「ゆゆぅ…」 まりさは何らかの反応が返ってくる事を期待していたのだろう。 僕の顔を上目遣いに見つめながら、寂しそうにしている。 『ゆっくりしていってね!』とでも言い返して欲しかったのだろうか。 さあ、もう行ってくれ。僕はお前の言うとおりゆっくりしたいんだ。静かにね。 だが、その時。まりさはテーブルの上にあるクッキーを発見した。 「ゆ! おいしそうなクッキーだね! まりさ、クッキー大好き!」 だからどうした。早く消えてくれ、だんだんイライラしてきた。 「いいなあ…たべたいなあ…」 まりさは、ちらちらと僕の顔に甘えた視線を投げかけてくる。 これは駄目だ。何らかの行動で拒絶の意思を表さないと、こいつはここでクッキーをねだり続けるだろう。 そこで僕は、この甘ったれた人面饅頭の顔に、飲みかけの紅茶を無言でぶちまけた。 「ゆ゙ぎゃあ゙あ゙あ゙!!あづい゙!!!!あづいよ゙お゙お゙お゙お゙!!」 淹れたてではないが、それでも80度くらいの熱い紅茶を突然浴びせられ、まりさは苦痛に転げまわる。 そして、泣きながら庭の外の森に逃げていった。 これでゆっくりできる。僕はそう思いながら、高く見える秋の空を仰ぐ。 青い空に映える、ふかふかの絨毯のようなうろこ雲が美しかった。 まりさが森に消えてからも、僕は何をするでもなくデッキチェアの上で過ごしていた。 僕には、仲の良い友人や恋人などはおらず、熱中するような趣味もなかったので、休日はいつもこんな調子だった。 こうやってのんびりと過ごす事は好きなので、まあまあ幸福だったが、時々、無性に寂しくなる事があった。 『犬でも飼えば、寂しさを感じなくなるのかな』 そんな事を考えながら目の前に広がる森を眺めていると、不思議なものが見えた。 ぽよんぽよんぽよん 木々の間を縫って、二つのボールがこちらに跳ねて来ているのだ。 目を凝らしてよく見ると、それはボールではなく、二匹のゆっくりである事が分かった。 顔面にうっすらと赤い火傷の跡がある、金髪に黒い帽子のゆっくり。 こいつは先程のまりさだろう。そしてもう一匹は黒髪に赤いリボンのゆっくり、ゆっくりれいむだ。 なるほど、仲間を連れて仕返しにやって来たということか。 そんな事を考えているうちに、二匹のゆっくりは庭に侵入し、僕のすぐ側まで接近していた。 遠くから見ると二匹とも同じ大きさに見えたが、こうして近くで観察するとれいむの方が一回り大きい。 まりさはれいむの陰に隠れて、不安げに僕の様子を伺っている。 それかられいむに向かって、小さく『おねえちゃん…』と呟いた。この二匹、どうやら姉妹らしい。 れいむは自分の後ろで縮こまっている妹に優しく微笑み『大丈夫だよ』と言った後、僕の方に向き直る。 「おにいさん!」 れいむは、大きくは無いが良く通る声で僕に話しかけてくる。 『まりさにあやまってね!』とか『ゆっくりしね!』なんて罵詈雑言を吐くつもりだろうか。 さて、どうしたものかな、と思っていると、れいむの口から意外な言葉が発せられた。 「まりさが勝手にお庭に入ってごめんなさい!」 ゆっくりが謝罪してくる、なんて事はまったく予想していなかったので、思わず目が点になる。 「もうこんな事が無いように、よく言って聞かせるから、まりさを許してあげてね!」 れいむはそう言うと僕に向かって深々と頭を下げた。僕は驚いた。そして、ただ純粋に感心した。 ゆっくりは、どれもこれも自分勝手で、品性の欠片も無い頭の悪い生き物だと思っていた。 だから、今まで僕はゆっくりがどんなに話しかけてきても、まともに相手をしたりしなかった。 不愉快な思いをすることが分かりきっていたからだ。だが、このれいむの殊勝な態度はどうだ。 人間の能力に個人差があるように、一口にゆっくりといっても、 頭の良い者や、運動能力に優れる者など、固体差があるのかもしれない。 僕は、この利口なれいむに強い関心を持った。 「君は、わざわざそのことを僕に伝えるためにここに来たのかい?」 「ゆ! おにいさん 話せたの?」 まりさは、僕がれいむに話しかけるのを聞いて、驚いていた。 先程、自分がどんなに話しかけてもまったく喋らなかったので、僕が言葉を話せないと思っていたらしい。 だが、こんな奴の事はどうでもいいので無視する。 「うん! そうだよ! 悪いことをしたら、謝らなくちゃいけないんだよ!」 れいむが、人間のテリトリーを侵す事が良くない行為である、と理解している事に嘆息する。 「でも、僕の庭に勝手に入ってきたのは、君じゃなくてまりさだよね?」 僕がそう言いながらまりさを冷たい瞳で睨むと、まりさはれいむの陰にあわてて隠れる。 「や、やめてね! まりさをいじめないでね! まりさをいじめるなら、かわりにれいむをいじめてね!」 れいむの大きな瞳がまっすぐに僕を見つめている。 真剣な眼差し。妹が苛められるくらいなら、自分が身代わりになる、と本気で言っているのだ。 僕はこの妹思いの優しいれいむに、心から感動していた。良い子にはご褒美をあげよう。 「れいむちゃん。クッキー食べる?」 妹が苛められるかもしれない、と警戒しているれいむに、僕は柔らかく微笑んでクッキーを差し出す。 その甘い香りの力で、れいむの緊張は幾分か解けたようだ。そろりそろりとこっちに近づいてくる。 「わあ! 美味しそう! 食べてもいいの?」 れいむはすぐにクッキーに貪りつく様な真似はせず、僕の顔を見上げて尋ねる。 「遠慮しなくていいよ。沢山あるから好きなだけお食べ」 「うん! むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせー♪」 美味しそうにクッキーを頬張るれいむの姿を見ていると、自然と頬が緩む。 可愛い。ゆっくりとはこんなに可愛い生き物だったのか。 今までゆっくりの事を真剣に見たことなど無かったので、気がつかなかった。 それに、必要以上に大騒ぎせず、落ち着いている所も良い。 僕は『このれいむと友達になりたい』と思った。 そうすれば、時折僕を襲う寂しさから救われるような気がする。 ぼんやりとそんな事を考えているところに、耳障りな甲高い声が響く。 「ま、まりさも食べたいよ!!」 こいつ、まだいたのか。すっかり忘れていた。 まりさは、僕の周りをスーパーボールのように飛び跳ねながらクッキーを催促している。 それにしても、でかい声だ。おまけに、ラッパのようにトーンが高いので、頭が痛くなる。 「おにいさあん!! まりさも食べたいよお!!」 まりさは再び金切り声を上げる。それでも僕が無視していると、 我慢が限界に達したのか、テーブルに飛び乗って勝手にクッキーを食べようとする。 下品な奴だ。とても、利口なれいむの妹とは思えない。それに、お前には食べていいなんて言ってないよ。 まりさと同じように、我慢の限界に達した僕は、無言でまりさの身体を掴むと地面に向かって叩きつけた。 「ゆ゙ぎゃっ!!」 まりさはグシャという音と共に顔面から地面に激突し、口から少量の餡子を吐き出す。 僕はあまり力が強い方ではないので、死にはしないだろう。別に死んでしまっても構わないが。 「いだい゙い゙い!! いだい゙よ゙お゙!! うあ゙あ゙あ゙ん!!」 まりさは地面に突っ伏したままの姿勢でわんわん泣き出した。やかましい奴だ。少しは賢いお姉さんを見習え。 そう思いながられいむの方を見ると、れいむは『信じられない』といった表情でぶるぶると震えていた。 しまった、と思った時には遅かった。ぱっちりとした綺麗な瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。 「ひ、ひどいよ! おにいさん! どうしてこんな事するの!? まりさ! 大丈夫!?」 れいむは倒れているまりさに駆け寄り、その体を起こした後、悲しそうな表情で僕を見つめる。 その視線に心が痛みながらも、僕はある事に驚いていた。 このれいむは、感情が高ぶっても『ひどい゙い゙い゙い゙い゙!!』と発音が濁ったり、 『どぼじでごんなごどずるのぉぉぉ!?』といったような間抜けな言葉を発しないのだ。 この事で僕は、ますますれいむが好きになった。 だが、このままではそのれいむに嫌われてしまう。 うるさいまりさに腹が立ったとはいえ、もう少し良く考えて行動すべきだった。 まったく、短気は損気とはよく言ったものだ。 「ご、ごめんね、れいむちゃん。まりさがテーブルに飛び乗ろうとしたから、止めさせようと思って…そしたら…その…手が滑って…」 我ながらなんと苦しい言い訳。地面に叩きつけておいて手が滑ったもクソも無い。 もっとも、そこらに雲霞のごとくいる馬鹿なゆっくりなら、これでも納得したかもしれないが。 「お゙ね゙え゙ぢゃあ゙ん! いだい゙! いだい゙よぉ!」 まりさは濁った目玉から汚水を垂れ流しながら、まだぎゃあぎゃあ喚いている。 クソ饅頭が、黙ってろ。れいむの僕に対する印象が、ますます悪くなるだろうが。 「た、確かにテーブルに飛び乗るのはお行儀が悪いけど、これはやり過ぎだよ…」 れいむはまりさの 傷を舐めながら、そう呟く。やはり、手が滑ったなどという戯言は通用しないらしい。 人間の嘘を見抜く事が出来る、賢くて可愛いれいむ。まったく、惚れ惚れする。 「まりさ、歩ける?」 「う、うん…」 まりさがよろよろと動き出すのを見て、れいむは安心したように、ほっと息を吐く。 「おにいさん…れいむ達、もう帰るね…」 「え!? ちょっと待って、もっとゆっくりしていきなよ」 僕は、まりさを体で支えながら庭から出て行こうとするれいむを引きとめようと手を伸ばす。 しかし、れいむは僕の指先が体に触れそうになると、びくっと身をすくませた。 れいむの瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。そんなに僕の事が怖いのか。 このまま森に帰してしまったら、二度と僕の前には姿を現さないかもしれない。 そう思った途端、僕はれいむを捕まえていた。 「は、はなして! おうちかえる!」 僕に抱えられているだけでも恐ろしいのか、れいむはぶるぶると震えている。 まったく、嫌われたものだ。少し、悲しい気持ちになる。 だが、僕はこのれいむが気に入ったのだ。どうしても、友達になりたい。 そのために僕が思いついた方法は、れいむを誘拐する事だった。 今は怯えているが、美味しいものを食べさせ、たっぷりと可愛がってやれば、三日ほどで今日の事など忘れてしまうだろう。 賢いと言っても、所詮ゆっくりの餡子脳だ。たかが知れている。 もう少しソフトなやり方もあるだろうが、 ゆっくりという生き物の単純な性格を考慮すると、これがベストだと思う。 僕は、あやすようにれいむの頭を撫でながら、家に向かって歩き出す。 「今日からここがれいむちゃんのお家だよ。とっても広いし、食べ物も沢山あるから、ゆっくりできるよ」 その時、僕の足に何かが猛烈な勢いでぶつかってきた。まりさだ。 「お゙ね゙え゙ぢゃんをがえ゙じでぇぇぇ!!!」 こいつにはなんの興味も無い。しかし、まりさを殺してしまえば、れいむは僕の事をさらに恐れるようになるだろう。 それは避けたいので、僕はしつこく体当たりしてくるまりさを軽く蹴飛ばして、素早く家の中に入り、扉に鍵をかける。 ゆっくりの力では、どんなに頑張ってもこの家に入ることは出来ないだろう。 「まりさあ! たすけてぇ!!」 れいむの悲痛な叫びが聞こえたのか、扉の外でまりさが狂ったように騒いでいる。 だが、家の奥に進むとその耳障りな声も聞こえなくなった。 「まりさぁ…まりさぁ…」 れいむは僕の腕に抱えられたまま、うわ言のように妹の名を呼んでいる。その顔は、悲しみと恐怖の涙でぐしょぐしょだ。 可哀想なれいむ。でも心配しなくてもいいんだよ。これからは今までよりもっとゆっくりさせてあげるからね。 六日後。 夕刻。僕は仕事から帰ると、一目散にれいむの部屋に向かう。 ポケットから部屋の鍵を取り出し、シリンダー錠に差し込んで回す。 かちり、という小さな音がした後、ドアを開ける。 この部屋は、ほとんど使っていなかった客間を、れいむがゆっくりできるように、改装したものだ。 ふかふかのベッド、輝くガラステーブル、革張りの椅子、全てゆっくり用のサイズに合わせてあつらえた逸品だ。 だが、れいむはその豪華な設備をどれも利用せず、冷たい床の上にぽつんと座っていた。 「ただいま。れいむちゃん」 「お、おかえりなさい。おにいさん…」 僕が声を掛けると、れいむはひきつった笑顔で挨拶を返す。ゆっくりらしくない、不自然な作り笑顔。 六日前、れいむはこの部屋に連れてこられてから、しばらくの間は『外に出して欲しい』『まりさに会わせて欲しい』 と泣きついてきたが、僕にまったくその気が無い事を悟ると、すぐに大人しく、従順になった。 しつこく喚いて、まりさのように暴力を振るわれることを恐れたのだろう。れいむは、いつも僕の顔色を伺ってビクビクしていた。 「今日は美味しいケーキを買ってきたよ。ほら見て、苺が乗ってるんだよ」 僕は小脇に抱えた箱から、大きなショートケーキを取り出し、 ケーキナイフで食べやすいサイズに切って、れいむの前に置いてやる。 れいむは、葬式のように沈痛な面持ちでケーキを口に含むとゆっくりと咀嚼する。 「むーしゃ…むーしゃ…しあわせ…」 そう呟くれいむの顔は、少しも幸せそうじゃなかった。 六日前、クッキーを食べさせた時のれいむの笑顔を思い出して、あまりの違いに、少しイラっとする。 そのケーキは、あんな安物のクッキーとは違う、一流の洋菓子店で買った高級品だぞ。なんだ、その態度は。 それに、この六日間、毎日美味しい食事を与えて、風呂にも入れてやり、こんなにも上等な部屋に住まわせてやってるのに、 まったく僕の事を好きになろうとしない。三日で誘拐された事を忘れると思っていた僕の計画は、既に破綻していた。 れいむは僕が思っていたよりもずっと賢く、そして臆病だったのだ。 れいむと僕の関係は、友達と言うには程遠く、奴隷と主人のようであった。 僕はこんなにもれいむのことを可愛く思っているのに、れいむが僕に抱いている感情は恐怖のみ。 そのことが、たまらなく不愉快だった。 「ねえ、れいむちゃん…」 「ご、ごめんなさい!」 どうやら、れいむにも僕が不快を感じていることが伝わったらしい。 僕の表情と声色が変わった事を敏感に察知して、謝罪の言葉を述べる。 怯えた瞳と卑屈な態度がますます僕をイラつかせた。 「何で謝るの? 僕、まだ何も言ってないよ」 「で、でも…おにいさん…怒ってる…」 「怒ってないよ」 「ご、ごめんなさい…」 「謝らないでよ」 「ごめんなさい…ごめんなさい…」 「謝るなって言ってるだろ!!!」 僕は思わず、れいむの頬を平手で打ちつけていた。パシーンという乾いた音が部屋の中にこだまする。 しばしの静寂の後、れいむはふるふると震えだす。 「いたい…いたいよぉ…まりさ…助けて…まりさぁ…」 れいむは全身の水分が無くなるんじゃないかと思うほどに大量の涙を両の瞳から溢れさせ、 ただひたすらに、ここにはいない妹に助けを求めていた。 まりさ、まりさ、か。この六日間、れいむは何かにつけてその名を口にした。 食事の時は『まりさ、お腹すかせてないかな』 雨が降れば『まりさ、濡れてないかな』 寝る前には『まりさ、ひとりでも寂しくないかな』 まりさまりさまりさまりさまりさ… 六日前、僕はまりさに何の関心も無かった。 生きていようが死んでいようが、どうでも良かった。 だが、今は違う。僕は、まりさに嫉妬していた。 「ねえ、れいむちゃん。そんなにまりさに会いたい?」 ぼくの言葉により、れいむの憂いに満ちた泣き顔が、驚きと期待を含んだ笑顔に変わる。 「会いたいよ! 会わせてくれるの!?」 僕はれいむの問いを無視して、さらに尋ねる。 「まりさの事、好き?」 「うん! 大好きだよ! だって、れいむの可愛い妹だもん!」 ひまわりのような笑顔。まりさの事を話しているだけでも幸せらしい。 僕がどんなに笑わせようと努力しても、下手糞なな作り笑いを浮かべるだけだったれいむが今、楽しそうに笑っている。 でも、れいむを笑わせたのは僕じゃない。まりさだ。僕の心の中に、何かドス黒い感情が渦巻きだす。 「そうなんだ…じゃあ、まりさが死んじゃったら悲しい?」 『まりさ』と『死』。れいむにとって決して結び付けたくない二つのキーワードが同時に現れた事により、 晴れ晴れとしていた表情が、急に雨模様になる。 「ま、まりさが死ぬなんて、考えたくないよ!」 「でも、考えておいた方がいいと思うよ」 「そんな必要ないよ! まりさは元気だし、足も速いから、れみりゃにだって捕まらないんだよ!」 胸を張って誇らしげにそう言うれいむ。妹の自慢をするのが楽しいのだろう。 『れみりゃ』というのは、確か、空を飛ぶゆっくりで、れいむやまりさの天敵だったと思う。 「それはすごいね。じゃあ、人間にも捕まえられないのかな?」 「そ、それは無理だよ…。でも、まりさはとっても可愛いから、人間も意地悪なんてしないよ!」 「そうかな? 少し前、その可愛いまりさを地面に叩きつけた人間がいなかったかな?」 れいむはぎょっとして僕の事を見上げる。その顔は、死人のように青ざめていた。 「お、おにいさん…さ、さっきから…どうしてそんな事ばっかり聞くの?」 れいむの声が震えだす。本当に賢い奴だ。 『まりさ』『死』『人間』この三つのヒントで、僕の質問の真意に気がついたらしい。 「どうしてって? れいむちゃんは頭がいいから、もう分かっているんじゃないのかい?」 「し、しらないよ! れいむには、全然わからないよ!」 れいむは涙目で、いやいやと左右に首を振る。 分からないんじゃない、分かりたくない、の間違いだろう? 仕方が無い。駄々っ子のれいむちゃんにも分かるように、はっきりと言ってやろう。 「じゃあ教えてあげるね。僕、まりさを殺そうと思うんだ」 れいむの時間が止まる。僕は、じっとれいむの顔を見つめ続ける。まるで、この部屋の全てが凍りついたようだった。 壁掛け時計の秒針がカッチコッチと時を刻む音だけが、無情に響いている。 カッチコッチカッチコッチカッチコッチカッチコッチカッチコッチ 10秒ほど経ったところで、れいむの時間が再び動き出す。 「やめてぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!! まりさを殺さないでぇぇぇえええええ!!!!!!」 魂の慟哭。この世の悲しみと苦しみ、そして恐怖をごちゃ混ぜにして塗り込んだような瞳。 そして、そこから溢れる絶望の涙を見た瞬間、小さな復讐を達成した暗い喜びが、僕の全身を駆け巡った。 「れいむちゃんが悪いんだよ。まりさの事ばっかり喋って、いつまでたっても、僕の事を好きになってくれないから」 「そんなことないよおおおおお!!!!!! れいむ、おにいさんのことが大好きだよおおおお!!!!!!」 れいむは必死に僕の脹脛に擦り寄ると、足の甲にキスをする。そして、哀願するような瞳で僕を見つめる。 この嘘つきめ。そこまでしてまりさを殺されたくないのか。 「本当かい? 嬉しいなあ。それじゃあ、僕とまりさ、どっちの方が好き?」 「ゆっ!?」 僕の意地悪な質問により、れいむが固まり、小刻みに震えだす。 どう答えればまりさを救う事が出来るか、懸命に考えているのだろう。額から滝のような汗が流れ落ちている。 時折、誰かに助けを求めるように視線を左右に動かすが、もちろん誰も助けてはくれない。 やがて、れいむは意を決したかのように、ゆっくりと口を開く。 「お、おにいさんの方が好きだよ!」 「そうか。れいむちゃんの気持ちは良く分かったよ」 にっこりと微笑んで、頭をよしよしと撫でてやると、れいむは大きく安堵の溜息をつく。 その顔には、自分は正しい答えを選んだんだ、という達成感が浮かんでいた。 僕は、そんなれいむの様子を見ながらほくそ笑む。 分かってないな。正しい答えなんて、最初から無かったんだよ。 その事を教えてやるために、僕はれいむに語りかける。 「僕の方が好きなら、まりさは殺してもいいよね?」 れいむの表情が一瞬で凍りつく。 こんな展開になるとは、まったく予想していなかったのだろう。 しばし口をパクパクと開閉させ、再び叫びだす。 「だめだよおおお!!! なんでそうなるのおおお!?」 なんでもクソもない。れいむがどんな答えを選ぼうと、 最初から僕はまりさを殺すつもりだった。これはもう決定していた事だ。 泣き叫ぶれいむを無視して、庭に向かうためドアノブに手をかけようとすると、 れいむがジャンプしてドアノブに噛りついた。なんとしても僕をこの部屋から出さないつもりらしい。 凄まじい執念、いや、妹を思う姉の情愛、と言うべきか。恐れ入った。 「困ったなあ。これじゃ、外に出られないよ」 涙を流しながら、必死にドアノブに噛み付いているれいむを見ながら、僕はにやにやと笑う。 もう『れいむをゆっくりさせてやろう』とか『れいむに嫌われたくない』などという気持ちは無くなっていた。 その代わり、僕の心の中に、暗く歪んだ欲望が蛇のように鎌首をもたげ始めていた。 『大好きなれいむの顔を、苦しみや悲しみでもっと歪ませてやりたい』 こういうのを、サディズムと言うのだろうか。 思えば、それ程悪い事をした訳でもないまりさに乱暴したり、怯えるれいむを無理やりさらったりしたのも、 僕の心中深くに埋もれていた、サディストとしての才能の片鱗がそうさせたのかもしれない。 まりさに対する嫉妬も、もうどうでもよくなっていた。 僕が今、まりさを殺そうとしているのは、ただ純粋にれいむを苦しめてやりたいからだ。 目の前で、最愛の妹をズタズタに切り刻まれて殺されたら、れいむはどんな顔をするだろうか。 その素晴らしい光景を想像して、僕は勃起していた。 「ゆぐぐぐ…うがぐぐ…」 やがて、れいむが苦しそうにうめきだした。 ゆっくりには鼻が無い、つまり、息を吸うのも、吐くのも口だけである。 れいむは、その唯一の呼吸器官をドアノブで塞いでいるのだ。当然、息が出来ない状態である。 無呼吸状態をいつまでも続けられる生き物などいない。 僕が何もしなくても、後数秒もすれば、れいむはドアノブを放すだろう。 「ぷはぁっ!」 思ったとおり、酸欠で紫色になったれいむが床に落ちる。一分間は呼吸を止めていただろうか。 ゆっくりとしては驚異的な時間、無呼吸で過ごしたれいむは、時々ひきつけを起こしながら荒い息を吐いている。 僕は、頑張ったれいむの背中を優しくさすってやる。 「お疲れ様。それじゃ、行ってくるね」 「ま、まって…ごほっ! やめ、やめて…げほっ! ごほっ!」 まだ呼吸が回復していないのに、無理に喋ろうとして激しく咳き込むれいむ。 僕は、動けないれいむを残して部屋の外に出ると、一応鍵をかける。 それから、庭に向かって歩き出した。 後編に続く このSSに感想を付ける
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「ただいま~」 俺はいつものように玄関を開ける。 「おかえりなさい!ご飯にする!?ライスにする!?それともお!こ!め!?」 奥の居間からゆっくりれいむがぺったんぺったんと跳ねながら出てくる。 ・・・というかどこからそんな台詞憶えたんだ。 「お兄さん!手に持ってるの何!ゆっくり出来るもの!?」 目ざといな、さすがゆっくり。目ざとい。 「あぁ、今日はお前と会って1年目だからな。美味しいもの買ってきたぞ」 「ゆっ!一緒にゆっくり食べようね!」 「分かった分かった。ちょっと待ってろ。」 「うん、先に居間で待ってるね!!」 ゆっ!ゆっ!っと掛け声?を発しながら奥へ引っ込むゆっくり。 それにしても出会った当初は「早くちょうだい!早くちょうだい!」と言って こっちの言うこともまったく聞かなかったのに大分懐いたもんだ、と実感。 「お兄さん!何買ってきたの!何買ってきたの!」 居間で跳ねながら手に持つ物を催促するゆっくり。 「そう急ぐな急ぐな。」 そう言って袋をテーブルの上に置き、開封する。 「おにぎりにお魚がのってる!おいしそう!」 「コイツはな、寿司と言ってな。特別な日にしか食えん代物だ。味わうがよい。」 俺の経済状況から見た説明だが世間一般の見解とそうかけ離れてはいないと思う。 「お兄さん!この黄色いの食べて良い!?」 「おう、食べていいぞ!」 自然とゆっくりに合わせて口調が強くなる。 「むーしゃ♪むーしゃ♪」 「どうだ?味の方は」 真剣な表情で咀嚼するゆっくり。 「しあわせー!!」 どうやらお気に入りのようだ。 「んじゃ、俺も食うか。」 醤油皿に醤油を準備して食い始める。 あぁ、俺も寿司食うの何年ぶりだろうか・・・。 やっぱサーモンは最高だな・・・。 「お兄さん!何つけてるの!」 「ん、お前醤油知らなかったのか?」 「知らないよ!それつけるとおいしくなるの?」 「あぁ、普通に食うのも良いが、付けると更に美味しくなるぞ。」 「れいむも食べたい!しょーゆ付けたのれいむにもちょうだい!」 「いいぞー。」 とりあえず鮪に醤油を付けてれいむにあげてみる。 ・・・というか饅頭に刺激物は大丈夫なのか? 「むーしゃ♪むーしゃ♪」 ん、大丈夫かな。 「しあわ・・・ゆ゛ーっ!」 大丈夫じゃなかったらしい。 「お兄さん!毒入ってる!お魚とおにぎりの間に毒入ってる!」 そんなこんなで1年目の夜も騒がしく過ぎそうだ。 ゆっくりに与える時はサビ抜きにしよう -- 名無しさん (2011-05-06 14 35 09) ワサビww -- 名無しさん (2012-01-02 17 42 11) ワサビでそんなに・・・ -- 名無しさん (2012-03-27 10 50 03) たまごはいいよね -- ナンバー (2012-04-10 19 20 19) ワサビを「毒」だと・・・!? 霊夢らしくていいわァ~~~ -- 名無しさん (2012-04-23 22 34 16) 山葵wwww -- 名無しさん (2012-12-02 00 45 40) サーモン俺も好き -- 名無しさん (2013-01-07 20 47 53) 癒されるわー -- 名無しさん (2013-05-22 19 46 24) 名前 コメント
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「ゆっくりしていってね!!!」 うだるような暑さの中、縁側でボーっとしていた俺の近くでそんな声が聞こえてきた。 「ん?」 暑さでまいっている体を無理矢理動かして、声の下方向を向くと、そこにはゆっくり一家の姿が有った。 「なんだ。ゆっくりか。どうしたんだ?」 「ゆっくりしてたらここについたんだよ!!!」 「おにーさん!! ここはいまからまりさたちがあそぶから、おじさんはじゃましないでね!!!」 「はいはい」 生憎熱くてそんな気は起きない。 しかも俺に虐待の趣味はない。 「ゆっくり~~~♪ していってね~~~♪」 「ゆ~~♪ っくり~~~していってね~~~~♪」 「「「ゆ~~!! おか~しゃんたちすぎょ~~い!!!!」」」 こんな暑い中、良くそんなにはしゃいでられるなぁ。 「ゆゆ!! おに~さん!! それはなぁに?」 一匹の赤ちゃん魔理沙が、俺の足元までやってくると興味津々なご様子で尋ねてきた。 「これは、桶に水を張ってるんだよ。こうすると涼しいんだよ」 それでも熱くなっていた。 ……ぬるいな……。 「ゆゆ!! おにーーさん!! これもれいむたちがあそぶよ!! だからどいてね!!」 「そうだよ!! あかちゃんたちがあついあついしてるからすずしくさせるんだよ!!!」 ……、いや涼しくって言ってもなぁ。 「お前等が水の中に入ったら解けちまうだろ?」 「はぁ? おにーさんばかなの? れいむたちがとけるわけないよ?」 「ぷぷぷ!! おにーさんはばかなんだね!! だからこんなところでぼーっとしてるんだね!!!」 何言ってんだ? もしかして今まで川や湖に言った事がないのか? 「お前等は知らないのかもしれないけどゆっくりはかわやm……」 「うるさいよ!! れいむとまりさがだいじょうぶっていってるんだよ!!」 「そうだよ!! このみずはぬるいから、さっさとあたらしみずをくんできてね!!!」 「「「ばかにゃおにーしゃん!! はやくちてね!!!」」」 ……。 どうなっても知らないぞ。 ―― 「ほら、汲んできてやったぞ!」 「ゆ!! おそいよ!! やっぱりおにーさんはがかなんだね!!!」 「そうだね!! もっとてきぱきとうごいてね!!!」 ぶつくさ文句を言いながら、桶の周りに赤ちゃんを集める母親達。 「ゆっくりはいってね」 「ゆっくりはいりゅよ!!!」 ザッブゥ~~ン 景気の良い音を出して、岡ちゃんゆっくり達が中へ飛び込んでいく。 「ゆ~~~♪ つめたくてきもちい~よ♪」 「しあわせ~~~~♪」 何とも気持ち良さそうな表情を見せてくる赤ちゃん達。 「ゆゆ!! よかったね!! おにーさん!! どこにとけてるあかちゃんがいるの?」 「やっぱりばかだね!! まりさたちのほうがあたまがいいみたいだね!!!」 得意げな顔を俺に向けてくる母親。 仕方がないから、このまま様子を見届けてやろう。 「ゆ!! こうするともっときもちい~よ!! ぴゅ~~~♪」 「ゆっゆ!! ちゅべた~い!!」 「おか~しゃん!! こっちにもやっちぇね!!!」 「ぴゅ~~♪」 「ゆっゆ♪」 水を口に含んで、赤ちゃん達にかけ始めたのはお母さん魔理沙だった。 「ゆっゆ!! おに~さんはばかだね~~♪」 そして、そんな事を言いながらずっと俺を見続けているのはお母さん霊夢。 まさしく、下等なモノを見下すような表情で俺の事を見ている。 ―― 「ゆ~~~♪ ゆ~~~♪」 「ゆっゆ~~~~♪」 それから十分ほど経っただろうか? 相変わらず赤ちゃん達は元気に桶の中ではしゃぎ回っている。 「ぴゅ~~~♪」 そして、水をかけ続けるお母さん魔理沙と。 「ゆっゆ~~~♪ あかちゃんはれいむたちみたいにりこ~だね~~~♪」 俺から視線を外したが、未だに勝ち誇ったような表情をしているお母さん霊夢。 いずれも楽しそうな表情の親子がそこに居た。 「……!! ゆ? ゆゆ!!!」 最初に表情を変えたのは赤ちゃん達だった。 「おか~~しゃん!! なにかへんじゃよ!!」 「からじゃがへんだよ!!!」 「ゆ? きっとおみずがあったまってきたんだね!! さっさとばかなおにーさんにかえさせるから、いっかいあがってね!!!」 俺に、と言う事は聞き流すとして、やはりこの危機に気付いていないお母さん魔理沙は、赤ちゃん達に上がってこいと命じた。 「ゆ!! あぎゃりゅよ!! ……ゆ~~~、ゆ゛!!!」 「? あああああ!!!!! あがじゃんがーーー!! どーーーじでーーー!!!」 水から上がり、桶の縁に体を乗せた瞬間、柔らかくなった体が破れ、どろどろと餡子が流れ出していく。 「ゆーー!! おがーーしゃーーん!!!!」 見れば、あっちでもこっちでも赤ちゃんは餡子を流しながら絶命していく。 残っているのは、その様子に驚いて桶の中に戻った数匹だけだ。 「ゆーーー!! どうじでーーー!! れいむのあがじゃんたじがーーー!!!」 「なんでーー!! さっきまでゆっくりしてたのにーーー!!!!」 先ほどの表情とは打って変わって、顔を真っ赤にして泣き叫んでいる母親達。 その目線の先には残った赤ちゃん。 「そのままうごかないでね!! ゆっくりそこにいてね!!!」 「うごいたらだめだよ!! いまおかーさんたちがゆくりかんがえるからね!!!」 「ゆーー!! わぎゃっだーーー!!!」 「ここでゆっぎゅりじでるーー!!!」 桶に赤ちゃんを入れたまま、うんうん言いながら考え続けている。 でも、そろそろ時間切れだろう。 「ゆーーー!! おがーーしゃーーん!!」 「れーみゅのからじゃがとげでるーー!!!」 「どどどどどどうじでーーーーー!!!!!!」 「あああああ!!! まっででね!! いまだすげるよ!!!!!」 桶の中で解けていく赤ちゃん達を救うために、お母さん魔理沙が桶の中へ飛び込んだ。 「ゆっくりこのなかにはいってね!!」 大きな口を開け、中に赤ちゃんを入れる。 「ゆ!! いまそとにでるから……ね?」 ああ、どうやら口の中で解けちゃったらしい。 今頃、口の中には餡子の味が広がっているんだろーな。 「……? まりざーーー!! ど^じだのーー?」 「ゆゆゆ!! あがじゃんが!! まりざのぐちのなかでとげじゃっだーーー!!!」 「ゆゆゆ!!!! どーじでーーー!!!!!」 「わがらないーーーーー!!!!!」 「水の中に入ったからに決まってるだろ」 この様子じゃ、何時まで立っても頭を抱え込んでいそうなので、代わりに説明してやる。 納得するかどうかは別として。 「ゆゆ!! おにーざんはがかだよ!! れーむたちがとげるわけないもん!!!」 「ぞーだよ!! きっどおにーさんがおみずになにがいれたんだよーー!!!」 「ゆゆ!! そんなごとするおにーざんはゆっぐりしねーーーー!!!!」 「まりさたちのあがじゃんに、ひどいことをしたあにーざんはゆっぐりしねーーー!!!」 やっぱり、こいつ等に説明しても無駄だったか。 「それなら、お前等が川に入ってみたらどうだ? それで解けなかったら、おれがした事にしても良いぞ?」 この方法は使いたくなかったが、仕方あるまい。 「ゆ!! ばかなおにーざんだね!! ぞんなこどしなぐでもきまっでるのに!!」 「そうだね!! でも、せっがくだがらまりっさだちがつぎあってあげるよ!!!」 未だ泣き喚く二匹の後を追って近所の川へ、見つけた瞬間に二匹は勢い良く飛び込んでいった。 「ゆ~~~♪ れいむたちはとけてないよ!!」 「そうだよ!! やっぱりおにーさんはうそつきのおおばかものだね!!!」 入った途端にいち早く勝利の表情を浮かべて、再び俺を罵倒し始める。 でも、桶と違い流れの速いこの川では、その時間もあまり残っていなかった。 「? ゆゆ!! れーむのからだがとけてるよ!!」 「!! まりしゃのからだも!! なんで?どーじでーーー!!!!」 「だから初めに言ったじゃないか。解けるぞって」 「「!!!!」」 ここまで来て、漸く二匹は新しい知識を身につけたらしい。 しかし、それを活用する機会はもう無い。 「ゆーーー!! おにーーさんたずけでーーー!!!」 「にんげんはおよげるんでしょ? まりさたちをはやくたすけてーー!!!」 既に半分解け始めている体を酷使し、大声で俺に助けを求めてきた。 「おにーさんはばかだから、およぎかたなんてしりませーーーん!!!」 「!! ぞんなごどないよーーー!! おにーさんはれいむたちがとけることをしっでだよーーー!!!」 「あたまがいいおにーさん!! まりさたちをたすけでーーー!!!!」 もう無理だ。 あの状態ですくい上げても、自重で餡子が溶け出すだろう。 「あああーーー!! れいむのながみがでてるーーー!!!!」 「まりざのながみもーーーー!!!!!」 断末魔を聞くのは忍びないので、俺は静かにその場を後にした。 「「ゆっぐりしたけっかがこれだよーーーー!!!!!」」 家に帰った俺は、好物の鍋焼きうどんをゆっくりパチュリーと一緒に啜った。 「むきゅ!! ばかはしななきゃなおらないのよ!!!」 このSSに感想を付ける
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二匹のゆっくりが、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。 「このやまはゆっくりできないね。ちょうちょもありさんも、ぜんぜんいないね。」 「はやくつかまえてゆっくりしたいね。ゆっくりしようね。」 それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門の鴉天狗も、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。 「ゆっくり寒くなってきたね。」 「ゆぅ、ゆっくりもどろうね。」 ところがどうも困ったことは、どっちへ行けば戻れるのか、いっこうに見当がつかなくなっていました。 風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。 「お゙な゙がずい゙だよ゙ぉぉ。な゙に゙がだべだい゙よ゙ぉ。」 「れいむ、やまを下りたらお花をいっぱい食べようね。」 「あ゙る゙ぎだぐな゙い゙よ゙。何がだべだい゙よ゙ぉ。」 「ゆぅ、まりさも何か食べたいんだよ」 二匹のゆっくりは、ざわざわ鳴るすすきの中で、こんなことを云いました。 その時ふとうしろを見ますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。 そして玄関には RESTAURANT 西洋料理店 SLOWLY HOUSE 低速亭 という札がでていました。 「れいむ、おうちだよ」 「れいむたちが見つけたんだかられいむたちのおうちだよ」 「ゆ!いいにおいがするよ」 「たべもののにおいだよ、ゆっくりしようね!!!」 二匹は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。 そして硝子の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。 「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」 二匹は字が読めないので中に入りました。 「あたたかいね、ゆっくりできるよ」 「うん、あたたかいね。もっと奥があるよ」 「いってみよう」 そこには扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には長い柄のついたブラシが置いてあったのです。 扉には赤い字で、 「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」 と書いてありました。 「ゆ、れいむがむこうにもいるよ」 「それはカガミっていうんだよ。とかいはのゆっくりアリスがもってたよ」 二匹は字が読めないので、そのまま扉をがたんと開けて、次の室へ入って行きました。 早く何か暖いものでもたべて、元気をつけて置かないと、ゆっくりできなくなってしまうと、二匹とも思ったのでした。 扉の内側に、また変なことが書いてありました。 「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」 見るとすぐ横に黒い台がありました。 「ゆ、また扉があるよ」 「ゆっくり開けてね」 二匹は字が読めないので中に入ると、また黒い扉がありました。 「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい。」 しかし二匹は字が読めないので気にせず中に入りました。 扉の裏側には、 「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、 ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」 と書いてあり。扉のすぐ横には黒塗りの立派な金庫も、ちゃんと口を開けて置いてありました。鍵まで添えてあったのです。が。 二匹は気づかずにそのまま飛び跳ねていきました。 「おっきなおうちだね」 「これだけおっきいといっぱいゆっくりできるね」 すこし行きますとまた扉があって、その前に硝子の壺(つぼ)が一つありました。扉にはこう書いてありました。 「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」 みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。 「うっめ、これめっちゃうっめ」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 それから大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、 「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか、」 と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。 「ゆー、おいしくてゆっくりできるね!!!」 「きっと、おくにはもっとゆっくりできるものがあるよ!!!」 するとすぐその前に次の戸がありました。 「料理はもうすぐできます。 十五分とお待たせはいたしません。 すぐたべられます。 早くあなたの頭に瓶の中の香水をよく振りかけてください。」 そして戸の前には金ピカの香水の瓶が置いてありました。 二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。 ところがその香水は、どうも酢のような匂いがするのでした。 「すっぺ、これめっちゃすっぺ」 「すっぱいけどおいしい!!ふしぎ!!」 二人は扉をあけて中にはいりました。 扉の裏側には、大きな字で斯う書いてありました。 「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。 もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさん よくもみ込んでください。」 なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが。 「おしおはたべれないね」 「のどがかわいてゆっくりできなくなるね」 奥の方にはまだ一枚扉があって、大きなかぎ穴が二つつき、銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、 「いや、わざわざご苦労です。大へん結構にできました。さあさあおなかにおはいりください。」 と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二つの青い眼玉がこっちをのぞいています。 二人は扉をあけて中にはいりました。 ばたん ゆっくりたちの入ってきた扉が勢いよく閉まり、ゆっくりたちが何をしても開きません。 ゆっくりたちの目の前に、胸の平らなメイド服の女の人が立っていました。 「おねえさん、ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ゆっくりできないならでていってね!!!」 女の人はゆっくりたちを掴むと、さらに奥の部屋へと進んでいきました 「「いたいよ!!やめてよ!!ゆっくり放してね!!!」」 女の人は部屋の中にゆっくりを投げ入れると、外から鍵を閉めました。 「いたいよ!!ゆっくりやめてね!!」 「まりさ、ここはゆっくりできそうだよ!!」 部屋にはふかふかなベッドを始め、高級そうな調度品が並んでいました。 二匹はベッドに飛び乗り、ポンポン飛び跳ねます。 「ゆっくりできるね♪おねえさんはゆっくりおいしいものをもってきてね♪」 「ここがまりさたちの新しいおうちだよ♪ゆっくりしていってね♪」 「うっう~♪」 _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_-''" `> !!!!!!!!!!!!! <ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ :__ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、:_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7´ .. .、ン、: rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/≧- -─==', i :r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! Σiヾ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | :!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' i (◯), 、(◯) | .|、i .|| :`! !/レi' (◯), 、(◯)Σ'i !て ,rェェェ、 ". 「 !ノ i | :,' ノ !'" ,rェェェ、 "' i .レ',.く |,r-r-| . L」 ノ| | : ( ,ハ |,r-r-| 人! :||ヽ、 `ニニ´ . ,イ| ||イ| / :,.ヘ,)、 )>,、_`ニニ´_,.イΣハ ル` ー--─ ´ルレ レ´: このSSに感想を付ける
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~注意~ 舞台が少し特殊です。キノの旅みたいな感じです。もしくはドラクエ 虐待描写が少ないと思われます。頑張ったんですが… 『虐める国と愛でる国』 さわやかな朝日が大地を照らす早朝、旅人は二つの看板の前で立ち往生していた。 看板はそれぞれの看板が指し示す先の場所が書いており、 片方の看板には「ゆっくりを虐める国」もう片方は「ゆっくりを愛でる国」と書いてあった。 旅人は別にゆっくり愛護派でも虐待派でもなかったので、どっちでもよかったのだ。 旅人はゆっくり三十分もの間悩んだのち、両方行くことに決めた。 「やあやあよくいらっしゃいました。我が国はあなたを歓迎いたします」 旅人が最初に行った虐める国で、旅人は歓迎されながら入国した。 珍しかったり、貴重である物資を運んでくることがある旅人は、その国では大層人気があったのだ。 旅人は自分の持っていた、前の国で仕入れたものを適当に食料や消耗品などと交換したのち、国の広場で住人たちとの交流を図った 「すいません。よろしければこの国について教えてはいただけないでしょうか」 「ああ、旅人さんはこの国に興味がおありですか。喜んでお教えいたしましょう」 するとたくさんいた住人の中から、代表格と思われる男か一歩前に出てきて、旅人に答えた。 旅人は、国に入ってからずっと気になっていたことを、男に聞いた。 「あの歩道は何ですか?」 旅人が示した先には、透明な物質で作られている歩道があり、中は空洞であるらしく、そこにはたくさんのゆっくりたちが蠢き合っていた。 その口から見てとるに、「ごごがらだじでぇぇぇぇ!!」「でいぶわるいごどじでないよぉぉぉぉ!!」などといっているようにみえる。 防音加工なのか、その声を聞き取ることはできなかったが。 そしてその歩道の上を、行き交う住人たちが何事もないように通過していく。 「あれですか。あれは我が国のゆっくりにゆっくりさせない政策の一環として作られた、専用の歩道です。 閉じ込めて死ぬまで放置します。しんでも放置しますが。 我が国の歩道は、すべてあのような作りとなっています。歩くときにも、ゆっくりの苦しむ顔が見れると好評なんですよ。 騒音対策のため防音加工にしておりますが」 「そうですか。さすがゆっくりを虐める国ですね。その政策は、ほかに何かあるんですか?」 「もちろん、ありますよ。ここからだとちょっと見えないですが、ゆっくりを使った奴隷農園などもあります。 ゆっくりに強制労働させる農園です。 ゆっくりをいじめることができて、かつ野菜も収穫できるんですからまさに一石二鳥ですね」 男は自分の趣味の分野に入ったせいか、少し興奮した様子だった。 対照的に、旅人は落ち着いた様子で言葉をつなげていく。 「なるほど。しかしあのゆっくりたちに労働させるのは大変でしょう?」 「そんなこともないですよ。従わなかったらいじめるだけですから。 肉体的に攻撃する以外にも、家族を殺したり、餌をひどいものにしたり、手段はたくさんあります。 最近だと、見せしめなどがはやってますかね」 旅人が怪訝そうな顔になるのを見て、住人は饒舌に語りだす。 「見せしめ、ですか?」 「ええ。百メートル間隔で棒を立てて、そこにゆっくりを突き刺しておくのです。もちろん生きたままで。 そして、見せしめとされるゆっくりは、私たちに逆らったものが優先的に選ばれます。 するとゆっくりたちは自分がああなったらという恐怖感と、自分でなくてよかったという安心感が両方得られるわけですね。 こうなったらもうそのゆっくりは逆らいませんよ。限界ぎりぎりの労働を死ぬまで続けるだけです。 あくどい奴だと、告げ口してほかのゆっくりを貶めようとするやつだっているんですから、笑っちゃいますよね」 旅人は男の笑みに対し愛想笑いで応える。 それでも興奮していた男は愛想笑いと気づかなかったようで、旅人も楽しんでいるよう勘違いして勝手に気分を良くしていた 「そのほかにもありますよ。我が国の自慢である、ゆっくり加工品です」 「ゆっくり加工品、ですか。どんなおやつなんですか?」 「あっはっは、食べ物じゃないですよ。ゆっくり硬化剤を利用して、いろんなものを作るんです。 例えば…このストラップですか」 住人は懐から赤ちゃんゆっくりを模したストラップを旅人に見せた。 その顔は苦悶に満ちた表情で作られており、そして本物と見まごうほどに精巧にできていた。 「これは…まさか、本物を固めたんですか?」 「その通りです。生きたゆっくりに苦しめながら硬化剤を与え、固めたものです。もちろんまだ生きてますよ。 これはかなり簡単なもののほうで、ほかにも机や椅子などの家具などもありますし、花瓶などの調度品もあります。 柔化剤を与えてゴムのように柔らかくしてから鋳型にはめ込んで、それから少しずつ硬化剤を流し込むんです」 旅人が触れると、かすかにそのストラップは震え、そしてかすかながらうめき声のようなものが聞こえてきた。 それはゆっくりの、まだ自分は生きているのだという懸命の訴えだったかもしれない。 しかし、それすらもここの国の民にとっては娯楽の対象でしかない。 「生かさず殺さず、ゆっくりに地獄を味わわせられるんで、今国中で大人気です。 これもわが国の技術のたまものです」 住人は自慢げに胸を張り、自らの国の技術について語った。旅人は愛想笑いでそれに応えた。 それからも旅人はずっと、住人たちからゆっくりいじめの話を聞き続けた。 共食いをさせた。 目の前で家族を三枚に下ろした。 やすりで削った。 火鉢を目に突っ込んだ。 皮を全部剥ぎ取った。 蟲の巣にした。 そんな、健常な精神の持ち主ならば失神してしまうような話をするときでも、住人達の顔に浮かぶのは悦のはいった笑みだった。 子供のような、本当に楽しそうな笑み。会話の中から漏れ出てくる純粋な悪意。 住人たちの心は、ひたすらにまっすぐだった。普通の人の心とは、すこしも交わることがないくらいに。 旅人は、そんな住人たちのことを乾いた笑みで眺めていた。 旅人は翌日から、国内にあるいろんな施設を覗いてまわった。 奴隷農場や、専用のショップ、そして加工場など、多くの施設があり、多くの人間がそこでゆっくりをいじめていた。 「あづい、あづいよぉぉぉぉぉ!!あじがやげちゃうよぉぉぉぉぉ!!」 「でいぶのあがじゃんをころざないでぇぇぇぇ!!」 「いだいっ!!まりさしっかりはたらくからだだぐのやべでねぇぇぇぇぇ!!」 「ゆっくりでぎないぃぃぃぃぃ!!」 施設の特色を生かして、さまざまな方法でゆっくりはいじめられていた。 いや、施設外ですらも、ゆっくりはいじめられている。 定時の時報はゆっくりの悲鳴で、大時計の中に閉じ込められているゆっくりが鳩時計のように中から出てきて、そして解体される。 その悲鳴を発する種族で、人々は時間を知るようだった。 公園では、子供たちが無邪気にゆっくりの体に箸を突き刺して遊んでいた。ゆっくりがどれだけ痛いと、やめてと叫んでもやめなかった。 むしろ、その悲鳴がどれだけ絶望に満ちているかで、子供たちは競っているようだった。 旅人が街の中を普通に歩くだけでも、近くの家の中からゆっくりの悲鳴が聞こえた。 それを聞いて、道端の人が「きょうはまりさにするかぁ…」と呟いていた。 どこもかしこも、悪意だけが蔓延っていた。 旅人は、ただそれらをじっと眺めていた。 一週間ほど滞在したのち、旅人はその国から出ることにした。 入国した時と同様に、出国する時も住民に歓迎されながら見送られた。 その際に、虐待用にと、一匹のゆっくり(この国の技術によって、何も与えずとも一カ月以上生き続ける用に加工された特殊タイプ。 しかしおなかは減るらしいく、空腹のまま生き続けるというタイプのいじめらしい)を無料で譲渡され、旅人は快く受け取って住人たちに別れ告げた。 そして国と外の世界を隔てる門にて、一人の門番に旅人に話しかけられた。 「旅人さん、どうでしたか?我々の国は。楽しんでいただけましたでしょうか」 「ええ、とても。退屈しない一週間でした」 「それはよかった!いやね、ここに来る人って、私たちの行為に嫌悪感を表す人が多いんですよ。 わざわざ国の名前までにして、うちの特色を示しているっていうのに。 特に隣の国のやつらがしつこくてね。ゆっくりを助けろーだとか言ってうちにやってくるんです」 「そんな人もいるんですか。あなたも大変ですね」 「まったくですよ。あんな下等生物、生きているだけでも罪なんです。 だから、苦しめて殺してやるのが当然ってものでしょう?ほんとうに何考えているんだか…」 そうですね、と旅人は答え、そして門番に別れを告げた。 それから旅人が門から一時間ほど歩き、国の門すら見えなくなるほど離れたことを確認すると、 旅人は懐にあったゆっくりを何の躊躇もなく口の中に放り込んだ。 それは旅人にとって邪魔なだけであったし、またそれをわざわざ虐める気も起きなかった。 コクのあるあんこの甘みが口の中に広がり、結構おいしいな、と旅人は思った。 「やあやあよくいらっしゃいました。我が国はあなたを歓迎いたします」 旅人が虐める国を出てから一週間後。今度は愛でる国で、旅人は同じように歓迎を受けた。 そして同じように、旅人は手持ちの荷物をその国の商品と交換した。 その後も同じように住民との交流のために広場に向かい、特筆すべきでもない会話を交わした。 旅人が入国してから翌日の昼、旅人は町中を散策していた。 「なんていうか、どうやっていうか、要するにっていうか、ひまだ」 旅人はずっと国中を回っていたが、珍しい商品も、面白い話もなにも見つけられないままこれまでを過ごしていた。 人がんはみな自分のゆっくりを自慢するだけだし、そのゆっくりは確かに人間に懐いているように見えたが、 みなどこか目がうつろで、正直気味が悪かった。 仕方なく、出国の準備のために買い物をしていた時、 明らかに過剰装飾な一匹のゆっくりれいむを連れた、これまた気味が悪くなるほど豪華な身なりをした若い女に声をかけられた。 「おや、旅人さん。こんにちは」 「こんにちは。そちらのれいむは、あなたが飼っているゆっくりですか?」 旅人が目を向けたゆっくりれいむは、しかしなにも言葉を発することなく、ただじっと旅人のことを見つめていた。 その髪につけられたきらびやかな飾りが、旅人に反射された光を送るだけだった。 女は愛おしそうにゆっくり霊夢の頭をなで、 「ええ、そうですよ。ほら、れいむも旅人さんに挨拶しなさい」 「たびびとさん、こんにちは。ゆっくりしていってね!!!」 女に言われて初めて、れいむは旅人に言葉を発した。 通常のゆっくりならば出会いがしらにそう叫ぶものだが、ここのゆっくりは躾が行き届いているのだろうか、みな同じようだった。 「飼い主の言うことをよく聞く、立派なゆっくりですね。これほど躾けるのにはとても苦労しそうです」 女は旅人の言葉に一瞬キョトンとした後、あはは、と笑い出す。 「いやいや。実はそんなこともないのですよ、旅人さん。 我々の国にかかれば、ものの二週間でゆっくりを人の言うことをしっかり聞くまで躾けることができます」 「二週間でですか?それはまたすごいですね…」 旅人は女の言った事実に、驚きを隠せないようだった。 通常、ゆっくりブリーダーがゆっくりの躾を完了するのに、半年ほどかかるといわれている。 あのゆっくりのあの異常なまでに強い自我を根本から変えるには、それほどの時間がかかるのだ。 それをこの国では、たったの二週間である。どれだけ腕のいいブリーダーだとしても、この早さは不可能である。 どうしてだろうか、と考えを巡らす旅人の様子を見て、女は少し得意げになったようだった。 「そうだ!旅人さん、これからうちの仕事場に来ませんか?」 「仕事場に、ですか?なんでまた?」 「実は足国営のゆっくりを躾ける施設の館長なんです。 旅人さんさえよろしければ、ゆっくりを躾ける過程をお見せ出来ます」 「いいんですか?国家機密とかじゃないんですか?」 「大丈夫ですよ。むしろこの素晴らしいしすてもを旅人さんに知っていただいて、ほかの国に伝えてほしいくらいです」 女の話が気になったというのもあったし、何より暇だった。 旅人はいったん買いものを切り上げて女のあとについていくことにした。 「ようこそ、旅人さん。さあさあ、お座りになってください」 旅人は女に案内され、『館長室』という札が書かれている部屋に入った。 その部屋は、優に十五メートルはあろうかという無意味に広い部屋に、見るからに眩しそうな、 金やら銀やらでできている調度品の数々が所狭しと並べられている。 壁にはどでかい薄型テレビがかけられており、そのふちも例外なく金ぴかだった。 女は身につけていた装飾品をとり、身軽な格好になってからゆっくりを部屋の外から追い出して鍵を閉めた。 そして棚から急須を取り出し、机にあるカップに注いで旅人の前に差し出した。 「はい、お茶です。遠慮なくお飲みになってください」 「ありがとうございます。わざわざすいません。でもいいんですか?れいむを外に追い出してしまって」 「いや、いいのですよ。お気になさらないでください。ここには今人もいませんから」 二人はゆっくりの絵がバックに施された、見るからに高そうなソファーに並んで座った。 そのソファーはテレビに向かって座るように配置されており、 旅人はデモビデオでも見るんだろうかと思ったが、近くにビデオデッキのようなたぐいは見受けられない。 女は自分の分のお茶を注ぎ、一口だけお茶を口に含んだ。 「このモニターで、わが国が誇る最新のゆっくりしつけシステムについて解説したいと思います。 どうぞ、くつろぎながらお聞きになってください」 旅人は自分もいっぱいお茶を口に含んだ。 味の薄い、庶民が飲むようなあっさりとしたお茶だった。 ソファーの端にあったリモコンに手を伸ばす。 女がリモコンのボタンを押すと、先ほどまで何も映していなかったテレビに映像が浮き出る。 そこには、一匹のゆっくりが、壁も床も天井も、すべて真っ白く装飾された部屋に閉じ込められていた。 また、そのゆっくりは動けないようにワームのようなもので固定されており、 口にはガムテープ、耳にはヘッドフォンのようなものがつけられている。 また、そのゆっくりの脳天には一本のチューブがつき刺さられており、白い壁とつながっている。 「ここは転生の間と言って、野性としての本能を忘れさせる部屋です。いち早く教育するための下準備ですね。 野生の、野蛮な環境で培ってきたものは、私たちの国では必要ありませんから」 「はぁ、でもなんか辛そうですけど」 身動きが取れず、涙をだくだくと流しながら必死に動こうと震えているゆっくりを見て、旅人は率直な感想を漏らした。 確かに旅人の言う通りのものが映像として映っていたので、女も苦笑するしかない。 躾にしてはあまりに過激なその仕打ちは、旅人が以前いた国で見たそれに酷似していた。 「大丈夫ですよ。躾が完了するころにはこのころの記憶なんて残っていませんから」 忘れてればいいという問題ではないような気がしたが、 そうにこやかな表情を少しも崩さずにそう言い切った女を見て、旅人はそうなんですか、とだけ相槌を打った。 「それで、具体的な内容はというと、白以外の、すべての視覚的刺激を奪った部屋に閉じ込め、また時間の感覚を奪うために一定の光量を与え続けます。 耳についているヘッドフォンからはこれまでのゆっくりを否定する言葉を流し続けます。 そして死なないように、適度にオレンジジュースを投資ながら二日間ほど放置すればたいがいのゆっくりはすべてを忘れてくれますね。 まあ個体差があるので、念のため四日間これを続けます」 女は口のテープには触れていなかったが、あれはおそらく自殺防止用だろうと旅人は推測した。 虐める国で、発狂したゆっくりが体中のあんこを吐いて死ぬのは散々見てきたので、女に確認はとらなかった。 女は一口お茶を口に注いで、のどの渇きをうるおす。 「ふぅ。で、これが終わった次の工程はこちらです」 女はリモコンを操作してテレビの画面を切り替える。 今度映ったのは大学の講堂のような空間だった。 壁に掛けられたスクリーンを取り囲むように、扇状に椅子のような段差が並んでいる。 そして生徒が座る場所にはうつろな顔をしたゆっくりたちが整然と並べられていた。 「わが国で人間と一緒に暮らしていくために、ビデオ教育を施します。 ああ、ちなみにあのゆっくりたちは身動きが取れないように、地面から突き出ている杭に突き刺しておりますので、脱走の心配はありません。 またゆっくりたちに痛みを与えることで、意識を回復させることも目的の一つです。 ゆっくりたちにとって辛いことかもしれませんが、ここが踏ん張りどころです」 「まあ、気を失ったままの状態でビデオを見せても、意味はないでしょうからね」 女の言う通り、テレビに映っているゆっくりたちは個体差はあるものの、だんだんと目に光がともってきたようにみえる。 しかしそれは、自身に走る激痛による強制的な覚醒であったが。 「意識を回復、といっても自我は崩壊しておりますので、あのゆっくりたちの頭の中はかなり白紙に近い状態となっております。 だからその白紙のゆっくりたちに…ええと、なんだっけな…」 女はことばを度忘れしたのか、少しの間首を傾けながら悩んでいた。 そして目をかっと開いたかと思うと、指で空中に人間の顔のようなものを描き、 「つまり、ヘブンズ・ドアー!!するわけです」 旅人はポーズを取ったまま固まっている女をじっと見つめ、静かに口を開いた。 「……つまり、命令を書き込む、ということですか。白紙のゆっくりに情報を『刷り込む』わけですね」 「ええまあそうなんですが……もうちょっとリアクション取ってくれても……」 「………………………………」 女はそこで旅人が「だが断る」と言ってくれることをアイコンタクトで知らせたつもりだったが、旅人は黙って女を見返すだけだった。 現実は非情である。 女は仕方なく画面のほうに視線を戻し、何事もなかったかのように説明を続けた。 「ええ、その『刷り込み』をするわけです。ゆっくりに、ゆっくりすることのに対する新しい概念を刷り込みます。 いくらがんばって躾を施しても、ゆっくりとしての本能だけは残ります。つまり、自分がゆっくりすること、ですね。 ですから、そのゆっくりすることに対する概念を変えれば、必然的にゆっくり自体の性質も変わるわけです」 女はそこまでいってリモコンをいじり、再び画面が切り替わる。 そこにはかわいい女の子がゆっくりれいむを抱きかかえている絵を背景として、文がいくつか書かれていた。 画面上方には『ゆっくりすることってなあに?』というタイトルのような文が、少しだけほかの文の文字よりも大きめの文字で書かれている。 そのタイトルの下に、いくつかの文が箇条書きにして書かれていた。 「みんなとと仲良く暮らすこと。他の人の言うことはきちんと聞くこと。自分だけでなくみんなも大事にすること……」 旅人がその内容を音読していくが、どれも野生のゆっくりの持つ『ゆっくりすること』とはかけ離れていた。 自分よりも、人間のため。自分よりも、ほかのゆっくりのため。 自身を最も至高とするゆっくりにとって、ありえないことばかりであった。 「その内容を教え込むために、この内容を何度も何度も音声として流し、また復唱させます。 そして約三十回ごとに、声に気持ちがこもっていない等の理由で罰を与えます。 この罰は、実際にゆっくりたちがしっかりと復唱できてようがいまいが関係なく与えます。 ゆっくりできないとどうなるか、体に覚えさせるわけですね。ここら辺は、一般のブリーダーの教育方法と変わりません」 女が講堂のほうに画面を戻したその瞬間、一斉にゆっくりたちの悲鳴が室内に響き渡る。 その声の大きさに旅人は思わず顔をしかめ、女はあわてて音量を下げた。 「ああ、すいません。音量調節を忘れていました……」 「いや、いいんですけど、それよりもどうしてあのゆっくりたちは悲鳴を上げているんですか?」 画面に映ったゆっくりたちは、一目見た感じでは、なにもされている様子が見受けられない。 しかし、当のゆっくりたちは何かに苦しむように、ひたすら絶叫を上げていた。 「中に刺さっているとげから、さらに細長い針のようなものが出てきて、中身をこねくり回すんです。 あまり外側を傷つけると、回復が困難になったり、傷が残ったりしますから。 まれにここであんこを吐いて死んでしまうゆっくりがいるんですが、大半はもどすことはありません。 先の部屋でさんざん口の中にあんこを吐いて、またそれを飲み込む作業を続けていますから、体が吐くことを嫌がっているんです」 女の言ったとおり、その画面の中でどれだけゆっくりたちが苦しんでいても、あんこをぶちまけるようなゆっくりはいなかった。 ただずっと、内部に走る激痛と不快感に、悲鳴を上げ続けることで耐えているだけだった。 「まあ、ここまでこればもう見せるようなことはないですね。 後はこれを五日間ほど続けた後、残りの五日間で低下した運動能力、張り、艶などの保全作業をして、国民のもとへ送り届けられます。 細かいしつけは、それぞれの家で独自にやっていただきます。 通常のゆっくりを躾けるよりも、はるかに簡単に躾けられるでしょう」 女はそこでテレビの電源を落とし、旅人のほうに向きなおった。 「ここまではすべて機械が自動で行っており、作業員はその工程を見ることはありません。 仕事といってもジュースの補給や機械の点検くらいなものです。 あと、今のは成体ゆっくりで見せましたが、子ゆっくりにも専用の工程があります。まあ似たようなものなんですが、ご覧になりますか?」 「いや、結構です。ありがとうございました」 旅人は太ももに肘をつけて前傾姿勢をとり、女からは顔が見られないような位置をとった。 そしてその状態のまま、口を開く。 「……最初にも言ったかもしれませんが、これってかなりゆっくりにとってつらいんじゃないんですか? 私には、この国の人も虐める国の人々と大差ないように見えます」 旅人の言葉に、女はむっとしたように眉をひそめた。 「あんな野蛮な国の人々と一緒にしないでください! 我々の国がこのようなことをするのは、ゆっくりのためを思ってのことです。 事実、この国のゆっくりたちはみな幸せです!向こうの国のゆっくりのような地獄のような仕打ちも一切なく、私達と楽しく暮らしているんです! 旅人さんだって見たでしょう?我が国のゆっくりたちの様子を」 「ああ、そうでしたね。すいませんでした」 興奮して次々にまくしたてる女をなだめようと、旅人はとりあえず謝罪を述べる。 旅人がここで見たあの目のうつろなゆっくりを見る限り幸せそうには思えなかったが、嘘も方便である。 「ああ、もうこんな時間ですか。申し訳ありませんが今日はもうお暇させていただきますね」 旅人は時計のほうに目を向けながら、ポリポリと頭をかく。 女はまだ言い足りなさそうだったが、ホストとしてはお客が帰るというのに無理に引きとめるわけにもいかない。 そして少し悩んだあと、女は話を始める前に部屋から追い出した、装飾過多のゆっくりれいむを旅人の前に持ってきた。 「旅人さんに、このゆっくりれいむを差し上げます。 このゆっくりれいむを旅人さんの目で何日もじっくりと見ればおのずと誤解も解けることでしょう」 女は抱えていたゆっくりれいむを旅人に手渡す。 いきなり飼い主を変更されたそのゆっくりれいむは、しかしほとんど動揺するそぶりを見せない。 それどころか、「あたらしいれいむのごしゅじんさま、これからよろしくね!!」と、完全に事態を受け入れていた。 その順応性の早さに感心しつつ、旅人は女のほうに向きなおる。 「はぁ、ありがとうございます。でもいいんですか?あなたの大切なゆっくりれいむでしょうに」 「いえ、いいのです。この国の誤解が解けるのなら、私ごときいくらでも犠牲となりましょう。 ですから、どうかそのれいむを大切にしてくださいね」 旅人はええ、とだけうなずいて、今度こそその部屋を後にした。 扉を閉めた時女の泣き声のような音を耳にしたが、旅人は立ち止まることなくさっさと歩き去ってしまった。 「では旅人さん、よい旅を」 「ええ、ありがとうございます。そちらも、お仕事がんばってくださいね」 翌日、旅人は愛でる国から出国した。 この国での収穫と言えるようなものは胸に抱える一匹のゆっくりだけだったが、旅人は満足げである。 「この飾り、いくら位するんだろう。見たところ結構高そうな気がするんですけど」 旅人はゆっくりにつけられた装飾品を、すべて取り去って鞄の中におさめた。 このゆっくりの飼い主であった女が金持ちであったのだろうか、ゆっくりにつけられていた飾りは、なかなかに豪華だった。 実は次の国では貴重な資源が使われたりしてて、しばらく贅沢するほどのお金が手に入れられるかもしれない。 妄想が膨らんでいって自然とにやける旅人の顔を、ゆっくりれいむはじっと見ていた。 「ん?なに?もしかしてこれ取られるの嫌だったの?」 かなりさみしくなったゆっくりれいむをみて、旅人はゆっくりれいむがそれ返せだのわめいてくるかと思ったが、 ゆっくり霊夢はあわてて顔を横に振る。 「そんなことないよ!!れいむはそのかざりうっとうしいっておもってたもん!! とってくれてありがとう!!」 「ああ、嫌だったのそれ……。確かに飼い犬に服着せるようなものなのかもしれないかな。 他にも、前飼われてた時にいやなこととかあった?」 「うん!!まえのごしゅじんさまは、れいむにいやなことばっかりしてきたんだよ!! おそとでるときにはひもでくくられるし、いえにかえればせまいところにとじこめられたよ!! すきなゆっくりができても、じゆうにあうこともできなかったよ!!れいむはいちどもしあわせにかんじたことなんてなかったよ!!」 「そう、かわいそうにね」 やはりというかなんというか、結局女はれいむを苦しめていただけのようだった。 旅人はそのゆっくりれいむに同情を感じざるを得なかった。 「ゆー、おにいさんはほかのにんげんとちがうかんじがするよ!!」 本気で自分をあわれがる旅人を見て、ゆっくりの中で小さな希望のようなものが生まれた。 今まで本能に従ってゆっくりしてきたのだが、それは少しも幸せじゃなかった。 ゆっくりするためにいろんな人間に奉仕してきたけれども、返ってくるのは自分勝手なエゴばかり。 でも、この人間は違う。自分が幸せでないことに理解を示し、同情してくれた。 これからは、自分の生活も一変するのではないか。幸せになれるのではないか。 温かな未来を想像し、久しく忘れていた、喜びという感情によって自然とゆっくりれいむのほほは緩み、 「じゃあ、いただきます」 「ゆ?] 旅人によって、食いちぎられてしまった。 [い、いだいぃぃぃぃぃぃ!!れいむのほっぺたがぁぁぁぁぁ!!」 「うーん、この前食べた虐める国のゆっくりと味が変わらないんだけど……。 あの国、結構えげつないね」 れいむは意味がわからなかった。ほっぺに走る激痛も、目の前で自分のほっぺをおいしそうに食べる人間も。 おかしい、なにかがおかしい。ありえない。 この人間は、私を助けてくれたんじゃなかったのか。幸せにしてくれる人じゃなかったのか。 先ほどまで目の前にあった未来が、急速に遠のいていく。 「どぼじで、どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!?」 「残念なことに、私にとってゆっくりは食料でしかないから。 ゆっくりなんて持っていてもかさばるだけだし、だからさっさとここで食べるだけ」 旅人は淡々とした口調で、そう告げた。 そしてもう一度大きく口をあけて、ゆっくりにかぶりついた。 「いだいよ……どぼじで、どぼじでぇぇぇぇぇぇ……」 「もぐもぐ。別に食べなくてもよかったんだけど、もったいないし。 それと、私はお兄さんでなくてお姉さん。確かに髪は短いし胸はぺったんだからわからなかったかな?」 「…………………」 体の半分以上持っていかれたゆっくりれいむは答えられない。結果的に旅人の言葉は独り言となる。 しかしそれを気にする様子もなく、旅人は黙々とれいむを食べ続け、やがて完食した。 「ごちそうさま、おいしかったよ」 自分が平らげた命に感謝をして、旅人は食事を終える。 そしてすっくと立ち上がると、次の国に向かって歩みを始めた。 歩きながら旅人は一度だけ今来た道を振り返り、 「どこに行ったって、ゆっくりたちは絶対にゆっくりできない運命なのかね」 その旅人の問いにこたえるかのように、どこかからゆっくりの悲鳴が響き渡った。 おしまい by味覚障害の人 今回の主人公は味覚障害でも何でもないんですが、まあ毎回そうするのもあれなんで。 このSSに感想を付ける