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ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 と言いたいところだが、今日はちょっと事情が違った。 昼過ぎ、永遠亭の永琳の元へ訪れたのは、里の守護者上白沢慧音と、台車に載せられ縄で縛り付けられたやたらでかいゆっくりまりさだった。 でかい。 とにかくでかい。 直径は2メートルを優に超えている。内包する餡子の総量はいかほどであろうか。男五人で台車を引いてきたことから、並大抵のものではないだろう。 「ゆっ、ゆぐっ、ゆぐっりざぜでぇえええ」 声もでかかった。縛られているせいか上手く喋れないようだが、それでもびりびりと空気が振動するほどだった。 「これはまた、巨大ゆっくりとは珍しい。今日の用向きは、つまりこれのことで?」 「うむ。実は──」 神妙な面持ちで慧音は話し始めた。 最近、里の近くに巨大なゆっくりが近づいてきているらしい。 ごくまれに見かける巨大ゆっくりだが、その巨体さゆえあまり動くことはできず、しかも大量の餌を必要とする。 そのため普段は人が立ち入らず、餌が豊富な山奥に住んでいるのだが、昨日の早朝、この巨大まりさが発見された。 もしやと思って村の男衆が辺りを調べてみると、その他にも四匹の巨大ゆっくりまりさが見つかったのだという。 恐らく食料を求めて山を降りてきているのだろう。一週間前の土砂崩れで、餌場を喪ったものと推測された。 進路上には里の畑があり、このまま放っておけば甚大な被害が出ることは火を見るより明らかである。 おそらくは明日の夜にでも里まで到達するだろう。 その前にどうにか駆除なり撃退なりしたい──というのが慧音の願いであった。 「あなたがやればいいじゃない。別に巨大ゆっくり如き、空から弾幕でも張れば」 「うぅむ、そこが悩みどころなのだが」 どうにも、その巨大まりさの群れには、取り巻きのゆっくりがたくさんいるらしい。 また、山奥にあとどれほどの巨大ゆっくりがいるのかも分からない。 慧音がゆっくりを駆除したところで、取り巻きに顔を覚えられ、それが里に住む自分であると知られれば、一族総出で復讐に来ることも考えられた。 「つまり後腐れなく、しかも村が恨まれるようなこともない方法を考えて欲しい、と」 「その通りだ。無茶な頼みとは分かっているが、どうにかならないものだろうか」 うむむ、と永琳は思考を巡らせた。 「思いついたわ」 「早っ」 だがそこは天才、ものの五秒で妙案を打ち出した。 早速、弟子の鈴仙を呼び寄せて巨大まりさを地下研究所に運び込むと、作業を開始した。 その作業には慧音も付き合うことになった。といっても見ているだけだが。 「ゆっ! ゆっぐりはなじでね! まりざごはんたべにいぎだいんだがらね!」 地面に固定されながらも、ぶよんぶよんと身体を揺らしながら主張する巨大まりさ。自分の立場がわかっていないようである。 「うーん、予想以上にたるんでるわね。大きくなるとみんなこうなのかしら」 「まりざはたるんでなんがいないよ! びゅーぢふるぼでぃーだよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 「師匠、どうぞ」 まともに取り合っても疲れるだけだ。永琳は適当に返しつつ、鈴仙から渡された巨大な注射器をまりさに打ち込んだ。 「ゆべっ!?」 まりさは、自分の身に起きた異常にすぐさま気づいたらしい。大きいものほど鈍感だというがあれは嘘だったのか。 嘘なのだろう。現に永琳の胸についているけしからんものも、輝夜や鈴仙の手にかかれば…… 「……何かすごくピンク色の気配を感じたけど、無視することにするわ」 永琳が打ち込んだのは餡硬化剤である。ゆっくりの餡子から水分を奪い、ほとんど砂糖同然の固形物にしてしまう代物だ。 今回はそれを薄めて使用している。今回投与した量だと、ゆっくりの餡子には程よい弾力が出来る程度だ。 そしてそれが今回は極めて重要であった。 「うっ、うごけないよ! おねぇさんなにしたのぉ!?」 まりさが喚くが当然無視。そこに、いつの間にか部屋を出ていた鈴仙が普通のゆっくりまりさを連れてきた。 全部成体であり、そして、全部口が縫い付けられていた。その数九匹。 「よろしい。では次のものを」 「はい」 指令を受け、鈴仙が再び部屋を出る。 永琳は何かを訴えてくるようなまりさを持ち上げると、台の上にうつぶせに寝かせ、後頭部の皮をすっぱりと切り取ってしまった。 「やべでぇぇぇぇぇ!!! まりざのながばになにずるのぉぉぉぉぉ!??!」 「ああうるさい。施術中は静かになさい」 永琳がさっと腕を振ると途端、巨大まりさは静かになった。口がぱくぱく動いているが、声は全く聞こえない。防音の結界を張ったのだ。 「ふむ、してどうする気だ? この普通のゆっくり達は」 ずっと経過を見守っていた慧音が疑問を口にした。 「うーん、まぁおまけみたいなものなんだけど、盾くらいにはなるかなって」 と、永琳はそのゆっくりの餡子に直接餡硬化剤(濃い目)を投与し、巨大ゆっくりに近づいた。 「おっと」 しっかり耳栓をする。防音結界も、その結界の中に入ってしまえば意味はない。 結界に入った途端、すさまじい怒声が永琳を出迎えた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅっ!!! じねっ!!! まりざだぢをいじめるわるいおばざんはじねっ!!!」 「あら酷い。私永遠の十七歳なのに」 十七歳かはさておき、見た目的に若い永琳に対して失礼甚だしいことである。そう、僕らの永琳はいつだって少女臭。どこかのスキマと一緒にしな 「……何かすごくピンク色の気配をまた感じたけど、すぐに消えちゃったわね」 ぼやきつつ、永琳はすぱっとナイフを閃かせた。 「ゆ?」 その手並みが鮮やかすぎて、巨大まりさは、一瞬自分の身に何が起きたかわからなかった。 だが目の前に垂れ下がってきたモノと、そして額に感じる冷たさから、ようやく事態を飲み込んだ。 「ゆ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」 まりさの額にはぽっかりと穴が開き、中の餡子を覗かせていた。 その穴に、永琳は後頭部の皮を切り取ったまりさを突っ込む。 「ぶぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 巨大まりさが叫ぶ。口を縫われた普通のゆっくりは何も言えず、ただがくがくと身を痙攣させていた。 そんな様子にも構わず、永琳は慣れた手つきで普通のゆっくりと巨大ゆっくりの接合面を縫い付けていった。 それを繰り返すこと八度。 巨大まりさの額の円周上には、見事、普通のゆっくりの顔が埋め込まれていた。 埋め込まれたゆっくり達はどれも苦悶の表情を浮かべ、しかし、それぞれがちゃんと生きている。 九回も頭をくり貫かれた巨大まりさは息も絶え絶えだが、こちらも死ぬような様子はない。 「これは……まさか……」 慧音は何かに気づいたようだった。永琳はその様子にニヤリと笑みを浮かべた。 「師匠、連れてきました」 「うー?」 戻ってきた鈴仙が伴っていたのは、ゆっくりふらんだった。それも成体──胴付きである。 ふらんは興味深そうに巨大まりさを見ている。 普段ならすぐにかぶりついてもおかしくないところだが、さっき食事をしたばかりのため、食欲は沸かないらしい。 慧音が驚く。 「ここではふらんまで飼育しているのか」 「れみりゃもいるわよ。まぁそっちはもう研究し尽くしちゃったし、どうでもいいのだけれども。 その点ふらんはまだ分かってないことも多くてね、興味深い研究対象だわ」 答えつつ、永琳はふわりと浮き上がる。 巨大まりさの頭上に立つと、その帽子を蹴り飛ばし、まりさが抗議をあげる前に、その頭頂部に包丁をつきたてた。 「ゆっ! ぎっ! ぶべっ!」 「流石に厚いわねぇ。しかもマズそう」 そのまま、鋸でも引くように、円形に頭の皮を切り取った。出来た穴は、ちょうど子供一人がすっぽり納まる程度の大きさである。 「鈴仙、頼むわ」 「はーい。それじゃあふらん、今から一緒に面白いことしようねー」 鈴仙はふらんの脇に手を入れて持ち上げると、そのまま浮かび上がった。 そして巨大まりさの真上まで来ると、よく狙いを定めて、 「「パイルダァァァァァァァァオォォォォォォォォォン!!!!」」 師と弟子の声が重なった。 ずぼんっ、と気持ちのいい音を立てて、巨大まりさの餡子の中に、ふらんが腰まで突っ込まれた。 「ゆっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 当然、絶叫したのは巨大まりさである。人間なら脳に直接腕を突っ込まれたようなものだ。 一方、慧音は言葉を喪っていた。永琳と鈴仙の残酷合体に慄いたからではない。もっと別の何かに、心動かされていた。 「これは……これは! 十面鬼ゴル○ス・人面岩形態!!!」 「イグザクトリィィィィ─────ッ!!!!」 ビシャアァァァン!!!と雷鳴を轟かせながら、慧音と永琳はお互いを指差した。 ここに二人の心は、かけがえのない絆で結ばれたのである。 幻想郷の住人が何故ゴル○スを知っているのか、という疑問はあるが、些細である。テンプレ的に全てスキマ妖怪のせいにしてしまえば良い。 「……! う゛ー! きもぢわるい! だせ、だせぇーぇぇぇ!!!」 ふらんはようやく事態を理解すると、途端に騒ぎ出した。腰から下が餡子風呂に使っているのだから当然か。 しかしふらんがもがけば、苦しむのは当然巨大まりさである。 「ゆびぃっ! やげっ、べっ、まりざのなががぎまじぇなぎでっべぇぇぇぇぇぇええ!!!」 餡子脳をぐちゃぐちゃにかき回され、まりさは声にならない叫びを上げた。しかし餡子が飛び出るわけではないので、死にはしない。 「ほらほらふらんー、暴れないでねー、今から面白い遊び教えてあげるからねー」 「……う゛ー」 普段から世話をしている鈴仙になだめられ、ようやくふらんは少し大人しくなった。 鈴仙はふらんの手に、魔理沙の髪の毛を握らせる。そして、右のほうを引っ張るようジェスチャーした。 「う?」 ぐいっ。 「ゆべっ!」 びぐん、とまりさの巨体が震え、身体がやや右を向いた。既に固定は解除されている。 「…………」 ぐいっ、と今度は左。 「べひっ!」 するとやはり、まりさは左を向く。 幾度かの試行を経て、ふらんは理解した。 このおおきなまりさは、じぶんのおもいどおりにうごかせる。 「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! まりざをおぼぢゃにじないでぇぇぇぇ!!!!」 痛みと混乱から今まで静かだったまりさが、とうとう根を上げた。 だがそれを許すふらんではない。既にもう、これは自分のものなのだ。 「うー! しねっ!」 ボグシャア、と握り固めた(ゆっくりにとっては)硬い拳を振り下ろす。 「べびぎっ!」 頭部の中心を勢いよく殴られ、まりさは呻く。 「しねっ! しねっ! ふらんのゆーこときかないまりさはしねっ!」 「ばびゅっ! おぶっ! ぶぎゃ! ……あ゛あぁぁぁぁん!! もうみんなのどごがえるぅぅぅぅぅ!!!!」 泣き言をあげるたびにふらんの拳が飛ぶ。 だがやがてふらんは、わざわざ殴らなくていいことに気づいた。ちょっと足を動かしてやれば、すぐにこのまりさは大人しくなる。 「わがりまじだぁぁぁああ!!! ゆーごどぎぎまずぅぅぅぅ!!!」 二十分後、とうとう、まりさはふらんに完全に屈した。でかい瞳から滝のように涙を流し、ふらんのものになることを受け入れた。 感覚が繋がっているのか、それとも恐怖からなのか、巨大まりさに埋め込まれた普通のまりさ達も泣いていた。 「ホラーですね」 鈴仙の呟きに、まったくそのとおりだと永琳と慧音は頷いた。同じ顔が並んで涙を流している光景は、結構引く。 「よし、じゃあふらん、次は前に動く練習よ。足を前に踏ん張って」 「う? ……こう?」 「ゆぼぇっ!?」 ぐりっ、と餡子を踏んづけられたまりさの巨体が跳ねた。 「そうそう! それを連続して!」 言われたとおりにふらんが足を前に蹴りだすと、それに合わせてまりさが跳ねる。 それが楽しくてしょうがなく、ふらんはすぐにコツを掴んだ。 「止まるときは足を後ろに踏ん張って、右に曲がりたいときは右の髪、左に曲がりたいなら左の髪!」 「うっ、うっ、う~う~♪」 終始ご機嫌な様子で、ふらんはまりさを『操縦』している。 「ふぅむ、中々覚えがいいんだな」 「他のゆっくりに比べればだけどね。語彙は足りないけど、知能レベルはそこそこよ。 これまでの研究結果だと、特に『楽しいこと』『狩りのこと』に関しての覚えは特に良いわ。 まぁそれでも、曲りなりにも『手』を持ってる生物としては、当然といったレベルかしら」 そこで、はぁ、と永琳は溜息をついた。 「……むしろ、何故ゆっくりれみりゃがあそこまで知能が低いのか理解できないわ。 どこをどうしたら、あそこまで愚鈍になれるのか……しかも幼体のほうが強いって」 「まぁゆっくり自体わけのわからん生き物だからなぁ」 「ぶっちゃけないでよ。自分のしてきたことが無意味に思えちゃう」 憮然とする永琳の前で、鈴仙は熱心にふらんの指導に取り組んでいる。 「足を後ろに踏ん張って止まる!」 「うー!」「うぎぃ!」 「すかさず髪の毛を両方引っ張って、足を前にやってばんざーい!」 「ばんじゃーい!」「うべぇぇえええ!!」 鈴仙の的確な指示に従って、ふらんが両手を挙げると、まりさの巨体が大きくジャンプした。 そして見事に着地する。 「良しっ! ディ・モールト! ディ・モールトいいぞっ! よく学習してるぞ!」 そろそろ鈴仙にどこかの子作り野郎の霊が降り始めたところで、永琳は慧音に持ちかけた。 「あなたをここに連れ込んだのは、あのフランを教育してほしいからなの」 「あの月兎がいれば充分に思えるが……」 「あの子はアメばかりでムチの使い方がいまいちでねぇ。その点、あなたなら安心だわ。学校の先生だもの」 「まぁいいが……それで、どの程度まで教育すればいいんだ?」 その言葉に、永琳は了承が取れたものと理解した。永琳は告げた。 「一日で、木馬を操る子供が、いっぱしの走り屋に至るまで」 「──心得た。引き受けよう」 慧音の瞳には、教育者の熱い炎が灯っていた。 昔慧音は走り屋だった。 妹紅と一緒に峠を攻めては、四季映姫機動パトロール隊によく追いかけられたものである。 それを撒いて仲間と共に、ゆっくりを肴に呑む酒は最高だった。 だがそんな慧音を走りから遠ざける事件が起こった。 走り仲間だった阿八が、ある日事故って死んでしまったのである。 最もゆっくりを愛し、最も走りを愛した少女だった。 その日も道路上に敷き詰めたゆっくりを、愛車(リヤカー)でひき潰す遊びをしていたところだった。 危ないからやめろと慧音と妹紅はいつも止めたが、しかし彼女は若かった。 その挙句が、餡子に滑って転んだ上に崖の下まで転げ落ち、そこで見つけたゆっくりの群れを、大量出血状態のまま破壊したが故の死である。 慧音と妹紅と走り仲間達が出席した葬儀には、あの四季映姫も参列していた。 ぶるぶると拳を握り固め、嗚咽を洩らすその姿は、自らが救えなかった若人の命を嘆いているかのようだった。 それを見た途端、慧音の心にあれほど燻っていた走り屋の火が、小さくなっていった。 「阿八よぉ……お前、本当に風になっちまったンだなぁ……」 それ以来慧音は走りをやめ、やがて教師を志し今に至るというのは勿論全部ウソである。 翌日。 「──今だっ! カットバックドロップターン!」 ズァギャギャギャギャギャッ、っと凄まじい音をさせながら巨大まりさが床をドリフトする。 心地よいエキゾーストノート(=巨大まりさの叫び声)が見るものの心を震わせる。 慧音の教えのお陰で、今や完全にふらんは巨大まりさを我が物としていた。 慧音は満足そうな顔で車体を止めたふらんの高さまで飛ぶと、その頭をすごい勢いで撫で始めた。 「良ぉお~~~~~~~しッ! よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし。 りっぱにできたぞ! フラン」 「うっう~☆ にぱ~」 撫でられるふらんもまんざらではなさそうである。 時には厳しく、時には優しく慧音はふらんを教育した。そしてふらんはそれに答えた。教育者としてそれに勝る喜びはない。 「頑張ったご褒美をやらんとな! ゆっくりれいむ二個でいいか?」 「うぁ~! うっうっう~」 「三個か!? 甘いの三個ほしいのか!? 三個……イヤしんぼめ!!」 言いながら、慧音はふらんに三匹の赤ちゃんれいむを与えた。 「おがぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁああ!」 「ゆっぐりでぎないぃぃぃぃ!」 「やべべべべべべべ!」 ちなみに他の姉妹や母親は、今は巨大まりさの腹の中だ。 ふらんが望めば、最早まりさの口の動きさえ思いのままなのだった。 操られる巨大まりさの顔からは色というものが消えうせ、ただ虚ろだった。 その感情を代弁するかのように、九個の埋め込まれたまりさが涙を流す。 ふらんとまりさの仕上がりに満足した永琳は、腕を組んで頷き、計画を実行段階に移すことを決定した。 そしてその日の夕方。 「まりさおそいねー」 「ねー」 森の一角で、七匹の巨大まりさが和んでいた。周囲には百匹は下らない、普通のゆっくりが控えている。 まりさ達は、先日斥候として里の様子を見に行ったまりさのことを話していた。 今まで住んでいたところの食べ物が少なくなって、こうして山のふもとまで降りてきたのである。 どうにか食料を調達できないかと悩んでいたところ、先のまりさが里を襲って食べ物を奪うことを提案したのである。 他のまりさ達は人間の危険性を良く知っていたので止めたが、幼い頃うまく出し抜いた記憶のあったまりさは頑なに主張を譲らなかった。 だが、食料がなければ最終的に餓死してしまうことに変わりはない。 結局、他のまりさは折れ、言いだしっぺのまりさが斥候として里の偵察に行ったのだった。 協議の結果、三日経って戻ってこなかったら全員で突撃する、という約束で。 ……斥候が戻ってこないということは、つまり重大な危険が迫っているということだが、しかしそんなことまりさ達も承知である。 要するに口減らしをするつもりであったのだ。 飢えたゆっくり、強欲なゆっくりほど、我先に里へと飛び込んでいく。 するとそこには、きっと人間達の罠が待ち構えているだろう。馬鹿なゆっくりほどそれにかかって死んでいく。 後に残るのは、見識ある大人達と、未来ある子供達と、それを率いる自分達だけだ。 実際にはそこまで深く考えていたわけではないが、馬鹿なやつほど早く死ぬということは、巨大ゆっくり達がそれまでの経験で学んだことだった。 だから別に、あのまりさが戻ってきてくれなくても困らない。いやむしろ戻ってこないほうが都合が良いのだ。 だが、その希望は容易く打ち砕かれた。 遠くの木陰に、見慣れた丸い影を発見したからである。 「ゆっ! まりさだっ!」 他の小さなゆっくり達も気づいた。そして口々にまりさまりさと呼び始める。 まりさはのっしのっしと木の隙間を器用に縫って跳ねてくる。 巨大まりさ達は、ほっと息を吐いた。安堵が半分、残念が半分である。 まぁ見たところ怪我もないようだし、良しとしよう。好んで仲間を死なせたいわけでは、必ずしもない。 それに無事に帰ってきたということは、里は襲い易いのかもしれない。それを期待した。 「まりさっ! おかえりっ! にんげんのさとはどうだったの?」 巨大まりさの一匹が近寄って出迎えた。 「まりさ?」 だが帰ってきたまりさは、ぷるぷると身を震わせるだけで、動かなかった。 「どうしたのまりさ? けがしたのー?」 周りの小さなゆっくり達も声をかけるが、それでもまりさは答えない。 「みっ……みんなっ……」 そしてようやく、掠れるように声を出し、 「みんな゛っ、ごべんね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!!!」 まりさの帽子が吹き飛ぶ。それは風などではなく、内側からの力によって。 そしてその下から──帽子と、めくれ上がった前髪の下から現れたのは── 「うー!! たーべちゃーうぞぉぉぉぉぉお!!!!」 自らの身体に九匹のゆっくりを埋め込んだ巨大まりさと、その頭上に埋まったゆっくりふらん。 「「「「「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」」」」」 あまりに理解の範疇を超えた出来事に、その場にいた全員が固まった。 そしてふらんは、慧音に教えられたとおりの言葉を発した。 「いっただぁきまぁーーーーーーーーーーすぅ!!!」 ふらんがまりさの髪を掴んだ両手を持ち上げ、足を後ろに踏ん張る。 するとガパッとまりさの口が開き、 「ゆっ?」 ふらんが手足の力を抜くと同時、まりさを心配して駆け寄った巨大まりさの顔面を、一口で削り取ってしまった。 それが地獄の始まりだった。 「七匹か……報告より多いわね」 「どこかに隠れていたのか。少々厄介だな」 「取り巻きも多いですね。これは襲撃されたら危なかった……」 「まぁでも問題ないんじゃないッスかね」 木陰から、永琳、慧音、鈴仙、てゐがその様子を覗いていた。 いつの間にか加わっているてゐは、ここまでの道の案内役という名目の、ただの野次馬である。 実際、てゐの言うとおり、ふらんの操縦する巨大まりさ──コードネーム・十面まりさは圧倒的だった。 巨体であるがゆえに、まりさ自身は生かしきれなかった自らの性能を、ふらんは完全に引き出している。 加えて餡硬化剤を注入したことにより、十面まりさ自身の頑丈さもアップしている。そこらのゆっくりには殺せない。 「おっと、二匹目が喰われたな」 恐慌状態に陥り、三々五々に逃げ回るゆっくり達を、ふらんは的確に追い詰めた。 今も逃げ出そうとした巨大まりさを木の陰から追い詰め、その側面を十面まりさに齧らせたのだ。 さすが捕食者に回るだけあって、狩りにおけるその本能は並々ならぬものがある。 「……どうしてふらんはあそこまでやれるのに、れみりゃがあんなに駄目なのか理解しかねるわ」 天才ゆえの性か、永琳は本気で頭を悩ませていた。 さておき、いよいよ現場は凄惨を極めてきた。 十面まりさが跳ねるだけで、近くにいた小さなゆっくり達は餡ペーストになる。 そこに逃げ回る五匹の巨大が加わるのだから、もう大変なことになっていた。 「どうじでながまをごろずの! まりざぁぁぁぁぁぁああああ!!!」 いち早く混乱から復帰した巨大まりさが、十面まりさに真意を問うた。 「ぢがうのっ! まりざのぜいじゃないっ! まりざがごろじだんじゃないいいいいい!!!! ふらんがまりざをおもぢゃにじでるのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 必死に抗議しながらも、身体は止まることを赦してはくれない。 「ゆっ!」 間一髪避けた巨大まりさの横で、がちん!と十面まりさの歯が鳴った。 命の危機に瀕したそのまりさは、とうとう、認識を改めた。 最早殺すより他に無し。 このまりさは、もう、自分達とは違うものだ。 ふらんに下り、その手先となってゆっくりをゆっくりさせぬ全てのゆっくりの敵だ。 「……わかったよ、まりさ」 「ゆっ!?」 ぱっと十面まりさの顔に喜色が灯る。助けてくれる。そう思った。 だが無論、そんなことはありえなかった。 「まりさはそこで、ゆっくりしんでね!」 「「「「ゆっくりしね!!!!」」」」 他の四匹の巨大まりさも同調し、一斉に飛び掛ってきた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!! どうじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!?!?!?」 十面まりさの全ての顔が、絶望の色に染まった。 「しねっ!」 「そんなきしょくわるいまりさ、もうまりさのしってるまりさじゃない!」 「よくもまりさたちのなかまをころしたな!」 「まりさたちのなかまをよくも!」 「まりさたちのともだちをよくも!」 「よくも! よくも! よくも!」 「ころしたなぁああああああああああああ!!!!!」 「ころせっ! まりさをころせっ! あのまりさをころせっ!」 「ころせっ! ころせっ! ころせっ!」 「ころせッ! ころせッ! ころせッ!」 「 あ の ま り さ を 殺 せ ッ ! ! ! ! ! 」 最早すべてのゆっくりが、十面ゆっくりの敵だった。 「ああああああ……どうじで……どうじでええええええええ……」 捕まったときは、きっと助けに来てくれると思った。 辛い仕打ちを受けても、きっと助けに来てくれると信じていた。 だから、自分がふらんに操られ、みんなを襲うことになったのがとてもイヤでイヤでしょうがなかった。 許してほしいわけじゃなかった。 自分が無謀を働いたから、こんな結果になったのは分かっている。 分かっているけれど。 せめて、そう、せめて。 『仲間』のまま、死んでいきたかったのに── 「……! うー! うごけ! いうこときけっ!」 ふらんは、突然動かなくなった十面まりさに戸惑った。 髪を引っ張っても足で蹴っても、びくびくと痙攣するだけで言うことを聞かない。 目の前からはゆっくりの大軍が迫ってくる。空を飛べるふらんは、このまま十面ゆっくりを見捨てて逃げればどうということはない。 だがそれよりも、さっきまで自分に従っていたものが動かなくなったことが気に入らない。 ふらんは、このまりさとあのまりさ達の間にどんな関係があったのかは知らない。 無論、あまりの絶望から、この十面まりさがゆるやかな精神の死を迎えつつあることも。 知らないからこそ、許せない。 玩具風情が、自分の意に沿わないことが。 「うぅー! うぅー! うぅぅぅぅうううううううううううううううううううううう!!!!!!!」 ──思い通りに動かなくて癇癪を起こすという点では、ふらんもれみりゃと同じと言えるだろう。 だがふらんのそれは、れみりゃのそれよりもっと強く、もっと的確で、そして、敵意によって成り立っていた。 「動けえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」 「ゆぶぐぇっ!?」 ずぶぎゅっ、とふらんは両手をまりさの頭の中に突っ込んだ。 新たな衝撃に、刹那、まりさの意識が覚醒する。 ふらんはさらに、餡子を握り締めると、それを狂ったように滅茶苦茶にかき回した。 「あいづら、ぜんいんっ、 喰゛い゛殺゛せ゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「ブガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」 その瞬間、十面まりさの自我は完全に死んだ。 「あら、これは──」 「暴走したか。精神的にも肉体的にも限界だったようだな」 永琳達の視界の先で、十面まりさは暴れ狂っていた。 白目を剥き、口から餡子を迸らせ、全身を木や地面に打ちつけながら。 その過程で数多のゆっくりをひき潰しながら。 全員で襲い掛かろうとしたのがまずかった。近くにいた小さなゆっくり達はほとんど潰れてしまっている。 「ぎぇばあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 巨大ゆっくりの一匹が凄まじい悲鳴を上げた。後ろから噛みつかれたのだ。 その一撃で死ねたならいっそ幸運だっただろうが、運動中枢すらおかしくなりかけている十面まりさは、がちがちと歯を鳴らすように少しずつ削り喰っていた。 「じねぇっ!」 その隙を突くように別の巨大まりさが襲い掛かるが──そのまりさは忘れている。十面まりさの肉体の主導権は、ふらんの手にあることに。 まりさの中で、ふらんの手足が蠢いた。 「ゆぅっ!?」 すると十面まりさは、それまでの動きをまるで無視して真上に高く飛び上がり、そのまま、真下の二匹を踏み潰した。 「残り三匹ですね……って、危ない!」 着地の隙を狙って、残った三匹が一斉に躍りかかった。三方向同時攻撃。避けられない。 「! うー!」 戦いの中で、ゆっくり狩人としての闘争本能が完全覚醒を迎えたのか、ふらんの決断は早かった。 十面ゆっくりに、正面の一匹に噛み付くよう操作してから、自身は餡子から手足を抜いて飛び出した。 「「「じねッ! ゆっぐりじ」」がぁああああああ!!!」 三匹のうち、噛み付かれた一匹が叫ぶ。その隙をふらんは見逃さない。 落下の勢いそのままにまりさの皮を食い破ると、餡子の中に足をじたばたさせながらもぐりこんだ。 「てゐ何撮ってるのよ」 「ふらんのおふぁんつ」 「……売れるの?」 「好事家ってどこにでもいるもんだよねー」 ふらんはそのまままりさの中にすっぽりと身を埋めてしまった。 「あぽぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!! ながっ、ながにいぎゅぅぅううううう!!!」 残り二人は十面ゆっくりの始末をつけるのが最優先で、助けようとはしなかった。 いや、助けようとしても最早手遅れだ。 ふらんは散々まりさの中を引っかき回したあと、まりさの頭頂部を突き破って現れた。 「うううううううううううううううううううう!!!」 母の胎を引き裂き生まれる鬼子のように。 「ストナー○ンシャイン」 「レ○エルを中から破壊したエ○ァ」 「ええっと、マ○ターテリオンですか?」 「これだから! これだからエロゲ世代は!」 「散々ウドン○インネタで引っ張られておきながら今更それを持ってくるとは!」 「ちょ、酷くないですかその反応!」 「……とんだオタク揃いウサ」 永琳たちが口々に感想を述べている中で、ようやく残った巨大まりさ二匹は、ふらんの姿を認めた。 そして気づく。 これが自分達の敵だと。 自分達の大事な友を貶めた真の敵だと。 「……って思ってるならまぁ都合のいい考え方よねぇ。いつも思うけどゆっくりって自己正当化にかけては天才よね」 「仕向けた張本人がよく言う。おっと、そろそろ佳境だな」 慧音の言うとおり、ふらんとまりさ二匹は総力戦に突入した。 一匹を自ら仕留めたふらんだが、敵もさるもの、ここまで大きくなるまで生き延びてきたのは伊達ではない。 「ゆっくりしんでね!」 「つぶれてしんでね!」 「うー、ゆっくりしねっ!」 まりさ達は、ぼてんぼてんと跳ね回っているようでいて、しかしお互いを守りあうように動いていた。 ふらんはイライラした。でかいだけのただのゆっくりのくせになんて生意気だ。 「う゛ぅー!」 ふらんは手近なゆっくりの屍体を手に取ると、まりさの一方に向かって投げつけた。 偶然、それが目に当たる。 「ゆ゛ぁー!」 「まりさぁっ!?」 片方に起きた突然の事態に、もう一方も思わず足を止めてしまう。それこそがまりさ達にできた隙だった。 ふらんは目潰しを喰らったほう──ではなく、それを心配して無防備な横腹を晒しているほうに飛びかかる。 「じねっ! じねっ!」 「ゆぎゃぁっ! やべでぇええ!」 「じねぇえええええええええええええええええ!!!!」 噛み付き、引っかき、抉り出し、中の餡子を掻き出していく。 まるで削岩機のように、ものの数秒で大量の餡子が流れ出していった。 だが、それに夢中になっていたのがいけなかった。 「──ゆっくり死ねぇぇぇえええええ!!!」 いまだ目の見えないもう一匹が、音だけを頼りにボディプレスをしかけてきたのだ。 慌てて逃げようとするふらんだが、あまりにも餡子の奥深くにまで手を突っ込んでいたため、それも叶わない。 このままでは潰される──そう永琳達が息を止めた瞬間。 それは起こった。 「う゛ぅ゛ー!!」 ふらんの首だけがすぽんと抜けて、空中に飛び出したのだ。その後部から小さな翼を伸ばし広げる姿はまさに、 「「ジオング!!!」」 永琳と慧音の声が重なった。 着地した巨大まりさは、ふらんの胴体のみを潰すだけに終わる。いや、着地の衝撃で虫の息だった仲間に止めを刺してしまった。 その事実に戸惑うまりさに、すかさず、首だけとなったふらんはとどめの一撃を放つ。 「おお、あれは!」 「自らの回転力によって敵を屠る必殺の!」 永琳と慧音は、ふらんの突撃に合わせて声を張った。 「超○覇王電影弾んんんんん!!!」 「ギガド○ルブレイクぅ────!!!」 ふらんの牙が、まりさの後頭部から進入した。 「ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 そしてそのまま頭の表面をまっすぐに削っていく。 ふらんが通り抜けたあとには、哀れ、逆モヒカンとなった巨大まりさが残った。 頭頂部がごっそり抉り取られたことで左右に負荷がかかり、まりさの顔は真ん中から裂け始めた。絶命も時間の問題だろう。 そしてこちらでも、ある一つの絆が引き裂かれようとしていた。 「──ちょっと! なんでそこでグレ○ラガンなのよ! あなた何考えてるの!?」 「そっちこそ! 何故そこでGガ○なんだ! 阿呆か!」 「あなたにマスター○ジアとド○ンの何が分かるのよ!」 「貴様こそカ○ナとシ○ンの何が分かるって言うんだ!」 「あの……師匠も慧音さんもそろそろですね……」 「メタネタも大概にしようよー。きっと読者引いてるからさー」 永琳と慧音が昨日築いた絆は脆くも崩れ去った。 言い争いを続ける後ろでは、首だけになったふらんが、虫の息となった巨大まりさの餡子をむしゃむしゃ食べている。 「慧音さまぁー! 永琳どのぉー!」 と、そこに遠くから男の声が聞こえてくる。皆が声がしたほうを見ると、手に手に鍬や鋤を持った男衆が、こちらに走ってきていた。 「おお田吾作、どうしたこんなところまで」 「いやはや……慧音様は任せてくれとおっしゃいましたが、我らいてもたってもいられず馳せ参じた次第でありまして。 して、巨大ゆっくりはどこに?」 「ん、ああ、折角のところすまんな。もう片付いた」 「なんと! それはまことにございまするか!」 「うむ。まぁ功績は私ではなく、この永琳殿と、あそこのゆっくりふらんに与えられるものだがな」 おお、と男達がどよめいた。 永琳には以前から世話になっていたことから、尊敬の念を新たにすれど、それほど驚くことはなかった。 だがまさか、捕食種といえども、ゆっくりふらんがあの巨大なゆっくり達を倒すとは…… 「う?」 自分を見つめる数多の視線に気づいてか、ふらんが振り返った。 まりさの餡子を大量摂取したせいか、既に身体は復元している。 「英雄じゃあ……」 「我らの守り主じゃあ!」 感極まった男達は、一斉にふらんへ駆け寄った。 その際、まだ生きていた十面まりさの顔の一つが踏み潰されたが、口が縫われていたため叫びも上げず誰も気づかなかった。 「ゆっくりふらんばんざーい! わーっしょい! わーっしょい!」 「う゛ー!?」 円陣を組んでゆっくりふらんを胴上げする男衆。それを身ながら、慧音はうむと頷いた。 「これにて一件落着だな」 「そのようね。里の危機は回避されたわ」 趣味の相違によって崩れかけた絆だったが、仕事を一つやり遂げた達成感から、それは修復されつつあった。 「それでは永琳殿、今日はこれにて。また何かあったら、そのときは」 「ええ、是非力にならせてもらうわ」 がっちりと握手を交わす半獣と薬師。そこにはお互いへの信頼があった。 「……それはともかく、あのふらんはどうしましょうか」 胴上げされ続けているふらんを見ながら、鈴仙は言った。 「うーん、まぁあのままで良いんじゃないかしら。強いし、里で飼ってあげれば良い守り役になると思うけど」 「そういうことならばありがたい。是非そうしてくれ」 「ではそういうことで」 「うむ、恩に着る」 頷き合う二人の後ろで、ふらんが泣き喚いている。 「う゛ー! あぜぐざいー! ずっばいにおいがずるー! みんなじねぇぇぇぇぇ!!!」 「わーっしょい! わーっしょい!」 胴上げは、いつまでも続いていた。 それから。 里には永琳の手によって、ふらん専用十面れいむが配備された。一つの家族から作った一級品である。 加えて二十数対のふらんの幼体が卸され、里の守りをより強固なものとした。 ふらんはそれらの幼体を従え、十面れいむを駆り、慧音と共に里の平和を守り続けることだろう。 汗臭い男達に囲まれながら。 「う゛ー! もうおうぢがえるー!」 どっとはらい。 あとがき 正直メタネタとかロボネタが多すぎたと思う。でも謝らない。 なお、タイトルが十面鬼編となっているのは、以前書いたゆっくり実験室の続編の構想があるからです。 そっちのタイトルをゆっくり実験室2とする予定だったので、こちらは番外編のような扱いに…… 一つしか出してなくて何が番外編かって話ですよね。 このSSに感想を付ける
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注)今回は虐待要素が変な方向に向かってますw 僕はゆっくり改造お兄さん! 略してゆ改お兄さんだよ! 僕はゆっくりを直接改造して良個体にする仕事をしてるんだ! 今日はゆっくりを改造するところを見せてあげるよ! ここは僕の働く研究所! ここでゆっくり改造をしてるんだ! 早速僕の作品を見せてあげよう! まずは「絶対にれいぱーにならないゆっくりアリス」 「ゆー!お兄さんはとかいはねー!」 このアリスはどれだけ振っても振動を与えてもれいぱーにならないんだ! 試しにやってみるよ!」 ブンブン! 「ゆー!れいぱーは全然とかいはじゃないわー!!」 「ね!れいぱーにならないでしょ!」 作り方は簡単!発情しにくいゆっくりれみりゃの中身をごく少量スポイトで取り出してアリスに打ち込むだけ! 他にも「プリンの嫌いなれみりゃ」! 普通なられみりゃはプリンが欲しくて駄々をこねることがあるでしょ? でもこのれみりゃは矯正してないのにプリンを欲しがらないんだ! 実際に見てみよう! 普通なら・・・ 「れみぃはぷでぃんが食べたいどーー!!!」 「ぷでぃんくれなきゃやだああああ!!」 うるさいから始末しとこうw 「うーーー!!!いぢゃいどおおおおお!」 「ちゅぶれるどおおおおお!!!!!」 ブチュッ! 気をとりなおして改造ゆっくりだと・・・ 「うーー!おにーさん!おかえりなさいだどー!」 「そうだ!プリンあげようか?」 「うー!れみぃにきをつかわなくてもいいどー!そのかわりに他のゆっくりにやさしくしてあげてほしいど ー! ね?賢いでしょ? 他にも「れみりゃと仲のいいゆっくりふらん」や「衝撃に強いぱちゅりー」などの作品をつくってるんだ! この作品で僕はお金を稼いでるんだ! 次は実際にゆっくりを改造しているところを見せてあげよう! 続く あとがき ついに長編としての作品作りをはじめました! いやーwどんなことも始めることはとてもすがすがしい気にさせてくれます!これからもよろしくお願いします! by No.13 P.S スパゲッティのナポリタンって日本で出来たんですよ!
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「おりこうふらん」 庭で雀がさえずる、穏やかな朝。 両親や祖母はすでに食卓についていたが、妹は寝坊したらしく、慌ててやって来た。 家で飼ってるゆっくりふらんもぱたぱたとやって来る。 今日の朝食はトーストらしい。 私はご飯。 ホカホカとした香りが漂ってくる。 妹は勉強の愚痴をこぼしている。 もうそこまで進んだんだ。もう私には分かんないレベルだ。 こらこら、ふらんに振っても分かる訳無いでしょうが。 朝の団欒は早くも終わり、両親も妹も家を出た。 私は今日は家に居ることにした。 祖母はふらんと遊んでいたが、いつもの時間になると、出掛ける準備を始めた。 ふらんも同じだ。 二人は準備が終わると、いつもの場所に出掛けた。 私も後をつけて行く。 途中、鍵を締めたかどうか気になったけど、そもそも開けて無かった。 相変わらず、間抜けだなぁ、私。 二人はそこに着くと、黙って手を合わせた。 そして、辺りを綺麗にし始めた。 「ふらんちゃん、上手になったねぇ。」 「うー!ゆっくりし……」 ふらんはそこで、詰まり、涙ぐんだ。 「ゆっくり……しんじゃったぁ……。」 ごめんね。 ふらんのせいじゃないんだよ。 ゆっくり出来なかった私が悪いんだよ。 祖母がふらんをなだめて、二人は作業を続けていく。 私の名前を刻んだ御影石は、とても綺麗になっていた。 えーき様がいるから、きっと大丈夫!! 生まれ変われるとしたら、また人間?それともゆっくり? どちらでも、待っているのは幸せな未来。 -- ゆっけの人 (2009-01-01 10 33 03) 切ない……こういうのもいいですねぇ。 「私」の来世に幸あれ! -- 名無しさん (2009-01-01 17 46 09) 外の世界っぽいから映姫さまの管轄外なような・・・ -- 名無しさん (2010-11-26 19 10 48) 名前 コメント
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これはゆっくりいじめ系359 踏みにじられた花の勝手に書いた続きです。 読む前に踏みにじられた花をお読み下さい。 更に、初投稿なので拙い所もあるかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。 めーりんが引き伸ばされ餓死した夜に、ある一匹のゆっくりふらんが死んだめーりんを見つけた。 最初は何か分からなかったが興味を引かれ近づくにつれ、見慣れた帽子や髪を見て慌てて近寄るが、既に死んでいためーりんにふらんは肩を落と し静かに泣く。伸ばされたお腹にゆっくりゆうかの死体があったが、ふらんにはどうでも良い事だった。 ふらん種にとってのめーりん種は母親に近い感情を持っている。 出会ったばかりの頃、めーりんはふらんを見るや齧られ投げられても、ニコニコして餌を取ってくれたり遊び相手になってくれる。 そんなめーりんにふらんも最初は疎んでいたが、自分を見る物は逃げ惑う者ばかりなのに変わらず側に居てくれるめーりんをふらんは家族に近い 感情で受け入れた。 それゆえに、ふらんはめーりんを襲うことは無い。それ所か子供が生まれたら自身が餌取りに出かける間、子供をめーりんに任せる位である。勿 論、子供を見てくれるめーりんの分のごはんも取らなければいけないが、安心して任せられるので苦にならない。 めーりんとふらんは実に良好な関係と言える。 そんな大好きなめーりんをこんな異常な殺し方をした犯人は許せないと、ふらんは泣き顔から一転憤怒の表情に変えて犯人を見つけ出して復讐す る事を決心する。 決心したは良いが犯人の検討がつかないふらんは困ったが、すぐそばの花畑でゆっくりの気配を感じそのゆっくりを捕獲する。 「ゆっくりわからないよー! ゆっくり離してねー!」 「うるさい! ゆっくり黙れ!!」 ふらんが聞くにはそのゆっくりはゆっくりちぇん家族で、子供が美味しいゆっくりスポットが有ると言うのでお腹が減って食べに来たと言う。 「おい!」 「ゆぅっ? 何っ?!」 ふらんは捕まえた親ちぇんをめーりんの所に連れてくる。子供達は親から助けたいのか逃げれば良いのに着いて来る。 「このめーりんをこんなにした奴を知らないか! 知っていたら殺さないでやる!!」 「ゆっくりわからないよー! ちぇんは今来たばかりだから何もわからないよー!!」 思わず睨む顔がきつくなる。手がかりを掴んだと思ったら何も知らないゆっくりだったからだ。今は潰す時間も惜しいので親ちぇんを捨てようと すると、周りで跳ねていた子ちぇんが大声を上げる。 「わっ、わかるよー! ちぇんはわかるよー!!」 「う?」 「ちぇんを此処に連れて来てくれたまりさ達がやっていたよー! 恐かったから近寄れ無かったよー!」 「そいつらが居る場所、分かる?」 「分かる、分かるよー! だからおねーちゃんお母さんを放してねー!」 手掛かりを掴んだと喜ぶふらんだが、親を助けたい為の出任せかもしれない。 「それじゃ、今からお前を掴んで空を飛ぶからそいつらの所に案内しろ!」 「ゆゆっ?!」 親ちぇんが抗議しようとするが掴む手を強めて黙らせる。 「ちゃんと案内出来たらお前達は殺さないと約束する。だから……頼む」 「ゆっ……」 親ちぇんも子ちぇんもふらんが命令からお願いに変わったのを聞いて、このめーりんがとても大事なものだと悟った。 「おねーちゃん、わかったよー! 案内するよー! ちぇんに任せてねー!!」 「……ありがとう」 ふらんはそっと親ちぇんを地面に下ろすと子ちぇんを両手で掴んで空に浮いた。 「凄いよー、お空を飛んでるみたいだよー!」 嬉しそうにはしゃぐちぇんに、みたいじゃなくほんとに飛んでるんだと言いたかったが案内を促す。 心配そうに見つめる親ちぇん家族を残し、ふらんは子ちぇんの案内の元犯人達へと急ぐ。 数分ばかり飛んだだろうか? ふらんは洞穴の前に居た。 子ちぇんが言うには此処だと言うが、確かな証拠が必要だ。勘違いで叩き潰しても良いが、本物の行方が掴めなくなっては困るからだ。 子ちぇんに静かにする様に言い含め地面に降ろし、洞穴の前で息を潜める。 洞穴のゆっくり達は餌をたんまり溜め込んでいる様で盛大に盛り上がっていた。恐らくあの花畑から持ち帰った物が殆どなのだろう。 声の様子から、中に居るのがゆっくりれいむ、ゆっくりまりさ、ゆっくりありす、ゆっくりぱちゅりーの四匹だと分かった。 「あのゆうかは馬鹿だよねー!」 「ほんとほんと、さっさとご飯を渡せば死なずに済んだのにね!」 「都会派ならご飯はお裾分けするのが常識なのにね!」 「むきゅむきゅ……」 ゆうか……? そういえばめーりんのお腹の上にゆっくりゆうかが居た気がする。そうか、あの花畑はゆっくりゆうかの物だったのか。 勝手な事を言う中の四匹に苛立ちを感じるが、ゆうかの事は自分とは関係ないと思い続きを聞こうとする。 「あんな最低のくずと仲良くしてるから死んじゃうんだよねー!」 「ほんとほんと、ゆっくり死んでー♪ ゆっくり伸ばされてー♪ そして~仲良く~ゆっくり死んでも一緒~♪」 「あの死んだ田舎物を伸ばしたくずの田舎物の上に落とすように指示したのはあなたでしょ? あなたのセンスはいつもながら冴えてるわ!」 「むっきゅきゅ♪」 関係無いと思っていたが大いに関係有った。めーりんとゆうかは仲良しだった。そしてこいつらに殺されたのだ。それが今の会話で全部分かった。 「いつもご飯を集めるしか脳が無いくずなのに、まりさを突き飛ばすんだもんね!」 「あれは許せなかったよ! 温厚なまりさも思わずカッとなっちゃったね!!」 「何が温厚なまりさよ~」 洞穴の中に楽しそうな笑い声が響く。それは入り口で潜むふらんにも伝わってくる。 こいつらを今すぐ殺してやりたい衝動に襲われるが、その前に約束を果たさなければならない。 見るもの触れるもの全てを噛み殺さんと歯を剥き出しにするふらんに、地面に居る子ちぇんは恐ろしさから小刻みに震えている。 ふらんは深呼吸をして自分を落ち着かせ、子ちぇんに精一杯の作り笑いを向け大事そうに両手で掴み花畑に戻る。 子ちぇんは笑顔を見た瞬間、気が抜けて思わず気絶しそうになった。 「「「ゆっくりおかえりー!!!」」」 花畑に降りたふらんを待っていたちぇん家族は待ちきれないとふらんに殺到する。 親ちぇん達の勢いに負けたふらんは尻餅を着くが、両手に持った子ちぇんを自分のお腹に乗っている親ちぇんの頭に返してやる。 「ただいまー! ちゃんと案内してきたよー!」 「無事帰って来てくれたんだねー! うれしいよー!」 親子の頬擦りに周りの子供達も加わり、静かだった花畑が賑やかになる。 「約束通りお前達は食べないよ、それじゃ!」 頬擦りを続けるちぇん親子達にそう告げるとふらんは飛び上がり洞穴に向かおうとするが、ふと思い立ち親ちぇんに声をかける。 「めーりんのからだは食べないでね、あとでこの花畑に埋めてあげるから」 そう言い残し、ふらんは返事を聞かずに飛び去る。 「ゆっ?! ゆっくり……わかったよー! ゆっくり任せてねー!」 その声はふらんに届かず闇夜に消えた。 ふらんは洞穴に向かいながらめーりんを殺した犯人達をどうやって殺してやるか考える。 『伸ばして殺されたのなら、伸ばして殺してやれば良い。』 そうだ、それで良い。自分がどんなに酷い事をやったのか思い知らせてやれば良いのだ。 ふらん達が洞穴の前にそっと降り立った時も、中ではまだ宴会を終わらず賑やかだった。 相手は四人でこちらは一人。負ける事は無いが逃がす事はしたくない。 なので作戦を考える事にした。 まず四つ身に分身する。 ふらん種は胴有り無しに関わらず、一時的に自分の分身を3つ作り出す事が出来る。 そして、まず一人が洞穴に押し入り一匹を捕まえて威嚇する。 他のゆっくり達は逃げ出すだろうから分身が待ち構えて捕まえる。仮に逃げ出さずに闘う姿勢を見せたら分身を呼んで中で捕まえてしまえば良い。 それぞれが一匹ずつ捕まえた後、痛めつけて動けなくしてから順番に引き伸ばして殺してやる。 決まってしまえば素早く行動するのみ、ふらんは分身を生み出し入り口に残し、自分だけ素早く飛び込み一番近くに居たれいむを捕まえ頭頂部に 頭突きをする。 「ゆっがぁっ?!」 余りの速さに呻き声だけ残し気絶するれいむ。 「ゆっ、何なんだぜ! れいむをはな……ふらんだー!」 「ふ、ふらん? いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「むきゅー! むきゅー!」 「うるさい! ゆっくり黙れ!!」 ふらんが三匹に怒鳴るとぱちゅりーはガクガク震え、ありすはまりさと捕まっているれいむをキョロキョロ見返すだけで逃げようとしない。まり さはふらんをじっと見つめ動かない。 ふらんは思わず評し抜けした。これなら外の分身を中に呼んで捕まえてしまおうかと、ふらんが考えた時である。 「まりさはゆっくり逃げるよ! 恐いふらんはれいむとありすとぱちゅりーを食べてね!!」 考え事をしたせいでまりさから視線が外れ、逃げるチャンスと考えたのかまりさが仲間を見捨てて外へ駆け出す。 「まりさひどいぃぃぃぃ!!」 「むっぎゅぅぅ!!」 置いていかれたぱちゅりーとありすがまりさを呼ぶが、まりさは構わず外に消える。 自分達も続こうとするが、目の前のふらんが恐いのか動けないで居る。 「びぎょうものぉーー!!」 「おいでがないでぇー!!」 「どんくさいありすやぱちゅりーはゆっくり食べられてね! まりさはゆっくりはやくにげぶぎゃっ!!」 だが、消えた瞬間まりさの悲鳴が洞穴に響く。 外に待たせた分身が捕まえたのだ。 ふらんは外に居る分身を全部洞穴の中に入る用に念じる。 まりさを抱えたふらんを先頭に残りのふらん達が洞穴に入ってくる。 「ゆっくり離してね! まりさだけでも助けてね!!」 「この裏切りまりさ! あなたなんか都会派じゃないわ!!」 「むきゅ~……」 一匹でも絶望的なのに三匹も来てはどうにもならぬとぱちゅりーは諦めるが、ありすは逃げたまりさを非難する事で忙しいのか現状を理解してい ない。 結局ありすはふらんに抱えられるまでまりさを非難していた。 全員を捕まえるのに成功したので、作戦通りまずは適当に痛めつけて自力で逃げられないようにする。 分身を含めた四人で同時に地面や壁に叩き付けて痛めつける。 死に易いぱちゅりーは手加減しないといけないのでふらん自身がやった。 「むぎゅぁっ! ぐがっ!!」 「いだっ!! だぁっ! ぎゃべっ!!」 「ぶぶぅ! ごがぁっ!!」 「ぶぎゅっ……、うぶぅ……」 叫ぶまりさ達とは対照的にふらん達は黙々と叩き付ける。 全員が動かなくなるのを確認したふらんは手近にいたありすから引き伸ばす。 ありすに含む所があったのではなく、ただ一番近かっただけである。。 「いだあああああぁぁぁぁぁぁ!!! だぶげでぇぇぇ!!!」 泣き叫ぶありすを分身たちと協力して引き伸ばす。 「だれっ、でもいっ、いがらだず――ぎぁっ!!」 限界が来たのか分身Aが持っている足の部分がブチンと千切れるが、中身が漏れ出す皮を再度掴ませさらに引き伸ばす。 「うぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃ……がっ!」 ふらんが持つ頭の皮が破れたことでやっとありすは死ねた。 残ったまりさ達はありすの惨状を見て震えるが、その引き伸ばされた様子を見てぱちゅりーは何故自分達が襲われたかを理解した。 そうだ、これは先日めーりんにやった事と同じだ。 豊富な知識を誇るぱちゅりーはめーりん種とふらん種の関係を思い出し、何故自分達を襲われたのか理解した。 「むきゅ! ご、ごべんなざい、ごぜんなざい……」 「ゆっ、ごめんなさいだぜ! 謝るからまりさを許してほしいだぜ! この通りだぜ!」 一歩前に出て鼻声でふらんに謝るぱちゅりー。その様子を見てまりさも謝るふりをする。れいむは変わらず震えている。 ふらんは伸ばされたありすを踏み越え、次はぱちゅりーを掴み引っ張り出す。 「むぎゅー! ごべんなざい!! いやぁー、伸ばざないでー!!」 ぱちゅりーは尚も謝るが、洞穴の前で一部始終を聞いていたので当然ぱちゅりーも許すつもりは無い。 今回はただ引っ張るだけでは許さない。 ありすの時とは違い四人で引っ張らず分身だけを使い、三角になる様にゆっくり引っ張り皮が千切れない様に余裕を残して暫く待つ。 「むぎゅぅ~~~~~、だずげでぇぇ~~」 その後、伸びた皮が安定したのを確認するとふらんはぱちゅりーから帽子を取り上げ口に突っ込み、伸びた皮を下から蹴り上げる。 「ゆっくり死ね! ゆっくり死ね!! ゆっくり死ね!!! ゆっくり死ね!!!!」 「むぐっ! むぎゅっ! むぅ~~!! むごぉ~~~!!」 口を塞がれ伸ばした背中を蹴り上げる苦痛にうめき声を上げるが、構わず蹴り続け段々力を強くする。 蹴られる衝撃で余裕が有った皮も耐え切れずに千切れるが、ありすの時と同じように千切れた部分は捨てて分身に再度持ち上げさせる。 「ゆっくり死ね!!!!! ゆっくり死ね!!!!!! ゆっくり死ね!!!!!!! ゆっくり死んでしまえ!!!!!!!!」 「むぎぃ!! むぎゃぁ!! むびゅっ!! むぎゅぁ――!!!」 最後の蹴りでふらんの足がぱちゅりーの口から飛び出し、皮を蹴り破られて帽子と一緒に餡子を撒き散らかしながらぱちゅりーは死んだ。 残るはれいむとまりさだ。 ふらんは先にれいむを始末しようと近づく。今度はどんな伸ばし方で殺してやろうか? 「ゆっ、もう充分だぜ! まりさを助けてほしいんだぜ!! ころさないでほじぶっ!!」 媚びた笑みを浮かべるまりさを蹴り飛ばし残酷な笑みを浮かべながられいむに立つが、さっきまで震えていたれいむがピクリとも動いて無い事に 気付くふらん。 「うー?」 様子を伺うと余りのショックに白目を剥いて死んでいた。思いっきり蹴飛ばしてみたが まだこいつには伸ばして居ない。なのに死んでしまった! 「うがー!! 死ね死ね死ね!! ゆっくりせずに死ね!!」 既に死んでいたが構わない。 苦しまない相手を引き伸ばしても意味が無いとばかりに、れいむの髪飾りを掴み壁に叩き付けるが、それでも癇癪は治まらない。 髪の毛ごと引き千切れるほど叩き付けた頃には皮だけになっていた。 漸く落ち着いたふらんは荒れた呼吸を整え、最後の一匹のまりさを殺そうと洞穴を見渡すがまりさが居ない。 「う? 何処?」 れいむを潰すのに夢中になってる隙に逃げられてしまったようだ。 だが、あの痛めつけられた体ではそう遠くには逃げられまい。 ふらんは素早く外に飛び出し分身を使って四方を探すと、花畑とは反対の方向に飛ばした分身が川の側で水を飲むまりさを見つけた。 水を飲むまりさの背後に分身が降り立つ。 「ゆぐっ! ゆっくり?!」 物音に気付いて振り返るまりさが見たものは、今まさに自分を捕まえようとする分身の姿であった。 「ゆっ、ゆっくり来ないでね! まりさは川を降って逃げるよ!!」 まりさは帽子を川に放り、それに飛び乗る。 普段なら慎重に乗るが、今はそんな場合ではない。乗った直後は落ちそうになったが、すぐに安定させ分身から遠ざかる。 「ばかなふらんだね! まりさはゆっくり逃げるよ~。ゆ~ゆっゆ~♪」 水の勢いは急では無かったが、飛んで追いかけるのは難しい速さだった。 まりさは追って来るが距離を離される分身を見て安堵する。 すでに失った仲間の事は忘れ、はやくゆっくり出来る場所が無いかと考えていた。 そんなまりさの前にふらんが待ち構える。 「なんでぇぇぇぇーーーー!!」 分身から念を拾って駆けつけようとしたのだが、まりさが川を降ってる事を知って川下で待ち構えたのだ。 帽子の船に乗って降ってきたのは、両手を広げるだけで捕まえられるからふらんにとって実に都合が良かった。 「逃がさないよ! 最後のお前は絶対に!!」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 暴れるまりさを洞穴に連れ戻し再度叩き付けて、こいつをどうしてやろうかと考えるふらん。 伸ばして殺すのはありすでやった。ぱちゅりーは伸ばして蹴り殺した。れいむは……残念だった。 それ以上の殺し方は……と考えた時、ふらんのお腹が鳴った。 そうだ、いつもやってるやり方をしよう。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」 ふらんは千切れないギリギリの所までまりさを引っ張り伸ばす。 伸ばしたまりさをかつてまりさ自身がめーりんにやった様に固定して戻れないようにする。 「これで、お前はもう、ずーーーっと、伸びたままだ」 「いやぁぁぁぁ、もどにもどじでぇぇぇぇ!!」 暫くして戻らない事を確認したふらんはまりさを持って空に飛び立つ。 まりさは降ろせ降ろせと煩いがそれを無視してふらん達は手頃な棒を探す。 数分探した末にやっと見つけたのは、『この森はゆっくり達の森です』と書かれた立て看板だった。裏にゆっくりんピースと小さく書かれている。 ふらんたちはまりさをその看板の突き出た棒の部分に刺す。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃ!!」 その際、餡子が漏れないように刺した部分を棒にくっ付けるように揉んで固定する。 「ゆぎぃ! ゆぎゅ! ゆぐぅ! ゆがぁ!」 「そこでゆっくり死んでいけ!!」 「いやだぁぁ、まりざをだずげでぇぇーー!!」 「煩い、ゆっくり食べられて死ね!」 「だずげでぇーー! だずげでゅぁ!!」 ようやく全て終わった事が分かると、ふらんは泣き叫ぶまりさの頭を最後に蹴飛ばしその場を飛び立つ。 お腹が空いていたが、その前に花畑に戻る。 めーりんを野ざらしには出来ず、ご飯の前に花畑に埋めてやろうと思ったのだ。 花畑に戻ったふらんは花畑で動くゆっくりを見つけたので、先に腹ごなしを済ませようか考えた。 「うー……」 だが、まずはめーりんの埋葬が先である。顔をパンパンと叩いて気合を入れてめーりんの所に向かう。 だが、めーりんの居た場所に降り立ってみるが、めーりんの死体が見当たらない。更にゆうかの死体まで無い。 「う? なんで? どこどこ?」 「おねーちゃん、おかえり~! わかるよー! 全部終わったんだねー!」 慌てて探すふらんのもとに、あの案内してくれた子ちぇんが現われてめーりんはこちらだと言う。 意味が分からないふらんは子ちぇんに着いて行くと、親ちぇんが穴を掘ってめーりんを埋めようとしているではないか。 「うぅ? 何してるの?!」 「わかるよー、埋めるんだねー。ちぇんはわかってるよー!」 ふらんは解らない。ここに戻ってくる事が解っていたのなら食べてしまう自分からは逃げてしまえば良いのに。 「いみがわからないんだねー、ちぇんはふらんが約束守って子供を帰してくれたからお礼をしてるだけだよー! わかってねー!」 お礼も何も、自分がやれと強要した事なのに……。 ふらんはそう思うが、親ちぇんにとっては一家全員が食べられててもおかしくない所を、お願いを聞いただけで助かったのだからお礼は当然だと 思っている。 ふらんは未だ分らない顔をしていたが、これがちぇん種なんだと無理やり理解した。 ちぇんに感謝したふらんは、これからはちぇん種は食べないようにしようと思い、親ちぇんと一緒にめーりんを穴へと運んだ。 そして、残されたまりさは――。 看板に固定されてすぐは夜だった為近づくものが居なかったが、朝になり鳥達が目覚め虫達が活動しだすと共に身を削られ餡子が付着した看板だ けが残った。 「ゆっぐりだべないでぇぇぇぇぇ……」 fuku1450.txtさん、作品をお借りしました。 このSSに感想を付ける
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※俺設定注意 ゆっくり家庭料理 今日俺は大バーゲンで買ってきたゆっくりれみりゃ1体をまるまる使って料理しようと思う。 さて、まずは今日のメインのゆっくりれみりゃだ。 「ぎゃお~、た~べちゃうぞ~!!!」 今日にもお前はた~べられちゃうぞ~!!!という突っ込みはさておき、 まずは下ごしらえだ。 服を脱がす。 「うー!こうまかんのおぜうさまのれみりゃになにするんだどー!」 下ごしらえです。 ゆっくりの飾りにおいしいものはほぼない。 ただの皮どころか、泥臭い某国産餃子のような味がする。 プロがせいぜい料理できるのがゆっくりふらんのへんちくりんな棒だという。 さて、このれみりゃは無洗れみりゃではない。 ということであらってやる。 「う~♪きもちいいど~♪さくりゃ~♪もっと~♪」 『さくりゃ』とは誰だろうか。とりあえず水につけっぱなしにしておく。 その間別の作業をしないといけないからだ。 「「「「「さあ調理しなさい!!!」」」」」 調理用に遺伝子をいじくって調理されることを本能とするゆっくりちぇんだ。 ちぇんであることに意義がある。中身はオリーブオイルで皮はレタスのような味がする。 要するに付け合わせだ。 ちぇん達の言葉に応じてゆっくりを調理する際の俺の決まり文句を言う。 「ゆっくり調理させてね!!!」 ふう。終わったか。 慣れたとはいえ貴重なオリーブオイルをこぼさないのは一苦労だ。 とりあえずちぇん皮の付け合わせができた。じゃあ早く連れてこなきゃ。 メインディッシュを 「うー?このぢぇんでべさせてくれるのかどー?」 ぢぇんって誰だ、それとでべさせるって何だ。 まあ、いいや。れみりゃをまな板の上にのせる。 「う?べっどにしてはかたいど~♪かえるんだど~♪」 そういってるれみりゃに右手のナイフで語りかける。 「ゆっくり調理させてね!!!」 そしてその愛らしい首と体を 叩き斬った。 「う゛!うあー!うあー!」 首を切った瞬間、れみりゃは瞬間的に退行する性質がある。 「どおして?れみりゃとからだがー!!」 どおしても糞も、あんた食材ですから。 次に邪魔なので人間でいう「子宮」に値するものを取り除く。 排泄物よりまずいんで。 「ひゃ!れみりゃのはずかしいところが!!」 恥ずかしいんだったらなくなっていいんじゃないでしょうか。 ちなみに顔は厨房の俺の後ろで調理のさまを見ている。 これがどう怖いのかは知らないが、ゆっくりは精神攻撃でおいしくなる性質がある。 というわけだ。 次に足を切り落とす。 ちなみに今回は出来上がりのものの関係上、輪切り。 「おにーさんなんでれみりゃのあしきるの!しつじのくせに!」 本当のレミリアがこう言っているなら 「俺は小悪魔どころか、悪魔ですから。」と言っていることだろう。 まあ、これはそれによく似た饅頭なので関係ない。 とりあえず、あとはいったん放置して、サラダを完成させる。 足の輪切り投入。 そしてちぇん油をかける。 はい、付け合わせの「れみりゃとちぇんの仲良しサラダ」(一人当たり456kcal)出来上がり。 そしてメインの続きだ。 ああ、れみりゃはいちいちうるさいのでボンレスハムのひもで縛っておいた。 全部みじん切り。 単純に思えるが、別々の体パーツでも同じ大きさにしておかなければいけない。 切った後の肉まん部分を取り出す。 そしてマッシュポテトとその肉まん部分を混ぜてポテトサラダみたいにする。 「さあ、ゆっくり意識失ってね」 れみりゃの頭をかっ捌いて、肉まん部分とポテトサラダみたいなのを入れ替える。 頭をボンレスハムのひもで閉じる。 そして蒸し焼きにして… 完成!「苦痛のぽてみりゃ蒸し焼きサラダ」(一人分792kcal)! 試食してみた。 「…まず。新メニューにはならんな」 今日の実験料理は忘れることにした。 某所で書いたコイキングの料理のやつを強引に改変してみたらこれだった。 もともとそれ自体がやっつけだったんで、さらにやっつけ度増し。 すんません。他のハイレベルなSS書きさんのSSを見てすっきりしてください。
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※性的な表現が含まれます。そういった表現が苦手な方はブラウザの「戻る」をクリック ※ゆっくりの描写が少なめです ※特徴的な虐待お姉さんが出ます この娼館に来る胴付きのゆっくりふらんやゆっくりれみりゃは変態の慰み物になるのがオチだった。 「しね、しねぇえ!!」 そう叫ぶふらんが娼館の裏口から中に運ばれる。今朝、荘園の罠にかかっていたものだ。 この娼館に来る胴付きのゆっくりふらんやゆっくりれみりゃは変態の慰み物になるのがオチだった。 身包みを剥がされ、秘部に切れ目を入れられ女性器の代用品となる。 中には着衣のまま行為にいたる者や娘の洋服を持ち出し着せる者、 泣き叫ぶのが良いと毎回初めてのを買う者や情婦は淫乱でなければいけないと慣れたのを買う者、 秘部ではなく肛門と似た場所に穴を開け行為に至る者や性行為の際に酷く相手を痛めつける者、 ふらんに男装をさせベルトのついた張り型を股間に付け、自分の肛門に挿入させるといった者まで。 変態性欲の捌け口となっていた。 毎回、行為に使用する為の部屋を掃除する侍女は嫌悪と侮蔑を込め『精液の便所』と嘲笑った。 そこの侍女というのは領主のお屋敷に奉公に出されたが、 顔も田舎臭く屋敷の誰からも寵愛を受けず、何かこれと言う特技もない娘たちだ。 娼館の女主人は領主の娘の裏の顔、女主人はそういった娘たちばかり娼館に集める。 その方が男女の問題は起こりにくい。口説き落としてたくさんのお金を払いそんな侍女と宣教師の体位で及ぶぐらいなら、 娼館で形の良いれみりゃを買い。様々な体位を楽しむ方が得だと思わせる。 買う側としても女に比べ、れみりゃ、ふらんは都合が良い。 自分が身分を隠さなければ娼館に訪れる事のできない立場であっても、相手をするれみりゃはその人の位を知らない。 知っても忘れる。忘れなければ身請けすれば良い娼館に多めに金を払えば良いだけだ。 逆に1匹のふらんに入れ込む者もいる。2度3度交われば相性もわかる。良いと思ったのならば、これもまた身請けすれば良い。 身分の高い者からすればこれっぽっちの金、身分の低い者からしても届かない額ではない。 ふらんとれみりゃにしても別段、悪い話ではない。 ここにいれば食事も睡眠も子育ても楽ができる。昼、侍女たちが食事を用意する音で目覚める。 泣き叫ぶゆっくりの声、親子、恋人は引き離され、食堂に入ってきたれみりゃやふらんに手渡される。 おかわりは自由、領主が荘園で人間向けに作っている食用ゆっくりの中でどうしてもできる粗悪品だ。 それでも病気を防ぐため、腐ったものや原因不明で死んだものは除外される。 品質のレベルは貧民層の子ども達がおやつと食べるレベルのもので、市場では一山いくらで売られているような物だ。 最初は殺してからお皿に持って出していたが、どうもそれでは食欲をそそらないらしく。最近では生きたまま出される。 「う~う~、おしょくじだど~」 大きな口を開け、ゆっくりれいむにがぶりと噛み付くれみりゃ。 「ゆぎゃぁああ、どうじでぇー!!」 一口で食べられるのは丸々と育ったれいむの一部だけ、だかられいむもすぐには死ぬ事がない。 「あまあまおいしぃどぉ~、もっとたべるどぉ~、んあ~~」 また大きく口を開け、パクリと食べる。 「まりざぁ!!だずげぇ、ゆぎぃい!!まり、まりざぁあ!!」 助けを求めたまりさはどこにいるのか分からない、さっき籠に入れられていた時は確かに傍にいたが、 「れいぶぅ!!れ、ゆぎゃあぁあ!!!じにだぐない!もっどもっどゆっぐ、ゆっぐじじだぁあああ!!」 そのまりさがれみりゃに食べられているれいむの意中のものか、誰も分からない。 何故ならこんな悲鳴、食堂のどこからも上がっているからだ。それに人もれみりゃもふらんも食べ物が泣き叫んでも別段、何とも思わない。 食べれば、また食事をもらえる列に並ぶ。受け取ったら空いている席を探し、そこで食事をする。 配っているのはゆっくりに詳しい者だ。お代わり自由と言っても形が崩れれば商品価値が下がる。 太っているものには機嫌を損なわせないように自重させ、痩せているものには納得させ食事をとらせた。 食事が済めば身支度が始まる。夕方までに済ませなければ開館時間が来てしまう、 侍女達は忙しそうに準備をずる。まずはれみりゃやふらん達の服を脱がし、温かい濡れタオルで丁寧に身体を拭く。 その時に秘部の穴が無くなっていないか確認する。再生されていればその個体は今日の営業に出せない。 そして、いつもの服に着替えさせる。それまでは寝間着にようなものを着せられていたが、やっと自分たちの服を着せられれみりゃ達は大喜びである。 服には番号が書かれたバッヂが付けられている。緑の6番や赤の3番など、 色は娼婦としてのランク、番号は客が注文する際にわかりやすいように付けられている。 試しに緑の6番、緑はまだ生娘、一度も男性器を受け入れた事のない個体、その6番目のれみりゃだ。 もし、今夜、このれみりゃに機会があればこのバッヂの色はすぐに変わるだろう。 経験済みの個体は赤いバッヂになる。番号はそのまま引き継ぎなので赤の6番になっているだろう。 準備が終われば、れみりゃ達は大広間に通される。そこには玩具やクッキー、紅茶などが用意されており、 れみりゃ達はそこで客に買われるまでの時間を過ごす。 応接間の周りにはいくつも小さな個室があり、応接間の壁にあけられた覗き窓を通して、客は自分の夜の相手を選ぶ。 入館料さえ払えば、その個室にいくらいてもいい。酒は出していないが軽食と紅茶、珈琲程度なら用意されている。 中には一晩中、れみりゃ達の遊ぶ姿だけを見て帰る者もいる。飲み食いする代金と入館料を合わせれば、 何も頼まずにれみりゃをほんの短時間だけ買い、一度出してしまうとそそくさと帰ってしまう客に比べればよっぽど利益になる。 侍女たちは裏でれみりゃ達を抱かない彼らを『金づる紳士』なんて酷い呼び方をする。 たまに一晩買うが、抱かずにクッキーやケーキなどふらんにたんまり御馳走するだけで満足し帰る客もいる。 侍女に言わせれば、そういう客は金づる紳士の極みなのだろう。 客が注文すると係りが応接間に入り、指定された番号のれみりゃを部屋から連れ出す。 中にはぐずるのもいるが、言いくるめたり、玩具を持って行っていいと言うとすぐに笑顔になり部屋を後にする。 客に確認を終えると、れみりゃは部屋で客が風呂からあがるのを待つ。娼館の2階と3階が個室になっている。部屋はさほど広くない。 無論、多く金を払えば4階にある。都会のホテルのような個室も取れるが、そういうのを注文するのは個室から覗いている客ではなく、 2階から吹き抜けになっている大広間を見下ろすようにれみりゃやふらんを見定めている上等な客たちだ。 1階が風呂になっていて、れみりゃやふらんを買った客はそこで身体の垢を落とす。 前にふらんと一緒に風呂に入りたいと申し出た客がいたが、水気に弱いゆっくりを風呂に同伴させる事は出来ないと断る。 もし、殺してしまった場合、それ相応の額を要求され、娼館への出入りが禁じられてしまう。 野良のれみりゃやふらんを殺す分には誰からも咎められないが、商品を壊せば咎められるのは当たり前である。 風呂から上がると、バスローブに着替え、侍女から避妊具と部屋の鍵を渡される。 別にれみりゃやふらんが人間の精液で妊娠するわけではない。避妊具は疑似女性器の清掃を簡単にするためと他のお客への感染症予防だ。 男性器がれみりゃに挿入される。最初は身を裂くほどの痛みだ。だが、死に至るほどではない。 「いっ!だっ!いっ!」 胸に付いている緑の6番のバッヂを揺らし、れみりゃが泣きじゃくる。 自分の中に男性器が徐々に入ってくる。その度に痛みが弾ける。れみりゃは手で涙をぬぐい、必死に耐える。 れみりゃも自分がそういう事をされるのは分かっている。ここに来てその日に何をされるかは説明された。 目の前で男と交わるれみりゃやふらんを何匹も見てきた。この痛みも友人のれみりゃから聞いている。 男も優しく。痛いと言えば挿入を止め、我慢できるようになったら慣らすように入れていく。 部屋に入ってから30分、まだれみりゃは男性器の全てを挿入されていない。8割は行った所で休憩していた。 「お、おにいさん、れみりゃがんばるどぉ~、ぜんぶいれてほしぃどぉ~」 ニコリとれみりゃは笑顔を作る。男は支えていたれみりゃの身体をゆっくりと下げていく。 「う゛う゛う゛う゛ぅ!!」 れみりゃは男性器を全て身体に受け入れる。そこからゆっくりと性交が始まる。 翌日、6番のバッヂは赤い物になっていた。友人のれみりゃが6番のれみりゃに話しかける。 「きのうはどうだったどぉ~?」 「いだかったけど、れみりゃ、がまんできたどぉ~」 「れみりゃはえらいどぉ~。さすがしょうかんのおじょうさまだどぉ~」 自分と同じ赤いバッヂになったれみりゃを19番のれみりゃも嬉しく思う。 しばらくして、6番のれみりゃが痛みもなく男生気を受け入れられるようになった頃、 食事の前に娼館の女主人からお話があった。新入りの紹介だ。 女主人の喋り方は丁寧で「~かしら」「~だわ」なんてゆっくりありすみたいだとれみりゃは思いながら聞いている。 1匹のふらんがみんなに紹介される。顔の形がよく、少し小柄なゆっくりふらん。 もう、いつもの服に着替えていてバッヂは緑の31番をつけている。 ふらんはれみりゃに比べて口数が多い方ではない。「うー・・・よろしくしてね」なんて短い挨拶を済ませ、みんなの食事に混ざった。 6番のれみりゃが先輩風を吹かし、ふらんに食事のもらい方を教えてやる。 「あのおねーさんのところでもらうんだどぉ~、ちゃんとならべないこはゆっくりできないんだどぉ~」 「・・・しってるるよ。いちいち、いわなくてもわかるよ。しね」 「じゃあ、いっしょにならぶどぉ~」 6番のれみりゃは31番のふらんの手を取り食事を貰う列に並ぶ。 その4日後の夜にふらんのバッヂは赤くなるが、それを見ずに6番のれみりゃは娼館からいなくなってしまう。 さみしそうにするふらんを19番のれみりゃが慰める。 「あのこはべつのおうちでしあわせになってるんだどぉ~。ふらんがかなしんでちゃゆっくりできないどぉ~」 「・・・きゅうにいなくなるな。しねっ、しねっ!」 誰かに買われたのか?いや、客が無理をさせすぎたのだ。 たまにいるのだ。マナーのない客が、一晩買うだけの金しか払わずに一生を買った気分になるのが。 叩く程度なら問題ない。2日ほど休ませればまた元気に仕事が始められる。 しかし、腕を千切られ、足に折り目をいくつも付けられ、首を180度曲げられ、右目を潰されていてはもう使い物にならない。 客が、れみりゃは寝てしまったと受付に部屋の鍵だけ返しに来た時、女主人が呼び止めれみりゃが途中で寝てしまったお詫びに、 少しばかりお金を返金するため待って欲しいと言わなければ、その男は娼館を出てしまう所だった。 急いで侍女が部屋に行き、確認すると、れみりゃはかろうじて生きている状態だった。 女主人は侮蔑する所か感心した。商品を壊しておきながら金まで貰っていくなんて、 しかし、今回はその顔の皮の厚さに助けられた。男はすぐに衛兵に連行されていく。 初めての客だ。この娼館が領主の娘がやっているなんて知っていれば、こんな事をしなかったかもしれない。 何にしても終わったことだ。れみりゃやふらんを動揺させない為、6番のれみりゃは買われていった事になった。 そして、6番のバッヂが空く。また緑の6番をつけ、みんなの前で紹介されれるみりゃかふらんがいるだろう。 それまでバッヂは女主人の机の中にしまわれる。 女主人は自分の部屋で紅茶を楽しむ。客に出しているような安い物ではない。 少し冷まし、甘くした紅茶を皿に入れ、自分の膝に座っているれみりゃに少しずつ飲ませる。 まだ曲げられたが痛むのでコルセットは欠かせない。コルセットに綺麗な白いハンカチーフが差し込まれまるで前掛けのようになっている。 ハンカチーフを琥珀色に染めながらもれみりゃは紅茶を飲む。 腕には包帯が巻かれ千切れた先が見えないようになっている。足はもう随分回復し、歩けるようになったが、歩みはぎこちない。 紅茶を飲み終えると、必死に残った左手を伸ばし、クッキーを取ろうとするが、右目をなくしているため、 遠近感がつかめず、どうも空振りをする。女主人はその手を優しく握り、そっとクッキーの所まで持って行ってやる。 クッキーを掴めたれみりゃは満足そうに「うー」と笑い、クッキーをかじる。 もう恐怖でほとんどの言葉は飛んでしまった。今は赤ちゃんのように「うー」などと鳴くだけだ。 「おー、うあー」 クッキーが美味しいのか、ニッコリ笑う。 「うー、うー」 今度は紅茶が欲しいのか、左手で紅茶のカップを指差す。 「品のない男にやられた割に可愛くなったわ。あなたのような子なら男の相手なんてさせないのに。可愛いれみりゃ」 女主人はそう微笑むと、紅茶をお皿に移す。 娼館に運ばれてくるのは荘園で栽培しているゆっくりを食べようとやってきて罠にかかったふらんやれみりゃだ。 中には罠の中で暴れ、肢体のどこかが千切れたり、顔に酷い傷を負ったりするものが出てくる。 娼館の地下にはそういった傷ついた。いや、女主人の言葉を借りるなら「可愛い」れみりゃやふらんの楽園がある。 食事は上で働いているものと比べればよっぽど良い物を食べ、労働もない。 ただ欠損した身体を女主人の前に晒しているだけで生きていられる。腕が千切れれば優しくされ、目が見えなければ優しくされ、 楽園が終わる事はない。その楽園に悲しい事があるとすれば2つ、妊娠し女主人の手術や胎教、食事制限を受けても正常な赤ちゃんが生まれてしまった場合、 その赤ちゃんは少し痛い思いをして可愛くなってもらう事、あとは寿命が尽きて死ぬ事。その2つだけである。 この娼館に来る胴付きのゆっくりふらんやゆっくりれみりゃは変態の慰み物になるのがオチだった。 by118
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ゆっくりの種類 レア度 高級種 希少種 準希少種 普通種 通常種 高い ←←←←←←←←→→→→→→→→ 低い ゆっくりれいむ 通常種(でいぶになる可能性在り ゆっくりまりさ 通常種(ドスになる可能性在り) ゆっくりありす 通常種(レイパーになる可能性在り) ゆっくりぱちゅりー 通常種 ゆっくりみょん普通種 ゆっくりようむ 普通種 ゆっくりちぇん 普通種 ゆっくりるーみあ 準希少種 ゆっくりだいようせい 準希少種 ゆっくりめーりん 準希少種➕ ゆっくりこあくま 準希少種➕ ゆっくりれみりぁ 通常種 ゆっくりさくや 準希少種➕ ゆっくりちるの 準希少種 ゆっくりふらん 普通種 ゆっくりれてぃ 準希少種 ゆっくりるなさ 希少種 ゆっくりめるらん 希少種 ゆっくりりりか 希少種 ゆっくりゆゆこ 希少種 ゆっくりらん希少種 ゆっくりゆかり 特別種 ゆっくりりぐる 準希少種 ゆっくりみすちー 準起床種 ゆっくりけーね 希少種 ゆっくりえーりん希少種 ゆっくりかぐや 希少種 ゆっくりもこう 希少種 全ては登場しません ここからはSS ゆっくりれいむ「すっきりー」 ゆっくりまりさ「すっきりー」 そして午前10時 父まりさ「かりさんにいってくるのぜ!」 一時間経過 父まりさ「ただいまなのぜ」 母れいむ「おかえりなさい」 母れいむ「ごはんさんたべようね」 ゆっくりたち「いただきます!」 ゆっくりたち「むしゃーむーしゃーしあわせーーーーーー」 ゆっくりたち「ごちそうさま!」 一時間経過 そして母れいむの茎から赤ゆたちが生まれようとしている 父まりさ「れいむーーがんばれーー」 母れいむ「うばれる」 赤ゆたち「ゆきゅちしちぇいてね!!」 生まれた数は10匹 多すぎる 運良くエサ不足に陥らなかったようだ そして 時は11月 子ゆっくりたち「ゆっくりしていってね」 母れいむ「もうそろそろふゆごしの準備をするよ」 子まりさA「ふゆごしてなに?」 父まりさ「ふゆごしはゆっくりできないふゆさんからのがれるために秋に食料と落ち葉を準備します」 子れいむA「ふゆさんてなに」 母れいむ「ふゆさんはとてもさむいきせつのことだよ」 そして れいむ一家は冬越しの準備をした やがてゆきがふりそのさむさで別の一家が死んだり餌不足で死んだりするが この一家は無事だった そして2ヶ月後雪は強まり扉の固定を怠ったゆっくり一家をころした この一家は無事だった扉の固定をちゃんとやったそうだ 2ヶ月後 母れいむ「ゆんやーーーーーーーー」 増えすぎたため一斉駆除が始まったそうだ やがて絶滅した 幸い長ぱちゅりーは生き延びたようだ おしまいhm
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ゆっくり霊夢は思う。 このぽかぽかとした場所は、とってもゆっくりできると。 現にれいむは日向にいるような居心地に眠くなってきている。 なんの心配も無く、ほんわかしていてゆっくりできる。 周りには他のお友達もいる。 ゆっくりありす、ゆっくりめーりん、それにゆっくりれみりゃにゆっくりふらんもだ。 普段であれば自分に襲い掛かるれみりゃやふらんも、この場所だとすっごくゆっくりしている。 皆みんなお友達だ。 ここは本当にゆっくりできる場所だね。そう思いながら、れいむは夢の世界へ引き込まれた。 たまに、目を覚ますとお友達が減っていることがある。 自分たちにご飯をくれる人間に、ご飯の時間に聞いてみた。 すると 「選ばれたゆっくりたちは、ゆっくりさせるためにもらわれていったんだよ」 と教えてくれた。 れいむは、自分もここでゆっくりするより、誰かをゆっくりさせたいと訴えたが、人間は何度か首を振るだけだった。 その人間が決められることではないらしい。 どうやったら選ばれるの? いつになったら選ばれるの? そのれいむの問いに、人間はただ 「あそこでゆっくりしていれば、そのうち選ばれるよ」 という答えをよこした。 それかられいむはいつもよりゆっくりした。 ぽかぽかとした心地よい場所で、いつも以上にゆっくりしていた。 いつのまにか寝入っていたれいむは、寝ぼけ眼で何気なくあたりを見回すと、見知らぬ人間と目が合った。 れいむは、なんだろう?と思った。 その見知らぬ人は、ご飯をくれる人間に一言二言告げていた。 ご飯をくれる人間は、とてもゆっくり出来る場所かられいむをとりだすと、その体に綺麗なものをつけていった。 れいむは、自分が選ばれたことを察した。 自分はあの見知らぬ人間をゆっくりさせることが出来る。 そう思うと、まだゆっくりできる場所にいる同胞に対して、立派な姿を見せようと思いつき、胸を張った。 誇らしげな想いと、どんな人間だろうというわくわくとした感じ。 包まれる感触と知らない温かみに、れいむはどきどきした。 見知らぬ人間の温かみだった。 その人間と共に外に出ると、身を切るような風が吹いていた。 思わず寒いと言ってしまいそうになったが、それではゆっくりさせることができないと想い、口をつぐんだ。 ゆっくりしていってね! 人間にそう告げようと振り向いたとき、笑顔のれいむが見たものは、穴だった。 白い弧と桃色の塊を持つ、黒い穴だった。 それはとても怖い気がした。 終わり。 「ほのぼの」と「少ない要素」を目指してみたら意味わからんようになってしまった。 舞台はコンビニ的な場所w 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
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ここは投稿された小ネタSSを更新順に纏めたページです。 下に行くほど新しい作品です 作品の後ろにある文字の説明はジャンルマークについてにあります。 創作wiki移転に伴い旧ジャンルマークは取り外されました。新ジャンルマークの設置にご協力お願いします。 ゆっくり愛で小ネタ1 ゆっくり愛で小ネタ2 ぼうしの味 ゆっくり愛で小ネタ3 ゆっくり愛で小ネタ4 ゆっくりじぞう ゆっくり愛で小ネタ5 ゆっくりとアイス ゆっくり愛で小ネタ6 ゆっくりと寿司 ゆっくり愛で小ネタ7 ゆっくり村 ゆっくり愛で小ネタ8 うーぱっく ゆっくり愛で小ネタ8 徹夜で勉強 ゆっくり愛で小ネタ10 お猪口で入浴 ゆっくり愛で小ネタ11 饅頭の恩返し ゆっくり愛で小ネタ12 俺の飼っているゆっくり ゆっくり愛で小ネタ13 ただ可愛がるだけの話 ゆっくり愛で小ネタ14 ドスまりさとけーね ゆっくり愛で小ネタ15 だよね!? ゆっくり愛で小ネタ16 博麗神社とゆっくりの日常 ゆっくり愛で小ネタ14 汚いゆっくりを見かけたので・・・ ゆっくり愛で小ネタ15 異変のテンプレ ゆっくり愛で小ネタ16 記憶を追って来るゆっくり ゆっくり愛で小ネタ17 いろんな場所別ゆっくり ゆっくり愛で小ネタ18 ゆっくりとコーラ ゆっくり愛で小ネタ19 なふだ ゆっくり愛で小ネタ20 ゆっくりの惑星 ゆっくり愛で小ネタ21 ゆっくりとの怖い話 ゆっくり愛で小ネタ22 無口なゆっくりとある日の休日 ゆっくり愛で小ネタ23 可愛がりスレのゆっくりはうろたえないッ! ゆっくり愛で小ネタ24 ゆっくり怪談「こんどは」 ゆっくり愛で小ネタ25 ゆっくり怪談「ままままままままままままま」 ゆっくり愛で小ネタ26 おやすみなさい ゆっくり愛で小ネタ27 楽園の主 ゆっくり愛で小ネタ28 口裂け女 ゆっくり愛で小ネタ29 真・女神転生ⅢーYUKKURI マリサクス ゆっくり愛で小ネタ30 真・女神転生ⅢーYUKKURI マリサクス2 ゆっくり愛で小ネタ31 お盆帰り ゆっくり愛で小ネタ32 ゆるーい夏の一日 ゆっくり愛で小ネタ33 ゆっくり怪談「百話目『ゆっくりの首』」 ゆっくり愛で小ネタ34 日傘の不思議 ゆっくり愛で小ネタ35 別に平気じゃね? ゆっくり愛で小ネタ36 日本全国ゆっくり音頭 ゆっくり愛で小ネタ37 ゆっくりウィルス ゆっくり愛で小ネタ38 つつく ゆっくり愛で小ネタ39 ゆっくりしないと死ぬ食べ物 ゆっくり愛で小ネタ40 食べ物を食べてるゆっくりが見たい ゆっくり愛で小ネタ41 調理実習とかで匂いに釣られた人間は多いはず ゆっくり愛で小ネタ42 軟体生物 ゆっくり愛で小ネタ43 ジハイドロジェンモノキサイド ゆっくり愛で小ネタ44 猛者 ゆっくり愛で小ネタ45 うーぱっくを見て ゆっくり愛で小ネタ46 5スレ目 ゆっくり愛で小ネタ47 けんけんぱ ゆっくり愛で小ネタ48 跳躍力 ゆっくり愛で小ネタ49 煮干 ゆっくり愛で小ネタ50 寝ちるの ゆっくり愛で小ネタ51 人間とゆっくりできるのか? ゆっくり愛で小ネタ52 かゆい ゆっくり愛で小ネタ53 面白川渡り ゆっくり愛で小ネタ54 むささびれいむ ゆっくり愛で小ネタ55 深緑のゆっくり妖精 ゆっくり愛で小ネタ56 ゆっくりのいない世界 ゆっくり愛で小ネタ57 うた ゆっくり愛で小ネタ58 ゆっくり散文 ゆっくり愛で小ネタ58 ゆっくり・バウンダー ゆっくり愛で小ネタ60 6スレ目 ゆっくり愛で小ネタ61 『ゆっくり絵を描いてね!!!』 ゆっくり愛で小ネタ62 『ぼうしのおじさん』 ゆっくり愛で小ネタ63 7スレ目 ゆっくり愛で小ネタ64 これがれいむのいっしゅうかん! ゆっくり愛で小ネタ65 ゆっくりサバイバー ゆっくり愛で小ネタ66 魔理沙的愛情 ゆっくり愛で小ネタ67 ユックリノカミサマ ゆっくり愛で小ネタ68 『ゆっくりみょんとゆっくりみすちーのかいわ』 ゆっくり愛で小ネタ69 ゆっくりちぇんを飼ってみた そのに ゆっくり愛で小ネタ70 ゆっくりミーツボーイ ゆっくり愛で小ネタ71 ゆっくりゆーぎ ゆっくり愛で小ネタ72 ゆっくりとお兄さん ゆっくり愛で小ネタ73 つまりふらんはツンデレか ゆっくり愛で小ネタ74 理不尽漫画のみすぎがコレだよ! ゆっくり愛で小ネタ75 簿記試験終わった童話描く ゆっくり愛で小ネタ76 実験 ゆっくり愛で小ネタ77 ~とあるオフィスの午後~ ゆっくり愛で小ネタ78 小ネタを思いついたので投下。 ゆっくり愛で小ネタ79 真冬の朝の夢 ゆっくり愛で小ネタ80 理不尽漫画のみすぎがコレだよ!2 ゆっくり愛で小ネタ81 理不尽な小ネタです。 ゆっくり愛で小ネタ82 理不尽な下ネタです。 ゆっくり愛で小ネタ83 理不尽な百合ネタです。 ゆっくり愛で小ネタ84 体付きのぱちゅりぃを見つけた ゆっくり愛で小ネタ85 ゆっくり裁判 ゆっくり愛で小ネタ86 ちぇんじゃらしを作ってみました。 ゆっくり愛で小ネタ87 なんとゆっくり達が… ゆっくり愛で小ネタ88 ゆっくりもこうが あらわれた! ゆっくり愛で小ネタ89 コタツとゆっくり ゆっくり愛で小ネタ90 ネタを書いてみた。 ゆっくり愛で小ネタ91 没にしたネタというか妄想 ゆっくり愛で小ネタ92 ゆっくりむーばー ゆっくり愛で小ネタ93 ゆっくりあやや? ゆっくり愛で小ネタ94 ゆっくりの酒 ゆっくり愛で小ネタ95 体付きまりさ ゆっくり愛で小ネタ96 きめぇ丸と一緒 ゆっくり愛で小ネタ97 ボヤ騒ぎ? ゆっくり愛で小ネタ98 まとりょーしか ゆっくり愛で小ネタ99 朝の公園で ゆっくり愛で小ネタ100 ある日起きたら ゆっくり愛で小ネタ101 「イマイキマース」 ゆっくり愛で小ネタ102 風が吹かなくても桶屋は儲かる ゆっくり愛で小ネタ103 ストリングプレイスパイダーベイビー! ゆっくり愛で小ネタ104 免許 ゆっくり愛で小ネタ105 ゆっくりゆーぎ2 ゆっくり愛で小ネタ106 小ネタこねこねおっけーね ゆっくり愛で小ネタ107 替え歌 ゆっくり愛で小ネタ108 れみりゃの足 ゆっくり愛で小ネタ109 おぉめりぃめりぃ ゆっくり愛で小ネタ110 おぉさんたさんた ゆっくり愛で小ネタ111 雪山 ゆっくり愛で小ネタ112 除夜の鐘 ゆっくり愛で小ネタ113 ゆっくりと年越し ゆっくり愛で小ネタ114 し、あ、わ、せ ゆっくり愛で小ネタ115 クリスマスのプレゼント ゆっくり愛で小ネタ116 真・女神転生ⅢーYUKKURI マリサクス 番外編 ゆっくり愛で小ネタ117 分裂 ゆっくり愛で小ネタ118 メキシコ ゆっくり愛で小ネタ119 すだち ゆっくり愛で小ネタ120 むきゅう、むきゅう ゆっくり愛で小ネタ121 おぉさむいさむい ゆっくり愛で小ネタ122 諸君 私はぱちゅりーが好きだ ゆっくり愛で小ネタ123 ゆかりごはん ゆっくり愛で小ネタ124 特撮好き ゆっくり愛で小ネタ125 図々しいれいむ ゆっくり愛で小ネタ126 戦隊モノ ゆっくり愛で小ネタ127 大岩 ゆっくり愛で小ネタ128 ゆっくりおん ゆっくり愛で小ネタ129 CM引用 ゆっくり愛で小ネタ130 ゆっくりの歯医者さん ゆっくり愛で小ネタ131 ゆっくりと悪代官 ゆっくり愛で小ネタ132 ふと思った。 ゆっくり愛で小ネタ133 ゆっくりの歯医者さん2 ゆっくり愛で小ネタ134 月に一度の光景 ゆっくり愛で小ネタ135 雪積もりすぎじゃね? ゆっくり愛で小ネタ136 しんすれ ゆっくり愛で小ネタ137 二択 ゆっくり愛で小ネタ138 東北人の節分 ゆっくり愛で小ネタ139 『せつぶん』てなんなんだどぉー? ゆっくり愛で小ネタ140 幸せ者 ゆっくり愛で小ネタ141 バレンタインが来るぞ! ゆっくり愛で小ネタ142 禁じられた歌 ゆっくり愛で小ネタ143 昔からてんこはどえむだった ゆっくり愛で小ネタ144 その柔らかさに君は何を見るか ゆっくり愛で小ネタ145 ○い ゆっくり愛で小ネタ146 ゆっくりの会社見学 ゆっくり愛で小ネタ147 兄の来襲とゆかりん ゆっくり愛で小ネタ148 うずうず ゆっくり愛で小ネタ149 遊園地のコーヒーカップ ゆっくり愛で小ネタ150 ゆっくり散文 ゆっくり愛で小ネタ151 ゆっくりのびるよ! ゆっくり愛で小ネタ152 ちょこをあげるよ! ゆっくり愛で小ネタ153 ゆっくり散文2 ゆっくり愛で小ネタ154 鳩 ゆっくり愛で小ネタ155 後一つ ゆっくり愛で小ネタ156 ゲームをしたがってるので ゆっくり愛で小ネタ157 比較 ゆっくり愛で小ネタ158 奥儀 ゆっくり愛で小ネタ159 レーシング らゆーん ゆっくり愛で小ネタ160 本格派モチモチリボンレスリング
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ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 と言いたいところだが、今日はちょっと事情が違った。 昼過ぎ、永遠亭の永琳の元へ訪れたのは、里の守護者上白沢慧音と、台車に載せられ縄で縛り付けられたやたらでかいゆっくりまりさだった。 でかい。 とにかくでかい。 直径は2メートルを優に超えている。内包する餡子の総量はいかほどであろうか。男五人で台車を引いてきたことから、並大抵のものではないだろう。 「ゆっ、ゆぐっ、ゆぐっりざぜでぇえええ」 声もでかかった。縛られているせいか上手く喋れないようだが、それでもびりびりと空気が振動するほどだった。 「これはまた、巨大ゆっくりとは珍しい。今日の用向きは、つまりこれのことで?」 「うむ。実は──」 神妙な面持ちで慧音は話し始めた。 最近、里の近くに巨大なゆっくりが近づいてきているらしい。 ごくまれに見かける巨大ゆっくりだが、その巨体さゆえあまり動くことはできず、しかも大量の餌を必要とする。 そのため普段は人が立ち入らず、餌が豊富な山奥に住んでいるのだが、昨日の早朝、この巨大まりさが発見された。 もしやと思って村の男衆が辺りを調べてみると、その他にも四匹の巨大ゆっくりまりさが見つかったのだという。 恐らく食料を求めて山を降りてきているのだろう。一週間前の土砂崩れで、餌場を喪ったものと推測された。 進路上には里の畑があり、このまま放っておけば甚大な被害が出ることは火を見るより明らかである。 おそらくは明日の夜にでも里まで到達するだろう。 その前にどうにか駆除なり撃退なりしたい──というのが慧音の願いであった。 「あなたがやればいいじゃない。別に巨大ゆっくり如き、空から弾幕でも張れば」 「うぅむ、そこが悩みどころなのだが」 どうにも、その巨大まりさの群れには、取り巻きのゆっくりがたくさんいるらしい。 また、山奥にあとどれほどの巨大ゆっくりがいるのかも分からない。 慧音がゆっくりを駆除したところで、取り巻きに顔を覚えられ、それが里に住む自分であると知られれば、一族総出で復讐に来ることも考えられた。 「つまり後腐れなく、しかも村が恨まれるようなこともない方法を考えて欲しい、と」 「その通りだ。無茶な頼みとは分かっているが、どうにかならないものだろうか」 うむむ、と永琳は思考を巡らせた。 「思いついたわ」 「早っ」 だがそこは天才、ものの五秒で妙案を打ち出した。 早速、弟子の鈴仙を呼び寄せて巨大まりさを地下研究所に運び込むと、作業を開始した。 その作業には慧音も付き合うことになった。といっても見ているだけだが。 「ゆっ! ゆっぐりはなじでね! まりざごはんたべにいぎだいんだがらね!」 地面に固定されながらも、ぶよんぶよんと身体を揺らしながら主張する巨大まりさ。自分の立場がわかっていないようである。 「うーん、予想以上にたるんでるわね。大きくなるとみんなこうなのかしら」 「まりざはたるんでなんがいないよ! びゅーぢふるぼでぃーだよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 「師匠、どうぞ」 まともに取り合っても疲れるだけだ。永琳は適当に返しつつ、鈴仙から渡された巨大な注射器をまりさに打ち込んだ。 「ゆべっ!?」 まりさは、自分の身に起きた異常にすぐさま気づいたらしい。大きいものほど鈍感だというがあれは嘘だったのか。 嘘なのだろう。現に永琳の胸についているけしからんものも、輝夜や鈴仙の手にかかれば…… 「……何かすごくピンク色の気配を感じたけど、無視することにするわ」 永琳が打ち込んだのは餡硬化剤である。ゆっくりの餡子から水分を奪い、ほとんど砂糖同然の固形物にしてしまう代物だ。 今回はそれを薄めて使用している。今回投与した量だと、ゆっくりの餡子には程よい弾力が出来る程度だ。 そしてそれが今回は極めて重要であった。 「うっ、うごけないよ! おねぇさんなにしたのぉ!?」 まりさが喚くが当然無視。そこに、いつの間にか部屋を出ていた鈴仙が普通のゆっくりまりさを連れてきた。 全部成体であり、そして、全部口が縫い付けられていた。その数九匹。 「よろしい。では次のものを」 「はい」 指令を受け、鈴仙が再び部屋を出る。 永琳は何かを訴えてくるようなまりさを持ち上げると、台の上にうつぶせに寝かせ、後頭部の皮をすっぱりと切り取ってしまった。 「やべでぇぇぇぇぇ!!! まりざのながばになにずるのぉぉぉぉぉ!??!」 「ああうるさい。施術中は静かになさい」 永琳がさっと腕を振ると途端、巨大まりさは静かになった。口がぱくぱく動いているが、声は全く聞こえない。防音の結界を張ったのだ。 「ふむ、してどうする気だ? この普通のゆっくり達は」 ずっと経過を見守っていた慧音が疑問を口にした。 「うーん、まぁおまけみたいなものなんだけど、盾くらいにはなるかなって」 と、永琳はそのゆっくりの餡子に直接餡硬化剤(濃い目)を投与し、巨大ゆっくりに近づいた。 「おっと」 しっかり耳栓をする。防音結界も、その結界の中に入ってしまえば意味はない。 結界に入った途端、すさまじい怒声が永琳を出迎えた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅっ!!! じねっ!!! まりざだぢをいじめるわるいおばざんはじねっ!!!」 「あら酷い。私永遠の十七歳なのに」 十七歳かはさておき、見た目的に若い永琳に対して失礼甚だしいことである。そう、僕らの永琳はいつだって少女臭。どこかのスキマと一緒にしな 「……何かすごくピンク色の気配をまた感じたけど、すぐに消えちゃったわね」 ぼやきつつ、永琳はすぱっとナイフを閃かせた。 「ゆ?」 その手並みが鮮やかすぎて、巨大まりさは、一瞬自分の身に何が起きたかわからなかった。 だが目の前に垂れ下がってきたモノと、そして額に感じる冷たさから、ようやく事態を飲み込んだ。 「ゆ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」 まりさの額にはぽっかりと穴が開き、中の餡子を覗かせていた。 その穴に、永琳は後頭部の皮を切り取ったまりさを突っ込む。 「ぶぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 巨大まりさが叫ぶ。口を縫われた普通のゆっくりは何も言えず、ただがくがくと身を痙攣させていた。 そんな様子にも構わず、永琳は慣れた手つきで普通のゆっくりと巨大ゆっくりの接合面を縫い付けていった。 それを繰り返すこと八度。 巨大まりさの額の円周上には、見事、普通のゆっくりの顔が埋め込まれていた。 埋め込まれたゆっくり達はどれも苦悶の表情を浮かべ、しかし、それぞれがちゃんと生きている。 九回も頭をくり貫かれた巨大まりさは息も絶え絶えだが、こちらも死ぬような様子はない。 「これは……まさか……」 慧音は何かに気づいたようだった。永琳はその様子にニヤリと笑みを浮かべた。 「師匠、連れてきました」 「うー?」 戻ってきた鈴仙が伴っていたのは、ゆっくりふらんだった。それも成体──胴付きである。 ふらんは興味深そうに巨大まりさを見ている。 普段ならすぐにかぶりついてもおかしくないところだが、さっき食事をしたばかりのため、食欲は沸かないらしい。 慧音が驚く。 「ここではふらんまで飼育しているのか」 「れみりゃもいるわよ。まぁそっちはもう研究し尽くしちゃったし、どうでもいいのだけれども。 その点ふらんはまだ分かってないことも多くてね、興味深い研究対象だわ」 答えつつ、永琳はふわりと浮き上がる。 巨大まりさの頭上に立つと、その帽子を蹴り飛ばし、まりさが抗議をあげる前に、その頭頂部に包丁をつきたてた。 「ゆっ! ぎっ! ぶべっ!」 「流石に厚いわねぇ。しかもマズそう」 そのまま、鋸でも引くように、円形に頭の皮を切り取った。出来た穴は、ちょうど子供一人がすっぽり納まる程度の大きさである。 「鈴仙、頼むわ」 「はーい。それじゃあふらん、今から一緒に面白いことしようねー」 鈴仙はふらんの脇に手を入れて持ち上げると、そのまま浮かび上がった。 そして巨大まりさの真上まで来ると、よく狙いを定めて、 「「パイルダァァァァァァァァオォォォォォォォォォン!!!!」」 師と弟子の声が重なった。 ずぼんっ、と気持ちのいい音を立てて、巨大まりさの餡子の中に、ふらんが腰まで突っ込まれた。 「ゆっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 当然、絶叫したのは巨大まりさである。人間なら脳に直接腕を突っ込まれたようなものだ。 一方、慧音は言葉を喪っていた。永琳と鈴仙の残酷合体に慄いたからではない。もっと別の何かに、心動かされていた。 「これは……これは! 十面鬼ゴル○ス・人面岩形態!!!」 「イグザクトリィィィィ─────ッ!!!!」 ビシャアァァァン!!!と雷鳴を轟かせながら、慧音と永琳はお互いを指差した。 ここに二人の心は、かけがえのない絆で結ばれたのである。 幻想郷の住人が何故ゴル○スを知っているのか、という疑問はあるが、些細である。テンプレ的に全てスキマ妖怪のせいにしてしまえば良い。 「……! う゛ー! きもぢわるい! だせ、だせぇーぇぇぇ!!!」 ふらんはようやく事態を理解すると、途端に騒ぎ出した。腰から下が餡子風呂に使っているのだから当然か。 しかしふらんがもがけば、苦しむのは当然巨大まりさである。 「ゆびぃっ! やげっ、べっ、まりざのなががぎまじぇなぎでっべぇぇぇぇぇぇええ!!!」 餡子脳をぐちゃぐちゃにかき回され、まりさは声にならない叫びを上げた。しかし餡子が飛び出るわけではないので、死にはしない。 「ほらほらふらんー、暴れないでねー、今から面白い遊び教えてあげるからねー」 「……う゛ー」 普段から世話をしている鈴仙になだめられ、ようやくふらんは少し大人しくなった。 鈴仙はふらんの手に、魔理沙の髪の毛を握らせる。そして、右のほうを引っ張るようジェスチャーした。 「う?」 ぐいっ。 「ゆべっ!」 びぐん、とまりさの巨体が震え、身体がやや右を向いた。既に固定は解除されている。 「…………」 ぐいっ、と今度は左。 「べひっ!」 するとやはり、まりさは左を向く。 幾度かの試行を経て、ふらんは理解した。 このおおきなまりさは、じぶんのおもいどおりにうごかせる。 「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!! まりざをおぼぢゃにじないでぇぇぇぇ!!!!」 痛みと混乱から今まで静かだったまりさが、とうとう根を上げた。 だがそれを許すふらんではない。既にもう、これは自分のものなのだ。 「うー! しねっ!」 ボグシャア、と握り固めた(ゆっくりにとっては)硬い拳を振り下ろす。 「べびぎっ!」 頭部の中心を勢いよく殴られ、まりさは呻く。 「しねっ! しねっ! ふらんのゆーこときかないまりさはしねっ!」 「ばびゅっ! おぶっ! ぶぎゃ! ……あ゛あぁぁぁぁん!! もうみんなのどごがえるぅぅぅぅぅ!!!!」 泣き言をあげるたびにふらんの拳が飛ぶ。 だがやがてふらんは、わざわざ殴らなくていいことに気づいた。ちょっと足を動かしてやれば、すぐにこのまりさは大人しくなる。 「わがりまじだぁぁぁああ!!! ゆーごどぎぎまずぅぅぅぅ!!!」 二十分後、とうとう、まりさはふらんに完全に屈した。でかい瞳から滝のように涙を流し、ふらんのものになることを受け入れた。 感覚が繋がっているのか、それとも恐怖からなのか、巨大まりさに埋め込まれた普通のまりさ達も泣いていた。 「ホラーですね」 鈴仙の呟きに、まったくそのとおりだと永琳と慧音は頷いた。同じ顔が並んで涙を流している光景は、結構引く。 「よし、じゃあふらん、次は前に動く練習よ。足を前に踏ん張って」 「う? ……こう?」 「ゆぼぇっ!?」 ぐりっ、と餡子を踏んづけられたまりさの巨体が跳ねた。 「そうそう! それを連続して!」 言われたとおりにふらんが足を前に蹴りだすと、それに合わせてまりさが跳ねる。 それが楽しくてしょうがなく、ふらんはすぐにコツを掴んだ。 「止まるときは足を後ろに踏ん張って、右に曲がりたいときは右の髪、左に曲がりたいなら左の髪!」 「うっ、うっ、う~う~♪」 終始ご機嫌な様子で、ふらんはまりさを『操縦』している。 「ふぅむ、中々覚えがいいんだな」 「他のゆっくりに比べればだけどね。語彙は足りないけど、知能レベルはそこそこよ。 これまでの研究結果だと、特に『楽しいこと』『狩りのこと』に関しての覚えは特に良いわ。 まぁそれでも、曲りなりにも『手』を持ってる生物としては、当然といったレベルかしら」 そこで、はぁ、と永琳は溜息をついた。 「……むしろ、何故ゆっくりれみりゃがあそこまで知能が低いのか理解できないわ。 どこをどうしたら、あそこまで愚鈍になれるのか……しかも幼体のほうが強いって」 「まぁゆっくり自体わけのわからん生き物だからなぁ」 「ぶっちゃけないでよ。自分のしてきたことが無意味に思えちゃう」 憮然とする永琳の前で、鈴仙は熱心にふらんの指導に取り組んでいる。 「足を後ろに踏ん張って止まる!」 「うー!」「うぎぃ!」 「すかさず髪の毛を両方引っ張って、足を前にやってばんざーい!」 「ばんじゃーい!」「うべぇぇえええ!!」 鈴仙の的確な指示に従って、ふらんが両手を挙げると、まりさの巨体が大きくジャンプした。 そして見事に着地する。 「良しっ! ディ・モールト! ディ・モールトいいぞっ! よく学習してるぞ!」 そろそろ鈴仙にどこかの子作り野郎の霊が降り始めたところで、永琳は慧音に持ちかけた。 「あなたをここに連れ込んだのは、あのフランを教育してほしいからなの」 「あの月兎がいれば充分に思えるが……」 「あの子はアメばかりでムチの使い方がいまいちでねぇ。その点、あなたなら安心だわ。学校の先生だもの」 「まぁいいが……それで、どの程度まで教育すればいいんだ?」 その言葉に、永琳は了承が取れたものと理解した。永琳は告げた。 「一日で、木馬を操る子供が、いっぱしの走り屋に至るまで」 「──心得た。引き受けよう」 慧音の瞳には、教育者の熱い炎が灯っていた。 昔慧音は走り屋だった。 妹紅と一緒に峠を攻めては、四季映姫機動パトロール隊によく追いかけられたものである。 それを撒いて仲間と共に、ゆっくりを肴に呑む酒は最高だった。 だがそんな慧音を走りから遠ざける事件が起こった。 走り仲間だった阿八が、ある日事故って死んでしまったのである。 最もゆっくりを愛し、最も走りを愛した少女だった。 その日も道路上に敷き詰めたゆっくりを、愛車(リヤカー)でひき潰す遊びをしていたところだった。 危ないからやめろと慧音と妹紅はいつも止めたが、しかし彼女は若かった。 その挙句が、餡子に滑って転んだ上に崖の下まで転げ落ち、そこで見つけたゆっくりの群れを、大量出血状態のまま破壊したが故の死である。 慧音と妹紅と走り仲間達が出席した葬儀には、あの四季映姫も参列していた。 ぶるぶると拳を握り固め、嗚咽を洩らすその姿は、自らが救えなかった若人の命を嘆いているかのようだった。 それを見た途端、慧音の心にあれほど燻っていた走り屋の火が、小さくなっていった。 「阿八よぉ……お前、本当に風になっちまったンだなぁ……」 それ以来慧音は走りをやめ、やがて教師を志し今に至るというのは勿論全部ウソである。 翌日。 「──今だっ! カットバックドロップターン!」 ズァギャギャギャギャギャッ、っと凄まじい音をさせながら巨大まりさが床をドリフトする。 心地よいエキゾーストノート(=巨大まりさの叫び声)が見るものの心を震わせる。 慧音の教えのお陰で、今や完全にふらんは巨大まりさを我が物としていた。 慧音は満足そうな顔で車体を止めたふらんの高さまで飛ぶと、その頭をすごい勢いで撫で始めた。 「良ぉお~~~~~~~しッ! よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし。 りっぱにできたぞ! フラン」 「うっう~☆ にぱ~」 撫でられるふらんもまんざらではなさそうである。 時には厳しく、時には優しく慧音はふらんを教育した。そしてふらんはそれに答えた。教育者としてそれに勝る喜びはない。 「頑張ったご褒美をやらんとな! ゆっくりれいむ二個でいいか?」 「うぁ~! うっうっう~」 「三個か!? 甘いの三個ほしいのか!? 三個……イヤしんぼめ!!」 言いながら、慧音はふらんに三匹の赤ちゃんれいむを与えた。 「おがぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁああ!」 「ゆっぐりでぎないぃぃぃぃ!」 「やべべべべべべべ!」 ちなみに他の姉妹や母親は、今は巨大まりさの腹の中だ。 ふらんが望めば、最早まりさの口の動きさえ思いのままなのだった。 操られる巨大まりさの顔からは色というものが消えうせ、ただ虚ろだった。 その感情を代弁するかのように、九個の埋め込まれたまりさが涙を流す。 ふらんとまりさの仕上がりに満足した永琳は、腕を組んで頷き、計画を実行段階に移すことを決定した。 そしてその日の夕方。 「まりさおそいねー」 「ねー」 森の一角で、七匹の巨大まりさが和んでいた。周囲には百匹は下らない、普通のゆっくりが控えている。 まりさ達は、先日斥候として里の様子を見に行ったまりさのことを話していた。 今まで住んでいたところの食べ物が少なくなって、こうして山のふもとまで降りてきたのである。 どうにか食料を調達できないかと悩んでいたところ、先のまりさが里を襲って食べ物を奪うことを提案したのである。 他のまりさ達は人間の危険性を良く知っていたので止めたが、幼い頃うまく出し抜いた記憶のあったまりさは頑なに主張を譲らなかった。 だが、食料がなければ最終的に餓死してしまうことに変わりはない。 結局、他のまりさは折れ、言いだしっぺのまりさが斥候として里の偵察に行ったのだった。 協議の結果、三日経って戻ってこなかったら全員で突撃する、という約束で。 ……斥候が戻ってこないということは、つまり重大な危険が迫っているということだが、しかしそんなことまりさ達も承知である。 要するに口減らしをするつもりであったのだ。 飢えたゆっくり、強欲なゆっくりほど、我先に里へと飛び込んでいく。 するとそこには、きっと人間達の罠が待ち構えているだろう。馬鹿なゆっくりほどそれにかかって死んでいく。 後に残るのは、見識ある大人達と、未来ある子供達と、それを率いる自分達だけだ。 実際にはそこまで深く考えていたわけではないが、馬鹿なやつほど早く死ぬということは、巨大ゆっくり達がそれまでの経験で学んだことだった。 だから別に、あのまりさが戻ってきてくれなくても困らない。いやむしろ戻ってこないほうが都合が良いのだ。 だが、その希望は容易く打ち砕かれた。 遠くの木陰に、見慣れた丸い影を発見したからである。 「ゆっ! まりさだっ!」 他の小さなゆっくり達も気づいた。そして口々にまりさまりさと呼び始める。 まりさはのっしのっしと木の隙間を器用に縫って跳ねてくる。 巨大まりさ達は、ほっと息を吐いた。安堵が半分、残念が半分である。 まぁ見たところ怪我もないようだし、良しとしよう。好んで仲間を死なせたいわけでは、必ずしもない。 それに無事に帰ってきたということは、里は襲い易いのかもしれない。それを期待した。 「まりさっ! おかえりっ! にんげんのさとはどうだったの?」 巨大まりさの一匹が近寄って出迎えた。 「まりさ?」 だが帰ってきたまりさは、ぷるぷると身を震わせるだけで、動かなかった。 「どうしたのまりさ? けがしたのー?」 周りの小さなゆっくり達も声をかけるが、それでもまりさは答えない。 「みっ……みんなっ……」 そしてようやく、掠れるように声を出し、 「みんな゛っ、ごべんね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!!!」 まりさの帽子が吹き飛ぶ。それは風などではなく、内側からの力によって。 そしてその下から──帽子と、めくれ上がった前髪の下から現れたのは── 「うー!! たーべちゃーうぞぉぉぉぉぉお!!!!」 自らの身体に九匹のゆっくりを埋め込んだ巨大まりさと、その頭上に埋まったゆっくりふらん。 「「「「「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?!?」」」」」 あまりに理解の範疇を超えた出来事に、その場にいた全員が固まった。 そしてふらんは、慧音に教えられたとおりの言葉を発した。 「いっただぁきまぁーーーーーーーーーーすぅ!!!」 ふらんがまりさの髪を掴んだ両手を持ち上げ、足を後ろに踏ん張る。 するとガパッとまりさの口が開き、 「ゆっ?」 ふらんが手足の力を抜くと同時、まりさを心配して駆け寄った巨大まりさの顔面を、一口で削り取ってしまった。 それが地獄の始まりだった。 「七匹か……報告より多いわね」 「どこかに隠れていたのか。少々厄介だな」 「取り巻きも多いですね。これは襲撃されたら危なかった……」 「まぁでも問題ないんじゃないッスかね」 木陰から、永琳、慧音、鈴仙、てゐがその様子を覗いていた。 いつの間にか加わっているてゐは、ここまでの道の案内役という名目の、ただの野次馬である。 実際、てゐの言うとおり、ふらんの操縦する巨大まりさ──コードネーム・十面まりさは圧倒的だった。 巨体であるがゆえに、まりさ自身は生かしきれなかった自らの性能を、ふらんは完全に引き出している。 加えて餡硬化剤を注入したことにより、十面まりさ自身の頑丈さもアップしている。そこらのゆっくりには殺せない。 「おっと、二匹目が喰われたな」 恐慌状態に陥り、三々五々に逃げ回るゆっくり達を、ふらんは的確に追い詰めた。 今も逃げ出そうとした巨大まりさを木の陰から追い詰め、その側面を十面まりさに齧らせたのだ。 さすが捕食者に回るだけあって、狩りにおけるその本能は並々ならぬものがある。 「……どうしてふらんはあそこまでやれるのに、れみりゃがあんなに駄目なのか理解しかねるわ」 天才ゆえの性か、永琳は本気で頭を悩ませていた。 さておき、いよいよ現場は凄惨を極めてきた。 十面まりさが跳ねるだけで、近くにいた小さなゆっくり達は餡ペーストになる。 そこに逃げ回る五匹の巨大が加わるのだから、もう大変なことになっていた。 「どうじでながまをごろずの! まりざぁぁぁぁぁぁああああ!!!」 いち早く混乱から復帰した巨大まりさが、十面まりさに真意を問うた。 「ぢがうのっ! まりざのぜいじゃないっ! まりざがごろじだんじゃないいいいいい!!!! ふらんがまりざをおもぢゃにじでるのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 必死に抗議しながらも、身体は止まることを赦してはくれない。 「ゆっ!」 間一髪避けた巨大まりさの横で、がちん!と十面まりさの歯が鳴った。 命の危機に瀕したそのまりさは、とうとう、認識を改めた。 最早殺すより他に無し。 このまりさは、もう、自分達とは違うものだ。 ふらんに下り、その手先となってゆっくりをゆっくりさせぬ全てのゆっくりの敵だ。 「……わかったよ、まりさ」 「ゆっ!?」 ぱっと十面まりさの顔に喜色が灯る。助けてくれる。そう思った。 だが無論、そんなことはありえなかった。 「まりさはそこで、ゆっくりしんでね!」 「「「「ゆっくりしね!!!!」」」」 他の四匹の巨大まりさも同調し、一斉に飛び掛ってきた。 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅ!!! どうじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!?!?!?」 十面まりさの全ての顔が、絶望の色に染まった。 「しねっ!」 「そんなきしょくわるいまりさ、もうまりさのしってるまりさじゃない!」 「よくもまりさたちのなかまをころしたな!」 「まりさたちのなかまをよくも!」 「まりさたちのともだちをよくも!」 「よくも! よくも! よくも!」 「ころしたなぁああああああああああああ!!!!!」 「ころせっ! まりさをころせっ! あのまりさをころせっ!」 「ころせっ! ころせっ! ころせっ!」 「ころせッ! ころせッ! ころせッ!」 「 あ の ま り さ を 殺 せ ッ ! ! ! ! ! 」 最早すべてのゆっくりが、十面ゆっくりの敵だった。 「ああああああ……どうじで……どうじでええええええええ……」 捕まったときは、きっと助けに来てくれると思った。 辛い仕打ちを受けても、きっと助けに来てくれると信じていた。 だから、自分がふらんに操られ、みんなを襲うことになったのがとてもイヤでイヤでしょうがなかった。 許してほしいわけじゃなかった。 自分が無謀を働いたから、こんな結果になったのは分かっている。 分かっているけれど。 せめて、そう、せめて。 『仲間』のまま、死んでいきたかったのに── 「……! うー! うごけ! いうこときけっ!」 ふらんは、突然動かなくなった十面まりさに戸惑った。 髪を引っ張っても足で蹴っても、びくびくと痙攣するだけで言うことを聞かない。 目の前からはゆっくりの大軍が迫ってくる。空を飛べるふらんは、このまま十面ゆっくりを見捨てて逃げればどうということはない。 だがそれよりも、さっきまで自分に従っていたものが動かなくなったことが気に入らない。 ふらんは、このまりさとあのまりさ達の間にどんな関係があったのかは知らない。 無論、あまりの絶望から、この十面まりさがゆるやかな精神の死を迎えつつあることも。 知らないからこそ、許せない。 玩具風情が、自分の意に沿わないことが。 「うぅー! うぅー! うぅぅぅぅうううううううううううううううううううううう!!!!!!!」 ──思い通りに動かなくて癇癪を起こすという点では、ふらんもれみりゃと同じと言えるだろう。 だがふらんのそれは、れみりゃのそれよりもっと強く、もっと的確で、そして、敵意によって成り立っていた。 「動けえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」 「ゆぶぐぇっ!?」 ずぶぎゅっ、とふらんは両手をまりさの頭の中に突っ込んだ。 新たな衝撃に、刹那、まりさの意識が覚醒する。 ふらんはさらに、餡子を握り締めると、それを狂ったように滅茶苦茶にかき回した。 「あいづら、ぜんいんっ、 喰゛い゛殺゛せ゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「ブガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」 その瞬間、十面まりさの自我は完全に死んだ。 「あら、これは──」 「暴走したか。精神的にも肉体的にも限界だったようだな」 永琳達の視界の先で、十面まりさは暴れ狂っていた。 白目を剥き、口から餡子を迸らせ、全身を木や地面に打ちつけながら。 その過程で数多のゆっくりをひき潰しながら。 全員で襲い掛かろうとしたのがまずかった。近くにいた小さなゆっくり達はほとんど潰れてしまっている。 「ぎぇばあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 巨大ゆっくりの一匹が凄まじい悲鳴を上げた。後ろから噛みつかれたのだ。 その一撃で死ねたならいっそ幸運だっただろうが、運動中枢すらおかしくなりかけている十面まりさは、がちがちと歯を鳴らすように少しずつ削り喰っていた。 「じねぇっ!」 その隙を突くように別の巨大まりさが襲い掛かるが──そのまりさは忘れている。十面まりさの肉体の主導権は、ふらんの手にあることに。 まりさの中で、ふらんの手足が蠢いた。 「ゆぅっ!?」 すると十面まりさは、それまでの動きをまるで無視して真上に高く飛び上がり、そのまま、真下の二匹を踏み潰した。 「残り三匹ですね……って、危ない!」 着地の隙を狙って、残った三匹が一斉に躍りかかった。三方向同時攻撃。避けられない。 「! うー!」 戦いの中で、ゆっくり狩人としての闘争本能が完全覚醒を迎えたのか、ふらんの決断は早かった。 十面ゆっくりに、正面の一匹に噛み付くよう操作してから、自身は餡子から手足を抜いて飛び出した。 「「「じねッ! ゆっぐりじ」」がぁああああああ!!!」 三匹のうち、噛み付かれた一匹が叫ぶ。その隙をふらんは見逃さない。 落下の勢いそのままにまりさの皮を食い破ると、餡子の中に足をじたばたさせながらもぐりこんだ。 「てゐ何撮ってるのよ」 「ふらんのおふぁんつ」 「……売れるの?」 「好事家ってどこにでもいるもんだよねー」 ふらんはそのまままりさの中にすっぽりと身を埋めてしまった。 「あぽぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!! ながっ、ながにいぎゅぅぅううううう!!!」 残り二人は十面ゆっくりの始末をつけるのが最優先で、助けようとはしなかった。 いや、助けようとしても最早手遅れだ。 ふらんは散々まりさの中を引っかき回したあと、まりさの頭頂部を突き破って現れた。 「うううううううううううううううううううう!!!」 母の胎を引き裂き生まれる鬼子のように。 「ストナー○ンシャイン」 「レ○エルを中から破壊したエ○ァ」 「ええっと、マ○ターテリオンですか?」 「これだから! これだからエロゲ世代は!」 「散々ウドン○インネタで引っ張られておきながら今更それを持ってくるとは!」 「ちょ、酷くないですかその反応!」 「……とんだオタク揃いウサ」 永琳たちが口々に感想を述べている中で、ようやく残った巨大まりさ二匹は、ふらんの姿を認めた。 そして気づく。 これが自分達の敵だと。 自分達の大事な友を貶めた真の敵だと。 「……って思ってるならまぁ都合のいい考え方よねぇ。いつも思うけどゆっくりって自己正当化にかけては天才よね」 「仕向けた張本人がよく言う。おっと、そろそろ佳境だな」 慧音の言うとおり、ふらんとまりさ二匹は総力戦に突入した。 一匹を自ら仕留めたふらんだが、敵もさるもの、ここまで大きくなるまで生き延びてきたのは伊達ではない。 「ゆっくりしんでね!」 「つぶれてしんでね!」 「うー、ゆっくりしねっ!」 まりさ達は、ぼてんぼてんと跳ね回っているようでいて、しかしお互いを守りあうように動いていた。 ふらんはイライラした。でかいだけのただのゆっくりのくせになんて生意気だ。 「う゛ぅー!」 ふらんは手近なゆっくりの屍体を手に取ると、まりさの一方に向かって投げつけた。 偶然、それが目に当たる。 「ゆ゛ぁー!」 「まりさぁっ!?」 片方に起きた突然の事態に、もう一方も思わず足を止めてしまう。それこそがまりさ達にできた隙だった。 ふらんは目潰しを喰らったほう──ではなく、それを心配して無防備な横腹を晒しているほうに飛びかかる。 「じねっ! じねっ!」 「ゆぎゃぁっ! やべでぇええ!」 「じねぇえええええええええええええええええ!!!!」 噛み付き、引っかき、抉り出し、中の餡子を掻き出していく。 まるで削岩機のように、ものの数秒で大量の餡子が流れ出していった。 だが、それに夢中になっていたのがいけなかった。 「──ゆっくり死ねぇぇぇえええええ!!!」 いまだ目の見えないもう一匹が、音だけを頼りにボディプレスをしかけてきたのだ。 慌てて逃げようとするふらんだが、あまりにも餡子の奥深くにまで手を突っ込んでいたため、それも叶わない。 このままでは潰される──そう永琳達が息を止めた瞬間。 それは起こった。 「う゛ぅ゛ー!!」 ふらんの首だけがすぽんと抜けて、空中に飛び出したのだ。その後部から小さな翼を伸ばし広げる姿はまさに、 「「ジオング!!!」」 永琳と慧音の声が重なった。 着地した巨大まりさは、ふらんの胴体のみを潰すだけに終わる。いや、着地の衝撃で虫の息だった仲間に止めを刺してしまった。 その事実に戸惑うまりさに、すかさず、首だけとなったふらんはとどめの一撃を放つ。 「おお、あれは!」 「自らの回転力によって敵を屠る必殺の!」 永琳と慧音は、ふらんの突撃に合わせて声を張った。 「超○覇王電影弾んんんんん!!!」 「ギガド○ルブレイクぅ────!!!」 ふらんの牙が、まりさの後頭部から進入した。 「ぶげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 そしてそのまま頭の表面をまっすぐに削っていく。 ふらんが通り抜けたあとには、哀れ、逆モヒカンとなった巨大まりさが残った。 頭頂部がごっそり抉り取られたことで左右に負荷がかかり、まりさの顔は真ん中から裂け始めた。絶命も時間の問題だろう。 そしてこちらでも、ある一つの絆が引き裂かれようとしていた。 「──ちょっと! なんでそこでグレ○ラガンなのよ! あなた何考えてるの!?」 「そっちこそ! 何故そこでGガ○なんだ! 阿呆か!」 「あなたにマスター○ジアとド○ンの何が分かるのよ!」 「貴様こそカ○ナとシ○ンの何が分かるって言うんだ!」 「あの……師匠も慧音さんもそろそろですね……」 「メタネタも大概にしようよー。きっと読者引いてるからさー」 永琳と慧音が昨日築いた絆は脆くも崩れ去った。 言い争いを続ける後ろでは、首だけになったふらんが、虫の息となった巨大まりさの餡子をむしゃむしゃ食べている。 「慧音さまぁー! 永琳どのぉー!」 と、そこに遠くから男の声が聞こえてくる。皆が声がしたほうを見ると、手に手に鍬や鋤を持った男衆が、こちらに走ってきていた。 「おお田吾作、どうしたこんなところまで」 「いやはや……慧音様は任せてくれとおっしゃいましたが、我らいてもたってもいられず馳せ参じた次第でありまして。 して、巨大ゆっくりはどこに?」 「ん、ああ、折角のところすまんな。もう片付いた」 「なんと! それはまことにございまするか!」 「うむ。まぁ功績は私ではなく、この永琳殿と、あそこのゆっくりふらんに与えられるものだがな」 おお、と男達がどよめいた。 永琳には以前から世話になっていたことから、尊敬の念を新たにすれど、それほど驚くことはなかった。 だがまさか、捕食種といえども、ゆっくりふらんがあの巨大なゆっくり達を倒すとは…… 「う?」 自分を見つめる数多の視線に気づいてか、ふらんが振り返った。 まりさの餡子を大量摂取したせいか、既に身体は復元している。 「英雄じゃあ……」 「我らの守り主じゃあ!」 感極まった男達は、一斉にふらんへ駆け寄った。 その際、まだ生きていた十面まりさの顔の一つが踏み潰されたが、口が縫われていたため叫びも上げず誰も気づかなかった。 「ゆっくりふらんばんざーい! わーっしょい! わーっしょい!」 「う゛ー!?」 円陣を組んでゆっくりふらんを胴上げする男衆。それを身ながら、慧音はうむと頷いた。 「これにて一件落着だな」 「そのようね。里の危機は回避されたわ」 趣味の相違によって崩れかけた絆だったが、仕事を一つやり遂げた達成感から、それは修復されつつあった。 「それでは永琳殿、今日はこれにて。また何かあったら、そのときは」 「ええ、是非力にならせてもらうわ」 がっちりと握手を交わす半獣と薬師。そこにはお互いへの信頼があった。 「……それはともかく、あのふらんはどうしましょうか」 胴上げされ続けているふらんを見ながら、鈴仙は言った。 「うーん、まぁあのままで良いんじゃないかしら。強いし、里で飼ってあげれば良い守り役になると思うけど」 「そういうことならばありがたい。是非そうしてくれ」 「ではそういうことで」 「うむ、恩に着る」 頷き合う二人の後ろで、ふらんが泣き喚いている。 「う゛ー! あぜぐざいー! ずっばいにおいがずるー! みんなじねぇぇぇぇぇ!!!」 「わーっしょい! わーっしょい!」 胴上げは、いつまでも続いていた。 それから。 里には永琳の手によって、ふらん専用十面れいむが配備された。一つの家族から作った一級品である。 加えて二十数対のふらんの幼体が卸され、里の守りをより強固なものとした。 ふらんはそれらの幼体を従え、十面れいむを駆り、慧音と共に里の平和を守り続けることだろう。 汗臭い男達に囲まれながら。 「う゛ー! もうおうぢがえるー!」 どっとはらい。 あとがき 正直メタネタとかロボネタが多すぎたと思う。でも謝らない。 なお、タイトルが十面鬼編となっているのは、以前書いたゆっくり実験室?の続編の構想があるからです。 そっちのタイトルをゆっくり実験室2とする予定だったので、こちらは番外編のような扱いに…… 一つしか出してなくて何が番外編かって話ですよね。 このSSに感想を付ける