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注意 この話には俗にいう「良いゆっくり」と「悪いゆっくり」が出てきます またゆっくりをペットとして飼っている人が出てきます そういうのが嫌いな人は読まない方がいいかもしれません また、まだ虐待的な描写もありません あと東方キャラも出てきます そこも注意 「ひゃっはー!!勝手に人の家に入ろうとするような屑は消毒だぁ!!」 「ゆゆっ!!」 「ゆっ!!にんげんだよ!!ゆっくりできないよ!!」 「ゆゆ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「だが断る」 プチン!! 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ま゛り゛さ゛のあか゛ち゛ゃんがあ゛ぁ!!」 「さぁーて、次はどの子を潰そうかなぁ?」 「ゆゆ!?まりさはわるくないよ!!わるいのはこのこたちだよ!!このこはころしていいからまりさはゆっくりたすけてね!!」 「お゛か゛あ゛ぁーん゛!?!?」 「どぉじでぞんな゛ごとい゛う゛の゛ぉお!?!?」 「そうかそうか、じゃあ悪い子供から潰してあげよう」 「れいむ!にげて!!」 「れーむおねえちゃん!!れーむもいっちょにゆっちゅりちたいよ!!」 「だめだよ!!れいむだけでもゆっくりしていってね!!」 「おねえちゃん!!どおちてみじゅにおちょすのお!?」 「あ!!…あーあ、川に落としやがった…ま、いいや、どうせ助からないだろうし!!」 「そんなことないよ!!あのれいむはれいむのぶんまでゆっくりしてくれるよ!」 「うるさいよ!!れいむはおかーさんをたすけるためにゆっくりにんげんにつぶされてね!!」 「まあ、親子共々つぶすんだけどね、そぉい!!」 「どぉじでぇ!だすげてく゛れ゛るん゛じゃないの゛ぉお゛!?!?」 「れいぶー!!べいむのぶんまでゆっぶげっ!!」 「ゆゆゆっ!おねえちぁーん!!!」 「よお、れいむ、お早いお目覚めだったな」 俺の飼っているれいむがいつもより起きるのが遅いと思ったら急に叫びだした、またあの夢を見たのか 「ゆっ、ゆっ、ゆっ…」 あーあ、また泣き出しちゃったよ 「どうした?また怖い夢でも見たのか?」 「お、おにいざん!!こわいよ!!ゆっくりできなかったよぉお!!」 「あぁ、大丈夫だ、俺がいる間はお前は守ってやるから、な?」 「う、うん、ゆっくりできるよぉ…」 このゆっくりを飼い始めたのはちょうど1年ほど前だ 庭で草むしりをしていたら家のすぐそばの小川の岸でぐったりしていたところを発見、保護したのだ 自分はゆっくりは嫌いではない、だからと言って必要以上に溺愛したりもしない ただ、害を加えるゆっくりには断固とした態度で制裁すべきだとは思っている れいむの家族は人間の家に侵入しようとして石でガラスを割ったところを人間に見つかり攻撃された 親に裏切られ、死ぬかと思ったが姉に川に突き落とされたことで何とか助かったらしい 最初は自分と目を合わせようとしない、餌を出しても食べようとしない、毒見しても食べようとしないので無理やり口移しで飲ませた なにもただのゆっくりにそこまでしてやる理由はなかった ただの偽善とか独善だったのかもしれない ただ、このれいむは回復した後俺を慕ってくれるようになった、最初のころはゆっくり独特の傲慢さも目立った。 俺が仕事から帰ってきた直後に 「ゆゆっ!!おにいさんおかえりなさい!!いのちのおんじんのおにいさんはきょうもれいむのいえでゆっくりさせてあげるよ!!」 とか言ってきたときは本気で殺したくなったがその場は押さえ、ゆっくり関連の本を読んで何とかしつけることに成功した そしてついに先週、飼いゆっくりの最高峰「ゆっくりゴールドバッチ」を手に入れた 最初は怪我が治るまで世話してやろうと思ったがれいむの願いで餡子を食べたこともある今ではそれなりに大切な相棒になってきている 「じゃ、俺は仕事に行ってくる、お前は何か用事があったっけ?」 「ゆゆっ?、わすれたのおにいさん!きょうはおさのいえでゆっくりしゅうかいのひだよ!!」 「すまん、忘れてた、じゃあ先に出てくれ、帰ったときに俺がいなかったら外の小屋で待っててくれ」 「しっかりりかいしたよ!!じゃあ、ゆっくりいってくるね!!」 ゆっくりしゅうかいとは里の長の飼いゆっくりが始めた飼いゆっくり達の会議のことである 会議といってもどこのゆっくりが亡くなった、そうしきをひらこう。とか やせいゆっくりがはたけをあらしてたよ、おお、おろかおろか。とか そんな話を各地区の代表が集まって話をするらしい そして俺は役場で仕事だ 外の世界から来た自分に幻想郷で生活ができるのかという不満があった だが識字率の決して高くないここでは漢字も読み書きでることが重宝され、里の役場で書類整理の仕事をしている あと学生時代の経験を生かして河童と外のコンピューターをいじくるのもいい副収入になっている 今日のゆっくり集会もいい感じにゆっくりできた そうれいむは思いながられいむは帰り道の途中で捕まえたトンボを食べていた お兄さんはいつもおいしいごはんを作ってくれる、だが万が一のことも考えて自分で餌を取ることもやめてはいない お兄さんもそれは理解していてご飯の前に今日はどれくらい食べるかと聞いてくれるので外で食べすぎてお兄さんを心配させることもない 「ゆゆっ!おにーさん!れいむがかえってきたよ!中に入れてね!!」 すぐにドアが開いた、今日はお仕事は早く終わったらしい 「おう、お帰り、俺はこの後酒場で飲みに行くけどお前も来るか?」 「ゆ…きょうはすこしつかれたからおにーさんのおうちでゆっくりするよ!ごはんはそとでたべたからきにしないでいいよ!!」 「そうか、わかった、棚の中にゆっくりフードがあるから腹が減ったらそれを食べてくれ」 酒場はみんなが優しくしてくれるから大好きだでもゆっくりを料理するしその声が聞こえてくることがあるから気分が乗らない日は行きたくない それはお兄さんも知っているからそれ以上はいってこない 周りの人間は目つきが怖いとかいうけどこのお兄さんは本当にいい人だ、この人に飼われて良かった 男が「じゃあ行ってくる」といって戸を開く ゆっくりが「ゆっくりきおつけてね!!のみすぎはだめだよ!!」と返事 「わかってるよ」と言いながら戸を閉め、鍵をかける男 道路わきの茂みの中からその光景を見る一対の目があった 続く おまけ ゆっくりバッチについて 飼いゆっくりには飾りにバッチをつける決まりがある(飾りがないゆっくりには新しく髪飾りをつける) 最初のころはただの飾りだったが今ではブロンズ、シルバー、ゴールドの3種類のバッチがある。 ブロンズ これはただ人が飼っているゆっくりであることを証明するだけの飾りである 虐待お兄さんが一時的に甘やかすためだけに一時的につけることもあるのでこのバッチの付いているゆっくりは躾がなっていないことが多い そのため通常他人の飼いゆっくりを攻撃することは器物損壊に当たる犯罪だがブロンズバッチのゆっくりは被害をこうむった場合殺しても罪にならない シルバー ある程度人間と暮らすためのルールを覚えたゆっくりにつけられるバッチ、普通に可愛がりたい場合は最低でもこれがないといけない なお、ペットショップで売られる餡子増量型ゆっくりは無条件で付けることができ、通常のゆっくりもペットショップで試験を受けることで付けることができる ゴールド 最高のペットゆっくりにつけられるバッチ、このバッチをつけられたゆっくりは飾りのないゆっくりでもゆっくりと識別し攻撃しないなど、ゆっくりの常識を超えた行動ととることができる 当然試験も厳しい このバッチをもったゆっくりは労働力としてもある程度貴重でゆっくりを働かせているところではゆっくりの教育係として重宝している そのためこのバッチを持ったゆっくりがほかの所に出稼ぎに行くこともある ちなみに最低条件に「飾りのないゆっくりでもゆっくりと識別」することがあるがこれは過去に起きた事件に由来する 過去に起きた事件について 里周辺に住むあるゆっくりの群れが人里の飼いゆっくりのことを 「人間を飼いならし、おいしいものを独占する悪いゆっくり」として飼いゆっくりに対して執拗な攻撃を仕掛けてきた事件 その手口は飼いゆっくりの飾りを盗んでしまうというもの そのため飼いゆっくりによる飼いゆっくりの殺害が続出した だが飼いゆっくりの飾りをつけたゆっくりが人間に餌をねだった挙句つかまったため事件が発覚 その後飾りがなくても識別可能なゆっくりの育成、人間が区別できるように焼印によるマークによりゆっくりによるゆっくり殺害は激減、事件は沈静化した 現在でも飾りをなくしたゆっくりがゴールドゆっくりか里の人間に焼印を見せながら助けを求めることがある ちなみに加工所で売られている予備飾りをゆっくりの餡子で特殊加工することで飾りをなくしたゆっくりも社会復帰ができる ちなみに後に造られた飾りの方が優位性が高いため同じ飾りをもったゆっくりが現れて混乱が起きることはない あとがき どうも、セインでございます 飼いゆっくりに起きた悲劇…的なことを書こうとしたらまだ悲劇は起きませんでした…ごめんなさい 幻想郷は識字率が低い 幻想郷の文化レベルは戦国時代から江戸時代程度だと思ったのでこういう設定を作りましたが実際江戸時代の識字率は高かったらしいです… それにけーねが寺子屋で授業してたりAQNが本書いたりしているので識字率は高いのかも…ごめんなさい 8月10日 2339 セイン このSSに感想を付ける
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今晩の夕食は魚にしよう。 男はそう思い、釣竿と魚を入れるたもと網を持って川に来ていた。 まだ夏になったばかりだが気温は高く、また魚は人を見つけると隠れてしまうので、木陰に隠れて糸を垂らす。 いっぱい釣れたら里で売ってもいいなと気楽に釣りを始めた。 釣りを始めてしばらくが経った。太陽もだいぶ移動している。 釣果は0。まったくと言って釣れていなかった。 餌が悪いんだろうか、と男はいろいろな餌を試してみたがどれにも魚は食いついてこなかった。 もはやあきらめたように木陰に横になる。川を見ながら時間を潰していると近くの草むらがガサゴソと音をたて、ゆっくりが現れた。 ゆっくりはゆっくりまりさと呼ばれる種類で、大きいのが1匹、中くらいのが2匹、小さいのが1匹。 おそらく家族だろう。男はそう思い暇つぶしもかねて様子を見ていた。 やがて川に到着したゆっくりたちは思い思いに水を飲みだした。 「ゆ~、つめたくておいしいー!」 「ゆっくりのむよ!ゆっくりまってね!」 「ゆっ!ゆっ!」 「みずにおちないようにね!あとあまりのみすぎないでね!」 勢いよく水を飲む子供達に親ゆっくりはやさしく注意をしていく。 親ゆっくりは真っ先に水を飲み、その後は子供達の後ろに回っていた。 子供を置いて先に飲むとは酷い親だと思ったが、どうやら水が安全か確かめたらしい。 今も、後ろに回っているのは子供達が水に落ちないように掴んでいるためだった。 やはりゆっくりと言えども子供は守るんだな。 男は知り合いに平気で見捨てる親ゆっくりの話を聞いていたので親まりさの行動に若干驚いたが、 子供を守る親が普通だと思い直し、ゆっくりの話に耳を傾けた。 「みんなそろそろあつまってね!」 「ゆっくりあつまるよ!みんなおねーちゃんについてきてね!」 「おねーちゃんまってー!」「ゆー!」 親の声に真っ先に反応した一番早く生まれたであろう姉ゆっくりがまだ水を飲んでいる妹ゆっくりと、赤ちゃんゆっくりを連れて親の前に集まる。 「ゆ!おねーちゃんはさすがだね!おかーさんうれしいよ!」 「まりさはおねーちゃんだからね!いもうとたちをたすけるよ!」 「おねーちゃんかっこいー!」「ゆゆー!」 「じゃあかわをわたるほうほうをおしえるからゆっくりきいてね!」 「「ゆっくりきくよ!」」「ゆっ!」 今なんと言った。川を渡るだと!? ゆっくりは泳げない。だから潰す以外にも池や用水路に落として殺す。 水の中に入ったゆっくりは必死に出ようとするが泳げないのでどんどん沈んでいく。 やがて体力のなくなったゆっくりは苦しみながら死に、死体は溶けて飾りだけが浮いてくる。 里で捕まえたゆっくりを一匹一匹潰すのは面倒なので最近はゆっくり用に作った池に放り込んで殺すのが里の人の常識となっていた。 男も今まで捕まえたゆっくりを池に捨てたことがあるのでゆっくりが水に浮かないことも知っていた。 そのゆっくりが川を渡ると言うではないか。 釣りに来ていた川は流れがほとんどないような場所で流れに流されるようなことはないだろう。 しかし深さは1mはあるので一度落ちるとゆっくりでは助からないだろう、池のように沈む前に魚の餌になって消える運命が待っている。 男は親ゆっくりの話を詳しく聞くため、ゆっくり親子に近づいた。まりさ種は警戒心が強いと聞いていたので慎重に物陰に隠れて聞き耳をたてる。 「まずはおかーさんがやってみるからね!しっかりみているんだよ!」 「ゆっくりみてるよ!おかーさんがんばってね!」 親ゆっくりがまず手本を見せるようだ。子供たちは飛び跳ねながら応援している。 すると親ゆっくりは自分の帽子を外した。すると帽子の中から木の棒が出てくる。 「みんなすでつくったきはわすれてないよね?!」 「うん!わすれてないよ!ちゃんともってきたよ!」 そういって子供達も親に習い帽子を外し、中から木の棒を取り出す。 木の棒は片端は細く、葉型が付いているので細い方を咥えて使うのだろう。もう片方は平たくなっておりまるでボートのオールのようであった。 ゆっくりが道具を使うことに驚いたが里で見つけたゆっくりたちは石を投げつけたり穴を畑に張り巡らしたロープを引っ張ったり外したりしていた。 ゆっくりの中で頭のよい方のまりさなら使ってもおかしくないだろう。 男はそう納得し、観察を続ける。 「まずはぼうしをみずにうかべるよ!なかにみずがはいらなようにきをつけてね!」 そう言って帽子の天井部分が底になるように水にいれた。帽子は防水加工しているらしく、水がしみこまずにぷかぷかと浮く。 親は帽子が流れないように木の棒で抑えながら、 「ぼうしがながれちゃうとたいへんだからね!きでしっかりおさえてね!」 「ゆ!わかったよ!ぜったいぼうしをながさないよ!」 「ならみんなもやってみてね!あかちゃんはこっちにきてやってね!」 親ゆっくりの注意を聞いて子供達も帽子を浮かべ始める。赤ちゃんゆっくりはまだ不安と判断したのか親ゆっくりがいっしょに抑えてあげていた。 「うかんだらぼうしにゆっくりのってね!ぴったりとはいるようにのるんだよ!」 「ゆっくりがんばるよー!」「「ゆー!」」 「すきまがあるとみずがはいってあぶないしにおうからね!」 慎重に帽子に乗る親ゆっくり、すっぽり入るとゆっくりの重みで帽子の鍔の部分が浮き上がり、水が入らないようになる。 器用に浮いた親ゆっくりは浮いた生首のようで気持ち悪かった。 「ゆ!ゆゆっ!」 「みずこわいよおおお!」 「おかーさんがささえてあげるからがんばってね!」 「ゆー!できたよ!ゆっくりできた!」 「まりさもできたー!」 水がやはり怖いのかなかなか乗れなかった子供達だが、親ゆっくりの手助けで無事乗れたようだ。 一番手間取った赤ちゃんゆっくりは親が咥えて子供達が押さえる帽子に載せることで浮かぶことができた。 「すごいよ!みずのなかがみえるよ!」 「あ、おさかなさんだー!」 「ゆっゆっゆ~」 「きをつかえばゆっくりいどうできるからね!こうやるんだよ!」 「おかーさんすごーい!」 「まりさもやってみるよ!」 「ゆー!!」 親に教えてもらいながらやがて木のオールで起用に動くゆっくり達 水に浮かんだ状態はゆっくりにはゆっくりしやすい条件のようだった。 男ははしゃぎまわるゆっくりたちを見て、面白いおもちゃだと思った。これはしばらく退屈しないですむなぁと。 急いで寝ていた場所にもどり釣り糸と針を用意する。もどるとゆっくり家族は向こう岸に行っておいしいものを食べようということを話していた。 ゆっくり達が向こう岸に行こうと男に背中を向け漕ぎ出す。その速さは名に違わず非常にゆっくりで追いつくのは簡単だった。 男はゆっくりの後ろから帽子に針を引っ掛けていく。4匹すべてに引っ掛けるとまた岩陰に隠れた。 針には釣り糸が付いており、ゆっくりが向こう岸に進むごとに流れていく糸を男は注意深く持ってゆっくりと遊びだした。 「ゆっくりすすんでいこうね!」 「ゆっくりすすむよー!」「ゆー!」 「むこうにはなにがあるの?」 「おいしいものがいっぱいあるよ!れーむやぱちゅりーはわたれないからわたしたちのものだよ!」 「ありすは?ありすはいないの?」 「ありすもいないよ!だからこわがらなくてもだいじょうぶだよ!」 「ありすいないのならだいじょうぶだね!」「ゆっ!」 「もしありすにおそわれたらこうやってにげるといいよ!ありすはかわをわたれないからね!」 「きははだみはなさずもっていてね!なくしたらいってくれたらまたつくるよ!」 「おかーさんありがと!でもこんどはじぶんでつくりたいな!」 「まりさも、まりさもつくる!」「ゆゆゆ!」 「じゃあこんどはきのつくりかたおしえてあげるよ!」 「「おかーさんありがとー!」」「ゆぅ~!」 「おかーさんなにかへんだよ!むこうまでいけないよ!」 「もうちょっとだよ!がんばってね!」 「もうつかれたー!ゆっくりしたいよ!」「ゆぅぅぅぅ」 「がんばってこげばすぐにつくよ!がんばってね!」 「ぜんぜんすすまないよー!」 親まりさは子供達が口を使い上手く漕げているのでとてもうれしかった。赤ちゃんにはまだ早かったがおねーちゃんが助けてあげているので大丈夫だろう。 早く向こう岸についてみんなでおいしいものを食べよう。向こうにはありすもいないから子供達も元気に跳ね回ることが出来る。 木の棒の作り方も教えないといけない。向こう岸にはいい木がいっぱいあるからもって帰ろう。 親まりさの頭はもう向こう岸について楽しむことでいっぱいだった。しかし、漕げども漕げども向こう岸に着かない。 何回もわたったことがある親まりさはおかしいと思いながらも、子供達と一緒だからと思い、子供達を励ましながら懸命にこいだ。 ゆっくりは水に弱い。 帽子に乗っているうちは安全だけども、帽子から落ちたら助からない。もし波がきたら親も子供もまとめて沈んでしまうだろう。 早く向こう岸に渡りたいと思いながら懸命に漕ぐ。しかしがんばってもがんばっても向こうに着かない。 「どゔじでえ゙え゙え゙え゙え゙え゙!」 「お゙がーじゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!」 とうとう疲れたのか漕ぐのを止めて休憩をしだした。早く陸に上がりたいがもう体力がない。子供達も限界だ。 水の上は怖いが、今はありすもいないのでゆっくり出来るだろう。 ゆっくりたちは離れないように木の棒で支えあいながら眠った。 男はそんな様子を岩に座ってみていた。手には4匹につないだ糸がある。 ゆっくりたちがなかなか向こう岸に付けなかったのはこの男が糸を引っ張っていたせいだ。 男はゆっくりが進む力より少しだけ弱く糸を引いた。引きすぎては気づかれる可能性があるからだ。 男がゆっくりが進む力よりすこし弱い力で引くのでゆっくりは自分が上手く漕げてないから遅く見えるだろうという考えだった。 近すぎると戻られたり、気づかれるかもしれないと思ったので引き始めたのは川の真ん中。 男のおかげでゆっくりたちは川の真ん中の辺りで動きがゆっくりになった。 懸命に漕ぐゆっくりの姿や、なぜ向こう岸につかないのかと騒ぐ子供にそれをなだめる親、一つ一つの行動が面白く時間がたつのを忘れてしまった。 男はまだまだ物足りなく、動かなくなったゆっくりが動き出すのを待つ。 それからしばらく経ったがゆっくりが動き出す気配がない。 気になった男はゆっくりに近い岩に移動する。するとゆっくりたちは寝ているではないか。 これでは楽しめない。俺はまだまだ楽しみたいのに。 男は糸の一つを引き始めた。 「ゆっ?ゆゆゆっ!」 「うるさいよ、ゆっくりできないよ」 「ゆ゙ゔゔゔゔゔ!!」 疲れて寝ていると赤ちゃんゆっくりが騒ぎ出した。姉ゆっくりはまだ寝たりないのか赤ちゃんゆっくりに注意する。 親まりさはその悲鳴に何か危険なものを感じたのか目を覚まし、赤ちゃんを探す。そして、 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!ま゙り゙ざのあ゙がぢゃん゙ん゙ん゙ん゙!!」 赤ちゃんゆっくりは先ほどまで一番近くにいたのに今はだいぶ離れてしまっていた。いまだ少しずつ離れていく。 親まりさはすぐに理解した。赤ちゃんが流されている。 「まっててね!すぐおいつくからね!」 「「ゆっくりまっててね!」」 先ほどの悲鳴に気づいたのか子供達も後ろから追いかけてきていた。 しかし、つい先ほど覚えたばかりの子供と熟練した親のオール捌きには明確な差があり、子供達はどんどん放されていく。 親ゆっくりは置いていかれる子供達のことも心配だったが、待っていると赤ちゃんが流されてしまう。 赤ちゃんを優先するべきと判断した親まりさは先ほどまでの疲れを見せないオール捌きで赤ちゃんに追いついていった。 親まりさは赤ちゃんゆっくりを追いかけ上流に上っていった。 男は上流に向かって歩いていく。手には糸。赤ちゃんゆっくりが上流に流れていくのはもちろんこの男の仕業である。 赤ちゃんゆっくりの糸と親と子供達の糸を操りながら男は上流に向かっていった。 赤ちゃんゆっくりに親ゆっくりが追いつこうとすると引く力を強める。離れると親ゆっくりは追いつこうとがんばる。 まだ気づかないのか。いい加減上流に行っていることか赤ちゃんが引っ張られていることに気づかないのかと、親ゆっくりを見るがどうやら気づいていない。 子供達などもう口では助けるよなどと話しているが引っ張っているのは男である。 親ゆっくりに声援を送っているが自分達はのんびりと休んでいるのを見て、置いていこうかとも思ったが後々取りに帰るのが面倒なのでしょうがなく引っ張っていた。 子供達の声援によって一時的に早くなる親ゆっくりのこっけいな姿を見ながら、岩に糸を引っ掛けないように注意して山を登っていった。 「「おかーさん!!」」 子ゆっくりの叫び声でところどころにある岩に注意がいっていた男が親ゆっくりをみる。 親ゆっくりは餡子をはきながら息も絶え絶えに「ゆ、ゆっぐりしでいって、ね・・・」といいながら赤ちゃんを追いかけていた。 そんな状態で赤ちゃんを追いかけ続けるのは母親の愛か。とにかくもう潮時だろう。 男はそう思い赤ちゃんゆっくりを引くのを止めた。赤ちゃんゆっくりの動きが止まる。 「あ゙い゙だがっだよ゙お゙お゙お゙お゙お゜お゜!!」 「おがーじゃああん!」 「ゆっ!しゃべれるようになったんだね!おかーさんうれしいよおおお!」 どうやら追いかける親を見て喋れるようになったらしい、よたよたと姉と親ゆっくりに近づく赤ちゃん。 それを子供達と親は幸せそうな顔で見ていた。赤ちゃんが親に擦り寄ろうと少し身を乗り出した。 「よっと」 「ゆっ?」 ぽちゃん。 男が糸を思い切り引っ張ると帽子が親ゆっくりから離れるように動いた。 乗り出していた子供はバランスを取れず川に投げ出される。 その場にいた者には赤ちゃんゆっくりが水に落ちるさまがスローで写った。 「い゙や゜あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 がこぼこと水の中で暴れる赤ちゃんゆっくり。しかしゆっくりは水に浮かない。暴れても沈んでいくのは避けれなかった。 そこに近づく小さな影。どうやら魚達が水に落ちた餌を食べに行ったのだろう。ここからじゃ見えないが親ゆっくりのすごい顔でどうなっているかは想像できる。 子供達も赤ちゃんを見ようと親と同じように乗り出したところで残りの三本の糸を引いた。 ざっぱーん! 三匹が川に落ちたことを確認すると、男は川岸に歩いていった。 「おじさん、だずげでえ゙え゙え゙え゙え゙!!」 親ゆっくりが自分の帽子に捕まりながら叫んでいた、掴んでいる場所から水が入ってすぐに沈むだろう。 自分の未来を想像して絶望していた矢先に男が長い棒を持ってやってきたのだ。まさに天の助けと思ったのだろう。 せめて自分だけでも助かる気なのか、男はそう思いながら釣竿を川に向けた。 男は魚で満たされた籠を持って里に戻った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1502.html
*警告* 虐待は行間のみです。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 ゆっくりの飼い主が知っておくべきいくつかの事 1.ゆっくりは饅頭です 強い刺激をあたえると、簡単に潰れてしまいます。たとえば、積んである本が崩れたり、 観葉植物が倒れたり、折り畳み椅子の下敷きになっても潰れてしまいます。ゆっくりの強 度を把握していなければ、あなたのお部屋はゆっくりの楽しいアトラクションになること でしょう。節度を持って、死ぬまで可愛がりましょう。 2.ゆっくりも生きています ゆっくりは雑食で、排泄もしないので大変飼いやすいナマモノです。すぐに空腹を訴え ますが、毎回に餌を与える必要はありません。希望の大きさまで成長させたい場合と、に んっしんっ前後以外は一日一回、ゆっくりフードか生ゴミ、残飯の類を与えるだけで充分 です。ただ、饅頭ですので高温、乾燥、湿気、水分には弱いので気をつけて下さい。日中 あまりに高温になる部屋に放置して干からびてしまった場合、器に移してジュースに浸せ ば簡単にもとにもどります。逆にカビが生えてしまったら、残念ながら処分する他はあり ません。楽しいゆっくり生活には環境に気を配らなくてはなりません。 3.ゆっくりと環境 他のゆっくりや他のペット、あるいは小さいお子さまがいる場合は、より慎重に飼わな くてはなりません。ゆっくりは饅頭です。可愛いペットが餡子を食べてしまったり、お子 さまが饅頭を喉に詰めたり、ブチ撒けてしまう危険と隣り合わせです。水槽を割ったり、 中に落ちて、アクアリウムが壊滅してしまうかもしれません。それらの場合、ゆっくりを より安全な環境で飼うことを検討する必要があります。ゆっくりのことなら信頼のお兄さ ん印、鬼意製薬の透明な箱で飼ってみてはいかがでしょう。 4.ゆっくりは口をききます 出身スレによっては、あなたが出かけている間に「ゆ~♪ ゆゆ~♪」などと鳴いて、 近隣への騒音被害が起こる場合があります。また、虐待スレ出身の場合、大変汚い言葉を 吐いてトラブルの原因になる場合も多くみられます。ご近所もゆっくりできるよう、室内 飼いは部屋に防音処理をするか、最低でも防音ケースに入れるべきです。鬼意製薬の透明 な箱-完全防音-は安価で頑丈で、おすすめです。室内飼いのみであれば自分で鳴いたり 笑ったりできなくする処理をしても楽しいのですが、万一外に連れていった場合、縫った り塗ったりしたゆっくりを愛でお兄さんやゆっくリーンピースに見られ、トラブルの原因 になるかもしれません。飼いゆっくりを外に連れていく場合、かかりつけのゆっくりにっ くでクラシックゆっくり言語以外を発音できなくなるよう、適切な処置をしてもらうのが 一番よいかもしれません。外に連れ出した時に、一般の方をゆっくりの鳴き声で不快にさ せては飼い主失格です。 5.ゆっくりも繁殖します 喋って跳ねる饅頭ですが、ゆっくりも繁殖します。産まれたこどもまできちんと責任を 持つことは、飼い主の最低限の勤めです。産まれたての赤ゆっくりは大変美味ではありま すが、繁殖を希望しない場合、かかりつけのゆっくりにっくで適切な避妊、去勢手術を行 いましょう。特に多頭飼いの場合は必ず手術を受けさせるべきでしょう。 6.放し飼いは避けましょう 現代社会はゆっくりしづらい環境です。交通量の多い道で事故の原因になったり、あな たのゆっくりが他の人の家や店舗を荒らしたり、ゴミ捨て場を荒らすかもしれません。荒 らしたゴミとゆっくりの両方が、カラスやハト、野良犬、野良猫に餌を与えることにもな ります。また、野良ゆっくりと繁殖したり、逆に病気をもらってくる事も考えられます。 外に出して近隣に迷惑を掛けるような飼い方は極力避けるべきです。一緒に連れていく場 合も、前述の通り、ゆっくりの声によるトラブルには極力注意して下さい。 7.ゆっくりを捨てないで 人間の食べ物の味を覚えたゆっくりが飼い主に捨てられて都市部で野生化し、ゴミを 漁ったり、人家、店舗を荒らす被害が増えています。ゆっくりは飼っても食べてもゆっく りさせなくても楽しいナマモノですが、ペットを捨てることは許されることではありませ ん。ゆっくりを捨てるのはSSや漫画の中だけにしましょう。 8.ルールを守って楽しく虐待 他の人の飼いゆっくりがどれほど不快でも、勝手に虐待することは歓迎されることでは ありません。飼いゆっくりを勝手に虐待すると民事的には器物破損にあたります。ゆっく り被害(ゆ害)は極力、当事者間の話し合いで解決しましょう。また、個人的な虐待でも、 無関係の人の目に触れるような公然プレイはなるべく避けるべきでしょう。 9.最後に ゆっくりは正しく飼えば、ゆっくりと楽しむことができるナマモノです。正しい知識を もって、楽しいゆっくりライフを。 『完全ゆっくりマニュアル』 鬼意製薬出版 刊 2008,08/30 第一版序文 このSSに感想を付ける
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A 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり~!」 「はいはいうるさいわね。今忙しいんだから離れなさいよ。今日の宴会は地下の奴らまで来るんだから、たくさん酒がいる分早く用意しないといけないのよ」 博麗神社にて、博麗霊夢が自らの顔を模してリボンを付けた生首に飛び掛られ、 うざったそうに眉を顰めている。 その生首の名はゆっくりと呼ばれている、幻想郷に突如出現した謎の物体だ。 ゆっくりは涙目で霊夢に飛び掛り続ける。 「ゆっくりしていってよ~!」 「ゆっくりできないっての」 霊夢は胸の辺りまで飛び跳ねてくる涙目のゆっくりを手で払い、 これまで行なってきた宴会の準備の作業を再開する。 「霊夢~、酒の用意は万全だぜ~」 「おつまみの準備もできたわよ」 霊夢の友人である魔理沙とアリスが声をかけながら近寄ってくる。 二人の背後には霊夢と霊夢のゆっくりの関係のように、 魔理沙とアリスの二人に対し、それぞれの特徴を持ったゆっくりがそれぞれ一匹ずつ飛び跳ねている。 「霊夢のところのゆっくりって本当に甘えん坊ね」 「そうなのよ……。こいつときたら私が忙しいことを知ってるのにこうして擦り寄ってきて……うざったいったらありゃしない」 霊夢は若干苛立ちを交えながら吐き捨てる。 「私のとこのもかまって欲しがりだが、霊夢のところはとびっきりだな」 「あれ? どうかしたのゆっくり」 「なんだ? ゆっくり同士で話し合いでもするのか?」 魔理沙とアリスのゆっくりがぽんぽんと跳ね、霊夢のゆっくりに近寄る。 霊夢のゆっくりに対して説得を試みているのだろうか。 少女達が若干期待しながら成り行きを見守る。 「ゆっくり! ゆっくり! ゆゆう!」 「ゆっくり~! ゆゆゆ!」 「ゆゆっくり!」 「 「 ゆ~! 」 」 けれど、二匹が声をかけたにもかかわらず、霊夢のゆっくりは尚更霊夢に引っ付く。 魔理沙が「駄目だこりゃ」と頭を抱えた。 「私の言ってることがわからないのかしら……まったく」 「ゆっくりの方だって私達の言葉を喋れないんだから、私達の言葉なんてわからないのかもな」 「とはいっても……私が忙しいことぐらい見てわからないの? ……まったく、何を考えていることか知ってみたいものだわ」 「う~ん、『腹減った! 仕事してないで飯よこせ!』だとか、『もっと私を優しく扱え! かまえ!』みたいな感じなのかな? それにしてはちょっと様子がおかしいけどな」 「ま、後でさとりにでも聞いてみることにするわ」 霊夢は淡白な様子で答えた。 今日は地下の妖怪達も来る。彼女達はゆっくり達とは初の顔合わせになる。 そのときに心を読む程度の能力を持つさとりに聞けばいいだろうと考えた。 「ゆっくりしていって――」 「ほら、邪魔よ」 ばしっと、霊夢は飛び掛る自らのゆっくりを手で払いのけ、おつまみを乗せたお盆を持っていった。 ◇ 幻想郷に突如出現した動く生首、ゆっくり。 ゆっくり達は幻想郷の有名人達の顔を模して潰した生首のような姿をいるが、 それ以外の生態は謎に包まれており、どこから来たのか全くの不明で、 「ゆっくりしていってね!」と鳴くことから「ゆっくり」と名づけられたこと以外は誰もわからない。 けれど、そんな謎の存在ゆっくり達にもある一つの共通点があった。 それはその顔のモデルになった人間や妖怪、果ては妖精にひどく懐くということだ。 モデルとなった少女達は自らの姿を模した謎の生き物が擦り寄ってきてどう扱えばわからず、 とりあえず放置する者、仲良くなって共に暮らす者、非常食としてとっておく者と様々だった。 そして先ほどの霊夢のゆっくり。 霊夢の神社の庭にある日いきなり出没し、まるで親に出会った迷子のごとく霊夢にひたすら懐いた。 霊夢は退治するべきか放っておくべきか迷ったが、特に悪さをするわけでもないので放置することにした。 そして今では霊夢とゆっくりが奇妙な同棲生活を行なうこととなったのである。 ◇ 「乾杯!」 「「「かんぱ~い!」」」 今夜の宴会は非常に賑やかなことになった。 博麗神社の庭では人間、妖怪、妖精、鬼、天人、神、様々な種族が入り乱れて、 派手に豪快に呑めや歌えやの大騒ぎ。 これまで特に交流がなかった面々も酒の力で互いの距離感が近くなり、飲み比べでその度量を認め合っていった。 そして宴会が進むに連れて、次第に気が合う者同士でいくつかのグループに分かれていく。 酒に強く騒ぎ立てる者達、お喋りに興じる者達、少し距離を置いて自分のペースで飲む者達。 皆が皆、自由に酒と場の雰囲気を楽しんでいる。 そんな中、ある一角が周りの目を引いた。 「ゆっくり!」 「ゆっゆっ! ゆっく、ゆっくり!」 「あ~う~」 「きゃなこ~ん」 ゆっくりである。 ゆっくり達が庭の端の方に陣取って、集まり、酒宴に興じている。 ゆっくり達はころころ、ぽてぽてとその丸い体を転がし、 飛び跳ねながら、口しかないのに器用に酒を注ぎ、呑み、つまみを食す。 そんな生首たちの酒宴の様子を、幻想郷の少女達は伺っていた 「あいつらって、ゆっくり達って本当に何者なんでしょうね?」 妖夢が周囲に聞かせるように呟いた。 「特に何かをしでかすわけでもないですし、それどころか私の場合何故か仕事を手伝ってもらったこともあるんですが」 彼女はゆっくり妖夢に自らの庭師の仕事を手伝ってもらっているので感謝の気持ちもあるのだが、 妖夢自身はゆっくり妖夢の事を何も知らない。 「ゆっくりねぇ……新種の妖怪って感じでもないわね。あんな感じで私達の姿に似せているのは一種の擬態かしら? ……まぁ似てないし、何者かわからないけど、放っておいても無害だし別に大丈夫じゃない?」 パチュリーが「どうでもいいし」と付け加え、興味なさげに冷めた表情で妖夢の質問に答える。 ゆっくりパチュリーは図書館の本を読むだけで、特に何もしてこなかった。 いてもいなくても関係がないのなら、毛玉のようなどうでもいい存在だ。 「私のところのゆっくりは何だか年中ゲラゲラ笑ってうるさいから迷惑なのよね~。もう少しおとなしくして欲しいんだけど」 うどんげが唇を尖らせながら不満げに呟く。 魔理沙はニヤリと悪そうに笑いながらうどんげの方を向いた。 「そんなに邪魔なら兎鍋にすればいいじゃないか。うどんげのゆっくりだから兎みたいだし。何なら今から捌くか?」 「共食いみたいなんで勘弁して……。私の姿を真似ているものが食べられていい気はしないし」 「そうか、それはありがたい。うどんげがゆっくりの代わりに酒の肴に捌かれてくれるなんて」 「何でそうなるのよ!」 うどんげがばんと床を叩いて突っ込む。 「だけどゆっくり達って本当に賑やかね。う~う~鳴いてて、私達には何喋ってるかわからないけど」 「何を話してるのかな?」 腕を組んで考え込むレミリアと首を傾げるフランドール。 彼女達の言葉に反応して、魔理沙がぽんと手を叩いて注目を集める。 「そういえばさっき霊夢と同じ話をしたんだよ。『ゆっくりって何を話しているのかな』って」 「へ~、やっぱり『お腹すいたよ、ごはんちょうだい』とか、『あそんで~』とかかな?」 「いや、言葉が通じないことをいいことに命令形で話しているのかもしれないわ。『飯』『風呂』『寝る』」 段々と皆が魔理沙の話に注目を集めていく。 『ゆっくり達はどのようなことを話しているのか』 それが宴会に参加している者達の興味の中心となった。 普段は「犬や猫が何を話しているかどうでもいいようなものだろ」と興味なさげに言うような者達でさえも、こっそりと耳を傾けている。 何故ならゆっくりは自分達の姿を真似ているのである。 自らに関係がありそうなことなら多少の興味はあるというものだ。 ◇ 「すいません遅れました。それと灼熱地獄跡地での炉の仕事が滞っていて、お燐とお空は残業で来れません。こいしも今日はちょっと連絡が付かなくて――」 「お、さとりじゃんか――そうだ! おまえいいところに来たな!」 魔理沙はやってきたさとりの顔を見るなり、何かを企むような顔で擦り寄って手をとる。 突然手を握られたさとりは何事かときょとんとしながら魔理沙の目を見る。 「な~さとり~、おまえ『ゆっくり』って知ってるか~」 「『ゆっくり』……ですか。地上で最近話題になっている、幻想郷の少女を模した饅頭顔の生首のことですね。私はまだ見たことはありませんが、それがどうかしました?」 「実はちょっと頼みがあるんだけどさ~」 「『さとりにゆっくりの考えていることを読んでもらおう』ですか。貴方、私の事を通訳か何かと勘違いしていませんか? ……してますね」 さとりがその座った目をより細めてジト目となり、呆れながら言う。 「いいじゃないかよ~。減るもんじゃないし~。お願いさとりちゃ~ん」 「馴れ馴れしいです。それに酒臭い。酔っ払いは突拍子もないことを考えるから苦手です」 「だったらなんでこんな場所来てんだよ~。ホントは誘われて嬉しいんだろ~。うりうり~」 「想起『二日酔いの朝』」 「ぎゃあああああああああああ!! 酔いで空が落ちてくるぅぅぅぅ!!」 トラウマを蘇らせた魔理沙が頭をぶんぶん振りながら痛みにうなされる。 調子に乗った結果馬鹿を見た小娘の醜態に、周りからゲラゲラと笑い声が上がった。 「でも私も興味あるわね。悪いけど貴方、ゆっくり達の通訳お願いしてもいいかしら?」 「ね~、貴方心を読めるんでしょ~。だったらやってみて~」 そんな衆人達を掻き分けてきたレミリアと、彼女に手を引かれたフランがさとりに対してお願いする。 普段だったら恐怖の対象であるさとりの読心も、酔っ払いの席では誰も気にしない。 思ったことがすぐ口から出るためだ。 とはいえ、さとりは気軽に能力を行使するように頼まれて若干気が引けてしまう。 能力によって疎まれた過去を持つ彼女は、その扱いに関しては誰よりも慎重だ。 「え~と……貴方達、もしゆっくりの心の中が仮に「ご飯よこせ~。この召使いめ~」みたいな感じで貴方達に対して過度に偉そうだったりしたらどうするんです?」 「 「 今夜のおつまみにする 」 」 即答だった。周りを見れば他の少女達もうんうんと頷いている。 さとりが心を読む間も無かった。 素面の状態でもゆっくり料理をやりかねない彼女達。 酔っ払って自制心が効かなくなった今では、何か失礼があったらゆっくり達はおつまみの刑は免れないだろう。 「……やっぱり駄目です。動物は喋れない分欲求に正直ですから、あまり夢や幻想はもたないであげてくださいね」 さとりはそう言い残すと彼女達から離れた。 不満げな声が挙がったが、ここで捕まったら面倒なことになる。 こういった場合は別のグループに入るのが一番だ。 さとりはキョロキョロと周りを見渡しながら、その場を離れた。 ◇ 「いいところに来たじゃないの、さとり。相変わらず遅れてくるわね」 さとりが辺りをうろうろとしていると、縁側で座っている博麗霊夢に声をかけられた。 反応して霊夢の顔を見ると、頬がほんのりと赤く上気している。酒によるものであろう。 けれども何か気がかりなことがあったのか、いつもよりも酔いのまわりが悪いように見える。 「こんばんは、霊夢さん。色々あって遅れてすいません」 「別にそれぐらいで謝らなくていいわよ。ところでアンタって意外と宴会好きよね~」 「まぁ、それなりには」 さとりはしれっと答えたが、実際にはそれなりどころではない。 さとりは実のところ、宴会が大好きである。先ほど魔理沙に言われたことは図星であった。 さとりは心を読む程度の能力が他人に嫌われるとあって、基本的に表に出たがらないが、 宴会にはよく参加する。 酔っ払い同士なら頭の中が空っぽであり、なおかつ考えるよりも先に口が働く。 皆が心を読まれることを気にするような状態ではないため、さとりのことを疎まない。 そのためにさとりだって楽しめる。酒は潤滑油なのだ。 「ところで【いいところに来た】とはどういう意味です?」 「あのさ、【ゆっくり】って何者か、話には聞いてる?」 「えぇ、一応は。最近幻想郷に突如出現した動く生首のことですよね。そのゆっくりがどうかしました?」 霊夢が背後を振り向きつつ指を示す。すると霊夢の姿を模した生首が蕩けるような顔をして、 「ゆ~♪ ゆ~♪」と声を出しながら、霊夢の背中にすりよっている。 どうやらあれが動く生首ことゆっくりなのだろうと、さとりは推測する。 「こいつが、ゆっくりが何を言いたがっているのか教えて」 「どういうことです?」 「ゆっくりは【ゆっくりしていってね!】に関することしかいえないから、わけがわかんないの。それに私のゆっくりときたら、何でかしらないけど暇さえあったら私に引っ付いてくるのよ」 「へぇ……それはそれは」 「それだけならまだいいけど、よりにもよって宴会の準備で忙しい時にくっついて来てうざったかったの。私がいくら言っても聞かないし……」 霊夢はうんざりとした顔で言う。 さとりは霊夢から事情を聞いた。 ゆっくりは突如博麗神社の庭に現れたこと。霊夢に対して親のように懐くこと。 霊夢が邪険にしてもかまわず向かってくること。 そしてつい先ほども宴会の準備があったのに引っ付いてきてきたこと。 「はぁ、そんなことがあったんですか」 「だから、さとりのその読心でゆっくりが何考えてるのか教えて。何であんなことをしたのか知りたいし、な~んか妙な気分なのよね~。私の勘が騒ぐっていうか」 さとりは一瞬「失敗した」と思った。 面倒ごとから逃げて来たのに、逃げた先で更に面倒なことに巻き込まれてしまった。 またどうにか理由をつけてこの場を後にしようかとも思った。 だが―― 「ゆ~♪ ゆっくりぃ~♪」 さとりはゆっくりの心の中の、霊夢に対する好意を感じた。 どうやらあの生き物には言葉が通じないがゆえに、その溢れんばかりの好意が上手く伝えられないようだ。 それを霊夢は上手く受け取ることが出来ていないのだろう。何だか微笑ましい。 さとりは何となく、少しくらいだったら想いを伝える手伝いをしてあげてもいいと思った。 「わかりました。やってみます」 言うが早く、さとりはゆっくり霊夢の顔を覗き込む。 それに反応して、ようやくゆっくりはさとりに気付き、上目遣いで見つめる。 「こんばんは」 「ゆっくりしていってね!」 「………………」 さとりの動きがピタリと止まり、辺りの空気が凍る。 「あれ? さとりどうかしたの?」 「いえ、何でもありません。軽いかるちゃーしょっくとでもいいましょうか……」 さとりは頭を振って気を取り直して再度ゆっくりに近寄り、声をかける。 「私の名前は古明地さとりっていうの。私は貴方の言葉がわかるわ」 「ゆ~! ゆっくり! ゆぅ~!」 「ねぇ、貴方はどうして霊夢――自分の主人にそこまでかまってもらいたいの? さっきだって宴会の準備の邪魔をしたって聞いたけど、それは本当なの?」 「ゆっくり! ゆぅぅ~! ゆっくり!」 「ふむふむ――」 さとりはゆっくりと会話をする。 どうやらゆっくりは人語を話せないが、人語を理解することは出来るようだ。 さとりは読心の能力を持つため、本来はゆっくりは声を出す必要がないのだが、 ゆっくりは思ったことがすぐ口に出る性質があるのか、声を出して喋ってくる。 それをさとりは聞き続けた。 「――なるほど、よくわかったわ」 「ゆっ!」 さとりが得心を得た。くるりと霊夢の方を向く。 「で、何だって?」 「え~とはい、何でもこの子は、霊夢さんのお手伝いをしたかったそうです」 「お手伝い?」 「そうです。お手伝いです。普段お世話になっている霊夢さんのお手伝いをしたかったのだけど、何をすればいいのかわからなかったそうです」 擦り寄ったり甘えることによって邪魔ばかりしていたと思っていたゆっくり。 そのゆっくりの真意が手伝いをしようとしていたなどとは、意外な答えに霊夢が驚く。 「霊夢さん、一ついいですか?」 「何よ」 「霊夢さんはその子に好かれているのはわかりますか?」 「う~ん、ゆっくりときたら暇さえあれば甘えてくるからそんな気はしてたけど……けど、私はこいつに対して特に可愛がってやったりとかしてないわよ。なんでこんなに好かれるのかさっぱり」 「そうですね、例えるなら霊夢さんのことを好いている方達、紫さんや魔理沙さんなどに対して、霊夢さんは特別可愛がったりしていますか?」 「いいえ。まったく。それどころかよく弾幕ごっこでドツく」 「それだけですか?」 「まぁ……その後よく一緒にお酒を飲むけどね」 「それと同じですよ。霊夢さんのさっぱりとした人柄にみんなが集まるんです。この子は『霊夢大好き! 霊夢と一緒にいたい!』という気持ちが溢れかえっています。裏表のない霊夢さんが大好きだそうです」 「でも、今日は邪魔してきたと思ってぞんざいにあつかったし、嫌われてもおかしくないんじゃないの?」 霊夢が反論するかのように答える。 「ゆっくり~ゆっくり~」 「霊夢さんがそういった人だということはわかっているそうです。だから大丈夫だと。そういったところを含めて好きだそうです。それに忙しくなくなったら、ゆっくりが甘えてきたときにされるがままにしてたそうじゃないですか」 「え~と、それはあれよ。酒の席でつまらないことでイライラするのも嫌じゃない。だからちょっとくらいならいいかなと思っただけよ。ホントに邪魔だったらどかすわ」 霊夢がばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「ゆっゆっゆっくり」 「宴会の準備の邪魔をしてしまったことについてはこの子も申し訳なく思っています。忙しいところにかえって邪魔をしてしまったと、反省をしているようです」 「そうなの?」 「ゆ~ゆ~」 霊夢がゆっくりの方をちらりと見る。その目には若干の戸惑いがあった。 霊夢は基本的に人妖に好かれるさっぱりとした気質を持つが、 あまりこういった類の、子が親に向けるような愛情を受けたことはない。 どういった反応をすればいいのか戸惑うその様子は博麗の巫女というよりも、 一人の少女のそれであった。 「霊夢さん」 「な……なによ」 「霊夢さん、そんなに肩肘を張らなくても大丈夫ですよ。この子は自然体の霊夢さんが好きなようですから。それに私個人としては子供や小動物に優しい霊夢さんっていうのは気持ちが悪いです。霊夢さんって子供の飴玉とか奪いそうですし」 「おい」 「確かに熱心に好かれると、時にはうざったくなってしまったり、どうしても手が離せなくなってかまえなくときがあるのはしょうがないでしょう」 「無視すんな」 「ですが――」 さとりの突如真剣味を増した声に霊夢が気圧される。 普段のさとりは基本的に根暗だ。 けれどペットや、言葉の喋れない存在に関わるとこのような真摯な性格になる。 だてに地霊殿の主はやっていない。 「ですが自分を好いてくれる相手には、どうか無下に扱うようなことはしないであげてください。嫌われるのは簡単ですが、好かれるようになるのは難しいです」 さとりがふっと、自嘲するようなため息を吐きながら言った。 「まぁ、私は霊夢さんなら大丈夫だと思いますけどね。その姿を見ていると」 さとりは縁側に座る霊夢と、その隣に並びながら霊夢に寄りかかるゆっくりを見る。 ゆっくりの顔はとても幸せそうだった。 愛する母に抱きつく子供のような安心感を醸し出す至福の表情だ。 こんな顔をすることが出来るような者は滅多にいない。 なんだかんだいって普段霊夢がゆっくりにたいして世話を焼いていることが伺える。 「え~と、これはその、あれよ。あんまり駄々をこねてて五月蝿かったから、こうすれば黙るからこうしただけよ」 「はいはい。わかりました」 さとりはにこやかに笑いながら霊夢に言った。 霊夢はさとりのそんな姿を見て、自らの頭をわしゃわしゃと掻き毟る。 「あ~もう、この話はもうおしまい!」 そう言うと霊夢は自らのゆっくりを膝の上に乗せた。 上に乗ったゆっくりは即座に目を輝かせ、口元がわぁっと開き、幸せ一杯の顔をする。 「ゆっくりしていってね♪」 「……まったくしょうがないわね。こういうことはたまにしかやってあげないから、あんまり忙しいときに引っ付いてくるんじゃないわよ」 「ふふふ……」 「それとさとり、アンタもさっさと酒飲みなさい! 宴会で素面が真面目なこというんじゃないわよ!」 「はいはい。わかりました」 悪態をつきながらゆっくり霊夢を膝の上に乗せる霊夢。彼女の心の中は妙なこそばゆさで一杯だった。 さとりはその微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。 ◇ 「ところで貴方、最後にひとつ聞いてもいい?」 さとりがこれで時分の役目は終わったと思いその場を離れる前、 ゆっくりに対して感じた素朴な疑問があった。最後にそれを聞いていこうと彼女は考えた。 「ゆ?」 「貴方達って何で幻想郷の女の子の姿をしているの?」 「ゆっくり――」 ◇ ザッザッザッと、さとりは霊夢とそのゆっくりから足早に離れた。 ゆっくり達が幻想郷の少女達の姿をしている理由。 それ自体はある意味わかりやすく微笑ましい理由だったが、 決してモデルとなった少女達には口外できないものであった。 霊夢に対しては上手くぼやかしてきたが、このままだとボロを出しかねない。 今日は日が悪い。さとりは一刻も早く帰ろうとする。 けれど―― 「すげ~!! ねぇねぇ、あたいのゆっくりがどんなこと考えてるか教えてよ~」 「私のゆっくりは! 私のゆっくりは!」 「な、何ですか貴方達!?」 気が付けばさとりの周りには観衆が集まっている。 一度は撒いたのに、愚かなことにも再度捕まってしまった。 先ほどのさとりによる一連の光景は中々変わった見世物だったため、皆の興味を引いた。 そのために少女たちは離れたところから見学していたのだ。 そしてさとりの手腕に感心した少女たちは、今度は自分の番だと引っ付いてきたというわけである。 「どうせだからさとりにみんなのゆっくりが何考えてるか教えてもらおうよ~!」 「いいね~!」 「もう決定だね~!」 「そ~なのか~そ~だよね~そうするっきゃないね~」 「私のゆっくりだから、きっとさぞかしカリスマ溢れた台詞を言ってるのでしょうね」 「えと……あの……ちょっと待って……」 皆が勝手に話を進めている。徒党を組んだ酔っ払いは手が付けられない。 彼女達は期待の篭った視線をさとりに向けた。さとりは思わず気圧される。 場の雰囲気に完全に飲まれていた。 「ち……ちょっと席を外しま――」 どうするべきか、逃げるべきかとさとりが迷い、 取り敢えず先ほどと同じように逃げようとその場から背を向けた瞬間、 何者かに肩の辺りをガシッと捕まれた。 「今度は空気嫁よ」 「ひぃっ!」 気配もなく近寄ってきた衣玖が能面のような笑顔でさとりに呟いた。 ギリギリと、衣玖の指がさとりの肉付きの薄い肩に食い込み、 さとりの顔が青ざめる。 「頑張ってさとりちゃ~ん!」 「いけいけ~!」 「さとり~! 愛してるよ~! ちゅっちゅさせて~!」 前門の衣玖、後門の酔っ払い。 いや、周りを囲まれた今となっては四面楚歌。 さとりに選択権はなかった。断れば何をされるかわからない。 「わかりました! わかりましたよ! 行って来ます!」 こうなったらどうしようもない。上手く誤魔化すしかない。 さとりは普段あまり出さない大声を上げると、ゆっくり達が集まる場所に向かった。 とてとてと歩いてゆっくり達の集まりに近寄る。 するとゆっくり達は皆何者かに対して首を傾げる。 「みんな、こんばんは」 さとりはゆっくり達に向かって声をかける。 けれどもその音量は小さく、雰囲気も暗い。 外の世界の歌のお姉さんとはかけ離れている。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり達は対称的に元気よく、 歌のお姉さんに向かう子供達のような天真爛漫な姿でさとりに挨拶を返す。 どうやらさとりは歓迎されているようだ。 ゆっくり達はさとりに対し、どうかここでゆっくりしていって欲しいと言っているのかもしれない。 はやし立てた少女達はそう考えながらワクワクしながらその光景を見守った。 「え~とね、今日はみんなに聞きたいことがあって来たの。突然だけど、皆は主人のこと好き?」 「ゆっくり~」 「ゆゆ~」 「むきゅ~」 「ゲラゲラゲラ」 即答である。 ゆっくり達は目をキラキラと輝かせ、我先にと大声で主張する。 「えっと……どんなところが好きなの?」 「ゆっくり!」 「ゆゆ~」 「ウサウサ」 「わかるよ~」 「よいぞっ!」 「じゃお~ん」 「あたいったらゆっくりね!」 「あ~う~」 「ちんちん」 さとりは一気呵成にまくし立てて来るゆっくり達に対していくつか相槌を打ち、 それぞれの話を聞きいれた。 「え~そうなんだ――うんうん――へぇ――わかったわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」 するとさっと少女達の方に戻ってきた。 「皆さんすごく好かれていますよ」 さとりは一拍間を置いて、にこやかに笑いながら言った。 「あれでわかるとはすごいな……」 「どんな感じ?」 「私のゆっくりは何だって?」 「百聞は一見にしかずです。ちょっと待って下さい」 さとりはゆっくり達の方を向くと、少女達に存分に甘えるように呼びかけた。 ゆっくり達は散らばって、それぞれのモデルとなった者のところに近寄っていく。 ぴょこぴょこ、ぽよんぽよん、ぱたぱた。 皆の表情は太陽のように輝いている。 「これが答えです。この子達が何者であってもいいじゃないですか。可愛がってあげてください」 さとりはいい笑顔だ。 「私のゆっくり、いつも庭師の仕事を手伝ってくれてありがとう」 「みょ~ん!」 「ちょっと、う~う~言うのやめなさいっていってるでしょ!」 「う~♪ う~♪」 「えへへ、くすぐったいよぅ」 「ゆっくりしね♪」 抱き合う妖夢とゆっくり、レミリアとほっぺプニプニの柔らかさ比べをするゆっくり、フランにちゅっちゅするゆっくり。 それらを初めとして、少女達が自らに擦り寄るマスコットのような物体と仲良く触れ合っていた。 「それでは私はこれで。今日は少し早めに帰らせてもらいます」 さとりはそんな美しき光景に背を向けて、神社の外に向かってスタスタと歩いて行った。 「え~、さとりってばまだ全然酔っ払ってないじゃん。ゆっくりしていけよ~」 「それは……いえ、何でもありません。少し身体の調子が悪いので」 「きっと酔っ払いの頭の中を見て酔っ払ったんだ~」 「キャーこのスケベ~!」 「え……えぇと、はいそういうことです」 さとりはばつが悪そうにしながらも帰ろうとする意思は変えないようだ。 ふとさとりが霊夢と膝枕されるゆっくりをちらりと見た。 ◇ さとりは無言のまま博麗神社を後にする。 今日は家に帰ったら早くお風呂に入ってお燐とお空を撫でて寝よう。なでなでふにふにしよう。 そんなことを考えながら早く帰ろうとすると、目の前には三つの影が現れた。 「うにゅ~」 「おりんりんらんどはっじまっるよ~」 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!」 ゆっくりだ。それも三匹。 お空、お燐、こいしの姿をしたゆっくり達だ。 ぽよんぽよんと飛び跳ね、さとりの方に向かってくる。 さとりはさっと身を翻して別の方向に向かって走る。 走って走って、その場から離れようと―― ぽむっ。 何かがさとりの胸の辺りにぶつかって来た。 柔らかい。 さとりは思わずそれを受け止め、抱きかかえてしまう。 ………… ………… ………… さとりが恐るおそる視線を下に向けると、 薄紫色のショートヘア。 ジト目。 ハート型のカシューチャ。 そう―― さとりの姿をしたゆっくりが! 「さっとりしていってね!」 ゆっくりの想いB
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ゆっくりの重さ ゆっくりの体当たりがなぜ効かないか? 喰らってみればわかると思うけどゆっくりは見た目よりも非常に軽い。 それは何故かを今から標本を作りつつ説明しよう。 「れいみゅおなきゃすいちゃよ!はやきゅごはんをもっちぇきてね!」 机の上で腹が減ったとわめいているのはゆっくり子れいむ、頬を膨らませたり、 悪態をついたりと態度が悪い、あまり出来の良い個体とは言えないゆっくりである。 「きこえちぇるの?はやきゅれいみゅにごはんをちょうだいにぇ!ばかにゃの?しにゅの?」 男はれいむの言葉を無視しつつ、標本作りの準備に取り掛かる。 「今から永遠にゆっくりさせてあげよう・・・」 男はそう言うとれいむの頭に素早く下敷きを振り落とす。 「ゆ゙っ!」 れいむは反射的に悲鳴をあげるが自分の体に何が起こったかは理解していない。 しかし襲い掛かる激痛が自分の体に起こった事を嫌でも知らしめる。 れいむは男が振り下ろした下敷きに体を左右対称、真っ二つにされてしまったのである。 「「ゆ゙びぃげgfpg!い゙おgjおげgljh〜ぃ゙」」 左半分と右半分からそれぞれ悲鳴が聞こえる。 何を言ってるかは解からないが、「ゆびぃ!いたい〜」っとでも言ってるのであろう。 男はれいむと下敷きの設置面を瞬間接着剤で固めていく。 そして餡子を吹き出す可能性が高い目と口も同様に接着剤で塞いでやる。 本当なら口から塞ぐほうがよいのだが手馴れた人ならどちらからやってもかまわない。 目を塞ごうとするとれいむは反射的に目を閉じようとする。 しかし、男の指にまぶたを押さえつけられ目に直接接着剤を塗られることになった。 「ゆ゙っgklっ!ゆ゙qぁlっ!」 何を言ってるかは依然としてわからないが綺麗に切り落としたのでまだまだ元気である。 悲鳴を聞けなくなるのは残念だが、口も塞いでやる。 ここで男はこだわりを見せる。 唇を塞ぐほうが圧倒的に簡単なのだが喉の奥を接着剤で固めることにより、 れいむは餡子を吐き出すことが不可能となる。 「・・・・・・!」 これによりれいむは口を動かすことはできるが声や餡子を吐くことは出来ない状態になる。 男は最後に注射機をれいむの頭に突き刺す。 ゆっくりの痛みによる膨張を防ぐための薬品がれいむに注入される。 これでゆっくり標本の山場は終わりである。 後で理由も説明するがゆっくりは激しい痛みに襲われると餡子を吐き出してしまうために ここまでの一連の作業は素早く行う必要がある。 あとは下敷きの余分な部分を切り落とせばゆっくり標本の出来上がりである。 ここから先はこの標本を使ってゆっくりが軽い理由をを説明しよう。 断面を見ると皮の部分と餡子の部分が見える。 餡子の部分は中枢餡子と通常餡子の2種類があるのだが、人間の目にはどちらも同じに見える。 餡子はゆっくりにとって生命を維持するために必要な物である。 この餡子は饅頭などに詰まっている餡子と似ているがまったくの別物である。 ゆっくりの餡子を顕微鏡で見ると、エアインチョコみたいな構造になっている。 ゆっくりが軽い理由の一つである。 皮にも同様に気体が存在し、このせいでゆっくりの体は見た目よりもかなり軽い。 そしてこの気体は空気よりも軽いために浮力が発生する。 このためゆっくりは長い滞空時間をもったジャンプをすることが可能である。 反面、地面の力を利用することが出来ないためにその動きは非常にゆっくりしている。 エアインチョコのような体の構造、空気よりも軽い気体が詰まっている。 この二つの理由によりゆっくりは見た目よりも非常に軽い。 しかし、ここで一つ疑問が残る。 そんなに軽い饅頭がなぜ水に入ると溺れるのか? ここで一つ実験をしてみよう。 男は一匹の子まりさを取り出す。 「ゆぅ?ここはどきょ?おじしゃんはゆっきゅりできりゅひと?」 まりさは男に色々と話しかけるが無視して持ち上げる。 「ゆ〜おしょらをとんでるみたい!」 まりさは始めて見る光景に感動する。 しかし、男が手を離すことによって一気に恐怖のどん底に落とされる。 ボチャッ 子まりさは水槽の水に着水する。 「ゆぴぃっ!ごぼぼっおぼりぇる!ごぼっ!おきゃ〜しゃんごぼっ!たしゅけちぇ〜!」 まりさはこの場にいない母に助けを求めるが当然いないものが助けに来るはずもない。 「おじしゃん!ごぼぼっ!まりしゃをたしゅけて!ごぼ!ったしゅけちぇ〜」 子まりさは男に助けを求めるが男は見つめているだけである。 「ゆぼぼっ・・・どぼじで・・・まりしゃごぼっ!もっちょゆっくりごぼぼぼぼ」 しばらくするとまりさは水の底に沈んでいく、沈んだ状態でもゆっくりは生きている。 しかし皮が破けることにより餡子が流出することにより死んでしまう。 水槽の底でまりさは体をよじらせたり跳ねようとしたりするがほとんど動けていない。 ゆっくりが水に沈む理由、 ゆっくりの体の中に存在する気体は水溶性が高く、水が浸水しやすい。 水を吸収してしまったゆっくりは非常に重くなる。 ゆっくりも水分を必要とするが取り過ぎた場合、普通なら体外に放出することが出来る。 しかし、雨などゆっくりの意思とは関係なく水分を吸収させられるような状況に陥ると、 ゆっくりは涙やしーしーすることにより水分を放出しようとする。 それでも間に合わない場合、体がどんどん重くなり最終的に動けなくなり雨に打たれて、 皮が破け、体外に餡子が流出して死ぬ。 水槽の中のまりさもそろそろ餡子が漏れ出したようである。 (まりしゃのあんきょしゃんでちぇいかにゃいでね!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!) まりさの願いもむなしく餡子はどんどんと流れ出てまりさのゆん生は終わりの時を迎えた。 (もっちょ・・・ゆきゅり・・・しちゃかっちゃ・・・) 最後のセリフも水の中では言うことができずに、まりさのゆん生は幕を閉じた。 エアインチョコのような体の構造、空気よりも軽く水溶性の高い気体、 この二つの特性のせいでゆっくりはゆっくりとしか動くことができない。 そして自然災害というか雨でも死にやすい。 そうでなくてもゆっくりは体に痛みを感じると餡子を吐き出して死んでしまう。 次は何故ゆっくりが餡子を吐き出すかを子ありすを使って説明しよう。 ありすの中身はカスタードだが、吐き出す理由は同じなので問題はない。 「ゆっきゅりしちぇいちぇね!」 ありすは特に警戒することもなく、男にゆっくりしていってねと挨拶をする。 男はありすの挨拶に対してでこピンで答える。 ビシッ 「ゆぴぃっ!」 ありすは悲鳴をあげて転がっていく、自分が何故こんな目にあったか解からないありすは 一瞬きょとんとした表情になる。そして次に何かがはじけたように泣きだす。 「ゆぴゃ〜あぁあぁ〜いちゃいよ〜!みゃみゃ〜っ!」 泣き喚く子ありすに対して男はものさしで殴り続ける。 「ゆびぃっ!・・・いちゃい・・・みゃみゃ〜!」 うざい泣き声でみゃみゃとか言うから殴り続ける男は手加減するのが大変である。 男は手を休めることなく殺さない程度にありすをビシビシと殴り続ける。 「ゆびっ・・・もうやめちぇ・・・ありしゅ・・・ちにちゃくにゃい・・・」 男が殴り続けて5分ほどするとありすの口からカスタードがもれ始める。 体の中が破れたり、口の中を切ったとかではない。 そうならないように手加減して殴り続けた。 しかし、ありすはカスタードを吐かないように必死で口を塞いでいる。 なぜか? ゆっくりは強い痛みやストレスを与え続けると、体内の気体が増量して、 餡子やカスタードを圧迫し始めるのである。 このありすは今まさにその状態である。 「ゆぴぃ・・・もうだみぇ・・・ゆぷびっ!」 ありすはガマンをしていたがついにカスタードを吐き出してしまう。 そこに強烈な一撃をさらに与える。 さらにカスタードを吐き出す。 「ありしゅ・・・しゅっきりしちゃかっちゃのに・・・もっちょゆっきゅり・・・しちゃかっちゃ・・・」 そう言ってありすは一度もすっきりすることもなくゆん生を終わらせた。 ゆっくりの中に詰まっている気体はゆっくり同様に謎が多い、 これを解明することによりなんたらかんたら・・・ おわり よくある設定談議の話でゆっくりの重さについて考えてみた。
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とある秋の終わりの、とある山の、とある洞窟。 大人の人間だと立って入れないくらいのゆっくりにとっては十分な大きさで、深さ10mくらいのその最深部にゆっくりまりさとゆっくりありすがいた。 2匹とも、この山岳地帯で生きてきたゆっくりだ。 苛酷な環境で暮らすくらいなら、どこかのゆっくりプレイスに行けばいいと思うかもしれないが、この山々の地形がゆっくりたちの移動を阻んでいた。 来れたのなら行けるはず。 そう思って、ゆっくりプレイスを見つけたらみんなを呼びに帰ってくるねと言い残して旅立っていったゆっくり達もいたが、誰も戻って来る事は無かった。 外にも行けず、外から来ることも無い。 そんな中で、この辺りで生きるゆっくり達は独自にとある進化を遂げていた。 さてこの2匹、まだ成体となってからそれほどでもなさそうだというのに、かなり大きい。 大人の腰ほどまでの大きさである。 ただし、決して正常と思える大きさではなかった。 顔のパーツと体のサイズのバランスがあきらかにおかしい。 胴体だけが膨れた異様な姿であった。 そのため非常に不細工である。 それはさておき。 この2匹は見ての通りつがいである。 今、2匹は赤らんだ顔で膨れた互いの体をこすり合わせている。 だが、幾ら育ったゆっくりとは言え交尾にしては穏やかでゆっくりとしたものだ。 「んん……んぢゅちゅっ、まりさ、まりさぁ……」 「んふぅ、ゆふぅん、ありすぅ……んちゅ、ぷはぁ……」 2匹の間に粘液の橋が出来上がる。 しかし、それ以上行為は激しくならない。 今の2匹はただある時間を待っているだけだった。 今の行為も、互いの愛情を確かめ合うスキンシップ程度のものだ。 「ゆゆぅ……ありす……もうすぐだね」 「ちゅ……ぷはっ……ええ、まりさ。もうすぐだわ」 もう外に出る事も難しくなった秋の終わりの寒さの中、2匹は身を寄せて静かにその瞬間を待っていた。 それから数日後の事。 「んむ、ふ、ぶぢゅう、ぶはっ……まりさ、まりさまりさまりざあああああっ!!!」 「むちゅ、ぢゅうっ、ありず、んほぉ、んむぅぅぅぅぅっ!!!!!」 先日とはうって変わって、激しい痴態を見せる2匹の姿があった。 全身は真っ赤に火照り、あたり一面に2匹が出した夥しい粘液が広がっている。 だが、2匹はさらに激しく体をこすり合わせ、舌を絡めあってお互いを絶頂へと導こうとしている。 「んぶぶぶぶぶぶ、まりざ、あがぢゃんまだ!? ありず、ありず、んほぉ、もうイグ、ありすいっぢゃうよほぉぉぉぉぉ!!!!!」 「まっで、ありず、まだだめだよ、まだ、もうずごじでまりざもイグがらね、まだイッぢゃらめぇぇぇぇぇぇ!!!!」 だんだんとろれつも回らなくなり、表情も白目を向いたどう見ても危険な領域に突入したものになっている。 しかし、2匹はその行為を決して止めようとはしない。 今この時でないとダメなのだ。 「んぐぐぐぐぐぎぎぎぎぎぎぎいいいいいいい!!!!」 ありすが割れてしまいそうなほど歯を食いしばり、絶頂しそうなのを必死に耐えている。 その口から漏れるのも言葉では無く呻き声に近い。 ありすは、まりさより先にはイケない理由があったのだ。 「まっででねありず、まりざもうイグよ! らめ、イグ、イグイグイグううううううううう!!!!!」 まりさもありすの頑張りに応えようとさらに激しく体を震わせ、それの意味する所を理解したありすがまりさを絶頂へと導くためにさらに体を震わせる。 「んぐぐぐぐぐぐあああああああまりざもうだめありずもうダメありずもううぐぐぐんぎいいいああああああああ!!!!!!!!!!」 「あああああありず、ありずありずありずありずありずありずありずむううううんおほおおおおおおおーーーーーーっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」 一際長い絶頂の声を上げた後、まりさが口から大量の餡子を吐き出した。 いや、違う。 餡子ではない、それは小豆色をした小豆そのものの、だが小豆に似た何かだ。 まりさはまだ大量の「それ」を吐き出し続けている。 「んぼ、ごぼぼぼぼぼぼぼおっげぇっげぼっごっごごげぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!!」 嘔吐が続くため呼吸ができずにむせ返るが、それでもまだ止め処無く「それ」は後からあふれ出てくる。 数十秒ほども続いて、ようやく「それ」の放出は止まった。 精も根も尽き果てたまりさは、「すっきりー!」の声も無く、必死で酸素を求めてぜぇぜぇと荒い息をつくばかりだ。 そして、放出が止まったのを見て、ようやくありすが本会を遂げる時が来た。 「まりざ、ありずの、ありずのおもいをうげどっでねえええええええええええーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」 そして、まりさが吐き出した「それ」に向けて口から大量のカスタードクリームを放出する。 いや、これもカスタードクリームではない。 カスタードよりももっと白く、粘液質の「何か」だ。 ありすもまりさと同じ様にむせ、えづきながら「それ」全てにかかるように大量の「何か」を吐き出し続けていく。 こちらも長々と時間をかけて吐き出し終わると、酸素を求めて喘ぐような呼吸を続けた。 それから2匹ともがようやく呼吸を整えた頃。 先程までの嬌態の残渣はもうどこにも無い。 あるのは、半分ほどに縮んだ2匹のゆっくりと、その2匹と洞窟の壁との間に挟まれる様にして広がった何かがあるだけだ。 「ん……ありす……ちゃんとまりさたちのあかちゃん、のこせたね……」 「そうね……みんな、ちゃんとうまれてくれたらいいね……」 そう、あれは他でもないゆっくりの卵なのだ。 この苛酷な環境で生きるゆっくりは、冬の間常に食料があるとも限らない状況に適応して、卵生へと変わったのだ。 食事を取る事も無く冬を過ごせ、生れ落ちた時には外はもっとも快適な春である。 こういった洞窟の奥でなら、卵もかろうじて寒さには耐えられる。 それくらいの際どいバランスの中で、ゆっくり達は生き抜き、世代交代を繰り返してきたのだ。 しかし、せっかく自分達の卵が生まれたと言うのに親達は元気が無い。 「すっきりー!」も「しあわせー♪」のひとつも無く、再び静かに身を寄せ合っているだけだ。 「まりさ……」 「なぁに、ありす……?」 「わたし、まりさとあえてよかったよ…………」 「うん……わたしもありすとあえてしあわせー…………」 2匹の脳裏には、2匹が生まれ、出会い、そして生きてきた思い出が止め処無く溢れかえっていた。 そのどれもが、決して忘れることの無い輝く宝物だ。 「ありす……ありす……?」 まりさは、ありすまだ伝えたい事があったのでありすに呼びかけた。 だが、ありすからの返事は無い。 わずかに体を動かしてありすの横顔を見る。 先程までとは違い、ありす本来の綺麗で整った横顔だ。 ありすは、僅かな微笑を浮かべて自分達が生んだ卵を見つめている。 だが、その体からは呼吸の振動が伝わってこなかった。 それは、鮭や昆虫などと同じ現象。 生んだ後に、親たちはほぼ間違い無く死んでしまうのだ。 「そっか……ありす、さきに、ゆっくりしちゃったんだね」 おつかれさま。 その意味を込めてもう一度頬擦りし、口付けをする。 体を横に向けて、少し伸び上がる。 それだけの動作が、もう酷く億劫だった。 そして、もう一度自分達が生んだ子供達を見る。 少しでも多く生まれて、少しでも大きくなって、少しでもたくさん幸せになれますように。 それだけの事を思い浮かべるのにとても時間がかかった。 寒い。 隣のありすの体温ももうほとんど感じられない。 そしてとても眠い。 ああ、自分も時間だ。 「ありす……だいすきだよ……」 だめだ、もう眠ってしまう。 「ありす…………ずっと、いっしょに、ゆっくりしようね…………」 最期に直接伝えられなかった想いを振り絞るように言葉にして、まりさの意識は静かにとても、とても深い所へゆっくりと沈んでいった。 終わり 作・話の長い人 あとがき たまにはこうやってゆっくり同士で大自然を生き抜いて、天寿を全うするゆっくりもいいじゃない。 細かい突っ込みは無しで。 わかっててあえて書いてない所もあるし。 過酷な環境でも、2匹で過ごした時間はしあわせそのものだったはず。ゆっくりやすんでね -- 名無しさん (2008-07-26 00 44 58) これからもずっと2人でゆっくりしてね。。。。。 -- 名無しさん (2008-08-30 17 34 23) きっと元気な子が生まれるよ!!だいじょうぶだよ!! -- ゆっけの人 (2008-10-26 02 25 29) なんか、とても切なくて泣けてくる・・・ -- 名無しさん (2008-10-26 02 48 38) ・゚・(ノД`)・゚・。 目が…目があぁぁ(ry 稀でもゆっくりに泣かされた経験があるのは私だけでは無い筈。。。 -- 名無しさん (2008-12-09 02 59 22) けど卵生ってことは生き延びる赤ゆの数も少ないわけだよな・・・自然だから仕方ないけど -- 三下 (2009-04-01 16 26 45) 何故? -- 名無しさん (2009-04-28 01 00 22) おにいさんもビックリの生態だね -- おにいさん (2011-04-16 09 58 13) この人ってアッチの人だったの? -- 名無しさん (2012-04-16 20 38 42) 名前 コメント
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緑髪が好き過ぎて電波受信しました。 先にも後にも言います。ごべんなざい。 緑髪萌え、東方キャラ、虐待成分少なめ、どれかでも嫌だと思ったらバックしてね!!! 虐待自体は 『死ねば死に損。生くれば生き得』という文辺りから…かコレ? では、ごゆっくり。 ここの所、死した魂が増えすぎている。長いこと彼岸にいるが、大量の魂が休み無く流れくる様ははじめてだ。 残業もこの半年は毎日。休日も殆ど出勤。しかし、仕方が無い。楽園担当はあたいとあの方なんだし。 「ふう…本日もお疲れ様でした。」お疲れ気味の閻魔様。ちょっと背が低めの裁判長。 「お疲れ様です。…あの、四季様、差し出がましいかもしれませんが、明日はお休みになられた方が。ここ一ヶ月ずっと働き詰めで…。顔色も良くないですし、竹林の医者に診てもらった方がいいと思います。」 対し、彼女の部下。長身で赤い髪の三途の川の船頭。見た目からも威勢のよさが伝わってくる。 「小町、二人きりの時は…。」ゴホン、と咳払い。 「え、あ、スミマセン、映姫様。」急いで言い直す。 「…ええ、そうですね。あれだけの魂を裁判するのは流石に疲れました。他の閻魔に明日は替わってもらうことにします。連絡を取りますのでそこで待っててくださいね。」おもむろに尺を耳にあて、 「あ、もしもし。夜分遅くに失礼します。楽園担当の四季映姫です。実はですね、…え?…はい、解りました。はい。いえ、恐縮です。…はい。…いいえ、勿体無いお言葉です。はい、謹んで頂戴します。はい、それでは失礼します。」ふうっ、と一息つく映姫様。 …え!?あの尺って上司と連絡とれたんだ!あたい、長いこと映姫様と仕事しているけどはじめて見たよ。 「小町、どうかしたのですか?」不思議そうに。 「いいえ何でもないです。映姫様、それでどうだったんですか?」見なかったことにしよう。 「はい、『上半期魂裁き量』が少しばかり多かったという事でお休みを頂けました。」ちょっとだけホッっとした表情で。 「そうですよね~。いやー、よかったよかった!じゃあ、あたいに気にせずバッチリ休んできてください!」そんな制度あったんだ。それと、少しばかり?あたい、河を何往復したっけなぁ?ココだけの話、常時距離短めに設定してたはずなんだけど。 「小町?一緒にいてくれないのですか?」あたいの言葉を聞くや、一転して、ちょっと涙の含み、ちょっとだけ首を傾げて上目遣い。 「…ぐぅっ、…で、でも、あたいはお休み貰えた訳じゃ…。」…えーき様、その表情はっ…!! 「いいえ、貴女もですよ。『貴女の部下にも休みを与えます。』そう仰られました。」我の事のように嬉しそうに語る。 「えっ!本当ですか!いやー、実を言うと、私もクタクタだったんですよね。」あっはっはと大笑い。 「…では、もう一度聞きます。…お休みの間、一緒にいてくれませんか?」服の裾を持ち、なおも上目遣いでお願いされる。 勿論、あたいじゃ耐えられないよ。こんな破壊力の攻撃は。 「ご一緒させて頂きます。貴重な一日ですから有意義に使わないと。」うん、あっさり承諾したね、あたい。一人でのんびり寝たかったけどまあいいか。貴重な休み一日だけど映姫様とすごそう。それはそれで楽しそうだし。 「いえ、今までのお休み返上した分と今回の特別休暇を合わせて、頂いたお休みは1ヶ月なのですが…。」ん? 「あ、小町、大丈夫ですよ。私たちが休みの間は他の閻魔が補ってくれるそうですから。貴女が真面目になってくれて私も嬉しいです。」え?いや違、 「本当に有難う御座います。実は休暇の最中は官舎が使えないので小町を頼るしかなかったのです。」いやだから、 「ちょっとだけ待っていてください。官舎の私物をまとめて来ますから。」えーき様?ちょっとー? あれ?もしかして、あたい、図られたのか?官舎で過ごせないって本当なのかなぁ?えーき様は閻魔だから嘘つかないと思うけど。嬉しいけれど、なんかなぁ。なんだろ、釈然としない。 しばらくして、小さい手荷物を持った映姫様が戻ってきて、 「お待たせしました、小町。では行きましょう!」えーき様?顔色良くなってませんか? 「…わぁ、ここが小町のお家…。」そんなに珍しい家でもないと思いますよ。 「ええと、二人で生活するのには狭いので少し距離を伸ばしてみました。お布団はそこの襖にある来客用のを使ってください。それから…」一ヶ月となると不足するものが出てくるはず。あー、あした買い足しもしなきゃ。 「二人で生活…あ、小町のお部屋。」ちょっとー?えーき様?聞いてますかー?勝手に人の家のふすま開けるのは良くないと思います。 「ごほん、…はい、解りました。」 「…遅めですが夕飯の支度しますね。ちょうど映姫様の好きなのありますから。」 映姫様は質素を好む。質素と言っても一汁一菜と例えが出来るほど粗食であるというわけではないが。 おにぎりは味付けに塩を振っただけの物を好むし、神の身分であるのにも関わらず、お酒に弱いので嗜好品はお茶くらい。味気ない物が好きなのだ。 だが、その味気ない物の魅力を知り尽くしているので、それらを損なうものにはそれはもう、もの酷く嫌悪する。 一度、おにぎりの具で口論したことがあるから間違いない。 「小町、貴女は、お米本来の甘みを理解しているのですか?…そう、貴女はお米本来の味を蔑ろにし過ぎる…。わ、私と…同じ食生活をするのが、貴女にできる善行よ。」 「ぅ…解りましたよ映姫様、でも、おにぎりの具はツナが最高ですよ…。」 というやり取りがあったため、映姫様の好きな物は大体わかるようになってしまった。 その日の夕ご飯は、焼き鮭ときゅうりの漬物とお浸し、薬味を乗せたお豆腐、そしてほかほかのご飯。 「いただきます。」食前には映姫様は必ず忘れずに言う。前までは、一人で暮らしている時間が長かったせいかいつの間にか言わなくなっていた。それが理由で映姫様に凄く怒られたこともあったのでその日からは家で一人の時でも食べる前には「いただきます。」を忘れないようになった。 美味しそうに食べてくれるので、あたいも嬉しくなる。お茶碗に米粒一つ残さず食べ、「ご馳走様でした。」映姫様が言う。 「いえ、お粗末様でした。あたいはかたづけるんで、映姫様はお風呂沸かしてあるので先どうぞ。」 映姫様は何度も片づけを手伝いたいと言ったが、「今日はあたいに任せてください。」と笑って言ったら了承してくれた。 片付け後、映姫様が風呂から上がったのであたいも風呂に入る。久々の休みを前にして湯に浸かると、骨からも疲れが染み出している感じがして、すねの中あたりがむずかゆくなった気がした。風呂をあがり寝室に行くと、水色のパジャマを着た映姫様がお布団を二つ並べて敷いて正座していた。 「小町、今日はもう寝ましょう。」ポンポンと隣の布団を叩く。数時間前のクタクタ顔の貴女は何処ですか? 「あー…、いや、せっかく広くしたんですし、布団は離しても平気ですよ。あたい寝相悪いですし。」一応、気を使ったんですけどね。 「構いません。明かりを消したいので早く布団に入ってください。」聞く耳持ってくれませんか。そうですか。 「小町、お疲れ様。…おやすみなさい。」布団を目元までかぶってコッチ見ないでください。やばいですから。主に理性が。 「はい、映姫様、おやすみなさい。」あー、でも、本当に疲れた。オヤスミナサイです。 お互い共に長い重労働をしていたわけで、今までの疲れが出たのかぐっすり眠れた。 翌日、寝坊したら映姫様に怒られた。 「早起きは三文の徳という言葉はですね…。」いつもの説法が始まる。 しかしまぁ、なんでこの方は朝から元気なんだろ。どうもあたいは朝に弱くて困る。 「朝ごはんは私が作っておきました。顔を洗ってきてください。」半覚醒の鼻でも解る、いい匂い。 映姫様の手料理が食べられるのは嬉しいけれど、食べてる最中に何度も「美味しいですか?」「味付け濃くありませんでしたか?」とモジモジしながら聞いてくるのはやめてください。反則ですよ。 朝ごはんも済ませたので、当初の予定通り竹林の八意永琳のところへ。距離を操ればすぐに到着。 永遠亭に到着すると、見知った月兎と幸運の兎がビックリした表情で此方を見ていた。 映姫様の軽い説法のあと、事情を説明すると奥に通され、八意永琳が笑顔で診察してくれた。 少女診察中…。 「四季さん、貴女はきちんと休みを取っていますか?……コホン…そう、貴女は働きすぎる。長期休暇を取る事が貴女にできる療養よ。…ふふ、なんてね♪」八意永琳が誰かの物まねをしながら診断結果を伝えてくれる。 「台詞取らないでください。怒りますよ。」尺を取り出すえーき様。 「四季様、尺はしまって下さい。…それなら、既に長期休暇もらったから大丈夫だわ。」えーき様の前に割り込み、答える。 「あらそう。手が早い患者だと楽で助かるわ。お代は結構よ。…もし今後、体調不良を感じたら直ぐにいらして。」年ふそうお…相応の悪戯っぽい笑顔。 「ああ、そうさせてもらうよ。それじゃ、映…四季様、行きましょうか。」セリフ取られてちょっと不機嫌そうなえーき様に。 帰りの道中、何とか不機嫌が解除された映姫様が、 「せっかくですから花の時に私の裁きを受けた皆さんの様子を見て回りましょう。」 との事であちこち回ることになった。買い足しは明日だなこりゃ…。 紅魔館→湖→冥界→神社→山→太陽の畑→我が家が、もっとも最短だね。…距離を操れるが、長距離は疲れるから操る範囲は短くしたい。…あたいはこういう時だけは計算速いわ。…まあ、何はともあれ早く済ませてのんびりしたいなぁ。 紅魔館の門が見える位の距離につくなり目当ての人物がいた。門番を叱っているようだった。…うわぁ、門番の帽子になんか生えてる。 「ああ、理解しているようですね。そう、叱る事の本質は『優しさ』なのです。」 なにやらウンウンと頷き満足された様なので次に行くことにした。 優しい人ってナイフ刺すの? 湖では目当ての存在が二人いた。未だ幼稚なものは人も妖怪も良く遊ぶ。目当ての存在以外にも4匹の妖精妖怪が居た。種類も性質も違う妖怪が仲良く群れているのは珍しい。 「まあ、この程度の『混沌』ならば良しとしましょう。…妖精の方は、『迷惑』をかけ過ぎているようですが、もう一匹の妖精がある程度自制させているみたいですね、このまま良い方向に向かうといいのですが。」 もうこの場はいいらしい。じゃあ次行きますか。 とまあ、このように遠くから観察し、教えを守れて無い様だったら出て行って改めさせるつもりだったようで。続く半霊も食いしん坊の主の世話で剣を振るう事すら出来ない様子で、騒霊達も、 「レイラのお洋服見つかったよ~。」「絶対に忘れるもんですか!あの子の分までずっと騒ぎ続けてやるもん。」「…閻魔様のお陰ね。…私達は曖昧にしてはいけないの。…私達は、あの子を忘れてはいけないの。」 …形見探ししてた。「うん、よいよい。」感謝の言葉まで聞けて映姫様も満足してるっぽい。 幻想卿でもっとも有名な場所では、紅白と黒白が仲良くお茶をしていた。 「おお、霊夢、閻魔と超サボリ魔がきたぞ。」黒白。五月蝿いねあんた。 「珍しいわね。まあ、お茶くらいなら出すわよ。」紅白。 少し話をし、休憩させてもらうことに。 ちゃぶ台の上には湯飲みが二つ。…あ、お茶菓子は羊羹だ。あたいとえーき様の共通の好物。そういえば忙しくなる前以来食べてなかったなぁ。 「はい、美味しかったらお賽銭入れていってね。。」あたいから賽銭たかろうとする巫女。いい根性してるよ。 しかし久しぶりのお茶の時間。えーき様もホクホク顔だ。そりゃ久しぶりの羊羹だもん。 「「いただきまーす♪」」二人の声がはもる。 一口食べてみてビックリ。…え!?全然美味しくない?羊羹だよねこれ?思わず映姫様の方を見る。 …うあ、物凄く怒ってらっしゃる。四季様、落ち着いて!! 「霊夢、これは、何ですか?」 「え?羊羹よ?お茶には羊羹か煎餅よ。」お茶ジャンキーが豪語する。 「…後半は非常に同意しますが、非常に残念です。内心ではお茶友と思っていた貴女も変わってしまったのね…。」聞いたことないけれど残念な事だけは良く解りました。 「ちょっと!何か問題でも有るの!?」 「コレが羊羹とでも少しでも思ってるのですか?」 「や、安物なのは認めるけど!れっきとした羊羹じゃない!」 「食べ物を粗末には出来ませんので頂きますが、コレは羊羹ではありません。まがい物です。白黒ハッキリつけました。」 黒白はニヤニヤしながら見ている。根はいい奴なんだろうけど、本当にコイツは他人のドタコタが好きなんだねぇ。さっきのお礼もかねて小突いてやりたいよ。 「とにかく、コレは何という名前の羊羹モドキでしょうか?」 「…コレよ『銘菓ゆっくり羊羹』よ。」 「……解りました。…今度、会う時の貴女は前のお茶友に戻っている事を期待しています。行きますよ、小町。」 去っていく二人を見送りつつ、 「く、…なんか非常に腹が立つわね。…でも、久しく普通の羊羹食べてないわねぇ。」 賽銭を貰えず仕舞いだった巫女がポツリと言った。 心の友人を失ったかの様なえーき様。酷く萎えてしまったので、帰り道でもある太陽の丘を訪ねて今日はもう家に帰ることになった。 正直言うと丘には行きたくない。あそこに居るのは酷く強烈な妖怪だから。 途中、何かの結界があったようだが距離を縮めて移動していたし、無害だったので気にせず屋敷前まで飛んだ。 「こら、…そんなにしては、ダメでしょう?」 屋敷の中から声が聞こえて来た。うん、この声は覚えている。ボトルネックって言ったあの声。 「でも、幽香の蜜…美味しいよ?」 どっかで聞いた声。まだ幼い感じがする…って何の会話だよ!…あ、えーき様がプルプル震えていらっしゃる。 「いけません!白昼堂々何をしているのですか!!」凄い勢いで声の方へ走るえーき様。 仕方ないので少し離れて追いかけるか。 「あら、盗み聞きをして人の屋敷に勝手に進入するのが閻魔様流の作法なのかしら?」 声のしたほうから凄い魔力を感じた。…ああぁぁぁ、あたいもうしらない! 「小町、早く着なさい!」高らかに呼ばれるあたいの名前。…もう、どうにでもなれ。 「幽香、ティータイムは優雅に、だよ。」もう一人の声。 「ふふ…、そうだったわね。」緩む緊張。空気も館の壁もホッとしたに違いない。 声のした場所に着くとえーき様が懐から尺を取り出す動作で固まっていた。なんでもない、ただお茶を飲んでいる二人が居ただけだった。 「ま、気分がいいから無作法は大目に見るわ。…貴女達も呼ばれていきなさいな。」既に椅子に座り紅茶を口に運ぶ。その動作の後、ハニーティーを飲んでいた緑髪の少女が立ち上がり、椅子を2脚引き、どうぞ、と手で示した。 「私が満足できるレベルのお茶を淹れれるようになって偉いわ。…この二人には緑茶を出してあげて。」 固まったえーき様を引きずって椅子に座らせ、あたいも隣の席に座る。 …しかし、前にあった時とえらく印象変わったなこの妖怪。 「らしくないわね、閻魔様。いったい何があって?」少女がキッチンに向かうと花の主が語りかけてきた。 「いや、実は、さっき巫女の所で羊羹を出されて」答えるのはあたい。えーき様は自分自身がさっき考えた愚かな事を改めているんだろう。動かない。 「ふむ、それで?」続けなさい。そう続く気がして。 「四季様もあたしも言ったんだ。非常に美味くないって。なんていうか、紛い物と言うか…。」 「…へぇ、閻魔様の能力は冴えたままね。…さっきの有様は見なかったことにするわ。」 キッチンから緑髪の少女がティーセットを持って歩いてくる。 「ご苦労様、リグル。…あら、言われなくても緑茶に合うお茶請けを用意するなんてね。」 「うん、緑茶には羊羹か煎餅って前に霊夢が言ってたから。」緑茶ジャンキーのお茶布教は凄いな。 どうぞと、目の前に出されたのはいい感じで湯気の立っている緑茶と、みずみずしい羊羹。あ、茶柱。 えーき様の前にも出される。…と、止まった時間が動き出したようで。 「…失礼しました。自身の愚かさを改めるのに時間がかかってしまいました。」 キラキラと光る目は明らかに羊羹しか見ていない。 「「いただきまーす♪」」またはもった。 …!!そう!コレだよ!!上品な甘み、なのに解るほんの僅かな塩気。お茶での熱を受けた舌の熱をほのかに冷やすコレ。ココ来て良かった、客人がそう思える一品だよ。 ね、えーきさ…泣いてる! 「…風見幽香。」 「なにかしら?」 「…ありがとう。」 「いえ。どういたしまして。」 「…こんど、白い桜の下でお茶会しましょう。…久しぶりです。これほどの一品は。」落涙の羊羹。 「あら、白桜なんて久しく見ていなかったわ。楽しみね。」 「幻想卿から本物の羊羹が死んだのかと思い、いつ裁いたか考えていたところです。まだ生きてましたか。」ふふ、と笑う映姫様。 「いえ、ほぼ死んでいるわね。小豆製品は特に。」 曰く、二人で歩いていたら、たまたま出くわした人間の農夫と菓子職人に豊穣の神(秋姉妹)と間違えられ相談を受けたと。 人間の里の小豆を使う菓子はコストの極めて安い代替品に取って代わられ廃れたと。 気分が良かったのでその人間には恐怖を与えなかったと。 『死ねば死に損。生くれば生き得』されどアレ等に関してだけ言えば、我等は二度損。 我が家に戻った後、二人で話し合った。 「小町。魂が増えた理由がこれほどしょうもない事だったと思うと腹が立ちませんか?」 「ええ、映姫様。あたし達の共通の楽しみを迫害し、あまつさえ己のみ『ゆっくり』し、私たちを『ゆっくりさせてくれない』存在とは。」 「嘆かわしいです。」 「しかも、徳の無い連中ですから運賃も限りなく0に近いですし。アレの魂が溢れても我々は商売上がったりですよ。」 「変な物が流行りますね。はぁ…。」確かに、いま思い返せば、裁き量と比例して増えるはずの運賃も雀の涙ほどしかなかった。 ともかく、映姫様の提案で休みの内でも特に暇な日は、聞き込み調査、永遠亭で奴等のレポートを見せてもらったり、実際に観察などをしてヤツ等を詳しく調べることにした。 食料を見つければ 「ゆっ!これはまりさがみつけたんだよ!!」 「ちがうよ!これはれーむのだよ!!」 「まりさの!!さっさとあっちいってね!!」体当たり。 「ゆっぐり!!!そっちこそあっちいってね!!!」 数分経っても言い争う。この行為自体がもはや『ゆっくり』では無い。 「しね、ゆっくりしね!!」飛来する1匹。 「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!!!れーむをたべてね!!!!」 「まままま、まりさのほうがおいしいよ!!!」 お互い食われる。 分け合えば悲劇を回避できたかもしれないのに。 家族連れの固体。 親が持ちこんだエサにかぶりつく子。 子供達よ。あいさつは?おかえりなさいといただきますは? 親も、ただいまは?めしあがれは? 「うまかった!またもってきてね!」 ごちそうさまは? この種にとって、家族ってなんなのかしら。 腹が空けば食い、眠ければ眠る。…他人の迷惑など省みない。考えたことも無い。 家族という枠は形骸化し、わが子を忘れる。…霊になっても家族を大切にする存在も居るのに。 親が子を殺し、子が親を殺す。殺し、食う。…恐ろしいほどに混沌とした。 ゆっくりするという本来の意味を違え、惰性を貪る。…偽りの優しさで誤魔化した惰性。 友を裏切る事に躊躇なく、生にしがみつく。 少数の良識ある同種を迫害し殺す。殺しあざ笑う。 強者に媚びへつらい、弱者には厳しい。 人の様に考え改める事もなくいつまでも「ゆっくり」する事にのみ執着する。 徳も何もあったものではない。 積もるのは軽蔑。 …確かに花の主や天才薬士から聞いた通りかもしれない。彼女等はアレ等をモルモット以下のように扱う。初めは「なんと罪深きことか」と思ったが、今となってはそれも無理はないのかもしれないと思える。そうでもしないと価値がない。 全ての魂には生まれた意味がある。意味があるから生前の行いを裁く。生まれた意味の無い魂になんの価値があるといえよう? 裁く意味はありきや?輪廻転生させる意味はありきや? もう、どんな弁護がなされても裁判長の心証は変わらないであろう。 答えなど、言うまでもなかった。 復帰開けの初日、大量の魂を一度に裁判すると仰った四季様。異例の事なので臨時で裁判員が4人か選出された。四季様の直属の部下であるあたいが居てもいいのか疑問だが、まあいいや。傍聴席で見る法廷とはまた違う、などと、どうでもいい事を考えていた。 「静粛に。判決を言い渡す。汝等は八熱、八寒地獄めぐりの刑に処す。以上。」 あたいに言わせればまあ当然かなと。事前に奴等の生前の行いを見ている裁判員も当然といった感じ。…だが、傍聴席はどよめく。これほどの重い判決を言い渡された法廷に立ち会ったことなど一度もないのであろう。 「「「ゆゆ!あついのもさむいのもやだよ!ゆっくりできないよ!!」」」ゆっくり脳でも語感から熱いのか寒いのかは理解できたらしい。もっとも、どういうレベルで熱く、寒いのかは理解できまい。これに関していえば、生者が理解しうれる訳がないのだが。 「では、地獄、タルタロス、ジャハンナムから好きなのを選びなさい。それらに続く扉はあちら。」3つの扉。 「どれがいちばんゆっくりできるの?」死しても基準はそこか。 「これにて閉廷します。魂は速やかに自分の行きたい場所へ行きなさい。」答えない。次の法廷があるから。 閉廷し、取り残される魂たち。自分達はなぜかここから出ることが出来ない。進めそうなのは3つの扉だけ。 ここに居てもゆっくり出来そうにもないので脱出するしかない。満場一致だった。 徐々に各々の好きな扉に消えていくゆっくりソウル。取り残された二匹。 「ゆ!れーむはどれにする!?」隣のゆっくりに意見を伺う。 「これにする!まりさもいっしょにきてゆっくりしよう!!」『じごく』と書かれた扉の方に進む。 「ゆゆゆ、そうだね!!これだけもじがまるいもんね!!」 仲良く並んでその扉をくぐった。 …意識が回復すると、そこは何も無いただ広いだけの空間だった。 ゆっくりれいむは初めて見る地平線に驚いたが、そんなことよりも 「まりさー?どこー!!」一緒にきた仲間が近くに居ないかきになった。 「ゆ!れーむ!!ここだよ!!」なんだ、すぐそばに居たじゃないか。 呼ばれたほうに行こうとすると、まりさのうしろには恐ろしい形相をした人型の存在が。手にはとげとげのついた棒を持っている。 「まま、まりさ、そのおじさんもゆっくりできるひとなの!?」本能で解る、コレはゆっくりできないオーラを放っている。 「ゆー??」言われて初めて後ろの存在に気づき振り返る。 刹那、獄卒は手に持った金棒を振り下ろす。 「ゆべっっ!!!!」中身を四散させ絶命するゆまりさ。 「ドおじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!」叫ぶれいむ。 だが、あの恐ろしいのが今度は自分を狙って来たら…、そう思うと少しずつ距離を離していた。 「ゆゆゆ・・・ゆっくりー!!!」あれ?潰れたはずのまりさが元に戻った。 復活してまもなく獄卒はゆまりさの皮を剥ぎ出した。 「ぎゅぅぅぅ!!!いだいよぉぉぉ!!!れいむぅぅぅ!!!」 「まりさ!!がんばって!!ゆっくりできるまでたえて!!」怖くて近寄れない。遠くから声をかけることで精一杯だった。 「ぎゅうううう!!!れーむのせいだ!!!こんなところをえらんだれーむのせいだ!!!れーむなんてだいきら…ぶぎゃ!!!」 言い終わることもなく再び潰された。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!まりざにぎらばれだぁぁぁ!!!」泣きながら後ずさる。 すぐに再生するゆまりさ。 「れいむなんでだいっぎらいだぁ!!!ほがのどごろならぎっどごんなごどなかった!!!ごごじゃないどごにす…ゆぐぅ!!」 殺されながら恨み言をいうゆまりさにゆれいむは恐ろしさを感じざる終えなかった。恨み言を言われ死んで、再生して恨み言を言われ…。 今すぐこの場から逃げ出そう。嫌なのからはすぐ逃げるゆっくり達の本質。そう思い後ずさりながら離れようとした。が、 ドン! 何かにぶつかった。 「ゆー??」振り返った所で何かがめり込んだ。 獄卒にとってはいつもの事。対象が人間でないのは珍しいが、自分達は500年間この責め苦を与えればよいだけ。 淡々と仕事をこなす。 だが、この等活地獄に落ちたゆっくりは運が良かったのかもしれない。 運の悪いゆっくりの何匹かは寒獄の七、鉢特摩地獄に落ちた。 血液すら凍る寒獄中の監獄。 「あばばば!!!ざむずぎで…」最後まで言葉を発することもなく力尽きた。極寒で皮膚が裂け、流出した体液が餡の花を咲かせた。 未来永劫、終わりが見えぬ責め苦のフルコース。 生物として、畜生にすら劣る業と、四季映姫の好きな物を蔑ろにした罰から考えたら必然だったのかもしれない。 おしまい。 ~おまけ~ 「四…映姫様、三つ示した意味がなかったのでは?」 「気分です。」 「そうですか。どれも一緒なのになぁ。」 「そんな事より小町、…裁判官の服、似合ってますよ。」 「へへぇ、そうですか?」 「小町さえよろしければ、私の秘書にでも…」 「いえぇ、あたいは彼岸の船頭でいいんです。性に合ってますし、これからも映姫様の部下でいたいですし。」 「そ、そうですか。それでは明日からは三途の船頭をよろしく頼みますよ。」 「はい!まかせといてください!」 ~あとがき~ まずは一言。 ごべんなざい。 地獄での責め苦は皆さんにバトンタッチさせてください。紅蓮の花ではなく、餡蓮の花が咲かせたかっただけです。 結局、花です。なんか書いちゃったので投下させてもらいました。 『ゆっくり以外の部分で糖分を』っていうテーマで書いて、ゆっくりのアイデンティティを虐待しているつもりなのでこうなりました。過去作も。 そんなことより、緑髪が可愛すぎるんですよ。不思議です。 Y・Y
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人里から遠く離れた小さな山に、多くのゆっくりが暮らす森がある。 日当たりの良い広場があり、きれいな川が流れ、木の実を付ける広葉樹で構成されており、 小鳥は囀り、げっ歯類以上の大きさの哺乳類はおらず、妖怪も人間も足を踏み入れないというそこは、ゆっくり達の理想郷であった。 そんな美しい森に、とても生存本能の強いゆっくりぱちゅりーが居た。 他のゆっくりぱちゅりーは自らの運命…先天的に病弱で、長生きする事は叶わない自らの体質を受け入れている。 だが流石にこのゆっちゅりーは格が違った。自らの運命を自らの手で(ゆっくりなので手は無いが)変えようと強く思っていた。 ある日ゆちゅりーが短時間の散歩を楽しんでいると、木の洞に詰まって身動きが取れなくなっているゆっくりまりさがいた。 ふと、ゆちゅりーの拙い思考回路があるアイデアを生み出した。 まりさ種はゆっくり達の中でも殊に活動的だ。その点では、ゆちゅりーの理想と言ってもいい。 そのゆまりさの健康で活動的な肉体を得れば、自分もああなれるのではないか。 無論、肉体を手に入れると言っても脳を移植する訳ではない。元よりゆっくりにそのような知識は無い。 あるのは本能だけ。故に、他者の肉体を得る方法はただ一つ。―――食べる事だけだ。 ゆちゅりーは虚ろな表情で、ゆっくりとゆまりさににじり寄る。 「ゆっ!たすけてくれるの!!?ゆっくりひっぱってね!!!」 「…………」 ゆちゅりーは答えない。というか、聞こえていない。今のゆちゅりーにあるのは強烈なまでの食欲だけだ。 「ど、どうしたの!!?さっさとたすけてね!!!」 「…………」 偶然にも周囲にゆっくりの姿は無い。まるでゆっくりの神があるいは悪魔がセッティングしたかのような状況である。 もうゆまりさの体温すら感じられる程に肉薄している。耳障りな雑音も聞こえない。 ぶよぶよと震える皮は美味そうとしか考えられない。 普段は友愛を喚起させられる体臭も今では食欲をそそる香りだ。 肌身離さずかぶっている帽子や、美しい金色の髪に至るまでが御馳走に見える。 そして、 「ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!や゛め゛で!!!や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 思い切り良く頬に食らいついた。その瞬間、口の中をかつて無いほどの至福が駆け抜けた。 ―――すごい。こんなにまりさがおいしいなんて。ゆめみたい。 全身が四散しそうな程衝撃的な味は、ゆちゅりーを虜にした。 一心不乱にゆまりさを喰らう。否、このゆちゅりーはゆまりさをただ食っているのではない。愛しているのだ。 今のゆちゅりーの最大限の愛情表現こそがこの共食いという最も恐るべき行為だった。 「う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!どうじで!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 一口齧る毎に、一声絶叫される毎に、ゆちゅりーは心身共に活力に満ちて行くのを実感していた。 このような感覚は生まれて初めてだった。母の蔓に生まれ、目を覚ました時ですらここまでの爽快感は無かった。 「ぐがが……お゛ぼぉ゛……ゆ゛……ゆ゛ぐぐ……ゆ゛っぐり゛ざぜでね゛!!!!!」 それがこのゆまりさの最期の叫びだった。後はただゆまりさの残骸を余さず食う音だけが響いていた。 「むきゅぅーん……」 ゆちゅりーは涙した。一時の激欲に身を任せて友を食べてしまった自責の念で。 もう二度と自分の知らない場所にまで連れて行ってくれた相手と会えない悲しみで。 そして、身も心もかつてない程のゆっくりに満ち溢れている喜びで。 もっと。もっとこのエネルギーが欲しい。友を喪うのは悲しいけれど、それを遥かに上回る喜びが得られるのなら。 「だから……!(福山潤の声で)」 翌日の朝、ゆちゅりーは森の中を全速力で駆け回っていた。恐らくゆっくりまりさと同等の速度だろう。 ゆちゅりーは感動している。速く走れるとはこんなに素晴らしいことなのか。それもこれもまりさと一つになったお陰だ。 もっとだ。もっと食べれば、もっと生きていられる。もっとゆっくりできる。そう、食えば食う程―――強くなる。 ……新たな餌を、発見した。 数年後、そこにはかつての貧弱さなど微塵も感じさせない力強いゆっちゅりーが居た。 体躯は通常のゆっくりより一回りも二回りも大きく、その眼力に他のゆっくりはただ畏れるしかなかった。 今やゆっくりれみりゃさえもゆっちゅりーには近付かない。 ぱちゅりー種でありながら餌を横取りされたゆっくりれみりゃの群れ十匹を返り討ちにするような怪物に逆らう程、ゆっくりも馬鹿ではないのだ。 そう。今やこのゆっちゅりーはこの森に住まうゆっくり達の王なのである。 好きな時に好きなゆっくりと共にゆっくりし、好きな時に好きなゆっくりを食べる。それが王の在り方だった。 だが、王はこの生活にも飽きてきた。以前とは比較にならない位強大な生命力を得た王にとって、通常のゆっくりでは物足りないのだ。 もっと。もっと大きくて栄養のある餌が欲しい。際限無い欲望を持つという点では、人間の王とゆっくりの王は大差無かった。 決意するのに、そう時間はかからなかった。王はこの楽園を捨て、新天地へ向かう事を決意した。 大丈夫。今の自分は強い。ゆっくりれみりゃやゆっくりフランでさえ自分を恐れて近付かない程に。 どんな敵が現れようと打ち倒し、食べるだけだ。 そうして王は向かった。幻想郷の中心部にある人間の里へ。 森を出て三時間、里の外れの外れにある小さな集落を発見した。 地面にしゃがみ込み何かをしている人間が居る。第一村人発見である。王はこいつが記念すべき最初の人間だと決定した。 射程距離まで音を立てず慎重に移動する。まだだ。あと十ym(ゆっくりメートル)。あと八ym、六ym、よし今だ―――! その瞬間、人間がこちらに気付いた。だが構うものか。後は飛び掛り、組み伏せ、食い尽くすだけなのだから。だが…… 王は知らなかった。ゆっくりと人間など、同じような物だと慢心しきっていた。 世界で最も強かったのはゆっくりフランで、自分はそれ以上の生物なのだと勘違いしきっていたのだ。 そう、つまり―――ゆっくり内での序列がどうあれ、ゆっくりである限り人間の食料に過ぎない事をまるでワカっていなかった。 「ごらー!おらの畑で何しとるだァー!!」 食い物である筈の人間はそう叫ぶと、手に持った棒切れを振りかざし、王の頭に振り下ろした。 ぐしゃり。 決定的な音を、王は確かに聞いた。懐かしい感覚。自分の意識から立ち昇る死の匂い。 嫌だ。せっかく生きられるようになったんだ。こんな絶望から逃げる為に同胞まで食ったんだ。 助けて、助けて、助けてまりさ。れいむ。ありす。にとり。うどんげ。にいと。あやや。てんこ。ちぇん。さくぽ。れみりゃ。フラン。 助けろ!私は、私はお前らの王なんだぞ……!! と、ありえない光景を見た。森に居た多くの仲間達が自分を見ている。ああ、やっぱり助けに来てくれた……皆! 「たすけろ、だってさ」 「おお、いやだいやだ」 大勢の仲間が、嫌な笑顔でこちらを見ていた。 どうしてこんな顔を向けられるんだろう。 どうしてこんな事になってしまったんだろう。 わたしはただ、みんなとゆっくりしたかっただけなのに…… 「おーい母ちゃん。こんなもんが畑を荒らしとったぞー」 「あんらーお前さんそりゃ『ゆっくり』だよぉ。それを里に持っていくと高く売れるんだわー」 「へぇそうかい。そいじゃちょっくら売ってくらぁ。おぅ、種蒔きは代わりにやっといてくれよ」 「そんな事言ってまた遊んでくるんじゃないんだろうね!いやだよこの間みたいに土産とか言ってエロ同人誌五十冊も買って来るのは」 「へっへっへ、もうあんな事はしねえよぉ。んじゃ行って来る」 「全く。気を付けて行って来てなあ!最近は妖怪が出るとか言うけんねー!」 「おおう!妖怪なんざ俺のコブラツイストでボッコボコにしちゃるけん!」 「調子いい事言うんだから。妖怪になんて勝てる訳……おや、何だいこりゃあ」 彼女の足元には文字が刻まれていた。そこはかつての王が息絶えた場所だ。そこにはこう書かれていた。 「ゆっくりしていってね!!!」 DEAD END 選択肢 投票 しあわせー! (3) それなりー (4) つぎにきたいするよ! (18) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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Aから B、 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり~!(霊夢! 私お手伝いするよ! ちょっと聞いて!)」 「はいはいうるさいわね。今忙しいんだから離れなさいよ。今日の宴会は地下の奴らまで来るんだから、たくさん酒がいる分早く用意しないといけないのよ」 博麗神社にて、博麗霊夢が自らの顔を模してリボンを付けた生首に飛び掛られ、 うざったそうに眉を顰めている。 その生首の名はゆっくりと呼ばれている、幻想郷に突如出現した謎の物体だ。 ゆっくりは涙目で霊夢に飛び掛り続ける。 「ゆっくりしていってよ~!(私の話聞いてよ!)」 「ゆっくりできないっての」 霊夢は胸の辺りまで飛び跳ねてくる涙目のゆっくりを手で払い、 これまで行なってきた宴会の準備の作業を再開する。 「霊夢~、酒の用意は万全だぜ~」 「おつまみの準備もできたわよ」 霊夢の友人である魔理沙とアリスが声をかけながら近寄ってくる。 二人の背後には霊夢と霊夢のゆっくりの関係のように、 魔理沙とアリスの二人に対し、それぞれの特徴を持ったゆっくりがそれぞれ一匹ずつ飛び跳ねている。 「霊夢のところのゆっくりって本当に甘えん坊ね」 「そうなのよ……。こいつときたら私が忙しいことを知ってるのにこうして擦り寄ってきて……うざったいったらありゃしない」 霊夢は若干苛立ちを交えながら吐き捨てる。 「私のとこのもかまって欲しがりだが、霊夢のところはとびっきりだな」 「あれ? どうかしたのゆっくり」 「なんだ? ゆっくり同士で話し合いでもするのか?」 魔理沙とアリスのゆっくりがぽんぽんと跳ね、霊夢のゆっくりに近寄る。 霊夢のゆっくりに対して説得を試みているのだろうか。 少女達が若干期待しながら成り行きを見守る。 「ゆっくり! ゆっくり! ゆゆう!(どうかしたの? 主人と痴話喧嘩でもした?)」 「ゆっくり~! ゆゆゆ!(もしかして女の子の大事な日? タンポン貸してあげよっか? それとも貴方はナプキン派?)」 「ゆゆっくり!(何でもないよ! 向こうに行ってて)」 「 「 ゆ~!(あ、ちょっとこら!) 」 」 けれど、二匹が声をかけたにもかかわらず、霊夢のゆっくりは尚更霊夢に引っ付く。 魔理沙が「駄目だこりゃ」と頭を抱えた。 「私の言ってることがわからないのかしら……まったく」 「ゆっくりの方だって私達の言葉を喋れないんだから、私達の言葉なんてわからないのかもな」 「とはいっても……私が忙しいことぐらい見てわからないの? ……まったく、何を考えていることか知ってみたいものだわ」 「う~ん、『腹減った! 仕事してないで飯よこせ!』だとか、『もっと私を優しく扱え! かまえ!』みたいな感じなのかな? それにしてはちょっと様子がおかしいけどな」 「ま、後でさとりにでも聞いてみることにするわ」 霊夢は淡白な様子で答えた。 今日は地下の妖怪達も来る。彼女達はゆっくり達とは初の顔合わせになる。 そのときに心を読む程度の能力を持つさとりに聞けばいいだろうと考えた。 「ゆっくりしていって――(霊夢~――)」 「ほら、邪魔よ」 ばしっと、霊夢は飛び掛る自らのゆっくりを手で払いのけ、おつまみを乗せたお盆を持っていった。 ◇ 幻想郷に突如出現した動く生首、ゆっくり。 ゆっくり達は幻想郷の有名人達の顔を模して潰した生首のような姿をいるが、 それ以外の生態は謎に包まれており、どこから来たのか全くの不明で、 「ゆっくりしていってね!」と鳴くことから「ゆっくり」と名づけられたこと以外は誰もわからない。 けれど、そんな謎の存在ゆっくり達にもある一つの共通点があった。 それはその顔のモデルになった人間や妖怪、果ては妖精にひどく懐くということだ。 モデルとなった少女達は自らの姿を模した謎の生き物が擦り寄ってきてどう扱えばわからず、 とりあえず放置する者、仲良くなって共に暮らす者、非常食としてとっておく者と様々だった。 そして先ほどの霊夢のゆっくり。 霊夢の神社の庭にある日いきなり出没し、まるで親に出会った迷子のごとく霊夢にひたすら懐いた。 霊夢は退治するべきか放っておくべきか迷ったが、特に悪さをするわけでもないので放置することにした。 そして今では霊夢とゆっくりが奇妙な同棲生活を行なうこととなったのである。 ◇ 「乾杯!」 「「「かんぱ~い!」」」 今夜の宴会は非常に賑やかなことになった。 博麗神社の庭では人間、妖怪、妖精、鬼、天人、神、様々な種族が入り乱れて、 派手に豪快に呑めや歌えやの大騒ぎ。 これまで特に交流がなかった面々も酒の力で互いの距離感が近くなり、飲み比べでその度量を認め合っていった。 そして宴会が進むに連れて、次第に気が合う者同士でいくつかのグループに分かれていく。 酒に強く騒ぎ立てる者達、お喋りに興じる者達、少し距離を置いて自分のペースで飲む者達。 皆が皆、自由に酒と場の雰囲気を楽しんでいる。 そんな中、ある一角が周りの目を引いた。 「ゆっくり!(お酒最高!)」 「ゆっゆっ! ゆっく、ゆっくり!(あっ! それ私の! 返してよ! 主に口移しで!)」 「あ~う~(ねぇ、野球拳しようよ!)」 「きゃなこ~ん(うちら脱ぐものが殆ど無いじゃん。そもそも手が無いからジャンケン出来ないし)」 ゆっくりである。 ゆっくり達が庭の端の方に陣取って、集まり、酒宴に興じている。 ゆっくり達はころころ、ぽてぽてとその丸い体を転がし、 飛び跳ねながら、口しかないのに器用に酒を注ぎ、呑み、つまみを食す。 そんな生首たちの酒宴の様子を、幻想郷の少女達は伺っていた 「あいつらって、ゆっくり達って本当に何者なんでしょうね?」 妖夢が周囲に聞かせるように呟いた。 「特に何かをしでかすわけでもないですし、それどころか私の場合何故か仕事を手伝ってもらったこともあるんですが」 彼女はゆっくり妖夢に自らの庭師の仕事を手伝ってもらっているので感謝の気持ちもあるのだが、 妖夢自身はゆっくり妖夢の事を何も知らない。 「ゆっくりねぇ……新種の妖怪って感じでもないわね。あんな感じで私達の姿に似せているのは一種の擬態かしら? ……まぁ似てないし、何者かわからないけど、放っておいても無害だし別に大丈夫じゃない?」 パチュリーが「どうでもいいし」と付け加え、興味なさげに冷めた表情で妖夢の質問に答える。 ゆっくりパチュリーは図書館の本を読むだけで、特に何もしてこなかった。 いてもいなくても関係がないのなら、毛玉のようなどうでもいい存在だ。 「私のところのゆっくりは何だか年中ゲラゲラ笑ってうるさいから迷惑なのよね~。もう少しおとなしくして欲しいんだけど」 うどんげが唇を尖らせながら不満げに呟く。 魔理沙はニヤリと悪そうに笑いながらうどんげの方を向いた。 「そんなに邪魔なら兎鍋にすればいいじゃないか。うどんげのゆっくりだから兎みたいだし。何なら今から捌くか?」 「共食いみたいなんで勘弁して……。私の姿を真似ているものが食べられていい気はしないし」 「そうか、それはありがたい。うどんげがゆっくりの代わりに酒の肴に捌かれてくれるなんて」 「何でそうなるのよ!」 うどんげがばんと床を叩いて突っ込む。 「だけどゆっくり達って本当に賑やかね。う~う~鳴いてて、私達には何喋ってるかわからないけど」 「何を話してるのかな?」 腕を組んで考え込むレミリアと首を傾げるフランドール。 彼女達の言葉に反応して、魔理沙がぽんと手を叩いて注目を集める。 「そういえばさっき霊夢と同じ話をしたんだよ。『ゆっくりって何を話しているのかな』って」 「へ~、やっぱり『お腹すいたよ、ごはんちょうだい』とか、『あそんで~』とかかな?」 「いや、言葉が通じないことをいいことに命令形で話しているのかもしれないわ。『飯』『風呂』『寝る』」 段々と皆が魔理沙の話に注目を集めていく。 『ゆっくり達はどのようなことを話しているのか』 それが宴会に参加している者達の興味の中心となった。 普段は「犬や猫が何を話しているかどうでもいいようなものだろ」と興味なさげに言うような者達でさえも、こっそりと耳を傾けている。 何故ならゆっくりは自分達の姿を真似ているのである。 自らに関係がありそうなことなら多少の興味はあるというものだ。 ◇ 「すいません遅れました。それと灼熱地獄跡地での炉の仕事が滞っていて、お燐とお空は残業で来れません。こいしも今日はちょっと連絡が付かなくて――」 「お、さとりじゃんか――そうだ! おまえいいところに来たな!」 魔理沙はやってきたさとりの顔を見るなり、何かを企むような顔で擦り寄って手をとる。 突然手を握られたさとりは何事かときょとんとしながら魔理沙の目を見る。 「な~さとり~、おまえ『ゆっくり』って知ってるか~」 「『ゆっくり』……ですか。地上で最近話題になっている、幻想郷の少女を模した饅頭顔の生首のことですね。私はまだ見たことはありませんが、それがどうかしました?」 「実はちょっと頼みがあるんだけどさ~」 「『さとりにゆっくりの考えていることを読んでもらおう』ですか。貴方、私の事を通訳か何かと勘違いしていませんか? ……してますね」 さとりがその座った目をより細めてジト目となり、呆れながら言う。 「いいじゃないかよ~。減るもんじゃないし~。お願いさとりちゃ~ん」 「馴れ馴れしいです。それに酒臭い。酔っ払いは突拍子もないことを考えるから苦手です」 「だったらなんでこんな場所来てんだよ~。ホントは誘われて嬉しいんだろ~。うりうり~」 「想起『二日酔いの朝』」 「ぎゃあああああああああああ!! 酔いで空が落ちてくるぅぅぅぅ!!」 トラウマを蘇らせた魔理沙が頭をぶんぶん振りながら痛みにうなされる。 調子に乗った結果馬鹿を見た小娘の醜態に、周りからゲラゲラと笑い声が上がった。 「でも私も興味あるわね。悪いけど貴方、ゆっくり達の通訳お願いしてもいいかしら?」 「ね~、貴方心を読めるんでしょ~。だったらやってみて~」 そんな衆人達を掻き分けてきたレミリアと、彼女に手を引かれたフランがさとりに対してお願いする。 普段だったら恐怖の対象であるさとりの読心も、酔っ払いの席では誰も気にしない。 思ったことがすぐ口から出るためだ。 とはいえ、さとりは気軽に能力を行使するように頼まれて若干気が引けてしまう。 能力によって疎まれた過去を持つ彼女は、その扱いに関しては誰よりも慎重だ。 「え~と……貴方達、もしゆっくりの心の中が仮に「ご飯よこせ~。この召使いめ~」みたいな感じで貴方達に対して過度に偉そうだったりしたらどうするんです?」 「 「 今夜のおつまみにする 」 」 即答だった。周りを見れば他の少女達もうんうんと頷いている。 さとりが心を読む間も無かった。 素面の状態でもゆっくり料理をやりかねない彼女達。 酔っ払って自制心が効かなくなった今では、何か失礼があったらゆっくり達はおつまみの刑は免れないだろう。 「……やっぱり駄目です。動物は喋れない分欲求に正直ですから、あまり夢や幻想はもたないであげてくださいね」 さとりはそう言い残すと彼女達から離れた。 不満げな声が挙がったが、ここで捕まったら面倒なことになる。 こういった場合は別のグループに入るのが一番だ。 さとりはキョロキョロと周りを見渡しながら、その場を離れた。 ◇ 「いいところに来たじゃないの、さとり。相変わらず遅れてくるわね」 さとりが辺りをうろうろとしていると、縁側で座っている博麗霊夢に声をかけられた。 反応して霊夢の顔を見ると、頬がほんのりと赤く上気している。酒によるものであろう。 けれども何か気がかりなことがあったのか、いつもよりも酔いのまわりが悪いように見える。 「こんばんは、霊夢さん。色々あって遅れてすいません」 「別にそれぐらいで謝らなくていいわよ。ところでアンタって意外と宴会好きよね~」 「まぁ、それなりには」 さとりはしれっと答えたが、実際にはそれなりどころではない。 さとりは実のところ、宴会が大好きである。先ほど魔理沙に言われたことは図星であった。 さとりは心を読む程度の能力が他人に嫌われるとあって、基本的に表に出たがらないが、 宴会にはよく参加する。 酔っ払い同士なら頭の中が空っぽであり、なおかつ考えるよりも先に口が働く。 皆が心を読まれることを気にするような状態ではないため、さとりのことを疎まない。 そのためにさとりだって楽しめる。酒は潤滑油なのだ。 「ところで【いいところに来た】とはどういう意味です?」 「あのさ、【ゆっくり】って何者か、話には聞いてる?」 「えぇ、一応は。最近幻想郷に突如出現した動く生首のことですよね。そのゆっくりがどうかしました?」 霊夢が背後を振り向きつつ指を示す。すると霊夢の姿を模した生首が蕩けるような顔をして、 「ゆ~♪ ゆ~♪(霊夢~♪)」と声を出しながら、霊夢の背中にすりよっている。 どうやらあれが動く生首ことゆっくりなのだろうと、さとりは推測する。 「こいつが、ゆっくりが何を言いたがっているのか教えて」 「どういうことです?」 「ゆっくりは【ゆっくりしていってね!】に関することしかいえないから、わけがわかんないの。それに私のゆっくりときたら、何でかしらないけど暇さえあったら私に引っ付いてくるのよ」 「へぇ……それはそれは」 「それだけならまだいいけど、よりにもよって宴会の準備で忙しい時にくっついて来てうざったかったの。私がいくら言っても聞かないし……」 霊夢はうんざりとした顔で言う。 さとりは霊夢から事情を聞いた。 ゆっくりは突如博麗神社の庭に現れたこと。霊夢に対して親のように懐くこと。 霊夢が邪険にしてもかまわず向かってくること。 そしてつい先ほども宴会の準備があったのに引っ付いてきてきたこと。 「はぁ、そんなことがあったんですか」 「だから、さとりのその読心でゆっくりが何考えてるのか教えて。何であんなことをしたのか知りたいし、な~んか妙な気分なのよね~。私の勘が騒ぐっていうか」 さとりは一瞬「失敗した」と思った。 面倒ごとから逃げて来たのに、逃げた先で更に面倒なことに巻き込まれてしまった。 またどうにか理由をつけてこの場を後にしようかとも思った。 だが―― 「ゆ~♪ ゆっくりぃ~♪(ん~♪ 霊夢大好き~♪)」 さとりはゆっくりの心の中の、霊夢に対する好意を感じた。 どうやらあの生き物には言葉が通じないがゆえに、その溢れんばかりの好意が上手く伝えられないようだ。 それを霊夢は上手く受け取ることが出来ていないのだろう。何だか微笑ましい。 さとりは何となく、少しくらいだったら想いを伝える手伝いをしてあげてもいいと思った。 「わかりました。やってみます」 言うが早く、さとりはゆっくり霊夢の顔を覗き込む。 それに反応して、ようやくゆっくりはさとりに気付き、上目遣いで見つめる。 「こんばんは」 「ゆっくりしていってね!(小五ロリだ!)」 「………………」 さとりの動きがピタリと止まり、辺りの空気が凍る。 「あれ? さとりどうかしたの?」 「いえ、何でもありません。軽いかるちゃーしょっくとでもいいましょうか……」 さとりは頭を振って気を取り直して再度ゆっくりに近寄り、声をかける。 「私の名前は古明地さとりっていうの。私は貴方の言葉がわかるわ」 「ゆ~! ゆっくり! ゆぅ~!(私と話が通じるんだ! すげ~)」 「ねぇ、貴方はどうして霊夢――自分の主人にそこまでかまってもらいたいの? さっきだって宴会の準備の邪魔をしたって聞いたけど、それは本当なの?」 「ゆっくり! ゆぅぅ~! ゆっくり!(え~と、だったらちょっと説明するね。あのね、話すと長くなるんだけど~)」 「ふむふむ――」 さとりはゆっくりと会話をする。 どうやらゆっくりは人語を話せないが、人語を理解することは出来るようだ。 さとりは読心の能力を持つため、本来はゆっくりは声を出す必要がないのだが、 ゆっくりは思ったことがすぐ口に出る性質があるのか、声を出して喋ってくる。 それをさとりは聞き続けた。 「――なるほど、よくわかったわ」 「ゆっ!(どもね!)」 さとりが得心を得た。くるりと霊夢の方を向く。 「で、何だって?」 「え~とはい、何でもこの子は、霊夢さんのお手伝いをしたかったそうです」 「お手伝い?」 「そうです。お手伝いです。普段お世話になっている霊夢さんのお手伝いをしたかったのだけど、何をすればいいのかわからなかったそうです」 擦り寄ったり甘えることによって邪魔ばかりしていたと思っていたゆっくり。 そのゆっくりの真意が手伝いをしようとしていたなどとは、意外な答えに霊夢が驚く。 「霊夢さん、一ついいですか?」 「何よ」 「霊夢さんはその子に好かれているのはわかりますか?」 「う~ん、ゆっくりときたら暇さえあれば甘えてくるからそんな気はしてたけど……けど、私はこいつに対して特に可愛がってやったりとかしてないわよ。なんでこんなに好かれるのかさっぱり」 「そうですね、例えるなら霊夢さんのことを好いている方達、紫さんや魔理沙さんなどに対して、霊夢さんは特別可愛がったりしていますか?」 「いいえ。まったく。それどころかよく弾幕ごっこでドツく」 「それだけですか?」 「まぁ……その後よく一緒にお酒を飲むけどね」 「それと同じですよ。霊夢さんのさっぱりとした人柄にみんなが集まるんです。この子は『霊夢大好き! 霊夢と一緒にいたい!』という気持ちが溢れかえっています。裏表のない霊夢さんが大好きだそうです」 「でも、今日は邪魔してきたと思ってぞんざいにあつかったし、嫌われてもおかしくないんじゃないの?」 霊夢が反論するかのように答える。 「ゆっくり~ゆっくり~(そうでもないよ。霊夢がそういう人だって知ってるし、そういったところ含めて好き。さっきだって、忙しくなくなったら私が甘えててもどかしたりしなかったし)」 「霊夢さんがそういった人だということはわかっているそうです。だから大丈夫だと。そういったところを含めて好きだそうです。それに忙しくなくなったら、ゆっくりが甘えてきたときにされるがままにしてたそうじゃないですか」 「え~と、それはあれよ。酒の席でつまらないことでイライラするのも嫌じゃない。だからちょっとくらいならいいかなと思っただけよ。ホントに邪魔だったらどかすわ」 霊夢がばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「ゆっゆっゆっくり(それと、宴会の準備邪魔してごめんね。忙しかったのに)」 「宴会の準備の邪魔をしてしまったことについてはこの子も申し訳なく思っています。忙しいところにかえって邪魔をしてしまったと、反省をしているようです」 「そうなの?」 「ゆ~ゆ~(そだよ。ごめんね)」 霊夢がゆっくりの方をちらりと見る。その目には若干の戸惑いがあった。 霊夢は基本的に人妖に好かれるさっぱりとした気質を持つが、 あまりこういった類の、子が親に向けるような愛情を受けたことはない。 どういった反応をすればいいのか戸惑うその様子は博麗の巫女というよりも、 一人の少女のそれであった。 「霊夢さん」 「な……なによ」 「霊夢さん、そんなに肩肘を張らなくても大丈夫ですよ。この子は自然体の霊夢さんが好きなようですから。それに私個人としては子供や小動物に優しい霊夢さんっていうのは気持ちが悪いです。霊夢さんって子供の飴玉とか奪いそうですし」 「おい」 「確かに熱心に好かれると、時にはうざったくなってしまったり、どうしても手が離せなくなってかまえなくときがあるのはしょうがないでしょう」 「無視すんな」 「ですが――」 さとりの突如真剣味を増した声に霊夢が気圧される。 普段のさとりは基本的に根暗だ。 けれどペットや、言葉の喋れない存在に関わるとこのような真摯な性格になる。 だてに地霊殿の主はやっていない。 「ですが自分を好いてくれる相手には、どうか無下に扱うようなことはしないであげてください。嫌われるのは簡単ですが、好かれるようになるのは難しいです」 さとりがふっと、自嘲するようなため息を吐きながら言った。 「まぁ、私は霊夢さんなら大丈夫だと思いますけどね。その姿を見ていると」 さとりは縁側に座る霊夢と、その隣に並びながら霊夢に寄りかかるゆっくりを見る。 ゆっくりの顔はとても幸せそうだった。 愛する母に抱きつく子供のような安心感を醸し出す至福の表情だ。 こんな顔をすることが出来るような者は滅多にいない。 なんだかんだいって普段霊夢がゆっくりにたいして世話を焼いていることが伺える。 「え~と、これはその、あれよ。あんまり駄々をこねてて五月蝿かったから、こうすれば黙るからこうしただけよ」 「はいはい。わかりました」 さとりはにこやかに笑いながら霊夢に言った。 霊夢はさとりのそんな姿を見て、自らの頭をわしゃわしゃと掻き毟る。 「あ~もう、この話はもうおしまい!」 そう言うと霊夢は自らのゆっくりを膝の上に乗せた。 上に乗ったゆっくりは即座に目を輝かせ、口元がわぁっと開き、幸せ一杯の顔をする。 「ゆっくりしていってね♪(霊夢大好き♪)」 「……まったくしょうがないわね。こういうことはたまにしかやってあげないから、あんまり忙しいときに引っ付いてくるんじゃないわよ」 「ふふふ……」 「それとさとり、アンタもさっさと酒飲みなさい! 宴会で素面が真面目なこというんじゃないわよ!」 「はいはい。わかりました」 悪態をつきながらゆっくり霊夢を膝の上に乗せる霊夢。彼女の心の中は妙なこそばゆさで一杯だった。 さとりはその微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。 ◇ 「ところで貴方、最後にひとつ聞いてもいい?」 さとりがこれで時分の役目は終わったと思いその場を離れる前、 ゆっくりに対して感じた素朴な疑問があった。最後にそれを聞いていこうと彼女は考えた。 「ゆ?(どしたん?)」 「貴方達って何で幻想郷の女の子の姿をしているの?」 「ゆっくり――(それはね――)」 ◇ ザッザッザッと、さとりは霊夢とそのゆっくりから足早に離れた。 ゆっくり達が幻想郷の少女達の姿をしている理由。 それ自体はある意味「わかりやすく」「微笑ましい」理由だったが、 決してモデルとなった少女達には口外できないものであった。 霊夢に対しては上手くぼやかしてきたが、このままだとボロを出しかねない。 今日は日が悪い。さとりは一刻も早く帰ろうとする。 けれど―― 「すげ~!! ねぇねぇ、あたいのゆっくりがどんなこと考えてるか教えてよ~」 「私のゆっくりは! 私のゆっくりは!」 「な、何ですか貴方達!?」 気が付けばさとりの周りには観衆が集まっている。 一度は撒いたのに、愚かなことにも再度捕まってしまった。 先ほどのさとりによる一連の光景は中々変わった見世物だったため、皆の興味を引いた。 そのために少女たちは離れたところから見学していたのだ。 そしてさとりの手腕に感心した少女たちは、今度は自分の番だと引っ付いてきたというわけである。 「どうせだからさとりにみんなのゆっくりが何考えてるか教えてもらおうよ~!」 「いいね~!」 「もう決定だね~!」 「そ~なのか~そ~だよね~そうするっきゃないね~」 「私のゆっくりだから、きっとさぞかしカリスマ溢れた台詞を言ってるのでしょうね」 「えと……あの……ちょっと待って……」 皆が勝手に話を進めている。徒党を組んだ酔っ払いは手が付けられない。 彼女達は期待の篭った視線をさとりに向けた。さとりは思わず気圧される。 場の雰囲気に完全に飲まれていた。 「ち……ちょっと席を外しま――」 どうするべきか、逃げるべきかとさとりが迷い、 取り敢えず先ほどと同じように逃げようとその場から背を向けた瞬間、 何者かに肩の辺りをガシッと捕まれた。 「今度は空気嫁よ」 「ひぃっ!」 気配もなく近寄ってきた衣玖が能面のような笑顔でさとりに呟いた。 ギリギリと、衣玖の指がさとりの肉付きの薄い肩に食い込み、 さとりの顔が青ざめる。 「頑張ってさとりちゃ~ん!」 「いけいけ~!」 「さとり~! 愛してるよ~! ちゅっちゅさせて~!」 前門の衣玖、後門の酔っ払い。 いや、周りを囲まれた今となっては四面楚歌。 さとりに選択権はなかった。断れば何をされるかわからない。 「わかりました! わかりましたよ! 行って来ます!」 こうなったらどうしようもない。上手く誤魔化すしかない。 さとりは普段あまり出さない大声を上げると、ゆっくり達が集まる場所に向かった。 とてとてと歩いてゆっくり達の集まりに近寄る。 するとゆっくり達は皆何者かに対して首を傾げる。 「みんな、こんばんは」 さとりはゆっくり達に向かって声をかける。 けれどもその音量は小さく、雰囲気も暗い。 外の世界の歌のお姉さんとはかけ離れている。 「ゆっくりしていってね!(小五ロリだ!)」「ゆっくりしていってね!(ロリだ!)」 「ゆっくりしていってね!(小五だ!)」「ゆっくりしていってね!(ちっちぇ~!)」 「ゆっくりしていってね!(スモック着せたくなるね!)」「ゆっくりしていってね!(ハァハァ!)」 「ゆっくりしていってね!(ほっぺ柔らかそう!)」「ゆっくりしていってね!(エロ同人朗読させたい!)」 ゆっくり達は対称的に元気よく、 歌のお姉さんに向かう子供達のような天真爛漫な姿でさとりに挨拶を返す。 どうやらさとりは歓迎されているようだ。 ゆっくり達はさとりに対し、どうかここでゆっくりしていって欲しいと言っているのかもしれない。 はやし立てた少女達はそう考えながらワクワクしながらその光景を見守った。 ============================================ 「ゆゆっくり! ゆっくりしていってね! ゆっくり~! ゆゆっ!(私達の正体は元【毛玉】なんだよ。ほら、紅魔異変のとき道中で弾を撃ってくるアレね。弾幕で打ち落とされた毛玉たちが、自らを打ち抜いた少女に惚れて、自分もその子に近づきたいって願って願って、その子になりたいと思った他の毛玉と毛玉トーナメントして勝ち残ったら毛玉の神様が願いを叶えてくれたんだ) 「ゆっくりしていってね~(私は霊夢にぶち抜かれたときにそのかっこよさに惚れて、一生この人についていこうって決めたんだ! 競争率がめっちゃ激しかったけど、こうなったらもう最高だよ! 霊夢ってあれでなかなか面倒見がいいから、一緒にご飯を食べることも出来るしお風呂にも入れる。お布団にもぐりこんで抱き枕にしてもらえることだって出来るんだよ!) 「ゆゆゆっくり~! ゆっくりしていってね!(霊夢って本当に可愛いよね~。何気にスタイルいいし、睫毛長くて鼻筋が通っててまさに女の子っていう顔してるし、髪の毛はさらさらでイイ匂いだし、体はしなやかで触り心地最高だし、そして何よりもあの性格がたまんない。あの子結構子供っぽいところがあって愛嬌があるんだよ。無防備な寝顔とかみてるとつい襲っちゃいたくなるんだよね~。パァンされるからやらないけど。そうだ知ってる? 霊夢って自分では見えないところにほくろが三つあってね~――)」 ============================================ 「え~とね、今日はみんなに聞きたいことがあって来たの。突然だけど、皆は主人のこと好き?」 「ゆっくり~(いやマジ大好きだね、魔理沙。もう結婚してくれって感じ)」 「ゆゆ~(天然系の巨乳箱入りお嬢様最高!)」 「むきゅ~(病弱少女っていいよね。看病の名目でいつか色々したいよぅ)」 「ゲラゲラゲラ(元新参ホイホイだと……私は一向に構わん! ウサ耳ブレザー万歳!)」 即答である。 ゆっくり達は目をキラキラと輝かせ、我先にと大声で主張する。 「えっと……どんなところが好きなの?」 「ゆっくり!(魔理沙って実は意外と寂しがりなんだよね~。えっへっへ~)」 「ゆゆ~(私のモデルって実は生娘なんだよねぇ……。考えてもみれば箱入りのお嬢様なのにすぐ死んじゃったから。そのくせ自分のとこの庭師には経験豊富な大人の女を演じているのに、演じ切れていないのが微笑ましいっていうか、性経験が無い庭師だからバレずにすんでいるのが可愛らしいというか)」 「ウサウサ(私の主人も中々純情なところがあってさ~。いや~、マジでムラムラくるわ~)」 「わかるよ~(無垢な猫耳ロリたまんねぇ……色々いけない遊び教えたくなるよ……)」 「よいぞっ!(性的な意味で)」 「じゃお~ん(中華まん! 中華まん! おっきい中華まん二つ!)」 「あたいったらゆっくりね!(幼女のもち肌最高! ぱねぇ!)」 「あ~う~(※R-18映像のため、さとり第3の目によるフィルターがかかりました)」 「ちんちん(○んちん)」 さとりは一気呵成にまくし立てて来るゆっくり達に対していくつか相槌を打ち、 それぞれの話を聞きいれた。 「え~そうなんだ――うんうん――へぇ――わかったわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」 するとさっと少女達の方に戻ってきた。 「皆さんすごく好かれていますよ」 さとりは一拍間を置いて、にこやかに笑いながら言った。 「あれでわかるとはすごいな……」 「どんな感じ?」 「私のゆっくりは何だって?」 「百聞は一見にしかずです。ちょっと待って下さい」 さとりはゆっくり達の方を向くと、少女達に存分に甘えるように呼びかけた。 ゆっくり達は散らばって、それぞれのモデルとなった者のところに近寄っていく。 ぴょこぴょこ、ぽよんぽよん、ぱたぱた。 皆の表情は太陽のように輝いている。 「これが答えです。この子達が何者であってもいいじゃないですか。可愛がってあげてください」 さとりはいい笑顔だ。 「私のゆっくり、いつも庭師の仕事を手伝ってくれてありがとう」 「みょ~ん!(ちーんぽ!)」 「ちょっと、う~う~言うのやめなさいっていってるでしょ!」 「う~♪ う~♪(ロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリさいこぉぉぉ!!! WU~!WU~! WRYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAA!!!」 「えへへ、くすぐったいよぅ」 「ゆっくりしね♪(フランちゃんウフフ)」 抱き合う妖夢とゆっくり、レミリアとほっぺプニプニの柔らかさ比べをするゆっくり、フランにちゅっちゅするゆっくり。 それらを初めとして、少女達が自らに擦り寄るマスコットのような物体と仲良く触れ合っていた。 「それでは私はこれで。今日は少し早めに帰らせてもらいます」 さとりはそんな美しき光景に背を向けて、神社の外に向かってスタスタと歩いて行った。 「え~、さとりってばまだ全然酔っ払ってないじゃん。ゆっくりしていけよ~」 「それは……いえ、何でもありません。少し身体の調子が悪いので」 「きっと酔っ払いの頭の中を見て酔っ払ったんだ~」 「キャーこのスケベ~!」 「え……えぇと、はいそういうことです」 さとりはばつが悪そうにしながらも帰ろうとする意思は変えないようだ。 ふとさとりが霊夢と膝枕されるゆっくりをちらりと見た。 ◇ さとりは無言のまま博麗神社を後にする。 今日は家に帰ったら早くお風呂に入ってお燐とお空を撫でて寝よう。なでなでふにふにしよう。 そんなことを考えながら早く帰ろうとすると、目の前には三つの影が現れた。 「うにゅ~(フュージョンしたい! フュージョンしたい!)」 「おりんりんらんどはっじまっるよ~(お○ん○んらんどはっじまっるよ~)」 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!(余計な詮索はするな)」 ゆっくりだ。それも三匹。 お空、お燐、こいしの姿をしたゆっくり達だ。 ぽよんぽよんと飛び跳ね、さとりの方に向かってくる。 さとりはさっと身を翻して別の方向に向かって走る。 走って走って、その場から離れようと―― ぽむっ。 何かがさとりの胸の辺りにぶつかって来た。 柔らかい。 さとりは思わずそれを受け止め、抱きかかえてしまう。 ………… ………… ………… さとりが恐るおそる視線を下に向けると、 薄紫色のショートヘア。 ジト目。 ハート型のカシューチャ。 そう―― さとりの姿をしたゆっくりが! 「さっとりしていってね!(さとり!さとり!さとり!さとりぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!さとりさとりさとりぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!古明地さとりたんの紫色ショートの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! ZUN絵のさとりたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 緋想天則に出演させたいよさとりたん!あぁあああああ!かわいい!さとりたん!かわいい!あっああぁああ! えっちな同人誌もたくさん発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!ゲームなんて現実じゃない!!!!あ…同人誌も動画もよく考えたら… さとり ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ちれいでぇええええええん!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のさとりちゃんが私を見てる? 表紙絵のさとりちゃんが私を見てるぞ!さとりちゃんが私を見てるぞ!挿絵のさとりちゃんが私を見てるぞ!! 動画のさとりちゃんが私に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!私にはさとりちゃんがいる!!やったよダディ!!ひとりでできるもん!!! あ、同人誌のさとりちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああん神主さまぁ!!う、うにゅほお!!おりぃいいいいいいん!!!こいしぃいいいいい!! ううっうぅうう!!私の想いよさとりへ届け!!目の前のさとりへ届け!)」 ◇ 「イヤアアアアアアアアアあああああああああああああああああああ!!!!!」 ◇ 「さとりったらいきなり帰ろうとしたり、突然叫んだり、一体どうかしたのかしら?」 「ゆっくりしていってね!(んほおおおおおおおおおお! 霊夢のおっぱいあたってるぅぅぅ!! マジいい匂いサイコォォォォォォ!!!)」 霊夢はヘヴン状態のゆっくりを抱きかかえながら首をかしげた。 いい話だった。そしてオチに吹いたww -- 名無しさん (2009-08-26 19 01 04) 一切の自重のないそのオチとその覚悟、僕は敬意を評する!! 取り合えずゆっくりゆゆこ(もしくはゆーびぃ?)とは良い酒が飲めそうだ。 -- 名無しさん (2009-08-26 19 29 22) 正直なんて物じゃねえ。本能の赴くままかw 解らないままの方がいいこともあるんですね、わかるよー ゆっくりと同じこと考えてたから、これから天子に押し潰されに逝ってきます -- 名無しさん (2009-08-26 19 51 05) ゆっくりの正体の個人的予想 ・パチュリーの魔法実験で生まれた ・永遠亭の実験で誕生した ・妖精? ・どこからともなく現れた饅頭 毛玉が元になったとかは全く思いつきませんでした -- 名無しさん (2009-08-26 20 14 02) やはり三天王の一角は伊達じゃないな……!(褒) -- 名無しさん (2009-08-26 21 12 19) A-パートでほのぼのし、このパートで吹いたww -- 名無しさん (2009-08-27 20 04 30) ここで落とすとはwww -- 名無しさん (2009-09-11 20 48 33) あれ…作品は違えど 私 は こいつらとゆっくりできる んだ… -- 名無しさん (2010-02-26 05 34 04) ゆっくりスケベww -- 名無しさん (2011-09-21 08 56 33) WRYYYYYYYYYYYYAAAAAで吹いたwww -- 名無しさん (2013-01-19 17 01 01) 名前 コメント
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ほんのりペニマム設定あります ゆっくりの宿 バチバチと大粒の雫が地面を跳ねる。真っ黒な雲に覆われた空からは、まるでバケツを返したような雨がザーザーと降ってくる。 季節はずれの通り雨。いっそのこと濡れて帰ろうかとも思ったが、いささか水遊びをするには寒すぎる。 貼り付いた前髪を絞りながら空を睨んでいると、ふいに足元より声が響いた。 「ゆっくりしていってね!!」 雨音にも負けないよく通る声、挨拶をくれたのはゆっくりまりさ。帽子のつばからは水滴がしたたっている。 「おにいさん、ここじゃゆっくりできないでしょ? まりさたちのやどで ゆっくりしていってね!!」 そう言ったかと思うと裾を咥えて引っ張りはじめる、泥がはねて汚い。 たまらず反射的に足を引く。一瞬ぐにんっと伸びたかと思うと、そのままの勢いでまりさは濡れた地面に突っ伏した。 何やらブクブクとヌタ場の中で蟹のように泡を立てている、新しい遊びだろうか。 「ゆ、ゆえええええええええ!!! なんであじ ひっばるのおおおおお!!!??」 そうして起き上がったかと思うとわんわんと泣きだす。その顔は泥やら涙やらが入り混じって凄いことになっている。 「せっかく、まりさが、おにいさんを、しょうたい、しようと、してる、のにい!!!」 グスグスと嗚咽交じりに訴えてくる。途切れ途切れの言葉を纏めるとこうだ。 何でもこのまりさは宿屋を経営しているらしく、この雨の中立ち尽くす俺を見かねて声を掛けて来たらしい。 ゆっくりの宿屋というものにいささか興味はあったものの、この雨の中をこれ以上歩き回るのは勘弁願いたい。 そんなわけでその旨をまりさに伝える。だが彼女は依然として食い下がる。 「ゆぐっ!? ごはんもだすよ!! おもてなしするよ!! ゆっくりしていってよー!!」 「おきゃくさんつれていかないと れいむにおごられるううぅぅぅ!!」 どうやら俺に声を掛けたのは親切心からでなく、ただの客引きだったらしい。 そんなこと言われると殊更行く気が失せるのだが、雨上がりまでわめかれても面倒だ。 仕方がないので、まりさに案内してくれるよう頼むことにした。 「ゆゆ!! もうおにいさんたら つんでれなんだから!! ほんとうはまりさのおうちで ゆっくりしたかったんでしょう?」 途端、手を返したようにニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるまりさ。ちょっとうざい。 そうして俺とまりさは林を奥へと進んでいった。 「ついたよ!! まりさのおやどにようこそ!!」 宿と呼ばれたそこは何の変哲も無い洞窟であった。 特にこれといった装飾もなく、剥き出しの岩がボコボコと殺風景である。 私が唖然としていると奥のほうから数匹のゆっくり達がぽよぽよと跳ねよってきた。 「いらっしゃいませ!! おやどのおかみのれいむだよ!! ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 こいつ等がここの従業員らしい。 「ゆ!? まりさ、どろどろしてばっちいよ!! どろをおとしてからはいってきてね!!」 「おとうさん、ゆっくりしないで はやくおかおをあらってきてね!!」 「ゆぎぃ!!? まりざがんばっでるのにどうじでぞんなごどいうのおおぉぉぉ!!!??」 「どろをとばさないでね!! いいからはやくあらってきてね!!」 自称女将のれいむの剣幕に押され、まりさはすごすごと出口へ向かっていった。 しかし先程の会話を聞いているとどうやらこのゆっくり達は家族らしい。この女将れいむが母親だろうか。 「しつれいしました!! おきゃくさまはきにせずゆっくりしてね!!」 まりさを見送ったれいむがこちらに向き直る。 「きゅうけいと しゅくはくがあるけど、おにいさんはどうするの?」 よく解からないが取り合えず雨が止んだら出て行くと答えた。 「ゆっくりわかったよ!! おだいはいっちまんえんでいいよ!!」 高い。生憎と私の懐には黄色いお札様はいらっしゃらない。 あからさまに渋い顔をすると、れいむは察したのか言葉を続けた。 「いっちまんえんがないなら そこにあるみかんさんでもいいよ!!」 そう言って、れいむは私の籠を見つめながらダラダラと涎を垂らす。 これは先程友人の家を訪ねた際、たくさん成ったからと貰ってきたものだ。 恐らくあのまりさもこのミカンに釣られて来たのだろう。まぁかなりあるし少しくらいなら構わない。 そこで私は、持て成しに満足できたらミカンを分け与えると約束した。 「こうしょうせいりつだよ!! それじゃおちびちゃん、おきゃくさまをおへやまであんないしてね!!」 「ゆっくりわかったよ!! おにいさん、おにもつはこぶからゆっくりわたしてね!!」 そうして女将より一回り小さなれいむが足元まで跳ねてくる。 流石にゆっくりには重いだろうと荷物運びは断ったのだが俄然として聞かない。 「れいむつよいこだからだいじょうぶだもん!! わかったらおにもつわたしてね!!」 ぷんぷんと膨らんで抗議の声をあげる。仕方がないので、俺はミカンの籠を頭の上に乗せてやった。 「ゆべべっ!!? ゆぐ、ゆっぐりはごぶよ・・・」 ぶちゅりと口から空気と餡子を吹き出す。何やら涙目になっているが平気と言うからには平気なのだろう。 ズリズリとナメクジの様に這い進むれいむに連れ歩く。しばらくすると開けた空間に出た。 そこは一面に枯葉が敷き詰められており、至る所にコケシやらダルマやらと統一なく様々なものが置かれていた。 さながら子供の秘密基地といったところだろうか。そう感心する私の傍らでは、ぜえぜえとれいむが虫の息になっていた。 「お、おにいさん・・・れいむ、ゆっくりがんばったよ・・・」 荒い息をつくれいむに、私はありがとうと礼を告げた。するとれいむはにこりと笑った。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 顎をはって自慢げな顔をしたまま硬直する。まだ何かあるのだろうか? 「・・・れいむゆっくりがんばったよ!! ね!! ね!?」 ああ、そうか。チップが欲しいのか。 とはいえゆっくりの欲しがる物等わからない。取り合えず髪の毛に鼻クソを付けてみた。 「ゆぎゃあああああ!!!?? なにずるのおおおおおお!!!!!」 お気に召さなかったらしい。涙目になりながらズリズリと頭を岩肌に擦り付けている。 そんなれいむを見ているとある物を見つめていることに気付く。 俺はミカンを1つ籠から取り出し、おもむろに皮を剥く。 そうしてその手をれいむの方へ伸ばす、れいむはだらしなく涎を垂らしている。 「ゆあーーーーーぶびぃ!!!??」 絞ったミカンの皮からは勢いよく汁が飛び出し、それは無防備なれいむの顔面に降り注いだ。 「いぎゃああああ!!! れいむのおめめがああああああ!!! ゆっぐりできないいいいい・・・・」 そのままれいむは元来た道を戻っていった。今度はお気に召したようでなによりだ。 そうしてやることも無いので上着の水を切って暇を持て余すこと数分、またもゆっくり達がぽよぽよとやって来た。 ただ今度は皆が皆総じてその頬を大きく膨らませている。その姿はまるでリスか何かのようである。 何事かと見ていると、そのうちの1匹が大きな葉っぱをゆんしょゆんしょと地面に広げていく。芭蕉か何かだろうか。 「おにいさん、これからごはんをよういするよ!! ゆっくりたべていってね!!」 そう言うや否やぺっぺと口から何かを吐き出していく。 まさか食事まで出てくるとは思っていなかった。丁度小腹もすいていたので幸いである。 だが眼前に用意されたメニューはドングリや芋虫など、残念ながら人間の口にするような代物ではなかった。 中には食べられそうなキノコも見受けられたが、生、それも唾液まみれでベタベタと糸を引くそれを食べる気にはなれなかった。 仕方がないので出された食事を断り、またもミカンを食べて腹を膨らませることにした。 「ゆぅ・・・それじゃあこのごはんは れいむたちがたべるね!! ゆっくりいただきます!!」 「「「いただきます!!」」」 もう運ぶの面倒なのかこの場で食事を始めるゆっくり達。だがその様子はどこかおかしい。 「むーしゃ、むーしゃ・・・ゆううぅぅぅぅ!! こんなのおいしくないよ!!」 「おかーさん、れいむもあまあまな みかんさんたべたいよ!!」 黙々と食事をしていた一家だが、ついには子ゆっくり達が次々と不満をもらしはじめる。 部屋中に満ちるミカンの甘くも爽やかな香り、それはゆっくりを誘惑するには充分な威力を発揮していた。 刺さるような視線に耐えかね、俺はミカンを分け与えようかと声を掛けた、しかし。 「おにいさん、ありがびゃあぁ!!?」 子ゆっくりに与えられたのはミカンではなく強烈な体当たりであった。 「「「いぎなりなにずるのおおおおお!!!??」」」 「うるさいよ!! おきゃくさまのものを ほしがるなんてゆっくりしてないよ!! いじきたないちびちゃんは はんせいしてね!!」 「「「ゆびゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」 ぼむぼむと体当たりを繰り返す女将れいむ。子ゆっくりの涙も謝罪の声も関係なしだ。 何もここまでしなくても良いと思うのだが、彼女には彼女なりのプロ意識が在るのかもしれない。 声を掛けるのもはばかれたので、俺は静かにミカンを頬張ることにした。 「ゆううううう・・・・・」 腹が膨れる頃、ぐったりした子ゆっくり達を尻目に女将れいむは何やら考えこんでいた。 「おしょくじも おきにめさなかったし、これじゃあれいむ おかみしっかくだよ!!」 どうやら俺のことを気にしているらしい。 別にこちらとしては構わないのだが、どうもこのれいむのプライドがそれを許さないらしい。 「そうだよ!! おにいさんにはとくべつ いあんさーびすをしちゃうよ!! ゆっくりまっていてね!!」 何か思いついたのか女将れいむはそう告げると、倒れている子ゆっくり達を蹴っ飛ばし連れ立って奥へ引っ込んでいった。 残された俺はやることもなく、手持ち無沙汰とばかりにミカンの皮を剥くのであった。 やがて指先が黄色くなる頃、またまたゆっくり達はやって来た。 「ごめんね、おにいさん。おめかししてたら おそくなっちゃったよ!!」 「「「かわいくってごめんねー!!!」」」 ゆっくり達はそれぞれ頭に花や落ち葉をつけていた。お洒落のつもりだろうか。 「これかられいむの せくしーなしょうが はじまるよ!! ゆっくりみていってね!!」 「「「ゆゆゆ~ん、ゆんゆゆ~~♪」」」 そうして子ゆっくり達は歌いはじめる。お世辞にも上手いと思えない歌は洞窟内でわんわんと響く。 四方八方から襲い掛かってくる雑音。そんな中、女将れいむは岩の上に飛び乗った。 「ゆっふ~ん、ちょっとだけよ~♪」 そうして甘い声を出しながら体をくねらせ始める。一体なんの真似だろう。 「こういうところはじめて? しこっても、い・い・の・よ☆」 顔をポッと染めながら、下腹部を突き出してくる。どうやらストリップのつもりらしい。 生憎と俺は饅頭に欲情する性癖は持ち会わせていない。とは言え、折角ここまでしてくれているのだ。 無下に断るのも何か気が引け、結局は見続ける羽目となってしまった。 「そんなにみつめられるとれいむ、はずかしいところからくろみつでちゃう~♪」 一見ノリノリな様に見えるが、よくよく考えると家族の前でこんなことを行うのは並大抵のことではない。 もしかしたらあの仮面の下では餡子が羞恥で煮え返っているのかもしれない。 ここまでされたらと、チップ代わりのミカンを手に取る。だがそこであることに気付いた。 これが人間ならパンツにでも挟むところだが、ゆっくりはそんなもの着けていない。 かといってステージに投げ込んで邪魔をするのも申し訳ない。 そう考えていると、れいむのアゴのあたりから何やら液体が垂れているのが目に留まった。 どうも穴が開いていて何かが漏れているらしい。ポケットのようなものだろうか? 何はともあれ御あつらえ向きである。俺は右手一杯にミカンを掴み、それを勢い良く手首まで突っ込んだ。 「ゆっっっばあああああああああああ!!!!!???」 「「「おかああああざああああああああん!!!??」」」 女将れいむは大きな声をあげ仰向けに倒れた。その体はビクビクと震えている。 引き抜いた右手は黒くベタベタと汚れていた。しかし、涙を流し泡まで吹いて喜ぶれいむを見るとやった甲斐のあるというものだ。 そうこうしていると、騒がしい洞窟内とは対照的に外が静かなことに気付いた。 出口から顔を出すと雨はすっかり上がっていた。俺は父まりさに声を掛けた。 「ゆ? もうかえるの? それじゃゆっくり おだいをだしてね!!」 貴重な体験ができたしそれなりに面白かったので、俺は籠ごと残りのミカンを与えることにした。 「まいどありがとう!! ゆっくりまたきてね!!」 そうして俺はゆっくりの宿を後にした。 「おかあさん、しっかりしてね?」 「げんきだしてね!! ゆっくりしてね!!」 「ゆぐううぅぅぅ・・・」 子ゆっくり達の輪の中心で女将ゆっくりはぐったりと伸びていた。その下腹部はボコボコと不自然に膨らんでいる。 「れいむ、おにいさんにミカンいっぱいもらったよ!! これをたべてゆっくりしようね!!」 そう言って父まりさは勢い良く籠の中身をぶちまけた。鮮やかな橙色が宙を舞う。 「ゆゆー!! ゆっくりいただきます!!」 「「「ゆっくりいただきま・・・す?」」」 地面に散らばった大量のミカン。しかしそれは全て皮だけであった。 「「「どおいうごどおおおおおお!!!??」」」 洞窟の中では、いつまでもゆっくり達の悲鳴が響き続けたのであった。 澄み渡った空は雲一つ無く、先程までの天気がまるで嘘のようであった。 黄色くなった男の頭上には、同じように星々が黄色い光を暖かく放っていた。 終わり 作者・ムクドリ( ゚ω゚ )の人 このSSに感想を付ける