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おまけ 前 れいむの元から逃げ去った2匹の子れいむは、親れいむから逃げるために、方々に散って行った。 1匹は内風呂の中へ、もう1匹は最初に来た植え込みの中に飛び込んだ。 内風呂に入っていった子れいむは、運よく開いていたドアが目に止まり、その小さな部屋の中に飛び込んだ。 しかし、そのドアにはロープが掛けてあり、使用禁止と書かれてあったのだが、子れいむに文字が読める筈もない。 小部屋の隅でしばらく身を隠していると、親れいむの声が内風呂の中に響き渡った。 自分を追って来たと思った子れいむはガタガタ震えたが、どうやら親れいむは子れいむのほうに来る気はないらしく、向こうで壁に体当たりしている音が聞こえてきた。 その後、ドアの開く音と共に、れいむの悲鳴が子れいむの元まで届いてくる。 何をされているのかは知らないが、今まで聞いたこともないような親の絶叫に、子れいむはチビりながら、その声が止むのを待ち続けた。 やがて親れいむの悲鳴も止み、人間の足音が遠さかって行ったが、子れいむは恐怖に足がすくみ、その場から動くことが出来なかった。 そして、神経を減らし続けた結果、余りの疲れにいつの間にか子れいむはその場所で眠ってしまった。 「まったく!! 今日はゆっくりが多くて、散々だよ」 清掃のおばさんが、まりさ親子を崖下に捨て、露天風呂の掃除を終えて戻ってくると、子れいむの入った部屋の入口に掛けられたロープを取って、ドアを閉めた。 閉められたドアには、こう書かれたプレートが填められていた。 “サウナ室” 「ゆっ?」 子れいむは目を覚ました。 一瞬、自分がどこにいるのか分からなかったが、周りを見渡し、すぐに自分がここにいる理由を思い出した。 どのくらいたったのかは知らないが、小さな部屋の窓からのぞく空は、少し夕日掛かっている。 子れいむはまだ親れいむが怒っているのでは震えた。 悲鳴は聞いていたものの、現場を見たわけではないので、まさか親れいむが死んでいるとは夢にも思わなかった。 どうやって帰ろうか? 謝れば許してくれるだろうか? いろいろ考えたが、結局名案が浮かばなかった。 そんな折、子れいむは空腹感に襲われた。 まりさ達と違って、子れいむはお菓子を食べていないのだ。一度感じると、立ってもいられないくらいお腹が空いてくる。 もう帰ろう。お母さんもきっともう怒っていないだろう。 子れいむの餡子脳は、空腹に負けて、面倒事を考えるのを停止させた。 子れいむは、小さな部屋から出ようとした。 しかし、さっき入ってきた入口は、大きな木の板で塞がれていた。 子れいむは、自分が出口を間違えたのかなと、小部屋の中を行ったり来たりしたが、どこにも出られるような場所は無かった。 「ゆうう―――!!! なんで、でられないのおおぉぉぉ――――!!!」 部屋から出られなくて、泣き出す子れいむ。 しかし、ここで泣くことは、ある意味自殺行為に等しいことを、子れいむはまだ知らなかった。 一通り泣き叫んで、子れいむは誰か助けが来るのを待っていた。 窓から見える空は、もうすっかり真っ暗であり、この時期は夜になると、めっきり寒くなってくるのだ。 ゆっくりは寒いのが大の苦手である。 子れいむも、「寒いのはいやだよおおぉぉぉ―――!!!」とまた半ベソをかくも、そこで子れいむは異変に気がついた。 なぜか部屋が暖かいのである。 本来ならもう寒い時間だと言うのに、この暖かさときたらどうだ。まるで春の陽気のそれではないか!! 「ゆゆっ!! あったかくなってきたよ!!」 暖かくなってきて、喜ぶ子れいむ。 空腹なことも部屋から出られないことも一時忘れ、嬉しくなって部屋中を飛び跳ねている。 しかし、次第に状況が一変し出した。 熱さが下がらないのだ。 春の陽気は次第に夏の昼下がりになり、夏の次に秋が来ることはなく、その後もグングン気温が上昇していく。 「たいようさ―――ん!! もうやめでええぇぇぇぇ――――!!!」 子れいむは、余りの暑さに意識がもうろうとしだしてきた。 すでに沈んでいる太陽に文句を言い放つ。 しかし、太陽(笑)は、子れいむの言うことを無視して、どんどん気温を上昇させていく。 室温70度くらいの頃だろうか? 子れいむの座っている木の板が高温になり、同じ場所にじっとしていられなくなった。 「あじゅいおおおおぉぉぉぉ―――――!!! やめでえええぇぇぇぇぇぇ――――――!!!!」 あまりの熱さに、子れいむは飛び跳ね続けるしかなかった。 その間も、子れいむの体からどんどん水分が奪われていく。 泣いたり、チビったりしなければ、もう少しは水分ももったかもしれないが、既に子れいむの体の水分は限界まで搾り取られていた。 遂には、跳ねる力さえ出てこなくなった。 「なんで……れいむがこんな……めにあわ…なく……ちゃなら………ない…の?」 カサカサになった唇は最後にそう呟くと、子れいむは先に行った姉妹たちの元に旅立って行った。 2時間後、水分の無くなったカラカラの焼き饅頭が、温泉客に見つけられた。 植え込みの中に逃げ込んだ子れいむは、適当な方向に逃げて行った。 とにかく親れいむに捕まるまいと、場所も考えることなく精一杯逃げていく。 やがて、子れいむの体力が付き、これ以上歩けないというところで、子れいむは足を止めた。 「ゆひーゆひーゆひー……」 大きく肩で息を付く子れいむ。 後ろを振り返ると、親れいむの姿は見えないし、声も聞こえない。 逃げ切ったのだと、ようやく子れいむは、一息つくことにした。 子れいむはその場でしばらくジッとしていれば、その内親れいむの怒りも収まるだろうと考え、安全そうな草むらに身を隠して、疲れをいやすべく眠りについた。 子れいむが起きたのは、サウナに入った子れいむと、ちょうど同じくらいの時間だった。 すでに空は真っ暗で、うっすら寒い。 もう親れいむの怒りも静まった頃だろうと、子れいむは巣に帰ろうとした。 しかし、その時になって、ここがどこか全く分からないことに気がついた。 「ゆううぅぅ―――!! ここはどこおおおぉぉぉぉ―――――!!!?」 大声で叫んでも反応してくれるものは誰も居なく、子れいむは仕方なく、運良く来た道に戻れることを祈り、適当に歩き始めた。 しかし、そんなことで無事にたどり着けるほど、世の中は甘くない。 元々体力が少ない子ゆっくりで、しかも飯抜き山中歩行をしたおかげで、せっかく体を休めたというのに、すぐに子れいむの体力は限界に達した。 「……もう……あるけないよ……」 子れいむはその場にうずくまった。 すると、目の前の草影がカサカサと動き出した。 初め、親れいむが迎えに来てくれたのかと思ったが、出てきたのはカルガモの親子だった。 子れいむは落胆したが、すぐにあることが閃いた。 このカルガモ達なら、あの温泉の行き先を知っているに違いない!! あそこまで連れて行ってもらえば、後は巣の帰り方は分かっている。 「とりさん!! れいむをゆっくりおゆのところにつれていってね!!」 カルガモに向かって、跳ねて行くれいむ。 本当に危機意識の薄い饅頭である。 人間ならともかく、野生生物の前に饅頭が行くなど、空腹のライオンの前に自分から進んでいく草食動物に等しい。 結果は言うまでもないだろう。 「ゆぎゃああぁぁぁぁぁぁ―――――!!! なにずるのおおおぉぉぉ―――――!!! れいむはたべものじゃないよおおぉぉぉぉぉ―――――!!!!」 親カルガモはれいむを咥えると、子カルガモの前にれいむを差し出した。 「やめでえええぇぇぇぇぇぇぇ――――――!!!! いだいよおおおぉぉぉぉぉぉぉ――――――――!!!!」 子カルガモに、チクチクと啄ばまれ暴れ狂う子れいむ。 しかし、親カルガモの体長は60㎝近くもあり、子れいむとの力の差は歴然で、逃げだせるはずがない。 子カルガモは、子れいむをボロボロ溢しながら食べていくも、しっかり下に落ちた皮や餡子も、残さず食べていく。 食べ物を粗末にしないその精神は、飽食になれた外界の人間や、どこぞの饅頭一家にも見習わせたいくらいである。 やがて、子カルガモ達がもう食べられなくなると、半分ほど残った子れいむは、親カルガモに美味しく食べられた。 ここで、一家全員が死亡したこととなった。 結局、この一家の不幸はカルガモに始まって、カルガモに終わることとなったのである。 ~本当にfin~ カルガモの親子って可愛いよね!! なのに、ゆっくりが同じことやっても腹が立つだけなのはなぜだろうww ちなみに帽子の設定は、家族は帽子を被ってもなくても個体認識が出来るということで。 今まで書いたもの ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす ゆっくりいじめ系452 表札 ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦) ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前 ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中 ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後① ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後② ゆっくりいじめ系657 いい夢みれただろ?前編 ゆっくりいじめ系658 いい夢みれただろ?後編 ゆっくりいじめ系712 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語 ゆっくりいじめ系744 風船Ⅰ ゆっくりいじめ系848 風船Ⅱ ゆっくりいじめ系849 風船Ⅲ カルガモとゆっくり 前編 カルガモとゆっくり 後編 カルガモとゆっくり おまけ このSSに感想を付ける
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夕暮れの中、俺の畑に二匹のゆっくりが背中合わせで昼寝をしていた。 いや、別に昼寝をしているのが不思議なんじゃない。問題はその数だ。 1匹は俺の友人が『仕事へ行っている間預かってくれ』と、半ば押し付けられるように預かっているゆっくりめーりんだ。 別に畑の野菜を食うわけではないし、雑草や害虫等を食ってくれる中々良いゆっくりだ。 野生のゆっくりがきても、野菜ではなくこいつを先に襲うので少し離れていても野菜に被害は出ない。 ただ、今みたく昼寝をすることが多々ある。 別に軽く叩けばすぐ起きるのだが、このように他のゆっくりと一緒に寝ているのは珍しい。 念の為辺りを見回すが、畑が荒らされた様子はないのですぐに一緒に寝始めたのかもしれない。 とりあえず寝顔を眺めているのも俺は構わないんだが、話を聞くために起こすことにした。 「おい、起きてくれ」 ペシペシ手の平でゆめーりんを叩いて起こす。まだ寝たりないのか目が細い。 少し待つと段々覚醒したのか、ピョンッと一回跳ねて起きた事を俺に知らせる。 跳ねた時にもう一匹のゆっくりが転がったが、起きていないようなので放っておこう。 「お前こいつになんかされたか?」 とりあえず、ちゃっちゃと聞いてしまおうと思いゆめーりんに質問する。 畑の野菜を狙ってきたのなら邪魔するこいつに攻撃するはずだし、何もされてないのなら潰さないで話を聞こうと思ったのだ。 ふるふると体を横に振るゆめーりん。何もされてないのならとりあえず寝たままのこいつを家へ連れて帰ってやろう。 日が沈みかけているのだからもうゆっくりは来ないだろうし、このまま放っておいたらこいつがれみりゃに襲われてしまう。 転がっていった赤毛のゆっくりを持ち上げて俺は家の中へ入る。無論ゆめーりんを入れる事を忘れない。 ゆめーりんを俺の友人が連れて帰った後も、こいつはぐっすり眠っていた。 自分で起きるまで待っていようとも思ったのだが、起こさなければ起きない気がしたので起こす事にした。 「ほれ、いい加減起きろや」 ゆめーりん同様ペチペチ手の平で叩く。中々起きなかったのが、「う~ん…」と言いながらうっすらと目を開いた。人間みたいなやっちゃ。 徐々に目を開いていき、完全に開くと『きょとん?』と音が聴こえてきそうな顔をして辺りを見回す。 そりゃ外で寝てた筈なのに場所が変わってりゃ驚くか…と眺めていると、こいつと目が合った。 パチパチ何度か瞬きし、こちらを目掛けて「おにいさんおはよう!!」と、元気な声で挨拶をしてきた。 そして、今度は俺が驚かされた。普通野生のゆっくりは人間の事を「おじさん・おばさん」としか呼ばない。 飼いゆっくりにでもなれば普通に「おにいさん・おねえさん」と呼ぶが、これはブリーダーの調教でだ。野生でこう呼ぶのはかなり珍しい。 とりあえずこいつに興味が沸いたので俺は話してみることにした。 「おはようさん。お前、名前なんていうんだい?」 「あたい? あたいのなまえはこまちだよ」 「こまちな、覚えておくよ」 「おにいさんありがとね」 名前を聞いてから、いくつかの話をこいつから聞いた。 何故畑で寝てたのか どこから来たのか ゆめーりんに何で攻撃しなかったか 家族はいるのか 仲間は心配していないのか等等 気まぐれなゆっくりだから途中で飽きて話をやめるかどうかも心配だったが、こいつは喜んで俺に話をしてくれた。 むしろ、俺が聞いていない話してきたのは驚きだった。話をするのがよっぽど好きらしい。 こいつの名前はゆっくりこまち。 何でも昼寝と話をする事が大好きで、ゆめーりんが寝て気持ちよさそうだったから一緒に寝始めたとの事だ。 近くの森のゆっくりの群れには住んでいるものの家族はいない。 そして、群れからは厄介者として嫌われているとの事だ。 群れの長のいうことを聞かないで好き勝手しているのが理由らしい。 それで孤立して寂しくないのかを聞いたが、自分でしたい事をしているのだから仕方がないとこまちは笑った。 「あたいがはなせるのはこれくらいだよ」 「そっか、もう一つ聞いていいか?」 「なんでもきいておくれ。あたいがこたえられることならなんでもこたえるよ」 「気になったんだけどさ、何でお前めーりんと一緒に寝てたんだ?」 「へ? ねたらだめだった?」 聞き方が悪かったか… 「普通のゆっくりはさ、喋れないめーりんをやたら攻撃したりするだろ? でもお前はしなかったからなんでかなって思って」 野生のゆっくりはめーりん種を毛嫌いしている事が多い。その為普通は攻撃するのだが、こいつは何で一緒に寝ていたのだろうか? 「そんなのかんたんだよ。あたいはあたいで、めーりんはめーりんだからだよ」 「…どういうこっちゃ?」 「あのね、あたいはあたいですきかってやってるんだから、めーりんはめーりんですきかってやっていいんだよ。ほかのこがなんていってもかんけいないよさね」 「じゃあ、お前はめーりんいじめたりしないか?」 「うん。そんなことするくらいならあたいはねてたりはなしてたりしたほうがずっといいもん」 「そっか、お前って変わった奴なんだな」 「そうかもしれないけど、それがあたいってことなんだとおもうよ」 「そうかもな」 こいつの言葉を聞いて、自分の顔が段々ニヤけていくのが分かった。 ほんの数時間前に畑で寝ていたゆっくりが、俺はどうも気に入ってしまったらしい。 「なあ、お前さ。これからここに住まないか?」 「ここって、おにいさんのおうちにかい?」 「ああ、いくつか守ってもらう約束があるけどな」 「やくそく?」 「そうだ。一つは俺の畑の野菜を食わないこと」 「はたけにはえてるあれだね」 「分かってるならいい。ただ、明日来るめーりんに食べて良い草と虫を教えてもらったらそれは二人で分けて食べていいぞ」 「あのこのほうがながくはたけにいるからいろいろわかるもんね。いっしょうけんめいおぼえるよ」 「だな。それと、家の中は絶対に荒らさないこと」 「ここはおにいさんのいえだからだね」 「その通り。だいたいこの二つが守れるならこの家で暮らして良い」 「でも、おにいさんのめいわくじゃない?」 まさかゆっくりが人間を気遣うとは思わなかったな… 「おにいさん?」 「そうだな、お前が約束を守んなかったら迷惑だが守れるんなら迷惑だなんて俺は思わんぞ」 「ほんとうかい?」 「ああ。ただ、お前が暮らしたくないなら無理強いはしない」 「ううん、あたいはむれじゃあきらわれてるから、おにいさんがゆるしてくれるんならあたいはここにいたいよ!!」 「じゃあ、今日からここはお前の家だ。これからよろしくな」 「うん!! よろしくね!!」 こうして、我が家に一匹のゆっくりが住む事になった。 最初の内は虫を食べようとして野菜を踏んだり雑草と間違えて食べようとしたものの、これはゆめーりんが根気よく世話する内に覚えてくれた。 それどころか、今では道具を運んでくれたりもする。 頭の上に物を載せる為に必然的に軽いものしか運べなかったが、こまちの提案で小さな荷車を作ってやる事でそこそこ重たいものを運べるようになった。 少し大きめの箱に車輪を付けて、こまちの頭(体)にバンドで固定させたお粗末な物だがこまちは気に入ってくれた。 時々その箱にメモとお金を入れて買い物を頼んだりもしている。 ただ、途中で昼寝をして帰ってこないこともあるが… こまちがこの家で暮らしてから早くも一月が流れた。 今日もいつものように俺とこまちで畑に向かうと、何故か知らんが人だかりならぬ何十匹ものゆっくりだかりができていた。 最初は野菜を狙いにきたのか…と思ったものの、何故か畑の中に入らず外にいる。 益々不可解である。 ゆっくりが人間の畑に来る時は決まって食べ物である野菜を盗む時だけだ。 それ以外は人間が恐ろしい生き物と知っている普通のゆっくりは近づこうとしないはずである。 稀に身の程知らずノのゆっくりがいるが、あれだけの集団でいるにも関わらず全員が馬鹿なゆっくりとは考え難い。 訝しみながら近づくと、その場にいたゆっくりの目が全てこちらに向けられた。 そして、1匹だけの体付き声をあげた。 「みんなでばかににんげんからこまちをとりかえすんだぞ~!!」 「「「「「「「「「「「お~~!!」」」」」」」」」」 はい? 1匹の号令によって、一斉にこちらへ跳ねてくるゆっくり達。取り返すってなんだ? とりあえず俺の脚の後ろに隠れていたこまちを持ち上げて顔の前へ持ってくる。 「お前群れの皆に嫌われてたんじゃないの? 思い切り助けようとしてるみたいなんだけど?」 こまちの目を見据えて聞く。 足元では他のゆっくりが「こまちさまをはなせ~」とか言いながら体当たりをしてくるが気にしない。そんな痛くないしね。 「あ、あのね…」 目に涙を浮かべながら、こまちは必死に言葉を選んでいる。 「正直に話せば怒らないからな、ゆっくり話せよ」 「う、うん!! あたいね、ほんとうはあのむれのおさにつかまってだいじにされてたの… その、なんでかしらないけどひとめぼれなんだって…」 こまちの言う群れの長とはあの体付きだろう。 一時期加工場で新商品として売り出された鶯餡ゆっくり、ゆっくりえーきだ。 今も木端を右手に「にんげんはひるんでるぞ~ そのちょうしだぞ~」と騒いでいる。 「それで?」 「う、うそじゃないよ!! ほんとうにつかまってたんだよ!!」 「信じてないわけじゃない。ただ、それが本当なら良いんじゃないか? 餌とかその長がくれるんだろ?」 「そうだけど… やっぱりあたいのしょうにあわないもん… あたいはいまみたく、おにいさんのところにいたいもん…・」 「そうか…」 「うん!!」 「なら、なんとかしてやるよ」 「ほんとう!?」 「ああ、お前は俺の家の大事な居候だしな。お前がいなくなったらあいつのめーりんも寂しがるし」 とりあえず足元にいるゆっくり共を踏みながらゆっくりえーきの元へ向かう。 何匹ものゆっくりが「ゆぎゃあああああああああああああ!!!!」だの悲鳴をあげて潰れていく。だが関係ない。 俺の通った後には大量の潰れた饅頭が残り、やっとゆっくりえーきの前に行くことができた。 えーき自信はこまちしか目に入っていないのか、「さっさとかえすんだぞ!!」と騒いでいる。 自分の下に集まったゆっくり達よりもこまち優先か… 「おい、いい加減にしろ」 右手でえーきの頬を抓りあげながら俺は話す。 「いいか? お前の我侭でもう何匹のゆっくりが死んでんだ。こいつはもう諦めてさっさと森に帰れ」 「いひゃいんだぞ!! しゃっしゃとひゃなすんだぞ!!」 木端で頬を抓っている右手を叩きながらえーきは言う。諦める気はないのか? 「どうすんだ? 俺はここにいるゆっくりを全部潰す事だってできなくはない。それでも諦めないのか?」 「きょまちのためならこいちゅらなんてきゃんけにゃいんだぞ!!」 「本当に全員潰すぞ?」 「ちゅぶしたかったらちゅぶせばいいぞ!!だきゃらきょまちをはなしゅんだぞ!!」 「そっか、ならいいさ」 抓っている右手に力を込め、えーきの頬を一気に引っ張る。 『ぶちっ!!』という音と共に、引き千切られた頬から緑色の鶯餡がこぼれ出した。 「い、いたいぞおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「自業自得だ、馬鹿饅頭」 「も、もうおこったんだぞ!! さっさとこのにんげんをつぶすんだぞ!!」 えーきは泣きながら周囲にいる自分の連れてきたゆっくり達に命令する。 だが、俺の方へくるゆっくりは一匹もいない。それどころか、徐々にえーきを囲んでいる。 「なにをしてるんだぞ!! さっさとあのばかにんげんをたおすんだぞ!!」 「うるさい!! おまえのせいでいっぱいみんなしんじゃったんだ!!」 えーきに対して一匹のゆっくりが体当たりを仕掛けた。 「ひ、ひどいぞ!! さっさということをきくんだぞ!!」 「もうおまえのいうことをきくゆっくりなんかいない!!」 徐々に、徐々にえーきに対して体当たりを仕掛けるゆっくりが増えていく。 頬を引き千切られたえーきはその痛みで何もできず、何もできずに体当たりを喰らい続けた。 ゆっくり達の逆襲である。 体付きやでかいゆっくりが群れの長をやっている場合、大抵の群れは長による恐怖政治であるパターンが多い。 無理やり餌を献上させられ、それに逆らえば殺されてしまう。 きっとこまちができた贅沢な暮らしも、多くのゆっくりの献上品のお陰だ。だから、こまちが群れの皆から嫌われていたのもあながち間違いではない。 そして、こまちを連れ戻しに俺の所へ来た結果怪我を負い、多くのゆっくりからの復讐が今始まったのだ。 何十匹から潰されて、もうゆっくりえーきだと証明できるものは何もないだろう。 ゆっくり達も気が済んだら帰るだろうし、後は放っておいて構わないだろう。 残骸の餡子は虫が何とかしてくれる。例え虫が集まっても、それはこいつとめーりんのご飯だ。問題ない。 最後に、俺はこまちに声を掛けた。 「お前はさ、本当にここにいたいのか?」 頭の上に乗っかっているこまちから返事が届く。 「あたいは、おにいさんがゆるしてくれるまでここにいるよ… おにいさんがいなかったら、あたいはすぐにもとのばしょにもどってたから…」 それを聞いて俺は安心した。こいつと話をするのは楽しいし、俺はこいつを気に入っているのだ。 「じゃ、好きなだけいろや。俺はお前を追い出すつもりなんかないんだから」 「あたいもおにいさんのそばからはなれるつもりはないよ」 そう言ったこまちは頭の上から跳ねて地面に着地し、振り返った顔は満面の笑みだった。 終 ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!! 今回書いた切欠は、畑でめーりん預かってる友人を登場させて別のゆっくりも出したい。 そんな些細な切欠です。 ちなみにえーきの中身はゆっくりいじめ系251 252 ゆっくりえーきの生涯 を参考に鶯餡にしました。 ゆっくりこまちの中身は…勝手なイメージで桜餡かな? あ、感想フォームでゆっくりこうりんカッケエエエ!!と書いてくれた方、本当にありがとうございます。 こうりんときめぇ丸で…とありましたが、こうりんの舞台はゆっくりの住む自然できめぇ丸の舞台は人里なので自分の中では絡ませるのはちょっと厳しいです。 本当にすいません。 スレに感想書いてくれる方も本当にありがとうございます!! GJって書かれているのを見ると本当に励みになります。本当に感謝です!! 最後に、こんな駄文を最後まで読んでくださり真に感謝です!! 書いた作品 書いた作品 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス このSSに感想を付ける
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近年、ゆっくりを扱うペットショップは増え 躾の行き届いたゆっくりは高値で取引されていた。 ブリーダーにより一般的な社会常識を叩き込まれたゆっくりから うんうんやしーしーをしないゆっくりまでペット業界の競争は更なる転機を迎えていた。 『ゆっくりは人語を話すから虐待される』 これは、ゆっくり加工場ペット開発部の愛と虐待の記録である。 「ふがふがふが・・・ふがふほほほふ・・・!」 円筒状の耐熱ガラスに囲まれた実験槽の中には、バスケットボールサイズのゆっくりれいむがいる。 このれいむには歯が一本もない。 最近、歯が抜かれたか溶かされたかしてまだ痛むのだろう。 狭い実験槽の外を遮る耐熱ガラスにしきりに体当たりをしたり喚いている。 「ふがふがふっふふー!ふひひひひふぼふぼぉ!」 (れいむの歯を返してね!それから馬鹿なジジイは死んでね!) 確かにこれなら人の神経を逆なでするような暴言を吐くことはあるまい。 だが、ペットとしての最低条件である可愛さが決定的に足りない。 実験槽の外には白衣を着た男が首を左右に振り、隣にいる作業服の男に合図を促すと コクリとうなずいて赤いスイッチに手をかけた。 キュイィィイインっとモーター音が鳴り響き、実験槽の床が開くと幾重も刃のついたプロペラが覗いて回転を始める。 歯なしれいむは、回転する刃の危険性を察知しその場でポインポインっと跳んでかわそうとするが 当然、着地で刃に切り裂かれた。 外側から見ると、それはまるで大きなミキサー 本物のミキサーであるなら一思いに数秒で餡子と化すところだが、刃はれいむの足部分を切ると一旦回転を止める。 「ふがふひひぃー!」 数秒おいて、また刃は回転し今度はぺにぺに付近まで切り裂く。 「ふひ!ふひ!ふfheiadca・・・!」 ゆっくりと、甘い餡子に加工されるれいむ。 姿を完全に失うと、実験槽に取り付けられているポンプから餡子がチューブを伝ってどこかへ流れていく。 再び実験槽の上部が開き、ゴロンゴロンっと1匹のゆっくりまりさが転がり落ち 先ほどまでれいむがいた位置に落下する。 「・・・・・・!」 (ゆべっ!) このまりさは、産まれる前の実ゆっくりの段階で口内をハンダゴテで焼かれており しゃべることも食べることもできない。 そんな、まりさが成体サイズまで成長していることには秘密がある。 頭頂部に蓋がついていて、そこへ生ゴミなり有機物をいれることで燃料補給が可能な 一応は商品化が有力視されているホープだ。 「・・・・・・!・・・・・・!」 (ここはどこなの!まりさをゆっくりおうちにかえしてね!) 涙目いっぱいでガラス越しに男たちに目で訴えかけている。 白衣の男は腕を組んで、しばらく考え込んでいた。 確かに犬や猫が人語を解していたら憎たらしいだろうが、かといって泣き声一つあげずに ただジッと飼い主を恨めしそうに見ていたら到底、愛でられまい。 燃料補給に頭頂部に蓋がついているというのもどうにもグロい。 それを誤魔化すために帽子を被っているまりさ種を選んだが結局は失敗だったようだ。 「・・・・!・・・・!」 (まりさをどうするつもりなの!まりさはいいゆっくりだからたすけてね!) ぴょんぴょんっ! 白衣の男の様子を伺っていた作業服の男が赤いボタンに手を掛けた。 その時、白衣の男が作業服の男の前に待て!と手で制する。 「・・・?・・・・!」 (ゆゆっ?ゆっくりしていってね!) まりさは精一杯自己アピールをするためピョンっと跳んで 昔ながらのあの”ゆっくりしていってね!”の動きをする。 もし、れいむと一緒であったなら綺麗に決まったであろう。 白衣の男が作業服の男に何かを伝えると、作業服の男はハッと何かに気がついて 青いほうのボタンを押す。 すると実験槽の上部の蓋が開き、そこからウィィィンっと機械音を響かせながらアームが伸びてきた。 そのアームはまりさのお帽子を掴むと、左右に振って 被っているまりさだけをはたき落とす。 「・・・!・・・・!・・・!」 (やめてね!まりさのお帽子をとらないでね!やめてっゆべ!) 成体サイズのまりさの帽子は人間も被ることが出来る。 巷ではこのまりさのお帽子がブームで、饅頭商品以上に人気があった。 更に、どんな素材よりも水に浮くという特性で水上スキー用の板代わりに お帽子を足にはめる水上スキーヤーも少なくない。 ただ水に浮くだけでなくスィーっといったお帽子だけがもつ爽快感があると言うのだ。 お帽子の回収作業が終わると 先ほどのれいむの同じように地面からプロペラが出現し、まりさもゆっくりと餡子となった。 実験槽は再び空になり、上部の蓋が開くと今度は数匹のゆっくりが転がり落ちてくる。 「ゆー!、ゆーゆーゆー!」 「「「ゆーゆーゆー!」」」 成体サイズのゆっくりれいむに、その子ゆっくりが3匹。 白衣の男は、これだ!っと今までとは表情を変えた。 人語を解さないからといって、それだけでは愛玩動物にはなりえない。 この「ゆーゆー!」いう泣き声なら新商品となりうる、そう確信した。 その時、子ゆっくりの1匹がしゃべりだした。 「おかーしゃん、れいみゅはいつまでゆーゆーいってればいいの?」 バリバリバリッ その子れいむの体内から突如放電が始まる。 「ゆびびびびびび!」 「おちびちゃんたち、ゆーゆー以外しゃべっちゃだめだよ! しゃべると、ビリビリしてゆっくり出来なくな・・・ゆびびびびび!!」 「ゆー!ゆゆゆー!」「おかーしゃん、おねーちゃんゆっくり・・・びびびびび!」 親れいむ1匹と、子れいむ2匹は心臓の役目をする餡子中枢が電気ショックで停止し 白目をむいて舌ダランっと垂らし、泡を吹いた。 それから、今度は先ほどよりも強い電気ショックがバチンッと実験槽の外まで聞こえると 親れいむは息を吹き返した。 「ゆ・・・ゆーゆー・・・」 子れいむ2匹にもバチンッと電気ショックが起きるがまるで反応がない。 何度もバチンッ、バチンッと続くうちにプスプスと黒煙があがり、とうとう黒ずんでしまった。 親れいむと子れいむは2匹に寄り添って 「ゆー・・・」「ゆゆー・・・」っと泣いている。 体内に埋め込まれた機械が、「ゆー」以外の発声を行うと拷問のような電流を流し罰を与える。 そして心臓停止(中枢餡子の機能停止)を感知すると、それを心臓マッサージの要領で蘇生させるメカニズムだ。 このまま商品として出荷されることはなく、あくまで世代を重ねて「ゆー」以外をしゃべらないゆっくりを作ることが目的である。 このシステムは排泄を行わないゆっくりを作る途上で考案されたが 心臓停止するたびに仮死状態でうんうんやしーしーを垂れ流してしまうためお蔵入りとなってしまった。 うんうんをして電気ショックで心停止し漏らし、蘇生した瞬間に結局センサーにお漏らしと認識されて電流を流されて それは酷い拷問だったそうだ。 虐待が目的でないため職員はすぐに助けようとしたが、いかんせん電流が流れっぱなしなので手が出せず 死んでは生き返りまた死に生き返っては結局死ぬというサイクルを待つしかなかった。 白衣の男は、再び腕を組んで考え込むと 親れいむが成体にしてもサイズが不自然に大きいことに気づく。 しもぶくれなのは元々だが、それにしても一際膨らんでいるのだ。 「ゆー・・・ゆー・・・」 親れいむが子れいむを舌で舐めてあげている。 本当は「ぺーろぺーろ」とか「すーりすーり」と声に出して言いたいのだろう。 「ゆっ?ゆゆ!?」 親れいむの産道が開き、ポーンっと子れいむが飛び出てくる。 ガラスの内側に当たると跳ね返り転がり、黒ずんだ子ゆっくりがクッションとなった。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆーゆー!」 「ゆー!」 電流が流れる機械は手術によって、埋め込まれているもので生まれたばかりの子れいむには内臓されていない。 「ゆゆ?ゆっくちちていっちぇね!」 親や姉が、自分の挨拶に返事をしてくれない事で子れいむは不安がりもう一度挨拶をした。 「ゆーゆー!」 「ゆゆーん!」 親と姉は精一杯の返事をする。 「ゆっくちちぇいっちぇね!ゆっくちちぇいっちぇね!」 「ゆゆーん!」 「ゆー!」 「ゆ!どうちて、ゆっくちちてくれにゃいの!ぷんぷん!」 「ゆー・・・」 「ゆー!ゆー!」 「れいみゅのおやなら、ゆっくちちぇくれるはずだよ!ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆー・・・」 「ゆゆー・・・」 「ゆーしかいえにゃいの?ばきゃにゃの!」 「ゆ・・・」 「ゆゆ・・・」 「ばきゃはれいみゅのおやなんかじゃないよ!ゆっくちちんでね!」 「どぼじでぞんなごどをいぅのぉおお!」 「ゆ!?ゆゆー!」 とうとう、親ゆっくりが「ゆー」以外をしゃべってしまった。 バリバリバリバリ 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ・・・ゆー・・・ゆー・・・」 そして、放電によって白目をむいてグッタリと心停止する。 「ゆ!きょわいよぉおお!へんなゆっくりはちねー!」 「やめてね!れいむがおかーさんに変なこというからゆっくりできなく・・・びびびびびび・・・!」 子れいむの方も放電が始まり泡を吹く。 数秒してバチンッと音がすると、親れいむは蘇生するが、子れいむは泡を吹いたまま動かない。 バチンッバチンッと音が続いて、先ほどの2匹の子れいむ同様に黒煙を噴きながら黒ずんでしまった。 「へんにゃゆっくちはちねー!ちねー!」 子れいむは親ゆっくりに体当たりを始める。 「やめてね!おかーさんに触ると危な・・・びびびびびび!」 「ゆっ?・・・びびびびび!」 放電した親れいむにに体当たりしたため、子れいむも感電してしまった。 幸い直接体内からではなく体外から感電したため絶命にはいたらない。 しかし、バチンッ!っと親れいむの蘇生が始まると傍にいた子れいむも感電し 「ゆびゃ!」っと悲鳴を漏らした。 「ゆゆ・・・おちびちゃん・・・おかーさんからはなれ・・・びびびびび!」 「たちゅけ・・・びびびびび!」 バチンッ 「ゆびゅ!」 度重なる、心停止の連続で親れいむはとうとう息を吹き返さなくなった。 バチンッ 「ゆぴゅ!」 バチンッ 「ゆぴゃ!」 バチンッ 「ゆびゃ!」 感電し続ける子れいむも親れいむから離れる前に電気が流れるので逃げることが出来ず 一定の間隔で悲鳴を漏らす。 バチンッ! 「ゆびっ!」 バチンッ! 「ゆっ・・・!」 バチンッ! 「ゆ・・・!」 バチンッ! 「・・・」 やがて、悲鳴はやんだ。 白衣の男は作業服の男に赤いボタンを押させたかったが、体内に機械が入っている事を考え 青いボタンを押させた。 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり 作者:まりさ大好きあき
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ゆるやかな傾斜の山道を歩いていると、遠くの茂みからゆっくりれいむが現れた。 茂みから反対の茂みへ、道を横切ろうとしているれいむの側面には木の棒が付いている。 ゆんしょゆんしょと、ゆっくり跳ねるたびに木の棒の続きが茂みから現れ、 れいむの反対側の側面にも棒がついていて、2本の棒の間に布が張ってあるのがわかる。 さらに跳ねると、棒のもう一方の先を付けたゆっくりれいむが現れ、 2匹のゆっくりれいむが、ゆっくりサイズの担架を運んでいるのだとわかった。 担架に張ってある布は生体ゆっくりを1匹乗せられる程度の面積があり、 平行に渡してある棒の間はれいむの横幅より少し短い幅しかなく、 その棒の間に体をはさんで、内側から突っ張ることで担架を支えているようだ。 「ゆんしょ、ゆんしょ」 「ゆんしょ、ゆんしょ」 2匹が棒でつながっている状態の為、跳ねる距離やタイミングを合わせないと うまく前進する事が出来ない。その為2匹で掛け声を合わせてゆっくりと跳ねていた。 ゆっくりが1匹で跳ねるよりも1歩1歩の間隔が長い為、すぐに追いついてしまう。 2匹のれいむは近づいてくる人間に気付いたものの、担架の棒に挟まれている為 人間の方に向き直る事が出来ず、横を向いたまま話しかけてきた。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!」 「れいむたちにかまわないで、そのままさきにすすんでね!」 「お前達、そんなもの担いで何やってるんだ?」 「ゆ?れいむたちはきゅうきゅうしゃだよ」 ゆっくり達の間で救急車ごっこでも流行っているのか? れいむは構わず先に進めと言うが、一生懸命担架を運ぶゆっくりの姿が可愛らしいので、 様子を眺めていたい衝動に駆られる。 「ああ救急車か、邪魔はしないから、私の事は気にせずにそのまま続けてくれ」 「ゆう…ほんとうにじゃましないでね?」 れいむ達は再び、ゆんしょゆんしょと前進を始め、道の反対側の茂みに入り込んで行く。 あまりにもゆっくりした行進だが、その後ろを距離を開けて付いて行く事にした。 棒の間に無理に挟まっている為、れいむの体を後ろから見るとずん胴なひょうたんのように窪んでいる。 担架に張ってある布は、元は白かったのだろうが洗っていないらしく、土や餡子がこびり付いて 汚れに汚れていた。遊びで餡子は付かないだろうし、実際に救急車として使っているのだろうか。 「ゆんしょ、ゆんしょ、みえてきたよ!」 先頭のれいむがそう言うと、前方に1匹のみょんが佇んでいた。 見れば頬の皮に小さな傷があり、ぽろぽろと涙を流しながらえぐえぐと嗚咽を洩らしている。 「マラっ、マラっ…」 「ゆっくりしていってね!いまきゅうじょするよ!」 「ち、ちーんぽ!」 2匹のれいむは体を器用に変形させて、担架をその場にストンと落として みょんの左右に跳ねていくと、傷のある側に近づいたれいむがその傷をぺろぺろと舐めだした。 舐めて直すだけだったら、担架はいらないんじゃないか? 「ぺーろ、ぺーろ」 「ぺっ、ぺにぃぃ!」 「ゆっくりがまんしてね!」 傷を舐められてしみるのだろう、みょんは嫌がるようにれいむから離れようとするが、 反対側に付いたれいむに阻まれて逃げる事が出来ない。 それでもじたばたと暴れようとするみょんに舐める側のれいむが怒り出す。 「もうっ!うごいたらなめられないよ!かんじゃをおさえてね!」 「わかったよ、みょんはうごかないでね!」 「どぴゅっ!?」 押さえる側のれいむがみょんの頭上に飛び乗ると、 みょんの体は楕円形に大きく歪み、口から少量の餡子が飛び出す。 頭上にのったれいむも、振り落とされないよう体を低くして、みょんの頭に れいむ型の帽子が乗っかっているかのような形になった。 「ぺにすっ!ぺにぃぃぃ!」 「ぺーろぺーろ、ゆ?なんだかちょっと甘くなってきたよ?」 「ど、どぴゅぅぅ!」 上から押さえつけて側面の皮が伸びた状態になっていた上、 舐め続けた事で傷口が広がり、餡子が露出してしまう。 それでもれいむは気にせずに、甘さを楽しみながらみょんの頬を舐め続け 餡子に直に触れられる痛みにみょんはますます暴れだした。 「うごかっ!ないでねっ!」 「どぴゅ!どぴゅっ!」 「ぺーろぺーろ、しあわせー!」 上に乗ったれいむはみょんの動きを止めようと、上下に跳ねてみょんを押さえつける。 その度にみょんは口から餡子を吐き出し続け、もう1匹のれいむは餡子を舐める事に夢中になっている。 これは治療じゃなくて拷問じゃないのか。 餡子を吐き続けたみょんが痙攣を始めても2匹は治療を止めず、ついにみょんは動かなくなってしまった。 「お、おい、そのみょんもう死んでるぞ」 「「ゆゆっ!?」」 傷を舐めていたれいむは言われて初めて気付いたのか驚愕に目と口を見開き、 上に乗っていたれいむもみょんの前に降り、みょんが苦悶の表情で死んでいる事を確認すると、 「ゆぅ…てをつくしたけど、たすけられなかったね」 「てんごくでゆっくりしてね…」 みょんの死を悲しがりだした。自分達の治療が原因だったとは思っていないようだ。 すると突然、片方のれいむのリボンがぴくっと動いた。 「ゆっ!あたらしいかんじゃだよ!すぐにしゅつどうするよ!」 「ゆゆっ!」 2匹はぴょんぴょんと、近くに置きっぱなしにしていた担架に向かう。 2本の棒の片方を咥えて持ち上げると、体を斜めにしながら棒の間に挟まり、 器用にもう片方の棒も持ち上げる。 せーの、とでも言わんばかりにリズム良く体を沈み込ませた所で聞いてみた。 「なあ」 「ゆっ?どうしたの?」 「その、お前達は怪我をしたゆっくりが、どこに居るかわかるのか?」 「わかるよ!だってきゅうきゅうしゃだもん!」 自信満々に言うと、またれいむ達はリズムを合わせて前進して行く。 いい加減な生き物だから、救急車の役をすれば患者の位置も感じ取る事ができるらしい。 先ほどぴくっと動いていたリボンをセンサーにしているつもりなのだろう。 またゆっくりとした行進の後ろをついて行くと、今度はまりさが叫びながら転がりまわっていた。 「いだいぃぃぃ!うわ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁん!」 「ゆっ!じゅうしょうだね」 「すぐにたすけるよ!」 転がるまりさの底には小さな穴が開いていて、どろりと餡子が漏れ出していた。 近くにある上部の尖った石にも餡子がついている。この上に乗って傷を作ってしまったようだ。 足にあたる底面の痛みに跳ねることが出来ないようだが、ゆっくりなら安静にすれば自然治癒するだろう。 2匹のれいむは泣き叫ぶまりさの横に担架をストンと下ろし、まりさを担架の方に押すと、 まりさはコロンと転がって担架の上に傷のついた足が乗った。 「ゆ゛、ゆ゛ぎぃっ!」 「ゆっくりはこぶよ、がまんしてね!」 後頭部を下にすればいいのに、傷の付いた足が不潔な布に乗った為、 土や古い餡子が傷口にしみたまりさは苦痛に顔を歪める。 それでも動けない自分を仲間が運んでくれる事に安心したのか、唇を噛んでぐっと我慢した。 担架を持ち上げる際は一旦片側の棒を上げるが、まりさが落ちないよう慎重に、 れいむ達は体を器用に使って左右の棒を交互に上げていく。 時間をかけて担架を持ち上げると、再びタイミングを合わせて前進を始めた。 布の上にまりさを載せて運ぶ姿は、神輿の様にも見える。 少し歩くと、眼前に川が現れた。山道だが上流ではない為、流れはそこまで速くない。 縦列駐車の要領で川のすぐ側に平行に止まり、ゆぅと一旦息をつく。 「ゆ?どうしたの?」 担架にのったまりさが疑問の声を上げるが、れいむ達は返事をせずに、 川に面した側の棒をゆっくりと下げていく。 斜めになった担架の上でまりさは川に向かって落ちそうになり、慌てて重心を川の反対に寄せる。 「ゆゆっ!?おとさないでね!ぜったいおとさないでね!」 「ああ、そんなセリフを言うと…」 「ゆ゛う゛ぅぅっ!」 角度が付いた担架の上からころんと転がったまりさは、じゃぽんと音を立てて川に落ちた。 流れこそ速くないもののそこそこの深さはあるらしく、すぐに沈んで気泡だけが上がってくる。 綺麗な水の中で何か叫ぼうとしてるのか、まりさは口をぱくぱくと開閉するが、 底面の傷から餡子が水に溶け出し、まりさ自身も川に流され行ってしまった。 れいむ達はストンと担架を下ろし、一仕事終えたといった顔で満足しきっている。 「な、なあ…」 「ゆ?」 「なんで川に落としたんだ?怪我をしたまりさを助けるんじゃなかったのか?」 「ゆー?」 そんな事もしらないのか?とでも言いたげな顔でれいむ達はため息をつき、 自信満々に胸を張って答えた。 「あのまりさはゆっくりできなくなったから、らくにしてあげたんだよ!」 「そうなのか…ゆっくりは足を怪我したら殺しちゃうのか?」 「ゆっくりできなくなるよりはましだよ!」 本当にそうなのだろうか。試しにれいむ2匹の頭を掴んで底面が見えるようにコロンと転がし、 底面に人差し指をぷすぷすと差し込んでいく。 「ゆぎゃっ!?いだい゛!なにずるのぉぉ!?」 「やめでね!ゆっくり゛なおじでね!?」 「直すの?さっきのまりさは直さなかったよね」 直して欲しいと叫ぶれいむ達を掴み、川の上に持ち上げると、 2匹とも目から滝のような涙を流し始めた。 「ゆっくり出来なくなったら、どうするんだっけ?」 「ゆ゛ぅっ!じにだぐないでず、なおじでぐだざい!」 「おねがいじまずぅぅ!」 「「おとざないでね!ぜっだいおとざないでね!」」 「ああ…そのセリフは落として下さい、って意味だよ」 2匹のれいむを掴む手を離すと、どぷんと川に落ちたれいむ達は まりさがしたように口をぱくぱくと開閉しながら流されて行く。 後に残ったのは汚い担架のみである。 さて帰るか、と立ち上がり後ろを振り返ると、2匹のれいむが固まっていた。 先ほど落としたれいむとは別の個体のようだが、その2匹も汚い担架を担ぎ、 目と口を全開に広げてぷるぷると震えている。 ゆっくりの救急車は怪我をしたゆっくりの位置がわかるらしいので、 さっき底を傷つけたれいむ達を感知して急行してきたのだろう。 助けに来たゆっくりが目の前で川に落とされたので、恐怖に固まっているようだ。 この付近にどれだけのゆっくり救急車が居るのかはわからないが、 傷つけたゆっくりを助ける為に現れたゆっくり救急車も捕まえれ同様に傷つければ、 全ての救急車がこの川に集合するのではないだろうか。 目の前で固まっている2匹のれいむを捕まえる為に1歩踏み出すと、 れいむ達ははっと我に返って自分の危険を察知した。 「ゆっ!ゆっくりしないでにげるよ!」 「ゆんしょ!ゆんしょ!」 担架を捨てて散り散りに逃げればいいのに、わざわざタイミングを合わせた跳躍で ゆっくり方向転換しようとしている。担架の側面をがっちり掴んであげると、 跳ねる事も出来ずにゆさゆさと体を揺さぶる。 「は、はなしてね!ゆっくりいかせてね!」 「まあ待ちなさい、他にもゆっくりの救急車は居るのかな?」 「ゆうっ、いるよ!だかられいむたちははなしてね」 「そうか、それじゃあれいむ達は、他の救急車をおびき出す為に怪我をしてね!」 「ゆううぅっ!?たすけてぇぇ!」 数日後、川の下流に数百匹を超えるゆっくりれいむの皮と、 尋常ではない量のあんこが流れ着き、里では異変の前兆かと問題になった。 いくらなんでもこんなに居るとは思わなかった。 おわり。 スレに書いたネタが元です。 540 名前:名無したんはエロカワイイ[sage] 投稿日:2008/09/30(火) 11 53 07 ID F1DZLaW9O 負傷したゆっくりの前に現れる、担架をくわえた二匹のゆっくり 「ゆっくりきゅうきゅうしゃだよ」と負傷ゆっくりを乗せて運び、崖下に投げ落とす 助けに来たんじゃないのか?と聞くと自慢気に胸を張り 「ゆっくりできなくなったから、らくにしてあげたんだよ!」 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子 (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌 (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾 (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ系1026 ゆっくり宅に挨拶 (fuku2789.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体 (fuku2670.txt) お帽子の人? 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「あかちゃん、うまれないでね!ここでうまれたらゆっくりできないよ!」 親れいむの体は帯状のベルトで柱に固定されており、眼前にはすり鉢上の傾斜がついている。 その傾斜の終点にはボーリングの玉がすっぽり入りそうな穴が空いていて もし赤ちゃんが生まれようものならコロコロと転がってその穴へ落ちてしまうことが見て取れた。 昨日までは森でまりさとゆっくりしていて ずっと薄暗い巣穴にいたら実ゆっくりの健康に悪いからと日向ぼっこをするために草原に出た。 それから、赤ちゃんのために栄養のつくものを食べようとまりさと一緒にお野菜が勝手に生えるポイントで むーしゃむしゃ♪とごはんを食べていただけなのだ。 それが、どぼぢでこんなところに・・・。 「おねがいだから、あかちゃんゆっくりしていってね!まだうまれないでね!」 そんな親れいむの願いとは裏腹に頭上の実ゆっくりはユサユサと揺れて今にも落ちてきそう。 「ゆっ」「ゆっ」 と声を漏らしている実ゆっくりはすでに飾りの形までハッキリしている。 赤れいむが3匹と赤まりさが2匹だ。 自分では実ゆっくりの様子を見ることが出来ないが、茎を伝ってその重さが以前よりも増していることを実感している。 もう立派なプチトマトサイズ。 本当なら柔らかい葉っぱを敷き詰めて、ゆっくりと受け止めてあげたい。 そこへ、ガラッとスライド式のドアから人間が現れる。 「やあ、ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!?」 暗い部屋に急に外の光が差し込んだことで一瞬たじろいだが ゆっくりと同じ言葉をしゃべる動物なので、きっとゆっくりの仲間かそのハシクレだろうと直感し 事情を説明して助けを求めた。 「おにーさん、たすけてねぇー! れいむのあかちゃんがゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「むむ、それはいけないなぁ!よ~しお兄さんに任せなさい!」 人間はポケットから木工用ボンドを取り出すと、れいむの頭上でなにやら作業を始めた。 それはプラモデルを組み立てるように慎重かつゆっくりとした動作。 「おにいさんなにやってるの!はやくれいむをたすけてね! りかいできないの?ばかなの?」 何をしているのかわからないれいむのために鏡をみせてあげる。 そこには、茎の根元と実とをガッチリと木工用ボンドで固められた赤れいむと赤まりさが映っていた。 これなら赤ちゃんが落ちてくることはない。だけどこれじゃあ根本的解決になってないことはれいむにもわかった。 「ちがうでしょ!このむのう! うごけないれいむをゆっくりしないでたすけてね!」 「あれま、じゃあボンドはこれでおしまいね」 人間はヘソを曲げて、傾斜にごろんと横になりくつろぎはじめた。 「はやく、れいむの赤ちゃんを産んでね~♪ゆっゆっ~♪」とゆっくり風の鼻歌も歌っている。 そうこうしているうちにとうとう1匹目の赤ゆっくりが生れ落ちる。 赤れいむだった。 「ゆっ、ゆっくち・・・」 ポトリッとおちた赤れいむは「ゆっくりしていってね!」と言おうとして言えないままコロリッとバランスを崩した。 「れいぶのあがじゃんがぁああ!」 このままでは、赤ちゃんが傾斜を転がって穴におちていってしまう。 ところが、転がる勢いがつく前に、横になっていた人間が足でそれを阻止をした。 つづけて、2匹目には赤まりさ、3匹目は赤れいむが生れ落ちる。 やはり、転がる赤ゆっくりを足でキープ。 「ありがとうは?」 そんな人間の言葉を無視して 「あかじゃんたちぃ!ゆっくりしていってねぇ!」 「おかーしゃん!ゆっくちちていっちぇね!」 「みゃみゃー!ゆっくちー!ゆっくちー!」 「ゆっくぃしていっちぇね!」 と勝手に挨拶を交わしている。 赤ゆっくりが助かったことでさっきまでの事を忘れている親れいむ。 すくっと立ち上がって赤ゆの支えを取り払う。 「ゆっ、ころころしゅるよ!」 「ゆっくちころがりゅよ!」 「ゆっくぃ~!」 すると、人間にはそうでもない斜面だが手足のない赤ゆっくりはバランスを崩して転がっていく。 「おちびちゃんたちころがらないでね!ころがるとゆっくりできないよ!」 親れいむの言葉もむなしく最初に生まれた赤れいむが穴めがけてホールインワン! スコーンッと綺麗な音がしたかと思うと「ゆぅぅぅ~」っと赤ゆの声は遠ざかっていく。 「れいぶのおちびぢゃんがぁぁあああ!」 ゆが~ん! 続けて赤まりさと赤れいむも転がり落ちそうになるが、姉れいむが穴に落ちたのを見て必死に斜面にこらえる。 ぴょんっ跳ぶことの出来るゆっくりの足はその柔らかさを利用すれば餅のように吸付いて斜面にも案外たえられるのだ。 「たちゅけてみゃみゃー!」 「ゆぇええ~ん!おかーしゃ~ん!」 しかし、気を抜けば転がり落ちてしまう。 産まれたばかりの赤ゆには少々酷な事態だった。 「おちびちゃんたち!あなはゆっくりできないよ! こっちまでず~りず~りしてきてね!ず~りず~りだよ!ず~りず~り!」 「ゆっ、まりしゃず~りず~りするよ!」 「れいみゅもず~りず~り!」 餅のような足が接地面積を最大まで広げ、なめくじの様な形状を取って「ず~りず~り」っと親れいむの方へと近づく。 先に赤まりさが親れいむに触れるほどまでたどり着いた。 「みゃみゃ~!す~りす~り!」 「れいみゅもす~りす~りちたいよ!」 それから赤れいむも親れいむの所までたどり着いて、頬をすり合わせて「す~りす~り」と始めた。 「れいむのあかちゃんかわいいよ!とってもゆっくりしてるね!す~りす~り」 親れいむは体が固定されて動けないので、口でそう言っているだけだ。 わずかに親れいむの体もぶにぶにと動くので、その僅かなすりすりでも赤ゆっくりは満足だった。 その間、人間はふたたび横になってケツを掻きながら鼻くそをほじっている。 数分くらいゆっくりしていただろうか、赤れいむが突然泣き始めた。 「ゆえぇええ~ん!ゆわぁあああ~ん!」 「ゆっ、どうしたのおちびちゃん!」 「まりしゃおにゃかついたよ!れいみゅもおにゃかついてないてるんだよ!」 赤まりさの言葉で、赤れいむがお腹を空かせて泣いているんだということがわかった。 普通、植物型妊娠をすると産まれた赤ちゃんのために茎を落として食べさせる。 それは始めての妊娠であっても餡子に刻まれた記憶で親れいむも知っていた。 「まっててねおちびちゃん!いまゆっくりできるごはんをだすからね!」 体が固定されているといってもボルトで柱に括り付けられているわけではない。 ベルトは頑丈だが体を揺さぶる程度の事はできた。 ゆさゆさゆさ・・・ しかし、茎はいつまでたっても落ちてこない。 その代わりに茎が声をあげた。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっきゅりちていっちぇね!」 それは茎にボンドで固定されていた赤れいむと赤まりさ。 落ちてこないからすっかり忘れられていたが、茎についたまま赤ゆっくりとして成長したのだ。 「ゆっ、あたまのうえのおちびちゃんたち! くきをごはんにするから、ゆっくりしないでおちてきてね!」 赤ちゃんサイズまで成長しているのになんで落ちてこないの? 親れいむはさっき人間にされたことなんて赤ちゃんの可愛さですっかり忘れている。 都合の悪い事は記憶に残らないのが餡子脳だ。 「れいみゅはここでゆっくちてるよ!」 「まりしゃもだよ!ここはゆっくちできるよ!」 茎とつながっているためお腹が減ることはないしずっと親ゆっくりと繋がっていられる。 2匹にとって、そこがゆっくりプレイスになった。 「おちびちゃんたちわがままいわないでね!ぷんぷん!」 ぷくー!と膨れて威嚇をするが、そんなもの頭上の赤ゆには見えないのでまったく効果がない。 かわりにお腹をすかせた赤ゆ2匹は怖がっている。 「ゆえ~ん!おにゃかがすいたし、みゃみゃがこわいよぉ~!」 「ゆわぁぁあ~ん!」 茎が落とせない以上、別の餌をとってこないといけない。 しかし、自分はベルトで固定されていて動くことが出来ない。 そこで目に入ったのが人間だった。 ゆっくり語をしゃべるマヌケそうな動物。 ゆっくりにとって頭部の大きさは強さや知能に比例するが、目の前の動物はバスケットボールよりも小さい。 実際、れいむを助けてね!といってもたいして理解できてないみたいだし役立たずっぽいが それでも今一度仕事を与えてあげよう。 そんな思いで人間に食料をとってくることを命じた。 「にんげんさん!かわいいかわいいあかちゃんたちがおなかをすかしてるよ! ゆっくりしてないでごはんをもってきてね!それくらいのことならできるでしょ!」 すると人間は、ボケーっとした表情で親れいむの後ろの方を指差した。 「そこの管からお前には栄養が補給されているから食わんでも平気だ。 赤ゆどもには適当にうんうんでも食わせてやれ」 「ゆ?」 確かに実ゆっくりに栄養を吸われているというのにお腹が空いていない。 妊娠してからというもの、ろくに巣の外へ出ていないのにもかかわらず、しょっちゅうお腹を空かせては まりさが普段よりも多くごはんをもってきてくれたものだ。 芋虫にちょうちょ、木の実にキノコ、甘い草に 人参さんに大根さんに苺やリンゴ、クッキーや飴は今まで食べたことがないほど美味しかった。 それが、もう食べれないで管から栄養を送ってもらうだけだと思うと次第に腹が立ってくる。 「これじゃゆっぐりできないでしょ!ばかなの! れいむはあまあまやゆっくりできるごはんがたべたいよ!くそじじいはさっさとごはんをもってきてね!」 「ゆっくりちたごはんをもっちぇきてね!」 「れいみゅにもね!ぴゅんぴゅん!」 赤ゆどもまで便乗して騒ぎ立てている。 しかし、親れいむはベルトで固定されて動けないし 赤ゆも斜面から転がってしまえば穴に落ちてしまうのでそこから動くことはない。 気にせず、横になりならがけつを掻く。 「まりざぁああ!まりざはどごにいるのぉおお! れいぶはごごだよぉおお!ゆっくりしないではやくたずげでねえぇええ!」 れいむはつがいのまりさがきっと助けに来てくれると信じていた。 なにしろ二匹は赤ゆの頃からご近所同士 2匹は駆けっこをして遊んだり、時にはどちらがゆっくりした餌をとってこれるか競争をした。 「ゆっ、まっちぇまりちゃー」 「はやきゅ、はやきゅ~♪」 れいむが地を這う虫を捕まえれば、まりさは木陰に生えている食べられるキノコを れいむが甘い草を見分けて摘んでくれば、まりさは自慢の足を活かして人間の畑からにんじんを採ってきた。 「ゆっ、これれーむにあげゆ!」 「にゃにこれ、とってもおいちーよ!ちあわちぇ~♪」 こんな事もあった。 「ゆえ~ん、ゆえ~ん!」 「ゆっ、れいむどうしたの!」 泣いているれいむを見つけるまりさ。 もみあげの飾りはそのままだかられいむであることがわかるが、頭頂部の大きなリボンがなくなっていた。 「おりぼんをどこかにおとしたんだね!いっしょにさがすからゆっくりなきやんでね!」 「ゆえ~ん、れいむもうあんよがいちゃくてあるけないよ~!ゆえ~ん!ゆえ~ん!」 「まりさがさがしてくるよ!れいむはゆっくりやすんでいてね!」 ぽい~ん!ぽい~ん! 太陽が沈もうかという頃、まりさはボロボロの体でれいむのリボンを咥えて帰ってきた。 いつも自慢していた素敵なお帽子は泥んこだらけ。 やがて、月日は流れ2匹は新しい巣穴を掘り 群れから巣立ちをした。 まりさが集めてくれた、たくさんのお野菜にお菓子。 頭の上にはその、まりさとつくったかわいいあかちゃん。 れいむはただ、ゆっくりしていただけなのにそれがなぜ・・・ 動けない状態で赤ちゃんをゆっくりさせてあげられず 役立たずの人間という動物がいるだけ。 まりさ、どこにいるのまりさ れいむはここだよ!はやく助けにきてね! 「うん、そうかそうか、まりさに会いたいか?」 人間が懐からリモコンを取り出し操作すると ピッピッと機械音をさせて部屋の壁が上がっていった。 実際にはブラインドの役目をしていたシャッターが上がっただけなのだが、れいむには壁が動いたように見えた。 さっきまで薄暗かった部屋には蛍光灯が点灯され さほど広い部屋でないことがわかる。 それでもやはり、人間の住居ではなくどこかの工場といった雰囲気ではあるが8畳程度の空間だった。 その中心から真っ二つに透明なアクリル板で部屋は半分に遮られており、斜面と穴はれいむの側にだけある。 そして、反対側にいるのはれいむが助けを求めているあのまりさだ。 「まりざぁぁああ!」 まりさの様子がおかしい事はひとめでわかった。 まず、れいむと違って柱に固定されていない事。 そして、そのまりさの周囲には5匹の赤ちゃんゆっくりがいて、落とされたばかりの茎を食べていた。 「ま・・・まりさ、そのおちびちゃんたちはなに!」 まりさはの側にいる5匹の赤ゆは全て赤ありすだった。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー♪」 「なかなかときゃいはなごはんね!」 「ありちゅ、おかーしゃんとしゅ~りしゅ~りしゅるわ!」 アリスにレイプされて出来た子供だ。 まりさは、れいむに何も言うことが出来ずただ黙々と茎を噛んで柔らかくして食べさせていた。 レイプされて産まれた子とはいえ、やはり自分の子だった。 ちなみに、れいむの声は届いていないし姿も見えてない。 アクリル板のまりさ側はマジックミラーを張り合わせてあり、れいむ側からしか様子がわからないのだ。 そんな事はわからないれいむ。 「むじぢないでねぇええ!なんでありずのおぢびじゃんがいるのぉおおお!」 それから2世帯の生活が始まった。 れいむは相変わらず動けないまま、管から栄養を送られて それが適量を超えているため自分の意思とは裏腹にうんうんが漏れ出し、それを赤れいむと赤まりさが食べる。 「くちゃいよぉおお!」 「れいみゅも、むこうのおとーしゃんみちゃいなゆっくちちたごはんたべちゃいよ!」 「わがままいわないでねぇえ!くるしいのはおかーさんもいっしょだよ!」 「おねーちゃんたちうんうんたべりゅなんてきちゃないよ!」 「れいみゅだったらちんでもそんなのたべにゃいね!」 頭上の大きな実ゆっくりは親の栄養がもらえているので勝手なことを言っている。 昼間、まりさとありす側にだけある赤ゆっくり用のおもちゃで遊ぶ向こう側の様子を見せられる。 声は聞こえないが、赤ありすたちがキャッキャっとブランコで遊び、それをまりさが楽しそうに押してあげている。 きちんと順番待ちをしている5匹のありすに「ぺーろぺーろ」と撫でる様に褒めている様子に親れいむは目をひんむいて青筋を立てた。 赤れいむと赤まりさが 「みゃみゃー!まりしゃもゆっくちあそびたいよ!」 「れいみゅもぺーろぺーろして!」 と言うが、親れいむは「うるさいよ!」と赤ゆどもを一喝した。 夜は斜面で寝ると穴に落ちそうなので、親れいむの頭に乗せてもらう。 一度口の中に入ろうとしたが、れいむが猛烈に怒りだしたので二度とそうしなくなった。 「うんうんのついたからだで、くちのなかにはいるなんてきたないでしょ!ゆっくりりかいしてね! そっちはおりぼんがよごれるから、もっとはしによってね!」 「ゆぇええ~ん!」「ゆわぁぁああ~ん!」 「おねーちゃんたちくちゃいよ!」「こっちよらないでね!」 茎の妹たちも姉ゆたちを邪魔者扱い。 最近では、「さっさとあなにおちればいいのに」なんて事を聞こえる声で言うようになった。 親れいむもそれを否定しない。 そんなある日、事件が起きた。 赤ゆどもがプチではなくトマトサイズになった頃 親れいむの頭上からバサッと茎が落ちたのだ。 それもそのはず、人間は茎と実の間にボンドで細工をしたものの、大元の親れいむの方には何もしていない。 ゆっくりの茎は全ての実がおちると茎が空洞化し、自然に茎が落ちるものだが そうならなくてもある程度の力が加われば親と茎は、ちぎれて離れる。 それがちょうどトマト2個分であった。 「ゆっくりおちるよ!ゆべっ」 「れいみゅ、おそらをとんでいるみたい!ゆびゃっ!」 その落ちた茎にれいむとまりさがしゃぶりついた。 いままでうんうんしか食べたことがなかった2匹にとって初めての食事。 「むーちゃむーちゃ!ちあわちぇー!」 「うっめっ!これめっちゃうっめ!」 「やめてねれいむのくきをたべないでね!ゆぎゃぁああ!いちゃいよぉおお!」 「くきからまりさのあんこがでてるよ!やめてね!ゆぴぃいいいい!」 ボンドで固定されている2匹は体と茎とかいまだに離れず、落ちた衝撃で体内の餡子が茎へと逆流し まるで茎がストローの様に餡子を吸い出している。 それが食べられているのだから、体に大きなストローを刺されて内臓を吸いだされているのと同じだ。 寝ていた親れいむが目を覚ますと 頭が軽くなったことに気づき、それが目の前に落ちている食い散らかされた茎と 干からびている2匹の赤ゆが目に入った。 「どぼじでおちびちゃんをたべちゃうのぉおおお!おちびちゃんのいもうとでしょぉおおお!」 「ゆ?まりさたちはごはんをたべてるだけだよ!」 「おかーしゃんはうんうんをうむきかいのくせに、いつももんくがおおいいよ!」 その時、れいむを固定していたベルトが外れた。 鼻息をフーフーっと荒げながら、久しぶりの跳躍をする親れいむ。 赤ゆはトマトサイズまで大きくなっているが、それでもバスケットボールサイズとではまるで大きさが違う。 「ゆっ?」 赤れいむの真上に影ができたと思いきや、次の瞬間にはプチュンッと子気味よい音をさせて茶色いシミが広がっていた。 「ま、まりしゃはいいこだよ!わるいのはぜんぶれいみゅだよ!」 じょじょーっと砂糖水を漏らしている。 ふと、アクリル板の向こう側をみると 親まりさと赤ありすたちがお唄を歌っていた。 「ゆっゆっゆっ~♪」 まりさの調子はずれな音程に赤ありすがつづく。 「ゆっゆっゆっ~♪」「ゆっくり~♪」「していってね~♪」 「とっても、とかいはなおうたね!」 「おにーさんがけーきをさしいれてくれたわよ、みんなでたべようね!」 自分が毎日こんな苦しい目にあっているというのに、まりさは美味しいものを食べて どこのゆっくりと作ったかわからない子供と遊んでいる。 その怒りは赤まりさへと向けられた。 「まりしゃはいいこだよ!だからゆっくり・・・ゆべっ、やめちゃ・・・ゆぎゃ! いちゃい・・・ぴぎゃ!たちゅけ・・・ぶぴゅ!」 一撃で楽にしようとは思わない。 わざと手加減をして何度も何度も念入りに体当たりをした。 そして数分後、正気をとりもどしたころにはもはや原型を留めていたない餅だか団子だかよくわからないものが転がっていた。 「ふひひ・・・れいむのあかちゃん・・・どこいったの・・・ひゃひゃひゃ」 れいむの目はうつろ、焦点が定まらず右目と左目が別々の方向を向いていた。 口からは涎を垂らして、しきりに笑い声が漏れている。 お唄が終わったまりさとありすは ケーキを囲んで、ゆっくりと団欒している。 「れいむはまりさよりも、ずっとおうたがじょうずだったんだよ!」 「ゆっ、さすがとかいはなおかーしゃんね!」 「ありしゅもおかーしゃんにあいたいわ!」 「あったらすーりすーりしてもらおうね!」 「ありしゅたちのおかーしゃんなら、きっととってもゆっくりしてるわね!」 「おかーしゃんにもこのけーきたべさせてあげたいわ!」 ピッピッと機械音がすると ガーっと部屋を遮っていたアクリル板が上がっていく。 すると、そこにはしーしーを漏らしながらケタケタと笑う成体のれいむがいた。 飾りのおかげで、それがあのれいむである事がわかるが、まるで変わり果てている。 一歩動くごとにブピュッブピュッと頭の後ろから餡子が漏れ出しているが本人が気づいていない。 栄養を送る管が抜けたため、今度はそこから餡子が漏れていた。 「おちびちゃんが・・・いちぃ・・・にぃ・・・いっぱぁ~い・・・こんなところにいたぁ・・・うひひひひ」 飛びあがる親れいむ。 あっけにとられている赤ありすが2匹下敷きになった。 「ゆぴゃ!」「ぴきゅ!」 ケーキにカスタードが混ざって汚いデコレーションケーキになった。 親れいむはそのまままりさの方へ突進し、まりさの顔にベチャッとカスタードケーキがへばりつく。 古典的なパイ投げコメディの様な姿になったが誰も笑わない。 「おめめがみえないよぉおお!れいぶやめてぇえええ!」 仰向けに倒れたまりさのぺにぺにのあたりを噛力で砕けてギザギザになった歯が襲う。 「ぎゅぴぃいぃいい!まりざのぺにぺにがぁあああ!」 おとーさんをいじめないでね!と1匹のありすが割って入ろうとしたが 「おと・・・」の時点で踏み潰されて姉妹と同じくケーキをカスタードで都会派なコーディネートをしただけだった。 後頭部から致命傷になるほど餡子をブリュブリュと吐き出して ようやく、まりさへの暴力はおわったが 「けふひゅ・・・これはゆめだよ・・・まりざは・・・ゆっくりめをざまず・・・よ・・・もっとゆっくり・・・し」 すぐに息絶えた。 「まりざぁァア・・・どこにいるのぉおお・・・」 れいむは死ななかったが、それでも動けないほどの餡子を失い虫の息だった。 呆然と生き残った2匹の赤ありすが固まっている。 そこへ、ガラッとスライド式のドアを開けて人間が入ってくる。 「いや~おわったおわった。それじゃあお前たちは森に返してあげよう」 目の粗い籠に虫の息の親れいむと、なにがなんだかわからない赤ありすを放り込むと そのまま外へ出て、もともとれいむとまりさが住んでいたあたりへと運んだ。 「このれいむも元はといえばあのまりさにそそのかされて畑を荒らしてただけだからな命だけは助けてやろう。 もっとも、このまま放っておけばそのうち死ぬだろうが チビありすは恨むなら畑お襲ったゲスまりさと、レイパーありすを恨めよ! ケーキに比べたらここのメシはまずいだろうが、まあ頑張れ!」 そう言い残して、人間は去っていった。 寒空の中、呆然としている2匹の赤ありす。 ぴゅーっと北風が吹いた。 「みゅ・・・しゃむいわ、ここはどこなの!」 「ありしゅもうおうちかえりゅ~!ゆえ~ん!」 「う・・・ぐ・・・まりざぁ・・・はやく・・・かえってきて・・・」 かろうじて息がある親れいむ。 後頭部からは相変わらず餡子が漏れ出していて、ブッ・・・ブブッと汚い音を出している。 「ありしゅたちはおとーさんとゆっくりしてたのに、このおばさんのせいで・・・」 「このいにゃかもの!おとーさんをかえして!」 赤アリスの体当たりが追い討ちをかける。 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっくり~・・・していってね~・・・・ゆっくり~♪」 瀕死とはいえ、赤ありすの体当たりは親れいむにはまるで効いていなかった。 虚ろな目でまりさが上手だよと言ってくれたお唄を歌いだす。 「ゆっ!このとかいはなうたは!おとーしゃんがいつもうたってたおうたよ!」 「まさか、このおばさんは・・・!おかーしゃんなの?」 「ゆっ♪・・・ゆっくり~・・・♪」 「おかーしゃん!おかーしゃんごめんなさい!」 「ゆっくりちていってね!ゆっくりちていってね!」 季節は冬間近。 ほとんどの動物は冬眠の準備を終えた誰もいないはずの森の奥から「ゆっくり~♪」と音程のおかしな歌声が聞こえていた。 やがて、風の音に歌はかき消され それからもう森から歌が聞こえることはなかった。 終わり。 ーオマケー 親れいむの体にすりよってしきりに謝る2匹の赤ありす。 「おかーしゃん、けがをしてるわ!」 「いまありすが、たべものをもってくるわね!」 2匹の赤ありすがピコピコッと跳ねて森の奥へと入っていく。 産まれてから人間のごはんやお菓子を食べてきた。 だから何が食べられる物なのかわからない。 石の下に蠢いていた虫を捕まえて、口にいれてみたが苦くてとても食べられたものじゃない そこら辺りに生えている草もそう。 あてもなく森を彷徨って、ゆっくりの巣を発見した。 大半の動物は冬前に越冬のための準備を終えるが、ゆっくりのほとんどは冬になってから冬篭りをする。 だから、まだ入り口が閉ざされていない巣があった。 「ゆっ、とかいはなありすにはせまいいえだけど これならおかーしゃんもありすもこごえないですむわ!」 奥には産まれたばかりのプチトマトサイズの赤れいむが5匹と、赤まりさが4匹いた。 「おねーしゃんだれ?ここはまりしゃのおうちだよ!」 「そのごはんは、おかーしゃんがあつめたれいみゅたちのごはんだよ!」 「たくさんごはんがあるなら、ありすたちにわけてね! おちびちゃんたちはちいさいから、ありすがびょうどうにやまわけするわよ!」 そう言って、山となっている餌の5分の4ほどを自分のほうへ引き寄せた。 これにおこった赤ゆが、ありすにつめよってくる。 「かってにはいってきて、ごはんをとらないでね!」 「ゆっくちできないおねーしゃんはでちゃいってね!」 「わがままをいうおちびちゃんはきらいだよ!」 ぽかりっ ありすが先頭にいた赤まりさの頭を突き出した体でこづいた。 「ゆぎゅっ・・・ゆわぁぁぁあああん!」 泣き出す、赤まりさ 他の赤ゆたちも、それをみて赤ありすから離れる。 「このよは、じゃくにくきょうしょくだよ! おまえたちはそこでゆっくりしててね!」 さっそく、勝ち取ったごはんをほうばるありす。 乾燥している虫とキノコ、それに硬い木の実だ。 「ゆ・・・まじゅい!これぜんぜんあまくないよ!ありすはとかいはなあまあまがたべたいわ!」 2匹はそう喚き散らすと、巣の中にあるものを捨てだした。 ゆっくりできない食料に、赤ゆが大切にしていた小石、それからお布団に使っていた葉っぱ。 次々と剥ぎ取っては外へ捨て自分達が生まれ育った何にもない部屋を作ろうとしている。 「やめちゃね!まりしゃのちゃからものが!」 「それはおかーしゃんたちがあつめてくれたごはんだよ!ゆぇえ~ん!」 「ゆっ、おちびちゃんたちそのおはなはなにかしら?」 お花の輪が目に入った。 これは赤ゆたちが親にプレゼントするために一生懸命作った花飾り。 「むーしゃ、むーしゃ、それなり~!」 「むっちゃむっちゃ、とかいはじゃないけど、まずまずたべられるわね!」 「ゆわぁぁああ~ん!」「ゆぇええ~ん!」「ゆわわぁ~ん!」 そこへ、ヌッと巨大な影がありすに覆う。 「もっとおはなをたべさせ・・・ゆべっ!」 「ありすたちは、とかいはなこーでぃねーとをしてあげただけ・・・ぶきゅっ!」 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり ゆっくりいじめ系1935 しゃべらないゆっくり ゆっくりいじめ系1940 愛されまりさの一日 ゆっくりいじめ系1993 加工場産の赤ゆっくりを育てる 前編 ゆっくりいじめ系1994 加工場産の赤ゆっくりを育てる 中編 作者:まりさ大好きあき?
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ゆっくり夢幻 第一夜 こんな夢を見た。 腕組をして枕もとに座っていると、あおむきに寝たゆっくりれいむが、静かな声でゆっくり死ぬよと言う。 れいむは赤いリボンを枕に敷いて、輪郭のやわらかな饅頭顔をその中に横たえている。 真っ白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、口の中は若干赤い。 とうてい死にそうには見えない。しかしれいむは静かな声で、もう死ぬよとはっきり言った。 自分もたしかにこれは死ぬなと思った。 そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗き込むようにして聞いてみた。 死んじゃうよ、と言いながら、れいむはぱっちりと眼を開けた。 勝気なうるおいのある眼で、長いまつげに包まれた中は、ただ一面に真黒であった。 その真黒なひとみの奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。 自分は透きとおるほど深く見えるこの黒眼のつやを眺めて、これでも死ぬのかと思った。 それで、ねんごろに枕のそばへ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。 するとれいむは黒い眼を偉そうにみはったまま、やっぱり静かな声で、ゆっくりしたけっかがこれだよと云った。 じゃ、私の顔が見えるかいと一心に聞くと、ゆっくりみえているよと、反り返ってみせた。 自分は黙って、顔を枕から離した。腕組をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。 しばらくして、れいむがまたこう云った。 「しんだられいむをうめてね! 大きなしんじゅ貝であなをほってね! そしておそらから落ちてくる星のかけらをおはかにおいてね! そしておはかのそばにゆっくりまっていてね! れいむはあいに来るよ!」 自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。 「お日さまがでて、お日さまがしずんで、それからお日さまが出て、またしずんで―― あかい日があっちからこっちへ、あっちからこっちへとおちていくうちに―― おにいさんはゆっくりまてる人?」 自分は黙ってうなずいた。れいむは静かな調子を一段張り上げて、 「ひゃくねん待っていてね!」と思い切った声で言った。 「ひゃくねんおはかでまっていてね! ゆっくりあいにくるよ!」 自分はただ待っていると答えた。 すると、黒いひとみのなかに鮮やかに見えた自分の姿が、ぼうっと崩れて来た。 静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、れいむの眼がぱちりと閉じた。 長いまつげの間から涙が頬へ垂れた。――もう死んでいた。 自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。真珠貝は大きな滑かな縁の鋭どい貝であった。 土をすくうたびに、貝の裏に月の光が差してきらきらした。湿った土の匂いもした。 穴はしばらくして掘れた。れいむをその中に入れた。 そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。掛けるたびに真珠貝の裏に月の光が差した。 それから星の破片の落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せた。星の破片は丸かった。 長い間大空を落ちている間に、角が取れて滑らかになったんだろうと思った。 抱き上げて土の上へ置くうちに、自分の胸と手が少し暖くなった。 自分は苔の上に坐った。 これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、腕組をして、丸い墓石を眺めていた。 そのうちに、れいむの言った通り日が東から出た。大きな赤い日であった。 それがまたれいむの云った通り、やがて西へ落ちた。赤いまんまでのっと落ちて行った。 一つと自分は勘定した。 しばらくするとまた唐紅(からくれない)の天道がのそりと上って来た。 そうして黙って沈んでしまった。二つとまた勘定した。 自分はこういう風に一つ二つと勘定して行くうちに、赤い日をいくつ見たか分らない。 勘定しても、勘定しても、しつくせないほど赤い日が頭の上を通り越して行った。 それでも百年がまだ来ない。 しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、自分はれいむにだまされたのではなかろうかと思い出した。 すると石の下から斜(はす)に自分の方へ向いて青い茎が伸びて来た。 見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。 と思うと、すらりと揺らぐ茎のいただきに、心もち首をかたむけていた細長い一輪のつぼみが、ふっくらとはなびらを開いた。 真ん丸な赤ん坊れいむが鼻の先でゆらゆらと揺れた。 そこへはるかの上から、ぽたりと露が落ちたので、れいむは自分の重みでふらふらと動いた。 自分は首を前へ出して冷たい露のしたたる、丸いれいむを齧った。 自分がれいむから顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、あかつきの星がたった一つ瞬いていた。 「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気がついた。 第三夜 こんな夢を見た。 赤ん坊まりさをおぶってる。たしかにまりさの子である。 ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰れて、盲饅頭になっている。 まりさが赤ちゃんの眼はいつ潰れたのと聞くと、ずっとむかしだよと答えた。 声は子供の声に相違ないが、言葉つきはまるで大人である。しかも対等だ。 左右は青田である。道は細い。鷺の影が時々闇に差す。 「たんぼへかかったね!!!」と背中で云った。 「ゆっ、どうしてわかるの?」と顔をうしろへ振り向けるようにして聞いたら、 「だってさぎさんが鳴いたよ!!!」と答えた。 すると鷺がはたして二声ほど鳴いた。 まりさは我が子ながら少し怖くなった。こんなものを背負っていては、この先どうなるか分からない。 どこかにゆっくり捨てようと向うを見ると闇の中に大きな森が見えた。 あそこならばと考え出す途端に、背中で、 「ゆゆん」と云う声がした。 「わらわないでね!」 子供は返事をしなかった。ただ 「おとーしゃん、まりちゃはおもい?」と聞いた。 「おもくないよ!」と答えると 「ゆっくりおもくなるよ!!!」と云った。 まりさは黙って森を目じるしにはねて行った。田の中の道が不規則にうねってなかなか思うように出られない。 しばらくすると二またになった。まりさは股の根に立って、ちょっと休んだ。 「いちがゆっくちたっているはずだよ!」と子ゆっくりが云った。 なるほど八寸角の石が腰ほどの高さに立っている。 表には左り日ケ窪、右堀田原とある。 闇だのに赤い字が明らかに見えた。赤い字はいもりの腹のような色であった。 「ゆっくちひだりへいっちぇね!」と子ゆっくりが命令した。 左を見るとさっきの森が闇の影を、高い空からまりさらの頭の上へなげかけていた。 まりさはちょっと躊躇した。 「えんりょちないでね!!!」と子ゆっくりがまた云った。 まりさは仕方なしに森の方へはね出した。 腹の中では、よくめくらのくせに何でも知ってるなと考えながら一筋道を森へ近づいてくると、背中で、「めきゅらはゆっくりふじゆうだね!」と云った。 「だからおんぶしてあげてるでしょおおおお!」 「ゆっ、おんぶありがちょうね! でもばかにしてりゅね! おやにまでばかにされちゃったよ!!!」 何だかいやになった。ゆっくりしないで森へ捨ててしまおうと思って急いだ。 「もうちょっといくとわかりゅよ!――ちょうどこんなよるだったよ!!!」 と背中でひとりごとのように云っている。 「ゆゆっ? なんのこと?」ときわどい声を出して聞いた。 「なんのことって、しってるでちょ!」と子ゆっくりはあざけるように答えた。 すると何だか知ってるような気がし出した。けれどもはっきりとは分からない。 ただこんな晩であったように思える。そうしてもう少し行けば分かるように思える。 分かっては大変だから、分からないうちに早く捨ててしまって、安心しなくってはならないように思える。 まりさはますます足を早めた。 雨はさっきから降っている。路はだんだん暗くなる。ほとんど夢中である。 ただ背中に小さい子まりさがくっついていて、その子ゆっくりがまりさの過去、現在、未来をことごとく照らして、寸分の事実も洩らさない鏡のように光っている。 しかもそれが自分の子である。そうして盲目である。まりさはたまらなくなった。 「ここだよ、ここだよ! ちょうどその杉のねもとだよ!!!」 雨の中で子ゆっくりの声ははっきり聞こえた。まりさは覚えず留まった。 いつしか森の中へ入っていた。一間ばかり先にある黒いものはたしかに子ゆっくりの云う通り杉の木と見えた。 「おとーしゃん! そのすぎの根のところだったね!!!」 「ゆっ、そうだよ!」と思わず答えてしまった。 「ぶんか五年たつどしだったね!!!」 なるほど文化五年辰年らしく思われた。 「おとーしゃんがまりちゃをころちたのは、いまからちょうどひゃくねんまえだね」 まりさはこの言葉を聞くや否や、今から百年前文化五年の辰年のこんな闇の晩に、この杉の根で、一人の子まりさを殺したと云う自覚が、忽然として頭の中に起った。 まりさはひとごろしだったんだねと始めて気がついた途端に、背中の子まりさが急に石地蔵のように重くなった。 第九夜 魔法の森中が何となくざわつき始めた。 今にもスペカバトルが起こりそうに見える。 焼け出された魔理沙が、夜昼となく、屋敷の周りを暴れまわると、それを夜昼となくアリスがひしめきながら追っかけているような心持ちがする。 それでいて森のうちはしんとして静かである。 巣には若い母れいむと子れいむがいる。父まりさはどこかへ行った。 まりさがどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。 巣の中でわらじをはいて、黒い頭巾をかぶって、裏口から出て行った。 その時母れいむのくわえていた雪洞(ぼんぼり)の灯が暗い闇に細長く射して、古い檜を照らした。 父まりさはそれきり帰って来なかった。 母れいむは毎日子れいむに「おとーさんは?」と聞いている。子れいむは何とも云わなかった。 しばらくしてから「あっち」と答えるようになった。 母れいむが「いつかえってくるかな!!!」と聞いてもやはり「あっち」と答えて笑っていた。 その時は母れいむも笑った。そうして「ゆっくりかえってくるよ!!!」と云う言葉を何べんとなく繰り返して教えた。 けれども子供は「ゆっくり」だけを覚えたのみである。 時々は「おとーさんはどこ?」と聞かれて「ゆっくち!」と答える事もあった。 夜になって、あたりが静まると、母れいむはリボンを締め直して、小枝を髪の間へ差して、子れいむを背中へ背負って、そっと巣から出て行く。 母れいむはいつでも素足だった。子れいむはこの饅頭の音を聞きながら母の背中で寝てしまう事もあった。 土塀の続いている涸れ川を西へくだって、だらだら坂を降り尽くすと、大きなイチョウがある。 このイチョウを目じるしに右に切れると、一丁ばかり奥に朱塗りの鳥居がある。 片側は田んぼで、片側は熊笹ばかりの中を鳥居まで来て、石段をぴょんぴょん登ると、暗い神社になる。 鳥居まで来て、それを潜り抜けて二十間ばかり敷石伝いに突き当ると、古い拝殿の前に出る。 ねずみ色に洗い出された賽銭箱の上に、大きな鈴の紐がぶら下がって昼間見ると、その鈴のそばに博麗神社と云う額がかかっている。 博の字が、ゆっくりした書体にできているのが面白い。 そのほかにもいろいろの呪符がある。 たいていは巫女の手にした呪符を、倒した妖怪の名前に添えたのが多い。 たまには帽子を納めたのもある。 鳥居をくぐるとたまに巫女が掃き掃除をしている。 石畳に饅頭肌の音がぴちゃぴちゃする。 それが拝殿の前でやむと、母れいむはまず鈴を鳴らしておいて、すぐにしゃがんでジャンプをする。 たいていはこの時フクロウが急に鳴かなくなる。 それから母れいむは一心不乱にまりさの無事を祈る。 母れいむの考えでは、まりさがゆっくりしたまりさであるから、ゆっくりの神の博麗へ、こうやって是非ない願をかけたら、ゆっくりかなうはずだと一途に思いつめている。 子れいむはよくこの鈴の音で眼をさまして、あたりを見ると真暗だものだから、急に背中で泣き出す事がある。 その時母れいむは、ゆっくりしていってねと叫びながら、背を振ってあやそうとする。 するとうまく泣きやむ事もある。 またますますはげしく泣き立てる事もある。 いずれにしても母れいむは容易に立たない。 一通りまりさの身の上を祈ってしまうと、今度はリボンを解いて、背中の子を前へ廻して、口にくわえて拝殿へのぼって行って、 「あかちゃん、ゆっくりまっていてね!!!」と自分の頬を子供の頬へすりつける。 そうしてリボンを長くして、子れいむを縛っておいて、その片端を拝殿の欄干にくくりつける。 それから二十間の敷石を往ったり来たりぴょんぴょんお百度を踏む。 拝殿にくくりつけられた子れいむは、暗闇の中で、リボンのゆるす限り、広縁の上を這)い廻っている。 そういう時は母れいむにとって、はなはだ楽な夜である。 けれども縛った子れいむにゆんゆん泣かれると、母れいむは気が気でない。 お百度の足が非常に早くなる。大変息が切れる。 仕方のない時は、中途で拝殿へ上がって来て、いろいろすりすりしておいて、またお百度を踏み直す事もある。 こういう風に、幾晩となく母れいむが気を揉んで、夜の目も寝ずに心配していた父まりさは、とくの昔にお兄さんのために虐殺されていたのである。 こんな悲しい話を、夢の中で母から聞いた。 (原案、漱石:夢十夜) ===================================================================== YT 過去作品 その他 エレベーターガール そ その他 変身 そ ゆっくりいじめ系27 幻想鉄道の動物対策 虐 機 霊夢×ゆっくり系2 博麗神社の酒造り 虐 料 その他 諸君私はゆっくりが好きだ そ 美鈴×ゆっくり系2 ほんめーりん×ゆっちゅりー甘甘水責め 虐 そ その他 FireYukkuri そ ゆっくりいじめ系187 終端速度 虐 家 無 永琳×ゆっくり系11 八意永琳のアルティメット・サイエンス 虐 そ ゆっくりいじめ系281 冬眠ゆっくりの子守唄 そ 環 性 家 ゆっくりいじめ系312 乙女よ、森はまだ早い 虐 性 無 ゆっくりいじめ系345 ゆっくり塊魂 虐 魔理沙×ゆっくり系4 ゆっくりの身の程 このSSに感想を付ける
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*警告* 現代物です。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 うんうんあります。 ↓以下本文 「おねえさん! かわいいれいむをゆっくりさせてね!」 家路を急ぐ私を呼び止めたのは、バレーボールより少し小さい、紅白のおまんじゅう だった。amazonの段ボールにはまりこんだ、ふてぶてしい顔。おでこに『ひろってくださ い』と書かれた紙が画鋲でとめられていて、キョンシーのお札みたい。 「ゆっくりかぁ。拾ってあげてもいいけど……あんた一匹?」 「れいむはひとりだよ! ゆっくりていせいしてね!」 「さよなら」 「まってね! れいむはいっぴきだからいっしょにゆっくりしてね!」 「ふーん」 「おねがいしばず! せっかくだからでいぶをゆっくりさせてくだざいい!」 こうして私はゆっくりれいむを手に入れた。 「ただいまぁ」 「ゆっくりするぶぎゅ!」 靴を脱いでいる間に箱から飛びだそうとするれいむを、慌てて押しとどめた。土足で踏 みにじらせるとかありえない。 「あんた汚いでしょ!」 「でいぶはきたなくないよ!」 「いいからあたしが着替えるまでおとなしくてなさい。箱から出てたら叩き出すわよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 とりあえず額のお札だけ剥がして、玄関に置いておくことにした。着替える間、意外にお となしく待っていたれいむを箱から取り出す。両手で持ちあげると、落ち着かないのかぷ るぷる左右に震えてる。 「ゆふーん、はずかしいよ!」 まんじゅうのクセに顔を染めないで。キモいから。れいむを小脇に抱えると、お風呂場に 放り込んだ。一応これ、食品でいいのよね。桶にためたぬるま湯で、中性洗剤を適当に薄 める。 「お、おねえさん! みずさんはゆっくりできないよ!」 「あんたが汚いとあたしもゆっくりできないの」 「やべ、やべでがぼっ!」 白目になって歯を剥いているれいむを構わず両手で沈めると、なんかものすごい悲鳴をあ げはじめた。目と口からしみてるんでしょうね。あとでジュースかければ復活するでしょ。 私は痙攣している間に洗ってしまうことにした。 皮を破ってしまわないよう、気を付けて揉み洗い。地面に触れている底はとくに念入り に。ゆっくりだし、髪の毛も洗剤でいいや。ざぶざぶ洗って泡をシャワーで流したらでき あがり。あとは布巾ででも水気を取って、ドライヤーで乾かせばいいかな。 「ゆっ、ゆっ? すっきりー!」 「あたしが洗ってあげたんだからね」 「おねえさんゆっくりありがとう!」 テーブルに置いた布巾の上で白目を剥いているれいむを肴に、湯上がりのおビールを嗜 んでいると、半分くらいになった頃にやっと復活した。奇麗に洗って乾かしたから、寒空 に晒されていた時と比べてなかなかもっちりぷるんぷるんになっている。どういうわけか、 それは自分でもわかるみたい。もにもにと自分を確かめて、嬉しそうな顔をしているれい むを横目で見ながらビールを一口。 「ゆっ! おねーさん、ゆっくりできそうなおかしだね!」 「あ、ダメ!」 私が手を出すよりはやく、れいむはおつまみにしていた柿ピーの小皿に顔を突っ込んだ。 「むーしゃ、むーしゃ、ゆ゙ぎゃ゙あ゙あ゙!」 ガクガク痙攣し始めたれいむの半開きの口に手を突っ込んで、柿ピーを取り出す。ゆっく りは本当に人の話を聞かないのね。こいつが捨てられたのもわかる気がする。口から垂れ ている砂糖水を布巾で拭いて、べたべたする手を洗う。 「これどくだよ! しぬかとおもったよ!」 「これに懲りたら人間の食べ物を食べようとしないことね」 そうは言っても、ゆっくりの餌になるようなものはよく考えたらウチにはないような。 「あー」 そういえば、去年くらいに買ってそれっきりの缶詰のあんこがあったはず。台所をがさが さ探すと、ツナ缶のところにやっぱり缶詰があった。これならゆっくりでも食べられるは ず。別に温めなくてもいいよね。缶切りであけて二掬いくらい小皿にとった。ゆっくりの エサは明日買ってくるとして、それまでこれでもたせよう。 「ほい。おかわりはないからね」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 うわっ、一舐めで食べちゃった。涙まで流して喜んでるみたいだし、これでよさそうね。 このあんこゆっくり100%だから、毒になるってことはないでしょ。置いてある物には絶対 触らないとか、騒がないとかなんやかや教えてる間にうつらうつらし始めたから、段ボー ルに雑巾敷いた巣箱に放り込んだ。下膨れのウザ可愛い寝顔をつつくと、ゆぷー、だのぷ にゅー、だの寝言を言い始めた。おとなしくしていれば、こんなのが部屋にいても別に嫌 じゃないような気がしてくるのが不思議なものね。 「なんであんこが落ちてるんだろ」 「れいむのうんうんだよ!」 なんですとー?! まんじゅうのくせにうんうんとか、しかも床に! 私のどようびー は朝からぶちこわしです。本当にありがとうございました。軽くググったら、ゆっくりに はうんうんと称して古くなったあんこを排出したり、しーしーと称して砂糖水を出す種類 もいることがわかった。そして、簡単にその機能が排除できることも。あんこは拾って捨 てるだけだけど、砂糖水をその辺に撒かれたりしたら、たまったもんじゃない。 「おねえさん、れいむとゆっくりしてね!」 「少し待ってなさい」 足にぼいんぼいん体当たりしてくる柔らかい物体を軽く踏んづける。ぶにょっとした感 触が逃れようともがくのは、なかなか珍妙でくすぐったい。さっき動画で見た通りに小麦 粉を水で練って皮をつくって、昨日あけたあんこ缶を冷蔵庫から出しておく。 「ゆっ、ゆっ?」 「あったあった、これね」 ひっくり返すとそれらしいすぼまりがあった。ゆっくりがまむまむとあにゃると称する 器官のようなもの。ひっかき傷のために犬猫の爪を抜いてしまうのは可哀想だし、何か違 う気がする。飼い主の義務の避妊手術とは違うと思うし。でもゆっくりは生き物じゃない。 人間の都合で飼う、生命の尊厳ある動物とは違うんだから、いちいち面倒につきあうのは イヤ。私はれいむの下膨れのあごのあたりにりんごの芯取りを押しあてる。あんまり気持 ちのいいものじゃないけど我慢がまん。 「おねえさん、なんだかちくちくするよ! ゆっくりやめてね!」 ゆっくりとは、うまくつきあうコツがある。常に強気であたること。理解するまで教え ること。言うことに耳を貸さないこと。どうせ大したことは言ってないから。 「ゆ゙ぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 じたじた暴れるれいむを押さえつけ、芯取りをねじこむ。皮を突き抜いてしまえば、あと は中身のあんこだけ。いっぱいまで突き入れた芯取りを引き抜くと、皮とあんこが繋がっ てまとめて出てきた。れいむが白目になって固まってる間に、次の処置。昨日のあんこを 際まで指で詰めて、さっき練っておいた皮でふたをして、指の腹で伸ばしてひろげる。 ぎゅっとおさえて張り付けたらできあがり。次は後ろを向けて、あにゃるも同じようにま わりごとくりぬいて、あんこを詰めて小麦粉で塞ぐ。二回目になれば慣れたものです。こ んな技術には習熟したくないものです。 「おねえさん、うごけないよ! れいむをゆっくりおこしてね!」 「今起こしてあげるから、ゆっくり待ってなさい」 朝ご飯のゆっくりシリアルをぼりぼり食べていたら、台所に放置されていたれいむの声 がする。知らなかったけどゆっくりはひっくりかえしておくと動けないみたい。今度何か 悪さしたらひっくりかえしてお仕置きね。 「おー、ぴっちりふさがってる」 「ゆゆっ、くすぐったいよ! おねえさんなにいってるの?」 「こっちの話」 裏返しのれいむのあんよのあたりを撫でてみる。皮は完全に馴染んで、そこに器官のよ うなものがあった形跡はカケラもない。ひっくり返してやると、ぽいん、と飛び降りて、 こちらを向いて嬉しそうに跳ねた。 「ゆっくりしていってね!」 「はいはい、ゆっくりしなさいよ」 以降、れいむがうんうんやしーしーをすることはなくなった。単に塞ぐだけじゃなくて、 そのあたりの中身ごと切除すると、自分がそんなものを出していたことも忘れるみたい。 後日、私が出かけている間にれいむがおうたと称してゆんゆん騒いでいたそうで、目玉 を取り外して手を突っ込んで、左上あたりのあんこを一掴み入れ替えるハメになったのは また別の話。 書いた物リスト 紅魔館×ゆっくり系12 突発ゆっくり茶会 ゆっくりいじめ系464 森に魚を求める ゆっくりいじめ系540 ゆっくり水雷戦 ゆっくりいじめ系1097 アストロン ゆっくりいじめ系1014 どすのせいたい ゆっくりいじめ系1907 品評会 ゆっくりいじめ系2137 朝の光景 ゆっくりいじめ系2200 街はゆっくりできない その他 ゆっくりの手引き ゆっくりいじめ小ネタ259 緩慢しんぼ ゆっくりいじめ小ネタ364 ぱちゅりーにごほんをよんであげよう
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虐待いじめ成分なし 明日は年に一度の博麗神社例大祭。 博霊神社の前には多くの出店が並び、人々が明日の祭りに向けて精力的に動き回っている。 この博霊神社例大祭、来る者は人間だけではない。 人間に混ざって妖精、妖怪、果てには神までもが参加する、幻想郷最大のイベントだ。 妖精や妖怪が来るのに人間が集まるのかと思う人もいるだろう。 確かに、軽いけが人は毎年出ているが、死人が出たことは、長い例大祭の歴史を振り返っても、一度としてなかった。 博霊の巫女が(人間から賽銭欲しさに)妖精や妖怪に睨みを利かせているのもあるが、基本的に幻想郷の連中は種族問わず、皆祭りが好きなのだ。 こんな日まで、血生臭い話題で祭りを汚したくないのだろう。 そのため、妖精や妖怪の妨害などもなく、準備は滞りなく進んでいった。 男は出店の前で煙草を吸っていた。自分の出店の準備が終わり、一息付いていたところだった。 男は祭りの定番である、風船屋の出店を出している。 店を出し、カラフルな風船を準備しガスを用意すれば、それで準備は終わりだ。 といっても、自分のところが終わったからさあ帰ろう!! とは、そうは問屋がおろさない。 人々が助け合い協力して生活している幻想郷では、一人は皆のために、皆は一人のためにが当たり前。 これから他の出店の準備の手伝いもしなければならないから、今夜は徹夜になるだろう。 これは忙しくなる前の最後の一服だ。 男は時計を見て、もう少し時間は大丈夫だろうと、もう一本煙草を取り出そうとした時、店の後ろに茂みで、ゴソゴソと何かが動いていた。 どうせ祭の定番動物、猫か狸だろうと考えながらも、商品が駄目にされることもあるので、さっさと追い出そうと店の裏に回った。 しかし、そこにいたのは猫でも犬でも狸でも狐でもなかった。 「ゆ!? やっとついたよ!!」 茂みから出てきたのはゆっくりだった。 初めはれいむ種一匹だけかと思ったが、その後ろには、子れいむや子まりさが数匹親の後について出てきた。 子まりさがいるということは、れいむとまりさの番なのだろう。 しかし、親まりさが居ないというのは、何かしらゆっくり出来ない事態に巻き込まれたということか。 ゆっくりの世界では、特別珍しいことではない。 農家の連中からは、害獣の一種と思われ駆除の対象となっているが、男は里で小さな個人店を営んでいるので、あまりそういった酷いゆっくりは見たことがなかった。 そのため、ゆっくりに対し嫌悪感は持っていない。 大方、人間たちが忙しく何をしているのか気になって見物に来たのだろう。 男は暇つぶしにちょうどいいと、ゆっくりの一家に声をかけた。 「おい、お前ら。ここに何しに来たんだ?」 「ゆゆっ!! おじさん、ゆっくりしていってね!!」 「今はゆっくりしてるが、もうすぐそれも終わりだな。後少ししたら、また仕事をしなくちゃならん」 「おじさんたちはなにをやってるの? ゆっくりれいむたちにおしえてね!!」 「祭りの準備をしてるのさ」 「まつり? まつりってなあに?」 「祭りってのは、みんなで集まってうまいものを食べたり遊んだり歌ったり踊ったりすることだ。まあ、お前らふうにいえば、いっぱいゆっくり出来る行事ってところか」 「ゆゆっ!! いっぱいゆっくりできるの? れいむたちも、まつりをやりたいよ!!」 「そうはいってもなあ……」 男は口を濁すが、れいむたち一家は男の態度に気付かず、もう自分たちも参加する気でいた。 「まりしゃもおいちいものたべりゅよ!!」とか「りぇいむたちもおうたをうたおうね!!」とか、大いにはしゃいでいる。 そんなゆっくり一家を見て、男は少し憐れそうな顔をしていた。 どこぞの飼いゆっくりならともかく、金も持ってない野良ゆっくりなどが祭りに参加できるはずもない。よくて追い返され、悪ければ屋台を狙う害獣として殺されるか、出店の商品にされるだろう。 今回の例大祭は、仮に名前を付けるなら、ゆっくり例大祭といっても過言ではない。 ゆっくりの丸焼き、ゆっくり飴、ゆっくり釣り、ゆっくりクジ、カラーゆっくりなど、ゆっくりを商品として並べる店が勢ぞろいしている。 例え無事祭に参加できても、そんな大量のゆっくりの死体に囲まれては、こいつらもゆっくり出来ないだろう。 そんなところに何の悪さもしていないこいつらを行かせるのも気が引ける。 そこで、男はこのゆっくり連中を少し遊ばせて、森に帰らせることにした。 「残念だがお前らは祭りには参加出来ないんだ」 「ゆゆっ!? どうして? ゆっくりせつめいしてね!!」 「実はな、この祭りにはゆっくりれみりゃがやってくるんだ。お前たちがいたら、れみりゃに食べられるぞ」 「ゆ――――!!! れみりゃ!! ゆっくりにげるよ!!!」 一家はれみりゃの単語を聞いたとたん、男に背を向けて、逃げようとした。 しかし、男はそんな一家に、「まあ待て!!」と、この場に留まらせる。 「おじさん、ゆっくりてをはなしてね!!」 「待てって言ってるだろ。話は最後まで聞け。確かにれみりゃが来るとは言ったが、来るのは明日だ。今日はいないよ」 「ゆっ? ほんとうに?」 「本当だ!! そんなわけだから、明日の祭りにはお前たちは参加出来んが、それもかわいそうだからな。特別に今おじさんが面白いことをしてやろう」 「おもしろいこと? ゆっくりやってみせてね!!」 男は出店から一個の風船と、足もとに置いてあるガスボンベのホースを掴むと、風船に空気を入れた。 「ゆゆ―――――!!!!」 子ゆっくりより小さな風船が、いきなり親より大きくなって驚く一家。 男は器用に風船の口を縛り、紐で結ぶと、手近の重い石に結び重しにした。 それを一家の前に置いてやる。 「お、おじさん!! いきなりおおきくなったよ!! ゆっくりせつめいしてね?」 「これは風船というものだ。空気を入れると膨らむんだ。触ってみな」 触ってと言われるも、一家は今まで見たことのない怪しげな物体に尻込みしている。 仕方がないなと、男はその風船を軽く叩き、左右に揺らしてみた。 ボクシングのサンドバッグのように、左右にゆっくり揺れてはゆっくり戻る風船が気になったのか、親れいむが恐る恐る風船に触ってみた。 するとどうだろう。れいむの力で風船が簡単に動くではないか!! これにはれいむもビックリした。 自分より大きくて動かせるような物体は自然界にはそうそう存在しない。 岩にしても、石にしても、木にしても、自分と同等かそれ以上の物体は、どんなに力を入れても動かせないものばかりだった。 しかし、目の前の風船は、自分よりはるかに大きいにも関わらず、れいむが軽く触っただけで動かせるような物体なのだ。 これなら力の弱い子供たちでも簡単に動かすことが出来るに違いない。 れいむは興奮を抑えることができず、子供達も触ってみなと場所を譲る。 最愛の親が言うならと、まず一匹の子まりさが風船に触ってみた。 すると、れいむ同様軽く触っただけで動かせる風船に驚き、何度も風船に触っては、風船の面白さの虜になっていった。 そんな子まりさの姿を見て、自分たちもと他の子ゆっくりたちが一斉に風船に群がっていく。 自分の体の何十倍も大きい風船が、自分一匹の力で動かせる興奮は親以上で、子ゆっくりたちはそんな風船に体当たりをしたり、舐めたりして、風船の魅力にどっぷりハマっていた。 一家はしばらく風船で遊んでいたのだが、一匹の子ゆっくりが風船に体当たりをすると、勢いが良すぎたのか、風船が近くの鋭い石にぶつかり、「パーン!!」と乾いた音をたてて破裂した。 「ゆぎゃっ!!!!」 いきなりの破裂音に驚き、腰を抜かす一家。 体当たりした子ゆっくりなど、衝撃で泡を吹いて倒れている。 「お、おじさんっ!! ふうせんがなくなったよ!!」 しばらく風船の破裂に驚いていた一家も、ようやく立ち直ったのか、親れいむが男に尋ねる。 「割れて無くなったのさ。風船はな、こういうトゲトゲしたものに当たると、簡単に割れて無くなってしまうんだよ」 風船を割った石を持って、一家に説明する。 しかし、一家は案の定というか、意味が分かっていないようだ。自然界にない風船に、どうしても理解が及ばないのだろう。 男は仕方がないなと、二度三度かけてゆっくり説明してやった。 ビニール袋を息で膨らまし、それを実際に割ってみせることで、原理はともかく、尖った物を当てれば割れるということはなんとか理解できたようだ。 「おじさん!! もっとふうせんをつくってね!!」 親れいむは男にお願いをする。 別に風船の値段などたかが知れてるので、もう一つ膨らましてやっても構わないのだが、同じことを繰り返してもつまらない。 そこで男は面白いことを思いついた。 「もう一個風船を作るより、もっと面白いことをしてやるよ」 「もっとおもしろいこと? ゆっくりやってみせてね!!」 そういうと、男は適当な子ゆっくりを掴みあげる。 大切な子供をいきなり取られ、親れいむは「なにするの!?」と男に詰め寄るが、男は「大丈夫だよ」と、ゆっくりれいむを制した。 そういわれてもれいむは不安顔を崩さないが、風船を見せてくれた男を多少信用しているのか、口を出さなくなった。 おそらく今まで森から出たことがなく、人間の恐怖を味わったことが無いのだろう。 何にも悪いことをしていない自分たちに、酷いことをするはずがないと、認識しているに違いない。 まあ、男もいじめや虐待をするつもりはさらさらないので、れいむの心配は杞憂に終わるのだが。 男は、子ゆっくりを大きめの透明なビニール風船に入れると、その中にボンベのホースを差し込み、空気を入れた。 「ゆっ!? かじぇがはいってくりゅよ!!」 袋に入れられた子ゆっくりが、ヘリウムガスの風に驚き、袋の中で逃げまどう。 男は少し風船に余裕を持たせガスを注入すると、さっきと同じように、口を長めの紐で縛って、飛ばないよう重い石に括り付けた。 「ゆゆっ!!!」 子れいむが、ビニール風船の中で、アヒル声で驚きの声を上げる。 ヘリウムで声が変わったせいだ。 ミニトマトより少し大きいくらいの子れいむなら、風船一個でも余裕で浮かぶことが出来るだろうとの考えだったが、案の定、浮くことが出来たようだ。 子れいむは、初めこそ自分がどういう状況に置かれているのか理解できていなかったが、次第に自分が親や姉妹、男より高い位置にいると分かると、楽しさが込み上げてきたようだ。 男は紐を伸ばして、凧上げのように、子ゆっくりの風船を高く舞い上げる。 木よりも高い場所で止まると、出店ばかりか、自分の巣のある森まで丸見えだ。 「ゆゆ――――!! りぇいむ、ほんちょうにおしょりゃをとんでりゅよ―――!!!」 子れいむは、ビニール風船の中で、飛ぶ興奮を抑えきれず飛び跳ねている。 それに合わせてビニール風船も軽く上下しているが、少なめにガスを入れているし、子ゆっくり程度の重さなら、まず割れることがないだろう。 それを見て羨ましくなったのか、他の子ゆっくりたちも男の前に来ては、「おじしゃん!! りぇいむ(まりしゃ)もおしょらをとびたいよ!!」と、おねだりをしている。 果てには、親れいむまでもが羨ましそうに、「れいむも、あかちゃんたちのあとにゆっくりふうせんのなかにいれてね!!」と言ってくる始末。 これには男も困った。 風船はともかく、ガスはそう安くない。たくさんガスを使えば、明日風船をたくさん売っても、採算割れする可能性がある。 しかし、この男は子供や動物に弱い。それはゆっくりも同じで、元々自分から進んで始めたことだ。 1匹にやれば全員にというのは容易に予測できたし、苦笑いしながら採算度外視覚悟で他の家族もやってやることにした。 まず子ゆっくりから、透明なビニールに入れて浮かせてやった。 数は全部で8匹。 子ゆっくりたちの無邪気で嬉しそうなアヒル声が、風船の中から響いてくる。 ここまで喜ばれれば、冥利に尽きるというものだ。 「おじさん!! れいむもゆっくりはやく、おそらをとびたいよ!!」 すべての子ゆっくりが浮かぶのを待って、親れいむが次は自分たちの番だと、男にせっついてくる。 自分がゆっくりすることが一番と考えるゆっくりだが、ちゃんと子供に先を譲るあたり、野生のゆっくりにしては、中々出来た親のようだ。 しかし、ここで問題なのは、親れいむをどうやって飛ばすかだ。 このれいむは、成体ゆっくりと比べ、少し小さく小ぢんまりとしている。おそらく、成体になるかならないかというところで、子供を作ったのだろう。 もしかしたら、親まりさが居ないのはそのせいかもしれない。母体が若すぎると、子供に栄養を取られ死んでしまうからだ。 それにしても、この若さで子を作り、よく未熟児や奇形児が出来なかったものだ。運が良かったとしか言えない。 まあそれはともかく、完全には成体になっていなくても、親れいむはバレーボール大の大きさがあるので、さすがに風船の中に入れることは出来ない。 祭りのゴミを入れる大きなビニール袋もあるが、透明なものがなく、中に入れても外が見れなくなってしまう。 自分が本当に浮いているのか分からなければ、楽しさも半減だろう。 そこで、男はれいむを風船の中に入れるのではなく、外から風船で釣り上げることにした。 これならばれいむも外が見れるし、れいむを浮かせるのに子ゆっくりたちの入った風船を使えば、ガスも多少温存できる。 男は、他の出店を出している仲間から小さな網を貰ってきた。 網といっても、漁で使うような細い糸ではなく、糸が5mm程度の太さのあるものだ。 この小さなハンモックにれいむを乗せて、浮かせるのだ。釣り糸のような細い網でやると、れいむの体重で、ところてんのように体が切れてしまうだろう。 まずハンモックにれいむを乗せて、ハンモックの四つ角に2匹ずづ、子ゆっくりたちの風船を縛りつけた。 しかし、これだけでは親れいむを浮かせるには不十分だったようで、男は大きな風船を計16個膨らませると、それを四つ角に四つずつ結び付けていった。 「ゆゆっ!! れいむもおそらをとんだよ!!!」 子ゆっくりの風船も合わせて、合計24個の風船で、親れいむの体が空に舞いだした。 というか、少々風船の量が多かったようだ。おそらく16~18個でも、十分に飛べただろう。 ガスを無駄にしてしまったことを、男は悔いた。 ハンモックから延びた紐を、出店の柱に括りつける。 さすがに、そこらの石では重石にもならないだろう。石といっしょに一家が飛んでいくのが目に浮かぶ。 「おじさん!! れいむたちをゆっくりたかくあげていってね!!」 親れいむが、ハンモックの中から男に頼み込む。 男はそんなれいむの言葉に応えるべく、紐を手に持った。 しかし、一家を高く上げようとした時、遠くから男を呼ぶ声が聞こえてきた。 「おおい!! 休憩中すまないが、手を貸してくれ!! 屋台を運びこむから、たくさん男手がいるんだ!!」 出店仲間が男に応援要請をしてきた。 間が悪いなあと愚痴るも、さすがに手伝いに行かないわけにはいくまい。 どうせ屋台の運び込みなんて、大の大人が集まれば、数分とかからず終わるのだ。 その後、存分に一家を凧揚げしてあげたらいい。 れいむに向き直り、ゆっくりわけを説明した。 「悪いんだが、俺は今から仲間を助けに行かなきゃならん。少しの間、そのまま待ててくれ。帰ってきたら、高く上げてやるからな」 「ゆー……わかったよ。れいむたち、ゆっくりまってるよ!! おしごとがんばってね!! ゆっくりはやくかえってきてね!!」 「分かった分かった!!」 れいむは、残念そうな顔をするも、しっかりと男の言い分を聞いてくれた。 野生のゆっくりにしては、本当に出来たゆっくりだ。以前、どこかで人間に飼われていたのだろうか? 男はそんなことを考えながらも、仲間の元へ駆け足で向かった。 「ゆー。おじさん、いっちゃったね。でも、ゆっくりおじさんをまってようね!!」 親れいむが上を向き、風船の中の子ゆっくり達に声を掛ける。 子ゆっくりはそろってアヒル声で「ゆっくりまってようね!!」とハモる。 れいむは男が帰ってくるのを、地上1mほどの高さでゆっくり待っていた。 初めは子ゆっくり達も親れいむの言葉に従って、ゆっくり男を待っていた。 しかし、子供ゆえの忍耐力の無さがしだいに現れ、初めこそ風船の中でトランポリンのように飛び跳ねたり、隣の風船の子ゆっくりと体当たりごっこをしたりして遊んでいたが、それもすぐに飽きてしまった。 それでも何とか男が帰ってくるのを我慢して待ってたが、いくら待っても帰ってこない男に、ついに忍耐の緒が切れ、我がままを言い始めた。 「おかあしゃん!! ゆっきゅりはやきゅ、おしょらをとびたいよ!!」 「しょうだよ!! おじしゃんがじぇんじぇんもどってきてくりぇないから、ちゅまらないよ!!」 子供の我儘に、親れいむが渋い顔をする。 「もうすこし、おじさんがかえってくるのを、ゆっくりまってようね!!」 親れいむも子ゆっくり同様、この状況に飽き始めているが、男との約束を破るわけにはいかないと、じっと我慢していた。 野生のゆっくりとしては、破格の賢さといっても過言ではない。 実はこの親れいむ、野生には違いないのだが、相方で母体となった親まりさが、以前人間に飼われていたことがあったのだ。 一人暮らしの老人に厳しくも愛情持って育てられた親まりさは、老人が老衰で亡くなると、離れて暮らしていた息子夫婦がその家に住むといって、家を追い出された。 人間に飼われていたため、狩りの仕方や巣の作り方を知らず、途方に暮れていたところを、このれいむと知り合ったのである。 その頃のれいむはまだ幼く、それこそ野生の傲慢なゆっくりそのもので、まりさを助けたのは、人間に飼われていたとても美しいまりさに一目ぼれしたからという打算があったからだ。 最初は一緒に暮らし、人間に迷惑を掛けちゃいけないと、常日頃言うまりさを鬱陶しいと思っていた。 まりさが美しくなければ、すぐに自分の巣から追い出していただろう。 しかし、長く一緒に生活していれば相手を理解できるようになるのは人間もゆっくりも同じことで、れいむも次第にまりさに感化され、何時しかまだ見ぬ人間を信頼するようになっていた。 粗暴で野生的な物の考えも少しずつ鳴りを潜め、自分のことだけでなく、他人も気遣わなくてはならないと考えるようになっていった。 まりさも、次第にそんなれいむに心惹かれるようになり、何時しか夫婦のような関係になっていった2匹は、どちらからともなく互いを求めた。 しかし、ここで不運だったのは、成体でないゆっくりが交尾をすると、朽ちてしまうということを、どちらも知らなかったことだ。 母体となったまりさは、頭に蔓を付けると、その日からどんどん栄養を子供たちに吸収されていった。 れいむはなんとかまりさを助けようと、精一杯食べ物を集めてきたが、まりさの衰弱は目に見えて速くなり、れいむの苦労も空しく、8匹の子供を残し、まりさは朽ちていった。 未熟児や奇形児を一匹も生まなかったのは、まりさの最後の置き土産といったところだろう。 まりさの遺志を継いで、この子供たちを、ゆっくりと賢い子に育てよう。れいむはがんばって子育てに励んでいた。 数日後、子供たちも少し大きくなり、初めて巣の外に出してやると、何やらうるさい音が聞こえてきだした。 遠目から様子を見ていると、人間が忙しそうに動きまわっている。 「おかあしゃん!! あのひとたち、ゆっきゅりちてないね!!」 「なにをやっちぇるにょ?」 れいむも子供たちの疑問に答えられず、自身も何をしているのかが気になり、一度人間に会ってみるのもいいだろうと、家族全員で祭りの準備場所に行ってみることにした。 歩きの遅い子供たちをゆっくり引き連れ、ようやく昼ごろに祭り会場に着く一家。 そこで初めて会った男は、今は亡きまりさが常々言っていた通り、ゆっくりさには少々欠けるが、やさしく穏やかな人間だった。 そんないい人間の期待を裏切るわけにはいかない。れいむは、そう自分に言い聞かせる。 しかし、れいむと違い、生まれてまだ数日しかたっていない子ゆっくりたちに、れいむと同じ考えを持てと言われても、無理があるだろう。 子ゆっくりが飽きてわがままを言うのも、ある意味仕方がない。 れいむは退屈で死んじゃうといった子ゆっくりたちを、何とか宥め、落ち着かせようとしていたが、子供というものは親が言ってどうなるものではない。 むしろ、れいむの言葉に逆らうように、風船の中でぎゃあぎゃあ喚いている。 一体どうすれば子供たちが落ち着いてくれるだろう? れいむが餡子を捻り考えていると、何を思いついたのか、一匹の子まりさが、「いいことおもいちゅいた!!」と、れいむに提案してきた。 「おかあしゃんが、まりしゃたちをおしょらにあげちぇくりぇりぇばいいんだよ!!」 子まりさは名案を言ったとばかりに、目を輝かせている。 おじさんが空に上げてくれないなら、代わりにお母さんが上げてくれればいい。 他の子ゆっくりたちもそれがいいと、れいむに「おかあしゃん、がばっちぇね!!」と、エールを送っている。 もはや、れいむが空に上げてやるのは、子ゆっくりの中で規定事項になっているらしい。 れいむは考えた。 ここで自分が空に上げてしまっては、おじさんとの約束を違えることになる。 しかし、子供たちを宥めるにはそれしかないのも事実だ。 れいむの餡子脳は、どちらの方法がいいのか、こっちに来たりあっちに来たりと忙しなく揺れているが、れいむは少し考えた後、おもむろに決心した。 子供たちの言い分を聞くことにしたのである。 例え甘やかすことになろうと、親としては子供たちの笑顔を見たいものだし、あのおじさんはやさしい人間だから、後で謝れば、きっと許してくれるだろう。 そう決めると、れいむはハンモックから垂れた紐を口に咥えた。そして、その紐を辿り、少しずつ出店の柱に近づいていく。 今、れいむたちが飛べないのは、この紐が出店の柱にくっ付いているからだ。 これを外せば、自分たちは、あの大空へと舞い上がることが出来るだろう。 れいむは、なんとか柱に辿り着くと、結び目を口に咥え、力いっぱい紐を引いた。 ゆっくりであるれいむは分からないが、男は固結びではなく、すぐに外せるように縛っていたので、力を入れなくても簡単に外れるようになっていた。 柱から外れた長い紐が、スルスルと地面を擦っていく。れいむは紐を離すまいと、今だ硬く紐を噛んでいた。 先ほど子れいむを凧揚げするとき、男はこの紐で上手に操縦していた。 だから、この紐さえしっかり持っていれば自分たちはいつでも帰れる。れいむはそう考えていた。 片や紐の端はハンモックに、片や逆の端はれいむの口に咥えられた30mも有ろうかという長い紐。それは大空で、ハイジのブランコのように、風船から垂れ下がっていた。 「ゆゆー!! おしょらをとんでりゅよー!!」 子ゆっくりたちの嬉しそうな声を聞いて、また自身も憧れた大空を飛び、れいむも大満足だった。 約束を破ってしまったおじさんには、帰ったらいっぱい謝ろう。 れいむは心の中で男に謝罪しつつ、子ゆっくりたちと、二度と戻らぬ死出の旅路へと、大空を飛び立っていった。 「まったく、ずいぶん掛っちまったな。あいつら、待ってるだろうな……」 男は一仕事を終えて、自分の出店へと走っていた。 本来なら簡単に終わる仕事だった。 しかし、一人の男性がバランスを崩し、屋台が転倒して半壊してしまったのだ。 さすがに祭りを明日に控え、ゆっくり直している時間はない。 ちょうどたくさんの男手もあるしと、その場で急いで屋台を直すことになってしまった。 好都合にも、屋台骨は無事だったので、必要最低限の修理で終わらせることが出来た。 しかし、おかげでずいぶんと時間を取られてしまった。 男は、一家はさぞお冠だろうなと苦笑いしながら、先を急いだ。 「いやあ、悪かったな。ちょっと仕事が長引いてなって……あれ? どこ行ったんだ?」 男は自分の出店に着くや、一家の乗った風船が無いことに気がついた。 一体どうしたのだろう? もしかしたら、ゆっくりで商売をしようと考えてる連中に連れて行かれたのだろうか? いや、まさかな。他人の店に繋がってる物を、取っていきはしないだろう。 それじゃあ、犬や猫にでも襲われたか? しかし、それにしては暴れたり荒らされたりした形跡がないな。 これもたぶん違うな。 まさか、自分たちで勝手に飛んでいったのか? いや、それこそあり得ないだろう。 紐で縛っていなければ、どこまでも飛んで行くなんて、猫の赤ちゃんですら分かることだ。 結構賢そうな親だったし、そんな馬鹿なことをするはずがないだろう。 となると、待ち切れずに帰ったのか。 これが一番有り得るな。大方、近くを通り過ぎた人間に風船から下ろしてもらい、そのまま森に帰ってしまったのだろう。 男は悪いことをしたなと同時に、ガスがもったいなかったなと、苦笑いしながら、懐から煙草を取り出し、火をつけた。 煙草を吹かしながら、ふと大空を眺める。 奇しくも、その方向は一家が旅立った方向と同じだった。 ~つづく~? 今まで書いたもの ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす ゆっくりいじめ系452 表札 ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦) ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前 ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中 ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後① ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後② いい夢みれただろ?前編 いい夢みれただろ?後編 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語 このSSに感想を付ける
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里からそう離れていない森の中、人一人分くらいの高さの小さな崖の斜面に不自然な穴を発見した。 崖下の地面の高さに洞窟のように開いているが、穴の高さはひざよりも低い。 申し訳程度に葉っぱが詰まれた入り口の内側には、葉のついた枝が何本も立てかけてあり、 枝の下には結構な数の石が置かれ、枝がずれたり倒れたりしないように固定している。 土の見える斜面にそこだけ葉っぱが敷かれているので、入り口こそバレバレであるが 枝の数はそれなりに多く、日中でも中は暗い為奥の方を覗き見ることが出来ない。 この様な偽装を行うのはゆっくり位なもの、間違いなくゆっくりの巣だろう。 耳を済ませてみるが、中からゆっくりの声は聞こえてこない。 内側から枝が立てかけてあるので、少なくとも中に1匹もゆっくりが居ないと言う事は無いはずだが、 1匹しかいないのか、パートナーに留守を任せて餌集めにでも出かけているのだろうか。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 巣穴の中に呼びかけてみると返事が返ってきた。在宅のようだ。 巣の中からぽよんぽよんとゆっくりの跳ねる音が聞こえ、 少しするとゆっくりの舌が入り口の枝を内側から外し始めた。 見つかって餌をたかられても困るので、すぐ側にある木の陰に移動し様子を見ると、 枝を外し終えた1匹のまりさがぽよんぽよんと巣から飛び出して来た。 先ほどの返事も1匹分しか帰って来ていないので、巣にはこのまりさしか居ないのだろう。 まりさは辺りをきょろきょろと見回すが、声の主は見当たらない。 首をかしげるかのように体を傾け、眉をひそめて「ゆ~?」とつぶやくとまた巣に戻って行った。 体を使って、巣から出るときに踏み散らかした葉っぱを出来るだけ元に戻し、 外した枝も舌を使って器用に立てかけて行く。 その作業はお世辞にも速いとは言えず、枝が元通りになるまで数分は掛かっている。 まりさが入り口を塞ぎきり、奥に跳ねていった所で巣の前に戻る。 見つからない相手を探すまりさの様子は滑稽なものだった。 もう一度呼び出せばまた見られるだろうか、再度呼びかけてみる事にする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆうっ?ゆっくりしていってね!」 すぐに木の陰に隠れると、再びまりさが跳ねてくる。ゆっくりにしては早く跳ねており 急いでいる事がわかるが、入り口の枝が多い為中々出て来れない。 しばらくして、少し息を切らしながら出てきたまりさはきょろきょろと声の主を探すが、 やはり木の陰に隠れている相手を見つける事が出来なかった。 「ゆーっ!なんなの?ゆっくりでてきてね!」 不機嫌そうに呼びかけるも一向に現れない相手に、まりさはぷくぅぅと頬を膨らませると巣に帰って行く。 何度も入り口を戻すのはゆっくりにとって楽な作業ではないが、それでも外敵に襲われるよりは良いのだろう、 もたもたとした動きではあるが、しっかりと入り口を封鎖して奥に戻って行った。 穴の中からは「ゆーっ!」と言う苛立ち気味な声と共に、ぽいんぽいんと饅頭が跳ねる音が聞こえて来る。 ストレスでも溜め込んでいるのだろうか、名前の割にゆっくりしていない生き物だ。 さすがに3度も同じセリフでは警戒されるかもしれないので、言葉を変えて呼びかける。 「ち────んぽっ!!」 「ゆうぅーっ!なんなの!?」 言うや否や、まりさは乱暴に跳ねながら入り口に向かい、枝を無理矢理引っこ抜いては投げ捨てて行く。 体を膨らませて威嚇状態のまま飛び出すが、またも姿を見せない声の主にまりさは声を張り上げた。 「かくれてないで、でてきてねっ!ゆっくりできないみょんはいたずらをやめてね!」 ちーんぽ、と言えばみょんなのだろう。居もしないみょんに対し威嚇を続けるが誰も現れない。 まりさは顔を真っ赤にして、「むぅぅーっ!」と地団駄を踏むように跳ね続けるが、 誰も出てこないとわかると再び巣に戻って行った。 入り口前の葉っぱには手をつける気も起こらず、乱暴に捨てた枝をおざなりに立てかけて奥に向かう。 未だに地団駄を踏んでいるのだろう、時折ぼいんぼいんと跳ねる音が聞こえる巣穴に4度声を掛けてみる。 「んほおーっ!まりじゃ!愛しいまりじゃ!二人で愛の金字塔を建立しましょうねーっ!!」 「ゆっくりじねっ!ありすとはゆっくりしないよ!」 さすがにありすでは無理か。しかも「ゆっくりできない」ではなく「ゆっくりしない」とまで言われた。 名乗らずともありすと断定されるあたり、ゆっくりの間でも変態キャラで通っているのかと関心するが、 今はありすよりまりさである。 鼻息荒く「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」と繰り返すまりさのプライドをくすぐってみる。 「まりさは全然ゆっくりしてないね!」 「ゆ…ゆがっ!?」 「ゆっくりしてないね!ゆっくりしてぬゎいねぇぇ~!」 「だまれぇぇっ!」 突然の指摘に頭に餡子が上ったまりさは、一刻も早く声の主を見つけようと入り口に突進し、 そのままの勢いで立てかけてあった枝に「ゆべっ!」と衝突してしまった。 反動で後ろにごろんと1回転するが、余計に怒りが高まったのか、八つ当たりするかのように 枝を固定する石を乱暴に蹴散らし、体当たりで枝を跳ね除けながら飛び出して来る。 「ゆふーっ、ゆふーっ!ゆっくりしないであやまってね!まりさはゆっくりしているよ!!」 息を切らし、全然ゆっくりしていない様子で、自分はゆっくりしていると主張するまりさ。 それでも現れない声の主に、じたばたと暴れながら泣き出してしまった。 「ゆぎいぃっ!なんでかくれ゛でるのお゛ぉぉぉ!?ゆっぐりさぜでよお゛ぉぉ! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁん!」 わんわんと泣いて、その場から動こうとしないので、足元にあった石をまりさの向こう側に放り投げる。 人間の居る方向とは反対側に着地した石の音に、まりさは音の主がそちらに居ると確信し、 「ゆゆっ!そっちにいるんだね!もうあやまってもゆるさないからね!」 と音のする方に跳ねていったが、居るはずの無い相手を見つけられるはずも無く 数分もするととぼとぼと帰ってきた。そのまま巣の入り口に入るが、葉っぱも枝も元に戻さず 巣の外側に振り返ってじっと動かない。 「もうおこったよ!ぜったいにみつけてやるからね!」 入り口を塞ぐ枝が邪魔で、巣の外に出るのに時間が掛かると気がついたようだが、 自分が姿を見せている事でいたずらの犯人が現れなくなるとは考えていないのだろう。 どうしたものかと辺りを確認したところ、遠くの木々の間にゆっくりれいむの姿を見つけた。 まりさの視界に入らないようにれいむに近づき声を掛ける。 「やあ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ああ、ゆっくり出来るよ、とてもゆっくりできる方法を知ってるからね」 「ゆゆ?れいむにもおしえてね!れいむもゆっくりしたいよ!」 ゆっくり出来る方法に興味津々のれいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて催促してくる。 そのれいむを空中でキャッチし、遠くの穴の入り口で頬を膨らませているまりさを指差して見せてやる。 「ほら、あそこにまりさが居るだろ?あのまりさに元気良く挨拶すると とてもとてもゆっくりした巣に招待してくれるんだ」 「ゆゆっ!れいむもしょうたいされたい!」 「ああ、ゆっくりしておいで」 とれいむを放してやると、一直線にまりさの元に向かって行く。 程なくしてまりさの前に到着すると、そのまりさの後ろに巣穴が続いているのが見えた。 これが人間の言っていたゆっくり出来る巣なのだろう。期待が膨らんだれいむは、 いつも以上に元気な挨拶をまりさに贈った。 「ゆっくりしていってね!!」 「お…お…」 「ゆ?」 突然ぶるぶると震えだしたまりさに、れいむは首をかしげる。なんで巣に案内してくれないのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!!れいむをすにあんないしてね!」 「おまえかぁぁぁ!」 「ゆべえっ!」 目の前のれいむをいたずらの犯人と判断したまりさは、怒りに任せてれいむに突進した。 れいむの顔面の中央、鼻っ柱にあたる部分を突き上げるように自分の体をぶつけると、 後ろに突き飛ばされたれいむは痛みに顔を歪ませ、我慢できずに泣き出してしまう。 「ゆ゛うっ!?いだい゛い゛ぃ!な゛んでごんなごどずるの゛お゛ぉぉ!?」 「うるざい!ゆっくりできないれいむはゆっぐりじねぇぇ!」 相手がひるんだとみるや、まりさは大きく跳ねてれいむの頭上に飛び乗ると、 そのまま何度も跳ねてれいむを押しつぶし始めた。 「ゆ゛べっ!やめ゛っ!や゛め゛でっ!」 「ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!」 まりさが跳ねる度にれいむは口から餡子を吐き出し、やがて餡子が足りなくなったのか痙攣を始める。 このまま放っておけば死ぬだろう。もう十分と判断したまりさはれいむから飛び降り、 ゆひゅー、と満足げに息を吐いた。 「ゆっぐり…じだがっっだ…」 「まりさにいたずらしたけっかがこれだよ!れいむはあのよでゆっくりはんせいしてね!」 もう自分のゆっくりを邪魔する奴は居なくなったと、安心したまりさは意気揚々と巣に戻る。 荒れたままになっていた葉っぱを入り口の前に積みなおし、散らかした石を戻して 丁寧に枝を立てかけて行く。 これで安心と巣の奥に跳ねて行った所で、もう一度声を掛けてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆぅっ!?」 いたずらをするれいむは退治したはず。何が起こっているのかわからず混乱したまりさは、 またゆっくりと枝を外して飛び出したが、そこに居るのは先ほど踏み潰したれいむのみ。 れいむはもう、うめき声すら上げる事が出来ずにぷるぷると震えている。 「ゆ、ゆぅ…?」 自分が踏み潰した事で、れいむがもう死を待つだけの姿になっている。 さっきは夢中だったが、同族殺しを目撃されていたら自分も殺されてしまう。 「ま、まりさがわるいんじゃないよ、れいむがいたずらするからだよ!」 誰にともなく言い訳をしたまりさは、そそくさと巣に入って行く。 もたもたと枝を戻している間に、れいむの震えは止まり、まったく動かなくなった。 れいむの死体を掴み上げて、巣の入り口の枝の目の前に置いて声をかける。 「れいむを殺したまりさはゆっくり出来ないよ!」 「ゆ、ゆうっっ!?」 突然の指摘にまりさはパニックに陥る。誰かに目撃されていたのだろうか。 それでもれいむのいたずらを説明すれば許してもらえる、 そう判断したまりさは巣から出ずに説明を試みる。 「ま、まりさはわるくないよ!れいむが…」 「もうゆっくりさせないよ!れいむのお化けがまりさに会いに行くからね!」 「ゆひっ!?お、おばけはこないでね!おばけはあっちにいってね!」 化けて出ると聞いた途端、まりさはひどく怯えだした。 ゆっくりにも幽霊が出るって風習があるのだろうか。 「だめだよ、れいむはもうまりさの後ろまで来てるよ」 「ゆひいっ!!!」 まりさは顔面蒼白になって固まり、振り返る事が出来ない。 誰も居ないはずの後ろ側に気配を感じ、背筋に強烈な寒気が走る。 声が巣の外側から聞こえるのだがパニックになったまりさには正常な判断が出来ない。 「まりさぁー、れいむと一緒に地獄に行こうねぇぇ~っ」 「い゛やだぁぁぁぁっ!ゆっぐりざぜでぇぇー!」 れいむがお化けになって自分を殺しに来た。圧倒的な恐怖に支配され、 まりさは一刻も早く暗い巣穴から出ようと枝を外し始めるが、 恐怖で震えた舌ではうまく枝を掴む事が出来ない。 「ゆ゛っゆ゛ぅっ、だして!だしでっ!」 焦りながらもまりさは、枝を固定する石をどかして行く。 支えを失った多くの枝がばらばらと倒れると、目の前にれいむの死体が現れた。 「ゆぎゃぁぁぁ!なんでぇぇぇぇぇぇ!?」 自分の後ろに居ると言ったれいむが、いつの間にか巣の外へ先回りしていた。 逃げ場を失ったまりさは跳ねる事も出来ず、ずりずりと後ずさりする。 れいむの死体に目が釘付けになり、その後ろに居る人間には気付いていないようだ。 死体れいむの後頭部をわっしとつかみ、左右にがくがくと揺らしながら巣穴に押し込み、 ゆっくりとまりさに近づけて行く。 「ま゛~~~~り゛~~~~ざぁ~~~~!」 「………!!」 ゆっくりらしからぬ異常な動きで迫って来るれいむのお化けに、 恐怖が限界に達したまりさは白目を向いて気絶してしまった。 見ればあごにあたる部分から砂糖水を漏らしている。恐怖のあまり失禁までしたようだ。 死体のれいむを巣の中に残したまま、石を集めて巣穴の入り口を塞ぐように積み上げ 土や枝で石の隙間を埋めた。これをゆっくりが中からどかす事は出来ないだろう。 気絶から立ち直ったまりさが入り口を塞がれた真っ暗な巣穴で、 自分が殺したれいむと一緒だと知った時どんな顔をするだろうか。 これからのまりさの様子を確認する手段がないのが残念だが、 暫くしたら石をどかして中の様子を見る事にしようと、帰路についた。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶? (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子? (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身? (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子? (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌? (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾? (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体? (fuku2670.txt) お帽子の人? このSSに感想を付ける
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注意! ※この作品にはゆっくりしか出てきません! ※作風柄、虐待描写はありません! ※賢いゆっくりが出ます! ある所に、広く資源に恵まれた島があった。そこは、周りが海に囲まれており、全くの無人。 そんな島にある日、数個の影が舞い降りた。 『『『『うー!うー!』』』』 うーぱっくである。運んでいたのはもちろん…… 『ありがとうね!うーぱっく!』 『おれいはそこにはえてるおやさいをもっていってね!!』 『ここはほんとうにとかいはなゆっくりぷれいすね!!』 内訳はゆっくりまりさ、れいむ、ありす、ぱちゅりー、みょん……ゆっくりである。 捕食種を除いたスタンダードな種がそれぞれ一匹ずつだ。 それぞれが、新天地を目の当たりにしてゆっくりしている。 彼女らは以前、他のゆっくり同様に山で暮らしていたが、人間による開発によって居場所を奪われてしまった。 そんな節に、先程のうーぱっく達に出会い、この島のことを聞き出したのだ。 『ゆゆ!まりさたちをそのしままでつれていってほしいんだぜ!!』 群れのリーダー格であるゆっくりまりさが頼むと、運ぶことが生きがいのうーぱっくである。 快く承ってくれた。そこは話に聞くよりも広く、食糧、寝床の洞窟、その他資源もろもろ……何一つ足りないものは無かった。 それに加え、何よりも魅力的なのが 『みてよまりさ!ここのしまはどすたちにまもられているよ!!』 『むきゅ!さいこうのゆっくりあいらんどね!!』 島は海岸、森、山から成っていた。今ゆっくり達がいるのは、山の頂上の開けた草原である。 そこの四方にそれぞれ祭壇の様なものがあり、そこにドスまりさを模した石造が建っていた。 こんな何から何までゆっくりのために設えた様な島だ。気に入らぬ者などいるはずもない。 『さっそくおうちをつくってゆっくりしようね!』 『きょうはいどうでつかれたから、あしたからたんけんするんだぜ!!』 リーダーまりさを筆頭に、補佐役のぱちゅりーなどが指示に当たった。すぐに巣の目処が立った。 この草原の四方、例のドス像のそばにそれぞれ一つずつ穴が開いていた。 入ってみれば、なんと穴は全て中で繋がっており、ちょうど草原の中央部に当たる場所まで開けている。 さらに驚くべきことは、地下であるにも関わらず外と変わらぬ草が同量生えている。 石造りの台座には、こんこんと清水を湛えている。 さらには燭台まであり、ヒカリゴケにより、優しい光に照らされている 雨水の侵入を防ぐ入口を塞ぐためのフタもある。 もうここだけで一生分ゆっくりできるんではないかという程の環境であった。 『ゆがーん!』 『ほっほんとうにすごいゆっくりぷれいすなんだぜ……』 『むっむきゅっきゅきゅきゅ』 反応の仕方はそれぞれ違えど、みんな初めて喜びの感動にショックを受けていた。 それからの生活はまさにゆっくり達の理想を絵にした様なものであった。 海のど真ん中にある島のため、天敵となる野生動物はいない。 食べ物である草や果物は無尽蔵に群生している。 何よりあの自然を破壊し、平穏を乱す人間がいないのだ。 唯一気掛かりがあるとすれば…… 『こんなにゆっくりしているのになんでどすはないているんだぜ?』 いつだったか、豪雨によって数日閉じ込められた時のことである。 もちろん、その間に不自由したことは無い。 元からある蓄えに加え、食糧をため込んでいたし、ゆとりを持っていた。 普段は震えて過ごすこの雨も、いまでは愉快で軽快な音楽に聞こえていた。 雨上がり、リーダーまりさが先立って外に出た。 その時に、ふとドス像を見るとなんと涙を流しているのだ。 当初は驚いたが、なんてことは無い。 像の帽子部に水が貯まるようになっており、鍔を伝って目から涙を流す様に見えているのだ。 見回ってみれば、四方の像の全てが泣いていた。 その涙は台座の隙間に吸収され、一種のダムとなっており地下の台座へと繋がっていることが後に分かった。 『このきをきってむすべばいかだになるんだぜ!』 『えだにはっぱさんをはればおーるになるわ!!』 ゆっくり達は生を謳歌し、すくすくと育ち、自然とのふれあいから知恵をつけた。 昨日は木と木を擦りつけて火を起こす道具を作った。その前は釣り竿。 そして今日はいかだを作った。少し島から離れた場所で釣りをし、収穫も上々だ。 明らかに、他の群れとは違う進歩の仕方をしている。 障害が極端に少ないため、全身全霊をかけてゆっくりすることが出来る。 もっとゆっくりしたい! こうすればゆっくりできるよ! むきゅ!このつたはべんりよ! どうぐをつくろうね! おりょうりをおぼえたわ! まらっ☆ちーんぽ!! それからもゆっくりし続け、だんだんと数を増やしていった。 比例するように文化が発達していき、今では生簀をつくり魚を保有するまで至った。 ゆっくりの寿命というのも、環境次第の様である。 第二世代、第三世代と続いても、最初の群れの誰一人欠ける事無く過ごしている。 ある日、リーダーまりさはドスまりさへと成長した。 『どすがいるかぎり、みんなをもっとゆっくりさせるよ!!』 まず手始めに、増えた仲間のために、森を切り開き、整地し、新たな巣を作った。 『ごはんももっとひつようになるね!』 うーぱっくに頼み、数個の羽化寸前の鶏卵を取り寄せ、家畜として飼い始めた。 『もっとべんりなどうぐをいっぱいつくろうね!』 獲物を確実に捕えるため、捕食種も撃退可能な武器を作った。 嵐が来ない限り、転覆しない遠泳漁の船を開発した。 もっともっと! まだまだ! さらにさらに! ………… ドスが思いつく限りのゆっくりを提供した。最早、自分が出来ることは見守るくらいだろう。 既に自分以外の第一世代ゆっくりは、みな天寿を全うした。あの若かりし頃が懐かしい。 そういえば、何で人間はあんなにゆっくりできない生き物なんだろう…… ドスまりさは海岸から夕陽を眺め、一方的な優越感に浸り、微笑みを湛えていた。 『どすももうつかれたよ』 ドスまりさはゆっくりとした生涯ここで終えた。 ゆゆ?どす~どこ~!? かいがんでねてたわよ? どすのぞうがあるんだぜ! うるさいな……どすをよぶのはだぁれ? あれ?うごけないよ? そうか、どすはしんじゃったんだね。 でもむれのみんながみえるよ。 こえもきこえる……みんな、もうすこしだけどすにみまもらせてね!! 第二世代のゆっくり達がドスの不在に気付いた。 それを受け、第三世代のゆっくり達が海岸で探していたところ、新たなドス像を見つけた。 みんなは直感的に、これが今まで自分達を導いてくれたドスであると分かった。 今までありがとうと礼を述べている。 『こんなところでのざらしにしていたら、どすがかわいそうだよ!』 『むきゅ!そうだわ!やまのうえのどすぞうにくわえてあげましょ!!』 『そうすればどすもゆっくりできるね!!』 そこで、ドス像をどう運ぶかが議論された。結果はすぐに出た。 まずは木を伐採し、ドス像が乗る程度の板を作り、それに乗せる。 それからまた木を伐り、“コロ”として板の下に入れては引っ張りを繰り返すという方法だ。 海岸から山頂の草原まではキッチリ整備されていたし、置く場所も四方のドス像の真ん中に決めた。 『『『ゆーしょ!ゆーしょ!』』』 『 おちびちゃん!はやくころをもってきてね!!』 『ゆっくちりかいちたよ!』 群れ総出で作業したおかげか、半日程で全ての工程を終えた。 結果は大成功! その後、みんなでこの日を何かの記念日にして、ドンチャン騒ぎした。 新たにリーダーとして任命されたのは、ぱちゅりー種である。 生前のドスから最も知識を受け継いだとされているからだ。 『むきゅ!どすのときとおなじようにすればしっぱいしないわ!!』 確かにやることは何から何まで真似ていた。 しかし、何か変じゃないか? どこかで間違えた!? いいやそんな訳が無い! ドスと同じことをしているんだ!! それからしばらくしてから、過ちに気付いた。 『どぼじできさんがぜんぜんないのぉぉぉおおお!?』 『くだものさんもみんななくなってるんだぜ!!』 『おながぢゅいだよぉぉぉおおお!!』 結果を言ってしまえば、島から植物という植物がごっそり無くなってしまった。 事の始まりは、ドス像を運ぶために大量の木を伐採したことから始まった。 以前までは、ドスが植物の再生するまでを計算したギリギリのラインで伐採していたのだ。 木材としての木が無くなれば、作物の木を代用し、食料の供給源を無くしていった。 漁に出よう! 船が故障してしまった。直すための材木はどこ? 狩りをしよう! 獲物となる動物はどこ? うーぱっくに頼んで運んでもらおう! 払う報酬は何? 八方塞がりとなって、ぱちゅりーは誤りに気付いた。 しかし、時すでに遅し。 『ごべんばざい゛い゛い゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!』 『ゆ゛る゛じでぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!』 『どぼじでぇ゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?』 『どずどおなじごどじだだげだのに゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛!!』 『ゆ!うるさいよ!!むのうなりーだーはしね!!』 『まえまえからいばってるおまえがきにいらなかったんだぜ!!』 『りぇいむをゆっくちちゃちぇにゃいむにょうはちんでね!!』 リーダーぱちゅりーとその家族は公開処刑された。 群れのみんなから投石の雨を浴びて、物言わぬ死体となった。 これで、群れの一応の溜飲は下がった。 しかし、それからは、殺伐とした生活が始まった。 『やめてね!そのにわとりさんとひよこさんはれいむのぶべぇぇええ!!』 『うるさいんだぜ!まりささまにたべられたほうがこいつらもしあわせなんだぜ!!』 自分の家族以外はみんな敵、戸締りをしていないと家畜を奪われた。 『ちょうどいいんだぜ!おまえのかぞくをまびきしてやるんだぜ!!』 『わがらにゃぁじゃべちゅびゅうぶうううう!!』 『ぢっぢんぼっぢんぼぉおおおおおおおおおおおお!!』 『ぺ~ろ♪ぺ~ろ♪しあわせ~なんだぜ!!』 間引きと称し、子供を殺されて食べる者。 『んほぉぉぉぉおおおおおおお!すっきりー!!』 『びっびやだぁああああ!!ずっき゛り゛ぃ゛い゛い゛!!』』 混乱に乗じて、己が欲望のままに動く者が現れた。 ものの三日間この阿鼻叫喚は続いた。 そこに残ったのは、たくさんの死体と一匹のゆっくりだ。 『どずぅぅはやぐばりざざまをだずげろぉぉ!ごのやぐだだずぅぅうう!』 生き残りのまりさは既に満身創痍、死ぬのも時間の問題だろう。 恐らくは、最後の力を振り絞って中央のドス像へと呪詛を吐いている。 ドスは像となってから、今までを一部始終全て傍観していた。 こいつらはなんだ? こんなのゆっくりじゃない! じゃあなに? まてよ……どっかで見たことがあるぞ…… そして一つの答えに辿り着いた。 そうか…… どすはじぶんでゆっくりをゆっくりできなくしてしまったのか…… そう解釈すると、空から水滴が落ちてきた。 ポツリ……ポツリ…… 『あべざん!?ふらだいでね!ゆっぐりやんでね゛!!』 パタ、パタ、パタ 『ふるだっでいっでるでじょ!?ばりざざばのいうごどが』 ザ、ザーザー 『ぼがど…がら…りざだげ…………』 バシャバシャバシャバシャ!! 『――――――――』 最後の生き残りの声が聞こえなくなった頃、残されたドス達は涙を流していた。 後書き どうもお久しぶりケラ子です。 以前スレを覗いたとき、シリーズものの風潮がよくないよう見えました。 だからと言うわけではないのですが、リハビリがてら新たに書き下ろしてみました。 何か作風の幅がありませんかね? ちなみに、この作品は、実在する島の話をモチーフにしました。 分かる人はいるのかなぁ…… byケラ子 ケラ子の作品リスト ゆっくりいじめ系509 紅い弾丸 ゆっくりいじめ系601 ある新人ゆっくりーだーの話(前編) 制 無 ゆっくりいじめ系647 ある新人ゆっくりーだーの話(後篇) 制 共 無 ゆっくりいじめ系711 ある植物型奇形妊娠の話 ゆっくりいじめ系748 ある動物型奇形妊娠の話 ゆっくりいじめ系807 あるロボットゆっくりーだー達の話(前編) ゆっくりいじめ系844 あるロボットゆっくりーだーの話(後編) このSSに感想を付ける