約 930,528 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/7896.html
~~部室~~ 純「・・・」 純「・・・こない」 純「・・・」 純「ベース・・・弾いてみるか」 純「」ボーン 純「・・・」 3年2組一同「ふぅぅううう、終わった~」グデー さわ子「みんなご苦労様~疲れたでしょう?」 梓「思ってたのより、時間かかりましたね」ふぅ 憂「皆お昼ごはん食べずに作業始めたもんね・・・もうすぐ3時だよ・・・」 3年2組一同「おなかへった~!!」 さわ子「ホント、ごめんなさいね?」 さわ子「もっと軽い労働だと思ってたの。甘かっt」ぐぅううきゅるるるぅう ザワザワ ザワザワ さわ子「///」 さわ子「う、打ち上げ!みんなお腹減ったでしょ?クラスの親睦会兼ねて行ってみるのは?どう?」あせあせ モブ「え~、入学式の準備だけで打ち上げって・・・」 モブ2「でも、お腹減ったよね~。いいじゃん!楽しげで!」 モブ「それもそっか~」 さわ子「(うまく、ごまかせた)」ホッ ~~ 部室 ~~ 純「・・・」 純「・・・」グゥー 純「お弁当・・・食べちゃおっか・・・」 純「・・・」 純「」パクパク モグモグ 純「」パクパク モグモグ 純「・・・」 純「・・・放課後、ティータイム・・・」グスン ワイワイ ガヤガヤ 3年2組一同「どこいく~?」ワイワイ 梓「あぁ~お腹減ったよぉ」グゥー 憂「あっ!忘れてた!」 憂「(そういえば、お弁当作ってきたんだっけ)」ゴソゴソ 憂「(私ってば、お姉ちゃんがいなくなって、おっちょこちょいになっちゃったかな・・・?)///」テヘヘ 憂「(ん?)」 憂「ん~?(なんで、午後に授業ないのにお弁当作ってきたんだっけ?)」 モブ「さわ子先生はいつも何食べてるんですか?」ワイワイ さわ子「私は行かないわよ?」キョトン モブ「発案者なのに!?」ガビーン さわ子「当たり前よ~まだ働かないとね」 さわ子「今頃は他の先生も普通に仕事したり、部活みたり―」 憂「部活・・・」 憂「あ」 ~~部室~~ ダダダダダ ガチャ バンッ 純「・・・」 梓・憂「はぁ・・・はぁ・・・」 純「・・・遅いよ・・・」 梓「私・・・最低だ」 純「なんで?」 梓「私・・・連絡すら忘れてて・・・」 憂「私も・・・」 純「あ、あぁ~連絡?あっ!ケータイがあったんだっ」 純「わたしも忘れてた、いっぱいいっぱいで・・・」 純「お互い様だよ。バカだねーあはは」 純「もぅ、二人とも!なんで遅れたの?」 憂「えと・・・新しいクラスで入学式の準備してて」 梓「それで、クラスで親睦会するかってなって」 純「・・・新しいクラス・・・親睦・・・」 憂「純ちゃん?」 純「・・・」 純「バイバイ」 梓「ちょっ、純!」 ガチャ バタン! 純「(なによ!なんでよ!)」 純「(梓の為に、軽音部の為に、わたしジャズ研辞めたのに!)」 純「(それで・・・それで、新しいクラスでもハブられたのに!)」 純「(ずっと・・・教室で、部室で不安で待ってたのに!)」 純「なんで梓が軽音部に来てないのよ!」 純「なんで、わたしより新しいクラスメートと仲良くするのよ!」 純「なんで・・・わたし、わたしは・・・」 純「・・・」 純「ははっ、クラスメートと仲良くするのは当然かぁ」 純「勝手にジャズ研やめて、勝手に恩着せた気分になって」 純「なにしてんだろ、わたし最低だなぁ」 Trrrr 純「!」 純「梓と、憂から電話・・・」 ピッ 梓「切られた・・・」 憂「私も、なんか受信拒否されちゃったみたい」 純「ゴメン。やっぱり、今は八つ当たりしそうだよ」グスッ 純「明日学校行きたくないな」 純「軽音部、どうしよう」トボトボ ~~某川原沿い~~ 梓「・・・」トボトボ 憂「・・・」トボトボ 憂「あの、梓ちゃん」 梓「もう、いいよ」 憂「梓ちゃん・・・」 梓「純、部室出て行くときに泣きそうな顔してた」 梓「なのに、何も話してくれなかった」 梓「怒っても・・・くれなかった」 梓「今も電話でないし」 梓「私が悪いのに・・・謝ることもできないよ」グスッ ?「おや?」 憂「でも、それじゃ軽音部はどうするの?」 梓「・・・」 とみ婆「憂ちゃんと・・・あずにゃんさん?」 憂「あっ・・・こんにちは」 とみ婆「こんにちは、憂ちゃん。でももうすぐこんばんはの時間ね」フフッ 憂「・・・」 とみ婆「おや?ずいぶん元気がないね?どうかしたの?」アセアセ 憂「いえいえ」アセアセ 梓「あの、心配なさらないでください。大丈夫です」ニコッ とみ婆「そう?」ジッ 梓「・・・ぅ」タジッ とみ婆「あずにゃんさんも元気がないみたい」 梓「そ、それは」 梓「ギター!ギターがないからです」 梓「前にお会いしたときはギターを持ってたからテンション高かっただけで」アセアセ 梓「(どんなごまかし方だ・・・orz)」 梓「今はその部室に、忘れてきちゃって」 とみ婆「あぁ、あずにゃんさんはギターが大好きなんだね?」 梓「他にも、部室に、置いてきちゃった・・・みたいで」グスッ とみ婆「だから落ち込んでいたんだね?」 とみ婆「大好きなものを置いてきちゃって」 とみ婆「だから、泣いていたのかぃ?」ヨシヨシ 梓「っ!」ポロポロ 梓「うぅう」ポロポロ とみ婆「よしよし、大丈夫」 とみ婆「そりゃ、大事なものが側になくて、不安なのかもしれないけど」 とみ婆「失くしちゃったワケじゃないんでしょ?」 とみ婆「どこにあるかも、わかってるんでしょ?」 梓「う゛んっ」グスグス とみ婆「それなら、泣かなくてもいいのよ・・・」ポンポン とみ婆「そこにあるってわかってるなら、またすぐにでも取りにいけるじゃない?ね?」ニコッ 梓「・・・!」 憂「そうだよ!」 梓「憂っ」 憂「行こっ?梓ちゃん」ニコッ 憂「ありがとうっ、おばあちゃん!」 梓「あ、ありがとうございました!」 とみ婆「いえいえ、わたしゃなにもしてないよ?」ニコニコ 梓「・・・あの!私達、軽音部でバンド組むんです!」 梓「今年も演芸大会でます!だから今度も演奏、聴いてくれますか?」 とみ婆「ええ、楽しみにしてるわね?」 憂「それじゃ、行こっか」ギュッ 梓「うん!」 テテテテテ とみ婆「ギター・・・そんなに楽しいなら始めてみようかね?」 ~~鈴木家~~ ピンポーン 純母「純~お友達よ~降りてきなさ~い」 憂「お夕飯どきにすみません」 純母「いいのよ~、でも降りてこないわね~?」 純母「どうぞ、あがって?」 梓「お邪魔します!」 純「・・・」 ~純の部屋~ コンコン 憂「純ちゃん、入っていい?」 純「・・・」 梓「(部屋のドアも、開けてくれない・・・)」 梓「純、あのね?」 純「・・・帰って」 憂「!純ちゃん!」 純「帰って!!」 純「もぅ・・・いいから、帰ってよ」 純「(謝ろうと思ってるのに)」 純「(やっぱり・・・側に来られると)」 純「(たった一日のことなのに)」 純「(今日会ったこととか、色々とドロドロした感情がおしよせてきて)」 純「(自分も、二人も、むちゃくちゃになっちゃいそう)」 純「(なんかもう、めんどくさい)」 純「(全部どうでもいい)」 純「(いいから、今は帰って―)」 梓「帰らないよ!!」 憂「私も、まだ今日のこと謝れてないよ」 憂「まだ、帰れない!」 梓「せっかく、部室で待っててくれたのに」 純「(・・・違う、そんなことじゃなくて―)」 純「・・・もう、いいってば」 梓「よくない!」 梓「純は、まだ私達を許してない」 純「っ!」 梓「電話、でてくれないし・・・部屋のドア、開けてくれないし」 梓「ぅっ、泣いてる、怒ってるのに、なにも話してくれてないし」グスッ 梓「私・・・許して貰ってないのに」 梓「それなのに・・・『もぅ、いい』、なんて・・・そんなの」 梓「寂しいよ…」ポロポロ 純「(梓…)」 憂「純ちゃん」 憂「もしかして、今日学校で他になにかあったの?」 純「!」 梓「憂?」 憂「私、ここに来るまで純ちゃんはすごく怒っているんだと思ってた」 憂「確かに今日は私達、純ちゃんにヒドい事した・・・ゴメンね?」 憂「でも、今の純ちゃん怒ってるというより」 憂「むしろ、すごく落ち込んでる・・・よね?」 純「・・・」 純「(憂・・・)」 憂「わかるよ、中学からの付き合いだもん」 梓「純、そうなの?」 純「・・・」 純「・・・帰って」 純「…ほっといてよ」 梓「ほっとけないよ!」 梓「私、純と憂が軽音部に入ってくれて」 梓「先輩達から受け継いだ軽音部を残すことができそうで」 梓「本当に嬉しかったの」 純「(それなら、なおさら今日の事なんか話せないよ)」 梓「でもね、軽音部を残すこと以上に」 梓「これから純と憂とで、新しい軽音部で演奏できるってことが嬉しかった」 梓「私・・・先輩達が卒業してから、落ち込んでた」グスッ 梓「先輩達の思い出を1人で追いかけてた・・・」 梓「そんなとき、純と憂が軽音部に入ってくれて」 梓「これからも、思い出を作っていけるんだって・・・3人で、軽音部を始めるんだって思ったら」 梓「そしたら、初めて先輩達の演奏をみたときみたいな気持ちになって」 梓「前を向くことができたっ」 純「・・・」 憂「私もだよ!」 憂「私も、お姉ちゃんが卒業して、1人暮らし決めて・・・っ」グスッ 憂「お姉ちゃんも、和ちゃんも、二人とも春になったら遠くに行っちゃって」 憂「1人で落ち込んでた・・・」 憂「でも、純ちゃんと二人で軽音部に入部するって決めたとき」 憂「まだ、大事なものがあるって気付いたの」 憂「大事なものは失くしてないって気付いたの」 憂「・・・失くしたく、ないの」 憂「だから、ね?純ちゃん」 憂「1人で抱え込まないで?」 梓「純!」 純「・・・」 純「―――っ」 純「・・・ぅん」ポツリッ ガチャッ 純「・・・」 純「」チラリ 憂「純ちゃん!」 梓「純!」 純「・・・ふぅ」 純「二人とも・・・おおげさだよ?」クスッ 梓「え」 憂「!」 純「寂しかった?あずにゃん?」ニヤリ 梓「――な、なななな///」 梓「まままさか、からかってたの?!!!」 純「えぇ~?今日は一日中1人で待ちぼうけだったんだよ?」 純「その仕返しっ」フフン 梓「ぅ!それは・・・!」タジッ 純「梓は寂しがり屋だね~?」ニヤニヤ 梓「ニャーーー!!!///」フシャーッ 純「ふふふっ♪」 憂「純ちゃん?」 純「憂・・・」 憂「・・・」ジーッ 純「・・・あの」 憂「純ちゃん」ジーッ 3
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13348.html
部活帰り、駅前のカフェで待ち合わせをする。 あっちはまだ来ていなくて、 私は先に席に通されて頼んだコーヒーを飲みながら 今日出された数学の宿題をしていた。 コーヒーを一口飲んでその苦さに驚く。 ミルクをいれようとして、やめた。 こんな脂肪の液を自分から進んで摂取するなんてどうかしてる。 だけど苦いままだと飲めないから砂糖を一袋だけ溶かした。 一口飲む。 うん、ムリ、苦い。 もう1袋入れる。 一口飲む。 ・・・・。 妥協じゃない、これは妥協じゃないんだ。 うんうん。 策なんだ、コーヒーは…美味しく飲まなくちゃ。 だって、…お、お金、払ってるんだし…。 かきまぜかきまぜしたら、 砂糖をどれくらい入れたかなんてわからない1杯のコーヒーが私の前にあるだけだった。 飲む。 よし、美味である。 7本分の砂糖の袋は視界に入れないようにした。 最後の問題にかかろうとした時、 出入り口の扉上についている鈴だか鐘だかがカランコロンと音を鳴らす。 店内に響くその音のやかましさから、その人がどれだけ急いで扉を開けたのかがわかった。 多分来たんだろうな、と思ったけど 待っていたことをさとられるのもなんだか気恥ずかしくて、 顔を上げずにそのまま問題を解くフリをした。 定位置になりつつある窓際の壁側の席。 こっちに近づいてくる気配がして、目の前の席の椅子をひく音がする。 そこでようやく私は顔をあげる。 「遅かったな」 そう私が言うと(責めてるつもりはない) 「ごめん。ちょっとまくのに手間取っちゃった」 そう言いながら席に腰かけた。 少し息が乱れてた。 走って来てくれたんだろうか。 そんなささいなことだけで、妙に嬉しくなってしまう。 にやけそうになるのをこらえる。 こらえきれなくて、応急措置。 内側の頬の肉を噛んだ。 いたい。 そんな私を知ってか知らずか、 私とおそろいの学校指定の通学鞄を横の席に置き、メニューに手を伸ばした。 「澪は何頼んだの?あ、問題解いてるなら続けて。こっちは気にしなくていいから」 何でもないことのように名前を呼ばれてドキッとするけど、表には出さない。 「今日はコーヒーだよ。あと1問で終わるから、ちょっと待っててな」 「わかった。てか、コーヒー。へぇー、めずらしい…」 そう言いながら、目はメニューを追っていて私の方を向いてはくれない。 こっち、向けよ。 念じてみるけど、やっぱり視線は私に向かない。 なんだか悔しいから私もノートに視線を移す。 サッサと終わらせてしまおう。 「どうしようかな…。ケーキ食べようかな…」 「今日部活で食べただろ?」 問題を解きながら答える。 「うん。でも、ちょっと隣の席の人がつまみ食いしてきたからあまり食べられなかったんだよね」 「あぁ…、律に食べられてたな。しかも半分くらい」 私がそう言うと、ちょっとメニューを下げた。 私の方を見たのかと思って顔をあげてみるけど、 当の本人は右肘をテーブルにつき、窓の外を見めているだけらしかった。 「あ…」 「えっ?なんだ?どうかしたか」 「あっ、いや、うん。何でもないよ」 「そ、そうか…」 ちょっとさみしいとか思ってないからな。 「遠慮がなくてさぁ。フォークさしたら、さした分ごっそりもってくからね。ホント、やめてほしい」 さっきの話の続きだろうか。 そう言いながらも顔は微笑んでいて、律のことを心からうっとおしく思っていないことがわかる。 「あぁ、確かにな。律は大雑把すぎるよな。もっと他人への遠慮ってのを学べばいいのに」 そうしたらきっとあいつはバカをすることが少なくなるけど、 それが常識を持つ人の言動の正しき在り方であって… あれ?でも……。 そんな正しき律を想像して、 それって律らしくないなぁって思ってしまう私はなに? また視線がメニューにいく。 どうやらケーキを頼むみたいだ。 「まぁ、それがあの人の短所でもあり長所でもあるから治してもらったら困るんだけどね」 そう言ってクスクス笑う。 考えていたことが同じで嬉しくなってコーヒーを口に運んだ。 「コーヒーおいしい?」 不意にきかれてびっくりする。 「えっ…ん、あぁ…、おいしいけど…なんで?」 「ん~ん、なんでもな~い」 なんでもない、と言いながら笑いをこらえているのはなんでなんだろうな。 メニューが決まって、店員さんを呼ぶ。 注文をハキハキ言う声がすき。 そんなこと思ってるなんて絶対に教えないけど。 店員さんが去った後、 「問題あとどのくらい?」 いきなり聞かれてやっぱりびっくりする。 「えっ…と、今計算してて…このmとnが出たら終わるよ」 「そっか。なんだか、難しそうだね」 私のノートをのぞいてくる。 「公式に当てはめるだけだから、それほど難しくはないよ。ちょっと計算がうるさいだけ」 「そういうもん?」 「そういうもんさ」 そっかぁ、といいながら視線を窓の外へ移そうとする。 また、私から…というか、私のノートですら、すぐに目をそらす。 でも、ハッとした表情をした後に、またすぐに私のノートを見た。 なんなんだ…いったい… 「なんだ?どうかしたのか?」 「ふぇ?」 「ふぇ…って…唯かよ」 ちょっと、イライラしてきたかも。 こういう自分だけ状況が理解できてないのってなんかいやだ。 なんだよぅ…さっきから。 私はまたコーヒーを口に運ぶ。 「あ、いや、う、うん。…いや、なんでもないんだけどね」 また笑いをこらえた顔。 私はよっぽど怖い顔をしいたんだろうか。 「あ」という顔をして コホン と咳払いをした後に、 「…コーヒーおいしい?」 と私に聞いてきた。 またその質問? 「あ…あぁ…おいしいけど…てか、それさっきも聞いたじゃないか」 「苦くない?」 私の聞いていることには答えずにまた聞かれる。 「苦くないよ」 そう答えると、クププという笑い声がした。 肩が震えてるぞ、肩がっ。 「な、なに笑ってんだよっ、強がってないからな!!本当に苦くないんだっ!!」 そう私がちょっと強く叫ぶと、彼女は私が機嫌を損ねたと思ったのか 「ごめんごめん」と笑いながら、私の方を指さした。 へっ?と思いながら、指さされたほうを見る。 「……っあ!?」 とたんに顔が赤くなった。 そこには、さっき視界から除外した7本分の砂糖の袋… さっきから、窓の外じゃなくてこれを見てたのか 「そりゃさ、砂糖7本も入れたら苦いわけないよねっ」 そういいながら、笑うのをやめない。 「そ、そこまで笑うことないだろっ!もうっ!!」 「いや、だってさぁ、テーブルの端っこでなんかゴミが丸まってるからなんだろうって思ったら…くはは」 「だから…笑うなってば…」 「たははっ…ごめんごめん…コーヒーおいしくなってよかったね」 「あずさぁっ!!」 「じょ、じょーだんだよっ」 「まったく…」 「そんなに怒らないでよ、澪」 「…っく」 その上目づかいをここでするのは反則というものである。 そんなこんなをしているうちに、梓が頼んだものがきた。 梓はバナナケーキを食べながら今日の練習のグチを言う。 練習のグチというか…。 律が走りすぎだとか、今日のケーキのうらみは忘れないだとか。 唯とのギターが最近合うようになってきたとか、 今日遅刻してきたのは唯先輩がなかなか離してくれなかったのが悪いから私は悪くないだとか。 ムギ先輩に今度お茶の入れ方を教えてもらいたいとか、今度の曲はとっても大好きだとか。 そこまで一方的に話した後に、頼んだレモンティーをごくごくっと飲んでいた。 私のことはなにかないの?と聞きたいところだけど、 催促して聞いたことってなんか悲しいからやめておく。 梓がしゃべり疲れてバナナケーキに夢中になっている間に 私はぼんやりと窓の外を眺めながめていた。 最初の一歩は、私のほうからだった。 偶然、梓と2人っきりになることがあって。 今だって思った。 今しかない、って。 こういう唐突な行動をする自分が、私は実は好きだったりする。 思い立って、まだ夜が明けきらない頃に散歩したりとか、 ムギに誘われて海に行き当たりばったりで行ったりしてさ。 なかなかそういう機会はないから、本当にたまになんだけど。 「なぁ、梓」 「はい。なんでしょう、澪先輩」 「あ、あのさ…そのっ…」 「はい?」 くっ…。なんだ、そのかわいらしい顔はぁあああああ!? 首かしげんなっ!!もだえるからやめれっ!!こらえるけどっ!! 「…みお、せんぱい?」 「はっ、あ、いや、そのだな、梓」 「…はい」 「おっ…お願いがあるんだっ…!!」 「お願い…ですか」 「うん。そうなんだ。…きいてくれるかっ!?」 「はぁ…まぁ、私に出来る範囲でならいいですけど…なんでしょうか?」 「あのなっ!」 「はい」 「そのっ…っ私と、…っと!!」 「と?」 あーーやっぱ、言わなきゃよかったかもっ!! ここまできて、躊躇する。 でも、そんな私の様子に梓がこまってるぅ!! ゴクリ、と息を飲む。 うぅ…、ここまできたんだ、言ってしまえ。 「わ、私と、友達になってくれないかっ!?」 「へ?」 梓がきょとんとする。目が丸くなるって表現がよく似合う顔つきだった。 「友達…ですか?」 「お、おう。そうだ、友達になってほしいんだ…そ、その、」 一息つく。 続きを、梓が待っている。 「先輩後輩って関係じゃなくってさ、…ひ、人として、梓と向き合ってみたいんだ」 「人として…ですか」 「うん、私たち、音楽の趣味も愛想だし。似たもの同士だから、きっと合うと思うんだ」 「あ、似たもの同士ってのはちょっとわかります」 「だ、だよなっ。そ、それにさっ!!」 「それに?」 「も、もっと知りたいんだ、梓のことっ」 「私のことですか…」 「あぁ。あ、でもそんな変な意味じゃないぞっ!?」 私の言ったことにハハっと笑う。 そして、うーん、と言って 悩んでいるのか、悩んでいるフリをしているのか。 コナン君ポーズで梓はしばし、沈黙を押し通した。 私はその横で椅子に座りながらモジモジした。 そして、数分後、あずさは口を開き、答えた。 「いいですよ。なりましょう、友達」 「ほ、ほんとか!?」 私の動揺には臆することなく、梓は言う。 「はい。澪先輩となら、きっといい友達になれそうな気がします」 そう言って、梓は私を見て微笑み、 私は梓側からは見えない右手で小さくガッツポーズをした。 こうして私たちの関係は「先輩後輩」という関係から「友達」という関係に平行移動した。 2
https://w.atwiki.jp/83452/pages/6810.html
紬「はいは~い」 澪「ムギ、お前はそれでいいと思うのか?」 紬「うーん、よく分かんないけど…なんか面白そうね」 澪「はぁ…」 夏奈「それよりムギちゃん、早くおかわりー」 紬「!?」 紬(あ、梓ちゃんが私のことムギちゃんって…)パアァァ 紬「待ってて、今すぐ淹れるから!」 夏奈「うん、待ってる」 唯「むぅ…今日のあずにゃん私にだけ冷たい」 紬「はい梓ちゃん、ケーキのおかわりもあるわよ♪」 夏奈「はー極楽極楽」 唯「あずにゃんひどいっ!」 夏奈「な、なんだ急に」 唯「もうあずにゃんなんかこれから梓ちゃんって呼んでやる!」 夏奈「なにー!よく分かんないけど怒ったぞ!」 律「落ち着けって梓。ほら唯も」 唯「む~…」 律「同じ部活の仲間なんだから仲良くやれよ」 夏奈「……確かにりっちゃんの言う通りだ」 夏奈「悪かった吉野、謝るよ」 唯「吉野じゃないよ…」 夏奈「友好の証に食べ掛けのケーキをやろう」 唯「ケーキ!あずにゃん大好き!!」 律「まったく、現金なやつだなぁ」 紬「ふふっ、唯ちゃんらしいわ」 夏奈「……」 夏奈(それにしても…私はいつまであずにゃんとやらになってればいいんだ…) 夏奈「……」 夏奈(いや待てよ、このままあずにゃんとやらになってればケーキ食べ放題じゃないか) 夏奈(それはそれでいいかも…) 澪「それにしても、最近忙しくなってきたな」 紬「そうねぇ、もうすぐ受験だし」 夏奈「……」モグモグ 夏奈(こいつら…お茶飲んで喋ってばかりじゃないか!) 夏奈(いくら軽音だからって軽すぎないか!?) 夏奈「……」ゴクゴク 夏奈(いや、よく考えろ…) 夏奈(お茶飲んでケーキ食べて喋るだけならギター弾けない私でもなんとかなるぞ) 夏奈(むしろ得意分野だ!) 夏奈「ふむ…うまくやってけそうだな」 夏奈(これで学校生活ケーキ食べ放題…) 律「そうだ梓、来年新入部員が入ってこないと廃部になるけど大丈夫なのか?」 夏奈「なにーっ!?」 律「だって四人いないと部活として成立しないだろ」 夏奈「そ、そうなの?」 唯「うん」 夏奈(まずいぞ…それじゃあケーキ食べ放題計画が来年になったら中止になるじゃないか) 夏奈(でも新入部員が入れば…) 夏奈(ダメだ、ここは確実に部員を確保しないと) 夏奈「ちょっと新入部員つれてくる!」 澪「えぇっ!?」 夏奈「すいません!軽音部に入ってください!」 いちご「私三年だから」 夏奈「軽音部に入ってください!」 姫子「ごめん、バイトがあるの」 夏奈「軽音部に入ってください」 エリ「えー…でも受験もあるし」 夏奈「お菓子食べてお喋りするだけの簡単な部活だから!」 エリ「それなに部?」 夏奈(なんだ…全員三年だったのか…) 夏奈(それじゃあ意味ないんだよー!!) 夏奈「はぁ…ケーキが食べられないなら私があずにゃんである意味がないじゃないか…」 夏奈「来年に期待…いや、リコーダーしか吹けない部員がいる軽音部に誰が入ってくるのだろうか…」 夏奈「……」 夏奈(ひょっとしてかなりマズイ状態なんじゃ!?) 純「あれ、梓じゃん」 憂「本当だ。おーい梓ちゃーん」 夏奈「お?」 夏奈「憂と……ま」 純「純」 夏奈「そう、純!」 憂「こんな所でなにやってるの?部活は?」 夏奈「いや、部活なんてやってる場合じゃないんだよ」 夏奈「今軽音部は創立史上最大の危機を迎えよとしている」 純「最大の危機って?」 夏奈「その危機を乗り越えるためには、私がなんとかしなきゃいけないんだ」 純「だから危機ってなに?」 夏奈「そうだ!二人が軽音部に入ってくれればいいじゃん!!」 憂「え?」 純「ねー最大の危機ってなにー?」 純「なるほど、来年になったら先輩たちが卒業して廃部になりそうだから今のうちに部員をかき集めてると」 夏奈「そうなんだよ、廃部にはしたくないんだよ」 夏奈(ケーキ食べれなくなるし) 憂「梓ちゃん軽音部大好きだもんね」 夏奈「そうなんだよ、大好きなんだよ」 夏奈(ケーキ大好き) 夏奈「頼む二人とも!軽音部に入って!!」 憂「うーん…いいよ!」 夏奈「本当!?」 憂「うん、梓ちゃんが困ってるなら助けてあげたいし」 夏奈「さすが憂だ!」 憂「うまく演奏できるか分からないけど、頑張るねっ」 夏奈「純、お前も入ってくれるよな!」 純「…ちょっと考えさせて」 夏奈「お…おい!話が違うじゃないか!」 純「どういう話なの…」 憂「純ちゃんはジャズ研に入ってるんだよね」 純「うん、だから…」 夏奈「そ、そんなぁ…」 純「ごめん梓。前に思わせ振りなこと言ったのに…」 夏奈「頼むよー!私には純が必要なんだよー!」 純「梓…」 純(そこまでして私のことを頼りに…) 夏奈(ケーキが…私のケーキが遠退く!) 夏奈「頼む純!一生のお願い!!」 夏奈「もう純しかいないんだ!!」 純「……」 純(ここまで積極的に誘ってくるなんて…よっぽど切羽詰まってるのかな) 純(私は梓の友達…梓の、友達のためにできること…) 純(けどジャズ研が…) 夏奈「純ー!助けてー!!」 純「あ、梓…」 純(やっぱり…友達は見捨てられない!) 純「兼部…考えてみる」 夏奈「え?」 純「ジャズ研と軽音部を兼部できないか、あとで部長に聞いておくよ」 夏奈「じゃ、じゃあ…!」 純「うん、うまくいけば軽音部に入れるかも」 夏奈「うおーっ!純大好きだぞー!!」 夏奈「これで軽音部は永久に不滅だーっ!」 純「あ、梓ったら大げさだよ」 憂「ふふっ、よかったね梓ちゃん」 夏奈「あぁ!お前たち大好きだ!」 純「そっか…私も大好きだよ」 純(なんか…今日のことで梓と友情が深まった気がする) 夏奈(ケーキ!ケーキ!!) 夏奈「というわけで二人が入ってくれることになりました」 律「マジか!?」 澪「すごいな…まさか本当に集めてくるなんて」 唯「やったー!憂と部活できるー!」 夏奈「はっはっは!気分が良い」 夏奈「ムギちゃん、早速お茶とお菓子を」 紬「は~い♪」 律「でも…あと一人はどうするんだ?」 夏奈「まぁ、一人ぐらい来年にはなんとかなるでしょ」 唯「でも、これで私たちの軽音部が廃部にならないって分かると…なんだか安心するね」 澪「あぁ、そうだな。梓のおかげで助かったよ」 夏奈「いやー、あはは」 キーンコーンカーンコーン 律「おっ、終了のチャイムだ。そろそろ帰るか」 紬「そうね、帰りましょうか」 唯「あ~、今日も疲れた」 夏奈「私ももう帰るか…」 夏奈「……」 夏奈(あれ?どこに帰ればいいんだ?) 夏奈「……」 夏奈(ここ私が住んでいる所と全然違うよな…) 夏奈(ていうか私はあずにゃん…あずにゃんどこに住んでるんだよ) 夏奈(どうすればいいんだ…家がない) 夏奈(帰る場所がない…) 夏奈「……」 夏奈(ひょっとして私…この世界で一人ぼっち?) 唯「どうしたのあずにゃん?」 夏奈(あっ、吉野の家に泊めてもらおう) …… 唯「ただいま~」 憂「おかえり、お姉ちゃ…」 夏奈「よっ」 憂「あれ?梓ちゃん?」 唯「あずにゃん今日うちに泊まりたいんだって」 憂「そうなんだ」 夏奈「ふつつか者ですがよろしくお願いします」 憂「ふふっ、今日の梓ちゃんは面白いね」 憂「今ご飯作ってるから待っててね」 唯「は~い!」 夏奈「はーい!」 憂(ふふっ…なんだか家族が増えたみたい) 唯「あずにゃん、ゲームでもやろっか?」 夏奈「なんだ?私とやるのか吉野。負けないぞ」 唯「こっちも負けないよ~!」 ピコピコピコ 唯「わわっ!負けちゃった~」 夏奈「チアキより全然弱いな」 唯「チアキ?」 夏奈「私の妹だよ」 唯「あれ?あずにゃん妹いたんだ」 夏奈「いるぞ。超がつくほど生意気だけどな」 夏奈「私のことをバカ野郎日本代表とか言うし」 唯「え~?あずにゃんはバカ野郎じゃないよ?」 夏奈「なっ!だよなっ!?」 夏奈「吉野は相変わらず話が分かるな」 唯「えへへ~」 夏奈「今日はあんな妹の顔を見れないと思うとせいせいする」 唯「でも自分の妹のことそんな風に言っちゃだめだよ~」 夏奈「いいや、あいつは…」 憂「ご飯できたよー」 憂「いっぱい作っちゃった」 夏奈「なんだお前は、力士でも育てるつもりか」 憂「えへへ」 唯「ん~っ!美味しい!」 唯「憂は料理上手だねー」 憂「ありがとう、お姉ちゃん」 夏奈「うちのハルカも料理上手だぞ」 憂「ハルカ?」 夏奈「私の姉だよ」 憂「そういえばお昼休みにも言ってたね。お姉ちゃんいたんだ」 夏奈「いるぞ。しっかり働いてたまに怠ける姉が」 憂「へぇ~、今度会ってみたいなぁ」 夏奈「じゃあ今度うちに遊びに来い!ハルカが美味しいおやつ作ってくれるから」 唯「おやつ!?食べたーい!」 憂「じゃあ今度お呼ばれされちゃおうかな」 夏奈「うちはいつでも歓迎するぞ!」 夏奈「くったー」 唯「もうお腹いっぱい」 憂「デザート用意したよ」 夏奈「完璧だな」 憂「お風呂もわいてるから後で入ってね」 夏奈「完全無欠だな」 憂「他にも何かあったら遠慮なく言ってね」 夏奈「なんだお前は!?おもてなし超人か!」 唯「憂は良い子だね~」 憂「えへへ」 唯「デザートも美味しい!」 憂「お姉ちゃんに喜んでもらえてよかった」 夏奈(憂はすごい。おもてなしの達人だ) 夏奈「それに比べて吉野、お前は私をおもてなす気があるのか?」 唯「ふぇ?」 夏奈「お前はおもてなしセンスゼロだ!」 唯「!?」ガーン 憂「お、お姉ちゃんしっかり!」 唯「で、でも…ゲームしてあげたよ?」 夏奈「あれはお前の暇潰しも兼ねてるだろ。そんなのはおもてなしとは言えない」 唯「えぇ~…じゃあおもてなしってなに?」 夏奈「おもてなしとは…温もり。そして…」 唯「そ、そして…?」ゴクリ 夏奈「………それにしてもデザート美味しいな」 憂「ありがとう」 唯「ねぇ、そしてなに?」 夏奈「いやー本当に美味しい」 唯「ねぇってば」 唯「教えてよ~」 夏奈「…吉野、お前は質問すればなんでも返ってくるとでも思ってるのか?」 唯「え?」 夏奈「少しは自分の頭で考えることも、人間には必要だぞ」 唯「えっと…つまり…」 夏奈「つまり…肩を揉め」 唯「肩を…?」 夏奈「おもてなしと言えば肩揉みだろ!」 唯「は、はい!」 憂「あっ、お姉ちゃんがやらなくても私が…」 夏奈「よし、なら憂は足を揉め」 唯「お客さん気持ちいいですか~?」モミモミ 憂「痛くはない?梓ちゃん」モミモミ 夏奈「うむっ、苦しゅうないぞ」 3
https://w.atwiki.jp/83452/pages/5957.html
律「う~ん…、誰も来ないなぁ…」 唯「新歓ライブうまくいったと思ったのに!」フンス 澪「…やっぱり軽音部って人気ないのかな…?」 紬「まぁまぁみなさん落ち着いてー」ウフフ 梓「軽音部ってここですか?入部希望なんですけど…」オズオズ 唯律澪紬「!!!!」パァー 唯(軽音楽部に待望の入部希望者がやってきました) 律「ようこそ軽音部へ!」ババァーン 唯「ほら、こっち座って座って」 梓「はいっ」テレテレ 唯「お名前何ていうの?」 梓「あ…中野ぁ…」 律「パートは何やってるの!?」 唯「誕生日は?好きな食べ物t」ワイワイ 律「血液型は?犬派?猫h」ガヤガヤ 梓「えと…、あの…、その…、」アセアセ 澪「おい…、落ち着けお前ら」 梓「…えっと改めまして、1年2組の中野梓といいます、パートはギターを少し」 律「おぉ!唯と一緒だな!」 梓「はい、よろしくお願いします、唯先輩」 唯「」ビクッ 唯(唯先輩!?ゆいセンパイ!?せーんぱいっ!)ホワーン ――妄想――――――――――――――――― 梓「唯せんぱいっ!このFってコードがうまく押えられなくて…」 唯「フフッまだまだだね梓ちゃん、私くらいになればこのくらい」ギュァァアンギュイン 梓「唯センパイ…… ス テ キ 」ポッ ――――――――――――――――――――― 律「おーい、浸ってないで帰ってこい」 唯「じゃっじゃあ!とりあえず何か弾いてみせて」ホイ ギター 梓「まだ初心者なので下手ですけど…」 唯「大丈夫大丈夫!私が教えてあげるから、チャ○メラでも笑わないよ」フフン 律澪(お前じゃないんだからwwww) 梓「そっそれじゃあ…」ピロリロリロピロリギュァンギャァアン 唯「へ?」 律澪(う……うまっwwwww) 唯「………話ちがくない?ちょっカメラ止めて」 紬「あらあらまあまあ」ニコニコ ∥PAUSE 唯律澪紬「……」シーン 梓「!!ご…ごめんなさい、やっぱり聞き苦しかったですよね…」 澪「あ、いいや!?そういうわけじゃ!」 紬「とっても上手だったわ中野さん」 唯「ま…まだまだだね!!」 律澪(あいつwwwつまらん意地をwww) 律「ゆっゆいちゅわん…?」 梓「…私!もういちど唯先輩のギター聞きたいです!」 唯「」 唯「あー、!!えっと今日はその、天空のかぶとをおうちに忘れちゃって…、」 唯「あれじゃん?天空の装備ってひとつでも欠けると…そのね?」アセアセ 律「よし、よくやった、ユイ もどってこい」 律「と、とにかく入部してくれるってことでいいんだよね?」 梓「はい!新歓ライブとっても感動しました!これからよろしくおねがいします!!」 唯「いやぁ~、今日はその、なんだ?ロト装備の気分だったんだよ…、それでね」ブツブツ 紬「わたしはロト装備の唯ちゃんもステキだとおもうわ♪」フフッ 澪「ムギ…、ほっといてやろうよ」 律「それじゃあ入部届けは受け取ったから…明日からよろしくね!」(唯がアレだからなww) 梓「は、はい!!それじゃあ失礼します」ホクホク 澪「また明日ね、気をつけて帰るんだよ」(唯wwww) 唯紬「…」フリフリ 律澪紬「」 澪「……で?」 唯「」 唯「わ…私、おもいっきり初期装備だよね」アワアワ 律「また薬草っすかwww」 翌日 梓「こんにちはーっ」 律「お!元気いっぱいだな」 梓「はい!放課後が待ち遠しかったです!」 唯「」ビクビク 澪「怖くない怖くない」ナデナデ 律「…、じゃあ早速お茶にでもするか」パンパン 紬「はーい♪」 梓(えぇー!?練習は!?) 紬「さぁ中野さんもどうぞ」フフ 律「きょおっは何かなぁ♪」 ガラッ さわ子「」 さわ子「」スタスタ 梓「あの、これは…、すみません、先輩たちが勝手に…」アワアワ さわ子「」スンスン さわ子「今日はグランボアシェリね、ということはお茶菓子はケーキの類!?」 紬「はい、先生どうぞ」 梓(えぇー、先生公認なんだ!?) さわ子「♪」 律(おいwww中野のやろwww) 唯(私たち売ろうとしたずwwwwww) さわ子「で、この子が新入部員?」 澪「そうです、中野さん?」 梓「な…中野梓です!パートはギターでおねがいしま」 さわ子「顧問の山中さわ子です、さ…立って、サイズを測らなきゃ」 梓「へ?あわわ、ハイ!?」スタッ さわ子「身長は××cm、胸囲××cm、で肩幅が…」ブツブツ 梓「」カキーン さわ子「ふぅ~、じゃあお茶もいただいたことだし、紬ちゃんごちそうさま!そろそろ職員室にもどらないと」 さわ子「…そうそう、コレあげるわ♪」パンパカパンパンパーン 唯律澪紬梓「…ネコミミ?」 さわ子「澪ちゃんに似合うかと思ってもってきたんだけど、梓ちゃんも似合いそうだから、それじゃ♪」 唯律紬 でねー、それで? あらあら 梓「あの先生、まるで風来坊…」アワアワ 澪「ごめんね、あの先生ちょっと変なの」 律「お!そうだ澪しゃんせっかくだからつけてみてはいかがです?」ニヤニヤ 澪「…///いやだ!律がつければいいじゃないか!」 唯「ムギちゃん似合う~!」キャッキャ 紬「本当?嬉しいわ~♪」キャッキャ 澪律「…あれ?」 唯「そうそう!梓ちゃんもつけてみてよ!」 梓「えっ…」 律「ま…まぁ軽音部の儀式みたいなもんだし、ね」 澪「あ…あぁ、ライブじゃ衣装も着るしね!恥ずかしがっていられないよ!」 律(衣装着るのもアレだけ恥ずかしがってた澪ちゅわんが仰いますかwwww) 澪(うwwwるwwwせwwwえwww) 梓「うっ、えっ?え…?」アタフタ 梓「///」シャキーン 律「まぁ、あれだ」(かわいいな///) 澪「あ、あぁとっても似合ってるよ」(一家に一匹///) 唯「わぁ!!」キラキラ 唯「我が私立桜が丘女子高等学校軽音楽部へようこそいらっしゃいました!」キャッキャ 紬「中野梓さんは、あと2018の経験値で次のレベルになるでしょう」キャッキャ 澪「唯、いいかげんドラクエから離れよう ムギ、のらなくていいよ」 律「そしてこの冒険の書に記録してもいいでs…ぐふぅ」バタッ 澪「…」フキフキ 唯「ん~~!梓ちゃんかわいい~~☆」 紬「ハァハァ」●REC 律「ニャーッて言ってみて、ニャーッて」 梓「に、にゃぁ~~///」 律澪(こっ、これは…) 唯「あだ名はあずにゃんで決定だね!!」キラキラ 唯「あ~ず~にゃ~あ~ん♪」ダキッ 梓「ゆっ唯先輩、く…、くるしいで…す」 紬「じゃあわたしも!あずさちゃーん///」ダキッ 梓「ム…、ムギ先輩まで///」テレテレ 律「よかったな梓!みんなにモテモテだ!」ニヤニヤ 澪「……」 澪(…梓、かわいいな) 澪(いじられる対象が私から梓に移ったのは助かったけど…、) 律「でも…、このさびしい気持ちは何?」コソコソ 澪(このやろwwww)クソッ 律(ワロチwwwww)ヘラヘラ …… 梓(こんにちは!) 梓(今年この学校に入学してきた中野梓です) 梓(新入生歓迎会での軽音部の演奏に感動して) 梓(軽音部に入部…したんですが) 唯律「…」ダラー 梓「何コレ」 澪「やあ梓!」 梓「あ!澪先輩」 澪「どう?もう軽音部には慣れた?」 梓「え、えっと…、まだこののんびりした空気がちょっと…」 澪「あー…」(だよなww) 唯「あ~!あ~ず~にゃ~ん!」ダキッ 梓「むぐぅ…」 唯「あっずにゃ~ん♪」スリスリ 梓(いま私に抱きついてきてるのが唯先輩) 梓(去年の学園祭ライブの録音を聞き私は感動) 梓(新歓ライブでの演奏ももちろん素晴らしかった) 梓(私が軽音部に入部した理由の半分はこの人にあると思う) 唯「かーわいー☆」スリスリスリスリ… 梓「ちょっ、唯先輩…」 梓(なのに…、いつもダラダラダラダラダラダラ…) 梓(まじめに練習するそぶりを見せてくれません) 梓「…はぁ」 唯「…?」 律「…で澪のやつったらさ酷い怖がりようでさ?」 紬「あら、でも澪ちゃんらしいわぁ」 梓(ソファーでダレて紅茶を飲んでいるのが軽音部部長の律先輩、…あれでも部長です) 梓(みなさんからの「そうは見えないが…」という悲観の声が私の胸にひしひしと伝わってきます、私もそう思います) 梓(ドラマーとしても部長としても) 梓(私達軽音部のリズムキープをお願いしたいところなのですが…) 梓「…」ジトー 律「…?おう、梓!」 梓「……こんにちは」ブスッ 律「…?」 梓「…ムギ先輩、こんにちは」 紬「こんにちは、梓ちゃん♪梓ちゃんの分も今入れるわね~」 梓(今進入部員の私を気遣ってお茶を入れていくれているのがムギ先輩) 梓(おっとり、ぽわぽわ、やさしい先輩だ) 梓(唯先輩、律先輩に流され、いっしょにのんびりしてしまうところもありますが) 梓(たぶんそれはムギ先輩の人の良さがでているのでしょう) 梓(正直みなさんが練習に向かう方向で気を使っていただければありがたいのですが…) 紬「はい、梓ちゃん」 梓「…」ペコッ 紬「…どうかな?」ニコッ 梓「!!とっても…おいしいです」(あったかい///) 紬「うふふ、よかったわぁ♪」 澪「…ったく、律と唯、ダラダラしてるな!そろそろ練習するぞ!」 澪「悪いが、梓もそれを飲んだら練習にしよう」 梓「はい!」 梓(軽音部で一番の頼りになるのがこの澪先輩) 梓(ダレたみなさんに渇を入れ練習ムードにさせてくれる) 梓(ベースも上手でキレイで…お姉さんって感じだ) 澪「こんなダレた部活で嫌になって、梓がこなくなっちゃったらどうするんだよ!?」 唯「そっ…そんな!あずにゃん?そんなこと言わないよね?」ササッ 律「まっまぁ!ちょうど今休憩が終わってこれからバリバリ練習タイムなのだよ!な?」 紬「はい、がんばって練習しましょう♪」 澪「…ふぅ、悪いな?梓」 梓「い、いえ、練習しましょう!!」 律「ふぅー!今の結構よかったんじゃないか?」 紬「えぇ!ばっちりだったわ」 唯「うぅ~、疲れたよ、りっちゃ~ん!あいすぅ~!」 澪「よし!今日はこのくらいにして帰ろうか!」 律「うっし!じゃあ片付けの終わった者からアイス屋に出撃だぁー!!」ドタバタ 唯「おぉーう!りっちゃん隊員につーづけー」バタバタ 紬「あらあら、急がないと…」 梓「あ…、あの、澪先輩!」コソコソ 澪「ん?どうした梓?」 梓「少し残っていただけないでしょうか?」コソコソ 澪「あ…、ああ」 紬「澪ちゃん?」 澪「悪いムギ、今日は行けないから三人で行ってくれ」 紬「?…それじゃあお先に失礼するわね、梓ちゃんもお疲れさま~♪」フリフリ 澪「ふぅ、…ちょっとまってね」 梓「…はい」 澪「はい!ムギには劣るとは思うけど」カチャ 梓「あ…、ありがとうございます」 澪「よいしょ、…それで、話しって?」 梓「あの…」 澪「ま、まさか…、軽音部辞めたい…とかか?」 梓「いえ、そういうわけじゃないんです」 澪「そ…、そうか!」ホッ 梓「み…澪先輩は」 澪「ん?」 梓「澪先輩は、外バンとかやらないんですか?」 澪「…外バンかぁ、興味が無い訳じゃないよ?」 梓「な、ならこの軽音部でやるよりもっと自分の為にな…」 澪「ダメなんだ」 梓「…え?」 澪「私も確かにそうは思うよ、でもね」 澪「みんなとじゃないとダメなんだ」 梓「…」 澪「唯と律はあんな調子だし、ムギはおっとりさんだけどな」 澪「でもみんなとじゃないと私の音楽じゃないと思うんだ」 梓「…」グスッ 澪「もちろん!梓もそのメンバーの一人だよ」 梓「う…、うぅ…」グスグス 澪「梓には嫌な思いをさせちゃってるかもしれないね」 梓「…そんな、ことは」スンスン 澪「今はあんな調子で大して練習もしてないけど」 澪「梓がこの部活にいてよかった!って思えるよう私もがんばるよ」 梓「……はい」グスッ 澪「ほら、涙を拭いて?」ハンカチ 梓「はい、ありがとう…ございます」フキフキ 澪「よっし!じゃあ暗くなる前に帰らないとね、一緒に帰ろう!」 梓「はい!」 梓(それからだった) 梓(…澪先輩を意識しはじめたのは) 2
https://w.atwiki.jp/83452/pages/3083.html
そういえば、今日は何月何日なんだろう? 憂「今日は3月25日、学校は春休みだよ」 なんだ、そうだったんだ、慌てて損した。 憂「それに、その格好…」 唯「?」 憂はくすくすと、声を殺して笑っている、どうしたんだろう? 憂「それ、中学の時の制服だよ、お姉ちゃん」 どうやら私は慌てすぎて、中学の制服を着てしまっていたらしい。 だってしょうがないじゃん、記憶がないんだから、どっちが高校の制服かなんてわからないんだから。 そんなに笑わないでよ。 憂「朝ごはんできてるよ、たべよ」 リビングにはすでに朝食が並べられていた、昨日と違って量は普通だった。 朝食を食べながら、今日見た夢の内容を思い出し、憂に話してみた。 唯「っていう夢を見たんだけど、憂は知ってる?」 憂「…うん、覚えてる、小さいころに、確かにあったよ」 唯「じゃあ、やっぱり私の記憶なんだ、よかった、少しづつだけど思い出してるみたい」 おぼろげながら、両親の顔も思い出せるようになってきた。 この調子なら、意外と早く全部思い出せるかも。 憂「それで、学校は春休みなんだけど、部活はあるみたい、今朝律さんから電話があって、 これそうなら来てくれって」 唯「そうなんだ、うん、もちろん行くよ」 憂「一人で大丈夫?私も一緒に行こうか?」 唯「大丈夫だよー、憂は心配しすぎだって」 憂「でも、学校の場所わかる?」 唯「あ……」 憂「ご飯たべたら、一緒に行こうか」 唯「はい、お願いします…」 ……… 憂「着いたよ、ここがお姉ちゃんが通ってた、桜ヶ丘高校だよ」 ここが私の学校か… 私の家とは違って、見覚えはなかった。 憂「軽音部は音楽室だよ、行こう、お姉ちゃん」 唯「うん」 音楽室に到着し、私達は中へと入った。 他の三人はもう来ているようだ。 憂「こんにちは」 唯「こ、こんにちは…」 律「お、唯に憂ちゃん、いらっしゃい」 音楽室の中には、律さんのほかに二人の女の子がいた。 少女1「! 唯!」 少女2「唯ちゃん!」 唯「あ、え、えっと…」 私が困っていると、律さんが助け舟をだしてくれた。 律「唯、こっちがベースの澪で、そっちがキーボードの紬だよ」 唯「あ、は、はい、あの…私は平沢唯です、その…はじめまして…」 澪「! 唯、ほんとに記憶がないのか…?」 紬「りっちゃんから聞いていたけど、まさか本当だったなんて…」 二人は信じられないといった目で私を見ている。 というか、今にも泣き出しそうな顔をしていた… 唯「ごめんなさい、私、早く思いだせるように頑張るから!」 私がそう言うと、二人は複雑そうな表情を浮かべた。 律「まあ、立ち話もなんだし、ティータイムにしようぜ、ムギ、お願い」 紬「うん、今用意するわね」 唯「え?ティータイム?」 律「うん、ティータイム」 唯「ここって、軽音部、なんですよね?」 律「うん、ティータイムがうちの軽音部の売りなんだ」 軽音部ってもっと激しいところかと思っていたけど、意外とまったりしてるんだなぁ。 紬「はい、唯ちゃん、どうぞ」 そう言って紬さんが私の前に紅茶をだしてくれた。 唯「あ、ありがとうございます」 飲んでみると、とてもおいしかった。 こんなにおいしい紅茶を飲んだのは初めてだ。 澪「唯、なんだか雰囲気が違うな…おとなしいっていうか…」 紬「確かにそうね…それも、記憶がないせいなのかしら」 唯「えっと…私ってもっと、活発だったんですか…?」 律「うん、そうだよ、すごく明るかったかな、入学式の日に始めて会ったときも、 すごくフレンドリーに話しかけてきたし」 唯「そう…なんですか…」 律「まあ、記憶が戻れば、きっとそのあたりも元に戻るよ」 唯「そう…ですね」 そうだといいんだけど… 律「それより、ギターもってきたんだろ?何か弾いてみてよ」 唯「あ、はい」 私は持ってきたギターを取りだして構えた。 律「記憶をなくしてても、体は弾きかたを覚えてるかも、ピアノマンみたいに」 ピアノマン? 唯「実は、昨日の夜も弾いてみようとしたんだけど、全然弾き方を思い出せなくて…」 紬「とりあえず、何も考えないで弾いてみたらどうかしら」 唯「う、うん、やってみる」 私は何も考えずに無茶苦茶に手を動かして弾いてみたけれど、 やはりギターからでてきたのは、その通りの無茶苦茶な音だけだった。 律「…やっぱり、そう上手くはいかないか」 澪「だけど、覚えてるどころか、初めて弾いたときよりも下手になってるような…」 律「そういえば、初めて弾いたときは、けっこう弾けてたもんな」 散々な評価だ。記憶を取り戻せば、ギターも元通り弾けるようになるんだろうか? なんだか不安になってきた。 紬「大丈夫よ、きっとすぐにまた弾けるようになるわ」 唯「うん、ありがとう、私がんばる」 その後は、澪ちゃんに教わって、コードをいくつか練習した。 夕方、少しは弾けるようになってきたところで、この日の部活は終了した。 律「じゃあな、唯、憂ちゃん、また明日」 唯「うん、りっちゃん、また明日」 みんなと別れて、憂と二人で歩き出す。 憂「お姉ちゃん、部活どうだった?」 唯「楽しかったよ!早く記憶を取り戻して、みんなと一緒に演奏したいな」 憂「うん…そうだね、早く思い出せるといいね」 ……… 今日も憂の作ってくれた夕飯を一緒に食べて お風呂に入ってあと、部屋で澪ちゃんに教わったギターの復習をしていると、 気がついたら12時をまわっていた。 そろそろ寝ようかな。 そう考えていたとき、またあの音が聞こえてきた。 ピピピピ ピピピピ ピピピピ 携帯のアラームの音だ。 ピピピピ ピピピ 引き出しを開けて、携帯のアラームを止める。 画面にはまた文章が表示されていた。 『残りあと42 日記をみて』 そこにはそう書かれていた。 またもや意味不明だ。 日記? とりあえず私は書いてある通り、日記を探してみる。 だけど、本棚にも引き出しにも、クローゼットを探してみても、 日記らしきものは見つからなかった。 きっと「日記」というタイトルのドラマか何かがあって、 それを見忘れないためにアラームをセットしたんだろう。 私はそう納得することにして、今日はもう寝ることにした。 ……… この日も私は夢を見た。 幼馴染の和ちゃんがでてくる夢だった。 私と和ちゃんは中学生で、学校の帰りに二人でアイスを食べていた。 ……… ジリリリリリリリリリ バンッ 私は目覚ましを止めて、ベッドから起き上がる。 私は夢の内容を思い出してみた。 和ちゃん…私の幼馴染。 それと同時に、中学時代の記憶もいくつか思いだせるようになってきた。 リビングへ降りると、憂の話声が聞こえてきた。 どうやら電話で誰かと話しているようだ。 憂「………はい、本人にはそのことは秘密に……はい、それじゃあ、失礼します」 ちょうど話終えたところだったので、私は憂に話しかけた。 唯「憂、おはよう」 憂「! お姉ちゃん、聞いてたの?」 唯「ううん、今来たところだよ、電話、誰からだったの?」 憂「律さんからだよ、今日も部活やるから来てくれって」 憂「朝ごはんできてるから、食べよう」 唯「うん、いただきまーす」 朝食を食べながら、今日も夢で見た内容を憂に話した。 憂「そうなんだ、和さんの夢を…」 唯「うん、それから、もう両親の顔もしっかり思い出せるようになってきたし、 中学のときのこととかも、少しずつ思い出してきたんだ」 唯「高校に入ってからのことはまだ思い出せないけど、この調子なら意外と早く全部思い出せるかも」 憂「そっか、よかった…」 朝食のあと、私は制服に着替えてギターを持って、 部活にいく準備を整えてから憂に声をかけた。 唯「それじゃあ憂、部活に行ってくるね」 憂「やっぱり、私も一緒に行こうか?」 憂は心配そうな顔をしてそう言ってきた。 唯「大丈夫だよ、もう学校の場所もわかってるし」 憂「うん、でも…もう、いなくなったりしたら、嫌だよ…」 唯「え?もうってどういうこと?」 憂「あ、えっと…実は、お姉ちゃん前に一度、家出したことがあって」 唯「家出?私が?」 憂「うん、高校に入る前の春休みに、急にいなくなっちゃって、三日くらいして帰ってきたんだけど」 唯「私はどうして家出なんか?」 憂「わからないの、お父さんもお母さんもすごく怒ったけど、 お姉ちゃんは心配かけてごめんなさいって言うだけで、理由を言おうとはしなかったから」 私はどうして家出なんかしたんだろう、記憶を取り戻せば、その理由もわかるのだろうか。 まあそれは置いといて、それで憂はまた私がふらふらといなくなってしまうんじゃないかと、 不安になっているのか。 唯「大丈夫だよ、家出しようにも行くところなんて思いつかないし、夕方にはちゃんと帰ってくるから」 憂「うん、わかった、行ってらっしゃい」 唯「行ってきます!」 私は憂を安心させるために、元気よくそう言った。 音楽室に着くと、他の三人はもう来ていた。 唯「おはよう、みんな」 律「お、今日もちゃんと来たか、よかった」 どういう意味だろう?私はそんなにサボり魔だったのかな。 紬「はい、唯ちゃんもお茶どうぞ」 唯「ありがとう」 澪「それで、何か思い出せたか?」 唯「うん、高校に入ってからのことはまだ思い出せないけど、 中学のときのこととかはだいぶ思い出してきたんだ」 律「そっか、それはよかった」 唯「ねえ、よかったら軽音部に入ってからの話を聞かせてくれない? 話を聞けば、思い出せるかもしれないし」 澪「うん、いいよ、それじゃあ、何から話そうか…」 それから三人は私が軽音部に入ってからのことを話してくれた。 私たち四人が集まって、軽音部が廃部を免れたこと。 私のギターを買うために、みんなでバイトしてくれたこと。 私の追試のために勉強を教えてくれたこと。 夏の合宿に秋の文化祭の話など、三人はとても楽しそうに思い出を語ってくれた。 唯「わー、なんだかすっごく楽しそうだね」 澪「うん、楽しかった、すごく…」 唯「ねえ、もっと聞かせて、文化祭の後は…」 律「はい、ストップ!そろそろ練習始めるから、思い出話はおしまい!」 唯「えー?もっと聞きたいのに」 律「いいから練習するぞ!続きはまた今度な」 なぜだかやたらと練習したがるりっちゃんの言葉で、ティータイムは終わりになった。 その後はまた澪ちゃんに教わって、夕方までコードの練習をした。 ……… 紬「それじゃあ、唯ちゃん、また明日」 律「明日もちゃんと来いよー」 唯「うん、また明日ー」 みんなと別れて、帰路につく、今日は憂はいないので一人きりだ。 ガチャ 唯「ういーただいまー」 家の中に入ってそう言ったが、返事は返ってこなかった。 自分の部屋にでもいるのかな。 二階に上がって、憂の部屋をノックしてみる。 コンコン 唯「ういー?」 ガチャ ドアを開けて部屋の中を見たが、憂の姿はなかった。 買い物にでも行ったのかな? そう思って部屋をでようとしたとき、憂の机の上にあったあるものが目にはいった。 唯「日記…」 その瞬間、昨日の携帯にあった文章を思い出した。 『日記をみて』 ひょっとして、日記というのはこれのことを指していたのだろうか。 でも人の日記をかってに見るなんてだめだよね。 …だけど、私の記憶を取り戻す手がかりがあるかもしれない。 ちょっとだけなら… 私は誘惑にまけて、日記の最初のページを開いた。 4月7日 今日はお姉ちゃんの高校の入学式だった。 お姉ちゃんは時計の時間を見間違えて、遅刻と勘違いして慌てて学校に走っていった。 相変わらずおっちょこちょいだけど、そんなところも可愛いな。 4月8日 今日、お姉ちゃんから、軽音部に入部したと聞かされた。 お姉ちゃんがギターに興味があったなんて知らなかったな。 軽音部って怖そうなイメージがあるけど、大丈夫だろうか。 とても心配だ。 4月12日 今日はお姉ちゃんがギターを買うためにアルバイトをするといって、 朝早くでていった、なんでも、軽音部のみなさんも協力してくれるらしい。 私は感謝の気持ちもこめて、四人分のお弁当をつくってお姉ちゃんに持たせてあげた。 お姉ちゃんも、軽音部で上手くやっていけているようで安心した。 4月16日 今日はお姉ちゃんがとうとうギターを買ってきた。 部屋でポーズを決めたりしていて、とても嬉しそうだ。 お姉ちゃんが嬉しそうにしていると、私も幸せな気持ちになる。 5月20日 今日は軽音部のみなさんが家にきて、お姉ちゃんに勉強を教えてくれた。 軽音部の人たちに会うのはこれが初めてだったけど、みんな優しそうな人達だ。 私も来年は、桜ヶ丘高校に入れるといいなあ。 6月12日 お姉ちゃんは最近、ご飯を食べ終わるといつも、リビングでギターの練習をしている。 お姉ちゃんにも夢中になれるものが見つかったみたいで、嬉しい。 ……… 日記に書かれていた内容は、今日軽音部のみんなから聞いた内容と、ほぼ同じだった。 だけど、これじゃあまるで私の観察日記だ。 苦笑いを浮かべながら読み進めていると、玄関から音がした。 ガチャ 憂「ただいまー」 憂が帰ってきたようだ、私は慌てて日記をもとの場所にもどし、憂の部屋を後にした。 ……… その夜、自分の部屋でギターを弾いていると、またあの音が聞こえてきた。 ピピピピ ピピピピ ピピピピ もはや恒例となったこの音。 ピピピピ ピ 携帯を取り出してアラームを止め、画面を確認する。 『残りあと18』 今回書かれていたのはそれだけだった。 だんだんと数字が減ってきている。 いったいこの数字は何を表しているのだろうか… 考えてもわかりそうにないのでもう寝ることにしよう。 3
https://w.atwiki.jp/rituazu/pages/124.html
春。始まりと終わりの季節。 新たな出会いの前には切ない別れがある。 卒業証書を受け取って号泣する先輩。 先生と、仲間と、思い出話に花を咲かせる。 先輩たちにとって、今日は門出の日。 それぞれが自分の道に向かって、新たな一歩を踏み出す。 私はそれを見送る。 お祝いの気持ちと言葉を伝える。 大好きなあなたと離れなければならない。 切ない別れの日。 「確保ーっ!!」 私の高校生活はその一言で始まった。 あなたにいきなり抱きつかれて、訳も分からないまま自己紹介をさせられて。 気がついたら、軽音部の一員になっていた。 それからもう二年が経つ。 不真面目で怠け者で、部長なのに率先してサボるような人だけど。 本当はみんなのことを……私のことを誰よりも考えてくれる、優しい人。 軽音部のムードメーカーで、私たちをぐいぐい引っ張ってくれたリーダー。 そんなあなたに、私はいつの間にか惹かれていた。 私に後輩がいないことをすごく気にしてくれて。 どんな悩みも相談に乗ってくれた。 辛いときや苦しいときは、その胸を借りた。 後輩がいないのは寂しかったけれど。 こんなに優しい先輩がいて、幸せだった。 あなたが優しいのは部長だからですか。 私はただの後輩なのでしょうか。 そんなことを聞いても、鈍感なあなたは意味を分かってくれないだろうし。 分かったとしても、ずるいあなたははぐらかしてしまうだろう。 だからこの思いは、ずっと心の奥底に仕舞ってきたんです。 「あずにゃん、ここにいたんだね」 「探したわよ」 卒業証書片手に、目を赤くした先輩たち。 そこにあなたの姿はない。 「あいつは今部室にいるよ」 部室に一人で何をしているのだろう。 「私たち、先生に用事があるの」 「先に梓、行っててくれないか」 多分、これが最後のチャンス。 特別な日にも、部室は姿を変えない。 私たちが部活を続けていた、その日の姿を留めている。 唯一の後輩のトンちゃん。 その水槽を眺めている、あなたの姿。 私に気がつくと、ゆっくりと近づいてきて。 そしてすっぽり、腕の中に収めてしまった。 「……確保」 その胸に体を預ける。 私の居場所を感じる。 あなたの体は温かい。 「一人にさせちゃって、ごめんな」 やっぱり鈍感な人。 私の気持ちを弄ぶだけ弄んで、まるで気づいていない。 あなたがそんな人だなんてこと、ずっと前から分かってる。 「大丈夫です」 後輩がいなくても何とかやっていく。 あなたが残した軽音部は、私が何とかして続けていく。 私、頑張ります。やってやります。 だから、その代わりと言っては何ですが。 「律先輩」 言わせてください。 Fin 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/18301.html
歩「高校を卒業するまでに、見つかるでしょうか」 律「?」 歩「宮神学園から卒業したら、里に戻されるんです」 律「マジか……」 歩「宮神学園に、奏会長に守られているから、私は……今だけ普通の女の子として生活していけるんですよ」 澪「……」 歩「実習の先生なら私をそこから連れ出してくれる――って、心のどこかで思っていたんですね……」 律「……」 ――… 歩「」スヤスヤ 律「……」 澪「動くなよ律」 律「?」 澪「カメラ取って来るから」 律「???」 紬「どうぞ」 澪「ありがと……って!」 紬「シー……」 澪「ッ!」 律「さっきの新聞紙はむぎだったのか……」 紬「そうです」キリ 澪「撮るぞ」 律「なんでだよ」 澪「律が膝枕してるんだぞ、これは貴重だ」 紬「うんうん」 歩「」スヤスヤ 律「やめろこら」ヒソヒソ パシャッ 澪「……よし」 紬「見せて見せて」 澪「……」 紬澪「「 おぉ…… 」」 律「……気になるな」 紬「月に照らされた二人、蒼い光を受けているわ」 澪「自分で言うのもなんだけど、素晴らしいぞ」 律「み、見せろ」 歩「う……ん……」 律「……!」 澪紬「「 シー…… 」」 歩「」スヤスヤ 律「……」ホッ パシャッ 律「ッ!?」 紬「今の、とても良かったと思うの」 澪「うん。ピュリッツァー賞も夢じゃない」 紬「歩ちゃんを見守るりっちゃんの優しい表情……」 澪「律を頼りながら安心しきっている歩の寝顔……」 紬澪「「 おぉ……! 」」 律「あのな……」 歩「」スヤスヤ 紬「人間万事塞翁が馬、ね」 澪「少しズレていたら不幸なことが起きていたけど、なにが幸福かは分からないもんだな」 律「……」 紬「……」 澪「……」 歩「」スヤスヤ 紬「りっちゃん、寝なくていいの?」 律「……あぁ。今寝たら、悪い夢見そうでな……」 紬「……」 律「今更ながら、怖くなってくる。 もしも、を考えてしまうんだよ。……もしも、あの時」 澪「今なら、大丈夫だろ? ちゃんと手の中にいるんだから」 歩「」スヤスヤ 律「そうだな……」 紬「蚊取り線香と、虫除けスプレーと、タオルケット」 澪「用意がいいな」 紬「うふふ」 律「眠くなったら、ここで寝るから」 澪「うん」 紬「分かった」 律「……」 澪「……」 紬「……」 歩「」スヤスヤ 律「テントに戻らないのかよ」 澪「律が眠くなるまでいるよ」 紬「うん」 律「そっか……」 ――… 奏「むぎさん……」 紬「あら、おはようございます」 奏「どうしてこんなところに……?」 紬「うふふ」 澪「」スヤスヤ 律「」スヤスヤ 歩「」スヤスヤ 奏「歩……」 紬「……」 奏「そういうことでしたか」 紬「……」 奏「お見送り行けなくて心苦しいですが、ここで失礼します」 紬「えぇ」 奏「それでは、さようなら。琴吹紬さん」 紬「それじゃあ、またね。神宮司奏さん」 ――… チャッチャラチャンチャラランラン チャンチャンチャチャーン ウデヲマエカラウエニアゲテ オオキクセノビノウンドー イッチニー サンシー 律「ラジオ体操ッ!?」ガバッ 澪「っ!」 律「……あれ?」 澪「驚かすなよ……りつ……」 チャンチャラ チャンチャン 律「ラジオ体操か……」 澪「ふぁぁ……朝か……」 律「腕が鳴るぜ!」 テッテッテ 澪「……背中が痛い」ギシギシ ヨコマゲノウンドー 唯「いっちにーさんしー」 みなも「ごーろっくしっちはっち♪」 りの「にーにっさんしー!」 れいん「ごーろくしちはち~」 律「こら、れいん! だらしないぞ!」 れいん「はいっ! すいません、りっちゃん隊長ー!」 歩「おはよーございます、律さん!」 律「うむ、おはよう。元気があっていいな! 人数が足りないけどどうした!」 唯「朝ごはん作ってる人と、テントでさんしー!」 みなも「ごーろっく、寝てるよさんしー♪」 律「そこ! もっと背筋を伸ばせ!」 りの「はいー!」 アシヲヨコニダシテナナメシタニー 律「歩! 足をもっと開け!」 歩「はい!」 律「みなも――」 澪「うるさいっ!」スパーン ――… 香「律さんはどうしたんですか?」 澪「一人でラジオ体操やっているから、先に食べていよう」 りの「あれ、奏会長がいないよ」キョロキョロ プッチャン「昨日の夜に、朝から出かけると言ってただろう」 りの「そうだったっけ?」 プッチャン「朝からボンヤリしてんじゃねえよ」 紬「……」 奈々穂「それでは、いただこう」 聖奈「いただきま~す」 「「「 いただきま~す 」」」 梓「おいしいですね、むぎ先輩」 紬「うん。味付けがいいわね」 香「ありがとうございます!」 紬「香ちゃんが作ったのね」 香「そうです! 昨晩のうちに仕込みをしていました!」 久遠「テンション高いですわね」 小百合「味噌汁が食べられるなんて、素晴らしい」 れいん「ホントホント、手間かけてるね~」 純「たんと召し上がれ」 れいん「料理もできるんですかぁ~」 純「…………味噌汁だけね」 さわ子「もぐもぐ」 唯「さわちゃん、ご飯食べながら新聞を読むのはいけないんだよ」 さわ子「いいのよ、私は大人だから」モグモグ 唯「大人ってずるいよね」 みなも「ね~!」 澪「高校三年生と中学一年生が共感してる……」 和「唯のいいところよ」 憂「……」 奈々穂「憂さんは複雑な表情だな」 まゆら「日経株価はどうですか?」 さわ子「え~と、あらら日本の銀行様が下落してるわね」 久遠「……」 まゆら「先日から下がり始めたようですよ」 さわ子「ふ~ん……」 奈々穂「聖奈さん」 聖奈「は~い」ガタッ スタスタスタ さわ子「?」モグモグ プッチャン「ガツガツガツ」 りの「あー! プッチャンそれ私のだよ~!」 プッチャン「いいじゃねえか、減るもんじゃねえし」 りの「私の食べる分が減ったよー!」 香「どうしたんですか、副会長。箸が進んでいませんが」 奈々穂「いや……なんでもない」 プッチャン「サンドイッチに箸なんて使うかよ」 香「だまらっしゃい!」キッ 紬「りのちゃん、食が進んでいないみたいだけど」 りの「食べるの無くなっちゃいました」アハハ 紬「私のでよかったら、おにぎりをどうぞ」 りの「わぁ、ありがとうございます~!」 紬「いえいえ~」 梓「むぎ先輩、律先輩のでよかったらどうぞ」 律「……」 梓「なんてね」 律「なにが、なんてね、だよ。まったく」 歩「どうぞ、お茶です」 律「うん、ありがと。。歩は気が利くなぁ~」 歩「えへへ」 梓「日経平均株価が大幅下落だそうですよ律先輩!」 律「株に興味ねえよ! 誤魔化そうとするな!」 唯「あずにゃん、銀行が下落したんだよ。 だけど、このままいけば市場に影響が出ることは間違いないだろうね」キリ 律「誰だおまえは」 憂「今日も暑い一日になりそう」 りの「ほんとにいい天気だね~、こういう日は海で泳ぐのがいいんだよね~」 澪「さわ子先生」 さわ子「ダメよ。昼には帰るんだから」 唯「大人って厳しいよね」ションボリ みなも「帰っちゃうの……?」ウルウル 唯「帰らないよ!」 みなも「やったぁ!」 憂「お、お姉ちゃん」 さわ子「……」ズズーッ 唯「ごめんね、みなもちゃん……」ウルウル みなも「ううん。みなも、分かってたもん」ウルウル 聖奈「奈々穂さん、こちらへ」 奈々穂「分かりました」 久遠「……」 琴葉「……」 律「一人でラジオ体操楽しかったなー!」ジーッ 澪「……フン」 香「あははっ、律さん本当に一人で体操したんですか」 みなも「きゃははっ、律さん真面目~!」 りの「あはははっ、けほっ、けほっ」 プッチャン「なにやってんだよ、りの」 紬「はい、お茶」 りの「す、すみません……」 紬「みんなに聞いて欲しいことがあるの」 梓「?」 律「なんだよ、改まって……」 澪「?」 憂「なんですか?」 和「お別れの挨拶ね」 歩「!」 紬「ううん、違うの。奏さんの大切な話」 香「会長についてですか?」 律「ん? 会長って言ってるじゃねえか」 香「アレを引っ掛けるための嘘ですよ」 律「おぉ」 れいん「大切な話ってなにかな~?」 小百合「さぁ、見当がつかない」 まゆら「……?」 みなも「なになに~?」 琴葉「……」 久遠「琴吹グループのご令嬢、琴吹紬。神宮司とはどこまで繋がっていますの?」 紬「分かりません」キッパリ 久遠「そうですか。……え? 分かりませんの?」 紬「いえす」 りの「大切な話って、なんですか? 紬さん」 紬「奏さんは、お見合いさせられます」 琴葉「!」サッ りの香「「 えぇーッ!? 」」 久遠「そ、それは本当なんですの?」 律「マジかよ!?」 紬「はい」 澪「せ、政略結婚なのか……?」 紬「そうみたいね」 和「身近で聞くと、少し戸惑うわね」 憂「う、うん」 梓「奏さんも高校三年生です。きっと色々と事情があるんですよ」 純「この人だけ冷静っ!」 れいん「ぬぬぅ~! どこの馬の骨とも知らないヤツに~!」 香「潰すッ!」 さわ子「あら、ナイターで延長の可能性があるわね。録画大丈夫かしら」 まゆら「もう少しこちらにも興味を持ってください~」 聖奈「紬さ~ん、こちらへいらしてくださ~い」 紬「は~い」 テッテッテ 小百合「大変なことになったな」 りの「好きでもない人と結婚なんて、ダメだよ~!」 プッチャン「大人は大人の事情ってもんがあるんだよ」 りの「そんなの知らないもん!」 梓「……」 12
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/999.html
律「澪~!!」 澪「わっバカ!教室で大声だすな!」 律「なんでだよ~」 澪「桜ヶ丘は共学になったとはいえ男子の生徒はまだ少ないんだぞ」 律「はっは~ん、男子とお話しているところを見られるのが恥ずかしいのかぁ~」 澪「へっ変なこというな!」ベチッ 律「あ痛ぁっ!暴力反対~っ!」 澪「それで、何か用か?」 律「おーそうだった。澪、軽音部に入ろうぜ!」 澪「軽音部?いやでも私、文芸部に入るつもりだし…」 律「頼むっ!入部したはいいけれど、部員数が足りないんだ」 律「今月中に4人入部しないと廃部になっちまうんだよ!」 澪「う~ん、でも…」 律「とりあえず、見にくるだけでも!」ガシッ 澪「あ…ぅ…律…」ボッ 律「こっちこっちー」タッタッタッ 律「ムギー!新入部員つれてきたぞー!」ガラッ 澪「おい律!私、まだ入部するとは…」 紬「あらあらりっくん」 澪「!」(お、女の子…?) 律「ムギ、俺の幼なじみの澪だ」 澪「あ、秋山澪です…」 紬「琴吹紬です。よろしくね、澪ちゃん」 澪「な、なあ律、部員はお前と紬さんしかいないのか?」 紬「ムギでいいわ、澪ちゃん」 律「ああ、俺とムギだけだけど?それがどうかしたか?」 澪(律が他の女の子とふたりっきり…?) 澪「だ、ダメだ!」バンッ 律「おわっ!急になんだよ!」 澪「律!私、軽音部に入部する!!」 律「えっ、ほ 本当か!?」 紬「あらあら」フフフッ 澪(それに、やっぱり律の近くに居たいし…) 律「これで部員は3人、あと1人入部してくれればっ!」グッ 紬「あっそういえば!」 澪「どうしたんだムギ?」 紬「言い忘れてたんだけど、入部希望の生徒が1人いたらしいの~」 律「マジでかっ」 澪「これで軽音部は廃部にならなくてすみそうだな」 律「よかった~!」 紬「たぶん今日あたり部室にくるんじゃないかしら」 コンコン ?「すいませ~ん…」 澪「噂をすればなんとやらだな」 律「はあーい!今開けマース!!」 ガラッ 唯「こ、コンニチワ…」 律「…」 紬「ようこそ軽音部へ~。入部してくれた平沢唯さん?」 唯「は、はいそうなんです!ケド…」 律「……」 澪「お、おい律?」 律「………」 律「天使だ…」ボソッ 澪「え?」 律「新入部員がこんなにかわいいわけがない」 唯「へ?」 澪「お、おい律、なに言って」 律「ありがとう平沢さん、軽音部に入ってくれて」 唯「え、いや、あのぉ」 律「君は俺に青春という名の春を届けにきてくれたんだね!」 唯「あわわわわわ」 澪「意味のわからないこというな!!」ゴンッ 律「そげぶっ」ドサッ 紬「りっくんどうしたのかしら」 唯「あ、あの、ごめんなさい!」 澪紬「え?」 律「」 紬「じゃあ唯ちゃんは辞めるって言いにきたのね?」 唯「ご、ごめんなさい…。もっと違う楽器をやるんだと思って…」 澪「たとえば何ができるんだ?」 唯「カスタ…ハーモニカとか」 紬「あ、ハーモニカなら確かここに…」ゴソゴソ 唯「ごめんなさい吹けませんすいません」 澪「じゃあ平沢さんは楽器初心者なんだ…」 唯「うん…。私なんかがいても、きっと何もできないと思うし…」 律「そんなことはなぁい!!」ガバッ 唯「うひゃぁっ!」 澪「きゅ、急に復活するな!」 律「何ができるできないじゃないんだ。なにかをしたいって気持ちが大切なんだよ」 澪「律…」 律「平沢さんは興味があったから軽音部に入部しようと思ったんだろ?」 唯「う、うん」 律「だったら、はじめる前から決めつけちゃだめだぜ。誰だって最初は初心者なんだからな」 律「俺も澪もムギも、平沢さんのために精一杯の力になるよ」 澪「うん、そうだな」 紬「唯ちゃん、私たちも頑張るわ!」 唯「みんな…」 律「平沢さん、軽音部に入部してくれませんかっ」 澪紬「「入部してくれませんかっ」」 唯「……」 唯「…みんな、優しいんですね」 唯「決めました!私、この部に入部します!」 律澪紬「「「やったああーー!」」」ワッ 澪「これから一緒に頑張ろう!」 唯「でもでも、私全然楽器できないし、迷惑かけちゃうかも…」 澪「大丈夫、それなら律だっておんなじようなもんだし」 律「どーいう意味だよそれ!!」 唯「あははっ」 紬「うふふ、これで4人そろったわね」 律「ああ、軽音部結成だ~!」 唯「でも良かった、今年から共学になったっていうから男の子がいたらどうしようかと思ってたんだぁ~」 律澪紬「「「え?」」」 唯「ほえ?」 律「なにそれ怖い」 唯「え?え?」 澪「平沢さん…律は男なんだ」 律「…てへっ」 唯「えぇぇぇ!?」 紬「…」オロオロ 唯「嘘でしょ!?確かにボーイッシュだなって思ったけどこんなにキレイな顔してるし…」 律「///」 唯「はっ、ド、ドッキリかー」 唯「…ちょっと失礼」ツンツン 律「わぁっ」 唯「…おっぱいが…無い」 ―――――――――――――――――――― 唯「…それでね、なんとその律って子が男の子だったんだよ!」 和「ああ、その男子って田井中だったのか。僕も初めて会ったときは女の子かと思ったよ」 唯「でしょぉ?ほんとにビックリしたよぉ~」 和「まあいくらジャージだったからっていっても声で気付きそうなもんだけどね」 唯「それでね、今度の休日にギター見に行くことになったんだ~!」 和「ギター?唯、ギター始めるの?」 唯「うん、そうだよぉ」 和「…ギターっていくらぐらいするか知ってる?」 唯「う~ん…5000円くらい?」 和「……部活を始めても唯は唯のままだね……」 ―――――――――――――――――――― 唯「う~い~」 憂「あ、お姉ちゃんおかえり~」 唯「お願いがあるんだぁ」 憂「なあに?」 唯「お金を貸してくだせぃ!」 憂「どうしたの?急に…」 唯「私、軽音部に入ったんだけどね…」 憂「ええぇ!?お、お姉ちゃんが軽音部!?」 唯「それでね、ギターを買うのにすっごいお金が必要なんだぁ…」 憂「う~ん、私もあんまり持ってないよぉ…」 唯「う~い~……」 憂「そうだ!お母さんに前借りしたらどうかな!」 唯「おぉ!さすがは憂だよぉ~」ナデナデ 憂「お、お姉ちゃん…///」ドキドキ 唯「これでりっくん達にお金を貸してもらわなくてもすむよ!」 憂「え…?お姉ちゃん、今なんて言ったの…?」 唯「ほぇ?」 憂「りっ『くん』…?」ゴゴゴゴ・・・ ―――――――――――――――――――― 律「あっいた!おーい、平沢~!」 唯「お~、りっく~ん!」 紬「これで全員そろったわね」 澪「唯、お金は大丈夫だったのか?」 唯「うん、お母さんに無理言って5万円前借りさせてもらったよ!」 律「よ~し、そんじゃあ行きますか!」 ―――――――――――――――――――― 唯「すごーい、ギターがいっぱーい…!」 律「はっはっは、どうだ驚いたか!」 澪「お前の店じゃないだろ…」 紬「これだけたくさんあるとどれにしようか迷っちゃうわね~」 唯「あっ、このギターかわいい!」 律「選ぶのはええ!」 紬「唯ちゃん、そのギター25万円するわよ?」 唯「えっ、あっホントだ…買えないや…」 唯「……」ジー 紬「…このギターがほしいの?」 唯「うん…」 律「…よし、みんなでバイトしよう!」 唯「ええっ!?」 律「みんなでバイトすれば20万なんてあっという間だぜ」 澪「うん、唯を軽音部に入部させたのも私達だもんな」 唯「そんな、悪いよぉ…」 律「言ったろ、俺達は平沢のための力になるって」 紬「私、一度バイトやってみたかったの~」ワクワク 唯「みんなぁ…」 律「よーし、やるぞー!」 唯澪紬「「「おぉーーー!」」」 唯「りっくん、やさしいんだね!」 律「ぶっ!!なんだよ急に!」 唯「だって私達、出会ってから2週間くらいだよ?」 律「時間なんか関係ねえよ、俺は平沢だから手を貸すの!」 唯「えっ?」 律「あっ、いや……//」カアアア 唯「りっくん変なの~」 紬「あらあら」クスクス 澪「…ほっ、ほら、唯!もうこの店には用ないだろ?はやく出よう!」 律「な~に慌ててるんだよ~、そんなに急ぐことないだろ~?」 澪「いいから、ほら!」 律「お、おい澪!……なんだってんだよ~…」 澪(律…もしかして…唯のこと……) ―――――――――――――――――――― 律「そして我々はまた楽器店まで来ているわけだが」 澪「バイト代を足しても全然足らないな…」 唯「う~んギターほしぃよぉ~…」 紬「唯ちゃん…」 店員「あれ…あそこにいるのは…」 店員「こ、琴吹社長の娘さん!?」 紬「はい?」 律「ん?」 澪「な、なんだ?」 店員「ど、どうしてこのようなところに…?」 紬「お友達がギターを買いにきたんですけど、ちょっとお値段が高くて手が出ないんです…」 店員「で、では……このくらいのお値段でいかがでしょうか…?」 紬「もうひとこえ~!」 店員「はっはいぃぃぃぃ!!」ビクッ ―――――――――――――――――――― 唯「5万円で買えちゃった…」 澪「いったいどういうことなんだ…」 紬「ふふふ、よかったわね唯ちゃん」 唯「ムギちゃん、ありがと~!」ギュッ 紬「あらあら、うふふ」 唯「澪ちゃんもありがと~!」ギュッ 澪「こ、こら!急に抱きつくな!///」 唯「りっくんもあ澪「ストップーーーー!!!」 澪「いくらなんでも律に抱きつくのはマズイだろ!」 唯「えっ、なんでぇ?」 律「俺は男として見られてないってことですか…」ズーン・・・ 唯「あっ、そ、そうかぁ…///」 紬「りっくんが私達の中に完全に溶け込んでたってことよ♪」 律「そ、そっか!そうだよな!わはははー」 澪「ムギ、ナイスフォロー!」ヒソヒソ 唯「りっくん女の子みたいな顔してるからすっかり忘れてたよ…///」 澪「い、いつまで照れてるんだよ唯は…」 律「これで、やっとスタートだな」 澪「私達の、軽音部」 紬「夢はおおきく♪」 律「武道館だーーーー!!」 澪唯「ええええええ!?」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 律(こうして始まった、俺達の軽音部) 律(今はまだ全然だけど、これから目標に向かってがんばっていきたいと思う) 律(そんでいつかは平沢とも、今以上に仲良くなれたらいいな…) 律(…なんてな!) ♯3 特訓! 和「唯ー」 唯「あ、和くーん!」 唯「どうしたの?今日帰るの遅いんだね~」 和「ああ、図書室で中間試験の勉強してたからね」 唯「へぇ~…………っえぇ!?」 ―――――――――――――――――――― 律「あ~!やっとテストから解放されたぁ~!」 紬「高校になってから急に難しくなったわね~」 唯「あ は は は は …」ドヨーン 澪「ど、どうしたんだよ唯、そんなにテスト悪かったのか?」 唯「クラスでただ一人追試だそうです…」ガックシ 律「う、うわぁ…」 紬「だ、大丈夫よ、今回は勉強の仕方が悪かっただけじゃない?」 律「そうそう、ちょっとがんばれば追試なんてヨユーだって!」 唯「ううん、ずっとギター弾いてて勉強は全然しなかったんだけどねぇ~」 律「励ましの言葉返せコンニャロォー!」 唯「それでね、追試の人は合格点取るまで部活禁止だって~…」 律澪紬「「「…………えぇえええ!?」」」 律「こりゃーマズイな、平沢がいないと部員は三人…」 澪「軽音部が廃部になってしまう…」 紬「唯ちゃん、追試はいつごろなの?」 唯「一週間後だってぇ」 律「がんばれよ平沢!軽音部の存続のために!」 唯「うぃぃ……」 2
https://w.atwiki.jp/25438/pages/1780.html
某スタジオ 梓「スタジオですか?」 澪「ほらっ、聞こえるだろ?」 梓「ドラムの音だ…まさか律先輩?」 紬「覗いてみろよ」 梓「はい」 律「ふう…なかなか上手く出来ないや」 律「で、でも頑張らないと!ぶ、部長だから」 律「あ、梓も入って来たんだし」 律「まだまだ頑張るぞ!」 梓「律先輩…」 唯「あれが、りっちゃんの凄い所であり部長に選ばれた理由ですよ」 澪「どうだ梓?律は凄い部長だろ?」 紬「さぁ、帰ろうぜ」 梓「一緒にやらないんですか?」 唯「りっちゃんの性格だから、誰かが居ると気を使ってしまいます」 紬「思う存分やらせてやろうぜ」 澪「帰る時には両親が車で迎えに来るから心配ないからな」 梓「はい、わかりました」 梓「私、律先輩が合宿したがる理由が分かりました」 唯「どんな理由ですか?」 梓「私達はもっとお互いを知る必要があるんです」 梓「一緒に同じ場所で同じ時を過ごして遊んだり練習したり喧嘩したり…」 梓「上手く言えないんですけど、もっと結束を強くして距離を縮めるべきなんだと思います」 唯「そうですね、その通りだと思います」 澪「そうだな、ぶつかり合ってこそ生まれる絆もある!」 紬「楽しみだな!合宿」 合宿当日 律「み、皆揃ってるね」 唯「はい、大丈夫ですよ」 澪「ムギ、昨日は楽しみで眠れなかったんじゃないか?」 紬「そ、そんな事ねぇよ///」 律(眠れなかったんだ) 澪(図星だな) 唯(ムギちゃんらしいです) 梓(可愛い…) 律「じ、じゃあ出発だよ」 紬唯澪梓律「おー!」 電車 車内 紬「ZZZ」 律「ほ、本当に眠れなかったんだね」 澪「ムギはこういうの好きそうだもんな」 梓「ムギ先輩は軽音部に入部したきっかけは何だったんですか?」 澪「ムギは合唱部と間違えたのがきっかけだったんだ」 一年前 律「だ、誰も来ないね」 澪「大丈夫!必ず来る」 律「う、うん」 紬「あのー」 澪「入部希望ですか?」 紬「合唱部はここですか?」 澪「軽音部にはいりませんか?」 紬「い、いや合唱部にだな…」 澪「軽音部に入ろう!なっ?」 紬「だからさ…」 澪「軽音部はきっと楽しいぞー」 澪「かけがえのない3年間にしようじゃないか!」 澪「なっ?なっ?」 律「み、澪…そんな強引に誘ったら迷惑だって」 澪「そんな事言ってたら廃部になるだろ!」 律「む、無理矢理は良くないって」 澪「お願い!入って下さい」 律「澪、駄目だって!」 澪「うっ…ごめん律」 律「ご、ごめんね」 紬「…」 澪「すまない無理矢理誘ってしまって…」 紬「あのさ…」 律「ど、どうしたの?」 紬「仲間に入れてくれないか?」 澪「入部してくれるのか?」 紬「何か困ってるみたいだし」 紬「それに、何だか楽しそうだからな」 澪「ありがとうありがとう!名前は?私は秋山澪だ」 律「わ、私は田井中律」 紬「琴吹…琴吹紬だ宜しくな」 梓「そうだったんですか」 梓「何が決め手だったんでしょう?」 紬「わ、私を必要としてくれたからだよ///」 律「お、起きてたんだ」 唯「ムギちゃんは軽音部に欠かせない人ですよ」 紬「私さ、こんなんだから友達も居なくてさ」 紬「仲良くしてくれても家柄を考えての上辺だけの付き合いだったんだ」 紬「一生懸命に誘ってくれて入ると言った時に二人とも凄く喜んでくれたのを見て…」 紬「私も凄く嬉しくなって」 紬「軽音部にずっと居たいと決めたんだよ///」 澪「ムギ、お前って奴は…」 紬「何だよ///」 澪「可愛いな~ムギは」だきっ 紬「や、辞めろよ///」 唯「本当に可愛いですねムギちゃんは」ギュッ 紬「だから離れろよ///」 律「よ、よしよし」なでなで 紬「うぅっ///」 澪「さぁ、梓も行くんだ!」 梓「ムギ先輩、可愛いー」だきっ 紬「///」 澪「本当は嬉しいんだろ?」 紬「うん///」 梓「唯先輩はどんな感じだったんですか?」 澪「唯はな…」 律「ゆ、唯は一度は断ろうとしたんだよ」 澪「律、入部希望者だぞ!」 律「ほ、本当?」 紬「これで人数が揃うな!」 澪「平沢唯さんって言ってギターが凄く上手いらしい!」 律「よ、良かった…丁度ギターが足りなかったから」 部室外 唯「やっぱり家事と部活の両立は無理かもしれません…」 唯「それに私は全くの初心者、皆の足を引っ張ってしまうかもしれない」 唯「ちゃんと断る事にしましょう」 唯「失礼します」コンコン 澪「平沢唯さん?待ってたよ!入って入って」 唯「は、はい」 律「わ、私は田井中律です」 紬「私は琴吹紬だ宜しく」 澪「そして、私は秋山澪」 唯「平沢唯です」 澪「ギター凄く上手いんだってね!」 唯(何でそんな事に…) 律「こ、心強いです頑張ろうね」 唯「いや、そのですね…」 紬「お茶どうぞ」 唯「あ、ありがとうございます」 澪「いやー助かったよ!これで人数が揃って部活動出来るよ」 律「う、うんギターが入ってくれたら軽音部らしくなるね」 紬「ありがとな本当に」 唯(言えません…とてもじゃないけど言える雰囲気じゃありません) 澪「どうしたの?平沢さん」 唯「あ、あの…私断ろうと思って」 律「えっ…」 紬「何でだよ?」 唯「私の家は両親が留守がちで家事と部活の両立は難しくて…」 唯「それに、私は全くの初心者だから皆の足を引っ張ってしまうと思うんです」 澪「そっか…」 紬「でも、一度は入ろうと思ったんだろ?」 唯「はい、軽音部って何をする所かは分からなかったんですが」 唯「何か感じる物があったんです」 紬「じゃあさ、演奏だけ聴いてくれないかな?」 唯「演奏ですか?」 澪「うん、それで最終的に決めてくれて良いから」 唯「はい、わかりました」 律「い、行くよ?ワン・ツー・スリー」 紬「♪」 澪「♪」 律「♪」 唯(余り上手な演奏じゃないかもしれない…) 唯(でも、凄く楽しそう…) 唯(何でしょう?この熱い気持ちは) 唯(居ても立っても居られないです) 澪「どうだった?」 唯「あ、あの余り上手くないですね」 律「バ、バッサリだね…」 紬「ははっ」 唯「す、すいません!でも、皆さん凄く楽しそうです」 唯「何だか私、居ても立っても居られません」 唯「私、軽音部に入部します!」 唯「初心者だけど、一生懸命練習します!宜しくお願いします」 澪律紬「やったー」 梓「本当にバッサリですね」 唯「あの時はすいませんでした…」 紬「でも、唯ちゃんが入ってくれたから軽音部はスタートした訳だからな」 唯「そう言って貰えたら嬉しいです」 澪「見ろ!海だぞ」 律「き、綺麗だね」 紬「本当に綺麗だな」 唯「お魚たくさん居ますね」 梓「うわぁ~」 5
https://w.atwiki.jp/hanatoma95/pages/77.html
医龍―Team Medical Dragon 12~13巻 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 注意!11巻以前のネタバレを含みます! いや~久々に読んだけど、やっぱり面白かったっす。教授選における心理合戦がたまりません。UCLAから来た国立、ミキと朝田の因縁の相手霧島軍司と、そうそうたる教授立候補達。磐石かと思われたバチスタチームが少しずつ揺らぎ始め、加藤はどうするのか。男性二人に比べると、加藤はやはり情が厚く、それを「計算高くあろうとする意思」で押さえ込んでいるのですが、ちらほら見え隠れする弱気な加藤が、可愛すぎてたまりません。ここに女性を持ってきたのはすごいなと改めて思います。 なんか怪しげな国立の息子、霧島に心酔する木原、まだまだお話はここからですよ!て感じで続きが気になってしゃーないです。 ここから先はネタバレです。 霧島は、ミキが去った時すっごい情けない顔をしていたので、プライドだけが高い所謂「アホな」ライバルになるのかと思いきや、凡人として攻めて来ました。根拠の無い自信を振りかざし、朝田や国立にコテンパンにやられるのかな~と考えていたのですが、いやいや立派なライバルです。下の名前を覚えてもらって木原は心酔しちゃうし、伊集院は霧島の中に朝田と違うものを見て、自分の成長のためにチームを離れるし、朝田はUCLAに行くとかやっぱりこいつだけはよく分からないし、ミキもなんか思い切っちゃうし。もうほんと、面白いです。 あまり動きも無い荒瀬と小児科医藤吉は出番は少なかったけど、いい味出してました。ああほんと荒瀬好き。「ひょうひょうとしているのにやる時はやるよ」キャラが好きだ。あと弱音を吐いた加藤を静かに受け止める藤吉もいいです。大人。 そしてやっぱり加藤。いいです。いい。「UCLA行けば?」みたいなことをいいながら心の中では「行 か な い で」。きゃああああ!もう私をどうする気ですか!可愛い!可愛いよ!好ーきーだー!それから伊集院の成長振りに目を見張って、ネクタイをあげるとことか!お母さんじゃん!若いのにその先輩ぶるところが好ーきー! ちょっと落ち着いて。情に訴えて伊集院や朝田を引き止めない、引き止められない加藤がとても好きなのです。あと野口は、霧島によって今回ちょっと小者っぽくなってましたね。それだけでも加藤と同等かそれ以上って感じがして、心配です。でももっと痛めつけられた加藤も見てみたいような、そうでもないような。 (2007/05/08) 医龍―Team Medical Dragon 1~11巻 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) うわー、これめちゃめちゃ面白い。久々にハマりました。乗り遅れ感ありありなんですが、もったいない!もっと早く読んどけばよかった!ドラマ化前に読んどきたかったー! ドラマになってちらっとしか見たとき「かっこいいドラマやなー」と思ってたました。シーンひとつひとつが決まっていて。でもねーこれあれですよ、原作通りって感じしますよ。原作に負けないドラマだったんじゃないでしょうか。私、原作至上主義の自覚あるんですけど、これはいい。(ドラマ褒めとんか原作褒めとんか、わからなくなってきました。) このお話は俗に言う医療もの。現代医療の膿に警鐘を鳴らすようなお話になっています。舞台は大病院。権力争いに終始し患者不在の医療がまかり通っている、私達からすればありがたくない問題があることは、もはや知られまくっていると思います。それが真実かどうかは置いといて、医療を扱ったお話は大体そういう問題を取り上げているのではないでしょうか。見て無いけど、「白い巨塔」もそんなんちゃうんかな。 さてその権力争いの真っ只中で生きている、美人助教授加藤。この女性は「現代医療のあり方を変える」という崇高な使命を持ちながら、その為自分のいる場所医局で権力を掴むべく、日々尊敬できない狸親父の野口教授の下で政治活動を行います。彼女は野口に教授選に推薦してもらえなければ、出世できません。加藤が持ちだした武器は、バチスタという心臓の手術を成功させること。彼女はそれが可能な医者、朝田龍太郎を探し出してきます。一見いい加減で自堕落、つかみ所の無い性格ですが手術の腕、そして何より医療にかける情熱は熱い男。加藤は自分の駒としては制御しきれないであろうこの男に、自分の未来をかけます。 その他にも朝田が連れてきた優秀な看護士ミキ。何の因果か朝田に目をかけられた医局でくすぶっている研修医伊集院、熱い内科医や一癖ある麻酔医や、くえない救急の教授や、なんせキャラが立っていて面白い!物語は加藤や伊集院の目を通して進み、ヒーローであろう朝田は常に第三者です。常識人の目から物語を見ようとしてるんでしょうかね。 ストーリーが面白い、キャラが面白い、見せ方がかっこいい、あとなんだろう。とにかく「よくできてる」以上の面白さがありました。読みながら「うぉーおーもーしーろーいー」と転がりまくりました。なんかどきどきした。絵は好きではないですが、嫌いでもありません。下手ではないことは保障します、好みじゃないだけで文句は無いです。でも表紙デザインはイマイチ。表紙だけ見てたら多分読まなかったと思います。ただ表紙で引き返すのはめちゃめちゃもったいない!あぶねー。 まだ続いているみたいですが、一気に10冊近くを読めたこの幸運を喜びたいと思います。あれよあれよという間に、時間が過ぎてしまいました。そんでもう一回読み返した(アホ)。なんかねぇ、熱さがいいんですよ。すごく嫌なやつはわんさか出てくるんですが、なんか医療関係以外の嫌なことがないんです。政治的に脅したりはするけど、私生活ネタじゃなくて医療ネタで脅すとか(医療ネタもたいがい犯罪ですけど)。うーん、あまりいい例ではないけど、加藤はかなり美人ですが彼女の希望と引き換えに、彼女の身体を欲しがったりはしないというか。そういう嫌さがないんです。一応皆さん「医療」という舞台の上での欲望に対して、熱い。そういうとこが好きなのです。 あと小池徹平が演じてると思うと伊集院がもう可愛くて(結局そこかい)。 こっから先少しネタばれですが。 好きなエピソードですが、ダントツで麻酔医荒瀬。「こっから先はお前みたいな真っ白い医者しか歩けないんだ」的な台詞シーン。心臓がドキドキしました。泣いた。彼の過去やチームに入るまでのエピソードは、やろうと思えばもっともっとページを割いても面白いだろうに、かなり省略していて、それがまた私の妄想部分を刺激しました。ちょうどドラマでこの回を見たんですが、荒瀬を阿倍サダヲがやっていて、これがまたもう!適役!すきー!この一癖も二癖もあるやつを、見事に演じきっていまして、読みながらオーバーラップしていました。素敵すぎる。どうせ過去に陰を持つ奴が好きさ。素直じゃない人好きですよ。いいんだ。 それから加藤。好きなシーンはありすぎてあげられませんが、「チームは生きて、加藤は死んだ」のあたりは、私が挙動不審でした。漫画喫茶では読めんなこりゃ。加藤みたいな女キャラは今まであまり見たことがなくて、それがまた男気好きな私のストライクゾーンど真ん中です。「あんまりいじめないでよ」シーンでは、「この女に惚れた男は苦労するだろうな」とか考えたり。大きなお世話だよ。 朝田はキーマンですが、不思議キャラなので今ひとつピンときません。ワンピのルフィみたいな感じ?好きだけどわからないです。彼に振り回される周りが好きです。 (2007/01/16) [カウンタ: - ]