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「バイバイ、また明日」 友達に手を振って、由美は別れた。ショートの髪に白い服とジーンズがよく似合う可愛らしい。 由美はそのまま、家に向かった。いつもと一緒だ。宿題を済まして、テレビを観て、ご飯を食べて、お風呂に入って、寝る。 何もかもがいつもと同じ……はずだった。 公園にさしかかった。突っ切れば近道になる。由美は急ぐわけでもないが、公園に入った。 「あれ?今日は誰もいないんだ……」 いつもは自分よりも小さい子供達が砂場や遊具で遊んでいるものだが……。 由美は変な予感に捕われながらも、公園を進んでいった。早く家に帰ろうと足を速めた。 ゙グルゥゥゥ……゙ 「え!?……何?」 犬や猫にしてはおかしい鳴き声である。由美は歩みを止めて辺りを見渡した。しかし、何もいない。 「気のせい……かな?」 ホッとすると、足を踏み出した。しかし、足が進まない。そして腹部に強い力を感じた。 下を見ると、巨大な蛇のようなものが自分に巻き付いているのに気付いた。ギョッとした瞬間、由美の体は地面に伏されて引きずられていった。 「きゃ……助けてーー!!」 ものすごい速さで引きずられて、あっという間にその蛇らしきものに悲鳴と共に穴に引き込まれた。 その後、赤いランドセルと靴がポイっと吐き出され、穴から離れた場所に落ちた。 蛇らしきものは先端に口があるが、目に該当するのは見当たらない。ただ、体の太さは由美の太ももと同じくらいであった。 「いや、放して!」 ぎゅう、と体を縛られて痛みが襲う。しかし、すぐにその痛みは引いた。蛇らしき触手が拘束を解いたからだ。 すると、触手は由美の服の間に侵入していった。 「きゃっ……やめて……」 青ざめていた顔が一気に恥らしい薄い赤が浮かび上がる。11歳の少女ならば体を触られるのは恥ずかしいのは当たり前だが、こんな状況でなるとは思わなかった。 「うぅ…ん……」 クネクネ動く触手は膨らみかけている由美の乳房を触る。その動きが味わったことのない性感を由美に感じさせる。 「あ…やめて……ん……」 さらに舌を出して乳首をちゅるちゅるとなめ回す。グルグルと巻き付き、由美の抵抗を防ぐと乳首を吸い出した。 「あぁあ~~……きゃ……う…」 汗が滲み出てきた。吐息も淫が交じりはじめ、荒くなってきた。触手は今だになめ回し、由美の性感をさらに引き出す。 「おね……がい…やめ……うぁん!!」 触手の後半部分が股を打ち続ける。グリグリとされ、ジーンズが引き千切れていく。 すると触手はチャックを破り、由美の下着を引きちぎって女陰に辿り着いた。 「何を……ああぁん!!」 今までとは違う。舌を積極的に動かして、神秘の宝庫の鍵をこじ開けようとしている。 初物の蜜がたらっと開きかけてる女陰から垂れて触手の口に入り込む。それを時々味わいながら、今度は強引に口を突っ込ませる。 「いやああぁぁーー!!う……あ……やめてーー!!」 ついに異性以外で初めてを奪われた由美の女陰がピンク色に染まって、触手が内部まで侵入していく。 「あぁぁあぁ……ふぅん……」 痛みと性感が同時に舞い降りて、由美は体を捻る。それでも触手は動きを止めない。 処女膜を破り、蜜と赤色のソースを味わいながら奥の奥まで進んでいく。 「痛……いよぉぉぉ……」 由美は味わったことのない感覚に参ってしまい、どうにかなりそうだった。 (あたし……何されてるの?) 触手はある程度進むと、中に唾液を撒き散らして外に出た。由美の痛みはまだ消えず、男根の数倍の太さを侵入させた女陰は大きい穴となっていた。 「う……」 痛みが強くて動けない。由美はどうにかここを離れようと手をつかって進んでいった。 だが、触手は口を一気に拡げて由美の足に吸い付いた。 「あ……あたし…食べられちゃうの?いやああぁぁーー!!」 力の限り手を進めるが、体が動かない。 「いや、来ないでぇぇ!!」 もう太ももまで飲み込まれていっている。由美は両親や友達を思い浮べていた。 (お父さん、お母さん、真理子ちゃん、雄二君、実咲ちゃん、健太君………誰か…誰か…) 「誰か……助けて……」 顔ももう入り込んでいて、やがて伸ばしていた手も飲まれていった。 意識を失った由美の体は触手の体内の粘液に包まれて、服が解け始めていた。生まれたままの姿となり、触手の先にある幾つもの袋の一つに流れ着いた。 そして、数本の小さい触手に巻かれた。ちなみに女陰には中型の触手が吸い付いた。そして、出続ける愛液を飲み続ける。 触手はその新しい蜜を味わって眠りに着いた。触手のその先、それはさらに枝分かれしている袋。そう、これが奴の胃袋である。 各袋には由美くらいの少女が入っていて、由美と同じように犯されて喰われ続けられている。 触手は愛液を餌としているのだった。年をとる事無く、死ぬ事無く、少女達は喰われ続けられる。 ちなみに由美がこれから解放されるには、新しい少女が入ってきていらないと判断されて吐かれるしかないのだ。 ん?どうやら触手が新しく獲物を見つけたようだ。由美は果たして出られるかどうか…… 名前 コメント すべてのコメントを見る
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律「じゃあな、また明日」 澪「また明日な」 紬「また明日ね」 唯「ばいばーい!」フリフリ 梓「お疲れさまでした!」 唯「それじゃ、私たちもかえろっか、あずにゃん」 梓「あ、はい!」ニコ 唯(……なんだろう、なんかあずにゃんがいつものあずにゃんじゃない気がする) 唯(あずにゃんはあずにゃんなんだけど……どうしてだろ?) 唯「あ、あの公園にまたあのアイス屋さんが来てるんだよ」 梓「それはよって行きたい、ということですよね」 唯「うん!」 梓「しょうがないですね、行きましょうか」ギュ 唯「ほわぅっ?」 唯(え?え??な、ナチュラルに腕組まれた!?) 梓「どうしたんですか?変な声出して」 唯「え?あ、うん!な、なんでもないよ!」 梓「……ねえ、いつもみたいにぎゅっとしてくれないの?」 唯「へ?」 梓「もう二人きりだよ……このときはいっぱい甘えていいんだよね……唯」ワクガイダシ 唯「ふぉわっ?ぉお……?」ワクガイッテナニ!? 唯(え、な、なんなの?どうしちゃったのあずにゃん……す、すっごく可愛いんだけど、これじゃまるで) 唯「きょ、今日はおうちに帰ってからにしようかなー……な、なんて」アセアセ 梓「……もう、唯のエッチ……いいですよ、今日は両親いないですから」 唯「――!?」ブハッ 唯(こ、これって……さ、誘われてる……!?え、ええ……!?) 梓「――っ!」サッ 唯(あれ、離れた?) 純「あ、梓ー!唯先輩も、こんにちは」ペコ 唯「あ、こ、こんにちは、純ちゃん」ヤ、ヤッホー 梓「どうしたの、純?」キョトン 純「あー、やっぱり忘れてるなこれは。今日憂と三人で遊ぶって約束だったじゃん」プンプン 梓「あ……ご、ごめん!忘れてたぁ……唯先輩、ごめんなさい、今日はここで」 唯「あ、う、うん。大丈夫だよ。じゃ、じゃあね」 純「……ははぁ、ひょっとしてお邪魔でした?」キラリ 唯「!?」ギク 梓「もう!何言ってるのよ純。それじゃ、唯先輩、また明日」 唯「ば、ばいばーい」 梓「……あ、忘れ物です」ズイ 唯「へ……わ、ち、近……」 梓「そんなんじゃダメですよ?もっと押して行かないと……向こうの私、結構奥手なんですから」ボソ 唯「……へ?」キョトン 梓「でも、唯先輩のことが大好きってのは一緒です。いっぱい甘えたいんです……だから、頑張ってください」ニコ 唯「え?え??」 梓「それじゃ、向こうの私によろしくです!」アニメノホウノ 唯「え、ど、どいういうこと、あずにゃ―― 唯「――んっ!?」ガバ! 梓「にゃっ!?」 唯「あ、あれ?ここ……公園のベンチ?」キョロキョロ 梓「もう、いきなり起きないでください!びっくりしたじゃないですか」 唯「ご、ごめんねあずにゃん……ひょっとして、私って寝てた?」 梓「はい、それはもうぐっすりと」 唯「そっかぁ……じゃああれは夢だったんだ」 梓「夢?」 唯「ううん、なんでもないよ」ジー 梓「な、なんですか」 唯「ふふ、やっぱりこっちが私のあずにゃんだなって!」ギュウ 梓「にゃ、い、いきなり抱きつかないでください!」 唯「ねえ、あずにゃん。私ね、あずにゃんのこと大好きだよ」 梓「――っ!?い、いきなり何言うんですか」 唯「なんかね、言わなきゃなーってそう思ったの」 梓「……そうなんですか」 唯「あずにゃんは、私のこと好き?」 梓「……好きですよ」 唯「えへへ、そっかぁ……相思相愛だね、私たち」 梓「そ、そういう意味じゃ……!な、な……も、もう!」ソウイウイミデス! 唯「ふふ……ね、脚痛くない?」 梓「へ?」 唯「ひざまくら、しててくれたんだよね」オミトオシ 梓「……は、はい。大丈夫です」バレテター 唯「ねえ、また今度日差しが暖かいときさ……ここで膝枕おねがいしてもいーい?」 梓「……もう、しょうがないですね、唯先輩は」 唯「えへへ、だーいすきだよ、あずにゃん」 梓「また言いますか……もう」 唯「何度でも言うよ~今まで言ってなかった分、いっぱいね」 梓「……私も、好きですよ」 唯「あずにゃんも、まただね」 梓「私も、今まで言ってなかった分……いっぱい言ってやるです」 夢の中のあずにゃんはあずにゃんの隠れた心か! -- (あずにゃんラブ) 2014-01-01 23 49 50 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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1 2 和「唯、また明日ね」 2010/03/05 http //yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1267790715/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 怪作 -- (名無しさん) 2014-09-04 12 47 59 これは鬱ですな。 -- (名無しさん) 2014-09-04 03 06 34 間違えて組み上げてしまった積み木細工は一度全部崩さないと直せない……などと言うものの、別に本当のことを言うのは和ちゃんや軽音部のメンバー達だけで良かったんじゃないかな……。 いくらなんでも白状する場が場違いすぎにも程があると思ってしまった。 -- (名無しさん) 2011-09-26 03 01 14 不正で合格した自分をずっと気持ち悪いと感じてたのは唯が嘘をつけるような性分じゃない、ってことだよね。 たくさんの生徒たちの前で打ち明けたことも含めて唯は偉いよ。 -- (名無しさん) 2011-09-25 23 20 57 続きを書けば作品の印象も変わるのでは?という意見に同意。 普通に考えれば、唯は退学になるだろうし、軽音部も存続できない、憂だって桜高を受験させては貰えないかもしれない、そんな状況下で唯が和や他の軽音部員とどう接するかを描いて欲しかった(律澪紬にしてみれば、裏切られる形になった訳だし)。 -- (名無しさん) 2011-08-09 17 19 03 つまんない。 唯はそんなことをやるキャラじゃない -- (名無しさん) 2011-08-09 16 24 16 あっ、そういう罪滅ぼしね…。 -- (あずにゃん) 2011-08-09 12 19 19 軽音部の反応も書いて欲しかった -- (名無しさん) 2011-08-09 10 03 05 尻切れトンボだな… -- (名無しさん) 2011-06-17 10 44 28 え、続きないの -- (名無しさん) 2011-02-16 02 58 24
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唯「347……347……347………あっ、あったぁ!」 和「本当っ!?」 唯「うん。私も合格だね」 和「自分以上に心配したわ…でも、よかった!これで高校も一緒ね」 唯「そうだね」 桜が丘高等学校の合格発表 たくさんの人達が自分の番号を探し食い入るように掲示板に視線を送る 番号があれば天国なければ地獄といったところか 「よっしゃー!合格だぜー!」 「嘘…私の番号ない…」 あっちの笑い跳びはねている子は合格 あっちで顔を覆い泣いている子は不合格 結果は聞かなくても誰もが表情を見れば一目で分かるだろう しかし、私は違った。 合格という結果に素直に喜ぶことができず、もちろん悲しむ事もできずにいた 唯「むー…」 和「どうしたのよ?唯らしくないわね、もっと喜んでいいのよ」 唯「やったー……こんな感じ?」 和「なんで私確認するのよ」 唯「えへへ…」 和ちゃんと同じ学校へまた通えるのは確かに嬉しい だけど今はそれよりもこれで行きたくもない学校に3年間も通わなくてはいけなくなった憂鬱… そして、もう一つ私の犯した罪のせいで心の底から笑うことができなかった いまひとつ喜べない私をみて和ちゃんが不安そうな顔をする 今は表情だけでも合格を現す笑顔を作っておく 和ちゃんもそれを見て安心したようにに笑ってくれた 和「そうだ!憂ちゃんに報告してあげなさいよ、あの子が1番あんたのこと心配してるだろうし」 唯「そ、そうだね…じゃあ早速」 憂『はいっ!お姉ちゃん!結果どうだったの!?』 唯「電話出るの早いね」 憂『電話くるのずっと待ってたんだもん!それで結果はどうだったの?』 唯「合格だよー」 憂『よかったぁ~…』 唯「そんな心配しなくても大丈夫に決まってるよ~」 憂『そうだね……今日はご馳走にするから楽しみにしててね』 唯「わかった」 そういうと電話は切れてしまった 和「憂ちゃんなんだって?」 唯「今日はご馳走にするって~」 和「よかったじゃない」 和「それにしても心配しなくても大丈夫に決まってるよ~なんて実は自信あったのね」 唯「まぁ…」 和「試験前は高校なんて行きたくない~って大変だったのに…勉強よく頑張ったわね」 そうだ、私は高校なんて行きたくなかった。あの頃もそして今も勉強なんてしたいと思うことはない 私の意思なんて微塵もない教師と両親に決められた進路 高校へ進学したくなかった私は両親に口うるさく言われながらも試験勉強を拒否したまま寒い冬を越えた そんな私が高校受験に受かることができたのは全部憂のおかげだった 憂が受験勉強をして私と入れかわって入試を受けてくれた これで受かればお父さんとお母さんに怒られなくて済むね そう言って憂は笑いかけてくれた あの時は勉強もせずに高校に受かり親にうるさく言われることもなくなるし、憂も来年受けるから受験勉強も無駄にならない 誰も損をしない名案だと思った でも違った。受験に落ちて泣く人を見て激しく後悔した 私の個人的な事情のせいで1人の人を悲しませてしまった 私は最も選んでは行けない道を選んだ そんな自責の念にかられながら私は帰路についた 唯「ただいま」 憂「お姉ちゃんおかえり。ご飯はどうする?」 唯「うーん…食欲ないから今日はいいや」 憂「わかった。お腹空いたらいつでも言ってね」 唯「うん」 もちろんご馳走なんてあるハズがない 私も憂もとても盛大に合格を祝おうなんて気分にはなれない 私は自分の部屋へ行き3年間お世話になった制服を脱ぎ部屋着に着替えてベッドに横になった 何も考えずただ天井を眺める こんな時間が永遠に続いてくれればどんなにいいことか だけど時間は限られていて4月になったらもう今のようにボーッとしていられないだろう 窓を開けると日は既に沈み空は私の心を現しているような深い闇に支配されていた 全てを打ち明ければ、まだ引き返す事ができたのに… 私は非難を免れるために打ち明けることはしなかった 部屋に吹き込む冷たい風のように私も冷たい人間になってしまっていた ―――――――――― 草木は芽を出し花は開き、春らしい暖かな陽気に包まれた日 今日は入学式だ 鏡の前に立ち桜高の制服を着た自分を眺める とても似合わないのは当たり前のことだ、私はこの制服に袖を通してはいけない人間なんだから 鏡を見つめ決心する。この3年間しっかりと学校へと通うことを…それが私のできる唯一の罪滅ぼしだと思うから 憂「お姉ちゃーん!和さん迎えにきたよー!」 唯「今いくよー!」 唯「お待たせしやした!おはよう和ちゃん」 和「おはよう。さ、初日から遅刻なんか出来ないんだから早く行くわよ」 唯「はーい」 和「ふふ、今日は晴れてよかったわね」 唯「入学式の日が雨なんて嫌だもんね」 和「本当よね」 唯「和ちゃんと同じクラスだといいなー」 和「きっと一緒のクラスだから心配しなくて大丈夫よ」 唯「和ちゃん分かるの?」 和「なんとなくよ」 まだ慣れない学校への道を確認しながら歩く 学校が近づくにつれて同じ制服を着た人達がまわりに目立つようになる 入試で不正をした私がみんなと同じ道を歩いている事に違和感を感じた 学校に着くと貼り出されたクラス表にたくさんの人が群がっていた 和「すごい人ね…えーと、私の名前は…あった!2組ね」 唯「あった!私も2組だー」 和「一緒のクラスね、これから1年よろしくね唯」 唯「こちらこそ、よろしくねー和ちゃん」 これから自分達が一年間お世話になる教室へと足を踏み入れる 「あっ!和ちゃんに唯ちゃんおはよう」 声をかけてきたのは同じ中学にいた子だった 和「おはよう。高校でも引き続き同じクラスね、よろしく」 唯「おはよ…」 どうしたことか、当たり前のような挨拶が私にはとても気持ちが悪かった 私は自分の席を探し急いで席についた その様子を和ちゃんは不思議そうに見ていた 和「唯どうしたの?あんたあの子と仲悪かったっけ?」 唯「そんな事ないけど…なんか…分かんない」 不快だった。相手がではなく自分が ここに存在することが許されない自分が当たり前のように挨拶しているのが酷く不快で吐き気がした 和「大丈夫?どこか具合とか悪いの?」 唯「ううん、大丈夫だよぉ」 笑顔で答えたつもりだが、うまく笑えていたか分からない それからの事は正直よく覚えていない 入学式での事、教室での事、帰り道での事… 気がつけば私はまた自室のベッドの上だった 今夜の夕飯はカレーライス。食卓について初めてその香りに気がついた 唯憂「いただきまーす」 カレーを口に運んだ後にライスを口に運ぶ いつもは美味しい憂の手料理も疲れているからか、今日は味気なく感じた 憂「美味しい?」 唯「うん!美味しいよー!憂は料理の天才だね!」 憂「そう……」 心なしか憂の表情が曇ったような気がした 私が間違ったことを言ったのか、それとも私の気分が沈んでいるからかな? 唯「そうだ!あのね、和ちゃんと同じクラスだったんだよー」 憂「あ、そうなんだ!よかったね」 唯「うん!クラスに知ってる人がいないと寂しいからねー助かったよ」 私を学校に入れてくれた憂の前では絶対に暗い表情は見せられないと私は無理をして明るく振る舞って見せると憂は笑ってくれた そして最後まで味気なかったカレーを食べ終わるとその日は早々に眠りについた ―――――――――― それから2週間辛い日々が続いた 学校で授業、休み時間を普通に過ごしてることに罪悪感を感じ クラスメートと交わす挨拶や何気ない優しい言葉が鋭い刃となって今の私の心に突き刺さる あまりの辛さに私は授業を抜け出し屋上へと来ていた 唯「ここはどこなんだろう?」 私は青く晴れた空に問い掛けると涙が零れた 何の変哲もない日常が私には地獄のようでまるで生きた心地がしなかった 唯(ここから飛び降りれば楽になれるんだよね…) そう思った時、後ろから私を呼ぶ声がした 和「こんな所にいたのね、いないから捜したのよ」 唯「あ…」 和「なんか悩みでもあるの?」 唯「和ちゃん……」 和「どうしたの?暗い顔して唯らしくないわよ、ほら悩みがあるならなんでも言ってみなさい」 そんな和ちゃんの優しさも今は痛かった…その優しさは本当の私に向けられた言葉じゃないから でも、少し温かかった気がした 和ちゃんはなんだか太陽みたいだった 授業を抜けてまで暗く沈む私を捜して照らしてくれる 唯「こんな私でも学校に来ることを許してくれる?」 和「何言ってるのよ、いいに決まってるじゃない」 唯「そう…だよね」 和「そうよ、唯が学校来ちゃいけない理由なんてある訳ないでしょ?」 そうなんだ、今の私は学校に来ていいんだ 嘘の私だってこのまま突き通せば本当の私になる そう思えば今は辛い学校も時間がたてば慣れて楽しくなるかもしれないし そして、なにより和ちゃんともっと一緒にいたかった その日は和ちゃんと2人一緒に帰ることにした 学校を出て校門の辺りまで来る すると前の方から1人の女子生徒が風のようにこちらへ走ってきた 律「うおーっ!確保ぉっ!」 唯「へっ?なになに?」 律「もうちまちまビラ配りなんてやってらんないぜ!あなたこの時間に下校してるって事は部活入ってないよね?」 唯「え、えぇ…」 律「軽音部に入りませんか?未経験者大歓迎で今なら毎日お菓子付きで…いだぁっ!」 突然飛んできた裏拳がカチューシャの子の顔をとらえた 澪「強引に勧誘するな」 紬「りっちゃん大丈夫?」 澪「ごめんな、強引な勧誘して…4月のうちにあと1人入らないと廃部だから焦っててさ。よかったらこれ」 そう言って黒髪の女の子はビラを渡すとほかの2人とまたビラ配りへと戻って行った 和「なんだったのかしら…」 唯「なんか一瞬の出来事で圧倒されちゃったね」 和「軽音部って言ってたわね」 唯「うん、私だけじゃなくて和ちゃんも勧誘すればいいのにね」 和「そうね」 帰り道いつものように会話がすることはできなかったが、和ちゃんは黙って隣を歩いてくれた 別れ道まで来る。私は右へ、和ちゃんは真っすぐ行く もっと一緒にいたくて立ち止まっている私に和ちゃんは一言こう言ってくれた 和「唯、また明日ね」 また明日。 それは私がまた明日も今のまま生きていていていいという免罪符だった 唯「うん、また明日ね」 そう言うと安心して歩き出すことができた 2
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私は部屋で下校時に渡された軽音部のビラと睨めっこしていた 何か運命めいたものを感じたからだ これから学校に馴染むためには部活に入るのもいいことだろう 未経験者歓迎と言っていたし私が入れば廃部を避けることができる 唯「軽音部入ってみようかな」 入部届を取り出し軽音部と記入する 唯「これは過去の自分を忘れて新しい私になるためのパスポート」 綺麗に四つ折にした入部届を大切に鞄にしまい就寝した ピピピッピピピッ… 目覚まし時計の甲高い音で目を覚ます 最近までのような朝の憂鬱はない。これも和ちゃんのおかげかな カーテンを開けるといっぱいの朝陽が差し込んできた それを見ると理由も分からず涙が流れる もう毎朝の事だ。太陽の光を見るとなぜか涙が溢れてくる … 登校時。ただ1つだけ信号のある十字路 入学した時からこの信号で足を止めなかった事はない 私を学校へ行かせないとばかりに毎朝足止めをしてくる いつかこの十字路で足を止めなずに歩ける日が来るだろうか と思いながら歩みを止めていた 教室に着くと先にきていた和ちゃんのもとへ行き宣誓した 唯「軽音部ってとこに入ってみようと思います」 和「部活入るの?めずらしいわね、唯が自主的に行動するなんて」 唯「学校に慣れるためにね、部活に参加するのは大事だと思ってね。だから放課後は音楽室へゴーします」 和「私はついていけないからね、1人で頑張るのよ唯」 唯「そんなの分かってるよーついてきて欲しくて言ったんじゃないもん」 終業のチャイムが鳴り響く 今日の学校はそれほど辛くはなかった。 今の自分を私が受け入れたからか 学校が終わるとすぐに音楽室へと向かい軽音部に入部届を出した 律「ありがとうーっ!入部届は確かに受けとったよ!私は部長の田井中律。よろしくな」 澪「私は秋山澪。よろしく」 紬「琴吹紬です。よろしくお願いします」 … 部活に入ってから楽しい日々が続いた みんなの協力でギターを買い私はギターの練習に熱中した 上達のためではなく以前の自分を忘れるために ある日の下校時 唯「今日もムギちゃんのお菓子美味しかったね~」 律「明日も楽しみだな」 唯「でもこんなに毎日ただでお菓子もらっていいの?」 紬「ええ、どうせ余らせてるもの。それに美味しそうに食べてくれると持ってくる方としても嬉しいわ」 澪「まったく食べてばっかりで…私達は軽音部って事を忘れるなよ」 律「分かってるよー」 唯「私は家でしっかり練習してるもん」 律「確かに頑張ってるみたいだなーすごい早さでギター上達していってるし、どれくらい練習してるんだ?」 唯「家にいる時は暇ならいつも弾いてるよー」 律「ほーすごいなー」 澪「これなら文化祭でいいライブができそうだな」 文化祭でのライブを想像を話しながら4人横に広がり歩き十字路へと出る 紬「あ、私こっちなんで」 律「おう、またなムギー」 澪「じゃ私と律はあっちだからまたな唯」 唯「うん!みんなまた明日ねー!」 また明日か… 私は携帯電話を取り出し和ちゃんにメールする。 今日あった出来事を話して最後にまた明日とつけ送信する あの日からの日課になっていた 辛かった学校での生活にも慣れた 今ではクラスでも部活でも楽しく過ごす事ができている しかし、これは偽者の私 十字路の真ん中に立ち夕日に照らされて私の足元に大きく伸びた真っ黒な影 真っ黒な闇に染まったこの姿がみんなに隠している本当の私なんだ 携帯電話がメールを受信する 和ちゃんからのまた明日と書かれたメールを確認すると私は帰路についた ―――――――――― 季節はすっかり夏になり、私はもう新しい自分に変われていた 変わらないことと言えば朝陽を見るとなぜか泣けてくることくらいだ 今日は軽音部の合宿で海に行くので水着を買いに和ちゃんと買い物に来ていた 和「ていうか、なんで水着なの?」 唯「海に行くからだよ~」 和「そうじゃなくて合宿に行くんだから練習するんじゃないの?」 唯「練習もちゃんとするよ~でも遊ぶのがやっぱり1番楽しみだよね」 和「まったく…あの律が部長じゃね、そんな風にもなるわね」 唯「あれ?和ちゃんってりっちゃんと友達だったの?」 和「え?あ、あぁこの前学校でちょっと話す機会があったのよ」 唯「そうだったんだ、知らなかったー!りっちゃんおもしろいよね」 和「ちょっといい加減なとこがあるけどね。あっ、唯プリクラ撮ろうよ」 唯「うん!いいねー撮ろう撮ろう」 ゲームセンターの中にあるプリクラ機で撮り出てきたプリクラには楽しそうに笑う私と和ちゃんが写っている しかし私は自分の笑顔に違和感を感じた 笑ってはいるが、本当に心の底から笑えていない作られた笑顔 私はいつもこんな顔で笑っていたのか? そう思うと途端に気分が悪くなった … その後、水着を見に行ったが買うことはなかった 初めて桜高の制服を着た時と同じようにどんな水着も私には似合わないと思ったからだ 私は変われたと思っていたが、まったくそんな事はなかった ―――――――――― 合宿当日 場所は予想を遥かに超える大きさのムギちゃん別荘 私が遊ばず練習をしようと提案するとみんなは驚いていた ムギちゃんとりっちゃんはつまらなそうな顔をしていたが、文化祭ライブも近いということで仕方がなく遊ぶのを我慢し練習をした 何度か演奏を合わせたがみんなが満足することはできなかった 律「うーん…なんか足りないんだよなぁ」 澪「確実にみんな上手くなってるんだけどな」 紬「私お茶を入れてくるから少し休憩にしましょう」 律「そうだな」 何が足りないのか私には分かっていた みんながバラバラなのだ。いや正確には私だけが外れているのだ みんなと一緒に演奏しているのに私だけが輪の外にいる それは当然の事だ。罪を犯してこの場所にいる私がみんなと一つになれる訳がなかった 練習後、外に出てみんなでバーベキューをした 律「肉だぞ肉ー!さあ食え食え!」 唯「おいしい!」 澪「野菜も美味しいぞ!」 紬「食材は家の方で勝手に揃えたけど、みんなのお口にあったみたいでよかったわ」 澪「ムギが用意したって事は相当の高級食材なんだな」 律「やっぱり高級品は違うぜ」 唯「やっぱり生産地直送みたいな感じなの?」 紬「ううん、近所スーパーの安売りしてたのを買ってきたの」 律「やっぱりそうか~馴れ親しんだ味だからそうだろうと思ったよ」 澪「おい」 唯「真実を知らずムギちゃんが買ってきたってだけならプラシーボ効果的なので高級に感じたのに…」 紬「ふふ、ごめんね」 律「よーし、花火をするぞー」 紬「用意してありまーす」 律「よーし四尺玉でもなんでもこいムギ!ガンガン打ち上げてやるぜー」 紬「手持ち花火です」 唯「すごい可愛いねー」 澪「あっ、これ火花の色変わったりするんだ」 唯「こっちのはパチパチ音がするよー」 律「…」 紬「りっちゃん花火やらないの?」 律「こうなったら全力で手持ち花火やってやるー」 花火の後はみんなで大きなお風呂に入った 律「うー…」 唯「ほー…」 澪「人の胸をジロジロと見るな!」 律「なんでこんなに差がついた…」 唯「りっちゃんが揉むからとか」 律「私のおかげか!感謝しろよ澪」 澪「するもんか」 それから私達は大きなお風呂で泳いで遊んだりみんなで身体を洗いあったりした みんなと一緒に遊ぶと私も笑うことができたが、心の中はどこか悲しかった … まだ外は暗い時間に私は目が覚めた みんなは疲れたようでぐっすりと眠っていた もう一度寝ようとするが、なかなか寝付けない 次第に自分だけ起きている事でまた疎外感を感じ始めた 少し気分転換に外を歩こうと別荘を出る 空はまだ夜明け前で今の私のように真っ黒で辺りも闇に包まれていた 私は浜辺に座り生きている実感がまるでなかった半年を振り返りながら日の出を待った どれだけの時が流れたか徐々に空の黒は薄れていき太陽が顔を見せる それを見て私は涙を流す… 太陽の光で辺りの闇は消え去っていた しかし、私だけはまだ真っ黒な闇のままだった その時やっと自分が泣いている理由が分かった 私はこの半年間を太陽のように明るい和ちゃんや軽音部のみんなと一緒にいたいから生きてきた でも本当はそうじゃなくて私はみんなのようになりたかったんだ 太陽に照らされる事で明るくなれる夜空ではなくて 夜空を照らす太陽になりたかったんだ みんなの笑顔に囲まれて笑顔になるんじゃなくて 私の笑顔でみんなを笑顔にしてあげられる そんな人に私はなりたかった そんなことをいつも心のどこかで思っていたから太陽を見るたびに涙が溢れていたんだと気付いた 私は自分のなりたかったのとは逆の人間なってしまったから、みんなといるのが楽しくてもどこか悲しかったんだ こんな闇に染まってしまった私が太陽になりたいなんて願いは叶わないのか いや、そんな事はないと思った 大事なことに気付いた私なら戻れると思ったから 私は決めた 迷惑をかけた憂に謝り、私を支えてくれたみんなに感謝して 文化祭のライブの日に半年間両手に握り隠し続けた罪を全て打ち明け 罰を受けて全部終わらせようと ―――――――――― 文化祭当日。 講堂ステージ裏でライブを目前にしてみんな緊張していた その中で私だけはみんなとは違うことで緊張していた 澪「人いっぱい入ってるな…」 律「そりゃ学校外からも人がくるからな」 紬「すごいドキドキするわ」 唯「………みんなありがとうね」 律「なんだよ急に」 唯「いや、みんながいなかったら私はこの場にいなかった訳だし」 紬「それは私達も一緒よ」 唯「え?」 澪「そうだぞ、唯がいなかったら軽音部は廃部になってたかもしれないんだからな。ありがとう」 律「だから私達もお前に感謝してるよ。ありがとうな」 紬「唯ちゃんがいたからみんな楽しく笑顔で軽音部でいられるのよ、ありがとう」 唯「みんな…うぅ…」 律「おい泣くなよ、これから出番なんだぞ」 嬉しかった、こんな私がみんなの力になれてたと知って 和「軽音部出番よ」 唯「うん、和ちゃんもありがとう」 最後に和ちゃんにも感謝をすると幕が開いた 唯「皆さんこんにちは!軽音部です!きいてください!ふわふわ時間!」 … ライブは決して褒められたものではなかった やはり私だけはみんなと一つになる事はできなかった ライブを終えみんなステージからはける中 私はステージのセンターに残った 和「唯…?何してるの?」 澪「唯…?」 紬「唯ちゃん?」 律「どうしたんだ?あいつ」 ステージ脇でみんなが不思議そうに私を見ている 唯「聞いてください。私は今日打ち明けなければいけないことがあります」 唯「実は私はとても悪い事をしました」 唯「それを私は今まで隠し続けていました」 講堂内の人達が「えっ?」「なに?」と騒がしくなる 唯「私は罪悪感を感じながらも罪を隠して桜高学生として生活してきました」 唯「桜高のみんなに憧れて、罪を隠し忘れてしまえば私は新しい私に変われるんじゃないか。本当の桜高生としてみんなと一緒にいれるんじゃないかって思った」 唯「だけど、それは違った。私が望んだのはそんな事じゃなかった」 唯「私の本当の望みはみんなといる事じゃなくてみんなのようになる事」 唯「罪を隠してては絶対にみんなのようにはなれない。だから私は今日全てを打ち明けます」 唯「私は入試の時に不正行為をしてこの学校に受かりました!」 衝撃的だったのか、講堂内は静寂に包まれた……が、しばらくすると講堂内から次々と声があがる 私に向けられて講堂内の人達からはっせられた非難の声 そして叫ばれる思いやりのない言葉や罵声 しかし、それらは全て正しい言葉だった 普通なら心が傷つくような言葉が今の私には半年ぶりに生きているということ実感できる暖かな言葉だった 駆け付けた教師にステージから降ろされ講堂の外へ連れていかれる 和ちゃんが私に何かを叫んでいたが聞き取ることは出来なかった 外に出ると空は晴れ太陽が輝いていた 太陽を見上げる私の目からもう涙は流れない だから笑ってみせた どれだけ久しぶりだろうか、心の底から笑えたのは…… 終わり 戻る
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昨日は来なかった明日が 今日になってやってきた 明日もまた今日はまだ来ていないのに やってくる 昨日の夢は明日へ 持ち越して 今日は思考を停止する 考えないし 思い出さない
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「ほんっとキョンってばかよね!」 ハルヒは怒った顔を見せながら、俺に数学を教えている。 「どうしてこんな簡単なことができないのよ! こんなにできないとこっちも教える気を失くすわ!」 「そんなこといったってしょうがないだろ。俺は数学が苦手なんだ」 「そんなんだからだめなのよ! 自分で苦手意識を作って、勝手に潰れてくなんてバカとしか言いようがないわ」 今、俺とハルヒは俺の部屋で一緒に勉強をしている。 『団員がバカなんて団長であるあたしが恥だわ』 という信念のもと、休日になるとハルヒは俺の部屋に来て勉強を教えてくれていた。 受験期なのでSOS団による課外活動は行われていない。 その分暇を持て余したハルヒは俺の頭の悪さを嘲笑しにくるわけだ 「キョンくーん、カルピスもって来たよぉ」 妹がドアを開けて突然入ってきた。 「どうしたのけんかしてるの?」 「そんなことないわよ妹ちゃん。お兄ちゃんがちょっと頭悪いだけだから」 「いや、ハルヒがきついだけだ」 お兄ちゃんこと俺は反論した。 妹は不敵な笑みを浮かべると、 「あたしは遊びに行くから。ふたりでお勉強しててねぇー」 といって俺の部屋から飛び出していった。 「ねえキョン、あんた大学受かる気あんの? もう9月なのよ? こんな基礎的なことできなくてどうやって受かるのよ」 「分からん」 「まったく。話にならないわ」 あまりのふがいなさと、ハルヒのお説教モードに俺は腹を立てた。 「しつこいな! 少しはこっちの身にもなれ! 俺はお前みたいに才能があるわけじゃないんだ!」 「キョンはいつもそう。 自分に才能がないって決め付けて、努力もしようともしない。 そんなんじゃ何も出来ないままよ?」 「分かってるよ! もういい! 今日は帰ってくれ。一人で勉強したいんだ!」 「分かってない。何も分かってない」 「出てけよ!」 俺はハルヒの腕をつかんで、強引に部屋から連れ出すと、 自分の部屋に鍵を閉めた。 「ちょっとキョン! いきなりなんなのよ!」 「早く帰れよ!」 「まったく。知らないからね!」 ドア越しのハルヒの怒鳴り声は嫌に胸に響いた。 ハルヒが階段を下りる音がする。 そのまま俺はベッドに横になり、勉強することはなかった。 一時間ばかりの睡眠の後、俺はトイレに行こうと部屋を出ようとした。 ドアの鍵を回し、ドアを開けると、足元に置き書きが落ちているのに気付いた。 俺はそれを拾って、トイレまで持っていった。 「なんだこれ?」 ――さっきは怒鳴ってごめん。 でも、ちゃんと勉強しないとだめでしょ。 キョンには頑張って欲しいの。 頑張って、私に似合う男になりなさい。 分からないところがあったら言って? しっかり教えてあげるから。 ―― 俺はトイレの中で、声を出さずに泣いてしまった。 自分のふがいなさと、ハルヒの真剣な気持ちを踏みにじったことが悔しかった。 ハルヒは俺を期待してくれていた。 それに俺は答えられるのだろうか? 答えられなかったら? ハルヒは俺を嫌いになってしまうのか? 俺はトイレから飛び出し、自分の部屋に戻った。 参考書のハルヒに教えてもらっていたページを開き、 泣きながらシャーペンを動かした。 ――でも、分からない。 今さらハルヒには聞けない。 必死になって考えたが、俺には全く理解できなかった。 やっぱりだめなのか? やっぱり俺はハルヒとは釣り合わないのか? そして、俺はまた泣いていた。 今度は声を出して。まるで、子供のように。 「ちくしょう! なんで俺はこんなバカなんだ! 不平等すぎるぞ! ハルヒには簡単に分かってるのになぜ? どうしたらいい? なあ。 ハルヒ。 俺はお前に教えてもらいたいんだ。 ごめん、さっきは怒って。許してくれるかな?」 突然携帯が鳴った。 俺は涙を拭って、電話に出た。 『もしもしキョン? さっきはごめん。怒鳴ったりして悪かったわ。 でも、あんたがふがいないことばっかりいってるから悪いんだからね。 勉強は大丈夫? 分からないところがあったら言いなさいよ?』 「ハルヒ、ごめん。俺が悪いんだ。 今から来て、俺に教えてくれないか?」 『ちょっと、涙声でなに頼んでるのよ。 分かったわ今から行くから待ってなさい』 そこで通話は終わった。 ごめんハルヒ。俺にはお前が必要なんだ。 土下座したっていい。俺を、こんなダサい俺を許してくれ。 ハルヒは二十分ほどで俺の家に来た。 チャイムが鳴ると、俺は玄関に向かいハルヒを出迎えた。 「ハルヒ、さっきはごめん」 「そんなことはいいわ。早く部屋に行って勉強しましょ。時間がもったいないわ」 俺達は俺の部屋に入ると、すぐに勉強を始めた。 俺は泣きながら、ハルヒの熱心な教えに耳を傾けてた。 「まったく。泣いてたら勉強できないでしょ?」 ハルヒは俺の頭を優しく撫でた。 「すまん」 「もういいわ。今日はここまでね。区切りもいいし」 「すまん」 「もういいわよ。しつこいと嫌われるわよ!」 それからハルヒはぽつぽつと俺に話してくれた。 「さっき、手紙に『頑張って』って書いたでしょ? あれは本当は言っちゃいけない言葉なのよね。 だって、本人は頑張ってるのに頑張っていうのは苦しいでしょ? だから、私はキョンのこと信じて待つわ」 「ありがとう」 ハルヒは信じて待つといってくれた。 でも、俺は今までそれに答えてきていなかった。 「あ、それと。はい、これ。お守り。 前に大宰府に行った時に買ったものなのよ。 あたしとお揃いになっちゃうけどいい?」 「いい」 それだけ言うのが精一杯だった。 「じゃあ、あたしはもう帰るわね。そんなに落ち込んでないで。 また明日、教えに来てあげるわ」 ハルヒは去り際、 「信じてるからね。ちゃんと復習しなさいよ!」 といって俺の部屋から出て行った。 俺の部屋にはハルヒの甘い残り香だけが残っていた。 ごめんな。ハルヒ。 ありがとう。ハルヒ。 また明日。そんな、ある晴れた日のことだ。 おしまい。
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■フードコートで、また明日。 成家慎一郎 Webコミック版 百合っぽくて男はあまり出てこないけど、告られたとか痴漢にあった話はしてる。
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「つづきはまた明日」あと語り 今回取り上げた作品は紺野キタ先生の『つづきはまた明日』 大きな事件を起こさずにひたすら父子家庭の日常を描いていく作品。 一見すると地味な作品なのですが、 ありふれた日常の中にある小さなしあわせをしっかりと描く描写力に思わず引き込まれる作品でした。 「さりげなさ」をしっかりと描くという一見相反する事を見事に行っていて、 作品内に漂うリラックスした空気感は読んでいてとても心地よく、 幸せな気持ちになれる作品になっていました。 ただ、「幸せ」を描くためのスパイスとしての「不幸」も しっかりと描写されていて、ご都合主義の楽園ではなく、 リアルでシビアな現実世界の中でささやかに享受する幸せを描いている作品だと感じました。 キャラクター同士の関係性、立ち位置の違いにフォーカスした物語の作り方、 描写の仕方も効果的に行われていて魅力的なポイントでした。 大人と子供、男と女、いろいろな立場の人間が関係しあって生きているこの世界。 当たり前なことではありますが、 そこをしっかりと描き、それぞれの役割や想いについて考えさせられるシーンには心惹かれました。 今回はスタッフのtb_lbさんの推薦作という事で、 まえ語りの配信中では初めて進行役としてしゃべって頂いたり、 本語りの中でも中心的に語りを展開して頂いたりと、tb_lbさんが大活躍の回になりました。 実は今年の8月にもtb_lbさんの推薦作を取り上げる予定を立てているので、今から楽しみだったりします。 今回も作者の他の作品を読みたくなる良作に出会う事ができました。 未読の方は是非一度読んでみて頂きたい、いろいろな人におすすめしたい作品が増えました。 2014/5/30 by utarou
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私の前の席、琴吹紬ちゃん。ムギちゃんって呼んでます。 席が前後なので最近良くお話もします。 紬「はい、どうぞ」 しずか「ありがとう」 配布のプリントを回してくれる時に彼女が振り返ると、 とてもいい笑顔で癒されます。 ふわっといい香りも漂ってきます。 そう言えば先日。文化祭の時、こんな事がありました。 ちずる「お墓がない・・・!」 律「えーっ!」 唯「今から作る!?」 和「さすがに間に合わないわ・・・」 えーと・・・変わりのもの・・・変わりのもの・・・ 最近どこかで見た・・・うーん・・・どこだっけ・・・ 律「無しでやるか?」 美冬「さすがにそれは・・・ラストシーンだし」 うーんと・・・ そうだ!! しずか「オカルト研でお墓みたいなの見た気がする!」 「「「!!」」」 しずか「私、オカルト研に知り合いいるから行ってくる!」ダッ 律「頼んだ!」 和「木下さん、役は!?」 しずか「あっ…ゆ、唯、任せたっ!」 唯「任せといて!」 紬「待って!私も行くっ!」ダッ はぁ・・・はぁ・・・。 講堂から、校舎に入って・・・えと2階だっけ。 紬「しずかちゃん、こっちの方が近いわ!」 しずか「ムギちゃん・・・!来てくれたの」 紬「私荷物運びには自信あるから~」 しずか「そう、ありがとうねっ」 タッタッタ・・・ しずか「はっ・・・はっ・・・」 紬「はぁ・・・はぁ・・・」 しずか「もうちょっとで着くのに・・・ちょっと走れないかも・・・」 紬「あとちょっとだから、がんばろう!」ギュッ そう言ってムギちゃんが手を引っ張ってくれて、二人で階段を駆けてく。 しずか「あ・・・あそこっ」 紬「やっと着いたわ・・・」 しずか「失礼します!」 オカ研「あら、しずかさん」 しずか「あ、あの、この前見せてくれた大きなお墓みたいなの貸してくれないかな!?」 オカ研「あぁ、これはロゼッタストーン・・・」 しずか(はぁ・・・はぁ・・・) 紬(はぁ・・・はぁ・・・) オカ研「・・・これが役に立つなら、どうぞ」 しずか「あ、ありがとう!」 紬「絶対返しますから~!」 紬「やったねしずかちゃん!」 しずか「うん、ありがとうねムギちゃん着いてきてくれて」 紬「お礼は後で、ね!間に合うか心配だから!」 しずか「うん、そうだったね!」 借り物だから慎重に。 二人で小走りで講堂に運んでいく。 律「まだかな・・・」 ちずる「もうすぐこのシーン終わっちゃうよ・・・!」 美冬「仕方ないわね、お墓無しでやるしか・・・」 バンッ しずか「お、お待たせ!」 紬「借りてきたわ!」 ちずる「!!」 律「間に合った!」 美冬「これは変わりになりそう!二人共ありがとう!」 和「じゃあ急いで準備しましょう!みんな手伝って」 「「「おー!」」」 こうしてオカルト研に借りたロゼッタストーン・・・ 詳しくは何かわからないけど、変わりのお墓がラストシーンで活かされました。 澪「ジュリエット・・・君を一人で死神のところへ行かせはしない・・・!」 澪ちゃんのロミオは練習とは見違える程カッコよくて、 律「・・・ロミオ・・・何故私の分の毒を残しておいてくれなかったの・・・!」 りっちゃんのジュリエットは普段のりっちゃんと見違える程キレイでした。 そして、終幕。 澪「あー!恥ずかしかったよぅ・・・」 和「澪、お疲れ様。すごくかっこよかったわ」 美冬「うん!練習とは見違える程ね!」 律「あー・・・髪がうっとおしい・・・!」バサッ 紬「りっちゃんお疲れ様、はいお水」 律「さんきゅー、ムギ」 ちずる「しずかありがとうね!おかげで大成功だよ!」 しずか「あ、ううん、みんなのおかげだよ!」 劇は大成功。さて、お片付けの時間です。 しずか「じゃあ私オカ研にお墓返してくるね」 姫子「よろしく!」 律「ありがとー」 紬「しずかちゃん、私も行くわ~」 しずか「うん!ありがとう」 二人で駆けて来た道を次はゆっくりと歩いて行く。 紬「しずかちゃん」 しずか「うん?」 紬「ありがとう、助かったわ」 しずか「ううん、私よりオカ研のおかげだよ!」 紬「そんな事ないわ、しずかちゃんが思い出してくれなかったら、唯ちゃんがお墓役だったかも~」 しずか「あははっ、そんな~」 皆で力を合わせて一つの事をやり遂げた達成感。 その達成感は皆の気持ちも高ぶらせていました。 しずか「ロゼッタ・・・ストーンだったっけ、ありがとう!助かったっ!」 紬「ありがとうございました!」 オカ研「ううん、お役に立てて嬉しい」 しずか「また今度帰りお茶しようね!」 オカ研「うん、またね」 紬「私も!私も行きたいっ!」 オカ研「はい、是非」 ムギちゃんもテンション上がっちゃってるのかな。 その達成感は、同時に終わった事への喪失感へと繋がって行きました。 しずか「こう・・・終わってみると寂しいね・・・」 紬「そうね~、クラスみんなで一致団結して頑張ったものね」 しずか「うん・・・もうすぐ卒業だし・・・」 紬「うん・・・」 しずか「みんな・・・離れ離れになっちゃう・・・」グスッ その喪失感に私は寂しくなり、涙が出てきました。 紬「しずかちゃん?大丈夫!?」 しずか「うん・・・大丈夫。なんかやり遂げた後って寂しくなるよね」グスッ 紬「しずかちゃん・・・」 その時でした。 紬「このクラスで、ほんとに良かったわ」ダキッ しずか「ムギちゃん・・・うわぁん・・・」 紬「よしよし、ちょっと泣いたらみんなのとこに行こうね」 しずか「ごめんね、ごめんね・・・」 紬「ううん・・・ぐすっ・・・あれ・・・私も」 しずか「あはは、ムギちゃんも泣いてる・・・」グスッ 紬「うふふ、しずかちゃんだって」グスッ 誰も居ない空き教室で、二人で笑いながら泣きました。 抱き合ったまま。 しずか「ムギちゃん」 紬「なーに?」 しずか「私このクラスでほんとによかった」 紬「うん、私も!」 しずか「ムギちゃんと同じクラスでよかった・・・」 紬「うん、私もしずかちゃんと同じクラスでよかったわ」 しずか「えへへ」 紬「ふふっ」 ムギちゃんいい香り・・・ 紬「しずかちゃんいい香り~」 しずか「えっ///」 心の中読まれてた!? 紬「ずっとこうしてた~い♪なんちゃって~」 嬉しいけど・・・は・・・恥ずかしい! そんなムギちゃんが顔を覗き込んできます。 近い・・・どうしよ・・・。 紬「まだ目は赤いけど泣き止んだわね」 しずか「う、うん・・・ムギちゃんも・・・だね///」 紬「じゃあみんなのところ戻ろっか~」 しずか「あ、うん、そうだね」 紬「うん、行こう行こう」ギュッ 自然な流れだったと思います。 ムギちゃんに手を引っ張られて私達は講堂へと戻りました。 ----- --- - 紬「しずかちゃーん?」 はっ!ムギちゃんの香りが漂ってきてから、私は思い出にふけっていたようです。 しずか「あ、ご・・・ごめんね!」 紬「ううん、はい、プリント」 しずか「ありがとう」 あの柔らかいぬくもりは今でも忘れられません。 ムギちゃんも覚えてくれてるかな。 ちょっと思い出して切なくなったので、ムギちゃんに八つ当たりする事にしました。 しずか「えいっ」 ぷにっ。わき腹につんっ。 紬「きゃっ!」 やっぱり柔らかい。 紬「もう、しずかちゃん何するの~///」 しずか「えへへ」 ぷにっ。 紬「きゃっ!うぅ~しずかちゃん・・・」 しずか「ムギちゃんかわいい」 あ・・・心の声が出ちゃいました。 紬「えいっ!」プニッ しずか「きゃっ!」 紬「おかえしっ!」プニッ しずか「きゃはは、やめてー!」 紬「しずかちゃんかわいいわ~」 しずか(!!)ピクッ 紬「わき腹弱いからもうしちゃダメ」ナデナデ なんか・・・なでられました。 しずか「子供扱いしないでっ!」プニッ 紬「きゃははっ!しずかちゃんだめ~」 しずか「えいっ!」プニッ 紬「ひーもうだめーきゃはは」 コホンッ 先生「琴吹さん、木下さん自習中は静かに」 授業中だったの忘れてました・・・ しずか「す、すみません・・・」 紬「すみません!廊下で立って反省します!」 えっ!ムギちゃん・・・ 先生「いや、そこまでは・・・」 紬「立ちたいんです!」 紬「学校で廊下に立たされるの夢だったの~」 しずか「立たされると言うより自ら立ったって感じよね」 紬「えいっ!」ダキッ しずか「ム、ムギちゃん・・・!」 ドキ・・・ドキ・・・いい香り。 紬「こちょこちょこちょ~」 しずか「きゃははははは、やめてムギちゃん~」 紬「あれ?くすぐり合いしたかったんじゃないの?」 しずか「くすぐられて嬉しい人なんていないと思うよ?」 うん、いないと思います。私以外は。 紬「そう?しずかちゃんなら私されたいけど」 前言撤回です。ここにもいました。 ・・・って・・・しずかちゃんになら・・・? しずか「えっ!///」 ガラッ 先生「あなた達・・・廊下では静かにね・・・もう入りなさい」 「「は~い」」 その続きはお預けになりました。 残念です。 放課後になりました。 今日も学校は楽しかったです。 私の前の席の琴吹紬ちゃん。通称ムギちゃん。 席が前後なので、明日は何を話そうかな。 紬「しずかちゃん」 しずか「どうしたの、ムギちゃん?」 紬「また明日ね、ばいばい」 しずか「うん、また明日、ばいばい」 おわり 戻る 信代SS