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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある世界の名作劇場 シンデレラ的なヤツ むかしむかし、シンデレラという とてもうつくしい むすめがいました。 ですがシンデレラは、いつもいじわるな ままははと あねたちに いじめられていたのです。 シンデレラ 「あ~もう! 何で私がこんな事【いえのそうじ】しなくちゃいけないのよ!!」 意地悪な継母 「ほう…口答えとはいい度胸だな御坂。門限を破ったのはお前のはずだが?」 シンデレラ 「あ…すみません……あと一応、私の名前はシンデレラでお願いします……」 意地悪な姉A 「おいシンデレラ、部屋の隅に埃がたまってるわよ。 ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」 意地悪な姉B 「くすくすっ。 掃除もろくにできないなんて、シンデレラは本当に役立たずねぇ。 居候のくせに、ちょっと奉仕力が足りないんじゃないかしらぁ?」 シンデレラ 「いや、ハマりすぎでしょアンタ等!!」 意地悪な継母 「まあいい。私達はこれから、城の舞踏会に行ってくる。お前は掃除を終わらせておけ」 そう、いまおしろでは ぶとうかいがひらかれているのです。 うわさでは、おうじさまが およめさんを えらぶために かいさいしたのだとか。 こんきを のがした ままははは、たまのこしに のろうと ひっしです。 3にんが いえを でたあと、シンデレラは おおきく ためいきを つきました。 シンデレラ 「はぁ~…私も舞踏会行きたいなぁ…… あっ、いや、べ、別に王子のお、おおおお嫁さんとかそんなのには興味ないんだけどね!!? ただ私は、綺麗な服を着たり、豪華な料理が食べたいだけなんだから!! それだけ!! それだけよ!!!」 だれに たいしてかは わかりませんが、シンデレラは いいわけを しました。 シンデレラは ツンデレラ だったのです。 シンデレラ 「……何て言っても無理か…綺麗なドレスなんて持ってないもんね……… でも…やっぱり行きたいな………」 ??? 「その願い、叶えてあげるんだよ」 シンデレラが ポツリとつぶやくと、どこからともなく こえが きこえてきました。 ふりむくと、そこには しろいふくをきた まほうつかいが たっていたのです。 魔法使い 「今から短髪を、お城に連れてってあげるんだよ」 シンデレラ 「えー…? アンタが…?」 魔法使い 「むっ! そこはかとなく馬鹿にしてるね? 私の頭の中には、10万3000冊の魔道書が入ってるんだよ!」 シンデレラ 「じゃあ、本当にアンタが何とかしてくれるの?」 魔法使い 「それは無理。魔力がないから、私には魔法は使えないの」 シンデレラ 「……………」 魔法使い 「そ、その代わりに私の弟子が魔法を使うんだよ!!」 シンデレラ 「弟子…?」 魔法使いの弟子A 「……カボチャの馬車のお婆さん。ガラスの靴をくださいな」 シンデレラ 「ダメダメその人は!」 魔法使い 「何で? シンデレラなら、これ以上の人材はいないかも」 シンデレラ 「いやいやいや! その人がでてきたら、私の存在意義がなくなっちゃうから! どっちがシンデレラか分かんなくなっちゃうから!!」 魔法使い 「むぅ…短髪はワガママなんだよ。 まぁ、仕方ないから、もう一人の弟子を紹介するんだよ」 魔法使いの弟子B 「当然。禁書目録の頼みとあらば、無碍にする訳にはいかんな」 シンデレラ 「えっと…こちらは?」 魔法使い 「彼は『黄金練成』っていう、自分の思い通りに現実を歪める魔法を使うんだよ」 シンデレラ 「うわぁ……」 まほうつかいのでしBは、くびすじに はりを さしながら じゅもんを となえました。 魔法使いの弟子B 「カボチャを馬車に。用途は移動。車輪は四輪。外装は絢爛豪華に。 ネズミを白馬に。毛色は佐目毛。スタミナは極力無限大。 ボロの服をドレスに。種類はイブニングドレス。生地はサテン。細かく宝石を散りばめよ。 トカゲを浜面に。髪は茶髪。服装はジャージ。顔は適当で十二分」 すると、カボチャはばしゃに。 ネズミははくばに。 ボロぬののようなふくはどれすに。 トカゲはけらいの はまづらになりました。 浜面 「いやいやいや! 俺だけ何で名指し!? 顔が適当ってのもおかしくね!?」 シンデレラ 「別にいいじゃない。運転手が必要なんだから。アンタ乗り物運転するの得意でしょ?」 浜面 「こんなローテクでアナログなもん、運転した事ねぇよ!!」 魔法使い 「ついでにこれもあげるんだよ。 はい、ガラスの靴」 シンデレラ 「あっ、綺麗……」 魔法使い 「あ、そうそう短髪。 魔法は12時になったら解けちゃうから、急いだ方がいかも」 シンデレラ 「ゲッ!マジで!? ちょっと!急いで出発して!!」 浜面 「ちくしょう分かったよ! どうして女ってのは、こう人使いが荒いんだ!?」 シンデレラは、おおいそぎで おしろへと むかいました。 いっぽう、おしろの ぶとうかいかいじょうでは、おうじさまが ためいきを ついていました。 王子 「不幸だ…」 メイド 「おいおい、どうかした王子ー? これはお前の為に開かれた舞踏会だぞー」 王子 「結婚相手探すったってなぁ…自分がモテない事ぐらい自分で分かってますよ。 それに、ここに集められた人たちだって、迷惑だろうしさ」 メイド 「……王子は少し、自分を過小評価しすぎだぞー」 おうじさまは じぶんに じしんがありません。 招待客A 「王子様。私と。踊って欲しい」 招待客B 「私の手を取って頂けると、大変嬉しいのでございますが……」 招待客C 「お、お、お、王子様!! おしぼりをどうぞ!!」 なので、かのじょたちに なんど さそわれても、「どうじょうしてくれている」としか おもえなかったのです。 しねばいいのに。 と、そのときです。 おしろの とびらが ギギギッとあきました。 浜面 「いいか? もう一度確認しとくけど、12時までだからな」 シンデレラ 「分かってるわよ!」 かいじょうに シンデレラが あらわれると、「あのむすめはだれだ」と まわりは ざわつきはじめました。 王子 「え~と……どちらさんでせうか?」 シンデレラ 「べ、別に誰だっていいじゃない。それよりもアンタ、舞踏会なのに誰とも踊らない訳?」 王子 「あ、いや、そういう訳じゃないんだが―――」 シンデレラ 「し、し、仕方ないわね!! と、特別に私が、あああ相手になってあげてもいいけど!!?」 シンデレラは、おうじさまを めのまえにして うえからめせんです。 王子 「…いや、別にいいよ。そもそも俺、このパーティーにあんまり乗り気じゃn」 おうじさまが ことわろうとしたしゅんかん、 シンデレラは おんそくの 3ばいいじょうの はやさの コインをとばしてきました。 (これを せんもんようごで 「レールガン」といいます) おうじさまは あわてて それを みぎてで うけとめます。 シンデレラ 「特別に! 私が! 相手になってあげてもいいけど!?」 王子 「あ…はい……お願いします………」 ふたりは てをとりあいながら ダンスをしました。 ですが、おうじさまは しゃこうダンスが あまり とくいではありません。 シンデレラ 「ちょ、ステップ違うわよ!」 王子 「し、仕方ないだろ!? あまり慣れてないんだから!」 シンデレラ 「…アンタ王子よね?」 そのとき、おうじさまが うっかりシンデレラの ドレスのすそを ふんでしまったのです。 ふたりは たいせいをくずし、うしろに たおれこみそうになりました。 シンデレラ 「キャッ!」 王子 「危ね!」 ですが かんいっぱつ、ふたりはもちこたえました。 しかし そのかわり…… シンデレラ (ち、近い!! 顔が近い~~~!!!) ふたりの かおが ほぼ0きょりまで ちかづいていたのです。 まるで このまま キスできそうなじょうきょうに、シンデレラは ギュッとめをつぶりました。 ですが、そのときです。 ゴーン!という かねのねが むじょうにも なりひびきます。 それは、12じをしらせる とけいのおとでした。 シンデレラはハッとして、いそいで はしりだしました。 王子 「お、おい! 急にどうしたんだ!?」 シンデレラ 「ゴメン! もう帰らなきゃ!!」 ほうとうは かえりたくありません。 ですが じかんは まってくれません。 もうすでに まほうは とけかかっていて、ドレスも ボロのふくに もどりつつあります。 とちゅうで ころんでしまい、ガラスのくつが かたほうぬげてしまいましたが ひろっているひまはありません。 シンデレラは いそいでばしゃに のりこみました。 王子 「おい! ちょっと、忘れモン!!」 おうじさまは おとした ガラスのくつを ひろいました。 みぎてで。 すると ガラスのくつは こなごなに くだけてしまったのです。 おうじさまは まっさおになりました。 王子 (ヤ、ヤバイ! まさか異能でできた靴だったなんて…… やっぱり弁償しなきゃだよな…けど、すげぇ高そう……) すると シンデレラが ぜんそくりょくでもどってきました。 シンデレラ 「ゼィ…ゼィ……アンタ何やってんのよ!!! ゼィ…こっちはもう時間がないんだから!!! ハァ…ハァ…余計な事しないでよね!!!」 王子 「わ、悪い!! 必ず弁償するから!!」 シンデレラ 「んなこといいから!! はいこれ!!」 そういうと、シンデレラは もうかたほうの くつをさしだしました。 シンデレラ 「今度は壊したりしないでよ!? もう予備はないんだから!」 そういいのこし、シンデレラは ふたたび ばしゃに のりこみました。 王子 「な、何だったんだ…?」 つぎのひ、おしろのつかいが くにじゅうを かけまわっていました。 もくてきは あのガラスのくつの もちぬしを さがすことです。 このことは くにじゅうでわだいとなり、 「そのくつに ピッタリあった おんなのひとは、おうじさまと けっこんできる」 なんて ウワサまで とびかっているほどでした。 そして おしろのつかいは、シンデレラのいえまで やってきました。 城の使い 「…ふむ。 どうやらこの家にいるご婦人方には、この靴は合わないようですね」 ままははと あねたちが いくら ギュウギュウおしこんでも、ガラスのくつに あしが はいりません。 おしろのつかいが あきらめて かえろうとした そのときです。 シンデレラ 「ちょ、ちょろ~っと待ってくれないかしら? も、もしかしたらなんだけど…私なら履けるかもしれないんだけど?」 じしんまんまんにいうので、おしろのつかいは シンデレラに ガラスのくつを はかせてみました。 するとなんと、ピッタリだったのです。 城の使い 「おお! 貴方こそ我が主の探している御方に間違いない! 申し訳ないが、城までご同行願えるか?」 シンデレラ 「ま、まぁ仕方ないわよね! 向こうが会いたいってんだから!」 こうして、シンデレラはおしろへと つれていかれました。 このまま うまくいけば おうじさまと けっこんして ハッピーエンド… となるはずなのですが、そう かんたんには いきません。 おしろにつくと、シンデレラは とんでもないものを まのあたりにします。 なんと シンデレラのほかにも、ガラスのくつの サイズが ピッタリあう じょせいが、9968にんも いたのです。 しかも みんな、シンデレラと かおがそっくりだというから おどろきです。 シンデレラのそっくりさんA 「王子と結婚するのはミサカです、とミサカは宣戦布告をします」 シンデレラのそっくりさんB 「フザケンナ、とミサカは怒りをあらわにします」 シンデレラのそっくりさんC 「まぁまぁ落ち着いてください。 どうせ選ばれるのはこのミサカなのですから、とミサカは余裕でたしなめます」 シンデレラのそっくりさんD 「残念ですがそれはありえません。 何故ならこのペンダンの分、ミサカの好感度が一番高いからです、 とミサカはあの人との愛の結晶を見せびらかします」 シンデレラ 「なにこれ……」 ほんものもふくめ、9969にんの シンデレラ。 おうじさまは このなかから、ほんとうの シンデレラを さがすことはできるのでしょうか。 王子 「う~わ~……」 メイド 「どうするんだー? 全然見分けがつかないぞー」 おうじさまは たりないあたまで かんがえました。 そのけっか、ひとつ めいあんが うかんだのです。 王子 「そっか! この中で、レールガンを使えるヤツが本物だ!」 あのときの レールガンを おうじさまは わすれていませんでした。 きょうふというのは、からだに しみつくものなのです。 さすがの そっくりさんたちでも、レベルは2~3ていどです。 レベル5の ひっさつわざ、レールガンはうてません。 こうして、おうじさまは ほんものの シンデレラをみつけたのでした。 王子 「やっと…見つけたよ……」 おうじさまの しんけんなかおに、シンデレラは ふにゃーすんぜんです。 なぜなら あとは、おうじさまの プロポーズを のこすのみだからです。 王子 「実は…その……お前に渡したいモノがあってさ……」 シンデレラ 「なななな何かしら!!?」 おうじさまが とりだしたのは エンゲージリング ではなく、ガラスのくつでした。 シンデレラ 「えーと……これは?」 王子 「ほら、昨日お前の靴を壊しちゃっただろ? だから職人に頼んで直してもらったんだよ。 一応、ウチにも優秀な魔術師がいるからさ」 職人 「ちなみに、直したのは俺なのよ」 シンデレラ 「…………つまり、これを渡すためにわざわざ私を呼んだと…?」 王子 「あー…俺が悪いのに、そっちから来てもらったのは、本当に申し訳ないと思ってる。 けど、一応俺王子だからさ、城を出るだけでも、手続きがかなり面倒なんだよ」 シンデレラ 「あーなるほどねー。そりゃ仕方ないわよねー」 シンデレラのあたまから バチバチとひばなが はじけとびます。 さぁ、そろそろ オチのじかんのようです。 シンデレラ 「ふっっっざけんなぁぁぁ!!! くそ馬鹿ああぁぁぁぁ!!! 何のためにもう片方の靴を残したと思ってんのよおおぉぉぉぉ!!!!!」 王子 「ぇぇぇええええ!!? いやだから、靴を直してもらうためだろ!!? サンプルがあった方が直すのにも手間取らないし!! てかマジでやめて!!! そんなにたくさんのコイン、王子さんの右手一本じゃ防ぎきれませんのことよ!! 死んじゃう!!! 俺死んじゃうから!!!!!」 シンデレラ 「一遍死ねぇぇぇ!!!!!」 王子 「ギャー!! 不幸~だぁ~!!!」 こうして、おうじさまと シンデレラの おいかけっこが はじまりましたとさ。 めでたしめでたし。 CAST シンデレラ 御坂美琴 王子 上条当麻 意地悪な継母 寮監 意地悪な姉A 麦野沈利 意地悪な姉B 食蜂操祈 魔法使い インデックス 魔法使いの弟子A サンドリヨン 魔法使いの弟子B アウレオルス=イザード 浜面 浜面仕上 メイド 土御門舞夏 招待客A 姫神秋沙 招待客B オルソラ=アクィナス 招待客C 五和 城の使い 騎士団長 シンデレラのそっくりさんA ミサカ19822号 シンデレラのそっくりさんB ミサカ10353号 シンデレラのそっくりさんC ミサカ15467号 シンデレラのそっくりさんD ミサカ10032号 職人 建宮斎字 舞踏会での 青髪ピアス 一方通行 アックア エキストラの皆さん アニェーゼ=サンクティス アンジェレネ (五十音順) 諫早 ヴァリアン ヴェント 牛深 エイワス エリザード オッレルス オティヌス 垣根帝督 上条詩菜 上条刀夜 木原数多 木原病理 テレスティーナ=木原=ライフライン キャーリサ 黒夜海鳥 駒場利徳 災呉 杉谷 ステイル=マグヌス 削板軍覇 滝壺理后 竜神乙姫 月詠小萌 土御門元春 テッラ 服部半蔵 ビアージヲ=ブゾーニ フィアンマ フレメア=セイヴェルン 冥土帰し マーク=スペース マリアン=スリンゲナイナー マタイ=リース 御坂旅掛 御坂美鈴 結標淡希 闇咲逢魔 横須賀 芳川桔梗 黄泉川愛穂 打ち止め ルチア レッサー 学園都市の学生達 イギリス清教の魔術師達 企画・脚本・監督 アレイスター=クロウリー 助監督 ローラ=スチュアート 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある世界の名作劇場
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学園都市にはたくさんの個性的な生徒たちが生活している。 彼らにはそれぞれの個性的な日常があり、 それぞれの個性的な出来事があり、 それぞれの個性的なドラマがある。 そんな学生たちの一日を少しでも覗いてみたいと思った事はございませんか? ここは窓の無いビルの内部、学園都市の様子を一目で観察できるとある魔術師の住処――― 春咲躯園さんの一日前篇 拝一刀の日常
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【種別】 人名 【元ネタ】 同名の実在した魔術師。 Wikipedia-マグレガー・メイザース 【初出】 新約十二巻(名前のみ) 新約十八巻の再現映像で登場 【解説】 魔術業界においては著名な魔術師の一人。 『黄金夜明』の「三人の創設者」の一人であり、結社内の二大派閥・メイザース派のトップ。 そこらの魔術師を捕まえて有名人を挙げてみろと質問すれば、 10本指が埋まる頃には『薔薇十字(ローゼンクロイツ)』やサンジェルマンと並んで名前が挙がるとされる。 古いスコットランド式軍服の上から魔女のとんがり帽子や外套を羽織り、マフラーを巻いた中年男性。 右に重心を傾けて立つ癖がある。 妻はミナ=メイザース。夫婦仲は良好だった模様。 天才という言葉を補って余りある変人として知られており、 ハイランダーの末裔、スコットランド貴族グランストラエ伯爵を自称し、 スチュアート王朝の再興を切望していた。 まだ若手の魔術師だったアレイスターの才能を見出し、スカウトした人物でもある。 様々な偉業を成し遂げたが、特に有名なのが古い「原典」の翻訳。 「ヴェールを脱いだカバラ」、「術士アブラメリンの神聖なる魔術の書」、「ソロモンの大きな鍵」といった現物ではあまりに難解、かつ猛烈な知識の毒を持つ「原典」を誰でも読める分かり易い形に変換し、 欧州全域にカバラを中心とした魔術文化を蔓延させ、魔術の洋の東西を切り分けた。 最終的に近代西洋魔術という「現代魔術の基礎理論」を確立したのはアレイスターだが、 このようにメイザースもまた、魔術の基礎理論を独自に構築できるだけの実力を持っていた。 地の文では、魔神やアレイスターとも並び上回る天才と評されている。 軍服に憧れ銃剣巨砲に目を輝かせたり、一点に集中すると周りが見えなくなってしまったりと天才特有の「子供の部分」がある反面、 組織の長らしく人としての情の部分を切り離すことができる人物。 期待に応えられなければ慰めず、躊躇なく鞭を打つ。 ましてそれが「見込みのある」魔術師ならば、崖の下に突き落とし、這い上がってきた者だけを認めていたため、組織の中で最も恐れられ、時に暴君や独裁者などと呼ばれていた。 戦闘では周囲に浮かせた4種の象徴武器を自在に操り、多種多様な魔術を行使する。 属性魔術自体の「圧」は幻想殺しで打ち消せる程度だが、バードウェイのように縛りを設けてない分非常に自由度と操作性が高く、 範囲攻撃、時間差攻撃、即死攻撃、精密攻撃、移動、防御など戦闘における様々な分野を象徴武器の操作だけでこなす。 (→こちらを参照) 召喚魔術のレベルも恐ろしく高く、コロンゾンを召喚し契約したり、 最強格の悪魔「蠅の王」を召喚して攻撃に使用したり、 御使堕し級の純度の大天使を、全四体同時に召喚して使役した。 総評すると魔術の基本を極限まで極めた、「力」より「技術」で圧倒する達人。 アレイスターは「基本の四大元素を完全に御することで世界の全てを表現する」、 「あれに超常で挑むのは、太陽に向けて懐中電灯を向けるくらいの空回り」 と述べており、「特別な才能を必要としない技術」という魔術の理念を体現した魔術師と言えるだろう。 野心家、というより「子供の部分」に逆らえない性格であり、アレイスターをスカウトした理由もそこにあった。 彼はアレイスターが作った革新的な魔術様式を認めると同時に、 ウェストコットら先人達が作り上げた『黄金』の基礎理論の一つ一つをアレイスターが開発したモノと置換していき、 ゆくゆくはその革新的な技術を自らの物として、それらを時代にもたらした大魔術師として、自らの名を歴史に打ち立てようと企てていた。 しかし「ブライスロードの戦い」でアレイスターに反逆され、彼が用意した偽造文書によりウェストコット派と内部抗争せざるをえない状況に追い込まれる。 戦闘の末にアレイスターと刃を交え、ブライスロードの秘宝の一撃やクレイモアの斬撃を受けながらも、最期はアレイスターと相打ちになる形で戦いを終えた。 そしてアレイスターから受けた呪いにより成功の目を見ることなくその生涯を終え、 遺体は名前を伏せてウェストミンスター寺院に埋葬された。 ...と、アレイスター(と読者)からは思われていたが、新約二十巻ラストでメイザースおよび黄金メンバーら本人が当時の全盛期の状態で登場。 理屈や経緯は不明だが生きながらえており (コロンゾンが関わっていることが示唆されている)、 同じように生存していた『黄金』の構成員達を引き連れ、アレイスターと対峙した。 「リリスは救われるべきではなかった」と断じ、『復讐者』という性質を失ったアレイスターを蔑んでいた。 そして「黄金」のメンバー達と共に残りのクロウリーズ・ハザードを殲滅し、アレイスターを殺害すべく行動を開始した。 圧倒的な魔術の腕とウェストコットを思わせる不死性でアレイスター一行を追い詰めるが、反撃によりベリッジ(未編集)を倒されたことで秘密を暴かれる。 彼ら復活した「黄金」メンバーの正体は、コロンゾンによって作成されたイギリスの防衛装置。 ミナ=メイザースのようにタロットカードに人格を写すことで、意思を持つ「原典」として復活した。 前述の不死性も、何人にも破壊出来ない「原典」の特性によるものである。 つまり彼らは本人ではないが、「設定」として過去の当人の人格、術式を持っている。 生まれた経緯上作成したコロンゾンの指示に抗えないが、 「再現」とはいえ腐ってもメイザース。魔道書の翻訳者である彼は独自解釈でタロットの番号を入れ替え、「黄金」の中で唯一コロンゾンの支配を脱却した。 命令であるアレイスターの殺害はメイザース自身の意向もあり従っているが、だからといってコロンゾンの味方をしているわけではなく、むしろ出し抜こうとしている。 彼の本当の目的は過去と同じくコロンゾンを使役し追い返すことで、他の「黄金」メンバーを解放し、完全な自由を得ること。 本物の遺体はエディンバラ城に埋葬されており、 移動するだけで魔術的記号として機能するエリザードが城に到着すれば 隠蔽術式が破綻するため、妨害のため王室派とカーチェイスを展開、 あとから追いついてきた上条とも戦闘になるが、 結局は自分の遺体を守るよりもアレイスターとの決着を優先させる。 アレイスターは彼に「オリジナルでないのなら過去の因縁はないはず」と問いかけ、 メイザースは「作り物だとしてもそこに留まるかどうかを決めるのは俺自身、コロンゾンもアレイスターもどうでも良いが、『反抗』の結末は俺が決める」と返す。 そして過去のトラウマを乗り越え聖書を手に取ったアレイスターに対し、あえて自身も同系の魔術を使用し、決闘が始まる。 天使の召喚など「神の子」に由来する魔術同士を即興でぶつけて無力化しあい、拳での殴り合いにもつれ込む。 「原典」の不死性により徐々にアレイスターを追い詰めたが、 真理に辿り着いたアレイスターの魔術によって地脈・龍脈からのエネルギーを断たれ、他の『黄金』メンバーともどもタロットへと戻っていった。 そしてメイザースと呼ばれた何者かは、笑いながら消えていった。 【関連】 属性魔術【メイザース】
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/――ふたり―― 想定外の邂逅[二つの世界] ~とある喫茶店にて~ 上条は当初ぶらぶらと散策をしていたがトラブルに遭う気がしたので、今は適当な喫茶店に入って時間を潰している。 そしてあらかじめコンビニで購入しておいた漫画雑誌を取り出す。 (ちなみに立ち読みをすることもできたのだが、偶然入ったコンビニは雑誌棚を清掃していたので気が進まなかった) そんな上条に声をかける人物が一人。 「にゃー。かみやんなんでここにいるんだにゃ?」 「土御門?」 そんなこんなで男二人、茶をしばくわけである。 「それで?あの中学生はいいのかにゃー?」 「中学生を強調して言うな」 自分が犯罪者であるかのような口ぶりに辟易。 なぜ周りには口の悪い人ばかりなのだろう。 「御坂はインデックスに用事があるんだとよ、って土御門?」 「どうしたんだにゃー。かみやん?」 土御門の格好に違和感を感じる。 相変わらずの奇抜なスタイルだが、耳にはイヤホンが。 「お前、音楽とか聞くタチだっけ?」 「いや、違うぜよ。あちら側と言えばわかるかにゃー?」 土御門は科学と魔術、二つの世界で暗躍する多重スパイだ。 学生でありながら同時にその道のプロでもある。 もっとも、普段からニャーニャー言ってるようなふざけた様子からは想像できないが。 「また何か厄介事を持ち込んで来たんじゃないだろうな?」 「それは無いにゃー」 「どういう意味だよ?」 「盗み聞きも立派な仕事だぜい」 また学園都市の外に飛ばされて、単独で魔王殿に潜入、そこの脳筋悪魔貴族を撃破しろと言われるのか。 そう考えていたが違うらしい。しかし盗聴とは物騒な物言いだ。 「堂々と言うな。でもこんな騒がしい場所じゃ無理だろ」 「その通りなんだがにゃー」 「どうしたんだ?」 「あちらさん、盗聴を警戒している感じだからこの機材に意味は無くなってしまったにゃー」 イヤホンを外し、土御門はため息を吐く。 「おまけに直で聞こうにも向こうは特殊なレーダーも所持しているもんだから…」 「打つ手が無いと」 そういうことぜよ、と言って頼んであったコーヒーに口をつけた。 「だからやることも無くて、ここのメイドさんを見に来たのか?」 「ここの制服はメイドとは言わないぜい」 どうやらこだわりがあるらしい。 今度は土御門が上条の事情を尋ねる。 「かみやんは追い出されたクチかにゃー?」 「女の子同士の会話を邪魔するなってよ」 「どういうことかにゃ?」 「わからねーよ。ただ…」 「ただ?」 「もともとインデックスに用事はあったって言ってたから…」 どこか物思いにふけるように上条は答えた。 極僅かだが空気が張り詰めたことに彼は気付かない。 「単に気に入っただけじゃねーの?御坂は可愛いもの好きだし」 その言葉を聞いた土御門は激しく脱力した。 「土御門?どうしたんだ?」 「…なんでもない…にゃー」 あまりの気の抜けようにサングラスがずれている。 それを整えて土御門は呟く。 「かたや魔術の禁書目録、かたや科学の超電磁砲…か…」 だがその呟きは上条の耳には入らなかったらしい。 土御門の胸中を余所に物語は始まる――――― ________________________________________________________________________________ 「具体的に言えば魔術の世界とあなたが見てきた当麻、ね」 第三次世界大戦が始まる前、日本の学園都市は自分らと同じような科学機関が海外にもあることを公表した。 そしてそこでは《魔術》と呼ばれる《超能力》を開発していることも。 だがそれはとても曖昧な情報に思える。なぜなら実際に彼を追いかけて、ロシアでその技術の一端の見てしまったから。 超能力は知らない人から見れば、まさに魔術に見えるかもしれない。しかしその力には科学として正当な理屈、理論がある。 ロシアで見てしまったアレらは決して科学と呼べる代物じゃない。私の知識が、経験がそう叫んでいた。 つまり《魔術》の存在は実、それが《科学》分野であることが虚、強引過ぎるが結論として間違ってはいないはず。 それにインデックスが関わっているかの根拠は無かった。けれど、今、この瞬間確信した。関連が有ると。 彼女はそのことは予想していなかったらしい。一瞬呆けて、瞳が警戒の色を帯びる。 「それを聞いて……短髪はどうするつもり?」 周囲の空気が変わった。 踏み込んではならない領域に足を突っ込んだ感覚がする。 先ほどまでとは残酷なまでに目付きが違う。 なにやら穏やかでないものを孕む圧力を、幼く見えるその容姿から放っているとは思いたくない。 彼女から発せられるソレはとても冷たく、鋭く、硬くて、そして怖い。 まるで子を守る母のようだ。 何を言おうが撥ね退ける、そんな強い意志を感じさせる瞳をしている。 本当に当麻が大切なのだろう。そしてそんなに危ない世界なのか。 インデックスの変わり様に気押されてしまう。 でも―― 「インデックス…」 私は引けないし、今更引くつもりもない。 だから、私は募る想いをシスターに告白する。 「当麻はいつも酷い怪我をして入院してるわよね?それを知ったときは心配したわ。またかっ…てね」 「でも…それがいつもの事だなんて知らなかった。命懸けの怪我なんて普通、滅多に起こることじゃないもの」 思い浮かぶのは、ボロボロになっても無理をしていた当麻。 「そのことを知ったのはアイツがイギリスに行く前の大怪我のとき」 「病院から抜け出しているところをね、偶然見つけたの。…もちろん止めたわよ」 結局は止められなかったけどね…と加える。 「なんでもっと頼ってくれないのかって言ったわ」 「ほら、他の人には頼れって言う割には自分のことは相談しないヤツでしょ?」 「けれど…きっと。アイツには関係ないのよね」 「頼る頼らないの問題じゃない。自分がそこへ行くことに意味を見出している」 それは彼の言葉を聞いて、彼の様子を見てきて、行きついた結論。 「当麻はいつだって当麻だから」 「上条当麻としての生き方がそこに在るから」 「私たちが縋りついて止めても、きっと変わらない。変えられない。そう思うの」 その在り方につい悲しくなって、泣きそうになってしまう。 声も上手く出せない、カップを取ってソレと一緒にこげ茶色の液体を呑み込む。 「アイツがボロボロになるのを想像すると無力感に苛まれる」 「アイツが外に出ているのを知るたびに無事を願ってるばかりだった」 「でも…後悔したくないから…願うだけじゃダメだから…」 深呼吸。覚悟を言葉に変える。 「私だって戦える。超能力者としての力が無くても、この気持ちは変わらない」 借りを返す、助けられた恩がある、それは方便だ。 本当の意味でやりたいことじゃない。 「私は当麻を守りたい。あのどうしようもないくらいにボンクラで優しい当麻を守りたい」 「だから知りたいの。当麻の戦う世界を」 でも気持ちだけでは守れない、それが現実。 そして失敗するわけにはいかない、リセットは出来ないのだから。 だから―― 「あなたの力を貸して欲しい。お願い、インデックス」 ここで断られるならば自分で調べるしかない。 今まで築いてきた全てを失うかもしれない。最悪、学園都市が敵に回ることも十分にありえる。 以前PDAで調べた内容からはわかっていたことだ。 でも、この選択に後悔は無い。きっと今まで過ごしてきた日常も帰ってこないだろう。 それでも譲れない想いが――――ここに在る。 「短髪は…」 沈黙が破られるがどうしても不安になる。 「ううん」 「みことは……わたしといっしょだね」 そこには柔らかく微笑む聖職者がいた。 「でも…不公平…なんだよ…」 「…え?」 我ながらマヌケな声だ。 「わたしの話だけじゃあ…不公平なんだよ」 「わたしだって、いつもいつもとうまと一緒にいるわけじゃないんだよっ」 「だから、だからぁ、わたしだってみことの話が聞きたいんだよぉっ」 矢継ぎ早に言葉を発するインデックス。様子がおかしい。 なにかマズイことを言ってしまったのか…終いには泣きじゃくり始めた。 衝動に駆られ彼女を抱きしめて、年相応の少女の様子に安心してしまう。 もしかしたら先ほどまでのインデックスはただの強がりで、なにかの拍子にその糸が切れてしまったのだろうか? それでも私の無遠慮な頼みを許してくれた彼女に――――― 「ありがとう」 ――――私は感謝を述べる。 ________________________________________________________________________________ 上条と土御門はあの後は取りとめのない会話で時間を潰していた。 そこで鳴る上条の携帯。どうやら用件は終わったようだ。 「終わったのかにゃー?乙女の密談は?」 「そうみて―だな」 気になって仕方なかったので、早々に会計を済ませて帰宅しようとするも土御門に呼び止められた。 「なあ。かみやん」 「なんだよ」 夕刻、またの名を逢魔ヶ刻。 「かみやんはそれでいいのか?」 「どういう意味だ?」 それは、人と魔に魅入られた者の時間が交わる意。 「そのままの意味だ」 夕日が眩しくて表情はうかがえないが、彼が纏う空気には覚えがある。 それは魔術師、土御門元春としての顔。 「かみやんは頑張った。いろんなヤツを救った」 「でも、自分がやっている意味を全く理解していない。かみやんはいつか――」 「――裁かれる――」 「俺みたいな嘘つきは逃げても良い。だがお前は逃げるな」 「結果的にたくさんの人々を救ってしまったお前だけは―――逃げちゃいけない」 「それを忘れるな」 そう残して、魔術師は去った。全く意味がわからない。 裁かれる――と彼は言ったが、それは記憶喪失の事か?ならばインデックスと向き合えという意味か? 心を占める大量の疑問符に戸惑いながら上条は帰宅の路へと着く。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「ただいまー」 「「おかえりなさい」」 扉を開けると二人の少女が和気藹藹としている。 しかもなにやら上条に意味深な目を向けてニヤニヤしているのだ。物凄く居心地が悪い。 そんな雰囲気を打ち払うために、取りあえず聞いてみる。 「それで?一体何の話をしていたんだ?」 「「べぇーつぅーにぃー」」 「(何なんですかこの団結っぷりは!?)」 上条さんは!上条さんは!と、とある変態の空間跳躍者と同様に悶えてしまう。 そんな様子を見た二人は上条に残虐な言葉を浴びせた。 「当麻」「とうま」 「はい?」 「「気持ち悪い」んだよ」 この仕打ち。女の子から言われるとこれは傷つくだろう。嗚呼無情。 傷心上条を放置して美琴は立ち上がった。 「さてっ」 「あれ?もう帰るのか?」 「門限だってあるしね」 「そうか……残念だな」 「あれだけ家に上げたがらなかったくせに」 しょうがないだろう、そう思って無意識のうちにインデックスに視線が移る。 「なにかな?とうまはわたしのせいって言いたいの?」 「イイエソンナコトハ…」 ナイデスヨ…と目を逸らす上条。 「とうまはいらないからみことがココに住めばいいんだよ」 「インデックスさん!?」 「それもいいかもね」 うんざりしてきてため息を吐きながら、玄関までついていき靴を履く。 「ここでいいわよ」 「却下だ。昼ごはんを作って貰った礼にもならないけど…このくらいはさせてくれ」 するとインデックスも見送りに来て、なにやら形容しがたい表情を浮かべていた。 「……みこと」 「どうしたの?インデックス」 どこか悩むように、それでも大切な何かを頼むように彼女は告げる。 「とうまのこと、よろしくなんだよ」 「うん。頑張る」 普通男女の事を考えれば逆なのだが、二人には通じるらしい。 「とうまは頑固で無鉄砲で甲斐性無しでポンコツだけど」 「…うん」 「みことにしか、お願いできないんだよ」 「……うん」 上条は自分がボロクソに言われていることにまたもや閉口。 「じゃあ。またねインデックス」 「うん。ばいばいみこと」 ________________________________________________________________________________ 「わたしとみことは……ちがう」 二人を送り出しわたしは虚空に呟く。 みことがとうまと共に部屋へ入ったときから嫌な予感はしていた。 わたしが見てきたみことは素直になれない女の子であり、彼へ恋慕の情を向けていることは知っている。 よって、二人っきりになった時もそれが本題になるだろうと思っていたのだ。 だが彼女は違うと言った。それはあくまで前座であり本題は先にあるのだと。 わからなかった、何が言いたいのか。そして口を開いて出た言葉が――――― ―――――魔術 一瞬理解できなかった。 それが理解できた時、目の前の能力者が識らない何かに思えて恐怖した。 能力者と魔術師は対極に位置する存在であり、お互いの無闇な接触は禁忌にあたる。 だから警戒した。敵意を向けた。必死に強がった。 だって――― その得体の知れないモノがまた彼を何かに巻き込んでしまいそうで、怖かったのだ。 何と言われようが、何をされようが、教えるつもりはなかった。 だって――― そもそも魔術とは無縁の生活を送るはずだった少年を戦いに巻き込んだ元凶は―― ――――わたしなんだから―――― その事実はたとえ誰に弁護されようとも変えられない。もちろん彼にも、だ。 元凶に嫌味ひとつ言わないで、だれかのために戦いに身を投じる。 右手を除けば彼はただの高校生に過ぎない。 特別な知識も無ければ、〈聖人〉のような身体能力があるわけでもない。 であれば何度も重傷を負うは必常。いや、生きているほうが異常だ。 彼にはもう傷ついて欲しくなかった。 恨んでもらっても良かった、それで彼が戦いを止めるなら。 言って欲しかった、もう戦いたくないと、傷を負うのは嫌だと。 しかし現実はどこまでも残酷で、より深いところまで彼を争いに誘っていく。 この連鎖がいつまで続くのかと絶望したことさえある。 そんなときだ、みことが来たのは。 彼女の言うことは“ほぼ”わたしと同じだった。 (「当麻はいつだって当麻だから」) (「上条当麻としての生き方がそこに在るから」) (「私たちが縋りついて止めても、きっと変わらない。変えられない。そう思うの」) わたしもそう思う。彼の生き方は変えられない。それだけの強い意志がある。 彼はそれで良いのかもしれない。 けれど、それが周囲の人にとってどれだけ悲しい生き方なのか、理解しているのだろうか? 戦いを遠ざけようにも、既に戻れない場所まで来ている。 (どうすればいいのか…わからないんだよ…) しかし―― (「――私だって戦える――」) そう、彼女は言った。 (「――超能力者としての力が無くてもこの気持ちは変わらない――」) それでも彼女は言った。 (「――私は当麻を守りたい。あのどうしようもないくらいにボンクラで優しい当麻を守りたい――」) わたしと同じ結論に至りながら、それでも彼女はそう、言ったのだ。 (「――あなたの力を貸して欲しい。お願い、インデックス――」) 彼を守りたいと、騒乱の元凶であるわたしに助力を願った。 断るべきかもしれない。……でもこんな人をわたしは知っている。 魔術とか科学とかそんな垣根を簡単に飛び越えて、守りたい人のために真っ直ぐ言葉をぶつけてくる――そんな人を。 心が震える。理屈抜きに。そして思ってしまった。 (みことなら…だいじょうぶ…かも) そう、期待してしまったのだ。 「わたしとみことはちがう」 あのときは込み上げる涙を我慢していて強がって言ったが、どちらかと言えばあのボンクラに似ている。 「願うだけじゃダメだから……か…」 その通りかもしれない。では―― 「わたしには何ができるんだろう?」 少女の問いを答える者は無く、しかし真摯に答えるように、そこには沈黙しかなかった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/――ふたり――
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第一章 それぞれの出会い すっかり暗くなった学園都市第七学区の通りを歩きながら、平凡な高校生上条当麻は困っていた 「イタリアから帰ってきてから家に帰る暇もなく直接入院して、やっと退院できたと思ったらまた問題事か・・・」 上条は肩を落としてため息をつく。そう、上条は能力者達の合同運動会『大覇星祭』の最終日に、『ナンバーズ』でイタリア旅行を引き当て、イタリアでごたごたに巻き込まれた挙げ句大怪我をして、イタリアをまったく満喫できずにとんぼ返りする羽目になったのだ。今は無事に退院して帰路についている所である。 「しっかし連絡の取り方がワンパターンなのはなにか決まりごとでもあるのか?」 そう言いながら上条は手の中の封筒を見る。それは、いつもの病院を出る前にカエル顔の医者から受け取ったものだ。上条はすでに中を確認しており、そこには定規を使ったような字でこう書いてあった。 『禁書目録は借りていく、君は来なくていいからおとなしく家で寝ていろ。 ステイル=マグヌス』 ちなみに禁書目録とは、上条の家に居候している銀髪大食らいシスターのことで名前をインデックス(自称)と言う。ステイルは禁書目録と同じ組織『必要悪の協会(ネセサリウス)』に属している、『同僚』である。これだけなら何かの報告やちょっとした用事のように思えるのだが、夜とはいえ人通りがまったくない通りの静けさや、時々見かける警備員(アンチスキル)などが何かあることを明言している。 「来なくていいってもなあ・・・」 上条は封筒を持っていない自分の右手を見つめる。そこには『異能の力』なら神様の奇跡(システム)ですら殺すことができる力が宿っている。しかし、上条当麻はいたって平凡な高校生であり、右手の能力(チカラ)も手首から先までしかない。 「素人が首を突っ込む事じゃないってことなんだろうけど・・・」 頭ではわかっている、上条当麻は持ち前の『不幸』により何度もそのような事件に巻き込まれているしかし、熱血少年な性格の上条当麻は事件に自分から突っ込み、その右手で何とかしてきたのだ今度もなんとかなると思ってるわけではないが、 「やっぱり放ってはおけないよな」 上条当麻は立ち止まり、拳を固めて決意を新たにする。 すると、 「ごぶぁ!?」 立ち止まった位置が悪かったのか、いきなり路地裏から飛び出してきた影に体当たりを食らう 「誰だ誰ですか誰なんですか!人がシリアスな展開をしてる時に!」 言いながら自分に体当たりをかました影を見ると、黒い長髪と赤と白の巫女服が見えた (あれ?この服装は・・・) 「姫神、か?」 その声に反応したのか、黒髪の頭がゆっくりとあがる。 「上条君?」 上がって来た顔はまぎれもなく上条のクラスメイトの姫神秋沙であった。 姫神はゆっくり立ち上がって袴を手ではたく 「そーいやその服装見るのも久しぶりだな。」 上条は起き上がりながら唐突にそんなことを言う。 「これは私服みたいなもの。学校以外では。この服装」 「そ、そうなのか・・・」 巫女服が私服なんて変わっているなと思ったが、身近に修道服を私服にしているシスターが居るので、何も言わないことにした 「そーいや何で裏路地なんて走ってたんだ?」 上条はふと思い出し、聞いてみる。姫神はそれを聞くと少し俯いて、 「追われて。逃げていた」 それだけをぽつりと言った。 「追われてるって、まさか魔術師か!?」 上条はさっきの手紙を思い出し、推測してみる。 「たぶん。私は見てないから。わからないけど」 「見てない?」 「・・・小萌先生が。引きつけて。逃がしてくれたから」 「な・・・!?」 姫神は俯いたまま言う。 「晩御飯の片付けをしていたら。チャイムが鳴ったの。小萌先生が出たけど。いきなり小萌先生が騒ぎだして。私に『逃げて』って」 上条は何も言わずにただ聞いている。 「いきなりの事でよくわからなかった。でも小萌先生の声は必死だった。だから訳もわからず窓から逃げた。窓から出た時に聞こえたの。 『魔術師なんて変な人に姫神ちゃんは渡せません!』って。だから小萌先生をこれ以上巻き込まないように逃げてきた。今じゃ言い訳にしかならないけど」 姫神は懺悔をでもするように弱々しく言う。姫神は小萌先生をその場に残して逃げた。狙われているのが自分なら、その場に残るより離れたほうが注意がこちらに向くと思ったのだろう。 姫神も、小萌先生を残して逃げたくはなかっただろう。その決断が姫神の心を責め立てるのだ。 (小萌先生のことも気になるけど、姫神が狙われてるならこのままにするわけにもいかないしな、とりあえず姫神を安全な場所へ移すか? でも部屋にインデックスはいないし、ステイル(あいつ)がいる場所もわかんねえしな・・・) 上条はガシガシと頭を掻く。 (他に頼りになりそうなのは・・・・・・あー、いるにはいるけど部屋に居るかどうか・・・) 上条が頼りになりそうな知り合いを思い出し、とりあえずそこへ姫神を連れていこうと決心した。 「なあ、姫神・・・」 「カミやーん!」 (ん?この声は・・・)
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【種別】 人名 【元ネタ】 ショチトル(ラテン文字転写例:Xóchitl)はアステカ文明の言葉で「花」を意味する。 アステカ暦法の一つで、祭事歴である260日暦(トナルポワリ、Tonalpohualli)においては、 この言葉に数字の20が割り当てられている。 【初出】 十五巻 【CV】 大和田 仁美 【解説】 アステカ系魔術結社『翼ある者の帰還』に所属する魔術師で、 暗部組織『メンバー』の一員。 黒髪で浅黒い肌の、彫の深い顔立ちをした少女。 エツァリとは結社内で師弟関係にあり、彼のことを「お兄ちゃん」と呼んだことからおそらく彼より年下。 『死体職人』の異名を持ち、 結社内では死体から残留情報を入手して、その人物の遺言が正しいかどうかを確認したり、 葬儀の方法をまとめたりといった、死者のアフターケアを行っていた。 世界各地の死者に関する魔術を学んでいたが、それはあくまでも平和利用のためであり、 汚れ仕事とは無縁のポジションに就いていたらしい。 相手を自身の武装を用いて自殺させる術式とマクアフティルを振るって戦闘を行う。 また正体を現す前は日本人に変装していたことから、成りすましなどのアステカ魔術も使えると思われる。 9月3日(とある科学の超電磁砲SS)時点では学芸都市の襲撃に参加しており、 雲海の蛇を駆ってトチトリ、テクパトルらと共に学芸都市と戦闘を繰り広げていた。 その際に広域社会見学に訪れていた佐天涙子らと出会う。 その後、最終兵器として放たれた太陽の蛇から佐天を助けるためにトチトリと共に命令違反を犯し、 制裁として暦石を彫りこんだ『兵器』としての扱いを受けることになってしまった。 『メンバー』としての初任務は9月19日(大覇星祭初日)の学園都市。 この日、佐天との思わぬ再会に動揺する。 ちなみにその回(超電磁砲四十三話)の扉絵の背景に彼女らしきシルエットが映っている。 そして10月9日、第一〇学区の少年院で『グループ』……というよりエツァリ個人の前に立ちふさがる。 自殺術式の正体は、 「自分の肉を乾燥させて粉末状にしたものを周囲に散布し、それが付着したものを自在に操る」というものだが、 『原典』である魔道書、暦石を皮膚の内側に記すことで力量を補ったため、 その肉体はエツァリとの戦闘中に限界を超え崩壊を始めてしまう。 しかし暦石の存在に気づいたエツァリが自分の体に原典を移し、彼女を生かす方向に原典を騙したため、 肉体の三分の二ほどを失いながらもなんとか一命をとりとめている。 助かった後は病院で入院生活を送っているようで、エツァリはちょくちょく見舞いに訪れている。 ちなみに化学繊維の衣服は好まないらしく、見舞いの品としてアステカの民族衣装を渡されていた。 余談だがスリーサイズは84・58・81だとか。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるラジオのいちゃいちゃSS 第3回 「今回も始まったぜいとあるラジオのいちゃいちゃSS!!さて、今回は俺土御門元春、 主役のカミやん、誰もがこの三人の絡みを見たいと思っていたであろう、一方通行が 来てくれてるぜよ!!」 「テメエ土御門!殺されてェのか!!」 「ちなみに今にも暴れそうな一方通行のために隣でカミやんが一方通行の肩を触っているにゃー。 もっとやばくなった時は外でこの様子を見学している打ち止めに演算能力を止めてもらうぜい」 「三下ァ、なんだこの俺の肩にある手はァ?」 「今土御門が説明した通りでございます・・・」 「ケッ、俺がここで何を喋ればいいンだよ」 「心配する必要はないぜよ一方通行。この三人は互いに愛している女の子がいるにゃー。 俺は舞夏、カミやんはこのSSでは超電磁砲、一方通行は打ち止めであって・・・」 「ちょっと待て。なンで俺があのクソガキを愛してるってなるンだ?」 「え?違うの?」 「だからなンでだって聞いてンだよ!!」 「だってお前はロリコン疑惑ということが絶え間なく流れているぞ?ほら、お前の言葉で 外から見ている打ち止めが泣きそうな顔をしていますぞ!?」 「っ・・・・・・・・・ケッ」 「カミやん、今一方通行のヤツ少し戸惑ったよな?」 「ああ。確実にな」 「テメエら!!いい加減にしろ!!」 「そんな正直になれない一方通行のために俺が二択クイズをしてやるぜい。ルールはいたって シンプル。どっちがいいか選ぶだけだにゃー。正解不正解はないぜい。カミやんも参加してもいいからにゃー」 「わかりました土御門くん!!」 「三下がテンション高いって事は俺が被害に遭う以外考えられねェな・・・」 「さて質問を始めるぜい。巨乳と貧乳、どっち派かにゃ?まずはカミやん!」 「う~ん。ないよりはあった方がいいよな。でかすぎるのも困るが・・・美琴もいずれ 大きくなる事を願って巨乳で!」 「本人が聞いたらカミやんの命が危ないぜよ。さあ続いて一方通行の番だぜい」 「決まってンだろォが、どう考えても貧乳だ。三下の思考回路がおかしいンじゃねエのか?」 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」 「どうした?」 「今遠回しに大人の女性の体は無理だみたいな事言ったよな・・・」 「俺はロリの君にフォーリンラブ♪って聞こえたぜい」 「るせェぞ!こんなくだらねェ事さっさと終わらせて帰りてェんだよ!」 「さくさく進めるぜい。『とある科学の超電磁砲』で人気になった柵川中学一年の 初春飾利、佐天涙子、どっち派?さあカミやん」 「・・・・・俺は佐天さんかな?なんか佐天さんを選んでおかないとよくない気がする」 「ハッ、三下は見る目がねェな。どう考えても初春だろ。佐天も捨てがたいがこっち側の人間には グッと来るモンが初春にはあるンだよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「カミやん!!唖然としすぎて口が開きまくってるぜよ!!」 「あっ!すまん!!コイツ墓穴掘ったと思って・・・」 「じゃ、じゃあ次行くぜい。御坂美琴と妹達、付き合うならどっち!?はいカミやん!」 「妹には悪いが美琴だ!それに尽きる!!」 「おい、オリジナルと妹達を選べってのは俺への嫌がらせか?」 「おっと悪かったぜい。質問を変えよう。御坂美琴と打ち止め、付き合うならどっち!?」 「いや、美琴だろ」 「クソガキしか考えらンねえな」 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」 「何か言いてェ顔してるな三下ァ?」 「俺は確信した。一方通行、お前はロリコンだ」 「意味わかんねェよ!オリジナルとクソガキのどっちか選べって言ったから選ンだだけだろォが!!」 「一方通行、ライバルの俺から教えてやる。お前は2ちゃんねるやニコニコの中では アクセロリータと言われているんだぞ!!」 「う、嘘だろ・・・」 「嘘じゃない。お前が命を張って打ち止めを助けた事は読者のみんなは非常に感動した。 だがミサカネットワークの中心の打ち止めといえども幼児体型の娘をあそこまで、いや あんな事までして助けるとは正直俺もお前をロリコンだと疑わざるをえない」 「ンなのが理由にされて困るンだよ!三下だってそォだろうが!」 「そうさ、俺はインデックスを助け、美琴をお前の魔の手から救ったこともある。でもな、 このSSでは俺は美琴の恋人っていうシチュが非常に多い。だから俺は美琴を守る。まあもっとも 前から守ると約束してたんだけどな。守ることとは相手に対する無償の愛なのだ!だから 一方通行、お前は打ち止めに無償の愛を注いであげている訳だあぁぁぁぁ!!!」 「ンなっ・・・・・・」 「にゃ~。カミやんに説教+口先の魔術師Kが降臨したぜよ。カミやん、外で打ち止めがお前に 絶え間ない拍手を送っているぜい」 「ご声援ありがとう打ち止め!!」 「俺はあのガキに愛ってヤツを注いでいることになってたのか?・・・」 「そうだ!!そして認めろ!僕はアクセロリータですと!!」 「・・・・・・・・・俺はロリコンで・・・」 「す、ストーーーップ!!このまま進むと原作に支障が出るかもしれないから今日はここまでに しておくぜよ。次回もお楽しみに~!」 「こら土御門、勝手に閉めるな!」 「次からぜってェこンなとこ出ねェからな!!」 終了後 「お疲れ様~!ってミサカはミサカはあなたに青春ドラマ風に飲み物を渡してみたり」 「なあ、クソガキ」 「どうしたの?ってミサカはミサカは私の事をクソガキと呼ぶあなたに怒りながらも きょとんとしてみる」 「お前、培養器に入って体大きくできねェのか?そうすれば俺の疑いも晴れると思うンだけどよ」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるラジオのいちゃいちゃSS
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【種別】 人名 【元ネタ】 神学者アルベルトゥス・マグヌスから? 13世紀のドイツに実在し、錬金術にも通じ、高度な魔術師と噂される多才な人物。 ドミニコ会という修道会に所属する修道士で、トマス・アクイナスの師でもある。 また、北欧文化を研究したスウェーデン出身の大司教、オラウス・マグヌスの可能性もある。 【初出】 一巻 【CV】 谷山 紀章 【概要】 【人物】 【能力・技術】 【作中での行動】 【口調】 【概要】 イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会』所属の魔術師。 対外交渉のエージェントとしても活動し、 学園都市の統括理事長アレイスター=クロウリーとも窓のないビルで何度か顔を合わせている。 魔法名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』。 【人物】 2mを超える長身の14才。小萌先生曰く、顔立ちは幼さが残る。 性格もかなり大人びてはいるが、時折思春期を思わせる年相応の反応を見せることも。 アニメ版では未成年の喫煙という壁があるため、年齢を言及しない形に表現が変更されている。 十字教神父としての立場を持つが、派手なアクセサリーに赤色の長い髪を持ち、 香水の匂いを漂わせ、右目の下にはバーコードの刺青というトンデモ神父。 (漫画版ではこのバーコードの刺青はルーンという設定が追加されている) ちなみに地毛は金髪だが、自ら赤く染めている。 また、相当な数の煙草を持ち歩く重度のヘビースモーカーで、 「ニコチンとタールがない世界は地獄」と断言しつつ、 さらに「僕のような敬虔な仔羊は地獄に落ちてはならない」と嘯くほど。 尊敬する女性はエリザベス一世で、好みのタイプは聖女マルタ。 愛と慈悲の祈りのみで悪竜を退治した逸話が痺れるらしい。マニアックな性癖はない。 ちなみに、彼にとってグラビア雑誌は「しかるべき場所に隠しておくのがたしなみ」ということらしい。 イギリス清教の最大主教とは直談判したり、直接指令を受けたりする立場であるが、 『首輪』の件もあり、彼女を大いに警戒している。 『首輪』破壊後は上条の知り合いという立場を利用されて、 度々学園都市などで魔術師の対処にあたっている。 最初にインデックスを巡って交戦したことで、上条にはトゲトゲしく接しており、犬猿の仲に近い。 しかし基本的には、同じくイギリス清教所属のインデックスや土御門が上条と深く関わりを持つため、必要となれば協力することが多い。 とは言え決して仲良しこよしの関係ではなく、新約二十巻のように上条がインデックスを裏切る行為をしたと判断した場合や、 創約四巻のように上条が敵をかばっていると判断した場合には、容赦なく殺そうとする冷徹な面もある。 アニメ『超電磁砲T』のBD特典SSでは、失恋バーコード放火魔とアニェーゼに陰口を叩かれていた。 【能力・技術】 14歳にして現存するルーン24文字の完全な解析に加え新たに文字を6つも生み出した、 ルーンを極めた天才魔術師。 優秀なその実力を持って数多の魔術結社に単身乗り込み、悉く灰燼へ還した実績を持つ。 ルーン魔術の中でも炎の魔術に特化しており、 十字教の要素も併せた摂氏三千度の炎を使った『炎剣』や、 教皇級の威力を持つ『魔女狩りの王』などの強力な攻撃魔術を振るう。 それら炎の魔術の応用か、火傷治癒の術や、 温度変化を利用し「蜃気楼」を発生させる目晦ましの術なども習得している。 他にもルーンの組み合わせによって様々な効果を生み出す事ができ、 人払いや神隠し、 「精神を変調させる」意味を持つ煙草とあわせて特定の人間を精神的に拘束したり、 また逆に精神のロックを解除することもできる。 だが、これらは生まれ持っての才ではなく、インデックスを守るために様々な代償を払って得た力である。 (例えば『魔女狩りの王』などの強力な魔術には大量の魔力が必要となるため、体力・接近戦能力が犠牲になっている) 立場上は十字教徒に属するものの、力を得ることに関しては貪欲であり、 北欧系の術式も好んで使い、土御門の陰陽道の魔術もわずかながら取り込んだ。 性格的に集団戦には向いておらず、使うルーン魔術も集団戦に向かない設置型の魔術であるため、 その特性上、拠点防衛・攻略を得意とする反面、野戦や追跡戦は苦手とする。 準備は怠らないが、それでも一点特化型の魔術師であるため切り札を破られると脆い側面を持つ。 ちなみにこれら炎の術式は本来、『10年間 月明かりを溜めた銀狼の牙で……』とかいう代物であり、 予めカードに刻むとはいえ、即時発動させられるというあたりが天才たる所以か。 一巻での上条との戦闘では「スプリンクラーの放水でルーンをお釈迦にされて『魔女狩りの王』が消滅」 という、理に適いつつも地味な敗北を喫しており、 以降は使用する全てのルーンに防水加工を施すなど、敗北から素直に弱点を学び対策を講じる勉強熱心な一面もある。 科学サイドの技術には疎いが、ルーンのカードをプリンターで量産できる程度には機械の扱いにも手慣れている。 さらに創約四巻ではスマートフォンで学園都市のファイブオーバーを自ら起動・操作しており、 機械音痴の人物も少なくない魔術サイドの中ではかなり機械に強い部類のようである。 【作中での行動】 本編開始以前、二年前にインデックスと出会い、 彼女に抱いた淡い想いから必死で記憶消去を食い止めようとする。 記憶消去は食い止める事が出来なかったが、記憶が消される寸前に誓った、 「安心して眠ると良い、たとえ君は全てを忘れてしまうとしても、僕は何一つ忘れずに君のために生きて死ぬ」 という理念を絶対の行動指針としている。 彼がイギリス清教に所属する魔術師として戦うのも、 誰かの命令を聞いているのも、全てが「インデックスのため」であり一切の揺らぎがない。 以後は『敵』として少しでも記憶消去の際に悲しみを減らすよう行動してきたが、 上条当麻により彼女の記憶が消されることが無くなった現在は同僚程度の間柄になっているようだ。 かつて自分がいた位置に上条がおり、二度とその位置に戻ることはできないと理解しつつも、 自らが立てた誓いに従い、インデックスのことを最優先に行動している。 二巻。上条と共に姫神を救う為に行動。上条に協力し、アウレオルスを打ち果たした。 九、十巻。オリアナとリドヴィアから学園都市を守るため、土御門と共にローラに派遣された。憎まれ口を叩き合いながらも上条と協力し、オリアナの撃破に成功する。インデックスに似た女性に対し小萌先生とフラグを立てたりなどもした。 十七巻。飛行機に炎の剣を刺して上条を救った。 二十〜二十二巻。インデックスを守るため奮闘。『自動書記』状態となった彼女をイノケンティウスを三体同時に使役したりと、無理をしながらも何とか救った。 新約二十巻。ロンドン塔で容赦なく上条を拷問した。 電撃文庫MAGAZINEにて連載されたSSでは主人公を務めており、 その隠れ気味だった魔術戦の実力、とくにルーン魔術の応用力を遺憾なく発揮している。 第二三学区の免税店で販売されていた、表現力豊かな高性能カラープリンタによる新しいルーンのカード構築、それによるルーン魔術強化を思案した。 後にこの手法の実用化に成功したようで、創約四巻ではプリンターでルーンのカードを量産し、巨大な『魔女狩りの王』を出現させている。 また、とある科学の超電磁砲の第八話に後ろ姿が確認できる。 【口調】 一人称は「僕」。大人びた、かつ皮肉っぽい話し方をする。 特別な口調・口癖はないが、上条のことを「上条当麻」、 インデックスのことを「あの子」とほぼ必ず呼んでいる。
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上条美琴の禁書目録こぼれ話アンソロジー 美琴「あれ? 何でこの話を今さら? もう(上琴)ネタは無いはずなんだけど?」禁書「ふっふっふっふっふっふ」上条「しかも、もうゲスト紹介前にインデックスがいるし。あと何その笑い? 結構怖い」禁書「ふっふーん。世の中にはちゃんと前回の私の扱いに同情してくれた人がいたんだよ。それが、とうまと短髪のイチャスレだろうと――――つまり!」美琴「アンタとこいつの話を掘り下げるってこと? 止めた方が良いと思うな。いろんな意味で」禁書「べー。大人の事情なんて知ったこっちゃないもん! 絶対やるし、ちゃんと助っ人も呼んできたんだから!」上条&美琴「「助っ人!?」」??「んー二人だけではこのジョジョネタは分かり辛いですわね」上条「んな!? この声、白井黒子か!? 原作1巻ではまだお前、登場してないだろ!?」黒子「どうして、改めてフルネームなのかは存じ上げませんが――――確かにわたくし、原作1巻には登場していませんけれども、アニメの1巻エピソードではちゃんと出ておりますし、そもそもこの時のわたくしは学園都市で起こっていた事件を追ってましたの。ですから登場する機会がなかっただけですわ」美琴「あっそうか。時系列的には幻想御手【レベルアッパー】事件のときと被るわね」上条「いやいや、それは後付け設定だから。原作1巻が出たときはまったく構想になかったお話だから」禁書「どう短髪! この強力な援軍! 普段は短髪に完全無敵に余すところなく協力的なくろこだけど、今回限りは間違いなく私の助っ人なんだよ!」黒子「ほーっほっほっほっほっほっほ! その、通りっ! 今回ばかりはお姉さまを敵に回してでもインデックスさんの味方をさせていただきますわ!」上条「え? 何その笑い? というか胸を張って、腰に手を当てて、ビシッと指差すそのポーズ、何か白井というより別の誰かを想像しちゃうんだけど!?」美琴「婚后さんに似てないこともないけど、婚后さんよりも突き抜けてるっぽいし――――てか、誰か分かる人の方がもう少ないんじゃない?」「おなかへった」「………………………………………………………………」「おなかへった」「……、」「おなかへった」「…………、」「おなかへった、って言ってるんだよ」禁書「やったぜ! 初セリフ! って、待つんだよ! 確かに私ととうまのファーストコンタクトはこれだったけど、これじゃ私、第一印象とっても悪いかも!!」上条「今さら何言ってやがる。しかしまあ、これはあれだ、大事なことだから4回言ったんだよな?」黒子「これはさすがにフォローのしようがありませんわよインデックスさん……」美琴「でも、アンタ(上条当麻)の反応は妥当ね。私たちでもこうなるわよ。いきなりベランダに引っかかっていた干しイカっぽいのが傲岸不遜に喋り出したら」禁書「だ、誰が侵略に来た娘でゲソ!!」美琴「……いや……アンタ(インデックス)、ノリノリだし……」 「私の名前はね、インデックスって言うんだよ――――あ、魔法名ならDedicatus545だね」「もしもし? もしもーし? 一体ナニ星人と会話中ですかこの電波はー?」 ――――最悪な事に、このインデックスと名乗る不思議ギンパツ女の子は床をゴロゴロしちゃうぐらいこの部屋を気に入ってしまったらしい。 まさかこれも上条の『不幸』が呼んで来たんだろうか? だとすれば嫌過ぎる。美琴「うわー何か本当に印象悪いわよアンタ。不幸が召喚した上にしかも『嫌過ぎる』って。前に『こんなの』扱いされた私よりも下じゃない?」禁書「ちょっととうま! これは酷過ぎるかも!!」上条「待て待て待て! 落ち着け、三角釣り目になるな、噛みつくための事前準備をするな!」禁書「言い訳だけなら聞いてあげるかも」上条「言い訳じゃねえって! 今の『俺』はこれを知らないんだよ! この当時の『俺』は今の『俺』じゃないから!!」美琴「あっそうか。言われてみればそうね」禁書「むー……なんだかやるせないかも……このやり場のない怒りはどこにぶつければ…………」黒子「…………なんだかこれではわたくしの計画が発動できませんわ…………」 次の瞬間、プレゼントのリボンをほどくようにインデックスの衣服がストンと落ちた。美琴「……………………」禁書「……………………」上条「……………………」黒子「……………………」禁書「ふ、ふん! どう短髪! 古来から主人公と性的ハプニングが起こるヒロインがメインヒロインで主人公といい関係になれるって絶対的不変の法則があるんだよ!」美琴「んな!? そ、それだったら私だってあるわよ! ついこの前だってこいつが私の胸を触ってきたし!!」禁書「うぐっ……! わ、私だってあるもん! 闇咲逢魔って人にさらわれかけたときに!! それに私ととうまは何度か抱き合ってるかも!!」美琴「そ、それくらい何よ! 私だって、押し倒されたり抱き寄せられたりツーショット写真撮ったり手を繋いで町中を歩き回ったりとか!!」禁書「う゛っ! そ、そうだ! 私がとうまに裸見られたのはこの時、一回だけじゃないんだよ! この後も何度かあって――――!!」美琴「げ……、そこまで…………! で、でも新約になってからはコイツ、私の夜の呼び出しに応じたり、一緒にハワイ行ったり、この前も阿吽の呼吸で最高のコンビネーションを魅せたりしたもん! というかアンタ! 新約になってから全然出番ないじゃない!! むしろ、私とコイツで共闘してることが多いわよ!!」禁書「ぐ…………痛いところを付いてくるかも…………」美琴「ふっふーん♪ 特にハワイまでの飛行機はコイツ、高いところが怖くてずっと隣に座る私の手を握ってたのよね! 6時間も!」禁書(イギリス行ったときのとうまは別に高所恐怖症じゃなかったからそんなイベント無かったのに!?)上条(ハワイに関しては、原作は描写なしなんで真実は闇の中なんだが…………)黒子「…………いつになくお姉さまが素直でございますの…………まるであの日の地下街のときのようですわ…………」上条「そういや白井ともあったな。確かお姫様抱っこ、だっけ。まあ、アレが性的ハプニングに入るかどうかは疑問だけどな。けど、お前は俺に興味ないよな?」黒子「――――!! 今、この状況で何を暴露してやがりますの!? 確かにわたくしはあなたに異性としての興味はございませんが場を弁えてくださいませ!!」美琴&禁書「「お姫様抱っこ!?」」上条「え!? いきなり矛先こっち!?」黒子「違いますわよ! あなたではなくわたくしですわ!!」美琴「く~~~ろ~~~こ~~~詳しく、話してくれる、わ・よ・ね?」禁書「……お姫様抱っこ……原作全女の子キャラ憧れの的、『とうまからのお姫様抱っこ』……私や短髪でもまだ無いのに、くろこ…………」黒子「いえ……あの……それはですね……」 「ステイル=マグヌスと名乗りたい所だけど、ここはFortis931と言っておこうかな」美琴「何、このキザな奴。私こういうタイプが一番嫌いなのよね。嫌味で相手を見下しているって感じがするのって本当に虫唾が走るわ」上条「まあ、キザったらしい態度はしてるが案外良い奴だぜ。特にインデックスのためになると全世界を敵に回してでもこいつはインデックスを守ろうとするだろうよ」美琴「まあ、なんて素晴らしい方なのかしら。ねえ、アンタ、こういう男の人って滅多にいないわよ。こいつはアンタをほったらかしにしてどこへでもホイホイ行っちゃうから、いつも傍にいてくれるこの英国紳士の方が良いんじゃない?」禁書「何で急にコロッと変わるのかな?」黒子「しかも何ですの? その溢れんばかりの笑顔は」「――――重要なのは魔法名を名乗り上げた事でね、僕達の間では――――殺し名、かな?」黒子「殺し名とはまた物騒な……」美琴「あれ? でも、アンタもコイツに自己紹介したときに『魔法名』を名乗らなかった?」上条「…………もしかして俺殺されるところだったの?」禁書「ち、違うんだよ! 私のは『魔術を使う魔法名』って意味だったんだよ! 殺し名のつもりだったら名乗るわけないかも!」美琴「どうかしら? 魔術サイドの重要機密を知られたんで口封じ、ってこともあり得たんじゃない? なんたって『禁書目録一〇万三〇〇〇冊の保管庫』よ」上条「インデックス…………」禁書「とうま! その疑いに満ちた目は許せないかも! なんなら殺し名でもいいんだよ!!」上条「あぎゃああああああああ!! 分かった! もう言わないから許して! 知ってるよ、お前がそんな物騒なことができないってことは!!」 「死ぬ! ホントに死ぬ! ホントに死ぬかと思った!!」黒子「見よ! この無様なヒーローの姿を! 上条当麻は七階の手すりから飛び出して、自転車小屋の屋根を転がり落ち、自転車の中に突っ込んで、アスファルトを這うように走り、しかも! インデックスを置いてまで逃げ出している!」禁書「(ちょ、ちょっと何かな? くろこ、そのナレーションは!)」黒子「(決まってますわ。インデックスさんはこの後、何があったかを知ってはいますが、お姉さまは知らないのですよ。お姉さまだけから上条さんの株を下げられるチャンスですわ)」禁書「(なるほど! さすが、くろこなんだよ! しかも、短髪の誤解を招くだけじゃなくて、知らずにとうまを軽蔑する短髪を見せてとうまに短髪を幻滅させようって報酬二重取り作戦かも!)」黒子「(ほーっほっほっほっほっほっ! その通りですわインデックスさん! 完璧なのですよ、この作戦は!)」上条「だが! だからと言って上条当麻がこの物語のヒーローの資格を失ったりはしない! なぜなら!」禁書&黒子「「ん?」」 ――――右手はとても便利だ。 何せ、目の前のクソ野郎を思う存分、殴ることができるのだから。 上条の拳が魔術師の顔面に突き刺さる。 魔術師の体は、それこそ竹とんぼのように回転し、後頭部から金属の手すりへ激突した。上条「紛れもないヒーロー! ヒーローの資格を失うとすれば! それは、戦う意思を、上条当麻が失くした時だけなのだ!」禁書「ちょっと、とうま! 何で自分でナレーションして、しかも自分の格好いい行【くだり】を勝手に紹介するかな!?」上条「アホか! どこの世界に好き好んで自分のカッコ悪いシーンをカッコ悪いままで流す馬鹿がいる!!」黒子「あー……わたくしの完璧で緻密な二重トラップ計画が…………」美琴「ふーん。アンタ、まんざら頭悪いわけでもないのね。攻略法は聞いていたとは言え、戦略的撤退と対抗手段の模索、火災報知機の機能に気付いた機転は大したもんよ」上条「ふっ、この俺が幻想殺しとかいうチャチな能力だけに頼ってると思っていたのか? 俺だってやるときはやるんだぜ。どうだ、スゲエだろ」禁書「短髪ととうま、お互いにお互いの好感度が上がってるかも!?」 「彼女の脳の八十五%以上は、禁書目録の一〇万三〇〇〇冊に埋め尽くされてしまっているんですよ。……残り十五%をかろうじて動かしている状態でさえ、凡人とほぼ変わらないのです」「けど、待てよ。待ってくれ。なんかおかしいだろ、インデックスには完全記憶能力があるんだろ?」「そもそも完全記憶能力とは何ですか?」「……一度、見たモノを、絶対に忘れない能力、だろ?」「元々、残る十五%しか脳を使えない彼女にとっては――――自分で『忘れる』事のできない彼女が生きていくには、誰かの力を借りて『忘れる』以外に道はないんです」美琴「ねえ、これっておかしくない?」上条「ああ、この時の俺は後から気付いたみたいだけど、確かに言われてみればおかしい話だよな。人間の脳にゃ言葉や知識の『意味記憶』、運動の慣れ『手続き記憶』、思い出を貯蔵する『エピソード記憶』の三種類があるし、しかも百四十年分の保管が可能。一〇万三〇〇〇冊の『意味記憶』をどれだけ消化しようが関係ねえもんな」黒子「違いますわ。一つ、誤解があるようですけれど、人間は『誰しも』が一度見聞きした情報は必ず脳にインプットされ、消えることがないのですよ」上条「何ですと!?」美琴「そ。つまり『忘れる』は、『いらない記憶を消去して整理してる現象』じゃなくて、『脳に貯めこまれた多くの情報に、引き出そうとする情報が埋もれてしまって呼び起こせない現象』を指すのよね。厳密には脳から一度見聞きした情報が失われることはないの。たまに起こる『フラッシュバック』や、いまわの際に見る『走馬灯』、記憶にないのに「過去に(夢の中も含めて)見たことがある」と感じる『既視感』が脳から情報が失われていないことの証明になるのよね。本当に『忘れる』ならアンタやこのちっこいのみたいに『物理的に脳細胞ごと破壊』までしないと無理」上条「け、けど現実に俺は、お馬鹿に分類されてるわけだし、テストの点数も低いし、能力開発だって…………」美琴「根本的なところを聞くけど、『ちゃんと』授業を『聞いてる』の? それと、インプットされた情報を呼び起こす訓練、すなわち『復習』を中心にした『勉強』をしてる? そうしないとどんどん新しい記憶に埋もれていっちゃって呼び起こせなくなるわよ。完全記憶能力が本当なら、そういった『勉強する必要が無い』んだけどね」上条「………………うう……何も言い返せない…………」禁書「……………………この部分は魔術の完全敗北かも」美琴「まあ、でも、アンタは自分が思っているほど頭が悪いわけじゃないわよ。このときのキザ男をちゃんと『頭を使って』撃退できてるわけだし、勉強の仕方を変えれば、アンタの右手がどうしても邪魔してしまう能力開発以外の科目の成績は伸びるんじゃない?」上条「そ、そうか! そうだ御坂! お前なら色んな勉強方法知ってんだろ? 俺に合う勉強方法を一緒に探してくれねえか?」美琴「ちょ、ちょっと! その壮絶なまでの期待に満ちた目は何!? いや教えてあげてもいいけどさ! あと近い近い!!///」禁書「とうま! なんで、短髪の手を力いっぱい握り締めてるかな!?」黒子「…………何ですの? この流れ…………イチャイチャできるとは思えない行【くだり】から自然にイチャイチャされてますの……」 「主人公気取りじゃねえ――――――――主人公に、なるんだ」禁書「とうま、かっこいいかも………それも、会ってたった三日の私を助けるために…………」上条「そ、そうかなぁ……いやぁ、そうまっすぐ言われるとさすがの上条さんも照れちゃいますよ」黒子(よぉし、よし、この流れですわよ。わたくしが望んでいたのは。さすがのお姉さまもこの行【くだり】では――――)美琴「どうしたの黒子。何か妙に悪い顔した笑い浮かべて拳を作ってぐっと体の横に引き寄せて?」黒子「いえお姉さま。実に『インデックスさんを助けようとする』上条さんの勇ましい姿に感動すら覚えたものでして」美琴「そう? でも私的には、なんか、コイツのイメージじゃないのよね」上条&禁書&黒子「「「は?」」」美琴「いや、何と言うか……そこのちっこいのを『助けよう』って決心するまでが長いっていうか、躊躇ってるって言うか」黒子「どういう意味ですの?」美琴「うん。このこぼれ話だと描写はされていないんだけど、そこのちっこいのと初めて出会ったときに、ホントは何もするつもりが無かったのに『とりあえず何かやった』っていう慰めがほしいだけで親身になってるフリしたり、炎の魔術師や女侍を相手にする時も、『勝てる』って判断できるまでは突撃しないで立ち竦んだり、記憶除去の儀式開始まで当初は嘘を吐き続けようとしたりとか、何か『今のアンタ』と違う人みたいなのよ。『今のアンタ』なら最初から本気で親身になるだろうし、『戦い』で、戦略上突撃しないってことはあっても立ち竦むなんてこともないだろうし、儀式にしたって開始直前まで諦めないで最後の最後まで何か手段を模索しようとするんじゃないかなって。まあ、そこまでの経験の差って言ってしまえばそれまでになっちゃうんだけど、私や妹達の時に一方通行に挑んだアンタを思うと、今回の一連の流れはどこか臆病かなって」黒子「……言われてみればそのような気も……そう言えば、わたくしを助けにきてくださったときはまったく躊躇いませんでしたわね。ビルが倒壊しかけてましたのに」禁書「…………私の知ってるところだと、ひょうかを助けようとしたときとか、ハイジャックを収めようとしたときとかも躊躇いはなかったかも」上条「まあ、俺はこの時の記憶はないわけだが、確かに俺にしちゃ深謀熟慮してる感は否めないか」美琴「素直に怖がってるって言えば?」上条「うぐ……」美琴「でも、私からすれば今のアンタの方が好きね。前のアンタだと、これじゃもしかしたら一方通行に挑まないで私に丸投げしてたかもしれないもん」上条「……なんか複雑だな……今の俺を肯定してくれるのは嬉しいが、前の俺を否定されてるみたいで……どっちも『俺』なんだが……」禁書「(ちょっと、くろこ! 短髪がさらっと「好き」とか言ってるかも!?)」黒子「(…………上条さんを『意識していない』時のお姉さまは上条さんに負けず劣らず無自覚なのでございますのよ…………公衆の面前で押し倒したり、一時間以上手を繋いで町を徘徊したり…………、上条さんの宿題をやるために目一杯すり寄ったり、とか平気で出来ますもの…………)」美琴「んー? どうしたの、二人とも?」黒子「いえいえ何でもございませんわ」禁書「そそ。短髪が気付いてないならそれでいいんだよ!」美琴「?」 教会が、元々何も問題なかったインデックスの頭に何か細工をしたんだ。 ――――上条はボロボロの右手をインデックスのおでこの辺りに押し付けた。「――――――――――――、って、あれ?」 起きない。何も起きない。 ――――インデックスのほっぺたやつむじの辺りをぺたぺた触ってみるが何も起きない、何も変わらない。 ――――ステイルをぶん殴った後、傷付いたインデックスを運んだ時にもあちこち触れているし、インデックスが布団の中で自分の素性を明かした時に上条はインデックスのおでこを軽く叩いたはずだが――――当然、何かが起きた形跡はなかった。 ――――ならば……まだインデックスに触れていない部分がある。「…………………………………………………………………、あー」 何かものすごくエロい方向にすっ飛びかけた頭を上条は無理矢理に戻す。美琴「…………」黒子「…………」禁書「…………」上条「やめて! その真っ白い視線は止めて!! 視線がとっても冷たくて痛いです!! 凍え死んじゃいそうです!!」美琴「分かったわよ。どうせこの時の『アンタ』は今の『アンタ』じゃないし。って、あれ? 次の戦闘シーンはカット?」禁書「うん、別にいいかも。というか、あの私はあんまり見られたくないんだよ」上条「ええっ!? 俺の一番かっこいいシーンだし、俺の有名な決め台詞があるんだけど!?」禁書「だって、とうまの説教長いもん。原作約3ページなんだよ」上条「そ、そんな理由で……………」黒子「んー。何か重要な出来事が……学園都市に関して何か致命的に重要なことがありましたような…………」 「あなた、病室を間違えていませんか?」 少年の言葉はあまりに丁寧で、不審そうで、様子を探るような声だった。 まるで、顔を見たこともない赤の他人に電話で話しかけるような声。 ――あれは記憶喪失というより、記憶破壊だね? 凍てつく夏の診察室で医者の放った言葉がインデックスの脳裏をよぎる。「とうま、覚えてない? 私達、学生寮のベランダで出会ったんだよ」「――俺、学生寮なんかに住んでたの?」「……とうま、覚えてない? とうまの右手で私の『歩く教会』が壊れちゃったんだよ」「――あるくきょうかい、ってなに? 『歩く協会』……散歩クラブ?」「…………とうま、覚えてない? とうまは私のために魔術師と戦ってくれたんだよ」「――とうまって、誰の名前?」「とうま、覚えてない?」「インデックスは、インデックスはとうまの事が大好きだったんだよ?」「ごめん。インデックスって何? 人の名前じゃないだろうから、俺、犬か猫でも飼ってんの?」 うぇ……と、インデックスは『泣き』の衝動が胸の辺りまでせり上がってくる。 けれど、インデックスは全てを噛み殺し、飲み込んだ。 飲み込んだまま、笑う。完璧な笑みとはほど遠い、ボロボロの笑顔にしかならなかったけど――――美琴「うえ……うえええ……えっぐ……えっぐ…………」黒子「イ、インデックスさん……これは切なすぎますわ………」禁書「…………自分のことだけど、本当にこれは悲しかったんだよ…………」上条(よし! 今回の作者、ここだけはぐっじょぶ! この後の行【くだり】をやると真相の前に、インデックスはともかく、御坂と白井には殺されてしまいかねんからな!!) 美琴「あ、これでお終いなんだね」黒子「うう……もう少し長くあってほしかったですの……(これでは上条さんとインデックスさんの仲を取り持つまで行けませんでしたわ……)」禁書「大丈夫! 充分だよ!」上条「というと?」禁書「どう短髪! とうまが私のために奮闘している姿は! これだけ絡んでる姿に短髪の割り込む隙はないかも!!」美琴「いや、何と言うか……別に何とも」禁書「ふっふーん♪ 強がらなくてもいいんだよ! これだけ見せ付けることができれば、とうまには短髪より私の方がふさわしいって、ここのスレ住人に思ってもらえるかも!」美琴「ええっと、それは多分ないんじゃないかな? まあ、ちょっとはアンタに対して優しくなってはくれるかもしれないけど根本は変わらないんじゃ……」黒子「そう言えばお姉さま」美琴「何?」黒子「今回のこぼれ話、お姉さまはとっても冷静に見ておられましたけれども何故でございますの? 普段のお姉さまでしたら、とっくに上条さんが何度か命の危険に晒されていたかと思うのですが……」上条「さらっと俺の命を何度も危険に晒すなよ!?」禁書「決まってるんだよ! ここまでやられたから短髪も身を引くことを考え始めたからなんだよ!」美琴「な、何に対して何から私が身を引くのか知んないけど、根本的なところでいい?」禁書「負け惜しみなら聞いてあげるかも!」美琴「? 負け惜しみって何よ? まあいいけど。ところで私、最初に言ったわよね? 『色んな意味で止めた方がいい』って」禁書「うん。一つはスレ違いの可能性、一つはスレ住人さんたちに受け入れてもらえるかどうか、ってところかも」美琴「まあ、それもあるけど、一番大事なことがあるのよ。確認するけど、アンタが『大好きなコイツ』は、このお話で紹介したコイツよね?」禁書「そうだよ」上条「あー……御坂の言いたいことが分かった……」禁書「え?」上条「…………いや、世の中には知らない方が幸せってこともあるよな」禁書「どういう意味?」美琴「…………今回ばかりはそいつの意見に賛成ね。アンタにとっては本当に知らない方がいいわよ。武士の情け。私も言うのやめた」黒子「どういう意味ですの? 黒子にも分かりかねますわ」上条「つまりこういうことだ。(インデックスが『大好きな俺』は『この時の俺』であって、けど『この時の俺』はもういないんだよ。それをインデックスに悟らせるってのは可哀想だろ?)」黒子「ふむふむ。あ……なるほど……でございますわ……」上条「だろ?」黒子「そうですわね。インデックスさん、ここはお姉さまと上条さんの言うとおり、インデックスさんはその理由を知らない方がよろしいです……わ……よ……?」美琴「…………」禁書「…………」上条「ど、どうしたんだ二人とも? 急にそんな前髪の影を濃くして、笑顔なのにちっとも目が笑ってない顔になって……」美琴「なぁんか、随分、自然に顔をそいつに近づけたわね……黒子……」禁書「とうま……随分、自然にくろこに耳打ちできたみたいなんだけど……」黒子「な、何でございますの!? どうして二人からどす黒いオーラが立ち上っておりますの!?」上条「えっ!? こんなんで二人のスイッチ入っちゃうの!? 嘘だろ!? 沸点低すぎ!?」禁書「くろこぉ……くろこは今回、私の味方だったはずなのにぃ……」美琴「ふぅん……アンタも趣味の幅が広いのね……それとも黒子の変態体質をゲンコロしようとしたのかしらぁ……」上条「な、何かヤバい雰囲気!! こ、これはマズイ!!」黒子「きゃっ! ちょっと上条さん!?」上条「喋るな! 舌噛むぞ!!」黒子「そうではなくて下ろしてくださいまし! わたくし、自分で走れますわ!!」上条「そんな暇あるか! 下ろしている間に追いつかれてしまうわ!!」美琴「っ!! またお姫様抱っこ!!」 禁書「くろこだけずるいんだよ!!」上条「逃ぃげるんだよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」黒子「なんなんですかぁ!? このオチはあああああああああああああああああああああああ!?」
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昼食を食べ終わり、一方通行は口を開く。 「もう一度聞くけどよ、用事ってのは何なンだよ?」 「お前は今、おかしいと思っている事はあるか?」 「おかしい、ってのは例えば何なンだよ?」 「……周りの人間の年齢、だな」 「ああ、おかしくなってやがるな」 そうか、と言って土御門は黙り込む。 なんとなく、一方通行は打ち止めの方に目をやる。 打ち止めの希望で特大パフェを頼んだらしく、運ばれてきたパフェに打ち止めは目を輝かせていた。 同じ席には、先程まで土御門と話していたあの『無能力者(レベル0)』と、レベル5の超電磁砲、つまり打ち止めのオリジナルが座っていた。 『無能力者』と、『超電磁砲』と居る打ち止めは、本当に楽しそうで。 (打ち止めは……本当に、俺の傍に居て良いのか?) そう思った。 そんな事を考えても、仕方が無いのかも知れない。それに、あの時、打ち止めはずっと一緒に居たいと言ってくれた。それでも、考えてしまう。 あの二人に預けたほうが、打ち止めは幸せなのではないか、と。 遠くからだって、影からだって、守ることはできる。それならば…… そう考えていると、土御門は話の続きを始めた。 「お前は、今の世界をどう思う?」 「別に、どォも思わねェよ」 「元に戻したい、とは思わないのか?」 「特に害がある訳でも無ェだろ」 土御門は、その言葉に少し黙り込む。害が無いのなら沈黙する必要は無い。ということは…… 「って事は、何か害があるってことなのかよ?」 「いや、もし害があったとしたら?」 「そりゃァ、元に戻すだろォな。……で、これで用事は終わりだな?」 ああ、と土御門の返事を聞くと立ち上がり、打ち止めのほうに向かう。 そのまま通り過ぎてしまえ、そんな心の声が聞こえた気がした。それでも、今はまだ……打ち止めの傍に居たい。 打ち止め達の机の上には、すでに数個の空になったキングサイズ、とでも形容されそうなパフェの容器が乗せられていて、 「次はこれ!ミサカはミサカの限界に挑むよ!」「これ以上は俺の腹がもたねえよ!それに、御坂もそろそろ財布がやばいんじゃないのか!?」「私はそんな事無いけど」「マジで!?同じ高校生のはずなのに何この経済格差!!」と、コントの様な光景が繰り広げられていた。 「この隙を狙って……追加注文を試みてみたりとか」 とりあえず、呼び出しボタンを押そうとする打ち止めの手を掴んで阻止する。 「そろそろ帰るぞ」 「何で!?」 「これ以上はどォ考えても財布に迷惑だろォが」 むー、とむくれる打ち止めは放っておいて、超電磁砲の方を向く。 「……ありがとォな」 これだけの量、財布に響くだろう。と思って。それ以外にも込めた思いはあったのだが。 やはり超電磁砲と無能力者は驚いていた。特に気にも留めず、店を出る。 (やっぱり、柄にも無ェことはするモンじゃ無ェな) 打ち止めと並んで道を歩く。 一方通行は土御門の言葉を考えていた。様々な可能性を考え、そして、一つの可能性にたどり着いた。 「おい、打ち止め」 「何……ってわぁ!」 打ち止めを抱え上げ、ビルの上に跳ぶ。いきなりお姫様抱っこされ、打ち止めは顔を赤くする。 しばらくは打ち止めの傍には居れない。一方通行の家に一人で居させるのは危険だろう。 「黄泉川の家に行くぞ」 理由が分からないのか、首をかしげる打ち止めを無視して、ベクトルを操作し、風のベクトルも利用しながら、ビルの上を跳ぶ。ほとんど滑空と言った方が近いが。 「ところでさ」 「何だ?」 「ミサカをお姫様抱っこする意味はあるの?」 「………この体勢が一番安定するンだよ」 高校生ぐらいの年齢になっていた黄泉川に打ち止めを預け、一方通行は学園都市のデータベースを利用して調べ物をしていた。黄泉川は家に居ないだろうと思っていたのだが、たまたま今日は休みだったらしい。 打ち止めや黄泉川だけで無く、来る時に往来の人々を見た感じだと、少なくとも学園都市は端から端まで高校生ぐらいの年齢の人だけになっているようである。職業は変わってはいないようだが。 (しかし、黄泉川は高校生のころからあンな体形だったのかよ) 目的のものを見つけた一方通行は余計な思考を中断する。 「……いくらなんでも、こンなのは、有り得ねェだろォが」 まずおかしいのは、垣根帝督が健在だ、という事だった。そもそも、一方通行が生きているかも怪しいような状態にしたはずだ。なのに、記録を見る限りでは、垣根帝督は重傷を負ったことすらないらしい。つまり、垣根帝督はそもそも一方通行と戦ったことすら無いという事になる。 さらに、今までは名前だけは確認できた、『グループ』などといった暗部組織の名前すらも確認できない。 この2つから、一方通行は一つの仮説を考えた。そして、しばらく時間をかけ、プロテクトを破り、さらにデータベースの奥へと潜っていく。 「……」 何も言えない。有り得ないと思っていた仮説の、裏付けを取る情報がそこにあった。 暗部が絡んでいた事件、その全てが起きてすらいない。 (つまり、そもそも暗部自体が存在しねェって事になンのか?) 一方通行はまさか、とは思いつつもさらに調べていく。 やはり暗部が絡んでいたであろう非人道的な実験も、存在が無かった。巧妙に消されているのか、と思ったがそもそも消したとしても痕跡ぐらいは残りそうなものであるが、その消した痕跡すらも無い。 そして、非人道的な実験が無い、それはつまり…… 絶対能力進化計画は行われていない、という事になる。それならば、オリジナルがこちらに敵意を向けない説明がつく。だが、それでは妹達は一人も居ない筈だし、打ち止めも一方通行の家に居る訳が無い。あの計画が無ければ、妹達は全て廃棄されているはずだ。 そして、あの『無能力者』との接点も無い。 なのに、『無能力者』の反応はどう考えても初対面に対する反応ではないし、打ち止めは家に居る。確かめてはいないが、打ち止めが居るなら妹達も恐らく存在する。 ならば、別の計画に利用されているのか。 そう思って少し調べてみると、簡単に答えは見つかった。どうやら、量産型能力者計画の後、ミサカネットワークを利用して協力機関との情報交換を行う、という計画ができたらしい。別に妹達が非人道的な使い方をされる訳では無さそうだ。 安全な使い道のようだ。それが分かって、一方通行は安堵した。 (けどよ……何で打ち止めは俺の家にいるンだ?それに、やっぱり『無能力者』との接点も無ェはずなンだが) 恐らく何らかの理由があるのだろう。だが、今それを気にする必要は特に無いだろう。 一方通行は帰宅することにした。歩き、屋外に出る。それほど時間はかかっていないと思っていたが、すでに日は暮れていた。 (1つだけ確かな事がある) 一方通行は天を仰ぐ。そして誓う。 (この世界では、もう誰も泣かなくても良い。なら、どんな事があっても、俺は、この世界を守ってやろォじゃねェか) たとえ自分が掴んだ物でないとしても、この幸せを。この『幻想(せかい)』を。絶対に守り抜くと。 そんな事を考えて空を見上げて佇んでいると、ポケットに入れていた携帯電話が振動した。一方通行に電話を掛けるのは打ち止めか土御門ぐらいしかいないし、番号しか表示されていないので、恐らく土御門だろう。とりあえず通話に出る。 「何だよこンな時間に?」 土御門からの用件は簡潔で、そしてとても信じられないような内容だった。 「そォか、分かった」 通話を切ると、一方通行は風のベクトルを掌握し、目的地に向かうために飛翔した。 一方通行が、レストランから出たのとほぼ同時刻に、上条当麻は、帰路についていた。 「まさか打ち止めがあんな大食いだとは……よくもまああんなに入るもんだなぁ……」 上条と御坂と打ち止めで巨大パフェに挑戦していたのだが、上条は最初の1個でダウンしていた。その後も少しは食べたが。 もしかして、女の子って意外に大食いなのか、と上条は大食いシスターの事を考えながら歩く。 (いや、女の子特有のデザートは別腹ってやつかな?そういえば、いつ土御門と一方通行は知り合ったんだ?どっちも説明してくれなかったしなぁ……) 二人と会話する時間が少なく、聞くタイミングを逃してしまっていた。だが、別に今度聞けばいいだろう。 (ん?何かおかしいような……) 違和感を感じて、上条は周りを見回す。だが、人気の無い通りが目に入るだけだった。 今は昼で、しかもここは大通りなのに。 「……ッ!」 周りを見回す。だが、特に何も―― そこまで考えた所で、不意に思考が中断された。いや、上条の後頭部に、衝撃が与えられた事で思考が断ち切られた。 地面に叩きつけられる。そこで、思い出したように激痛が襲ってきた。 「……ッ、ううう……」 あまりの痛みに声も出ない。 空気を裂く音がする。直感で、左に転がる。視界の端で、上条の頭を割ろうとした装飾の付いた金属棍棒(メイス)が、空を切り、そのまま地面を砕く。砕かれたコンクリートが体に当たる。が、それほどのダメージにはならない。 頭を押さえながら起き上がる。上条の目の前には、数人の修道服を着た男女がいた。 「……魔術師か」 もちろん相手が答えるはずも無い。が、魔術師で間違い無いだろう。無言で他の魔術師達も各々の武器を抜く。 上条もそれに対応して拳を構える。魔術師相手なので、右手を前に出す。 どこから、どう来る?そう思っていると、右からジリジリと空気を焼く気配が飛んできた。魔術で形作られた、と思われる火の玉だった。 上条は右手を振り、破砕音と共に火の玉をかき消し、そのまま奥、魔術師に走り込む。 「ッ!?」 どうやら上条の右手の事は知らなかったらしい。魔術師は剣を振り上げようとしたが、すでに上条は間合いに入っていた。 「おおおおおッ!」 咆哮しながら、踏み込みの勢いを加え全力の右拳を振り上げるようにみぞおちに叩き込む。わずかに魔術師は浮き、声を上げる事無く地面に倒れた。 今までの経験から、魔術師は魔術で身体能力を多少なりとも補助しているということは分かっていた。だから、右手で殴ってみたのだが、意外と効果があるらしい。 たった一撃で倒された。その事実を認識して、魔術師達の空気が変わった。隊列を変え、同時に魔術の準備に入る。 わざわざ待つ必要は無い。上条は迷い無く足を踏み出し、駆ける。 先程よりも巨大な火の玉が飛んできた。原理は分からないが、恐らく数人で同時に放ったのだろう。それでも、上条の『幻想殺し』の前には意味が無い。右手を叩き付け、火の玉をかき消す。火の玉の中に金属片がいくつか入っていたが、尖ってはいないし、勢いも無いためダメージは無い。 視界は開けた。そのまま上条は走る。直後。 上条の体が、電撃に貫かれた。 「……がッ!?」 何が起こったのか。勢いを失い、倒れながら上条は原因を探す。服に、先程の金属片が引っかかっていた。そして地面にいくつかの金属片が落ちていた。 簡単な事だった。金属片を避雷針代わりにした。そして、魔術師が金属片を投げ、それを中継地点代わりにして右手に当てないように電撃を迂回させた、それだけだった。 (たった一回で見抜いたってのか……やばい、体が……) 電撃で体が痺れている。起き上がろうとしても、起き上がれない。 上条が動けないことを確認すると、魔術師達は一歩、一歩と近付いてくる。上条には、その足音が死刑執行人のようにも思えた。 (どうする、どうすれば……!) だが、考えても何も起きない。その間に、メイスを持った魔術師が間合いに入っていた。 メイスが、断頭台の刃のように振り上げられた。そして、振り下ろされる、事は無く。 爆裂が魔術師達を薙ぎ払った。 「まったく、僕が来なかったらどうするつもりだったんだ?」 2mを越す人影。煙草をくわえたまま、器用に喋っているステイルだった。 「ステイル!」 「意外に脆い……もう気絶しているみたいだな」 ステイルは爪先で軽く、倒れている魔術師達をつつく。反応は無かった。 やっと痺れが取れた。上条は立ち上がる。 「なあ、こいつらどこの所属なんだ?」 「見た感じ、ローマ正教かな」 「何でローマ正教が俺を?」 今のローマ正教に上条を襲う理由は無いはずだが…… 「……その話は後でする」 なぜかわずかに沈黙があった。 「とりあえず、一旦君の家に行くとしよう。あの子も待っているしね」 ステイルは歩き始める。上条も、その後を追った。