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実は我が家に伝わる刀は2本あった。 俺にとっても、ハルコと圧森にとってもそれは衝撃の事実である。 というか2本ってこれ圧森の探してるヤツじゃないのほぼ確定ではないだろうか。 そんなわけで、祖父さんも一度探しはしたものの念のため俺たちは蔵を大掃除することとなった。 これやらせたかっただけじゃないだろうなという疑念も浮かばなくもないが気にしないこととする。 1本は俺の家にあったわけだし、もう1本もウチにある可能性も否定できないが俺が家をあさって見つかったのは1本だけだ。 そうである以上祖父さんの蔵を探すのも悪くないだろう。 まぁ暇つぶしにはなる。 結局蔵からは刀は出てこなかった。 くたびれ損というやつであるが意外と、というほどでもないかもしれないがあの二人は割と楽しそうではあった。 掛け軸やら骨董品が出てくるたびに勝手な妄想を話して盛り上がっていたからな。 そのせいで俺だけが黙々と掃除し続けていたわけだが。 それで、きょうはこれでお開きということで祖父さんの家を後にして帰り道の途中の駅で圧森とは別れたのであるが、 「お前はついてくるのな」 「えっ?いつもどおりでしょ?」 「まぁそうなんだけど」 まるで当然のように俺の家に一緒に入ってくるハルコ。 いつも通りと言われると確かにそうなんだが、今日は母さんに刀について聞こうと思ってたんだよな・・・ ・・・・・・どうせもう俺の思い出作り計画は破綻しているのだしいいか。 もういろいろめんどくさくなってきたし。 玄関で脱いだ靴をわざわざ整えているハルコをよそに俺はさっさと奥に入っていき夕飯の用意をしていた母さんに問いかける 「母さん、ウチにある刀って1本だよね?」 「うん。そうだよ」 「ていうか祖父さんが刀なくなったから困ってたけど無断で持ってきたの?」 「あーそっかー」 そっかーじゃないんですけど。 なんて言ってると玄関からドタドタと騒がしい足音が聞こえてくる。 あたりまえだけどハルコだ。 「どーいうこと?!ここに刀あるの?!」 長い髪をばっさばっさとなびかせながら走ってくるハルコ。 いつものことながら声がでかい。 近所迷惑なのでやめてほしい。 「押し入れの中に1本あるよ」 「探してくる!」 またもや走っていくハルコ。 二階の奥の部屋だぞーと声をかける母さん。 止めても無駄なのでハルコは好きにさせるとして、とりあえず母さんには聞きたいことがある。 「刀は2本あるって祖父さんが言ってたけどもう一本はどうしたんだよ?」 「んーそれねー」 母さんにしては珍しく言葉を濁す。 その様子に俺は薄々こりゃあろくでもない感じだなーと察する。 こういう時は大抵しょうもない理由だったりするのがウチの母親なのだ。 どうせ特に理由はなかったりとかするのだろう。 「片親って大変なのよ・・・」 結構切実な感じだった。 目をそらしながら言う母さんの表情は割と気まずそうである。 というかこれってまさかアレか? 「まさか売ったのか・・・?」 「うん」 マジかこの女。 いや、まぁ大変だったであろうことはずっとそばで見ていた俺が一番よく知っているのだが まさか先祖から受け継がれてきた刀を勝手に売りやがるなんて・・・ せめて祖父さんに言えよ。 「そんなあきれたような顔してるけどあんたの学費もそこから出てるのよ?」 そういうことを言われると俺も責めづらい。 それでも祖父さんには言っておけとは思うが。 「うわー刀あったぁ!こっわ!めっちゃこっわ!!!」 二回からハルコの声が響いてきた。 声でかいって。 思わずため息が漏れる。 アイツの叫びを聞くとこの話はもういいかと思えてくる 「はぁ、アイツ呼んでくるよ」 「はーい。よろしくー」 ハルコを呼んでくることを告げて台所を出ていく。 廊下に出ると未だにハルコが2回で騒いでいるのが耳に入る。 まぁあの刀は怪しいお札がベタベタと貼られているしビビる気持ちもわかる。 でもアイツならそういうものはむしろ喜びそうな気もしたんだけどな 「ヒロちゃーん!あの刀おっかないよー!!」 二階に上がりドアを開ければ即座にハルコが飛びついてきた。 腹に頭突きをかましつつ腕を回して抱きついてくるハルコ。 こいつは背は小さいくせに実は胸が結構でかいので割と嬉しかったりするが、 時々こいつはこんなで大丈夫なのかと心配にもなってくる。 いくらなんでも言動が幼すぎる気がするんだよなぁ・・・ かわいいといえばかわいいんだけどな。 「いかにも何か特別な力のありそうな感じじゃないか。そういうの好きなんじゃないのか?」 「さすがに呪われそうなのはNGだよ!」 「我が家に代々伝わる刀になんてことを言うんだ」 「あっごめんなさい」 そう言うとしょんぼりしだすハルコ。 別に怒ってはいないんだけどな。 代々伝わるとか言ってもなんか扱い軽い気がするし。 勝手に売られたりとか。 「とりあえずその刀は置いといて一階行くぞ。飯食ってくんだろ?」 「うん!」 そんなこんなで飯を食うべく二人で一階へと降りていく。 あー明日圧森に説明すんのめんどくせーなー 実は母親が勝手に売ってたとかどんなオチだよ。 「刀の在処がわかったぞ」 「うっそマジで?早くない?」 「ウチの母親が持ち出してた」 さて、圧森に刀に関する諸々の事情を話したところ結構がっかりしてた。 やはり多少の冒険というか心躍る展開を期待していたのだろう。 俺だって全く期待してなかったといえば嘘になる。 しかし現実ってのはこんなものだ。 「というわけでウチの母親が刀を売ったという店に行こうと思う」 「刀なんてすぐに買われるようなもんでもないでしょうし、どこかのお店に売ったんならまだ残ってる可能性もまぁまぁありそうね」 そしてその日の放課後に早速行ってみることとなった。 母さんから場所は聞いていたものの俺が行くのは今日が初めてであるため若干心配ではあったものの店自体は割とすぐに見つかった。 古ぼけた木造っぽい外観の横には木の板が立てかけられていて、 に無駄に達筆な文字で店名が書かれている。 しかし俺には全く読めずかろうじて最後の文字が「堂」っぽいなーってことしかわからなかった。 もうここは「なんとか堂」でいいんじゃないかな? 「すいませーん」 古ぼけた引き戸を開けて店内に入れば、いかにも古いものがおいてありますよといった感じの匂いが感じられた。 つまりウチの蔵と同じ匂いがした。 あまり大きくない店内には所狭しと古そうな置物がおかれていて、それこそ古いものなら何でも集めているんじゃないかという印象を受ける。 「どなたかな」 そう言って店の奥から出てきたのはこの店の主人っぽい爺さんだった。 背は低く痩せていて、深く刻まれた皺と眼鏡の奥の細い目は少々怖そうな印象を与える。 キシキシと床を鳴らしながらこちらにやってくる爺さんに少々怯えたのかハルコが後ろから俺の服の裾をつかむのが感じられた。 普段あまり物おじしないコイツがこういった反応をするのは珍しいが、おそらくは薄暗い店内の雰囲気のせいもあるのだろう。 俺も初対面の人と話すのはあまり得意ではないが残念ながらハルコはこんなであるし圧森は一番後ろの方にいる。 この狭い店内で一番後ろの圧森を引っ張りだすのも大変だしここは俺が事情を話すしかないようだ。 「ええとですね、あの、1年ほど前に女性が刀を売りに来たかと思うのですが・・・」 「ふむ、あまり客のことを話すのは好きではないが、確かに来たな」 レンズの分厚い眼鏡を押し上げながら店主が答える。 「実はそれはウチの母でして、刀を売ったあとでその刀に興味を持つ人が現れたのでまだこのお店に残っているか訊きに来たのですが、 刀はまだこちらに残っていますでしょうか?」 俺は自分でできる限りの申し訳ない表情で店主(多分)に訪ねる。 なぜか知らんが後ろではハルコが俺の背中に顔を擦り付けていて圧森は店内の商品を物色している。 何なんだよお前ら。 「ほう、そういうことか。まぁ売った先ではなく元の持ち主の所へ買い手が現れるのもさほど珍しいことでもないしな。刀ならばまだ残っているぞ。 刀なんぞすぐに売れるものでもないし、わしも半分以上道楽でやっている店故な、買い手を探し回るようなこともしておらんかったからな」 「そうですか。それはよかった。実物を見ないことには買ってもらえるかはわからず申し訳ないのですが、もしよろしければその方が見に来るまでは刀を取っておいてはいただけませんか?」 「いいぞ。いつぐらいまで取っておけばいいかの」 「あーえっとそれは・・・」 確かに取っといてくれと言っておいていつ頃になるのかを言わないわけにもいかない。 しかし圧森の師匠のことについては俺は何も言えない。 ということで圧森に尋ねるべく後ろを振り向くとその本人は何やら店の商品を物色していた。 ハルコは未だに俺の背中に張り付いている。 「ねー坂本の家にあった刀ってこれ?」 そう言って圧森が指さすのは一本の刀。 ウチにあったもののようにお札がベタベタ貼ってあったりはせず、多少長めのような気がする。 「それなのかどうかは俺にはわからないけど、とりあえず師匠さんはいつ頃これそうなんだ?」 「1週間以内には来れると思うよ。こっちの世界にはいるはずだし。ねー!店長さん!これ?」 やたらとフレンドリーでこれは失礼なんじゃないかと店主の方をうかがってみると特に気分を害した様子でもなく 圧森の指さす刀を俺越しにのぞき込んできている。 俺もまぁまぁ体格のいい方でもあるので向こうが見えるようにと体をよける。 俺の背中に張り付いていたハルコは当然のごとく壁と俺につぶされることになるがなんか結構楽しそうなので気にしないことにする。 「あぁそいつは違うよ。それは織田信長の家臣だった黒人が使ったとされる刀だな」 「信長の家臣の黒人って・・・・・・なんか胡散臭いわね」 「なんならそちらさんの持ってきた刀を持ってきてやろうか?もうちょっと奥の方に置いてあるんでね」 「あら、じゃあお願いしてもいいかしら」 「はいよ」 そういって奥の方へと向かっていく店主。 とりあえず俺たちも少しスペースの空いている方へと移動する。 「しかしいろいろあるな」 店内の骨董品は特に種類ごとに分けられているわけでもないらしい。 たくさんの本の詰められた本棚があると思えば隣には大きな楽器がおかれ、それにたてかけるように何本かの和傘がおかれている。 どれも値札か何かがついているようにも見えないがあの爺さんにはわかるのだろうか。 などと考えている間に店主の爺さんが一本の刀を持って現れた。 「お待たせしたのう。確かこの刀だよ」 そういって差し出されたのはウチにあったお札だらけの怪しい刀とはうって変わったものだった。 真っ白な、しかしよく見れば細かな模様の見える鞘。 柄はなんて呼ぶのか知らないが真っ赤な紐がまかれている。 その印象を一言でいうなら「 高そう 」 母さんがこちらを売るのもさもあらんというところか。 「ほほーこれはなかなか」 「なんかヒロちゃんの家にあったもう一本と全然違うんだね」 興味深げに刀を見る圧森。 背中に張り付いていたハルコは俺の腋の下からひょっこりと顔を見せる。 確かにウチにあったものとは印象が大きく違うが、ここに来る前に母さんから聞いていたものと相違はない。 まぁ聞いていたのは鞘と柄の色くらいなものなんだが、刀身を見たところで俺には確かめようもない。 「ありがとうございました。ではまた数日中に伺います」 「あいよ。来るのが遅くなりそうなら連絡しておくれよ」 「はい。わかりました」 とまぁ当たり障りのない感じにお暇させていただいた。 店主の爺さんも俺たちみたいな客ですらない面倒な連中にはさっさといなくなってほしいことだろうしな。 特に邪険にもせず対応してくれたあたり、見た目に似合わず親切な人だ。 ただ、圧森が帰り際にあの刀にずいぶんと鋭い視線を向けていたのが少々気がかりではあったが。 アイツもハルコに負けず劣らずああいったロマンのようなものを感じることにはやたらと興味を示す性質だし、 なにか面倒なことでも思いつかなきゃいいが。 そして2日後、俺とハルコは圧森から「見せたいものがある」と呼び出しを受けることとなる。 この時、俺はまだ予想もしていなかった。 あの衝撃的な結末を。 分厚い雲に覆われた空は白く曇っていた。 気温はそれほど高くもないがジメジメとしてきている空気は雨が近いことを感じさせる。 そんな中、俺は一人で厚森に指定された場所へと向かう。 指定された場所は圧森の家からほど近い神社だ。 なんだってこんな雨が降りそうなときにわざわざこんなところまで来なくてはならないのか。 厚森は「見せたいものがある」と言っていたが神社でなくてはいけない理由とはなんなのか。 しかも俺は今やたらと重たい荷物を抱えている。 なんと俺の家にあったあの刀である。 正直あまり触っていたいものでもないのだが「ぜひとも持ってきて欲しい」といわれては仕方がない。 竹刀袋に入れているとはいえ、警察に職質でもされたらどうすればいいのか。 母さんは「鬼にしか抜けないって言われてる刀だし、お芝居のための模型とでもいえばいいよ」なんて言っていたが。 鬼にしか抜けないってのはなかなかファンタジーだな。実際抜こうとしてみたら抜けなかったし。 おれも鬼の血は流れているはずなんだが薄まりすぎたということだろうか。 と、そこまで刀について考えていて気付いた。 ・・・・・・もしかして場所を神社にしたのはただの雰囲気づくりとかいうオチだろうか。 否定しきれないのがつらいところだな。 ハルコも神社で見せたいものがあると聞いたら俺が刀を取ってくるのも待たずすっ飛んでいったし。 指定の場所である神社は小さな山に建てられていて境内に行くにはそれなりの階段を上る必要がある。 最近は体力もついてきたしそれほど疲れるわけではないもののわずらわしさは感じざるを得ない。 ふと顔に冷たさを感じた。 どうやらほんの少しではあるが降ってきたらしい。 ため息が漏れるのも仕方なしという感じだ。 階段を登り切り最初に目に入ったのは、赤。 ここに来るまでにくぐってきた鳥居より深く、鮮やかな赤。 そしてその赤の真ん中に立つ圧森。 「あっやっと来たんだ」 そう言って振り向く厚森の手には一本の刀。 そして刀とは反対の手には黒く長い髪、これまで見続けてきた顔。 ハルコの頭部が、そこにあった。 「ハルコちゃんって髪だけじゃなくて血もサラサラなのね」 笑いながら厚森はボトリとそれを落とす。 足元の赤はしぶきをあげ、ぽつぽつと降る雨はその赤色を広げる。 もうどれほど流れ出たのかもわからないほどに地面は赤に染まっている。 なぜだろう。 その衝撃的な光景を目にしても俺は茫然としたりといったことはなかった。 まず動いたのは足。 真っ直ぐに厚森へと駆け出し手に持つ刀を鞘ごと降りぬく。 「おおっと」 それを圧森は斜め後ろへと飛びのき回避する。 その顔に浮かぶのは楽しそうな笑み。 右から左への大振り。 師匠とやらに剣道だか何だかを習ったらしいこいつならば見え見えの一撃ではあっただろう。 しかし今の俺の身体能力は人間の枠を超えかけてると言っていい。 経験の差があろうとあっさりとかわせるはずがない。 何より今のこいつの動きは速過ぎる。 「思ってたより血の気が多いね。それとも、もしかして予想してた?」 そういいながら圧森の構える刀は刀身の赤を雨で薄めつつある。 その柄は地面に広がるものよりも鮮やかな赤色。 あたりを眺めてみれば「ばら撒かれた」ハルコの色に染まった、昨日まで白かったであろう鞘が転がっていた。 「まぁな」 神社の近くに来た時から、なんとなくここにその刀がある気はしていた。 そして、こうなる予感もあった。 だが目を背けてた。 どうでもいい、まったく信じてない結末を思い浮かべながら階段を上ってきた。 結局結末は最悪で、俺の頭は後悔ばかり。 しかし、まずやることは決まってる。 「とりあえず、お前をぶちのめす」 柄が軋むほどに刀を握りしめる。 鞘は、まだ抜けない。 大きく振りぬいた一撃は避けられ、お返しのように振るわれた攻撃は俺の横腹を抉った。 思わず声が漏れるが深い傷ではない。 アイツは刀の影響か身体能力が大きく上がっている。 しかし何週間か前の俺と同じで、上がったパワーに頭がついていっていない。 身体に振り回されて本来できるはずの動きができていない。 とはいえ、その攻撃は徐々にだが鋭さを増してきている。 「そろそろ捕まえられそうだよ?」 少し距離を取りながらそう声をかけてくる圧森。 ばしゃりと足元の水が飛ぶ。 ステップを踏むように軽く跳ねる圧森の姿には余裕すら見受けられる。 雨はゆっくりと降り続け、ハルコから広がる赤の色を薄めてきている。 ハルコが助からない、ということはわかっている。 何せもう細切れだ。 しかしわかっていながらきっと俺は理解しきれてはいないのだろう。 目の前であんな姿を見ているのに、まだ実感がわかないんだ。 今も後ろからアイツがひょっこり現れるような気さえしているんだ。 でも、それじゃあいけない。 「そうだな、このままならきっと俺はお前に殺されるだろう」 おざなりに答えつつ考えを巡らせる。 母さんは「2本の刀は鬼でなければ使えない」と言っていた。 しかし鬼の血を引いているはずの俺には刀は抜けず、なぜかアイツは抜けている。 つまり鬼というのは血筋のことではないということ。 これもわかっていた。 でも目をそらしていた。 そりゃあ俺だってそう思いたくなんかなかった。 ハルコを殺されながら、いまだに俺はそんなこと信じたくなんてなかったんだ。 でも、もうわかった。 「ようやく決心がついたよ」 これでこいつが刀に操られているだとか、師匠とやらによって洗脳されてるとかならどれほど良かったろう。 今も挑発するように笑顔で足元の肉を踏みつぶしているこいつが、本当の圧森でなかったなら。 しかしきっとそうではない。 もしそうであるなら刀は抜けなかっただろう。 こいつは自分で決めたんだ。 だから、俺も決めた。 「俺は鬼になる」 雨はだんだんと強くなり、もう全身がずぶぬれだ。 濡れた前髪が顔に張り付き邪魔だ。 だからと言って拭ってる余裕もない。 ただ圧森に宣言する。 刀の鞘を左手に、柄を右手に握り。 「お前を殺すぜ。殺人鬼」 刀が、抜けた。 その刀身は鋭く輝いていて、 鞘を抜き軽くなったはずなのにむしろ重くなったようにさえ感じて、 これが人を殺せる物の重さなのかと そう思った。 「うひょー!!」 雄たけびが上がった。 俺の膝から。 正確に言うならば俺の膝の上に座ってるハルコから。 「ヒロちゃんかっちょいー!」 「いや喜ぶなよ。お前死んでんぞ」 場所は俺の家のリビングのソファ。 ハルコが手に持ち大はしゃぎしているのが圧森の「見せたいもの」こと、 数日前にハルコの書いていた「あらすじ」をもとに圧森が書き直した小説である。 最初のほうはともかく話が進むにつれてどんどんと妄想が入り込み最終的には妄想しか残ってない。 というか酷すぎる。 登場したキャラが悉く悲惨な死に方をしていく上に主役もすごい勢いで不幸になっていく。 「あのお店で刀を見てから一気に書き上げたわ!」 「すっごいよ!よーこちゃん!こんな短い間に200ページ分も書いたなんて!」 「確かにそれは凄いけどよ。色々とおかしくなってる所もあるぜ?抜けない刀を買ってくれる店とか」 「む、確かにちょっと変な気もしてきた」 俺の指摘に納得を見せる圧森。 他にも気になる点はあるし、ここはもう空想と割り切っていろいろとアドバイスをしてやろうか。 実を言えば俺も別にこういうのが嫌いなわけじゃない。 「やっぱ実際にあったことと想像だけで書いてる部分とでアンバランスになってるからここはもっと最初の方から話を盛っていくべきだと思うぜ」 「なるほど・・・・・・確かにそうかもしれないわね」 「いつもはあたしのこと冷めた目で見てるのにヒロちゃんも結構ノリいいよね」 そして俺と圧森による小説の修正もとい書き直しが始まったのであった。 「・・・・・・ところであんた達って家にいるときはいつもそうなの?」 「?」 圧森の言葉に首をかしげるハルコだが多分それはお前が俺の膝の上に載ってることだと思うぞ。 4時間にわたる修正の結果、圧森の小説は大きな変貌を遂げていた。 「まさかあの古物商のジジイが黒幕になってしまうとは・・・・・・」 「そのうえ本物の変体刀を持って立ちふさがるとか展開がだいぶ変わったわね」 「でもかなり面白くなったとおもうよ!」 「どうでもいいけどあんた結局坂本に引っ付きっぱなしだったわね」 ハルコはあまり俺と圧森の話には入ってきたりせずに俺の膝に座ったり寝そべったりして遊んでいた。 まぁいつもどおりなので俺は気にしていなかったが。 ふと、窓の外を見ればずいぶんと暗くなってきていた。 「飯食ってく?」 「はーい!」 「てめぇじゃねぇよハルコ」 圧森の方を伺えば何やら戸惑っている様子。 あー、えーっと、などと目線を泳がせている。 「なんだ?アレルギーでも持ってんのか?」 「いや!そういうわけじゃないんだけど・・・その・・・こういうの慣れてなくて・・・」 そう言ってそわそわとしている圧森は新鮮で、かわいらしい。 流石に学校で話題になるだけある。 などと考えていればハルコがさらに密着してきた。 正直言って流石にうっとおしい。 「ハルコも毎回食べていくしあんまり気にしなくていいぞ」 「えっと、じゃあごちそうになっていこうかな」 そしてみんなで夕食をとり、笑いあう。 あの小説のような壮絶な人生を歩みたいとは思わないが、人生に刺激が欲しいとは俺も思う。 しかし俺にはこの程度の、友人と一緒に飯を食う程度の刺激で十分だ。 このくらいが高校生には見合っているってもんだ。 二人とも美人だし。 その日は夕食を終えてから解散となった。 ついでにその時に圧森の師匠さんとやらがそろそろ来るという話も聞いた。 異世界から刀を探しに来た人か・・・・・・どんな人なのやら。 まぁ圧森もずいぶん慕っている人のようだし悪い人ではないのだろう。 ウチの刀が目当ての変体刀の可能性は低いだろうが、さてどうなることやら。 数日後 圧森の師匠とやらが到着したという知らせを聞き、一緒に店へと向かうこととなった。 しかしその前に俺の家の刀の方も見てもらう必要がある。 そんなわけでまずは我が家で集合となったわけだが。 「うーヒロちゃん!師匠さんってどんな人かな?」 ハルコはそわそわと落ち着かない様子でこちらを見上げる。 俺の膝の上で。 「ハルコ。初対面の人と会う時くらい俺にくっつくのをやめなさい」 そう言ってハルコを膝の上から横に座らせる しかしハルコはそれが気にいらなかったらしくこちらに抱きついてくる。 正直こんなに甘えてくれるのは嬉しいとは思うがこうも子供っぽいとやはり時々心配になる。 などと考えていればピンポーンと呼び鈴が鳴る。 どうやら来たようだ。 ハルコの質問はてきとうにあしらったが俺も緊張していないわけではない。 さて、圧森の師匠とはどんな人なのか・・・・・・ 初めてお会いした圧森の師匠であるが、 なかなかインパクトのある姿をしていた。 服装こそ、サイズは大きいが現代の洋服であるものの その顔はちらほらと鱗で覆われおり顔の形も人間とは少々違う。 体格も俺より大きくかなり鍛えられている様子であった。 「こんにちは」 挨拶をしてくれた師匠さんであるがなにやら違和感を覚える。 意味は分かるが言葉はわからないというか・・・ 何かしらのファンタジーパワーが働いているのだろうか。 「あの、初めまして。ええと、今日は呼びつけるような形になってしまい申し訳ありません」 とりあえず謝っておく日本人的対応。 ここに来るまでどこにいらっしゃったのか知らないがわざわざ来てもらったのは事実である。 「いや、こちらとしても少しでも情報が欲しくてね、可能性があるというだけで飛んで来る理由としては十分さ」 そう言って笑う師匠さんは意外と爽やかだ。 正直に言うと本当に笑っているのかはこういった種族の人と会ったことのない俺にはわからないのだが・・・ 多分笑っているでいいはずだ。うん。 まぁ人間とは少し違う造形であるため少し怖い印象を受けてしまうのは仕方ないことだろう。 ハルコも俺の背中に張り付いている。 この前の店の爺さんの時もそうだったがこいつはこんなに人見知りだったろうか? 「これがウチにあった刀の一本です」 師匠さんに我が家のお札だらけの刀を渡す。 いかにもいわくありげで怪しいその刀に圧森は若干ひいている。 師匠さんの方はそれほど驚いた様子はない。 やはり異世界のすごいパワーの宿る刀を探しているだけあってこういった怪しいものにも慣れているのだろうか。 「残念ながら私の探しているものとは違うね」 「抜かなくてもわかるものなんですか?」 「ああ、かなり強い力を持った刀だからね。触れただけでもわかるよ」 抜くことすらせずにこれは違うと断言する師匠さんはもしかしたら本物の変体刀とやらに触れたことがあるのだろうか。 なんにせよこちらの刀が違うというのならもう一本の方もまた違うのではないかと思えてくる。 まぁ俺としてはそんな都合よく見つかるはずもないだろうとは考えていたが。 「よし!残念だけどそれなら次よ次!」 勢いよく立ち上がり腕を振り上げて宣言する厚森。 確かにこれが違うからと言ってもう一本も違うと確定したわけではない。 なんにせよさっさと次のも確認すべ気だろう。 「じゃあ例のお店まで行きますか」 俺はべったりと張り付いたハルコをそのままに立ち上がる。 多分こいつはこのままでいいのだろう。 俺の身体能力が上がって一番困ったことはコイツが今までに増してくっついてくるようになったことだ。 ハルコを背負ったままやってきた店は当然のように以前のままのボロ屋だった。 しかし今日は風が強いせいか前に来た時にあった看板のような板切れがなくなっていた。 どうせあった所で何が書いてあるかわからないんだから一緒だけどな。 「狭い店ですけど大丈夫ですか?」 俺も高校生にしてはデカめな方ではあるが師匠さんはさらにデカい。 そのガタイからしたらあの店内はなかなかにツライだろう。 「ああ、何とかなると思うよ」 にこやかに返してくる師匠さんの様子を見るに多分大丈夫なのだろう。 実際に笑ってるのかは俺には判別できないが。 「ところでだけど」 「どうかしましたか?」 「その子を背負ったまま行くのかい?」 言われてみれば確かに俺はハルコを背負ったままで、このままでは店に入れない。 しかしハルコは俺の首にがっしりと腕を回しており離れる気はなさそうだ。 「ハルコさんそろそろ降りなさい」 「普段役に立たないのにいざという時すごい力を発揮するキャラっていいよね」 「お前はいざという時も役にたたねーだろ」 「今は力を蓄えてるんだよ!」 絶対嘘だろそれ・・・・・・ なんて言ってるといつの間にか俺とハルコの後ろには圧森が立っていた。 そしておもむろに両手を開き、 「とりあえずその蓄えた力を自分の足で立つという形で発揮しなさい」 思い切り脇腹をつかんだ。 「ひゃんっ!」 「ほらっさっさとしなさい!」 思わず手を放したハルコからすかさず距離をとる。 圧森の言う通りさっさと店に入らせてもらうとしよう。 どうにも最近のハルコはくっつきすぎる。 俺も力加減が下手になったせいで無理やり引きはがすわけにもいかないからな・・・・・・ 今までならデコピンの一つもくれてやるんだが今そんなことをやったらアザですまない可能性すらある。 だから最近は何かされてもほっとくことにしてるんだが、このままだとエスカレートしそうな気がしてきた。 なんか手を考えないとな・・・・・・ 「あーんヒロちゃんまってよー」 「かまっての間違いでしょ」 「えっあっいや、その」 二人はまだごちゃごちゃと話しているけども、 それを無視しつつ店の中へと進む。 おそらく赤面しているであろうハルコの様子はちょっと気になるけどな。 「いやぁ、これは思ったより狭いね」 少し後ろをうかがえば師匠さんはその大きい体をできる限り縮めていた。 やっぱりその体には狭いよなぁ。 と、前方から声がかけられた。 「おお、いらっしゃい。その人が刀を見たいって人かい?」 細い体つきに、顔には分厚い眼鏡と深く刻まれた皺 この店の店主だ。 「はい、探しているものなのかどうかは見てみないとわからないため買うと約束することはできませんが・・・」 「別にいいさ、その子たちにも言ったが刀なんてすぐ売れるもんでもないしね」 「今持ってくるから」と言ってまた奥へと消えていく店主であるが、 どうにもその姿を眺める師匠さんの様子はなんというか、キツめな雰囲気というか、訝しんでいるような感じを受ける。 道楽半分に骨董品の店を営んでいたりと独特な雰囲気のある人物なのは否定しないがそんな睨むように見る相手だろうか? 俺には普通の爺さんのように思えるが。 「どうかしましたか?」 「ん、いや、まぁいいさ」 なんともはっきりしない感じにはぐらかされてしまった。 一体なにがそんなにひっかかっているのだろう。 と、そこで店の奥から床板を軋ませて店主がもどってきた。 「ほれ、これですよ」 「ふむ」 そう言って差し出された刀は前回来た時に見たものと同じで、 真っ白な鞘に真っ赤な柄のなんともおめでたそうな色合いである。 師匠さんはそっとその刀に触れた。 それと同時に厚森とハルコが少し身を乗り出した。 二人の表情は真剣そのものだが、師匠さんの反応はあっさりとしたものだった。 「これは・・・・・・残念ながら違いますね」 わざわざ来たというのに目的の物と違ったにもかかわらず師匠さんにそれほど落ち込んだ様子は見られなかった。 やはりそれほど期待していたわけでもなかったということだろう。 それに引き換えハルコと圧森の二人はずいぶんと期待していたようで、 がっくりと肩を落としてうなだれている。 「お探しの物ではなかったようで・・・」 「えぇ。申し訳ありませんが」 「気にせんでいいよ。どうせまだまだ売れないさ」 だいたい察しはついていたが結局こっちの刀も探しているものとは違った。 店主に礼を言い狭苦しい店内を入口へえっちらおっちらと戻り 古ぼけた戸を開けて店を出てみれば、俺たちは何というか、体育祭か何かが終わった後であるかのような雰囲気に包まれていた。 はぁー終わった終わった!みたいな。 そんでそのまま解散して俺とハルコ、圧森と師匠さんとで別れて帰ろうかという時だ。 じゃれ合うハルコと圧森を横目に見ながら師匠さんが俺のもとへとやってきた。 「わざわざ私のためにあの子と一緒に刀探しなんてやってくれてありがとう」 「あ、いいえ、こういってはなんですけど遊び半分な感じなので・・・」 「いや、いいよ気にかけてくれるだけでもありがたいさ」 探し物が見つからなかったというのにがっかりするそぶりも見せず、そんなことを言える師匠さんは何というか、大人だ。 しかし、そこでふと師匠さんはさらに顔を寄せてきた。 なれない種族の顔が近づくのに少々うろたえてしまうが、師匠さんが小さな声で何か伝えようとしているのだと察する。 「君の家の刀とここにある刀だけどね、私の探し物ほどではないけれど結構な力を感じた」 その言葉にハッとして、思わず師匠さんと目を見合わせる。 「扱いは気を付けるようにね」 「なぜ、わざわざ俺だけに?」 「君は家の刀を抜いたことは?」 「ありませんけど・・・」 「そう思ったからさ」 師匠さんは、おそらく笑っているであろう表情を見せて 子供に言い聞かせるように言葉をつづける。 「家に刀なんてあったりしたら、特別な力のない普通の刀でも多くの人は一度くらいは抜いてしまうものさ。 しかし君は好奇心に負けずに触れずにおける。 そんな人だと思えたから、君には伝えておこうと思ってね。」 そして翌日師匠さんはまた別の地へ刀を探しに行ったらしい 何というか・・・・・・大人な人だったな。と まだまだガキな俺は思ったのだった。 彼らが店を出てしばらく後 店内の小さな椅子に座っていた店主がおもむろに腰をあげ、 店の奥から一枚の板を持ち出し店の入り口前に置いた。 それは普段ならばそこに置きっぱなしにしているはずの看板で、 書かれているのはこちらの世界の言葉ではなかった。 そして店主は店の棚に隠すように入れられていた一振りの刀を取り出す。 その刀は普通の物よりやや大きく、柄の拵えや鞘は古ぼけており歴史を感じさせる。 店主はその刀の鞘を軽く撫で、そして部屋の片隅にあった机に置いた。 かつて織田信長の家臣に弥助という男がいた。 彼は牛のように黒い肌を持ち、イタリア人の巡察師に連れられてやってきたという。 元は信長への献上品とされたが、信長本人に気に入られ家臣として召し抱えられたという話が残っており、 現代では奴隷として連れてこられた黒人であるとされている。 しかし、 それもゲートというものが存在しないことを前提とした説である。 弥助の伝承として残っているものに、「十人力の怪力」「扶持もちの家来であった」というものがある。 例えば、ゲートの存在が明らかになる前であったならば「十人力の怪力」という話も誇張が入っている程度の扱いで終わっただろう。 だが「十人力の怪力」という本来ならばありえないものを持ち、同時に黒い肌をした存在が実際にいるのだ。 そう、ゲートの向こうには。 さらに言うならば、その存在の住む国はかつての日本に通じる文化もある程度存在している。 ならば、弥助がソレであった可能性は十分にあり得る。 さらに大事な刀を持ち出したがゆえに怪我を負っていたとしたならば、こちらの大名に仕える可能性は十分にあるのではないだろうか。 「ふん、まぁどれほどすごい力があろうとも所詮、物は物でしかない」 店主はぽつりとつぶやく。 分厚い眼鏡の奥の目を細めて、浮かべる感情はいかなるものか。 「戦のない時代に流れ着いた古い刀なんぞただの骨董品。 今更どこに持ち出す必要もあるまいて」 かつて「十人力の怪力」を誇るといわれ、織田信長に直属で仕えた弥助という男が生涯抜かなかったという一振りの刀があるという。 戦場に立つことがあろうともその後の戦国の動乱を大きくしかねないという判断から弥助が一度として抜かなかった一振りの刀。 それは今も抜かれることなく、この小さな古物店で眠っている。 師匠さんが旅立ってから数週間の時が流れた。 俺はその後もなんのかんのとハルコや圧森がらみで退屈しない日々を送っている。 どうやら俺たちの日常に思い出作りのためのイベントなど必要なかったようだ。 なぜならばそんなものを企画するまでもなく俺たちの日常はイベントだらけであったから。 とはいえそんなドタバタだらけでは疲れるというもの。 俺だってたまには一人になりたいこともある。 そんなわけで、久しぶりにハルコが張り付いていない時間のできた俺はこの辺に昔からある本屋へとやってきていた。 ハルコのいるときに本屋に来るとやたらと待たされるからな。アイツはチェックしてる漫画が多すぎる。 うーんどこかに身長低めで胸が大きめで子供っぽくて黒髪長髪な元気っ子の出てるエロ本とかねーかなー なんて思いながらてきとうに本を物色していたわけだがそんなもの都合よくあるわけもなく、 仕方ないからやっぱり適当に漫画の一冊でも買うかと新刊コーナーへ行ってみたのだが ふと1冊のラノベが目に留まった。 表紙には学生服を着た男が刀を振り上げる、ラノベにはまぁまぁよくありそうなイラストが描かれているのだが 俺の目を惹いたのはイラストではない。 「異界妖刀伝 作者atumori・・・・・・」 この名前である。 あからさまに見覚えがある。具体的には作者名の方が。 手に取ってページをパラパラとめくってみれば、中に書かれている文章は実に見覚えのあるもので。 ある程度の手直しはあれどこれは明らかに俺の知っているアレであった。 きっと今の俺は凄い顔をしているに違いない。思わずため息も漏れる。 「・・・・・・とりあえず飯でも奢ってもらうか」 そのくらいしてもらっても罰は当たらないだろう。 やはり俺達の日常はイベントだらけだ・・・ 前回の流れから日常を流してあれこれ想像させたところでうわー!ときてなんだそれー!というまんまと掌で踊ってしまった楽しい。刀の真実が謎のままというのも良かった。しかし弥助くらいは漫画好きなら知ってると思ったよハルちゃん!オチのatumoriに全部持っていかれたな! -- (名無しさん) 2016-07-07 12 01 56 展開に無理がなくて説得力があるので作者の思う壺でしたわ。うまい -- (名無しさん) 2016-07-07 19 07 11 ハルコが前話より妙にスキンシップ旺盛に気になりすぎて困る。人間メインの日常って意外と新鮮だ -- (名無しさん) 2016-07-08 23 44 38 確かにスレの手書きとイメージ合うヒロハル。圧森はクール系か。師匠さんの顔がどれくらい鱗人入っているかどうか -- (名無しさん) 2016-07-14 07 49 16 名前 コメント すべてのコメントを見る
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各タイプの争い~第六世代 注意:各タイプの争い系列のページは非常に巨大なため、携帯での視聴を推奨しません。 また、環境によっては矢印、発言等が本来とズレて見える場合があります。 作製、編集の際はプレビュー機能などをうまく使用してください。 ここには ノーマル ほのお の第六世代での内部争いが書かれています。 第五世代はこちら 各タイプの争い~第六世代神々と、変わったやつらと、ノーマル野生王国 猿でもわかる炎の争い 神々と、変わったやつらと、ノーマル野生王国 【アルセウス】私が神だ←―――――――――――┐ 【レジギガス】特性が…特性さえなけりゃ俺だってよおぉ!【メロエッタ】技でフォルムチェンジ。珍しいでしょ? ||ノーマル格闘は自分だけ、 |私こそがネ申だ|そう思ってた時代が私にもありました。 || |―ノーマル伝説の領域↑―――――――――――――――――――――――――――――――――――↓ |【メガミミロップ】メガシンカか補助か、見破れるかしら?| ↓立場をわきまえよ【キリンリキ】上手く弱点を相殺してるよ! 【ビーダル】今度はムラっけで神となるか…【メブキジカ】自然の力トライアタック化反対! 【ホルード】ちからもち万歳!【メガタブンネ】多彩な補助技と高耐久でがんばるよ! ↑【エレザード】俺の火力スゲーだろ? |【カエンジシ】ハイボ一致で打つためだけのノーマルか…… |お前らだけ複合かよ。裏切り者め【プクリン】僕がばくおんぱ覚えないのってバグでしょ? |―そこまで珍しいわけではなくなった複合ノーマルの領域―――――――― |【ムーランド】私をげっ歯類どもと一緒にするな | ↑ ||ものひろい同盟 (序盤ノーマル一同)↓【マッスグマ】神速腹太鼓でネ申になる! ←┐ お前ら…【オオタチ】お見通しスカーフトリック美味しいです^^←―――――――→【ラッタ】(いかりのまえば安売りされすぎだろ…専用技だったのに)【ミルホッグ】ほほう、眠らせてやろうか? ←┘ 自分から火傷になるなんて変な鼠だなあ あなたは貧弱すぎる あなたは美しくない 一番美しいのは私よ!【ペルシアン】←――――――――→【ブニャット】←――――――――――【ミミロップ】←――――――――――【トリミアン】| 君たちには耐久が足りない!|妬ましい…↓【エテボース】ダブルアタックって便利だよなー【チラチーノ】スキルリンク!グォルェンダァ!↑|真の意味でテクニシャンなのはこの私だ|【ドーブル】 牛カップル これからはアフロの時代だ 何その頭【ミルタンク】←――――→【ケンタロス】←――――――――→【バッフロン】↑ (特殊振りまいてた時代が懐かしい…)|オカン同盟<アタシたちゃゴーストなんか怖かないよ!↓【ガルーラ】子供ががんばってくれるから怖いものなしさ! 若造が… ニートめ…【ヤルキモノ】←――――――――→【ケッキング】【カビゴン】何で爆発技弱体化したん?【ベロベルト】これからはノーてんきでいくとするかね…【リングマ】グランブルの野郎一人勝ちかよ…↑|アニメで迷惑同盟↓【バクオング】ばくおんぱktkr【オドシシ】四季鹿のような個性が欲しいぜ…【カクレオン】へんげんじざいGET! え?ゲッコウガでおk?【パッチール】外見の数なら全ポケモン一番なのになぁ【ザングース】毒で暴走してやるぜ!【ノコッチ】へびにらみてんのめぐみまひるみ、いきまーす【イーブイ】何に進化しようかな~↑―全タイプ最多!単色ノーマル動物園↑―――――――――――――――――――――――――――|↓てきおうりょく仲間 【ポリゴンZ】←――――――――――→【ポリゴン2】 しんかのきせきで下剋上だ! 調子に乗るな。トリックで取り上げてやろうか? 俺にもバトルやらせて… 頑張って卵作ってろwww【メタモン(夢)】←―――――――――――――→【メタモン(通常)】【ポワルン】天候パ弱体化って…||一応僕も妖精なんだな↓―科学の世界からきたポケモン達↑―――――――――――――――――――――――――――【タブンネ】メガシンカすれば強いもん! |これからはサンドバッグ要員よろしく|↓ しんかのきせきなんて邪道よ!【ハピナス】←――――――――――→【ラッキー】↑ 私が特殊耐久最強よ!|ピンクの悪魔どもめ…|【エネコロロ】こっちのスキンにも補正ついてもいいじゃないのさ!―身も心も癒される?妖精達の領域↑――――――――――――――――――――――――――――【ピジョット】メガシンカキタ━(゚∀゚)━!!!!! そこ!エッジが当たるとかいうな!【ヨルノズク】特殊耐久と豊富な補助技で頑張るかのう…↑|~相容れない壁~↓【ムクホーク】物理飛行最強は俺だ!ブレバ!インファイト!隼なんて知らない!【オニドリル】スナイパードリルライナーで頑張るぞ【オオスバメ】素早さと焼き鳥戦法で頑張ろう【ウォーグル】真の神鳥使いはこの俺だ!・・・ギャグじゃないぞ!?【ドードリオ】ヤバイ…立場が苦しくなってきたかも…↑|~超えられない壁~|【カモネギ】確定急所ktkr! …それでも苦しいのは否定できないけど↑|確定急所同盟↓【ケンホロウ】急所始まったな! カラスなんか知らん!【ペラップ】ランダムマッチ解禁だあああああああああああ!※飛行タイプの争いも参照―飛べる者たちの仁義なき抗争↑―――――――――――――――――――――――――――― とりあえずノーマルだけ作ってみた。修正点あれば頼んます。 ORASに対応しました 猿でもわかる炎の争い 仲良くしようず ┌――――――――――【ビクティニ】 | サンドバッグから解放された… | | 【ゲンシグラードン】←―――――――――――――――――――― | 俺が炎伝説最強だ! | | | | 【レシラム】 | ――――――――――――↓おーい、いい加減にしろあんたら――――――――――――| | | 【マフォクシー】今日もラブカスから鱗を剥ぐ作業が始まる…… 【メガヘルガー】――――グラードンさん一緒のパーティに入れてくださいよwww お前ら庶民には爆発力というものの価値が分からんのだろうな 【ヒヒダルマ】 | これで同等… ↓ネタですらなくなったな 【ファイヤー】←―――――【エンテイ】←――――――――― 【ブースター】 …………。 こっちは聖なる炎 フレアドライブ習得したよ! ↑ | | あんたにそれを言う | 資格ないよ それでも私の方が強いですけど 【ヒードラン】←――――――――【シャンデラ】←――――――――→【バクーダ】&【メガバクーダ】 お前らに足りないのは何だ? 爆発力欲しいなら噴火しろよ ↑噴火前に殴られて乙だろw 火力だよ | ↑ トリパでボコんぞ↓ | 【バクフーン】 |威厳も無いくせに |伝説を名乗るな お前だれだっけ? 【ウインディ】←―――――――――【ホウオウ】――――→【クイタラン】 ↑ ゴキブロスは準伝だ | あんたこそだれよ・・ | |い 一緒にするな | |素早くて技が豊富なだけ有難いと思えよ |や | ↓ |9 | 【バオッキー】 |倍 飛行タイプじゃねーのかよw | |だ | | 貴方の存在で立場がないんですよ・・・ |ぞ ↓ お前ら夢に頼るな ↓ | 冷パンとは一体何だったのか【メガバシャーモ】←――――→【ゴウカザル】←―┬――【エンブオー】どうして誰も不意打ちに触れない |尻 | 鉄の拳(笑) ↑ | 速いっていいね |尾 メガ進化組 ├――――┐ | | |が 氏ね | | | | 【キュウコン】←――――→【リザードン】 | | |全くだな 俺も日照り手に入れたは | | 【ブーバーン】 【ヘルガー】 | 【ギャロップ】 最速ぶん取られてやんの CとAが同値(笑)【メガリザードンY】←―――――――――→【メガリザードンX】 【バシャーモ】メガ以外ではあんまり戦わなくなったなぁ… うるせえ竜の舞すんぞ 【ファイアロー】 ↑新参はすっこんでろ 【カエンジシ】輪に入れない |世代交代ですねw↓ 飛べないうえ水・地面4倍(笑) 物理受け(笑) 【ウルガモス】←―――――――――――→【マグカルゴ】←――――→【コータス】 ちょっと本気出す↑ 岩4倍(笑) 孵化要員(笑) | ↓地面4ば……何ィ!? \zzz..../ 【ヒートロトム】 【ドンメル】 一応仮作成。どんどん修正してください ORASに対応
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そうか 仲良くなりたいのか! …もう 仲良しですか?(笑) ゲンコの合間にー! ★送り主、仲良し限定バトン★ 《ルール》 タイトルは送り主の名前にすること 最低10人は回す事 仲良しさんだけに回す事、これから仲良くなりたい子でも可 せっかく回してくれたのだから、トラバしてあげましょう。 ★送り主の名前は? 高燐さん ★送り主との出会いは? ひとさまのサイトのブックマークから一方的に ★話しかけたのはどっち? これって オレでいいのか? ★送り主の第一印象は? あ 若い(最近こればっかりだ ★送り主の好きな物は? 詳しく知らないー ★送り主の好きな人物は? ししょーを好きなのは確かだとおもう(笑) ★送り主の嫌いな人物は? 好きなものにおなじ ★送り主の良い所は?3つ答えよ。 細やか わりとまじめ あと一つ…あ 可愛い イロイロと ★送り主の悪い所は? まだ知らない ちょっと神経質? ★送り主との思い出は? 今から作ります ★送り主との仲良し度は? ■■□□□□□□□□ くらい? ★送り主を色で例えると? なんだろー #006699 RGB=0,102,153 くらい? ★それはなんで? いや なんとなく ★送り主の性格は? 頑張ってる人だと思う 逃げ腰なのは普通レベル ★最後に送り主にメッセージを! あ 受験 普通に 頑張った!と思うとテンパルので 普通がいいです そういうのは てか年齢半分なんですけど! ★回す人は最低10人。誰に回す? うーん… 高燐さんとこに何人か書かれてたしなー(^_^;) (ハブ友だち少ない) じゃ いつもの人たちで!(誰 んなとこでよろしくー
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この町のはずれ、商店街を抜け住宅地を通り過ぎ少し進んだ先に一軒の屋敷がある。 かなり昔からあるその屋敷はいかにも金持ちが住んでいたという感じの立派なものであるが、 もはやそこに住む人間はいないのか、特に手入れをされている様子はなく全体的に古ぼけている。 この屋敷の存在自体は俺も知ってはいたが、あくまで知っていたのはそういうものがあるということだけであって 昔どんな人が住んでいただとかいつごろからあっただとかそういうことまで知っているわけではない。 とはいえそれなりに大きいし立派な屋敷でもあるわけでその屋敷へ行く道くらいは知っている。 まぁ地元の人間にはそれなりに有名な場所であるわけだ。 温泉橋の言う魔女の住む館とはつまりそこのことであるらしい。 「そういえば小さいころに聞いたことがあったわね」 放課後にその館へと向かう道すがら、 一つにまとめた、ハルコほどではないが下せば背中に届くぐらいに長い髪を揺らしながら圧森がそんな事を言い出した。 そういえばコイツの家は俺やハルコの住んでいるあたりよりその屋敷に近い場所にあるんだったな。 「あの屋敷には魔女が住んでる。歳をとらず、ずっと若いままの姿で生き続ける魔女がいるんだって」 まぁ怪談みたいなものね。小学生くらいのころにはそういうのは流行ったりするでしょ? と屋敷への道を先導しながら圧森は問いかける。 確かに子供というのは意外とそういった怪談だとか怖い話だとかを好むところがある。 俺とハルコの通っていた学校にも七不思議のようなものがあったような気もする。 本当に七つもあったかはさだかではないけど、学校の七不思議なんてそんなものだろう。 もしかしたら逆に十個くらいあったかもしれない。 「歳をとらないっていうとヒロちゃんの家族が思い浮かんじゃうね」 「確かに・・・・・・」 「・・・・・・ヒロ君の家族って歳取らないの?エルフか何か?」 確かに俺の母さんも祖父さんも実年齢から考えれば驚くほどに若く見える。 幼いころの俺はそれを不思議だとは思っていなかったし他の子の親もこんなもんだと思っていたのだけど、 一度友達の家に遊びに行ったときにその子のおばあちゃんだと思っていた人が実はお母さんだったということがあって、 それからウチの家系はあまり老けないのだと知ったのだ。 あの時は友情崩壊の危機だったがなんとかバレずに済んで本当に良かった。 結局その友達とは高校に進学してしまってからは会っていないんだけどな。 「俺の家族が異種族ってわけではないけど、ご先祖様に異種族がいたそうだ。 だからなのかはわからないけど、ウチの家系には身体が強かったりあまり老けない人が多いらしい」 「鬼の血が入ってるんだよ!鬼だよ鬼!」 「鬼畜ってやつよ」 「鬼畜ではない」 さらっと圧森が嘘を教えようとするがすかさずストップをかける。 コイツは割と真顔で嘘を言うのだ。 本人はユーモアのつもりのようなのだが冗談めかした感じに言わないので周りはひいてしまうのだ。 美人だし悪いやつでもないのだが、周りは接しずらいがゆえに距離を取ってしまう。 つまり友達がいない。 ぼっちだ。 そのためなのかは知らないが圧森は温泉橋が来てから結構楽しそうな顔を見せるようになった。 小説を書いたりよく本を読んだりするのが好きなようだが騒がしいのも嫌いじゃないらしい。 「そういえば、らにちゃんは人間なの?」 「その聞き方は語弊があると思うぞハルコ」 「でも確かに気になるわね。別種族とか特殊な能力を持つ人間とか」 「ようこちゃんの言ってることはよくわかんないけどわたしは人間だよ?はだか見る?」 「そこまでしなくてもいいわ」 道を歩きながらも話している相手の方をいちいち振り向く温泉橋の姿は確かに他の種族にか見えない。 身長はハルコに負けず劣らず低いがそれだけだ。 まぁ俺は異種族なんて圧森の師匠さんくらいしかあった事はないのでもしかしたら見分けのつかない種族もいるのかもしれないが。 1人なら長く感じそうな道のりも4人で他愛のない話をしながら進めばさほど長くは感じないものだ。 細く人気のない坂を上ると古ぼけた、しかしそれでも立派と言える大きな洋風の屋敷がせりあがるように姿をみせる。 手入れのされてないように見える庭は長く人が住んでいないような印象を抱かせる。 「なんで幽霊じゃなくて魔女なんだろうって思ってたけど、実際見てみるとたしかに幽霊ってより魔女って感じするわね」 「ねー!こわいよね!」 「ハルコちゃんそれなんか違うしそこはヒロ君に抱き着きながら言わなきゃ」 確かに、全体的に茶色を基調としてレンガを多くつかったその屋敷は「魔女が住んでいる」なんて子供の噂になってもおかしくないような気がする。 だが俺としてはそんなことよりハルコに余計なことを吹き込む温泉橋の方が気になるしこわい。 これ以上こいつらがベタベタとくっついて来たら便所にも行けやしない。ただでさえ隙あらば、いや隙がなくとも張り付いてくるっていうのに。 「さて、来たはいいけどどうするんだ?勝手に入り込むわけにもいかないだろう」 「まぁそうね。人は住んでなさそうだけど流石に入口とか閉まってるでしょうし」 「いや、実はわたし何度か忍び込んでるんだけどさ」 「らにちゃんなにやってるの・・・・・・」 謎の行動のカミングアウトと同時に温泉橋は屋敷の敷地に踏み込んでゆく。本当にコイツは何を考えているのか読めない。 というか見つかったらまずいんじゃないだろうかコレ。 勝手知ったると何とやらとばかりにズカズカと進み屋敷の窓の一つに走り寄ると躊躇うことなく開けていく。 「ここが開きっぱなしなんだよね」 「お前は本当に何をやってるんだ・・・・・・」 「まーまー理由は後で話すからさーとにかく入ろうよ」 「そっそれはちょっとマズいんじゃないかしら・・・・・・」 「よーこちゃんって時々まじめだよね」 今までに何度もやってきたであろう温泉橋は当然として、基本的にあまり先を考えないハルコともう割と諦めている俺があっさりと室内に入る。 窓枠をまたぎ屋敷の廊下に降り立つと軽く埃が浮き上がった。最初に中に入った温泉橋の制服のスカートは窓枠についていたであろう埃で跡がついている。 「ほら埃」 「おお?」 深く考えずにその埃を手で払ってやると間抜けな声があがった。 しまった。ハルコにやる感覚でついやってしまった。 顔をみればなにやらニヤニヤとしている温泉橋と目があう。 あぁこれは絶対茶化してくるやつだ。コイツはそういうやつなんだ。 「やーん!なに?窓をまたぐときにパンツとか見えてムラっと来た?そこの部屋にベッドあるよ?ちょっと埃っぽいかもだけど」 「やっやーー!ヒロちゃん!あたし!あたしも埃ついちゃったから!はらってはらって!」 らにが俺の腕を引っ張り近くの部屋に連れ込もうとすれば反対側からハルコも引っ張る。一体なにがこいつらをここまでさせるのか・・・・・・ 大岡裁きよろしく左右から引っ張られながら圧森の方を窺うと圧森はまだ屋敷に入っていなかった。 「どうした?圧森、入らないのか?」 「あっうん」 しかし返事はしたものの圧森は不法侵入に抵抗があるのか入ろうとしない。抵抗がないこいつ等のほうがおかしいんだけどな。 とはいえ圧森にしては意外な気もする。俺の家には竹刀片手にやってきたくせに。 もしかして実は潔癖症とかなのだろうか。だとしたら埃のおおいこの屋敷の中に入るのはつらいかもしれない。 「もしかして潔癖症とかか?」 「そういうわけじゃないんだけど」 「でも入らないとわざわざここまで来たいみないよ?」 「うう・・・・・・」 「大丈夫大丈夫。見つかったことないから」 躊躇っていた圧森もハルコと温泉橋の言葉に渋々といった様子で窓をまたぎ室内へと入ってきた。 中に入った圧森はキョロキョロと周りを見渡しやや不安げな表情をみせる。 全く知らない家に勝手に上がり込んでいる状況で落ち着くはずもないとは思うが、どうもここに来てから圧森の様子がおかしい気がする。 いつもの圧森なら屋敷に入るまでは躊躇ったとしても、入ってしまえば開き直ってズカズカと進みそうなもんなんだが・・・・・・ 「じゃあほら、たしかこっちになんか怪しい部屋が・・・・・・」 「あっ怪しい部屋?!ちょっとまってそういうのは最後に行くべきじゃない?!」 「いや、でも暗くなってきたしちゃちゃっと済ませるべきじゃない?そういう怪しいところからこそ新しい発想とかが生まれると思うんだよね」 なにやら慌てる圧森の腕を引っ張りながら先導していく温泉橋は実に楽しそうな笑顔を浮かべている。 あれは完全におもちゃを見つけた顔だ。 「なんからにちゃん楽しそうだね」 「あぁアレは多分こういうことだ」 圧森のオーバーリアクションを見て、この辺で俺もだいたい察していた。 開きっぱなしとなっていた俺たちの入ってきた窓をわざわざ力を込めながらゆっくりと閉める。 「うひゃあ!」 窓から鳴り響く金属のこすれる音に圧森が悲鳴をあげながら勢いよく振り返る。 その反応はいくら驚いたとは言えかなり大げさなものであり、振り返った圧森の顔は引きつっている。 ここまであからさまであれば普段からボケボケとしているハルコであっても察しはつくというもんだ。 「・・・・・・あっれぇー?よーこちゃーん?」 圧森の反応を見たハルコは笑顔をうかべて跳ねるように近寄っていくがその笑顔はいつもの何も考えてなさそうなものではなくどことなく意地悪な印象を抱かせるものだった。 そして今も圧森の腕をがっしりとつかんでいる温泉橋もまたニヤニヤとした意地の悪い笑みを浮かべている。 可愛そうに。どうやらこの屋敷を出るまで圧森がいじられ続けることは決定してしまったようだ。 「怖いの?ねぇねぇ怖いの?」 「こわくねーわよ!」 ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも温泉橋の足は止まらず、引っ張られる圧森もまた立ち止まることすらできずに屋敷の奥へと進んでゆく。 俺は少し後ろからついていくわけだが、歩きながら周りを見渡せばこの屋敷も完全に放置されているわけではないように見える。 というのも屋敷の奥に進むにつれて埃が減っているように感じるからだ。 頻度がどの程度かはわからないが時々誰かしらが様子を見に来ているのではないだろうか。多分裏口から入っていて正面の方にはめったに来ないとかだろう。 そうなるとやはり俺たちはこの屋敷の管理人か何かに怒られる可能性が出てくるわけだが・・・・・・ 「ここだよここ!怪しい部屋!」 「いきなり地下室はハードルたかいとおもうの」 地下室という想定外の部屋の前へと案内され普段と調子の違う口調になってしまっている圧森の顔は明らかにこわばっていていかにもこの先に進みたくないといった風であるが、 ハルコも温泉橋もこの部屋に入らない選択肢など存在しないとばかりに圧森を部屋へと引きずり込んでいく。 「やーめーろー!!!」 「別に誰もいやしないよ。呪われそうなアイテムがいっぱいあるだけで」 「えっマジで?あたしも入りたくなくなってきたんだけど!?」 一瞬前まで調子に乗っていた癖に温泉橋のカミングアウトにハルコが慌て始めるが時すでに遅し、3人はもう部屋の中に入ってしまった。 ここで俺が部屋に入らずドアを閉めてふさいでみるのも面白そうだと思わなくもないがそれをやると後で絶対面倒なことになるので自重して三人の後に続いて部屋へと入る。 部屋の中に入って最初に目についたのは大きな木製の棚だった。壁を覆うように設置された巨大なそれには怪しげなアイテムやら本やら瓶に詰められた液体やらが置かれている。 部屋の隅には大きめのテーブルもおかれていてその上にもまた何に使うのかもわからないような器具がいくつも乗っかっている。 「なんていうか、実験室って感じだな」 棚にある物の中には見たことのない植物や小さな容器に入った謎の粉末などもあり理科室や理科準備室などを思い浮かばせる。 確かにこの部屋は「怪しい部屋」というのにふさわしいだろう。 「うっわー確かにこれは魔女ってかんじだね」 「バカでかい鍋とかあれば完璧だったわね」 ついさっきまで騒いでいた二人もこの部屋の醸し出すいかにも迂闊に置いてあるものに触ってはいけないという雰囲気に気圧されたのかおとなしくなっていた。 これまで通ってきた廊下と違いこの部屋はあまり埃も多くなく人が良く使っているように見えるというせいもあるかもしれない。 「他人の仕事部屋」に入った感じというか、なんとも落ち着かない。 「わたし知ってるけどコレむこうの世界のスーパー強力な惚れ薬的なヤツなんだけどヒロくん試す?」 しかしそんな俺の心情などお構いなしに好き勝手振舞うのが温泉橋という女である。 肝が据わってるとかそういうレベルではない。これが異世界帰りのメンタルというものなのか。 小さい紙に包まれたおそらく粉末であろうそれをヒョイとつまんで俺に見せてくる温泉橋は常識というものが欠けているどころではないと思う。 少なくともこちらの世界の常識はかけらも持っていないに違いない。 「試さねぇよ。怪しすぎて怖いわ」 「大丈夫だよ?効果の高さのわりに依存性とかは低いし。あっでも鼻から吸い込むのは初めてだと咽るかな」 「今の発言で俺は絶対にそれを使わないと心に決めたぞ」 チッと舌打ちをした温泉橋はその薬を元の場所に戻すのだが、その薬にハルコが妙に熱い視線を送っている。やめとけ。きっとろくなもんじゃない。 一方さっきまで必死に嫌がっていた圧森はと言えば、棚の中を興味深そうにのぞき込んで何やらメモをとっていた。 切り替えが早いというかなんというか、とはいえどうやら落ち着けたようで何よりか。 「洋館に住む魔女は異世界よりやってきた薬師でありこちらの世界の人間によってこの世界では作れないはずの薬を作らされていた。元々異世界の薬であるがためにこちらの人間には 効果が強く危険な薬であるがだからこそ需要も多い。こちらの世界では認知が低くまだ法的に規制されていない。作らされている薬の中には麻薬のように酩酊作用や依存性のある薬も 含まれている。ある日監視の目が緩んだ瞬間に館から抜け出した魔女は自作した魔法的な薬によって年齢をごまかすことで追手から逃れる。一方、幼馴染を殺した女を追う主人公は魔 女の噂を聞きつけもしかしたらと洋館を目指していた。偶然か、はたまた運命か主人公と魔女は出会いを果たす。魔女からもたらされた謎の組織の情報とそこに見え隠れする宿敵の影。 大きくなる敵と広がる舞台。そして現れる新たな刀の使い手、その姿は死んだはずの幼馴染に似ていた・・・・・・」 ぶつぶつと呟きながらすごい勢いでメモ帳にアイディアを書き連ねていきガッツポーズを決める圧森はさっきまでとはまるで別人のようだ。 これでこそ圧森と言ったところか。でも個人的にはさっきまでの圧森も悪くなかったのでこれから定期的に心霊スポットに連れて行こうと思う。 「アイディアもまとまったっぽいしそろそろ帰るか?」 ここに来る理由であった圧森の小説のためのアイディア集めは終わったのだからもう長居する理由などない。 そう言って周りを見渡せばハルコが温泉橋からなにやら小瓶に入った蛍光ピンクの謎の液体を受け取っていたので没収する。ポイしなさいこんなもの。 「そうね。あんまり居座って誰か来たりしても面倒だし」 「あっあー!ヒロちゃんそれかえしてよー!ヒロちゃんメロメロにできるやつー!」 「そうだよヒロ君。初めての時はちゃんとこういうものを使わないと楽しめないよ?」 「もうそういうのいいから」 温泉橋の謎の抗議を無視して圧森とともに部屋を出ていくと慌ててハルコが追いかけてきて俺の背中に飛びついてきた。 はたしてコイツは温泉橋の言ってることのどのくらいを理解しているのだろうか。 こいつからさっき預かった液体は見るからにヤバイ系な予感しかしないだけにこれを所持しているのは結構怖い。 これは本当に所持していていいものなのだろうか?逮捕されたりしないだろうか? その後もグダグダとしだす3人を引きずりながら侵入してきた窓をまた使って脱出し、圧森と温泉橋とは商店街のあたりで別れた。ハルコは俺が文字通り引きずって帰った。 そんな感じのちょっとした冒険をしたのが一週間前だ。 あの日までなかなかネタが浮かばず悩んでいた圧森も今は筆がのってきているらしく、もうすぐできそうだと笑っていた。どうやらアイツは書きだしさえすれば筆自体は早いらしい。 今は放課後で、今日もまた圧森の次のネタを考えるべく4人でそこら辺をぶらつきながら帰ることになったのであるが、 さぁ行くかとなった所でハルコが提出物を出し忘れていたとかで先生に呼ばれてしまった。 圧森もまた別件で先生に用事があるらしくついていってしまった。まぁアイツは一応小説家としてデビューしたわけであるし色々と学校と話さなくてはいけないこともあるのかもしれない。 そのため玄関の近くで二人を温泉橋と共に待っているわけだが、せっかく二人であるわけだし気になっていたことでも訊くことにする。 「なぁ温泉橋。一つ訊きたいんだが」 「何々?生理周期?とりあえず来週当たりは避けといた方がいいよ」 「この前行った屋敷だけど。あそこお前の家なの?」 特に知りたくない謎情報はスルーする。 というか下ネタにしても酷い。生々しくて笑えねぇ。 「あっバレてた?まぁ大して隠す気はなかったけど。というかワタシの身を削る下ネタは無視なの?」 「お前が本当に下ネタをいう時に身を削っているのなら今頃は髪の毛より細くなってるんじゃないか?」 「削れるたびに継ぎ足してるから平気」 くだらない戯言を返しながら温泉橋はあっさりと認めた。 とは言えあれは隠していると呼べないレベルの物だったしコイツからしても別に気付かれたところでなんとも思わないのだろう。 屋敷の構造どころかおいてある物一つ一つに対しても詳しすぎだ。 具体的に言うならば薬に詳しすぎるし、どれそれがオススメだのなんだのと言いだすのは完全に他人のものに対する扱いではない。 あれは完全に自分の家のノリである。 「実はわたしってあの家に住んでるんだよね。いつもは裏口とかそのあたりの部屋しか使ってないから表の方は結構荒れてるけどね」 「だろうな。でも掃除くらいはたまにやった方がいいと思うぞ」 「いやーそうは思うんだけどねー広いしねー長いことやってないともういいかなってなっちゃってねー」 そう言って困ったように笑う姿は可愛らしく見えるのだがそれは「なんなら手伝うよ」という言葉を引き出すための罠だ。 しばらく一緒にいるうちに気付いたがコイツは自分の外見を存分に利用するタイプだ。 間違われて子供料金になりそうなら喜んで小学生のふりをする奴。同じくらい背の低いハルコなんかはムキになって否定するんだけどな。 しかしこいつは全く気にしない。オマケしてもらえるなら喜んでもらうし誰かが手伝ってくれるのならやってもらうのだ。 こいつにとって幼く見える外見というのはコンプレックスではなく便利な武器なのだ。そしてその使い方を心得ている。 そんな奴だからこそ気になる。 俺たちを自分の家に連れていきたいなら正直に言えばよかったのになぜ自分の家だとは言わなかったのか。 ちょっとしたいたずらにしても、家の中に入ってすらくれない可能性だってあるというのに。 「そう、何を隠そうわたしこそがあの館に住む魔女なのです。」 「ああん?」 温泉橋の口から出てきた言葉はよくわからないものだった。 得意げな顔で胸を張られても困る。 「実はわたしは70年くらい前からあそこに住んでるんだよ」 「何を言っているんだお前は」 「わたしはすっごい昔に偶然異世界に飛ばされちゃってね。70年くらい前に戻ってきたんだよ。いろんな植物の種なんかをもってね」 にこりと笑いながら俺を見上げる温泉橋の目は、こいつが時々見せる大人びた色を見せていた。 「わたしってこう見えて薬作るのとか得意なんだよね。あの館にあった薬も全部自分で作ったやつだし不老長寿の薬なんかも作れるんだよ?」 「まじで?」 「試してみる?」 幼い外見に似合わぬ色っぽい表情と仕草で温泉橋は持っている鞄から一本の小瓶を取り出した。 一瞬あのときハルコに渡そうとしていたいかがわしい薬かとも思ったがその色はど派手な蛍光ピンクではなく無色透明だ。 温泉橋はその液体をちゃぷちゃぷと振りながら甘く誘う。 「この薬を飲んだ人はすぐに眠ってしまい、その眠りから覚めた直後に顔を見た相手のことが大好きになってしまう。 まぁ惚れ薬ね。効果時間は短いけど効き目は抜群よ」 差し出されるそれを俺は受け取る。 温泉橋は俺が受け取ったのを見て「効果はすぐに切れるから試しやすいでしょ」と笑う。 俺は、そうだなとおざなりに返しながらその薬のふたを開け、 一息に飲み切った。 「あっ」 薬の効果なのだろう、強烈な眠気が襲い掛かってくる。 これほど急で強烈な効果は確かに俺が知っているこちらの世界の薬にはないものだ。 「まじか」 意識が途切れる直前に、珍しく素になったような温泉橋の声が聞こえた気がした。 女子ノリ全開で楽しい!さらっと嘘か真か正体を明かしたらにさんだけどそれもまた信じるのは早計か。一気に飲むのはマジか!とシンクロ -- (名無しさん) 2017-02-05 19 39 40 ヒロ君の周りには無邪気な小悪魔と文系な小悪魔と積極的な小悪魔しかいない -- (名無しさん) 2017-02-05 22 42 16 怖いのと創作欲が別腹な圧森さんカワイイ。言葉とペッティングは積極的だけどそこから先は進まないちっちゃい二人だ。え?70年? -- (名無しさん) 2017-02-07 02 18 07 交流特区の中の学校でもクラス内異種族比によっては異世界への考え方とかもまちまちなんだろうか -- (名無しさん) 2017-03-28 19 00 35 名前 コメント すべてのコメントを見る
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久「番号あったー?」 京太郎「ちょっと待て……って人多くて全然近寄れねーなぁ!」 久「だから早く行こうって言ったのに」 京太郎「布団の魔力が俺を離さなかったんだ……」 久「はいはい、とりあえずちょっと離れるわよ」 久「ここらへんでいいかな?」 京太郎「こんなとこじゃなおさら見えないだろ」 久「じゃーん、双眼鏡」 京太郎「おお! って、それじゃ下の方が見えなくないか?」 久「とりあえず屈んで」 京太郎「……踏まれるのはやだからな?」 久「踏まないから、ほら」 京太郎「わかったよ」 久「それじゃ、失礼しますっと」 京太郎「うぐっ」 久「こら、苦しそうな声出すな!」 京太郎「んなこと言われたってさ……」 久「いいから立つ。スタンダップ」 京太郎「あーもう」 京太郎「……見えたか?」 久「ちょっと待ってよ。まだ右の方見てないから」 京太郎「わかった。もうちょっと太ももの感触を楽しんでる」 久「……もしスカートだったら絞め殺してたわね」 京太郎「それだったらそもそも、肩車なんてしようとしてないだろ」 久「まったくね……あ、あった」 京太郎「マジか、あっさり見つかったなぁ」 ゆみ「……なにをしてるんだ」 久「あら、ゆみも合格発表見に来たの?」 ゆみ「私も一般受験だからな」 京太郎「掲示板の周りすごいぞ。すごいというかヤバイ」 ゆみ「心配には及ばない。もう確認し終わったよ」 久「咲いた?」 ゆみ「咲いたな」 京太郎「俺も咲いたらしい」 ゆみ「そうか、おめでとう」 京太郎「こっちこそな」 久「おめでと」 ゆみ「ところで、いつまでそうしているんだ?」 久「あ、そうね。用は済ませたから……よいしょっと」 京太郎「ふぅ、急に首周りが寒くなったな」 智美「わはは、迎えに来たぞー」 ゆみ「蒲原、どうしてここに」 智美「ユミちんの合格を祝うために決まってるじゃないか」 ゆみ「まったく、もし不合格だったら……いや、ありがとう」 智美「わはは、礼には及ばないぞ」 京太郎「せっかくだし、一緒に昼飯どうだ?」 久「そうね、無事合格決めたことだし」 ゆみ「ああ、構わない」 智美「それじゃ、車回してくるからちょっと待ってて――」 「「ちょっと待てっ!」」 智美「なんだなんだ、ちょっと待っててほしいのはこっちだぞ」 京太郎「お前、今なんつった?」 智美「だからちょっと待っててって」 ゆみ「その前だ、その前!」 智美「礼には及ばない?」 京太郎「戻りすぎだ!」 ゆみ「ふざけているのか!」 智美「二人とも元気良すぎだぞ。ここはドライブで気分を――」 「「それだっ!!」」 久「ちょっとちょっと何事?」 智美「わはは、さっぱりだぞ」 京太郎「わかれよっ、むしろお前がわかってなきゃダメだろ!」 ゆみ「とりあえず近場で済ませよう。蒲原、車は?」 智美「もうあったまってるぞ」 ゆみ「できれば凍結させといて欲しいな……徒歩で向かうからどこかに駐車しておいてくれ」 智美「なるほど、それで食後のドライブに備えるんだな」 京太郎「お前は車内を頭文字Gで台無しにしたいのか……」 久「よくわかんないけど、集合場所は駅前ね。美穂子もこっち来てるみたいだし」 智美「わはは、了解」 智美「えーっと、それじゃあ二人の合格を祝して――乾杯っ!」 美穂子「おめでとうございます、二人とも」 ゆみ「ありがとう。受かっていて正直ホッとしたよ」 京太郎「俺みたいのが合格して、なんか申し訳ない気もするけどな」 久「もし落ちてたら私の苦労に見合わないでしょ」 京太郎「主に苦しんでたのは俺だから……」 智美「わはは、巻き添えで簀巻きにされたぞ」 ゆみ「簀巻きにされたのはちゃんと勉強しないからだな」 京太郎「むしろ簀巻きに関しては俺が巻き込まれた感ある」 久「結託して逃げ出そうとするからでしょ」 ゆみ「結局は足の引っ張り合いで自滅していたが」 美穂子「まぁまぁ、お料理も来ましたし、冷める前にいただきませんか?」 久「そういえば、卒業の方は大丈夫なの?」 京太郎「なに言ってるんだよ。そこまでヤバいことはしてないっての」 智美「わはは、女性関係はヤバイことになってたり」 京太郎「それと卒業は関係ないから!」 久「もはや否定すらしない……というより、できないってところね」 美穂子「……」 京太郎「うっ、非難がましい目と悲しい目……」 智美「モテる男は辛いなー」 ゆみ「いい加減にしておけ、蒲原。そもそも卒業が心配されてるのはお前だぞ」 智美「わはは、耳に痛い」 久「簀巻きにされるほど頑張ってたんだから、ねぇ?」 智美「頑張らされていたとも言う」 京太郎「まったくだよ……」 京太郎(てか、簀巻きにした側が言う事じゃねぇよ) 美穂子「でも、こうしてこの場を設けられたわけですし」 久「まあ、全滅したらしたで名目が慰める会になってただけなんだけど」 美穂子「もう、久ったら」 京太郎「気にすんな、みほっちゃん。久ちゃんの鬼畜っぷりはいつものことだから」 久「ほう?」 智美「ついでにユミちんの非道っぷりも」 ゆみ「……聞くに堪えないな」 久「じゃあ、あれね。この怒りは雀卓にぶつけましょう」 京太郎「雀卓は友達じゃないのかよ」 久「サッカーボール一色の部屋に住んでる人と一緒にしないでよ」 美穂子「なら、そろそろ出ます?」 久「いつものとこに行きますか」 京太郎「久ちゃんの暴れっぷりが見られるわけだ」 智美「わはは、応援してるから頑張れ」 久「なに言ってるの?」 ゆみ「お前たちもやるんだ」 京太郎「もう、もう麻雀は勘弁してください……」 智美「わはは……死ぬ……」 美穂子「だ、大丈夫ですか?」 久「なに言ってるのよ」 ゆみ「まだまだこれからじゃないか」 京太郎「……やばい」 智美「あれは相当根に持ってる……」 京太郎「ここはどうする?」 智美「素直に頭を下げよう」 京太郎「待て、ちょっと想像してみろ」 久『ダメ』 ゆみ『ダメだな』 智美「……殺られる」 京太郎「……殺られるな」 智美「もう逃げたいぞ……」 京太郎「よく見ろ、加治木がさりげなく退路を塞いでる」 智美「わはは、ノーフューチャー……」 まこ「……」 久「あ、まこおかえり」 ゆみ「お邪魔している」 美穂子「ごめんなさい、ちょっと騒がしくしちゃってるけれど」 まこ「まぁ、お客さんが増えるのは悪いことじゃあないがの……」 京太郎「」 智美「」 まこ「こがぁなとこに死体転がしとくのは迷惑じゃけぇ、はよ片付けんかい」 久「そうね」 ゆみ「ほら起きろ、蒲原」 智美「うぅ……」 美穂子「京太郎さん、起きてください」 京太郎「うっ……天使がいる……天国か」 久「まだ寝ぼけてるなら、もう半荘いっとく?」 京太郎「間違った……地獄だ……」 ゆみ「それじゃあ」 美穂子「また今度、呼んでください」 智美「したらなー」 久「まだ雪あるし気をつけてね」 美穂子「ええ、久たちも」 智美「わはは、帰りはドライブだなー」 ゆみ「それだけは絶対にない」 京太郎「……お前らホントに気をつけろよ」 久「さ、私たちも帰る?」 京太郎「だな」 久「送ってくれてありがと」 京太郎「いつものことだろ」 久「いつものこと、ね……そのいつもって、まだ続くの?」 京太郎「あん?」 久「その……大学、行く気あるのかなって」 京太郎「……まだ、どうしようか迷ってる」 久「そ、なら早めにね」 京太郎「ああ、そうだな」 久「明日はバイト?」 京太郎「まぁな。今度東京行かないといけないし」 久「……」 久「はぁ……」 まこ「部室まで来てため息かい」 咲「あの、京ちゃんは?」 久「さぁね。今頃東京じゃないの?」 咲「東京……」 優希「優希ちゃんのおかえりだじぇ!」 まこ「おかえり。買い物はバッチリかの」 優希「おう!」 和「私がいなかったら、お金を全部タコスに使ってましたよね?」 優希「た、タコスには私のコンディション維持という重要な役目が……」 まこ「ま、一個ぐらいなら大丈夫じゃけぇ」 久「もう部費の中からタコス代は分けといたほうがいいんじゃない?」 咲「今までも部費を使ってたんじゃないんですか?」 久「半分はね。あとはほとんどあいつの自腹よ」 咲「うわぁ……」 和「竹井先輩、お久しぶりです」 久「そんなにかしこまらないでよ。その方がこっちも楽だし」 優希「じゃあタコス代ちょーだい」 久「私にたかるんじゃないの」 優希「こうなったら頼みの綱は先輩! ……ってあれ、いないじぇ」 久「あいつは東京よ」 和「卒業旅行でしょうか?」 久「さぁ、むこうでやることがあるみたいだけど」 まこ「ほうか……で、半荘どうじゃ?」 久「そうね、せっかくここまで来たんだし」 優希「はいはーい! 私も打つじぇ」 咲「えっと、和ちゃんはどうするの?」 和「私は買ってきたものをしまいますから、咲さんが打ってください」 咲「うん、わかったよ」 久「いっちょ揉んでやりますか」 咲「それじゃ、また明日」 和「お先に失礼します」 優希「お疲れだじぇー」 まこ「で、あんたは?」 久「えー? もうちょっといちゃダメ?」 まこ「戸締りせんと帰れんじゃろが」 久「じゃあ鍵だけ置いてってよ。私がしとくから」 まこ「……まぁ、あんたなら大丈夫かの」 久「まだまだ顔利くしね」 まこ「悪用しないように」 久「わかってるってば」 久「……」 『……全国、行けるかな?』 『俺が、つれていくよ』 久「約束、守ってくれたのよね。それも二回も」 『知ったことじゃないな。俺は俺の好きなようにやるさ』 『バカみたい。強引でこっちの気持ちは考えないってわけ?』 『だけど、久ちゃんの隣にいる』 久「とか言ってたくせに、この前のインハイが終わってからは好き勝手しちゃって」 久「……そっか、その時にはもう、ちゃんと約束は果たしてたのよね」 久「だから私、受験勉強なんてさせてたんだ」 久「やだな、束縛ってやつだ」 久「……今頃、東京でなにしてるのやらね」 久「やっぱり、宮永照と……」 京太郎「ちわーっす」 久「……」 京太郎「なんだよ、微妙な顔して」 久「別に、東京にいると思ってたから」 京太郎「日帰りだよ、日帰り。さっきこっちに帰ってきたんだ」 久「やることってのは済ませてきたわけ?」 京太郎「まぁな」 照『……そっか、やな予感はしてたけど』 京太郎『照ちゃんには、最初に言わなきゃって』 照『それはそれで特別、なのかな』 京太郎『……一番キツいだろうから、後に回すとさ』 照『私が最初ってことは……そういうことだよね』 京太郎『ああ、多分それで正解だ』 照『よりにもよってあの女なんだ……』 京太郎『叩かれても殴られても……最悪刺されてもかまわないと思ってる』 照『そんなこと、しないよ。京ちゃんには幸せになってほしいから』 京太郎『照ちゃん……』 照『あ、でもあの女がイヤになったら、いつでも私のとこに来てもいいから』 京太郎『そうならないように気をつける』 照『私はいつでも待ってるから』 京太郎「……さすがにキツかったけどな」 久「なにやってきたかは、察するけど」 久(……向こうの気持ちがわかるってのも問題よね) 久(なんか、自分のことみたい) 久「それで、帰って来るなり学校に来てどうしたのよ」 京太郎「さっきまこっちゃんに会ってさ。久ちゃんがため息ついてるからなんとかしろって」 久「はぁ……そこ座って」 京太郎「なんだよ、いきなり」 久「いいからいいから」 久「重くない?」 京太郎「問答無用で座ってきて言うことかよ」 久「別にいいでしょ。いつだったかもこうしてたし」 京太郎「二年前だな。部長がいなくなったあとだっけ」 久「……あの時は二人だけだったのにね」 京太郎「幽霊部員はいたけどな」 久「いないも同然だから問題なし」 京太郎「つーか、俺たちもう麻雀部じゃないだろ」 久「あ、そういう寂しいこと言っちゃう?」 京太郎「寂しいことでも、前に進まなきゃな」 久「そうね、なら私も言っておかないと」 京太郎「このまんまでか?」 久「この状態なら顔見えないでしょ? 見られてたら恥ずかしいし」 京太郎「つまり恥ずかしいことを言うと」 久「いいから黙って聞く」 久「……一年の最初は、ずっとウザったく思ってた。でも、ちゃんとこっちに引き戻してくれて」 久「二年のときはまこが来てくれたけど、あんたがいなかったら個人戦にも出てなかったと思う」 久「それで、三年生になって、一年生が三人も来てくれて……」 久「……あんたが三年生で良かった」 久「だって、私一人だったら、あんなとこまで行けなかった」 久「京太郎がいなかったら、インハイで優勝なんて……」 久「だから、今までありがと」 京太郎「……きっと、俺が三年じゃなくても同じだったよ」 京太郎「仮に、俺が咲たちと同じ新入生で久ちゃんと面識がなくても、きっと麻雀部に入ってた」 京太郎「そんでもって、久ちゃんを支えてた」 久「……なんでそう言い切れるのよ」 京太郎「さぁ、そういう運命なんじゃないか?」 久「根拠ないし、適当なこと言ってるでしょ」 京太郎「たらればの話なんてみんな似たようなもんだろ。起こりようがないんだし」 久「夢ないこと言っちゃってさ」 京太郎「それに、俺はこれからもって言葉が聞きたいな。だから――」 京太郎「好きだよ、久ちゃん」 久「……遅い」 京太郎「ごめん」 久「信用できない」 京太郎「厳しいな」 久「でも……私も好き」 京太郎「久ちゃん……」 久「京太郎……」 「なんだ、まだ残ってた……ってお前ら!」 京太郎「げっ」 久「あーあ……」 久「すっごい怒られちゃったわね」 京太郎「当たり前だろ。あれでもまだ手加減されてた方だぞ」 久「顧問の先生で良かった」 京太郎「まったくだ」 久「……それでさ、これからどうするの?」 京太郎「そうだな……とりあえず大学に入るよ」 久「とりあえず?」 京太郎「そうしたら傍にいられるだろ」 久「動機が不純ね」 京太郎「入る理由なんてどうでもいいんだよ。問題はその後だろ」 久「そうかも。けど、聞きたかったのはそれじゃないのよね」 京太郎「つーと?」 久「さっきの続き、しないの?」 京太郎「ああ、それな……久ちゃん」 久「んっ……」 久「よろしくね、これからも」 京太郎「もちろん、こっちこそな」 久「ね、家にお邪魔してもいい?」 京太郎「うちの母さんのうざったさに我慢できるならな」 久「そんなのいつものことでしょ」 京太郎「それもそうか……そうだ、ついでに墓参りでもしてやってくれ」 久「そうね」 京太郎「あいつも久ちゃんと付き合い長いし、きっと喜ぶよ」 久「また泣きそうになったら胸貸してあげる」 京太郎「ああ、そうしてくれ」 『エンディング――今までと、これからも』
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――――― ―― そろそろ夜が明ける。 私は、中々眠れなかった。 昼間眠ったせいもあるけど、いつもの頭痛の倍くらいの痛みが私を襲っていたから。 「……死ぬ、かあ……」 私は呟いてみた。 自分が死ぬなんて思っていない。だけど、もし死んだらどうなるんだろう。 考えただけで、怖くなる。 目の前が霞んできた。 バカだな私、変なこと考えるから……。 「死にたくない……っ、死にたくない……!」 溢れ出てくる涙を堪え、私は暗い部屋で呟いた。 ――――― ―― ドア スー 梓「こんにちはー」 律「あれ?今日は梓一人?」 梓「はい、学園祭も終わりましたから、皆さん受験勉強頑張ってるみたいです」 梓「(ほんとは、きっと来にくいんだと思うけど……)」 律「最近あいつら来ないからさー。寂しかったぞー、梓!」 梓「すいません……」 律「いいけどさ。ほら、座りなって」 梓「はい……」ガタッ 律「そうだ、梓」 梓「なんですか?」 律「新しい部員、まだ見付からない?」 梓「あ、はい」 律「そっか……。もっとちゃんと勧誘しとけばよかったな」 梓「……はあ」 律「もうすぐ私ら卒業しちゃうしさ、梓一人寂しいもんなあ……」 梓「……そんなこと」 律「あるだろ?」 梓「……」 何も答えない梓の頭を、 律も何も言わずにぽんっと叩いた。 律「我慢しなくていいんだぞー?」 梓「うぅ……」 律「梓はもっと、素直になって、甘えていいんだよ」 ――――― ―― 学園祭が終わり、冬になった。 一時期危険なときもあったが、私はなんとか今まで生き延びていた。 最近、皆受験勉強とか何とかで来てくれない。 それを埋めるかのように、梓が私のところに通い詰めてくれた。 年も明け、“私たち”はもうすぐ卒業だ。 だから梓を一人、軽音部に残すことになる。 『梓はもっと、素直になって、甘えていいんだよ』 あの時そう言うと、梓は『嫌です』と首を振った。 『そんなことすると、先輩たちと永遠の別れみたいに思えちゃいます』なんて 言いやがった。 そんなあずさに、何か『放課後ティータイム』として残したいと思った。 その何かは、すぐに思いついた。 これなら梓だけじゃなく、澪たちにも何か残せるはず。 私は、歌詞を書く手を止めて窓の外を見た。 もうすぐ春がやってくる。 今年は桜が綺麗に咲くのかな。 『卒業は終わりじゃない』 この次は……。 ――――― ―― 卒業式が無事に終わり、私は部室に居た。 先輩たちが、私の前で楽器を持って立っていた。 「梓、聴いてほしい曲があるんだ」 「あずにゃんの為に作ったんだよ!」 「え?でも今はもう……」 ガチャガチャ! 突然、ムギ先輩がラジカセを弄り始めた。 私がそれを驚きながら見詰めていると、懐かしい音が聞こえ始めた。 「……律、先輩?」 ~~~ . 律「あ、そうだ」 それはある寒い日のことだった。 まだ心の整理ができていなかった澪たちが、暗い顔で病室を訪れた時、律は突然、 そう言った。 梓「お願い、ですか?」 律「そう、お願い」 唯「りっちゃんのお願いなら何でも聞いちゃうよ!」 律「へへっ、なら何でも……」 唯「あー、嘘嘘!やっぱり叶えられる範囲で!」 紬「それで、なんのお願い?」 律「あ、うん。あのな、放課後ティータイムの曲をさ、カセットに残さない?」 澪「どういうこと?」 律「ほら、もうすぐ私たち卒業じゃん?だから、寂しがり屋の梓のために……」 梓「私は寂しがり屋じゃないですっ!」 律「あー、はいはい。まあ、それでな、私たちの曲カセットに残したら、寂しくないと 思うし、いつも繋がってるって思わない?」 紬「そうね……。それ、いいかも!」 澪「でもちょっと待てよ!どうやってするんだよ?第一律は……」 律「そう、私は入院中だ!そこで、だ!私が外出許可を取れるように一緒に頼んで 欲しいというのが、お願い!」 唯「えぇ……」 紬「でも、りっちゃん……」 律「後悔したくないんだよ、私。今やらなきゃ、だめな気がするから」 唯「……!」 律「だから、やろうぜ?久しぶりにドラムも叩きたいし」ニッ 澪「……わかった」 それからその次の日、律は外出許可が出た。 病院から学校へと直行する。 律「まずは何から録る?やっぱふわふわかな」 梓「初めはアップテンポの曲がいいんじゃないですか?」 澪「そうだな、アップテンポので」 唯「それじゃあ早速やろう!」 紬「待って、その前にお茶にしましょう」 いつもの部活のようだった。 律はずっと、笑顔だった。 皆の表情も、次第に笑顔に変わっていった。 . 最後の曲が終わると、律はまた病院に戻ることになっていた。 その曲が終わった帰り際、律は梓が先に部室を出て行ったのを確認すると、 帰る準備をしていた澪たちに声を掛けた。 律「あのさ。あともう一曲だけ、やりたい曲があるんだけど」 ――――― ―― もういないはずの律先輩の叩くドラムの音の上に、 澪先輩のベースが、ムギ先輩のキーボードが、唯先輩のギターが、乗っかっていって、 切ない旋律を紡ぎだす。 「この曲の歌詞は、律が作ったんだ」 「結局、最後まで歌詞書けなくて、私たち全員で書いたんだけど」 「りっちゃんや私たちの想いがいっぱい詰ってる曲なんだよ、あずにゃん」 ――――― ―― 律「これ」ピラッ 紬「天使に、ふれたよ……?」 律「うん、まだ歌詞は途中なんだけどさ……。ムギ、作曲頼んで良いか?」 紬「……うん」 律「それでまた今度、梓がいないときにこの曲をカセットに録音しない?歌詞は ちゃんと考えとくから。卒業式のとき、これ聴かせたら梓、絶対泣いちゃうだろうなあ」ククッ 唯「そ、卒業式の日に一緒に演奏すればいいじゃん!」 律「……卒業式出られるかどうかわかんないからさ。一応、念のために」 澪「でも、何で急に……」 律「急にじゃねーよ。澪たちが受験勉強とかなんとかで来なかったときにさ、梓一人で 見舞いに来てくれてたんだよ。そん時、梓すっげー寂しそうな顔しててさ? だから何かしてやりたいって思ったの」 唯「りっちゃん……」 律「それに……、こうしたらまた、澪たちと演奏、できるだろ?」 律「私、やっぱり皆で演奏すること、好きなんだなって改めて思った。いつまでも 演奏してたいくらい。……それは無理なんだけど」 『私のこと、忘れないで欲しい』 『ずっとずっと、いなくなっても覚えておいて欲しい』 律の目が、声が、そう言っていた。 律「……ほんとはさ……、私が皆の心に残してやりたいんじゃなくって、 残りたいのかもな……」 律はそう言って、咽び泣いた。 澪たちはただ、律の身体を抱き締めた。 その頃にはもう既に、律の身体はぼろぼろだった。 澪「なあ律」 律「……ん?」 澪「『これからも仲間だから』」 律「……え?」 澪「この歌詞の空白の部分」 澪「(ずっと我慢してたんだ、律だって、ううん、律が一番辛いはずなのに)」 唯「(なのに皆のことをちゃんと考えてくれてた)」 唯「ここは『離れてても同じ空見上げて』とかどう?」 紬「(私たちこそ、りっちゃんの為に何かしたい!)」 紬「曲、浮かんで来ちゃった!その次は『ユニゾンで歌おう』とかどうかしら?」 律「……みんな……」 律「――ありがとな」 ――――― ―― 律先輩がいなくなった喪失感に囚われていた。 先輩たちが卒業しちゃうことを意識して、よけいに寂しくなった。 寂しさや悲しさや、そんなものが色々ごちゃまぜになって疲れていた私の心に、 その音楽は響いてきた。 枯れたはずの涙が、また溢れ出てくる。 「でもね 会えたよ!素敵な天使に」 三人の歌声が、綺麗にハモっていく。 「卒業は終わりじゃない」 『これからも仲間だから』 そして、先輩たちの声に、もう一人の歌声が重なった。 律先輩の声だった。 ――――― ―― 『天使にふれたよ!』をカセットに録音し終えたその日の夜、 律は突然逝ってしまった。 最期は母親と父親、そして弟に看取られて、眠るように死んでいったらしい。 桜、澪や皆と一緒に見たかったな。 律が息を引き取る直前、律はそんなメールを送ってきた。 病院で携帯の使用は禁止されているのに。 律が死んだと聞かされた後、混乱していた澪は呆然と、 もう一度律から送られてきたメールを開いた。 それにはもう一つ、軽音部の皆へのメッセージが添えられていた。 ――――― ―― 駅のホーム、河原の道 離れてても 同じ空 見上げて ユニゾンで歌おう 先輩たちも、泣いていた。 だけど、それでも最後まで歌い続けてくれた。 でもね 会えたよ!素敵な天使に 卒業は終わりじゃない これからも仲間だから 『大好きって言うなら 大大好きって返すよ』 先輩たちの演奏が、律先輩の歌声が、教えてくれる。 私は決して一人じゃないと。 これからも仲間だから、と。 曲が終わってしまう。 私は立ち上がった。 ねえ、律先輩。 私、今なら素直になれる気がします。 だけど。 「あんまり上手くないですね!」 今はまだ、律先輩が居た頃の自分でいます。 だって、まだ、律先輩は私にとっての部長だから。 私たちの、仲間だから。 ――――― ―― 『忘れ物 もうないよね』 私は、母さんから借りた携帯をゆっくり閉じると、 目を瞑った。 さっきから凄く眠気がする。 頭の中で、皆と演奏した曲が、次々と流れていく。 頭がぼんやりしてくる。 最後の力を振り絞って、私は歌った。 「ずっと、永遠に一緒だよ」 終わり。 戻る
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バウッツェル No.927 タイプ:フェアリー 特性:こんがりボディ(受けた炎タイプの技を無効にし、防御が2段階上がる) 隠れ特性:アロマベール(味方へのメンタル攻撃を防ぐ) 体重:14.9kg(けたぐり・くさむすびの威力20) 入手可能ソフト:SV 第9世代出身犬仲間 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 菓子パン 57 80 115 50 80 95 マフィア 80 120 90 60 70 85 バリイドドッグ 72 101 100 50 97 68 いいね! 88 128 115 58 86 80 ばつぐん(4倍) --- ばつぐん(2倍) どく/はがね いまひとつ(1/2) かくとう/むし/あく いまひとつ(1/4) --- こうかなし ドラゴン ※特性が「こんがりボディ」の場合、ほのお無効 第9世代で登場。 本作で登場した犬ポケモンの1体。本作では他にマフィティフとハカドッグが登場している。 ついでにウインディとヘルガーとルカリオとイワンコもいるので、本作だけで犬パが組めるぞ! 何?格闘が来たら終わる?こいつとハカドッグで何とか…。 ↑DLCで新たに登場したキタカミの犬が格闘半減でいいね!って思ったけど今度は地面がキツいな。 食べ物モチーフのポケモンだが、タマゴグループはソフトクリームと同じく鉱物である。 ↑ソフトクリームはまだ分かるけどこいつの鉱物要素どこだ? ↑元ネタであるプレッツェルは塩(ミネラルであり鉱物要素)をまぶすのでそれ由来? でもこいつの見た目に塩要素まったくないしな…。ガチガチに焼き固めてあるので鉱物扱いにしたのかも。 ↑↑いやむしろソフトクリームの鉱物要素が分からんwww ↑バニプッチの説明によると氷柱から産まれたらしいのでミネラル豊富な硬水が凍った氷柱から産まれたんでしょ(適当) ちなみに名前の由来になっているプレッツェルは元々ドイツの焼き菓子。 ドイツモチーフの地方が将来登場したらバウッツェルの再登場やリージョンフォームにも期待したい。 こいつの色違いがめっちゃ甘やかして育てたイーブイに見える。 進化前のパピモッチはレベル18という序盤からじゃれつくが使えるため、旅パにも最適。 攻略に適したレベル的に大空のヌシやチーム・セギン相手に大活躍できる。 レベル21でじゃれつくを覚える上ちからもちまであるマリルが対抗馬か。 特性こんがりボディは炎技を無効にしてBを2段階上げられる。 これのお陰でサブに炎技を控えるドラゴンの相手が特に得意。 Hは低いもののフェアリーで物理受けを担えるポケモンは希少のため、炎対策も兼ねてタイプ統一パにも優しい一匹。 ポケモンカード「ミライドンex」のイラストでは遠い未来でも姿を変えていない事が判明…こいつってパラドックス? アニポケでは23年6月2日放送の第9話にて進化前のパピモッチが登場。リコのお父さんのポケモン。 9話では、リコと仲がいいことに拗ねていたニャオハの元に良い匂いのクッションを持っていき、一緒に寝るほど仲良くなっていた。可愛い。 バウッツェル ネタ型テラレイド型 ただの犬型 覚える技レベルアップ 技マシン(SV) タマゴ技 遺伝 ネタ型 テラレイド型 テラスタイプ かくとう(プランA)、フェアリー(プランB) 性格 ずぶとい等防御補正系 特性 こんがりボディ(プランA)、アロマベール(プランB) 持ち物 かいがらのすず 技(プランA) ボディプレス/まもる他プランBの技で使えそうなの 技(プランB) とおぼえ/どろかけ/じゃれつく/てだすけ/マッドショット/バークアウト等他プレイヤーのサポートできる技 パッと見テラレイドで強い要素の見当たらないポケモンであるが実はピンポイントながらも他にできない活躍をやってのける実力者である こんがりボディならば元が炎タイプのポケモンに使うことで炎技の無駄うちを誘いつつ自動で強化されるボディプレスでアタッカーになることができる アロマベールの場合はマルチでちょうはつの無駄うちを誘いつつサポートに回ることが可能 ただの犬型 性格:知らん 技:(飼い主の顔を)したでなめる/(おもちゃに)じゃれつく/(すれ違った一般人に)ほえる/(骨型ガムに)かみつく パルデアの一般家庭で飼われていそうなわんこ。 他人にやたら吠えまくるアレな犬にならないよう躾はちゃんとしましょう。当然かみつくなんて論外。 覚える技 レベルアップ SV 技 威力 命中 タイプ 分類 PP パピモッチ バウッツェル 1 1 たいあたり 40 100 ノーマル 物理 35 1 1 なきごえ - 100 ノーマル 変化 40 3 3 したでなめる 30 100 ゴースト 物理 30 6 6 しっぽをふる - 100 ノーマル 変化 30 8 8 ほしがる 60 100 ノーマル 物理 25 11 11 かみつく 60 100 あく 物理 25 15 15 つぶらなひとみ - 100 フェアリー 変化 30 18 18 じゃれつく 90 90 フェアリー 物理 10 22 22 ふるいたてる - - ノーマル 変化 30 26 29 バトンタッチ - - ノーマル 変化 40 30 33 ほえる - - ノーマル 変化 20 33 38 すてみタックル 120 100 ノーマル 物理 15 36 42 あまえる - 100 フェアリー 変化 20 40 47 かみくだく 80 100 あく 物理 15 45 53 とっておき 140 100 ノーマル 物理 5 技マシン(SV) No. 技 威力 命中 タイプ 分類 PP 備考 技01 とっしん 90 85 ノーマル 物理 20 技02 あまえる - 100 フェアリー 変化 20 Lv42 技04 こうそくいどう - - エスパー 変化 30 技05 どろかけ 20 100 じめん 特殊 10 技06 こわいかお - 100 ノーマル 変化 10 技07 まもる - - ノーマル 変化 10 技08 ほのおのキバ 65 95 ほのお 物理 15 技09 かみなりのキバ 65 95 でんき 物理 15 技10 こおりのキバ 65 95 こおり 物理 15 技20 くさわけ 50 100 くさ 物理 20 技25 からげんき 70 100 ノーマル 物理 20 技30 バークアウト 55 95 あく 特殊 15 技35 マッドショット 55 95 じめん 特殊 15 技37 ドレインキッス 50 100 フェアリー 特殊 10 技47 こらえる - - ノーマル 変化 10 技49 にほんばれ - - ほのお 変化 5 技50 あまごい - - みず 変化 5 技55 あなをほる 80 100 じめん 物理 10 技63 サイコファング 85 100 エスパー 物理 10 技66 のしかかり 85 100 ノーマル 物理 15 技70 ねごと - - ノーマル 変化 10 技79 マジカルシャイン 80 100 フェアリー 特殊 10 技84 じだんだ 75 100 じめん 物理 10 技85 ねむる - - エスパー 変化 5 技89 ボディプレス 80 100 かくとう 物理 10 技103 みがわり - - ノーマル 変化 10 技108 かみくだく 80 100 あく 物理 15 Lv47 技127 じゃれつく 90 90 フェアリー 物理 10 Lv18 技130 てだすけ - - ノーマル 変化 20 技132 バトンタッチ - - ノーマル 変化 40 Lv29 技139 ミストフィールド - - フェアリー 変化 10 技152 ギガインパクト 150 90 ノーマル 物理 5 技163 はかいこうせん 150 90 ノーマル 特殊 5 技171 テラバースト 80 100 ノーマル 特殊 10 技172 ほえる - - ノーマル 変化 20 技203 じこあんじ - - ノーマル 変化 10 技204 すてみタックル 120 100 ノーマル 物理 15 Lv38 技205 がむしゃら - 100 ノーマル 物理 5 技227 みわくのボイス 80 100 フェアリー 特殊 10 タマゴ技 ※の付いた技はものまねハーブによる引継ぎのみ。 技 威力 命中 タイプ 分類 PP 遺伝経路 あまいかおり - 100 ノーマル 変化 20 ヒメグマ(レベル17) ねがいごと※ - - ノーマル 変化 10 ラブカス(レベル13)、フラベベ(レベル20)、イルミーゼ(レベル22)、サーナイト(レベル28)など あくび - 100 ノーマル 変化 10 ナマケロ(レベル1)、ヒポポタス(レベル8)、ネッコアラ(レベル16)、ホゲータ(レベル17)など とおぼえ - - ノーマル 変化 40 デルビル・ガーディ・ヒスイガーディ・ポチエナ(全てレベル4)など まねっこ - - ノーマル 変化 20 ウソッキー・ルカリオ(レベル1)、イーブイ(レベル30) 遺伝は全てドーブルでもOK。 遺伝 タマゴグループ 陸上/鉱物 性別 ♂:♀=1:1 進化 パピモッチ(Lv26)→バウッツェル
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30 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/01/08(金) 23 47 21 ID ??? 正月帰省したら、妹が骨ダイスをプレゼントしてくれた。 俺様は思わず「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と呟いてしまった。 そうしたら「マジせ死ね」とドスの聞いた声で言われ、それから俺様が帰るなでの三日間 「はい、そうですね」と「いいえ、ちがいますね」の二つしか言わない。 あまりにも大人気ない対応だろ。 おかげで、ダイスを見る度に沸々と怒りが蘇り、非常に好戦的なプレイになるが、 俺は全然困じゃない。 31 名前:ロリナ妹サーティーン[sage] 投稿日:2010/01/08(金) 23 52 29 ID ??? 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 折角のプレゼントにそんな言い方しちゃ可哀想だろ? 妹さんから冷たい反応が返ってきたって自業自得だ。 32 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/01/09(土) 00 02 10 ID ??? ノ ミ卍 謝れ、いい年した妹にお年玉と成人式祝いを一編にせびられた上ありがとうも言われ無かった俺に謝れ! 33 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/01/09(土) 00 16 12 ID ??? >「はい、そうですね」と「いいえ、ちがいますね」の二つしか言わない。 これに気づいた時点で安価スレを建ててればなんとかなったかも知れないというのに 34 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/01/09(土) 00 28 55 ID ??? 32 それは親の教育が悪いので、親にねじ込めばいい。 お礼も言えないなんて!まったく親の顔がみたいものだ! 35 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2010/01/09(土) 00 37 02 ID ??? そして32は親にお年玉をせびった スレ250
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おいしい顔 梅のちから 元気なからだ自然を食べてとりもどそっ! 自然のめぐみを大切にして手間ひまを惜しまずつくる頑固な職人衆の味を、産地からお取り寄せします。他店では見かけない紀州梅干、はちみつ、湧き水(近日中に掲載予定の)など逸品ぞろいです。
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「よし!これから君の名前はロナウジーニョだ! 前よりいい名前じゃないか!よかったよかった!」 デビル初音の魔の手から逃れるために東京の転送装置に入った姓名判断士は転送された先でもニックネームを変更し続けていた。 …ただし、今回ニックネームを変更したのは国名であったのだ。 【一日目・18時30分/ロナウジーニョ(ブラジル)/天候・晴れ】 【姓名判断士@ポケモンシリーズ】 【状態】健康 【装備】不明 上半身裸 【道具】支給品一式 【思考】基本:参加者のニックネームを変更していく 1:前よりいい名前じゃないか!良かった良かった ※ブラジルがロナウジーニョに変更させられました。