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仮面のルイズ-1 仮面のルイズ-2 仮面のルイズ-3 仮面のルイズ-4 仮面のルイズ-5 仮面のルイズ-6 仮面のルイズ-7 仮面のルイズ-8 仮面のルイズ-9 仮面のルイズ-10 仮面のルイズ-11 仮面のルイズ-12 仮面のルイズ-13 仮面のルイズ-14 仮面のルイズ-15 仮面のルイズ-16 仮面のルイズ-17 仮面のルイズ-18 仮面のルイズ-19 仮面のルイズ-20 仮面のルイズ-21 仮面のルイズ-22 仮面のルイズ-23 仮面のルイズ-24 仮面のルイズ-25 仮面のルイズ-26 仮面のルイズ-27 仮面のルイズ-28 仮面のルイズ-29 仮面のルイズ-30 仮面のルイズ-31 仮面のルイズ-32 仮面のルイズ-33 仮面のルイズ-34 仮面のルイズ-35 仮面のルイズ-36 仮面のルイズ-37 仮面のルイズ-38 仮面のルイズ-39 仮面のルイズ-40 仮面のルイズ-41 仮面のルイズ-42 仮面のルイズ-43 仮面のルイズ-44 仮面のルイズ-45 仮面のルイズ-46 仮面のルイズ-47 仮面のルイズ-48 仮面のルイズ-49 仮面のルイズ-50 仮面のルイズ-51 仮面のルイズ-52 仮面のルイズ-53 仮面のルイズ-54 仮面のルイズ-55 仮面のルイズ-56 仮面のルイズ-57 仮面のルイズ-58 仮面のルイズ-59 仮面のルイズ-60 仮面のルイズ-61 仮面のルイズ-62 仮面のルイズ-63 仮面のルイズ-64 仮面のルイズ-65 仮面のルイズ-66 仮面のルイズ-67 仮面のルイズ-68 仮面のルイズ-69前半 ※1ページに収まらないため2分割で登録 仮面のルイズ-69後半 仮面のルイズ-70前半 ※1ページに収まらないため2分割で登録 仮面のルイズ-70後半 仮面のルイズ-71 仮面のルイズ-72 仮面のルイズ-73 仮面のルイズ-74 仮面のルイズ-75 仮面の番外編 仮面ルイズの違和感
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その男は訝しがることもせず使い魔の契約を受け入れた。 どこの田舎者だとルイズが尋ねると、男は辺境の村で農夫をしていたと応えた。 眼に見えて落胆するルイズに何も言うこともせず、その日から男の使い魔としての生活が始まった。 男は有能であった、炊事に洗濯、その他の雑用など男は何も言わず淡々とこなしたし、寝床が床であろうと食事が使い魔のエサであろうと文句一つ言うことすらなかった。 そんな男に馬鹿にされているとルイズが癇癪を起こしたことがあったが、しかしいくら鞭で叩いてもいつもと変わらない陰鬱な表情を崩さない男にルイズの感情は長続きしなかった。 次第にルイズは男のことを気味が悪いと思うようになった。 ギーシュと決闘でそれは頂点に達した。 ワルキューレ達に滅多打ちにされる男、体中から血を流し、常人なら昏倒するほどの傷を受けながら男はいつもの陰鬱な表情をまったく揺らさなかったのだ。 そしてむせ返る血の匂いにギーシュが嫌になり始めたころ。 「気は済んだか?」 ただ一言そういい置いて、折れた足を引きずりながらヴェストリの広場を男は後にした。 誰も一言も口を利けなかった、それは男の雰囲気に呑まれたと言うだけではない。 服が破れ、流れ出た血で赤黒く染まった男の背中には、夥しい数の傷跡が刻まれていた。 その傷の数と、醜く引き攣れた火傷の跡が残る背中が空想のなかでしか戦を知らない若き獅子の子供達を思いとどまらせたのだった。 だがその背中を見ていたのは平和を謳歌する魔法学院の生徒たちだけではなく…… ルイズと男の仲が進展したのは“土くれ”が学院を襲った時である。 これまでルイズは主人でありながら使い魔として男をどう扱っていいか分からなかった。 だが身を挺してフーケの攻撃から庇ってくれたと言うのになんの感謝の言葉も言わないのでは貴族として誇りが許さない。 それからはルイズの別の形で苦悩に満ちた日々が始まった。 どうやって主人と使い魔の形を崩さずにお礼をすればいいのか? そう言うことばかり考える毎日だった。 男の方にもそんなルイズの気持ちは伝わったらしい、いつもの陰鬱な顔を僅かに緩めながら男は今日も雑用と畑仕事に精を出す。 だがもっとルイズは気に掛かるべきだったのだ、どうやって男が破壊の杖――M72ロケットランチャーの直撃を真正面から受けながら僅か全治2ヶ月程度の怪我で済んだのかと言うことを。 そしてついにその時は来た。 「はっはー、燃えろ、燃えろぉぉぉぉ!」 燃え盛る炎、真っ赤に真っ赤に人と家屋と空気を焼き焦がす炎。 その光景を見たとき、男の血は凍りついた。 「――相棒? おい、どうした、相棒!?」 男の異常にデルフリンガーが叫ぶが、しかし今の男にはその言葉は届かない。 「貴様……」 男の声に、先ほどまで炎を撒き散らしながら高笑いを上げていた白髪の男はゆらりと振り向いた。 「ほう、これは見誤っていたようだ。匂いからしててっきり燃えカスかと思っていれば……」 そうして鉄で出来た棍棒のような杖を振り上げる。 「燃え残りの種火の中にこんな極上品が残っていたとはな!」 そしてメンヌヴィルは白く輝くほどの炎を放った、だが今の男にとってそれはなんら障害とは成りえない。 系統魔法を無効化する魔剣デルフリンガーがある上、男にはハルケギニアにはないある技術がある故だ。 男はゆっくりとデルフを構えその切っ先をメンヌヴィルに合わせる、ここ数年ただの一度も抱いたことのない殺意を込める。 不意に視界の端に鏡が映った、おそらく今の自分はおぞましい怪物の顔をしていることだろうと考えて…… 「だめぇぇぇえええええええええええ!」 “頸”を込めた一刀で叩き切ろうとした炎の前に、男の主が飛び出して来たのは次の瞬間のことだった。 まさに刹那の出来事だった。 男を焼き尽くすはずだった炎は一人の少女が身を持って壁となったことで進路を変え、男の隣を通り過ぎていく。 その視界の端には鏡があった、生徒の素行を監視するためその場所で起こったほんの少し前の出来事を記録し映し出す魔法の鏡。 焼け焦げ、爛れたその鏡には男を庇おうとする主の必死の姿と――そして戦魔が映っていた。 「きぃぃさぁぁぁまぁぁぁああああ!!!!!」 男の全ての感情が塗りつぶされる。 主が消えたことでゆっくりと薄れていく左手のルーンがまばゆいばかりの漆黒の輝きを放つ。 それは憎悪。 人一人が紡ぎだしたとは信じられないほどの極大にして純粋な憎悪の輝きだった。 その輝きにその場にいる者全てが心臓の鼓動を打つのさえ忘れ、ただ恐怖した。 炎の蛇もメイジ殺しもそして歓喜に震える白き炎さえ。 自分が死んだと錯覚した。 もっとも血と焔に餓えた盲目の傭兵だけは、二度とその心臓を動かすことはなかったが。 全てが終わった後、男は炎によってルイズの姿が焼きついた鏡を持って姿を消した。 男の名はヴァレル、ヴァレル=アワード。 かつてその陰惨を極める戦い方から戦魔と謳われた一人の傭兵である。 以上、作品は榊一郎氏の「ストラグル・フィールド~鏡のなかの戦魔~」より「戦魔ヴァレル=アワ-ド」を召喚でした。 キャラ的にはコルベール先生とメンヌヴィルを足して2で割った感じの人です。
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ルイズが呼び出したのは数十枚の裏の模様が共通の絵札と腕につけ絵札をセットするために作られたような盤だった。 召喚のやり直しを要求するルイズだが監督のコルベールはそれをそれを却下しルイズにそれと契約するようきたした。 しぶしぶといった感じでとりあえず絵札に口付けるルイズ…だが、その途端ルイズは苦しみだし気絶してしまった。 彼女は医務室へと運ばれていった。 なお、使い魔のルーンはコルベールが確認したところ一番上の絵札の表側に刻まれていた… それによりとりあえず進級の方は認められたようだ。 翌日姿を見せたルイズの雰囲気は激変していた… なんというか今まで品位等には気を使っていたのに衣類は雑に着こなし朝から飲酒。 食堂を出た後には完全にふらついていた。 手には昨日召喚した盤をつけていた… さらに最初のシュヴルーズの授業でも明らかにやる気がなくふざけた態度、激怒したシュヴルーズは 周りが止めるのも聞かず彼女に錬金をやらせたが彼女はめんどくさそうに行った錬金は失敗、 爆発によりシュヴルーズは気絶してしまった。 何人かの目にはいつもと違いまるで成功させるという気概さえもないようにさえ思えた… これらのルイズの激変は召喚したのが変なものだったせいで狂ってしまったようだ…と周囲には認識された。 別にもともと問題児だ。気にするほどでもないと大体の者は思ったが… ただ、元々は成績的問題児だったのが素行的問題児になったというのには参ったもんだと思ったようだが… その様子だ…いつ問題ごとを起こしてもおかしくない… 案の定、昼食時に早速厄介ごとが起こった。 食堂でギーシュが2股がばれたのを飲んだくれていたルイズが思いっきり笑ったのだ。 他の連中も笑っていたがルイズの笑いは他の笑ってる人間が笑いをとめてそちらを見るほど大きく 心底から笑っているようだった。まして今のルイズはチンピラの様… 明らかに自分より落ちぶれた人物に笑われ黙っているギーシュではない。 ギーシュは怒りに任せて彼女に決闘を申し込んだ。ルイズはそれをカモが来たのを喜ぶ様に笑い受けた。 ヴェストリの広場にて対峙する2人。まずはギーシュがワルキューレを呼び出した。 所詮はルイズと侮ってるのか彼女を挑発する。 「先に仕掛けたまえ、無駄だと思うがね」 それを聞いたルイズはそれを鼻で笑う。 「いいわよ…あんたこそ一体だけでいいの?それじゃあつまらないわ…」 やや、酔っ払い気味のルイズのその言葉に怒ったギーシュはワルキューレを7体に増やした。 それを確認したルイズは盤に束ねてセットしてあった絵札を一枚抜き盤の別の場所に置いた。 その瞬間、ルイズの前に竜に近い外見で金属製のゴーレムが現れた。 「なッ!?」 絶句するギャラリーとギーシュ。ルイズは相変わらずの調子で言う。 「ねぇ、ギーシュ。あなたギャンブルってやったことある?なんか、急に興味でてきてさぁ…ちょっとやってみない? こいつはね、頭と手のところに弾丸が3発ずつ装填されてるの…最大装填数は6だから確率は2分の1… このギャンブルでやると最大3回一気に攻撃できるの…じゃあ…始めましょうか!ロシアンルーレット!!」 ルイズがそう言うとゴーレムを構成するパーツの3箇所が回転を始める。そして停止。 「2発アタリね…リボルバードラゴンの攻撃!!ガンキャノンショット!!」 銃弾はワルキューレ2体を粉々に打ち砕いた…動揺したギーシュはワルキューレ1体をルイズへと向かわせるが リボルバードラゴンが前に立ちはだかる。 「話聞いてなかった?この方法でやると…つまり普通に攻撃もできるのよ? 一体だけ向かわすなんてお馬鹿さん…リボルバードラゴンの迎撃!!ガンキャノンショット!!」 その攻撃でワルキューレがまた一つ砕かれた。さらにうろたえるギーシュ。 「あらぁ!?何もしないのぉ!?じゃあ、また私の番ね…リボルバードラゴンの銃弾も装填されたし… ロシアンルーレット!」 再び一部が回転するリボルバードラゴン。そしてまた止まる 「3個当たり…ついてるわぁ…ガンキャノンショット!!」 ワルキューレの数は一気に1体になった。呆然とするしかないギーシュ。 「呆けた隙に銃弾装填♪ロシアンルーレット!!」 弾倉が回る…ギーシュに不吉を告げる弾倉が…と、ルイズが口を開いた… 「ああ!言い忘れてたわ!場に撃つ物がなかったらねぇ…撃たれるのはギーシュあなただから」 「え?」 語られた事実に一瞬呆けるもギーシュは慌てて静止をかける。 「ま、待ってくれ!僕が悪かった!僕の負けでいい!謝るから!許してくれ!」 「許してあげたいのはやまやま何だけどねぇ…一度稼動したら止まらないの… これぞロシアンルーレットってことかしらねぇ?」 ルイズは苦笑いを浮かべた。といってもわざとらしい苦笑いであったが… いや…そもそも攻撃が止まらないといっても目標まで変えられないわけではなかったりする。 つまり、ルイズはギーシュの命で完全に遊んでいた… 「そ、そんな…」 蒼白になるギーシュ。そして弾倉の回転が止まり銃声が響いた… 「…アタリは1発…ワルキューレのみ撃破…運が良かったわねぇ、ギーシュ~?アハハハ!」 気絶し下半身を湿らせたギーシュに向かいそう言うとルイズは去っていった… それから数日後… 盗賊土くれのフーケにより学院の宝物庫から黒き召喚の板なるマジックアイテムが盗まれたらしい… ルイズはフーケの討伐に暇つぶしとでもいうように参加した… フーケのアジトと思われる小屋の前でルイズ、キュルケ、タバサは様子を伺っていた。 3人をここまで案内した学院長秘書のロングビルは周囲を偵察してくるいってといってしまっていた 「で、どうするの?」 「誰か一人がいって様子を見てくる」 タバサが提案する。だが、ルイズが動いた。 「まどろっこしいわねぇ…フーケから攻めさせてフーケを倒した後に回収すればいいじゃないの」 「あんたね。いくらなんでもそりゃあ無謀ってもんよ。大体どうやってフーケの方から仕掛けさせるの? 挑発なんて罠があること丸わかりでしょ?」 「ならこうすればいいでしょ」 ルイズは絵札の束からカードを選び出し盤にセットする。 「罠・魔法カード 守備封じ発動!!」 としばらくして、近くの草むらからロングビルが現れた。だが、様子が変だ。 「ちょっと!?どうなってるんだい!?クッ…」 彼女は杖を振ろうとする。だが、表情や時たま起こる硬直からは自身の動きに抵抗しているような節が見られた。 だが、それを振り切るように彼女の手は杖を振る。その瞬間、地面から巨大なゴーレムが出現する。 「なっ!?」 「!?」 驚愕するキュルケとタバサ。だが、ルイズだけはその事実を淡々と享受し嘲笑を浮かべていた。 「なるほど…ずいぶんとせこい真似してくれるわね…ロングビル…いえ、土くれのフーケさん?」 図星をつかれた彼女は顔を歪ませるもどうやらもう自由になったらしい体でゴーレムの肩に飛び乗る 「チィ…まあいい…お前さんの持っているそれはどうやら宝物庫にあった秘法と同じ物らしい… どうやらその絵札がないと使えないみたいだけど…あんたからいただくことにするよ!!」 ゴーレムが向かってくる。だが、ルイズはあざけるかのような笑みを浮かべ新たな絵札を盤に置く 「出てきなさい…デモニックモーターΩ!!」 次の瞬間ルイズとロングビル…フーケのゴーレムの間にどこか禍々しい姿をした光沢を持つ ゴーレムが出現した。それがフーケのゴーレムを迎撃する。 「デモニックモーターの迎撃!!攻撃名は…そうねぇ…ヴァリエールクラッシャー!!」 デモニックモーターの攻撃…ヴァリエールクラッシャーがいとも簡単にフーケのゴーレムを切り裂いた。 フーケは一瞬呆然となるがすぐにゴーレムを再生しようとする。 しかし、タバサとキュルケが捕縛し決着はついた。 ルイズは遊び足りないと呟いたようだが… 「ところで、ルイズ…そのネーミングセンスはないでしょ?」 「別にいいじゃない」 「…いかす…」 「タバサ!?」 フーケを捕らえたあと小屋に入ると黒き召喚の板…ルイズが手につけてる盤と同じ形をしながらも漆黒に染まった それを発見した。ルイズは自分の手にはめているものを外し、絵札の束もそれから外すと 漆黒の盤にそれをさし込み自らの手につける… 「気に入ったわ…」 レコンキスタの間者であったワルドの魔法がアルビオンの皇子ウェールズの体を貫いた。 「これでウェールズの暗殺の任務は完了だ… さて、あとはルイズ…君さえ素直に言うことを聞いてくれればすんなりことは済む… いうことを聞いてくれないかな、ルイズ?」 ワルドがルイズに問いかける。だが、ルイズは体をただ振るのみ… 怯えていると思ったワルドは彼女に優しく言葉をかける。 「怯えなくていい…君が何もしなければ僕も」 と、震えがとまりルイズが顔上げ…そして叫んだ。 「あ~!?ふざけたこといってるんじゃないわよ!!このカスが!! 私はあんた如きの命令をきくなんざクソ食らえよ!!」 「ッ…ならば仕方ない…ウェールズの後を追って…!?」 ワルドは気づく…いつの間にかウェールズのいた場所の付近に霧が出現しているのに… その霧の中から何かが出てくるのに…それはおそらく入れ物…そう思えた… 「皇子様の後ぉ!?何言ってんのよ?ほら~!」 その入れ物が開く…中から現れたのはわけのわからないといった感じの表情のウェールズ。 「なっ!?」 「罠カード発動…タイム・マシーン!!あんたにやられる前の皇子様をおとりにしてそのちょっと前の皇子様を 呼び寄せたのよ…残念だったわね」 「クッ…ならばもう一度!!」 ワルドが杖を振り魔法を放つ。状況を理解してないウェールズは回避できない。と、 「アハハハ!!罠カード発動!!メタル化魔法反射装甲!! 殿下…失礼ですが少しの間、体をメタル化させてもらうわ!!」 ルイズのいうとおりウェールズの体は金属となる…それにワルドの魔法が直撃する。 それを見て愉快そうにしながらルイズはワルドへと口を開く… 「この罠はねぇ…対象の体をを私のモンスターと同じ…対魔法仕様フルメタルに変化させるの… そして…」 次の瞬間、ウェールズに命中した魔法はワルドの元へと反転し向かう。 「魔法攻撃を攻撃してきた馬鹿のほうに反射させるの!! ちなみに私が横に侍らせてるのも反射はしないけど魔法は効かないわよ?残念だったわね。 そしてあんたの魔法の攻撃力を殿下の攻撃力に変換!! 殿下の攻撃力も400ポイントアップした…微弱ながら攻撃力は逆転したわ!」 跳ね返った魔法がワルドに直撃しワルドが消える… 「チッ…遍在か」 「そういうことさ…」 ルイズの前に3人のワルドが姿を見せる。 「本体は別の場所さ…まさか、君がここまでやるとは思わなかった…今回は退かせて貰う」 「逃がすか…くたばれ!カスが!!」 ワルドの遍在…その一人の首に奇妙な輪が装着される。そしてそれが爆発しワルドの遍在一体を消し飛ばした。 「無駄だ…なっ…!?」 瞬間…残りのワルドの遍在が消えた… そして彼の本体は… 「馬鹿な…」 口から大量の血を吐き出し…そして崩れ落ちた… 「フフフ…罠カード 破壊輪…自身の分身で近しい能力を持つ遍在を破壊した… ダメージは甚大でしょうねぇ…生きていても味方に救出してもらえるか…それともそのまま力尽きるか…」 ルイズが対するは7万の軍勢…その軍勢を前にしてもルイズの表情は変わらない。 その表情は相変わらず相手を舐めきった傍若無人なものだった… 「アハハ!…嬲り殺しがいがありそうねぇ…それに上も私一人に殿を任せてくれるなんてわかってらっしゃる!」 ルイズはそういいながらいつものように…それでいて少し厳かに絵札の束から一枚の絵札を選び…抜いた… その札に語りかける… 「あ~…はいはい、わかってるわよ…そろそろ、私を遊ばせるだけじゃつまらなくなってきたんでしょ? …ったく…いいわよ…思う存分暴れ狂いなさい!!」 叫びながらルイズは絵札を漆黒の盤の上に置く…いつもより重たい雰囲気が漂い… そしてそれは出現した…邪悪なる波動を持つ凶つ神… ルイズのコントラクトサーヴァントにより絵札にルーンが刻まれしもの… それを利用し、自らの力を増幅し自らの元々の邪悪なる力と元々の持ち主の病んだ魂の残光によりルイスを蝕んだ… その存在の名は 「邪神イレイザー!!!」 降臨したそれにアルビオン軍は一瞬ひるむ…だが、それに向かっていく… それが圧倒的な存在感を放っていても… と、ルイズが呟く。後から呼び出したリボルバードラゴンの上に乗りながら… 「邪神イレイザーの攻撃力は敵の物量に依存する… あたしを蝕んだ癖にとんだヘボい能力だけど… 相手は7万…敵1つにつき1000ポイントらしいから…7000万…これなら充分やれるでしょう?」 向かってくるアルビオン軍を迎撃せんと邪神は口をあける。 「邪神イレイザーの攻撃!!ダイジェスティブ・ブレース!!」 その攻撃は一気に多数のアルビオン軍を消し去った… しばらくして…邪神は弱っていた…邪神の力は敵が多ければ多いほど高まり少なければまた弱まる… 弱まった邪神は確実にダメージを受けていた。 どうやら魔法に対し抵抗自体は持っているようだがルイズがそれまでに使用した存在たちと違い 完全に受け付けないというレベルではないらしい。 そしてついに邪神が倒れる。 その様子をルイズは笑みを浮かべ見ていた… 「あらら~…やっちゃった♪」 ルイズがそう呟いた瞬間だった…邪神の体からそのサイズを超える量の黒い…血液が流れ出した。 それは戦場一帯に染み込み血の池を作っていく…そして… 「…この馬鹿使い魔はね…やられるとその場にいた他の連中も巻き添えにするの… 味方がいると巻き添えにしちゃうしホントこんな時にしか役に立たないわね!! まったく使い勝手が悪いったらありゃしないわ!! …フフフ…アハハ!!!」 ルイズがそういった瞬間…血の池はその場に存在するすべてを飲み込んだ…主であるルイズさえも… だが、飲み込まれる最後までルイズの顔は快楽に歪んでいた… 数日後…血の池に飲み込まれたはずのルイズはトリステインへと帰還する… その時、彼女の無事を尋ねた者たちにルイズはこう語ったという… 「地獄ってのもなれりゃあ、結構快感なものなのねぇ…何であんなにみんな苦しがるのかしら?」 こともなさ気にそういったルイズに人々は恐怖した… もはや彼女は魔法のつかえない落ちこぼれで嘲笑の対象ではなかった…彼女の方が人々を嘲笑する… 魔法を受け付けぬ鋼鉄の襲撃者達… そして、それをも凌ぐすべてを無(ゼロ)に帰す凶つ神を従える… 敵から希望も命もすべてを快楽を以てして無に帰す彼女を侮蔑の意味を込めて改めてこう呼んだ… ゼロのルイズ…と…
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「ドラゴンクエストモンスターズ+」よりスラおを召喚。 ゼロのルイズと魔物の勇者-01 ゼロのルイズと魔物の勇者-02 ゼロのルイズと魔物の勇者-03 ゼロのルイズと魔物の勇者-04 ゼロのルイズと魔物の勇者-05 ゼロのルイズと魔物の勇者-06 ゼロのルイズと魔物の勇者-07 ゼロのルイズと魔物の勇者-08 ゼロのルイズと魔物の勇者-09
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++第四話 ゼロのルイズ②++ 「これは?」 「あんたの朝食よ」 床に置いてある皿を指差して、ルイズは言った。 皿の上にはいかにも固そうで、まずそうなパンが乗っている。 それと、おまけ程度に肉のかけらの浮いたスープ。それだけだ。 「椅子は?」 「あるわけないでしょ。あんたは床」 確かに自分は使い魔になると言った。でも、この仕打ちはあんまりじゃないだろうか。 花京院の中で葛藤が生まれる。ここまでされても許すのか、それとも怒るのか。 しかし、ルイズはさっさと花京院を無視し、食事の前の祈りを始めてしまった。 「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします」 他の生徒たちの唱和も重なり、食堂に響き渡る。 怒るタイミングを逃してしまい、花京院は握り締めた拳を下ろした。 食事はお世辞にもおいしそうとは言いがたいが、あるだけましだ。もし、彼女に召喚されていなかったら食事にさえありつけなかったかもしれない。 それに比べたらましだろう。たぶん。 パンを一口かじってみたら、予想通り固かった。 明日からはなんとかしよう。絶対に。 花京院は静かに決意した。 朝食を終えると、生徒たちはそれぞれ教室へと移動する。 ルイズと花京院がやってきたのは大学の講義室のような教室だった。 二人が教室に入ると、生徒の視線が二人に集中する。 からかうような視線や好奇心むきだしの視線に、思わず花京院は反感を覚えた。 笑い声の木霊する教室を歩き、席につく。 「あんた、なに椅子に座ってんのよ」 ルイズが文句を言うが、さすがにここまでは譲れなかった。 鋭い視線をルイズに向け、花京院は言った。 「このぐらいは構わないだろう」 穏やかながらも、その言葉に含まれたものを感じ取ったのか、ルイズはもう何も言わなかった。 扉が開いて、教師が入ってきた。 紫色のローブに身を包み、帽子をかぶった中年の女性だ。ふっくらとしていて、優しい雰囲気を漂わせている。 「あの人も魔法使いなのかい?」 「当たり前でしょ」 呆れたようにルイズは言う。 花京院は教師に視線を向けたまま、密かにスタンドを出してみた。 彼のスタンド、『法皇の緑(ハイエロファントグリーン)』を床の下で移動させ、教室の中央の空間に出現させる。 もしも、スタンド使いならば何らかの反応があるはず。 そう思ってのことだったが、教室にいる生徒はぴくりとも動かなかった。どうやら本当にスタンドが見えていないらしい。 スタンド使いはいない。そう考えてもよさそうだ。 花京院は何食わぬ顔でスタンドを回収した。 何も気付かなかった教師はまん丸の瞳で教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 シュヴルーズはルイズの隣に座る花京院を見て、目を大きくした。 「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 とぼけたシュヴルーズの声に、教室に笑いが巻き起こった。 ルイズはうつむいている。 笑い声に満ちた教室で、誰かの声が響いた。 「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 その時、ルイズは立ち上がった。 長い、ブロンドの髪を揺らして、鈴の音のような澄んだ声で怒鳴る。 「違うわ! きちんと召喚したもの! こいつが出て来ちゃっただけよ!」 「嘘つくな! 『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」 ルイズは声の主をにらみつけると、シュヴルーズに視線を移した。 「ミセス・シュヴルーズ! 侮辱されました! かぜっぴきのマリコルヌがわたしを侮辱したわ」 「かぜっぴきだと? 俺は風上のマリコルヌだ! 風邪なんか引いてないぞ!」 「あんたのガラガラ声は、まるで風邪でも引いてるみたいなのよ!」 マリコルヌは立ち上がり、ルイズを睨みつける。 教壇に立ったシュヴルーズは首を振って、小ぶりな杖を振った。 立ち上がった二人は糸の切れた人形のように、すとんと席に落ちた。 「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はおやめなさい」 いさめるようなシュヴルーズの言葉に、ルイズは申し訳無さそうにうなだれる。 いつもの生意気な態度が嘘のような変わりようだった。 「お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません。わかりましたか? 「ミセス・シュヴルーズ。僕のかぜっぴきはただの中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」 くすくすと教室から笑いがもれる。 シュヴルーズは厳しい顔で教室を見回し、杖を振った。 忍び笑いしていた生徒たちの口に、どこからか現れた赤土の粘土が張り付く。 「あなたたちは、その格好で授業を受けなさい」 教室は静かになった。 こほんと咳払いをすると、 「それでは授業を始めますよ」 そう前置きをして、シュヴルーズは説明し始めた。 魔法に興味のあった花京院は熱心に授業を聞いた。 わからないところはルイズに聞きながら、魔法についての知識を吸収していく。 魔法には『火』『水』『土』『風』という四つの基本的な属性がある。 その他に、失われた系統魔法の『虚無』があるが、今は使えるものがいない。 属性を組み合わせることによって、より強力な魔法が使える。 組み合わせられる属性の数によってメイジのレベルが決まるようだ。 そこまで聞いたところで、シュヴルーズの説明は終わった。 「それでは、実際にやってみてもらいましょう」 誰に当てようか生徒たちの顔を順々に眺めていたシュヴルーズはルイズと目があった。 シュヴルーズは柔らかい笑みを浮かべた。 「ミス・ヴァリエール。あなたにやってもらいましょうか」 生徒の視線がルイズに集まる。そのどれもが恐怖と心配の入り混じっていた。 いつまでも立ち上がらないルイズを花京院は不思議に思った。 「行ってきたらいいじゃないか。ご指名だろう?」 花京院も促すが、ルイズは困ったようにもじもじするだけだ。 シュヴルーズは再度呼びかけた。 「ミス・ヴァリエール! どうしたのですか?」 「先生」 おずおずと手を上げたのはキュルケだった。 「なんです? ミス・ツェルプトー」 「やめといた方がいいと思いますけど……」 「どうしてですか?」 「危険です」 キュルケは、きっぱりと言った。 その言葉に、教室のほとんど全員が頷く。 ルイズのこめかみがぴくりと震えるのを花京院は見た。 「危険? どうしてですか?」 「先生はルイズを教えるの初めてですよね?」 「ええ。でも、彼女が努力家だということは聞いています。さぁ、ミス・ヴァリエール。やってごらんなさい。失敗を恐れていては、何もできませんよ?」 「ルイズ。やめて」 キュルケが蒼白な顔で言った。 しかし、ルイズは立ち上がった。 「やります」 緊張した顔で、ルイズは教室の前へと歩いていった。 花京院はその様子を後ろから眺める。 「そう緊張しなくても大丈夫ですよ。錬金したい金属を強く心に思い浮かべるのです」 ルイズの隣でシュヴルーズは笑いかけた。 こくりと、小さな頭が上下に動く。 机の上に乗った小石を睨みつけ、ルイズは呪文を唱え始める。 その様子はいかにも魔法使いらしくて、花京院は少し感心した。 ルイズは呪文を唱え終えると、杖を振り下ろした。 ――その瞬間、机ごと小石は爆発した。 爆風をもろに受けたルイズとシュヴルーズは黒板に叩きつけられた。 机の破片があちこちに飛んでいき、窓ガラスを割り、何人かの生徒に当たる。 爆発に驚いた使い魔たちが暴れだす。キュルケのサラマンダーが火を吐き、マンティコアが窓から飛び出していく。 外から大蛇が忍び込み、誰かのカラスを飲み込んだ。 教室の至るところから悲鳴が起こり、物の破壊音が響き渡る。 キュルケは立ち上がると、ルイズを指差した。 「だから言ったのよ! あいつにやらせるなって!」 「もう! ヴァリエールは退学にしてくれよ!」 「俺のラッキーが! ラッキーが食われたー!」 花京院は呆然とその光景を眺めた。 黒板に叩きつけられたシュヴルーズは床に倒れたまま、ぴくぴくと痙攣している。 ルイズの顔はすすで真っ黒になり、制服もぼろぼろだった。 しかし、さすがというべきだろうか。ルイズは落ち着いていた。 顔についたすすをハンカチで拭い、淡々と感想をもらした。 「ちょっと失敗みたいね」 当然、他の生徒たちが反発した。 「ちょっとじゃないだろ! ゼロのルイズ!」 「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」 花京院はやっと、『ゼロのルイズ』の意味を悟った。 そして、これからの行く末に暗雲が立ち込めていくような、そんな気がした。 ゼロのルイズに、スタンド使いの自分。 どちらもこの世界では異端の存在のようだ。 そんな二人が、果たしてこのまま無事にいられるのだろうか。 花京院の不安は尽きることがなさそうだった。 To be continued→
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「宇宙の!」 ドッカーーン! 「何処かにいる!」 ドッカーーン! 「清くて!」 ドッカーーン! 「美しい!」 ドッカーーン! 「史上最強の!」 ドッカーーン 春の使い魔召還の儀式。 そこでルイズは何度も何度も失敗して爆発を巻き起こしていた。 「おいおい、どれだけ爆発を起こせば気が済むんだよ。」 「所詮、ゼロはゼロなんだから、いい加減に諦めろよ。」 キッ! 完全にルイズを見下したヤジに殺気を込めた視線を送る。 監督係の教師、コルベールは発言をした生徒の評価を下げる事を心の中で決めてる。 そしてすまなそうにルイズに話しかける。 「ミス・ヴァリエール。他の生徒の召還が残っていますので…」 「わかっています!でも…。いいえ、私は向こうでやっていますから、お願いします!」 ルイズのまさに『必死』と言って良い表情にコルベールも言葉が詰まる。 彼は知っている。ルイズの座学は非常に優秀である事を。 魔法理論において誰よりも努力をしている事を。 そして本来、魔法に失敗しても何も起こらない事を。 「わかりました。あなたが努力家である事は知ってますからね。」 「あ、有難う御座います!」 ルイズは盛大にコルベールへ頭を下げた後、向こうへ走って行った。 既に他の生徒全員が召還を終えていたが、ルイズだけは爆発を起こし続けていた。 当初は鬼気迫る表情で魔法を失敗し続けるルイズに思う所があったのか他の生徒もヤジを飛ばさず見ていた。 しかし、時間が経つ内に厭きだしてコルベールに部屋に戻って良いかどうか聞き出していた。 コルベールは当初、渋い顔をしたが、ルイズがいつまで経っても成功しそうに無い事から、認めるしか無いのであった。 一人、一人、この場から生徒がいなくなる事は気配でわかったが、それでもルイズは召還魔法を唱えては爆発を起こし続けていた。 日も暮れだした頃、その場に残っていたのはコルベール、キュルケ、タバサの三人だけであった。 ルイズの姿は酷いものであった。服はボロボロ、顔は埃まみれ、腕からはところどころ血を流している。 満身創痍としか言いようが無かった。 「どうして、どうしてなのよ!!」 悲痛な叫びと共に杖を振るう。 ドッカーーン! 巻き起こるは非情にも爆発。 「はは、ははははは」 ルイズは笑った。しかしその笑みは虚ろで、何の感情もこもっていなかった。 そしてルイズは何処か晴れ晴れしてた表情でコルベールに頭を下げて言った。 「コルベール先生、有り難う御座います。もう、いいです。」 「…そうかね、ご苦労だった。ミス・ヴァリエール。部屋で休みたまえ。」 「はいっ!」 言ってルイズは走り出した。両目いっぱいの涙を浮かべながら。 「ちょっと、ルイ…」 キュルケの言葉はコルベールによってさえぎられた。 タバサはそんな二人を興味深そうに見ている。 「先生…。」 「ミス・ツェルプストー、ミス・ヴァリエールの事を思うなら今は一人にしてあげましょう。」 真剣なコルベールの表情に軽く頬を染めて、うっとりしながらキュルケは頷く。 タバサはルイズを心配しながら,そんな友人に呆れていた。 ルイズが目を覚ますと真夜中であった。枕もシーツも涙で濡れている。 部屋に戻ってからずっと泣いた。 泣き疲れて眠ってしまい、夢の中でも泣いた。 くぅ~ どれだけ悲しくてもおなかは空く。 食堂は閉じているだろうが何かつまめる物は探せばあるかもしれない。 そう思い、ドアを開ける。 するとナプキンが掛けられ、中に何かが載せられているのがわかる大きめの皿とワインとグラスが置いたトレイがあった。 ナプキンを取ると冷めても食べられるサンドイッチが置いてあった。 誰かが…、キュルケあたりだろう…がメイドに頼んで置かせたのだろう。 トレイを持って部屋に戻り、ワインをグラスについでからもそもそとサンドイッチを食べ始める。 するとルイズの瞳にまた涙が溢れる。 感謝か情けなさか自分でもわからない。 ワインをかなり飲んだがまるで酔いがまわって来ない。 しばし呆然としながら,ルイズは窓から空を見上げる。 今も双月が静かに輝いている。 「この場所から見える月も、これが最後か…」 召還の儀式は進級の試験を兼ねているのだ。 それに失敗したとなれば名家の恥として実家に呼び戻され、一生閉じ込められる事になるだろう。 悔しい! ギュッと杖を握る。無駄だと分かっていながらも口語の呪文が口から零れる。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我が“運命”に従いし、“使い魔”を召還せよ。」 ゲートが、生まれた。 そりゃあもうあっさりと。 もともとゲートは開けますが何か?と言わんばかりである。 ルイズは呆然となる。 それはそうだ。今日何十回…いや、何百回と言える程唱えては失敗した魔法が成功したのだ。 驚かない方がどうかしている。 ゴクッ… ルイズは思わず息をのむ。 今このゲートの向こう側に自分の属性にあった動物か幻獣がいる筈である。 「な、なにが出てくるのかしら…。」 バサッバサッ ルイズの言葉に応えるように大きな羽の羽ばたきが聞こえてくる。 音の出どころは…ゲートだ。 そして、ゲートから現れたそれは高らかに笑いながら名乗った。 「ふはははは!」 「ふはははは!」 「私は!私は!」 「夜の帝王!!」 現れたそれを一言で言うならば…『かばこうもり』であった。 かばのように巨大な顔、それに対して体は余りに矮小であった。 いや、こうもりの体に比べればずっと大きいが、巨大な顔に対し不釣り合いな大きさであった。 ルイズは混乱の極みにあった。 召還に成功した事実による驚愕。 目の前にいる存在を今まで見た事が無い事。 それがなんと喋った事。 人間の言語を喋る動物は『韻獣』と呼ばれ、希少な存在として知られている。 更に言うなら目の前にいるかばこうもりは自分自身を『帝王』と言ったのだ。 そこまで自分を大きく言うには自信が無いと出来ない。 だが、そんな事よりも、ルイズは、深刻で、どうしても、聞かねばならない事があった。 「ねえ、あんた。自分の事を『夜の帝王』って名乗ったわよね。」 帝王は帝王らしく尊大に答えた。 「うむ。そのとおりだ。」 「ちなみに昼間は?」 やはり帝王は帝王らしく(以下省略)。 「寝てます。」 ツュドム!! 後日、ヴァリエール家に二通の手紙が届いた。 一通はルイズから二年生へ進級の知らせ。 もう一通は、トリステイン魔法学校からルイズによる女子寮半壊に対する請求書であったそうな。
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前ページ次ページヘルミーナとルイズ あのときから数えて、三度目の冬が訪れていた。 ルイズとヘルミーナはろくに人の手も入っていない、岩がごろごろと転がっている山道を登っていた。 日はまだ高い。この調子なら目的を果たすのに多少手間取ったとしても、今晩はテントの中で落ち着いて休むことができるだろう。 今更堅い床では眠れないなどというやわな神経は、両者とも持ち合わせていなかった。 「それでルイズ、道は大丈夫なんでしょうね。こんな物騒なところは用事が済んだらさっさとおいとましたいところなんだけど」 そう言ったのはヘルミーナ。 彼女は今年で二十三になるそうだが、現れたときの姿とあまり変わっていない。相変わらずの美しさと妖しさで周囲を惹きつけてやまない。 「そう願いたいわね。私だってこんなところまで来たのは初めてだもの、確証なんて持てやしないわ」 そう答えたのは手に地図を持って、ヘルミーナに先行していた桃色の髪の女性。 ――ルイズだった。 あれからだいぶ背も伸びた。ヘルミーナと出会った頃は彼女の方が十サントほど高かったのだが、今ではほぼ同じ身長になっている。 やせっぽちだった体型も、女性的な丸みを帯びたものへと変わっていた。 胸だけは水準以下であるが、ほっそりとした体つきとのバランスが美しく、それは十分に男を惑わせ得るものとなっていた。 だが、何よりの変化は、その目であろう。 もとよりつり目がちだった目は一段とその鋭さを増し、かなりキツイ雰囲気を放っている。 見たものを震え上がらせるような冷酷な目は、以前のルイズにはないものだった。 二人とも旅装を纏っているが、それが野暮ったい印象は与えない。 一般的に動き回るに向いていないメイジや僧侶用のローブを大胆に改造した着こなしは、それだけでセンスの良を感じさせる。 色はヘルミーナは紫を基調として、ルイズは黒。それぞれ二人のイメージと相まって、彼女たちの魅力を最大限に引き出していた。 「巣立ちを迎えていない火竜の幼体、本当に見つかるのかしら」 「こんな眉唾な情報を見つけてきたのはあなたじゃない。でも、もしも本当なら幼体の『竜の舌』、とても貴重だわ」 この二人、一般的なメイジとは違う、少々特殊な存在であった。 曰く、この世界でたった二人の『錬金術師』。 錬金術の練金は土魔法『練金』を意味するものではない。 素材を調合し、全く違う効果を持つ様々な薬やアイテムを作り出す研究者の総称、それが錬金術師である。 それがヘルミーナが召喚された翌日に、ルイズに語って聞かせたことだった。 そして今、彼女たちは旅の空の下にいる。 二人が出会った翌日、ヘルミーナは自分が錬金術師であること、材料の収集中に魔物に襲われ、その先にあったゲートに飛び込んで難を逃れたこと、そして自分は親代わりであった先生を捜して旅をしていたことをルイズに話した。 一方、ルイズはここがハルケギニアという世界であること、ヘルミーナは異世界から来たかもしれないということ、この世界に錬金術というものがないことを伝えた。 この頃になるとルイズも本来の冷静さを取り戻し、お互いに必要な情報の交換が行うことができた。 特に、お互いの関心事については念入りに話し合った。 ルイズにとっては、錬金術のその技。人工生命や死者蘇生、聞いたこともないような途方もない錬金術の奥義の数々。 ヘルミーナにとっては、異世界の存在とそれに付随する様々な未知なる事柄、そしてルイズが喪ったという少年の話。 そうしてお互いの関心事が分かったとき、ルイズはヘルミーナに申し入れたのだ。 『自分に錬金術を教えて欲しい』と。 ルイズのこの申し出をヘルミーナはしばし検討し、結果として承諾した。 そこにどの様な思惑があったのか、神ならざるルイズには分からなかったが、確かなことは自分が一筋の光明をつかんだという事実であった。 ヘルミーナは自分が元の世界へ戻るまでの間、ルイズに錬金術を教える、その代わりに自分が戻るための手助けをして欲しいと言った。 ルイズは一も二もなくこれを快諾し、この世界で最初の『錬金術師の弟子』となった。 そしてその日の夜、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールは学院から失踪した。 あれから三年、ルイズは一度もトリステイン魔法学院を訪れていない。当然ヴァリエール公爵家にも。 今、ここにいるのはただのルイズ。 貴族の名誉も、家族も、友人も、何もかもを捨て去った、ただのルイズであった。 「毎度思うんだけど、空飛ぶ箒ってこういったところでも使えれば便利じゃないかしら」 「仕方がないわ、あれはそういうものだもの。大ざっぱな移動はできてもこういうところを飛ぶのは向いていないわ」 ルイズの軽口にヘルミーナが相づちをうつ。 深い意味はない、毎度の愚痴と切り返しの応酬だ。 ルイズとヘルミーナは弟子と師匠、召喚者と被召喚者という関係にありながらお互い対等の立場をとっていた。 お互いが教師であり生徒、そんな二人は主人と使い魔の証である使い魔の契約、すなわちコントラクト・サーヴァントも済ませていなかった。 ルイズにとって使い魔とは生涯あの少年ただ一人であったし、ヘルミーナ自身も使い魔という立場を望まなかったからだ。 空飛ぶ箒の調合材料である風石の品質、その調合に使われる中和剤の元となるラグドリアン湖の水についてお互いに意見する。 いつも通りの大して実りもない雑談をしばし続けたあと、二人は目的地周辺に到着した。 「情報によればこの辺のはずね。ルイズ、準備は良い?」 「氷属性のブリッツスタッフでしょ。分かってるわ」 ルイズが背負った革袋から強烈な冷気を放つ杖を取り出すと、ヘルミーナも同様にそれを取り出して手に持った。 「標的はあくまで幼体だけ。もしも成体に見つかったら一目散に逃げる。良いわね」 「幼体を見つけたら二人でブリッツスタッフを使ってブレスを使われる前に倒す。手順は覚えてる、大丈夫よ」 彼女たち二人の目的は竜の舌、それも幼竜のそれだ。 竜の舌は錬金術の素材としても大変貴重なものであるが、その中でも幼竜のものとなるとその価値は跳ね上がる。 幼い竜は常にその周囲を成竜たちに囲まれて生活している。 単独で行動する成竜を相手にするよりも、幼竜を相手にする方がよほど骨が折れるのだ。 なぜそのような明らかに危険過ぎる幼竜を、女二人で探しているのか? それは今ルイズが手にしている一枚の紙切れに原因があった。 多数の火竜が生息する火竜山脈、彼女たちはそこへ鉱石の採集が目的でやってきた。 準備を整えるために立ち寄った麓の町に一泊したときのこと、彼女たちは酒場で気になる言葉を耳にした。 それは「火竜山脈の一角で、親とはぐれた幼竜を見かけた」というものであった。 普段ならそんな与太話、酔っぱらいの戯言と聞き流すところだったが、それが火竜山脈近郊で幼竜となると話は別だ。 ヘルミーナとルイズはそれを喋っていた傭兵風の男に近づいて、酒を奢り、しなだれかかり、女の武器を使って詳しい話を聞き出した。 商隊の護衛だという男は、昨日まで火竜山脈の一部を通る護衛の仕事についていたらしい。 多数の火竜が生息する火竜山脈は、ハルケギニアでもトップクラスに危険な一帯であることは間違いないが、山脈のどこへ行っても竜と遭遇するというわけでもない。 竜たちの生活圏の外ならば、その危険度は大幅にダウンする。 無論、群からはぐれた竜が出現する可能性も完全には否定できない、 そういうわけで、彼は竜のテリトリーの外を横断する商隊の護衛任務を引き受けていたらしい。 危険は大きいがその分報酬も大きい、運悪くドラゴンに遭遇しなければしばらく遊んで暮らせる。 そんなことを心の支えにしながら、怯えつつもきちんと護衛の仕事を果たしていた彼は、もうすぐ山脈が終わろうかというところでそれと遭遇したらしい。 まだ翼で飛ぶこともできないよう、幼い竜の子供。 幼竜の周囲に親竜たちがいる。 子育てに神経質になっている成竜たちは非常に好戦的である。 危険きわまりない幼竜と遭遇してしまった彼は、正直なところ死を覚悟した。 けれど、不思議なことに幼竜の周辺には他の竜の姿はなく、商隊が竜を刺激しないように息を殺して歩を進める間も、結局何も現れなかった。 そうして、商隊と男は無事に街へと到着したというのが話の顛末であった。 しきりにルイズのお尻を触ろうとする男をあしらいながら聞き出したのは、なかなかに貴重な情報であった。 最後に男に地図を見せて場所を確認してから、彼女たちは酒場をあとにした。 そして今ルイズが手にしている紙切れこそ、男が幼竜と遭遇したという場所が記された地図であった。 「まだこの辺に居てくれると嬉しいわね」 「ハルケギニアの竜の生態は分からないけれど、目撃されてからまだ三日。この周辺に居ると考えるのが妥当でしょうね」 その『周辺』とやらがどの程度の範囲なのか分からないから困るのだとルイズは嘆息した。 冬とはいえ、火竜山脈は暑い。 山頂付近の蒸し風呂じみた暑さではないにしろ、二人が今いる場所も十分に暖かかった。 加えて、街から山の入り口までは空飛ぶ箒で飛んできたものの、そこからは徒歩。 火竜の幼体がその場所を離れてしまう可能性を考えて、二人は割と強行軍でここまで上ってきている。 ヘルミーナもルイズも、弱音は吐かないものの、美しい顔を流れる汗は正直であった。 「……少し探して駄目なら、一度休憩にしない?」 「……賛成ね。ドラゴンも、もっとじめじめして空気が淀んでる地下に住めばいいのに」 そろそろ付き合いも長くなってきたこの師匠の変な趣味には口出しせず、ルイズはあたりを見渡して休憩ができそうな場所を探した。 ルイズの視界の端を、ちらりと動く何かの影が横切った。 「! ヘルミーナ! あそこ!」 胸元を手で扇いでいるヘルミーナを余所にルイズが指さしたその先、小高く積み上げられた岩の上、そこには赤い獣の姿があった。 大きさは牛ほどもあるだろうか。赤い鱗に覆われ、背中には折りたたまれた翼がある。 間違いない。ハルケギニア原産の火竜種の幼体であった。 ルイズが気づくと同時、幼竜もルイズたちを確認したのか、威嚇の唸りをあげた。 発見したのはルイズ、だが先に反応したのはヘルミーナ。 「ブリッツスタッフ!」 ヘルミーナが手にした杖の先端を幼竜へと向けると、そこから一直線に強烈な冷気が迸った。 同時、幼竜の喉の奥がオレンジに輝き、恐怖と共に語られる火竜の象徴、ファイアブレスが放たれた。 幼くともドラゴンはドラゴン、そのブレスはヘルミーナのブリッツスタッフの冷気を相殺せしめる程の威力があった。 しかも、その余波は二人の肌を軽い熱波をもって炙っていった。 相殺どころか、押し負けている。 熱気と冷気がぶつかり合い、その余波で発生した水蒸気、それによってルイズたちの周囲はまるで霧にでも包まれたかのようになっていた。 「ヘルミーナ! 杖!」 そう言ってルイズは手持ちのブリッツスタッフをヘルミーナに放り投げた。 ブリッツスタッフはその性質上、使えば使うほどに充填された魔力を消費していくマジックアイテムである。 つまり、追撃には初撃以上の攻撃力は望めない。 その最初の一撃がブレスを押し返せないと分かった以上、彼女たちが考えていたブリッツスタッフを使って、遠くから力任せに押し切るという作戦は使えなくなったのである。 真っ白の視界の中、ドラゴンがいた方向へと一直線に駆けるルイズ。 懐から小さな杖とピルケースを取り出し、器用に片手でケースの中身を口に運ぶ。 口に含んだ錠剤を奥歯で噛み砕き嚥下して、次に呪文を唱え始める。 薬の助けを借り、意識と肉体とを切り離す。意識は呪文に集中し、体はただ最初に決めた通りに前へ向かって走るだけ。 そうして彼女は走りながら、見事呪文を完成させた。 霧が薄れ、再び視界が戻ったとき、幼い竜の目にはナイフを片手に持った女が自分へ向かって走ってきているのが映っていた。 このとき、幼い竜は飢えていた。数日前に親竜とはぐれて以来、常に空腹だった。 しばらく前に餌になりそうなものを見かけたが、それは数が多く体が大きく、諦めざる得なかった。 今回見つけた餌はそのときのものと同じ形をしていたが、先のやつよりも小さく、何より柔らかくて美味そうだった。 目の前の餌を食べる。捕食者の頭は、その原始的な欲求を満たすことでいっぱいになっていた。 幼竜の顎が開く。今ぞ高熱のブレスが吐き出されるという段となっても、駆けるルイズに怯みは感じられない。 だが、ドラゴンにしても躊躇いはない。 真っ直ぐに岩場を上ってくるルイズに向かって、灼熱のファイアブレスが浴びせかけられた。 これで終わり、一巻の終わり。 人の身でドラゴンのブレスの直撃を受けて、無事で済む道理などありはしない。 だが、次の瞬間獲物を確認しようとのそりと動いた幼竜を襲ったのは、腕に走る焼け付きような鋭い痛みだった。 「ギッ!」 突然襲った未知の感覚。それは不快で、ひどく幼竜を苛立たせるものだった。 「ギャギャッ!」 体中を使って痛みと怒りを露わにする。 そうしてじたばたと手足を振り回す幼竜から、素早く飛び退いた影一つ。 五体満足で、火傷一つ負っていないルイズの姿。 その手には赤い血を滴らせた、一振りのナイフ。 しくじった。 折角のイリュージョンの魔法が成功したというのに、肝心のナイフは幼竜の腕に傷を負わせることしかできなかった。 正面に投影した幻を囮に使い、自身は側面から奇襲を仕掛ける。そして首尾良く接近したならば必殺の一撃でもって絶命させる。 これがルイズの計画であったのだが、詰めが甘かったとしか言いようがない。 幼竜は未だ健在であるし、そのどう猛さは手負いになったことで、ますます手がつられなくなってしまった。 本来ならこれは一時退却して体勢を立て直すのが定石。だが、それを決行するにはルイズはブレスの射程範囲内部に、深く入り込み過ぎてしまっていた。 引けば丸焼き良くて生焼け、ならば攻めるか? これもまた上手い方法とは考えにくい。 今のルイズの位置は引くには近過ぎるが、攻めるには遠過ぎる。 ならばどちらがマシか? 頭がその回答を導き出す前に、ルイズの体は前へと飛び出した。 弾丸のような俊敏さをもって飛び出したルイズを見て、竜は大きく口を開けた。 喉の奥では既に赤い焔が灯されている、あとはその塊を怒りに任せて吐き出すだけ。 あるいは、幼竜が冷静であったならば、また違った行動に出ていたかもしれない。 自分に躊躇いなく近寄ってくることや、これだけ火を吐いても未だ食事にありつけないでいることで、危険を察知して逃げ出していたかもしれない。 だからそれはある意味では不幸中の幸い、ルイズの功績だったかもしれない。 とにかく、竜は怒っていた。 怒っていたのである。 幼竜の口から、炎の吐息が放たれた。 正面から飛び込んでいったルイズの目の前が、美しいオレンジの光で埋め尽くされる。 それはとても綺麗で、あの夜に、石塀の上から見下ろした闇によく似ていた。 ルイズの耳元で、誰かが囁いた。 ただのルイズになって以来、何度も耳にした甘い誘惑。 (これでサイトのところに行けるのよ) サイト、その名前を思い浮かべただけでルイズの心がキリキリと痛みを感じた。 自分を残してどこかへ行ってしまったあの少年、誰かが書いた悪魔のシナリオの向こう側に消えてしまった大好きだった彼。 そのサイトに逢える、また逢える。 それを思うだけでルイズの体は力を失ってへたり込みそうになってしまう。 「ブリッツスタッフ!」 彼女を幻想から連れ戻したのは相棒の鋭い叫び声だった。 目前に迫った赤い瀑布に、白色の寒波が叩きつけられる。 瞬く間に周囲はもうもうと水蒸気が立ちこめ、視界を奪った。 いつの間にか幼竜とルイズの延長上へとその位置を移動させていたヘルミーナが、ブリッツスタッフに込められた冷気の魔力を解放し、ルイズの背中越しにそれを放ったのだった。 甘美なる誘惑に屈しかけた精神が、強引に現実へと引き戻される。 意識が飛びかけていたそのときも、ルイズの両足はきちんと目標地点へ向けて動いてくれていた。 ルイズが気がついたとき、そこは既に竜の眼前。手を伸ばせば触れられる距離だった。 驚いた幼竜が再びその口を開けてブレスを吐きかけようとする。 だが、四度目のブレスが放たれるより早く、ルイズの手中にある白銀がきらめき、鱗ごとその喉元を真横に切り裂いていた。 ファイアドラゴンの幼子が横たわっている。 その喉元からは赤い血が噴水のように勢いよく噴き出して、周囲を赤く染めていた。 「お見事な手並みだわ」 返り血を浴びるルイズの背後から手を叩く音がする。 ルイズが振り返るとヘルミーナが小さく拍手しながら岩山を上ってきているところだった。 「うつろふ腕輪はあなたに渡しておいて正解だったわね」 非力なルイズが、幼いとはいえ竜の鱗の防御を貫けた要因、ルイズの右手にはめられた腕輪を見ながらヘルミーナが言った。 うつろふ腕輪、人間の力を引き出すことができる腕輪。 しかもルイズが手につているそれはヘルミーナの特別製。武器を使った直接攻撃でなら、ドラゴンの鱗も切り裂けるかもしれないと、以前彼女が笑って話していたものだったのだが、本当に切り裂けたのは驚きであった。 「さて、仕上げね」 幼竜相手とはいえ、竜殺しを成し遂げたという感慨もなく、無表情のままのルイズが倒れた獲物に向き直った。 喉と口から血を溢れさせる幼竜、その口からはヒューヒューと風が抜けるような音が漏れている。 そのどう猛さとはアンバランスなつぶらな瞳が涙に濡れて、鮮血にまみれたルイズを見上げていた。 ルイズはそんな竜の姿を見ても眉一つ動かさずにその場に片膝をつく。 ついた左の膝を竜の下顎に、そして右足の裏を上あごへと当てて、足に力を込めてその口をこじ開けた。 そして、血の海になった口内に目的のものを見つけるとルイズはそれを素早くつかみ、根本からナイフを使って刈り取った。 直後激しく痙攣する幼竜から、ルイズは転がるようにして距離を離すと、ゆっくりと立ち上がった。 その左手には。血まみれの竜の舌。 「終わったわ」 「そう、それじゃ時間も早いし戻りましょうか」 二人は特にそれ以上この件に関して話をすることもなく、先ほど上ってきた山道を下山し始めたのだった。 そのあとには、哀れな竜の骸が一つ。 前ページ次ページヘルミーナとルイズ
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autolink ZM/WE13-T14 カード名:聖国のルイズ カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:1 コスト:1 トリガー:0 パワー:7000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《虚無》? やっぱりサイトってば、私のこと、 大好きでしょうがないんだわ レアリティ:TD illust. 初出:アニメージュ2011年12月号 12/03/16 今日のカード。 12/04/13 今日のカード。 運が良ければ中の人のサイン付き。 トリガーなし1/1/7000バニラがゼロの使い魔にも登場。 「ルイズ」?を含むため、次女 カトレアや長女 エレオノールのパンプ効果を受けられる。 貴族の務め ルイズの経験を満たすために必要な一枚でもある。 そちらの色は黄色だが、一方のこちらは赤。デッキ構築の際には注意したい。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 貴族の務め ルイズ 3/2 10000/2/1 黄
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るるるのルイズ 語源になったのはアニロワ1stに登場する『ゼロの使い魔』のメインヒロインであるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。声優は釘宮理恵。 アニロワにおける彼女のその恐ろしいまでの精神崩壊&狂いっぷりからアニロワ1stの住人だけでなく交流雑談所でも話題になり、いつしかこう呼ばれるようになった。 また、このことから今日のパロロワにおいて、精神崩壊や狂気化したキャラ、もしくはしそうなキャラを『るるるのルイズ化』・『るるるのルイズフラグ』と呼んだりするようになった。 (ルイズだけ除いて単に『るるる化』『るるるフラグ』『るるる』などと呼ぶこともある) ちなみに、そのように呼ばれるキャラは全員、アニロワのルイズ同様原作では考えられないような精神状態に陥っていることが多い。 さらに、これに起因してツンデレのジンクスやくぎみーキャラのジンクスが発見されることとなり、交流所でさらに話題になった。 しかし、アニロワでルイズがこのような末路を辿ってしまったのはキャプテンによる『ゼロの使い魔』およびルイズに対する異常なまでの擁護に対する報復の延長というのも一因であったことを忘れてはならない。 現に漫画ロワに登場したルイズはその汚名を返上するかのような活躍を見せていた。 ※上記のことに関しての詳細はキャプテンの被害(アニロワ編)の項を参照 また、(以下、反転するとネタバレになるので注意)ハカロワの水瀬名雪、テイルズロワのクレスのように、この用語が生まれる以前からアニロワのルイズのような状態になり、住人や読み手に多大なインパクトを与えたキャラも多く存在する。 そういったキャラはまた別の呼び名で呼ばれていることが多い。 他にも、ギャルゲロワの月宮あゆ、漫画ロワの津村斗貴子ニコロワの涼宮ハルヒのように、この用語が誕生した後のロワのキャラにもロワ中の言動などから別の呼び名で呼ばれている者がいる。
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++第三話 ゼロのルイズ①++ 花京院典明が目覚めて、初めて目にしたものは昨晩ルイズが投げてよこした下着だった。 横に転がっているそれから視線を外し、起き上がる。 隣にあるベッドではルイズが寝気を立てている。子供らしい、あどけない寝顔だ。 「やっぱり夢じゃないのか」 心のどこかで期待していたことに裏切られる。やはり現実だった。 学生服の乱れを直し、花京院はルイズを起こしにかかった。 肩を叩いてみるが、起きない。 今度は枕を取ってみるが、起きない。 毛布をはいだところで、ようやくルイズが目覚めた。 「な、なに! なにごと!」 「朝だ。ルイズ」 「はえ? そ、そう……って誰よあんた!」 ルイズは寝ぼけた声で怒鳴った。顔がふにゃふにゃで、まだ眠そうだ。 「花京院典明。君の使い魔だ」 「使い魔? ああ、使い魔ね。昨日召喚したんだっけ」 ルイズは起き上がると、あくびをした。それから花京院に命じる。 「服」 椅子にかかった制服をルイズの側に置いた。 だるそうに寝巻きを脱ぎ始めるルイズに背中を向ける。 「下着」 「自分で取らないのかい?」 「なんで取る必要があるのよー」 寝起きのせいか間延びした声で反論する。 ここでもめるのも面倒なので、素直に従うことにした。 「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」 下着を適当に取り出し、後ろに放り投げた。 ごそごそとルイズが着替える音がした後、 「服着せて」 「それも僕が?」 「あたりまえでしょ」 花京院はややうつむき加減で振り向く。 彼も一応思春期の少年である。多少なりともそういう情はある。 さすがに直視するのには抵抗があったのだが……ルイズの身体を見て、すぐに元の表情に戻った。 ルイズの身体はまだまだ未発達だった。いくら下着姿だといっても、女らしい膨らみが全然ないので、焦ることも意識することもない。 着替えを手伝っているうちに、少女の着替えを手伝っているのか、少年の着替えを手伝っているのかさえ曖昧になってきた。 最後にマントの紐を締め、着替えは終了した。 ルイズと部屋を出ると、丁度隣の部屋のドアも開いた。 似たような木のドアが開き、現れたのは燃えるような赤い髪の少女だった。 ルイズより背が高く、花京院より若干低めの身長で、むせるような色気を放っている。 ブラウスのボタンを上から二つ外し、胸元を覗かせている。褐色の肌はいかにも健康そうだった。 身長、肌の色、雰囲気、胸の大きさ……、全てがルイズと対照的だった。 彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。 「おはよう。ルイズ」 ルイズは顔をしかめ、嫌そうに挨拶を返した。 「おはよう。キュルケ」 「あなたの使い魔って、それ?」 ルイズがうつむいて黙り込むと、キュルケはそれを肯定と受け取ったようだ。 「あっはっは! 『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出すなんてあなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」 ……ゼロ? 花京院がルイズに目をやると、ルイズの白い頬は朱に染まっていた。 「うるさいわね」 「あたしも昨日召喚したのよ。誰かさんと違って一発で成功だったけど」 「あっそ」 「どうせ召喚するならこういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」 キュルケがそう声で呼びかけると、キュルケの部屋からのそのそと赤い何かが這い出てきた。 それは巨大なトカゲだった。全身真っ赤で、尻尾の先には小さな炎が灯っている。 むんとした熱気に、花京院は顔の前で手を振った。 「それは……?」 「もしかして、あなた、火トカゲを見るのは初めて?」 「ああ、初めてだ。しかし、鎖につながなくて大丈夫なのかい?」 「平気よ。あたしから命令しない限り襲ったりしないわ」 キュルケは顎に手をそえ、色っぽく首を傾げる。 悔しそうにトカゲを見ていたルイズは聞いた。 「これってサラマンダー?」 ルイズの顔を見て、キュルケは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。 「そうよー。火トカゲよー。しかも見てよこの尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダー。 とても値段なんかつかないわよ」 「そりゃよかったわね」 「素敵でしょ。あたしの属性にぴったり」 誇らしげに胸を張るキュルケに対抗してルイズも胸を張るが、全く勝負にならない。 ルイズをからかうのに満足したようで、キュルケは花京院に目を向けた。 「あなた、お名前は?」 「花京院典明」 「カキョウイン? 変な名前ね。ふーん」 キュルケは品定めするように花京院を見つめる。 「まあいいわ。じゃあ、お先に失礼」 赤い髪をかきあげ、さっそうとキュルケは歩き去っていった。 キュルケがいなくなると、ルイズは小さな肩を震わせた。 短い付き合いでも花京院はルイズの状態がわかった。 怒っているのだ。 「くやしー! なによあの女! 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! ああもう! それなのに私はあんただし!」 「気にしなければいいじゃないか」 「そういう問題じゃないの! メイジの実力を見るには使い魔を見ろって言われてるぐらいなのよ! それなのに……ああもう!」 大げさにうなだれるルイズ。 それを呆れながら眺めて、ふと思い出した。 「ところで、『ゼロ』って君のあだなかい?」 ぴくん、とルイズの肩が上がった。 怒りと不安がないまぜになったような表情を浮かべている。 「な、なんであんたがそれを?」 「さっき彼女が言ってたじゃないか」 「ああ、そうだったわね。ゼロはただのあだなよ」 「でも、どうして?」 「あんたが知らなくてもいいことよ」 急に突き放すような口調でルイズは言った。 頭は悪くは無さそうだったので、身長とか胸のことだろうな、と見当をつけた。 怒らせる必要もないので、その話題はそこで終わらせることにする。 「それより、今からどこへ行くんだ?」 「朝食を食べに行くのよ」 マントをなびかせながらルイズは歩き始めた。 To be continued→