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【称賛】皆の愛機の中を晒してね Part52【基本】 814 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/22(木) 13 15 52 ID uja6N/eS 初自作です。 最初クーラーは獅子を付けていましたが遊園地には 似合わないのでコレに変えました。 ケースサイドのアクリルはデフォが暗かったので 自分でクリアーに変更しました。 【CPU】Core 2 Duo E8500 【クーラー】ZEROtherm BTF80 【M/B】MSI P35 Platinum Combo 【Mem】TEAM ELITE PC6400 DDR2 4GB (2Gx2) 【HDD】WD3200AAKS WD10EADS 【VGA】MSI N9600GT-T2D512J2 【ケース】MGE VIPER2-BK 【電源】AcBel R8 POWER 607W ネオン管を消した場合 837 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/22(木) 17 04 58 ID JMEdrhc5 【CPU】 Athlon X2 5600+ 【クーラー】 鎌クロス 【M/B】 M2N-SLI 【Mem】 PQI 2Gx2 青鳩 1Gx2 【HDD】 WD2500JD WD10EADS ST3400633AS 【VGA】 ELSA GF8800GT 【サウンド】 ナシ 【キャプチャ】 ナシ 【光学ドライブ】 MATSHITA SW-9588 【PCI】 VIAのUSB 【ケース】 安物 【電源】 鎌プラグイン550W やっぱり汚いな。 ケース買い換えたいんだがSuper18-BKってどうなの? 849 名前:Socket774[] 投稿日:2009/01/23(金) 01 15 15 ID axXLc0t6 特に面白みはないですが、初晒し。 裏配線が、マザーキツキツなので結構えらいことに・・・ 【CPU】 Intel Core i7 920 @3.60GHz 【クーラー】 しげる+江成マグマ 【M/B】 Rampage Ⅱ Extreme 【Mem】 hynix秋刀魚 2GB*3 【HDD】 システム WD1500HLFS 【HDD】 アプリ WD740ADFD 【HDD】 データ HITACHI HDP725050GLA360 *2 RAID1 【VGA】 Palit HD4870x2 【サウンド】 SupremeFX 2 【光学ドライブ】 Pioneer DVR-A11J 【ケース】 Antec P180 V1.1 【電源】 江成 INFINITI 720JC 910 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/24(土) 12 38 25 ID zsd6ehKT 部屋スレのついでに 机をIYHer!したので壊れかけのパソコンデスクから新しい机に移行中 【CPU】 Intel XeonX3350 @3.2GHz 【クーラー】 忍者Rev.2 【M/B】 P5E @MF化 【Mem】 G.Skill DDR2-1000 2GB*4 【SSD】 システム CFD CSSD-SM60NJ*2 RAID0 【HDD】 データSeagate7200.11 1TB 噂の該当ロットw 【VGA】 クロシコ HD4870*2 CF 【サウンド】 SupremeFX 2 【光学ドライブ】 日立LG GGW-H20N,LiteOn LH-18A1P 【MO】 富士通MCJ-3230AP 2.3G 【ケース】 Antec 300 【電源】 KEIAN KT-1000EAJ(SeventeamOEM) 【OS】VistaUlt.X64 【その他】AGEIA PhysX(ELSA),MonsterX 排気上面*1+背面*1、吸気側面*1,前面*2全部12cm 914 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/24(土) 13 38 48 ID e/n/G501 【CPU】 C2D E6600 【クーラー】 Thermaltake X5 Orb FX II 【M/B】 Foxconn G45M-S 【Mem】 U-MAX Pulsar 8500 1Gx2 【HDD】 日立 500GB 【VGA】 オンボ 【サウンド】 オンボ 【ケース】 THECA 【電源】 江成 リバティ500w 予備パーツで組んでみました。 へんてこケースですがフロントまわりのLEDが光ってると意外と高級ぽいw 922 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/24(土) 17 55 13 ID KWYqiHNm 【CPU】 Q9550 @3.6GHz 【クーラー】 Koolance CPU-330 【M/B】 ASUS P5E (MF化) 【Mem】 Corsair TWIN2X4096-8500C5D 【HDD】 WD 500GB*6台 【VGA】 Palit GF GTX 260 216SP 【クーラー】 Koolance VID-428 【サウンド】 Sound Blaster X-Fi Platinum Fatal1ty 【光学ドライブ】 LG電子 GH20NS10 【ケース】 SST RV-01 【電源】 be quiet! BE-Q600W 【ポンプ】 Koolance PMP-450+Base 【タンク】 Koolance Reservoir, Inline 120mm 【ラジ】 Black Ice GT Stealth 240 ケース交換記念。 重いので撮影のために動かす気になれなかった 934 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/24(土) 20 16 22 ID vqB3Sl50 横置きケースもこれくらい高さがあると色々余裕が持てて良い感じ 前の方が1万円以上も高かったんだけどなぁ… 【CPU】 Phenom X4 9850BE定格 【クーラー】 ZIPANG 【M/B】 GA-MA790GP-DS4H 【Mem】 Patriot DDR2-800 2GBX4 【SSD】 MSD-SATA6025-032 【VGA】 Radeon HD 3870リファレンス 【PCIe】 Monster X 【ODD】 BRD-SM4B 【ケース】 Fusion Remote Max 【電源】 SST-ZM1200M 946 名前:Socket774[] 投稿日:2009/01/24(土) 22 15 40 ID Nhh+Tos1 初投稿です。 【CPU】 Core i7 920 @2.66GHz 【クーラー】Thermailightの奴 (名前忘れた。ゴメン) 【M/B】 ASUS P6T Deluxe OC/Palm Edition 【Mem】 DDR3-1333 1GB*6(ノーブランドとセンチュリーマイクロの混合) 【HDD】 Seagate ST3250310NS+ST31000340NS 【VGA】 GALAXY GTX295+玄人志向 GTX295 (Quad SLI) 【サウンド】 オンボード 【キャプチャ】 なし 【光学ドライブ】 NEC DVD-RW ND3450A 【PCI】なし 【ケース】 COOLERMASTER HAF932 【電源】 ENAMAX Infinity 720W*2 2電源供給止めて一つにまとめようと考えているけども未だ1000wオーバーの電源って 値段高いよね。 981 名前:Socket774[sage] 投稿日:2009/01/25(日) 15 00 48 ID 2WPBUIiz 【CPU】 PhenomII 940 【クーラー】 しげる + 1800rpm×2 【M/B】 DFI LP UT 790FX-M2R 【Mem】 Transcend aXeRam DDR2-1200 1G×4 【HDD】 WD Raptor×2(raid0) + WD Cavier×2 【VGA】 Sapphire toxic 4870 CF 【サウンド】 M-Audio Delta192 【キャプチャ】 PV4 【光学ドライブ】 LiteOn DH-20A4P 【ケース】 SilverStone TJ-09W 【電源】 SilverStone DA1200 一昨日あたり、週末に初晒しすると言っていた者です。 全てにおいて無駄が多いというか・・・でもこのケース気に入ってるんだよね 部屋が暗すぎて撮影難しかった・・・ISO感度上げたらノイズ出まくりです
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怯える放火予告犯。 http //makimo.to/2ch/hobby7_occult/1116/1116416750.html いい加減に壊れてはいたが更にイカス暴れッぷりを見せる外道孤毒。 ファロートキシン。 ちなみに放火予告の事実を持ち出されるとおとなしくなった頃。 大要をまとめた有志のカキコは以下に。 618 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/25(月)22 38 39ID Zmeb4Mk30 612 前スレをロムって俺なりにまとめると、おっさんカスタム冥土氏が営業中の施設を心霊スポとしてうpした事件が過去にあり、そのときに暴れていた反逆者を装い前スレをトキシン立てた。 スレを立てた動機は、心霊ゾーンガイドという本に実際に殺人事件があった家を地図つきで本に載せたのが攻撃の対象者おっさん氏で、人が死んだ現場をうpるのは最低と心霊サイト全部を敵に戦っていたトキシンにとっては、身内による計り知れない裏切り行為に映り、動機となった。 犯人探しが始まり、確信に近くなってきたときに、どさくさに紛れて暗躍する者が現れたて○てふ、宵○の森、新○三世実○験3つの邪魔なサイトを祭りを利用して潰そうと 63が心霊サイトの掲示板に3つのサイトを閉鎖に追い込むような酷いカキコをした。 福岡OCNとだけ判明している。あとは大吉氏が叩いていると勘違いしたトキシンが激怒して大吉氏の車の詳細を書き、うんこをつけるなど犯罪の臭いがするカキコをする。 エスカレートして働いている店名を晒し放火予告をする。最低だタイーホされるよ あとはトキシン袋叩き状態で何かを受信したファロー電波さんが現れ、痛い文章で擁護するが擁護にすらならず撃沈、こんなとこかな? 前スレから本スレの状況を強引にまとめただけ、俺の見解だから正しいとわ限らない まあ参考程度にしといて 619 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/25(月)22 51 18ID Zmeb4Mk30 悪い順番にまとめると 1位・犯行予告した前スレの 830 889で、トキシンである可能性高 2位・2chに止まらず心霊サイトの掲示板で悪意のカキコ前スレの 63福岡OCN 3位・前スレの 1で、トキシンである可能性高 番外・ファローさん、迷走してボロボロになって笑いを提供 ちなみに放火予告についてのツッコミを避けるためか「大吉など存在しない」「故にその勤めている店も存在しない」「存在しない店に対する犯罪は不可能」という香ばしい三段論法を駆使しようとするも轟沈。 689 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水)01 14 25ID NR//Kd9u0 今調べ終わりました! 福岡に該当する店無しです。 いやそんな筈は無いと言う方! 情報キボンヌ。 691 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水) 01 17 31ID NR//Kd9u0 ありもしない店に放火は出来ませんよ、皆さん! 独身の貴方が 「昨晩は妻が寝かしてくれなくって・・・」 って言ってる様な物ですよ? 693 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水) 01 23 44ID NR//Kd9u0 福岡のタウンページ本年度と昨年度で調べましたよ。 流石にupできないです。 694 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水) 01 29 34ID NR//Kd9u0 あるよ!という方マジで情報キボンヌです。 実際にある店なら突撃して、店長に通報wするであります! 697 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水) 01 53 14ID Canwmjds0 見つかんない? まあ、アダルト店とかは電話帳に載せないところもあるしね。 ネットにカキコしてるのに、ググって出てくるページを「ない」と言うのは意図的な ものを感じちゃうけど、信じましょう。 直接書いたら迷惑になるかもしれないので、検索してね 「筑豊 ビデオ店」で一発で出てくるよ 通報はお店と警察のどっちがいいのかな。 698名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水) 01 57 04ID CkjuML410 こうも言えるな。 タウンページに載って無いような店を知ってて放火予告をするなんて。 店の人の知り合いなのかな~ 699 名前: 本当にあった怖い名無し2005/07/27(水) 01 59 14ID yYPYRRzR0 597 ああ、本当だ一発で出るじゃんw 694は見てるんだろ? 大口叩いたんだから店長にちゃんと通報するんだよな? それとも偽装工作失敗で逃走か?w さあ、どうする放火予告犯。 続く。
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この街に空は無い。 天は塗りたくられた黒インクのような暗黒で覆われ、そこに輝点が瞬いているのみだ。 それさえも夜空ではなく、星ではない。 この街に空は無い。 あるのはただ、無限にどこまでも続くかに思われる鋼鉄の殻だけ。 摩天楼は大樹の如くそびえ立ち、地面は奈落の奥底へと封じ込められた。 建物と建物を縫うように走るのは、蜘蛛の巣の如きガラス製のチューブの蔦。 ならば行き交う弾丸列車は蛇、飛び交う車は羽虫と呼ぶべきか。 鋼鉄の密林。 いや――神経網で繋ぎ合わせられた、ここは鋼鉄の脳髄。 その頂点とも呼ぶべき、どこまでも高い――そう、"高い城"に、その男はいた。 つなぎ目無く部屋を囲むガラス窓を通して、男は都市の全てを睥睨することができる。 そこに生きとし生けるもの、動くもの、その考えすらも手に取るように理解できる。 しかし今、男の心を掴んで離さないものは、そんな些末な事柄ではない。 歌だ。 この世にこれほどの旋律が、かつてあっただろうか。 音符の連なりが声の抑揚にあわせて漣のように押し寄せ、心を震わせる。 ただその歌あるというだけで、世界の全てに鮮やかな色彩で覆われていくかのようだった。 内殻に灯る電気の煌めきは星か月か。機械の律動は力強い生命の鼓動。 五感に伝わる情報の素晴らしさに、"高い城"に君臨する男は陶然と息を漏らした。 「やはり、良き声をしていらっしゃる。古きが良きとは限りませんが、あなたに関しては別だ。まさに至上といって良い」 男は活動的に洗練された、機能性のみを重視したと思われる礼服を纏っていた。 華美なところは無いにも関わらず、故にこそその佇まいには異様なまでの風格がある。 ただ音楽に聞き入り、賞賛しただけにも関わらず、指先に至るまで一挙一動が堂々たる仕草。 高みに立つべき男だと、誰もがそれを認めるだろう。 天性の――などと軽々しく言うべきではない。 そんな程度ではない。 持って生まれたもの、鍛え抜かれたもの、その両方がなければこうはならない。 「……いえ。わたくしの唄が優れているとすれば、それは使い手と曲あってこそ」 静かに、やはり美しい声が部屋の片隅から応じた。 それは歌声と同じ声であったが、しかしもし男の他に聞くものがいたならば首を傾げたに違いない。 あらゆる生命を賛美するかのように思えた声が、今はただ、叩かれ震える音叉の如くに抑揚が消え失せていた。 娘だった。 細く、今にも折れてしまいそうな華奢な体躯の女。きらきらと煌めく、金髪の娘。 薄い亜麻布で申し訳程度に肢体を覆った――若い娘。 透き通ったような表情には感情が露ほどもなく、動く気配すらない。 故にその陰りが、娘を老婆の如く老成させて見えるのだろう。 「王よ。あなたが嗜まれるフルートの如く、私の歌はあなたの歌に他ならないのです」 王――そう呼ばれた時、男の腰に帯びた剣がかすかに音を立てた。 洗練された、威風堂々たる佇まい、しかしそんな印象を唯一裏切るのが、その佩剣だった。 無骨で、暗い鉄の色をした、血に濡れた重苦しい剣。 男はその柄頭をゆっくりと撫で、先ほどとは違った理由で息を吐いた。 「王と呼ぶのはやめてくれませんか、ライダー。このような立場になったからには、相応しい役で呼んで頂きたい」 「では、セイバー様と……」 そう言って女――ライダーは、無表情のままにゆるりと頭を垂れた。 忠誠を誓う人形ですら、もう少しましな動きをするだろう仕草だった。 しかしセイバーは気にした様子もなく、微かに口元へ笑みを浮かべてみせる。 「して、あなたの言う『曲』の作り手は?」 「旦那様でしたら、また作業部屋を変えると言って荷造りをしておられます。階を移したいと」 「やれやれ。あのロビンソン・クルーソー殿にも困ったものだよ」 セイバーはそう言って、ゆっくりと歩き出した。 ライダーが付き従うと疑っていない――いや、追従するということすら意識していない歩調。 金髪のライダーはその動きを目で追いかけると、しずしずと後に続く。 継ぎ目一つない鋼鉄の床、王と彼女が乗った箇所が円形に沈み込んで下層へと落ちるのにも、慌てた風はない。 この"高い城"を移動するのは、昇降機が欠かせないものだ。 「どうせ部屋は散らかしっぱなしだろう? 空いたら片付けてくれないかな」 「はい。旦那様がおられないと、物を投げられることもありませんから、効率が良いです」 「ははははは。君がそういうことを言うとは、やはり彼も大概だな」 ライダーは少し首を傾げた後に「事実ですから」と短く付け加えた。 「どうせなら使用人の服でも用意させようか? 君もその格好では動きづらいだろう」 「必要でしたら」 「必要ということはないね。必要な行為というもの自体、この世にはないものだ」 「……では、都市の方は?」 「このままで良い。何事につけ、ゆらぎは生じる。それなくして……ああ」 セイバーの返事は短かった。彼は穏やかな笑みを浮かべたまま、穏やかな声で、斬りつけるように言葉を紡いだ。 「そういう意味では、君の歌は譜面通りだ。奇麗だけれど、面白みがない」 ライダーはやはり少し首を傾げた後、「恐縮です」と静かに答え、頭を垂れた。 この街に空は無い。 天は塗りたくられた黒インクのような暗黒で覆われ、そこに輝点が瞬いているのみだ。 それさえも夜空ではなく、星ではない。 この街に空は無い。 あるのはただ、無限にどこまでも続くかに思われる鋼鉄の殻だけ。 摩天楼は大樹の如くそびえ立ち、地面は奈落の奥底へと封じ込められた。 建物と建物を縫うように走るのは、蜘蛛の巣の如きガラス製のチューブの蔦。 ならば行き交う弾丸列車は蛇、飛び交う車は羽虫と呼ぶべきか。 鋼鉄の密林。 とすれば、そこには鋼鉄の怪物――野獣が潜むものなれば。 「あきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃっ!!!!!」 心底痛快抱腹絶倒。けたたましく甲高い笑い声が木霊して、黒い影がたかだかと宙を舞う。 それを追うように叩き込まれる銃弾は的確にその足場を撃つものの、命中する事はない。 「ちぃっ、ちょこまかぴょんぴょんと飛びやがる……!」 毒づく射手は、この鋼鉄の都市にあって、さらに異様な出で立ちをしていた。 鉄人。 そう呼ぶより他にあるまい。 頭部を鉄で覆い、胸を鉄で覆い、両手を鉄で覆っている。 手にした銃が唸り、飛び跳ねる者は踊るように弾を掻い潜る。 されど鉄の射手が尋常ならざる者であることは、その全身の鋼鉄が証明していた。 傷。弾痕。 幾度も撃たれ、幾度地に伏しただろう。 それでも尚、立ち上がるからこそ男はここにいる。 「そぉいうならさァ? おにーさんは、カタすぎてちょーっとずっこい、よねぇ?」 切れ切れの、甲高く耳障りな、けれど歌うような言葉だった。 ちかちかと瞬く街灯の上に蝙蝠かなにかのようにぶら下がったのは、小さな影だ。 フードつきのマントを羽織っただけの、痩せた貧相な小娘。 白髪の下、爛々と赤い目を輝かせ、彼女はおかしそうに手を叩く。 「でぇも、ちょーっちカッコイイ? か、なぁ」 「うるっせぇなぁ、ガキ。ちょっと静かにできねえのかよ」 「ごめ、んねぇ? あたーしさぁ。楽しぃの、すきぃーだか、ら?」 小娘の声は音程が外れている。鶏の声か、ガラスの割れるような声。 痩せた小鳥が囀るように喚いた娘は、けたけた笑いながらぴょんと数メートルを軽々跳ぶ。 はためいた外套の下、肋骨の浮いた裸身が垣間見える――が、注目すべきはそこではない。 娘の両腕に噛み付くようにして鎖で繋がれた、拷問器具の如き鉤爪だった。 「あ、きゃッ!!」 「効かねえっつの……!」 子猫がじゃれつくように爪が走り、鉄の射手の鎧に新たな戦歴が刻まれる。 男は小動ぎもせず、一歩も退かずに踏みとどまって、手にした銃を無造作にぶっ放す。 またしても火花が散って、娘は弾かれたように空を舞い、ビルの外壁へ鈎爪を食い込ませて着地した。 「テメェが『M』だったらタダじゃおかねえぞ……!」 「ちぃが、うよぉ。あたっしはねぇ、そぉんな……頭文字じゃあ、ないんだなぁ……!」 痩せた小娘は、人では到底不可能な姿勢で壁に貼り付いたまま、げたげたと哄笑する。 そしてふと我に返ったように、きょとりと首を傾げた。 「あぁ、んた……は、アーチャー……。でぇもぉ……。あたっしは、だぁれ、だろー……ね?」 「俺が知るか、バカ」 「あきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃっ! だぁ、よねぇえっ!」 吐き捨てたアーチャーの言葉のどこが面白かったのか、小娘はぱちぱちとまた手を叩いて喜んだ。 と、次の瞬間にはまたしても外壁を蹴って、摩天楼の谷間へと踊るように身を飛び込ませる。 遠く彼方から聞こえた言葉が「じゃあね」だったか「またね」だったか――アーチャーには判別つかない。 「やれやれ……」 深々と溜息を吐いて、銃をホルスターに納めるアーチャー。文句を言いたくなるのも無理は無い。 彼の足元には、今しがた殺されたばかりと見える若い娘の死体が転がっていた。 血はまだ温かく、湯気が出そうなほどに新鮮。 「……こりゃ、まぁた先生に叱られっちまうかね」 この街に空は無い。 天は塗りたくられた黒インクのような暗黒で覆われ、そこに輝点が瞬いているのみだ。 それさえも夜空ではなく、星ではない。 この街に空は無い。 あるのはただ、無限にどこまでも続くかに思われる鋼鉄の殻だけ。 1927年、人類は未来を手に入れた。 もはやこの星に明日は無い。 あるのはただ、無限にどこまでも埋め尽くす、かつてベルリンと呼ばれた都市だけ――……。 ←Back Singularity point Next→ None 鋼鉄神経都市 エレクトロポリス 第0節:下から上へ流れるプロローグ
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【配線】皆の愛機の中を晒してね Part25【エアフロ】 19 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 00 12 36 ID b2R8xyhB 初期不良とかいろいろありましたがようやく出来ました 構成はこんな感じ CPU C2D E6420定 MB ASUS P5B-E Plus GPU ASUS 7600GT HDD Seagate ST380815AS ケース ZALMAN TNN500AF 温度計測 室温29℃、計測CoreTemp&Everest(HDD温度)、シバキTX2ch アイドル #0 31℃ #1 33℃ シバキ #0 48℃ #1 50℃ GPU アイドル 52℃ 3Dゲーム時 62℃ ちなみに今日昼間室温32℃ありましたが まったくなんともなくパンヤしてました 75 名前:46[sage] 投稿日:2007/06/22(金) 19 48 13 ID 3Bjaf29a ろだの人、Wikiの人、独断の人乙です 【CPU】 Turion64 MT-40 【クーラー】 SI-120 【FAN】 白GOLF 全5V化 700rpm 【M/B】 DFI NF4X (HR-05) 【Mem】 PC3200 1GB*2(Hynix) 512MB*1(ELPIDA) 計2.5GB 【HDD】 HDS721010KLA330 1TB (スマドラ2002) 【VGA】 ELSA GF7600GS 【サウンド】 SE-90PCI 【光学ドライブ】 π DVR-S12J-BK 【PCI】 SATA2I2-PCIe (Sil3132) 【PCI】 Intel PRO/1000 PT Desktop Adapter 【PCI】 TSCHOOL-NO-PCI 【ケース】 P180B ver1.1ノーマル 【HDDリムバケース】 naked EX-SARC1B 【電源】 Phantom 500 HDD、NIC、リムバケースなど、いろいろ変わったので1年ぶりに晒してみた 前に晒したとき(Part17あたり?)で独断の人に選ばれてたり 91 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/22(金) 22 28 00 ID JZnFG7Ry 【CPU】PentiumIII 800MHz 【クーラー】謎のアルミSECC用+VANTECクーラーについてたファン 【M/B】MSI MS-6199 【Mem】メーカー不同 PC66 128MB×3 【HDD】東芝 MK4025GAS 40GB 【VGA】3Dなんとか 3Ti200 64MB 【サウンド】AOpen AW840だっけ? 【キャプチャ】なし 【光学ドライブ】日立 GD-7000 【PCI】VIAのUSB2.0カード、蟹さんNIC 【ケース】FMV-6333TX転用(ケースで怪我しないけどI/Oブラケット6つ) 【電源】160W XPがサクサク動くマシンでございます。中身を罵って頂けると幸いです。 107 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/23(土) 19 07 25 ID 1nPkj7Ef 【CPU】 Athlon64 X2 3800+ (89W) 【Mem】 バルク PC2-5300 512MB×2 【クーラー】 サイズ 峰 rev.B 【M/B】 GIGABYTE GA-M55plus-S3G 【VGA】 Leadtek WinFast PX7600 GS TDH 【光学ドライブ】 NEC ND-3500A 【HDD】 Seagate バラ7200.7(120GB・160GB), バラ7200.9(250GB) 【電源】 恵安 KST-420BKV 【3.5インチベイ】 FA405M(カードリーダ) 【ケース】 CoolerMaster Centurion 5 【PCI】 GbE-PCI 【PCI】 USB2.0+1394-PCI2 1年前からずっとこの構成のまま。 正月明け以来、さっき久しぶりに分解清掃して組み直してみた。 ついでにDVDドライブのベゼルは黒塗りしてます。 電源がちと五月蝿いけど、とくに不満は無いのです。 109 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/23(土) 19 24 08 ID JhNRVxEl デジカメ購入記念にうp。 【CPU】 Opteron290 x2 【クーラー】 SI-120 x2 【M/B】 ThunderK8WE 【Mem】 ECC Reg PC3200 1GB x4 【HDD】 HGST HUS151436VL3600 36GB x4 IBM IC35L073UWDY10-0 73GB x4 HGST HDT725025VLA380 250GB x2 Seagate ST3250620AS 250GB x2 【VGA】 Radeon X1950Pro 512MB 【サウンド】 SE-90PCI 【光学ドライブ】 PIONEER DVR-109 【PCI】 Megaraid SCSI 320-2X MEM 512MB 玄人志向 SATA2RAID-PCIX 【ケース】 Lian-Li PC-201B 【電源】 Zippy 600W ENERMAX ELT620AWT ここの人達みたいに配線きれいにできない。 したいとは思うのだが… 125 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/24(日) 05 51 29 ID oybRl8y2 【CPU】 Pentium4 (Prescott 530) 3,0GHz 【クーラー】 液 【M/B】 Albatron PX915G Pro 【Mem】 不明バルク 512*1 256*2 【HDD】 SAMSUNG SP2504C Maxtor 160GB 【VGA】 6600GT (VF700 ALCU-LED) 【サウンド】 さうんどぶらすたーのなんか 【光学】 NEC スーパーマルチ 【ケース】 C-3 【電源】 SEIB-500 【ファン】 前 12@800 12@800 9@1000 後 12@1000 ラジ 12@1000*2 初。元BTO。2年前から成長していない中身。あらためて見るとごっちゃごちゃ。 一番の騒音源がポンプorz 水枕もCPUだけだと寂しい。けどコレに金をかけていいものか・・・ 143 名前:Socket774[] 投稿日:2007/06/24(日) 20 25 49 ID tVyknaen 【CPU】E6300 【クーラー】リテール 【M/B】P5VD2-MX 【Mem】秋刀魚エルピーダチップ2Gx1 A-DATA512Mx1 【HDD】WD 250Gのやつ 【VGA】青筆7600GT笊ファン 【サウンド】オンボ 【キャプチャ】使ってないから忘れた 【光学ドライブ】どっかのスーパーマルチ 【ケース】ドスパラプライム 【電源】静王4-400W 年始に初自作(組立てキットですが^^;)したのを久々に掃除したので 記念晒し。箱がちっちゃいのでこれから夏対策を考えようかと。 150 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/24(日) 22 14 24 ID PMLPwcqD 久々の晒し 【CPU】E6600 【クーラー】INFINITY無限 【M/B】P5B Deluxe Wifi AP 【Mem】CFD Micron 1Gx2 512x2 計3GB 【HDD】ST3320620ASx2 6V300F0x2 【VGA】Leadtek PX8800GTS TDH 640MB 【サウンド】オンボード 【光学ドライブ】SONY AD-7173A、Aopen DVD1648/AAP 【ケース】AntecP180Ver1.2 【電源】Seasonic SS-600HM グラボ新調とCPUクーラー入れ替え記念晒し 164 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/25(月) 00 45 07 ID y5psF5Wq 【CPU】 Intel Core 2 Duo E6600 (Conroe, Family 6, Model F, Stepping 6, 2.40GHz×2, 4MB L2 Cache) 【クーラー】 Scythe NINJYA 【MB】 GIGABYTE GA-965P-DS4 【Mem】 512MB×2 + 1024MB×2 【HDD】 Seagate Barracuda 7200.10 ST3320620AS×2 Seagate Barracuda 7200.10 ST3500630AS×2 【VGA】 GIGABYTE GV-NX76G256D-RH Heat sink:ZAWARD ZAV-Accelero S2 【サウンド】 YAMAHA DP-U50 (USB) 【キャプチャ】 なし 【光学ドライブ】 MATSHITA SW-9574S 【PCI】 Thermaltake TMG SL1 【ケース】 Lian-Li PC-6077B+EX34 (+EX34) 【電源】 ENERMAX LIBERTY ELT400AWT 以前晒したPCですが、変更前は全然冷えなかったので色々いじってみました。 ダクトを取っ払ったら、何だか普通になってしまった。 現在NINJYAはクーラーなしですが、今後の温度によってはつける予定です。 背面14cmファン(吸い出し)はあまり効果がないかも。 AINEXの多方向吸気ファンあたりに変えるかもしれません。 VGAのヒートシンクを交換したのはただ何となくだったりして。 ケースの角に張ってあるのは、キズ防止用のクッションです。 置いてある場所が良くなく、椅子などが当たるので。 変更前 173 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/25(月) 01 27 11 ID 7nFU/3lH 物欲に駆られてマザーを買ったのが運の尽き ケースの関係上全てみっちり 【CPU】 Opteron 2212HE x2 【クーラー】 Thermalright Ultra-90-K8 x2 【M/B】 Tyan n3600s(S2933G2NR) 【Mem】 Tracend 667-1GB x8 【HDD】 HDT725032VLA360 【VGA】 Galaxy GF7600GS-LP/256D3/DVI/PCIE 【サウンド】 Onkyo SE-U55GX 【キャプチャ】 なし 【光学ドライブ】DVR-S12J-BK※みっちりなので撮影時外してあります 【PCI】 なし 【ケース】 AbeeD1(改) 【電源】 AREA Fabulous AE-620W ホットスポット対策 180 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/25(月) 01 54 30 ID s4zprava 【CPU】Intel Core2Duo E6400 @ 3200 【クーラー】Scythe 峰Cooler Rev.B 【M/B】ASUS Commando 【Mem】G.Skill PC2-6400 HZ 1GB*2 【HDD】Seagate ST3320620AS 【VGA】Shapphire Radeon 1950XT 【VGAクーラー】 Thermalright HR-03 Rev.A 【サウンド】付属のやつ 【光学ドライブ】LG電子 GSA-H42N 【ケース】Abee AS Enclosure S1 【電源】Abee AS Power Silent S-550EA 初晒し。 峰Coolerを写真のように取り付けるとコイルに干渉するので 干渉部分を2mm程カットしてあります。 配線はケースが小さいだけに大変ですが写真のように、5インチベイの 横から下に流し、ちょっとした空間を利用して纏めています。 もうちょっと何とかしたい。。。 199 名前:Socket774[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 01 18 12 ID l/tHgmr9 台所用宙吊りPC(笑) 【CPU】Sempron 2800+(754) 【クーラー】リテール 【M/B】Albatron K8M800-754 【Mem】SanMax DDR400-512M 【HDD】HITACHI IDE 80G 【VGA】オンボード 【サウンド】オンボード 【キャプチャ】- 【光学ドライブ】松下製DVD-ROM 【PCI】- 【ケース】ベニヤ板 【電源】MIRAGE DR-B350ATX 電子レンジもトースターも実際に稼動させてみたがPCへの影響は皆無だった
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※ちょっとだけグロテスクかもしれないシーンあり とあるゆっくり達がゆっくりと静かに暮らす、ゆっくりの森。 その一角にある、ゆっくりアリスの美容室に、閉店も間際にやってきたのはゆっくりゆかりだった。 律儀に入口から入ってくるわ、特に話しかけてくることもないわ、陰鬱な面持ちで髪を預けてくる。 かえって不安に思いながら注文を聞いた。 「――――”鶯の谷渡り”で」 「………ええっ!!?」 「どうしたの?きこえなかったのかしら? ”鶯の谷渡り”をおねがいね」 しばらく絶句した。 あまりにもらしくない。 ゆかりは確かに奇抜な印象を受ける事はあるが、それは時代に迎合し人口に膾炙し、若年層におもねる 様なセンスとは程遠いと思っていた。 「鶯の谷渡り」など、メジャーぶりを通り越し、そろそろ軟弱者や軽佻浮薄の代名詞となりかけている 最新のスタイル。 実際に、この美容室にもいまだ連日この注文をしに訪れるゆっくりはいるのだが……… 「かしこまりましたー」 しかし仕事は仕事。 驚きながらも、気は進まずとも、注文はこなす。 ややうつむき加減のゆかりの表情を、正確に読み取ることはできなかった。 ―――そして30分後 「こんなところでどう?」 「………ちょっとちがうわね」 「え………」 「ごねんなさいね。今から”獅子舞い絞り”に変更できない?」 声も出なかった。 これはもう、ミーハーだの流行だのの問題ではなく、ゆかりに合わないにも程がある。 安倍川餅に、ココアでも浸すようなものである。 「だから、”獅子舞い絞り”よ! 文句があるなら他のところを…・・・」 「や、やるわよ!!!」 その後も、「雁が首」や「首引恋慕」などにゆかりは注文をつけた。 流石に辟易したが、ありすは怒る気になれなかった。 作業中、うつむき加減のゆかりの目には軽くうるんだものが溜り、結局「こたつかがり」に行き着いた時には、 ポロポロと滴るものがあったのだった。 「どうしたの……」 「これじゃだめね………」 閉店作業を素早く終え、購入したココアを淹れて渡すと、ゆかりは悲しそうに啜った。 人も妖怪も億劫にさせる、寒い夜。しばらく、二人で無言で切り株に座って月を眺めた。 飲み干してやや経ってっから、帽子にしまっていたらしい本を、ゆかりは取り出して見せた。 「ん? どれどれ………」 ――『ゆっくりは見た目が9割』――― 天本裕著(2006.シルバーナイト社) 「古すぎるわ! なんだこんなもん」 バリバリ 「やめて!」 本を破くのには抵抗があったが、そもそも内容自体が薄く、タイトルだけで話題を呼んだにすぎないと悪評ばかりの、 4年も前のベストセラーである。 「結局、見た目が全てなのよ…… イメージだけで、全て判断されるんなら私は何だって……」 「まあ、何に悩んでいたのか大体わかるわね。―――だからって、髪型から下らないブームにおもねるなんて、ぐの骨頂」 「………」 最後にか細く言った。 ―――私より、良い見た目の可愛いゆっくりはたくさんいるだろうに―――と どうにも今日は気弱すぎる。 嘆息しつつ、ぽよぽよと付近を跳ね回りながらありすは言った。 「例えばそう―――れいむが、ゆっくりするばかりで金銭に汚く薄情で周りのゆっくりをゆっくりとも思わず単なる食料 扱いしかしないゆっくりだとしたら、そんな相手とゆっくりしたいと思う?」 「そんなゆっくり相手じゃ、ゆっくりしていられないし、最初から好きにならないわね―――いや、実際れいむはそんな 感じだけど」 「でしょう? 本当に見た目だけで判断してるなら、そんなにれいむの事も気にならないし、テルヨフやもこたん辺りがもっと 圧倒的に人気があってもいいのよ」 「ふむ…」 確かに外見や視覚への訴えは、大きい。 しかし、ゆっくりはそこまで愚かではないのだ。みんな見ていないようで、きちんと見るべきところを見ている 目に見えるものだけがすべてではない。 いや、本当に大切なものは目に見えない 「ありがとう」 「いえいえ。皆悩みは同じね……」 そう言って、ゆかりはありすの店を後にした。 ―――――「こたつかがり」のまま……… 翌日の仕事は順調だった。 相変わらず忙しかったが、てきぱきと片付け、午後9時には早くも帰宅できそうだった。 ゆかりの髪型は「こたつかがり」だったので、相方のれいむも最初は極端にひいていたが、そのうち気にならなくなっていた。 「疲れたわあ……」 「そうだね……」 こてり、と座布団の上で傾いたれいむに、そっとゆかりも寄り添う。 最初は多少驚いて恥ずかしがるれいむだが、抵抗は一切無し。 そして、いつしか全身を預けていた。 「ゆふふ……… ゆかりは何だか暖かくてやわらかくて気持ちがいいね……」 「あらそう。光栄だわ」 何度か言われたことがあったのだ。 こうして、ここまで二人でゆっくりするのは久しぶり。 最後の時は、「おかあさんをおもいだすよ!」と言われたものだ 「何か、匂いもちょっとちがうし………」 「…………この匂いは、嫌い?」 「ううん。いつもよりすきだよ!!! --―何だかおなかまですいてきちゃった」 その言葉だけで、ゆかりは報われた気がした。 そして、改めてありすに心の中で礼を言う。 そして改めて思い出す ――――――外側だけじゃない――― ゆっくりは中身で勝負!!! しかし、その幸せも長くは続かなかった。 「甘い! 甘すぎですよ!! 今からセンター試験でどうにかなると思ってるくらい甘い!」 「何ですって!?」 「結局外側に頼ってるじゃないですか。全く何が中身で勝負ですか。笑ってしまいそうです! あーーーっはっはっはっは!」 戸口に立っていたのは、ゆっくりさなえさんだった。 「わらってるじゃん…………」 「れいむさん、お腹が減ってるって言ってましたね。一口いかがです?」 「え? いいの?」 夕飯はまだ食べていない。 そっと覗き込んださなえさんに、特にためらうことなくれいむはかじりついた。 「どうです?」 「むーしゃ むーしゃ。 ん~…… やっぱり鶯餡はおいしいね!!!」 彩りも美しく、栄養価も高いエメラルドの様な鶯餡。空腹時の甘い物は、多少腹にこたえるが、 何者にも代えがたい満足感を与えてくれる。 さなえさんの中身は、ちょっと珍しい緑の餡子なのだった。 勝ち誇った笑顔で、楽しげなれいむとゆかりを見下すが…… ゆかりは物怖じもしていない。 「れいむ。本当はお仕事が全部終わってからにしようと思っていたけど、私もちょっと食べてみなさい」 「えー」 「あらあらいいんですか? 中身が出ちゃいますよ?」 「いいから。なんならあなたも食べなさいな」 れいむは左側から、さなえさんは右側から、そっとかじりつく。 「むーしゃ むーしゃ…… ゆ…甘い物の後の、辛い物もおいしいよね! ちょっといつもと違う カレーライスだけど…………」 「あら、割とおいしい。納豆……ひき割り納豆ですね! 練梅としらすも入って贅沢な」 「ゆ……ゆゆっ!!?」 「え………?」 別々の中身………? 「そんなはずは……」 もう一口深めに食べて、二人は気が付いた 「こ、これは納豆カレー!!?」 「す、すごい!!!」 「Coco壱番屋でも、店舗によっては不動の一位の人気を誇るという、あの……!」 「ふん。甘いわね。紀州みかんを武器に海軍に戦いを挑むくらい甘いわ。 ちょっと風味と色の違う鶯餡? それだけで一歩先を進んだ気持ちになってるなんてさらさら可笑しいわ 中身が一つだなんて誰が決めたの? カレーか納豆かなんてたいした問題じゃないわ。 結局安直な答えしか出せずに、単純なものに固執して全く何が中身で勝負ですか。笑ってしまいそう! あーーーっはっはっはっは!」 それは勝者の笑顔だった。 しかし、その時 「それは、こちらの中身も試してから言ってもらおうか!!!」 戸口に立っていたのは、ゆっくりれみりあと、ゆっくりふらんだった(なぜか妹は浮かない顔) 「さっきから聞いていれば、鶯餡だの、納豆カレーだのどいつもこいつも単調なことこの上ないな!」 「ど、どういう意味よ!!?」 「肉まん二人が何しにきたの!?」 「うー☆ れいむ、ちょっと食べてみてね!!!」 「むーしゃむーしゃ」 一口かじり、おいしそうなそぶりは見せたが、れいむは首をかしげた。 「おいしいけど……ソフトクリーム?」 「ん?」 「馬鹿な……」 「うぅうー☆ 分からないなら、ふらんも食べてね!!!」 気乗りしないふらんもかじる。 その時、ものすごい音がした! ガリっ! 「「「!!!?」」」 「ゆ……ゆううう! 痛い! 痛いけどおいしい!! かむのってたのしい!!」 「うー そうでしょ!!?」 「こ、これは………」 内部を覗き込むと、そこには…… 「肉まんがをベースに、蓮根・牛蒡・からすみ・金華ハム・ルーチン(鹿のアキレス腱)・押し豆腐……だと!!?」 対して、れみりあも中身は同じ。 なのに、れいむは「ソフトクリーム」と称した 「まさか………」 「そのまさかさ! ふらんは食感をそのままに、わたしはこの千差万別の歯ごたえをもった食材を、全て蒸して 同じ状態にしてある!」 「なんと!」 「どいつもこいつも、ただ食材をちょっと変えて詰め込めばいいと思考停止している愚か者たちよ! さあれいむ! もっとお食べなさい!」 「いや……もうおなかいっぱいになりそう……」 しかし、その時 「ならば私の出番だね!!!」 戸口に立っていたのは、ゆっくりすいか 「鬼せんべいがなにしにきた!」 「緒戦は食材という枠から外れられない連中ばかり。嘆かわしい―――――」 「ど、どういう意味!!?」 「れいむ」 すいかは、齧られることもなく、上下に分離した。そしてそこから出てきたのは……… 「おお、厚手のタオル!」 「いい生地ね………」 「これは………ゆっくりできる……くやしい……」 鬼なら、酒じゃないかと何人かは思ったが、そんなことはこのタオルの心地よさにしてみればどうでもよかった。 れいむが夢中になってタオルと戯れている。 しかし、その時 「即物的ですね……」 戸口に立っていたのは、ゆっくりもみじ 「紅葉饅頭がなにしにきた!」 「それでいいんだったら―――――私だって!!!」 「ど、どういう意味!!?」 もみじは、齧られることもなく、上下に分離した。そしてそこには……… 「おお、なんという精巧な盆栽!」 「盆栽の域じゃないね! これは箱庭…… いや、往年の特撮で見られるミニチュア技術のはるか上を行っている!」 おそらくは、故郷の山の風景なのだろう。 麓の川、森、そして周辺の人家まで、相当緻密な再現がされている事が分かる。 大きさは合わないが、中央にはかわいらしいあしらいの、にとりが将棋盤の前に座っている風景も再現されている 「これは………ゆっくりできる……くやしい……」 「何てことだ……… ゆっくりの中身は無限大……!」 全員もみじの中身から目が離せない。 れいむは、タオルも忘れて夢中になっている。 しかし、その時 「お前らひっこんでいろ!」 戸口に立っていたのは、ゆっくりてんこ 「なにしにきた!」 「―――――おまえらはぬるすぐる」 「ど、どういう意味!!?」 てんこは、齧られることもなく、上下に分離した。そしてそこには……… 「あ、買ったんだ」 「うん」 「すげー BOXで」 「ゲゲゲの女房」のDVDボックスだった。 「見るよね?」 「もー仕事なんてどうでもいいよ」 「冷蔵庫にキリンフリーだけあった」 「あーでも、プレイヤーがないわ」 しかし、その時 「そんなこともあろうかと」 戸口に立っていたのは、ゆっくりらんしゃま 「なにしにきた!」 「DVDだけじゃ、ただの円盤ですよ」 「ど、どういう意味!!?」 もみじは、齧られることもなく、上下に分離した。そしてそこにはポータブルプレイヤーが!!! すいかがまき散らしたタオルをクッション代わりに―――――キリンフリーを飲みながら、西麻布の深夜のオフィスで、 ゆっくり達はのんびりと「ゲゲゲの女房」の鑑賞を楽しみました。 そして、皆確信したのだった。 ――――――― ゆっくりは、中身こそ命!!! ――――――― 一か月後、れいむはらんしゃまと婚約しました。 理由は、しっぽがいろいろいい感じだから 終り 繰り返しギャグにやられましたwどんどんカオスになっていくというか、中身がDVDプレイヤーの饅頭って最早何なんですかー!! そして最後のオチが酷いw -- 名無しさん (2010-11-24 13 13 05) もう饅頭じゃねーよ!なんなのこれ!面白いわ! -- 名無しさん (2010-11-26 19 24 20) 最後のが饅頭と言うより最早ロボットとしか思えない仕様に吹いたwww -- 名無しさん (2010-12-02 01 37 27) 名前 コメント
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人参はささがきにして塩、ごまで和える 201 :可愛い奥様:2006/01/13(金) 23 54 00 ID PJc8Ibva 生人参の匂いや硬さが苦手じゃなかったら試して欲しい。 人参はささがきにして塩を適量入れてもむ ↓ ごま油、指でひねったごまを入れて和える。できあがり。 少し小鉢に盛って食べる位の量がいいです。 これを炊きたてのご飯に混ぜても美味しい。 小さい俵型に握ったりするときれいだけど、弁当に持って行くと 傷むかもしれないので注意です。生だし。 202 :可愛い奥様:2006/01/14(土) 00 32 16 ID 9+q26zEX 塩入ってるなら大丈夫じゃないかと・・・ 203 :可愛い奥様:2006/01/14(土) 01 30 12 ID pRrre5Lx それってずばりナムルじゃね? 204 :201:2006/01/14(土) 01 46 38 ID DVv89qQo まぁ、ナムルのような物だけど。加熱しなくていいんでちょっと楽。 加熱すると出る甘みがないので好きなんです。 せっかく生で作るのにアレだけど、適当なだしでご飯に炊き込んでも美味。 誰か試して味噌~ 205 :可愛い奥様:2006/01/14(土) 03 07 04 ID /1tEjAJy 204美味しそ~! 人参単品でのレシピってあんまり知らなかったから嬉しい。 ちょうど風邪っぴきでここ2、3日買い物行けなくて、 米と人参しか食材無いから助かったよw 232 :可愛い奥様:2006/01/16(月) 04 20 07 ID EBxZ1bfu 205 亀スマソ。 人参生で使うので、風邪の時にはもしかしたら胃に負担かもです… 念の為ご注意を。 そうそう、ご飯にひじき炊き込んで(うおつか流のパクリ) そこに混ぜても美味しいですよ。独身時代よくやってました。 306 :可愛い奥様:2006/01/20(金) 10 16 50 ID WoSIYWzs 201 人参やってみたよ。 長ネギの千切りも一緒に和えたんだけどすごく美味しかった! 教えてくれてありがとう。 part5 http //human5.2ch.net/test/read.cgi/ms/1135555300/
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今日も俺はヘトヘトになって家に帰って来た。 やたらとキツい仕事だが、この就職難に贅沢は言ってられない。 第一、俺には…… 「ゆ!おかえりなさい、おじさん!!」 このゆっくりまりさがいる。こいつを路頭に迷わせる訳にはいかない。 「おしごとおつかれさま!ゆっくりしていってね!!!」 「ああ、ゆっくりしていくよ……」 いつもの会話を交わすと、俺は簡単に食事を済ませた。 これから始まる、俺とまりさのひとときの為だ。 テレビを見てはしゃいでいるまりさの後ろで、そっと ――俺のウインナーを出す。 「まりさ、こっち見ろ。」 「ゆ!?おじさん!?」 まりさの目線は俺自慢のウインナーに釘付けになった。 「こいつを見てくれ。こいつをどう思う?」 「すごく……おおきいよ……。」 まりさはだいぶん興奮しているようだ……。涎までたらしてやがる。なんていやしいんだ。 「ハァハァ、おじさん……、もういい?」 「ああ。存分に味わえ。」 俺のその一言でまりさのたがが外れたようだ。すごい勢いでむしゃぶりついてきて…… ぱき! 「うんめ!これめっちゃうめ!!」 「だろ?なんてったってこいつは、 黒毛豚の肉で作った特製ウインナーだからな。」 「おかわりー!!」 「おいおい、大した量はないんだから、食い過ぎんなよ。」 精肉場の仕事は過酷だが、良い肉を譲って貰える役得もあるんだよな。 すげぇたまにだけど。 「味わって食えよ。もうこんな美味いもん食えないぞ。」 「ゆっくりたべるよ!」 ―― ゆっくり怪談の人 「えろほん」読んだ後だと投棄場じゃなくてもいい気がしてくるw -- 名無しさん (2009-02-18 22 16 33) いい話(^_^;) -- 名無しさん (2009-05-30 23 57 18) 名前 コメント
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とっさに。 でも、断固とした、寿さんの手に触れさせてなるものかという意志を持って。 つよく。叩くように跳ね除けていた。 C子 「いっつぅ・・・な、なにする・・・」 憂 「あなたがこのノートに触らないで」 C子 「憂・・・?」 憂 「そう。気づいてるよね。今あなたが手に取ろうとしたのは私の・・・マンガノートだよ」 憂 「知ってるよね?あのとき寿さんが気持ちわるがって、ありえないって否定した。あの、マンガノート」 C子 「あ・・・あの、あのね。憂・・・」 憂 「・・・」 言いたいことはあった。 でも、相手の顔色を伺うことに慣れてしまった私には、思いの丈をそのまま口から出すことに戸惑いを覚えずにはいられない。 それは長年の習い性。身にこびり付いてしまった錆のようなもの。 だけど・・・ 純 「・・・」 あっけにとられた風に黙って、事の成り行きを見ている純ちゃんに視線を向ける。 彼女から教わったこと。 人との付き合いに、過度な緊張は必要ないということ。 そして、裸の。素の。飾らない。 そんな自分でいて良いのだということ。それに気づかせてもらったから・・・ 憂 「これはね、大切なものなんだ。私の大切な人の姿を描きとめた、大事な大事な私の宝物。だから・・・」 だから、私はためらいを捨てる。 飾らない自分の、生の心をぶつけるために。 人付き合いに臆病で後ろ向きな自分と、永久に決別するために。 憂 「だからね、友達でもない人に・・・好きでもない人には、このノートに触れては欲しくないんだ」 C子 「・・・好きで・・・ない・・・?」 憂 「うん、ごめんね。だいっ嫌い」 C子 「・・・あ」 憂 「・・・寿さんが行かないんなら、私たちが行くね。純ちゃんゴメン、片付けるの手伝ってくれるかな」 純 「あ、うん・・・」 C子 「・・・」 私たちが広げた荷物をまとめている傍らで、寿さんはその場に黙って立ち尽くしていた。 やがて私たちがそこから去ろうと立ち上がっても。 彼女は呆然とうつむいたまま。一言も発することもなく。 ただ唇を真一文字にキュッと結び、何かに耐えているかのような表情でまぶたを落として・・・ ただ、そこにいた。 その姿にチクンと。小さな痛みにも似た罪悪感が私の胸を突く。 純 「ちょっと、憂。いいの、このままにしておいて・・・」 だけど・・・ 憂 「・・・良いの」 言って私は歩き出す。純ちゃんも戸惑いの表情のまま、私の後に続いてくれた。 しばらく歩いて、そして一度だけ後ろを振り向く。 そこからは、寿さんがまるで時を止められた絵や写真のように・・・ さっきと同じ立ち姿のままで、同じ場所にいるのが見えた。 どうしてだろう。もう一度。私の胸が小さくうずいた。 同じ公園内!大樹から離れた広場!! 憂 「・・・純ちゃん、ごめんね。驚かせちゃったよね」 純 「うん、まぁ。あんな憂、見たことなかったから、ね。正直ビックリしちゃったかな」 憂 「そうだよね。さっきの私、イヤな子だったよね」 純 「あの子なんだね。憂が言ってた、昔の友達って」 憂 「うん。小学校のときの親友。そう思ってたのは、私だけだったんだけど」 純 「・・・」 憂 「私の気持ちを知って、私を否定して、そして私から離れていった・・・私の昔の親友・・・」 純 「やっぱり」 憂 「うん。それがどうして今になって話しかけてきたのか分からないけど。でも・・・」 純 「じゃあ、良かったじゃん!」 憂 「・・・え?」 純 「言ってやりたいこと、言えたんじゃん?」 憂 「あ・・・そ、そう・・・だね」 純 「でしょ?この前きいた感じじゃさ。以前は文句らしい文句、言えなかったみたいだし」 憂 「うん。今日はじめて、あの子に言いたかったことが言えた・・・のかも」 純 「にひひ。じゃあ、ちょっと嫌な思いもしたけどさ。あの子と再会できたのも、結果オーライってとこだね!」 憂 「・・・純ちゃん」 純 「ずっとガマンしてたんだもんね」 憂 「うん・・・」 純 「だからさ。溜め込んでた物を吐き出せて、スッキリできて良かったよ。ね、憂」 憂 「じゅ・・・純ちゃん・・・」 純 「さぁて。せっかくの楽しい日曜を仕切りなおさなきゃ!で、腹ごなしがすんだら、残りのお弁当を食べちゃおう」 憂 「え、ま・・・まだ食べるの?」 純 「言ったっしょ?残すような野暮なマネはしないって。純ちゃんに二言は無いんだぜ?」 憂 「・・・うん。うん!」 純 「・・・嫌な子だなんて、思わないよ」ボソッ 憂 「・・・っ」 純 「お!アスレチックコーナー発見!絶好の腹ごなしポイントだね。行ってみようよ!」 照れ隠しのように、手を差し出してくる純ちゃん。その手を取り、彼女の暖かさを肌で感じながら私は思った。 さっきまで。ううん、小学生の頃から心の底をずっと占領していたモヤモヤ。 それをすべて吐き出しちゃった今。 代わりに心を占めるのは、純ちゃんへ向けた感謝と親愛の気持ち。 たぶん、きっとこれが。この暖かい気持ちが。 友情というものなんだろうって。 憂 「・・・うん、行こう!」 思わず込み上げてきそうになる涙を飲み込みながら、私は誓う。 この先もし、純ちゃんに困ったことが起こったなら。 彼女を襲う何事かが訪れたときには、今度は私がこの子を護る盾となる。 そんな人になろう、と。 数日後の学校!放課後!! 憂 「純ちゃん、仕度おわった?帰ろうよ」 純 「あ、ごっめーん。ちょい野暮用!すぐ済むと思うから、ちょっと待ってもらっていい?」 憂 「うん、良いよ。じゃ、私ここで待ってるね」 純 「悪いね!それじゃ、ちょちょっと行ってくるから!」タッタッタ 憂 「はーい」 憂 「・・・」 憂 「行っちゃった」 憂 「・・・あ、そうだ!」 それはちょっとした思いつき。 ただ廊下まで出て、去り行く純ちゃんをこっそり見送ろうと。 たったそれだけの、単なる気まぐれだった。 ひょいっと教室のドアから廊下へと顔をのぞかせると、廊下をテテテっと駆けていく純ちゃん。 憂 「あ、走ってる走ってる。だめなんだよ、純ちゃん。廊下は走っちゃ・・・」 憂 「・・・え?」 そこで私は見たくないものを見てしまった。 廊下の端。純ちゃんが手を振りながら向かう、その先に。 あの子の姿を。 ここからじゃ、かなり小さくしか見えないけれど。 でも、私が。あの子を見間違えるはずがない。 そう、寿 詩子。彼女の姿を・・・ 憂 「・・・え、なんで?なんで純ちゃんが寿さんと・・・?」 二人は合流すると、廊下の角を曲がって。そしてそのまま揃って私の視界から消えてしまった。 憂 「どういうこと・・・二人が私の知らないところで会って・・・え?」 だってあの二人は、この前初めて顔を合わせたばかり。 友達どころか、知り合いの域にすら達していないはず。 それどころか。私にとっての寿さんという子が、どういう意味を持っているかを知っているはずの純ちゃんが。 なぜ、私に黙って。あの子と落ち合っているの・・・? 憂 「え・・・意味が・・・わからない・・・」 ・・・そして。 私が困惑と不安をない交ぜに、立ちすくんでいたのと同じ頃。 学校内の某所にて・・・ 唯 「え・・・なに?なに・・・するの・・・?」 唯 「・・・!いやっ!は、離して!あ、あう・・・いやだ・・・!」 唯 「た、助けてー!和ちゃん!憂、ういーーーー!!!」 唯 「い、いやああぁああぁあああああぁああぁぁあああっ!!!!」 密閉された場所で、誰に届くはずもない悲鳴をむなしく壁に反響させながら。 お姉ちゃんが必死に助けを求めていたことに、私は気づく由もなかった。 第三話へ続く! 第三話 憂「お姉ちゃんが壊れちゃった」 朝!通学路!! 純 「あ!おっはよー、憂!」 憂 「・・・純ちゃん」 純 「昨日はどうしたのさ。教室で待っててくれるんじゃなかったの?」 憂 「・・・」 純 「用事済ませて戻ったら、憂いなくなってるし。メールしても返事ないし」 憂 「・・・」 純 「私、ちょっと話があったんだけどなぁ。・・・憂?」 憂 「・・・純ちゃん」 純 「・・・どうしたの?目の下クマだらけにして。もしかして、寝てない?」 憂 (コクリ) 純 「なにかあったの?」 憂 「・・・純ちゃん。お姉ちゃんが。お姉ちゃんがね・・・」 純 「お姉さんが・・・どうしたっての?」 憂 「お姉ちゃん、壊れちゃった・・・」 純 「・・・え」 回想!前日の放課後!! とぼとぼ・・・ 憂 「けっきょく、純ちゃんに黙って学校出てきちゃった・・・」 憂 「純ちゃん、私のこと探してるかな。それとも、怒って帰っちゃったかな・・・」 憂 「・・・悪いことしちゃった・・・」 でも、怖かったから。 純ちゃんが私を裏切るはずはない。頭では分かってる。 だけど、それでも。 寿さんと純ちゃんの接点が私には見当がつかない以上、心の中で不安が渦巻くのを止める手立ては思いつかなくって。 どうしても予想は悪い方にばかり偏ってしまう・・・ だから私、逃げるように学校から飛び出してきちゃった。 憂 「こういうことは、もう止めるって決めたのに・・・」 憂 「気持ちを押し殺さない。素の自分を友達には隠さない。だから、不安に思ったことも純ちゃんに聞けば良いだけだったのにな・・・」 憂 「・・・」 憂 「うう~~~っ!」 憂 「考えたって仕方がないや!家に着いたら、ごめんなさいってメールしよう」 そして、寿さんと何を話していたのか。それも聞いてみよう。 うん、ガンバレ私!! 帰宅!平沢家!! ガチャッ 憂 「ただいま~・・・」 憂 「・・・あれ?お姉ちゃんの靴。先に帰ってたんだ・・・」 でも・・・ 憂 「もう薄暗くなってるのに、なんで明かりをつけてないんだろ。・・・お姉ちゃん?」 憂 「お姉ちゃん・・・帰ってるの・・・?」トテトテ・・・ 憂 「・・・お姉ちゃん?」ヒョコッ 唯 「・・・」 憂 「あ、いたぁ。ただいま、お姉ちゃん!」 時はすでに夕刻。 日はすでに落ちかけ、西の空を残照が茜色に染め上げている頃。 唯 「・・・」 その、地平線に沈み消える前のわずかな光が、かろうじて差し込むリビングのソファーに。 憂 「お姉ちゃん・・・?」 明かりもつけず。 薄暗い部屋に、ただぽつねんと。 お姉ちゃんは”いた”。 唯 「・・・」 憂 「・・・お姉ちゃん?な、何してるの?明かりもつけないで・・・」 唯 「・・・」 憂 「お姉ちゃん・・・?」 唯 「・・・」ユラッ・・・ 何度目かの呼びかけにやっと応じて、お姉ちゃんが顔を上げる。 だけど、その目は。斜陽に照らされたためか、真っ赤に染まったお姉ちゃんの瞳は・・・ 視線を私に投げかけながらも、眼差しは虚空をに漂わせているだけで、誰のことも見てはいない。 そんな、およそもっともお姉ちゃんらしくない、空疎な目。 ぞくっと。 私の背中を冷たいものが走る。 こんな、生気のない瞳を。冷たく凝固したかのような表情を。 あのお姉ちゃんの顔の上で見ることになるなんて。 唯 「・・・」 憂 「ね、本当どうしちゃったの、お姉ちゃん」 唯 「・・・」 憂 「ねえ、何か言ってよ。何かあったの?」 唯 「・・・」 憂 「ねえ?なにがあったの!?答えてよ、お姉ちゃん。お姉ちゃん!?」 唯 「・・・」 憂 「ねえってば!言ってくれないと、私なんにも分からないよ!」 呼びかけても・・・ お姉ちゃんは言葉一つ、うなづき一つすら私に返してはくれなかった。 9
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1話 熱帯魚、逃げた プロローグ 「まくとぅそーけー、なんくるないさ」 エメラルドの海の袂。海から吹く涼しい風の中。海咲野くくるは。祠に手を合わせていた。 ただしいことをしていればなんとかなる。 そういう意味の言葉だった。 くくるは毎日この祠にブリの頭を供えてそう願っている。 そう、すべきことをきちんとしていればどうにかなる。今までだってなんとかやってきたんだ。 日課を終えて家に戻るが……途中で意を決して振り返り祠まで戻る、 「たすけて! おねがい!」 そう言ってお供え物のブリの頭を祠に追加した。 「このままじゃわたし……」 むろん誰からも返事は帰ってこなかった。 そろそろ朝の仕事がある。 くくるはがまがま水族館へ足を運んで業務をこなした。いつも通りの清掃から始まる。 くくるは掃除の途中でなんとはなしにぼーっと水槽を見つめた。 このがまがま水族館は閉館されようとしている。おじいが館長の大好きな水族館。それがなくなってしまうのだ。老朽化や客の少なさが主な原因だが、 くくるはそれが受け入れられずにいた。 せめて、お客さんがたくさんくれば。老朽化はお金がたまってからなんとかすればいいじゃないか。 だがそんな話は誰も、おじいさえも受け入れてくれない。だったら……自分がやるしか……。 アイディアを出してもなかなかうまくいかない。この夏で閉館してしまうというのに……。 水槽を元気に泳いでいるこの子達だってどうなるか。 いくら考えども答えは全くでない。 その日の仕事は一切身が入らなかった。 1 引っ越し屋の小さな軽トラックを見送って、宮沢風花(みやざわふうか)は空っぽになった自分のマンションに戻った。 残っているのは麦わら帽子とキャリーバッグと……赤いハイヒールだけだ。 小学生の頃からアイドルに憧れていた。大好きな「ガールズタイム」のPVを毎日のようにスマホで見ていたっけ。メンバーたちがそろってはいていた赤いヒールにずっと憧れていた。 東京で初めて買った靴。いつか私もあんな風にって思って思い切って買ったのに。結局新品のままだった。 「おわっちゃった……私の夢」 風花はそれだけつぶやくと今度こそ部屋を空にして玄関をくぐった。 東京でやることはすべて終わった。 風花は最後に世話になったアイドル事務所である『辻プロモーション』に挨拶をすることにしていた。 電車で数駅先にあるビルジングに入り、エレベーターで十八階へ。ここへ来るのも最後だと思うとなんともわびしく思える。ずっと努力を重ね続けてき た場所だ。いや、感傷にふけるのはいまはいい。 事務所の扉を開けると男女の話し声が聞こえた。 「最近の子はすぐやめちゃいますね」 「きっとそこまで本気じゃなかったのよ。チャンスを人に譲るなんて考えが甘すぎる」 「確かに最近は人気も落ちたし、向いてなかったんですかね」 その会話が自分について話していることはすぐに分かった。 「美人だけど、目立たなかったし」 「やめてから世の中の厳しさを思い知って後悔するんじゃない?」 このまま聞いていたって仕方がない。どうせ不愉快な陰口が続くだけだ。 風花は話をさえぎる形で、無遠慮に二人の机へ向かった。 「転校の手続き終わりました。引っ越しのトラックも見送ったので、これから実家に戻ります」 「ああ、そっか」 男のほうは気まずそうに目線をそらした。 「お疲れ様。風花」 女のほうは顔色を特に変えずにそう言った。 「長い間お世話になりました」 それだけ言って頭を下げ、思い出話しをすることもなく風花は踵を返した。 再びエレベーターで一階へ。エントランスホールで遠くから呼び止められる。 「せんぱーい!!!」 「ルカちゃん」 「マネージャーさんから聞いて、絶対会いたいと思って」 走って追いついたルカは、息も整えずにそう言った。目じりには涙が浮かんでいる。 「私のせいですよね! 私が風花先輩のチャンスを奪ったから」 「ううん、違うよ、やめるのはアタシが決めたことだから」 「う、ううううう……。すみません」 涙が止まらないルカの目にハンカチを当ててやる。 「いいよいいよ。……一つだけお願い」 「先輩?」 「がんばってね。あたしの分も」 ルカは風花を抱きしめ、肩を濡らすだけだった。 泣き止むのを待ってやり、別れ、上野駅へ。 東北新幹線の乗り場へ向かう途中にスマホを手に取った。 「もしもし」 『ああ風花』 「これから切符買うとこ」 『ごめんね、手伝いに行ってやれなくて。自治会の旅行と重なっちゃって』 「大丈夫だよ。大して荷物もなかったし、たぶん夕方には盛岡につくと思う」 『お父さん家で待ってくれてるから。安心して帰っておいで、ご近所の人にも事情は話しておいたから』 「え?」 『こういうことは隠しておいてもすぐ広まるでしょ。あんたが返ってくるのみんな楽しみにしてるって』 「みんなって?」 『佐々木さんちのおばちゃんとかあっこ姉ちゃんとか風花ちゃんを励ます会を開かないとねーって張り切っちゃってて』 「…………」 『芸能界なんて所詮は水ものだから、さっさと見切りつけて正解だよってみんな言ってる』 …………私の数年間が無駄だったとでも言いたいのか? 『そろそろ行かないと。じゃあ気を付けて。家に着いたら連絡してね』 通話終了。 風花はスマホの画面を消し。少し物思いにふけった。 まあ、芸能界に対する偏見はいい。それより…… 「励ます……会」 何をさせられるんだろうか。ただの飲み会だけならまだいいが……例えばこういうのではないだろうか? 広めの地区会館のホールで開かれ、テーブルの上に寿司と酒を並べられ、近所中の顔見知りたちが騒いでる中……自分はステージの上で歌わされるの だ。弾幕には『風花ちゃんを励ます会(町内会有志)』などと書かれ、大勢のご近所さんたちがやんややんやと指笛やクラッカーで歌とダンスを盛り上げ る。 ステージが終わればお酌(おしゃく)の時間にでもなるだろう。ビール瓶片手に笑顔を振りまきながら一人一人に酌をしながら思い出話にふけるのだ。 長旅でくたくたで! こんなにへこんでるのに!! そんなことをやらせる町内の連中の無神経さときたら! 「………………無理」 怒りというよりは悲しみの感情がこもった声で、風花はやっとつぶやいた。 帰りたくない。このままどこかへ行ってしまいたい。 そう思った矢先に目に飛び込んだのは、駅の柱に貼り付けられているポスターだった。 絵具を落としたような真っ青な空に入道雲。水平線をバッグに、海に足をつけたモデルがこっちに向かって手を振っている。 『そうだ、沖縄』 のキャッチフレーズがよくあっている、そういうポスターだった。 その後の事はよく覚えていないが空港への行き方を調べたことだけは覚えている。 「来ちゃった」 飛行機を降りて荷物を回収した後、初めに目にした文字は「歓迎めんそ~れおきなわ」だった。出口にでかでかとボードが飾られている。 さて、これからどうしたものだろうか。とにかく街へ行くしかないだろう。観光都市だしホテルも探せば何とかなるはずだ。 電車に乗り、このあたりの事をスマホで調べ、それっぽい繁華街で適当に降りてみた。 さすが沖縄……熱すぎる。さっきまではさわやかな風が吹いていたが、繁華街となるとそうもいかない。ギラつく太陽とアスファルトからもうもうとう ねる熱気が風花を苦しめた。 アーケードに逃げ込むと暑さはずいぶんよくなった。アイスの売店を見つけてオレンジのアイスを買う。まあ、今まで娯楽もろくに行わずにがんばって きたんだ。ため込んだ金もある。少し沖縄を楽しもうではないか。 不安な気持ちはうまく消せないが、それでも風花は目の前の観光を楽しんだ。 「見える……あなた、悩み事がある」 声のほうに目をやるとそこにあったのは占いの店だった。 真っ暗な店内を蝋燭の火で照らし。水晶玉に手をかざした怪しい格好の女性がこちらをまっすぐ見つめていた。 「うん、わかるのよ。全部見えちゃうから、アタシ」 沖縄なまりでそう言い、笑みを浮かべたとたん、水晶玉が青白く光った。 「えっと……占い師さんですか?」 手招きされるままに店内へ足を踏み入れると、背後の扉が音もなくしまった。 「右手」 右手を差し出すと強く引っ張られ前のめりになった。危うくアイスを落とすところだった。 どうやら手相を見てくれるらしい。占い師は拡大鏡を掌にかざした。 「あきさみよっ!」 「え!?」 それは沖縄の言葉で「驚いたときに言う感嘆詞」だったのだが、風花にはわからなかった。 「聞きたい?」 「は、はい」 「じゃあ十分三千円」 ……まあいいか。 占い師は置時計をテーブルに置くとタイマーモードを起動してカウントさせた。 「あなた、真面目で世間知らずな優等生タイプね。いやなことも断れない性格。肌の艶からして十代後半」 「あたってます」 「東京から一人旅」 「すごいそこまで」 「わかっちゃうのよ。ア・タ・シ」 「あ、あの、どうしてこんなすごい占い師さんがこんなせまいお店で?」 「で、結局! 旦那にも裏切られてさ、ほんとついてないわけ、アタシ」 その質問をした時…………なぜか占い師の身の上話が始まってしまった。何か心の琴線に響いた様子だった。相談しているのは自分だというのに、風花 は結局話を聞いてあげる側になってしまった。 なんでも不幸な人生だったらしい。 「そうだったんですね。あ、そうだ、これ」 風花は荷物の中に入れっぱなしだった『東京ばなな』を渡した。 「食べて元気出してください」 「いい子だね、アンタ」 占い師は心底安堵したような表情を見せた。 本当は実家への土産だったが、生モノだし。不要になったものを処分させるような形になってはしまったが、せっかくだし食べてもらおう。 タイマーがなった。 「あ、時間」 「いいよ。たまには本気で見てあげよう。ここに生年月日かいて」 差し出された紙に生年月日を書いて渡す。 占い師は本棚からなにか本を取り出すと、生年月日を元に何か調べだした。星占いか何かだろう。 「最近いいことないね。迷子の時期だよ。……日の沈むころに表れる射手座を目指しなさい。いい出会いが待ってるはず」 「は……はい」 さっきまで愚痴ってた態度とは裏腹に至極真剣な目でそう語る占い師の言葉を、風花は素直に受け止めることにした。 「いい」 財布を取りだした風花を占い師は制した。 「沖縄には『いちゃりばちょーでー』って言葉があってね。ここであったのは何かの縁さ。困った時はお互い様」 「ありがとうございます」 一度あったら皆兄弟。そういう意味だった。 店を後にするとちょうど日が傾き始めた時間だった。 風花はスマホで射手座の位置を調べる。日没ごろに射手座が現れるのは南東のようだった。 歩き疲れたのでバスで向かうことにした。しかし……特に出会いらしいものはなかった。 結局砂浜までたどり着き、紫色に染まった海を見つめることしかできなかった。 気持ちいい………… …………なんとかなるさ。 そう自分に言い聞かせ。横になると、急激に睡魔が襲ってきた。 いいか。人の気配もないし。 結局日の出まで眠っていたようだ。 風花が慌てて体を起こすと、なぜかたくさんの貝殻が自分に乗っていた。地面にも自分を取り囲むように配置されていたが……その意味は結局わからな かった。 スマホを確認すると通知が十数件もたまっていた。全部母からの物だった。 三件の不在着信 メッセージ:連絡されたし 不在着信ets... Lineにもメッセージがずいぶん届いている。 ―もうすぐつきそう? ―まだうちに帰ってないって聞いたけどどうしたの? ―旅行先ですが、何時でも構わないので連絡ください ―とにかく、詳しい話を聞きたいので一度連絡ください 風花はとりあえず適当に返すことにした。 ―ごめん、お母さん。友達の家に止まるの約束してたの、忘れてたんだ。帰るとき連絡…… ううん、こんな話が通じるだろうか? 結局、メッセージは送らずにスマホの電源を切ってしまうことにした。 日が少し高くなるだけでどんどん気温が上がっていった。未だに行く当てがないがとにかく南東に進むしかあるまい。 そのあたりで麦わら帽子がないことに気が付いた。風で飛んだのだろう。この日差しでは厳しいが……行くしかあるまい。 浜辺から国道に戻り、また歩き始めたが、しかし疲労が風花を苦しませた。 知らない土地、帽子がない、浜辺で寝たので体力が戻ってない。セミの声すらうっとうしい。 ふらついてるのが自分でも分かったが、狭い歩道では休憩もままならない。 「大丈夫ですか?」 通り過ぎたピンクの軽自動車から同い年ぐらいの女性が駆け寄ってきた。 女性は風花を車に招き入れると手近な公園でおろしてくれた。 狭い殺風景な公園だったがすずしい居場所だった。 女性はよく冷えたミネラルウォーターを差し出した。 「まずはこれ、飲んだほうがいいですよ。熱中症対策。それから首とか脇の下とかリンパ冷やしてくださいリンパ」 「あ、はい」 水に口をつけると、自分の渇きがどれほどの物かようやく実感できた。一度に飲み干してしまいたかったが言われたとおりにリンパを冷やす。 「ご旅行ですか?」 「あ、はい」 女性は安心した表情を見せると、車に戻って何か持ってきた。 「この近くだったら、こことかどうですか?」 持ってきたのは四枚のパンフレットだった。 斎場御嶽、久高島、あざまサンサンビーチ、がまがま水族館。 風花は受け取って一つ一つ物色した。 がまがま水族館。水族館には長い間行っていない。東京では本当にひたすらアイドルの教育ばかり受けていた。観光ぐらいしたかったがレッスンを少し でもさぼるとおいていかれるのだ。 「送りましょうか?」 がまがま水族館のパンフレットを見つめ続けているとそう言われた。気に入ったと思われたんだろう。 「私、こういうものです」 そう言って渡された名刺にはこう書いてあった。 ハートのまち なんじょう 南城市観光協会 久高 夏凜(くだか かりん) 女性……夏凜の車に再び乗り、がまがま水族館の駐車場に到着した。 車をおり、別れを告げ、周囲を見ると……やはり美しい場所だった。 砂浜に面した駐車場。海では海水浴やジェットスキーを観光客たちが楽しんでいる。そしてそれらを見据えるように、がまがま水族館は佇んでいた。 大きな看板、青や緑、黄色で着色されたゲート。装飾の凝った窓ガラス。 入口のたもとにも看板があった。流木や貝殻で装飾され、カラフルな石で「ようこそがまがますいぞくかんへ」と書かれていた。 「かわいい」 初めて来た場所だけど、好きになれそうな気がした。 自動販売機でチケットを買って中へ。 岩肌をモチーフにされた薄暗い通路を進むと、壁にはめ込まれた水槽がたくさん現れた。 種類はよくわからないが、どの魚もきれいだ。海底をイメージされた水槽を元気に泳ぎまくっている。 しましまの魚、緑色のエビ、ああこれは知っているタツノオトシゴだ。 風花はその都度水槽を覗き込んで生体の神秘を観察し続けた。 自分以外は子どもや親子連れが多いようだった。そう言えば今は夏休みだ。アクセスの良さも相まって子どもだけでも来れるのだろう。 ここではガイド版や海獣の説明に手作りのものが多かった。 ボードに手書きの魚の絵と説明が書いてあったり、通行禁止の警告表示すら画用紙に印刷しているようだった。そういった温かみを感じるのもこの水族 館の良いところなのかもしれない。 「はあ……綺麗……」 もう何度目だろうか、全く同じことばかり言っている。だって本当に綺麗なのだ。なにかここを作成した人物の強いこだわりのようなものが感じさえす る。 少し気になる魚を見つけた。 たぶんオコゼの仲間だと思う。カラフルな緑色で目が少し飛び出ているようなフォルムをしている。風花には何となくカエルに似ているように感じた。 気になったのはなぜか岩の隙間からずっと動かないところだ。 「君、こんなに隅っこに隠れていたら、皆に気づいてもらえないよ。…………同じだね。あたしと」 水槽の下に名前が書いてあった。イシガキカエルウオというらしい。手書きのポップも張ってある。『いっけん、目立たないけど、実は誰より働き者。 岩やガラスについた苔をたくさん食べて水槽をきれいにしてくれるがんばりやさんです』。 「あたしもずっとがんばってたんだ。でもね、がんばってるだけじゃダメだった見たい」 また……思い出してしまった。 そう、がんばってた。真面目に、おいていかれないように。もちろん頑張りで勝ち得たものもある。ダンスや歌、ランニング等のトレーニングでは高い 数値を維持できた。パフォーマンスを常に一定に保てていたし、ファンに喜んでもらえるように一切手を抜かなかった。 その成果が出たのかセンターを取れた。 ある日後輩とマネージャーが揉めていた。それさえ聞かなければ今でも事務所で稽古を積んでただろう。あれさえ聞かなければ…… その後風花は自らセンターを降りた。 それからはあの子を応援するようになった。それに心底安心感と満足感を得たいた自分は……やはりアイドル失格だろう。 目じりが熱くなった時、大きな水が流れるような音がして我に返った。 周囲を見回すが特に音を出すような物は存在しない。 「え?」 目の前の水槽が光った気がした。すると亀裂が入ったかのように水が漏れだしてくる。だが緩やかな漏れだ。 風花が戸惑って身を引くが、水はどんどんあふれてくる。 ……わけがわからない。水槽の水が漏れてくるなんて。 逃げようとすると隣の水槽からも、後ろの水槽からも出た水が風花を取り囲む。激しく噴き出してくるわけではない。生きているかのように周囲をふさ ぐのだ。 風花は水と水との合間を縫って走った。 水が追ってくる。音が大きくなる。どこまで走っても津波のように風花のあとを追いかけてきた。 息も絶え絶えに逃げ回るが、ダメだ、前方の水槽からも……! 後ろの波も追いついてきた。 接触。 飲み込まれた……! そう思ったが、痛くも苦しくも、恐怖心のようなものはなぜか感じなかった。 やさしく、包み込んでくれるような。温かい波だった。 呼吸がなぜかできた。どうなっているのかと周囲を見回すと、魚たちが歓迎してくれるかのように周囲を旋回していた。 風花には彼らがまるで、傷心の自分を慰めてくれてるようだった。 紫や黄色の魚たちが、光の差し込む海の中を優雅に舞いつづける。 遠くから大きな何かが近づいてくる。これは知ってる。オニイトマキエイだ。 水面にはジンベエザメとウミガメ。 気が付いたら魚たちの楽園になっていた。 不意にプラティ達が風花の周りを美しく周回した。 そっか、慰めてくれてるんだ。 「ありがとう……でも……おわっちゃった。全部。夢も憧れも。もう、私、何もない」 ふと、現れたジンベエザメが風花に寄り添った。 こちらを見つめる大きな目が、笑ってくれた。 それだけで海の向こうへ姿を消した。 …………何だったんだろう? ジンベエザメの消えた先を見つめていると今度は目の前に女の子がいた。 それが海咲野くくる(みさきのくくる)との出会いだった。 2 朝の暑い日差しの中、くくるは布団から飛び起きた。 いつものように背伸びをして、布団を揚げたら早速制服に着替える。 「髪よし、爪よし、臭い……大丈夫」 さ、朝食だ。くくるは自分の部屋を出てすぐ隣のおじいとおばあの家へ向かった。同じ敷地内に平屋が二件立って居る。片方はまるまるくくるが使用し ているのだ。 今日の朝食はグルクンの唐揚げだった。 「わ、おいしそう」 グルクン(タカサゴ)を丸々おばあの特性液につけてカリッとあげたものだ。 「櫂君からもらったさ」 ちゃぶ台の向こうに座るおばあが言った。幼馴染の中村櫂(なかむらかい)の事だ。昔から釣りがうまい。 くくるは唐揚げを切り分けてまだ熱い白身をほおばった。 「いただきまーす。…………んーーーおいしーーー!! あ、おばあ、私今日遅いシフトなんだ。補修の後そのまま行ってくる」 「わかった」 「わは、ならで人と会うから」 今まで黙って朝食をつついていたおじいが言った。 「移送の話?」 「やさ」 時間は刻々と迫っている。ゆっくりはしてられない。 くくるは大口でグルクンにかぶりついて、ご飯をほおばり、味噌汁で流し込んだ。 スクーターにまたがり学校へ。 補修の教室を覗くと知った顔がいた。 「おはよう櫂、うどんちゃん」 「やっぱ来ると思った」 「くくるも補修?」 照屋月美(てるやつきみ)が言った。あだ名は『うどんちゃん』だ。名前が『つきみ』なので『うどんちゃん』 「出席日数足りなくて」 「働きすぎだろ」 「だってやることいっぱいなんだもん。あ、グルクンおいしかった」 「俺が釣ったんだ」 「今度また連れてって」 「ああ、いいよ」 その様子をにやにやと眺めていた月美が口をはさんだ。 「デート?」 「釣り」 「仕事かよ」 なぜか月美はうなだれた。 「くくるさあ、魚類だけじゃなくて、もうちょっと人類にも興味を持って」 「ん?」 「授業にもだぞ」 割って入ったのは今日の補修の教師だった。 「海咲野、お前が先日提出したレポート、これなんね?」 「イカの飼育日誌」 「なんで? なんで数学でイカ?」 「数学の問題よりイカの世界のほうが面白いから」 「ぐ……確かに良くかけてたけどさ」 「へへ、あのさ先生。イカって寿命が一年くらいだし、たまに水槽から飛び出してスルメになってたり、ほんっと育てるの大変なんですよ。でも、見てる とどんどんかわいくなって……」 「先生、授業始めてくださーい」 「話、終わらないんで」 「え? え?」 月美と櫂のそれぞれの主張に対して教諭はこう言った。 「しってる」 「ひどーーーーい!」 「おつかれさまでーす!」 がまがま水族館の事務室。 くくるは勢いよくドアを開けた。が、誰もいなかった。全員出てるんだろう。何分従業員も少ない。 飼育服に着替えてバックステージへ。 「空也さん」 「ういーっぅ」 その辺の空箱に座ってスマホを弄っている若い男に、くくるは話しかけた。 金髪長髪で、美男子なのにあまり愛想は良くない。仲のいいのは別の社員の具殿轟介(ぐでんごうすけ)ぐらいだ。その具殿氏も今は休暇中だが。 「今日シフト?」 「ウミやん、まだ腰痛いから休むってよ」 「おじいも忙しそうだよ。あっちの手伝い頼まれたって」 「まじかー。君が夏休みじゃなかったら、マジ終わってたわ」 いずれの会話もスマホから目を離さずに行っている。 「引継ぎは?」 「日誌に書いといた」 「お客さんは」 「いつもどおり」 「はあ、人類滅亡したのかしら」 壁にかけてあるカレンダーを見た。八月三十一日に丸が付けてある。もちろん記念日の類ではない。このがまがま水族館の閉館日だ。 「見回り行ってくる」 そういうなりくくるは手近なドアに手をかけた。 オンステージを見回ると、くくるは見慣れないお客さんを見つけた。 なんだろう。漠然と沖縄の人っぽくなかった。観光協会にパンフレットの配布はお願いしてるが、結局地元客が集まる場所なのだ。 その女性は何というか、美女だった。 つややかな腰まで伸びる髪。深く、吸い込まれそうな目、体のどこをとっても整っていて自分もそこそこ見た目には自信があるのだが…………これはか ないそうもないような。 いや、別に優劣をつけたいわけじゃなくて。 この女性が気になったのは、たぶん……『見えている』からだ。 水槽の一点をピクリともせずじーっと見つめている。これは『見えている』人の特徴なのだ。 くくるは女性の目の前に立って『意識が戻るのを』待った。 対して待つことなくお姉さんは我に返った。 「もしかして、今『見えて』た?」 「え?」 反応からしてたぶん合っている。 くくるは続けた。 「水族館て不思議なところだよね。不思議な生物、不思議な生体。普段は見えないものが少しだけ見える。でも時々、もっと不思議なものが見えることがあるの」 「今見たものって……」 「……ここだけの話ね」 「は、はい」 「たぶんキジムナーのいたずら。ここは古いから、そういうこともあるさーって。おじいがいってた」 「キジムナー??」 「ここ初めて?」 「あ、はい」 「良かったら案内するよ」 「でも」 「ようこそ、がまがま水族館へ」 くくるは満面の意味でそういった。 「わたし、ここの館長。海咲野くくる」 それが、宮沢風花との出会いだった。 「がまというのは沖縄では自然にできた洞窟の事」 なるほど、だから岩肌をモチーフにしているエリアが多いのか。 くくるのあとを歩きながら、風花はそんなことを思った。 「戦争中は悲しいことがたくさんあったところだけど、 むかーしは、この世とあの世を結ぶ場所だと考えられていたらしいよ。身近だけど不思議な空間 ってことで、がまがま水族館っていうんだ」 「へえー。でも、不思議というよりのんびりっていう感じ」 ほかのお客さんを見ると、この場所での友人同士の会話を楽しんでいたりと、どちらかというと日常の延長のように感じられたのだ。 「田舎のおばあちゃんちのお茶の間みたいって言われたこともあるよ」 くくるが自嘲気味に笑った。 「なんかわかる」 おみやげコーナーの先のガラス戸を抜け、たどり着いたのは屋外のペンギンの展示だった。 「かわいい」 白黒のちっちゃい二足歩行たちが、のたのたと歩き回っている姿を見て、風花はついそんな声を漏らした。 「くくるー」 じっくり観察しようと思ったが横からそんな声がした。 見るといつの間にか階段の下でくくるが子どもたちに捕まっている。 「ねーえー。プールまだ?」 「ごめんね、また今度ね」 「えーなんでえ。くくるのけちー」 くくるは謝って子どもたちと別れた。 「プール?」 「生き物と触れ合えるタッチプール。しばらくお休み中なんだ。人手不足なの。バイト探してもなかなか見つからなくて」 そこで風花は急激にあれこれ考えだした。 そうだ、考えてみれば…… わたしはどうするつもりなんだろう。ここで暮らしていくのか? だったら仕事はどうする気だ? ここには衝動で来ただけでいつまでもホテル暮らしなんてできるわけがない。むろん岩手には絶対に帰りたくない。ここに根を下ろす覚悟までしていたわけではないが……自分の現状が八方ふさがりなのも事実だ。せめて……せめて仕事ぐらいはどうにか決めないと……!! 気が付いたら風花は必死の血相で走っていた。階段を下りてくくるの前で止まると手を握ってこういった。 「あの、おねがいします! わたしをここにおいてください!」 その後のくくるの困惑顔ときたら……うん、何をしているんだろうか。わたしは。 つづく 》》2話 濡れるのも仕事のうち
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戦略家にして大提督(タクティカル・アドミラル)「ナノ・ブレーム」 VR 火/水文明 (7) 進化クリーチャー:スプラッシュ・クイーン/デジタイザーズ 11000 ■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 ■マナ武装5:相手の呪文の効果または相手のクリーチャーの能力によって、このクリーチャーが自分の手札から捨てられる時、自分のマナゾーンに水のカードが5枚以上あれば、墓地に置くかわりに自分のバトルゾーンに置いてもよい。 ■デッキ進化-自分の山札の上から1枚目を表向きにする。そのカードがクリーチャーであれば、このクリーチャーをその上に重ねつつバトルゾーンに出す。そのカードがクリーチャー以外であれば、このクリーチャーを自分の手札に戻す。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から5枚を表向きにする。その中にあるすべてのレイドボスとレイダースを自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に戻す。 ■W・ブレイカー 作者:宇和島 フレーバーテキスト あのプレイヤー、俺たちの獲物である巨大なボスを手懐けているぞ。どういうことだ…!?———聖遊者 ドッチハッチ 収録 DMTend-06 「サイバーランド戦記 第2章 プレミアム・ストーム」 評価 名前 コメント