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『初めての正義の味方』 25KB 愛で いじめ 不運 日常模様 同族殺し 赤ゆ 子ゆ れいぱー 現代 ぺにまむ 初投稿です。お目汚し失礼します。 前半愛で 後半いじめとれいぷ 理不尽バッドエンドなのでご注意ください 日向にいると少し汗ばむ位の春の陽気。うららかな午後。 ある公園の、人目につかない木陰のダンボールから子れいむが這い出てくる。 「ゆっきゅり…ゆっくりいってきます!!」 まだ赤ちゃん言葉が抜けきらない子れいむは、ダンボールハウスの中の母れいむに、元気良く声をかける。 父まりさは狩りに出ており不在で、母れいむは、生まれて数日の赤れいむ達が午後のお昼寝たいむで、傍を離れられない。 退屈でたまらない子れいむは初めてのひとりでお散歩に行くようだ。 「ゆ!ゆっくりいってらっしゃい!にんげんさんやねこさんにきをつけるんだよ!こうえんさんからでないでねっ!」 母れいむは、とても心配ながらも子れいむに注意を促して、送り出す。 「ゆゆっ!れいむのぼうっけんっがはじまるよ!れいみゅ…れいむゆうっかんっ!でごめんねっ!!」 育ちざかりの子れいむは好奇心旺盛。 見る物、聞く物、全てが楽しくて刺激的。 それまで親の目の届く範囲でゆっくりすることしかできなかった子れいむには、 自由に遊べる今日のお散歩への期待に胸(?)が膨らむ。 きっと今日は忘れられない一日になる。 帰ったら冒険譚を妹達に聞かせてあげよう、と子れいむは妹達のゆっくりした笑顔を思い浮かべ、飛び跳ねる。 「ゆっくりしていってね!」 巣の近くには噴水がある。 水辺は危険なので、親ゆっくりが水を調達しにいく以外は、子ゆっくり、赤ゆっくりは近づかせてはもらえない。 だから子れいむは、ぼうっけんっの第一歩として、噴水を見に行くことにした。 「ゆわわぁ~おみずしゃんきれい…たいようさんとおみずさんできらきらだよ~ ゆ!にんげんさんもおひるねちゅうだよ!しずかにしないといけないよ!そろ~りそろ~り」 噴水近くのベンチで昼寝中の男性に気づき、子れいむ自身としては静かに噴水を離れる。 大声を出しては意味がないのだが、子れいむの気遣いが伝わったのか伝わってないのか、 男性が目を覚ますことはなかった。 「ぶらんこさん!ゆ~らゆ~らの~びの~び♪ ゆゆぅ~ん ゆっくりしてるよ~ こんどいもーちょたちもつれてくるよっ! いっしょにの~びの~びするよ~ゆゆ~ん♪」 子れいむは、公園に遊びに来ていた子供が降りたばかりで、まだ揺れているブランコを発見した。 いつもは親ゆっくりと一緒に遠目に眺めているだけだったブランコを間近にする。 可愛い妹達と一緒だったらきっともっと楽しいだろうと、 もみあげをぴこぴこさせながら、ブランコの揺れに合わせて自分も体を左右に揺らす。 「ゆぅ~ん♪ゆゆ~ん♪ゆ~らゆ~らの~びのび~♪ぶらんこさんゆっくりー!」 噴水もブランコも人間が集まりやすい場所であり、そこに近づくなどもってのほかで、 親ゆっくりが一緒ならきっと酷く怒られることだろう。 しかし親に怒られるような危険な場所は、子供にとっては楽しい場所であったりもする。 砂場では、同じく公園に住んでいる他の子ゆっくり、赤ゆっくり達とこ~ろこ~ろして遊んだ。 「れいむもこ~ろこ~ろするよっ!こ~ろこ~ろ♪ゆふふん♪」 「ゆゆぅ~~~れいみゅおねーしゃんすっごくゆっきゅりしちぇるよぉぉ~れーみゅもも~っとこ~りょこ~りょしゅるよ!」 「こ~ろこ~ろ♪」「こ~りょこ~りょ♪」「こ~りょこ~りょ♪」「こ~ろこ~ろ♪」「「「「ゆっくり~♪」」」」 みんな揃ってゆっくり声をあげる。 もみあげ、おさげをぴこぴこ、わさわさ。 おしりをぷりんぷりんもるんもるん。 くるりと回ってパチっとウィンク。 周りで微笑みながら見ていた親ゆっくり達は、子ゆっくり達のあまりのゆっくりぶりに、 自身もゆっくりして幸せを噛み締めている。 中には感動でぷしゃっとうれしーしーを漏らす親ゆっくりもいた。 あっちこっち見て回り、散々ぼうっけんっを満喫した子れいむは、いつしか公園の出入り口にまで来てしまっていた。 子れいむは母れいむの言葉を思い出す。 「かわいいおちびちゃん!まちでだれもがふりかえるあいらしいおちびちゃん! こうえんさんのそとにでたらとってもこわいこわ~いだよ!ぜったいにでたらいけないよっ! とってもかしこいおちびちゃんならまもれるよね!と~ってもかしこいおちびちゃんならぜったいにまもれるよねっ!」 妙な誇張があるが公園を出てはいけないということはちゃんと記憶していた子れいむ。 しかし、初めて見る事物に興奮して膨らむ飽くなき好奇心は、子れいむに容易く禁を破らせる。 「ゆうっかんっ!なれいむはそとのせかいをみてけんぶんをひろめるよっ! れいむのふろんってぃあすぴりっつはもうだれにもとめられないよっ!」 興奮のあまり公園の出入り口でもみあげをぴこぴこ♪、おしりをぷりんぷりん♪と愛らしく振る。 「ゆ~~~」 やがて体を縮め、身の内に力を巡らせ、そして 「ゆっくりしていってねっっ!!!」 ジャンプ! そのまま公園の境界線を越え、外に出る。 「このいっぽはちいさいけどぜんせかいにとってはいだいっ!ないっぽだよっ!」 キリッと高らかに、そして誇らしく宣言する。 とうとう公園の外に出てしまった子れいむ。 母れいむの言いつけに背いてしまった罪悪感と、それ以上に新たな世界に踏み込んだ高揚感に体をふるふると震わせる。 さて、公園の外に初めて出た子れいむには、特に指針もないので、どこへ行こうか考えあぐねているようだ。 きょろきょろと辺りを見回していると、コンビニの袋を提げ、スマートフォン片手にのろのろ歩いている青年が目につく。 「あのおにぃさんについていくよっ!ちかづかなければだいじょうぶっだよっ!」 公園の外に出てはいけないという母れいむの言いつけに反した以上は、 せめて人間に近づいてはいけないという教えだけは守ろうと思ったのだろう。 少し距離をあけて青年の後に続く。 母れいむの教えは、そういった距離的に近づくなという意味ではない。 そもそも関わるな、という意味であったのだがこの子れいむにはうまく伝わらなかったのかもしれない。 青年はスマートフォンを弄りながら歩いているので、足の遅い子れいむでも急ぐ必要もなく追いかけることができた。 青年の家は、公園の出入り口から道を真っ直ぐ行き左手にある、普通の一軒家であった。 門を開け、自宅の鍵を開け、特に周囲へ注意を払うことなく家に入る。 子れいむは閉まっている門の下の隙間より中に入り、初めて見る家の大きさに圧倒される。 「ゆわわわわ…これが…にんげんしゃんの…にんげんさんのおうち…とってもゆっくりしてるよ…」 地面にどっしりと構えられている家を見て、子れいむは自分の家を思い出す。 強くて偉大な父まりさが苦労して建てたと語るダンボールハウス。 それより更に大きくて頑丈そうな人間さんのお家。 こんなお家を建ててしまう人間さんとは一体どんな生き物なのか、子れいむは更に興味を掻き立てられた。 「ゆ!こっちにみちがあるよ!」 玄関先から庭の方へ回り込めるようになっており、子れいむはそこを辿り、庭に出る。 すると先ほどの青年が、庭に面した部屋でテレビをつけたまま、遅めの昼食をとっているのが、ガラス越しに見える。 どうやら青年はテレビを観るでもなく、つけっぱなしで食事を摂っているようだ。 子れいむはまず青年の食べているものに気を取られたが、更に興味深いものに目を引かれる。 テレビ画面だ。 そのテレビでは、 『もみあげが三本ある!? TRI-MOMIAGE OF DEATH れいむ! あいつの土下座をみればゲスゆっくりも心震わせる! ゲザーまりさ! どんなゆっくりのぺにぺにもおっきさせる! ぺにまらありす! 続、三ゆんが斬る!』 ゆっくりを主人公にした特撮時代劇というよくわからないジャンルの番組の宣伝が映っていた。 ちなみにこの番組、何故かシリーズ化されており、この作品で五作品目となっている。 一話の制作にゆっくりが2、3000匹は費やされているとか。 その殆どが同じキャラクターの代替で、主人公三ゆんも前のシーンと、次のシーンと、更に次のシーンではそれぞれ別のゆっくりが演じているというのも全く珍しくない。 話を戻すが、子れいむはテレビの番宣でゆっくり達がゲスゆっくりと闘って懲らしめている姿を観て、心をときめかせる。 しかし人間への警戒も忘れてただ見入ってしまっていたのがまずかった。 家の中の青年に見つかってしまったのだ。 「ん?ゆっくりがいる?どこから入ってきたんだろ…」 青年は、食事を中断し、立ち上がってガラス戸をそっと開けて、声をかける。 「おい、お前なにやってんだ?」 「ゆゆっ!?にににんげんしゃん!??ごごごめんなしゃいっ!かってにおうちにはいってごめんなしゃいっ!」 即座に地面に頭をこすり付け謝る子れいむに、青年は特に気を悪くするでもなく声をかける。 「いやだから何してんの?って聞いてんの」 「ゆ!その…ぴかぴかしゃんがおもしろくて…その…」 子れいむはしどろもどろになりながらも、もみあげでテレビを指しながら答える。 「ああ、テレビね。面白いのかこんなんが。何だったら観ていけば?」 「ゆ?」 子れいむは人間の恐ろしさをまだ知らない。 そのため、人間に見つかっても潰されるかも…ということには思い至らない。 しかし母れいむの、人間に近づいてはいけない、という教えを完全に破ったこと、 勝手に人間のお家に入り、家主に見つかったこと、 これらの事実を前にして、母れいむに、人間におしおきされてしまう、という恐怖にとらわれていた。 それに反してこの人間はおしおきどころかお家に入れてくれて、てれび?を観させてくれると言う。 何だかよくわからないけど人間には怒られずに済みそうだと、子れいむは少し安心する。 青年は 「でも新聞紙を敷くからその上からは出るなよ?」 と、流石に子れいむの汚れは気になるのか新聞紙をテーブルに敷き始め、その上に子れいむを乗せる。 子れいむは、初めて人間のお家に入り、不安と期待に胸を高鳴らせ、キョロキョロと部屋の中を見回している。 だがすぐに例の番組が始まったようで、青年は子れいむにテレビを観るよう促す。 子れいむは食い入るようにテレビを観て、青年はのんびりとテレビを観るともなく食事を再開する。 ストーリーは正義の味方の三ゆんが、善良なゆっくり達を苦しめる、ゲスゆっくりを懲らしめるというもの。 やがてコマーシャルに入り、興奮冷めやらぬ子れいむは青年にまくしたてる。 「ゆ~!と~ってもおもしろいよっ!こんなおもしろいものははじめてだよっ!むれのみんなにじまんできるよっ!」 「まだ半分だぞ。しかしこんな番組でもゆっくりとっては面白いんだな。ああ牛乳プリン食べるか?」 「ゆ?ぷりんさん?それおいしいの??」 公園の野良として生まれてこの方、甘いものなど食べたことがない子れいむは、プリンと言われてもその味は想像すらできない。 青年は食後のデザート用に買ってきた牛乳プリンを一匙すくって試しに子れいむに食べさせてみる。 「し…………………ちあわちぇ――――――――――――――――――――――――――――――――― しし――ししし―――しししあわちぇ――――――――――あまあまちあわちぇ――――――――――――――――」 ぷしゃっ!ぷぷぷしっ!ぷしゃっっ!とうれしーしーをちびる子れいむ。 青年は新聞紙を敷いておいて良かったと安堵しつつも、子れいむの一瞬意識を失うかのような素振りに慌てる。 しかし直ぐに幸せと絶叫する子れいむの反応に青年は一息つく。 「あまあまっあまあまっしあわしぇ―――おにぃさん!れいむしあわしぇーだよっ!こんなものたべたことないよっ! きょうははじめてっがいっぱいだよっ!」 「初めてがいっぱい? ああ、そう、残り食べていいぞ。あと、テレビ始まるぞ。」 青年は残りを子れいむに与え、コマーシャルの終わりを告げる。 子れいむは牛乳プリンをつるんと飲み込み、しあわせを叫びながらもテレビに向き直る。 青年はスマートフォンを弄り始め、子れいむは佳境に入り始めた番組に集中する。 暖かな昼下がりのこの上なくゆっくりとした時間であった。 「おにぃさん!ゆっくりおじゃましました!あとぷりんさんありがとう!」 「ああ、そう。でも人間の家に気安く入ると酷い目に遭うぞ。今後は気をつけろよ。」 「ゆ!ゆっくりりかいしたよ!おにぃさんありがとう!」 ちゃんと理解したのか、してないのか、子れいむは良い返事を返し青年の家を出る。 青年は大きく欠伸をしてそのままソファに寝転がる。 余程暇だったのだろう。 子れいむにさしたる興味も抱かず、寝入り始めた。 「ゆっゆっゆゆ~ん♪せいっばいっ!ゆぁーとーぅゆゆゆゆゆーっ」 テレビで観たアクションを真似して子れいむは飛び跳ねる。 気分はスーパーヒーロー、正義の味方。 しあわせいっぱい、ゆめいっぱい、子れいむは公園への道をゆっくりと歩く。 「わがらないよ゛ー!」 「ゆ?」 子れいむの耳に叫び声が届く。 同じゆっくりのちぇんの声だ。 子れいむは声が聞こえた方向へあんよを向ける。 声がしたのは道路わきの細い路地。 子れいむは念のため、陰に隠れて路地の様子を伺ってみる。 「さっさとだすのぜ またいたいめをみたいのぜ?」 「わがっわがらないよ゛ー!!ごればぢぇんのなんだよ゛ー!みのがじでほじいよ゛ー!!」 「ちっ ききわけのないやつなのぜっ!」 どうやら奥にいるちぇんが、手前の柄の悪いまりさに、カラまれているようだ。 まりさがちぇんをおさげでひっぱたく。 「にゃがっ!にぎっ!いだっいだいんだよ゛っやぶっやべでぇぇぇ」 「わかったらさっさともっているあまあまよこすのぜ そしたらちぇんはなぐられずにすむ まりさはあまあまをたべられてしあわせ いいことづくめなのぜ りかいできるのぜ?」 子れいむは理解した。 あのまりさはゲスだ、とびっきりのゲスだ。 ちぇんを助けてあげたい。 しかし辺りを見回しても大人のゆっくりはいない。 ここは公園の外であり、そもそもゆっくり自体見かけない。 助けを求めようにも誰もいないのではどうしようもない。 「ゆゆ…どうしよう………しょうだ!こうえんしゃんまでたすけをよびにいくよ!しゅぐにいくよ!」 慌てて子れいむは踵(?)を返しかけるが、 「ぢゅぶぶぶぶ ひゃぶでぇぇぇ ぢぇんがづぶれるぅぅぅ」 ちぇんの叫びを聞き、思いとどまる。 「れいむは…れいむはこわいよ…こわいから たすけをよぶよ… でも…でも…それはいいわけだよ…ここからにげるためのいいわけだよ…」 子れいむは体をぶるぶると震わせる。 少しおそろしーしーも漏らしてしまう。 しかし人間のお家で観たテレビの内容を思い出す。 そう、正義のゆっくりが悪いゲスを懲らしめる物語だ。 あの物語を思うと、ほんの少しだけ勇気が湧いてくる。 なんてかっこいいのだろう。 あの三ゆんのようになりたい。 ゲスをやっつけて困っているゆっくりを救いたい。 少しの逡巡の後、子れいむはキリッと顔を引き締める。 あんよは震えて力が入らない。 のどはカラカラで、浅い呼吸を繰り返している。 自慢のもみあげも少し萎れて見える。 でもここで退いたらゆっくりがすたる! 「しょ そこまでだよっ!!」 子れいむは震えるあんよに喝を入れ、路地に躍り込み、ぽんぽんの底から声を張り上げた。 ゲスまりさは面倒臭そうに振り返る。 ちぇんの方は、手酷くやられているのか、右目は瞼が腫れて塞がっており、 開いている左目で子れいむの姿を捉える。 「ゆぁ~~~ん?おこさまはおよびじゃないのぜ さっさときえるのぜ やさしいまりささまでもおとなのやることにくちをだすいけないおこさまにはきびしいのぜぇ?」 「わがるよー…たすけがきたんだねー…」 「おっまえはっ!だまっているのぜっ!」 「に゛っ!」 ゲスまりさは子れいむを気にも留めず、ちぇんの頬をおさげで張る。 過剰な暴力を目の当たりさせることで、子れいむの気力を萎えさせようとしているのだ。 しかし子れいむは少しちびりながらも食い下がる。 「ぼ ぼうりょくはいけないんだよ!たゆんのあまあまをうばうなんてゲスのやることだよっ!」 「…」 ゲスまりさは溜息をつきながら振り返り、脅しただけで済ませてやろうというのにこのガキは、 とイラつき交じりに子れいむを睨め付ける。 ゲスまりさは自分のやってることがゲスなことだなんてとうにわかりきっている。 わかった上で、やってるのだ。 なのでゲスだなんだと言われた所で腹が立つことはない。 自分のやっていることをしつこく邪魔されることにムカッ腹が立つのだ。 しかし、と目を細めて子れいむの全身を眺める。 なかなかどうして、まだ幼さの残る容姿だが、健康そうで髪も艶やかだ。 ゲスまりさは子れいむに全身を舐めまわすような視線を送る。 「ゆ…」 子れいむは無言で睨んでくるゲスまりさが怖くて何も言い出せない。 何も言ってこない方がかえって恐ろしい。 子れいむが勇気を振り絞ってなおも言い募ろうとしていると、 ゲスまりさはニヤニヤと下卑た薄笑いを浮かべ始めた。 「おちびちゃんはそこのこうえんにすんでいるのぜ?」 言いながら近づいてくる。 子れいむはあんよが竦んでうまく動けない。 「そんなにこわがらなくてもいいのぜ~まりさはおちびちゃんにしかられてかいっしんっ!したのぜぇ」 子れいむのすぐ傍までゲスまりさがやってきた。 このゲスまりさ実に汚い。 歯は何本か抜け落ちており、更に黄ばんでいて、口臭が実に臭い。 おさげには、黒いものがこびりついているが、よく見るとこれは餡子だ。 今までに張り倒してきたゆっくりの返り餡であろうか。 そもそもおさげの先に何か仕込んでいるのだろうか、ぶらぶらと重みのある振り子のように揺れている。 そのおさげを子れいむの背中に回しながら言う。 「おちびちゃん まりさはこのあたりにきたばかりでまだかってがよくわからないのぜ だからごはんをてにいれようにもかりばがどこにあるかもよくわからないから ちょ~っとちぇんにこのあたりのかりばについておしえてもらっているところだったのぜ」 などと言いながら、路地の奥へと子れいむを連れて行く。 「ゆ…そうだとしてもぼうりょくはいけないことなんだよ…」 子れいむは何かまずいと思いつつも体が竦んで状況に対処できない。 「わかるよーよくわかるよーのぜ~www だからまりさははんせいしたのぜ~ ちぇんにあやまるところをおちびちゃんにもちゃんとみていてもらいたいのぜ~」 「ゆゆ!わかったよ!わかったからこのおさげさんをはなしてねっ!しゅぐでいいよ!」 子れいむはげすまりさのおさげを振り払おうと身をよじる。 しかし、おさげは子れいむの体にガッチリと固定されていて逃げられない。 どういうことだと子れいむはゲスまりさの顔を見上げると、 ゲスまりさは薄笑いを吹き消して無表情で子れいむを見下ろしている。 その完全に無機質な無表情に子れいむは、餡の底から恐怖を憶え、必死に逃げようとするがおさげに阻まれる。 それどころかゲスまりさは体を使って子れいむの逃げ道をふさぎ、尚且つのしかかってきた。 「ゆーゆゆ!おもいよっどいてねっどいてねっくさいよっきたないよっ」 「…」 ゲスまりさは、無言で子れいむを仰向けに抑え付け、おさげを子れいむの口に押し込み、黙らせる。 「おとなしくしていればすぐにおわるのぜ…」 「…!ゅ…!もひゅ…!…っ…!」 口を塞がれても子れいむはじたばたと暴れるが、何しろ子れいむとゲスまりさでは体格が違う。 子れいむはあっさりと組み伏され、ゲスまりさは己の顎の下辺りを子れいむの同じ場所にこすり付け始める。 (ゆゆぅぅぅくしゃいぃぃぃきちゃないぃぃぃなななんかむずむずするよ! やめてね!やめてね!なんかいやだよ!きもちわるいよ!) 「ころしたりはしないからあんしんするのぜっ」 子れいむにはまだ繁殖の知識はない。 しかしゲスまりさのやることに生理的な嫌悪感を抱く。 やがてゲスまりさのこすり付けている部分が隆起し始め、何やら小汚いカスがこびりついた得物が屹立する。 そして得物を子れいむの恥ずかしい場所にあてがい、軽く出し入れする。 先走りの液体だろうか、ぬめぬめとゲスまりさの得物がぬめりを帯びる。 (ゆゆゆゆゆゆやめてねっやめてねっ ちぇん?さっきのちぇんは?たすけてねっれいみゅをたすけてねっ!) 子れいむは必死に身をよじり、ちぇんがいた方向を見るが… 「あのちぇんならいまさっきにげっちまったのぜぇ おちびちゃんがこんなめにあっててもしらんかおだったのぜ たすけてそんしたのぜ? まあまりさにとってはどっちでもいいのぜ ちょっとたまってたところだったのぜぇゅへへへ…」 ゲスまりさは、子れいむの視線を読み取り、ちぇんがさっさと逃げてしまったことを教えてやった。 万が一ちぇんが助けを呼びに行ったとしても、その頃には事は終わっている。 「おちびちゃんは“ばーじんさん”ってしってるのぜえ?おちびちゃんのはじめてっていういみなのぜ そのおちびちゃんのはじめてをまりさがありがたくちょうだいするのぜぇ」 ゲスまりさは前戯は済んだとばかりに得物を子れいむに差しこんだ。 (ゆぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぁぁぁあぁぁぃぢゃぃぃぃ) 子れいむは涙を流しつつ全てを後悔した。 (にゃんでこんなことになっちぇるの… にゃんであそこでちぇんをたしゅけようなんておもっちゃの…にゃんでちぇんはれいみゅをたしゅけてくれにゃいにょ… にゃんでれいみゅはこうえんしゃんのおそとにいるにょ…にゃんでこんにゃにきもちわりゅいにょ…にゃんで…) 子れいむの目が虚ろになり、大人しくなったのを見て、ゲスまりさはおさげを子れいむの口から外す。 そして乱暴に体を子れいむにぶつけたり、得物を子れいむの内部でこねくりまわすように体を揺らす。 「ゆはっ ゆはっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ 」 「 ゆっ… ゆっ… ゆっ… ゆっ… ゆっ… 」 子れいむの顔にゲスまりさの荒い吐息がかかる。 臭い吐息に臭い体をこすり付けられて、綺麗好きの子れいむには悪夢のようだ。 子れいむの目の前でゲスまりさの顔が嗜虐の快感に大きく歪む。 「ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ ゆふっ 」 「 ゆんっ… ゆっ… ゆえっ… ゆっ… ゆっ… 」 子れいむはされるがままで、逃避のためか今日の出来事を思い返す。 きらきらの噴水さん。ゆっくりしたぶらんこさん。砂場でみんなでゆっくり。あまあまぷりんさん。 可愛い妹達。あったかくてやわらかいおかーさん。怒ると怖いけどやさしいおとーさん。 …テレビさん…。 「ゆふっゆふっゆふっゆふっ」 ゲスまりさの体が小刻みに揺れ始める。 達しつつあるのだ。 「ゆふっゆふっゆふっゆ―――――――っ!すっきり――――――――――ぃっ!!」 ゲスまりさはすかさず得物を子れいむから引き抜き、子れいむの額にかからないように、 しかし子れいむの顔からはこぼれないように得物からほとばしる液体をかけ続ける。 得物に残った液体もおさげでしごいて子れいむの顔にこすりつけたり、口の中に突っ込んでなすりつける。 子れいむの体では身ごもると耐え切れずに死んでしまう可能性が高い。 先の言葉通り死なないように妊娠する箇所を避けているようだ。 「おちびちゃん!なかなかいいぐあいだったのぜ!ひさびさにすっきりーなのぜ! じゃあまりさはさっさとにげるのぜ!ゆっくりしていってね!」 残された子れいむは声もなく泣き続ける。 ほんの10分程度前と今とではもう何もかもが違う。 かけられた液体をぬぐうこともせず、子れいむは、痛む体の一部をかばいながら、公園へと帰って行った。 お家に辿り着いた子れいむは、父まりさと母れいむに泣きついた。 子れいむの有様を見た母れいむは半狂乱になる。 やはりひとりで遊びに行かせるべきじゃなかった、自分が馬鹿だった、と髪ともみあげを振り乱す。 父まりさが、母れいむを辛抱強く落ち着かせ、子れいむから詳しい話を聞き出す。 子れいむには辛いかもしれないが、特にゲスまりさの特徴については仔細に聞き出した。 話を聞いた父まりさは、悲惨な目に遭いつつもちゃんと帰ってきた子れいむを褒め、 自身は赤ゆっくり達の世話を、母れいむに子れいむの身繕いをさせる。 そして今夜は、子れいむは母れいむと一緒に寝ることとなった。 身も心も擦り減った子れいむは、母れいむに抱かれ、安心して眠りについた。 父まりさは、この件を公園の群れに有りのままを報告するべきか、 子れいむを慮りゲスまりさへの注意喚起ですませるか頭を悩ませる。 翌朝、少し塞ぎがちな子れいむを母れいむは気晴らしにお散歩に誘う。 父まりさは今日は狩りを休み、赤ゆっくりの相手を務めることにした。 「ゆーおちびちゃんきょうもいいてんきだねっぽーかぽーかあったかさんだよ~」 「ゆん…ぽーかぽーか…」 母れいむは子れいむを元気づけようと頻りに声をかけ、微笑みかける。 しかし母れいむは、同じ公園に住む他のゆっくり達の様子がおかしいことに、気づく。 何故かどのゆっくりも遠巻きに母れいむ達親子を見ているのだ。 何だろうと視線を送ると皆目を逸らす。 何となくゆっくりできない雰囲気だ。 「ゆゆ~みんななんだかおかしいよ…ゆゆっ!?」 母れいむは普段懇意にしているありすを認め、声をかける。 「ゆっくりしていってね!ありす!きょうはいいおてんきだねっ」 「ゆっくりしていってね ええ…いいおてんきね…」 ありすはちゃんと挨拶を返すも視線を逸らしがちだ。 母れいむは思い切ってありすに尋ねた。 「ゆぅありす…なんだかこうえんのみんなのようすがおかしいよ…それにありすも…なんだかゆっくりしてないよ…」 「えっ そ そうね ごめんなさい とかいはじゃなかったわね… …このままだまっているのはもっととかいはじゃないからいうわね…お おちついてきいてね…」 いつもと違って歯切れの悪いありすを訝りながらも母れいむはコクリと頷き、先を促す。 「その おたくのおちびちゃんね…とおりすがりのゲスまりさにれいぷされたんですってね…おきのどくに…」 母れいむは顔が真っ青になるが、子れいむの方は紙のように真っ白で小刻みに震えている。 ありすは親子の様子を痛ましく思いながらも先を続ける。 「なんでみんながしってるかというとね それをもくげきしたっていうちぇんがいてね みんなにはなしてまわったそうなの さいしょはみんなしんじなかったけど おたくのおちびちゃんが…その…いたましいすがたでおうちにかえってくるのを おおぜいがもくげきしてね…じゃあやっぱりほんとだったんだねって…あ!おちびちゃん!!」 子れいむはたまらずに駆け出す。 「ゆゆ!おちびちゃん!まってね!ありす!ごめんなさい!おちびちゃんをおいかけるね!」 子れいむを追って、母れいむも駆け出す。 公園のみんなの視線がゆっくりできないものなのは仕方がない。 ばーじんさんを番に捧げることができなくなった子れいむを、 汚らわしいと見られても仕方がないかもしれない。 制裁対象にはならないだけマシかもしれない。 けれどこの仕打ちはあんまりではないか。 子れいむは、恐らくだが言いふらしたちぇんを助けようとしたのに、 それなのにこの仕打ちはあんまりではないか。 母れいむはちぇんやゲスまりさへの憤りを胸の内に溜めながら子れいむを追いかける。 果たして母れいむは子れいむを見つけた。 公園の片隅でこちらに背を向けてうずくまっている。 母れいむは努めて平静に子れいむに話しかける。 「おちびちゃん おちびちゃんはれいむとまりさのおちびちゃんだよ かわいいおちびちゃんだよ ほかのゆっくりになんといわれようとたいせつなおちびちゃんだよ おかーさんもおとーさんもおちびちゃんといっしょにいられてしあわせいっぱいだよ もしおちびちゃんがどうしてもというならおひっこしもしたっていいんだよ おとーさんはすごいんだからねっ おうちのいっけんやにけんなんてすぐにたてられるよっ すごいねっ だからおちびちゃんはゆっくりしていってね おとーさんとおかーさんといもーとたちとゆっくりしていってね」 母れいむは、子れいむに近づいて、もみあげで優しく抱きしめる。 労わる様に優しくすーりすーりする。 子れいむの将来が明るくなるように、幸せになれますように、と心から願う。 しかし、 「おちびちゃん?」 いつまでたったも子れいむからの返事はない。 母れいむは嫌な予感で叫びだしそうになるのをこらえながら呼びかける。 「おちびちゃん?こっちを…むいてね?おちびちゃん?」 母れいむはもみあげで子れいむをゆっくりとこちらに向かせる。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁゆぎゅっゆぎっぎぎぎぎ…」 子れいむは餡子を吐き出して死んでいた。 その愛らしかった顔は苦悶に歪み、 つぶらだった瞳はもみあげで掻き毟ったのか、まぶた共々引っ掻き傷だらけで潰れている。 そのもみあげも、自分で噛み千切ったのかぼろぼろになり、抜けた毛が辺りに散乱している。 「ゆがぁぁぁぁげずばでぃざ!!ぢぇんん!!おばえらのぜいでぇぇおばえらの!ぜいでっ!」 怒りに狂った母れいむは公園を駆け巡り、言い触らしたちぇんを見つけ、制裁。 母れいむは取り押さえられ、群れの協議にかけられた。 結果、処刑。 ちぇんも酷いが命をとられる程ではないとされ、その制裁は不当であると断じられたため。 父まりさは助命嘆願を繰り返していたが、努力むなしく決は下された。 件のゲスまりさについては見つけ次第群れに報告、捕獲とされる。 が、この件以後そのゲスまりさを見た者はいない。 母れいむは処刑当日、ゲスまりさを殺すまでは死ねないと、のどが潰れるまで叫び続けていた。 終 「くだらねぇwww」と笑えるぺにまむものを書こうとしたらこうなりました。
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赤ちゃん用品をそろえるとなると,やっぱり赤ちゃん本舗ですよね!私の家の近所にも実家の近所にも赤ちゃん本舗があるので,妊娠が分かってから毎週通っています。うちの両親も昔はこんな便利なお店なかったよーなんていいながら暇さえあれば通っているみたいです。たぶん今日行ってきたんだろうなと思うのは,両親それぞれからこんなの知ってる?みたいな知ったかぶりメールが来る時ですw赤ちゃん本舗ってすごく大きいですよね。品揃えもいいし,かといってお店の人が付きまとってくる(笑)なんてことはないですよね。デパートなんかの赤ちゃんコーナーだと,結構ついて回って説明してくれますよね。聞きたいときはいいのですが,下見だけのときはちょっと勘弁って思います。赤ちゃん本舗は聞いたらついて回ってもくれるし,あとは普通のお店と同じ様に特に干渉してきませんよね。また明日も行って来ようかな~
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まりさがんばった 48KB 「ふたば系ゆっくりいじめ 303 まりさがんばる」の続きだよ まりさがんばった まりさは、すぐに家を出た。 おちびちゃんの容態は良くない。 ぱちゅりーの見立てでは、今日明日中にもおくすりが必要とのことだ。 それ以上時間をかければ、おちびちゃんの体力が保たない。 「ぱちゅりー、おちびちゃんたちをおねがいだよ! おちびちゃん、ぱちゅりーおねーさんのいうことをきいて、ゆっくりいいこにしてるんだよ!」 「ゆぇーん!おとーしゃん、かえってきてにぇ! じぇったいにきゃえってきてにぇ!やくちょくよ!」 まりさがどこへ何をしに行くか聞いた子ありすは、涙をこぼしてすがり付いてくる。 「ゆ!おとうさんはぜったいにかえってくるよ! おくすりをてにいれて、おちびちゃんたちのところにかえってくるからね! しんぱいしなくていいんだよ!」 まりさも待ち構える危険のことは重々承知の上だ。 離れがたい。 だが、時間がない。 こうしている間にもタイムリミットは近づいている。 「ゆっくりいってきます!!」 「まりさ!きをつけて!」 「おとーしゃーん!やくちょくだからにぇーーーー!!」 ぱちゅりーとおちびちゃんに見送られ、おうちを離れる。 もう振り返りはしない。 次におうちに帰ってくるときは、おくすりを手に入れたときだ。 手がかりらしい手がかりなどない。 せいぜい優しそうなにんげんさんを探すことぐらいだ。 そして、飼いゆっくりといっしょに暮らしているにんげんさんだ。 噂には聞いたことがある。 曰く、飼いゆっくりはきらきらと輝くバッジをつけているという。 曰く、飼いゆっくりは毎日のようにあまあまをたべているという。 曰く、飼いゆっくりはおふろさんというものに入り眩いばかりの美肌であるという。 あらゆる絶望から遠ざかったゆっくり。 それが飼いゆっくりだというのだ。 真偽のほどは定かではないが、他にも様々な噂を聞く。 例えば、飼いゆっくりは滅多におそとにでないらしい。 そして、おそとに出るときには必ず、にんげんさんと一緒にいるそうだ。 心当たりはある。 自分のゆん生の中でも、飼いゆっくりらしきゆっくりを見たことがあるのは一度だけだ。 確かにそのゆっくりはにんげんさんと一緒だった。 物陰に潜んで様子を窺っていると、そのゆっくりはにんげんさんに抱えられてどこかへ行ってしまった。 遠目に見ていただけなので、バッジがあったかまでは判らなかった。 あまあまを食べていたか、美肌かどうかも覚えていない。 ただ、にんげんさんと、抱えられたゆっくりが、とても楽しそうだったことだけは覚えている。 きっとあれが、飼いゆっくりだったのだろう。 にんげんさんと一緒にいるのが、飼いゆっくり。 だとすると自分達が、飼いゆっくりを見かけないのも頷ける。 自分達のおうちの周りは、にんげんさんたちでいっぱいだ。 それでも自分達ゆっくりは極力にんげんさんには近づかない。 にんげんさんには、時々おやさいさんや、あまあまをくれる人がいる。 それは確かだ。 けれど、自分達を意味もなく蹴り飛ばしたり、 酷いときには永遠にゆっくりさせてしまう人もいる。 それも確かだ。 だからこそ、まっとうなゆっくりは、にんげんさんに近づかない。 おやさいさんや、あまあまは欲しいけど、永遠にゆっくりさせられてはたまらない。 自分達で狩りができ、住めるおうちがあるのに、人間さんに近づく理由がない。 自分達は危険なにんげんさんに近づかない。 だから、にんげんさんと一緒にいるという、飼いゆっくりに出会うことがない。 結局のところ、にんげんさんに近づかなければならないのだ。 おくすりを手に入れるため、にんげんさんに近づかなければならない。 おくすりをくれるにんげんさんの目印となる、飼いゆっくりを見つけるため、 にんげんさんに近づかなければならない。 まりさの餡子脳は、全てをここまで明確に思考したわけではない。 けれど、やたらに探し回って、おくすりが手に入るとは思えなかった。 限られた情報から、どうやったらより的確におくすりが手に入るか、ゆんゆん考えた。 にんげんさんに無闇に近づくのは危険だ。 でも、近づかなければおくすりは手に入らない。 ゆ!まずはかくれてにんげんさんをかんさつしようね! 物陰に身を潜めてにんげんさんたちを観察する。 怖そうなにんげんさんなら隠れて、そのままやり過ごす。 優しそうなにんげんさんなら、事情を話しておくすりをもらえばいい。 そして、もし、飼いゆっくりをつれたにんげんさんなら? そんなチャンスは逃せない! おちびちゃんのために、ゆっくりいそいでおねがいしよう! 人気のない道の端で、ゆんゆん唸るのを止めると、まりさは勢いよく跳ねていった。 「ゆ!にんげんさんがいっぱいいるね!」 しばらくして、にんげんさんが大勢いるところに出くわした。 「にんげんさんのおちびちゃんたちだね!」 まだまだ朝の早い時間。 ちょうど子供達が、集団で列を作って登校するところだ。 「ゆっくりようすをみるよ!」 まりさは背の高い草むらに身を隠すと、子供達のほうを窺う。 「よっし、今日はおれが先頭な!」 「なんだよー、昨日もお前が先頭だったじゃねぇか!」 「やめなさいよー。先生に見つかっても知らないからね。」 「ゆーん・・・。」 怖そうなにんげんさんではなさそうだが・・・。 でも、にんげんさんはにんげんさんでも、おちびちゃんだからだろうか。 あまり、病気を治してくれるようにも思えない。 おくすりをもらうどころか、下手をすると話もまともに聞いてもらえないかもしれない。 そんな気がする。 それに、まだにんげんさんの観察もはじめたばっかりだよ。 まだ、ゆっくりしても大丈夫だね。 よし。もう少し他のにんげんさんを観察してみよう。 それに実を言うと、まりさは子供達にゆっくりできない何物かを感じてもいた。 まりさには、直感的に感じたそれが何かまでは、はっきりとは分からなかった。 もし、まりさがもう少し賢ければ、それが幼さや無邪気さ故の残酷さだと気づいただろう。 子供達が学校に向かって歩いていると、一匹の子れいむが道端に出てきた。 まだ小さい。子ゆっくりだ。 子供達がいるのに気づくと、嬉しそうに満面の笑顔。 そして、礼儀正しくご挨拶。 「ゆん!にんげんしゃん、ゆっくちちていっちぇね!」 「あっ!ゆっくりだ!」 「俺知ってるよ!これゆっくりれいむっていうんだぜ。」むんず 「ゆゆーん!たきゃいたきゃいだにぇ!!」 「まだ小さいし子供なんじゃない?」 「持って帰って、飼ってみっかな!」 「こらー!そんなの学校に拾ってったら怒られるに決まってるでしょ! はやく捨てなさいよ!」 「ちぇっ、ほんとにうるさいやつ・・・!」ぽーい 「ゆゆ!れいみゅ、おそらを」ぶちゅっ 「はやくいこーぜ!」 まりさは、子供達をやり過ごしてそのまま草むらに留まっていた。 しかし、通るのは集団で歩いてくるにんげんさんのおちびちゃんばかり。 そのおちびちゃんたちも、暫くするとぱったりと通らなくなってしまった。 「むーしゃむーしゃ、それなりー。」 草むらで普段は食べないようなくささんや、ありさんでごはんを済ませながら、そろそろ移動しようかと思案していると、やっと別のにんげんさんが通りがかった。 にんげんさんのおねーさんだね! こんどはなんだか、やさしそうなにんげんさんだよ! 今度のにんげんさんは、とてもゆっくりした雰囲気のおねーさんだった。 そのにんげんさんのおねーさんは、一人で歩いているのに何かお話ししているようだ。 それに、すぃーのようなものを手で押している。 まりさは不思議に思った。 なんだろう?あのすぃーに向かってお話ししているんだろうか? すぃーを注意深く見てみる。 そのすぃーに乗っているのは・・・にんげんさんのとっても小さなおちびちゃん! すぃーには先ほど見たおちびちゃんたちより、ずっと小さなおちびちゃんが乗っているのだ。 あのおねーさんは、おかーさんなんだね。 まりさはそれだけで、そのおねーさんがゆっくりしている理由を看破した。 おちびちゃんがゆっくりしているのは当たり前。 あんなに小さなおちびちゃんが一緒ならば、あのおねーさんはさぞゆっくりしているのだろう。 ゆっ!もしかしたら、あのおねーさんだったらおちびちゃんをたすけてくれるかもしれないよ! とてもやさしそうなおねーさん。 とてもゆっくりしたおねーさん。 とても小さなおちびちゃんをつれたおかーさん。 あのおねーさんならば、話を聞いてくれるかもしれない。 おちびちゃんのために、おくすりをくれるかもしれない。 だって、あんなにゆっくり優しそうなんだから。 自分は、おちびちゃんのおとーさん。 おねーさんだって、おちびちゃんのおかーさん。 同じおちびちゃんの親同士、ゆっくりとにんげんさんの違いはあれど、きっと思いは通じるはずだ。 そうと決まれば、あのおねーさんを追いかけなければ! とは言え、いきなり出て行くのは憚られる。 いくら優しそうとはいえ、にんげんさんはにんげんさん。 一歩間違えれば、永遠にゆっくりさせられてしまう。 もう少し様子も見たいし、出て行くタイミングも計りたい。 まりさは、逸る心を抑えつけ、なるべく目立たないようにおねーさんの後を追った。 まりさは、ある程度おねーさんと距離を取り、草むらや側溝といった見つかり難いところを通るようにしたので、あまり速度が出なかった。 それでも何とか後を追えたのは、おねーさんのほうも乳母車を押してゆっくり歩いていたからだ。 しばらく後をつけると開けた場所に出た。 公園だ。 広い敷地に草花が豊かで、なかなかのゆっくりプレイスだ。 奥の方には滑り台やブランコなどの遊具も置いてある。 あの滑り台さんで遊ばせたら、おちびちゃんたちゆっくり喜ぶだろうな・・・。 いけない。少しぼんやりとしてしまった。 慌てておねーさんの姿を探す。 良かった!まだ公園にいる。 まりさは、大きく回りこんでおねーさんの近くの茂みの中に身を隠す。 おねーさんのお友達かな? 少し離れた所に立っているおねーさんは、同じような年代と思しきおねーさんたちと楽しそうにお話ししている。 まりさが後をついてきたおねーさんも入れて、全部で三人だ。 一人はおねーさんと同じすぃーを押している。 きっとあのなかにも、とっても小さなにんげんさんのおちびちゃんが乗っているのだろう。 もう一人のおねーさんはすぃーを押していない。 代わりにすぃーに乗っていないおちびちゃんと手をつないでいる。 おちびちゃんは自分で立っているが少しあぶなっかしい。 ゆふふ!おちびちゃんは、まだゆっくり歩けないんだね。 まりさのおちびちゃんたちが、もっと小さかった頃を思い出すよ。 おねーさんたちの、会話の中身はこれといって取り留めのないものだった。 そのなかでも、家族の話題、とりわけおちびちゃんたちの話題が多いようだった。 まりさたちも、おちびちゃんが生まれた時、みんなでおちびちゃんのことばかり話してたっけ。 まりさは、おねーさん達の話を聞いて、自分もすっかり、ゆっくりした気分になっていた。 やっぱり、このおねーさんたちなら、まりさの話を聞いてくれるかもしれない。 きっと、おちびちゃんを助けてくれる。 だって、おねーさんたちは、こんなにゆっくりしているんだから・・・。 とはいえ、出て行くタイミングもつかめず、まりさは茂みから出て行けないでいた。 すると、おねーさんたちがおしゃべりに夢中になっているうちに、おちびちゃんがふらふらと歩き出してきた。 こっちにくるよ! おちびちゃんはこちらの茂みの方に向かってくる。 まりさが見つかったわけではない。 何か別のものに気を取られているのだろう。 おねーさんが、おちびちゃんが離れたことに気づいて追いかけてくる。 おねーさんも、おちびちゃんを追って、この茂みに近づいてくる。 ゆっ!おねーさんもこっちにくるよ! このまま茂みの奥に隠れていれば、見つかることはないだろう。 だが、いつまでもこうしている訳にもいかない。 今しかない。 まりさは、そう判断すると茂みから勢い良く飛び出し、おちびちゃんたちの前に着地した。 「ゆっ!おねーさん!まりさのはなしを・・・」 「きゃーーーーーーーー!!」ばすん ゆゆっ! 景色が回る。 まりさが回る。 何回転もして茂みの中に戻ってくる。 ゆ・・・。おかおが痛いよ・・・。 何が起きたの? 「******************!!!!!」 茂みの向こうではおねーさんが、おちびちゃんを庇う様に抱きしめ、何事かを叫んでいる。 他のおねーさんたちも、慌てて何か言いながら、おねーさんに駆け寄ってくる。 まりさには、何も聞こえない。ただ、ひとつだけ理解した。 まりさ、おねーさんにけられたんだね・・・。 何故?まりさ何にも悪いことしてないのに? 何故?おねーさん、あんなにやさしそうだったのに? まりさには、訳が分からなかった。 ただ、訳も分からないなりに悲しくなってきた。 ここにいるのは危険だ。 まりさは涙をこぼしながら、全力で跳ねていった。 今日の日中、公園で他のお母さん達と話すのに気を取られて、ゆーくんが一人で歩いていってしまった。 幸いすぐに気づいて何事もなかったが、ゆーくんに追いついたと思ったら草むらから急にゆっくりが飛び出してきた。 急だったのと、ちょっと大きめだったことに驚いて、思い切りゆっくりを蹴飛ばしてしまった。 ゆっくりのなかには、先のとがった木の枝を使って人を襲うものもいるらしい。 ただ、落ち着いて考えてみると今日のゆっくりは、そういった雰囲気じゃなかったかもしれない。 とりあえず、飼いゆっくりではなかったはずだから蹴っ飛ばしても問題はないんだけど、 蹴られたゆっくりは、泣きながらどこかに行ってしまった。 他のお母さん達も野良なら気にすることはないと言ってくれたが、それにしてもちょっと悪いことをしてしまった気がする。 あれから暫くたったが、まりさは公園のなかの茂みで辺りを窺っている。 さっきおねーさんたちから逃げ出して飛び込んだ、別の茂みだ。 飛び込んだそこで、まりさはじっとしていた。 ここは同じ公園のなかでもにんげんさんは、あまりやってこない。 それでも、まりさは移動しようとはしない。 たまに来るにんげんさんを観察してはいる。 しかし、実際のところ、まりさは先ほど受けた暴力と、まりさからすればあまりに理不尽な出来事にショックを受け、ここから出てにんげんさんに近づくことが出来ないでいた。 ゆぅ・・・。おちびちゃんがまってるのに・・・。 おちびちゃんのために、おくすりもらわなくちゃいけないのに・・・。 やっぱりにんげんさんはこわいよ。 まりさ、ここからでられないよ。 にんげんさんへの恐怖とおくすりを手に入れることへの義務感の板ばさみ。 まりさはが葛藤していると、気づかないうちにすぐ傍までにんげんさんの接近を許してしまった。 今度のにんげんさんは、おにーさんだ。 格好から察すると、さらりーまんさんだろう。 どうしよう!? まりさ、ぼんやりしてて、にんげんさんに気がつかなかったよ! ここまで接近してしまえば、もう逃げることはできない。 できることと言えば、ただ、息を潜めていること。 まりさは、目を閉じておにーさんが通り過ぎてくれることを祈った。 「おっ!ゆっくりか。久しぶりに見たなー。」 おにいさんが足を止める。 みつかっちゃたよ!どうしよう、どうしよう!? まりさは、おにーさんの方を見ることすら出来ない。 「そうおびえるなよ。こっち来いって。」 おにーさんが近くのベンチに座って手招きしている。 まりさは、ただ恐ろしくて、すぐにでも逃げてしまいたかった。 逃げたところで、逃げ切れるわけがないだろう。 むしろ逃げるそぶりでも見せれば、おにーさんの機嫌を損ねてしまう。 そうなれば、また暴力を振るわれる。 まりさ、そんなのいやだよ!! まりさは、恐怖に身をすくませながらも、おにーさんの足元までずーりずーりしていった。 「だから、そうおびえるなって。ほら、ゆっくりしていけよ。」 「ゆっ・・・。ゆっくりしていってね・・・。」 ゆっくりしていってね。 ひとまず、危害を加えるてくるつもりはなさそうだ。 とはいえ、先ほどあんなことがあったばかりだ。 とてもじゃないが安心は出来ない。 「お前腹減ってないか?」 おなか?そういえばお昼のむーしゃむーしゃ、まだしてないよ・・・。 「ゆ。まりさは、ゆっくりおなかがすいたよ・・・。」 「ほれ。」 おにーさんはビニール袋から取り出したパンを千切って、まりさの前に置いた。 ゆゆっ!?おにーさん、まりさにごはんさんくれるの!? まりさは驚いておにーさんの顔を見上げる。 顔に出ていたのだろう。 「そんなに驚いた顔するなよ。それ、食っていいいぞ。」 「ゆっ!おにーさん、ゆっくりありがとう! ・・・むーしゃむーしゃ、し、ししし、しあわせーーー!!」 パンは甘い菓子パンだった。 にんげんさんのごはんさんが、こんなにおいしかったなんて! まりさだって、街ゆのはしくれだ。 にんげんさんのごはんだって、それなりに食べたことがある。 けど、それは道に落ちているものや、屋外のゴミ置き場で手に入る残飯の類だ。 ふわふわ真っ白で、あまあまーなパンはまりさが今まで経験したことのない甘露だった。 むーしゃむーしゃ、むーしゃむーしゃ・・・。ゆふー。 「お前はちゃんとむーしゃむーしゃしあわせーって言うんだな。」 「ゆっ?」 「いやなんでもない。それより、まだ食うか?」 「・・・いいの、おにいさん?」 「遠慮するなよ。ほら。」ぽい 「ゆゆーん!おにーさん、ゆっくりありがとう!」 むーしゃむーしゃ、むーしゃむーしゃ 「それにしても野良ゆっくりって、よく食べるよな。それともゆっくりって皆こんなもんかね。」 「ゆっ?」 「まあ、そんなこと言われても困るよな。」 おにーさんは穏やかに笑っている。 まりさは、パンを食べながら考える。 やさしそうなおねーさんが、まりさを蹴ったよ。 まりさ、何にも悪いことしてないのに・・・。 そりゃ、おねーさんにまりさのおちびちゃんを助ける義務なんかない。 けれど、いきなり蹴り飛ばすなんて酷い。ゆっくりしていない。 改めてにんげんさんは、怖いと思った。 ゆっくりなんか簡単にどうにでもできるんだと思い知った。 なのに、あれから大して時間もたってないのに、 にんげんさんは、ゆっくりとした笑顔でまりさにごはんをくれている。 まりさは、訳が分からなくなってしまった。 ただ、おにーさんにもらったあまあまパンを食べ、おにーさんのゆっくりした笑顔を見ていると、 さっきまでの悲しい気持ちがだんだん小さくなっていくのが分かる。 ・・・・そうだ。駄目でもともとだ。 このおにーさんにおくすりをお願いしてみよう。 まりさが、そう思い立ったとき、電子音が鳴り出す。 おにーさんが、あわてて鞄から何かを取り出し、耳元に持っていく。 「はい、はい・・・・本当ですか!ありがとうございます! ・ ・・・・・・・はい、大丈夫です。 すぐに伺います。」 おにーさんは、突然一人で話を始めた。 知っている。 これはけーたいでんわさんだ。 にんげんさんは、よくけーたいでんわさんで一人で話をしている。 ゆっくりには良く分からないが、にんげんさんには普通のことらしい。 まりさには、よくわからないよ。 「さてと・・・。お前まだ食べたりないだろ。 おれはもういかなきゃならないから残りもやるよ。」 そう言うと、まりさの前におにーさんは食べていたあまあまパンを置いてくれた。 「それじゃ、ゆっくり食べていきな。」 「あ・・・。おにーさ「じゃあな。」」 おにーさんは、慌しく荷物をまとめると小走りに公園を出て行ってしまった。 「ゆぅぅ・・・・。」 せっかく今度こそ、ゆっくりしたにんげんさんだったのに・・・。 おくすりの話をする前にどこかにいっちゃったよ。 まりさ、ちょっとゆっくりしすぎちゃったね・・・。 まりさは、少しだけ落胆していた。 でも、少しだけだ。 むーしゃむーしゃしたことで、体に活力が漲っている。 それもあんなに美味しいあまあまパンを食べきれないくらいもらった。 それに、それだけじゃない。 おにーさんが、優しくしてくれたおかげで、 さっきまでの悲しい気持ちは小さくなるどころか、すっかり消えてしまった。 ひとつの事柄が頭を占めれば、別のことはすぐ忘れる。 それが餡子脳。記憶のトコロテン方式。 ふと、買ってきたまま開くことのなかった「ゆっくりの育て方」という本を思い出した。 それから元気を取り戻したまりさは、少しだけ積極的に動いてみた。 さすがに、にんげんさんに手当たり次第声をかけるのは危険すぎる。 だからといって、一箇所にじっとしていていいものか。 時間は有限だ。 まりさのおちびちゃんは、すぐにでもおくすりが必要なんだ。 おちびちゃんたちが、まりさの帰りを待っているんだ。 そう思うとまりさは、じっとしてなどいられなかった。 それはもしかすると焦りかもしれない。 けれど、わざわざ人通りの少ないところに潜んでいることはできない。 まりさは、さっきおねーさんたちのいた所へもどってみることにした。 理不尽な暴力を受けた場所へわざわざもどることに、躊躇がなかったわけではない。 だが、先ほどの場所はおねーさんたちをはじめ、他にも少し離れて何人かのにんげんさんがいた。 もう少し、にんげんさんのいる場所に行くべきだ。 そうして戻ってきた場所は、相変わらず何人かにんげんさんがいた。 やっぱりまりさの考えに間違いはなかったね。 周りにいるにんげんさんたちをよく見てみる。 おねーさんたちはもういなくなっている。 ベンチに座っている人。遊具で遊ぶ子供達。それを見守る親らしき人。 だれもがそれなりにゆっくりしているように見える。 それからしばらく観察を続けているが、出て行くだけの決定打は見つからない。 にんげんさんたちがあまり長居してくれないのだ。 ゆっくりしたにんげんさんだろうかと期待して様子を見守っていると、まりさが出て行く決心を固める前に立ち去って行ってしまう。 もともとまりさには、「飼いゆっくりを連れたにんげんさん」という以外、にんげんさんに声をかける確固とした判断基準がない なるべく優しそうな、なるべくゆっくりしたにんげんさんを選んで声をかけるしかないのだ。 それに、身の安全にも配慮する必要がある。 そうすると、簡単にはにんげんさんに声をかけることはできなかった。 ただ時間だけが過ぎていく。 もう、気のせいではない。 まりさは、焦っていた。 ゆぅぅ・・・。どのにんげんさんにおねがいすればいいか、ぜんぜんわかんないよ! ゆっくりしていそうなおねーさんは、ぜんぜんゆっくりしていなかったし、 逆にそのあと出会ったおにーさんは、ゆっくりしていないと思ったら、とてもゆっくり優しいおにーさんだった。 ちょっと見ただけじゃ、ゆっくりしてるかどうか判断がつかない。 残してきたおちびちゃんの容態が気になる。 ぱちゅりーは早ければ今日中にもおくすりが必要だといっていた。 今日中というのは今かもしれないし、まりさがおうちを出た直後だったかもしれない。 考えても仕方のないことが頭をよぎる。 まりさは、覚悟して出てきたはずだった。 おくすりを手に入れるまで、おうちには帰らないつもりで来た。 だが、それにしても一介の野良ゆっくりである自分にはあまりに荷が勝ちすぎている。 一体どうすれば、にんげんさんからおくすりをもらうことが出来るのだろう。 そもそも、本当に自分に可能なことなのか。 考えても仕方のないことが頭にあふれる。 だいたい、おちびちゃんが病気になったのは誰のせいだ。 自分がおうちをきちんと造っておかなかったからだ。 そう、悪いのは何もかも自分じゃないか。 おちびちゃんでなく、自分が病気になればよかったのだ! もう何も考えられない。 ただ、ゆっくりできない思いだけが中枢餡をじくじくと刺激する。 「ゆゆーん!おさんぽは気持ちいいよ!」 とってもゆっくりした声が聞こえる。 ゆっくりだ。 半日ぶりに聞くゆっくりの声に、まりさも我に返る。 目をやると見たこともない程の美れいむが公園を堂々と跳ねている。 頭のお飾りには、きらきら輝く銀色のバッジ。 ・・・飼いゆっくりだ。 慌てて辺りを見回すが、飼い主らしいにんげんさんの姿はない。 飼いゆっくりはにんげんさんといつも一緒のはずだ。 それに、にんげんさんがいなければおくすりがもらえない。 いくら飼いゆっくりでも、おくすりまでは持っていないだろう。 ・・・待てよ。これはかえって好都合なのではないだろうか。 ゆっくりと一緒に暮らすにんげんさんなら、それは優しく、ゆっくりしたにんげんさんなのだろう。 とは言え、同属であるゆっくりの方が信頼できるし、話も通じやすいだろう。 まずは、あのれいむと話をつけ、その後に飼い主さんにおくすりを要求するのが良いのではないだろうか。 あのれいむも、きっとまりさの話を聞けばおちびちゃんのために力になってくれるはずだ。 計画は完璧だ。あとはれいむとの交渉を間違えないことだ。 それさえクリアすれば、あとは成功したも同然。 おちびちゃんのために、最高の「ゆっくりしていってね」を決めてやる。 まりさは茂みから出ると、れいむに向かって跳ねていった。 れいむの前まで回り込む。 「ゆっくりしていってね!!」 「・・・・・・・・・・・・・。」 決まった。会心の「ゆっくりしていってね」だ。 ・・・・・・・・・・・? れいむからお返しの「ゆっくりしていってね」がない。 おかしい。聞こえなかったのだろうか 怪訝に思いながらももう一度「ゆっくりしていってね」をしてみる。 「・・・・・・・・・・・・。」 今度は聞こえなかったわけがない。 もしかしたら、れいむはとってもてれやなのかな。 だったら、まりさからゆっくり自己紹介しないとね。 「まりさは、まりさだよ。よろしくね!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」 れいむは足を止め、じっとこちらを見ている。 さっきまではご機嫌にゆーん、ゆゆーんとしていたのに、今は何だかゆっくりしてないお顔だ。 今にもぷくーしそうな、まるで怒っているような、怯えているような。 「ゆゆっ?れいむ、どうしたの?ぐあいがわるいの?」 れいむは何も応えない。 どうしたのだろう? あんなに元気だったのに? れいむは急に具合がわるくなっちゃったのかな? もしかしたらぽんぽんいたくなったのかもしれないね。 それならすーりすーりがいちばんだよ! いよいよ心配になったまりさは、れいむに近づきすーりすーりしてあげることにした。 「ゆっ!まりさがすーりすーりしてあげるよ!れいむげんきだし「なにしてんだーーー!!!!」」ずどん まりさが吹っ飛ぶ。 昼前におねーさんに蹴られたのとは桁違いの衝撃だ。 ころころと回転するのではない。 吹っ飛んで数メートル先に落ちた。 「ゆぐっ!ゆぐっ!ゆげぇぇぇ・・・。」 盛大に餡子を吐くまりさ。 「ゆぅぅぅ!おにーさぁぁぁん!ありがとぉぉぉぉ!れいむこわかったよぉぉぉ!」 「危なかったな、れいむ!大丈夫だったか!?」 「野良の汚いまりさが、れいむにすっきりーしようとしてきたよ! このゲス野良まりさをせいっさいっしてあげてね!」 れいむを抱き上げ、心配そうだったおにーさんは、まるで別人のような形相でこちらに近づいてくる。 自分は勘違いしていた。 おねーさんに蹴られたとき、命の危険を感じた。 違う。 命の危険っていうのは今みたいなことを言うんだ。 がっ 今度は先ほどのずっしり重い衝撃ではなく、皮を破られるような体の表面への鋭い蹴りだ。 身動きの取れないまりさは、まともに喰らう。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 目からは涙、口から餡子を撒き散らしながら痙攣するまりさ。 「おい。お前うちのれいむになにしようとしたんだ!?」 何か言わなければ潰される。 そう確信したまりさは必死でここまでの経緯を話そうとする。 「げぇぇぇっ、・・・ばでぃぢゃば、・・・おじびじゃの・・、だべに」ごっ 「何言ってるかわからねーよ。」ごっごっごっ おにーさんは何発も何発も、まりさの顔面を細かく蹴り上げる。 「ゆげっ!」 「ゆゅびゃ!」 「だじゅ・・だじゅげでぐだざび・・・!」 おにいーさんの蹴りがやむと同時に命乞いを始める。 「までぃさ、ちんじゃ・・ぼでがいでず、までぃざを・・・だずげで、だずげ」 じょぼじょぼじょぼ 命乞いをしながらも餡子を吐き続けるまりさの頭に何かがかけられる。 おにいさんが持っていた何かをかけられる。 かけられたところから痛みが引いてゆく。 痙攣が止まり、餡子ももう吐かない。 「で、どうしたって?」 おにーさんは、とても冷めた目をしている。 先ほどのような恐ろしい形相ではない。 代わりに、自分で質問しながらもひどく如何でもよさそうにまりさを見ている。 「までぃさのおじびぢゃんがびょうぎなんでず!それでにんげんざんのおぐずりがいるんでず!」 「がいゆっぐりといっしょのやざじいにんげんざんにおねがいじようとおぼったんでず!」 「でいぶは、でいぶがかいゆっぐりだとおぼっでがいぬじざんがらおぐずりをもらおうとおもっだだげなんでず!」 「でいぶにずっきりーじようどなんておぼっでばせん!ただおぐずりをもらいたがっただけなんでず!」 「おうぢでおじびぢゃんだちがまっでるんでず!だずけでぐだざい!ばでざをごろざないでぐだざい!」 「おでがいじばず!おでがいじばず!ばでざをゆるじでぐだざい!!」 どれだけ、叫び続けただろう。 短かったのかもしれないし、とても長い時間そうしていたのかもしれない。 まりさは叫び続け、おにーさんは何も言わない。 「れいむー、いくぞー。」 まりさが、叫び続けて、息が続かなくなり激しく咳き込んだ頃。 おにーさんは少し離れた場所にいたれいむにのんびり声をかけ、どこかに行ってしまった。 まりさは呆然とその姿を見送る。 おにーさんとれいむが見えなくなってもそのままだった。 しばらくしてのろのろ動き出す。 自分の吐いた餡子を必死で舐め取る。 また涙があふれてくる。 吐いた餡子をあらかた飲み込むと、まりさはずーりずーりし始めた。 おにーさんたちが去っていったのとは反対の方向に進む。 そのまま、公園を出て人気の無い方へと這ってゆく。 ゆゆーん!今日もお散歩楽しかったね! 今日は公園で汚いゲス野良が、かわいいれいむにおそいかかってきたよ。 だけど、おにーさんがれいむを助けてくれたよ。 ゲス野良はおにーさんにせいっさいっされて、ぶざまに餡子さん吐いて泣きわめいていたよ! ほんとに野良は生きる価値がないね。 でもやさしいおにーさんは、そんなゲス野良にもオレンジジュースさんかけて、見逃してあげたよ。 おにーさんはほんとにやさしいね! ゲス野良はおちびちゃんのためにおくすりをもらうって言ってたよ 汚い野良の子はやっぱり汚いんだろうね! そんな汚まんじゅうに誰がおくすりなんてあげるの? 馬鹿なの?死ぬの? 汚い野良と飼いゆっくりのれいむとじゃ命の価値が違うんだよ。 ゆっくりりかいしてね! まりさは工事現場に辿り着いていた。 周りには柵がしてあり、にんげんさんは誰も近づかない。 今は工事もしていないから、ここには誰もいない。 まりさはここまで、どうにか這いずってきたものの、置いてある資材の陰に隠れると そのまま気を失ってしまった。 気がつくと既に辺りは暗くなり始めていた。 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ ザッザッザッザッ 誰もいなかったはずの工事現場には大勢のにんげんさんがいる。 スコップやハンドブレーカーで地面を掘っている。 いけない!にんげんさんだ! まりさは、震え上がった。 歯の根も合わない。 慌てて逃げようとしたが、体が動かない。 何とかここまで来ることができたが、ここまでが限界のようだ。 もう、ずーりずーりすることもできない。 思ったよりも重傷だ。 下手をすればこのまま回復するより早く、永遠にゆっくりしてしまう。 それに、このままじっとしていて見つからないだろうか? いや、駄目だ。 辺りは暗くなってきているというのにここだけは昼間のように明るい。 ライトで照らされている。 にんげんさんがこっちにくればすぐに見つかってしまうだろう。 まりさは、もうどうすることもできなかった。 殺されかけた恐怖と、次こそ殺されるかもしれない恐怖に、目を閉じて震えるばかりだった。 「よし!休憩に入るぞ!」 作業長が土ぼこりにまみれたゴミの塊を発見する。 「なんだ、こりゃ?」 「どうかしたんですか?あ、これゆっくりじゃないですか。」 「ああ、ゆっくりか。そうだな。ゴミかと思ったわ。」 若い作業員が怪我に気づく。 「こいつ怪我してますよ。多分人間に蹴られでもしたんじゃないですかね。こいつらよく蹴られますから。」 「そういうもんなのか。農家の畑なんか荒らして駆除されるって話は聞くけど、この辺農家なんてないだろ。」 「人んちの庭でも荒らしたんじゃないですか?」 「まあ、そうだな。それよりこいつ、死んでるんじゃないか?」 「いや、よく見てくださいよ。小さく震えてるでしょう。死んだふりしてるんですよ。 おい。お前おきてるのか?起きてるんなら返事しろ。」 っとに死んだフリなんかしやがって、分からないとでも思ってんのかよ。 ぺチン 「ゆっ!」ゆ、ゆ、ゆ、ゆ 「やっぱ起きてんじゃねーか。狸寝入りしてんなよ、おい。」 「おいおい、あんまり乱暴にするなよ。」 ゆ、ゆ、ゆ、ゆ 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆぎゃぴぃぃぃぃぃっ!!!おおお、おでがいでず! ばでざにもういだいごどじないでぐだざい!!ごろざないでぐだざいぃぃぃぃぃぃ!!!!」 まりさは、がたがたと目に見えて大きく震えた、といより痙攣しだしたかと思うと、 周りにいた人間達が度肝を抜かれるような大声で泣き喚き始めた。 特に直前に頭を叩いた若い作業員は、大いにうろたえた。 まるで、俺がゆっくりを虐待してるみたいじゃねーか! 周囲の目が痛い。 「ちょちょちょ、ちょっと待てよ!おい!そんなに強くたたいてねーだろ! 作業長、そんなに強くたたいてないっすから!」 「お前ら、どっちも落ち着け。 なあ、ゆっくりちゃんよ。 どうしてそんなに傷だらけでこんなとこにいるか、おじさんたちにちょっと教えてくれないか? 場合によっちゃ助けてやらないこともない。」 作業長と呼ばれた年配の男の周りには他にも数人の作業員が、興味深そうに集まってきている。 ゆっくりが、作業長を縋るような目で見ている。 「ばでさは、おちびちゃんがびょうきになっちゃっだがら・・・、にんげんさんにおくすりをもらいにぎだんだよ・・・。」 「でぼ、ひどいにんげんざんにみつかって、こんなめにあわされちゃったんだよ・・・。」 「ばでざ・・・、なんにもわるいごどなんかしてないのに・・・。 でいぶにずっぎりーじようとなんかじでないのにぃぃぃぃ!」 ゆわーんゆわわーーん 「そのでいぶってのはなんだ?そいつに何かしようとしたのか?」 「でいぶはでいぶだよ!でいぶはがいゆっぐじだがら、かいぬしざんからおぐずりもらおうどおもっだだけだのに・・・。 でいぶど、にんげんざんが、ばでざがずっぎりーしようどぢだっでうぞづいで、ひどいごどじだんだよ!」 「うーん。何のことかさっぱりわからんな・・。お前、どうだ?」 「でいぶってのはれいむのことだと思いますよ。ゆっくりの種類の。 で、そのれいむが飼いゆっくりだってんです。で、すっきりーってのは交尾ですよ、確か。」 「ってことは、何か。こいつ、飼いゆっくりに薬もらおうと思ったら、 自分んとこのゆっくりと交尾しようとしたろうって、その飼い主に痛い目にあわせられたのか。」 「ゆっくりの飼い主って、野良を嫌がる人多いんですよ。自分のゆっくりと勝手に交尾したりするから。 だからペットショップで躾済みのゆっくりとか、野良とは話すな、目も合わすなって教えられてるのも多いらしいですしね。 で、野良嫌いの飼い主は、自分のゆっくりを可愛がる反面、野良に対しては物凄く厳しかったりするんですよ。 多分こいつ、そういう飼い主とゆっくりにあたっちゃたんでしょ。」 「しかし、ひどい話だな。同じゆっくりだろう。 そこまで差別する必要なんてないだろう。そういう連中はどうかしてるんじゃないか。」 作業長は、本気で腹を立てているようだ。 若い作業員は首を傾げている。 「・・・うーん。まあ、ゆっくりってのも人間の言葉を話す割りに頭の悪いやつらですしね。 一概にそうとも言えないんですけど。」 確かに酷いとは思うが、作業長、こいつらがどんな連中かよく知らないんだろうな。 「まあ、いい・・・。おい、ゆっくりちゃんよ。お前さんの言ってた薬ってのはどんなものだ? 動物病院とかで手にはいるのか?」 ゆっくりが答える。 「ゆぅ・・・。おくすりは、おれんじじゅーすと、かぜぐすりっていうんだよ・・・。 にんげんさんのおくすりだよ・・・。」 作業長は顔をしかめる。 「風邪薬とオレンジジュースって何かの冗談か!?」 「作業長、こいつら甘い飲み物で病気とか、怪我が治るんですよ。中身が餡子とかなのかは分からんですが。 風邪薬のほうは知りませんけど、こいつらそういう無茶苦茶なつくりですから。」 作業長の気持ちが良く分かる。 こんなことを説明している自分のほうが間違ってるんじゃないかと思えてくる。 「・・・そういうもんか。まあいいわ、お前ちょっと自販機でオレンジジュースかって来てやれ。 二本な。お前も好きなの買ってきていいぞ。おれはコーヒーな。」 いまいち腑に落ちないという顔つきだが、ゆっくりに同情したのだろう。 作業長がそんなことを言い出す。 「わかりました、いってきます。」 それにしても、ゆっくりのぱしりかよ。まあ、いいけどな。 小走りで少しはなれたところにある自販機に向かった。 作業長は、まりさに向き直って話しかける。 「オレンジジュースはやろう。ただ、風邪薬はここにはないな。 事務所に行けばあるかも知れんが・・・。仕事中だからそういうわけにもいかんしな。」 「ゆぅぅ・・・?にんげんさん、まりさにおれんじゅーすをくれるの?」 ゆっくりが、作業長を見上げている。 若い作業員が戻ってくる。 「買ってきましたよ。」 オレンジジュースを二本とコーヒーを一本差し出す。 「おお。お疲れ。悪いな。 これはお前用だ。おい、怪我も治るんだろう?」 最後は若い作業員に向かって言う。 「そのはずですけどね。かけても、飲ませてもいいらしいですよ。」 「よーし、じゃ、上向いて口開けな。いくぞー。」 なんだかんだで、作業長、結構楽しんでるな・・・。 「ゆっ!・・・ゆあーーん。」 ぼとぼとぼと 「ごーきゅ、ごーきゅ・・・。ししし、しゃわわせぇぇぇーーーー!!!?」 「おー、うまいか。そりゃ良かった。じゃ、こんどは体の傷にかけるからな。」 どぼどぼどぼどぼ 「ゆゆーん!とってもきもちいーよ!もっとかけてね、もっとかけてね!」 なんか、くねくねと身悶えしてやがる。気持ち悪りい。 「ゆふー!!まりさ、げんきになったよ。にんげんさん、どうもありがとう!」 さっきまでの、様子が嘘のように元気になりやがったな。 傷跡すらろくに残っていやがらねえ。 ほんっとに、無茶苦茶だなこいつら。 「ほら、オレンジジュース。もう一本。 これはおちびちゃんの分だ。落とすなよ。」 帽子のなかにオレンジジュースしまいやがった。 手足もないくせに、妙に器用だな。 「ゆっ!ありがとうだよ! まりさ、おれいをしたいけど、もういかなきゃいけないよ。 ごめんね、ねんげんさん・・・。」 一応感謝はしているみたいだな。 「いいのさ。それよりもう行きな。おちびちゃんが待ってるんだろう?」 「ゆん。まりさ、もういくね・・・。 にんげんさん、ゆっくりしていってね!」 へへ、普段現場の連中には厳しいし、動物が好きって柄でもねえ。 見ての通りの強面だ。 どいつもこいつも、俺がなんでゆっくりなんかにあんなに優しいんだ、理解できねえって顔だったな。 無理もねえ。 実際、俺だってそうなんだからな。 けどよ、あのぼろぼろの饅頭見てたら、なんとなくほっとけねえって思っちまったのさ。 なんでだろうな・・・。 いや、心当たりならある。 まあ、一緒に働いてる連中とは長い付き合いのやつもそれなりにいる。 俺の身の上を知ってるやつも多いだろう。 そうさ、あんな小汚えゆっくりがよ、家族と重なっちまったんだ。 俺の家族、女房と息子さ。 もう随分と昔の話になっちまうが、交通事故でな・・・。 ああ・・・。そうさ。 ちょうどあんな感じでな。 全身ぼろぼろさ。 あのゆっくりを見てたら、思い出しちまってな。 人間も、ゆっくりもないって思っちまったのさ。 ・・・ただ、それだけよ。 って作業長、奥さんも息子さん夫婦も、お元気ですよね。 お孫さんもいますよね。 つか、俺先週、近所でお会いしましたよね。 作業長と奥さんと、一家総出で仲良くお出かけしてましたよね。 なに訳のわかんねぇこと、一人でぶつぶつ言ってるんですか。 ってどこ行くんですか。 ちょっと! おいこら、おっさん!! まりさは、工事現場を後にして、再び住宅地のなかを跳ねている。 親切なにんげんさんのおかげで、オレンジジュースが手に入った。 一時はもう駄目かと思っただけに、喜びもひとしおだ。 嬉しいのはそればかりではない。 オレンジジュースの効き目だ。 酷い暴行で、全身に瀕死の重傷を負った自分が、こうも元気に回復している。 もうどこにも痛みは残っていない。 疲労もない。 こんなに体が軽いのはいつ以来だろう。 噂に違わず、いや、それ以上ににんげんさんのおくすりは良く効く。 まるで、魔法のようだ。 これさえあれば、おちびちゃんだって、きっとたすかるよ! まりさは、確信する。 しかし、まだ風邪薬が手に入っていない。 この辺りは住宅地であるため、日が暮れると人通りはあまりない。 これまでのように、通りがかるにんげんさんを待ち構えることは上策ではない。 最後の難関だ。 さあ、どうする。 ・・・・・・? 声が聞こえる。 にんげんさんではない。 ゆっくりだ。 なにやら騒がしい。 普段から賑やかなゆっくりの感覚で騒がしいといえば、相当なものだ。 おちびちゃんのため、急がなければならない身ではある。 しかし、どこへと行くあてがある訳でもない。 まりさは、一先ず声の聞こえるほうへと向かうことにした。 ぽよんぽよん、ぴょーんぴょん やや急ぎ足で跳ねていくと、だんだんと声が近くなってきた。 ゆっくりが三匹。 それににんげんさんの声だ! 傷を治し、オレンジジュースまでくれたのも、にんげんさんだった。 でも、やはり自分に酷いことをしたにんげんを、思い出してしまう。 それも、当然のこと。 まだ、半日もたっていない。 しかし、それだけににんげんさんと一緒にいるゆっくりを放っておくわけにもいかない。 気は進まないが、やはり近くまで行くだけ行ってみよう。 さらに近づくにつれ、会話もところどころ聞こえてくるようになった。 「はなすんだぜ!じじい!」 「まりさをはなしてね!しゃざいとばいしょうをようきゅうするよ!あまあまでいいよ!」 「だからな、ここは俺の家なの。そこの野菜もうちの家庭菜園なんだって。」 ・・・・・なんだかゆっくりしてない気がするよ。 辿り着いた先には自分と同じ野良と見える、まりさとれいむ。 にんげんさん。 それににんげんさんのすぐ横にありすがいる。 ありすのカチューシャには、銀のバッジ。 飼いゆっくりだ。 「あなたたち野菜は勝手に生えてくるものじゃないのよ!それに、ここはおにいさんたちと、ありすのおうちよ!」、 ありすがゆっくりたちに、ぷくーしている。 「ほら、ぷくーなんかするなよ。お前はいいからちょっとさがってろよ。」 「でも、おにいさん・・・。・・・・わかったわ。」 ありすが、にんげんさんの後ろに隠れるような位置につく。 ありすがおとなしく後ろに下がったことで、まりさが更に勢いづく。 「ゆっへっへ!よわむしのありすはさがってればいいのぜ! おとなしくしてればいたいめみなくてすむのぜ! まりさは、むれでまけなしのゆっくりなのぜ! にんげんさんじゃ、てもあしもでないのぜ! いたいめにあいたくなければ、さっさとあやまるんだぜ!」 れいむも、まりさに続いてにんげんさんを威嚇してくる。 「そうだよ!まりさはとってもつよいんだよ! ひとりじめしてるおやさいさんだけでゆるしてあげるんだよ! ひとりじめはだめなんだよ!」 どうやら山の群れから下りてきたゆっくりたちらしい。 口が悪く多少性格に難ありだ。 が、特別ゲスというわけでもなさそうだ。 にんげんさんを知らないのだ。 勿論、にんげんさんの姿くらいは見たことがあるかもしれない。 群れに伝わる噂で多少の知識はあるかもしれない。 だが、にんげんさんが本当にどういうものかまだ見たことがないのだろう。 話には聞いていても、その話自体がひどく歪んだ、偏ったものだったのかもしれない。 話が正確でも、思い上がった挙句、都合のいい部分だけ耳に入れてきたのかもしれない。 山のゆっくりたちには良くあることだ。 にんげんさんの怖さを知らないまま、何かの拍子に街まで下りてくる。 街にはれみりゃたちが、ほとんどいない。 ゴミ漁りがうまくいけば、美味しい食べ物が手に入る。 おやさいさんが、たくさん生えている。 もし、ゆっくりに優しいにんげんさんを見つければ、山ではまずありつけないあまあまを貰えるかもしれない。 こんな時、山のゆっくりは、街が素晴らしいゆっくりプレイスだと思い込む。 だが、そんなに都合のいい話はない。 この山まりさたちのように、群れで負け知らずでのゆっくりでも、決してにんげんさんには敵わない。 山のゆっくりには勘違いしている連中も多いが、れみりゃよりにんげんさんのほうがずっと強いのだ。 だから、れみりゃは街におりてこないのに。 そして、この山まりさたちの話から察すると、にんげんさんたちがおやさいさんを独り占めしていることになっているらしい。 大概のおやさいさんは、にんげんさんが育てている。 ゆっくりがむーしゃむーしゃすることがあるのは、捨てられたおやさいさんだけだ。 それとても、必ずむーしゃむーしゃすることが許されるわけではない。 おにーさんは、この山ゆっくりたちの無礼な態度にも、腹を立てているようにも見えない。 どうやら、このおにーさんは優しいにんげんさんのようだ。 そういえば、ぱちゅりーが言っていた、飼いゆっくりと暮らすやさしいにんげんさん。 それはこのおにーさんのことだろう。 あの飼いゆっくりのありすは、とてもゆっくりしている。 そればかりか、いまひとつゆっくりしてない、あの山ゆっくりたちにも酷いことをするつもりがないようだ。 かいゆっくりといっしょの、やさしいにんげんさん? それってたしか・・・。 ゆっ!そうだよ!おくすりをくれるにんげんさんだよ! まりさは気づいた。 飼いゆっくりと暮らすやさしいにんげんさん! 再び心の中で繰り返す。 それは、ぱちゅりーの言っていたおくすりをくれるにんげんさんだ。 少し前に、飼いゆっくりを連れたにんげんさんに酷い目にあわされた気がするが、それは置いておこう。 そうこうしているうちに、あの山まりさは、おにーさんに放してもらったようだ。 逃げもせずに、おにーさんの足にぽよんぽよんと体当たりをしている。 おにーさんは困った顔だ。 あんな体当たりではにんげんさんは倒せない。 とは言え、にんげんさんだって、子ゆならともかく成ゆの体当たりは痛いだろう。 それに、あのおにーさんは、優しいからゆっくりに手が出せないのだ。 このままではいけない。 「ゆゆん!まりさ、やめてね!」 まりさは飛び出す。 「なんなんだぜ!どこのまりさかしらないけど、まりささまにさしずするとは、なまいきなんだぜ!!」 山まりさは、おにーさんへの体当たりをやめると、まりさへと向き直った。 「まりさ、ここはまりさのいた、やまのむれじゃないんだよ! まちにはまちの、きまりがあるんだよ! にんげんさんに、いたいいたいするなんてゆっくりしてないよ!」 「まりさは、にんげんさんにるーるとまなーをおしえてやってるだけだぜ! おやさいさんをひとりじめなんてだめなんだぜ!! しんぱいしなくても、まりさもおにじゃないんだぜ! はんせいして、ゆっくりしゃざいすれば、いのちまではとらないんだぜ!」 やっぱり山まりさは、にんげんさんに、まりさの群れのルールを守らせるつもりのようだ。 「まりさ、にんげんさんがかわいそうだから、おおけがさせちゃだめだよ まりさがほんきになったら、にんげんさんがばらばらになっちゃうよ!」 まりさは思った。 山れいむも、大きな勘違いをしている。 いくら山まりさが強くても、多少の怪我を負わせることは出来ても決して勝てはしないというのに。 自分がうまく仲裁しなければ、お互いが不幸になるだけだ。 やるしかない。 おにーさんはまりさの顔を見て考えを察して思った。 こんな風船があたってるみたいので、怪我なんかしないやい、と。 「ごちゃごちゃと、うるさいのぜ! じゃまをするなら、そこのまりさも、ただじゃおかないんだぜ!!」ぷくーー 山まりさは大きく膨れて見せた。 すごいぷくーだ! 山で負け知らずというのはあながち嘘ではないようだ。 しかし、負けてはいられない。 「まだまだだよ・・・!」ぷくーーー 負けじとまりさも、大きく膨れる。 そのまま睨み合うことしばし。 双方退かない。 「・・・まりさのぷくーでにげださないなんて、つよがりにしてもたいしたものなのぜ!」 歴戦の猛者らしいふてぶてしい態度で、まりさをねめつけてくる。 「ゆっ!まりさはこのていどなんともないよ! それより、まりさがかったら、まりさたちはやまにかえってね!」 それがこの山まりさたちのためでもある。 「ゆぷぷっ!!このまりささまにかてるきでいるのかだぜ! いいのぜ!やくそくしてやるのぜ!!」びょーん 言い終わるかどうかの際どいタイミングで、山まりさが突っ込んでくる。 「ゆっ!?」ぽゆーん 咄嗟のことに反応がワンテンポ遅れる。迎撃はムリだ。 紙一重で回避する。 「れんぞくこうげきなのぜ!!」 振り向きざまの体当たり。 「まけないよ!!」 今度はまりさも、カウンターで体当たりを合わせる。互いをはじきあう。 周りでは二匹のゆっくりとおにーさんが見守っている。 山れいむ視点:壮絶な死闘だよ!でも(山)まりさは絶対に負けないよ! まりさはれいむと約束したからね!あれはまりさと初めて・・・以下略 飼いありす視点:ゆゆっっ!!あのまりさ何者なの!?まあ野良にしてはとかいはね! ワイルドな魅力がびんびんくるわ!! おにーさん視点:やっぱりゆっくりの体当たりって風船みたいだよね。 二匹は何度も体をぶつけ合った。 ゆっくりからすると、長く壮絶な死闘の末、二匹の体力は尽き果てようとしていた。 「ゆふぅ・・。ここまでやるとはよそうがいなのぜ。 ・・・・つぎのいちげきでおわりなのぜ!!」 「のぞむところだよ!!ゆっくりかかってきてね!!」 びょーん びょーん 二匹が同時に跳ねる。 ぐしゃ ぐしゃ 同時に地面に崩れ落ちる。 「ゆぐっ。もうからだがうごかないのぜ。このしょうぶ、まりさのかちなのぜ・・・。」 山まりさは、ダメージが大きく既に戦闘続行は不能だ。 「まりさも・・・・、まりさも、もううごけないよ。」 一方のまりさも、体力を使い果たしていた。 「・・・・。ゆっふっふっふ。じゃあ、このしょうぶひきわけなのぜ。 ひきわけのときは、やまにかえれなんてきめてないのぜ。」 「ゆゆーん・・・。」 確かにそうだ。まりさが勝ったら山に帰れといっただけだ。 「いいのぜ!ゆうしゃはゆうしゃをしるのぜ!まりさのいうとおりにするのぜ!」 「ゆゆっ!いいの、まりさ!?」 「ゆっくりににごんはないのぜ!にんげんさん、いのちびろいしたのぜ! そこのまりさにかんしゃするのぜ! それとまりさがかえったからって、おやさいのひとりじめはほどほどにするのぜ!」 そう言うと、山まりさはむっくりと起き上がる。 「れいむ、かえるのぜ!」 「ゆゆぅ・・・。でも、れいむ、まだおやさいさんむーしゃむしゃしてないよ。」 れいむは帰るのを少し渋っている。 「やまにかえってなにかたべるのぜ!まりさのいうとおりいするのぜ!」 まりさは、あくまで山に帰るつもりだ。 「・・・わかったよ。それじゃ、ゆっくりやまにかえろうね・・・。」 目の前のおやさいさんが惜しいのだろう。畑のおやさいさんに名残惜しげに視線をやる。 「いくのぜ!」 「まってよー!」 こうして、二匹は山へと帰っていった。 残ったまりさは、またまたオレンジジュースをかけてもらっていた。 「おれんじじゅーすさんだね!とってもきもちいいよ!」 ありすとおにーさんに、山ゆっくりを見事追い払ったお礼をしてもらえることになったのだ。 「まりさは、なかなか都会派ね!しかたないから一緒にゆっくりしていってもいいのよ!ね、おにいさん!」 ありすは、まりさを随分と気に入ったようだ。 「ああ、まりさのおかげで助かったよ。」 別に助かってないけど。 でも、一応助けてくれたのだろう。 「ゆっへん。それほどでもないよ!」 顎だか腹だかを突き出すまりさ。 さすがゆっくり。 どこがどこだか、さっぱりわからん。 「でも、本当に何かお礼でもしないとな。あまあまでも持って帰るか。」 ありすのおやつ用に色々あるし、少し分けてやれば喜ぶだろう。 「ゆっ!おにーさん、それだったらおくすりがほしいよ!おちびちゃんがびょうきなんだよ! あとは、かぜぐすりがあればおちびちゃんがたすかるんだよ!」 「風邪薬?ちょっと訳をはなしてみな。」 まあ、だいだい察しがつくけど。 で、話を聞いてみると案の定。 子ゆが病気になって、医者の真似事をしているぱちゅりーに見せたら、例の「おくすり」が必要ということになったそうな。 賢いぱちゅりーは、自生している薬草の類を扱うのがいる。 稀にだけどな。多分、物好きな人間が暇つぶしにでも教えたのだろう。 二三種類の薬草とその効能ぐらいならぱちゅりー種なら覚えられないこともない。 ただ、さすが餡子脳。 よくあるのが、ぱちゅりーが雑草を採ってきて「これは薬草よ」とかいっても、 本当に効いてしまうらしいからどっちでもいいんだよな、こいつら。 オレンジジュースはともかく、風邪薬はその類じゃなかろうか。 本当に効果があるかどうか怪しいが、ぱちゅりーが「さすがにんげんさんのおくすりね!」とかいえば、イチコロだろう。 まあ、本当に効くのかもしれないけど。 「よし。分かった。これが風邪薬だ。落とすなよ。」 風邪薬を三錠渡してやった。 カプセルタイプのやつ。 ご丁寧にちゃんとパッケージからだして、まりさの帽子のなかに入れてやった。 そうしたら、大喜びで、何度もお礼を言いながら帰って行ったよ。 まあ、ちょっと鬱陶しいこともあるけど、ゆっくりもそれなりに可愛いと思うよ。 俺はね。 「とかいはーー!」 ああ、鬱陶しい。 まりさは、帰り路を急ぐ。 一時は無理かと思ったおくすりを、二つともそろえることが出来た。 おちびちゃん、いま帰るよ。 おちびちゃんは、きっとまだ大丈夫。 まだ、まっててくれるはず。 まりさと、ありすのおちびちゃんだもん。 つよいこだもん。 見えてきた。 月明かりの下、おちびちゃんたちが待っているおうちが。 最後の力を振り絞り、おうちの中へ飛び込む。 「ゆっ!いまかえったよ!おくすりをもってきたからね!」 「おとーしゃん、ゆっくちぃぃぃぃ!!」 子ありすが、まりさの体に向かって飛び込んでくる。 「だいじょうぶだよ!おとーさんはぶじだよ!おちびちゃんもゆっくりしてね!」 「むきゅ!まりさ、ぶじだったのね!よかったわ・・・。」 ぱちゅりーも、心底安堵した、という顔だ。 「おちびちゃんは!?まだだいじょうぶ?」 「ええ、あいかわらずきけんなじょうたいだけど、まだだいじょうぶよ! でも、のんびりしているひまはないわ!すぐにおくすりをあげましょう!」 まりさは、おぼうしから風邪薬と、オレンジジュースを取り出す。 オレンジジュースのキャップをぱちゅりーと二匹ではずす。 先に風邪薬を子まりさの口に放り込む。 オレンジジュースを続けて注ぎ込む。 子まりさが、オレンジジュースとともに風邪薬を飲み下す。 子まりさの様子をじっと見守る。 永遠とも思える静寂。 そして・・・。 「ゆゅーーん・・・。ゆふぅ、まりしゃどうしてたんだじぇ。」 「おちびちゃん!!」 「おにぇーちゃん!!」 二人が同時に声を上げる。 「ゆゆー・・・。よかった、ほんとーによかったよー・・・。」 「おにぇーちゃん、おにぇーちゃん、ゆっくち、ゆっくち・・・。」 「ゆゆー?ふたりとみょどうしたのじぇ?にゃんでないてるのじぇ?」 子まりさは良く事態が理解できていないようだ。 無理もない。 意識も朦朧とした状態で臥せっていたのだから。 まりさが、おちびちゃんおために、どんなに頑張ったか、命懸けの冒険をしてきたかは、後で私が教えてあげることにしましょう。 それより、いつまでも泣いてばかりじゃゆっくりしてないわね。 「むきゅ!ほら、まりさもおちびちゃんたちも!せっかくおちびちゃんのびょうきがなおったんですもの。 みんなでおうたをうたいましょうね!」 「ゆっ!そうだよ!こんなときは、みんなでおうたをうたってゆっくりするんだよ!」 「おうた!みんにゃでおうたをうたうのはとっちぇもときゃいはにぇ!」 「そうだじぇ!おうたはとっちぇもゆっくちできるのじぇ!」 みんな、お歌を歌うのに大賛成のようだ。 「むきゅん!それじゃ、じゅんびはいいかしら?せーのっ!」 ゆっゆっゆっゆっゆ ゆっくりーのひー(むっきゅん) まったりーのひー(むっきゅん) すっきりーのひー(むきゅきゅん) Ob s sturmt oder schneit, (訳)嵐の日も雪の日も、 Ob die Sonne uns lacht, 太陽 我らを照らす日も、 Der Tag gluhend heiss 炎熱の真昼も Oder eiskalt die Nacht. 極寒の夜半も Bestaubt sind die Gesichter, 顔が埃に塗れようと、 Doch froh ist unser Sinn, 我らが心は快活ぞ。 Ist unser Sinn; 我らが心は快活ぞ。 Es braust unser Panzer 戦車は轟然と Im Sturmwind dahin 暴風の中へ驀進す。 どこからか、ゆっくりの歌声が聞こえてくる。 いつまでも、ゆっくりの歌声が響いている。 最後まで読んでくれたひと ありがとう 挿絵 by儚いあき トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 何で小まりさも親まりさも死んでないの? -- 2021-05-08 22 07 31 れいむとこのマリサとの思考の差がすごい・・・通常種でもこんな事あるんだなぁ。 -- 2018-07-28 13 21 25 文章書くの上手いっすね!他者視点の文章のはさみ方が上手い! (作業長がいいキャラww) 飼れいむは「命の価値が違う」とのたまっていたが、通常種に差はほとんど無いよww それを理解してないれいむはゲス因子が強いってことだな。飼い主ガンバww ゆっくりが風邪を引くかどうかは別にして、風邪薬に関しては恐らく思い込みだろうね。 人間でいう「プラシーボ効果」。(例:乗り物の酔い止め薬) 実際の風邪薬は使用目的に注意しないとね。(※風邪薬=熱は治まりにくいが風邪は治る。解熱剤=熱は下がるが風邪は治らない。) -- 2018-02-04 22 21 11 そして虫さんや草さんがげろまずーで食べられなくて衰弱するんですねわかります -- 2016-08-28 23 48 48 あとこの人、本当に文章がうまいね。構成も。 よくある言葉の使い間違いやら、視点の矛盾が ほとんどないし、シリアスとギャグの使い分けや 使いどころも心得てる。才能ある人だなあ -- 2016-01-16 16 58 35 ふおおおお感動した!w まさかゆっくりSSでこんな感動を味わうとはww 飼いれいむはそういうふうに教育されてるからね。仕方ないね。 オレンジジュースは、都合と言えばそれまでだが、例えば ○一匹が頑丈な石の間に横にしたボトルのキャップを挟んで 体重をかけ、動かないよう押さえる ○もう一匹がボトルの上に乗って回す とかすれば開けられなくもないかなと考えてみた これならゆっくりでも、人間が開けるところ見てれば 思いつきそうだし。 -- 2016-01-16 16 53 35 作業長とまりさかっこいい!ただし飼いれいむ てめえはだめだ -- 2014-09-28 10 13 53 飼いれいむ虐待してえ・・・ -- 2014-06-22 00 35 53 なんで潰れてないんですかねえ… -- 2014-03-13 21 33 02 飼いれいむは 死ね!! -- 2013-06-28 19 44 16 パンツァーリートやめれwwwwww -- 2013-06-18 17 20 22 たまにはこんな話もいい、ていうか虐待厨の言う通りにするとワンパターンにしかならんからな -- 2013-05-16 03 19 40 ここにもネタバレ強要してる奴が沸いてたのか まさかのハッピーエンドでびっくりしたが、いい話じゃないか -- 2013-01-23 08 18 16 すごくいい話!GJ! -- 2012-10-06 01 05 07 ハッピーエンドでほっとした。子まりさが死んでるんじゃないかと最後までハラハラしたよ。 ネタバレが無くて良かった。 あと山まりさがなんか好きだ。人間さんのルールと強さを知らなかったのは無知なだけで、相手を讃えて引くあたり漢じゃないか。 -- 2012-09-20 07 54 49 工事のおっさんwwwwwwwwwwww いい魔理沙だなあ -- 2012-07-10 12 47 51 飼いれいむは嫌いだな。野良と飼われてるゆっくりなんて同じようなもんだろ。 -- 2012-03-11 03 14 39 作業長・・いろんな意味でイケメンすぎる/// -- 2011-10-05 23 40 16 ↓↓もやしが知識を生かしたことを希望 -- 2011-10-05 23 37 16 飼いれいむの虐待やってくれないと足りないよ -- 2011-07-11 19 54 34
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『絶対に渡さない』 25KB 家出 飼いゆ ゲス 愛護人間 ゲスといえばゲスだけど 「ゆぴ……ゅ……」 「おちびちゃん! しっかりして!」 れいむは、一目で衰弱しているとわかる子まりさに必死に呼びかける。 この子だけは……この子だけは……。 番のまりさ、この子の姉妹だった二匹の子れいむ。 みんな、死んでしまった。 この子だけが、ただ一人残された家族なのだ。死なせるわけにはいかない。 そのことが、れいむに、今まで躊躇わせた行動をとらせた。れいむだけが野垂れ死にす るなら、それには及ばなかったであろうが、子まりさのためとあらば。 「おにいざん、おにいざん……」 子まりさを頭に乗せたれいむは、子まりさを落とさぬようにずーりずーりと這って行っ た。 れいむは、そこそこ優秀で銀バッヂを取得した飼いゆっくりだった。 無論のこと、飼いゆっくりの等級を示すバッヂで最高なのは黄金に輝く金バッヂだ。し かし、よほどゆっくりに高望みをしなければ銀バッヂで十分だ。 飼い主のお兄さんもそれで満足していて、れいむはとてもゆっくりと過ごすことができ た。 お兄さんは一人暮らしの寂しさかられいむを飼い始めたのだが、自分が仕事に行ってい る間にれいむは一匹なのを気にして、壁にゆっくりが出入りできる扉をつけて庭に出るの を許していた。 庭といっても、家と壁の間にある僅かな地面であり狭かったが、れいむにとっては十分 であった。 天気のいいある日、草の上に寝転んで日向ぼっこを楽しんでいた。 そこで、運命の出会いをしたのである。 「ゆ? れいむ、ゆっくりしていってね!」 一匹の精悍なまりさが庭に入ってきたのだ。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ、バッヂさんなのぜ。れいむはここのにんげんさんの子なのぜ?」 「ゆん、そうだよ」 「ゆぅ、ここの草を少し持って行っていいのぜ?」 「ゆっ、いいよ」 庭に生えている草は、お兄さんが時々むしって捨てている。それならあげてもいいだろ うと思い、れいむは快諾した。 それから、まりさは時々草を取りに来るようになった。 いつも忙しそうだったが、短い時間、まりさはれいむと話していった。 そして、れいむはいつしか草をむしっておくようになった。そうすれば、まりさが草を むしる必要がなくなり、その時間だけまりさとたくさんお話ができるからだ。 れいむは自分でも気付かずに、まりさに惹かれていたのだろう。 やがて、まりさも優しいれいむに草をくれる飼いゆっくりという以上の感情を抱き始め た。 「れいむ、まりさといっしょにずっとゆっくりしてほしいのぜ!」 それを切り出したのはまりさであった。 先に惚れたのはれいむなのだから、れいむが言い出してもおかしくないはずだが……そ こはれいむは飼いゆっくりである。 お兄さんには、野良と話したりする程度はいいが、番になったりあまつさえ子供を作っ たりすることは許されていなかった。 それをするなら捨てる、と言われている。お兄さんとしては、そう言っておけば、そん な馬鹿なことをするまいと考えてのことだったが――。 「お兄さん! れいむ、このまりさとゆっくりしたいよ」 「ゆっ、まりさだぜ」 「……」 お兄さんは、呆然としていた。 しかし、やがて己を取り戻すと、れいむが銀バッヂをとって粗相をしなくなってからは しなかったような厳しい顔と声で、約束をちゃんと覚えていてそういうことをしたのか、 捨てられて野良になってもそのまりさと一緒になって子供を産みたいのか、と言った。 れいむは、それに頷いた。 お兄さんは見るからにガックリとしたようだったが、少し辛そうな顔をしてから腰を落 とし、れいむのリボンについていた銀バッヂを取り外した。 「もう、二度とここには来るなよ」 「……ゆぅ……ゆっくり、りかいしたよ」 そして、テーブルの上に、れいむが大好きだったキャンディーが幾つか乗っているのを 見つけると、それを手に取りビニール袋に入れてれいむの前に置いた。 「持っていけ……ただし、すぐに食べるんじゃないぞ。野良ゆっくりは栄養不足になりが ちで飴玉一個で助かるような状態で死んでしまうことがあると聞いた。いざという時か、 産まれた子供が病気になったりした時のためにとっておくんだぞ」 親身になった言葉に、れいむは号泣した。まりさも、一緒になって泣いていた。 「ゆっ、おにいざん、いままでおぜわになじまじた!」 「れいむは、まりさがゆっくりさせるんだぜ。あんしんしてほしいんだぜ」 二匹はぺこぺこと頭を下げて、去っていった。 しばらくは、しあわせーなゆっくりした日々が続いた。 とりあえず公園にダンボールハウスをかまえた二匹は、ある程度の食料を備蓄すると、 すっきりーして子供を作った。 「ゆゆーん」 れいむは、額から生えた茎の先に、自分に似た二つの命、そしてまりさに似た一つのそ れ、合わせて三つの命がゆぅゆぅと生まれる時を待っているのを見てとてもゆっくりした 気分であった。 「ただいまなんだぜ、おちびは? おちびは?」 まりさは、ますます励んで帽子を獲物で満載にして帰ってきては、まずまっさきに子供 たちを見に来るのだった。 「「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」」 「「ゆっくりしていってね!」」 子供たちがとてもゆっくりと生まれた時の感動を、れいむは生涯最高のゆっくりだと思 った。 あれだけよくしてくれたお兄さんの元を離れてしまったことを後悔する気持ちは、やは りどうしてもあった。 それでも、このときの感動を思えば、お兄さんには悪いが、やっぱりまりさと一緒にな ってよかったと思うのだ。 子供たちは元気に育っていったが、ある時、子まりさが何か悪いものを食べたのか下痢 を起こしてしまった。 急激に餡子を失わせる下痢は、子供ならばあっさりと死に至ってしまうため、野良の子 ゆっくりの死因としては極めて多い。 だが、れいむたちにはお兄さんがくれた飴玉があった。 野良ゆっくりにとって下痢が死に繋がってしまうのは、野良では栄養価の高い食べ物を 得ることが困難なためだ。 逆に言えば、それさえ与えれば十分に助かるのである。 子まりさも、水をごーくごーくして水分を補給し、飴玉を舐めて栄養を得て、下痢がお さまるまでなんとか耐え切った。 「ゆゆーん、よかったよぉ、よかったよぉぉぉ」 「ゆひぃぃぃぃ、おちび、よくがんばったのぜえ!」 「まりしゃ、これでまたゆっきゅちできりゅね!」 「ゆわーい、ゆわーい」 家族の喜びは言うまでも無い。 「ゆぅ、これもお兄さんが飴さんをくれたおかげだよ」 「ゆん、お兄さんにありがとうなんだぜ」 れいむとまりさは、飴をくれたお兄さんに感謝した。あれがなければ、子まりさは確実 に死んでいたであろう。 まだまだお兄さんがくれた飴は残っていた。これさえあれば、多少の病気等に子供たち が犯されてしまっても大丈夫だろう。 だが、そのしあわせーの元が災いをもたらすことがある。 誰でも、しあわせーは欲しいのだ。 どうしても欲しいそれを手に入れるために、他者のそれを奪う必要があった場合、それ を実行するものは、人間にもゆっくりにも存在する。 人間の多くは国家に属しており、その国家が安定していれば警察という治安組織の恩恵 を受けられる。 警察は抑止力を持ち、他者のものを暴力や詐術で我が物にせんとする行為へ歯止めをか ける。 これが飼いゆっくりとなると、飼い主の所有物という形で、人間社会のそういった仕組 みに組み込まれている。 しかし、野良ゆっくりには、そういったものは及ばない。 野良ゆっくりの群れはそういった要求を満たすために作られる。数が集まり、それらが 群れの一員への攻撃は自分へのそれと見なして反撃を加える姿勢を示すことによりゲスに 対する抑止力を得るのだ。 とは言っても、野良同士だとどうしても食料調達の際の競争相手になることも多く、頭 がよくリーダーシップを持ったリーダーがいないと群れは長続きしない。 れいむとまりさが住んでいる公園には、数家族の野良ゆっくりが住んでそれぞれ仲良く やってはいたが、群れと呼べるような組織立ったものではない。 れいむたちは、自分たちの身を守るために極めて慎重に振舞うべきであった。 決して、自分たちが人間さんに貰った飴玉を持っていることなど、他のものに知られて はいけないのだ。 だが、れいむは所詮は飼いゆっくりになるために産まれペットショップでお兄さんに買 われた生粋の飼いゆっくりである。野良になってそれほど時間が経っていないのと、この 公園に住んでいる御近所さんが善良なものたちばかりなため、少々おっとりとし過ぎてい た。 まりさも、優しくてゆっくりしてはいるが、こちらは生粋の野良ゆっくりで、いわば持 たざる者であり続けていた。 そのため、持っている者としての保身に鈍感なところがあった。 れいむたちが、れいむの元飼い主に貰ったとってもあまあまな飴さんを持っているとい う話は、子供たちから他の家族の子供たちに、そしてその親へと広がっていった。 それでも公園に住んでいたゆっくりたちは、それを大変羨んだものの、それだけであっ た。 だが、ぶらりと公園にやってきた一匹の眼光鋭いまりさがその話にじっと聞き入ってい た。 まりさは大急ぎで跳ねて行った。 そして、戻ってきた時には仲間を引き連れていた。 公園に入ってきたまりさ一行は、まっすぐにれいむたちのおうちへと向かう。 目的は言うまでもあるまい。 まりさの帰りを待ちながら、おうたをうたっていたれいむと子供たちはニヤニヤと笑い ながら押し入ってきた一団になす術も無かった。 連中は狡猾であった。 子供がいるのを見るや、すぐにそれをゆん質に取ってれいむに人間に貰った飴を出すよ うにと迫ったのだ。 れいむは気丈に拒んだが、相手はゲスである。子供を殺すことなどなんとも思っていな いのだ。 「ゆ゛ぴゃ!」 子れいむがあっさりと、本当にあっさりと潰された。 「おぢびぢゃぁぁぁぁぁん!」 「だ、だちゅけ……ちぇ……」 もう一匹の子れいむも上にのしかかられている。 「やべでええええ、飴さんをあげるがら、やべでえええ!」 「ゆへっ、さいしょからそうすれば、その汚いちびは死なないで済んだんだぜ」 夫のまりさと本当に同種かと思うような嫌らしい笑みを浮かべて言ったゲスまりさに、 れいむは歯軋りしながらも飴の入ったビニール袋を渡した。 「ゆへへっ、ひきあげなのぜ!」 ゲスまりさが言うと、連中はぞろぞろと未練なくおうちから出て行った。 子れいむを失った悲しみに打ちひしがれながら、それでもれいむは残りの二匹が助かっ たことに安堵した。 「ゆへっ、これはこれは、だんなさんのおかえりなのぜ」 そんな声が表から聞こえてきた。 れいむははっとして子れいむの亡骸から目を上げる。 自分のおうちで何をしていたのかと詰問するまりさの声もした。 それに得意そうにゲスまりさが答える。 「おとなしく出さないから、ちびを一匹潰してやったのぜ、ゆひゃひゃ」 ゲスまりさがそう言った瞬間――。 「ゆっぐりじねえええええ!」 まりさの怒号が響いた。 「まりざっ!」 れいむはおうちを出た。 「ゆっひゃあ!」 「ちぃーんぽ。勝てると思ってるかみょん」 「けんかはあいてを見てから売ってねー」 「ゲラゲラゲラ、死ぬのはお前だよ!」 まりさの必死の攻撃も、それが来るのを予想していたゲスどもによって阻まれていた。 「やべでええええええ!」 「ゲラゲラゲラ、馬鹿がもう一匹来たのぜ!」 止めに入ったれいむもゲスまりさに体当たりを喰らってしまう。 それからのリンチで、れいむが生き残れたのは、早々に戦意を喪失して全く抵抗をしな くなったのと、まりさが最後まで闘志を失わずに抵抗し、ゲスどもの攻撃を多く引き付け たせいであったろう。 まりさは、それから数時間ほど苦しんだ後に死んだ。 こんな時に頼りになる飴は当然ながら一個も残っていない。 今更ながら、れいむは飴を二つに分けておくなどの処置をしていなかったことを悔やん だ。 れいむも無傷ではない。 必死にその体を引き摺って狩りをした。 子れいむも子まりさも、れいむが頑張っているのを知っているので不満一つ口にしない が、まりさが生きていた頃よりも明らかにむーしゃむーしゃできず、ゆっくりもできてい ないためどことなく暗く沈んでいた。 以前は誰にも誇れる明るい仲良し家族だったのに……。 れいむは、その日も必死に狩りをしていた。 幸いなことに、人間が食べきれずに捨てようとしていたお菓子を貰うことができた。 こんないいものを食べきれないから捨てようとするなんて、とれいむは思った。 そして、その帰り道――。 「ゆびぃぃぃ、やべでぐださい」 「ごべんなざい、ごべんなざい!」 「いぃぃぃんぽ、ゆ、ゆるじでほじいびょん!」 「わ、わがったよー、にんげんざんだちが強いのわがったがら、もうゆるじでえええ!」 ゆっくりの悲鳴を聞いた。 聞き覚えのある声だ。 「ゆ!」 そこではあのゲスまりさたち、れいむのしあわせーをぶち壊したゲス一味が、二人の人 間に暴行されて涙を流しながら許しを乞うていた。 いや、実際は一人は笑って見ているだけで、やっているのは一人だけだ。 「勝てると思ってたのかよ!」 「喧嘩は相手見て売れよなー」 「なぁーにがゆっくりしね! だよ。死ぬのはお前らだよ!」 れいむとまりさがなす術も無かったゲスたちが、何もできずにやられていく。 れいむはゲスまりさたちの悲鳴を背に、跳ね出した。 まりさと子れいむを殺したゲスどもが人間にやられているのをざまあみろと思うよりも、 れいむの中には、先ほどのことと合わせて、やはり人間というのは自分たちゆっくり如き よりもはるかに凄い存在なのだと思う気持ちの方が大きかった。 その日持ち帰ったお菓子を食べて衰弱気味だった子供たちが元気になって、れいむは久 しぶりにゆっくりすることができた。 そして、それが最後のゆっくりとなった。 翌日からはお菓子をもらえるような僥倖には出会えず、子供たちはまた衰弱していった。 先に子れいむが逝った。 子まりさも後を追おうとしていた。 ずーりずーり。 ずーりずーり。 頭に子まりさを乗せたれいむが這いずる。 食べ物を子供たちに優先的に回していたれいむとて辛い。 しかし、行かねばならぬ。 この子だけは……この子だけは……。 二度と来るなと言われたあそこへ……。 ずーりずーり。 ずーりずーり。 「ゆぅぅぅ」 懐かしい庭が見えた。 ずーりずーり。 ずーりずーり。 この子だけでも……。 れいむは、このまま死んでもいい。この子だけは……。 きっと、優しいお兄さんのことだから、自分のことは許してくれなくとも、子まりさの ことは助けてくれるはず。 その淡い希望を原動力に、這いずる。 ずーりずーり。 ずーりずーり。 「ゆ? ゆっくりしてないれいむなのぜ」 庭には先客がいた。 一匹のゆっくりまりさである。お帽子に銀バッヂをつけている。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ……ゆっぐ……いっで、ね……」 「ゆぅ、どうしたんだぜ。ここはにんげんさんのおうちだから入ってきちゃ駄目なんだぜ」 「ゆ……れ、れいぶは、おにい、ざんに……」 「ゆぅ……まつのぜ」 まりさはぴょんと跳ねて壁に沿って置かれた小さな階段を上ると、小さな扉を開いて家 の中に入っていった。 しばらく経って戻ってきたまりさは、帽子の中から飴玉を取り出した。 それは懐かしい、あのれいむが大好きだった飴玉だった。 「まあ、こいつを食べるのぜ。でも、言っておくけど、あまりにもれいむがかわいそうだ から恵んでやるのぜ。勘違いしてまた貰いに来たりしたらお兄さんに言ってせいっさいっ してもらうのぜ」 「ぺーろぺーろ、し、し、し、しあわせぇぇぇぇ!」 れいむは飴玉を舐めて歓喜の声を上げた。 「ほら、おちびちゃん!」 舌の先に乗せた飴玉を、子まりさの口元へ持っていってやると、子まりさは舌を伸ばし た。 「ぺーりょ、ぺーりょ……」 ちあわちぇー、という声こそ出さなかったものの、明らかに子まりさの顔がゆっくりし ているのを見て、れいむは喜んだ。 「ゆぅ、まりさ」 「もうやらないんだぜ。さっさと帰るんだぜ」 「まりさは、お兄さんに飼われているんだね」 銀バッヂをつけているのを見てもしやと思ったが、手馴れた様子でおうちに入って飴玉 を持ってきたことにより、確信することができた。 このまりさは、お兄さんがれいむを捨てた後に飼っている飼いゆっくりなのだ。 そもそも、一人暮らしの寂しさを紛らわすためにお兄さんはれいむを飼っていたのだ。 そのれいむがいなくなれば、その穴を他のもので埋めようとするのは当然だ。 「ゆ?」 れいむの口ぶりに妙なものを感じたらしいまりさに、れいむは自分は以前ここのお兄さ んの飼いゆっくりだったことを告げた。 「ゆゆ!? は、話は聞いてるのぜ。れいむが、れいむなのぜ?」 「ゆん」 まりさは、驚いたようだ。 「……いっしょになったまりさは、どうしたのぜ」 「ゆぅ」 それかられいむはここを出てからの一連のことをまりさに語った。 「ゆゆゆぅ……」 「だからこの子だけでも助けて欲しいんだよ。れいむはどうなってもいいよ。……お兄さ んは、いないの?」 「ゆ、お兄さんはまだまだお仕事なんだぜ」 「ゆっ、そうか……」 れいむは野良になってからそういった感覚がなくなっていたが、そういえばお兄さんは 何日か仕事に行って一日二日休む日があり、仕事に行く日は朝から晩までおうちにいない のだった。 「れいむ……もうここには来ない方がいいんだぜ」 「ゆ?」 「お兄さん、自分を裏切ったれいむのこと、すごい怒ってるのぜ。捨てたりしないで、あ の汚い野良まりさといっしょに殺しておけばよかった、っていつも言ってるのぜ」 「ゆ? ゆゆ!? そ、そんなわけないよ! お兄さんがそんなこと言うわけないよ!」 れいむは、確信に満ちて断言した。 「ゆぅ……」 それを見て、まりさは気圧されたように後ろにずりずりと下がる。 「とにかく、ここでお兄さんの帰りをまつよ。まりさがくれた飴さんのおかげで、おちび ちゃんも少しげんきになったし」 「そ、そうなのかぜ。で、でもでも、まりさの言ったことはほんとーなのぜ。すぐに帰っ てもう来ない方がいいのぜ?」 「ゆん、どうせ、帰っても、れいむもおちびちゃんも生きていけないよ。それなら、お兄 さんにれいむはどうなってもいいからおちびちゃんだけでも助けてください、ってお願い してみるよ」 れいむは、もう完全に開き直ったというか、覚悟を決めた。 「……ち」 それを見て、まりさは小さく舌打ちすると、 「それじゃ、そこで待ってるといいのぜ。まりさはおうちですーやすーやするのぜ」 そう言って、家の中に入ってしまった。 おうちですーやすーやするという言葉に、たまらない羨望を感じつつ、れいむはお兄さ んの帰りを待った。 「ゆぴぃ、ゆぴぃ」 「ゆぅ、ゆぅ、ゆぅ」 やがて、まりさがくれた飴玉で少し栄養補給ができたのと疲労のせいもあり、れいむと 子まりさは寝息を立て始めた。 「ゆん、れいむれいむ」 まりさが出てきた。 「れいむ、ねてるのぜ?」 言いつつ、れいむの様子を射るような視線でうかがう。 「さっき帰っていればよかったのぜ……」 「ゆ!?」 れいむは、衝撃で、目が覚めた。 「ゆ゛……な、な゛に……どぼじで……」 わけがわからなかった。 わからぬままに、次々に衝撃がれいむを苛む。 「い、いだ、やべ……やべで……ま、まりざ!」 自分へ殺意のこもった体当たりをするまりさに、れいむは止めるよう懇願した。 「ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね」 まりさは全く聞く耳持たずに攻撃を繰り返す。 「ど、どぼ、じで、ごんあ……ごと、ずる……の……」 「お兄さんの飼いゆっくりはまりさなのぜ。お前なんかに、邪魔させないのぜ」 さっき飴玉を食べたとはいえ、根本的に衰弱しきっていたれいむである。抵抗らしい抵 抗もできず、衝撃を受けるたびに餡子を吐き出すようになってからは意識すら朦朧として いった。 「……ゆん」 れいむが死んだのを確認すると、まりさは、しあわせそうに寝息を立てている子まりさ を見た。 跳躍した。 「ただいまー」 「おかえりなんだぜ!」 お兄さんが帰って来た。 「おかばんおもちしますだぜ」 「持てないだろーが」 いつものやり取りをして、お兄さんがカバンを置き、上着を脱ぎ、大きく息を吐いて伸 びをする。 「お兄さん、お兄さん」 お兄さんが落ち着いたのを見て、まりさが声をかけた。 「んー、なんだ」 「実は……」 まりさが言うには、すーやすーやとお昼寝をしてから目覚めると、なんと庭でゆっくり が死んでいたというのだ。 「んん、野良の行き倒れかな」 「ゆぅ、どーも喧嘩してやられたみたいなんだぜ」 「どれどれ」 お兄さんが庭に出ると、まりさが言った通り、一匹の成体サイズのれいむと子まりさの 死体があった。 「ひどいな、子供なんかぺしゃんこじゃないか」 「ゆぅ……ゲスは子供でも容赦しないのぜ……」 「そっか、お前、元野良だもんな」 「ゆん、野良ゲスの怖さはまりさようく知ってるのぜ」 「ん?」 お兄さんは屈んで、れいむの死体を凝視する。 「ど、ど、どうしたのぜ? そのれいむが、どうかしたのぜ?」 「んー、いやー、ほら、何度か話しただろ。前に飼ってたれいむ」 「ゆん」 「そいつなんじゃねえか、と思ったんだけど、うーん、わからんな。野良暮らしで見た目 変わってるだろうし」 「ゆぅ……違うのぜ。れいむは、まりさと一緒におちびを産んでゆっくり暮らしてるんだ ぜ、こんなところで死んでるわけないんだぜ」 「うん……そうだよな。……こいつらは、明日の朝に穴掘って埋めてやろう」 「ゆん、それがいいんだぜ」 「うし、じゃ、おれは風呂はいってくるかな」 まりさは、野良だった。 産まれた時こそ両親と姉妹と一緒にゆっくりできたが、過酷な野良の生活はそれらを次 々に奪っていった。 とうとう、母親のれいむとまだ子供だったまりさだけが生き残った。 「おちびちゃん、みんなの分までゆっくりしようね!」 「ゆっきゅち!」 そう言葉を交わした次の瞬間、母れいむは死んだ。 「シュートッ!」 いきなり人間がやってきて、思い切り母れいむを蹴ったのだ。 母れいむはふっ飛んで壁に激突し、大量の餡子を吐いて死んだ。 「おいおい、いきなりなにすんだよ」 母れいむを蹴飛ばした男の連れらしい別の男が言った。 「ああ、なんかゆっくりいたから、シュート!」 「おいおい、止めたれよ! かわいそうじゃんか!」 かわいそうと言いつつ、大笑いしながら男は言った。 「そういやシュートっていえばさ、今度の代表の試合」 「ああ、監督変わって初めての試合だよな。あの監督ってどうなの?」 そして、もう次の瞬間には、全く違う話に夢中になりながら、去って行ってしまった。 まりさは、もう理不尽にも程がある仕打ちで最後の家族を失い、呆けていた。悲しいは ずなのに、涙すら流さなかった。 それからも相も変わらず過酷な野良生活をまりさは生き抜いた。その中で、まりさの心 をかき乱したのは飼いゆっくりの存在だ。 ゆっくり全てが同じ生活をしているのならばよいが、同じゆっくりがあからさまに自分 たちよりもいい生活をしているのがまりさには納得できなかった。 もう、なんか世の中そういうもんらしい、と納得した頃には、世の中がそういうもんな らば自分もなんとか飼いゆっくりになりたいものだと思っていた。 飼いゆっくりになるには、そのための厳しい躾を受けていなければいけない、という話 を聞き、所詮自分のような野良が飼いゆっくりになるなど夢物語かと諦めた。 そして、諦めた時に、その夢がまりさに下りて来たのだ。 食べられる草を見つけて侵入した人家の庭。 「ん、ゆっくり……まりさか」 自分を見下ろす人間。 はじめは、まりさはこれで終わった、死んだ、と思った。 「ゆゆゆ! ご、ごべんなさい! く、草さんは返すから許して欲しいのぜ!」 駄目で元々と必死に謝ると、その人間はそんな草むしって持ってってくれるならありが たいぐらいだと言って、まりさを許した。 それから、何度かその庭に通って草を貰っていたが、その内に、その人間――お兄さん とよく話すようになった。 そこで、以前れいむを飼っていたこと、そのれいむが野良まりさと一緒になると言って 出て行ってしまったことを聞いた。 なんて愚かなれいむだと思いつつ、まりさはこのお兄さんがゆっくりを飼っていたこと があるということを強烈に頭に刻み付けた。 お兄さんは約束を破ったのだからとれいむを追い出したことを後悔していた。 約束を破ったのに、これをなぁなぁで許してまりさともども迎え入れたりすれば増長し てゲスになると思ってのことだったが、今から思えば番のまりさは決してゲスではなかっ たようだし、もう少し様子を見てみてもよかったかもしれない。 それらの話を聞いて、このお兄さんはゆっくりに優しいゆっくりした人間さんだとまり さは確信した。 「お兄さん、まりさを――」 飼いゆっくりにしてください、とはまりさは言わなかった。 「お兄さん、まりさを飼いゆっくりになれるよう鍛えて欲しいんだぜ。まりさ、飼いゆっ くりになりたいんだぜ」 「んん?」 まりさは計算して言ったわけではないが、この物言いは、お兄さんの興味をまりさに向 けるのに効果があった。 まりさは家族を失って以来、野良生活がほとほと嫌になって飼いゆっくりになりたいと 思っていたが、どうも飼いゆっくりになるにはそのための「躾」が必要らしい。 それで諦めていたのだが、お兄さんと知り合うことができた。お兄さんは以前れいむを 飼っていたのなら、飼いゆっくりの「躾」を知っているのだろう。それを教えて欲しいと まりさは懇願したのだ。 お兄さんは快諾し、それからまりさが日曜毎に通ってきた。 やがて、ダンボールで作ったおうちを庭に置いてそこに住んでいいと言われ、艱難辛苦 なんとか銀バッヂ試験に合格できるかというところまで教育が進んだ時、遂にお兄さんは まりさをおうちの中に招き入れた。 お兄さんも、れいむを失った穴を埋めるための何かを欲してはいたものの、ゆっくりを 飼うことに抵抗があった。またれいむのように去られたら……そう思うと踏み切れなかっ た。 そこへ、まりさが現れた。 飼いゆっくりにするわけではなく、あくまでもそのための教育をしてやるだけだ、とい うのはお兄さんの抵抗を和らげた。 そして、自分の教育により、野良として生まれたまりさが銀バッヂ合格も夢ではないと いうところまで来る間に、十分以上に情もわいたし、まりさの頑張りはよくわかっていた。 ここまで来れば、お兄さんの口から、 「まりさ、うちの飼いゆっくりにならないか?」 という言葉が出るのは時間の問題であったろう。 まりさはその後、一度は落ちたものの、その悔しさをバネに猛勉強し、とうとう銀バッ ヂ試験に合格することができた。 まりさは夢をかなえた。 まりさは、飼いゆっくりになったのだ。 「ゆぅ……絶対、ぜーったいに、優しいお兄さんの飼いゆっくりの座は、誰にも、誰にも 渡さないのぜ」 お兄さんが風呂に行った後、窓かられいむと子まりさの死体をじっと見つつ、まりさは 呟いた。 お兄さんは自分を信頼してくれている。 それはまりさも感じていたが、時々お兄さんが前に飼っていたれいむのことを話す時に 見せる寂しげな顔が、まりさの心に引っかかっていた。 ――まりさとそのれいむと、どっちが好きなのぜ? 答えを聞きたくないゆえに投げかけられぬ疑問が、まりさの中にわだかまっていた。 優しいお兄さんのことだから、どっちが、とかは決められないよと言うであろうが。 心配そうなお兄さんに気を遣って、きっとれいむはまりさと一緒に家族を作ってしあわ せーにゆっくり暮らしているはずだと言いつつ、内心では厳しい野良ゆっくりの生活に耐 えられずにとっくに死んでいるであろうと思って安心していた。 それが、今日、そのれいむが現れたのだ。 幸いなことに、本当に、本当に幸いなことに、お兄さんがいない時に。 追い出したことを後悔していたお兄さんである。 れいむが、こうなってしまったわけを涙ながらに語り、自分はいいから子供だけでも助 けて欲しいと頼めば、れいむも子供も助け、もう一度飼ってやる可能性は十分にある。 だからといってまりさを捨てたりはしないだろう。 それはわかっている。 わかっているつもりだ。 まりさは、お兄さんのことをもちろん信頼していた。 しかし、多難なゆん生を歩んできたまりさである。 お兄さんに限らず、他者を完全に信頼しきれないところがあり、ようやく掴んだ今の幸 せを破壊しかねぬ要素には過剰に恐怖を抱き、これを排除しようとするところがあった。 そして、排除した。 文字通りの、排除だ。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆひぃぃぃぃ」 まりさは、思い出していた。 れいむを殺し、子まりさを潰した時に、母れいむと子供だった頃の自分を思い出してい た。 今も思い出していた。 窓から見える、れいむと子まりさの死体。 それがまるで、母と自分の死体に見えて――。 「ゆっひぃぃぃぃ」 まりさは母が死んだ時のように、涙を流さずに、泣いていた。 終わり 書いたのは、スレに自己紹介とか書いたらスルーされたのるまあき。 本人証明? トリップ? わからんわ、そんなもん。 そんなわけで、この場を借りてAVあきさんの漫画が好きなことを表明しておくのぜ。 こないだの街ふらんのもよかったです。ふらんは少し凶暴なぐらいが可愛い。 過去作品 anko429 ゆっくりほいくえん anko490 つむりとおねえさん anko545 ドスハンター anko580 やさしいまち anko614 恐怖! ゆっくり怪人 anko810 おちびちゃん用のドア anko1266 のるま anko1328 しょうりしゃなのじぇ anko1347 外の世界でデビュー anko1370 飼いドス anko1415 えーき裁き anko1478 身の程知らず anko1512 やけぶとりっ anko1634 かわいそうかわいそう anko1673 いきているから anko1921 理想郷 anko2087.2088 とんでもないゲス anko2165 面の皮があつい anko2200 けんっりょく
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『ゴルフ場でゆっくりと』 21KB 虐待 不運 番い 子ゆ 自然界 現代 虐待人間 独自設定 21作目です。わいは鬼威惨や! ※ゆっくりに関する独自の言葉がいくつか出てきます ※作中に出てくる人物の行動はマナー的に推奨されません 「ゴルフ場でゆっくりと」 ゆっくりたちの朝はわりと遅い。 日が昇る前からせっせと鳥が鳴き、野良猫が生ゴミを虎視眈々と狙う中、 人々は、朝の短い時間を割と忙しく過ごしている。 「朝」と「忙しさ」は非常に縁が深く、「朝は忙しい」というのは人々の中ではもう定番なのだが、 一方でゆっくりたちは毎日、その時間は巣の中でゆっくりと眠っている。 ゆっくりは、本能的にゆっくりできないことをとても嫌うので、 朝の早い時間にせかせかするようなゆっくりは ゆっくりできないゆっくりとして仲間から敬遠されてしまう。 そのため朝ゆっくり(朝ゆっくり眠ること)はゆっくりたちにとって、とても重要なステータスなのだ。 この日はちょうど祝日、人々は貴重な休みの朝をゆったりと過ごす。 毎日が休日のようなゆっくりは、いつものように朝ゆっくりを堪能する。 午前10時を回ったころ、山の斜面にあるゆっくりの巣の中から 目を覚ました子ゆっくりたちの鳴き声が聞こえてきた。 「ゆゆん、おめめしゅっきりーーーー!!」 「れいみゅいっぱいしゅーやしゅーやしちゃよ」 「まりちゃはきょうもいっぱいゆっくちしゅりゅんだじぇ!!」 「おちびちゃんたちおそとにでてきてね」 一家は巣の中から出て、恒例の体操を始める。 「いちにー」 「ゆんゆん」 「にーにー」 「ゆんゆん」 「もっとおげんきに!」 「ゆん!ゆん!」 「おさげをぴこぴこ」 「ゆんゆんゆん」 「のーびのーびみーんなーで」 「ゆん!ゆん!ゆん!」 「おちびちゃんたちすっきりできたかなぁーー?」 「「「しゅっきりーーーー!!」」」 親れいむ、親まりさ、子ゆっくり8匹、計10匹の家族は 体操を終えてすっきりしたところで、ぞろぞろと巣の中に戻っていった。 「ゆゆ、のーびのーびしちゃらおにゃきゃがしゅいちゃよ」 「「「おにゃきゃしゅいちゃーーーーーー!!」」」 「さあおちびちゃんたちみんなでごはんさんをいっしょにむしゃむしゃしようね」 「「「ゆっくちーーーーー」」」 「あさごはんしゃん!!」 「ごはんさんはたべきれないくらいあるからみんなでなかよくむーしゃむーしゃするんだぜ」 「ゆわーーーい」 「ごはんしゃんいっぱいたべりゅよ!!」 「むーちゃむーちゃ、しあわしぇーーーー!!」 一家は遅めの朝食を取り始める。 人間の世界でいうと、夜型の生活スタイルに近いのだが、 ゆっくりたちにとっては、これが最も理想的な朝の過ごし方らしい。 「ゆぷぅ、おにゃきゃいっぱいだよ~」 「おにゃきゃいっぱいになったからしゅーやしゅーやしゅりゅよ」 食事を終えると、子ゆっくりたちは小一時間ほど二度寝をする。 子ゆっくりたちが大人しく寝ている間に、親ゆっくりは朝の狩りに出かける。 そして親ゆっくりが狩りから帰ってきた後、今度は一家揃ってお散歩に出かける。 「ゆっくりおさんぽだよ!!」 このゆっくり一家は、この場所に移り住んできてまだ間がないため、 毎日のお散歩でいろいろな場所を歩き回っている。 そして今まで散歩中に、餌場や水場など生活に必要な場所をいくつも発見している。 この日ゆっくり一家は、辺り一面が芝生に覆われた場所を発見することができた。 そこは、人工的に芝生が植えられたゴルフ場であった。 「ここはじめんがとてもふかふかさんでゆっくりできるよ!!」 そこをゴルフ場とは認識していないものの ゆっくり一家は、芝生のたくさん生えたゴルフ場でゆっくりとすることにした。 「ゆっくちーー!れいみゅはこ~りょこ~りょしゅるよ!!」 「ゆゆっ、まりちゃもいっしょにこ~りょこ~りょしゅりゅじぇ!!」 「ゆゆ!きょうしょうだよ!!」 「ゆふふ、れいむがいちばんはやいよ」 「ゆっふん、まりさのほうがはやいんだぜ!!」 「ゆ・・・まっちぇよぉおお~~れいみゅをおいていかにゃいでにぇ!!」 ゆっくり一家は芝生の上でころころ競争を始めた。 快調な出足を見せた親まりさ 一方で、姉妹でも一番下の子れいむが一匹、出遅れてその場に取り残されてしまった。 「ゆわあああん、れいみゅはひちょりぼっちだよぉおおおお!!!」 子れいむの泣き声を聞いたゆっくり一家は、ふと後ろを振り返る。 「ゆ!?なかないでねおちびちゃん、おかーさんがいっしょにゆっくりしてあげるよ」 「まったくしょうがないんだぜ。おちびちゃんにはやくなるこつをおしえてあげるんだぜ」 「まりちゃもいっしょにゆっくちしてあげりゅよ!!」 「ゆゆっ、みんにゃといっしょなられいみゅさびちくにゃいよ!!」 「そうだよおちびちゃん、みんなでいっしょにゆっくりしようね!!」 心地よい午後の風がそよそよと流れる。 気温はゆっくりたちにとって適温で、直射日光が適度にゆっくりたちの体を温めてくれる。 底部に優しく触れる芝生は、ゆっくちたちにとって本当に心地が良いらしく、 とてもゆっくりできる環境がゆっくりたちを至福の世界へ誘う。 「ゆう、にゃんだきゃとてもねむたくにゃってきたよ・・・」 眠気がピークに達したゆっくり一家は、みんないっしょに芝生の上でお昼寝することにした。 「む~にゃむ~にゃ」 「ゆっくち・・・・す~やす~や」 「すぴーっ、ゆゆっ、すぴーっ、ゆゆっ」 不安や心配事とは全く無縁のゆっくりたち、みんな芝生の上で気持ちよさそうに眠っている。 空は雲ひとつない青空 鳥の黒い影が青いキャンパスを飛び交う 地面には青々とした芝生が生い茂り 山の高嶺から見降ろすと まるで緑の綺麗な空に黒い星がポツリポツリと浮かんでいるよう その黒い星は赤く光ったり黄色く光ったりしてコントラストを作り 緑の空を、汚くよごしている ゆっくり一家が昼寝を始めてから30分後、事件は起きた。 「ゆっ、しーしーがしちゃいよ」 尿意を催した一番下の子れいむが目を覚ました。 「そりょ~り、そりょ~りゆべっ、ゆっ、ゆぴーーーたすけちぇえええ!!!」 子ゆっくりの悲鳴で2匹の親ゆっくりは目を覚ました。 「ゆ!おちびちゃんのゆっくりできないこえがするよ。おちびちゃんはどこにいるの?」 「たすけちぇえええきょっちだよおおおおお」 「あっちのほうだぜ」 親れいむと親まりさは、声のする方向へ急ぎ足で向かっていく。 他の子ゆっくりたちは、姉妹の悲鳴が聞こえてもまだ昼寝を続けている。 「たすけちぇえええ」 「ゆんしょ、ゆんしょ、ゆゆっ、このあなさんからきこえてくるよ!!」 助けを求める子ゆっくりは、グリーン上のカップの中にいた。 カップの穴は直径、深さともに10cmほど、カップの中心には旗が立っていて、 子ゆっくりはちょうど旗とカップの隙間に挟まっていた。 子ゆっくりはカップの中で泣きながら、必死にのーびのーびを繰り返しているのだが、 子ゆっくりのゆん力(ゆっくりしたいという望みから出る底力)では外に出ることができないようだ。 「いまたすけてあげるんだぜ」 子ゆっくりを助けようと、親まりさは自ゆんの頭についたおさげを穴の中に垂らす。 穴の中にいる子ゆっくりは、上から垂らされたおさげにしがみつこうと口をパクパク動かす。 しかし残念ながら、まりさのおさげは子ゆっくりのところまで届かないようだ。 「ゆっくちできにゃいよおおおおお」 「おちびちゃんがんばってね。あとすこしだよ!!」 「ゆうう、なにかほかにいいほうほうが・・・ゆゆっあんなところにきのえださんがあるんだぜ」 「れいむはきのえださんをとってくるよ!!」 親れいむはグリーンから離れて木の枝と呼ぶ物体に近づき、それを口にくわえて運ぼうとする。 「ゆんしょゆんしょ・・・ゆっ、うごかないよ」 「ゆっくちしちゃいよぉおおおおお!!!!」 「おちびちゃんあとすこしだよ、あとすこしでたすかるからね。れいむはやくするんだぜ」 「うごけぇええええ・・・ゆぅゆぅ・・・・どぼぢでえ゛だざんはうごいでぐれ゛な゛いのお゛お゛お゛お゛」 親れいむが運ぼうとしている物はOBの杭だった。 地面にしっかりと埋まっているので、一匹のゆっくりが引っ張った程度ではびくともしない。 それにOBの杭は大きすぎて、子ゆっくりを助けるには見当違い、ということがれいむには分からない。 遠くから見ると、OBの杭が枝ほどの大きさに見えたので、 OBの杭は枝ほどの大きさだ、という先入観がれいむの頭の中を支配しているのだ。 「れいむはやくするんだぜ!!!・・ゆゆ!?あっちにもえださんがあるんだぜ」 れいむのいる反対方向に、まりさは別の枝のようなものを発見した。 「まりさがあれをとってくるんだぜ」 「おきゃーしゃんいきゃにゃいで。れいみゅひちょりぼっちだよぉおおおおお」 目的の物に向かってぴょんぴょんと跳ねていく親まりさ、 気が付くとツルツルした芝は少し深くなり、道も下り坂になってきている。 「ゆん、ゆん、ゆん、ゆゆ?こーろこーろするんだぜ」 「ゆゆ?まりさどこにいったの??」 「おきゃーしゃーーーーん」 下り坂はますます急になり、親まりさは前のめりになって転がり始める。 「こーろこーろゆぶっ、・・・・ゆゆ、ゆぺ、ゆぺっなんだかさらさらするんだぜ」 親まりさは、グリーン傍にあるバンカーに落ちてしまったようだ。 「えださんはどこいったんだぜ?ゆゆ、あんなところにあるんだぜ」 親まりさが枝と呼ぶものは、バンカーの砂を平らにする長さ2mほどのトンボだった。 その肝心のトンボはバンカーの外に置いてある。 やはりゆっくりは餡子脳、2匹とも全く見当違いな物を持っていこうとしている。 トンボを持っていこうとするにも、とりあえず親まりさはバンカーから外に出なければならない。しかし、 「ゆっ、ゆっ、ゆ?」 バンカーの縁はあり地獄の巣のようになっていて 親まりさが外に出ようとすると砂が崩れて、再びバンカーの中へ戻されてしまう。 コロコロ 「ゆぺっ、ゆぺっ、ゆうううんおそとにでられないんだぜ」 するとそこへ、まりさを探していたれいむが姿を現した。 「ゆゆ、まりさをみつけたよ・・ゆ、こーろこーろするよ!!」 コロコロ、ドスン 「ゆぺっ、すながおめめにはいったよぉおおおおお」 親ゆっくりは2匹揃ってバンカーにはまってしまった。 「れいむそんなことよりここからでておちびちゃんをたすけるんだぜ」 「ゆああああんおめめがいちゃくてみえないよぉおおおおおお」 「しかたないんだぜ。まりさがおめめをぺーろぺーろしてあげるんだぜ」 砂のついた舌で、れいむの目を舐め始めるまりさ。 「ゆ、ゆ、ゆ!?よけいにおめめがいちゃいよぉおおおおおおお!!」 「わがままいうなだぜ。それよりおちびちゃんをたすけないといけないんだぜ」 「・・・ゆ?おきゃーしゃんちゃちのおこえがしゅるよ」 「おきゃーしゃんはどこにいりゅの?」 近くで眠っていた子ゆっくり全ゆんが目を覚ました。 「ゆ!?おちびちゃんはこっちにきちゃだめなんだぜ!!!」 「ゆゆ!おきゃーしゃんちゃちあしょんでりゅみちゃいだよ」 「まりちゃもいっしょにあしょぶんだじぇ!!!」 「ゆわーーーいこーりょこーりょしゅるよ!!」 7匹の子ゆっくりが、親ゆっくりのいるバンカーの中へ転がりこんでいった。 「こーりょこーりょゆべ、いちゃいよぉおおおおおおしゅにゃがおめめにはいちゃよぉおおおおお」 「ゆぶ、おくちがむじゅむじゅしゅるよ」 「きょきょはにゃんだかゆっくちできにゃいにょじぇ」 「ゆぴーーーーおきゃーしゃんはやくたすけちぇええええええ」 「おちびちゃんたちおちつくんだぜ」 「おめめがいちゃいよぉおおおお」 「れいむもとにかくおちつくんだぜ」 ゆっくり一家はもう大パニックである。 ゆっくりできないストレスからわんわん泣き始める子ゆっくりたち、 その泣き声につられるように、目に砂が入ったれいむも大声で泣き始める。 まりさは何とかこの状況を打開しようと試みるも、バンカーの外へ出ることができないでいた。 それから数分後、ふぁーーーという変な声と共に、ゆっくり一家のいるバンカーに何かが飛んできた。 「ゆゆ?これはいったいなんなのぜ??」 一家がパニックに陥っている中、まりさだけが飛んできたものを冷静に観察していた。 しかしまりさには、白くて丸いそれが何なのか分からなかった。 さらに数分すると人の声が聞こえてきた。 「ったくもうやってらんね。隣のホールに打ち込んだのこれで何回目だろ・・・・ん?」 ゆっくり一家の前にやってきたのは、ゴルフをプレー中のおにいさんだった。 その顔は、あからさまに苛立ちの表情をしている。 「ゆ!ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりどもがバンカーにはまってら」 「おにいさんはゆっくりできるにんげんさんなのぜ?」 「いや全然ゆっくりしてねぇよ。」 「ゆ!?ゆっくりしていってね!!おにいさん、まりさたちをたすけてほしいんだぜ!!!」 「れいむはおめめがいたいよ」 「ゆわああんまりちゃもおめめがいちゃいいちゃいだよぉおおお」 「なるほどなるほど」 おにいさんはニヤッと笑みを浮かべた。 「おーーーい、俺ギブアップ!!それからここ最終ホールだから、俺はちょっと寄り道してから帰るわーーー」 「ゆゆ?」 「さてと、おや?あっちにも一匹いるみたいだな。このホールは人がいないようだし」 「そうなんだぜ、あっちのおちびちゃんもたすけてほしいんだぜ」 「あっちに行くことは行くが、ところでなんでてめえに指図されないといけないんだ?」 「ゆ!?」 「まあいい、連れてきてやるからそこで待ってろ」 「ゆ!おにいさんありがとうなんだぜ!!!」 カップの中でぴーぴー泣いている子れいむを拾い上げると、 おにいさんはすぐにゆっくり一家のもとへ戻ってきた。 「ゆゆ、おしょらをとんでりゅみちゃい!!」 「おにいさん、おちびちゃんをたすけてくれてありがとうなんだぜ!!!」 「なぁに、礼には及ばないさ。さて」 おにいさんは子れいむを少し強く握り始める。 「ゆびゃあああああああ」 「ゆっ、おちびちゃんがいたがってるんだぜ。はやくおちびちゃんをはなしてね!!!」 「だからなんでお前に指図されないといけないんだ?」 「ゆ!?」 子れいむを握る感触を存分に楽しむおにいさん。 一方で子れいむは、握られる度に大きな悲鳴をあげている。 「ゆげあああああああああああ」 「はやくやめてあげてね!!」 「いやだ」 「ゆっ、お゛にいさんはどうじでそんなごどする゛の?」 「一回ウィニングボール投げるの真似してみたかったんだよなぁ、そーーーれっ」 おにいさんが投げた子れいむは、見事な放物線を描きながら その先にある池にポチャンと落ちた。 いくら落ちたのが池とはいえ、かなり高いところから落ちたので 着水した瞬間に子れいむは破裂していることだろう。 「おちびちゃんになんてことするのぉおおおおおお」 「なにがあったのまりさ?」 「あのおにいしゃんはゆっくちできにゃいよ」 「ゆっくちにげりゅよ!!」 「ゆゆ?まりちゃをおいていきゃにゃいでにぇ!!」 子ゆっくりたちはバンカーの砂の上をもぞもぞと動き、足をとられながも逃げようとする。 だが、そもそもバンカーから出られないからおにいさんに助けを求めたのだから、 そんなゆっくりたちがおにいさんから逃げられる訳がない。 「さて次は、特に丸っこいコイツがいいな」 「ゆゆ!おしょらをとんでるみたいだじぇ!!」 一番丸々と太った子まりさがバンカーの外に出された。 「ゆ!おちびちゃんがおそとにでられたんだぜ。おにいさんありがとうなんだぜ!!」 「しーーーーっ!ショット前はお静かに」 「ゆゆ?おにいしゃんゆっくちしちぇ」 ビュン 「びゅっ」 「ナイスショット!」 「ゆ?おちびちゃんどこにいったんだぜ?」 ゆっくりたちが認識できないくらいの速さで、子まりさの体は四散した。 お兄さんの握ったクラブのフェース(ボールを打つ部分)には、小さな小麦粉の皮がペタっとくっついていた。 「おちびちゃんは星になったのさ」 散った餡子は無数の黒い塊となり、流星群のように地面へ降り注いでいく。 「ゆ、なにかとんできたよ。ぺーろぺーろ、ゆゆっ、これはあまあまさんだよ!!」 「あまあましゃん?」 「ぺーりょぺーりょ、し、しあわしぇええええ」 子ゆっくりたちは、今まで味わったことの無い至高のあまあまの味に魅了され、 口の中をむずむずさせながらも、砂の上に散在する餡子を夢中で舐め始めた。 「おにいさんがあまあまさんをくれたんだね!おにいさんありがとうなんだぜ」 「本当にどこまでもめでたいやつらだ。さて今度はパットの練習でもしようかな」 バンカーの中にいる子れいむを一匹ひょいっと持ち上げ、グリーンの上に置く。 おにいさんは今度はパターを持ち、ラインを読むフリをする。 「このグリーンは順目だからフックして・・・ああよく知らないけどまあいいや」 「おにいしゃんもっちょあまあましゃんちょうだいにぇ!!」 「よっと」 「ゆびゃ、ゆぴいいいいいちゃいよぉおおおこーりょこーりょしゅりゅよ!いちゃいよぉおおおこーりょこーりょ」 「にぎやかなやつだ。おお、でもいいとこいった。入るか入るか!!ああ惜しい、あと少し左だったか」 ゆっくりなど、グリーン上をどれくらいの速度で転がるか想像もつかないのに おにいさんは一発でその感覚を捉えることができた。 ゆっくりを使ったボールでなら、おにいさんはプロゴルファーを目指せるかもしれない。 ただ、パター以外で打つと簡単にボールが潰れてしまうのが残念な点だ。 「おちびちゃんのひめいがきこえるよ」 「次は親ゆっくりと子ゆっくりのコラボでいくか」 バンカーの中にいる親れいむと子れいむを持ち上げ、 親れいむの頭に木製のティーを刺してから、芝の上に置く。 「ゆぎゃっ、なんだかちくっとしたよ」 そしてティーの上に子れいむを乗せる。 「ゆわーい!れいみゅはおきゃーしゃんにたきゃたきゃいしてもらっちぇるよ!!!」 「ゆぎぎいちゃい。ゆぎゃ、おちびちゃんうごかないでね!!おちびちゃんがうごいたらいたいいたいになるんだよ!!!」 「ゆ?れいみゅはどこもいちゃくにゃいよ?」 「おちびちゃんじゃなくてゆぎゃっ、だからうごかないでっていってるでしょ!!」 「茶番はそのくらいにして、お静かに」 「たきゃいたきゃーーーぶっ」 「ゆげえええええええ」 「あらら、大きくダフッたな。失敗失敗」 おにいさんが振ったドライバーは 子れいむを消滅させ、さらにはティーごと親れいむの顔の一部を吹き飛ばした。 親れいむの顔は、頭から額そして眉間にかけてドライバーの形に沿ってえぐれている。 えぐれた部分からは、体内の中枢餡がちらりと姿を見せている。 「れ、れいむーーーーーー!!」 「ゆがあああああああいちゃあああああああいいいいいいい」 目に砂が入ったときとは比較にならないほどの痛みが親れいむを襲う。 「まあああああありいいいいいざああああああああ」 「れいむしっかりするんだぜ!!まりさがたすけてあげるんだぜ!!」 「いじゃあああああああいいいいいい」 しかしバンカーから抜け出すことのできないまりさには、れいむに対して何をしてあげることもできない。 まりさはただ、苦しみ続けるれいむの姿を見届けるしかなかった。 「無力だな」 「ゆ!?」 「お前は自ゆんの家族を一匹たりとも救うことができない」 「そんなことないよ!れいむはまりさがたすけてあげるんだぜ!!!」 「そうか、じゃあお前に何ができるか見せてもらおう」 バンカーの中にいる4匹、グリーン上のカップ傍にいる1匹、計5匹の子ゆっくりを芝生の上に並べる。 最初は8匹いた子ゆっくりだったが、3匹おにいさんが殺したのであとは5匹しか残っていない。 「ゆ?おにいしゃんあまあましゃんくれりゅにょ?」 「とっととあまあましゃんよこちてにぇ!」 「あまあましゃんくれにゃいとぷきゅーしゅりゅよ!」 「おにーしゃんはゆっくちできにゃいにんげんしゃんだよ、みんなにげりゅよ!!!」 「にゃにいっちぇるのじぇ、おにーしゃんはみんにゃにあまあましゃんをくれりゅんだじぇ」 パターで叩かれた一匹だけは、おにいさんに痛いことをされたのを覚えているようだが、 それ以外の子ゆっくりはあまあまがもらえると期待し、体を伸び縮みさせながらそわそわしている。 「さあ、お前の大事な大事な子ゆっくり。早くしないと減っていくぞ。ひと~つ」 パシュ 「ゆゆ!あまあましゃん!!!」 「あまあましゃんがおしょらからふってきちゃよ!!!」 「あまあましゃんおいちいいい!!!」 「やっぱりおにーしゃんはゆっくちしちぇりゅのじぇ!!」 「まりさのおちびちゃんがあああああああ」 おにいさんは、今度はゆったりとクラブを振ったので 子ゆっくりがクラブに潰されてしまったことを、まりさははっきりと理解できた。 しかし依然として、子ゆっくりたちは空から降るあまあまに夢中になっている。 「おにいさんこれいじょうはやめてね、ゆっくりできないよ!!!」 「やめて欲しいなら力で何とかしてみろよ」 「ゆううう・・・おにいさんゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「むだむだ、俺に説得は通用しない。ふた~つ」 ザシュ 「どうじでおにいさんはゆっくりしないの?もっとゆっくりしてよぉおおおおおお」 最初は強気だったまりさのだぜ口調は、もうすでに哀願の口調になっている。 しかしどんなに口調が変わろうとも、おにいさんの心は動かない。 「またあまあましゃんがふってきちゃよ!!」 「あまあましゃんがいっぱいでとちぇもゆっくちできりゅね!!」 「ゆぷぅ、れいみゅはもうおなきゃいっぱいだよ」 「み~っつ」 「ゆあああああああああああああああ」 ブシュ 「あまあましゃん♪あまあましゃん♪」 「おきゃーしゃんもこっちにきていっしょにあまあましゃんたべようよ」 「どぼぢでお゛に゛いざんはごんな゛ひどい゛ごどずるの゛?」 「なぜって?それは・・・・・・」 「おにいさんはゆっくりはんせいっしてね!!」 「おまえらがゆっくりだからだ」 「ゆ!?」 「よ~っつ」 ゴシュ 「あまあましゃんたべほうだいぢゃよ!!」 「おねがいだからやめてね。まりさたちはただゆっくりしたいだけなんだよ」 「そうかもな」 「そうだよ!!だからこれいじょうまりさたちにひどいことするのはやめてね!!!」 「だが、俺もお前らを虐めてゆっくりしたいだけなんだよ」 「ゆゆ!?それじゃまりさたちはゆっくりできないよ!!」 「別にいいじゃないか。お前らがゆっくりできなくても、「俺」はゆっくりできるんだから」 「どぼぢでぞんな゛ごどいうのぉお゛お゛お゛ま゛りさたちだっていぎでるんだよ!!!」 「お前らが生きてるだと、はは」 「どうじでわらうのぉお゛お゛お゛」 「だっておまえら」 「ゆっくりだっていきてるんだよぉおおおおおおおおお」 「大半がもう死んでるじゃん」 「ゆ!?」 「そしてお前もすぐに死ぬ。はい、いつ~つ」 ボシュ 「さて残りはお前と、放っておいても死ぬあいつだけだ。あ、そういえばさっき、あいつを助けるって言ってたな」 「ゆ!そういえばれいむ!?れいむだいじょうぶ??」 「ば・・・・でぃ・・・・・・・っざ・・・・・・・」 「この状態で助けられるんだろ?お前の力で何とかしてみろよ。 ちなみに言っとくが、俺は物理的にこいつを助けることはできない。どちらにしろ助けようとも思わないが」 おにいさんはまりさの体をひょいっと持ち上げ、重症を負ったれいむの前に置いてやる。 「れいむ、ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「も・・・・・っど・・・・・・ゆっぐじ・・・・・じだがっだ・・・・・よ」 「ぺーろぺーろ、ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「・・・・・・・」 「ゆっくりしていってね!!!れいむはゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってね!!」 まりさの訴えかけも虚しく、れいむはその後何も喋らなくなってしまった。 「やっぱり口先だけだったようだな。出来もしないのに大言を吐くんじゃねぇよ、ほら」 おにいさんは手に持ったアイアンを4、5度れいむに叩きつける。 するとれいむの姿は見るも無残な、ピラピラした皮の破片になってしまった。 「れいむうううううううううう!!!」 「ついでにお前も」 「ゆぎゃ、いだいよぉおおおおおおおお」 「そりゃアイアンで頬を殴ったら痛いだろうな」 「やめてよゆっくりできないよ」 「その言葉は聞き飽きた。もっと別の悲鳴を聞かせてくれ」 「おにいさんゆっくりしてね!!それからまりさをゆっくりさせてね!!」 「だめだこれからお前は死ぬんだ」 「いやじゃあああああゆっくりしたいよおおゆぶっ、うがあああああああああ」 おにいさんの振ったアイアンのフェースは、まりさの左頬から斜め下へ入り、 底面を削って右頬から真横へと抜けていった。 中枢餡は損傷を免れたものの、 シャフト(棒のところ)の部分はまりさの下顎を根こそぎ剥がしていった。 「次はどんな悲鳴を聞かせてくれるんだ?んん?ほら」 「びゅ、びゅえええええええええ」 2度目のアイアンはまりさの顔面に斜めから入り、 左眼球と上顎を真っ二つに裂いた。 「痛いか~?痛いのか~~~??」 「ゆううううううううう」 3、4度目のアイアンはわざと空振りさせ、 5度目のアイアンはまりさの頭の帽子に直撃し、帽子は数mほど前方に飛んでいった。 「さて最後はとっておきだ。この特大ドライバーで盛大に葬ってやろう」 「ゆああああああああああああああああ」 「派手に散れ」 ドシュッ ビルの屋上から地面へスイカを落としたように まりさの餡子は周りに激しく飛び散った。 小さな餡子の粒は、時間差で地面に落下していく。 表面の皮はドライバーのヘッドに絡みつき、 その皮には少量の餡子の残骸がへばりついていた。 ほんの30分前までは、平和に眠るゆっくり一家が10匹ほどこの場所にいたのだが、 この時点でゆっくりの形を留めた物はもう、ゆっくり一家の遺留品である10ヶのお飾りしか残されていない。 ゴルフ場でゆっくりと戯れたおにいさんは できる限り餡子の塊とゆっくりのお飾りを回収して、緑の上の汚れをクリーンにした後、 +10という数字をスコア用紙に書き込んでその場を後にした 鉄籠あき過去の作品 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/1213.html
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からからから【登録タグ VOCALOID か ばぶちゃん ほにゅうびん 初音ミク 曲】 作詞:ほにゅうびん 作曲:ばぶちゃん 編曲:ばぶちゃん 唄:初音ミクAppend 曲紹介 うらぎりとどくとはなのうたでちゅ ばぶちゃん氏2作目。 みくのひおめでとうでちゅ(作者コメ転載) イラスト 四月氏。動画 pokage氏 が手掛ける。 KARENT、iTunes Store等で発売中のアルバム『はじまりのおわり』収録曲。 歌詞 一番 大事な 花を 捧げた 身体 全てを 土に返すの たとえ枯れ逝く 戻らない時間を 過ごしてても アナタの中で 美しく彩る 花ならいいのにな ああああああああああああああああ… みんな 大事な 花を 貪る 散らす 汚れる チギル コワレル? たとえ 枯れ果て 戻らない時間に 潰されても 身体に咲いた 毒の花 アナタに 感染(うつ)してあげる カラ 笑(から) 笑(から) 笑(から) あああああああああああああああ… ああああああああああああああああああ… まなざしを向けることのないアナタ 私は規制的に繰り返すだけの操り人形 笑え 笑え ワラエ アゲル 笑(から) アゲル 笑(から) コメント この曲好きだwwww -- 竹柳蘭瑠 (2012-03-09 15 59 54) こわいけど良い -- 名無しさん (2012-03-10 09 52 22) センスパネェ・・ -- 名無しさん (2012-03-11 16 07 08) だいすき -- らっきょ (2012-03-11 23 51 27) あいしてる -- さゆき (2012-03-12 18 52 59) 好き -- 名無し (2012-03-18 20 56 04) なんとなく椎名林檎っぽい感じがするのは私だけだろうか? まあそれはおいといてあああああ…ってとこが一番好き(´∀`) -- 名無しさん (2012-03-25 21 22 23) 緩急つけるのうますぎやわぁ〜… -- チキン肌炸裂 (2012-04-03 01 58 10) 怖いけど心惹かれる曲だと思います! 音楽もすごい! -- 昴。 (2012-04-04 14 45 44) 中毒性ww -- ちびちゃ (2012-04-09 16 55 23) 盛り上げ方うまいよぉ 鳥肌必須級ですわぁ -- で目金 (2012-04-17 07 46 59) えがおのうた -- 中毒性 (2012-07-03 00 40 35) 怖いんだけどさ、どこか切ない感じがする -- 名無しさん (2012-07-26 00 21 48) 毎日聴いてます -- 散った桜 (2015-01-03 23 07 41) 椎名林檎には似てないと思う。そもそも椎名林檎の曲ってそこまで病んでたり、怖い雰囲気しない。と、俺は思う -- まーちゃ (2015-02-14 17 19 17) 耳に残るメロディーですね。安眠できそう -- 餃子 (2015-05-27 21 35 33) サムネで油断した( ´∀` ) -- かのん (2016-09-03 10 39 17) 名前 コメント
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美しきゆっくりプレイス 23KB 虐待-凄惨 悲劇 理不尽 ツガイ 飼いゆ 赤子・子供 ゲス 現代 虐待人間 ぺにまむ すっきりー描写注意 *続きものの4作目です *『ふたば系ゆっくりいじめ 542 れいむのゆっくりを鬼意山にささぐ』と 『ふたば系ゆっくりいじめ 579 残酷な夜にれいむの叫びは鬼意山に届かない』と 『ふたば系ゆっくりいじめ 607 ゆっくりキャッスル』の続きものです *一応、前作を読まなくても大丈夫ですが、登場人物・登場ゆん物の把握のために読んでくれると助かります *拙い前作さんにコメントたくさんありがとうございます。とても、励みになります。 *次女れいむのクライマックスです。金ゲスも出ます。主役(?)の銅れいむは出ません。 作・もっちもちあき 「はぁ…」 俺は、今日何度目かも分からないため息をつく。 職場に長期の有給届を出したところだ。 この不況下、クビも覚悟の決断だった。 俺が勤務しているのは、ゆっくり加工所。 もともと、ゆっくりに興味なんてなかったが、大学の先輩のコネもあって、就活がめんどかったので、さっさと決めた。 しかし、どうやら向いてなかったらしい。 2年ほど頑張ってはみたものの、ゆっくりの悲鳴が耳にこびりついて離れない。 ゆっくりなんて、ただの饅頭だと自分に言い聞かせる。しかし、うまくいかない。 先輩は、「お前は優しすぎるんだ」と言う。 とりあえず、辞める前に、有給をとってしばらく考えてみたらどうだというので、そうすることにした。 (とはいったものの、どうしよう…) 考えると気が滅入るが、とにかくどうにかしなければ。 俺は、夜の国道をドライブする。これが俺の気分転換方法だ。 この国道は田舎で、周りに店も無く、平日の夜なんて誰も通らない。 「ん?」 そんなとき、前の方にやや明かりが見える。 (あそこは潰れたラブホのはず?) まあ、あの廃ラブホはガラの悪いガキどもが、たむろってるって良く聞くしなあ。 すると、明るさが大きくなったと思ったら、急に消えたでは無いか。 (なんだ?) すると、廃ラブホのあたりからバイクが2台、けたたましいエンジン音を立てて出てくると、そのまま去っていった。 いつもなら、きっと素通りしてただろう。 だが、なんとなく明かりの正体が知りたくて、廃ラブホに来てしまった。 さっきの不良が、明かりを灯していただけ。そう思うのだが、純粋に好奇心と、自分の現状が不安定なことによる変な勇気。 「ゆんやあああああああ」 声がする。 不良、ではなさそうだ。俺の冒険心はもう止められない。 俺は声のする方へ向かう。ガソリン臭い…。 おそらく、さっきの不良がガソリンに火をつけたんだろう。 火事にならないように消火はしたようだが、中は結構黒ずんでいる場所もある。 (なんで、火なんか…) 火元と思われる部屋に声の主がいるようだった。会話が聞こえる。 「まりさぁ…、おちびちゃんがみあたらないよ…」 「こげくさいのぜ…。きっと、さっきのにんげんさんのしわざなのぜ…」 (ゆっくり?!なんで、こんなところに…) 息をひそめ、2匹の会話に耳を傾ける。 「ありすもいないよ…。こんなのおかしいよ、ありすは、あんなにゆっくりした、やさしいありすだったのに…」 「みんなの、ざんがいさんがあるのぜ…」 2匹は分かっていた。ゆっくりしていない人間さんが現れると、どうなるかを。 ただ、それを認めたくなかったのだ。 「れいむと、まりさの、だいじなだいじなおちびちゃんなんだよ…」 「れいむ…、ここはもうだめなのぜ…」 「ゆううぅ…、おちびちゃん…、ゆわああああああああああん!!!」 俺は、加工所の日常を思い出し、胸を痛める。 ふと目を上に逸らすと、棚の上に何かいる。 赤ゆっくりだろうか?死んでるのか、気絶しているのか、ピクリとも動かない。 2匹は気付いていないようだ。 俺は、意を決して 「ゆっくりしていってね」 と声をかけてみる。 「「ゆ?ゆっくりしていってね!」」 2匹は条件反射的に返事をするが、俺が人間であるためか、警戒してひどく怯えている。 2匹の事情は何となく察しが付く。無理もないだろう。 「に、にんげんさん…。れいむたちをいじめないでね…。ゆっくりしていってね…」 「まりさたちが、かじさんをおこしたわけじゃないのぜ…」 俺は棚まで歩み寄ると、 「お前たちに何かしようってわけじゃない」 つま先立ちになり、棚の上に手を伸ばし、2匹の赤ゆっくりをそっと掴む。 生きているようだが、泣きはらした後がある。憔悴しきって気絶してるようだ。 1匹はまりさ種。おぼうしは避妊用ゴム製品に変えられ、接着剤でくっつけられていた。 額には肉と落書きされている。おさげも毟られて見当たらない。 1匹はれいむ種。 目玉がくりぬかれ、空洞になって餡子が見えている。ぴこぴこは毟られてやはり無い。おりぼんも無い。 体中に、便所の落書きのような卑猥な落書きが書かれていた。 とりあえず、棚に置くと他のも見てみる。 それ以外の赤ゆっくりも何匹かいたが、生きてはいないようだった。 ある赤ゆは、煙草を何度も押しつけられ、体中が焦げており、たくさん餡子を吐いてしまったようだった。 ある赤ゆは、身体を捻ってねじ切られていた。 ある赤ゆは、体中に刺し傷があり、顔がぐちゃぐちゃにされていた。 部屋を見渡すと、ぱちゅりー種の潰れた残骸。 身体の餡子を抜かれたまりさ種。 壁で子ゆがなぜか身体に埋まったまま潰れているれいむ種。 種不明の成体ゆっくりの焼け焦げた残骸もある。 その他にも、潰れた子ゆ・赤ゆが何匹かいるようだった。 「こいつらは、お前らの子供か?」 かろうじて生きていた赤ゆを2匹に見せる。 「おちびちゃん!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 「おちびちゃん!いきてるのかぜ!へんじしてほしいのぜ!」 どうやら、やはり親のようだ。子供の状態を考えると心が痛む。 (こっちはもうだめだな) 死んだ赤ゆは見せないで、そのままにしておくことにする。 俺は、鞄からオレンジジュースを取り出すと、生きている赤ゆの上からかける。 2匹が目を覚ます。 「ゆあああああ、おきゃーしゃん!きゃわいいれいみゅをたちゅけちぇにぇ!くりゃいくりゃいこわいこわいしゃんで、みえにゃいよう!」 「まりしゃのしゅてきにゃおぼうちと、ありしゅおにぇいしゃん、もえにゃいで!ひしゃんは、ゆっくちしにゃいじぇ、とみゃるのじぇ!」 赤ゆ2匹は、まだ現状が認識できず、錯乱している。 その様子を見て、親ゆ2匹は涙を流す。 「おちびちゃんは、おかーさんはここにいるよ!ぺーろぺーろしてあげるね!」 「おちびちゃん!ひさんはもうないのぜ、すーりすーりしてあげるのぜ!」 赤ゆ2匹をなだめ、ぺーろぺーろやすーりすーりをする親ゆ。色々な感情が渦巻いているのだろうか。 赤ゆや友人を失った悲しみ。全滅していたと思った中で、会えた生き残り。 (先輩は餡子脳はもっと単純だといっていたけれど…) そんな中、赤ゆたちは自分のお飾りが無いことに気づいたようだ。 「れいみゅの、ぴこぴこしゃんとおりぼんしゃんのきゃんきゃくがにゃいよ!ゆっくちできにゃい!ゆわああああん!」 「ゆんやああああああ!まりしゃのおぼうちがにゃいと、おかーしゃんたちにきらわれてしまうのじぇ!」 そうなのだ。ゆっくりにとって、命の次に大事なのがお飾り。 これがないと、他のゆっくりからは「ゆっくりできない」と馬鹿にされ、迫害されるらしい。 下手をすると、捨てる親もいるとか…。バカバカしい、餡子脳の極みだ。 こういう態度を目の前でしてくれると加工所の仕事も精神的に楽になるのだが…。 しかし、予想を裏切る光景が目の前にはあった。 「おかざりなんかより、おちびちゃんがぶじでいてくれれば、おかーさんはそれでしあわせだよ」 「きらうはずなんてないのぜ。おかざりがなくたって、れいむとまりさのじまんの、ゆっくりしたおちびちゃんなのぜ」 「でみょ…、れいみゅ、おめめしゃんもみえにゃいよ…」 「こんにゃ、ゆっくちできにゃい、へんにゃおぼうちでもいいにょじぇ?」 「おかーさんが、おちびちゃんのおめめさんのかわりになるよ。ずっとそばにいてあげるよ」 「おちびちゃんが、かぶっていればすてきなおぼうしなのぜ」 いや、それはどうだろう。さすがにコンドー…。 「おちびちゃん、いもうとのおぼうしがないと、いもうとのことはゆっくりできない?」 「そんにゃこちょにゃいよ!まりしゃは、れいみゅのかわいいいもうちょだよ!」 「おねーしゃん…。まりちゃも、おねーしゃんのおめめしゃんになるのじぇ!」 「かぞくみんなでいれば、しあわせでゆっくりできるのぜ」 俺は驚きを隠せなかった。野良ゆの親子と言えば、「あまあまちょうだいね」だの言ってくる連中だとばかり…。 「お前ら、住むところはあるのか?」 「ゆ?」 いきなり話しかけられて、戸惑うゆっくり一家。俺の事は忘れていたかな? 「ゆう…。ここがおうちだったけど、もうここはこわくていられないよ…」 「だから、べつのおうちをさがすしかないんだぜ」 そう言ったかと思うと、その後、またこいつらは俺を驚かせた。 「おにいさん、おちびちゃんをみつけてくれて、ゆっくりありがとう」 「このこたちだけでも、さいかいできたのは、おにいさんのおかげなのぜ」 お礼…だと…。 俺は打ちのめされたような気分になる。今まで、加工所で自分がしてきたことについて…。 このとき、この有給の正しい使い方が思い浮かぶ。 「お前たち、うちに来ないか。無理にとは言わない。ただ、お前たちがしばらくいいこにしてたら、俺の飼いゆっくりにしてもいいと思ってるんだ」 一家は顔を見合わせる。突然の提案に驚いている。 「まりさ、おちびちゃんのこともあるし、このおにいさんのおうちにいこうよ」 「たしかに、ほかのゆっくりにおちびちゃんはみせられないのぜ」 承諾してくれるようだ。俺は、こいつらを飼ってゆっくりを見定める。 もし、こいつらがいい子にしてたら、加工所を辞めてこいつらと暮らそう。 俺は、車に一家を乗せると廃ラブホを後にした。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 次女れいむは幸せだった。 助かったおちびちゃんたちと、ゆっくりしたおにいさん、暖かいおうち、おいしいごはん、そして愛するまりさ。 (ありすたちや、しんだおちびちゃんのぶんも、しあわせになるよ) おちびちゃんたちの落書きさんは、おにいさんが上から消してくれた。 さすがに、おめめやお飾りやおさげやぴこぴこさんは、元に戻らなかったが。 ちなみに、おにいさんは卑猥だからとおちびちゃんのお帽子もどきを外そうとしたが、おちびちゃんが泣いて嫌がったのでそのままだ。 「おかーしゃん、しゅーりしゅーりしちぇにぇ!」 目が見えないおちびちゃんは、安心させてあげるために、だいたいの時間はすーりすーりしてあげている。 新しいお兄さんは、昔の鬼意山と違って、あまあまくれたり、おちびちゃんと遊んでくれたり、そして何より優しい。 「れいむ、まりさ、これは親の形見なんだ」 おちびちゃんを寝かしつけた後、まりさと2匹でお兄さんの話を聞く。 とても、ゆっくりとしたひととき。 お兄さんは、ガラスさんで出来た置きものと、お写真さんを見せてくれた。 「交通事故で両親を失ったんだ。写真嫌いな親だったから、これくらいしか家族で写ってるのは無いんだけどね」 次女れいむは、まりさと顔を見合わせる。お兄さんも家族を失っているんだと。 「こっちは、両親が大切にしていたものなんだ」 きらきら光ったガラスさんは、とってもきれいな宝物さん。 「おしゃしんのにんげんさんは、とってもゆっくりしたにんげんさんなのぜ」 「おにいさん…」 「何だい、れいむ?」 「れいむは、おにいさんのかぞくさんになるよ!おにいさんに、さびしいおもいをさせたくないよ」 「ゆっくりしたおにいさんの、ごおんにむくいるのぜ」 「お前たち…」 お兄さんは、次女れいむたちを抱きしめた。 「お前たちも辛かったんだよな。俺には甘えていいんだぞ」 「「おにーさん、ゆっくりしていってね!」」 次女れいむは思った。 ようやく、自分たちの”美しきゆっくりプレイス”に辿りつけたのだと。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 愛であきは困っていた。 また、会社から長期の出張を言い渡されていた。 この前の時のように、友人の鬼意山に飼いゆを預けようと思ったのだが、子ゆを失ったからか必死で嫌がるのだ。 「やめてね!めであきおにーさん!あそこはゆっくりできないよ!」とそれはもう、ぐずるぐずる。 こいつらが、俺にここまで拒否反応を示したのは初めてだ。 仕方がないので、別の人間に預けなければならない。 そういえば最近、昔の友人から、ゆっくりの飼い方について教えてほしいと連絡があったっけ。 ダメもとで頼んでみるか。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「ちょっと聞いてくれ、れいむ、まりさ」 お兄さんが、話があると言ってきた。 「実は、友人の飼いゆっくりを預かることになったんだ」 「「ゆ?!」」 次女れいむと、まりさは不安げだ。 「ゆぅ、おちびちゃんはおかざりがないから、いじめられないかふあんなのぜ…」 次女れいむにはトラウマがある。 赤ゆのころ、同じような状況で、預かった飼いゆっくりの子供に偶然、体当たりをしてしまい、逆に酷い目に遭わされた。 そして何より、そのあとの当時の飼い主の鬼意山の恐ろしさといったら…。 不安で震える次女れいむ。 それを見たお兄さんは、 「大丈夫さ、そいつの話だと2匹とも10万円もする金バッチの飼いゆっくりだというし、躾けもばっちりで品行方正だってさ」 「きんばっちさんなら、だいじょうなのぜ」 「きんばっちしゃんなら、れいみゅをいじめにゃいよにぇ」 「きんばっちしゃんなら、まりしゃのおぼうちもばかにしないんだじぇ」 (いや、それはどうだろう…。何せコンドー…) 次女れいむは金バッチと聞いて、またうかない顔に戻る。 (だいじょうぶだよ…。きんばっちさんは、いっぱいいるよ…。こんどは、いいゆっくりたちにきまってるよ…) 次女れいむは自分に言い聞かせる。 ついにその日がやってきた。 愛であきと、あの金ゲスまりさと金ゲスありすの番が。 「ここだぞ、いい子にして待ってるんだぞ」 『いいこでまってるよ、めであきおにーさん』 (くはー、きったないいえなのぜ。ゆっくりできない、くそしゅうがするのぜ) 『とかいはな、れでぃーとしてふるまうわ』 (なんなの、このいなかものくさい、ものおきみたいないえさんは) 満面の笑みで、愛であきにお答えしつつ、心でお世話になる家をコケにする金ゲス番たち。 愛であきは、お兄さんに金ゲスを預けて去っていった。 「「ゆっくり、よろしくおねがいします」」 しばらくお世話になる家主に”形だけの”丁寧なご挨拶。 「ようこそ、うちのれいむたちとも仲良くしてやってくれよな」 お兄さんも、笑顔で向かいいれる。 (はあ?ばっちなしの、くされげすゆっくりなんかとは、なかよくなんてできないのぜ) (ああやだ、いなかものぷれいすで、いなかものゆっくりとすごすなんて、ぜんぜんとかいはじゃないわ) そこへ、次女れいむ一家も顔を出す。 「!!!」 次女れいむは一発で気がついた。あの金ゲスだ。 (ゆぅ…、どうしよう…) 次女れいむは、まりさの後ろに隠れる。 「まりさはまりさだぜ!ゆっくりしていってね!」 「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」」 まりさと子供たちは、金ゲスの本性を知らないので、笑顔でご挨拶。 お兄さんも仲良くやれそうだと、にこにこ顔だ。 『『ゆっくりしていってね!』』 金ゲスたちも、ご挨拶。 大丈夫。お兄さんもいるし、まりさもいる。自分もあのときのように赤ゆでは無い。 それにきっと、自分があの時の赤ゆだと気づくはずもない。 次女れいむは、警戒しつつも、一応平穏に接している金ゲスを見て、とりあえず平静を保つ。 おちびちゃんたちが、不安がるので自分がしっかりせねば。 「ゆっくりしていってね」と挨拶をする。 その後、金ゲスたちは、普通にお返事してきた。 うん、問題無いはずだ。 さしあたって、問題は起きなかった。 金ゲスも学習し、人間さんに逆らわずに行儀よくしていた。 翌日、朝からお兄さんにお客さんが来た。 「どうしたんですか、先輩?」 「ちょっといいか?」 二人は何やら話している。そして、 「お前たち、ちょっと聞いてくれ。一日ちょっと出かけることにした。帰りは遅くなるから、いいこで留守番してるんだぞ」 「ゆっくりりかいしたのぜ」 まりさが返事をする。 これまで、次女れいむ一家が家に来てから、お兄さんが長く家を空けたことは無い。 (大丈夫だよな。問題行動も起こさないし、ちょっと留守番くらい) 「「ゆっくりいってらっしゃい」」と次女れいむとまりさが見送る。 お兄さんは出かけて行った。 「みんな、ごはんのじかんなのぜ」 まりさと次女れいむは玄関から、居間へ戻る。すると、 「ゆぴゃああああああああああ!!はなしちぇにぇ!はなしちぇにぇ!」 「ゆっくちちないじぇ、やめるのじぇ!」 子ゆたちの悲痛な叫び声が聞こえてくる。 『この、くそきたない、おかざりのない、いなかものは、せいっさいするわ』 「ゆゆ?!きんばっちさんたち、おちびちゃんになにするのぜ!」 見ると、金まりさが子れいむを咥えている。 『それに、なにこのひわいでくさそうな、おぼうしは。いなかもののきわみね!』 泣いて抗議する子まりさを、金ありすが小突く。 『こいつは、ゆんじちなのぜ。きんばっちで、こうきゅうな、まりささまにさからったら、つぶしてやるのぜ』 金まりさが、いつでも子れいむを潰せる体勢で威嚇する。 「ゆんやぁぁぁ!!!おかーしゃん、きょわいようぅぅぅ!!!」 「やめてね!おちびちゃんに、ひどいことしないでね!」 次女れいむが、詰め寄ろうとする。 『おまえ、おぼえてるのぜ。あのときのくそがきなのぜ』 次女れいむは、驚いて止まる。(おぼえていたよ…) 「れいむ、このきんばっちさんのことしってるのぜ?」 「れいむがおちびちゃんだったころ、いじめられたことがあるよ…」 『ずいぶんおおきくなったのぜ。なんでここにいるかはしらないけど、こうつごうなのぜ。しんだおちびちゃんのぶんも、いじめてやるのぜ』 子供たちをゆん質に捕られて、2匹は手出しができない。 金ありすと金まりさが交替で、まりさをボコる。基本的に体当たりだ。 されるがままに、痛めつけられる。 「やめちぇにぇ!おとーしゃんに、ひどいことするなじぇ!」 子まりさが、泣きながら非難する。 「だいじょうぶだよ、おちびちゃん…。まりさ、つよいからぜんぜんへいきだよ…」 全然、平気そうには見えない。 『くそばっちなし、げすまりさが、やせがまんとはわらわせるのぜ。これでも、なめたくちできるのかぜ』 ぼよんと跳ねると、上から一撃をかます。 「ゆぎぎぎぎぎ」 悲鳴を上げないよう、目をつぶって耐える。 そのすきにお帽子が奪われる。 『ゆぷぷ、おぼうしのないゆっくりだよ。おお、あわれあわれ』 「やめ…て…ね、まりさ…の…おぼうし…かえすん…だぜ…」 ダメージが酷いまりさは、金まりさに向かう元気はもう無い。気絶してしまった。 「やめてね!まりさがいたがってるよ!もう、もう、ゆるしてね!」 次女れいむが泣きながら、懇願する。 『げすのくせに、そそるのぜ』 金まりさが次女れいむに近づいてくる。 『ありがたくおもうのぜ』 と言うと、金まりさが次女れいむにのしかかる。 はぁはぁ言いながら、砂糖水のよだれをたらし、ぺにぺにを次女れいむに挿そうとする。 「いやあああああ!!!まりさいがいと、すっきりーなんていやあああああああ!!!!!」 『ていこうすると、がきをつぶすのぜ』 金まりさが無情な宣告をする。 『さっそくあじわうのぜ』 ぬぷぬぷぬぷ 次女れいむのまむまむに金まりさのぺにぺにが突き刺さる。 「いやぁぁ…、まりさぁ…」 『んほおおお、とかいはねえええ!つぎはわたしがつかうわよ、まりさ!』 『わかってるのぜ。めであきおにいさんのてまえ、すっきりーをじゆうにできないのぜ。たまってるのぜ』 『そうなのよ、ぺにぺにがうずくわぁ!つがいのまえで、れいむをおかすのたまらないわぁ!』 (ひどい、ひどいよ…) 次女れいむは絶望に打ちひしがれる。 『すっきりーーーーー!!』 「すっきりしたくないーーー!!」 頭から生えてきた茎は、生えてすぐに金ありすに食べられた。 『ゆふん、しょうこいんめつよ』 金ゲスどもに汚され、次女れいむは心の中でひたすら番のまりさに謝罪する。汚れてごめんなさいと。 『おまえは、きんばっちでゆうしゅうなまりさとありすの、あかちゃんあんこべんじょさんにしてやるから、ありがたくおもうのぜ』 それから、永遠とも思える地獄の時間が続いた。 金ありすと金まりさが、交替で次女れいむを強制すっきりーの毒牙にかけた。 潰れたり、干からびたりしないように、栄養を与えられながら。 生える茎は、片っぱしから食べられた。 特に、金ありすとの行為は最悪だった。 れいぱーにならないように自制しながらも、やはりありす種。 ねちっこく、不快極まりないすっきりーをさせられた。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 気絶から目は覚めていたいたものの、身体が満足に動かない。 犯されて泣く、最愛のれいむの声を聞きながら、自分の無力を呪う。 (れいむ、たすけるのぜ) しかし、何も考えずに動けば、おちびちゃんもゆん質だし、助けられない。 チャンスは1度きりだろう。 幸いにも、金ゲスどもはすっきりーに夢中でこちらを気にしていない。 薄目で周りを見る。すると、棚の上にナイフがある。 (あれをつかえれば…。でも、とどかないのぜ…) しかし、他に方法は無い。 体当たりで棚からナイフさんを落とすしか無い。 失敗すれば、おちびちゃんを潰されるかもしれない。 でも、これ以上、次女れいむが犯されるのを黙っているわけにはいかない。 (まりさは、れいむの”おっと”なのぜ!) 意を決し、まりさが棚へ体当たりをかます。 首尾よく、棚がぐらついて倒れると、すかさずナイフを拾う。 『な、なんなのぜ!?』 金げすたちが慌てる。金まりさは次女れいむとすっきりー中だ。 「くらうのぜ!!」 まりさの渾身の一撃が金まりさに突き刺さる。 『ゆんやあああああああああああ!!!』 箱入りで、痛みに非常に弱い金まりさが泣き喚く。 金ありすも、おろおろしている。 まりさは、金ありすにも一撃。 やはり、こちらも痛みに耐えかねて、泣き喚く。 この隙に、おちびちゃんたちを助けると、次女れいむを助け起こす。 「たすけるのが、おくれてごめんなのぜ…」 「まりさぁ…」 金ゲスどもは、まだ痛みにのたうち回っている。 まりさは、ナイフを持って金ゲスの反撃に備えるが、金ゲスたちはもう戦意を喪失したようだ。 なんとか、助かった。地獄は終わったのだ。 連中をせいっさいしたいのは、やまやまだが、お客様で飼いゆっくり。これ以上は無理だろう。 それにもう、身体は限界だ。 今は、次女れいむとおちびちゃんの傷ついた心を癒すことが先決だと思った。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 帰宅すると、信じられない光景があった。 家の中はぐちゃぐちゃだった。 棚は倒れ、居間はべとべとで酷いとしかいいようがない。 まるで、野良に入られたかのようだ。 次女れいむたち一家は部屋の隅でひと塊りになって、すーりすーりしている。 (そうだ、愛であきから預かった金バッチゆっくりは無事か?!) 預かりものに傷でもつけたら最悪だ。そのとき、 『ゆんやあああああ!!おにいさんたすけてね!たすけてね!』 『あの、いなかものたちにいじめられたのようぅ!』 え?そんな…。良く見ると、金バッチたちの身体には刃物での刺し傷がある。 (治療しないと…) 俺は、少なからずショックを受けていた。 それと同時に先輩の言葉を思い出す。今日は、先輩に慰留されていたのだ。ゲスゆっくりの生態を見せられて。 「ゆっくりの言葉は人間の言葉のようだが、意味の無い鳴き声だ」と言われ、れいむたちを思い出し、そんなことはないと思った。 俺は、こいつらを過大評価していたのか…? そのとき、俺の目にとんでもないものが映る。 (は…、はは…、そうだよな…、こいつらは…) た だ の 饅 頭 だ よ な ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ どうやら、やっとお兄さんが帰ってきたようだ。 (おかえりなさい、いわないとね…) 辛い状態ではあったが、おにいさんには挨拶しないと。 次女れいむが、お兄さんの方を向く。お兄さんがこっちへ向かってくる。そして、 ぐしゃ 「ゆ?」 何が起こったか分からなかった。 お兄さんの足元を見ると、子まりさが潰れてしまっていた。 無残に潰され、何も言うこと無く、果てた。 「ゆんやあああああああああああ!!!おちびちゃん!!おちびちゃん!!おにーざん、どぼぢでぇぇーーー!!!」 冷たい目のお兄さん。こんな表情初めてだ。 「どうしてじゃねえよ、クソ饅頭」 お兄さんが、ある方向を指さす。 そこには、破れたお写真と木っ端微塵になったお兄さんの宝物があった。 「これは、俺の大事な親の形見だっていったよなあ」 お兄さんの声は震えている、怒りで。 「お前らはてっきり理解してると思ってたよ。でもなあ、所詮ゆっくりだもんなあ。会話した気になってた俺がバカだったんだな」 お兄さんは泣いていた。 「俺の家族になるだって?饅頭風情が何言ってんだ?ああ、あれも鳴き声か」 お兄さんは、まりさからナイフを奪い取ると、まりさに突き刺す。 「ゆぎゃあああああああ!!!いたいいいいいいいいいいいいい!!!」 「おにいさん!ごめんなさい!たからものさん、こわしてごめんなさい!」 次女れいむは必死に謝る。 「鳴き声だろ、それも!うっせえんだよ、クソ饅頭!」 お兄さんのナイフが金ゲスたちに散々蹂躙されたまむまむを切り刻む。 「ゆああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 「饅頭が家族ごっこしてんじゃねえよ!!」 まむまむをグズグズに切り刻まれた。これでもう赤ちゃんを産むことは永遠に不可能になった。 そして、子れいむも潰された。 焼けるような、まむまむの痛みで思考することもままならない中、お兄さんの声がする。 「これでもう、おまえは永遠におちびちゃん(笑)と暮らせないな」 次女れいむは、涙を流す。痛みが原因では無い涙を。 そして、外へ放り出される。 「一生後悔して、苦しんで生きろ」 「れいむううううううううううううううううううううううう!!!!!」 断末魔の声をあげながら、まりさも潰された。 幸せだったはずの”美しきゆっくりプレイス”で見た最後の光景と、お兄さんの声がこれだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 鬼意山は、愛であきに頼まれて、ある場所に来ていた。 金ゲスどもの子ゆがゆっくりスクールを卒業して、金バッチを獲得したそうだ。 それで、そいつを引き取り、金ゲスの預け先に届けに来たというわけだ。 (まったく、面倒くせえ) 預け先の奴が外出の用事が出来た為、俺が行くはめになってしまった。 そいつに金ゲスのガキを渡す。 なんだか興奮していたようだったが、俺にはどうでもいい。 そのとき、「ゆ…、ゆ…」と声がする。 野良か? 潰そうと思い近づくと、リボンに見覚えのあるバッチが。 2と書いてある。 「お前…、なんでこんなとこにいんの?てか、生きてたの?」 良く見ると、まむまむが潰れ、衰弱している。 「お、おにーさん…?おかーさんにあいたいようぅ…」 うわごとのように、次女れいむが呟く。 俺は、無造作に次女れいむを抱えると車に乗せる。 (なんか面白そうだし、連れて帰ろう) 次女れいむは、うつろな意識の中で銅れいむを思い出していた。 (おかーさん…。あいたいよ…、あいたいよ…) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ お兄さんは加工所で今も、精力的に働いている。 昔と違い、加工所での仕事にストレスは無い。 「先輩、やっぱりゆっくりの言葉は意味の無い鳴き声ですね」 お兄さんは思う。 加工所こそが、ゆっくりどもにふさわしい、美しきゆっくりプレイスだと。 第4作目終わり これからも続きます よろしくお願いします トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 金バッジがゲスと気付かれないのは猫被ってるから。(飼い主に気付かれないのは違和感あるが。) そして自分が助かりたいが為に、お兄さんの宝物を壊した元・野良まりさはバカ。 お兄さんも両者の話を訊かない点で、圧倒的バカ。 ・・・結論。作者の技量が足りてない。全ての行動や設定が都合良過ぎ。 子供向け絵本を書くように短編で技術を磨くべき。 -- 2018-02-12 11 01 16 このシリーズ最高です やっぱり糞饅頭は虐待されて当然ですよね! -- 2016-01-04 10 52 55 うーん、なんてゆうか文章の構成がへただな -- 2014-06-27 20 28 17 ゲス金バッチはいつ死ぬの? -- 2012-02-25 18 29 14 いやあこの金どもうまくやってるなあ…… むかつくだけで俺には合わないわ -- 2011-05-18 22 12 10 シリーズの最後に金ゲスを潰そうと思ってるんだろうけどさ そんなんでだらだらとシリーズを続けたって全く面白くねえから 出てくる人間が馬鹿過ぎるというか作者が馬鹿過ぎる -- 2011-03-08 12 19 36 作りたい話にするために、いきなり捻じ曲げるイベント作ってる感じだな ここを違和感なく話を運べるようになれば上手い書き手になるんだろうけど この話だと批判書かれてもしょうがないレベルの作り方だし まあ作者は次書く機会があればがんばれ -- 2010-11-26 03 11 41 次女れいむたちの怪我を見て何も思わなかったんだろうか。 ざまあとしか思わんな。 -- 2010-11-03 09 38 16 人間が頭悪すぎて気持ち悪いな… 次女れいむたちの怪我を見て何も思わなかったんだろうか。 まぁとりあえず、この似非金バッチ共に怒り心頭なのだが… こいつら愛でてるお兄さんいい加減にしろよと思うな。 人間にまで不幸を運ぶなよ -- 2010-10-20 09 00 37 人間はみんなバカなんです。お兄さんはわかりやすいバカ像に書かれているだけでしょう お兄さんの中ではゆっくりについての答えが既に出ていたんだと思います あの変わり身の早さ、思考停止っぷりは結論ありきだからだと思います 目の前にゆっくりが「悪」だという状況が転がっている。だがその状況に至るまでの過程は分からない しかし何故そんな状況になったのかを確かめない。それはその第一印象こそがお兄さんの望む結果だからではないでしょうか ゆっくりに同情しているのではなく仕事で罪悪感を感じないための免罪符が欲しかっただけでしょう 最初から職を賭する覚悟など無く、ただ自分が悪いことをしていないことを担保したかっただけ 状況を見ただけでは本当のことが分からないことなど人生の中でいくらでも遭遇します 本気で一家の本質を見極めるならば検証が必要でしょう。しかしそんなことはしていません この一家はお兄さんのオナニーに付き合わされただけに見えます 人間は基本的にバカな生き物なので、 自分がバカだと自覚してないと、自分に都合のよい情報にすぐ飛びついて思考停止してしまうんでしょう そんな風に感じました。 でも使用済みゴムかぶってるような汚物は私なら処分します -- 2010-09-06 19 41 13 うむむむ。 やはり加工所お兄さんがお馬鹿な印象はぬぐえない。 加工所お兄さんは、自分の人生の方向性を決める判断材料にするためにゆっくり達を飼育するとの記述がある。 人生の方向性を決定するための判断材料に対して、あの行動はあまりに短慮かつ短絡的なのではなかろうか。 『あの状況を見て金ゲスが悪玉だとは気付けないだろう』との意見もあるが、 仮に、飼いゆたちがゲス性を隠していたのだとするなら、お兄さんは「ゆっくりに騙された」ということになる。 実際、お兄さんはそのように判断してあの結末になってしまった。 最終的にお兄さんは「ゆっくりは度し難い愚かなモノ」と結論付けている。 なら何故、「金ゲスに騙されているかもしれない」との可能性は考慮しなかったのか? 金バッチに対する信頼?人間ですら聖職者による犯罪が起こっているのに、ゆっくり相手に金とはいえバッジを 取得している程度で全面的に信頼したのか?一種の権威主義だろうか。盲信的だ。 そのうえ「どうしてそうなったのか」を全く鑑みていない。 当事者の一方の意見しか聞いていないし、状況を精査もしていない。 他人から与えられた情報に盲目的に従っている。結論ありきの出来レース会議のような判断だ。 自分の人生において職を辞する覚悟さえしていたようなのに(大げさだな)その判断において、表面だけを見て、 なんら検証も考察もせずに第一印象のみによって即断するというのは短絡的・思考停止のそしりは免れない。 自分の人生に将来に関わることなのだ。思想を変えるほどのことなのだ。もっと慎重に判断すべきだったと思う。 ゆっくりの偽装工作や嘘を見抜くなど、ゆっくりが餡子脳生物なだけに簡単なのだから。 と、まぁ厳しく書いてみたが「その時は気が動転していたから仕方がないか」とも思ったよ。 でもその後、時間が経って冷静に考えられる状況になっても、何も考えてないみたいだね。 当時の状況を多角的に検証してみるとか、バッジ制度の信頼性を調べるとかした様子がまるで無い・・・ 思い込んだらまっしぐらか。 職業選択や自身の思想の問題だぞ?最初はスゴイ苦悩してたじゃないか・・・こんな考えなしで大丈夫か? お兄さんの将来が心配だ。特に結婚や女性問題などで破滅しそうだ。 -- 2010-08-25 12 46 12 ようは金ゲスが狡猾すぎるってこったな -- 2010-08-18 15 17 42 いや、良く読めよ この状況でどうやったら金がゲスって気付くんだよ 飼いゆ家族がやった様にしか見えんだろ 想像力の無いお兄さんのコメントばっかだな -- 2010-08-03 00 28 40 登場する人間が頭悪すぎて気持ち悪い。 人間の行動が、非論理的・思考停止・短絡・想像力の欠如・etc…とにかく低能すぎる。 このお兄さんは、ちゃんと小学校を卒業したのだろうか? -- 2010-06-30 00 35 56 ちょっと金取得緩くないか? こんなゲス試験で一発でばれないのかな -- 2010-06-26 23 02 51 ストレスマッハでえんけいだつもうヒャハー!!!! -- 2010-06-15 22 19 24 きんゲスはゆっくりできないんだねー。わかるよー。 -- 2010-05-18 20 39 29 人間が馬鹿すぎる -- 2010-05-09 23 50 52 話は面白いけどゲスガーディアンな馬鹿人間にストレスマッハ -- 2010-04-04 14 30 08 金そんなにゆるいの? -- 2010-03-17 23 13 19
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『愚かなれいむ』 6KB 自業自得 日常模様 越冬 野良ゆ 赤ゆ 都会 現代 もしかしたらネタがかぶっているかもしれません もう11月だ。 最近だんだん寒くなってきて、コートを引っ張り出してきたり、ストーブを出したり、冬が近づいてるな、と感じる。 世の受験生も頑張り時だろう。 今は堪える時期だ、頑張れよ、とエールを送りたい。 冬に向けて頑張り時なのは受験生だけではない。 この時期、野生のゆっくりたちは冬ごもりの準備に奔走する。 街に住む野良ゆっくりたちは冬ごもりはしないが、それでも冬はあまり外を駆け回りたくないのか、本能的なものなのか、餌を集めておいておうちに籠もる。 食糧問題以前に冬の寒さはゆっくりに厳しい。 赤ゆっくりなどは暖かくしていなければ簡単に永遠にゆっくりしてしまう。 タオルなどのゴミ、所謂ふわふわさんをゆっくりたちは冬前、奪い合う。 生身ではとても寒さに耐えられないのだ。 野生のゆっくりは冬ごもりに失敗して数を大きく減らすが、野良ゆっくりも寒さに耐え切れず冬に数を減らす。 冬の寒さの中で凍えながら死んでいく。 「にんげんさん………!おねがいします……!かいゆっくりにしてください……!」 生粋の野良や、完全に野良に順応した捨てゆっくりたちはふわふわさんやおうちを確保出来る。 だが、野良に順応できない捨てゆっくりたちは冬への対策をなにもできない。 だから、捨てゆっくりたちは冬前に人間に嘆願する。 飼いゆっくりにしてください。 自分が間違っていました。 おちびちゃんだけでいいです。 このままじゃゆっくりできなくなっちゃうんです。 勿論、その嘆願を聞き入れる人間なんて、まず全くと言っていいほどいない。 「しゃぶいよぉ……ゆっくちしちゃいよぉ………」 「ゆ………しゅーりしゅーりしちぇあっちゃかくしゅりゅよ……」 「ゆぅぅ……おにゃかしゅいちゃよ……」 「おちびちゃん………ごめんね……ごめんね…だめなおかあさんでごめんね……」 俺だって別に飼ったりする気はない。 これからするのはただの暇潰しだ。 「おちびちゃんたち、おかあさんがすーりすーりしてあげるからこっちにきてね……」 「ゆ……」 「なぁ、おまえら」 「ゆ……?おにいさん…?もしかしてれいむたちをかってくれるの……?」 親れいむがなにか言ってるが、無視する。 「おまえら、元飼いゆっくりだな?」 「ゆ……そうだよ……、れいむがおちびちゃんをつくって……それで……」 「ちびたち、おまえら、あまあま食べたことあるか?」 「ゆ……あみゃあみゃしゃん……?」 「ゆぅ……ありゅよ……!おきゃあしゃんがとっちぇきちぇくりぇちゃよ!」 「ぴゃんにょみみしゃんはとっちぇみょゆっくちできちゃにぇ!くさしゃんよりじゅっとゆっくちできちゃにぇ!」 「ゆっ……おもいだしちゃよ!くきしゃんはしょれよりとっっっっちぇもゆっくちじぇきりゅあみゃあみゃしゃんだっちゃよ!」 赤ゆたちに向けて話しかける。 赤ゆたちはあまあまの話になったら急に元気になってきた。 普段は草を食べているのだろう。 パンの耳なんかでもさぞ美味しかったんだろうな。 最初に食べた茎とパンの耳がこいつらの知ってるあまあまだ。 だがそんなのは本当のあまあまじゃない。 本当のあまあまはもっと甘くて美味しいんだ。 野良ゆっくりは自力ではあまあまを食べられない。 「これ食ってみな」 俺はポケットから個別包装のクッキーを取り出して、袋を破り赤ゆたちの前に置いた。 「ゆっ!!あみゃあみゃしゃんにょにおいがしゅるよ!」 「むーちゃむーちゃ……ちちちちちちちちあわちぇー!!!」 「ゆうううぅん!!おいちーちーでりゅよ!!」 「ゆ……!おにいさん、ありがとうございます……!」 赤ゆたちはあまあまを食べて元気になったのか、さっきあまあまの話をしていた時よりもましてはしゃいでいる。 「そのあまあま、うまいか?」 「ゆっ!とっちぇもゆっくちできりゅよ!おにいしゃんゆっくちありがちょー!」 「「ゆっくちありがちょー!」」 「そのあまあまな、本当ならおまえら毎日食べられるんだぞ」 「「「ゆゆ!?」」」 そう、こいつらは本当なら毎日あまあまを食べることが出来たはずだ。 それだけではなく、寒さに震えることもなく、命も危険もなく、存分にゆっくり出来たはずだ。 そのゆっくりを奪ったのは 「おまえらのおかあさんだよ」 「「「ゆ?」」」 「本当ならおまえらは、あまあま食べ放題で、命の危険もなく、暑さに喘ぐことも寒さに震えることもないゆっくりプレイスで好きなだけゆっくりできたはずなんだ」 「「「ゆぅ?」」」 「ゆぐ……ごめんね……ごめんね……だめなおがあざんでごべんね……」 「おきゃあしゃんどうちたにょ?」 「なかにゃいでにぇ!ぺーりょぺーりょ!」 「れいみゅたちにゃんにみょおこっちぇにゃいよ?あやまりゃにゃいでにぇ」 親れいむは俺がなにを言ってるか気付いた様だ。 赤ゆたちに謝りながら泣いている。 当の赤ゆたちは俺の言葉の意味がわかっていない。 泣いている親れいむを慰めようと頑張っている。 善良な家族なんだろう。 仲良く助け合って来たんだろう。 今度は親れいむに話しかける。 「親思いでいいおちびちゃんだな、れいむ。こんなにお前のことを心配してくれてる。親であるお前のことを本当に大好きなんだろうなあ?どうだ、ちびたち、そうだろ?」 「ゆっ!しょうだよ!れいみゅ、おきゃあしゃんにょこちょだーいしゅきだよ!」 「ゆぐっ………」 「おきゃあしゃんはれいみゅちゃちを"とっちぇもゆっくち"させちぇくれりゅんだよ!」 「ッ!……ごべ…ゆぐっ……」 「おきゃあしゃん、いちゅもありがちょう!!」 「ごべっ……ゆぐ……ごべんでっ……でいむがっ………おがあざんでっ…ゆぐ………ごべんでっ………ばかなおかあざんで………ごべんでっ……ぐうううぅぅうう!!」 赤ゆたちの愛情も親れいむにとっては、心を突き刺す針だ。 謝罪の言葉を呟きながら、泣いている。 この家族は多分この冬で死ぬだろう。 人間に何かを要求するのは捨てられてすぐの元飼いゆっくりか、切羽詰まった野良ゆっくりだけだ。 こいつらの見た目は捨てられてすぐの元飼いゆっくりって感じじゃない。 多分、おうちもふわふわさんも用意できてない。 まず、寒さで死ぬだろう。 「れいむ、こんなにいいおちびちゃんたちだ、沢山沢山ゆっくりさせてあげて、立派に育ててあげるんだぞ」 「れいみゅ、りっぱにゃゆっくちににゃるよ!!」 「れいみゅも!!れいみゅ!!しょれでおきゃあしゃんみちゃいにおちびちゃんをゆっくちさせちぇあげりゅよ!!」 「まりしゃはりっぱにゃかりうどになっちぇ、おきゃあしゃんをゆっくちさせちぇあげりゅよ!!」 「ぐうううぅぅうう!!!ぐうううぅぅううううい!!!ゆぐっ…!!ゆぅぅぅ…!ゆうううぅうう!!!」 親れいむはもはや唸る様に泣いている。 親れいむは理解しているんだろう。 このままでは自分たちは死ぬ。 おちびちゃんたちは野良の辛い生活でのほんの小さなゆっくりしか味わえず死ぬ。 大きくはなれない。 立派なゆっくりにはなれない。 なぜなら、寒さの中でゆっくりできなくなって死ぬから。 どうして。 親れいむは理解しているんだろう。 すべて自分が飼い主との約束を破ったからだと。 自分が約束を守っていれば、いずれ飼い主が子作りを許してくれたかもしれない。 そうしたらおちびちゃんたちは、ゆっくり生まれ、ゆっくり暮らし、ゆっくり育ち、好きなだけゆっくりできたはずだ。 すべては愚かな親れいむの所為だ。 「ごべんだざい……ごべんだざい……ごべんだざい……ごべんで……ごべんで……ほんどうにごべんで……ごべんだざい……ごべんで……ごべんだざい……ほんどうにごべんだざい………」 親れいむは謝ることしかできない。
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『れいむは話を聞かない』 5KB 小ネタ 自業自得 日常模様 野良ゆ 現代 作、長月 感謝のSS書き第2弾 ※俺設定注意 ※作、長月です れいむは話を聞かない それは夕方のこと。 道を歩いていたら一匹の野良れいむが俺の前にやってきた。 「おねがいしますぅうううう!!!!おちびちゃんをにんげんさんのかいゆっくりにしてくださぃいいいい!!!」 必死に土下座するように顔をこすり付けて頼み込むれいむ。その目からは滝のごとく涙が流れている。 おちびちゃんというのはおそらく数メートル後ろの電柱のそばにいる子ゆっくりのれいむとまりさのことだろう。 2匹ともぐったりした様子で肩を寄せ合うようにして電柱の影で寒さに震えている。 「あ・・・」 俺はあることに気づいた。 「なぁれいむ、ひとついいか?」 「おねがいしますぅうううう!!!!!このこたちはれいむのきぼうなんですぅううううう!!!」 駄目だこいつ。全く人の話聞いてねぇ・・・ 「れいぶはのらのまりさとすっきりしておうちをおいだされちゃったんです!!れいむなんどもあやまったんだけど、おにいさんゆるしてくれなくてぇえええ!!!」 しかも自分の身の上話始めやがった。誰も聞いちゃいないのに。 なんとか同情を引きたいのは分かるが野良ゆっくりとすっきりして捨てられたって悪いのはお前だろうが。 そんな主人との約束も守れないようなアホゆの子供、飼ってもらえると本気で思っているのかこいつは。 「アーホーアーホー」 空を飛ぶカラスもそんなれいむを小馬鹿にするように鳴いている。俺も全く同意見だ。 「いや、だからなれいむ・・・」 「いまはふゆさんだかられいむたちぜんぜんゆっくりできないんですぅう!!!おうちをつくってもにんげんさんにこわされちゃうし、かりにいったまりさもかえってこなくてぇええ!!れいむはひっしでおちびちゃんのためになれないかりを・・・」 俺の話など完全無視。野良のしんぐるまざーとして子供を育てる苦労を長々と話し始めた。死ぬ程どうでもいいのだが。 正直うざい。そしてうるさい。 ここまでうざくてうるさいと加工所に通報されないか心配になるレベルだ。 「なぁれいむ。そのおちびちゃんのことなんだがな。」 「えっ!!かってもらえるんですか!!!ありがとうございますぅううう!!!」 どういうわけか俺が子れいむ達を飼うと思いこむれいむ。誰もそんなこと言ってないのに恐ろしく自分に都合のいい餡子脳だなこいつ。 一銭にもならない100万ドルの笑顔をこちらに向けるれいむ。そんな顔されても俺の住んでるアパートはペット禁止なんだが。 「おちびちゃんはとってもいいこでこのまえもよつばのくろーばーさんをれいむにさがしてきて『みゃみゃがしあわしぇになりますように』っていってくれたり・・・」 今度は自分と子供達との思い出話を語り始めた。やたらご満悦な顔でそんな話されても反応に困るしなんかむかつく。 そもそもなんで俺が飼う事決定みたいな雰囲気になってんだ? 「悪いけど俺のアパートではゆっくりは飼えないよ。」 「ゆ!!?」 正直にその旨を伝える俺。なぜかれいむが俺に裏切られたような顔をしてるが飼えない物は飼えない。 「そうじゃなくて俺が言いたいのは・・」 「・・・どぼじでぇ!!!どぼじでにんげんさんはみんなそうなのぉおおおお!!!」 笑ったかと思ったら今度は怒り出した。こいつめちゃくちゃ情緒不安定だな。 というか俺、野良ゆ相手になにやってんだろう・・・無視して素通りすれば良かった。 「にんげんさんはいつもそうだよ!!みがってなりゆうでれいむをすてて!!!のらになったらおうちをこわしてゆっくりできなくしてぇええええ!!そのうえかってくれるなんてうそつくのぉおおお!!どうしてそんなにゆっくりしてないの!!どうしてのんなにじぶんのことしかかんがえないの!!!てめえのちはなにいろなのぉおおおお!!!」 そんな俺の思いなど知らずまるでパンクロッカーのように咆え続けるれいむ。そんなこと唯の大学生に過ぎない俺に言われてもどうしようもないんだが。 それにしても人の話も聞かず自分の要求押し付けて、断られたら逆切れって・・・こいつ本当に救いようがないな。 大体身勝手な理由で捨てるってお前の場合勝手に野良とすっきりしたんだから100%自業自得だろうが。 後、飼ってやるなんて一言も言ってない。勝手に自分の妄想を既成事実にするなよ、まったく。 まぁ、いい。さっさと用件だけ言ってとっとと帰ろう。 「あのな、れいむ。実はな・・・」 「なんなのぉおおおお!!!いいたいことがあるならはっきりいったら!!!」 「いや、だからな・・・さっきからお前のおちびちゃんカラスに襲われてるぞ。助けなくていいのか?」 「・・・ゆ・・・・?」 振り返るれいむ。そこにいたのは 「ゆんやぁあああああああ!!!れいむのおちびちゃんがぁあああああ!!!」 カラスについばまれ最早原型をとどめていない子供達の姿だった。 「どぼじでぇえええええ!!!どぼじでなのぉおおおおお!!!!」 ピクピクと痙攣する我が子を前に絶叫するれいむ。 「ゆ・・・ゆ・・・」 子ゆっくり達はすでに中枢餡が露出するほどついばまれている。どう見ても手遅れだ。 「どうしても何も・・・お前がベラベラとどうでもいい話してる間にカラスが来たんだよ。」 「どぼじでおじえでくでなかったのぉおおお!!!」 「教えようとするたびにお前がワァワァ喚いてたんだろが。お前のおちびちゃん達、残り少ない体力ふりしぼって『たすけて・・おきゃーしゃんたすけて・・』ってお前に助けを求めていたのにお前全然気づいてないし。」 「ぞんなぁあ・・・・ごべんねぇえええおちびちゃん!!ごべんねぇえええええ!!!」 さっきの3割増しの大声で泣き喚くれいむ。あれだけ喚いてよく声が枯れないものだと不思議に思う。 それにしても教えてやるべきなのだろうか。あの電柱に隠れている奴のことを。 「ごべんねぇえええええ!!!!たずげであげられなぐでごべんねぇえええええ!!!」 まぁ教えても無駄だろう。どうせこいつ話を聞かないだろうし。 寒いことだしもうと帰るとするか。 「ヒャッハァアアアア!!!れいむは虐待だぁアアアア!!!!!」 「ゆんやぁあああああ!!!!ゆっくりできなぁあいいいいい!!!!」 背後からモヒカンお兄さんの雄叫びとれいむのこの上なくゆっくりできない叫びが聞こえた。 後書き 感謝のSS書き第2弾。話聞かないで自爆する奴って人間でもいますよね・・・ ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。
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〜ゆっくり達の生涯『冬篭り編』(エピローグ)〜 季節は春、幻想郷に降り積もった雪は溶けて木々は芽吹き、そしてゆっくりが長い越冬生活を終えて巣穴から顔を出す。 「だいぶ暖かくなってきたな、やっと森に素材を取りにいけるぜ。」 ここは魔法の森にある霧雨魔法店、店から外へ出た魔理沙は春の陽気全身に浴び気持ちよさそうにしている。 「お、そうだ春になったしあいつらの様子を見ておかないとな。」 魔理沙は店のすぐそばにある木の洞の前までやってきた。 魔理沙の足音に気付いたのか洞の中から1匹の丸い物体が顔を出す。 「ゆゆ! おねえさんひさしぶりだね! ゆっくりしていってね! 」 元気のいい挨拶をするのはゆっくりまりさである。 (ふぅ、よかったよかった。私の大切な饅頭供給源は無事生きてるな。) 「よぉ、久しぶりだな。元気にしてたか?なんか洞の中が騒がしいがどうしたんだ?」 「ゆゆ〜♪、あ、あのね、まりさにかぞくができたんだよ! 」 まりさが恥ずかしそうに告白すると洞の中からもう1匹ゆっくりが顔を見せる。 「ゆゆ?まりさ、このおねえさんはだれなのぜ?」 現れたのは“だぜまりさ”であった。 だぜまりさは目の前の魔理沙を少し警戒しながらパートナーのまりさに尋ねる。 「ゆゆ! まりさ、このおねえさんはとってもゆっくりできるひとだよ! このおうちもおねえさんがくれたんだよ! 」 まりさの言葉を聞き、だぜまりさはすぐに警戒を解き満面の笑顔を作る。 「ゆゆ! そうなのぜ!?おねえさんゆっくりしていくんだぜ! 」 (まりさ種同士がつがいになるなんて結構珍しいな。) 「そうだまりさ! かわいいおちびちゃんたちをおねえさんにみせてあげようよ! 」 「めいあんなんだぜまりさ! きっとおねえさんもゆっくりできるんだぜ! でてきていいだぜおちびちゃんたち! 」 (数を確認するのに丁度いいな。) だぜまりさの言葉を聞いたプチ達は続々と洞の中から飛び出てくる。 ちなみに、まりさ種とまりさ種から生まれたので同然プチ達は皆まりさ種である。 「ゆっくりちていってね! 」 「ゆっくりちていってね! 」 「ゆっくりちていってね! 」 続々とお決まりのセリフを赤ちゃん言葉で発しながらプチまりさが洞の外へ飛び出してくる。 「そうだおねえさん。まりさたちのおちびちゃんのなかにひとりとってもゆっくりできるこがうまれたんだよ! 」 「ゆゆ! そうなんだぜ! ほかのおちびちゃんとちがうけどとってもゆっくりできるおちびちゃんなんだぜ! 」 (なんだ?取替え子でも生まれたのか。) 魔理沙が?マークを浮かべていると洞の奥から最後のプチまりさが外へ勢いよく飛び出てきた。 そしてその姿を見るや否や魔理沙は凍りつく。 その変わったプチまりさの容姿、金髪のブロンドヘアの部分は他のプチまりさとは変わらない。 ただ・・・・・黄色のリボンと小さな月の飾りがついた紫色の帽子をかぶっていた。 「うふふふふふ、わたしま『マスタースパーーーク! ! ! 』」 ズドーン! 「「「「「「ゆっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」」」」」」 まりさ一家もろともうふふなまりさをマスタースパークで消し飛ばした。 「わ、わたしはなにもしらないんだぜ! な、なにもみてないんだぜ! 」 その後、魔理沙は何かに怯えるように5日間家の外へは出なかった。 ※補足 Q:魔理沙の取った行動の意味が分かりません。 A:誰にでも忘れたい過去はあるものです。これ以上触れるのは危険です。 〜ゆっくり達の生涯『冬篭り編』〜 END 作成者:ロウ 後書き ゆっくり達の生涯シリーズ第12弾「ゆっくり達の生涯『冬篭り編』」を最後までお読みいただきありがとうござい ます。 筆は遅いですがネタはたくさんあるのでゆっくりと書き続けたいと思います。