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まりさの誕生 4の続きです 春 今日も授業は続いている 今は歴史の時間だ、幻想郷の成立…は昨日やったから今は吸血鬼騒動の話だ その時あの変異まりさがいきなり立ち上がった(というより半分つぶれた恰好からしゃきんとした) 「みんな!!!いまこそゆっくりのときだよ!!!」 その瞬間、寺子屋を地震が襲ったような激しい震動 天井を突き破り、障子を突き破り、畳を突き破り、慧音のスカートの捲り、掛け軸の裏から壁を突き破り 変異まりさとほぼ同じ大きさのゆっくりまりさが教室に乱入した その数ゆうに10匹以上…! まりさたちは逃げ惑う子供たちを踏みつけ、口にくわえ、下でからめ取っていく 我に返った慧音が戦闘態勢をとった時にはほとんどの生徒がゆっくりにつかまり、迂闊に手が出せない状況だった 「くっ…まりさ!!これはどういう真似だ!!!」 「ゆっゆっゆっゆ…けーね、まりさはこのときをずっとまっていたんだよ!にんげんにふくしゅうするそのときを!!」 ゆっゆっゆっゆ…と10匹ものまりさが汚い笑い声をあげる 慧音の後ろに隠れていた二人の子供がおびえて慧音にしがみついた 人間に復讐?確かに初めてこのまりさがここに来た時はそんなことも言っていた だが人間には勝てないと悟り共存の道を探ろうとしていたんじゃないのか? くそ!何でこんな時に妹紅はあのニートと殺し合いなんてやっているんだ!! 「うごいちゃだめだよ、けーね、うごいたらこのこたち、ゆっくりできなくなるよ」 「「そこでゆっくりみていてね!!」」 子供が人質に取られては慧音には何もできない そんな慧音の心を知ってか知らずか、まりさのうちの一匹が踏みつけていた女の子の頭にかみついた 「なっ!!」 「い、いやぁぁ!!先生!!けーね先生!!助けて!!」 「やめろっ!!私はどうなってもいいから…子供達には手を出さないでくれ!!!」 まりさは一瞬で子供をほとんど丸呑みにしてしまった 膝から先だけは口からはみ出しており、その足が痙攣していることだけが少女がまだ生きていることを伝えた 「ぺーろぺーろゆっくりー!!」 時折足の痙攣が激しくなる、どうやら口の中で舐めまわしているらしい そしてついにその足まで口の中に消えてしまった 「あ、ああ…」 「これでゆっくりできるね!!」 「うん!ゆっくりー!!」 「き、貴様ぁ!!」 「い、いやだ!!僕は食べないで!!」 「助けて!先生助けて!!」 慧音は一気に飛び出そうとした 子供に怪我をさせてしまうかもしれない しかし今自分の目の前で人を食べたこいつらは何としても消さなければいけない しかし慧音の動きが止まった、さっき少女を食べたゆっくりがいきなり震えだしたのだ 「ゆっ、ゆぎゅう…ゆっゆっゆっゆっ…」 慧音と子供たちの間に笑顔が戻った、きっとスレ的にこのゆっくりの皮を突き破って食べられた少女が飛び出す そして笑顔でさっきまで自分が入っていたゆっくりの死骸を食べながら 「これおいしーよ!」 と、天使のような笑顔を慧音に向ける それからみんなで寺子屋大饅頭大会だ、ゲストで阿求を呼んでもいいかもしれない そんな慧音の機体は一瞬で裏切られた 「ゆっくりー!!」 「すっきりー!!」 なんとまりさの体からほとんど同じ大きさのまりさが飛び出してきたではないか!! その帽子や紙には食べられた少女の服の切れ端が付いている 「ゆゆっ、せんせー!みんなー!ゆっくりになるのってとってもゆっくりできてサイコーだよ!!」 「な、なんだって!?」 「これぞぜんゆっくりとぜんじんるいをすくうきゅうきょくのけいかく!!ぜんじんるいゆっくりけいかく!!」 「ゆっくりとにんげんのあらそいをなくすためににんげんをゆっくりにしようというけいかく!」 何が起こっているんだ!? 慧音の頭は混乱しっぱなしだった 全人類をゆっくりにする!?そんなバカな!!しかし今目の前にいるあのゆっくりはなんだ!? まさか本当にあのゆっくりがあの子だったというのか!? 「さあ!こうたくん!わたしがゆっくりにしてあげる!!」 「みんなもゆっくりになろうね!!」 ゆっくり達が一斉に子供たちを食べ始める 「いかん!!お前たち、逃げるんだ!!」 慧音は自分の後ろにいた二人に向って叫んだ 急いで寺子屋の外に向かって走る二つの背中、しかしそれは畳を突き破った二つの饅頭に呑まれて消えた そのあと、畳から4匹のゆっくりまりさが飛び出してきた 「あ、ああ…」 「さあ!あとはけーねひとりだよ!!」 「だいじょうぶだよせんせー!ゆっくりになっていっぱいゆっくりしようね!!」 「ぼくたちにまかせてね!せんせー!!」 「けーねせんせいのおっぱい、おっぱい…」 たくさんのゆっくりに囲まれる、しかし慧音は動けない ここで戦えば子どもたちも傷つけてしまう もうかれらは寺子屋の生徒ではないのに ゆっくりの舌が何本も伸びてくる 舌が体中を舐めまわしている 何匹かのゆっくりが発情している そして目の前に現れる一匹のゆっくり、それは最初にゆっくりになったあの少女だった 「や、やめてくれ…」 「せんせー、わたし(僕)(まりさ)のなかで」 「「「ゆっくりゆっくりになっていってね!!!」」」 「い、嫌だあぁぁぁぁ!!!!!」 毛布を蹴とばして飛び起きる ここまで怖い夢を見たのはたぶん生まれて初めてではないだろうか? ああ、なんて夢を見てしまったんだ しかもゆっくりになってしまうところまで見てしまった気がする 暗い暗い餡子の海で服を切り裂かれ、体の隅々まで舐めまわされ、あんこを浸みこまされる そして日出る国の天子のようにゆっくりから飛び出して… 忘れよう、この夢はなかったことにしよう まりさと生活をはじめて半年近くたった まりさは定期的に巣に戻っているらしい、最近森のゆっくり達が 「ゆっくり」「にんげん」各ゆっくり種の名前 をひらがなで読めるようになった事 まだ安定供給とまではいかないがなんとか農耕が軌道に乗り始めたこと そんなことを報告してくれた どうやらその森のゆっくりも知能はけた外れにいいらしい このまりさの慕うぱちゅりーの影響だろうか そういえば近頃子供たちがこのまりさを「ドスまりさ」と呼ぶようになった 理由を聞いてみたところ、ボウガンでゆっくり狩りをしている男が 「あの大きさじゃあドスまりさだな」 と話しているのを聞いたらしい まりさ自身もこの名前で呼ばれるのを気に行っているらしい これから慧音もドスまりさと呼ぶようになった ドスまりさは今日も定期報告のために森への道を走って行く 農作業をしているおじさんと挨拶してすれ違う (ゆっくりを虐めていたがみたいだが森のゆっくりじゃない屑だからスルー) 今回はありすに「名前」について教えよう それはゆっくりのゆっくりたるゆえんを破壊してしまうかもしれない でも、それでも人間は名前を使っている 森の仲間もきっと屑からの脱出をしてくれる 農作業はうまくいっただろうか? 進み具合によっては字が読めるゆっくりを連れて人里に行ってもいいかもしれない 人間のルール取得を兼ねて、お菓子屋さんで野菜とお菓子を交換してもらおう そこまで考えてドスまりさの動きが止まった おかしい、いつもならそろそろ見張りのゆっくりがいるはず ドスまりさはここをいいゆっくりの楽園とすると同時に屑なゆっくりから完全に隔離した 「ゆっくりふぉーとれす」 に改造しようとしていた もし外からの屑ゆっくりが入ってきたばあい、仲間との衝突は免れない 最悪発展途上中の仲間が屑になる そうなったらおしまいだ そのため、仲間の集落の付近に見張り用の巣と、その内部にほかの見張り巣につながるトンネルを掘らせた 3匹ひと組で見張りに当たり内部に侵入しようとした他のゆっくりには丁重にお引き取り願う そして集落の中心部からは見張り巣よりも外側まで続く脱出用トンネルも掘らせた 最悪の場合、ここから脱出したゆっくりが人里まで行き、自分に助けを求める 人間にあったときに「どすまりさにあわせてください!!!」と言えば大丈夫だと伝えておいた この脱出用トンネルは平時に外部からの侵入を防ぐため、開通寸前で工事をやめている 最終的には人里で見た「えあがん」とかいう道具をゆっくりで自作 見張り巣と、各防衛ラインとして掘った堀の内側に配備する これならゆっくりは殺せて人間は殺せない、いいゆっくりと人間が共存するに当たり、最適な武器になるはずだ だがこの武器の制作には自分も成功していない この計画が完成するのは自分が死んだ後だろうと思っていた ゆっくりふぉーとれすの中心部は地獄だった 巣穴はとことん埋められ、脱出用トンネルはあちこち陥没している ゆっくりせいてんとして慧音に書いてもらった人間のルールの本はびりびりに破かれている さらにみんなで収穫を楽しみにしていたはずの作物は根こそぎ取られ、代わりに原形をとどめていないゆっくりの死体が埋まっていた いったい何があったのだろうか? れみりゃの群れに襲われた? それはない、れみりゃに後れを取らないだけの知能をここのゆっくりは持っている じゃあゆふらんの群れ? その可能性も低い、だってみょんにはみょんによく似た人間を参考に木の棒の装備を義務付けた 敵に突き刺すことしかできないがれみりゃやふらん程度なら撃退できるはず 事実過去にも何度か撃退したという話を聞いていたじゃないか!! 「…」 その時畑の中の死体が動いた いや死体じゃない、まだ生きている 「どぉし゛た゛の!?どおじでごん゛なごとにな゛っ゛た゛の゛ぉ゛お゛!!」 そのゆっくりはぱちゅリーの後を継いだあのありすだった 「ま、まりさ…きてくれたんだね…でもすこし…ゆっくりしすぎだよぉ…」 ゆっくりしたことに文句を言うありす しかしその顔は怒っていない、死ぬ前に友達に会えたことを喜ぶ、とてもゆっくりした顔だった アリスの話によるとこうだ 見張り巣のローテーションは三日ごとに交代だった だが、三日たって交代のゆっくり達が見張り巣に向かったがどのゆっくりも見張り巣から帰ってこなかった なにかあったのだろうか、緊急事態だろうか 今すぐ見張り巣に誰かを向かわせるか それともふぉーとれす最強の「みょん・あさると・ちーむ」(以下MAT)の出動を要請するべきか その会議のために集落のゆっくりが集まったところで異変が起きた ツタと竹を組み合わせた罠が大きな音をたてた、侵入者だ 音が鳴りやまない、数が多い ついにツタが切れてしまったのか竹が地面に落ちた すぐに大人ゆっくりとみょん・あさると・ちーむがその方向に向かう 彼らが見たのはゆっくりの地獄だった 視界を埋めつくさんばかりの発情したゆっくりありす、それが草木をかき分けながらこっちに向かってくる 先頭集団が最終防衛ラインの堀に落ちた、この里のゆっくり以外なら上る方法も渡る方法も判らない そのはずなのにありすは止まらない 敵は堀に落ちた仲間を踏み台にしてこっちに迫っているのだ えらいことになってしまったとMATのリーダーは思った このみょんは木の棒で今まで4匹のれみりゃと2匹のふらんを葬った 木の棒でれみりゃに突撃し、自分が傷つくことなく木の棒で敵をえぐり、引き抜く そんな芸当のできるみょんすらをも恐怖させるありすの群れはすぐ目前まで迫っていた 「ちんっぽー!!ぜんいんとつげきー!!」 戦いの火ぶたは切って落とされた むしろ集団レイプといった方が正しかったのかもしれない 「ゆゆ!!れいむはみぎにいくよ!!みんなゆっくりがんばってね!!」 「まりさはひだりだね!!」 「ちぇんはみょんのうしろだね、わかるよー!!」 これはたいれみりゃ用戦術 MATが正面から突撃し、他の普通部隊はれみりゃが逃げないように左右をふさぐ ちぇんはMATの後方に位置し、MATを突破してれみりゃをせん滅する いままでこの方法でれみりゃに勝ってきた だがてきはありすだ、しかも数までこちらが不利 「ちんぽー!むげんえいこうつきー!!」 みょんが木の棒をくわえたままありすに体当たりする ありす三匹が串刺しになったがみょんもまた、離脱のタイミングを逃し串刺しになった そのみょんの死体を犯しながらありすが突き進む MATは接敵から30秒で全滅した 味方の怒声が中心部まで聞こえてきた どうやら敵の方が優勢らしい 「ゆっ!こうなったらわたしがしゅつげきするわ!!」 ありすが予備の部隊をひきつれて援軍に向かった 一方的だった 大人のゆっくりは全員犯され朽ち果てるか重傷を負った 敵はまりさをリーダーとするゆっくりの群れだった いろんな種が混じっていたが異常なのは通常群れにいることが少ないアリスが1000匹近くいたことだ そのありすもほとんどが敵のゆっくりに食われ今、敵の群れの規模は100匹近くになっている 生き残り、虐待され、ありすに侵されながらもありすはこの群れは心底屑だと思った その後敵の群れはフォートレスの生き残りを全滅させ 野菜が生えてこないことに腹を立て、死体を畑に埋めていずこかへ去っていったという ありすは言った 「きっと…だれかがここのことをあのまりさにおしえたのよ…」 だれだ、こんなことをした屑中の屑は、旅ゆっくりだろうか? たしかに数世代掛けて幻想今日中を回り歩く旅ゆっくりという変わり者はいる だが彼らには他の群れの情報は教えないというルールがあったはずだ 「まりさ…おねがい…ありすの…ありすのこ…」 そこまで言って、ありすは力尽きた どすまりさはついにゆっくりのなかままで失ってしまった 途方にくれながら人里に向かう 帰ろう、そして慧音に頼んで野生のゆっくりを皆殺しにしてもらおう そんなことを考えながら、ドスまりさは寺子屋に向かっていった そのころ寺子屋の生徒二人がドスまりさの悪口を言いながら橋を渡っていた 冬の雪崩で落ちてしまい、急遽かけたその場しのぎのものであるため子供は近づいてはいけないといわれていた 「いまごろどすまりさのやつどうしてるかな?」 「きっと「どおじでごん゛なごとにな゛っ゛た゛の゛ぉ゛お゛」とか言ってるよ」 「大体生意気なんだよあいつ、饅頭のくせに俺たちより頭がいいなんて」 そう、彼らがほかのゆっくりに 「あの森は最高のゆっくりぷれいすだ」 と吹き込んでいたのだ それがただのゆっくりだったら問題はなかっただろう たいてい無視するか、忘れるか、もし衝突してもふぉーとれす陥落という事態にはならなかったはずだ だが、その時情報を聞いたのはあの群れの中の一匹だった その群れはありすを道具にすることを思いついたまりさをリーダーとしていた 他のゆっくりの集落をアリスに襲わせ、奪い取る、増えすぎたアリスは間引きし、群れの仲間の餌にする そしてその集落周辺のえさを貪り尽くし、枯渇させ、次の集落へ向かう その群れはまず見張り巣のゆっくりを襲った 一匹の見張りから10匹以上の子供を産ませ、アリス種以外はありすの餌になった その結果集落本体を襲う時に1000匹単位のありすの大群になってしまったのだ ドスまりさは里に向かう途中、そんな二人組の子供を見つけた 声をかけようと近づく、その時二人のいた橋がミシリと音をたてた このままでは崩れる、でもあの二人は気付いていない はしれ、ドスまりさ これいじょう仲間を失うわけにはいかない いまは慧音と寺子屋の子供たちだけが仲間なのだから 「ゆっくりだめえぇぇぇぇ!!!」 バチーン!!という派手な音がして子供二人が吹っ飛ぶ 手加減したため、腰を強く打ったかもしれないが二人は無事だ その直後、橋が崩れた よかった…ドスまりさは安堵した だが、その光景を猟師が見ていた、それに気づいた子供たちがにやりと笑うと嘘泣きしながら駈け出した 「助けておじさん!!あのドスまりさに殺される!!」 ドスまりさは里の広場に連れて行かれ、村人たちに農具で叩かれていた 自分は悪いことはしていない、そう言いたかったが口をふさがれていたため声が出ない そして抵抗もしない、人間には勝てないからだ ドスまりさの視界の隅で寺子屋の子供たちが泣いていた、そしてそれを慧音がなだめていた 視界の中央では自分が助けた二人組が自分に石をぶつけていた 慧音と目があった、慧音は泣いていた それを見て、慧音は自分を信じていてくれていることに気づく (ありがとう、けいね、おかげでゆっくりできるよ) 慧音が里にいる限り、いつの日か人とゆっくりが一緒にゆっくりできるだろう (おとうさん、おかあさん、ふたりはくずだったけど、ふたりがいたからここまでおおきくなれたよ) あの両親が自らを犠牲にしなければ今ここに自分はいなかった (ぱちゅりー、こんどはまりさがまもってあげるからね) そしてあのぱちゅりーがいなければじぶんはどうなっていたか (でもおねえちゃんたち、おまえたちはゆっくりしね) ドスまりさは最期まであの姉たちの愚行を許せなかった 「おはようございます、黒く正しいきめぇ丸でございます」 「ああ、おはよう…やはり一面記事はこれか」 「まったく、がっかりですよあのゆっくりだけは私と対等のまともなゆっくりだと思ったのに」 それは誤解だと目の前で高速ステップを踏むきめぇ丸に言いたかったがやめた どうせ今行っても無駄なことだ きめぇ丸は残像を残しながら、唯一のゆっくりの友人の死を悼みながら新聞を配り続けた ありすの子供が脱出用トンネルから抜け出した その子孫が真のゆっくりフォートレスを作り出すのは博麗の巫女が4代代替わりした頃である むろん、それまでゆっくりが生存していればであるが 番外編へ? あとがき 遂に完結しました なんかどんどんカオスになっていって最後異様に長くなったけど許してね!!! ドスまりさの最期 5 7月28日 2129 セイン このSSに感想を付ける
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市民のための自由なラジオLIGHT UP!第41回、今回は女優の木内みどりさんの司会で放送されました。木内みどりの指さし確認です。木内さんから2017年の新年のあいさつがあり、2017年をどんな年にするのか、2017年最初の放送を、自由な隅田川スタジオからです。 今回のゲストは映画監督のリンダ・ホークランドさん(http //lhoaglund.com/ )です。アメリカ人の宣教師の娘として日本で生まれて、戦争について語られます。 前半のお話、ホーグランドさんのことは私も初めて知り、黒髪ではないのですが、パスポートはアメリカ、生まれは京都、育ちは山口、愛媛・松山、両親はアメリカ人、スウェーデン系とドイツ系の親、両親の決意で、中学まで日本の学校に通い、木内さん、目の前の方が日本人でないというのは信じられないと言われて、ホークランドさんは三姉妹、HPには母とともに映るのに、ホーグランドさん、子供の時にデパートで迷子になるなど、変わった女の子であり、小さいころから感性もあり、当時は外人だと言われて、いじめはあったものの、記憶になく、一番嫌な記憶は、映画にした、小学校で広島の原爆投下を教わり、クラスでアメリカ人はホーグランドさん一人、真珠湾攻撃、南京大虐殺もあるのに、先生も紹介しきれず、親も学校で出ると教えず、ホーグランドさんの母国の戦争犯罪、いつもリンダちゃんと言われるのに、アメリカの原爆投下の授業で、自分に責任はなくとも、後ろめたく、家では両親と英語、学校では伊予弁、神戸のインターナショナルスクール→イエール大に学び、両親も信念があり、そこからホーグランドさん、フジテレビのニューヨーク支局に入り、映像を作りたく、大学で日本語を、ホーグランドさんほど話せず、大学で文学も学んだ。 リンダさんの映画、「特攻」言うまでもなく自殺行為を若者がさせられて、生き残りにインタビューしたのがこの映画で、当時80,90歳の元特攻隊の方も、インタビュアーがリンダさんなので自然に話すもの、日本の男性のインタビュアーと異なり、特攻はリンダさんの企画ではなく、日本人の女性の企画、叔父が特攻隊員でも敗戦まで生き残り、その後20数年後に病気で亡くなり、9・11の後、特攻=テロリストと見なされて、その矢先に、叔父はテロリストではなかったと思い、元特攻隊員たちは孫に教える、そして80歳で、そろそろ本当のことを言っていいとなり、特攻、TOKKOを撮られた。 安保、ANPOも、美術映画かと木内さん言われて、リンダさん60年安保も知らず、60年安保の写真を撮られた浜谷さんのものを知り、60年安保を調べ始めて、中村さんと言う画家のことを日曜美術館で知り、未だに継続する、米軍基地への抵抗、第3次世界大戦の恐怖、作品は美術館の倉庫に眠るので、主観的な60年安保のことを、ナレーションなしでやり、リンダさんは客観性を信じない、客観的というものは、カメラを置く場所で、また人間により立場は異なり、客観的なものより、主観を頼り、主観で表現したいとリンダさん言われて、固定概念で安保闘争、広島、特攻というのではなく、自分の感性で取り上げて、独特なやり方で映画を続けておられるのです。 LIGHT UP!ジャーナルは、今週は作家の落合恵子さんのお話でした。求めに応じて日本中を飛び回り、デモにも参加される落合さんのお話でした。落合さん、電話で出て欲しいとリクエストに応じられてのものであり、2017年も自由なラジオに落合さん、自由なラジオの自由な場面、深呼吸をしたいと言われました。 木内さん、落合さんの本を読まれて深く、スプーン1杯の幸せで多くの読者を得て、しかしトラック100杯の怒り、原発の問題など、2016年にさらに深刻になり、木内さん、落合さんは自分しかできない講演などをされていると言われて、落合さん、週末も講演をされて、落合さんはタフで、誰かと会うと刺激を受けて、学ぶことになるというのです。 集会、イベントに参加される人もあるが、そうでない人たちにも訴えたく、東京で野音でのイベントでも、同じ思いを抱いているが、そこに参加していない人たちに有効な言葉を伝えられているか、これは課題で、今入口で足踏みしている人や、入口に遠い人にどう訴えるか、なのです。 落合さん、1967年に文化放送に入社されて、当時の放送協会は男社会、女子アナという言葉もなく、1968年の入社2年目に、5月3日に憲法前文と9条を読んでおられて、夜中の3時からの走れ歌謡曲、ゲストを招いての2時間番組、どうやって構成するか、憲法記念日で、単純に憲法を、夜中の3時で誰も聞いていないのでやれて、当時はさらりとやれて、落合さんがメディアに就職した時代は、60年安保、70年安保でも、学生時代ノンポリでも、否応なく考えざるを得ない時代であり、落合さんは68年から憲法を読み、3・11の前から原発に批判で、高木仁三郎さんの協力も得て、クレヨンハウスでのやってもらい、スリーマイルから原発は危ないと思い、しかし理系の知識が必要で、高木さんに協力してもらい、そして、2011・3.・11、この間自分は何をしていたかとして、そして原発に反対、木内さんは3・11で初めて核の危険性を知ったものの、落合さんは先駆者と言われて、落合さんはいつもやさしいと言われて、落合さん、何を始めるのにも遅すぎることはない、女性差別でも、市民運動で新しく入ってくる人にウエルカムでないといけないと言われて、2017年も大変ではあるが、木内さんも、落合さんも努力すると、締めくくられました。 木内さん、自由なラジオは胃薬ラジオと言う人もいて、むかむかする番組だらけの中で、貴重であり、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。ここで音楽、皆さん初めて聴く、風変わりな曲、木内さん、30、35年前に風変わりなカフェで聞かれて、一瞬にして心を奪われた曲、後日カフェバーで曲名を知った、コクトゥトゥイーンズ、イギリスとスコットランドの混成バンド、トレジャーという84年のアルバム、ギリシャ神話から取ったタイトルによる曲で、IVO、アイボ、不思議な曲で、英語ではなく、メロディーに合わせて音を発するものです(これはyou tubeにはありませんでした)。 リンダさん、広島をテーマにした映画を2003年に発表、2008年に石内みやこさんの写真、2005年にヴェネツィアで注目された方のビエンナーレで出した作品で、注目、広島の、原爆資料館を写真にして、原爆の被害の写真を撮り、安保という映画にも、10代に横須賀にいて、米兵に脅かされて、賞を取った女性、その写真を見て、リンダさん、広島の現実を否定したいアメリカ人にも説得力があると思い、原爆で一瞬にして死んだ人のことがわかり、福島の方も、地震・津波の前はおしゃれをして、広島の方もおしゃれをしたかった、この写真展が、バンクーバーで行われて、石内さんの創作過程もとらえて、映画の主役は写真、これを海外に見せて、写真に魂を見るもので、戦争でつらかったことを、伝えたく、そういう映画にした。 バンクーバーの展示で、広島から修学旅行の高校生も来て、広島のものを見るためではないのに、これは記念写真になり、違う表情、原爆で亡くなった少女たちの思いを伝えることになった。 リンダさんの最新作、寄贈、日本で英語の教材として出されて、動物と、鶴の恩返しであり、木内さんも観られて、ワンフレーズも持って行かれるもので、鶴の恩返し、世界で傷を負った動物たちを癒すつもりが、人間が癒されるものであり、メインはレスキューされた動物の聖地が多いのはアメリカ、走れなくなったサラブレッドの世話を、アメリカの刑務所でやり、どちらが救っているのか、また北海道の丹頂鶴、現れるはずのないキタキツネも、撮ってくれと言うように来て、英語の発音も絶妙で、英語の教材としても素晴らしく、リンダさん、ナレーションも見事と言われて、リンダさんの映画は潤沢な資金があるのではなく、しかし協力してくれる女優バネッサさんも、お金で買えない人も来て、録音時に、座る前に、アメリカ人は英語をマスターしていないとして、発音など修正して、こんなはしたない言葉は使ってはいけないと助言を受けて、リンダさんも、キングズ・イングリッシュ、シェークスピアを演じる女優で、世界一の監督とやり合った人であり、素晴らしいキャリア。 木内さん、英語と日本語のことを聞きたい、3・11の後、政府や原子力マフィアにひどい目に合わされて、そして国民はなぜ怒らないのか?日本の言語は、主語の後間をおいて述語、英語だと、主語の後述語、ああだからこうだからという間に日本語は変更されて、要するにそれでなあなあになると言われて、リンダさん、日本語では、メールでも主語を使わない、主語を使うと自己主張が強くなる、I→WEに変わるもの、日本語での、阿吽の呼吸でわかるものも、西洋には、ちゃんと説明しないとならず、木内さん、日本語は結論をいくらでも変えられて、悪用が可能、相手の態度を見て、態度を変えられるのが日本語だと言われて、誰も自分のやっていることに責任を取らず、福島の事故も誰も責任を取らず、廃炉に何十兆円もかかるのに、責任を取らず、東電の社長が、いつなにをやったか、検証すべき、アメリカだと公文書は公開されて、しかし日本だと戦争の責任を取らないと言われて、リンダさん、アメリカで疎かにされたのは奴隷制度、江戸時代と一致して、日本は植民地にされたくないので鎖国し、奴隷制度を巡り南北戦争、憲法に13条、罪を犯して刑を受けた人以外は奴隷として扱わない→黒人を逮捕してタダ働きさせることになり、アメリカで黒人が囚人の30%、アメリカの奴隷制度は形を変えて残り、リンチされる方も今いて、とんでもない歴史は暴かれず、アメリカ人も直視していない。 ジェームス・ボールドウィン、50~70年代のアメリカのインテリ、黒人の作家、ゲイで、キング牧師やマルコムXとも仲良しであり、自分が迫害されて、パリに逃げて、作家として鍛えて、フィクションを出して、アメリカで黒人解放運動に参加して、彼らの映像を使った作品もあり、私はニグロではないというもの、ニグロという存在、自分はニグロではない、白人がニグロであることを必要としているというもので、白人が抵抗する黒人を虐待して、今でもトランプ氏の側近が黒人を弾圧して、この8年、オバマ氏のことを快く思わない白人が、暴言を吐くトランプ氏に投票したのはそこに原因があり、どこの国も、自分の歴史を直視しない。 この、ニグロはアメリカの差別用語であり、ボールドウィンさんが50年前に書いた文章から、彼がアメリカの根底を知っていたから、このようなことが可能になり、映像も、アーカイブスを10年かけて使い、トーキングヘッドはなく、ボールドウィンさんのことを取り上げた、今一番の話題の映画なのです、以上、リンダ・ホーグランドさんのお話でした。 今週の自由なラジオ、2017年最初の放送、楽しい年にしたく、赦し合う、やさしい関係でやりたいと木内さん締めくくられました、以上、今週の自由なラジオでした。
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C G 君の体中からゆげ出てる Am G 随分遠くへ来たよね C G それがLOVEという名の妄想でも Am G 時に世界は輝く F G7 C 民間人の皆さん ありがとう F G7 C C7 僕はここにいるよ F G7 C 民間人の皆さん ありがとう F G7 C 僕は僕で行くよ 名前 コメント
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『わたしはまりさ』 81KB 愛で いじめ 考証 思いやり 愛情 不運 差別・格差 日常模様 育児 越冬 番い 群れ 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 希少種 自然界 現代 愛護人間 創作亜種 独自設定 50作目。自分で言うのも何ですが力作です。 <誕生編> 季節は初春。山菜に舌鼓を打つ野生動物がワラワラと現れ始めます。 そんな山すそに広がる深い森の奥に小さなゆっくりの群れがありました。 そのゆっくりの群れは不思議なことに人間や野生動物が入ってこない絶好のゆっくりぷれいすなのです。 和気藹々と春の訪れを喜び合うゆっくり達。 とある二匹のカップルは枯れ草の上で皆に聞こえるように大きな声を上げました。 「すっきりーするよ!!!」 冬を乗り越えて子作りの時期になった群れの若い衆が一斉に交尾をするのです。 去年カップルになった若いまりさとれいむもご多分に漏れずすっきりしようとしています。 木の股の間を掘って作った我が家で二匹は互いの頬を擦り合います。 「すーりすーり」 「すーりすーり」 すーりすーりは元は親が子に対して、スキンシップとして行うことから始まりました。 そもそも、ゆっくりというのは動く首だけの生物ということもありコミュニケーションの方法が限られています。 そこで、感度の高い頬を重ね合わせることで快感を得ようとする試みが性交の快楽へと結びつきました。 更にはぺにぺにやまむまむを使う性交とは別に受胎型のデメリットを克服するために、 早産の植物妊娠をするすーりすーりが野生のゆっくりにおいて行われることが多くなったのです。 「すっきりー!」 ナメクジの交尾に近いといってもよいでしょう。頬から出る粘膜同士を混ぜ合わせて母方とされるゆっくりに種子を宿します。 「しあわせー!」 ぽぽぽぽーんとれいむのおでこから緑色の蔦が伸び、プチトマトのように丸い子供たちが並んでいます。 こうしてできた赤ゆっくり4匹はハツカネズミよりも早く、ものの一週間で地面にあんよを下ろすことになるでしょう。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!!」 とくとくと静かに蔦を伝えて鼓動が聞こえてきます。母ゆっくりが子供たちに栄養を送っている音でしょう。 「ゆゆーん! おちびちゃん、げんきにそだってね!!」 この子達は幸福になる権利を与えられて生まれてきます。環境という苦痛が絶望を味あわせようとも…… 「ゆっくちちていっちぇね! きりっ!!」 「「ゆっくりしていってね!!」 最後の赤子が地面に舞い降りました。彼らは皆どこにも悪いところもなくお飾りもハリつやのある綺麗なものでした。 親まりさは初めての子供に大層喜び、これまで以上に狩りをがんばろうと、大人になる事を誓いました。 母れいむはおちびちゃんのためにとりあえずがんばろうと思いました。 「みんな、ゆっくりじこしょうかいしていってね!!」 「「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!」」」」 最初に赤ゆっくりの自己紹介をするのは、赤ゆっくりに言語障害がないかを確認するためと言われています。 言語障害のあるゆっくり、例えば失語症であったり吃音であったりするゆっくりはゆっくりできないとし、間引かなければならないのです。 また、知的障害をチェックするための儀式でもあると言われています。 重度の知恵遅れなゆっくりはこの先生き残れないとしてこれもまた間引かなければならないのです。 「れいみゅはれいみゅだよ! ゆっくちちていっちぇね!!」 まずは長女から挨拶をすることにしました。 舌足らずな物言いですが、赤子だから仕方がないのです。普通のゆっくりとして順当な受け答えだから大丈夫といったところでしょう。 この子は生きることを認められました。 「れいみゅはれいみゅだよ! ゆっくちちていっちぇね!!」 その下の子も大丈夫のようです。 「まりちゃはまりちゃだよ! ゆっくちちていっちぇね!!」 そのまた下の子も。 「あたちはまりちゃだよ! ゆっくちちていっちぇね!!」 「「ゆゆ!?」」 ………あれ? わたしはまりさ 嘘あき 春うららの晴天に若い命が輝くゆっくりした昼下がり。おさである老ぱちゅりーは一息ついてこの群れの繁栄を噛み締めていました。 「むきゅ、こんかいもゆっくりしたこたちでたすかったわ」 話は越冬に戻りますが、越冬をするのが初めての一部の若いゆっくりは、準備をせず他のことにかまけて失敗したなんてこともあります。 けれど、今回の若いゆっくりたちは9割が真面目なゆっくりであったので多少の犠牲は出つつもほとんどのゆっくりが越冬に成功したのです。 蟻以上に怠け者役が頻出するゆっくりの群れを思えばかなり優秀な部類に入る群れではないでしょうか。 話を戻しましょう。そんなこんなで呑気していたおさぱちゅりーにある夫婦が駆け寄って来ました。 「たたた、たいへんだよぉおおおおおおお!!!」 おさぱちゅりーはゆっくりと垂れ下がった頬をピシッと引き締めます。 一体何事か! まさか、れみりゃが襲ってきたのか? それともれいぱーか!? 「いったいなにかしら!!」 おさぱちゅりーはゆっくりらしからぬ真剣な顔で夫婦に向き合います。 「ようけんをいいなさい!!」 「お、おちびちゃんが!!」 ああ、子供の相談かと、強張った身体をゆるめました。 「むきゅむきゅ」 おさぱちゅりーは子供がどうのこうのという言葉を聞いてすぐに間引きのことだと思いました。 間引きに関してはこの群れにも少なからずある問題です。 やはり、障害を持っていたとしても我が子というものは可愛いものです。それ故に殺すことを拒否する若い親達が居るのも事実です。 だが、現実を見てもらわなければならない。その為におさとしてその夫婦を宥めて諭す役割があるのです。 「あのね……おちびちゃんは「おさぁああああ!!! まりさのこがすこしへんなんだよぅうううう!!!」」 「だから、「とりあえずゆっくりみてね!!!」はぁ……」 良くあるパターンだと受け止めて、とりあえず見るふりだけでもすることにしました。 「それで、そのおちびちゃんは?」 「まりさのおぼうしのなかにいるよ!!」 少し前のめりにしゃがんで、頭の先を跳ね上げてから帽子を器用に脱ぐと、そこにはちびっこい丸いものがいました。 身体やおかざりに欠点のない中々凛々しい赤ゆっくりです。しかし、中身が伴っているかといえばそうではありません。 「むきゅ、おちびちゃん。じこしょうかいをしてね!」 おさぱちゅりーもテストのために自己紹介を要求しました。 赤まりさは意気揚々と答えてみせます。 「あたちはまりちゃだよ!! おしゃ、ゆっくちちていっちぇね!!」 キリッとした顔で答えるこのゆっくりに悪いところは見当たりません。ですが、この子は最初に何といったのでしょうか。 「あ、あたち?」 「あたちはまりちゃだよ? ゆゆ? あたち、なにかわりゅいことちた?」 初めてのことにおさぱちゅりーは驚愕せざるをえなかった。“あたち”と言う言葉を、謎の言葉を使ったのですから。 「むきゅ……まりさはあたちっていうのかしら?」 「ちがうよ! あたちはまりちゃだよ!! ぷんぷん!!」 「むきゅきゅ? まりさはまりさなのよね?」 「しょうだよ! あたちはまりちゃぢゃよ」 「まりさはまりさであたちじゃない? よくわからないわ!?」 ゆっくりの常識では考えられない“あたち”という主語におさぱちゅりーは困惑しました。 おさは知らなかったのです。ちるの種が自分のことを指す時に“あたい”と言う言葉を使うということを。 わからないものに対してはこそあど言葉を使用する場合もあるが、ゆっくりは代名詞を使わないのです。 少なくともちるののことを知っていれば対応も変わったかも知れませんがそうはいかないのが現実です。 「おさぁ、どうすればいいのぜ!?」 どうすれば良いのかこちらが聞きたい。おさぱちゅりーは口に出して言ってやりたかったのですが、おさのプライドにかけて弱音を吐く事は止めました。 どうすれば良いのかではなくておさがすべき事はどうするかだけなのだから。 「おちびちゃんはころころしないといけないのぜ?」 「むきゅきゅ……」 殺すか殺さないかという言葉は他人から見れば1か0を選ぶ話のようなものですが、当人としてはそんなちゃちな問題じゃありません。 命は力、この群れを支えるものなのですから。 それに、赤子は自分のことをまりさだと自覚しています。“あたち”という奇妙な言葉を使う以外は普通のまりさなのです。 そんなおさぱちゅりーに一つの答えが浮かび上がりました。 「むきゅん!」 そうだ、矯正してしまえばいい! 自分のことを“あたち”というのを辞めさせられれば万事OKだ。 「あのね、おちびちゃん。まりさはまりさであって、あたちではないの。だから、あたちということばはつかってはいけないわ」 「ゆゆ? どうちて?」 「あたちということばはね、ゆっくりできないのろいのことばなの」 「「ゆゆ!?」」 両親はその言葉にゆっくりできませんでした。真っ先に思いついたのはせいっさいの風景です。 群れのルールを破った重度の犯罪ゆは公衆の面前で処刑されるのが決まりでした。 絶対に動かないようにするために体が動かなくなるまで集団でリンチをします。 それから、しょけいばと言われる場所で剣の腕が一番高いかいしゃくゆんに中枢餡を突いてもらい処刑するのです。 その時です、犯罪ゆは各々言葉をはきかけます。 『おばえらぁあああ! ぜったいにゆるざないがらなぁあああああ!!! のろってやるぅううう!!!!』と。 呪いにかかって死んだと言われるゆっくりもいます。ただ単に死期が訪れただけなのですが、それを呪いのせいだと解釈するゆっくりも居るのです。 両親たちは大いに嘆きました。自分の子供が生まれつき呪いの言葉を吐くゆっくりであることを。 「でもだいじょうぶ。それいじょういわなければのろいはかかったりしないわ!!」 「ゆゆ、それならだいじょうぶだよ! ね、おちびちゃん!!」 母れいむはオチビちゃんににこりとほほ笑みかけます。 「ゆぅ、わきゃっちゃよ! まりちゃはまりちゃだよ!! あたちじゃないよ!!」 「お、おちびちゃん……」 「むきゅ、かんたんにはいかないようね……」 身体をすくめて、おさぱちゅりーはため息混じりに言いました。 <子ゆっくり編> それから月日が経って、赤ゆっくりは子ゆっくりへと成長しました。あの“あたち”まりさもすくすくと育っていきました。 「まりさ、おへんじしなさい!」 「まりさはまりさだよ! ゆっくりしていってね!!」 母に呼ばれた“あたち”まりさは元気よく返事をします。 まりさは父と姉を含めて三匹いるのにその中の誰を呼んでいるかが分かるのがゆっくりの不思議なところです。 一説では微妙なイントネーションの違いだといわれています。 「ゆゆ、まりさ。よくできたね!」 今日は初めてのがっこうの日。“あたち”と言う言葉も矯正して言わなくなりました。 めでたしめでたし……というのには少し早いようなのでお話はまだ続きます。 そのかわりですが、時折“あたち”ではなく自分のことを“あたし”と呼ぶようになりました。 大人に少し成長したといったところでしょうか。それでも周りは許してくれません。 その言葉も呪われているとおさぱちゅりーに言われたので両親はてんやわんやです。 “あたち”も“あたし”も絶対に言ってはダメだと口を酸っぱくして両親は言いました。 「ぜったいにのろいのことばをいったらだめだよ!! まりさはまりさなんだから」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 鼻歌を歌いながら母れいむに用意してもらったお弁当をもち、姉妹4匹で両親に挨拶をします。 「ゆっくりいってくるよ!!」 子供を監視しやすいように学校は群れの中心で行われます。いわゆる青空教室の形をとっています。 学校に行くと大小様々なゆっくり達がいました。年長さんに年少さん。見たことのないゆっくりの数がそこには広がっていました。 「ゆゆ、まりさ、ゆっくりしていってね!」 お隣さんのありすが声をかけてくれます。まりさはすぐに返事をしました。 「ゆっくりしていってね!!」 知らない子ばかりで心細かったのでしょう。ありすはまりさの元へ寄り添ったのです。 「おそかったじゃない! ゆっくりしすぎよ!!」 「ごめんごめん、ゆっくりしてたよ!」 ありすは少しツンデレでした。ツンデレで少し臆病だけど優しい子です。 まりさが自分のことを“あたし”と呼んでも、ありすは笑って返してくれる。中々の器量持ちです。 「まりさ、はじめてのがっこうたのしみだね!!」 「そうだね、ありす。まりさはおともだちがたくさんできればいいな」 「ありすはとかいはなおべんきょうをしたいわ!!」 各々の将来図を交わしながら会話を始めました。 「そういえば、まりさはあのおびょうきなおったの?」 「うーん、ときどきゆっくりいっちゃうかな」 「だめよ! がっこうでそんなことしたらいじめられるわ!!」 「おおげさだよ、ありす」 「いえ、そんなことないわ。きっとねちねちといわれるに……ああ、かんがえただけでも!!」 「ゆっくりおちついてね」 「おちついていられないわ!!」 「むきゅ、みんなおはよう! ゆっくりしていってね!!」 先生役のぱちゅりーの鶴の一声でみんなの会話は終わります。 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 遊んでいた子もお喋りしていた子も元気に挨拶を返しました。 まりさにとって、がっこうの授業は見識を広める場所として最適でした。 おうちの見つけ方や作り方、家具の設置方法やゆっくり間での倫理学。 真新しい知識に埋もれながらも時は経ち、まりさの周りにはゆっくりと友達の輪ができ始めました。 しかし、同時にゆっくりできないゲスなグループも現れるのががっこうの怖いところです。 ある日の放課後。一際小さい臆病ゆっくりなちぇんが不良グループに絡まれました。 「や、やめてねー」 「ゆふふ、そんなことよりゆっかーしようなのぜ! ちぇんはぼーるやくなのぜ!!」 ゆっかーとはサッカーのようでサッカーじゃないボールを蹴り飛ばしたりするだけの単純なゲームです。 本来ならそこらへんにある木の実をボールに使うのですが、不良グループの子供たちはちぇんをボールにしようというのです。 「たすけてほしいんだねー!」 ですが、誰も助けに来る訳がありません。不良グループに目を付けられたくないのですから。 それでもなお、目をきょろきょろと回すちぇんに哀れみを感じたまりさは動こうとします。 「まりさ、いっちゃだめよ!」 幼なじみのありすが止めました。周りのお友達も頷きます。 「がまんしないといけないのぜ」 「まりさがやさしいの、れいむしってるよ! でも、いっちゃだめだよ……」 身体の大きい年長のまりさがチビのちぇんを蹴り飛ばしました。 「い、いたいよー!!」 泣き喚くちぇんですが許しを乞う相手はサディステックに笑いました。 「ゆふふ! よわいものいじめはゆっくりできるのぜー!」 「でいぶもゆっかーするよ!」 「ちーんぽ!」 「むきょきょ! ぱちぇのこうあんしたゆっかーはゆっくりできるわね!!」 「めざわりなちぇんはゆっくりしないでね!!」 学校中で騒ぎ立てる不良グループに周りのゆっくりたちはゆっくりできませんでした。 しかし、異議を唱えることはできません。なぜなら、 「しょうらいおさになるまりささまにたてついたばつなのぜ!!!」 おさの孫であるまりさが不良グループのリーダーだからです。 親の前では良い顔をして弱いゆっくりには徹底的に強気な典型的なゲスゆっくりなのです。 「ちぇ、ちぇんはなにも!!」 「ちぇんのそんざいじたいがうっとうしいのぜ!!」 外聞を気にせず学校の中心で行われるいじめにまりさの我慢は限界でした。 「やめてね! ちぇんがかわいそうだよ!!」 友達の制止も聞かずにまりさは立ち上がったのです。このまりさ、“あたし”と言う癖以外は善良で精悍なまりさでした。 姉妹の中でも一番成長し身体もそれなりに引き締まっており、とにかく優しいゆっくりでした。 備考ですがゆっくりの体の成長や賢さは各々の我慢強さと密接な関係があります。 ストレスに弱い個体はうんうんやしーしーなどの量が増え体積が増えにくいのです。また、嫌な記憶も消去するので賢くないのです。 成長が早ければ1年以内に成ゆん化し、遅ければリーダーまりさのように2年経っても子供のままでいるのです。 成ゆん式という行事で大人になったかなっていないかの判別があるのですが、それはまた後で。 話は変わって、そんなまりさをあまり良い目で見ていなかったリーダーまりさは、いいカモが出来たと黄色い前歯をちらつかせながら近寄ります。 「ふーん、まりささまにたてつくのぜ? かくごはできてるのかぜ!!」 仲間のチンピラもまりさを囲うように集まって来ました。数の暴力を使おうと考えているからです。 しかし、まりさは言い放ちました。 「ゆゆ! おさのまごのくせにひとりじゃけんかもできないんだね!!」 「ゆあーん? なにいってるのぜ!!」 目配せをしながら周りのゆっくりたちを退かせ、リーダーまりさはまりさと一対一の状況に持ち込みました。 野次馬気取りの他のゆっくりたちは悲観するもの楽しむもの、ヤツを倒せと希望するものに別れていました。 「「「「「せいっさいせいっさい!!」」」」」 「「「「「まりさーがんばれー」」」」」 まりさより一際大きいリーダーまりさは強気な態度で投げかけました。 「かくごはできてるのかぜ!?」 「まりさはただ、ちぇんがかわいそうだからいっただけだよ!!」 「くずがどうなろうとまりささまのしったことではないのぜ!!」 「しょうらい、おさになるんでしょ! それなのにいじめはゆっくりできないよ!!」 「まりさのしょうっらいのむれにくずはふようなのぜ! まりささまがしゅくっせいしようというのだぜ! なぜそれがわからんのかぜ!!?」 「じぶんかってだよそれは!! みんなだっていっしょうけんめいいきているんだよ!! まりさ、なんでそれがわからないの!?」 「ふん、こどものざれごとなのぜ。こどもにはわからないおとなのじじょうってやつなのぜ!! ゆひゃひゃひゃひゃ」 幼稚なジャイアニズムを掲げるリーダーまりさに、まりさの堪忍袋の緒が切れました。 「いのちをだいじにしないまりさはくずだ!」 闘志に燃える瞳でリーダーまりさの目をみすめ、噛みつかんばかりに歯をむき出しにするまりさ。 しかし、そんなまりさを見下すリーダーまりさには妙な自信があるようです。 「くずがよくほえるのぜ。くずにくずといわれたところでまりさにはなんのいみもないのぜ!!」 「きさま、きさま、きさまぁ!!」 「なにをいってるのぜ? あらてのじゅもんなのかぜ? まりさしってるのぜ。おまえはのろわれたゆっくりだってしってるのぜ!!」 「ど、どうしてそれを……」 リーダーまりさの予想外の言葉にまりさはたじろぎました。 「ばばあのところにまりさがかよってるのをまりさしってるのぜ!!」 「それは!」 言葉遣いを矯正できたか心配でまりさは良くおさのところへ通いつめていました。 その姿をリーダーまりさに見られていたのでしょう。 「みんな! しってるのかぜ!? まりさはのろわれたゆっくりなのぜー!」 「やめろ!!」 「へんなことばをつかってみんなをのろうのぜ!!? ゆっくりできないのぜ!!」 「やめろぉ!!!」 言われたくなかった言葉。そして、自分のことを冷ややかに見始めた周りのゆっくりたち。 姉妹たちはやってしまったかと頭を抱えました。 そして、何よりもまりさは動揺を受けて怯えている友人に申し訳がなかったのです。 「あ、あたしは!!」 あまりのことにブレーキの外れてしまったまりさは素に戻ってしまいました。封印してしまっていたものが解け始めたのです。 「あたしはのろわれてなんかいない!!」 「なにをいいだすのかとおもえばのろいのことばなのかぜ!? そんなものでこのまりさがたおせるとおもっているのかぜ!!」 「それはちがう!! あたしはまりさだ。あたしはあたしだ!! それのなにがわるい!!」 いままで心の中に溜め込んでいたものを吐露しました。自分のことを自分と言えない鬱屈をバネに言葉が飛び出たのです。 「あたしはおまえをゆるさない!」 「のろいにたよるおまえなんかまけるわきゃねぇのぜ!!」 その言葉を引き金にまりさ達は一斉に駆け出し、頭をゴッツンコ。 「くぅ!!」 「ゆぎぃ!!」 衝突時の反動にこらえながらもまりさはリーダーまりさを睨みます。 「どうしたのぜ!? もうこわくなったのかぜ!!」 喧嘩馴れをしているリーダーまりさは痛みに強かったのです。 それとは逆に喧嘩が初めてのまりさは生まれ持った根性で痛みを補いました。 「ま、まだまだ!!」 再度、定位置に戻りもう一度走って頭をぶつけます。歯を食いしばり、迫り来る痛みと対決です。 「この! この!!」 爺のファックよりも覇気のない破裂音が響きます。ですが、十合を越えた所でまりさは気絶しました。 「「「「「………」」」」」 壮絶な戦いに周りのゆっくり達はただただ唖然とするばかり。 その中にはリーダーまりさの取り巻きたちが勝者を称えに駆け寄ります。 「まりさ! かっこよかったよ!!」 「やっぱり、りーだーはとかいはね!!」 久しぶりの強い疲労にリーダーまりさは荒い息で答えます。 「と、……とうぜんなのぜ!」 一歩違えば自分が敗者だったかも知れない。脳震盪に近い症状が起きているリーダーまりさはおぼつかない足取りでまりさの元に近づきました。 「へ、へへ……しょせんくずはくずなのぜ!」 リーダーまりさの顎の下から透明な液体が放射されました。しーしーです。 ゆっくりは喧嘩に勝つと相手を負かした証拠としてマーキングをするのです。 基本、排泄物にはゆっくりのみが感じる強い刺激臭がし匂いに敏感なゆっくりにとっては敬遠したいもの。 それを擦り付けるということは敗者をとことん陥れるというスポーツマンシップなどを掲げる人間のプライドとは逆の行為を行なっていると言えるでしょう。 ゆっくりはとことん他ゆんを陥れるのが好きな生き物なのですから…… 「でいぶもやるよ!」 「あら、とかいはなありすもやるわよぉお!!」 「すこしたまってたんだよーわかれよー」 「むきょきょ! けんじゃのせいすいをあじわえるのよ! かんしゃしなさい!!」 取り巻きたちも混ざり合ってしーしーかけ大会が始まりました。ポタポタと帽子の上から水しぶきが弾かれます。 「「「「「ゆひゃひゃひゃひゃ!!!」」」」」 「「「「「……………」」」」」 周りを囲んでいるゆっくり達は恐怖で何も言えませんでした。 帽子の上にしーしーをひっかけられたのが不幸中の幸いでしょう。帽子なら水で洗ってしまえば済むことです。 これが肌に直にひっかけられたらふやけた皮としーしーが入り混じり臭いが一生取れなかったかも知れません。 また、皮がふやけると皮膚が歪な形になり身体障害が起こる可能性だってあったのです。 「これにこりたらにどとはむかうんじゃないのぜ! ゆひゃひゃひゃ!!」 そう言い捨てるとリーダーまりさ達はその場を去って狩場へと向かいました。 「………」 気絶しているまりさは何故か涙が流れました。 しーしーが流れた跡でしょうか? 負けたからでしょうか? それとも分かり合えなかったからでしょうか? 自分のために屈辱を味合わされているまりさをちぇんは潤んだ瞳で見るだけでした。 友人たちに介抱されているまりさとは別に、リーダーまりさは狩場もとい、きのこが生い茂った木々の間でかりをしていました。 「まりささまははやくびっぐなおとなになるのぜ!!」 かりをすれば早く大人に認めてもらえるという浅知恵でかりに勤しむのです。 まりさは群れの中では子供のまま。体は大人になりつつあるがそれに伴う知識を得ようとはしませんでした。 学校では授業を聞かずに弱いものをいじめ、飽きればゆっくり睡眠をとる。 そんな怠惰なゆっくりに明日があるのかと言われればそんなものはないでしょう。 ですが、無駄に肥えたプライドが他ゆんを見下し自分は他ゆんよりも上の存在だと錯覚を覚えさせます。 リーダーまりさはおさになりたい。おさになって全てのゆっくりをどれいにしてゆっくりの一大王国を築きあげる。 まりさに賢い所があるとすれば、順序を踏まなければならないということがわかっていることでしょう。 大人たちを支配するためにはまずは認められなければならない。 その為の前段階として大きくて水玉模様の赤いキノコを口に咥えるのです。 「ゆふふーまりささまはかりのてんさいなのぜー!!」 狩場の中心に誰から見ても分かるところにそのキノコはありました。 普通ならそのキノコを敬遠するでしょう。誰も手に触れなかったということを考えれば。 だが、まりさは愚かです。人を見下してなんぼの世界にいるゆっくりなのですから。 「むれのれんちゅうはふしあななのぜ!!」 「そうだねーわかるよー」 「むきょきょ! このもりのけんじゃであるぱちゅりーさまがいないとなにもできないくずだわ!!」 「でいぶ、はやくそのきのこさんをたべてみたいよ!!」 「しんぱいせずともおまえらにわけてやるのぜ!!」 「「「「「ゆわーい!」」」」」 リーダーまりさはキノコの傘の部分をちぎって取り巻きたちに与えます。 これが危険なキノコだと誰も分からなかったという点、類が友を呼ぶといえば良いのでしょうか。 傘のなくなったキノコをリーダーまりさがその他の傘の部分を取り巻きたちがむーしゃむーしゃしました。 「お、おいしいんだねー!!」 「むきょ!! こんなにおいしいきのこははじめてよ!!」 「でいぶ、もっとむーしゃむーしゃしたいよぉおおお!!!」 「とかいはなあじだわ!!!」 「さすがまりささまなのぜ!!」 「「「「「ゆっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」」」」」 舌鼓を打ちながら笑いあうリーダーまりさと取り巻きたちはその笑いを止めることは一生かないませんでした。 ここはおさぱちゅりーが病室として柔らかい土壁をほった穴蔵。そこにはおさぱちゅりーと子ゆっくり達の親が集まっていました。 「「「「「ゆっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」」」」」 群れ中に響く笑い声。涙を流しながら笑い続ける子供ゆっくりにおさぱちゅりーは自分のもみあげで額を支えました。 「はぁ、これはもうておくれね」 「「「「「ゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」」」」」 知識があるゆっくりならこの症状が何であるかわかります。ですが、リーダーまりさの母、おさぱちゅりーの娘はわかりませんでした。 「どういうことなのぉおお!! おかーさん、はやくぱちぇのかわいいまりさをなおしなさい!!!」 「むりよ、まりさはどくきのこさんをたべてしまったのよ」 「むきゃー!! いいからなおしなさいぃいいいい!!!」 「そうなのぜ! はやくまりさをなおしてね!! いますぐでいいよ!!」 「「「「「そうだそうだ!!」」」」」 子ゆっくり達の親は口うるさくおさぱちゅりーを問い詰めますが無理なものは無理です。 肉薄するゆっくり達にうんざりしながらも繰り返し言葉を重ねます。 「だから、むりなのよ!!」 「「「「「うるざいいいいい!! はやくなおせぇええええ!!」」」」」 癇癪を起こすゆっくり達に火に油を注いだだけです。 どうすれば良いのかと思っていたところに親に連れられたある子まりさが言いました。 「まりさしってるのぜ。まりさたちはのろいにかかったのぜ!!」 「「「「「のろい!!???」」」」」 「むきょ!?」 のろいという言葉におさぱちゅりーの娘はピンと来ました。おさの元によく通っていた良く分からない言葉を使うあのまりさ。 「あ、あのまりさのこと!?」 「そうなのぜ、まりさはまりさとけんかをしたときにのろいのことばをつぶやいてたのぜ!! じぶんがまけたからってひきょうなのぜ!!!」 リーダーまりさの取り巻きの一人を姉に持つ子まりさは、皆が笑い転げているのはのろいのせいだ。子まりさは頑なに信じていたのです。 「ゆぐぐぐ、あのくそまりさぁあああ!!!」 「ちょっとまちなさい!!」 子まりさの言葉を真に受けて信じきっている両親たちにおさはギョッとしました。 「「「「「ゆ、ゆるせないぃいいいい!!!!」」」」」 「「「「「ゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」」」」」 「お、おちつきなさい!!!!」 「「「「「おちついてられるかぁああああああ!!!!」」」」」 「いいからききなさい!!」 喧々囂々のこの場においておさぱちゅりーは歯止めが効かないと判断し、想定できる行為を止めるために最後の言葉を言い残しました。 「もし、まりさをせいさいしたら、ぱちぇはあなたたちをせいさいしなくてはならないわ」 「「「「「どぼじでぞんなごというのぉおおお!!!!???」」」」」 「あたりまえよ! だって、どくきのこでしんだのがわかっているのにのろいのせいにするのはおかしいわ!!」 「「「「「でも!」」」」」 「でももげばもない。きそくをやぶったらせいっさいよ!!」 「「「「「ゆぎぎぎぎ!!」」」」」 納得できないといった表情で子供たちを見守り始めた両親たち。そんな姿を見ておさはまりさのことを考えました。 「むきゅ、これはまずいことになったわ……」 おさはまりさのことを気に入っていました。自分の言ったことをグングンと飲み込む明瞭さに加えてとても素直。 どうしようもなくゲスに近づいていく孫よりも可愛いく、本当の孫のように思っていました。 きっと、おさになれる。おさ候補としても有望で、有望だからこそ弱みを握られたくなかったのです。 ですが、子まりさによって全てがバラされてしまいました。 なんとか、せいっさいのムードを打ち切ることには成功しましたが、今後まりさがどう見られていくのかは容易に予想がつきます。 「まりさ……」 「「「「「ゆひゃひゃひゃひゃは…ひゃ…ひゃっ!」」」」」 「「「「「お、おちびちゃんんんんんんんん!!!!!!」」」」」 群れ中に響いた笑い声は子ゆっくり達の命の終わりと共に幕を閉じたのです。 夜行性の動物が活発化する月の綺麗な夜でした。まんまるお月様の下、まりさは川で自分の帽子を洗っていました。 「ゆー……においがおちないよ」 サラサラと流れる緩やかな、まりさの心を反映したかのように流れる川はとても静かでした。 「わたしは、わたしなのに、どうしてわたしじゃないの?」 ちゃぷちゃぷと川の水を飲み込みながら吐き出す帽子。いっこうに落ちない臭いがまりさの鼻を刺激します。 「くちゃいよぉおおお!」 例の不良グループにかけられた小便の臭いが中々落ちません。どうしたものかと考えていたらあることを思いつきました。 「く、くさいさいさんなら、べつのにおいをつければいいんだよ!」 思いついたが吉日、まりさは川に漬けていた帽子を取り出し、それを砂埃の多い地面に帽子をこすりつけました。 「ずーりずーり。つちさんのにおいならばれないよね!!」 帽子が傷つかないように丁寧にまりさは帽子に砂をまぶします。これで土っぽい臭いのワイルドなゆっくりに様変わりです。 「ゆー、あたしはあいであまんだね!!」 茶色く薄汚れた帽子は少しゆっくりできませんでしたが、まりさは少し誇らしげでした。 「あたしはわるくない! ぜったいに!!」 自分をけなされて怒らない人はいません。仮にいたとしても、心の奥底では悔しがっているでしょう。 まりさは少しずつ、自我というものの芽生えに気付いて来ました。 <青ゆん編> 学校に通ってから6ヶ月が経ちました。秋口の見えてきた紅黄の世界が山を覆います。 「まりさ! きょうもとかいはね!」 「ありすも、きょうもとかいはだね!」 「まりさ、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね、だぜ!」 「ゆっくりしていってねーなんだねーわかるよー」 青空教室の門も門番もいない入り口で、まりさは友だちに囲まれました。 以前と少し違う点は友達が少し増えたことです。あの時、助けたちぇんもその一匹です。 「きょうもいっしょにおべんきょうしようね!」 元々のリーダー気質のせいか、まりさを中心とした友達の輪が出来上がりました。 だれにでも優しく、寛容なまりさは誰にでも好かれる、というわけではありません。 「ひーそひーそ! あの、まりさがきたよ!!」 「ひーそひーそ! のろいのまりさだよ!!」 不良グループの両親たちが広めたゆっくりできない噂で、まりさへの怪訝な視線が増えたのです。 「ゆっくりきにしないでね!」 「ゆ、ゆん!」 気にしないでね、そんな言葉にまりさはあまりゆっくりした気持ちにはなれませんでした。 なぜなら、自分の癖を知っていてそれでも付きあおうとしてくれる仲間たちに感謝しつつその反面、疑心暗鬼なところもあったからです。 やはり、自分のことを認めてくれるゆっくりなんていないのだろうか。そんな思惑が餡子の身体を駆け巡ります。 放課後、仲間たちと一緒にらぐびぃをしようと広場に出かけた時に、まりさは先生ぱちゅりーに呼び止められました。 「むきゅ、まりさはそろそろおとなのかいだんをのぼらないといけないわ!」 「それって、ぎしきのこと?」 まだ、1年も経っていないまりさには眉唾ものでした。なぜなら、1年以内に大人になったゆっくりはそうそういないからです。 いたとしても、それはおさぱちゅりーや先生ぱちゅりー等、聡明なゆっくりしかいません。 自分が、優秀だと言われているようなものですから、まりさには少し信じがたいものでした。 「でも、まりさは」 「ちょっとおかしなだけで、まりさはりっぱなせいゆんよ!」 「そういってくれるのはうれしいけど」 「なら、ぎしきをうけなさい」 「でも、まだまりさはこどもだよ!」 まりさは自分のことを子供だと思っています。親に保護され、与えられるものを享受する子供のままだと。 しかし、現実は子供の時間を奪っていくものです。 「まりさ、あなたはおかあさんやおとうさんのおてつだいをしてるらしいわね」 「そうだよ」 「どちらもおとなのようにきちんとこなしているわ。まりさはじしんをもっておとなであるといってもいいのよ」 「ゆぅ……」 まりさは困惑しました。大人になるのは遅かれ早かれおとずれることです。 しかし、大人になるということは自由と共に自己責任を伴うものです。 大人になるのが怖い。そう感じる感性も正しいし、大人になるのが楽しみなのも正しいです。 ですが、まりさは前者です。それに、一匹だけ大人になるのって悲しいと思いませんか? 「まりさはみんなといっしょにおとなになりたい」 ぱちゅりーは横に首を振って答えました。 「むりだわ。だって、あなたはせいっじゅくしてしまったのだから」 「ゆぅ……」 ぐうの音も出ません。 「ぎしきはそうね……あしたにでもとりおこないましょうか!」 「ゆゆ!?」 「ぜんはいそげっていうらしいし、はやいことにこしたことはないわ!」 「ちょ、ちょっとまってよ!!」 「いいえ、またないわ!」 急なことで、まりさはすこしパニックを起こしました。 「ど、どぼじで!?」 目を真ん丸く回しながら、あたふたと地面にもみあげを叩きつけます。 「もともと、せいゆんしきはあしたってきまっていたのよ」 「きゅうすぎるよ!」 「あら、まりさはまわりをかんさつできるこだとおもっていたわ」 「ゆゆ? ゆ、……そういえば」 「でしょ? まわりのじょうきゅうせいたちがはしゃいでいたのはそのせいよ」 学校で上級生たちが何かを作ったり、歌の練習をしていたのを思い出しました。あれは、せいゆんしきのお披露目のためだったそうです。 「でも、あんしんして、あなたはなにもしなくていいから。したいなら、べつにかまわないけど」 「きゅうすぎて、なにがなんだかだよ」 「おとなになるのって、そういうものよ。それじゃ、あとはがんばってね! むきゅ!」 言い終わると先生ぱちゅりーは自分の家へと帰って行ってしまった。 ぽつんと取り残されたまりさは呆然とあることを考えていました。 大人になるということは、結婚も視野に入れないといけないということを…… 次の日、太陽がこんにちはをして東から西に昇ろうとした時に、まりさは幼なじみのありすを川岸に呼び寄せました。 ありすは、まぶたをパチクリさせながら眠たげな表情でまりさに問いかけました。 「あさはやくによびだすなんてとかいはじゃないわ……」 大きなあくびをするありすですが、大人は皆、いそいそと働いている時間です。 まりさもいつもなら両親の手伝いで慌ただしい朝を迎えるのですが、子ゆっくりは違います。 朝食を得るために新鮮な草花を取らなくて良い、朝食を盛り付ける為に食器の用意をしなくて良い。 ただ、子ゆっくりは親の愛情をめいいっぱい受けてゆっくりするのです。 まりさよりも一回りも二回りも小さいありすはそんなこととはつゆ知らず、 いつもなら惰眠を貪っているのに、叩き起こされたことに少し苛立ちも感じていました。 「はっきりしてね! ありすはとかいはなにどねをたのしみたいのよ!」 「ゆん、……わかった。いちどしかいわないからぜったいにききのがさないでね」 まりさは深呼吸をして体を伸び縮みさせます。一度二度三度。 「ふぅ……」 体を縮め、力を貯めこみ、それを吐き出すかのように告白をしました。 「まりさは、ありすといっしょにゆっくりしたいよ!!」 「え……」 水の音が静かに響く空白の時間。ありすはまりさの告白に度肝を抜かれました。 「そそそそそそれって!!」 口を軽く開けて驚きの表情を見せるありすにまりさはもう一押しの言葉をそっとつぶやきました。 「ありすのこと、ずっとすきだったよ!」 “わたし”という自分をいつでも見捨てないでいてくれたありす。皆に陰口をたたかれてもずっと友人でいてくれたありす。 苦楽を共にしてくれたありすにこそ、自分の人生を投げ出す価値がある。まりさにはそう思えたのです。 だからこそ、ありすの人生が欲しい。ありすが欲しい。そう思えたのはありすただ一匹です。 「で、でも、けっこんだなんて、はやすぎるわ!……とかいはなていあんだとおもうけど」 「たしかに、ありすにとってはまださきのはなしだとおもうよ。でもね、まりさはそうじゃないんだよ」 「それって、どういうこと?」 「まりさはね、きょう、せいゆんになるんだよ!」 「……ゆゆ?」 ありすは頭の上にクエスチョンマークを浮かべながらまりさの話を聞きました。 「まりさはね、せいゆんしきにでておとなになるんだ。だから、ありすとははなればなれになるんだよ……」 「きゅうなはなしね……どうしてもっとはやくしてくれなかったの!!」 感情のまま、ありすは怒鳴りました。事の重大さが朧気ながらにわかったからだそうです。 「しかたなかったんだよ……きのう、せんせいにいわれて」 「だからって、それは……」 「だからね、まりさはやくそくしたいんだよ」 「それってどういうこと?」 ありすは再度、眉を顰めてまりさの言葉の不明瞭さを感じます。 「つまり、まりさはありすがおとなになるまでだれともつきあわないってことだよ!!」 「ゆゆ、ということは……」 「まりさのこんやくゆんになってほしいんだよ!!!」 「…………」 「あ、ありす?」 ありすは無い頭を絞って考えました。風で枯れ葉が擦れる音が漂い、まりさの心をチクチクと刺激します。 自分の思いはきちんと伝えた。それだけでもまりさは満足でした。 でも、出来れば、出来ればまりさはイエスと言って欲しい。 「きょうのせいゆんしきがおわったらちゃんとこたえをだすわ」 「……ゆっくりりかいしたよ」 ありすは自分の言いたいことを伏したままその場を離れて行きました。まりさはその場でありすの後ろ髪を見守りました。 せいゆんしきはお昼に行われました。皆が集まる広場の真ん中で円を描くように新せいゆんが集められています。 その円から少し離れて、これまた円を囲うように回りには新せいゆんの両親や兄弟、友人がいました。 新せいゆん達は各々の思いを込めて胸を張り、開催式の幹事長であるおさぱちゅりーを待っていました。 「ねぇ、あのまりさって……」 「そうだよ、のろいのまりさだよ……」 そんな最中、わたしまりさは何をするわけでもなく、ただぼーと空を眺めていました。 白い雲がゆっくりと進む様をただ眺めていたのです。 「むきゅん、みんなゆっくりしていってね!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 長の声が広場を席巻します。ぱちゅりー種が大声を上げるくらいに気合が入った式であるということがわかります。 開幕の挨拶が始まったと同時に、まりさは視線をおさの方に向けて、今までのことを思いふける作業をしました。 嫌な思い出から良い思い出まで。自分が呪われているというのにもかかわらず、自分を向かい入れてくれた家族や友人、おさ。 皆、とってもゆっくりしたすばらしいゆっくりでありました。そんなみんなに囲まれているまりさは恵まれているでしょう。 ただ、不満があるとすれば、それは…… 「それでは、きょうはせいゆんのぎしきをとりおこなうわ! そのまえに、よきょうをはじめましょう!!」 考え事をしていると、れいむたちが前の方に集まって行きました。 「「「「「れいむたちはうたうよ!!」」」」」 トップバッターを飾るのは複数のれいむでした。彼女たちは自分たちで作った歌を合唱し、回りにいる親族の涙腺を刺激しました。 「「「「「ちぇんたちはだんすをおどるんだねー!!」」」」」 れいむの歌を背景にちぇんはぴょんぴょんと跳ねたり、尻尾や耳を動かしたりして見せました。 「「「「「ありすはみんなのはなかざりさんをつくったわ」」」」」 そういえば、まりさにも花飾りが手渡されつけるよう命令されたことを思い出しました。 ボケェとしていたので、気付くのが遅れ、急いで帽子のリボンに取り付けました。 良く見たら、とっても意匠の凝ったすばらしい花飾りでした。この花飾りならきっと、皆綺麗に映っているでしょう。 「「「「「みょんははくろーけんをみせるみょん!!」」」」」 木の枝を取り出したみょん達は、その剣を規則正しく口で振り回し、勇ましい姿を見せました。 「「「「「まりさはみんなのごはんさんをとってきたのぜ!!」」」」」 最後のトリと言わんばかりに円を描いていたまりさ達は前に飛び出して行きました。 すると、中央に色とりどりのご飯が隠されていたのです。もちろん、まりさも協力しています。 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 皆の歓声とともに、せいゆんしきは盛り上がりを見せました。まりさも考え事を振りきって祭りに行じることにしました。 夜の帳に包まれて祭りが終わる頃に、まりさは満足した気持ちで川原にいました。雲ひとつない星空を見上げながらふと、足音を聞きつけました。 「まりさ……」 その声は、今朝プロポーズしたありすでした。ありすは眉をひそめた顔をしてやってきたのです。 「ど、どうしたの……もしかして、……」 「ちがうわ! ただ、まりさがおとなになってしまうだなんて……ありすなんて、こどものままで……」 「あ、ありすはせいゆんしき、はじめてだもんね!!」 「そうね、あんなにりっぱで、とかいはだとはおもわなかったわ……」 ありすには大人に成るということがよく分かっていなかったのです。いわば、自立するということを。 子供の頭でありすは必死に考えました。大人になって、まりさと一緒にいることがどれほど幸せで、大変か。 「ありがとう、ありす! そういってもらえるとうれしいよ!!」 「そうね……だから、ありす、はやくおとなになりたい」 「そ、それって!!」 「おとなになって、ありすはとかいはなれでぃになって、まりさとけっこんするわ!!」 「ありす……でも、まりさがいうのはなんだけど、まりさはのろわれたゆっくりなんだよ?」 「それでもかまわないわ。ありすがえらんだみちだし、すきでえらんだみちなの。それにけちをつけられるいわれはないわ!!」 実はありすも悩んではいたのです。まりさは呪われたゆっくりとして、群れで知らないものはいませんでした。 きっと、両親だって結婚を反対するだろう。もともと、友達関係で居たことすら拒否反応を示した親なのですから。 しかし、ありすは知っています。まりさは優しく、強いゆっくりであることを。 だから、自分は好きなんだと。どこか、他のゆっくりとは違う奥深さを持ったこのまりさに。 「わ、わたし、うれしい……なんていったらいいかわからない……」 「まりさ、わたしはあなたとであえてうれしかったわ」 「わたしもだよ……ありがとう、ありす」 皆がいない暗い場所。それは、二人だけの空間。月光の照らされる元で、影が重なりあいました。 <成ゆん編―旅立ち―> いえは自分で借りるもの、受け継ぐもの、作るもの、買うものである。 一人暮らしを始めたまりさは最もポピュラーな木の根本に穴を掘って家を作りました。 将来、二匹と子供達が暮らせるように広く作っておいたのです。 群れの一員として、テリトリー内での狩りを行い、将来の貯蓄を溜めながら細々と暮らしていました。 そんな最中、おさぱちゅりーが寿命で死にそうになっていました。隣の群れのえーりんを持ってしても、その病は治りませんでした。 ですが、おさぱちゅりーは気高く振る舞い、皆に心配をかけまいとしています。 そんなある日、まりさはぱちゅりーに呼ばれました。それは、最後の遺言だろうと、まりさは気付いていたので、急いで、おさぱちゅりーの元へ飛んで行きました。 おさぱちゅりーの家はまりさのものとは比べ物にならなく広い家です。洞窟を改善した家でした。そこは代々、おさが住む家なのです。 群れのシンボルとして存在するその場所には沢山のゆっくりが各々談話をしたり、集まる場所でもあります。 だから、まりさがやってきたことで、白い目で見るゆっくりもいました。ですが、まりさは気にしません。 おさは枯れ草のベットに包まれながら寝ていました。頬はげっそりとしてい、吐瀉物が部屋の片隅に置かれていました。 「む、むきゅ……まりさ……ひさしぶり……ね。せいゆんしきいらいかしら」 「おさ、だいじょうぶ!?」 「ええ、だいじょうぶよ。さっき、はいたからすこしからだがらくだわ」 「それって、だいじょうぶじゃないよ……」 まりさは本当に心配でした。自分が一番尊敬していたおさがこんな姿になっているとは思ってもいなかったからです。 もしかすると、自分の呪いを常に受け続けたせいじゃないかとも思えるくらいに。 「いっておくけど、まりさののろいはうそよ。そんなものそんざいしないの」 「えっ?」 子供の頃からずっと自分の悪い癖が呪いであると教えられてきたまりさには初耳でした。 確かに、自分の悪い癖“わたし”が呪いであるものかと考えたことがありますが、呪いでない証拠がない以上、呪いの可能性だってあったのです。 それについて、まりさはずっと悩んでいました。 「まりさは……わるくないの?」 「そうよ、まりさはわるくない。ごめんなさい、まりさをまもるためにはそういわなければならなかったの」 「まりさをまもるため? ……そうだね、こんなへんなこというの、まりさだけだもんね」 「わかってくれてうれしいわ。でも、もうあともどりができないようになってしまってごめんなさい……げほっ、げほっ!!」 「おさ!!」 「まりさ、きいて!」 近寄ろうとするまりさを静止したおさぱちゅりーは体を落ち着かせてから、言葉を発しました。 「まりさ、あなたにはふたつのみちがあるわ。へいぼんにくらすか、しんじつをしるか」 「し、しんじつ!?」 「ぱちぇにはわからなかったことなら、にんげんさんならしってるわ」 「にんげんさん……」 人間という言葉にまりさは不快感を覚えました。会ったことはないけれど、それは体に流れる記憶なのか。 まりさは人間というものが恐ろしい生き物であることを感じていたのです。 「にんげんさんはゆっくりにようしゃがないわ。でも、ゆっくりよりもちしきがあるのよ」 「おさよりも?」 「むきゅきゅ、わたしなんてちっぽけなそんざいよ。もりのけんじゃとよばれたけど、そんなことはないわ」 「おさは、おさは、けんじゃだよ!!」 「ふふ、ありがと。でもね、にんげんさんはものしりで、あなたをたすけてくれるかもしれない。でも……」 「でも?」 「にんげんはこわいわ。ゆっくりよりもちからがつよく、ようしゃがないの」 「なんとなくわかるよ……」 「まりさ、いまからいうことはぜったいにむれのみんなにはおしえてはだめよ」 「ゆっくりりかいしたよ……」 「まりさ、しんじつをしりたければ、やまをおりなさい。そして、はたけさんをつくっているにんげんさんにあうのよ。」 「はたけさん!!」 畑とはゆっくりにとって極上のゆっくりプレイスです。そんな場所が山を降りると存在するなんて。まりさは驚愕しました。 「けっして、はたけさんのおやさいをたべてはいけないわ。そうすると、にんげんさんはおこるのよ」 「どうしてなの?」 「たとえば、あなたがいえのたべものをほかのゆっくりにたべられるとどうおもうかしら?」 「それは……」 「そういうことよ。ただ、たいていのゆっくりはそれをりかいできなくて、にんげんさんにころころされるの。」 「おろかだね……」 「そうよ。ぱちぇたちはおろかなの。じぶんのことをなにもしらない!! まったく、ばかげているわ」 そう言うと、おさぱちゅりーは頬に涙の線が走りました。あの、立派なゆっくりが泣くなんて、まりさは驚かざるを得ませんでした。 「ぱちぇはなにもしらないまましぬの。それがくやしい!!」 「でも、すべてをしることなんて――」 「わかってるわ。わかってるけど、こわいのよ」 身震いをするおさぱちゅりーにまりさは初めて死というものを知りました。 「まりさ、まりさにはしにゆくゆっくりのきもちはわからないわ。それは、しぬときにわかるものよ」 「まりさのし……」 「よく、おききなさい。しぬまえにゆんせいをまんきつすることがゆんせいのこつよ。ぱちぇにはできなかったから、あなたなら!!」 「わかったよ、おさ」 体から散っていく枯れ草をかき集め、まりさはぱちゅりーの体に纏い付かせました。 「わかってくれたのね。あなたがつぎのおさなら、わたしはあんしんしておさをつがせられたのにっ!!」 歯噛みするぱちゅりーにまりさは微笑みました。 「しかたないよ、おさ。まりさはみんなにうらまれてるから」 「そうさせたのはぱちぇなのに……っ!!」 「ちがうよ、おさはまりさをまもってくれたんでしょ?」 「だけど!!」 「わたしは、こうかいなんてしたことがないよ。だって、すべてがさいりょうのほうこうにむいているから!!」 「さいりょうのほうこう?」 「ゆんせいとはつねにぜっこうのせんたくをしていくものなんだって、まりさはおもうんだ」 「ふふふ、たしかに、せんたくしにまちがいはないのかもしれないわ。でもね、せんたくをまちがってしぬゆっくりだっているのよ?」 「それがうんめいなんだよ」 「……まりさ、そのかんがえはすてなさい」 「どうして?」 「うんめいなんてこのよにそんざいしない。それはあてつけよ。まりさ、あなたはじゆうなの!!」 「じゆう……か。そうだね、わたしはじぶんのみちをいくよ」 「そうしなさい……これで、あんしんして、しねる……」 そう言うと、おさぱちゅりーは気絶するように眠りました。まりさは、静かにその場を去って行きました。 「さよなら、おさ」 その数日後、おさぱちゅりーは安らかな顔で死にました。その顔は、すべてを受容したかのように。 「まりさは、たびにでるよ」 両親と姉妹にそう伝えると、まりさの家族は大いに驚きました。 「どういうことなの、まりさ!?」 母れいむはまりさの固い決意を不思議に思いました。 「まりさは、たびにでてしんじつをしろうとおもうよ」 「しん……じつ?」 「まりさはどうして、わたしなのか……」 「でも、それはのろい――」 「おさがおしえてくれたよ、あれはおさのうそだって」 「れいむも、まりさも……しってるよ……」 両親のしょげる顔に、更に驚いたのは姉妹たちでした。なぜなら、まりさは本当に呪いを持ったまりさだと信じていたからです。 「どういうことなの、おかあさん? まりさはのろわれたこじゃなかったの!?」 「そうだよ、まりさをまもるためについたおさのうそだよ」 「そ、そんな!?」 「そ、それじゃあ、まりさはちしょうだったの!?」 「ちがうよ! ちょっとへんだけど、ゆっくりしたよいこだよ!!」 「だよね、そうだよね!! まりさごめん、ずっと、おそとでは、はなしかけられなくて」 姉妹は普通に話すことはあっても、仲良く話すことはなかったのです。特に、世間体を来にして外では会話すらしなかったとか。 一匹の姉れいむが泣きながらまりさに独白しました。 「れいむたちはね、まりさのこと、ずっとこわかったんだよ。のろいであのまりさがしんだってうわさがながれて……」 「いいよ、れいむ、まりさはきにしてない」 「でも!?」 「いいんだよ、もう」 「ゆぅうううう!!!」 姉妹たちの足元には小さな御池ができていました。それほど、姉妹の縁は強かったのでしょう。 ただ、呪いという言葉に騙されて、その縁が曇って見えなかっただけです。 「さいごに、おさはみんなにまりさのことはいわなかったよ。それは、たぶん、このむれからでたほうがいいってことなのかもしれないよ」 「どういうこと?」 「つぎのおさは、せんせいぱちゅりーがしてくれるからまずだいじょうぶだとおもう。 でも、のろいのことばじゃなくてしょうがいだとばれたら、たぶんまりさはせいっさいされるかもしれないよ。 『ゆっくりしていないゆっくりはしね!!』ってね。 それに、たとえのろいもちのままでも、やっぱり、ゆっくりしてないゆっくりとしてころされるかもしれないよ。 もともと、おさがのろいもちのまりさでもこのむれにいさせてくれたのはおさのちからがあったからこそなんだよ」 確かにと両親は頷きます。元はおさぱちゅりーに理解があったからこそ、まりさは今まで生きてこれたのです。 各々、感嘆する家族を見たまりさは、家の入口付近においておいた貯蓄していたご飯を半分に分けて持ってきました。 「まりさは、ありすとけっこんするためにためていたごはんだよ。ひもちするけど、ながたびになったらそうもいかないよ! だから、みんなにあげるね!! はんぶんはありすにぷれぜんとするよ!!」 「ま、まりさ……」 堰を切るように涙を流した両親は、これが今生の別れかもしれないと思うと泣かずにはいられなかったのです。 半分にした残りのご飯を帽子に入れて、ありすの家に寄りました。幼馴染のありす、それはまりさの若き日の頃の青春そのものといってもいいでしょう。 まりさは、別れを告げればいいのか、それとも楽観視してまた戻ってくると伝えればいいのか、わかりませんでした。 「とりあえず、あうだけあおう……」 まりさはその場の判断に任せることにしたのです。実のところ、うじうじ考えても結論が出なかっただけなのですが。 入り口越しからまりさは家の様子をうかがいました。すると、そこにはお寝坊さんのありすの影はなかったのです。 「ありす……はたらいてるよ」 ありすは不器用ながらもせっせと家族の手伝いをしていました。まだ未熟な体ではありましたが、一生懸命に部屋掃除をしていたのです。 「ありす……」 まりさには分かりました。ありすが早く大人になろうと頑張っていることを。それは、自分のためだということを。 「ん。あら、まりさ!」 こっそりと覗いているまりさに気づいたありすは入り口までやって来ました。 「へ、へんなところみられちゃったわね」 照れるありすにまりさは横に体を振って答えます。 「そんなことないよ。りっぱだよ、ありす」 「まりさにそういわれると、すこしおとなになったきぶんになるわ」 「ゆふふ、ありすはとかいはなれでぃになるんだもんね!」 「そ、そうよ! それまでがまんしてね……」 「うん……」 会話が途切れた二匹の間に沈黙が流れます。それは、親密だからこそ起きる、脳内での言葉選びの時間でした。 「あ、ありす!」 「な、なにかしら?」 まりさは、思い切って、思いをぶちまけることにしました。 「まりさ、たびにでようとおもうんだ!!」 「それは、どこまでなの?」 「いえないところまで……」 「となりのむれとかかしら?」 「ちがうよ、もっととおいところだよ」 「そう、それじゃあ、いってらっしゃい!!」 にこやかに笑うその姿に、焦ったまりさは言葉を継ぎ足しました。 「もしかすると、かえってこれないかもしれないんだよ!!?」 「だいじょうぶよ、まりさならなんとかなるわ!!」 「でも……」 モゴモゴと何かを言いたそうなまりさに、きっぱりとありすは答えました 「だって、まりさはありすのおむこさんなんだもん!! ぜったいに、かえってくるにちがいないわ!!」 「そ、そうだね。まりさはたいせつなはにーをのこしてしんだりはしないよ!!!」 「そうだよ!!」 「そうだよ!!」 気分がなんだか晴れやかになりました。まりさは心の何処かで挫けていたものが皆さっぱりなくなったのです。 帰ってくればいい、それだけのこと。まりさはなにをうじうじ悩んでいたのか。 本来のゆっくりが持つ極度の楽観視がそうさせるのか、まりさには光明が見えたかのような感じがしました。 「ありす、これはけっこんしたときのためのちょちくだよ……でも、これはありすがありすのためにつかってほしいんだよ!!」 「どういうことかしら?」 帽子から取り出した大量のご飯を見てありすは不思議に思い、問いました。 「ぜったいに、ふゆをのりこえてね!!」 「まりさはどうするの?」 「ふゆさんがこないところでせいかつするからだいじょうぶだよ」 「それって……」 「せんさくさんはよしてね!! まりさ、そろそろいくよ!!!」 「え、ああ、いってらっしゃい!!!」 まりさはそう言うと、ありすの家から出ていきました。 友達や知り合いに挨拶をしたら、皆、一様に驚きの表情を見せてくれました。ですが、最後には快くさよならを言ってくれました。 まりさは家に戻って支度をします。そして、数匹のゆっくりに見送られながら群れを旅立ちました。 <成ゆん編―遭遇―> まりさはおさぱちゅりーに言われたとおりに、山を下りました。川に沿って行けば、下流に人間がいると教えてもらったからです。 最初はなれない長距離移動で疲れたりはしましたが、持ち前の精神力でカバーし、なんとか旅行を続けられています。 3日も経つと、歩くのに慣れ、適度に体力を消費しながら移動できるようになりました。食べ物も川沿いの藪の葉っぱや落ち葉を食べ喰い凌いでいます。 4日目になると何とか下流が見えてきました。その近くには林や藪が見当たらず、何もない舗装された肌色の道路しか見えません。 「なんなの、このみちは!! とっても、きれいにととのっているよ!!?」 生まれてはじめて見る道路にまりさはびっくりせずに入られませんでした。 「これが、にんげんさんがつくったものなの!?」 所謂、カルチャーショックというやつでした。 まりさはこの道を歩きながら目印となる畑を探しました。途方もなく続くこの道はまりさに人間の凄さを知らされるものばかりでした。 「やはり、にんげんさんはゆっくりとはちがうちからのもちぬしだよ。これなら、わたしのしんじつもわかるかもしれない」 トコトコと歩いていると、向こうの方からびゅんと鉄の塊が走って来ました。 「ゆ、ゆゆゆ!!」 慌てて、まりさは道の端に逃げて難を逃れました。野菜を運ぶトラックが通ったのです。 「ゆっくりしてないよ……」 コレもまた、人間の物だということは分かりましたが、あまりにも早く動く車にまりさは怯えました。 「ゆゆゆゆゆ!!」 ですが、運が良かったのでしょう、念願の畑を見つけることが出来ました。棚から牡丹餅です。 「やったね、わたし!! これで、にんげんさんにあえるよ!!」 斜面を転がり落ちるように飛び降りて、用水路を跨いで、まりさは畑へと向かいました。 有刺鉄線で囲まれた畑の外周を回って、なんとか鉄線が張られていない入り口へと辿り着きました。 「ゆーん、これはきっと、おやさいさんをねらいにきたゆっくりをじゃまするためのどうぐだね」 そう考えながら、まりさは堂々と入り口へと足を踏み入れます。 「そうよ、ここはゆうかとおにいさんのぷれいすよ。だから、かってにはいってはだめなのよ!!」 まりさの背後から衝撃が走りました。緑の髪をした森では見慣れないゆっくり、ゆうかがまりさをどついたのです。 「ゆぐっ!!」 まりさは前のめりになって転がりました。丁度、大根のガッチリと太った根の部分にぶつかり止まりました。 「しょうこりもなく、きちゃって!! どうしてくれようかしら!!?」 「ま、まってね、わたしは!!」 「おやさいどろぼうはせいっさいよ!!」 衝撃で身動きが取れないまりさに、ゆうかは口に咥えたスコップの尖先を向けました。 「や、やめてね!!! わたしはただ!!」 言い終わる前に、まりさの腹部はパックリと裂けました。あたり一面にドボドボと餡子が流れます。 「げすはしになさい!!」 命が終わる。 「わた…し……しぬの……なに……」 まりさは目の前が徐々に真っ黒になりました。 <成ゆん編―農奴―> 曇り空が多くなった季節。それはすべての動物を無慈悲に寒がらせる冬。とある人間の広大な畑には、50匹程のゆっくりがいました。 そのゆっくり達は何かに怯えながら、作業をしています。慎重に、そして丁寧に。不器用なゆっくりながらも慣れた手つきで行います。 その背後にはゆうかがいました。育てているお野菜を食べないように監視する役目と、仕事のレクチャーをする役目です。 それは、4匹に1匹程度の割合でゆうかが配置されていました。 「こら、そこ、てをぬくな!!」 「ゆひぃいい!!!」 樹の枝で打たれたゆっくりは痛みのあまり、跳ね回ります。その姿を見て回りのゆっくりも恐怖を感じながらも作業に徹します。 そのゆっくりの中に、あのわたしまりさもいました。まりさは、辛うじて生きていたのです。 「ゆうか、おやさいさんのことなんだけど、このだいこんというのはいつでもはえてくるんだよね?」 他のゆっくりとは物怖じせず、ただ、監視役のゆうかと話していました。 「そうよ、とくにあきからふゆにかけてのだいこんはぜっぴんよ! あなたも、うれないだいこんをたべたでしょ?」 「うん、たしかにそうなんだよ。このだいこんがあれば、みんながやさいをそだてるぎじゅつがあれば、ゆっくりやにんげんはしあわせになれるんじゃないかって」 持論を展開するまりさにゆうかは自分の知恵をひけらかすように話しました。 それもそのはず、監視役のゆうかは全て金バッチなのですから、プライドがあります。 「それは、あなたがとくべつなのよ。ふつうは、りかいできないものよ」 「それもそうだね……ふとおもうんだけど、うれないやさいさんがでるというのがふしぎなんだよ。なぜ、にんげんさんはたべられるものをすてるの?」 「おかねのはなしになるはね、それは」 「おかね? ゆん、たしかほかのものとこうかんするためにつかうどうぐのことだね」 「ものおぼえがよくてうれしいわ。おかねがあるからこそ、おやさいさんをよりよくそだてられるためのどうぐをかえるのよ」 「なるほど、おしごとさんをわけているわけだね。ゆっくりにはそれができるほどかずがあつまらないし、ぎじゅつもないし…」 スポンジのように知識を吸収する様を見て、ゆうかはこのゆっくりは教えがいがあるなと感じました。 最初の頃は、何をするにいたって、質問攻めをして、鬱陶しいと思ったのですが、そのことを畑の持ち主である人間に報告したところ、 知ろうとするゆっくりには知識を与えて上げなさいと言われていたので、ゆうかは渋々教えていたのです。 時々、飼い主である人間のことが分からなくなるゆうかでした。他になぜこんなことをさせるのかと質問してきたゆっくりはことごとく、 自分のゆっくり理論を展開して、駄々をこねて仕事をやめようとしたからです。そういうゆっくりは死刑になります。それも、公開処刑です。 ですが、まりさは違いました。純粋に色々なことを聞き出そうとするのです。ヘタしたら、ゆうかでも答えられないことまでも。 「ん? ゆうかどうしたの?」 もみあげを器用に使って、如雨露で水撒きをしていたまりさが心配そうにゆうかを見つめます。 「ゆゆゆゆ、な、なんでもないわよ!!」 「ゆーん?」 ゆうかは顔を真赤にして背けます。まりさは熱でも出たのかなと心配そうにゆうかのことを見つめました。 「ぬぁああん、つかれたもうぅ!!」 いっぴきのれいむが屁をこきながら、“げっとー”と呼ばれる木製の長方体にできているタコ部屋に入りました。 「おならさんはやめてね!! くさいよ!!」 「そうだよ」 「あ、そうだ。おい、れいむぅ、しごとのときまりさのこと、ちらちらみてただろ?」 「なんでみるひつようがあるんですか?」 「あ、おいまじ、れいむさ。ちぇんたちがしごとしてたときみてただろーわかるよー」 「そうだよ」 各々、雑談を繰り広げながら、壁沿いに設置された自分の寝床に行きます。 一番奥は農奴ゆっくりの中でもリーダーが座れる場所です。わたしまりさはそこに居ました。 まだ2ヶ月ちょっとしか居ない新参者のまりさがリーダーの席に座れたのは、前のリーダーを蹴落としたからです。 というのは、前のリーダーであるまりさは暴力をふるい、皆のご飯を巻き上げ、取り巻きたちと分け与えるような屑だったからです。 そのリーダーまりさを倒したのはわたしまりさでした。手段は簡単、実力行使とゆうかへのちくりです。 子供の頃とは違い、まりさは喧嘩がとてつもなく強くなったのです。多分、捕食種にも劣りません。 ゆうかにやられたのは不意打ちで、正々堂々戦っていたらまりさが勝っていたでしょう。 まりさの強さに関しては後述で述べさせていただきます。 ともかく、懇意にしているゆうかに報告し、悪を掃除したことで、次のリーダーはまりさになりました。 「みんな、きょうもいろいろおはなしをきいてきたよ!!」 「ゆゆまりさのおはなしがはじまるのぜ!!」 まりさが声をかけると、一斉に部屋のゆっくり達が喜々とした表情でやってきます。 「それじゃあ、きょうはおかねさんについてはなすよ!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 大統領演説のように、まりさは声を張り上げて、色々なことを話しました。 その話はゆっくりにわかりやすいように人間とゆっくりの違いについてを話すものです。 「ようするに、にんげんさんはおかねさんをつかってせいかつをしているんだよ!!」 「ごはんさんをあつめなくてもせいかつできるのぜ!?」 「もちろん。つくったものをおかねにこうかんして、おかねでごはんさんをかえばいいんだよ!!」 最初は野菜はどうやってとることが出来るかの演説をしたのですが、誰も見向きもしませんでした。 ですが、持ち前の熱血漢の性が働いて、一生懸命、噛み砕いて話すことにより他のゆっくりも理解するようになりました。 何度も何度も、同じ話を続けることはまりさにとって面倒でしたが、物覚えの悪いゆっくりにはしかたのないことです。 まりさは思うのです。相互に理解を進めていけば、無駄ないざこざは怒らないと。だから、まりさは啓蒙するのです。 「そろそろごはんだよー」 ご飯を運ぶ担当のゆっくりがやって来ました。持ってきた腐ったり傷んだり形が変な野菜の入ったご飯をまりさの元へ置きます まりさは均等にそれを配分しました。 「きょうもおつかれさま、ゆっくりいただきます!!」 「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」 今日も一日お疲れ様。まりさはそう思いながら、目の前にある野菜を頬張りました。 所変わって、人間の家。畑の警護に武装したゆうかを半分残して、あとは人間の家でご飯を食べていました。 ご飯の内容は、げっとーのものとあまり変わりません。 「ゆうか、あのまりさとだいぶはなしてたけど、だいじょうぶ?」 「なんのことかしら?」 「とぼけちゃって……」 畑でまりさと話をしていたゆうかは何のことなのかさっぱりわかりませんでした。 「あのまりさ、なかなかかしこいのはしってるわ。それに、いけゆんだしね」 「そ、それがどうしたのよ!!」 「ほれたんじゃないの?」 「ば、ばかね!! あんなきほんしゅなんてわたしのがんちゅうにないわ!!」 ゆうかは頬を染めて体を横に振りました。ですが、内心、まりさに恋心を抱いているのかもしれないと懐疑的になりました。 「ゆうかはただ、まじめなゆっくりにべんっきょうさをおしえているだけよ……」 野菜が盛りつけられた皿に視線を集中させ、ゆうかは無心に野菜を食べました。 ゆうかは悩みます。まりさと顔を合わせるのが楽しくなってきていることを。そして、それが生まれて初めて持つ恋心かもしれないということ。 同じゆうか種に囲まれながら、凡百を支配しながら生きていた自分に対等で異種の存在が現れた。 それが、ゆうかにはショックでした。この気持に、ゆうかは正直になれるのかなと思います。 確かに、まりさは基本種で野良のゆっくりです。それでもなお、ゆうかには恋心を抱くに値するゆっくりだと思いました。 いつもの様に畑の労働をしている時です。ゆうかはまりさに話しかけられるより前に思い切って気持ちを打ち明けました。 「ま、まりさ! わ、わたし!!」 「ゆゆ、いいところにゆうかがきたね。ちょっと、おはなししてもいいかな?」 「ひゅい!?」 何時もと違うにこやかなまりさとは違い、至って真面目な顔をしていました。 もしかして、まりさもゆうかに何かを打ち明けたいのだろうか。ゆうかは心をドキドキと震わせて聞きます。 「ゆうか、まりさはね……」 汗が出てきました。まりさの顔が何時も以上に格好良く見えてしまうのです。 「にんげんさんにあいたいんだ」 「え?」 待っていた答えと違うことにゆうかは驚きましたが、更に驚いたのはまりさの発言の内容でした。 「まりさは、にんげんさんにあうためにこのばしょにきたんだよ。だから、あいたいんだよ」 「ゆうかのことは……あそびだったの?」 「え?」 「ゆうかより、にんげんさんにあいたいの?」 なんだか惨めな気がしてなりませんでした。ゆうかはどうしようもなく悲しくなったのです。 自分はまりさに惚れているし、惚れられていると錯覚を覚えたこと。そして、自分は人間さんと繋がるための道具にされたんじゃないかということ。 ゆうかの頭の中はぐわんぐわんと色々なことが重なって、それが嫉妬に繋がりました。 「どどどど、どうせ、ゆうかはまりさみたいなざこゆっくりなんかどうでもいいんだから!!」 「どうしてそんなにおこっているの!? まりさにはわからないよ!!」 「うるさいうるさいうるさい!! げすなまりさなんかしらない!!」 そう言うと、ゆうかは持ち場を離れて去って行きました。その日はゆうかを見ることはありませんでした。 「ということがあったの」 カーキ色のロングコートを来たおじいさんはゆうかの報告を縁側で聞いていました。 そして、報告が終わったゆうかの頭を撫でると、おじいさんは立ち上がりました。 「それは変わったゆっくりじゃな。私に会いたくて山を降りたゆっくりか」 「たぶん、おやさいさんをねらいにきたとかそんなんじゃないとおもうわ」 「じゃあ、なんじゃろうな? 少し興味が湧いてきたわい」 おじいさんはストレッチをして体をほぐしました。 「ゆうかは、まりさにかおむけできない……どうしたらいいの、おじいさん? ゆうか、ひどいこといっちゃった……」 悄気るゆうかは気持ちが安定しないのでしょう。どうしたら良いかわからないみたいです。 「それなら、一緒に謝ってあげるよう。それならいいじゃろ?」 「おじいさんといっしょならだいじょうぶかも」 人間さんならきっと大丈夫かもしれない。だって、ゆうかやその他のゆっくりを凌駕する知恵の持ち主だから。 そう思うとゆうかは少し心が楽になりました。 「まりさの場所へ案内してくれないか?」 「いいわよ!」 跳ねるゆうかの後ろをおじいさんはヨチヨチと使い古した長靴で追いかけました。その光景はまるで、孫とおじいさんの関係のようです。 おじいさんが作った“げっとー”。犬小屋を長くしたそれは、人間が入るには少しきついものでした。 なので、ゆうかに引き連れられるようにまりさは“げっとー”から出てきました。 もしかして、ゆうかに粗相をしたまりさがせいっさいされるのではないかと心配で“げっとー”の仲間たちも遠巻きなが見ていました。 「まりさ、初めまして。私は双葉敏夫というものじゃ」 「に、にんげんさんもわたしっていうの?」 まりさの言葉に疑問符を浮かべました。 「私がどうかしたかのう?」 今まで貯めてきた辛いこと、分からないこと、いろんな感情を込めてまりさは告白します。 「わたしはまりさだよ! わたしはわたしなんだよ!! どうして、わたしはわたしなの!!?」 “わたし”という言葉を使うまりさにおじいさんは驚きました。 「珍しいのう。古代種でもあるまいし。中身だけ古代種なのか?」 「にんげんさんはわたしのことがわかるの?」 縋るような目つきなまりさにおじいさんは少し困った表情を浮かべました。 「すまんが、私にもわからんことはあるんじゃ……これでも昔はゆっくりの研究をしていた身ではあるがのう……」 「そんな、にんげんさんにもわからないの……」 望みが絶たれた思いがまりさを席巻します。あまりにもがっかりしているまりさに見かねたおじいさんはボソリとつぶやきます。 「調べれば分かるかもしれんが……その、おまえさんが自分のことを“わたし”と呼ぶ原因がな」 「ほんとぉ!?」 パァとまりさは笑顔を見せました。まだ、希望はあるんだ。死んだぱちゅりーの思いはまだ挫いていない。 そのことだけで、まりさは幸せになりました。やはり、人間にあってよかったと。 「そうじゃな、私の好にしてもらっている加工場に連絡をとって、検査してもらえば大丈夫じゃろ」 「か、かこうじょう……」 加工場という言葉に周りのゆっくりはざわめき始めました。やは、まりさは処刑されるのかと。 「安心せい。ただ、検査を受けるだけじゃ」 「ゆ、ゆう、でもかこうじょうはゆっくりできない……」 本能的な部分で加工場にまりさは忌避感を示します。やはり、同種が殺される場所に行くのは気がひけるようです。 「なら、分からないままで良いのか?」 「それは……」 でも、まりさにはやらなければならないことがあります。生きている意味を知ることです。 「信用しろとは言わんが、手助けはしてやろう。なにせ、私に会いに山を降りたのだろう? 客人を饗すのが人間というものだ」 「……わかった、おじいさんのことしんじるよ」 おじいさんは少し微笑みました。 「それじゃあ、加工場に連絡がついたらまた来るよ。おっと、その前に……ゆうか、言いたいことがあるんじゃなかったかのう」 「うっ!?」 おじいさんの後ろでコソコソとしていたゆうかが、まりさの前に現れました。 「まりさ……」 「ゆうか、どうしたの?」 もじもじとしながらゆうかは声を出しづらそうにします。 「えっと……ゆうかは……」 「ゆうかは?」 「ゆうかと……いっしょにゆっくりしてね!!」 他の“げっとー”のゆっくりやゆうかたちが一斉に驚きの声を上げました。 「「「「「ゆえぇえええええええええ!!!???」」」」」 恥ずかしくてつい大声で本音を告げてしまったゆうかは取り返しのつかないことをしてしまったと後悔しました。 まりさの顔をゆうかは怖くて見れません。ですが、まりさはゆうかに言いました。 「ごめん、まりさはこんっやくしてるんだ……ほんとうにごめん」 その言葉にゆうかは反応が遅れてやって来ました。 「え、あ……うん、ごぢらごぞごべんなざい――う、うわぁああああああああああん!!」 赤っ恥をかいたのが悲しくて泣いたんじゃなく、生まれて初めての初恋が敗れたのが悔しくて泣きました。 おじいさんはただ、ゆうかを抱きかかえ胸を貸してあげました。 数日後、まりさは白くて大きな建物、加工場にいました。清潔すぎる建物の材質は人工のもので、自然に馴染みのないものばかりでした。 それが、あまりまりさは好きじゃありあませんでした。どうも、自分が阻害されている気分に陥るからです。 加工場という存在そのものがゆっくりにとって邪悪なものだからでしょうか。原因はわかりません。 たくさんの白衣を来た人間さんにまりさは色々なことを聞かれました。知能テストや面談とか。 身体能力を確かめるために動く床を走らされたり、ぴょんぴょんを疲れるまでさせられたり。 壁に体当たりをしてみたり、終いにはうんうんとしーしーを採取されたり。 人間さんが何をしているのかはまりさにはよくわかりませんでした。ですが、一生懸命に自分のことを調べてくれていることだけは分かりました。 おじいさんと一緒に一室で待機していると、おじいさんはまりさに言いました。 「自分のことが分かるというのは結構、嬉しいことだ」 その言葉にあのおさぱちゅりーの影を慕いました。おさぱちゅりーは自分の知恵の限界を感じながら死んでいったのです。 その悔しさはまりさには十分伝わりました。だからこそ、今のこの状況を祝福したいとも思っています。 「じゃがの、分かったところで、生きている意味は分からんものさ。それに、分からないほうがいいこともあるんじゃよ」 おじいさんの言葉にはどこか悲哀が満ちていました。それは人間がもともと持つ不幸なのかなとまりさは思います。 「でも、しらないよりしっているほうがこうふくだとおもうよ」 まりさはそう信じました。頑なに信じました。それが、まりさを生かしている原動力だからです。 「結果が出ましたので、双葉さんとまりさちゃんは談話室まで来てもらえませんか?」 「結論から言いますと、おたくのまりさちゃんは―――」 <成ゆん編―帰還―> 春、それは雪解けの時期。すべての生き物が目覚め始める日です。太陽がのぼり、植物は輝きを増します。 おじいさんの畑も例外ではありません。ポカポカお日様の元で、まりさを含め、農奴ゆっくりたちは山の斜面近くの畑の入り口に居ました。 「まりさ、さみしくなるわね」 あのまりさに告白したゆうかは仲直りをして友達になったのです。 「みんな、みおくりありがとう。わたしはむれにもどるよ」 まりさは自分の知るべきことを知ったので、群れに帰ることにしました。もちろん、おじいさんに許可をとっています。 「「「「「ゆう、まりさぁ……」」」」」 “げっとー”の仲間たちは涙を浮かべてまりさを見送ります。 「それじゃあ、わたし、かえるね!」 みんなに見送られながらまりさは山へと消えて行きました。 久しぶりの山はまりさにとって、勘を思い出させる場所でした。危険な生き物を避けて、食べられるものを得る。 そうやって、危険と隣り合わせになりながらも生きることを思い出しながら、まりさは群れの入り口にたどり着きました。 「ゆゆ、そこのみかけない………もしかしてまりさだみょん!?」 「そのこえは、ようむだね! おひさしぶり!!」 入り口で警備をしていたようむはまりさと顔なじみでした。がっこうの頃の友達です。 「かえってこれたんだね、よかったみょん!」 「みょんもふゆごもりだいじょうぶだったんだね!!」 「かぜのうわさで、まりさがしんだときいていたからおどろきさんばいだみょん!!」 「そうかんたんにはしなないよ!!」 体を張ってまりさは元気アピールをしました。 「それはよかったみょん……でも、このむれはあまりよくないみょん」 「ゆゆ? どうして?」 元気に乏しい顔をするのでまりさは群れになにか起きたのだと察知しました。そして、一番最悪なことを思いつきました。 「もしかして、ありすに!!」 「それはだいじょうぶだみょん。ただ……」 「もったいぶらずにおしえてね!!」 ようむは決心してまりさに告げました。 「ありすはちぇんとけっこんしたよ」 群れのゆっくりはおさが変わったことでとってもゆっくりできなくなってしまった。そう、ようむは言うのです。 原因は群れのおさが暗愚になってしまったからだそうです。そのおさこそ、あの小さい頃にまりさを侮辱したゲスまりさの妹がなったのです。 そもそも、この群れは世襲制だったので自然とそうなりました。ゲスまりさの中身を同じくしてなのか妹もかなりのゲスでした。 なんといっても、冬ごもりの時の対応が最悪だったの一言です。嫁のでいぶのために貯蓄を独占し、他のゆっくりに冬ごもり用のご飯を分け与えなかったのです。 もとより、自分たちでご飯を貯めていたものは生き延び、貯めていなかったゆっくりは餓死しました。 そうやって、生き残ったゆっくりたちに追い打ちをかけるようにおさは重税をかけました。 冬にあまりの寒さにすーりすーりをし過ぎて子沢山になったからです。その子どもたちとでいぶを養うために群れのゆっくりを働かせました。 ですが、今のまりさにはそんなことお構いなしです。とにかく、ありすの安否が気になりました。 ようむが言うには、小さい頃、ゲスまりさにゆっかーされていたちぇんがありすを娶ったというのです。 まりさには何がなんだかわかりませんでした。一切合切、何がどうなってこうなったのだろう。 ありすのかぞくが住んでいたお家にまりさは辿り着きました。そこからは子供の声がちらほら聞こえます。 「わきゃるよーおきゃーしゃんはとっちぇもゆっきゅいりてりゅね!」 「ゆふふ、ありがとう」 その声は紛れもなくちぇんの子供の声で、そして、ありすの声でした。 「あ、ありす……」 その場から去ろうとしたところ、後ろから声をかけられました。 「ま、まりさ! いきてたんだねー!!」 「ちぇん!?」 ご飯を口いっぱいに含んだちぇんが居ました。その姿は貧弱だった小さい頃とは違い立派な大人になっていました。 「よかったよ! まりさ!!」 「え? まりさ……」 「その、えっと……」 何事かと玄関から出てきたありすがまりさの顔を見て信じられないという表情を浮かべました。 「ただいま」 「おかえり……」 顔を合わせ辛いのか、ありすとまりさは顔を合わせようとしません。不思議に思ったちぇんはまりさを家に入れることにしました。 「まりさのもらったごはんさんで、ありすとありすのおとうさんとおかあさんといもうとたちはいきのびることができたわ」 子どもたちがまりさを物珍しそうに眺めながら飛んだりはねたりしていました。 大人たちは真面目な顔で話し合いをしています。 「それはよかったよ。でも、その……」 まりさは言い出せずに居ました。なぜ、ちぇんと結婚してしまったのかと。 「それはちぇんからはなすんだねー」 気持ちを察したのかちぇんが割り込みました。 「まりさはかぜのうわさでしんだってきいたんだよーだから、ありすをまりさのかわりにまもらないとっておもったんだよー……」 「そうなの……ちぇんはわるくないわ。わたしがわるいの」 自分がしでかしたことが以下に重いのか、改めてまりさは知りました。 確かに、群れからさるゆっくりなんて追放ゆん以外まずありえない。そして、彼らの末路は死ぬことばかりだ。 それを踏まえて考えれば、まりさが死んだなんて噂が広まるのはありえるだろう。 まして、自分は呪いのまりさだ。死んでほしいと願うゆっくりは何匹かいたはずだ。 「そうだね、ぜんぶまりさがわるいよ」 「でも!」 「いいんだよ。それに、ありすがしあわせなら、まりさは……」 ありすの横で暇を持て余しているおちびちゃんを見ていると、まりさは気持ちがほっこりしました。 幸せなら、それでいいんだ。そう、自分に言い聞かせることにしたのです。 「ところで、まりさはなにをしていたの?」 「それはね――― まりさは人間のところへ行った話をしました。そこで、畑を見つけ、畑で働いていたことをいいました。 そして、人間の世界へ行き、加工場へ行った話もしました。 「おやさいさんってかってにはえてこないの!?」 「かこうじょうにいったってほんとなの! まりさ!! わ、わからないよー!!」 そんなにびっくりすることじゃないよとまりさは思いましたが、ゆっくりと“げっとー”の仲間たちに言い聞かせるように教えました。 「そんなことがあったんだねーよのなかわからないよー」 「そ、そうね。まりさはやっぱりすごいわ」 「わかるよー」 「そ、そんなこと……あ、そうだ。これ、おみやげだよ!!」 そう言いうと、まりさは帽子の中からクズ野菜を取り出しました。これは、ありすの婚約指輪がわりに持ってきたものです。 「せっかくだし、ゆっくりたべてね!!」 「ゆ、ゆわ~ほんもののおやさいさんだ!!」 「わわわわ、わかるよー!!! ゆっくりしてるよー!!!」 ちぇんとありす、そのおちびちゃん達は飛び跳ねて喜びました。つい天井に頭をぶつけてしまった夫婦だが、そんな痛みへっちゃらです。 「じゃあ、みんなでわーけわーけして「ちょっとまってね!!」ゆゆ?」 玄関からゆっくりしてない声が聞こえてきました。 「だれなの?」 声の本人は一匹のれいむでした。ですが、茄子型に太ったゆっくりしてないれいむです。 「このおやさいはでいぶのものだよ!! ついっほうされたくなければよこすんだよ!!」 「そ、そんな……」 ちぇん夫婦は眉の端を下げてがっかりした表情を浮かべました。 ですが、まりさにはなぜこんなれいむにいい負けているのかが不思議でなりません。 「おちび。これはまりさがもってきたおやさいさんで、ありすとちぇんにあげたものだよ。だから、おちびのものじゃないよ」 まりさは優しくれいむにいいきかせました。まあ、多少語弊はありますが。 「でいぶはおちびじゃないぃいいいい!! このくそなまいきなまりさはなんなの!!??」 「そういうれいむこそいったいだれなの?」 疑問をぶつけるとれいむは威張り散らした態度で答えました。 「ゆっへん、れいむはこのむれのおさのむすめだよ!! よそものがずがたかいよ!!」 「まるで、おうさまきどりだね。そんなんじゃ、ゆっくりできないよ」 「うるさいぃいいいいい!! でいぶさまがゆっくりしてるんだからゆっくりしてるんだよぉおおお!!!」 「はなしがつうじないよ」 「いいから、そのおやさいさんをよこせぇええええ!!」 お野菜さんにかぶりつこうとするれいむですが、ポインポインと跳ねるスピードはとっても遅いです。 まりさは少し体をぶつけて阻止しました。 「ゆげふっ!!」 「ま、まりさ!!」 なるべくダメージを与えないように気を使って体をぶつけました。 「おいたはだめなのぜ、おちび」 「いたぃいいいいいいいい!!!!」 れいむは細長い体をぐでんぐでんと駄々をこねるように地面に叩きつけました。 「まりさ! おさのむすめにはむかったら……」 冷や汗をかいたありすがまりさに言いますが、まりさは体を横に振って答えます。 「だいじょうぶだよ。どうせ、このむれからでようとおもってたところだから」 「でも!!」 「そのまえにやらなくちゃならないことがあるみたいだけどね」 玄関から出たまりさはある場所へと向かいました。そこはまりさにとって馴染みのある場所です。 「で、おまえはわざわざまりささまにころされにきたのかぜ?」 「ゆぷぷ、まさか、あのひきょうなまりさがいきてたなんて」 まりさはおさぱちゅりーが住んでいた家に居ました。そこで、おさになった妹まりさとその嫁のでいぶと対峙しました。 「ごたくはいいのぜ、しにたいやつからかかってこい!!」 「ゆふん、ひきょうなことしかできないまりさはこのまりささまがじきじきにころしてやるのぜ!!」 「ゆーん、まりさかっこいいよぅうう!!」 おさまりさは私腹を肥やしたボディーででっぷりと大きく育っていました。 この大きさはゆっくりの強さに比例し、体当たりしか出来ないゆっくりにはアドバンテージが与えられます。 ですが、まりさはそんなこと気にしないようです。 「まりさすぺしゃるとるねぇいでぃおーばーどらいぶすたんぷぅううう!!!」 その小さいからだを踏みつぶしてやろうという勢いでおさまりさはまりさを潰そうとします。 しかし、それを冷静によけたまりさは背後に周り、弛んだ背中の皮に噛み付きました。 「ゆがぁああああよけるんじゃな、いぃいいいい!!!?」 そのままジャイアントスイングの要領でおさまりさをブンブンと振り回しました。 「ばかしょうじきにたいあたりするとおもったの?」 口が動かないのに喋られるのはゆっくりの七不思議です。あれ? 前にも言いましたっけ? まあ、置いといて。まりさは十回ほど回したあとにポイッとおさまりさを放り投げました。 「ゆわばっ!」 衝撃で歯が数本抜けたおさまりさはそのまま気絶してしまいました。 残されたでいぶはしどろもどろするわけじゃなく傲岸不遜に席に居座っていました。 「ゆふん、なかなかやるじゃないか、のろいのまりさ!!」 「わめくしかのうのないやつがよくいう」 「うるさいぃいいいい!! おい、どれいども!! はやくあのまりさをころせぇえええ!!」 号令とともに八匹のゆっくりが集まって来ました。どいつもこいつもニタニタとゲスな笑みを浮かべています。 「よくもまあ、このむれをこんなにしてくれたなぁあああ!!」 樹の枝で四方八方を囲まれたまりさは怒鳴りました。おさぱちゅりーが築いた物を破壊されて怒りが頂点に達したのです。 「しゅうせいしてやる!!」 数分後、八匹いたゆっくりは皆、気絶していました。まりさの鬼のような強さに負けたのです。 「まだやるのか?」 「ゆ、ゆひぃいいい!! あんなにたくっさんいたのにぃいいいい!!!」 「まだやるのかときいてるのぜ!!」 「ご、ごめんなさいぃいいいい!! でいぶがわるかったですぅうううう!!!」 泣きわめきながら土下座するれいむにまりさは呆れました。 「じゃあ、なにがわるかったの?」 「ゆえ?」 「なんであやまってるの?」 「それは……でいぶなにもわるくないよ! まりさはさっさとしんでね!!」 まりさはため息を付きました。コレが群れの現状なのかと。そして、ゲスだと。 「これにこりたら、もうにどとむれのみんなにひどいことをするんじゃないのぜ……」 まりさはそう言い残すとおさの家から去りました。 「ということをしてきたよ」 久しぶりにあった家族は頬がこけていました。ですが、まりさの報告を聞いて喜びました。 ですが、この群れには居られ無くなってしまうことがとっても悲しくて、素直に喜べませんでした。 「これから、どうするの?」 「いっしょにはたけさんではたからない?」 「え? はたけさん? おやさいさんがはえてくるばしょがあるの?」 「はは、ちがうちがうよ」 まりさはお野菜さんについて説明し、納得してもらいました。 「どうせ、まりさのことでこのむれにいられなくなるんだから、いっしょにいこうか……」 両親は頷き合い、まりさと一緒に人間が経営している畑に行く事にしました。 まりさは群れを出るときに少し後悔しました。それは、ありす夫婦を連れて行かなかったことです。 なぜ、連れて行かなかったかというと、ありす夫婦のおちびちゃん達が長旅に耐えられないからかもと考えたからです。 故郷を離れることで、まりさは少し泣きました。ですが、おさぱちゅりーの思いは絶対に守りぬこうと思いました。 <成ゆん編―動乱―> 畑に戻ってきたまりさ達は快く受けいられました。“げっとー”の仲間たちやゆうか達は大喜びです。 おじいさんも出迎えに来てくれました。 みんなが笑顔であることが一番まりさには驚きました。 “げっとー”の仲間から聞いた話だと、ゆっくりの労働環境が改善されたそうです。 土地に縛られた農奴制から自由に山に帰っていいようになったのです。 そして、ゆうかが優しく物事を教えてくれるようになりました。それもこれも、まりさのお陰だと“げっとー”の仲間たちは言います。 「けっこんしよう」 まりさは改めてゆうかにプロポーズし、結婚することになりました。それは、妥協じゃなくて本当にゆうかを愛していたからです。 他のゆっくりは山に畑のことを伝えて畑に新しい住人を呼び寄せたりもしました。失敗は多々あれど、ゆっくりやって行けています。 おじいさんもその姿に感化されたのかゆっくり用の土地を広げてくれたりしました。 これで、めでたしなら、ストーリーはしあわせな物語で終わったのかもしれませんね…… 畑の入り口にぞろぞろとゆっくりが集まっていました。 「ゆゆ、あたらしいにゅうきょしゃかな!?」 一匹のれいむがその集団に声をかけました。 「おーい、みんなゆっくりして「おやさいをどくせんするゆっくりはしね!!」ゆぇ……ぐばっ!!」 目をギラギラとさせた一匹のまりさがれいむを樹の枝で刺殺しました。 「て、てきしゅうだ!!」 畑は戦場となりました。山から百匹以上のゆっくりが襲ってきたからです。 畑のことを知らせたのが裏目に出たといっても過言ではないでしょう。 山のゆっくりが野菜が勝手に生えてくると頑なに信じていたので、争いが起きたのです。 「ゆぎゃぁあああああああ!!!」 阿鼻叫喚が支配する幸せの象徴だった畑。そこは野菜を食いつくす蝗とかした山のゆっくりによって占領されてしましました。 ゆうかやまりさ達農奴ゆっくりも頑張って戦いました。30匹の犠牲を出しながらも、なんとか山のゆっくりを追い出すことに成功しました。 遅れてやってきたおじいさんは畑の惨状を見てがっかりし、最終手段を使うことにしたのです。 「やまのゆっくりがぜんめつしたの!!??」 「そうじゃ。私が加工場に頼んだ……」 おじいさんは加工場に電話を入れて山のゆっくりを駆除してもらったのです。 まりさはその報告に驚きを隠せませんでした。なぜなら、山のゆっくりにありす夫婦が含まれているからです。 「そんな……ぜんりょうなゆっくりだって……」 「私はな、まりさ」 おじいさんは申し訳なさそうに語ります。 「この畑が無事ならそれでいいんじゃよ」 「どうして……」 「この畑は私が加工場でやってきたことへの贖罪なんじゃよ」 「しょくざい?」 「そうじゃ。私は、加工場の技術部にいたんじゃ。そこで、ゆっくりをいかに痛ぶり殺す方法があるか考えていた」 「そ、そんな……」 あんなに優しいおじいさんがそんなことをしていたことにまりさはショックを受けました。 「ゆっくりの味をコントロールする方法ばかり考えていて……本当はゆっくりと人間が一緒に暮らせる方法を探りたかったんじゃ」 おじいさんが子供の頃の夢だったことを教えてくれました。 おじいさんがおちびちゃんだった時、一匹のゆうかを飼っていたそうです。 そのゆうかはおじいさんととっても仲が良かったのです。しかし、ゆうかにはおじいさん以外の友達がいませんでした。 ゆうかに友だちを作ってやりたいとおじいさんは一生懸命に頑張ります。 試行錯誤をして、色々やってみたものの、ゆうかが生きている内に友達をつくることはかないませんでした。 おじいさんは決心しました。絶対に、どんなゆっくりでも一緒に幸せになれる世界を作りたい。そして、そこに自分が居たいと。 一生懸命に、おじいさんはゆっくりの勉強をし、加工場へ就職しましたが、そこで自分のしたい仕事はできませんでした。 やっとしたいことが出来たのはおじいさんがおじいさんになってからです。畑を使ってゆっくりに共同作業をさせてみました。 それでも、上手く行かなかったのですが、あのわたしまりさが来て一変しました。 ゆっくりの意識が様変わりしたのです。みんなで、何かをすることで一緒にゆっくりしようと。 そこまでは良かったのですが、ちょっと気を許した時点でおじいさんの目論見は崩れてしまいました。 「私は、私の世界が十分であれば、それでいいんじゃ……」 まりさはキッとおじいさんを睨んで反論しました。 「それはちがう!! わたしは、そんなせかいをのぞんじゃだめだとおもう」 「なぜじゃ……」 「しらないだれかのゆっくりをいのることにいみがないなんてことはないよ!!」 「それは詭弁だよ……所詮、生き物は目に見えるものが幸福であればいいんじゃ」 「ちがうよ……せかいはそんなにちいさくない……」 「寝言を言うな! そんなことしても意味が無いじゃろ!」 「わたし、わたしがうまれたいみ。それはたぶん、このじょうきょうのためなのかもしれないよ」 「それは……お前が自我を持っているからか?」 「そうだよ……」 まりさには自我があります。ゆっくりには自我がありません。なぜでしょう? それは自分のことを他多数と同じものだと思い込むからです。 まりさは違います。まりさは自分のことを私と区別をしているからです。 それが、わたしまりさの真実です。 まりさは頭が良いゆっくりです。検査でも人間並に賢いゆっくりであることが分かりました。そして、なによりも餡子の質が全く違うのです。 なにか別次元の粒子がまりさには含まれているのです。それは、何もかもをゆっくりさせるという粒子がうんうんに含まれていました。 まりさが生まれた意味、それは――― <成ゆん編―レーゾンデートル―ノーマルエンド> ある一匹のびゃくれんが人をゆっくりを救いました。 そのびゃくれんは自分のことをわたしと呼びます。 変わったことにびゃくれんはまりさの帽子をかぶっていました。 ですが、びゃくれんはそんなこと気にせずに、色々なことにチャレンジして行きました。 それはそれは自分の都合の行かないことばかりです。 ですが、世界はそうやって理不尽であることを知りました。 わたしまりさの伝説はココで終わりです。 なんつって。 <成ゆん編―素晴らしきこの世界―> まりさの世界は通常運行です。畑で働きながら、ゆうかやおじいさんに話を聞き、それを自分の知恵にしていく。 その知恵を他のゆっくりにも伝えて行きました。 ですが、世界は変わりません。ただし、各々の世界は変わって行きました。 ゆっくりや人間、他の動物は救われることはないのだろうかとわたしまりさは考えます。 徐々にまりさは自分がびゃくれんであることに気づいていきます。というより、まりさはびゃくれんに変身していったのです。 そして、おじいさんにびゃくれんがゆっくりをみんなゆっくりさせたい思考の持ち主であることを聞きました。 ですが、まりさはじぶんがまりさであることに誇りを持っています。 なによりも、びゃくれんの本能なんかよりも、自分は自分の考えを持っていることを自負しています。 帽子で隠れた紫髪。それは自分がおさぱちゅりーと合わさった気がしてとっても好きな色でした。 世界は理不尽です。おさぱちゅりーは理不尽に殺されました。まりさも私達も理不尽に殺されるでしょう。 ですが、まりさはそれでいいと思います。何もかもが作り物の世界でも、自分だけは自由だと。 それをわたしまりさは伝えたかったのですが、最後までそれが伝わることはないでしょう。 なぜなら、わたしまりさはわたしというカゴに入れられた存在だからです。 私ってなんでしょうね? 多分それは、自分を世界に留めたいだけの言葉でしょう。 わたしまりさは自己を解脱出来たのでしょうか? それは、皆様の考えにお任せします。 終わり。
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『まりさの人気にぱるぱるしてついカッとなって書いた。それと、いくさんは俺の姉』 「スイッチオン」 ういいいん、という音をたてて天井が降りる。 その様子はモニターでしっかりと観察できる。 天井が降りるという事は、その下に何かいた場合それは潰されてしまうわけで。 「ゆああああああああああ!!こないでねっ!てんじょうさんはこっちにこないでねえええええええええ!!」 「れいみゅはちゅよいよ!!れいみゅおきょるよ!ぷきゅううう!!」 「だせええええええええ!!でいぶざまをごごがらだぜえええええええええ!!」 「おにいいさああああああああんん!!はやぐむがえにぎでえええええええええ!!ありずじにだぐないいいいいいいいいいい!!」 「ゆんやああああああああああああ!!もうおうぢがえるううううううううう!!」 そこに居たのはまりさ以外のゆっくりばかりだった。 モニターの向こうでは天井が下まで降りきろうとしていた。 モニターや計量器の数値でそれがわかる。 やがて天井は特に何かに引っかかる事もなく、しっかりとその役目を終えたようだ。 さらに強く床を圧迫し、数分後自動的に天井が上がる。 ボタボタボタと、天井にこびりついていた黒い餡子や皮やクリーム、飛び出た目玉やお飾りが床に降り注ぐ。 天井が上がりきると、床がスライドし餡子の残骸を他の部屋へと運んでいった。 「よし。今日の処理分は終わりだ」 ボタンを操作していた男は椅子から立ち上がった。 時計を見ると既に午後の三時。 これから機器の点検と整備があるが定時にはあがれそうだ。 「おつかれしたー」 タイムカードを押して男は退社した。 ここは保健所。 捨てゆっくりや迷惑な野良ゆっくりを処分する場所だ。 男は保健所の正門を通り、大通りを歩く。 「おでがいじばず!れいぶはがりがへだでごばんざんをとれないんでず!!でいぶじゃおぢびぢゃんをゆっぐりざぜであげらればぜん!!!ぜめでおぢびぢゃんをがいゆっぐりにじでぐだざいいいいい!!!!」 家への帰路を歩いていると、道の片隅で声を上げるゆっくりがいた。 薄汚い身体とボロボロの髪の毛とリボンをしたゆっくりれいむだ。 道を行く人々はそんなれいむの言葉など歯牙にもかけず通り過ぎる。 「おでがいじばずううううう!!ばりざがいなぐなっでたいへんなんでずうううううう!!だずげでぐだざいいいいい!!」 その傍らには、僅かに黒ずんでいる赤ゆっくりれいむがいる。 誰がどう見たって死んでいる。 親であるれいむは気づいていないのだろうか? 「ゆうううう!!おぢびぢゃんもおでがいじで!!おがあざんどいっじょにいうんだよおおおおお!!ほらあああ!!」 何も言わない赤れいむに親れいむはすーりすーりをする。 その拍子に赤れいむの身体が崩れ、目玉が転がった。 「ゆ!!いいよ!!ぞのぢょうじだよ!!にんげんざん!!みでぐだざい!!!おぢびじゃんのしんじゅのようなおめめでず!!ごんながわいいおぢびぢゃんでごべんねえええええええええ!!」 赤れいむの目玉はどろりとしていた。 どうやらあの親れいむはとっくに狂っていたようだ。 「うるさいなー。保健所は何やってんだか」 自分の職場について一人愚痴った。 近道の公園を通るとそこは酷く汚れていた。 「うわあ……」 この公園は野良ゆっくりが多く生息していた。 駆除しても駆除しても、街からあぶれたゆっくり達が住み着き、いつしか近隣の人々も諦めていた。 そのゆっくり達が頭から大量の茎を生やして、真っ黒に黒ずんで大量死していた。 「なんなんだこれ……?」 男が首をひねったときだった。 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「ゆんやああああああ!!」 ゆっくりの声がした。 声のした方向を見ると、体液を撒き散らすゆっくりありすがゆっくりちぇんとすっきりしているところだった。 「やめでよおおおおおお!!ぢぇんもうずっぎりじだぐないいいいいいいいい!!」 「ゆんほおおおお!!ぢゃんはつんでれねえええええええええ!いいわああああああ!!もっどとかいはなあいをあげるわあああああああああ!!」 「ゆああああああああ!!わがらないよおおおおおおおお!?」 「ずっきりいいいいい!!」 「わがらああああああああ!?」 ちぇんを押し倒し身体をくねらせるありす。 どうやられいぱー化しているらしい。 この公園の惨状はあのれいぱーの仕業のようだ。 「ゆああああああああ!!まりざああああああああ!!まりざああああああああ!!やっばりまりざのまむまむはざいごうよおおおおおおおおお!!」 「ゆううううう!!ぢがうよおおおお!!ちぇんはまりざじゃないいい!!わがれよおおおおおお!!」 「まりざああああああああああああ!!」 「ゆにゃああああああああああ!!」 ちぇんもそこらに転がっている黒ずんだゆっくりの仲間入りをした。 れいぱー化したありすはちぇんを犯し終わったところで力尽き、しなしなになって死んだ。 その髪の毛の中から、黒い紙切れの破片がハラリと落ちた。 「あーあ。こりゃ保健所に電話しないとな」 男は携帯電話で保健所に連絡をいれ、たまたま同僚が出たので、公園で起きていた事を面白おかしく話しその場を立ち去った(なお後日判明した事だが、このれいぱーによって公園のゆっくりは全滅したそうである)。 「お父さん~ゆっくり飼おうよ~」 「ん~?ゆっくり?」 「さっきからずっとこうなのよ。お友達にゆっくりのカタログを貰ってきちゃって」 家で男がくつろいでいると、小学生の一人娘が一冊の雑誌を手に男に言い寄ってきた。 そのカタログの表紙には『特集!飼いゆっくりの種類!お手ごろから高級なゆっくり全てを網羅してます』と書かれていた。 「お父さんはいつもゆっくりをたくさん見てるんでしょう?いい子が居たら一匹貰ってきてよ~」 「いやいや。大体は野良だって。野良なんて駄目だぞ」 「わかってるよ。野良なんて汚いしやだ。この子みたいなのがいい!!」 と、娘が開いたページには金色のバッチをつけたゆっくりさなえが載っていた。 「どれどれ……って、30万!?希少種じゃないかこれ!?こんな高いのは駄目だぞ!」 「ええええええええ。だってまりさがいないからって思ってこの子にしたのに~」 「まりさとかって……あんな危険なのはもっと駄目だ。せめてこっちの基本種ゆっくりに……」 「やだやだやだあああああああ!!まりさかさなえがいいい!!」 「全くもう……ずっとこうなんですよ……」 「ふう……まりさ種か……もういないだろ……」 カタログにはまりさ種が一匹も載っていない。 まりさ種。 もはや人々が目にすることのないゆっくり。 何故そんなことになったのか数年前に遡る……。 突然人類の前に姿を現した謎のナマモノ『ゆっくり』。 その知能の低さと、脆弱さ、それでいて人類以外で唯一意思を交わせる(相当な躾が必要だが)のが注目され、ペットや動物園などで瞬く間に人気となった。 同時に中身がお菓子ということや、繁殖が容易という事もあり、食用としてもあっという間に普及していった。 野生のゆっくりは人間を恐れ山に籠り、ペットだったゆっくりが捨てられ街で野良として棲み付き、ゆっくり達は人間の生活の一部になった。 ゆっくりは脆弱で死にやすい。 人間はゆっくりを取るに足らないものとしてみていた。 ―――だが、事件が起きた。 「ゆっ!!ドスが来たからには人間の好きにはさせないよっ!!ドスはゆっくりを開放するよっ!!」 「どすがいればあんっしんだねっ!れいむのすーぱーゆっくりたいむはじまるよっ!!」 「どすがいればひゃくにんりきなんだぜっ!!にんげんなんていちげきでころせるのぜ!!」 「とかいはなどすねっ!!いなかもののにんげんなんてこわくないわ!」 「もっとゆっくりできるんだねー!!わかるよーー!!」 「むきゅ!もりのけんじゃであるぱちぇとどすのちからがあればにんげんをしはいすることもできるわ!!」 「にんげんをたおしてゆっくりぷれいすをつくるみょん!!」 「「「「「「ゆっゆっおーーー!!」」」」」」 ゆっくりまりさの変異体であるドスまりさが、ゆっくりを率いて人間の村を襲ったのだ。 その大きさとゆっくり達の多さに驚いた人間たちはとりあえず村を撤退しようとした。 が。 「どす!にんげんがにげるのぜっ!」 「ゆん!逃がさないよ!!人間は全部ゆっくりの奴隷にするよ!!ドススパーク!!」 住民へのドススパークの発射。 逃げ遅れた住民が巻き込まれ、瀕死の重傷を負う事態となった。 「ゆゆゆゆゆゆ!!にんげんなんてどすがいればいちころなのぜえええええ!!」 「つよくってごめんねー!!」 「ゆゆ~ん!ドスの強さがわかったよね!!だったらさっさとしないで奴隷になってね!!でないとまたドススパークで『どうするんだ?でか糞饅頭?』……ゆ?」 調子こいていたドスとゆっくり達は、いつの間にかその場にいた黒服サングラスの男一人によってバラバラに解体された(なお、その黒服はいつの間にかいなくなっていたが、ある村人が「……まさかこんなにも早くドスが現われるとはな」と男が呟いていたのを聞いている)。 後日、政府より緊急会見が開かれた。 「えー。このたび発生しました『巨大ゆっくりによる襲撃事件』の詳細をご報告いたします。ゆっくりの巨大化の事象は我々は既に把握しておりました。ごく一部ですが、ゆっくりまりさの巨大化、つまりドス化が起こるのです。そしてこれは現在市場に出回っているゆっくりまりさ全てにいえます。環境や状態などはあまり影響いたしません。ドス化は完全なイレギュラーであり、突然変異です。そしてドスは周りのゆっくりに多大な影響を及ぼします。それは先の村で起こった事件が良い例でしょう。ゆっくり達は増長し、ドス自身も人間より強いと思い、人間に牙をむくようになります。知能も高くなり、あのような熱線を放ちます。中にはステルス機能や、特殊な電磁波を飛ばす個体もいるようです。我々はこのような事態に備え特殊な訓練を受けた人間を育成してきました。今後はドスを確認しましたらすぐさま保健所にご連絡ください。こちらで適切な対応をいたします」 政府の発表に対して批判や苦情もあったが、それよりも人々の中には、ある恐れが生まれた。 ゆっくりまりさのドス化に対してである。 突然巨大化し、人を襲うようになる。 自分たちの身近にいるゆっくりにそんな危険性が。 自分のゆっくりにそんな凶暴な一面が。 ゆっくりは本当に安全なのか? 近所にいるゆっくりは大丈夫? まりさ種がドス化する? まりさ種がいるとゆっくりが増長する? ……まりさ種は危険? 人間は自身に危害を加えるものを徹底的に排除する。 「やべろおおおおおおおおおお!!まりざざまをばなぜええええええええ!!」 「このへやはゆっぐりでぎないんだぜえええええええええええ!!だぜええええ!!だじでぐだざいいいいいいいいいいい!!」 「まりちゃちゃまをどうしゅるきなんだじぇ!?いまならゆるしちぇあげるのじぇ!!」 「ぷくーするよっ!!ぷくー!!」 「ゆううううううう!!どぼじでまりざがごんなめにいいいいいいいい!!」 「なんでええええええええええええ!!がいゆっぐりになればゆっぐりでぎるのにいいいいいいいい!!」 「ゆああああああああああああ!!てんじょうざん!!!ごっちごないでえええええええええ!!」 「どぼじでてんじょうざんがくるのおおおおおお!!おうぢがえるうううううう!!」 「ゆぎぎぎぃぃぃ!!づぶれるううううううううううううう!!」 ペット。 野良。 区別なくゆっくりまりさが大量に処分されるようになった。 危険な芽はそうなる前に摘み取るもの。 人間の目に届く範囲内からゆっくりまりさは消えていった。 だが後に政府から再び発表がある。 『野生で暮らすまりさの方がドス化する可能性が高い』 「あああああああああ!!れいむのおぢびぢゃんがあああああああああ!!どぼじでええええええええ!!!」 「むきゅうう!!やめてにんげんさん!!わたしたちはゆっくりくらしてただけよおおおお!!」 「だずげでおざああああああああああああ!!」 「わがらないよおおおおおおおお!!」 「まりざああああああああ!!まりざあああああああああ!!」 人間の手による山狩り。 「うー!まりさ!ゆっくりしね!!」 「まりさをゆっくりたべるんだどお」 「うわああああああああ!!ふらんとれみりゃだああああああああ!!」 調教されたゆっくりふらんとれみりゃによるまりさ狩り。 「ここまでくればあんぜんなのぜ?」 「ゆ!れいむありがとうだよっ!ゆっくりしていってね!」 「ゆふふ。そうだよ。……ゆ!にんげんさん!いまだよっ!!」 「ゆゆっ?ゆえっ!?どぼじでにんげんざんがいるのおおおおおおおおお!!」 「ゆふう。にんげんさん!やくそくどおりまりさをたくっさんつれてきたよっ!あまあまをちょうだいねっ!たくっさんでいいよっ!!」 「「「「「ど、どいうごどなのおおおおおおおお!?」」」」」 ゆっくり同士の裏切り。 瞬く間にまりさ種は減って行った。 そして今では極稀にまりさ種の生き残りを見るくらいである。 勿論それもすぐさま処分されるが。 こうして人々は安心を得た。 同時にゆっくりは恐怖を得た。 人間の本気を垣間見たからだ。 人間に手を出すとあらゆる手段を使って殺しにかかってくるという認識がゆっくりの間で広がったのだ。 野生ゆっくりは人間を避け、野良も人間から姿を隠すようになった。 だが、ゆっくり達の受難は終わらなかった。 「ゆぅ……だれか……れいむとゆっくりしてね……」 森の中を一匹で跳ねるれいむ。 通りかかるゆっくりに声をかけてはそっぽを向かれている。 「れいむはなんのやくにたつの?かりもへただし、おうたがうまいだけじゃいきていけないよ。わかれよー」 「れいむはとかいはじゃないわ」 「れいむ?あなたはあたまがいいのかしら?ゆっくりしているだけじゃだれもみむきしないわよ」 「れいむみたいなゆっくりとじゃいっしょにゆっくりできないみょん!」 「どぼじでえええええ……れいむはゆっぐりじだいだけなのにいいいいいい……」 いわゆる、行かず後家である。 ゆっくりの番といえば真っ先に連想されるのが『れいむとまりさ』である。 たとえれいむが役立たずでも、何も出来ないごくつぶしであったとしても、何故かまりさ種はれいむ種と番になる傾向が高いのだ。 そしてれいむ種はそんなまりさ種を利用し、自分はたいした苦労もせずに子育てを完了させ、再び同じことを繰り返す。 だがまりさ種がいなくなった今では、そんなれいむ種と番になるゆっくりがいなくなってしまったのだ。 「ゆっぐりじでえええええええ!!だれかれいむどゆっぐりじでよおおおおおおお!!」 そしてれいむ種は激減し、やがてその姿を見ることは少なくなっていった。 「んほおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「ゆんやああああああああ!!れいぱーだああああああああああ!!」 森の中の群れがれいぱーありすに襲われていた。 「あ、ありずうううううううう!!どぼじでええええええ!!どぼじでええええええ!!」 「ぎゅううう!!もどにもどっでええええ!!いずものありずにいいいいいい!!」 「ゆうううう!!だめだみょんんんんん!!ゆんみょおおおおおおんん!!」 そのれいぱーは元々その群れにいたありすだった。 だが番のまりさが人間に殺されてしまってからは塞ぎがちになり、おうちからも出てこなくなった。 その子供であり、必死に隠し通した子まりさがご飯を周りから恵んでもらっているという状態が続いていたが……。 「ゆんやあああああ!!おかあさんもとにもどってえええええ!!」 「まりさああああああああ!!もうどこにもいかせないわああああああああ!!ありすとひとつになるのよおおおおおおおおおお!!」 「ゆぎゃああああああああ!!」 おうちの中から聞えた子まりさの悲鳴。 それが途絶えた後、出てきたのはれいぱーと化したありすだった。 ありす種もまりさ種と番になる傾向が高い。 だがありす種はもっと深い部分でまりさ種に依存する。 それはれいむ種のような狩りや子育てといった身体的なものではなく、『ありす』という存在そのもの、精神的なものが関係している。 そしてそれを失ったありす種の多くが、まりさ種を求めれいぱーとなったのだ。 「まりさああああああああああああ!!ばでぃざあああああああああああああ!!あでぃざああああああああああああああ!!」 このれいぱーは自分のいた群れのほかに、三つの群れを壊滅させ死んだ。 その間ひたすらまりさまりさと叫んでいたのだった。 結果ありす種は群れからも追い出されることが多くなり、その姿を見ることが少なくなっていった。 「むきゅう……このままじゃまずいわ……」 「おさーごはんさんがぜんぜんたりないんだねー」 「どうするみょん……こまったみょん……」 ここはいるのはいたって普通の群れ。 穴倉の中で、群れ単位でも越冬中である。 だが長であるぱちゅりーは危機に瀕していた。 越冬中にも関わらず群れを維持する為の食料が全然足りないのだ。 元々食糧不足が懸念されたので群れ単位での越冬を計画したのに、それでも足りないのだ。 原因は―――完全な人員不足である。 ゆっくりの中でも高い運動神経を持ち、帽子に多くの食料を詰め込め、お水を渡って餌場を探したり、木の枝で野生動物を追っ払う事もでき、キノコなどの知識のも詳しい……まりさ種の不在。 それが最も大きいところとなっていた。 「むきゅう……どうしてこんなことに……」 「わからないよ……」 「みょん……」 しかし何よりも足りないもの……それは『活気』である。 まりさ種は群れを活性化し、群れを大きくする大きな要素となっているのだ。 それが悪い方向に転がり全滅する事もあるが、ゆっくりすることが命題であるゆっくりにとって、行動力の面ですぐれたまりさ種は群れを維持する上で必要不可欠な存在なのだ。 だがもはやまりさはいない。 考えるばかりで行動を起こさない彼らはにできるのは過去を思うことぐらいである。 「むきゅう……こんなときまりさがいてくれたなら……」 長ぱちゅりーは、群れのれいむの裏切りによって殺されたまりさを想う。 「ゆぅ……ありすもいないよー……」 ちぇんは、れいぱー化し、やむなくせいっさいしたありすを思う。 「みょん……れいむ……はどうでもいいみょん……」 みょんは頭の中からあの顔をかき消した。 結局、群れの大人達が『さあ、おたべなさい』をして群れにいた子供たちは生き残った。 だが大自然は脆弱な子ゆっくり達がで生きていけるほど優しいのだろうか……? 「ゆっくりしていってくださいね!」 「うわー!さなえだー!!ゆっくりしていってねっ!」 「全くもう……甘いんだから」 「いやはやはや……」 結局、男は娘にゆっくりさなえを買ってやった。 金バッチ持ちの希少種。 他にも保証書やグッズなども込みで総額35万なり。 「しばらくはお酒もタバコもだめだな~」 男は溜め息交じりで呟く。 「お父さんありがとう!」 「あなたがおとうさんですか。ふつつかものですがよろしくおねがいしますね」 「まあいいか」 そんな思いも娘とさなえの笑顔を見て吹っ飛んだ。 人間はゆっくり衰退して行くゆっくり達など気にもせず今日を過ごす。 だがゆっくりが絶滅する事はないだろう。 ゆっくりは人間にとって大切なパートナー。 ペットして、食料として、虐待用として、HENTAI用として―――人類にとって大切なものなのだから。 危険なまりさ以外は。 感想掲示板に『絶対あき』(仮)ってあるんですが、これって『絶対的虐待意思』から取っていただいたんですかね? だとしたら…… あでぃがどおございばずううううううううううううううううううう!!(じゃんぴんぐ土下座) というわけで『絶対あき』と名乗らせていただきます。 よろしくお願いします。 ご感想やご意見がございましたら感想掲示板までお願いいたします。 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852787/l50 公餡の方に特別出演していただきました。 作者の方にお礼申し上げます。 公餡の設定がすごく自分好みです。いずれ公餡vsゆっくりの虐殺無双でも書いてみようかしらw 過去の作品はデータを消去してしまって確認とれず……orz 判る範囲内で…… anko 433 ゆっくり親子 とクズ人間 ~Another~ anko 496 あるドスのゆっくり anko 530 絶対的虐待意思 anko 650 絶対的虐待意思 0 anko 684 ドス以外いらん anko 733 あるドスの最後 anko 745 絶対的虐待意思 ~せめてゆっくりらしく~ anko 815 おかねさんとゆっくり anko 901 原材料 anko 935 底辺ゆっくり anko1438 どぼじでごんな”ごどずるの”おおおぉぉ anko1449 ゆっくりの境界線 anko1469 ゆっくりの崩壊
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―――いつか漫画にしようと思っていたけど、この形で 直接投下 まりさは今日もゆっくりしていた。 それは良いではないかと人は言う。ゆっくりなのだから―――とは言え、ゆっくりである以前に経理職なのだ。 人間が人間である以前に、選ばれたこの国という選ばれた民であり、定められた職に忠実である事が求められる今、 それをゆっくりに適応して何が悪い。 私が部屋を覗くと、タイプライターの上で――― .-" ` ..、ヽ `' .、 | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.___,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 「まりさ。また休憩か? 胴体もないくせに、煙草なんて吸って……」. rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 「大丈夫だよ その内本気出すよ」!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ 「その内その内…………いつになったら本気を出すんだい?こんなに支払書も溜まっているぞ?」`! !/レi'rr=-, r=;ァ レ'i ノ 「本気出せばあっという間だって」,' ノ !'  ̄  ̄ " i.レ' ( ,ハ 'ー=-' 人! ∬,.ヘ,)、 )>,、_____, .イ ハ =|л=・ ―――「そうやって、ずっとこのまま半端に生きるつもりかい?」――― _,,....,,_-''" `'''-,、ヽ '''ヽ,, | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.___,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ`! !/レi' rt;;;テ、 ,.t‐テ、 レ'i ノ ヘ・・・・・・・・・・・,' ノ !'"`⌒´ _ `⌒´"i .レ' ( ,ハ )-=' 人!,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ ` _,,....,,_ _ ぽいっ -''" `' 、 ヽ \ ――― | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ ´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、 ――― | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ 'r ´ ヽ、ン、 ―― _,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 -‐'"´ ; ', `ヽ/`7 / rー''7コr-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ /!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ/`! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ ,' ノ !'" ,___, "' i .レ' / ( ,ハ ヽ _ン 人! /,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ/ ...... ........ ;;;;;;; γ ⌒ ⌒ `ヘ イ,,,, "" ⌒ ヾ ヾ /゛゛゛( ⌒ . . ,, ヽ,,'' ..ノ )ヽ ( 、、 、 ’'', . . ノ ヾ ) .................ゞ (. . .,,,゛゛゛゛ノ. .ノ ) ,,.ノ........... ........ ( ノ( ^ゝ、、ゝ..,,,,, ,'ソノ ) .ソ ....... . (、;''Y ,,ノ.ノ ,,,^ ^,,,;;;ノ) .. ... ,,,, . . . . .('''yノ (''、,,,ノ)ノ ,,,,, ,,  ̄ ̄7〃  ̄ ̄ ̄|〃  ̄ ̄ ̄|〃 ,, . . . . . ( ( ,,,人、..ツ. ノ ) . /\ . | ... | ・・・・・・ . . . ,,,,, . . . '''(, イ")'"´ノ;; / \.___| ___| . . . . . . ,,,. . ,,, ( , ゛゛..(’_''/,,, ..ノ . . . ,, . . ((,⌒ノ,,,. ' ( (’''....ノ ソ ... . . ,,,,,,,,, . . (’’,,,/(~~ノ(’''''ソ . .,、,,,,,( . ノ..) y(、,,'''ノ(、、...,,,Y),,,ノ . )~~ノノ)”),,, . ,,,ソ 「――――オリハルコンか?」 「――――オリハルコンの帽子だよ!!!リボンは、ペダンニウムだね。重さは―――量ったこと無いけど」 更にまりさは、無言で髪を留めていたリボンも窓の外へ投げた ゞ (. ( .! l,; ) .ノ ノ ./ ....... ._ゝ,,. .-ー;''""~ ';;; - .._´, ._-" ,.- ''ー''l"~ |'''ーヾ ヾ ( ( . | ! ) ) ヾ、 ⌒~'"| |'⌒~'"´ ノ ""'''ー-┤. |--~''"" | | j i ノ ,. , 、 , i,-、 ,..、 _,, ,. -/ ヽ ノ Λ ヽ -- 、ト、 「チルソナイトだよ」 「毎日つけていたのか!!?」 「お風呂以外では外さなかったよ。外出時、歩行する時は、さらにもう一つつける事を自分に課していたよ」 「―――――………」 「そんな生活を始めて、30年は経つね…… 久しぶりに体が軽くなったよ」 全身でやる気をアピールするように、グルグルとその場でムーンサルトを決めながら、まりさはタイプライターへと向かった ―――私は、彼女の本気を信じた そのまま、部屋を後にした ―――15分後――― ´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、 'r ´ ヽ、ン、 rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ`! !/レi'rr=-, r=;ァ レ'i ノ,' ノ !'  ̄  ̄ " i.レ' ( ,ハ 'ー=-' 人!,.ヘ,)、 )>,、_____, .イ ハ [ ̄]'E ) _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_ >やっぱり 変 わ ら な い ね え じゃ ね え か !!!  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ ペダンニウムとチルソナイトの出典はウルトラセブン? -- 名無しさん (2011-07-27 12 28 25) 名前 コメント
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『ちぇん&おじさんwithまりさ』 37KB ギャグ パロディ 不運 戦闘 失礼します ※ 大体タイトル通りの内容です。 ※ オリキャラ無双&みんなチート チートあきです 街外れの森の中。 「まりさー、まりさー!」 ぴょんぴょんと走ってくるれいむ。そのリボンには緑と白の四角い地域ゆっくりバッジが付 けられていた。星はひとつの一般ゆっくりである。 「どうしたのぜ?」 咥えていた草切り用のハサミを起き、れいむに向き直るまりさ。頭に乗せた黒い帽子に 付けられた地域ゆっくりバッジ。星のシールは二枚。群れのリーダーだった。 森林地区の地域ゆっくりの仕事は里山の手入れ。下草や灌木が生え茂らないように、 小さなうちに切ったり抜いたりするのだ。また遊歩道の掃除も仕事に含まれる。まりさは笹 の芽を切っている最中だった。笹は気を抜くとあっという間に大増殖するので、早めに切ら ないといけない。 れいむは自分が走って来た方向に視線を向け、 「あっちにへんなちぇんがたおれてるんだよ。のらとかやせいのゆっくりとはちがうみたい なんだよ。うーん、なんていっていいかわからないけど、とにかくきてね」 地域ゆっくりの仕事はその場所の管理の手伝いだが、存在する主目的は野良や野生の ゆっくりがその土地を占拠しないようにすることである。野良や野生のゆっくりが現われた 場合、基本的に追い払うように言われていた。殺すことはまずない。 変なちぇんが倒れている。 野良や野生でもなく、おそらく捨てゆっくりでもない。 「……イヤなよかんしかしないけど、わかったのぜ」 そう呻いて、まりさは頷いた。 森と街の境目あたりに、件のちぇんが倒れていた。うつ伏せのまま、じっとしている。死ん ではいないようで、尻尾の先が少し動いていた。 集まった群れの地域ゆっくりたちが、不安げにそのちぇんを眺めている。 「………」 緑色の帽子、猫耳、茶色の髪の毛、二本の尻尾。ちぇんだった。ちぇんだが、何かがお かしかった。明らかにまとっている空気が違う。れいむの言った通りの変なちぇん。 「もしもし。だいじょうぶなのぜ?」 まりさはちぇんの身体を揺すり、声をかけた。 むくりと動き、ちぇんがまりさに目を向ける。 「……!」 息を呑むまりさ。 奇妙な目だった。いわゆる瞳ではない。白目に黒丸の入った、ひどく簡素な形の目。形 を敢えて喩えるなら、さとりのサードアイに似ているかもしれない。その目には形容しがた い凄みが映っていた。 「うーん……。いや、だいじょうぶだ……」 そう言ってくる。 声も奇妙だった。普通ちぇんの声は高めの明るいものだが、このちぇんの声はそれとは 全く違い。渋く重厚で、独特の抑揚を持ち、何とも言えぬ甘味を帯びた声音だった。 のそのそと起き上がるちぇん。 「どうも、はじめまして、まりさくん。ちぇんはちぇぇんだ」 固まっているまりさに向き直り、一礼する。 まりさは勇気を出して尋ねた。 「ちぇんは……こんなところでなにしてるのぜ?」 「ふむ。ちぇんはいわゆるたびゆっくりとよばれるものだ。このくにのあちこちを、たびしてま わっている。ま、きみたちにめいわくをかけるつもりは、ない。なので、あんしんしてほしい」 そう言って、黒い目をまりさに向ける。 旅ゆっくり。一所に止まらず、あちこちを移動するゆっくりをそう呼ぶことがある。珍しい種 類のゆっくりだ。定住もせず、群れにも属さず、独力のみで旅をする。高い能力を持つゆっ くりでないとでできない芸当だ。旅ゆっくりには地域ゆっくりや飼いゆっくり出身が多く、そ の失踪は地味に問題となっていたりする。 尻尾を動かし、ちぇんが続けた。表情は変わらぬまま。 「しかし、はらがへってしまって、うごけなくなってしまったのだよ。しばらくまともにしょくじを していなかったからね。ぶしつけであるが、まりさくん。なにか――たべるものがほしいの だけけど――いいかな? むろん、おれいはちゃんとする」 自分がどうするべきか、まりさは無言で考える。 「ぱちゅりー」 「むきゅ。なにかしらまりさ?」 声を掛けられ、ぱちゅりーが返事をした。第一班班長のぱちゅりーである。バッジに貼ら れた星はひとつ。顔にはややシワなどが見える。年齢は五歳と地域ゆっくりの中ではそれ なりに高齢だ。長いこと地域ゆっくりを務めているが、元は飼いらしい。 そして、実質この群れの副リーダーだった。 「すまないけど、ほぞんしょくをもらうのぜ」 「かまわないわ」 頷くぱちゅりー。 森の中で拾った木の実や食べやすい草、キノコなどを集めて、保存食としている。保存 食と呼ばれているが、実際は食べたりない時や間食用だった。まりさも疲れた時などは普 段の食事に加えて保存食を食べている。 「あと――」 ちぇんの動きを背後に感じながら。 まりさは小声で言った。 「もしまりさになにかあったら、あとのことはたのむのぜ……」 「………。わかったわ」 囁くような声で、ぱちゅりーは答えた。 「いやぁ、まんぷくまんぷく」 倉庫代わりの小さな段ボール箱に入っていた保存食を食べ尽くし、ちぇんは大きく息を吐 いていた。それなりの量があったのだが、ちぇんはあっさりと全て平らげている。 「それはよかったのぜ」 やや引きつった笑顔でまりさは頷いた。食事をさせ、満足したら出て行ってもらう。それ がまりさの考えだった。事なかれ主義とも言うが、力任せに追い払おうとすれば、大きな 被害が出るだろう。 「ところでまりさくん」 感情の見えない黒い瞳が、まりさに向けられる。 ギゥゥゥン……。 その身体が突如輝いた。赤く青く、蠢くように揺らめくように。呼吸が止まるほどの圧迫 感にまりさは固まった。身体を流れ落ちる脂汗。ちぇんの身体がドス並に巨大化したような 錯覚を覚える。大きさは変わっていないのに。 「きみのぼうしのなかにかくしているものは、なにかな?」 「………!」 びくりと身体が跳ねた。 ゴゴゴゴゴ……! ちぇんの迫力がさらに増す。 まりさは震えるお下げを帽子に入れ、取り出したものを口に咥えた。 十センチほどのナイフだった。細長い三角形のステンレスの刃に、咥えやすい柄が付い た簡単な構造。ただ、その刃には強い殺ゆ剤が仕込まれていた。このナイフに刺されれ ばドスまりさであっても、即死する。そんな切り札だ。 「ほう。さつゆナイフか……」 ちぇんがナイフを眺め、呟く。 危険なゆっくりを一撃で仕留めるための必殺武器。森林地区など野生ゆっくりが出る場 所には数本常備されている。もっとも、野生ゆっくりを追い払うのは、普通に武器を使った 方が効率がいいので、使われる事は少ない。 「しかし、まぁりさくん? そんなぶっそうなものをかくしもつというのは、いささかれいぎがな っていなぁいのではないかね?」 「………」 無言のまま、まりさは切先をちぇんに向けた。 じっとりと嫌な汗が流れる。恐怖に身体が震えるが、それでも勇気を振り絞り踏み留まっ ていた。このちぇんが普通のちぇんでない事は一目でわかった。普通のゆっくりであるまり さにどうこうできる相手ではないこともわかる。適当に食事をさせて出て行ってもらうのが 一番安全であることもわかっていた。 「まりさは、リーダーなのぜ……」 まりさは絞り出すように声を出した。 一度息を吸い込み、吐き出す。自分がやるべきことに対し、覚悟を決めた。押し潰される ような威圧感を放つちぇんを、真正面から睨み返し、まりさは言い放つ。 「ちぇんはふつうのちぇんじゃないのぜ。もしかしたら、むれのみんなになにかわるさをする かもしれないのぜ。もしそうなったなら……まりさは、さしちがえてでも、ちぇんをころすの ぜ! むれのみんなをまもるのが、リーダーのおしごとなのぜ! だれであろうと、それに もんくはいわせないのぜ!」 リーダーは群れのみんなをまとめるのが仕事であり、守るのが仕事である。このちぇん が群れのゆっくりに危害を加えようとしたならば、刺し違えてでも止めるつもりだった。この ナイフはその覚悟の表れである。 「ふむ……」 ちぇんから圧力が消えた。 「これはしつれいした」 ぺこりと頭を下げる。 「たしかに。まりさくん、きみのいうことは、ぜんめんてきにただしい。リーダーはむれのな かまをまもるぎむがあるし、ちぇぇんはみずしらずのたびゆっくり。おきゃくでもなんでもない。 たすけてもらってしょくじまでもらったうえに、いかくするとは……まっことしつれいした。も うしわけない」 それから顔を上げ、再びまりさを見つめる。 「ま、おわびといってはなんだが」 「ゆぁ……」 ぽとり、と咥えていたナイフが落ちた。 さきほどとは違う汗を流しながら、まりさは一歩後ろに下がる。頭の中に響く緊急警報。 ここ最近の経験が告げていた。今すぐ全力で逃げろ、と。逃げ切れないのは確実だが、そ れでもとにかく逃げろ、と。 「まりさくん、きみをおそらのりょこうにつれていってあげよう」 シュバッ。 一瞬で伸びたちぇんの尻尾が身体に巻き付き。 まりさはちぇんの頭の上に乗せられていた。 「ま、まつのぜ……」 お空の旅行。それが何を意味するのかは容易に想像が付いてしまう。ゆっくりは空を飛 びたいという本能的な欲求がある。しかし、何度か飛んでみれば理解できる。ゆっくりが飛 ぶとろくでもない事になると。 「はっはっは。なぁに、えんりょはいらない」 まりさの言葉を無視し、ちぇんは暢気に尻尾を揺らしていた。 そして。 「というわけで、ヒァウィゴー!」 飛んだ。 「ばりざはおぞらをどんでるのぜぇぇぇぇぇ!」 上空から聞こえてくるまりさの悲鳴。 「まりさ……」 開けた遊歩道に整列し、それを聞いている群れの地域ゆっくりたち。皆神妙な面持ちで 空を見上げていた。黒い点が空に向かって上昇していく。 「むちゃしやがって……」 ぱちゅりーは呟いた。 謎の原理で空を突き進むちぇん。 「どうだね、まりさくん。おそらのさんぽというのは? どうだね?」 「ゆぅぅぅぅ」 ちぇんの頭の上でまりさは無力に震えていた。 下を見れば、街の灰色や野山の緑色が視界に入った。遠くには山の稜線。周囲に見え るのは、もこもこと立ち上る綿雲。普段は地面から見上げている雲が、自分と同じ高さに 見える。積雲の発生する高度は五百メートルから二千メートルほど。普通のゆっくりでは 到底行けない高度だ。 「ゆっくりはおそらをとんじゃいけないんだぜ……」 掠れた声で、まりさは正直に答える。質問の返答にはなっていないが、紛れもなくまりさ の本心だった。この高さから落ちれば、助かる可能性は皆無である。 「ふむ」 ちぇんが頷き。 いきなりまりさを真上に放り投げた。 と同時に自分も真下に下がる。 「ゆひっ!」 足元が消えたことに、まりさは身体を硬直させるが。 ドワォ! 次の瞬間、轟音とともに脚の真下を何かが切り裂いた。 それが何かはわからない。もしちぇんがまりさを放り投げていなかったら、まりさはその何 かにちぇん諸共粉砕されれていただろう。ちぇんは無事かもしれないが。 「ほほぅ。あいかわらずいいけりだ」 ちぇんが落ちてきたまりさを受け止め、身体の前後を入れ換える。 「こんなところまでおいかけてくるとは、しごとねっしんだねぇ?」 「あれだけ派手に空を飛んでいれば、誰でも気付くわ。莫迦者めが」 そこにいたのは人間だった。 がっしりとした体躯の五十歳ほどの男。中分けにした黒い髪の毛に、右目に浸けた片眼 鏡。細いカイゼル髭ともみあげと繋がった顎髭を生やしている。口には薄く笑みを浮かべ ていた。服装は高級そうな紺色のスーツである。 その濃ゆい男に、まりさは見覚えがあった。 「どぼじでおじざんが、ごんなどろこにいるんだぜえええ!?」 以前保健所で健康診断を受けた時、シズオカれいむのシズオカタイムに巻き込まれた。 その際、まりさの前に現われ、シズオカれいむを捕獲したおじさんだった。衝撃波でクリー チャーゆっくりを粉砕し、切り札らしい三角れいむを一蹴し、突如現われたグンマーまりさを 片手であしらい、シズオカれいむを捕まえた超人。 同僚には衝撃のおじさんと呼ばれているとか何とか。 「ん?」 男がまりさに目を向ける。 二、三度瞬きをしてから楽しそうに声を上げた。 「おお、お前はいつぞやのまりさか、元気そうだな」 男はまりさの事を覚えていたらしい。 だが、それはどうでもいい。 「というか、おじさん、どうしておそらにたってるのぜ!? おかしいのぜ!? わけがわか らないんだぜ! せつめいをようきゅうするんだぜ!」 目の前にある現実に、のーびのーびしながら叫ぶ。 男は空中に立っていた。容赦なく立っていた。足場も何もない空中に、問答無用で直立 している。以前は謎の論理で空中を突っ走っていたが、今回はそれすらない。 男は小さく笑い、言い切った。 「ま、細かい事は気にするんじゃあない」 「ゆあっ! へりくつすらほうきしたのぜ!?」 まりさの言葉に、男はふと首を傾げてから、 「ふむ、強いて言うなら世の中には波紋法という技術があってだな――」 「いわなくていいのぜ!?」 超論理が展開される前に、全力で遮る。 どういう理屈かは不明だが、聞いたら常識がまたひとつ壊される気がした。今更常識も 何もないが、それでも何かしらの抵抗をしなければいけない。受け入れたらまりさの世界 が砕けてしまう。 ちぇんが男を睨む。 「ときに、きさま。ちぇんになんのようだ? まさか……このちぇぇんに、ただたんに、あいさ つしにきたというわけでもあるまい?」 「愚問だな」 タンッ。 空中を蹴り、男が大きく飛び退いた。 右腕を真下に向け、身体を真横に寝かせる。まるで右手を地面に突いたような体勢から 身体を大きく回転させた。 「嵐脚〈らんきゃく〉周断〈あまねだち〉――!」 バシュン! 足先から走る青白い閃光。 それが本当に光ったのか、ただの錯覚なのかは、まりさには分からなかった。その正体 は衝撃波の刃だろう。思考が追い付かないほどの速度で、閃光が迫ってくる。 「ぬぅぅぅん!」 三倍ほどの大きさに膨らんだちぇんが、閃光を受け止めた。 ギャィィン! 金属が砕けるような音を立て、光の破片が散り、消える。 元の大きさに縮み、ちぇんが口を開けた。その口の中に生まれる白い輝き。小さな稲妻 を帯びた光の球体。実物を見た事はないが、まりさはその正体を本能で理解した。ドスス パーク。それと同じ光。 「ちぇぇぇん、すぱぁぁぁぁく!」 ドッ! 撃ち出される白光の奔流。ドススパークはゆっくりには即死級の破壊力を及ぼすが、他 の物体や生物にはただの眩しい光でしかない。しかし、このちぇんスパークは物理的な破 壊力を持っている。直感的にまりさは悟った。 雷鳴のような音と共に破壊光線が空気を引き裂く。 「ふん」 直立の姿勢に戻り、男が右手を突き出した。 パゥッ! スパークがその手で受け止められる。素手で受け止められるものではないが、どういう 原理か受け止めていた。その理屈は深く考えてはいけない。どうせ理解もできない。流れ る水が溜まるように、男の手の中に留まり光の球となるスパーク。 男はそれを無造作に横に投げ捨てた。 ふっ。 音もなく綿雲の一部が消えた。熱で蒸発したのだろう。 それだけではない。 「な、な……?」 まりさは周囲の雲を凝視した。 雲が切れている。周囲に浮かんでいる綿雲全てが、上下に断たれていた。切れ目の大 きさはよく分からないが、とりあえず目でわかるほどに大きい。ぐるりと一周、三百六十度。 いや、まりさの真後ろ、ちぇんが弾いた方向に切れ目は無かった。 最初の衝撃波の刃によるものだろう。 「なんなのぜ……?」 切断された雲と、削り取られた雲。 顔を引きつらせ、まりさは男を見る。 「なんなんだぜ!? これはいったい……なんなんだぜ? なんかもう、いろいろとおかし いのぜ……。お、おじさん……ほんとうに、いったい、なにものなのぜ?」 「ただの通りすがりの公餡委員会の特一級特別捜査官だ」 緩く腕を組み、堂々と宣言する。 「こうあんっていったい、なんなのぜ?」 思考停止のまま、まりさは訊き返す。 公餡委員会。何をしているのかいまいち不明な公的組織である。各種バッジの管理をし ている組織、まりさはその程度しか知らない。しかし、目の前で繰り広げられる光景を目の 当たりにすれば、ただのバッジ発行機関でない事は容易に理解できる。 「そうだな」 男は肩眉を持ち上げ、人差し指をまりさに向けた。 「まりさ、ひとつ質問しよう。まりさはゆっくりが人間を殺せると思うか?」 「むりなのぜ……」 質問の意図が分からず、まりさは思った事を答える。 ゆっくりは人間に遠く力が及ばない。手足が無く、武器となる牙も爪もなく、頑丈な皮も 毛も無い。運動能力も大したことはなく、水にも弱い。武器となるのは人間の子供程度の 知能と、人間と会話できる言葉のみ。それが人間を殺すことなどできない。 男は満足げに首を縦に動かした。 「ああ。普通は無理だ。一応、知恵と努力と犠牲を対価に、さらに運を味方にすれば殺せ る可能であるがな。それでもゆっくりは弱い生き物だ」 そう前置きしてから、人差し指を少し下げる。 まりさから、まりさを頭に乗せているちぇんへと。 「だがしかし、何事にも例外はある。世の中には真正面から人間を殺傷できるゆっくりとい うのが、それなりに存在しているのだよ」 「………」 無言のままちぇんが耳と尻尾を動かしている。 奇妙なちぇん。謎の原理で空を飛び、破壊の閃光をぶっ放すゆっくり。あまりにバケモノ すぎて、このちぇんがゆっくりであるという認識が抜け落ちていた。だが、男の言う通りこ のちぇんなら普通に人間を殺せるだろう。 「そして、その気になれば、街ひとつ消し飛ばせるようなゆっくりも、少ないながらも存在し ている。そこのちぇんのようにな」 「ぇー……」 話の大きさに、思わず呆れ声が出た。 人を殺せるゆっくりは、ぎりぎり想像できる。しかし、街ひとつ消し飛ばせるというのは想 像できる範囲を越えていた。冗談か誇張にしか聞こえない。 が、事実なのだろう。 「そういう規格外のゆっくりを監視し、牽制し、時に排除するが、ワシら公餡委員会の主な 仕事だ。ま、これは一応国家機密で、一般には秘匿されているがな」 「そ、それを、どうしてまりさにいうのぜ?」 男の言葉に、まりさは戸惑う。 国家機密で秘匿されている事を、男は分かりやすくまりさに説明していた。秘密は隠すも のであり、喋ってしまっては意味がない。相手が地域ゆっくりだろうと、そういう情報を口に するのはマズいだろう。 まりさの指摘に、意外そうに目蓋を持ち上げる男。 「むっ。知らんのか、まりさ? ふむ、まあ当然か……」 顎に手を当て少し考えるような仕草を見せてから、 「せっかくだから教えてやろう。大物と呼ばれる者は、意味もなく重要な情報をべらべら喋 らなければいけない決まりがあるのだよ。この世の中には」 「これはてつのおきてなのだよ、まりさくん……。きみもなかなかしょうらいゆうぼうなゆっく りだ。いずれこのいみがわかるときがくるだろう。そのときのために、きっちりべんきょうして おきたまえ。しっておいてそんはない」 ちぇんが続ける。 「じつはちぇんにはむすめがいるのだがね。さいきんへんなむしがくっついて、くろうしてる んだよー。はっはっはっ。ま、こんじょうはあるおとこのようだから、むすめとのこうさいをみ とめてやってもいいかな、とはおもうのだけどもね。ふむ」 「それはまりさにどういうはんのうをきたいしているのぜ!?」 率直に訊き返す が、その訴えはあっさり却下された。 「さて、世間話もこの辺にしておこうか」 男が空中を蹴る。 瞬間移動のような速度で接近し。 ガコォン! 「ゆひっ」 まりさは小さな悲鳴を上げた。 男の拳と、ちぇんの尻尾の一本が激突している。本来そんな音がするはずないのだが、 響いた音は岩が砕けるような轟音だった。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」 「むだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだむだァ!」 ドゴゴゴゴゴゴゴ! 目にも留らぬ速度で繰り出される拳と尻尾のラッシュ。 弾けた空気がまりさの顔を叩く。この空中では逃げることも避けることもできない。 「ゆぅぅぅ……」 理不尽な状況に、まりさは涙を流す。 そして、お互い拳と尻尾を引き。 ゴッ。 男の脚がちぇんを直撃した。斜め下から切り上げるような一撃。 だるま落としのようにまりさを残して、ちぇんが空へと吹っ飛んでいく。 「ゆんやあああ!」 身体を包む無重力にまりさは悲鳴を上げた。この高さから落ちたら死ぬ。生きていられ れる理由がない。地面に叩き付けられ、粉々に砕け散って破片すら残らないだろう。苦し まずに死ねる事は、ほんの僅かな希望か。 その身体を男の手が掴む。そのまま頭の上にまりさを乗せ、 「征くぞ、まりさ!」 「いきだくないのぜえええ!」 抗議の声は無視される。落下による死は免れたが、問題の本質は去っていない。 男は空中を蹴り、ちぇんを追った。両腕を広げその場で勢いよく回転する。回転が空気を 巻き込み、男を包み込むような渦が生まれた。 「衝撃の――」 男が右腕を振り上げる。渦を巻いた空気が男の身体を駆け上り、その腕に巻き付いた。 円錐形の空気の渦。触れたら切り裂かれそうな空気の流れがはっきりと見える。 「ギガァ……!」 左腕を右腕に添えた。 「ドリルゥ」 その腕を思い切り振り抜く。コマの紐を引くように。腕による加速を得て、渦が爆発的に 膨れ上がった。ひしゃげるような異音とともに回転する空気の塊。その大きさは、小さなビ ルに匹敵するほどだった。およそ十数メートル。 男が衝撃波のドリルを構える。 まりさは驚愕に目を剥き口を開け、ただそれを眺めることしかできなかった。 「ブレイクゥゥゥ!」 咆哮と共に、男が突進する。 「いいだろう」 遙か上空からちぇんが男を見下ろしていた。身体の後ろから生えていた二本の尻尾が、 ロープのように伸びる。数百メートルは伸びただろう黒い尻尾。 「きさまのからだにかざあなをあけてやる。おもぞんぶん、あじわうがいいっ!」 伸びた尻尾が、勢いよくちぇんの身体に巻き付いた。黒い竜巻のように。 次の瞬間、黒い渦が一気に集束し、巨大な逆円錐型のドリルが形成される。日の光を受 け、不気味にきらめいていた。大きさは男が作り出した衝撃波のドリルとほぼ同等。 「おうぎ・むそうらせんはんてん!」 空気を引き裂きながら突っ込んでくるちぇん。 しかし、男は止まらない。 突っ込んでくる尻尾のドリルに、衝撃波のドリルを叩き付ける。 ゴゴゴゴゴゴガガガガガガ! 二種類のドリルが激突し、つんざくような音が轟いた。巨大な金属を引き千切るような、 岩を噛み砕くような、怪物が咆えるような。高速で回転する螺旋の切先が削りあい、火花 を散らしている。 そして。 「ぬぅ!」 男が驚きに目を見開く。衝撃波のドリルが砕けた。 鈍色の回転が、そのまま男を直撃する。 「ゆぅぅぅぅぅ!」 巻き起こされる空気の渦に、まりさは男の頭から引き剥がされた。風に舞う落ち葉のよう に、くるくると回転しながら空中を流れていく。青い空、灰色の地面、白い雲、鈍色の螺旋。 それらが何度も入れ替わり。 「きゃっち」 ちぇんがまりさを受け止めた。 視線を左に向ける。そちらが地面の方だった。 真下にいるちぇんの尻尾は元に戻っている。 遙か下に見える森から土煙が上がっている。男が墜落した場所だろう。 ドンッ。 遅れて響いてくる音。遠くで起こった音は遅れて聞こえるという話を、まりさはぼんやりと 思い出す。状況が無茶苦茶すぎて意識が追い付かない。 さきほど横に見えていた綿雲も、いつの間に下の方に移っていた。男の突進とともにか なり上昇している。自分がどれほどの高さにいるのか、まりさは理解できなかった。 ちぇんの頭の上でもぞもぞと体勢を立て直しながら、 「こ、ころしちゃったのぜ?」 「ころした――だと? じつにきみょうなこというな、まりさくん。あやつはこのていどでしぬ ようなヤワなおとこでは、なぁい! かすりきずすらおっていないだろう!」 何故か自身満々に言ってのける。 地面から土煙が広がった。男が跳び上がったのだろう。 「まりさくん」 ちぇんが声をかけてくる。 「……なんなのぜ?」 「これもなにかのきかいだ。マッハ100のせかいをみせてあげよう」 「みたくないのぜえええ!」 さらっと口に出された言葉に、まりさは全力で拒否の意を示した。 が、ちぇんは既に動いている。 「にんぽう・たじゅうかげぶんしんのじゅつ!」 微かな音を立て、ちぇんが増えた。 周囲に突如として出現したたくさんのちぇん。上下左右に前後。周囲の空間を大量のちぇ んが埋め尽くしている。文字通り数え切れないほどの姿。よく見ると、微かにその姿がブレ ていた。超高速の移動と停止を繰り返し作り出される残像による分身。 「そして、無限装弾餡閃〈ちぇぇんスパァァク・メトラジェッタ)!」 パゥ! 無数に増えた分身の口から放たれる、無数の閃光。さきほどのスパークよりも何倍も濃 い輝きが、雨のように降り注ぐ。 街ひとつ消し飛ばせる。男が言った言葉を証明するように。 だが。 「全てを原子に打ち砕け!」 真下から飛んでくる男が、右腕を引き絞った。 「ビッグバン・パンチ―― 一・千・連・発!」 その身体が分裂する。ちぇんと同じように無数に。おそらくは一千体に。 分身した男が拳を突き出した。 白光が散る。 「おおおおぉぉぉぉ!」 咆哮とともに無数のスパークを拳で切り裂き、男がちぇんに突っ込む。 もはや屁理屈も物理法則も何もあったものではない。常識や論理を無情に踏み潰し、無 茶苦茶な現実が展開される。 ドドドドドド―― 無数の拳が無数のちぇんに突き刺さる。 ゴガオォンッ! 爆音とともに、男がちぇんを殴り飛ばした。一匹に戻り、再び上空へと吹っ飛んでいくちぇ ん。あっという間にその姿が見えなくなる。 左手でまりさを掴み、男は首に手を添え、頭を動かした。こき、と首が鳴る。 「さて、準備運動も終わった事だし、続きをやるぞ」 弾ける音とともに空を蹴り、ちぇんを追い掛け空へと向かった。今の猛攻を準備運動と言 い切っている。次に展開される攻防は、さらに理解不能で猛烈なものだろう。 これから起こる事を想像し、いや想像できず、まりさは悲鳴を上げた。 「だれがだずげでえええ! まりざっ、がえるううう! おうぢがえるのぜえええ! ゆうう ううん! だれでもいいがらっ、ばりざをおうぢにがえじでえええ!」 まりさを左手で掴んだまま、男は上空へと飛んでいく。雲も無い蒼い空へと。だが、脚は もこもこと虚しく動くだけだった。 そのさらに上空でちぇんが男を待ちかまえている。 「めからビーム! にょ」 両目から発射される黄色いビーム。 「アーンドォ、くちからバズーカァ!」 大きく開かれた口から放たれるピンク色のビーム。 「ぬるいぬるい。ぬるいわ!」 男は右手の一振りでビームを打ち払った。砕けた光が、空中に散る。素手で払えるもの ではないが、実際に素手で払っているので頑張れば可能なのだろう。他の人間が同じよう な事が出来るかと考えれば、限りなく無理だと断言できた。 さらに右手を鉤のように曲げ、横薙ぎに払う。 「滅裂斬〈スパーブレイク〉!」 指から放たれる衝撃波の斬撃。本来視界に捉えられるものではないが、それはまりさの 目にはっきりと映った。五本の白い線となって空を走る刃。 ちぇんは身を翻し、斬撃を避けた。 男がまりさを頭に乗せ、両手を突き出す。十指を開き、 「発泡雛菊斬〈スパークリングデイジー〉!」 指から放たれる花のような十の斬撃。空気を切り裂きちぇんに迫る。どれほどの切れ味 かは想像もつかないが、少なくとも鋼鉄くらいは簡単に切断できるだろう。 「なんのこれしき。あたらなければ、どうということはない」 華麗に身を翻し、跳び来る斬撃を躱していく。 「微塵斬〈アトミックスパ〉!」 振り抜かれる両腕。 編目のような斬撃がちぇんに襲いかかる。 「きみのこころに、いますぐアァクセスっ!」 パキィィン! よく分からない咆哮で斬撃を吹き散らすちぇん。 その眼前に男が接近していた。凶暴な笑みを浮かべ、目を見開いている。右手は五指を 伸ばした手刀の形に、左手は握り締めた拳で。まりさを頭に乗せたまま。 「ならばこれならどうだ?」 「おもしろい。うけてたとう」 不敵に笑う男に、ちぇんが答える。 「ぬぅぅぅん!」 「でやぁああっ!」 ガンッ! ゴッ、ゴゥンッ! 手刀が拳が、貫手が、掌底が、脚が、目にも留らぬ速度で繰り出される。しかし、ちぇん も二本の尻尾を振り回し、さらに体当たりで応戦する。 「にゅいいいいいいい……!?」 足元から伝わってくる衝撃に、まりさは意味のない悲鳴を上げていた。余波を受けたら 一瞬で消し飛ぶだろう。それがすぐ目の前で行われている。 ドゴゴゴゴゴ! ギィン! 鉄骨を叩き付けたような狂音。 男の拳がちぇんを殴り倒し、ちぇんの尻尾が男を突き飛ばす。ちぇんの体当たりが男の 腹に突き刺さり、男の蹴りがちぇんを横薙ぎに打ち払う。 ゆっくりと人間の肉弾戦。 「やるな」 「貴様もな」 にやりと笑いあう男とちぇん。 「ゆ?」 いつの間にか、気がつくとまりさはちぇんの頭の上にいた。何かの拍子に弾かれて、ちぇ んが受け止めたのだろう。多分。きっと。おそらく。 「もう、なにがなんだか……わからないのぜ……」 巻き起こる圧倒的な戦闘に、まりさは無力に身を竦ませ涙を流すだけだった。あまりの 恐怖におそろしーしーを漏らしそうだが、漏らしたら多分さらに酷い地獄を見るので気合い で耐える。もはや身に降りかかる災難を甘受するしかない。 「ふんっ!」 男がちぇんから距離を取る。最初の頃は跳ねたり走ったりしていた気がするが、既に普 通に空を飛んでいた。その理由も原理も考えるだけ無駄なのだろう。 男が両腕を前に突き出す。 「喰らえィ! 闘技、神砂嵐!」 左腕を肘関節ごと右回転、右腕を肘の関節ごと左回転。 「ゆひっ!」 かなり本気で現実逃避していたまりさも、拳が一瞬巨大に見える回転圧力にはビビった。 ふたつの拳の間に生じる衝撃波の圧倒的破壊空間は、まさに歯車的砂嵐の小宇宙! 襲い来る衝撃波の竜巻を。 「エネルギーじゅうてん128%! ちぇぇぇんはどうほう、はっしゃぁ!」 ちぇんの口から放たれた爆光が、竜巻に激突した。威力はほぼ互角らしい。お互いに破 壊力を相殺する。周囲に飛び散る光と衝撃波の破片。 視界に入った小さな白い光の欠片。 「!」 考えるよりも早く、まりさは思い切り身体を捻っていた。ちぇんの頭という小さな足場の中 で半ば前衛芸術のような形に。音もなく、光の破片が髪の毛を一房焼き切っていく。避けて いなければ、身体に穴が開いていた。 「マトラマジィィック!」 バシュゥン。 大きく開いたちぇんの口から、帽子と頭の隙間から、無数の小型ミサイルが飛び出してく る。どこにどう収納されていたかは謎だが、とにかく大量に吐き出された。明らかにちぇん の体積よりも多いが、今更その程度では驚かない。 ミサイルが煙の糸を引きながら四方から男に襲いかかる。 「朝孔雀――!」 男の両腕が消える。超高速で繰り出される連打が、赤い炎を生み出した。羽を広げた孔 雀の尾のように。飛来するミサイルが、爆炎に飲まれ爆発する。 謎原理の攻撃を放つちぇんと、謎論理の技を放つ男。 目の前で繰り広げられる超技能バトル。 まりさは泣きながら叫んだ。 「いったいぜんたい、これはなんなのぜええ!?」 「どこぞでは弾幕ごっことか言われているらしい」 冷静に、男が答える。離れていたはずなのに、いつの間かすぐそこに移動している。落 ち着いた表情で緩く腕組みをし、まりさを眺めていた。 まりさはさらに咆えた。滝のように涙を流しながら。 「おかしいのぜ――、それはもういろいろとおかしいのぜ!? これのどこがだんまくごっこ なのぜ……!? そもそも『たま』じゃないのぜ! さらに『まく』でもないのぜ! ましてや 『ごっこ』でもないのぜええ!? というか、さいごだいじだから、もういっかいいうのぜ! これは『ごっこ』とかそーゆーレベルじゃないのぜええええ!」 「まあ、まりさくん。そうむずかしくかんがえることはない」 こちらも冷静に答えながら尻尾を一閃。 鞭のように伸びた尻尾を、男が後退して躱す。あっという間に見えない距離まで離れて いった。二本の尻尾が元の長さに戻り。 「ロッソファンタズマ!」 六体に分身するちぇん。 「さらに――」 口を大きく開ける。 「ティロ」 「!?」 開いた口から現われた巨大な砲身。こちらもどこにどう収納されていたのかは不明だが、 口径三十センチはあるだろう銀色の筒が口の奥から出てくる。分身したちぇんと同じ六本 の大砲が遙か遠くの男に照準を合わせた。 「フィヌァァァレェ!」 ドゴォン! 爆音とともに撃ち出される砲撃。黒い空を引き裂く白い輝き。実弾があるのか光線系な のかは分からないし、どうでもいい。六発の大砲撃が爆裂し、炎と閃光が飛び散った。 「悪魔脚風〈ディアブル・ジャンブ〉!」 黒い空を背景に、赤い輝きが空を裂く。 「羊肉〈ムートン〉JET――」 両足を赤熱させ、男が突っ込んできた。勢いよく回転しながら炎を纏い、さらに渦巻く衝 撃波を纏っている。以前、似たような技でシズオカれいむの裏世界にクレーターを作って いたが、この蹴りはその比ではない。 「六百煩悩〈ポンド〉攻城砲〈キャノン〉――!」 ドグォン! 強烈なドロップキックがちぇんを吹っ飛ばす。 再び空中に放り出されるまりさ。その身体を男が掴む。 「……!?」 流れるように男は次の行動に移っていた。空中に脚を突き、左足を大きく振り上げる。同 時に身体を捻り、まりさを掴んだ右腕を振りかぶる。ボールを投げるように。 「一気に決めるぞ。トドメはお前だ。根性入れろよ、まりさァ!」 その体勢と台詞に、まりさは全力で言い返す。 「むりむりむりむり――むりなのぜえええぇ! むりにきまってるのぜ!? できるわけが ないのぜ、できるわけがないんだぜ! おじさんはまりさになにをきたいしてるんだぜ!? まりさはただのちいきゆっくりなのぜ! ようかいとかかいじゅうとかばけものとか、そーゆ ーものじゃないのぜ! ふつうのしゃべるふしぎまんじゅうなのぜ! ついでにいうと、ボー ルとかほうだんでもないのぜ!?」 身体ごと投げ出すような踏み込みとともに、男は腕を振り抜いた。 「くらえ、必殺! 男の魂完全燃焼キャノンボールアターック!」 「ひとのはなしをきくのぜええええ!」 涙とともにまりさは飛んだ。 自分でもよくわからない速度で星空に落ちていく。 黒い空と無数に輝く星々。今はまだ午後二時くらいだった気がするのだが、空は夜の色 に染まっていた。地上で見上げるよりも遙かに大量の星が広がっていた。黒い空を縦に横 切る光の帯。天の川だった。 が、その光景を堪能する余裕もない。 「ゆひっ!」 視界に映るちぇん。 まりさは砲弾のようにちぇんに向かっていった。何の能力も持たない基本種のまりさでは、 軌道を変えることもできない。一直線に空を突き進む。 不意に。 まりさの頭に文字が浮かんだ。 選択肢。答えを選びなさい。 次に回答が書き出される。 1、ちぇん迎撃する。 → ゆんやあああ! 2、ちぇん防御する。 → ゆぐぁぁぁっ! 3、ちぇん回避する。 → ゆぅぅぅぅん!? ちぇんがスパークか何かで迎撃すればまりさは消し飛ぶ。普通にちぇんが防御すればま りさは砕け散る。避ければそのままお星様の仲間入り。 その結末を回避する手段を、まりさは持っていない。 「ほい」 答え、3 「ゆぅぅぅぅぅん!?」 涙を迸らせながら、まりさはちぇんの横を通り過ぎる。 ちぇんはあっさりとまりさを避けていた。 目の前に見えるのは無数の星々と黒い無限の虚空。そこがいわゆる宇宙という事は、まり さも理解していた。自分がそこに行くとは、夢にも思っていなかったが。 「みんな、さよならなのぜ……。ぱちゅりー、あとのことはまかせるのぜ……」 このまま自分はお星様になる。 涙とともにその事実を噛み締めるまりさ。 シュン。 身体に巻き付く黒い紐。と同時に逆方向に急激な加速度が掛かる。 「んー。あいかわらずむちゃなことするのだな、きさまは。まったく、まりさくんがしゅうかい えいせいになったら、どうするつもりだったのだね?」 「ゆん、ゆん……」 ちぇんの頭の上で、まりさは涙を流していた。ちぇんが尻尾を伸ばし、飛んでいったまりさ を回収したのである。お星様にならずに済んだ事に、ただ安堵していた。 「愚問だな。貴様を倒して回収するまでだ」 数十メートル離れた場所で、男が佇んでいる。 まりさを投げたことに対しては悪びれる様子もない。 「さて、そろそろカタを付けるかな?」 男が懐から銀色の箱を取り出した。煙草類を収めるシガレットケース。蓋を開け、葉巻を 一本取り出し、それを口に咥える。ケースを懐にしまってから、銀色のライターを取り出し、 蓋を開けた。 カチ、カチッ。 乾いた音が響く。 ライターで葉巻に火を点けようとしているが、火が出ないようだった。 「ん? まだオイルは入ってるはずなんだが」 眉を寄せ、男がライターを眺める。 ちぇんが猫耳を伸ばし、声をかけた。 「さんそだよ、さんそ。わかるかなぁ? わかるよねぇ? ねんしょうには、さんそがひつよう ふかけつなのだよ。ここはもう、ひがおこせるようなこうどではないぞ?」 「随分と高くまで来てしまったか」 蓋を閉め、男はライターをポケットにしまった。おもむろに右手を持ち上げ、親指と中指を 合わせる。それを葉巻の先に持って行き。 パチン。 指を弾いた。小さな音とともに、葉巻の先端に火が付く。 ライターに火は点かないが、葉巻には点くらしい。 ごく自然に空中に立って喫煙している男に、まりさは声をかけた。 「きいちゃいけないようなきがするけど、いちおうきいておくのぜ……」 視線を下に向ける。 青い海と白い雲が見える。大地の茶色、街の灰色、森の緑色。それがいわゆる地球で あると、まりさはぼんやりと把握していた。このような科学知識は普段は使わないが、リー ダーの教養としてある程度は知っている。 漆黒の宇宙、青い地球。 まりさたちはその狭間にいた。 「ここ、どれくらいのたかさなのぜ……? どーかんがえても、ぜったいにきちゃいけないよ ーな、というよりも、ぶつりてきにこられるわけがないたかさなのぜ……? おそらをとんで るみたいとか、そういうたかさじゃないのぜ?」 訊く。 吹っ飛ばしたり吹っ飛ばされたりしながら、一人と二匹はひたすら上昇していた。自分が どれくらいの高さにいるのか、まりさは途中から考えるのを放棄していたが、冷静に考える と明らかに狂った高度である。 男は小首を傾げて横を見た。紫煙を吹き出してから、 「ざっと地上から四百キロメートルくらいか? 国際宇宙ステーションの周回軌道と同じくら いの高さだな。ま、ここまで跳び上がったのも、久しぶりだ」 「いちどつきまでいってみたいものだ」 ちぇんが視線を向けた先には、白い月が見える。 どうやら以前にもこの高度まで飛んだことがあるらしい。ちぇんは月まで飛んでみたいよ うだが、さすがに月は遠すぎるようだった。 「ツッコミどこおがおおすぎて、なにいっていいかわからないのぜ」 光の消えた瞳で男を見つめ、まりさは呟く。 なぜこの高度まで飛び上がれるのか。空気もない真空でなぜ立っていられるのか。そも そもなぜ普通に生きていて、しかも普通に会話できているのか。まりさ自身なぜ普通に生 きていられるのか。何もかもが理解不能だった。 不敵に笑い、男が断言する。 「大抵の事は、知恵と努力と勇気で何とかなる。あとは、愛と気合いと衝撃波だ!」 「さすがしょうげきは――なんでもありなのぜー……」 乾いた笑みとともに、そう返す。 深く考えてはいけない。ここはもはやまりさの思考が及ぶ世界ではない。常識など因果 地平の彼方に置き去りにしているのだ。一地域ゆっくりのまりさには、どうすることもできな い。ただ、起こった事実はありのまま受け入れるだけだった。 「とりあえず、まりさくん。ちょっとあぶないから、きみはひなんしていなさい」 そう言って、ちぇんがまりさを横に放り投げた。 「ゆーん」 悟りにも似た穏やかな心地で、まりさは重力に引かれて落ちていく。これを避難と呼べる かは怪しいが、ちぇんの頭の上にいるよりは安全なのだろう。ただ、このままでは流れ星と なって焼失するかもしれない。 しかし、もうそんな事はどうでもよかった。 「では、いくぞ――」 口を開けるちぇん。口蓋から漏れる漆黒の輝き。禍々しく蠢く闇の光。今まで放った攻撃 とは比べものにならない超高密度のエネルギーが、ちぇんの奥底から生まれている。 黒塗りの瞳が男を見据えた。 「いちげきでしとめてやるよ。かくごはできたか?」 「茶番は終わりだ。死ぇえぃ!」 男が大きく両腕を振り上げた。両手の中に生まれる赤い輝き。超音速の動きから作り出 される音の大爆発。空気など無く、衝撃波を作れる場所ではないが、男はそれを気にも留 めていないようだった。 ちぇんと男が咆える。 「ワールドデストロイヤー!」 「走れ――衝・撃・波ァァァァァ!」 ―――! 漆黒の輝きと、真紅の衝撃が激突する。空間がひしゃげ軋み、砕け散った。理解を超え たエネルギーが爆裂する。街ひとつ消し飛ばすどころか、もはや大規模災害的な破壊力。 遙か上空、圧倒的な破壊する力が全てを埋め尽くす。 「ゆめなのぜー。これはきっとわるいゆめなのぜー……」 巻き起こる余波に吹き飛ばされながら、まりさは静かに目を閉じた。 「ゆひっ!」 小さな悲鳴とともに跳ね起きるまりさ。 「むきゅ。おきたのね、まりさ?」 そこにあったのはぱちゅりーの姿だった。一班班長のぱちゅりー。心配そうにまりさを見 つめている。他にも群れのゆっくりたちが心配そうにまりさを見ていた。 「こ、ここは……どこなのぜ?」 もそもそと起き上がり、まりさは周囲を見る。 青い空と白い雲。周囲に生えた広葉樹。まばらに生えた草や小さな木。いつも見ている 森だった。まりさはそこに仰向けになっていた。なぜこんな所に寝ていたのかはよく思い 出せないが、記憶にあるアレは何かの夢だったのだろう。 硬い地面の感触が心地よい。 「だいじょうぶ?」 「ちょっとわるいゆめをみていたんだ――」 安堵の息を吐きながら、ぱちゅりーに答えかけて。 「………」 固まる。 大きな葉っぱに乗せられたトマトが、そこにあった。十個くらいだろう。瑞々しく赤い美味 しそうなトマトである。誰が置いていったのかは明白だった。 「ゆめじゃなかったのぜ……」 声を引きつらせるまりさ。夢だと思った出来事は現実だった。宇宙まで飛び出して戦える ゆっくりが存在し、それをどうにかできる人間が存在するという、無茶苦茶な現実。知って はいけない世界を知ってしまった気がした。 小さく汗を流しながら、ぱちゅりーがトマトを視線で示す。 「れいのちぇんとにんげんのおじさんがおいていったわ。むれのみんなでたべるようにって。 めいわくかけたおわびっていってたわ」 他のゆっくりもそのトマトを見ていた。食べたそうに。 「っ! ゆああああッ!」 理解した時にはまりさは全力で跳び出していた。 涙を流しながらトマトに飛びつき。 むしゃむしゃむしゃむしゃ! がつがつがつがつ! 瞬く間にトマトを食い尽くしていく。味わう暇も無い。赤い実を噛み潰し、すぐさま呑み込 む。ヘタも実も区別せず。それは食事ではなく、処分の動作だった。 ばりばり……。 皿代わりになっていた大きな葉も残らず噛み、呑み込んでいく。 ごくん。 「げふ……」 全てを食べ終わり、息を吐き出すまりさ。 およそ二十秒で、十個ほどのトマトは器ごと残らず消えていた。 「にゃー! なんでひとりで、ぜんぶたべちゃうのー! ちぇんもたべたかったよー!」 のーびのーびしながらちぇんが抗議してくる。他のゆっくりも同じように抗議の視線を向け てきていた。食事が支給される地域ゆっくりにとっても、野菜は滅多に食べられないもの。 それを全てまりさが食べてしまったのだ。 怒るのも無理はない。 しかし。 「ほんとうに、たべたかったのぜ?」 全員に視線を向け、まりさは尋ねる。 数拍の沈黙。 「わかるよー……」 言いたい事を理解し、ちぇんが冷や汗とともに小声で呟いた。 あとがき おじさんの能力が生かせる職場という感想を頂いたので、書きました。 大体こんなんやっています。 過去SS anko4627 続・希少種はゆっくりできないよ! - せーが頑張った編 - anko4567 愛でる形 anko4540 希少種はゆっくりできないよ! 後編 anko4535 希少種はゆっくりできないよ! 前編 anko4488 れいむ宇宙へ anko4485 ぱるすぃのじぇらすぃ anko4467 事情聴取 anko4458 どうあがいても絶望 以下省略 挿絵:
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みらいへP【登録タグ 作み 作り手】 迷奏のあしあと 特徴 KAITO使いのP。KAITOの声に惹かれてボーカロイドPとしての道を歩き出したらしい。 KAITOの他にはMEIKOを使用。また、まだ曲は投稿されていない(トークロイド動画のみ)が、鏡音リン・レンも加わった。 リンク ピアプロ「ありありさん」のページ 曲 A family s Christmas Somewhere in this world 時の輪 りんかい☆ふぉーえばー! CD まだCDが登録されていません 動画 コメント 簡単ですが紹介文を記載しました。紹介文未登録タグはあまり有用ではないので直接追加依頼へご依頼ください。私が行った程度の当たり障りない紹介文追加なら、PIAPROのプロフィールなどから拾えると思いますので、できれば紹介文は誰かに丸投げするのではなく何か少しでも書いていただければと思います。 -- moto (2011-10-16 12 41 35) 名前 コメント
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編集方法 基本情報 タイトル CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 レーベル コロムビア フォーマット CD 規格番号 COCX-33096~7 収録曲 Disc 1 1 ちょうちょう 2 チューリップ 鳥海佑貴子,森の木児童合唱団 3 せんせいとおともだち 森の木児童合唱団 4 あくしゅでこんにちは 山野さと子,森の木児童合唱団 5 いぬのおまわりさん 土居裕子 6 ぶんぶんぶん 森の木児童合唱団 7 おはながわらった 鳥海佑貴子,森の木児童合唱団 8 ぞうさん 山野さと子,森の木児童合唱団 9 おんまはみんな 森の木児童合唱団 10 おつかいありさん 濱松清香,林幸生,森の木児童合唱団 11 めだかの学校 森の木児童合唱団 12 メリーさんのひつじ 橋本潮,森の木児童合唱団 13 のぼるよコアラ 山野さと子,森の木児童合唱団 14 こいのぼり 鳥海佑貴子,森の木児童合唱団 15 ピクニック(1と5で) 山野さと子,森の木児童合唱団 16 おべんとう 17 おべんとうばこのうた 神崎ゆう子,坂田おさむ 18 むすんでひらいて 岡沼明美,森の木児童合唱団 19 手をたたきましょう 山野さと子,森の木児童合唱団 20 おはなしゆびさん 森みゆき 21 グーチョキパーでなにつくろう 山野さと子 22 とけいのうた 23 かたつむり 24 かえるのうた 橋本潮,森の木児童合唱団 25 ふしぎなポケット 濱松清香 26 おもちゃのチャチャチャ 山野さと子,森の木児童合唱団 27 ドレミの歌 山野さと子,森の木児童合唱団 28 たなばたさま 29 おばけなんてないさ 森晴美 30 うみ Disc 2 1 南の島のハメハメハ大王 堀江美都子,こおろぎ’73 2 アイアイ 林アキラ,森みゆき 3 こぶたぬきつねこ 神崎ゆう子,坂田おさむ 4 とんぼのめがね 塩野雅子 5 あら どこだ 林アキラ,森みゆき 6 お誕生日のうた 森の木児童合唱団 7 そうだったらいいのにな 8 ともだち賛歌 コロムビアゆりかご会 9 さんぽ 10 はたらくくるま1 11 あさいちばん早いのは 神崎ゆう子,坂田おさむ 12 山の音楽家 山野さと子 13 どんぐりころころ 林幸生,森の木児童合唱団 14 大きな栗の木の下で 林幸生,鹿島かんな,森の木児童合唱団 15 げんこつやまのたぬきさん 山野さと子 16 パンダうさぎコアラ 山野さと子 17 ひげじいさんのうた こおろぎ’73 18 やきいもグーチーパー コロムビアゆりかご会 19 北風小僧の寒太郎 20 あわてんぼうのサンタクロース 松本知子,コロムビアゆりかご会 21 ジングル・ベル 22 おしょうがつ 山野さと子,森の木児童合唱団 23 ゆき 鹿島かんな,森の木児童合唱団 24 コンコンクシャンのうた 神崎ゆう子 25 おにのパンツ 小池乙史,杉並児童合唱団 26 まめまき コロムビアゆりかご会 27 うれしいひなまつり 山野さと子,森の木児童合唱団 28 ドキドキドン!一年生 鹿島かんな 29 一年生になったら 濱松清香,林幸生,森の木児童合唱団 30 思い出のアルバム メディア メディアタイトル 面 メディアナンバー 曲名 歌手(楽器) 作詞 作曲 編曲 楽譜の種類 備考 タグ CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 1 ちょうちょう ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 2 チューリップ 鳥海佑貴子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 3 せんせいとおともだち 森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 4 あくしゅでこんにちは 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 5 いぬのおまわりさん 土居裕子 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 6 ぶんぶんぶん 森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 7 おはながわらった 鳥海佑貴子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 8 ぞうさん 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 9 おんまはみんな 森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 10 おつかいありさん 濱松清香,林幸生,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 11 めだかの学校 森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 12 メリーさんのひつじ 橋本潮,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 13 のぼるよコアラ 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 14 こいのぼり 鳥海佑貴子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 15 ピクニック(1と5で) 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 16 おべんとう ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 17 おべんとうばこのうた 神崎ゆう子,坂田おさむ ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 18 むすんでひらいて 岡沼明美,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 19 手をたたきましょう 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 20 おはなしゆびさん 森みゆき ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 21 グーチョキパーでなにつくろう 山野さと子 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 22 とけいのうた ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 23 かたつむり ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 24 かえるのうた 橋本潮,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 25 ふしぎなポケット 濱松清香 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 26 おもちゃのチャチャチャ 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 27 ドレミの歌 山野さと子,森の木児童合唱団 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 28 たなばたさま ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 29 おばけなんてないさ 森晴美 ? ? ? × CD CDツイン どうよう〜ようちえん・ほいくえんでうたう歌〜 × 30 うみ ? ? ? ×