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2010年5月24日 2009年(正確には、2008年12月~2009年11月)に韓国で刊行された日本の推理小説全98作品について、韓国ネット書店にリンクを貼りました。自分のひいきの作家さんが翻訳されているか、また、どんな表紙絵で刊行されているのか、興味がありましたらどうぞ見ていってください。 韓国推理作家協会編のミステリ専門誌『季刊ミステリ』(年4回刊行)は、毎年冬号で、1年間の推理小説の刊行状況を振り返る特集を組み、その1年間に刊行された推理小説の全リストを掲載しています(正確にいうと、対象期間は前年の12月から当年の11月まで、以下同じ)。 『季刊ミステリ』26号(2009年冬号)(奥付けは2009年12月、実際は遅れて2010年4月刊行)によると、韓国でのミステリの刊行状況は以下の通りです。 ■最近4年間の韓国でのミステリ刊行状況 2006年 147(韓国オリジナル20、英語77、日本語32、その他18) 2007年 235(韓国オリジナル17、英語111、日本語72、その他35) 2008年 267(韓国オリジナル27、英語103、日本語96、その他41) 2009年 294(韓国オリジナル38、英語125、日本語98、その他33) 基本的に、英語圏からの翻訳が最も多く、日本からの翻訳が約3分の1を占めるという状況が続いています。 2006年と比べると、その後のミステリの刊行冊数が急激に増えていて、特に日本からの翻訳が2006年と比べると現在は約3倍になっているというのが分かります。しかし一方で、韓国オリジナル作品はまだ少ないようです。 ■2009年(2008年12月~2009年11月)の刊行作品数ランキング 9作品 東野圭吾 5作品 宮部みゆき 4作品 恩田陸、津原泰水、(米 ジョン・ディクスン・カー、マイクル・コナリー、ディーン・クーンツ、パトリシア・ハイスミス) 3作品 石田衣良、石持浅海、乙一、貫井徳郎、(米 アン・ライス、チェルシー・ケイン、スティーヴン・キング)、(韓国 キム・スンオプ) 数え方が難しいのですが、松本清張も7冊刊行されています。 7冊 松本清張(『点と線』、短編集『黒い画集』(日本での初刊行時と同じ3分冊)、『松本清張傑作短篇コレクション』(全3巻)) 以下で、『季刊ミステリ』26号で日本の「推理小説」(の翻訳)とされている98作品(作家でいうと58人+1アンソロジー)を挙げます。「広い意味での推理小説」とされており、日本ではあまりミステリだとみなされていない作品も一部あります。 韓国語のタイトルが大幅に変わっている場合は、その直訳も示す。 【初訳】と書いたものは、その作者の韓国での最初の単行本。(ただし、それ以前に雑誌掲載などはあったかもしれない) 前年12月発売のものにはその旨注記した(6冊)。 ミステリ以外の作品が期間内に翻訳されている場合はなるべく注記したが、すべては網羅していない。 あ行 赤川次郎『セーラー服と機関銃』(1978) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8957091440 芦原すなお『カワセミの森で』(2007) (→韓国語タイトル『カワセミの森殺人事件』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8975279049 我孫子武丸『人形はこたつで推理する』(1990) (→韓国語タイトル『人形、探偵になる』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925824833 ↑『殺戮にいたる病』(2006年訳)、『弥勒の掌』(2007年訳)に続く3作品目の翻訳。とてもかわいらしい表紙だが、一方で『殺戮にいたる病』は19禁に指定されている。 有栖川有栖<2作品> 『46番目の密室』(1992) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925824825 『絶叫城殺人事件』(2001) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925811278 伊坂幸太郎『モダンタイムス』(2008) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901099314 石田衣良<3作品> (この年にはミステリ以外に、小説3冊、エッセイ1冊が訳されている) 『電子の星 池袋ウエストゲートパーク4』(2003) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8960172332 『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク5』(2005) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8960172340 『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパーク6』(2006) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8960172359 石持浅海<3作品> 『扉は閉ざされたまま』(2005)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8952212029 『月の扉』(2003) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993208484 『耳をふさいで夜を走る』(2008) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993208417 乾くるみ<2作品> 『イニシエーション・ラブ』(2004)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931472 『リピート』(2004) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931588 江戸川乱歩『江戸川乱歩全短篇2』(1998年、ちくま文庫) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=899252417X ↑全3巻。1と3は2008年に刊行されている。 大崎梢『配達あかずきん-成風堂書店事件メモ-』(2006)【初訳】 (→韓国語タイトル『名探偵ホームズガール1 -名探偵ホームズガールの書棚』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8963700690 ↑大幅なタイトル変更。「名探偵ホームズガール」のタイトルで3巻(2010年2月)まで刊行されている。 大沢在昌『新宿鮫』(1990) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901098423 太田忠司『奇談蒐集家』(2008) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=898945610X 荻原浩『噂』(2001) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8959133825 奥田英朗『邪魔』(3分冊)(2001) (→韓国語タイトル『妨害者』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993480044 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993480052 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993480060 乙一<3作品> 『天帝妖狐』(1998) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8963860353 『失踪HOLIDAY』(2000) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925811332 『暗いところで待ち合わせ』(2002) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925811243 (12月) (なお、『GOTH リストカット事件』は19禁) 小野不由美『魔性の子』(1991) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931537 折原一<2作品> 『倒錯の死角』(1988) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8959752088 『行方不明者』(2006) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8993094233 恩田陸<4作品> 『まひるの月を追いかけて』(2003) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992036884 『朝日のようにさわやかに』(2007) (→韓国語タイトルは、別の短編からとって『一千一秒殺人事件』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8949192152 『いのちのパレード』(2007) (→韓国語タイトルは、別の短編の一部からとって『蝶』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901093197 『きのうの世界』(2008) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8937832534 か行 門井慶喜『天才たちの値段』(2006)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8979199104 川端裕人『リスクテイカー』(1999)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8983945362 貴志祐介『十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA』(1996) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8979199279 北村薫『紙魚家崩壊 九つの謎』(2006) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=896386037X 木下半太<2作品> 『悪夢のエレベーター』(2006)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8952211235 『悪夢の観覧車』(2008) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8952212037 京極夏彦『巷説百物語』(1999) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992036922 桐野夏生『魂萌え!』(2005) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8960171859 (12月) 小酒井不木『恋愛曲線』(1931)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8993212104 ↑怪しすぎる表紙……。クラシックなミステリには見えない。 近藤史恵『サクリファイス』(2007) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8952755200 ↑2008年の『凍える島』に続いて翻訳2作目。 今野敏『隠蔽捜査』(2005)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8901096048 さ行 坂木司『シンデレラ・ティース』(2006) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901091186 (12月) 桜庭一樹<2作品> 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(2004) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925244438 『私の男』(2007) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8990982308 (12月) 佐々木譲<2作品> 『警官の血』(上下巻)(2007)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8992036760 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8992036779 『エトロフ発緊急電』(1989) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901101572 島田荘司『斜め屋敷の犯罪』(1982) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8952754603 朱川湊人『水銀虫』(2006) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901094924 真保裕一『追伸』(2007) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8984971294 た行 高野和明『6時間後に君は死ぬ』(2007) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=896017193x 津原泰水<4作品> 『ルピナス探偵団の当惑』(2004)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925824884 『蘆屋家の崩壊』(1999) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992036868 『赤い竪琴』(2005) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901100061 『ルピナス探偵団の憂愁』(2007) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925824906 (「津原泰水」名義の作品では『当惑』が初訳だが、1997年に「津原やすみ」名義のルピナス探偵団シリーズが1冊翻訳されている。) な行 中井英夫『虚無への供物』(1964)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8949705419 ↑三大奇書はこれですべて刊行。『匣の中の失楽』は未訳。 (韓国版『黒死館殺人事件』(2005年訳) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8949702878 韓国版『ドグラ・マグラ』(2008年訳) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992723385 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992723393 ) 中島らも<2作品> 『人体模型の夜』(1991) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931499 『今夜、すべてのバーで』(1991) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931529 西尾維新『新本格魔法少女りすか』(2004) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8925800446 貫井徳郎<3作品。すべて2009年5月刊> 『失踪症候群』(1995) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8963700011 『誘拐症候群』(1998) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=896370002x 『殺人症候群』(上下巻)(2002) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8963700046 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8963700054 乃南アサ『6月19日の花嫁』(1991) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8995820489 は行 服部真澄『エクサバイト』(2008)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8960172227 原尞『私が殺した少女』(1989) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992036892 東野圭吾<9作品> 『卒業―雪月花殺人ゲーム』(1986) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754366 『眠りの森』(1989) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754374 『犯人のいない殺人の夜』(1990) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925532174 『怪しい人びと』(1994) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925533308 『どちらかが彼女を殺した』(1996) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754382 『私が彼を殺した』(1999) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754390 『嘘をもうひとつだけ』(2000) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754404 『予知夢』(2000) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8990982316 『流星の絆』(2分冊)(2008) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754285 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8972754293 平山夢明『他人事』(2007) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991909167 船戸与一<2作品> 『虹の谷の五月』(2000)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901090287 (12月) 『伝説なき地』(2分冊)(1988) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901095912 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901095920 ま行 松本清張<7冊> 『点と線』(1958)(注:2003年にも別の訳者で韓国語訳が出ている) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8927200519 『黒い画集』全3巻(1960) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8984973920 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8984973939 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8984973947 『松本清張傑作短篇コレクション』上中下巻(2004年、宮部みゆき編) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931510 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931545 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931596 道尾秀介『向日葵の咲かない夏』(2005) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8975278395 皆川博子『死の泉』(1997)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901098547 湊かなえ『告白』(2008)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992036965 宮部みゆき<5作品> 『パーフェクト・ブルー』(1989) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8963860310 『震える岩 霊験お初捕物控』(1993) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8991931480 (12月) 『鳩笛草』(1995) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=899193160X 『クロスファイア』(1998) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925533154 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=8925533162 『あかんべえ』(2002) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?isbn=899193157x 森見登美彦『きつねのはなし』(2006) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8983923261 や行 薬丸岳『天使のナイフ』(2005)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8960171190 柳広司『漱石先生の事件簿―猫の巻』(2007)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8975279057 山口雅也『生ける屍の死』(1989)【初訳】 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8952756843 山本文緒『ブラック・ティー』(1995) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8979199120 横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』(1950) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8952755537 わ行 若竹七海<2作品> 『依頼人は死んだ』(2000) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8937832607 『死んでも治らない―大道寺圭の事件簿』(2002) (→韓国語タイトル『大道寺圭の事件簿』) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8901091348 アンソロジー 芥川龍之介ほか『日本ホラー傑作選』(韓国オリジナル編集) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8970137300 以下の収録作品は、韓国語のタイトルから推定。直訳の場合は明確だが、タイトルが少々変更されている場合があり、誤った推定をしているものもあるかもしれない。 岡本綺堂「幽霊花火」 小泉八雲「幽霊滝の伝説」 坂口安吾「桜の森の満開の下」 夢野久作「(死を呼ぶ新聞)???」 宮沢賢治「注文の多い料理店」 夏目漱石「(悪霊の音)???」 都賀庭鐘「黒川源太主山に入ツて道を得たる話」 芥川龍之介「地獄変」 上田秋成「吉備津の釜」 泉鏡花「春昼」 関連記事 2009年に台湾で刊行された日本の推理小説 2009年に中国で刊行された日本の推理小説 韓国ミステリ紹介 目次へ
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作品名 その雪と血を 書影 原題 Blood on Snow(英題)Blod på snø 作者名 ジョー・ネスボ 訳者名 鈴木恵 解説 川出正樹 あらすじ オーラヴ・ヨハンセンは殺し屋だ。今回の仕事は、不貞を働いているらしいボスの妻を始末すること。いつものように引き金をひくつもりだった。だが彼女の姿を見た瞬間、信じられないことが起こる。オーラヴは恋に落ちてしまったのだ……。雪降りしきる70年代のノルウェーを舞台に、世界で著作累計2800万部を突破した北欧ミステリの重鎮が描く、血と愛の物語。 出版社 早川書房 形態 ハヤカワ・ミステリ 刊行日 2016/10/6 レビュー ロマンチックリリカルクリスマス暴力小説である。1977年12月、雪降りしきるオスロが物語の舞台。運命に弄ばれ、今は麻薬業者の始末屋をしている主人公オーラヴの次なるターゲットは何とボス自身の新妻コリナ。あまりにも美しい彼女に恋をした彼は…… 「1970年代の架空の作家が書いた1950年代のクライムストーリーのような小説」を2015年に書く、というとてつもない時代錯誤感にまず酩酊する。詩情に満ちた、しかしきびきびとした短い文章で語りを連ね、短い紙数で複雑な物語を無理なく構成している。まず、小説として図抜けて上手いのだ。「おれに何が分かる?」「良く知らないが」を連発し、物語への参加を拒んできたオーラヴが「二つの恋」によってその語り部としての才を開花させ、訥々と紡いだ本書は、いっそ不自然なほどロマンチックで、それゆえに読者を雪の迷路に惑わせる。姉妹編?のMidnight Sunの邦訳が待ち遠しい。 -- 三門優祐 (2016-10-12 10 50 17) 名前 コメント
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公式ページ アニバ2016期間中、隔週で配信される時限配信クエストにして今年の(一応)ホラー枠。 クエスト配信期間は以下の通り。 2016年7月13日(水) 18 00 ~ 7月20日(水) 6 59 2016年7月27日(水) 18 00 ~ 8月3日(水) 6 59 2016年8月10日(水) 18 00 ~ 8月17日(水) 6 59 2016年8月24日(水) 18 00 ~ 8月31日(水) 6 59 概要 3種類の「謎のクエスト」で構成されており、2つのクエストで順番に消費アイテムを集め、 最後のクエストで武器(スラッシュアックスF)素材を手に入れる、という構図になっている。 順番としては★3のクエストで「誰かの食べ残し」を手に入れ、 それを1個消費して★5のクエストで「赤く汚れた石片」を入手し、 それを1個消費して★6のクエストで武器生産素材「奇面族の花」を手に入れる。 食べ残しと石片は1クエで7個程度入手できるが、奇面族の花は1個確定(1%)×10個必要というかなり面倒な仕様になっており、 石片は10個用意して★6クエに望むとよいか。 クエスト ★3と★5のクエストはクエスト内容が微妙に異なるものが3種類、★6は2種類ある。 配信内容は時間で切り替わる。(切り替わった後の古いクエストはクエスト履歴で未配信のクエスト扱いになるのが確認できる) なお★3と★5はサブクリも可能となっている。 ※内容、アナザーはネタバレ回避のため反転。★6については部位破壊前に狩猟などマストが達成不可能になった場合即失敗する。 ちなみに★3と★5のアナザーは達成すると食べ残しor石片が確定1個入手できる。 ランク ★3 フィールド 森丘 モンスター リオレイア、イャンクック メイン リオレイアの討伐 リオレイアの討伐 リオレイアの捕獲 サブA リオレイアの頭部破壊 イャンクック1頭の狩猟 リオレイアの頭部破壊 サブB リオレイアの翼爪破壊 イャンクックの耳破壊 イャンクックの耳破壊 アナザー チャチャブー3頭の討伐 ランク ★5 フィールド 沼地 モンスター グラビモス、ババコンガ メイン グラビモスの討伐 グラビモスの捕獲 グラビモスの討伐 サブA グラビモスの胸部破壊 グラビモスの尻尾切断 グラビモスの胸部破壊 サブB ババコンガの頭破壊 ババコンガの頭部破壊 ババコンガの爪破壊 アナザー チャチャブー3頭の討伐 ランク ★6 フィールド 樹海 モンスター エスピナス、ヒプノック マスト エスピナスの捕獲 エスピナスの討伐 エスピナスの頭部破壊 ヒプノックの捕獲 アイルー1匹の討伐 アイルー1匹の討伐 +★6のネタバレ 【★6のアイルーは何処にいる?】 アイルーは通常配置では一匹も出現しないが、 チャチャブーから「極秘の宝袋」を剥ぎ取った時点でチャチャブーの巣に配置される。 さらに小ネタであるが「極秘の宝袋」を持ち込んでおくと最初から出現する。 ちなみにお守りの倍付けは乗る。 武器 チャチャブアイルー(スラッシュアックスF) G10.1時点で唯一となるスタンビン 毒属性のスラッシュアックスF。 GR5の準G級武器だが、例によってGLv50級の性能がある。 匠で空ゲ+攻撃力2710はG級武器スラッシュアックスFとしてはかなり高く、同じスタンビンのG級武器と比較し何ら見劣りしない。 面倒なクエストに見合った高い性能があると言える。 なおこの武器はチャチャブーのお面?の中にアイルーが隠れており、 斧モードで姿を見せる。サザ○さんのオープニングの最後に出てくるタ○みたいなシュールな絵面は必見。
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解説 相性の良いカード 能力変更 一覧に戻る
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用途 学祭に来られなかったひとにもミス研メニューを想像しやすくしました。 ミス研喫茶に来たはいいものの元ネタがわからない!聞くのも恥ずかしい!というひとは答え合わせしましょう。 会員は学祭前にメニュー名で悩んだら参考にしてみてください。 記述法は[・物の名前:メニュー名/『元ネタ』(使用年度)]のようにしてみました。 リンクはAmazonへ飛びます。 例: ・アップルパイ:白雪姫には食ってもらう/『白雪姫には死んでもらう』(2015) 昔使っていたものがわかるひとは追加していくかコメントをお願いします。 !絶賛更新中です! 食べ物 【パウンドケーキ】 バニラ:バニラの名前/『薔薇の名前』(2015) 抹茶:グリーン家殺人事件/『グリーン家殺人事件』(2015) ココア メロン:刑事メロンボ/『刑事コロンボ』(2015) キャラメルコーヒー:クリスマスに少女はキャラメル/『クリスマスに少女は帰る』(2015) 【ホットサンド】 ハムチーズ:ハムチーズ荘の秘密/『チムニーズ荘の秘密』(2015) トマト×ササミ:ササミ男/『ハサミ男』(2014) トマト×ツナ:三つな棺/『三つの棺』(2015) カレー:招カレーざる客たちのビュッフェ/『招かれざる客たちのビュッフェ』(2015) 【サンドイッチ】 【その他】 アップルパイ:白雪姫には食ってもらう/『白雪姫には死んでもらう』(2015) ホットケーキ:黒いホットケーキ/『黒い仏』(2014) 飲み物 コーヒー(Hot/Ice):珈琲色の研究/『緋色の研究』(2015) 紅茶(Hot/Ice):Tの悲劇/『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』(2015) コーラ:テニスコーラの殺人/『テニスコートの殺人』(2015) カルピス:フランス白粉の謎/『フランス白粉の謎』 オレンジジュース:チャイナ橙の謎/『チャイナ橙の謎』(2015) ミステリーゾーン:無し 名前 コメント
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新難題「ミステリウム」 No.1219 新難題「ミステリウム」 条件:輝夜3 性質:拡散 呪力5 攻撃4 迎撃2 命中5 信仰(1)防壁(1) [起動フェイズ] 常時 このスペルを起動状態にした場合、相手は呪力を1点消費する。 [戦闘フェイズ] 常時 このスペルが命中した場合、戦闘フェイズ終了時、相手は呪力を1点消費する。 illustrator/萩原凛 考察
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律・伍 律『えっ……ちょっ!』 私の身体は地上から1mくらいの場所で静止した。 ……は?なにこれ? 律『……ははっ!おーい唯ー、私空飛べるようになったぜー!……』 誰も振り向かない。 律『っ、おい、いいかげんにしろよっ』 正面に周りこんで、愕然とした。 誰も、誰の目もピクリとも動かない。 もしかして、私、見えてない? なんだこれ。何が起こってんの? 冷静になれ、足りない頭で考えろ。 自分を落ち着けた私。落ち着けようとしたのにのに…… 律『……なんでこんなに人がいっぱい……』 なんで気づかなかったんだろう。三人の周りにはゴマンと人が座っていた。 ……しかも 律『喪服じゃねーか』 そこにいる人間全員が黒に身を包んでいた。 落ち着けた心臓の鼓動が、跳ね馬のように一気に暴れだす。じわりとあぶら汗が滲む。 律『……どこだ』 律『……どこだ』 私は無意識に何かを探し始める。 心臓は早鐘を打ったかのようだ。 花が飾られた祭壇。私は滑るように棺に駆け寄り…… 心臓が、一回飛ばして打った。 いや、そもそもこれは心臓なのかが怪しい。 二つの棺の中に眠っているのは…………澪と私。 律『ちょっ、ちょっと待って、なんで私も澪も死んっ!』 なんとも奇妙な気分だ。 自分で『自分だったもの』を見下ろす。 土気色の私の隣に眠る澪の顔は驚くほどに白い。ちょっとピンクがさせば、いつもの澪じゃんか…… 律『どうしてっ!!どうしてだっ!!どうして澪が死んでる!!?』 私のことはもうどうでもいい。 なぜ、澪が、澪が死んでるの……? どうして何も覚えてないの……? どうしていいか分からず、涙が溢れてきた……その時…… 『お迎えにあがりました』 律『っ!!』 凍りつくような声に、私はギョッとして振り向いた。 そこにいたのは……身の丈2mもあるボロ布……かと思えば、顔の所にポッカリ暗い穴のあいたフードを被った、何か。 私は直感的に感じた……ソレは、私を絶対『いい所』へは連れていってくれないだろう……。 律『だ、誰だおまえは!!』 『おやおや、申し上げましたように、あなたを迎えにきました死神ですが?』 死神だって!?そんな漫画そっくりの死神がいるかってんだ!! ソレの声が私は嫌いだった。 よくニュースで、『音声は変えてあります』とある時のあの声……。 あの人口的で、暖かみがない、甲高い声……。 死神『ふふ、さぞ怖がっておられるようですねぇ。 私がどんな風に見えるか存じませんが、私の姿は、あなたのイメージを反映してますから』 それで…… 律『ふざけんなっ!死神が私になんの用があるってんだ!!』 死神『おやおや、物わかりの悪い方だ。 あなたは死にました。ストーカーなんて馬鹿な真似をしてね』 律『はっ!!私がストーカー!?あれは、唯が……』 死神『ちょうどいい具合です。今唯さんが真相を語ってくれますよ』 見ると唯が二人に何かしゃべりかけていた。……真相? 唯「澪ちゃんと、りっちゃんが死んだのは私のせいだ……。 私、澪ちゃんがストーカーにあったって言った日から……りっちゃんの様子が変なことに気づいていたの……」 梓「……ヒック、唯せんぱい?」 唯「まるでりっちゃんの中に、もう一人りっちゃんがいるみたいだった……。 そのりっちゃんは……多分澪ちゃんの、自分に対する愛が揺らいだと感じたとき、出てきてたんだと思う……」 唯「そのりっちゃんは……その、怖かった。 『澪は私のものだ!』『私のものになるまで放さない!』……絶対そんな目だったの、ヒック」 唯「私は……私はそれにずっと気づいてて、り、りっちゃんの挙動を見守っていたの……。 な、なのに……なのにっ、二人とも死んじゃった……! どうしよう……私のせいだっ!私のせいでっ!」 紬「唯ちゃん……それが唯ちゃんのせいなわけないじゃない! 私達だって……私達だって、全然気づかなくて……グス」 ………… 死神『クスッ、あはは、はい、お分かり?』 死神『?ククッ、りっちゃーん?』 嘘だ。 私はまだ夢を見ているんだ。 私がストーカー?澪のことを思うあまりに?……自分を忘れて? ばかばかしい、そんなことあるわけない。嘘だ。 ―深層心理が表にでるって怖いですね……― 突然の梓の声に、私は驚いて顔をあげた。 律『死神っ、お前か!?』 死神はククッと笑いながら続ける。 ―そうよ唯ちゃん?ストーカーがエスカレートして殺人事件まで発展することもあるのよ? 相手を思いすぎるあまりに、ね。歪んだ愛、というものなのかしら― 今度はムギの声。 律『やめろおぉ!!汚れた姿であいつらのマネすんなあぁぁ!!』 私は激昂した。 事実なのか?……ほんとに私が澪をストーカーしていたのか? ……私が澪を脅えさせていたのか……。 はっ!!じゃ、じゃあまさか、私が死んだのって…… 死神『はい、その通りです。あのグッズはしっかり役割を果たしましたね、クク』 あざ笑いながら、死神は祭壇を指差す。 そこにはあの日買った、あの護身刀が、綺麗に血を拭き取られ安置されていた。 律『そ、それじゃあ、まさか私は……』 私は浮遊している自分の体を見た。 穴が空いている。 ちょうどみぞおちのあたりに、細長い穴がポッカリと空いていた…… 死神『そ♪澪ちゃんは見事、ストーカーを撃退したのでした♪ ま、そのままそれで自分の胸を貫いたけどね』 なんてことだ。 澪が私を刺したのだ。 そして、それが私だと分かり……自殺した……。 死神『あの時の澪ちゃんの顔最高だったなぁ♪ 自分の親友がストーカーで、そいつ、刺しちゃったんだもん。 あの時の絶望した顔、悲痛の叫び、胸から吹き出る血潮、たまんなかったぁ、ククッ』 死神はしたてに出ることも忘れ、自己の快想に浸っている。 澪の遺骸はきちんと整えられ、胸の傷は見えなかった。 しかしそこからは、今も血が溢れているような気がする。 その血は、私にまとわりつき、締めつけ、染みこみ、何度も言ってくる。 『律のことは信じていたのに』 死神『さぁって、そろそろ行きましょうか』 死神がそう言った途端、視界が暗転し、回転しだした。 律『ちょっ!!待ってくれ!! まだみんなを、家族を、軽音部のみんなを見ていたい!!』 死神『はぁ?無理無理、もう行くんだよ。 ……まぁ、そう落ち込まなくていいよ、喜べ。 一年もしないうちに、お仲間さんがやってくるしさぁ』 死神はおかしさを堪えられないかように、体をよじる。 律『お仲間?それ、どういう意味だっ!?』 死神『まぁ待ってりゃ分かるって、ヒヒ。 どっちにしろ、君はもう、軽音部のみんなを見ることもねぇな』 そんな……。 父さん、母さん、聡…… ムギ、梓ぁ…… 唯ぃ……唯ごめんな、私が間違ってた…… もうみんなとは会えない……お別れだ。 でも…… 律『なぁっ!!澪は!?澪なら会えるだろっ!?澪も死んだんだし!! 私謝るから!澪を傷つけてごめんって! これからは澪を怖がらすことは絶対しないって謝るから!!』 死神『あぁ澪ちゃんね……』 死神はそう呟いたかと思うと、突然高笑いし始めた。 その内臓にまで響きわたるような凍りつく声に、私は戦慄する。 死神『アァーハッハッハ!!キヒッ、クククッ、君は澪ちゃんとはもう会えないよ、ククッ』 律『どうしてっ!?』 私がそう言うと、死神は突然フードを脱いだ。 その下から顔を出したのは、生気のない、土気色の、のっぺりした顔。 口は耳もとまで裂け、目は下弦の三日月を描いている。 その姿を見た瞬間、私の視界の回転は強くなり、強い目まいがしてきた。 死神『だってさぁ…… ―こんな刀で刺されたストーカーさんは、間違いなく地獄いきだね!― あぁ……唯の声だ……そっか私が行くのは…… …………ああ……澪…… あのころに戻りたいよ……澪とずっと一緒に……ずっと一緒にいられると思ってたあのころに…… 私も大好きだよ、澪。 目まいが強くなる。目を開けていられない。……もう時間なんだ……。 私が見る現世最後の景色。 薄れゆく意識の中、私が最後にみたもの。 ソレの口がニヤリと耳もとまで裂け、さぞ楽しそうに大きく口を開ける。 だってさ…… ソレはこうのたまわった。 『 行き先が違うんだから 』 -Fin- 戻る
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律・参 それから約二週間、私は澪を澪の家まで送った。 その途上で不審者に会うことは一回もなかった。防犯グッズもお役御免だ。 あれを澪の勘違いだと考えることもできる。実際ムギも梓も、そう考えてるらしかった。 ただ後ろを歩いていた人をストーカー扱いするなんて思い上がりだ、なんて……そこまでは言ってないけども。 でも私は澪を信じている。 なによりあの日の澪はほんとに脅えてたから。自分で作りあげた話に、あそこまでは脅えないだろう。 九月ももう終わろうかという今日、私はさわちゃんに呼ばれて居残ることになった。 律「なんか月例のクラブ部長の集会だって、今日は先帰っててくれ」 澪「えっ!?……う、うん。 ……大丈夫だよ、途中まではみんな一緒だし。心配しないで、律?」 律「あぁ悪いな!気を付けて帰れよな!」 ――― ――――― ――――――― 律「なんだよ、書類提出だけかい!」 さわ子「いいじゃなーい、早く終わるほうが。 それより澪ちゃん大丈夫なの?」 私たちはもちろんこのことを顧問にも相談していた。……とくに安全策が講じられることはなかったが。 私が妙にそわそわしているのを見て、感づかれたようだ。 さわ子「でも二週間もたつわよねー。 そろそろりっちゃんのお守りも必要ないかもね。澪ちゃん一人で大丈夫なんじゃなーい?」 ……何が、大丈夫なんじゃなーい?、だ。 私が必要ないって言われたような気がして、ちょっとムッときた。 律「澪は私がいないとダメなんだよっ。 ってかみんなさっき帰ったばかりだよな……走れば追い付くかも……。 そいじゃね、さわちゃん!!」 さ「忙しいわね~。はぁぃ、気を付けて……ね~」 さわちゃんは大きくあくびをした。 ――― ――――― ――――――― 律「ハァ、ハッふぃ~、解散場所では追い付けなかったか。澪はもう帰ったかな」 ――― ――――― ――――――― あっ澪だ。なんだろ、妙に早足だな。 こわばった首筋、固まった体を無理に動かそうとしている、ギクシャクした歩み。 ……って!!まさか……今ストーキングされてるのか!? どこだ、どいつだ!?澪を怖がらせるヤツは私が許さない!! 澪「!!律ぅ、助けてぇ!」 ――― ――――― ――――――― 律「澪!!大丈夫か!?つけられてたのか!?」 私は急いで澪のもとに駆け寄った。 澪「ヒック、うん……ま、間違いない……」 う、後ろに……後ろに人が歩いているなとは気づいて、いたけど…… お、追い掛てきたんだ!!す、すごい勢いで……そ、その……後ろ振り向く暇もなくて……」 かわいそうに、澪は芯まで震えていた。 顔は青ざめ、呼吸は荒い。 ……まてよ、そいつは今もこの近くにいるんじゃ……。 澪「い、今は……?今は後ろに誰かいない?」 同じことを考え、澪がことさら脅えた声で私に尋ねる。 私は急いで通りを見渡した。 すっかり暗くなった空の下、家並みと路地を照らすのは消えいりそうな街灯だけ。 街灯の照らさない路地端の闇が、もう人を消してしまっていた。 聞こえるのは紅葉しかかった木の葉を、風が吹き抜ける音だけ……。 律「だ、大丈夫そうだ。とにかく早く家に帰ろう!」 私だって怖い! あの視線を感じたから分かる……ほんとに殺されるっ……! そのあと私たちは走って澪の家までたどり着き、澪を送り届けたあと、私も一目散に家へ駆け込んだ。 律「なんだよ、マジでストーカーかよ!!シャレになんねーって!」 ムヴィーンムヴィーン 律「ん?」 律「電話? !!澪からだ!」 急いで電話にでる。 律「もしもしッ!?」 澪「律……?」 律「澪ッ、どうした!?」 声がか細い。消え入りそうだ。何かあったのか、と気が気ではない。 澪「いや、特には……… その、今日のことで…」 どうやら澪は家で安静にしているようで、私はいくぶんか安心した。 ……澪は続ける。 澪「こ、怖かった…ほんとに後ろ振り返るヒマもなく……なくてッ……ほんっ……殺されちゃうんじゃないかって」 泣いていた。澪は泣いていた。切れ切れに聞こえる澪の嗚咽が私の胸を閉めつける。 同情と一緒にストーカーに対する言いようのない怒りが沸き上がる。 ……澪に……けなげな澪にこんなことしやがって! 澪「でもね」 澪の声の調子が少ししっかりした。 律「?どうした澪」 少しの沈黙…… 私は澪から何か言うのを待つ。 澪「律が助けにきてくれて嬉しかった……。 ほんとに怖くて……こ、殺されちゃうんじゃと思って…… 軽音部のみんなや……律に会えなくなっちゃうと思うと、足、動かなくて……」 律「……うん……うん……」 澪「でもね……?」 澪「でもね?……でも律が見えた瞬間、怖さの半分以上安堵に変わっちゃったよ。 律が来てくれただけで助かったような気がしてさ……」 澪「律は……律はこれまでも私がいてほしい時にそばにいてくれたよね? 難しいことなのに、律は当たり前のように来てくれた……今日も。 ほんとに感謝してる。ありがと」 ありがとう、律。大好きだよ。 律「み…お…」 怖い思いをしたのは澪なのに、泣きたいのは澪のはずなのに。 何故か私が泣いてしまった。 澪が私を頼ってくれている。大好きだって言ってくれる。……私も……私も大好きだよ、澪 律「……当たり前だろ? 今だって……これからだって、私はずっと澪のそばにいるよ。 だから……安心してくれ。 澪は私が必ず守ってやるから!」 ――― ――――― ――――――― それから二言、三言短い会話を交し、電話を切った。 胸の動悸が早い。 それは今日のストーカーの脅威からくるものではない。 自分の、澪に対する好意の高まりを裏付けていた。 律「好きに、……なっちゃったのかな……」 でも不思議と後ろめたい気はしない。 むしろずっと一緒だった幼馴染みに好意を抱くのは自然な感情に思える。 律「澪は私が守ってやらないと! 明日からも澪には笑顔でいてほしいしな! 明日からはストーカーなんて、でませんよーに!!」 なんか胸の中がすっきりした。 気恥ずかしさに、一人、えへへと頭を掻く。 澪が、私のこと、大好きだって。えへへ/// そして次の日から、ストーカーは全く姿を見せなくなった。 幸・参へ
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幸・伍 律「おーっす、ありゃ、幸一人か?他のみんなは?」 幸「こんにちは、律先輩。 ムギ先輩と梓先輩は遅れるそうです。 さっき会って話しました」 律「そっかぁ。お、お、お菓子~♪お菓子はまだかなぁ~っと♪ っつーか、今日寒くないか、幸? 八月とは思えねーな」 そう言いながら、律先輩は鞄を長椅子に放り投げた。 律先輩の言う通り、今日はやたら肌寒い。 冷夏とは聞いていたが、これじゃ夏服では風邪をひいてしまうレベルだ。 律「聞いてくれよ、さちー。 今日さわちゃんがさぁ~……」 律先輩が愚痴を言い始める。 愚痴っていっても、可愛いものだ。つくづく平和な昼下がり。 ……なぜこの先輩は私にしゃべりかけているのだろう。 なぜ半年もこうしていられるのだろう。 ……律先輩、 あなたの平和、壊していいもですか? 律「おい、幸、どーしたんだよ?元気ないぞ?」 先輩の話を聞く私の反応が、いつもより鈍かったのだろう。 律先輩が私の顔をのぞきこんできた。 幸「……いえ、なんでもないです」 律「……いつもの幸らしくないぞぉ? ……あっ、さては梓と喧嘩したかぁ? しょーじきにいったら、仲介してやるぞ」 そう言って律先輩が私の肩ポンポンを叩く。 それでも私がうかない顔をしていたからであろう。 今度はさっきより心配そうな顔をして言った。 律「幸、ほんとに大丈夫か?気分悪かったら保健室連れてってやるぞ?」 幸「……いえ、気分が悪いわけじゃないんです……。 ただ律先輩に答えてほしいことがあって……」 律「答えてほしいこと? なんだ、なんでも聞いてやるぞ?」 ほんとにかっこいい。頼れるいい先輩。あなたがいたから、軽音部が回ってました。 ……先輩は、間違いなく、軽音部の部長です。 私は…………私は先輩が大好きです。 でも………… 幸「……秋山 澪」 ガタンッ 派手に椅子の音がした。 律先輩に殴られると思い、一瞬身が縮まったが、律先輩はその場で立ち上がっただけであった。 こんなに狼狽している律先輩は見たことない。 目はカッと見開き、顔全体が引きつっている。 先輩の体が震える中、特に目を引くのはその手だ。 ギターの弦をはじいているようにも見えるし、まるで何か機会を狙うかのように、ピクッピクッと動いている。 律「そ、その名前を、誰から聞いた……? ムギか?梓か?……憂なのか……?」 こないだのように怒鳴りつけるかと身構えていたが、律先輩は静かに聞いてくる。 幸「誰からでもないです。 秋山 澪。この人は誰なんですか!? 律先輩、知っているますよね?……いや、知らないはずないんです! ……去年まで一緒に練習していた仲間ですから」 律先輩はしゃべらない。黙ったままだ。 …………黙ったままなんて肯定じゃないですか。 幸「律先輩、答えてください!!なんでも……なんでも聞いてやるって言ったじゃないですか!!」 指のピクピクが速度を増した。 信じられない……。 ……だって、軽音部はあったんだよ?私……私軽音部のスタートに立ちあえたって喜んでいたのに……。 軽音部の結成も嘘だ! 初めての文化祭っていうのも嘘だ!! お願いです……律先輩……。これ以上はこの半年の結晶を壊したくないんです…… これを言ったら……もう元には戻れない…… 幸「……お願いします……何か言ってください……」 幸「 平沢 唯 先輩 」 ドスンッ 先輩は全身の力が抜けたように椅子に座りこんだ。 その顔は、まるでいたずらっ子が、しでかしたいたずらが発覚したときのような、汚れない純粋な笑い顔だった。 唯「いつ気づいたの?」 半年間聞いてきた声なのに、声のトーンまで変わったような気がする。 幸「……『唯』のことが気になって、この街の警察署まで調べに行きました。 けっこう大きな事件だったんですぐに分かって…… 事件録に、写真入りで関係者の詳細が書いてありました。 ……びっくりしましたよ。 田井中 律 は死んでいて、 平沢 唯 の写真が律先輩だったんですから」 律先輩、もとい唯先輩は、ははっと笑った。 観念したように、穏やかな顔でご名答だよ、幸、とつぶやく。 唯「じゃあこのカチューシャも、もう意味ないな」 そう言って、いつもの、あの黄色のカチューシャを取り外す。 押さえ付けていた前髪が、目までふりかかった。 唯「ほんとに幸の行動力はすごいな、あずにゃんにひけをとらない、ふふ」 あずにゃん……梓先輩のことか…… 『律先輩』は梓先輩をそうは呼ばなかったんだろう。 唯先輩は微笑しながら続ける。 唯「んー、澪ちゃんの名前が出た時点で観念した。 澪ちゃんが分かって私が分からないわけないもんな。 ……まぁでも他の三人が口外しなかったのはえらいっ!しっかり口止めしてたからなぁ」 そんなこと…… 幸「そんなことが聞きたいんじゃありません!! どうしてですかっ!?どうしてこんなことする必要があったんですか!!? 私……私律先輩のこと、ほんとに頼りにしていたんですよ……? 半年もっ!!半年も、何も知らない私をのけ者にして、あなたたちは私の信頼を裏切り続けてきたっ!!! …………どうして……」 呼び慣れた名前が違うと分かっていても口をついた。 高ぶる感情、押さえきれない怒り、大きな喪失感が私の瞳を濡らす。 唯「泣くなよぉ、幸!別にのけ者にしていたわけじゃないさ。 新入部員にのっけから暗い話するわけにいかねーじゃん。私達なりの配慮だよ」 幸「ヒック……ほんとにそれで慰めているつもりですか? ……それは、それは律先輩が『 田井中 律 』を演じていた理由にはなっていません!!!」 ここで初めて唯先輩に恐怖の色が浮かんだ。 そこに、その理由の全てが、詰まってる。 唯「そ、それは…… そ、それはねっ、幸、私がりっちゃん演じないと軽音部暗くなっちゃってさぁ! あずにゃんもムギちゃんもなんも喋んないんだもん! 悲しんじゃってねー」 『律先輩』のしゃべり方がとけて、地がでてきた。 唯先輩は焦っているに違いない。 幸「…………じゃあなんで 秋山 澪 じゃないんですか?」 唯「!!」 再び指のピクピクが始まった。 幸「だっておかしいです!! 秋山 澪 をストーカーして自殺においこんだのは 田井中 律 でしょう!? なら、この部にいなければならないのは澪先輩のほうなんじゃないんですか……? どうして唯先輩は犯罪者のまねごとなん 唯「りっちゃんは犯罪者なんかじゃない!!!」 その大声に圧倒され、私は言葉を失った。 唯先輩の顔は、再び引きつり、目は焦点があっていない。 唯「りっちゃんは犯罪者じゃないよ……? ……犯罪者なのは私なんだ……りっちゃんを止められずに、みすみす二人を死なせてしまった…… 悪いのは……全部私……りっちゃんは悪くない……」 幸「……唯先輩?」 唯先輩は虚空に向かって、一人言を呟き始めた。 ……まるでそばにいる『りっちゃん』を慰めるように…… 唯「りっちゃんは悪くないよ……? りっちゃん、様子おかしいの分かってた。なのに止められなかった、私のせい。 りっちゃんは軽音部からいなくなっちゃいけないよぉ、部長さんだもんね、えへへ」 その様子に、私は背筋がゾクッと凍りつく。 放っておくと永遠に会話を続けるんじゃないか。 幸「唯先輩っ!!」 唯「ほぇっ?」 あぁ、もう完全に『 平沢 唯 』だ。もう完全に別人なんだ…… 『律先輩』は完全にこの世から消えてしまったのだ。 ……しかし、まさか唯先輩は…… まさか唯先輩…… 幸「唯先輩、どうしてそんな律先輩のことを……」 唯「…………」 唯「…………」 唯「……私、りっちゃんのことが好きだったんだぁ」 唯「好きって、友達としての、じゃないよ……? 楽しいし、面白いし、頼りがいがあるし……」 唯「交わりたいって思った……いけないことだよね、やっぱり……へへ」 幸「先輩……やっぱり……」 私はそれが悪いことだと思わない。 だって……私だって…… 唯「……でもね、りっちゃんには澪ちゃんがいたんだよ……。 二人はほんとに仲が良かった。私が立ち入る隙間なんてなかった……」 唯「私は諦めたの。 ……もちろん澪ちゃんのことは少し憎かった。 でもね、澪ちゃんも私の大切な友達。私澪ちゃんも大好きだもん」 唯「そしたら去年あの事件が起きた」 唯「一度に二人が死んで、私達軽音部は奈落の底に突き落とされた……。 あの時のあずにゃんの悲しみようは見てられなかったよ……」 唯「当然、軽音部は活動中止。 ……四月に言ったように、ムギちゃんの家で練習してたけどね、ふふ」 唯「全校生徒には正確な情報は隠されたの。……なんか学校は自分の学校で殺人があったなんて知られたくなかったみたい」 唯「……でも、りっちゃんが悪かったらしいっていう噂はすぐ広まっちゃった」 唯「……りっちゃん…可哀想だよぉ、ヒック だ、だって死んだ後にも、わ、悪く言われて……」 唯「わ、私……嫌だったんだ……りっちゃんのこと悪く言われるの。 り、りっちゃんが犯罪者のまま、みんなの記憶に残り続けるなんてた、堪えられなかった……」 唯「だから……だから私がりっちゃんになって、りっちゃんの評価を取り戻した」 唯「ムギちゃんもあずにゃんも、そして憂も、私がしたいこと分かってくれて」 唯「もちろん、私はずっと 平沢 唯 。 でも、周りも私の行動を見て、生前の優しいりっちゃんを思い出してくれた」 唯「噂は消えて、ただの自殺事件として片付いたの」 幸「……今思えば、みんな先輩のこと『唯』とか『お姉ちゃん』ってよんでましたね……。 初日には、ムギ先輩、このあいだは憂先輩が…… ……あれ、先輩のこと呼んでたんですね。 はは、なんで気付かなかったんだろ、私……」 先生も名字、二人分しか呼ばなかったではないか…… 幸「唯先輩がギターが上手なのも納得です。当たり前ですよね……」 唯「あずにゃんには、悪いことしたなと思ってる。 ……ベースほんと弾きにくそうだったもんね…… 私なんかすぐドラム諦めたのに……あずにゃんは最後まで頑張ってくれてた。 ほんといい後輩だよぉ……」 幸「唯先輩がドラム、どこか澪先輩の面影のある梓先輩をベースに、軽音部再結成ですか…… ……でも、そんなの……」 幸「……でも、そんなの……」 やめたほうがいい。今の唯先輩に追い撃ちをかけてはいけない。 幸「でもそんなの何の解決にもなっていません!」 やめろ。 幸「誰を誰に仕立てあげたって、その人は戻ってきません!」 言うな。 幸「死んだ、その事実を受け止めて、生き残った者が『自分』を生きないでどうするんですか!?」 唯先輩が…… 幸「今の唯先輩を見ても……きっと二人の先輩は喜びません!!」 ピクリ 一瞬だった。 唯先輩は懐から刃物を取りだし、あっという間に自分の喉につきつけた。 幸「唯せんぱっ、 唯「こないでっ、幸!!」 私はビクッとして足がとまる。馬鹿っ、何やってんのよ私の足!!動けっ!!唯先輩を止めなきゃ…… 唯「きちゃダメだよ…… こんな大嘘つきさんに触ったら、幸がよごれちゃう……」 嘘だっ!そんなこと私思ってないっ! 動いてよぅ! 唯「ごめんね幸……私最後まで頼りない部長だったね。 うん、まったく幸の言う通りだ、はは」 そう、分かってた……。 こんなことしてもりっちゃんは還ってこない……。 私のわがままで、みんな共犯者にしちゃったよ……ほんとにごめん……。 ムギちゃん、あずにゃん、私の戯言に付き合ってくれてありがとう。……最後に抱きつきたかったなぁ。 憂、最近あなたの『お姉ちゃん』やってあげれなかった。ほんとにごめんね。 澪ちゃん、『これ』使わしてもらうね。かわいいよね?澪ちゃんにぴったりだよ。 唯「りっちゃん、今行くから」 そう言った時、唯先輩は笑っていた。ほんとに幸せそうな顔で。 幸「ダメですっ!!!!」 瞬間、呪縛が解けた私は、唯先輩に向かって手を伸ばした………… 律・伍へ
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