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CORUMのシステムの説明。 大まかに上げると以下のようなものがあります。 ・ガーディアン(通称GD) ・PK ・バトルダンジョン(通称BD) ・PvP ・エンチャントシステム ・ワールドマップシステム まあ大まかに上げるとこんなものでしょうか。 詳しくはこちら→http //www14.atwiki.jp/phancorum/pages/5.html
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hardcore pyongyang hardcore resistance speedcore 動画あり ありそうでなかった北朝鮮ネタのHardcore/Speedcore。 右翼・国粋主義的な旋律とガバキック連打の組み合わせは、 洗脳的な危険な陶酔感満載です。 将軍様に、マンセー!! http //www.dramacore.com/info/71.htm 曲リスト 01 Intro 02 Resistance 1 03 Resistance 2 04 Resistance 3 05 Resistance 4 名前 コメント
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第一話*② 第一話 原案:マド録 文:柊南天 プロローグ 遥か遠い過去──現在の統治企業や統一連邦でなく、純然たる主権国家が、この薄汚れた地上世界を治めていた時代があったそうだ。 しかし、繁栄を極めた国家群も時代の変遷と共に衰退し、それに代わって国家体制を支えていた軍産複合体が、世界の覇権を巡り競合するようになっていった。 統一連邦と名を変えたかつての主権国家群は、その骨肉の戦乱の中で意味もなく翻弄されるだけの存在に成り果てた。 熾烈を極めた覇権競合も現代では世界情勢の日常風景となり、戦争経済そのものが人類社会の存続の糧になっていると、知識人は云う。 そんな実情を体現する幾つかの存在が、ここ一世紀あまりで生まれたからだ。 人型機動兵器──アーマード・コア。 俗にACと呼ばれるその兵器と、それを自在に駆り、混迷の戦場世界を往く渡り鴉【レイヴン】と呼称される自由傭兵達。 戦争経済の拡大が彼らを育み、彼らの繰り返す戦火がまた、戦争経済をさらに肥大化させている。 アーマード・コアを駆る自由傭兵──俺も、その一人を目指して戦場に足を踏み入れた。 俺が鴉を志してから暫く経った頃、世界を異変が覆った。 近年発見の相次いでいた世界各地に散在する旧世代遺跡で、旧世代技術の遺産と思われる軍事兵器の実存が、統治勢力によって確認された。それらは現代のあらゆる精鋭兵器をすら凌駕しうる性能を持ち、発見から程なくして、世界は旧世代兵器群による全面攻勢を受ける事となった。 暫くの後、世論はその未曾有の大惨禍を兵器災害──【アーセナル・ハザード】と呼び始めた。 一世紀の年月を掛け、戦争経済の恩恵と共に復興を遂げようとしていた人類社会はわずかな期間で壊滅的な損害を受け、残された人類は旧世代兵器群が降り注ぐ大地で、生存をかけた闘争を強要されることとなった。 そんな絶望的な世界に在っても、その暗い大空を戦場の鴉達のみは、自由に飛び続けていた。 ──幸か不幸か、人類社会に大損害を与えた【アーセナル・ハザード】を新たな市場として戦争経済は更に勢力を増し、僅か数年という歳月で地上世界の全てを戦争一色に呑み込むまでとなっていった。 世界各地で繰り返される武力衝突の主体である統治企業体──それに多大な兵力供給を行う独立系勢力や、自由傭兵のレイヴン達を統括し、商品として売り込む幾つかの傭兵仲介企業勢力──。 絶え間ない戦渦にのみ安息を見出す鴉達は各々の巣に寄り添い、各々の理念に従って、世界各地の武装地帯を渡り歩いていた。 ──そして俺は今日、初の単独任務を遂行するレイヴンとして、戦場に立っている──。 統治企業直下経済管轄領、旧ナルバエス地方──。 * 文書記録を圧縮保存してタッチパネルに走らせていた手を止め、投射型メインディスプレイに常時出力中の外部映像に視線を移す。 黄塵の吹き抜ける広大な荒野の先、先行して制圧攻撃を仕掛けた友軍による戦火が轟いていた。 確立状態の通信回線を通じ、作戦司令部から作戦支援業務を行う総合通信士から定時報告が入る。転送されてきた圧縮データを解凍し、最新の戦域環境情報をディスプレイ上に出力した。 『作戦司令部、オペレーターです。現在第一陣主戦力が、施設外周地表部で交戦状態に入りました。第二陣主戦力は施設隔壁の開放に備え、速やかに移動を開始してください──』 「──了解、移動を開始する」 マルチコンソールから溢れる淡青色の光源に照らされるコクピット内で、マイ・アーヴァンクは勤めて冷静に返す。二基一対の操縦把を握り込み、コクピット下方部のフット・ペダルに足を掛け直す。 戦術支援AIに口頭指示し、機体制御態勢を第一種戦闘準備態勢から第一種戦闘態勢へと移行させた。動力源である燃料電池から供給される電力が機体出力を著しく上昇させ、各種搭載センサー群及び索敵用レーダー・システムも第一種戦域索敵態勢に移行する。 瞬く間に戦域環境情報が更新されそれらがHMD画面に出力されていくのを確認、その後、マイ・アーヴァンクはフット・ペダルを強く踏み込んだ。感じ慣れた震動がコクピットを細かく揺らし、発進用の準備推力に加えて点火した噴射炎が、搭乗者であるマイ・アーヴァンクを乗せた人型機動兵器【アーマード・コア】──〝蒼竜騎〟の巨躯を前方へと押し出す。 先行し、施設外周交戦域へ向け蒼竜騎の舵を取る。 マルチコンソールを叩いて数百メートル前方の地表部交戦域を拡視界に出力、吹き荒ぶ黄塵の中に続く戦闘の様相を直に確認した。 白燐の燃焼による曳航弾の赤い軌跡が乾燥した大気を切り裂く中、第一陣主戦力として施設地表部の制圧に臨んだAC部隊が敵対勢力と戦火を交えている。 もうもうと吹き上がる粉塵の裂け目から、制圧対象である施設の防衛戦力──この世のどの軍事技術にも既存しない形態を宿した兵器の青白い眼窩と視線を交えた気がして、マイは口許を小さく歪めた。 直後、四脚形態を備えるその兵器がAPFSDS弾(離脱装弾筒付翼安定徹甲弾)の直撃によって頭部を吹き飛ばされ、噴煙の中へとその姿を消す。 戦域状況は目まぐるしく変動しているが、第一陣主戦力にはいまだ戦域離脱者は出ていない模様であった。 突出して施設地表部戦域へと進行中の蒼竜騎の右側を、堅牢な外部装甲を纏ったエア・クッション型強襲艦艇が追い抜き、その後を同種の機動艦群と数機の工作用MT部隊が追従していく。 それとほぼ同時に艦艇が艦載砲の砲口を前方戦域に固定、一拍を置いて砲火が煌めいた。 作戦戦域を重厚な砲声が突き抜け、蒼竜騎の機体がそれを受けて細かい空気震動を受ける。その時、今度は先ほどの機動艦艇群とは異なる機影が右前方に突出し、真横で併走し始めた。 マイの眼球動作に追従するフレーム・システムがカメラアイを僅かに傾ける。有視界に映り込んだ一機のAC機体の機影を見咎めた時、蒼竜騎の通信回線に特定周波数で無線が飛ばされてきた。 『──ミラージュの野郎共もやる気まんまんって感じだな。結局最後にケツ拭くのは、俺達だってのによ?』 併走する友軍ACの搭乗者──マイが持つ業界の知己である自由傭兵の〝ゼオ〟が遠慮する事もなく、毒のこもった言葉を吐いた。 「奴さんも、面子ってモンが絡んでんのさ。大目に見てやりな」 作戦の性質を鑑みれば、少々言葉は悪いものの彼の言うとおりだと、マイは胸中で同意する。 今作戦の依頼主は、最上位の統治企業体として、嘗ては統治企業連合にも名を連ねていた〝ミラージュ社〟である。 依頼内容は、現在世界各地で頻発している兵器災害の惨状を鑑みれば、ごく有り触れたものだった。 ──ミラージュ社旧経済管轄区【旧ナルバエス地方】は、広大な荒野を有す同地方に散在する旧世代遺跡の一つ【アスセナ】へ進入、施設内部を調査し、かつ同遺跡の維持機能を停止せよ──。 まあ、至極簡潔に言えば、無尽に湧き出る有象無象の防衛戦力を排除し、同遺跡内部の調査を済ませた上で施設機能を停止させろ、という事だ。 遂行主戦力は業務依頼を受諾した自由傭兵及び独立系勢力のレイヴンであり、マイを含む主戦力部隊が所定に沿って旧世代施設を武力制圧する手筈となっている。 一応、ミラージュ社も保有軍から戦力を供出して合同作戦に当たると、事前のブリーフィングで具体的に明示していた。が、よもやこれほど大胆な制圧攻撃を行うとは、さすがのマイも予測していなかった。 しかし、ミラージュ社供出軍が合同作戦に加わっている以上、そこにマイが口にしたような要因が絡んでいる事は、主戦力であるレイヴンの大半も察知しているだろう。 五年前の兵器災害発生に伴って同地方を破棄した依頼主にとって、その復興計画の一貫である今作戦の成功を内外に知らしめる事は、小さくない意味を持つ。 そして自社戦力の損失を避ける為に外部戦力を雇用したとはいえ、ミラージュ社が作戦を立案し、戦闘を遂行したという事実は残らねばならない。 これは、統治企業として強大な権勢を誇る依頼主の機微であり、重要な政治的意味を持っている。 ──最も、自分のような駆け出しの下っ端レイヴンがそれを齧った程度に知っていた所で、何の関係もありはしない筈だが。 戦って、生き残って、金を貰って、命と一緒に持って帰る──他の事は、まあ、なるべく考えない方がいい。 それ以外に関しては、各々に帰着するもので、そこは他者が関知すべき事でない。 こと今回の自分に関しては、原隊を遠く離れての初の単独出向任務の最中なのだ──望めるのなら、何事もなく仕事を消化するに越した事はなかった。 「──だけど、胡散臭さは親方の警告通りだな」 『あん? 何か言ったか?』 通信回線から垂れ流しになっていた独り言に対してゼオが声をあげ、マイは軽くかぶりを振った後、「なんでもない」と、静かに返した。 『第一陣だけでカタが着いたら、俺達の報酬がなくなるなんて事はないよな?』 「──さあ。だが、あの個体数だ。少なくとも出番がないなんてオチはないだろう」 ゼオが若干茶化して言う冗談に、マイは曖昧な返事を返す。 先行した第一陣主戦力の主任務は、施設外周地表部に展開する施設防衛戦力の無力化だ。施設内部進入後、施設制圧作戦に於ける主戦力は第二陣が担う。 外周地表部に兵隊蟻の如く湧き出てきた防衛戦力の兵力数から鑑みて、施設内部にはそれと同等か、或いはそれ以上の数が施設侵入を阻もうと待ち伏せているだろうと考えるのに、どこも不自然はない。 旧世代遺跡施設の正面隔壁へ残り八〇〇メートル強まで接近した時、作戦司令部の総合通信士が抑揚に欠けた冷淡な声音で定例報告を行う。 『第一陣戦力の地表部制圧が、間もなく完了します。第二陣戦力は移動を継続、隔壁開放と共に施設内部へ進入してください』 一切の無駄なく、施設防衛戦力に立ち直る隙を与えず、というところか。 機動力と圧倒的火力に勝る速やかな制圧方法は他にない。 『一気に行くとするか。先に突出するぜ、〝ドラグーン〟──!』 威勢良い言葉の最後に自身のレイヴンとしての名を残し、ゼオは併走させていた自らの搭乗機体〝シックザール〟の進行推力を劇的に跳ね上げ、現場へ向かう第二陣戦力の最前衛に立った。 自身と同世代とはいえ、特定組織に加担しない自由傭兵としては中堅格に入ってもおかしくない筈だが、どうも彼は血の気が多い。自由傭兵を名乗る鴉として、その生き方に忠実である為の彼なりの処世術なのかもしれないが。 そして自分も自分で、この作戦に参加できた事に、僅かながら歓喜しているのは事実なのだ。 「──蒼竜騎、強襲機動を開始する」 力強い言葉に呼応して戦術支援AIが機体各部の機能状況をHMD画面に出力し、それに伴って搭載センサー群から収集される戦域環境情報も著しく更新されてゆく。 短機関砲を携える右腕部を持ち上げ強襲機動態勢を構築、マイは足元のブースタ・ペダルを目一杯に踏み込んだ。後背メインノズルから吐き出された高出力の噴射炎が蒼竜騎を更に前方へと押し出し、黄塵と戦火の渦巻く荒野を疾走させていく。 自らの試金石となる目の前の戦場を鋭い眼差しで見つめ、マイは小さく笑んだ。 旧ナルバエス地方旧世代軍事施設【アスセナ】制圧作戦、開始。 * 施設外周部戦域──。 鋭角的な切返しを交えた偏差機動によって狙いの逸れた照射光が、赤土の大地に深い焦熱痕を穿つ。 第二射を照射すべく向けられた腕部発振兵装を正確に捕捉──第一陣主戦力の中に名を連ねる自由傭兵、〝マユ・キリシマ〟は両手にそれぞれ握り込んだ操縦把付随のトリガーを引き絞った。 搭乗機体〝ヴァルキリー・フェイバー〟の両腕に携える速射型滑腔砲が同時に火を噴き、APFSDS弾(離脱装弾筒付翼安定徹甲弾)による集中掃射を見舞う。初速は遥か音速域へ踏み込んだ砲弾が捕捉目標の右腕を直撃、外部装甲もろとも内部構造を深く抉り取った。 その損傷を受けて捕捉目標が、断末魔じみた機械音を立てる。搭載センサー群が拾い上げたその音を耳にし、マユ・キリシマは狭いコクピット内で憚る事もなく大きく舌を打った。 地上への落下と共に右腕部が爆散し、その衝撃を受けて捕捉目標が機体姿勢を崩す。優れた動体視力を備えるマユの双眸は、その隙を見逃さなかった。間断なくブースタペダルを踏み込み、約二五五メートルの相対距離から一挙に突進攻撃を仕掛ける。 隻腕となった捕捉目標は即座に状況を解析したらしく、突進攻撃を仕掛けるマユに対して機動を停止した。ヴァルキリー・フェイバーの高い射撃管制能力の前にあっては、相手の有効戦術圏で戦闘機動を繰り返す事に然したる意味はないものと判断したのだろう。 背部搭載式の収束光発振装置の長大な砲身を前方へ展開、自ら半固定砲台と化す。旧世代技術を搭載されたアレらが優れた戦闘能力を保持している事は公然の事実であり、そこから捕捉目標が何を狙っているかをマユは迅速に把握した。 「撃たせないわよっ──」 マユは精緻極まる操縦技術を持って、両腕部に携える得物の照準を目標の脚部に定めた。 発振装置から圧倒的高出力の収束光が照射される刹那、ヴァルキリー・フェイバーの撃ち放った二発のAPFSDS弾が捕捉目標の右脚部膝間接を正確に撃ち貫く。機体姿勢を不意に崩された捕捉目標は、照射した収束光で大地に全く無意味な焦熱痕を新たに作り出す。 捕捉目標が機体制御態勢を最適化する前に決定打を与えるべく、マユはブースタペダルを踏み込んで機体速度を押し上げた。間断なく追加攻撃を放ち、左前脚関節部も粉砕する。 完全に機動力を失った捕捉目標が、無様にもその場で前のめりに倒壊した。 相対距離を瞬く間に詰めた機体を捕捉目標の眼前に立たせると、卑しく頭を垂れる捕捉目標の後頭部に砲口を押し付けた。 再び、悲鳴染みた機械音を再び耳にし、 「耳障りなのよ。少しは命乞いでもしたらどうなの──?」 悪態に対し、無様な格好で足を捥がれた甲殻虫のように蠢くパルヴァライザーは、変わらず耳障りな音しか返さない。 マユはあからさまに舌を打ち、躊躇いなく引き金を引いた。 目を瞑っていても当たる極至近距離から撃ち出したAPFSDS弾が頭部を砕き、その際に飛び散った破砕片がヴァルキリー・フェイバーの外部装甲板を細かく打つ。得物を離すと、埃でも払うかのように右腕部のターレットを一度素早く旋回させた。 他人に特別秘匿する事もなく、マユ・キリシマは旧世代兵器という害悪を心底、憎悪していた。 五年前に突如として地上世界に出現し、世界の全てを戦火に包み込んだそれらを。自分が願った小さな幸福すらも奪っていった、知りもしない遥かな過去からの訪問者達を。 その訪問者達の象徴的存在として世界情勢を席巻した兵隊蟻──パルヴァライザーと呼称される害悪を自らの手で排除し続けるべく、多くの人命が失われた兵器災害以降も、マユは戦場に残る事を選択した。 戦塵渦巻く荒野の一風景に成り果てた残骸を捨て置き、ヴァルキリー・フェイバーを次なる目標を捕捉すべく移動させる。既に周辺戦闘は収束に向かっており、レーダー上に友軍信号を発しない動体反応──つまり、敵性動体の個体数は明らかに現象していた。 既に第二陣戦力も外周部戦域の境界線を割って、深く進攻してきている。しかし、それでも他の鴉どもに得物を横取りされる訳にはいかない。 手近な敵性動体を捕捉した瞬間、耳を劈くような砲声が戦域を突き抜けた。寸秒の差もなく、捕捉したばかりだった目標が爆炎の中に掻き消え、そこを中心に巨大な噴煙が発生する。 黄塵交じりの爆風が機体を揺らす中、マユは捕捉目標を吹き飛ばした元凶へと、カメラアイを向けた。 そこには、第二陣主戦力に先行して後方から急速接近してくるエア・クッション型強襲艦艇の機影があった。 「援護射撃のつもりっ? 邪魔なだけよ──!」 思わぬ増援戦力の介入にマユは苛立つ。その継続意識の散漫が、急速接近してきていた敵性動体反応に対する反応を遅らせた。 『敵性動体、至近距離に接近しています。応対機動の展開を推奨します──』 「しまった──」 戦術支援AIの音声報告によって弾かれるように動き、慌ててブースタペダルを踏み込む。 後背より斬りかかってきたパルヴァライザーのレーザーブレードを紙一重で回避、しかし、左上腕部装甲に軽度の焦熱性損害が与えられる。中間距離からの射撃戦闘を旨とするヴァルキリー・フェイバーに背後から忍び寄り、あまつさえ機体に傷をつけたそのパルヴァライザーを殺意を湛えた双眸で睨みすえ、マユ・キリシマは咆哮する。 「──人間を、ナメるな!」 残余推力で後退する機体へ強引に制動を掛け、極密着状態に踏みとどまる。奇異なる眼光を宿したカメラアイを捉え、操縦把付随のトリガーを全力で引き絞った。 速射型滑腔砲の砲口から放たれた弾幕が捕捉目標の全身に喰らいつき、装甲各部を引き裂く。機体姿勢を崩したパルヴァライザーが堪らず回避機動に移り、マユは制圧射撃を継続しつつ追撃をかける。 目標の腕部一体型兵装内の攻性熱源反応を搭載センサー群が捉え、マユは条件反射でブースタペダルを瞬間的に踏みつけた。急激な軌道転換による重力負荷が、鍛え上げられた身体を軋ませる。 捕捉目標の腕部一体型兵装から照射された高出力の収束光がヴァルキリー・フェイバーの左肩部装甲を広範囲に渡って焼却、機体損害状況が警告音を伴ってHMD画面に出力される。 『機体左肩部に中度の焦熱性損害、機体損耗率上昇──』 戦術支援AIの損害報告を聞き流し、激しく流動する視界の中で眼前の目標のみを見据える。回避機動から間髪入れずブースタの推進方向を正面へ転換、噴射炎を吐き出す。立て続けの機動戦闘による重力負荷が彼女の身体を固く縛り付け、感覚神経の一部を酷く痺れさせる。しかしマユはそれに構わず、捕捉目標であるパルヴァライザーに自ら肉薄していった。 「この鉄屑が、ちょっとはヤルじゃないの──でも、これで終わり!」 再度、二基の得物による高密度の弾幕を見舞う。先程までの集中掃射によって甚大な損害を被り、機体機動力を低下させていた目標は有効な回避機動を取ることも出来ず、撃ち放ったAPFSDS弾の殆どを被弾した。 目標のパルヴァライザーが崩落し、破損した機体内部から漏出した可燃液体が発火、瞬く間に炎上を始める。青い炎がパルヴァライザーを舐め回し、その中で命乞いのような哀れな機械音を立てる。 マユは荒く息をつきつつ、笑った。 「五月蝿いのよ、あなた──」 その動体反応もレーダー上のただの熱源に呑み込まれ、マユは肩の力を抜いた。 施設内部の制圧戦闘を請け負う第二陣主戦力の群列が砂埃を高く上げながら施設外周部に接近する様子を、マユは近くから傍観していた。先ほど無駄としか言い様のない艦砲支援を喰らわしてくれた艦艇は施設外周部戦域の境界線を割った辺りで待機し、周囲に多数のミラージュ社供出部隊が展開している。 安全の確度をとってから、施設へ進駐するという訳ね──。 第二陣主戦力に先行して特殊工作用MTが数機、自機の傍を一陣の突風と共に過ぎ、高出力で後続から突出したACがそれに続いていく。そしてその若干後方、多数の主戦力を従えるように一機のACが接近してくる。 マユはそのACに目を留めた。 濃蒼色を基調としたその中量級二脚機は汎用性を重視した兵装を搭載し、作戦の性質を深く吟味してきたのだろうとマユは察する。 特に際立った箇所のある機体に見えた訳でもなかったが、目を留めたのには他に理由があった。 此方への接近機動は相当に洗練された練達者のソレであり、友軍ながらそこに僅かな隙を見出す事も難しい。後後方に追従する第二陣主戦力のAC達も腕が悪い訳ではないが、あのACを前に立たせては有象無象の背景にしか、マユには捉えられなかった。 施設隔壁へ直進していたそのACの頭部が動き、マユはヴァルキリー・フェイバーのカメラアイを介して視線を重ねた。心持ちぎくりとした瞬間、直進機動を取っていたそのACが不意に進路転回を施し、此方へ突進してくる。右腕部に携える短機関砲を弾き上げ、正対から叩きつけられる殺意に背筋に戦慄が走るのを自覚した。 誰何の叫びは愚か明確な意図すらも忘れ、自らの得物を跳ね上げる。 僅か一秒足らずの間に互いの殺意が交錯、マユが引き金を絞ろうとした、正にその時だった。 『避けろ、貫かれるぞ──!』 開放状態の作戦回線に飛び込んできたのは、警告の声だった。 直前とは別の戦慄が全身を駆け抜ける。急速接近してくるACの搭乗者が発した警告の元凶が、自身の背後にいるのを察知、マユは進路を何処に選ぶかも判断せずただブースタペダルを踏み込んで機体を弾いた。 その僅かコンマ数秒後、高出力の収束照射光が機体の脇を疾り抜け、黄塵にまみれる荒野の上空へ一筋の軌跡を引く。 有視界の端に、収束光を放った元凶を見咎める。先ほど排除した筈のパルヴァライザー──。 隙を狙っていたというの──。 そこからの濃蒼色のACの行動は恐ろしく早かった。己が反転攻撃に転ずるより遥かに早く動き、左腕に携えたレーザーブレードの刀身を現出させ、突進機動からそのままに振り払う。敵機の腕部一体型兵装を斬り飛ばし、通り抜け様に機体を反転。側頭部に短機関砲の砲口を突きつけ、高速徹甲弾を撃ち込んだ。僅か発で頭部を粉砕されたパルヴァライザーが再度炎の海の中に沈み込んでゆく。 瀕死であったとはいえ数秒足らずで敵を無力化したACは、マユが呆気にとられている間に、元の進路へと急速に戻っていく。それを見送る傍ら、先方から再び無線が飛ばされてきた。 『──怪我はなかったか?』 「え、ええ──此方は大丈夫。えと、貴方、所属はっ──?」 礼を述べる事すらも忘れて、反射的にその問いを投げかけていた。一拍の間を置き、 『駆け出しの新人だ。次に機会があれば宜しく──』 何か返さねばと思ったがマユは終ぞ何を言う事も出来ず、その間に濃蒼色のACは後続の第二陣主戦力が到着する前に、所定軌道へと再び合流していった。 「──アレで新人?……参っちゃうわね」 後背で炎に包まれた鉄屑が繰り返す爆散の音響を聞き流しつつ、マユは小さく嘆息する。 性質の悪い冗談かどうかは兎も角として、相当に腕の立つレイヴンだという事は目の当たりにしてしまった。 直前の見立て通りとは、お世辞にも言えない。レイヴンとして中堅格に入ろうかというマユですらあのレイヴンの実戦行動力を浅く見積もっていた。 衝撃的、且つ鮮烈なものとして脳裏に残った記憶に、無意識の内に指が震えていた事にマユはこの時、気づけなかった。 しかし、それにしても──。 「今時、あんな奇特な子も、いるものなのね──」 無線を介して耳にした声音から、恐らくあのACの搭乗者は自分より一回り程の離れた男の子だろうという事は、直ぐに察しがついた。語調は戦士としての緊張感に満ちていたが、それくらいは誰でもわかる。 若年レイヴンは少数ではあるが、今時は然程珍しくもない。 マユにとって何よりも斬新だったのは、自由傭兵を名乗る鴉が自身に加勢したという事実だった。 破格の報酬と自身の確実な生存の為には共喰いをも厭わないのが、自分達〝鴉〟だ──。 今作戦の報酬は完全歩合制に基づいており、少しでもまともな神経を残しているレイヴンだったなら、恐らくあの場で私を見殺しにしていたかもしれない。そしてその後、背後で瀕死状態にあったパルヴァライザーをゆっくりと始末したことだろう。 駆け出しという言葉を間に受けるなら、先ほどの少年の行為は新参であるが故か、或いは本人の気質に基づいたものかもしれない。 真実のほどは最早分からないが、少なくともマユ・キリシマは悪い印象を抱いてはいなかった。 寸での所で自身の命を拾い上げたあの少年に対し、多少なりとも感ずる所があったからだろう。 そうでなければ或いは、比較して正対の戦士と戦火を交えた過去が、そう思わせているのかもしれない。 戦術支援AIに機体稼動状況を解析させ、戦域環境情報を含む諸情報をHMD画面へ瞬く間に出力する。そこで機体磨耗率に大きな変動がないことを確認、マユはブースタ・ペダルを踏み込んだ。 ──よし、まだ戦える。 施設外周部戦域の武力制圧が第一陣主戦力の担当野だったが、その後については自己判断のもと第二陣主戦力と合流、施設内部の制圧作戦に参加可能という旨が個別ブリーフィングで示されていた。 すぐ傍で業火に焼かれて炭化していく怨嗟の残骸を見下ろし、マユは吐き捨てる。 「アンタ達には、絶対負けない……」 既に施設隔壁間近に迫っている第二陣主戦力の最後尾を捕捉。後方ノズルから最大出力の噴射炎を吐き出し、ヴァルキリー・フェイバーの機体を施設隔壁へと向けた。 →Next… ② コメントフォーム 名前 コメント
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神羅・デス・Scorpio SR 闇 (8) 究極進化クリーチャー:エイリアヌス/デーモン・コマンド 9000 ■究極進化-自分の闇の進化クリーチャー1体 ■相手のクリーチャーの効果によって、このクリーチャーがバトルゾーンに出せない効果は無効になる。 ■W・ブレイカー ■このクリーチャーが攻撃するとき、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーのパワーは-4000される。 f)かつての聖霊王も、蠍座の力には敵わなかった。 プレミアf)「僕に地獄に堕ちろなんて、言わないほうがいいよ。君が地獄に堕ちるから。ってTaurusが言ってた。」「何故俺?」=TaurusとScorpioより ホワイト 相手のクリーチャーの効果で召喚できないのが無効になってしまう、12究極進化エイリアヌスの隠し玉のようなもの。 設定としては、自分の視力を変え、敵の急所を狙ったり、強力な光を見ないようにする(そのときには、心眼でみているとか)などの力を持つという設定にしてあります。確認のため言いますが、エイリアヌスには目があるという設定です。 ちなみに、ここでいう聖霊王とはアルファディオス…なのですが、パワーでは負けてしまいます。 名前 コメント
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"Un Théorème de Duplication pour les Forêts Algébriques" (1976) Context-Free Tree Grammarのサブセット。Top-Context-Free とも呼ばれる。呼ばれるというか、この論文と[Hofbauer Huber Kucherov 1994,Some Results on Top-Context-Free Tree Languages]でしか見たことがないクラスだけど面白かったのでメモる。 André Arnold Max Dauchet Journal of Computer and System Sciences, vol. 13, pp. 223-244 http //dx.doi.org/10.1016/S0022-0000(76)80032-3 定義など CFTGのサブセットとして正規木言語を見ると、「非終端記号がパラメタをとらない」、つまり「ルールの右辺では非終端記号が常にleafとしてのみ登場する」クラスと考えることができる。Coregularは、逆に「ルールの右辺では非終端記号が常にrootとしてのみ登場する」クラス。 文字列だと左線形も右線形も同じだが木構造だと違うことになる。uncomparable。 OI CFTGは「非決定的に生成した木をコピーする」のが苦手だが、そのOIが唯一できるコピーの形はCoregular Grammarでできるタイプのコピーのみである、ということが示されている。(F ={a(t,t) | t in F} がOI-CFTL if and only if F とFがcoregular)
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Hardcore Comic Store 概要 解説 アクションフィギュア 店舗 概要 和名:ハードコア・コミックストア 業種:小売業(書店) 所在地:ウエスト・バインウッド 解説 バインウッドのコミックショップ。 建物のモデルはSunset Plaza 。 ゲーム内映画『Space Monkey 3D』のキャラクターが看板に使用されている。 Impotent Rageのコスプレをした人物が建物の前にいて、話しかけることができる。 アクションフィギュア 9月5日に追加されたガントレットヘルファイアと一緒に、サンアンドレアス州中に散らばったフィギュアを回収するコンテンツが追加された。 「ハードコア・コミックストアの店主が100体のレアな新品のアクションフィギュアを手癖の悪いライバルに盗まれ、言うまでもなく、それを取り戻そうとしています。」(ソーシャルクラブ より)とのこと。 フリーモードなら好きなタイミングで捜索・回収でき、フィギュアを一体ゲットするごとに$1000もらえる。下表を参考にチェックしながら全て探し出そう。 たまに処理の都合で回収していないフィギュアが見当たらないことがある。セッションに入り直すとよい。 クリックで拡大 1 ロスサントス国際空港 デビンウェストンの倉庫のロッカールームのロッカーの中。 2 クラステンバーグホテルロスサントス空港 北東の入口の向かいの石看板の上。 3 400番埠頭 中に入れる事務所の中の棚の上。 4 バグスターズ 中の工具キャビネットの上。 5 ロスサントス海軍港 通関所の中の机の上。 6 エルブロハイツ 廃バスの中。 7 エルブロハイツ 5つある土管の中。 8 サイプレスフラット 倉庫のトレーラー専用搬出入口の電気キャビネットの上。 9 ランチョタワー オブジェの右側。 10 LTDデイビス店 従業員室の金庫の上。 11 チェンバーレインヒルズ 犬小屋の中。 12 ランチョ 公衆トイレの流しの上。 13 ストロベリー 高速道路の下。 14 シミットアリー 立てかけてある織物の横。地面にある。 15 ラ・メサ 作業員用現場事務所の中。 16 ラ・メサ バケットの中。 17 エルブロハイツ消防署 消防署の中の棚の上。 18 ミラーパーク公園 公衆トイレの流しの上。 19 ロストの隠れ家 開くガレージの中。 20 イーストバインウッド 地下道に入り、バルブが立ち並んでいる場所。 21 ピルボックスヒル駅 20をそのまま進み工事中の駅の高所作業車のアウトリガーの上。 22 バートン駅 ベンチの上。 23 アルカディアスビジネスセンター 屋外のモニュメント。 24 メイズバンクタワー 噴水の上。 25 LTDリトルソウル店 従業員室の机の上。 26 ベスプッチ運河 ProLapsの看板の根元。 27 ベスプッチ運河 運河の桟橋の上。 28 ベスプッチビーチ サメの口の中。 29 デルペロピア ごみ箱の中。 30 デルペロビーチ 見張り小屋の手すりの上。 31 ヒルバレー教会 お墓の前。花束と一緒においてある。 32 アップアンドアトムバーガーデルペロプラザ店 二階のテーブルの上。 33 リチャーズマジェスティックスタジオ トレーラーハウスの中。 34 チャップス 裏の入口近く。 35 ミスTダウンタウンバインウッド店 裏の外階段の上。 36 ハードコアコミックストア 看板の上。隣の店から登る。 37 ウエストバインウッド 建物の中廊下の植物の隣。 38 ロックフォードヒルズ テニスコートの奥の祭壇のような場所。 39 リッチマンマンション 洞窟の中。 40 ロスサントスゴルフクラブ 6番ホールのうちはじめの場所。 41 コルツセンター 中央の噴水の上。 42 リッチマン 2階バルコニーのベンチの上。 43 パーソンズリハビリセンター 庭の電灯の上。 44 バインウッドヒルズ 公園の遊具の上。 45 レイク・バインウッド・エステート 豪邸の扉のない建屋のソファのうえ。 46 バインウッド貯水池 監視塔の手すりの上。 47 バインウッドボウル 観覧席のステージを背にして右から4ブロック、手前から2ブロック目のベンチの上。 48 バインウッドサイン 「N」の上。 49 ラ・フエンテ・ブランカ パターゴルフができるところの屋外調理場の上。 50 ランド・アクトダム ダムの中のロッカーの隣。階段を使って降りていける。 51 NOOSE 正面エントランスの看板の上。 52 24-7タダビアムトラックスポット店 従業員室の机の上。 53 パーマテイラー発電所切り替え所 線路切り替え所の中の機械の上。 54 グランドセノーラ砂漠 犬小屋の前。 55 レッドウッドライトトラックの向かいの工場 倉庫の外に置いてある二段の棚の上。 56 グランドセノーラ砂漠 ごみ箱の前。 57 ビッグジューススタンド カウンターの上。 58 グレートチャパレル 炭坑の入口の棚の上。 59 ホワイトウォーターアクティビティセンター 下の階のカヌーの上。 60 パシフィックブラフスカントリーセンター 屋外プールの店のカウンターの上。 61 ロブの酒屋 バンナムキャニオン店 金庫の前。 62 24-7チュマシュ店 外のごみ箱の前。 63 ロンオイル ルート68店 外のアイスボックスの上。 64 マーロウブドウ園 エントランスの前。 65 フォートザンクード モニュメントの石碑の裏。 66 ヒルバレー教会 グレートチャパレル分所 墓地の切り株の上。 67 ハーモニー トレーラーハウスの連結部分。 68 ロスサントスカスタム3号店 事務所の中の机の上。 69 ボーリングブローク刑務所 入口から反時計回りに2棟目の監視塔の中。 70 サンディ海岸飛行場 管制塔の中。 71 サンディ海岸 建物の入口ガラス張りの中。 72 エース酒店 バックヤードの中。商品の上。 73 グランドセノーラ砂漠 廃船の操舵の上。 74 スタブシティ 屋根がない建物のトイレの上。 75 フォートザンクード ごみ箱の中。 76 フォートザンクード 貯水池の真ん中の配管に引っかかっている。 77 フーキーズ 屋外トイレの中。 78 パレトコーブ 離島の小屋の前の木材の上。 79 ベイビューロッジ 大きな像の足元。 80 パレトフォレスト製材所 中の積みあがった土砂の上。 81 カルト教団 崖のくぼみの中。黄色いペンキが目印。 82 チリアド山 トンネルの真ん中くらいの階段の上。 83 パーラースプリングスエアトラムウェイ チリアド山側建物内。 84 パレトベイ ごみ箱の中。 85 クラッキンベル工場 大型トレーラー搬出入口のシャッターの上。 86 パレトベイ プロコピオビーチの山からの排水管の中。 87 チリアド山 ソファーの上。 88 チリアド山 大麻畑の家の前のソファーの上。 89 グレイプシードスーパーマーケット ガラスを割り中に入り、水の自販機の中。 90 ガラリア ミラーズボートショップの外の浮き輪の中。 91 グレイプシード 入口の前。 92 アースラの家 裏の犬小屋の前。 93 ケープキャットフィッシュ 野良湧きする車の近くの家の杭の上。 94 サンチアンスキー山脈 側線の終点の小屋の中の棚の上。 95 グレイプシード モードの家の前の人形の隣。 96 ビームミーアップ 車の上。 97 ヒューメイン研究所 看板のUの中。 98 デイビスクォーツ 側線切り替えポイントの建物内机の上。 99 トムソン・スクラップヤード 99以下出現条件は他の98個集めなければならない。ヘリなど空が飛べるものが必要。廃車になっている飛行機の上。 100 トムソンスクラップヤード コックピット側の入口の中。 全て集めるとハードコアコミックストアのマークがマップに表示され、メールが届く。ストアに行くとインポマンコスチュームと、インポマンヘアスタイルがアンロックされる。 ペントハウス購入者には、アクションフィギュアが置物として利用可能。 なお、性別が男性でも女性でも内容は同じである。ムキムキボディのコスチュームとリーゼントのヘアスタイルを手に入れよう。 ちなみに向かいの日本食レストランのモデルはMiyagi's 。 西隣りの建物のモデルは9034 Sunset Blvd 。 東向かいのEclipse LoungeのモデルはSunset Trocadero 。 そのさらに東隣りのGallerie OeuvrのモデルはXIV 。 店舗 GTAVI(GTA6)の情報・攻略wikiを作成いたしました! ※アフィリエイト広告を利用しています。 Amazon Music Unlimited 最初の30日間→3ヶ月無料体験キャンペーン 5/7(火)まで Amazon Kindle 集英社(ジャンプ系)コミック50%ポイント還元セール 4/8(月)まで Amazon 新生活ストア 新生活スタートに役立つ人気アイテムを合計1億点以上 Amazon Kindle Unlimited 200万冊読み放題 1ヶ月無料体験 Amazon限定 日用品・食品・飲料 毎日タイムセール開催中 Amazon Kindle電子書籍ストア セール・ポイント還元開催中 Amazon アサヒ飲料 モンスターエナジー 355ml×24本 Amazon レッドブル エナジードリンク 250ml×24本 Amazon 『GTAオンライン』メガロドンシャーク マネーカード (GTA$ 10,000,000) 【Windows版】 Amazon プレイステーション ストアチケット 5,000円|オンラインコード版 Amazon PlayStation 5(CFI-2000A01) Amazon Anker PowerCore(10000mAh 大容量 モバイルバッテリー) Amazon Xbox Game Pass Ultimate 3ヶ月|オンラインコード版 Amazon ニンテンドープリペイド番号 9000円|オンラインコード版 Amazon Appleストア Amazon TVゲームストア Amazon Kindle Unlimited 200万冊読み放題 1ヶ月無料体験 楽天モバイル 3GBまで月980円(税別) データ無制限月2980円(税別) Amazon Kindle本 セール&キャンペーン Amazon プライム会員(30日間無料体験) Amazon人気の商品が日替わりで登場。毎日お得なタイムセール Amazon ヤスイイね 日用品・食品 お得なクーポン・タイムセールほか 無料トライアル実施中!<U-NEXT> ※U-NEXT広告について 本ページの情報は2023年4月時点のものです。 最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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曲Data Lv BPM TOTAL NOTES TOTAL値 判定 平均密度 最大瞬間密度 ★11 16-134 2171 400 easy 16.2Notes/s 29Notes/s 傾向 微縦連階段 ソフラン 譜面URL http //www.ribbit.xyz/bms/score/view?md5=bd0e8759e479663d7e8314d2b6e1dab3&p=1 譜面URL(Mirror) https //bms-score-viewer.pages.dev/view?md5=bd0e8759e479663d7e8314d2b6e1dab3 コメント ガチ押しというよりは微縦系の譜面。低速は結構密度あるので注意です。後半の方が微縦が少ないですがラストに皿複合があるので耐えましょう。 -- 名無しさん (2023-01-04 18 12 25) 名前 コメント
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②*③*④ * 『開始10分前です。出撃、スタンバイしてください』 「了解。出場資格コード:GCA-L013、出場機体コード:ラピッドタイド。スタンバイ開始します」 眼前の投射型ディスプレイから溢れる灰青色の光源が染め上げるコクピットの中、ヴァネッサは静かに、しかし大きく息を吐きだした。 コンソールキーを軽やかに叩き、機体制御プログラムの完結プロトコルを起動させる。空白に満ちたディスプレイに機体情報が関連画像と共に羅列形式で出力されていく。 『リサ、起動を完結。戦術支援プログラムを第三種準備待機態勢から、セミ・アクティヴへ移行する』 「おはよう、リサ。今日がいよいよ正念場よ。よろしくね?」 『お前の、10年の成果を見せる檜舞台だ。此方こそ、宜しく頼む』 完結プロトコルに最後に起動した機体搭載のリサ──ヴァネッサが10年前に、自らその名を預けた戦術支援AIが、滑らかな口調で返事を返す。その相棒の心強い言葉にヴァネッサは、「よし」と胸中で意気を入れながら頷いた。 ヴァネッサと戦術支援AIであるリサの付き合いは、時間にして見るならば非常に長い。ヴァネッサにとっては、最も古い部類に入る友人とも言うべき存在である。戦術支援AIである"彼女"の原始、所謂ボトムアップ式AIプログラムが旧世代遺跡から発掘されたのが10年前であり、それと同時期にヴァネッサは、育ての親である【ターミナル・スフィア】の経営者・ノウラの庇護下に入り、共に生きてきた。 『相手はコーテックスの知己だ。分かっているだろうが、抜かりはないな?』 「うん。ありがとう、大丈夫」 機体制御態勢を、第三種準備待機態勢から第一種準備待機態勢へ移行。リサに機体制御補正プログラムを更新させつつ、投射型ディスプレイに視線を走らせて機体状態を素早くチェックしていく。 「機体駆動機構各部、冷却機器群、出力機構群全て問題なし。各戦術支援プログラム、起動状態良好。搭載兵装、最大運用効率に問題なし。オールグリーン」 『機体制御補正プログラムの修正を完了。此方もオールグリーン』 「了解。機体コード:ラピッドタイドの起動を確認」 出力機構群から送り込まれていくエネルギーの奔流が機体各部を巡っていく、その鈍い稼働音と震動音がコクピットを静かに震わせる。 時刻は午前0655時。コンソールからアリーナ主催の管制室へ通信要請を行う。 「アリーナ管制室、コントロールへ。機体コード:ラピッドタイド、スタンバイ完了。出撃許可を要請する」 電波状況良好の回線を介して、女性のガイドヴォイスが届く。 『了解。ラピッド・タイドのスタンバイ完了を確認。アリーナへの出撃を許可します。ガレージ、開口します』 その指示と共に前方のシャッターが開き、徐々にその向こう側に溢れている鋭いライトが搭乗機体・ラピッドタイドの全貌を明らかにしていく。 『シャッター開口完了、前進してください』 「了解」 それに従い、ヴァネッサは足元のフットペダルをゆっくりと踏み込んだ。 搭乗機体に対する特殊な適性を見出されてから乗り込んできたAC──重戦車型機体のキャタピラを回転させ、ガレージからアリーナ空間へその全貌を現せる。 遥か高みの天井から燦燦と降り注ぐスポットライトの光源がアリーナ空間を明々と照らし、全周囲に渡って出力されている大観衆の狂騒とした映像群と観声が、アリーナ内の待機ラインで停止したラピッドタイドのコクピットにいるヴァネッサの視覚と聴覚を刺激する。 周波数を致合させた回線からアリーナ運営委員会の実況中継が始まり、コクピット内に流れ込んでくる。 『さあ、観衆の皆さんも待たれた事でしょう。いよいよ予備大会決勝、開始時刻です!』 若い女性のキャスターが、開始前にも関わらず狂乱の様相を呈したアリーナを更に盛り上げるべく、自らも興奮に満ち満ちた声音で実況をはじめ、実況席の隣にいるのだろう解説アドヴァイザーの男も言葉を交える。 『予備大会とは言え、これだけの観客動員数は異常ですね。それだけ、新鋭レイヴンの実力が予備大会予選から注目されてきたという事でしょうが』 『速報では、先ほど行われたレイヴンズアーク主催のアリーナ本戦においても、トップクラス・マッチで新しい1stランカーが誕生したそうです。最近はこのコーテックスを含め、若手の台頭が著しいですね』 そんな実況と解説のやり取りを耳にしながら、迫る決勝の開始時刻に視線を配る。 「凄いお客さんだね……。緊張しちゃうかも」 『それだけ、次々と現れる新鋭に世論が注目しているという事だ。この舞台で、無様な醜態はさらせんぞ。前を見ろ、ヴァネッサ……』 リサの言葉に倣い、ヴァネッサはメインディスプレイの有視界内は前方、対向線の待機ラインに佇む決勝の対戦機体に視線を移した。その時、まさに真向いの待機ラインに立つ軽量二脚機体を駆る見知った相手のレイヴンから通信要請が入った。 リサが計らいを見せて実況中継の音量を下げ、ヴァネッサはその事に胸中で感謝しつつコンソールを叩いて回線を開いた。 ざざ、と砂嵐のようなノイズが短く走った後、通信回線が開かれる。 『おはよう、ヴァネッサ』 「こっちこそ、ジェリー?」 深く見知った間柄である同期のジェリーと、朝の挨拶を交わす。予備大会決勝の対戦相手であるジェリーとは、グローバル・コーテックス隷下の兵士育成施設に入った5年前から共に年月を過ごしてきた仲である。特別外部育成枠を用いて育成施設から予備大会の出場にまで漕ぎ着けたヴァネッサに対し、知己であるジェリーは、グローバル・コーテックスの専属レイヴン、つまり純粋な生え抜きとして決勝にまで勝ち上がってきた。 一回り程も年齢が上のジェリーをヴァネッサは兄妹のように思っていたが、二人は此処まで一人の戦士となるべく研鑽を積んできた。予備大会とは言え、決勝の檜舞台における相手がジェリーであった事に、ヴァネッサは大きく歓喜した。 『特別、互いになにか言うことはないか』 「かもね。此処まで来たら、後は互いの結果を讃えるだけにしましょう?」 『ああ。互いに健闘を、ヴァネッサ』 『ええ。互いに幸運を、ジェリー』 知己との短い会話を終え、ヴァネッサは実況中継と共にジェリーとの回線を閉鎖した。コーテックス・アリーナ管制室からの無線が入る。 『開始まで一分です。出力映像を停止、貴君の健闘を祈ります』 アリーナ空間の全周囲に展開していた観客の出力映像がぶつりと途絶え、それと共に空間内に満ちていた歓声も消え去る。全周囲数百メートルに及ぶ広大なアリーナ空間の本来の全容が有視界内に映し出され、ヴァネッサは軽く瞼を下す。 (私は負けない。行こう……) 目を開き、右サイドのサブディスプレイに表記されたカウントダウンの数字を視界の隅に捉える。残り10秒を切っている。 操縦把を両手に握り込み、前を見据える。 『通例通り、敵機体:ブルーマーレの機体構成は軽量二脚型だ。あちらの有効射界内に一切踏み込ませず、高密度火力で一機にカタをつけろ。長期戦は無用だ』 「了解。これより戦闘機動を開始する。よろしく、リサ」 『ああ』 カウントダウンが重い電子音と共に決勝開始を告げ、それと同時に前方に捕捉したジェリーの搭乗機体:ブルーマーレがブースタ出力最大で宙空へと展開する。 リサが即座にブルーマーレの機体情報を解析プログラムに走らせ、サブディスプレイに情報出力する。 機体構成はクレスト社純製の軽量二脚機。武装は軽量二脚という構成に則り、同社製の短機関砲を右腕に、レーザーブレードを左腕に備えている。 『ブルーマーレ、背部兵装ミサイルコンテナを展開、──発射』 有効殺傷域外からの牽制攻撃だろう、ブルーマーレは左背部に搭載したミサイルコンテナから垂直型空対地ミサイルを連続射出した。仮想空間内の射出高度限界まで上昇した垂直ミサイルが降下を始め、ヴァネッサは最前衛の弾頭を捕捉し、右腕兵装のグレネードライフルから榴弾を撃ち放った。 最前衛のミサイル弾頭に榴弾が直撃し、仮想戦域を揺るがす轟音と共に爆炎が散った。その爆炎に突っ込んだ後続のミサイル群が次々と誘爆し、爆散した弾頭の残骸が地上に焦熱体となってラピッドタイドの機体に降り落ちる。 『敵性動体、右舷14時の方向より急速接近。近づかせるな、弾幕を張れ』 リサの的確な戦術支援を耳に入れながら操縦把上部のスイッチを押し込み、兵装を左背部兵装の多砲身式回転機関砲に転換、左腕兵装の同種短機関砲と合わせて砲口を機動旋回するブルーマーレへ突き付けた。 ジェリーの駆るブルーマーレは以前から知り得ていた通り高機動戦に特化し、それを突出戦闘に用いたオーソドックスな戦術を旨としている。 両手に握り込んだ操縦把付随のトリガーを握り込み、最大回転効率で砲弾を撒き散らした。 無数の火線が殺到し、旋回機動を取るブルーマーレの軌跡に追いついた火線が装甲に着弾して同機の推力バランスを著しく搔き乱す。 『推力バランスの低下を確認。ヴァネッサ、狙えるぞ』 「まさに短期決戦ね、ジェリーには悪いけれど……」 左腕兵装を固定維持し、背部兵装を多砲身式回転機関砲から右背部のリニアキャノンへ移行。ブルーマーレが推力バランスを安定化される前に、リニアキャノンの照準を完了してトリガーを絞り込む。 重い反動音が重戦車型であるラピッドタイドの機体をその場に一瞬押しとどめ、特殊機構によって強化推力を得た砲弾がブルーマーレの頭部目がけて飛来。 着弾時点で頭部パーツは損壊するだろうが、ヴァネッサはジェリーの戦術センスに対して過小評価を与えてはいなかった。戦術支援AIであるリサもそれを分かっていたのだろう、リニアキャノンの次弾装填を完了した直後に自律支援プログラムに則って背部兵装を搭載機関砲へ再転換した。 ヴァネッサの期待通り、ブルーマーレは回避機動が間に合わないであろう事を受け入れ、自ら機体を正面に向けて左腕兵装のレーザーブレードを最大出力で現出させ、それを振り抜いた。 正確なブレード攻撃によって融解したリニアキャノンの砲弾の残骸が、ブルーマーレの肩部装甲を若干削り取ってアリーナの天井に突き刺さる。 搭乗者であるジェリーのその操縦技術は、人の域を越えた場所にある反射能力の賜物であった。そしてそれだけではなく、彼には遍く在るレイヴンが持ち得ようとしても中々持ち得ない、兵士としての才覚があった。 『変わらず化物振りを披露してくれるな、あの若造は……』 皮肉を混じらせてリサが言う。育成施設における訓練生時代から、自身の訓練機体に搭載してきたリサは、ジェリーのそれについてはヴァネッサと同じくよく知っている。 強化内骨格施術──所謂強化体処置を受けずにいながら、兵士として極めて恵まれた素質を持っていた事により、彼は此処まで上り詰めてきた。 リサが先行して既に済ませた転換兵装を上空へ向け、対空迎撃態勢を完了するのもそこそこに再び短機関砲による弾幕射撃を行う。ブルーマーレは無理な回避機動を取らず装甲でいくつかの砲弾をいなしながら、しかしスラスターを連続噴射して大胆に降下接近してくる。 『有効射界に踏み込まれるぞ。幾らかは装甲で無力化できるだろうが、覚悟しろ』 「了解。決定打になる前に、今度こそ……」 機動力において多種機体より明らかに劣る重戦車機体では、近接戦闘に持ち込まれた場合に相手が軽量二脚では、圧倒的に分が悪い。だからこそ、相手の有効射界に踏み込まれる前に、高密度火力で一気にカタをつける必要があった。だが、そうそう上手く事が運びはしないという事は、ヴァネッサもリサも最初から見越していた話である。 此処が本番で、終幕だ── 口許を歪めて軽く舌舐めずりし、ヴァネッサはメインディスプレイ上部に表記されたAPゲージ【アーマー・ポイント】にそれと無く注視し、それから右舷上空のブルーマーレを捕捉した。 アーマー・ポイントとは、各傭兵仲介企業が運営するアリーナ興行において多く導入されているポイント・システムの事である。搭乗機体の装甲各部や駆動及び出力機構の損壊具合に併せ、それに見合ったポイント損失を基本とし、継戦態勢が不可能と判断された時点で搭乗者の自己判断により勝敗を決するものである。 古い同期、ジェリーとの手加減なしの仕合いはこれで二度目。 カメラアイを介して視線が交錯した刹那、互いの搭載火力が衝突した。 瞬間火力に優れたブルーマーレの短機関砲から文字通り灼熱の弾雨が降り注ぎ、対実弾性能に優れたラピッドタイドの外部装甲が砲弾を弾き返す。 被弾による細かい震動がコクピットを揺さぶり、しかし、それに構うこと無くヴァネッサは両人差し指でトリガーを押し込み続ける。アーマー・ポイントが激しい勢いで減少を続け、機体表面温度が急激上昇。機体維持機能の再設定をリサが告げる。 『表面温度が急上昇している。エネルギー出力を一部低減、冷却機構稼働率を60%増幅』 リサの冷静な戦術支援に感謝しつつ、ヴァネッサは至近距離からの絶え間ない被弾に耐えしのぎ、小刻みに回避機動を取りながら接近しつつあったブルーマーレの機体を漸く後退させる。 だが、搭乗者のジェリーはブルーマーレを有効射界の外側まで下げはしなかった。ラピッドタイドの左腕と左背部搭載の短機関砲による砲撃を最小限の機動で回避しながら、ブルーマーレが兵装転換の予備動作を見せるのをカメラアイが捕捉した。 『ブルーマーレ、背部レーザーキャノンを展開。来るぞ』 軽量二脚機にも関わらず重量高出力型のレーザーキャノンを背部に搭載するブルーマーレは、同兵装を左背部より転回、その超大な砲身をこちらへ向けた。牽制射撃による被弾を無視し、その先で精密射撃による一撃を狙うブルーマーレのカメラアイと、レーザーキャノンの砲口に意識を傾注する。 「4,3,2,──来るわ」 ブルーマーレの旋回機動に合わせてタイミングを合わせていたヴァネッサは、有視界内にブルーマーレの機影を捉えた状態で、レーザーキャノンの砲口から鋭い光源が溢れるのを目視、同時に操縦把外側面付随のボタンを押し、内部保機兵装のECMメイカーを放出した。 機体周囲に放出した自律浮遊式のECMメイカーが高出力の妨害電波を拡散放射し、対妨害電波性能に優れたブルーマーレの頭部機能を"恐らく"、一瞬でも麻痺させる。 ──視覚を一瞬でも聾しかねない光を伴った光線が、地上のラピッドタイドへ向けて走った。 ラピッドタイドの頭部側面が焼却され、けたたましい警告音とメッセージと共にカメラ機能の一部が完全に停止。リサが損壊状況を伝え、各種センサー群による戦術支援効率の底上げを伝える。 ヴァネッサは目をしっかりと見開きく。レーザーキャノンによる頭部への被弾の最中に、兵装転換を済ませた右腕兵装のグレネードライフルを持ち上げ、射撃反動によって推力バランスを崩しながらも低空を飛行していたブルーマーレに榴弾を放った。 それほど離れていない距離、互いにとっての完全な有効殺傷域内でブルーマーレを爆心地に赤々しい炎が広がる。衝撃波を受けたECMメーカーが周囲で爆発し、直後爆炎の中から最大推力でブースタを噴射しながら、ブルーマーレが離脱してきた。 『敵機体、頭部欠損。索敵性能ダウン。容赦するな、一機に畳み込め』 戦術支援AIであるリサが元来の冷徹さを示すように、慈悲のない指示を出した。その言葉に無言で同調し、さらに兵装転換をしてヴァネッサはリニアキャノンの砲弾をブルーマーレに向けて撃ち込む。頭部欠損の他にも機体各部に機能不全を起こしているのだろうブルーマーレは、ラピッドタイドの砲撃に対して有効な回避機動を取ることもなく容易く、一撃で右腕を謙譲した。 肩部当たりから吹き飛んだ右腕の名残りが地上へ落下して転がり、その衝撃によって損壊したクレスト社製の短機関砲が右腕を巻き込んで爆散する。 機体の強制的な後退を迫られ、ブルーマーレが低空から地上へ着陸、残余推力で土煙を上げながら後方へ滑走する。 『敵機体、残余APの欠乏を想定確認。見事だ、ヴァネッサ。お前の──』 「待ってリサ、まだだ──!」 滑走の後、機能停止を選択するかに思われたブルーマーレだったが、コア後背部から高出力の噴射炎が噴き上がる。次の瞬間、頭部と右腕を欠損しているという致命的な状態を差し置いて、ブルーマーレの機体が高出力で突進してきた。 『速やかな自殺を所望か、あの若造は。いよいよもって、本当の化物だな……』 アーマー・ポイントはあくまで勝敗を決する為の境界線であって、搭乗者の意思関係なく決せられる勝敗システムではない。それは搭乗者の生命維持を最優先に考案されたシステムであり、アーマー・ポイントの枯渇に関係なく機体機能が維持できるのであれば、継続戦闘は可能である。だが、その先からは一切の生命の保障が効かないという多大なリスクを背負ってしまうが。 致命的な損壊を既に追っているブルーマーレ──その機体を操るジェリーはそのリスクを自ら課してなお、継戦を選択した。 機関砲による高密度の弾幕をコア部急所への狙いを外して展開するも、ブルーマーレはまともな回避機動を取らず、しかし覚悟を決しているかのように真正面から突っ込んでくる。 『何をしている、ヴァネッサ。致命打を貰うぞ』 「わかってる。けど──」 決定打にならない弾幕をブルーマーレは機体全身の装甲を犠牲に切り抜け、左腕に残ったレーザーブレードの刀身を現出させる。有効殺傷域の間合いすら詰み切り、後ろに投げ出されるような重い衝撃がラピッドタイドの機体を貫いた。 『左腕部欠損、AP40%減少。次はない、確実に仕留めろ。……ヴァネッサ、お前は何の為にレイヴンになったのだ? その致命的な甘さを、世に露呈する為か?』 プログラム・ヴォイスは至って平坦だが、疑似人格の物としては余りに抑揚を感じさせるその言動に、ヴァネッサは胸中で申し訳なくなった。 「違うわ。私はあの人の、先生の為に戦うの」 後背へ切り抜けたブルーマーレがそのまま上空へ飛翔し、オーバード・ブーストを維持したまま旋回機動を取りながら、今度は左舷10時の方角へ回り込む。 『ならば尚更だろう。此処で死んでは、何にもならんぞ』 「そうだよ。でも、私は人を殺す為だけにレイヴンになるんじゃない。その事を此処で証明できなければ、私は──」 鈍重な機動しか取れない重戦車で旋回機動を取り迎撃態勢を展開する中、ヴァネッサは脳裏に別段思い出したくもない過去に無意識に触れていた。 兵器災害などというクソのような未曽有の災害危機が人類を襲うよりも以前──、世界中の何処にでもあるような戦場で、一人の少年兵として物心がつく前から銃を持たされてきた。 泥まみれの無骨なライフルが可愛らしい小奇麗な人形の代わりで、絶え間ない銃声と悲鳴がいもしない母の子守歌の代わりだった。5つ位になる頃には、其処らの大人の兵士よりも戦場で人を殺した。戦闘員非戦闘員の分け隔てなく。育ての親のくせに名前すら知らない武装勢力の尖兵として。 育ての親で覚えているのは、のっぺらぼうの兵士が言った言葉くらい。 ──殺せ。明日が見たければ。 その言葉だけが、まるで遠い先祖から延々と語り継がれてきた呪詛のように頭に貼り付き、最初の頃にあったはずの恐怖は次第に麻痺していった。その言葉だけが、からっぽの身体を動かす唯一の原動力にすらなっていた。 『ブルーマーレ、急速接近。約10秒後に接敵する』 戦術支援AIとしての役割を損なわず、その面に関してリサは淡々と任務を遂行する。その行為の裏側に、単なる被造物としてではない感情が"彼女"には介在しているのでは、とヴァネッサはいつからか思っていた。 「私に、この生き方を示してくれたのは先生だ……」 明日を見るために、ただ殺すだけ殺して眠り、起きては殺し……いつか自分が死んで終わるだけだと思っていた日々に現れたのが、仲間を引連れて現れた"先生"だった。 先生──あの人にとって、その仕事はレイヴンとしての何でもない日常の一風景に過ぎなかったのかもしれない。事実として、育ての親である武装勢力が保有していたAC機体は、先生の引連れてきたAC部隊に悉く撃破された。 ──私達、少年兵部隊を一切手にかけずに。 あの人に拾われ、汚泥まみれの私達を見て、彼女は最初にこう言った。 ──誰が嘲ろうと、その生き方を通した者が正しい。お前達は生き残った。正しかったんだ 彼女は彼女の生き方を、その戦場で私の目に焼き付けさせた。 遍く在るレイヴンという存在の例に漏れず、"先生"も非情を極めた兵士だった。けれど、彼女は自らに生き方を課し、それを全うしてきた。 ただ、殺す為だけにレイヴンになるのではない。何もかもを殺して生き延びる為だけに。 「私は此処で、それを示さなきゃならないんだ……」 リサは暫く、といっても寸秒足らずの間だったが沈黙の空気を醸し、やがてヴァネッサのその言葉に返答をよこした。 『すまない、ヴァネッサ……。私も甘いな、お前のその生き方を信じ難かったとは……』 「ありがと、リサ。私は此処で勝つよ、必ず」 旋回機動を継続しつつ低空から地上すれすれに降下したブルーマーレが、正面から相対する格好で突進してくる。ヴァネッサは短く息を吐き出し、リサに一つの指示を出した。 「強襲用オーバード・ブースト起動、最大推力で突進する。付き合ってくれる?」 『無論だ。始めに言っただろう、此処がお前の檜舞台だとな』 リサが自律支援プログラムを実行し、最大推力による強襲用オーバード・ブースト起動プロトコルを完結させる。ヴァネッサは一瞬の逡巡もなく、操縦把上部のカバーを親指で弾き上げ、中の起動スイッチを押しこんだ。コア後背部の大型ノズルが展開し、出力機構から最大効率で供給されたエネルギーが重戦車の機体を最大推力で押し出す。 『接敵まで四秒。極点、ここに結ばれるか?』 左腕のレーザーブレードを除いて一切の武装を排したブルーマーレが、機体への負荷限界を度外視した速度で真正面から迫る。互いにオーバード・ブーストを用いて強襲機動を展開している。正面から衝突し合えば、軽量二脚機では一たまりもないだろう。無論、ラピッドタイドも無傷では済まされない。 生命の保障を捨てて継戦行為を選んだジェリーは、それをよく分かっているだろう。 ヴァネッサはそこに、自らの勝機を賭けた。 互いの機体がそれぞれの最大推力を持って衝突する刹那、ブルーマーレが予測通りに機体分解のリスクを背負いこんでまで、ブースタを左舷へ噴射し急速離脱する。 それを見越し、ヴァネッサはオーバード・ブーストを解除、同時に左脚部──左キャタピラのブレーキ・ペダルを全力で踏み込んだ。 「ぐ、うう……!」 身体が前方へ投げ出され、シートベルトが体に深く食い込む。機体制御用のセンサー群が左キャタピラの過剰負荷を伝え、サブディスプレイが警告メッセージで埋めつくされる。びりびりと痺れる右手で操縦把側面部の兵装転換スイッチを押し込み、背部兵装のリニアキャノンを展開。 通常の重戦車ではあり得ない機動力を実現してラピッドタイドの巨体を軌跡半回転させ、刹那早く機体反転を済ませ、推力展開を完了しかけていたブルーマーレと中近距離で相対する。 フレーム・システムでブルーマーレの左脚関節部を捕捉し、白熱した思考でトリガーを絞り込んだ。 リニアキャノンの砲身から撃ち出された大口径の砲弾は過たず、ブルーマーレの関節部を撃ち砕き、左脚部を丸ごと吹き飛ばした 機体バランスの再調整が間に合わなかった機体が急速に傾いで地上に倒れ込む。緊急停止したオーバード・ブーストの残余推力によって火花を接地面から吹きあげながら、滑走していく。百数十メートルほどのも地上を滑走しながら、ようやくブルーマーレはその機動を停止した。 『ブルーマーレの沈黙を確認……。お前の勝利だ、よくやったな』 白熱していた思考が徐々にクールダウンし、過剰放出されていたアドレナリンが薄れていくことによって激しく脈打つ心臓の鼓動が聞こえ始める。 「はあ、はあ……」 全身の骨格が軋むような痛みを覚え、しかし、ヴァネッサはその感覚に大した反応をする訳でもなく、ただ有視界内に映る、無残なまでにぼろぼろになり機体各部から黒煙を噴き上げているブルーマーレの残骸に視線を向けていた。 暫くしてラピッドタイドに通信要請が入り、機転を利かせたリサが回線を開く。 『こちらコントロール、対戦機体:ブルーマーレの沈黙を確認。貴君の勝利、おめでとうございます』 コントロールの若い女性が若干興奮した様子で労いの言葉を述べる。 『今からアリーナ内へ事後処理班及び緊急救護班が向かいます。機体制御を第一種戦闘態勢から第三種準備待機態勢へ移行、待機してください』 「……了解」 その後間もなくして事後処理班の特殊車輌部隊がガレージから現れ、滑車が外部繋留された事を確認してから、コンソールを操作してコクピット後方のハッチを開放した。 「出力機構の停止プロトコル完了……。ありがとう、リサ」 『みなまで言うな。今後がお前の、レイヴンとしての本番だ』 その冷静でありながら同時に温かみを感じさせてくれる友の言葉に、ヴァネッサは口許を緩めてみせた。 「中核基盤から直ぐに送信するから、待っててね?」 『了解。戦闘記録及び通信記録をデータバンクに保存。10秒後に休止状態へ移行する』 そして10秒きっかり経って、リサは自らシステムの休止状態へ移行した。コンソール下のハードから、戦術支援AIであるリサの中核基盤を抜き出す。コンソールを手動で操作し、全システムを停止。 ヴァネッサはコクピットから這い出し、外部繋留されていた滑車を伝ってアリーナ空間の地上へ降り立った。 すぐさま救護班が駆け寄り、 「何所か負傷は?」 「いえ、大丈夫です」 短いやりとりを交わし、代わって事後処理班のチーフと思しき鬚面のつなぎの男性が立つ。 「機体は事後規定に従ってガレージへ牽引後、専用ドックに搬入する」 先ほどと同じくらい短いやりとりを終え、機体表面部から立ち上る焦げくさい蒸気を鼻腔に捉える。 「お疲れ様、ラピッドタイド……」 事後処理班の作業員が機体処理に当たる隅で、離れた場所に倒れたブルーマーレの所でも同様の処置が行われていた。だが、コクピットを救護班が強引にこじ開け、中からパイロット思しき青年を引きずり出している様子を見て、ヴァネッサは目を細めた。 担架に乗せられようとした所で不意に青年は、肩を貸してもらっていた救護員から離れた。脇腹を押えながらも青年は自分の足で立ってヴァネッサの方へ視線をよこすと、意識の確かさを思わせる足取りでこちらへ歩み寄って来た。 頭二つ以上も背の高いジェリーが、穏やかな表情を浮かべてヴァネッサの双眸を覗き込む。 「悔しいが、さすがだよ。本戦出場おめでとう、ヴァネッサ」 「ありがとう、ジェリー。決勝の相手が貴方で、本当に良かった」 それは偽りのない本心。 先生と同じ道を志してから、共に生きてきた知己を相手に、ヴァネッサは自身の在り方を証明した。 ジェリーと握手を交わし、そして軽く背を伸ばして彼と抱擁を交わす。 「私は上へ行く。そこで、貴方を待ってるから」 「ああ。俺も必ず、その高みへ向かう。ま、暫くは療養生活だけどな」 ジェリーから離れると、彼は傍にいた救護員に再び支えられて、アリーナ空間を後にした。 ヴァネッサもコーテックス・アリーナの運営スタッフに導かれ、専用出口からアリーナを去る。連絡通路を個人待機室へ向かう傍ら、 「五分後に勝者インタビューがありますので、宜しくお願いします」 待機室に到着後、運営スタッフを部屋の外に残して扉をくぐる。 灯りが灯されたままのロッカールーム、その一番奥のベンチに、純白のダブルボタンスーツとタイトスカートに身を包んだ"彼女"の身体が壁に背を預けた格好で眠りについていた。一番隅のロッカーから専用接続ハードを取り出して中核基盤を差し込み、接続端子にウェアラブルコンピュータのコネクタを繋いだ。 魂の一切が抜けたように、頭を垂れて虚ろな双眸を開いている"彼女"の身体の横に腰を下ろし、暫く彼女の眠りにつく姿を眺める。 二十代半ばの若い女性の姿を模った身体。明るく艶やかな、腰元まで下ろされたブロンド。切れ長の眼は魂がなくとも、その身体の持ち主の意思の強さを象徴するかのように鋭い。 女性としての理想形を求めた、嘆美を追及された肢体。首筋の接続ジャックに接続ハードからコネクタを繋げた。 ウェアラブルコンピュータのパネルキーを叩き、中核基盤から"彼女"の魂を身体へインストールしていく。ウェアラブルコンピュータのディスプレイがインストール完了を知らせ、ほぼ同時に、彼女の俯いた頭が動いた。空っぽだった双眸に明確な意思が宿り、それを持って"彼女"は自身の身体を立ちあがらせる。 彼女は、自身を見上げるヴァネッサの双眸をのぞきこみ、 「改めて。ご苦労だったな、ヴァネッサ」 魂を吹き込まれたリサは、所有主であるヴァネッサの頭を優しく撫でた。 「うん、ありがと。すぐにインタビューが始まるから、見ててね」 「ああ。心配するな」 ヴァネッサは起動を完了したリサを伴い、小走りで会見現場に向かうべく待機室から連絡通路への扉を潜る。そばで待っていた運営スタッフの後に続き、連絡通路をつきあたった先の扉からコンテナ用昇降機の設備空間へ出る。 そこに多数のメディアのカメラマンと記者が、ヴァネッサの到着を今かと待機していた。 その中で現場統括に当たっていたと思しきコーテックス関係者の女性が、ヴァネッサを昇降機の中央に呼び寄せる。 「決勝、お見事でした。これより勝者インタビューを上で行ないますので、くれぐれも普段通りにお願いしますね」 にこやかな笑みを浮かべて彼女が言う。その声には聞き覚えがあり、ヴァネッサは彼女が決勝前後に自分をオペレートしてくれたコントロールの女性だと思い当たった。 その彼女の的確な指示に従ってインタビュー関係者が昇降機に乗り込み、ヴァネッサが確かに乗り込んだことを確認してから、傍にいたリサは昇降機を降りた。 「外から見ている。表に出るのはどうも苦手でな」 「うん。じゃあ、また後でね」 オペレーターの女性の指示によって昇降機が上昇をはじめ、吹き抜けの壁にリサの姿を阻まれて見えなくなる直前、彼女はこちらを見上げながら、何言か独り言を言っているようだったが、ヴァネッサには彼女が何を言っているのか、そこまでは読み取れなかった。 吹き抜け上部出口で、けたたましいまでの喧騒が行き交っているのが、ヴァネッサの聴覚に届いた。ほんの僅かにヴァネッサは鼓動を逸らせ、それが収まらないうちにヴァネッサを乗せた昇降機は吹き抜け最上部の出口まで登りきった。 文字通り割れんばかりの狂騒とも呼べるほどの歓声が、ヴァネッサを出迎えた。 数万人に及ぶアリーナ空間に映像として出力されていた、現実の大観衆が四方から拍手交じりの歓声を送る。すぐに勝者インタビューのマイクがヴァネッサに向けられる。 「予備大会決勝の見事な勝利、おめでとうございます!」 あまりに自身の心境とはかけ離れた周囲の対応に若干たじろぎながらも、ヴァネッサは質問のひとつひとつに浅く思考を巡らしながら、受け答えしていく。 一切鎮まり得ぬ狂乱の如き歓声の中、マイクを向ける女性がインタビューの締めとして、 「今のお気持ちを伝えたい方がいたら、どうぞ!」 「えっと……」 エデンⅣ全域に各メディアの実況中継で放映されているカメラを順番に眺めつつ、ヴァネッサの脳裏には一人の人物の姿が浮かび上がっていた。 ようやく此処まで、上って来た。 ひとつの在り方を示し、ひとつの在り方を実践する道が開けた。 そこまで導いてくれた彼女への、精一杯の感謝を。 ヴァネッサは大きな、満面の笑みを浮かべる。 そして、右手で作ったブイサインを掲げ、 「──先生。私、やりました!」 この日、後にグローバル・コーテックス・アリーナにおいて、トップクラスにまで上り詰める事になる一人の新鋭レイヴンが、アリーナ本戦への出場資格を手にした。 * 『──先生。私、やりました!』 TV画面一杯に映り、満面の笑みを浮かべながら言うヴァネッサの姿を見て、ノウラは額に軽く手を当てながら声を出さずに苦笑した。 『良い子だね、君の教え子かい?』 「ああ。今日付けでウチの社員だ」 ヴァネッサには【ターミナル・スフィア】に参画する為の最終試験として、グローバル・コーテックス・アリーナ本戦への参戦資格を課していた。今年で16歳になったばかりとはいえ、レイヴンとして生半可な実力を持つ者は必要ない。一線の戦力として確立できるよう、ノウラは教え子である彼女にレイヴンとしての手管を教え、彼女はそれを見事実証してみせた。 何も文句は言うまい。今日の所は。 『この手で世間の注目を集めるのは、柄じゃないと思ってたんだが』 「世の情勢が情勢だ。飯の種を得る為には、柔軟にならんとな」 『彼女は【社団】の広告塔、という所か……』 「まあ、そんな所だ。今回、コーテックスには良い商談相手となってもらったよ」 正規の、しかも大手の傭兵仲介企業が主催するアリーナ大会でのランクナンバーを保持しているレイヴンは、現在の所【ターミナル・スフィア】には存在しない。世間、その手の業界では独立した軍事力を保有する調査社団としての側面を知られてはいるが、今後の業界における情勢変化を鑑みるならば、社団内に正規ランクを持つレイヴンを新しく補填しておくのも悪くはないだろうと、ノウラは以前より一計してきていた。 内通回線の着信音が鳴り、ノウラは受話器を取る。 『現場より状況報告です。【バラハ01】及び【バラハ02】、0725時、エリア【Fr-06】から【Fr-14】にて、該当戦域における所定を完結しました。【バラハ03】も同様です』 「事後処理をミッションコード:012‐11から013‐13へ引き継げ。……【バラハ01】へ回線を繋げられるか?」 可能です、とメイヴィスが怜悧さを湛えた口調で言い、すぐさま回線接続処理に当たる。 ニュース続報が垂れ流しになっている投射型TVを背に此方へ向き直ったスワローが、 『其方の仕事かい?』 「ちょっとした保険に過ぎんさ。事後報告なら、後でコーテックスからお前の方にも伝わるだろうよ」 その言動にスワローは眉を細めて怪訝な表情を表してみせたが、結局それ以上は何も言及しなかった。 『……そろそろおいとまさせてもらうとするよ。支払いはどうすればいい?』 「いらんよ。是は双方の間で交わされた、唯の痴話話に過ぎん」 『……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、ノウラ』 ノウラはスワローのその軽い謝辞に手をひらひらと振って応え、備えつけの箱から新しい紙巻煙草を取って咥える。 「──此れからの世の中、益々面白くなりそうじゃあないか。なあ、スワロー?」 『そうだね。ではまた、マダム・ノウラ……』 それを最後にグローバル・コーテックスの古い知己・スワローの出力映像にノイズが走り、やがて彼の姿は眼前から文字通り掻き消えた。 デスク内蔵のコンソールを叩き、室内を覆い尽くしていた仮想映像の出力を停止した。 ほぼ唐突に執務室内の元風景が戻り、窓貼りから差し込む人工の朝日の陽光にノウラは軽く眼を細めた。 『所長、【バラハ01】との回線準備、完結しています。繋ぎます』 電話子機に別の回線が繋がれ、暫くして別の訊き慣れた男の声が受話口から聞こえてきた。 「御苦労だったな、【バラハ01】。引き継ぎ完結の後、【バラハ03】及び【レジェス57】と現着合流して事後処理に当たってくれ」 『此方【バラハ01】、了解。……随分とあの娘を気にかけているな』 「身内になれば、お前が教導役になるんだぞ。今の内に親睦でも深めておけ」 無線の先から、同僚であるガロ──【バラハ01】が軽くため息をつくのがわかった。 『了解。引き継ぎ完結後、【バラハ03】及び【レジェス57】と現着合──』 無線は開放状態のまま不自然なタイミングで会話が途切れ、寸秒の後、耳を劈く極めて聞き慣れた轟音が受話口から轟いた。暫くして再度、今度は5発。 「どうした、【バラハ01】」 その誰何の問いから暫くしてもう一度銃声が響き、 『……作戦コード:012-11から、緊急即応コード:22-033へ移行する。マズいことになったぞ、ノウラ』 【バラハ01】が報告してきた緊急即応コードの構成ナンバーを耳にし、ノウラは席を立った。 「パルヴァライザーだと……?」 耳を疑う前に緊急即応コードに則った対応を即座に構築すべく思考をシフトさせ始めた瞬間、窓貼りの外から差し込んでいたはずの人工の陽光がぶつ、と途絶えた。 その不測の事態にデスクから窓貼りの傍へ走り寄り、それと同時に【ターミナル・スフィア】のオフィスが収容されている複合産業ビルの予備電力が起動して室内に灯りを灯す。 作り物の天井から燦燦と降り注いでいた照明は変わらず停止状態にあるようだが、窓貼りからのぞく商業区画のいくつかのビルは、予備電力の起動により灯りを取り戻していた。 デスク・コンソールからメール着信の電子音が軽く響き、ノウラはとんぼ返りでデスクにかけ戻る。 コンソールを素早く叩き、メールボックスに届いた新着メールをディスプレイに表示した。 差出人は、【統一連邦第四駐留軍機械化特殊作戦群】── 依頼内容は、【閉鎖型機械化都市エデンⅣの全区画に不正侵入した未確認敵性勢力及び、パルヴァライザーの排除】── そのメールの内容を見て、ノウラは口許を歪めた。 「全く、早速面白くなってきたものだな……」 →Next… ④ コメントフォーム 名前 コメント
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TKI積み(TOJ Core) / C-Spin (TOJ Core) テト譜 このテンプレのポイント 土台 片側セットアップ率60.00% 左右反転込みセットアップ率80.00% 2巡目TSTが1ルート確定で、ソフトドロップもTミノ除いて最多で1回のみ このテンプレの弱み TSD以外の派生がない 派生一覧 テンプレ概要 類似関係 その他
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⑤*⑥/ /第十話 蓋を開けてみれば何から何まで事前情報と異なるとは、こういう事を言うらしい──。 後退支援戦闘に当たって迎撃戦闘に転じた部下の二人ともが瞬く間に撃滅された状況下にあって、ウルフ・アッドは冷静に事態を捉えていた。 本社情報部の連中が遣した詳細に依れば、独立系傭兵部隊〝サンドゲイル〟は比較的優秀なAC戦力を保有しているものの、独立勢力としては目立った所のない一勢力に過ぎないとの事だった。 やはり、本社の情報部は信用ならんな──。 先だって投入された先行戦力群──グレイヴ・メイカーという戦闘に際しては素人の域を出ない技術屋集団が壊走したのは当然の顛末だったとして、それは否定しない。 同時に、その壊走が始まるまでの戦域映像が本社からの指示でデータリンク適用外とされていた事が、仇になったのもまた、否めない感があった。 仮にも特殊部隊管轄軍の精鋭部隊を自負する我々の戦力の大半が、容易く撃破されたのだ。 自身の脳裏を過ぎった可能性に対して、小さく口許を歪める。 純粋戦力の数的差が産まれつつある現状にあって、ウルフは恐ろしく冷徹にあった。圧倒的不利な状況下での作戦などは、此れまでに嫌というほど経験してきている。 その中で常に生き残ってきたという経歴とそこで得た鋭い経験則が、常に彼を冷静に足らしめていた。 そして少なくとも、ウルフが相対する者──淡い桜色の塗装が施された軽量級ACとの戦闘を始めてから終始、彼自身にとって状況は優位に推移していた。 偶然に僅かな意図を絡めて、ウルフはその機体を自らが相手をするべき敵性動体として選択した。今回の作戦を嘗ての原隊に口利きした張本人である同期のリヒト・マウザーが少々気に掛けていたのだ。 敵AC機体に搭乗するパイロットの名は、シルヴィア・マッケンジー──。 そのフルネームに、ウルフは以前から聞き覚えがあった。 以前行なわれた本社外部指令一四四二号作戦──自身を出し抜いたウルフが受諾し、幾つかの友軍の犠牲を出しながらも遂行した作戦である。 後に垣間見た事後報告では、本社が必要としていた遺失技術資材の確保が作戦骨子だった。その作戦で起きた不測の事態に関与した人物の中に、シルヴィア・マッケンジーという若年レイヴンが名を連ねていたのである。 そのレイヴンはフリーランスであった為に詳細を得る事も叶わず、事態の混乱に紛れて姿を消し、作戦の事後経過でも消息不明として扱われた。 運の良いレイヴンもいたものだと、その時のウルフも軽く得心していたに過ぎなかった。 しかし、運命は往々にして巡り合うものなのだな、とウルフは今回の作戦に際して考えた。 その名を持つ当人と思しきレイヴンがサンドゲイルにいると、作戦の立案段階でリヒトはさも楽しそうに言ったのをよく覚えている。 そのレイヴンが今、自分と戦火を交えている──運が良かったのかどうか、それも含めて単純な興味のあったウルフは戦闘を開始して数分、既に僅かな落胆を覚えてもいた。 「ふん、幼いものだな──」 搭乗機、中量級二脚機〝ガト・モンテス〟は光学兵器類を搭載武装の軸とし、瞬間火力と戦闘継続力を高水準で実現している。非常に長い年月を共にしてきた事でウルフはその機体の特性を細部に渡るまで熟知していた。 微細な機体制御で常に敵性動体を有視界に捕捉し続け、ウルフは両背部連装式武装の浮遊設置型光学兵器──イクシード・オービットを射出した。正確な反応を返した敵機は高出力の収束光を回避してみせる。小気味良い偏差機動を駆使してはいるが、次の攻撃への対応準備は非常に緩慢なものであった。 此方の意図する様に戦域を右往左往する敵機へ向け、機体内蔵型の同種武装を展開、低出力の代わりに速射力を底上げした収束光を射線上に放つ。武装の仕様上、一次捕捉に限定される収束光が同時多角から殺到、見せかけは安定していた回避機動を途端に崩し始める。 基本的な操作技術は優れている。絶対的な経験の浅さ故か、機体制御に於いて甘い点が散見できるが、同時に相当なセンスの良さも垣間見せてくれる。 しかし、それでウルフの構築した優位な戦況を覆すのは、聊か困難な話である。 それでも偏差機動を継続し、あくまで回避行動を続ける様子を余裕を保った姿勢で見ると、ウルフは今一度、背部イクシード・オービットを見舞う。 前方広範囲から殺到させる光学攻撃に紛れ、ウルフは操縦把付随のトリガーを引く。右腕部携行兵装のレーザーライフルから確定捕捉を完結した収束光が大地を縦断し、敵機の側頭部複合装甲を焼却した。 継続的な高火力攻撃を見舞う中、オープンチャンネルでの通信要請を戦術支援AIが受信する。 『貴方達、ルア・リーフェスを知っているか──っ?』 状況の割りに、随分と余裕な様子だな──鼻で小さく笑い、気まぐれ程度にと応えてやった。 「知っていたとして、応える必要はない。我々の任務とは無関係だ──」 『なら、此処で貴方に用はない──!』 敵機のレイヴンの声音は何処か中性的だが、気質の幼さを垣間見せる所があった。 だが、威勢の良さだけは評価してやってもいいか──。 「ふ、前評判通りのレイヴンか──今時、珍しいものだ」 ルア・リーフェス──確かに、知っている。 本社外部指令一四四二号作戦で、リヒトが持ち帰った遺失技術資材の〝小娘〟の名だ。 リヒト自身も確か、こう言っていた。 戦場での玩具と小娘のまま事など、見ていて気分の良いものではない──。 悪辣な気質のリヒトらしい言葉だった。 そしてその小娘と相対するウルフは、彼の言った言葉の意図する所に同調している節があった。 「護りたい、奪い返したい、殺したい──生臭い感情を垂れ流す割には、大人しい立ち回りをするものだ……」 若年であろうと幼かろうと、戦士として自らの志と共に戦場に在るのなら、その生き方に忠実であれ。 出来ない者程早く死ぬ、その理はどの戦場であろうと大した差にはならない。 「貴様一人に時間は掛けられん──」 ウルフは冷徹な殺意を湛えた。 * ルア・リーフェスを知っているか──。 その問いに対する敵パイロットの応答は、耳を打つ内容としては到底満足の往くものでなかった。 そもそも一瞬の感情の昂りをついて出てしまったような、一過性の言葉に過ぎないとシルヴィアが自身でよく分かっていた。 戦術の一切を固定せず、多彩な戦闘機動を展開する敵機を前に翻弄される中、シルヴィアはその状況とは裏腹にコクピット内で確信を得ていた。 奴は、ルアの事を知っている──。 総合して中量級二脚構成のACは光学兵器群による洗練した手管を緩めず、搭載センサー群を駆使して尚、此方が知覚できない巧妙さを持って打撃を確実に与えてくる。 一方的な防戦から瓦解する前にと、シルヴィアはフットペダルを一層細かく踏んで偏差機動を行なう。 光学兵器の弾幕を引き剥がした隙に、背部ミサイルコンテナへ火器管制システムを移行──反撃の糸口を掴む為に、牽制の意味合いを強く含んだマイクロミサイルを射出した。 至近距離で吹き荒ぶ収束光の間隙を縫ってミサイルが飛翔を開始、それに紛れて右腕部に携えた長砲身の遠距離用滑腔砲からAPFSDS(離脱装弾筒付翼安定徹甲弾)弾を連射した。 ジルエリッタの主兵装が最低限稼動できる間合いを取らなければ、この戦域ではそれは全く役に立たない。 AC機の生命線である機動駆動系──膝関節部を狙ったAPFSDS弾は正確な射線を辿り、しかし、其処へ投入された浮遊設置型の光学兵器に阻まれた。光学兵器が爆発、四散して細かい残骸を周囲にばら撒く。 そしてさらに光学兵器群が敵機体との間に割って入り、マイクロミサイルの弾頭を正面から誘爆させた。撃ち漏らしたミサイル群も敵機が備えるレーザーライフルによって正確に撃ち貫かれる。 無駄な回避機動を一切含まない、非常に洗練された動作──。 黒煙混じりの火球が渦巻く中で敵機体のカメラアイと一瞬視線が交錯し、直後、再び光学兵器群による収束光の嵐が殺到する。 交戦する中量級二脚AC──それに乗り込む搭乗者が手加減をしている事にシルヴィアが気づいたのは、戦闘状態へ移行してから間もなくの事だった。一定以上の相対距離を保持して慎重に出方を視ていたつもりが、いつのまにか相手の意図に引きずり込まれていたのだ。 多様な光学兵器群による同時攻撃は圧倒的で、しかもその戦術に無駄はない。烈火の如き激しい攻撃に搭乗機ジルエリッタが曝されてなお、その暫くを持ち堪えていたという事実が、相手が手を抜いているだろうという確信の一助となった。 圧倒的な殺意を持っていることに変わりはない──しかし、何処か此方を値踏みするかのような視線の介在をシルヴィアは感じていた。そしてそれが、まるで自分の事を以前からある程度知っているかのような、そんな不快さを孕んでいたのである。 それについて言外に咎める気はなかった。もし知られているというのなら、その見覚えがシルヴィアには密かに合るからだ。 シルヴィアがその視線を許す事ができないのは、もっと根本的な部分に根ざした事実故である。 自分がパイロットとして半人前どころか、まだ児戯に等しいなどという事は誰に指摘されなくともよく理解しているつもりだった。 戦場に臨む兵士として、最も致命的に欠落した部分──自分の両の眼で相手を見て、躊躇があろうと何だろうと、殺すと決めた相手を必ず殺す、その意識と覚悟がシルヴィアにはなかった。 兵士として在ると決めながら、シルヴィアはその実、長い時間その覚悟を持つ事を恐れて生きてきた。 自らの汚点である事は知っているし、それに対する恥かしみもある。 だが、それをして尚、シルヴィアは絶対的にその汚点を否定してはいなかった。 それがシルヴィアの戦士としての、一つの覚悟なのだ。それを敵は見誤り、自分を一人の戦士としてすら認めていない──シルヴィアはそう確信を得ていた。 護りたいモノを護り抜くために必要な覚悟──即ち、自らの軍靴で何者かの命を踏み躙る事を未だに畏れているのだと。 何処かで私が、それをしなくても生き残れるかもしれないなどと言う淡い希望を抱いているのだと。 その浅ましい考えを、敵は見抜いている。 しかし、シルヴィアは自分のその気構えを、決して否定しない。 二流だろうと三流だろうと構わない。誰に甘すぎると罵られたって、構わない。 自分がそうやって生きて、生き残って意思を貫いて、代償を呑んでも護りたいモノが私にはある。 シルヴィアは心の中で一時、瞼を下ろす。そして次の瞬間には極限にまで研ぎ澄ました戦意を双眸に湛え、そして、咆哮した。 「僕は、こんな所で死ぬ訳にいかないんだ!」 その苛烈な戦意が伝わったのかどうか、敵機はそれまで緩急をつけていた機体動作を止め、此れまでとは桁外れに鋭角的な戦闘機動へと移行する。 既に生かしていたぶる価値がなくなったか、時間が惜しくなりでもしたのか定かでないが、その苛烈な攻撃を前にしては数分と持たないだろう事は明白だった。 シルヴィアは白熱した意識の中で覚悟し、展開していた回避重視の偏差機動を最低限に留める。火器管制機構と搭載センサー群を最大稼動効率で運用、機体周囲に展開する光学兵器群を把握すると同時に、此れまで蓄積したイクシード・オービットの軌道情報をHMD画面に出力する。 その中でも僅かな予測のぶれを敵機が行う為に、シルヴィアはその修正を手動──即ち自らの直感に掛けた。 圧倒的な瞬間火力の収束光がジルエリッタの機体各部へ焦熱痕を穿ち、過剰損害による被害状況を戦術支援AIがけたたましく伝える。レッドアラートがコクピット内を反響する中、メインディスプレイの一点に集約した〝狙撃座標〟が導き出され、シルヴィアは全力でトリガーを引いた。 APFSDS弾を四発斉射、一発目の砲弾が射線に重なった光学兵器群──二基の浮遊設置式子機と、その最後衛で機体に追従するEO機の計三基を纏めて貫通する。内部機構の爆発を招いたEOが後背部から衝撃を齎し、敵の戦闘機動を鈍らせる。 そこを狙った三発の砲弾が、複合装甲非搭載の膝関節部と右腕部マニピュレータ、そして頭部を破壊した。 機体制御を著しく低下させた敵機体レイダー3が荒野を削り、やがて噴煙の中でその機動を完全に停止した。 極力絞った警戒推力で至近距離まで接近し、赤銅色の噴煙を挟んで主兵装の砲口を突きつける。 荒野を走る陣風が噴煙をさらい、やがて大地に各坐したレイダー3の無残な姿が露になった。後背部は爆発したEOの影響で背部兵装のコンテナ群が損壊、他の部分も緊急制動の影響で負荷限界を超えた為か、醜くひしゃげていた。 オープンチャンネルで再び通信要請を行うと、以外にもすんなりと回線が確立された。 上がっていた呼気を整え、凛とした態度を保ってシルヴィアは宣言する。 「貴方の命までは取らない……」 『小娘が──その軍事的偽善が、貴様の答えか……』 重々しい口調で毒づくパイロットに返答は返さず、しかし胸中で、シルヴィアは頷く。 これが、私の戦争なのだと。 シルヴィアは完全に継続戦闘力を失った敵機体を残し、既に先行した二機の後にジルエリッタを向かわせた。 * ふ、私も焼きが回っていたという事か──。 あちこちから火花の散るコクピットの中で、ウルフ・アッドは自嘲した。 「仮に会う事があったら、これも予定調和だったと、貴様は抜かすのだろうな」 古い戦友の後ろ姿を脳裏に浮かべ、コクピットの内壁に吊るしていたホルスターから自動拳銃を抜く。 サンドゲイルと我々の衝突は、奴が──リヒト・マウザーが最初から望んで描いた未来だったのだ。 そして、自分達が撃滅される事も恐らく、予定された可能性の範疇に含まれていた。 踏み台にして上り詰めるつもりが、私はまたしてもあの男に一杯食わされたという事だ。 邪魔立てしようとする者は、誰であろうと逃さない。 「そこまでして貴様は何処へ行くつもりだ、リヒト──」 長年使い込んだ得物の遊底を引き、その銃身を一時見下ろした後、銃口を顎に押し付けた。 「貴様は、一人の〝鬼〟を戦場に解き放った。そいつがどう大きくなってゆくのか、俺は高みから見ていてやろう──」 何の躊躇もなく、引き金を絞った。 * コンテナを積み込んだ軽量級二脚〝レイダー4〟は無駄な反攻をせず、素直に周辺戦域外への離脱を計っていた。相対距離にして一〇〇メートル以内、それは交戦距離として極至近であり、効果に程度はあれど必中を狙える距離である。しかし、マイは積極的な攻勢に出るのを躊躇していた。 「ダメだ、射撃精度が足りない──」 吟味する間もなく出撃した経緯から、レイダー4を追撃する蒼竜騎の武装は中近距離戦闘用に調整されたままであった。現状を鑑みるならば、右腕部に携える短機関砲で敵機の機動力を奪う──即ち、関節部などの要所を攻撃するのが通例だろう。だが、それを実践するには余りにも、その兵装が状況として適応していなかった。 もし、予定外の部位を攻撃してしまったら──? 間違って関節部内のアクチュエータ機構へ致命的な損害を与えようものなら、レイダー4は推進安定を失って瞬く間に倒壊するだろう。 その際に、背部のコンテナが巻き込まれては本末転倒も良い所だった。 射撃精度に秀でた武装で、要所のみを確実に狙わねばならない。 その最低要件が、蒼龍騎の持つ武装の何れにも決定的に不足していた。 速やかな戦線離脱を計るレイダー4も既に状況を把握済みのようで、その後退機動には余裕すら垣間見える。マイが先程からできる事と言えば、短機関砲による牽制射撃を周囲に穿って進路を逸らさせ、僅かにでも時間を稼ぐ事だけだった。 マイは僅かな焦燥が、脳裏で渦巻きはじめているのを自覚していた。 「じきに領域圏外だ──どうする?」 閉鎖型自治区【ソグラト】を含む近隣自治帯は何れの統治勢力の管轄下にもない、いわば空白地帯である。その中をレイダー4は、最寄のミラージュ社管轄境界線に向けて進行中であった。此方が積極的な攻撃に出れるとしたら、それは敵機が境界線を割るまで。 もしマイが領土侵犯を犯して越境すれば、それを正当な名目としての、事実上の武力粛清は免れ得ない。 逆に空白地帯である近隣自治帯内で事を納めれば、この状況を静かに遣り遂せる可能性は非常に高かった。前後状況を鑑みるに、既にミラージュ社は相当数の実行部隊を派遣している。これ以上目立つ行動をすれば、空白地帯に隣接する他の統治勢力を刺激するのは火を見るよりも明らかだった。 現在の機動速度を維持された場合、境界線を割るまでの所要時間は一〇分を切ると戦術支援AIは算出している。 俺は、何も果たせないのか──? マイの脳裏を考えてはならない可能性が過ぎり、古い過去がその流れを後押しする。 他の誰よりも幼く、何もかもを見捨てて命にすがった頃。 誰もそれを咎めなかった。だが、自分はその腐敗しゆく心を許せなかった。 故にマイは、自らに覚悟を課したのだ──。 「どうすれば──……」 焦燥が口をついて出た時、第一種狭域索敵態勢で稼動中のレーダーに、友軍の識別信号が二つ、浮上する。後方から瞬く間に距離を詰めてきた動体反応──友軍機のツエルブとフィクスブラウが両側を突出し、その機影を有視界で直接確認した。 『ドラグーン、此方ザックセル──どういう状況だ?』 素早くレイダー4の左舷前方へ迂回したACの搭乗者である親方のシェルブ──ザックセルが問う。 「蒼竜騎では狙い撃てない、射撃精度が不足しています……」 『なるほど──此方とフィクスブラウで挟撃を仕掛け、揺さ振りを掛けよう。出来るか、スコープアイ?』 『──問題ない』 ツエルブの正対位置、右舷前方を併走中のフィクスブラウを駆るシーアが冷静に応答した。 戦術支援AIが随時算出中の境界線までの限界時間は残り五分を切っている。この状況下で二機もの増援が間に合った意味は途方もなく大きい。 前方の二機が揺さ振りを掛ける間に蒼龍騎で後方から接近、至近距離から要点を単撃する──状況として依然困難であることに変わりはないが、それが出来なければ状況の打開は見込めない。 意思を固め、マイが強襲機動に掛かろうとした、その矢先だった。 有視界に捕捉中のレイダー4が見せた変化を搭載センサー群が詳細に解析、戦術支援AIが羅列情報と合わせてプログラムボイスで報告する。 『──レイダー4、内蔵燃料電池の内部温度が上昇しています。機体各部温度も上昇、一部機構融解が始まっています』 その事実報告に一瞬戸惑い、しかし直にマイは気づいた。 『マズいな。この野郎、自爆しやがるぞ──俺達の手に渡る位ならって奴か!』 確立状態の共有回線を通じてスコープアイが毒づく。 搭載センサー群が更新するレイダー4の機体状態が劇的に変化、ものの数秒で動力源部の内部温度は数百度に達した。 現存のAC兵器には燃料電池という代物が、主な動力源として通じて採用されている。 機体内部の密閉状態から突沸した気化物が拡散爆発を起こすよう人為的に仕向ける事は、決して不可能ではない。 不都合な事実を抹消する為や、単純な自決の為に度々こういった処置が施されているという事は、戦場では珍しくない話だ。だからこそ、マイは焦燥した。 往々にして、その結末は周囲に甚大な被害を齎して収束する。 シェルブが共有回線を通じて叫んだ。 『全員退避しろ、吹き飛ぶぞ!』 その言葉に従ってフィクスブラウと、自ら発したツエルブが距離を保つ。しかし、マイは推力調節用のフットペダルを強く踏み込んだ。 その様子を垣間見てザックセルが、 『馬鹿野郎、みすみす死ぬ気か!』 「すみません、行きます──」 自らに教えを与えた親方ですら退く状況──それは致命的な状況以外の何者でもなく、マイが行なうその行動は既に、親方のそれからすらも遠くかけ離れた境地となっていた。 自身がその事実を既に自覚し、だからこそ、マイは迷いなく蒼龍騎を駆って突進を仕掛ける。 相対距離は五〇メートル弱──拡散爆発の発生まで想定一〇秒を切っている。 間に合わないかもしれない。自分以外の誰も彼もが、現状を諦めているかもしれない。 彼女──イリヤですらも。 しかし、誰かの手を離す事を、マイは良しとしなかった。 機体温度を上げながらも尚、境界線へ向けて疾走し続けるレイダー4を追う。 その時、レーダー反応に友軍の別な識別信号が現れ、友軍識別コード・ジルエリッタが表示される。 それと同時に、白燐の急激燃焼による赤い軌跡を引いたAPFSDS弾(離脱装弾筒付徹翼安定徹甲弾)が蒼竜騎の側面を走る。 後方距離は、遥か四三五〇メートル──遠距離攻撃用滑腔砲に於ける有効精密殺傷圏の間際という遠方から行なわれた狙撃が、レイダー4の後方噴射ノズルの片割れを吹き飛ばす。機動速度を途端に落としたレイダー4がよろめく。 回線を通じて〝キャスパー〟の名を持つシルヴィアが叫んだ。 『行って、マイ──!』 「オーケー。流石だ、シルヴィ!」 コンソールを叩き、左腕部以外の武装を全て強制投棄する。死荷重のそれらによる制約から解放されると同時に限界速度が跳ね上がり、マイは一層強くフットペダルを踏みつけた。 極高速の強襲機動が身体を軋ませ、状態異常を察知したメディカルシステムが異常警報を発する。 瞬く間に眼前のレイダー4へ肉薄、マイは知らぬ間に咆哮していた。 背部搭載コンテナの接続部に狙いを定め、左腕部武装のレーザーブレード発振装置から現出させた刀身を振り払う。出撃前に換装処置が成された左腕は発振装置への出力供給を高効率で実現、それによって規格外の高熱量を帯びた刀身が鋭く、背部接続部分を焼き切った。 落下を始める前にすかさず、右腕部のマニピュレータで人型大のコンテナを捕捉。強襲機動の残余推力から強制制動をかけて機体を反転させ、コンテナを抱え込んで蒼竜騎に耐久姿勢を取らせる。 ──一拍後、耳を劈く爆発音と共に後方から衝撃が叩きつけた。 緩衝機構ですら相殺しきれない衝撃が機体を覆い、警告文字がディスプレイ上を埋め尽くす。爆炎が有視界を長時間駆け巡る。 容赦ない衝撃負荷に、マイは歯を食い縛って耐え続けた。 暫くして漸く機体の震動が収束し、爆発の残響音が荒野の地平線に遠のいていく。 『機体磨耗率上昇──頭部中破、背部複合装甲消失──累計機体磨耗率、八四パーセントです。緊急冷却措置を最優先で実行、機体稼動再開までの所要時間は三分──』 戦術支援AIの抑揚に乏しい音声報告が、静けさに満ちたコクピット内に響く。 「はあ──ふう……」 大きく息を吐き、マイはヘルメットをコンソール脇に投げ置いた。強か打ち付けたような激痛が全身にあり、しかし、それを度外視してコンソールに指を伸ばす。 戦術支援AIがその他報告事項を段階的に述べ、その過程でどうやら戦域周辺に敵性勢力の反応は全て消失した事を確認した。 破損したカメラアイを介し、激しいノイズが走る有視界で蒼竜騎が右腕部に抱えるコンテナを見下ろす。表面部は余す事なく焼け焦げ、外からではどうにも内部の状況を判断できそうになかった。 冷却処置の完了を待ってマイは、コンテナと機体双方に余計な負荷を掛けないよう注意を払いつつ、コンテナを地上へそっと下ろした。 身体に鞭打ってパイロットシート脇の背嚢を背負い、開放したハッチからタラップを使って地上に降りる。 インカムに繋いだ共有回線に、有効殺傷圏外へ寸での所で離脱した友軍AC──ツエルブから通信が入った。 『マイ、大丈夫か──?』 「大丈夫です、親方……今からコンテナを開けます」 鋼鉄の残骸、残り火や黒煙が周囲一帯に散在し、鉄屑の焦げる特有の臭気がマイの鼻を鈍くつく。 焼け焦げたコンテナの前に立つと、マイは冷却用ゲルボンベで冷却措置を済ませてから解体工具を用い、一つ一つコンテナの部品を取り外していった。 そして、施錠部の部品を取り外し、コンテナのハッチを両手と肩を使って持ち上げる。 「──大丈夫か、イリヤ?」 薄暗い内部で、まるで初めて遭遇したいつかの時と同様に、彼女は目の前に横たわっていた。 しかし、今の彼女は明確な意識を保ってマイの目の前にいた。 イリヤが小さく口を開く。 「貴方は本当に馬鹿だわ、こんな私の為に……」 相変わらず表情の薄い彼女と視線を重ね、マイは強張っていた表情を俄かに緩めた。 上体を起こそうとする彼女の背中に腕を回し、手伝う。 その時、視界に横合いから橙色の鋭い光源が差し込み、マイは眼を細めた。 もう、そんな時間か── マイの手助けを得てコンテナから降りた彼女は、初めて立つかのように正しく大地を踏みしめ、荒野の果てに揺らぐ斜陽の光に身を浸す。 傍に寄り添うマイは戦火の残り香が揺らめく荒野を見回し、最後に彼女の横顔を眼に収めた。 戦陣の残り香を掻き消すかのように、荒野の風が吹き抜ける。 瞑っていた眼を彼女が開いた時、目許に溢れていた涙がその風に包まれて舞った。 斜陽の光を孕んだ大粒の雫が結晶のように煌めき、深い橙色の荒野の何処かへと貰われてゆく。 イリヤは、口許に淡い微笑みを湛えた。 「ありがとう。でも、今はそれが嬉しい──」 第九話 終 →Next… 第十話 コメントフォーム 名前 コメント